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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】ウパダシチニブの共結晶
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/14 20060101AFI20240327BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
C07D487/14 CSP
A61K31/4985
A61P19/02
A61P29/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561724
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 US2022071596
(87)【国際公開番号】W WO2022217257
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/171,855
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッテーイ,アレッサンドラ
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC04
4C050DD02
4C050EE04
4C050FF10
4C050GG01
4C050HH04
4C086AA03
4C086CB05
4C086GA14
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086ZA96
4C086ZB15
(57)【要約】
本開示は、(3S,4R)-3-エチル-4-(3H-イミダゾ[1,2-a]ピロロ[2,3-e]-ピラジン-8-イル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド(化合物1)の固体形態の共結晶に関する。具体的には、本開示は、化合物1及び置換された安息香酸などの適切なコフォーマーの共結晶に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(3S,4R)-3-エチル-4-(3H-イミダゾ[1,2-a]ピロロ[2,3-e]ピラジン-8-イル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド(化合物1)及びコフォーマーを含む共結晶であって、
コフォーマーが、アリールカルボン酸である、共結晶。
【請求項2】
アリールカルボン酸が、置換された安息香酸である、請求項1に記載の共結晶。
【請求項3】
置換された安息香酸が、式(I)
【化1】
(式中、Rは、-NHC(O)CH又は-OHであり、
は、-H、-OH又はNOであり、
は、-H、-OH又はNOである。)
の構造を有する、請求項3に記載の共結晶。
【請求項4】
が-NHC(O)CHであり、R及びRがそれぞれHである、請求項3に記載の共結晶。
【請求項5】
がOHであり、R及びRがそれぞれHである、請求項3に記載の共結晶。
【請求項6】
がOHであり、Rが-OHであり、RがHである、請求項3に記載の共結晶。
【請求項7】
、R及びRが-OHである、請求項3に記載の共結晶。
【請求項8】
がOHであり、Rが-NOであり、RがHである、請求項3に記載の共結晶。
【請求項9】
化合物1とコフォーマーとのモル比が、約5:1~約1:5である、請求項1~8のいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項10】
前記モル比が、約2:1~約1:2又は約1:1.5~約1.5:1である、請求項9に記載の共結晶。
【請求項11】
前記モル比が、約1:1である、請求項9に記載の共結晶。
【請求項12】
溶媒和物である、請求項1~11のいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項13】
前記溶媒和物が、アセトニトリルを含む、請求項12に記載の共結晶。
【請求項14】
さらに水を含む、請求項13に記載の共結晶。
【請求項15】
遊離塩基又は塩としての化合物1に対して、低下した水溶性、低下した溶解性、向上した生物学的利用能、向上した安定性、増加したCmax、増加又は減少したTmax、延長した半減期、増加したAUC、向上した加工性及び低下した吸湿性のうちの1つ以上を有し、溶媒和物、水和物及びそれらのいずれかの多形体を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項16】
(3S,4R)-3-エチル-4-(3H-イミダゾ[1,2-a]ピロロ[2,3-e]ピラジン-8-イル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド(化合物1)及び4-アセトアミド安息香酸を、約1:1のモル比で含む、共結晶。
【請求項17】
アセトニトリル溶媒和物である、請求項16に記載の共結晶。
【請求項18】
水和物である、請求項17に記載の共結晶。
【請求項19】
単色Kα1放射線λ=1.540562Åを用いて約25℃で測定した場合に、2θが5.1±0.2、10.2±0.2及び12.5±0.2°のピークを特徴とする粉末X線回折パターンを有する、請求項17に記載の共結晶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年4月7日に出願され、米国仮出願第63/171,855号の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、(3S,4R)-3-エチル-4-(3H-イミダゾ[1,2-a]ピロロ[2,3-e]-ピラジン-8-イル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド(ウパダシチニブ;「化合物1」)の固体形態に関する。具体的には、本開示は、化合物1及び1つ以上の適切なコフォーマーを含む共結晶に関する。
【背景技術】
【0003】
RinvoqTMの商品名で販売されているウパダシチニブは、選択的ヤヌスキナーゼ1(「JAK-1」)阻害剤であり、メトトレキサートが効かなかった、又は忍容できなかった成人の中等度から重度の活動性関節リウマチの治療薬としてFDAに承認されている。ウパダシチニブの化学名は、(3S,4R)-3-エチル-4-(3H-イミダゾ[1,2-a]ピロロ[2,3-e]ピラジン-8-イル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドであり、本明細書では「化合物1」と呼ばれ、これは、国際出願公開第2011/068881A1号に最初に開示され、この出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。化合物1は、以下の構造を有する。
【0004】
【化1】
【0005】
特定の医薬品有効成分(API;例えば化合物1)の存在し得る固体形態の多様性は、APIの物理的及び化学的特性に多様性を生じさせる可能性がある。固体形態の発見及び選択は、効果的で安定した市場性のある医薬品の開発において非常に重要である。これらの物理的及び化学的特性には、これらに限定されるものではないが、(1)モル体積、嵩密度及び吸湿性などの充填特性、(2)融解温度、蒸気圧及び溶解度などの熱力学的特性、(3)溶解速度及び安定性などの動力学的特性(周囲条件下、特に水分に対する安定性及び保存条件下での安定性を含む)、(4)表面積、濡れ性、界面張力及び形状などの表面特性、(5)硬度、引張強度、成形性、取り扱い性、流動性及びブレンド性などの機械的特性、並びに(6)ろ過特性が含まれる。これらの特性は、例えば、化合物及び化合物を含む医薬組成物の加工及び保存に影響を与え得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2011/068881号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
化合物の他の固体形態と比較して、1つ以上の特性が改善している化合物1の固体形態が望ましい。したがって、化学的安定性、熱安定性、溶解性、吸湿性、及び/又は粒子サイズ、粉砕特性並びに製剤化可能性(打錠中の圧力又は圧縮力に対する安定性を含む)を含む特性の許容されるバランスを有し、化合物1の薬学的に許容される固体剤形の調製に使用することができる、化合物1のさらなる固体形態の必要性が依然として残っている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本開示は、一般に、(3S,4R)-3-エチル-4-(3H-イミダゾ[1,2-a]ピロロ[2,3-e]ピラジン-8-イル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド(「化合物1」)の固体形態を提供する。同じ化合物(例えば、化合物1)の異なる固体形態は、異なる結晶充填、熱力学的、分光学的、動力学的、表面的及び機械的特性を有し得る。例えば、異なる固体形態は、製剤化及び/又は製品製造に対してより望ましい特性をもたらす、より大きな圧縮性及び/又は密度特性を示し得る。特定の固体形態はまた、異なる溶解速度を有し、それにより異なる薬物動態学的パラメータをもたらし、特定の薬物動態学的パラメータを達成するために特定の固体形態が選択されることを可能にし得る。このようなパラメータには、これらに限定されることなく、溶解性、溶出性、生物学的利用能、安定性、Cmax、Tmax及び曝露量(すなわち、曲線下面積;AUC)が含まれ得る。医薬品の共結晶は、共有結合を作ったり壊したりすることなく、APIの化学的及び/又は物理的特性を変更する複数の機会をもたらすため、魅力的である。
【0009】
したがって、第1の態様では、(3S,4R)-3-エチル-4-(3H-イミダゾ[1,2-a]ピロロ[2,3-e]ピラジン-8-イル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド(ウパダシチニブ;「化合物1」)及びコフォーマーを含む共結晶であって、コフォーマーがアリールカルボン酸である、共結晶が提供される。
【0010】
いくつかの実施形態において、アリールカルボン酸は置換された安息香酸である。
【0011】
いくつかの実施形態において、置換された安息香酸は、式(I):
【0012】
【化2】
(式中、
は、-NHC(O)CH又は-OHであり、
は、-H、-OH又はNOであり、
は、-H、-OH又はNOである。)
の構造を有する。
【0013】
いくつかの実施形態において、Rは-NHC(O)CHであり、R及びRはそれぞれHである。いくつかの実施形態において、RはOHであり、R及びRはそれぞれHである。いくつかの実施形態において、RはOHであり、Rは-OHであり、RはHである。いくつかの実施形態において、R、R及びRは-OHである。いくつかの実施形態において、RはOHであり、Rは-NOであり、RはHである。
【0014】
いくつかの実施形態において、化合物1とコフォーマーとのモル比は、約5:1~約1:5である。いくつかの実施形態において、モル比は、約2:1~約1:2又は約1:1.5~約1.5:1である。いくつかの実施形態において、モル比は約1:1である。
【0015】
いくつかの実施形態において、共結晶は溶媒和物である。いくつかの実施形態において、共結晶溶媒和物は、アセトニトリルを含む。いくつかの実施形態において、共結晶溶媒和物はさらに、水を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、共結晶は、遊離塩基又は塩としての化合物1に比して、低下した水溶性、低下した溶解性、向上した生物学的利用能、向上した安定性、増加したCmax、増加又は減少したTmax、延長した半減期、増加したAUC、向上した加工性、及び低下した吸湿性のうちの1つ以上を有し、溶媒和物、水和物、及びそれらのいずれかの多形体を含む。
【0017】
別の態様において、(3S,4R)-3-エチル-4-(3H-イミダゾ[1,2-a]ピロロ[2,3-e]ピラジン-8-イル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド(化合物1)及び4-アセトアミド安息香酸を約1:1のモル比で含む共結晶が提供される。
【0018】
いくつかの実施形態において、共結晶はアセトニトリル溶媒和物である。いくつかの実施形態において、アセトニトリル溶媒和物共結晶は水和物である。
【0019】
いくつかの実施形態において、アセトニトリル溶媒和共結晶水和物は、単色Kα1放射線λ=1.540562Åを用いて約25℃で測定した場合に、2θが5.1±0.2、10.2±0.2、及び12.5±0.2°のピークを特徴とする粉末X線回折パターンを有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、化合物1((3S,4R)-3-エチル-4-(3H-イミダゾ[1,2-a]ピロロ[2,3-e]ピラジン-8-イル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド;ウパダシチニブ)及び4-アセトアミド安息香酸を含む、本開示による共結晶の非限定的な実施形態に対応する代表的な粉末X線回折パターンである。
図2図2は、化合物1及び4-アセトアミド安息香酸を含む、本開示による共結晶の非限定的な実施形態に対応する代表的な粉末X線回折パターンである。
図3図3は、化合物1及び4-アセトアミド安息香酸を含む、本開示による共結晶の非限定的な実施形態に対応する代表的な粉末X線回折パターンである。
図4図4は、化合物1及び4-ヒドロキシ安息香酸を含む、本開示による共結晶の非限定的な実施形態に対応する代表的な粉末X線回折パターンである。
図5図5は、化合物1及び4-ヒドロキシ安息香酸を含む、本開示による共結晶の非限定的な実施形態に対応する代表的な粉末X線回折パターンである。
図6図6は、化合物1及び4-ヒドロキシ-3-ニトロ安息香酸を含む、本開示による共結晶の非限定的な実施形態に対応する代表的な粉末X線回折パターンである。
図7図7は、化合物1及び4-ヒドロキシ-3-ニトロ安息香酸を含む、本開示による共結晶の非限定的な実施形態に対応する代表的な粉末X線回折パターンである。
図8図8は、化合物1及び3,4-ジヒドロキシ安息香酸を含む、本開示による共結晶の非限定的な実施形態に対応する代表的な粉末X線回折パターンである。
図9図9は、化合物1及び3,4-ジヒドロキシ安息香酸を含む、本開示による共結晶の非限定的な実施形態に対応する代表的な粉末X線回折パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、一般に、(3S,4R)-3-エチル-4-(3H-イミダゾ[1,2-a]ピロロ[2,3-e]ピラジン-8-イル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド(「化合物1」)及び1つ以上のコフォーマーを含む共結晶を提供する。
【0022】
本開示によれば、理論に拘束されることを望むものではないが、化合物1及び選択されたコフォーマーが共結晶を形成することを許容される場合、得られる共結晶は、化合物1の他の固体形態(遊離塩基若しくは塩、又はそれらのいずれかの水和物若しくは溶媒和物であり得る、非晶質又は結晶形態を含む)と比較して、改善された特性を生じ得ると考えられる。このような改善された特性には、溶解度、溶解性、生物学的利用能、安定性、Cmax、Tmax、加工性、治療血漿濃度の持続性、吸湿性、及び結晶形態の1つ以上が含まれ得る。適切なコフォーマーは、その調製及び特性決定のための方法、並びにそのような共結晶の選択された特性とともに、本明細書中に以下に記載される。
【0023】
定義
本開示で使用される用語に関して、以下の定義を示す。
【0024】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈によって別の内容が明瞭に示されていない限り、複数形の記載を含む。
【0025】
「約」という用語は、当業者が記載の値と等価であると見なす(すなわち、同じ機能若しくは結果を有する)と考えられる数字の範囲を一般に指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入される数字を含み得る。
【0026】
数字の範囲が記載されている場合、その範囲に含まれる各途中の数字は、同じ程度の正確さで明確に想定されるものである。例えば、範囲6~9については、6及び9に加えて数字7及び8が想定され、範囲6.0~7.0については、数字6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9及び7.0が明確に想定される。同様にして、全ての記載の比率も、より広い比率に含まれる全ての下位比率を含むものである。
【0027】
文脈上他の形態が必要とされない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」という用語は、それらが排他的ではなく包括的に解釈すべきであり、出願人が、それらの用語のそれぞれを添付の特許請求の範囲を含む本特許を解釈する際に、そのように解釈すべきであることを意図しているという根拠及び明瞭な理解に基づいて使用される。「アルキル」という用語は、完全に飽和している直鎖又は分岐の炭化水素を指す。本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではないが、例示を目的として、アルキルの例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、及びこれらの異性体が挙げられる。アルキル基は置換されていてもよく、又は無置換でもよい。
【0028】
本明細書で使用される用語「シクロアルキル」は、単環式であっても二環式であってもよい炭素環式基を指す。シクロアルキル基は、単環として3~7個の炭素原子を有する環、又は二環として7~12個の炭素原子を有する環を含む。単環式シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキル基は、無置換であっても置換されていてもよく、1つ以上の不飽和部位(例えば、シクロペンテニル又はシクロヘキセニル)を含んでもよい。
【0029】
本明細書で使用される用語「アリール」は、単環式、二環式又は三環式芳香族炭化水素基を指す。アリール基の例には、これらに限定されないが、フェニル及びナフチルが挙げられる。アリール基は無置換でもよく、又は置換されていてもよい。
【0030】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」は、1つ以上の環原子がヘテロ原子、例えば窒素、酸素及び硫黄である芳香族環系を指す。ヘテロアリール基は、最大20個の炭素原子、並びにN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む。ヘテロアリールは、5若しくは6個の環員(例えば、1~5個の炭素原子、並びにN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子)を有する単環であってもよく、又は7~10個の環員(例えば、4~9個の炭素原子、並びにN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子)を有する二環であってもよい。ヘテロアリール基の例は、これらに限定するものではないが、例として、ピリジル、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H-インドリル、1H-インダゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シノリニル、プテリジニル、4aH-カルバゾリル、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソオキサゾリル及びイサチノイル(isatinoyl)を含む。ヘテロアリール基は、無置換でもあってもよく、又は置換されていてもよい。
【0031】
本明細書で使用され、上記のアルキル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールのいずれかに適用される「置換された」という用語は、1つ以上の水素原子がそれぞれ独立して置換基で置換されていることを意味する。典型的な置換基としては、これらに限定されないが、-Cl、Br、F、アルキル、-OH、-OCH、NH、-NHCH、-N(CH、-CN、-NC(=O)CH、-C(=O)-、-C(=O)NH、及びC(=O)N(CHが含まれる。基が「任意選択的に置換されている」と記載される場合、その基は、各機会について独立して選択される1つ以上の上記の置換基で置換され得る。
【0032】
本明細書で使用する場合、「固体状態」という用語は、液体又は気体状態を主としない、化合物1を含む物理的形態を指す。本明細書で使用される場合、用語「固体状態」は半固体を包含する。固体形態は、結晶性、非晶質、部分結晶性、部分非晶質、又はそれらの混合物であってもよい。
【0033】
化合物に適用される場合の「非晶質」という用語は、その材料が分子レベルで長い範囲の秩序を持たず、温度に応じて、固体若しくは液体の物理特性を示し得る状態を指す。代表的には、そのような材料は、特徴的なX線回折パターンを与えず、固体の特性を示しながら、より形式的には液体として記載される。加熱すると、固体特性から液体特性への変化が生じ、それは代表的には二次の状態変化(「ガラス転移」)を特徴とする。
【0034】
化合物に適用される場合の「結晶性」という用語は、材料が分子レベルで規則的な秩序の内部構造を有し、所定のピークを有する特徴的なX線回折パターンを与える固相を指す。そのような材料は、十分に加熱されると、液体の特性も示すが、固体から液体への変化は、代表的には一次である相変化を特徴とする(「融点」)。いくつかの実施形態において、物質の結晶形態(例えば、化合物1を含む共結晶)は、重量基準で約50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、又は1%未満の1つ以上の非晶質形態を含み得る。いくつかの実施形態において、結晶形態は、重量基準で約1%未満、約0.1%未満、約0.01%未満、又はさらには0%などの非晶質形態を実質的に含まない場合がある。
【0035】
「結晶純度」という用語は、本願に記載の粉末X線回折分析法によって決定される化合物の特定の結晶形態に関する化合物の結晶純度を意味する。いくつかの実施形態において、物質の結晶形態(例えば、化合物1を含む共結晶)は、他の結晶形態を実質的に含まない場合がある。いくつかの実施形態において、結晶形態は、重量基準で、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.5%、99.9%、又はさらには100%の1つの特定の結晶形態を含み得る。
【0036】
本願を通じて使用される「結晶化」という用語は、化合物の調製に関連する適用可能な環境に応じて、結晶化及び/又は再結晶を指すことができる。
【0037】
「薬学的に許容される」(「薬学的に許容される塩」の記載など)という用語は、ヒト対象への投与に適合する材料、例えば、その材料が望ましくない生物学的効果を引き起こさない、及び/又は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに、ヒト及び他の哺乳動物の組織と接触して使用するのに適しており、妥当な利益/リスク比に見合った材料を指す。薬学的に許容される塩の例は、“Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection,and Use”、Stahl and Wermuth(Wiley-VCH,Weinheim,Germany,2002)に記載されている。薬学的に許容される賦形剤の例は、“Handbook of Pharmaceutical Excipients, ”Rowe et al., Ed.(Pharmaceutical Press,7th Ed.,2012)に記載されている。
【0038】
本明細書で使用する場合、「共結晶」という用語は、定義された化学量論比で、同じ結晶格子内にある2つ以上の固有の化学種から構成され、化学種を個々に比較した場合に明確な物理的、結晶学的及び分光学的特性を有する結晶性固体を指す。存在する共結晶は、本明細書において以下に記載されるように、API化合物1及び1つ以上のコフォーマーを含む。
【0039】
共結晶は、荷電平衡状態の荷電種を含む「塩」とは異なる。共結晶を構成する化学種は通常中性であり、一般に、弱く、自由に可逆的な非共有結合的相互作用によって結合している。弱い相互作用とは、イオン結合相互作用でも共有結合相互作用でもないと定義され、水素結合、ファンデルワールス力、π-π相互作用及びハロゲン結合相互作用が含まれる。共結晶は一般に、化学種間のプロトン移動がないことで塩と区別できる。
【0040】
コフォーマー
本明細書に記載の化合物1の共結晶は、化合物1と、一般に「共結晶形成剤」又は「コフォーマー」と呼ばれる少なくとも1種の付加的な化学種とを含む。コフォーマーは、化合物1に直接、水素結合していてもよいし、化合物1に水素結合している付加的な分子(第2のコフォーマー)に水素結合していてもよい。π-π相互作用、ゲスト-ホスト錯体形成及びファンデルワールス相互作用を含む他の分子認識様式も存在し得る。上記の相互作用のうち、水素結合は、一般に、本発明の共結晶の形成において優勢の相互作用であり、これにより、化学種の一方の水素結合供与体と他方の水素結合受容体との間に非共有結合が形成される。
【0041】
特定の実施形態において、コフォーマー及び化合物1を一緒に保持する非共有結合力は、πスタッキング、ゲスト-ホスト錯体形成、ファンデルワールス相互作用、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。水素結合は、いくつかの異なる分子間配置をもたらし得る。例えば、水素結合は、二量体、直鎖、又は環状構造の形成をもたらし得る。これらの配置にはさらに、拡張された(二次元)水素結合ネットワーク及び孤立した三連構造が含まれ得る。
【0042】
本明細書で使用される場合、「コフォーマー(a coformer)」又は「コフォーマー(the coformer)」への言及は、1つ以上の、例えば2つ、又は3つの異なるコフォーマーの可能性を含むが、簡略化のため、本明細書では、そのような複数のコフォーマーを単数形で言及する。
【0043】
本願の共結晶のコフォーマーは、化合物1と共結晶を形成する薬学的に許容される分子であればいずれでもよい。有利には(必ずしもそうではないが)、化合物1と組み合わせて共結晶を形成するコフォーマーは、米国食品医薬品局(FDA)による「Generally Regarded As Safe」(「GRAS」)から選択される。GRASリストには約2500の関連化合物が含まれており、そのうちのいくつかはコフォーマーとして適している可能性がある。本明細書に記載される特定のコフォーマーは、1つ以上のキラル中心を含むことができ、それは(R)-若しくは(S)-配置のいずれかである、又はそれらの混合物を含み得ることに留意されたい。本明細書に記載の特定のコフォーマーは、これらに限定されないが、二重結合を挟むシス及びトランス異性体を含む、幾何異性体であってもよい。
【0044】
いくつかの実施形態において、コフォーマーは有機酸である。本明細書で使用される場合、「有機酸」という用語は、酸性特性を特徴とする有機(すなわち、炭素ベース)化合物を指す。典型的には、有機酸は、カルボン酸(-COH)又はスルホン酸(-SOOH)などの比較的弱い酸(すなわち、水の存在下では完全に解離しない)である。いくつかの実施形態において、有機酸は固体有機酸であり、これは有機酸が典型的な室温、例えば約15~約25℃で固体物理的形態にある(すなわち、約15℃より高い融点又は約25℃より高い融点を有する)ことを意味する。
【0045】
いくつかの実施形態において、有機酸はカルボン酸である。カルボン酸官能基は、例えば、1~20個の炭素原子(C-C20)を有する任意のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基に結合していてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、カルボン酸は、アルキル又はシクロアルキルカルボン酸である。適切なアルキルカルボン酸及びシクロアルキルカルボン酸の例としては、これらに限定されないが、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、酪酸、プロピオン酸、ピルビン酸、イソ酪酸、2-エチル酪酸、3-メチルブタン酸、チグリン酸、吉草酸、レブリン酸、バルプロ酸、ヘキサン酸、ピバリン酸、3-シクロペンチルプロピオン酸、1,2,2-トリメチル-1,3-シクロペンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキシル酢酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、テトラデカン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ソルビン酸、ステアリン酸、(+)-カンファー酸、10-ウンデシレン酸、オロチン酸、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、α-ヒドロキシプロピオン酸、酒石酸、グリコール酸、アスコルビン酸、乳酸、リンゴ酸、ガラクタル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸及びラクトビオン酸が挙げられる。
【0047】
いくつかの実施形態において、アルキルカルボン酸はジカルボン酸である。適切なアルキルジカルボン酸の例としては、これらに限定されないが、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ケトグルタル酸、フマル酸、マレイン酸及びセバシン酸が挙げられる。
【0048】
いくつかの実施形態において、カルボン酸はアミノ酸である。適切なアミノ酸の例としては、これらに限定されないが、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンが挙げられる。
【0049】
いくつかの実施形態において、有機酸は、アリールカルボン酸又はヘテロアリールカルボン酸である。適切なアリール又はヘテロアリールカルボン酸の例としては、これらに限定されないが、桂皮酸、3-フェニルプロピオン酸、ジフェニル酢酸、マンデル酸、ニコチン酸、2-フランカルボン酸、フェニル酢酸、フェノキシ酢酸及びパモ酸が挙げられる。
【0050】
いくつかの実施形態において、アリールカルボン酸は、置換又は非置換の安息香酸である。適切な安息香酸の例としては、これらに限定されないが、安息香酸、2-ヒドロキシ安息香酸、3-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、4-アミノ安息香酸、4-アミノサリチル酸、3-アセトアミド安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ベンゼン-1,3-ジカルボン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸、o-トルイル酸、m-トルイル酸、p-トルイル酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、m-メトキシ安息香酸、アニス酸、アセチルサリチル酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、テレフタル酸、2-メルカプト安息香酸、スルホサリチル酸、没食子酸、ゲンチジン酸、2-メチル-4-ヒドロキシ安息香酸、3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸、4-エトキシ-2-ヒドロキシ安息香酸、3-クロロ-5-ヒドロキシ安息香酸、5-クロロ-2-ヒドロキシ安息香酸、3-ブロモ-4-ヒドロキシ安息香酸、3-ブロモ-5-ヒドロキシ安息香酸、4-ブロモ-2-ヒドロキシ安息香酸、5-ブロモ-2-ヒドロキシ安息香酸、2-フルオロ安息香酸、3-フルオロ安息香酸、4-フルオロ安息香酸、2-フルオロ-5-ヒドロキシ安息香酸、3-フルオロ-4-ヒドロキシ安息香酸、3-フルオロ-2-ヒドロキシ安息香酸、3-フルオロ-5-ヒドロキシ安息香酸、2-フルオロ-6-ヒドロキシ安息香酸、4-フルオロ-3-ヒドロキシ安息香酸、2-フルオロ-4-ヒドロキシ安息香酸、5-フルオロ-2-ヒドロキシ安息香酸、2-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸、2-アミノ-5-ヒドロキシ安息香酸、3-アミノ-2-ヒドロキシ安息香酸、3-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸、3-アミノ-5-ヒドロキシ安息香酸、4-アミノ-2-ヒドロキシ安息香酸、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸、5-アミノ-2-ヒドロキシ安息香酸(メサラミン)、5-アミノメチル-2-ヒドロキシ安息香酸、4-ホルミル-3-ヒドロキシ安息香酸、3-ホルミル-4-ヒドロキシ安息香酸、5-(アセチルアミノ)-2-ヒドロキシ安息香酸)、4-ニトロ-2-ヒドロキシ安息香酸、3,5-ジエチル-4-ヒドロキシ安息香酸、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸、3,5-ジイソプロピル-2-ヒドロキシ安息香酸、3,4-ジメトキシ-4-ヒドロキシ安息香酸(シリンギン酸)、3,5-ジクロロ-2-ヒドロキシ安息香酸、3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシ安息香酸、3,6-ジクロロ-2-ヒドロキシ安息香酸、2,3-ジフルオロ安息香酸、2,5-ジフルオロ安息香酸、2,6-ジフルオロ安息香酸、3,4,5-トリフルオロ安息香酸、2,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ安息香酸、3,4-ジフルオロ-2-ヒドロキシ安息香酸、3,5-ジブロモ-2-ヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヨード-2-ヒドロキシ安息香酸、4-アミノ-5-クロロ-2-ヒドロキシ安息香酸、3,5-ジニトロ-2-ヒドロキシ安息香酸、2,4,6-トリブロモ-2-ヒドロキシ安息香酸、2,3,5,6-テトラフルオロ-4-ヒドロキシ安息香酸、2,3,4,5-テトラフルオロ-6-ヒドロキシ安息香酸、2,3-ジヒドロキシ安息香酸(ピロカテキン酸/ハイポガリン酸)、2,4-ジヒドロキシ安息香酸(β-レゾルシル酸)、2,5-ジヒドロキシ安息香酸(ゲンチジン酸/ヒドロキノンカルボン酸)、2,6-ジヒドロキシ安息香酸(γ-レゾルシル酸)、3,4-ジヒドロキシ安息香酸(プロトカテク酸)、3,5-ジヒドロキシ安息香酸(α-レゾルシル酸)、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸(バニリン酸)、6-メチル-2,4-ジヒドロキシ安息香酸(オルセン酸)、4-ブロモ-3,5-ジヒドロキシ安息香酸、5-ブロモ-2,4-ジヒドロキシ安息香酸、5-ブロモ-3,4-ジヒドロキシ安息香酸、6-カルボキシメチル-2,3-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジブロモ-2,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジクロロ-2,6-ジヒドロキシ安息香酸、5-アミノ-3-クロロ-2,4-ジヒドロキシ安息香酸、2,3,4-トリヒドロキシ安息香酸、2,4,5-トリヒドロキシ安息香酸、2,4,6-トリヒドロキシ安息香酸(フロログルシノールカルボン酸)、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸(没食子酸)、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2-ベンゼンジカルボン酸(フタル酸)、1,3-ベンゼンジカルボン酸(イソフタル酸)、1,4-ベンゼンジカルボン酸(テレフタル酸)、2-ヨード-1,3-ベンゼンジカルボン酸、2-ヒドロキシ-1,4-ベンゼンジカルボン酸、2-ニトロ-1,4-ベンゼンジカルボン酸、3-フルオロ-1,2-ベンゼンジカルボン酸、3-アミノ-1,2-ベンゼンジカルボン酸、3-ニトロ-1,2-ベンゼンジカルボン酸、4-ブロモ-1,3-ベンゼンジカルボン酸、4-ヒドロキシ-1,3-ベンゼンジカルボン酸、4-アミノ-1,2-ベンゼンジカルボン酸、4-ニトロ-1,2-ベンゼンジカルボン酸、4-スルホ-1,2-ベンゼンジカルボン酸、4-アミノ-1,3-ベンゼンジカルボン酸、5-ブロモ-1,3-ベンゼンジカルボン酸、5-ヒドロキシ-1,3-ベンゼンジカルボン酸、5-アミノ-1,3-ベンゼンジカルボン酸、5-ニトロ-1,3-ベンゼンジカルボン酸、5-エチニル-1,3-ベンゼンジカルボン酸、5-シアノ-1,3-ベンゼンジカルボン酸、5-ニトロ-1,3-ベンゼンジカルボン酸、2,5-ヒドロキシ-1,4-ベンゼンジカルボン酸、2,3,5,6-テトラフルオロ-1,4-ベンゼンジカルボン酸、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸(メロファン酸)及び1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)が挙げられる。
【0051】
いくつかの実施形態において、コフォーマーは、1つ以上の位置で置換された安息香酸であり、置換基は、水素結合供与体、電子吸引性基、及び電子供与性基からなる群から各機会について独立して選択される。いくつかの実施形態において、安息香酸と化合物1との間のpKa(ΔpKa)値の差は、約1未満である。
【0052】
いくつかの実施形態では、コフォーマーは式I:
【0053】
【化3】
(式中、
は、-NHC(O)CH又は-OHであり、
は、-H、-OH又はNOであり、
は、-H、-OH又はNOである。)
による安息香酸である。
【0054】
いくつかの実施形態において、Rは-NHC(O)CHであり、R及びRは各々Hである。
【0055】
いくつかの実施形態において、RはOHであり、R及びRは各々Hである。
【0056】
いくつかの実施形態において、RはOHであり、Rは-OHであり、RはHである。
【0057】
いくつかの実施形態において、R、R及びRは-OHである。
【0058】
いくつかの実施形態において、RはOHであり、Rは-NOであり、RはHである。
【0059】
いくつかの実施形態において、コンフォーマーは、4-アセトアミド安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ-3-ニトロ安息香酸、及び没食子酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、コンフォーマーは4-アセトアミド安息香酸である。
【0060】
比率
化合物1とコフォーマーとの比は化学量論的又は非化学量論的であってよい。例えば、化合物1とコフォーマーとの様々な比が可能であり、例えば、約5:1~約1:5、又は約2:1~約1:2、又は約1:1.5~約1.5:1である。いくつかの実施形態において、比は、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1.5:1、約1:1、約1:1.5、約1:2、約1:3、約1:4、又は約1:5である。いくつかの実施形態において、比は、約1:1などの化学量論的である。当業者であれば、このような成分のモル比は、結晶形態の成分の一般的な相対量に関する情報をもたらすことを認識する。しかしながら、多くの場合、モル比は、記載された範囲から±20%変動し得る。例えば、本開示に関して、1:1のモル比は、1:0.8及び1:1.2、並びにその間の全ての個々の比を含むと理解すべきである。
【0061】
溶媒和物
特定の実施形態において、共結晶は、結晶格子中に1つ以上の溶媒和物分子、すなわち、共結晶の溶媒和物、又は室温で液体である溶媒若しくは化合物をさらに含む共結晶を含むことができる。1つ以上の溶媒分子は、いくつかの実施形態において水を含み得、この場合、共結晶は「水和物」と呼ばれる。本明細書で使用する場合、「水和物」及び「溶媒和物」という用語は、それぞれ化学量論的又は非化学量論的な量の水又は溶媒が、非共有結合的な分子間力によって結合して結晶格子に含まれることを指す。いくつかの実施形態において、溶媒分子はアセトニトリルである。いくつかの実施形態において、溶媒分子は水である。いくつかの実施形態において、溶媒分子はアセトニトリル及び水の両方である。
【0062】
共結晶の調製
化合物1を含む本明細書に開示されるような共結晶は、多数の異なる方法に従って調製することができる。共結晶形成のための適切な技術は、例えば、Karimi-Jafari et al.,Crystal Growth and Design 2018,18,6370-6387に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一般に、方法は、化合物1とコフォーマーとの共結晶を形成するために、結晶化条件下で化合物1をコフォーマーと粉砕、加熱、又は溶液中で接触させることを含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、本共結晶は、化合物1及びコンフォーマーを一緒に融解し、再結晶を起こさせることによって得ることができる。
【0064】
いくつかの実施形態において、本共結晶は、溶媒が存在する又は存在しない固体状態で、化合物1及びコフォーマーを一緒に混合又は粉砕することによって得ることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、共結晶は溶液結晶化によって調製することができる。この方法では、化合物1及びコフォーマーを別々に溶媒に溶解し、溶液を合わせる。その後、溶媒混合物をゆっくりと蒸発させると、共結晶が沈殿又は結晶化し得る。共結晶は、2つの成分を同じ溶媒又は混合溶媒に溶解することによっても得ることができる。適切な溶媒には、これらに限定されないが、C-Cアルコール、C-C12アルカン酸エステル、C-Cアルキルケトン、環状及び非環状脂肪族エーテル、ニトロアルカン、アルカネニトリル、低級アルカンアミド及びハロゲン化炭化水素を含む、極性プロトン性又は非プロトン性有機溶媒が含まれる。適切な溶媒の非限定的な例には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ニトロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、メチルtert-ブチルエーテル、及びそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、本共結晶は、化合物1及びコフォーマーを溶媒の存在下で一緒に撹拌することによって得ることができる。いくつかの実施形態において、溶媒はアセトニトリルである。
【0066】
いくつかの実施形態において、化合物1、コンフォーマー及び溶媒の混合物が加熱される。例えば、温度は、化合物の溶解度及び溶媒の沸点に応じて、約25℃、約50℃、約75℃、約100℃、又はそれ以上など、室温以上であってもよい。いくつかの実施形態において、温度は溶媒の沸点又はその近傍である。いくつかの実施形態において、温度は約50℃である。
【0067】
共結晶の特性決定
本開示の共結晶は、当技術分野で公知の任意の適切な技術によって検出することができる。一般に、出発物質(すなわち、化合物1及び1つ以上のコフォーマー)の物理的性質と異なる固体の物理的性質(特に、その融点)の観察は、共結晶形成を示す。いくつかの実施形態において、物理的特性は、融点、又は粉末X線回折(PXRD)パターン若しくは単結晶X線回折パターンなどのX線回折パターンである。結晶形態は、特定の結晶形態のフィンガープリントを生成するX線回折図のピーク位置によって確実に特徴付けることができる。共結晶回折パターンを既知の結晶構造(例えば、化合物1)と比較して、異なる結晶形態の存在を示すことができる。
【0068】
融点評価は、例えば示差走査熱量測定(DSC)又は熱重量分析(TGA)によって実施することができる。さらなる特性決定は、これらに限定されないが、固有溶解プロファイル、平衡溶解度、固体NMR、動的蒸気収着分析(DVS)、フーリエ変換赤外(FTIR)分光法及びラマン分光法を含む、従来の分析法によって実施することができる。
【0069】
本明細書において記載される全ての方法は、本明細書において特に示されない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書において提示される任意の及び全ての例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に材料及び方法をより良く明らかにすることを意図しており、他に請求されない限り、範囲に制限をもたらすものではない。本明細書中のいかなる文言も、開示された材料及び方法の実施に必須である請求の範囲以外の要素を示すものと解釈すべきではない。
【0070】
本明細書に記載される組成物、方法、及び用途に対する適切な改変及び適合が、その実施形態又は態様の範囲から逸脱することなく行われ得ることは、関連技術分野における通常の技術者には容易に明らかである。提示される組成物及び方法は例示的なものであり、特許請求される実施形態の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書において開示される様々な実施形態、態様、及び選択肢の全ては、全ての変形において組み合わせることができる。本明細書に記載される組成物、製剤、方法、及びプロセスの範囲には、本明細書における実施形態、態様、選択肢、例、及び好適物の全ての実際又は潜在的な組み合わせが含まれる。
【0071】
本明細書では、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これらの実施形態は、本発明の原理及び応用を単に例示するものであることを理解されたい。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の方法及び装置に様々な修正及び変形を加えることができることは、当業者には明らかである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある修正及び変形を含むことが意図される。
【0072】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」又は「一実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じて様々な箇所で「1つ以上の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「1つの実施形態において」、又は「ある実施形態において」といった表現が現れるのは、必ずしも本発明の同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。本明細書で引用されるあらゆる範囲は包括的である。
【0073】
本発明の態様は、以下の実施例を参照してより完全に説明される。本発明のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本発明は、以下の説明に記載される構造の詳細又はプロセスステップに限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施する又は行うことが可能である。以下の実施例は、本発明の特定の態様を説明するために記載されており、それを限定するものとして解釈されるものではない。
【実施例
【0074】
実施例1.ウパダシチニブ4-アセトアミド安息香酸共結晶アセトニトリル溶媒和物
ウパダシチニブ((3S,4R)-3-エチル-4-(3H-イミダゾ[1,2-a]ピロロ[2,3-e]ピラジン-8-イル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド;200mg;0.52mmol)及び4-アセトアミド安息香酸(92mg;0.52mmol)をバイアルに入れた。固体の混合物にアセトニトリル(800μL)を加えた。懸濁液を25℃で約24時間混合した。生成物をろ過により単離した。
【0075】
生成物共結晶の粉末X線回折(「XRPD」)パターンを、湾曲位置検出器及び平行ビーム光学機を備えたG3000回折計(Inel corp.アルテネイ、フランス)で収集した。回折計を、銅アノード管(1.5kW細焦点)を用いて40 kV及び30mAで作動させた。入射ビームゲルマニウムモノクロメーターは、単色Kα1放射線(λ=1.540562Å)を供給する。試料を、試料粉末をアルミニウム製試料ホルダーに薄く広げ、ガラス製顕微鏡スライドで静かに水平にすることで調製した。装置はSymphonixソフトウェア(Inel Corp.アルテネイ、フランス)を使用してコンピューター制御し、データをJadeソフトウェア(バージョン6.5、Materials Data,Inc.レバーモア、カリフォルニア州)を使用して解析した。アルミニウム試料ホルダーをG3000回折計の回転試料ホルダーに取り付け、周囲条件で回折データを収集した。
【0076】
粉末X線回折パターンを図1に、XRPDピークと結晶形態の相対強度を表2に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
実施例2.ウパダシチニブ4-アセトアミド安息香酸共結晶アセトニトリル溶媒和物の結晶化
実施例2のウパダシチニブ/4-アセトアミド安息香酸共結晶(3mg)及びアセトニトリル(300μL)をバイアルに入れ、50℃に加温して固体を溶解した。得られた溶液を約5℃/時間の速度で室温まで冷却した。溶液から形成された結晶を、単離した。単結晶X線回折データを、Mo Kα線λ=0.7107Åを用いて測定した。結晶形態の結晶学的プロファイルを表3にまとめた。
【0079】
【表2】
【0080】
実施例3.ウパダシチニブ4-アセトアミド安息香酸共結晶酢酸エチル溶媒和物の結晶化
ウパダシニチニブ、4-アセトアミド安息香酸共結晶及び酢酸エチル(15容量)をバイアルに入れた。懸濁液を5℃~50℃の範囲で撹拌し、25℃で約24時間平衡化した。生成物をろ過により単離した。実施例2と同様にXRPDパターンを収集した。結晶形態のXRPDパターン及び相対強度のXRPDピークを、それぞれ図2と表4に示す。
【0081】
【表3】
【0082】
実施例4.ウパダシチニブ4-アセトアミド安息香酸共結晶水和物の結晶化
ウパダシチニブ(200mg;0.52mmol)及び4-アセトアミド安息香酸(92mg;0.52mmol)をバイアルに入れた。混合物にアセトニトリル(800μL)を加えた。懸濁液を25℃で約24時間混合した。生成物をろ過により単離し、周囲条件下又は真空下4℃で乾燥窒素をパージして乾燥した。実施例2と同様にXRPDパターンを収集した。結晶形態のXRPDパターン及び相対強度のピークを、それぞれ図3及び表5に示す。
【0083】
【表4】
【0084】
実施例5.ウパダシチニブ4-アセトアミド安息香酸共結晶水和物の結晶化
4-アセトアミド安息香酸共結晶としてのウパダシニチニブを、酢酸エチル(15容量)とともにバイアルに入れた。懸濁液を5℃~50℃の範囲の温度で撹拌し、25℃で約24時間平衡化した。生成物をろ過により単離し、周囲条件下又は真空オーブン中で、4℃で乾燥窒素をパージして乾燥した。実施例2と同様にXRPDパターンを収集した。XRPDパターン及びXRPDピークは、実施例4のウパダシチニブ4-アセトアミド安息香酸共結晶水和物のそれらと同一であった。
【0085】
実施例6.ウパダシチニブ4-ヒドロキシ安息香酸共結晶アセトニトリル溶媒和物水和物の結晶化
ウパダシチニブ(1000mg)及び4-ヒドロキシ安息香酸(533mg;化学量論比はウパダシチニブ:4-ヒドロキシ安息香酸=1:1.5)をバイアルに入れた。混合物にアセトニトリル(3mL)を加えた。懸濁液を25℃で約24時間混合した。生成物をろ過により単離した。実施例2と同様にXRPDパターンを収集した。結晶形態のXRPDパターン及び相対強度のXRPDピークをそれぞれ図4及び表6に示す。
【0086】
【表5】
【0087】
実施例7.ウパダシチニブ4-ヒドロキシ安息香酸共結晶アセトニトリル溶媒和物水和物の結晶化
実施例7のウパダシチニブ4-ヒドロキシ安息香酸共結晶(15mg)及びアセトニトリル(100μL)をバイアルに入れた。55℃~60℃の間で加熱-冷却サイクルを行った。得られた溶液を40℃までゆっくりと冷却し、40℃で約18時間平衡化した。結晶を、溶液から単離する前に室温まで自然冷却させた。単結晶X線回折データを、Mo Kα線λ=0.7107Åを用いて測定した。結晶形態の結晶学的プロファイルを表7にまとめた。
【0088】
【表6】
【0089】
実施例8.ウパダシチニブ4-ヒドロキシ安息香酸共結晶アセトニトリル溶媒和物水和物の結晶化
ウパダシチニブ(1000mg)及び4-ヒドロキシ安息香酸(533mg;化学量論比はウパダシチニブ:4-ヒドロキシ安息香酸=1:1.5)をバイアルに入れた。混合物にアセトニトリル(3mL)を加えた。懸濁液を25℃で約24時間混合した。生成物をろ過により単離し、周囲条件又は真空オーブン中で、乾燥窒素でパージして40℃で乾燥した。実施例2と同様にXRPDパターンを収集した。結晶形態のXRPDパターン及び相対強度のXRPDピークをそれぞれ図5及び表8に示す。
【0090】
【表7】
【0091】
実施例9.ウパダシチニブ4-ヒドロキシ-3-ニトロ安息香酸共結晶アセトニトリル溶媒和物の結晶化
ウパダシチニブ(1000mg)及び4-ヒドロキシ-3-ニトロ安息香酸(942mg;化学量論比はウパダシチニブ:4-ヒドロキシ-3-ニトロ安息香酸=1:2)をバイアルに入れた。混合物にアセトニトリル(5mL)を加えた。懸濁液を25℃で約24時間混合した。生成物をろ過により単離した。実施例2と同様にXRPDパターンを収集した。結晶形態のXRPDパターン及び相対強度のXRPDピークをそれぞれ図6及び表9に示す。
【0092】
【表8】
【0093】
実施例10.ウパダシチニブ4-ヒドロキシ-3-ニトロ安息香酸共結晶脱溶媒和体の結晶化
ウパダシチニブ(1000mg)及び4-ヒドロキシ-3-ニトロ安息香酸(942mg;化学量論比はウパダシチニブ:4-ヒドロキシ-3-ニトロ安息香酸=1:2)をバイアルに入れた。混合物にアセトニトリル(5mL)を加えた。懸濁液を25℃で約24時間混合した。生成物をろ過により単離し、周囲条件又は真空オーブン中で、乾燥窒素でパージして40℃で乾燥した。実施例2と同様にXRPDパターンを収集した。結晶形態のXRPDパターン及び相対強度のXRPDピークをそれぞれ図7及び表10aに示す。XRPDデータを、単色Kα1放射線λ=1.540562Åを用いて測定した。結晶形態の結晶学的プロファイルを表10bにまとめた。
【0094】
【表9】
【0095】
【表10】
【0096】
実施例11.ウパダシチニブ3,4-ジヒドロキシ安息香酸共結晶アセトニトリル溶媒和物の結晶化
ウパダシチニブ(200mg)及び3,4-ジヒドロキシ安息香酸(200mg)をバイアルに入れた。混合物にアセトニトリル(0.4mL)を加えた。懸濁液を25℃で約24時間混合した。生成物をろ過により単離した。実施例2と同様にXRPDパターンを収集した。結晶形態のXRPDパターン及び相対強度のXRPDピークをそれぞれ図8及び表11に示す。
【0097】
【表11】
【0098】
実施例12.ウパダシチニブ3,4-ジヒドロキシ安息香酸共結晶水和物の結晶化
ウパダシチニブ(200mg)及び3,4-ジヒドロキシ安息香酸(200mg)をバイアルに入れた。混合物にアセトニトリル(0.4mL)を加えた。懸濁液を25℃で約24時間混合した。生成物をろ過により単離し、周囲条件下又は40℃の真空オーブン中で加湿下に乾燥した。XRPDデータを、単色Kα1放射線λ=1.540562Åを用いて測定した。結晶形態のXRPDパターン及び相対強度のXRPDピークをそれぞれ図9及び表12に示す。
【0099】
【表12】
【0100】
実施例13.ウパダシチニブ3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸共結晶の結晶化
ウパダシチニブ(1000mg)及び3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸(437 mg、ウパダシチニブと1:1モル比)をバイアルに入れた。混合物にアセトニトリル(3mL)を加えた。懸濁液を25℃で約24時間混合した。生成物をろ過により単離した。
【0101】
実施例14.ウパダシチニブ共結晶の水溶解度決定
本明細書に開示された5つのウパダシチニブ共結晶の水溶解度を決定するために溶解性試験を行った。固体の共結晶の十分な大きさのサンプルを、測定した量の水とともに個々のバイアルに加えた。水-共結晶の混合物を、37℃で24時間まで回転タンブリングにより平衡化した。溶解した固体の量を各サンプルについて決定した。各共結晶の溶解度を表13に示す。
【0102】
【表13】
【0103】
実施例15.ウパダシチニブ共結晶の保存安定性決定
本明細書に開示された5つのウパダシチニブ共結晶のそれぞれについて、短期安定性を決定するために保存安定性試験を実施した。各ウパダシチニブ共結晶のサンプルを、40℃/75%相対湿度(RH)の開放皿で最長1カ月間保存した。化学的純度は表14に示すとおりであり、試験した安定性属性(純度及び結晶形態)の有意な変化は観察されなかったことを示している。
【0104】
【表14】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】