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特表2024-514785無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための方法及びデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/32 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
B62D55/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560307
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 SE2022050383
(87)【国際公開番号】W WO2022225439
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】2150512-8
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521503857
【氏名又は名称】ビーエーイー システムズ ハッグルンズ アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ロワ,アンドレアス
(57)【要約】
本発明は、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための方法に関する。車両は、駆動ホイール部材と、テンションホイール部材と、ロードホイールのセットと、ホイールの周りに配置された無限軌道と、を有する軌道アセンブリを備える。無限軌道は、走行中に駆動ホイール部材によって回転する。方法は、少なくとも1つのセンサから無限軌道の振動に関連した測定情報を受信するステップと、少なくとも1つのセンサから受信した情報に基づいて無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道の固有振動数を決定するステップと、固有振動数に関連した決定に基づいて無限軌道に潜在的損傷が存在するか否かを決定するステップと、を含む。本発明は、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するためのデバイスと、そのようなデバイスを備えた無限軌道車両と、コンピュータプログラム及びコンピュータプログラム製品と、にも関する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無限軌道車両(V)の無限軌道(E)の潜在的損傷を決定するための方法であって、前記無限軌道車両は、駆動ホイール部材(DW)と、テンションホイール部材(TW)と、ロードホイール(RW)のセットと、前記のホイールの周りで縦伸張方向に配置された前記無限軌道(E)と、を含む少なくとも1つの軌道アセンブリ(T1、T2)を備え、前記無限軌道は、前記無限軌道車両(V1)の走行中に前記駆動ホイール部材(DW)によって回転するよう構成され、
前記方法は、
少なくとも1つのセンサ(30)から、前記無限軌道(E)の振動に関連した測定情報を受信するステップ(S1)と、
前記少なくとも1つのセンサ(30)から受信した前記情報に基づいて、前記無限軌道(E)の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は前記無限軌道(E)の前記固有振動数を決定するステップ(S2)と、
前記固有振動数に関連した前記決定に基づいて、前記無限軌道(E)に潜在的損傷が存在するか否かを決定するステップ(S3)と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記無限軌道(E)の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は前記無限軌道(E)の前記固有振動数を決定する前記ステップは、前記無限軌道(E)の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は前記無限軌道(E)の前記縦伸張方向の前記固有振動数を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記無限軌道(E)は、前記無限軌道(E)内に配置されて前記無限軌道(E)の前記縦伸張方向で前記無限軌道(E)をぐるりと囲むように構成されたワイヤ構成(W)を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記無限軌道(E)に潜在的損傷が存在するか否かを決定する前記ステップは、
前記無限軌道(E)の固有振動数に関連した前記決定を、前記無限軌道(E)に関連した所定の固有振動数と比較するステップと、
固有振動数に関連した前記決定と前記所定の固有振動数との前記差が所定の閾値を超えている場合、前記無限軌道(E)の潜在的損傷を決定するステップと、
を含む、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサ(30)から、前記無限軌道(E)の振動に関連した測定情報を受信する前記ステップは、テンションホイール部材(TW)のクランク軸(10)の動きの測定からの測定情報を受信することと、前記クランク軸の動きに基づいて、前記無限軌道(E)の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は前記固有振動数を決定することと、を含む、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサ(30)から、前記無限軌道(E)の振動に関連した測定情報を受信する前記ステップは、前記軌道アセンブリの前記テンションホイール部材(TW)に接続したテンションシリンダ(20)の圧力変動の測定からの測定情報を受信することと、前記圧力変動に基づいて、前記無限軌道(E)の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は前記固有振動数を決定することと、を含む、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサ(30)から、前記無限軌道(E)の振動に関連した測定情報を受信する前記ステップは、前記無限軌道車両(V)の走行スイープ中に実行された測定からの測定情報を受信することを含み、
前記走行スイープは、前記車両(V)を前記無限軌道車両(V)の低速で走行させ、次いで、前記低速よりも速い高速にし、その後、前記低速にすることを含む、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
走行スイープ中に実行された測定からの測定情報を受信する前記ステップは、前記無限軌道車両を支持するように構成された平らな表面を有する所定の固体地面上で実行された走行スイープに関する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのセンサ(30)から、前記無限軌道(E)の振動に関連した測定情報を受信する前記ステップは、前記無限軌道車両(V)の第1の停止位置である間に実行された測定からの測定情報を受信することを含み、
前記第1の停止位置である間に、前記軌道アセンブリに接続して外部トリガ周波数が印加される、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのセンサ(30)から、前記無限軌道(E)の振動に関連した測定情報を受信する前記ステップは、前記第1の停止位置の後の第2の停止位置である間に実行された測定からの測定情報を受信することを含み、
前記無限軌道車両(V)は、前記無限軌道(E)が回転することで、前記第1の停止位置である間に前記地面と係合している前記無限軌道(E)の前記部分が移動して前記第2の停止位置では前記無限軌道車両(V)の前記地面と係合しなくなるように、前記第1の停止位置から前記第2の停止位置へ移動しており、前記第2の停止である間に、前記軌道アセンブリ(T1、T2)に接続して前記外部トリガ周波数が印加される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1及び第2の停止中に実行された測定からの測定情報を受信する前記ステップは、前記軌道アセンブリ(T1、T2)の前記テンションホイール部材(TW)に接続したテンションシリンダ(20)の油圧を脈動させることによって前記外部トリガ周波数の印加中に実行された測定を含み、
前記油圧の脈動は、比較的低い周波数から、前記低い周波数よりも高い比較的高い周波数になり、再び前記比較的低い周波数に戻る所定の周波数スイープ内である、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1及び第2の停止中に実行された測定からの測定情報を受信する前記ステップは、前記テンションホイール部材(TW)上に提供された機械デバイスによって振動を発生させることにより前記外部トリガ周波数の印加中に実行された測定を含み、
前記発生させた振動は、比較的低い周波数から、前記低い周波数よりも高い比較的高い周波数になり、再び前記比較的低い周波数に戻る所定の周波数スイープ内である、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
無限軌道車両の無限軌道(E)の潜在的損傷を決定するためのデバイスであって、
前記無限軌道車両は、駆動ホイール部材(DW)と、テンションホイール部材(TW)と、ロードホイール(RW)のセットと、前記のホイールの周りで縦方向伸張方向に配置された前記無限軌道(E)と、を含む少なくとも1つの軌道アセンブリを備え、
前記無限軌道(E)は、前記無限軌道車両(V)の走行中に前記駆動ホイール部材(DW)によって回転するように構成され、
前記デバイスは、前記無限軌道(E)の振動に関連した測定情報を取得するための少なくとも1つのセンサ(30)と、前記少なくとも1つのセンサ(30)に動作可能に接続された少なくとも1つのプロセッサ(110)と、を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサ(110)は、
前記少なくとも1つのセンサ(30)から、前記無限軌道(E)の振動に関連した測定情報を受信し、
前記少なくとも1つのセンサ(30)から受信した前記情報に基づいて、前記無限軌道(E)の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は前記無限軌道(E)の前記固有振動数を決定し、
前記固有振動数に関連した前記決定に基づいて、前記無限軌道(E)に潜在的損傷が存在するか否かを決定する、
ように構成されている、デバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つのプロセッサ(110)は、前記少なくとも1つのセンサ(30)から受信した前記情報に基づいて、前記無限軌道(E)の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は前記無限軌道(E)の前記縦伸張方向の前記固有振動数を決定するように構成されている、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記無限軌道(E)は、前記無限軌道(E)内に配置されて前記無限軌道(E)の前記縦伸張方向で前記無限軌道(E)をぐるりと囲むように構成されたワイヤ構成を含む、請求項13又は14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つのプロセッサ(110)は、前記無限軌道(E)に潜在的損傷が存在するか否かを決定する場合、
前記無限軌道(E)の固有振動数に関連した前記決定を、前記無限軌道(E)に関連した所定の固有振動数と比較し、
固有振動数に関連した前記決定と前記所定の固有振動数との前記差が所定の閾値を超えている場合、前記無限軌道(E)の潜在的損傷を決定する、
ように構成されている、請求項13から15の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記少なくとも1つのプロセッサ(110)は、前記少なくとも1つのセンサ(30)から、前記無限軌道(E)の振動に関連した測定情報を受信する場合、テンションホイール部材(TW)のクランク軸(10)の動きの測定からの情報を受信するように構成され、
前記プロセッサ(110)は、前記クランク軸の動きに関する受信情報に基づいて、前記無限軌道(E)の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は前記固有振動数を決定するように構成されている、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記少なくとも1つのプロセッサ(110)は、前記少なくとも1つのセンサ(30)から、前記無限軌道(E)の振動に関連した測定情報を受信する場合、前記軌道アセンブリ(T1、T2)の前記テンションホイール部材(TW)に接続したテンションシリンダ(20)の圧力変動の測定からの情報を受信するように構成され、
前記プロセッサ(110)は、前記圧力変動に関する受信情報に基づいて、前記無限軌道(E)の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は前記固有振動数を決定するように構成されている、請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
前記少なくとも1つのプロセッサ(110)は、前記少なくとも1つのセンサ(30)から、前記無限軌道(E)の振動に関連した測定情報を受信する場合、前記無限軌道車両(V)の走行スイープ中に実行された測定からの測定情報を受信するように構成され、
前記走行スイープは、前記車両を低速で走行させ、次いで、前記低速よりも速い高速にし、その後、前記低速にすることを含む、請求項13から18の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1つのプロセッサ(110)は、前記走行スイープ中に実行された測定からの測定情報を受信する場合、前記無限軌道車両(V)を支持するように構成された平らな表面を有する所定の固体地面上で実行された前記スイープ中に実行された測定からの測定情報を受信するように構成されている、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記少なくとも1つのプロセッサ(110)は、前記少なくとも1つのセンサ(30)から、前記無限軌道(E)の振動に関連した測定情報を受信する場合、前記無限軌道車両(V)の第1の停止位置である間に実行された測定からの測定情報を受信するように構成され、前記第1の停止位置である間に、前記軌道アセンブリ(T1、T2)に接続して外部トリガ周波数が印加される、請求項13から18の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記少なくとも1つのプロセッサ(110)は、前記少なくとも1つのセンサ(30)から、前記無限軌道(E)の振動に関連した測定情報を受信する場合、前記第1の停止位置の後の第2の停止位置である間に実行された測定からの測定情報を受信するように構成され、
前記無限軌道車両は、前記無限軌道(E)が回転することで、前記第1の停止である間に前記地面と係合している前記無限軌道(E)の前記部分が移動して前記第2の停止位置では前記無限軌道車両の前記地面と係合しなくなるように、前記第1の停止位置から前記第2の停止位置へ移動しており、前記第2の停止である間に、前記軌道アセンブリ(T1、T2)に接続して前記外部トリガ周波数が印加される、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記少なくとも1つのプロセッサ(110)は、前記第1及び第2の停止中に実行された測定からの測定情報を受信する場合、前記軌道アセンブリ(T1、T2)の前記テンションホイール部材(TW)に接続したテンションシリンダ(20)の油圧を脈動させることによって、前記軌道アセンブリに接続して前記外部トリガ周波数が印加されるよう構成されている場合、前記情報を受信するように構成され、
前記油圧の脈動は、比較的低い周波数から、前記低い周波数よりも高い比較的高い周波数になり、再び前記比較的低い周波数に戻る所定の周波数スイープ内である、請求項21又は22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記少なくとも1つのプロセッサ(110)は、前記第1及び第2の停止中に実行された測定からの測定情報を受信する場合、前記テンションホイール部材(TW)上に提供された機械デバイス(MD)によって振動を発生させることにより、前記軌道アセンブリ(T1、T2)に接続して前記外部トリガ周波数が印加されるよう構成されている場合、前記情報を受信するように構成され、
前記発生させた振動は、比較的低い周波数から比較的高い周波数になり、再び前記比較的低い周波数に戻る所定の周波数スイープ内である、請求項21又は22に記載のデバイス。
【請求項25】
請求項14から24の何れか一項に記載のデバイスを備える、無限軌道車両。
【請求項26】
コンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムであって、
前記命令は、無限軌道車両の無限軌道(E)の潜在的損傷を決定するための、請求項13から24の何れか一項に記載のデバイスの少なくとも1つのプロセッサ(110)によって実行された場合、前記少なくとも1つのプロセッサ(110)に、請求項1から12の何れか一項に記載のステップを実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項27】
請求項26に記載のコンピュータプログラムを記憶している、不揮発性メモリ等の少なくとも1つのコンピュータ可読媒体を含む、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための方法に関する。また、本発明は、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための方法に関する。また、本発明は、無限軌道車両に関する。更に、本発明は、コンピュータプログラム及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
無限軌道車両は、向かい合った軌道アセンブリを備えることができる。各軌道アセンブリは、車輪セットの上を縦伸張方向に延出するよう配置された無限軌道を含む。車輪セットは、駆動ホイール部材と、テンションホイール部材と、それらの間のロードホイールのセットと、を含む。無限軌道は、無限軌道車両の走行中に駆動ホイール部材によって回転するよう構成されている。
【0003】
このような無限軌道は、ゴム材料の無限軌道とすることができ、無限軌道内に配置されて無限軌道の縦伸張方向で無限軌道をぐるりと囲むように構成されたワイヤ構成を含み得る。
【0004】
例えば戦闘車両等のこのような無限軌道車両は、起伏の多い地形での走行が意図されているので、無限軌道車両の無限軌道の損傷リスクが高くなる可能性がある。ワイヤが破損すると、無限軌道が引き裂かれることがある。無限軌道に対する潜在的損傷の決定は、例えば目に見える損傷の程度を調べる視覚的制御によって実行され得る。しかしながら、これは充分に信頼性の高い方法ではない。非視覚的な損傷によっても無限軌道が重大な損傷を受けて、無限軌道が引き裂かれる恐れがあるからである。
【0005】
従って、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷の決定を改善することが必要とされている。
【0006】
(発明の目的)
本発明の目的は、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するためのデバイスを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、そのようなデバイスを備える無限軌道車両を提供することである。
【0009】
本発明の更に別の目的は、方法を実行するためのコンピュータプログラム、及び、このコンピュータプログラムを記憶するためのコンピュータプログラム製品を提供することである。
【発明の概要】
【0010】
以下の記載から明らかとなるこれら及び他の目的は、添付の独立請求項に記載されている方法、デバイス、無限軌道、コンピュータプログラム、及びコンピュータプログラム製品によって達成される。方法及びデバイスの好適な実施形態は、添付の独立請求項に規定されている。
【0011】
本開示の一態様によれば、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための方法が提供される。無限軌道車両は、駆動ホイール部材と、テンションホイール部材と、ロードホイールのセットと、このホイールの周りで縦伸張方向に配置された無限軌道と、を含む少なくとも1つの軌道アセンブリを備える。無限軌道は、無限軌道車両の走行中に駆動ホイール部材によって回転するよう構成されている。方法は、少なくとも1つのセンサから、無限軌道の振動に関連した測定情報を受信するステップを含む。方法は更に、少なくとも1つのセンサから受信した情報に基づいて、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道の固有振動数を決定するステップを含む。方法は更に、固有振動数に関連した決定に基づいて、無限軌道に潜在的損傷が存在するか否かを決定するステップを含む。
【0012】
これにより、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための安全かつ信頼性の高い方法が容易になる。これにより、無限軌道に明らかに目に見える損傷が存在しなくても、無限軌道内の破損した、すなわち引き裂かれたワイヤ/ワイヤ部分を検出することができる。これにより、無限軌道が引き裂かれるような無限軌道の重大な損傷を回避できる。これは、無限軌道が引き裂かれる恐れのある重大な損傷のリスクが生じるよりも前に、無限軌道の非視覚的損傷を含む程度の損傷を発見できるからである。無限軌道車両の軌道の縦方向における無限軌道の固有振動数は、本質的に、無限軌道車両の重量及び無限軌道の張力とは無関係であるので、方法の信頼性が増大する。
【0013】
少なくとも1つのセンサから受信した情報に基づいて無限軌道の固有振動数が決定された場合、このように決定された固有振動数に基づいて、無限軌道に潜在的損傷が存在するか否かを決定する。少なくとも1つのセンサから受信した情報に基づいて、無限軌道の固有振動数が存在しないと決定された場合、すなわち少なくとも1つのセンサが固有振動数を検出しなかった場合、このように決定された無限軌道の固有振動数の不在に基づいて、無限軌道の潜在的損傷を決定することができる。本開示の一態様によれば、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道の固有振動数を決定するステップは、少なくとも1つのセンサによって固有振動数が検出されたか又は固有振動数が検出されなかったと決定することを表す。
【0014】
方法の一態様によれば、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道の固有振動数を決定するステップは、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道の縦伸張方向の固有振動数を決定することを含む。無限軌道は、無限軌道の縦方向の剛性に依存する縦方向固有振動数を有するので、これにより、固有振動数を効率的に決定することができる。
【0015】
方法の一態様によれば、無限軌道は、無限軌道内に配置されて無限軌道の縦伸張方向で無限軌道をぐるりと囲むように構成されたワイヤ構成を含む。ワイヤ構成は、無限軌道の剛性を与える及び/又は無限軌道の剛性に寄与する。ワイヤ構成に破損したワイヤ/ワイヤ部分があると、無限軌道の剛性が変化する可能性がある。ワイヤ構成は、縦方向の無限軌道の剛性を与える及び/又は縦方向の無限軌道の剛性に寄与し、ワイヤ構成に破損したワイヤ/ワイヤ部分があると、縦方向の無限軌道の剛性が変化する可能性がある。従って、無限軌道の固有振動数は、無限軌道の剛性を与える/無限軌道の剛性に寄与するワイヤ構成に関連付けられる。ワイヤ構成は、本開示の一態様によれば、無限軌道内で無限軌道の周りを何周かするように構成されたワイヤであり、複数のワイヤ部分が無限軌道内で相互に隣接して延出して無限軌道の剛性を増大させることを可能とする。もしもワイヤ構成が破損して1周以上のワイヤ部分が破損したら、ワイヤ構成が破損していない状態に比べて固有振動数が低下する。あるいはワイヤ構成は、本開示の一態様によれば、無限軌道内で1周以上延出するように配置されると共に相互に隣接して配置された個別ワイヤのセットを含み得る。もしもワイヤ構成が破損して1つ以上のワイヤが破損したら、ワイヤ構成が破損していない状態に比べて固有振動数が低下する。破損した/引き裂かれたワイヤ/ワイヤ部分があると、縦方向の剛性が変化し、従って無限軌道の固有振動数が変化する。このため、固有振動数に関連した決定に基づいて無限軌道に潜在的損傷が存在するか否かを決定するステップは、ワイヤ構成に損傷があるか否かを決定することを含み得る。本開示の一態様によれば、固有振動数に関連した決定に基づいて無限軌道に潜在的損傷が存在するか否かを決定するステップは、ワイヤ構成に損傷が存在するか否か、及び、ワイヤ構成の損傷の程度を決定することを含み得る。これにより、無限軌道の損傷の程度を決定することで、無限軌道車両を走行させるべきか否かの決定を容易にすることができる。これにより、ワイヤ構成の、従って無限軌道の損傷の程度を決定することで、ワイヤ構成の損傷しているワイヤ部分/ワイヤの推定数に基づいて、無限軌道車両を走行させるべきか否かの決定を容易にすることができる。
【0016】
方法の一態様によれば、無限軌道に潜在的損傷が存在するか否かを決定するステップは、無限軌道の固有振動数に関連した決定を、無限軌道に関連した所定の固有振動数と比較するステップと、固有振動数に関連した決定と所定の固有振動数との差が所定の閾値を超えている場合、無限軌道の潜在的損傷を決定するステップと、を含む。これにより、無限軌道の潜在的損傷を決定するための効率的かつ信頼性の高い方法が提供される。所定の固有振動数は、任意の適切な手法で決定すればよい。所定の固有振動数は、同じ種類の車両のための同じ種類の損傷していない無限軌道に対して決定することができる。本開示の一態様によれば、所定の固有振動数を決定するための方法は、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道の固有振動数を決定するための方法と同じ方法とすればよい。
【0017】
方法の一態様によれば、少なくとも1つのセンサから、無限軌道の振動に関連した測定情報を受信するステップは、テンションホイール部材のクランク軸の動きの測定からの測定情報を受信することと、クランク軸の動きに基づいて、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は固有振動数を決定することと、を含む。これにより、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための安全かつ信頼性の高い方法が容易になる。テンションホイール部材の既存のクランク軸をこのように利用して動きを検出することにより、無限軌道の振動に関連した測定情報を容易かつ効率的に提供できる。本開示の一態様によれば、存在し得る固有振動数は、検出されたクランク軸の動きに基づくフィルタリングによって提供される。クランク軸の動きを検出するための少なくとも1つのセンサは、一変形によれば加速度計である。
【0018】
方法の一態様によれば、少なくとも1つのセンサから、無限軌道の振動に関連した測定情報を受信するステップは、軌道アセンブリのテンションホイール部材に接続したテンションシリンダの圧力変動の測定からの測定情報を受信することと、圧力変動に基づいて、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は固有振動数を決定することと、を含む。これにより、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための安全かつ信頼性の高い方法が容易になる。テンションホイール部材の既存のテンションシリンダをこのように利用して動きを検出することにより、無限軌道の振動に関連した測定情報を容易かつ効率的に提供できる。本開示の一態様によれば、存在し得る固有振動数は、検出されたテンションシリンダの圧力変動に基づくフィルタリングによって提供される。テンションシリンダの圧力変動を検出するための少なくとも1つのセンサは、一変形によれば圧力センサである。
【0019】
方法の一態様によれば、少なくとも1つのセンサから、無限軌道の振動に関連した測定情報を受信するステップは、無限軌道車両の走行スイープ中に実行された測定からの測定情報を受信することを含み、走行スイープは、車両を無限軌道車両の低速で走行させ、次いで、低速よりも速い高速にし、その後、低速にすることを含む。このような走行スイープ中にこのように測定を実行することにより、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための効率的かつ信頼性の高い方法が容易になる。上記の低速及び高速は、そのような走行スイープ中に実行された測定によって固有振動数を決定することができる範囲内の速度である。
【0020】
方法の一態様によれば、走行スイープ中に実行された測定からの測定情報を受信するステップは、無限軌道車両を支持するように構成された比較的硬く平らな表面を有する所定の固体地面上で実行された走行スイープに関する。方法の一態様によれば、走行スイープ中に実行された測定からの測定情報を受信するステップは、無限軌道車両を支持するように構成された平らな表面を有する所定の固体地面上で実行された走行スイープに関する。平らな表面を有する固体地面とは、そのような走行スイープ中に実行される測定が車両の望ましくない動きによって妨げられないように車両が移動するようなものである。平らな表面を有する固体地面とは、そのような走行スイープ中に実行される固有振動数の決定に関連した測定が車両の望ましくない動きによって妨げられないように車両が移動するようなものである。これは、そのような望ましくない動きによって固有振動数が無効になるためである。平らな表面を有する固体地面上でこのような走行スイープ中にこのように測定を実行することにより、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための効率的かつ信頼性の高い方法が容易になる。固体地面は、例えばアスファルトやコンクリート等、固体地面上での走行中に車両が意図する走行方向の移動において本質的に妨害されないように、無限軌道車両を充分に支持するよう構成された地面を意味する。無限軌道車両の走行中の車両の移動におけるそのような妨害は、例えば表面の凹凸や揺れによって引き起こされる、車両の縦及び横伸張方向に対して本質的に直交する方向の動きを表し得る。平らな表面は、固体地面上での走行中に車両が意図する走行方向の移動において本質的に妨害されないように、凹凸や空洞等の大きい不均一が存在しない表面を意味する。無限軌道車両の走行中の車両の移動におけるそのような妨害は、例えば表面の凹凸や揺れによって引き起こされる、車両の縦及び横伸張方向に対して本質的に直交する方向の動きを表し得る。
【0021】
方法の一態様によれば、少なくとも1つのセンサから、無限軌道の振動に関連した測定情報を受信するステップは、無限軌道車両の第1の停止位置である間に実行された測定からの測定情報を受信することを含み、第1の停止位置である間に、軌道アセンブリに接続して外部トリガ周波数が印加される。第1の停止位置は、無限軌道の第1の部分が地面と係合する無限軌道車両の停止位置を表す。第1の停止位置は、無限軌道の縦伸張方向で無限軌道をぐるりと囲むように構成されたワイヤ構成の一部を含む無限軌道の第1の部分が地面と係合する無限軌道車両の停止位置を表す。無限軌道がワイヤ構成を含む本開示の一態様によれば、もしも、第1の停止位置で地面と係合していない無限軌道のワイヤの1つ以上のワイヤ/ワイヤ部分が破損したら、軌道アセンブリに接続して外部トリガ周波数が印加された場合、低い固有振動数が予想される。このため、無限軌道車両の第1の停止位置である間に実行された測定からの測定情報を受信する場合、無限軌道の潜在的損傷を決定することができる。このような第1の停止の間にこのように測定を実行することにより、無限の変動に関連した測定情報を取得する効率的かつ信頼性の高い方法が容易になる。
【0022】
方法の一態様によれば、少なくとも1つのセンサから、無限軌道の振動に関連した測定情報を受信するステップは、第1の停止位置の後の第2の停止位置である間に実行された測定からの測定情報を受信することを含む。無限軌道車両は、無限軌道が回転することで、地面と現在係合している無限軌道の部分が移動して第2の停止位置では無限軌道車両の地面と係合しなくなるように、第1の停止位置から第2の停止位置へ移動している。この第2の停止の間に、軌道アセンブリに接続して外部トリガ周波数が印加される。従って、「・・・地面と現在係合している無限軌道の部分が移動して・・・」という表現は、「第1の停止位置である間に地面と係合している無限軌道の部分が移動して・・・」を意味する。第2の停止位置は、無限軌道の第1の部分とは異なる無限軌道の第2の部分が地面と係合する無限軌道車両の停止位置を表す。第2の停止位置は、無限軌道の縦伸張方向で無限軌道をぐるりと囲むように構成されたワイヤ構成の一部を含む無限軌道の第2の部分が地面と係合する無限軌道車両の停止位置を表す。無限軌道がワイヤ構成を含む本開示の一態様によれば、もしも、第1の停止で地面と係合している無限軌道のワイヤ構成の1つ以上のワイヤ/ワイヤ部分が破損したら、無限軌道車両が第2の停止位置へ移動して、無限軌道車両の第2の停止位置にある間に実行された測定からの測定情報を受信している時に、軌道アセンブリに接続して外部トリガ周波数が印加された場合、低い固有振動数が予想され、無限軌道の潜在的損傷を決定することができる。このため、第1の停止及び第2の停止において、そのような外部トリガ周波数を印加することにより検出された固有振動数間の差は、無限軌道の潜在的損傷を示し、また、無限軌道のどの部分に潜在的損傷があるかを示すことができる。第1の停止後のこのような第2の停止の間にこのように測定を実行することにより、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための効率的かつ信頼性の高い方法が容易になる。
【0023】
方法の一態様によれば、第1及び第2の停止中に実行された測定からの測定情報を受信するステップは、軌道アセンブリのテンションホイール部材に接続したテンションシリンダの油圧を脈動させることによって外部トリガ周波数の印加中に実行された測定を含み、油圧の脈動は、比較的低い周波数から、低い周波数よりも高い比較的高い周波数になり、再び比較的低い周波数に戻る所定の周波数スイープ内である。このような所定の周波数スイープ内でテンションシリンダの油圧を脈動させることによって、このような第1及び第2の停止の間にこのように測定を実行することにより、無限の振動に関連した測定情報を取得するための効率的かつ信頼性の高い方法が容易になり、従って、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための効率的かつ信頼性の高い方法が容易になる。低い周波数及び高い周波数は、外部トリガ周波数の印加中に実行された測定によって固有振動数を決定することができる範囲内の周波数である。
【0024】
方法の一態様によれば、第1及び第2の停止中に実行された測定からの測定情報を受信するステップは、テンションホイール部材上に提供された機械デバイスによって振動を発生させることにより外部トリガ周波数の印加中に実行された測定を含む。発生させた振動は、比較的低い周波数から、低い周波数よりも高い比較的高い周波数になり、再び比較的低い周波数に戻る所定の周波数スイープ内である。テンションホイール部材上に提供された機械デバイスによって、所定の周波数スイープ内である振動を発生させることにより、このような第1及び第2の停止の間にこのように測定を実行することで、無限の振動に関連した測定情報を取得するための効率的かつ信頼性の高い方法が容易になり、従って、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための効率的かつ信頼性の高い方法が容易になる。低い周波数及び高い周波数は、外部トリガ周波数の印加中に実行された測定によって固有振動数を決定することができる範囲内の周波数である。
【0025】
本開示の別の態様によれば、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するためのデバイスが提供される。無限軌道車両は、駆動ホイール部材と、テンションホイール部材と、ロードホイールのセットと、このホイールの周りで縦伸張方向に配置された無限軌道と、を含む少なくとも1つの軌道アセンブリを備える。無限軌道は、無限軌道車両の走行中に駆動ホイール部材によって回転するよう構成されている。デバイスは、無限軌道の振動に関連した測定情報を取得するための少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つのセンサに動作可能に接続された少なくとも1つのプロセッサと、を備える。少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのセンサから、無限軌道の振動に関連した測定情報を受信するように構成されている。少なくとも1つのプロセッサは更に、少なくとも1つのセンサから受信した情報に基づいて、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道の固有振動数を決定するように構成されている。少なくとも1つのプロセッサは更に、固有振動数に関連した決定に基づいて、無限軌道に潜在的損傷が存在するか否かを決定するように構成されている。
【0026】
デバイスの一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのセンサから受信した情報に基づいて、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道の縦伸張方向の固有振動数を決定するように構成されている。
【0027】
デバイスの一態様によれば、無限軌道は、無限軌道内に配置されて無限軌道の縦伸張方向で無限軌道をぐるりと囲むように構成されたワイヤ構成を含む。
【0028】
デバイスの一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサは、無限軌道に潜在的損傷が存在するか否かを決定する場合、無限軌道の固有振動数に関連した決定を、無限軌道に関連した所定の固有振動数と比較し、固有振動数に関連した決定と所定の固有振動数との差が所定の閾値を超えている場合、無限軌道の潜在的損傷を決定するように構成されている。
【0029】
デバイスの一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのセンサから、無限軌道の振動に関連した測定情報を受信する場合、テンションホイール部材のクランク軸の動きの測定からの情報を受信するように構成され、プロセッサは、クランク軸の動きに関する受信情報に基づいて、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は固有振動数を決定するように構成されている。
【0030】
デバイスの一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのセンサから、無限軌道の振動に関連した測定情報を受信する場合、軌道アセンブリのテンションホイール部材に接続したテンションシリンダの圧力変動の測定からの情報を受信するように構成され、プロセッサは、圧力変動に関する受信情報に基づいて、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は固有振動数を決定するように構成されている。
【0031】
デバイスの一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのセンサから、無限軌道の振動に関連した測定情報を受信する場合、無限軌道車両の走行スイープ中に実行された測定からの測定情報を受信するように構成され、走行スイープは、車両を低速で走行させ、次いで、低速よりも速い高速にし、その後、低速にすることを含む。
【0032】
デバイスの一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサは、走行スイープ中に実行された測定からの測定情報を受信する場合、無限軌道車両を支持するように構成された比較的硬く平らな表面を有する所定の固体地面上で実行されたスイープ中に実行された測定からの測定情報を受信するように構成されている。
【0033】
デバイスの一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのセンサから、無限軌道の振動に関連した測定情報を受信する場合、無限軌道車両の第1の停止位置である間に実行された測定からの測定情報を受信するように構成され、第1の停止位置である間に、軌道アセンブリに接続して外部トリガ周波数が印加される。
【0034】
デバイスの一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのセンサから、無限軌道の振動に関連した測定情報を受信する場合、第1の停止位置の後の第2の停止位置である間に実行された測定からの測定情報を受信するように構成されている。無限軌道車両は、無限軌道が回転することで、第1の停止の間に地面と係合している無限軌道の部分が移動して第2の停止位置では無限軌道車両の地面と係合しなくなるように、第1の停止位置から第2の停止位置へ移動している。この第2の停止の間に、軌道アセンブリに接続して外部トリガ周波数が印加される。
【0035】
デバイスの一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサは、第1及び第2の停止中に実行された測定からの測定情報を受信する場合、軌道アセンブリのテンションホイール部材に接続したテンションシリンダの油圧を脈動させることによって、軌道アセンブリに接続して外部トリガ周波数が印加されるよう構成されている場合、情報を受信するように構成されている。油圧の脈動は、比較的低い周波数から、低い周波数よりも高い比較的高い周波数になり、再び比較的低い周波数に戻る所定の周波数スイープ内である。
【0036】
デバイスの一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサは、第1及び第2の停止中に実行された測定からの測定情報を受信する場合、テンションホイール部材上に提供された機械デバイスによって振動を発生させることにより、軌道アセンブリに接続して外部トリガ周波数が印加されるよう構成されている場合、情報を受信するように構成されている。発生させた振動は、比較的低い周波数から比較的高い周波数になり、再び比較的低い周波数に戻る所定の周波数スイープ内である。
【0037】
本開示に従った、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するためのデバイスは、本明細書に記載されている対応する方法に従った利点を有する。
【0038】
本開示の更に別の態様によれば、本明細書に記載されているデバイスを備える無限軌道車両が提供される。
【0039】
本開示の更に別の態様によれば、コンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムが提供される。この命令は、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための、本明細書に記載されているデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行された場合、少なくとも1つのプロセッサに、上述した方法の方法ステップのうち任意のもの又は任意の組み合わせを実行させる。
【0040】
本開示の更に別の態様によれば、上述したコンピュータプログラムを記憶している、不揮発性メモリ等の少なくとも1つのコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本開示をより良く理解するため、添付図面と関連付けて読まれる以下の詳細な説明を参照する。いくつかの図面を通して、同様の参照符号は同様の部分を表す。
【0042】
図1】本開示の一実施形態に従った無限軌道車両の側面図を概略的に示す。
図2】本開示の一実施形態に従った無限軌道車両の軌道アセンブリの斜視図を概略的に示す。
図3】本開示の一実施形態に従った、図2の軌道アセンブリの一部の斜視図を概略的に示す。
図4】本開示の一実施形態に従った無限軌道車両の平面図を概略的に示す。
図5】本開示の一実施形態に従った、無限軌道車両の操縦を制御するための制御デバイスのブロック図を概略的に示す。
図6】本開示の一実施形態に従った、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための方法のフローチャートを概略的に示す。
図7】本開示の一実施形態に従った、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための方法のフローチャートを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以降、「リンク」という用語は、光電子通信ワイヤ等の物理的コネクタ、又は、例えば無線もしくはマイクロ波リンクのような無線接続等の非物理的コネクタとすることができる通信リンクを表す。
【0044】
図1は、本開示の一実施形態に従った無限軌道車両Vの側面図を概略的に示す。図2は、本開示の一実施形態に従った、例えば図1に従った無限軌道車両のような無限軌道車両の軌道アセンブリT1の斜視図を概略的に示す。図3は、本開示の一実施形態に従った、図2の軌道アセンブリT1の一部の斜視図を概略的に示す。
【0045】
無限軌道車両Vは、図1の開示によれば、軍用車両である。無限軌道車両Vは、図1の開示によれば、戦闘車両である。
【0046】
無限軌道車両Vは車体Bを含み、車体Bは、本開示の一態様によれば、車両Vのシャシ及び車体を含む。
【0047】
無限軌道車両Vは、車両Vを走行させるための右側軌道アセンブリT1及び左側軌道アセンブリを含む。図1には左側軌道アセンブリが示されている。各軌道アセンブリは、駆動ホイール部材DWと、テンションホイール部材TWと、ロードホイールRWのセットと、ホイールの上に延出するよう配置された無限軌道Eと、を含む。ここで、駆動ホイール部材DWは前方に配置され、テンションホイール部材TWは後方に配置され、ロードホイールRWは駆動ホイール部材DWとテンションホイール部材TWとの間に配置されている。しかしながら、本開示に従った無限軌道車両は、任意の適切な配置の駆動ホイール部材、テンションホイール部材、及びロードホイールを備えた軌道アセンブリを有し得る。本開示の一態様によれば、テンションホイール部材を前方に配置し、駆動ホイール部材を後方に配置し、それらの間にロードホイールを配置することも可能である。一態様によれば、本開示は、軌道アセンブリのための駆動ホイールDWの締結機構に関する。
【0048】
各軌道アセンブリの無限軌道Eは、駆動ホイール部材DWによって駆動され、それによって回転するように配置されている。無限軌道車両Vは、駆動ホイール部材DWを駆動するため、図示しない駆動手段を含む。駆動手段は、内燃機関及び/又は電気機械等、任意の適切な駆動手段とすればよい。
【0049】
無限軌道車両Vの各軌道アセンブリT1の無限軌道Eは、車両の横方向で車両の外側に向いている外側E1と、車両の横方向で、軌道アセンブリが搭載された、車両の方に向いている内側E2と、を有する。図2及び図3を参照のこと。
【0050】
本開示の一態様によれば、テンションホイール部材TWは、軸Z1を中心として回転可能に配置されている。本明細書では、軸Z1を第1の軸Z1と称する。本開示の一態様によれば、テンションホイール部材TWはハブ部材Hを含む。本開示の一態様によれば、ハブ部材Hは第1の軸Z1を中心として同軸に配置されている。本開示の一態様によれば、テンションホイール部材TWは外側テンションホイールTW1を含み、外側テンションホイールTW1は、ハブ部材Hの外側に接続して、従って無限軌道Eの外側E1に接続して配置されている。本開示の一態様によれば、テンションホイール部材TWは内側テンションホイールTW2を含み、内側テンションホイールTW2は、ハブ部材Hの内側に接続して、従って無限軌道Eの内側E2に接続して配置されている。
【0051】
各軌道アセンブリの無限軌道Eは、任意の適切な構成を有すると共に任意の適切な材料とすることができる。各軌道アセンブリの無限軌道Eは、本開示の一態様に従って、ゴム製の軌道とすればよい。各軌道アセンブリの無限軌道は、本開示の一態様に従って、スチール製の軌道とすればよい。
【0052】
本開示の一態様によれば、テンションホイール部材TWはクランク軸10を含む。図2及び図3を参照のこと。クランク軸10は、ハブ部材Hの内側に接続して配置されるよう構成されている。クランク軸10は、ハブ部材Hに接続されると共に内側テンションホイールTW2に接続して配置されるよう構成されている。クランク軸10は、ハブ部材Hの内側から、及び無限軌道Eの内側E2から突出するように構成されている。
【0053】
本開示の一態様によれば、クランク軸10は、ハブ部材Hの最も近くに配置された外側レバー12を含む。本開示の一態様によれば、外側レバー12は、第1の端部12a及び反対側の第2の端部12bを有する。本開示の一態様によれば、外側レバー12は、第1の軸Z1を中心とした外側レバー12の回転を可能とするため、第1の端部12aに接続した締結ポイントでハブ部材Hに取り付けられるよう構成されている。
【0054】
本開示の一態様によれば、クランク軸10は心棒14を含む。本開示の一態様によれば、心棒14は、ハブ部材Hに最も近い外側端部14a及び反対側の内側端部14bを有する。本開示の一態様によれば、心棒14は、外側端部14aで接続して外側レバー12の第2の端部12bに接続するよう構成されている。本開示の一態様によれば、心棒14は、外側端部14aから内側端部14bまで、軸方向Z1と平行な軸方向Z2に突出する、すなわち、第1の軸Z1と平行な伸張方向を有する第2の軸Z2を中心として突出するよう構成されている。
【0055】
本開示の一態様によれば、心棒14は、無限軌道車両Vの車体Bに対する心棒14の第2の軸Z2を中心とした回転を容易にするため、軸受構成14B1、14B2を含む。本開示の一態様によれば、軸受構成14B1、14B2は、無限軌道車両Vの車体Bに対する心棒14の第2の軸Z2を中心とした回転を容易にするため、車体Bすなわちシャシに取り付けられるよう構成されている。本開示の一態様によれば、軸受構成14B1、14B2は、外側部14aの近くに配置された外側軸受部材14B1と、内側部14bの近くに配置された内側軸受部材14B2と、を含む。
【0056】
本開示の一態様によれば、クランク軸10は内側レバー16を含む。内側レバー16は、第1の端部16a及び反対側の第2の端部16bを有する。本開示の一態様によれば、心棒14は、内側端部14bで接続して内側レバー16の第1の端部16aに接続するよう構成されている。本開示の一態様によれば、内側レバー16は、内側レバー16の第2の軸Z2を中心とした回転を可能とするため、心棒14の内側部14bに取り付けられるよう構成されている。
【0057】
本開示の一態様によれば、テンションホイール部材TWはテンションシリンダ20を含む。図2及び図3を参照のこと。本開示の一態様によれば、テンションシリンダ20は、内側テンションホイールTW2に接続して配置されるよう構成されている。テンションシリンダ20は、第1の端部22及び反対側の第2の端部24を有する。
【0058】
本開示の一態様によれば、テンションシリンダ20は、第1の端部22で接続して内側レバー16の第2の端部16bに接続するよう構成されている。本開示の一態様によれば、テンションシリンダ20は、テンションシリンダ20の第3の軸Z3を中心とした回転を可能とするため、第1の端部22で接続して、接続ポイントで内側レバー16の第2の端部16bに取り付けられるよう構成されている。第3の軸Z3は、第1の軸Z1及び第2の軸Z2の軸伸張方向と本質的に平行な軸伸張方向を有する。
【0059】
本開示の一態様によれば、テンションホイール部材TWが無限軌道Eの後方側に配置されている場合、テンションシリンダ20は、第1の端部22から、無限軌道Eの後方側から離れる方向へ、無限軌道Eの縦伸張方向に延出するよう構成されている。
【0060】
本開示の一態様によれば、テンションシリンダ20は、無限軌道車両Vの車体Bに対する第4の軸Z4を中心とした回転を容易にするため、第2の端部24に接続して配置された軸受構成20Bを含む。第4の軸Z4は、第1、第2、及び第3の軸の軸伸張方向と本質的に平行な軸伸張方向を有する。本開示の一態様によれば、軸受構成20Bは、無限軌道車両Vの車体Bに対するテンションシリンダ20の第4の軸Z4を中心とした回転を容易にするため、車体Bすなわちシャシに取り付けられるよう構成されている。
【0061】
本開示の一態様によれば、テンションシリンダ20は、無限軌道Eの縦方向に特定の張力を与えるよう構成されている。本開示の一態様によれば、テンションシリンダ20は、無限軌道Eの縦方向に所定の張力を与えるよう構成されている。
【0062】
本開示の一態様によれば、テンションホイールTW1、TW2、クランク軸10、及びテンションシリンダ20を備えたテンションホイール部材TWは、無限軌道Eの所望の張力を与えるように配置されるよう構成されている。
【0063】
例えば無限軌道Eの回転を伴う無限軌道車両Vの動作中、クランク軸10の特定の動きが発生する。例えば無限軌道Eの回転を伴う無限軌道車両Vの動作中、第1の軸Z1、第2の軸Z2、及び第3の軸Z3のうち1つ以上を中心としたクランク軸10の動きが発生し得る。
【0064】
例えば無限軌道Eの回転を伴う無限軌道車両Vの動作中、テンションシリンダ20の特定の圧力変動が発生する。例えば無限軌道Eの回転を伴う無限軌道車両Vの動作中、車両動作及びテンションシリンダ20の設定張力に基づいて、無限軌道Eの縦方向にテンションシリンダ20の圧力変動。
【0065】
本開示の一態様によれば、無限軌道Eは、無限軌道E内に配置されたワイヤ構成Wを含む。ワイヤ構成Wは、無限軌道Eの縦伸張方向で無限軌道Eをぐるりと囲むように構成されている。図3を参照のこと。本開示の一態様によれば、ワイヤ構成Wは、無限軌道Eの縦伸張方向で無限軌道Eをぐるりと囲むように構成された1つ以上のワイヤを含む。本開示の一態様によれば、ワイヤ構成Wは、無限軌道E内で無限軌道Eの縦伸張方向で無限軌道Eをぐるりと囲むように構成された1つ以上のワイヤを含む。本開示の一態様によれば、ワイヤ構成Wは、無限軌道Eの縦伸張方向で無限軌道Eの周りを複数周にわたって延出するように構成された1つ以上のワイヤを含む。本開示の一態様によれば、無限軌道Eの縦伸張方向で無限軌道Eの周りを複数周にわたって延出するように構成された1つ以上のワイヤを含むワイヤ構成Wは、無限軌道Eの幅に沿って分散するよう構成されている。図3を参照のこと。
【0066】
本開示の一態様によれば、ワイヤ構成Wは1つ以上の鋼線を含み得る。
【0067】
本開示の一態様によれば、ワイヤ構成Wは、無限軌道Eに結合を与えるよう構成されている。本開示の一態様によれば、ワイヤ構成Wは、無限軌道Eに縦方向の取り付けを与えるよう構成されている。本開示の一態様によれば、ワイヤ構成Wは、無限軌道Eを縦方向に保持するよう構成されている。
【0068】
本開示の一態様によれば、ワイヤ構成Wの少なくとも1つのワイヤは、無限軌道Eの縦伸張方向で無限軌道Eの周りを20~100周にわたって延出するように、すなわち、無限軌道Eの周りを縦伸張方向に20~100回延出するように構成され得る。
【0069】
本開示の一態様によれば、無限軌道車両Vには少なくとも1つのセンサ30が備えられている。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのセンサ30は、無限軌道Eの振動に関連した測定情報を提供するように構成されている。
【0070】
本開示の一態様によれば、少なくとも1つのセンサ30は、軌道アセンブリT1に接続して配置されるよう構成されている。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのセンサ30は、軌道アセンブリのテンションホイール部材TWに接続して配置されるよう構成されている。
【0071】
本開示の一態様によれば、少なくとも1つのセンサ30は、テンションホイール部材TWのクランク軸10の動きを測定するように構成されている。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのセンサ30は少なくとも1つの加速度計32を含む。
【0072】
本開示の一態様によれば、少なくとも1つのセンサ30は、テンションホイール部材TWのテンションシリンダ20の圧力変動を測定するように構成されている。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのセンサ30は少なくとも1つの圧力センサ34を含む。
【0073】
図4は、本開示の一実施形態に従った無限軌道車両Vの平面図を概略的に示す。無限軌道車両Vは、図1に従った無限軌道車両とすればよい。
【0074】
無限軌道車両Vは、右側軌道アセンブリT1及び左側軌道アセンブリT2を含む。軌道アセンブリは、図1及び図2に示され、図3にも部分的に示されている左側軌道アセンブリに対応し得る。各軌道アセンブリT1、T2は、図4に示されていない駆動ホイール部材と、テンションホイール部材TWと、図4に示されていないロードホイールのセットと、ホイール上に延出するよう配置された無限軌道Eと、を含む。
【0075】
本開示の一態様によれば、図3で例示され、図4で概略的に示されているように、各テンションホイール部材TWは、ハブ部材Hと、ハブ部材Hの外側に接続して配置された外側テンションホイールTW1と、ハブ部材Hの内側に接続して配置された内側テンションホイールTW2と、を含む。
【0076】
本開示の一態様によれば、図3で例示され、図4で概略的に示されているように、各テンションホイール部材TWは、内側テンションホイールTW1に接続して配置されたクランク軸10を含む。
【0077】
本開示の一態様によれば、図3で例示され、図4で概略的に示されているように、各テンションホイール部材TWは、クランク軸10に接続されたテンションシリンダ20を含むか又はテンションシリンダ20に動作可能に接続されている。
【0078】
本開示の一態様によれば、図3で例示され、図4で概略的に示されているように、無限軌道車両V、すなわち無限軌道車両Vの各軌道アセンブリT1、T2は、無限軌道Eの振動に関連した測定情報を与えるように構成された少なくとも1つのセンサ30を含む。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのセンサ30は、各軌道アセンブリT1、T2のテンションホイール部材TWに接続して配置されるよう構成されている。
【0079】
本開示の一態様によれば、図4で概略的に示されているように、無限軌道車両Vは、少なくとも1つのセンサ30に動作可能に接続された少なくとも1つのプロセッサ110を含む。少なくとも1つのプロセッサ110は、少なくとも1つのセンサ30から、無限軌道の振動に関連した測定情報を受信するように構成されている。少なくとも1つのプロセッサ110は、少なくとも1つのセンサ30から受信した情報に基づいて、無限軌道Eの固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道Eの固有振動数を決定するように構成されている。少なくとも1つのプロセッサ110は、固有振動数に関連した決定に基づいて、無限軌道車Eの潜在的損傷が存在するか否かを決定するように構成されている。
【0080】
本開示の一態様によれば、少なくとも1つのセンサ30及び少なくとも1つのプロセッサ110は、無限軌道車両Vの無限軌道Eの潜在的損傷を決定するためのデバイスを提供する。
【0081】
本開示の一態様によれば、図4及び図5で概略的に示されているように、少なくとも1つのプロセッサ110は、無限軌道車両の無限軌道Eの潜在的損傷を決定するための制御デバイス100に含まれるように構成されている。このため、図5は、本開示の一実施形態に従った、無限軌道車両の無限軌道Eの潜在的損傷を決定するための制御デバイス100のブロック図を概略的に示す。図4で概略的に示されているように、制御デバイスは、無限軌道車両の車体Bに接続して配置することができる。本開示の一態様によれば、このような制御デバイス100は1つ以上の制御ユニットを含み得る。本開示の一態様によれば、このような制御デバイス100は、各軌道アセンブリT1、T2に接続して配置された1つ以上の制御ユニットを含み得る。本開示の一態様によれば、このような制御デバイス100は、少なくとも1つのセンサのうち少なくとも1つを含み得る。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのセンサ30は、制御デバイス100に含まれ得る。
【0082】
本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110のうち少なくとも1つは、各軌道アセンブリT1、T2に対して、センサモジュール等における少なくとも1つのセンサ30に接続して配置することができる。
【0083】
本開示の一態様によれば、図4及び図5で概略的に示されているように、無限軌道車両Vは、少なくとも1つのセンサ30に動作可能に接続された制御デバイス100を含む。制御デバイス100は、少なくとも1つのセンサ30から、無限軌道Eの振動に関連した測定情報を受信するように構成されている。制御デバイス100は、少なくとも1つのセンサ30から受信した情報に基づいて、無限軌道Eの固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道Eの固有振動数を決定するように構成されている。制御デバイス100は、固有振動数に関連した決定に基づいて、無限軌道車Eの潜在的損傷が存在するか否かを決定するように構成されている。
【0084】
本開示の一態様によれば、少なくとも1つのセンサ30と、少なくとも1つのプロセッサ110を含む制御デバイス100と、は無限軌道車両Vの無限軌道Eの潜在的損傷を決定するためのデバイスを提供する。
【0085】
本開示の一態様によれば、制御デバイス100はメモリ機構120を含む。メモリ機構120は少なくとも1つのメモリを含み得る。従って、制御デバイス100は少なくとも1つのメモリを含む。
【0086】
本開示の一態様によれば、制御デバイス100は通信インタフェース130を含む。通信インタフェース130は通信ユニットとも称することができる。
【0087】
本開示の一態様によれば、制御デバイス100の少なくとも1つのプロセッサ110は、少なくとも1つのセンサ30に動作可能に接続され得る。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのセンサ30は、制御デバイス100に含める及び/又は動作可能に接続することができる。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのセンサ30は、リンクを介して制御デバイス100に動作可能に接続され得る。
【0088】
本開示の一態様によれば、制御デバイス100のメモリ機構120は、少なくとも1つのプロセッサ110と一体化するか、もしくは少なくとも1つのプロセッサ110に埋め込むこと、及び/又は別個のメモリハードウェアデバイスとすることが可能である。本開示の一態様によれば、制御デバイス100のメモリ機構120は、少なくとも1つのプロセッサ110に動作可能に接続され得る。本開示の一態様によれば、メモリ機構120の少なくとも1つのメモリのうち少なくとも1つは、少なくとも1つのプロセッサ110と一体化するか、もしくは少なくとも1つのプロセッサ110に埋め込むこと、及び/又は別個のメモリハードウェアデバイスとすることが可能である。
【0089】
メモリ機構120は、RAM、ROM、ハードディスク、光ディスク、磁気媒体、フラッシュメモリ、及び/又は、命令もしくはデータを記憶することができる他の任意の機構を含み得る。
【0090】
本開示の一態様によれば、制御デバイス100の少なくとも1つのプロセッサ110は、入力データに対して論理動作を実行する電気回路を有する任意の物理的デバイスを含み得る。本開示の一態様によれば、制御デバイス100の少なくとも1つのプロセッサ110は、入力データに対して論理動作を実行する電気回路を有する任意の物理的デバイスを含み得る。例えば、少なくとも1つのプロセッサ110は、1つ以上の集積回路、マイクロチップ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、CPU、DSP、FPGAの全体もしくは一部、又は、命令を実行するかもしくは論理動作を実行するための他の回路を含み得る。本開示の一態様によれば、制御デバイス100によって実行されるものとして本明細書で記載されている行為及び方法ステップは、メモリ機構120に記憶された1つ以上のコンピュータプログラムの実行時に、制御デバイス100の少なくとも1つのプロセッサ110によって実行される。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110によって実行されるものとして本明細書で記載されている行為及び方法ステップは、メモリ機構120に記憶された1つ以上のコンピュータプログラムの実行時に、制御デバイス100の少なくとも1つのプロセッサ110によって実行される。
【0091】
本開示の一態様によれば、通信インタフェース130は、メモリ機構120に動作可能に接続されている。本開示の一態様によれば、通信インタフェース130は、少なくとも1つのプロセッサ110に動作可能に接続され得る。
【0092】
少なくとも1つのセンサ30は、無限軌道Eの振動に関連した測定情報を取得するように構成されている。少なくとも1つのセンサ30は、任意の適切な種類のセンサとすればよい。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのセンサ30は、無限軌道Eの振動を検出するように構成されている。少なくとも1つのセンサ30は、無限軌道Eの振動に関連した測定情報を少なくとも1つのプロセッサ110に送信するよう構成されている。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのセンサ30は、無限軌道Eの振動に関連した1つ以上の信号を少なくとも1つのプロセッサ110に送信するよう構成されている。
【0093】
少なくとも1つのセンサ30は、無限軌道車両Vの軌道アセンブリT1、T2のテンションホイール部材TWのクランク軸10の動きを検出するための少なくとも1つのセンサ32を含み得る。テンションホイール部材TWのクランク軸10の動きを検出するための少なくとも1つのセンサ32は、一態様に従って、少なくとも1つのプロセッサ110に動作可能に接続されている。テンションホイール部材TWのクランク軸10の動きを検出するための少なくとも1つのセンサ32は、クランク軸10に接続して配置された加速度計を含み得る。
【0094】
少なくとも1つのセンサ30は、無限軌道車両Vの軌道アセンブリT1、T2のテンションホイール部材TWに接続したテンションシリンダ20の圧力変動を検出するための少なくとも1つのセンサ34を含み得る。テンションシリンダ20の圧力変動を検出するための少なくとも1つのセンサ34は、一態様に従って、少なくとも1つのプロセッサ110に動作可能に接続されている。テンションシリンダ20の圧力変動を検出するための少なくとも1つのセンサ34は、テンションシリンダ20に接続して配置された圧力センサを含み得る。
【0095】
少なくとも1つのプロセッサ110は、無限軌道Eの振動に関連した測定情報を受信するように構成されている。少なくとも1つのプロセッサ110は、無限軌道Eの振動に関連した情報を含む1つ以上の信号を、1つ以上のリンクを介して受信するように構成されている。少なくとも1つのプロセッサ110は、少なくとも1つのセンサ30から受信した情報に基づいて、無限軌道Eの固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道Eの固有振動数を決定するように構成されている。少なくとも1つのプロセッサ110は、無限軌道Eの存在し得る固有振動数を決定するため、無限軌道Eの振動に関連した測定情報を処理するように構成されている。固有振動数に関連した決定に基づいて、少なくとも1つのプロセッサ110は、無限軌道車Eの潜在的損傷が存在するか否かを決定するように構成されている。
【0096】
本開示の一態様によれば、制御デバイス100は、無限軌道の潜在的損傷が決定された場合、決定された無限軌道の潜在的損傷に基づいて措置を取るように構成され得る。このような措置は、任意の適切な措置とすればよい。このような措置は、無限軌道車両のオペレータ及び/又はコントロールセンター等に、このように決定された無限軌道の潜在的損傷を通知することとすればよい。本開示の一態様によれば、無限軌道の潜在的損傷の可能性が低いと決定された場合、決定された無限軌道の損傷の可能性が低いことに基づいて措置を取るように構成される。このような措置は、任意の適切な措置とすればよい。このような措置は、無限軌道車両のオペレータ及び/又はコントロールセンター等に、無限軌道車両が動作可能であると通知することとすればよい。制御デバイス100が取るように構成されたこのような措置は、携帯電話もしくはタブレットコンピュータ等のモバイル電子デバイス上で実行するよう構成されたモバイルアプリケーション(アプリ)で、又は、ラップトップもしくはデスクトップコンピュータ上で実行するよう構成されたデスクトップアプリケーションの形態で、オペレータ/クライアントに情報を送信することを含み得る。このようなモバイル電子デバイスは、制御デバイス100に動作可能に接続され得る。このようなモバイル電子デバイスは、制御デバイス100に含まれ得る。このようなモバイル電子デバイスは、少なくとも1つのプロセッサに動作可能に接続され得る。このようなモバイル電子デバイスは、少なくとも1つのセンサに動作可能に接続され得る。
【0097】
少なくとも1つのプロセッサ110は、少なくとも1つのセンサ30から受信した情報に基づいて、無限軌道Eの固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道Eの縦伸張方向の固有振動数を決定するように構成されている。無限軌道Eは、無限軌道E内に配置されて無限軌道Eの縦伸張方向で無限軌道Eをぐるりと囲むように構成されたワイヤ構成Wを含む。図3を参照のこと。本開示の一態様によれば、ワイヤ構成Wは、無限軌道の剛性を与える及び/又は無限軌道の剛性に寄与する。ワイヤ構成に破損したワイヤ/ワイヤ部分があると、無限軌道の剛性が変化するので、少なくとも1つのセンサ30から受信した情報に基づく無限軌道Eの縦伸張方向の固有振動数が容易になる。ワイヤ構成Wは、本開示の一態様によれば、無限軌道内で無限軌道の周りを何周かするように構成されたワイヤであり、複数のワイヤ部分が無限軌道内で相互に隣接して延出して無限軌道の剛性を増大させることを可能とする。あるいはワイヤ構成Wは、本開示の一態様によれば、無限軌道内で1周以上延出するように配置されると共に相互に隣接して配置された個別ワイヤのセットを含み得る。破損した/引き裂かれたワイヤ/ワイヤ部分があると、縦方向の剛性が変化し、従って無限軌道の固有振動数が変化する。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、少なくとも1つのセンサ30から受信した情報に基づいて、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道Eの縦伸張方向の固有振動数を決定することで、ワイヤ構成Wに存在し得る破損した/引き裂かれたワイヤ/ワイヤ部分を決定するように構成されている。
【0098】
ワイヤ構成は、無限軌道の縦方向の剛性を与える及び/又は無限軌道の縦方向の剛性に寄与する。ワイヤ構成のワイヤ/ワイヤ部分が破損すると、無限軌道の縦方向の剛性が変化し得る。従って、無限軌道の固有振動数は、無限軌道の剛性を与える/無限軌道の剛性に寄与するワイヤ構成に関連付けられる。もしもワイヤ構成が破損して1周以上で1つ以上のワイヤ又はワイヤ部分が破損したら、ワイヤ構成が破損していない状態に比べて固有振動数が低下する。
【0099】
少なくとも1つのプロセッサ110は、固有振動数に関連した決定に基づいて無限軌道に潜在的損傷が存在するか否かを決定する場合、ワイヤ構成に損傷が存在するか否かを決定するよう構成することができる。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、固有振動数に関連した決定に基づいて無限軌道に潜在的損傷が存在するか否かを決定する場合、ワイヤ構成に損傷が存在するか否か、及び、ワイヤ構成の損傷の程度を決定するよう構成することができる。これにより、無限軌道の損傷の程度を決定することで、無限軌道車両を走行させるべきか否かの決定を容易にすることができる。これにより、ワイヤ構成の、従って無限軌道の損傷の程度を決定することで、ワイヤ構成の損傷しているワイヤ部分/ワイヤの推定数に基づいて、無限軌道車両を走行させるべきか否かの決定を容易にすることができる。
【0100】
本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、無限軌道Eに潜在的損傷が存在するか否かを決定する場合、無限軌道Eの固有振動数に関連した決定を、無限軌道Eに関連した所定の固有振動数と比較するように構成されている。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、無限軌道Eに潜在的損傷が存在するか否かを決定する場合、固有振動数に関連した決定と所定の固有振動数との差が所定の閾値を超えている場合に無限軌道Eの潜在的損傷を決定するように構成されている。
【0101】
本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、少なくとも1つのセンサ30から無限軌道Eの振動に関連した測定情報を受信する場合、テンションホイール部材TWのクランク軸10の動きの測定からの情報を受信するように構成されている。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、無限軌道車両Vの軌道アセンブリT1、T2のテンションホイール部材TWのクランク軸10の動きを検出するための、例えば加速度計のような少なくとも1つのセンサ32から、クランク軸10の動きの測定からの情報を受信するように構成されている。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、クランク軸の動きに関する受信情報に基づいて、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は固有振動数を決定するように構成されている。
【0102】
本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、少なくとも1つのセンサ30から無限軌道Eの振動に関連した測定情報を受信する場合、軌道アセンブリT1、T2のテンションホイール部材TWのテンションシリンダ20の圧力変動の測定からの情報を受信するように構成されている。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、テンションシリンダ20の圧力変動を検出するための、例えば圧力センサのような少なくとも1つのセンサ34から、テンションシリンダ20の圧力変動の測定からの情報を受信するように構成されている。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、圧力変動に関する受信情報に基づいて、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は固有振動数を決定するように構成されている。
【0103】
本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、少なくとも1つのセンサ30から無限軌道Eの振動に関連した測定情報を受信する場合、無限軌道車両Vの走行スイープ中に実行された測定からの測定情報を受信するように構成されている。走行スイープは、車両Vを低速で走行させ、次いで高速にし、その後、低速にすることを含む。このため、走行スイープは、車両を無限軌道車両の低速で走行させ、次いで、低速よりも速い高速にし、次いで高速を低速にすることを含む。低速は、任意の適切な低速とすればよい。高速は、任意の適切な高速とすればよい。低速及び高速は、軌道の構成及び/又は軌道アセンブリの構成及び/又は無限軌道車両の構成に依存し得る。軌道の構成は、軌道のサイズ及び/又は軌道の重量及び/又は軌道のタイプを含み得る。軌道アセンブリの構成は、軌道アセンブリのサイズ及び/又は軌道アセンブリの重量及び/又は軌道アセンブリのタイプを含み得る。軌道の構成は、軌道のサイズ及び/又は軌道の重量及び/又は軌道のタイプを含み得る。無限軌道車両の構成は、無限軌道車両のサイズ及び/又は無限軌道車両の重量及び/又は無限軌道車両のタイプを含み得る。本開示の一態様によれば、低速は10km/h~20km/hの範囲内とすることができ、高速は約20km/h~30km/hとすることができ、高速は低速よりも速い。本開示の一態様によれば、低速は約15km/hであり、高速は約25km/hであり得る。本開示の一態様によれば、低速と高速との差は約8~12km/hとすることができ、高速は低速よりも速い。低速及び高速は、そのような走行スイープ中に実行された測定によって固有振動数を決定することができる範囲内の速度である。
【0104】
本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、走行スイープ中に実行された測定からの測定情報を受信する場合、無限軌道車両Vを支持するように構成された比較的硬く平らな表面を有する所定の固体地面上で実行されたスイープ中に実行された測定からの測定情報を受信するように構成されている。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、走行スイープ中に実行された測定からの測定情報を受信する場合、無限軌道車両Vを支持するように構成された平らな表面を有する所定の固体地面上で実行されたスイープ中に実行された測定からの測定情報を受信するように構成されている。
【0105】
平らな表面を有する固体地面とは、そのような走行スイープ中に実行される測定が車両の望ましくない動きによって妨げられないように車両が移動するようなものである。平らな表面を有する固体地面とは、そのような走行スイープ中に実行される固有振動数の決定に関連した測定が車両の望ましくない動きによって妨げられないように車両が移動するようなものである。これは、そのような望ましくない動きによって固有振動数が無効になるためである。
【0106】
固体地面は、例えばアスファルトやコンクリート等、固体地面上での走行中に車両が意図する走行方向の移動において本質的に妨害されないように、無限軌道車両を充分に支持するよう構成された地面を意味する。無限軌道車両の走行中の車両の移動におけるそのような妨害は、例えば表面の凹凸や揺れによって引き起こされる、車両の縦及び横伸張方向に対して本質的に直交する方向の動きを表し得る。平らな表面は、固体地面上での走行中に車両が意図する走行方向の移動において本質的に妨害されないように、凹凸や空洞等の大きい不均一が存在しない表面を意味する。無限軌道車両の走行中の車両の移動におけるそのような妨害は、例えば表面の凹凸や揺れによって引き起こされる、車両の縦及び横伸張方向に対して本質的に直交する方向の動きを表し得る。
【0107】
所定の固体地面は、例えばアスファルトやコンクリート等とすることができる。所定の固体地面は、一時態様によれば、本質的に水平方向である。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、走行スイープ中に実行された測定からの測定情報を受信する場合、柔らかい地面上で実行されたスイープ中に実行された測定からの測定情報を受信するように構成され得る。柔らかい表面は、本質的に水平であるか又は特定の傾斜を有する平らな表面、例えば特定の下り坂とすることができる。
【0108】
本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、少なくとも1つのセンサ30から無限軌道Eの振動に関連した測定情報を受信する場合、無限軌道車両Vの第1の停止位置である間に実行された測定からの測定情報を受信するように構成されている。本開示の一態様によれば、第1の停止位置である間に、軌道アセンブリT1、T2に接続して外部トリガ周波数が印加される。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、無限軌道車両の第1の停止位置である間に外部トリガ周波数を受信するよう構成されている。第1の停止位置は、無限軌道の第1の部分が地面と係合する無限軌道車両の停止位置を表す。第1の停止位置は、無限軌道の縦伸張方向で無限軌道をぐるりと囲むように構成されたワイヤ構成の一部を含む無限軌道の第1の部分が地面と係合する無限軌道車両の停止位置を表す。
【0109】
無限軌道がワイヤ構成Wを含む本開示の一態様によれば、もしも、第1の停止位置で地面と係合していない無限軌道のワイヤ構成Wの1つ以上のワイヤ/ワイヤ部分が破損したら、軌道アセンブリに接続して外部トリガ周波数が印加された場合、少なくともプロセッサ110は少なくとも1つのセンサ30から低い固有振動数を受信する。このため、無限軌道車両の第1の停止位置である間に実行された測定からの測定情報を受信する場合、無限軌道の潜在的損傷を決定することができる。
【0110】
本開示の一態様によれば、第1の変形において、外部トリガ周波数は、テンションシリンダ20の油圧を脈動させることにより、軌道アセンブリに接続して印加されるよう構成されている。本開示の一態様によれば、油圧の脈動は、比較的低い周波数から比較的高い周波数になり、再び比較的低い周波数に戻る所定の周波数スイープ内で提供されるよう構成されている。このため、油圧の脈動は、比較的低い周波数から、低い周波数よりも高い比較的高い周波数になり、再び比較的低い周波数へ戻る所定の周波数スイープ内である。所定の周波数スイープは、任意の適切な周波数スイープとすればよい。本開示の一態様によれば、低い周波数は30Hz~50Hzの範囲内であり、高い周波数は約50Hz~70Hzであり得る。高い周波数は低い周波数よりも高い。本開示の一態様によれば、比較的低い周波数は約40Hzであり、比較的高い周波数は約60Hzであり得る。本開示の一態様によれば、低い周波数と高い周波数との差は約10~30Hzとすることができ、高い周波数は低い周波数よりも高い。低い周波数及び高い周波数は、外部トリガ周波数の印加中に実行された測定によって固有振動数を決定することができる範囲内の周波数である。
【0111】
本開示の一態様によれば、第2の変形において、外部トリガ周波数は、テンションホイール部材TW上に提供された機械デバイスMDによる振動の発生によって、軌道アセンブリT1、T2に接続して印加されるよう構成されている。機械デバイスMDは、図3に概略的にのみ示され、テンションホイール部材TWに接続しているその形状と位置は正確には図示されていない。機械デバイスは、回転するように構成された傍心デバイス、又は回転軸の一方側に配置された重み部材等、任意の適切な機械デバイスとすればよい。本開示の一態様によれば、発生させた振動は、比較的低い周波数から比較的高い周波数になり、再び比較的低い周波数に戻る所定の周波数スイープ内であるように構成されている。このため、発生した振動は、比較的低い周波数から、低い周波数よりも高い比較的高い周波数になり、再び比較的低い周波数へ戻る所定の周波数スイープ内であるように構成されている。所定の周波数スイープは、任意の適切な周波数スイープとすればよい。本開示の一態様によれば、低い周波数は30Hz~50Hzの範囲内であり、高い周波数は約50Hz~70Hzであり得る。高い周波数は低い周波数よりも高い。本開示の一態様によれば、比較的低い周波数は約40Hzであり、比較的高い周波数は約60Hzであり得る。本開示の一態様によれば、低い周波数は30Hz~50Hzの範囲内であり、高い周波数は約50Hz~70Hzであり得る。高い周波数は低い周波数よりも高い。低い周波数及び高い周波数は、外部トリガ周波数の印加中に実行された測定によって固有振動数を決定することができる範囲内の周波数である。
【0112】
本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、少なくとも1つのセンサ30から無限軌道Eの振動に関連した測定情報を受信する場合、第1の停止位置の後の第2の停止位置である間に実行された測定からの測定情報を受信するように構成されている。本開示の一態様によれば、無限軌道車両は、無限軌道Eが回転することで、第1の停止位置である間に地面と係合している無限軌道Eの部分が移動して第2の停止位置では無限軌道車両の地面と係合しなくなるように、第1の停止位置から第2の停止位置へ移動するように構成されている。この第2の停止の間に、軌道アセンブリT1、T2に接続して外部トリガ周波数が印加される。第2の停止位置は、無限軌道の第1の部分とは異なる無限軌道の第2の部分が地面と係合する無限軌道車両の停止位置を表す。第2の停止位置は、無限軌道の縦伸張方向で無限軌道をぐるりと囲むように構成されたワイヤ構成の一部を含む無限軌道の第2の部分が地面と係合する無限軌道車両の停止位置を表す。
【0113】
無限軌道がワイヤ構成を含む本開示の一態様によれば、もしも、第1の停止において地面と係合している無限軌道のワイヤ構成の1つ以上のワイヤ/ワイヤ部分が破損したら、無限軌道車両が第2の停止位置へ移動して、無限軌道車両の第2の停止位置にある間に実行された測定から少なくとも1つのプロセッサ110が測定情報を受信している時に、軌道アセンブリに接続して外部トリガ周波数が印加された場合、低い固有振動数が予想され、無限軌道の潜在的損傷を決定することができる。このため、第1の停止及び第2の停止において、そのような外部トリガ周波数を印加することにより検出された固有振動数間の差は、無限軌道の潜在的損傷を示し、また、無限軌道のどの部分に潜在的損傷があるかを示すことができる。
【0114】
軌道アセンブリT1、T2に接続して印加された外部トリガ周波数が第1の変形に基づく場合、すなわち、周波数スイープ中、第1の停止位置である間にテンションシリンダ20の油圧を脈動させることに基づく場合、第1の変形は、第2の停止位置にある間にも適用される。軌道アセンブリT1、T2に接続して印加された外部トリガ周波数が第2の変形に基づく場合、すなわち、周波数スイープ中、第1の停止位置である間にテンションホイール部材TW上に提供された機械デバイスによって振動を評価することに基づく場合、第2の変形は、第2の停止位置にある間にも適用される。
【0115】
従って、本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、第1及び第2の停止中に実行された測定からの測定情報を受信する場合、第1の変形によって、すなわち、軌道アセンブリT1、T2のテンションホイール部材TWに接続したテンションシリンダ20の油圧を脈動させることによって、外部トリガ周波数が軌道アセンブリに接続して印加されるように構成されている場合、情報を受信するように構成されている。油圧の脈動は、比較的低い周波数から、低い周波数よりも高い比較的高い周波数になり、再び比較的低い周波数に戻る所定の周波数スイープ内である。
【0116】
従って、本開示の一態様によれば、少なくとも1つのプロセッサ110は、第1及び第2の停止中に実行された測定からの測定情報を受信する場合、第2の変形によって、すなわち、テンションホイール部材上に提供された機械デバイスで振動を発生させることによって、外部トリガ周波数が軌道アセンブリT1、T2に接続して印加されるように構成されている場合、情報を受信するように構成されている。発生させた振動は、比較的低い周波数から、低い周波数よりも高い比較的高い周波数になり、再び比較的低い周波数に戻る所定の周波数スイープ内である。
【0117】
無限軌道車両Vは、一実施形態によれば、図6に従った無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための方法M1に従って動作するように配置されている。
【0118】
無限軌道車両Vは、一実施形態によれば、図7に従った無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための方法M2に従って動作するように配置されている。
【0119】
図6は、本開示の一態様に従った、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための方法M1のフローチャートを概略的に示す。
【0120】
無限軌道車両は、駆動ホイール部材と、テンションホイール部材と、ロードホイールのセットと、ホイールをぐるりと囲むように縦伸張方向に配置された無限軌道と、を含む少なくとも1つの軌道アセンブリを備える。無限軌道は、無限軌道車両の走行中に駆動ホイール部材によって回転するように構成されている。本開示の一態様によれば、無限軌道は、無限軌道内に配置されて無限軌道の縦伸張方向で無限軌道をぐるりと囲むように構成されたワイヤ構成を含む。無限軌道車両は、任意の適切な無限軌道車両とすればよい。無限軌道車両は、図1及び図4に従った無限軌道車両とすればよい。無限軌道車両は、特許請求項1~4に従った軌道アセンブリを含み得る。
【0121】
一態様によれば、方法M1はステップS1を含む。このステップでは、少なくとも1つのセンサから、無限軌道の振動に関連した測定情報を受信する。
【0122】
この態様によれば、方法M1はステップS2を含む。このステップでは、少なくとも1つのセンサから受信した情報に基づいて、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道の固有振動数を決定する。無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道の固有振動数を決定するステップS2は、本開示の一態様によれば、無限軌道の縦伸張方向の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道の縦伸張方向の固有振動数を決定することを含む。このためステップS2は、本開示の一態様によれば、縦方向振動数が存在する場合は無限軌道の縦方向固有振動数を決定することを含み、存在しない場合は縦方向固有振動数が存在しないと決定することを含む。縦方向固有振動数が存在しないと決定するステップは、少なくとも1つのセンサによって縦方向固有振動数が検出されなかったという決定を表す。
【0123】
この態様によれば、方法M1はステップS3を含む。このステップでは、固有振動数に関連した決定に基づいて、無限軌道に潜在的損傷が存在するか否かを決定する。ステップS2で、少なくとも1つのセンサから受信した情報に基づいて、無限軌道の固有振動数が決定された場合、ステップS3で、このように決定された固有振動数に基づいて、無限軌道に潜在的損傷が存在するか否かを決定する。本開示の一態様によれば、このように決定された固有振動数は、無限軌道内で無限軌道をぐるりと囲むように縦伸張方向に延出するワイヤ構成に関連している。本開示の一態様によれば、決定された固有振動数に基づいて決定された無限軌道の潜在的損傷は、無限軌道内で無限軌道をぐるりと囲むように縦伸張方向に延出するワイヤ構成に関連している。ワイヤ構成の1つ以上のワイヤ/ワイヤ部分に損傷があると、無限軌道の予想固有振動数が影響を受ける、すなわち予想固有振動数が低下する。ステップS2で、少なくとも1つのセンサから受信した情報に基づいて、無限軌道の固有振動数が存在しないと決定された場合、ステップS3で、無限軌道のこのように決定された固有振動数の不在に基づいて、無限軌道に潜在的損傷が存在するか否かを決定する。固有振動数が存在しないと決定するステップは、少なくとも1つのセンサによって固有振動数が検出されなかったという決定を意味する。
【0124】
本開示の一態様によれば、方法M1は、無限軌道の潜在的損傷が決定された場合、決定された無限軌道の潜在的損傷に基づいて措置を取るステップ(図示せず)を含み得る。このような措置は、任意の適切な措置とすればよい。このような措置は、無限軌道車両のオペレータ及び/又はコントロールセンター等に、このように決定された無限軌道の潜在的損傷を通知することとすればよい。本開示の一態様によれば、方法M1は、無限軌道の潜在的損傷の可能性が低いと決定された場合、決定された無限軌道の損傷の可能性が低いことに基づいて措置を取るステップ(図示せず)を含み得る。このような措置は、任意の適切な措置とすればよい。このような措置は、無限軌道車両のオペレータ及び/又はコントロールセンター等に、無限軌道車両が動作可能であると通知することとすればよい。
【0125】
無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための方法M1は、一実施形態によれば、図4及び図5を参照して上述したデバイスによって実行されるよう適合されている。
【0126】
無限軌道車両の走行動作を制御するための制御デバイスによって実行される方法M1は、一実施形態によれば、図4及び図5を参照して上述した少なくとも1つのプロセッサ110によって実行されるよう適合されている。
【0127】
無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための方法M1は、一実施形態によれば、コンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムによって実行されるよう適合されている。この命令は、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するためのデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行された場合、少なくとも1つのプロセッサに方法M1を実行させる。
【0128】
図7は、本開示の一態様に従った、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための方法M2のフローチャートを概略的に示す。
【0129】
無限軌道車両は、駆動ホイール部材と、テンションホイール部材と、ロードホイールのセットと、ホイールをぐるりと囲むように縦伸張方向に配置された無限軌道と、を含む少なくとも1つの軌道アセンブリを備える。無限軌道は、無限軌道車両の走行中に駆動ホイール部材によって回転するように構成されている。本開示の一態様によれば、無限軌道は、無限軌道内に配置されて無限軌道の縦伸張方向で無限軌道をぐるりと囲むように構成されたワイヤ構成を含む。無限軌道車両は、図1及び図4に従った無限軌道車両とすればよい。無限軌道車両は、特許請求項1~4に従った軌道アセンブリを含み得る。
【0130】
一態様によれば、方法M2はステップS11を含む。このステップでは、少なくとも1つのセンサから、無限軌道の振動に関連した測定情報を受信する。
【0131】
この態様によれば、方法M2はステップS12を含む。このステップでは、少なくとも1つのセンサから受信した情報に基づいて、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道の固有振動数を決定する。無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道の固有振動数を決定するステップS2は、本開示の一態様によれば、無限軌道の縦方向伸張方向の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道の縦伸張方向の固有振動数を決定することを含む。このためステップS2は、本開示の一態様によれば、縦方向振動数が存在する場合は無限軌道の縦方向固有振動数を決定することを含み、存在しない場合は縦方向固有振動数が存在しないと決定することを含む。
【0132】
この態様によれば、方法M2はステップS13を含む。このステップでは、無限軌道の固有振動数に関連した決定を、無限軌道に関連した所定の固有振動数と比較する。所定の固有振動数は、任意の適切な手法で決定すればよい。所定の固有振動数は、同じ種類の車両のための同じ種類の損傷していない無限軌道に対して決定することができる。本開示の一態様によれば、所定の固有振動数を決定するための方法M2は、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道の固有振動数を決定するための方法M2と同じ方法M2とすればよい。所定の固有振動数は、任意の適切な記憶デバイス/メモリに記憶された記憶情報とすればよい。
【0133】
この態様によれば、方法M2はステップS14を含む。このステップでは、比較に基づいて差が存在するか否かを決定し、存在する場合は、例えば決定された無限軌道の固有振動数又は固有振動数の不在のような固有振動数に関連した決定と、所定の固有振動数と、の差が、所定の閾値を超えているか否かを決定する。
【0134】
この態様によれば、方法M2はステップS14Aを含む。このステップでは、差が所定の閾値を超えている場合、無限軌道の潜在的損傷が決定される。
【0135】
本開示の一態様によれば、このように決定された固有振動数は、無限軌道内で無限軌道をぐるりと囲むように縦伸張方向に延出するワイヤ構成に関連している。本開示の一態様によれば、決定された固有振動数に基づいて決定された無限軌道の潜在的損傷は、無限軌道内で無限軌道をぐるりと囲むように縦伸張方向に延出するワイヤ構成に関連している。ワイヤ構成の1つ以上のワイヤ/ワイヤ部分に損傷があると、無限軌道の所定の固有振動数が影響を受ける、すなわち所定の固有振動数が低下する。
【0136】
本開示の一態様によれば、方法M2は、無限軌道の潜在的損傷が決定された場合、決定された無限軌道の潜在的損傷に基づいて措置を取るステップ(図示せず)を含み得る。このような措置は、任意の適切な措置とすればよい。このような措置は、無限軌道車両のオペレータ及び/又はコントロールセンター等に、このように決定された無限軌道の潜在的損傷を通知することとすればよい。
【0137】
この態様によれば、方法M2はステップS14Bを含む。このステップでは、差が所定の閾値を超えていない場合、無限軌道の潜在的損傷の可能性が低いことが決定される。
【0138】
本開示の一態様によれば、方法M2は、無限軌道の潜在的損傷の可能性が低いことが決定された場合、無限軌道の潜在的損傷の可能性が低いという決定に基づいて措置を取るステップ(図示せず)を含み得る。このような措置は、任意の適切な措置とすればよい。このような措置は、無限軌道車両のオペレータ及び/又はコントロールセンター等に、無限軌道車両が動作可能であると通知することとすればよい。
【0139】
無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための方法M2は、一実施形態によれば、図4及び図5を参照して上述したデバイスによって実行されるよう適合されている。
【0140】
無限軌道車両の走行動作を制御するための制御デバイスによって実行される方法M2は、一実施形態によれば、図4及び図5を参照して上述した少なくとも1つのプロセッサ110によって実行されるよう適合されている。
【0141】
無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するための方法M2は、一実施形態によれば、コンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムによって実行されるよう適合されている。この命令は、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するためのデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行された場合、少なくとも1つのプロセッサに方法M2を実行させる。
【0142】
上述した方法M1、M2では、少なくとも1つのセンサから受信した無限軌道の振動に関連した測定情報は、本開示の態様に従って、任意の適切な1又は複数のセンサによって任意の適切な手法で取得することができる。以下で、方法M1、M2に適用可能な、少なくとも1つのセンサから受信した無限軌道の振動に関連した測定情報に関する本開示のいくつかの態様及び/又は実施形態を開示する。
【0143】
上述した方法M1、M2では、少なくとも1つのセンサから受信した情報に基づいて、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道の固有振動数を決定することは、本開示の一態様に従って、任意の適切な手法で達成することができる。以下で、方法M1、M2に適用可能な、固有振動数に関連した決定に関する本開示のいくつかの態様及び/又は実施形態を開示する。
【0144】
方法M1及び/又はM2の一態様によれば、少なくとも1つのセンサから無限軌道の振動に関連した測定情報を受信するステップは、テンションホイール部材のクランク軸の動きの測定からの測定情報を受信することを含む。本開示の一態様によれば、方法は、少なくとも1つのセンサによって、テンションホイール部材のクランク軸の動きの測定からの測定情報を検出するステップを含む。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのセンサは加速度計を含み得る。
【0145】
方法M1及び/又はM2の一態様によれば、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は固有振動数を決定するステップは、テンションホイール部材のクランク軸の動きの測定からの受信した測定情報に基づく。本開示の一態様によれば、方法は、クランク軸の動きの測定からの測定情報に基づいて固有振動数をフィルタリングするステップを含む。
【0146】
方法M1及び/又はM2の一態様によれば、少なくとも1つのセンサから、無限軌道の振動に関連した測定情報を受信するステップは、軌道アセンブリのテンションホイール部材に接続したテンションシリンダの圧力変動の測定からの測定情報を受信することを含む。本開示の一態様によれば、方法は、少なくとも1つのセンサによって、軌道アセンブリのテンションホイール部材に接続したテンションシリンダの圧力変動の測定からの測定情報を検出するステップを含む。本開示の一態様によれば、少なくとも1つのセンサは任意の適切な圧力センサを含み得る。
【0147】
方法M1及び/又はM2の一態様によれば、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は固有振動数を決定するステップは、テンションホイール部材に接続したテンションシリンダの圧力変動の測定からの受信した測定情報に基づく。本開示の一態様によれば、方法は、テンションホイール部材に接続したテンションシリンダの圧力変動の測定からの測定情報に基づいて固有振動数をフィルタリングするステップを含む。
【0148】
方法M1及び/又はM2の一態様によれば、少なくとも1つのセンサから、無限軌道の振動に関連した測定情報を受信するステップは、無限軌道車両の走行スイープ中に実行された測定からの測定情報を受信することを含む。走行スイープは、車両を低速で走行させ、次いで低速よりも速い高速にし、その後、低速にすることを含む。
【0149】
方法の一態様によれば、走行スイープ中に実行された測定からの測定情報を受信するステップは、無限軌道車両を支持するように構成された比較的硬く平らな表面を有する所定の固体地面上で実行された走行スイープに関する。平らな表面を有する固体地面は、無限軌道車両がそのような地面上で走行して走行スイープを実行している場合、そのような走行スイープ中に実行される固有振動数の決定に関連した測定が、凹凸等の車両の望ましくない動きによって妨げられないようなものである。
【0150】
方法M1及び/又はM2の一態様によれば、少なくとも1つのセンサから無限軌道の振動に関連した測定情報を受信するステップは、無限軌道車両の第1の停止位置である間に実行された測定からの測定情報を受信することを含む。第1の停止位置である間に、軌道アセンブリに接続して外部トリガ周波数が印加される。本開示の一態様によれば、第1の停止位置は、無限軌道の縦伸張方向で無限軌道をぐるりと囲むように構成されたワイヤ構成の一部を含む無限軌道の第1の部分が地面と係合する無限軌道車両の停止位置を表す。このように印加されたトリガ周波数に基づいて決定された固有振動数は、無限軌道のワイヤ構成の一部が地面と係合していない状態に基づく。このため、第1の停止位置である間、地面と係合していない無限軌道の一部に1つ以上の損傷した/破損したワイヤ/ワイヤ部分があると、無限軌道の潜在的損傷を示す測定情報が得られる。
【0151】
方法M1及び/又はM2の一態様によれば、少なくとも1つのセンサから無限軌道の振動に関連した測定情報を受信するステップは、第1の停止位置の後の第2の停止位置である間に実行された測定からの測定情報を受信することを含む。無限軌道車両は、無限軌道が回転することで、地面と現在係合している無限軌道の部分、すなわち、第1の停止位置である間に地面と係合している無限軌道の部分が移動して第2の停止位置では無限軌道車両の地面と係合しなくなるように、第1の停止位置から第2の停止位置へ移動している。この第2の停止の間に、軌道アセンブリに接続して外部トリガ周波数が印加される。本開示の一態様によれば、第2の停止位置は、無限軌道の縦伸張方向で無限軌道をぐるりと囲むように構成されたワイヤ構成の一部を含む無限軌道の第2の部分が地面と係合する無限軌道車両の停止位置を表す。このように印加されたトリガ周波数に基づいて決定された固有振動数は、無限軌道のワイヤ構成の一部が地面と係合していない状態に基づく。このため、第2の停止位置である間、地面と係合していない無限軌道の一部に1つ以上の損傷した/破損したワイヤ/ワイヤ部分があると、無限軌道の潜在的損傷を示す測定情報が得られる。このため、第1の停止及び第2の停止において、そのような外部トリガ周波数を印加することにより検出された固有振動数間の差は、無限軌道の潜在的損傷を示し、また、無限軌道のどの部分に潜在的損傷があるかを示すことができる。
【0152】
方法M1及び/又はM2の一態様によれば、第1及び第2の停止中に実行された測定からの測定情報を受信するステップは、軌道アセンブリのテンションホイール部材に接続したテンションシリンダの油圧を脈動させることによって外部トリガ周波数の印加中に実行された測定を含む。油圧の脈動は、比較的低い周波数から、低い周波数よりも高い比較的高い周波数になり、再び比較的低い周波数に戻る所定の周波数スイープ内である。
【0153】
方法M1及び/又はM2の一態様によれば、第1及び第2の停止中に実行された測定からの測定情報を受信するステップは、テンションホイール部材上に提供された機械デバイスによって振動を発生させることにより外部トリガ周波数の印加中に実行された測定を含む。発生させた振動は、比較的低い周波数から、低い周波数よりも高い比較的高い周波数になり、再び比較的低い周波数に戻る所定の周波数スイープ内である。
【0154】
本開示の第2の態様によれば、前述の記載から明らかであるように、方法M1、M2は典型的に、コンピュータプログラムの実行時にデバイスの1つ以上のプロセッサによって実行されるコンピュータ実施方法である。また、前述の記載から明らかであるように、コンピュータプログラムは、制御デバイス100内に常駐するプログラムコンポーネントを含む分散コンピュータプログラムとすればよい。
【0155】
本開示の第2の態様によれば、上述の方法M1、M2は典型的に、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するためのデバイスの1つ以上のプロセッサによって、コンピュータプログラムの実行時に実行され得るコンピュータ実施方法である。
【0156】
従って、本開示の第2の態様によれば、コンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムが提供される。この命令は、無限軌道車両の無限軌道の潜在的損傷を決定するためのデバイスの1つ以上のプロセッサによって実行された場合、少なくとも1つのプロセッサに、
少なくとも1つのセンサから、無限軌道の振動に関連した測定情報を受信するステップと、
少なくとも1つのセンサから受信した情報に基づいて、無限軌道の固有振動数が存在するか否かを決定し、存在する場合は無限軌道の固有振動数を決定するステップと、
固有振動数に関連した決定に基づいて、無限軌道に潜在的損傷が存在するか否かを決定するステップと、
を実行させる。
【0157】
コンピュータプログラムは更に、デバイスの少なくとも1つのプロセッサに、上述の方法の方法ステップの任意のもの又は任意の組み合わせを実行させるための命令を含み得る。
【0158】
コンピュータプログラムは、上述の方法の様々なステップを実行するように構成されたいくつかのコンピュータプログラムコンポーネント又はアプリケーションを含み得る。例えば、コンピュータプログラムは、制御デバイス内に常駐するデータ解析及びデータ通信のためのプログラムコンポーネント又はアプリケーションを含み得る。一態様によれば、コンピュータプログラムは、ユーザの電子デバイス内に常駐する、データ提示及びユーザとの相互作用のためのクライアントアプリケーションの形態でプログラムコンポーネント又はアプリケーションを含み得る。クライアントアプリケーションは、例えば、携帯電話もしくはタブレットコンピュータ等のモバイル電子デバイス上で実行するよう構成されたモバイルアプリケーション(アプリ)の形態で、又は、ラップトップもしくはデスクトップコンピュータ上で実行するよう構成されたデスクトップアプリケーションの形態で、実現され得る。
【0159】
本開示の一態様によれば、上述のコンピュータプログラムを記憶している、不揮発性メモリ等の少なくとも1つのコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0160】
本発明の好適な実施形態の前述の記載は、例示及び説明の目的のために提供されている。これは、網羅的であることも、開示されている厳密な形態に本発明を限定することも意図していない。明らかに、当業者には多くの変更及び変形が明らかであろう。実施形態を選択し記載した目的は、本発明の原理及びその適用例を最良に説明し、これによって、当業者が、想定される特定の用途に適した様々な実施形態及び様々な変形について本発明を理解できるようにすることである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】