(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】ポルフィリン-ヒドロポルフィリン化合物、それを含む組成物、及びそれらの使用方法
(51)【国際特許分類】
C07D 519/00 20060101AFI20240327BHJP
A61K 49/00 20060101ALI20240327BHJP
A61K 49/22 20060101ALI20240327BHJP
G01N 33/532 20060101ALI20240327BHJP
G01N 33/533 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
C07D519/00 311
C07D519/00 CSP
A61K49/00
A61K49/22
G01N33/532 B
G01N33/533
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562251
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 US2022023827
(87)【国際公開番号】W WO2022216927
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517366013
【氏名又は名称】ノース カロライナ ステート ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】NORTH CAROLINA STATE UNIVERSITY
(71)【出願人】
【識別番号】523381734
【氏名又は名称】ニルヴァーナ サイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【氏名又は名称】加藤 由加里
(72)【発明者】
【氏名】リンジー,ジョナサン エス.
(72)【発明者】
【氏名】マクネビン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】アキグベ,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ゴルチンスキー,ミハイル
(72)【発明者】
【氏名】谷口 雅彦
【テーマコード(参考)】
4C072
4C085
【Fターム(参考)】
4C072MM04
4C072UU01
4C072UU10
4C085HH09
4C085HH11
4C085KA27
4C085KB56
4C085LL20
(57)【要約】
第1のポルフィリン及び第1のヒドロポルフィリンを含む化合物であって、該第1のポルフィリンが該第1のヒドロポルフィリンに付着している該化合物が本明細書において記載されている。該化合物は、発光化合物(例えば、蛍光化合物)でありうる。本明細書において記載された化合物を含む粒子及び組成物がまた提供される。該粒子並びにその製造方法及び使用方法が更に提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光化合物であって、
第1のポルフィリン;及び、
第1のヒドロポルフィリン
を含み、
ここで、前記第1のポルフィリンが、前記第1のヒドロポルフィリンに付着している、前記蛍光化合物。
【請求項2】
前記第1のポルフィリンが、下記の式Ia又は式Ibのうちの1つの構造を有する、請求項1に記載の化合物
【化1】
、又は、
【化2】
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、及びR
12は各々独立して、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、シクロアルキルアルキニル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルコキシ、ハロゲン原子、メルカプト、アジド、シアノ、ホルミル、カルボン酸、ヒドロキシル、ニトロ、アシル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアルキルアミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホキシル、スルホニル、スルホネート、スルホン酸、スルホンアミド、尿素、アルコキシルアシルアミノ、アミノアシルオキシ、親水性基、連結基、生体共役可能な基、表面付着基、及びターゲティング基からなる群から選択される基であり;
R
3及びR
5は一緒になって、縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
4及びR
7は一緒になって、縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
9及びR
10は一緒になって、縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
10及びR
11は一緒になって、縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し、並びに、
M
1は、存在する場合には金属原子(例えば、亜鉛原子、マグネシウム原子、金原子、アルミニウム原子、ケイ素原子、パラジウム原子、インジウム原子、スズ原子、銅原子、又は白金原子)であり、
ここで、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、及びR
12のうちの少なくとも1つは、前記第1のヒドロポルフィリンへの直接結合、又は前記第1のヒドロポルフィリンに結合されている連結基への結合である。
【請求項3】
前記第1のヒドロポルフィリンがクロリンである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
前記第1のヒドロポルフィリンがバクテリオクロリンであり、任意的に、前記第1のヒドロポルフィリンが、イソバクテリオクロリン又はアザバクテリオクロリンである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
前記第1のヒドロポルフィリンが下記の式IIa~式IIdのうちの1つの構造を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【化3】
【化4】
【化5】
、又は、
【化6】
ここで、
R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、R
31、R
32、R
33、及びR
34は各々独立して、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、シクロアルキルアルキニル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルコキシ、ハロゲン原子、メルカプト、アジド、シアノ、ホルミル、カルボン酸、ヒドロキシル、ニトロ、アシル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアルキルアミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホキシル、スルホニル、スルホネート、スルホン酸、スルホンアミド、尿素、アルコキシルアシルアミノ、アミノアシルオキシ、親水性基、連結基、生体共役可能な基、表面付着基、及びターゲティング基からなる群から選択される基であり;
R
20及びR
21は一緒になって、=O若しくはスピロアルキルであり;又は、
R
22及びR
23は一緒になって、=O若しくはスピロアルキルであり;又は、
R
28及びR
33は一緒になって、=O若しくはスピロアルキルであり;又は、
R
29及びR
33は一緒になって、=O若しくはスピロアルキルであり;又は、
R
24及びR
25は一緒になって、縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
25及びR
26は一緒になって、縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
26及びR
27は一緒になって、縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
30及びR
31は一緒になって、縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
31及びR
32は一緒になって、縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
32及びR
33は一緒になって、縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;並びに、
M
2は、存在する場合には金属原子(例えば、亜鉛原子、マグネシウム原子、金原子、アルミニウム原子、ケイ素原子、パラジウム原子、インジウム原子、スズ原子、銅原子、又は白金原子)であり、
ここで、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、R
31、R
32、R
33、及びR
34のうちの少なくとも1つは、前記第1のヒドロポルフィリンへの直接結合、又は前記第1のヒドロポルフィリンに結合されている連結基への結合である。
【請求項6】
前記第1のヒドロポルフィリンが式Ia又は式Ibの構造を有し、R
32は、前記第1のヒドロポルフィリンへの直接結合、又は前記第1のヒドロポルフィリンに結合されている連結基への結合であり、及びR
30は、連結基、生体共役可能な基、表面付着基、及び/又はターゲティング基である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記第1のポルフィリンが、前記第1のポルフィリンと前記第1のヒドロポルフィリンとの間の直接結合を介して前記第1のヒドロポルフィリンに付着している、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
前記第1のポルフィリンと前記第1のヒドロポルフィリンとの間の連結基であって、前記第1のポルフィリンを前記第1のヒドロポルフィリンに付着する前記連結基を更に含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
前記連結基が、任意的に置換されていてもよく若しくは置換されていなくてもよい、アルキル基(例えば、C1~C20アルキル基)、アルケニル基(例えば、C2~C20アルケニル基)、アルキニル基(例えば、C2~C20アルキニル基)、シクロアルキル基(例えば、C3~C20シクロアルキル基)、アリール基、ヘテロシクロ基、ヘテロアリール基、アミノ基、アミド基、又はペプチジル基からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
前記連結基が、任意的に置換されていてもよく若しくは置換されていなくてもよい、エチン基、エタン基、p-フェニレン基、4,4’-ビフェニル基、4,4”-ターフェニル基、1,4-ジフェニルエチン基、フェニルエチン基、チエニル基、又はペプチジル基からなる群から選択され、任意的に、ここで、前記連結基が、任意的に置換されていてもよく又は置換されていなくてもよいフェニルエチン基である、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
前記連結基が、前記化合物の最大発光波長を変更する少なくとも1つの置換基を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
前記連結基が、生体共役反応の為の少なくとも1つの部位(例えば、官能基又は置換基)を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
前記化合物が水可溶化基(例えば、ポリエチレングリコール)を更に含み、任意的に、ここで、前記水可溶化基が、前記第1のポルフィリン又は前記第1のヒドロポルフィリンの原子に、任意的に付着部分を介して、結合している、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物が可視光スペクトルの紫色領域における波長で励起され、任意的に、ここで、前記化合物が約350nm~約500nmの波長で励起される、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
前記化合物が1以上の追加のポルフィリンを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
前記化合物が、第2のポルフィリンを更に含み、任意的に、ここで、前記第1のヒドロポルフィリンが、クロリン又はバクテリオクロリンである、請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
前記第1のヒドロポルフィリンが、前記第1のポルフィリンと前記第2のポルフィリンとの間にある、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
前記第2のポルフィリンが、前記第1のポルフィリンと前記第1のヒドロポルフィリンとの間にある、請求項16に記載の化合物。
【請求項19】
前記第1のポルフィリン及び/又は第2のポルフィリンが式Iaの構造を有し、及び/又は前記第1のヒドロポルフィリンが式IIa又は式IIcの構造を有する、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
前記第1のポルフィリン及び/又は第2のポルフィリンが式Ibの構造を有し、及び/又は前記第1のヒドロポルフィリンが式IIb又は式IIdの構造を有し、任意的に、ここで、M
1及び/又はM
2が亜鉛又はマグネシウムである、請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
前記第1のヒドロポルフィリンが式IIa又は式IIbの構造を有し、並びにR
20、R
21、R
22、及びR
23は各々独立して、水素原子又はアルキルであり、任意的に、ここで、R
20、R
21、R
22、及びR
23のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は全てがアルキルである、請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
前記第1のヒドロポルフィリンが、式IIc又は式IIdの構造を有し、並びにR
20、R
21、R
22、R
23、R
28、R
29、R
33、及びR
34は各々独立して、水素原子又はアルキルであり、任意的に、ここで、R
20、R
21、R
22、R
23、R
28、R
29、R
33、及びR
34のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は全てがアルキルである、請求項1~21のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
前記化合物が少なくとも1つの生体共役可能な基を更に含み、任意的に、ここで、前記少なくとも1つの生体共役可能な基が、カルボン酸又はそのエステル、アミン、イソチオシアネート、イソシアネート、マレイミド、及びヨードアセトアミドからなる群から選択される、請求項1~22のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
前記化合物が、前記第1のポルフィリン及び/又は前記第1のヒドロポルフィリンと前記少なくとも1つの生体共役可能な基との間の付着部分を更に含み、任意的に、ここで、前記付着部分が、任意的に置換されていてもよく又は置換されていなくてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、PEG基、及び/又はペプチジル基である、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
前記化合物が助色団を更に含み、任意的に、ここで、前記助色団が、前記第1のポルフィリン及び/又は前記第1のヒドロポルフィリンの原子に、付着している、請求項1~24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
前記助色団が、任意的に置換されていてもよく又は置換されていなくてもよい、アシル基、アシルオキシ基、エステル基(例えば、アルキルオキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基)、カルボン酸基、シアノ基、スルホニル基、スルホキシル基、アルケン基、アルキン基、アレーン基、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、及び/又はアルコキシ基からなる群から選択される、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
前記化合物が少なくとも1つの追加の発色団を更に含み、任意的に、ここで、前記少なくとも1つの追加の発色団が、ペリレン、カロテノイド、ジピリナトボロンジフルオリド、又はビス(ジピリナト)金属錯体である、請求項1~26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
前記第1のポルフィリンの最低エネルギー一重項励起状態が、前記第1のヒドロポルフィリンの最低エネルギー一重項励起状態よりも大きい、請求項1~27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
生体分子(例えば、タンパク質、例えば抗体)を更に含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項30】
前記化合物が405nmの波長で励起される、請求項1~29のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項31】
前記化合物が、可視光スペクトルの赤色領域及び/又は近赤外領域の波長で発光し、任意的に、ここで、前記化合物が、約610nm又は約625nm以上、約780nm、約1000nm又は約2500nm以下の波長で発光する、請求項1~30のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
前記化合物が、ヒドロポルフィリン単独の輝度と比較して、増加した輝度(例えば、蛍光強度)を有する、請求項1~31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
前記化合物が、10,000M
-1cm
-1以上、110,000、200,000、300,000、400,000又は500,000M
-1cm
-1以下の範囲の最大吸光度での輝度、及び/又は8,000M
-1cm
-1以上、90,000、100,000、200,000、300,000、400,000又は500,000M
-1cm
-1以下の範囲における405nmの吸光度での輝度を有する、請求項1~32のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項34】
前記化合物が、前記第1のポルフィリンについての発光強度が、前記第1のポルフィリン単独の発光強度と比較して減少しているか、又は前記第1のポルフィリンについての発光強度が存在しない、請求項1~33のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項35】
前記化合物が、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の、前記第1のポルフィリンから前記第1のヒドロポルフィリンへのエネルギー移動の蛍光量子収率を有し、任意的に、ここで、前記第1のヒドロポルフィリンについての発光波長が、前記第1のポルフィリンの発光波長と異なる及び/又は区別可能である、請求項1~34のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項36】
前記第1のポルフィリンから前記第1のヒドロポルフィリンへのエネルギー移動が約100ピコ秒以下である、請求項1~35のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項37】
前記化合物が、第2の強度を有する前記第1のヒドロポルフィリンからの発光ピークを含む吸収及び発光スペクトルを有し、並びに、前記化合物の励起波長と発光ピークとの間に、追加の発光ピークが存在しないか、又は前記第2の強度よりも大きい強度を有する発光ピークが存在しない、請求項1~36のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項38】
前記化合物の前記第1のヒドロポルフィリンが、約14nm~約50nm(例えば、トルエン中で測定された場合)の発光ピーク全幅半値を有する発光波長を有する、請求項1~37のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項39】
前記第1のポルフィリン単独が、少なくとも約200,000M
-1cm
-1のモル吸光係数、任意的に少なくとも200,000M
-1cm
-1の、405nmでのモル吸光係数、を有する、請求項1~38のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項40】
前記化合物が、前記第1のヒドロポルフィリン単独のモル吸光係数及び/又は蛍光量子収率よりも夫々大きいモル吸光係数及び/又は蛍光量子収率を有する、請求項1~39のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項41】
前記化合物が、約0.04~約0.34の、405nmでの蛍光量子収率を有する、請求項1~40のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項42】
前記前記化合物が、最大吸光度において約120,000以上、約450,000、約750,000、約1,000,000、又は約1,250,000M
-1cm
-1以下の範囲にあるモル吸光係数を有し、約115,000以上、約350,000、約450,000、約750,000、約1,000,000、又は約1,250,000M
-1cm
-1以下の範囲にある、405nmでのモル吸光係数を有する、請求項1~41のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項43】
前記化合物が、前記第1のポルフィリンの励起波長に相対的に赤シフトした(例えば、少なくとも20nmだけ)第2の最低(Qx)エネルギー吸収帯を有する、請求項1~42のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項44】
前記化合物がピーク発光波長及びピーク励起波長を有し、並びに、前記ピーク発光波長と前記ピーク励起波長との差が少なくとも50nm又は80nmである、請求項1~43のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項45】
前記化合物が、前記第1のヒドロポルフィリンからの発光波長と重畳しないところの第1のポルフィリンからの発光波長を有し、任意的に、前記化合物が、前記第1のヒドロポルフィリンからのピーク発光波長と重畳しないところの第1のポルフィリンからの発光波長を有する、請求項1~44のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項46】
前記化合物が、前記第1のポルフィリン単独の輝度よりも大きい輝度及び/又は第1のヒドロポルフィリン単独の輝度よりも大きい輝度を有し、任意的に、個々で、前記化合物の前記輝度が、前記第1のポルフィリンの輝度と前記第1のヒドロポルフィリンの輝度との合計よりも大きい、請求項1~45のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項47】
請求項1~46のいずれか1項に記載の化合物を含む粒子。
【請求項48】
前記粒子が、マイクロ粒子又はナノ粒子である、請求項47に記載の粒子。
【請求項49】
前記粒子がシェルとコアとを含み、前記化合物が前記コア中に存在する、請求項47又は48に記載の粒子。
【請求項50】
前記化合物がポリマー中に被包され、及び前記ポリマーが前記シェルを形成し、任意的に、ここで、前記ポリマーが、1以上の疎水性ユニット及び1以上の親水性ユニットを含み、及び任意的に、生体共役基を含む、請求項47~49のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項51】
前記化合物が、下記の式IIIa又は式IIIbによって表されるポリマーに付着している、
A-B-C (IIIa)、又は、
C-A-B (IIIb)
ここで、
Aは、前記化合物であり;
Bは、前記ポリマーであり、任意的に、ここで、前記ポリマーは、約1,000Da、5,000Da、又は10,000Da以上、約175,000Da以下、の範囲にある分子量を有する、
Cは、前記任意の生体共役基である、
請求項50に記載の粒子。
【請求項52】
前記化合物が粒子(例えばナノ粒子)の表面に付着しており、任意的に、ここで、前記粒子がポリスチレン及び/又はシリカを含む、請求項47~49のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項53】
前記粒子が水又は水性溶液中に可溶性であり、任意的に、ここで、前記粒子が、室温で、約1mg/mL以上、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、又は約100mg/mL以下の範囲にある量の水への溶解度を有する、請求項47~52のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項54】
請求項1~46のいずれか1項に記載の化合物、及び/又は請求項47~53のいずれか1項に記載の粒子を含む、組成物又はキット。
【請求項55】
前記組成物又はキットが水を更に含み、並びに前記化合物及び/又は前記粒子が水中に存在し、任意的に、ここで、前記化合物及び/又は粒子が、室温で、約1mg/mL以上、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、又は約100mg/mL以下の範囲にある量の水への溶解度を有する、請求項54に記載の組成物又はキット。
【請求項56】
前記組成物又はキットが有機溶媒を含まない、請求項54又は55に記載の組成物又はキット。
【請求項57】
組成物又はキットであって、
第1の発光波長を含む第1の吸収及び発光スペクトルを有する第1の化合物、及び、
第2の発光波長を含む第2の吸収及び発光スペクトルを有する第2の化合物
を含み、
ここで、前記第1の発光波長及び前記第2の発光波長が異なり及び/又は区別され、並びに前記第1の化合物及び前記第2の化合物が、請求項1~46のいずれか1項に記載の化合物である、
前記組成物又はキット。
【請求項58】
前記第1の化合物及び前記第2の化合物が各々、同じ励起波長によって励起される、請求項57に記載の組成物又はキット。
【請求項59】
フローサイトメトリーにおける、請求項1~46のいずれか1項に記載の化合物、請求項47~53のいずれか1項に記載の粒子、又は請求項54~58のいずれか1項に記載の組成物若しくはキットの使用。
【請求項60】
フローサイトメトリーを使用して細胞及び/又は粒子を検出する方法であって、
請求項1~46のいずれか1項に記載の化合物、請求項47~53のいずれか1項に記載の粒子、又は請求54~58のいずれか1項に記載の組成物で、細胞及び/又は粒子を標識化すること、並びに、
フローサイトメトリーによって前記化合物を検出し、それによって細胞及び/又は粒子を検出すること、
を含み、
任意的に、前記方法が、前記化合物とは異なる検出可能な化合物(例えば、前記検出可能な化合物と前記化合物とが異なる発光波長帯域を有する)を含む標識化されたターゲットを検出することを更に含む、
前記方法。
【請求項61】
対象における組織及び/又は作用因子(例えば、細胞、感染因子等)を検出する方法であって、
前記対象に、請求項1~46のいずれか1項に記載の化合物、請求項47~53のいずれか1項に記載の粒子、又は請求項54~58のいずれか1項に記載の組成物を投与すること、任意的に、ここで、前記化合物が組織及び/又は作用因子と会合する;並びに、
前記対象内で前記化合物を検出すること、それによって前記組織及び/又は前記作用因子を検出すること
を含む、前記方法。
【請求項62】
細胞及び/又は組織(例えば、疾病細胞及び/又は組織)を処置することを必要とする対象において細胞及び/又は組織(例えば、疾病細胞及び/又は組織)を処置する方法であって、
請求項1~46のいずれか1項に記載の化合物、請求項47~53のいずれか1項に記載の粒子、又は請求項54~58のいずれか1項に記載の組成物を投与すること、任意的に、ここで、前記化合物が細胞及び/又は組織と会合する;並びに、
前記対象又はその一部(例えば、細胞及び/又は組織が存在する場所)に、細胞及び/又は組織を処置する為に十分な波長及び強度の光を照射すること、任意的に、ここで、前記光は前記化合物又はその一部を活性化する、
を含む、前記方法。
【請求項63】
前記細胞及び/又は前記組織が過剰増殖組織(例えば、腫瘍)である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
イメージング(例えば、光音響イメージング)及び/又は顕微鏡検査における、請求項1~46のいずれか1項に記載の化合物、請求項47~53のいずれか1項に記載の粒子、又は請求項54~58のいずれか1項に記載の組成物若しくはキットの使用。
【請求項65】
対象における組織及び/又は作用因子(例えば、細胞、感染因子等)をイメージングする方法であって、
請求項1~46のいずれか1項に記載の化合物、請求項47~53のいずれか1項に記載の粒子、又は請求項54~58のいずれか1項に記載の組成物若しくはキットを対象に投与すること;並びに、
前記対象内で前記化合物を検出し、それによって、前記組織及び/又は前記作用因子をイメージングすること
を含む、前記方法。
【請求項66】
前記対象内で前記化合物を検出することが、前記対象又はその一部(例えば、前記化合物が存在する場所及び/又はイメージングされる場所)に、超音波(例えば、超音波圧力波)を生成する為に十分な波長及び強度の光を照射することを含み、任意的に、ここで、前記照射が、レーザーを用いて及び/又は前記対象に1以上の非イオン化レーザーパルスを曝露することによって行われる、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記対象内で前記化合物を検出することが、任意的に超音波検出器を用いて、超音波を検出することを含む、請求項65又は66に記載の方法。
【請求項68】
前記対象における前記組織及び/又は前記作用因子をイメージングする方法が、前記組織及び/又は前記作用因子の光音響イメージングを含む、請求項65~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
アッセイ(例えば、マルチプレックスアッセイ及び/又は医療診断アッセイ)における、請求項1~46のいずれか1項に記載の化合物、請求項47~53のいずれか1項に記載の粒子、又は請求項54~58のいずれか1項に記載の組成物若しくはキットの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国政府支援の声明
本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)より授与された助成金番号AI112302の下で政府支援を受けて行われたものである。米国政府は本発明について一定の権利を有する。
【0002】
本発明は、化合物、例えばポルフィリン-ヒドロポルフィリン化合物、及びそれを含む組成物に関する。本発明はまた、生物医学的用途において使用する為の化合物及び生物医学的用途に化合物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
紫外、可視又は近赤外(NIR:near-infrared)光を吸収又は放出する分子(発色団)は、様々な生物医学及び関連用途、例えば、フローサイトメトリー(flow cytometry)、分子光学イメージング(molecular optical imaging)、及び光線力学的療法(photodynamic therapy)、において使用されている。用途が広がり、及び洗練され続けるにつれて、特定の光物理学的特性についての要望がより強くなっている。関連する光物理学的特性は、吸収波長、発光(蛍光又は燐光)波長、吸収波長と蛍光波長との間隔、蛍光寿命、蛍光量子収率、三重項寿命(triplet lifetime)、及び三重項収率(triplet yield)を包含する。もう一つの関連する電子特性は、分子の酸化還元特性であり、それは典型的な用途の場合に望ましくない電荷移動反応を制御する。ほとんどの発色団の場合に、最長波長の吸収特性と最短波長の蛍光特性との間の適切な大きな間隔(所謂、「ストークスシフト」(Stokes shift))を得ることは非常に困難である場合が多い。しかしながら、多くの生物医学的用途の場合に、用途の基本的又は技術的な要求を満たす為に、これらの光物理学的特性のうちの2以上を独立して制御することが望ましく、場合によっては不可欠である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、生物医学診断(biomedical diagnostics)において、共通の波長で励起され、複数の異なる波長で蛍光発光を検出することができるところの蛍光試薬が必要とされている。一般的に、これは「マルチプレックス」(multiplex)アッセイとして知られており、フローサイトメトリーによって代表される。ヒドロポルフィリン、例えば、クロリン及びバクテリオクロリン、は、異なる狭い発光プロファイルを示すことがある。しかしながら、405nmのレーザーがフローサイトメトリーにおいて使用されることが多く、ヒドロポルフィリンは最適な405nmの蛍光励起を有しない場合があり、その結果、弱い吸収及び低い輝度をもたらし、特にマルチプレックスアッセイの為のそれらの有用性が制限される。
【0005】
生物医学的及び他の用途の為の分子の主要な光物理学的特性の調整可能性及び独立した制御は、本発明の化合物、例えば、任意的に連結基を介して、結合される2つの異なる発色団(例えば、ドナー及びアクセプター(acceptor))を含むダイアッド(dyad)、の使用によって促進されうる。本発明の化合物は、1つの発色団(例えば、ドナー発色団)から別の発色団(例えば、アクセプター発色団)への相対的に迅速且つ効率的なエネルギー移動を可能にすることができる。ドナー発色団は吸収属性について選択されてもよく、アクセプター発色団は発光属性について選択されてもよい。該ドナー発色団から該アクセプター発色団への効率的なエネルギー移動を可能にすることにより、本発明の化合物の発色団の吸収及び発光の特徴は、所望のスペクトルの特徴を有するように化合物を設計及び/又は調整する能力を提供することができる。
【0006】
第1のポルフィリン及び第1のヒドロポルフィリンを含む化合物であって、ここで、該第1のポルフィリンが、該第1のヒドロポルフィリンに付着している、上記の蛍光化合物が本発明の実施態様に従って提供される。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は第1のポルフィリンと第1のヒドロポルフィリンとを含む発光化合物(例えば、蛍光化合物)であり、ここで、該第1のポルフィリンは、該第1のヒドロポルフィリンに付着されている。幾つかの実施態様において、該発光化合物は蛍光化合物である。幾つかの実施態様において、該第1のポルフィリンは、連結基を介して第1のヒドロポルフィリンに付着されている。幾つかの実施態様において、該第1のヒドロポルフィリンは、クロリンである。幾つかの実施態様において、該第1のヒドロポルフィリンは、バクテリオクロリンであり、及び幾つかの実施態様において、イソバクテリオクロリン又はアザバクテリオクロリンでありうる。1つの実施態様に関して記載されている本発明の観点は、それに関して特に記載されていないが、異なる実施態様内に組み込まれうることに留意されたい。すなわち、全ての実施態様、及び/又は任意の実施態様の特徴は、任意の方法及び/又はそれらの組み合わせにおいて組み合わせられることができる。本出願人は、当初に提出された請求項を変更する権利、及び/又はそれに応じて新たな請求項を出願する権利を留保し、これには、当初に請求された請求項を修正して、当初はそのように請求されていなかったが、他の請求項又は請求項の特徴に依存する、及び/又は他の請求項又は請求項の特徴を組み込むことができる権利がまた含まれる。本発明のこれら及び他の目的及び/又は態様は、以下に記載されている明細書において詳細に説明されている。本発明の更なる特徴、利点及び詳細は、図及び後に続く好ましい実施態様の詳細な説明を読めば、当業者には理解されるであろうが、そのような説明は単に本発明を例示するものに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、幾つかの実施態様に従う、リンカーによって結合された、ドナーとアクセプターとを含む本発明の例示的な化合物の概略図である。
【
図2】
図2は、幾つかの実施態様に従って、本発明の化合物を形成する際に使用されうる例示的な中間体を示す。
【
図3】
図3は、幾つかの実施態様に従って、本発明の化合物を形成する際に使用されうる例示的な中間体を示す。
【
図4】
図4は、幾つかの実施態様に従って、本発明の化合物を形成する際に使用されうる例示的な中間体を示す。
【
図5】
図5は、本発明の例示的な化合物の蛍光スペクトルを示す。
【
図6】
図6は、本発明の例示的な化合物の蛍光スペクトルを示す。
【
図7】
図7は、本発明の例示的な化合物の蛍光スペクトルを示す。
【
図8】
図8は、本発明の例示的な化合物の蛍光スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明はここで、本明細書の以下において、より詳細に記載されるであろう。しかしながら、本発明は、異なる形態において具体化されてもよく、及び本明細書において記載された実施態様に限定されるものとして解釈されるべきでない。寧ろ、これらの実施態様は、本開示が徹底的且つ完全であり、及び当業者に本発明の範囲を十分に伝える為に提供される。
【0009】
本明細書において本発明の説明に使用される語は、特定の実施態様を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図されるものではない。本発明の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲において使用される場合に、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「該(the)」は、文脈が別段のことを明らかに示さない限り、複数形も包含することが意図される。
【0010】
別段に定義されていない限り、本明細書において使用される全ての語(技術的用語及び科学的用語を包含する)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。語、例えば一般的に使用される辞書に定義されている語、は本出願及び関連技術の文脈における意味と一致している意味を有すると解釈されるべきであり、理想化された又は過度に形式的な意味には、本明細書において明白にそのように定義されていない限り、解釈されるべきではないことが更に理解されるだろう。本明細書において本発明の詳細な説明において使用される語は、特定の実施態様を説明することのみを目的としており、本発明を限定するものとなることを意図されていない。本明細書において言及されている全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、それらの全体が参照によって本明細書内に組み込まれる。用語において矛盾する場合は、本明細書が優先する。
【0011】
また、本明細書において使用される場合、「及び/又は」は、列挙された1以上の関連項目の任意の及び全てのありうる組み合わせ、並びに選択肢(「又は」)で解釈される場合は組み合わせの欠如を云い且つ包含する。
【0012】
文脈が別段のことを指示しない限り、本明細書に記載されている本発明の様々な特徴は任意の組み合わせで使用できることが明確に意図される。更に、本発明はまた、本発明の幾つかの実施態様において本明細書に記載の任意の特徴又は特徴の組み合わせを排除又は省略できることも企図する。例を示すと、本明細書は、複合体が成分A、成分B及び成分Cを含むことを述べている場合、A、B若しくはCのいずれか、又はそれらの組み合わせが省略され且つ除かれることができることを明確に意図される。
【0013】
本明細書において使用される場合、移行句「から本質的になる」(及びその文法的変形)は、記載されている材料又は工程と、特許請求される発明の「基本的且つ新規な1以上の特性に実質的に影響を及ぼさない材料又は工程」とを包含すると解釈されるべきである。In re Herz, 537 F.2d 549, 551-52, 190 U.S.P.Q. 461, 463 (CCPA 1976)(強調は原文のまま)を参照のこと;また、MPEP第2111.03項を参照のこと。従って、本明細書において使用される場合、語「から本質的になる」は、「含む(comprising)」と等価であると解釈されるべきではない。
【0014】
語「第1」及び「第2」等が様々な要素を記載する為に本明細書において使用されうるが、これらの要素はこれらの語により限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの語は、1つの要素を別の要素から区別する為にのみ使用される。従って、「第1」の要素は、本実施態様の教示から離れること無しに「第2」の要素と称されることができる。
【0015】
本明細書において使用される場合、測定可能な値、例えば量又は濃度等、を云う場合に使用される語「約」は、規定値だけでなく、規定値の±10%、±5%、±1%、±0.5%、更には±0.1%の変動値を包含することが意味される。例えば、「約X」は、Xが測定可能な値である場合に、X、並びにXの±10%、±5%、±1%、±0.5%、あるいは±0.1%の変動を包含することが意味される。本明細書において提供される測定可能な値の範囲は、任意の他の範囲及び/又はその範囲内の個々の値を包含しうる。
【0016】
本明細書において使用される場合、「ハロ」(Halo)は、-F、-Cl、-Br、及び-Iを包含する任意の適切なハロゲン原子を云う。
【0017】
本明細書において使用される場合、「メルカプト」は-SH基を云う。
【0018】
本明細書において使用される場合、「アジド」は、-N3基を云う。
【0019】
本明細書において使用される場合、「シアノ」は、-CN基を云う。
【0020】
本明細書において使用される場合、「ヒドロキシル」は、-OH基を云う。
【0021】
本明細書において使用される場合、「ニトロ」は、-NO2基を云う。
【0022】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「アルキル」は、1~10個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖の炭化水素を云う。アルキルの代表的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル等を包含するが、これらに限定されない。本明細書において使用される場合、「低級アルキル」は、アルキルのサブセットであり、及び、幾つかの実施態様において、1~4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を云う。低級アルキルの代表的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル等を包含するが、これらに限定されない。語「アルキル」又は「低級アルキル」は、特に明記されない限り、置換されたアルキル又は低級アルキル及び置換されていないアルキル又は低級アルキルの両方を包含することが意図されており、並びに、これらの基は、ハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ(それによって、ポリアルコキシ、例えばポリエチレングリコール、を生成する)、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロアルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、メルカプト、アルキル-S(O)m、ハロアルキル-S(O)m、アルケニル-S(O)m、アルキニル-S(O)m、シクロアルキル-S(O)m、シクロアルキルアルキル-S(O)m、アリール-S(O)m、アリールアルキル-S(O)m、ヘテロシクロ-S(O)m、ヘテロシクロアルキル-S(O)m、アミノ、カルボキシ、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、ハロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、二置換アミノ(disubstituted-amino)、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホンアミド、尿素、アルコキシアシルアミノ、アミノアシルオキシ、ニトロ、又はシアノから選択される基で置換されていてもよく、ここで、m=0、1、2又は3である。
【0023】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「アルケニル」は、通常の鎖中に1~4個の二重結合を含むことができる1~10個の炭素原子(又は、低級アルケニル中の1~4個の炭素原子)を含む直鎖又は分岐鎖の炭化水素を云う。アルケニルの代表的な例は、ビニル、2-プロペニル、3-ブテニル、2-ブテニル、4-ペンテニル、3-ペンテニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、2,4-ヘプタジエン等を包含するが、これらに限定されない。語「アルケニル」又は「低級アルケニル」は、特に明記されない限り、置換されたアルケニル又は低級アルケニル及び置換されていないアルケニル又は低級アルケニルの両方を包含することが意図されており、並びに、これらの基は、上記されたアルキル及び低級アルキルに関連して記載されている基で置換されていてもよい。
【0024】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「アルキニル」は、通常の鎖中に1つの三重結合を含む1~10個の炭素原子(又は、低級アルキニル中の1~4個の炭素原子)を含む直鎖又は分岐鎖の炭化水素を云う。アルキニルの代表的な例は、2-プロピニル、3-ブチニル、2-ブチニル、4-ペンチニル、3-ペンチニル等を包含するが、これらに限定されない。語「アルキニル」又は「低級アルキニル」は、特に明記されない限り、置換されたアルキニル又は低級アルキニル及び置換されていないアルキニル又は低級アルキニルの両方を包含することが意図されており、並びに、これらの基は、上記されたアルキル及び低級アルキルに関連して記載されている同じ基で置換されていてもよい。
【0025】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「アルコキシ」は、オキシ基、すなわち-O-、を介して親分子部分に付加された、本明細書において定義されたアルキル基又は低級アルキル基(従って、置換されたバージョン、例えばポリアルコキシ、を包含する)を云う。アルコキシの代表的な例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等を包含するが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「アシル」は、-C(O)R部分(radical)を云い、ここで、Rは、任意の適切な置換基、例えば、アリール、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、又は本明細書において記載されている他の適切な置換基、である。
【0027】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「ハロアルキル」は、本明細書において定義されたアルキル基を介して親分子部分に付加された、本明細書において定義された少なくとも1つのハロゲン原子を云う。ハロアルキルの代表的な例は、クロロメチル、2-フルオロエチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-クロロ-3-フルオロペンチル等を包含するが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「アルキルチオ」は、本明細書において定義されたチオ部分を介して親分子部分に付加された、本明細書において定義されたアルキル基を云う。アルキルチオの代表的な例は、メチルチオ、エチルチオ、tert-ブチルチオ、ヘキシルチオ等を包含するが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「アリール」は、1以上の芳香環を有する、単環式炭素環式環系又は二環式炭素環式縮合環系を云う。アリールの代表的な例は、アズレニル、インダニル、インデニル、ナフチル、フェニル、テトラヒドロナフチル等を包含するが、これらに限定されない。語「アリール」は、特に明記されない限り、置換されたアリール及び置換されていないアリールの両方を包含することが意図されており、並びに、これらの基は、上記されたアルキル及び低級アルキルに関連して記載されている同じ基で置換されていてもよい。
【0030】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「アリールアルキル」は、本明細書において定義されたアルキル基を介して、親分子部分に付加された、本明細書において定義されたアリール基を云う。アリールアルキルの代表的な例は、ベンジル、2-フェニルエチル、3-フェニルプロピル、2-ナフタ-2-イルエチル等を包含するが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書において使用される場合、「アミノ」は、-NH2部分(radical)を意味する。
【0032】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「アルキルアミノ」は-NHR部分(radical)を意味し、ここで、Rはアルキル基である。
【0033】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「アリールアルキルアミノ」は-NHR部分(radical)を意味し、ここで、Rはアリールアルキル基である。
【0034】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「二置換アミノ」は-NRaRb部分(radical)を意味し、ここで、Ra及びRbは独立して、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される。
【0035】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「アシルアミノ」は-NRaRb部分(radical)を意味し、ここで、Ra及びRbは独立して、水素原子、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される。
【0036】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「アシルオキシ」は-OR部分(radical)を意味し、ここで、Rは、本明細書において定義されているアシル基である。
【0037】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「エステル」は-C(O)OR部分(radical)を意味し、ここで、Rは、任意の適切な置換基、例えば、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、又はアリールである。
【0038】
本明細書において使用される場合、「ホルミル」は-C(O)H基を云う。
【0039】
本明細書において使用される場合、「カルボン酸」は-C(O)OH基を云う。
【0040】
本明細書において使用される場合、「スルホキシル」は式-S(O)Rの化合物を云い、ここで、Rは、任意の適切な置換基、例えば、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール、である。
【0041】
本明細書において使用される場合、「スルホニル」は式-S(O)(O)Rの化合物を云い、ここで、Rは、任意の適切な置換基、例えば、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール、である。
【0042】
本明細書において使用される場合、「スルホネート」は式-S(O)(O)ORの化合物を云い、ここで、Rは、任意の適切な置換基、例えば、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、又はアリール、である。
【0043】
本明細書において使用される場合、「スルホン酸」は式-S(O)(O)OHの化合物を云う。
【0044】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「アミド」は-C(O)NRaRb部分(radical)を云い、ここで、Ra及びRbは、任意の適切な置換基、例えば、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール、である。
【0045】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「スルホンアミド」は-S(O)2NRaRb部分(radical)を云い、ここで、Ra及びRbは、任意の適切な置換基、例えば、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロアリール、である。
【0046】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「尿素」は-N(Rc)C(O)NRaRb部分(radical)を云い、ここで、Ra、Rb及びRcは、任意の適切な置換基、例えば、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール、である。
【0047】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「アルコキシアシルアミノ」は-N(Ra)C(O)ORb部分(radical)を云い、ここで、Ra及びRbは、任意の適切な置換基、例えば、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール、である。
【0048】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「アミノアシルオキシ」は-OC(O)NRaRb部分(radical)を云い、ここで、Ra及びRbは、任意の適切な置換基、例えば、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール、である。
【0049】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合、「シクロアルキル」は、3、4又は5~6、7又は8の炭素原子(該炭素は、下記で議論されている複素環式基中で置換されていてもよい)を含む飽和又は部分的に不飽和の環状炭化水素基を云う。シクロアルキルの代表的な例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルを包含する。これら環は任意的に、本明細書において記載されている追加の置換基、例えばハロゲン原子又は低級アルキル、で置換されうる。語「シクロアルキル」は、一般的であり、特に明記されない限り、以下で議論された複素環式基を包含することが意図される。
【0050】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合に、「複素環式基」(heterocyclic group)又は「ヘテロシクロ」は、脂肪族(例えば、完全に又は部分的に飽和したヘテロシクロ)、又は芳香族(例えば、ヘテロアリール)単環式系又は二環式系を云う。単環式系は、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から独立して選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む任意の5員環又は6員環によって例示される。該5員環は0~2個の二重結合を有し、及び該6員環は0~3個の二重結合を有する。単環式系の代表的な例は、アゼチジン、アゼピン、アジリジン、ジアゼピン、1,3-ジオキソラン、ジオキサン、ジチアン、フラン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソチアゾール、イソチアゾリン、イソチアゾリジン、イソキサゾール、イソキサゾリン、イソキサゾリジン、モルホリン、オキサジアゾール、オキサジアゾリン、オキサジアゾリジン、オキサゾール、オキサゾリン、オキサゾリジン、ピペラジン、ピペリジン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、テトラジン、テトラゾール、チアジアゾール、チアジアゾリン、チアジアゾリジン、チアゾール、チアゾリン、チアゾリジン、チオフェン、チオモルホリン、チオモルホリンスルホン、チオピラン、トリアジン、トリアゾール、トリチアン等を包含するが、それらに限定されない。二環式系は、本明細書において定義されるアリール基、本明細書において定義されているシクロアルキル基又は本明細書において定義されている他の単環式系に融合された上記単環式系のいずれかによって例示される。二環式系の代表的な例は例えば、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾピラン、ベンゾチオピラン、ベンゾジオキシン、1,3-ベンゾジオキソール、シンノリン、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、ナフチリジン、イソベンゾフラン、イソベンゾチオフェン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、フタラジン、プリン、ピラノピリジン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、キナゾリン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロキノリン、チオピラノピリジン等を包含するが、それらに限定されない。これらの環は、その四級化誘導体を包含し、且つ下記から選択される基で任意的に置換されていてもよい:ハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロアルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、メルカプト、アルキル-S(O)
m、ハロアルキル-S(O)
m、アルケニル-S(O)
m、アルキニル-S(O)
m、シクロアルキル-S(O)
m、シクロアルキルアルキル-S(O)
m、アリール-S(O)
m、アリールアルキル-S(O)
m、ヘテロシクロ-S(O)
m、ヘテロシクロアルキル-S(O)
m、アミノ、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、ハロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホンアミド、尿素、アルコキシアシルアミノ、アミノアシルオキシ、ニトロ、又はシアノ、ここで、m=0、1、2又は3である。幾つかの実施態様において、該ヘテロシクロ基は、ピリジル基及び/又はイミダゾリル基を包含し、これらの語はそれらの第4級化誘導体を含み、該第4級化誘導体は、第4級ピリジル基及び第4級イミダゾリル基を包含するがこれらに限定されない。ピリジル基及び/又はイミダゾリル基の例は、下記を包含するがこれらに限定されない。
【化1】
ここで、R及びR'は各々、上記の「アルキル」との関連で記載された適切な置換基であり、特に、ヒドロキシ(-OH)、ホスホン酸(-PO
3H
2)又はスルホン酸(-SO
3H)で任意的に置換されていてもよい、アルキル(例えば、メチル、エチル又はプロピル)、アリールアルキル(例えば、ベンジル)であり、ここで、X
-は対イオンである。
【0051】
本明細書において単独で又は別の基の一部として使用される場合に、「スピロアルキル」は、3~8個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖の炭化水素を云う。代表的な例は、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CHCHCH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-等を包含するが、これらに限定されない。語「スピロアルキル」は、特に明記されない限り、置換された「スピロアルキル」及び置換されていない「スピロアルキル」の両方を包含することが意図されており、並びに、これらの基は、下記から選択される基で任意的に置換されていてもよい:ハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロアルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、メルカプト、アルキル-S(O)m、ハロアルキル-S(O)m、アルケニル-S(O)m、アルキニル-S(O)m、シクロアルキル-S(O)m、シクロアルキルアルキル-S(O)m、アリール-S(O)m、アリールアルキル-S(O)m、ヘテロシクロ-S(O)m、ヘテロシクロアルキル-S(O)m、アミノ、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、ハロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホンアミド、尿素、アルコキシアシルアミノ、アミノアシルオキシ、ニトロ、又はシアノ、ここで、m=0、1又は2である。
【0052】
本明細書において使用される場合、「ターゲティング基」、例えば、抗体、タンパク質、ペプチド、及び核酸、は、連結基によって付着されていてもよい。
【0053】
本明細書において使用される場合、「処置」(treatment)は、疾病又は障害の1以上の症状が改善されるか、さもなければ有益に変化するあらゆる様式を意味する。処置はまた、例えば、過増殖組織若しくは新生血管形成が介在する疾病若しくは障害、又は過増殖組織若しくは新生血管形成が関与する疾病若しくは障害を処置する為の使用の為の、本明細書における組成物の任意の医薬的使用を包含する。本明細書において使用される場合に、特定の化合物又は医薬組成物の投与による特定の障害の症状の改善は、永続的であるか又は一時的であるか、持続的であるか又は一過性であるかを問わず、該組成物の投与に起因する可能性がある又は関連付けられる可能性があるあらゆる軽減を云う。
【0054】
本明細書において使用される場合、「プロドラッグ」は、イン・ビボ(in vivo)での投与に応じて、1以上の段階又はプロセスによって代謝されるか、又は他の方法で該化合物の生物学的、医薬的、又は治療的に活性な形態に転化されるところの化合物である。
【0055】
本明細書において使用される場合、「抗体」は一般的に、抗原に特異的に結合して免疫複合体を形成するところの免疫グロブリン又はそのフラグメントを云う。該抗体は、任意のクラスの全免疫グロブリン、例えば、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE、二重若しくは複数の抗原又はエピトープ特異性を有するキメラ抗体又はハイブリッド抗体であってもよい。該抗体は、ポリクローナル抗体であってもよく、幾つかの実施態様において、ヒト又は適切な動物、例えば霊長類、ヤギ、ウサギ、マウス等、からのアフィニティーで精製された抗体であってもよい。モノクローナル抗体がまた本発明における使用の為に適しており、それらの高い特異性故に使用されてもよい。該モノクローナル抗体は、現在では慣用的と考えられている手順、例えば、免疫原性抗原調製による哺乳動物の免疫、免疫リンパ球又は脾臓細胞の不死骨髄腫細胞株との融合、及び特異的ハイブリドーマクローンの単離、によって容易に調製される。より慣用的でないモノクローナル抗体の調製方法、例えば、種間融合及び超可変領域の遺伝子工学的操作、がまた排除されるものでない。なぜならば、それらは、モノクローナル抗体の有用性に影響を与えるのが主として抗体の抗原特異性である為である。モノクローナル抗体の製造の為の新しい技術、例えば、ヒトモノクローナル抗体、種間モノクローナル抗体、キメラ(例えば、ヒト/マウス)モノクローナル抗体及び遺伝子的に操作された抗体等、がまた使用されることができる。
【0056】
本明細書において使用される場合、「感染因子」は、侵入する微生物又は寄生虫を示す。本明細書において使用される場合、「微生物」は、ウイルス、細菌、リケッチア、マイコプラズマ、原虫、真菌等の微生物を示し、及び「寄生虫」は、抗体誘導クリアランス又は溶解性若しくは貪食性破壊に感受性である、感染性の、一般的に微小若しくは非常に小さな多細胞無脊椎動物、例えばマラリア寄生虫及びスピロヘータ等、又はそれらの卵若しくは幼生形態を示す。
【0057】
本明細書において使用される場合、「腫瘍」は、新生物(neoplasm)を示し、並びに良性腫瘍及び悪性腫瘍の両方を包含する。この語は、特に、固形癌(例えば、乳癌、肝臓癌、若しくは前立腺癌)又は非固形癌(例えば、白血病)のいずれかである可能性がある悪性腫瘍を包含する。腫瘍はまた、サブタイプ(subtype)、例えば、腺癌(例えば、乳癌、前立腺癌若しくは肺癌の腺癌)、に更に分けられる。
【0058】
本明細書において使用される場合、「ターゲット」(target)は、本明細書において提供される方法によって、検出され、診断され、損傷され又は破壊されることが意図されているところの対象を示し、ターゲット細胞、ターゲット組織、及びターゲット組成物を包含する。本明細書において使用される場合、「ターゲット組織」及び「ターゲット細胞」は、この処置方法によって損傷され又は破壊されることが意図されているところの組織である。光増感化合物(photosensitizing compound)は、これらのターゲット組織又はターゲット細胞に結合するか、又はターゲット組織又はターゲット細胞中に集まる。その後、十分な放射線が施与されるときに、これらの組織又は細胞は損傷され又は破壊される。ターゲット細胞はターゲット組織中の細胞であり、及びターゲット組織は、血管内皮組織、腫瘍の異常な血管壁、固形腫瘍、例えば(これらに限定されない)、頭頸部の腫瘍、眼の腫瘍、消化管の腫瘍、肝臓の腫瘍、乳房の腫瘍、前立腺の腫瘍、肺の腫瘍、造血組織及びリンパ組織の非固形腫瘍及び悪性細胞、新生血管組織、脈管系における他の病変、骨髄、及び自己免疫疾患に関連する組織又は細胞を包含するがこれらに限定されない。また、ターゲット細胞は、非ターゲット細胞と比較して実質的により迅速な分裂を起こす細胞がある。
【0059】
本明細書において使用される場合、「非ターゲット組織」は、処置方法によって損傷され又は破壊されることが意図されていないところの対象の全ての組織である。これらの非ターゲット組織は、健康な血液細胞、及びターゲットであることが識別されていない他の正常な組織を包含するがこれらに限定されない。
【0060】
本明細書において使用される場合、「ターゲット組成物」は、この処置方法によって損傷され又は破壊されることが意図されている組成物であり、細菌、ウイルス、真菌、原虫、及び毒素、並びにそれらに感染又は浸潤した細胞及び組織を包含するがこれらに限定されない、1以上の病原体を包含しうる。語「ターゲット組成物」はまた、感染性有機粒子、例えば、プリオン、毒素、ペプチド、ポリマー、及びこの処置方法によって損傷され又は破壊されることが意図されている有機ターゲットとして選択的且つ特異的に識別されうるところの他の化合物を包含するがこれらに限定されない。
【0061】
本明細書において使用される場合、「過剰増殖組織」は、制御不能に増殖する組織を意味し、新生物組織、腫瘍、及び抑制不能な血管増殖、例えば、加齢黄斑変性において見られる血管増殖及び緑内障手術後にしばしば生じる血管増殖、を包含する。
【0062】
本明細書において使用される場合、「過剰増殖障害」は、制御されていない又は異常な細胞増殖によって引き起こされる過剰な細胞増殖を基礎病理として共有する状態障害を示し、及び制御されていない血管新生を包含する。そのような過剰増殖障害の例は、癌又は癌腫、急性及び膜増殖性の糸球体腎炎、骨髄腫、乾癬、アテローム性動脈硬化症、乾癬性関節炎、関節リウマチ、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、角膜血管新生、脈絡膜血管腫、翼状片の再発、並びに、エキシマレーザー手術及び緑内障フィルター手術による瘢痕形成を包含するがこれらに限定されない。
【0063】
本明細書において使用される場合、「治療的に有効な量」は、疾病の進行を予防する為に十分な量、若しくは疾病の退行を引き起こすのに十分な量、又は疾病によって引き起こされる症状を緩和することができる量である。
【0064】
本明細書において使用される場合、「照射すること」及び「照射」は、対象をあらゆる波長の光に曝露することを包含する。幾つかの実施態様において、照射波長は、感光性化合物(photosensitive compound)を励起する1以上の波長に一致するように選択される。幾つかの実施態様において、照射波長は、感光性化合物の励起波長に一致し、及び血液タンパク質を包含する、対象の非ターゲット組織による低い吸収を有する。
【0065】
照射(irradiation)は、そのコヒーレンス(coherence)(レーザー)又は非コヒーレンス(non-coherence)(非レーザー)、並びに光増感化合物を用いた投与に関する強度、持続時間及びタイミングによって、本明細書において更に定義される。強度又はフルエンス率(fluence rate)は、光がターゲット組織に到達する為に十分でなければならない。持続時間又は総フルエンス量は、ターゲット組織に作用する為に十分な光増感化合物を光活性化する為に十分でなければならない。該光増感化合物を投与するタイミングは重要である。なぜならば、1)投与された該光増感化合物がターゲット組織上に到達するにはある程度の時間が必要であり;及び、2)多くの光増感化合物の血中濃度は時間と共にともに低下するからである。放射エネルギーは、エネルギー源、例えば、レーザー光源又は冷陰極光源、によって提供されるが、該エネルギー源は、対象の外部にあるエネルギー源、又は該対象内に植え込まれているエネルギー源、又は、例えばカテーテル若しくは光ファイバーによって、対象内に導入されるエネルギー源、又はカプセル若しくは錠剤の形態で光源を摂取することによって対象内に導入されるエネルギー源である(例えば、米国特許第6,273,904号(2001年)明細書に開示されている)。
【0066】
本発明の幾つかの実施態様は、腫瘍を破壊する為の光線力学的療法(PDT:photodynamic therapy)を施す為の光エネルギーの使用に向けられているが、当業者によって理解されるように、他の形態のエネルギーがまた本発明の範囲内である。そのような形態のエネルギーは、熱、音波、超音波、化学物質、光、マイクロ波、電離(例えば、X線及びガンマ線)、機械及び電気を包含するがこれらに限定されない。例えば、ソノダイナミックに誘発又は活性化される剤(sonodynamically induced or activated agent)は、ガリウム-ポルフィリン錯体(Yumita et al.,Cancer Letters 112:79-86 (1997)を参照);他のポルフィリン錯体、例えば、プロトポルフィリン及びヘマトポルフィリン(Umemura et al.,Ultrasonics Sonochemistry 3:S187-S191(1996)を参照);超音波治療の存在下で使用される他の抗癌剤、例えば、ダウノルビシン及びアドリアマイシン(Yumita et al.,Japan J.Hyperthermic Oncology 3(2):175-182(1987)を参照)。
【0067】
本明細書において使用される場合、「カップリング剤」(coupling agent)は、光増感剤(photosensitizer)をターゲット化剤(targeting agent)にカップリングさせることができる試薬を云う。
【0068】
「ターゲティング基」(targeting group)は、処置されるべき対象の身体の特定の組織、レセプター、感染因子又は他の領域、例えば、上記されたようなターゲット組織又はターゲット組成物、に住み着き、及び/又は会合し、及び/又は結合する化合物を云う。ターゲティング基又は作用因子(agent)の例は、抗体、リガンド(例えば、薬)、リガンド-レセプター結合対(ligand-receptor binding pair)のうちの一方のメンバー、核酸、タンパク質及びペプチド、及びリポソーム懸濁物、例えば、組織ターゲット化リポソームを包含する上記のリポソーム懸濁物、を包含するがこれらに限定されない。
【0069】
本明細書において使用される場合、「特異的結合対」(Specific binding pair)及び「リガンド-レセプター結合対」は、2つの異なる分子を云い、ここで、一方の分子が表面上又は空洞内に、他方の分子の特定の空間組織又は極性組織を特異的に引き寄せる又は結合する領域を有し、両分子が互いに親和性を有する。特異的結合対のメンバーは、リガンドとレセプター(アンチリガンド)として言及される。語「リガンド」及び「レセプター」は、リガンド若しくはレセプター全体、又はリガンドとレセプターとの間で結合が生じるのに十分なその部分を包含することが意図されている。リガンドとレセプター結合対の例は、ホルモンとホルモンレセプター、例えば上皮成長因子と上皮成長因子レセプター、腫瘍壊死因子αと腫瘍壊死因子レセプター、及びインターフェロンとインターフェロンレセプター;アビジンとビオチン又はアンチオチン;抗体と抗原の対;酵素と基質;薬剤(drug)と薬剤レセプター(drug receptor);細胞表面抗原とレクチン;2つの相補的核酸鎖;核酸鎖と相補的オリゴヌクレオチド;インターロイキンとインターロイキンレセプター;並びに、刺激因子とそれらのレセプター、例えば顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF:granulocyte-macrophage colony stimulating factor)とGMCSFレセプター;及び、マクロファージコロニー刺激因子(MCSF:macrophage colony stimulating factor)とMCSFレセプター、を包含するがこれらに限定されるものではない。
【0070】
本明細書において使用される場合、「生物学的材料」は、組織(例えば、生検組織)及び細胞の両方、並びに生物学的液体、例えば、血液、尿、血漿、脳脊髄液、粘液、喀痰等を云う。
【0071】
診断及び/又は治療目的の為に本発明の方法によって処置される対象は、ヒト対象及び獣医学目的の為の動物対象(特に、哺乳動物対象、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、サル、チンパンジー等)の両方を包含する。
【0072】
少なくとも1つのヒドロポルフィリンに連結された少なくとも1つのポルフィリンを含む化合物が本発明の実施態様に従って提供される。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、発光化合物である。本明細書において使用される場合、「発光化合物」は、発光することができる化合物を云い、ここで、該化合物は、少なくとも1つのヒドロポルフィリンに連結された少なくとも1つのポルフィリンを含む。例えば、発光化合物は発光することができるが、該発光化合物についての起源状態(例えば、一重項、三重項、及び/又は別の状態)の性質は特定されない。例示的な発光化合物は、燐光及び/又は蛍光を夫々生じる燐光体及び/又は蛍光体を包含するがこれらに限定されない。幾つかの実施態様において、発光化合物は蛍光を発することができる(例えば、蛍光化合物である)。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、第1のポルフィリン及び第1のヒドロポルフィリンを含み、ここで、該第1のポルフィリンは、該第1のヒドロポルフィリンに付着している。幾つかの実施態様において、該第1のポルフィリンは、連結基を介して該第1のヒドロポルフィリンに付着されている。幾つかの実施態様において、該第1のポルフィリンは、直接結合を介して該第1のヒドロポルフィリンに付着されている。幾つかの実施態様において、2以上のポルフィリンが、ヒドロポルフィリン(例えば、第1のヒドロポルフィリン)に(直接的に又は連結基を介してのいずれかで)連結される。本発明の化合物は、ドナーである少なくとも1つのポルフィリンとアクセプターである少なくとも1つのヒドロポルフィリンとを含む。本発明の化合物は、ドナー-アクセプター(例えば、ポルフィリン-ヒドロポルフィリン)エネルギー移動を提供することができ、及び幾つかの実施態様において、ポルフィリン単独のスペクトル特性に基づく蛍光量子収率及び/又はスペクトルについて予想されるよりも高い蛍光量子収率及び/又はより単純な(例えば、より複雑でない)スペクトルを提供することができることが予期せずに発見された。典型的には、ポルフィリンは低い蛍光量子収率及び複雑な発光スペクトル(例えば、2以上の発光ピーク)をすることができる故に、ポルフィリンは適切なドナーであるとは予測されない。
【0073】
本発明の幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、下記の式Ia又は式Ibのうちの1つの構造を有するポルフィリンを含む:
【化2】
、又は、
【化3】
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、及びR
12は各々独立して、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、シクロアルキルアルキニル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルコキシ、ハロゲン原子、メルカプト、アジド、シアノ、ホルミル、カルボン酸、ヒドロキシル、ニトロ、アシル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアルキルアミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホキシル、スルホニル、スルホネート、スルホン酸、スルホンアミド、尿素、アルコキシルアシルアミノ、アミノアシルオキシ、親水性基、連結基、生体共役可能な基、表面付着基、及びターゲティング基からなる群から選択される基であり;又は、
R
1及びR
2は一緒になって、置換されている又は置換されていない縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
3及びR
5は一緒になって、置換されている又は置換されていない縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
4及びR
5は一緒になって、置換されている又は置換されていない縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
4及びR
7は一緒になって、置換されている又は置換されていない縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
7及びR
8は一緒になって、置換されている又は置換されていない縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
9及びR
10は一緒になって、置換されている又は置換されていない縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
10及びR
11は一緒になって、置換されている又は置換されていない縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;及び、
M
1は、存在する場合には金属原子(例えば、亜鉛原子、マグネシウム原子、金原子、アルミニウム原子、ケイ素原子、パラジウム原子、インジウム原子、スズ原子、銅原子、又は白金原子)であり、並びに、
ここで、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、及びR
12のうちの少なくとも1つは、連結基を介する、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介する、該ヒドロポルフィリン又は該ポルフィリンへの付着点である。式Ia又は式Ibの化合物の縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系は、1以上の置換基、例えば、これらに限定されるものではないが下記からなる群から選択される置換基、で置換されていてもよい:ハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ(それによって、ポリアルコキシ、例えばポリエチレングリコール、を生成する)、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロアルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、メルカプト、アルキル-S(O)
m、ハロアルキル-S(O)
m、アルケニル-S(O)
m、アルキニル-S(O)
m、シクロアルキル-S(O)
m、シクロアルキルアルキル-S(O)
m、アリール-S(O)
m、アリールアルキル-S(O)
m、ヘテロシクロ-S(O)
m、ヘテロシクロアルキル-S(O)
m、アミノ、カルボキシ、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、ハロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホンアミド、尿素、アルコキシアシルアミノ、アミノアシルオキシ、ニトロ、及びシアノ、ここで、m=0、1、2又は3である。幾つかの実施態様において、式Ia又は式Ibの化合物の縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系は、エステル又はアミンで置換されていてもよい。
【0074】
幾つかの実施態様において、式Ia又は式IbのR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12のうちの1つは、直接結合を介してヒドロポルフィリンに結合されている。幾つかの実施態様において、式Ia又は式IbのR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12のうちの1つは、ヒドロポルフィリンに結合されている連結基に結合されている。幾つかの実施態様において、式Ia又は式Ibの構造を有する第1のポルフィリンは、式Ia又は式IbのR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12のうちの1つで、該第1のポルフィリンと同じ構造又は異なる構造を任意的に有していてもよい第2のポルフィリンへの直接結合を介して該第2のポルフィリンに結合されている。幾つかの実施態様において、式Ia又は式Ibの構造を有する第1のポルフィリンは式Ia又は式IbのR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12のうちの1つで連結基に結合されており、並びに、該連結基は、該第1のポルフィリンと同じ構造又は異なる構造を任意的に有していてもよい第2のポルフィリンに付着されている。幾つかの実施態様において、式Ia又は式IbのR3、R6、R9及びR12のうちの1以上は独立して、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。幾つかの実施態様において、式Ia又は式IbのR6は、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。
【0075】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、式Iaの構造を有するポルフィリンを含む。式Iaのポルフィリンは、ポルフィリンの中央において金属イオンを欠いており(例えば、該ポルフィリンの空洞/コアにおいて金属イオンを欠いている)、従って、遊離塩基形態である。式Iaのポルフィリンはまた、本明細書において遊離塩基ポルフィリンとして言及されうる。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は式Ibの構造を有するポルフィリンを含み、及びM1は金属であり、該金属は任意的に、亜鉛原子、マグネシウム原子、金原子、アルミニウム原子、ケイ素原子、パラジウム原子、インジウム原子、スズ原子、銅原子、又は白金原子でありうる。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、式Ibの構造を有するポルフィリンを含み、及びM1は亜鉛である。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は式Ibの構造を有するポルフィリンを含み、及びM1はマグネシウムである。
【0076】
本発明の幾つかの実施態様において、式Ia又は式IbのR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12は各々独立して、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、シクロアルキルアルキニル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルコキシ、ハロゲン原子、メルカプト、アジド、シアノ、ホルミル、カルボン酸、ヒドロキシル、ニトロ、アシル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアルキルアミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホキシル、スルホニル、スルホネート、スルホン酸、スルホンアミド、尿素、アルコキシルアシルアミノ、アミノアシルオキシ、親水性基、連結基、生体共役可能な基、表面付着基、及びターゲティング基からなる群から選択され、並びに、M1は、存在する場合には金属原子(例えば、亜鉛原子、マグネシウム原子、金原子、アルミニウム原子、ケイ素原子、パラジウム原子、インジウム原子、スズ原子、銅原子、又は白金原子)であり、ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12のうちの少なくとも1つは、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。
【0077】
本発明の特定の実施態様において、式Ia又は式IbのR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ、シアノ、カルボン酸、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アシルオキシ、スルホニル、スルホキシル、アミノ、アミド、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アルコキシ、エステル、フェニル、置換フェニル(substituted phenyl)、表面付着基、連結基、生体共役可能な基、ターゲティング基、親水性基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、及びここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12のうちの少なくとも1つは、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されており、任意的に、ここで、R3、R6、R9、及びR12のうちの1つは、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。幾つかの実施態様において、R3、R6、R9、及びR12のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子、カルボキシ、シアノ、カルボン酸、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アシルオキシ、スルホニル、スルホキシル、アミノ、アミド、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アルコキシ、エステル、フェニル、置換フェニル、表面付着基、連結基、生体共役可能な基、ターゲティング基、又は親水性基であり、並びにR3、R6、R9、及びR12のうちの1つは、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。
【0078】
本発明の幾つかの実施態様において、式Ia又は式IbのR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12は各々独立して、水素原子、アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル)、安息香酸アルキル,(例えば、4-安息香酸メチル、4-安息香酸エチル)、フェニル(例えば、置換された又は置換されていないフェニル)、カルボキシ(アルキル又はエステル)アルキルフェニル(例えば、3-(4-カルボキシブチル)フェニル)、トリメチルフェニル(例えば、メシチル)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、任意的に、ここで、R3、R6、R9、及びR12のうちの1つは、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。幾つかの実施態様において、R3、R6、R9、及びR12のうちの少なくとも1つは、アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル)、安息香酸アルキル(例えば、4-安息香酸メチル、4-安息香酸エチル)、フェニル(例えば、置換された又は置換されていないフェニル)、カルボキシ(アルキル又はエステル)アルキルフェニル(例えば、3-(4-カルボキシブチル)フェニル)、又はトリメチルフェニル(例えば、メシチル)であり、並びにR3、R6、R9、及びR12のうちの1つは、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。
【0079】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は式Ia又は式Ibの構造を有するポルフィリンを含み、及び該ポルフィリンは405nmで励起される。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は式Ia又は式Ibポルフィリンを含み、及び該ポルフィリンは488nmで励起される。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は式Ia又は式Ibの構造を有するポルフィリンを含み、及び該ポルフィリンは407nmで励起される。
【0080】
本発明の幾つかの実施態様において、式Ia又は式Ibの化合物は、2以下のアリール基又はヘテロアリール置換基を含む。幾つかの実施態様において、式Ia又は式Ibのポルフィリンは、1又は2のアリール置換基を有する。幾つかの実施態様において、式Ia又は式Ibのポルフィリンは、1又は2のヘテロアリール置換基を有する。幾つかの実施態様において、式Ia又は式Ibの化合物は、2以上のアリール基又はヘテロアリール置換基を含む。例えば、例示的なポルフィリン(例えば、約488nmで励起されることができるポルフィリン)は、下記の式Ib”の構造を有しうる。
【化4】
ここで、M
1は金属原子(例えば、亜鉛原子、マグネシウム原子、金原子、アルミニウム原子、ケイ素原子、パラジウム原子、インジウム原子、スズ原子、銅原子、又は白金原子)であり、並びに式Ib”のR
1b、R
2b、R
3b、R
4b、R
5b、R
6b、R
7b、R
8b、R
9b、R
10b、R
11b、及びR
12bは各々独立して、水素原子、置換基(例えば、アルキル、エステル、若しくはアミン)、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合である。幾つかの実施態様において、式Ib”のR
1b、R
2b、R
4b、R
5b、R
7b、R
8b、R
10b、及びR
11bは各々独立して、水素原子、エステル、又はアミンであり、並びに式Ib”のR
3b、R
6b、R
9b、及びR
12bは各々独立して、水素原子、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合であり、ここで、式Ib”のR
3b、R
6b、R
9b、及びR
12bのうちの1以上が、ヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合である。幾つかの実施態様において、式Ib”のポルフィリンが約488nmで励起される。
【0081】
幾つかの実施態様において、ポルフィリン(例えば、約445nmで励起されることができるポルフィリン)は、下記の式Ia’’’の構造を有しうる。
【化5】
ここで、式Ia’’’のR
1c、R
2c、R
3c、R
4c、R
5c、R
6c、R
7c、R
8c、R
9c、R
10c、R
11c、及びR
12cは各々独立して、水素原子、置換基(例えば、アルキル、エステル、若しくはアミン)、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合である。幾つかの実施態様において、式Ia’’’のR
1c、R
2c、R
3c、R
4c、R
5c、R
7c、R
8c、R
10c、及びR
11cのうちの1以上は各々独立して、水素原子又はエステルである。幾つかの実施態様において、式Ia’’’のR
1c、R
2c、R
3c、R
4c、R
5c、R
7c、R
8c、R
10c、及びR
11cのうちの1以上は、エステル、任意的にアルキルエステル、である。幾つかの実施態様において、式Ia’’’のR
1c、R
2c、R
3c、R
4c、R
5c、R
7c、R
8c、R
10c、及びR
11cのうちの1以上は-CO
2(アルキル)であり、任意的に、ここで、該アルキルは、メチル、エチル、プロピル、又はブチル(例えば、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、又はtert-ブチル)である。幾つかの実施態様において、式Ia’’’のR
1c、R
2c、R
3c、R
4c、R
5c、R
7c、R
8c、R
10c、及びR
11cは各々独立して、-CO
2CH
3又は-CO
2(CH
2)
3CH
3である。幾つかの実施態様において、式Ia’’’のR
3c、R
6c、R
9c、及びR
12cのうちの少なくとも1つは、連結基(例えば、フェニルを含む連結基)を介してヒドロポルフィリンに結合され、又はヒドロポルフィリンへの直接結合を介して該ヒドロポルフィリンに結合される。幾つかの実施態様において、式Ia”’のポルフィリンは約445nmで励起される。幾つかの実施態様において、式Ib”’のポルフィリンは約447nmで励起される。
【0082】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物はヒドロポルフィリンを含み、及び該ヒドロポルフィリンはクロリンである。幾つかの実施態様において、本発明の化合物はヒドロポルフィリンを含み、及び該ヒドロポルフィリンはバクテリオクロリンである。幾つかの実施態様において、該バクテリオクロリンは、イソバクテリオクロリン又はアザバクテリオクロリンである。
【0083】
本発明の幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、下記の式IIa~式IIdのうちの1つの構造を含むヒドロポルフィリンを含む。
【化6】
【化7】
【化8】
、又は、
【化9】
ここで、
R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、R
31、R
32、R
33、及びR
34は各々独立して、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、シクロアルキルアルキニル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルコキシ、ハロゲン原子、メルカプト、アジド、シアノ、ホルミル、カルボン酸、ヒドロキシル、ニトロ、アシル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアルキルアミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホキシル、スルホニル、スルホネート、スルホン酸、スルホンアミド、尿素、アルコキシルアシルアミノ、アミノアシルオキシ、親水性基、連結基、生体共役可能な基、表面付着基、及びターゲティング基からなる群から選択され;又は、
R
20及びR
21は一緒になって、=O若しくはスピロアルキルであり;又は、
R
22及びR
23は一緒になって、=O若しくはスピロアルキルであり;又は、
R
28及びR
33は一緒になって、=O若しくはスピロアルキルであり;又は、
R
29及びR
33は一緒になって、=O若しくはスピロアルキルであり;又は、
R
24及びR
25は一緒になって、置換された又は置換されていない縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
25及びR
26は一緒になって、置換された又は置換されていない縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
26及びR
27は一緒になって、置換された又は置換されていない縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
30及びR
31は一緒になって、置換された又は置換されていない縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
31及びR
32は一緒になって、置換された又は置換されていない縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;又は、
R
32及びR
33は一緒になって、置換された又は置換されていない縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系を表し;並びに、
M
2は、存在する場合には金属原子(例えば、亜鉛原子、マグネシウム原子、金原子、アルミニウム原子、ケイ素原子、パラジウム原子、インジウム原子、スズ原子、銅原子、又は白金原子)であり;並びに、
ここで、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、R
31、R
32、R
33、及びR
34のうちの少なくとも1つは、連結基を介する、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介する、該ヒドロポルフィリン又は該ポルフィリンへの付着点である。式IIa~式IIdの化合物の縮合芳香族環系又はヘテロ芳香族環系は、1以上の置換基、例えば、これらに限定されるものではないが下記からなる群から選択される置換基、で置換されていてもよい:ハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ(それによって、ポリアルコキシ、例えばポリエチレングリコール、を生成する)、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロアルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、メルカプト、アルキル-S(O)
m、ハロアルキル-S(O)
m、アルケニル-S(O)
m、アルキニル-S(O)
m、シクロアルキル-S(O)
m、シクロアルキルアルキル-S(O)
m、アリール-S(O)
m、アリールアルキル-S(O)
m、ヘテロシクロ-S(O)
m、ヘテロシクロアルキル-S(O)
m、アミノ、カルボキシ、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、ハロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホンアミド、尿素、アルコキシアシルアミノ、アミノアシルオキシ、ニトロ、及びシアノ、ここで、m=0、1、2又は3である。
【0084】
幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdのR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、及びR34のうちの1つは、直接結合を介してポルフィリンに結合されている。幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdのR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、及びR34のうちの1つは、ポルフィリンに結合されている連結基に結合されている。幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdの構造を有する第1のヒドロポルフィリンは、式IIa~式IIdのR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、及びR34のうちの1つで、該第1のヒドロポルフィリンと同じ構造又は異なる構造を任意的に有していてもよい第2のヒドロポルフィリンへの直接結合を介して該第2のヒドロポルフィリンに結合されている。幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdの構造を有する第1のヒドロポルフィリンは、式Ia又は式IbのR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、及びR34のうちの1つで連結基に結合されており、並びに、該連結基は、該第1のヒドロポルフィリンと同じ構造又は異なる構造を任意的に有していてもよい第2のヒドロポルフィリンに付着されている。
【0085】
幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdのR24、R25、R26、R27、R30、R31、R32、及びR33のうちの少なくとも1つは独立して、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdのR24、R25、R26、R27、R30、R31、R32、及びR33の2以上(例えば、2、3、4、5、6、7又は8)は独立して、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdのR24、R27、R30、及びR33のうちの1つは、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdのR25及びR26のうちの1つは、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdのR31及びR32のうちの1つは、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdのR30は、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されており、任意的に、ここで、該化合物は、式IIa又は式IIbの構造を有する。幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdのR33は、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されており、任意的に、ここで、該化合物は、式IIc又は式IIdの構造を有する。幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdのR32は、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdのR26は、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdのR25及びR31は各々独立して、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdのR26及びR32は各々独立して、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。
【0086】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、式IIa~式IIdのR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、又はR34のうちの1つで、式Ia又は式IbのR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、又はR12への直接結合を介して式Ia又は式Ibの構造を有するポルフィリンに結合されている式IIa~式IIdの構造を有するヒドロポルフィリンを含む。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、式IIa~式IIdのR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、又はR34に結合されている連結基を介して式Ia又は式Ibの構造を有するポルフィリンに結合されている式IIa~式IIdの構造を有するヒドロポルフィリンを含み、及び該連結基は、式Ia又は式IbのR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、又はR12に結合されている。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、式IIa~式IIdのR24、R25、R26、R27、R30、R33、R31、又はR32に結合されている連結基を介して式Ia又は式Ibの構造を有するポルフィリンに結合されている式IIa~式IIdの構造を有するヒドロポルフィリンを含み、及び該連結基は、式Ia又は式IbのR3、R6、R9、又はR12に結合されている。
【0087】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、式IIaの構造を有するヒドロポルフィリンを含む。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、式IIbの構造を有するヒドロポルフィリンを含み、及びM1は金属であり、該金属は任意的に、亜鉛原子、マグネシウム原子、金原子、アルミニウム原子、ケイ素原子、パラジウム原子、インジウム原子、スズ原子、銅原子、又は白金原子でありうる。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、式IIcの構造を有するヒドロポルフィリンを含む。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は式IIdの構造を有するヒドロポルフィリンを含み、及びM1は金属であり、該金属は任意的に、亜鉛原子、マグネシウム原子、金原子、アルミニウム原子、ケイ素原子、パラジウム原子、インジウム原子、スズ原子、銅原子、又は白金原子でありうる。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、式IIb又は式IIdの構造を有するヒドロポルフィリンを含み、及びM1は亜鉛である。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は式IIb又は式IIdの構造を有するヒドロポルフィリンを含み、及びM1はマグネシウムである。式IIaのヒドロポルフィリン及び式IIcのヒドロポルフィリンは各々、ヒドロポルフィリンの中央において金属イオンを欠いており(例えば、該ヒドロポルフィリンの空洞/コアにおいて金属イオンを欠いている)、従って、各々は遊離塩基形態である。式IIa及び/又は式IIcのヒドロポルフィリンはまた、本明細書において遊離塩基ヒドロポルフィリンとして言及されうる。
【0088】
本発明の幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdのR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、及びR34は各々独立して、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、シクロアルキルアルキニル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルコキシ、ハロゲン原子、メルカプト、アジド、シアノ、ホルミル、カルボン酸、ヒドロキシル、ニトロ、アシル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアルキルアミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホキシル、スルホニル、スルホネート、スルホン酸、スルホンアミド、尿素、アルコキシルアシルアミノ、アミノアシルオキシ、親水性基、連結基、生体共役可能な基、表面付着基、及びターゲティング基からなる群から選択され、並びにここで、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、及びR34のうちの少なくとも1つは、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。
【0089】
本発明の幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdのR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、及びR34は各々独立して、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、シクロアルキルアルキニル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルコキシ、ハロゲン原子、メルカプト、アジド、シアノ、ホルミル、カルボン酸、ヒドロキシル、ニトロ、アシル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアルキルアミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホキシル、スルホニル、スルホネート、スルホン酸、スルホンアミド、尿素、アルコキシルアシルアミノ、アミノアシルオキシ、親水性基、連結基、生体共役可能な基、表面付着基、及びターゲティング基からなる群から選択され、並びにここで、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、及びR34のうちの少なくとも1つは、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。
【0090】
本発明の幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdのR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、及びR34は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ、シアノ、カルボン酸、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アシルオキシ、スルホニル、スルホキシル、アミノ、アミド、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アルコキシ、エステル、フェニル、置換フェニル、表面付着基、連結基、生体共役可能な基、ターゲティング基、親水性基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、並びにここで、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、及びR34のうちの少なくとも1つは、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。幾つかの実施態様において、R24、R25、R26、R27、R30、及びR33のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子、カルボキシ、シアノ、カルボン酸、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アシルオキシ、スルホニル、スルホキシル、アミノ、アミド、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アルコキシ、エステル、フェニル、置換フェニル、表面付着基、連結基、ターゲティング基、又は親水性基であり;並びに、R24、R25、R26、R27、R30、R33、R31、及びR32のうちの少なくとも1つは、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。
【0091】
本発明の幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdのR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、及びR34は各々独立して、水素原子、フェニル、ハロフェニル、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ)、アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル)、安息香酸アルキル,(例えば、4-安息香酸メチル、4-安息香酸エチル)、カルボキシ(アルキル又はエステル)アルキルフェニル(例えば、3-(4-カルボキシブチル)フェニル)、トリメチルフェニル(例えば、メシチル)、アルキルカルボン酸、アルキルアルキルエステル,(アルキルエステル)フェニルエチニル、連結基、生体共役可能な基、表面付着基、ターゲティング基、又はそれらの組み合わせからなる群から選択され、並びにここで、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、及びR34のうちの少なくとも1つは、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。幾つかの実施態様において、R24、R25、R26、R27、R30、及びR33のうちの少なくとも1つは、フェニル、ハロフェニル、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ)、アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル)、安息香酸アルキル(例えば、4-安息香酸メチル、4-安息香酸エチル)、カルボキシ(アルキル又はエステル)アルキルフェニル(例えば、3-(4-カルボキシブチル)フェニル)、トリメチルフェニル(例えば、メシチル)、アルキルカルボン酸、アルキルアルキルエステル、(アルキルエステル)フェニルエチニル、連結基、生体共役可能な基、表面付着基、又はターゲティング基であり;並びに、R24、R25、R26、R27、R30、R33、R31、及びR32のうちの1つは、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。
【0092】
幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdのR
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27、R
28、R
29、R
30、R
31、R
32、R
33、及びR
34のうちの少なくとも1つは、下記の式A又は式Bの構造を有する。
【化10】
【化11】
【0093】
幾つかの実施態様において、式IIa~式IIdの化合物において、R24、R25、R26、R27、R30、及びR33のうちの少なくとも1つは、式Aの構造又は式Bの構造を有し、並びにR24、R27、R30、R33、R31、及びR32のうちの1つは、連結基を介して、又はヒドロポルフィリン若しくはポルフィリンへの直接結合を介して、該ヒドロポルフィリン若しくは該ポルフィリンに結合されている。
【0094】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、ポルフィリンのメソ位で且つヒドロポルフィリンのベータ位で、直接結合を介して又は連結基を介して該ヒドロポルフィリンに結合されているポルフィリンを含む。このように、特定の実施態様において、本発明の化合物は、式Ia又は式Ibの構造を有するポルフィリンに付着されているヒドロポルフィリンを含んでいてもよく、ここで、該ヒドロポルフィリン(任意的に、該ヒドロポルフィリンのベータ位で)は、式Ia又は式IbのR3、R6、R9、又はR12に(直接結合又は連結基を介して)付着されている。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、ポルフィリンのメソ位で且つヒドロポルフィリンのメソ位で、直接結合を介して又は連結基を介して該ヒドロポルフィリンに結合されているポルフィリンを含む。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、ポルフィリンのベータ位で且つヒドロポルフィリンのメソ位で、直接結合又は連結基を介してヒドロポルフィリンに結合されているポルフィリンを含む。本発明の幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、ヒドロポルフィリンのベータ位で且つポルフィリンのベータ位で、直接結合を介して又は連結基を介して該ポルフィリンに結合されている該ヒドロポルフィリンを含む。
【0095】
本発明の幾つかの実施態様において、本発明の化合物は式IIa又は式IIbの構造を有する第1のヒドロポルフィリンを含み、及びR32は第1のポルフィリン(例えば、式Ia又は式Ibの構造を有する)への直接結合であり、又は該第1のポルフィリンに結合されている連結基への結合であり;並びに、R30は生体共役可能な基、例えば、カルボン酸又はそのエステル、アミン、イソチオシアネート、イソシアネート、マレイミド、及びヨードアセトアミド、である。幾つかの実施態様において、式IIa又は式IIbのR30は式A又は式Bの構造を有する。
【0096】
本発明の幾つかの実施態様において、本発明の化合物は式IIc又は式IIdの構造を有する第1のヒドロポルフィリンを含み、及びR32は第1のポルフィリン(例えば、式Ia又は式Ibの構造を有する)への直接結合であり、又は該第1のポルフィリンに結合されている連結基への結合であり;並びに、R30は生体共役可能な基、例えば、カルボン酸又はそのエステル、アミン、イソチオシアネート、イソシアネート、マレイミド、及びヨードアセトアミド、である。幾つかの実施態様において、式IIc又は式IIdのR30は式A又は式Bの構造を有する。
【0097】
本発明の幾つかの実施態様において、本発明の化合物は式IIa又は式IIbの構造を有する第1のヒドロポルフィリンを含み、並びにR20、R21、R22、及びR23は各々独立して、水素原子又はアルキル(例えば、メチル)である。幾つかの実施態様において、式IIa又は式IIbのR20、R21、R22、及びR23のうちの1つ、2つ、3つ又は全てが、アルキル(例えば、メチル)である。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は式IIc又は式IIdの構造を有する第1のヒドロポルフィリンを含み、並びに、R20、R21、R22、R23、R28、R29、R33、及びR34は各々独立して、水素原子又はアルキル(例えば、メチル)である。幾つかの実施態様において、式IIc又は式IIdのR20、R21、R22、R23、R28、R29、R33、及びR34のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は全てが、アルキル(例えば、メチル)である。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、各還元されたピロリン環中にジェミナルジアルキル基を有する第1のヒドロポルフィリン(例えば、式IIa~式IIdのうちの1つの構造を有するヒドロポルフィリン)を含み、任意的に、ここで、該ヒドロポルフィリンはジェミナルジメチル基を含む。
【0098】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、1以上のポルフィリン(例えば、1、2、3、4、又はそれ以上のポルフィリン)を含む。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、第1のポルフィリン、第2のポルフィリン及び第1のヒドロポルフィリンを含み、任意的に、ここで、該第1のヒドロポルフィリンはクロリン又はバクテリオクロリンである、幾つかの実施態様において、第1のヒドロポルフィリンは、第1のポルフィリンと第2のポルフィリンとの間にある。幾つかの実施態様において、第2のポルフィリンは、第1のポルフィリンと第1のヒドロポルフィリンとの間にある。本発明の特定の実施態様において、該第1のポルフィリン及び/又は第2のポルフィリンは式Iaの構造を有し、及び/又は該第1のヒドロポルフィリンは式IIa又は式IIcの構造を有する。本発明の幾つかの実施態様において、該第1のポルフィリン及び/又は第2のポルフィリンは式Iaの構造を有し及び/又は該第1のヒドロポルフィリンは式IIb又は式IIdの構造を有し、任意的に、ここで、M1及び/又はM2は亜鉛又はマグネシウムである。本発明の特定の実施態様において、該第1のポルフィリン及び/又は第2のポルフィリンは式Ibの構造を有し、及び/又は該第1のヒドロポルフィリンは式IIb又は式IIdの構造を有し、任意的に、ここで、M1及び/又はM2は亜鉛又はマグネシウムである。本発明の幾つかの実施態様において、該第1のポルフィリン及び/又は第2のポルフィリンは式Ibの構造を有し、及び/又は該第1のヒドロポルフィリンは式IIa又は式IIcの構造を有する。
【0099】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、少なくとも1つのヒドロポルフィリン(例えば、式IIa~式IIdのうちの1つの構造を有する)に連結されているポルフィリン(例えば、式Ia又は式Ibの構造を有する)の大きなクラスタ又はアレイを含みうる。例えば、幾つかの実施態様において、任意的にポルフィリン環のメソ位でアクセプターとしてヒドロポルフィリンと連結されていてもよく、任意的にヒドロポルフィリン環のベータ位で連結されていてもよいヒドロポルフィリンを有する(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の)ポルフィリンの線状アレイが提供される。幾つかの実施態様において、該ヒドロポルフィリンは、該化合物の末端(end)(例えば、終端(terminus))である。他の例として、化合物は、ポルフィリンのエネルギーがアクセプターであるヒドロポルフィリンに漏れるように、該ポルフィリン環のメソ位で任意的に連結されていてもよく、任意的に該化合物の中心で該ヒドロポルフィリンに付着され、及びヒドロポルフィリン環のベータ位で任意的に連結されていてもよい、(例えば、4、5、6、7、8、又はそれ以上の)ポルフィリンの樹枝状(dendritic)クラスタを含んでもよい。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、ポルフィリンのエネルギーがアクセプターであるヒドロポルフィリンに漏れるように、該ポルフィリン環のメソ位で任意的に連結されていてもよく、ヒドロポルフィリンに付着され、該ヒドロポルフィリン環のベータで任意的に連結されていてもよい、複数のポルフィリン(例えば、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上)を有する星形(star shaped)構造を含む。
【0100】
幾つかの実施態様において、2以上のポルフィリンがヒドロポルフィリンに付着される場合に、該ヒドロポルフィリンは、直接結合又は連結基を介して、ヒドロポルフィリン環上のベータ位で、複数の該ポルフィリンの各々に付着されている。幾つかの実施態様において、2以上のポルフィリンの各々は、直接結合又は連結基を介して、ポルフィリン環のメソ位でヒドロポルフィリンに付着されている。
【0101】
本明細書において使用される場合に、「連結基」(linking group)、「リンカー」(linker)、及び「付着部」(attachement moiety)は、本明細書において互換的に使用され、及びコンジュゲーション(conjugation)の為の反応性部位を提供する官能基、及び/又は(例えば)2つの化合物を付着させる(例えば、ポルフィリンとヒドロポルフィリンとを付着させる為に使用される及び/又は付着させることを容易にする)為に使用される官能基を云う。幾つかの実施態様において、連結基は、ポルフィリンをヒドロポルフィリンに付着させ、ポルフィリンを別のポルフィリンに付着させ、又はヒドロポルフィリンを別のヒドロポルフィリンに付着させる(ポルフィリン及びヒドロポルフィリンが総称して、本明細書において複素環式大環状分子(heterocyclic macrocycle)として言及されうる)。上記されているように、幾つかの実施態様において、本発明の化合物中の複数の複素環式大環状分子の間に連結基は存在しない。しかしながら、幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、複数の該大環状分子のうちの少なくとも2つの間(例えば、第1のポルフィリンと第1のヒドロポルフィリンとの間)に連結基を含み、及び該連結基は、2つの大環状分子を付着する。幾つかの実施態様において、該連結基は、少なくとも1つの置換基(例えば、エチニル)を含み、この置換基は、置換基がない場合の化合物の発光波長と比較して、該化合物の発光波長を変更しうる。幾つかの実施態様において、該連結基は、生体共役反応の為の少なくとも1つの部位(例えば、官能基又は置換基)を含む。
【0102】
本発明の幾つかの実施態様において、2つの複素環式大環状分子(例えば、第1のポルフィリンと第1のヒドロポルフィリン)の間の連結基は、アルキル基(例えば、C1~C20アルキル基)、アルケニル基(例えば、C2~C20アルケニル基)、アルキニル基(例えば、C2~C20アルキニル基)、シクロアルキル基(例えば、C3~C20シクロアルキル基)、アリール基、アルケニルアリール基、アルキニルアリール基、アルキニルアルキニル基、ヘテロシクロ基、ヘテロアリール基、アミノ基、アミド基、及び/又はペプチジル基であり、それらの各々は、置換されていてもよく、又は置換されていなくてもよい。幾つかの実施態様において、該連結基は、核酸(例えば、RNA及び/又はDNA、例えば一本鎖DNA(ssDNA:single stranded DNA))、ポリマー、生体分子(例えば、ペプチド等)、アルキル(例えば、C1~C20アルキル)、アルケニル(例えば、C2~C20アルケニル)、アルキニル(例えば、C2~C20アルキニル)、シクロアルキル(例えば、C3~C20シクロアルキル)、アリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキニルアルキニル、ヘテロシクロ、ヘテロアリール、アミノ、アミド、及びそれらの任意の組み合わせである。幾つかの実施態様において、該リンカーは、核酸、任意的にDNA、を含む。幾つかの実施態様において、該リンカーは、任意的に置換されていてもよく又は置換されていなくてもよい、エチン基、エタン基、p-フェニレン基、4,4’-ビフェニル基、4,4”-ターフェニル(terphenyl)基、1,4-ジフェニルエチン基、フェニルエチン基、チエニル基、又はペプチジル基である。幾つかの実施態様において、該リンカーは、任意的に置換されていてもよく又は置換されていなくてもよいフェニルエチンである。幾つかの実施態様において、連結基は、芳香族基又は脂肪族基(それらは、置換されていてもよく又は置換されていなくてもよく、任意的にヘテロ原子、例えば、N、O、又はS、を含んでいてもよい)、例えば、限定されるものではないが、アリール、アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアルキル(例えば、オリゴエチレングリコール)、ペプチド、及び/又は多糖リンカーである。
【0103】
本発明の化合物におけるドナーからアクセプターへのエネルギー移動は、結合を通じて生じてもよく(すなわち、結合エネルギー移動を通じて(TBET:through bond energy transfer))、又は空間を通じて生じうる。本発明の化合物における2つの複素環式大環状分子の間の連結基は、エネルギー移動のタイプに影響しうる。幾つかの実施態様において、本発明の化合物におけるドナー(例えば、ポルフィリン)からアクセプター(例えば、ヒドロポルフィリン)へのエネルギー移動は、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET:Forster resonance energy transfer)を介して生じる。幾つかの実施態様において、本発明の化合物におけるエネルギー移動は、FRETを介して行われ、及び該化合物は、少なくとも1つの、及び幾つかの実施態様においては少なくとも2つの、回転可能な結合を含む連結基を含む。幾つかの実施態様において、本発明の化合物におけるドナー(例えば、ポルフィリン)からアクセプター(例えば、ヒドロポルフィリン)へのエネルギー移動は、デクスターエネルギー移動(Dexter energy transfer)を介して生じる。デクスターエネルギー移動が本発明の化合物において生じる場合に、該化合物中に存在するリンカーは、コンジュゲーション(conjugation)及び/又は電子非局在化(electron delocalization)を提供しうる。
【0104】
連結基の非限定的な例は、下記を包含する:
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
ここで、
【化18】
は、別の化合物(例えば、ポルフィリン又はヒドロポルフィリン)への付着点である。幾つかの実施態様において、上記の1以上の例示的なリンカーにおける左の付着点は、ポルフィリンに付着されており、及び上記の1以上の例示的なリンカーにおける右の付着点は、ヒドロポルフィリンに付着されている。
【0105】
幾つかの実施態様において、連結基は、本発明の化合物の少なくとも一部分を別の化合物又は物体に付着させる。「連結基」は、本発明の化合物中の2以上の複素環式大環状分子を連結してもよく、及び幾つかの実施態様において、連結基は、本発明の化合物を異なる化合物又は物体に接続する為に、代替的に又は追加的に使用されてもよい。例えば、本発明の化合物は、該化合物が他の化合物又は基、例えば、タンパク質、ペプチド、ターゲット化剤(例えば、抗体)、ポリマー、粒子(例えば、ナノ粒子、有機ビーズ、ポリマービーズ又は無機ビーズ、他の固体支持体表面等)等に結合及び/又はコンジュゲートされうるように、コンジュゲーション(conjugation)の為の反応性部位を提供する連結基を含みうる。幾つかの実施態様において、これらの他の化合物又は基は、任意的に連結基、例えば、アリール、アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアルキル(例えば、オリゴエチレングリコール)、ペプチド、多糖官能基等を包含する上記の連結基を介して、本発明の化合物の該連結基に付着されうる。該連結基は、単に反応性付着基(例えば、-R'、ここで、R'は反応性基、例えばブロモ、である)であってもよく、又は反応性基と結合した介在基(例えば、-R"R'、ここで、R'は反応性基であり、及びR'は介在基、例えば親水性基、である)の組み合わせを含みうる。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、該化合物の少なくとも1つの複素環式大環状分子に、及びタンパク質、ペプチド、ターゲット化剤(例えば、抗体)、ポリマー、又は粒子(例えば、ナノ粒子、有機ビーズ、ポリマービーズ、又は無機ビーズ、他の固体支持体表面等)に付着する第1の連結基を含んでいてもよく、及び該化合物は任意的に、2つの複素環式大環状分子を付着する第2の連結基を含みうる。
【0106】
生体共役反応(bioconjugation)を目的とする場合、1以上の水可溶化基と共役基(conjugation group)との選択は、直交カップリング(orthogonal coupling)を達成するように行われうる。例えば、カルボン酸が水溶性のために使用される場合、アルデヒドが(アミノ置換生体分子との還元的アミノ化を介して)生体共役反応のために使用されうる。カルボン酸が(カルボジイミド活性化及びアミノ置換生体分子とのカップリングを介して)生体共役反応の為に使用される場合、相補基が水溶性の為に使用されうる(例えば、スルホン酸、グアニジニウム、ピリジニウム)。生体共役可能な基は、カルボン酸又はそれらのエステル、アミン(アミン誘導体を包含する)、例えば、イソシアネート、イソチオシアネート、ヨードアセトアミド、アジド、ジアゾニウム塩等、又は酸若しくは酸誘導体、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(より一般的には、カルボン酸から誘導される活性エステル;例えば、p-ニトロフェニルエステル)、酸ヒドラジド等、及び他の連結基、例えば、アルデヒド、スルホニルクロリド、スルホニルヒドラジド、エポキシド、ヒドロキシル基、チオール基、マレイミド、アジリジン、アクリロイル、ハロ基、ビオチン、2-イミノビオチン、を包含するがこれらに限定されない。上記のような連結基は知られており、米国特許第6,728,129号明細書;米国特許第6,657,884号明細書;米国特許第6,212,093号明細書;及び、米国特許第6,208,553号明細書において記載されている。
【0107】
本発明の化合物(例えば、式IIa~式IIdのヒドロポルフィリンに付着されている式Ia又は式Ibのポルフィリンを含む化合物)に付着されてもよく及び/又は該化合物の溶解度特性を調整又は調節してもよいところの他の官能基は、疎水性基、親水性基、極性基、及び/又は両親媒性基を包含するが、これらに限定されない。極性基は、カルボン酸、スルホン酸、グアニジニウム、炭水化物、ヒドロキシ、アミノ酸、ピリジニウム、イミダゾリウム等を包含する。そのような基は、直鎖状又は分枝状のアルキル(例えば、スワローテール(swallowtail))、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキル(例えば、オリゴエチレングリコール)、ペプチド、多糖類等であるところの置換基に付着されていてもよい。適切な親水性基は、ポリオール又はポリアルキレンオキシド基、例えば、直鎖及び/又は分岐鎖のポリオールを包含する上記のポリオール又はポリアルキレンオキシド基、を包含してもよく、特定の例は、ポリ(プロピレングリコール)、ポリエチレン-ポリプロピレングリコール、及び/又はポリ(エチレングリコール)を包含するがこれらに限定されない。幾つかの実施態様において、親水性基は、20,000~40,000又は60,000の数平均分子量を有しうる。適切な親水性基及びそれらのカップリングの方法は、例えば、米国特許第4,179,337号明細書;米国特許第5,681,811号明細書;米国特許第6,524,570号明細書;米国特許第6,656,906号明細書;米国特許第6,716,811号明細書;及び、米国特許第6,720,306号明細書において知られており且つ記載されている。例えば、化合物は、本発明の化合物に付着されている単一の分子量40,000のポリエチレングリコール部分を用いてペギル化されることができる。適切な親水性基はまた、イオン性基又は極性基で置換された直鎖状又は分枝状のアルキル基を包含し、その例は、スワローテール基、例えば、Borbas及びLindseyによる米国特許第8,530,459号明細書において記載されているスワローテール基、を包含するがこれらに限定されない。幾つかの実施態様において、親水性基は、既知の技術に従って(例えば、ペプチドのN末端に)、本発明のポルフィリン又はヒドロポルフィリンの1以上の部位で、例えば、それらに共有結合して、それらの送達を容易にするか、又はそれらの安定性を改善しうる。
【0108】
ターゲティング基は、生体分子、例えば、抗体、タンパク質、ペプチド、及び核酸、を包含し、それらの各々が連結基によって付着されていてもよい。粒子、例えば、ナノ粒子、ガラスビーズ、が、連結基によって付着されてもよい。そのような追加の化合物が本発明の化合物に付着されている場合、それは化合物に直接結合されていてもよいし、又は介在基、例えば、リンカー若しくは親水性基、によって付着されていてもよい。
【0109】
本発明の幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、助色団を更に含み、任意的に、ここで、該助色団は、該化合物中に存在するポルフィリン(例えば、第1のポルフィリン)の1つの原子及び/又はヒドロポルフィリン(例えば、第1のヒドロポルフィリン)の1つの原子に付着されている。式Ia~式Ib及び式IIa~式IIdを参照して記載されている置換基のいずれもが助色団でありうるが、本発明の幾つかの実施態様において、該助色団は、任意的に置換されていてもよく若しくは置換されていなくてもよい、アシル基、アシルオキシ基、エステル基(例えば、アルキルオキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基)、カルボン酸基、シアノ基、スルホニル基、スルホキシル基、アルケン基、アルキン基、アレーン基、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、及び/又はアルコキシ基である。幾つかの実施態様において、助色団は、複素環式大環状体の周囲において任意のメソ部位又はベータ部位上にありうる。幾つかの実施態様において、助色団は、ヒドロポルフィリンの2位、3位、12位、及び/又は13位上に存在しうる。
【0110】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、
図1において示されている一般的な構造を有していてもよく、ここで、ドナーは、少なくとも1つのポルフィリン(例えば、式Ia又はIbを有する)であり、及びアクセプターは、ヒドロポルフィリン(例えば、式IIa~式IIdを有する)であり、及びテザー(tether)は、ヒドロポルフィリンと生体共役可能な基との間に空間(距離)を提供する連結基である。
【0111】
表面付着基は、ポルフィリン若しくはヒドロポルフィリンに直接結合された反応性基であってもよく、又は介在するリンカーによってポルフィリン若しくはヒドロポルフィリンに結合されていてもよい。表面付着基は、保護された形態であっても又は保護されていない形態であってもよい。表面付着基に連結する連結基は、例えば、アリール、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、オリゴエチレングリコール(例えば、PEG)、ペプチド、多糖等を包含しうる。表面付着基(保護されていない形態での反応性部位又は基)の例は、アルケン、アルキン、アルコール、チオール、セレニル、ホスホノ、テルリル、シアノ、アミノ、ホルミル、ハロゲン原子、ボリル、及びカルボン酸の表面付着基、例えば下記の化合物を包含するが、これらに限定されない:
4-カルボキシフェニル、カルボキシメチル、2-カルボキシエチル、3-カルボキシプロピル、2-(4-カルボキシフェニル)エチニル、4-(2-(4-カルボキシフェニル)エチニル)フェニル、4-カルボキシメチルフェニル、4-(3-カルボキシプロピル)フェニル、4-(2-(4-カルボキシメチルフェニル)エチニル)フェニル;4-ヒドロキシフェニル、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、2-(4-ヒドロキシフェニル)エチニル、4-(2-(4-ヒドロキシフェニル)エチニル)フェニル、4-ヒドロキシメチルフェニル、4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル、4-(3-ヒドロキシプロピル)フェニル、4-(2-(4-ヒドロキシメチルフェニル)エチニル)フェニル;4-メルカプトフェニル、メルカプトメチル、2-メルカプトエチル、3-メルカプトプロピル、2-(4-メルカプトフェニル)エチニル、4-(2-(4-メルカプトフェニル)エチニル)フェニル、4-メルカプトメチルフェニル、4-(2-メルカプトエチル)フェニル、4-(3-メルカプトプロピル)フェニル、4-(2-(4-メルカプトメチルフェニル)エチニル)フェニル;4-セレニルフェニル、セレニルメチル、2-セレニルエチル、3-セレニルプロピル、2-(4-セレニルフェニル)エチニル、4-セレニルメチルフェニル、4-(2-セレニルエチル)フェニル、4-(3-セレニルプロピル)フェニル、4-セレニルメチルフェニル、4-(2-(4-セレニルフェニル)エチニル)フェニル;4-テルリルフェニル、テルリルメチル、2-テルリルエチル、3-テルリルプロピル、2-(4-テルリルフェニル)エチニル、4-(2-(4-テルリルフェニル)エチニル)フェニル、4-テルリルメチルフェニル、4-(2-テルリルエチル)フェニル、4-(3-テルリルプロピル)フェニル、4-(2-(4-テルリルメチルフェニル)エチニル)フェニル;
4-(ジヒドロキシホスホリル)フェニル,(ジヒドロキシホスホリル)メチル,2-(ジヒドロキシホスホリル)エチル、3-(ジヒドロキシホスホリル)プロピル、2-[4-(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル、4-[2-[4-(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4-[(ジヒドロキシホスホリル)メチル]フェニル、4-[2-(ジヒドロキシホスホリル)エチル]フェニル、4-[2-[4-(ジヒドロキシホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル;4-(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル,(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル、2-(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル、3-(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)プロピル、2-[4-(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル、4-[2-[4-(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4-[(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル]フェニル、4-[2-(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル]フェニル、4-[2-[4-(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル;
4-シアノフェニル、シアノメチル、2-シアノエチル、3-シアノプロピル、2-(4-シアノフェニル)エチニル、4-[2-(4-シアノフェニル)エチニル]フェニル、4-(シアノメチル)フェニル、4-(2-シアノエチル)フェニル、4-[2-[4-(シアノメチル)フェニル]エチニル]フェニル;
4-シアノビフェニル;4-アミノフェニル、アミノメチル、2-アミノエチル、3-アミノプロピル、2-(4-アミノフェニル)エチニル、4-[2-(4-アミノフェニル)エチニル]フェニル、4-アミノビフェニル;
4-ホルミルフェニル、4-ブロモフェニル、4-ヨードフェニル、4-ビニルフェニル、4-エチニルフェニル、4-アリルフェニル、4-[2-(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4-[2-(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル;
ホルミル、ブロモ、ヨード、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル;4-(エチニル)ビフェン-4-イル、4-[2-(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン-4-イル、3,5-ジエチニルフェニル;
4-(ブロモメチル)フェニル、及び2-ブロモエチル。
【0112】
上記の単座リンカー表面付着基(monodentate linker-surface attachment groups)に加えて、多座リンカーが使用されてもよい[Nikitin,K.Chem.Commun.2003,282-283;Hu,J.;Mattern,D.L.J.Org.Chem.2000,65,2277-2281;Yao,Y.;Tour,J.M.J.Org.Chem.1999,64,1968-1971;Fox,M.A.et al.Langmuir,1998,14,816-820;Galoppini,E.;Guo,W.J.Am.Chem.Soc.2001,123,4342-4343;Deng,X.et al.J.Org.Chem.2002,67,5279-5283;Hector Jr.,L.G.et al.Surface Science,2001,494,1-20;Whitesell,J.K.;Chang,H.K.Science,1993,261,73-76;Galoppini,E.et al.J.Am.Chem.Soc.2002,67,7801-7811;Siiman,O.et al.Bioconjugate Chem.2000,11,549-556]。チオール、カルボン酸、アルコール、又はホスホン酸ユニットを持つ三脚型リンカー(tripodal linkers)は、分子デバイスを平面上に強固に固定するのに特に魅力的である。そのようなリンカーの具体例は、トリフェニルメタン又はテトラフェニルメタン単位を中心に構築され、下記のものを包含する:
1,1,1-トリス[4-(S-アセチルチオメチル)フェニル]メチル、
4-{1,1,1-トリス[4-(S-アセチルチオメチル)フェニル]メチル}フェニル、
1,1,1-トリス[4-(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]メチル、
4-{1,1,1-トリス[4-(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]メチル}フェニル、
1,1,1-トリス[4-ジヒドロキシホスホリルメチル)フェニル]メチル、及び、
4-{1,1,1-トリス[4-(ジヒドロキシホスホリルメチル)フェニル]メチル}フェニル;
全ては、BalakuMar,MuthukuMaran and Lindseyによる米国特許出願第10/867,512号(2004年6月14日出願)に記載されている。また、Lindsey,Loewe,MuthukuMaran,及びAmbroiseによる米国特許出願公開第20050096465号(2005年5月5日公開)、特にその段落51、をまた参照されたい。多座リンカーの追加的な例としては、下記を包含するがこれらに限定されない:
アルケン表面付着基(2つ、3つ、又は4つの炭素原子)、例えば、
3-ビニルペンタ-1,4-ジエン-3-イル、
4-(3-ビニルペンタ-1,4-ジエン-3-イル)フェニル、
4-(3-ビニルペンタ-1,4-ジエン-3-イル)ビフェン-4’-イル、
4-アリルヘプタ-1,6-ジエン-4-イル、
4-(4-アリルヘプタ-1,6-ジエン-4-イル)フェニル、
4-(4-アリルヘプタ-1,6-ジエン-4-イル)ビフェン-4’-イル、
5-(1-ブテン-4-イル)ノナ-1,8-ジエン-5-イル、
4-[5-(1-ブテン-4-イル)ノナ-1,8-ジエン-5-イル]フェニル、
4-[5-(1-ブテン-4-イル)ノナ-1,8-ジエン-5-イル]ビフェン-4’-イル等;
アルキン表面付着基(2つ、3つ、又は4つの炭素原子)、例えば、
3-エチニルペンタ-1,4-ジイン-3-イル、
4-(3-エチニルペンタ-1,4-ジイン-3-イル)フェニル、
4-(3-エチニルペンタ-1,4-ジイン-3-イル)ビフェン-4’-イル、
4-プロパルギルヘプタ-1,6-ジイン-4-イル、
4-(4-プロパルギルヘプタ-1,6-ジイン-4-イル)フェニル、
4-(4-プロパルギルヘプタ-1,6-ジイン-4-イル)ビフェン-4-イル、
5-(1-ブチン-4-イル)ノナ-1,8-ジイン-5-イル、
4-[5-(1-ブチン-4-イル)ノナ-1,8-ジイン-5-イル]フェニル、
4-[5-(1-ブチン-4-イル)ノナ-1,8-ジイン-5-イル]ビフェン-4-イル;
アルコール表面付着基(1つ、2つ、又は3つの炭素原子)、例えば、
2-(ヒドロキシメチル)-1,3-ジヒドロキシプロパ-2-イル、
4-[2-(ヒドロキシメチル)-1,3-ジヒドロキシプロパ-2-イル]フェニル、
4-[2-(ヒドロキシメチル)-1,3-ジヒドロキシプロパ-2-イル]ビフェン-4-イル、
3-(2-ヒドロキシエチル)-1,5-ジヒドロキシペンタ-3-イル、
4-[3-(2-ヒドロキシエチル)-1,5-ジヒドロキシペンタ-3-イル]フェニル、
4-[3-(2-ヒドロキシエチル)-1,5-ジヒドロキシペンタ-3-イル]ビフェン-4-イル、
4-(3-ヒドロキシプロピル)-1,7-ジヒドロキシヘプタ-4-イル、
4-[4-(3-ヒドロキシプロピル)-1,7-ジヒドロキシヘプタ-4-イル]フェニル、
4-[4-(3-ヒドロキシプロピル)-1,7-ジヒドロキシヘプタ-4-イル]ビフェン-4-イル等;
チオール表面付着基(1つ、2つ、又は3つの炭素原子)、例えば、
2-(メルカプトメチル)-1,3-ジメルカプトプロパ-2-イル、
4-[2-(メルカプトメチル)-1,3-ジメルカプトプロパ-2-イル]フェニル、
4-[2-(メルカプトメチル)-1,3-ジメルカプトプロパ-2-イル]ビフェン-4-イル、
3-(2-メルカプトエチル)-1,5-ジメルカプトペンタ-3-イル、
4-[3-(2-メルカプトエチル)-1,5-ジメルカプトペンタ-3-イル]フェニル、
4-[3-(2-メルカプトエチル)-1,5-ジメルカプトペンタ-3-イル]ビフェン-4-イル、
4-(3-メルカプトプロピル)-1,7-ジメルカプトヘプタ-4-イル、
4-[4-(3-メルカプトプロピル)-1,7-ジメルカプトヘプタ-4-イル]フェニル、
4-[4-(3-メルカプトプロピル)-1,7-ジメルカプトヘプタ-4-イル]ビフェン-4-イル等;
セレニル表面付着基(1つ、2つ、又は3つの炭素原子)、例えば、
2-(セレニルメチル)-1,3-ジセレニルプロパ-2-イル、
4-[2-(セレニルメチル)-1,3-ジセレニルプロパ-2-イル]フェニル、
4-[2-(メルカプトメチル)-1,3-ジメルカプトプロパ-2-イル]ビフェン-4-イル、
3-(2-セレニルエチル)-1,5-ジセレニルペンタ-3-イル、
4-[3-(2-セレニルエチル)-1,5-ジセレニルペンタ-3-イル]フェニル、
4-[3-(2-セレニルエチル)-1,5-ジセレニルペンタ-3-イル]ビフェン-4-イル、
4-(3-セレニルプロピル)-1,7-ジセレニルヘプタ-4-イル、
4-[4-(3-セレニルプロピル)-1,7-ジセレニルヘプタ-4-イル]フェニル、
4-[4-(3-セレニルプロピル)-1,7-ジセレニルヘプタ-4-イル]ビフェン-4-イル等;
ホスホノ表面付着基(1つ、2つ、又は3つの炭素原子)、例えば、
2-(ホスホノメチル)-1,3-ジホスホノプロパ-2-イル、
4-[2-(ホスホノメチル)-1,3-ジホスホノプロパ-2-イル]フェニル、
4-[2-(ホスホノメチル)-1,3-ジホスホノプロパ-2-イル]ビフェン-4-イル、
3-(2-ホスホノエチル)-1,5-ジホスホノペンタ-3-イル、
4-[3-(2-ホスホノエチル)-1,5-ジホスホノペンタ-3-イル]フェニル、
4-[3-(2-ホスホノエチル)-1,5-ジホスホノペンタ-3-イル]ビフェン-4-イル、
4-(3-ホスホノプロピル)-1,7-ジホスホノヘプタ-4-イル、
4-[4-(3-ホスホノプロピル)-1,7-ジホスホノヘプタ-4-イル]フェニル、
4-[4-(3-ホスホノプロピル)-1,7-ジホスホノヘプタ-4-イル]ビフェン-4-イル等、並びに;
カルボン酸表面付着基(1つ、2つ、又は3つの炭素原子)、例えば、
2-(カルボキシメチル)-1,3-ジカルボキシプロパ-2-イル、
4-[2-(カルボキシメチル)-1,3-ジカルボキシプロパ-2-イル]フェニル、
4-[2-(カルボキシメチル)-1,3-ジカルボキシプロパ-2-イル]ビフェン-4-イル、
3-(2-カルボキシエチル)-1,5-ジカルボキシペンタ-3-イル、
4-[3-(2-カルボキシエチル)-1,5-ジカルボキシペンタ-3-イル]フェニル、
4-[3-(2-カルボキシエチル)-1,5-ジカルボキシペンタ-3-イル]ビフェン-4-イル、
4-(3-カルボキシプロピル)-1,7-ジカルボキシヘプタ-4-イル、
4-[4-(3-カルボキシプロピル)-1,7-ジカルボキシヘプタ-4-イル]フェニル、
4-[4-(3-カルボキシプロピル)-1,7-ジカルボキシヘプタ-4-イル]ビフェン-4-イル等。
【0113】
本明細書において提供されている化合物はキラル中心を含みうることを理解されたい。そのようなキラル中心は、(R)配置又は(S)配置のいずれかであってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。従って、本明細書において提供される化合物は、エナンチオマー的に純粋であってもよく、又は立体異性体若しくはジアステレオマーの混合物であってもよい。本明細書において提供される化合物のキラル中心は、イン・ビボ(in vivo)でエピメリ化を受けうることを理解されたい。そのため、当業者は、イン・ビボでエピメリ化を受ける化合物の(R)形態での化合物の投与は、(S)形態での化合物の投与と同等であることを認識するであろう。
【0114】
本発明の幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、少なくとも1つの追加の発色団を更に含み、任意的に、ここで、該少なくとも1つの追加の発色団は、ペリレン、カロテノイド、ジピリナトボロンジフルオリド、又はビス(ジピリナト)金属錯体である。
【0115】
本発明の化合物を含む粒子が本発明の実施態様に従ってまた提供される。幾つかの実施態様において、該粒子は、マイクロ粒子又はナノ粒子である。複数のこのような粒子が、本明細書においてまた提供される。
【0116】
幾つかの実施態様において、該粒子は、シェル及びコアを備えている。幾つかの実施態様において、本発明の化合物はコア中に存在する。幾つかの実施態様において、本発明の化合物はポリマー中に被包され、及び該ポリマーは該シェルを形成し、及び任意的に、該ポリマーは1以上の疎水性ユニット及び1つ以上の親水性ユニットを含み、任意的に生体共役基を含む。幾つかの実施態様において、該粒子は、本発明の化合物を非凝集状態で維持する。幾つかの実施態様において、フォルダーマー(foldamer)、又は単鎖ナノ粒子(SCNP:single chain nanoparticle)は、本発明の化合物をカプセル化又は含む為に使用されうる。本発明の化合物は、それらの全体が参照により本明細書内に組み込まれる米国出願公開第2020/0385583号明細書、国際出願第PCT/US19/054008号、及び国際出願第PCT/US20/61285号において記載されているポリマー及び/又は粒子の色素として、及び/又はアクセプター色素及びドナー発光体として、使用されうる。幾つかの実施態様において、本発明のポリマー及び/又は粒子は、それらの全体が参照により本明細書内に組み込まれる米国出願公開第2020/0385583号、国際出願第PCT/US19/054008号、及び国際出願第PCT/US20/61285号において記載されている構造を有する。
【0117】
本発明の特定の実施態様において、本発明の粒子は、結果として生じる化合物が下記の式IIIa又は式IIIbの構造を有するようにポリマーに付着された本発明の化合物を含む:
A-B-C(IIIa)、又h
C-A-B(IIIb)
ここで、Aは本発明の化合物であり;Bはポリマーであり;及び、Cは任意の生体共役基である。幾つかの実施態様において、Cは該粒子中に存在せず(すなわち、該粒子は生体共役基を欠く)、従って、該粒子はA-Bの構造を有し、ここで、Aは本発明の化合物であり、及びBはポリマーである。幾つかの実施態様において、Cは該粒子中に存在する。幾つかの実施態様において、ポリマーBは、約1,000、約5,000、約10,000、約20,000、約30,000、約40,000、約50,000、約60,000、約70,000、約80,000、約90,000、約100,000、約110,000、約120,000、約130,000、約140,000、約150,000、約160,000、約170,000、約175,000Da、の分子量、及びそれらの間に定義される任意の範囲を包含する、約1,000Da~約175,000Daの範囲にある分子量を有する。
【0118】
本発明の幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、粒子(例えば、ナノ粒子)の表面に付着されている。幾つかの実施態様において、該粒子は、ポリスチレン及び/又はシリカを含む。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、参照によりその全体が本明細書内に組み込まれる米国特許出願公開第2019/0264102号において記載されているように、粒子及び/又はビーズに付着されている。
【0119】
本発明の幾つかの実施態様において、本発明の粒子は、水又は水性溶液中に可溶性である。特定の実施態様において、本発明の粒子は、室温で、約1mg/mL、約10、約50、若しくは約100mg/mL以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、若しくは100mg/L、又はそれらの間に定義される任意の範囲)の範囲にある量の水への溶解度を有する。
【0120】
本発明の方法は、本発明の化合物の合成を提供しうる。幾つかの実施態様において、式Ia~式Ibのうちの少なくとも1つのポルフィリン及び式IIa~式IIdのうちの少なくとも1つのヒドロポルフィリンが反応されて、少なくとも2つの化合物を付着させ、それによって本発明の化合物を形成してもよい。幾つかの実施態様において、本発明の化合物を形成する際に使用される中間体は、1以上の置換基(例えば、助色団、連結基、生体共役可能な基等)を任意的に含む例示的なポルフィリンを示す
図2において示されているような構造を有しうる。幾つかの実施態様において、本発明の化合物を形成する際に使用される中間体は、例示的なクロリン及びバクテリオクロリンを夫々示す
図3及び
図4において示されているような構造を有していてもよく、任意的に1以上の置換基(例えば、助色団、連結基、生体共役可能な基等)を包含する。
【0121】
環上の官能基の取り込みを含む、ポルフィリン及びヒドロポルフィリン合成の一般的な方法は、当技術分野において知られている。例は、それらの全体が参照によって本明細書内に組み込まれる、米国特許第8,097,609号、米国特許第10,919,904号、及び米国特許第10,836,774号、並びに国際公開第WO2020/236828号及び国際公開第WO2020/236818号に記載された化合物及び方法を包含するがこれらに限定されない。第1の置換基又は基をその上に有するポルフィリンは、該ポルフィリンの該第1の置換基又は該基と反応性である第2の置換基又は基をその上に有するヒドロポルフィリンと反応させてもよい。幾つかの実施態様において、該第1の置換基若しくは該基、該第2の置換基若しくは該基、又はそれらの反応生成物は、一旦反応すると、該ポルフィリンと該ヒドロポルフィリンとの間に直接結合又は連結基を形成する。本明細書において記載されている連結基のいずれもが、この様式で形成されうる。連結基、付着基、生体共役可能な基、及びターゲティング基は、複素環式大環状分子の任意の2つを付着させる前に、複素環式大環状分子の付着の間に、及び/又はそのような複素環式大環状分子を付着させた後に、付加されうる。
【0122】
本明細書において記載された方法及び中間体は、本明細書において記載された化合物の合成の為に有用でありうる。そのような化合物は、それ自体、又はPandeyらに対する米国特許出願公開第2004/0044197号において記載されており、以下に更に詳細に記載されるような光線力学的療法(photodynamic therapy)について記載されている他の化合物と同様に、診断及び/又は治療目的のために更なる修飾形態(例えば、塩、金属化された化合物、コンジュゲート(conjugate)、及び/又はプロドラッグとして)で有用でありうる。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、波長調整(wavelength tuning)及び/又は生体共役反応(bioconjugation)が利用される及び/又は求められる用途において使用されうる。本発明の方法及び/又は化合物は、1以上(例えば、1、2、3、4、5、又はそれ以上)の異なる置換基を、本発明の化合物上の1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、又はそれ以上)の位置(例えば、AD半分上であってBC半分上でない、又はその逆)に付着されることを提供してもよく、それは、波長調整及び/又は生体共役反応を含包含するがこれらに限定されない用途において有利でありうる。
【0123】
本発明の化合物は、所望の光物理学的特性を有し得る。本発明の幾つかの実施態様において、ポルフィリン(例えば、第1のポルフィリン)とヒドロポルフィリン(例えば、第1のヒドロポルフィリン)とを含む本発明の化合物について、該ポルフィリンの最低エネルギー一重項励起状態は、該ヒドロポルフィリンの最低エネルギー一重項励起状態よりも大きい。このことにより、該ポルフィリンから該ヒドロポルフィリンへの一重項エネルギー移動が促進される。幾つかの実施態様において、該エネルギー移動経路は、蛍光発光を包含するポルフィリンの固有励起状態脱励起経路(intrinsic excited state de-excitation pathway)を支配するほど十分に効果的である。その代わりに、蛍光は、該ポルフィリンからのエネルギー移動を受けた後、アクセプターであるヒドロポルフィリンから生じる。従って、幾つかの実施態様において、該化合物の蛍光特性は、該ポルフィリンによって実質的に影響を受けない場合がある。
【0124】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、可視光スペクトルの紫色領域における波長で励起される。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、約350nm以上、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約1100、約1200、又は約1300nm以下の範囲にある波長、例えば、約350以上、約360、約370、約380、約390、約400、約410、約420、約430、約440、約450、約460、約470、約480、約490、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約1100、約1200、又は約1300nm以下を包含する上記の波長、及びそれらの間に定義される任意の範囲、で励起される。本発明の化合物は、レーザー(例えば、約350nm以上、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約1100、約1200、又は約1300nm以下の範囲にある波長を発するレーザー)で励起されてもよい。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、約350nm~約500nmの範囲にある波長で励起される。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、約375nm~約440nmの範囲にある波長で励起される。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、約405nmの波長で励起される。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、約445nmの波長で励起される。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、バイオレットレーザーで、任意的に約407nmの波長で、励起される。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、フローサイトメトリーにおいて使用する為の波長で励起され、及び/又はフローサイトメトリーにおいて使用される。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、約675nm~約1300nmの範囲にある波長を有する光に曝露され、及び/又は光音響イメージング(photoacoustic imaging)において、及び/又は光音響イメージングの為に使用されうる。
【0125】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、可視光スペクトルの赤色及び/又は近赤外領域の波長で発光する。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、約610nm~約2500nmの範囲にある波長、場合によっては約610nm又は約625nm以上、約810nm以下の範囲にある波長、で光(例えば、最大発光)を放出する。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、約610、約620、約630、約640、約650、約660、約670、約680、約690、約700、約710、約720、約730、約740、約750、約760、約770、約780、約790、約800、約810、約850、約900、約950、約1000、約1250、約1500、約1750、約2000、約2250、又は約2500nmの範囲にある波長、及びそれらの間に定義される任意の範囲の波長で発光する。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は熱を放出し、その熱は、当技術分野で知られている方法(例えば、超音波イメージング(ultrasound imaging)及び/又は光音響イメージング(photoacoustic imaging)を使用する方法)によって検出されうる。
【0126】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は第1のポルフィリン及び第1のヒドロポルフィリンを含み、並びに該化合物は、該第1のポルフィリン単独の輝度よりも大きい輝度及び/又は該第1のヒドロポルフィリン単独の輝度よりも大きい輝度を有し、任意的に、ここで、該化合物の該輝度は、該第1のポルフィリンの輝度と該第1のヒドロポルフィリンの輝度との合計よりも大きい。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は第1のポルフィリン及び第1のヒドロポルフィリンを含み、並びに該化合物は、該第1のヒドロポルフィリン単独の輝度と比較して増加する輝度を有し、任意的に、ここで、該化合物の該輝度は、該ヒドロポルフィリン単独の輝度と比較して、約2倍、4倍、6倍、8倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、又はそれ以上増加する。本明細書において使用される場合、語「輝度」は、モル吸光係数と蛍光量子収率との積(ε×φ)を云う。例えば、Lavis DL,Raines RT (2008) "Bright Ideas for Chemical Biology" ACS Chem.Biol.3:142-155を参照されたい。
【0127】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、約10,000M-1cm-1以上、約110,000、約200,000、約300,000、約400,000、又は500,000M-1cm-1以下の範囲、例えば、約10,000、約11,000、約12,000、約13,000、約14,000、約15,000、約20,000、約30,000、約40,000、約50,000、約60,000、約70,000、約80,000、約90,000、約100,000、約150,000、約200,000、約250,000、約300,000、約350,000、約400,000、約450,000、又は約500,000M-1cm-1、の範囲、及びそれらの間に定義される任意の範囲、で吸収最大での輝度を有する。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、約8,000M-1cm-1~約90,000M-1cm-1の範囲、例えば、約8,000、約9,000、約10,000、約15,000、約20,000、約25,000、約30,000、約35,000、約40,000、約45,000、約50,000、約55,000、約60,000、約65,000、約70,000、約75,000、約80,000、約85,000、約88,000、約90,000、約100,000、約150,000、約200,000、約250,000、約300,000、約350,000、約400,000、約450,000、又は約500,000M-1cm-1を包含する上記範囲、及びそれらの間に定義される任意の範囲、にある、405nmで励起する輝度を有する。
【0128】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は第1のポルフィリン及び第1のヒドロポルフィリンを含み、並びに該化合物は、該第1のポルフィリンの発光波長が、該第1のポルフィリン単独の発光波長と比較して減少しているか、又は該第1のポルフィリンの発光波長が存在しない。
【0129】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、第1のポルフィリン及び第1のヒドロポルフィリンを含み、並びに該化合物は、該第1のポルフィリンから第1のヒドロポルフィリンへの、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のエネルギー移動の蛍光量子収率を有し、任意的に、ここで、該第1のヒドロポルフィリンの発光波長は、該第1のポルフィリンの発光波長と異なる、及び/又は該第1のポルフィリンの発光波長と区別可能である。
【0130】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、該第1のポルフィリンから該第1のヒドロポルフィリンへの、約100ピコ秒以下であるエネルギー移動を有する。
【0131】
幾つかの実施態様において、該第1のポルフィリンは、第1の強度を有する発光ピークを有し、並びに該第1のヒドロポルフィリンは、第2の強度を有する発光ピークを有し、並びに該第1の強度は、該第2の強度よりも5%以下である。
【0132】
驚くべきことに、幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、吸光度と発光ピークとの間の吸光度及び/又は発光(「中間バンド」(middle band))の有意な減少を示し、それは、特定の用途、マルチプレックス用途、について有利でありうる。幾つかの実施態様において、該化合物は、第1のポルフィリン及び第1のヒドロポルフィリンを含み、並びに該化合物は、第2の強度を有する第1のヒドロポルフィリンからの発光ピークを含む吸収と発光スペクトルとを有し、並びに該化合物の励起波長と、該発光ピークとの間には、追加の発光ピークが存在しないか、又は該第2の強度よりも大きい強度を有する発光ピークが存在しない。
【0133】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、驚くべきことに、相対的に明確な発光帯域を示す。幾つかの実施態様において、該化合物の第1のヒドロポルフィリンは、約10~約50nmの範囲、例えば、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50を包含する上記範囲、及びそれらの間に定義される任意の範囲、にある全幅半値(full width half maximum)を有する発光波長を有する。幾つかの実施態様において、該化合物の半値全幅は約14~約31nmの範囲にある。全幅半値とは、最大振幅の半分でのピークの立ち上がりと、該最大振幅の半分でのピークの立ち下がりとの間の距離である。
【0134】
幾つかの実施態様において、該第1のポルフィリン単独は、最大吸光度で、少なくとも約200,000M-1cm-1(少なくとも約220,000、少なくとも約250,000、少なくとも約300,000、及び少なくとも約350,000M-1cm-1を含む)のモル吸光係数を有する。幾つかの実施態様において、該第1のポルフィリン単独は、405nmで、少なくとも約200,000M-1cm-1(少なくとも約205,000、少なくとも約220,000、少なくとも約230,000、及び少なくとも約250,000M-1cm-1を含む)のモル吸光係数を有する。
【0135】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、該第1のヒドロポルフィリン単独のモル吸光係数及び/又は蛍光量子収率夫々よりも大きいモル吸光係数及び/又は蛍光量子収率を有する。幾つかの実施態様において、該化合物は、約120,000M-1cm-1以上、約450,000、約750,000、約1,000,000、又は約1,250,000M-1cm-1以下にある範囲、例えば、約124,000、約130,000、約140,000、約150,000、約160,000、約170,000、約180,000、約190,000、約200,000、約210,000、約220,000、約230,000、約240,000、約250,000、約260,000、約270,000、約280,000、約290,000、約300,000、約310,000、約320,000、約330,000、約340,000、約350,000、約360,000、約370,000、約380,000、約390,000、約400,000、約410,000、約420,000、約430,000、約440,000、約450,000、約500,000、約550,000、約600,000、約650,000、約700,000、約750,000、約800,000、約850,000、約900,000、約950,000、約1,000,000、約1,100,000、約1,200,000、又は約1,250,000M-1cm-1を包含する上記範囲、並びにそれらの間に定義される任意の範囲にある最大吸光度で、モル吸光係数を有する。本発明の化合物は溶液中に置かれて、指示された波長でのそのモル吸光係数のピークを決定することができ;並びに該化合物は、この範囲外の追加のピーク、又はこの範囲内の複数のピークを示しうる。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、約350又は375nm以上、約440又は500nm以下の波長で、110,000M-1cm-1以上、約350,000、約450,000、約750,000、約1,000,000、又は約1,250,000M-1cm-1、の範囲、例えば、約115,000、約120,000、約130,000、約140,000、約150,000、約160,000、約170,000、約180,000、約190,000、約200,000、約210,000、約220,000、約230,000、約240,000、約250,000、約260,000、約270,000、約280,000、約290,000、約300,000、約310,000、約320,000、約330,000、約340,000、約350,000、約360,000、約370,000、約380,000、約390,000、約400,000、約410,000、約420,000、約430,000、約440,000、約450,000、約500,000、約550,000、約600,000、約650,000、約700,000、約750,000、約800,000、約850,000、約900,000、約950,000、約1,000,000、約1,100,000、約1,200,000、又は約1,250,000M-1cm-1を包含する上記範囲、並びにそれらの間に定義される任意の範囲のモル吸光係数を有する。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、約110,000M-1cm-1以上、約350,000、約380,000、約450,000、約750,000、約1,000,000、又は約1,250,000M-1cm-1の範囲、例えば、約115,000、約120,000、約130,000、約140,000、約150,000、約160,000、約170,000、約180,000、約190,000、約200,000、約210,000、約220,000、約230,000、約240,000、約250,000、約260,000、約270,000、約280,000、約290,000、約300,000、約310,000、約320,000、約330,000、約340,000、約350,000、約360,000、約370,000、約380,000、約390,000、約400,000、約410,000、約420,000、約430,000、約440,000、約450,000、約500,000、約550,000、約600,000、約650,000、約700,000、約750,000、約800,000、約850,000、約900,000、約950,000、約1,000,000、約1,100,000、約1,200,000、又は約1,250,000M-1cm-1の範囲、を包含する上記範囲、並びにそれらの間に定義される任意の範囲、の405nmでのモル吸光係数を有する。
【0136】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、0.04~0.35の範囲、例えば、0.04、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.34、0.35を包含する上記範囲、並びにそれらの間に定義される任意の範囲、の405nmでの蛍光量子収率を有する。
【0137】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、該第1のポルフィリンの励起波長に相対的にレッドシフトされた(red-shifted)(例えば、少なくとも20nmだけ)第2の最低(Qx)エネルギー吸収帯を有する。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、488nmレーザー放出と相互作用しないか又は実質的に相互作用しないように、レッドシフトされる。
【0138】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、ピーク発光波長及びピーク励起波長を有し、並びにピーク発光波長とピーク励起波長との差は、少なくとも50nmであり、並びに幾つかの実施態様において、少なくとも80nmである。
【0139】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、該第1のヒドロポルフィリンからの発光波長と重ならないところの該第1のポルフィリンからの発光波長を有する。幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、該第1のヒドロポルフィリンからのピーク発光波長と重ならないところの該第1のポルフィリンからの発光波長を有する。
【0140】
本発明の化合物(本明細書において「活性化合物」としてまた言及される)及び/又は粒子を含む組成物が、本発明の実施態様に従ってまた提供される。幾つかの実施態様において、該組成物は水を含み、並びに該化合物及び/又は該粒子は水中に存在し、任意的に、ここで、該化合物及び/又は該粒子は、室温で、約1mg/mL以上、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、又は約100mg/mL以下の範囲にある水への溶解度を有する。
【0141】
幾つかの実施態様において、該組成物は、有機溶媒を欠いている。幾つかの実施態様において、本発明の組成物は、第1の発光波長を含む第1の吸収及び発光スペクトルを有する第1の化合物(例えば、第1の発光化合物)と、第2の発光波長を含む第2の吸収及び発光スペクトルを有する第2の化合物(例えば、第2の発光化合物)とを含み、ここで、第1の発光波長及び第2の発光波長は異なり及び/又は別個であり、並びに第1の化合物及び第2の化合物は、両方とも本発明の化合物である。幾つかの実施態様において、該第1の化合物及び該第2の化合物は各々、同じ励起波長によって励起される。このように、そのような実施態様において、単一の吸光度波長が、様々な異なる発光波長を生成する為に使用されうる。
【0142】
幾つかの実施態様において、追加の発色団及び/又は化合物(例えば、発光化合物)が、本発明の組成物内に含まれうる。そのような化合物の例は、ペリレン、カロテノイド、ジピリノアトボロンジフルオリド(dipyrrinoatoborondifluoride)、又はビッド(ジピリナト)金属錯体を包含するがこれらに限定されない。幾つかの実施態様において、そのような追加の発色団及び/又は化合物は、選択されたスペクトル領域における吸収を高めうる。
【0143】
本発明の化合物は、医薬的に許容される塩として提供されうる。そのような塩は、アミン塩、例えば限定されるものではないが、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、アンモニア、ジエタノールアミン及び他のヒドロキシアルキルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、プロカイン、N-ベンジルフェネチルアミン、1-パラ-クロロベンジル-2N-メチルグルカミン、プロカイン、N-ベンジルフェネチルアミン、1-パラ-クロロベンジル-2-ピロリジン-1'-イルメチル-ベンズイミダゾール、ジエチルアミン、及び他のアルキルアミン、ピペラジン、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン;アルカリ金属塩、例えば限定されるものではないが、リチウム、カリウム及びナトリウム;アルカリ土類金属塩、例えば限定されるものではないが、バリウム、カルシウム及びマグネシウム;遷移金属塩、例えば限定されるものではないが、亜鉛;並びに、他の金属塩、例えば限定されるものではないが、リン酸水素ナトリウム及びリン酸二ナトリウム;並びにまた、鉱酸塩、例えば限定されるものではないが、塩酸塩及び硫酸塩;並びに、有機酸塩の塩、例えば限定されるものではないが、酢酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、バレリン酸塩、及びフマル酸塩を包含するがこれらに限定されない。医薬的に許容されるエステルは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル及びヘテロシクリルの、酸性基、例えば、カルボン酸、リン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフィン酸及びボロン酸を包含する上記の酸性基、のエステルを包含するがこれらに限定されない。
【0144】
本発明の活性化合物は、本明細書において記載された化合物のプロドラッグを包含する。上述されているように、「プロドラッグ」とは、イン・ビボ(in vivo)投与に応じて、1以上の段階又はプロセスによって代謝されるか、又は他の方法で該化合物の生物学的、医薬的、又は治療的な活性形態に転化されるところの化合物である。該プロドラッグを製造する為に、医薬的に活性な化合物は、活性化合物が代謝プロセスによって再生されるように改変される。該プロドラッグは、薬剤の代謝安定性又は輸送特性を変化させたり、又は副作用若しくは毒性を隠蔽したり、薬剤の風味を改善したり、又は薬剤の他の特性や特性を変化させたりするように設計される。イン・ビボにおける薬力学的プロセス及び薬剤代謝の知識によって、当業者は、医薬的に活性な化合物が分かれば、該化合物のプロドラッグを設計することができる(例えば、Nogrady(1985)Medicinal Chemistry A Biochemical Approach,Oxford University Press,New York,pages 388-392を参照)。
【0145】
幾つかの実施態様において、本発明の活性化合物又はそれらの医薬的に許容される塩、プロドラッグ若しくはコンジュゲート(conjugate)(例えば、ターゲット化剤、例えば、タンパク質、ペプチド又は抗体、とのコンジュゲート)からなる「ニート」(neat)組成物が提供されうる。
【0146】
幾つかの実施態様において、本発明は、溶媒中の本発明の活性化合物(又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ若しくはコンジュゲート(conjugate)(例えば、ターゲット化剤、例えば、タンパク質、ペプチド又は抗体、とのコンジュゲート)を含むか、又は本質的にそれらからなる組成物を提供しうる。溶媒の量は重要ではなく、該組成物の約0.01又は1重量パーセント以上、約99又は99.99重量パーセント以下を含みうる。モル吸収を決定する前に、凝集した粒子を溶液中に戻す為に撹拌が必要とされる場合があるが、或る程度の凝集が該組成物の実用的な使用の為に実際に望まれる場合があることが理解されるであろう。適切な溶媒は、特定の化合物及びその化合物の意図された使用に依存するが、有機溶媒、水性溶媒及びそれらの組み合わせの両方を含む。
【0147】
該組成物は、上記「ニート」(neat)の形態であるか、又は溶媒と混合された形態であるが、密封された容器(例えば、フラスコアンプル又はバイアル)中で、周囲光の非存在下、室温で、少なくとも3又は4ヶ月間保存された場合に、本発明の化合物の10、15又は20重量%以下の損失(その分解による)を有するか又は示しうる。分解は、既知の技術に従って、分光法、薄層クロマトグラフィー、NMR分光法、及び/又は質量分析法によって決定されることができる。
【0148】
幾つかの実施態様に従うと、医薬組成物が提供される。本発明の医薬組成物は、医薬的に許容される担体中の治療的に有効な量の1以上の本発明の化合物を含み得、それらは、過増殖組織若しくは新生血管形成に関連付けられた疾病若しくは障害、又は過増殖組織若しくは新生血管形成が関与する疾病若しくは障害の症状のうちの1以上の予防、処置、及び/又は改善の為に有用でありうる。過増殖組織若しくは新生血管に関連付けられた疾病又は障害は、癌、乾癬、アテローム性動脈硬化症、心臓病、及び加齢黄斑変性症を包含するがこれらに限定されない。本明細書において提供される化合物の投与の為に適している医薬担体は、特定の投与様式の為に適していることが当業者に知られている任意のそのような担体を包含する。
【0149】
医薬組成物は、本明細書において記載されている吸収特性及び/又は保存特性及び/又は安定性特性を示しうる。
【0150】
加えて、該化合物は、該組成物中の唯一の医薬的活性成分として配合されてもよく、又は他の活性成分と組み合わせられてもよい。
【0151】
該組成物は、本発明の1以上の化合物を含みうる。幾つかの実施態様において、該化合物は、経口投与の為の適切な医薬製剤、例えば、溶液、懸濁物、錠剤、散剤、丸薬、カプセル剤、粉末剤、徐放性製剤若しくはエリキシル剤、又は非経口投与の為の無菌液若しくは懸濁物、並びに経皮パッチ製剤及び乾燥粉末吸入剤、へと製剤化されうる。1つの実施態様において、上記された化合物は、当技術分野において周知の技術及び手順を用いて医薬組成物へと製剤化される(例えば、Ansel,Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms,Fourth Edition 1985,126を参照のこと)。
【0152】
該組成物において、有効濃度の1以上の化合物又はその医薬的に許容される誘導体は、適切な医薬担体と混合されうる。該化合物は、上記された通り、製剤化の前に、対応する塩、エステル、エノールエーテル若しくはエステル、アセタール、ケタール、オルトエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和物、水和物、又はプロドラッグとして誘導体化されてもよい。該組成物中の化合物の濃度は、投与に応じて、過増殖組織若しくは新生血管形成に関連付けられた疾病若しくは障害、又は過増殖組織若しくは新生血管形成が関与する疾病若しくは障害の症状のうちの1以上を処置、予防、及び/又は改善する量の送達の為に有効でありうる。
【0153】
1つの実施態様において、該組成物は単回投与用に製剤化される。該組成物を製剤化する為に、本発明の化合物の重量画分が、処置された状態が緩和されるか、予防されるか、又は1以上の症状が改善されうるような有効濃度で、選択された担体中に溶解され、懸濁され、分散され、又は他の方法で混合される。
【0154】
活性化合物は、処置される対象に対して望ましくない副作用がなく、治療上有用な効果を発揮する為に十分な量で、医薬的に許容される担体中に含まれうる。治療上有効な濃度は、本明細書において記載されている及びPandey等(1999)による米国特許第5,952,366号明細書において記載されているイン・ビトロ(in vitro)及びイン・ビボ(in vivo)系で該化合物を試験し、そして次に、そこからヒトに対する投与量を外挿することによって、経験的に決定することができる。
【0155】
該医薬組成物中の活性化合物の濃度は、該活性化合物の吸収、不活性化及び排泄速度、該化合物の物理化学的特性、投与スケジュール、及び/又は投与量、並びに当業者に知られている他の因子に依存しうる。例えば、送達される量は、本明細書において記載されているように、過増殖組織若しくは新生血管形成に関連付けられた疾病若しくは障害、又は過増殖組織若しくは新生血管形成が関与する疾病若しくは障害の症状のうちの1以上を改善する為に十分でありうる。
【0156】
1つの実施態様において、治療上有効な投与量は、約0.1ng/ml以上、約50~100μg/ml以下の活性成分の血清濃度をもたらすべきである。1つの実施態様において、治療上有効な投与量は、1日当たり体重1kg当たり、0.001、0.01又は0.1以上、10、100又は1000mg以下の活性化合物である。医薬的投薬単位形態は、投薬単位形態当たり、約0.01mg、約0.1mg又は約1mg以上、約500mg、約1000mg又は約2000mg以下、1つの実施態様において約10mg~約500mg、の活性成分又は必須成分の組み合わせを提供するように調製されうる。
【0157】
該活性成分は、一度に投与されてもよく、又は一定期間毎に投与される為に幾つかの少量に分割されてもよい。正確な投与量及び投与期間は、処置される疾病の機能であり、且つ既知の試験プロトコルを用いて経験的に決定されうるか、又はイン・ビボ若しくはイン・ビトロの試験データからの外挿によって決定されうることが理解される。濃度及び投与量がまた、緩和されるべき状態の重篤度によって変化しうることに留意されたい。任意の特定の対象体について、特定の投薬レジメンは、個々の必要性と該組成物の投与を管理又は監督する者の専門的判断とに従って経時的に調整されるべきであり、本明細書において記載されている濃度範囲は例示的なものに過ぎず、特許請求された組成物の範囲又は実施を制限することが意図されるものでないことが更に理解される。
【0158】
該化合物が不十分な溶解性を示す場合には、化合物を可溶化する為の方法が使用されうる。そのような方法は当業者に知られており、共溶媒、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)、を使用すること、界面活性剤、例えばツイーン(TWEEN(登録商標))、を使用すること、又は炭酸水素ナトリウム水性液へ溶解することを包含するがこれらに限定されない。該化合物の誘導体、例えばプロドラッグ、がまた、有効な医薬組成物を製剤化する際に使用されうる。
【0159】
1以上の化合物を混合又は添加することに応じて、結果として得られる混合物は、溶液、懸濁物、エマルション等でありうる。結果として得られる混合物の形態は、多くの要因、例えば、意図される投与様式、及び選択された担体又はビヒクル中の該化合物の溶解度を包含する上記の多くの要因、に依存する。有効濃度は、処置される疾病、障害又は状態の症状を改善する為に十分であり得、及び経験的に決定されうる。
【0160】
該医薬組成物は、単位投与形態、例えば、錠剤、カプセル剤、丸薬、粉末剤、顆粒剤、無菌非経口溶液又は懸濁剤、及び経口溶液又は懸濁剤、並びに適当量の化合物又はそれらの医薬的に許容される誘導体を含む油-水エマルション、において、ヒト及び/又は動物への投与の為に提供されうる。医薬的に治療的に活性な化合物及びそれらの誘導体は、1つの実施態様において、単位用量形態又は複数用量形態で製剤化され、そして投与される。本明細書において使用される場合に、単位用量形態は、ヒト及び動物の対象の為に適した物理的に離散した単位を言及し、当技術分野において知られているように個々に包装される。各単位用量は、必要な医薬担体、ビヒクル又は希釈剤と関連して、所望の治療効果をもたらす為に十分な所定量の治療的に活性な化合物を含む。単位投与形態の例は、アンプル及びシリンジ、個包装された錠剤又はカプセルを包含する。単位用量の形態は、その分数又は倍数で投与されうる。複数用量形態は、分離された単位投与形態で投与されるように単一の容器中に包装された複数の同一の単位投与形態である。複数用量形態の例は、バイアル、錠剤若しくはカプセルのボトル、又はパイント(pint)若しくはガロン(gallon)のボトルを包含する。従って、複数用量形態は、包装において分離されていない複数の単位用量のことである。
【0161】
医薬的に投与可能な液体組成物は例えば、上記で定義された活性化合物及び任意の医薬的アジュバントを、担体、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノール等、の中に溶解し、分散し又は他の方法で混合し、それによって溶液又は懸濁物を形成することによって調製されうる。所望により、投与されるべき医薬組成物はまた、非毒性の補助物質、例えば、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤等、例えば、酢酸塩、クエン酸ナトリウム塩、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンナトリウムアセテート、トリエタノールアミンオレエート、及び他のそのような剤、を少量含みうる。
【0162】
そのような剤形を調製する実際の方法は、当業者に既知であるか、又は明らかであろう;例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,15th Edition,1975を参照されたい。
【0163】
0.005%~100%の活性成分を含み、残部が非毒性担体から構成される剤形又は組成物が調製されうる。これらの組成物の調製の為の方法は当業者に知られている。企図される組成物は、0.001%~100%の活性成分を含んでいてもよく、1つの実施態様において0.1~95%、別の実施態様において75~85%、である。
【0164】
幾つかの実施態様において、本発明の組成物は経口投与の為に適しうる。経口医薬剤形は、固体、ゲル又は液体のいずれかである。該固体剤形は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、及びバルク粉末剤である。経口錠剤の種類、圧縮、咀嚼可能なロゼンジ、及び腸溶コーティング、糖コーティング又はフィルムコーティングされていてもよい錠剤を包含する。カプセルは、硬質ゼラチンカプセル又は軟質ゼラチンカプセルであり、一方、顆粒及び粉末は、当業者に知られている他の成分との組み合わせにより、非発泡性又は発泡性の形態で提供されうる。
【0165】
或る実施態様において、該製剤は固体剤形であり、1つの実施態様において、カプセル又は錠剤である。錠剤、ピル、カプセル、トローチ等は、下記の成分、又は類似の性質を有する化合物の1以上を含みうる:結合剤;滑沢剤;希釈剤;滑沢剤;崩壊剤;着色剤;甘味剤;香味剤;湿潤剤;催吐性コーティング剤;及びフィルムコーティング剤。結合剤の例は、微結晶セルロース、トラガントガム、グルコース溶液、アカシア粘液、ゼラチン溶液、糖蜜、ポリビニルピロリジン、ポビドン、クロスポビドン、スクロース及びデンプンペーストを包含する。滑沢剤は、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウム、リコポディウム、及びステアリン酸を包含する。希釈剤は例えば、ラクトース、スクロース、デンプン、カオリン、塩、マンニトール、及びリン酸二カルシウムを包含する。滑沢剤は、コロイド状二酸化ケイ素を包含するがこれらに限定されない。崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天、及びカルボキシメチルセルロースを包含する。着色剤は例えば、承認された水溶性FD及びC染料のいずれか、それらの混合物;並びに、アルミナ水和物に懸濁させた水不溶性FD及びC染料を包含する。甘味料は、スクロース、ラクトース、マンニトール及び人工甘味料、例えばサッカリン、並びに任意の数のスプレードライ香料を包含する。香料は、植物、例えば果物、から抽出された天然香料、及び心地よい感覚をもたらす化合物の合成ブレンド、例えば、ペパーミント及びサリチル酸メチル、を包含するがこれらに限定されない。湿潤剤は、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ジエチレングリコールモノラウレート、及びポリオキシエチレンラウラルエーテルを包含する。催吐性コーティング剤は、脂肪酸、油脂、ワックス、シェラック、アンモニア化されたシェラック、及びセルロースアセテートフタレートを包含する。フィルムコーティング剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ジェランガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000、及びセルロースアセテートフタレートを包含する。
【0166】
化合物又はその医薬的に許容される誘導体は、胃の酸性環境からそれを保護するところの組成物で提供されうる。例えば、該組成物は、胃においてその完全性を維持し且つ腸において活性化合物を放出するところの腸溶性コーティングに製剤化されうる。該組成物はまた、制酸剤又は他のそのような成分との組み合わせで配合されうる。投与単位形態がカプセルである場合、該カプセルは、上記のタイプの材料に加えて、液体担体、例えば脂肪油、を含みうる。加えて、投与単位形態は、投与単位の物理的形態を変更する他の様々な材料、例えば、糖及び他の腸溶性薬剤のコーティング剤、を含みうる。該化合物は、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエハース剤、散剤(sprinkle)、チューインガム等の成分として投与されうる。シロップは、活性化合物に加えて、甘味剤としてのスクロース、並びに或る保存料、染料、着色料及び香料を含みうる。
【0167】
活性物質はまた、所望の活性を損なわない他の活性物質と、又は所望の活性を補う物質、例えば、制酸剤、H2ブロッカー、及び利尿剤、と、混合されてもよい。該活性成分は、本明細書において記載されている化合物又はその医薬的に許容される誘導体である。より高濃度、最大約98重量%、の活性成分が含まれていてもよい。
【0168】
全ての実施態様において、錠剤及びカプセル剤は、活性成分の溶解を変更又は持続させる為に、当業者によって知られているようにコーティングされてもよい。従って、例えば、錠剤及びカプセル剤は、慣用的な経腸的に消化可能なコーティング、例えば、フェニルサリチル酸塩、ワックス及びセルロースアセテートフタレート、でコーティングされていてもよい。
【0169】
液体経口剤形は、水性溶液、エマルション、懸濁剤、非発泡性顆粒から再構成された溶液及び/又は懸濁剤、発泡性顆粒から再構成された発泡性製剤を包含する。水性溶液は例えば、エリキシル及びシロップを包含する。エマルションは、水中油型又は油中水型のいずれかである。
【0170】
エリキシル剤は、透明で、甘味のあるヒドロアルコール製剤である。エリキシル剤において使用される医薬的に許容される担体は溶媒を包含する。シロップ剤は、糖類、例えばスクロース、の濃縮された水溶液であり、保存剤を含んでいてもよい。エマルションは二相系であり、一方の液体が他方の液体を通じて小球の形で分散されている。エマルションにおいて使用されている医薬的に許容される担体は、非水性液体、乳化剤及び保存剤である。懸濁物には、医薬的に許容される懸濁化剤及び保存剤が使用される。液体経口剤形へと再構成されるべき非発泡性顆粒において使用される医薬的に許容される物質は、希釈剤、甘味剤及び湿潤剤を包含する。液体経口剤形へと再構成されるべき発泡性顆粒において使用される医薬的に許容される物質は、有機酸、及び二酸化炭素源を包含する。着色剤及び香味剤は、上記の全ての剤形において使用される。溶剤は、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール、及びシロップを包含する。保存料の例は、グリセリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、及びアルコールを包含する。エマルションにおいて利用される非水性液体の例は、鉱油及び綿実油を包含する。乳化剤の例は、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト、及び界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、を包含する。懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、キサンタンガム、ビーガム、及びアカシアを包含する。甘味剤は、スクロース、シロップ、グリセリン、及び人工甘味料、例えばサッカリン、を包含する。湿潤剤は、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ジエチレングリコール、及びポリオキシエチレンラウリルエーテルを包含する。有機酸は、クエン酸及び酒石酸を包含する。炭酸ガス源は、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムを包含する。着色剤は、承認された水溶性FD及びC染料、並びにそれらの混合物を包含する。香料は、植物、例えば果物、から抽出された天然香料、及び心地よい感覚をもたらす化合物の合成ブレンドを包含する。固形剤形の場合に、例えばプロピレンカーボネート、植物油又はトリグリセリド中の溶液又は懸濁物は、1つの実施態様において、ゼラチンカプセルに被包される。そのような溶液、並びにそれらの調製及び被包化は、米国特許第4,328,245号明細書;米国特許第4,409,239号明細書;及び米国特許第4,410,545号明細書において開示されている。液体剤形の場合に、溶液、例えばポリエチレングリコール中の溶液、は、投与の為に容易に計量できるように、十分な量の医薬的に許容される液体担体、例えば水、で希釈されてもよい。
【0171】
代替的には、液体又は半固体の経口製剤は、活性化合物又は塩を、植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(例えば、炭酸プロピレン)及び他のそのような担体中に溶解又は分散させ、そして、これらの溶液又は懸濁物を硬質又は軟質のゼラチンカプセルシェル内に被包することによって調製されうる。他の有用な製剤は、米国特許第RE28,819号明細書及び米国特許第4,358,603号明細書に記載されているものを包含する。簡単に述べると、そのような製剤は、本明細書において提供される化合物であるジアルキル化されたモノ又はポリアルキレングリコールを含む製剤を包含するがこれらに限定されず、例えば、1,2-ジメトキシメタン、ジグライム(diglyme)、トリグライム(triglyme)、テトラグライム(tetraglyme)、ポリエチレングリコール-350-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-550-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-750-ジメチルエーテル(ここで、350、550及び750は、ポリエチレングリコールのおおよその平均分子量を言及する)、並びに1以上の抗酸化剤、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT:butylated hydroxytoluene)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA:butylated hydroxyanisole)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、チオジプロピオン酸及びそのエステル、並びにジチオカルバメート、を包含するがこれらに限定されるものでない。
【0172】
他の製剤は、医薬的に許容されるアセタールを含むアルコール水溶溶液を包含するがこれらに限定されない。これらの製剤に使用されるアルコールは、1以上のヒドロキシル基を有する医薬的に許容される水混和性溶媒であり、例えば、プロピレングリコール及びエタノールを包含するがこれらに限定されない。アセタールは、低級アルデヒドのジ(低級アルキル)アセタール、例えばアセトアルデヒドジエチルアセタール、を包含するがこれらに限定されない。
【0173】
1つの実施態様において、皮下、筋肉内又は静脈内のいずれかの注射によって特徴付けられる非経口投与がまた、本明細書において企図される。注射剤は、液体溶液若しくは懸濁物、注射前の液体への溶液若しくは懸濁物の為に適した固体形態、又はエマルションとして、慣用的な形態で調製されうる。該注射剤、溶液及びエマルションはまた、1以上の添加剤を含む。好適な添加剤は例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖、グリセロール、又はエタノールである。加えて、所望により、投与されるべき医薬組成物は、非毒性の補助物質、例えば、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解性増強剤、及び他のそのような剤、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート及びシクロデキストリン、の少量を含みうる。
【0174】
一定レベルの投与量が維持されるような、徐放性(slow-release)システム又は持続放出性(sustained-release)システムの移植(例えば、米国特許第3,710,795号明細書を参照)がまた、本明細書において企図される。簡単に述べると、本明細書において提供される化合物は、下記に述べる固体内部マトリックス中に分散される:ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化又は未可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコンカーボネートコポリマー、親水性ポリマー、例えば、アクリル酸とメタクリル酸のエステルのヒドロゲル、コラーゲン、外側の高分子膜によって囲まれた架橋化ポリビニルアルコール及び部分的に加水分解された架橋化ポリ酢酸ビニル、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルとの塩化ビニルコポリマー、塩化ビニリデン、エチレン及びプロピレン、アイオノマー(ionomer)ポリエチレンテレフタレート、ブチルゴムエピクロルヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、及びエチレン/ビニロキシエタノールコポリマー(体液中に不溶性である)。該化合物は、放出速度制御工程において外側の高分子膜を通じて拡散する。そのような非経口組成物中に含まれる活性化合物の割合は、その特定の性質、並びに化合物の活性及び対象の必要性に大きく依存する。
【0175】
該組成物の非経口投与は、静脈内投与、皮下投与、及び筋肉内投与を包含する。非経口投与の為の製剤は、注射準備の整った滅菌溶液、凍結乾燥粉末、例えば、使用直前に溶媒と一緒にされる準備の整った滅菌乾燥可溶性製品、例えば、皮下錠剤を包含する上記の滅菌乾燥可溶性製品、注射準備の整った滅菌懸濁物、使用直前にビヒクルと一緒にされる準備の整った滅菌乾燥不溶性製品、及び滅菌エマルションを包含する。該溶液は、水性であってもよく、又は非水性であってもよい。
【0176】
静脈内投与された場合、適切な担体は、生理的食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS:phosphate buffered saline)、及び増粘剤及び可溶化剤を含む溶液、例えば、グルコース、ポリエチングリコール及びポリプロピレングリコール並びにそれらの混合物、を包含する。
【0177】
非経口製剤において使用される医薬的に許容される担体は、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張化剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁剤及び分散剤、乳化剤、封鎖剤(sequestering agent)又はキレート剤、並びに他の医薬的に許容される物質を包含する。
【0178】
水性ビヒクルの例は、塩化ナトリウム注射液、リンジャー(Ringers)注射液、等張ブドウ糖注射液、無菌水注射液、ブドウ糖及び乳酸リンジャー注射液を包含する。非水系非経口用ビヒクルは、植物由来の固定油、綿実油、コーン油、ゴマ油、及びピーナッツ油を包含する。静菌又は静菌濃度における抗菌剤が、多回投与容器内に包装された非経口製剤に添加されなければならないが、該抗菌剤は、フェノール若しくはクレゾール、水銀(mercurials)、ベンジルアルコール、クロロブタノール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル及びプロピルのエステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウムを包含する。等張化剤は、塩化ナトリウム及びブドウ糖を包含する。緩衝剤は、リン酸塩及びクエン酸塩を包含する。抗酸化剤は、重硫酸ナトリウムを包含する。局所麻酔薬は、塩酸プロカインを包含する。懸濁剤及び分散剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンを包含する。乳化剤は、ポリソルベート80(ツイーン(TWEEN(登録商標))80)を包含する。金属イオンの封鎖剤又はキレート剤は、EDTAを包含する。医薬用担体はまた、水混和性ビヒクルの場合に、エチルアルコール、ポリエチングリコール及びプロピレングリコール、pH調整剤の場合に、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸又は乳酸、を包含する。
【0179】
医薬的に活性な化合物の濃度は、注射によって所望の薬理学的効果をもたらす有効量が提供されるように調整される。正確な投与量は、当技術分野において知られているように、対象又は動物の年齢、体重及び状態に依存する。
【0180】
単位用量の非経口製剤は、アンプル、バイアル、又は注射針付きシリンジ内に包装される。非経口投与用の為の全ての製剤は、当技術分野において知られているように無菌でなければならない
【0181】
例示的に、活性化合物を含む滅菌水性溶液の静脈内注入又は動脈内注入は、有効な投与様式である。別の実施態様は、所望の薬理学的効果をもたらす為に必要に応じて注射される、活性物質を含む滅菌の水性溶液又は油性溶液又は懸濁物である。
【0182】
注射剤は、局所投与及び全身投与の為に設計される。1つの実施態様において、治療上有効な投与量が、少なくとも約0.1%w/w以上、約90%w/w以下又はそれ以上、或る実施態様において、1%w/w超、の活性化合物の濃度を、処置される1以上の組織に含むように製剤化される。
【0183】
該化合物は、微粉化された形態で又は他の適切な形態で、懸濁されてもよく、又はより溶解性の高い活性産物を生成する為に若しくはプロドラッグを生成する為に誘導体化されてもよい。結果として得られた混合物の形態は、多くの要因、例えば、意図される投与様式、及び選択された担体又はビヒクル中の該化合物の溶解度を包含する上記の多くの要因、に依存する。有効濃度は、病態の症状を改善する為に十分であり、及び経験的に決定されうる。
【0184】
凍結乾燥粉末は、溶液、エマルション及び他の混合物として投与する為に再構成されることができ、また、本発明を実施する為に使用されてもよい。該凍結乾燥粉末はまた、再構成されてもよく、及び固体又はゲルとして製剤化されてもよい。
【0185】
無菌凍結乾燥粉末は、本明細書において提供されている化合物又はその医薬的に許容される誘導体を適切な溶媒中に溶解することによって調製される。該溶媒は、粉末又は粉末から調製される再構成された溶液の安定性又は他の薬理学的成分を改善するところの添加剤を含んでいてもよい。使用されうる添加剤は、デキストロース、ソルビタール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース又は他の適切な薬剤を包含するがこれらに限定されない。該溶媒はまた、緩衝剤、例えば、クエン酸塩、リン酸ナトリウム若しくはリン酸カリウム、又は1つの実施態様において中性pH程度で当業者に知られている他のそのような緩衝剤、を含んでいてもよい。該溶液のその後の無菌濾過、続いて当業者に知られている標準条件下での凍結乾燥により、所望の製剤が提供される。1つの実施態様において、結果として得られた溶液は、凍結乾燥の為にバイアル内へと分配されるであろう。各バイアルは、化合物の単回投与量又は複数回投与量を含むであろう。該凍結乾燥粉末は、適切な条件、例えば、約4℃~室温、の下で保存されることができる。
【0186】
この凍結乾燥粉末を注射用水で再構成することにより、非経口投与における使用の為の製剤が提供される。再構成の場合には、凍結乾燥粉末が滅菌水又は他の適切な担体に添加される。正確な量は、選択された化合物に依存する。そのような量は経験的に決定されることができる。
【0187】
局所用混合物は、局所投与及び全身投与の為に記載されたように調製されうる。結果として得られた混合物は、溶液、懸濁物、エマルション等であってもよく、及びクリーム、ゲル、軟膏、エマルション、溶液、エリキシル剤、ローション、懸濁物、チンキ剤、ペースト剤、フォーム剤、エアゾール剤、灌注剤(irrigation)、スプレー剤、坐剤、包帯、皮膚パッチ剤、又は局所投与の為に適した他の製剤として処方される。
【0188】
該化合物又はその医薬的に許容される誘導体は、局所適用の為のエアロゾル、例えば吸入剤、として処方されうる(例えば、米国特許第4,044,126号明細書;米国特許第4,414,209号明細書;及び米国特許第4,364,923号明細書を参照、それらは、炎症性疾患、特に喘息、の処置の為に有用なステロイドの送達の為のエアロゾルを記載する)。呼吸器に投与する為のこれらの製剤は、ネブライザーの為のエアロゾル若しくは溶液の形態で、又はガス注入(insufflation)の為の微粉末として、単独で、又は不活性担体、例えばラクトース、と組み合わせた形態でありうる。そのような場合、該製剤の粒子は、1つの実施態様において、50ミクロン未満、1つの実施態様において10ミクロン未満、の直径を有する。
【0189】
該化合物は、局所適用(local application)又は表面適用(topical application)、例えば、皮膚及び粘膜への局所適用の為に、例えば、ゲル、クリーム及びローションの形態で、眼への局所適用の為に、又は胸腔内若しくは脊髄内適用の為に、製剤化されてもよい。表面適用は、経皮送達の為に、及びまた、眼若しくは粘膜への投与の為に、又は吸入療法の為に企図される。活性化合物の単独又は他の医薬的に許容される添加剤との組み合わせの鼻腔溶液が投与されてもよい。これらの溶液、特に眼科使用を意図される溶液、は、適切な塩を含むpH約5~7の0.01%~10%の等張溶液として製剤化されうる。
【0190】
他の投与経路、例えば、経皮パッチ、例えば、イオントフォレーシス(iontophoretic)デバイス及び電気泳動デバイスを包含する上記の経皮パッチ、並びに直腸投与、がまた、本明細書において企図されている。
【0191】
経皮パッチ、例えば、イオントフォレーシス(iontophoretic)デバイス及び電気泳動デバイスを包含する上記の経皮パッチ、は、当業者に周知である。例えば、そのようなパッチは、下記に記載されている:米国特許第6,267,983号明細書;米国特許第6,261,595号明細書;米国特許第6,256,533号明細書;米国特許第6,167,301号明細書;米国特許第6,024,975号明細書;米国特許第6,010715号明細書;米国特許第5,985,317号明細書;米国特許第5,983,134号明細書;米国特許第5,948,433;及び米国特許第5,860,957号明細書。
【0192】
例えば、直腸投与の為の医薬剤形は、直腸坐剤、カプセル剤、及び全身投与の為の錠剤である。本明細書において使用される場合に、直腸坐剤は、体温で融解又は軟化して1以上の薬理学的又は治療学的に活性な成分を放出するところの、直腸内に挿入する為の固形体を意味する。直腸坐剤において利用される医薬的に許容される物質は、基剤又はビヒクル及び融点を上昇させる剤である。基剤の例は、ココアバター(テオブロマオイル)、グリセリン-ゼラチン、カルボワックス(ポリオキシエチングリコール)、並びに脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドの適切な混合物を包含する。様々な基剤の組み合わせが使用されうる。坐剤の融点を上昇させる剤は、鯨蝋(spermaceti)及びワックスを包含する。直腸坐薬は、圧縮法によって又は成形法によって調製されうる。直腸坐薬の重量は、1つの実施態様において、約2~3mgである。
【0193】
直腸投与の為の錠剤及びカプセルは、経口投与の為の製剤と同じ医薬的に許容される物質を用い、且つ同じ方法によって製造される。
【0194】
本明細書において提供される化合物又はその医薬的に許容される誘導体はまた、処置されるべき対象の身体の特定の組織、受容体、感染因子又は他の領域にターゲット化されるように製剤化されうる。多くのそのようなターゲット化方法は、当業者に周知である。全てのそのようなターゲティング方法は、インスタント(instant)組成物における使用の為に本明細書において企図されている。ターゲティング方法の非限定的な例については例えば、下記を参照されたい:米国特許第6,316,652号明細書;米国特許第6,274,552号明細書;米国特許第6,271,359号明細書;米国特許第6,253,872号明細書;米国特許第6,139,865号明細書;米国特許第6,131,570号明細書;米国特許第6,120,751号明細書;米国特許第6,071,495号明細書;米国特許第6,060,082号明細書;米国特許第6,048,736号明細書;米国特許第6,039,975号明細書;米国特許第6,004,534号明細書;米国特許第5,985,307号明細書;米国特許第5,972,366号明細書;米国特許第5,900,252号明細書;米国特許第5,840,674号明細書;米国特許第5,759,542号明細書、及び米国特許第5,709,874号明細書。
【0195】
1つの実施態様において、リポソーム懸濁物、例えば組織ターゲットリポソーム(例えば腫瘍ターゲットリポソーム)を包含する上記のリポソーム懸濁物はまた、医薬的に許容される担体として好適でありうる。これらは、当業者に知られている方法に従って調製されうる。例えば、リポソーム製剤は、米国特許第4,522,811号明細書に記載されているように調製されうる。簡単に述べると、リポソーム、例えば、マルチラメラベシクル(MLV's:multilamellar vesicles)は、卵ホスファチジルコリン及び脳ホスファチジルセリン(7:3のモル比)をフラスコの内側で乾燥させることによって形成されうる。二価陽イオンを欠くリン酸緩衝生理食塩水(PBS:phosphate buffered saline)中の本明細書において提供される化合物の溶液が添加され、そして、脂質膜が分散するまで該フラスコが振盪される。結果として得られた小胞が洗われて、被包されていない化合物が除去され、遠心分離によりペレット化され、そして次に、PBS中に再懸濁される。本発明の幾つかの実施態様において、本発明の化合物、粒子、組成物、及び/又はキットの、フローサイトメトリーにおける使用が提供される。フローサイトメトリーは知られており、例えば、下記において記載されている:米国特許第5,915,925号明細書;米国特許第6,248,590号明細書;米国特許第6,589,792号明細書;米国特許第6,890,487号明細書、米国特許第8,980,565号明細書、及び米国特許第9,417,245号明細書。幾つかの実施態様において、ターゲット(例えば、化合物、粒子、細胞等)は、本発明の化合物で標識化され、該標識化されたターゲットは、引き続き、例えばフローサイトメトリー方法で検出される。標識化は、任意の適切な技術によって、例えば、本発明の化合物を別の化合物、例えば抗体、に結合させることによって、該化合物が粒子又は細胞に特異的に結合することによって、該化合物の細胞又は粒子への取り込み又は内在化によって、該化合物の細胞又は粒子への非特異的吸着によって等、実施されることができる。本明細書において記載されている化合物は、フローサイトメトリーにおいて有用であり得、及びフローサイトメトリー技術(蛍光活性化された細胞選別又はFACSを包含する)は、即座の開示に基づいて当業者に明らかであろう既知の技術又はその変形の技術に従って実施されうる。
【0196】
幾つかの実施態様において、本発明の方法は、1つ、2つ、又はそれ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、又はそれ以上)の標識化されたターゲットを含む。本明細書において使用される場合に「標識化されたターゲット」は、検出可能な化合物に関連付けられた(例えば結合された、例えば共有結合された又は非共有結合された)ターゲット(例えば、化合物、粒子、細胞等)を云う。該検出可能な化合物は、励起波長帯域で励起され、且つ発光波長帯域で発光する。幾つかの実施態様において、標識化されたターゲット及び/又は検出可能な化合物は、本発明の化合物を含みうる。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、第1の標識化されたターゲット及び第2の標識化されたターゲットを含み、該第1の標識化されたターゲットは本発明の化合物を含み、及び該第2の標識化されたターゲットは該第1の標識化されたターゲットと異なる。該第1の標識化されたターゲット及び該第2の標識化されたターゲットは各々、励起波長帯域で励起される(任意的に、同じ励起波長で又は異なる励起波長で励起される)検出可能な化合物を含み、ここで、該第1の標識化されたターゲットは、該第2の標識化されたターゲットの発光波長帯域と異なる発光波長帯域を有していてもよい。幾つかの実施態様において、該第1の標識化されたターゲットの発光波長帯域及び該第2の標識化されたターゲットの発光波長帯域は、少なくとも5ナノメートルだけ互いに離間したところのピークによって特徴付けられる(すなわち、該第1の標識化されたターゲットは、該第2の標識化されたターゲットのピーク発光波長帯域から少なくとも5ナノメートル離れたピーク発光波長帯域を有する)。本方法は、該第1の標識化されたターゲットを検出すること、該第2の標識化されたターゲットを検出すること、該第1の標識化されたターゲット及び該第2の標識化されたターゲットを互いに区別することを含み得、任意的に、ここで、該区別することは、該第1の標識化されたターゲットに関連する発光波長帯域を検出及び/又は決定すること、ならびに/又は第2の標識化されたターゲットに関連付けられた発光波長帯域を検出及び/又は決定することによって実施される。幾つかの実施態様において、該第1の標識化されたターゲットは本発明の第1の化合物を含み、及び該第2の標識化されたターゲットは本発明の第2の化合物を含み、並びに該第1の化合物及び該第2の化合物は、異なる発光波長帯域を有する(例えば、該第1の化合物のピーク発光波長帯域は、該第2の化合物のピーク発光波長帯域と異なる(例えば、少なくとも5ナノメートル離れている))。幾つかの実施態様において、該第1の標識化されたターゲットは本発明の第1の化合物を含み、及び該第2の標識化されたターゲットは本発明の化合物でない(例えば、本発明のダイアドではない)検出可能な化合物を含み、任意的に、ここで、該第2の標識化されたターゲットの検出可能な化合物は、クロリン、バクテリオクロリン、イソバクテリオクロリン、又はポルフィリンである。
【0197】
本発明の化合物、組成物、粒子、及びキットを使用する方法が、本明細書においてまた提供される。幾つかの実施態様において、フローサイトメトリーを使用して細胞及び/又は粒子を検出する方法が提供される。幾つかの実施態様において、方法は、本発明の化合物、粒子、組成物、及び/又はキットで、細胞及び/又は粒子を標識化すること;並びに、フローサイトメトリーによって該化合物を検出し、それによって細胞及び/又は粒子を検出することを含む。
【0198】
多色用途(multicolor application)の場合に、ポルフィリン顔料の1組のメンバーが、助色団の使用を通じて異なる波長で吸収/発光するように調整されることができる。特に、同じポルフィリンドナーで異なるヒドロポルフィリンアクセプターを、1組で使用することにより、全てのメンバーが同じ吸収波長で励起され、しかし、吸収蛍光の大きい間隔を全て有する発光波長のグラデーションを提供することが可能でありうる。典型的な多色用途において、抗体の1組は、蛍光色素の1組で標識付される(所与のモノクローナル抗体について一種類の蛍光色素)。多色を識別する為の能力により、抗体の該1組を異種の細胞プールに対して並行して使用されることが可能になる。本発明は、スペクトル的に異なる安定な蛍光色素を提供する。代替的には、スペクトル的に異なる一連のドナーポルフィリンが、単一の種類のアクセプターと組み合わされて用いられることができる。この場合に、検出の単一の波長に、しかし異なる励起波長に依存する。実験設計にかかわらず、スペクトルのチューニングは、(i)異なる顔料、(ii)ポルフィリン顔料における異なる金属、(iii)助色団の使用、によって達成されることができる。
【0199】
対象における組織及び/又は作用因子(agent)(例えば、細胞、感染因子等)を検出する方法がまた提供される。幾つかの実施態様において、該方法は、該対象に、本発明の化合物、粒子、組成物、又はキットを投与すること、任意的に、ここで、該化合物が組織及び/又は作用因子と会合する;並びに、該対象内で該化合物を検出すること、それによって該組織及び/又は該作用因子を検出することを含む。光学イメージングの場合に、幾つかの実施態様において、2つのポルフィリン性発色団がヒドロポルフィリンと連結されて、吸収極大と蛍光発光極大との間に大きなシフト(例えば、50nm超)を有するダイアドを形成することができる。該大きなスペクトル間隔により、特に深部組織の施与において、イメージング品質を損なうアーチファクト(蛍光検出システムに到達する励起光の散乱による)が最小限に抑えられる。励起光除去効率は、吸収-蛍光間隔が大きくなるにつれて増加しうる。幾つかの実施態様において、アクセプターとしてバクテリオクロリンを含む化合物は、エネルギー吸収体/ドナーのサブユニットの相対的にシャープ(<20nm)で且つ強いNIRバンドの最大値での励起と、エミッター/アクセプターのNIRピークでの検出とを可能にする。幾つかの実施態様において、バクテリオクロリンのスペクトル特徴は、光学イメージングの為に有用でありうるドナー及びアクセプターを得る為に(例えば、少なくとも50nmにわたって)シフトされる。
【0200】
また、細胞及び/又は組織(例えば、疾患細胞及び/又は組織)を処置することを必要とする対象において細胞及び/又は組織(例えば、疾患細胞及び/又は組織)を処置する方法がまた提供される。幾つかの実施態様において、方法は、本発明の化合物、粒子、組成物、又はキットを投与すること、任意的に、ここで、該化合物が細胞及び/又は組織と会合する、並びに、該対象又はその一部(例えば、細胞及び/又は組織が存在する場所)に、細胞及び/又は組織を処置する為に十分な波長及び強度の光を照射すること、任意的に、ここで、該光は該化合物又はその一部を活性化する、を含む。幾つかの実施態様において、該細胞及び/又は該組織は、過剰増殖組織(例えば、腫瘍)である。
【0201】
本発明の幾つかの実施態様において、イメージング(例えば、光音響イメージング)及び/又は顕微鏡検査における、本発明の化合物、粒子、組成物、及び/又はキットの使用が提供される。
【0202】
対象における組織及び/又は作用因子(例えば、細胞、感染因子等)をイメージングする方法が本明細書においてまた提供される。幾つかの実施態様において、方法は、本発明の化合物、粒子、組成物、及び/又はキットを対象に投与すること;並びに、該対象内で該化合物を検出し、それによって、該組織及び/又は該作用因子をイメージングすることを含む。特定の実施態様において、該対象内の化合物を検出することが、該対象又はその一部(例えば、該化合物が存在する場所及び/又はイメージングされる場所)に、超音波(例えば、超音波圧力波)を生成する為に十分な波長及び強度の光を照射することを含み、任意的に、ここで、該照射は、レーザー用いて、及び/又は該対象に1以上の非イオン化レーザーパルスを曝露することによって行われる。幾つかの実施態様において、該対象内で該化合物を検出することが、任意的に超音波検出器を用いて、超音波を検出することを含む。幾つかの実施態様において、該対象内で該組織及び/又は該作用因子をイメージングする方法は、該組織及び/又は該作用因子の光音響イメージングを含む。
【0203】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、光線力学的療法の用途において使用されうる。この用途において、アクセプター発色団は、(1)励起一重項状態からの励起三重項状態の高い形成収率、(2)長い三重項励起状態寿命、及び(3)活性酸素種(ROS:reactive oxygen species)、すなわちその最低一重項デルタ励起状態、を形成する為の三重項励起状態から酸素への高いエネルギー移動収率、を有するように、中心金属及び周辺置換基の選択によって調整されるであろう。幾つかの実施態様において、第1の因子を高める為に、異なる金属イオン(重い金属イオン、例えばパラジウム)が、アクセプター発色団において利用されて、スピン軌道結合を高め、従って、一重項-三重項系間交差の速度を高めうる。従って、蛍光が実質的に除去さてもよく、この用途の場合には必須でない。しかしながら、テトラピロール発色団は一般的に、重原子効果(heavy atom effect)の存在がない場合であっても高い三重項励起状態収率を示すことは注目に値する。従って、同じアクセプター発色団が、低光強度での光イメージングによって適切な位置(癌細胞、膜コンパートメント等)に存在することを検出し、そして次に、高光強度での光線力学的療法の為に利用することができる場合がある。このことにより、光線力学的療法試薬の局在化と効果の両方を評価する為の能力が向上されうる。これらの用途は、吸収特性(例えば、ポルフィリンの吸収特性)と細胞殺傷の為に不可欠なアクセプター(例えば、ヒドロポルフィリン)の反応特性を独立して調整する為の能力により、モノマー試薬よりも本発明の化合物の使用によって促進されるであろう。
【0204】
別の実施態様において、開示された化合物は、ターゲット組織又はターゲット組成物に特異的なリガンド、例えば、リガンド又はリガンド-レセプター対、例えば、抗体若しくは抗原、を用いて、特定のターゲット組織又はターゲット組成物にターゲット化されうる。腫瘍抗原に対する抗体及び病原体に対する抗体が知られている。例えば、ウイルス、細菌、真菌及び寄生虫感染を包含する、腫瘍若しくは感染性病変によって産生されるマーカー又は腫瘍若しくは感染性病変に関連付けられたマーカーに、並びにそのような微生物に関連付けられた抗原及び生成物に、特異的に結合するところの抗体及び抗体フラグメントが、なかんずく、Hansen等による米国特許第3,927,193号明細書において、並びにGoldenbergによる米国特許第4,331,647号明細書;米国特許第4,348,376号明細書;米国特許第4,361,544号明細書;米国特許第4,468,457号明細書;米国特許第4,444,744号明細書;米国特許第4,818,709、及び米国特許第4,624,846号明細書において開示されている。抗原、例えば、消化管、肺、乳房、前立腺、卵巣、精巣、脳又はリンパ系腫瘍、肉腫又は黒色腫に対する抗体が使用されてもよい。
【0205】
感染性疾病に対する多種多様なモノクローナル抗体が開発されており、Polinによる総説、Eur.J.Clin.Microbiol.,3(5):387-398(1984)において要約されており、すぐに入手可能であることが示されている。これらは、病原体及びそれらの抗原に対するモノクローナル抗体(Mabs:monoclonal antibodies)、例えば下記に記載のモノクローナル抗体、を包含する:抗細菌Mabs(Anti-bacterial Mabs)、例えば、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophilia)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、大腸菌(Esherichia coli)、淋菌(Neisseria gonorrhosae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、肺炎球菌(Pneumococcus)、インフルエンザ菌B型(Hemophilis influenzae B)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、ライム病(Lyme disease)、スピロヘータ(spirochetes)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、らい菌(Mycobacterium leprae)、ウシ流産菌(Brucella abortus)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)及び破傷風毒素(Tetanus toxin)に対する上記の抗細菌Mabs(Anti-bacterial Mabs);抗原虫Mabs(Anti-protozoan Mabs)、例えば、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、ランゲリ・トリパノソーマ(Trypanosoma rangeli)、クルーズ・トリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)、ローデシア・トリパノソーマ(Trypanosoma rhodesiensei)、ブルース・トリパノソーマ(Trypanosoma brucei)、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)、日本住血吸虫(Schistosoma japanicum)、ネズミ中殖条虫(Mesocestoides corti)、鶏盲腸コクシジウム(Emeria tenella)、回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)、熱帯リーシュマニア(Leishmania tropica)、旋毛虫(Trichinella spiralis)、タイレリア・パルバ(Theileria parva)、胞状条虫(Taenia hydatigena)、ヒツジ条虫(Taenia ovis)及び無鉤条虫(Taenia saginata)に対する上記の抗原虫Mab(Anti-protozoan Mabs);抗ウイルスMAbs(Anti-viral MAbs)、例えば、HIV-1、HIV-2及びHIV-3に対するそれら)、A、B、C及びD型肝炎(Hepatitis A,B,C,D)、狂犬病ウイルス(Rabies virus)、インフルエンザウイルス(Influenza virus)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus)、単純ヘルペスI型及びII型(Herpes simplex I and II)、ヒト血清パルボ様ウイルス(Human serum parvo-like virus)、呼吸器合胞体ウイルス(Respiratory syncytial virus)、水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella-Zoster virus)、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus)、麻疹ウイルス(Measles virus)、アデノウイルス(Adenovirus)、ヒトT細胞白血病ウイルス(Human T-cell leukemia viruses)、エプスタイン・バーウイルス(Epstein-Barr virus)、ムンプスウイルス(Mumps virus)、シンドビスウイルス(Sindbis virus)、マウス乳腺腫瘍ウイルス(Mouse mammary tumor virus)、ネコ白血病ウイルス(Feline leukemia virus)、リンパ球性絨毛膜炎ウイルス(Lymphocytic choriomeningitis virus)、イボウイルス(Wart virus)、ブルータングウイルス(Blue tongue virus)、センダイウイルス(Sendai virus)、レオウイルス(Reo virus)、ポリオウイルス(Polio virus)、デングウイルス(Dengue virus)、風疹ウイルス(Rubella virus)及びマウス白血病ウイルス(Murine leukemia virus)に対する上記の抗ウイルスMAbs(Anti-viral MAbs);並びに、抗マイコプラズマMAbs(Antimycoplasmal MAbs)、例えば、アコレプラズマ・レイドラウィー(Acholeplasma laidlawii)に対するそれら)、マイコプラズマ・アルトリティディス(Mycoplasma arthritidis)、マイコプラズマ・ヒオリニス(M. hyorhinis)、マイコプラズマ・オラレ(M. orale)、マイコプラズマ・アルギニニ(M. arginini)及びマイコプラズマ・ニューモニア(M. pneumonia)に対する上記の抗マイコプラズマMAbs(Antimycoplasmal MAbs)等。
【0206】
適切なMAbsが、ヒトにおける感染症の大部分を引き起こす微生物(細菌、ウイルス、原虫、他の寄生虫)のほとんどに対して開発されており、その多くは、イン・ビトロ(in vitro)診断目的の為に以前から使用されてきている。これらの抗体、及び慣用的な方法によって作成されることができる新しいMAbsは、本明細書において提供される化合物のターゲット剤として使用する為に適切であろう。
【0207】
マラリア原虫に対するMAbは、スポロゾイト(sporozoite)、メロゾイト(merozoite)、シゾント(schizont)及びガメトサイト(gametocyte)の各ステージに対して向けられることができる。モノクローナル抗体がスポロゾイト(スポロゾイト周囲の(circumsporozoite)抗原)に対して作成され、イン・ビトロ(in vitro)及びげっ歯類においてスポロゾイトを中和することが示されている(N.Yoshida et al.,Science 207:71-73(1980))。トキソプラズマ症に関与する寄生原虫であるT.gondiiに対するモノクローナル抗体が開発されてきている(Kasper et al.,J.Immunol.129:1694-1699(1982))。MAbsは幼住血吸虫の表面抗原に対して開発されてきており、イン・ビボ(in vivo)又はイン・ビトロ(in vitro)で幼住血吸虫に対して作用することが見つけられている(Simpson et al.,Parasitology 83:163-177(1981);Smith et al.,Parasitology 84:83-91(1982);Gryzch et al.,J. Immunol.129:2739-2743(1982);Zodda et al.,J.Immunol.129:2326-2328(1982);Dissous et al.,J.Immunol.129:2232-2234(1982))。
【0208】
抗体と免疫グロブリンクラスとの混合物がハイブリッド抗体と同様に用いられうることが留意されるべきである。多重特異性(二重特異性及びハイブリッドを包含する)の抗体と抗体フラグメントは、ターゲット組織を検出し且つ処置する為の本発明の方法において使用され得、少なくとも2つの異なる実質的に単特異性抗体又は抗体フラグメントを含み得、ここで、抗体又は抗体フラグメントの少なくとも2つは、ターゲット病変に産生される少なくとも2つの異なる抗原に、若しくはターゲット病変に関連付けられた少なくとも2つの異なる抗原に、又はターゲット組織に産生される少なくとも2つの異なるエピトープ或いはマーカー物質の分子に、若しくはターゲット組織に関連付けられた少なくとも2つの異なるエピトープ或いはマーカー物質の分子に、特異的に結合する。二重特異性を有する多重特異性抗体及び抗体フラグメントは、米国特許第4,361,544号明細書において開示されている抗腫瘍マーカーハイブリッドに類似して調製されることができる。ハイブリッド抗体を調製する為の他の技術は、例えば、米国特許第4,474,544号明細書及び米国特許第4,479,895号、並びにMilstein et al.,Immunol.Today 5:299(1984)において開示されている。
【0209】
本発明において有用な抗体フラグメントは、F(ab')2、F(ab)2、Fab'、Fab、Fv等を包含し、ハイブリッドフラグメントを包含する。幾つかの実施態様において、フラグメントは、Fab'、F(ab')2、Fab、及びF(ab)2である。免疫グロブリンの超可変抗原結合領域を保持し且つFab'フラグメントと類似のサイズ又はFab'フラグメントよりも小さいサイズを有するところの任意のサブフラグメントがまた有用である。これは抗原結合部位を組み込み、そうでなければ天然の免疫グロブリンフラグメントと実質的に同じ方法でターゲット化ビヒクルとしてイン・ビボ(in vivo)で機能する、単鎖であるか又は多鎖であるかにかかわらず、遺伝子操作された及び/又は組換えられたタンパク質を包含する。そのような一本鎖結合分子は、米国特許第4,946,778号明細書において開示されており、それは参照によって本明細書内に組み込まれる。Fab'抗体フラグメントは、F(ab')2フラグメントの還元的切断によって簡便に作成され得、Fab'抗体フラグメントそれ自体は、無傷の免疫グロブリンのペプシン消化によって作成されうる。Fab抗体フラグメントは、無傷の免疫グロブリンを還元条件下でパパイン消化することによって、又は全免疫グロブリンを注意深くパパイン消化することによって結果的に生じるF(ab)2フラグメントの切断によって作成されうる。
【0210】
リガンド、又はリガンド-レセプター結合対(ligand-receptor binding pair)の1つのメンバーが、本明細書において提供されている化合物を特定のターゲット組織又はターゲット組成物にターゲティングする為に該化合物にコンジュゲートされうる。リガンド-レセプター結合対の例は、米国特許第4,374,994号明細書及び米国特許第3,817,837号明細書に記載されており、それらの教示は参照によって本明細書内に組み込まれる。
【0211】
リガンド-とレセプター結合対、より具体的には抗体、の為のターゲットとして役立つ多くの化合物が同定されており、そのようなリガンドの光増感剤とのコンジュゲート(conjugate)を構築する技術は当業者に周知である。例えば、Rakestraw等は、修飾されたデキストラン担体を用いて、モノクローナル抗体への共有結合を介してSn(IV)クロライド6をコンジュゲートさせることを教示している(Rakestraw,S.L.,Tompkins、R.D.,and Yarmush,M.L.,Proc.Nad.Acad.Sci.USA 87:4217-4221(1990))。本明細書において開示された化合物はまた、カップリング剤を用いることによって、リガンド、例えば抗体、にコンジュゲートされうる。投与及び処置の為に必要な時間について、生理学的条件下で安定であるように複数の成分を連結することができる任意の結合が好適である。幾つかの実施態様において、該結合は共有結合でありうる。2つの成分間の連結は、直接的なもの、例えば、光増感剤がターゲッティング剤に直接的に連結されるような直接的なもの、であってもよく、又は間接的なもの、例えば、光増感剤が中間体に連結され、その中間体が該ターゲッティング剤に連結されるような間接的なもの、であってもよい。
【0212】
カップリング剤は、光増感剤、骨格(backbone)(存在する場合)及びターゲット化剤の化学的安定性を実質的に保持する温度、pH、塩、溶媒系及び他の反応物の条件下で機能すべきである。カップリング剤は、該光増感剤又は該ターゲット化剤の変性又は不活性化が最小限又は全くないように、複数の成分部分を安定に連結すべきである。多くのカップリング剤はアミンとカルボキシレートと反応してアミドを形成し、又はアルコールとカルボキシレートと反応してエステルを形成する。カップリング剤は当技術分野において知られている(例えば、M.Bodansky,"Principles of Peptide Synthesis",2nd ed.,and T.Greene and P.Wuts,"Protective Groups in Organic Synthesis," 2nd Ed,1991,John Wiley,NYを参照)。
【0213】
本明細書において提供される化合物とリガンド、例えば抗体、とのコンジュゲート(conjugate)は、「E」環上のエステルを切断し、そして、ペプチド結合を介して該化合物をN末端を通じて抗体にカップリングさせることによって、又は当該技術分野において知られている他の方法によって、該化合物をターゲット部位にカップリングさせることによって調製されうる。様々なカップリング剤、例えば架橋剤を包含する様々なカップリング剤が、共有結合(covalent conjugation)の為に使用されうる。架橋剤の例は、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセテート(SATA)、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジ-チオ)プロピオネート(SPDP)、オルト-フェニレン-ジマレイミド(o-PDM)、及び4-(N-マレイミド-メチル)-シクロヘキサン-1-カルボン酸スルホスクシンイミジル(sulfo-SMCC:sulfosuccinimidyl 4-(N-maleimido-methyl)-cyclohexane-1-carboxylate)を包含する。例えば、Karpovsky et al.,J.Exp.Med.160:1686 (1984);and Liu,M A et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:8648 (1985)を参照されたい。他の方法は、Brennan et al.,Science 229:81-83 (1985) and Glennie et al.,J. Immunol. 139:2367-2375 (1987)によって記載されているものを包含する。ペプチド及びタンパク質の為の多数のカップリング剤が、緩衝液、溶媒、及び使用方法と共に、Pierce Chemical Co.のカタログ、第O-90~O-110頁(1995,Pierce Chemical Co.,3747 N.Meridian Rd.,Rockford Ill.,61105,U.S.A)において記載されており、そのカタログは、参照によって本明細書内に組み込まれる。
【0214】
例えば、DCCは有用なカップリング剤であり、DMSO中でアルコールNHSとクロリンe6とのカップリングを促進し、ポリリジンに架橋しうる活性化されたエステルを形成する為に使用されうる。DCCはペプチド合成のカップリング剤として一般的に使用されるカルボキシ反応性架橋剤であり、206.32の分子量を有する。他の有用な架橋剤は、SPDPであり、すなわち、一級アミン基とスルフヒドリル(sulfhydryl)基とを使用するヘテロ二官能性架橋剤である。SPDPは分子量312.4を有し、スペーサーアーム(spacer arm)の長さ6.8オングストロームを有し、NHS-エステル記及びピリジルジチオ基と反応性があり、且つ更なる反応に応じて剤が除去され、光増感剤が骨格(backbone)又はターゲット化剤に直接連結されうるように開裂可能な架橋を生成する。他の有用なコンジュゲート剤は、ヒドロキシルアミン-HClで脱ブロックされる2工程の架橋の為に、ブロックされたSH基を導入する為のSATA、並びにsulfo-SMCC及びスルフヒドリル(sulfhydryl)基である。他の架橋剤及びカップリング剤がまた、Pierce Chemical社から入手可能である。タンパク質を他のタンパク質又は他の組成物、例えばタンパク質の金属イオンによる標識付けの為のレポーター基に又はキレート剤にコンジュゲートさせるための追加の化合物及びプロセス、特に中間体としてシッフ塩基を含むプロセス、は、欧州特許公開公報EPO243,929A2号明細書(1987年11月4日公開)において開示されている。
【0215】
カルボキシル基を含む光増感剤は、予め形成された反応性エステル(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)又はカルボジイミドを介在する反応によってイン・シチュー(in situ)でコンジュゲートされるエステルのいずれかによって、ターゲットポリペプチド中のリジンε-アミノ基に結合されうる。同じことがスルホン酸基を含む光増感剤にも適用され、それにより、アミノ基と反応するスルホニルクロライドに変化されうる。カルボキシル基を有する光増感剤は、イン・シチュー(in situ)のカルボジイミド法によってポリペプチド上のアミノ基に結合されうる。光増感剤はまた、セリン残基又はスレオニン残基のヒドロキシル基、又はシステイン残基のスルフヒドリル基に付着されうる。
【0216】
コンジュゲート(conjugate)の複数の構成成分を結合させる方法、例えば光増感剤を有するポリアミノ酸鎖と抗菌性ポリペプチドを結合させる方法は、ヘテロ二官能性架橋試薬を使用しうる。これらの試薬は、一方の鎖における官能基と、もう一方の鎖における異なる官能基に結合する。これらの官能基は典型的には、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル(sulfhydryl)基、及びアルデヒド基である。これらの基と及び異なるように配置された構造と反応して、それらを互いにコンジュゲートする為の適切な残基の組み合わせは数多くある。Pierceのカタログ、及びMerrifield,R.B.et al.,Ciba Found Symp.186:5-20 (1994)を参照されたい。
【0217】
本化合物又はそれらの医薬的に許容される誘導体は、包装材料と;該包装材料内の、本明細書において提供される化合物又はその医薬的に許容される誘導体であって、過増殖組織若しくは新生血管の活性を調節する為に効果的であり、又は過剰増殖組織若しくは血管新生を介在した疾病若しくは障害又は過剰増殖組織若しくは血管新生活性が関与するところの疾病又は障害のうちの1以上の症状の処置、予防若しくは改善の為の上記化合物又はその医薬的に許容される誘導体と;並びに、ラベルであって、該化合物若しくは該組成物又はそれらの医薬的に許容される誘導体が、過剰増殖組織若しくは血管新生の活性を調節する為に、又は過剰増殖組織若しくは血管新生を介在した疾病若しくは障害又は過剰増殖組織若しくは血管新生活性が関与するところの疾病又は障害のうちの1以上の症状の処置、予防若しくは改善の為に使用されることを示す該ラベルと、を含む製品として包装されてもよい。
【0218】
本明細書において提供される製造品は、包装材料を含む。医薬品を包装する際に使用する為の包装材料は、当業者に周知である。例えば、米国特許第5,323,907号明細書;米国特許第5,052,558号明細書及び米国特許第5,033,252号明細書を参照されたい。医薬包装材料の例は、ブリスターパック、ボトル、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、注射器、ボトル、及び選択された製剤及び意図された投与及び処置の様式に適した任意の包装材料を包含するがこれらに限定されない。本明細書において提供される化合物及び組成物の広範囲の製剤は、過増殖組織又は新生血管形成が症状又は原因の媒介因子又は寄与因子として関与する在りうる疾病又は障害の為の種々の処置と同様に企図される。
【0219】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は光増感化合物でありうる。光増感化合物は、ターゲット組織、ターゲット組成物及び/又は対象が照明(illumination)に付される前に、該対象に投与されうる。該光増感化合物は、本明細書内の他の箇所に記載されているように投与されうる。
【0220】
光増感化合物の用量は臨床的に決定されうる。使用される光増感化合物に依存して、同等の至適治療レベルが設定される必要がありうる。循環又は局所的に投与された光増感剤がターゲット組織によって取り込まれるまでには、一定の時間が必要でありうる。未結合の光増感剤はこの待機期間中に循環から除去されるが、非ターゲット組織から未結合の化合物を除去する為に、更に時間が任意的に設けられてもよい。該待機期間は臨床的に決定され、且つ化合物によって異なりうる。
【0221】
この待機期間の終了後、レーザー光源又は非レーザー光源(人工光源、例えば、蛍光灯又は白熱灯、又は自然光源、例えば周囲の太陽光、を包含するがこれらに限定されない)が、結合した光増感剤を活性化する為に使用される。照明(illumination)の領域は、検出、診断又は処置されるべき病理学的領域の位置及び/又は大きさによって決定されうる。照明(illumination)の期間は、検出が行われるか又は処置が行われるかに依存し、且つ経験的に決定されうる。約4分~約72時間の間のいずれかの合計又は累積期間が使用されうる。1つの実施態様において、照明期間は約60分~約148時間でありうる。別の実施態様において、照明期間は約2時間~約24時間でありうる。
【0222】
幾つかの実施態様において、照射(irradiating)の為に使用される光の総フルエンス又はエネルギーは、ジュールで測定され、約10ジュール~約25,000ジュールであってもよく;幾つかの実施態様において、約100ジュール~約20,000ジュールであってもよく;幾つかの実施態様において、約500ジュール~約10,000ジュールであってもよい。発光(例えば、蛍光又は燐光)による検出の為であれ、ターゲット組織又はターゲット組成物を破壊又は障害する治療的処置のためであれ、所望の効果をもたらす為に十分な波長及びフルエンスの光が選択されうる。光増感剤の特徴的な光吸収波長に少なくとも部分的に対応する波長を有する光は、ターゲット組織を照射する為に使用されうる。
【0223】
使用される光の強度又はパワーは、ワット単位で測定され得、ここで、各ジュールは1ワット秒に等しい。それ故に、本発明において照射の為に使用される光の強度は、実質的にmW/cm2未満でありうる。ジュール単位における光の総フルエンス又はエネルギー量は秒単位の総曝露持続時間で除算される故に、ターゲットが照射(irradiation)に曝露される時間が長ければ長いほど、使用される光の強度を増加させること無しに、より大きな総エネルギー量又はフルエンス量が使用されうる。本発明は、光増感剤を活性化する為に十分な照射(irradiation)の総フルエンス量を使用する。
【0224】
本明細書において開示された化合物を光線力学的療法の為に使用する1つの実施態様において、該化合物は、診断又は処置されるべき哺乳動物、例えばヒト、へ注射される。注射の量は、約0.1~約0.5μモル/kg体重でありうる。処置の場合に、処置される領域が、所望の波長及びエネルギー、例えば約10~約200J/cm2の光に曝露される。検出の場合に、該化合物を照射する為に使用される波長とは異なる波長で、該化合物が蛍光及び/又は燐光発光させる為に十分な波長で光に曝露されることに応じて、発光が決定される。検出において使用されるエネルギーは、蛍光及び/又は燐光を生じる為に十分であり、通常、処置の為に必要であるエネルギーよりも有意に低い。
【0225】
本発明の組成物、化合物及び/又は粒子を含むキットが本発明の実施態様に従ってまた提供される。幾つかの実施態様において、該キットは、有機溶媒を含まない1以上(又は、全て)の全組成物を含む。幾つかの実施態様において、本発明のキットは、第1の発光波長を含む第1の吸収及び発光スペクトルを有する第1の化合物、及び第2の発光波長を含む第2の吸収及び発光スペクトルを有する第2の化合物を含み、ここで、該第1の発光波長及び該第2の発光波長が異なり及び/又は区別され、並びに該第1の化合物及び該第2の化合物が、両方とも本発明の化合物である。幾つかの実施態様において、該第1の化合物及び該第2の化合物は各々、同じ励起波長によって励起される。
【0226】
本明細書において開示されている光増感化合物又はその医薬的に許容される誘導体のいずれか1つは、本明細書において開示されている方法のいずれかを実施する為の説明書と共にキットで提供されうる。説明書は、任意の有形の形態、例えば印刷された紙、該方法をどのように実施するかを人に指示するところのコンピュータディスク、該方法をどのように実施するかの指示書を含むビデオカセット、又は遠隔地からデータを受信し、そして説明書を図示するか又は他の方法で(例えばインターネットを介して)人に指示を提供するところのコンピュータメモリ、であってもよい。人は、上記の指示のいずれかを用いて該キットをどのように使用するかを指示されてもよく、又は例えば、教室で、若しくは例えば、本明細書において開示されている方法のいずれかを用いて対象を処置する過程で、指示を受けることによって指示されてもよい。
【0227】
幾つかの実施態様において、光線力学的療法(PDT:photodynamic therapy)及び/又は光線力学的不活性化(PDI:photodynamic inactivation)において本発明の化合物を使用する方法が提供される。本発明の化合物及び組成物を使用する方法の追加的な例及び具体例は、下記の(i)~(xi)を包含するがこれらに限定されない:
【0228】
(i)日和見感染症の処置。本発明の化合物、組成物及び方法は、日和見感染症、特に軟部組織、のPDTの為に有用でありうる。感染症、特に創傷感染症、の(PDTを介した)抗菌剤処置の為に、感染性生物は、(非限定的な例として)黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、及び大腸菌(Escherichia coli)を含みうる。院内感染において、緑膿菌は手術創感染症の8%及び血流感染症の10%を引き起こしている。幾つかの実施態様において、対象は、免疫不全の対象であり、例えば、AIDSに罹患している対象、又は免疫抑制剤による処置を受けている対象である。
【0229】
(ii)熱傷の処置。黄色ブドウ球菌(S.aureus)及びグラム陽性菌(gram-positive bacteria)全般による感染は、熱傷において特に顕著である(Lambrechts,2005)。黄色ブドウ球菌の多剤耐性は、重大な医学的課題を提示する。この点において、本発明の化合物、組成物及び方法は、熱傷の日和見感染症の処置の為に有用である。
【0230】
(iii)敗血症。本発明の化合物、組成物及び方法は、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)の日和見感染に罹患した対象のPDT処置の為に有用である。グラム陰性細菌(gram-negative bacterium)であるビブリオ・バルニフィカスは、ヒトにおいて原発性敗血症、創傷感染症、及び胃腸疾患を引き起こす。
【0231】
(iv)潰瘍。本発明の化合物、組成物及び方法は、潰瘍を引き起こす細菌(ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori))のPDT処置の為に有用でありうる。臨床において、処置は、任意の適切な方法で、例えば、胃又は患部への光ファイバーケーブル(内視鏡に似ているが、赤色光又は近赤外光の送達の為の規定がある)の挿入によって、影響されうる。
【0232】
(v)歯周病。本発明の化合物、組成物及び方法は、歯周病、例えば歯肉炎を包含する上記の歯周病、の処置の為のPDTにおいて有用でありうる。歯周病は、細菌、例えば、グラム陰性嫌気性菌(gram-negative anaerobe)であるポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、の過剰増殖によって引き起こされる。多くのPDT処置と同様に、光活性種と一緒にターゲット化する物質又は可溶化する物質が、光活性種を所望の細胞に適切に送達する為に不可欠である。ターゲティングに関心のある口腔病原体は、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、アクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、バクテロイデス・フォーシュサス(Bacteroides forsythus)、カンピロバクター・レクタス(Campylobacter rectus)、エイケネラ・コロデンス(Eikenella corrodens)、フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種(Fusobacterium nucleatum subsp.)、ポリモルファム(Polymorphum)、アクチノマイセス・ビスコーサス(Actinomyces viscosus)、連鎖球菌(streptococci)を包含する。そのような用途の場合に、本発明の化合物又は組成物を局所的に施与され(例えば、洗口剤又は含嗽剤として)、そして次に、外部装置、口腔内器具、又はそれらの組合せを用いて光投与されうる。
【0233】
(vi)アテローム性動脈硬化症。本発明の化合物、組成物及び方法は、脆弱なアテローム性動脈硬化プラークを処置する為にPDTにおいて有用でありうる。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、侵入する炎症性マクロファージは、冠動脈におけるコラーゲンの薄い層を分解するところのメタロプロテアーゼを分泌し、しばしば致死的である血栓症を結果として生じると考えられている(Demidova and Hamblin,2004)。そのような炎症性マクロファージをターゲットとするバクテリオクロリンは、脆弱なプラークのPDTの場合に有用でありうる。
【0234】
(vii)化粧品及び皮膚科学的応用。本発明の化合物、組成物及び方法は、広範囲の美容皮膚科学的問題、例えば、脱毛、乾癬の処置、又は皮膚の変色の除去、を処置する為にPDTにおいて有用でありうる。ルビーレーザーが現在、脱毛の為に使用されている。多くのレーザー処置において、メラニンが光増感された発色団(photosensitized chromophore)である。そのような処置法は、黒い毛を持つ色白の人にはそれなりに有効である。本発明の化合物、組成物及び方法は、脱毛の為の近赤外増感剤として使用され得、それにより、より特異的でシャープな吸収帯を有する発色団をターゲットとすることが可能である。
【0235】
(viii)にきび。本発明の化合物、組成物及び方法は、にきびを処置する為にPDTにおいて有用である。尋常性ざ瘡(Acne vulgaris)は、皮脂腺に感染するプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)によって引き起こされ、若者の約80%が罹患している。ここでもまた、抗生物質処置に対する細菌の耐性化が高まることにより、処置することが困難なにきびの急増につながっている。にきびの現在のPDT処置は典型的に、アミノレブリン酸の添加に依存しており、このアミノレブリン酸は毛包又は皮脂腺において遊離塩基性ポルフィリンに転化される。本発明の化合物及び組成物は、特定の状態に応じて、対象に局所的又は非経口的(例えば、皮下注射によって)に投与されうる。
【0236】
(ix)感染症。本発明の化合物、組成物及び方法は、感染症を処置する為にPDTにおいて有用でありうる。例えば、地中海及び中東地域で広範に発生する皮膚リーシュマニア症(Cutaneous leishmaniasis)及び皮膚下リーシュマニア症(sub-Cutaneous leishmaniasis)は現在、ヒ素含有化合物で処置されている。PDTは、最近、少なくとも一例ではあるが、ヒトを対象として妥当な効果が得られている。本発明の化合物及び組成物の使用がまた同様に有用であり、利点、例えば、合成の容易さ及びより優れたスペクトル吸収特性、を潜在的に提供する。
【0237】
(x)組織シーラント(Tissue sealants)。本発明の化合物、組成物及び方法は、PDTにおいて、組織シーラントを必要とする対象における組織シーラントとして有用でありうる。光活性化された組織シーラントは、創傷を封止し(sealing)、組織を接着し、そして組織における欠損を閉じる為に魅力的である。縫合糸又はステープルが望ましくない多くの用途があり、封止(sealing)のそのような機械的な方法の使用はしばしば感染及び瘢痕形成を引き起こす。
【0238】
(xi)腫瘍性疾患。本発明の化合物、組成物及び方法は、腫瘍性疾患又は癌、例えば、皮膚癌、肺癌、結腸癌、乳癌、前立腺癌、子宮頸癌、卵巣癌、基底細胞癌、白血病、リンパ腫、扁平上皮癌、黒色腫、プラーク期皮膚T細胞リンパ腫、及びカポジ肉腫を包含する、上記の腫瘍性疾患又は癌、を処置する為のPDTにおいて有用でありうる。
【0239】
更に現代の医療分野において、疾病の診断の為の様々な処置法、例えば磁気共鳴画像法(MRI:magnetic resonance imaging)を包含する上記の様々な処置法、がある。癌をその早期の段階において検出することは、癌組織を除去する治癒能力を向上させるはずである。前癌領域及び微小癌の早期診断は、現代の癌処置において重要な課題である。MRIは非侵襲的であり且つ対象の正確なボリュームレンダリング(volume rendering)を与えるので、臨床現場において強力なツールとして登場した。画像は、典型的な核磁気共鳴(NMR:nuclear magnetic resonance)実験のように、高周波パルスで核スピンを励起しながら、1以上の直交磁場勾配を対象又は被検体に課すことによって作成される。様々な勾配磁場によるデータ収集の後、デコンボリューション(deconvolution)により、被検体/対象の1次元、2次元、又は3次元の画像が得られる。典型的には、該画像は水のプロトンからのNMR信号に基づき、ここで、所与の体積要素における信号強度は水の濃度と緩和時間との関数である。これらのパラメータにおける局所的な変化により、MR画像において観察される鮮やかなコントラストが提供される。
【0240】
MRI造影剤は弛緩速度を増加させることによって作用し、それによって撮像剤(imaging agent)が吸着する部位における水分子と体内における他の部位の水分子との間のコントラストを増加させる。しかしながら、該MRI造影剤の作用により、T1とT2との両方が減少し、前者ではより高いコントラストを結果として生じ、一方、後者ではより低いコントラストを結果として生じる。従って、該現象は濃度依存的であり、通常、最大限の効果を得る為の常磁性種(paramagnetic species)の最適濃度が存在する。この最適濃度は、使用される特定の剤、撮像の部位、撮像のモード、すなわち、スピンエコー、飽和-回復(saturation-recovery)、反転-回復(inversion-recovery)、及び/又は他の様々なT1に強く依存する又はT2に強く依存する撮像技術、及び該剤が溶解又は懸濁される媒体の組成によって変化する。これらの要因及びそれらの相対的重要性は当技術分野において知られている。例えば、Pykett,Scientific American 246:78 (1982);Runge et al.,Am.J.Radiol.141:1209 (1983)を参照されたい。MRI造影剤が診断的に使用される場合、該MRI造影剤は血管灌流され、血管のコントラストが増強され、そして、器官の病変及び浸潤が報告されうる。しかしながら、放射線診断の為の特定組織の標識付け、MRIにとって依然として困難な課題である。既存の免疫学的手法を改良することによって、細胞及び組織に特異的なMRI画像増強剤を開発する為の努力は、診断放射線学における多くの研究の焦点となっている。例えば、常磁性イオン、一般的にはガドリニウムキレートGd-DTPAで標識付けされた抗体が作成され、そして、腫瘍及び他の組織のMRI造影に対するそれらの効果について試験されている(米国特許第5,059,415号明細書)。残念ながら、抗体に結合されたGdの弛緩性は、結合していないGd-DTPAの弛緩性よりもわずかに優れているに過ぎないことが判明している(Paajanen et al.,Magn.Reson.Med 13:38-43 (1990))。
【0241】
MRIは一般的に、生体内の1H核を検出する為に用いられる。しかしながら、MRIは、他の核種のNMRスペクトル、例えば13C、15N、31P、及び19Fを包含する上記の他の核種のNMRスペクトル、を検出することができる。19Fは生体内に多く存在しない。本明細書において提供される組成物中に、MRIにおいて有用な同位体、例えば、13C、15N、31P、又は19F、特に19F、を取り込んで対象に投与することにより、本明細書において提供される化合物はターゲット組織中に蓄積し、そして引き続き、MRイメージングでは、MRI認識可能な同位体、例えば19F、を有する蓄積された化合物の存在により、ターゲット組織又はターゲット組成物からの高められた信号を有するNMRデータが生成される。従って、開示された化合物は、画像増強剤として使用されてもよく、及び診断放射線学、例えばMRIを包含する上記の診断放射線学、の為の特定のターゲット組織又はターゲット組成物の標識付けを提供する。
【0242】
幾つかの実施態様において、本発明の組成物は、対象におけるターゲット細胞、ターゲット組織、及び/又はターゲット組成物を検出する為に使用されうる。任意のタイプの細胞、組織、及び/又は組成物(例えば、正常又は健康な細胞及び/又は組織、疾病細胞及び/又は組織、癌細胞、過剰増殖細胞及び/又は組織、良性腫瘍、悪性腫瘍、動脈瘤等)が、対象において検出されうる。幾つかの実施態様において、本発明の組成物は、対象における、ターゲット細胞、ターゲット組織、及び/又はターゲット組成物の存在を検出する為に使用されうる。本明細書において提供される化合物がターゲット組織又はターゲット組成物の検出に使用されるべきである場合、該化合物が対象内に導入され、そして、該化合物が該ターゲット組織中に蓄積する為に及び/又は該ターゲット組成物と会合する為に十分な時間が与えられうる。次に、一般的に化合物のルミネッセンス(例えば、蛍光又は燐光)を引き起こす為に十分なエネルギーの光を用いて、処置部位が照射され、そして、使用されるエネルギーは通常、光線力学療法処置の為に必要なエネルギーよりも有意に低い。ルミネッセンスは、所望の波長での光への曝露時に決定され、及び、ルミネッセンスの量は、当技術分野において知られている方法によって、定性的又は定量的に、化合物の存在と相関させることができる。
【0243】
幾つかの実施態様において、本発明の組成物は、対象における感染因子の存在及び/又は感染因子の同一性を診断する為に使用されうる。本明細書で提供される化合物は、感染因子に特異的な1以上のリガンド、例えば、感染因子と選択的に会合する抗体又は抗体フラグメント、にコンジュゲートされ得、そして、ターゲット化された化合物が該感染因子と会合する為に及び非ターゲット組織から消失する為に十分な時間を与えられた後、該化合物は例えば、該組織及び/又は該化合物を、該化合物の発光を引き起こす為に十分なエネルギーの光に曝露することによって、又は熱及び/又は超音波の発生を引き起こすことによって、又は診断用放射線学、例えばMRIを包含する上記の診断用放射線学、を用いた画像化によって、可視化されうる。1つの例として、本明細書において提供される化合物のいずれか1つが、適切なヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)抗原に対してターゲット化される抗体にコンジュゲートされ、そして対象内に導入されるときに、細菌が存在する胃粘液/上皮層にコンジュゲートされた化合物を放出するところの医薬製剤へと製剤化されうる。該化合物がターゲット感染因子と選択的に会合する為に及び結合していない化合物が非ターゲット組織から除去される為に十分な時間が経過した後、対象が検査されてヘリコバクター・ピロリが存在するかどうかを判定しうる。このことは、例えば、19F置換基の存在の故に、蓄積された化合物を検出する為にMRIによって、又は例えばファイバーオプティクスを用いて、該化合物の発光を引き起こす為に十分なエネルギーの光を疑わしいターゲット領域に照射し、そして、該ターゲット化された化合物の何らかの発光を検出することによって、行われうる。
【0244】
本発明の幾つかの実施形態に従うと、本発明の化合物は、例えば、米国特許第5,441,827号明細書;米国特許第6,420,648号明細書;米国特許第6,933,436号明細書;米国特許第6,924,427号明細書;米国特許第6,913,713号明細書;米国特許第6,900,382号明細書;米国特許第6,858,158号明細書;及び米国特許第6,706,963号明細書において記載されているように、太陽電池における発色団(光増感剤、又は単に増感剤としてまた言及される)、例えば、高表面積コロイド半導体膜太陽電池(グレッツェルセル(Gratzel cells))を包含するがこれに限定されない上記の太陽電池における発色団として使用されうる。
【0245】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、米国特許第6,407,330号明細書及び米国特許第6,420,648号明細書(参照によって本明細書内に組み込まれる)に記載される光収穫ロッド(light harvesting rods)において発色団として使用されうる。該光捕集ロッドは、光捕集ロッドにおけるそれらの位置に応じて、1つ又は2つの隣接する発色団に結合された本発明の1以上の化合物を含みうる。そのような光捕集ロッドは、米国特許第6,420,648号明細書において記載されているような光捕集アレイ、及び米国特許第6,407,330号明細書に記載されているような太陽電池を製造する為に利用されうる。
【0246】
幾つかの実施態様において、本発明の化合物は、それを含む電荷蓄積分子(charge storage molecules)及び情報蓄積デバイス(information storage devices)を製造する為の基材に固定化されて有用であり、個々に、又はその連結されたポリマーとして、任意的に追加の酸化状態を追加する為の追加の化合物を含む。そのような電荷蓄積分子及び情報蓄積デバイスは、知られており、及び例えば、Gryko等による米国特許第6,208,553号明細書;Bocian等による米国特許第6,381,169号明細書;及びGryko等による米国特許第6,324,091号に記載されている。本発明のバクテリオクロリンは、Li等による米国特許第6,212,093号明細書又はLi等による米国特許第6,451,942号明細書に記載されているような、情報蓄積分子におけるサンドイッチ配位化合物(sandwich coordination compound)のメンバーを含んでいてもよい。
【0247】
本発明は、以下の非限定的な実験の項においてより詳細に説明されている。
【0248】
実施例
【0249】
実施例の項において提供されている化合物のラベル付け/番号付けは、実施例の項のみ関連し、本出願の残りの部分を通じて提供されるラベル付け/番号付けに対応しない場合がある。従って、実施例の項における化合物のラベル付け/番号付けは、本出願の(例えば、要約及び詳細な説明の項並びに特許請求の範囲における)残りの部分全体における化合物のラベル付け/番号付けと混同されるべきでない。
【0250】
省略形は、下記を包含する:丸底フラスコ(RBF)、ジクロロメタン(DCM、又はCH2Cl2)、酢酸エチル(EtOAc)、ヘキサン(hex)、メタノール(MeOH)、イソプロパノール(IPA)、ジエチルエーテル(Et2O)、酢酸(AcOH)、1-2-ジクロロエタン(1,2-DCE)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、トリエチルアミン(TEA、又はEt3N)、炭酸セシウム(Cs2CO3)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、及びシリカ(SiO2)。
【0251】
実施例1:P2~C1ダイアド,メチルエステル
【0252】
【0253】
クロリンC1(45.0mg,72μmol)、ポルフィリンP2(57mg,80.5μmol,1.1当量)、Pd(PPh3)4(25mg,21.4μmol)、及びCs2CO3(70mg,214μmol)のサンプルが、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(50mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは、1.0時間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/DMF(24mL,2:1)の添加によって溶解された。結果として生じた混合物が、90℃で、17.0時間攪拌された。反応フラスコが加熱から取り出され、そして、~112mgのパラジウム捕捉剤が添加され、そして、60分間、室温で攪拌された。EtOAC、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。結果として生じた残渣が、12gのSiO2カラムを使用して最小量のCH2Cl2で精製され、そして、CH2Cl2中の0~5%のMeOH中で20分間溶出されて、77mg(96%)の収率で暗褐色の固体を与えた。
【0254】
実施例2:P2~C1ダイアド,マレイミド
【0255】
【0256】
THF(10.0mL)及びMeOH(5.0mL)中のP2~C1ダイアド及びメチルエステル(77mg,68μmol)のサンプルが、5Nの水性NaOH(5.0mL)で処理された。反応混合物が、70℃で、2.0時間還流された。1Nの水性HCl(50.0mL)が加えられ、そして、10分間攪拌された。次に、CH2Cl2が加えられ、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。結果として得られたP2~C1ダイアドカルボン酸(76mg,68μmol)及びTSTU(31mg,102μmol)が17mLのDMF中に溶解され、そして、TEA(83mg,820μmol,114μL)が加えられた。溶液が、1.0時間、アルゴン雰囲気下、暗所、室温で攪拌された。2-マレイミドエチルアミンHCl(18mg,102μmol)が添加され、そして、アルゴン下、一晩、室温で攪拌された。反応混合物がCH2Cl2でクエンチされ、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。残渣が最小量のCH2Cl2中に溶解され、そしてシリカケーキとされた。24gのSiO2カラムで、ヘキサン中、0~75%のEtOAcで約40分間溶出されて、茶色の固体を54mg(64%)の収率で与えた。
【0257】
実施例3:P2~CuC1ダイアド,マレイミド
【0258】
【0259】
無水DMF(4.0mL)中のP2~C1ダイアド,マレイミド(12.6mg,10.2μmol)がCu(OAc)2(18.4mg,101μmol)で処理された。80℃で、2分間還流後、茶色がかった溶液が鮮やかな紫色に変化した。10分間の還流後、反応フラスコが加熱から取り出され、そして室温まで冷やされた。反応混合物がEtOAcでクエンチされ、食塩水(2x)で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。残渣が最小量のCH2Cl2中に溶解され、そして、暗色の固体を10.3mg(77%)の収率で与えた。
【0260】
実施例4:P3~C1ダイアド
【0261】
【0262】
クロリンC1(10.0mg,16μmol)、ポルフィリンP3(14mg,19μmol,1.2当量)、Pd(PPh3)4(6.0mg,4.8μmol)、及びCs2CO3(16mg,48mol)が、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(25mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは1.0時間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/DMF(9.0mL,2:1)の添加によって溶解された。結果として生じた混合物が、90℃で、20.5時間攪拌された。反応フラスコが加熱から取り出され、そして、255mgのパラジウム捕捉剤が添加され、そして、60分間、室温で攪拌された。濃縮され、そして最小量で再溶解され、そして、12gのSiO2カラムで、CH2Cl2中、0~5%のMeOHを用いて20分間溶出されて、暗褐色の固体を15.3mg(81%)の収率で与えた。
【0263】
実施例5:P4~C3ダイアド
【0264】
【0265】
クロリンC3(10mg,20μmol)、ポルフィリンP4(16mg,24μmol)、Pd2(dba)3(7.3mg,8.0μmol)、及びP(o-tol)3(7.3mg,24μmol)が、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(10mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは、60分間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/TEA(6mL,5:1)の添加によって溶解された。結果として生じた混合物が、60℃で、19.0時間攪拌された。反応フラスコが加熱から取り出され、そして、~150mgのパラジウム捕捉剤が添加され、そして、60分間、室温で攪拌された。EtOAcが反応混合物(30mL)に添加され、食塩水(30mL)で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。残渣が最小量のCH2Cl2中に溶解され、12gのSiO2カラムを使用して精製され、そして、CH2Cl2中、0~2%のMeOH中に15分間溶出されて、暗赤色の固体を~17mg(76%)の収率で与えた。
【0266】
実施例6:P5~C3ダイアド
【0267】
【0268】
クロリンC3(10mg,20μmol)、ポルフィリンP5(17mg,24μmol)、Pd2(dba)3(7.3mg,8.0μmol)、及びP(o-tol)3(7.3mg,24μmol)が、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(10mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは60分間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/TEA(6mL,5:1)の添加によって溶解された。結果として生じた混合物が、60℃で、19.0時間攪拌された。反応フラスコが加熱から取り出され、そして、~150mgのパラジウム捕捉剤が添加され、そして、60分間、室温で攪拌された。EtOAcが反応混合物(30mL)に添加され、食塩水(30mL)で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。残渣が最小量のCH2Cl2中に溶解され、そして、12gのSiO2カラムを使用して精製され、そして、CH2Cl2中、0~2%のMeOH中に15分間溶出されて、暗赤色の固体を~17mg(73%)の収率で与えた。
【0269】
実施例7:P2~C2ダイアド
【0270】
【0271】
クロリンC2(15.0mg,27μmol)、ポルフィリンP2(23mg,33μmol,1.2当量)、Pd(PPh3)4(9.4mg,8.1μmol)、及びCs2CO3(27mg,81μmol)が、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(50mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは、1.0時間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/DMF(12mL,2:1)の添加によって溶解された。結果として生じた混合物が、90℃で、17.0時間攪拌された。反応フラスコが加熱から取り出され、そして、~150mgのパラジウム捕捉剤が添加され、そして、60分間、室温で攪拌された。EtOAc、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。結果として生じた残渣が、12gのSiO2カラムを使用して、最小量のCH2Cl2で溶出され、そして、ヘキサン中、0~70%のEtOAcで33分間溶出されて、茶色の固体を22mg(77%)の収率で与えた。
【0272】
実施例8:P2-ZnC2ダイアド
【0273】
【0274】
CHCl3/MeOH(5:1,6.0mL)中のP2~C2ダイアド(6.4mg,6.1μmol)が、Zn(OAc)2(9.9mg,54μmol,9.0当量)で処理された。結果として生じた混合物が、50℃で、60分間還流された。茶色がかった溶液が、10分間の還流後に紫青色に変化した。反応フラスコが加熱から取り出され、そして、室温まで冷やされ、ロータリーエバポレーターで濃縮され、残渣が最小量のCH2Cl2中に溶解され、そして、4gのSiO2カラムで、ヘキサン中、0~70%のEtOAcで約20分間溶出されて、青色の固体を4.6mg(68%)の収率で与えた。
【0275】
実施例9:P6~C3ダイアド
【0276】
【0277】
クロリンC3(10mg,20μmol)、ポルフィリンP6(14mg,24μmol)、Pd2(dba)3(7.3mg,8.0μmol)、及びP(o-tol)3(7.3mg,24μmol)が、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(10mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは、60分間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/TEA(6mL,5:1)の添加によって溶解された。結果として生じた混合物が、60℃で、19.0時間攪拌された。反応フラスコが加熱から取り出され、そして、50mgのパラジウム捕捉剤が添加され、そして、60分間、室温で攪拌された。EtOAcが反応混合物(20mL)に添加され、食塩水(20mL)で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。残渣が最小量のCH2Cl2中に溶解され、そして、12gのSiO2カラムを使用して精製され、そして、CH2Cl2中、0~40%のEtOAc中で30分間溶出されて、茶色の固体を~3.5mg(18%)の収率で与えた。
【0278】
実施例10:P7~C2ダイアド
【0279】
【0280】
クロリンC2(15mg,27μmol)、ポルフィリンP7(~16mg,30μmol,1.1当量)、Pd2(dba)3(10mg,11.0μmol)、及びP(o-tol)3(10mg,33μmol)が、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(25mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは60分間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/TEA(12mL,5:1)の添加によって溶解された。結果として生じた混合物が、60℃で、18.0時間攪拌された。反応フラスコが加熱から取り出され、そして、~75mgのパラジウム捕捉剤が添加され、そして、60分間、室温で攪拌された。EtOAcが反応混合物(30mL)に加えられ、食塩水(30mL)で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。残渣が最小量のCH2Cl2中に溶解され、そして、12gのSiO2カラムを使用して精製され、そして、ヘキサン中、0~60%のEtOAc中に25分間溶出されて、茶色の固体を~20mg(75%)の収率で与えた。
【0281】
実施例11:P8~C2ダイアド,メチルエステル
【0282】
ポルフィリンP8(~57mg,119μmol,1.1当量)、クロリンC2(60mg,108μmol)、Pd2(dba)3(40mg,43.0μmol)、及びP(o-tol)3(40mg,130μmol)が、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(50mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは60分間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/TEA(24mL,5:1)の添加によって溶解された。結果として生じた混合物が、60℃で、18.0時間攪拌された。反応フラスコが加熱から取り出され、そして、~55mgのパラジウム捕捉剤が添加され、そして、60分間、室温で攪拌された。EtOAcが反応混合物に添加され、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。残渣が最小量のCH2Cl2中に溶解され、そしてシリカケーキとされ、そして、24gのSiO2カラムを使用して精製され、そして、ヘキサン中、0~50%のEtOAc中に40分間溶出されて、茶色の固体を53mg(51%)の収率で与えた。
【0283】
実施例12:P8~C2ダイアド,マレイミド
【0284】
【0285】
THF(10.0mL)及びMeOH(5.0mL)中のP8~C2ダイアド及びメチルエステル(46mg,49μmol)が、5Nの水性NaOH(5.0mL)で処理された。反応混合物が、70で、2.0時間還流された。1Nの水性HCl(50.0mL)が加えられ、そして、10分間攪拌された。次に、EtOAcが加えられ、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。それはそのまま次の工程の為に使用された。P8~C2ダイアド酸(dyad acid)(45mg,49μmol)、TSTU(22mg,73μmol)、及びTEA(30mg,292μmol,41μL)が12mLのDMF中に溶解され、そして、1.0時間、アルゴン雰囲気下、暗所、室温で攪拌された。2-マレイミドエチルアミン塩酸塩(13mg,73μmol)が添加され、そして、アルゴン下、一晩、室温で攪拌された。反応混合物がCH2Cl2でクエンチされ、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。残渣が最小量のCH2Cl2中に溶解され、そしてシリカケーキとされた。24gのSiO2カラムで、ヘキサン中、0~75%のEtOAcで約42分間溶出されて、茶色の固体を44mg(85%)の収率で与えた。
【0286】
実施例13:P8-ZnC2ダイアド
【0287】
【0288】
CHCl3/MeOH(5:1,3.0mL)中のP8~C2ダイアド,メチルエステル(3.9mg,4.1μmol)がZn(OAc)2(1.5mg,8.1μmol,2.0当量)で処理された。結果として生じた混合物が、50℃で、30分間還流された。茶色がかった溶液が、10分間の還流後に緑がかった色に変化した。反応フラスコが加熱から取り出され、そして、室温まで冷やされ、ロータリーエバポレーターで濃縮され、そして、残渣が最小量のCH2Cl2中に溶解され、そして、4gのSiO2カラムで、ヘキサン中、0~100%のEtOAcで約10分間溶出されて、緑色の固体を2.6mg(63%)の収率で与えた。
【0289】
実施例14:P9~C4ダイアド
【0290】
【0291】
クロリンC4(60.0mg,107μmol)、ポルフィリンP9(78mg,129μmol,1.2当量)Pd2(dba)3(39mg,43.0μmol)、及びP(o-tol)3(39mg,129μmol)が、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(50mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは、45分間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/TEA(24mL,5:1)の添加によって溶解された。結果として生じた混合物が、60℃で、17.0時間攪拌された。反応フラスコが加熱から取り出され、そして室温まで冷やされた。EtOAcが反応混合物に加えられ、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。残渣が最小量のCH2Cl2中に溶解され、そして、24gのSiO2カラムを使用して精製され、そして、ヘキサン中、0~100%のCH2Cl2中で27分間溶出され、そして、CH2Cl2中、50%のEtOAcに切り替えられて5分間溶出されて(合計32分間)、緑紫色の固体を68mg(58%)の収率で与えた。
【0292】
実施例15:P10~C5ダイアド
【0293】
【0294】
クロリンC5(40.0mg,81μmol)、ポルフィリンP10(63mg,89μmol,1.1当量)Pd(PPh3)4(28mg,24μmol)、及びCS2CO3(79mg,242μmol)が、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(50mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは、1.0時間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/TEA(24mL,5:1)の添加によって溶解された。結果として生じた混合物が、90℃で、20時間攪拌された。反応フラスコがホットオイルバスから取り出され、そして室温まで冷やされた。~78mgのパラジウム捕捉剤が添加され、そして、60分間、室温で攪拌された。EtOAcが反応混合物に添加され、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。残渣が最小量のCH2Cl2中に溶解され、そしてシリカケーキとされ、そして、12gのSiO2カラムを使用して精製され、そして、CH2Cl2中、0~3%のMeOH中に18分間溶出されて、暗褐色の固体を32mg(40%)の収率で与えた。
【0295】
実施例16:P1~C6ダイアド,メチルエステル
【0296】
クロリンC6(20.0mg,32μmol)、ポルフィリンP1(29mg,70μmol,2.2当量)、及びPdCl2(PPh3)2(11.2mg,16.0μmol)が、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(50mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは1.0時間間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/TEA(15mL,2:1)の添加によって溶解された。次に、温度を100℃まで上げられ、そして、2.5時間還流された。反応フラスコが加熱から取り出され、そして室温まで冷やされた。EtOAcがクエンチする為に添加され、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。残渣が最小量のCH2Cl2中に溶解され、そして、24gのSiO2カラムを使用して精製され、そして、ヘキサン中、0~100%のCH2Cl2中に39分間溶出され、次に、CH2Cl2中、1%のMeOHに切り替えられて8分間溶出されて(合計47分間)、赤い固体を41mg(100%)の収率で与えた。
【0297】
実施例17:P1~C6ダイアド,マレイミド
【0298】
【0299】
THF(8.0mL)及びMeOH(4.0mL)中のJA28-141(~41mg,68μmol)のサンプルが、5Nの水性NaOH(4.0mL)で処理された。反応混合物が、70℃で、2.0時間還流された。5Nの水性HCl(5.0mL)が加えられ、そして、10分間攪拌された。反応フラスコが加熱から取り出され、そして室温まで冷やされた。CH2Cl2で希釈され、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。
粗カルボン酸(40mg,32μmol)、TSTU(14mg,47μmol)、及びTEA(19mg,190μmol,27μL)が8.0mLのDMF中に溶解され、そして、1.5時間、アルゴン雰囲気下、暗所、室温で攪拌された。2-マレイミドエチルアミン塩酸塩(8.4mg,47μmol)が添加され、そして、アルゴン下、一晩、室温で攪拌された。CH2Cl2が反応混合物に添加され、飽和水性NaHCO3でクエンチされ、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。残渣が最小量のCH2Cl2中に溶解され、そして、4gのSiO2カラムで、ヘキサン中、0~85%のEtOAcで17分間溶出されて、茶色の固体を8.0mg(18%)の収率で与えた。
【0300】
実施例18:P8~C6ダイアド
【0301】
【0302】
クロリンC6(10.0mg,16μmol)、ポルフィリンP8(16.5mg,35μmol,2.2当量)、及びPdCl2(PPh3)2(2.8mg,4.0μmol)が、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(25mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは1.0時間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/TEA(9mL,2:1)の添加によって溶解された。結果として生じた混合物が、100℃で、22.5時間攪拌された。反応フラスコが加熱から取り出され、そして室温まで冷やされた。EtOAcがクエンチする為に添加され、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。残渣が最小量のCH2Cl2中に溶解され、そして、12gのSiO2カラムを使用して精製され、そして、ヘキサン中、0~100%のCH2Cl2中に39分間溶出され、次に、CH2Cl2中、1%のMeOHに切り替えられて8分間溶出されて(合計47分間)、赤い固体を41mg(100%)の収率で与えた。
【0303】
実施例19:一般的手順E(P8-BC2a)
【0304】
【0305】
BC2(0.2g,0.3mmol)、4-メトキシカルボニルフェニルボロン酸ピナコールエステルエステル(78mg,0.3mmol)、K2CO3(0.41g,3mmol)、及びPd(PPh3)4(69mg,0.06mmol)がシュレンクフラスコに添加され、そして、高真空下に1時間置かれた。無水DMF及び無水トルエンの両方が、アルゴンの強い流れを使用して1時間脱気された。該フラスコは、3回の排気/アルゴン再充填サイクルによって脱気された。トルエン(18mL)及びDMF(9mL)が加えられ、そして、該フラスコは、80℃で予熱された油浴中に、16時間置かれた。粗混合物が、室温まで冷やされ、EtOAcで希釈され、そして、飽和水性NaHCO3で洗われた。有機層が乾燥され、濾過され、そして濃縮された。混合物がフラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:EtOAcのグラジエントで溶出された(69mg,32%)。
【0306】
実施例20:P8-BC2ダイアド1
【0307】
一般的手順Eを介して合成された。反応は下記の量を用いて行われた:P8-BC2a(89mg,0.122mmol)、ポルフィリンP8(83mg,0.175mmol)、Pd(PPh3)2Cl2(8.55mg,0.0122mmol)、DMF(25mL)、及びEt3N(12.5mL)。粗生成物がフラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:CH2Cl2及びCH2Cl2:MeOHのグラジエントで溶出された。その後の分取TLCによる精製により、分取TLCを78%の収率で与えた。
【0308】
【0309】
実施例21:P11-BC3ダイアド
【0310】
一般的手順Eを介して合成された。反応は下記の量を用いて行われた:BC3(7.2mg,15.02μmol)、ポルフィリンP11(9.2mg,18.02μmol)、K2CO3(10mg,72.1μmol)、Pd(PPh3)4(5.2mg,4.51μmol)、トルエン(2mL)、及びDMF(1mL)。粗生成物がフラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:CH2Cl2のグラジエントで溶出されて、赤/茶色の固体を与えた(6.6mg,56%)。
【0311】
【0312】
実施例21:P12-BC4ダイアド
【0313】
一般的手順Eを介して合成された。反応は下記の量を用いて行われた:BC4(20mg,38μmol)、ポルフィリンP12(17mg,32μmol)、K2CO3(21mg,152μmol)、Pd(PPh3)4(11mg,9.5μmol)、トルエン(4mL)、及びDMF(2mL)。粗生成物混合物がフラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:CH2Cl2のグラジエントで溶出されて、赤茶色の固体を与えた(2.7mg,10%)。
【0314】
実施例22:P11-BC1-1a
【0315】
【0316】
BC1(50.0mg,90μmol)、4-メトキシカルボニルフェニルボロン酸(24mg,90μmol)、Pd(PPh3)4(20mg,18μmol)、及びK2CO3(124mg,896μmol)が、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(50mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは1.0時間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/DMF(15.0mL,2:1)の添加によって溶解された。結果として生じた混合物が、80℃で、17.5時間攪拌された。反応フラスコが加熱から取り出され、そして室温まで冷やされた。EtOAc(20mL)が加えられ、NaHCO3、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。最小量のCH2Cl2中に再溶解され、そして、12gのSiO2カラムで、ヘキサン中、10~100%のCH2Cl2を用いて溶出されて、緑色の固体を34mg(62%)の収率で与えた。
【0317】
実施例23:P11-BC1-1b
【0318】
ポルフィリンP11(34mg,67μmol,1.2当量)、P11-BC1-1a(34mg,55μmol)、Pd(PPh3)4(19mg,17.0μmol)、及びCS2CO3(54mg,166μmol)が、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(50mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは、60分間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/DMF(12mL,2:1)の添加によって溶解された。結果として生じた混合物が、90℃で、18.5時間攪拌された。反応フラスコが加熱から取り出され、そして、室温まで冷やされた。EtOAcが反応混合物に加えられ、NaHCO3、水性食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。残渣が最小量のCH2Cl2中に溶解され、そしてシリカケーキとされ、そして、12gのSiO2カラムを使用して精製され、そして、ヘキサン中、10~100%のCH2Cl2中に28分間溶出されて、暗色の固体を37mg(72%)の収率で与えた。
【0319】
実施例24:P11-BC1-1c
【0320】
THF(8.0mL)及びMeOH(4.0mL)中のP11-BC1-1b(30mg,33μmol)が、5Nの水性NaOH(4.0mL)で処理された。反応混合物が、70で、2.0時間還流された。反応フラスコが加熱から取り出され、そして室温まで冷やされた。1Nの水性HCl(100.0mL)が加えられ、そして、10分間攪拌された。CH2Cl2が加えられ、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。それはそのまま次の工程の為に使用された。
【0321】
実施例25:P11-BC1ダイアド1
【0322】
P11-BC1-1c(30mg,33μmol)、TSTU(15mg,49μmol)、及びTEA(20mg,197μmol,27μL)がDMF(8.0mL)中に溶解され、そして、1.5時間、アルゴン雰囲気下、暗所、室温で攪拌された。2-マレイミドエチルアミン塩酸塩(18mg,102μmol)が添加され、そして、アルゴン下、一晩、室温で攪拌された。反応混合物がCH2Cl2でクエンチされ、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。残渣が最小量のCH2Cl2中に溶解され、そしてシリカケーキとされた。24gのSiO2カラムで、ヘキサン中、10~100%のCH2Cl2で溶出され、そして、ヘキサン中、75%のEtOAcに切り替えられて溶出されて(合計42分間)、茶色の固体を20mg(59%)で与えた。
【0323】
実施例26:P11-BC1-2a
【0324】
【0325】
BC1(30.0mg,54μmol)、ポルフィリンP11(33.0mg,65μmol,1.2当量)、Pd(PPh3)4(19mg,16.0μmol)、及びCS2CO3(53mg,161μmol)が、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(50mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは1.0時間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/DMF(12.0mL,2:1)の添加によって溶解された。結果として生じた混合物が、80℃で、18.5時間攪拌された。反応フラスコが加熱から取り出され、そして室温まで冷やされた。EtOAc(20mL)が添加され、NaHCO3、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。最小量のCH2Cl2中に再溶解され、そしてシリカケーキとされ、そして、12gのSiO2カラムで、ヘキサン中、10~100%のCH2Cl2を用いて25分間溶出されて、茶色の固体を29mg(63%)の収率で与えた。
【0326】
実施例27:P11-BC1ダイアド2
【0327】
P11-BC1-2a(29.0mg,34μmol)、4-メトキシカルボニルフェニルボロン酸(11mg,40μmol,1.2当量)、Pd(PPh3)4(7.8mg,6.7μmol)、及びK2CO3(46mg,336μmol)が、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(50mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは1.0時間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/DMF(12.0mL,2:1)の添加によって溶解された。結果として生じた混合物が、80℃で、18.0時間攪拌された。反応フラスコが加熱から取り出され、そして室温まで冷やされた。EtOAc(20mL)が添加され、NaHCO3、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。最小量のCH2Cl2中に再溶解され、そして、12gのSiO2カラムで、ヘキサン中、10~100%のCH2Cl2を用いて30分間溶出されて、茶色の固体を4.7mg(15%)の収率で与えた。
【0328】
実施例28:P1-BC1a.
【0329】
【0330】
BC1(55.8mg,100.0μmol)、ポルフィリンP1(43.1mg,105.0μmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、(11.6mg,10.0μmol)、及び炭酸カリウム(138.2mg,1.0mmol)が、攪拌棒付きの、オーブン乾燥され、真空冷却され、Arでフラッシュされた25mLのシュレンクフラスコに添加された。該フラスコはセプタムで密封され、排気され、そして、Arでフラッシュした(3X)。DMF(10.0mL)が加えられた。該フラスコは1分間排気され、次にArでフラッシュされ、そして、80℃で予熱された油浴中に入れられ、そして低流量のAr下で攪拌された。16時間後、反応物は冷やされ、EtOAc(40mL)で希釈され、そして水(4×50mL)次に食塩水で洗われ、そして硫酸ナトリウムで乾燥され、濾過され、そして濃縮された。残渣が、DCM中のセライト(750mg,次に150mg)上にロードされ、そして、24gのシリカカラム上で、ヘキサン中、10~75%のDCMを用いて溶出された。所望の生成物が、24.3mg(27%)の固体として単離された。吸収最大(Abs max)(トルエン):380,405,516,740nm;発光最大(em max)(トルエン):745nm。
【0331】
実施例29:P1-BC1ダイアド
【0332】
P1-BC1a(20.7mg,23.3μmol)、4-エチニル安息香酸メチル(7.5mg,46.6μmol)、及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(1.6mg,2.3μmol)が、攪拌棒付きの10mLのシュレンクフラスコに添加された。該フラスコは排気され、そしてArでフラッシュされた(3X)。DMF(4.8mL)が加えられ、引き続きトリエチルアミン(2.4mL)が加えられた。該フラスコは、80℃で予熱された油浴中に置かれ、そして、低流量のAr下で攪拌された。16時間後、反応物が冷やされ、そしてEtOAc(30mL)で希釈された。有機層が水(4×40mL)及び食塩水で洗われ、次に硫酸ナトリウムで感応され、濾過され、そして濃縮された。残渣が、DCM中のセライト(300mg)上にロードされ、そしてケーキが12gのシリカカラム上に、ヘキサン中、20~90%のDCMを用いて15分間溶出された。所望の主生成物が、9.6mg(43%)の茶色がかった赤い固体として単離された。吸収最大(Abs max)(トルエン):405,529,760;発光最大(em max)(トルエン):765nm。
【0333】
実施例30:P1-BC2ダイアド
【0334】
【0335】
BC2(20.0mg,29.7μmol)、ポルフィリンP1(26.8mg,65.2mg)、及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(6.2mg,8.9μmol)が、攪拌棒付きの、オーブン乾燥された25mLのシュレンクフラスコに添加された。該フラスコはセプタムで密封され、そして、1時間排気された。フラスコがArでフラッシュされ、排気され、そしてArで再びフラッシュされた(2X)。DMF(6.0mL)、次にトリエチルアミン(3.0mL)が添加された。該フラスコが、1分間撹拌されながら排気され、次にArでフラッシュされ、そして、80℃で予熱された油浴中に入れられた。低流量のAr下で攪拌された。16時間後、反応物がEtOAc(50mL)で希釈され、そして、有機層が水(5×50mL)及び食塩水で洗われ、次に硫酸ナトリウムで乾燥され、濾過され、そしてDCMでリンスされた。サンプルがセライト上にロードされ、そして、ヘキサン中、0~38%のEtOAcで10分間溶出され、引き続き、80%のEtOAcに上げられ、次に、DCM中、0~3%のMeOHで8分間溶出された。21.9mg(55%)の所望の生成物が単離された。吸収最大(Abs max)(トルエン):405,499,795nm;発光最大(em max)(トルエン):804nm。
【0336】
実施例31:P1d、P8、及びP1
【0337】
【0338】
P1aの合成については、Org.Process Res.Dev.2003,7,799を参照されたい。P1aはオフホワイトの固体として58%の収率で単離された。
【0339】
P1bの合成については、Tetrahedron 1994,50,11427を参照されたい。P1b粗生成物は、フラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:EtOAcのグラジエントで溶出され、真空下で固形化された濃厚な橙色の液体を81%の収率で与えた。
【0340】
P1cの合成については、J.Porphyrins Phthalocyanines 2005,9,554を参照されたい。P1cは、91%の収率で濃厚な茶/橙色の液体として単離され、そして、次の工程において直接使用された。
【0341】
一般的手順A.P1dについては、THF(10mL)中のP1c(0.81g,2.16mmol)の溶液がプロピルアミン(3.9mL,47.4mmol)で処理され、そして、溶液が、室温で、2時間撹拌された。乾燥するまで濃縮され、高真空下で一晩乾燥された。単離された(0.99g,2.16mmol,100%)。工程1:単離された物質であるP1a(0.32g,2.16mmol)及びEtOH(216mL)がZn(OAc)2(3.96g,21.6mmol)で処理された。混合物が、大気開放で一晩還流され、室温まで冷やされ、そして濃縮された。粗生成物が、フラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:CH2Cl2のグラジエントで溶出されて、暗紫色の固体(0.43g,36%)を与えた。
【0342】
一般的手順B.P8については、K2CO3(54mg,0.39mmol)が、THF:MeOH(1:1v/v,30mL)中のP1d(0.18g,0.33mmol)の溶液に添加され、そして、室温で、1.5時間撹拌された。混合物が、CH2Cl2で希釈され、H2O及び食塩水で洗われ、乾燥され、濾過され、そして濃縮されて、暗赤/紫色の固体(0.16g,100%)を与えた。
【0343】
一般的手順C.P1については、ZnポルフィリンP8(0.16g,0.33mmol)が、CH2Cl2(20mL)中の20%のTFAで処理され、そして、完了するまで室温で攪拌された。粗混合物を飽和水性NaHCO3の攪拌溶液中にゆっくりと注ぐことによって、反応物がクエンチされた。必要に応じてpHが中性に調整され、そして、層が分離された。水性層がCH2Cl2で洗われ、そして、一緒にされた有機が食塩水で洗われ、乾燥され、濾過され、そして濃縮された。粗生成物がフラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:CH2Cl2のグラジエントで溶出されて、紫色の固体(0.116g,86%)を与えた。
【0344】
実施例32:P2c、P2d、及びP2
【0345】
【0346】
P2aの合成については、Org.Process Res.Dev.2003,7,799を参照されたい。P2aは、65%の収率で茶色の固体として単離された。
【0347】
P2bの合成については、J.Porphyrins Phthalocyanines 2005,9,554を参照されたい。P2bは、44%の収率で緑色の固体として単離され、そして、次の工程で直接使用された。
【0348】
P2cは、一般的手順A(P1dの合成を参照)を介して合成された。粗混合物がフラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:CH2Cl2のグラジエントで溶出されて、メチルエステルとエチルエステルとの混合物として暗赤/紫色の固体の固体を11%の収率で与えた。
【0349】
P2dについては、ポルフィリンP2c(0.39g,0.77mmol)、MeOH(5mL)、及びTHF(10mL)の溶液が5Mの水性NaOH(5mL)で処理され、そして、1.5時間で還流された。濃縮されてMeOH及びTHFが除去され、そして、1Mの水性HClで酸性化された。沈殿物が濾過によって集められ、風乾され、そして、高真空下で一晩乾燥されて、暗赤色の固体(0.34g,90%)を与えた。
【0350】
一般的手順D.P2については、4-メチルモルホリン(100mL,過剰)が、CH2Cl2:THF(3:1v/v,20mL)中のポルフィリンP2d(100mg,0.20mmol)の溶液に室温で添加され、そして、15分間攪拌された。2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(43mg,0.243mmol)が添加され、そして、混合物が、室温で、1.5時間撹拌された。1.5時間後、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP,27mg,0.22mmol)、4-アミノメチルフェニルボロン酸ピナコールエステル(38mg,0.21mmol)、及びCH2Cl2(16mL)が加えられ、そして、該混合物が、室温で、1.5時間攪拌された。セライトが粗混合物に添加され、そして、乾燥まで濃縮された。該混合物がフラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、CH2Cl2:MeOHのグラジエントで溶出されて、暗赤色の固体(98.6mg,69%)を与えた。
【0351】
実施例33:P3b、P3c、P3d、及びP3
【0352】
【0353】
P3aの合成については、Org.Process Res.Dev.2003,7,799を参照されたい。
【0354】
P3bは、一般的手順Aを介して合成された。粗生成物がフラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:CH2Cl2のグラジエントで溶出されて、暗色の固体を18%の収率で与えた。
【0355】
P3cは、一般的手順Cを介して合成された。赤い固体が84%の収率で単離され、そして、次の工程において直接使用された。
【0356】
P3dの合成については、ポルフィリンP3c(144.7mg,257.2μmol)が、攪拌棒付きの100mLのRBFに添加された。THF(12.8mL)が添加され、引き続きMeOH(6.4mL)が添加され、そして、5Mの水性NaOH(6.4mL)が滴下された。溶液が、70℃で、5時間加熱された。反応物が室温まで冷やされ、そして、冷水浴中に置かれた。1Mの水性HCL(27mL)が部分的に追加され、そして、水性層が除かれた。有機層が食塩水で洗われ、Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。131.2mg(93%)の暗赤色の固体が単離された。MS:[M+H]+ 計算値549.3;観測値549.4。
【0357】
P3の合成については、ポルフィリンP3d(60.0mg,109.4μmol)が、攪拌棒付きの、火炎乾燥された100mLのRBFに添加された。フラスコが排気され/Arがフラッシュされ、そして、2:1のDCM/THFが添加され(10.9mL)、引き続き、4-メチルモルホリン(60.1μL,546.8μmol)をピペットで溶液内に直接に一括添加された。15分間後、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(23.0mg,131.2μmol)が添加された。反応が、Ar下、室温で撹拌された。1時間後、4-ジメチルアミノピリジン(14.7mg,120.3μmol)及び4-アミノメチルフェニルボロン酸ピナコールエステル(28.0mg,120.3μmol)が添加され、引き続き、追加のDCM(10.9mL)が添加された。2時間後、粗反応混合物がセライト(540mg)上にロードされ、そして、24gのシリカカラム上のケーキが、DCM中の0~4%のMeOHで10分間溶出された。生成物が乾燥されて、67.2mg(80%)を与えた。吸収最大(Abs max)(トルエン):409,503nm;発光最大(em max)(トルエン):633,702nm。
【0358】
実施例33:P4
【0359】
【0360】
P4は、一般的手順Dを介して合成された。粗混合物がフラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、CH2Cl2:MeOHのグラジエントで溶出されて、暗赤色の固体を90%の収率を与えた。
【0361】
実施例34:P5
【0362】
【0363】
ポルフィリンP3d(60.0mg,109.4μmol)が、攪拌棒付きの、火炎乾燥された100mLのRBFに添加された。フラスコが排気され/Arがフラッシュされ、そして、2:1のDCM/THFが添加され(10.9mL)、引き続き、4-メチルモルホリン(60.1μL,546.8μmol)をピペットで溶液内に直接に一括添加された。15分間後、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(23.0mg,131.2μmol)が添加された。反応が、アルゴン下、室温で撹拌された。1時間後、4-ジメチルアミノピリジン(14.7mg,120.3μmol)及び4-ブロモベンジルアミン(22.4mg,120.3μmol)が添加され、引き続き、DCM(10.9mL)が添加された。2時間後、粗反応混合物がセライト(540mg)上にロードされ、そして、24gのSiO2カラム上のケーキが、DCM中の0~4%のMeOHで12分間溶出された。生成物が乾燥されて、69.7mg(71%,80%pure)を与えた。
【0364】
実施例35:P6
【0365】
【0366】
P6aの合成については、Bioconjugate Chem.2006,17,638を参照されたい。P6aは、91%の収率で茶色の固体として単離された。
【0367】
P6bの合成については、Bioconjugate Chem.2006,17,638を参照されたい。P6bは、92%の収率で茶色の泡として単離され、そして、次の工程で直接使用された。
【0368】
P6cは、一般的手順Aを介して合成された。粗生成物がフラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:CH2Cl2のグラジエントで溶出されて、赤い固体を13%の収率で与えた。
【0369】
P6は、一般的手順Cを介して合成された。赤い固体が80%の収率で単離され、そして、次の工程で直接使用された。
【0370】
実施例36:P7
【0371】
【0372】
P7aについては、ポルフィリンP6(50mg,86μmol)、Pd2(dba)3(24mg,26μmol)、P(o-tol)3(65mg,214μmol)は、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(25mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは1時間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/TEA(12mL,5:1)の添加によって溶解された。トリメチルシリルアセチレン(36uL,257μmol)のサンプルが添加され、そして、結果として生じた混合物が、60℃で、一晩攪拌された。18.0時間後、反応物が加熱から取り出され、そして、EtOAcがクエンチする為に添加され、食塩水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして、高真空回転蒸発下で濃縮されて、赤っぽい固体を~52mg(100%)の収率で与えた。
【0373】
P7については、THF/MeOH(20mL,1:1)中のポルフィリンP7a(52mg,87μmol)が、K2CO3(14mg,104μmol)で30分間処理された。粗反応混合物が、CH2Cl2で希釈され、水、食塩水で洗われ、抽出され、そして無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。残渣が、最小量のCH2Cl2中に溶解されることによって精製され、そして、12gのSiO2カラムで、ヘキサン中、0~40%のCH2Cl2を用いて溶出されて、暗緑色の固体を44mg(80%)の収率で与えた。
【0374】
実施例37:P8
【0375】
【0376】
P8は、ポルフィリンP1について言及された方法で形成された。
【0377】
実施例38:P9
【0378】
【0379】
P9aは、一般的手順Aを介して合成された。粗生成物が、フラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、1:1のヘキサン:CH2Cl2から100%のCH2Cl2、そして95:5のCH2Cl2:MeOHで溶出されて、メチルエステル及びエチルエステルの混合物として暗赤/紫色の固体を40%の収率で与えた。
【0380】
P9は、一般的手順Bを介して合成された。粗生成物がフラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:CH2Cl2のグラジエントで溶出されて、赤い固体を38%の収率で与えた。
【0381】
実施例39:P10
【0382】
【0383】
P10aの合成については、Bioconjugate Chem.2006,17,638を参照されたい。P10a粗生成物がヘキサンで粉砕され、そして、黄/茶色の個体が濾過によって集められ、高真空下で乾燥され、そして、81%の収率で単離された。
【0384】
P10は、一般的手順Aを介して合成された。粗生成物がフラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:CH2Cl2のグラジエントで溶出されて、メチルエステル及びエチルエステルの混合物としてピンク/紫色の固体を8%の収率で与えた。
【0385】
実施例40:P11
【0386】
【0387】
P11aの合成については、Bioconjugate Chem.2006,17,638を参照されたい。褐色の粗泡は77%の収率で単離され、そして、次の工程で直接使用された。
【0388】
P11bは、一般的手順Aを介して合成された。粗生成物がフラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:CH2Cl2のグラジエントで溶出されて、赤/茶色の固体を11%の収率で与えた。
【0389】
P11は、一般的手順Bを介して合成された。粗生成物がフラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:CH2Cl2のグラジエントで溶出されて、橙色の固体を49%の収率で与えた。
【0390】
実施例41:P12
【0391】
【0392】
P12aについては、Bioorg.Med.Chem.2003,11,2695を参照されたい。粗生成物が、フラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:CH2Cl2のグラジエントで溶出されて、凍結することに応じて固形化される濃厚な、淡橙色の液体を61%の収率で与えた。
【0393】
P12bは、一般的手順Aを介して合成された。粗混合物がフラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:CH2Cl2のグラジエントで溶出されて、紫色の固体を14%の収率で与えた。
【0394】
P12は、一般的手順Cを介して合成された。暗色の固体が74%の収率で単離された。
【0395】
実施例42:P13
【0396】
【0397】
P13aは、一般的手順Aを介して合成された。粗混合物がフラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:CH2Cl2のグラジエントで溶出されて、赤/茶色の固体を17%の収率で与えた。
【0398】
P13は、一般的手順Bを介して合成された。粗混合物がフラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:CH2Cl2のグラジエントで溶出されて、紫色の固体を59%の収率で与えた。
【0399】
実施例43:C1
【0400】
【0401】
C1bについては、化合物C1a(J.Porph.Phthal,2009,13,1098-1110において記載された通りに調製された)(1.24g,2.93mmol)、Ph-Bpin(1.20g,5.86mmol)、Pd(PPh3)4(1.02g,0.879mmol)、及びCs2CO3(2.86g,8.79mmol)が、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(200mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは1.5時間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/DMF(60mL,2:1)の添加によって溶解された。結果として生じた混合物が、90℃で、17.0時間攪拌された。反応フラスコが加熱から取り出され、そして、~112mgのパラジウム捕捉剤が添加され、そして、60分間、室温で攪拌された。EtOAc、食塩水、及び水で洗われ、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。結果として生じた残渣が、40gのSiO2カラムを使用して、最小量のCH2Cl2で溶出され、そして、ヘキサン中、0~25%のEtOAcで42分間溶出されて、黄色の固体を0.818g(67%)の収率で与えた。
【0402】
C1cについては、化合物C1b(818mg,1.95mmol)が、MeOH(37mL)及びTHF(37mL)中に溶解された。水性KOH(5N,37mL)が添加され、そして、反応混合物が、100℃で、一晩還流された。反応フラスコが加熱油浴から取り出され、そして、室温まで冷やされた。EtOAcが加えられ、水及び食塩水で洗われた。水性層が、追加のEtOAc(3x)で抽出された。一緒にされた有機層が乾燥され(Na2SO4)、濾過され、濃縮され、そして、高真空下で乾燥されて、282mg(54%)の化合物C1cを淡い茶色の固体として与えた。
【0403】
一般的手順F(C1eの為に使用)において、CH2Cl2(37mL)中の化合物C1c0.342g,1.28mmol)と化合物C1d(J.Org.Chem,2013,78,10678-10691において記載された通りに調製された)(0.598g,1.28mmol)との懸濁物が、メタノール(8.6mL)中のp-トルエンスルホン酸一水和物(1.22g,6.42mmol)で処理され、そして、室温で、40分間攪拌された。結果として生じた混合物が、2,2,6,6-テトラメチルピペリジンで5~10分間(2.2mL,10当量)処理された。反応混合物がロータリーエバポレーターで濃縮され、そして、結果として得られた茶色の固体がアセトニトリル(128mL)中に懸濁され、そして、酢酸亜鉛(3.53g,19.3mmol)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(5.4mL,25当量)及びトリフルオロメタンスルホン酸銀(0.99g,3.85mmol)で処理された。結果として得られた懸濁物が、16.5時間還流された。フラスコが加熱油浴から取り出され、そして、室温まで冷やされた。ロータリーエバポレーターで濃縮されて、暗色の固体が形成された。残渣が酢酸エチル(300mL)中に溶解され、そして、ガラスフリット上のシリカゲルのベッドを通じて濾過され、そして、溶出液が透明になるまで過剰のEtOAc(300mL)で洗われ、そして濃縮された。残渣がCH2Cl2中に再溶解され、そしてシリカケーキとして調製された。該ケーキは、40gのSiO2カラム上で、ヘキサン中、0~30%のEtOAcで25分間溶出された。主要な緑色の画分が一緒にされ、濃縮され、高真空下で乾燥されて、緑色の固体を439mg(49%)の収率で与えた。
【0404】
C1については、C1e(408mg,589μmol)が丸底フラスコ中に置かれた。CH2Cl2(42.1mL)とTFA(841μL)との混合物が添加され、そして、反応物が、室温で、1.5時間撹拌された。反応混合物が飽和水性NaHCO3(85mL)でクエンチされ、食塩水(85mL)で洗われ、乾燥され(Na2SO4)、濾過され、そして濃縮された。MeOH/CH2Cl2(20mL)中で再結晶化されて、暗色の固体粉末として化合物C1を与えた(284mg,76%)。
【0405】
実施例44:C2
【0406】
【0407】
C2b(J.Org.Chem,2013,78,10678-10691において記載された通りに調製された)については、MeOH(32mL)中のp-トルエンスルホン酸水和物(p-TsOH-H2O,4.45g,23.4mmol)の溶液が、DCM(140mL)中のC2a(Org.Process Res.Dev.2005,9,651-659において記載された通りに調製された)(0.89g,4.68mmol)及びC1d(J.Org.Chem,2013,78,10678-10691において記載された通りに調製された)(2.18g,4.68mmol)の懸濁物中に添加された。混合物が、室温で、40分間攪拌され、そして、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(TMP,8.77mL,52mmol)が添加された。混合物が、乾燥するまで濃縮された。残渣がCH3CN(500mL)中に懸濁され、そして、酢酸亜鉛(Zn(OAc)2,12.88g,70.2mmol)、銅トリフラート(AgOTf,3.61g,14.04mmol)、及びTMP(20mL,119mmol)で処理された。混合物が一晩還流され、室温に冷やされ、そして濃縮された。粗生成物が、ヘキサン:EtOAcのグラジエントでカラムクロマトグラフィーによって精製されて、青/緑色の固体(0.464g,16%)を与えた。
【0408】
一般的手順G(C2を調製する為に使用された)(J.Org.Chem,2013,78,10678-10691において記載された通りに調製された)については、亜鉛クロリンC2b(0.296g,0.48mmol)が、DCM(50mL)中のトリフルオロ酢酸(TFA,4mL)の溶液で処理された。溶液が、室温で、2時間撹拌され、そして、飽和水性NaHCO3及びH2Oで洗われた。有機層が乾燥され、濾過され、そして濃縮された。残渣がカラムクロマトグラフィー(シリカゲル乾燥ロード;24gのカラム;100%のヘキサン~3:2のヘキサン:DCM)によって精製されて、緑色の固体(0.1g,38%)を与えた。
【0409】
実施例45:C3
【0410】
【0411】
C3aについては、クロリンC2(100mg,181μmol)、Pd2(dba)3(50mg,54μmol)、及びP(o-tol)3(138mg,452μmol)が、オーブン乾燥された、攪拌棒を備えられた(50mL)シュレンクフラスコ中に置かれた。該フラスコは、1時間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。該フラスコは、1時間排気され、そして3回の排気再充填サイクルによって脱気された。混合物が、アルゴンで満たされたシリンジを使用して、アルゴンでパージされた無水トルエン/TEA(18mL,5:1)の添加によって溶解された。トリメチルシリルアセチレン(75uL,542μmol)のサンプルが添加され、そして、結果として生じた混合物が、60℃で、一晩攪拌された。17.5時間後、加熱から取り出され、そしてパラジウム捕捉剤(44mg)が添加され、そして、室温で、1時間撹拌された。高真空回転蒸発下で濃縮され、最小量のCH2Cl2中に溶解されてシリカケーキとされた。12gのSiO2カラムで、CH2Cl2中、0~50%のヘキサンで溶出されて、緑色の固体を70mg(68%)の収率で与えた。
【0412】
C3については、THF/MeOH(28mL,1:1)中のクロリンC3a(70mg,123μmol)が、K2CO3(20mg,147μmol)で30分間処理された。反応混合物がCH2Cl2で希釈され、水(20mL)及び食塩水(20mL)で洗われ、抽出され、無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、そして濃縮された。最小量のCH2Cl2中に溶解され、そして、シリカケーキとされた。12gのSiO2カラムで、ヘキサン中、0~40%のEtOAcを使用して21分間溶出されて、暗緑色の固体を44mg(72%)の収率で与えた。
【0413】
実施例46:C4
【0414】
【0415】
C4が、ChemPhotoChem,2020,4,601-611に記載されている通りに調製された。
【0416】
実施例47:C5
【0417】
【0418】
C5は、ChemPhotoChem,2020,4,601-611に記載されている通りに調製された。
【0419】
実施例48:C6
【0420】
【0421】
C6bは、C6a(J.Porph.Phthal,2009,13,1098-1110に記載されている通りに調製された)及びC1dから一般的手順Fによって調製された。
【0422】
C6は、一般的手順Gによって調製された。
【0423】
実施例49:BC1
【0424】
【0425】
BC1は、J.Org.Chem.,2010,75,1016-1039に記載されている通りに調製された。
【0426】
実施例50:BC2
【0427】
【0428】
BC2は、Org.Biomol.Chem.,2014,12,86-103に記載されている通りに調製された。
【0429】
実施例51:BC3
【0430】
【0431】
THF(40mL)中の化合物BC3a(J.Org.Chem.,2010,75,1016-1039において記載された通りに調製された)(40.6mg,101.37mmol)が、THF(1mL)中のNBS(18mg,101.37mmol)の溶液で、室温で処理された。室温で、1時間撹拌され、CH2Cl2で希釈され、そして、飽和水性NaHCO3で洗われた。有機層が、乾燥され、濾過され、そして濃縮された。粗混合物がフラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:CH2Cl2のグラジエントで溶出されて、緑色の固体(33.8mg,70%)を与えた。
【0432】
実施例52:BC4
【0433】
【0434】
BC4が、Org.Lett.,2016,18,4590において記載された通りに調製された。バクテリオクロリンBC3(33.8mg,70.5mmol)及びPd(PPh3)2Cl2(5mg,7.05mmol)がシュレンクフラスコ中に置かれ、そして、高真空下で、1時間置かれた。1,2-ジクロロエタンがアルゴンの流れで、1時間脱気された。高真空下で1時間後、固体が、3回のアルゴン充填/排出サイクルに付された。1,2-DCE(14mL)、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(102mL,1420mmol)、及びNEt3(200mL,1420mmol)が、該フラスコに加えられた。該フラスコは予熱された油浴中に置かれ、そして、90℃で、17時間加熱された。17時間後、粗混合物が、室温まで冷やされ、濃縮され、フラッシュクロマトグラフィーによって精製され、そして、ヘキサン:CH2Cl2のグラジエントで溶出されて、緑色の固体(33.5mg,90%)を与えた。
【0435】
実施例53:ダイアド光物理学的データ
【0436】
サンプルの光物理学的特性が、トルエン中、室温で試験され、そして405nmで励起された。結果が下記の表1において示されている。
【0437】
【0438】
実施例54:比較例 ポルフィリン光物理学的データ
【0439】
サンプルの光物理学的特性が、トルエン中、室温で試験され、そして405nmで励起された。結果が下記の表2において示されている。
【0440】
【0441】
実施例55:光物理学的特性に対するP3~C1及びP5~C3における連結基の影響
【0442】
図5は、化合物P3-C1(実施例4)の蛍光スペクトルを示す。P3-C1はポルフィリンからの残留発光(residual emission)を示さない。
図6は、化合物P5-C3(実施例6)の蛍光スペクトルを示す。発光スペクトルは、トルエン中、室温で収集された。P5-C3については、ポルフィリンの発光が明らかであり、低減されたエネルギー移動を示す。P5-C3は、P3-C1よりもクロリンとポルフィリンとの間に剛直なリンカーを含み、その結果、2つの成分のより大きな空間的分離、及びより低いエネルギー移動を結果として生じる。
【0443】
図7は、同じサンプル濃度におけるP3-C1とP5-C3との蛍光発光スペクトルを示す。P3-C1の輝度はP5-C3に相対的に有意に増加している。輝度(モル吸光係数×蛍光量子収率):84,700(P3-C1),13,900(P5-C3)。
【0444】
実施例56:P11-BC3における、ベータリンケージ(Beta Linkage)とメソリンケージ(Meso Linkage)との効果
【0445】
図8において示されているように、特定の理論に縛られることなく、ポルフィリンとヒドロポルフィリンとの連結位置の影響が、化合物の光物理学的特性に影響を及ぼしうる。発光スペクトルは、トルエン中の0.5μM溶液を用いて収集された。輝度(モル吸光係数×蛍光量子収率):19,900(P11-BC3メソ)、45,100(P11-BC1ベータ)。このように、ベータ結合を持つP11-BC1は、メソ結合を持つP11-BC1よりも有意に明るい発光を生成した。
【0446】
実施例57:ヒドロポルフィリンモノマーとポルフィリン-ヒドロポルフィリンダイアドの輝度の比較
【0447】
輝度が、約660、約680、約715、又は約800nmの発光波長を有するヒドロポルフィリンモノマーについて、及びヒドロポルフィリンモノマーと構造的に類似したポルフィリンとヒドロポルフィリンとを含む蛍光化合物について、405nmの励起波長を用いて計算された。輝度は、405nmでのモル吸光係数と室温でのトルエン中の蛍光量子収率との積として計算された。表3は、ヒドロポルフィリンモノマーと対応するダイアドの発光波長、405 nmで励起されたヒドロポルフィリンモノマーの輝度、405 nmで励起された該ダイアドの輝度、及びダイアドの輝度と比較したヒドロポルフィリンモノマーの輝度における倍数変化(fold change)を提供する。
【0448】
【0449】
表3において示されているように、該ダイアドの輝度はヒドロポルフィリンモノマー単独よりも有意に増加した。該ダイアドの吸光度最大値は、対応するモノマーの値に対して405nm寄りにシフトしている。発光ピークの幅の狭さの尺度である半値全幅(FWHM:full width half maximum)は、構造的に関連するモノマーと比較して、ダイアドについて維持又は改善されている。場合によっては、ダイアドの蛍光量子収率は対応するモノマーの蛍光量子収率よりも大きかった。
【0450】
上記は本発明を例示するものであり、本発明を限定するものとして解釈されるものでない。本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の均等物はその中に含まれている。
【国際調査報告】