(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】低温の圧縮されるガスの圧縮のための要素、装置及び方法
(51)【国際特許分類】
F04C 29/04 20060101AFI20240327BHJP
F04C 18/16 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
F04C29/04 C
F04C18/16 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023561736
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 EP2022057665
(87)【国際公開番号】W WO2022214318
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ラルチャンダニ ムケシュ
(72)【発明者】
【氏名】ファン トロース トム
(72)【発明者】
【氏名】デ ボック シモン
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA03
3H129AA17
3H129AA24
3H129AB05
3H129BB13
3H129CC05
3H129CC16
3H129CC22
3H129CC32
(57)【要約】
40℃以下の低温の圧縮されるガスを圧縮するための要素であって、要素(1)は、ハウジング(2)を備え、ハウジング(2)は、該ハウジングに対してシャフト(5)の周りで回転可能に取り付けられた少なくとも1つのロータ(3)と、圧縮されるガスのための入口(6)と、圧縮ガスのための出口(7)とを備え、要素(1)は、入口(6)に最も近い位置にあるロータ(3)のシャフト(5)の端部(9a)のための加熱手段を備えることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-40℃以下の低温の圧縮されるガスの圧縮のための要素であって、
前記要素(1)は、ハウジング(2)を備え、前記ハウジング(2)は、前記ハウジング(2)に対してシャフト(5)の周りに回転可能に取り付けられた少なくとも1つのロータ(3)と、前記圧縮されるガスのための入口(6)と、圧縮ガスのための出口(7)とを備え、
前記要素(1)は、前記入口(6)に最も近い位置にある前記ロータ(3)の前記シャフト(5)の端部(9a)のための加熱手段を備える、要素。
【請求項2】
低温の前記圧縮されるガスの温度は、最大で-60℃、好ましくは最大で-100℃である、請求項1に記載の要素。
【請求項3】
前記加熱手段は、前記低温より高い温度の加熱媒体を前記ロータ(3)の前記シャフト(5)の前記端部(9a)に噴射するための第1の噴射回路(8)を備える、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項4】
前記第1の噴射回路(8)は、前記シャフト(5)の前記端部(9a)に配置されたノズル(12)を備え、前記ノズル(12)は、前記端部(9a)上に前記加熱媒体を直接噴霧する、請求項3に記載の要素。
【請求項5】
前記ロータ(3)は、軸受(4)によって前記ハウジング(2)に対して回転可能に取り付けられており、前記要素(1)は、前記軸受(4)に対して前記低温よりも高い温度の加熱媒体を噴射するための第2の噴射回路(14)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の要素。
【請求項6】
前記要素(1)への加熱媒体のための第1の供給点(11)を有する前記第2の噴射回路(14)の第1のダクト(10)は、前記シャフト(5)の軸方向に従って、前記入口(6)が配置される前記ハウジング(2)の側に位置する前記ハウジング(2)の第1の部分に配置されている、請求項5に記載の要素。
【請求項7】
前記要素(1)への加熱媒体のための第2の供給点(15)を有する前記第2の噴射回路(14)の第2のダクト(16)は、前記シャフト(5)の軸方向に従って、前記出口(7)が配置される前記ハウジング(2)の側に位置する前記ハウジング(2)の第2の部分に配置されている、請求項5又は6に記載の要素。
【請求項8】
前記第1の供給点(11)及び前記第2の供給点(15)は、前記ハウジング(2)内の加熱媒体のための接続ダクト(18)によって相互に接続されている、請求項6及び7に記載の要素。
【請求項9】
前記第2の噴射回路(14)は、前記第1の噴射回路(8)に接続される、前記第1の噴射回路(8)の一部である、前記第1の噴射回路(8)に組み込まれる、又は前記第1の噴射回路(8)と単一ユニットを形成する、請求項3又は4、及び請求項5から8のいずれか一項に記載の要素。
【請求項10】
前記ノズル(12)は、前記軸受(4)にも加熱媒体を噴霧できるように構成されている、請求項4、及び請求項5から9のいずれか一項に記載の要素。
【請求項11】
前記ノズル(12)は、少なくとも2つのノズル開口部(13a、13b)を備える、請求項10に記載の要素。
【請求項12】
前記要素(1)は、少なくとも1つのヘリカルロータ、好ましくは2つのヘリカルロータを備えたスクリュー圧縮機要素である、請求項1から11のいずれか一項に記載の要素。
【請求項13】
前記要素(1)は、オイルフリーのスクリュー圧縮機要素である、請求項12に記載の要素。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の要素(1)を少なくとも1つ備える、-40℃以下の低温の圧縮されるガスの圧縮のための装置。
【請求項15】
要素によって-40℃以下の低温の圧縮されるガスを圧縮する方法であって、
前記要素(1)は、ハウジング(2)を備え、前記ハウジング(2)は、前記ハウジング(2)に対してシャフト(5)の周りに回転可能に取り付けられた少なくとも1つのロータ(3)と、前記圧縮されるガスのための入口(6)と、圧縮ガスのための出口(7)とを備え、
前記入口(6)に最も近い位置にある前記ロータ(3)の前記シャフト(5)の端部(9a)が加熱される、方法。
【請求項16】
低温の前記圧縮されるガスは、最大で-60℃、好ましくは最大で-100℃の温度である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
加熱媒体は、前記端部(9a)に噴射され、そのために前記加熱媒体は、前記圧縮されるガスより高い温度を有する、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記ロータ(3)は、軸受(4)によって前記ハウジング(2)に対して回転可能に取り付けられ、前記加熱媒体は、前記軸受(4)にも噴射される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記加熱媒体は、潤滑液体、好ましくはオイルである、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
-40℃以下の低温の圧縮されるガスの圧縮のための、請求項1から13のいずれか一項に記載の要素又は請求項14に記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温の圧縮されるガスを圧縮するための要素、装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下において「低温」とは、-40℃以下の温度を指す。従って、本発明は、極低温での用途を意図している。
【0003】
可能性のある1つの例は、液化天然ガス(LNG)のボイルオフガスの圧縮であるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0004】
このような用途には、往復圧縮機又はピストン圧縮機を使用することが知られている。
【0005】
このような往復圧縮機又はピストン圧縮機の欠点は、その動作に起因して圧縮ガス供給に脈動が発生することである。換言すれば、圧縮ガス供給は連続的ではない。
【0006】
しかしながら、いくつかの用途は、圧縮ガスの連続した供給を必要とする。
【0007】
例えば、スクリューロータを備えたスクリュー圧縮機要素は、圧縮ガス供給に脈動を発生させることなく連続動作をもたらすことが知られている。加えて、スクリュー圧縮機要素のエネルギー消費量は小さい。
【0008】
しかしながら、スクリュー圧縮機は、-40℃以下のガスの圧縮での使用には適していない。
【0009】
スクリュー圧縮機要素は、鋳鉄製のハウジング及び鍛鋼製のスクリューロータを備える。
【0010】
このような低温では、著しい熱変形が生じる。
【0011】
スクリューロータは、通常、ロータ本体と単一ユニットのシャフトを備え、スクリュー圧縮機要素の出口側よりも入口側でより冷たくなることになる。
【0012】
これは、スクリューロータの入口側から出口側にわたる温度勾配を引き起こす。
【0013】
これは、スクリュー圧縮機要素の公差及びクリアランスに影響を与え、これは熱変形により増大することになり、結果としてスクリュー圧縮機要素の効率及び性能が低下する。
【0014】
従って、-40℃以下で圧縮されるガスは、スクリュー圧縮機要素に入る前に暖められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このことは、熱変形の問題を解決するが、圧縮後に圧縮ガスを再び冷却する必要があるため、大幅なエネルギー損失を引き起こす。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、-40℃以下の温度での圧縮されるガスを圧縮することができる要素を提供することによって、上記及び/又は他の欠点の少なくとも1つに対する解決策を提供することを目的とする。
【0017】
本発明は、-40℃以下の低温の圧縮されるガスの圧縮のための要素に関し、要素は、ハウジングを備え、ハウジングは、ハウジングに対してシャフトの周りに回転可能に取り付けられた少なくとも1つのロータと、圧縮されるガスのための入口と、圧縮ガスのための出口とを備え、要素(1)は、入口(6)に最も近い位置にあるロータのシャフトの端部のための加熱手段を備えている。
【0018】
利点は、このようにしてシャフトの上記端部を加熱できることである。
【0019】
要素の入口は、圧縮されるガスが低温で入るため、最も低温の場所となる。その結果、入口に最も近いシャフトの端部が最も強力に冷却されることになる。
【0020】
この場所では、加熱手段との温度差が最も大きくなるため、加熱手段とロータとの間の最適な熱伝達が可能になる。
【0021】
シャフトの熱伝導性により、シャフトに伝達された熱は、シャフト全体及びロータのロータ本体に広がることになる。
【0022】
その結果、既知の要素で生じることになる要素の入口側から出口側へのロータ上の温度勾配をなくすことができ、ロータ全体がほぼ同じ温度になる。
【0023】
その結果、ロータの熱変形が制限されることになり、ロータとハウジングとの間の公差及びクリアランスが許容範囲内に維持され、熱応力が制限される。
【0024】
本発明による要素の好ましい実施形態では、加熱手段は、入口に最も近い位置にあるロータのシャフトの端部に、低温よりも高い温度の加熱媒体を噴射するための第1の噴射回路を備える。
【0025】
ロータのシャフトのこの端部に行き着く加熱手段は、この端部と直接接触し、これにより、この加熱手段と上記端部との間の熱交換が促進される。
【0026】
本発明による素子のより好ましい実施形態では、第1の噴射回路は、シャフトの上記端部にノズルを備え、このノズルは加熱手段を上記端部に直接噴射する。
【0027】
加熱手段は、ノズルによってシャフトの上記端部に直接かつ的を絞って噴射されるので、加熱手段の可能な限り大きな部分がシャフトの前記端部に効果的に行き着き、従って、噴射された熱媒体と上記端部との間の熱交換が促進される。
【0028】
本発明による要素のさらに好ましい実施形態では、ロータは、軸受によってハウジングに対して回転可能に取り付けられ、要素は、加熱媒体を噴射するための第2の噴射回路を備える。
【0029】
その結果、軸受の摩擦増加によりその正常動作を危うくする可能性がある、軸受が冷却されすぎて凍結するのを防ぐために、軸受は、加熱することもできる。
【0030】
好ましくは、要素への加熱媒体のための第1の供給点を有する第2の噴射回路の第1のダクトは、シャフトの軸方向に従って、入口が配置されるハウジングの側に位置するハウジングの第1の部分に配置される。
【0031】
代替的に又は付加的に、要素への加熱媒体のための第2の供給点を有する第2の噴射回路の第2のダクトは、シャフトの軸方向に従って、出口が配置されるハウジングの側に配置されるハウジングの第2の部分に配置される。
【0032】
これは、入口側及び/又は出口側で加熱媒体を要素の中に供給することによって、ロータの1つ及び/又は2つの端部に供給点を設けることができるという利点を有する。
【0033】
換言すれば、要素の入口側の軸受及び/又は要素の出口側の軸受は、それぞれの噴射点を有するので、加熱媒体は、軸受にできるだけ近い位置で噴射され、要素の入口側からハウジングを通って要素の出口側まで、又はその逆に、加熱媒体を運ぶ必要はない。
【0034】
これは、要素内の加熱媒体の閉塞を引き起こす及び/又は加熱媒体の潤滑特性を悪化させる可能性がある、加熱媒体がハウジングを通過する間に凍結すること又は冷えすぎることを防止することになる。
【0035】
加熱媒体は、供給点からハウジングを通って各軸受まで限られた距離だけ移動する必要があるので、加熱媒体は、僅かに冷えることになり、必要な熱を軸受に最大限伝達することができる。
【0036】
第1の供給点及び第2の供給点は、ハウジング内の加熱媒体のための接続ダクトによって相互に接続される。
【0037】
この接続ダクトにより、第1の供給点及び第2の供給点を通って噴射される加熱媒体の間の熱交換が可能になる。
【0038】
この熱交換は、接続ダクト内の加熱媒体を介して、要素の高温の出口側から低温の入口側へ生じる。
【0039】
これは、加熱媒体全体、ハウジング全体、及び軸受の均一な温度をもたらすことになる。
【0040】
従って、加熱媒体が要素内で局所的にスローダウン(slow down)し過ぎるリスクが低くなる。
【0041】
本発明によれば、第2の噴射回路は、第1の噴射回路に接続される、その一部である、それに組み込まれる、又はそれと単一ユニットを形成することは排除されない。
【0042】
従って、この要素は、第1及び第2の噴射回路のためのハウジング内の必要な流路の数という点で、その構造に関してそれほど複雑ではない。
【0043】
本発明による要素の好ましい実施形態では、ノズルは、存在する場合、加熱媒体を軸受上に噴霧できるようにも構成されている。
【0044】
このようにして、入口に最も近い位置にあるロータのシャフトの端部と要素の入口側の軸受の両方には、加熱媒体が直接かつ的を絞って噴霧されるので、加熱媒体のかなりの部分が、シャフトの上記端部上及び軸受上の両方に効果的に行き着き、従って、一方では、噴射された加熱媒体と、他方では、上記端部及び軸受との間の熱交換が促進される。
【0045】
好ましくは、ノズルは、少なくとも2つのノズル開口部を備える。
【0046】
このようにして、少なくとも2つのノズル開口部のうちの1つは、ロータのシャフトの上記端部に的を絞ることができ、少なくとも2つのノズル開口部のうちの別の1つは、要素の入口側の軸受に向けることができるので、加熱媒体のできるだけ大きな部分が、シャフトの上記端部及び軸受の両方に効果的に行き着き、従って、一方では、噴射された加熱媒体と、他方では、上記端部及び軸受との間で熱交換が促進される。
【0047】
また、本発明は、-40℃以下の低温の圧縮されるガスの圧縮のための装置に関し、この装置は、本発明による少なくとも1つの要素を備えることを特徴としている。
【0048】
もちろん、このような装置は、上記の本発明による要素の実施形態と同じ利点を有する。
【0049】
また、本発明は、要素によって-40℃以下の低温の圧縮されるガスを圧縮する方法に関し、この要素は、ハウジングを備え、ハウジングは、該ハウジングに対してシャフトの周りに回転可能に取り付けられた少なくとも1つのロータと、圧縮されるガスの入口と、圧縮ガスの出口とを備え、入口に最も近い位置にあるロータのシャフトの端部が加熱されるという特徴を有する。
【0050】
好ましくは、低温の圧縮されるガスは、最大で-60℃、好ましくは最大で-100℃の温度である。
【0051】
本発明による方法の好ましい実施形態では、加熱媒体は、上記端部に噴射され、そのために加熱媒体は、圧縮されるガスより高い温度を有する。
【0052】
本発明による方法のより好ましい実施形態では、ロータは、軸受によってハウジングに対して回転可能に取り付けられ、加熱媒体は、軸受にも噴射される。
【0053】
もちろん、このような方法の利点は、上記した本発明による要素の対応する実施形態の利点と重複する。
【0054】
好ましくは、加熱媒体は、潤滑液体、より好ましくはオイルである。
【0055】
従って、加熱媒体は、加熱に有用に適用されるだけでなく、要素の構成要素の潤滑にも有用に適用され、これは主に軸受を目的とする。
【0056】
最後に、本発明は、-40℃以下の低温の圧縮されるガスの圧縮のための、本発明による要素又は装置の使用にも関する。
【0057】
本発明の特徴をよりよく示すために、非制限的な例として、本発明による低温の圧縮されるガスを圧縮するための要素及びそのような要素を備える装置の複数の好ましい実施形態を以下に添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】本発明による装置で使用するための、本発明による要素を概略的かつ斜視的に示す。
【
図4】
図1の矢印F4による図を概略的かつ斜視的に示すが、ハウジングの一部が切り取られている。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本発明による装置で使用するために各図に示す本発明による要素1は、この場合、スクリュー圧縮機要素である。
【0060】
要素1は、少なくとも1つのロータ3(この場合は2つのヘリカルロータ)を内部に収納するハウジング2を備える。
【0061】
この場合、スクリュー圧縮機要素は、オイルフリーのスクリュー圧縮機要素であり、すなわち、ヘリカルロータの潤滑及び/又はシーリングのために、要素1のハウジング2内の圧縮室にオイルが注入されない。
【0062】
ヘリカルロータは、軸受4によって、このハウジング2に対してシャフト5と共に回転可能に配置されている。
【0063】
また、ハウジング2は、低温の圧縮されるガスのための入口6と、圧縮ガスのための出口7とを備える。
【0064】
本発明によれば、低温での圧縮されるガスの温度は、-40℃以下であり、好ましくは、本発明では必須ではないが、-60℃以下であり、より好ましくは-100℃以下である。
【0065】
明らかに、圧縮の結果として、圧縮ガスは圧縮前の圧縮されるガスよりも高い温度を有することになる。プロセスによっては、この温度は-100℃、-60℃又は-40℃よりも高い場合がある。
【0066】
本発明によれば、要素1は、入口6に最も近い位置にあるロータ3のシャフト5の端部9aに、低温よりも高い温度の加熱媒体を噴射するための第1の噴射回路8を備える。これは
図3に示されている。
【0067】
この第1の噴射回路8は、入口6に最も近い位置にあるロータ3のシャフト5の端部9aに加熱媒体を噴射するために使用されることに留意することが重要である。換言すれば、第1の噴射回路8は、圧縮室の中にオイルを噴射するためには使用されない。
【0068】
この第1の噴射回路8は、要素1内の加熱媒体のための第1の供給点11を有する第1のダクト10を備える。この第1の供給点11を通して、加熱媒体は、加熱媒体リザーバからハウジング2内に運ばれる。
【0069】
加えて、第1の噴射回路8は、シャフト5の上記端部9aに位置するノズル12を備え、このノズルは、上記端部9aに加熱媒体を直接噴射する。
【0070】
図3及び4に示すノズル12は、この目的のためにノズル開口部13aを備える。
【0071】
図示の例では、素子1は、第2の噴射回路14を備える。
【0072】
この第2の噴射回路14は、軸受4への加熱媒体の噴射を可能にするために使用されることに留意されたい。換言すれば、第2の噴射回路14は、圧縮室の中にオイルを噴射するためには使用されない。
【0073】
図3に示すように、第2の噴射回路14は、ハウジング2内の2つの異なる位置に、要素1内への加熱媒体のための2つの供給点11、15を備える。
【0074】
図示のように、ハウジング2には、ヘリカルロータ3の各端部9a、9bで供給点11、15が存在する。
【0075】
その結果、ロータ3のシャフト5の端部9a、9bの軸受4の近傍で、ハウジング2内に加熱媒体を可能な限り接近して噴射することができる。
【0076】
ダクト10、16は、供給点11、15からハウジング2を通って軸受4まで延在し、加熱媒体を軸受4まで供給することになる。
【0077】
軸受4の位置には、適切なノズル12、17が設けられている。
【0078】
ノズル12、17は、軸受4に加熱媒体を噴霧するためのノズル開口部13bを備える。
【0079】
図3に示すように、2つの供給点11、18は、ハウジング2内の加熱媒体のための接続ダクト18によって相互に接続されている。
【0080】
この接続ダクト18は、装置が作動している間、オイルで満たされることになる。
【0081】
図3から分かるように、第1の噴射回路8及び第2の噴射回路14は、この場合、供給点11、ダクト10、ノズル12を共有している。
【0082】
この場合、本発明では必須ではないが、第1の噴射回路8は第2の噴射回路14の一部である。
【0083】
また、第2の噴射回路14は、第1の噴射回路8に接続される、その一部である、それに組み込まれる、又はそれと単一ユニットを形成することも可能である。
【0084】
もちろん、第1の噴射回路8及び第2の噴射回路14は、互いに完全に分離されることも可能である。
【0085】
また、ノズル12は、シャフト5の端部9aにオイルを噴霧するだけでなく、軸受4にもオイルを噴霧する場合もある。
【0086】
換言すれば、この場合、ノズル12は二重機能を有する。
【0087】
このため、ノズル12は、2つのノズル開口部13a、13bを備える。
【0088】
スクリュー圧縮機要素は、非常に単純な方法で、次のように動作する。
【0089】
スクリュー圧縮機要素の作動時、ヘリカルロータは、噛み合いによって協働して動作し、ハウジング2の入口6を通して低温での圧縮されるガスを引き込むことになる。
【0090】
圧縮されるガスは、ヘリカルロータによって圧縮され、ハウジング2の出口7を通ってスクリュー圧縮機要素1から出ることになる。
【0091】
これにより、低温での圧縮されるガスは、ハウジング2を強力に冷却することになる。
【0092】
圧縮プロセスの間にガスの温度は上昇することになるが、ガスの温度は依然として低いので、圧縮後も圧縮ガスはハウジング2を冷却することになる。
【0093】
要素1の作動時、加熱媒体は、供給点11及びダクト10を介してノズル12に送られることになる。加熱媒体は、入口6に最も近い位置にあるロータ3のシャフト5の端部9aのノズル開口部13aから噴霧されることになる。
【0094】
端部9aは暖められ、熱はシャフト5を通ってロータ3全体に広がることになる。
【0095】
入口6はハウジング2の中で最も冷たい場所であるため、ここは最も強力な加熱を必要とすることになる。
【0096】
シャフト5の熱伝導性により、熱は入口6から最も離れたシャフト5の端部9bに向かうことになる。
【0097】
その結果、ロータ3全体の温度は、できるだけ高く保たれることになり、温度も均一になることになる。
【0098】
ロータ3の加熱の結果、軸受4も間接的に部分的に加熱されることになる。
【0099】
しかしながら、軸受4の適切な動作を保証するため、第2の噴射回路14は、軸受4上に低温よりも高い温度の加熱媒体を噴霧することになる。
【0100】
ロータ3のシャフト5の各端部9a、9bの軸受4のために、ハウジング2には特別な供給点11、15が設けられ、可能な限り短いダクト10、16を使用して加熱媒体を軸受4に運ぶことが可能になる。
【0101】
加熱媒体は、ノズル12、17及びそのノズル開口部13bを通して軸受4上に直接噴霧される。
【0102】
これは、加熱媒体が軸受4に到達する前に、冷たいハウジング2を通過する場合の加熱媒体の温度低下を最小限に抑えることになる。
【0103】
接続ダクト18は、2つの供給点11、15の間の接続をもたらし、両方の供給点11、15を介して噴射される加熱媒体の間の熱交換を可能にすることが意図されている。
【0104】
この接続ダクト18は加熱媒体で満たされることになり、この加熱媒体は通常は静止しており、軸受4には到達しないことになるが、接続ダクト18内の加熱媒体を介して、より高温の出口7から非常に低温の入口6への熱交換は依然として可能である。
【0105】
これは、ハウジング2内の加熱媒体全体、ハウジング2全体及び軸受4にわたる均一な温度を保証することになる。
【0106】
それによって、加熱媒体が冷えすぎるリスクもない。
【0107】
本発明は、例として記載され、図に示された実施形態に限定されるものではないが、本発明による、低温の圧縮されるガスを圧縮するための要素及びそのような要素を備える装置は、特許請求の範囲に定義される本発明の範囲を超えることなく、全ての形態及び寸法で実施することができる。
【符号の説明】
【0108】
1 要素
2 ハウジング
3 ロータ
5 シャフト
6 入口
7 出口
9a 端部
【国際調査報告】