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特表2024-514885複合データフィードの効率的な認知を高めるように協働する複合現実フィードバックシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】複合データフィードの効率的な認知を高めるように協働する複合現実フィードバックシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20240327BHJP
【FI】
A61B34/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562921
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 IB2022053360
(87)【国際公開番号】W WO2022219489
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/174,674
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/284,326
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/688,671
(32)【優先日】2022-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FACEBOOK
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】アダムス・シェーン・アール
(72)【発明者】
【氏名】カウパースウェイト・マシュー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】フィービッグ・ケビン・エム
(72)【発明者】
【氏名】キンボール・コリー・ジー
(72)【発明者】
【氏名】リヴァード・モニカ・エル・ゼット
(72)【発明者】
【氏名】ロッソーニ・レオナルド・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】コイチェフ・リスト
(72)【発明者】
【氏名】ボーク・フェリックス・ジェイ
(57)【要約】
外科的処置中に使用するための拡張現実ディスプレイシステム及び方法が開示される。撮像デバイスは、外科的処置中に手術領域の実画像を捕捉し、第1のデータフィードを生成する。センサデバイスは、第2のデータフィードを生成する。拡張現実ディスプレイを含む拡張現実デバイスは、第1のデータフィード及び第2のデータフィードに基づいて拡張オーバーレイを生成する。拡張オーバーレイは、視覚部分及び非視覚視覚部分を含む。プロセッサは、第1のデータフィード及び第2のデータフィードを受信し、第1のデータフィード及び第2のデータフィードを結合して、拡張オーバーレイを生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科的処置中に使用するための拡張現実ディスプレイシステムであって、
前記外科的処置中に手術領域の実画像を捕捉し、第1のデータフィードを生成する撮像デバイスと、
第2のデータフィードを生成するセンサデバイスと、
前記第1のデータフィード及び前記第2のデータフィードに基づいて、視覚部分及び非視覚視覚部分を含む拡張オーバーレイを生成する拡張現実ディスプレイを備える拡張現実デバイスと、
プロセッサであって、
前記第1のデータフィードを受信し、
前記第2のデータフィードを受信し、
前記第1のデータフィードと前記第2のデータフィードとを結合して前記拡張オーバーレイを生成する、プロセッサと、を備える拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項2】
前記拡張オーバーレイの前記視覚部分は、複数の協働画像ディスプレイを備える、請求項1に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項3】
前記複数の協働画像ディスプレイは、互いに直列に機能する、請求項2に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項4】
前記複数の協働画像ディスプレイは、独立して位置する、請求項2に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項5】
前記拡張オーバーレイの前記非視覚部分は、触覚的、可聴式、化学的、若しくは熱的、又はそれらの任意の組合せである、請求項1に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項6】
前記センサデバイスと前記拡張現実デバイスとの間にフィルタを備える、請求項1に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項7】
前記フィルタと前記拡張現実デバイスとの間に増幅器を備える、請求項6に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項8】
前記拡張現実デバイスは、前記拡張オーバーレイの前記非視覚部分のためのデータフィードを生成する、センサ、スピーカ、若しくは触覚コントローラ、又はそれらの組合せを備える、請求項1に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項9】
前記拡張現実デバイスに連結されたディスプレイを備える、請求項1に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項10】
第3のデータフィードを生成する撮像モジュールを備え、前記第3のデータフィードは、前記拡張オーバーレイと結合され、前記ディスプレイ上に表示される、請求項9に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項11】
前記第3のデータフィードを前記拡張オーバーレイと結合する結合器を備える、請求項10に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項12】
前記結合器と前記ディスプレイとの間に外科用ハブを備え、前記外科用ハブは、前記拡張オーバーレイを前記ディスプレイに通信する、請求項11に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項13】
外科的処置中に拡張オーバーレイを提示する方法であって、
撮像デバイスによって、前記外科的処置中に手術領域の実画像を捕捉することと、
前記撮像デバイスによって、前記捕捉された実画像に基づいて第1のデータフィードを生成することと、
センサデバイスによって、第2のデータフィードを生成することと、
拡張現実ディスプレイを備える拡張現実デバイスによって、前記第1のデータフィード及び前記第2のデータフィードに基づいて、視覚部分及び非視覚視覚部分を含む拡張オーバーレイを提示することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記センサデバイスから、
触覚信号、
可聴信号、
化学信号、又は
熱信号、を受信することと、
前記触覚信号、前記可聴信号、前記化学信号、若しくは前記熱信号、又はそれらの任意の組合せを前記拡張オーバーレイの前記非視覚部分に結合することと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
フィルタによって、前記センサデバイスによって受信された信号をフィルタリングすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
増幅器によって、前記フィルタリングされた信号を増幅することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記拡張現実デバイスに連結されたディスプレイに、前記拡張オーバーレイを表示することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
撮像モジュールによって、第3のデータフィードを生成することと、
前記第3のデータフィードを前記拡張オーバーレイと結合することと、
前記ディスプレイ上に、前記結合された拡張オーバーレイを表示することと、を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
結合器によって、前記第3のデータフィードを前記拡張オーバーレイと結合することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
外科用ハブによって、前記拡張オーバーレイを前記ディスプレイに通信することを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2021年4月14日に出願された「HEADS UP DISPLAY」と題する米国仮特許出願第63/174,674号、及び2021年11月30日に出願された「INTRAOPERATIVE DISPLAY FOR SURGICAL SYSTEMS」と題する米国仮特許出願第63/284,326号に対する利益を主張するものであり、これらの各々の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、外科的処置中に拡張現実インタラクティブ体験を提供するための装置、システム、及び方法に関する。外科的処置中に、実世界に存在するオブジェクトが、時には視覚、聴覚、触覚、体性感覚、及び嗅覚を含む複数の感覚モダリティにわたって、コンピュータ生成された知覚情報をオーバーレイすることによって強化される、実世界環境の拡張現実インタラクティブ体験を提供することが望ましいであろう。本開示の文脈では、術野並びに術野に現れる外科用器具及び他のオブジェクトの画像は、コンピュータ生成された視覚、聴覚、触覚、体性感覚、嗅覚、又は他の感覚情報を、術野並びに術野に現れる器具又は他のオブジェクトの実世界画像上にオーバーレイすることによって強化される。画像は、リアルタイムでストリーミングされてもよいし、静止画像であってもよい。
【0003】
現実世界の外科用器具は、様々な外科用デバイスを含む。エネルギーベースの外科用デバイスは、限定ではないが、とりわけ、無線周波数(RF)ベースの単極及び双極電気外科用器具、超音波外科用器具、RF電気外科用器具と超音波器具との組合せ、RF電気外科用ステープラと機械的ステープラとの組合せを含む。外科用ステープラデバイスは、肥満、胸部、結腸直腸、産婦人科、泌尿器科、及び一般外科を含む、種々の外科的処置において組織を切断及びステープル留めするために使用される外科用器具である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
様々な例では、本開示は、外科的処置中に使用するための拡張現実ディスプレイシステムを提供する。拡張現実ディスプレイシステムは、外科的処置中に手術領域の実画像を捕捉し、第1のデータフィードを生成する撮像デバイスを備える。センサデバイスは、第2のデータフィードを生成する。拡張現実ディスプレイを備える拡張現実デバイスは、第1のデータフィード及び第2のデータフィードに基づいて拡張オーバーレイを生成する。拡張オーバーレイは、視覚部分及び非視覚視覚部分を含む。プロセッサは、第1のデータフィードを受信し、第2のデータフィードを受信し、第1のデータフィード及び第2のデータフィードを結合して拡張オーバーレイを生成する。
【0005】
様々な例では、本開示は、外科的処置中に拡張オーバーレイを提示する方法を提供する。方法によれば、撮像デバイスは、外科的処置中に手術領域の実画像を捕捉する。撮像デバイスは、捕捉された実画像に基づいて第1のデータフィードを生成する。センサデバイスは、第2のデータフィードを生成する。拡張現実ディスプレイを備える拡張現実デバイスは、第1のデータフィード及び第2のデータフィードに基づいて拡張オーバーレイを提示する。拡張オーバーレイは、視覚部分及び非視覚視覚部分を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
構成及び操作方法の両方に関して本明細書で説明する様々な態様は、それらの更なる目的及び利点とともに、以下の説明を以下の添付図面と併せて参照することで最良に理解され得る。
図1】本開示の一態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムのブロック図である。
図2】本開示の一態様による、手術室内で外科的処置を実行するために使用される外科用システムの図である。
図3】本開示の一態様による、可視化システム、ロボットシステム、及びインテリジェント器具とペアリングされた外科用ハブである。
図4】本開示の一態様による、医療施設の1つ以上の手術現場、又は外科手術のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に位置しているモジュール式デバイスをクラウドに接続するように構成されたモジュール式通信ハブを含む外科用データネットワークを示す図である。
図5】本開示の一態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムを示す図である。
図6】本開示の一態様による、モジュール式制御タワーに連結された複数のモジュールを含む外科用ハブを示す図である。
図7】本開示の一態様による、撮像モジュールと外科用ハブディスプレイとの間の通信経路内に配置された中間信号結合器を含む拡張現実(AR)システムを示す図である。
図8】本開示の一態様による、撮像モジュールと外科用ハブディスプレイとの間の通信経路内に配置された中間信号結合器を含む拡張現実(AR)システムを示す図である。
図9】本開示の一態様による、外科用ハブにデータを通信するために外科医によって装着される拡張現実(AR)デバイスを示す図である。
図10】本開示の一態様による、拡張現実ディスプレイを使用して外科用器具情報を拡張するためのシステムを示す図である。
図11】は、本開示の一態様による、手術領域の術中データディスプレイを有する外科用モニタを備える手術室のシステム図である。
図12】本開示の一態様による、組織態様として外科用器具エンドエフェクタのジョー間で不十分に捕捉された組織を示す、低侵襲外科的処置中に腹腔鏡カメラを通じて視覚化された手術領域のライブフィードの拡張画像である。
図13】本開示の一態様による、術中データディスプレイ上に表示された、低侵襲外科的処置中に腹腔鏡カメラを通して視覚化された手術領域のライブフィードの拡張画像である。
図14】本開示の一態様による、撮像モジュールと外科用ハブディスプレイとの間の通信経路内に配置された中間信号結合器を含む拡張現実システムを示す図である。
図15】本開示の一態様による、外科的処置中に拡張オーバーレイを提示する方法を示す図である。
図16】本開示の一態様による、状況認識外科的処置のタイムラインを示す図である。
【0007】
複数の図面を通して、対応する参照符号は対応する部分を示す。本明細書に記載された例示は、様々な開示された実施形態を一形態で示しており、そのような例示は、その範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本出願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、同時に出願された以下の米国特許出願を所有する。
・「METHOD FOR INTRAOPERATIVE DISPLAY FOR SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願;代理人整理番号END9352USNP1/210120-1M、
・「Utilization of surgical data values and situational awareness to control the overlay in surgical field view」と題する米国特許出願;代理人整理番号END9352USNP2/210120-2、
・「Selective and adjustable mixed reality overlay in surgical field view」と題する米国特許出願;代理人整理番号END9352USNP3/210120-3、
・「Risk based prioritization of display aspects in surgical field view」と題する米国特許出願;代理人整理番号END9352USNP4/210120-4、
・「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING SURGICAL DATA OVERLAY」と題する米国特許出願;代理人整理番号END9352USNP5/210120-5、
・「SYSTEMS AND METHODS FOR CHANGING DISPLAY OVERLAY OF SURGICAL FIELD VIEW BASED ON TRIGGERING EVENTS」と題する米国特許出願;代理人整理番号END9352USNP6/210120-6、
・「CUSTOMIZATION OF OVERLAID DATA AND CONFIGURATION」と題する米国特許出願;代理人整理番号END9352USNP7/210120-7、
・「INDICATION OF THE COUPLE PAIR OF REMOTE CONTROLS WITH REMOTE DEVICES FUNCTIONS」と題する米国特許出願;代理人整理番号END9352USNP8/210120-8、
・「COOPERATIVE OVERLAYS OF INTERACTING INSTRUMENTS WHICH RESULT IN BOTH OVERLAYS BEING EFFECTED」と題する米国特許出願;代理人整理番号END9352USNP9/210120-9、
・「ANTICIPATION OF INTERACTIVE UTILIZATION OF COMMON DATA OVERLAYS BY DIFFERENT USERS」と題する米国特許出願;代理人整理番号END9352USNP10/210120-10、
・「MIXING DIRECTLY VISUALIZED WITH RENDERED ELEMENTS TO DISPLAY BLENDED ELEMENTS AND ACTIONS HAPPENING ON-SCREEN AND OFF-SCREEN」と題する米国特許出願;代理人整理番号END9352USNP11/210120-11、
・「SYSTEM AND METHOD FOR TRACKING A PORTION OF THE USER AS A PROXY FOR NON-MONITORED INSTRUMENT」と題する米国特許出願;代理人整理番号END9352USNP12/210120-12、
・「UTILIZING CONTEXTUAL PARAMETERS OF ONE OR MORE SURGICAL DEVICES TO PREDICT A FREQUENCY INTERVAL FOR DISPLAYING SURGICAL INFORMATION」と題する米国特許出願;代理人整理番号END9352USNP13/210120-13、
・「COOPERATION AMONG MULTIPLE DISPLAY SYSTEMS TO PROVIDE A HEALTHCARE USER CUSTOMIZED INFORMATION」と題する米国特許出願;代理人整理番号END9352USNP14/210120-14、
・「INTRAOPERATIVE DISPLAY FOR SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願;代理人整理番号END9352USNP15/210120-15、及び、
・「ADAPTATION AND ADJUSTABILITY OR OVERLAID INSTRUMENT INFORMATION FOR SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願;代理人整理番号END9352USNP16/210120-16。
【0009】
本出願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、以下の米国特許出願を所有する。
・「METHOD OF COMPRESSING TISSUE WITHIN A STAPLING DEVICE AND SIMULTANEOUSLY DISPLAYING THE LOCATION OF THE TISSUE WITHIN THE JAWS」と題する米国特許出願第16/209,423号(現在は、米国特許出願公開第2019/0200981-A1号)、
・「METHOD FOR CONTROLLING SMART ENERGY DEVICES」と題する米国特許出願第16/209,453号(現在は、米国特許出願公開第2019/0201046-A1号)。
【0010】
外科用装置及び発生器の様々な態様を詳細に説明する前に、例解的な実施例は、適用又は用途において、添付の図面及び説明において例解される部品の構造及び配置の詳細に限定されないことに留意されたい。例示の実施例は、他の態様、変形形態、及び修正形態で実装されるか、又はそれらに組み込まれてもよく、様々な方法で実施又は実行されてもよい。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いられる用語及び表現は、読者の便宜のために例示の実施例を説明する目的で選択されたものであり、それらを限定するためのものではない。更に、以下に記述される態様、態様の表現、及び/又は実施例のうち1つ以上を、以下に記述される他の態様、態様の表現、及び/又は実施例のうち任意の1つ以上と組み合わせることができるものと理解されたい。
【0011】
様々な態様は、様々なエネルギー及び外科用ステープラベースの医療デバイスのための外科用システムのための画面上表示を対象とする。エネルギーベースの医療デバイスは、限定ではないが、とりわけ、無線周波数(RF)ベースの単極及び双極電気外科用器具、超音波外科用器具、RF電気外科用器具と超音波器具との組合せ、RF電気外科用ステープラと機械的ステープラとの組合せを含む。外科用ステープラデバイスは、電気外科用デバイス及び/又は超音波デバイスと組み合わされた外科用ステープラを含む。超音波外科用デバイスの態様は、例えば、外科的処置中に組織を横切開及び/又は凝固するように構成され得る。電気外科用デバイスの態様は、例えば、外科的処置中に、組織を横切開、凝固、封止、溶接及び/又は乾燥させるように構成され得る。外科用ステープラデバイスの態様は、外科的処置中に組織を横切開してステープル留めするように構成することができ、いくつかの態様では、外科用ステープラデバイスは、外科的処置中に組織にRFエネルギーを送達するように構成することができる。電気外科用デバイスは、治療用及び/又は非治療用RFエネルギーを組織に送達するように構成されている。外科用ステープラ、電気外科用デバイス、及び超音波デバイスの要素は、単一の外科用器具において組み合わせて使用され得る。
【0012】
様々な態様では、本開示は、外科的処置中にORチームにリアルタイム情報の画面上表示を提供する。本開示の様々な態様によれば、様々な視覚情報フィードバックを画面上でORチームに表示するために、多くの新しい固有の画面上表示が提供される。本開示によれば、視覚情報は、音を伴う又は伴わない様々な視覚媒体のうちの1つ以上を含むことができる。一般に、視覚情報は、静止写真、動画写真、ビデオ又はオーディオ記録、グラフィックアート、視覚補助、モデル、表示、視覚表現サービス、及びサポートプロセスを含む。視覚情報は、例えば、とりわけ、一次ORスクリーン、エネルギー又は外科用ステープラデバイス自体、タブレット、拡張現実眼鏡等の任意の数の表示オプション上で通信することができる。
【0013】
様々な態様では、本開示は、ORチームをあまりに多くの視覚情報で圧倒することなく、視覚情報をリアルタイムでORチームに通信するための潜在的オプションの多くのリストを提供する。例えば、種々の態様では、本開示は、外科医、又はORチームの他のメンバーが、豊富な視覚情報を管理するために、画面オプションを取り囲むアイコン等の画面上表示を選択的に起動することを可能にする、視覚情報の画面上表示を提供する。要因のうちの1つ又は組合せが、アクティブ表示を決定するために使用することができ、これらは、とりわけ、使用中のエネルギーベース(例えば、電気外科、超音波)又は機械ベース(例えば、ステープラ)外科用デバイス、所与の表示と関連付けられる推定リスク、外科医の経験レベル、及び外科医の選択を含んでもよい。他の態様では、視覚情報は、視覚情報を管理するために手術視野にオーバーレイ又は重畳された豊富なデータを含んでもよい。以下に説明する様々な態様では、データを適切にオーバーレイするためにビデオ解析及び追跡を必要とする重畳画像を含む。このように通信された視覚情報データは、静的アイコンとは対照的に、ORチームに対してより簡潔で理解しやすい方法で追加の有用な視覚情報を提供することができる。
【0014】
様々な態様では、本開示は、外科的処置中に視覚情報を管理するために、スクリーンを取り囲むアイコン等の画面上表示を選択的に起動するための技術を提供する。他の態様では、本開示は、要因のうちの1つ又は組合せを使用してアクティブ表示を決定するための技術を提供する。様々な態様では、本開示による技術は、とりわけ、アクティブ表示として使用中のエネルギーベース又は機械ベースの外科用デバイスを選択すること、所与の表示に関連付けられたリスクを推定すること、選択を行う外科医又はORチームの経験レベルを利用することを含み得る。
【0015】
他の態様では、本開示による技術は、視覚情報を管理するために、豊富なデータを手術視野上にオーバーレイ又は重畳することを含んでもよい。本開示によって説明されるいくつかの表示配置は、術野のライブストリーム上に外科用データの種々の視覚表現をオーバーレイすることを伴う。本明細書で使用される場合、オーバーレイという用語は、半透明オーバーレイ、部分的オーバーレイ、及び/又は移動オーバーレイを含む。グラフィカルオーバーレイは、透明グラフィック、半透明グラフィック、又は不透明グラフィック、あるいは透明、半透明、及び不透明の要素又は効果の組合せの形態であってもよい。更に、オーバーレイは、例えば、エンドエフェクタ及び/又は重要な外科用構造等の、術野におけるオブジェクト上に、又は少なくとも部分的にその上に、又はその近くに配置され得る。特定の表示配置は、表示優先度値の変化に基づいて、色、サイズ、形状、表示時間、表示場所、表示頻度、強調表示、又はそれらの組合せの変化を含む、オーバーレイの1つ以上の表示要素の変化を含み得る。グラフィカルオーバーレイは、アクティブ表示モニタの上にレンダリングされ、重要な情報を迅速かつ効率的にORチームに伝達する。
【0016】
他の態様では、本開示による技術は、視覚情報データを適切にオーバーレイするためにビデオ解析及び追跡することを必要とする画像を重畳することを含み得る。他の態様では、本開示による技術は、単純な静的アイコンとは対照的に、豊富な視覚情報を通信して、より簡潔で理解しやすい方法で追加の視覚情報をORチームに提供することを含むことができる。他の態様では、視覚オーバーレイは、聴覚及び/又は体性感覚オーバーレイ、例えば、熱的、化学的、及び機械的デバイス、並びにそれらの組合せと組み合わせて使用することができる。
【0017】
以下の説明は、概して、外科的処置中に拡張現実(AR)インタラクティブ体験を提供する装置、システム、及び方法に関する。この文脈では、術野並びに術野に現れる外科用器具及び他のオブジェクトの画像は、コンピュータ生成された視覚、聴覚、触覚、体性感覚、嗅覚、又は他の感覚情報を、術野、術野に現れる器具及び/又は他のオブジェクトの実世界画像上にオーバーレイすることによって強化される。画像は、リアルタイムでストリーミングされてもよいし、静止画像であってもよい。拡張現実は、実環境上にオーバーレイされる仮想又は「拡張」仮想オブジェクト、データ、又は視覚効果をレンダリング及び表示するための技術である。実環境は、術野を含んでもよい。実環境上にオーバーレイされた仮想オブジェクトは、実環境の1つ以上の態様に対して固定された位置、又は設定された位置で表され得る。非限定的な例では、実世界オブジェクトが実環境の視野から出る場合、実世界オブジェクトに固定された仮想オブジェクトも拡張現実の視野から出る。
【0018】
本開示によって説明されるいくつかの表示配置は、術野のライブストリーム上に外科用データの種々の視覚表現をオーバーレイすることを伴う。本明細書で使用される場合、オーバーレイという用語は、半透明オーバーレイ、部分的オーバーレイ、及び/又は移動オーバーレイを含む。更に、オーバーレイは、例えば、エンドエフェクタ及び/又は重要な外科用構造等の、術野におけるオブジェクト上に、又は少なくとも部分的にその上に、又はその近くに配置され得る。特定の表示配置は、表示優先度値の変化に基づいて、色、サイズ、形状、表示時間、表示場所、表示頻度、強調表示、又はそれらの組合せの変化を含む、オーバーレイの1つ以上の表示要素の変化を含み得る。
【0019】
本明細書で説明されるように、ARは、技術を介して送達されるデジタル視覚要素、音、又は他の感覚刺激の使用を通して達成される、現実の物理世界の拡張バージョンである。仮想現実(VR)は、現実であるように見えるシーン及びオブジェクトを有するコンピュータ生成環境であり、ユーザがそれらの周囲に没入しているように感じさせる。この環境は、仮想現実ヘッドセット又はヘルメットとして知られるデバイスを通して知覚される。複合現実(MR)及びARは両方とも没入型技術と考えられているが、それらは同じではない。MRは、現実及び仮想要素が環境内で相互作用することを可能にする複合現実の拡張である。ARは、多くの場合、カメラを使用することによってライブビューにデジタル要素を追加するが、MR体験は、実世界及びデジタルオブジェクトが相互作用するAR及びVRの両方の要素を組み合わせる。
【0020】
AR環境では、1つ以上のコンピュータ生成仮想オブジェクトが、1つ以上の現実(すなわち、いわゆる「実世界」)要素とともに表示されてもよい。例えば、周囲環境のリアルタイム画像又はビデオは、1つ以上のオーバーレイ仮想オブジェクトとともにコンピュータスクリーンディスプレイ上に示されてもよい。そのような仮想オブジェクトは、環境に関する補足的な情報を提供することができ、又は一般に、ユーザの知覚及び環境との関与を向上させることができる。逆に、周囲環境のリアルタイム画像又はビデオは、加えて又は代替的に、ディスプレイ上に示される仮想オブジェクトとのユーザの関与を向上させることができる。
【0021】
本開示の文脈における装置、システム、及び方法は、外科的処置中に1つ以上の撮像デバイスから受信された画像を向上させる。撮像デバイスは、非侵襲性及び低侵襲性外科的処置中に使用される種々のスコープ、ARデバイス、及び/又は切開外科的処置中に画像を提供するカメラを含んでもよい。画像は、リアルタイムでストリーミングされてもよいし、静止画像であってもよい。装置、システム、及び方法は、仮想オブジェクト又はデータ及び/又は現実オブジェクトの表現を現実外科用環境上にオーバーレイすることによって、実世界外科用環境の画像を向上させることによって、拡張現実インタラクティブ体験を提供する。拡張現実体験は、ユーザが実世界外科用環境上にオーバーレイされた仮想オブジェクトを視認することを可能にする、ディスプレイ及び/又はARデバイス上で視認されてもよい。ディスプレイは、手術室内に配置されてもよいし、手術室から離れてもよい。ARデバイスは、外科医又は他の手術室人員の頭部に装着され、典型的には、ユーザの各目に対して1つを含む、2つの立体ディスプレイレンズ又はスクリーンを含む。自然光は、ARデバイスのユーザに仮想オブジェクトを可視にするために光を投影しながら、実環境の態様が可視であるように、2つの透明又は半透明ディスプレイレンズを通過することができる。
【0022】
2つ以上のディスプレイ及びARデバイスは、例えば、定義された役割を有するシステム内の1つ以上の追加のディスプレイ又はARデバイスを制御する第1のディスプレイ又はARデバイスと協調して使用されてもよい。例えば、ディスプレイ又はARデバイスを起動するとき、ユーザは、役割(例えば、外科的処置中の外科医、外科助手、看護師等)を選択してもよく、ディスプレイ又はARデバイスは、その役割に関連する情報を表示してもよい。例えば、外科助手は、外科医が外科的処置の次のステップのために行う必要がある器具の仮想表現を表示させてもよい。現在のステップに対する外科医の焦点は、手術助手とは異なる表示された情報を見る場合がある。
【0023】
多くの既知の画面上表示及びアラートが存在するが、本開示は、外科的処置中に多くの新規かつ固有の拡張現実インタラクティブ体験を提供する。そのような拡張現実インタラクティブ体験は、手術室の内側又は外側の手術チームへの視覚、聴覚、触覚、体性感覚、嗅覚、又は他の感覚フィードバック情報を含む。実世界外科用環境上にオーバーレイされる仮想フィードバック情報は、例えば、限定ではないが、とりわけ、手術外科医、外科医の助手、スクラブ着衣者、麻酔医、及び外回り看護師を含む、OR内の人員を含む、手術室(OR)チームに提供されてもよい。仮想フィードバック情報は、一次ORスクリーンディスプレイ、ARデバイス、エネルギー又は外科用ステープラ器具、タブレット、拡張現実眼鏡、デバイス等の任意の数の表示オプション上で通信することができる。
【0024】
図1は、1つ以上の外科用システム2及びクラウドベースのシステム4を含むコンピュータ実装インタラクティブ外科用システム1を示す。クラウドベースシステム4は、リモートストレージ5に連結されたリモートサーバ13を含み得る。各外科用システム2は、クラウド4と通信する少なくとも1つの外科用ハブ6を備える。例えば、外科用システム2は、可視化システム8と、ロボットシステム10と、手持ち式インテリジェント外科用器具12とを備えてもよく、それぞれが、互いに、及び/又はハブ6と通信するように構成されている。いくつかの態様では、外科用システム2は、M個のハブ6と、N個の可視化システム8と、O個のロボットシステム10と、P個の手持ち式インテリジェント外科用器具12とを備えてもよく、M、N、O及びPは1以上の整数である。コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム1は、本明細書で説明されるように、外科的処置中に拡張現実インタラクティブ体験を提供するように構成されてもよい。
【0025】
図2は、外科手術室16内の手術台14上に横たわっている患者に対して外科的処置を実行するための外科用システム2の例を示す。ロボットシステム10は、外科的処置において外科用システム2の一部として使用される。ロボットシステム10は、外科医のコンソール18と、患者側カート20(外科用ロボット)と、外科用ロボットハブ22とを含む。患者側カート20は、外科医が外科医のコンソール18又は外科医によって装着された拡張現実(AR)デバイス66を通して手術部位を視認しながら、患者の身体の低侵襲切開を通じて、少なくとも1つの着脱可能に連結された外科用ツール17を操作することができる。低侵襲処置中の手術部位の画像(例えば、リアルタイムでストリーミングされる静止画像又はライブ画像)は、医療用撮像デバイス24によって取得することができる。患者側カート20は、撮像デバイス24を操作して、撮像デバイス24を配向することができる。切開外科的処置の画像は、医療用撮像デバイス96によって取得することができる。ロボットハブ22は、外科医のコンソール18、又は外科医若しくは外科手術室16内の他の人によって装着されたARデバイス66上にその後表示するために手術部位の画像を処理する。
【0026】
撮像デバイス24、96又はARデバイス66の光学構成要素は、1つ以上の照明源、及び/又は1つ以上のレンズを含み得る。1つ以上の照明源は、術野の一部分を照明するように方向付けられ得る。1つ以上の画像センサは、術野内の組織及び器具から反射又は屈折された光を受信し得る。
【0027】
様々な態様では、撮像デバイス24は、低侵襲外科的処置において使用するように構成されている。本開示とともに使用するために適切な撮像デバイスの例としては、関節鏡、血管鏡、気管支鏡、胆道鏡、結腸鏡、膀胱鏡、十二指腸鏡、腸鏡、食道胃十二指腸鏡(胃カメラ)、内視鏡、喉頭鏡、鼻咽喉-腎盂鏡、S状結腸鏡、胸腔鏡、及び尿管鏡が挙げられるが、これらに限定されない。様々な態様では、撮像デバイス96は、切開(侵襲)外科的処置において使用するように構成されている。
【0028】
様々な態様では、可視化システム8は、滅菌野に対して戦略的に配置される1つ以上の撮像センサと、1つ以上の画像処理装置と、1つ以上のストレージアレイと、1つ以上のディスプレイとを備える。一態様では、可視化システム8は、HL7、PACS及びEMR用のインターフェースを備える。一態様では、撮像デバイス24は、トポグラフィと下にある構造とを区別するためにマルチスペクトルモニタリングを採用し得る。マルチスペクトル画像は、電磁スペクトルにおいて特定の波長範囲内の画像データを捕捉する。波長は、フィルタによって、又は可視光範囲を超える周波数、例えば、IR、及び紫外からの光を含む特定の波長に対する感度を有する器具によって分離される。スペクトル撮像は、人間の目には見えない情報を抽出することができる。マルチスペクトルモニタリングは、処置された組織に対して試験を実行するための外科用タスクが完了した後に術野を再配置することができる。
【0029】
図2は、手術台14のオペレータに見えるように滅菌野に配置される一次ディスプレイ19を示す。可視化タワー11は、滅菌野の外側に配置され、互いに反対側を向いている第1の非滅菌ディスプレイ7及び第2の非滅菌ディスプレイ9を含む。ハブ6によって誘導される可視化システム8は、ディスプレイ7、9、19を利用して、滅菌野の内側及び外側のオペレータへの情報フローを調整するように構成されている。例えば、ハブ6は、可視化システム8に、一次ディスプレイ19又はARデバイス66上に手術部位のライブ映像を維持しながら、撮像デバイス24、96によって記録される手術部位のAR画像を非滅菌ディスプレイ7、9又はARデバイス66を通じて表示させることができる。非滅菌ディスプレイ7、9は、例えば、非滅菌オペレータが、外科的処置に関連する診断ステップを実行することを可能にすることできる。
【0030】
図3は、可視化システム8、ロボットシステム10及び手持ち式インテリジェント外科用器具12と通信するハブ6を示す。ハブ6は、ハブディスプレイ35、撮像モジュール38、発電機モジュール40、通信モジュール30、プロセッサモジュール32、ストレージアレイ34、及び手術室マッピングモジュール33を含む。ハブ6は、排煙モジュール26及び/又は吸引/灌注モジュール28を更に含む。様々な態様では、撮像モジュール38は、ARデバイス66を含み、プロセッサモジュール32は統合ビデオプロセッサ及び拡張現実モデラ(例えば、図10に示すようなもの)を含む。モジュール式光源は、様々な撮像デバイスとともに使用するように適合され得る。様々な例では、複数の撮像デバイスを術野の異なる位置に配置して、複数のビューを提供することができる(例えば、非侵襲的、低侵襲的、侵襲的、又は切開外科的処置)。撮像モジュール38は、最適なビューを提供するために撮像デバイス間を切り替えるように構成することができる。種々の態様では、撮像モジュール38は、異なる撮像デバイスからの画像を統合し、本明細書に説明されるような外科的処置の間、拡張現実インタラクティブ体験を提供するように構成することができる。
【0031】
図4は、医療施設の1つ以上の手術現場/部屋に位置するモジュール式デバイスをクラウドベースのシステムに接続するように構成されたモジュール式通信ハブ53を含む外科用データネットワーク51を示す。クラウド54は、ストレージデバイス55に連結されたリモートサーバ63(図5)を含むことができる。モジュール式通信ハブ53は、ネットワークルータ61と通信するネットワークハブ57及び/又はネットワークスイッチ59を含む。モジュール式通信ハブ53は、データを処理するためにローカルコンピュータシステム60に連結される。手術現場のモジュール式デバイス1a~1nは、モジュール式通信ハブ53に連結され得る。ネットワークハブ57及び/又はネットワークスイッチ59は、ネットワークルータ61に連結されて、デバイス1a~1nをクラウド54又はローカルコンピュータシステム60に接続することができる。デバイス1a~1nに関連付けられたデータは、リモートデータ処理及び操作のためにルータを介してクラウドベースのコンピュータに転送されてもよい。手術現場デバイス1a~1nは、有線チャネル又は無線チャネルを介してモジュール式通信ハブ53に接続され得る。外科用データネットワーク51環境は、本明細書で説明されるように、外科的処置中に拡張現実インタラクティブ体験を提供するために、特に、術野の拡張画像を1つ以上のリモートディスプレイ58に提供するために採用されてもよい。
【0032】
図5は、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム50を示す。コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム50は、多くの点で、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム1と類似している。コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム50は、多くの点で外科用システム2と類似する1つ以上の外科用システム52を含む。各外科用システム52は、リモートサーバ63を含み得るクラウド54と通信する少なくとも1つの外科用ハブ56を備える。一態様では、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム50は、例えば、インテリジェント外科用器具、ロボット及び手術現場内に位置する他のコンピュータ化デバイス等の複数の手術現場デバイスに接続されたモジュール式制御タワー23を備える。図6に示すように、モジュール式制御タワー23は、コンピュータシステム60に連結されたモジュール式通信ハブ53を含む。
【0033】
図5に戻ると、モジュール式制御タワー23は、内視鏡98に連結された撮像モジュール38、エネルギーデバイス99に連結された発電機モジュール27、排煙器モジュール76、吸引/灌注モジュール78、通信モジュール13、プロセッサモジュール15、ストレージアレイ16、任意選択的にディスプレイ39に連結されたスマートデバイス/器具21及びセンサモジュール29に連結されている。手術現場デバイスは、モジュール式制御タワー23を介して、サーバ63、データストレージ55及びディスプレイ58等のクラウドコンピューティングリソースに連結されている。ロボットハブ72もまた、モジュール式制御タワー23、及びサーバ63、データストレージ55、並びにディスプレイ58に接続されてもよい。とりわけ、デバイス/器具21、可視化システム58が、本明細書に記載されるように、有線又は無線通信規格又はプロトコルを介して、モジュール式制御タワー23に連結されてもよい。モジュール式制御タワー23は、撮像モジュール38、デバイス/器具ディスプレイ39及び/又は他の可視化システム58から受信した、現実外科世界上のオーバーレイされた仮想オブジェクトを含む、受信された拡張画像を表示するためにハブディスプレイ65(例えば、モニタ、スクリーン)に連結されてもよい。ハブディスプレイ65はまた、画像及びオーバーレイ画像とともにモジュール式制御タワー23に接続されたデバイスから受信したデータを表示し得る。
【0034】
図6は、モジュール式制御タワー23に連結された複数のモジュールを含む外科用ハブ56を示す。モジュール式制御タワー23は、例えばネットワーク接続デバイス等のモジュール式通信ハブ53と、例えば拡張外科用情報のローカルでの処理、可視化及び撮像を行うためのコンピュータシステム60とを含む。モジュール式通信ハブ53は、モジュール式通信ハブ53に接続されてもよいモジュール(例えば、デバイス)の数を拡張するために階層化構成で接続されて、モジュールに関連付けられたデータをコンピュータシステム60、クラウドコンピューティングリソース、又はその両方に転送してもよい。モジュール式通信ハブ53内のネットワークハブ/スイッチ57/59の各々は、3つの下流ポート及び1つの上流ポートを含み得る。上流のネットワークハブ/スイッチ57、59は、クラウドコンピューティングリソース及びローカルディスプレイ67への通信接続を提供するためにプロセッサ31に接続されている。クラウド54への通信は、有線通信チャネル又は無線通信チャネルのいずれかを介して行うことができる。
【0035】
コンピュータシステム60は、プロセッサ31と、ネットワークインターフェース37とを含む。プロセッサ31は、システムバスを介して、通信モジュール41、ストレージ45、メモリ46、不揮発性メモリ47、及び入力/出力インターフェース48に連結される。システムバスは、様々な利用可能なバスアーキテクチャを使用した、メモリバス若しくはメモリコントローラ、周辺バス若しくは外部バス、及び/又はローカルバスを含む、いくつかのタイプのバス構造のいずれかであってもよい。
【0036】
プロセッサ31は、拡張現実モデラ(例えば、図10に示されるような)を含み、Texas Instrumentsによる商標名ARM Cortexで知られているもの等のシングルコア又はマルチコアプロセッサとして実装されてもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。このプロセッサコアは、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)及び/又は、1つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む。なお、その詳細は、製品データシートで入手可能である。
【0037】
システムメモリとしては、揮発性メモリ及び不揮発性メモリが挙げられる。起動中などにコンピュータシステム内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリに記憶される。例えば、不揮発性メモリとしては、ROM、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、EEPROM又はフラッシュメモリが挙げられ得る。揮発性メモリとしては、外部キャッシュメモリとして機能するランダムアクセスメモリ(RAM)が挙げられる。更に、RAMは、SRAM、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンスドSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)及びダイレクトランバスRAM(DRRAM)などの多くの形態で利用可能である。
【0038】
コンピュータシステム60はまた、取り外し可能/取り外し不可能な揮発性/不揮発性のコンピュータストレージ媒体、例えばディスクストレージ等を含む。ディスク記憶装置としては、磁気ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-60ドライブ、フラッシュメモリカード又はメモリスティックのような装置が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、ディスク記憶装置は、上記の記憶媒体を、独立して、又は他の記憶媒体との組合せで含むことができる。他の記憶媒体としては、コンパクトディスクROM装置(CD-ROM)、コンパクトディスク記録可能ドライブ(CD-Rドライブ)、コンパクトディスク書き換え可能ドライブ(CD-RWドライブ)若しくはデジタル多用途ディスクROMドライブ(DVD-ROM)などの光ディスクドライブが挙げられるがこれらに限定されない。ディスク記憶装置のシステムバスへの接続を容易にするために、取り外し可能な又は取り外し不可能なインターフェースが用いられてもよい。
【0039】
様々な態様では、図6のコンピュータシステム60、図4図6の撮像モジュール38、及び/又は可視化システム58、及び/又はプロセッサモジュール15は、画像プロセッサ、画像処理エンジン、画像処理装置(GPU)、メディアプロセッサ、又はデジタル画像の処理に使用される任意の専用デジタル信号プロセッサ(DSP)を含んでもよい。画像プロセッサは、単一命令複数データ(SIMD)、又は複数命令複数データ(MIMD)技術を用いた並列コンピューティングを用いて速度及び効率を高めることができる。デジタル画像処理エンジンは、様々なタスクを実施することができる。画像プロセッサは、マルチコアプロセッサアーキテクチャを備えるチップ上のシステムであってもよい。
【0040】
図7は、撮像モジュール38と外科用ハブディスプレイ67との間の通信経路内に配置された中間信号結合器64を含む拡張現実システム263を示す。信号結合器64は、撮像モジュール38及び/又はARデバイス66から受信された音声及び/又は画像データを組み合わせる。外科用ハブ56は、結合器64から組み合わされたデータを受信し、ディスプレイ67に提供されたデータをオーバーレイし、オーバーレイされたデータが表示される。撮像デバイス68はデジタルビデオカメラであってもよく、オーディオデバイス69はマイクロフォンであってもよい。信号結合器64は、外科用ハブ56がディスプレイ67上にデータをオーバーレイすることを可能にするコンソールへのディスプレイ67の通信経路内に配置されたARデバイス66に連結するための無線ヘッドアップディスプレイアダプタを含み得る。
【0041】
図8は、撮像モジュールと外科用ハブディスプレイとの間の通信経路内に配置された中間信号結合器を含む拡張現実(AR)システムを示す。図8は、外科用ハブ56にデータを通信するために外科医73によって装着されるARデバイス66を示す。ARデバイス66の周辺情報は、アクティブ映像を含まない。むしろ、周辺情報は、デバイス設定、又はリフレッシュレートの同じ要求を有さない信号のみを含む。相互作用は、術前コンピュータ断層撮影(CT)又は外科用ハブ56内でリンクされた他のデータとのリンクに基づいて、外科医73の情報を拡張させ得る。ARデバイス66は、構造を識別することができ、例えば、器具が神経、血管、又は癒着に触れているかどうかを尋ねることができる。ARデバイス66は、術前スキャンデータ、光学ビュー、処置全体を通して取得される組織調査特性、及び/又は回答を提供するために使用される外科用ハブ56における処理を含み得る。外科医73は、報告又はフォローアップにおける後の使用のためにハブストレージ45内に患者データとともに保存されるように、ARデバイス66にメモを書き取ることができる。
【0042】
外科医73によって装着されるARデバイス66は、オーバーレイの必要性を回避するために、聴覚及び視覚情報を用いて外科用ハブ56にリンクし、視野の周辺の周りに表示される情報のカスタマイズを可能にする。ARデバイス66は、デバイス(例えば、器具)からの信号を提供し、デバイス設定又は象限若しくは位置を識別するためにビデオとリンクされた位置情報に関するクエリに回答する。ARデバイス66は、ARデバイス66からの音声制御及び音声フィードバックを有する。ARデバイス66は、手術現場内の他のシステムと相互作用することができ、外科医73がどこを視認しても利用可能なフィードバック及び相互作用を有することができる。例えば、ARデバイス66は、外科医から音声又はジェスチャ開始コマンド及びクエリを受信してもよく、ARデバイス66は、音声、視覚、又は触覚タッチを含む1つ以上のモダリティの形態でフィードバックを提供してもよい。
【0043】
図9は、ARデバイス66を装着している外科医73、患者74を示し、手術室75内にカメラ96を含んでもよい。外科医73によって装着されるARデバイス66は、拡張現実ディスプレイ89を通して、又はハブ接続ディスプレイ67を通して、術野のリアルタイム画像上にオーバーレイされる仮想オブジェクトを外科医73に提示するために使用されてもよい。リアルタイム画像は、外科用器具77の一部を含んでもよい。仮想オブジェクトは、手術室75内の他者(例えば、外科助手又は看護師)には可視でない場合があるが、彼らもまた、ARデバイス66を装着し得る。別の人がARデバイス66を用いて手術室75を視認している場合であっても、その人は、仮想オブジェクトを見ることができない場合があるか、又は外科医73と共有される拡張現実において仮想オブジェクトを見ることができる場合があるか、又は(例えば、外科医73に固有のカスタマイゼーションに従って)仮想オブジェクトの修正バージョンを見ることができる場合があるか、又は異なる仮想オブジェクトを見る場合がある。
【0044】
仮想オブジェクト及び/又はデータは、外科用器具77の一部上に、又は撮像モジュール38、低侵襲外科的処置中の撮像デバイス68、及び/又は切開外科的処置中のカメラ96によって捕捉された手術視野内に現れるように構成され得る。図示の例では、撮像モジュール38は、低侵襲外科的処置中に手術領域のライブ映像を提供する腹腔鏡カメラである。ARシステムは、ARシステムの1人又は複数の視認者(例えば、外科医73)の視点に関係なく、実オブジェクトに固定される仮想オブジェクトを提示してもよい。例えば、仮想オブジェクトは、手術室75内のARシステムの視認者に可視であってもよく、手術室75外のARシステムの視認者に可視でなくてもよい。仮想オブジェクトは、視認者が手術室75に入ったときに、手術室75外の視認者に表示されてもよい。拡張画像は、外科用ハブディスプレイ67又は拡張現実ディスプレイ89に表示されてもよい。
【0045】
ARデバイス66は、単一スクリーン又は2つのスクリーン(例えば、ユーザの目毎に1つ)等の1つ以上のスクリーン又はレンズを含んでもよい。スクリーンは、仮想オブジェクトを表示している間に実環境の態様が可視であるように、光がスクリーンを通過することを可能にし得る。仮想オブジェクトは、光を投影することによって外科医73に可視になり得る。仮想オブジェクトは、或る程度の透明度を有するように見えてもよく、又は不透明であってもよい(すなわち、実環境の態様を遮断する)。
【0046】
ARシステムは、1人以上の視認者に可視であってもよく、ビュー間で共通のいくつかの態様を保持しながら、1人以上の視認者に利用可能なビュー間の差異を含んでもよい。例えば、ヘッドアップディスプレイは、2つのビューの間で変化し得るが、仮想オブジェクト及び/又はデータは、両方のビュー内の実オブジェクト又は領域に固定され得る。オブジェクトの色、照明、又は他の変更等の態様は、少なくとも1つの仮想オブジェクトの固定位置を変更することなくビュー間で行われ得る。
【0047】
ユーザは、ARシステム内に提示される仮想オブジェクト及び/又はデータを、不透明として、又は或るレベルの透明度を含むものとして見ることができる。一例では、ユーザは、仮想オブジェクトを第1の位置から第2の位置に移動させること等によって、仮想オブジェクトと相互作用することができる。例えば、ユーザは、自身の手でオブジェクトを動かしてもよい。これは、(例えば、ARデバイスカメラ79又は別個の96等のARデバイス66上に搭載されてもよく、静的であってもよく、又は移動するように制御されてもよい、1つ以上のカメラを使用して)手がオブジェクトと一致又は隣接する位置に移動したことを判定し、それに応じてオブジェクトを移動させることによって、ARシステムにおいて仮想的に行われてもよい。仮想態様は、実世界オブジェクトの仮想表現を含んでもよく、又は照明効果等の視覚効果を含んでもよい。ARシステムは、仮想オブジェクトを重力又は摩擦に曝す等、仮想オブジェクトの挙動を支配するための規則を含んでもよく、又は実世界の物理的制約(例えば、浮遊オブジェクト、永久運動等)を否定する他の事前定義された規則を含んでもよい。ARデバイス66は、ARデバイス66上にカメラ79を含み得る(ARデバイス66とは別個のカメラ96と混同されるべきではない)。ARデバイスカメラ79又はカメラ96は、赤外線カメラ、赤外線フィルタ、可視光フィルタ、複数のカメラ、深度カメラ等を含み得る。ARデバイス66は、ユーザが視認することができる実環境の表現の上に仮想アイテムを投影し得る。
【0048】
ARデバイス66は、例えば、外科医73によって患者74に対して行われる外科的処置中に手術室75内で使用され得る。ARデバイス66は、外科医の視覚を拡張するために、外科的処置中の仮想オブジェクト等の仮想オブジェクトを投影又は表示してもよい。外科医73は、ARデバイス66、ARデバイス66のためのリモートコントローラを使用して仮想オブジェクトを視認してもよく、又は、例えば、ARデバイス66のカメラ79によって認識される仮想オブジェクト又はジェスチャと「相互作用」するために手を使用して、仮想オブジェクトと相互作用してもよい。仮想オブジェクトは、外科用器具77等の外科用ツールを拡張することができる。例えば、仮想オブジェクトは、(ARデバイス66を通して仮想オブジェクトを視認する外科医73に対して)外科用器具77と連結されるように、又は外科用器具77から固定距離のままであるように見えてもよい。別の例では、仮想オブジェクトは、外科用器具77を案内するために使用されてもよく、患者74に固定されているように見えてもよい。特定の例では、仮想オブジェクトは、術野における他の仮想又は実世界のオブジェクトの動きに反応し得る。例えば、仮想オブジェクトは、外科医が仮想オブジェクトに近接して外科用器具を操作しているときに変更され得る。
【0049】
拡張現実ディスプレイシステム撮像デバイス38は、外科的処置の間、手術領域の実画像を捕捉する。拡張現実ディスプレイ89、67は、手術領域の実画像上への外科用器具77の動作態様のオーバーレイを提示する。外科用器具77は、ARデバイス66上の通信回路233を介して外科用器具77からARデバイス66に動作態様及び機能データを通信するための通信回路231を含む。外科用器具77及びARデバイス66は、矢印B、Cによって示されるように、回路231、233の間のRF無線通信において示されているが、他の通信技術(例えば、有線、超音波、赤外線等)が採用されてもよい。オーバーレイは、アクティブに可視化されている外科用器具77の動作態様に関連する。オーバーレイは、手術領域における組織相互作用の態様を外科用器具77からの機能データと組み合わせる。ARデバイス66のプロセッサ部分は、外科用器具77から動作態様及び機能データを受信し、外科用器具77の動作に関連するオーバーレイを決定し、手術領域内の組織の態様を外科用器具77からの機能データと組み合わせるように構成される。拡張画像は、デバイス性能考慮事項に関するアラート、不適合な使用のアラート、不完全な捕捉に関するアラートを示す。不適合な使用には、範囲外の組織状態及びエンドエフェクタのジョー内で不正確にバランスされた組織が含まれる。追加の拡張画像は、組織張力のインジケーション及び異物検出のインジケーションを含む付随事象のインジケーションを提供する。他の拡張画像は、デバイス状況オーバーレイ及び器具インジケーションを示す。
【0050】
図10は、本開示の少なくとも一態様による、ARディスプレイ89を使用して情報とともに術野の画像を拡張するためのシステム83を示す。システム83は、例えば、プロセッサ85を使用することによって、以下で説明される技術を実行するために使用され得る。システム83は、データベース93と通信することができるARデバイス66の一態様を含む。ARデバイス66は、プロセッサ85、メモリ87、ARディスプレイ89、及びカメラ79を含む。ARデバイス66は、センサ90、スピーカ91、及び/又は触覚コントローラ92を含んでもよい。データベース93は、画像ストレージ94又は術前計画ストレージ95を含んでもよい。
【0051】
ARデバイス66のプロセッサ85は、拡張現実モデラ86を含む。拡張現実モデラ86は、拡張現実環境を作成するために、プロセッサ85によって使用され得る。例えば、拡張現実モデラ86は、カメラ79又はセンサ90等から、術野内の器具の画像を受信し、手術視野の表示画像内に収まるように拡張現実環境を作成してもよい。別の例では、物理的オブジェクト及び/又はデータは、手術視野及び/又は外科用器具画像上にオーバーレイされてもよく、拡張現実モデラ86は、物理的オブジェクト及びデータを使用して、仮想オブジェクト及び/又はデータの拡張現実ディスプレイを拡張現実環境内に提示してもよい。例えば、拡張現実モデラ86は、患者の手術部位で器具を使用又は検出し、外科用器具上の仮想オブジェクト及び/又はデータ、及び/又はカメラ79によって捕捉された手術視野内の手術部位の画像を提示してもよい。ARディスプレイ89は、実環境にオーバーレイされたAR環境を表示してもよい。ディスプレイ89は、AR環境内の固定位置等にあるARデバイス66を使用して、仮想オブジェクト及び/又はデータを示すことができる。
【0052】
ARデバイス66は、赤外線センサ等のセンサ90を含むことができる。カメラ79又はセンサ90は、外科医又は他のユーザによるジェスチャ等の動きを検出するために使用されてもよく、動きは、プロセッサ85によって、ユーザによる仮想ターゲットとの試みられた又は意図された相互作用として解釈されてもよい。プロセッサ85は、カメラ79を使用して受信された情報を処理すること等によって、実環境内のオブジェクトを識別することができる。他の態様では、センサ90は、拡張環境を作成するために様々なデータフィードと組み合わされ得る対応する信号を生成するための触覚センサ、可聴センサ、化学センサ、又は熱センサであり得る。センサ90は、バイノーラルオーディオセンサ(空間音)、慣性測定(加速度計、ジャイロスコープ、磁力計)センサ、環境センサ、深度カメラセンサ、手及び視線追跡センサ、並びに音声コマンド認識機能を含み得る。
【0053】
ARディスプレイ89は、例えば、外科的処置中に、術野がARディスプレイ89を通して視認されることを可能にしながら、術野内等に、患者の解剖学的態様によって隠される物理的特徴に対応する仮想特徴を提示してもよい。仮想特徴は、物理的特徴の第1の物理的位置又は配向に対応する仮想位置又は配向を有し得る。一例では、仮想特徴の仮想位置又は配向は、物理的特徴の第1の物理的位置又は配向からのオフセットを含み得る。オフセットは、拡張現実ディスプレイからの所定の距離、拡張現実ディスプレイから解剖学的態様までの相対距離等を含んでもよい。
【0054】
一例では、ARデバイス66は、個々のARデバイスであり得る。一態様では、ARデバイス66は、ワシントン州レドモンドのMicrosoftによって製造されたHoloLens 2 ARデバイスであってもよい。このARデバイス66は、レンズ及びバイノーラルオーディオ特徴(空間音)を伴うバイザと、慣性測定(加速度計、ジャイロスコープ、磁力計)と、環境センサと、深度カメラと、ビデオカメラと、手及び視線追跡と、音声コマンド認識機能とを含む。それは、鏡を使用して導波路を着用者の目の前に向けることによって、高解像度で改善された視野を提供する。画像は、ミラーの角度を変えることによって拡大することができる。それはまた、ユーザを認識し、特定のユーザのためにレンズ幅を調整するための視線追跡を提供する。
【0055】
別の例では、ARデバイス66は、Snapchat Spectacles 3 ARデバイスであり得る。このARデバイスは、ペア画像を捕捉し、3D深度マッピングを再作成し、仮想効果を追加し、3Dビデオを再生する能力を提供する。ARデバイスは、60fpsで3D写真及びビデオを捕捉するための2つのHDカメラを含み、一方、4つの内蔵マイクロフォンは、没入型高忠実度オーディオを記録する。両方のカメラからの画像を組み合わせて、ユーザの周りの実世界の幾何学的マップを構築し、奥行き知覚の新しい感覚を提供する。写真及びビデオは、外部ディスプレイデバイスに無線で同期され得る。
【0056】
更に別の例では、ARデバイス66は、GoogleによるGlass 2 ARデバイスであり得る。このARデバイスは、情報を補足するためにレンズ(視野外)上にオーバーレイされた慣性測定(加速度計、ジャイロスコープ、磁力計)情報を提供する。
【0057】
別の例では、ARデバイス66は、AmazonによるEcho Frames ARデバイスであり得る。このARデバイスは、カメラ/ディスプレイを有しない。マイクロフォン及びスピーカはAlexaにリンクされる。このARデバイスは、ヘッドアップディスプレイよりも機能が少ない。
【0058】
更に別の例では、ARデバイス66は、North(Google)によるFocals ARデバイスであり得る。このARデバイスは、通知プッシャ/スマートウォッチアナログ、慣性測定、情報(天気、カレンダ、メッセージ)のスクリーンオーバーレイ、音声制御(Alexa)統合を提供する。このARデバイスは、基本的なヘッドアップディスプレイ機能を提供する。
【0059】
別の例では、ARデバイス66は、Nreal ARデバイスであり得る。このARデバイスは、空間音、2つの環境カメラ、写真カメラ、IMU(加速度計、ジャイロスコープ)、周辺光センサ、近接センサ機能を含む。nebulaは、アプリケーション情報をレンズ上に投影する。
【0060】
様々な他の例では、ARデバイス66は、以下の市販のARデバイス、すなわち、Magic Leap 1、Epson Moverio、Vuzix Blade AR、ZenFone AR、Microsoft AR眼鏡プロトタイプ、EyeTapのうちのいずれか1つであってもよく、これにより、環境の光と同一直線上の光を直接網膜に作成する。ビームスプリッタは、例えば、情報を処理しオーバーレイするために、コンピュータに目に見える同じ光を利用可能にする。AR可視化システムは、HUD、コンタクトレンズ、眼鏡、仮想現実(VR)ヘッドセット、仮想網膜ディスプレイ、手術室内ディスプレイ、及び/又はスマートコンタクトレンズ(バイオニックレンズ)を含む。
【0061】
ARデバイス66のためのマルチユーザインターフェースは、目の前のスクリーン上ではなく網膜上に直接描画されるラスタディスプレイ等の仮想網膜ディスプレイ、スマートテレビ、スマートフォン、及び/又はSony空間ディスプレイシステム等の空間ディスプレイを含む。
【0062】
他のAR技術は、例えば、AR捕捉デバイス及びソフトウェアアプリケーション、AR作成デバイス及びソフトウェアアプリケーション、並びにARクラウドデバイス及びソフトウェアアプリケーションを含んでもよい。AR捕捉デバイス及びソフトウェアアプリケーションは、例えば、Apple Polycam app、Ubiquity 6(Display.land appを使用するMirrorworld)を含み、ユーザは、(3Dモデルを作成するために)実世界の3d画像をスキャンし、取得することができる。AR作成デバイス及びソフトウェアアプリケーションは、例えば、Adobe Aero、Vuforia、ARToolKit、Google ARCore、Apple ARKit、MAXST、Aurasma、Zappar、Blipparを含む。ARクラウドデバイス及びソフトウェアアプリケーションは、例えば、Facebook、Google(world geometry、objection recognition、predictive data)、Amazon AR Cloud(commerce)、Microsoft Azure、Samsung Project Whare、Niantic、Magic Leapを含む。
【0063】
以下の開示の一態様は、低侵襲外科的処置中に腹腔鏡カメラの手術視野を通して視覚化される手術領域のライブビデオストリーム上への手術器具の動作態様又は機能の様々なオーバーレイを説明する。オーバーレイは、アクティブに可視化されている外科用器具及びデバイスの一方の動作態様に関連する。オーバーレイは、組織/臓器相互作用の態様を、外科的処置で使用される外科用器具から受信した機能データと組み合わせる。外科用器具は、把持器、クランプ、ステープラ、超音波、RF、又はこれらの器具の各々の組合せを含み得る。把持器及びクランプに関して、組織パラメータの態様は、クランプの状態又はクランプの大きさとともに、組織の不完全な捕捉を含み得る。外科用ステープラに関して、組織パラメータの態様は、組織捕捉位置、組織圧縮、クランプ、又は外科用ステープラの十分な発射を含み得る。超音波又はRFデバイスなどの先進エネルギーデバイスに関して、組織パラメータの側面は、インピーダンス、焼灼状態、出血の大きさを含み得、器具機能の側面は、例えば、とりわけ、エネルギーレベル、タイミング、クランプ圧力を含み得る。以下の図11図13に示す拡張画像は、図1図10に関連して上述したように、ローカルディスプレイ、リモートディスプレイ、及び/又はARデバイス上で見ることができる。拡張画像は、低侵襲性外科的処置中に腹腔鏡カメラを通して可視化されるものとして説明されるが、画像は、この文脈において本開示の範囲を限定することなく、非侵襲性及び侵襲性(例えば、開放)外科的処置中に捕捉され得る。これらの態様を以下に説明する。
【0064】
図11図13は、低侵襲外科的処置中に腹腔鏡カメラを通して視覚化された様々な拡張画像を示す。拡張現実ディスプレイシステムは、外科的処置中に使用される。拡張現実ディスプレイシステムは、外科的処置中に手術領域の実画像を捕捉するための撮像デバイスと、外科用器具の動作態様のオーバーレイを手術領域の実画像上に提示するための拡張現実ディスプレイと、プロセッサとを備える。オーバーレイは、アクティブに可視化されている外科用器具の動作態様に関連する。オーバーレイは、手術領域における組織相互作用の態様を外科用器具からの機能データと組み合わせる。プロセッサは、外科用器具から動作態様及び機能データを受信し、外科用器具の動作に関連するオーバーレイを決定し、手術領域内の組織の態様を外科用器具からの機能データと組み合わせるように構成される。拡張画像は、デバイス性能考慮事項に関するアラート、不適合な使用のアラート、不完全な捕捉に関するアラートを示す。不適合な使用には、範囲外の組織状態及びエンドエフェクタのジョー内で不正確にバランスされた組織が含まれる。追加の拡張画像は、組織張力のインジケーション及び異物検出のインジケーションを含む付随事象のインジケーションを提供する。他の拡張画像は、デバイス状況オーバーレイ及び器具インジケーションを示す。
【0065】
図11~13はまた、外科用ステープラ、エネルギーデバイス、又はその相互作用の態様を明確に表すために、器具の重要な動作又はパラメータの機能オーバーレイを説明する。一態様では、オーバーレイされたデータは、単にコンテキストを追加するためにソース機器によって検出された情報からオーバーレイを修正するために、外科用ハブによって検出された態様によって調整される。別の態様では、ディスプレイは、ユーザによって調節又は修正されてもよく、結果として、モニタリングされている外科用器具の動作の修正ももたらす。
【0066】
図11図13は、外科的処置中に使用するための術中ディスプレイシステムを説明する。システムは、手術領域の術中データディスプレイを有する外科用モニタを備える。先進エネルギー発生器は、先進エネルギー外科用器具に連結される。先進エネルギー外科用器具は、患者に対する外科的処置中に無線周波数(RF)エネルギー及び超音波エネルギーを使用する。外科用ハブは、先進エネルギー発生器及び外科用モニタに連結される。外科用ハブは、術中データ表示によって手術領域のライブフィードを表示するために、手術領域のライブフィードを外科用モニタに提供する。術中データディスプレイは、組織を把持する先進エネルギー外科用器具と、先進エネルギー外科用器具に固有の情報を表示するパネルオーバーレイとを含む手術領域のビューを表示する。
【0067】
一態様では、術中データ表示は、組織を把持する外科用器具のエンドエフェクタと、症例情報、システム通知、若しくはデバイスパネル、又はこれらの任意の組合せを表示するパネルオーバーレイとを示し、ライブ外科用フィードの上にオーバーレイされる。パネルオーバーレイの位置、不透明度、サイズ、及び配置はカスタマイズされる。パネルオーバーレイは、個別にオン/オフされるか、又はグループとしてオン/オフされるように構成される。パネルオーバーレイは更に、デバイス起動又は電力レベル調整などの状態変化を示すために動的に変化するように構成される。パネルオーバーレイは、最適デバイス性能(ODP)ガイド画像又は他の使用指示(IFU)/情報源を示す。
【0068】
様々な態様では、パネルオーバーレイは、資本設備、発電機、注入器、排煙器、電子健康記録、腹腔鏡、コンピュータ、外科用デバイス、有線及び無線接続デバイス、保存、呼び出し、若しくは編集され得る外科医プロファイル選好、又はそれらの任意の組合せからのデータ入力情報のうちの少なくとも1つを含む。パネルオーバーレイは、患者名、外科医名、症例時間、若しくは器具起動、又はそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、症例情報を含み得る。パネルオーバーレイは、接続機器ステータス、マイナーエラーアラート、ミディアムエラーアラート、若しくはメジャーエラーアラート、又はそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含むシステム通知を含んでもよい。パネルオーバーレイは、高度な止血を提供するためにシステムに接続された外科用器具に関連付けられた情報を含んでもよい。パネルオーバーレイは、可視患者パネルオーバーレイを含み得る。パネルオーバーレイは、デバイス名、デバイス設定、若しくはデバイス補足的特徴、又はそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを備えるデバイスパネルオーバーレイを含み得る。パネルオーバーレイは、積層構成の複数のパネルオーバーレイを含み得る。パネルオーバーレイは、拡張構成の複数のパネルオーバーレイを含み得る。パネルオーバーレイは、ディスプレイデバイストラブルシューティング情報を表示し得る。パネルオーバーレイは、アラート、警告、デバイス情報、若しくはデバイス特徴、又はそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを表示し得る。
【0069】
別の態様では、術中データ表示は、二次構成可能パネルを含む。二次構成可能パネルは、術中データ表示のライブ手術フィードエリアの手術視野内に表示される、選択されたカスタマイズされた腹腔鏡オーバーレイフィールドに基づいて動的に変化する。カスタマイズされた腹腔鏡オーバーレイフィールドは、底縁パネル、左上隅パネル、上部中央パネル、若しくは側縁パネル、又はそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを備える。
【0070】
図11は、手術領域の術中データディスプレイ3002を有する外科用モニタを備える手術室のシステム図3000である。先進エネルギー発生器3004は、外科用ハブ3006及び先進エネルギー外科用器具3008に連結される。先進エネルギー外科用器具3008は、患者3010に対する外科的処置中にRFエネルギー及び超音波エネルギーを使用する。外科用ハブ3006は、術中データディスプレイ3002によって表示される手術領域のライブフィード3014を提供する。術中データディスプレイ3002は、組織を把持している先進エネルギー外科用器具3008と、高度エネルギー外科用器具3008に固有の情報を表示するパネルオーバーレイ3012とを含む手術領域のビューを表示する。
【0071】
図12は、低侵襲外科的処置中に腹腔鏡カメラを通して視覚化された手術領域324のライブフィードの拡張画像300であり、外科用器具エンドエフェクタ320のジョー318間に不十分に捕捉された組織322を組織態様として示す。手術領域324の腹腔鏡視野302は、エンドエフェクタ320のジョー318で組織322を把持している外科用器具エンドエフェクタ320を示す。拡張画像300は、エンドエフェクタ320のジョー318における切断の端部に対して不十分に捕捉された組織322を示すために、手術領域324の画像上に重ね合わされたグラフィカルアラートオーバーレイ304を示す。
【0072】
拡張画像300はまた、手術視野302上に又はそれに隣接して重ね合わされた一般的な解剖学的構造のグラフィック画像306を示す第1のサブ画像308と、手術視野302上に又はそれに隣接して重ね合わされた実際の解剖学的構造の基準フレーム310とを含む。拡張画像300はまた、使用中の外科用器具のタイプ、適用可能であればエネルギーレベル、及び現在の外科的処置を示す第2のサブ画像312を含む。第2のサブ画像312は、手術視野302上に重ね合わされてもよく、又は手術視野302に隣接して位置してもよい。拡張画像300は、高度な止血を達成するために最大5に設定されたエネルギーレベルで外科的処置において使用されている超音波外科用器具を示す。外科用器具のグラフィック画像316は、不完全組織捕捉アラートオーバーレイ304のグラフィック画像314上に重ね合わされて示されている。したがって、拡張画像300は、切断の端部に対して不十分に捕捉された組織322をORチームに通知するいくつかの仮想オブジェクトを提供する。重ね合わされた不完全組織捕捉アラートオーバーレイ304は、エネルギーベースの外科用器具及び外科用ステープラ器具などに適用される。
【0073】
図13は、術中データディスプレイ3122上に表示された低侵襲外科的処置中に腹腔鏡カメラを通じて視覚化された手術領域のライブフィードの拡張画像3120である。本開示の少なくとも1つの態様による、組織3110を把持する外科用器具3008のエンドエフェクタ3108と、視認可能な患者パネルオーバーレイ3124を有する画面とを示す。可視患者パネルオーバーレイ3124は、コンテンツを表示するために追加のアプリケーションを必要とする場合がある。術中データディスプレイ3122はまた、症例情報パネルオーバーレイ3102及びデバイスパネルオーバーレイ3106を表示する。図示の例では、システム通知パネルオーバーレイ3104は隠されている。
【0074】
以下の説明は、外科医又は他のOR人員に情報の直観的な又はデータ密度の高いフィードを提供するための代替的な又は協働的な拡張現実通信を提供する。一態様では、本開示は、複雑なデータフィードの効率的な知覚を増加させるように協働する、複合現実、拡張現実、及び/又は拡張現実フィードバックシステム及び方法を提供する。一態様では、第1及び第2の拡張データフィードが提供され、第1又は第2のデータフィードのうちの少なくとも1つが、視覚表示の一部ではないオーバーレイを生成する。別の態様では、データフィード又はオーバーレイの視覚表示部分は、互いに直列に動作するか又は独立して配置された複数の拡張現実ディスプレイシステムを含み得る。別の態様では、データの非視覚的通信は、ユーザによる聴覚、体性感覚、触覚、化学的知覚(匂いを含む)、又は熱知覚の単独又は組合せによるものであり得る。本開示は、ここで、1つ以上の視覚オーバーレイと協働する1つ以上の可聴オーバーレイ及び/又は体性感覚オーバーレイの協働的組合せを含む、協働的拡張現実、複合現実、又はAR通信を説明する。これらの協働オーバーレイの各々を以下に説明する。
【0075】
図14は、撮像モジュール38と外科用ハブディスプレイ67との間の通信経路内に配置された中間信号結合器64を含む拡張現実システム5400を示す。信号結合器64は、撮像モジュール38及び/又はARデバイス66から受信されたセンサ及び/又は画像データを結合する。外科用ハブ56は、結合器64から結合データを受信し、ディスプレイ67に提供されたデータをオーバーレイし、オーバーレイされたデータが表示される。ARデバイス66は、撮像デバイス68及びセンサデバイス5402からのデータフィードを結合する。結合されたデータフィードは、撮像モジュール38からのデータフィードと更にオーバーレイするために、ARデバイス66から結合器64に提供され得る。一態様では、拡張オーバーレイの視覚部分は、複数の協働画像ディスプレイを含む。一態様では、複数の協働画像ディスプレイは、互いに直列に機能する。別の態様では、複数の協働画像ディスプレイは独立して配置される。様々な態様では、データフィードは、ARデバイス66のセンサ90、スピーカ91、及び触覚コントローラ92の部分によって提供され得る。
【0076】
撮像デバイス68は、デジタルビデオカメラであってもよい。信号結合器64は、外科用ハブ56がディスプレイ67上にデータをオーバーレイすることを可能にするコンソールへのディスプレイ67の通信経路内に配置されたARデバイス66に連結するための無線ヘッドアップディスプレイアダプタを含み得る。様々な態様では、ARデバイス66は、撮像モジュール38、撮像デバイス68、及び/又はセンサデバイス5402からの画像、可聴音、及び/又は体性感覚信号の組合せを、以下で説明するように外科医に提供されるビューの一部としてオーバーレイの形態で表示し得る。様々な態様では、ディスプレイ67は、撮像モジュール38、撮像デバイス68、及び/又はセンサデバイス5402からの画像、可聴音、及び/又は体性感覚信号の組合せを、以下で説明するように一般にORに提供されるビューの一部としてオーバーレイの形態で表示し得る。一態様では、センサデバイス5402は、フィルタ5404を介してARデバイス66に連結され得る。他の態様では、センサデバイス5402からの信号を増幅するために、フィルタ5404とARデバイス66との間に増幅器5406が配置され得る。
【0077】
センサデバイス5402は、音声デバイス、体性感覚デバイス、及び/又はそれらの組合せであってもよい。体性感覚デバイスとしては、以下に記載されるような熱的、化学的、及び機械的デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、センサデバイス5402は、とりわけ、音声5408、バイオマーカ5410、鼓動/リズム5412などの様々な可聴入力信号を感知するように構成され得る。可聴信号は、フィルタ5404によってフィルタリングされ、増幅器5406によって増幅され得る。一態様では、外科医73又は他のOR人員は、熱刺激5414、化学刺激5416、機械刺激5418などの様々な体性感覚刺激から刺激入力を受信し得る。可聴入力は、撮像デバイス68及び/又は撮像モジュール38から受信される画像とオーバーレイされ得る。同様に、体性感覚刺激入力は、撮像デバイス68及び/又は撮像モジュール38から受信された画像とオーバーレイされ得る。可聴オーバーレイ及び体性感覚オーバーレイは、ARデバイス66及び/又はディスプレイ67に表示され得る。
【0078】
一態様では、本開示は、センサデバイス5402によって生成される可聴信号に基づいて可聴オーバーレイを提供する。可聴信号は、例えば、フィルタ5404によってフィルタリングされ、特定のORオーディオを他のものに対して除外又は増幅し、増幅器5405によって増幅され得る。フィルタリングは、オーバーレイに対するユーザの注意の大きさを制御するためにオーバーレイの注意力を増加又は減少させ得る。一態様では、センサデバイス5402は、音声コマンドを受信し、音声コマンドを電気信号に変換する。一態様では、センサデバイス5402は音声-テキスト変換器を含む。フィルタ5404は、例えば、ロボットコンソールにおける外科医73への支援のために手動ハンドルを上/下又は左/右に位置付けるなど、ORアシスタントへの特定のコマンドをフィルタリングするように構成され得る。別の態様では、フィルタリング又は増幅は、外科医73が外科的処置中に話すことができるキーワードに基づき得る。
【0079】
可聴オーバーレイは、処置計画において外科医73がどこに位置するかを検証するのに役立つ代替的な方法を提供する。例えば、拡張現実システム5400が、外科的処置における次のステップが、アクセスのために臓器を移動させるために把持器を必要とすることを分かっている場合、外科医が「把持器」という単語を発すると、拡張現実システム5400は、外科医73及び外科的処置が適切に追跡していることを検証することができる。この追加の制御は、外科医73が最初の外科的処置からわずかに逸脱したときに必要とされ得る。例えば、外科医73が外科用ステープラなどの外科用器具を要求すると、拡張現実システム5400は、単語「外科用ステープラ」又は単に「ステープラ」を認識し、外科医73のメイン画面67又はARデバイス66を、デジタル的に接続された外科用器具の配置及び発射のための視覚及び可聴オーバーレイの特定の組合せで調整する。拡張現実システム5400は更に、外科医73が外科用器具を発射する前に、外科用器具及び通信の使用前チェックを行う。可聴オーバーレイ部分の音量は、状況の深刻度に基づいて増減され得る。拡張現実システム5400は、現在の外科的処置状況が重大又は高リスクであると見なされる場合、全ての背景雑音(例えば、ラジオ、電話など)の音量を下げるように構成され得る。特定のユーザが聴覚障害者であることが分かると、拡張現実システム5400は、外科医73がはっきりと聞くことができるのを助けるために、音量を増加させるか、又はピッチを調整することによって応答することができる。
【0080】
別の態様では、外科的処置固有のフィルタリングを使用して、音声を特定の外科的処置に分離することができる。このタイプのフィルタリングは、リスク便益分析及び特定の外科的処置の履歴リスクの評価に基づいて決定され得る。例えば、特定の外科的処置が胆嚢切除術である場合、外科医73が患者の心拍数及び血圧に合わせて調整する必要性は比較的低い。手術中の合併症のリスクが低いことと組み合わせて外科的処置時間が短いことを前提とすると、拡張現実システム5400は、リスク評価計算の後、外科医73が可聴オーバーレイを必要とする理由がないと結論付けることができる。しかしながら、外科医73は、可聴オーバーレイ及び他の協働オーバーレイの存在を命じる拡張現実システム5400を無効にすることができる。
【0081】
別の態様では、可聴オーバーレイは、可聴式に相関付けられたフィードバックを特定の患者バイオマーカ5410データにオーバーレイすることを含み得る。バイオマーカ5410のデータは、患者の心拍であってもよく、患者の心拍の対応する可聴オーバーレイは、外科医73が聴診器を使用しているかのように患者の心臓を聞くことを可能にする。感知された神経刺激のオーバーレイを採用して、神経の近接及び過負荷を判定し得る。これは、可聴オーバーレイの音量及び周波数の両方を増加又は減少させて、外科医73が電気機器の位置を重要な神経と相関させることを可能にすることによって行うことができる。
【0082】
更に別の態様では、可聴オーバーレイは、外科医が物理的反応と歩調を合わせることを可能にするように、所定の鼓動/リズム5412をオーバーレイすることを含み得る。鼓動/リズム5412は更に、外科的処置又は患者から離れたキーリズムに合わせることができる。外科手術視野の外側にあるロボット外科用デバイスからの望ましくない組織接触の可聴表示。
【0083】
一態様では、本開示は、センサデバイス5402又は外科医73のいずれかによって検出された1つ以上の体性感覚信号に基づく体性感覚オーバーレイを提供する。いくつかの態様では、体性感覚信号は、例えば、センサデバイス5402によって受信され、フィルタ5404によってフィルタ処理され、増幅器5406によって増幅され得る。体性感覚信号は、本明細書に説明される可聴オーバーレイ及び/又は画像オーバーレイのうちのいずれかと協働する体性感覚オーバーレイとして採用され得る。
【0084】
一態様では、体性感覚信号は、主に無害な範囲内で、温度の絶対的及び相対的変化をコード化する、特定の温度受容器、又は他の非特殊化感覚受容器、又は感覚ニューロンの受容部分を直接刺激するために、外科医73によって受信される熱信号であり得る。外科用器具ハンドル又はハンドルの一部の温度の変化は、外科用器具ハンドルが、その外科用器具の関連構成要素の温度の代用として使用されることを可能にする。例えば、図9も参照すると、特定の電動式外科用ステープラ77において、モータ及びギアボックスは、外科用ステープラ77のハンドル内に位置する。これは、外科医73が外科用ステープラ77を保持し作動させるために使用するのと同じ領域である。この領域は、外科用ステープラ77が使用される際に温度が上昇する。温度は、外科用ステープラ77が外科的処置中に実行する必要がある作業に直接関連する。外科医73は、外科的処置中にこの温度上昇を感じることができる。外科医73は、この物理的温度データ入力を、外科用器具77がどのように動作しており、動作し続けるかの代用として使用することができる。ハンドルが熱くなりすぎて把持できなくなることは、外科用器具77が通常使用を超えて作動していることの明確な表示である。モータ加熱は、システムの最適性能を低下させ、この低下は、外科的処置の結果に直接影響を及ぼす可能性がある。例えば、外科用ステープラは、締め付けられたジョー内の組織を切断/ステープル留めすることができず、それにより、外科的処置を複雑にする場合がある。
【0085】
別の態様では、体性感覚信号は、OR環境における化学刺激に主に応答する特定の化学受容体を刺激し得る。これらは、外科医73の味覚及び嗅覚によって感知されてもよく、例えば、外科医73は、燃焼している電子機器の匂いを嗅ぎ、その結果と、必要に応じて外科用器具をオフにすることを示し得る。いくつかの態様では、体性感覚信号は、センサデバイス5402によって検出され得、その結果、可聴オーバーレイ及び/又は画像オーバーレイのうちのいずれか1つと協働して体性感覚オーバーレイを生成するために使用され得る。
【0086】
別の態様では、体性感覚信号は、とりわけ、主に接触、触覚、又は振動刺激に応答する特定の機械受容器を刺激し得る。一態様では、外科用器具の振動の機械的振動は、外科医73又はセンサデバイス5402のいずれかによって検出され得る。感知された機械的振動は、拡張現実システム5400によって使用されて、外科用器具77の現在の動き又は方向が、それに関連する最適でない結果をもたらし、したがって補正を必要とすることを示す。拡張現実システム5400は、現在の駆動/切断ストロークの終了時に、駆動が「通常外」であったことを示すように構成され得る。これは、外科用ステープラ77のジョーのクランプ力が範囲外であったこと、又は発射力が予想よりも高かったことの表示であり得る。これらの状態は、異なる表示を区別するために一連の触覚ブザーによって示され得る。一例では、外科用ステープラ77のストロークの終了時の振動は、外科用ステープラ77が示された方向にそれ以上移動できないことを示し得る。別の例では、ハンドルの振動は、エネルギーベースの外科用器具の「高温ブレード」が二次的な組織に接触し、よって、重要な構造を回避しようとしていることを示し得る。特定のタイプの振動は、ロボットアームが最大伸長状態にあることを示し得る。拡張現実システム5400は、触覚パルスシーケンスを提供して、最大値に達したことを外科医73に警告するように構成され得る。
【0087】
別の態様では、機械受容器は、外科用ステープラの作動力閾値の変動に応答し得る。作動力の変動は、この特定の時間に外科用ステープラ77を作動させることが望ましくないというフィードバックをユーザに提供する。例えば、外科用ステープラ77を用いてジョーを組織に最初にクランプする間、外科医73は、ジョー内の組織をどれだけ強くクランプするかを物理的に感じることができる。この直接的な物理的入力は、「測定された」値を表示するセンサ読み取り値とともに、この値に対して2つの異なる入力を与える。
【0088】
別の態様では、機械受容器が拡張可能な刺激要素に応答して、その制御を使用することが望ましくないことを示すことができる。伸長可能な部分は、単なる柱又はクリートではなく、異なる「感触」を提供する伸長可能なパターンであり得る。例えば、外科用ステープラ77のナイフが部分的に伸長され、外科医73が閉鎖システムを解放しようとし、伸長可能な要素が解放ボタン上で作動して、このとき又はこの順序で作動できないことを示す。伸長可能な部分は、単なる柱又はクリートではなく、異なる「感触」を提供する伸長可能なパターンであり得る。
【0089】
別の態様では、機械受容器は、力フィードバックに応答して、アクションが実行されることを無効にするか、又は禁止することができる。例えば、外科医73が外科用ステープラ77を発射しようと試みるとき、外科用ハブは、ジョー内に現在位置する異物を検出する。次に、外科医73が発射トリガを引き抜こうとすると、デバイスはトリガを押し戻し、外科医がトリガを押し下げることを不可能にする。
【0090】
別の態様では、複数の体性感覚出力の組合せを同時に使用して、相互に関連するデータフィードを通信し得る。当業者であれば、両方が同じ標準フィードバックモードを有する2つの別個の表示を区別する必要があることを理解するであろう。一態様では、1つのシステムフィードバックは、別のシステムの状態に基づいて、それが使用できないことを示し得る。別の態様では、バックライト付きLEDを制御装置内に配置して、機能の欠如を示し得る。LEDは、2つの別個の故障又は状態を明確に示すように構成されるべきである。更に、LEDシステムは、同時に作動される複数の同様のインジケータ間の衝突を解決するように構成される。力感知は、円形ステープラ又は直腸サイザを挿入するとき、ORアシスタントに提供され得る。
【0091】
別の態様では、OR内のディスプレイ67を使用して、故障又は表示を示し得る。オーバーレイは、キー表示情報と干渉することなく表示される。一態様では、オーバーレイ情報は、干渉を低減するために主ディスプレイ67の周囲の境界の周りに表示され、組織の識別情報とともに色を変更することができる。
【0092】
別の態様では、体性感覚オーバーレイは、例えば、器具衝突、切迫した不注意な組織接触の通知、隣接組織との高温器具接触、出力が明確に伝達されることを確実にするために振動と組み合わせられた加熱手袋、及び/又はサイクルの高度エネルギーデバイス完了などの、ARデバイス66触覚フィードバックに基づくデバイス相互作用のための代替フィードバックを含み得る。Yu et al.(Nature 575,473-479;2019)には、皮膚に付着して振動することができる着用可能な皮膚一体型技術が記載されている。これらのデバイスは、無線で電力供給及び制御される1.4g、12~18mmサイズのアクチュエータを含む。
【0093】
別の態様では、体性感覚オーバーレイは視覚フィードバックを含み得る。視覚フィードバック体性感覚オーバーレイは、高度エネルギーデバイスのサイクルの完了、システムの不適合組み付け、及び現在の構成における使用不能デバイスを示すために使用され得る。追加のオーバーレイは、スピーカを通じた可聴フィードバックを含む。手持ち式外科用器具及びロボット外科用器具のための安全なオーバーレイが提供され得る。
【0094】
図15は、外科的処置中に拡張オーバーレイを提示する方法5500を示す。図10及び図14も参照すると、方法5500によれば、撮像デバイス68は、外科的処置中に手術領域の実画像を補足する(5502)。捕捉された実画像に基づいて第1のデータフィードが生成される(5504)。第1のデータフィードは、ARデバイス66に提供される。センサデバイス5402は、第2のデータフィードを生成する(5506)。第2のデータフィードはまた、ARデバイス66に提供される。拡張現実ディスプレイ89を備えるARデバイス66は、第1及び第2のデータフィードに基づいて拡張オーバーレイを提示する(5508)。拡張オーバーレイは、視覚部分及び非視覚視覚部分とを含む。
【0095】
一態様では、方法5500によれば、センサデバイス5402は、音声5408、バイオマーカ5410、鼓動/リズム5412、熱刺激5414、化学刺激5416、又は機械刺激5418などの1つ以上のソースから、触覚信号、可聴信号、化学信号、又は熱信号を受信し得る。触覚信号、可聴信号、化学信号、又は熱信号、あるいはそれらの任意の組合せは、拡張オーバーレイの非視覚部分に結合される。
【0096】
一態様では、方法5500によれば、フィルタ5404は、センサデバイス5402によって受信された信号をフィルタリングすることができる。増幅器5406は、フィルタリングされた信号を増幅する。
【0097】
一態様では、方法5500によれば、ARデバイス66に連結されたディスプレイ67は、拡張オーバーレイを表示する。撮像モジュール38は第3のデータフィードを生成し、これは拡張オーバーレイと結合され、結合された拡張オーバーレイはディスプレイ67上に表示される。結合器64は、第3のデータフィードを拡張オーバーレイと結合する。外科用ハブ56は、拡張オーバーレイをディスプレイ67に通信する。
【0098】
状況認識は、データベース及び/又は器具から受信したデータから外科的処置に関連する情報を判定又は推測するための、外科システムのいくつかの態様の能力である。情報は、実行されている処置のタイプ、手術されている組織のタイプ、又は処置の対象である体腔を含むことができる。外科的処置に関するコンテキスト情報によると、外科システムは、例えば、外科システムが、それに接続されるモジュール式デバイス(例えば、ロボットアーム及び/又はロボット外科用ツール)を制御し、外科的処置の過程で外科医にコンテキスト化された情報又は提案を提供する様式で改善し得る。
【0099】
図16は、状況認識外科的処置のタイムラインを示す。図71は、例示的な外科的処置のタイムライン5200と、外科的処置の各ステップでデータソース5126から受信されたデータから外科用ハブ5104が導出することができるコンテキスト情報とを示す。タイムライン5200は、手術現場のセットアップで始まり、患者を術後回復室に移送することで終了する肺区域切除処置の過程中に、看護師、外科医及び他の医療従事者がとるであろう一般的なステップを示す。状況認識外科用ハブ5104は、外科的処置の過程全体にわたって、医療関係者が外科用ハブ5104とペアリングされたモジュール式デバイス5102を使用するたびに生成されるデータを含むデータを、データソース5126から受信する。外科用ハブ5104は、ペアリングされたモジュール式デバイス5102及び他のデータソース5126からこのデータを受信して、任意の所与の時間に処置のどのステップが行われているかなどの新しいデータが受信されると、進行中の処置に関する推定(すなわち、コンテキスト情報)を継続的に導出することができる。外科用ハブ5104の状況認識システムは、例えば、報告を生成するために処置に関するデータを記録すること、医療従事者によってとられているステップを検証すること、特定の処置ステップに関連し得るデータ又はプロンプトを(例えば、表示画面を介して)提供すること、コンテキストに基づいてモジュール式デバイス5102を調整する(例えば、モニタを起動する、医療用撮像デバイスのFOVを調整する、又は超音波外科用器具若しくはRF電気外科用器具のエネルギーレベルを変更する)こと、及び上述される任意の他のこうした動作を行うことが可能である。
【0100】
第1の5202では、病院職員は、病院のEMRデータベースから、患者のEMRを取り出す。EMRにおいて選択された患者データに基づいて、外科用ハブ5104は、実施される処置が胸部手術であることを判定する。
【0101】
第2の5204では、職員は、処置のために入来する医療用品をスキャンする。外科用ハブ5104は、スキャンされた物資を様々なタイプの処置において利用される物資のリストと相互参照し、物資の混合物が、胸部処置に対応することを確認する。更に、外科用ハブ5104はまた、処置が楔形切除術ではないと判定することができる(入来する用品が、胸部楔形切除術に必要な特定の用品を含まないか、又は別の点で胸部楔形切除術に対応していないかのいずれかであるため)。
【0102】
第3の5206では、医療従事者は、外科用ハブ5104に通信可能に接続されたスキャナ5128を介して患者バンドをスキャンする。次いで、外科用ハブ5104は、スキャンされたデータに基づいて患者の身元を確認することができる。
【0103】
第4の5208では、医療職員が補助装置をオンにする。利用されている補助機器は、外科的処置の種類、及び外科医が使用する技術に従って変動し得るが、この例示的なケースでは、排煙器、送気器及び医療用撮像デバイスが挙げられる。起動されると、モジュール式デバイス5102である補助装置は、その初期化プロセスの一部として、モジュール式デバイス5102の特定の近傍内に位置する外科用ハブ5104と自動的にペアリングすることができる。次いで、外科用ハブ5104は、この術前又は初期化段階中にそれとペアリングされるモジュール式デバイス5102の種類を検出することによって、外科的処置に関するコンテキスト情報を導出することができる。この特定の実施例では、外科用ハブ5104は、ペアリングされたモジュール式デバイス5102のこの特定の組合せに基づいて、外科的処置がVATS手術であると判定する。患者のEMRからのデータの組合せ、処置に用いられる医療用品のリスト、及びハブに接続するモジュール式デバイス5102の種類に基づいて、外科用ハブ5104は、外科チームが実施する特定の処置を概ね推定することができる。外科用ハブ5104が、何の特定の処置が行われているかを知ると、次いで外科用ハブ5104は、メモリから、又はクラウドからその処置のステップを読み出し、次いで接続されたデータソース5126(例えば、モジュール式デバイス5102及び患者モニタリングデバイス5124)からその後受信したデータを相互参照して、外科的処置のどのステップを外科チームが実行しているかを推定することができる。
【0104】
第5の5210では、職員は、EKG電極及び他の患者モニタリングデバイス5124を患者に取り付ける。EKG電極及び他の患者モニタリングデバイス5124は、外科用ハブ5104とペアリングすることができる。外科用ハブ5104が患者モニタリングデバイス5124からデータの受信を開始すると、外科用ハブ5104は患者が手術現場にいることを確認する。
【0105】
第6の5212では、医療関係者は患者において麻酔を誘発する。外科用ハブ5104は、例えば、EKGデータ、血圧データ、人工呼吸器データ又はこれらの組合せを含む、モジュール式デバイス5102、及び/又は患者モニタリングデバイス5124からのデータに基づいて、患者が麻酔下にあることを推測することができる。第6ステップ5212が完了すると、肺区域切除手術の術前部分が完了し、手術部が開始する。
【0106】
第7の5214では、手術されている患者の肺が虚脱される(換気が対側肺に切り替えられる間に)。外科用ハブ5104は、患者の肺が虚脱されたことを人工呼吸器データから推測することができる。外科用ハブ5104は、患者の肺が虚脱したのを検出したことを、処置の予期されるステップ(事前にアクセス又は読み出すことができる)と比較することができるため、処置の手術部分が開始したことを推定して、それによって肺を虚脱させることがこの特定の処置における第1の手術ステップであると判定することができる。
【0107】
第8の5216では、医療用撮像デバイス5108(例えば、スコープ)が挿入され、医療用撮像デバイスからのビデオ映像が開始される。外科用ハブ5104は、医療用撮像デバイスへの接続を通じて医療用撮像デバイスデータ(すなわち、静止画像データ又はリアルタイムのライブストリーミングビデオ)を受信する。医療用撮像デバイスデータを受信すると、外科用ハブ5104は、外科的処置の腹腔鏡部分が開始したことを判定することができる。更に、外科用ハブ5104は、行われている特定の処置が、肺葉切除術とは対照的に区域切除術であると判定することができる(処置の第2のステップ5204で受信したデータに基づいて、楔形切除術は外科用ハブ5104によって既に考慮に入れられていないことに留意されたい)。医療用撮像デバイス124(図2)からのデータを利用して、様々な方法で、例えば、患者の解剖学的構造の可視化に対して向けられている医療用撮像デバイスの角度を判定することによって、利用されている(すなわち、起動されており、外科用ハブ5104とペアリングされている)数又は医療用撮像デバイスを監視することによって、及び利用されている可視化装置の種類を監視することによって、行われている処置の種類に関するコンテキスト情報を判定することができる。
【0108】
例えば、VATS肺葉切除術を実行するための1つの技術は、カメラを患者の胸腔の前下方角部の横隔膜上方に配置するが、他方、VATS区域切除術を実行するための1つの技術は、カメラを、区域裂に対して前方の肋間位置に配置する。状況認識システムは、例えば、パターン認識技術又は機械学習技術を使用して、患者の解剖学的構造の可視化に従って、医療用撮像デバイスの位置を認識するように訓練することができる。別の例として、VATS肺葉切除術を実行するための1つの技術は、単一の医療用撮像デバイスを利用するが、VATS区域切除術を実行するための別の技術は複数のカメラを利用する。更に別の例として、VATS区域切除術を実行するための1つの技術は、区域裂を可視化するために赤外線光源(可視化システムの一部として外科用ハブへと通信可能に連結できる)を利用するが、これはVATS肺葉切除術では利用されない。医療用撮像デバイス5108からのこのデータのいずれか又は全てを追跡することによって、外科用ハブ5104は、行われている特定の種類の外科的処置、及び/又は特定の種類の外科的処置に使用されている技術を判定することができる。
【0109】
第9の5218では、外科チームは、処置の切開ステップを開始する。外科用ハブ5104は、エネルギー器具が発射されていることを示すRF又は超音波発生器からのデータを受信するため、外科医が患者の肺を切開して分離するプロセスにあると推定することができる。外科用ハブ5104は、受信したデータを外科的処置の読み出しされたステップと相互参照して、プロセスのこの時点(すなわち、上述された処置のステップが完了した後)で発射されているエネルギー器具が切開ステップに対応していると判定することができる。
【0110】
第10のステップ5220では、外科チームは、処置の結紮ステップに進む。外科用ハブ5104は、器具が発射されていることを示すデータを外科用ステープル留め及び切断器具から受信するため、外科医が動脈及び静脈を結紮していると推定することができる。前ステップと同様に、外科用ハブ5104は、外科用ステープル留め及び切断器具からのデータの受信を、読み出しされたプロセス内のステップと相互参照することによって、この推定を導出することができる。
【0111】
第11のステップ5222では、処置の区域切除術の部分が行われる。外科用ハブ5104は、ステープルカートリッジからのデータを含む、外科用器具からのデータに基づいて、外科医が実質組織を横切開していると推定する。カートリッジデータは、例えば、器具によって発射されているステープルのサイズ又はタイプに対応し得る。カートリッジデータは、異なるタイプの組織に利用される異なるタイプのステープルに対して、ステープル留め及び/又は横切開されている組織のタイプを示し得る。発射されているステープルのタイプは実質組織又は他の同様の組織タイプに利用され、外科用ハブ5104は、区域切除処置が行われていると推定することができる。
【0112】
続いて第12のステップ5224で、結節切開ステップが行われる。外科用ハブ5104は、RF又は超音波器具が発射されていることを示す、発生器から受信したデータに基づいて、外科チームが結節を切開し、漏れ試験を行っていると推定することができる。この特定の処置の場合、実質組織が横切開された後に利用されるRF又は超音波器具は結節切開ステップに対応しており、これにより外科用ハブ5104がこの推定を行うことができる。異なる器具が特定のタスクに対してより良好に適合するので、外科医が、処置中の特定のステップに応じて、手術用ステープリング/切断器具と手術用エネルギー(すなわち、RF又は超音波)器具とを、定期的に交互に切り替えることに留意されたい。したがって、ステープル留め器具/切断器具及び手術用エネルギー器具が使用される特定のシーケンスは、外科医が処置のどのステップを実行しているかを示すことができる。第12のステップ5224が完了すると、切開部が閉鎖され、処置の術後部分が開始する。
【0113】
第13のステップ5226では、患者の麻酔を解く。外科用ハブ5104は、例えば、ベンチレータデータに基づいて(すなわち、患者の呼吸速度が増加し始める)、患者が麻酔から覚醒しつつあると推定することができる。
【0114】
最後に、第14の5228では、医療従事者が患者から様々な患者モニタリングデバイス5124を除去する。したがって、外科用ハブ5104は、ハブがEKG、BP、及び患者モニタリングデバイス5124からの他のデータを喪失したとき、患者が回復室に移送されていると推定することができる。外科用ハブ5104と通信可能に連結された各種データソース5126から受信したデータに従って、外科用ハブ5104は、所与の外科的処置の各ステップが発生しているときを判定又は推定することができる。
【0115】
図16に示されるタイムライン5200の第1のステップ5202に示されるように、EMRデータベース(複数の場合もある)からの患者データを利用して、行われる外科的処置のタイプを推定することに加えて、患者データはまた、状況認識外科用ハブ5104によって利用されて、ペアリングされたモジュール式デバイス5102の制御調整を生成することができる。
【0116】
本明細書に記載される主題の様々な追加的態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
【0117】
実施例1:外科的処置中に使用するための拡張現実ディスプレイシステムであって、外科的処置中に手術領域の実画像を捕捉し、第1のデータフィードを生成する撮像デバイスと、第2のデータフィードを生成するセンサデバイスと、第1のデータフィード及び第2のデータフィードに基づいて、視覚部分及び非視覚視覚部分を含む拡張オーバーレイを生成する拡張現実ディスプレイを備える拡張現実デバイスと、プロセッサであって、第1のデータフィードを生成し、第2のデータフィードを受信し、第1のデータフィードと第2のデータフィードとを結合して拡張オーバーレイを生成する、プロセッサと、を備える拡張現実ディスプレイシステム。
【0118】
実施例2:拡張オーバーレイの視覚部分は、複数の協働画像ディスプレイを備える、実施例1に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【0119】
実施例3:複数の協働画像ディスプレイは、互いに直列に機能する、実施例2に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【0120】
実施例4:複数の協働画像ディスプレイは、独立して位置する、実施例2~3のいずれか1つに記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【0121】
実施例5:拡張オーバーレイの非視覚部分は、触覚的、可聴式、化学的、若しくは熱的、又はそれらの任意の組合せである、実施例1~4のいずれか1つに記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【0122】
実施例6:センサデバイスと拡張現実デバイスとの間にフィルタを備える、実施例1~4のいずれか1つに記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【0123】
実施例7:フィルタと拡張現実デバイスとの間に増幅器を備える、実施例6に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【0124】
実施例8:拡張現実デバイスは、拡張オーバーレイの非視覚部分のためのデータフィードを生成する、センサ、スピーカ、若しくは触覚コントローラ、又はそれらの組合せを備える、実施例1~7のいずれか1つに記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【0125】
実施例9:拡張現実デバイスに連結されたディスプレイを備える、実施例1~8のいずれか1つに記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【0126】
実施例10:第3のデータフィードを生成する撮像モジュールを備え、第3のデータフィードは、拡張オーバーレイと結合され、ディスプレイ上に表示される、実施例9に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【0127】
実施例11:第3のデータフィードを拡張オーバーレイと結合する結合器を備える、実施例10に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【0128】
実施例12:結合器とディスプレイとの間に外科用ハブを備え、外科用ハブは、拡張オーバーレイをディスプレイに通信する、実施例11に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【0129】
実施例13:外科的処置中に拡張オーバーレイを提示する方法であって、撮像デバイスによって、外科的処置中に手術領域の実画像を捕捉することと、撮像デバイスによって、捕捉された実画像に基づいて第1のデータフィードを生成することと、センサデバイスによって、第2のデータフィードを生成することと、拡張現実ディスプレイを備える拡張現実デバイスによって、第1のデータフィード及び第2のデータフィードに基づいて、視覚部分及び非視覚視覚部分を含む拡張オーバーレイを提示することと、を含む、方法。
【0130】
実施例14:センサデバイスから、触覚信号、可聴信号、化学信号、若しくは熱信号、又はそれらの任意の組合せを受信することと、触覚信号、可聴信号、化学信号、若しくは熱信号、又はそれらの任意の組合せを拡張オーバーレイの非視覚部分に結合することと、を含む、実施例13に記載の方法。
【0131】
実施例15:フィルタによって、センサデバイスによって受信された信号をフィルタリングすることを含む、実施例13~14のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
実施例16:増幅器によって、フィルタリングされた信号を増幅することを含む、実施例15に記載の方法。
【0133】
実施例17:拡張現実デバイスに連結されたディスプレイに、拡張オーバーレイを表示することを含む、実施例13~17のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
実施例18:撮像モジュールによって、第3のデータフィードを生成することと、第3のデータフィードを拡張オーバーレイと結合することと、ディスプレイに、結合された拡張オーバーレイを表示することと、を含む、実施例17に記載の方法。
【0135】
実施例19:結合器によって、第3のデータフィードを拡張オーバーレイと結合することを含む、実施例18に記載の方法。
【0136】
実施例20:外科用ハブによって、拡張オーバーレイをディスプレイに通信することを含む、実施例19に記載の方法。
【0137】
いくつかの形態が示され説明されてきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限又は限定することは、本出願人が意図するところではない。多くの修正、変形、変更、置換、組合せ、及びこれらの形態の等価物を実装することができ、本開示の範囲から逸脱することなく当業者により想到されるであろう。更に、記述する形態に関連した各要素の構造は、その要素によって実施される機能を提供するための手段として代替的に説明することができる。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明文及び添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、組合せ、及び変形を、開示される形態の範囲に含まれるものとして網羅することを意図としたものである点を理解されたい。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、変形、変更、置換、修正、及び等価物を網羅することを意図する。
【0138】
上記の詳細な説明は、ブロック図、フロー図及び/又は実施例を用いて、装置及び/又はプロセスの様々な形態について記載してきた。そのようなブロック図、フロー図及び/又は実施例が1つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、当業者に理解されたいこととして、そのようなブロック図、フロー図及び/又は実施例に含まれる各機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの事実上の任意の組合せによって、個々にかつ/又は集合的に実装することができる。当業者には、本明細書で開示される形態のうちのいくつかの態様の全部又は一部が、1台以上のコンピュータ上で稼働する1つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1つ以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ以上のプログラムとして)、1つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ以上のプログラムとして(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、又はこれらの実質的に任意の組合せとして集積回路上で等価に実装することができ、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれることが理解されよう。加えて、当業者には理解されることとして、本明細書に記載した主題の機構は、多様な形態で1つ以上のプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載した主題の具体的な形態は、配布を実際に実行するために使用される信号搬送媒体の特定のタイプにかかわらず適用される。
【0139】
様々な開示された態様を実施するように論理をプログラムするために使用される命令は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、キャッシュ、フラッシュメモリ又は他のストレージなどのシステム内メモリに記憶され得る。更に、命令は、ネットワークを介して、又は他のコンピュータ可読媒体によって配布され得る。したがって、機械可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で情報を記憶又は送信するための任意の機構が挙げられ得るが、フロッピーディスケット、光ディスク、コンパクトディスク、読み出し専用メモリ(CD-ROM)、並びに磁気光学ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、磁気若しくは光カード、フラッシュメモリ又は、電気的、光学的、音響的、若しくは他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)を介してインターネットを介した情報の送信に使用される有形機械可読ストレージに限定されない。したがって、非一時的コンピュータ可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で電子命令又は情報を記憶又は送信するのに好適な任意のタイプの有形機械可読媒体が挙げられる。
【0140】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「制御回路」という用語は、例えば、ハードワイヤード回路、プログラマブル回路(例えば、1つ以上の個々の命令処理コアを含むコンピュータプロセッサ、処理ユニット、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコントローラユニット、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブル論理装置(PLD)、プログラマブル論理アレイ(PLA)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、状態機械回路、プログラマブル回路によって実行される命令を記憶するファームウェア、及びこれらの任意の組合せを指すことができる。制御回路は、集合的に又は個別に、例えば、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォンなどの、より大きなシステムの一部を形成する回路として具現化され得る。したがって、本明細書で使用されるとき、「制御回路」は、少なくとも1つの個別の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムによって構成された汎用コンピューティング装置(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成された汎用コンピュータ、又は本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリ装置(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)を形成する電気回路及び/又は通信装置(例えばモデム、通信スイッチ、又は光-電気設備)を形成する電気回路を含むが、これらに限定されない。当業者は、本明細書で述べた主題が、アナログ形式若しくはデジタル形式、又はこれらのいくつかの組合せで実装されてもよいことを認識するであろう。
【0141】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「論理」という用語は、前述の動作のいずれかを実施するように構成されたアプリケーション、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は回路を指し得る。ソフトウェアは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット、及び/又はデータとして具現化されてもよい。ファームウェアは、メモリ装置内のコード、命令、若しくは命令セット、及び/又はハードコードされた(例えば、不揮発性の)データとして具現化されてもよい。
【0142】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「構成要素」、「システム」、「モジュール」等という用語は、制御回路、コンピュータ関連エンティティ、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組合せ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアのいずれかを指すことができる。
【0143】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「アルゴリズム」とは、所望の結果につながるステップの自己無撞着シーケンスを指し、「ステップ」とは、必ずしも必要ではないが、記憶、転送、組合せ、比較、及び別様に操作されることが可能な電気信号又は磁気信号の形態をとることができる物理量及び/又は論理状態の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、番号などとして言及することが一般的な扱い方である。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、また単に、これらの量及び/又は状態に適用される便利な標識である。
【0144】
ネットワークとしては、パケット交換ネットワークが挙げられ得る。通信デバイスは、選択されたパケット交換ネットワーク通信プロトコルを使用して、互いに通信することができる。1つの例示的な通信プロトコルとしては、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)を使用して通信を可能にすることができるイーサネット通信プロトコルを挙げることができる。イーサネットプロトコルは、Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)によって発行された2008年12月発行の表題「IEEE802.3 Standard」、及び/又は本規格の後のバージョンのイーサネット規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信デバイスは、X.25通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。X.25通信プロトコルは、International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector(ITU-T)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信デバイスは、フレームリレー通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。フレームリレー通信プロトコルは、Consultative Committee for International Telegraph and Telephone(CCITT)及び/又はthe American National Standards Institute(ANSI)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、送受信機は、非同期転送モード(ATM)通信プロトコルを使用して互いに通信することが可能であり得る。ATM通信プロトコルは、ATM Forumによって「ATM-MPLS Network Interworking 2.0」という題で2001年8月に公開されたATM規格及び/又は本規格の後のバージョンに準拠するか、又は互換性があり得る。当然のことながら、異なる及び/又は後に開発されたコネクション型ネットワーク通信プロトコルは、本明細書で等しく企図される。
【0145】
別段の明確な定めがない限り、前述の開示から明らかなように、前述の開示全体を通じて、「処理すること(processing)」、「計算すること(computing)」、「算出すること(calculating)」、「判定すること(determining)」、「表示すること(displaying)」などの用語を使用する考察は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理(電子的)量として表現されるデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ又は他のそのような情報記憶、伝送、若しくはディスプレイデバイス内で物理量として同様に表現される他のデータへと操作し変換する、コンピュータシステム又は類似の電子計算装置のアクション及び処理を指していることが理解されよう。
【0146】
1つ以上の構成要素が、本明細書中で、「ように構成されている(configured to)」、「ように構成可能である(configurable to)」、「動作可能である/ように動作する(operable/operative to)」、「適合される/適合可能である(adapted/adaptable)」、「ことが可能である(able to)」、「準拠可能である/準拠する(conformable/conformed to)」などと言及され得る。当業者は、「ように構成されている」は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、アクティブ状態の構成要素及び/又は非アクティブ状態の構成要素及び/又はスタンバイ状態の構成要素を包含し得ることを理解するであろう。
【0147】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的用語が、本明細書において図面に対して使用され得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0148】
当業者は、一般に、本明細書で使用され、かつ特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「オープンな」用語として意図されるものである(例えば、「含む(including)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は「~を少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「~を含むが、それらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)ことを理解するであろう。更に、導入された請求項記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、かかる意図は当該請求項中に明確に記載され、またかかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ以上の(one or more)」という導入句を、請求項記載を導入するために含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞によって請求項記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句及び「a」又は「an」という不定冠詞が含まれる場合であっても、かかる導入された請求項記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つのみ含む請求項に限定されると示唆されるものと解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)。定冠詞を使用して請求項記載を導入する場合にも、同様のことが当てはまる。
【0149】
加えて、導入された請求項記載において特定の数が明示されている場合であっても、かかる記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが、当業者には認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、一般的に、少なくとも2つの記載事項、又は2つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が使用される場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。「A、B又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。更に、典型的には、2つ以上の選択的な用語を表すあらゆる選言的な語及び/又は句は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、明細書内であろうと、請求の範囲内であろうと、あるいは図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0150】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、様々な動作のフロー図がシーケンス(複数可)で示されているが、様々な動作は、示されたもの以外の順序で実施されてもよく、又は同時に実施されてもよいことが理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、重複、交互配置、割り込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆又は他の異なる順序付けを含んでもよい。更に、「~に応答する(responsive to)」、「~に関連する(related to)」といった用語、又は他の過去時制の形容詞は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、かかる変化形を除外することが意図されるものではない。
【0151】
「一態様」、「態様」、「例示」、「一例示」などへの任意の参照は、その態様に関連して記載される特定の特徴部、構造又は特性が少なくとも1つの態様に含まれると意味することは特記に値する。したがって、本明細書の全体を通じて様々な場所に見られる語句「一態様では」、「態様では」、「例示では」及び「一例示では」は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の態様において任意の好適な様態で組み合わせることができる。
【0152】
本明細書で参照され、かつ/又は任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、又は他の開示資料は、組み込まれる資料が本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾するあらゆる内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0153】
要約すると、本明細書に記載した構想を用いる結果として得られる多くの利益が記載されてきた。1つ以上の形態の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。1つ以上の形態は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な修正例とともに、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用することを可能にするようにするために、選択及び記載されたものである。本明細書とともに提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0154】
〔実施の態様〕
(1) 外科的処置中に使用するための拡張現実ディスプレイシステムであって、
前記外科的処置中に手術領域の実画像を捕捉し、第1のデータフィードを生成する撮像デバイスと、
第2のデータフィードを生成するセンサデバイスと、
前記第1のデータフィード及び前記第2のデータフィードに基づいて、視覚部分及び非視覚視覚部分を含む拡張オーバーレイを生成する拡張現実ディスプレイを備える拡張現実デバイスと、
プロセッサであって、
前記第1のデータフィードを受信し、
前記第2のデータフィードを受信し、
前記第1のデータフィードと前記第2のデータフィードとを結合して前記拡張オーバーレイを生成する、プロセッサと、を備える拡張現実ディスプレイシステム。
(2) 前記拡張オーバーレイの前記視覚部分は、複数の協働画像ディスプレイを備える、実施態様1に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
(3) 前記複数の協働画像ディスプレイは、互いに直列に機能する、実施態様2に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
(4) 前記複数の協働画像ディスプレイは、独立して位置する、実施態様2に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
(5) 前記拡張オーバーレイの前記非視覚部分は、触覚的、可聴式、化学的、若しくは熱的、又はそれらの任意の組合せである、実施態様1に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【0155】
(6) 前記センサデバイスと前記拡張現実デバイスとの間にフィルタを備える、実施態様1に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
(7) 前記フィルタと前記拡張現実デバイスとの間に増幅器を備える、実施態様6に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
(8) 前記拡張現実デバイスは、前記拡張オーバーレイの前記非視覚部分のためのデータフィードを生成する、センサ、スピーカ、若しくは触覚コントローラ、又はそれらの組合せを備える、実施態様1に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
(9) 前記拡張現実デバイスに連結されたディスプレイを備える、実施態様1に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
(10) 第3のデータフィードを生成する撮像モジュールを備え、前記第3のデータフィードは、前記拡張オーバーレイと結合され、前記ディスプレイ上に表示される、実施態様9に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【0156】
(11) 前記第3のデータフィードを前記拡張オーバーレイと結合する結合器を備える、実施態様10に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
(12) 前記結合器と前記ディスプレイとの間に外科用ハブを備え、前記外科用ハブは、前記拡張オーバーレイを前記ディスプレイに通信する、実施態様11に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
(13) 外科的処置中に拡張オーバーレイを提示する方法であって、
撮像デバイスによって、前記外科的処置中に手術領域の実画像を捕捉することと、
前記撮像デバイスによって、前記捕捉された実画像に基づいて第1のデータフィードを生成することと、
センサデバイスによって、第2のデータフィードを生成することと、
拡張現実ディスプレイを備える拡張現実デバイスによって、前記第1のデータフィード及び前記第2のデータフィードに基づいて、視覚部分及び非視覚視覚部分を含む拡張オーバーレイを提示することと、を含む、方法。
(14) 前記センサデバイスから、
触覚信号、
可聴信号、
化学信号、又は
熱信号、を受信することと、
前記触覚信号、前記可聴信号、前記化学信号、若しくは前記熱信号、又はそれらの任意の組合せを前記拡張オーバーレイの前記非視覚部分に結合することと、を含む、実施態様13に記載の方法。
(15) フィルタによって、前記センサデバイスによって受信された信号をフィルタリングすることを含む、実施態様13に記載の方法。
【0157】
(16) 増幅器によって、前記フィルタリングされた信号を増幅することを含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記拡張現実デバイスに連結されたディスプレイに、前記拡張オーバーレイを表示することを含む、実施態様13に記載の方法。
(18) 撮像モジュールによって、第3のデータフィードを生成することと、
前記第3のデータフィードを前記拡張オーバーレイと結合することと、
前記ディスプレイ上に、前記結合された拡張オーバーレイを表示することと、を含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 結合器によって、前記第3のデータフィードを前記拡張オーバーレイと結合することを含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 外科用ハブによって、前記拡張オーバーレイを前記ディスプレイに通信することを含む、実施態様19に記載の方法。
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【国際調査報告】