(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】二段階展開シースのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/962 20130101AFI20240327BHJP
A61F 2/07 20130101ALI20240327BHJP
【FI】
A61F2/962
A61F2/07
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561340
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 US2021025919
(87)【国際公開番号】W WO2022216276
(87)【国際公開日】2022-10-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】エバン ハニーフィールド
【テーマコード(参考)】
4C097
4C267
【Fターム(参考)】
4C097AA15
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC16
4C097MM09
4C267AA45
4C267BB11
4C267BB19
4C267BB26
4C267BB32
4C267BB40
4C267CC09
4C267CC19
(57)【要約】
長手方向の長さを有し、第一の直径まで圧縮され、第二の直径まで展開されるように動作可能な拡張可能なデバイスを含む、インプラント可能なメディカルデバイスであって、前記第二の直径は前記第一の直径よりも大きく、前記第一の部分は前記拡張可能デバイスの長手方向の長さよりも小さく、前記第二の部分は拡張可能デバイスの長手方向の長さよりも短い。メディカルデバイスは、前記拡張可能なデバイスの前記第一の部分を前記第一の直径に拘束するように動作可能な第一の拘束部材、及び、前記拡張可能なデバイスの前記第二の部分を前記第一の直径に拘束するように動作可能な第二の拘束部材を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の長さを有し、第一の直径まで圧縮され、第二の直径まで展開するように動作可能な拡張可能なデバイス、ここで、前記第二の直径は前記第一の直径よりも大きく、前記拡張可能なデバイスの長手方向の長さよりも短い第一の部分と、前記拡張可能なデバイスの長手方向の長さよりも短い第二の部分とが前記拡張可能なデバイス上に画定されており、
前記第一の直径で前記拡張可能なデバイスの前記第一の部分を拘束するように動作可能である第一の拘束部材、及び、
前記第一の直径で前記拡張可能なデバイスの前記第二の部分を拘束するように動作可能である第二の拘束部材、
を含む、インプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項2】
前記第一の拘束部材は第一の解放ゾーンを画定し、前記第二の拘束部材は第二の解放ゾーンを画定する、請求項1に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項3】
前記第一の拘束部材は第一の展開ラインをさらに含み、前記第一の展開ラインは、前記第一の展開ラインに張力をかけることによって前記第一の解放ゾーンに沿って前記第一の拘束部材を解放するように構成されており、そして
前記第二の拘束部材は第二の展開ラインをさらに含み、前記第二の展開ラインは、前記第二の展開ラインに張力をかけることによって前記第二の解放ゾーンに沿って前記第二の拘束部材を解放するように構成されている、請求項2に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項4】
前記第一の解放ゾーンは、前記第一の展開ラインを横切って第一の張力が加えられたときに解放されるように構成され、
前記第二の解放ゾーンは、前記第二の展開ラインを横切って第二の張力が加えられたときに解放されるように構成されており、
前記第一の張力は前記第二の張力よりも大きい、請求項3に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項5】
前記第一の解放ゾーンは、前記第一の展開ラインを横切って第一の張力が加えられたときに解放されるように構成され、
前記第二の解放ゾーンは、前記第二の展開ラインを横切って第二の張力が加えられたときに解放されるように構成されており、そして
前記第一の張力は前記第二の張力よりも小さい、請求項3に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項6】
前記第二の拘束部材は、拡張可能部材の第一の部分の少なくとも一部にわたって延在する、先行の請求項のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項7】
前記第二の拘束部材は、前記第一の拘束部材と前記拡張可能部材との間に配置され、前記第二の拘束部材は、前記拡張可能部材の前記第一の部分の少なくとも一部の上に延在する、請求項6に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項8】
前記第二の拘束部材は、前記第一の拘束部材及び前記拡張可能部材の外側に配置され、前記第二の拘束部材は、前記拡張可能部材の前記第一の部分の少なくとも一部の上に延在する、請求項6に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項9】
前記第二の拘束部材は裏返し部分を含む、先行の請求項のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項10】
前記第二の拘束部材の裏返し部分は、前記拡張可能部材の第一の部分及び前記第一の拘束部材の少なくとも一部の周囲に配置される、請求項9に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項11】
前記第二の拘束部材の裏返し部分は、前記拡張可能部材の長手方向の長さに沿って配置される、請求項10に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項12】
前記第一の拘束部材は、第一の複数のストランドを含む第一のニットスリーブを含む、先行の請求項のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項13】
前記第二の拘束部材は、第二の複数のストランドを含む第二のニットスリーブを含む、先行の請求項のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項14】
前記第一のニットスリーブ及び前記第二のニットスリーブは編まれている、請求項12又は13のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項15】
前記第一の拘束部材及び前記第二の拘束部材は経編である、先行の請求項のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項16】
前記第一の拘束部材は、前記第二の拘束部材が解放された後に解放するように動作可能である、先行の請求項のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項17】
前記第一の展開ラインは、前記第二の拘束部材が解放されたときに、前記第一の展開ラインが前記第一の拘束部材の解放を作動させるようにアクセス可能であるように前記第二の拘束部材と係合している、請求項3~16のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項18】
前記第一の展開ラインは、前記第二の拘束部材が前記拡張可能部材から離れる方向に平行移動したときに、前記第一の展開ラインに張力がかかり、前記第一の拘束部材の解放を作動させるように、前記第二の拘束部材に結合されている、請求項17に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項19】
前記第一の複数のストランド及び前記第二の複数のストランドは、ストランドの厚さ、ストランドデニール、ストランド摩擦係数、ストランド材料、ストランドコーティング、ストランド処理、ストランド剛性のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含めて、一致するストランド特性を含む、請求項12~18のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項20】
前記第一の複数のストランド及び前記第二の複数のストランドは、ストランドの厚さ、ストランドデニール、ストランド摩擦係数、ストランド材料、ストランドコーティング、ストランド処理、ストランド剛性のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含めて、異なるストランド特性を含む、請求項12~18のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項21】
前記第二の複数のストランドは前記第一の複数のストランドから延在している、請求項12~20のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項22】
近位端と遠位端とを有する拡張可能部材、ここで、前記拡張可能部材は、前記近位端と前記遠位端との間に画定される長手方向長さを有し;
前記拡張可能部材の長手方向長さの全体より短い第一の部分で前記拡張可能部材の周りに配置された第一の拘束部材、ここで、前記第一の拘束部材は、前記拡張可能部材を前記第一の部分で拘束直径に維持し;及び、
第一のセグメント及び裏返されたセグメントを含む第二の拘束部材、ここで、前記第二の拘束部材の前記第一のセグメントは、前記第一の拘束部材が前記拡張可能部材の周囲に配置されていない前記長手方向長さの残りの部分である安定化部分において前記拡張可能部材の周囲に配置され、前記第二の拘束部材は前記拡張可能部材を前記安定化部分において前記拘束直径で維持し、前記第二の拘束部材の裏返されたセグメントは、前記第二の拘束部材の前記第一のセグメント及び前記拡張可能部材の前記安定化部分の周りに配置されている、
を含む、インプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項23】
前記第一の拘束部材は、第一の解放ゾーン及び第一の展開ラインをさらに含み、前記第二の拘束部材は、第二の解放ゾーン及び第二の展開ラインをさらに含む、請求項22に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項24】
前記第一の展開ラインは、少なくとも第一の展開力が前記第一の展開ラインに加えられるときに、前記第一の解放ゾーンを解放するように動作可能であり、前記第二の展開ラインは、少なくとも第二の展開力が前記第二の展開ラインに加えられるときに、前記第二の解放ゾーンを解放するように動作可能である、請求項23に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項25】
前記第一の展開力は前記第二の展開力よりも大きい、請求項24に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項26】
前記第一の展開力は前記第二の展開力よりも小さい、請求項24に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項27】
前記第一の拘束部材は第一の複数の経編ストランドを含む、請求項22~26のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項28】
前記第二の拘束部材は第二の複数の経編ストランドを含む、請求項22~27のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項29】
前記第二の拘束部材の裏返されたセグメントは、前記第一の拘束部材の周りに配置される、請求項22~28のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項30】
前記拡張可能部材の安定化部分は、前記第二の拘束部材が前記拡張可能部材から取り外されるときに、第二の直径に展開するように動作可能である、請求項22~29のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項31】
前記第一の展開ラインは、前記第二の拘束部材が解放され、そして前記拡張可能部材の安定化部分が展開された後に前記第一の拘束部材が解放されるように動作可能であるように、前記第二の拘束部材と係合する、請求項23~30のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項32】
前記拡張可能部材の前記第一の部分は前記拡張可能部材の近位端まで延在している、請求項22~31のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項33】
前記拡張可能部材の前記安定化部分は前記拡張可能部材の遠位端まで延在している、請求項22~32のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項34】
第二のシースは、前記拡張可能部材の近位端が最初に展開されるように解放されるように構成されている、請求項22~33のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項35】
第一のシースは、前記拡張可能部材の近位端が、遠位端が展開された後に展開されるように、第二のシースが解放された後に解放されるように構成されている、請求項22~34のいずれか1項に記載のインプラント可能なメディカルデバイス。
【請求項36】
拡張可能部材を半径方向内側に圧縮すること;
第一の複数のストランドを編んで第一の展開ラインを有する第一の拘束部材を形成すること;
前記第一の拘束部材を前記拡張可能部材の第一の部分に取り付けること;
第二の複数のストランドを編んで第二の拘束部材を形成すること;
前記第二の拘束部材を前記拡張可能部材の第二の部分に取り付けること;及び、
前記第二の拘束部材のあるセグメントを前記拡張可能部材の第二の部分の上に裏返すこと、
を含む、インプラント可能なメディカルデバイスを製造する方法。
【請求項37】
前記第一の拘束部材の第一の解放ゾーン及び前記第二の拘束部材の第二の解放ゾーンの解放を開始することをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項38】
前記第一の解放ゾーンの第一の端部が前記拡張可能部材の近位端の近くに位置するまで、前記第一の解放ゾーンを部分的に解放することをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第二の解放ゾーンの第二の端部が拡張可能部材の近位端の近くに位置するまで、前記第二の解放ゾーンを部分的に解放することをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
インプラント可能なメディカルデバイスを展開する方法であって、
患者の管腔内に拡張可能部材を配置すること、ここで、インプラント可能なメディカルデバイスの第一の部分は圧縮構成で第一の拘束部材によって拘束され、前記拡張可能部材の第二の部分は圧縮構成で第二の拘束部材によって拘束され;
前記第二の拘束部材を前記拡張可能部材の第二の部分から除去すること;
前記第一の拘束部材を前記拡張可能部材の第一の部分から除去すること;
を含む、方法。
【請求項41】
第二の展開ラインの自由端を拡張可能なメディカルデバイスから離れた位置に保持すること、ここで、前記第二の展開ラインは、前記第二の拘束部材を前記拡張可能部材から係合解除するように構成された前記第二の拘束部材の第二の解放ゾーンと係合されており;及び、
前記第二の展開ラインの前記自由端に十分な力を加えて、前記第二の解放ゾーンを作動させること、
をさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
第一の展開ラインの自由端に十分な力を加えて、前記第一の拘束部材の解放ゾーンを作動させることをさらに含み、前記第一の展開ラインは前記第一の拘束部材の解放ゾーンと係合されており、前記第一の拘束部材の解放ゾーンは、前記第一の拘束部材を前記拡張可能部材から係合解除するように構成されている、請求項41に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、概して、インプラント可能なメディカルデバイスのデリバリーに使用されるカバーを含む装置、システム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、デバイスデリバリー中に拡張可能なインプラント可能なメディカルデバイスを拘束するためのカバーを含む装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
インプラント可能なメディカルデバイスの低侵襲デリバリー技術には、外傷、感染のリスク及び回復時間の低減など、様々な利点がある。インプラント可能なメディカルデバイスの例としては、動脈、静脈、気道、胃腸管及び胆道を含む体内の管状通路を半径方向に支持、治療及び/又はさもなければ増強するために利用されるステント及びステントグラフトが挙げられる。インプラント可能なメディカルデバイスのさらなる例としては、人工弁(例えば、人工心臓弁)が挙げられる。経カテーテルデリバリーは、そのようなインプラント可能なメディカルデバイスをデリバリーするための技術であり、デリバリーされるメディカルデバイスは、デリバリーのために直径方向に圧縮された状態で始まり、その後に、患者の体内の治療部位で拡張される(例えば、自己拡張又は手動拡張可能)。
【0003】
ステント、ステントグラフト、人工弁、フィルタ及び他のインプラント可能物は、(例えば、膨張可能なバルーンを使用して)塑性変形させることによって展開することができ、又は自己拡張し、崩潰された又は拘束されたデリバリー直径から拡張された展開直径まで弾性的に回復することを可能にすることができる。
【0004】
例えば、1998年6月15日に出願された「遠隔的に取り外し可能なカバー及び支持体」という発明の名称の米国特許第6,224,627号明細書には、とりわけ、高い内圧を保持できる薄い管状の複数フィラメント(フィルム又は繊維)構造が記載されている。所望のときには、フィラメントの延長部分を任意の方向に引っ張って構造を広げることができる。この構造は、自己拡張型ステント又はステントグラフトデリバリーシステム、バルーン拡張カテーテル、カテーテル用の取り外し可能なガイドワイヤ管腔、薬剤注入又は吸引カテーテル、ガイドワイヤ結束用ケーシング、取り外し可能なフィルタ、取り外し可能なワイヤ絶縁体、取り外し可能なパッケージ及びその他の用途を拘束及び展開するのに有用であることができる。
【発明の概要】
【0005】
要旨
開示される様々な概念は、インプラント可能なメディカルデバイスに関する。1つの例(「例1」)によれば、インプラント可能なメディカルデバイスは、長手方向の長さを有し、第一の直径まで圧縮され、第二の直径まで展開するように動作可能な拡張可能なデバイス、ここで、前記第二の直径は前記第一の直径よりも大きく、前記拡張可能なデバイスの長手方向の長さよりも短い第一の部分と、前記拡張可能なデバイスの長手方向の長さよりも短い第二の部分とが前記拡張可能なデバイス上に画定されており、前記第一の直径で前記拡張可能なデバイスの前記第一の部分を拘束するように動作可能である第一の拘束部材、及び前記第一の直径で前記拡張可能なデバイスの前記第二の部分を拘束するように動作可能である第二の拘束部材を含む。
【0006】
例1に加えて、別の例(「例2」)によれば、前記第一の拘束部材は第一の解放ゾーンを画定し、前記第二の拘束部材は第二の解放ゾーンを画定する。
【0007】
例2に加えて、別の例(「例3」)によれば、前記第一の拘束部材は第一の展開ラインをさらに含み、前記第一の展開ラインは、前記第一の展開ラインに張力をかけることによって前記第一の解放ゾーンに沿って前記第一の拘束部材を解放するように構成されており、そして前記第二の拘束部材は第二の展開ラインをさらに含み、前記第二の展開ラインは、前記第二の展開ラインに張力をかけることによって前記第二の解放ゾーンに沿って前記第二の拘束部材を解放するように構成されている。
【0008】
例3に加えて、別の例(「例4」)によれば、前記第一の解放ゾーンは、前記第一の展開ラインにわたって第一の張力が加えられたときに解放されるように構成され、前記第二の解放ゾーンは、前記第二の展開ラインにわたって第二の張力が加えられたときに解放されるように構成されており、前記第一の張力は前記第二の張力よりも大きい。
【0009】
例3に加えて、別の例(「例5」)によれば、前記第一の解放ゾーンは、前記第一の展開ラインにわたって第一の張力が加えられたときに解放されるように構成され、前記第二の解放ゾーンは、前記第二の展開ラインにわたって第二の張力が加えられたときに解放されるように構成されており、前記第一の張力は前記第二の張力よりも小さい。
【0010】
先行の例のいずれかに加えて、別の例(「例6」)によれば、前記第二の拘束部材は、拡張可能部材の第一の部分の少なくとも一部にわたって延在する。
【0011】
例6に加えて、別の例(「例7」)によれば、前記第二の拘束部材は、前記第一の拘束部材と前記拡張可能部材との間に配置され、前記第二の拘束部材は、前記拡張可能部材の前記第一の部分の少なくとも一部の上に延在する。
【0012】
例6に加えて、別の例(「例8」)によれば、前記第二の拘束部材は、前記第一の拘束部材及び前記拡張可能部材の外側に配置され、前記第二の拘束部材は、前記拡張可能部材の前記第一の部分の少なくとも一部の上に延在する。
【0013】
先行の例のいずれかに加えて、別の例(「例9」)によれば、前記第二の拘束部材は裏返し部分を含む。
【0014】
例9に加えて、別の例(「例10」)によれば、前記第二の拘束部材の裏返し部分は、前記拡張可能部材の第一の部分及び前記第一の拘束部材の少なくとも一部の周囲に配置される。
【0015】
例10に加えて、別の例(「例11」)によれば、前記第二の拘束部材の裏返し部分は、前記拡張可能部材の長手方向の長さに沿って配置される。
【0016】
先行の例のいずれかに加えて、別の例(「例12」)によれば、前記第一の拘束部材は、第一の複数のストランドを含む第一のニットスリーブを含む。
【0017】
先行の例のいずれかに加えて、別の例(「例13」)によれば、前記第二の拘束部材は、第二の複数のストランドを含む第二のニットスリーブを含む。
【0018】
例12又は13に加えて、別の例(「例14」)によれば、前記第一のニットスリーブ及び前記第二のニットスリーブは編まれている。
【0019】
先行の例のいずれかに加えて、別の例(「例15」)によれば、前記第一の拘束部材及び前記第二の拘束部材は経編である。
【0020】
先行の例のいずれかに加えて、別の例(「例16」)によれば、前記第一の拘束部材は、前記第二の拘束部材が解放された後に解放するように動作可能である。
【0021】
例3~16のいずれか1つに加えて、別の例(「例17」)によれば、前記第一の展開ラインは、前記第二の拘束部材が解放されたときに、前記第一の展開ラインが前記第一の拘束部材の解放を作動させるようにアクセス可能であるように前記第二の拘束部材と係合している。
【0022】
例17に加えて、別の例(「例18」)によれば、前記第一の展開ラインは、前記第二の拘束部材が前記拡張可能部材から離れる方向に平行移動したときに、前記第一の展開ラインに張力がかかり、前記第一の拘束部材の解放を作動させるように、前記第二の拘束部材に結合されている。
【0023】
例12~18のいずれか1つに加えて、別の例(「例19」)によれば、前記第一の複数のストランド及び前記第二の複数のストランドは、ストランドの厚さ、ストランドデニール、ストランド摩擦係数、ストランド材料、ストランドコーティング、ストランド処理、ストランド剛性のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含めて、一致するストランド特性を含む。
【0024】
例12~18のいずれか1つに加えて、別の例(「例20」)によれば、前記第一の複数のストランド及び前記第二の複数のストランドは、ストランドの厚さ、ストランドデニール、ストランド摩擦係数、ストランド材料、ストランドコーティング、ストランド処理、ストランド剛性のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含めて、異なるストランド特性を含む。
【0025】
例12~20のいずれか1つに加えて、別の例(「例21」)によれば、前記第二の複数のストランドは前記第一の複数のストランドから延在している。
【0026】
1つの例(「例22」)によれば、インプラント可能なメディカルデバイスは含まれる。 インプラント可能なメディカルデバイスは、近位端と遠位端とを有する拡張可能部材、ここで、前記拡張可能部材は、近位端と遠位端との間に画定される長手方向長さを有し;前記拡張可能部材の長手方向長さの全体より短い第一の部分で前記拡張可能部材の周りに配置された第一の拘束部材、ここで、前記第一の拘束部材は、前記拡張可能部材を前記第一の部分で拘束直径に維持し;及び、第一のセグメント及び裏返されたセグメントを含む第二の拘束部材、ここで、前記第二の拘束部材の前記第一のセグメントは、前記第一の拘束部材が前記拡張可能部材の周囲に配置されていない前記長手方向長さの残りの部分である安定化部分において前記拡張可能部材の周囲に配置され、前記第二の拘束部材は前記拡張可能部材を前記安定化部分で前記拘束直径で維持し、前記第二の拘束部材の裏返されたセグメントは、前記第二の拘束部材の前記第一のセグメント及び前記拡張可能部材の前記安定化部分の周りに配置される、を含む。
【0027】
例22に加えて、1つの例(「例23」)によれば、前記第一の拘束部材は、第一の解放ゾーン及び第一の展開ラインをさらに含み、前記第二の拘束部材は、第二の解放ゾーン及び第二の展開ラインをさらに含む。
【0028】
例23に加えて、1つの例(「例24」)によれば、前記第一の展開ラインは、少なくとも第一の展開力が前記第一の展開ラインに加えられるときに、前記第一の解放ゾーンを解放するように動作可能であり、前記第二の展開ラインは、少なくとも第二の展開力が第二の展開ラインに加えられるときに、前記第二の解放ゾーンを解放するように動作可能である。
【0029】
例24に加えて、1つの例(「例25」)によれば、前記第一の展開力は前記第二の展開力よりも大きい。
【0030】
例25に加えて、1つの例(「例26」)によれば、前記第一の展開力は前記第二の展開力よりも小さい。
【0031】
例22~26のいずれか1つに加えて、別の例(「例27」)によれば、前記第一の拘束部材は第一の複数の経編ストランドを含む。
【0032】
例22~27のいずれか1つに加えて、別の例(「例28」)によれば、前記第二の拘束部材は第二の複数の経編ストランドを含む。
【0033】
例22~28のいずれか1つに加えて、別の例(「例29」)によれば、前記第二の拘束部材の裏返されたセグメントは、前記第一の拘束部材の周りに配置される。
【0034】
例22~29のいずれか1つに加えて、別の例(「例30」)によれば、前記拡張可能部材の安定化部分は、前記第二の拘束部材が前記拡張可能部材から取り外されるときに、第二の直径に展開するように動作可能である。
【0035】
例22~例30のいずれか1つに加えて、別の例(「例31」)によれば、前記第一の展開ラインは、前記第二の拘束部材が解放され、そして前記拡張可能部材の前記安定化部分が展開された後に前記第一の拘束部材が解放されるように動作可能であるように、前記第二の拘束部材と係合されている。
【0036】
例22~31のいずれか1つに加えて、別の例(「例32」)によれば、前記拡張可能部材の前記第一の部分は前記拡張可能部材の前記近位端まで延在している。
【0037】
例22~32のいずれか1つに加えて、別の例(「例33」)によれば、前記拡張可能部材の前記安定化部分は前記拡張可能部材の遠位端まで延在している。
【0038】
例22~33のいずれか1つに加えて、別の例(「例34」)によれば、第二のシースは、前記拡張可能部材の近位端が最初に展開されるように解放されるように構成されている。
【0039】
例22~例34のいずれか1つに加えて、別の例(「例35」)によれば、第一のシースは、前記拡張可能部材の近位端が、遠位端が展開された後に展開されるように、前記第二のシースが解放された後に解放されるように構成されている。
【0040】
1つの例(「例36」)によれば、インプラント可能なメディカルデバイスを製造する方法が含まれ、前記方法は、拡張可能部材を半径方向内側に圧縮すること;第一の複数のストランドを編んで第一の展開ラインを有する第一の拘束部材を形成すること;前記第一の拘束部材を前記拡張可能部材の第一の部分に取り付けること;第二の複数のストランドを編んで第二の拘束部材を形成すること;前記第二の拘束部材を前記拡張可能部材の第二の部分に取り付けること;及び、前記第二の拘束部材のあるセグメントを前記拡張可能部材の第二の部分の上に裏返すこと、を含む。
【0041】
例36に加えて、別の例(「例37」)によれば、前記方法は、前記第一の拘束部材の第一の解放ゾーン及び前記第二の拘束部材の第二の解放ゾーンの解放を開始することをさらに含む。
【0042】
例37に加えて、別の例(「例38」)によれば、前記方法は、前記第一の解放ゾーンの第一の端部が前記拡張可能部材の近位端の近くに位置するまで、前記第一の解放ゾーンを部分的に解放することをさらに含む。
【0043】
例38に加えて、別の例(「例39」)によれば、前記方法は、前記第二の解放ゾーンの第二の端部が前記拡張可能部材の近位端の近くに位置するまで、前記第二の解放ゾーンを部分的に解放することをさらに含む。
【0044】
1つの例(「例40」)によれば、インプラント可能なメディカルデバイスを展開する方法が含まれ、前記方法は、患者の管腔内に拡張可能部材を配置すること、ここで、インプラント可能なメディカルデバイスの第一の部分は圧縮構成で第一の拘束部材によって拘束され、前記拡張可能部材の第二の部分は圧縮構成で第二の拘束部材によって拘束され;前記第二の拘束部材を前記拡張可能部材の第二の部分から除去すること;前記第一の拘束部材を前記拡張可能部材の第一の部分から除去すること、を含む。
【0045】
例40に加えて、別の例(「例41」)によれば、前記方法は、第二の展開ラインの自由端を拡張可能なメディカルデバイスから離れた位置に保持すること、ここで、前記第二の展開ラインは、前記第二の拘束部材を前記拡張可能部材から係合解除するように構成された前記第二の拘束部材の第二の解放ゾーンと係合されており;及び、前記第二の展開ラインの自由端に十分な力を加えて、前記第二の解放ゾーンを作動させること、をさらに含む。
【0046】
例41に加えて、別の例に(「例42」)によれば、前記方法は、第一の展開ラインの自由端に十分な力を加えて、第一の拘束部材の解放ゾーンを作動させることを含み、前記第一の展開ラインは前記第一の拘束部材の解放ゾーンと係合されており、前記第一の拘束部材の解放ゾーンは、前記第一の拘束部材を前記拡張可能部材から係合解除するように構成されている。
【0047】
前述の例は単なる実施例であり、本開示によって別途提供される本発明の概念の範囲を限定したり又は他の方法で狭めたりするように解釈されるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示し説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に制限的なものではなく、本質的に例示的なものとして考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図面の簡単な説明
添付図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0049】
【
図1】
図1は、1つの実施形態によるメディカルデバイスデリバリーシステムである。
【0050】
【
図2】
図2は、1つの実施形態による、第一の直径に拘束された拡張可能部材である。
【0051】
【
図3】
図3は、1つの実施形態による、取り外し可能な拘束体の断面図である。
【0052】
【
図4】
図4aは、1つの実施形態による、デバイスを拘束する取り外し可能な拘束体である、
図4bの断面図である。
【0053】
【
図5】
図5aは、1つの実施形態による、デバイスを拘束する取り外し可能な拘束体である、
図5bの断面図であり、取り外し可能な拘束体の外層は部分的に解放されている。
【0054】
【
図6】
図6aは、1つの実施形態による、デバイスを拘束する取り外し可能な拘束体である、
図6bの断面図であり、取り外し可能な拘束体の外層は、取り外し可能な拘束体の第二のセグメントが露出されるように部分的に解放されている。
【0055】
【
図7】
図7aは、1つの実施形態による、デバイスを拘束する取り外し可能な拘束体である、
図7bの断面図であり、取り外し可能な拘束体の外層は、取り外し可能な拘束体の第二のセグメントが露出され、第一のセグメントの内層が露出されるように部分的に解放されている。
【0056】
【
図8】
図8aは、1つの実施形態による、デバイスを拘束する取り外し可能な拘束体である、
図8bの断面図であり、取り外し可能な拘束体の外層は完全に解放され、それにより、取り外し可能な拘束体の第二のセグメントが露出され、第一のセグメントの内層が完全に露出されそして部分的に解放され、それにより、デバイスが部分的に拘束されていない。
【0057】
【
図9】
図9aは、1つの実施形態による、デバイスを拘束する取り外し可能な拘束体である、
図9bの断面図であり、取り外し可能な拘束の外層は完全に解放され、第一のセグメントが完全に解放され、第二のセグメントの一部が部分的に解放され、それにより、デバイスが部分的に拘束されていない。
【0058】
【
図10】
図10aは、1つの実施形態による、デバイスを拘束する取り外し可能な拘束体である、
図10bの断面図であり、取り外し可能な拘束体の外層は完全に解放され、第一のセグメントが完全に解放され、第二のセグメントの一部が部分的に解放され、それにより、デバイスが部分的に拘束されず、ほぼ完全に展開されている。
【0059】
【
図11】
図11aは、1つの実施形態による、
図11bの断面図であり、デバイスが非拘束構成となるようにデバイスから完全に解放された、取り外し可能な拘束体である。
【0060】
【
図12】
図12は、1つの実施形態による、2つのセグメントを有し、一方のセグメントが部分的にそれ自体の上に裏返されたものである、取り外し可能な拘束体の断面図である。
【0061】
【
図13】
図13は、1つの実施形態による、2つのセグメントを有する取り外し可能な拘束体の断面図であり、一方のセグメントは、他方のセグメントの一部に結合され又はそこから延在している展開ラインを含む。
【0062】
【
図14】
図14は、1つの実施形態による、2つのセグメントを有する取り外し可能な拘束体の断面図であり、第一のセグメントはデバイスの長さの一部に沿ってデバイスと同軸に整列され、第二のセグメントはデバイスの全長に沿って同軸に整列されている。
【0063】
【
図15】
図15は、1つの実施形態による、様々な特性を有する2つのセグメントを有する取り外し可能な拘束体の断面図である。
【0064】
【
図16】
図16は、1つの実施形態による、様々な特性を有する2つのセグメントを有する取り外し可能な拘束体の断面図であり、セグメントのうちの1つはデバイスの全長を取り囲み、それ自体の一部の上に裏返されている。
【発明を実施するための形態】
【0065】
詳細な説明
定義及び用語
本開示は、限定的に読まれることを意図したものではない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の専門家がそのような用語に帰する意味の文脈で広く読まれるべきである。
【0066】
不正確さの用語に関して、「約」及び「およそ」という用語は、記載された測定値を含む測定値と、記載された測定値に合理的に近い任意の測定値も含む測定値を指すために互換的に使用されうる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され容易に確認されるように、記載された測定値から合理的に小さな量だけ逸脱している。このような逸脱は、測定誤差、測定及び/又は製造装置の校正の違い、測定値の読み取り及び/又は設定における人的エラー、他の構成要素に関連する測定値の違いを考慮した性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われた微調整、特定の実装シナリオ、人又は機械によるオブジェクトの不正確な調整及び/又は操作などに起因する可能性がある。関連技術の当業者がそのような合理的に小さな差異の値を容易に確認できないと判断された場合には、「約」及び「およそ」という用語は、記載された値のプラス又はマイナス10%を意味すると理解できる。
【0067】
外向きの半径方向の拡張力又は半径方向の力は、概して、デバイスの展開中の任意の点で取り外し可能な拘束体に作用する、デバイスによって引き起こされる力を指す。半径方向の力は、自己拡張性部材によるものであることができる。このような自己拡張性部材は、圧縮及び/又は拘束されたときに外向きの半径方向の拡張力を及ぼす形状記憶合金を含むことができる。外向きの半径方向の拡張力は、血管形成バルーンの膨張など、デバイス又は部材を半径方向外向きに拡張させる他の力を指すこともできる。
【0068】
拘束力とは、概して、デバイス、幾つかの実施形態において、自己拡張型デバイスを拘束するときに拘束部材が抵抗する力を指す。拘束力は、外向きの半径方向の拡張力に対する法線方向の力と考えることができる。幾つかの実施形態において、拘束力は、拘束部材が自己拡張型デバイスの外向きの半径方向の拡張力に抵抗できなくなるまで閾値量に制限されることができ、その時点で、メディカルデバイスは、拘束部材の拘束力に打ち勝ち、拘束部材の係合を解除する、半径方向外向きの拡張力によって展開することができる。
【0069】
展開力とは、概して、拘束部材の係合を解除することによってメディカルデバイスを展開するのに必要な力を指す。幾つかの実施形態において、展開力は、メディカルデバイスからの拘束部材の係合解除を作動させるために、拘束部材の作動ラインに張力を加えるのに必要な力である。
【0070】
参考までに、「周囲」という用語は、円形の断面を必要とするものではなく、取り外し可能な拘束体の外面又は寸法を指すものとして広く理解されるべきである。
【0071】
様々な実施形態の説明
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。また、本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されていることがあり、その点において、図面は限定的なものとして解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0072】
本明細書で開示されるデバイスは、拡張型及び自己拡張型デバイスの制御された展開を行う能力を提供することができる。ここで論じられる拘束体としては、限定するわけではないが、展開中にデバイスの正確な位置決めを可能にする特徴部が挙げられる。拘束体(例えば、編物拘束体)は、自己拡張型デバイスを拘束構成に維持するのに十分な拘束力を提供すると同時に、所望の展開位置からのデバイスの変位を最小限に抑えるために低レベルの力を加えることによって自己拡張型デバイスを解放することもできる。この拘束体はまた、デバイスから取り外し可能な拘束体を解放するために必要な様々な力を許容し、そのことで、拡張可能なデバイスを所望の展開位置で部分的に展開させ、その位置でアンカーとして機能できるようにすることができる。以下に含まれるシステム、デバイス及び方法の説明は、本開示のこれらの目的及び他の目的を説明するものである。
【0073】
図1に示すシステムは、システムの様々な特徴の例として提供されており、これらの図示された特徴の組み合わせは明らかに本発明の範囲内であるが、その例及びその図は、本明細書で提供される発明の概念がより少ない特徴、追加の特徴又は
図1に示されるそれらの特徴の1つ以上に対する代替の特徴によって限定されることを示唆することが意図されない。
図1は、幾つかの実施形態による、取り外し可能な拘束体104を含むカテーテル102を含むデリバリーシステム100の平面図である。
図1に示されるように、取り外し可能な拘束体104は、インプラント可能なメディカルデバイス106をデリバリー構成に拘束するように構成されている。取り外し可能な拘束体104は、デバイス106及び取り外し可能な拘束体104を拘束構成又はデリバリー構成に維持するために、デバイス106の周りに配置された1つ以上の繊維又はストランド108を含むことができる。取り外し可能な拘束体104は、2001年5月1日に付与されたアームストロングによる米国特許第6,224,627号明細書に論じられるような様々な構成及び構造を含むことができ、該明細書はあらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
取り外し可能な拘束体104は、デバイス106の長さに沿って同軸に配置される。取り外し可能な拘束体104はまた、デバイス106の周囲に周方向に配置され、デリバリーのためにデバイス106を実質的に覆うことができる。1つ以上のストランド108は、カテーテル102の管腔(図示せず)内に配置されることができ、カテーテル102の近位端に向かって延在し、次いで、デバイス106のデリバリー中に患者の体外に配置されうる。1つ以上のストランド108は、取り外し可能な拘束体104を解放してデバイス106を展開するために使用者が引っ張ることができる近位端を含むことができる。
【0075】
特定の例において、1つ以上のストランド108は、インターロッキング部分(例えば、オーバーラッピング繊維又はニット)がデバイス106の長さに沿って順次に解放するように解放する。以下でより詳細に説明するように、取り外し可能な拘束体104はデバイス106上で1つ以上のストランド106とともにインターロックすることにより形成される。1つ以上のストランド108は、デバイス106の解放領域を形成するか、又はデバイス106を解放することができる。デバイス106は、ステント、ステントグラフト、バルーン、人工弁、フィルタ、吻合デバイス、オクルーダー又は同様のデバイスであることができる。
【0076】
図1に示されるシステムは、システムの様々な特徴の一例として提供される。これらの図示された特徴の組み合わせは明らかに本発明の範囲内であるが、
図1に示される例及びその例示は、本明細書で提供される発明の概念が、より少ない特徴、追加の特徴又は代替の特徴から、図に示される1つ以上の特徴に限定されることを示唆することは意図されない。
【0077】
図2は、1つの実施形態による、取り外し可能な拘束体104を含むデバイス106の側面図である。図示されるように、デバイス106は、デリバリー直径D1と、デリバリー直径D1よりも大きい展開直径D2(図示せず)とを含む。取り外し可能な拘束体104は、デリバリー直径D1でデバイス106の周りに配置される。取り外し可能な拘束体104がデバイス106から取り外されるときに、デバイスは展開直径D2まで拡張する。幾つかの実施形態において、展開直径D2は、拘束されていないときのデバイス106の直径である。他の実施形態において、展開直径D2は、デバイス106が標的部位にデリバリーされ、標的部位で管腔壁と係合したときのデバイス106の直径である。
【0078】
デバイス106は、例えば、約5mm~約15mm、又は約6mm~約9mm、又は約6mm~約12mmの所望の展開直径D2と、該展開直径D2よりも小さいデリバリー直径D1を有することができる。例えば、幾つかの例において、デバイス106のデリバリー直径D1とデバイス106の展開直径D2(図示せず)との比は、約0.3未満、約0.29未満、約0.28未満、約0.27未満、又は約0.26未満である。
【0079】
図1及び
図2に示されるように、取り外し可能な拘束体104は、経編の形態の少なくとも2つのインターロッキングストランド108を含む。例えば、取り外し可能な拘束体104は、第一のインターロッキングストランド112及び第二のインターロッキングストランド114を含むことができる。第一のインターロッキングストランド及び/又は第二のインターロッキングストランド112、114は、例えば、第一の展開ライン120として動作することができる。第一の展開ライン120は、第一の展開ライン120に加えられる展開力に応答して、取り外し可能な拘束体104を解放し、デバイス106をデリバリー直径D1から展開直径D2まで解放するように構成されうる。2つ、4つ、6つ、8つ又は任意の偶数個のインターロックストランド、又は任意の奇数個のインターロックストランドを使用して、取り外し可能な拘束体を形成することは本開示の範囲内である。
【0080】
デバイス106は、デリバリー直径D1で半径方向の力を有する。半径方向の力は、概して、デバイス106の展開中に任意の点で取り外し可能な拘束体104に作用する、デバイス106によって引き起こされる力を指す。上述したように、インターロッキングストランド112、114は、展開ライン120に加えられる展開力によって取り外されるように適合されている。デバイス106の半径方向の力は、デバイス106から取り外し可能な拘束体104を取り外すための展開力と比として比較されうる。幾つかの例において、デバイス106のこの半径方向の力/展開ライン120に加えられる展開力の比は、約500:1未満である。他の例において、デバイス106のこの半径方向の力/展開ライン120に加えられる展開力の比は、約475未満である。さらに、デバイス106のこの半径方向力/展開ライン120に加えられる展開力の比は、約450未満である。さらに、デバイス106のこの半径方向の力/展開ライン120に加えられる展開力の比は、他の例では約425未満である。さらに、半径方向の力/展開力の比は、約0.01~7000(又はその間の任意の値)であることができる。
【0081】
デバイスの展開力は、展開ライン120と取り外し可能な拘束体104の本体とが接触する位置又はその近くで、取り外し可能な拘束体104の展開ライン120に加えられ、デバイス106の少なくとも部分的な展開を行うのに十分な力であることが理解される。幾つかの実施形態において、デリバリーシステム100は、ユーザが展開ライン120にどれだけの力を加えなければならないか(例えば、摩擦力、滑車又は歯車など)に影響を与える可能性があるため、議論の目的での展開力は、デバイス106の近くに加えられる力に関するものである。さらに、幾つかの実施形態において、展開力は、拘束されているデバイス106に基づいて変更することができる。例えば、デバイス106が特定の直径で拘束されたときに高い半径方向力を有するときに、デバイス106の半径方向力は、取り外し可能な拘束体104を取り除くのに必要な展開力を減少させることができる。幾つかの実施形態において、半径方向力は、半径方向の力が取り外し可能な拘束体104に打ち勝つことから、取り外し可能な拘束体104が加速展開を経験しうるようなものである可能性がある。加速展開は概して望ましくないが、幾つかの実施形態において、加速展開が有利であることがある。例えば、加速展開は、デバイス106の展開部分がデバイス106の残りの部分を展開する間にアンカーとして機能できるように、デバイス106の一部を迅速に展開することが望ましいことがある。これらの概念については、以下でより詳細に説明する。また、取り外し可能な拘束体104の展開力は、取り外し可能な拘束体104に伝達される半径方向の力の量に応じて、デバイス106にわたって変化しうることも理解される。
【0082】
幾つかの実施形態において、インターロッキングストランド112、114を含むことができる1つ以上のストランド108は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリエステル、ポリウレタン、 パーフルオロエラストマーなどのフルオロポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ウレタン、超高分子量ポリエチレン、アラミド繊維及びそれらの組み合わせを含む、様々な材料から形成されうる。インターロッキングストランド112、114の他の実施形態は、超高分子量ポリエチレン繊維(例えば、Spectra(登録商標)、Dyneema Purity(登録商標)など)又はアラミド繊維(例えば、Technora(登録商標)など)などの高強度ポリマー繊維を含むことができる。概して、前述の特性のいずれも、当業者に理解されるように、ASTM又は他の認められた測定技術及び基準を使用して評価することができる。
【0083】
1つ以上のストランド108は、ストランドの厚さ、ストランドデニール、ストランドの摩擦係数、ストランド材料、ストランド処理、ストランドのコーティング及びストランドの剛性などの特定の特性を有するように選択されうる。異なる直径と同様に、ストランド108に異なるストランド材料を使用すると、第一のインターロッキングストランド及び第二のインターロッキングストランド108の間の摩擦が増大し、デバイス106をデリバリー構成に維持するのに役立つことができる。様々なストランドのそれぞれは、取り外し可能な拘束体が使用される用途に基づいて、同じストランド特性又は異なるストランド特性を含むように選択できる。ストランド108の特性は、材料の選択に加えて、処理、構成及び変更によっても変更されうることが認識される。例えば、ストランドは、フィラー又はコア材料を含んでもよく、適切なコーティング材料でコーティングすることを含む、処理タイプの中でも、エッチング、蒸着又はコロナ処理もしくは他のプラズマ処理によって表面処理されてもよい。
【0084】
ここで
図3を参照すると、デバイス106は取り外し可能な拘束体104によって拘束されうる。取り外し可能な拘束体104は、第一のセグメント130及び第二のセグメント132を含む2つのスリーブ及び/又は部分を含むことができる。第一のセグメント130は、第一のセットの特性を含み、第二のセグメント132は、第二のセットの特性を含むことができる。第一のセグメント130及び第二のセグメント132に関して論じた特性の少なくとも幾つかは異なるが、特性の幾つかは共有されうることに留意されたい。例えば、第一のセグメント130及び第二のセグメント132との間で共有されうる、又はそれらの間で異なる特性としては、厚さ、デニール、ストランドの摩擦係数、材料、処理、コーティング及び剛性を挙げることができる。例えば、幾つかの実施形態において、取り外し可能な拘束体104の第一のセグメント130は、第一の摩擦係数を有する第一の材料を含むことができ、一方、第二のセグメント132は、第二の摩擦係数を有する第二の材料を含むことができ、ここで、第一の摩擦係数は、第二の摩擦係数よりも高い。
【0085】
幾つかの実施形態において、第一のセグメント130は、様々な機能を容易にするために、第二のセグメント132とは異なる特性を有することができる。例えば、第一のセグメント130は、デバイス106のより高い拘束力を促進する特定の特性を材料に組み込むことができる。第一のセグメントによるデバイス106の拘束力の増加の結果、幾つかの実施形態において、展開力もまた、増大されうる。これにより、患者の管腔内にデバイス106を正確に展開することが困難になる可能性がある。したがって、幾つかの実施形態において、第二のセグメント132は、デバイス106から第二のセグメント132を解放してデバイス106を展開するために第二のセグメント132に加えられる展開力を小さくするなど、特定の特性を促進する特性を材料に組み込むことができる。デバイス106の改善された調製、デリバリー及び展開を容易にするために、特性の様々な例及び組み合わせが第一のセグメント及び第二のセグメント130、132に実装されうる。これらの例は限定として解釈されるべきではなく、任意の数の組み合わせは本開示の範囲内である。
【0086】
幾つかの実施形態において、取り外し可能な拘束体104は、軸方向内側層150と軸方向外側層152とを含む。軸方向内側層150は、デバイス106に対して又はデバイス106に近接して配置されうる。幾つかの実施形態において、取り外し可能な拘束体104の軸方向内側総150の間に配置された様々な要素が存在し、例えば、とりわけ、フィルム及びラップが存在する。しかしながら、軸方向外側層152と比較して、軸方向内側層150は、デバイス106をより直接的に取り囲む。軸方向内側層150及び軸方向外側層152を有する取り外し可能な拘束体は、同軸上に配置された2つのスリーブを含むことができ、又は他の実施形態において、層150、152は、取り外し可能な拘束体の第一のセグメント130又は第二のセグメント132の一方を裏返すことによって形成されうる。
【0087】
幾つかの実施形態において、取り外し可能な拘束104の第一のセグメント及び/又は第二のセグメント130、132は、裏返されたセクション134を含むことができる。例えば、第一のセグメント130は、第二のセグメント132の裏返されたセクション134がデバイス106と同軸的に配置されるように裏返されることができる。裏返し部分134を含むことによって、デバイス106は、取り外し可能な拘束体104の2つの層によって長手方向の長さの少なくとも一部に沿って拘束されうる。幾つかの実施形態において、裏返し部分134は、
図3に見られるように、デバイス106の長手方向の全長さにわたって延在することができる。
【0088】
図3は、幾つかの例による、患者の体内の組織を治療するためのデバイス106及び取り外し可能な拘束体104を示す。幾つかの実施形態において、デバイス106は様々な特徴を含むことができる。デバイス106は、第一の部分140及び第二の部分142によって表すことができる。デバイス106の第一の部分140及び第二の部分142は、取り外し可能な拘束体104の第一のセグメント130及び第二のセグメント132によって画定されうる。デバイス106の第一の部分140は、取り外し可能な拘束体104の第一のセグメント130に対応することができ、デバイスの第二の部分142は、取り外し可能な拘束体104の第二のセグメント132に対応することができる。第一のセグメント130が裏返される実施形態において、デバイス106の第一の部分140は、第一のセグメント130の裏返されていないセクションによって画定されうる。
【0089】
デバイスの第一の部分140は、幾つかの実施形態において、取り外し可能な拘束体104の第一のセグメント130の裏返されていないセクションの長さによって画定され、デバイス106の長手方向の長さの約5%~約95%を表すことができる。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向の長さの約5%を表すことができる。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向の長さの約10%を表す。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向の長さの約15%を表す。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向の長さの約20%を表す。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向長さの約25%を表す。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向の長さの約30%を表す。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向の長さの約35%を表す。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向の長さの約40%を表す。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向の長さの約45%を表す。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向の長さの約50%を表す。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向の長さの約55%を表す。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向の長さの約60%を表す。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向の長さの約65%を表す。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向の長さの約70%を表す。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向の長さの約75%を表す。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向の長さの約80%を表す。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向の長さの約85%を表す。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向の長さの約90%を表す。幾つかの実施形態において、第一の部分は、デバイス106の長手方向の長さの約95%を表す。
【0090】
本明細書で論じられるシステム100の実装例が提供される。取り外し可能な拘束体の第一のセグメント及び第二のセグメント130、132を含む幾つかの実施形態において、デバイス106の第一の部分140は、デバイス106の第二の部分142の展開に前に展開されうる。取り外し可能な拘束体104の第一のセグメント130は、第一のセグメント130がデバイス106の第一の部分140を解放するように作動されうる。例えば、取り外し可能な拘束体104の第一のセグメント130は、そこから延在している展開ライン120を有することができる。展開ライン120を作動させて、デバイス106からの取り外し可能な拘束体104の解放を開始又は再開することができる。展開ライン120が作動され続けると、取り外し可能な拘束体104はデバイス106の長さに沿って順次に解放される。
図3から分かるように、ある実施形態は、第二のセグメント132と少なくとも部分的に同軸である裏返し部分134を有する第一のセグメント130を含む。第一のセグメント130の裏返し部分134が展開されると、デバイス106は、取り外し可能な拘束体104の第二のセグメント132と、第一のセグメント130の解放されていない部分とによって拘束されたままとなる。第一のセグメント130の裏返し部分134が解放されると、取り外し可能な拘束体104の残りの部分は裏返し部分134の下から露出される。
【0091】
第一のセグメント130の裏返し部分134が展開ライン120の作動によって完全に解放されると、そして、展開ライン120が作動し続けると、裏返し部分134(幾つかの実施形態において、軸方向内側層150の一部)から半径方向内側にあった取り外し可能な拘束体104の部分は順次解放し始める。取り外し可能な拘束体104の半径方向内側の部分が解放されると、取り外し可能な拘束体の半径方向内側の部分が以前にデバイス106を拘束していた領域で、デバイス106は拘束されなくなる。デバイス106が自己展開による又は追加のデバイス(例えば、バルーン)によるかのいずれかで展開可能である実施形態において、デバイス106は取り外し可能な拘束体104から解放され、さらに展開する又は展開されることができる。例えば、デバイス106が自己拡張部材である実施形態において、取り外し可能な拘束体104から解放されたデバイス106の部分は、第二のより大きな直径D2まで拡張することができる。
【0092】
展開ライン120は、取り外し可能な拘束体104がデバイス106から完全に解放されるまで作動され続けることができる。取り外し可能な拘束体104は、取り外し可能な拘束体104のセグメント130、132のそれぞれに対して別個の展開ラインを含むことができる。例えば、第一のセグメント130は第一の展開ライン120aを含むことができ、第二のセグメントは第二の展開ライン120bを含むことができる。幾つかの実施形態において、第二の展開ライン120bは、第一のセグメント130がデバイス106から解放されるか又は少なくとも部分的に解放されるまで、アクセス不可能なままである。
【0093】
例えば、1つの実施形態において、第二の展開ライン120bは、第一のセグメント130の十分な部分が解放されるまで隠されるように配置される。第二の展開ライン120bは、第一のセグメント130の内部、カテーテル102内、第一の展開ライン120a内又は別の場所に隠されることができる。幾つかの実施形態において、第二の展開ライン120bは、第一の展開ライン120aの作動を介してデバイス106から離れる方向への第一のセグメント130の並進移動によって第二のセグメント132の展開が開始されるように、第一のセグメント130に結合されるか、又は第一のセグメント130から延在することができる。第二のセグメント132は、第一のセグメント130がデバイス106から完全に解放された後に解放されうる。幾つかの実施形態において、第一のセグメント130の少なくとも一部は、一旦解放されると、第二のセグメント132のための第二の展開ライン120bとして機能することが理解されうる。
【0094】
例示のデバイス及び取り外し可能な拘束体
【0095】
図4a~11bは、例示的な実施形態及びその展開を示す。
図4a及び4bに見られるように、近位端110及び遠位端111を有するデバイス106は、第一の直径D1に拘束される。デバイス106は、第一のセグメント130及び第二のセグメント132を含む取り外し可能な拘束体104によって拘束される。取り外し可能な拘束体104はまた、軸方向内側層150及び軸方向外側層152によって画定されうる。軸方向外側層152は、第一のセグメント130の裏返し部分134を含む。軸方向内層150は、第二のセグメント132と、第一のセグメント130の裏返されていない部分136とを含む。デバイス106は、第一の部分140と第二の部分142とを含み、第一の部分140は、取り外し可能な拘束体104の第一のセグメント130の裏返されていない部分136によって画定される遠位端111におけるデバイス106の長手方向の長さの第一の長さに沿っている。デバイス106の第二の部分142は、第二のセグメント132によって画定される近位端110におけるデバイス106の長手方向の第二の長さに沿っている。
【0096】
特定の例において、取り外し可能な拘束体104の第一のセグメント130は、デバイス106の少なくとも第一の部分140を拘束するように動作可能であり、取り外し可能な拘束体104の第二のセグメント132は、デバイス106の第二の部分142を拘束するように動作可能である。第一のセグメント130は第一の展開ライン120aを含み、第二のセグメント132は第二の展開ライン120b(
図4a~11bには図示せず)を含む。この実施形態の第二の展開ライン120bは、取り外し可能な拘束体104の第一のセグメント130に結合される。
【0097】
第一のセグメント130の裏返し部分134は、デバイスの周囲に配置されうる。特定の例において、第一のセグメント130の裏返し部分134は、デバイス106の長さに沿って配置され、展開ライン120はデバイス106の近位端110で裏返し部分134から延在することができる。展開ライン120が作動されると、第一のセグメント130は、デバイス106の近位端110から始めて遠位端111に向かってデバイス106から順次に解放される。非限定的な例において、第一のセグメント130は、第一の展開ライン120aに加えられる第一の展開力の結果として、展開されるように動作可能であることができる。第二のセグメント132は、第二の展開ライン120bに加えられる第二の展開力の結果として展開されるように動作可能であることができる。以下でさらに詳細に説明する理由により、この例では、第一の展開力は第二の展開力よりも低くすることができる。
【0098】
裏返し部分134は、第二のセグメント132及び第一セグメント130の裏返されていない部分136に対して半径方向外側に位置しているので、そして、裏返し部分134が解放されると、第二のセグメント132及び第一のセグメント130の裏返されていない部分136は、デバイス106の長さに沿って解放される。第一のセグメント130の裏返し部分134がデバイス106から解放されると、裏返されていない部分136はデバイス106の遠位端111から近位端110まで順次解放され始める。裏返されていない部分136が解放されると、デバイス106の第一の部分140は自由に拡張する。特定の例において、第一のセグメント130の裏返されていない部分136がデバイス106から完全に取り外されると、デバイス106の遠位端111は第一の直径から第二の直径まで展開される。これが患者の解剖学的構造(例えば、血管系)内で行われるときに、デバイス106の遠位端111は拡張して患者の組織と係合する。係合は、患者の組織に作用するデバイス106の半径方向外向きの力を介して起こり得る。したがって、デバイス106が患者の体内に展開されるときに、第二の直径D2は、患者の組織によってもたらされる抵抗を考慮しながらデバイスが拡張できる直径であることができる。デバイス106は、デバイス106を患者の組織に係合させるための係合デバイス(例えば、図示されていないアンカー)を含むことができ、又はデバイス106と組織の半径方向の力によって締り嵌めが提供されうる。
【0099】
デバイス106の遠位端111が展開されて患者の組織に係合すると、遠位端は、デバイス106の残りの部分の展開中のデバイス106と患者の管腔との間の相対運動に対する、患者の管腔へのアンカーとして機能する。幾つかの例において、デバイス106は比較的小さな直径に拘束されているため、デバイス106は比較的大きな半径方向の力を及ぼすことができる。取り外し可能な拘束体104にかかる高い半径方向の力は、展開することなく増加した半径方向の力に耐えるように動作可能である取り外し可能な拘束体104の使用を要求することができる。しかしながら、幾つかの状況において、大きな半径方向の力に抵抗する取り外し可能な拘束体104の能力を増大させることにより、デバイス106から取り外し可能な拘束体104の解放を作動させるのに必要な展開力も増大する可能性がある。この実施形態において、第一のセグメント130は、解放するために比較的に低い展開力を必要とし、これにより、デバイス106の第一の部分140が展開され、第二のセグメント132が展開されている間にデバイス106と患者の管腔との間の相対移動に対して患者の管腔へのアンカーとして機能することが可能になるように動作可能である。第一のセグメント130はより低い展開力で展開されるため、外科医は、デバイス106の第一の部分140をより高い正確さ及び/又は精度で位置決め及び展開することができる。
【0100】
図4a~
図11bに示されるように、第一のセグメントは経編であり、第一のセグメント130は第二のセグメント132の外側の位置から開始又は継続して順次に解放するため、拘束体104の意図しない解放又は「クリープ」又は解除は減少する。というのは、第二のセグメント132は、意図せずに展開することなく、デバイス106に十分な拘束力を加えるように構成されているからである。第一のセグメント130の解放が第一のセグメント130と第一の展開ライン120aとの界面で生じる「クリープ」によって起こる可能性は低いため、意図しない展開がストランド108の1つを切断して解放をもたらす必要があるので、第一のセグメントは意図せずに解放される可能性は低い。取り外し可能な拘束体104は順次に解除するように構成されているため、展開ライン120が取り外し可能な拘束体104と界面形成する前方端以外の位置での取り外し可能な拘束体104の意図しない解除は減少し、可能性が低い。
【0101】
第一のセグメント130が解放され、デバイス106の第一の部分140が展開され、患者の管腔に対するアンカーとして機能すると、第二のセグメント132はデバイス106の第二の部分142から解放されうる。第二のセグメント132は、デバイス106の半径方向の拡張に対する抵抗を増大させるので、第二の展開力も増大する可能性がある。第二の展開力が増加する可能性があるが、デバイス106の第一の部分140がすでに展開されて患者の管腔に係合しているため、第二のセグメント132は、管腔内の非標的位置で展開される可能性がより低い状態で解放されうる。
【0102】
第二のセグメント132は、第二の展開ライン120bに、又は第二の展開ライン120bを横切って第二の展開力を加えることによって展開される。
図4a~11bに示されるように、第二の展開ライン120bは、第一のセグメント130に結合されるか、又は第一のセグメント130から延在することができる。したがって、第二のセグメント132は、第二の展開力を第一の展開ライン120aに加え、第二の展開ライン120bにその同じ力を移させることによって展開されることができる。第二のセグメント132が解放され続けると、デバイス106の第二の部分142は展開される。第二のセグメント132が完全に解放されると、取り外し可能な拘束体104は完全に解放され、カテーテル又はその他の方法を通じて患者から除去されることができる。
【0103】
製造方法
【0104】
本開示はまた、拡張可能なメディカルデバイスデリバリーシステムを製造する方法にも関する。この方法は、デバイスを半径方向内側に第一の圧縮直径まで圧縮することを含むことができる。複数のストランドを編んで、取り外し可能な拘束体の第一のセグメントを形成することができる。複数のストランドは、圧縮されたデバイス上で直接編成されてもよいし、又は、編成されてから圧縮デバイス上に取り付けられてもよい。複数のストランドは、デバイスの長手方向の長さよりも短い長さを有する取り外し可能な拘束体の第一のセグメントに編成されうる。取り外し可能な拘束体の第二のセグメントも編成され、第二のセグメントは圧縮された上で直接編成されてもよいし、編成されてから圧縮デバイス上に取り付けられてもよい。
【0105】
この方法は、第一の展開ラインの少なくとも一部が取り外し可能な拘束体から離れるように延在するように、第一の展開ラインの第一の自由端を提供することを含むことができる。第一の自由端は、張力がかかったときに取り外し可能な拘束体を分解するように動作可能であることができる。第二の展開ラインも提供されうる。第二の展開ラインは、取り外し可能な拘束体から離れるように延在することができる。この方法はまた、第二の展開ラインを取り外し可能な拘束体の第一のセグメントに結合することを含むことができる。第二の展開ラインを第一のセグメントに結合することは、融着、製織又は溶接を含むことができる。
【0106】
幾つかの実施形態において、第二のセグメントは最初にデバイス上に設置及び/又は編成される。第二のセグメントが設置されると、第一のセグメントはデバイス上に設置及び/又は編成されうる。第一のセグメントを設置及び/又は編成するときに、この方法は、第一のセグメントを裏返すことを含むことができる。
【0107】
製造方法はまた、カバー部材を含むストランドの少なくとも1つを弱め、ストランドが破断できるようにすることを含むこともできる。少なくとも1つのストランドが破断するときに、セグメントの解放が起こることができる。したがって、幾つかの実施形態において、各セグメントからのストランドの破断を容易にするために、各セグメントからの1つのストランドを弱めることができる。幾つかの実施形態において、弱められたストランドはニット列の展開ラインを構成する。他の実施形態において、弱められていないストランドは、弱められていないストランドを引っ張るときに、弱められていないストランドが無傷のままであり、弱められたストランドが破断し、これによりセグメントの解放を開始するように、ニット列の展開ラインを含む。最初の破断を提供するために、セグメントに最初に張力を加えることができる。次いで、取り外し可能な拘束体の部分が解除することによりセグメントが張力下で解除されるにつれて、セグメントの解放を継続するために、破断されていない弱められていないストランドに張力を加えることができる。ストランドの破断により、取り外し可能な拘束体は解除し続け、それにより、取り外し可能な拘束体が解除し又は分離したりすることが可能になる。ストランドを弱めることは、ストランドが張力などの所定の状況下で破断することができるように、ストランドに切り込みを入れる、切断する、処理する又は他の方法で損傷させることによって達成することができる。
【0108】
製造方法の一部として、取り外し可能な拘束体の展開は、ニット列のそれぞれから少なくとも1つのストランドを破断することによって開始されうる。取り外し可能な拘束体は、デバイスに対して所望の長さに展開されうる。例えば、取り外し可能な拘束体は、拡張可能部材よりも長い長さに編成されうる。カバー部材は、解放が開始されるように作動されうる。取り外し可能な拘束体は、上述したように、取り外し可能な拘束体がデバイスを取り囲む長さなど、取り外し可能な拘束体の所望の長さが達成されるまで、部分的に解除されうる。取り外し可能な拘束体のセグメントの所望の長さが達成されるときに、メディカルデバイスが標的部位に展開する準備が整うまで展開を中止することができる。取り外し可能な拘束体は、任意の所望の長さに部分的に展開されうることが理解される。次いで、拡張可能部材を拘束している部分的に展開された取り外し可能な拘束体を、パッケージング、使用、カテーテルへの取り付け、又は他の任意の所望の動作のために調製することができる。
【0109】
幾つかの実施形態において、製造方法は、複数のストランドがデバイスの周囲で編成されるときに複数のストランドがデバイスに圧縮力を与えるように、取り外し可能な拘束体を編成する工程と同時にデバイスを圧縮する工程を行うことを含む。
【0110】
幾つかの実施形態において、取り外し可能な拘束体はマンドレル上で編成されうる。取り外し可能な拘束体が編成されると、そして幾つかの実施形態において、部分的に展開されると、取り外し可能な拘束体はマンドレルから取り外され、半径方向に圧縮されたインプラント可能なメディカルデバイス上に適用されうる。この実施形態において、取り外し可能な拘束体の第一のセグメントを半径方向に圧縮されたインプラント可能なメディカルデバイス上に取り付ける工程は、取り外し可能な拘束体の第一のセグメントの一部を、半径方向に圧縮されたインプラント可能なメディカルデバイスの上に裏返すことを含むことができる。この工程には、取り外し可能な拘束体の第一のセグメントと第二のセグメントとの間の第二の展開ラインを隠すことも含むことができる。
【0111】
取り外し可能な拘束体の様々な実施形態
【0112】
様々な実施形態は
図12~15に提供されている。例えば、
図12は、第一のセグメント及び第二のセグメント130、132を有する取り外し可能な拘束体を含む。第一のセグメント130は部分的に裏返されており、裏返し部分はデバイス106の長手方向長さの一部のみを延在する。
図13は、第一のセグメント130が裏返されていない例示的な実施形態を提供する。取り外し可能な拘束体104は、第一のセグメント130の一部に結合された第二の展開ライン120bも含む。第二の展開ライン130bはまた、第一のセグメント130が解放された後に第二の展開ライン120bが現れるように、第一のセグメント130の内部に配置される。
【0113】
図14は、第一のセグメント130が第二のセグメント132と同軸上に配置され、第二のセグメント132が第一のセグメント130の内側に位置する例示的な実施形態を提供する。第一のセグメントが遠位端111から解放できることは本開示の範囲内であるが、第一のセグメント130は近位端110から解放するように動作可能である。第一のセグメント130は裏返されなくてもよく、第二の展開ライン120bの少なくとも一部を覆うか又は隠すことができる。デバイス106の第一の部分140は、第一のセグメント130がデバイス106から解放されるときに展開し、固定部分を提供することができる。次いで、第二のセグメント132をデバイス106から解放することができ、これにより、デバイス106が完全に展開される。
【0114】
図15は、取り外し可能な拘束体104の第一のセグメント及び第二のセグメント130、132の様々な特性を変更できる例示的な実施形態を提供する。例えば、この実施形態において、第一のセグメント130は、第二のセグメント132よりも大きな拡張力に抵抗するように動作可能であることができる。これは、様々な実施形態で実現されるストランド特性による結果であることができる。しかしながら、
図15は、他のものを排除していずれか1つのセットのストランド特性を示し、実現するものとして解釈されるべきではない。上述したように、様々な特性は様々な理由で実現されうる。
【0115】
図16は、取り外し可能な拘束体の第一のセグメント及び第二のセグメント130、132の様々な特性が変更されることができ、第二のセグメント132がデバイスの第一の端部からデバイスの第二の端部までデバイスを取り囲む例示的な実施形態を提供する。第二のセグメント132は、第二のセグメント132の裏返し部分が第二のセグメント132の裏返されていない部分の一部を取り囲むように、デバイスの一端で裏返される。第一のセグメント130は、第二のセグメント132の裏返されていない部分の残りを取り囲み、それは第二のセグメント132の裏返し部分によって囲まれていない。
【0116】
本出願の発明は、一般的に及び特定の実施形態に関しての両方で説明されてきた。当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態に様々な変更及び変形を加えることができることが明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲内にある限り、本発明の変更及び変形を包含することが意図されている。
【国際調査報告】