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特表2024-514850その場特性評価及び能動エネルギー管理による気球高度制御のための装置、方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】その場特性評価及び能動エネルギー管理による気球高度制御のための装置、方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B64B 1/64 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
B64B1/64
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562262
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 US2022071552
(87)【国際公開番号】W WO2022217225
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/201,021
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523381930
【氏名又は名称】スペース バルーン テクノロジーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シンデ,プラディープ
(57)【要約】
本発明は、その場特性評価及び能動エネルギー管理による気球高度制御のための装置、装置を使用する方法及びシステムを含む。本発明は、従来の高高度気球の限界を超えて、大気の端又は地表から約100km上空までの気球の輸送、自律動作及び使用を可能にする。装置は、少なくとも:リフトガスが入っているエンベロープ;エンベロープ及びリフトガス特性評価器;能動エネルギーの追加及びリフトガス移動又はシステムへの周囲空気導入を用いて動作する高度制御システム;及び外部ペイロードコンポーネント;を有する。本発明は、上昇、下降又は静止モードで動作することができる。気球の高度移動は、その場エンベロープ及びリフトガス特性を測定すること、必要なリフトガスエネルギーの変化を特定すること、及び高度制御のために必要なエネルギー変化を促進することによって引き起こされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表から少なくとも80kmの高度までの極端な環境及び気象条件に耐えることができ、自律的に制御及び動作する気球を含む気球高度制御のための装置であって、前記装置はさらに:
a. リフトガスを取り囲むとともに収容することができる柔軟で膨張可能なエンベロープであって、前記エンベロープは、ネックと解放可能な気密接触にあり、さらに高度制御システムとの機械的及び電子的又はデジタル的相互作用が可能である、エンベロープ;
b. 前記エンベロープ内に解放可能に収容されるリフトガスであって、前記リフトガスは、前記装置が動作する環境の周囲流体よりも軽い、重い、又は等しいガスであり、前記リフトガスは、膨張又は収縮することによってエネルギーの追加又は除去に応答し、それによって前記エンベロープを膨張又は収縮させる、リフトガス;
c. 前記エンベロープと取り外し可能な気密接触するネックであって、前記ネックは、高度制御システムの少なくとも一部を取り外し可能に囲む、ネック;
d. ボディであって、前記ボディを支持するとともに前記ボディに構造的に適合する中央ハウジングを有し、前記ボディは、高度制御システム及びガス輸送システムと接触している、ボディ;
e. 前記ボディ内に収容されるとともに前記ボディによって支持される高度制御システムであって、前記高度制御システムはさらに、電力供給及びデータの定量化及び伝送が可能な1つ又は複数のプロセッサを含む特性評価器をさらに有し;前記高度制御システムは、前記リフトガスへのエネルギー追加、前記リフトガスからの受動的エネルギー除去、前記エンベロープの外へのリフトガス移動、又は前記エンベロープへの周囲流体(空気)導入を提供する能動エネルギー管理プロセスを使用して、前記気球を上昇、下降又は静止モードで動作させるように構成される、高度制御システム;
f. 前記ボディ内に収容されるとともに前記ボディによって支持されるガス輸送システムであって、前記ガス輸送システムは、前記エンベロープへの及び前記エンベロープからのリフトガス輸送のための通過を容易にし、前記リフトガス輸送中に電気信号を生成するための基盤を促進し、前記システムに出入りする前記リフトガスの量を定量化するためのハウジング支持を容易にすることができる、ガス輸送システム;
g. その場特性の変動を検出及び測定することができる複数のセンサを備える能動エネルギー追加システムをさらに有する能動エネルギー管理システムであって、前記複数のセンサは、前記高度制御システムの前記1つ又は複数のプロセッサと接続し、前記1つ又は複数のプロセッサは、接続された前記センサから受信したデータをキャプチャ及び処理することができ;前記1つ又は複数のプロセッサは、前記複数のセンサからの定性的及び定量的データを受信、格納及び処理することを可能にし、さらに前記データを遠隔局又は受信機に転送することができる、1つ又は複数のコントローラと統合されている、能動エネルギー管理システム;
h. 電源;
i. アンテナコンポーネント;及び
k. ペイロードコンポーネント;
を有する、装置。
【請求項2】
前記エンベロープは、実質的にゴム、ポリエチレン、ラテックス又はマイラーからなる耐久性、柔軟性及びガス不透過性材料の1つ以上のシートを含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エンベロープはさらに、太陽エネルギーを受動的に吸収することができる材料から構成される又は前記材料でコーティングされ、吸収された前記太陽エネルギーは、高度制御に使用される能動的エネルギー追加の量を低減するために前記装置によって使用されることができる、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記高度制御システムは、さらに:
a. 前記高度制御システムの前記コンポーネントを能動的に監視及び制御するために連携する、前記能動エネルギー追加システムの前記1つ又は複数のプロセッサと統合された1つ又は複数のコントローラ;
b. 前記高度制御システムを周囲大気から分離し、外部流体アイソレータ側壁と接触する又は外部流体アイソレータ側壁と連続的に形成された外部流体アイソレータであって、前記外部流体アイソレータはさらに:
i. 表面エンクロージャと相互作用してロックすることができる前記側壁のロック機構、
ii. 環境開口部、及び
iii. 周囲空気通過開口部;を有する、
外部流体アイソレータ;
c. 前記高度制御システムを保護するとともに支持する表面エンクロージャであって;前記表面エンクロージャはさらに、少なくともアンテナ開口部及びペイロード開口部を含む複数の開口部を含むカラー面を備えるカラーをさらに有する、表面エンクロージャ;
d. 1つ又は複数の開口部、中央通過通路、前記中央通過通路をシールするキャップ、及び前記装置を作動させて曝露制御コンポーネントを作動させるための電源スイッチ又はリレーを含む制御システムハウジング;
e. 小開口部、大開口部、溝及び中央通過通路をさらに有する内部流体アイソレータ;
f. 前記電源;及び
g. 曝露制御コンポーネント;
を有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記エンベロープ内に存在する前記リフトガスの体積は、前記特性評価器によって定量化され、前記特性評価器はさらに:
a.前記エンベロープ及び前記リフトガスのその場特性並びに前記装置内及び前記装置を囲む環境条件に関する前記複数のセンサからの定性的及び定量的データをキャプチャし、前記1つ又は複数のプロセッサに送信することができる赤外線デバイス;を有し、
b.前記1つ又は複数のプロセッサ及びコントローラは、相互に統合されるとともに前記特性評価器と統合され;統合された前記1つ又は複数のプロセッサ、前記コントローラ及び前記特性評価器は、前記装置を能動的に監視及び制御するように連携する、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記外部流体アイソレータは、前記制御システムハウジングと機械的に接触し、それによって前記制御システムハウジングに接続され、前記アンテナコンポーネント及び前記ペイロードコンポーネントに解放可能に接続された表面エンクロージャ内に取り囲まれている、
請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記エンベロープの極の端の距離に関する情報を測定及びキャプチャするプロセッサによって制御される距離計をさらに有し、前記キャプチャされた測定値は、前記リフトガスの体積膨張又は圧縮における前記変動の直接測定を可能にする、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記能動エネルギー管理システムはさらに、前記能動エネルギー追加システムのための構造的基礎を提供する中央ハウジング、前記電源に電子的に接続され、放射及び対流熱伝達モードを実行することができる能動エネルギー追加要素、熱源、及び前記能動エネルギー追加要素を前記能動エネルギー追加システムの残りから分離するアイソレータをさらに有し、前記能動エネルギー追加システムは、前記リフトガスにエネルギーを追加するために前記システムによって生成された熱を使用し、前記エンベロープのサイズを増大させ、前記気球の前記高度の増大を促進することができる、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記能動エネルギー管理システムは、モータ駆動制御を容易にするためのモータを含む、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記能動エネルギー追加システムは、前記モータの回転軸に沿ってスライドし、電磁制御を容易にすることができるスライダ及びハウジングとの磁石及び磁気接続部を含む、
請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記ガス輸送システムは、ガスが通過して輸送されるための通路を形成するフロー導管;前記エンベロープへの又は前記エンベロープからの輸送中に前記リフトガスに関するデータを生成するフロー要素;前記システムへの又は前記システムからの輸送を調節する流入制御デバイス;前記リフトガスの流量の変動を検出するための接続を容易にする1つ又は複数のフロー要素タッピング;環境流量制御デバイス;及び前記環境流量制御デバイスと前記中央ハウジングを接続する通路;をさらに有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記環境流量制御デバイスは、電気機械的であり、電気的に動作及び制御され、かつ、前記リフトガス、周囲空気、エンベロープ及び能動エネルギーシステムの特性評価及び調節が可能なプロセッサと電気的に接続する、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記アンテナコンポーネントはさらにアンテナ開口部を有し、前記アンテナコンポーネントは、制御システムハウジングへのアンテナ接続部と機械的に接触するとともに前記アンテナ接続部に取り外し可能に取り付けられる、
請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記ペイロードコンポーネントはさらに、ペイロード通過フック開口部と、前記ペイロード通過フック開口部内に位置するペイロードフックと、外部ペイロードを前記装置に接続するペイロード接続延長部とを有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記曝露制御コンポーネントはさらに、スライド可能なノブと、前記スライド可能なノブを支持し且つ前記スライド可能なノブと適合する溝と、内部流体アイソレータを位置決めすることが可能な曝露制御部大開口部及び曝露制御部小開口部と、能動エネルギー追加システム制御部とをさらに有し、前記曝露制御コンポーネントは、モータ駆動される、又は電子的若しくは電磁的に動力供給される、
請求項4に記載の装置。
【請求項16】
前記内部流体アイソレータは、能動エネルギー追加要素から放出される入射熱放射を反射する反射コーティングでコーティングされる、
請求項4に記載の装置。
【請求項17】
請求項1に記載の装置を使用する方法であって:
i. 電源スイッチをオン位置に設定することによって電源を起動するステップと;
ii. デフォルトモードで前記1つ又は複数のプロセッサを使用して起動するステップと;
iii. 充填モードを使用し、それによって前記エンベロープへのリフトガス輸送を開始するステップと;
iv. センサを作動させて、輸送流量測定データをキャプチャして記録するステップと;
v. 少なくとも質量流量、温度、圧力及び体積データを含む前記リフトガスの前記状態を特定及び測定するセンサデータをキャプチャ及び記録するステップと;
vi. 事前にプログラムされた所望の高度情報を検出するステップと;
vii. デフォルトの事前にプログラムされた情報を使用し、簡易モード又は正確モードで適用するステップであって、
a. 前記簡易モードでは、前記装置は
1. 前記リフトガス及び前記エンベロープの定性的及び定量的状態特性データを検出し;
2. 前記定性的及び定量的状態特性データを前記事前にプログラムされた状態データと比較し;
3. 検出された特性データと前記事前にプログラムされた状態データとの比較により、エネルギー要件を特定し;
4. 上昇のためのエネルギー追加を容易にする前記能動エネルギー管理プロセスを作動させることによって、又は下降のためのリフトガス質量除去の前記プロセス又は周囲流体追加若しくは前記リフトガスからの受動的エネルギー除去の前記プロセスを作動させることによって、又は静止モードのための上昇と下降のさまざまな組み合わせによって、必要なエネルギー必要量を満たす;又は
b. 前記正確モードでは、前記装置は
1. 前記リフトガス及び前記エンベロープの定性的及び定量的状態特性データを検出し;
2. リアルタイム高度を検出し、所望の状態を特定し;
3. 検出されたリフトガス、エンベロープと高度特性データとの間の比較によってエネルギー要件を特定し;
4. 上昇のための能動的エネルギー追加及び降下のためのリフトガス質量除去又は周囲空気追加又は前記リフトガスからの受動的エネルギー除去、又は静止モードのための上昇及び降下のさまざまな組み合わせによって、必要なエネルギー必要量を満たす、
ステップと;
を含む、方法。
【請求項18】
A. 前記装置の外部のソースから遠隔で送信された情報を検出及び取得するステップ;及び
B. 前記1つ又は複数のプロセッサを使用して遠隔で取得された前記情報を処理し、前記遠隔で取得された情報をその場で測定又は定量化された情報又は前記事前にプログラムされた情報と比較し、前記簡易モード又は前記正確モードで事前にプログラムされ、その場で定量化され、遠隔で取得された比較データを適用するステップ;
をさらに含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の装置及び請求項17に記載の装置を使用する方法を含む、その場特性評価及び能動エネルギー管理による気球高度制御のためのシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のその場特性評価及び能動エネルギー管理による気球高度制御のためのシステムであって、請求項18に記載の装置を使用する方法をさらに含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年4月8日に出願された米国仮出願第63/201,021号の35U.S.C.§119(e)の下での先の出願日の利益を主張する。
【0002】
(連邦政府支援の研究/開発に関する記述)
適用なし。
【0003】
(配列リスト、表、又はコンピューターリストコンパクトディスク付録の参照)
適用なし。
【0004】
本非仮特許出願は超高高度気球飛行の分野に関する。より具体的には、従来の高高度気球飛行の限界を超えて気球を輸送するためのその場特性評価(in-situ characterization)及び能動エネルギー管理による気球高度制御のための装置、方法論及びシステムを開示する。従来の装置及び方法論は、地表から約40km上空までの飛行を包含する。本発明は、既知の大気圏の端まで、地表から約100km上空までの気球移動及び制御のために設計される。
【背景技術】
【0005】
さまざまな構成、コンポーネント、及び機能を含む気球及び気球システム(以下「気球」又は「気球(複数)」)が、旅行、探査、及びデータ収集のために何世紀にもわたって使用されてきた。気球は、気象データの収集及びマッピングを通じた初期の輸送サービスから衛星観測及びそれ以降に至るまで、特に飛行船や小型飛行船などの推進力を含む気球システムを含む実用的な適用性があり、革新の対象となってきた。今日、複雑な大気センシングと全地球測位(GPS)計装を展開するシステムが記述され、使用されている。気球物流制御の革新には、太陽に対してシステムを位置決めする発明、様々なエンベロープ内エンベロープ構成、及び空気より軽い(LTA)マルチチャンバーガス交換システムが含まれる。操縦性、高度制御、及びペイロード容量は、最近の技術進歩によって大幅に改善されており、気球技術の分野は新たな高みに到達する準備ができている。
【0006】
現在のバルーニング(ballooning(気球による飛行))技術は、大気条件及び情報伝達の制限により、主に地球の対流圏及び成層圏内での操作に限られている。現在の発明は、典型的には、地球からの距離が40km未満で、安全かつ確実に操作できる大気環境に限られている。これらの高度を超えると、摂氏-60度までの気温、温度風及び帯状風、大気重力波及び潮汐を含む、極端な環境条件及び気象条件が存在する。これらの極端な条件は、現在出現している衛星及び関連する超高高度技術の実用化について、地球からの距離に応じて動作を制限する。ここで開示されている装置、方法及びシステムは、標準的な気球環境で機能することができ、さらに、約50kmから約90km、及びそれを超えて及ぶ、中間圏を含む超高高度環境の極端な環境及び気象条件での動作のために設計され、目標とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、気球装置、その装置を動作させる方法論、及び様々な応用のためにその方法論を用いて装置を動作させるシステムに関する。本発明の装置は、気球高度制御に用いられ、地表から少なくとも80kmまでの高度の極端な環境及び気象条件に耐えることができる気球を含む。本発明は、自律的に制御及び操作される、すなわち、事前にプログラムされた情報を用いてそれ自身で機能し、遠隔操作及び制御を必要としない。システムは、動作のための情報がシステムに事前にプログラムされているデフォルトモード、又は装置の外部のソースから遠隔で送信されたデータをシステムが検出し、取得し、及び使用することを可能にする遠隔モードのいずれかで動作する能力を有する。
【0008】
本発明は、システムが気球からガスを追加又は除去せず、代わりにエネルギーを追加又は除去し、これにより気球の膨張可能な(expandable)エンベロープ内に含まれるガスの特性を変化させる点で、典型的なバルーニング装置及びシステムとは区別される。好ましい実施形態では、装置は、少なくとも:リフトガスが入っている(containing)エンベロープ;能動的エネルギーの追加及びリフトガスの移動又はシステムへの周囲空気の導入を容易にするエンベロープ及びリフトガス特性評価器(characterizer)を含む高度制御システム;及び外部ペイロードのための延長部(extension);を有する。エンベロープに入れられたリフトガスは、一般に、装置が動作する環境の周囲流体(システム外の空気)よりも軽くすることができる。本発明の明確な利点は、装置が動作する環境の周囲流体よりもリフトガスが重いか同等である用途においても同等に適用可能であり、意図されたように動作することである。高度制御システムは、気球を上昇、下降、又は静止モードで動作させるように構成され、気球の高度移動は、その場エンベロープ及びリフトガス特性を測定し、必要なリフトガスエネルギーの変化を特定し(identifying)、システムへの能動的な熱追加(heat addition(熱付加))及びエンベロープからのリフトガス移動を調節することによって、又はシステム内に周囲流体(一般に大気)を導入することによって、必要なエネルギー変化を促進することによって引き起こされる。一実施形態では、高度制御システムは、高度制御システムのコンポーネントを能動的に監視及び制御するために連携する(cooperate)デジタル又は電子的に統合されたプロセッサ及びコントローラを含む。高度制御システムはまた、遠隔局とのデータ及び情報の転送のための通信システムを含むことができる。遠隔局は、地上局だけではなく、通信ハブ、個別又はネットワーク形式の他の高度制御システムであることができる。高度制御システムは、アクセスし、実行し、データを格納するための記録可能な媒体を含むこともできる。本発明の一実施形態では、高度制御システムは、システムコンポーネントに電力を供給するための電力ハブを含む。高度制御システムはまた、運ばれることになるペイロードのための外部アタッチメントを提供するための延長部を含むことができる。本明細書に開示されるシステムは、その場特性評価統合高度制御のための方法論及びプロセスに従って動作する装置を含む。
【0009】
本発明の特徴及び利点は、本明細書に記載される装置及び組み合わせによって実現され得るとともに得られ得る。本発明のこれらの及び追加的な特徴、態様、利点及び代替は、以下の又は本発明の実施によって学ぶことができる説明に記載される。
【0010】
本概要は、その詳細な説明がよりよく理解され得る目的で、及び本技術分野への本貢献がよりよく理解され得る目的で、その場特性評価化及び能動エネルギー管理装置、方法及びシステムによる気球高度制御の特徴のいくつかを広く記載する。本発明には、本明細書に添付する特許請求の範囲の主題を形成する、以下に記載する追加の特徴がある。本明細書に記載する発明は、その適用において、以下の説明に記載された又は図面に示されたコンポーネントの構造の詳細又は特定の配置に限定されないことが理解される。その場特性評価及び能動エネルギー管理装置、方法及びシステムによる気球高度制御は、他の実施形態のものであることができ、様々な方法で実施及び実施することができる。
【0011】
本発明の目的は、従来の高高度バルーニングの限界を超えて、地表から約40km上空から大気の端まで、地表から約100km上空まで気球を輸送するための装置、方法及びシステムを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、ペイロード輸送のためのプラットフォームとして利用され得る装置、方法及びシステムを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、監視、モニタリング、通信及び/又は偵察、大気測定及び/又はモニタリング、中間圏研究及び/又はモニタリング、及び気象予測及び/又はモニタリングのためのペイロード輸送システムとして利用され得る装置、方法及びシステムを提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、技術試験、成熟及び/又は実証のためのプラットフォームを提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、少なくとも80kmまでの高度を含む中間圏への制御されたアクセスを提供することであり、これは、ペイロード及び/又は気球回収を実現又は支援し、データ、機器又はペイロードの回収のためのシュート又はパラシュートの必要性を排除又は最小化することができる。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、既存のロケットランチャー及び従来の高高度気球を使用して不可能な長時間(時間を超える)の80kmまでの高度を含む、40kmの成層圏高度限界を超える気球及び/又はペイロードの中間圏への輸送を可能にすることである。
【0017】
本発明の別の目的は、教育及び科学的発見目的のためのプラットフォームを提供することである。
【0018】
本発明の目的はまた、地上及び航空交通の検出、モニタリング及び/又は管理のためのプラットフォームを提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、ロケット又は宇宙機を発射するためのプラットフォームを提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、任意の太陽系の任意の惑星の大気中で利用され得る本明細書に記載の装置、方法及びシステムを提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、中間圏のオーロラ又は夜光雲のような今日の未知のものの理解を高めるためのプラットフォームを提供することである。
【0022】
別の目的は、隕石の観測及び/又は研究のためのプラットフォームを提供することである。
【0023】
本発明のさらに別の目的は、準軌道(suborbital)輸送のために可燃性燃料を利用する必要性を排除する、準軌道輸送のための代替の及び環境にやさしいプラットフォームとしての装置、方法及びシステムを提供することである。
【0024】
本発明の様々な実施形態の他の目的及び利点は、読者にとって自明であり、これらの目的及び利点が本発明の範囲内であることが意図される。上記及び関連する目的を達成するために、本発明は添付図面に図示された形態で実施することができるが、図面は例示にすぎず、本出願の範囲内で図示及び記載された特定の構成に変更を加えることができるという事実に注意が喚起される。
【符号の説明】
【0025】
20: 気球
21: エンベロープ
22: ネック
23: リフトガス
30: 外部ペイロード
31: ペイロードコンポーネント
32: ペイロード接続延長部
40: 外部アンテナ
41: アンテナエレメント
100: 高度制御システム
110: 外部流体アイソレータ(External Fluid Isolator)
111: 外部流体アイソレータ側壁
112: ロック機構
113: 環境開口部
114: アンテナ開口部
115: ペイロード開口部
116: カラー面
120: サーフェスエンクロージャ
130: 制御システムハウジング
131: 制御システムハウジング側壁
132: 電源スイッチ
132a: 電源スイッチ開口部
133: ペイロード用フック
133a: ペイロードフック通過開口部
134: キャップフック
134a: キャップフック通過開口部
135: アンテナ接続部
135a: アンテナ通路
136: キャップ
136a: 制御システムハウジング中央通過通路
137: 周囲空気通過開口部
140: ボディ
141: 中央ハウジング
141a: ボディ中央通過通路
141b: 配線通路
141c: 中央ハウジングタッピング
141d: 環境流量制御デバイス用通路
142: ガス輸送システム
142a: 流路
142b: フロー要素
142c: 流入制御デバイス
142d: フロー要素タッピング
142e: 周囲環境タッピング
143: 能動エネルギー追加システム
143a: モータ
143b: スライダハウジング
143c: アイソレータ
143d: 能動エネルギー追加要素
144: 流量感知デバイス
145: 流量調整器
146: 環境流量制御デバイス
147: プロセッサ
150: 電源
160: 特性評価器
161: センサ基礎壁
162: IRデバイス
162a: IRデバイスハウジング
163: 直接接触センサ
163a: 直接接触センサハウジング
164: 圧力センサ
164a: 圧力センサハウジング
165: 特性評価器中央通過通路
166:通過開口部
170: 曝露制御部
171: 曝露制御部大開口部
172: 曝露制御部小開口部
173: スライドノブ
174: 曝露制御部中央通過通路
180: 内部流体アイソレータ
181: 流体アイソレータ大開口部
182: 流体アイソレータ小開口部
183: 溝
184: 内部流体アイソレータ中央通過通路
【図面の簡単な説明】
【0026】
例示的な実施形態は、以下の本明細書に記載された詳細な説明及び添付の図面からより完全に理解されるであろう。ここで、類似の要素は、類似の参照文字によって表され、これらは例示のみとして示され、したがって本明細書の実施例に限定されないる。
【0027】
図1A】本明細書に開示される本発明の装置の正面図である。
【0028】
図1B図1Aに示すシステムの体積変化を示す本発明の正面図である。
【0029】
図1C図1Aに示すデバイス内の高度制御システムの分解図である。
【0030】
図1D図1Cに示す高度制御システムの斜視図であり、(A)では曝露制御部は閉位置にあり、(B)では曝露制御部は能動的なリフトガス制御要素展開を伴って開位置にある。
【0031】
図2】高度制御システムのサブアセンブリの分解斜視図である。
【0032】
図3A】外部環境からの高度制御システムのためのエンクロージャを提供する実施形態の斜視図である。
【0033】
図3B図3Aに示す図の上面図及び断面図を示す。
【0034】
図4A】高度制御システムの制御システムハウジングの一実施形態の斜視図である。
【0035】
図4B図4Aに示す制御システムハウジングの実施形態の分解図である。
【0036】
図4C図4Aの制御システムハウジングの実施形態を示す簡略図である。
【0037】
図4D図4Aに示す制御システムハウジングの実施形態の底面図である。
【0038】
図5A】高度制御システムハウジングの一実施形態の斜視図及び分解図である。
【0039】
図5B図5Aに示す高度制御システムハウジングの一実施形態の上面図及び断面図である。
【0040】
図5C】分解斜視図(A)、(B)上面図、及び、上面図に描かれたC-C、D-D及びE-E断面を示す上面図の断面図を示すリフトガス輸送システムの一実施形態を示す。
【0041】
図5D】能動エネルギー追加システムの一実施形態の分解斜視図である。
【0042】
図6A】特性評価器ハウジングの一実施形態を示す簡略図であり、(A)は斜視図、(B)は(A)の分解図を示す。
【0043】
図6B図6Aの上面図及び断面図に示すA-A、B-B及びC-C線に沿った上面図及び断面図である。
【0044】
図7】高度制御システムの曝露制御コンポーネントの一実施形態の上面図及び断面図であり、断面A-A、B-B及びC-Cは、上面図及び独立した断面図として示されている。
【0045】
図8】内部流体アイソレータの一実施形態を示す簡略図であり、(A)は斜視図、(B)は底面図である。
【0046】
図9】本発明の使用方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
ここで、図面を説明的に参照すると、同様の参照符号がいくつかの図を通して類似の要素を示し、図は好ましい実施形態の一例を示す。
【0048】
図1A-1Dは、概して本発明のデバイスの一実施形態を示す。エンベロープ21を有する気球20は、リフトガス23を取り囲み、ネック22と取り外し可能に接触している。装置の高度は、リフトガス23の密度を減少させることによって上昇させることができる。これは、リフトガス23にエネルギーを加えることによって達成され、これはリフトガス23の体積を増加させてそれによりリフトガスを軽くし、したがってリフトガス23の密度を減少させる。必要なエネルギー変化は、システムへの能動的な熱負荷によって及びエンベロープからのリフトガスの移動を調節することによって、又は一般的に外気から成る周囲流体をシステム内に導入することによって達成される。これは、エンベロープ21の膨張をもたらし、したがって気球20の上昇を促進する。システムは、質量移動(mass transfer)及び気球20のネック22を介したシステムからのリフトガス23の放出、体積を減少させること、したがってエンベロープ21を収縮させることによって降下を促進する。気球20のネック22を介してリフトガス23で満たされたエンベロープ21への制御された量のより冷たい周囲空気の追加は、リフトガス23の温度を低下させ、加えられた周囲空気の量だけリフトガス23の濃度を変化させる。これは、リフトガス23の冷却による体積減少を促進する。気球ネック22を介したエンベロープ21への、元のリフトガス23よりも重い特定量の外気の追加は、混合物の全体質量が増加することに加えて、システムの揚力(lift)を減少させる。これは、システムへの周囲空気の追加量の速度及び追加された周囲空気の総量に応じて、気球20の降下又は静止モードの移行を容易にする。エンベロープ21の体積の変動は、図1Bの中心線と比較することによって可視化される。上昇に続く装置の下降も、リフトガス23の質量移動なしに、また、周囲環境とエンベロープ21との間の受動的なエネルギー交換の形で、リフトガス23の追加エネルギーを、エンベロープ21を介して周囲環境に単純に散逸させることによって容易にされる。
【0049】
図1Aは、本発明のデバイスの正面図である。この図では、気球20は、リフトガス23で満たされたエンベロープ21を有する。気球20は、ネック22と接触するとともにネック22に接続され、さらに高度制御システム100、外部流体アイソレータ110及び外部アンテナ40を有する。高度制御システム100は、独立して、又は、高度制御システム100に接続された外部アンテナ40を介して、1つ又は複数のオンボードプロセッサ147及び統合(デジタル又は電子的にリンクされ、調整され、又は接続される)コントローラを使用して遠隔局と通信して、その動作を実行する。ペイロードコンポーネント31は、取り外し可能であり、ペイロード接続延長部32を介してネック22に接続され、ペイロード接続延長部は、外部ペイロード30を支持し、取り外し可能に取り付ける。ペイロードのミッション固有の大気高度変動要件は、少なくとも上昇、下降及び静止モードオプションを含む所望の動作モードで気球20の高度を変化させることによって満たすことができる。ペイロードは、任意の形態、タイプ、形状及びサイズとすることができる。ペイロードの具体的な例は、科学及び学術研究用のツール及び利き、軍専用のデバイス及びコンポーネント、貨物、又はさらにはロケットを含むが、これらに限定されない。
【0050】
図1Bは、図1Aに示す本発明のデバイスの体積変化を示す本発明の正面図である。エンベロープ21は、ネック22と解放可能な気密接触にあり、高度制御システムとの機械的及び電子的又はデジタル的相互作用が可能である。この図では、元のエンベロープ21が膨張するように示されている。点線は、さまざまな膨張構成のエンベロープ21を示している。能動的かつ制御されたエネルギー追加による高度変化は、本質的に柔軟であるか、又はリフトガス23の体積変化に対応するためにサイズを拡大及び縮小することができるエンベロープ21を使用して達成することができる。エンベロープ21は、単一の連続又は複数の接続されたガス不透過性材料のシート又はフィルムから製造することができ、ガスを完全に収容することができ、ある程度の柔軟性を有する任意の形状及びサイズであり、前の構成に伸縮するような再帰的特性を含む。適切な材料には、ゴム、ポリエチレン、ラテックス、又はマイラーが含まれるが、これらに限定されない。当業者であれば、フィルム及びシートを形成することができる他のガス不透過性で柔軟性のある材料が、エンベロープの製造に使用されることができ、それが本開示の範囲内であることを認識するであろう。さらに、1つ又は複数の実施形態において、システムは、システムにエネルギーを供給するために受動太陽エネルギーを利用することができる。エンベロープ21は、リフトガス23によって吸収される太陽エネルギーの量を増加させる高吸収性材料で製造又はコーティングされることができ、したがって、負荷の量、又は高度制御のために使用されるリフトガス23への能動的エネルギー追加の量を減少させることができる。例えば、エンベロープ21は、太陽放射を吸収することができる材料から作られることができる若しくはその材料で作られることができる、又は、外部表面上の吸収層にコーティングされることができる若しくは他の方法で機能的に接続されることができ、リフトガス23によって吸収される太陽エネルギーの量を増加させることができ、したがって、リフトガス23への能動的エネルギー追加の量を減少させることができる。
【0051】
エンベロープ21は、リフトガス23を取り囲む。エンベロープに入れられたリフトガスは、装置が動作する環境の周囲流体よりも軽い、重い、又は等しい可能性がある。一般に、ヘリウム又は水素が使用され得るが、当業者は、エネルギーの追加又は除去に応答することができる他のガスが、使用されることができ、依然として本発明の範囲内にとどまることを理解する。リフトガス23へのエネルギー追加は、リフトガス23の体積を増加させ、したがってリフトガス密度を減少させる。一方、リフトガスの質量移動又はシステムからのエネルギー除去は体積を減少させる。リフトガス23を取り囲むエンベロープ21内へのより冷たい周囲空気の追加は、リフトガス温度を低下させ、リフトガスが質量追加とともに冷却されることを可能にし、それによって、新たに構成されたリフトガス23混合物を追加された周囲空気によりリフトガスの元の量から変更する。リフトガス温度のこの変化は、リフトガス体積の減少を促進する。エンベロープ21への元のリフトガスよりも重い及び/又は冷たい特定の量の外部ガス、又は空気の追加は、混合物の全体質量の増加に加えて、元のリフトガス23よりも空気の密度が高いため、システムの揚力を減少させる。これは、気球輸送の降下又は静止モードをもたらす。
【0052】
図1Bはまた、ネック22と、外部ペイロード30のペイロードコンポーネント31及びペイロード接続延長部32を介した高度制御システム100へのその接続部を含むペイロードコンポーネントとを示す。外部流体アイソレータ110が外部アンテナ40と接触し、この外部アンテナは、高度制御システム100と遠隔局(空中又は地上)との間のデータ及び情報転送を容易にする。
【0053】
図1Cは、図1Aに示すデバイスの実施形態内の高度制御システム100の分解図を示す。能動エネルギー追加プロセスを使用して、気球を上昇、下降又は静止モードで動作させるように構成された高度制御システムは、エンベロープからのリフトガス移動又はエンベロープへの周囲空気導入を提供する。高度制御システムのセンサは、表面温度、構造応力、及びエンベロープの体積、並びに、圧力、温度、及び体積などのリフトガス特性を含むがこれらに限定されないエンベロープのその場特性を決定、記録、及び応答することができ、次いでリフトガス密度を変更するためにリフトガスのエネルギーを変更する。この図では、リフトガス23を取り囲むエンベロープ21を含む気球20はネック22に接続されている。ネック22はまた、高度制御システムと解放可能に気密接触している。一実施形態では、エンベロープ21は、高度制御システム100に、それをネック22に取り付けるクランプを介して接続されることができる。取り付け機構は、ジップタイ又は同様の取り外し可能な取り付け手段又はより安定した若しくは永続的なクランプ機構を使用するような単純なものであることができる。別の実施形態では、エンベロープ21は、ネック22のない開口部のみを含む。
【0054】
図1Cの図はまた、高度制御システム100の底部に位置する外部アンテナ40と、外部ペイロード30を含むペイロードコンポーネント31を接続するペイロード接続延長部32とを示す。外部アンテナ40は、ホイップアンテナ、バイポーラアンテナ、70cmアンテナ、ヘリカルアンテナ、又は装置に取り付けることができる他のアンテナタイプを含むが、これらに限定されない様々なタイプのものであることができる。
【0055】
図1Dは、図1Cに示す高度制御システム100の斜視図であり、(A)曝露制御部(exposure control)を作動させ、リフトガス23の体積を変化させるスライドノブ173を有する。(A)に示す曝露制御部のスライドノブ173が閉じた位置にある場合、リフトガスにエネルギー追加は導入されない。(B)に示すように、スライドノブ173がスライドする又は開いた位置に置かれると、高度制御システム100が作動する。この開いた位置は、能動エネルギー制御要素の展開を可能にする。当業者は、単純なスライドノブ173機構の代わりに、ボタン、スイッチ、又は電子作動コンポーネント又はドライブなどの他のタイプの作動を使用することができることを理解するであろう。
【0056】
高度制御システム100は、気球20を上昇、下降、又は静止モードで動作させるように構成されており、この場合、気球20の高度移動は、その場でエンベロープ21及びリフトガス23特性を測定すること、リフトガスエネルギーに必要な変化を特定すること、並びに、システムへの能動的な熱追加及びエンベロープ21からのリフトガス移動を調整すること又はシステム内に周囲流体を導入すること若しくは単にリフトガス23の周囲環境への受動的なエネルギー散逸を許容することによって必要なエネルギー変化を促進することによって引き起こされる。高度制御システム100は、システムの動作状態を示すために外部から見える発光ダイオード(LED)ライト又は類似のインジケータを含み得る。
【0057】
気球20の高度は、エンベロープ21によって取り囲まれたリフトガス23の温度を変化させることによって又は気球のエンベロープ21内のリフトガス23の量及び濃度を変化させることによって変化させることができる。可変高度は、エンベロープ21内のリフトガス23の体積膨張、圧縮又は減少を引き起こすことによって制御される。したがって、リフトガス23によって吸収又は放出されるエネルギーの量及び気球20内に存在するリフトガスの量を制御することによって、気球20の高度を制御することができる。気球20のエンベロープ21は、破裂又は破れることなくリフトガス23の体積変化の変動に対応できる十分大きい体積を有する弾性又はプラスチックである必要がある。
【0058】
運用上、典型的な高高度気球は、地表から約8キロメートル(km)から50kmの間の高度を含む成層圏に展開される。本発明は、成層圏と対流圏に加えて中間圏と熱圏の一部を含む地表から100kmの大気の端(フォン・カーマンラインとして知られる)までの高度のための超高高度気球の使用を可能にする。本発明は、一般に、0kmから100kmの間の高度変動の全範囲に適用可能である。好ましい実施形態では、超高高度気球は、概して、成層圏と中間圏との間の高度範囲で動作するように構成され得る。より具体的には、本発明は、概して、18kmから80kmの間の高度で動作するように構成され得るが、他の高度も可能である。この高度範囲は、いくつかの理由により有利であり得る。特に、18kmより上の高度に展開された気球は、通常、民間航空交通のために指定された最大飛行レベルを超えており、したがって、民間航空便を妨げない。さらに、気球の高度が高いほど、限定されるものではないが地上観測、監視、通信、データ及び情報交換などの地上ベースのペイロードについて有することができる地上範囲が広くなる。
【0059】
図2は、外部流体アイソレータ110、表面エンクロージャ120、制御システムハウジング130、ボディ140、電源150、特性評価器160、曝露制御部170、及び内部流体アイソレータ180を有する、高度制御システム100の分解斜視図を示す。好ましい実施形態では、表面エンクロージャ120は高度制御システム100の外部コンポーネントであり、残りのコンポーネント及びサブアセンブリを保護及び支持するエンクロージャを提供する。好ましい及び様々な代替実施形態のコンポーネント及びサブアセンブリについて、以下の図及び説明で説明する。
【0060】
図3A及び図3Bは、高度制御システム100を周囲大気から分離する外部流体アイソレータ110を示す。好ましい実施形態では、この外部流体アイソレータ110は、ペイロード開口部115を介して外部ペイロード30をシステムに接続することができ、さらにアンテナ開口部114を介して外部アンテナ40を接続することができる。図3Bの実施形態に示されるように、外部流体アイソレータ110は、リフトガス23の外部への移送又は周囲空気の高度制御システム100への輸送を容易にするために、環境開口部113を含み得る。外部流体アイソレータ110の第1端のカラー面116は、外部流体アイソレータ側壁111と接触している又はそれと連続的に形成されており、この側壁は、表面エンクロージャ120を外部流体アイソレータ110に固定するように表面エンクロージャ120と相互作用することができるロック機構112をさらに含み得る。外部流体アイソレータ110の外部流体アイソレータ側壁111は、高度制御システム100の表面エンクロージャ120と接触している。アンテナ開口部114及びペイロード開口部115を含むがこれらに限定されないカラー面116の開口部は、カラー面116がアンテナ、ペイロード、又は他のコンポーネントを位置決め及び支持することを可能にするために存在し得る。当業者であれば、外部流体アイソレータ110が、遠隔局との通信なしに、又はペイロード及び関連する開口部なしに高度制御が動作するアンテナ40及び関連する開口部なしに動作し、なおかつ本明細書の開示に含まれることを理解するであろう。
【0061】
図4Aから4Dは、高度制御システム100のシステムコンポーネントを支持及び位置決めする制御システムハウジング130を説明し、高度制御システム100の好ましい実施形態のコンポーネントを示す。図4Aに示される好ましい実施形態では、制御システムハウジング130は、電源スイッチ132を使用して装置を作動させ、曝露制御部170を作動させる(engage)。ステムへの電源は、スイッチが閉状態に位置するときオンにされ、開状態に位置するときオフにされる。代替実施形態では、制御システムハウジング130は、電源スイッチ132の代わりにオンオフリレーを使用し得る。
【0062】
図4Bは、本発明の装置の好ましい実施形態の種々のコンポーネントを示す。ペイロード用フック133は、制御システムハウジング130内に配置され、ペイロードを装置の残りの部分に取り付けるように機能する。外部ペイロード30及び外部アンテナ40は、機械的に接触しており、外部流体アイソレータ110のペイロード開口部115及びアンテナ開口部114をそれぞれ介して、制御システムハウジング130のペイロード用フック133及びアンテナ接続部135に取り外し可能に取り付けられる。高度制御システム100の動作は、開口部、電源スイッチ開口部132aを介して制御システムハウジング130の外部からアクセス可能である。制御システムハウジング130は、リフトガス23のエンベロープ21内への輸送を容易にする制御システムハウジング中央通過通路136aを封止するためのキャップ136を含み得る。図4Cに示すように、制御システムハウジング130は、限定されるものではないがペイロード用フック133及びキャップフック134の追加的な構造的支持を提供するとともにそれらを位置決めするキャップフック通過開口部134aのような構成又は構造的特徴を含み得る。これは、外部ペイロード接続のために、これらのフックが開口部、ペイロードフック通過開口部133a及びキャップフック通過開口部134aをそれぞれ横切る又は通過することを可能にする。制御システムハウジング130は、アンテナ通路135aを通過するアンテナ接続部135を介して外部アンテナ40へのアクセスを提供し得る。開口部、周囲空気通過開口部137は、高度制御システム100の外部流体アイソレータ110の環境開口部113に接続するチューブ又はパイプ(図示せず)のような接続要素のための通過を容易にして、リフトガス23の外部への移送又は周囲空気の高度制御システム100への輸送を可能にする。制御システムハウジング130は、ペイロードフック通過開口部133aを通過するペイロード用フック133を介して外部ペイロード30へのアクセスを提供し得る。キャップフック通過開口部134aを通過するキャップフック134は、動作中に制御システムハウジング中央通過通路136aの外に出るリフトガス23のための気密シールを提供するために、キャップ136を強固に固定するために組み込まれることができる。一実施形態では、外部流体アイソレータ110が、制御システムハウジング130と磁気的に接触して、これらのコンポーネント間の緊密な接続を形成し得る。当業者であれば、制御システムハウジング130は、アンテナ伝送及び所望のペイロード機能のために必要とされるように、様々なフック及び関連する開口及び支持機構を含み得る、又はそれらを含まない場合があることを理解するであろう。さらに、代替実施形態は、制御システムハウジング130が、ペイロード用フック133及びキャップフック134の代わりに、内蔵された単純な接続ポートを含み得ることを提供する。また、制御システムハウジング130のキャップ136及びキャップ用フック134は、ボディ140のガス輸送システム142との漏れ防止接触を提供するために、磁石及び磁気アタッチメントによって置換されてもよい。
【0063】
図5A-5Dは、高度制御システム100を示す。図5Aは、高度制御システムの一実施形態の分解斜視図を示す。この図は、図5Bでさらに説明される中央ハウジング141を有する高度制御システム100のボディ140を示しており、このハウジングは、ボディ140のコンポーネントを支持し、コンポーネントに構造的に適合し、かつコンポーネントのための基礎(foundation)を提供する。中央ハウジング141のボディ中央通過通路141a(図5Bに示す)は、リフトガス23を輸送するためのガス輸送システム142を収容する。配線通路141b(図5Bに示す)は、電力及びデータ伝送のために、プロセッサ147と特性評価器160(図6Aに示す)のコンポーネントとを接続する電線を繋ぐことを容易にする。中央ハウジングタッピング(central housing tappings)141cは、ガス輸送システム142のフロー要素(flow element)タッピング142d(図5Bに示す)と、リフトガス23又は周囲空気の輸送のための流量感知デバイス(flow sensing device)144との間の接続の移送のための通路を容易にする電気接続部(図5Bに示す)である。好ましい実施形態では、ボディ140は、ガス輸送システム142を収容して、流体、リフトガス23又は周囲空気のいずれかが通過することを可能にし、任意の方向に調節することを可能にする。代替的には、ガス輸送システム142は、中央ハウジング141と同心円状に接触していなくてもよい。
【0064】
図5Cは、ガス輸送のための通路を形成するフロー導管(flow conduit)142a;エンベロープ21への輸送又はエンベロープ21からの輸送中のリフトガス23の測定値及びデータを生成するための、オリフィスプレート又はベンチャープレートのようなフロー要素(flow element)142b;方向流量制御弁又は逆止弁のようなシステムへの又はシステムからの流れ又は輸送を調節する流入制御デバイス142c;フロー要素142bによって生成されるリフトガス23の流れの変動を検出するための接続を容易にするフロー要素タッピング142d及びリフトガス23のシステム外への調節された輸送又はボディ140の環境流量制御デバイス146を介したシステム内への周囲空気の調節された輸送のいずれかのための流れバイパスを提供する周囲タッピング(ambient tapping)142e;及び中央ハウジング141の環境流量制御デバイス141dのための通路;を有するガス輸送システム142を示す。代替的には、流量制御デバイス142c及び146は、電気機械的であり得、電気的に動作及び制御され得、ボディ140のプロセッサ147と電気的に接触し得る。
【0065】
図5Dは、能動エネルギー追加システム143を詳述する。中央ハウジング141は、熱を利用してリフトガス23にエネルギーを追加することができる能動エネルギー追加システム143のための構造的基礎を提供し、エンベロープ21のサイズを増大させ、気球20の高度の増大を容易にする。図5Dに示す好ましい実施形態では、能動エネルギー追加システム143は、能動エネルギー追加要素143dをさらに含み、電熱熱輸送によってリフトガス23にエネルギーを供給する。電気抵抗加熱に基づいて、能動エネルギー追加要素143dは、高度制御システム100の電源150を介して電気の形で供給されたエネルギーを変換し、熱伝達の放射及び対流モードを介してリフトガス23に熱追加の形で熱エネルギーに変換する。熱伝達の放射モードでは、能動エネルギー追加要素143dは、熱をその周囲に放射し、その熱は主としてエンベロープ21の内部表面によって吸収され、エンベロープ21の表面温度の上昇をもたらす。熱伝達の対流モードでは、能動エネルギー追加要素143d及びエンベロープ21の内部表面と表面接触しているリフトガス23は、表面対流を介して接触面からの熱と熱を交換し、平衡熱伝達状態に到達しようとし、リフトガス23の温度の上昇をもたらす。この温度の上昇は、リフトガス23の膨張を促進し、したがって、エンベロープ21の膨張を促進し、最終的に気球20の高度を上昇させる。
【0066】
能動エネルギー追加要素143dの展開は、アイソレータ143cを介して、能動エネルギー追加システム143の残りの部分から分離される。能動エネルギー追加システム143は、天然ガス、プロパンガス又はエタノールを使用する加熱システム、又は他の同様の燃焼ベースの加熱システムを有し得る。しかしながら、いくつかの代替加熱システムをリフトガス23に熱を供給するために使用することができる。これらは:UV(紫外)光;赤外線(IR)放射;超音波加熱;ヒートパイプ機構;沸騰熱伝達機構;を使用するリフトガス23加熱システムを含み得るが、これらに限定されるものではない。能動エネルギー追加システム143は、オプションで、モータ駆動制御(motorized control)を容易にするモータ143aとスライダハウジング143bとを含み、これらはスライド可能に関連している。しかしながら、当業者は、モータ143aとスライダハウジング143bとの間のスライド運動のない固定システムであってもよいことを理解するであろう。モータ143aは、モータ143aの回転軸に沿ってスライドすることにより、スライダハウジング143bを経由する能動エネルギー追加要素143dの並進を可能にする。モータ駆動制御は、使用されていないときには、高度制御システム100内に能動エネルギー追加要素143dを固定し、高度制御システム100から延びることにより、エンベロープ21に取り囲まれたリフトガス23に能動エネルギー追加要素143dを曝露するために提供され得る。別の実施形態では、能動エネルギー追加システム143のモータ駆動制御は、モータ143aの回転軸に沿ってスライダ及びスライダハウジング143bが摺動可能であり、電磁制御を容易にする電磁制御を用いた磁気接続部を有する磁石によって置き換えられ得る。
【0067】
好ましい実施形態では、ボディ140は、フロー導管142aを通過するリフトガス23又は周囲空気の流量の変動及びフロー要素142bによって生成される変動の検出のための流量感知デバイス144を収容する。ボディ140は、方向制御弁又は逆止弁のような機械的環境流量制御デバイス146を介してシステムから出るリフトガス23の流れ又はシステムに入る周囲空気の流れのいずれかを制御するために、ポンプ又はモータ143aのような流量調整器(flow regulator)145を含み得、この装置は、エンベロープ21内のリフトガスの量及び/又は濃度を管理する。これは、エンベロープ21のサイズを小さくすることを容易にし、気球の降下をもたらす、又は気球20の静止モードに対応するエンベロープ21の膨張又は圧縮のいずれかを停止させる。一実施形態では、環境流量制御デバイス146は、プロセッサ147と電気的に接触する電気機械コンポーネントを有する。
【0068】
また、好ましい実施形態では、ボディ140は、リフトガス23調整;リフトガス23特性評価;エンベロープ21特性評価;周囲空気調整及び特性評価;能動エネルギー追加システム143の調整、制御及び特性評価;電源150の管理及び調整;外部アンテナ40を介した遠隔局とのデータ及び情報転送とともに、感知デバイス及びコントローラの監視及び制御;を含むがこれらに限定されないオンボードデータ及び信号処理動作を行うためのプロセッサ147を含む。プロセッサ147はまた、データ及び情報転送のために近くの及び/又は周辺機器と通信するために、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy)、Wi-Fi(登録商標)、又はNFC(近距離無線通信)などの無線機能を含み得る。ボディ140はまた、オプションで、データ及び電力転送のためにプロセッサ147と電気的に接続されるGPSシステムを含み得る。
【0069】
図6Aは、エンベロープ21の特性を検出するためにIRデバイスハウジング162a内に収容された赤外線(IR)デバイス162を収容する特性評価器160の一例示的実施形態の斜視図及び分解図を示す。図6Bは、図6Aの特性評価器160の上面図及び断面図を示す。システムは、表面温度、構造応力及びエンベロープの体積を含むがこれらに限定されないエンベロープ21のその場特性、並びに圧力、温度及び体積のようなリフトガス23の特性を複数のセンサから検出し、リフトガス密度を変更するためにリフトガスのエネルギーを変更する。1つ以上のプロセッサ(以下、「プロセッサ」又は「プロセッサ(複数)」)147は、直接接触センサ163及び圧力センサ164を含む前記センサから情報をキャプチャし、変換する。プロセッサ147は、接続されたセンサ、アクチュエータ、及び他のシステムコンポーネントから受信したデータをキャプチャし、記憶し、統合することができるマイクプロセッシング又は記憶コンポーネントを含み得る又はそれらと接続され得る。エンベロープ21は、外部の周囲流体、典型的には空気の温度及び内部のリフトガス23の温度に影響される平衡温度に到達する。ボディ140のプロセッサ147によって制御及び操作されるIRデバイス162は、気球20の上昇、下降、又は静止モード移動に起因するエンベロープ21の境界を横切る変化する内部及び外部の熱条件のために発生するエンベロープ21の温度変化を継続的に検出する。特性評価器160は、エンベロープ21内のリフトガス23の温度変化を検出及び測定するために、163aに収容され、ボディ140のプロセッサ147によって制御されるサーミスタなどの直接接触センサ163を含み得る。特性評価器160は、エンベロープ21内のリフトガス23の圧力変化を検出及び測定するために、圧力センサハウジング164aに収容され、ボディ140のプロセッサ147によって制御される圧力センサ164を含み得る。特性評価器160はまた、オプションで、エンベロープ21の極の端(polar edge)の距離に関する情報を測定及びキャプチャするために、ボディ140のプロセッサ147によって制御される距離計(図示せず)を含み得る。距離計測定値は、リフトガス23の体積膨張又は圧縮における変動の直接測定を可能にし、したがって、エンベロープ21のサイズにおける変動の定量的情報を提供し、これは、次いで、上昇、下降及び静止モードにおけるシステムの動作に関する定量的情報を提供する。
【0070】
特性評価器160は、温度、圧力、直径、したがって、エンベロープ21及びリフトガス23の状態のような物理データを検出し、定量化する。この情報は、ボディ140のガス輸送システム142及び流量調整器145からの流量移動情報(flow transfer information)とともに、制御信号を生成するためにプロセッサ147によって利用される。この信号は、ボディ140の能動エネルギー追加システム143から調整及び制御された出力を生成するために送信され、上昇、下降、又は静止のいずれかの気球20の所望の動作モード輸送を提供する。特性評価器中央通過通路165は、ボディ140のフロー導管142aのための通過を容易にする。
【0071】
プロセッサ147は、IRデバイス162からの温度データ及び距離計からの直径データを受信して処理し、任意の時点で、エンベロープ21の温度、体積及び応力の形で、エンベロープ21の状態に関連する主要な指標に変換する。気球20の初期膨張又は充填中に、プロセッサ147は、流量感知デバイス144から受信したデータを使用して、エンベロープ21に充填されたリフトガス23の総量を記録する。プロセッサ147はまた、直接接触センサ163から受信した温度データ及び圧力センサ164からの圧力データを、リフトガス23に固有の温度、圧力及び体積データの形で、任意の時点でのリフトガス23の状態の主要な指標に変換する。プロセッサ147は、予め設定された所望の高度情報を使用して気球20の高度変動が達成されるデフォルト設定で動作するように、又は、動作中に更新され、遠隔局から受信した新しい高度情報で計算された予め設定された所望の高度情報を使用して気球20の高度変動が達成されるリモート設定で動作するように事前にプログラムされ得る。
【0072】
プロセッサ147は、複数のモードで動作することができる。2つの異なるモードが、少なくとも簡易なモード及び正確なモードを含む好ましい実施形態において意図されており、これは、事前にプログラムされてもよいし、外部に有線又は無線で接続されたデバイスによって設定されてもよい。簡易な動作モードでは、プロセッサ147は、最大5°まで変化し得る気球輸送中にわたる設定された限界内にエンベロープ21の温度を維持するようにプログラムされる。正確な動作モードでは、プロセッサ147は、気球の現在の高度及び状態を検出し、それを気球の所望の高度及び状態と比較し、次いで、気球高度の所望の変動を達成するために制御信号を生成するようにプログラムされる。正確な動作モードのために、プロセッサ147は、リアルタイムの高度情報を生成するGPS又は同様のデバイスを備え得る。気球上昇のために、プロセッサ147は、エンベロープ21内の必要な体積変化を特定し、したがって、リフトガス23に追加する必要があるエネルギー量を推定し、それは、推定動作期間の間、能動エネルギー追加要素143dを作動させることによって供給される。気球の降下モード移行のために、プロセッサ147は、エンベロープ21内の必要な体積変化を特定し、したがって、リフトガス23から除去するためのエネルギー量を推定し、それは、エンベロープ21及びリフトガス23の状態に応じて、リフトガス23の推定された質量をエンベロープ21から除去する又は流量調整器145の作動を介してエンベロープ21内に周囲空気を追加する、又は単に、エンベロープ21と周囲環境との自然対流相互作用によって所望のエネルギーを受動的に除去する又はこれらの方法の組み合わせによって除去される。気球の静止モードでは、プロセッサ147は、気球の静止状態を達成及び維持するために、必要に応じて、気球上昇及び/又は降下モードの移行の動作を実行する。プロセッサ147は、電源150を使用して電力供給され、電源スイッチ132を使用して作動する。高度制御システム100の電子コンポーネントは、プロセッサ147を介して電力供給され、作動する。代替実施形態では、IRデバイス162、直接接触センサ163及び圧力センサ164を含むセットが、任意の所与の時間でのフロー導管142a内のリフトガス状態を特性評価する(characterize)ために、フロー導管142a内に追加され得る。
【0073】
図7は、高度制御システム100の曝露制御部170コンポーネントの一実施形態の上面図及び関連する断面図であり、断面A-A、B-B及びC-Cは、上面図及び個別の断面図に示されている。好ましい実施形態では、曝露制御部170は、特性評価器160のセンサ及びデバイスのエンベロープ21内のリフトガス23への曝露を制御するために含まれる。曝露制御部170は、図8に示す内部流体アイソレータ180の溝183に沿ってノブ173をスライドさせることによって作動される。ノブ173は、ノブ173をスライドさせることが、曝露制御部大開口部171及び曝露制御部小開口部172の、内部流体アイソレータ180及びIRデバイスハウジング162a、直接接触センサハウジング163a、圧力センサハウジング164aのもの及び能動エネルギー追加要素143dの通過開口部166と位置合わせ又は位置ずれを可能にするように溝183に嵌合するように適合し(matingly conforms)、それによって、IRデバイス162のセンサ及びコントローラ、直接接触センサ163、圧力センサ164及び能動エネルギー追加要素143dを、エンベロープ21内のリフトガス23に曝露する。曝露制御部中央通過通路174は、ボディ140のフロー導管142aのための通路を取り囲む。曝露制御部170のスライドは、モータ駆動システムを使用して自動化され得る。代替的は、プロセッサ147によって制御される電磁システムが、曝露制御部170のスライドのために利用され得る。別の実施形態では、曝露制御部170は完全に除去され、内部流体アイソレータ180は、特性評価器160のセンサ及びデバイスのリフトガス23への曝露を容易にするために、特性評価器160に対してねじれている。
【0074】
図8A及び図8Bは、内部流体アイソレータ180を示し、これは、高度制御システム100のコンポーネントをリフトガス23への曝露からカプセル化及び分離し、エンベロープ21からのエネルギー漏れを回避するように機能する。内部流体アイソレータ180は、リフトガス23又は周囲空気が、内部流体アイソレータ中央通過通路184を介してボディ140のフロー導管142aを通過することを可能にする。リフトガス23に曝される内部流体アイソレータ180の表面は、能動エネルギー追加要素143dからエンベロープ21の表面に向けて放出される入射熱放射を反射するために、アルミニウムのような反射コーティングでコーティングされ得る。
【0075】
図9は、本発明の装置及びシステムの使用の好ましい方法を示すフロー図である。システムの動作及び制御は自律的である;装置は、動作のための情報がシステムに事前にプログラムされているデフォルトモード、又はシステムが装置の外部のソースからリモートで送信されたデータを検出、取得、及び使用することを可能にするできる遠隔モードのいずれかで、事前にプログラムされた情報を使用してそれ自体で機能する。これは、アンテナ40又は他のデータ受信/送信コンポーネントを介して達成できる。ユーザは、まず、電源スイッチ132を操作してオン状態又は閉状態にすることによってプロセッサ147を起動し、リフトガス23の追加のために装置を準備する。次に、プロセッサ147は、順次充填モードを経て、続いてデフォルト設定又はリモート設定を経て、デフォルト設定又はリモート設定のいずれかにおいて、システムは簡易モード又は正確モードで動作する。これらの動作モードのそれぞれについて、以下にさらに説明する。当業者は、これらのモードが本質的に例示的であり、他のモードが、記載されることができるとともに本開示の範囲内であることができ、方法は、異なるシーケンス又は順序で動作し、本開示と整合性を保つことができることを理解するであろう。
【0076】
充填モード:ユーザは、エンベロープ21を膨張させることにより、方向性流入制御デバイス142c及びフロー要素142bを介して、フロー導管142aを介してリフトガス23を気球20内に輸送することを容易にする。このリフトガス輸送の間、フロー要素142bは、タッピング142dを介して流量感知デバイス144に移動されるリフトガス23の流量測定値を生成し、このデータは次いでプロセッサ147によって記録される。ユーザは、キャップ用フック134によって加えられる圧縮力で、制御システムハウジング中央通過通路136aをシールする位置にキャップ136を置く。流入制御デバイス142c及びキャップ136は、システムの外へのリフトガスの漏れがないことを確実にする。次いで、プロセッサ147は、充填モードの完了時に、IRデバイス162、直接接触センサ163、圧力センサ164及び距離計(図示せず)から温度、圧力及び直径データを受信することにより、エンベロープ21内のリフトガス23の総量及びリフトガス23及びエンベロープ21の状態を推定する。次いで、ユーザは、外部流体アイソレータ110を所定の位置に配置する。この時点で、ユーザは、外部アンテナ40を制御システムハウジング130のアンテナ接続部135に取り付け、外部ペイロード30を制御システムハウジング130のペイロード133のフックに取り付け得る。この時点で、気球20が打ち上げられる。
【0077】
デフォルト設定:プロセッサ147は、デフォルト設定では、事前にプログラムされた所望の高度情報を検出し、簡易モード又は正確モードで事前にプログラムされた高度への気球の輸送を容易にする。
【0078】
デフォルト設定での簡易モード:気球輸送のこのモードでは、プロセッサ147は、エンベロープ21及びリフトガス23の状態を記録し、任意の時点で事前にプログラムされた状態とそれらを比較し、エンベロープ21の温度の発散を特定し、能動エネルギー追加要素143dへの所望の電力供給を促進し、これは次いで、熱をリフトガス23及びエンベロープ21の内部表面に放射して、エンベロープ21の所望の状態を達成することに加えて、エンベロープ21の温度を設定された制限内、例えば、限定されるものではないが温度変動の+/-5°C又は+/-10°Cに維持する。この設定された制限内でのエンベロープ21温度の維持は、リフトガス23に熱を加え、その体積膨張を引き起こし、したがって、事前にプログラムされた高度まで気球を輸送又は上昇させる。
【0079】
デフォルト設定での正確モード:気球輸送のこのモードでは、プロセッサ147は、エンベロープ21とリフトガス23の状態を記録し、GPSのようなオンボード測位システムから検出されたリアルタイム高度を記録し、リアルタイム高度情報に基づいて所望の状態を評価し、任意の時点でそれらを比較し、エンベロープ21の温度の発散を特定し、能動エネルギー追加要素143dへの所望の電力供給を促進し、これは次いで、熱をリフトガス23とエンベロープ21の内部表面に放射して、エンベロープ21の所望の状態を達成する。リフトガス23へのこの熱追加は、体積膨張を促進し、したがって気球輸送の上昇を促進する。
【0080】
リモート設定:プロセッサ147は、リモート設定では、輸送中に遠隔の空中又は地上局から所望の高度又は他の関連する操作情報を検出し、簡易モード又は正確モードで所望の高度への気球輸送を促進する。
【0081】
リモート設定での簡易モード:気球輸送のこのモードでは、プロセッサ147は、エンベロープ21及びリフトガス23の状態を記録し、任意の時点で遠隔局から受信した所望の状態とそれらを比較し、エンベロープ21の温度の発散を特定し、能動エネルギー追加要素143dへの所望の電力供給を促進し、これは次いで、気球上昇を達成するために、リフトガス23及びエンベロープ21の内部表面に熱を放射して、エンベロープ21の温度が周囲環境温度の設定限界内になるように、エンベロープ21の温度を温度変動の設定限界内、例えば+/-5°C又は+/-l0°Cに維持する。このように、発散を緩和しつつ、設定限界内にエンベロープ温度を維持することは、リフトガス23に熱を加え、その体積膨張を引き起こし、したがって、気球20を所望の高度まで輸送又は上昇させる。気球降下を達成するために、プロセッサ147は、流量調整器145への所望の電力供給を促進して、エンベロープ21の状態、リフトガス23の状態、その日の時間及び下降モードの実行前に事前に決定された環境条件に応じて、リフトガス23の質量をエンベロープ21から外部環境へ、又は周囲空気の質量をエンベロープ21へ、又は単に周囲環境へのリフトガス23の受動的散逸のいずれかに移行させる。静止モードで気球の位置を維持するために、プロセッサ147は、気球の静止状態を達成するために必要に応じて、気球上昇及び/又は降下モードの移行を実行する。
【0082】
リモート設定での正確モード:気球輸送のこのモードでは、プロセッサ147は、エンベロープ21及びリフトガス23の状態を記録し、GPSのようなオンボード測位システムから検出されたリアルタイム高度を記録し、任意の時点で遠隔局から受信した所望の状態とそれらを比較し、エンベロープ21の温度の発散を特定し、能動エネルギー追加要素143dへの所望の電力供給を促進し、これは次いで、熱をリフトガス23及びエンベロープ21の内部表面に放射して、エンベロープ21の所望の状態、したがって気球上昇を達成する。この発散の緩和は、リフトガス23に熱を加え、その体積膨張を引き起こし、したがって、気球を所望の高度に輸送又は上昇させる。気球降下を達成するために、エンベロープ21の状態、リフトガス23の状態、その日の時間、及び、降下モードの実行前に予め決定された、環境条件に応じて、プロセッサ147は、次いで、流量調整器145への所望の電力供給を促進して、リフトガス23の質量をエンベロープ21から外部環境に移し、従って、気球の体積を減少させる、又は、周囲空気の質量をエンベロープ21へ移し、従って、リフトガス温度及びエンベロープ21の体積を減少させる、又は、単に、リフトガスエネルギーを周囲環境に受動的に散逸させ、従って、気球の体積を減少させる。気球の位置を静止モードで維持するために、プロセッサ147は、気球の静止状態を達成するために必要に応じて、気球上昇及び/又は下降モードの移行を実行する。
【0083】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと同様の又は均等な方法及び材料は、その場特性評価及び能動エネルギー管理による気球高度制御の実施又は試験に使用することができ、適切な方法及び材料は上記に記載されている。本明細書に記載されているすべての出版物、特許出願、特許、及びその他の参考文献は、適用される法律及び規制によって許容される範囲で、その全体が参照によって組み込まれている。その場特性評価及び能動エネルギー管理による気球高度制御は、その精神又は本質的な属性から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化されてもよく、方法論は異なる相対的順序で実行することができる;したがって、本実施形態は、すべての点において例示的であり、限定的ではないとみなされることが望ましい。説明内で使用されるいかなる見出しも、便宜上のみであり、法的又は限定的効果を持たない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図6A
図8A
図8B
図9
【国際調査報告】