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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】エラストマー物品
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/00 20060101AFI20240327BHJP
   A41D 19/04 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
A41D19/00 P
A41D19/04 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023562278
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 MY2021050047
(87)【国際公開番号】W WO2022216148
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】PI2021001968
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523382292
【氏名又は名称】マタン マニュファクチュアリング エスディーエヌ ビーエイチディー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レオン、ニコラス、マム フォック
(72)【発明者】
【氏名】レオン、ロナルド、ロウ ピュー
【テーマコード(参考)】
3B033
【Fターム(参考)】
3B033AA27
3B033AB05
3B033AC03
3B033BA01
(57)【要約】
本発明は、エラストマー物品(10)及びその製造方法に関する。エラストマー物品(10)は、使用者の皮膚に近接する内面(12)及び使用者の皮膚から遠位にある外面(13)を画定する基材本体(11)であって、エラストマーを含む基材本体(11)と、内面(12)の少なくとも一部を覆う中間被膜(15)であって、治療薬剤を含む中間被膜(15)と、中間被膜(15)の少なくとも一部を覆う内側被膜(14)であって、治療薬剤を保存するためのソープナッツの抽出物を含む内側被膜(14)と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の皮膚に近接する内面(12)及び前記使用者の前記皮膚から遠位にある外面(13)を画定する基材本体(11)であって、エラストマーを含む基材本体(11)と、
前記内面(12)の少なくとも一部を覆う中間被膜(15)であって、治療薬剤を含む中間被膜(15)と、
前記中間被膜(15)の少なくとも一部を覆う内側被膜(14)であって、前記治療薬剤を保存するためのソープナッツの抽出物を含む、内側被膜(14)と、
を含むエラストマー物品(10)。
【請求項2】
使用者の皮膚に近接する内面(12)及び前記使用者の前記皮膚から遠位にある外面(13)を画定する基材本体(11)であって、エラストマー及び治療薬剤を含む基材本体(11)と、
前記内面(12)の少なくとも一部を覆う内側被膜(14)であって、前記治療薬剤を保存するためのソープナッツの抽出物を含む、内側被膜(14)と、
を含むエラストマー物品(10)。
【請求項3】
前記治療薬剤が、植物牲抽出物を含む、請求項1又は請求項2に記載のエラストマー物品(10)。
【請求項4】
前記植物牲抽出物が、アロエベラ、高麗人参、ハス、又はそれらの任意の組み合わせから選択される植物の抽出物である、請求項3に記載のエラストマー物品(10)。
【請求項5】
前記植物牲抽出物が、アロエベラの抽出物及び高麗人参の抽出物を含む、請求項3に記載のエラストマー物品(10)。
【請求項6】
前記基材本体(11)、前記中間被膜(15)、又は前記内側被膜(14)に組み込まれた防腐剤を含む、請求項1又は請求項2に記載のエラストマー物品(10)。
【請求項7】
前記防腐剤が、安息香酸ナトリウム若しくは安息香酸カリウム又はそれらの組み合わせである、請求項6に記載のエラストマー物品(10)。
【請求項8】
前記中間被膜(15)が、アロエベラの抽出物が組み込まれた第1の中間被膜と、高麗人参の抽出物が組み込まれた第2の中間被膜とを含む、請求項1を引用する請求項5に記載のエラストマー物品(10)。
【請求項9】
前記中間被膜(15)が、1%(w/v)のアロエベラの抽出物を25~40体積%含み、1%(w/v)の高麗人参の抽出物を25~40体積%含む、請求項1を引用する請求項5に記載のエラストマー物品(10)。
【請求項10】
前記内側被膜(14)が、1%(w/v)のソープナッツの抽出物を20~30体積%含む、請求項1に記載のエラストマー物品(10)。
【請求項11】
前記エラストマーが、ポリウレタン、アクリロニトリルゴム、ポリクロロプレン、合成ポリイソプレン、ニトリル、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンイソプレンスチレン、スチレンエチレンブタジエンスチレン、ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、天然ゴム、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項1又は請求項2に記載のエラストマー物品(10)。
【請求項12】
手袋、ライナー、指サック、シース、頸部キャップ、歯科用ダム、又はコンドームである、請求項1又は請求項2に記載のエラストマー物品(10)。
【請求項13】
請求項1に記載のエラストマー物品(10)の製造方法であって、
物品(10)の型を、エラストマーを含む浸漬混合物に浸漬する工程と、
前記物品(10)を治療薬剤でコーティングする工程と、
前記物品(10)をソープナッツの抽出物でコーティングする工程と、
を含み、
前記コーティングする工程は、低温で行われる、
方法。
【請求項14】
請求項2に記載のエラストマー物品(10)の製造方法であって、
物品(10)の原型を、エラストマー及び治療薬剤を含む浸漬混合物に浸漬する工程と、
前記物品(10)を低温にてソープナッツの抽出物でコーティングする工程と、
を含む方法。
【請求項15】
前記物品(10)を前記治療薬剤でコーティングする工程が、前記物品(10)をアロエベラの抽出物でコーティングすることと、前記物品(10)を高麗人参の抽出物でコーティングすることとを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記物品(10)を前記治療薬剤でコーティングする工程が、12℃~15℃の温度で実施される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記物品(10)を前記ソープナッツの抽出物でコーティングする工程が、20℃の温度で実施される、請求項13又は請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラストマー物品(articles)及びその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、エモリエント特性及び若返り(rejuvenative)特性を有する改良されたエラストマー物品に関する。
【背景技術】
【0002】
エラストマーは、弾力性及び復元力という特性を特徴とするポリマーである。エラストマーは、様々な機械的特性を有する天然型及び合成型の両方で入手可能である。エラストマーは、手袋、ライナー、指サック、シース、頸部キャップ、歯科用ダム、及びコンドームなどの可撓性物品の形成に使用されることが多い。物品の可撓性及び不浸透性は、使用者に良好なバリアと保護とを提供する。
【0003】
手袋は、化学物質、感染性物質、又は他の危険物質から着用者を保護するように設計されたエラストマー物品である。これは、危険物質や高リスク患者を扱う際に、実験室や病院で広くかつ頻繁に使用されている。一方、手袋を長時間着用する場合、皮膚の過剰な乾燥と刺激が一般的な問題となる。
【0004】
したがって、望ましくない影響を克服するために、様々な内側処理を施したエラストマー物品や手袋が考案されてきた。例えば、国際公開第2018/119491号は、物品を着用するか又は物品と接触する人に、スキンケア特性を効果的に与えることができるエラストマー物品を教示している。この物品は、エラストマーフィルム及び植物幹細胞材料を含む。植物幹細胞材料はスキンケア特性を備え、植物幹細胞材料が二層膜でカプセル化された形態であってもよく、又はエラストマーフィルムの表面上の層若しくはコーティングとして存在してもよい。
【0005】
米国特許出願公開第2004/0091504号公報は、改良された保湿特性及び着用特性を有する可撓性エラストマー物品を提供する。多糖類を有する植物抽出物は、エラストマーエマルジョン、溶液及び/又はプラスチゾルに組み込まれ、これらの材料から作製される物品の物理的特性及び治療的特性を向上させる。別の態様では、可撓性エラストマー物品は、非アロエベラの粘液状の植物性多糖類又は実験室で生成された多糖類でコーティングされており、これらの多糖類は、哺乳類の皮膚又は粘膜を保護し、修復し、保湿し、物品の使い易さ又は着用性を高めることが知られている添加剤によって強化されている。
【0006】
米国特許第6,692,756号公報には、手袋の内面上に均等かつ均一にコーティングされたアロエベラの薄層を含む保湿及び治療用手袋が開示されている。アロエベラは、制御された乾燥方法で達成される乾燥プロセスを介して表面に付着される。したがって、この手袋は、アロエベラの乾燥被膜を有する単層の手袋である。
【0007】
米国特許第6,589,544号公報は、アロエベラを組み込んだ薄肉のエラストマー物品の製造方法を教示している。この方法は、アロエベラの抽出物と混合されたラテックス組成物に物品の形状をしたフォーム(form)を浸漬することを含む。次いで、抽出物が物品のポリマー、共重合体、及び充填剤の1つ又は組み合わせとして物品内に存在するように、このフォームを加工し、硬化させる。
【0008】
異なる内側処理やスキンケア特性を有するエラストマー物品は様々な形態で入手可能であるが、製造又は貯蔵の過程におけるスキンケア特性の劣化については、ほとんど対処されていない。
【0009】
上記に鑑みて、スキンケア特性の有効性及び安定性の維持を可能にするエラストマー物品及びその製造方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、治療的特性を有するエラストマー物品を提供することにある。
【0011】
本発明の別の目的は、治療薬剤の有益な特性を維持するために、ソープナッツの抽出物を有するエラストマー物品を提供することにある。
【0012】
本発明のさらなる目的は、上記物品を製造する低コストの方法を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態に従って構成された手袋などのエラストマー物品を示す正面斜視図である。
図2図2は、図1の線A-Aに沿った断面図であり、本発明の一実施形態による中間被膜及び内側被膜を含むエラストマー物品を示す。
図3図3図1の線A-Aに沿った断面図であり、本発明の一実施形態による内側被膜を含むエラストマー物品を示す。
図4図4は、本発明の一実施形態によるエラストマー物品の製造方法を示す概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、エラストマー物品(10)及びエラストマー物品(10)の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、治療薬剤及びソープナッツ抽出物を有するエラストマー物品(10)に関する。
【0015】
本明細書で使用される「治療薬剤」という用語は、身体、特に皮膚に対して有利な又は回復効果を有する任意の治療成分を指す。治療薬剤は、抗炎症性、抗微生物性、抗老化性、抗酸化性、創傷治癒性、及び美容の特性うちの1つ以上を含み得るが、これらに限定されない。治療薬剤は、保湿効果、エモリエント効果、及び若返り効果を有する組成物又は製剤を含み得る。
【0016】
好ましくは、治療薬剤は、植物牲抽出物を含む。植物牲抽出物は、ゲル、粉末、又は溶液の形態であってもよい。
【0017】
より好ましくは、植物牲抽出物は、アロエベラ、高麗人参、ハス(lotus)、又はそれらの任意の組み合わせから選択される植物の抽出物である。
【0018】
さらに好ましくは、植物牲抽出物は、アロエベラ抽出物及び高麗人参抽出物を含む。アロエベラは、その保湿特性、保水特性、及び鎮静特性があることで知られており、この植物は一般に、過敏性の肌やアレルギー性の肌に対しても使用可能である。さらに、高麗人参には、美白を促進する天然物質が含まれており、肌の老化のサインを防止する効果がある。高麗人参の成分は耐熱性であるため、物品(10)を製造するプロセスにおける温度が高過ぎても、成分の効能は損なわれない。
【0019】
図1に示すように、手袋などのエラストマー物品(10)は、治療薬剤及びソープナッツ抽出物を備えている。一態様では、エラストマー物品(10)は、使用者の皮膚に近接した内面(12)と使用者の皮膚から遠位にある外面(13)とを画定する基材本体(11)であって、エラストマーを含む基材本体(11)と、内面(12)の少なくとも一部を覆う中間被膜(15)であって、治療薬剤を含む中間被膜(15)と、中間被膜(15)の少なくとも一部を覆う内側被膜(14)であって、治療薬剤を保存するためのソープナッツ抽出物を含む内側被膜(14)と、を備えている。エラストマー物品(10)が手袋である一例では、内面(12)は使用者の手を受け入れるための空洞を形成し、外面(13)は外部の物体と接触することになる。図2はエラストマー物品(10)の断面図であり、治療薬剤及びソープナッツ抽出物は基材本体(11)に順次塗布され、それによって、治療薬剤の中間被膜(15)及びソープナッツ抽出物の内側被膜(14)が形成される。
【0020】
別の態様では、基材本体(11)は、エラストマー及び治療薬剤と、内面(12)の少なくとも一部を覆う内側被膜(14)とを備えており、内側被膜(14)は治療薬剤を保存するためのソープナッツ抽出物を含む。
【0021】
図3はエラストマー物品(10)の断面図を示しており、ここでは、治療薬剤が基材本体(11)に混ぜ込まれ、ソープナッツ抽出物の内側被膜(14)が基材本体(11)に直接塗布されている。
【0022】
したがって、治療薬剤は、基材本体(11)に組み込むこともできるし、又は中間被膜(15)として基材本体(11)に塗布することもできる。
【0023】
治療薬剤、特に植物牲抽出物は、微生物による分解を受けやすい。したがって、ソープナッツ抽出物は、治療薬剤の分解から保護するために提供され、それによって、物品(10)の貯蔵寿命を延ばす。
【0024】
代替の実施形態では、治療薬剤又はソープナッツ抽出物の被膜は、基材本体(11)の内面(12)を覆う層を形成する実質的な厚さで塗布される。
【0025】
好ましくは、物品(10)は、基材本体(11)、中間被膜(15)、又は内側被膜(14)に組み込まれた防腐剤を含む。
【0026】
より好ましくは、防腐剤は、安息香酸ナトリウム若しくは安息香酸カリウム、又はそれらの組み合わせである。当業者であれば、エラストマー物品(10)の製造に適した任意の防腐剤も使用可能であることが理解されよう。
【0027】
物品(10)はまた、当該技術分野において公知の任意の他の添加剤、例えば、着色剤、香料、フレーバー、潤滑剤、又は物品(10)の安全性及び有効性に悪影響を及ぼさない任意の他の物質を含むことができる。
【0028】
一実施形態では、中間被膜(15)は、アロエベラ、高麗人参、及びハスから選択される植物牲抽出物の組合せを含むことができる。さらなる実施形態では、植物牲抽出物は、任意の順序で複数の別個の中間被膜(15)として組み込むことができる。さらに別の実施形態では、中間被膜(15)は、アロエベラ抽出物が組み込まれた第1の中間被膜と、高麗人参抽出物が組み込まれた第2の中間被膜とを含む。
【0029】
好ましくは、中間被膜(15)は、1%(w/v(質量対容量百分率))のアロエベラ抽出物を25~40体積%含み、1%(w/v)の高麗人参抽出物を25~40体積%含む。より好ましくは、中間被膜(15)は、1%(w/v)のアロエベラ抽出物を25~35体積%含み、1%(w/v)の人参抽出物を25~35体積%含み、安息香酸ナトリウムを10~15体積%含み、安息香酸カリウムを10~15体積%含み、かつ水を0~30体積%を含む。
【0030】
好ましくは、内側被膜(14)は、1%のソープナッツ抽出物を20~30体積%含む。より好ましくは、内側被膜(14)は、1%のソープナッツ抽出物を20~30体積%含み、安息香酸ナトリウムを4~6体積%含み、安息香酸カリウムを4~6体積%含み、かつ水を58~72体積%含む。
【0031】
防腐剤の量は、治療薬剤の量に比例する、すなわち、アロエベラ抽出物及びソープナッツ抽出物の量が多いほど、安息香酸ナトリウム及び安息香酸カリウムの量が多くなる。
【0032】
基材本体(11)は、ポリウレタン、アクリロニトリルゴム、ポリクロロプレン、合成ポリイソプレン、ニトリル、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンイソプレンスチレン、スチレンエチレンブタジエンスチレン、ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、天然ゴム、又はそれらの組み合わせから選択されるエラストマーから構成されてもよい。有利には、手袋の基材本体(11)は、天然ラテックス又はニトリルから作製される。
【0033】
上述のエラストマー物品(10)には、当技術分野で公知の任意の可撓性物品、例えば、手袋、ライナー、指サック、シース、頸部キャップ、歯科用ダム、又はコンドームが含まれ得る。
【0034】
本発明の別の態様によれば、エラストマー物品(10)を製造する方法であって、物品(10)の型を、エラストマーを含む浸漬混合物中に浸漬する工程と、物品(10)を治療薬剤でコーティングする工程と、物品(10)をソープナッツ抽出物でコーティングする工程とを含み、コーティングする工程が低温で行われる、方法が提供される。
【0035】
さらなる実施形態では、物品(10)を治療薬剤でコーティングする工程が、物品(10)をアロエベラ抽出物でコーティングする工程と、物品(10)を高麗人参抽出物でコーティングする工程とを含むことができる。
【0036】
本発明のさらなる態様では、エラストマー物品(10)を製造する別の方法であって、物品(10)の型をエラストマー及び治療薬剤を含む浸漬混合物に浸漬する工程と、物品(10)を低温にてソープナッツ抽出物でコーティングする工程とを含む、方法が提供される。
【0037】
好ましくは、物品(10)を治療薬剤でコーティングする工程が、低温、例えば、12℃~15℃の温度で実施される。
【0038】
より好ましくは、物品(10)をソープナッツ抽出物でコーティングする工程が、低温、例えば20℃の温度で実施される。
【0039】
有利には、物品(10)をソープナッツ抽出物でコーティングする工程が、密閉空間内において物品(10)にソープナッツ抽出物を噴霧することによって実施される。密閉空間の一例は、涼しい部屋(cool room)である。
【0040】
治療薬剤は、高温又は加熱下で不安定な物質を含有することが多い。既存の方法では、治療薬剤、例えばアロエベラ抽出物を基材本体(11)に塗布するために、通常35℃を超える温度を必要とする。治療薬剤の効能が熱によって損なわれる可能性があることを考慮すると、治療薬剤及びソープナッツ抽出物は、治療薬剤の効能及び安定性を維持するために、有利には低温でコーティングされる。アロエベラ、高麗人参及びソープナッツ抽出物はエラストマーと良好に架橋し、互いに良好に一体化して、高い効能を有する安定した製品を形成することができる。
【0041】
図4は、本発明の一実施形態による手袋の例示的な製造方法である。この手袋は、エラストマーを含む浸漬混合物に手袋の型を浸漬することによって製造される。次いで、手袋を硬化させて、コーティング工程のために準備する。手袋は、アロエベラ抽出物に浸漬され、次いで12℃~15℃の温度で高麗人参抽出物に浸漬される。コーティングされた手袋をオーブン中で乾燥させる。乾燥後、涼しい部屋でソープナッツ抽出物を手袋に噴霧し、速乾性のソープナッツ被膜を形成する。次いで、完成した手袋は、型から剥がされ、裏返されて、着用時にソープナッツ被膜が使用者の皮膚に接触するようにする。
【実施例
【0042】
以下の実施例は、本発明の利点をさらに説明するものであり、本発明を実施例に示される実施形態に限定するものと解釈されるべきではない。
【0043】
表1及び表2は、中間被膜(15)及び内側被膜(14)をそれぞれ調製するための成分及び成分の容量の例を示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
(シングルパッチテスト)
ユーロフィン(Eurofins)において、24時間パッチテストを行い、33人の成人被験者を対象に手袋の急性皮膚耐性(acute cutaneous tolerance)を評価した。テストされた手袋には、アロエベラ抽出物、高麗人参抽出物、又はソープナッツ抽出物、又は3つの抽出物の組み合わせが添加された手袋が含まれる。臨床安全性試験の結果、テストされたすべての手袋が非刺激性であることが示された。
【0047】
(引張強度と形態学的研究)
基材本体(11)へのコーティングは、1つはハス抽出物でコーティングされ、もう1つは高麗人参抽出物でコーティングされた、2つの手袋サンプルを用いて評価された。その結果、コーティングを有する手袋の物理的特性は、対照の手袋(コーティングなし)の物理的特性と同等であることが示され、コーティングが手袋の物理的強度に影響を与えないことが示唆された。
【0048】
製造から1年後の手袋上のコーティングの形態を、原子間力顕微鏡(AFM)イメージングを用いて調べた。画像においてフレーク状の粒子が観察され、手袋上に活性コーティング材料が存在することが示唆された。
【0049】
本発明の好ましい実施形態を説明し、例示してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正を行えることが当業者には明らかであろう。したがって、以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲内にあるそのような変更、修正、及び適用の領域を包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】