(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】インテリジェントエネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
H02J7/00 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561256
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 CN2022087975
(87)【国際公開番号】W WO2022228247
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】202110465244.7
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518143495
【氏名又は名称】天揚精密科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】林 子閔
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲ディ▼程
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB02
5G503BB03
5G503BB05
5G503CA11
5G503DA07
5G503GB03
5G503GD06
(57)【要約】
本発明は、外部電源及び負荷に電気的に接続され、第1のエネルギー貯蔵装置と、第2のエネルギー貯蔵装置と、少なくとも1つのコンバータと、コントローラと、を備えたインテリジェントエネルギー貯蔵システムを提供する。第1のエネルギー貯蔵装置は、電気エネルギーを貯蔵するために用いられ、第2のエネルギー貯蔵装置は、外部電源及び負荷に電気的に接続される。コンバータは、第1のエネルギー貯蔵装置と第2のエネルギー貯蔵装置との間に電気的に接続される。コントローラは、第1のエネルギー貯蔵装置又は第2のエネルギー貯蔵装置の少なくとも1つの電気的特性を検出するために用いられ、コンバータの出力電圧及び出力電流を調節する。エネルギー貯蔵モードでは、外部電源を電力供給源として使用し、第2のエネルギー貯蔵装置を介して第1のエネルギー貯蔵装置を充電し、エネルギー伝達モードでは、第1のエネルギー貯蔵装置を電力供給源として使用し、第2のエネルギー貯蔵装置を充電する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源及び負荷に電気的に接続されたインテリジェントエネルギー貯蔵システムであって、
電気エネルギーを貯蔵するために用いられるリチウム電池構造と、
前記外部電源及び前記負荷に電気的に接続されるキャパシタ構造であって、エネルギー貯蔵モードでは、前記外部電源を電力供給源として使用し、前記キャパシタ構造を介して前記リチウム電池構造を充電し、前記キャパシタ構造の第2の電圧値が第2の下限電圧値よりも低く、同時に、前記リチウム電池構造の第1の電圧値が第1の下限電圧値よりも大きい場合、エネルギー伝達モードに入り、前記リチウム電池構造を電力供給源として使用し、前記キャパシタ構造を充電するキャパシタ構造と、
前記リチウム電池構造と前記キャパシタ構造との間に電気的に接続され、出力電圧及び出力電流の調整に用い、前記リチウム電池構造が前記キャパシタ構造を一方向に充電できるようにするか、前記外部電源が前記キャパシタ構造及び前記コンバータを介して前記リチウム電池構造を一方向に充電できるようにする少なくとも1つのコンバータと、
前記リチウム電池構造の前記第1の電圧値又は前記キャパシタ構造の第2の電圧値の検出に用い、前記リチウム電池構造の大電流充電又は放電を回避し、前記リチウム電池構造の保護の目的を達成するために、前記コンバータの前記出力電圧及び前記出力電流を調節するコントローラと、を備えることを特徴とする、インテリジェントエネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
前記コンバータは、オフ状態、充電制御状態及び放電制御状態を含み、前記オフ状態では、前記コンバータは充電又は放電動作を実行せず、前記充電制御状態では、前記外部電源が前記キャパシタ構造及び前記コンバータを介して前記リチウム電池構造を一方向に充電し、前記放電制御状態では、前記リチウム電池構造は前記コンバータを介して前記キャパシタ構造充電を一方向に充電することを特徴とする、請求項1に記載のインテリジェントエネルギー貯蔵システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記リチウム電池構造の前記第1の電圧値、第1の電流値又は前記キャパシタ構造の前記第2の電圧値を検出することによって、前記コンバータの前記オフ状態、前記充電制御状態及び前記放電制御状態間の切り替えを制御することを特徴とする、請求項2に記載のインテリジェントエネルギー貯蔵システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記キャパシタ構造の前記第2の電圧値が外部電源の電力供給状態に適合することを検出した後、前記エネルギー貯蔵モードに入ることを特徴とする、請求項1に記載のインテリジェントエネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
前記エネルギー貯蔵モードにおいて、前記リチウム電池構造の前記第1の電圧値が第1の上限電圧値に達するか、前記リチウム電池構造の前記第1の電流値が第1の下限電流値に達するまで、前記コンバータは前記充電制御状態にあり、前記コントローラにより、前記充電動作を実行せずに、前記コンバータを制御して前記オフ状態に切り替えることを特徴とする、請求項3に記載のインテリジェントエネルギー貯蔵システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記キャパシタ構造の前記第2の電圧値が外部電源の電力供給停止状態に適合することを検出した後、前記負荷は、前記リチウム電池構造及び前記キャパシタ構造の少なくとも一方を電力供給源として使用することを特徴とする、請求項2に記載のインテリジェントエネルギー貯蔵システム。
【請求項7】
前記エネルギー伝達モードに入る場合、前記コンバータは、前記キャパシタ構造の前記第2の電圧値が第2の上限電圧値に達するまで前記放電制御状態にあることを特徴とする、請求項2に記載のインテリジェントエネルギー貯蔵システム。
【請求項8】
前記エネルギー貯蔵モード又は前記エネルギー伝達モードにおいて、前記コンバータが前記充電制御状態又は前記放電制御状態にある場合、前記コントローラにより前記コンバータを調節して前記リチウム電池構造又は前記キャパシタ構造を充電し、定電流充電モード及び定電圧充電モードを順に実行することを特徴とする、請求項2に記載のインテリジェントエネルギー貯蔵システム。
【請求項9】
前記定電流充電モードから前記定電圧充電モードに切り替える条件は、所定の上限充電電圧値を満足することであることを特徴とする、請求項8に記載のインテリジェントエネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
スイッチング回路をさらに備え、前記コントローラは、前記コンバータを制御して前記オフ状態に切り替え、前記スイッチング回路は前記リチウム電池構造と前記キャパシタ構造をオンにし、前記リチウム電池構造による前記キャパシタ構造の高速充電の目的を達成することを特徴とする、請求項2に記載のインテリジェントエネルギー貯蔵システム。
【請求項11】
前記負荷は、前記エネルギー伝達モードに入るスターターモーターを含み、以下の公式を満足することを特徴とする、請求項1に記載のインテリジェントエネルギー貯蔵システム。
R
M = 7.2 V / CCA、及び、V
2min = CCA × (R
C+R
L+R
M)
式中、V
2minは前記キャパシタ構造の前記第2の下限電圧値であり、CCAは前記キャパシタ構造が前記スターターモーターを起動するコールドクランキングアンペア数であり、R
Cは前記キャパシタ構造の内部抵抗値であり、R
Lは前記キャパシタ構造の配線抵抗値であり、R
Mは前記スターターモーターの抵抗値である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵システム、特にインテリジェントエネルギー貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、様々な生活用品に広く使用されており、内燃機関(以下、「エンジン」という)を動力源とするキャリアにおいてエンジンの始動に使用される電池はその一例である。現在市販されている自動車やオートバイの多くは駆動や蓄電に鉛蓄電池を使用しているが、鉛蓄電池は鉛を含むプロセスで作られて環境に優しくないほか、一般に寿命が2~3年しかなく、この種の従来型の鉛蓄電池は、正極板、負極板、セパレータ、電池タンク、電解液、接続端子などで構成、蓄電池の原理は、化学エネルギーと直流エネルギーを相互に変換し、放電後にエネルギーを充電することで、繰り返し貯蔵及び使用することである。現在、鉛蓄電池を使用してエンジンを始動させる機器は、瞬間的に大電流を流す必要があるため、使用を繰り返すと鉛蓄電池が劣化しやすい。これにより内部抵抗が増加するが、そのままの流される電流でエンジンを始動すると、鉛蓄電池の劣化が加速し、鉛蓄電池が徐々に故障する。鉛蓄電池は、流される電流の違いにより、その寿命に影響を与える。さらに、鉛蓄電池のデメリットとしては、内部抵抗の絶え間ない増加による寿命の短縮に加え、過充電時に危険な可燃性水素ガスが発生する可能性があること、過放電時に多量の硫酸鉛の結晶により電解液や鉛板が不可逆的な損傷を受け、電池の深刻な劣化を招き、蓄電容量が大幅に低下又はゼロになることが挙げられる。さらに鉛蓄電池は重量が重く、体積も大きく、廃棄後の環境への高い汚染リスクがあるため、理想的ではない。
【0003】
そのため、業界は近年、鉛蓄電池の寿命を延ばしたり、鉛蓄電池に代替するために、スーパーキャパシタパック及びリチウム(鉄)バッテリを開発してきた。現在、スーパーキャパシタパックと鉛蓄電池の併用用途はあるが、起動中及び起動後に両者が組み合わされた蓄電量、大電流及び電圧安定化などのメリットを十分に発揮できていない。現状、リチウム(鉄)バッテリの使用には、依然として大電流放電による寿命短縮の問題があり、かつ、リチウム(鉄)バッテリの充電電流を制御することができない。したがって、スーパーキャパシタパック及びリチウム(鉄)バッテリを鉛蓄電池に代替すると同時に、リチウム(鉄)バッテリの大電流充電又は放電を回避し、リチウム(鉄)バッテリ寿命の寿命を延長する技術の解決が急務となっている。
【発明の概要】
【0004】
上記欠点を考慮し、上記改善目的を達成するために、本発明で開示するインテリジェントエネルギー貯蔵システムは、外部電源及び負荷に電気的に接続され、インテリジェントエネルギー貯蔵システムは、電気エネルギーを貯蔵するために用いられる第1エネルギー貯蔵装置と、外部電源及び負荷に電気的に接続される第2のエネルギー貯蔵装置と、を備える。エネルギー貯蔵モード(Energy Storage Mode)では、外部電源を電力供給源として使用し、第2のエネルギー貯蔵装置を介して第1のエネルギー貯蔵装置を充電し、エネルギー伝達モード(Energy Transfer Mode)では、第1のエネルギー貯蔵装置を電力供給源として使用し、第2のエネルギー貯蔵装置を充電する。インテリジェントエネルギー貯蔵システムも、第1のエネルギー貯蔵装置と第2のエネルギー貯蔵装置との間に電気的に接続され、出力電圧及び出力電流の調整に用い、第1のエネルギー貯蔵装置が第2のエネルギー貯蔵装置を一方向に充電できるようにするか、外部電源が第2のエネルギー貯蔵装置を介して第1のエネルギー貯蔵装置を一方向に充電できるようにする少なくとも1つのコンバータと、第1のエネルギー貯蔵装置又は第2のエネルギー貯蔵装置の少なくとも1つの電気的特性を検出するために用い、第1のエネルギー貯蔵装置の電流充電又は放電を回避し、第1のエネルギー貯蔵装置の保護の目的を達成するために、コンバータの出力電圧及び出力電流を調節するコントローラと、を備える。
【0005】
さらに、上記の目的を達成するために、本発明で開示するインテリジェントエネルギー貯蔵システムにおいて、第1のエネルギー貯蔵装置は、リチウム(鉄)バッテリ、三元系リチウム電池などのいずれか1つ又はその組み合わせを含むリチウム電池構造である。第2のエネルギー貯蔵装置は、スーパーキャパシタ、スーパーキャパシタパック、キャパシタパックなどのいずれか1つ又はその組み合わせを含むキャパシタ構造である。外部電源は、電力供給源として用いられ、発電機、一外部電池などのいずれか1つ又はその組み合わせを含む。外部電源は負荷に必要な電力を提供するために用いられる。また、第2のエネルギー貯蔵装置は、外部電源に電気的に接続される。外部電源が外部電源の電力供給状態にある場合、すなわち、エネルギー貯蔵モードでは、外部電源は第2のエネルギー貯蔵装置を介してコンバータに接続された後、さらに第1のエネルギー貯蔵装置に接続される。コントローラによりコンバータの出力電圧及び出力電流を制御して、第1のエネルギー貯蔵装置を充電する。つまり、外部電源が出力する電気エネルギーは、コンバータを介して第1のエネルギー貯蔵装置に一方向に充電される。
【0006】
さらに、上記の目的を達成するために、本発明で開示するインテリジェントエネルギー貯蔵システムにおいて、コントローラは、第1のエネルギー貯蔵装置の少なくとも1つの電気的特性を検出する。電圧測定装置及び電流測定装置を介して、第1のエネルギー貯蔵装置の第1の電圧値及び第1の電流値をそれぞれ測定する。コントローラは、第2のエネルギー貯蔵装置の少なくとも1つの電気的特性を検出し、電圧測定装置により第2のエネルギー貯蔵装置の第2の電圧値を測定する。ここで、第1のエネルギー貯蔵装置の第1の電圧値、第1の電流値及び第2のエネルギー貯蔵装置の第2の電圧値は、それぞれコントローラに提供され、それによってコントローラはコンバータの出力電圧及び出力電流を調節する。
【0007】
さらに、上記の目的を達成するために、本発明で開示するインテリジェントエネルギー貯蔵システムにおいて、コンバータは、オフ状態、充電制御状態及び放電制御状態を含む。オフ状態では、コンバータは充電又は放電動作をしない。充電制御状態では、外部電源は第2のエネルギー貯蔵装置及びコンバータを介して第1のエネルギー貯蔵装置を一方向に充電する。放電制御状態では、第1のエネルギー貯蔵装置はコンバータを介して第2のエネルギー貯蔵装置を一方向に充電する。
【0008】
さらに、上記の目的を達成するために、本発明で開示するインテリジェントエネルギー貯蔵システムにおいて、コントローラは、検出された第1のエネルギー貯蔵装置又は第2のエネルギー貯蔵装置の少なくとも1つの電気的特性に応じて、コンバータのオフ状態、充電制御状態及び放電制御状態間の切り替えを制御する。
【0009】
さらに、上記の目的を達成するために、本発明で開示するインテリジェントエネルギー貯蔵システムにおいて、コントローラが第2のエネルギー貯蔵装置の第2の電圧値が外部電源の電力供給状態に適合することを検出した後、エネルギー貯蔵モードに入る。コントローラは、コンバータを制御して充電制御状態に切り替え、外部電源を電力供給源として使用し、第1のエネルギー貯蔵装置が高電位に達するまで、すなわち、第1のエネルギー貯蔵装置の第1の電流値が第1の下限電流値に達するまで、第2のエネルギー貯蔵装置及びコンバータを介して第1のエネルギー貯蔵装置を一方向に充電する。
【0010】
さらに、上記の目的を達成するために、本発明で開示するインテリジェントエネルギー貯蔵システムにおいて、コントローラが第2のエネルギー貯蔵装置の第2の電圧値が外部電源の電力供給停止状態に適合することを検出した後、負荷は第1のエネルギー貯蔵装置及び第2のエネルギー貯蔵装置の少なくとも一方を電力供給源として用いられる。第2のエネルギー貯蔵装置の電力が負荷が必要とする電力を供給するのに不足している場合、すなわち、第2のエネルギー貯蔵装置の第2の電圧値が第2の下限電圧値よりも低い場合、エネルギー伝達モードに入り、コントローラはコンバータを制御して放電制御状態に切り替え、第1のエネルギー貯蔵装置を放電して電力供給源として使用し、第2のエネルギー貯蔵装置が高電位に達するまでコンバータを介して第2のエネルギー貯蔵装置を一方向に充電し、すなわち、第2のエネルギー貯蔵装置の第2の電圧値が第2の上限電圧値に達した場合、コントローラはコンバータを制御してオフ状態に切り替え、コンバータが充電又は放電動作をしないようにする。
【0011】
さらに、上記の目的を達成するために、本発明で開示するインテリジェントエネルギー貯蔵システムは、外部電源が電力供給停止状態にある場合、負荷は第2のエネルギー貯蔵装置を電力供給源として使用する。コントローラが、第2のエネルギー貯蔵装置の第2の電圧値が急激かつ連続的に低下したことを検出した場合、負荷は長時間にわたって大電力を必要とすると考えられる。コントローラは、スイッチング回路を制御して、第1のエネルギー貯蔵装置及び第2のエネルギー貯蔵装置をオンにし、第1のエネルギー貯蔵装置及び第2のエネルギー貯蔵装置を共同で電力供給源として使用し、負荷が必要とする長時間の大電力の要求に対し、電力供給を行う。
【0012】
さらに、上記の目的を達成するために、本発明で開示するインテリジェントエネルギー貯蔵システムは、エネルギー貯蔵モードにおいて、コンバータが充電制御状態に切り替わる場合、コントローラはコンバータを調節して第1のエネルギー貯蔵装置を一方向に充電し、定電流充電モード及び定電圧充電モードを順に実行する。定電流充電モードから定電圧充電モードに切り替える条件は、所定の上限充電電圧値を満足することである。
【0013】
さらに、上記の目的を達成するために、本発明で開示するインテリジェントエネルギー貯蔵システムは、エネルギー伝達モードにおいて、コンバータが放電制御状態に切り替わる場合、コントローラによりコンバータを調節して第2のエネルギー貯蔵装置を一方向に充電し、定電流充電モード及び定電圧充電モードを順に実行し、定電流充電モードから定電圧充電モードに切り替える条件は、所定の上限充電電圧値を満足することである。
【0014】
本発明で開示するインテリジェントエネルギー貯蔵システムの詳細な構造、特徴、実装又は使用方法は、後続の実施形態の詳細な説明で説明される。しかしながら、当業者であれば、これら詳細な説明及び本発明を実施するために列挙した特定の実施形態は、専ら本発明を説明するためのものであって、本発明の技術的試案を限定するものではないことを理解できるはずである。
【0015】
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は本発明の実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態は、1つのコンバータを備えたインテリジェントエネルギー貯蔵システムの概略図である。
【
図2】第2の実施形態は、2つのコンバータを備えたインテリジェントエネルギー貯蔵システムの概略図である。
【
図3】第3の実施形態は、1つのコンバータ及び1つのスイッチング回路を備えたインテリジェントエネルギー貯蔵システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明で開示するインテリジェントエネルギー貯蔵システムの構成要素、工程及び達成される効果を、対応する好ましい実施形態を添付図面と併せて列挙することによって説明するが、各添付図面におけるインテリジェントエネルギー貯蔵システムの構成要素、寸法及び外観は、専ら本発明の技術的特徴を説明するために使用されるものであって、本発明を限定するものではない。
【0018】
また、本明細書で使用される「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」などの用語は、すべてオープン用語であり、すなわち、「含むが、これらに限定されない」ことを意味する。さらに、本明細書で使用される“及び/又は”には、関連する列挙された項目における1つ又は複数の項目の任意の1つ及びそのすべての組み合わせが含まれる。
【0019】
本発明で開示するインテリジェントエネルギー貯蔵システムは、第1のエネルギー貯蔵装置10及び第2のエネルギー貯蔵装置20の組み合わせ構造を提供する。ここで、第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態のインテリジェントエネルギー貯蔵システムは、エネルギー電池とパワー電池の組み合わせ構造を提供する。ここで、エネルギー電池はリチウム電池構造であり、パワー電池はキャパシタ構造である。すなわち、第1のエネルギー貯蔵装置はリチウム電池構造であり、第2のエネルギー貯蔵装置はキャパシタ構造である。この構造は従来の鉛蓄電池及び負荷/発電機が電気的に接続された構造に代替され、無鉛永久電池の目的を達成する。外部負荷及び発電機に必要な鉛蓄電池をキャパシタ構造で代替し、発電機の時折の瞬間的な電圧ジャンプはキャパシタ構造によって吸収され、発電機のDC電源を安定させる。したがって、負荷電力と発電機の電圧の安定化の両方が、いずれもキャパシタ構造により実現される。発電機が電力供給状態にある場合、リチウム電池構造は、電力を蓄えるためにのみ使用される。発電機が電力供給停止状態に入った後、リチウム電池構造は、自家消費又は車載機器の電力消費によりキャパシタ構造によって失われる電気エネルギーを提供する。以上は、本発明のインテリジェントエネルギー貯蔵システムの構成にかかる説明であり、次に、本発明のインテリジェントエネルギー貯蔵システムの動作及び効果について詳細に説明する。
【0020】
図1に示される第1の実施形態を参照すると、本発明は、外部電源400及び負荷500に電気的に接続されたインテリジェントエネルギー貯蔵システム100を提供する。インテリジェントエネルギー貯蔵システム100は、電気エネルギーを貯蔵するために用いられる第1のエネルギー貯蔵装置10と、外部電源400及び負荷500と電気的に接続された第2のエネルギー貯蔵装置20と、第1のエネルギー貯蔵装置10と第2のエネルギー貯蔵装置20との間に電気的に接続されたコンバータ30と、第1のエネルギー貯蔵装置10又は第2のエネルギー貯蔵装置20の少なくとも1つの電気的特性を検出し、コンバータ30の出力電圧及び出力電流を調節するために用いられるコントローラ40と、を備える。エネルギー貯蔵モードでは、外部電源400を電力供給源として使用し、第2のエネルギー貯蔵装置20及びコンバータ30を介して第1のエネルギー貯蔵装置10を一方向に充電する。すなわち、コントローラ40は、コンバータ30を制御して出力電圧V
1crg及び一出力電流I
1crgを調節し、外部電源400が第2のエネルギー貯蔵装置20を介して第1のエネルギー貯蔵装置10を一方向に充電できるようにし、第1のエネルギー貯蔵装置10が大電流充電の影響を受けることを回避する。エネルギー伝達モードでは、第1のエネルギー貯蔵装置10を電力供給源として使用し、コンバータ30を介して第2のエネルギー貯蔵装置20を一方向に充電する。すなわち、コントローラ40は、コンバータ30を制御して出力電圧V
2crg及び一出力電流I
2crgを調節し、第1のエネルギー貯蔵装置10が第2のエネルギー貯蔵装置20を一方向に充電できるようにし、第1のエネルギー貯蔵装置10が大電流放電又は過放電の影響を受けることを回避する。前記技術的手段により、第1のエネルギー貯蔵装置10の保護と、第1のエネルギー貯蔵装置10の使用寿命の延長を達成する。
【0021】
本発明の第1の実施形態では、自動車を例とする。第1のエネルギー貯蔵装置10は、リチウム(鉄)バッテリである。第2のエネルギー貯蔵装置20は、スーパーキャパシタパックである。外部電源400は、負荷500が必要とする電力を提供するために用いられる発電機である。負荷500は、スターターモーターや、車載機器などのいずれか1つ又はその組み合わせを含み、スーパーキャパシタパックは、発電機、スターターモーター及び車載機器に直接電気的に接続され、コンバータ30は、リチウム(鉄)バッテリとスーパーキャパシタパックとの間に位置し、出力電圧及び出力電流を調整するために、リチウム(鉄)バッテリとスーパーキャパシタパックにそれぞれ電気的に接続される。自動車が走行しているとき、外部電源の電力供給状態に適合した後、発電機は電気を生成して、スーパーキャパシタパック及びコンバータ30を介してリチウム(鉄)バッテリを一方向に充電できるようにする。また、自動車のエンジンが停止すると、外部電源の電力供給停止状態に適合した後、スーパーキャパシタパックにより負荷500が必要とする電力を提供する。スーパーキャパシタパックの電力が負荷500が必要とする電力を提供するには不足している場合、コンバータ30を介してスーパーキャパシタパック充電を一方向に充電するためにリチウム(鉄)バッテリを放電することができる。ただし、本発明の第1のエネルギー貯蔵装置10はリチウム(鉄)バッテリに限定されず、第2のエネルギー貯蔵装置20はスーパーキャパシタパックに限定されず、外部電源は発電機に限定されず、負荷はスターターモーターと車載機器に限定されるものではない。
【0022】
第1の実施形態におけるコンバータ30は、リチウム(鉄)バッテリへの一方向充電機能及びスーパーキャパシタパックへの一方向充電機能をそれぞれ有した双方向充電機能を有する。コンバータ30は、オフ状態、充電制御状態及び放電制御状態を含む。オフ状態では、コンバータ30はリチウム(鉄)バッテリへの充電動作や、リチウム(鉄)バッテリの放電動作を行わない。充電制御状態では、発電機を電力供給源として、スーパーキャパシタパック及びコンバータ30を介してリチウム(鉄)バッテリ充電を一方向に充電する。放電制御状態では、リチウム(鉄)バッテリを電力供給源として、コンバータ30を介してスーパーキャパシタパックを一方向に充電する。
【0023】
第1の実施形態の具体的動作方法をさらに説明すると、はじめに、コンバータ30はオフ状態にあり、コンバータ30は充電又は放電動作を行わない。コントローラ40が、スーパーキャパシタパックの第2の電圧値V2が外部電源の電力供給状態、例えば、コンバータ30がオフ状態又は放電制御状態に適合することを検出した後、同時に、第2のエネルギー貯蔵装置20の第2の電圧値V2が所定の起動電圧値を満足するまで上昇するか、第2の電圧値V2の変化量が所定の起動電圧差値を満足するか、自動車が始動信号を発した場合、エネルギー貯蔵モードに入る。コントローラ40は、充電制御状態に対応する制御信号CScrgをコンバータ30に提供し、コンバータ30を調節して出力電圧V1crg及び出力電流I1crgを生成する。コンバータ30は充電制御状態に切り替えられ、発電機を電力供給源として使用し、リチウム(鉄)バッテリの第1の電圧値が必要に応じて予め設定された所定の第1の下限電圧値V1minよりも高い任意の電圧値に達し、即ち、好ましくは全電位又は定格電圧に設定された所定の第1の上限電圧値V1maxに達するか、コントローラ40が、リチウム(鉄)バッテリの第1の電流値I1が第1の下限電流値I1minに達したことを検出するまで、スーパーキャパシタパック及びコンバータ30を介してリチウム(鉄)バッテリを一方向に充電する。本実施形態の第1の下限電流値I1minは0.2Cに設定されても良い。コントローラ40はオフ状態に対応する制御信号CSoffをコンバータ30に提供して、コンバータ30をオフ状態に切り替え、充電動作を実行しないことにより、リチウム(鉄)バッテリの過充電を防止することができる。
【0024】
コントローラ40が、スーパーキャパシタパックの第2の電圧値V2が外部電源の電力供給停止状態に適合することを検出した後、例えば、コンバータ30はオフ状態にあり、同時に、第2のエネルギー貯蔵装置20の第2の電圧値V2が所定のエンジン停止電圧値を満足するまで低下するか、第2の電圧値V2の変化量が所定のエンジン停止電圧差値を満足するか、自動車がエンジン停止信号を発した場合、スーパーキャパシタパックの第2の電圧値V2が過度に低くなり、この現象は不足電圧とも呼ばれ、スーパーキャパシタパックがスターターモーターにコールドクランキングアンペア(CCA, Cold Cranking Ampere)を正常に提供できないことを意味する。つまり、スーパーキャパシタパックは、スターターモーターの起動のために十分な電流を供給することができない。したがって、コントローラ40が、スーパーキャパシタパックの第2の電圧値V2が第2の下限電圧値V2minよりも低いことを検出すると同時に、コントローラ40がリチウム(鉄)電池の第1の電圧値V1が第1の下限電圧値V1minよりも大きいことを検出した場合、エネルギー伝達モードに入る。第1の下限電圧値V1minは、リチウム(鉄)バッテリの過放電を防止するために、リチウム(鉄)バッテリが過放電圧値に達する値に設定される。コントローラ40は、コンバータ30に放電制御状態に対応する制御信号CSdiscrgを提供し、コンバータ30が生成する出力電圧V2crg及び出力電流I2crgを調節し、コンバータ30を放電制御状態に切り替え、リチウム(鉄)バッテリを電力供給源として使用する。コントローラ40が、スーパーキャパシタパックの第2の電圧値V2が好ましくは全電位又は定格電圧に設定された所定の第2の上限電圧値V2maxに達したことを検出するか、コントローラ40が、リチウム(鉄)バッテリの第1の電圧値V1が第1の下限電圧値V1minよりも低いことを検出するまで、スーパーキャパシタパックを一方向に充電する。コントローラ40は、オフ状態に対応する制御信号CSoffをコンバータ30に提供し、コンバータ30をオフ状態に切り替え、リチウム(鉄)バッテリの放電動作を行わず、必要に応じて、ブザー、表示又は光警告のいずれか1つ又はその組み合わせを含む警告を発することができる。
【0025】
本発明の第1の実施形態のエネルギー伝達モードにおいて、スーパーキャパシタパックの第2の下限電圧値V2min及び第2の上限電圧値V2maxの設定方法は次のとおりである。自動車を例にとると、従来の自動車スターターモーターの負荷電流は自動車の排気量CCに関連する。排気量とは内燃式エンジンが一度の完全な発動サイクルで吸入する空気とガスの混合物の総体積を指し、通常は立方センチメートル(CC)で表される。排気量の多寡は、車両のパワーの強弱、加速性能、燃料消費量、CO2排出量に関係する。コールドクランキングアンペア(CCA)の最低電流値はスタータバッテリの仕様により設定されている。例えば、12ボルトのスタータバッテリは、少なくとも7.2ボルト以上の電圧アンペア数を維持しながら、0°Fの温度で30秒間供給できると定義できるが、スタータバッテリの7.2ボルト電圧値に対応する電流が、コールドクランキングアンペアの最低電流値よりも低い場合、スタータバッテリの瞬間的な放電の電力は不足し、つまり、スタータバッテリは十分な電流をスターターモーターに供給することができない。通常、スタータバッテリの定格が1600CC~2000CCの場合、500Aのコールドクランキングアンペア数(CCA)のスタータバッテリを使用する必要がある。本発明のインテリジェントエネルギー貯蔵システムは、スーパーキャパシタパックの合計CCAによりスターターモーターの電流が完全に提供される。例えば、スーパーキャパシタパックは直列の6個のスーパーキャパシタからなり、各スーパーキャパシタの電圧は2.8Vであり、スーパーキャパシタパックの最大電圧は2.8Vx6=16.8Vである。したがって、スーパーキャパシタパックは500Aを引き出せるまで昇圧する。スーパーキャパシタパックの内部抵抗と配線抵抗を加えた値は0.013Ωであり、500Aを引き出せるスーパーキャパシタバンクの第2の下限電圧値V2minは13.7Vであり、計算方法は、7.2V/500A=0.0144Ω,V2min/(0.013Ω+0.0144Ω)=500Aである。したがって、第2の下限電圧値V2minがスーパーキャパシタパックに並列接続される外部電源の電圧値よりも低く、スーパーキャパシタパックの電圧値が第2の下限電圧値V2minよりも高い値を維持するように設計することが好ましい。例えば、外部電源が12V系の自動車発電機の場合、発電機の充電電圧は、一般的に14.2V以上であり、第2の下限電圧値V2minは13.7Vに設定して、スーパーキャパシタパックが随時十分な電流をスターターモーターに提供して起動することができるようにする。また、スーパーキャパシタパックの第2の上限電圧値V2maxは必要に応じて第2の下限電圧値V2minよりも高い任意の電圧値に設定することができ、全電位又は定格電圧に設定することが好ましく、例えば、スーパーキャパシタパックの第2の上限電圧値V2maxは15.8Vに設定することができる。
【0026】
本発明の第1の実施形態におけるインテリジェントエネルギー貯蔵システムは、スーパーキャパシタパックを利用して、大電流及び電圧安定化の特性を達成することができる。自動車を例にとると、スーパーキャパシタパックは、発電機、スターターモーター、車載機器と直接電気的に並列に接続され、起動スターターモーターを効果的に起動し、及び発電機の電圧安定化の作用を奏しながら、車載機器の安定性及び使用寿命を向上させることができる。リチウム(鉄)バッテリは、起動スターターモーター及び発電機の電圧安定化の動作に直接関与せず、はリチウム(鉄)バッテリは、スターターモーターの起動の瞬間(<5ms)の大電流を提供する必要がない。発電機のAC電圧安定化にあたっては、自動車の走行期間における時折の瞬間的な電圧ジャンプはスーパーキャパシタパックによって吸収され、すなわち、スーパーキャパシタパックのみが電圧安定化を支援するため、リチウム(鉄)電池は連鎖波や大きな充電電流を受けることがないので、リチウム(鉄)バッテリの寿命を延長することができる。
【0027】
例えば、リチウム(鉄)バッテリの電力は30AHrsであり、エネルギー貯蔵モードでは、発電機が始動した後、発電機を電力供給源として使用し、スーパーキャパシタパック及びコンバータ30を介してリチウム(鉄)バッテリを一方向に充電する。コンバータ30は、0.5C最大15Aの充電ICを用いて制御可能な出力電流及び制御可能な出力電圧でリチウム(鉄)バッテリを充電し、リチウム(鉄)バッテリの大電流充電の可能性を回避することができる。エネルギー伝達モードでは、スーパーキャパシタパックに補充電力供給の必要があるとき、リチウム(鉄)バッテリを放電して電力供給源として使用する。コンバータ30は、1C最大30Aの充電ICを用いて制御可能な出力電流及び制御可能な出力電圧でスーパーキャパシタパックを一方向に充電し、リチウム(鉄)バッテリの大電流放電の可能性を回避することができる。上述の機序により、リチウム(鉄)バッテリが大電流により損傷することなく、蓄電、電圧安定化及び瞬間大電流の必要を満足することができる。本実施形態コンバータ30は、1つ又は複数の昇圧/降圧モジュール(boost/buck module)を備えるが、本発明はこれに限定されるものではなく、昇圧/降圧モジュールは方向性を有し、一方向に電圧源を受信し、それを1つ又は複数の出力電圧に変換することができ、昇圧/降圧モジュールの設計は、リチウム(鉄)バッテリとスーパーキャパシタパックの電位によって決定され、昇圧モード又は降圧モードで動作する。その名が示すように、“昇圧モード”が示すのはある電圧が昇圧して別の電圧を得ることであり、“降圧モード” が示すのはある電圧が降圧して別の電圧を得ることである。
【0028】
エネルギー貯蔵モードとエネルギー伝達モードのどちらであるかにかかわらず、コンバータ30が充電制御状態又は放電制御状態にある場合、コントローラ40によりコンバータ30を調節してリチウム(鉄)バッテリ又はスーパーキャパシタパックを一方向に充電する。好ましい充電モードは、定電流充電モード(CCモード)と定電圧充電モード(CVモード)を順に実行することである。充電を開始したばかりのとき(リチウム(鉄)バッテリ又はスーパーキャパシタパックが低電力状態にあると仮定するが、これに限定されない)、リチウム(鉄)バッテリ又はスーパーキャパシタパックの充電モードは定電流充電モードである。このとき、充電電流は固定され、相対的に高い充電電流になる。したがって、リチウム(鉄)バッテリ又はスーパーキャパシタパックに充電される蓄電容量は相対的に大きく、速度も相対的に速いため、リチウム(鉄)バッテリ又はスーパーキャパシタパックの蓄電容量は迅速に充当されることがでる。リチウム(鉄)バッテリ又はスーパーキャパシタパックに充電される蓄電容量がほぼ満たされ、上限充電電圧値に近くなると、リチウム(鉄)バッテリ又はスーパーキャパシタパックの充電モードは定電圧充電モードに切り替えられて充電される。このとき、電圧は固定され、充電電流は下降するので、充電速度は遅くなり、リチウム(鉄)バッテリ又はスーパーキャパシタパックが満充電の好ましい状態に近づく。
【0029】
また、例えば、自動車にアイドリングエンジン停止システムが搭載されている場合、始動回数は一般車両のN倍となるため、汚染及び燃料消費量の削減のために、一部の自動車製造メーカーは新世代モデルに起動/停止(start/stop)システムを追加している。自動車が停止したときにはエンジンを切り、運転者の足がブレーキペダルからアクセルペダルに移動すると、自動的にエンジンを再始動する。これにより、都市部の運転やストップアンドゴー交通時の燃料消費量を削減すると同時に、大気汚染を軽減することができる。本発明のインテリジェントエネルギー貯蔵システム100は、アイドリングエンジン停止システム(起動/停止システム)を搭載した自動車に電力を供給することができる。一般的なスターターモーターの始動サイクル数と比較して、始動サイクル数はN倍である。Nは算術平均または四捨五入した桁の正の整数である。したがって、自動車が停止したときにはエンジンが停止する。すなわち、発電機が電力を供給しておらず、外部電源の電力供給停止状態に適合した後、スーパーキャパシタパックにより、例えば、エアコン、オーディオ又はヘッドライトなどの自動車上の車載機器の電子消費電力を供給するために用いられ、スーパーキャパシタパックの継続的な電力損失が発生する。したがって、コントローラ40が、スーパーキャパシタパックの第2の電圧V2が第2の下限電圧V2minよりも低いことを検出した場合、コントローラ40はコンバータ30を制御して放電制御状態に切り替え、リチウム(鉄)バッテリを放電する。スーパーキャパシタパックの第2の電圧値V2が第2の上限電圧V2maxに達するまで、コンバータ30を介してスーパーキャパシタパックを一方向に充電し、補充電力を供給し、次のエンジン起動に供ずる。自動車の走行期間において、すなわち、発電機の電力供給が外部電源の電力供給状態に適合した後、コントローラ40はコンバータ30を制御して充電制御状態に切り替える。発電機の電力は、好ましくは全電位又は定格電圧である所定の第1の上限電圧値V1maxに達するまで、スーパーキャパシタパック及びコンバータ30を介してリチウム(鉄)バッテリに一方向に充電される。スーパーキャパシタパックの第2の電圧値V2は、発電機の電圧と等電位であるか、それよりわずかに高い。
【0030】
図2に示される第2の実施形態を参照すると、本発明のインテリジェントエネルギー貯蔵システム200と第1の実施形態インテリジェントエネルギー貯蔵システム100は大まかに同一であり、両者の差異は、第2の実施形態は、2つの異なる方向のコンバータ30a及びコンバータ30bを有することに過ぎない。ここで、コンバータ30aは、第1のエネルギー貯蔵装置10と第2のエネルギー貯蔵装置20との間に電気的に接続される。外部電源の電力供給停止状態に適合した後、例えば、コントローラ40がスーパーキャパシタパックの第2の電圧値V
2が低すぎることを検出した場合、スーパーキャパシタパックは、負荷500に必要な電力を正常に提供することができないので、エネルギー伝達モードに入り、コントローラ40はコンバータ30aを制御して放電制御状態に切り替え、リチウム(鉄)電池を電力供給源として使用し、コンバータ30aを介してスーパーキャパシタパックを一方向に充電するが、他のコンバータ30bはオフ状態にあるので、リチウム(鉄)バッテリは、負荷500全体の電力提供及び発電機に対する電圧安定化の動作には直接関与しない。外部電源の電力供給状態に適合した後、エネルギー貯蔵モードに入り、コントローラ40はコンバータ30bを制御して充電制御状態に切り替え、発電機を電力供給源として使用し、発電機はスーパーキャパシタパックによりコンバータ30bを介してリチウム(鉄)バッテリを一方向に充電するが、他のコンバータ30aはオフ状態にある。
【0031】
図3に示される第3の実施形態を参照すると、本発明のインテリジェントエネルギー貯蔵システム300と第1の実施形態インテリジェントエネルギー貯蔵システム100は大まかに同一であり、両者の差異は、第1のエネルギー貯蔵装置10と第2のエネルギー貯蔵装置20のオン及びオフの切り替えに用いるスイッチング回路50を追加したことに過ぎない。発電機が電力供給を停止した場合、外部電源の電力供給停止状態に適合した後、第2のエネルギー貯蔵装置20により負荷500が必要とする電力を提供する。コントローラ40が第2のエネルギー貯蔵装置20の第2の電圧値V
2が継続して高速に低下していることを検出した場合、負荷500は依然として大きな電力消費を継続的に有し、コントローラ40はオフ状態に対応する制御信号CS
offをコンバータ30に提供し、コンバータ30をオフ状態に切り替え、充電又は放電動作を行わない。同時に、コントローラ40は、対応する制御信号CS
fastを提供し、スイッチング回路50が第1のエネルギー貯蔵装置10と第2のエネルギー貯蔵装置20をオンにする。第1の実施形態コンバータ30の充電電流30Aと比べて、第3の実施形態はより高い充電電流、例えば、70Aを提供することができ、第1のエネルギー貯蔵装置10による第2のエネルギー貯蔵装置20の高速充電を達成し、負荷500の大電力要求を迅速に満足することができる。ここで、スイッチング回路50は、例えば、半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)、リレー(Relay)及び少なくとも1つのスイッチから構成される電磁スイッチが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
【0032】
本発明インテリジェントエネルギー貯蔵システムの変形実施形態中(図示せず)において、コントローラ40が第2のエネルギー貯蔵装置20の第2の電圧値V2が外部電源の電力供給停止状態に適合することを検出した後、負荷500は第1のエネルギー貯蔵装置を電力供給源として使用することができ、又は、負荷500は第2のエネルギー貯蔵装置20を電力供給源として使用することができ、又は、負荷500は第1のエネルギー貯蔵装置10及び第2のエネルギー貯蔵装置20を電力供給源として使用することができる。
【0033】
本発明のインテリジェントエネルギー貯蔵システムの応用は、自動車、オートバイ、漁船に限定されるものではなく、インテリジェントエネルギー貯蔵システム自体は1つの独立したバッテリであり、保護を達成できるとともに、インテリジェントエネルギー貯蔵システムの使用寿命を延長することができ、キャリア及び内燃機関は終始1つのインテリジェントエネルギー貯蔵システムを使用するだけでよく、蓄電、電圧安定化及び大電流の要求を満足することもできる。ここで、電圧安定化によりキャリア及び内燃機関、燃料油又は電気制御がより効率的かつ安定的になり、空気汚染を低減することができる。本発明は、内燃機関を動力源とする任意のキャリア又はバッテリを必要する電力機器に応用することができ、デザインを変更することなく、工場に提供することができるので、アフターマーケットの要求を満足することもできる。
【0034】
最後に、本発明の上記の実施形態で開示された構成要素は、専ら例示説明を目的とするものにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図したものではなく、他の同等の構成要素の置換又は変化も、本発明の技術的解決策の範囲に含まれることを強調する。
【0035】
最後に、上記の実施形態は、専ら本発明の技術的解決策を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明は、上記の実施形態を参照して詳細に説明されたが、当業者は、依然として、上記の実施形態で説明された技術的解決策を修正し、又は技術的特徴の一部又は全部について同等の置換を実行することができる。これらの修正又は置換は、対応する技術的解決策の本質を本発明の実施形態の技術的解決策の範囲から逸脱させるものではないことを理解するべきである。
【国際調査報告】