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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】電気音響変換器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20240327BHJP
   A61N 7/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
A61B17/00 700
A61N7/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561759
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 DE2022200070
(87)【国際公開番号】W WO2022214150
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】102021203544.2
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594008556
【氏名又は名称】リチャード ウルフ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Richard Wolf GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】バウアー,エドガー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】ガマー,ローランド
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ33
(57)【要約】
本発明は、人体又は動物の体を治療するために衝撃波を発生させるように設けられる電気音響変換器1に関する。電気音響変換器1は、ハウジング2、3内の支持材4内に配置された圧電素子5を備える。圧電素子5及びハウジング2、3の間には、空き空間が形成され、注型化合物10が充填されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体又は動物の体を治療するために衝撃波を発生させる電気音響変換器(1、1’)であって、ハウジング(2、3;2’、3’)内の少なくとも1つの支持材(4;12)に配置された圧電素子(5)を備え、前記圧電素子(5)及び前記ハウジング(2、3;2’、3’)の間に形成された空き空間は、注型化合物(10)によって充填されている、電気音響変換器。
【請求項2】
前記空き空間は、硬化プラスチック(10)によって充填されている、請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項3】
前記ハウジング(2、3;2’、3’)は、前記注型化合物(10)を充填する少なくとも1つの開口部(8)と、前記注型化合物(10)の充填時にガスを逃がす少なくとも1つの他の開口部(9)とを有する、請求項1又は2に記載の電気音響変換器。
【請求項4】
前記ハウジング(2、3;2’、3’)は、好ましくは物質結合によって互いに接続される少なくとも2つのハウジング部品(2、3;2’、3’)から形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項5】
前記ハウジング(2、3;2’、3’)は、密閉されたハウジングとして設計されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項6】
ハウジング部品(2;2’)は、部分的に開口するように設計されており、開口側は、結合面とは反対側に配置されたハウジングの後側である、請求項1~5のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項7】
前記ハウジング(2、3;2’、3’)及び/又は前記支持材(4;12)は、プラスチック、金属、又は複合材料から形成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項8】
少なくとも1つのハウジング部品(2、3;2’、3’)は、深絞り成形、射出成形、又は3Dプリンタ法によって形成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項9】
前記ハウジング(2、3;2’、3’)は、少なくとも結合面において、好ましくは、液体を通さない金属層が内面に設けられている、請求項1~8のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項10】
前記ハウジング(2、3;2’、3’)は、結合面において、好ましくは交換することができる結合セクションとしてゲルパッドが設けられている、請求項1~9のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項11】
前記ハウジング(2、3;2’、3’)は、カメラ、超音波変換器、センサ等を収容する、好ましくは前面及び後面を貫通する少なくとも1つの孔を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項12】
前記ハウジング(2、3;2’、3’)は、少なくとも結合面において、特定の用途に解剖学的に適合するように設計されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項13】
前記支持材(4;12)は、前記圧電素子(5)を、少なくともいくつかのセクションにおいて周方向に取り囲み、前記圧電素子(5)は、その前面及びその後面において、電気的に接続されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項14】
前記支持材(4、12)に配置される前記圧電素子(5)は、個別に、グループごとに、又は全て一緒に電気的に駆動することができる、請求項1~13のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
【請求項15】
圧電素子(5)が、少なくとも1つの支持材(4;12)に配置され、電気的に接続され、前記圧電素子(5)が集合した前記少なくとも1つの支持材(4;12)は、ハウジング(2、3;2’、3’)内に配置され、前記圧電素子(5)、前記支持材(4;12)、及び前記ハウジング(2、3;2’、3’)の間に形成される空き空間は、好ましくは硬化する注型化合物(10)によって充填されている、請求項1~14のいずれか1項に記載の変換器(1;1’)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体又は動物の体を治療するために衝撃波を発生させる電気音響変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気音響変換器は、異なる物理法則に従って動作することができる。本発明は、少なくとも圧電素子を使用して構成された、人体及び動物の体を治療するために衝撃波を発生させる電気音響変換器に関する。そのような変換器の様々な設計は、従来技術に貢献する。集束型、直線集束型、及び平坦型の変換器とともに、ハイブリッド型のものがあり、これらは従来技術に貢献する。
【0003】
特許文献1から、体内の結石を破壊する圧電変換器が公知技術となっており、ここでは、圧電素子が半球状シェルの形態の支持材上に配置され、これらは電気的に接続され、注型化合物(casting compound)として注型樹脂(casting resin)が充填されている。球状シェル上の素子の配置により、圧電変換器は自己集束性を有する。圧電変換器の内部には、液体が充填され、治療対象の体に膜を介して結合することができる。注型樹脂は、圧電素子を液体から保護しなければならないが、これには問題が多い。
【0004】
同様に構成された電気音響変換器が、特許文献2から公知技術となっており、ここでは、プラスチック製の注型化合物が、防湿バリアとしての金属箔によって保護されている。双方の実施形態は、通常、圧電素子を支持材ドームに取り付け、手間のかかる手作業によって互いに電気的に接続した後、注型樹脂を充填する必要があり、これには、結合面に面する型の一部を形成する特殊な手段(tool)を必要とするという共通点がある。ここでは、変換器の形状及びサイズごとに別々の手段が必要とされるが、これには時間も費用もかかる。
【0005】
特許文献3は、圧電素子によって構成された自己集束型の電気音響変換器の多層構造であって、従来技術に貢献している。ここでは、圧電素子は、複数の貫通孔を有する支持材に配置され、複数の貫通孔のそれぞれに圧電素子が把持及び保持されている。この形態の構成においても、変換器の機械的保持を確実にするために、後側に裏材又は支持体を設けることができるが、ここでは、結合面に配置される特殊な工具を使用して充填される注型化合物によって複合材が形成されている。その工具は、注型化合物が十分に硬化するまで適所に維持されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第3319871号
【特許文献2】独国特許第19543741号
【特許文献3】独国特許第102010055836号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この背景に対して、本出願の発明は、人体又は動物の体を治療するために衝撃波を発生させる上述したタイプの電気音響変換器、すなわち、圧電素子を使用して製造が簡単になるように構成された電気音響変換器を設計するという目的に基づいている。さらに、そのような電気音響変換器を製造する方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
装置に関するこの目的の一部は、請求項1に記載の特徴を有する電気音響変換器によって達成される。そのような変換器を製造する方法は、請求項14に記載の特徴によって特徴付けられる。有利な形態は、従属請求項、以下の説明、及び図から導かれる。
【0009】
本発明に係る人体又は動物の体を治療するために衝撃波を発生させる電気音響変換器は、ハウジング内の少なくとも1つの支持材に配置された圧電素子を備えている。圧電素子及びハウジングの間に形成される空き空間には、注型化合物が充填されている。
【0010】
本発明の基本構想は、本来、費用のかかる注型手段を、後に電気音響変換器の一部を形成するハウジングに置き換えることである。したがって、本発明に係る解決策により、上述したタイプの電気音響変換器を、小規模のプロダクションランでも個別に低コストで製造することが可能になる。電気音響変換器は、事実上、上記手段を用いずに製造することができるが、圧電素子は、硬化する注型化合物によって内部に密封されて堅固に固定及び保持される。しかしながら、注型化合物は、ゲル、高電圧オイル、又は液体内に懸濁された砂状粉末からなることもできる。これにより、圧電素子、支持材(複数の場合もある)、及びハウジングの間に複合構造が生じ、全体の安定がもたらされる。そのようなハウジングは、例えば3Dプリンタによって製造することができ、これにより、電気音響変換器の外部形状及び内部設計を、費用のかかる手段の変更を必要とせずに多かれ少なかれ自在に変更することが可能になる。したがって、本発明によれば、ハウジングは、注型手段の代わりとなり、注型化合物を硬化した後に取り外す必要もないという更なる利点を有する。注型化合物は、硬化されず、液体又はペースト状のままであるものを使用することもできるという更なる利点もある。複数の実施形態におけるように、ハウジングが荷重に耐える機能を有しない場合、ハウジングを費用対効果よく製造することができ、また必要に応じて、個別受注生産も可能である。
【0011】
本発明の発展形態によれば、空き空間は、硬化プラスチックによって充填されることが好ましい。そのような硬化プラスチックは、例えば、従来技術から既知の注型化合物と同様に、ハウジング内で冷却した後に硬化する熱可塑性物質、又は化学的に硬化する熱硬化性物質とすることができる。そのようなプラスチックは、その強度を増す繊維、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、粒子、又は他の巨視的物体によって架橋することができることが有利である。
【0012】
本発明の更なる発展形態によれば、ハウジングは、注型化合物を充填する少なくとも1つの開口部と、注型化合物の充填時にガスを逃がす少なくとも1つの他の開口部とを有するように設計されることが有利である。言うまでもなく、設計に応じて、複数の充填開口及び脱気開口部をハウジングに設けてもよい。ここでは、ガスを逃がす開口部は、この領域における排気をもたらすことによって充填プロセスを補助することができる。硬化プラスチックの場合、これらの開口部は、空き空間が注型化合物によって充填され、硬化された後も開いたままを維持することができるが、液体、ペースト状、又はハイブリッド形態を維持する注型化合物の場合、これらの開口部は、適切な充填弁を充填口に設け、かつ出口開口部用のプラグを設けることにより、又は、製造の最後におけるこれらの開口部の溶接、接着等による特定の密閉により、密閉することができるように設けることができる。
【0013】
ハウジングは、複数の部品で構成され、単数又は複数の支持材に圧電素子を組み込んだ後に互いに堅固に接続される少なくとも2つのハウジング部品からなることが有利である。これは、接着、溶接等による物質結合によって行われることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、ハウジングは、密閉されたハウジングとして、すなわち、注型手段が完全に置き換わり、注型化合物を確実に収容するハウジングとして設計されることが有利である。しかしながら、本発明の実施形態の代替形態によれば、ハウジングは、部分的に開口するように、すなわち、完全には密閉しないようにして提供され得る。この場合、開口側は、結合面とは反対側、すなわち、ハウジングの後側に設けられている。ここでは、変換器の設計に応じて、例えば、平坦型変換器を硬化プラスチックで注型成形する場合には、この領域に注型手段が必要とされないため、ハウジング壁を省くことができる。したがって、本発明の文脈では、部分的に開口したハウジングとは、空き空間を注型化合物によって充填する際にその手段が必要とされない片側が開口されたハウジングとしてのみ理解されたい。これは、通常、特定の設計において後側に当てはまり得る。
【0015】
ハウジング及び支持材(複数の場合もある)の双方をプラスチックで設計することが有利であり得る。これらは、3Dプリンタによって製造することができ、又はより大量に製造される場合、射出成形部品として設計することもできる。特に、ハウジングの部品は、有利には金属からなることもでき、単数又は複数の支持材も金属からなることができるが、その場合、電気絶縁性に関して特別な措置をとることが通常必要となる。結合面は、特に、液体が充填された供給ラインがここに接続する場合、ハウジングを通して注型化合物内に水分(moisture)が拡散することを防ぐために、金属で構成されることが有利である。構成要素の強度を増すために、ここでは、特に、後で複合材の本質的な部分を形成する支持材(複数の場合もある)の領域においても、複合材料を使用することが有利であり得る。注型化合物が硬化しない構成の場合でも、支持材は、圧電素子間の本質的な機械的複合を形成する。ここで、支持材(複数の場合もある)は、形状嵌合(form fit)、力嵌合(force fit)、及び/又は物質結合でハウジングに好適に固定されている。
【0016】
特に、プラスチックを使用する場合、ハウジング部品は、深絞り成形によって形成することができることが有利である。この方法は、小規模及び中規模のプロダクションランに好適である。プラスチック製のハウジングが使用される場合に結合セクションから変換器内に液体が拡散しないことを確実にするために、本発明の有利な発展形態によれば、ハウジングは、少なくとも結合面において、液体を通さない金属層を設けることができる。そのような金属層は、箔の形態で設けても、蒸着してもよく、金属層を保護するために特別な措置を講じる必要がないため、好ましくはハウジングの内面に配置される。一方、金属層は、結合面に設けることもできるが、その場合、少なくとも保護ラッカー又は更なる保護層を金属層の上に設けることが通常必要である。
【0017】
特に、より小さなサイズの変換器の場合、結合面上のハウジングに結合セクションとしてゲルパッドを設けることが有利である。特に自己集束型変換器の場合、そのようなゲルパッドは、異なる侵入深さを可能にするために交換することができることが有利である。
【0018】
本発明の更なる発展形態によれば、ハウジングは、好ましくは前面及び後面を貫通する孔が形成されるように設計することができる。この孔は、カメラ、超音波変換器、又はセンサを収容するために設けられる。要件に応じて、1つ又は複数のそのような孔を設けることができる。この場合、孔は、ハウジングによって完全に密閉され、孔があるにもかかわらず、ハウジングの内部は、ハウジング壁による保護を維持するようになっていることが有利である。
【0019】
本発明のハウジング設計により、非常に少量でも、個別に適合されたハウジングを費用対効果がよく製造することが可能になる。これに関して、本発明の変換器のハウジングは、有利なことに、少なくとも結合面において、特定の用途に解剖学的に適合するように設計することができることができるが、この面においてのみ適合する必要はない。ハウジング及び支持材の双方が3Dプリンタによって製造される場合、ハウジングの形状及びハウジング内の圧電素子の配置は、実際に、必要に応じて構成することができる。例えば、四肢の治療の場合、ハウジングを浴槽の形状に設計し、浴槽の床面に対して結合面を形成することが想定可能である。圧電素子は、例えば軟組織治療に有用であるように、部分的に集束した波面が形成されるようにハウジング内に配置することもできる。
【0020】
支持材内での圧電素子の配置に関して、圧電素子の前面及び後面がフリーな状態であり、したがって、電気配線にアクセス可能であるように、少なくともいくつかのセクションにおいて、支持材が圧電素子を周方向に取り囲む場合が有利である。同じ支持材平面にある圧電素子は、通常、平行に接続され、それにより、電圧印加の時系列、ひいては波面の伝播を制御することが可能であるように、連続的な支持材平面の接続部が別々に引き出されている。
【0021】
音響変換器の設計に応じて、圧電素子は、個別に、グループごとに、又は全て一緒に駆動することができる。電気配線は、それに応じて行う必要がある。個々の駆動によって、駆動の大きな変動が達成することができるが、それに応じて、複雑な配線が必要となる。個々の又はグループごとの駆動により、時間変動での駆動が可能であり、それにより、実質的に任意の波面を生成することができる。
【0022】
本発明の電気音響変換器は、通常、圧電素子を1つ又は複数の支持材にまず配置することによって製造される。支持材は、複数の凹部を有する構成要素であり、そのそれぞれに、圧電素子をクランプすることができる。便宜上、次に、素子の電気配線が行われ、その後、結果として得られた構造が、通常は多部品のハウジング内に組み込まれ、次に、接着又は超音波溶接によって堅固かつ密封されてシールされ、それにより、ハウジング部品がともに接合される。次に、注型化合物が充填される。注型化合物は、通常、所定の時間の後に硬化し、その後、電気音響変換器が完成する。
【0023】
凹部が設けられる上述した支持材に加えて、ハウジング内に追加の支持体を設けることもできることに留意すべきである。ハウジング自体がそのような支持体を形成することもでき、その場合、ハウジングは、適度に堅牢であるように設計されている。
【0024】
電気音響変換器の本発明の設計により、実質的に任意の形状及び構造を生成することが可能になる。したがって、多曲面型変換器、分割線型変換器、段階的ハウジングを備える変換器、及び個別のドームが統合された変換器、並びに他の特別な設計は、特に、支持材及びハウジングが3Dプリンタのプロセスを使用して製造される場合、低コストで製造することができる。変換器の全体に、好ましくはハウジングの外部に配置される音響レンズを設けてもよく、又は圧電素子には、好ましくはハウジングの内側において適切なレンズを設けてもよい。
【0025】
本発明を、図に示されている実施形態の例を参照して下記により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る自己集束型変換器の非常に簡略化された断面図である。
図2図1に示されているように、互いに並んで配置されている圧電素子を備える2つの支持材とともに構成されている直線集束型変換器を示す図である。
図3】足に解剖学的に適合した変換器の非常に簡略化された断面図である。
図4a】様々なタイプの変換器の非常に簡略化された概略図である。
図4b】様々なタイプの変換器の非常に簡略化された概略図である。
図4c】様々なタイプの変換器の非常に簡略化された概略図である。
図4d】様々なタイプの変換器の非常に簡略化された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示されている電気音響変換器1は、自己集束型変換器の形態をとり、プラスチック製のハウジング2、3を有し、ハウジング2、3は、2つの部品で設計されており、第1のハウジング部品2は、電気音響変換器1の結合面を形成している。第1のハウジング部品2は、カップの形状で設計され、結合面に向かって凹状の形状を有し、他の点では円筒形である。ハウジングの円筒形部品は、後部のハウジング部品3によって密閉され、後部のハウジング部品3は、同じくプラスチックからなり、超音波溶接によってハウジング部品2に堅固かつ密封されて接続されている。ハウジング2、3内には、支持材4が配置され、支持材4には、複数の圧電素子5が配置されている。圧電素子5は、本質的に円筒形状を有し、その周囲が支持材4の凹部内に形状嵌合と力嵌合とで固定され、その端面において電気的に配線されている。圧電素子5は、ドーム形状の支持材4内に配置され、圧電素子5が同時に電気的に駆動されると、音響圧力波が発生し、その集束点6は、凹状のハウジング部品2に対向して結合面から或る距離を置いて位置するようになっている。
【0028】
圧電素子5が配置される支持材4は、2つの円筒形リング7によってハウジング2、3内に形状嵌合で固定され、円筒形リング7は、その外面がハウジング2、3の内面に当接し、1つの端面が、ハウジング部品2の前側内面又はハウジング部品3の後側内面に当接している。支持材4は、リング7の他の端面の間に形状嵌合で統合されている。ポート8、9が、前側ハウジング部品2の円筒形領域の円周に設けられ、ここで、ポート8は、注型化合物をハウジング2、3内に充填する開口部であり、ポート9は、真空ラインの接続用、又は注型化合物をハウジング2、3内に充填する際に空気を逃がす出口として設けられている。したがって、注型化合物は、ポート8を介してハウジング2、3内に充填され、充填プロセスは、真空ポンプをポート9に接続することによって補助することができる。脱気は、少なくともポート9を介して行われ、すなわち、充填された注型化合物10によって押し出されたガス量は、上記ポート9を通って流出する。
【0029】
圧電素子5が配置された支持材4をハウジング2、3内のリング7に固定し、ハウジング部品2、3を接着又は溶接によって互いに堅固かつ密封して接続した後、注型化合物10は、圧力下で、ポート8を通してハウジング2、3内に充填される。ここでは、圧電素子5の電気的接続は既に配線され、対応する接続リード15が、ハウジング2、3の背面後側からしっかりと引き出されている。注型化合物10が硬化した後、ポート8、9は、内部に位置する硬化した注型化合物10によってシールされる。他の点では、注型化合物は、固体の凝集体を形成しており、適切な医療機器に設置することができる。ハウジング部品2の凹状の外面は結合面を形成しており、そこに、対応する形状のゲル体(図示せず)が着脱可能に取り付けられる。代替的に、ここでは、膜を有する、流体が充填された結合セクションを設けることができ、この場合、ハウジング部品2は、流体が電気音響変換器1に侵入するのを防止するために、内面に拡散防止の金属層が設けられることが好ましい。
【0030】
図2に示されている電気音響変換器1’において、その変換器のハウジング2’、3’は、同じく、2つのハウジング部品、すなわち、結合面に面する前側ハウジング部品2’、及び後側ハウジング部品3’からなる。図2に示されているハウジング2’、3’は、柱筒形リングセクションの形状を有し、直線集束型変換器1’用に意図されている。2つの支持材12がハウジング内に配置され、2つの支持材12のそれぞれは、複数の圧電素子5を有し、複数の圧電素子5のそれぞれは、支持材面上で平列に配線されているが、接続リード(図示せず)を介して背面から別々に引き出されている。この実施形態においても、支持材12は、平面視では本質的に矩形のリング7’によって、ハウジング2’、3’内に形状嵌合で配置されている。この配置は、圧電素子5が、発生した音波を直線的に集束させるようになっている。集束領域は、図2において11で示されている。他の点では、図2に示されている直線集束型変換器1’は、図1に示されているものと同じ方法で構成されている。圧電素子5が組み込まれる2つの支持材12は、注型化合物10によって、互いに及び周囲ハウジング2’、3’に堅固に接続されている。したがって、このハウジング2’、3’は、注型の工程中、注型手段の代わりとなる。ハウジング部品2’、3’自体及び支持材は、例えば3Dプリンタを使用して費用対効果がよく製造することができ、それにより、個々のハウジング形状も、個別のオーダーメイド製造において経済的に実施することができる。
【0031】
図3は、解剖学的に適合した変換器1’’がどのように設計され得るかを概略的に示している。図3に示されている変換器1’’は、足の下部形状に適合している。変換器1’’が足の側部を包囲する湾曲設計を有する縁部領域において、内部に位置する圧電素子5には、音響分散レンズ(図示せず)が設けられている。これにより、この領域における無用な集束が防止される。同様に、集束レンズを配置することにより、逆の効果を達成することができる。これらの音響レンズは、便宜上、ハウジング上に設けられ、上側ハウジング部品2’’の内面に設けることができるが、外面に設けても、両面に設けてもよい。この実施形態の変形例において、圧電素子5は、ここでも支持材4’’に統合され、支持材4’’は、ハウジング部品2’’及びハウジング部品3’’によって形成されるハウジング内に形状嵌合で保持されている。圧電素子5及びハウジング2’’、3’’の間の空き空間は、硬化プラスチックによって完全に充填されている。
【0032】
図4a~図4dは、本設計によって実施することができる様々なハウジング形状を示す他の電気音響変換器の例を示している。図4aは、2軸に湾曲したハウジングを示しており、ここでは、圧電素子は、ハウジングの形状に従って、湾曲線に対応する集束点を生成する。
【0033】
図4bにおいて、変換器は、個々の圧電素子の深さ方向の広がり、ひいてはデフォーカスを達成するために段階的に配置されている。
【0034】
図4cに示されている配置において、複数の直線集束型変換器が共通のハウジング内に配置されている。
【0035】
図4dにおける実施形態は、複数の隣り合う点状集束セクションを有する変換器を示している。
【0036】
上述した電気音響変換器は、専ら医療用途で設計され、医療分野で人体及び動物の体の治療に使用されるような衝撃波を発生させるために使用される。電気音響変換器を体に結合するために、液体が充填された又はゲルが充填された当初の部分(initial section)が、従来技術に貢献するような例えばゲルパッドの形態で典型的に提供されている。
【符号の説明】
【0037】
1、1’、1’’ 電気音響変換器
2、2’ 前側のハウジング部品
3、3’ 後側のハウジング部品
4、4’’ 支持材
5 圧電素子
6 集束点
7、7’ リング
8 入力ポート
9 出力ポート
10 注型化合物
11 集束領域
12 図2における支持材
15 接続リード
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体又は動物の体を治療するために衝撃波を発生させる電気音響変換器(1、1’)であって、ハウジング(2、3;2’、3’)内の少なくとも1つの支持材(4;12)に配置された圧電素子(5)を備え、前記圧電素子(5)及び前記ハウジング(2、3;2’、3’)の間に形成された空き空間は、注型化合物(10)によって充填されている、電気音響変換器。
【請求項2】
前記空き空間は、硬化プラスチック(10)によって充填されている、請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項3】
前記ハウジング(2、3;2’、3’)は、前記注型化合物(10)を充填する少なくとも1つの開口部(8)と、前記注型化合物(10)の充填時にガスを逃がす少なくとも1つの他の開口部(9)とを有する、請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項4】
前記ハウジング(2、3;2’、3’)は、好ましくは物質結合によって互いに接続される少なくとも2つのハウジング部品(2、3;2’、3’)から形成されている、請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項5】
前記ハウジング(2、3;2’、3’)は、密閉されたハウジングとして設計されている、請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項6】
ハウジング部品(2;2’)は、部分的に開口するように設計されており、開口側は、結合面とは反対側に配置されたハウジングの後側である、請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項7】
前記ハウジング(2、3;2’、3’)及び/又は前記支持材(4;12)は、プラスチック、金属、又は複合材料から形成されている、請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項8】
少なくとも1つのハウジング部品(2、3;2’、3’)は、深絞り成形、射出成形、又は3Dプリンタ法によって形成されている、請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項9】
前記ハウジング(2、3;2’、3’)は、少なくとも結合面において、好ましくは、液体を通さない金属層が内面に設けられている、請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項10】
前記ハウジング(2、3;2’、3’)は、結合面において、好ましくは交換することができる結合セクションとしてゲルパッドが設けられている、請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項11】
前記ハウジング(2、3;2’、3’)は、カメラ、超音波変換器、センサ等を収容する、好ましくは前面及び後面を貫通する少なくとも1つの孔を有する、請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項12】
前記ハウジング(2、3;2’、3’)は、少なくとも結合面において、特定の用途に解剖学的に適合するように設計されている、請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項13】
前記支持材(4;12)は、前記圧電素子(5)を、少なくともいくつかのセクションにおいて周方向に取り囲み、前記圧電素子(5)は、その前面及びその後面において、電気的に接続されている、請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項14】
前記支持材(4、12)に配置される前記圧電素子(5)は、個別に、グループごとに、又は全て一緒に電気的に駆動することができる、請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項15】
圧電素子(5)が、少なくとも1つの支持材(4;12)に配置され、電気的に接続され、前記圧電素子(5)が集合した前記少なくとも1つの支持材(4;12)は、ハウジング(2、3;2’、3’)内に配置され、前記圧電素子(5)、前記支持材(4;12)、及び前記ハウジング(2、3;2’、3’)の間に形成される空き空間は、好ましくは硬化する注型化合物(10)によって充填されている、請求項1~14のいずれか1項に記載の変換器(1;1’)を製造する方法。
【国際調査報告】