(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】骨髄特異的プロモーター及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20240327BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240327BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20240327BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240327BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20240327BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240327BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240327BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240327BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240327BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240327BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240327BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20240327BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20240327BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240327BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20240327BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C12N5/10 ZNA
C12N15/867 Z
C12N15/12
C12N7/01
A61P37/06
A61P29/00
A61P31/00
A61P37/02
A61P43/00 105
A61K48/00
A61K35/12
A61K35/28
A61K31/7088
A61K35/76
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560869
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 CN2022085852
(87)【国際公開番号】W WO2022228086
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】202110455720.7
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110761757.2
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520319705
【氏名又は名称】ベイジン・メイカン・ジーノ-イミューン・バイオテクノロジー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BEIJING MEIKANG GENO-IMMUNE BIOTECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room B104, 1st Floor, No. 5,Kaituo Road, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ルン-ジー
(72)【発明者】
【氏名】ユアン,ハオクン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ルイ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AA97X
4B065AA97Y
4B065AB01
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4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB071
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4C084ZB311
4C084ZB312
4C086AA01
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
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4C086NA14
4C086ZB07
4C086ZB08
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4C087AA01
4C087AA03
4C087BB44
4C087BB65
4C087BC83
4C087NA14
4C087ZB07
4C087ZB08
4C087ZB11
4C087ZB21
4C087ZB31
(57)【要約】
骨髄特異的プロモーター及びその使用が提供される。骨髄特異的プロモーターは、配列番号1又は配列番号2に示される核酸配列を含む。骨髄特異的プロモーターは骨髄組織に特異性を示す。このプロモーターは、骨髄細胞では高い効率で遺伝子発現を開始するが、非骨髄細胞では相対的に低い効率で遺伝子発現を開始する。このように、骨髄特異的プロモーターは骨髄組織における遺伝子の特異的発現を制御する。骨髄特異的プロモーター及びCYBB遺伝子がレンチウイルスベクターに挿入され、構築されたレンチウイルス発現ベクターは骨髄組織に特異性を示し、gp91-phoxタンパク質の発現を効果的に回復させ、ROSの生成機能を回復させることができる。このことはCGD治療にとって非常に重要である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1又は配列番号2に示される核酸配列を含む、骨髄特異的プロモーター。
【請求項2】
請求項1に記載の骨髄特異的プロモーターを含む組換え発現ベクターであって、
好ましくは、組換え発現ベクターが、請求項1に記載の骨髄特異的プロモーターを含むウイルスベクター又はプラスミドベクターを含み、
好ましくは、ウイルスベクターが、pTYFレンチウイルスベクターを含む、
組換え発現ベクター。
【請求項3】
チトクロムb-245β鎖(CYBB)遺伝子をさらに含み、
好ましくは、CYBB遺伝子が、配列番号3に示される核酸配列を含み、
好ましくは、骨髄特異的プロモーターが、CYBB遺伝子の発現を開始する、
請求項2に記載の組換え発現ベクター。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の組換え発現ベクターを含む、組換えレンチウイルス。
【請求項5】
請求項1に記載の骨髄特異的プロモーターを含む組換え細胞であって、
好ましくは、組換え細胞が、請求項2又は3に記載の組換え発現ベクターを含み、
好ましくは、組換え細胞が、請求項4に記載の組換えレンチウイルスを含む、
組換え細胞。
【請求項6】
請求項5に記載の組換え細胞を調製するための方法であって、
組換え細胞を得るために、請求項2若しくは3に記載の組換え発現ベクター又は請求項4に記載の組換えレンチウイルスを宿主細胞に導入することを含み、
好ましくは、導入は、電気的遺伝子導入、ウイルスベクター系、非ウイルスベクター系又は遺伝子銃インジェクションのいずれか1つを含む方法によって実施され、
好ましくは、宿主細胞は造血幹細胞を含む、
方法。
【請求項7】
以下のステップ:
(1)レンチウイルスベクターを構築すること、
(2)ステップ(1)のレンチウイルスベクター及び1つのパッケージングプラスミド又は複数のパッケージングプラスミドを、レンチウイルスベクターのパッケージングのために哺乳動物細胞に共トランスフェクトすること、及び
(3)組換え細胞を得るために、ステップ(2)においてパッケージングされたレンチウイルスベクターを宿主細胞に導入すること、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
レンチウイルスベクターを構築するステップ(1)が、請求項1に記載の骨髄特異的プロモーター及びCYBB遺伝子をpTYFレンチウイルスベクターに挿入することを含み、
好ましくは、ステップ(2)のパッケージングプラスミドが、pNHP及びpHEF-VSVGを含み、
好ましくは、ステップ(2)の哺乳動物細胞が、293T細胞を含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
医薬組成物であって、請求項1に記載の骨髄特異的プロモーター、請求項2又は3に記載の組換え発現ベクター、請求項4に記載の組換えレンチウイルス又は請求項5に記載の組換え細胞のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含み、
好ましくは、医薬組成物が、薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せをさらに含む、
医薬組成物。
【請求項10】
疾患を治療するための薬物の調製における、請求項1に記載の骨髄特異的プロモーター、請求項2又は3に記載の組換え発現ベクター、請求項4に記載の組換えレンチウイルス、請求項5に記載の組換え細胞又は請求項9に記載の医薬組成物の使用であって、
好ましくは、疾患が慢性肉芽腫性疾患を含む、
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は遺伝子工学の技術分野に属し、骨髄特異的プロモーター及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性肉芽腫性疾患(CGD)は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)オキシダーゼの機能障害により好中球や単球が侵される遺伝性の原発性免疫不全症である。CGDは、再発性の重症感染症、炎症及び自己免疫により特徴づけられる。
【0003】
NADPHオキシダーゼは、膜結合タンパク質と細胞質タンパク質からなり、食細胞が活性化されると、この2種類のタンパク質は相乗的に作用して活性酸素種(ROS)を産生するのを助け、細菌や真菌を死滅させる。NADPHオキシダーゼの5つのサブユニットのいずれかに突然変異があると、CGD症候群になることとなる。CGD症例の約67%は、X染色体上のチトクロムb-245β鎖(CYBB)遺伝子の欠損が原因であり、この遺伝子は膜貫通型糖タンパク質gp91-phoxサブユニットをコードしている。
【0004】
現在、造血幹細胞移植(HSCT)が、CGDを治療するための主な方法である。HSCTは、徹底した骨髄破壊的移植前治療を必要とし、同種ヒト白血球抗原(HLA)適合ドナーを見つける必要がある。しかし、多くの場合、患者がHLA適合ドナーを見つけることは困難である。さらに、HSCTは移植片対宿主病(GVHD)のリスクも有する。移植失敗、高い死亡率、低いドナーキメリズムなどの問題に加えて、HSCTは患者の免疫拒絶反応を引き起こす可能性もあり、このことは造血幹細胞の再移植を非常に困難にしている。
【0005】
遺伝子治療とは、欠損遺伝子や異常遺伝子に起因する疾患を治療する目的で、欠損遺伝子や異常遺伝子を補正又は代償するために、正常な外来遺伝子を標的細胞に導入することを指す。CGDの遺伝子治療は、1990年代後半に、研究者がアデノウイルスベクターをCGD遺伝子治療に使用することを試みたことから始まった。外来遺伝子を効率的かつ継続的に発現させることができないことに加え、この方法は、ベクターが免疫応答を引き起こすという問題も有していた。
【0006】
γ-レトロウイルスベクター(γ-RV)もCGD治療に用いられているが、限られた治療効果しか得られていない。Kangらは、gp91-Phoxの発現を媒介するγ-RVを用いて、19~23歳の3人のX-CGD患者に対して遺伝子治療の臨床試験を行った。細胞がウイルスベクターで形質導入された後、初期の陽性細胞の割合は25%~73%の間であった。遺伝子治療後7カ月目には、患者1の末梢血中の機能的に補正された細胞の割合は24%~1%に減少した。遺伝子治療後11カ月目には、患者2の末梢血中の機能的に補正された細胞の割合は4%~0.03%に減少した。4週間後、補正された細胞は、患者3の末梢血中に検出できなかった(Hyoung,Jin,Kangら、Retroviral Gene Therapy for X-linked Chronic Granulomatous Disease: Results From Phase I/II Trial[J]. Molecular Therapy、2011、19、2092~2101、を参照されたい)。
【0007】
RavinらはCRISPR-Cas9を用いてCGD患者のCYBB遺伝子の突然変異を修復した。しかし、CRISPR-Cas9系を用いた遺伝子編集には、効率が低い、安全性に問題があるなどの問題がある。さらに、この方法は厳しい条件を必要とし、コストが高く、結果が不安定である(De Ravinら、CRISPR-Cas9 gene repair of hematopoietic stem cells from patients with X-linked chronic granulomatous disease. Science Translational Medicine、2017、9、eaah 3480)。
【0008】
さらに、NADPHオキシダーゼの機能はROSを産生することであり、細胞内でROSが過剰発現すると、細胞の正常な機能に影響を及ぼすことがある。遺伝子治療は、HCSにおけるROSの産生を回復させることができる。ROSは、HSCの休息、複製、増殖及び分化などのプロセスのバランスに大きな影響を及ぼす。非組織特異的プロモーターによるNADPHオキシダーゼの異所性発現は、HSCにおけるROSの過剰発現につながることとなる。過剰なROSは、休止中のHSCのアポトーシスを促進し、HSCの分化を誘導し、HSCの自己再生能力を弱め、その結果、HSCプールが見かけ上枯渇する可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Hyoung,Jin,Kangら、Retroviral Gene Therapy for X-linked Chronic Granulomatous Disease: Results From Phase I/II Trial[J]. Molecular Therapy、2011、19、2092~2101
【非特許文献2】De Ravinら、CRISPR-Cas9 gene repair of hematopoietic stem cells from patients with X-linked chronic granulomatous disease. Science Translational Medicine、2017、9、eaah 3480
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
要約すると、アデノウイルスベクター、γ-レトロウイルスベクター、CRISPR-Cas9系は、安全性、遺伝子導入効率、長期発現の点で欠点があり、NADPHオキシダーゼの非特異的過剰発現によるHSCのアポトーシスなどの問題がある。したがって、遺伝子導入効率が高く、幹細胞改変に適したウイルスベクターを提供し、CGDの治療効果を向上させることが必要であり、このことは、CGD治療分野において非常に重要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
本開示は、骨髄特異的プロモーター及びその使用を提供する。骨髄特異的プロモーターは骨髄組織に特異性を示す。このプロモーターは、骨髄細胞では高い効率で遺伝子発現を開始するが、非骨髄細胞では相対的に低い効率で遺伝子発現を開始する。
【0012】
第1の態様において、本開示は、配列番号1又は配列番号2に示される核酸配列を含む骨髄特異的プロモーターを提供する。
【0013】
本開示の骨髄特異的プロモーターは、骨髄組織に特異性を示す。このプロモーターは、骨髄細胞では高い効率で遺伝子発現を開始するが、非骨髄細胞では相対的に低い効率で遺伝子発現を開始する。このように、骨髄特異的プロモーターは骨髄組織における遺伝子の特異的発現を制御し、このことは遺伝子治療の分野において非常に重要である。
【0014】
配列番号1
【0015】
【0016】
配列番号2
【0017】
【0018】
第2の態様において、本開示は、第1の態様に記載の骨髄特異的プロモーターを含む組換え発現ベクターを提供する。
【0019】
一部の特定の実施形態において、組換え発現ベクターは、第1の態様に記載の骨髄特異的プロモーターを含むウイルスベクター又はプラスミドベクターを含む。
【0020】
好ましくは、ウイルスベクターは、pTYFレンチウイルスベクターを含む。
【0021】
好ましくは、組換え発現ベクターはCYBB遺伝子をさらに含む。
【0022】
好ましくは、CYBB遺伝子は、配列番号3に示される核酸配列を含む。
【0023】
配列番号3
【0024】
【0025】
好ましくは、骨髄特異的プロモーターは、CYBB遺伝子の発現を開始する。
【0026】
一部の特定の実施形態において、レンチウイルスベクターは、遺伝子治療中に遺伝子が効率的に導入されるように、高効率、高安定性及び高安全性を有する血液幹細胞又は体細胞の形質導入に使用される。一方、骨髄特異的プロモーターは、レンチウイルスベクターが骨髄細胞においてCYBB遺伝子を特異的に発現するように使用され、それにより、X染色体上の遺伝子突然変異に起因する慢性肉芽腫性疾患を効果的に治療する。
【0027】
第3の態様において、本開示は、第2の態様に記載の組換え発現ベクターを含む組換えレンチウイルスを提供する。
【0028】
第4の態様において、本開示は、第1の態様に記載の骨髄特異的プロモーターを含む組換え細胞を提供する。
【0029】
一部の特定の実施形態において、組換え細胞は、第2の態様に記載の組換え発現ベクターを含む。
【0030】
一部の特定の実施形態において、組換え細胞は、第3の態様に記載の組換えレンチウイルスを含む。
【0031】
第5の態様において、本開示は、第4の態様に記載の組換え細胞を調製するための方法であって、
組換え細胞を得るために、第2の態様に記載の組換え発現ベクター又は第3の態様に記載の組換えレンチウイルスを宿主細胞に導入することを含む方法を提供する。
【0032】
好ましくは、導入は、電気的遺伝子導入、ウイルスベクター系、非ウイルスベクター系又は遺伝子銃インジェクションのいずれか1つを含む法によって実施される。
【0033】
好ましくは、宿主細胞は造血幹細胞を含む。
【0034】
好ましくは、本方法は:
(1)レンチウイルスベクターを構築すること、
(2)ステップ(1)のレンチウイルスベクター及び1つのパッケージングプラスミド又は複数のパッケージングプラスミドを、レンチウイルスベクターのパッケージングのために哺乳動物細胞に共トランスフェクトすること、及び
(3)組換え細胞を得るために、ステップ(2)においてパッケージされたレンチウイルスベクターを宿主細胞に導入すること、
を含む。
【0035】
好ましくは、レンチウイルスベクターを構築するステップ(1)は、第1の態様に記載の骨髄特異的プロモーター及びCYBB遺伝子をpTYFレンチウイルスベクターに挿入することを含む。
【0036】
好ましくは、ステップ(2)のパッケージングプラスミドは、pNHP及びpHEF-VSVGを含む。
【0037】
好ましくは、ステップ(2)の哺乳動物細胞は、293T細胞を含む。
【0038】
第6の態様において、本開示は、第1の態様に記載の骨髄特異的プロモーター配列、第2の態様に記載の組換え発現ベクター、第3の態様に記載の組換えレンチウイルス、又は第4の態様に記載の組換え細胞のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0039】
好ましくは、医薬組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤のいずれか1つ又は少なくとも2つの組合せをさらに含む。
【0040】
第7の態様において、本開示は、疾患を治療するための薬物の調製における、第1の態様に記載の骨髄特異的プロモーター、第2の態様に記載の組換え発現ベクター、第3の態様に記載の組換えレンチウイルス、第4の態様に記載の組換え細胞、又は第6の態様に記載の医薬組成物の使用を提供する。
【0041】
好ましくは、疾患はCGDを含む。
【0042】
従来技術と比較して、本開示は以下の有益な効果を有する。
【0043】
(1)本開示の骨髄特異的プロモーターは、骨髄組織に特異性を示す。このプロモーターは、骨髄細胞では高い効率で遺伝子発現を開始するが、非骨髄細胞では相対的に低い効率で遺伝子発現を開始する。このように、骨髄特異的プロモーターは骨髄組織における遺伝子の特異的発現を制御する。
【0044】
(2)本開示において、高い形質導入効率、高い安定性、高い安全性を有し、骨髄細胞に特異的な発現を行うことができるレンチウイルスベクターを得るために、骨髄特異的プロモーターがレンチウイルスベクターに挿入される。
【0045】
(3)本開示において、骨髄特異的プロモーターとCYBB遺伝子がレンチウイルスベクターに挿入され、構築されたレンチウイルス発現ベクターは骨髄組織に特異性を示し、gp91-phoxタンパク質の発現を効果的に回復させ、ROSの生成機能を回復させることができ、このことはCGD治療にとって非常に重要である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】C57マウス骨髄HSCにおけるウイルスベクターコピー数(VCN)を示す図である。
【
図2】レンチウイルスでトランスフェクトされた後、5日目と14日目のC57マウスHSCにおけるGFP発現を示す図である。
【
図3】レンチウイルスで形質導入された後、5日目と14日目のC57マウスHSCにおけるGFPの発現率を示す図である。
【
図4】X-CGDマウスHSCにおけるCYBB遺伝子の発現結果を示す図である。
【
図5】X-CGDマウスHSCにおけるROSの生成レベルを示す図である。
【
図6】分化誘導14日目に骨髄細胞に分化したマウスHSCの割合を示す図である。
【
図7】エシェリキア・コリ(Escherichia coli)貪食実験の結果を示す図である。
【
図8】レンチウイルスで形質導入されたX-CGDマウスHSCにおけるVCNの結果を示す図である。
【
図9】インビボでのマウス細胞におけるCYBB遺伝子の発現結果を示す図である。
【
図10】インビボでのマウス細胞におけるROSの生成レベルの結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本開示において採用される技術的手段及び達成される効果をさらに詳しく説明するために、本開示は実施例及び図面と併せて以下にさらに説明される。以下に示す具体的な実施例は、本開示を説明するためのものであり、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【0048】
実施例の中に特定の技術又は条件が記載されていない実験は、当該技術分野の文献又は製品仕様書に記載されている技術又は条件に従って実施される。本明細書で使用される試薬又は器具は、製造者が明記されていない場合、適切なルートから市販されている従来の製品である。
【実施例】
【0049】
[実施例1]
組換えレンチウイルスを調製した。組換えレンチウイルスを調製する方法は、以下に記載するステップを含む。
【0050】
(1)レンチウイルスベクターの構築
1)pTYFレンチウイルスベクターを、野生型5’スプライスドナー部位GTをCAに突然変異させ、U3領域のエンハンサーを欠失させることにより改変させた。具体的な改変方法については「Cui Y、Iwakuma T、Chang L J. Contributions of Viral Splice Sites and cis-Regulatory Elements to Lentivirus Vector Function[J]. Journal of Virology、1999、73 (7): 6171」を参照されたい。
【0051】
野生型5’スプライスドナー部位 配列番号4:
【0052】
【0053】
突然変異体5’スプライスドナー部位 配列番号5:
【0054】
【0055】
2)CYBB遺伝子のcDNA配列(配列番号3)、miR223プロモーター配列(配列番号1)及びCD68プロモーター配列(配列番号2)を合成し、これらの配列を制限酵素部位を通してレンチウイルスベクターTYFに対応してライゲーションさせ、miR223+CYBBレンチウイルスベクター及びCD68+CYBBレンチウイルスベクターを得た。
【0056】
(2)レンチウイルスのパッケージング及び濃縮
1)293T細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)を含む新鮮なダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に接種し、17時間インキュベートした。
【0057】
2)ステップ(1)において調製した2種類のレンチウイルスベクター、DMEM、pNHP及びpHEF-VSV-Gを、順次滅菌遠心チューブに添加し、ボルテックスして混合した後、Superfectトランスフェクション試薬(QIAGEN)を遠心チューブに添加した。この系を室温で8分間静置した。
【0058】
3)遠心チューブ内で調製された混合液を、293T細胞に滴下添加し、5%CO2下、37℃において5時間インキュベートした。
【0059】
4)細胞培養培地を廃棄し、細胞を洗浄し、新しい培地を添加して培養を継続した。
【0060】
5)細胞培養培地を回収し、細胞を洗浄した後、培養培地を新しい培養培地に交換した。新しい培地を、5%CO2インキュベーター内で一晩培養した。次いで、細胞培養培地を回収し、-80℃において保存した。
【0061】
6)パッケージしたレンチウイルスを、1000×gにおいて5分間遠心分離し、細胞断片を除去し、残ったレンチウイルスを-80℃において保存した。
【0062】
7)レンチウイルスの上清を、遠心フィルターチューブに添加し、2500×gにおいて30分間遠心分離した。濃縮ウイルスを遠心チューブに集め、-80℃において保存し、CYBBを発現するレンチウイルスLV-miR223及びLV-CD68を得た。
【0063】
[実施例2]
遺伝子導入効率及びプロモーター特異性を、C57マウスHSCにおいて検証した。
【0064】
C57マウス骨髄HSCを、CYBB発現レンチウイルスLV-EF1α、LV-miR223、LV-CD68及びLV-VECで別々に形質導入した。ここで、LV-EF1αは広く発現している強力な哺乳動物EF1αプロモーターを持つレンチウイルスであり、LV-VECは内皮細胞特異的プロモーターを持つレンチウイルスであり、レンチウイルスで形質導入されない細胞を陰性対照(NC)として用いた。
【0065】
C57マウスHSCを、以下に述べる方法で形質導入した。
【0066】
(1)C57マウスの脛骨から骨髄を採取し、STEMCELL Technologiesから入手可能なEasySep(商標) Mouse Hematopoietic Progenitor Cell Isolation Kitを用いて骨髄からHSCを分離及び抽出した。
【0067】
(2)1×106のマウスHSCを、サイトカイン(50ng/mLの幹細胞増殖因子(SCF)、50ng/mLのFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(FLT3-L)、10ng/mLのインターロイキン6(IL6)、50ng/mLのトロンボポエチン(TPO)、Biotech Companyより入手可能)を含む100μLの培地(STEMCELL Technologiesから入手可能なStemSpan SFEM培地)に再懸濁し、刺激し、17時間インキュベートした。
【0068】
(3)50μLの培地を廃棄し、サイトカインを含む50μLの新しい培地を添加して、細胞を再懸濁した。8μg/mLのポリブレンを添加し、レンチウイルスを添加して混合した。トランスフェクションの感染多重度(MOI)は200であった。細胞を、1日1回、合計2回トランスフェクションした。100×g、室温で100分間、遠心分離した。
【0069】
(4)形質導入終了後、細胞を回収し、20ng/mLのマウス顆粒球コロニー刺激因子(PeproTech,Inc.から入手可能なmG-CSFサイトカイン)により骨髄細胞への分化を誘導した。5日目と14日目に細胞を回収し、フローサイトメトリーによって緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を測定した。
【0070】
ウイルス形質導入後、q-PCRを用いて細胞内のVCNを測定した。結果を
図1に示す。形質導入後のレンチウイルスLV-miR223及びLV-CD68のウイルスVCNは、それぞれ206.33%及び196.87%であり、本開示で構築された骨髄特異的プロモーターを含むレンチウイルスベクターが細胞に効果的にトランスフェクトされ、遺伝子治療の要件を満たすことができることを示している。
【0071】
レンチウイルスベクターはGFP蛍光遺伝子を持っていた。写真を撮影し、GFPの発現率を測定することによってレンチウイルスベクターの発現を解析した。5日目のGFPの発現(細胞は骨髄細胞に分化していなかった(undiffs)。)と14日目のGFPの発現(細胞は骨髄細胞に分化していた(diffs)。)を比較し、2つのプロモーターの骨髄特異性を解析した。
【0072】
結果を
図2及び
図3に示す。
図2は、分化誘導後5日目と14日目の細胞におけるGFPの発現を示す図であり、1列目は蛍光写真であり、2列目は白色光写真である。
図3は、レンチウイルスで形質導入した後、5日目と14日目のC57マウスHSCにおけるGFPの発現率を示す図である。EF1α群におけるundiff細胞及びdiff細胞のGFP発現率は、それぞれ84.72%及び85.35%であり、同程度であった。VEC群におけるundiff細胞及びdiff細胞のGFP発現率は、それぞれ28.28%及び32.22%であり、同程度であった。miR223を介したGFP発現率は、undiff細胞で26.42%、diff細胞で89.16%であり、有意差があった。CD86を介したGFP発現率は、undiff細胞で58.01%、diff細胞で77.49%であり、有意差があった。このことから、miR223プロモーターとCD86プロモーターは、骨髄細胞において非骨髄細胞よりも高効率で遺伝子発現を開始すること、すなわち、miR223プロモーターとCD86プロモーターは骨髄特異性を有することがわかる。さらに、miR223プロモーターは発現に大きな差があり、すなわちmiR223プロモーターはより高い特異性を持つ。
【0073】
[実施例3]
遺伝子導入効率を検証し、CGDマウス(X-CGDマウス、B6.129S-Cyb btm1Din/J)のHSCにおいて、CYBB遺伝子の発現を開始させ、NADPHオキシダーゼの機能を回復させるプロモーターの能力及びプロモーターの特異性を比較した。
【0074】
X-CGDマウスHSCを、以下に述べる方法で形質導入した。
【0075】
(1)X-CGDマウスの脛骨から骨髄を採取し、STEMCELL Technologiesから入手可能なEasySep(商標) Mouse Hematopoietic Progenitor Cell Isolation Kitを用いて骨髄からHSCを分離及び抽出した。
【0076】
(2)1×106のマウスHSCを、サイトカイン(50ng/mL SCF、50ng/mL FLT3-L、10ng/mL IL6、50ng/mL TPO、Biotech Companyより入手可能)を含む100μLの培地(STEMCELL Technologiesから入手可能なStemSpan SFEM培地)に再懸濁し、刺激し、17時間インキュベートした。
【0077】
(3)50μLの培地を廃棄し、サイトカインを含む50μLの新しい培地を添加して、細胞を再懸濁した。8μg/mLのポリブレンを添加し、ウイルスベクターを添加し混合した。形質導入のMOIは200であった。細胞を1日1回、合計2回形質導入した。100×g、室温で100分間遠心分離した。
【0078】
(4)形質導入終了後、細胞を回収し、20ng/mLのマウス顆粒球コロニー刺激因子(PeproTech,Inc.から入手可能なmG-CSFサイトカイン)により骨髄細胞への分化を誘導した。
【0079】
CYBB遺伝子の発現(gp91-phoxタンパク質の発現)を、それぞれ5日目と14日目に検出し、すなわち、5日目(undiff)及び14日目(diff)のgp91-phox陽性細胞の割合をフローサイトメトリーによって測定した。結果を
図4に示す。ここで、NCはレンチウイルスで形質導入されないX-CGDマウスHSCを表し、CGDはレンチウイルスで形質導入されないが抗gp91-phox抗体で染色されたX-CGDマウスHSCを表し、WTは野生型マウス細胞を表す。
【0080】
図4からわかるように、WT群におけるdiff細胞及びundiff細胞のgp91-phoxタンパク質の発現率は、それぞれ72.58%及び64.38%であり、EF1α群におけるdiff細胞及びundiff細胞のgp91-phoxタンパク質の発現率は、それぞれ80.28%及び81.7%であり、miR223群におけるdiff細胞及びundiff細胞のgp91-phoxタンパク質の発現率は、それぞれ71.17%及び54.17%であり、及びCD68群におけるdiff細胞及びundiff細胞のgp91-phoxタンパク質の発現率は、それぞれ70.8%及び65.9%であった。要約すると、miR223プロモーター及びCD86プロモーターは、骨髄細胞において非骨髄細胞よりも高効率で遺伝子発現を開始すること、すなわち、miR223プロモーター及びCD86プロモーターは骨髄特異性を有することがわかる。さらに、miR223プロモーターはより高い特異性を持つ。
【0081】
細胞をホルボールエステル(PMA)によって刺激し、ジヒドロローダミン(DHR123)で染色し、14日目にフローサイトメトリーによって細胞内のROSの生成レベルを測定し、CYBB遺伝子の発現をさらに検証した。結果を
図5に示す。WT群のDHR123+%は72.97%、EF1α群のDHR123+%は62.99%、MiR223群のDHR123+%は62.76%、CD68群のDHR123+%は53.58%であった。本開示において構築したレンチウイルスベクターは、CYBB遺伝子を効果的に発現させることができること、すなわち、レンチウイルスベクターは、CGD細胞におけるROSの発生レベルを、正常野生型細胞におけるROSの発生レベルに近いレベルまで効果的に回復させることができることがわかる。
【0082】
[実施例4]
X-CGDマウスHSCの分化能に対するウイルスベクターの影響を調べた。
【0083】
X-CGDマウスHSCを、以下に述べる方法で形質導入した。
【0084】
(1)X-CGDマウスの脛骨から骨髄を採取し、STEMCELL Technologiesから入手可能なEasySep(商標) Mouse Hematopoietic Progenitor Cell Isolation Kitを用いて骨髄からHSCを分離及び抽出した。
【0085】
(2)1×106のマウスHSCを、サイトカイン(Biotech Companyより入手可能な50ng/mL SCF、50ng/mL FLT3-L、10ng/mL IL6、50ng/mL TPOを含む)を含む100μLの培地(STEMCELL Technologiesから入手可能なStemSpan SFEM培地)に再懸濁し、刺激し、17時間インキュベートした。
【0086】
(3)50μLの培地を廃棄し、サイトカインを含む50μLの新しい培地を添加して、細胞を再懸濁した。8μg/mLのポリブレンを添加し、ウイルスベクターを添加し混合した。形質導入のMOIは200であった。細胞を1日1回、合計2回形質導入した。100×g、室温で100分間遠心分離した。
【0087】
(4)トランスフェクション終了後、細胞を回収し、20%FBSを含む新しいRPMI1640培地に接種し、20μg/mLのマウス顆粒球コロニー刺激因子(PeproTech,Inc.から入手可能なmG-CSFサイトカイン)により分化誘導した。培地を2日ごとに交換し、細胞を14日間培養した。
【0088】
マウスHSCは、マウス顆粒球コロニー刺激因子によって骨髄細胞(食細胞及び好中球)へ分化が誘導されうる。CD11bは骨髄細胞の重要なマーカーであるので、細胞の分化を決定するために、フローサイトメトリーによってCD11b陽性細胞の割合を測定した。結果を
図6に示す。ここでは、レンチウイルスで形質導入されず、アイソタイプ抗体で処理した細胞を陰性対照(ISO)として用いた。
【0089】
図6からわかるように、WT群のCD11b+%は85.8%、miR223群のCD11b+%は97.26%、CD68群のCD11b+%は83.86%であり、本開示において構築したレンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターで形質導入された細胞の分化能に影響を与えないであろうこと、すなわち、レンチウイルスベクターは安全であることを示している。
【0090】
[実施例5]
分化後のX-CGDマウスHSCの貪食機能に対するレンチウイルスベクターの影響を調べた。
【0091】
レンチウイルスの形質導入と分化誘導実験は、実施例4に記載したものと同じであった。完全に分化誘導させた細胞を採取し、PBSを用いて洗浄し、計数し、1:100の細胞/エシェリキア・コリGFP+に従って実験を行った。培地は20%FBSを含む新しいRPMI1640培地であり、細胞を合計2.5時間培養し、PBSを用いて洗浄した。フルオレセインイソチオシアネート(FITC)の蛍光を、フローサイトメトリーによって検査した。結果を
図7に示す。
【0092】
図7からわかるように、野生型細胞(WT群)においては、CD11b+%は83.27%であり、エシェリキア・コリGFP+%は87.07%であり、レンチウイルスLV-miR223で形質導入された細胞(miR223群)においては、CD11b+%は89.76%であり、エシェリキア・コリGFP+%は84.59%であり、レンチウイルスLV-CD68で形質導入された細胞(CD68群)においては、CD11b+%は83.99%であり、エシェリキア・コリGFP+%は82.77%であった。この比較から、本開示において設計されたレンチウイルスがHSCにトランスフェクトされた後、レンチウイルスはHSCの骨髄細胞への分化及び分化した細胞の貪食機能に影響を及ぼさないことがわかる。したがって、本開示において設計されたレンチウイルスベクターは、安全であることが証明される。
【0093】
[実施例6]
X-CGDマウスにおいて、レンチウイルスベクターによる食細胞及び好中球の機能補正能力を評価した。
【0094】
1.5×106のX-CGDマウスHSCを採取し、インビトロで200のMOIでレンチウイルスLV-miR223、LV-CD86及びLV-EF1αにより別々に形質導入した。X-CGDマウスHSCを、実施例4と同様の方法で形質導入した。
【0095】
X-CGDマウスに4.5Gyの放射線を照射することによって、骨髄破壊的移植前治療を行った。治療後4日目に、レンチウイルスで形質導入した上記細胞を、尾静脈から移植した。4週間後、qPCRによるVCNの検出、フローサイトメトリーによるCYBB遺伝子の発現の検出を含む検出、DHR123で染色した細胞におけるROSの生成レベルの測定のために、末梢血が採取された。
【0096】
図8は、VCNの結果を示す図である。
図9は、CYBB遺伝子の発現結果を示す図である。
図10は、細胞におけるROSの生成レベルの結果を示す図である。
図8は、レンチウイルスを効率的にトランスフェクトできることを示す図である。
図9及び
図10からわかるように、アイソタイプ野生型C57マウス(WT群)においては、gp91-phox+%は59.37%、ローダミン123+%は68.59%であり、野生型C57マウスHSCが移植されたCGDマウス(WT-trans群)においては、gp91-phox+%は57.14%、ローダミン123+%は61.26%であり、LV-miR223で形質導入したHSCが移植されたCGDマウス(miR223群)においては、gp91-phox+%は58.98%、ローダミン123+%は58.29%であり、LV-CD68で形質導入したHSCが移植されたCGDマウス(CD68群)においては、gp91-phox+%は58.29%、ローダミン123+%は61.35%であった。この比較から、本開示において設計したレンチウイルスベクターで形質導入したHSCをX-CGDマウスに再移植した後、レンチウイルスベクターはgp91-phoxタンパク質の発現及びROSの生成機能を効果的に回復させることができることがわかる。したがって、本開示において設計されたレンチウイルスベクターは有効であることが証明される。
【0097】
要約すると、本開示においては、骨髄特異的プロモーター及びCYBB遺伝子がレンチウイルス発現ベクターに挿入される。構築されたレンチウイルス発現ベクターは、高い形質導入効率、安定した発現能力、安全性及び骨髄特異性を有する。レンチウイルス発現ベクターは、骨髄細胞において効果的に発現され、gp91-phoxタンパク質の発現を効果的に回復させ、ROSの生成機能を回復させることができる。このことはCGD治療にとって非常に重要である。
【0098】
本出願人は、本開示の詳細な方法が上述した実施例を通じて記載されているが、本開示は上述した詳細な方法に限定されず、このことは、本開示の実施は必ずしも上述した詳細な方法に依存しないことを意味することを宣言する。本開示に対してなされた改良、本開示の製品の原料の等価置換、本開示の製品へのアジュバント成分の添加、及び特定の方法の選択などはすべて、本開示の保護範囲及び開示範囲に含まれることは、当業者には明らかであろう。
【配列表】
【国際調査報告】