(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】挿入された永久磁石を有するブラシレス同期モータのロータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/276 20220101AFI20240327BHJP
【FI】
H02K1/276
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561792
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 FR2022050602
(87)【国際公開番号】W WO2022214752
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルノー ピショー
(72)【発明者】
【氏名】ルイ シュメーベール
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622AA03
5H622CA10
5H622CB01
5H622CB05
5H622DD01
(57)【要約】
予め決められた制御戦略により給電されるように配列されている挿入された永久磁石(M)を有するブラシレス同期モータのためのロータ(1)であって、ロータ(1)は、ロータ(1)のエアギャップ面(SE)を定義する実質的に円筒の形状を有し、永久磁石(M)を受け入れるハウジング(L)と、ロータ(1)のエアギャップ面(SE)のプロファイル形状の一部は、極方程式により与えられることと、磁気的に飽和可能なマグネティックイスムスを形成する磁束バリアを形成する第1および第2の凹部(E1、E2)と、前述の第1および第2の凹部(E1、E2)は、凸の上面を有し、そのプロファイルが、モータのエアギャップにおける磁束を最大にするように、第1の点および第2の点において予め決められた初期条件を提示する3次スプラインを利用するパラメトリック方程式系によって定義されることと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め決められた制御戦略に従って給電されるように配列されている挿入された永久磁石(M)を有するブラシレス同期モータのためのロータ(1)であって、前記ロータ(1)は、前記ロータ(1)のエアギャップ面(SE)を定義する実質的に円筒の形状を有し、
-前記ロータ(1)の磁極を定義する永久磁石(M)のp個のペアと、
-予め決められたピッチ極角
【数1】
に従って周期的に配列され、複数の永久磁石(M)を受け入れるように配列されている2p個のハウジング(L)であって、前記ハウジング(L)は、シートのスタック(T)にて形成され、前記モータの前記エアギャップ(e)において前記永久磁石(M)の前記磁束を半径に向けるように配置される、ハウジング(L)と
を備え、
前記永久磁石(M)は、前記ハウジング(L)に配置され、前記ロータ(1)の永久磁石(M)のp個のペアに関係した予め決められたピッチ極角
【数2】
に従って、前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)に近い前記ロータ(1)の前記円周に沿って分布され、各永久磁石(M)は、前記エアギャップ(e)におけるピッチ極角
【数3】
に従って磁気誘導を生じさせるために、前記2個の隣接する永久磁石(M)の磁束方向とは反対の前記磁束方向を有し、
前記ハウジング(L)は、各々、永久磁石(M)を受け入れるように配列されている部分(PA)と、前記部分(PA)に連続し、前記ハウジング(L)の前記部分(PA)に挿入された前記永久磁石(M)の前記端面(SA1、SA2)に連続する第1の凹部(E1)および第2の凹部(E2)とを有し、前記端面(SA1、SA2)は、前記永久磁石(M)の前記磁化方向に平行であり、
前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)は、永久磁石(M)のハウジング(L)の第1の凹部(E1)と、接している永久磁石(M)の別のハウジング(L)の前記第2の凹部(E2)との間に実質的に配置された平坦なプロファイル領域(ZP)と、前記起電力の前記信号の前記形状と、前記モータに投入される前記電流の前記信号の前記形状との間のハーモニクスを定義するために決定される前記制御戦略の関数として選択される係数を含む極方程式によってプロファイル形状が与えられる湾曲領域(ZC)とを含み、前記湾曲領域(ZC)は、2つの隣接する永久磁石(M)の連続する第1の凹部(E1)と第2の凹部(E2)との間に位置される半径から、前記エアギャップ(e)における前記ピッチ極半角
【数4】
に対応する前記隣接する永久磁石(M)のうちの1個の連続する第1の凹部(E1)と第2の凹部(E2)との間に位置される半径まで定義される角度間隔に実質的に延長し、
前記第1および第2の凹部(E1、E2)は、前記第1および第2の凹部(E1、E2)と前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)との間に磁気飽和可能なマグネティックイスムス(IM)を形成する磁束バリア(BFM)を定義し、
前記第1および第2の凹部(E1、E2)は、前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)の前記方向に凸の上面(SUP)を有し、前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)に近接する第1の点(A)から前記ロータ(1)の前記軸に対して横切る切断面において延び、前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)に近接する第2の点(B)まで、永久磁石(M)を受け入れるように配列された前記ハウジング(L)の前記部分(PA)の端部に配置され、前記第2の点(B)から前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)までの距離が、予め決められた最小値(VMP)以上であり、
前記第1の点(A)と前記第2の点(B)との間の前記第1および第2の凹部(E1、E2)の前記上面(SUP)の前記ロータ(1)の前記軸に対して横切る前記切断面における前記プロファイルの前記点は、前記モータの前記エアギャップ(e)における前記磁束を最大にするように、前記第1の点(A)および前記第2の点(B)における予め決められた初期条件を有する3次スプラインを利用するパラメトリック方程式系によって定義される
ことを特徴とするロータ(1)。
【請求項2】
前記3次スプラインを利用する前記パラメトリック方程式系の前記第1の点(A)および前記第2の点(B)における前記予め決められた初期条件は、前記第1の点(A)および前記第2の点(B)における前記上面(SUP)の前記導関数の前記方向を課すことを特徴とする請求項1に記載のロータ(1)。
【請求項3】
前記第1の点(A)における前記上面(SUP)の前記導関数の前記方向は、前記ロータ(1)の前記軸に対して横切る前記切断面における前記永久磁石(M)の前記端面(SA1、SA2)の前記接線方向と実質的に共線的であるように強いられ、前記第2の点(B)における前記上面(SUP)の前記導関数の前記ベクトルの前記方向は、前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)の点(B’)における前記接線の前記方向と実質的に共線的であるように強いられ、前記点(B’)は、前記第2の点(B)に最も近い前記エアギャップ面(SE)の点であることを特徴とする請求項2に記載のロータ(1)。
【請求項4】
前記第1の点(A)および前記第2の点(B)における前記導関数の前記ベクトルの前記振幅および前記極角は、前記エアギャップ(e)における前記磁束を最大にするように決定され、前記第1の点(A)および前記第2の点(B)における前記導関数の前記ベクトルの前記座標は、
-前記上面(SUP)と前記エアギャップ面(SE)との間の前記距離は、前記予め決められた最小値(VMP)以上のままであり、
-前記パラメトリック方程式系は双射のままである
ように決定されることを特徴とする請求項3に記載のロータ(1)。
【請求項5】
前記マグネティックイスムス(IM)は、前記シートのスタック(T)の前記シートうちの1つの前記厚さ以上の予め決められた最小値(VMP)を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のロータ(1)。
【請求項6】
前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)の前記プロファイルを与える前記極方程式は、
【数5】
のかたちであり、
ただし、R
rotorは前記ロータ(1)の前記外半径であり、R
0は予め決められた定数であり、e
0は前記モータのエアギャップ(e)の予め決められた最小値であり、pは前記ロータ(1)の極のペアの数であり、nは前記ハーモニックの前記インデックスであり、前記α
nはn=1~iの値が前記エアギャップ(e)の前記磁気誘導のフーリエ級数における前記分解によって取得されるパラメータであって、前記注入された電流と同様の起電力を取得して、できるだけ高い前記モータの有用なトルクを取得し、前記制御戦略によって生じる前記モータの前記寄生トルクリップルを最小にし、前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)の前記プロファイルの前記極方程式は、前記エアギャップ(e)における前記ピッチ極半角
【数6】
に対応する、[0;π/2p]に等しい予め決められた角度間隔θにて定義される
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のロータ(1)。
【請求項7】
前記モータは、前記モータの前記位相において2乗の電流周期波を発生させる制御戦略によって制御され、前記エアギャップ(e)の前記磁気誘導のフーリエ級数における前記調和分解は、前記モータの最大平均トルク、最小トルクリップルおよび最小コギングトルクを有するために、前記注入される電流と同様の起電力を取得するように決定されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のロータ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータアーキテクチャの一般的な技術分野に関する。より詳細には、本発明は、「挿入された永久磁石(inserted permanent magnet)」のIPMロータと呼ばれる、シートのスタックに挿入された永久磁石を有するブラシレス同期モータのロータ構成に関する。
【背景技術】
【0002】
本タイプの構成は高いモータトルクを提供することが知られている。
【0003】
今述べたモータの価格は、主に、使用される永久磁石の性質にある。
【0004】
ゆえに、希土類をベースにする永久磁石の使用は、フェライトをベースにする永久磁石の使用よりもはるかに高いコストを発生させるだろう。
【0005】
それゆえ、この場合、与えられた空隙磁束(air gap flux)を獲得するために、希土類をベースにする永久磁石の量をできるだけ減らすことが適切である。
【0006】
どんな同期機でもあるように、さらに、最適な効率を取得するように有用トルクを最適化することも必要である。
【0007】
さらに、永久磁石は、シートのスタックにおいて良好な機械的強度を有する必要もあり、シートのスタックは、永久磁石を保持することができるのに十分な強度を有する必要がある。
【0008】
今述べた目的に対して、永久磁石によって発生した磁束のエアギャップにおいて向きを促進するために、イスムスおよびフラックスバリアを有するシートのスタックに挿入された永久磁石のついたロータがあることが、文献WO2012014836A1から知られている。
【0009】
その上さらに、挿入された永久磁石IPMを有する磁石機(magnet machine)のトポロジーでは、トルク振動が必然的に発生する。今述べたトルクリップルは、モータの電源に適用される制御戦略に従って多かれ少なかれ重要である。それゆえ、さらに、少なくとも決定された制御戦略に関して、今述べた複数のトルクリップルまたは「トルクリップル(torque ripple)」をできるだけ減らすことも適切である。
【0010】
今述べた目的に対して、例えば文献JP2009118731から、フラックスバリアとエアギャップの面における窪みとを有する統合された永久磁石ロータのついた電動機があることが知られている。永久磁石は、エアギャップにおいて磁石の磁束を集中させるように、「V字型(V-shape)」に2個ずつ配置される。
【0011】
提案されたソリューションは、トルクリップルを減らすことを目的とする。しかしながら、「V字型」に2個ずつ配置された永久磁石の配列は、永久磁石の数量を大幅に増やし、それゆえ、高価な磁石が用いられることになるならばモータの費用を大幅に増やす。トポロジーは、実際、たとえばフェライト磁石などの低コストの磁石の使用により適しており、磁石の磁束に、エアギャップに集中させることを可能にする。本発明は、磁束集中の磁石を用いたモータトポロジに関係がない。
【0012】
挿入された永久磁石(IPM)ロータを有する同期機は、特に希土類が用いられるとき、著しいコギングトルクを受けやすいことが知られている。実際、今述べたタイプのトポロジーでは、ロータについての挿入された永久磁石は、ステータのティースに磁気吸引力を働かせる。今述べた力は、ロータの回転運動と反対であり、ゆえに、コギングトルクを発生し、ロータの面の形状によるハーモニクスを、ゆえに振動および騒音を発生する。
【0013】
ロータの外面の形状と、永久磁石のイスムスおよび挿入領域の形状とは、コギングトルクを減らすのに取り組まれることが知られている。
【0014】
今述べた目的に対して、文献US2012/0256514は、ロータの外面形状と、フラックスバリアと、を提案するがさらに、ステータに配置された対称的なフラックスバリアも提案し、モータのアーキテクチャを非常に複雑にする。加えて、永久磁石の数量は、多いままであり、それゆえ、最適化されていない。
【0015】
さらに、文献US2018/0205274から、エアギャップに近い形状および特定の向きを有するフラックスバリアを提示する「V字形」に分布された永久磁石を有する統合された永久磁石ロータのついた電気モータがあることも知られている。
【0016】
しかしながら、すでに述べたように、「V字型」に2個ずつ配置された永久磁石の配列は、永久磁石の必要な数量を大幅に増やし、それゆえ、モータの費用を大幅に増やす。
【発明の概要】
【0017】
さらに、本発明は、特に、挿入された永久磁石を有するブラシレス同期モータのロータを提案することによって、上に述べた欠点のすべてまたは一部を解消することも目的とし、そのアーキテクチャは、決定された制御戦略に対するトルク振動とコギングトルクとの両方を低減しながら、決定された永久磁石の数量を有して、最大有用トルクを取得できるようにする。さらに、今述べたアーキテクチャは、特に比較的高速のロータにおいて、挿入された永久磁石の機械的応力に対する優れた耐性と優れた強度とを維持できるようにする。
【0018】
今述べた目的に対して、本発明は、予め決められた制御戦略に従って給電されるように配列した挿入された永久磁石を有するブラシレス同期モータのためのロータに関し、前述のロータは、ロータのエアギャップ面を定義する実質的に円筒形状を有し、次を含む。
-ロータの磁極を定義する永久磁石のp個のペア、および
-予め決められたピッチ極角
【0019】
【0020】
に従って周期的に配列され、複数の永久磁石を受け入れるように配列された2p個のハウジングであって、ハウジングは、シートのスタックに提供され、モータのエアギャップにおいて永久磁石の磁束を半径に向けるように配置される、
永久磁石は、ハウジングに配置され、ロータの永久磁石のp個のペアに関係した予め決められたピッチ極角
【0021】
【0022】
に従って、ロータのエアギャップ面に近いロータの円周に沿って分布し、各永久磁石は、エアギャップにおいてピッチ極角
【0023】
【0024】
に従って磁気誘導を生成するために、隣接する2つの永久磁石の磁束方向と反対の磁束方向を有する、
ハウジングは、各々、永久磁石を受け入れるように配列された部分と、前述の部分と連続し、ハウジングの前述の部分に挿入された永久磁石の端面と連続する第1の凹部および第2の凹部を有し、前述の端面は永久磁石の磁化方向に平行である、
ロータのエアギャップ面は、永久磁石のハウジングの第1の凹部と、接している永久磁石の別のハウジングの第2の凹部との間に実質的に配置された平坦なプロファイル領域と、起電力の信号の形状と、モータに投入される電流の信号の形状との間のハーモニクスを定義するために決定される制御戦略の関数として選択される係数を含む極方程式によってプロファイル形状が与えられる湾曲領域(curved area)とを含み、前述の湾曲領域は、2つの隣接する永久磁石の連続する第1の凹部と第2の凹部との間に位置する半径から、エアギャップにおけるピッチ極半角
【0025】
【0026】
に対応する隣接する永久磁石の1つの連続する第1の凹部と第2の凹部との間に位置する半径まで定義される角度間隔に実質的に延長する、
前述の第1および第2の凹部は、前述の第1および第2の凹部とロータのエアギャップ面との間に磁気飽和可能なマグネティックイスムス(magnetic isthmuse)を形成する磁束バリア(magnetic flux barrier)を定義する、
前述の第1および第2の凹部は、ロータのエアギャップ面の方向に凸の上面を有し、ロータのエアギャップ面の第1の近接点(proximal point)からロータの軸に対して横切る切断面において拡張され、永久磁石を受け入れるように配列されたハウジングの部分の端部に配置され、第2の近接点からロータのエアギャップ面までの距離が予め決められた最小値以上となるように、ロータのエアギャップ面の第2の近接点まで拡張される、
第1の点と第2の点との間の第1および第2の凹部の上面のロータの軸に対して横切る切断面におけるプロファイルの点は、モータのエアギャップにおける磁束を最大にするように、第1の点および第2の点における予め決められた初期条件を有する3次スプラインを利用したパラメトリック方程式系によって定義される。
【0027】
エアギャップ面の外側の面に関するプロファイルは、予め決められた制御戦略を用いて、最小の永久磁石体積とともに、シートのスタックに挿入された永久磁石を有するブラシレス同期モータのトルクを大幅に向上できるようにする。
【0028】
さらに、今述べた構成は、ロータ極ごとに単一の永久磁石を使用できるようにし、ゆえに、「V字型」に配置された2個の永久磁石を使う構成と比べてコストを削減する。
【0029】
イスムスおよびフラックスバリアの形状は、これらの領域に低リラクタンスを付与することを順に可能にし、それゆえ、過剰な磁束をエアギャップに向かって集中させるように、磁束により素早く飽和できるようにする。
【0030】
さらに、今述べた形状は、機械的応力に対する良好な耐性を維持できるようにする。
【0031】
本発明の一様相によれば、3次スプラインを利用するパラメトリック方程式系の第1の点および第2の点における予め決められた初期条件は、第1の点および第2の点における上面の導関数の方向を課す。
【0032】
本発明の一様相によれば、第1の点における上面の導関数の方向は、ロータの軸に対して横切る切断面における永久磁石の端面の接線方向と実質的に共線的になるように強いられ、第2の点における上面の導関数のベクトルの方向は、ロータのエアギャップ面の点における接線の方向と実質的に共線的になるように強いられ、この点は、第2の点に最も近い前述のエアギャップ面の点である。
【0033】
本発明の一様相によれば、エアギャップにおける磁束を最大にするように、第1の点および第2の点における導関数のベクトルの振幅および極角が決定され、第1の点および第2の点における導関数のベクトルの座標が、次のように決定される。
-上面とエアギャップ面との間の距離は、予め決められた最小値以上のままである、および、
-前記パラメトリック方程式系は双射のままである。
【0034】
本発明の一様相によれば、マグネティックイスムスは、シートのスタックのうちの1つのシートの厚さ以上の予め決められた最小値を有する。
【0035】
本発明の一様相によれば、ロータのエアギャップ面のプロファイルを与える極方程式は、次のかたちである。
【0036】
【0037】
ただし、Rrotorはロータの外半径であり、R0は予め決められた定数であり、e0はモータのエアギャップの予め決められた最小値であり、pはロータの極のペアの数であり、nはハーモニックインデックス(index of the harmonic)であり、αnは、n=1~iの値がエアギャップの磁気誘導のフーリエ級数における分解によって取得されるパラメータであって、注入された電流と同様の起電力を取得して、モータのできるだけ高い有用なトルクを取得し、制御戦略によって生じるモータの寄生トルクリップルを最小にし、ロータのエアギャップ面のプロファイルの極方程式は、
【0038】
【0039】
に等しい予め決められた角度間隔θにて定義され、エアギャップeにおいてピッチ極半角
【0040】
【0041】
に対応する。今述べた間隔は、隣接する2つの永久磁石の連続する2つの凹部の間に位置する半径と、隣接する永久磁石のうちの1つの連続する2つの凹部の間に位置する半径との間の角度間隔に対応し、原点は磁極の中心にある。
【0042】
さらに、本発明は、上に説明したようなロータを含むモータに関し、前述のモータは、モータの相のスロットにおいて電流周期波を発生させる制御戦略によって制御され、注入された電流と同様の起電力を取得して、モータの最大平均トルクと最小トルクリップルと最小コギングトルクとを有するように、エアギャップの磁気誘導のフーリエ級数における調和分解が決定される。
【0043】
今述べた配置は、より少ないトルクリップルを有するより大きな有用トルクを生成できるようにする。
【0044】
本発明の目的、様相、および利点は、添付の図面を参照しながら、非限定的な例として提示される本発明の特定の態様に関する以下の説明からより良く理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】モータのステータのついた環境において本発明に係るロータの構成についての切りつめた概略図である。
【
図2】本発明に係るロータの構成についての切りつめた概略図である。
【
図3】本発明に係るロータの構成についての拡大した概略図である。
【
図4】本発明に係るロータの構成に関してロータのおよびステータの相対的な位置におけるフィールドラインの概略図である。
【
図5】本発明に係るロータの外面のプロファイルを取得する機能を示す。
【
図6】本発明に係るロータのシートスタック(sheet stack)の凹部の上面のプロファイルを取得することを可能にする3次スプライン関数を示す。
【
図7】ロータのジオメトリによって定義される台形起電力および正弦波起電力のフーリエ級数における分解の比較を例示するグラフである。
【
図8】本発明に係るステータの極とロータの極との間の磁気相互作用によって形成されるリラクタンス磁気回路(reluctant magnetic circuit)の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明を理解するために必要な要素のみが表されている。図面を読みやすくするために、同一の要素は、1つの図面から別の図面まで同一の符号を有する。
【0047】
図1に図示されるように、予め決められた性質の制御電子機器(図示せず)によって給電されることが意図される挿入された永久磁石Mを有するブラシレス同期モータのロータ1は、ロータ1のエアギャップ面SEを定義する実質的に円筒の形状を有する。
【0048】
今述べたロータ1は、ステータ2の内側に挿入されることが意図される。ロータ1のエアギャップ面SEとステータ2のティースの面SDとの間の最小距離は、モータのエアギャップeを定義する。
【0049】
図2にさらに詳しく図示されているように、ロータ1は、ロータ1の磁極を定義する永久磁石Mのp個のペアと、複数の永久磁石Mを受け入れるために予め決められたピッチ極角
【0050】
【0051】
に従って周期的に配列された2p個のハウジングLと、を含む。
【0052】
各永久磁石Mは、希土類、例えばネオジムまたはサマリウムコバルトからなり、
図1の各永久磁石Mに表された太い矢印により示された磁化方向を有する。
【0053】
永久磁石Mは、シートのスタックTに形成されたハウジングLに配置され、ロータ1の永久磁石Mのp個のペアに関係した予め決められたピッチ極角
【0054】
【0055】
に従って、ロータ1のエアギャップ面SEに近いロータ1の円周に沿って分布されている。
【0056】
シートのスタックは、従来通り軟鉄にて行われる。
【0057】
各永久磁石Mは、エアギャップeのピッチ極角
【0058】
【0059】
に従った磁気誘導を発生させるために、隣接する2つの永久磁石の磁束方向とは反対の磁束方向を有する。
【0060】
図2に図示されているように、ハウジングLは、永久磁石Mの磁束をモータのエアギャップeにおいて半径に向けるために配置される。
【0061】
図3により詳細に図示されるように、ハウジングLは、各々、永久磁石Mを受け入れるように配列された部分PAと、永久磁石Mを受け入れるように配列されたハウジングLの部分PAの両側にそれぞれ配置された第1の凹部E1および第2の凹部E2と、を有する。
【0062】
ロータのエアギャップ面の形状
シートのスタックTに挿入された永久磁石Mを有するブラシレス同期モータに関して、台形EMF(Electro Motive Force)は、より大きなトルクを、より少ない複数のトルクリップル(または「トルクリップル(torque ripple)」)とともに、発生できるようにするので好ましい。
【0063】
実際、今述べた電子制御戦略は、モータの相のスロットにおいて電流周期波を発生させるので、今述べたタイプのモータにさらに適合し、エアギャップeの磁気誘導のフーリエ級数における調和分解が、注入される電流と同様の起電力を取得するように決定され、モータの最大平均トルク、最小トルクリップル、および最小コギングトルクを有するがことできるようにする。
【0064】
モータの別の重要な不利益な様相は、連続する磁気平衡/平衡位置による無負荷磁気エネルギーの変動によって生じるコギングトルクである。特に、挿入された永久磁石M(IPM)を有するモータの場合、今述べた望ましくないコギングトルクを減らすことが必要である。
【0065】
今述べたことに関して、ロータ1のエアギャップ面SEに特定の形状を与えて、エアギャップ磁気誘導のより滑らかな移動を確実にすることが必要である。この場合、コギングトルクは、ほとんどキャンセルされることがある。完全な正弦波のエアギャップ誘導は、角度による磁束変動が最も小さいので、コギングトルクを最も小さくできるようにするだろう。しかしながら、正弦波のエアギャップ誘導は、台形制御戦略に関してより有用なトルクリップルに帰着する。
【0066】
エアギャップeは、開口角の関数として望ましいハーモニクスからなる信号に従って変化するエアギャップパーミアンスを有するように形成される。
【0067】
ゆえに、ロータ1のエアギャップ面SEは、磁極の中心を原点として、極基準フレームRefにおける極方程式に従ってパラメータ化され、極方程式は次のかたちである。
【0068】
【0069】
ただし、Rrotorはロータの外半径であり、R0は予め決められた定数であり、e0はモータのエアギャップの予め決められた最小値であり、pはロータの極のペアの数であり、nはハーモニックインデックス(index of the harmonic)であり、αnは、n=1~iの値がエアギャップの磁気誘導のフーリエ級数における分解によって取得されるパラメータであって、注入された電流と同様の起電力を取得して、モータのできるだけ高い有用なトルクを取得し、制御戦略によって生じるモータの寄生トルクリップルを最小にし、ロータ1のエアギャップ面SEの極方程式は、エアギャップeにおいてピッチ極半角
【0070】
【0071】
に対応する間隔θにて定義される。
【0072】
図3に図示されているように、今述べた方程式は、ロータ1のエアギャップ面SEの点A’と点B’との間の減少を定義する。
【0073】
この場合、第1の点A’および第2の点B’における導関数のベクトルの振幅および極角は、エアギャップeの磁気誘導の予め決められた調和分解を有する方程式に対応するように決定され、次のようになる。
-ステータ2のティースの面SDとエアギャップ面SEとの間の距離、言い換えればエアギャップe、および
-方程式の解は双射のままである。
【0074】
方程式の双射の解のみを保持するという事実は、エアギャップ面SEのプロファイルと互換性のないループを形成するだろう解を回避できるようにする。
【0075】
極の端において、方程式がキャンセルされ、それゆえ、今述べた式を使用して、エアギャップeにおける全ピッチ極半角
【0076】
【0077】
にわたってエアギャップ面SEのプロファイルを定義することは不可能である。これゆえ、角度範囲の端は切りつめられる。
【0078】
図5は、本発明に係るロータ1により採用されるエアギャップ面SEのプロファイルを、滑らか、すなわち完全な円筒のエアギャップ面SEが有するだろうプロファイルの形状に関して比較する。
【0079】
エアギャップ面SEにおいて減少を定義する曲線Rdecは、上式に従うが、点B’に対応する点Rstopに上がっていく切りつめた部分のみが、エアギャップeにおけるピッチ極半角
【0080】
【0081】
にわたって本発明に係るロータ1のエアギャップ面SEを定義するのに用いられる。
【0082】
今述べた点Rstopは、曲線Rdecと、曲線Rdecが収束する半径に対して横断敵に延びるセグメントLplatとの接合点に対応する。工業生産の制約のために、今述べたセグメントLplatの長さは、ロータ1の直径に応じて強いられる。
【0083】
極角
【0084】
【0085】
に定義されたエアギャップ面SEのパターンは、元の軸、曲線Rdec、およびセグメントLplatについて軸の対称性に起因する。
【0086】
今述べたパターンは、2つの隣接する永久磁石Mの連続する第1の凹部E1と第2の凹部E2との間に位置する半径から、エアギャップeにおけるピッチ極半角
【0087】
【0088】
に対応する隣接する永久磁石Mのうちの1つの永久磁石Mの連続する第1の凹部E1と第2の凹部E2との間に位置する半径まで定義される角度間隔において、永久磁石MのハウジングLの第1の凹部E1と第2の凹部E2との間に実質的に広がる。
【0089】
エアギャップ面SEの今述べたパターンは、ロータ1のエアギャップ面SEの全周囲にわたって繰り返される。
【0090】
提示される例では、直径約58cmのロータに関して、セグメントLplatの長さは約2mmである。
【0091】
今述べたことは、湾曲領域ZCおよび平坦領域ZPによるエアギャップ面SEのプロファイルの定義を導く。今述べた角度におけるエアギャップ面SEの平坦領域ZPの幅のために、今述べた平坦領域ZPの影響は、コギングトルクにおいてより小さいが、EMFにおいてもより小さい。
【0092】
ロータ1のエアギャップ面SEの平坦領域ZPは、実質的に2つの隣接するハウジングLの間に配置される。
【0093】
ロータ1の今述べたエアギャップ面SEプロファイルの独創性は、エアギャップ誘導により多くのハーモニクスを持たせ、それゆえ、EMFにより多くのハーモニクスを持たせるために、エアギャップeのパーミアンスを定義する方程式の分母にハーモニクスを加えるという事実にある。
【0094】
【0095】
【0096】
にわたってより台形になるようなハーモニクス。
【0097】
一定のハーモニクスを選択するという事実は、滑らかなロータと比較して、よりソフトな誘導前面を持つことができるようにし、モータのコギングトルクを低減できるようにする。
【0098】
一方、ハーモニクスの追加は、純粋な正弦波形状に比べてコギングトルクを増加させる。それゆえ、ハーモニクスの選択は、制御トルクリップルと、望ましい平均トルク(モータの有用なトルクである)と、最小にされるべきコギングトルクとの間の妥協である。
【0099】
注入されるハーモニクスの数は、ロータ1の工業化制約、それゆえ、ロータのサイズに依存する。ロータが大きいほど、より多くのハーモニクスが注入される。例えば、ハーモニクスの数は、提示されたロータ1の例ではi=9に等しい。
【0100】
ハーモニクスを用いて説明した今述べたエアギャップ面SEは、ゆえに、モータの相のスロットにおいて電流周期波を発生させる制御戦略を有してより大きな平均トルクを提供し、コギングトルクにほとんど影響を与えない。
【0101】
磁束バリアの形状
図3に図示されるように、永久磁石Mは、第1のハウジングE1および第2のハウジングE2に対向してそれぞれ現れる端面SA1、SA2を有する。端面SA1、SA2は、各々、永久磁石Mの磁化方向に平行である。
【0102】
ゆえに、第1および第2の凹部E1、E2は、磁束バリアBFMを定義し、ロータ1の前述の第1および第2の凹部E1、E2とエアギャップ面SEとの間に配置されたシートのスタックTの上にマグネティックイスムス(magnetic isthmuse)IMを形成する。
【0103】
マグネティックイスムスの低い厚みは、飽和状態を急速に導く。今述べた飽和状態は、
図4に図示されており、磁力線のごく一部だけがマグネティックイスムスIMを通ってロータ1に直接ループバックすることを見ることができる。
【0104】
磁束バリアBFMの機能を最適化するために、第1および第2の凹部E1、E2は、ロータ1のエアギャップ面SEの方向に凸の上面SUPを有し、ロータ1のエアギャップ面SEに近接する第1の点Aからロータ1の軸に対して横切る切断面内に延び、ロータ1のエアギャップ面SEに近接する第2の点Bまで、永久磁石Mを受け入れるように配列されたハウジングの部分PAの端部に配置され、この第2の点Bからロータ1のエアギャップ面SEまでの距離が予め決められた最小値VMPより大きくなるようにする。
【0105】
今述べた予め決められた最小値VMPは、特にロータ1の比較的高い回転数において、挿入された永久磁石Mの機械的応力に対する良好な耐性および良好な強度を維持するように選択されるが、工業化処理の間、磁気シートを容易に切断できるようにも選択される。
【0106】
磁気的な観点からは、マグネティックイスムスIMの厚さは、可能な限り薄く、可能な限り長いことが好ましい。今述べたことは、領域の急速な磁気飽和状態を導く。一般に、予め決められた最小値VMPに対応するマグネティックイスムスIMの最小厚さは、少なくともシートスタックTのシートの厚さに等しい。すべての場合に、今述べた予め決められた最小値VMPは、シートのスタックTに使用されるシートの厚さより小さくすることはできない。
【0107】
第1の点Aと第2の点Bとの間の第1および第2の凹部E1、E2の上面SUPのロータ1の軸に対して横切る切断面におけるプロファイルの点は、モータのエアギャップにおける磁束を最大にするように、第1の点Aおよび第2の点Bにおける予め決められた初期条件を有する3次スプラインを利用したパラメトリック方程式系によって定義される。
【0108】
図6に図示されるように、3次スプラインは、滑らかな関数によって曲線を補間するための数学的ツールである。3次スプラインは、取得される曲線の規則性と使用される多項式の次数との間の非常に興味深い妥協を表す。規則性は、誘導率の不連続性を回避できるようにし、コギングトルクを低減できるようにする。
【0109】
今述べた3次スプライン関数は4つのパラメータ(a、b、c、d)で記述され、tの関数である。関数は、各x軸およびy軸に対して定義される。
fx(t)=axt3+bxt2+cxt+dx
fy(t)=ayt3+byt2+cyt+dy
パラメータの決定は、次のような、線形システムを形成するさまざまな条件を表す4つの式の表現を必要とする。
f(t=0)→Pi
初期の座標
f(t=1)→Pf
最終の座標
【0110】
【0111】
開始の導関数
【0112】
【0113】
到達の導関数
Pi=d
Pf=a+b+c+d
V1=c
V2=3a+2b+c
Pi、Pf、V1、およびV2の値により、パラメータa、b、c、およびdは、各x軸およびy軸について決定され、それゆえ、3次スプライン関数を使用して、磁束バリアBFMの上面SUPの形状をパラメータ化することができる。この場合、初期の点および最終の点の座標は、ロータ1のジオメトリに依存するので固定される。導関数の表現のみが、次のように決定される。
【0114】
【0115】
数値シミュレーションによる最適化は、フラックスをできるだけうまく流し、ゆえに、望ましいエアギャップ誘導と相関させるために、第1の点Aおよび第2の点Bにおける上面SUPの導関数のベクトルの座標を決定できるようにする。
【0116】
今述べたことは、どのように第1の点Aにおける上面SUPの導関数のベクトルの座標が、ロータ1の軸に対して横切る切断面における磁石永久体Mの端面SA1、SA2の接線方向と実質的に共線的であるように強いられるか、どのように第2の点Bにおける上面の導関数のベクトルの方向が、ロータ1のエアギャップ面SEの点B’における接線の方向と実質的に共線的であるように強いられるかであり、B’は、エアギャップ面SEの減少を定義する曲線Rdecの点Rstopに一致する第2の点Bに最も近い前述のエアギャップ面SEの点である。
【0117】
エアギャップeにおける磁束が最大になるように、第1の点Aおよび第2の点Bにおける導関数のベクトルの振幅および極角が決定される。
【0118】
ゆえに、第1の点Aおよび第2の点Bにおける導関数のベクトルの振幅および極角の限界は、次のように決定される。
-上面SUPとエアギャップ面SEとの間の距離、言い換えると、マグネティックイスムスIMの最小厚さが、予め決められた最小値VMP以上のままである、および
-前記パラメトリック方程式系は双射のままである。
【0119】
正しいエアギャップ面SEのプロファイルの湾曲領域ZCの定義については、方程式の双射の解のみを保持するという事実は、第1および第2の凹部E1、E2の上面SUPのプロファイルと互換性のないループを形成するだろう解を回避できるようにする。
【0120】
今述べたことは、強いられた導関数のノルムが大きすぎる、または角度が不適切に定義されている場合であり得る。
【0121】
ゆえに、磁束バリアBFMは、永久磁石Mの数量を減らしながらエアギャップeに磁束を流すことができるようにし、ゆえに、材料の最良の使用をさせる。
【0122】
もちろん、本発明は、例のみを用いて与えられた説明し図示した態様に決して限定されない。特に、様々な要素の構成の観点から、または技術的同等物の代替により、本発明の保護範囲から逸脱することなく変更が可能である。
【0123】
ゆえに、ロータの工業化を簡単にするために、モータのエアギャップ(e)における磁束を最大にするように、第1の点A’および第2の点B’において予め決められた初期条件を有する3次スプラインを利用したパラメトリック方程式系を用いる近似により、または他の方程式を用いる近似により、エアギャップ面SEのプロファイルの湾曲領域ZCを定義できる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め決められた制御戦略に従って給電されるように配列されている挿入された永久磁石(M)を有するブラシレス同期モータのためのロータ(1)であって、前記ロータ(1)は、前記ロータ(1)のエアギャップ面(SE)を定義する実質的に円筒の形状を有し、
-前記ロータ(1)の磁極を定義する永久磁石(M)のp個のペアと、
-予め決められたピッチ極角
【数1】
に従って周期的に配列され、複数の永久磁石(M)を受け入れるように配列されている2p個のハウジング(L)であって、前記ハウジング(L)は、シートのスタック(T)にて形成され、前記モータのエアギャップ(e)において前記永久磁石(M)の磁束を半径に向けるように配置される、ハウジング(L)と
を備え、
前記永久磁石(M)は、前記ハウジング(L)に配置され、前記ロータ(1)の永久磁石(M)のp個のペアに関係した予め決められたピッチ極角
【数2】
に従って、前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)に近い前記ロータ(1)の円周に沿って分布され、各永久磁石(M)は、前記エアギャップ(e)におけるピッチ極角
【数3】
に従って磁気誘導を生じさせるために、2個の隣接する永久磁石(M)の磁束方向とは反対の前記磁束方向を有し、
前記ハウジング(L)は、各々、永久磁石(M)を受け入れるように配列されている部分(PA)と、前記部分(PA)に連続し、前記ハウジング(L)の前記部分(PA)に挿入された前記永久磁石(M)の端面(SA1、SA2)に連続する第1の凹部(E1)および第2の凹部(E2)とを有し、前記端面(SA1、SA2)は、前記永久磁石(M)の磁化方向に平行であり、
前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)は、永久磁石(M)のハウジング(L)の第1の凹部(E1)と、接している永久磁石(M)の別のハウジング(L)の前記第2の凹部(E2)との間に実質的に配置された平坦なプロファイル領域(ZP)と、起電力の信号の前記形状と、前記モータに投入される電流の前記信号の前記形状との間のハーモニクスを定義するために決定される前記制御戦略の関数として選択される係数を含む極方程式によってプロファイル形状が与えられる湾曲領域(ZC)とを含み、前記湾曲領域(ZC)は、2個の隣接する永久磁石(M)の連続する第1の凹部(E1)と第2の凹部(E2)との間に位置される半径から、前記エアギャップ(e)におけるピッチ極半角
【数4】
に対応する前記隣接する永久磁石(M)のうちの1個の連続する第1の凹部(E1)と第2の凹部(E2)との間に位置される半径まで定義される角度間隔に実質的に延長し、
前記第1および第2の凹部(E1、E2)は、前記第1および第2の凹部(E1、E2)と前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)との間に磁気飽和可能なマグネティックイスムス(IM)を形成する磁束バリア(BFM)を定義し、
前記第1および第2の凹部(E1、E2)は、前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)の方向に凸の上面(SUP)を有し、前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)に近接する第1の点(A)から前記ロータ(1)の軸に対して横切る切断面において延び、前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)に近接する第2の点(B)まで、永久磁石(M)を受け入れるように配列された前記ハウジング(L)の前記部分(PA)の端部に配置され、前記第2の点(B)から前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)までの距離が、予め決められた最小値(VMP)以上であり、
前記第1の点(A)と前記第2の点(B)との間の前記第1および第2の凹部(E1、E2)の前記上面(SUP)の前記ロータ(1)の前記軸に対して横切る前記切断面におけるプロファイルの前記点は、前記モータの前記エアギャップ(e)における前記磁束を最大にするように、前記第1の点(A)および前記第2の点(B)における予め決められた初期条件を有する3次スプラインを利用するパラメトリック方程式系によって定義される
ことを特徴とするロータ(1)。
【請求項2】
前記3次スプラインを利用する前記パラメトリック方程式系の前記第1の点(A)および前記第2の点(B)における前記予め決められた初期条件は、前記第1の点(A)および前記第2の点(B)における前記上面(SUP)の導関数の方向を課すことを特徴とする請求項1に記載のロータ(1)。
【請求項3】
前記第1の点(A)における前記上面(SUP)の前記導関数の前記方向は、前記ロータ(1)の前記軸に対して横切る前記切断面における前記永久磁石(M)の前記端面(SA1、SA2)の接線方向と実質的に共線的であるように強いられ、前記第2の点(B)における前記上面(SUP)の前記導関数のベクトルの方向は、前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)の点(B’)における接線の方向と実質的に共線的であるように強いられ、前記点(B’)は、前記第2の点(B)に最も近い前記エアギャップ面(SE)の点であることを特徴とする請求項2に記載のロータ(1)。
【請求項4】
前記第1の点(A)および前記第2の点(B)における前記導関数の前記ベクトルの振幅および極角は、前記エアギャップ(e)における前記磁束を最大にするように決定され、前記第1の点(A)および前記第2の点(B)における前記導関数の前記ベクトルの座標は、
-前記上面(SUP)と前記エアギャップ面(SE)との間の前記距離は、前記予め決められた最小値(VMP)以上のままであり、
-前記パラメトリック方程式系は双射のままである
ように決定されることを特徴とする請求項3に記載のロータ(1)。
【請求項5】
前記マグネティックイスムス(IM)は、前記シートのスタック(T)の前記シートうちの1つの厚さ以上の予め決められた最小値(VMP)を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のロータ(1)。
【請求項6】
前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)の前記プロファイルを与える前記極方程式は、
【数5】
のかたちであり、
ただし、R
rotorは前記ロータ(1)の外半径であり、R
0は予め決められた定数であり、e
0は前記モータのエアギャップ(e)の予め決められた最小値であり、pは前記ロータ(1)の極のペアの数であり、nはハーモニックのインデックスであり、α
nはn=1~iの値が前記エアギャップ(e)の前記磁気誘導のフーリエ級数における分解によって取得されるパラメータであって、注入された電流と同様の起電力を取得して、できるだけ高い前記モータの有用なトルクを取得し、前記制御戦略によって生じる前記モータの寄生トルクリップルを最小にし、前記ロータ(1)の前記エアギャップ面(SE)の前記プロファイルの前記極方程式は、前記エアギャップ(e)における前記ピッチ極半角
【数6】
に対応する、[0;π/2p]に等しい予め決められた角度間隔θにて定義される
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のロータ(1)。
【請求項7】
前記モータは、前記モータの位相において2乗の電流周期波を発生させる制御戦略によって制御され、前記エアギャップ(e)の前記磁気誘導のフーリエ級数における調和分解は、前記モータの最大平均トルク、最小トルクリップルおよび最小コギングトルクを有するために、注入される電流と同様の起電力を取得するように決定されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のロータ(1)。
【国際調査報告】