(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置における摂取位置と収納位置との間の移動
(51)【国際特許分類】
A24F 42/60 20200101AFI20240327BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20240327BHJP
【FI】
A24F42/60
A24F47/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561747
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2022059494
(87)【国際公開番号】W WO2022214680
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ベッソ クレメント
(72)【発明者】
【氏名】ファン ホウシュエ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA24
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB33
4B162AC12
4B162AC23
(57)【要約】
エアロゾル発生装置(3)は、軸方向に延在する加熱室(15)と、軸方向に延在する収納室(17)と、位置決め機構(81)と、を備える。収納室(17)は、加熱室(15)と同軸上に設けられている。エアロゾル発生装置(3)は、エアロゾル発生物品(5)を摂取位置に収容するように構成される。摂取位置では、エアロゾル発生物品(5)のエアロゾル発生部(9)が加熱室(15)内に少なくとも部分的に配置される。エアロゾル発生装置(3)は、エアロゾル発生物品(5)を収納位置に収容するように構成される。収納位置では、エアロゾル発生物品(5)のエアロゾル発生部(9)は収納室(17)内に少なくとも部分的に配置される。位置決め機構(81)は、エアロゾル発生物品(5)を収納位置から摂取位置へ移動させるように構成される。位置決め機構(81)は、エアロゾル発生物品(5)を摂取位置から収納位置に移動させるように構成される。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
軸方向に延在する加熱室と、
前記加熱室と同軸上に配置される軸方向に延在する収納室と、
位置決め機構と、を備え、
前記エアロゾル発生装置が、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部が前記加熱室内に少なくとも部分的に配置される摂取位置で前記エアロゾル発生物品を収容するように構成され、
前記エアロゾル発生装置が、前記エアロゾル発生物品の前記エアロゾル発生部が前記収納室内に少なくとも部分的に配置される収納位置で前記エアロゾル発生物品を収容するように構成され、
前記加熱室が、ヒーターによる火炎によって加熱されるように構成され、
前記位置決め機構が、前記エアロゾル発生物品を前記収納位置から前記摂取位置へ移動させるように構成され、
前記位置決め機構が、前記エアロゾル発生物品を前記摂取位置から前記収納位置へ移動させるように構成される、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記位置決め機構が、前記位置決め機構が前記エアロゾル発生物品を前記収納位置を超えて前記摂取位置から離れる方向に移動させることを防止するように構成される停止部を備える、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記位置決め機構が、軸方向に平行な方向に沿って前記エアロゾル発生物品と係合するように構成される、請求項1または2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記位置決め機構が、前記エアロゾル発生物品を前記摂取位置から前記収納位置へ移動させる方向に前記位置決め機構を付勢するばね要素を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記位置決め機構が、ロック状態とアンロック状態とを有するロック機構を備え、前記ロック機構が、前記位置決め機構がロック状態で前記エアロゾル発生物品を前記摂取位置から前記収納位置に移動させることを防止するように構成され、前記ロック機構が、ロックが解除された状態で前記エアロゾル発生物品を前記摂取位置から前記収納位置に移動させるために前記位置決め機構を解除するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記位置決め機構が、前記エアロゾル発生物品内に打ち込まれるように構成されるフック構造を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記収納室が前記加熱室と熱接触している、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記収納室が、前記加熱室からの熱伝達によってのみ加熱されるように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記位置決め機構が、前記エアロゾル発生物品を前記収納位置から前記摂取位置へ移動させるために、かつ前記エアロゾル発生物品を前記摂取位置から前記収納位置に移動させるために、同じ位置で前記エアロゾル発生物品と係合するように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
エアロゾル発生システムであって、
請求項1~9のいずれか一項に記載の前記エアロゾル発生装置と、
前記エアロゾル発生部を備える前記エアロゾル発生物品と、を備える、エアロゾル発生システム。
【請求項11】
エアロゾルを発生させるための方法であって、
軸方向に延在する加熱室の加熱空間内でエアロゾル発生物品のエアロゾル発生部を加熱温度にさらすことによってエアロゾルを発生させることと、
前記エアロゾル発生物品の前記エアロゾル発生部を位置決め機構と係合させることと、
前記エアロゾル発生部が前記加熱空間を出て、前記加熱室と同軸上に延在する収納室の収納空間に入るように、前記位置決め機構を用いて前記エアロゾル発生物品を軸方向に移動させることと、
前記エアロゾル発生部が前記収納空間を出て前記加熱空間に入るように、前記位置決め機構を用いて前記エアロゾル発生物品を軸方向に移動させることと、を含み、
前記加熱空間が、火炎によって前記加熱温度まで加熱される、方法。
【請求項12】
前記位置決め機構のフック構造が、前記エアロゾル発生物品の前記エアロゾル発生部に埋め込まれ、前記エアロゾル発生物品を移動させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ばね要素が、前記エアロゾル発生部が前記加熱空間を出て前記収納空間に入るように、前記エアロゾル発生物品を移動させる方向に前記位置決め機構を付勢する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
軸方向に延在するエアロゾル発生装置内の異なる温度区域間でエアロゾル発生物品を移動させるための、フック構造の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置におけるエアロゾル発生物品の加熱に関する。本開示は、エアロゾル発生装置における熱の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許公開第0858744A1号には、ユーザーが吸入するフレーバーなどを発生させるための固体材料の成形体が設けられる熱伝導管を有するフレーバー発生部品が記載されている。フレーバー発生部品は、火炎を供給するガスノズルの上に熱伝導管が設けられるように、フレーバー発生ヒーター内に挿入されてもよい。熱伝導管の内面は、蓄熱材料層で覆われる。蓄熱材料層は、熱伝導管で形成された本体の温度を、より長い時間、フレーバー発生温度に維持することを可能にする。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一態様によれば、軸方向に延在する加熱空間を備えるエアロゾル発生装置が提供される。加熱空間は、エアロゾル発生物品を少なくとも部分的に収容するように構成される。エアロゾル発生装置は、加熱空間の外側に設けられる受熱面を備える。エアロゾル発生装置は、蓄熱体および内側熱伝導体を備える。蓄熱体は、受熱面と加熱空間との間に設けられる。内側熱伝導体は、蓄熱体と加熱空間との間に設けられる。蓄熱体の材料は、内側熱伝導体の材料よりも高い比熱を有する。内側熱伝導体の材料は、蓄熱体の材料よりも高い熱伝導率を有する。
【0004】
蓄熱体は、熱緩衝材として機能することができる。蓄熱体は、受熱面が加熱されると、受熱面から熱を吸収することができる。蓄熱体によって吸収された熱は、経時的に加熱空間に提供され、その中に設けられるエアロゾル発生物品を加熱することができる。蓄熱体は、第一の時間にわたって一定量の熱を吸収し、より長い第二の時間にわたって熱量を放出することができる。例えば、第二の時間は、第一の時間の少なくとも二十倍、または第一の時間の少なくとも十五倍、または第一の時間の少なくとも十倍、または第一の時間の少なくとも五倍、または第一の時間の少なくとも二倍であってもよい。蓄熱体の緩衝機能により、受熱面が高温に加熱された場合、加熱空間の過熱を防止することができる。また、蓄熱体により、受熱面の加熱を停止した後も、加熱空間はエアロゾル発生温度をより長時間維持することができる。
【0005】
内側熱伝導体は、蓄熱体に蓄えられた熱を加熱空間に向かって、したがって、加熱空間に少なくとも部分的に収容されるエアロゾル発生物品へ伝達させるのを促進することができる。内側熱伝導体は、エアロゾル発生物品の所望の領域に効率的に熱を分配することができる。内側熱伝導体は、蓄熱体からの熱の流れを誘導することができる。
【0006】
蓄熱体の材料は、1キログラム当たり300ジュール/ケルビン~1キログラム当たり1500ジュール/ケルビン、または1キログラム当たり500ジュール/ケルビン~1キログラム当たり1200ジュール/ケルビン、または1キログラム当たり600ジュール/ケルビン~1キログラム当たり1000ジュール/ケルビン、または1キログラム当たり600ジュール/ケルビン~1キログラム当たり800ジュール/ケルビンの比熱を有することができる。
【0007】
蓄熱体の材料は、例えば、ガラスまたは金属であってもよい。蓄熱体の材料は、例えば、ガラスまたは金属を含んでもよい。
【0008】
蓄熱体の材料および内側熱伝導体の材料のうちの一方または両方は、800℃を超える、または900℃を超える、または1000℃を超える、または1100℃を超える、または1300℃を超える、または1500℃を超える溶融温度を有してもよい。このような溶融温度を考慮すると、受熱面を加熱した際の蓄熱体および内側熱伝導体が溶融することを防止することができる。特に、受熱面が一つまたは複数の火炎、例えば一般的なシガレットライターによって発生する火炎によって加熱される場合、蓄熱体および内側熱伝導体が溶融することを防止することができる。
【0009】
蓄熱体および内側熱伝導体のうちの一方または両方が加熱空間を周方向に取り囲んでもよい。蓄熱体が加熱空間を周方向に取り囲む場合には、蓄熱体は加熱空間の周りに周方向に蓄熱することができる。内側熱伝導体が加熱空間の周囲を取り囲む場合、熱は内側熱伝導体によって加熱空間の全体にわたって分配されることができる。蓄熱体および内側熱伝導体のうちの一方または両方が加熱空間の全周にわたって加熱空間を取り囲んでもよい。蓄熱体および内側熱伝導体のうちの一つまたは複数は、加熱空間の全周の少なくとも50パーセント、または少なくとも60パーセント、または少なくとも70パーセント、または少なくとも80パーセント、または少なくとも90パーセントにわたって加熱空間を取り囲むことができる。蓄熱体および内側熱伝導体のうちの一つまたは複数は、加熱空間の全周の90パーセント以下、または80パーセント以下、または70パーセント以下、または60パーセント以下、または50パーセント以下にわたって加熱空間を取り囲むことができる。
【0010】
内側熱伝導体は、加熱空間内に延在する突起部を備えることができる。突起部は、エアロゾル発生物品が加熱空間内に挿入されると、エアロゾル発生物品内に埋め込まれるように構成されることができる。特に、突起部は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部内に埋め込まれるように構成されることができる。突起部は、エアロゾル発生物品内に熱を伝導して、エアロゾル発生物品を内側から加熱することができる。突起部は、エアロゾル発生物品の均質な加熱を促進することができる。突起部は、例えば、ピンまたはブレードの形態を有してもよい。突起部は、内側熱伝導体の一体部分であってもよい。突起部は、軸方向に沿って加熱空間内に延在してもよい。突起部は、5~50ミリメートル、または5~40ミリメートル、または5~30ミリメートル、または5~25ミリメートル、または5~20ミリメートル、または5~15ミリメートル、または5~10ミリメートル、または2~5ミリメートル、または10~15ミリメートル、または10~20ミリメートルの軸方向の長さを有することができる。
【0011】
内側熱伝導体は、加熱空間を画成する壁の少なくとも一部を形成することができる。内側熱伝導体の表面は、加熱空間を少なくとも部分的に画成することができる。内側熱伝導体と加熱空間内に収容されるエアロゾル発生物品との間にエアロゾル発生装置の要素が存在しない場合、内側熱伝導体は加熱空間に効率的に熱を供給することができる。
【0012】
内側熱伝導体は蓄熱体と接触していてもよい。内側熱伝導体と蓄熱体との接触により、蓄熱体と内側熱伝導体との間の効率的な熱伝達を促進することができる。内側熱伝導体は、加熱空間の周りに周方向に蓄熱体と接触していてもよい。
【0013】
エアロゾル発生装置は、外側熱伝導体を備えてもよい。外側熱伝導体は、受熱面と蓄熱体との間に設けられてもよい。外側熱伝導体は、受熱面から蓄熱体への熱伝達を促進することができる。
【0014】
外側熱伝導体の材料は、蓄熱体の材料よりも熱伝導率が高くてもよい。
【0015】
蓄熱体の材料は、外側熱伝導体の材料よりも比熱が高くてもよい。
【0016】
外側熱伝導体は、内側熱伝導体と同じ材料で形成されてもよい。
【0017】
蓄熱体の材料の比熱は、内側熱伝導体の材料の比熱および外側熱伝導体の材料の比熱のうちの少なくとも一つの少なくとも300パーセント、または少なくとも250パーセント、または少なくとも200パーセント、または少なくとも150パーセント、または少なくとも130パーセント、または少なくとも110パーセントであってもよい。
【0018】
内側熱伝導体の材料の熱伝導率および外側熱伝導体の材料の熱伝導率のうちの少なくとも一つは、蓄熱体の材料の熱伝導率の少なくとも500倍、または少なくとも400倍、または少なくとも300倍、または少なくとも200倍、または少なくとも100倍、または少なくとも50倍、または少なくとも30倍、または少なくとも10倍、または少なくとも5倍であってもよい。内側熱伝導体の材料の熱伝導率および外側熱伝導体の材料の熱伝導率のうちの少なくとも一つは、蓄熱体の材料の熱伝導率の少なくとも200パーセント、または少なくとも150パーセント、または少なくとも130パーセント、または少なくとも110パーセントであってもよい。
【0019】
外側熱伝導体と蓄熱体との間の熱伝達を促進するために、外側熱伝導体は蓄熱体と接触していてもよい。
【0020】
受熱面は、外側熱伝導体の表面であってもよい。受熱面は、加熱空間に対して外側熱伝導体の外面であってもよい。受熱面は、外側熱伝導体の径方向外面であってもよい。受熱面は、軸方向に関して加熱空間から離間した外側熱伝導体の表面であってもよい。
【0021】
外側熱伝導体は、加熱空間を周方向に取り囲んでもよい。外側熱伝導体は、蓄熱体を周方向に取り囲んでもよい。外側熱伝導体は、少なくとも部分的に、蓄熱体の径方向外側に設けられてもよい。外側熱伝導体は、少なくとも部分的に、加熱空間とは軸方向に反対側の蓄熱体の面に設けられてもよい。
【0022】
外側熱伝導体を通る径方向の熱輸送の熱抵抗は、外側熱伝導体の少なくとも二つの異なる位置で異なってもよい。例えば、外側熱伝導体の第一の位置における外側熱伝導体を通る熱輸送の熱抵抗は、外側熱伝導体の第二の位置における外側熱伝導体を通る熱輸送の熱抵抗の少なくとも300パーセント、または少なくとも250パーセント、または少なくとも200パーセント、または少なくとも150パーセント、または少なくとも130パーセント、または少なくとも110パーセントであってもよい。外側熱伝導体を通る径方向の熱輸送の熱抵抗は、軸方向および周方向のうちの少なくとも一つに沿って変化してもよい。外側熱伝導体を通る径方向の熱輸送の不均質な熱抵抗により、外側熱伝導体を通る指向性熱輸送を可能にすることができる。
【0023】
外側熱伝導体の厚さは、外側熱伝導体の少なくとも二つの異なる位置で異なっていてもよい。例えば、外側熱伝導体の第一の位置における外側熱伝導体の厚さは、外側熱伝導体の第二の位置における外側熱伝導体の厚さの少なくとも300パーセント、または少なくとも250パーセント、または少なくとも200パーセント、または少なくとも150パーセント、または少なくとも130パーセント、または少なくとも110パーセントであってもよい。外側熱伝導体の厚さが変化すると、外側熱伝導体を通る径方向の熱輸送の熱抵抗が異なる場合がある。外側熱伝導体の厚さは、軸方向および周方向のうちの少なくとも一つに沿って変化してもよい。外側熱伝導体の厚さは、受熱面において最も厚くてもよい。外側熱伝導体の厚さは、軸方向および周方向のうちの少なくとも一つに沿って、受熱面からの距離に応じて減少してもよい。
【0024】
外側熱伝導体には、一つまたは複数のチャネルが設けられてもよい。一つまたは複数のチャネルは、外側熱伝導体を通る熱輸送の熱抵抗に影響を与えることができる。加熱された空気は、一つまたは複数のチャネルを通って流れることができる。一つまたは複数のチャネルは、一つまたは複数の開口部を備えてもよい。一つまたは複数の開口部は、受熱面に設けられてもよい。
【0025】
外側熱伝導体を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗は、受熱面で最高であることができる。これにより、受熱面の位置に対応する位置の、加熱室および加熱室に設けられるエアロゾル発生物品が過剰に加熱されることを防止することができる。受熱面において外側熱伝導体を通る径方向に沿う熱輸送の高い熱抵抗が、受熱面からの熱を加熱空間全体にわたってより均一に分散させる可能性がある。外側熱伝導体を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗は、受熱面ヘの距離に応じて、特に軸方向および周方向のうちの少なくとも一つに沿って増加してもよい。
【0026】
外側熱伝導体は、異なる熱伝導率を有する二つ以上の異なる材料を含んでもよい。二つ以上の異なる材料は、所望の熱伝導プロファイルが得られるように配置されることができる。二つ以上の異なる材料は、外側熱伝導体を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗の所望の分布が得られるように配置されることができる。外側熱伝導体は、例えば、二つ以上の層を備えてもよく、各層は異なる材料で形成される。層は、例えば、軸方向もしくは半径方向(または軸方向および径方向の両方)に関して前後に配置されてもよい。
【0027】
エアロゾル発生装置は、受熱面を加熱するように構成されるヒーターをさらに備えることができる。ヒーターは、例えば、電気抵抗ヒーターまたは誘導ヒーターを備えることができる。ヒーターは、受熱面を加熱するために一つまたは複数の火炎を発生させるように構成されることができる。ヒーターは、ガスを燃焼させて一つまたは複数の火炎を発生させるように構成されることができる。一つまたは複数の火炎は、少なくとも二つの火炎を含んでもよい ヒーターは、エアロゾル発生装置の本体と一体に形成されてもよい。あるいは、ヒーターは、完全にまたは部分的に、別個の構成要素として設けられてもよい。ヒーターは、例えば、従来のシガレットライターであってもよい。
【0028】
本発明のさらなる態様によれば、エアロゾル発生システムが提供される。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品を備えてもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生部を有することができる。エアロゾル発生部は、加熱されるとエアロゾルを発生させるように構成される材料を含むことができる。エアロゾル発生物品が加熱空間に少なくとも部分的に収容される場合、エアロゾル発生部は加熱空間に少なくとも部分的に収容されることができる。
【0029】
本発明の別の態様によれば、エアロゾルを発生させる方法が提供される。方法は、エアロゾル発生装置の受熱面を加熱することを含む。エアロゾル発生装置は、少なくとも部分的にエアロゾル発生物品を収容する。受熱面の加熱による熱は、受熱面とエアロゾル発生物品との間に設けられる蓄熱体に蓄えられる。熱は、蓄熱体とエアロゾル発生物品との間に設けられる内側熱伝導体によってエアロゾル発生物品に分配される。蓄熱体の材料は、内側熱伝導体の材料よりも高い比熱を有する。
【0030】
内側熱伝導体の材料は、蓄熱体の材料よりも高い熱伝導率を有することができる。
【0031】
受熱面は、同時に二つ以上の火炎で加熱されてもよい。例えば、受熱面は、二つ以上の火炎で同時に加熱されてもよい。二つ以上の火炎で同時に受熱面を加熱することにより、一つの火炎のみを使用することに比べて、より小さな火炎を用いて、特定の熱量を受熱面に伝達することができる。さらに、二つ以上の火炎を同時に使用すると、熱を効率的に空間的に分布させることができる。
【0032】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置に少なくとも部分的に収容される場合、軸方向に沿って延在することができる。軸方向は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置内に挿入される方向に対応することができる。
【0033】
火炎のうちの少なくとも二つは、軸方向の周りの異なる周方向位置で発生することができる。したがって、熱は、軸方向の周りの異なる円周角から供給されることができる。
【0034】
火炎のうちの少なくとも二つは、軸方向に平行な方向に沿って離間されることができる。したがって、軸方向に沿った異なる位置に熱を供給することができる。
【0035】
本発明の別の態様によれば、エアロゾルを発生させる方法が提供される。方法は、エアロゾル発生装置の受熱面を加熱することを含む。エアロゾル発生装置は、軸方向に沿って延在するエアロゾル発生物品を少なくとも部分的に収容する。受熱面は、同時に二つ以上の火炎で加熱される。
【0036】
火炎のうちの少なくとも二つは、軸方向の周りの異なる周方向位置で発生することができる。
【0037】
火炎のうちの少なくとも二つは、軸方向に平行な方向に沿って離間されることができる。
【0038】
本発明の別の態様によれば、エアロゾル発生物質の実質的に均一な加熱を達成するために、エアロゾル発生物質を周方向に取り囲む軸方向に延在する管の使用であって、管を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗は、管の軸方向および外周のうちの少なくとも一つに沿って変化する、管の使用が提供される。
【0039】
例えば、管を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗が、管を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗の最小値の少なくとも200パーセント、または少なくとも150パーセント、または少なくとも100パーセント、または少なくとも70パーセント、または少なくとも50パーセント、または少なくとも30パーセント、または少なくとも20パーセント、または少なくとも10パーセントだけ、管の軸方向および外周のうちの少なくとも一つに沿って変化してもよい。
【0040】
管を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗は、エアロゾル発生物質への熱輸送の影響が実質的に均一となるように、管の軸方向および外周のうちの少なくとも一つに沿って変化することができる。例えば、管を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗は、熱源に最も近い位置で最高であることができる。熱抵抗は、その位置から管の軸方向および外周のうちの少なくとも一つに沿って減少することができる。
【0041】
加熱中にエアロゾル発生物質の二つの部分の温度差が100℃以下、75℃以下、または50℃以下、または25℃以下、または10℃以下である場合、エアロゾル発生物質の実質的に均一な加熱が達成されることができる。
【0042】
本発明の別の態様によれば、エアロゾル発生物品を少なくとも部分的に収容するように構成される軸方向に延在する加熱室を備えるエアロゾル発生装置が提供される。エアロゾル発生装置は、係合構成と非係合構成との間で移動するように構成されるヒーター作動機構をさらに備える。ヒーター作動機構は、係合構成にあるヒーターに作用して、ヒーターを作動させて熱を発生させるように構成される。ヒーター作動機構は、非係合構成にあるヒーターに作用せず、ヒーターによる熱の発生を停止するように構成される。ヒーター作動機構は、操作要素を備える。操作要素は、ヒーター作動機構を非係合構成から係合構成に移動させるために動かされるように構成される。エアロゾル発生装置は阻止機構をさらに備える。阻止機構は、ヒーター作動機構の係合構成から非係合構成への移動、または非係合構成から係合構成への移動を一時的に阻止するように構成される。
【0043】
ヒーター作動機構により、操作要素を動かすことによりヒーターを作動させることができる。
【0044】
阻止機構は、ヒーター作動機構が係合構成から非係合構成への移動を一時的に阻止するように構成される場合、阻止機構は、ヒーター作動機構が係合構成から非係合構成への移動を遅らせることができる。ヒーター作動機構の非係合構成への移動が遅れることにより、熱の発生の停止が遅れる可能性がある。これにより、熱の発生が停止される前に、ヒーターによって十分な熱が確実に発生する。
【0045】
阻止機構が、ヒーター作動機構の非係合構成から係合構成への移動を一時的に阻止するように構成される場合、ヒーターによる熱の発生が遅れる可能性がある。これは、例えば、加熱室またはエアロゾル発生物品の過熱につながる可能性のある過剰な熱の発生を防ぐのに有用であることができる。ヒーターによる熱の発生を遅らせることによって、エアロゾル発生物品の燃焼につながる可能性のある温度の上昇を防止することができる。
【0046】
阻止機構は加熱時間(ヒーターが熱を発生させる時間)に影響を与える可能性がある。阻止機構による加熱時間の制御により、エアロゾル発生物品が所定の仕様に従って、または規定の温度プロファイルに従って確実に加熱されることができる。
【0047】
ヒーター作動機構を非係合構成から係合構成に移動させるために操作要素を動かすことは、ユーザーによって行われてもよい。操作要素は、ユーザーによって動かされ、ヒーター作動機構を非係合構成から係合構成に移動させるように構成されることができる。操作要素は、ユーザーによって係合され、動かされるように構成されることができる。操作要素は、駆動手段、例えば、モーターまたはばねによって動かされるように構成されることができる。駆動手段は、ユーザーによって作動されて操作要素を動かすように構成されることができる。
【0048】
阻止機構は、ヒーター作動機構の動きを一時的に阻止した後、ヒーター作動手段の動きを自動的に解除するように構成されることができる。阻止機構は、阻止時間の間、ヒーター作動機構の動きを一時的に阻止するように構成されることができる。阻止時間は、所定の時間であってもよい。阻止時間は、阻止機構の構成によって事前に決定することができる。阻止時間は、エアロゾル発生装置の一つまたは複数の動作パラメータ、例えば、動作温度または動作モードによって決定されることができる。
【0049】
ヒーター作動機構は、ヒーター作動機構を非係合構成へ移動させるように構成される機械力をもたらす復元要素を備える。ヒーター作動機構を非係合構成から係合構成へ移動させるために操作要素を動かした後、ユーザーは操作要素を解除することができる。ヒーター作動手段は、復元要素によって自動的に非係合構成に戻ることができる。しかし、ヒーター作動機構はすぐには非係合構成に戻らず、阻止機構によって遅延が生じる場合がある。阻止機構による遅延は、操作要素がユーザーによって解除された後のヒーターの稼働時間を規定することができる。
【0050】
係合構成は、ヒーター作動機構の複数の係合サブ構成を含んでもよい。操作要素により、ユーザーは、ヒーター作動機構を係合サブ構成のいずれか一つに選択的に移行させることができる。複数の係合サブ構成は、ユーザーに、ヒーターを異なる度合いに作動させる手段を提供することができる。
【0051】
阻止機構は、ヒーター作動機構がそれぞれの係合サブ構成から非係合構成へ戻るのを、異なる係合サブ構成ごとに異なる時間だけ遅らせるように構成される。したがって、ユーザーがヒーター作動機構を移行させる係合サブ構成に応じて、ヒーターは、異なる期間にわたって動作し続けて熱を発生させることができる。
【0052】
阻止機構は、可動部を備えてもよい。可動部は、解除位置と阻止位置との間で移動するように構成されてもよい。解除位置では、可動部は、熱作動機構が非係合構成および係合構成のうちの少なくとも一つへ移動できるようにすることができる。阻止位置では、可動部は、ヒーター作動機構が非係合構成および係合構成のうちの少なくとも一つへ移動することを阻止することができる。特に、阻止機構は、解除位置において、ヒーター作動機構の非係合構成への移動を可能にし、阻止位置において、ヒーター作動機構の非係合構成への移動を阻止することができる。代替的にまたは追加的に、可動部は、解除位置において、ヒーター作動機構の係合構成への移動を可能にし、阻止位置において、ヒーター作動機構の係合構成への移動を阻止することができる。
【0053】
可動部は、解除位置と阻止位置との間で自動的に移動することができる。可動部は、ユーザーによって解除位置と阻止位置との間で移動するように構成されることができる。
【0054】
可動部は、温度に応じて解除位置と阻止位置との間で移動するように構成されることができる。このため、温度に応じて可動部がヒーターの作動を遅らせる、またはヒーターの作動を停止させることを可能することができる。可動部が温度に応じて解除位置と阻止位置との間で移動するように構成される場合は、ヒーターによる温度のフィードバック制御を行うことができる。
【0055】
可動部が解除位置と阻止位置との間で移動する際に依存する温度は、例えば、エアロゾル発生装置の一部の温度、または加熱室内の温度、または加熱室の壁の温度、またはエアロゾル発生物品の温度であってもよい。
【0056】
阻止機構は、熱膨張要素を備えてもよい。熱膨張要素は、可動部を熱膨張要素の温度に応じて解除位置と阻止位置との間で移動するように構成されることができる。
【0057】
可動部は、ヒーター作動機構の非係合構成への移動または係合構成への移動を遅らせるために、解除位置と阻止位置との間で定期的に移動するように構成される。解除位置と阻止位置との間の定期的な移動は、ヒーター作動機構の移動を定期的に解除し阻止することによって、ヒーター作動機構の移動を遅らせることができる。
【0058】
ヒーター作動機構および阻止機構は、共にラチェット機構を形成してもよい。ラチェット機構は、ヒーター作動機構の一方向への移動を可能にし、ヒーター作動機構の反対方向への移動を選択的に阻止するように構成されることができる。例えば、ラチェット機構は、可動部が阻止位置にある場合、ヒーター作動機構の係合構成への移動を可能にし、ヒーター作動機構の非係合構成への移動を阻止することができる。あるいは、ラチェット機構は、可動部が阻止位置にある場合、ヒーター作動機構の非係合構成への移動を可能にし、ヒーター作動機構の係合構成への移動を阻止することができる。
【0059】
ヒーター作動機構は、操作要素によって摺動するように構成される摺動要素を備えてもよい。摺動要素は、例えば、エアロゾル発生装置の本体内で摺動するように構成されてもよい。摺動要素は、操作要素に連結してもよい。
【0060】
ヒーター作動機構は、ヒーター作動機構の係合構成においてヒーターに作用するように構成される係合要素を備えることができる。係合要素は、摺動要素上で摺動可能に誘導されることができる。係合要素が摺動要素上で摺動可能に誘導される場合、係合要素は操作要素のあらゆる動きに直接追従するわけではない。これにより、操作要素の移動と係合要素によるヒーターの作動との間に遅延が生じる可能性がある。
【0061】
ヒーター作動機構は、係合要素をヒーターの方向に付勢するように構成されるばね要素を備える。ばね要素により、ヒーター作動機構の構成の範囲(非係合構成の範囲)内で係合要素はヒーターに確実に作用することができる。
【0062】
摺動要素は、複数の歯を備えることができる。阻止要素は、歯と係合するように構成される一つまたは複数の阻止部を備えることができる。摺動要素の歯と係合することによって、阻止部は、ヒーター作動機構の動きを可能にするまたは阻止することができる。一つまたは複数の阻止部は、一つまたは複数の可動部であってもよい。
【0063】
本発明の別の態様によれば、エアロゾル発生システムが提供される。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置およびヒーターを備えることができる。ヒーターは、ヒーター作動機構による作用を受ける場合に熱を発生させるように構成されることができる。ヒーターは、ヒーター作動機構による作用を受けない場合、熱を発生させないように構成されることができる。
【0064】
ヒーター作動機構を係合構成にして、ヒーターを作動させることは、ヒーターによる熱の発生を開始するために必要な唯一の動作であることができる。あるいは、ヒーターによる熱の発生を開始するには、別の動作が必要な場合もある。ヒーターは、熱の発生を開始するために二つ以上の動作を必要とする場合がある。ヒーター作動機構を係合構成にすると、これらの動作のうちの一つまたは複数がヒーター作動機構によって実行されることができる。一つまたは複数の追加の動作を、ヒーター作動機構とは独立して実行できる。
【0065】
ヒーターによる熱の発生を停止するには、ヒーター作動機構を係合構成から非係合構成にすることが必要な場合がある。ヒーターによる熱の発生を停止する一つまたは複数の別の方法があってもよいが、必ずしもそうである必要はない。
【0066】
ヒーターは、ガスタンクを備えてもよい。ガスタンクは、ヒーターがヒーター作動機構による作用を受ける場合、ガスを放出するように構成されることができる。ガスタンクは、ヒーターがヒーター作動機構による作用を受けない場合、ガスを放出するのを妨げるように構成されることができる。
【0067】
ガスタンクは、エアロゾル発生装置の本体に取り外し可能に連結することができる。
【0068】
エアロゾル発生システムは、ガスを点火するように構成される点火機構をさらに備えることができる。点火機構は、ヒーター作動機構とは独立して作動されることができる。
【0069】
ガスタンクおよび点火機構、またはその両方は、エアロゾル発生装置の一体部分であってもよい。ガスタンクまたは点火機構、またはその両方は、エアロゾル発生装置から分離されていてもよい。
【0070】
特に、ガスタンクと点火機構は別個のヒーターの一部であってもよい。ヒーターは、ライターであってもよい。ヒーターは、例えば、従来のシガレットライターであってもよい。
【0071】
ヒーターはエアロゾル発生装置に連結してもよい。
【0072】
本発明の別の態様によれば、エアロゾルを発生させる方法が提供される。操作要素が経路に沿って作動方向に動かされ、それによりヒーター作動機構によってヒーターに作用する。ヒーターは、ヒーター作動機構による作用を受けるのに応じて熱を発生させる。操作要素は、経路に沿って作動方向と反対方向の動きで戻される。阻止機構の一つまたは複数の可動部が動作して、操作要素の戻りを遅らせる。もはやヒーター作動機構による作用を受けないのに応じて、ヒーターは熱の発生を停止する。
【0073】
操作要素が作動方向に動かされることに応じて、復元要素は、操作要素の動きと反対方向の復元力を蓄積する。復元力は、作動方向と反対の方向に操作要素を付勢することができ、その結果、操作要素は経路に沿って作動方向と反対方向に戻ることになる。
【0074】
ヒーターがヒーター作動機構による作用を受けるのに応じて、ガスはガスタンクから放出されることができる。このガスは、エアロゾル発生装置の受熱面を加熱する火炎を維持することができる。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品を少なくとも部分的に収容することができる。
【0075】
本発明の別の態様によれば、エアロゾル発生物品を少なくとも部分的に収容するエアロゾル発生装置を火炎が加熱した後、火炎を消すための、温度変化によって引き起こされる熱膨張要素の長さの変化の使用が提供される。
【0076】
熱膨張要素により、温度に応じて火炎を消すことができる。温度を制御するためにフィードバック制御方式を実装することができる。
【0077】
本発明の別の態様によれば、軸方向に延在する加熱室、軸方向に延在する収納室、および位置決め機構を備えるエアロゾル発生装置が提供される。収納室は、加熱室と同軸上に設けられている。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品を摂取位置に収容するように構成される。摂取位置では、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部が加熱室内に少なくとも部分的に配置される。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品を収納位置に収容するように構成されている。収納位置では、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部は収納室内に少なくとも部分的に配置される。位置決め機構は、エアロゾル発生物品を収納位置から摂取位置へ移動させるように構成されている。位置決め機構は、エアロゾル発生物品を摂取位置から収納位置へ移動させるように構成されている。
【0078】
摂取位置では、エアロゾル発生部は、ユーザーによる摂取のために加熱室で加熱されてエアロゾルを放出することができる。加熱室は、加熱温度まで加熱されてもよい。加熱温度は、エアロゾル発生部が摂取のためにエアロゾルを放出する温度であることができる。加熱温度は、例えば、50~350℃、80~300℃、100~250℃であってもよい。摂取をやめるまたは中断するために、位置決め機構はエアロゾル発生物品を収納位置内に移動させることができる。収納位置では、エアロゾル発生部は収納室に収納されることができる。摂取期間と摂取期間との間に加熱室からエアロゾル発生部を取り外すことにより、加熱室にエアロゾル発生部を残す場合と比較して、摂取期間と摂取期間との間のエアロゾル発生部からの不要なエアロゾルの放出を低減することができる。
【0079】
収納室では、摂取期間と摂取期間との間にエアロゾル発生部を収納するための好適な条件が得られることができる。例えば、収納室の温度は収納温度であることができる。収納温度は加熱温度より低くてもよい。収納温度は、エアロゾル発生部によって多量のエアロゾルが放出される温度より低くてもよい。収納温度は30℃~70℃とすることができる。収納温度は周囲温度を超える場合がある。エアロゾル発生部の冷たい部分でのエアロゾルの凝縮を防ぎ、湿度に対する否定的な認識を防ぐために、収納温度は十分に高くてもよい。
【0080】
位置決め機構により、エアロゾル発生物品を収納位置と摂取位置との間で都合よく移動させることができる。位置決め機構により、エアロゾル発生物品に触れることなく摂取位置と収納位置との間でエアロゾル発生物品を移動させることができる。位置決め機構により、エアロゾル発生物品を容易に正確に位置決めすることができる。
【0081】
摂取位置では、エアロゾル発生部の少なくとも75パーセント、または少なくとも80パーセント、または少なくとも90パーセント、または100パーセント(質量パーセンテージを指す、または軸方向に沿ったエアロゾル発生部の長さのパーセンテージを指す)を加熱室内に配置してもよい。好ましくは、エアロゾル発生部は、加熱室の摂取位置に完全に配置される。
【0082】
収納位置では、エアロゾル発生部の少なくとも75パーセント、または少なくとも80パーセント、または少なくとも90パーセント、または100パーセント(質量パーセンテージを指す、または軸方向に沿ったエアロゾル発生部の長さのパーセンテージを指す)を収納室内に配置してもよい。好ましくは、エアロゾル発生部は、収納室の収納位置に完全に配置される。
【0083】
エアロゾル発生物品は、挿入方向に沿ってエアロゾル発生装置内に挿入されるように構成されることができる。挿入方向は、軸方向に対応してもよい。加熱室は、挿入方向に沿って収納室の下流側に設けられていてもよい。エアロゾル発生物品を挿入すると、エアロゾル発生物品は最初に収納室に入り、次に加熱室に入ることができる。
【0084】
位置決め機構は停止部を備えてもよい。停止部は、位置決め機構がエアロゾル発生物品を収納位置を超えて摂取位置から離れる方向に移動させることを防止するように構成されることができる。停止部は、確実に位置決め機構がエアロゾル発生部を収納室に正確に配置することができる。停止部は、位置決め機構がエアロゾル発生装置からエアロゾル発生物品を完全に排出することを防止することができる。
【0085】
位置決め機構は、軸方向に平行な方向に沿ってエアロゾル発生物品と係合するように構成されることができる。位置決め機構は、摂取位置と収納位置との間のエアロゾル発生装置の移動に対応する方向に平行にエアロゾル発生物品と係合するように構成されることができる。位置決め機構は、エアロゾル発生物品を挿入方向とは反対の方向に係合するように構成することができる。位置決め機構は、エアロゾル発生装置の内側からエアロゾル発生物品と係合するように構成されることができる。エアロゾル発生物品の摂取位置および収納位置の一方または両方において、位置決め機構は、エアロゾル発生装置の外側から見えない位置でエアロゾル発生物品と係合することができる。
【0086】
位置決め機構は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部と係合するように構成されることができる。
【0087】
位置決め機構は、エアロゾル発生物品を摂取位置から収納位置へ移動させる方向に位置決め機構を付勢するばね要素を備えることができる。ばね要素は、摂取期間と摂取期間との間にエアロゾル発生物品を収納位置内に容易に移動させることができる。
【0088】
位置決め機構は、ロック状態とアンロック状態とを有するロック機構を備えることができる。ロック機構は、ロック状態において、位置決め機構がエアロゾル発生物品を摂取位置から収納位置へ移動させることを防止するように構成されることができる。ロック機構は、アンロック状態で、エアロゾル発生物品を摂取位置から収納位置に移動させるための位置決め機構を解除するように構成されることができる。ロック機構は、ロック状態とアンロック状態との間で移動するように構成されることができる。
【0089】
ロック状態では、ロック機構はばね要素に反対に作用して、ばね要素が、位置決め機構にエアロゾル発生物品を摂取位置から収納位置へ移動させるのを防止することができる。ロック機構がアンロック状態になる場合、ばね要素は位置決め機構にエアロゾル発生物品を摂取位置から収納位置へ移動させることができる。
【0090】
位置決め機構は、フック構造を備えることができる。フック構造は、エアロゾル発生物品内に打ち込まれるように構成されることができる。フック構造は、エアロゾル発生物品内に埋め込まれるように構成されることができる。フック構造は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部内に打ち込まれるように構成されることができる。フック構造は、位置決め機構によってエアロゾル発生物品の移動を容易にすることができる。フック構造は、軸方向に平行にエアロゾル発生物品内に打ち込まれることができる。フック構造は、挿入方向と反対の方向にエアロゾル発生物品内に打ち込まれるように構成されることができる。フック構造をエアロゾル発生物品に打ち込むことは、フック構造とエアロゾル発生物品との間の相対移動を含むことができる。相対移動は、フック構造の移動およびエアロゾル発生物品の移動の一方または両方を含むことができる。
【0091】
加熱室が、ヒーターによる火炎によって加熱されるように構成されることができる。
【0092】
エアロゾル発生装置は、ヒーターをさらに備えることができる。ヒーターは、加熱室を能動的に加熱するように構成されることができる。ヒーターは、例えば、電気ヒーター、例えば誘導ヒーターもしくは抵抗ヒーターを含んでもよく、または火炎によって加熱室を加熱するように構成されてもよい。ヒーターは、ライターを含んでもよい。ヒーターは、ガスタンクと、ガスタンクから放出されるガスに点火するための点火機構とを備えることができる。
【0093】
収納室は、加熱室と熱接触していてもよい。収納室は、加熱室からの熱伝達によって加熱されてもよい。収納室は、加熱室よりも低い温度に加熱されてもよい。
【0094】
収納室は、加熱室からの熱伝達によってのみ加熱されるように構成されることができる。エアロゾル発生装置は、収納室を直接加熱するヒーターが全くなくてもよい。
【0095】
位置決め機構は、エアロゾル発生物品を収納位置から摂取位置へ移動させるために、かつエアロゾル発生物品を摂取位置から収納位置に移動させるために、同じ位置でエアロゾル発生物品と係合するように構成されることができる。位置決め機構は、エアロゾル発生物品を一つの位置のみで係合するように構成することができる。エアロゾル発生物品を一つの位置のみで係合することにより、エアロゾル発生物品が損傷する危険性が低減される。
【0096】
本発明の別の態様によれば、エアロゾル発生システムが提供される。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置と、エアロゾル発生部を備えるエアロゾル発生物品とを備える。
【0097】
エアロゾル発生部は草本材料、具体的にはたばこ材料を含んでもよい。
【0098】
エアロゾル発生物品はフィルター部を備えてもよい。フィルター部は、エアロゾル発生物品が摂取位置にある場合、エアロゾル発生装置から突出するように構成されることができる。フィルター部は、エアロゾル発生物品が摂取位置にある場合、ユーザーの口で利用可能であってもよい。
【0099】
本発明の別の態様によれば、エアロゾルを発生させる方法が提供される。方法は、軸方向に延在する加熱室の加熱空間内でエアロゾル発生物品のエアロゾル発生部を加熱温度にさらすことによってエアロゾルを発生させることを含む。この方法は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部を位置決め機構と係合させることをさらに含む。方法は、エアロゾル発生部が加熱空間を出て、加熱室と同軸上に延在する収納室の収納空間に入るように、位置決め機構を用いてエアロゾル発生物品を軸方向に移動させることを含む。方法は、エアロゾル発生部が収納空間を出て加熱空間に入るように、位置決め機構を用いてエアロゾル発生物品を軸方向に移動させることをさらに含む。
【0100】
収納空間の収納温度は、加熱温度よりも低いが、周囲温度よりも高くすることができる。
【0101】
位置決め機構のフック構造は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部に埋め込まれ、エアロゾル発生物品を移動させる。
【0102】
フック構造は、フック構造とエアロゾル発生物品との間の軸方向に沿った相対運動によってエアロゾル発生部に埋め込まれる。
【0103】
フック構造は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部に埋め込まれ、エアロゾル発生物品を移動させる。フック構造は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部内に到達して、エアロゾル発生物品を移動させることができる。
【0104】
ばね要素は、エアロゾル発生部が加熱空間を出て収納空間に入るように、エアロゾル発生物品を移動させる方向に位置決め機構を付勢することができる。
【0105】
加熱空間は、火炎によって加熱温度まで加熱されることができる。
【0106】
本発明の別の態様によれば、軸方向に延在するエアロゾル発生装置内の異なる温度区域間でエアロゾル発生物品を移動させるためのフック構造の使用が提供される。
【0107】
異なる温度区域は、加熱温度区域および収納温度区域であってもよい。特に、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部は、異なる温度区域間で移動することができる。加熱温度区域は、加熱室内に設けられてもよい。収納温度区域は、収納室内に設けられてもよい。フック構造の使用は、温度区域間でのエアロゾル発生物品の移動を容易にすることができる。フック構造は、エアロゾル発生物品を押すことと引くことの両方を可能にすることができる。フック構造は、エアロゾル発生物品に埋め込まれてもよい。フック構造は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部に埋め込まれてもよい。
【0108】
本明細書で言及されるエアロゾル発生物品は、少なくとも実質的にロッド状であることができる。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置内に少なくとも部分的に挿入される場合、軸方向に平行に延在することができる。
【0109】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生部を備えることができる。エアロゾル発生部は、エアロゾル発生材料を備えることができる。エアロゾル発生材料は、加熱されるとエアロゾルを放出するように構成されることができる。エアロゾル発生材料は、例えば、草本材料を含んでもよい。エアロゾル発生材料は、例えば、たばこ材料を含んでもよい。
【0110】
エアロゾル発生物品はフィルター部を備えてもよい。エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置内に挿入される場合、フィルター部は、ユーザーが利用できるように、エアロゾル発生装置から少なくとも部分的に突出してもよい。
【0111】
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載の実施形態、態様、または実施例のいずれか一つによるエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムが提供される。エアロゾル発生システムはまた、エアロゾル発生物品を備える。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生材料であってもよいエアロゾル形成基体を含むことができる。本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、加熱された時に、エアロゾルを形成しうる揮発性化合物を放出するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。
【0112】
エアロゾル形成基体は、たばこのプラグを備えてもよい。たばこプラグは、たばこ葉、たばこの茎の破片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、および膨化たばこのうちの一つ以上を含有する、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。随意に、たばこプラグは、たばこプラグの加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこの揮発性風味化合物を含有してもよい。随意に、たばこプラグはまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこの揮発性風味化合物を含むカプセルを包含してもよい。こうしたカプセルは、たばこプラグの加熱中に溶融してもよい。別の方法として、または追加的に、こうしたカプセルは、たばこプラグの加熱前、加熱中、または加熱後に押しつぶされてもよい。
【0113】
たばこプラグが均質化したたばこ材料を含む場合、均質化したたばこ材料は、粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。均質化したたばこ材料はシートの形態であってもよい。均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5パーセントより大きいエアロゾル形成体含有量を有してもよい。別の方法として、均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5~30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉の茎のうちの一方または両方を粉砕することによって、または別の方法で細かく砕くことによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよく、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えばたばこの処理、取り扱いおよび輸送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉およびその他の粒子状たばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこを凝集するのを補助するために、一つ以上の固有の結合剤(すなわち、たばこ内因性結合剤)、または一つ以上の外来性結合剤(すなわち、たばこ外因性結合剤)、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないその他の添加剤を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこおよび一つ以上の結合剤を含むスラリーをコンベヤーベルトまたはその他の支持表面上にキャスティングすることと、キャストスラリーを乾燥させて均質化したたばこ材料シートを形成することと、均質化したたばこ材料シートを支持表面から取り外すこととを一般的に含むタイプのキャスティングプロセスによって形成されていることが好ましい。
【0114】
エアロゾル発生物品は、およそ30ミリメートル~およそ100ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ5ミリメートル~およそ13ミリメートルの外径を有してもよい。
【0115】
エアロゾル発生物品は、たばこプラグの下流に位置付けられたマウスピースを備えてもよい。マウスピースは、エアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。マウスピースは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。マウスピースは、およそ7ミリメートルの長さであることが好ましいが、およそ5ミリメートル~およそ10ミリメートルの長さを有することができる。
【0116】
たばこプラグは、およそ10ミリメートルの長さを有してもよい。たばこプラグは、およそ12ミリメートルの長さを有してもよい。
【0117】
たばこプラグの直径は、およそ5ミリメートル~およそ12ミリメートルであってもよい。
【0118】
好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品は、およそ40ミリメートル~およそ50ミリメートルの全長を有する。エアロゾル発生物品は、およそ45ミリメートルの全長を有することが好ましい。エアロゾル発生物品は、およそ7.2ミリメートルの外径を有することが好ましい。
【0119】
本開示は、様々な態様、実施形態、および実施例を含む。これらの態様、実施形態、および実施例のうちのいずれか一つに関して開示された特徴、利点、および説明は、残りの態様、実施形態、および実施例のうちのいずれか一つと組み合わせるか、またはそれらに移すことができる。本明細書に記載のエアロゾル発生装置またはシステムは、本明細書に記載のエアロゾルを発生させる方法を実行するように、好適で、適合され、構成されることができる。
【0120】
本開示が特定の比熱を有する物品の材料に言及し、その物品が異なる個別の材料(例えば、異なる材料層)で構成される場合、物品の材料の比熱は、その物品を構成する個々の材料の比熱の加重平均に対応すると理解されるべきである。重み付けは、物品を構成する個々の材料の質量パーセントに従って実行されるものと理解される。
【0121】
本開示が特定の熱伝導率を有する物品の材料に言及し、その物品が異なる個別の材料(例えば、異なる材料層)で構成される場合、物品の材料の熱伝導率は、物品を構成する個々の材料の熱伝導率の加重平均に対応すると理解されるべきである。重み付けは、物品を構成する個々の材料の質量パーセントに従って実行されるものと理解される。
【0122】
本明細書で使用する場合、表現「ロッド状」は、円形断面を有するロッド状を含むが、これに限定されない。本明細書で使用する場合、「ロッド状」は、他の断面、例えば、長方形断面、または楕円形断面、または三角形断面、または不規則な断面、または任意の他の断面を有するロッド状も含むことができる。表現「ロッド状」は、円筒形の形状を含んでもよく、その場合、円筒の底面は、円形の面、または、他の任意の形状の面、例えば長方形の面、または楕円形の面、または三角形の面、または不規則な面、または任意の他の面であってもよい。
【0123】
第一の物品が第二の物品内に埋め込まれる場合、第一の物品は少なくとも部分的に第二の物品の体積に入ることができる。第二の物品内に埋め込まれた後、第一の物品の少なくとも一部は第二の物品によって取り囲まれることができる。例えば、第二の物品内に押し込まれることによって、第一の物品を第二の物品内に埋め込むことができる。
【実施例】
【0124】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供する。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0125】
実施例1:
エアロゾル発生装置であって、
エアロゾル発生物品を少なくとも部分的に収容するように構成される軸方向に延在する加熱空間と、
加熱空間の外側に設けられる受熱面と、
受熱面と加熱空間との間に設けられる蓄熱体と、
蓄熱体と加熱空間との間に設けられる内側熱伝導体と、を備え、
熱蓄積体の材料は、内側熱伝導体の材料よりも高い比熱を有し、
内部熱伝導体の材料は、熱蓄積体の材料よりも高い熱伝導率を有する、エアロゾル発生装置。
実施例2:
蓄熱体の材料が、1キログラム当たり300ジュール/ケルビン~1キログラム当たり1500ジュール/ケルビン、または1キログラム当たり500ジュール/ケルビン~1キログラム当たり1200ジュール/ケルビン、または1キログラム当たり600ジュール/ケルビン~1キログラム当たり1000ジュール/ケルビン、または1キログラム当たり600ジュール/ケルビン~1キログラム当たり800ジュール/ケルビンの比熱を有する、実施例1に記載のエアロゾル発生装置。
実施例3:
蓄熱体の材料および内側熱伝導体の材料のうちの一方または両方が、800℃を超える、または900℃を超える、または1000℃を超える、または1100℃を超える、または1300℃を超える、または1500℃を超える溶融温度を有する、実施例1または2に記載のエアロゾル発生装置。
実施例4:
蓄熱体および内側熱伝導体のうちの一つまたは両方が、加熱空間を周方向に取り囲む、実施例1~3のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例5:
内側熱伝導体が、加熱空間内に延在し、かつエアロゾル発生物品を加熱空間に挿入すると、エアロゾル発生物品の中に埋め込まれるように構成される突起部を備える、実施例1~4のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例6:
内側熱伝導体が、加熱空間を画成する壁の少なくとも一部を形成する、実施例1~5のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例7:
内側熱伝導体が蓄熱体と接触する、実施例1~6のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例8:
受熱面と蓄熱体との間に設けられる外側熱伝導体をさらに備える、実施例1~7のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例9:
外側熱伝導体の材料が、蓄熱体の材料よりも高い熱伝導率を有する、実施例8に記載のエアロゾル発生装置。
実施例10:
蓄熱体の材料が、外側熱伝導体の材料よりも高い比熱を有する、実施例8または9によるエアロゾル発生装置。
実施例11:
外側熱伝導体を通る径方向の熱輸送の熱抵抗が、外側熱伝導体の少なくとも二つの異なる位置で異なる、実施例8~10のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例12:
外側熱伝導体の厚さが、外側熱伝導体の少なくとも二つの異なる位置で異なる、実施例8~11のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例13:
一つまたは複数のチャネルが、外側熱伝導体に設けられる、実施例8~12のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例14:
外側熱伝導体を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗が、受熱面で最も高い、実施例8~13のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例15:
外側熱伝導体は、異なる熱伝導率を有する少なくとも二つの異なる材料を含む、実施例8~14のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例16:
受熱面を加熱するために一つまたは複数の火炎を生成するように構成されるヒーターをさらに備える、実施例1~15のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例17:
エアロゾル発生システムであって、
実施例1~16のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置と、
エアロゾル発生物品と、を備え、
エアロゾル発生物品が、加熱されるとエアロゾルを発生させるように構成される材料を含むエアロゾル発生部を備え、
エアロゾル発生物品が加熱空間に少なくとも部分的に収容される場合、エアロゾル発生部が加熱空間に少なくとも部分的に収容される、エアロゾル発生システム。
実施例18:
エアロゾル発生物品が、エアロゾル発生物品が加熱空間に少なくとも部分的に収容される場合、エアロゾル発生装置から突出するように構成されるマウスピースを備える、実施例17に記載のエアロゾル発生システム。
実施例19:
受熱面を加熱するように構成されるヒーターをさらに備える、実施例17または18によるエアロゾル発生システム。
実施例20:
エアロゾルを発生させるための方法であって、
エアロゾル発生装置の受熱面を加熱することを備え、
エアロゾル発生装置が少なくとも部分的にエアロゾル発生物品を収容する、加熱することと、
受熱面とエアロゾル発生物品との間に設けられる蓄熱体に受熱面を加熱することによる熱を蓄えることと、
蓄熱体とエアロゾル発生物品との間に設けられる内側熱伝導体を介して、エアロゾル発生物品に熱を分散させることであって、
蓄熱体の材料が、内側熱伝導体の材料よりも高い比熱を有する、分散させることと、を含む方法。
実施例21:
受熱面が、同時に二つ以上の火炎で加熱される、実施例20に記載の方法。
実施例22:
エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置内に少なくとも部分的に収容される場合、エアロゾル発生物品は軸方向に沿って延在し、少なくとも二つの火炎は軸方向の周りの異なる周方向位置で発生する、実施例21に記載の方法。
実施例23:
エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置内に少なくとも部分的に収容される場合、エアロゾル発生物品は軸方向に沿って延在し、火炎の少なくとも二つは、軸方向に平行な方向に沿って離間している、実施例21に記載の方法。
実施例24:
エアロゾルを発生させるための方法であって、
エアロゾル発生装置の受熱面を加熱することを備え、
エアロゾル発生装置が、軸方向に沿って延在するエアロゾル発生物品を少なくとも部分的に収容し、
受熱面が、同時に二つ以上の火炎で加熱される、方法。
実施例25:
火炎の少なくとも二つが、軸方向の周りの異なる周方向位置で発生する、実施例24に記載の方法。
実施例26:
少なくとも二つの火炎が、軸方向に平行な方向に沿って離間している、実施例24または25に記載の方法。
実施例27:
エアロゾル発生装置が、実施例1~16のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置、または実施例17~19のいずれか一つに記載のエアロゾル発生システムのエアロゾル発生装置である、実施例20~26のいずれか一つに記載の方法。
実施例28:
エアロゾル発生物質の実質的に均一な加熱を達成するために、エアロゾル発生物質を周方向に取り囲み、軸方向に延びる管の使用であって、管を通る径方向に沿う熱輸送の熱抵抗は、管の軸方向および外周のうちの少なくとも一つに沿って変化する、管の使用。
実施例29:
エアロゾル発生装置であって、
エアロゾル発生物品を少なくとも部分的に収容するように構成される軸方向に延在する加熱室と、
係合構成と非係合構成との間で移動するように構成されるヒーター作動機構と、を備え
ヒーター作動機構が、係合構成でヒーターに作用してヒーターを作動させて熱を発生させるように構成され、
ヒーター作動機構が、非係合構成ではヒーターに作用せず、ヒーターによる熱の発生を停止するように構成され、
ヒーター作動機構が、ヒーター作動機構を非係合構成から係合構成に移動させるために動かされるように構成される操作要素を備え、
エアロゾル発生装置は、ヒーター作動機構の係合構成から非係合構成への移動、または非係合構成から係合構成への移動を一時的に阻止するように構成される阻止機構をさらに備える、エアロゾル発生装置。
実施例30:
阻止機構は、ヒーター作動機構が係合構成から非係合構成へ移動するのを一時的に阻止するように構成され、それにより、ヒーター作動機構が係合構成から非係合構成へ移動するのを遅らせる、実施例29に記載のエアロゾル発生装置。
実施例31:
ヒーター作動機構は、ヒーター作動機構を非係合構成へ移動させるように構成される機械力をもたらす復元要素を備える、実施例29または30に記載のエアロゾル発生装置。
実施例32:
係合構成が、ヒーター作動機構の複数の係合サブ構成を備え、操作要素により、ユーザーはヒーター作動機構を選択的に係合サブ構成のうちのいずれか一つにすることができる、実施例29~31のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例33:
阻止機構は、ヒーター作動機構がそれぞれの係合サブ構成から非係合構成へ戻るのを、異なる係合サブ構成ごとに異なる時間だけ遅らせるように構成される、実施例32に記載のエアロゾル発生装置。
実施例34:
阻止機構は、ヒーター作動機構が非係合構成および係合構成のうちの少なくとも一つへ移動できる解除位置と、ヒーター作動機構が非係合構成および係合構成のうちの少なくとも一つへ移動するのを阻止する阻止位置と、の間で移動するように構成される可動部を備える、実施例29~33のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例35:
可動部は、温度に応じて解除位置と阻止位置との間で移動するように構成される、実施例34に記載のエアロゾル発生装置。
実施例36:
温度が、エアロゾル発生装置の一部の温度、または加熱室内部の温度、または加熱室の壁の温度、またはエアロゾル発生物品内部の温度である、実施例35に記載のエアロゾル発生装置。
実施例37:
阻止機構は、熱膨張要素の温度に応じて可動部を解除位置と阻止位置との間で移動させるように構成される熱膨張要素を備える、実施例34~実施例36のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例38:
可動部は、ヒーター作動機構の非係合構成への移動または係合構成への移動を遅らせるために、解除位置と阻止位置との間で定期的に移動するように構成されている、実施例34に記載のエアロゾル発生装置。
実施例39:
ヒーター作動機構と阻止機構とが共にラチェット機構を形成する、実施例29~38のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例40:
ヒーター作動機構は、操作要素によって摺動するよう構成される摺動要素を備える、実施例29~実施例39のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例41:
ヒーター作動機構が、ヒーター作動機構の係合構成においてヒータに作用するように構成される係合要素を備え、係合要素が摺動要素上で摺動可能に誘導される、実施例40に記載のエアロゾル発生物品。
実施例42:
ヒーター作動機構が、係合要素をヒーターの方向に付勢するように構成されるばね要素を備える、実施例例41に記載のエアロゾル発生物品。
実施例43:
摺動要素は複数の歯を備え、阻止機構は歯と係合するように構成される一つまたは複数の阻止部品を備える、実施例40~42のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例44:
エアロゾル発生システムであって、
実施例29~43のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置と、
ヒーターであって、ヒーターがヒーター作動機構による作用を受ける場合は熱を発生し、ヒーター作動機構による作用を受けない場合は熱を発生させないように構成される、ヒーターと、を備える、エアロゾル発生システム。
実施例45:
ヒーターは、ヒーターがヒーター作動機構による作用を受ける場合はガスを放出するように構成され、ヒーターがヒーター作動機構による作用を受けない場合はガスの放出を妨げるように構成されるガスタンクを備える、実施例44に記載のエアロゾル発生システム。
実施例46:
ガスタンクは、エアロゾル発生装置の本体に取り外し可能に連結される、実施例45に記載のエアロゾル発生システム。
実施例47:
ガスを点火するように構成される点火機構をさらに備える、実施例45または46に記載のエアロゾル発生システム。
実施例48:
エアロゾルを発生させるための方法であって、
操作要素が経路に沿って作動方向に動かされ、それによりヒーター作動機構によってヒーターに作用し、
ヒーターは、ヒーター作動機構による作用を受けるのに応じて熱を発生させ、
操作要素は、経路に沿って作動方向と反対方向の動きで戻され、
阻止機構の一つまたは複数の可動部が動作して、操作要素の戻りを遅らせ、
もはやヒーター作動機構による作用を受けないのに応じて、ヒーターは熱の発生を停止する、方法。
実施例49:
復元要素は、操作要素が作動方向に動かされることに応じて、操作要素の動きと反対方向の復元力を高める、実施例48に記載の方法。
実施例50:
ガスは、ヒーターがヒーター作動機構による作用を受けるのに応じてガスタンクから放出され、ガスが、エアロゾル発生物品を少なくとも部分的に収容するエアロゾル発生装置の受熱面を加熱する火炎を維持する、実施例48または49に記載の方法。
実施例51:
エアロゾル発生物品を少なくとも部分的に収容するエアロゾル発生装置を火炎が加熱した後、火炎を消すための、温度変化によって引き起こされる熱膨張要素の長さの変化の利用。
実施例52:
エアロゾル発生装置であって、
軸方向に延在する加熱室と、
加熱室と同軸上に配置される軸方向に延在する収納室と、
位置決め機構と、を備え、
エアロゾル発生装置が、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部が加熱室内に少なくとも部分的に配置される摂取位置でエアロゾル発生物品を収容するように構成され、
エアロゾル発生装置が、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部が収納室内に少なくとも部分的に配置される収納位置でエアロゾル発生物品を収容するように構成され、
位置決め機構が、エアロゾル発生物品を収納位置から摂取位置へ移動させるように構成され、
位置決め機構が、エアロゾル発生物品を摂取位置から収納位置へ移動させるように構成される、エアロゾル発生装置。
実施例53:
位置決め機構は、位置決め機構がエアロゾル発生物品を収納位置を超えて摂取位置から離れる方向に移動させることを防止するように構成される停止部を備える、実施例52に記載のエアロゾル発生装置。
実施例54:
位置決め機構が、軸方向に平行な方向に沿ってエアロゾル発生物品と係合するように構成される、実施例52または53に記載のエアロゾル発生装置。
実施例55:
位置決め機構が、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部と係合するように構成される、実施例52~54のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例56:
位置決め機構が、エアロゾル発生物品を摂取位置から収納位置へ移動させる方向に位置決め機構を付勢するばね要素を備える、実施例52~55のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例57:
位置決め機構は、ロック状態とアンロック状態とを有するロック機構を備え、ロック機構は、位置決め機構がロック状態でエアロゾル発生物品を摂取位置から収納位置に移動させることを防止するように構成され、ロック機構は、ロックが解除された状態でエアロゾル発生物品を摂取位置から収納位置に移動させるために位置決め機構を解除するように構成される、実施例52~56のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例58:
位置決め機構が、エアロゾル発生物品内に打ち込まれるように構成されるフック構造を備える、実施例52~57のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例59:
加熱室は、ヒーターによる火炎によって加熱されるように構成される、実施例52~58のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例60:
エアロゾル発生装置が、加熱室を能動的に加熱するように構成されるヒーターをさらに備える、実施例52~59のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例61:
収納室が加熱室と熱接触している、実施例52~60のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例62:
収納室が、加熱室からの熱伝達によってのみ加熱されるように構成される、実施例52~61のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例63:
位置決め機構が、エアロゾル発生物品を収納位置から摂取位置へ移動させるために、かつエアロゾル発生物品を摂取位置から収納位置に移動させるために、同じ位置でエアロゾル発生物品と係合するように構成される、実施例52~62のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例64:
エアロゾル発生システムであって、
実施例52~63のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置と、
エアロゾル発生部を備えるエアロゾル発生物品と、を備える、エアロゾル発生システム。
実施例65:
エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部が、草本材料を含む、実施例64に記載のエアロゾル発生システム。
実施例66:
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品が摂取位置にある場合、エアロゾル発生装置から突出するように構成されるフィルター部を備える、実施例64または65に記載のエアロゾル発生システム。
実施例67:
エアロゾルを発生させるための方法であって、
軸方向に延在する加熱室の加熱空間内でエアロゾル発生物品のエアロゾル発生部を加熱温度にさらすことによってエアロゾルを発生させることと、
エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部を位置決め機構と係合させることと、
エアロゾル発生部が加熱空間を出て、加熱室と同軸上に延在する収納室の収納空間に入るように、位置決め機構を用いてエアロゾル発生物品を軸方向に移動させることと、
エアロゾル発生部が収納空間を出て加熱空間に入るように、位置決め機構を用いてエアロゾル発生物品を軸方向に移動させることと、を含む、方法。
実施例68:
収納空間の収納温度は加熱温度より低いが、周囲温度より高い、実施例67に記載の方法。
実施例69:
位置決め機構のフック構造が、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生部に埋め込まれ、エアロゾル発生物品を移動させる、実施例67または68に記載の方法。
実施例70:
フック構造が、フック構造とエアロゾル発生物品との間の軸方向に沿った相対運動によってエアロゾル発生部に埋め込まれる、実施例69に記載の方法。
実施例71:
ばね要素が、エアロゾル発生部が加熱空間を出て収納空間に入るように、エアロゾル発生物品を移動させる方向に位置決め機構を付勢する、実施例67~70のいずれか一つに記載の方法。
実施例72:
加熱空間は、火炎によって加熱温度まで加熱される、実施例67~71のいずれか一つに記載の方法。
実施例73:
軸方向に延在するエアロゾル発生装置内の異なる温度区域間でエアロゾル発生物品を移動させるための、フック構造の使用。
【0126】
ここで、以下の図を参照しながら実施形態をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【
図1】
図1は、受熱面が、軸方向に延在する加熱空間の径方向外側に設けられた実施形態によるエアロゾル発生システムを示す。
【
図2】
図2は、受熱面が、軸方向に延在する加熱空間と軸方向に位置合わせされて設けられた実施形態によるエアロゾル発生システムを示す。
【
図3】
図3は、一実施形態によるエアロゾル発生システムのエアロゾル発生物品を示す。
【
図4】
図4は、従来のシガレットライターを使用する一実施形態によるエアロゾル発生システムを示す。
【
図5】
図5は、一実施形態による加熱室の概略断面図を示す。
【
図6】
図6は、別の実施形態による加熱室の概略断面図を示す。
【
図7】
図7は、別の実施形態による加熱室の概略断面図を示す。
【
図8】
図8は、軸方向に延在する加熱空間と軸方向に位置合わせされた受熱面を有する一実施形態によるエアロゾル発生システムの概略断面図を示す。
【
図9】
図9は、複数の火炎を発生させるヒーターを有するエアロゾル発生システムの一実施形態を示す。
【
図10】
図10は、従来のシガレットライターを使用するエアロゾル発生システムの一実施形態を示す。
【
図14】
図14は、エアロゾル発生物品を移動させるための位置決め機構を有するエアロゾル発生システムを示し、摂取位置のエアロゾル発生物品を示す。
【
図15】
図15は、
図14のエアロゾル発生システムを示し、収納位置のエアロゾル発生物品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0128】
図1は、一実施形態によるエアロゾル発生システム1を示す。エアロゾル発生システム1は、エアロゾル発生装置3、エアロゾル発生物品5、およびヒーター7を備える。
【0129】
図3は、エアロゾル発生装置3とともに使用されることができるエアロゾル発生物品5の例示的な実施形態を示す。エアロゾル発生物品5は、軸方向に沿って前後に配置される部分を備える。部分は、部分のうちの一つまたは複数にまたがる一つまたは複数のラッパーによって相互に連結される。これらの部分は、エアロゾル発生部9、スペーサー部11、およびフィルター部13で構成される。エアロゾル発生部9は、加熱されるとエアロゾルを発生するように構成されるエアロゾル発生材料を備える。エアロゾル発生材料は草本材料、具体的にはタバコ材料を含んでもよい。フィルター部13は、エアロゾルがユーザーの口に到達する前に通過するフィルターを備えていてもよい。スペーサー部11は、エアロゾル発生部9とフィルター部13との間に配置されてもよい。エアロゾル発生部9で発生したエアロゾルは、スペーサー部11を通過する間に冷却され、摂取前にエアロゾルの温度を低下させることができる。
【0130】
図1に示すように、エアロゾル発生装置3は、軸方向に延在する加熱室15と、加熱室15と同軸配置で設けられる収納室17とを備える。エアロゾル発生物品5は、エアロゾル発生装置3内で挿入方向19に挿入されてもよい。
図1では、エアロゾル発生物品5は、エアロゾル発生装置3の摂取位置に収容される。摂取位置では、エアロゾル発生部9は、加熱室15によって画成される加熱空間21に収容される。
【0131】
図1の実施形態では、ヒーター7は従来のシガレットライターである。エアロゾル発生装置3は、ヒーター7を収容するように構成されるヒーター収容部23を備えてもよい。あるいは、ヒーター7はエアロゾル発生装置3の一体部分であってもよく、またはヒーター7はエアロゾル発生装置3と組み合わされなくても、エアロゾル発生装置3内に収容されなくてもよく、別個のヒーター7であってもよい。好ましくは、ヒーター7は、一つまたは複数の火炎8を発生するように構成される。
【0132】
ヒーター7は、加熱室15の受熱面25を加熱するように構成されている。受熱面25を加熱することにより、加熱室15内の加熱空間21が加熱され、それによりエアロゾル発生物品3のエアロゾル発生部9を加熱する。エアロゾル発生部9は、加熱されるとエアロゾルを発生する。ユーザーがフィルター部13を通して空気を吸引すると、エアロゾル発生物品5を通る空気流(
図1の矢印を参照)が生成されることができる。空気流は、加熱空間21内で発生したエアロゾルをユーザーに向けて運ぶことができる。
【0133】
図1の実施形態では、受熱面25は加熱空間21の径方向外側に設けられている。ヒーター7が火炎8を出して受熱面25を加熱する方向は、本質的に軸方向(加熱室15および収納室17の延在方向)と直交する方向を向いている。
【0134】
図2は、受熱面25が加熱空間21と軸方向に一直線上に配置されている、別の実施形態を示している。ヒーター7は、本質的に軸方向に沿った方向に火炎8を出す。
【0135】
図4は、エアロゾル発生システム1の別の実施形態を例示する。各エアロゾル発生装置3は、軸方向に沿って延在し、内部に加熱空間21を有する加熱室15を画成する管を備える。エアロゾル発生物品5は、軸方向に平行な挿入方向19に沿って加熱空間21内に挿入されることができる。例示の実施形態では、エアロゾル発生物品5は、本質的にエアロゾル発生部9のみを備える。しかし、エアロゾル発生物品5は、追加の部分、例えば、スペーサー部11およびフィルター部13を備えることができる。エアロゾル発生装置3は、エアロゾル発生装置3の高温によるけがや不便さの危険を冒すことなく、ユーザーがエアロゾル発生装置3を保持できるようにする熱保護スリーブ27を備える。
図4の下部の両方向矢印によって示されるように、熱保護スリーブ27は、加熱室15を画成する管に対してスライドすることができる。ヒーター7、例えば従来のシガレットヒーターを使用して、受熱面25を加熱してもよい。
図4の実施形態による受熱面25は、エアロゾル発生部9を収容する加熱空間21の径方向外側に設けられている。
図4では、ヒーター7はエアロゾル発生装置3に挿入されても、取り付けられてもいない。
【0136】
図5、6、および7は、加熱室15の様々な実施形態の断面図を示す。
図5、
図6および
図7の左側部分は、断面が軸方向に平行な加熱室15の断面図を示す。
図5、
図6および
図7の右側部分は、断面が軸方向に垂直なそれぞれの加熱室15の断面図を示す。
図5、6、および7の加熱室は、例えば、
図1および
図4のエアロゾル発生装置3の一部であってもよい。
【0137】
図5、6、および7において、加熱室15は、加熱空間21を周方向に取り囲む複数の層を備える。外側熱伝導体29は、加熱室15の外層を形成する。受熱面25は、外側熱伝導体29の径方向外面の一部である。外側熱伝導体29の径方向内側には、加熱空間21を周方向に取り囲む層を形成する蓄熱体31が設けられている。蓄熱体31の径方向内側には、加熱空間21を周方向に取り囲む内側熱伝導体33が設けられている。
【0138】
蓄熱体31の材料は、内側熱伝導体33の材料および外側熱伝導体29の材料よりも比熱が大きい。外側熱伝導体29の材料および内側熱伝導体33の材料は、蓄熱体31の材料よりも高い熱伝導率を有する。蓄熱体31の材料は、例えば、ガラスまたは金属であってもよい。内側熱伝導体33の材料および外側熱伝導体29の材料の一方または両方は、金属、例えば、銅、真ちゅう、アルミニウムであってもよい。
【0139】
受熱面25が加熱されると、その熱は外側熱伝導体29によって蓄熱体31に向けて径方向内側に効率的に誘導される。蓄熱体31は、その比熱が大きいため、比較的多くの熱を吸収し、かつ時間の経過と共にその熱を放出して、加熱空間21およびその内部に設けられるエアロゾル発生部9を加熱する緩衝材として機能することができる。内側熱伝導体33は、加熱空間21を画成する加熱室15の内面を形成する。内側熱伝導体33は、蓄熱体31からの熱を加熱空間21およびその内部に設けられるエアロゾル発生部9に向けて効率よく伝導する。
【0140】
図5では、外側熱伝導体29、蓄熱体31および内側熱伝導体33は、軸方向に関して対称である。外側熱伝導体29、蓄熱体31、および内側熱伝導体33は、加熱空間21を周方向に取り囲む同心のスリーブを形成している。
【0141】
図6では、蓄熱体31および内側熱伝導体33は、
図5の蓄熱体31および内側熱伝導体33に相当する。しかし、外側熱伝導体29は、軸方向に対して対称ではない。外側熱伝導体29の厚さは、周方向および軸方向の両方に沿って変化している。外側熱伝導体29の厚さは、受熱面25で最も厚い。特に、外側熱伝導体29の厚さは、受熱面25の中央部で最も厚くなる。外側熱伝導体29の厚さは、受熱面25の中心から離れるに従って、軸方向および周方向の両方に沿って薄くなる。
【0142】
異なる位置での外側熱伝導体29の厚さが異なるため、外側熱伝導体29を通り、したがって加熱室15の壁を通り、半径方向に沿う熱輸送の熱抵抗は、位置が異なると異なる。受熱面25、特に受熱面25の中心における外側熱伝導体29の厚さが最も厚いため、外側熱伝導層29を通り径方向に沿う熱輸送の熱抵抗が、受熱面25において最も高い。これにより、受熱面25からより遠く離れ、したがって通常は受ける熱がより少ないであろう位置での熱輸送の熱抵抗を低減することによって、加熱空間21内の不均一な温度分布を防止することができる。
【0143】
図7では、蓄熱体31および内側熱伝導体33は、
図5および6の蓄熱体31および内側熱伝導体33に相当する。外側熱伝導体29は、外側熱伝導体29内に形成されるチャネル35を備える。チャネル35は、加熱された空気の流路を形成することができる。チャネル35の流れ断面積は、軸方向および周方向のうちの少なくとも一つに沿って変化してもよい。チャネル35の流れ断面積は、受熱面25の中心からより遠く離れた領域ではより大きくなり、これらの領域への熱風の流れを促進することができる。
【0144】
図8は、
図2の実施形態と実質的に一致して、受熱面25が加熱空間21と軸方向に整列しているエアロゾル発生システム1の断面図を示す。
図8の実施形態では、蓄熱体31は加熱空間21と軸方向に整列している。蓄熱体31は、挿入方向19に対して加熱空間21の下流に設けられている。蓄熱体31の外面は受熱面25を形成する。
図8の実施形態では、外側熱伝導体29は設けられていない。しかし、代わりとして、外側熱伝導体29は、挿入方向19に対して蓄熱体25の下流に設けられることができる。
【0145】
蓄熱体31と加熱空間21との間には、内側熱伝導体33が設けられている。内側熱伝導体33は、蓄熱体31と加熱空間21との間に、軸方向に対して実質的に垂直に延在する板を備える。さらに、内側熱伝導体33は、加熱空間21を周方向に取り囲む円筒形のスリーブ部37を備える。さらに、内側熱伝導体33は、加熱空間21内に延びる突起部39を備える。突起部39は、エアロゾル発生物品5のエアロゾル発生部9に埋め込まれるように構成される。
【0146】
図8の実施形態では、ヒーター7はエアロゾル発生装置3に組み込まれている。ヒーター7は、受熱面25を加熱する火炎8用のガスを供給するガスタンク41を備える。
【0147】
図9は、エアロゾル発生システム1の別の実施形態を示す。
図9の左側は、システム1の軸方向に平行な断面の断面図を示す。
図9の右側は、システム1の軸方向に垂直な断面の断面図を示す。
【0148】
図9のシステム1のヒーター7は、受熱面25を加熱するための複数の火炎8を発生するように構成されている。
図9の左側部分に示すように、火炎8の一部は軸方向に沿って離間されており、軸方向に沿った熱分布を改善している。
図9の右図に示すように、火炎8の一部は周方向に沿って離間した位置で発生し、周方向に沿って加熱が分散される。ヒーター7は、エアロゾル発生装置3の一体部分であってもよい。ヒーター7は、エアロゾル発生装置3と組み合わされてもよい。ヒーター7は、エアロゾル発生装置3のヒーター収容部23に収容されてもよい。
【0149】
図10は、
図1に示される実施形態とほぼ同様の実施形態によるエアロゾル発生システム1を示す。本実施形態における受熱面25は、加熱空間21の径方向外側にある。あるいは、例えば
図2に示すように、受熱面25を加熱空間21と軸方向に沿って整列させることもできる。
【0150】
図10のヒーター7は、エアロゾル発生装置3のヒーター収容部23に着脱可能に収容される従来のシガレットライターである。あるいは、ヒーター7をエアロゾル発生装置3に固定して組み込むことができる。
【0151】
エアロゾル発生装置3は、ヒーター7のガスタンク41から放出されるガスに点火するように構成される点火機構45を備えている。点火機構45は、エアロゾル発生装置3の一体部分である。点火機構45は、たとえヒーター7がヒーター収容部23に収容される場合でも、ガスに点火する便利な方法を提供するために外部から利用可能である。ヒーター7自体は別の点火機構を備えていてもよく、その点火機構はヒーター7がヒーター収容部23に収容されている場合には利用できない場合がある。エアロゾル発生装置3の点火機構45は、従来のシガレットライターの点火機構と同様に機能することができる。
【0152】
図10では、エアロゾル発生装置3は、ヒーター7のガス放出ボタン50に作用するように構成されるヒーター作動機構47をさらに備える。ヒーター作動機構47により、ユーザーは、ヒーター7がヒーター収容部23に収容され、ガス放出ボタン50が直接利用できない場合でも、ヒーター7のガス放出ボタン50を押すことができる。ヒーター作動機構47は、ユーザーによって押し下げられて、ガス放出ボタン50を押してガスを放出することができる。ヒーター7のガス放出ボタン50は、押下が解除されると初期位置に戻り、ガスの放出が停止される。
【0153】
図11は、ヒーター作動機構47をより詳細に示している。ヒーター作動機構47は、ロッドまたはバーの形態の摺動要素51に沿って上下に摺動するように構成される係合要素49を備える。ばね要素53は、係合要素49をガス放出ボタン50に向けて付勢する。ガス放出ボタン50に向かう係合要素49の動きを制限するために、摺動要素51に停止部53が設けられている。摺動要素51自体は、エアロゾル発生装置3内で摺動可能に誘導される。
図11では、摺動要素51は上下にスライドすることができる。復元要素55は、摺動要素51を上方に付勢する。
図11に示される動作状況では、摺動要素51は上方位置にあり、これはヒーター作動機構47の非係合構成に対応する。ヒーター作動機構47の非係合構成では、係合要素49は(停止部53により)ガス放出ボタン50を押さない。
【0154】
ヒーター7を動作させて熱を発生させるために、ユーザーは、摺動要素51に連結する操作要素57を動かすことによって、摺動要素51を下方に移動させることができる。
図11に矢印で示すように、操作要素57を下方に動かすと、摺動要素51が下方に移動する。これにより、停止部53が下方に移動し、ばね要素53から発生する力により係合要素49も下方に移動することが可能になり、ガス放出ボタン50を押す。
【0155】
係合要素49がガス放出ボタン50を押してガスを放出すると、ヒーター作動機構47は係合構成になる。ユーザーが再び操作要素57を放すと、復元要素55が摺動要素51を上方に移動させる。ある時点で、停止部53が係合要素49と接触し、係合要素49を上方に移動させ、それによってガス放出ボタン50が解除され、ガスの放出が停止する。係合要素49がガス放出ボタン50を押さない場合、ヒーター作動機構47は非係合構成にある。
【0156】
操作要素57が解除された後のヒーター作動機構47の非係合構成への復帰は、
図11に概略的にのみ示す阻止機構59によって遅延される。
【0157】
図12は、阻止機構59の一実施形態を示す。
図12の左側は、摺動要素51を押して押し下げることによってヒーター作動機構47が係合構成へ移動する場合に何が起こるかを示している。阻止機構59は、第一のホイール61および直径が第一のホイール61よりも大きな第二のホイール63を備える。第一のホイール61と第二のホイール63は、共通軸を中心に回転可能である。摺動要素51が押し下げられると、摺動要素51の歯65が第一のホイール61の歯とかみ合い、第一のホイール61が
図12において反時計回りに回転する。
【0158】
第二のホイール63は第一のホイール61に連結し、そしてそれにより
図12では反時計回りに回転する。任意のばね67は、第一のホイール61の回転によって負荷がかかる。第二のホイール63の外周の歯はロッカーアーム69に当接し、これは、第二のホイール63が摺動要素51が下降することによって与えられる方向である反時計方向に回転する際に、第二のホイール63を妨げない。したがって、阻止機構59は、ヒーター作動機構47が係合構成に移動することを妨げない。
【0159】
図12の右図は、操作要素57が解除された後、摺動要素51が上方に移動する場合の状態を示している。復元要素55およびらせんばね67のうちの少なくとも一つによって、摺動要素51を上方へ移動させることができる。摺動要素51が上方に移動するには、摺動要素51の歯65と第一ホイール61の歯との係合により、第一のホイール61および第二のホイール63が時計回り方向に回転しなければならない。第二のホイール63の時計回り方向の回転は、
図12の右側に示す位置と
図12の左側に示す位置との間を往復するロッカーアーム69によって周期的に阻止および解除される。したがって、ロッカーアーム69は、摺動要素51の動きを周期的に阻止する。ロッカーアーム69の各位置は、他の位置に移動する前に短時間、第二のホイール63を阻止する。第二のホイール63の多数の歯により、ロッカーアーム69の多くの往復運動が可能になる。したがって、摺動要素51の上方への移動、およびしたがってヒーター作動機構47の非係合構成への復帰が遅れる。遅延時間は、阻止機構59のレイアウト、具体的には第二のホイール63の歯の数に依存する。
【0160】
ガスの放出を活性化するためにヒーター作動機構47を係合構成にする場合、摺動要素51がさらに押し下げられると、第一ホイール61および第二ホイール63がさらに回転し、ヒーター作動機構47の非係合構成への復帰動作はさらに遅れる。したがって、操作要素57を動かすことによる摺動要素51が下方に移動される度合いによって、操作要素57の解除時に非係合構成に戻るための様々な遅延に対応する、ヒーター作動機構47の様々な係合サブ構成が決定される。
【0161】
図13は、阻止機構59の別の実施形態を示す。この場合も、摺動要素51には歯65が設けられている。阻止機構59は、軸73を中心として旋回可能な旋回部71を備える。阻止機構59は、一方の側で固定点77に取り付けられ、他方の側で旋回部71に取り付けられる熱膨張要素75をさらに備える。旋回部71は、歯79を備える。摺動要素51の歯65および阻止機構59の歯79は、摺動要素51の下方への移動(ヒーター作動機構47を係合位置にもたらす)が常に可能であるような形状である(
図13の左側部分を参照)。しかし、(ヒーター作動機構47を非係合構成にする)摺動要素51の上方への移動は、旋回部71の旋回位置に応じて許容され、または妨げられる。
【0162】
図13の中央部は、操作要素57を下方に動かし、それにより摺動要素51を下方に移動させることによって、ヒーター作動機構47が係合構成にもたらされた後の状態を示している。ヒーター7が作動して、火炎8を発生させる。復元要素55は、摺動要素51を、ヒーター作動機構47の非係合構成へ上方に付勢する。しかし、摺動要素51の上方への移動は、摺動要素51の歯65と旋回部71の歯79との間の係合によって阻止される。したがって、ヒーター作動機構47は係合構成を維持し、ヒーター7は熱を発生し続ける。
【0163】
ヒーター7が発生する熱により、熱膨張要素75が加熱されて長さが膨張する。これにより、
図13の右側に示すように、旋回部71が軸73を中心に回転する。熱膨張要素75が所定の温度に達すると、熱膨張要素75の長さは、旋回部71を旋回させるのに十分となり、旋回部71の歯79が摺動要素51の歯65から外れる。その結果、摺動要素51は上方に移動し、ヒーター作動機構47を非係合構成に戻す。その結果、ガス放出ボタン50は係合要素49によって押されなくなり、ヒーター7は停止される。
【0164】
したがって、阻止機構59は、熱膨張要素75が所定の温度に加熱されるまでヒーター作動機構47を係合構成に保持し、その後、ヒーター作動機構47を非係合構成に復帰させることができる。所定温度は、熱膨張要素75および阻止機構59の配置を適切に選択することにより設定することができる。
【0165】
熱膨張要素75は、エアロゾル発生装置3のヒーター収容部23に設けられてもよい。したがって、熱膨張要素75は、ヒーター収容部23内の温度に反応する。あるいは、熱膨張要素75は、他の場所、例えば加熱空間21内または加熱室15に設けることもできる。必要に応じて、熱膨張要素75と旋回部71との間に一つまたは複数の機械的連結部を設けることができる。
【0166】
図12~
図13の実施形態では、ヒーター作動機構47の摺動要素51および阻止機構59は、共にラチェット機構を形成し、ヒーター作動機構47が係合構成へ自由に移動することを可能にし、ヒーター作動機構47が非係合構成へ移動するのを選択的に阻止する。
【0167】
あるいは、阻止機構59は、ヒーター作動機構47の非係合構成から係合構成への移動を選択的に阻止するように構成されることができる。これは、例えば、摺動要素51の歯65の向きを変更することによって達成することができる。阻止機構59は、加熱空間21の過熱を防止するために、ヒーター作動機構47の非係合構成から係合構成への移動を遅らせることができる。例えば、阻止機構59は、ヒーター作動機構47が非係合構成に戻った直後に、ユーザーがヒーター作動機構47を係合構成にすぐに戻すことを防止することができる。阻止機構59は、例えば過熱を防ぐために、阻止機構59の熱膨張要素75の温度が所定の温度未満である場合にのみ、ヒーター作動機構47が係合構成に移動できるように構成されることができる。
【0168】
図14および15は、位置決め機構81を有する実施形態によるエアロゾル発生システム1を示す。
図14では、エアロゾル発生物品5が摂取位置に示されている。摂取位置では、エアロゾル発生物品5のエアロゾル発生部9が加熱室15の加熱空間21に配置される。
図15は、収納位置にあるエアロゾル発生物品5を示す。収納位置では、エアロゾル発生物品5のエアロゾル発生部9が収納室17に配置される。
【0169】
エアロゾル発生物品5を、挿入方向19と反対の方向に移動させることによって、摂取位置から収納位置へ移動させることができる。エアロゾル発生物品5を、挿入方向19に沿って移動させることによって収納位置から摂取位置へ移動させることができる。位置決め機構81は、エアロゾル発生物品5を摂取位置と挿入方向との間で(両方向に)移動させるように構成されている。
【0170】
位置決め機構81は、フック構造83を備える。フック構造83は、挿入方向19と反対の方向に延在する。エアロゾル発生物品5をエアロゾル発生装置3内に挿入すると、エアロゾル発生部9がフック構造83に押し付けられる。フック構造83は、エアロゾル発生部9に埋め込まれる。フック構造83は、ユーザーが利用可能なハンドル部85にしっかりと連結されている。ハンドル部85を動かすことによって、ユーザーは、フック構造83を挿入方向19に沿って、または挿入方向19と反対の方向に移動させることができ、それによりエアロゾル発生物品5を摂取位置と収納位置との間で挿入方向19に沿って、または挿入方向19と反対の方向に移動させることができる。
【0171】
位置決め機構81は、ロック状態とアンロック状態とを有するロック機構89を備える。ロック機構89は、ロック状態において、位置決め機構81がエアロゾル発生物品5を摂取位置から収納位置へ移動させることを防止する。ロック状態を
図14に示す。ロック機構89は、エアロゾル発生装置3の本体に設けられる受け部91と、位置決め機構81の可動部として設けられる係合部93とを備えている。
【0172】
ロック状態では、係合部93は、受け部91内に収容されるため、位置決め機構81が、エアロゾル発生物品を摂取位置から収納位置に移動させることを防止する。摂取中、ロック機構89はロック状態に保たれてもよい。ユーザーが、摂取を(一時的に)止めたい場合には、(
図14において係合部93を上方に移動させることにより)係合部93を受け部91から外し、それによりロック機構89をアンロック状態にしてもよい。次に、位置決め機構81は、ばね要素87によって動かされて、エアロゾル発生物品5を収納位置に移動させる。エアロゾル発生物品5が収納位置(
図15)に到達すると、位置決め機構81は停止部95と係合し、位置決め機構81が、エアロゾル発生物品5が摂取位置から離れる方向に収納位置を超えて移動するのを防止する。
【0173】
ユーザーが摂取を再開したい場合には、ユーザーはハンドル部分85を操作して位置決め機構81を
図15の左方向に移動させ、エアロゾル発生物品5を摂取位置に戻せばよい。例示の実施形態では、ロック機構89の係合部93は、エアロゾル発生装置3の本体とともに、位置決め機構81が、エアロゾル発生物品5が収納位置から離れる方向に摂取位置を超えて移動するのを防止するための停止部を形成する。摂取位置に到達すると、ユーザーはロック機構89をロックして、ばね要素87によってエアロゾル発生物品5が収納位置にすぐに戻るのを防止することができる。
【0174】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表す全ての数字は、全ての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。したがって、この文脈では、数AはA±Aの5パーセントとして理解される。この文脈内において、数Aは、数Aが修飾する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数Aは、添付の特許請求の範囲で使用されるような一部の事例において、それによってAが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性に実質的に影響を与えないという条件で、上記に列挙される割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
【国際調査報告】