(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】貯蔵安定性を有する二元硬化オルガノポリシロキサン組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 75/045 20160101AFI20240327BHJP
C08L 83/08 20060101ALI20240327BHJP
C08K 5/5313 20060101ALI20240327BHJP
C08K 5/5415 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
C08G75/045
C08L83/08
C08K5/5313
C08K5/5415
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562602
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 US2022017796
(87)【国際公開番号】W WO2022220930
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ジュンイン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、シュアンビン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J030
【Fターム(参考)】
4J002CP102
4J002CP121
4J002CP123
4J002DA117
4J002DE097
4J002DE137
4J002DE189
4J002EE036
4J002EE059
4J002EJ029
4J002EW116
4J002EW146
4J002EX038
4J002FD148
4J002GH00
4J002HA03
4J002HA06
4J030BA03
4J030BA26
4J030BB07
4J030BC12
4J030BC43
4J030BE02
4J030BF04
(57)【要約】
二元硬化オルガノポリシロキサン組成物は、(a)1分子あたり平均で2個以上のメルカプトアルキル基を含み、アルケニル官能基を含まない第1のオルガノポリシロキサンと、(b)1分子あたり平均で1個以上のアルケニル基及び1分子あたり平均で1個以上の加水分解性基を含む第2のオルガノポリシロキサンと、(c)任意選択で、1分子あたり少なくとも2個以上のアルケニル基を有し、アルコキシ基を含まない第3のオルガノポリシロキサンと、(d)ビスアシルホスフィンオキシド光開始剤と、(e)任意選択で、キャリア液体と、(f)縮合触媒と、(f)1分子あたり平均で2個以上の加水分解性基を有するシランと、(h)ラジカルスカベンジャーと、を含有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二元硬化オルガノポリシロキサン組成物であって、
a.1分子あたり平均で2個以上のメルカプトアルキル基を含み、アルケニル官能基を含まない第1のオルガノポリシロキサンと、
b.1分子あたり平均で1個以上のアルケニル基及び1分子あたり平均で1個以上の加水分解性基を含む第2のオルガノポリシロキサンと、
c.任意選択で、1分子あたり少なくとも2個のアルケニル基を有し、アルコキシ基を含まない第3のオルガノポリシロキサンと、
d.ビスアシルホスフィンオキシド光開始剤と、
e.任意選択で、キャリア液体と、
f.縮合触媒と、
g.1分子あたり平均で2個以上の加水分解性基を有するシランと、
h.組成物の重量に対して0.001~2重量パーセントの範囲の濃度のラジカルスカベンジャーと、
を含む、組成物。
【請求項2】
液体光開始剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第1のオルガノポリシロキサンが、以下の平均化学構造を有する、請求項1又は2に記載の組成物:
【化1】
(式中、
R
1は、各出現時に独立して、1~20個の炭素原子を有するヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル基であり、
R
2は、各出現時に独立して、メルカプトアルキル基であり、
R
3は、各出現時に独立して、R
1及びR
2の選択肢から選択され、
下付き文字mは、2~1000の範囲の平均値を有し、
下付き文字nは、0~1000の範囲の平均値を有する)。
【請求項4】
前記第1のオルガノポリシロキサンが、アルコキシ官能基を含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記第1のオルガノポリシロキサンの濃度が、前記第1のオルガノポリシロキサンからのメルカプトアルキル基の前記第2のオルガノポリシロキサン及び存在する場合には第3のオルガノポリシロキサンからのアルケニル基に対する、0.3以上かつ5.0以下であるモル比を提供するのに十分である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記第3のオルガノポリシロキサンの濃度が、第2及び第3のオルガノポリシロキサンの合計重量の0重量パーセント以上であり、同時に80重量パーセント以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
ビスアシルホスフィンオキシド光開始剤及び存在する場合には液体光開始剤の濃度が、組成物の重量に対して0.01重量パーセント以上かつ5重量パーセント以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
チタネート縮合触媒の濃度が、組成物の重量に対して0.01重量パーセント以上であり、同時に5重量パーセント以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ビスアシルホスフィンオキシド光開始剤が、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシドである、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記第2のオルガノポリシロキサンが、以下の構造を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物:
【化2】
(式中、
R
aは、各出現において独立して、アルキル及びアリール基から選択され、
Bは、各出現において独立して、1分子中に平均で1個以上のアルケニル基及び1個以上のアルコキシ基を達成するように、アルケニル及びアルコキシ及びアルコキシ含有基から選択され、
xは、平均して、0以上であると同時に10以下の値であり、
yとy’との合計は、平均して、20以上であると同時に1000以下の値であり、
zは、平均して、2以上であると同時に20以下の値を有する)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線(UV)及び湿気によって誘導される硬化の両方が可能なオルガノポリシロキサン組成物に関する。
【0002】
序論
2つの異なる機構による硬化、すなわち二元硬化を受けることができるオルガノポリシロキサン系はますます一般的になっている。特に、紫外線(UV)硬化に加えて湿気硬化を受けるオルガノポリシロキサン系は、多くの用途において有用である。組成物のUV光硬化態様は、組成物を急速に初期硬化して、UV光に曝露され得る組成物の領域についてコーティングに損傷を与えることなく連続プロセス又は取り扱いを容易にする。湿気硬化機構は、光への曝露から遮断された組成物(「影領域」)を硬化させるとともに、経時的により完全に組成物を硬化させる役割を果たす。UV/湿気二元硬化系の1つのタイプは、UV硬化のためにチオール-エン化学を使用する。チオール-エン硬化は(メタ)アクリレート光硬化機構よりも望ましく、その理由は、チオール-エンが(メタ)アクリレート材料のように酸素感受性ではないためである。チオール-エン系は、UV光に曝露されると反応系の他の成分中の炭素-炭素二重結合(アルケン)と反応して化学架橋又は硬化を引き起こすチオール含有オルガノポリシロキサンを有する。チオール-エン化学を利用する二元硬化系は、典型的には、チオール含有オルガノポリシロキサン及び不飽和オルガノポリシロキサン反応物を含む。
【0003】
チオール-エンベースのUV及び湿気二元硬化系は、湿気硬化のみの系又はチオール-エンUV硬化のみのシロキサン系と比較して貯蔵寿命が比較的短いことに悩まされる傾向がある。貯蔵寿命は、組成物が新たに作製されたときと比較して、組成物が貯蔵後に粘度の上昇及び/又はUV硬化時の硬化深さの減少及び/又は湿気硬化による不粘着表面になるのにかかる時間の増加を経るかどうかを判定することによって評価することができる。
【0004】
国際公開第2020/076620号は、処方物を安定化させるためにエポキシ化合物を必要とするチオール-エン二元硬化オルガノポリシロキサン系を提供することによって、チオール-エンベースの二元硬化処方物の貯蔵寿命の問題に対処しようと試みている。
【0005】
エポキシ化合物を必要とすることなく貯蔵安定性も達成する湿気硬化及びチオール-エンUV硬化を受ける二元硬化性ポリオルガノシロキサン系を特定することが望ましく、貯蔵安定性は、湿気を排除するために真空密封アルミニウムバッグ内のシリンジにおいて摂氏55度(℃)の暗所で21日間エージングされ得ること、その後、
(1)23+/-2℃でASTM D-1084に準拠したコーンスピンドルCPA-52Zを備えたBrookfield DVII+P粘度計によって使用してASTM D-1084に従って測定したときにそのフレッシュ粘度の2倍未満の粘度上昇を経ること、並びに
(2)1平方センチメートルあたり2ジュール(J/cm2)のUVA及びUVB照射に曝露されたときに、新たに作製された同一の組成物と比べて少なくとも70%、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の硬化深さを経ること、望ましくは、エージングの前後に少なくとも8ミリメートル(mm)の硬化深さも達成すること、並びに
(3)24時間以下の湿気硬化不粘着時間を経ること、を特徴とする。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、エポキシ化合物を必要とすることなく貯蔵安定性も有する、湿気硬化及びチオール-エンUV硬化を受ける二元硬化ポリオルガノシロキサン系であって、貯蔵安定性が、湿気を排除するために真空下摂氏55度(℃)の暗所で21日間エージングされ得ること、その後、を特徴とする二元硬化性ポリオルガノシロキサン系を提供する:
(1)23+/-2℃でASTM D-1084に準拠したコーンスピンドルCPA-52Zを備えたBrookfield DVII+P粘度計によって使用してASTM D-1084に従って測定したときにそのフレッシュ粘度の2倍未満の粘度上昇を経ること、並びに
(2)1平方センチメートルあたり2ジュール(J/cm2)のUVA及びUVB照射に曝露されたときに、新たに作製された同一の組成物と比べて少なくとも70%、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の硬化深さを経ること、更にはエージングの前後に少なくとも8ミリメートルの硬化深さも達成することができること、並びに
(3)24時間以下の湿気硬化不粘着時間を経ること、を特徴とする、二元硬化ポリオルガノシロキサン系を提供する。
【0007】
驚くべきことに、二元硬化ポリオルガノシロキサン系にジアシルホスフィンオキシド光開始剤を含めると、これらの前述の要件を満たす貯蔵安定性二元硬化系が得られることが見出された。
【0008】
第1の態様では、本発明は、二元硬化オルガノポリシロキサン組成物であって、(a)1分子あたり平均で2個以上のメルカプトアルキル基を含み、アルケニル官能基を含まない第1のオルガノポリシロキサンと、(b)1分子あたり平均で1個以上のアルケニル基及び1分子あたり平均で1個以上の加水分解性基を含む第2のオルガノポリシロキサンと、(c)任意選択で、1分子あたり少なくとも2個以上のアルケニル基を有し、アルコキシ基を含まない第3のオルガノポリシロキサンと、(d)ビスアシルホスフィンオキシド光開始剤と、(e)任意選択で、キャリア液体と、(f)縮合触媒と、(f)1分子あたり平均で2個以上の加水分解性基を有するシランと、(h)ラジカルスカベンジャーと、を含む、二元硬化オルガノポリシロキサン組成物である。
【0009】
本発明の組成物は、二元硬化オルガノポリシロキサン系として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
試験方法は、日付が試験方法の番号と共に示されていない場合、本文書の優先日に直近の試験方法を指す。試験方法への言及は、試験の協会及び試験方法番号への参照の両方を含む。本明細書では、以下の試験方法の略語及び識別子が適用される。ASTMは、ASTMインターナショナル試験法(ASTM International methods)を指し、ENDは、欧州規格(European Norm)を指し、DINは、ドイツ規格協会(Deutsches Institut fur Normung)を指し、ISOは、国際標準化機構(International Organization for Standards)を指し、ULは、米国保険業者安全試験所(Underwriters Laboratory)を指す。
【0011】
商品名で識別される製品は、本文書の優先日において、それらの商品名で入手可能な組成物を指す。
【0012】
「複数の」とは、2つ以上を意味する。「及び/又は」とは、「及び、又は代替として」を意味する。全ての範囲は、特に指示がない限り、終点を含む。
【0013】
「液体」は、摂氏25度(℃)で自由流動することを意味する。
【0014】
「極性液体」は、極性物質を溶解することができる液体を指す。誤解を避けるために、トルエンは極性液体とはみなされない。
【0015】
「加水分解性基」は、ケイ素原子に結合したときに水中でシラノールを形成することができる基を指す。加水分解性基としては、アルコキシ、オキシミノ、アセトキシ、及びアミノ基が挙げられる。
【0016】
「オルガノポリシロキサン」は、ポリシロキサン骨格に結合した少なくとも1つの有機基を有するポリシロキサンである。
【0017】
「ポリシロキサン」は、互いに結合してシロキサン骨格を形成する複数のシロキサン単位を含むポリマーである。特に明記しない限り、シロキサン単位は、R’3Si01/2の化学構造を有する「M」型シロキサン単位、R’2SiO2/2の化学構造を有する「D」型シロキサン単位、R’SiO3/2の化学構造を有する「T」型シロキサン単位、及びSiO4/2の化学構造を有する「Q」型シロキサン単位(式中、各出現時に、R’は任意の基であってよいが、概して、水素、ヒドロキシル、アルコキシル、メルカプト、アミノ、ヒドロカルビル、及び置換ヒドロカルビル基から選択される)から選択することができる。特定のシロキサン単位における「1/2」の倍数の下付き文字を有する酸素原子は、シロキサン骨格の別のケイ素原子と共有される酸素原子を示し、分数の分子(numerator)は、特定のシロキサン単位のケイ素原子に結合している共有酸素原子の数を示す。
【0018】
本発明は、二元硬化オルガノポリシロキサン組成物である。「二元硬化」とは、組成物のオルガノポリシロキサン成分が、紫外(UV)光への曝露又は湿気への曝露のいずれによっても架橋反応を受けることができることを意味する。UV光によって誘発される架橋反応は、メルカプトアルキル基のチオール官能基とアルケン官能基との間の「チオール-エン」反応である。湿気によって誘発される架橋反応は、異なる分子における加水分解性基間の反応である。
【0019】
二元硬化オルガノポリシロキサン組成物は、1分子あたり平均で2個以上のメルカプトアルキル基を含有し、3個以上、4個以上、更には5個以上であるとのメルカプトアルキル基を含有することができ、同時に、概ね、20個以下、15個以下、10個以下、8個以下、更には6個以下のメルカプトアルキル基を含有し、アルケニル官能基を含まない、第1のオルガノポリシロキサンを含む。
【0020】
好ましくは、第1のポリオルガノシロキサンは、M型及びD型シロキサン単位からなる。例えば、1つの望ましい第1のオルガノポリシロキサンは、化学構造(I)を有する直鎖状オルガノポリシロキサンである:
【化1】
(式中、
R
1は、各出現時に独立して、1個以上の炭素原子を有し、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、更には8個以上の炭素原子を有し得、同時に、概ね20個以下、18個以下、16個以下、14個以下、12個以下、10個以下、8個以下、6個以下、4個以下、更には2個以下の炭素原子を有する、ヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル基である)。好適なR
1基の例としては、メチル、エチル、フェニル、及び3,3,3-トリフルオロプロピル基が挙げられる。好ましくは、R
1は、メチル基である。
【0021】
R2は、各出現時に独立して、メルカプトアルキル基である。「メルカプトアルキル基」は、-R-SH基(式中、Rは、二価炭化水素、好ましくは、1個以上、好ましくは2個以上の炭化水素を有し、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、12個以上、14個以上、16個以上、更には18個以上の炭素原子を有することができ、同時に、概ね、20個以下、又は更には18個以下、16個以下、14個以下、12個以下、10個以下、8個以下、6個以下、4個以下、更には2個以下の炭素原子を有する)を指す。R基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。例えば、R2は、-CH2SH、-CH2CH2SH、-CH2(CH2)2SH、及び-CH2(CH2)3SHから選択することができる。
【0022】
R3は、各出現において独立して、R1及びR2の選択肢から選択される。
【0023】
下付き文字mは、2以上の平均値を有し、3以上、4以上、5以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、200以上、300以上、400以上、更には500以上であってよく、同時に、概ね1000以下、750以下、500以下、250以下、100以下、75以下、50以下、20以下、15以下、10以下、8以下、更には6以下である。
【0024】
下付き文字nは、0以上、1以上の平均値を有し、5以上、10以上、15以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、43以上、45以上、更には50以上、100以上、200以上、300以上、400以上、更には500以上であってよく、同時に、概ね1000以下、750以下、500以下、250以下、100以下、90以下、80以下、70以下、60以下、50以下、更には45以下である。
【0025】
1つの望ましい第1のオルガノポリシロキサンは、R1がメチルであり、R2が-CH2(CH2)2SHであり、mの平均値が5であり、nの平均値が43である、式(I)の化学構造を有する。
【0026】
望ましくは、第1のオルガノポリシロキサンは、第1のオルガノポリシロキサンからのメルカプトアルキル基の、第2のオルガノポリシロキサン及び存在する場合は第3のオルガノポリシロキサンからのアルケニル基に対する、0.3以上であり、0.5以上、1.0以上、1.5以上、2.0以上、2.5以上、3.0以上、3.5以上、4.0以上、更には4.5以上であってよく、同時に、概ね5.0以下、4.5以下、4.0以下、3.5以下、3.0以下、2.5以下、2.0以下、1.5以下、更には1.0以下である、モル比を提供するのに十分な濃度で存在する。組成物を調製するために使用される成分及び処方から、メルカプトアルキル基のアルケニル基に対するモル比を求める。処方が未知である場合、赤外分光法、ラマン分光法、及び核磁気共鳴(NMR)スペクトル法を使用して、メルカプトアルキル基のアルケニル基に対するモル比を求める。
【0027】
本発明の組成物は、第2のオルガノポリシロキサンも含む。第2のオルガノポリシロキサンは、1分子あたり平均で1個以上のアルケニル基を含み、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、更には6個以上のアルケニル基を含み得、かつ概ね、20個以下、15個以下、10個以下、更には5個以下、4個以下、3個以下、又は2個以下のアルケニル基を含む。組成物の調製において第2のオルガノポリシロキサンとして使用される材料から1分子あたりのアルケニル基の平均数を求める。処方が未知である場合、NMRスペクトル法を使用して、1分子あたりのアルケニル基の平均数を求める。望ましくは、アルケニル基は末端アルケニル基であり、これはアルケニル基の炭素-炭素二重結合(C=C)がアルケニル基の末端炭素を含むことを意味する。好ましくは、アルケニル基はビニル基である。
【0028】
第2のオルガノポリシロキサンはまた、1分子あたり平均で1個以上の加水分解性基を含み、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、更には6個以上の加水分解性基を含み得、かつ概ね、20個以下、15個以下、10個以下、更には5個以下、4個以下、3個以下、又は2個以下の加水分解性基を含む。組成物の調製において第2のオルガノポリシロキサンとして使用される材料から1分子あたりの加水分解性基の平均数を求める。処方が未知である場合、NMRスペクトル法を使用して、1分子あたりの加水分解性基の平均数を求める。加水分解性基は、望ましくはアルコキシ基、好ましくは以下の化学構造:-OR3(式中、R3は、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、更には8個以上の炭素原子を有し、同時に、典型的には10個以下、8個以下、6個以下、4個以下、更には2個以下の炭素原子を有するアルキル基である)を有するアルコキシ基である。好ましくは、アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、及びプロポキシ基から選択され、より好ましくは、アルコキシ基はメトキシ基である。好ましくは、加水分解性基は、第2のオルガノポリシロキサンにおけるM型及び/又はD型シロキサン単位のケイ素原子に結合している。
【0029】
第2のオルガノポリシロキサンは、M型、D型、T型、及びQ型シロキサン単位の任意の組合せを含み得る。望ましくは、第2のオルガノポリシロキサンは、化学構造(II)を有する:
【化2】
(式中、
R
aは、各出現において独立して、アルキル及びアリール基から選択され、
Bは、各出現において独立して、1分子中に平均で1個以上のアルケニル基及び1個以上のアルコキシ基を達成するように、アルケニル及びアルコキシ及びアルコキシ含有基から選択され、
xは、平均して、0以上であると同時に10以下の値であり、
yとy’との合計は、平均して、20以上であると同時に1000以下の値であり、
zは、平均して、2以上であると同時に20以下の値を有する)。
【0030】
1つの好適な第2のオルガノポリシロキサンは、化学構造(III)の平均化学構造を有する:
【化3】
(式中、下付き文字a及びbは、独立して、10以上、15以上、20以上、25以上、30以上、45以上、60以上、100以上、更には500以上の値であり、同時に、概ね200以下、100以下、50以下、45以下、40以下、35以下、更には30以下である)。
【0031】
本発明の組成物は、第3のオルガノポリシロキサンを更に含んでいてもよい。第3のオルガノポリシロキサンは、1分子あたり2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、更には6個以上のアルケニル基を有し、かつ概ね、20個以下、15個以下、10個以下、更には5個以下、4個以下、3個以下、又は2個以下のアルケニル基を含む。組成物の調製において第3のオルガノポリシロキサンとして使用される材料から1分子あたりのアルケニル基の平均数を求める。処方が未知である場合、NMRスペクトル法を使用して、1分子あたりのアルケニル基の平均数を求める。望ましくは、アルケニル基は末端アルケニル基である。好ましくは、アルケニル基はビニル基である。
【0032】
第3のポリオルガノシロキサンは、望ましくは、M型及びD型シロキサン単位からなる。好適な第3のオルガノポリシロキサンの例は、化学構造(IV)を有する:
【化4】
(式中、「Vi」は、ビニル基を指し、下付き文字dは、概ね100以上、150以上、200以上、250以上、300以上、350以上、400以上、450以上、500以上、550以上、600以上、650以上、700以上、更には750以上、又は760以上の値を有し、同時に、典型的には1000以下、950以下、900以下、850以下、更には800以下、又は775以下の値を有する)。
【0033】
第3のオルガノポリシロキサンは、0重量パーセント(重量%)以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、更には70重量%以上の濃度で組成物中に存在し得、同時に、典型的には80重量%以下の濃度で存在し、70重量%以下、60重量%以下、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、20重量%以下、更には10重量%以下の濃度で存在し、重量%は第2及び第3のオルガノポリシロキサンの合計重量に対するものである。
【0034】
本発明の組成物は、ビスアシルホスフィンオキシド光開始剤を更に含む。驚くべきことにかつ予想外なことに、光開始剤としてビスアシルホスフィンオキシドを使用すると、ビスアシルホスフィンオキシド光開始剤を含有しない同様の組成物を超える貯蔵安定性が得られることが、本発明によって見出された。好適なビスアシルホスフィンオキシド光開始剤の例としては、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-(2,4,4-トリメチルペンチル)フェニルホスフィンオキシドが挙げられる。
【0035】
ビスアシルホスフィンオキシドは、組成物中の唯一の光開始剤であってもよく、又は追加の光開始剤が存在していてもよい。追加の光開始剤の例としては、ヒドロキシアセトフェノン、アミノアセトフェノン、ホスフィンオキシド、ベンゾフェノン、置換ベンゾフェノン、及びチオキサントンから選択されるいずれか1つ又は2つ以上の任意の組み合わせが挙げられる。特に望ましい追加の光開始剤としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート;2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン;2,2-ジエトキシアセトフェノン;1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトンが挙げられる。特に望ましい追加の光開始剤は、液体光開始剤である。液体光開始剤は、組成物のキャリア液体として使用することができる。好適な液体光開始剤の例としては、2--ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート、及び2,2-ジエトキシアセトフェノンが挙げられる。
【0036】
ビスアシルホスフィンオキシド光開始剤は、任意の追加の光開始剤と組み合わせて、望ましくは、組成物の重量に基づいて0.01重量パーセント(重量%)以上、0.1重量%以上、0.5重量%以上、1.0重量%以上、2.0重量%以上、3.0重量%以上、更には4.0重量%以上の濃度で存在し、同時に、概ね5.0重量%以下であり、4.0重量%以下、3.0重量%以下、2.0重量%以下、更には1.0重量%以下であってよい。望ましくは、ビスアシルホスフィンオキシドは、組成物中の光開始剤の総重量に基づいて5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、更には90重量%以上であり、同時に、100重量%以下であり、90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、60重量%以下、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、更には20重量%以下であってよい。
【0037】
組成物は、任意選択で、キャリア流体を含む。キャリア液体は、ビスアシルホスフィンオキシドを組成物のオルガノポリシロキサン成分と相溶化させ、それによって均一な組成物の形成を可能にするのに役立ち得るので望ましい。概して、ビスアシルホスフィンオキシド光開始剤は、本発明の組成物を調製するときに、オルガノポリシロキサン成分と混合する前にキャリア液体と混合される。キャリア液体は、液体光開始剤であってもよく、又は液体光開始剤を含んでいてもよい。キャリア液体として役立ち得る液体光開始剤の例としては、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート、及び2,2-ジエトキシアセトフェノンが挙げられる。同様に、キャリア流体は、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及びフェニルメチルジメトキシシランを含むシラン等の光開始剤ではない1つ又は2つ以上の液体を含んでいてもよく、又はそれからなっていてもよい。液体キャリアは、トルエン等の1つ又は2つ以上の非極性有機液体を含んでいてもよく、又はそれからなっていてもよい。
【0038】
キャリア液体は、組成物の重量に基づいて、0重量%以上の濃度で組成物中に存在し、0.005重量%以上、0.01重量%以上、0.05重量%以上、0.10重量%以上、0.25重量%以上、0.50重量%以上、0.75重量%以上、1.0重量%以上、1.5重量%以上、2.0重量%以上2.5重量%以上、3.0重量%以上、3.5重量%以上、4.0重量%以上、又は更に4.5重量%以上の濃度で存在し得、同時に、典型的には5.0重量%以下、4.5重量%以下、4.0重量%以下、3.5重量%以下、3.0重量%以下、2.5重量%以下、2.0重量%以下、1.5重量%以下、1.0重量%以下、0.50重量%以下、0.25重量%以下、1.0重量%以下、0.05重量%以下、又は更には0.01重量%の濃度で存在する。
【0039】
組成物は、縮合触媒を含む。縮合触媒は、典型的には、チタネート、スズ、又はジルコニウムベースの触媒である。好適な縮合触媒の例としては、以下からなる群から選択されるいずれか1つ又は2つ以上の縮合触媒の任意の組み合わせが挙げられる:テトライソプロピルオルトチタネート、チタン(IV)n-ブトキシド、チタン(IV)t-ブトキシド、チタン(IV)、チタンジ(イソプロポキシ)ビス(エチルアセトアセテート)、テトラキス(トリメチルシロキシ)チタン;チタンジ(イソプロポキシ)ビス(メチルアセトアセテート)、ジルコニウム(IV)イソプロポキシド、ジルコニウム(IV)n-ブトキシド、ジルコニウム(IV)t-ブトキシド、ジルコニウムジ(イソプロポキシ)ビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジ(イソプロポキシ)ビス(メチルアセトアセテート)、ジルコニウムジ(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート、ジメチルスズジネオデカノエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクトエート、及び第一スズオクトエート。
【0040】
典型的には、縮合触媒の濃度は、組成物の重量に対して0.01重量%以上、0.05重量%以上、0.1重量%以上、0.5重量%以上、1.0重量%以上、1.5重量%以上、2.0重量%以上、更には3.0重量%以上であり、同時に、概ね5.0重量%以下、4.0重量%以下、3.0重量%以下、2.0重量%以下、又は更には1.0重量%以下である。
【0041】
組成物は、1分子あたり平均で2個以上の加水分解性基を有するシランを含む。シランは架橋剤として機能する。それはまた、キャリア液体及び/又は反応性希釈剤として機能することもできる。望ましくは、加水分解性基はアルコキシ基であり、より好ましくは、加水分解性基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシからなる群から選択されるアルコキシ基である。シランは、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、又はジアルコキシシランとトリアルコキシシランとの組み合わせであってよい。最も好ましくは、シランは、トリアルコキシシランである。
【0042】
シランは、望ましくは、以下の構造を有する:
【化5】
(式中、下付き文字fは、1、2又は3(好ましくは1又は2、最も好ましくは1)であり、R
3は、各出現時に独立して、メチル、エチル、プロピル、及びブチル基からなる群から選択される)。好適なシラン化合物の例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、及びジメチルジメトキシシランから選択されるいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0043】
本発明の組成物は、組成物の重量に基づいて、0.05重量%以上、0.5重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、3重量%以上、4重量%以上、5重量%以上、6重量%以上、7重量%以上、8重量%以上、9重量%以上、更には10重量%以上のアルコキシシラン化合物を含有し得、同時に、典型的には20重量%以下、19重量%以下、18重量%以下、17重量%以下、16重量%以下、15重量%以下、14重量%以下、13重量%以下、12重量%以下、11重量%以下、又は10重量%以下のアルコキシシラン化合物を含有する。
【0044】
組成物は、貯蔵中のラジカル反応を阻害して組成物の貯蔵安定性を増大させるのを支援するために、ラジカルスカベンジャー(阻害剤)を更に含む。好適なラジカルスカベンジャーの例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、4-メトキシフェノール、及びtert-ブチルヒドロキノン、6-tert-ブチル-2,4-キシレノール、2-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン、4-tert-ブチルピロカテコール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、及びN-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩のうちのいずれか1つ又は2つ以上の任意の組み合わせが挙げられる。ラジカルスカベンジャーは、組成物の重量に基づいて、典型的には0.001重量%以上、0.005重量%以上、0.01重量%以上、0.05重量%以上、0.10重量%以上、0.50重量%以上、1.0重量%以上、更には1.5重量%以上の濃度で存在し、同時に、典型的には2.0重量%以下、1.5重量%以下、1.0重量%以下、更には0.5重量%以下の濃度で存在する。
【0045】
組成物は、充填剤等の追加成分を含み得る。好適な充填剤の例としては、ヒュームドシリカ等のシリカ及び石英が挙げられる。充填剤は、0重量%以上、1重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、更には20重量%以上の濃度で存在し得、同時に、典型的には30重量%以下、20重量%以下、10重量%以下、又は更には5重量%以下の濃度で存在し、重量%は、組成物の重量に対するものである。
【実施例】
【0046】
表1に、以下の実施例において使用するための成分を列挙する。
【表1】
IRGANOXは、BASF SE Companyの商標である。OMNIRADは、IGM Group B.V.の商標である。XIAMETERは、Dow Corning Corporationの商標である。TYZORは、E.I.DuPont De Nemours and Companyの商標である。
【0047】
手順
エージング。サンプルをエージングするために、サンプルを30ミリリットル(mL)のEFDシリンジバレルにパッケージングし、シリンジ内のサンプルを遠心分離し、次いでプランジャーを押して空気を追い出すことによって脱気し、次いで、シリンジを真空密封アルミニウムバッグに密封して湿気及び光を排除する。サンプルの入ったバッグを、予熱した55℃のオーブンに21日間入れる。
【0048】
UV硬化深さの測定。ポリテトラフルオロエチレンブロックの直径2.54ミリメートル×深さ20ミリメートルの空隙にサンプルを充填し、次いで、水銀ランプ及びColight UV装置を使用して、1平方センチメートルあたり300ミリワット及び1平方センチメートルあたり2ジュールの線量でサンプルをUVA及びUVB光に曝露することによって、サンプルのUV硬化深さを求める。ポリテトラフルオロエチレンブロックからサンプル材料を取り出し、未硬化サンプルを拭き取り、次いで、定規を使用して固体硬化サンプルの厚さを測定して、サンプルが硬化された深さを求める。
【0049】
「不粘着」になるのにかかる湿気硬化時間。厚さ1.27ミリメートル(50ミル)のサンプルのフィルムをFR4ボード上に引き出す。表面が不粘着になるまでフィルムを22℃及び相対湿度35~42%の暗室内に置くことによって、湿気硬化させる。ニトリル手袋により覆われた指でサンプル上を拭くことによって、表面が「不粘着」であるか否かを評価する。表面を拭いた後にサンプルがニトリル手袋に移動しない場合、サンプルは「不粘着」であるとみなされる。
【0050】
粘度測定。23+/-2℃でASTM D-1084に準拠したコーンスピンドルCPA-52Zを備えたBrookfieldコーンプレート粘度計(モデルHBDVII+P)を使用して、サンプル組成物の粘度を求める。23+/-2℃でASTM D-1084に従ってBrookfield DV1粘度計を使用して、オルガノポリシロキサンの粘度を求める。
【0051】
試料の調製
表2で特定した成分を用いて、サンプルを調製する。第1、第2、及び第3のオルガノポリシロキサン、並びに充填剤を100mLの歯科用カップ内で合わせる。Dental Laboratory Mixerを用いて毎分1000回転(RPM)で20秒間、次いで2000RPMで45秒間混合して、初期混合物を形成する。別個に、シランをラジカルスカベンジャーと予め混合し、初期混合物に添加し、2000RPMで30秒間混合する。使用する場合はキャリア液体と予め混合した光開始剤、及び縮合触媒を添加し、2000RPMで30秒間混合する。サンプルを30mLのEFDシリンジバレルにパッケージングし、シリンジ内のサンプルを遠心分離し、次いでプランジャーを押して空気を追い出すことによって脱気する。「新鮮」サンプルの特性評価には、調製のこの時点のサンプルを使用する。「エージングした」サンプルを特性評価する場合、シリンジをアルミニウムバッグに真空パッケージングし、上記の「エージング」手順に記載の通りエージングする。
【0052】
サンプルの処方及び特性評価結果を表2に示す。処方の各成分の量はグラムで報告する。比較例(Comp Ex)及び実施例(Ex)を記載する。
【0053】
結果
表2の結果から、ビスアシルホスフィンオキシド光開始剤が存在する場合にのみ、組成物が以下の3重の目的を達成することが明らかになる:
(1)-23+/-2℃でコーンスピンドルCPA-52Zを備えたBrookfield DVII+P粘度計によって使用してASTM D-1084に従って測定したときにそのフレッシュ粘度の2倍未満の粘度上昇を経ること、並びに
(2)1平方センチメートルあたり2ジュール(J/cm2)のUVA及びUVB照射に曝露されたときに、新たに作製された同一の組成物と比べて少なくとも70%、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の硬化深さを経ること、更にはエージングの前後に少なくとも8ミリメートルの硬化深さを達成すること、並びに
(3)24時間以下の湿気硬化不粘着時間を経ること。
【0054】
この結果は、種々のチタネート触媒の場合である。これはまた、キャリア液体として非極性キャリア液体(トルエン)又は液体光開始剤(光開始剤1)を使用する場合にも当てはまる。データは更に、光開始剤がビスアシルホスフィンオキシドであるべきであること、及び類似のモノアシルホスフィンオキシド光開始剤(光開始剤2)は同じ結果を達成しないことを実証する。例えば、比較例B及び比較例Eを参照されたい。
【表2】
【国際調査報告】