(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】セシウムイオンまたはルビジウムイオンを含むビスフルオロスルホニルイミドリチウム塩
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0567 20100101AFI20240327BHJP
【FI】
H01M10/0567
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562961
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 KR2022005302
(87)【国際公開番号】W WO2022220554
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0047395
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523386784
【氏名又は名称】イーピー ケミテック カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EP CHEMTECH CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】リ,ソン ホ
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AK03
5H029AL07
5H029AM03
5H029AM07
5H029CJ08
5H029CJ11
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ14
(57)【要約】
本発明は、Cs+イオン及びRb+イオンからなるグループで選択される1種以上とビスフルオロスルホニルイミドリチウム塩を含む電解液添加剤用組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cs
+イオン及びRb
+イオンからなるグループで選択される1種以上を含むビスフルオロスルホニルイミドリチウム塩。
【請求項2】
Cs
+イオン及びRb
+イオンからなるグループで選択される1種以上を0超過~100,000重量ppm以下含む、請求項1に記載のビスフルオロスルホニルイミドリチウム塩。
【請求項3】
Cs
+イオン及びRb
+イオンからなるグループで選択される1種以上とビスフルオロスルホニルイミドリチウム塩を含む、電解液添加剤用組成物。
【請求項4】
Cs
+イオン及びRb
+イオンからなるグループで選択される1種以上を0超過~100,000重量ppm以下含む、請求項3に記載の電解液添加剤用組成物。
【請求項5】
溶媒下で化学式1の化合物とリチウム塩をイオン交換反応させる時、セシウム塩またはルビジウム塩を添加することを特徴とする、Cs
+イオン及びRb
+イオンからなるグループで選択される1種以上を含む、ビスフルオロスルホニルイミドリチウム塩製造方法。
【化1】
化学式1において、M
1
+は、H、Na、K、Ca、Zn、Cs、RbまたはN、またはSを含むオニウムイオンで、イオン添加剤(Additive)はセシウム塩またはルビジウム塩である。
化学式2において、M
2
+は、Liイオンと、Cs及びRbで選択される1種以上のイオンである。
【請求項6】
溶媒含有LiFSI溶液にセシウム塩またはルビジウム塩を添加して撹拌することを特徴とするCs
+イオン及びRb
+イオンからなるグループで選択される1種以上を含むビスフルオロスルホニルイミドリチウム塩の製造方法。
【請求項7】
前記リチウム塩は、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化リチウム水和物(LiOH・H
2O)、Li
2CO
3、LiNH
2、LiHCO
3、BuLi、LiF、LiCl、LiBr、LiIまたはLiClO
4である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
前記セシウム塩は、CsF、CsCl、CsBr、CsI、CsCN、CsClO
4、CsH、CsNO
3、CsOH、Cs
2CO
3、CsHCO
3、Cs
2SO
4、Cs
2S、CsC
2H
3O
2、Cs
2OまたはCsHSO
4で、前記ルビジウム塩は、RbF、RbCl、RbBr、RbI、RbCN、RbClO
4、RbH、RbNO
3、RbOH、Rb
2CO
3、RbHCO
3、Rb
2SO
4、Rb
2S、RbC
2H
3O
2、Rb
2OまたはRbHSO
4である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項9】
前記セシウム塩は、CsF、CsCl、CsBr、CsI、CsCN、CsClO
4、CsH、CsNO
3、CsOH、Cs
2CO
3、CsHCO
3、Cs
2SO
4、Cs
2S、CsC
2H
3O
2、Cs
2OまたはCsHSO
4で、前記ルビジウム塩は、RbF、RbCl、RbBr、RbI、RbCN、RbClO
4、RbH、RbNO
3、RbOH、Rb
2CO
3、RbHCO
3、Rb
2SO
4、Rb
2S、RbC
2H
3O
2、Rb
2OまたはRbHSO
4である、請求項6に記載の製造方法。
【請求項10】
溶媒は、水と、アルコール系と、炭化水素系と、炭化水素系と、アセテート系と、メチレンクロライドと、クロロホルムと、エーテル系と、環状カーボネート系と、アセトニトリルと、線形カーボネート系と、グリコール類とからなる群から選択される1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項11】
溶媒は、水と、アルコール系と、炭化水素系と、炭化水素系と、アセテート系と、メチレンクロライドと、クロロホルムと、エーテル系と、環状カーボネート系と、アセトニトリルと、線形カーボネート系と、及びグリコール類とからなる群から選択される1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
【請求項12】
反応温度は‐50℃ ~100℃である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項13】
反応温度は‐50℃ ~100℃である、請求項6に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池電解液に使われるビスフルオロスルホニルイミドリチウム塩に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、中大型製品と係る二次電池産業の需要が増加し、バッテリーの出力と安全に対する重要性が絶えずに台頭している。また、バッテリー寿命に対する関心も高いしかなく、バッテリーの安定性と寿命は他の要素の影響も受けるが、SEI(solid electrolyte interphase)膜の影響を大きく受ける。
【0003】
負極に形成されるSEI膜は、イオントンネルの役目を遂行してリチウムイオンのみを通過させる。SEI膜は、このようなイオントンネルの効果として、電解液の中でリチウムイオンと共に移動する分子量が大きい有機溶媒分子が負極活物質の層間に挿入されて負極構造が破壊されることを阻んでくれる。よって、電解液と負極活物質との接触を防止することで電解液の分解が発生せず、電解液中のリチウムイオンの量が可逆的に維持されて安定的な充放電が維持される。
【0004】
電解液の一成分としてLiFSI(lithium salt of bisfluorosulfonylimide)は、電極表面に効果的なSEI(solid electrolyte interphase)層を形成させ、よってLiFSIは既存のリチウム塩が持つ寿命、出力、安定性の問題点を解消して改善させる機能の側面で大きい長所を持っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のLiFSIはSEI膜の形成及び寿命と出力など電気的特性を向上させるのにその限界がある。このような理由により、電解液に別途SEI膜改善添加剤を使うしかなく、工程が複雑になり、電解液の原価が増加する問題がある。
【0006】
本発明は、リチウム電池の正極または負極の表面に薄くて安定したSEI膜を生成させるのに役立つことができる、改善されたLiFSI塩を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、Cs+イオン及びRb+イオンからなるグループで選択される1種以上を含むビスフルオロスルホニルイミドリチウム塩を提供する。
【0008】
また、本発明は、Cs+イオン及びRb+イオンからなるグループで選択される1種以上及びビスフルオロスルホニルイミドリチウム塩を含む電解液添加剤用組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施例によって製造されたビスフルオロスルホニルイミドリチウム塩(LiFSI)またはLiFSI含有組成物は、電解液に添加されて使用時にリチウム電池の正極と負極で薄くて安定したSEI膜を形成させる機能を含んでおり、その結果、リチウム電池の高温及び低温出力が向上されて電池寿命と安定性を高める効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】セシウムイオン5,000重量ppmを含有するLiFSIを含む電池の出力評価結果である。
【
図2】ルビジウムイオン6,000重量ppmを含有するLiFSIを含む電池の出力評価結果である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳しく説明する。本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は、通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈しなければならない。
【0012】
本発明者らは、従来のLiFSIが形成させるSEI膜をもっと薄くて安定的に形成させることができるという可能性を認識して、これを解決しようと努力し、Cs+イオン及び/またはRb+イオンを含むLiFSI、またはLiFSIと共にCs+イオン及び/またはRb+イオンを含む組成物を使う場合、リチウム電池の正極または負極の表面にもっと薄くて安定したSEI(solid electrolyte interphase)膜を形成してバッテリーの寿命と出力を改善することができることを確認して本発明を完成した。
【0013】
本発明は、リチウム電池電解液の添加剤として使われるCs+はイオン及び/またはRb+イオンを含むLiFSI、またはLiFSIと共にCs+イオン及び/またはRb+イオンを含む電解液添加剤用組成物を提供する。
【0014】
本発明のCs+イオン及び/またはRb+イオンを含むLiFSI、またはLiFSIと共にCs+イオン及び/またはRb+イオンを含む組成物において、Cs+イオン及び/またはRb+イオンは、好ましくは0超過~100,000重量ppm以下含むことができ、より好ましくは5~10,000重量ppm含むことができる。Cs+イオン及び/またはRb+イオンが前記含有量で含まれるLiFSIが電解液添加剤で使われた場合、電池にもっと安定したSEI膜を形成することができる。
【0015】
本発明のCs+イオン及び/またはRb+イオンを含むLiFSIまたはLiFSI含有組成物は、これに限定されるものではないが、下記反応式1の方法で製造されることができる。すなわち、本発明のCs+イオン及び/またはRb+イオンを含むLiFSIは、溶媒下で化学式1の化合物とリチウム塩をイオン交換反応させる時にセシウム塩またはルビジウム塩を添加して製造することができる。
【0016】
【0017】
化学式1において、M1
+は、H、Na、K、Ca、Zn、Cs、RbまたはN、またはSを含むオニウムイオンで、イオン添加剤(Additive)はセシウム塩またはルビジウム塩である。
【0018】
化学式2において、M2
+は、Liイオンと、Cs及びRbで選択される1種以上のイオンである。
【0019】
本発明のセシウム及び/またはルビジウムイオン含有LiFSIは、ビスフルオロスルホニルイミドまたはビスフルオロスルホニルの塩(リチウム塩を除く)とリチウム塩とを反応させて陽イオン置換反応によってLiFSIを製造する時、別途添加剤でセシウム塩及び/またはルビジウム塩を添加する場合、最終的にセシウムイオン及び/またはルビジウムイオンを含むLiFSIを製造することができる。
【0020】
本発明のセシウム及び/またはルビジウムイオン含有LiFSIまたはLiFSI含有組成物は、溶媒含有LiFSI溶液にセシウム塩またはルビジウム塩を添加して撹拌することを特徴とする、Cs+イオン及びRb+イオンからなるグループで選択される1種以上を含む方法で製造することができる。
【0021】
前記NまたはSを含むオニウムイオンは、好ましくはNH4
+イオンである。
【0022】
前記リチウム塩は、水酸化リチウム(LiOH)、この水和物(LiOH・H2O)、Li2CO3、LiNH2、LiHCO3、BuLi、LiF、LiCl、LiBr、LiIまたはLiClO4であってもよい。前記リチウム塩は、好ましくは商業的に有用で安定性が高い水酸化リチウム(Lithium hydroxide)である。
【0023】
前記セシウム塩は、CsF、CsCl、CsBr、CsI、CsCN、CsClO4、CsH、CsNO3、CsOH、Cs2CO3、CsHCO3、Cs2SO4、Cs2S、CsC2H3O2、Cs2OまたはCsHSO4であってもよい。前記セシウム塩は好ましくは商業的に有用で安定性が高い水酸化セシウム(Cesium hydroxide)である。
【0024】
前記ルビジウム塩は、RbF、RbCl、RbBr、RbI、RbCN、RbClO4、RbH、RbNO3、RbOH、Rb2CO3、RbHCO3、Rb2SO4、Rb2S、RbC2H3O2、Rb2OまたはRbHSO4であってもよい。前記ルビジウム塩は好ましくは商業的に有用で安定性が高い水酸化ルビジウム(Rubidium hydroxide)である。
【0025】
前記イオン交換反応またはセシウム塩及び/またはルビジウム塩添加反応は、LiFSIを溶解させることができる溶媒下で行われることができる。
【0026】
前記溶媒は、水と、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系と、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、サイクロヘキサンなどの炭化水素系と、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系と、アセトンと、メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテートなどのアセテート系と、メチレンクロライドと、クロロホルムと、ジイソプロピルエーテル、メチル‐t‐ブチルエーテル、1,2‐ジメトキシエタン(1,2‐Dimethoxyethane)などのエーテル系と、エチレンカーボネート、1,2‐ブチレンカーボネート、2,3‐ブチレンカーボネート、1,2‐ペンチレンカーボネート、2,3‐ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネートと、フルオロエチレンカーボネート(FEC)からなる群から選択される少なくとも一つ以上の環状カーボネート系と、アセトニトリルと、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネートなどの線形カーボネート系と、エチレングリコール、プロピレングリコール及びブチレングリコールなどのグリコール類とを挙げることができ、これらは1種単独で、または2種以上の組み合わせで使われることができる。
【0027】
反応溶媒は、好ましくは1,2‐ジメトキシエタン(1,2‐Dimethoxyethane)、ブチルアセテート、アセトニトリル、水またはこれらの混合物であってもよい。
【0028】
溶媒は、M1FSIまたはM2FSI 1g当たり10~50mL使うことができ、好ましくは15~40mL使うことができる。溶媒が前記含有量で使われる場合、反応物を充分溶解させて反応を進めることができる。
【0029】
本発明の一実施形態において、前記リチウム塩は前記ビスフルオロスルホニルイミド塩の反応当量比基準0.5当量以上2当量以下であってもよく、好ましくは1当量以上1.5当量以下であってもよい。
【0030】
リチウム塩を前記当量範囲で含む場合、追って進行される精製過程で収率を高めることができ、反応が完了した後、残余物が残らなくて純度を高める優れる効果を有することができる。
【0031】
イオン交換反応またはLiFSIに添加されるセシウム塩またはルビジウム塩は、最終LiFSI塩またはLiFSI含有組成物において、Cs+イオン及び/またはRb+イオンが0超過100,000重量ppm含まれるように加えられる。
【0032】
本発明の一実施形態において、前記ビスフルオロスルホニルイミド塩とリチウム塩を反応する段階で生成される未反応物、副反応物、そして、その他異物などを取り除くために、ろ過または精製段階をさらに含むことができる。
【0033】
LiFSIの精製のために水酸化セシウム水溶液などを使うことができ、その場合、LiFSIの経時変化を引き起こすおそれがある酸副生成物などを取り除くことができる。
【0034】
本発明の一実施形態において、反応温度は‐50℃~100℃、好ましくは‐20℃~50℃、より好ましくは‐10℃~30℃以下であってもよい。
【0035】
反応温度が前記範囲を有する場合、副生成物の抑制を防止することができ、製品の色相変化を防止することができる効果を有する。また、ろ液を濃縮して濃縮物を形成する段階で、高価の装備であるシーン‐フィルム濃縮機(Thin‐film evaporator)を使わずに容易に結晶化することができ、これは本発明の一実施形態による長所と見られる。
【0036】
(発明を実施するための形態)
以下、本発明の好ましい一実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0037】
<実施例1‐1:Cs+イオンを含むLiFSIの混合溶媒での製造方法>
反応器にNH4FSI 10g(0.05mole)、ブチルアセテート(Butyl acetate)20ml、蒸溜水10mlを入れて完全に溶解させた後、0℃まで冷却させる。冷却された反応器に水酸化セシウム一水和物0.05gを入れて30分間常温撹拌させた後、水酸化リチウム一水和物2.75g(0.066mole)を入れて1時間常温で反応する。反応が終わった後、有機層を層分離して回収する。以後、水層に再びブチルアセテート30mlを入れて2回繰り返して行う。得られた有機層を50℃で減圧濃縮してLiFSI結晶6.14g(0.033mole)を収得した。(LiFSI純度99%、セシウムイオン5,000重量ppm、収率65%)
【0038】
<実施例1‐2:Cs+イオンを含むLiFSIの混合溶媒での製造方法>
実施例1‐1で使われた水酸化セシウム一水和物を0.03g使ったことを除いては、実施例1‐1と同様の方法で製造した。白い固体形態でLiFSI結晶5.95gを収得した。(LiFSI純度99%、セシウムイオン3,000重量ppm、収率63%)
【0039】
<実施例1‐3:Cs+イオンを含むLiFSIの混合溶媒での製造方法>
実施例1‐1で使われた水酸化セシウム一水和物を0.01g使ったことを除いては、実施例1‐1と同様の方法で製造した。白い固体形態でLiFSI結晶6.23gを収得した。(LiFSI純度99%、セシウムイオン1,000重量ppm、収率66%)
【0040】
<実施例2‐1:Cs+イオンを含むLiFSIの水溶液での製造方法>
常温で反応器にNH4FSI 10g(0.05mole)、蒸溜水20mlを入れて完全に溶解させた後、水酸化セシウム一水和物0.05gを入れて10分間撹拌する。次いで、水酸化リチウム一水和物2.75g(0.066mole)を入れて1時間常温で反応を進行させる。反応が終わった後、40℃で完全に濃縮した後、トルエン(Toluene)50mlを入れて再結晶する。ろ過して得られた結晶は、1,2‐ジメトキシエタン40mlに溶解させた後、不溶分を取り除く。ろ過液は50℃で減圧濃縮してLiFSI結晶8.5g(0.045mole)を収得した。(LiFSI純度99%、セシウムイオン5,000重量ppm、収率90%)
【0041】
<実施例2‐2:Cs+イオンを含むLiFSIの水溶液での製造方法>
実施例2‐1で使われた水酸化セシウム一水和物を0.03g使ったことを除いては、実施例2‐1と同様の方法で製造した。白い固体形態でLiFSI結晶8.12gを収得した。(LiFSI純度99%、セシウムイオン3,000重量ppm、収率86%)
【0042】
<実施例2‐3:Cs+イオンを含むLiFSIの水溶液での製造方法>
実施例2‐1で使われた水酸化セシウム一水和物を0.01g使ったことを除いては、実施例2‐1と同様の方法で製造した。白い固体形態でLiFSI結晶8.40gを収得した。(LiFSI純度99%、セシウムイオン1,000重量ppm、収率89%)
【0043】
<実施例3‐1:Cs+イオンを含むLiFSIの有機溶媒での製造方法>
常温で反応器にNH4FSI 10g(0.05mole)、アセトニトリル(Acetonitrile)20ml、水酸化セシウム一水和物0.05gを入れて1時間撹拌する。次いで、水酸化リチウム一水和物2.75g(0.066mole)を入れて3時間常温で反応を進行させる。反応が終われば、ろ過して不溶分を取り除いて、ろ過液は50℃で減圧濃縮してLiFSI結晶9.16g(0.049mole)を収得した。(LiFSI純度99%、セシウムイオン5,000重量ppm、収率97%)
【0044】
<実施例3‐2:Cs+イオンを含むLiFSIの有機溶媒での製造方法>
実施例3‐1で使われた水酸化セシウム一水和物を0.03g使ったことを除いては、実施例3‐1と同様の方法で製造した。白い固体形態でLiFSI結晶8.97gを収得した。(LiFSI純度99%、セシウムイオン3,000重量ppm、収率95%)
【0045】
<実施例3‐3:Cs+イオンを含むLiFSIの有機溶媒での製造方法>
実施例3‐1で使われた水酸化セシウム一水和物を0.01g使ったことを除いては、実施例3‐1と同様の方法で製造した。白い固体形態でLiFSI結晶9.25gを収得した。(LiFSI純度99%、セシウムイオン1,000重量ppm、収率98%)
【0046】
<実施例4‐1:LiFSI含有溶液にセシウム塩を添加してCs+イオンを含むLiFSI製造>
反応器にLiFSI 10g(0.053mole)1,2‐ジメトキシエタン(1,2‐Dimethoxyethane)20mlに溶解させた後、水酸化セシウム一水和物0.05gを入れて24時間40℃で撹拌を進行する。反応が終われば、ろ過して残された不溶分を完全に取り除く。ろ過された濾液は50℃で減圧濃縮して最大限濃縮させた後、トルエン(Toluene)30mlを加えて再結晶を進行させる。得られた結晶は50℃で残留溶媒を完全に乾燥してLiFSI結晶9.35g(0.050mole)を収得した。(LiFSI純度99%、セシウムイオン5,000重量ppm、収率99%)
【0047】
<実施例4‐2:LiFSI含有溶液にセシウム塩を添加してCs+イオンを含むLiFSI製造>
実施例4‐1で使われた水酸化セシウム一水和物を0.03g使ったことを除いては、実施例4‐1と同様の方法で製造した。白い固体形態でLiFSI結晶9.35gを収得した。(LiFSI純度99%、セシウムイオン3,000重量ppm、収率99%)
【0048】
<実施例4‐3:LiFSI含有溶液にセシウム塩を添加してCs+イオンを含むLiFSI製造>
実施例4‐1で使われた水酸化セシウム一水和物を0.01g使ったことを除いては、実施例4‐1と同様の方法で製造した。白い固体形態でLiFSI結晶9.35gを収得した。(LiFSI純度99%、セシウムイオン1,000重量ppm、収率99%)
【0049】
<実施例5 ~8:Rb+イオンを含むLiFSIの製造>
下記表1の反応物及び溶媒を使って実施例1~4のようにそれぞれ遂行して、Rb+イオンを含むLiFSIを製造し、得られたLiFSI含有量を下記表1に示す。
【0050】
【0051】
<実験例1>
電池評価に使われた電池はポーチセルであり、正極ではNCM811を使用し、負極ではグラファイトを使用し、電解液溶媒としてエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジメチルカーボネート混合溶媒を使用した。電解液は1.15M LiPF
6電解質を含み、添加剤としてVC(Vinylene Carbonate)とLiFSIを下記表2の重量比で含む電解液を利用して電池を製造した。前記電池に対して電池出力を評価し、以後、高温(70℃)で1週間露出後、電池出力を評価した。評価結果を
図1に示す。
【0052】
【0053】
図1によれば、VC及びLiFSIが添加されていない電池Aの場合、高温露出前の電池出力が53.31であったが、高温露出後の電池出力が21.7で高温露出前に比べて電池出力が50%未満と減少した。これに対して、VCとセシウムイオン含有LiFSIを添加した電池Dは、高温露出前の電池出力が電池Aと対比して高い54.48であり、高温露出後に出力が減少したものの、露出前と対比して51.5%を維持した。また、電池DはVCと共にセシウムが含まれていないLiFSIを添加した場合である電池Cと対比して高温露出前と後の電池出力がいずれも高いことが分かる。
【0054】
<実験例2>
1.15M LiPF
6電解質を含み、添加剤としてVC(Vinylene Carbonate)とLiFSIを下記表3の重量比で含む電解液を利用して実験例1のように電池を製造し、これに対して高温(70℃)で1週間露出前と後の電池出力評価を実施した。結果を
図2に示す。
【0055】
【0056】
図2によれば、VC及びLiFSIが添加されていない電池Fの場合、高温露出前の電池出力が53.12であったが、高温露出後の電池出力が21.26で高温露出前に比べて電池出力が50%未満に減少した。これに対して、VC及びルビジウムイオン含有LiFSIを添加した電池Iは、高温露出前の電池出力が電池Fと対比して高い54.42であり、高温露出後の出力が減少したものの、露出前と対比して50.4%を維持した。また、電池IはVCと共にルビジウムが含まれていないLiFSIを添加した場合である電池Hと対比して高温露出前と後の電池出力がいずれも高いことが分かる。
【0057】
前記結果によれば、本発明で製造されたセシウムイオンまたはルビジウムイオンを含むLiFSIを電解液に使えば、電池の長期安定性と高温出力において、既存より改善された結果を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明で製造されたセシウムイオンまたはルビジウムイオンを含むLiFSIを電解液に使えば、電池の長期安定性と高温出力で既存より改善された結果を得ることができる。
【国際調査報告】