(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】エアロゾル発生物品及びエアロゾル発生物品を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20240327BHJP
【FI】
A24D1/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559722
(86)(22)【出願日】2022-04-19
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2022060293
(87)【国際公開番号】W WO2022223547
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】山口 顕
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045AA21
4B045AA41
4B045AB05
4B045AB07
4B045AB08
4B045AB11
4B045AB16
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル発生装置内での加熱時に吸入物を生成するためのエアロゾル発生物品であって、エアロゾル発生基材のロッドと、濾過材料のプラグを含むマウスピースと、ラッパーと、タバコとエアロゾル形成剤とを含むタバコ含有層とを含み、エアロゾル発生基材のロッドは、ラッパーと、エアロゾル形成剤を含有するタバコ含有層とにより包まれ、タバコ含有層は、ラッパーの表面に接触して位置決めされる、エアロゾル発生物品に関する。本発明はさらに、エアロゾル発生物品を製造するための方法であって、タバコ含有スラリーを調製するステップと、第1のシート上にタバコ含有スラリーを堆積させてタバコ含有層でコーティングされたシートを形成するステップと、紙シートとタバコ含有層とが第1のシートの互いに反対側に位置するように、第1のシート上にタバコ含有スラリーを堆積させる前又は堆積させた後に紙シートを第1のシートに取り付けてラッパーを形成するステップと、その後、タバコ含有層がエアロゾル発生基材のロッドに面するように、タバコ含有スラリーでコーティングされた第1のシートを含むラッパーでエアロゾル発生基材のロッドを包むステップとを含む、方法を対象とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置(2)内での加熱時に吸入物を生成するためのエアロゾル発生物品(1)であって、
タバコを含むエアロゾル発生基材(10)のロッドと、
濾過材料のプラグを含むマウスピース(20)と、
ラッパー(30)と、
タバコとエアロゾル形成剤とを含むタバコ含有層(40)と
を含み、
前記エアロゾル発生基材(10)のロッドは、前記ラッパー(30)と前記タバコ含有層(40)とにより包まれ、
前記タバコ含有層(40)は、前記ラッパー(30)の表面に接触して位置決めされる、
エアロゾル発生物品(1)。
【請求項2】
前記タバコ含有層(40)は、前記エアロゾル発生基材のロッドに面する前記ラッパー(30)の前記内面上にコーティング又は結合される、請求項1に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項3】
前記ラッパー(30)は、熱伝導性シートを含み、前記タバコ含有層(40)は、前記熱伝導性シートに接触する、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項4】
前記熱伝導性シートは、アルミニウムで作製される、請求項3に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項5】
前記ラッパー(30)は、外側紙層(32)と、前記エアロゾル発生基材のロッドに面する内側層(31)とを含み、前記内側層(31)は、前記熱伝導性シートである、請求項3又は4に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項6】
前記エアロゾル形成剤は、
グリセリンなどの多価アルコール、
ポリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、又は1-3-ブタンジオールなどのジオール、
グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、又はグリセロールトリアセテートなどの多価アルコールのエステル、
ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ドデカン二酸ジメチル、ドデカン二酸ジエチル、ドデカン二酸ジイソプロピル、テトラデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジエチル、テトラデカン二酸ジイソプロピル、クエン酸トリメチル、又はクエン酸トリエチルなどのモノ、ジ若しくはポリカルボン酸の脂肪族エステル
からなる群から選択される1種以上の化合物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項7】
前記タバコ含有層(40)は結合剤を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項8】
前記結合剤は、
ジェランガム、キサンタンガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、又は寒天などのガム、
グルコース、フルクトース、又はガラクトースなどの単糖類、
ラクトース、マルトース、又はスクロースなどの二糖類、
澱粉などの多糖類、及び
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、又はエチルセルロースなどのセルロース誘導体
からなる群から選択される1種以上の化合物を含む、請求項7に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項9】
前記タバコ含有層(40)は、0.1~0.5mm、好ましくは0.1~0.2mmの厚さを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項10】
前記タバコ含有層(40)は、微粉化されたタバコ粉末を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項11】
前記タバコ粉末は、30μm以下の粒径(Dv90)を有する、請求項10に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項12】
前記タバコ含有層(40)は、非タバコ香味剤をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項13】
前記エアロゾル発生基材に含まれる前記タバコは、ランダムに配向されたタバコストランド、ランダムに配向されたタバコ刻、及びギャザー付きタバコシートの群から選択される1種以上である、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項14】
前記エアロゾル発生基材は、タバコ葉、タバコ葉身、タバコ茎、タバコくず、再構成タバコ、セルロースパルプ、又はこれらの組み合わせをさらに含む、請求項13に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項15】
前記管状部材(50)は、前記エアロゾル発生基材(10)のロッドと前記マウスピース(20)との間に存在する、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項16】
前記管状部材(50)は、中空であり、好ましくは紙管又はPLA管である、請求項15に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項17】
チップペーパーは、前記マウスピース(20)と前記管状部材(50)と前記エアロゾル発生基材(10)のロッドを覆うように包み、前記ラッパー(30)と少なくとも部分的に重なる、請求項15又は16に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項18】
前記タバコ含有層(40)に接触する誘導加熱可能サセプタ要素を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(1)。
【請求項19】
エアロゾル発生物品(1)を製造するための方法であって、
タバコ含有スラリーを調製するステップと、
第1のシート上に前記タバコ含有スラリーを堆積させてタバコ含有層(40)でコーティングされたシートを形成するステップと、
紙シートと前記タバコ含有層(40)とが前記第1のシートの互いに反対側に位置するように、前記第1のシート上に前記タバコ含有スラリーを堆積させる前又は堆積させた後に前記紙シートを前記第1のシートに取り付けてラッパー(30)を形成するステップと、
その後、前記タバコ含有層(40)がエアロゾル発生基材(10)のロッドに面するように、前記タバコ含有スラリーでコーティングされた前記第1のシートを含む前記ラッパー(30)で前記エアロゾル発生基材(10)のロッドを包むステップと
を含む、方法。
【請求項20】
前記第1のシートは、熱伝導性シート、好ましくはアルミニウムで作製された熱伝導性シートである、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生装置内での加熱時に吸入物を生成するためのエアロゾル発生物品と、エアロゾル発生物品を製造するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
リスク低減装置(気化器としても知られる)の人気と使用は、ここ数年で急速に成長してきた。リスク低減装置は、紙巻きタバコなどの従来のタバコ製品の代替品として使用される。従来のタバコ製品においてタバコを燃焼させるのとは対照的に、エアロゾル発生物質を加熱又は加温する様々な装置及びシステムが利用可能である。一般的に入手可能なリスク低減装置は、加熱非燃焼式装置(HNB)としても知られる、加熱式エアロゾル発生装置である。このタイプの装置は、湿った葉タバコ又は他の好適なエアロゾル化可能材料を典型的に含むエアロゾル発生基材を、典型的には150℃~350℃の範囲の温度に加熱することによってエアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル発生基材を燃焼させる又は燃やすのではなく加熱することにより、ユーザが望む成分及び香味は含むが、燃焼及び燃やすことによる毒性又は発癌性のある副生成物の生成なしにエアロゾルが放出される。また、タバコ又は他のエアロゾル化可能材料を加熱することにより生成されるエアロゾルは、燃焼及び燃やすことに起因する焦げた味又は苦味を典型的には含まない。それゆえ、エアロゾル発生基材は、典型的には煙及び/又は蒸気をユーザにとってより口当たりの良いものにするために加えられる糖及び他の添加剤を必要としない。
【0003】
典型的なエアロゾル発生装置は、加熱チャンバ、すなわちオーブンを含む。加熱チャンバは、タバコスティックなどの固体のエアロゾル発生物品(すなわち、エアロゾル発生基材を含む物品)を受け入れるように構成される。
【0004】
HNB製品の1つの問題は、特にエアロゾル発生装置が外部加熱装置である場合(すなわち、ヒータが、基材をその外面から加熱するためにエアロゾル発生物品の外部にある場合)、HNB製品が初回のパフ時に十分な喫味を送達しないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記の課題に対処することと、喫味の送達を改善したエアロゾル発生物品を提供することである。特に、本発明の目的は、HNB装置での初回のパフ時におけるエアロゾル発生物品の喫味の送達を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、エアロゾル発生装置内での加熱時に吸入物を生成するためのエアロゾル発生物品と、エアロゾル発生物品を製造するための方法とを提供することにより、この問題を解決する。
【0007】
エアロゾル発生物品は、ラッパーとタバコ含有層とにより包まれた、エアロゾル発生基材のロッド(タバコロッド)を含む。タバコ含有層は、タバコとエアロゾル形成剤とを含み、ラッパーの表面に接触する。ラッパーは、加熱チャンバに接触し、タバコ含有層のより迅速な加熱を可能にする。エアロゾル発生装置内での加熱時に、タバコ含有層は、喫味を送達するのに十分にエアロゾル発生基材のロッドが加熱される前でも、初回のパフ時に十分な蒸気及び/又はエアロゾルを発生させる。したがって、初回のパフ時でも十分な喫味を送達することができる。
【0008】
第1の態様において、請求項1に記載の本発明は、エアロゾル発生装置内での加熱時に吸入物を生成するためのエアロゾル発生物品であって、
タバコを含むエアロゾル発生基材のロッドと、
濾過材料のプラグを含むマウスピースと、
ラッパーと、
タバコとエアロゾル形成剤とを含むタバコ含有層と
を含み、
エアロゾル発生基材のロッドは、ラッパーとタバコ含有層とにより包まれ、タバコ含有層は、ラッパーの表面に接触して位置決めされる、
エアロゾル発生物品を対象とする。
【0009】
第2の態様において、請求項18に記載の本発明は、エアロゾル発生物品を製造するための方法であって、
(i)タバコ含有スラリーを調製するステップと、
(ii)第1のシート上にタバコ含有スラリーを堆積させてタバコ含有層でコーティングされたシートを形成するステップと、
(iii)紙シートとタバコ含有層とが第1のシートの互いに反対側に位置するように、第1のシート上にタバコ含有スラリーを堆積させる前又は堆積させた後に紙シートを第1のシートに取り付けてラッパーを形成するステップと、
(iv)その後、タバコ含有層がエアロゾル発生基材のロッドに面するように、タバコ含有スラリーでコーティングされた第1のシートを含むラッパーでエアロゾル発生基材のロッドを包むステップと
を含む、方法を対象とする。
【0010】
エアロゾル発生物品及びエアロゾル発生物品を製造するための方法の好ましい実施形態は、従属請求項の対象となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】加熱チャンバ(21)、すなわちオーブンを含む典型的なエアロゾル発生装置(2)を示す。加熱チャンバ(21)は、タバコスティックなどの固体のエアロゾル発生物品(1)(すなわち、エアロゾル発生基材を含む物品)を受け入れるように構成される。
【
図2】ラッパーとタバコ含有層とにより包まれた、タバコを含むエアロゾル発生基材(10)のロッドと、濾過材料のプラグを含むマウスピース(20)と、管状部材(50)とを含む、本発明によるエアロゾル発生物品(1)を示す。
【
図3】本発明によるエアロゾル発生装置(2)内での加熱時に吸入物を生成するためのエアロゾル発生物品(1)を切断した断面図を示す。エアロゾル発生物品(1)は、タバコを含むエアロゾル発生基材(10)のロッドと、濾過材料のプラグを含むマウスピース(20)と、ラッパー(30)と、タバコとエアロゾル形成剤とを含むタバコ含有層(40)とを含む。エアロゾル発生物品(1)は、管状部材(50)を含み得る。ラッパー(30)は、外側紙層(32)と内側層(31)とを含み得る。
【
図4】タバコ含有層(40)と内側層(31)と外側紙層(32)によりこの順序でエアロゾル発生基材のロッド(10)が包まれることを示す。
【
図5】エアロゾル発生物品を製造するための本発明の方法のステップの代替的な順序を示すフローチャートである。
図5は、(i)タバコ含有スラリーを調製するステップと、(ii)第1のシート上にタバコ含有スラリーを堆積させてタバコ含有層でコーティングされたシートを形成するステップと、(iii)第1のシート上にタバコ含有スラリーを堆積させた後に紙シートを第1のシートに取り付けてラッパーを形成するステップと、(iv)エアロゾル発生基材のロッドをラッパーで包むステップとを含む。
【
図6】エアロゾル発生物品を製造するための本発明の方法のステップの代替的な順序を示すフローチャートである。
図6は、(i)タバコ含有スラリーを調製するステップと、(ii)第1のシート上にタバコ含有スラリーを堆積させる前に紙シートを第1のシートに取り付けてラッパーを形成するステップと、(iii)紙シートに取り付けられた第1のシート上にタバコ含有スラリーを堆積させてタバコ含有層でコーティングされたシートを形成するステップと、(iv)エアロゾル発生基材のロッドをラッパーで包むステップとを含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
エアロゾル発生物品
本発明の第1の態様によるエアロゾル発生装置(2)内での加熱時に吸入物を生成するためのエアロゾル発生物品(1)は、
タバコを含むエアロゾル発生基材(10)のロッドと、
濾過材料のプラグを含むマウスピース(20)と、
ラッパー(30)と、
タバコとエアロゾル形成剤とを含むタバコ含有層(40)と
を含む。
【0013】
エアロゾル発生基材(10)のロッドは、ラッパー(30)とタバコ含有層(40)とにより包まれ、タバコ含有層(40)は、ラッパー(30)の表面に接触して位置決めされる。
【0014】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置(2)内での加熱時に蒸気及び/又はエアロゾルを発生させる。
図1に示す典型的なエアロゾル発生装置(2)は、加熱チャンバ(21)、すなわちオーブンを含む。加熱チャンバ(21)は、エアロゾル発生物品(1)を受け入れるように構成される。エアロゾル発生物品を加熱チャンバに挿入することができる。加熱チャンバは、その上にヒータが貼り付けられた金属カップであり得る。ヒータは、例えば、薄膜ヒータであり得る。
図2及び
図3に示すエアロゾル発生物品(1)は、エアロゾル発生基材(10)のロッドが加熱チャンバ(21)で取り囲まれ且つマウスピース(20)が加熱チャンバ(21)の外側に位置するように、エアロゾル発生装置(2)の加熱チャンバ(21)に挿入される。
【0015】
誘導による熱に関する変形例では、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品内に挿入された少なくとも1つの誘導加熱可能サセプタを誘導加熱するために交流電磁場を発生させるように構成された誘導コイル(例えば、リッツ線又はリッツケーブル)を含み得る電磁場発生器を含む受け入れチャンバを含み得る。
【0016】
エアロゾル発生基材のロッド
タバコを含むエアロゾル発生基材(10)のロッド(タバコロッド)の長さは、変わる可能性がある。ロッドは、好ましくは10mm以上50mm以下の長さを有する。より好ましくは、ロッドは、15mm以上40mm以下の長さを有する。最も好ましくは、ロッドは、20mm以上30mm以下の長さを有する。タバコロッドの外周は変わる可能性がある。エアロゾル発生基材のロッドは、好ましくは16mm~約50mm、より好ましくは20~50mm、さらにより好ましくは20~25mmの範囲、最も好ましくは約22mmの外周を有する。
【0017】
エアロゾル発生基材は、タバコ、好ましくは再構成タバコを含む。タバコは、エアロゾル発生装置内でのエアロゾル発生物品の加熱時にエアロゾルを発生させる。エアロゾル発生基材は、ランダムに配向されたタバコストランド、ランダムに配向されたタバコ刻、ギャザー付きタバコシート、タバコムース、又はこれらの組み合わせの形態のタバコを含み得る。エアロゾル発生基材はまた、さらに容易にエアロゾル化可能な材料、好ましくは植物材料及び/又はセルロース系材料を含み得る。より詳細には、エアロゾル発生基材はまた、タバコ葉、タバコ葉身、タバコ茎、タバコくず、再構成タバコ、セルロースパルプ、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0018】
再構成タバコは、タバコが微粉末に粉砕され、水、結合剤、添加剤、保湿剤、及び任意選択の木材パルプ繊維と混合される「キャストシートプロセス」により得られ得る。再構成タバコシートを製造するために、これらの要素のスラリーは、表面上に「キャストされ」又は注ぎ出されて薄膜を形成し、次いで、加熱され、脱水される。一般的に、キャストシート再構成タバコは、カットフィラーを作製するために使用される。別の方法では、以下の手順による「製紙プロセス」により再構成タバコを得ることができる。タバコ茎又はタバコ葉は、精製され(すなわち、繊維が分離され)、水で抽出される。水不溶性パルプは、分離され、所望の稠度までさらに精製され、マットに形成され、次いで、再構成タバコシートを提供するために乾燥される。再構成タバコは、「押出成形」によっても得られ得る。タバコ及び他の原材料は、所望の形状、例えば、ストランド、ロッド、又は管の再構成タバコを提供するために、温度、湿度、及び圧力の制御された条件下で処理される。
【0019】
これらの材料は、エアロゾル発生装置内でのエアロゾル発生物品の加熱時のエアロゾルの発生を改善することができる。
【0020】
エアロゾル発生基材は、結合剤、エアロゾル形成剤、保湿剤、及び非タバコ香味剤からなる群から選択される1種以上の化合物を含み得る。
【0021】
エアロゾル形成剤は、エアロゾル発生装置内でのエアロゾル発生物品の加熱時の蒸気及び/又はエアロゾルの発生を改善する。好ましいエアロゾル形成剤は、保湿剤として作用し得る。エアロゾル形成剤は、多価アルコール、ジオール、多価アルコールのエステル、及びモノ、ジ若しくはポリカルボン酸の脂肪族エステルからなる群から選択される1種以上の化合物を含み得る。保湿剤は、典型的には、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又はこれらのエステルなどのいくつかの親水基を有する分子である。それゆえ、かかる親水基を呈する、上述の好ましいエアロゾル形成剤は、保湿剤としても作用する。保湿剤は、好ましくはグリセリン及び/又はポリプロピレングリコールである。
【0022】
エアロゾル形成剤は、好ましくは、ポリプロピレングリコール(PG)、トリエチレングリコール、1-3-ブタンジオール、グリセリン、グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、グリセロールトリアセテート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル、及びテトラデカン二酸ジメチルからなる群から選択される1種以上の化合物を含む。エアロゾル形成剤は、最も好ましくはグリセリン及び/又はポリプロピレングリコールである。
【0023】
非タバコ香味剤は、ココア、果実エキス、カンゾウ、バニリン、エチルバニリン、コーヒー、茶、メープル、メントール、ミント、ペパーミント、スペアミント、ウィンターグリーン、ナツメグ、クローブ、ラベンダー、カルダモン、ジンジャー、蜂蜜、アニス、セージ、シナモン、サンダルウッド、ジャスミン、カスカリラからなる群から選択される1種以上であり得る。非タバコ香味剤はまた、高フルクトースコーンシロップなどの、シロップを含み得る。
【0024】
結合剤は、ガム、炭水化物、又はこれらの組み合わせを含み得る。ガムは、ジェランガム、キサンタンガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、及び寒天からなる群から選択される1種以上の化合物であり得る。炭水化物は、単糖類、二糖類、多糖類、セルロース誘導体、又はこれらの組み合わせであり得る。結合剤はまた、糖シロップを含み得る。結合剤は、好ましくは、ジェランガム、澱粉、及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される1種以上の化合物である。
【0025】
特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生基材は、ランダムに配向されたタバコストランド、タバコ葉、並びにグリセリン及びポリプロピレングリコールのうちの少なくとも1種を含む。別の特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生基材は、ランダムに配向されたタバコ刻、タバコ葉身、並びにグリセリン及びポリプロピレングリコールのうちの少なくとも1種を含む。さらなる特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生基材は、ギャザー付きタバコシート、タバコ葉、並びにグリセリン及びポリプロピレングリコールのうちの少なくとも1種を含む。
【0026】
マウスピース
マウスピース(20)は、エアロゾル発生装置内での加熱時にエアロゾル発生物品により発生させたエアロゾルを吸入する喫煙者により使用される。マウスピースは、好ましくはロッド状である。マウスピースは、エアロゾル発生基材のロッドに面する開口又は細孔であって、エアロゾル発生物品により発生させたエアロゾルがマウスピース内に入るように適合された開口又は細孔を含み得る。マウスピースの反対側の端部は、喫煙者によるエアロゾルの吸入用に適合された開口又は細孔を含み得る。マウスピースは、濾過材料の1つ以上のプラグを含む。
【0027】
濾過材料のプラグは、好ましくは円筒形又は管状である。濾過材料は、好ましくは、セルロースアセテート、紙、保湿剤、活性炭粒子、及び添加剤からなる群から選択される1種以上の成分を含み得る。保湿剤は、ジオール及び多価アルコールからなる群から選択される1種以上であり得る。保湿剤は、より好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセロールからなる群から選択される1種以上であり得る。添加剤は、好ましくは、アセトアルデヒド、酢酸、トリアセチン、及びフェノールからなる群より選択される1種以上である。
【0028】
管状部材
管状部材(50)は、
図2及び
図3から分かるように、エアロゾル発生基材(10)のロッドとマウスピース(20)との間に存在し得る。管状部材(50)は、好ましくは中空であり、より好ましくは紙管又はポリ乳酸(PLA)管である。最も好ましくは、チップペーパーは、マウスピースと管状部材とタバコロッドを覆うように包み、ラッパー(30)と少なくとも部分的に重なり得る。管状部材はまた、部分的に中空であり得る。管状部材の長手方向の一部又は全てに、ギャザー付きPLAフィルムなどの充填材が充填され得る。
【0029】
管状部材は、エアロゾルが冷却するのに十分な長さを提供するような大きさとされ得る。好ましくは、管状部材は、15~28mm、好ましくは18~25mm、最も好ましくは約20mmの長さを有する。管状部材は、管状部材を通るエアロゾル流路を増大させることを可能にするシケイン、チャネル、流れ障壁を含み得る。
【0030】
通気ゾーンは、空気が管状部材内に引き込まれてエアロゾルを希釈することを可能にするために管状部材を貫通して設けられ得る。通気ゾーンは、1列以上の穿孔により形成され得る。穿孔は、レーザ又は他の技術により管状部材及びラッパーを貫通して形成され得る。
【0031】
ラッパー
エアロゾル発生基材(10)のロッドは、ラッパー(30)と、タバコとエアロゾル形成剤とを含むタバコ含有層(40)とにより包まれ、タバコ含有層(40)は、ラッパー(30)の表面に接触して位置決めされる。タバコ含有層(40)は、好ましくは、ラッパー(30)の内面上にコーティングされる。ラッパー(30)の内面は、ラッパー(30)がエアロゾル発生基材(10)のロッドに巻き付けられたときに、エアロゾル発生基材(10)のロッドに面する表面である。
【0032】
典型的には、ラッパー(30)は、エアロゾル発生基材の略円筒形のロッド状のロッドを形成するように、エアロゾル発生基材(10)に巻き付けられる。好ましくは、ラッパー(30)は、内部に収容されたタバコを露出させ、タバコロッドの各端部を通して吸引される空気の通過を可能にするために、タバコロッドの各端部が開いた状態であるように形成される。
【0033】
ラッパー(30)は、熱伝導性シートを含み得る。
図3及び
図4に示す好ましい実施形態では、ラッパーは、好ましくは、外側紙層(32)と、エアロゾル発生基材(10)のロッドに面する内側層(31)とを含み、内側層(31)は熱伝導性シートである。この実施形態では、エアロゾル発生基材(10)のロッドに面するラッパー(30)の内面は、熱伝導性シート(31)の表面である。タバコ含有層(40)は、最も好ましくは、外側紙層(32)とは反対側の熱伝導性シートの表面上にコーティングされる。熱伝導性シートは、タバコ含有層(40)の担体としての役割を果たし、熱放散とタバコ含有層(40)への均一な熱供給とを改善し得る。
【0034】
エアロゾル発生物品、好ましくはラッパーは、例えば、誘導金属シート、誘導層、及び/又は誘導粒子の形態の、誘導加熱可能サセプタ要素を含み得る。誘導加熱可能サセプタ要素は、以下ではサセプタ箔と呼ばれる、薄いシートの形態であり得る。サセプタ要素の近傍に交流電磁場を印加すると、サセプタ要素は、渦電流及び磁気ヒステリシス損失により電磁エネルギーから熱へのエネルギー変換がもたらされることに起因して、熱を発生させ得るので、タバコ含有層の温度を上昇させ得る。
【0035】
外側紙層(32)は、パルプ系紙で作製され得る。より詳細には、パルプ系紙は、木材、亜麻、又は混合パルプで作製され得る。紙層は、好ましくは塩素を含まない。
【0036】
熱伝導性シートは、好ましくは、エアロゾル発生物品のロッドに面するラッパー(30)の内側にある。熱伝導性シートは、好ましくは金属、より好ましくは、アルミニウム、銅、及び錫の群から選択される金属、最も好ましくはアルミニウムで作製される。熱伝導性シートは、0.005mm~0.2mm、好ましくは0.01mm~0.05mmの範囲の厚さを有し得る。
【0037】
タバコ含有層
タバコ含有層(40)は、ラッパー(30)の表面に接触して位置決めされる。エアロゾル発生物品(1)がエアロゾル発生装置(2)内に配置されたときに、ラッパー(30)は、エアロゾル発生装置(2)の加熱チャンバ(21)に接触する。エアロゾル発生装置内でのエアロゾル発生物品(1)の加熱時に、ラッパー(30)の表面に接触しているタバコ含有層(40)が、効率的に加熱され、したがって、エアロゾル発生基材(10)のロッドが十分に加熱される前でも、初回のパフ時に十分な蒸気及び/又はエアロゾルを発生させる。初回のパフ時にタバコ含有層(40)により発生させる蒸気及び/又はエアロゾルは、タバコ香味を有する。したがって、初回のパフ時に十分な喫味を送達することができる。それゆえ、初回のパフ時の喫味の送達が改善される。タバコ含有層(40)がもはや十分なタバコ香味を発生させなくなった時点で、タバコロッドは、エアロゾル及び味を送達するのに十分に加熱されている。
【0038】
タバコ含有層(40)は、ラッパー(30)の内面上にコーティングされ得る。ラッパー(30)が熱伝導性シートを含む場合、タバコ含有層(40)は、タバコ含有層(40)がラッパー(30)の熱伝導性シートとエアロゾル発生基材(10)との間に配置されるように、エアロゾル発生基材(10)に面する熱伝導性シートに接触し得る。より好ましい実施形態では、ラッパー(30)は、外側紙層(32)と熱伝導性シートの内側層(31)とを含み、タバコ含有層(40)は、外側紙層(32)とは反対側の熱伝導性シートの表面上にコーティングされる。この実施形態では、タバコ含有層(40)は、エアロゾル発生基材(10)のロッドに面する。
【0039】
ラッパーが、サセプタ箔を誘導加熱可能サセプタ要素として含む場合、箔は、タバコ含有基材に接触して配置され得る。サセプタ箔はまた、タバコ含有基材(40)の対向表面に、すなわち、タバコ含有基材とエアロゾル発生基材(10)のロッドとの間に配置され得る。
【0040】
タバコ含有層(40)が熱伝導性シートに接触する場合、オーブン又はヒータを通じてエアロゾル発生物品に伝達された熱が、より均一且つより効率的にタバコ含有層(40)に供給されるため、初回のパフ時の喫味の送達をさらに改善することができる。
【0041】
代替実施形態では、ラッパーの外層は熱伝導性シートであり、ラッパーの内層は紙層である。
【0042】
タバコ含有層(40)は、好ましくは0.1~0.5mmの範囲、より好ましくは0.1~0.2mmの範囲の厚さを有し得る。タバコ含有層(40)の厚さがこの範囲内にある場合、初回のパフ時の喫味の送達をさらに改善することができる。層の厚さが0.1mm以上である場合、タバコ含有層(40)により喫味が送達される期間がさらに延長される。タバコ含有層(40)の厚さが0.5mm以下である場合、タバコ含有層(40)による喫味の送達がさらに加速される。したがって、タバコ含有層(40)が0.1~0.5mmの範囲の厚さを有する場合、初回のパフから始まるタバコ香味の連続送達がさらに改善される。
【0043】
タバコ含有層(40)は、タバコとエアロゾル形成剤とを含有する。タバコ含有層(40)中のタバコは、タバコ粒子、好ましくは微粉化されたタバコ粉末であり得る。微粉化されたタバコ粉末は、40μm以下、好ましくは30μm以下の粒径を有し得る。小粒径により、初回のパフ時の喫味の送達が向上する。より詳細には、小粒径により、粒子間の空隙容積が減少するのでタバコ含有層(40)での熱放散の効率を高めることが可能となる。
【0044】
本文脈では、粒径とは、試料体積の90%がその粒径未満で存在する最大粒径を表すDv90を指す。粒径は、公称空気ライン圧力が6barに設定されたAero乾式分散ユニットと、空気流量が39L/sであり、真空度が20.4kPaであり、光学ユニットの真空ポートに接続された真空ホースの直径が38mmである真空ユニットとを備えた、Malvern Mastersizer 3000装置を用いた分散及びレーザ回折分析により、微粉化されたタバコ粉末の乾燥試料に対して決定される。
【0045】
タバコ含有層(40)は、結合剤、非タバコ香味剤、及び保湿剤などの、さらなる添加剤を含有し得る。タバコ含有層(40)中のタバコ及び任意選択の非タバコ香味剤の総含有量は、タバコ含有層(40)の好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上、最も好ましくは60重量%以上である。結合剤、保湿剤、及びエアロゾル形成剤の総含有量は、タバコ含有層(40)の好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下、最も好ましくは40重量%以下である。結合剤、保湿剤、及びエアロゾル形成剤の総含有量は、タバコ含有層(40)の好ましくは8重量%超、より好ましくは10重量%超、最も好ましくは12重量%超である。
【0046】
エアロゾル形成剤は、エアロゾル発生装置内でのエアロゾル発生物品の加熱時に蒸気及び/又はエアロゾルを形成する。好ましいエアロゾル形成剤は、保湿剤として作用し得る。エアロゾル形成剤は、多価アルコール、ジオール、多価アルコールのエステル、及びモノ、ジ若しくはポリカルボン酸の脂肪族エステルからなる群から選択される1種以上の化合物を含み得る。エアロゾル形成剤は、可視のエアロゾルを生成し得る。
【0047】
多価アルコールは、グリセロールであり得る。
【0048】
ジオールは、ポリプロピレングリコール(PG)、トリエチレングリコール、及び1-3-ブタンジオールからなる群から選択される1種以上であり得る。
【0049】
多価アルコールのエステルは、グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、及びグリセロールトリアセテートからなる群から選択される1種以上であり得る。
【0050】
モノ、ジ又はポリカルボン酸の脂肪族エステルは、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ドデカン二酸ジメチル、ドデカン二酸ジエチル、ドデカン二酸ジイソプロピル、テトラデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジエチル、テトラデカン二酸ジイソプロピル、クエン酸トリメチル、及びクエン酸トリエチルからなる群から選択される1種以上であり得る。
【0051】
エアロゾル形成剤は、好ましくは、ポリプロピレングリコール(PG)、トリエチレングリコール、1-3-ブタンジオール、グリセリン、グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、グリセロールトリアセテート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル、及びテトラデカン二酸ジメチルからなる群から選択される1種以上を含む。エアロゾル形成剤は、最も好ましくはグリセリン及び/又はポリプロピレングリコール(PG)である。グリセリンは、植物性グリセリン(VG)であり得る。植物性グリセリンは、大豆油、ココナッツ油、パーム油などの植物油から得られるグリセリンである。
【0052】
エアロゾル形成剤は、好ましくは保湿剤として作用し得る。保湿剤は、材料を湿った状態に保つために使用される吸湿性物質である。保湿剤は、典型的には、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又はこれらのエステルなどのいくつかの親水基を有する分子である。それゆえ、かかる親水基を呈する、上述の好ましいエアロゾル形成剤は、保湿剤としても作用する。したがって、保湿剤は、最も好ましくはグリセリン及び/又はポリプロピレングリコールである。
【0053】
タバコ含有層(40)は結合剤を含み得る。結合剤は、ガム、炭水化物、又はこれらの組み合わせを含み得る。ガムは、ジェランガム、キサンタンガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、及び寒天からなる群から選択される1種以上の化合物であり得る。炭水化物は、単糖類、二糖類、多糖類、セルロース誘導体、又はこれらの組み合わせであり得る。単糖類は、好ましくは、グルコース、フルクトース、及びガラクトースからなる群から選択される1種以上である。二糖類は、好ましくは、ラクトース、マルトース、及びスクロースからなる群から選択される1種以上である。多糖類は、好ましくは澱粉である。セルロース誘導体は、好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース(MC)、及びエチルセルロースからなる群から選択される1種以上である。結合剤はまた、酵素転化シロップ、酸転化シロップ、マルトースシロップ、高フルクトースコーンシロップ、還元水飴、及び蜂蜜などのシロップであり得る。結合剤は、最も好ましくは、ジェランガム、澱粉、及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される1種以上の化合物である。
【0054】
タバコ含有層(40)は、タバコ粒子、好ましくは微粉化されたタバコ粉末を含み得る。微粉化されたタバコ粉末は、好ましくは30ミクロン以下の平均粒径を有する。
【0055】
タバコ含有層(40)は、非タバコ香味剤をさらに含み得る。非タバコ香味剤は、ココア、果実エキス、カンゾウ、バニリン、エチルバニリン、コーヒー、茶、メープル、メントール、ミント、ペパーミント、スペアミント、ウィンターグリーン、ナツメグ、クローブ、ラベンダー、カルダモン、ジンジャー、蜂蜜、アニス、セージ、シナモン、サンダルウッド、ジャスミン、カスカリラ、ココアからなる群から選択される1種以上であり得る。果実エキスは、リンゴ、サクランボ、イチゴ、モモ、並びにライム及びレモンを含む柑橘系香味であり得る。非タバコ香味剤はまた、高フルクトースコーンシロップなどの、シロップを含み得る。非タバコ香味剤は、好ましくは、ココア、メントール、果実エキス、及びカンゾウの群から選択される1種以上である。好ましくは、非タバコ香味剤は、タバコ含有層(40)の総重量の10%未満、好ましくは約5%未満を構成する。
【0056】
好ましい実施形態では、タバコ含有層(40)は、粉末化されたタバコ粉末と、結合剤と、ポリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1-3-ブタンジオール、グリセリン、グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、グリセロールトリアセテート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル、及びテトラデカン二酸ジメチルからなる群から選択されるエアロゾル形成剤とを含む。
【0057】
特に好ましい実施形態では、タバコ含有層(40)は、微粉化されたタバコ粉末と、ジェランガム、澱粉、及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される少なくとも1つの結合剤と、ポリプロピレングリコール及びグリセリンのうちの少なくとも1種とを含む。
【0058】
具体的には、タバコ含有層(40)は、微粉化されたタバコ粉末、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレングリコール、及びグリセリンを含み得る。タバコ含有層はまた、微粉化されたタバコ粉末、ジェランガム、ポリプロピレングリコール、及びグリセリンを含み得る。タバコ含有層(40)はまた、微粉化されたタバコ粉末、澱粉、ポリプロピレングリコール、及びグリセリンを含み得る。
【0059】
エアロゾル発生物品を製造するための方法
第2の態様では、本発明は、エアロゾル発生物品を製造するための方法を対象とする。
【0060】
本方法は、
タバコ含有スラリーを調製するステップと、
第1のシート上にタバコ含有スラリーを堆積させてタバコ含有層でコーティングされたシートを形成するステップと、
紙シートとタバコ含有層とが第1のシートの互いに反対側に位置するように、第1のシート上にタバコ含有スラリーを堆積させる前又は堆積させた後に紙シートを第1のシートに取り付けてラッパーを形成するステップと、
その後、タバコ含有層がエアロゾル発生基材のロッドに面するように、タバコ含有スラリーでコーティングされた第1のシートを含むラッパーでエアロゾル発生基材のロッドを包むステップと
を含む。
【0061】
本発明の第1の態様によるエアロゾル発生物品は、好ましくは、本発明の第2の態様による方法により製造される。
【0062】
タバコ含有スラリーは、水性分散媒中にタバコ粒子を分散させることにより調製され得る。タバコ粒子は、好ましくは、30μm以下の平均粒径を有するタバコ粉末である。より好ましい実施形態では、タバコ含有スラリーは、水性媒体にタバコ粉末を添加してタバコ粉末を含む分散液を120℃以上の温度に加熱することにより生成され得る。分散液を120℃以上に加熱することにより、水との相互作用を通じて増粘を引き起こし、それによりスラリーの粘度を向上させる、ヘミセルロースなどの、物質を分解することが可能である。温度は、好ましくは160℃以上である。温度は、好ましくは200℃を超えない。200℃を超える温度により、有効成分の劣化が生じ得る。温度は、より好ましくは190℃を超えず、最も好ましくは180℃を超えない。分散液を160~180℃の範囲の温度に加熱することにより、スラリーの粘度を向上させると同時にエアロゾル発生装置内での加熱時に味を送達する有効成分を保持することが可能となる。また、圧力鍋などの機器を使用することにより、加圧下で加熱が行われ得る。
【0063】
スラリーは、好ましくは、比較的粘性がある。スラリーが粘性である場合、熱伝導性シートへのスラリーの接着性が改善される。
【0064】
スラリーは、タバコ粉末、エアロゾル形成剤、及び水性分散媒を含み得る。加えて、スラリーは、非タバコ香味剤、結合剤、及びタバコ保存剤を含み得る。スラリーの成分は、リボンブレンダー内で混合され得、次いで高剪断混合機内で剪断にさらされ得る。次いで、スラリーが、熱伝導性シート上に、例えば、移動するエンドレスベルト上にキャストされ得る。キャストされたスラリーは、再構成タバコ含有シートが形成されるように、水分を除去するために乾燥アセンブリに通され得る。本発明の別の実施形態では、スラリーを熱伝導性シート上にキャストする前に、スラリー中に取り込まれた空気がスラリーから除去され得る。
【0065】
本明細書における水性分散媒とは、水を含有する液状媒体を指す。水性分散媒は、水単独であり得るか、又は有機化合物を含有し得る。有機化合物は、好ましくは水溶性であり、より好ましくは、一価アルコール、ジオール、多価アルコール、糖アルコール、糖、多価アルコールエステル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。有機化合物が水に不溶性である場合、メタノールなどの、両親媒性有機化合物を添加することにより、有機化合物を水性分散媒に溶解させることができる。
【0066】
1価アルコールの例としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2,2-ジメチルエタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールが挙げられる。ジオールは、プロピレングリコールであり得、多価アルコールは、グリセロールであり得る。
【0067】
糖アルコールの例としては、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、ソルビタン、キシロース、アラビノース、マンノース、トレハロースが挙げられる。
【0068】
糖の例としては、ラクトース、砂糖、カップリングシュガー、グルコース、酵素転化シロップ、酸転化シロップ、マルトースシロップ、高フルクトースコーンシロップ、還元マルトース、還元水飴、及び蜂蜜が挙げられる。
【0069】
多価アルコールエステルの例としては、脂肪酸トリグリセリドなどの、脂肪酸多価アルコールエステルが挙げられる。
【0070】
水性分散媒は、タバコの湿式粉砕用の媒体として使用することができる。湿式粉砕の手順について、水とグリセロールとの混合溶媒が好ましくは使用される。タバコ粉末が乾式微粉砕により得られる場合、タバコ含有スラリーは、微粉砕されたタバコ粒子を水性媒体と混合することにより調製することができる。
【0071】
水と有機化合物との混合比は特に限定されず、特に水とグリセロールとの混合溶媒が使用される場合には、任意の好適な混合比が用いられ得る。しかしながら、取り扱い特性及びプロセス安全性を考慮して、水性分散媒中の含水率は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。
【0072】
タバコ粉末、エアロゾル形成剤、非タバコ香味剤、及び結合剤は各々、好ましくは、本発明の第1の態様に記載した通りである。
【0073】
より詳細には、タバコ粒子は、好ましくは微粉化されたタバコ粉末、より好ましくは約30μm以下の平均粒径を有するタバコ粉末である。タバコ粉末の小粒径化により、スラリーの粘度を増加させずにスラリーの固形分を増加させることが可能となる。
【0074】
エアロゾル形成剤は、多価アルコール、ジオール、多価アルコールのエステル、及びモノ、ジ又はポリカルボン酸の脂肪族エステルからなる群から選択される1種以上を含み得る。エアロゾル形成剤は、最も好ましくは、ポリプロピレングリコール(PG)、トリエチレングリコール、1-3-ブタンジオール、グリセリン、グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、グリセロールトリアセテート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル、及びテトラデカン二酸ジメチルからなる群から選択される1種以上を含む。
【0075】
結合剤は、ガム、炭水化物、又はこれらの組み合わせを含み得る。ガムは、ジェランガム、キサンタンガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、及び寒天からなる群から選択される1種以上の化合物であり得る。炭水化物は、単糖類、多糖類、セルロース誘導体、又はこれらの組み合わせであり得る。多糖類は、好ましくは澱粉である。セルロース誘導体は、好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース(MC)、及びエチルセルロースからなる群から選択される1種以上である。
【0076】
第1のシートは、好ましくは、熱伝導性シートである。熱伝導性シートは、より好ましくは、本発明の第1の態様に記載の熱伝導性シートである。特に、熱伝導性シートは、より好ましくは金属、さらにより好ましくは、アルミニウム、銅、及び錫の群から選択される金属、最も好ましくはアルミニウムで作製される。熱伝導性シートは、0.005mm~0.2mm、好ましくは0.01mm~0.05mmの範囲の厚さを有し得る。熱伝導性シートは、熱伝導性シートの外側紙層(32)及び内側層(31)を含むラッパーの一部であり得る。この場合、タバコ含有スラリーは、紙層とは反対側の熱伝導性シートの側に堆積される。
【0077】
本方法は、第1のシート上にタバコ含有スラリーを堆積させる前又は堆積させた後に紙シートを第1のシートに取り付けてラッパーを形成するステップを含む。
図5及び
図6は、本発明の方法のステップのこれらの2つの代替的な順序、すなわち、紙シートの取り付け前又は後のいずれかにタバコ含有スラリーを堆積させる手順を示す。第1のシート上にタバコ含有スラリーを堆積させた後に紙シートが取り付けられる場合、紙シートは、タバコ含有層とは反対側の第1のシートの側に取り付けられる。
【0078】
本方法は、その後、エアロゾル発生基材のロッドに面する第1のシートの内側にタバコ含有層が位置するように、エアロゾル発生基材のロッドを第1のシートで包むステップを含む。エアロゾル発生基材のロッド(タバコロッド)は、本発明の第1の態様に記載のエアロゾル発生基材のロッドであり得る。
【国際調査報告】