IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユマテック ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2024-514833有孔成形部品を有する回路基板を製造する方法及びシステム
<>
  • 特表-有孔成形部品を有する回路基板を製造する方法及びシステム 図1
  • 特表-有孔成形部品を有する回路基板を製造する方法及びシステム 図2
  • 特表-有孔成形部品を有する回路基板を製造する方法及びシステム 図3
  • 特表-有孔成形部品を有する回路基板を製造する方法及びシステム 図4
  • 特表-有孔成形部品を有する回路基板を製造する方法及びシステム 図5
  • 特表-有孔成形部品を有する回路基板を製造する方法及びシステム 図6
  • 特表-有孔成形部品を有する回路基板を製造する方法及びシステム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】有孔成形部品を有する回路基板を製造する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/20 20060101AFI20240327BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H05K3/20 Z
H05K3/00 J
H05K3/20 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561756
(86)(22)【出願日】2022-04-04
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2022058858
(87)【国際公開番号】W WO2022214425
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】102021108863.1
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507248321
【氏名又は名称】ユマテック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルフェル,マルクス
【テーマコード(参考)】
5E343
【Fターム(参考)】
5E343AA02
5E343AA13
5E343BB22
5E343DD54
5E343DD56
5E343ER55
5E343FF08
5E343GG20
(57)【要約】
本発明は、有孔成形部品2を有するプリント回路基板1を製造する方法及びシステムに関する。本発明の目的は、プレス加工プロセス中のプリント回路基板1のプレス加工される要素の高度な位置決め精度を可能にすることである。これは、有孔成形部品2が、有孔マスクLを有する半製品9を形成するために、特定の構成で互いに対して配置及び固定され、その後、半製品9が、有孔マスクLを使用してプレス機4内に位置決めされ、少なくとも1つの他の要素8、10、12とともにプレス加工され、プリント回路基板1を製造するためのプリント回路基板基材を形成することで達成される。本発明は、対応する半製品9を準備するためにプリント回路基板1を製造するとともに、プリント回路基板1を製造するためのプリント回路基板基材を形成するためにそれを処理するシステムにも関する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有孔成形部品(2)を有する回路基板(1)を製造する方法であって、前記有孔成形部品(2)は、有孔マスク(L)を有する半製品(9)を形成するために、所定の構成で互いに対して配置及び固定され、その後、前記半製品(9)は、前記有孔マスク(L)によってプレス機(4)内で位置決め及び位置合わせされ、少なくとも1つの更なる要素(8、10、12)とともにプレス加工され、回路基板(1)を製造するための回路基板基材を形成する、方法。
【請求項2】
a.ステップA:前記回路基板(1)の要素をプレス加工するプレス機(4)を準備するステップであって、前記プレス機(4)は、プレス加工プロセス中に前記有孔成形部品(2)を位置決めする位置決めピン(5)を備える、ステップと、
b.ステップB:前記位置決めピン(5)の外側輪郭に一致する受け穴(3)を有する有孔成形部品(2)を準備するステップと、
c.ステップC:前記有孔成形部品(2)を位置決めする前記位置決めピン(5)を好ましくは精密な嵌合を有して挿入することができる有孔マスク(L)をともに形成するように、前記有孔成形部品(2)を配置することができる金型(6)を準備するステップと、
d.ステップD:前記有孔マスク(L)を形成するために、前記金型(6)を使用して前記成形部品(2)を配置するステップと、
e.ステップE:前記有孔成形部品(2)を表面の導電性要素(8)及び場合によっては表面の電気絶縁性要素に接続して、前記有孔マスク(L)を固定しながら半製品(9)を形成するステップと、
f.ステップF:前記位置決めピン(5)を前記有孔マスク(L)に導入しながら、前記半製品(9)及び少なくとも1つの表面の電気絶縁性要素(10)を前記プレス機(4)内に位置決めするステップと、
g.ステップG:前記有孔成形部品(2)を前記表面の電気絶縁性要素(10)に埋め込むために、前記プレス機(4)において、前記半製品(9)を前記表面の電気絶縁性要素(10)とともにプレス加工するステップと、
h.ステップH:導体構造部(11)を前記表面の導電性要素(8)から加工し、前記回路基板(1)を製造するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プレス機(4)は、少なくとも2つの部品(4a、4b)を備え、前記少なくとも2つの部品(4a、4b)は、互いに対して可動であり、プレス方向(P)において引き合わされ、前記回路基板(1)のプレス加工される前記要素が介在した状態で互いに押し付けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記半製品(9)は、プレス方向(P)に対して垂直に位置合わせされた平面(E)に配置され、及び/又は前記プレス方向(P)に対して垂直に位置合わせされた平面(E)に固定されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記プレス機(4)の位置決めピン(5)は、前記プレス方向(P)又はその反対の方向に前記有孔マスク(L)に挿入されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記成形部品(2)は、ステップEにおいて、好ましくは接続セクション(V)が介在した状態で、接着又は溶接によって前記表面の導電性要素(8)に接続され、好ましくは、ステップEにおいて前記成形部品(2)と前記表面の導電性要素(8)との間のスペーサ要素として配置される表面の電気絶縁性要素を貫通し、機械的及び場合によっては導電的にブリッジすることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記表面の導電性要素(8)は、前記有孔マスク(L)を前記表面の導電性要素(8)に転写するために、好ましくはステップEの後及び/又はステップFの前に穿孔されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記半製品(9)は、ステップEの後及び/又はステップFの前に、前記金型(6)から取り外され、及び/又は裏返され、前記表面の導電性要素(8)が下を向き、前記有孔成形部品(2)が上を向くようにすることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ステップFにおいて、前記半製品(9)は、好ましくは前記表面の導電性要素(8)が前記プレス機(4)の下側ダイ(4b)に水平に当接して位置決めされるように、前記表面の導電性要素(8)を前にして前記プレス機(4)内に位置決めされることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ステップDにおいて、前記金型(6)を使用して導体要素(12)が配置され、ステップEにおいて、前記表面の導電性要素(8)及び場合によっては前記表面の電気絶縁性要素に接続されて、前記半製品(9)を形成し、これらの導体要素(12)が、ステップHにおいて加工される前記導体構造部(11)によって電気的に相互接続されるようになっていることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記有孔成形部品(2)は、導電性材料から部分的に又は全体的に形成され、ステップHにおいて加工される前記導体構造部(11)によって電気的に相互接続されることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
特に請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法において使用される回路基板(1)を製造するシステムであって、
a.前記回路基板(1)の要素をプレス加工するプレス機(4)であって、該プレス機(4)は、プレス加工プロセス中に前記有孔成形部品(2)を位置決めする位置決めピン(5)を備える、プレス機(4)と、
b.前記位置決めピン(5)の外側輪郭に一致する受け穴(3)を有する有孔成形部品(2)と、
c.前記有孔成形部品(2)を位置決めする前記位置決めピン(5)を好ましくは精密な嵌合を有して挿入することができる有孔マスク(L)をともに形成するように、前記有孔成形部品(2)を配置可能である金型(6)と、
を備える、システム。
【請求項13】
前記金型(6)は、各成形部品(2)に対して少なくとも1つの(専用の)レセプタクル(7)を備え、前記レセプタクル(7)の内側輪郭は、前記成形部品(2)の外側輪郭に一致し、前記レセプタクル(7)内に配置される前記成形部品(2)は、前記レセプタクル(7)を好ましくは完全に埋め、及び/又は、前記成形部品(2)の表面は、前記金型(6)の表面と面一に延在することを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記成形部品(2)のうちの少なくとも1つは、前記金型(6)の同じレセプタクル(7)に異なる回転位置で配置可能であり、好ましくは、前記成形部品(2)の前記受け穴(3)は、前記成形部品(2)のこれらの異なる回転位置において、前記金型(2)の前記輪郭に関して同じ輪郭及び形状(又は異なる輪郭及び形状)を有することを特徴とする、請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
各位置決めピン(5)は、好ましくは該位置決めピン(5)の足部に位置し、好ましくは有孔成形部品(2)の前記受け穴(3)に精密に嵌合する該位置決めピン(5)の最大断面から、該位置決めピン(5)の先端までテーパ状になった挿入斜角を備えることを特徴とする、請求項12乃至14のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有孔成形部品を有する回路基板を製造する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102018203715号は、接続点間に延在する少なくとも1つの導体を有する回路基板を製造する方法を開示している。導体が、金型のレセプタクル内に配置され、意図された接続点の位置において金属箔に接続される。次いで、導体が絶縁材料に埋め込まれる。最後に、いくつかの導体を相互接続する導体構造部が、例えばエッチングによって金属箔から加工される。
【0003】
埋め込まれた導体の導体構造部による確実な相互接続を達成するために、導体構造部の位置は、埋め込まれた導体に精密に一致しなければならない。このために、従来、導体構造部を位置合わせするためのいわゆる位置合わせ穴が、金属箔に挿入されることが通常である。これらの位置合わせ穴は、回路基板のプレス加工される要素をプレス加工する際に、プレス機の位置決めピンの受け穴として使用される。その後、これらの穴は、回路基板の内層に挿入される。このようにして、回路基板の接続される全ての層を、プレス機の位置決めピンを使用して、プレス方向に対して垂直に配置された平面に位置合わせすることができる。
【0004】
しかしながら、長い穴及び丸い穴等の様々な形状の位置合わせ穴があり、位置決め精度は穴の形状に応じて変わり得る。
【0005】
加えて、受け穴は、これらの受け穴の縁部が損傷したり広がったりしないように、常に注意深く扱わなければならない。そうでなければ、金属箔をピンに適用する際の位置決め精度に影響が出る。加えて、受け穴は、(たとえ小さなものであっても)コスト要因となり、大量の場合には重大となる。さらに、受け穴は、金属箔の形状及びサイズに応じてほぼ常に異なる位置に配置される。異なる形状及びサイズのフィルムを処理するためには、異なるプレス工具及び位置決めピンが利用可能である必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、プレス加工プロセス中の回路基板のプレス加工される要素のより高い位置決め精度を可能にする、回路基板を製造する改善された方法及びシステムを提供するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を満たすために、本発明は、請求項1に記載の方法及び請求項12に記載のシステムを提供する。
【0008】
本発明に係る有孔成形部品を有する回路基板を製造する方法は、有孔マスクを有する半製品を形成するために、有孔成形部品が所定の構成で互いに対して配置及び固定され、その後、半製品は、有孔マスクによってプレス機内で位置決め又は位置合わせされ、少なくとも1つの更なる要素とともにプレス加工され、回路基板を製造するための回路基板基材を形成することを提供する。
【0009】
有孔マスクは、有孔成形部品又はその受け穴によって形成される。本発明の文脈において、互いに離隔した少なくとも2つの開口の2次元又は場合によっては3次元の配置が、有孔マスクと称される。この有孔マスクは、「キー」、すなわち、プレス機の位置決めピンによって形成される配置が嵌合する「ロック」を本質的に形成する。
【0010】
従来の方法と比較して、特許請求される本発明の主な利点は、有孔成形部品が(従来のように)所定の構成で互いに対して位置合わせ及び固定されるだけでなく、ここでは、プレス機内でともに形成される半製品を位置決めするための基準要素としての役目も果たすことである。従来のプロセスとは異なり、成形部品を金属箔(表面の導電性要素)における穴に対して位置合わせする必要はなくなる。反対に、金属箔(表面の導電性要素)における穴を成形部品に位置合わせすることができる。その結果、成形部品を金属箔の位置合わせ穴に位置合わせするステップが排除されるため、本発明に係る方法によって位置決め精度を大幅に改善することができる。
【0011】
本発明の有利な発展形態は、従属請求項の対象である。
【0012】
更なる有利な発展形態において、本方法は、
ステップA:回路基板の要素をプレス加工するプレス機を準備するステップであって、プレス機は、プレス加工プロセス中に有孔成形部品を位置決めする位置決めピンを備える、ステップと、
ステップB:位置決めピンの外側輪郭に一致する受け穴を有する有孔成形部品を準備するステップと、
ステップC:有孔成形部品を位置決めする位置決めピンを好ましくは精密な嵌合を有して挿入することができる有孔マスクをともに形成するように、有孔成形部品を配置可能である金型を準備するステップと、
ステップD:有孔マスクを形成するために、金型を使用して成形部品を配置するステップと、
ステップE:有孔成形部品を表面の導電性要素及び場合によっては表面の電気絶縁性要素に接続して、有孔マスクを固定しながら半製品を形成するステップと、
ステップF:位置決めピンを有孔マスクに導入しながら、半製品及び少なくとも1つの表面の電気絶縁性要素をプレス機内に位置決めするステップと、
ステップG:有孔成形部品を表面の電気絶縁性要素に埋め込むために、プレス機において、半製品を表面の電気絶縁性要素とともにプレス加工するステップと、
ステップH:導体構造部を表面の導電性要素から加工し、回路基板を製造するステップと、
を含む。
【0013】
プレス機に合わせた金型により、半製品は、高い位置決め精度を有して製造し、次いで、回路基板を製造するための回路基板基材を形成するためにプレス機内で処理することができる。
【0014】
互いに対して可動であり、(例えば、ステップGにおいて)プレス方向に引き合わされ、回路基板のプレス加工される要素が介在した状態で互いに押し付けられる、少なくとも2つの部品を備えるプレスを有することが有利であり得る。プレス部品の動きの方向が制御されることにより、特にプレス方向に対して垂直に小さな横断方向力しか生じないため、回路基板の要素をプレス加工するときの位置決め精度を更に改善することができる。
【0015】
半製品を、(例えば、ステップFにおいて)プレス方向に対して垂直に位置合わせされた平面に配置し、及び/又は(例えば、ステップGにおいて)プレス方向に対して垂直に位置合わせされた平面に固定することが有用であり得る。プレス方向に対して垂直に位置合わせされた平面において、半製品は、回路基板の要素がプレス加工される際に作用する横断方向力が最小になることから、成形部品によって形成され、表面の導電性要素によって固定された有孔マスクによって理想的に位置合わせすることができる。
【0016】
ステップFにおいて、位置決めピンをプレス方向又はその反対の方向に有孔マスクに挿入することが有用であることが証明され得る。これにより、有孔マスクを備える半製品をプレス機内に位置決めすることが簡略化される。
【0017】
成形部品を、ステップEにおいて、好ましくは(導電性)接続セクションが介在した状態で、接着又は溶接によって表面の導電性要素に接続し、好ましくは、ステップEにおいて成形部品と表面の導電性要素との間のスペーサ要素として配置される表面の電気絶縁性要素を貫通し、機械的及び場合によっては導電的にブリッジすることが実用的であり得る。本方法の最も単純な変形形態において、成形部品は、表面の導電性要素に直接接続される。成形部品と表面の導電性要素との間の確実な物質的接着又は溶接による接続は、容易にもたらされ、必要に応じて、例えば、導電性接着剤を使用する場合に、大きな接触又は転写表面を形成しながら、導電性であるように構成することもできる。成形部品を絶縁材料に可能な限り完全に埋め込むために、表面の電気絶縁性要素を、成形部品と表面の導電性要素との間に介在させることができる。例えば、樹脂含浸繊維マット(プリプレグ)を、表面の電気絶縁性要素として使用することができる。また、成形部品と表面の導電性要素との間の機械的(また場合によっては導電性)接続を得るために、表面の電気絶縁性要素は、例えば、表面の電気絶縁性要素における対応する開口に受けられるプレート形状の接続セクションによってブリッジしなければならない。これらの接続セクションは、成形部品に取り付けると、表面の電気絶縁性要素におけるそれぞれの開口を埋め、表面の電気絶縁性要素の表面と面一で終端することができる。その後、表面の導電性要素は、成形部品に面しない表面の電気絶縁性要素の側に位置決めされ、接続セクションに接続、例えば、接着又は溶接される。成形部品は、絶縁材料にほぼ完全に埋め込まれ、接続セクションを介して表面の導電性要素に間接的にのみ接続される。成形部品と表面の導電性要素との間の接触又は転写表面は、これらの接続セクションによって精密に寸法決めすることができる。このいくらかより複雑な設計は、特に高精度用途にとって大きな利点を伴う。
【0018】
表面の導電性要素を、好ましくはステップEの後及び/又はステップFの前に、有孔マスクを表面の導電性要素に転写(又は拡張)するために穿孔することが有用であることが証明され得る。このために、表面の導電性要素は、成形部品の下にある受け穴を露出させるために、成形部品の受け穴に対応する場所において穿孔、例えば、切断される。受け穴の縁部は、切断工具(例えば、カッタ)に対するガイドとしての役目を果たし得る。切り抜かれた表面の導電性要素の材料は、好ましくは表面の導電性要素の残りの部分から除去又は分離され、場合によっては、さらに、特に新たな表面の導電性要素を製造するためにリサイクルされる。
【0019】
ステップEの後及び/又はステップFの前に、半製品を金型から取り出し、及び/又は裏返し、表面の導電性要素が下を向き、有孔成形部品が上を向くようにすることが有用であり得る。表面の導電性要素を成形部品に接続するために、金型のレセプタクル内に配置される成形部品を覆うように、表面の導電性要素を金型の表面に配置することが有用であり得る。プレス機において成形部品及び表面の導電性要素から形成される半製品の後続の処理のために、半製品をプレス機内に位置決めする前に裏返すことが有用であり得る。代替的に、成形部品を所定の構成で配置するために、レセプタクルが成形部品と同一の輪郭を有し、上から下に向かって開放している特殊な金型を使用することも可能である。そのような金型を用いると、成形部品を単に後から表面の導電性要素上に所定の構成で配置し、最終的に、下に配置されている表面の導電性要素に上から接続することもできる。この実施形態においても、接続セクション及び表面の電気絶縁性要素は、成形部品と表面の導電性要素との間に介在し得る。成形部品を表面の導電性要素に接続した後、両側が開放している金型は、簡単に上方に取り外すか又は持ち上げることができる。
【0020】
ステップFにおいて、好ましくは表面の導電性要素がプレス機の下側ダイに水平に当接して位置決めされるように、半製品を表面の導電性要素を前にしてプレス機内に位置決めすることが有用であり得る。表面の電気絶縁性要素は、上向きの成形部品上に配置し、その後、絶縁材料に埋め込むために、プレス機の上側ダイによって成形部品に押し付けることができる。例えば、樹脂含浸繊維マット(プリプレグ)を、表面の電気絶縁性要素として使用することができる。
【0021】
ステップDにおいて、金型を使用して導体要素を配置し、ステップEにおいて、表面の導電性要素及び場合によっては表面の電気絶縁性要素に接続して、半製品を形成し、これらの導体要素が、ステップHにおいて加工される導体構造部によって電気的に接続されるようになっていることが有用であることが証明され得る。これにより、回路基板の要素を機能的に分離することが可能である。本発明の文脈において、成形部品は、(成形部品の受け穴によって形成された有孔マスクによって)半製品をプレス機内に位置決めするための基準要素としての役目を主に果たす。原則として、成形部品は、基準要素としての役目を果たすだけでなく、導体要素としても使用され、導電性材料から形成されることが可能である。しかしながら、成形部品が基準要素としてのみ役目を果たす場合、成形部品を導電性材料から製造する必要はない。この場合、成形部品の機械的強度が、位置決めピンにおける受け穴が引き裂かれることを防止するのに重要である。このために、成形部品は、プラスチック材料、特に繊維強化プラスチックから作製することができる。成形部品とは別に、追加の導体要素を絶縁材料に埋め込み、回路基板に統合することができる。成形部品とは異なり、これらの導体要素は、プレス機内の位置決めのための基準要素としての役目は果たさず、したがって、穿孔もされない。成形部品に加えて別個の導体要素が使用される場合であっても、本発明の利点は、本発明に係る方法を使用することで、回路基板の全ての要素の互いに対する高レベルの位置決め精度を常に達成することができるため、等しく達成可能である。
【0022】
有孔成形部品を導電性材料から部分的に又は全体的に作製し、ステップHにおいて加工される導体構造部によって電気的に相互接続することが有用であり得る。その結果、成形部品は、基準要素又は位置決め要素として置き換え可能であるだけでなく、特に、回路基板上に取り付けられる電気部品の放熱又は接続を行う導体要素として使用することもできる。
【0023】
最初に言及した本発明の目的は、特に前記実施形態のうちの1つに係る方法において使用される、回路基板を製造するシステムによっても満たされる。本システムは、
- 回路基板の要素をプレス加工するプレス機であって、該プレス機は、プレス加工プロセス中に有孔成形部品を位置決めする位置決めピンを備える、プレス機と、
- 位置決めピンの外側輪郭に一致する受け穴を有する有孔成形部品と、
- 有孔成形部品を位置決めする位置決めピンを好ましくは精密な嵌合を有して挿入することができる有孔マスクをともに形成するように、有孔成形部品を配置可能である金型と、
を備える。
【0024】
金型が、各成形部品に対して、内側輪郭が成形部品の外側輪郭に一致する少なくとも1つの専用のレセプタクルを備え、レセプタクル内に配置された成形部品がレセプタクルを好ましくは全体的に埋め、及び/又は成形部品の表面が金型の表面と面一に延在することが有用であり得る。これにより、例えば、続いて成形部品を表面の導電性要素に接続することによって、有孔マスクの固定が大幅に簡略化される。
【0025】
成形部品のうちの少なくとも1つが金型の同じレセプタクル内に異なる回転位置で配置可能であり、好ましくは、成形部品の受け穴が、成形部品のこれらの異なる回転位置において、金型の輪郭に対して同じ形状及び位置合わせ(又は異なる形状及び位置合わせ)を有することが有用であることが証明され得る。これにより、意図された結果が達成されるように、成形部品をそれぞれの配置及び位置合わせで金型のレセプタクル内に位置決めする際の使用者の労力が低減される。最も単純な例において、成形部品は、リング形状に形成され、円形の外周と、円形の内周を有する中央の受け穴とを有する。そのような成形部品は、下側を前にしても上側を前にしても任意の回転位置において金型の対応するレセプタクルに挿入することができ、受け穴は、金型の輪郭に対して同じ正しい位置合わせを常に有する。しかしながら、金型の輪郭に対して異なる回転位置において異なるように位置合わせされる受け穴を生成する成形部品によって、異なる有孔マスクを形成することも可能である。例えば、異なる方向における位置決め公差は、細長い受け穴を使用することによって選択的にもたらすことができ、ここでは、異なる成形部品の受け穴が、異なる方向、特に相互に垂直な方向に延在する。金型の輪郭に対する細長い穴の位置合わせに応じて、位置決め公差の方向を変更することができる。細長い受け穴を有する2つの成形部品を使用する場合、細長い穴は、2つの相互に垂直な方向に位置合わせすることができる。したがって、受け穴を有する1つの成形部品は、第1の方向において或る特定の位置決め公差を提供し、受け穴を有する他の成形部品は、第1の方向に対して垂直な異なる方向において或る特定の位置決め公差を提供する。これにより、位置決め平面において半製品を有孔マスクと位置合わせすることが容易になる。その結果、位置決め公差は、1つの位置においてのみ2つの細長い穴間の間隔が位置決めピン間の間隔に対応することから、無効になる。また、半製品は、位置決めピンと位置合わせされると、或る特定の可動性を有するため、半製品を位置決めピンに取り付けるのをより容易にし、しかも、半製品は、位置決めピンと精密に位置合わせすることができる。
【0026】
各位置決めピンが、好ましくは位置決めピンの足部に位置し、好ましくは有孔成形部品の受け穴に精密に嵌合する位置決めピンの最大断面から、位置決めピンの先端までテーパ状になった挿入斜角を備えることが有用であり得る。これにより、位置決めピンを有孔マスクに挿入することが容易になる。
【0027】
成形部品が以下の特性のうちの少なくとも1つを呈することが有用であり得る。
- 成形部品は、導電性材料から部分的に又は全体的に形成される。
- 成形部品は、金属、好ましくは銅、又は好ましくは繊維強化されたプラスチック材料、好ましくはガラス繊維強化プラスチック材料から部分的に又は全体的に製造される。
- 成形部品は、プレート形状に形成される。
- 成形部品は、100μm~300μmの範囲、好ましくは150μm~250μmの範囲の厚さを有する。
- 成形部品は、ブランクからエッチング、打ち抜き、フライス加工、又は別様に形成される。
- 成形部品は、対称、好ましくは鏡面対称及び/又は点対称の輪郭(=成形部品の外側輪郭)を有する。
- 成形部品は、円形又は長円形の輪郭を有する。
- 成形部品は、多角形、特に矩形又は正方形の輪郭を有する。
【0028】
一方、成形部品の受け穴は、以下の特徴のうちの少なくとも1つを呈することが有用であり得る。
- 受け穴は、成形部品の輪郭に対して中央に配置される。
- 受け穴は、対称、好ましくは鏡面対称及び/又は点対称の輪郭(=成形部品の外側輪郭)を有する。
- 受け穴は、円形又は長円形の輪郭を有する。
- 受け穴は、細長い穴として形成され、好ましくは半円の弧によって接続される、好ましくは2つの平行縁を有し、細長い穴は、特に好ましくは、有孔マスクが金型に固定された状態において、細長い穴として形成される別の受け穴に対して横断方向、特に垂直方向に延在し、そのため、例えば、直径が細長い穴の縁間の間隔に対応する円形断面を有する位置決めピンに関しては、位置決め公差は、2つの異なる方向において生じ、互いに等しくなる。
- 受け穴は、多角形、特に矩形又は正方形の輪郭を有する。
- 受け穴は、成形部品からエッチング、打ち抜き、又はフライス加工される。
【0029】
本発明の更なる有利な発展形態は、本明細書、特許請求の範囲、及び図面に開示される特徴の組合せから明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の方法に係る回路基板を製造する本発明に係るシステムの金型及び対応する成形部品の概略上面図である。金型は、矩形の輪郭を有し、それぞれ矩形輪郭の有孔成形部品を受ける矩形輪郭を有する合計2つのレセプタクルと、対応するL字形の導体要素に対する2つのL字形レセプタクルとを有する。
図2図1に係る金型の概略上面図である。細長い受け穴を有する矩形部品と、L字形導体要素とが、これらのレセプタクルを完全に埋め、金型の表面と面一で終端するように、金型の対応するレセプタクルに受けられる。表面の導電性要素は、この金型の表面上に位置決めされ、レセプタクルとその内部に配置された成形部品及び導体要素とを覆う(したがって、これらの成形部品及び導体要素の輪郭は破線で示されている)。表面の導電性要素は、成形部品の受け穴によって形成される有孔マスクが表面の導電性要素上に延在するように、成形部品の受け穴に対応する場所に穿孔されている。表面の導電性要素から後に加工され、接続点と導体要素を電気的に相互接続する導体トレースとからなる導体構造部は、点線で概略的に示されている。成形部品、導体要素、及び表面の導電性要素から形成される半製品がプレス機内で意図された配置にあるときの、成形部品の受け穴内のプレス機の位置決めピンの意図された位置は、同じく点線で概略的に描かれている。
図3】半製品の構成要素を組み合わせる前の、特に、金型の対応するレセプタクルに成形部品及び導体要素を配置する前の、並びに、表面の導電性要素を金型の表面上に位置決めして、レセプタクル内に配置された成形部品及び導体要素を覆う前の、図2の配置の概略側面分解図である。
図4】金型の対応するレセプタクル内に成形部品及び導体要素を配置した後の、並びに、表面の導電性要素を金型の表面上に位置決めして、レセプタクル内に配置された成形部品及び導体要素を覆った後の、図2及び図3の配置の概略側面図である。
図5】本発明に係る方法の中間ステップを説明する、プレス機とそれに伴う回路基板のプレス加工される要素とを含む配置の概略側面図である。示されている図における半製品及び表面の電気絶縁性要素は、プレス機の開放位置においてプレス機の上側ダイと下側ダイとの間に位置決めされている。
図6】プレス機の閉鎖位置における図5に係る配置の概略側面図である。回路基板のプレス加工される要素は、プレス機の上側ダイと下側ダイとの間に配置され、半製品が有孔マスクによって位置決めピンと係合状態で保持され、(鉛直)プレス方向に対して垂直な好ましくは水平平面に位置決めされている間にプレス加工される。
図7】本発明の方法に従って製造された回路基板の概略側面図である。有孔成形部品及び導体要素は、絶縁材料に埋め込まれ、回路基板の表面において、導体要素を相互接続する導体構造部が、例えばエッチングによって表面の導電性要素から加工される。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、添付図面を参照して以下でより詳細に説明する。
【0032】
簡潔に概説すると、本実施形態は、金型6を使用して回路基板1を製造する方法に関し、ここでは、成形部品2及び場合によっては導体要素12等の回路基板1に埋め込まれる要素が、所定の構成で互いに対して位置決めされて、銅箔等の表面の導電性要素8に接続し、半製品9を形成する。その後、このようにして製造されたこの半製品9は、位置決めピン5を有するプレス機4において、表面の電気絶縁性要素又は絶縁材料マット10とともにプレス加工される。その後、埋め込まれた要素を相互接続する導体構造部11は、例えばエッチングによって表面の導電性要素8から加工される。
【0033】
回路基板1に埋め込まれる要素2、12は、表面の導電性要素8に接続する間、金型6内に位置決めされることから、金型6によって規定される、互いに対する意図された構成又は位置合わせを有する。接続された要素が半製品9を形成する、表面の導電性要素8に接続された状態では、金型6によって予め決められた埋め込まれた要素2、12の構成又は位置合わせが、互いに対して固定され、その後、半製品9が金型6から取り外された場合でも、その構成又は位置合わせは変化することができなくなる。
【0034】
同様の方法は、独国特許出願公開第102018203715号から知られており、この独国特許出願公開の内容は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0035】
独国特許出願公開第102018203715号からの逸脱として、プレス機4におけるプレス加工プロセス中に、埋め込まれる要素2、12を位置決めする基準としての役目を果たすのは、本発明では表面の導電性要素8ではなく、有孔成形部品2である。ただし、本発明の文脈において使用される表面の導電性要素8は、最初から開口を有してはいない。
【0036】
金型6は、成形部品2の所定の構成を達成するのに有用であるが、絶対に必要なものではない。例えば、成形部品2は、例えば、表面の導電性要素8上の目印若しくは突起の形態のマスクによって、又はコンピュータ支援位置決めによって、所定の構成に配置することもできる。
【0037】
しかしながら、有孔成形部品2を有する回路基板1を製造する方法の本実施形態は、そのような金型6を使用し、特に、以下のステップを含む。
【0038】
ステップA:プレス加工プロセス中に有孔成形部品2を位置決めする位置決めピン5を有するプレス機4を準備する。
【0039】
本実施形態において、プレス機4は、2つの部品4a、4b、すなわち、上側ダイ4a及び下側ダイ4bからなり、上側ダイ4a及び下側ダイ4bは、例えば鉛直プレス方向Pにおいて互いに対して移動することができる。下側ダイ4bは、例えばプレス方向Pに対して垂直な水平平面Eにおいて延在する水平に位置合わせされた支持表面を備える。
【0040】
位置決めピン5は、プレス方向P(例えば、鉛直)とは反対の方向においてこの平面Eから突出している。上側ダイ4aに面する上端部において、位置決めピン5は、挿入斜角を有する。各挿入斜角は、有孔成形部品2の受け穴3に一致する外側輪郭を有する(図2を参照)位置決めピン5の最大断面から開始して、その先端までテーパ状になっている。上側ダイ4aは、有孔マスクLに対応する開口を有し、上側ダイ4a及び下側ダイ4bが押し合わされると、位置決めピン5がこの開口を貫通し、同時に、回路基板1のプレス加工される要素を貫通することができる。位置決めピン5の数は、自由に選択することができる。例えば、プレス機4は、合計2つの位置決めピン5を有し、これらは、例えば、下側ダイ4bの矩形の支持表面の対角線上に対向する角部に配置される。位置決めピン5は、同一の構成であっても異なる構成であってもよい。代替的に、原則として、位置決めピン5が上側ダイ4aに位置し、下側ダイ4bが、位置決めピン5を受ける対応する開口を有することも可能である。本例において、位置決めピン5は、例えば、その全長にわたって円形の断面形状を有し、挿入斜角の領域の直径は先端に向かって低減する。
【0041】
ステップB:位置決めピン5の外側輪郭に一致する受け穴3を有する有孔成形部品2を準備する。
【0042】
有孔成形部品2は、矩形、特に正方形、長円形、又は円形の輪郭を有することが好ましい。その結果、成形部品2は、金型6の同じレセプタクル7内のいくつかの異なる回転位置に任意選択で配置することができ、一方、受け穴3は、金型6の輪郭に対して同じ形状及び位置合わせをそれぞれ有する。例えば、中央の丸穴を有する円形の成形部品2の場合、金型6の輪郭に対する丸穴3の位置及び位置合わせは、この成形部品2のいずれの側が上又は下を向いていようとも常に同じである。重要なのは、金型6内に配置される成形部品2の受け穴3が、位置及び位置合わせに関してプレス機4の位置決めピン5に一致することである。成形部品2の数は、プレス機4の位置決めピン5の数に対応することが好ましい。しかしながら、複数の位置決めピン5が貫通する複数の受け穴3を有する成形部品2を使用することも可能であり、そのため、成形部品2の数は、位置決めピン5の数よりも少なくてもよい。本例において、成形部品2は、金属製、例えば銅製のプレート形状であり、100μm~500μmの範囲、好ましくは200μm~300μmの範囲の厚さを有する。受け穴3は、細長い穴としてそれぞれ構成される。細長い穴の2つの平行縁間の間隔は、位置決めピン5の最大直径に対応することが好ましい。したがって、対応する細長い穴内のその延在方向における各位置決めピン5(図2を参照)は、細長い穴の長さによって決まり得る或る特定の位置決め公差を有する。成形部品2のうちの1つにおいては、細長い穴は、金型6の輪郭の長い方の辺に対して平行に延在し、他の成形部品2においては、金型6の輪郭の短い方の辺に対して平行に延在する。これにより、位置決め公差は、2つの相互に垂直な方向にもたらされ、その結果、互いに等しくなる。
【0043】
ステップC:有孔成形部品2を位置決めする位置決めピン5を好ましくは精密な嵌合を有して挿入することができる有孔マスクLをともに形成するように、有孔成形部品2を配置可能である金型6を準備する。
【0044】
本実施形態において、金型6は、矩形輪郭を有し、矩形の有孔成形部品2に対する2つのそれぞれの矩形のレセプタクル7と、L字形導体要素12に対する2つのL字形レセプタクル13とを有する。有孔成形部品2に対するレセプタクル7は、片側が開放しており(例えば、上側が開放し、下側が閉鎖している)、金型6の対角線上に対向する角部に配置される。しかしながら、両側が開放しており、金型6が既に表面の導電性要素8に当接した状態で、成形部品をレセプタクル7に挿入することができる金型6を使用することも可能である。導体要素12に対するレセプタクル13は、有孔成形部品2に対するレセプタクル7の間の中心に配置される。有孔成形部品2間の互いに対する間隔を増大させることにより、回路基板1に埋め込まれる要素の位置決め精度を改善することができる。したがって、対応するレセプタクル7間の間隔は、可能な限り大きくなるように選択すべきである。例えば、金型6の最も離れたレセプタクル7は、ここでは金型6の矩形表面を横切る対角線に対応する金型6の最大寸法の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、70%、又は80%の間隔を有する。
【0045】
ステップD:有孔マスクLを形成するために、金型6を使用して所定の構成で成形部品2を配置する。
【0046】
有孔成形部品は、各成形部品2が対応するレセプタクル7を完全に埋め、成形部品2の表面が金型6の表面と、場合によってはまたその下面と面一で終端するように、金型6の対応するレセプタクル7内に配置されることが好ましい。成形部品2に加えて、導体要素12も、任意選択で、金型6を使用して配置され、表面の導電性要素8に後に接続するために、対応するレセプタクル13において成形部品2と精密に位置合わせすることができる。これらの導体要素12は、有孔成形部品2が、単にプレス機4内に半製品9を位置決めするための基準要素としてのみ役目を果たし、それ自体は導電性機能を有しない場合に特に有利である。これらの導体要素12は、ステップHにおいて加工される導体構造部11によって、後に電気的に接続することができる。
【0047】
ステップE:有孔成形部品2を表面の導電性要素8に、及び場合によっては表面の電気絶縁性要素に接続して、有孔マスクLを固定しながら半製品9を形成する。
【0048】
単純な変形形態において、表面の導電性要素8は、金型6の上面に位置決めされ、この上面は、レセプタクル7に配置されて直接接続された成形部品2と面一である。例えば、穿孔されていない銅箔が表面の導電性要素8として使用される。この銅箔の厚さは、10μm~200μmの範囲、好ましくは50μm~100μmの範囲であることが好ましい。成形部品2は、例えば、表面の導電性要素8に接着又は溶接される。このために、金型6は、独国特許出願公開第102018203715号に開示されているように、対応するダイ開口を有することができる。導電性接続セクションVが介在することが、成形部品2を絶縁材料に完全に埋め込むのに有用であり得る。そのような接続セクションVは、例えば、金属プレート、例えば銀又は銅製の金属プレートとして構成され、例えば、成形部品2又は導体要素12の角部において、上向きの表面に接着又は溶接される(図1を参照)。これらの接続セクションVにより、ステップEにおいて成形部品2と表面の導電性要素8との間のスペーサ要素として配置され、理想的には接続セクションVと厳密に同じ厚さを有する表面の電気絶縁性要素(図示せず)を、機械的及び場合によっては導電的にブリッジすることができる。対応する輪郭を有する開口が、接続セクションVに一致する位置において、この表面の電気絶縁性要素に挿入される。表面の電気絶縁性要素が金型6の表面に配置されると、接続セクションVがこれらの開口を埋める。表面の電気絶縁性要素の下面に成形部品2の上面及び金型6の上面が当接する。接続セクションVの上面は、表面の電気絶縁性要素の上面と面一で終端する。次いで、この状態において、表面の導電性要素8が接続セクションVに接着又は溶接される。接続セクションVの使用には、特に、成形部品2及び場合によっては導体要素12を絶縁材料に完全に埋め込むことができ、接続セクションVのみによって表面の導電性要素8に機械的に及び任意選択で導電的に接続されるという利点がある。接続セクションVの数、形状、及びサイズ、並びに、一方では成形部品2又は導体要素12への、及び他方では表面の導電性要素8への接触表面は、接続セクションVによって精密に寸法決めすることができるため、接続セクションVによって概ね決定されるそれらの間の電気抵抗及び熱抵抗は、精密に計算することができる。しかしながら、接続セクションVは、絶対に必要なものではないため、図1に点線で概略的にのみ示されている。単純にするために、接続セクションVは、以降の図では省略されており、接続セクションVによってブリッジされる絶縁材料マット(表面の電気絶縁性要素)も省略されている。
【0049】
ステップF:位置決めピン5を有孔マスクLに導入しながら、半製品9及び少なくとも1つの表面の電気絶縁性要素10をプレス機4内に位置決めする。
【0050】
このために、ステップEにおいて事前に形成された半製品9を金型6から取り出して裏返し、表面の導電性要素8が下を向き、有孔成形部品2が上を向くようにする。その後、半製品9は、表面の導電性要素8がプレス機4の下側ダイ4bに水平に当接して位置決めされるまで、表面の導電性要素8を前にしてプレス機4内に配置される。このために、半製品9は、プレス方向Pにおいて上から位置決めピン5に「差し込まれ」、それにより、位置決めピン5が有孔マスクLに貫通し、プレス方向Pとは反対の方向に半製品9を貫通する。半製品9は、プレス方向Pに対して垂直に位置合わせされた平面Eにおいて下側ダイ4bに当接する。有孔マスクLによって、半製品9は、プレス方向Pに対して垂直に位置合わせされた平面Eにおいて、位置決めピン5によって固定及び位置合わせされる。理想的には、表面の導電性要素8は、ステップEの後かつステップFの前に、有孔マスクLを表面の導電性要素8に転写するために穿孔される。このために、表面の導電性要素8の一部は、成形部品2の受け穴3の縁の内側で穿孔され、例えば、切り抜かれ、半製品9がプレス機4の位置決めピン5に正確に嵌合するようにする。代替的に、半製品9がプレス機4の位置決めピン5に差し込まれるときのみ、表面の導電性要素8を穿孔し、位置決めピン5が半製品9を貫通することも可能である。しかしながら、その場合、表面の導電性要素8の一部が、成形部品2の受け穴3の縁の内側で表面の導電性要素8の残りの部分に接続されたまま、望ましくない電気的接続を形成するというリスクがある。
【0051】
ステップG:有孔成形部品2を表面の電気絶縁性要素10に埋め込むために、プレス機4において、半製品9を表面の電気絶縁性要素10とともにプレス加工する。
【0052】
このために、上側ダイ4a及び下側ダイ4bは、プレス方向Pに引き合わされ、回路基板1のプレス加工される要素の相互接続により、互いに押し付けられる。表面の電気絶縁性要素10はそこで変形し、成形部品2及び場合によっては導体要素12の輪郭に密着する。下側ダイ4bとは反対を向く表面の電気絶縁性要素10の上面は、そこで上側ダイ4aによって平坦化され、表面の導電性要素8の下向きの面に対して平行に位置合わせされる。樹脂含浸繊維マット(プリプレグ)が表面の電気絶縁性要素10として使用される場合、表面の電気絶縁性要素10は、樹脂が依然として流動可能な状態でプレス加工され、半製品9の上向きの面における成形部品2及び場合によっては導体要素12によって形成される輪郭に理想的に適合する。半製品9が表面の電気絶縁性要素10とともにプレス加工された後、樹脂は硬化され、回路基板基材の形状が固定される。
【0053】
ステップH:表面の導電性要素8から導体構造部11を加工し、回路基板1を製造する。
【0054】
このステップは、例えば、表面の導電性要素8を所定のマスクに従ってエッチングすることによって達成される。このために、半製品9を表面の電気絶縁性要素10とともにプレス加工することによって製造される回路基板基材は、まず、プレス機から取り外され、理想的には裏返され、それにより、表面の導電性要素8が再び上を向く。次いで、導体構造部11に対応するマスクが、導体構造部11に対応する表面の導電性要素8の領域を覆うために、表面の導電性要素8に適用される。その後、表面の導電性要素8の残りの領域が、例えばエッチングによって除去される。本例において、導体構造部11は、接続点11a及び導体トレース11bを備える。接続点11aは、下に埋め込まれた成形部品2又は導体要素12に対する電子的要素の電気的接続に使用される。接続点11a間の導電性接続は、導体トレース11bによって確立することができるが、成形部品2又は導体要素12によっても確立することができる。成形部品2又は導体要素12は、ステップHにおいて加工される導体構造部11によって電気的に接続されることが好ましい。
【0055】
特に上述した方法を使用して回路基板1を製造する本発明に係るシステムは、以下の要素を含む。
- 回路基板1の要素をプレス加工するプレス機4。プレス機4は、プレス加工プロセス中に有孔成形部品2を位置決めする位置決めピン5を備える。
- 位置決めピン5の外側輪郭に一致する受け穴3を有する有孔成形部品2。
- 有孔成形部品2を位置決めする位置決めピン5を好ましくは精密な嵌合を有して挿入することができる有孔マスクLをともに形成するように、有孔成形部品2を配置可能である金型6。
【0056】
これらの3つの適合した要素によって、埋め込まれる要素2、12の回路基板1の導体構造部11に対する位置合わせを改善することができる。
【0057】
金型6は、各成形部品2に対して専用のレセプタクル7を備え、レセプタクル7の内側輪郭は、成形部品2の外側輪郭に一致し、それにより、レセプタクル7内に配置された成形部品2がレセプタクル7を好ましくは完全に埋め、成形部品2の表面が、金型6の表面又は場合によっては下面と面一に延在することが好ましい。これらの変形形態は、有孔成形部品2を表面の導電性要素8に接続し、半製品9を形成することを容易にする。
【0058】
成形部品2は、金型6の同じレセプタクル7内の異なる回転位置に配置可能であり、一方、成形部品2の受け穴3は、成形部品2のこれらの異なる回転位置において、金型6の輪郭に対して同じ形状及び位置合わせ(又は異なる形状及び位置合わせ)を有することが好ましい。これにより、このシステムの使用者が成形部品2を正しい位置及び位置合わせで金型6内に位置決めする労力を低減する。
【0059】
各位置決めピン5は、好ましくは位置決めピン5の足部に位置し、好ましくは有孔成形部品2の受け穴3に精密に嵌合する位置決めピン5の最大断面から、位置決めピン5の先端までテーパ状になった挿入斜角を有することが好ましい。これにより、成形部品2及び表面の導電性要素8を有して形成された半製品9を、プレス機4内に位置決めすることが容易になる。
【0060】
本実施形態は、例示の目的でのみ選択され、実際の状況、特に実際の寸法に基づいていない。金型6の形状及びサイズ、並びにレセプタクル7の形状、サイズ、及び位置及び位置合わせは、本発明に係る教示の範囲内で自由に選択することができ、本実施形態に限定されない。
【0061】
結果として、本発明に係る方法は、労せずして、受け穴3のサイズ、形状、及び位置に関して制限されることなく、回路基板1のプレス加工される要素の精密な位置決めを可能にする。
【符号の説明】
【0062】
1 回路基板
2 成形部品
3 受け穴
4 プレス機
5 位置決めピン
6 金型(ネガ側金型)
7 レセプタクル
8 表面の導電性要素(銅箔)
9 半製品
10 表面の電気絶縁性要素(プリプレグ)
11 導体構造部
11a 接続点
11b 導体トレース
12 導体要素
13 導体要素に対するレセプタクル
E プレス方向に対して垂直な平面
L 有孔マスク
P プレス方向
V 接続セクション
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有孔成形部品(2)を有する回路基板(1)を製造する方法であって、前記有孔成形部品(2)は、有孔マスク(L)を有する半製品(9)を形成するために、所定の構成で互いに対して配置及び固定され、その後、前記半製品(9)は、前記有孔マスク(L)によってプレス機(4)内で位置決め及び位置合わせされ、少なくとも1つの更なる要素(8、10、12)とともにプレス加工され、回路基板(1)を製造するための回路基板基材を形成する、方法。
【請求項2】
a.ステップA:前記回路基板(1)の要素をプレス加工するプレス機(4)を準備するステップであって、前記プレス機(4)は、プレス加工プロセス中に前記有孔成形部品(2)を位置決めする位置決めピン(5)を備える、ステップと、
b.ステップB:前記位置決めピン(5)の外側輪郭に一致する受け穴(3)を有する有孔成形部品(2)を準備するステップと、
c.ステップC:前記有孔成形部品(2)を位置決めする前記位置決めピン(5)を挿入することができる有孔マスク(L)をともに形成するように、前記有孔成形部品(2)を配置することができる金型(6)を準備するステップと、
d.ステップD:前記有孔マスク(L)を形成するために、前記金型(6)を使用して前記成形部品(2)を配置するステップと、
e.ステップE:前記有孔成形部品(2)を表面の導電性要素(8)及び場合によっては表面の電気絶縁性要素に接続して、前記有孔マスク(L)を固定しながら半製品(9)を形成するステップと、
f.ステップF:前記位置決めピン(5)を前記有孔マスク(L)に導入しながら、前記半製品(9)及び少なくとも1つの表面の電気絶縁性要素(10)を前記プレス機(4)内に位置決めするステップと、
g.ステップG:前記有孔成形部品(2)を前記表面の電気絶縁性要素(10)に埋め込むために、前記プレス機(4)において、前記半製品(9)を前記表面の電気絶縁性要素(10)とともにプレス加工するステップと、
h.ステップH:導体構造部(11)を前記表面の導電性要素(8)から加工し、前記回路基板(1)を製造するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プレス機(4)は、少なくとも2つの部品(4a、4b)を備え、前記少なくとも2つの部品(4a、4b)は、互いに対して可動であり、プレス方向(P)において引き合わされ、前記回路基板(1)のプレス加工される前記要素が介在した状態で互いに押し付けられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記半製品(9)は、プレス方向(P)に対して垂直に位置合わせされた平面(E)に配置され、及び/又は前記プレス方向(P)に対して垂直に位置合わせされた平面(E)に固定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プレス機(4)の位置決めピン(5)は、前記プレス方向(P)又はその反対の方向に前記有孔マスク(L)に挿入されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記成形部品(2)は、ステップEにおいて、接着又は溶接によって前記表面の導電性要素(8)に接続されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記表面の導電性要素(8)は、前記有孔マスク(L)を前記表面の導電性要素(8)に転写するために、穿孔されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記半製品(9)は、ステップEの後及び/又はステップFの前に、前記金型(6)から取り外され、及び/又は裏返され、前記表面の導電性要素(8)が下を向き、前記有孔成形部品(2)が上を向くようにすることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
ステップFにおいて、前記半製品(9)は、前記表面の導電性要素(8)を前面にして前記プレス機(4)内に位置決めされることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
ステップDにおいて、前記金型(6)を使用して導体要素(12)が配置され、ステップEにおいて、前記表面の導電性要素(8)及び場合によっては前記表面の電気絶縁性要素に接続されて、前記半製品(9)を形成し、これらの導体要素(12)が、ステップHにおいて加工される前記導体構造部(11)によって電気的に相互接続されるようになっていることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記有孔成形部品(2)は、導電性材料から部分的に又は全体的に形成され、ステップHにおいて加工される前記導体構造部(11)によって電気的に相互接続されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法において使用される回路基板(1)を製造するシステムであって、
a.前記回路基板(1)の要素をプレス加工するプレス機(4)であって、該プレス機(4)は、プレス加工プロセス中に前記有孔成形部品(2)を位置決めする位置決めピン(5)を備える、プレス機(4)と、
b.前記位置決めピン(5)の外側輪郭に一致する受け穴(3)を有する有孔成形部品(2)と、
c.前記有孔成形部品(2)を位置決めする前記位置決めピン(5)を挿入することができる有孔マスク(L)をともに形成するように、前記有孔成形部品(2)を配置可能である金型(6)と、
を備える、システム。
【請求項13】
前記金型(6)は、各成形部品(2)に対して少なくとも1つの専用のレセプタクル(7)を備え、前記レセプタクル(7)の内側輪郭は、前記成形部品(2)の外側輪郭に一致することを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記成形部品(2)のうちの少なくとも1つは、前記金型(6)の同じレセプタクル(7)に異なる回転位置で配置可能であることを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
各位置決めピン(5)は、該位置決めピン(5)の最大断面から、該位置決めピン(5)の先端までテーパ状になった挿入斜角を備えることを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【国際調査報告】