IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファイバーテクス・パーソナル・ケア・アクティーゼルスカブの特許一覧

特表2024-514781活性化及び結合の組み合わせによる不織布シートの処理方法
<>
  • 特表-活性化及び結合の組み合わせによる不織布シートの処理方法 図1
  • 特表-活性化及び結合の組み合わせによる不織布シートの処理方法 図2
  • 特表-活性化及び結合の組み合わせによる不織布シートの処理方法 図3
  • 特表-活性化及び結合の組み合わせによる不織布シートの処理方法 図4
  • 特表-活性化及び結合の組み合わせによる不織布シートの処理方法 図5
  • 特表-活性化及び結合の組み合わせによる不織布シートの処理方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】活性化及び結合の組み合わせによる不織布シートの処理方法
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/16 20060101AFI20240327BHJP
   D04H 5/06 20060101ALI20240327BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20240327BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
D04H3/16
D04H5/06
A61F13/49 300
A61F13/15 352
A61F13/15 354
A61F13/15 355Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560186
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(85)【翻訳文提出日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 EP2021081233
(87)【国際公開番号】W WO2022242891
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】21174142.6
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516034957
【氏名又は名称】ファイバーテクス・パーソナル・ケア・アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン モーテン ライズ
【テーマコード(参考)】
3B200
4L047
【Fターム(参考)】
3B200BA11
3B200BA12
3B200BB03
3B200BB04
3B200DA01
3B200DD07
3B200EA08
3B200EA11
3B200EA22
3B200EA27
4L047AA13
4L047AA19
4L047AB03
4L047BA08
4L047BB00
4L047CA01
4L047CA12
4L047CB01
4L047CC03
4L047EA05
4L047EA10
(57)【要約】
本発明は、活性化及び結合を組み合わせた工程を含む、不織布シートの製造方法に関する。本発明は更に、この方法を弾性的に伸張可能な不織布積層シートの製造に適用すること、そのような方法により製造されたシート、及び、そのようなシートの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布シートの製造方法であって、
前駆体シートを準備する工程(a)と、
前記前駆体シートを同時に結合及び活性化することで不織布シートを得る工程(b)とを備え、
前記活性化は、協調し合う表面に複数の噛み合いリブ及びグルーブが平行に配置された活性化ローラー対の間に前駆体シートを通過させて、これにより前駆体シートを前記リブ及びグルーブに垂直な方向に伸張させることを含み、且つ、
前記結合は、前駆体シートに対し、それが伸張されている間に結合点をエンボス加工することを含み、当該エンボス加工は、前記活性化ローラーの表面における前記リブ及び/又はグルーブの頂部に沿って配置されたエンボス突起により行われる、不織布シートの製造方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、
当該方法は、弾性的に伸張可能な不織布シートの製造方法であり、
前記シートは、第1の不織布キャリア層と、弾性繊維を含む弾性不織布層と、任意で含めて良い第2の不織布キャリア層とを備え、
前記工程(a)において準備される前記前駆体シートは、形成される前記シートにおける前記第1の不織布キャリア層の前駆体である第1のキャリア構造と、形成される前記シートにおける前記弾性不織布層の前駆体であり弾性繊維を含む弾性構造と、任意で、形成される前記シートにおける任意で含めて良い前記第2の不織布キャリア層の前駆体である第2のキャリア構造を含む、不織布シートの製造方法。
【請求項3】
請求項2の方法において、
前記第1のキャリア構造は、結合無しの繊維キャリアウェブであり、前記弾性構造は、弾性繊維を含む結合無しの弾性層前駆体ウェブであり、且つ、任意で含めて良い前記第2のキャリア構造は、第2の結合無しの繊維キャリアウェブであって、いずれの繊維ウェブもカレンダーエンボス加工による結合がなされていない、不織布シートの製造方法。
【請求項4】
請求項2の方法において、前記第1のキャリア構造は、結合された不織布キャリア層であり、前記弾性構造は、弾性繊維を含む結合された不織布層であり、任意で含めて良い前記第2のキャリア構造は、結合された不織布キャリア層であり、全ての不織布層は、カレンダーエンボス加工により結合されている、不織布シートの製造方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つの方法において、
前記リブ及びグルーブは、機械方向に配置され、前記ローラーの前記表面に円環状に伸び、これにより前記前駆体シートは機械横断方向に伸張される、不織布シートの製造方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1つの方法において、
前記リブ及びグルーブは、機械横断方向に配置され、前記ローラーの前記表面に軸方向に伸び、これにより前記前駆体シートは機械方向に伸張される、不織布シートの製造方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つの方法において、
前記工程(b)において、前記前駆体シートは、その元の寸法150%、好ましくは200%まで、前記リブ及びグルーブに垂直な方向に伸張される、不織布シートの製造方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つの方法において、
局所的な圧力下で前記前駆体シートの前記構造を共に溶かし合わせるために、前記エンボス突起を加熱及び/又は超音波周波数にて振動させる、不織布シートの製造方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1つの方法において、
前記活性化ローラー対の一方又は両方は、前記エンボス突起付近において不活性材料によりコーティングされており、当該不活性材料は好ましくはフッ素ポリマー、より好ましくはPTFEである、不織布シートの製造方法。
【請求項10】
請求項2~9のいずれか1つの方法により製造され、且つ、第1の不織布キャリア層、弾性繊維を含む弾性不織布層、及び、任意で含まれて良い第2の不織布キャリア層を備える弾性的に伸張可能な不織布シートにおいて、
前記キャリア層内における微視的な繊維構成は、平行な縞である規則的な繰り返しパターンに沿って前後に変化し、前記パターンは好ましくは機械方向又は機械横断方向に向いており、
前記シートは、前記キャリア層及び前記弾性層を通して伸びる複数のエンボス加工された結合点を備え、当該結合点は、局所的繊維構成が同じであるパターンの縞に沿って並んで配置され、且つ、
前記シートは、前記縞に垂直な方向に、元の寸法の150%、好ましくは200%まで伸張可能である、不織布シート。
【請求項11】
請求項10のシートにおいて、
前記縞の繰り返しパターンは、局所的繊維構成が2~15mm毎に、好ましくは5~10mm毎に繰り返すものであり、且つ/又は、隣り合う結合点の列の間の距離は、2~15mm、好ましくは5~10mmである、不織布シート。
【請求項12】
請求項10又は11の不織布シートにおいて、
前記弾性不織布層シートは、熱可塑性エラストマーポリマー材料から形成されたスパンボンド又はメルトブローンによる弾性無端繊維を含む、スパンボンド又はメルトブローン布である、不織布シート。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか1つの不織布シートにおいて、
前記キャリア不織布層は、スパンボンド、メルトブローン又はカード処理不織布である、不織布シート。
【請求項14】
請求項10~13のいずれか1つの不織布シートにおいて、
前記シートは、第1及び第2の不織布キャリア層を備え、前記第1及び第2の不織布キャリア層は、異なる性質であり、好ましくは、前記不織布キャリア層の一方はスパンボンド不織布であり且つ他方の前記不織布キャリア層は異なるスパンボンド不織布又はメルトブローン若しくはカード処理不織布である、不織布シート。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか1つの方法により作られた不織布、又は、請求項10~14のいずれか1つのシートを、衛生製品の製造に使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性化及び結合の組み合わせの工程を含む不織布シートの製造方法に関する。本発明は更に、この方法を弾性的に伸張可能な不織布シートの製造に適用すること、そのような方法により製造されたシート、及び、そのようなシートの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生産業において、不織布シートは赤ちゃん用オムツ及び類似の製品を製造するための材料として大規模に使用されている。多くの場合、例えばオープン型オムツの後耳部又はパンツ型赤ちゃんオムツのベルト部を作るためには、弾性的に伸張可能な材料が必要である。しかしながら、標準的な不織布シートはこの要求を満たさない。
【0003】
不織布シートの弾性伸張が限られているというこの問題に対応するための伝統的な方法は、不織布材料の層の間に弾性フィルムを設けることを含む。得られたラミネートは良好な弾性特性を備えうるが、弾性フィルムは空気を透過せず、着用者にとって不快となることがある。他の方法は、弾性糸、典型的にはライクラ糸と呼ばれるものをシートに含めることからなる。この方法の欠点は、局所的な弾性力がこれも着用者に不快となること、及び、製造中において糸が破断しやすいことである。
【0004】
加えて、弾性のフィルム又は糸を用いることでシートは弾性を得るが、弾性のフィルム又は糸を伴う不織布材料の最大伸びの限度内のみのことである。大半の一般的な不織布材料の破断伸度は、機械方向(machine-direction、MD)に50~80%、機械横断方向(cross-machine direction 、CD)に70~100%が最大であり(WSP 110.4)、通常は更に小さい。つまり、破れる前に非常に限定的な量しか伸びることができない。しかし、上記で特定した使用分野では、シートは、元の寸法の150%弾性的に伸びる(元の寸法の250%となる)ことが求められ、且つ、個別の使用分野に応じて、機械方法又は機械横断方向のどちらについても求められることもある。例えば、一般的なオープン型又はテープ型の赤ちゃんオムツを作るための典型的な製造工程では、後耳部ラミネートに用いる材料が、CDにおいて前記程度の弾性伸びを示すことが要求される。この一方、成人用又は赤ちゃん用オムツパンツを作るためには、典型的な製造工程では、ベルト等の弾性的な用途に用いる材料が、MDにおいて同程度の弾性伸びを示すことが要求される。
【0005】
不織布材料の伸びが限られる問題に対する一般的な対応方法は、弾性のフィルム又は糸に積層する不織布材料にプリーツを設けることである。これにより、不織布材料が伸びを欠くこと自体が、それぞれのプリーツに蓄えられた追加の材料により補われる。しかし、プリーツを設けることの欠点は、製造により多くの材料を要し、最終製品が厚くなることである。これは、断熱性が増し、目立ちやすくなるので、消費者から不評を受ける原因となる。
【0006】
固有の性質として弾性的に伸びることのできる不織布シートが、WO 2020/187540 A1に開示されている。これらのシートは、弾性繊維からなる弾性的スパンボンドウェブと、捲縮繊維からなる不織布シートのスパンボンドキャリア層とを備え、相互作用する波形付ローラー対を備える活性化ユニットに通すことで予備伸張されている。弾性ウェブは結合しないことが可能であるが、キャリア層の結合は有用な不織布材料を提供するために必要である。同時に、キャリア層の結合の必要性により、これらの層を破断させずに予備伸張させられる程度は大きく制限される。これは、結合により繊維の位置が固定され、再配置の可能性が制限されるからである。オープンドット結合パターン及び捲縮繊維の使用により、キャリア層は一般的な不織布よりも柔軟になる。例えば元の寸法の250%程度の弾性伸びが少なくともCDにおいては達成でき、産業上の要求を満たすが、これらのシートにおいてMDにおける弾性伸びはより限定されている。
【0007】
固有の性質として弾性的に伸びることのできる不織布シートを製造する他の対応方法は、EP 3 715 517 A1に開示されている。この文献に開示された方法は、インラインの工程と、キャリア層と弾性層とを結合することとに依存しており、これは既に結合されたシートの活性化よりも前に行われる。この布にも捲縮繊維が用いられるにも関わらず、活性化の前にキャリア層を結合しているので、このシートを破断させずに予備伸張させられる程度は限られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、衛生産業において、特に機械方向であるが、機械横断方向についても、固有の性質として更に大幅な弾性伸張が可能な不織布シートに需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために、当該課題を解決するだけでなく他の点にも適用可能な、不織布の処理における着想を発展させた。
【0010】
具体的に、本発明は、不織布シートの製造方法を提案する。当該方法は、前駆体シートを準備する工程(a)を含む。更に、当該方法は、前駆体シートを同時に活性化及び結合することで不織布シートを得る工程(b)を含み、活性化は、協調し合う表面に複数の噛み合いリブ及びグルーブが平行に配置された活性化ローラー対の間に前駆体シートを通過させて、これにより前駆体シートをリブ及びグルーブに垂直な方向に伸張させることを含み、且つ、結合は、前駆体シートに対し、それが伸張されている間に結合点をエンボス加工することを含み、エンボス加工は、活性化ローラーのリブ及び/又はグルーブの頂部に沿って配置されたエンボス突起により行われる。
【0011】
1つの実施形態では、リブ及びグルーブは機械方向に配置され、ローラーの表面に円環状に伸び、これにより前駆体シートは機械横断方向に伸張される。
【0012】
別の実施形態では、リブ及びグルーブは機械横断方向に配置され、ローラーの表面に軸方向に伸び、これにより前駆体シートは機械方向に伸張される。
【0013】
前駆体シートは、1つ以上の層を有する不織布材料に結合されても良い。望ましい実施形態では、カレンダーボンドされた材料であっても良い。
【0014】
これに代えて、前駆体シートは未結合の繊維ウェブであっても良い。このようなウェブは、固められた繊維であって、不織布材料となる結合されていない前駆体である。ウェブを構成する繊維は、カレンダーエンボス加工によって結合されておらず、好ましくはニードリング又はスパンレースのような他の結合工程によっても結合されていない。従って、まだ多分に移動可能であり、WO 2020/187540 A1のシートのような結合された層の繊維に比べて、ウェブ内での再配置の可能性が大幅に高い。このことから、結合済みの前駆体材料に比べて更に大きく予備伸張させることができ、必要に応じてMD及びCDの両方について150%を超えることも可能であり、構造が破断することもない。
【0015】
最も望ましくは、不織布材料又は繊維ウェブは、少なくとも1つのスパンボンド層を備える。例としては、単層のS材料、複層のSn材料、又は、スパンボンド層とメルトブローン層とを組み合わせたSM-若しくはSMS-型の積層布が含まれる。
【0016】
好ましい実施形態では、本方法は、弾性的に伸縮可能なシートの製造方法であり、当該シートは、第1の不織布キャリア層、弾性繊維を含む弾性不織布層、及び、任意で含めて良い第2の不織布キャリア層を備え、工程(a)で準備される前駆体シートは、形成される前記シートにおける第1の不織布キャリア層の前駆体である第1のキャリア構造、形成される前記シートにおける弾性不織布層の前駆体であり弾性繊維を含む弾性構造、及び、任意で、形成される前記シートにおける任意で含めて良い第2の不織布キャリア層の前駆体である第2のキャリア構造、を含む。
【0017】
本実施形態の変形例の1つでは、第1のキャリア構造は結合無しの繊維キャリアウェブであり、弾性構造は弾性繊維を含む結合無しの弾性層前駆体ウェブであり、任意の第2のキャリア構造は第2の結合無しの繊維キャリアウェブであって、いずれの繊維ウェブもカレンダーエンボス加工による結合がなされていない。
【0018】
この変形例では、予備進捗された状態で同時にウェブ同士を結合することにより、確固とした不織布材料を形成するためのウェブ同士の結合の必要性を満たすことができ、キャリアウェブが後に予備伸張の程度まで伸びる能力を妨げることも無い。この一方、前駆体シートが弾性層の弾性力により元の寸法まで収縮した後に、別の工程として結合を行うと、この能力は概ね失われる。これは、収縮した状態における位置で繊維が結合されるからである。
【0019】
本実施形態の別の変形例では、第1のキャリア構造は、結合された不織布キャリア層であり、弾性構造は弾性繊維を含む結合された不織布キャリア層であり、任意で含めて良い第2のキャリア構造は結合された不織布キャリア層であり、全ての不織布層はカレンダーエンボス加工により結合されている。
【0020】
この変形例では、比較的開いた結合パターンを構造内に用いることで、予備伸張された構造内において一定の可動性を維持しながら、安定性及び加工性を高めることができる。
活性化及び結合を同時に行う工程(b)にて加えられる結合点は、供給された構造に存在する結合点に重ねられる。
【0021】
前駆体シートの予備伸張により、材料の微視的な繊維構成が局所的に変化する。上記に説明した弾性及びキャリア層を含む実施形態では、この変化は、主に概ね非弾性であるキャリア構造に生じる。具体的に、微視的な繊維構成は、ローラー表面のリブ及びグルーブの配置を反映した規則的な繰り返しパターン、つまり、平行な縞のパターンに沿って前後に変化する。仮にリブ及びグルーブが機械方向を向いているとすると、構造の微視的な繊維構成は、布の機械横断方向の規則的な繰り返しパターンに沿って前後に変化し、機械方向の線に沿って一定である。仮にリブ及びグルーブが機械横断方向を向いているとすると、構造の微視的な繊維構成は、布の機械方向の規則的な繰り返しパターンに沿って前後に変化し、機械横断方向の線に沿って一定である。
【0022】
微視的な繊維構成の変化は、特に平均的な繊維の向きと繊維密度に関係する。一般に、伸張は一部領域、例えばリブ及びグルーブの頂部線に沿う部分では大きなものではなく、他の領域、例えば前記頂部線に隣り合う領域では大きい。伸張がより大きい領域では、平均的な繊維の向きが伸張の向きに沿うようにより大きく変化し、繊維密度は低くなる。
【0023】
エンボス突起はリブ又はグルーブの頂部に沿って配置されるので、結合点は、局所的繊維構成が同じであるパターンの縞に沿って、並んでエンボス加工される。仮にリブ及びグルーブが機械方向を向いているとすると、結合点は、局所的繊維構成が同じである機械方向の平行な線に沿ってエンボス加工される。仮にリブ及びグルーブが機械横断方向を向いているとすると、結合点は、局所的繊維構成が同じである機械横断方向の平行な線に沿ってエンボス加工される。伸張は頂部線に沿う部分で最小と想定すると、結合点は布における縞型の範囲にエンボス加工されるが、当該範囲は平均して最も繊維密度が高く、且つ、平均して最も縞の長さ方向に繊維が多い。
【0024】
弾性層及びキャリア層を備え伸張可能な不織布シートについての上記に説明した実施形態に特定して述べると、同時に行う活性化及び結合の際の予備伸張の後に生産されたシートの収縮により、製品シートにおける結合点の列の間にある縞型の範囲内の微視的な繊維構成は、伸張された構成と比較すると変化している。従って、製品シートでは、結合点の列に沿って繊維密度が最も高い、又は、平均的な繊維の向きが最も明白であることは、必ずしも事実ではない。それでも、製品シートにおいて、繊維構成は、平行な縞の規則的繰り返しパターンに沿って前後に変化し、且つ、結合点は、局所的繊維構成が同じであるパターンの縞に沿って並んで配置される。
【0025】
仮に第2のキャリア構造が前駆体内にあるとすると、弾性構造は2つのキャリア構造の間に挟まれる。同様に、製品シートにおいて、仮に第2のキャリア層があるとすると、弾性層は2つのキャリア層に挟まれる。更なる弾性層、更なるキャリア層、又は、非弾性層を有することにより、3層を超える層があっても良い。また、それぞれの層において、2つ以上の同一又は類似した副層を備え、それぞれが製造工程の異なる繊維敷き詰め段階で形成されていても良い。
【0026】
より一般的な文脈に戻って、1つの実施形態では、工程(a)と工程(b)とはインラインで続けて行われる。このような全体としてインラインの構成は、製造効率の点で極めて有利である。
【0027】
他の実施形態では、工程(a)及び工程(b)は、別のラインにおいてオフラインで行われる。1つのラインでは、前駆体シートが工程(a)において1つのラインに準備され、その後、巻き上げて他のラインに運ばれ、他のラインにおいて工程(b)に従って活性化及び結合の組み合わせが行われる。弾性層及びキャリア層を含む上記に説明した実施形態では、工程(a)で得られた結合無しの前駆体シートは層が剥がれることなく、操作できる程度に安定である。これは、熱可塑性弾性材料から形成された弾性繊維のそれ自体の粘着性によるものである。
【0028】
実施形態において、工程(b)の際の前駆体シートの(予備)伸張の量によって、製品布が縞の向きに垂直な方向に弾性伸張可能な量が決まる。製品布は、元の寸法の150%、好ましくは200%、対応する方向に伸張可能であることが望まれる。従って、1つの実施形態では、工程(b)において、前駆体シートはリブ及びグルーブに垂直な向きに元の寸法の150%、好ましくは200%、伸張される。
【0029】
活性化の際の伸張は、隣り合うリブ/グルーブ間の距離によって、1つのローラーのリブが他のローラーのグルーブと噛み合う深さ(噛み合いの深さ)によって、また、これらの構造の幅によって、制御される。例示的な実施形態では、隣り合うリブ/グルーブ間距離は、1~12mm、好ましくは3~10mm、より好ましくは4~8mmである。噛み合いの深さは、1~10mmの間、好ましくは3~7mmの間である。リブ/グルーブの幅は、0.5~3mmであり、好ましくは1mm程度である。
【0030】
製品シートにおける縞のパターンは、隣り合うリブ/グルーブ間の距離と、リブ/グルーブの幅との和に概ね応じて、局所的な繊維構成が繰り返すものである。従って、1つの実施形態では、1~12mm毎に、好ましくは3~10mm毎に、繰り返しても良い。結合点の1つの列が、繰り返し毎に1つエンボス加工されている場合、結合点の列の間の距離は2~15mm、好ましくは5~10mmである。
【0031】
再び、弾性層及びキャリア層を備えており伸張可能な不織布シートについての上記に説明した実施形態に特定して述べると、前駆体シートにおけるそれぞれのキャリア前駆体構造の坪量、及び、製品シートにおける対応するキャリア層の坪量は、5~40g/mの間、好ましくは8~30g/mの間、より好ましくは10~25g/mの間、更に好ましくは15~20g/mの間である。弾性層の坪量は、10~140g/mの間、好ましくは20~120g/mの間、より好ましくは20~12g/mの間である。これらの坪量とすることは、布の手触り、弾性特性及び安定性の点から有用と分かっている。
【0032】
再び、より一般的な文脈に戻って、エンボス突起は好ましくは50℃を超える温度まで、好ましくは80℃を超える温度まで加熱され、局所的な圧力下で前駆体シートの繊維を共に溶かし合わせることが好ましい。通常、好ましい温度は80℃よりも更にもっと上である。正確な温度の選択は、使用するポリマー材料の種類に依存する。この文脈で、エンボス突起の温度は、少なくとも使用するポリマーのガラス転移温度に一致しても良いし、使用するポリマーのガラス転移温度を少なくとも10℃又は少なくとも20℃上回っても良い。突起の加熱は、活性化ローラーの表面の全体を加熱することで達成しても良いし、エンボス突起の周辺領域又はエンボス突起自体だけを局所的に加熱することで達成しても良い。他の実施形態では、超音波エンボス加工を用いる。つまり、エンボス突起を超音波周波数で振動させて、前駆体シートの構造における繊維を共に溶かし合わせる。この選択肢は、キャリア構造と弾性構造とでそれぞれの材料の融点の差が比較的大きい場合に、特に適している。局所的な衝撃が、それぞれのエンボス突起による、連動する独立した超音波の積み重ねによって実現可能である。温度及び超音波振動は、組み合わせて用いることもできる。
【0033】
活性化ローラーをエンボス突起付近においてフッ素ポリマー、例えばPTFEのような不活性材料によりコーティングすることで、場合により、特に熱エンボス加工を用いる場合にエンボス工程の正確さ及び規則性を向上できる。
【0034】
再び、弾性層及びキャリア層を備え伸張可能な不織布シートについての上記に説明した実施形態に特定して述べると、1つの実施形態において、弾性層前駆体構造は、熱可塑性エラストマー材料、好ましくはスパンボンド繊維の無端繊維からなる。他の実施形態では、弾性層前駆体構造の無端繊維を形成するために、スパンボンドに代えてメルトブローンを利用することができる。これに対応して、製品シートにおいて、1つの実施形態における弾性不織布構造はスパンボンド又はメルトブローン構造であり、熱可塑性エラストマーポリマー材料から形成されたスパンボンド又はメルトブローンによる弾性無端繊維を備える。
【0035】
熱可塑性エラストマー材料は、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPE-o)、好ましくは、プロピレン-α-オレフィンコポリマーを含む熱可塑性ポリオレフィンエラストマーを含む。これに代えるか、又は、追加して、つまり混合物として、特に、熱可塑性ポリウレタン(TPU)又はスチレンブロックコポリマー(TPE-s)のような他の熱可塑性エラストマー材料を用いても良い。1つの実施形態では、20重量%まで、好ましくは10重量%まで、熱可塑性オレフィン、例えばホモポリプロピレンが、熱可塑性エラストマーに次いで熱可塑性エラストマー材料中に含まれても良い。
【0036】
1つの実施形態では、2つの異なる熱可塑性エラストマーからなり、例えば隣り合う構成又は芯鞘構造に配置されている、2成分弾性繊維が構成されても良い。
【0037】
第1の、及び、任意で第2のキャリア層前駆体構造は、スパンボンド構造である。これに代えて、メルトブローン繊維構造、又は、カード処理(梳綿)構造のようなステープル繊維構造をキャリア層前駆体として用いることもできる。
【0038】
1つの実施形態において、弾性層前駆体構造の異なる面における2つのキャリア層前駆体構造は、異なる性質のものである。例えば、キャリア層前駆体構造の1つはスパンボンド繊維からなり、他のキャリア層前駆体構造は異なるスパンボンド繊維又はメルトブローン若しくはカード処理繊維からなる。これに対応して、製品シートにおいて、弾性不織布層の異なる面における2つの不織布キャリア層は、異なる性質のものである。例えば、不織布キャリア層の一方はスパンボンド不織布であり、他の不織布キャリア層は異なるスパンボンド不織布又はメルトブローン若しくはカード処理不織布である。
【0039】
赤ちゃん用オムツ又は成人用失禁対策製品において、製品の内側面が一定の弾性及び皮膚に対する接着性を備え、装着した製品の位置ずれを防ぐことが望まれる一方で、外側面は衣服に対して可能な限り接着性を持たないことが望まれる。この場合、スパンボンドキャリア不織布/前駆体構造が、弾性不織布/前駆体構造の一方に備えられ、且つ、メルトブローンキャリア不織布/前駆体構造が、弾性不織布/前駆体構造の他方に備えられることが好ましい。メルトブローン不織布は一般に、スパンボンド不織布よりも皮膚及び他の材料に対する親和性が高いので、そのような構造により上記に説明した要求を満足しうる。
【0040】
無端繊維は、この技術においてフィラメントと呼ばれることもある。しかし、ここでは、例えばスパンボンドにより製造される無端繊維と、1cmから数cmの特定の長さでありうるステープル繊維の両方について、繊維との用語を用いる。
【0041】
1つの実施形態において、全ての前駆体構造はスパンボンド構造であり、製品シートの全ての層はスパンボンド不織布である。
【0042】
キャリア前駆体構造/層がスパンボンド繊維である限り、これらの繊維は、捲縮多成分繊維でありうる。しかしながら、WO 2020/187540 A1にて開示された技術とは対照的に、所定の伸張能力をえるために捲縮繊維は必須ではない。但し、本発明の文脈では、捲縮繊維は、例えば製品のロフト性及び柔軟性を高めるために有用でもある。
【0043】
しかしながら、好ましい実施形態では、少なくとも1つのキャリア層は、非捲縮の単成分繊維からなる。これは、どの場合にもロフト性及び柔軟性は活性化によって得られるからであり、非捲縮の単成分繊維からなるキャリア層の方が安定だからであり、且つ、非捲縮の単成分繊維はより製造が容易で費用効率が良いからである。
【0044】
一般に、キャリア前駆体構造/層の繊維は、好ましくは熱可塑性ポリマー材料、特に、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン・エチレンコポリマー(co-PP)のようなポリオレフィンからなることが好ましい。
【0045】
再び一般的な文脈に戻ると、前駆体シートの複数の層は、例えば共通のコンベヤベルト上に複数の構造を紡ぐことにより、全てインラインで形成されても良い。他の実施形態では、前記シートは予め製造された材料であり、例えば、異なるライン、更には異なる場所で製造されたロールから巻を解くことで供給されても良い。
【0046】
工程(a)にて供給される前駆体シートは、1つの実施形態において、工程(b)において結合及び活性化の組み合わせを行う前に、平らな表面を有する予備圧縮ローラー対の間を通過して予備圧縮されていても良い。
【0047】
予備伸張されたシートにおける結合面積は、1つの実施形態において、2%と15%との間、好ましくは4%と8%との間であっても良い(結合及び活性化の組み合わせを行う工程(b)において与えられる結合点について)。結合点の数は、2から15の間、好ましくは4から8の間である(ここでも、結合及び活性化の組み合わせを行う工程(b)において与えられる結合点について)。製品シートが予備伸張状態から後に緩和状体に縮んでいる場合、単位面積あたりのこのような結合点の結合面積及び結合数は、対応して増加する。この場合、製品シートにおいて、製品シートにおける対応する結合面積は、1つの実施形態において、5%と25%との間、好ましくは10%と約20%との間となる。対応する結合点の数は、5と25との間、好ましくは10と20との間となる。
【0048】
本発明により製造されたシートは、衛生製品の製造に使用できる。例えば、シートは、弾性の後耳部の材料としてシートを用いたテープ型オムツの製造に使用できる。当該産業のこの用途における現行の典型的な製造工程では、CDにおいて材料が弾性伸張可能であることを求められる。他の例では、シートは、当該シートを弾性ウエスト部材料として含むオムツパンツ製造に使用できる。当該産業のこの用途における現行の典型的な製造工程では、MDにおいて材料が弾性伸張可能であることを求められる。
【0049】
本発明の更なる細部及び利点は、図と以下に続く例とによって更に明らかになるであろう。図は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明に基づく弾性的に伸張可能な不織布シートの模式的な断面図である。
図2】本発明の方法を実施するための例示的な機械設備である。
図3】機械横断方向の伸張による活性化及び前駆体シートの結合を同時に行うためのユニットの模式的な図である。
図4】機械方向の伸張による活性化及び前駆体シートの結合を同時に行うためのユニットの模式的な図である。
図5図4に模式的に示された活性化ローラーのリブにおける頂部線の写真であり、リブは、頂部線に沿ってエンボス突起を有する。
図6】動作中の図4のユニットを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、本発明に基づく弾性的に伸張可能な不織布シート100の模式的な断面を示しており、弾性不織布シートは、第1及び第2のキャリア層120に挟まれ、弾性繊維を含む弾性不織布層130を備える。
【0052】
弾性的に伸張可能な不織布シート130を本発明に基づいて製造するための機械設備の例が、図2に示されている。
【0053】
設備は、コンベヤベルト10と、当該コンベヤベルト上に並ぶ計3つのスパンボンド装置20、30及び40を備える。
【0054】
それぞれのスパンボンド装置において、溶融した熱可塑性ポリマーがダイの孔を通して押し出される。押し出された繊維糸はその後、急冷及び延伸され、無端繊維が形成されて、コンベヤベルト10又は既にそこに堆積されたウェブ上に置かれる。
【0055】
第1のスパンボンド装置20は、コンベヤベルト10上に、通常のポリプロピレン無端繊維からなる第1のキャリア層前駆体ウェブを堆積させる。中間のスパンボンド装置30は、熱可塑性エラストマーからなる無端繊維の弾性キャリア層前駆体ウェブを、第1のキャリア層前駆体ウェブ上に堆積させる。最後のスパンボンド装置40は、再び通常のポリプロピレン無端繊維からなる第2のキャリア層前駆体ウェブを、弾性キャリア層前駆体ウェブ上に堆積させる。
【0056】
スパンボンド装置20、30及び40の後には、それぞれのウェブを予備圧縮するための予備圧縮ローラー対21、31及び41が備えられる。
【0057】
本発明の鍵となる特徴は、スパンボンド装置において先に形成された3層の前駆体シートの結合及び活性化を同時に行うユニット50である。このユニットは、協調し合う表面に平行に配置された複数の噛み合いリブ及びグルーブを有し、互いに逆回転する活性化ローラー対51、52を備え、前記リブの頂部に沿ってエンボス突起が配置されている。ユニット50については、以下により詳しく述べる。
【0058】
全体的なライン内工程の最後に、製品シートは製品ロール60上に集められる。
【0059】
図3は、ユニット50の活性化ローラー51、52の実施形態を示し、これによりスパンボンド装置20、30及び40により形成された前駆体シートを機械横断方向に伸張する。右側の図は、軸方向の面による拡大断面である。
【0060】
両ローラー51及び52は、規則的に間を開けて配置された複数の環状リブ53を機能表面に備え、その間にグルーブ54が形成されている。リブ53の幅を"a"の文字で示し、噛み合いの深さを"b"の文字で示し、隣り合うリブ間の距離を"c"の文字で示す。活性化中の機械横断方向の伸張は、これら3つのパラメータにより制御される。例示的な実施形態では、隣り合うリブ53間の距離"c"は、6mm程度であっても良い。噛み合いの深さ"b"は、5mm程度であっても良い。リブの幅"a"は、1mm程度であっても良い。
【0061】
活性化ローラー51、52の他の実施形態について、図4を参照して述べる。図4の実施形態は、スパンボンド装置20、30及び40で形成された前駆体シートを機械方向に伸張させるように設定されている。図4に示されるのは、ローラーの軸に垂直なラジアル平面による拡大断面である。
【0062】
この実施形態においても、両ローラー51及び52の両方は、規則的に間を開けて配置された複数のリブ53を機能表面に備え、その間にグルーブ54が形成されている。しかしながら、図3と対照的に、この実施形態のリブ53は機械横断方向を向いており、ローラー51及び52の表面上において軸方向に伸びている。
【0063】
この実施形態においても、リブ53の幅"a"、噛み合いの深さ"b"及び隣り合うリブ53間の距離"c"が、活性化中のこの場合は機械方向の伸張を制御する。またこの場合、例示的な実施形態において、隣り合うリブ53間の距離"c"は、6mm程度であっても良い。噛み合いの深さ"b"は、5mm程度であっても良い。リブの幅"a"は、1mm程度であっても良い。
【0064】
図3及び図4の実施形態の両方において、両ローラー51、52における各リブ53の頂部線に、伸張の際に前駆体ウェブを結合させる、言い換えると伸張活性化と同時に布を結合させるためのエンボス突起59の列がある。
【0065】
図5は、活性化ローラー51、52のリブ53の頂部線の写真を示す。図4に模式的に示されたものであって、リブ53はその頂部線にエンボス突起を備えている。
【0066】
エンボス突起59は、リブ53の頂部線において、0.2から0.5mm程度、好ましくは0.3程度の高さを有しても良い。これらは図5に示すように概ね四角形であっても良く、また、円形、楕円形、長方形、菱形等でも良い。結合面積は例えば1mm程度であっても良く、図5に示された四角形のエンボス突起59は、1mm×1mmであっても良い。結合点の間の距離は1~5mm程度、好ましくは2~4mm、より好ましくは2.5~3mmであっても良い。
【0067】
予備伸張されたウェブに結果として生じる結合面積は、上記の寸法を考慮すると、約4%と約8%との間であり、cm毎に4~8の結合点が分布している。これらの結合面積及び単位面積あたり結合数は、製品シートが予備伸張された状態から緩和状体に収縮した後、比例的に増加する。2つのローラー51、52のそれぞれが、備えられたエンボス突起59によって、結合点の半分ずつを生じさせる。
【0068】
図6は、動作状態にある図4のユニットを示す。図6において左から右に、2つのキャリア層前駆体ウェブ及びそれらの間に挟まれた弾性層前駆体ウェブからなり、結合無しで且つ活性化もされていない前駆体シートが、活性化及び結合の組み合わせプロセスに入る。前駆体シートが2つのローラー51、52の間に入るにつれて、活性化のプロセスが噛み合いリブ53間で開始される。例示的な実施形態では、第1のローラー51に備えられた1つのリブ53の頂部線から、第2のローラー52に備えられた最も近いリブ53の頂部線までの距離は、前駆体シートが活性化プロセスに入る際に2mm程度であっても良い。次第にリブ53がグルーブ54内に噛み合うのに応じて、この距離は着々と増加し、リブ53とグルーブ54とが完全に噛み合った中心の位置において、例示的な実施形態では5.2mm程度の距離となる。弾性層前駆体ウェブは、このプロセスにおいて弾性的特性により伸ばされる。これに対し、キャリア層前駆体ウェブの本質的に非弾性の繊維は再配置され、各リブ53の頂部線の周囲に高密度の範囲Aが作られ、その間に低密度の範囲Bが作られる。
【0069】
ローラー51、52の噛み合いが最大となる中心の位置において、一方のローラー(ここではローラー51)のリブ53におけるエンボス突起59は、対向するローラー(ここではローラー52)の対向するグルーブ54に接し、リブ53の頂部線に沿って、つまり、予備伸張された前駆体シートにおける縞型の高密度範囲Aに沿って、結合点の列を形成する。
【0070】
説明したように予備伸張され且つ結合された材料がユニット50から出るにつれて、製品シート100における弾性不織布層120中の弾性繊維は収縮し、材料の伸張が元通りになって、機械方向に元の長さに戻る。キャリア層110及び130における結合点に付着していない繊維の部分は、緩和のプロセス中に、再配置/又は捲縮されるが、ユニット50において予備伸張された程度までは機械方向に伸張できる能力を常に維持する。
【0071】
リブ53及びグルーブ54の寸法、特にパラメータ"a"、"b"及び"c"は、製品シートに要求される延伸特性に基づき、必要に応じて変わりうる。図4~6の説明で例示したこれらのパラメータの値によると、機械方向の予備伸張は160%程度(2.0mmから約5.2mm)と言う結果となる。現在ほとんどの衛生製品は、100~150%程度の弾性伸張を可能とする能力を要求するので、160%伸張するこの設計は、ほとんどの場合の要求に適している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】