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特表2024-514799混合プラスチック廃棄物の炭化水素へのエネルギー効率のよい変換のためのシステム、混合プラスチック廃棄物の炭化水素へのエネルギー効率のよい変換のための方法、炭化水素、およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】混合プラスチック廃棄物の炭化水素へのエネルギー効率のよい変換のためのシステム、混合プラスチック廃棄物の炭化水素へのエネルギー効率のよい変換のための方法、炭化水素、およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C10G 1/10 20060101AFI20240327BHJP
   C08J 11/12 20060101ALI20240327BHJP
   B29B 17/04 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
C10G1/10
C08J11/12 ZAB
B29B17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561070
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 BR2022050117
(87)【国際公開番号】W WO2022204776
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】BR1020210063807
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(31)【優先権主張番号】BR1020220062560
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523375674
【氏名又は名称】バロレン ヘクペラドラ デ ヘジデュオス エセ.ア.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】マティアス アロイシウス ベッカー ネト,カルロス
(72)【発明者】
【氏名】デマルキ ネト,フェルディナンド
【テーマコード(参考)】
4F401
4H129
【Fターム(参考)】
4F401AA27
4F401BA02
4F401BA03
4F401CA02
4F401CA03
4F401CA14
4F401CA22
4F401CA23
4F401CA25
4F401CA29
4F401CA58
4F401CA70
4F401CB01
4F401CB11
4F401CB14
4F401CB34
4F401CB35
4F401DA01
4F401DA03
4F401DA08
4F401EA77
4F401FA01Z
4F401FA02Z
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4F401FA07Z
4F401FA08Z
4H129AA01
4H129BA04
4H129BB03
4H129BB04
4H129BC12
4H129BC13
4H129BC34
4H129BC35
4H129BC37
4H129BC38
4H129KA02
4H129KB02
4H129KC13Y
4H129KC14Y
4H129KC16Y
4H129NA20
4H129NA22
4H129NA23
4H129NA24
4H129NA43
(57)【要約】
本発明は、混合プラスチック廃棄物を、プラスチックの循環経済のバリューチェーンにおける製品に使用するための液体、ペースト、固体およびガス状の形態の炭化水素にエネルギー効率よく変換するためのシステムおよび方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
種々のプラスチック廃棄物の、炭化水素へのエネルギー効率のよい変換のためのシステムであって:
・ 供給モジュール;
・ 反応モジュール;
・ 凝縮/分離モジュール;
・ 排ガス/廃r-ガスモジュール;および
・ 排出モジュール
を備え、
前記供給モジュールは、
- 材料調製システム(1);
- 貯蔵サイロ(2);
- 供給装置および投入スクリュー(3);
- 固体流量計(33);
- 触媒投入装置(36);
- コンパクタ(4);
- 溶融スクリュー(5);
- 熱交換装置(6);
- 溶融スクリューファン(19);
を備え、
前記反応モジュールは:
- 主反応装置(7);
- レベルメーター(34);
- バーナーおよび炉(18);
- 還流塔(8);
- 還流ファン(22);
- 熱交換装置(26);
を備え、
前記凝縮/分離モジュールは:
- 触媒塔(9);
- 凝縮システム(10);
- 熱交換装置(11aおよび11b);
- 水冷却塔(23);
- 全体冷却システムポンプ(30);
- 冷却装置(31);
- 冷却システムポンプ(32);
を備え、
前記排ガス/廃r-ガスモジュールは:
- ガス洗浄装置(バブラー)(12);
- 低圧コンプレッサ(13);
- 復熱式熱交換装置(14);
- 合成ガスタンク(廃r-ガス)(16);
- LPGタンク(17);
- 電気エネルギー発生装置(24);
- フレア(25);
を備え、
前記排出モジュールは:
- 排出制御弁(35);
- 焙焼反応装置(15);
- 焙焼反応装置バーナーおよび炉(20);
- 触媒塔ファン(21);
- 焙焼反応装置除去スクリュー(27);
- 炭素灰冷却装置(28);
- 封止スクリュー(29)
を備えている、
ことを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記供給装置および投入スクリュー(3)は、流量を標準化し、且つ前記固体流量計(33)における読取り値を前記固体触媒投入装置(36)によって作られる投入量と組み合わせる制御によって、前記コンパクタ(4)に入るときに前記触媒が正確に添加されることを可能にすることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記触媒は、原料の投入量に対して0.1質量%~10質量%の割合で、前記触媒投入装置(36)によって前記コンパクタ(4)に挿入されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コンパクタ(4)は、前記溶融スクリュー(5)への良好な供給を確実にし且つガス戻りを回避するために450kg/m3の最小密度に達することを目的として、5~60rpmの回転によって生成される回転およびその結果として生じる圧縮力を用いて作動することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記コンパクタ(4)は、前記触媒と共に前記原料を圧縮し、且つそれらを溶融スクリュー(5)に案内することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記溶融スクリュー(5)は、前記原料を200℃~350℃の温度に予熱することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記溶融スクリュー(5)を出た後に、前記原料は、熱交換装置(6)に入り、
前記熱交換装置(6)は、350℃~450℃の間で前記原料を加熱することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記熱分解反応は、前記主反応装置(7)において、420℃~460℃の温度範囲で、-20.0~+50.0KPa(-0.2~+0.5バール)のゲージ圧で、10分間~4時間、好ましくは2~3時間の滞留時間で起こることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記主反応装置(7)は、cstr(連続撹拌タンク反応装置)型であり、
1~30rpmの回転で作動し、且つ時計回りおよび反時計回りの両方で回転することができる、中央に置かれ且つ分割されたアンカー形状のシャフトを有することを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記主反応装置(7)は、3.5~7.0のL/D指数を有し、且つ前記反応熱分解を実行するために前記炉から必要な熱を受け取るようにジャケットが付けられていることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記主反応装置(7)は、600~2000kgの重さであるシャフトと、前記アンカーの直後のその基部に存在するヘリコイド形状の終端部と、をさらに備え、前記終端部は、前記排出弁(35)および前記封止スクリュー(29)と共に、炭素灰の除去を連続的または断続的に行なうことを可能にすることを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記還流塔(8)の出口における炭化水素ストリームの温度は、レイノルズ数が30,000~300,000であり且つ触媒金属を含まない乱流で、220℃~320℃、好ましくは240℃~280℃に維持され、
温度制御は、そのジャケット内の冷気を循環させるファン(22)によって実行されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記還流塔(8)は、そのジャケット内に、リングと「チャイニーズハット」とのシステムを有する発散型円錐形状を有し、
前記発散型円錐形状は、前記主反応装置(7)の反応装置出力ストリームの流速と組み合わせられて、熱交換を最大にするための乱流を提供し、且つ同時に、重質留分(C20~C28よりも高い鎖を有する分子)が流れて前記主反応装置(7)に戻ることを可能にすることを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
3.0~5.0のL/D指数を有する前記触媒塔(9)は、2~12秒の滞留時間を可能にし、且つ350℃~550℃の温度触媒作用を有することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記凝縮システム(10)は、240℃~310℃の温度で前記ガスを凝縮することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記流体は、冷却装置(31)から来る0℃~-15℃、好ましくは-5℃の冷却水を用いて、110℃までの温度で、および10℃までの第2ポイントで、凝縮されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記復熱式熱交換装置(14)において、前記コンプレッサ(13)によって得られる圧力の増加によって、1.5バール~5バールまで変化する作動圧力および30℃~70℃の凝縮温度を伴って、凝縮が行われることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記ガスは、ガス洗浄装置(バブラー)(12)において、主にCaOHまたはNaOH溶液を用いて洗浄されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記廃r-ガスタンク(16)は、前記残留r-ガスを4~12バールの圧力で貯蔵し、且つ熱エネルギーを前記炉(18および20)に供給する前記バーナーに供給することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
LPGとr-ガス/合成ガスとの両方は、前記主反応装置(7)の前記バーナーおよび炉(18)に、ならびに前記焙焼反応装置(15)の前記バーナーおよび炉(20)に、そのタンクの貯蔵圧力によって輸送されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記バーナーおよび炉(18)のエネルギー再利用は、溶融スクリューファン(19)を用いて、熱ガスの閉鎖循環路内での再循環によって行われ、前記バーナーおよび炉の入口(18)における前記熱ガスの戻りは、450℃~550℃であることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記バーナーおよび炉(18)における熱風再循環は、炉(18)、主反応装置ジャケット(7)、還流塔(8)後の熱交換装置(26)、およびプラスチック溶融のための熱交換装置(6)の間の閉鎖循環路において行われることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記主反応装置(7)において発生した炭素灰の排出は、前記排出弁(35)と、前記封止スクリュー(29)と、前記主反応装置シャフト(7)との間のジョイント操作によって行われ、前記原料を連続的に回転させ、500~6000℃までそれを加熱する前記焙焼反応装置(15)に連結されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記焙焼反応装置(15)は、4.3~5.6のL/D指数を有し、前記バーナーおよび炉(20)によって供給される加熱ジャケットを有することを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
最終生成物は、前記焙焼反応装置除去スクリュー(27)を通して抽出され、前記炭素灰冷却装置(28)において70℃に冷却され、この焙焼処理によって生成された前記ガスはまた前記凝縮システムによって吸収され、且つプラントガスとして使用され、前記バブラー(12)に挿入され、冷却後、前記原料はスクリューコンベヤーを通して送られて貯蔵されることを特徴とする、請求項1~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか一項に記載のシステムを用いた、種々のプラスチック廃棄物の炭化水素へのエネルギー効率のよい変換のための方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする方法:
(a) 混入物質の除去および制御、ならびに水の除去を伴う、前記原料の調製;
(b) 均質化および前記熱分解反応装置への前記原料の供給;
(c) 熱分解反応;
(d) 生成した炭化水素の処理、凝縮および分離;
(e) 合成ガスの処理および貯蔵;
(f) 前記主反応装置および第2反応装置を加熱し、且つ電気および熱エネルギーを発生させるための貯蔵合成ガスの使用;
(g) 熱の再利用および燃焼ガスの排出;ならびに
(h) 炭素灰の除去および処理。
【請求項27】
工程(a)は、以下のサブ工程を含むことを特徴とする、請求項26に記載の方法:
a.1 回転トロンメル篩と同等の、微細な分離篩分け;
a.2 織物や嵩高な物品を除去するための、手動分離ライン;
a.3 磁性鉄材料を除去するための、磁気分離;
a.4 最大粒径250mmに達するための、破砕;
a.5 吸引によるプラスチック(フィルム)の除去;
a.6 最大径25mmの粒子を得るための、粉砕;
a.7 塩化物、酸化物、ケイ素などの混入物質を除去するための、溶液浴による洗浄;
a.8 残留不純物を取り除くための遠心分離乾燥、および初期乾燥;
a.9 前記原料の最終乾燥および見掛け密度の増加のための、凝集;および
a.10 貯蔵および輸送。
【請求項28】
工程(a)は、様々な種類の廃棄物に含まれるプラスチック材料の受け入れをさらに可能にし、且つ特定の篩分け順序、破砕、吸引、粉砕、洗浄、遠心分離および凝集を含むプロセスで、機械的および化学的にそれらを処理し、
処理済廃棄物は、以下の仕様を満たしていることを特徴とする、請求項26または27に記載の方法:
- 最大含水率5%;
- 200kg/m~450kg/mの間のかさ密度;
- 最大粒径25mm;
- 最大300ppm-mの総塩化物;
- 最大1100ppb-mの総酸化物;
- 最大300ppb-mの窒素;
- 最大500ppb-mの総硫黄;
- 最大15ppm-mのヒ素;
- 最大50ppm-mの銅;
- 最大5ppm-mの水銀;
- 最大5000ppm-mナトリウム;
- 最大150ppm-mの鉛;および
- 最大1100ppm-mのケイ素。
【請求項29】
工程(b)において、前記貯蔵サイロ(2)が満杯であるときに、前記熱分解反応装置への供給が開始され、
前記サイロを出るときに、前記原料は、供給装置および投入スクリュー(3)を通過し、
前記供給装置および投入スクリュー(3)は、流量を標準化し、且つ前記固体流量計(33)における読取り値を前記固体触媒投入装置(36)によって作られる投入量と組み合わせる制御によって、原料の投入に応じて0.1質量%~10質量%の割合で、前記コンパクタ(4)に入るときに前記触媒が正確に添加されることを可能にすることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記コンパクタ(4)は、溶融スクリュー(5)に供給し、当該溶融スクリュー(5)は、前記原料を溶融し、且つその温度を200℃~350℃の間に上昇させ、
前記溶融スクリュー(5)を出た後、前記原料は、熱交換装置(6)に入り、当該熱交換装置(6)は、前記炉(18)内で燃焼された前記ガスから熱を受け取り、350℃~450℃の間で前記原料を加熱し、且つそれを前記主反応装置(7)に供給することを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
工程(c)において、前記熱分解反応は、前記主反応装置(7)において、420℃~460℃の温度範囲で、-20.0~+50.0KPa(-0.2~+0.5バール)のゲージ圧で、10分間~4時間、好ましくは2~3時間の滞留時間の間に起こることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
工程(d)において、前記生成した炭化水素は、前記凝縮システム(10)における第1ポイント、前記熱交換装置(11aおよび11b)における第2ポイント、および前記復熱式熱交換装置(14)における第3ポイントの、3つのポイントにおいて凝縮されることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記凝縮システム(10)において、前記ガスは、240℃~310℃の温度で凝縮されることを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記熱交換装置(11aおよび11b)において、前記流体は、110℃までの温度で、および10℃までの第2ポイントで、凝縮されることを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記復熱式熱交換装置(14)において、30℃~70℃の凝縮温度を使用して、前記作動圧力は、1.5バール~5バールまで変化することを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
工程(e)において、前記廃r-ガスは、4~12バールの圧力で、前記廃r-ガスタンク(16)に貯蔵されることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項37】
前記廃r-ガスタンク(16)に貯蔵された前記ガスは、前記炉(18および20)のための熱エネルギーを提供する前記バーナーに供給するために使用され、前記炉は、750℃~1,200℃の温度で作動することを特徴とする、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
工程(g)において、前記バーナーおよび炉(18)における前記熱風再循環は、炉(18)、主反応装置ジャケット(7)、還流塔(8)後の熱交換装置(26)、およびプラスチック溶融のための熱交換装置(6)の間の閉鎖循環路において行われ、
前記炉(18)への前記戻りガスは、400℃~550℃の温度を有することを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項39】
工程(h)において、前記焙焼反応装置(15)内で乾燥された後、前記炭素灰は、除去スクリュー(27)を通って、前記焙焼反応装置から冷却タンク(28)へと運ばれ、
それは、冷却されるまで5~15時間にわたって留まることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項40】
前記炭素灰は、前記主反応装置(7)からの前記原料除去システムの前記封止スクリュー(29)において使用されるか、または前記最終貯蔵サイロおよび使用のためのパッケージングに送られることを特徴とする、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
連続的に、または拡張バッチにおいて行われ、
前記連続的な形態は、開口が制御された前記排出弁(35)と、材料を挿入する前記封止スクリュー(29)と、排出方向に20~30rpmの間で回転する前記主反応装置シャフト(7)とを伴って生じ、
前記拡張バッチでは、前記排出弁(35)は閉じて動作し、前記主反応装置(7)に含まれる前記材料の完全な排出の瞬間にのみ開くことを特徴とする、請求項26~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
請求項26~41のいずれか一項に記載の方法に従って製造された炭化水素であって、
合成ガス、軽質炭化水素、r-ナフサ、r-ディーゼル、パラフィンおよびカーボンブラックまたは活性炭からなるリサイクル源からの、液体、ペースト状、固体およびガス状であることを特徴とする、炭化水素。
【請求項43】
前記合成ガスは、30℃の最終沸点を有し、主にプロパン、ブタン、メタン、エタン、プロピレンおよびイソプロピレンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項42に記載の炭化水素。
【請求項44】
r-ナフサは、30℃の初期沸点および240℃の最終沸点を有し、主にアルカン類、パラフィン類、イソパラフィン類およびオレフィン類からなる群から選択されることを特徴とする、請求項42に記載の炭化水素。
【請求項45】
前記r-ディーゼルは、240℃の初期沸点および310℃の最終沸点を有し、主にアルカン類、パラフィン類、イソパラフィン類およびオレフィン類からなる群から選択されることを特徴とする、請求項42に記載の炭化水素。
【請求項46】
前記パラフィンは、310℃の初期沸点および330℃を超える最終沸点を有し、好ましくは室温で固体であり、35℃~55℃で液体であり、主に低密度直鎖パラフィンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項42に記載の炭化水素。
【請求項47】
前記カーボンブラックは、10~320nmの粒径および50~120の見掛け密度(dbp)を有し、ならびに
前記活性炭は、5%までの湿度、400~600kg/m3の密度、少なくとも300m2/gの表面積および少なくとも80%の粒径(<100μm)を有することを特徴とする、請求項42に記載の炭化水素。
【請求項48】
請求項42~47のいずれか一項に記載の炭化水素の使用であって:
- 加熱用途の化石ガスに代わる瓶詰めリサイクルガス(廃r-ガス);
- リサイクルガスから再生可能エネルギーを生成するための供給源(廃r-ガス);
- バージンプラスチックを製造するために石油化学分解装置においてリサイクルされたナフサ(r-ナフサ);
- 化石ディーゼル油のためのリサイクル添加剤(r-ディーゼル);
- 化石炭化水素に代わる化学工業用リサイクル原料(軽質r-ナフサ/r-ディーゼル);
- 化石原料に代わるリサイクル化学原料(軽質r-ナフサ/r-ディーゼル);
- 化石油に代わる持続可能な燃焼油(軽質r-ナフサ/r-ディーゼル);
- 化石パラフィンに代わる工業用および非工業用のリサイクルパラフィン(r-パラフィン);
- 化石カーボンブラックに代わるリサイクルカーボンブラック(カーボンブラック)および化石材料に代わるリサイクル活性炭
であることを特徴とする、使用。
【請求項49】
さらに、以下のためであることを特徴とする請求項48に記載の炭化水素の使用:
- 埋め立て処分可能な低付加価値プラスチック、多層プラスチックおよび多成分プラスチックの価値設定;
- 化石ナフサに代わるリサイクル源(r-ナフサ)からの石油化学ナフサの製造;
- リサイクル源(r-ディーゼル)からのディーゼルの製造および化石ディーゼルの置換え;
- 化学工業における用途を有する他の炭化水素(r-ヒドロ)の製造;
- 軽質パラフィン(軽質r-パラフィン)の製造;
- 重質パラフィン(重質r-パラフィン)の製造;
- カーボンブラックおよび活性炭(r-カーボンブラックおよびr-活性炭)の製造;
- 合成ガス(廃r-ガス)の製造;ならびに
- 再生可能な供給源からの電気エネルギーの生産。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は廃棄物処理の分野に属し、より正確には、再利用および材料廃棄物のリサイクル製品への転換の分野に属し、エネルギー効率のよいシステム、ならびに種々のプラスチック廃棄物を、プラスチックチェーンの循環経済において好ましく適用される化石製品および非化石製品の代替物として種々の用途において使用するための、液体の形態、ペースト状、固体およびガス状のリサイクル炭化水素、例えば、石油化学産業のための原料として化石ナフサに代わるリサイクル原料としてのr-ナフサ、化石起源の化学原料の代替物として使用される軽質r-炭化水素、工業用途製品または個人用途製品で使用される化石パラフィンに代わる軽質および重質r-パラフィン、化石カーボンブラックに代わるリサイクルr-カーボンブラックに変換するためのプロセスを記載する。いくつかの副生成物はまた、固体炭化水素を置き換えるために適用されるリサイクル原料としての他のr-炭化水素に加えて、例えば、化石ディーゼルに代わるr-ディーゼル、化石ガスに代わるリサイクル廃r-ガス、および再生可能な供給源からの電気エネルギーなどのエネルギー用途において使用される製品などの他の用途を有し得る。
【0002】
〔発明の根拠〕
固体廃棄物の大量発生は、今日の最大の課題の1つである。経済成長および人口増加と技術の進歩とにより、より多くの量の廃棄物が生産され、天然資源はますます不足している。
【0003】
技術的な進歩を考慮すると、多くの製品は、それらの耐用年数が終わる前であっても廃棄され、公的機関によって管理されなければならない固体廃棄物の量はすでに著しく増加している。さらに、異なる部門の加速された持続性の工業生産はまた、ブラジルおよび世界中で多量の廃棄物を発生させている。
【0004】
同時に、PNRS(国家固体廃棄物政策)のような、より厳しい法律が、自らの事業活動の環境への影響について責任を負うように企業を導いている。このような責任には、生産の過程で発生する廃棄物による環境負荷が含まれる。
【0005】
したがって、人口の絶え間ない増加と産業部門の加速した発展を考慮すると、発生する固体廃棄物の管理および適切な最終処分のためのソリューションとイノベーションを追求する必要がある。廃棄物を他産業のための原料として再利用するという選択肢は、新規雇用の創出を伴う生産チェーンの拡大に加えて、金融費用および環境負荷の低減につながる可能性があるため、魅力的な見込みがある。
【0006】
さらに、現在消費されている製品の大部分はプラスチックで作られているか、または包装されていることが知られている:包装、玩具、家具、繊維、および自動車はほんの数例である。材料の使用は産業に革命をもたらしたが、また、惑星に対する大きな課題:プラスチック廃棄物の蓄積を作り出した。
【0007】
プラスチック廃棄物の再利用は、金属廃棄物の再利用と比較すると、依然として低い割合である。ブラジルにおけるプラスチックのリサイクル率は、約20%である。
【0008】
この文脈において、技術および戦略は、廃棄物の発生および蓄積の問題に役立つことを目的として創出されている。プラスチックの再利用方法の採用は、持続可能な開発が可能であると考える産業にとって、経済成長と環境の尊重とのバランスを追求するための喫緊の課題である。
【0009】
現在利用可能なプラスチック廃棄物回収プロセスは、純粋な硬質プラスチックに焦点を当てており、すなわち、フィルム、可撓性プラスチック、多層プラスチックの形態のプラスチック、またはそれらの組成物中にいくつかの成分を有するプラスチックは、経済的に実行可能なリサイクル経路を有していない。したがって、これらの材料を、伝統的な化石に取って代わる品質とこの変換に使用されるコストを正当化する経済的価値とを有する製品に変換することによって、可撓性、多層、または多成分のプラスチック材料の価格設定を可能にし、それにより循環経済を促進する技術を開発することが不可欠である。
【0010】
一般に、開発済または開発中のプラスチック変換処理は、化学企業の原料として生産物を再挿入する代わりに、エネルギーを発生させることを目的として、または種々の油を生成することを目的として、炭化水素を生産することを探求している。材料を製造しようとするいくつかのプロセスは、化学製品製造プロセスに直接適用できる原料の製造ではなく、製油所のための原料の製造に焦点を当てていた。
【0011】
克服すべきさらなる重要な課題は、プラスチック廃棄物を製品に変換するためのプロセスの経済的実行可能性である。この実行可能性を達成するためには、生産システムが、特にエネルギー消費および大きなばらつきを有する原料を吸収する能力の点で効率的であり、厳しい仕様を満たす製品を依然として供給することが不可欠である。
【0012】
〔従来技術〕
いくつかの先行技術文献は、プラスチック廃棄物を処理して新しい製品を生成する方法を記載しており、例えば:
【0013】
文献US 10131847には、廃プラスチック材料を処理して、仕様に沿った少なくとも1つの可燃性製品を提供する方法が記載されている。当該プラスチック材料は、押出機内で溶融され、熱分解反応装置内に装填される。前記熱分解反応装置は、バッチプロセスに従い、且つ材料を熱分解し、それにより熱分解ガスを形成するための無酸素雰囲気を有している。熱分解ガスは、接触器容器内でプレートと接触させられ、その結果、いくつかの長鎖ガス成分が凝縮され、戻されて再び熱分解されて、熱分解を達成する。短鎖ガス成分は、ガス形態で接触器から出て蒸留に進み、仕様に従った1つ以上の燃料製品を提供する。管は、熱分解チャンバを接触器に直接接続し、熱分解のために、上向きに移動する熱分解ガスと長鎖液体の下向きの流れとを輸送するのに適している。次に、熱分解ガスは、他の要素の中でも2つの蒸留塔を直列に使用して、一方は大気圧で、他方は真空で、大量の液体を再循環させながら、いくつかの段階において分別蒸留プロセスを経る。
【0014】
したがって、本発明は、上述の文献と比較した場合に、以下の利点を提供する:i.分留プロセスを促進することによる、より良好な製品の品質を保証する方法としての熱触媒分解の使用;ii.拡張バッチを使用し、急速な排出、反応装置の生産性の増加および焼き付きの減少を伴う、連続的な供給/生産するプロセス;iii.カーボンブラックおよび活性炭の仕様を達成するための炭素灰の品質の改善;iv.熱接触分解プロセスを経るときの熱分解ガスストリームのより良好な品質による、例えば真空蒸留塔を必要としない、より低い資本的支出(capex)を伴うより単純な分留プロセス;vi.バーナー内のr-ガスの再利用と加熱ガスの高い再循環によって営業費用(opex)を削減する、より高いエネルギー効率。
【0015】
文献GB 2158089は、以下の工程を含む、プラスチック廃棄物処理方法を記載している:(a)廃プラスチックを、例えば重油中に溶融する工程;(b)溶融物を加熱してガスを生成する工程;(c)ガス分解工程;(d)分子の安定化工程;(e)ガスをほぼ室温に冷却し、ガスの冷却中に凝縮した油性液体を回収する工程;および(f)種々の沸点の燃料油を得るために、工程(e)から受け取った油性液体を分別蒸留する工程。
【0016】
したがって、本発明は、上述の文献と比較した場合に、以下の利点を提供する:i.本堆積物の分解反応装置は、文献GB 2158089の一連の3つの反応装置を必要とせずに、熱分解ガスを生成することができる;ii.本発明の加熱システムは、加熱システムにより大きな複雑さを導入し且つ最終製品中の汚染物質の制御をより複雑にする重質油の使用を必要とせずに、熱を投入材料に直接伝達する。
【0017】
文献PI 0508115-7は、廃棄物を再利用可能な燃料に熱触媒変換するための方法およびプラントと、この方法によって生成された燃料とを記載しており、これらは、加熱された分配器および弁を通して1つ以上の熱分解チャンバ内に溶融廃棄物材料を適用する工程と、無酸素状態かつ圧力制御された環境内で、ガス状態の残留材料の熱分解を実施する工程とを含む。次いで、熱分解ガスは触媒コンバータに移送され、そこで、ガス状材料の分子構造は、構造および形状の点で変化させられ、次いで、ガスを蒸留し、それぞれの留分に冷却するために、ガスは1つ以上の凝縮器に移送される。次いで、熱分解後処理の後に、燃料留分は、最終沸点が348.5℃である、ディーゼルとほぼ同等の使用可能な燃料を形成する。これは、熱分解チャンバのいずれかに適用する前に残留(プラスチック)材料を溶融すること、接触塔内の材料の移動を半連続操作とすること、溶融した残留材料を1つ以上の、しかし好ましくは4つの、熱分解チャンバに導入すること、各チャンバを、独立して、バッチシステムにおいて動作可能にすることを含む。任意で、熱分解チャンバの冷却サイクルが後続するバッチの完了後に、内部の螺旋スクリューまたは他の適切な手段を使用することによって、熱分解チャンバから残留炭化材料を機械的に取り出す。
【0018】
したがって、本発明は、上述の文献と比較した場合に、以下の利点を提供する:i.各反応装置に専用の材料供給システムおよび熱分解チャンバからの固体除去によって、各熱分解反応装置の生産性を実質的に増加させる、各チャンバの半連続的および連続的な操作;ii.焙焼反応装置を用いたカーボンブラックまたは活性炭のような炭素灰の製品価値設定;iii.この堆積物が反応装置出口での還流システムを使用し、また熱分解油ストリームが分留システムに入る前に触媒プロセスを使用するので、厳格な仕様に沿った、液体およびより軽質の炭化水素(最終沸点220℃または310℃)のより大きな留分(50質量%超)を生成する能力;iv.プロセスを熱エネルギーにおいて自己充足的にする、熱エネルギーの生産における高温加熱ガスの再循環および合成ガスの使用によるより大きな熱効率に起因する、より低いエネルギー消費。
【0019】
文献EP 3311969A1は、ポリエチレンおよびポリプロピレンの廃棄物の熱分解のための装置に言及している。この先行技術文献に記載された装置は、並列に接続された少なくとも2つの反応装置を使用し、その一方または両方は、取り外し可能な炉を使用する。加えて、前記装置はまた、熱交換装置からなる、蒸気-ガス混合物の形態であるポリマー原料を分留するためのユニット;内部容積の蓄積および再加熱のためのボイラーを有する炭化水素収集タンク;脱蝋装置;ディーゼルおよびガソリンの留分を分離するための精留カラムおよびボイラー;管状熱交換装置を使用する。このプロセスはまた、熱交換装置の管/通路の内部に設置されたストリップ形状のチタン金属触媒を使用する。
【0020】
しかしながら、そのような文献の焦点は、自動車燃料(ガソリン、ディーゼル)、燃焼油、炭化水素ガス、およびコークス/炭の生成にある。それにもかかわらず、本発明は、上記文献と比較した場合に、以下の利点を有する:i.熱分解反応装置から出力されたガスは還流を受けて、多量の炭素を有する分子が凝縮システムに入るのを防止し、このことは、前記システムが触媒を使用し、炭化水素分子を必要なサイズに分解する方法として「脱蝋」し、従って回避する場合でさえ、目詰まりおよびスケールによる生産性の損失をもたらし得る;ii.連続的なプロセス;本発明では、ボイラーによって加熱されるリザーバなどの、処理中の材料の中間ストックはなく、したがって、よりエネルギー効率が高く、より良好な製品品質をもたらすより高いプロセス安定性を可能にする;iii.熱触媒プロセスを使用し、その後、分留工程を開始する前に還流および追加の触媒を使用する、より単純で安価な分留システム;iv.炭素灰が特定の焙焼反応装置によって処理されることによる、完全な供給原料のより良好な使用。上述の文献はまた、熱分解反応装置のための2つのバージョンも提示している。バージョン1(「周期的モード実装」)では、著者らは、提案されたシステムの下流で処理される熱分解ガスを生成する2つの反応装置を交互に入れ替えるプロセスを正確に詳細に説明している。このバージョン1では、反応装置が、交互に、停止され、冷却され、洗浄され、再充填され、したがって、常に1つの反応装置が熱分解ガスを生成し、別の反応装置が停止される。バージョン2(「連続モード実装」)では、著者らは、システム構成要素または反応装置の連続的かつ安全な運転を確実にするために連続的な供給および生産システムがどのように効果的に動作するかを強調することなく、非常に広く記載している。この場合、本発明は、拡張バッチプロセスにおいて、および連続的な操作プロセスにおいても熱分解反応装置の運転を可能にし、システムのより高い生産性、ひいては経済性を保証する供給システムを詳細に記載しているので、本発明はより生産的である。
【0021】
文献BR 112021000086-0 A2は、廃棄物の再利用可能な燃料への触媒水素化を採用する、熱触媒変換のためのプラントプロセスを記載している。さらに、この文献は、方法がエネルギーに関して自己充足的であるように方法で得られたエネルギーを再利用し、その結果、当該方法が限られた量の抽出石油生成物しか使用せず、したがって、潜在的な人為的CO排出を低減することを提案する。
【0022】
それでも、本発明は、上述の文献と比較した場合に、以下の利点を提供する:i.それは、製造コストを増加させる工業的水素の注入を必要とする、熱分解ガスストリームの水素化プロセスを使用しない。本発明は、反応装置-還流セットの特性、プロセスパラメータ、および触媒の使用により、水素化工程を必要とすることなく、高い収率で製品の仕様を達成する;ii.反応装置から固体を供給および除去するためのシステムの詳細な説明または仕様がなく、これは、一次分解から生じる生成物の生産性および品質を保証するための基本的な部分であり、下流の処理および分留システムの必要性を決定する。一次分解反応装置からの生成物が粗く不安定であるほど、炭化水素生成物を得るために必要とされる処理および分留はより複雑で費用がかかる;iii.問題になっている前記文献は、カーボンブラックまたは活性炭のいずれかの製品としての使用のための仕様を達成するための、一次反応装置出口からの炭素灰を処理するためのそのプロセスにおける工程を有していない。この生成物の価値設定は、プロセスの経済性にとって重要である;iv.プロセスの経済性の別の重要な部分は、プロセスのための熱エネルギーを生成するために分解中に形成される合成ガスの最大限の使用である。上述の文献は、そのようなガスを再利用するためのシステム、または熱エネルギー消費を低減し、したがってプロセスエネルギーを自己充足的にするための、高温ガスのための回収システムを明記していない。
【0023】
文献WO2021/209276 A1は、廃棄物材料を再利用可能な燃料に変換するための触媒の使用を必要としない、熱変換のための方法およびプラントを記載している。さらに、この文献は、とりわけ、触媒の使用の代わりにカーボンナノ粒子系試薬の使用に基づく、プラスチック廃棄物から石油化学製品を得るための熱分解プロセスを提供し、ここでは、より良好な結果を得るために、より低い温度、圧力およびエネルギーが使用される。
【0024】
したがって、本発明は前記文献と比較した場合に、以下の利点を提供する:i.それは試薬としてカーボンナノ成分を使用せず、それらは試薬であり触媒ではないので、最終的に分解処理において消費されることになり、使用のための絶え間ない購入を必要とし、プロセスのためのコストを発生させる;ii.上記文献の著者らは、システムの構成要素または反応装置の連続的かつ安全な運転を確実にするために連続的な供給および生産システムがどのように効果的に動作するかを強調することなく、非常に広く記載している。この場合、本発明は、拡張バッチプロセスにおいて、および連続的な操作プロセスにおいても熱分解反応装置の運転を可能にし、システムのより高い生産性、ひいては経済性を保証する供給システムを詳細に記載しているため、本発明はより生産的である;iii.問題になっている前記文献は、市場で購入された工業用ガス(天然ガス)を熱エネルギー源として使用しており、分解プロセス自体によって生成された合成ガスを熱エネルギー源として再利用しないため、プロセスを非常に高価にしている。このガスの効率的な使用は、プロセスの経済性にとって重要である。
【0025】
したがって、本発明において提案されるシステムは、先行文献に対して、以下のような、いくつかの利点を有している:(i)「R-ナフサ」と同等のナフサ型石油化学製品の高い収率(0.78kg/l未満の密度);(ii)より低い資本的支出(capex)および高いモジュール性(はるかに単純な下流)を有するより単純なプロセス;(iii)熱風再循環および主燃料として燃焼ガスを使用する、高エネルギー効率;(iv)廃ガスのエネルギー再利用の効率性を妨げ得る特定のパージガス(純粋N2)の使用の回避;(v)反応装置生産性を最適化するための、拡張バッチおよび連続処理の可能性;(vi)多種多様な異なるプラスチック廃棄物を吸収することができ、非常に厳しい仕様を満たす最終製品を依然として送達することができる。さらに、それは、プラスチックチェーンの循環経済に再挿入することができる製品を製造することに焦点を当てている。本発明のシステムおよび方法によって製造される生成物の1つは、可能な限り最高の収率の、種々のプラスチック廃棄物(可撓性、多層および多成分)からの、厳しい仕様(0.78kg/l未満の密度)に沿い且つ蝋を含まない等価ナフサ型「R-ナフサ」である。
【0026】
〔発明の概要〕
本発明は、種々のプラスチック廃棄物を、プラスチックおよび化学チェーンの循環経済において好ましく適用される化石製品および非化石製品の代替物として種々の用途において使用するための、液体、ペースト状、固体およびガス状の形態における炭化水素、例えば、石油化学産業のための原料として化石ナフサに代わるリサイクル原料としてのr-ナフサ(主に炭素数6~14)、化石起源の化学原料の代替物として使用される軽質r-炭化水素(炭素数5~11)、工業用途製品または個人用途製品で使用される化石パラフィンに代わる軽質および重質r-パラフィン(炭素数20~24)、化石カーボンブラックに代わるリサイクルr-カーボンブラックまたは活性r-カーボン(処理された炭素灰)にエネルギー効率良く変換するための、システムおよび方法を提案することを目的とする。いくつかの副生成物はまた、固体炭化水素を置き換えるために適用されるリサイクル原料としての他のr-炭化水素に加えて、化石ディーゼルの代替物としてのr-ディーゼル(炭素数12~20)、化石ガスおよび再生可能な供給源からの電気エネルギーを置き換えるためのリサイクル廃r-ガス(炭素数1~4)などのエネルギー用途に使用される製品などの他の用途を有していてもよい。
【0027】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本発明において提案されるシステムの全体的なスキームを示す。
【0028】
図2は、本発明で使用される主反応装置(7)の側面図を示す。
【0029】
図3は、本発明で使用される還流塔(8)の側面図を示す。
【0030】
図4は、15~30時間の生産サイクルを伴う拡張バッチ生産を示し、個別に稼働している主反応装置(7)の総生産に関連するガス×液体の関係性を強調している。
【0031】
図5は、15~30時間の生産サイクルを伴う拡張バッチ生産を示し、一緒に稼働している3つの主反応装置(7)の複合生産を強調している。上の線は、総炭化水素生産量を示し、下の線は油生産量(液体およびパラフィン)を示す。
【0032】
図6は、システムの全体的なスキームを示し、1年の運転期間で一緒に運転される3つの反応装置を有するプラントの質量とエネルギーとのバランスを考慮した本発明の実装例を詳述している。
【0033】
図7は、累積蒸留質量対温度のグラフを示し、3つの異なるシナリオ:触媒を用いないシナリオ、触媒Cを用いたシナリオおよび触媒Fを用いたシナリオに供した場合に、異なる生成物の蒸留曲線における変化を実証する実証的データを表している。
【0034】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、プラスチックおよび化学物質循環経済のバリューチェーンにおける製品に適用するために、種々のプラスチック廃棄物を、液体、ペースト、固体およびガス状の形態の炭化水素にエネルギー効率よく変換するためのシステムに関する。前記システムは、図1によって表されるように、以下の構成要素を備える:
・ 供給モジュール;
- 材料調製システム(1);
- 貯蔵サイロ(2);
- 供給装置および投入スクリュー(3);
- 固体流量計(33);
- 触媒投入装置(36);
- コンパクタ(4);
- 溶融スクリュー(5);
- 熱交換装置(6);
- 溶融スクリューファン(19);
・ 反応モジュール;
- 主反応装置(7);
- レベルメーター(34);
- バーナーおよび炉(18);
- 還流塔(8);
- 還流ファン(22);
- 熱交換装置(26);
・ 凝縮/分離モジュール;
- 触媒塔(9);
- 凝縮システム(10);
- 熱交換装置(11aおよび11b);
- 水冷却塔(23);
- 全体冷却システムポンプ(30);
- 冷却装置(31);
- 冷却システムポンプ(32);
・ 排ガス/廃r-ガスモジュール;および
- ガス洗浄装置(バブラー)(12);
- 低圧コンプレッサ(13);
- 復熱式熱交換装置(14);
- 合成ガスタンク(廃r-ガス)(16);
- LPGタンク(17);
- 電気エネルギー発生装置(24);
- フレア(25);
・ 排出モジュール
- 排出制御弁(35);
- 焙焼反応装置(15);
- 焙焼反応装置バーナーおよび炉(20);
- 触媒塔ファン(21);
- 焙焼反応装置除去スクリュー(27);
- 炭素灰冷却装置(28);
- 封止スクリュー(29)。
【0035】
第2の実施形態において、本発明は、前述のシステムを用いて、種々のプラスチック廃棄物を液体炭化水素にエネルギー効率良く変換するための方法に関する。前記方法は、以下の工程を含む:
(a) 混入物質の除去および制御、ならびに水の除去を伴う、前記原料の調製;
(b) 均質化および前記熱分解反応装置への前記原料の供給;
(c) 熱分解反応;
(d) 生成した炭化水素の処理、凝縮および分離;
(e) 合成ガスの処理および貯蔵;
(f) 前記主反応装置および第2反応装置を加熱し、且つ電気および熱エネルギーを発生させるための貯蔵合成ガスの使用;
(g) 熱の再利用および燃焼ガスの排出;ならびに
(h) 炭素灰の除去および処理。
【0036】
前記システムの機能および変換方法は、以下でさらに詳細に説明される。
【0037】
最初に、製品の最終仕様を満たすために主な混入物質を除去することおよび処理を最適化するために水を除去することを目的として、機械的および化学的な処理を通して、原料が調製される(1)。このような原料は、埋め立てまたはリサイクルされた材料から得られる。混入物質を除去することに加えて、破砕および粉砕などの手順は、洗浄を容易にするために、粒径を約1インチに低減することを目的とする。さらに、分離および凝集手順は、粒子密度を増加させることを目的とする。それらのそれぞれの目的のための調製段階における主な工程は、受け取ったプラスチック原料の起源および最終製品中の許容される汚染物質の限度に従って変化するが、それらは、それらの最も広範な形態において、以下の工程から構成され得る:
a.1 回転トロンメル篩と同等の、微細な分離篩分け;
a.2 織物や嵩高な物品を除去するための、手動分離ライン;
a.3 磁性鉄材料を除去するための、磁気分離;
a.4 最大粒径250mmに達するための、破砕;
a.5 吸引によるプラスチック(フィルム)の除去;
a.6 最大径25mmの粒子を得るための、粉砕;
a.7 塩化物、酸化物、ケイ素などの混入物質を除去するための、溶液浴による洗浄;
a.8 残留不純物を取り除くための遠心分離乾燥、および初期乾燥;
a.9 前記原料の最終乾燥および見掛け密度の増加のための、凝集;および
a.10 貯蔵および輸送。
【0038】
前記調製工程(1)の結果として、以下の工程に進む原料は、以下の仕様を満たすことができるように、その特性を監視されなければならない:
- 最大含水率5%;
- 200kg/m~450kg/mの間のかさ密度;
- 最大粒径25mm;
- 最大300ppm-mの総塩化物;
- 最大1100ppb-mの総酸化物;
- 最大300ppb-mの窒素;
- 最大500ppb-mの総硫黄;
- 最大15ppm-mのヒ素;
- 最大50ppm-mの銅;
- 最大5ppm-mの水銀;
- 最大5000ppm-mナトリウム;
- 最大150ppm-mの鉛;および
- 最大1100ppm-mのケイ素。
【0039】
これらの許容限度仕様は、最終製品の用途に応じて変更することができる。
【0040】
原料は、調製ラインから、当該原料の均質性を確保することを目的とする約3mの貯蔵サイロ(2)に送られ、加えて、反応装置供給システムの材料需要に応じて常時連続的に供給される。
【0041】
貯蔵サイロ(2)が満杯になると、供給が開始される。貯蔵サイロ(2)を出た後、原料は、供給装置および投入スクリュー(3)を通過する。供給装置および投入スクリュー(3)は、前記サイロ(2)から取り出されたプラスチック原料の流量を標準化し、且つ前記固体流量計(33)における読取り値を前記固体触媒投入装置(36)によって作られる投入量と組み合わせる制御によって、原料の投入に応じて0.1質量%~10質量%の割合で前記コンパクタ(4)に入るときに前記触媒が正確に添加されることを可能にする。この投入量制御は、体積計(33)によって測定されるプラスチック原料の供給質量と、触媒投入装置(36)によって導入される触媒の体積との間の連続的な調整によって行われる。制御パラメータは、処理されるべき原料および所望の製品の仕様/収率に従って与えられる。
【0042】
触媒は、ポリマー分子が分解する速度を増加させ、且つ軽質炭化水素の形成を促進することを目的とする。触媒、主にゼオライト系酸触媒は、原料の投入量に対して0.1質量%~10質量%の割合で(材料の種類および所望の最終生成物に応じて)、コンパクタ(4)に挿入される。この触媒は、サイロ投入アセンブリ(36)に貯蔵され、コンパクタ(4)に投入される。供給システムは、原料をコンパクタ(4)に送り続け、コンパクタは、当該システムに入る酸素の危険性を低減するために、原料の最低濃度を約450kg/mに増加させる機能を有する。さらに、前記システムは、5~60rpmの回転および結果として生じる圧縮力ならびに冷却システムと共に作動する。冷却システムは、温度を下げてそれを最高30℃にて維持して、原料が内部で溶融することを防ぐことができる。コンパクタ(4)は、被覆システムによって冷却される。当該被覆システムは、冷却塔(23)からポンプ(30)によって送られた冷却液と共に入るコーティングに基づく。0.1%~10%の触媒と共に原料を投入した後、コンパクタ(4)は、1:2.5の圧縮比で圧縮し、2つの材料を溶融スクリュー(5)に運ぶ。
【0043】
溶融スクリュー(5)の目的は、材料を200℃~350℃の温度に予熱することである。溶融スクリュー(5)を出た後、材料は熱交換装置(6)に入る。熱交換装置(6)は、材料を350℃~450℃の間で加熱する。この溶融および加熱システムにおけるポリマーの滞留時間は、90秒~600秒の間で変動し得る。この熱交換装置(6)は、材料を加熱するためにそれが主反応装置ジャケット(7)を出た後、炉(18)からの燃焼ガスから熱を受け取る。
【0044】
熱交換装置(6)を出ると、材料は主反応装置(7)に入る。このcstr型反応装置(continuous stirred-tank reactor:連続撹拌タンク反応装置)は、1~30rpmの回転で作動し、且つ時計回りおよび反時計回りの両方で回転することができる、中央に置かれ且つ分割されたアンカー形状のシャフトを有する(図2)。主反応装置(7)は、3.5~7.0のL/D(長さ/直径)指数を有する。主反応装置(7)は、熱分解反応を実行するために前記炉から必要な熱を受け取るようにジャケットが付けられる。パイロット実施の例において、440,000kCal/時間の出力を有するバーナーが使用された。
【0045】
この反応装置のシャフトは、反応物塊を均質化することを目的とし、600~2000kgの重さであり、且つカーボンブラック灰の除去を制御する。前記アンカーの直後の前記シャフトの基部には、シャフトの回転の方向および速度に応じて反応物塊を異なる方向に案内する、ヘリコイド形状の終端部が存在する。この終端部の回転を制御することにより、排出弁(35)および封止スクリュー(29)と共に、反応を半連続的または連続的に行なうことができる。半連続反応において、排出弁(35)は、閉じて動作し、封止スクリュー(29)は、断続的に動作する。連続反応において、排出弁(35)は、主反応装置(7)の生産およびその結果としての封止スクリュー(29)の連続運転に応じて、開口調整を伴って作動する。
【0046】
材料は、350℃~450℃の温度で主反応装置(7)に入る。入ってくると、ペースト状の状態の原料は、反応装置内での滞留時間を最小限にする方法で、その温度が420℃~460℃に達するまで加熱される。この温度範囲において、-20.0~+50.0KPa(-0.2~+0.5バール)のゲージ圧で、熱分解反応が起こり、酸素の不在下で、プラスチック分子が炭素数20~40個、好ましくは炭素数24~28個の分子に分解され、ガス状態になる。前記化学反応は、10分~4時間、好ましくは2~3時間の滞留時間を有し、これは、所望の生成物分布に応じて適用されなければならない。この化学反応は、3つの異なる物理的状態における生成物を生成する:i.固体:広い形態の炭素灰であるが、カーボンブラックまたは活性炭の仕様を満たす;ii.R-ナフサ、R-ディーゼル、パラフィン留分およびその他を含有する熱分解油;iii.廃r-ガス。形成される割合は、1%~35%の固形分、1%~35%の廃r-ガスおよび30%~98%の熱分解油である。このガスは、ラジアルコンプレッサ(13)を通って引き出され、還流塔(8)に送られる。
【0047】
還流塔(8)(図3)は、触媒機能を有する金属が存在しないジャケット付き円錐容器であり、それを通って空気が冷媒として循環し、バッフルおよび環から構成され、有孔プレートを適用せず、これによって上昇流が発生し難く、凝縮物の同伴を引き起こすことなく、冷却された壁との熱交換を増大させる乱流(30,000~300,000のレイノルズ数)を生成し、炭素数20~40個を超える(好ましくは炭素数20~28個)のより大きな分子がプロセスの次の段階に通過するのを防ぐ。これらのより大きな分子は凝縮し、重力によって反応装置に戻り、そこで再び分解される。還流は、220℃~320℃、好ましくは240~280℃の温度に維持され、その温度制御は、そのジャケット内で冷気を循環させるファン(22)によって行われる。還流を出ると、流れは熱交換装置(26)に入る。熱交換装置(26)はファン(19)の駆動力を用いて主反応装置(7)からガスを吸収し、ファン(19)は220℃~600℃の範囲に温度を上昇させることができる。℃。この温度は、前記触媒塔に必要な運転条件に応じて調整される。
【0048】
触媒塔(9)は、3.0~5.0のL/D指数(長さ/直径)を有し、製造される生成物のタイプの仕様において望まれるよりもより大きいサイズの分子の分解を完了することを目的とし、したがって、生成物のより均一な生産を可能にする。触媒塔(9)は、適切な寸法、体積および多孔度の固体触媒床から構成され、生成物の滞留時間が所望の分子破壊が起こるのに十分でなければならないので、使用される触媒の種類に直接依存する。炭化水素ストリームのこの滞留時間は、所望の生成物に応じて2~12秒で変動し得る。触媒作用の有効性のための別の基本的な要因は操作温度であり、当該操作温度は、使用される触媒の種類および所望の最終生成物に従って350℃~550℃でなければならない。使用される触媒は、一般に酸性であり、ゼオライトタイプであり、ゼオライトYまたはクリノプチロライトおよびZSM5アルミニウムシリケート触媒が好ましく使用される。
【0049】
本発明の方法は、当該方法の2つのプロセスにおいて触媒を使用することができる:i.一次分解が起こる主反応装置(7)において、液相触媒とも呼ばれる、ii.二次分解が起こり得る触媒塔(9)において、気相触媒とも呼ばれる。触媒は、各相において、もしくはジョイント操作において、個々に適用することができ、または本発明の堆積プロセスは、触媒なしで操作することができる。しかし、液相または気相であるかにかかわらず、触媒は一般に、より軽質の分解生成物を得るために必要とされるエネルギーレベルを低減するので、好ましくは、触媒は、それらのそれぞれの工程において一緒に使用される。図7(軸Xは累積蒸留質量の%であり、軸Yは温度である)は、触媒なし、触媒C有り、および触媒F有りの3つの異なるシナリオに供された場合に、異なる生成物の蒸留曲線における変化を実証する経験的データを示す。反応装置(7)において生じる、液相における触媒の適用の場合、約10~15%のエネルギーレベルの低減が予想され得、これは熱エネルギー消費の減少につながる。触媒塔(9)内で起こる気相は、異なる種類の触媒を用いてまたは触媒を用いずに、しかし、より軽質の生成物への変換および反応のためのエネルギー消費において異なる効率で、働くことができる。ブラジルおよび国際市場において見られる触媒の異なる仕様は、必要とされる作業条件に触媒塔を適合させるときに、うまく使用することができる。以下の表1は、いくつかの異なる種類の触媒と、生産物の質量収率との関係を示す。
【表1】
【0050】
触媒塔(9)を出た後、ガスは凝縮システム(10)を通過する。凝縮システム(10)は、240℃および310℃の温度でこのガスを凝縮する機能を有する。この工程で凝縮されないガスの体積は、より軽質の分子で構成され、コンデンサへと行って、より低い温度で凝縮される。両方の生成物は、凝縮後に貯蔵タンクへと送られる。
【0051】
縮合の第2の工程は、熱交換装置(11aおよび11b)において行われる。高温の流体は、110℃までの温度で凝縮し、貯蔵領域へと送られる。熱交換装置(11b)は、冷却装置(31)から来る、0℃~-15℃、好ましくは-5℃の冷却水を使用して、炭化水素ストリームの温度を10℃に低下させる。この凝縮物もまた貯蔵場所に送られる。これらの最後に凝縮された油留分は、R-ナフサと呼ばれる。
【0052】
第3の最終凝縮点は、復熱式熱交換装置(14)内にある。この凝縮は、温度の純粋な低下よりはむしろ、コンプレッサ(13)によって得られる圧力の増加によって主に有利である。作業圧力は、30℃~70℃の凝縮温度を使用して、1.5バール~6バールの範囲で変更できる。この追加の軽質熱分解油は、R-ナフサ組成物の一部として熱交換装置(11aおよび11b)において凝縮された前記熱分解油と混合することができるか、または別々に貯蔵し、異なる化学材料において使用することができる。この選択肢は、用途に従って定められ、所望の生産のための要求が規定される。
【0053】
重質熱分解油(r-パラフィン)1~40質量%、中質熱分解油(r-ディーゼル)1~40質量%、ならびに軽質および超軽質熱分解油(r-ナフサ)20~98質量%の収率がある。
【0054】
次いで、熱交換装置(14)を出た不凝縮性ガス(廃r-ガス)は、1.5バール~6バールのより高い圧力に圧縮され、ガス貯蔵システムに送られる。これは、熱エネルギーの生産のために、発電のために、および/または石油化学分解装置の原料のためのr-LPGとして、システムによって再利用される。
【0055】
ガスが使用のために圧縮される前に、それは、ガス洗浄装置(バブラー)(12)内で、処理される材料に応じて0.1~5%、好ましくは0.5%のCaOHまたはNaOHの溶液で、洗浄され得る。別の塩基を使用して、存在する不純物を除去することができる。バブラー(12)は、ガスが上方に入り、アルカリ溶液を通過する洗浄装置として機能する。この工程は特に、二次反応器/焙焼反応装置(15)内で行われる焙焼プロセスにおいて発生するガスのために使用される。
【0056】
コンプレッサ(13)は、主反応装置(7)からのプロセス全体にわたる生産流量を安定化させる機能を有し、また、前述のように、復熱式熱交換装置(14)における超軽質熱分解油の縮合のための条件を保証する。
【0057】
廃r-ガスタンク(16)は、1.5~6barの圧力で廃r-ガスを貯蔵する機能を有する。
【0058】
生成された廃r-ガスの主な用途は、以下に記載されるように、熱分解反応のための熱エネルギーを提供することである。しかしながら、残留r-ガスの過剰な生産があってもよく、電気エネルギー発生装置(24)を介して追加のエネルギー使用のために送ることができる。この発生装置は、電気エネルギーを発生させるとき、燃焼ガスによる加熱または熱吸着による冷却のいずれかのための熱使用も可能にする。3つのエネルギー使用(電気エネルギー、加熱および冷却)はすべて、工業プロセスにおいて使用され、当該プロセス全体のエネルギー効率に寄与する。
【0059】
フレア(25)は、散発的にガスを燃焼させる安全システムであり、緊急時に、または最終的な保守のためにシステムを空にするために使用することができる。
【0060】
残留r-ガスタンク(16)内に貯蔵されたガスの主な用途は、炉(18および20)のための熱エネルギーを提供するバーナーに供給することである。バーナーおよび炉(18)は、反応システム全体を加熱し、750℃~1,200℃の温度で作動する。熱分解反応は、700~900℃の動作温度でこのエネルギーの一部を使用する。この同じ炉内で生成される熱エネルギーはまた、熱交換装置(6)内のプラスチック溶融システムのための、およびリフロー後の前記ストリームを加熱するための熱交換装置(26)のための、熱エネルギーを提供する。
【0061】
バーナーおよび炉(20)は、焙焼反応装置(15)のための熱エネルギーを提供し、触媒塔(9)にもエネルギーを提供する。
【0062】
代替的な燃料ガスはまた、プラントの始動のために、または他の場合においても使用することができる。LPGおよび合成ガスの両方は、主反応装置(7)のバーナーおよび炉(18)に、ならびに焙焼反応装置(15)のバーナーおよび炉(20)に、それらのタンクの貯蔵圧力によって輸送される。
【0063】
バーナーおよび炉(18)のエネルギー使用は、ファン(19)を使用して閉鎖循環路内で熱ガスを再循環させることによって行われる。この循環路は、i.炉(18)、ii.主反応装置ジャケット(7)、iii.還流塔(8)後の熱交換装置(26)、およびiv.プラスチック溶融のための熱交換装置(6)の間で、熱風を循環させる。この閉鎖循環路は、炉バーナー内で合成ガスまたはLPGを燃焼させるための理想的な条件を保証するために、飽和ガスの除去および新鮮な空気の流入を通じた適切なガス交換を有する。炉(18)への戻りガスは、400~550℃の温度を有する。前記バーナーのための理想的な燃焼条件、例えば、-7ミリバール~-10ミリバールの反応装置ジャケット入口における圧力は、再循環空気の化学組成(過剰な混入物質を伴わない、酸素の必要な存在を確実にする)だけでなく、圧力のバランスをとり、燃焼プロセスにおいて最終的に生成される固体不純物を除去することにも関与する。
【0064】
同様に、バーナーおよび炉(20)はまた、触媒塔ファン(22)を駆動力として使用する、熱ガスの再循環を介したエネルギー再利用を有する。この温度は、450~650℃の間で変化する。この場合、エネルギー再利用循環路は、i.炉(20)、ii.焙焼反応装置ジャケット(15)、およびiii.触媒塔ジャケット(9)の間で熱ガスを循環させる。この閉鎖循環路は、ファン循環路(19)などの炉バーナー内でr-ガス/合成ガスまたはLPGを燃焼させるための理想的な条件を保証するために、飽和ガスの除去および新鮮な空気の流入を通じた適切なガス交換を有する。
【0065】
固定床熱分解反応は、副生成物として炭素灰(カーボンブラックまたは活性炭)を生成する。拡張バッチ式反応装置の場合、反応装置/拡張バッチが終了する瞬間まで、反応器動力学の観点から、炭素灰の存在は知覚できず、反応装置床中の残留固体材料を除去する必要がある。拡張バッチ式反応または連続反応の場合、この構成要素の蓄積および濃度における個別の増加が反応の効率を低下させるとき、炭素灰を監視および除去することが必須である。開発されたプロセスは、反応全体にわたって形成された炭素灰を監視および除去するための機構を有する。
【0066】
開発されたプロセス設計を用いた2つの生産形態がここにある:i.15~30時間の生産サイクルを有する拡張バッチ生産(図4)、ii.反応物塊の飽和に起因する灰分を除去するための停止の必要のない連続生産。いずれの場合も、レベルセンサを使用して、炭素灰を除去するために反応物塊の状態および反応物塊に対する作用を監視することが必須である。
【0067】
拡張バッチの場合、排出弁(35)は、主反応装置(7)に収容された材料が完全に排出されたときにのみ開閉するように動作する。主反応装置(7)から取り出された材料が焙焼反応装置(15)に入ると、材料焙焼プロセスが開始し、これは500℃~600℃の温度で起こる。主反応装置(7)中の反応物塊は、飽和点に達するとき、25~45%の炭素灰、好ましくは30%の炭素灰であり、生産量に応じて計算される値であり、主反応装置(7)の内部に位置する炭素灰を取り出す必要がある。飽和点は、反応物塊の温度とガス生産との関係によって決定される(図5)。温度の上昇がもはやより多くの生産物を生産しない場合、好ましくは450~480℃の場合、反応は停止されなければならず、反応物塊を除去するプロセスが開始されなければならない。
【0068】
主反応装置(7)の下3分の1における炭素灰の形成を確実にした後、材料の手動取り出しが開始される。この目的のために、分割シャフトはその回転方向が逆にされ、その速度が増加され、したがって、分割シャフトは、主反応装置(7)から焙焼反応装置(15)内へと材料を送り、そこで炭素灰の焙焼プロセスが実施される。この焙焼プロセスは、カーボンブラックまたは活性炭としてのこの生成物の適用に必要とされる仕様を満たすように、炭素灰が処理されることを確実にすることを目的とする。活性炭素の場合、この生成物を適用するには、例えば、当該生成物は、以下の仕様を満たさなければならない:5%までの湿度(ASTMD2867)、400~600kg/m3の密度(DIN ISO 787-11)、300m2/gの表面積(DIN 66132)、および80%の最小粒子径(<100μm)(CT-PA 17)。この相の間に、材料の加熱および連続的な機械的回転に加えて、化学成分を添加して、必要とされる最終的な化学組成に寄与することができる。焙焼反応装置(15)は、4.3~5.6のL/D(長さ/直径)指数を有し、バーナーおよび炉(20)によって供給される加熱ジャケットを有する。焙焼反応装置温度センサ(15)は、500~6000℃を読み取るまで、反応装置内の材料を加熱し、且つ混合する。この定められた温度および処理時間に達した後、最終生成物(カーボンブラックまたは活性炭のいずれか)を抽出し、貯蔵する。この焙焼プロセスによって最終的に生成されたガスはまた、圧縮システムによって吸収され、バブラー(12)に挿入されると、プラントガスとして使用される。
【0069】
このプロセスはまた、炭素灰を除去するために連続的に操作することもできる。この場合、連続形態は、制御された開口を有する排出弁(35)、材料を挿入する封止スクリュー(29)、および排出方向に20~30rpmで回転する主反応装置シャフト(7)を伴って生じる。これを達成するために、炭素灰濃度の平衡点(10%~30%)に達することが必要である。この場合、主反応装置(7)の分割シャフトは、取り出し速度と反応物塊の安定性との間のバランスを維持するために、20~100rpm、好ましくは30rpmの適切な回転で、材料の反応物塊を除去する方向に回転しなければならない。このバランスはまた、排出弁(35)の運転を通じて維持され、主反応装置(7)の生産と、その結果としての封止スクリュー(29)の連続運転とに応じた開口調整を伴って動作する。
【0070】
この連続的な除去はまた、焙焼反応装置(15)においても行われ、ここでは、上述のように、前記反応装置から除去された材料は、炭素灰の所望の仕様を達成するために、焙焼プロセスおよび化学成分の最終的な添加を受ける。プロセスパラメータおよび仕様は、拡張バッチ操作において上述したものと同じである。
【0071】
焙焼反応装置(16)における焙焼プロセスを経た後、活性炭またはカーボンブラック生成物は、焙焼反応装置(15)から冷却タンク(28)へと、除去スクリュー(27)を通って運ばれ、冷却される(約70℃)まで5~15時間留まる。続いて、活性炭またはカーボンブラック生成物は、主反応装置(7)の材料除去システムの封止スクリュー(29)において使用することができ、またはそれらは、最終貯蔵サイロおよび顧客において使用するためのパッケージングに送られることができる。
【0072】
第3の実施形態において、本発明は、記載された方法に従って製造された炭化水素に関する。上述の炭化水素は、単独でまたは一緒に、以下の最大濃度で、混入物質を存在させてもよいことに留意すべきである。このような最大レベルの混入物質を満たすための制御は、ほとんどの場合、材料調製システム(1)において行われる:
- 300ppm-mの総塩化物;
- 1100ppb-mの総酸化物;
- 300ppb-mの窒素
- 500ppb-mの総硫黄;
- 50ppb-mの二硫化炭素;
- 100ppb-mのメルカプタン;
- 10ppb-mの硫化カルボニル;
- 50ppb-mの硫化水素;
- 15ppm-mのヒ素;
- 50ppm-mの銅;
- 300ppm-mの鉄;
- 5ppm-mの水銀;
- 5000ppm-mのナトリウム;
- 150ppm-mの鉛;および
- 1100ppm-mのケイ素。
【0073】
さらに、生成される炭化水素は、主に、合成ガス、好ましくはプロパン、ブタン、メタン、エタン、プロピレンおよびイソプロピレンであり、最終沸点は30℃であり;軽質炭化水素、好ましくはペンタン、ヘキサンおよびヘプタンであり、初期沸点は30℃であり、且つ最終沸点は80℃であり;ナフサおよびディーゼル、主にアルカン類、パラフィン類、イソパラフィン類およびオレフィン類であり、それぞれ、初期沸点は80℃であり、且つ最終沸点は240℃であり(r-ナフサ)、ならびに初期沸点は240℃であり、且つ最終沸点は310℃であり(r-ディーゼル);パラフィン、主に低密度直鎖パラフィンであり、初期沸点は310℃であり、且つ最終沸点は330℃を超え、好ましくは室温で固体であり、35℃~55℃で液体であり;粒径10~320nm、見掛け密度(dbp)50~120の、カーボンブラック製品の特徴付けのもとでの炭素灰、ならびに5%までの湿度(ASTMD2867)、400~600kg/mの密度(DIN ISO 787-11)、少なくとも300m/gの表面積(DIN 66132)および少なくとも80%の粒径(<100μm)(CT-PA 17)の、活性炭製品としての特徴付けのもとでの炭素灰であってよい。
【0074】
第4の実施形態において、本発明はまた、以下を含む製造された炭化水素の用途にも言及する:
- 加熱用途の化石ガスに代わる瓶詰めリサイクルガス(廃r-ガス);
- リサイクルガスから再生可能エネルギーを生成するための供給源(廃r-ガス);
- バージンプラスチックを製造するために石油化学分解装置においてリサイクルされたナフサ(r-ナフサ);
- 化石ディーゼル油のためのリサイクル添加剤(r-ディーゼル);
- 化石炭化水素に代わる化学工業用リサイクル原料(軽質r-ナフサ/r-ディーゼル);
- 化石原料に代わるリサイクル化学原料(軽質r-ナフサ/r-ディーゼル);
- 化石油に代わる持続可能な燃焼油(軽質r-ナフサ/r-ディーゼル);
- 化石パラフィンに代わる工業用および非工業用のリサイクルパラフィン(r-パラフィン);
- 化石カーボンブラックおよび活性炭に代わるリサイクルカーボンブラックおよび活性炭(カーボンブラックおよび活性炭)
- 埋め立て処分可能な低付加価値プラスチック、多層プラスチックおよび多成分プラスチックの価値設定;
- 化石ナフサに代わるリサイクル源(r-ナフサ)からの石油化学ナフサの製造;
- リサイクル源(r-ディーゼル)からのディーゼルの製造および化石ディーゼルの置換え;
- 化学工業における用途を有する他の炭化水素(r-ヒドロ)の製造;
- 軽質パラフィン(軽質r-パラフィン)の製造;
- 重質パラフィン(重質r-パラフィン)の製造;
- カーボンブラックおよび活性炭(r-カーボンブラックおよびr-活性炭)の製造;
- 合成ガス(廃r-ガス)の製造;ならびに
- 再生可能な供給源からの電気エネルギーの生産。
【0075】
〔本発明の実施形態の例〕
これらのパラメータに限定されない本発明の動作を実証する唯一の目的のために、プロセスの詳細が、以下の図6および表2に示されるように提供される。図6は、運転プラントの全体的なプロセスフローチャートの例と、このプラントの質量およびエネルギーのバランスとを示している。
【表2】
【0076】
本発明は、供給モジュール、反応モジュールおよび排出モジュールをモジュール内に有する運転プラントにおいて実施され、これにより、プラントが配備場所での原料の利用可能性にあわせて調整された生産能力を有することができることに言及することが重要である。本発明の方法は、同じプラント内で並列に稼働する2~9個のモジュールの使用を考慮する。残りのモジュール(材料調製モジュール、分留モジュール、排出モジュール)は、プラントが有するモジュールの数にかかわらず、独特である。図6および表2の特定の場合において、質量およびエネルギーのバランスは、3つの反応モジュールを有するプラントに対して行われる。
【0077】
最後に、本発明がその本質的な特徴から逸脱することなく、異なる方法で実施され得ることを考慮すると、上記の実施例は、本発明がどのように再現され得るかを例示するに過ぎないので、非限定的であると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1図1は、本発明において提案されるシステムの全体的なスキームを示す。
図2図2は、本発明で使用される主反応装置(7)の側面図を示す。
図3図3は、本発明で使用される還流塔(8)の側面図を示す。
図4図4は、15~30時間の生産サイクルを伴う拡張バッチ生産を示し、個別に稼働している主反応装置(7)の総生産に関連するガス×液体の関係性を強調している。
図5図5は、15~30時間の生産サイクルを伴う拡張バッチ生産を示し、一緒に稼働している3つの主反応装置(7)の複合生産を強調している。上の線は、総炭化水素生産量を示し、下の線は油生産量(液体およびパラフィン)を示す。
図6図6は、システムの全体的なスキームを示し、1年の運転期間で一緒に運転される3つの反応装置を有するプラントの質量とエネルギーとのバランスを考慮した本発明の実装例を詳述している。
図7図7は、累積蒸留質量対温度のグラフを示し、3つの異なるシナリオ:触媒を用いないシナリオ、触媒Cを用いたシナリオおよび触媒Fを用いたシナリオに供した場合に、異なる生成物の蒸留曲線における変化を実証する実証的データを表している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
種々のプラスチック廃棄物の、炭化水素へのエネルギー効率のよい変換のためのシステムであって:
・ 供給モジュール;
・ 反応モジュール;
・ 凝縮/分離モジュール;
・ 排ガス/廃r-ガスモジュール;および
・ 排出モジュール
を備え、
前記供給モジュールは、
- 材料調製システム(1);
- 貯蔵サイロ(2);
- 供給装置および投入スクリュー(3);
- 固体流量計(33);
- 触媒投入装置(36);
- コンパクタ(4);
- 溶融スクリュー(5);
- 熱交換装置(6);
- 溶融スクリューファン(19);
を備え、
前記反応モジュールは:
- 主反応装置(7);
- レベルメーター(34);
- バーナーおよび炉(18);
- 還流塔(8);
- 還流ファン(22);
- 熱交換装置(26);
を備え、
前記凝縮/分離モジュールは:
- 触媒塔(9);
- 凝縮システム(10);
- 熱交換装置(11aおよび11b);
- 水冷却塔(23);
- 全体冷却システムポンプ(30);
- 冷却装置(31);
- 冷却システムポンプ(32);
を備え、
前記排ガス/廃r-ガスモジュールは:
- ガス洗浄装置(バブラー)(12);
- 低圧コンプレッサ(13);
- 復熱式熱交換装置(14);
- 合成ガスタンク(廃r-ガス)(16);
- LPGタンク(17);
- 電気エネルギー発生装置(24);
- フレア(25);
を備え、
前記排出モジュールは:
- 排出制御弁(35);
- 焙焼反応装置(15);
- 焙焼反応装置バーナーおよび炉(20);
- 触媒塔ファン(21);
- 焙焼反応装置除去スクリュー(27);
- 炭素灰冷却装置(28);
- 封止スクリュー(29)
を備えているシステム。
【請求項2】
前記供給装置および投入スクリュー(3)は、流量を標準化し、且つ前記固体流量計(33)における読取り値を前記固体触媒投入装置(36)によって作られる投入量と組み合わせる制御によって、前記コンパクタ(4)に入るときに前記触媒が正確に添加されることを可能にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記触媒は、原料の投入量に対して0.1質量%~10質量%の割合で、前記触媒投入装置(36)によって前記コンパクタ(4)に挿入される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コンパクタ(4)は、前記溶融スクリュー(5)への良好な供給を確実にし且つガス戻りを回避するために450kg/m3の最小密度に達することを目的として、5~60rpmの回転によって生成される回転およびその結果として生じる圧縮力を用いて作動する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記コンパクタ(4)は、前記触媒と共に原料を圧縮し、且つそれらを溶融スクリュー(5)に案内する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記溶融スクリュー(5)は、原料を200℃~350℃の温度に予熱する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記溶融スクリュー(5)を出た後に、原料は、熱交換装置(6)に入り、
前記熱交換装置(6)は、350℃~450℃の間で前記原料を加熱する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記熱分解反応は、前記主反応装置(7)において、420℃~460℃の温度範囲で、-20.0~+50.0KPa(-0.2~+0.5バール)のゲージ圧で、10分間~4時間、好ましくは2~3時間の滞留時間で起こる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記主反応装置(7)は、cstr(連続撹拌タンク反応装置)型であり、
1~30rpmの回転で作動し、且つ時計回りおよび反時計回りの両方で回転することができる、中央に置かれ且つ分割されたアンカー形状のシャフトを有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記主反応装置(7)は、3.5~7.0のL/D指数を有し、且つ前記反応熱分解を実行するために前記炉から必要な熱を受け取るようにジャケットが付けられている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記主反応装置(7)は、600~2000kgの重さであるシャフトと、前記アンカーの直後のその基部に存在するヘリコイド形状の終端部と、をさらに備え、前記終端部は、前記排出弁(35)および前記封止スクリュー(29)と共に、炭素灰の除去を連続的または断続的に行なうことを可能にする、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記還流塔(8)の出口における炭化水素ストリームの温度は、レイノルズ数が30,000~300,000であり且つ触媒金属を含まない乱流で、220℃~320℃、好ましくは240℃~280℃に維持され、
温度制御は、そのジャケット内の冷気を循環させるファン(22)によって実行される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記還流塔(8)は、そのジャケット内に、リングと「チャイニーズハット」とのシステムを有する発散型円錐形状を有し、
前記発散型円錐形状は、前記主反応装置(7)の反応装置出力ストリームの流速と組み合わせられて、熱交換を最大にするための乱流を提供し、且つ同時に、重質留分(C20~C28よりも高い鎖を有する分子)が流れて前記主反応装置(7)に戻ることを可能にする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
3.0~5.0のL/D指数を有する前記触媒塔(9)は、2~12秒の滞留時間を可能にし、且つ350℃~550℃の温度触媒作用を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記凝縮システム(10)は、240℃~310℃の温度で前記ガスを凝縮する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記流体は、冷却装置(31)から来る0℃~-15℃、好ましくは-5℃の冷却水を用いて、110℃までの温度で、および10℃までの第2ポイントで、凝縮される、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記復熱式熱交換装置(14)において、前記コンプレッサ(13)によって得られる圧力の増加によって、1.5バール~5バールまで変化する作動圧力および30℃~70℃の凝縮温度を伴って、凝縮が行われる、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記ガスは、ガス洗浄装置(バブラー)(12)において、主にCaOHまたはNaOH溶液を用いて洗浄される、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記廃r-ガスタンク(16)は、前記残留r-ガスを4~12バールの圧力で貯蔵し、且つ熱エネルギーを前記炉(18および20)に供給する前記バーナーに供給する、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
LPGとr-ガス/合成ガスとの両方は、前記主反応装置(7)の前記バーナーおよび炉(18)に、ならびに前記焙焼反応装置(15)の前記バーナーおよび炉(20)に、そのタンクの貯蔵圧力によって輸送される、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記バーナーおよび炉(18)のエネルギー再利用は、溶融スクリューファン(19)を用いて、熱ガスの閉鎖循環路内での再循環によって行われ、前記バーナーおよび炉の入口(18)における前記熱ガスの戻りは、450℃~550℃である、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記バーナーおよび炉(18)における熱風再循環は、炉(18)、主反応装置ジャケット(7)、還流塔(8)後の熱交換装置(26)、およびプラスチック溶融のための熱交換装置(6)の間の閉鎖循環路において行われる、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記主反応装置(7)において発生した炭素灰の排出は、前記排出弁(35)と、前記封止スクリュー(29)と、前記主反応装置シャフト(7)との間のジョイント操作によって行われ、原料を連続的に回転させ、500~6000℃までそれを加熱する前記焙焼反応装置(15)に連結される、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記焙焼反応装置(15)は、4.3~5.6のL/D指数を有し、前記バーナーおよび炉(20)によって供給される加熱ジャケットを有する、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
成物は、前記焙焼反応装置除去スクリュー(27)を通して抽出され、前記炭素灰冷却装置(28)において70℃に冷却され、この焙焼処理によって生成された前記ガスはまた前記凝縮システムによって吸収され、且つプラントガスとして使用され、前記バブラー(12)に挿入され、冷却後、原料はスクリューコンベヤーを通して送られて貯蔵される、請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
請求項1に記載のシステムを用いた、種々のプラスチック廃棄物の炭化水素へのエネルギー効率のよい変換のための方法であって、以下の工程を含む方法:
(a) 混入物質の除去および制御、ならびに水の除去を伴う、原調製すること
(b) 前記原料を均質化することおよび熱分解反応装置供給すること
(c) 熱分解反応を実行すること
(d) 生成した炭化水素処理、凝縮および分離すること
(e) 合成ガス処理および貯蔵すること
(f) 前記主反応装置および第2反応装置を加熱し、且つ電気および熱エネルギーを発生させるため貯蔵合成ガス使用すること
(g) 燃焼ガスを熱的に再利用することおよび排すること;ならびに
(h) 炭素灰除去および処理すること
【請求項27】
工程(a)は、以下のサブ工程を含む、請求項26に記載の方法:
a.1 回転トロンメル篩と同等の、微細な分離篩分け;
a.2 織物や嵩高な物品を除去するための、手動分離ライン;
a.3 磁性鉄材料を除去するための、磁気分離;
a.4 最大粒径250mmに達するため、破砕すること
a.5 吸引によプラスチック(フィルム)除去すること
a.6 最大径25mmの粒子を得るため、粉砕すること
a.7 塩化物、酸化物、ケイ素などの混入物質を除去するため、溶液浴によ洗浄すること
a.8 残留不純物を取り除くため遠心分離乾燥すること、および初期乾燥すること
a.9 前記原料最終的に乾燥するため、および見掛け密度増加させるための、凝集;および
a.10 貯蔵および輸送。
【請求項28】
工程(a)は、様々な種類の廃棄物に含まれるプラスチック材料の受け入れをさらに可能にし、且つ特定の篩分け順序、破砕、吸引、粉砕、洗浄、遠心分離および凝集を含むプロセスで、機械的および化学的にそれらを処理し、
処理済廃棄物は、以下の仕様を満たしている、請求項26に記載の方法:
- 最大含水率5%;
- 200kg/m~450kg/mの間のかさ密度;
- 最大粒径25mm;
- 最大300ppm-mの総塩化物;
- 最大1100ppb-mの総酸化物;
- 最大300ppb-mの窒素;
- 最大500ppb-mの総硫黄;
- 最大15ppm-mのヒ素;
- 最大50ppm-mの銅;
- 最大5ppm-mの水銀;
- 最大5000ppm-mナトリウム;
- 最大150ppm-mの鉛;および
- 最大1100ppm-mのケイ素。
【請求項29】
工程(b)において、前記貯蔵サイロ(2)が満杯であるときに、前記熱分解反応装置への供給が開始され、
前記サイロを出るときに、前記原料は、供給装置および投入スクリュー(3)を通過し、
前記供給装置および投入スクリュー(3)は、流量を標準化し、且つ前記固体流量計(33)における読取り値を前記固体触媒投入装置(36)によって作られる投入量と組み合わせる制御によって、原料の投入に応じて0.1質量%~10質量%の割合で、前記コンパクタ(4)に入るときに前記触媒が正確に添加されることを可能にする、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記コンパクタ(4)は、溶融スクリュー(5)に供給し、当該溶融スクリュー(5)は、前記原料を溶融し、且つその温度を200℃~350℃の間に上昇させ、
前記溶融スクリュー(5)を出た後、前記原料は、熱交換装置(6)に入り、当該熱交換装置(6)は、前記炉(18)内で燃焼された前記ガスから熱を受け取り、350℃~450℃の間で前記原料を加熱し、且つそれを前記主反応装置(7)に供給する、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
工程(c)において、前記熱分解反応は、前記主反応装置(7)において、420℃~460℃の温度範囲で、-20.0~+50.0KPa(-0.2~+0.5バール)のゲージ圧で、10分間~4時間、好ましくは2~3時間の滞留時間の間に起こる、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
工程(d)において、前記生成した炭化水素は、前記凝縮システム(10)における第1ポイント、前記熱交換装置(11aおよび11b)における第2ポイント、および前記復熱式熱交換装置(14)における第3ポイントの、3つのポイントにおいて凝縮される、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記凝縮システム(10)において、前記ガスは、240℃~310℃の温度で凝縮される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記熱交換装置(11aおよび11b)において、前記流体は、110℃までの温度で、および10℃までの第2ポイントで、凝縮される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記復熱式熱交換装置(14)において、30℃~70℃の凝縮温度を使用して、前記作動圧力は、1.5バール~5バールまで変化する、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
工程(e)において、前記廃r-ガスは、4~12バールの圧力で、前記廃r-ガスタンク(16)に貯蔵される、請求項26に記載の方法。
【請求項37】
前記廃r-ガスタンク(16)に貯蔵された前記ガスは、前記炉(18および20)のための熱エネルギーを提供する前記バーナーに供給するために使用され、前記炉は、750℃~1,200℃の温度で作動する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
工程(g)において、前記バーナーおよび炉(18)における前記熱風再循環は、炉(18)、主反応装置ジャケット(7)、還流塔(8)後の熱交換装置(26)、およびプラスチック溶融のための熱交換装置(6)の間の閉鎖循環路において行われ、
前記炉(18)への前記戻りガスは、400℃~550℃の温度を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項39】
工程(h)において、前記焙焼反応装置(15)内で乾燥された後、前記炭素灰は、除去スクリュー(27)を通って、前記焙焼反応装置から冷却タンク(28)へと運ばれ、
それは、冷却されるまで5~15時間にわたって留まる、請求項26に記載の方法。
【請求項40】
前記炭素灰は、前記主反応装置(7)からの前記原料除去システムの前記封止スクリュー(29)において使用されるか、または前記最終貯蔵サイロおよび使用のためのパッケージングに送られる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記方法は、連続的に、または拡張バッチにおいて行われ、
前記連続的な形態は、開口が制御された前記排出弁(35)と、材料を挿入する前記封止スクリュー(29)と、排出方向に20~30rpmの間で回転する前記主反応装置シャフト(7)とを伴って生じ、
前記拡張バッチでは、前記排出弁(35)は閉じて動作し、前記主反応装置(7)に含まれる前記材料の完全な排出の瞬間にのみ開く、請求項26に記載の方法。
【請求項42】
請求項26に記載の方法に従って製造された炭化水素であって、
前記炭化水素は、合成ガス、軽質炭化水素、r-ナフサ、r-ディーゼル、パラフィンおよびカーボンブラックまたは活性炭からなるリサイクル源からの、液体、ペースト状、固体およびガス状である、炭化水素。
【請求項43】
前記合成ガスは、30℃の最終沸点を有し、プロパン、ブタン、メタン、エタン、プロピレンおよびイソプロピレンからなる群から選択される、請求項42に記載の炭化水素。
【請求項44】
r-ナフサは、30℃の初期沸点および240℃の最終沸点を有し、アルカン類、パラフィン類、イソパラフィン類およびオレフィン類からなる群から選択される、請求項42に記載の炭化水素。
【請求項45】
前記r-ディーゼルは、240℃の初期沸点および310℃の最終沸点を有し、アルカン類、パラフィン類、イソパラフィン類およびオレフィン類からなる群から選択される、請求項42に記載の炭化水素。
【請求項46】
前記パラフィンは、310℃の初期沸点および330℃を超える最終沸点を有し、室温で固体であり、35℃~55℃で液体であり、低密度直鎖パラフィンからなる群から選択される、請求項42に記載の炭化水素。
【請求項47】
前記カーボンブラックは、10~320nmの粒径および50~120の見掛け密度(dbp)を有し、ならびに
前記活性炭は、5%までの湿度、400~600kg/m3の密度、少なくとも300m2/gの表面積および少なくとも80%の粒径(<100μm)を有する、請求項42に記載の炭化水素。
【請求項48】
請求項42に記載の炭化水素であって:
- 加熱用途の化石ガスに代わる瓶詰めリサイクルガス(廃r-ガス);
- リサイクルガスから再生可能エネルギーを生成するための供給源(廃r-ガス);
- バージンプラスチックを製造するために石油化学分解装置においてリサイクルされたナフサ(r-ナフサ);
- 化石ディーゼル油のためのリサイクル添加剤(r-ディーゼル);
- 化石炭化水素に代わる化学工業用リサイクル原料(軽質r-ナフサ/r-ディーゼル);
- 化石原料に代わるリサイクル化学原料(軽質r-ナフサ/r-ディーゼル);
- 化石油に代わる持続可能な燃焼油(軽質r-ナフサ/r-ディーゼル);
- 化石パラフィンに代わる工業用および非工業用のリサイクルパラフィン(r-パラフィン);
- 化石カーボンブラック(カーボンブラック)に代わるリサイクルカーボンブラックおよび化石材料に代わるリサイクル活性炭
として用いるための、炭化水素
【請求項49】
求項48に記載の炭化水素であって
- 埋め立て処分可能な低付加価値プラスチック、多層プラスチックおよび多成分プラスチックの価値設定;
- 化石ナフサに代わるリサイクル源(r-ナフサ)からの石油化学ナフサの製造;
- リサイクル源(r-ディーゼル)からのディーゼルの製造および化石ディーゼルの置換え;
- 化学工業における用途を有する他の炭化水素(r-ヒドロ)の製造;
- 軽質パラフィン(軽質r-パラフィン)の製造;
- 重質パラフィン(重質r-パラフィン)の製造;
- カーボンブラックおよび活性炭(r-カーボンブラックおよびr-活性炭)の製造;
- 合成ガス(廃r-ガス)の製造;ならびに
- 再生可能な供給源からの電気エネルギーの生産
において用いるための、炭化水素
【国際調査報告】