(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】セルロース製品トグルプレスモジュールおよびこれを使用するための方法
(51)【国際特許分類】
B29C 43/58 20060101AFI20240327BHJP
B29C 45/66 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
B29C43/58
B29C45/66
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023562982
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2021059810
(87)【国際公開番号】W WO2022218530
(87)【国際公開日】2022-10-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518330431
【氏名又は名称】パルパック アー・ベー
【氏名又は名称原語表記】PulPac AB
【住所又は居所原語表記】Amalia Jonssons gata 16,421 31 Vastra Frolunda, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オーヴェ ラルソン
【テーマコード(参考)】
4F202
4F204
【Fターム(参考)】
4F202AA01
4F202AC03
4F202AH58
4F202AR02
4F202AR06
4F202CA09
4F202CB01
4F202CL01
4F202CL32
4F204AA01
4F204AC03
4F204AH40
4F204AH57
4F204AR02
4F204AR06
4F204FA01
4F204FB01
4F204FN11
4F204FN15
4F204FQ01
4F204FQ15
(57)【要約】
空気成形されたセルロースブランク構造体(2)から非平坦なセルロース製品(1)を成形するためのセルロース製品トグルプレスモジュール(6)。トグルプレスモジュール(6)は、プレス方向で可動に配置されたプレス部材(6d)と、プレス部材(6d)に駆動接続されたトグル機構(6e)と、トグル機構(6e)に駆動接続されたプレスアクチュエータアセンブリ(6f)と、プレスアクチュエータアセンブリ(6f)に動作可能に接続された電子制御システム(6h)とを含むトグルプレス(6a)を有している。トグルプレスモジュール(6)は、プレス部材(6d)に取り付けられた可動の第1の型部分(3a)と、第2の型部分(3b)とを含む成形型(3)をさらに有している。電子制御システム(6h)は、トグル機構(6e)を使用してプレス方向でプレス部材(6d)を駆動するように、そして第1の型部分(3a)を第2の型部分(3b)に対して押し付けることにより、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するように、プレスアクチュエータアセンブリ(6f)の動作を制御するように構成されている。さらに、トグルプレス(6a)は、主に水平方向に配置された、プレス部材(6d)のプレス方向を有するように、具体的には水平方向から20度以内に配置された、プレス部材(6d)のプレス方向を有するように、より具体的には水平方向に対して平行なプレス方向を有するように、設置されている、または設置されるように配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気成形されたセルロースブランク構造体(2)から非平坦なセルロース製品(1)を成形するためのセルロース製品トグルプレスモジュール(6)であって、前記セルロース製品トグルプレスモジュール(6)は:
プレス方向で可動に配置されたプレス部材(6d)と、前記プレス部材(6d)に駆動接続されたトグル機構(6e)と、前記トグル機構(6e)に駆動接続されたプレスアクチュエータアセンブリ(6f)と、前記プレスアクチュエータアセンブリ(6f)に動作可能に接続された電子制御システム(6h)とを備えたトグルプレス(6a)、および
前記プレス部材(6d)に取り付けられた可動の第1の型部分(3a)と、第2の型部分(3b)とを含む成形型(3)
を有しており、
前記電子制御システム(6h)は、前記トグル機構(6e)を使用して前記プレス方向で前記プレス部材(6d)を駆動するように、そして前記第1の型部分(3a)を前記第2の型部分(3b)に対して押し付けることにより、前記空気成形されたセルロースブランク構造体から前記非平坦なセルロース製品を成形するように、前記プレスアクチュエータアセンブリ(6f)の動作を制御するように構成されており、
前記トグルプレス(6a)は、主に水平方向に配置された、前記プレス部材(6d)の前記プレス方向を有するように、具体的には水平方向から20度以内に配置された、前記プレス部材(6d)の前記プレス方向を有するように、より具体的には水平方向に対して平行な前記プレス方向を有するように、設置されている、または設置されるように配置されている、
セルロース製品トグルプレスモジュール(6)。
【請求項2】
前記トグルプレス(6a)は、前記第1の型部分(3a)と前記第2の型部分(3b)との間に位置するプレス領域内に、前記空気成形されたセルロースブランク構造体(2)を供給するための供給装置(16)をさらに備え、前記供給装置(16)は、前記空気成形されたセルロースブランク構造体(2)を主に垂直方向下向きに前記プレス領域内へと供給するように、具体的には、前記空気成形されたセルロースブランク構造体(2)を下向きに垂直方向から20度未満の角度で前記プレス領域内へと供給するように、より具体的には、前記空気成形されたセルロースブランク構造体(2)を垂直方向下向きに前記プレス領域内に供給するように、配置されている、請求項1記載のセルロース製品トグルプレスモジュール(6)。
【請求項3】
前記トグルプレス(6a)は、プレス力表示アセンブリ(6g)をさらに備え、前記電子制御システム(6h)は、前記プレス力表示アセンブリ(6g)に動作可能に接続されていて、前記プレス力表示アセンブリ(6g)から受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいて前記プレスアクチュエータアセンブリ(6f)の動作を制御するように構成されている、請求項1または2記載のセルロース製品トグルプレスモジュール(6)。
【請求項4】
前記電子制御システム(6h)は、前記プレス力表示アセンブリ(6g)からプレス力を示すフィードバック情報を取得するように、そして
前記プレス力を示すフィードバック情報から導出されたまたはこれに関連したパラメータ値が所定の閾値にあるときまたは所定の範囲内にあるとき、前記プレス部材(6d)の進行中のプレス運動を停止させるように;または
フィードバックプロセス変数としての前記プレス力を示すフィードバック情報に関連するパラメータを有するフィードバック制御装置を使用するように、
前記プレスアクチュエータアセンブリ(6f)の動作を制御するように構成されている、請求項3記載のセルロース製品トグルプレスモジュール(6)。
【請求項5】
前記トグルプレス(6a)は、前側構造体(6b)および後側構造体(6c)をさらに備え、前記トグル機構(6e)は前記後側構造体(6c)に接続されており、前記第2の型部分(3b)は前記前側構造体(6b)に取り付けられており、この場合、前記トグルプレス(6a)は、前記前側構造体(6b)と前記後側構造体(6c)との間の距離を前記プレス方向で調節することができる機械的な調節機構(23)と、前記機械的な調節機構(23)を駆動するように構成された調節アクチュエータアセンブリ(25)とをさらに備える、請求項1から4までのいずれか1項記載のセルロース製品トグルプレスモジュール(6)。
【請求項6】
前記電子制御システム(6h)は:
-プレス力表示アセンブリ(6g)からのプレス力を示すフィードバック情報をモニタしながら前記プレス部材(6d)を前方に動かし、次いで、前記プレス力を示すフィードバック情報から導出されたまたはこれに関連したパラメータ値が所定の閾値にあるときまたは所定の範囲内にあるとき、前記プレス部材(6d)の進行中のプレス運動を停止させて、その後、前記プレス部材(6d)の戻り運動を開始するように、または
-フィードバックプロセス変数としての前記プレス力を示すフィードバック情報に関連するパラメータを有するフィードバック制御装置を使用するように、
前記プレスアクチュエータアセンブリ(6f)の動作を制御するように、そして
連続的なプレス作動の間の期間中に、次のプレスサイクル中に前記プレス部材(6d)が、プレス運動が停止したときに生成されたプレス力を0~100%、特に5~50%超える範囲の最大プレス力を有する位置で停止するようになることを目標とするように、前記前側構造体(6b)と前記後側構造体(6b)との間の前記距離を前記プレス方向で調節するために、前記プレス力表示アセンブリ(6g)から受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいて前記調節アクチュエータアセンブリ(25)の動作を制御するように、
構成されている、請求項5記載のセルロース製品トグルプレスモジュール(6)。
【請求項7】
前記トグルプレス(6a)は、プレス力表示アセンブリ(6g)をさらに備え、前記電子制御システム(6h)は、前記プレス力表示アセンブリ(6g)に動作可能に接続されており、前記電子制御システムは、連続的なプレス作動の間の期間中に、前記前側構造体(6b)と前記後側構造体(6c)との間の前記距離(24)を前記プレス方向で調節するために、前記プレス力表示アセンブリ(6g)から受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいて前記調節アクチュエータアセンブリ(25)の動作を制御するように構成されている、請求項5記載のセルロース製品トグルプレスモジュール(6)。
【請求項8】
前記電子制御システム(6h)は:
前記セルロース製品トグルプレスモジュール(6)の通常運転中に、各プレス作動時、に前記トグル機構(6e)に実質的に固定された出力の力を提供するように前記プレスアクチュエータアセンブリ(6f)の動作を制御するように、
プレス作動中に、前記プレス力表示アセンブリ(6g)からプレス力を示す情報を取得するように、
連続するプレス作動の間の期間中に、前記前側構造体(6b)と前記後側構造体(6c)との間の前記距離(24)を調節し、結果として生じた最大プレス力を示す、前記プレス力を示す情報から導出されたまたは前記情報に関連したパラメータ値を所定の閾値にまたは所定の範囲内に維持するように前記調節アクチュエータアセンブリ(25)を制御するように
構成されている、請求項7記載のセルロース製品トグルプレスモジュール(6)。
【請求項9】
前記第1および第2の型部分(3a,3b)のそれぞれが、他方の型部分に面するように構成された表面を有する剛性的なプレート形状の主要な本体と、前記セルロース製品(1)を成形するための1つ以上の成形キャビティ(C)を画定する少なくとも1つのプレス表面(3c,3d)とを有しており、付加的な副部品、例えば、ばね負荷された切断装置および/または型位置合わせ装置等を備えておりまたは備えておらず、この場合、前記第1および第2の型部分(3a,3b)の前記剛性的なプレート形状の主要な本体の前記表面は、プレスサイクル中に互いに直接接触はしない、請求項1から8までのいずれか1項記載のセルロース製品トグルプレスモジュール(6)。
【請求項10】
前記成形型(3)は、前記セルロースブランク構造体(2)を100~300℃の範囲の成形温度に加熱することにより、かつ前記セルロースブランク構造体(2)を1~100MPa、好ましくは4~20MPaの範囲の成形圧でプレスすることにより、前記セルロースブランク構造体(2)から前記セルロース製品(1)を成形するように構成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のセルロース製品トグルプレスモジュール(6)。
【請求項11】
空気成形されたセルロースブランク構造体(2)から非平坦なセルロース製品(1)を製造するための製品成形ユニット(U)であって、前記製品成形ユニット(U)は、バッファモジュール(5)と、請求項1から10までのいずれか1項記載のセルロース製品トグルプレスモジュール(6)とを有しており、
前記製品成形ユニット(U)は、前記セルロースブランク構造体(2)を前記バッファモジュール(5)に供給し、前記セルロースブランク構造体(2)を前記バッファモジュール(5)内にバッファし、前記セルロースブランク構造体(2)を前記バッファモジュール(5)から前記セルロース製品トグルプレスモジュール(6)に供給するように適合されており、
前記バッファモジュール(5)は、前記セルロースブランク構造体(2)を、第1の供給方向(D
F1)で前記バッファモジュール(5)に連続的に供給し、前記セルロースブランク構造体(2)を第2の供給方向(D
F2)で前記バッファモジュール(5)から間欠的に供給するように構成されたブランク供給システムを有していて、前記第2の供給方向(D
F2)は、前記第1の供給方向(D
F1)とは異なっている、
製品成形ユニット(U)。
【請求項12】
前記製品成形ユニット(U)は、前記セルロースブランク構造体(2)を提供するように構成されたブランク乾式成形モジュール(4)をさらに有している、請求項11記載の製品成形ユニット(U)。
【請求項13】
前記ブランク乾式成形モジュール(4)は、ミル(4a)と、成形チャンバ(4b)と、前記成形チャンバ(4b)に接続されて配置された成形ワイヤ(4c)とを有しており、前記ミル(4a)は、セルロース原料(R)から繊維(F)を分離するように構成されており、前記成形チャンバ(4b)は、分離された前記繊維(F)を、前記セルロースブランク構造体(2)の成形のために前記成形ワイヤ(4c)の成形セクション(4d)上に分配するように構成されている、請求項12記載の製品成形ユニット(U)。
【請求項14】
前記成形セクション(4d)は、上向きのブランク成形方向(D
U)で延在している、請求項13記載の製品成形ユニット(U)。
【請求項15】
空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するための方法であって、前記方法は:
トグルプレス(6a)と成形型とを有するセルロース製品トグルプレスモジュール(6)であって、前記トグルプレス(6a)は、プレス方向で可動に配置されたプレス部材(6d)と、前記プレス部材(6d)に接続されたトグル機構(6e)と、前記トグル機構(6e)に接続されたプレスアクチュエータアセンブリ(6f)と、前記プレスアクチュエータアセンブリ(6f)に動作可能に接続された電子制御システム(6h)とを有しており、前記成形型は、前記プレス部材(6d)に取り付けられた可動の第1の型部分(3a)と、第2の型部分(3b)とを有している、セルロース製品トグルプレスモジュール(6)を提供するステップ、
前記トグルプレス(6a)を、主に水平方向に配置された、前記プレス部材(6d)の前記プレス方向を有するように、具体的には水平方向から20度以内に配置された、前記プレス部材(6d)の前記プレス方向を有するように、より具体的には水平方向に対して平行な前記プレス方向を有するように設置するステップ、
前記空気成形されたセルロースブランク構造体(2)を、離間した前記第1および第2の型部分(3a,3b)によって画定されたプレス領域内に供給するステップ、
前記トグル機構(6e)を使用して前記プレス方向で前記プレス部材(6d)を駆動するように、そして前記第1の型部分(3a)を前記第2の型部分(3b)に対して押し付けることにより、前記空気成形されたセルロースブランク構造体から前記非平坦なセルロース製品を成形するように、前記電子制御システム(6h)によって前記プレスアクチュエータアセンブリ(6f)の動作を制御するステップ
を含んでいる方法。
【請求項16】
前記トグルプレス(6a)は、プレス力表示アセンブリ(6g)をさらに備え、前記電子制御システム(6h)は、前記プレス力表示アセンブリ(6g)に動作可能に接続されていて、前記電子制御システム(6h)によって前記プレスアクチュエータアセンブリ(6f)の動作を制御する前記ステップは、前記プレス力表示アセンブリ(6g)から受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいている、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記電子制御システム(6h)によって前記プレスアクチュエータアセンブリ(6f)の動作を制御する前記ステップは、前記プレス力表示アセンブリ(6g)からプレス力を示すフィードバック情報を取得するステップ、および
前記プレス力を示すフィードバック情報から導出されたまたはこれに関連したパラメータ値が所定の閾値にあるときまたは所定の範囲内にあるとき、前記プレス部材(6d)の進行中のプレス運動を停止させるように;または
フィードバックプロセス変数としての前記プレス力を示すフィードバック情報に関連するパラメータを有するフィードバック制御装置を使用するように、
前記プレスアクチュエータアセンブリ(6f)の動作を制御するステップ
を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記トグルプレス(6a)は、前側構造体(6b)、後側構造体(6c)、機械的な調節機構(23)、前記機械的な調節機構(23)を駆動するように構成された調節アクチュエータアセンブリ(25)をさらに備え、前記トグル機構(6e)は前記後側構造体(6c)に接続されており、前記第2の型部分(3b)は前記前側構造体(6b)に取り付けられており、この場合、前記機械的な調節機構(23)は、前記前側構造体(6b)と前記後側構造体(6c)との間の距離(24)を前記プレス方向で調節することができ、当該方法は、前記前側構造体(6b)と前記後側構造体(6c)との間の前記距離(24)を前記プレス方向で調節するように前記調節アクチュエータアセンブリ(25)の動作を制御するステップをさらに含む、請求項15から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記プレスアクチュエータアセンブリ(6f)を制御する前記ステップは、
プレス力表示アセンブリ(6g)からのプレス力を示すフィードバック情報をモニタしながら前記プレス部材(6d)を前方に動かすことにより;前記プレス力を示すフィードバック情報から導出されたまたはこれに関連したパラメータ値が所定の閾値にあるときまたは所定の範囲内にあるとき、前記プレス部材(6d)の進行中のプレス運動を停止させて、前記プレス部材(6d)の戻り運動を開始するように;または
フィードバックプロセス変数としての前記プレス力を示すフィードバック情報に関連するパラメータを有するフィードバック制御装置を使用するように、
前記プレスアクチュエータアセンブリ(6f)の動作を制御するステップを含み、
前記調節アクチュエータアセンブリ(25)の動作を制御する前記ステップは、連続的なプレス作動の間の期間中に、次のプレスサイクル中に前記プレス部材(6d)が、プレス運動が停止したときに生成されたプレス力を0~100%、特に5~50%超える範囲の最大プレス力を有する位置で停止するようになることを目標とするように、前記前側構造体(6b)と前記後側構造体(6b)との間の前記距離(24)を前記プレス方向で調節するために、前記プレス力表示アセンブリ(6g)から受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいて前記調節アクチュエータアセンブリ(25)の動作を制御するステップを含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記トグルプレス(6a)は、プレス力表示アセンブリ(6g)をさらに備え、前記電子制御システム(6h)は、前記プレス力表示アセンブリ(6g)に動作可能に接続されており、前記前側構造体(6b)と前記後側構造体(6c)との間の前記距離(24)を前記プレス方向で調節するために前記調節アクチュエータアセンブリの動作を制御する前記ステップは、連続的なプレス作動の間の期間中に実施され、前記プレス力表示アセンブリ(6g)から受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいている、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記成形型(3)において前記セルロースブランク構造体(2)から前記セルロース製品(1)を成形する前記ステップは、前記セルロースブランク構造体(2)を100~300℃の範囲の成形温度に加熱すること、および前記セルロースブランク構造体(2)を1~100MPa、好ましくは4~20MPaの範囲の成形圧でプレスすることを含む、請求項15から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
当該方法は:
前記セルロースブランク構造体(2)を提供し、前記セルロースブランク構造体(2)をバッファモジュール(5)に供給するステップ、
前記セルロースブランク構造体(2)を前記バッファモジュール(5)でバッファし、前記セルロースブランク構造体(2)を、前記バッファモジュール(5)から前記セルロース製品トグルプレスモジュール(6)へと供給するステップであって、この場合、前記セルロースブランク構造体(2)を第1の供給方向(D
F1)で前記バッファモジュール(5)に連続的に供給し、第2の供給方向(D
F2)で前記バッファモジュール(5)から間欠的に供給し、前記第2の供給方向(D
F2)は、前記第1の供給方向(D
F1)とは異なっているステップ
をさらに含む、請求項15から21までのいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
前記セルロースブランク構造体(2)を提供する前記ステップは:セルロース原料(R)を提供し、前記セルロース原料(R)をブランク乾式成形モジュール(4)へと供給するステップ、前記セルロース原料(R)から、前記ブランク乾式成形モジュール(4)において前記セルロースブランク構造体(2)を乾式成形するステップを含む、請求項15から22までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記ブランク乾式成形モジュール(4)において前記セルロース原料(R)から前記セルロースブランク構造体(2)を乾式成形する前記ステップは、ミル(4a)において前記セルロース原料(R)から繊維(F)を分離するステップ、前記セルロースブランク構造体(2)を成形するために前記ブランク乾式成形モジュール(4)の成形ワイヤ(4c)上に、分離した前記繊維(F)を分配するステップ、および前記成形されたセルロースブランク構造体(2)を上向きのブランク成形方向(D
U)でバッファモジュール(5)に向かって搬送するステップを含む、請求項23記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するためのセルロース製品トグルプレスモジュールに関する。本開示はさらに、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を、セルロース製品トグルプレスモジュールを使用して成形するための方法に関する。
【0002】
本開示によるセルロース製品トグルプレスモジュールを、組み込まれた繊維分離モジュール、セルロースブランク空気成形モジュール等を備えた例示的なセルロース製品成形ユニットに関して主に説明するが、セルロース製品トグルプレスモジュールおよびこれを使用するための関連する方法は、この特定の実例に限定されるものではなく、代替的に多くの他の形式のセルロース製品製造システムにおいて実施および使用されてよい。
【0003】
背景技術
セルロース繊維は、製品を製造するための、または製品を製作するための原料として使用されることが多い。セルロース繊維から成形される製品は、持続可能な製品を有する必要性がある多くの様々な状況で使用することができる。幅広い範囲の製品をセルロース繊維から製造することができ、いくつかの例は、使い捨て可能な皿およびカップ、カトラリー、蓋、ボトルキャップ、コーヒーポッド、および包装材料である。
【0004】
成形型は、セルロース繊維原料からセルロース製品を製造する際に一般的に使用されており、従来、セルロース製品は、湿式成形される。セルロース繊維製品の湿式成形に一般的に使用される材料は、湿式成形パルプである。湿式成形パルプはバイオマテリアルから製造されており、使用後にはリサイクル可能であるので、湿式成形パルプには、持続可能な包装材料として見なされるという利点がある。その結果、湿式成形パルプは、様々な用途に対して人気が急速に高まっている。湿式成形パルプ物品は、一般に、吸引成形型を、セルロース繊維を含む液体または半液体のパルプ懸濁液またはスラリーに浸漬することによって成形され、吸引が適用されると、パルプの塊は、成形型への繊維堆積によって所望の製品の形状で形成される。湿式成形技術にはいずれも、湿った成形製品を乾燥させる必要があり、このような乾燥は生産において時間とエネルギとを極めて消費する部分である。セルロース製品の審美性、化学的および機械的特性への要求は高まっており、そして湿式成形されるセルロース製品の特性により、機械的強度、柔軟性、材料厚さの自由度、および化学的特性には制限がある。また、湿式成形プロセスでは、製品の機械的特性を高精度で制御することも困難である。
【0005】
セルロース製品の製造分野における1つの開発は、湿式成形技術を使用することのない、乾式成形プロセスにおけるセルロース繊維の成形である。液体または半液体のパルプ懸濁液またはスラリーからセルロース製品を成形する代わりに、空気成形されたセルロースブランク構造体が使用される。空気成形されたセルロースブランク構造体が成形型内に挿入され、セルロース製品の成形中に、セルロースブランク構造体には、成形型内で高い成形圧および高い成形温度がかけられる。
【0006】
空気成形されたセルロースブランク構造体の圧縮成形によるセルロース製品の製造は、生産ラインまたは製品成形ユニットにおいて行われてよい。製造設備は、通常、成形型を備えたプレスモジュールを含んでいる。例えば供給モジュールやバッファモジュール、およびブランク乾式成形モジュールなどの他のモジュールおよび構成要素が、プレスモジュールに接続されて配置されている。プレスモジュールは、独立した既製品機械として入手可能であるので、通常は、鋼板などの他の材料を成形するために使用することもある、大型の液圧式またはサーボ駆動式のプレス機械などの高容量のプレスモジュールである。
【0007】
一般的用途のために開発された標準的なプレスモジュールを使用する1つの欠点は、通常、従来の高容量の液圧式またはサーボ駆動式のプレス機械に関連する高いコスト、ならびに輸送、設置、メンテナンスおよび工場サイズに関してそれらの大きなサイズおよび重量によって生じる問題にある。
【0008】
さらに、通常、セルロース製品成形ユニットに投資する顧客は、コンバータ(converter 加工業者)と呼ばれ、通常は、完全なセルロース製品成形ユニットのために必要なモジュールを開発し、統合するために必要なエンジニアスキルを全くまたは殆ど有していないので、コンバータにおいては、容易に輸送、設置および運転することができる、完全に統合され、規格化された製品成形ユニットを購入できることが求められている。
【0009】
したがって、低コストで、コンパクトかつ軽量な、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するためのセルロース製品プレスモジュール、ならびにこのようなセルロース製品プレスモジュールを使用して、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するための方法に対する需要がある。また、簡単に輸送、設置、および運転することができる、低コストでコンパクトな、完全に統合され規格化されたセルロース製品成形ユニットの開発および製造を可能にするセルロース製品プレスモジュールに対する需要もある。
【0010】
概要
本開示の課題は、上述した問題を回避する、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するためのセルロース製品プレスモジュール、ならびに空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品をこのようなプレスモジュールを使用して成形するための関連する方法を提供することである。この課題は、独立請求項の特徴により少なくとも部分的に解決される。
【0011】
本開示の第1の態様によれば、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するためのセルロース製品トグルプレスモジュールが提供される。トグルプレスモジュールは、プレス方向で可動に配置されたプレス部材、プレス部材に駆動接続されたトグル機構、トグル機構に駆動接続されたプレスアクチュエータアセンブリ、およびプレスアクチュエータアセンブリに動作可能に接続された電子制御システムを備えたトグルプレスを有している。トグルプレスモジュールは、プレス部材に取り付けられた可動の第1の型部分と、第2の型部分とを含む成形型をさらに有している。電子制御システムは、トグル機構を使用してプレス方向でプレス部材を駆動し、第1の型部分を第2の型部分に対して押し付けることにより、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するように、プレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するように構成されていて、トグルプレスは、主に水平方向に配置された、プレス部材のプレス方向を有するように、具体的には水平方向から20度以内に配置された、プレス部材のプレス方向を有するように、より具体的には水平方向に対して平行なプレス方向を有するように、設置されている、または設置されるように配置されている。
【0012】
本開示の第2の態様によれば、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するための方法が提供される。この方法は、トグルプレスと成形型とを有するセルロース製品トグルプレスモジュールを提供するステップを含む。トグルプレスは、プレス方向で可動に配置されたプレス部材と、プレス部材に接続されたトグル機構と、トグル機構に接続されたプレスアクチュエータアセンブリと、プレスアクチュエータアセンブリに動作可能に接続された電子制御システムとを有しており、成形型は、プレス部材に取り付けられた可動の第1の型部分と、第2の型部分とを有している。この方法は、トグルプレスを、主に水平方向に配置された、プレス部材のプレス方向を有するように、具体的には水平方向から20度以内に配置された、プレス部材のプレス方向を有するように、より具体的には水平方向に対して平行なプレス方向を有するように設置するステップをさらに含む。この方法は、離間した第1および第2の型部分によって画定されたプレス領域内に、空気成形されたセルロースブランク構造体を供給するステップ、およびトグル機構を使用してプレス方向でプレス部材を駆動し、第1の型部分を第2の型部分に対して押し付けることにより、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するように、電子制御システムによってプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するステップをさらに含む。
【0013】
トグル機構クランプは、射出成形の分野でよく知られており、この場合、例えば液相のプラスチック材料が、閉じられた型によって形成されるキャビティ内に高圧で射出される。射出成形の技術分野において、トグル機構クランプの目的は、射出成形型部分を単に閉鎖し、型内の内部射出圧によって型部分が分離しないようにするために十分な締付力を加えることである。
【0014】
しかしながら、トグル機構は、通常、圧力レベルが、特定の精度で制御されなければならない重要なパラメータである圧縮成形の用途にはあまり一般的には使用されていない。なぜならば1つには、プレス力の制御が、トグル機構の指数的増幅特性に起因してより複雑であるからであり、また1つには、結果として生じるプレス力を良好な精度で容易に測定することができないからである。例えば、増幅レベルを決定するために、プレス力の計算には、プレスアクチュエータアセンブリによって生成される入力されるプレス力についての情報だけでなく、トグル機構の角度位置についての情報も必要である。
【0015】
他方で、トグルプレスは、従来の高容量の液圧式またはサーボ式プレスと比較して、必要な入力プレス力が低いことにより、比較的コンパクトかつ低コストであるという利点を有する。換言すると、トグル機構を駆動し、これにより格段に大きいプレス力を発生させるために、比較的小容量のアクチュエータ、例えば小容量の液圧式または空圧式のリニアアクチュエータ、すなわちシリンダ・ピストン装置、または低出力の電動モータ駆動式のボールねじリニアアクチュエータで十分であり得る。
【0016】
さらに、トグルプレスは、従来の高容量の液圧式またはサーボ式プレスと比較して、セルロース製品成形サイクルのサイクルタイムを著しく短縮することができる固有の極めて有利な速度・力特性も有している。特に、トグル機構の固有の力増幅特性は、待機位置から始まる初期サイクルタイム中にプレス部材の相対的に速い速度をもたらし、その一方で、この速度はトグル機構の最大ストローク状態に近づくとき徐々に減じられ、増幅された最大プレス力という利点が得られる。これにより、プレス部材の初期運動は、高速かつ低い最大プレス力で行われ、実際のプレス作動中のプレス部材の運動は、低速かつ高い最大プレス力で行われる。
【0017】
さらに、トグルプレスがコンパクトなサイズかつ軽量であることにより、非垂直位置でのトグルプレスの設置および方向付けが簡単になる。
【0018】
実際に、プレス部材のプレス方向が、主に水平方向に配置されるように、トグルプレスを組み立て、構成することは、統合されたプレスモジュールを備えた極めてコンパクトなセルロース製品成形ユニットの開発を可能にするので、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を圧縮成形するために特に有利である。
【0019】
特に、トグルプレスがコンパクトなサイズかつ軽量であることにより、容易に輸送、設置および運転することができる、極めてコンパクトで、完全に全体が統合され、規格化されたセルロース製品成形ユニットの開発が可能となり、トグルプレスのためのコストが低いことにより、セルロース製品成形ユニットの総コストを低いレベルに維持する助けとなる。
【0020】
さらに、トグルプレスの向きが主に水平方向であることにより、セルロース製品成形ユニットの構成高さを低くすることができ、連続的に空気成形されたセルロースブランク構造体の、ブランク乾式成形モジュールからプレスモジュールへの非直線的な材料流が可能となる。非直線的な材料流、例えば、空気成形されたセルロースブランク構造体を、第1の方向、例えば上向きに送り、次いで第2の方向、例えば下向きに送ることにより、概して、よりコンパクトなセルロース製品成形ユニットの開発および製造が可能になる。セルロース繊維材料のウェブは、通常、プレスモジュールのプレス方向に対してほぼ直角にプレスモジュールへと供給されるので、トグルプレスの主に水平な向きは、典型的には、セルロースブランク構造体の主に垂直に配置される供給流に関連する。したがって、ブランク乾式成形モジュールからプレスモジュールへの空気成形されたセルロースブランク構造体の非直線的な材料流を有するコンパクトなセルロース製品成形ユニットを開発する場合に、主に水平方向に配置されたプレスモジュールが極めて有益であることが明白である。
【0021】
従属請求項の特徴のうちの1つまたは複数を実装することによってさらなる利点が達成される。例えば、上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、トグルプレスはさらに、プレス力表示アセンブリを備え、この場合、電子制御システムは、プレス力表示アセンブリに動作可能に接続されていて、プレス力表示アセンブリから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいてプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するように構成されている。これにより、プレス動作のより良好な制御が達成され得る。
【0022】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、トグルプレスは、前側構造体および後側構造体をさらに有していて、この場合、トグル機構は後側構造体にも接続されており、第2の型部分は前側構造体に取り付けられている。これにより、コンパクトかつ費用対効果のよいプレスモジュールが可能となる。
【0023】
いくつかの例示的な実施形態では、第2の型部分は定置であり、すなわち、前側構造体に取り付けられた定置の第2の型部分である。これにより、概して、トグルプレスの複雑ではなく最も費用対効果のよい設計が可能となる。
【0024】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、トグルプレスは、前側構造体と、後側構造体と、前側構造体を後側構造体に接続する中間的な線形ガイドアセンブリとによって画定される剛性のフレーム構造体を有しており、この場合、プレス部材は、線形ガイドアセンブリに可動に取り付けられていて、プレス方向で可動である。これにより、コンパクトかつ費用対効果のよいプレスモジュールが可能となる。
【0025】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、トグルプレスは、第1の型部分と第2の型部分との間に位置するプレス領域内に、空気成形されたセルロースブランク構造体を供給するための供給装置をさらに備え、供給装置は、空気成形されたセルロースブランク構造体を主に垂直方向下向きにプレス領域内へと供給するように、具体的には、空気成形されたセルロースブランク構造体を下向きに垂直方向から20度未満の角度でプレス領域内へと供給するように、さらに具体的には、空気成形されたセルロースブランク構造体を垂直方向下向きにプレス領域内に供給するように、配置されている。主に垂直方向に向けられた供給装置により、成形型のプレス領域内への簡単な供給が可能となる。
【0026】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態によれば、空気成形されたセルロースブランク構造体をプレス領域内に供給するための供給装置には、細長い真空ベルトフィーダが含まれ、この場合、細長い真空ベルトフィーダは、主に垂直方向に配置されていて、具体的には垂直方向から20度以内の延在方向に配置されていて、より具体的には垂直方向に平行に配置されている。これにより、コンパクトかつ費用対効果のよいプレスモジュールが可能となる。
【0027】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、電子制御システムは、プレス力表示アセンブリからプレス力を示すフィードバック情報を取得するように:そしてプレス力を示すフィードバック情報から導出されたまたはこれに関連したパラメータの値が所定の閾値にあるときまたは所定の範囲内にあるとき、プレス部材の進行中のプレス運動を停止させるように;またはフィードバックプロセス変数としてのプレス力を示すフィードバック情報に関連するパラメータを有するフィードバック制御装置を使用するように、プレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するように構成されている。これにより、セルロース製品を成形するためにセルロースブランク構造体に加えられる、結果として生じる圧力を、過小なまたは過大な圧力が回避されるように比較的良好に制御することができる。
【0028】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、プレス力表示アセンブリは、プレス部材位置検出アセンブリであって、この場合、プレス部材位置検出アセンブリから取得されたプレス力を示すフィードバック情報は、プレス部材の位置または第1の型部分と第2の型部分との間の型間隙を表し、電子制御システムは:検出されたプレス部材の位置または第1の型部分と第2の型部分との間の型間隙が所定の閾値にあるときまたは所定の範囲内にあるとき、プレス部材の進行中のプレス運動を停止させるように;またはフィードバックプロセス変数としてのプレス力を示すフィードバック情報に関連するパラメータを有するフィードバック制御装置を使用するように、プレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するように構成されている。プレス部材の位置の情報を、プレスアクチュエータアセンブリのプレス力の情報に基づきプレス力を合理的に正確に推定するために利用することでき、プレス部材の位置の情報は、型間隙を決定するためにも利用することができ、また、この型間隙も、プレス力を合理的に正確に決定するために利用することができる。
【0029】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、プレス力表示アセンブリは、プレス力検出アセンブリであって、この場合、プレス力検出アセンブリから取得されたプレス力を示すフィードバック情報は、プレス部材のプレス力を表し、電子制御システムは:検出されたプレス部材のプレス力が所定の閾値に等しいときまたは所定の閾値を超過するとき、プレス部材の進行中のプレス運動を停止させるように;またはフィードバックプロセス変数としてのプレス力を示すフィードバック情報に関連するパラメータを有するフィードバック制御装置を使用するように、プレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するように構成されている。プレス力の情報により、このシステムは、目標プレス力に対応する適切な位置でプレス運動を停止させることができる。
【0030】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、トグルプレスは、前側構造体および後側構造体を有していて、この場合、トグル機構は、後側構造体に接続されており、第2の型部分は前側構造体に取り付けられており、この場合、トグルプレスは、前側構造体と後側構造体との間の距離をプレス方向で調節することができる機械的な調節機構と、機械的な調節機構を駆動するように構成された調節アクチュエータアセンブリとをさらに備える。これにより、トグルプレスの動作位置を、セルロースブランク構造体の特定の特性および成形型の形状に適合するように調節することができる。
【0031】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、トグルプレスは、プレス力表示アセンブリをさらに有していて、電子制御システムは、プレス力表示アセンブリに動作可能に接続されていて、この制御システムは、連続的なプレス作動の間の期間中に、前側構造体と後側構造体との間の距離をプレス方向で調節するために、プレス力表示アセンブリから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいて調節アクチュエータアセンブリの動作を制御するように構成されている。これにより、トグルプレスの動作位置を、セルロースブランク構造体の特定の特性および成形型の形状に適合するように調節することができる。
【0032】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、電子制御システムは、連続的なプレス作動の間の期間中に、次のプレスサイクル中にプレス部材が、プレス運動が停止したときに生成されたプレス力を0~100%、特に5~50%超える範囲の最大プレス力を有する位置で停止するようになることを目標とするように、前側構造体と後側構造体との間の距離をプレス方向で調節するために、プレス力表示アセンブリから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいて調節アクチュエータアセンブリの動作を制御するように構成されている。これにより、トグルプレスの動作位置を、セルロースブランク構造体の特定の特性および成形型の形状に適合するように調節することができる。
【0033】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、電子制御システムは:プレス力表示アセンブリからのプレス力を示すフィードバック情報をモニタしながらプレス部材を前方に動かし、プレス力を示すフィードバック情報から導出されたまたはこれに関連したパラメータ値が所定の閾値にあるときまたは所定の範囲内にあるとき、プレス部材の進行中のプレス運動を停止させて、そして、プレス部材の戻り運動を開始するように、またはフィードバックプロセス変数としてのプレス力を示すフィードバック情報に関連するパラメータを有するフィードバック制御装置を使用するようにプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するように;かつ連続的なプレス作動の間の期間中に、次のプレスサイクル中にプレス部材が、プレス運動が停止したときに生成されたプレス力を0~100%、特に5~50%超える範囲の最大プレス力を有する位置で停止するようになることを目標とするように、前側構造体と後側構造体との間の距離をプレス方向で調節するために、プレス力表示アセンブリから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいて調節アクチュエータアセンブリの動作を制御するように構成されている。これにより、トグルプレスの動作位置を、セルロースブランク構造体の特定の特性および成形型の形状に適合するように調節することができる。
【0034】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、電子制御システムは:セルロース製品トグルプレスモジュールの通常運転中に、各プレス作動時にトグル機構に、実質的に固定された出力の力を提供するようにプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するように;プレス作動中にプレス力表示アセンブリからプレス力を示す情報を取得するように;そして連続するプレス作動の間の期間中に、前側構造体と後側構造体との間の距離を調節し、結果として生じた最大プレス力を示す、プレス力を示す情報から導出されたまたはこれに関連した値を所定の閾値にまたは所定の範囲内に維持するように調節アクチュエータアセンブリを制御するように構成されている。これにより、各プレス作動中に検出されるプレス力に頼ることなく、トグルプレスの動作位置を、セルロースブランク構造体の特定の特性および成形型の形状に適合するように調節することができる。
【0035】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、プレス力表示アセンブリは、プレス部材位置検出アセンブリであって、この場合、プレス部材位置検出アセンブリから取得したプレス力を示すフィードバック情報は、プレス部材の位置または第1の型部分と第2の型部分との間の型間隙を表しており、この場合、電子制御システムは:セルロース製品トグルプレスモジュールの通常運転中に、プレス部材を前方に動かすように、そして各プレス作動時にトグル機構に、実質的に固定された出力の力を提供するようにプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するように、次いでプレス部材を後方へと動かすためにプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するように;そして各プレス作動時にまたはN番目のプレス作動ごとにプレス部材位置検出アセンブリからプレス力を示す情報を取得するように、そしてこれに続いて、連続するプレス作動の間の期間中に、前側構造体と後側構造体との間の距離を調節し、結果として生じた最大プレス力を示す、プレス力を示す情報から導出されたまたはこれに関連したパラメータ値を所定の閾値にまたは所定の範囲内に維持するように調節アクチュエータアセンブリを制御するように構成されている。これにより、各プレス作動中に検出されるプレス力に頼ることなく、トグルプレスの動作位置を、セルロースブランク構造体の特定の特性および成形型の形状に適合するように調節することができる。N番目という用語は、この場合、1よりも大きい数、例えば2番目ごとに、3番目ごとに、10番目ごとに等を意味する。
【0036】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、プレス力表示アセンブリは、プレス力検出アセンブリであって、この場合、プレス力検出アセンブリから取得したプレス力を示すフィードバック情報は、プレス部材のプレス力を表しており、この場合、電子制御システムは:セルロース製品トグルプレスモジュールの通常運転中に、プレス部材を前方に動かすように、そして各プレス作動時にトグル機構に、実質的に固定された出力の力を提供するようにプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するように、次いでプレス部材を後方へと動かすためにプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するように;そして各プレス作動時にまたはN番目のプレス作動ごとにプレス力検出アセンブリからプレス力を示す情報を取得するように、そしてこれに続いて、連続するプレス作動の間の期間中に、前側構造体と後側構造体との間の距離を調節し、結果として生じた最大プレス力を示す、プレス力を示す情報から導出されたまたはこれに関連したパラメータ値を所定の閾値にまたは所定の範囲内に維持するように調節アクチュエータアセンブリを制御するように構成されている。これにより、各プレス作動中に検出されるプレス力に頼ることなく、トグルプレスの動作位置を、セルロースブランク構造体の特定の特性および成形型の形状に適合するように調節することができる。
【0037】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、第1および第2の型部分のそれぞれが、他方の型部分に面するように構成された表面を有する剛性的なプレート形状の主要な本体と、セルロース製品を成形するための1つ以上の成形キャビティを画定する少なくとも1つのプレス表面とを有しており、付加的な副部品、例えば、ばね負荷された切断装置および/または型位置合わせ装置等を備えておりまたは備えておらず、この場合、第1および第2の型成形部分の剛性的なプレート形状の主要な本体の前述した表面は、プレスサイクル中に互いに直接接触はしない。これにより、成形型を、前述した表面間の望ましくない干渉なしに、所定の成形圧での非平坦なセルロース製品のプレス成形のために使用することができる。
【0038】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、トグル機構は、第1のリンク部材および第2のリンク部材を有し、プレスアクチュエータアセンブリは、プレスアクチュエータアセンブリの作動の結果、プレス部材が移動するように、第1または第2のリンク部材に直接的または間接的に駆動接続されている。このような形式のトグル機構により、コンパクトで費用対効果がよく、信頼性の高いトグル機構が得られる。
【0039】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、トグル機構は、第1のリンク部材と第2のリンク部材とを有していて、これらのリンク部材はそれぞれ、第1および第2の旋回接続部を有しており、第1のリンク部材の第1の旋回接続部は、後側構造体に旋回可能に接続されており、第2のリンク部材の第1の旋回接続部は、プレス部材に旋回可能に接続されており、第1のリンク部材の第2の旋回接続部は、第2のリンク部材の第2の旋回接続部に旋回可能に接続されており、プレスアクチュエータアセンブリは、プレスアクチュエータアセンブリの作動の結果、プレス部材が動かされるように、第1のリンク部材と第2のリンク部材との間の整列レベルを調節するように、第1または第2のリンク部材に直接的または間接的に駆動接続されている。このような形式のトグル機構により、コンパクトで費用対効果がよく、信頼性の高いトグル機構が得られる。
【0040】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、トグルプレスモジュールはさらに、プレス部材の前進作動運動を機械的に制限するようにかつ/またはトグル機構が最大ストローク状態に達するのを機械的に阻止するように構成された作動運動制限アセンブリを有している。これにより、成形中の意図しない過圧のリスクが減じられる。
【0041】
本開示はさらに、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を製造するための製品成形ユニットに関する。製品成形ユニットは、バッファモジュールとトグルプレスモジュールとを有している。製品成形ユニットは、セルロースブランク構造体をバッファモジュールに供給し、セルロースブランク構造体をバッファモジュール内にバッファし、セルロースブランク構造体をバッファモジュールからトグルプレスモジュールに供給するように適合されている。バッファモジュールは、セルロースブランク構造体を、第1の供給方向でバッファモジュールに連続的に供給し、セルロースブランク構造体を第2の供給方向でバッファモジュールから間欠的に供給し、この場合、第2の供給方向は、第1の供給方向とは異なっているように構成されたブランク供給システムを有している。
【0042】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、製品成形ユニットは、セルロースブランク構造体を提供するように構成されたブランク乾式成形モジュールをさらに有している。
【0043】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、ブランク乾式成形モジュールは、ミルと、成形チャンバと、成形チャンバに接続されて配置された成形ワイヤとを有しており、ミルは、セルロース原料から繊維を分離するように構成されており、成形チャンバは、分離された繊維を、セルロースブランク構造体の成形のために成形ワイヤの成形セクション上に分配するように構成されている。
【0044】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、成形セクションは、上向きのブランク成形方向で延在している。
【0045】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、トグルプレスはさらに、プレス力表示アセンブリを備え、この場合、電子制御システムは、プレス力表示アセンブリに動作可能に接続されていて、電子制御システムによって、プレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するステップは、プレス力表示アセンブリから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいている。
【0046】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、当該方法は、第1の型部分と第2の型部分との間に位置するプレス領域内に、空気成形されたセルロースブランク構造体を供給するための供給装置を備えたトグルプレスを提供するステップを、そして供給装置によって、空気成形されたセルロースブランク構造体を主に垂直方向下向きにプレス領域内へと供給する、具体的には、空気成形されたセルロースブランク構造体を下向きに垂直方向から20度未満の角度でプレス領域内へと供給する、さらに具体的には、空気成形されたセルロースブランク構造体を垂直方向下向きにプレス領域内に供給するステップをさらに含む。
【0047】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態によれば、空気成形されたセルロースブランク構造体をプレス領域内に供給するための供給装置には、細長い真空ベルトフィーダまたは細長いトラクタベルトフィーダが含まれ、当該方法は、細長い真空ベルトフィーダを、主に垂直方向に、具体的には垂直方向から20度以内の延在方向で、より具体的には垂直方向に平行に配置するステップを含む。
【0048】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、電子制御システムによってプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するステップは、プレス力表示アセンブリからプレス力を示すフィードバック情報を取得するステップ、プレス力を示すフィードバック情報から導出されたまたはこれに関連したパラメータ値が所定の閾値にあるときまたは所定の範囲内にあるとき、プレス部材の進行中のプレス運動を停止させるように;またはフィードバックプロセス変数としてのプレス力を示すフィードバック情報に関連するパラメータを有するフィードバック制御装置を使用するように、プレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するステップを含む。
【0049】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、プレス力表示アセンブリは、プレス部材位置検出アセンブリであって、この場合、プレス部材位置検出アセンブリから取得されたプレス力を示すフィードバック情報は、プレス部材の位置または第1の型部分と第2の型部分との間の型間隙を表し、この場合、電子制御システムによってプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するステップは:検出されたプレス部材の位置または第1の型部分と第2の型部分との間の型間隙が所定の閾値にあるときまたは所定の範囲内にあるとき、プレス部材の進行中のプレス運動を停止させるステップ;またはフィードバックプロセス変数としてのプレス力を示すフィードバック情報に関連するパラメータを有するフィードバック制御装置を使用するステップを含む。
【0050】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、プレス力表示アセンブリは、プレス力検出アセンブリであって、プレス力検出アセンブリから取得されたプレス力を示すフィードバック情報は、プレス部材のプレス力を表し、この場合、電子制御システムによってプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するステップは、検出されたプレス部材のプレス力が所定の閾値に等しいときまたは所定の閾値を超過するとき、プレス部材の進行中のプレス運動を停止させるステップ;またはフィードバックプロセス変数としてのプレス力を示すフィードバック情報に関連するパラメータを有するフィードバック制御装置を使用するステップを含む。
【0051】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、トグルプレスは、前側構造体、後側構造体、機械的な調節機構、機械的な調節機構を駆動するように構成された調節アクチュエータアセンブリをさらに備え、トグル機構は後側構造体に接続されており、第2の型部分は前側構造体に取り付けられており、この場合、機械的な調節機構は、前側構造体と後側構造体との間の距離をプレス方向で調節することができ、当該方法は、前側構造体と後側構造体との間の距離をプレス方向で調節するように調節アクチュエータアセンブリの動作を制御するステップをさらに含む。
【0052】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、調節アクチュエータアセンブリの動作を制御するステップは、連続的なプレス作動の間の期間中に、次のプレスサイクル中にプレス部材が、プレス運動が停止したときに生成されたプレス力を0~100%、特に5~50%超える範囲の最大プレス力を有する位置で停止するようになることを目標とするように、前側構造体と後側構造体との間の距離をプレス方向で調節するために、プレス力表示アセンブリから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいて調節アクチュエータアセンブリの動作を制御するステップを含む。
【0053】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、プレスアクチュエータアセンブリを制御するステップは:プレス力表示アセンブリからのプレス力を示すフィードバック情報をモニタしながらプレス部材を前方に動かすことにより、プレス力を示すフィードバック情報から導出されたまたはこれに関連したパラメータ値が所定の閾値にあるときまたは所定の範囲内にあるとき、プレス部材の進行中のプレス運動を停止させて、そして、プレス部材の戻り運動を開始することにより、またはフィードバックプロセス変数としてのプレス力を示すフィードバック情報に関連するパラメータを有するフィードバック制御装置を使用することにより、プレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するステップを含み;調節アクチュエータアセンブリの動作を制御するステップは、連続的なプレス作動の間の期間中に、次のプレスサイクル中にプレス部材が、プレス運動が停止したときに生成されたプレス力を0~100%、特に5~50%超える範囲の最大プレス力を有する位置で停止するようになることを目標とするように、前側構造体と後側構造体との間の距離をプレス方向で調節するために、プレス力表示アセンブリから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいて調節アクチュエータアセンブリの動作を制御するステップを含む。
【0054】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、トグルプレスは、プレス力表示アセンブリをさらに備え、電子制御システムは、プレス力表示アセンブリに動作可能に接続されており、前側構造体と後側構造体との間の距離をプレス方向で調節するために調節アクチュエータアセンブリの動作を制御するステップは、連続的なプレス作動の間の期間中に実施され、プレス力表示アセンブリから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいている。
【0055】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するためにプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するステップは、セルロース製品トグルプレスモジュールの通常運転中に、各プレス作動時にトグル機構に、実質的に固定された出力の力を提供するようにプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するステップ;プレス作動中にプレス力表示アセンブリからプレス力を示す情報を取得するステップ;そして連続するプレス作動の間の期間中に、前側構造体と後側構造体との間の距離を調節し、結果として生じた最大プレス力を示す、プレス力を示す情報から導出されたまたはこれに関連したパラメータ値を所定の閾値にまたは所定の範囲内に維持するように調節アクチュエータアセンブリを制御するステップを含む。
【0056】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、プレス力表示アセンブリは、プレス部材位置検出アセンブリであって、この場合、プレス部材位置検出アセンブリから取得したプレス力を示すフィードバック情報は、プレス部材の位置または第1の型部分と第2の型部分との間の型間隙を表しており、この場合、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するようにプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するステップは:セルロース製品トグルプレスモジュールの通常運転中に、プレス部材を前方に動かすように、そして各プレス作動時にトグル機構に、実質的に固定された出力の力を提供するようにプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するステップ、次いでプレス部材を後方へと動かすためにプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するステップ;そして各プレス作動時にまたはN番目のプレス作動ごとにプレス部材位置検出アセンブリからプレス力を示す情報を取得するステップ、そしてこれに続いて、連続するプレス作動の間の期間中に、前側構造体と後側構造体との間の距離を調節し、結果として生じた最大プレス力を示す、プレス力を示す情報から導出されたまたはこれに関連したパラメータ値を所定の閾値にまたは所定の範囲内に維持するように調節アクチュエータアセンブリを制御するステップを含む。
【0057】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、プレス力表示アセンブリは、プレス力検出アセンブリであって、この場合、プレス力検出アセンブリから取得したプレス力を示すフィードバック情報は、プレス部材のプレス力を表しており、この場合、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するようにプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するステップは:セルロース製品トグルプレスモジュールの通常運転中に、プレス部材を前方に動かすように、そして各プレス作動時にトグル機構に、実質的に固定された出力の力を提供するようにプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するステップ、次いでプレス部材を後方へと動かすためにプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するステップ;そして各プレス作動時にまたはN番目のプレス作動ごとにプレス力検出アセンブリからプレス力を示す情報を取得するステップ、そしてこれに続いて、連続するプレス作動の間の期間中に、前側構造体と後側構造体との間の距離を調節し、結果として生じた最大プレス力を示す、プレス力を示す情報から導出されたまたはこれに関連したパラメータ値を所定の閾値にまたは所定の範囲内に維持するように調節アクチュエータアセンブリを制御するステップを含む。
【0058】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、成形型においてセルロースブランク構造体からセルロース製品を成形するステップは、セルロースブランク構造体を100~300℃の範囲の成形温度に加熱するステップ、およびセルロースブランク構造体を1~100MPa、好ましくは4~20MPaの範囲の成形圧でプレスするステップを含む。
【0059】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、当該方法は、セルロースブランク構造体を提供するステップ、およびセルロースブランク構造体をバッファモジュールに供給するステップ、およびセルロースブランク構造体をバッファモジュールでバッファし、セルロースブランク構造体を、バッファモジュールからプレスモジュールへと供給するステップであって、この場合、セルロースブランク構造体を第1の供給方向でバッファモジュールに連続的に供給し、第2の供給方向でバッファモジュールから間欠的に供給し、第2の供給方向は、第1の供給方向とは異なっているステップをさらに含む。
【0060】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、セルロースブランク構造体を提供するステップは、セルロース原料を提供するステップ、セルロース原料をブランク乾式成形モジュールへと供給するステップ、セルロース原料から、ブランク乾式成形モジュールにおいてセルロースブランク構造体を乾式成形するステップを含む。
【0061】
上述した実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせることができるいくつかの例示的な実施形態では、ブランク乾式成形モジュールにおいてセルロース原料からセルロースブランク構造体を乾式成形するステップは、ミルにおいてセルロース原料から繊維を分離するステップ、セルロースブランク構造体を成形するためにブランク乾式成形モジュールの成形ワイヤ上に、分離した繊維を分配するステップ、および成形されたセルロースブランク構造体を上向きのブランク成形方向でバッファモジュールに向かって搬送するステップを含む。
【0062】
セルロース製品トグルプレスモジュールのいくつかの実施形態では、プレス力表示アセンブリから受け取ったプレス力を示すフィードバック情報に基づき成形プロセスを実施することに関連する態様により焦点が当てられている。そのために、本開示はさらに、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するためのセルロース製品トグルプレスモジュールであって、トグルプレスモジュールは:プレス方向で可動に配置されたプレス部材、プレス部材に駆動接続されたトグル機構、トグル機構に駆動接続されたプレスアクチュエータアセンブリ、プレス力表示アセンブリ、およびプレスアクチュエータアセンブリとプレス力表示アセンブリとに動作可能に接続された電子制御システムを備えたトグルプレスと;プレス部材に取り付けられた可動な第1の型部分と、第2の成形型とを含む成形型とを有しており;この場合、電子制御システムは、プレス力表示アセンブリから受け取ったプレス力を示すフィードバックに基づいて、トグル機構を使用してプレス方向でプレス部材を駆動するように、そして第1の型部分を第2の型部分に対して押し付けることにより、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するように、プレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するように構成されている、セルロース製品トグルプレスモジュールに関する。これにより、プレス動作のより良好な制御が達成され得る。
【0063】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の特許請求の範囲および以下の説明を検討する際に明らかになるであろう。当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の異なる特徴が、上記および下記で明示的に説明されたもの以外の実施形態を形成するために組み合わされ得ることを認識する。
【0064】
本開示によるセルロース製品トグルプレスモジュールおよび非平坦なセルロースを成形するための関連する方法を、添付の図面を参照しながら以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1a】本開示による製品成形ユニットを概略的に示す側面図である。
【
図1b】本開示による製品成形ユニットを概略的に示す斜視図である。
【
図1c】本開示によるブランク乾式成形モジュールを概略的に示す斜視図である。
【
図1d】本開示による製品成形ユニット内におけるセルロースブランク構造体を送る経路の例示的な実施形態を概略的に示す図である。
【
図1e】本開示による製品成形ユニット内におけるセルロースブランク構造体を送る経路の例示的な実施形態を概略的に示す図である。
【
図2a】本開示によるプレスモジュールを概略的に示す斜視図である。
【
図2b】本開示による成形型内におけるセルロース成形プロセスを概略的に示す側面図である。
【
図2c】本開示による成形型内におけるセルロース成形プロセスを概略的に示す側面図である。
【
図2d】本開示による成形型内におけるセルロース成形プロセスを概略的に示す側面図である。
【
図2e】本開示による成形型内におけるセルロース成形プロセスを概略的に示す側面図である。
【
図3a】本開示によるプレスモジュールを概略的に示す側面図である。
【
図3b】本開示によるプレスモジュールを概略的に示す側面図である。
【
図4】プレスサイクルの主要なプロセスステップを示す図である。
【
図5a】本開示によるプレスモジュールの選択的な方向付けを概略的に示す側面図である。
【
図5b】本開示によるプレスモジュールの選択的な方向付けを概略的に示す側面図である。
【
図6a】本開示によるトグル機構の選択的な設計を概略的に示す側面図である。
【
図6b】本開示によるトグル機構の選択的な設計を概略的に示す側面図である。
【
図7a】本開示による制御方式の例を示す概略的にプロットされたプレス力曲線である。
【
図7b】本開示による制御方式の例を示す概略的にプロットされたプレス力曲線である。
【
図7c】本開示による制御方式の例を示す概略的にプロットされたプレス力曲線である。
【
図7d】本開示による制御方式の例を示す概略的にプロットされたプレス力曲線である。
【
図7e】本開示による制御方式の例を示す概略的にプロットされたプレス力曲線である。
【
図8a】本開示によるプレスモジュールの選択的な動作設定を概略的に示す側面図である。
【
図8b】本開示によるプレスモジュールの選択的な動作設定を概略的に示す側面図である。
【
図8c】本開示によるプレスモジュールの選択的な動作設定を概略的に示す側面図である。
【
図9a】本開示によるプレスモジュールの代替的な制御システムを概略的に示す図である。
【
図9b】本開示によるプレスモジュールの代替的な制御システムを概略的に示す図である。
【
図9c】本開示によるプレスモジュールの代替的な制御システムを概略的に示す図である。
【
図10】本開示による方法のいくつかの基本ステップを概略的に示す図である。
【
図11】本開示による方法のいくつかの基本ステップを概略的に示す図である。
【
図12】本開示による方法のいくつかの基本ステップを概略的に示す図である。
【
図13】本開示による方法のいくつかの基本ステップを概略的に示す図である。
【
図14】本開示による方法のいくつかの基本ステップを概略的に示す図である。
【
図15a】本開示の別の例示的な実施形態によるプレスモジュールを概略的に示す側面図である。
【
図15b】本開示の別の例示的な実施形態によるプレスモジュールを概略的に示す側面図である。
【0066】
例示的な実施形態の説明
本開示の様々な態様を、添付の図面につき以下に説明するが、この態様は、説明するためのものであって本開示を限定するものではなく、その際、同様の名称は同様の要素を指し、説明された態様の変化態様は、具体的に示された実施形態に限定されず、本開示の他の変化態様に適用可能である。
【0067】
本開示によるセルロース製品トグルプレスモジュールを、まず、空気成形されたセルロースブランク構造体2から非平坦なセルロース製品1を製造するための製品成形ユニットUに関連して説明する。
【0068】
図1a~
図1bは、空気成形されたセルロースブランク構造体2から非平坦なセルロース製品1を製造するための製品成形ユニットUを概略的に示している。製品成形ユニットUは、さらに後述するように、バッファモジュール5とプレスモジュール6とを有している。セルロース製品1は、製品成形ユニットUにおいてセルロースブランク構造体2から製造される。セルロースブランク構造体2は、適切な供給源から提供され、バッファモジュール5とプレスモジュール6とに供給される。セルロース製品1の成形は、プレスモジュール6において行われる。非平坦な製品とは、ブランクまたはシートなどの平坦な製品とは異なる、三次元の広がりを有する製品を意味する。
【0069】
本開示による空気成形されたセルロースブランク構造体2とは、セルロース繊維から製造された実質的に空気成形された繊維ウェブ構造体を意味する。セルロース繊維は、適切なセルロース原料R、例えば、パルプ材料に由来するものであってよい。適切なパルプ材料は、例えば、フラッフパルプ、紙構造体、または他のセルロース繊維含有構造体である。セルロースブランク構造体2の空気成形とは、セルロースブランク構造体2を製作するためにセルロース繊維が空気成形される乾式成形プロセスにおけるセルロースブランク構造体の成形を意味する。空気成形プロセスでセルロースブランク構造体2を成形する場合、搬送媒体としての空気によってセルロース繊維を搬送して繊維ブランク構造体2となるように成形する。これは、紙または繊維構造体を成形する際にセルロース繊維の搬送媒体として水が使用される通常の製紙プロセスまたは従来の湿式成形プロセスとは異なる。空気成形プロセスでは、セルロース製品の特性を変化させるために、少量の水または他の物質が、必要に応じてセルロース繊維に添加されてよいが、成形プロセスではなお、空気が搬送媒体として使用される。セルロースブランク構造体2は、適切であるならば、空気成形されたセルロースブランク構造体2を取り囲む雰囲気中の周囲湿度に主に対応する乾燥度を有していてよい。代替的に、セルロースブランク構造体2の乾燥度は、セルロース製品1を成形する際に適切な乾燥度レベルを有するように制御することができる。
【0070】
図1a~
図1bに示された製品成形ユニットUに組み込まれていて、
図1cにより詳細に示されているブランク乾式成形モジュール4は、ミル4aから成形ワイヤ4cへと向かう、セルロース繊維の水平の吹付け方向を有する。成形チャンバ4bの内側の空気による繊維搬送距離の長さは、乱流を最小限に抑えかつ/またはセルロース繊維の均一な流れを生じさせるのに十分な長さでなければならないので、水平の吹付け方向を有するこの実施形態は、製品成形ユニットの高さを低下させ、高さを上げる床構造またはプラットフォームを追加することなく、メンテナンスのためのミルへのアクセスを工場のフロアから可能にしている。
【0071】
特に、セルロース原料Rは、適切な供給源から提供され、セルロース原料Rは、ブランク乾式成形モジュール4へと供給される。セルロースブランク構造体2は、セルロース原料Rから、ブランク乾式成形モジュール4内で乾式成形されて、その後、このセルロースブランク構造体2は、ブランク乾式成形モジュール4からバッファモジュール5へと供給される。ブランク乾式成形モジュール4は、ミル4aと、成形チャンバ4bと、成形チャンバ4bに接続されて配置された成形ワイヤ4cとを有している。セルロース原料Rの繊維Fは、ミル4aでセルロース原料Rから分離され、分離された繊維Fは、成形チャンバ4b内に分配されて、セルロースブランク構造体2を成形するために成形ワイヤ4c上へ到る。ミル4aは、セルロース原料Rからセルロース繊維Fを分離するために構成されていて、成形チャンバ4bは、分離された繊維Fを、セルロースブランク構造体2を成形するために成形ワイヤ4cの成形セクション4d上に分配するように構成されている。成形セクション4dは、成形チャンバ4bの成形チャンバ開口4eに接続されて配置されている。図示した実施形態では、成形セクション4dは、上向きのブランク成形方向DUで延在している。セルロースブランク構造体2は、成形セクション4d上に成形されて、成形セクション4dから、上向きのブランク成形方向DUでバッファモジュール5に向かって搬送される。上向きのブランク成形方向DUは、製品成形ユニットUのコンパクトな構造およびレイアウトのために役立ち、互いに相対的な、製品成形ユニットUの様々なモジュールの効率的な位置決めを可能にする。セルロースブランク構造体2が成形セクション4d上に成形された後、成形されたセルロースブランク構造体2は、成形セクション4dから上向きのブランク成形方向DUでバッファモジュール5に向かって搬送される。
【0072】
ミル4aは、セルロース原料Rから繊維Fを分離して、分離された繊維Fを成形チャンバ4b内に分配している。使用されるパルプ構造体20は、例えば、フラッフパルプ、紙構造体、または他の適切なセルロース繊維含有構造体のベイル、シートまたはロールであってよく、これらはミル4aに供給される。ミル4aは、例えば、ハンマーミル、鋸歯ミル、または他の種類のパルプ解繊機等の任意の従来の形式のものであってよい。パルプ構造体20は、入口開口からミル4a内に供給され、分離された繊維Fは、成形チャンバ4bに接続されて配置された、ミル4aの出口開口を通って成形チャンバ4bへと分配される。
【0073】
成形チャンバ4bは、分離された繊維を、セルロースブランク構造体2を成形するために、成形ワイヤ4c上に分配するように配置されている。成形チャンバ4bは、成形ワイヤ4cに接続されたフード構造体または区画として配置されている。成形チャンバ4bは、分離された繊維Fが、ミル4aから成形ワイヤ4cへと分配される容積を取り囲んでいる。
【0074】
成形ワイヤ4cは、任意の適切な従来の形式のものであってよく、
図1a~
図1bに示されているように、無端ベルト構造として形成されていてよい。成形チャンバ4b内の空気流を制御し、分離された繊維Fを成形ワイヤ4c上へ分配するために、真空ボックス4fが、成形ワイヤ4cおよび成形チャンバ4bに接続されて配置されてよい。
【0075】
空気成形されたセルロースブランク構造体2は、従来の空気成形プロセスで、または
図1a~
図1bに示したようなブランク乾式成形モジュール4でセルロース繊維から成形されてよく、様々な方法で構成されてよい。例えば、セルロースブランク構造体2は、セルロース製品1の所望の特性に応じて、繊維が同じ起源であるかまたは代替的に2種以上のセルロース繊維の混合物を含む組成を有していてよい。セルロースブランク構造体2に使用されるセルロース繊維は、セルロース製品1の成形プロセス中に水素結合によって互いに強く結合される。さらに後述するように、セルロース繊維は、他の物質または化合物と一定量まで混合されてよい。セルロース繊維とは、天然セルロース繊維または製造されたセルロース繊維などの、あらゆるタイプのセルロース繊維を意味する。セルロースブランク構造体2は、具体的には少なくとも95%のセルロース繊維を、またはより具体的には少なくとも99%のセルロース繊維を含んでいてよい。
【0076】
空気成形されたセルロースブランク構造体2は、単層構造または複層構造を有していてよい。単層構造を有するセルロースブランク構造体2は、セルロース繊維を含む1つの層から形成された構造体を意味している。複層構造を有するセルロースブランク構造体2は、セルロース繊維を含む2層以上から形成された構造体を意味しており、この場合、これらの層は、同じまたは異なる組成または構造を有していてよい。
【0077】
セルロースブランク構造体2は、セルロース繊維を含む強化層を有していてよく、この強化層は、セルロースブランク構造体2の1つ以上の他の層のための支持層として配置されていてよい。強化層は、セルロースブランク構造体2の他の層よりも高い引張強度を有していてよい。これは、セルロースブランク構造体2の1つ以上の空気成形された層が、低い引張強度の組成を有する場合に、セルロース製品1の成形中にセルロースブランク構造体2が破壊されることを避けるために有効である。より高い引張強度を有する強化層は、このようにして、セルロースブランク構造体2の他の層のための支持構造体として機能する。強化層は、セルロースブランク構造体のその他の層とは異なる組成物、例えば、セルロース繊維を含む組織層、セルロース繊維を有するエアレイド構造体、またはその他の適切な層構造体であってよい。したがって、強化層は空気成形された層である必要はない。セルロースブランク構造体2は、適切であるならば、2つ以上の強化層を有していてよい。
【0078】
セルロースブランク構造体2の1つ以上の空気成形された層は、ふわふわとした空気のような構造体であり、この構造体を形成するセルロース繊維は、互いに対して比較的ルーズに配置されている。ふわふわとしたセルロースブランク構造体2は、セルロース製品1の効率的な成形のために使用され、成形プロセス中に、セルロース繊維がセルロース製品1を効率的に成形することを可能にする。
【0079】
製品成形ユニットUは、
図1a~
図1bに示されているように、バッファモジュール5の上流に配置されたバリア塗布モジュール8をさらに有していてよい。バリア塗布モジュール8は、1つ以上の成形型3でセルロース製品1を成形する前に、セルロースブランク構造体2にバリア組成物を塗布するように構成されている。
【0080】
セルロース製品1の1つの好ましい特性は、例えば、セルロース製品が、飲料、食品、および他の含水物質と接触して使用される場合のように、液体を保持するまたは液体に耐える能力である。バリア組成物は、セルロース製品を製造する際に使用される1種以上の添加剤、例えばAKDまたはラテックス、または他の適切なバリア組成物であってよい。他の適切なバリア組成物は、AKDおよびラテックスの組み合わせであり、この場合、試験によれば、セルロース製品1を成形する際に、空気成形されたセルロースブランク構造体2に添加されたAKDおよびラテックスの組み合わせにより、固有の製品特性が達成され得ることが示されている。AKDおよびラテックスの組み合わせを使用する場合、高レベルの疎水性を達成することができ、その結果、セルロース製品1の機械的特性に悪影響を及ぼすことなく、水などの液体に耐える高い能力を有するセルロース製品1が得られる。
【0081】
バリア塗布モジュール8は、フード構造体としてセルロースブランク構造体2に接続されて配置されていてよく、このフード構造体は、バリア組成物をセルロースブランク構造体2に連続的または間欠的に噴霧するスプレーノズルを有している。このようにして、バリア組成物は、バリア塗布モジュール8においてセルロースブランク構造体2に塗布される。バリア組成物は、セルロースブランク構造体の片面にのみ、または代替的に両面に塗布されてよい。バリア組成物はさらに、セルロースブランク構造体2の表面全体にわたって塗布されてよく、もしくはセルロースブランク構造体2の表面の一部にのみまたはいくつかの区分にのみ塗布されてよい。バリア塗布モジュールのフード構造体は、バリア組成物が周囲の環境に飛び散ることを阻止している。バリア構造体を塗布するための他の塗布技術には、例えば、スロットコーティングおよび/またはスクリーン印刷が含まれてよい。
【0082】
図1a~
図1bに示された製品成形ユニットUは、バッファモジュール5とプレスモジュール6とを有している。製品成形ユニットUは、セルロースブランク構造体2をバッファモジュール5に供給し、セルロースブランク構造体2をバッファモジュール5内にバッファし、セルロースブランク構造体2をバッファモジュール5からプレスモジュール6に供給するように適合されている。製品成形ユニットUはさらに、セルロースブランク構造体2を成形温度T
Fに加熱することにより、かつセルロースブランク構造体2を成形圧でプレスすることにより、1つ以上の成形型3内でセルロースブランク構造体2から非平坦なセルロース製品1を成形するために適合されている。1つ以上の成形型3は、セルロースブランク構造体2を100~300℃の範囲の成形温度T
Fに加熱することにより、かつセルロースブランク構造体2を1~100MPa、好ましくは4~20MPaの範囲の成形圧でプレスすることにより、セルロースブランク構造体2から非平坦なセルロース製品1を成形するように構成されている。
【0083】
バッファモジュール5は、例えば、
図1a~
図1bに示されているように、プレスモジュール6の上流に配置されていて、このバッファモジュール5は、セルロースブランク構造体2の供給モードを連続供給から間欠供給へと変換するという目的を有している。セルロースブランク構造体2の比較的脆い構造特性のために、セルロースブランク構造体供給源からの連続供給が適している。しかしながら、プレスモジュール6の間欠動作に起因して、セルロースブランク構造体2を破壊することなく、連続供給は、間欠供給に変換されなければならない。これを達成するために、バッファモジュール5は、セルロースブランク構造体2をバッファモジュール5に連続的に供給するように、かつセルロースブランク構造体2をバッファモジュール5から間欠的に供給するように構成されたブランク供給システムを有している。
【0084】
ブランク供給システムはさらに、セルロースブランク構造体2を、第1の供給方向DF1でバッファモジュール5に連続的に供給し、セルロースブランク構造体2を第2の供給方向DF2でバッファモジュール5から間欠的に供給するように構成されていて、この場合、第2の供給方向DF2は、第1の供給方向DF1とは異なっている。第1の供給方向DF1と第2の供給方向DF2とが異なることにより、製品成形ユニットUのコンパクトな構造およびレイアウトが可能となり、製品成形ユニットUの様々なモジュールの互いに対する効果的かつコンパクトな位置決めが可能となる。製品成形ユニットUの動作中、セルロースブランク構造体2はバッファモジュール5内にバッファされ、バッファモジュール5からプレスモジュール6に供給される。セルロースブランク構造体2は、第1の供給方向DF1でバッファモジュール5に連続的に供給され、第2の供給方向DF2でバッファモジュール5から間欠的に供給される。
【0085】
図示した実施形態では、第1の供給方向DF1は上向き方向であり、第2の供給方向DF2は下向き方向であり、これにより製品成形ユニットUのコンパクトかつ効果的な構造が可能となっている。
【0086】
明確にするために、
図1a~
図1bの例示的な実施形態のセルロースブランク構造体2の供給経路および供給方向が、
図1dに概略的に示されており、セルロース製品圧縮成形プロセスの従来の直線的な水平方向の経路と比較した場合、最初に主に上向き、次いで主に水平、次いで主に下向きにセルロースブランク構造体2を送ることによって可能になる製品成形ユニットUのコンパクトな構成およびレイアウトが明瞭に理解可能である。
【0087】
代替的に、
図1eに概略的に示されたように、ブランク乾式成形モジュール4は、セルロースブランク構造体2を上向きに、次いで主に水平に、続いて主に下向きにプレスモジュール6に送り込む前に、セルロースブランク構造体2の、主に水平方向に向けられた供給経路および供給方向を有するように、すなわち、成形チャンバ開口4eの領域において主に水平方向に向けられた成形ワイヤ4cを有するように配置されていてもよい。製品成形ユニットUのこのようなレイアウトも、コンパクトな製品成形ユニットUを提供するために利用されてよい。
【0088】
図1d~
図1eを参照すると、ブランクリサイクルモジュール7を考慮しない場合、ブランク乾式成形モジュール4は、典型的には供給経路の開始部をなし、プレスモジュール6は、典型的には供給経路の終了部をなす。バッファモジュール5およびバリア塗布モジュール8などの他のモジュールは、乾式成形モジュール4とプレスモジュール6との間の、すなわち、乾式成形モジュール4の下流かつプレスモジュール6の上流の任意の適切な位置に配置されており、必ずしも
図1a~
図1bの実施形態の例示的な位置に配置されているわけではない。
【0089】
プレスモジュール6を通過する間にセルロースブランク構造体を主に下向きに送ることは、セルロースブランク構造体2の簡単な供給、および成形プロセス完了後の、すなわちプレスモジュール6を離れるときのセルロース製品1の簡単な取出しという点で有益である。
【0090】
特に、バッファモジュール5からプレスモジュール6へのセルロースブランク構造体2の高速の間欠的な供給は、セルロースブランク構造体2の損傷、またはセルロースブランク構造体2の特性、例えばセルロースブランク構造体2の厚さの変化により、実施が困難であり得る。しかしながら、トグルプレスを主に水平方向DHに配置し、セルロースブランク構造体を主に下向きにプレスモジュール6に供給することにより、重力によってこの供給プロセスが支援され、これにより、空気成形されたセルロースブランク構造体2をプレスモジュール6のプレス領域15に供給するために供給装置によって加えるべき必要な力はより少なくて済み、それによりセルロースブランク構造体2の損傷および/または特性の変化のリスクが低減される。
【0091】
さらに、成形プロセス完了後の、完成して排出されたセルロース製品1の取出しも、成形型3を通るセルロースブランク構造体2の主に垂直方向の送りによって簡単になり得る。なぜなら、この場合も、重力が、完成して排出されたセルロース製品1の成形型3からの取出し、およびその後の貯蔵チャンバまたはコンベヤベルト等への搬送を支援し、簡単にすることができるからである。
【0092】
プレスモジュール6は、
図1a~
図1bおよび
図2aに示したように、1つ以上の成形型3を有しており、各成形型3は、第1の型部分3aと第2の型部分3bとを有している。対応する第1および第2の型部分は、プレスモジュール6において非平坦なセルロース製品1の成形中に互いに協働する。各第1の型部分3aと対応する第2の型部分3bとは、互いに対して可動に配置されていて、第1の型部分3aと第2の型部分3bとは、プレス方向D
Pで互いに対して動くように構成されている。
【0093】
図1a~
図1bおよび
図2a~
図2eに示した実施形態では、第2の型部分3bは定置であり、第1の型部分3aは、プレス方向D
Pで第2の型部分3bに対して可動に配置されている。
図2bに両方向矢印で示されたように、第1の型部分3aは、プレス方向D
Pで延在する軸線に沿った線形運動で、第2の型部分3bに向かってかつ第2の型部分3bから離れるように両方向で動くように構成されている。
【0094】
代替的な実施形態では、第1の型部分3aが定置であってよく、かつ第2の型部分3bが第1の型部分3aに対して可動に配置されていてよく、または第1の型部分3aおよび第2の型部分3bの両方ともが、互いに対して可動に配置されていてもよい。
【0095】
プレスモジュール6は、シングルキャビティ構造または代替的にマルチキャビティ構造であってよい。シングルキャビティプレスモジュールは、第1および第2の型部分を備えた1つだけの成形型3を有している。マルチキャビティプレスモジュールは、それぞれ協働する第1および第2の型部分を備えた2つ以上の成形型3を有している。
図1a~
図1bおよび
図2aに示した実施形態では、プレスモジュール6は、第1および第2の型部分を備えた複数の成形型3を有するマルチキャビティプレスモジュールとして配置されており、型部分の動きは、同時の成形動作のために適切に同期されている。
図2b~
図2eに示されたプレスモジュール6の部分は、シングルキャビティ構造を、または代替的にマルチキャビティ構造の、1つの成形型3を備えた一区分を示している。以下では、プレスモジュール6を、マルチキャビティプレスモジュールに関して説明するが、本開示は、シングルキャビティプレスモジュールにも同様に適用可能である。
【0096】
本開示によるすべての実施形態について、プレス方向DPでの動きという表現は、プレス方向DPでの運動を含み、この運動は逆方向で行われてもよいことを理解されたい。この表現はさらに、型部分の線形の運動および非線形の運動の両方を含んでいてよく、この場合、成形中の運動の結果として、プレス方向DPで型部分が再配置される。
【0097】
空気成形されたセルロースブランク構造体2から非平坦なセルロース製品1を製品成形ユニットUで成形するために、まずは、セルロースブランク構造体2が、適切な供給源から提供される。セルロースブランク構造体2は、セルロース繊維から空気成形されて、ロール状にまたは積層されて配置されてよい。ロールまたは積層体を、その後、成形型システムSに接続して配置することができる。代替として、セルロースブランク構造体2は、製品成形ユニットUのブランク乾式成形モジュール4でセルロース繊維から空気成形されて、バッファモジュール5を経由してプレスモジュール6に直接供給されてもよい。
【0098】
セルロース製品1は、セルロースブランク構造体2を100~300℃の範囲の成形温度T
Fに加熱することにより、かつセルロースブランク構造体2を1~100MPa、好ましくは4~20MPaの範囲の成形圧でプレスすることにより、1つ以上の成形型3においてセルロースブランク構造体2から成形される。
図2b~
図2eにおいて説明したように、第1の型部分3aは、対応する第2の型部分3bとの相互作用により、非平坦なセルロース製品1を成形するように配置されている。セルロース製品1の成形中、セルロースブランク構造体2は、各成形型3内で、1~100MPaの範囲の、好ましくは4~20MPaの範囲の成形圧に、かつ100~300℃の範囲の成形温度T
Fに曝される。したがって、セルロースブランク構造体2を100~300℃の範囲の成形温度T
Fに加熱することにより、かつセルロースブランク構造体2を1~100MPa、好ましくは4~20MPaの範囲の成形圧でプレスすることにより、各第1の型部分3aと対応する第2の型部分3bとの間でセルロースブランク構造体2からセルロース製品1が成形される。セルロース製品1を成形する場合、第1の型部分3aと第2の型部分3bとの間に配置されたセルロースブランク構造体2内のセルロース繊維間に強力な水素結合が形成される。温度レベルおよび圧力レベルは、例えば、セルロースブランク構造体2内のセルロース繊維内に、またはセルロース繊維に接続されて配置された適切なセンサによって、成形プロセス中にセルロースブランク構造体2において測定される。
【0099】
プレスモジュール6は、加熱ユニットをさらに有していてよい。加熱ユニットは、各成形型3内のセルロースブランク構造体2に成形温度TFを与えるように構成されている。加熱ユニットは、任意の適切な構造を有していてよい。加熱ユニットは、第1の型部分3aおよび/または第2の型部分3bに組み込まれていてよくまたは鋳込まれていてよく、適切な加熱機器は、例えば、抵抗器素子のような電気ヒータまたは流体ヒータである。別の適切な熱源を使用することもできる。
【0100】
図2bに示したように、セルロースブランク構造体2が、第1の型部分3aと第2の型部分3bとの間の成形位置に配置されている場合、第1の型部分3aは、
図2cにおいて矢印で示されているように、プレス方向D
Pで第2の型部分3bに向かって動かされる。第1の型部分3aが第2の型部分3bに向かって動かされるとき、第1の型部分3aが、第2の型部分3bに向かってさらに動かされ、セルロースブランク構造体2に成形圧および成形温度T
Fがかけられる、
図2dに示されているような製品成形位置に達するまで、セルロースブランク構造体2は、型部分のプレス表面3c,3dの間でますます圧縮される。各第1の型部分3aが、対応する第2の型部分3bに向かって押され、これらの型部分の間にセルロースブランク構造体2が配置されている状態で、セルロース製品1の成形中、セルロース製品1を成形するための成形キャビティCが、各第1の型部分3aと第2の型部分3bとの間に形成される。成形圧および成形温度T
Fが、各成形キャビティC内のセルロースブランク構造体2にかけられる。セルロース製品1の成形はさらに、プレスモジュール6における縁部成形動作および切断または分離動作を含んでいてよく、この場合、縁部はセルロース製品1に成形され、セルロース製品1は、セルロース製品1の成形中にセルロースブランク構造体2から分離される。型部分には、このような動作のために、例えば縁部成形装置および切断または分離装置が配置されていてよく、もしくは代替的に、縁部は、製品の切断または分離動作で成形されてもよい。セルロース製品1が成形型システムS内で成形されると、第1の型部分3aは、
図2eにおいて示されているように、第2の型部分3bから離れる方向に動かされ、セルロース製品1を、例えば、エジェクタ棒または類似の装置を使用して、プレスモジュール6から取り出すことができる。
【0101】
成形圧を確立するための変形エレメントEが、各第1の型部分3aおよび/または第2の型部分3bに接続されて配置されていてよい。
図2b~
図2eに示された実施形態では、変形エレメントEは、第1の型部分3aに取り付けられている。変形エレメントEを使用することにより、成形圧は、等方成形圧として生成することができる。
【0102】
第1の型部分3aおよび/または第2の型部分3bは、変形エレメントEを有していてよく、変形エレメントEは、セルロース製品1の成形中に、成形キャビティC内のセルロースブランク構造体2に成形圧をかけるように構成されている。変形エレメントEは、適切な取付け手段、例えば、接着剤または機械的な固定手段によって、第1の型部分3aおよび/または第2の型部分3bに取り付けられてよい。セルロース製品1の成形中、変形エレメントEは、成形キャビティC内のセルロースブランク構造体2に成形圧をかけるために変形されて、変形エレメントEの変形により、セルロース製品1が複雑な3次元形状を有していたとしても、またはセルロースブランク構造体2が様々な厚さを有していたとしても、均等な圧力分布が達成される。セルロースブランク構造体2に必要な成形圧をかけるために、変形エレメントEは、力または圧力がかけられると変形することができる材料から形成されていて、変形エレメントEは好適には、変形後にサイズと形状とを回復することができる弾性材料から形成されている。変形エレメントEはさらに、セルロース製品1の成形時に使用される高い成形圧および成形温度TFレベルに耐える適切な特性を有した材料から形成されていてよい。
【0103】
ある種の弾性的なまたは変形可能な材料は、高い圧力レベルに曝されたときに流体のような特性を有する。変形エレメントEがそのような材料から形成されているならば、成形プロセスにおいて均等な圧力分布を達成することができ、この場合、変形エレメントEから成形キャビティC内のセルロースブランク構造体2にかけられる圧力は、型部分の間のすべての方向で等しいまたは実質的に等しい。圧力下で、各変形エレメントEが流体のような状態にある場合、均一な流体状の圧力分布が達成される。したがって成形圧は、このような材料によって、すべての方向からセルロースブランク構造体2へと加えられ、変形エレメントEは、このようにして、セルロース製品1の成形中に、等方成形圧をセルロースブランク構造体2にかける。各変形エレメントEは、弾性材料の適切な構造体から形成されていてよく、一例として、変形エレメントEは、20~90ショアAの範囲の硬度を有する、ゲル材料、シリコーンゴム、ポリウレタン、ポリクロロプレンまたはゴムから成る中実の構造体または実質的に中実の構造体から形成されていてよい。
【0104】
さらに、
図1a~
図1bに示された実施形態では、製品成形ユニットUは、セルロース繊維をリサイクルするためのブランクリサイクルモジュール7を有している。ブランクリサイクルモジュール7は、セルロース製品1の成形後にセルロースブランク構造体2の残余部分2aを、プレスモジュール6からブランク乾式成形モジュール4に戻し供給するように構成されている。ブランクリサイクルモジュール7は、残余セルロースブランク繊維材料をプレスモジュール6からミル4aに搬送するように配置されている。成形型3においてセルロース製品1を成形した後、セルロースブランク繊維材料を含むセルロースブランク構造体の残余部分2aが生じ得る。ブランクリサイクルモジュール7によって、残余セルロース繊維または残っているセルロース繊維を再循環させて、セルロース原料からの繊維と一緒に新しいセルロースブランク構造体2を形成するために再利用することができる。
図1a~
図1bには、ブランクリサイクルモジュール7の例示的な実施形態が概略的に示されている。ブランクリサイクルモジュール7は、供給ベルト、コンベヤ構造体、または残余部分2aを成形型3からミル4aに搬送するための他の適切な手段などの供給構造体7aを含む。ミル4aは、残余材料のための別個の入口開口を備えて配置されてよく、この入口開口から、セルロースブランク構造体2の残余部分2aは、ミル4a内へと供給される。
【0105】
プレスモジュール6のいくつかの例示的な実施形態を、
図2aおよび
図3a~
図3bにおける概略図を参照しながらさらに詳しく後述するが、この場合、
図3aは、材料の種類と製品とに応じておそらく約20~100mm程度の型間隙29を有した開放状態にあるトグルプレス6aを、
図3bは、材料の種類と製品とに応じて約0.5~3mmの型間隙29を有した、すなわちプレス作動中の同じトグルプレス6aを示している。
【0106】
プレスモジュール6は、空気成形されたセルロースブランク構造体2から非平坦なセルロース製品1を成形するためのセルロース製品トグルプレスモジュール6である。トグルプレスモジュール6は、プレス方向DPで可動に配置されたプレス部材6dと、プレス部材6dに駆動接続されたトグル機構6eと、トグル機構6eに駆動接続されたプレスアクチュエータアセンブリ6fと、プレスアクチュエータアセンブリ6fに動作可能に接続された電子制御システム6hとを含むトグルプレス6aを有している。トグルプレスモジュール6は、プレス部材6dに取り付けられた可動の第1の型部分3aと、定置の第2の型部分3bとを含む成形型3をさらに有している。電子制御システム6hは、トグル機構6eを使用してプレス方向DPでプレス部材6dを駆動するように、そして第1の型部分3aを定置の第2の型部分3bに対して押し付けることにより、空気成形されたセルロースブランク構造体2から非平坦なセルロース製品1を成形するように、プレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御するように構成されている。トグルプレス6aは、主に水平方向DHに配置された、プレス部材6dのプレス方向DPを有するように、具体的には水平方向DHから20度以内に配置された、プレス部材6dのプレス方向DPを有するように、より具体的には水平方向DHに対して平行なプレス方向DPを有するように、設置されている、または設置されるように配置されている。
【0107】
セルロース製品トグルプレスモジュール6は、空気成形されたセルロースブランク構造体2から非平坦なセルロース製品1を成形するために特に適している。なぜならば、連続的なセルロースブランク構造体2により、ブランク構造体2の簡単な取扱いおよびトグルプレス6aへの供給、ならびにセルロースブランク構造体2の残余部分2aの、ブランクリサイクルモジュール7への簡単な供給が可能となるからである。しかしながら、セルロース製品トグルプレスモジュール6は、空気成形されたセルロースブランク構造体2の個別のシート片のような、非連続的な空気成形されたセルロースブランク構造体2から、非平坦なセルロース製品1を成形するためにも適している。
【0108】
プレスアクチュエータアセンブリ6fは、例えば、シリンダ・ピストンアクチュエータのような単一のまたは複数の液圧式または空気圧式の線形アクチュエータを含んでいてよい。代替的に、回転する出力軸を備えるモータ、例えば、電気モータ、液圧式モータまたは空気圧式モータが、機械式アクチュエータ、特に、ボールねじ、ねじ山付きロッドアクチュエータ、ラックおよびピニオンアクチュエータなどの線形の機械式アクチュエータを駆動するために使用されてもよい。さらに代替的には、プレスアクチュエータアセンブリ6fは、偏心機構またはクランクシャフトアセンブリなどの回転-線形伝達装置を介してトグル機構6eに駆動接続された高トルク電気モータを含んでいてもよい。またさらに代替的には、プレスアクチュエータアセンブリ6fは、トグル機構6eに一体的に取り付けられかつトグル機構6eの回転部材または旋回リンクと直接的に駆動接続された1つ以上の高トルク電気モータを含んでいてもよい。
【0109】
可動の第1の型部分3aは、プレス部材6dに直接的または間接的に取り付けられてよい。これは、例えば、可動の第1の型部分3aとプレス部材6dとの間に配置された中間部材、例えば、プレス力を検出するためのロードセル等があってもよいことを意味する。
【0110】
定置の第2の型部分3bは、一般的に、プレス作動中は不動であるが、しかしそれにもかかわらず、より詳しく後述するように、連続したプレス作動の間の期間において、プレス方向DPで調節可能であってもよい。
【0111】
いくつかの例示的な実施形態では、トグルプレス6aは、前側構造体6bおよび後側構造体6cを有し、トグル機構6eは、後側構造体6cにも接続されており、定置の第2の型部分3bは前側構造体6bに取り付けられている。
【0112】
定置の第2の型部分3bは、前側構造体6bに直接的または間接的に取り付けられてよい。これは、例えば、定置の第2の型部分3bと前側構造体6bとの間に配置された中間部材、例えば、プレス力を検出するためのロードセル等があってもよいことを意味する。
【0113】
トグルプレス6aの前側構造体6bおよび後側構造体6cは、プレス作動中に前側構造体6aおよび後側構造体6cが互いに分離しないことを保証するために、何らかの構造的に剛性の構造によって相互接続されなければならない2つの剛性の構造的に関連する部分を表している。前側構造体6bおよび後側構造体6cは、特定の状況に応じて多くの異なる形状を有してよい。例えば、前側構造体6bおよび後側構造体6cは、プレートのような形状、特に矩形のプレートのような形状を有してもよく、これにより、費用対効果の高い製造が可能となり、かつプレート形状の前側構造体6bおよび後側構造体6cの角隅領域を、共通の剛性のフレーム構造体への取付けのために使用することが可能となる。
【0114】
実際、トグルプレス6aは、典型的には、前側構造体6bと、後側構造体6cと、前側構造体6bを後側構造体6cに接続する中間フレーム構造体とによって画定される剛性のフレーム構造体を有する。
【0115】
いくつかの例示的な実施形態では、トグルプレス6aは、前側構造体6bと、後側構造体6cと、前側構造体6bを後側構造体6cに接続する中間的な線形ガイドアセンブリ14とによって画定される剛性のフレーム構造体を有しており、この場合、プレス部材6dは、線形ガイドアセンブリ14に可動に取り付けられていて、プレス方向DPで可動である。剛性のフレーム構造体は、トグルプレスモジュール6の所望の高さと角度傾斜とを提供するために、下にある支持フレーム38に配置されていてもよい。
【0116】
換言すると、中間的なフレーム構造体は、トグルプレス6aに構造的強度および剛性を提供し、かつ前側構造体6bと後側構造体6cとの間に剛性接続を提供し、さらに加えて、プレス部材6dをガイドするための中間的な線形ガイドアセンブリ14を提供するという点で、二重の機能を有する中間的な線形ガイドアセンブリ14によって提供されてよい。
【0117】
トグルプレス6aの費用対効果が高くかつ強固なフレーム構造を可能にするために、中間的な線形ガイドアセンブリ14は、4つのタイバー37を有していてよく、これらのタイバーのうちの1つは、プレート状の前側構造体6bおよび後側構造体6cの各角隅領域に配置されている。タイバーは、例えば円筒状であって、前述のタイバーを収容するために、プレート状の前側構造体6bおよび後側構造体6cの角隅領域には、対応する円筒状の孔が設けられていてよい。
【0118】
プレス部材6dは、任意の構造的な形状を有していてよい。しかしながら、いくつかの例示的な実施形態では、プレス部材も、少なくとも部分的にプレートのような形状、特に矩形のプレートのような形状を有してもよく、これにより、費用対効果の高い製造が可能となり、かつプレート形状のプレス部材6dの角隅領域を、中間的な線形ガイドアセンブリ14への取付けのために使用することが可能となる。したがって、いくつかの例示的な実施形態では、トグルプレス6aは、3プラテンプレスと称されてよい。
【0119】
トグルプレス6aは、例えば、
図1a~
図1bおよび
図2aおよび
図3a~
図3bに示されたように、水平方向に配置された、プレス部材6dのプレス方向D
Pを有するように設置されている。しかしながら、
図5a~
図5bを参照すると、状況によっては、トグルプレス6aが僅かに傾斜した状態で取り付けられている場合でも、低い構成高さを有するセルロース製品成形ユニットUの全体的にコンパクトな設計を可能にするという有益な態様が得られる。したがって、セルロース製品トグルプレスモジュール6の有益な態様は、主に水平方向D
Hに配置された、プレス部材6dのプレス方向D
Pを有するように配置されたトグルプレス6aによって、すなわち、鉛直方向D
Vよりも、より水平方向D
Hに配置された、プレス部材6dのプレス方向D
Pを有するように配置されたトグルプレス6aによって得ることができると考えられる。換言すると、トグルプレス6aは、0~44度の範囲の、特に0~20度の範囲の設置角度13を有するように配置された、プレス部材6dのプレス方向DPを有するように設置されてよく、この場合、前述の設置角度は、プレス方向D
Pと水平方向D
Hとによって規定される。
【0120】
さらに、
図5a~
図5bに示したように、セルロース製品成形ユニットUの全体的にコンパクトな設計、および低い構成高さを可能にする有益な態様は、
図5aに示したように、トグルプレス6aの後側構造体6cがトグルプレスの前側構造体6bよりも高く配置されている場合、ならびに
図5bに示したように、トグルプレス6aの前側構造体6bがトグルプレスの後側構造体6cよりも高く配置されている場合の両方で得られる。単なる例として、
図5aでは、プレスアクチュエータアセンブリ6fのための電源39が、支持フレーム38の下に取り付けられた状態で示されており、
図5bでは、例えば、製品取出しアセンブリ48が、支持フレーム38の下に取り付けられた状態で示されている。
【0121】
いくつかの例示的な実施形態では、トグルプレス6aは、第1の型部分3aと第2の型部分3bとの間に位置するプレス領域15内に、空気成形されたセルロースブランク構造体2を連続的にまたは間欠的に供給するための供給装置16をさらに含み、この場合、この供給装置16は、空気成形されたセルロースブランク構造体2を主に垂直方向下向きにプレス領域15内へと供給するように、具体的には、空気成形されたセルロースブランク構造体2を下向きに垂直方向から20度未満の供給角度49でプレス領域15内へと供給するように、さらに具体的には、空気成形されたセルロースブランク構造体を垂直方向下向きにプレス領域15内に供給するように、配置されている。
【0122】
上述したように、主に垂直方向という表現は、この場合、水平方向よりも、より垂直方向に配置されている方向でブランク構造体を供給することを意味する。換言すると、供給装置16の線形部分は、垂直方向と、0~44度の、特に0~20度の範囲の角度49を規定するように方向付けられている。したがって、供給装置16は、主に成形型3の上方に配置されていると考えられてよい。
【0123】
さらに、プレス方向DPが、主に水平方向DHに向けられているような、プレスモジュール6の横置き配置の結果、第1の型部分3aおよび第2の型部分3bの内部によって規定される、典型的には実質的に平坦な側面によって規定される平面は、主に垂直方向DVに配置され、すなわち、垂直方向DVに対して0~44度の、特に0~20度の範囲の角度を規定している。第1の型部分3aおよび第2の型部分3bの内部の平坦な側面とは、互いに向かい合っていて、プレスキャビティのプレス表面を取り囲む、第1の型部分3aおよび第2の型部分3bの面を意味する。
【0124】
いくつかの例示的な実施形態によれば、空気成形されたセルロースブランク構造体2をプレス領域15内に供給するための供給装置16には、細長い真空ベルトフィーダまたは細長いトラクタベルトフィーダ等が含まれてよく、これらは、主に垂直方向DVに配置された、具体的には垂直方向DVから20度以内の延在方向17で配置された、より具体的には垂直方向DVに平行に配置された、供給装置16のベルト部分の延在方向17を有している。
【0125】
トグルプレス6aのトグル機構6eは、多種多様な設計および実装形態を有していてよい。トグル機構6eの基本的な要件は、プレス力の増幅を発生させることであり、これにより、プレス力の観点で、比較的低コストおよび低容量のプレスアクチュエータアセンブリ6fの使用が可能となる。プレス力の増幅は、プレスモジュールのプレス速度を対応させて低下させることにより達成される。したがって、トグル機構6eは、プレスアクチュエータアセンブリ6fの力/速度と比較して、プレス力を増幅させ/プレス速度を減速させる。
【0126】
概して、
図1a~
図1b、
図2aおよび
図3a~
図3bの例示的な実施形態を参照すると、トグル機構6eは、第1のリンク部材18および第2のリンク部材19を有し、プレスアクチュエータアセンブリ6fは、プレスアクチュエータアセンブリ6fの作動の結果、プレス部材6dが移動するように、第1または第2のリンク部材18,19に直接的または間接的に駆動接続されている。
【0127】
より詳細には、トグル機構6eは、いくつかの例示的な実施形態では、第1のリンク部材18と第2のリンク部材19とを有していてよく、これらのリンク部材はそれぞれ、第1および第2の旋回接続部18a,18b,19a,19bを有しており、第1のリンク部材18の第1の旋回接続部18aは、後側構造体6cに旋回可能に接続されており、第2のリンク部材19の第1の旋回接続部19aは、プレス部材6dに旋回可能に接続されており、第1のリンク部材18の第2の旋回接続部18bは、第2のリンク部材19の第2の旋回接続部19bに旋回可能に接続されており、プレスアクチュエータアセンブリ6fは、プレスアクチュエータアセンブリ5fの作動の結果、プレス部材6dが動かされるように、第1のリンク部材18と第2のリンク部材19との間の整列レベルを調節するように、第1または第2のリンク部材18,19に直接的または間接的に駆動接続されている。
【0128】
第1のリンク部材18の第2の旋回接続部18bが、第2のリンク部材19の第2の旋回接続部19bに旋回可能に接続されているという事実は、第1のリンク部材18の第2の旋回接続部18bが、第2のリンク部材19の第2の旋回接続部19bと同じであることを意味している。
【0129】
第1のリンク部材18と第2のリンク部材19との間の整列レベルの調節の効果は、
図3a~
図3bに示されている。第1のリンク部材18と第2のリンク部材19との間の整列は、
図3aおよび
図3bによる側面図でわかるように、第1および第2のリンク部材18,19の長手方向により規定される整列角度22によって決定され、この場合、第1のリンク部材18の長手方向18dは、第1のリンク部材の第1および第2の旋回接続部18a,18bを通る直線によって規定され、第2のリンク部材19の長手方向19dは、第2のリンク部材19の第1および第2の旋回接続部19a,19bを通る直線によって規定される。
図3bにおける整列角度22は、
図3aにおける整列角度22よりも小さいことが明らかであり、これにより、プレスアクチュエータアセンブリ5fの作動の結果、プレス部材6dの前方移動、すなわち前側構造体6bに向かうプレス部材6dの移動が生じることが確認される。
【0130】
図3a~
図3bの例示的な実施形態に示されたトグル機構6eは、5点ダブルトグル機構と称すこともでき、これは、プレス部材6dに対するより良好なプレス力分布を提供するために並んで配置された2つの個別のトグル機構が設けられており、前述の2つの個別のトグル機構はそれぞれ、5つの旋回点を有していることを意味する。
【0131】
特に、
図3a~
図3bの例示的な実施形態では、プレスアクチュエータアセンブリ6fは、単一のクロスヘッド20に駆動接続されていて、クロスヘッドリンク部材21は、クロスヘッドリンク部材21に旋回可能に接続された第1の接続部21aと、第1のリンク部材18の第3の旋回接続部18cに旋回可能に接続された第2の接続部21bとを有する。
【0132】
換言すると、
図3a~
図3bの例示的な実施形態のトグル機構6eは、互いに並んで配置された第1および第2の個別のトグル機構を駆動する単一のクロスヘッドを有しており、第1および第2のトグル機構は、それぞれ第1のリンク部材18、第2のリンク部材19、およびクロスヘッドリンク部材21を備え、この場合、第1のリンク部材18は、第2のリンク部材19と後側構造体6cとに旋回可能に接続されており、第2のリンク部材19は、プレス部材6dに旋回可能に接続されており、クロスヘッドリンク部材21は、第1のリンク部材18とクロスヘッド20とに旋回可能に接続されている。
【0133】
本開示の範囲において、トグル機構6eの複数の代替的な設計が可能である。例えば、クロスヘッドリンク部材21は、第2のリンク部材19とクロスヘッド20とに旋回可能に接続されていてもよい。さらに、第1のリンク部材18の第2および第3の旋回接続部18b,18cが、代替的に、共通の旋回接続部であってもよい。
【0134】
さらに、
図5aに示されているように、トグル機構6eは、3点シングルトグル機構であってよく、この場合、トグル機構6eは、第2のリンク部材19に旋回可能に接続された第1のリンク部材18を有しており、第1のリンク部材18は、後側構造体6cにも旋回可能に接続されていて、第2のリンク部材19は、前側構造体6dに旋回可能に接続されており、プレスアクチュエータアセンブリ6fは、プレスアクチュエータアセンブリ6fの作動の結果、プレス部材6dが動かされるように、第1または第2のリンク部材18,19に直接的または間接的に駆動接続されている。
【0135】
さらに、トグル機構6eのさらなる例示的な設計が、
図6aに概略的に示されていて、この
図6aは、3点ダブルトグル機構を、すなわち、
図5aを参照して説明したような3点シングルトグル機構を2つ示していて、これらのトグル機構は、前述の両シングルトグル機構の第1および/または第2のリンク部材18,19に直接的または間接的に駆動接続されている、プレスまたはプルアクチュエータアセンブリ6fを備えている。さらに、この例示的な実施形態では、電気サーボモータが、アクチュエータアセンブリ6fとして示されている。
【0136】
またさらなる例示的な実施形態によれば、
図6bに概略的に示されているようなトグル機構6eは、3点ダブルトグル機構を、すなわち、
図5aを参照して説明したような3点シングルトグル機構を2つ含んでいるが、この場合、これら2つのシングルトグル機構は、逆方向で動作し、これら2つのトグル機構の間に配置され、前述の両シングルトグル機構の第1および/または第2のリンク部材18,19に直接的または間接的に駆動接続されている、アクチュエータアセンブリ6fを備えている。
【0137】
図3a~
図3bを参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、トグルプレス6aは、前側構造体6bおよび後側構造体6cをさらに有し、この場合、トグル機構6eは、後側構造体6cに接続されており、定置の第2の型部分3bは前側構造体6bに取り付けられており、この場合、トグルプレス6aは、前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24をプレス方向D
Pで調節することができる機械的な調節機構23と、機械的な調節機構23を駆動するように構成された調節アクチュエータアセンブリ25とをさらに備える。
【0138】
例えば、機械的な調節機構23は、4つの歯車26a~26dを有していてよく、各歯車は、線形ガイドアセンブリ14のタイバーの対応するねじ山付き端部に螺合により取り付けるための雌ねじ山を有し、かつ各歯車26a~26dは、調節アクチュエータアセンブリ25の1つ以上のモータによって駆動されるように外歯車の歯列を有する。
【0139】
例えば、
図2aおよび
図3a~
図3bに示されたように、機械的な調節機構23の前述の4つの歯車26a~26dのそれぞれは、調節アクチュエータアセンブリ25の単一のモータによって動力が供給される単一の中央歯車27に接続されていてよく、この中央歯車によって駆動されてよい。
【0140】
調節アクチュエータアセンブリ25の動作は、機械的な調節機構23に、前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24を変更させ、これによりトグル機構の増幅レベルと動作挙動に影響を与える。
【0141】
図3a~
図3bの例示的な実施形態では、機械的な調節機構23の動作は、前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24を変化させるために、線形ガイドアセンブリ14に対して相対的に後側構造体6cを変位させる。
【0142】
代替的に、機械的な調節機構23の動作は、前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24を変化させるために、線形ガイドアセンブリ14に対して相対的に前側構造体6bを変位させる。
【0143】
前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離におけるこのような調節は、典型的には、トグルプレス6aの連続したプレス作動の間の期間に実施される。
【0144】
図4は、通常動作中のプレスモジュール6の主要なプロセスステップを概略的に示している。プレス動作のフローチャートは、通常、
図3aに概略的に示したように、引き込まれたトグル機構および開かれたプレス型3に関連する待機位置Sにおいてプレス部材が静止した状態から始まる。プレスサイクルを開始するためのコマンドまたは命令を受け取ると、フローチャートの第2のステップFが行われ、この第2のステップは、プレス部材6dを前方Fに押すようにプレスアクチュエータアセンブリ6fを作動させることを含み、この作動は、成形型3が閉じられ、主要なプロセスの第3のステップPにおいて、約1~100MPa、特に4~20MPaの成形圧がセルロースブランク構造体に加えられるまで行われる。その後、フローチャートの第4のステップRが行われ、この第4のステップは、スタート位置への、すなわち待機位置Sへのプレス部材6dの戻り運動の開始を含む。
【0145】
高速製造の場合、プロセスはステップSをスキップしてよい、すなわち、フローチャートの第2のステップFを再び開始する前に、待機位置Sに完全に戻すことをスキップしてよい。
【0146】
図7aは、トグルプレス6aの例示的な実施形態の典型的な極めて指数関数的な増幅特性を概略的に示している。特に、
図7aは、Y軸で単位ニュートン(N)のプレス力を、X軸で単位ミリメートルの成形型3の型間隙を示す座標系にプロットされたプレス力曲線を示している。この具体的な例は、セルロース製品トグルプレスモジュールの例示的な実施形態および対応する方法を説明するためだけに含まれているものであり、決して、特に例示的な型間隙データに関して、限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、異なる形式のトグル機構は、異なるレベルの指数関数的な増幅特性を提供し、特定のセルロース製品および/またはセルロースブランク構造体2ごとに、適切な形式のトグル機構が選択されてよい。
【0147】
最大プレス力曲線28が、
図7aに示されている。この曲線は、特定のトグルプレス6aの最大プレス力が、前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24の特定の設定で型間隙の関数として提供され得ることを表しており、特にゼロの型間隙のときの設定は、第1のリンク部材と第2のリンク部材とがちょうど整列したときに達成され、その結果、論理的には、
図7aの最大プレス力曲線28の漸近特性によって見られるように、無限のプレス力が生じる。
【0148】
プレス力曲線28の漸近領域でトグルプレスを動作させる場合、すなわち、第1および第2のリンク部材18,19がほぼまたは完全に整列し、整列角22がほぼまたはちょうど180度の場合、この領域の漸近増幅特性により、トグルプレスは、プレスアクチュエータアセンブリ6fからトグル機構に入力される力の関数としてのプレス力に関して極めて敏感である。
【0149】
以下で使用される最大ストローク状態という用語は、成形型、セルロースブランク構造体またはその他の部分によって妨げられていないときに、トグル機構によって得られる最大前進位置、例えば、
図3a~
図3bの例示的な実施形態の第1および第2のリンク部材18,19の整列状態、下死点(BDC)、または
図8cに示された動作状態を意味する。
【0150】
トグルプレス6aの動作ウィンドウ30は、例えば、
図7aのグラフにおいて破線で示された矩形のウィンドウに対応していてよく、前述の動作ウィンドウ30の拡大図は、前述の最大プレス力曲線28を含む
図7bに示されている。
【0151】
最大プレス力曲線28は、例えば、2.0mmの型間隙に対応する例えば点Aにおいて提供可能な最大プレス力がNニュートンであることを示している。型間隙の関数としての最大プレス力曲線28は、前側構造体6bと後側構造体6cとの間の所定の距離24のためには、例えば、厚さが徐々に変化する鋼板などの複数の非圧縮性板を挿入し、ロードセルや歪みゲージ力センサなどの適切なプレス力検出アセンブリによって、各プレートに対してトグルプレスによって加えられる最大圧力を検出することによって導出可能であってよい。この例の図では、第1および第2のリンク部材18,19が180度の整列角度22に到達するように、または型間隙29がゼロに到達したときにトグル機構6eが最大ストローク状態に到達するように調節されたトグルプレスを有するよう最大プレス力曲線28が決定される。
【0152】
図7bにおける、中央のプレス力・型間隙曲線31は、例えば、第1の形式のセルロースブランク構造体2のプレスを表していてよい。第1の形式のセルロースブランク構造体2の低密度および低弾性の結果、まず、約1.5mmの型間隙(セルロース製品の厚さ)でプレス力がより急激に増大し、そして約0.9mmの型間隙(セルロース製品の厚さ)で目標プレス力PF
Tに点Bで達し、この点Bでは、プレス部材6dのプレス運動が停止されてよい。目標プレス力PF
Tは、この場合、おそらく約4~20Mpaの目標成形圧に対応していてよい。
【0153】
本開示に示される中央のプレス力・型間隙曲線31および他のすべてのプレス力・型間隙曲線は、中間位置でのプレス力の比較的小さな段状の減少部55を除いて比較的滑らかで連続的な特性を有する。型部分は、組み込まれた切断装置を有していてよいので、この段状の減少部は、セルロース製品1の成形中にセルロース製品1がセルロースブランク構造体2から分離される、プレスモジュール6における上述の切断動作に対応する。しかしながら、このような切断が、別個の製品切断動作で、すなわち、成形動作とは別個に行われるならば、プレス力・型間隙曲線は、プレス力曲線においてこのような段状の減少部55を有さない。
【0154】
しかしながら、
図7bを参照して概略的に説明した特定の例示的なトグルプレス6aは、比較的狭い動作範囲を有し、これにより、成形型に供給されるセルロースブランク構造体2が、例えばより厚い場合かつ/またはより密に圧縮された繊維材料から成る場合、成形プロセスは、
図7bの右側のプレス力・型間隙曲線32に追従し、この曲線32は、第2の形式のセルロースブランク構造体2のプレスを表している。第2の形式のセルロースブランク構造体2の相対的に高い密度および厚さの結果、約2.5mmの型間隙(セルロース製品の厚さ)で既にプレス力がより急激に増大し、そして約1.1mmの型間隙(セルロース製品の厚さ)で点Cにおいて、トグルプレスは、この型間隙の場合に提供可能な最大プレス力に達するので、プレス部材6dは前進運動を停止する。換言すると、点Cでは目標プレス力PF
Tに達していない。
【0155】
したがって、第2の形式のセルロースブランク構造体2をベースとするセルロース製品の成形を成功させるためには、調節アクチュエータ装置25を操作して、前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24を調節し、特に距離24を増大させ、それにより、
図7bの右側のプレス力・型間隙曲線32を、第1の矢印34の方向に効果的に移動させて、中央のプレス力・型間隙曲線31の位置に近似する新しい位置にもたらさなければならない。その結果、第2の形式のセルロースブランク構造体2を、適切に圧縮し、成形することができ、第2の形式のセルロースブランク構造体2が、相対的に高い密度および厚さを有するにもかかわらず、プレス部材6dのプレス動作が停止され得るほぼ点Bで目標プレス力PF
Tに達することができる。
【0156】
同様に、成形型内に供給されるセルロースブランク構造体2が、例えばより薄い場合かつ/またはより低密度で圧縮された繊維材料から成る場合、成形プロセスは、
図7bの左側のプレス力・型間隙曲線33に追従し、この曲線33は、第3の形式のセルロースブランク構造体2のプレスを表している。第3の形式のセルロースブランク構造体2の相対的に低い密度および薄い厚さの結果、まず、約1.0mmの型間隙(セルロース製品の厚さ)でプレス力がより急激に増大し、そして約0.5mmの型間隙(セルロース製品の厚さ)で、目標プレス力PF
Tに点Dで達する。しかしながら、
図7bを参照して概略的に説明される特定の例示的なトグルプレス6aの前述の比較的狭い動作範囲に起因して、動作点Dは、トグルプレスの漸近領域35に比較的近くに位置しており、それによって、所望の目標プレス力PF
Tを制御することおよび得ることがより困難となる可能性がある。換言すると、セルロース製品の意図しない過剰な圧縮のリスクを減じるために、前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24を調節し、特に距離24を減少させ、それにより、
図7bの左側のプレス力・型間隙曲線33を、第2の矢印36の方向に効果的に移動させて、中央のプレス力・型間隙曲線31の位置に近似する新しい位置にもたらすことが有益であり得る。その結果、第3の形式のセルロースブランク構造体2も、より簡単に制御可能な動作領域で、すなわち、相対的に敏感ではない力増幅動作領域で、適切に圧縮し、成形することができ、第3の形式のセルロースブランク構造体2が、相対的に低い密度および薄い厚さを有するにもかかわらず、プレス部材6dのプレス動作が停止され得るほぼ点Bで目標プレス力PF
Tに達することができる。
【0157】
換言すると、前側構造体6bと後側構造体6cとの間の、調節アクチュエータアセンブリ25による調節は、セルロースブランク構造体2および成形型3の構造、厚さ、および密度によっては有益であり望ましい場合がある。
【0158】
図7bにおける漸近領域35は、明確に定義された境界を有するものとして図示されているが、これは単に概略的であり、かつ例示目的である。漸近領域35は、実際は、明確に定義された境界は有しておらず、単にトグル機構6eの最大ストローク状態からの距離が増大するにつれて徐々に減少する。漸近領域内でのプレス動作および成形動作は状況によっては、この領域でのプレス力の制御が敏感であり困難であることにより望ましくない場合もあるが、状況によっては、例えば比較的小容量のトグルプレスが使用され、この漸近領域内でしか必要なプレス力を提供することができない場合には、この領域で動作することが必須でありかつ/または計画されている場合もある。
【0159】
いくつかの例示的な実施形態では、第1および第2の型部分3a,3bのそれぞれが、他方の型部分に面するように構成された典型的には実質的に平坦な表面を有する剛性的なプレート形状の主要な本体と、セルロース製品1を成形するための1つ以上の成形キャビティCを画定する少なくとも1つのプレス表面3c,3dとを有しており、付加的な副部品、例えば、ばね負荷された切断装置および/または型位置合わせ装置等を備えておりまたは備えておらず、この場合、第1および第2の型成形部分3a,3bの剛性的なプレート形状の主要な本体の前述した実質的に平坦な表面は、プレスサイクル中に互いに直接接触はしない。したがって、剛性的なプレート形状の主要な本体の前述した表面は、互いに接触することを意図しておらず、第1および第2の成形型部分3a,3bのさらなるプレス運動を阻止することを意図していない。しかしながら、第1および第2の型部分3a,3bの前述した表面の部分ではない、第1および第2の型部分3a,3bのその他の部分、例えば、ばね負荷された切断装置および/または型位置合わせ装置等は、プレス作動中、まだ互いに接触していてよい。
【0160】
プレスモジュール6のプレス動作は、様々な方法で行われてよい。例えば、トグルプレス6aは、例えば
図7cに概略的に示されたように、開ループ式に動作されてよく、この場合、プレス力またはプレス部材位置などのパラメータのフィードバックは必要ない。特に、トグルプレス6aの前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24と、プレスアクチュエータアセンブリ6fの固定された最大プレス力との組み合わせは、プレス部材6dが、プレス力・型間隙曲線31に追従し、所定のセルロースブランク構造体2をプレスする場合に、目標プレス力PF
Tに対応するおよその動作位置Fに自動的に達するように、例えば、手動で、または電子制御システム6hによって自動的に、最初に適切な値に調節されてもよい。換言すると、プレスアクチュエータアセンブリ6fは、単に、その都度、所定の固定されたプレス力を提供するように制御されてよく、プレス部材の戻し動作は、前進動作を開始したときから所定の時間が経過した後に開始される等のようになっていてもよい。
【0161】
図8a~
図8cは、例示的なトグルプレス6aが、上述したように様々なレベルの最大プレス力を得るためにどのように調節され得るのかを概略的に示している。
図8aでは、前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24が相対的に短くなるように調節されていて、これにより、プレスアクチュエータアセンブリ6fの所与の予め規定された最大プレス力のために相対的に低いプレス力が提供される。
図8bでは、前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24は僅かに広げられていて、これにより、プレスアクチュエータアセンブリ6fの所与の予め規定された最大プレス力のために中間のプレス力が提供され、
図8cでは、前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24が相対的に長くなるように調節されていて、これにより、プレスアクチュエータアセンブリ6fの所与の予め規定された最大プレス力のために最大のプレス力が提供される。
図8aのトグル機構のこの位置は、トグル機構6eの最大ストローク状態に対応する。
【0162】
開ループ式のトグルプレス6aの制御に適している制御システム40の例示的な実施形態が、
図9aに概略的に示されている。この例示的な実施形態では、プレスアクチュエータアセンブリ6fは、液圧シリンダであって、この液圧シリンダは、可変容量液圧ポンプ42および流体タンク43に流体接続されたソレノイド動作式の方向制御弁41によって流体制御され、この場合、方向制御弁41の動作状態は、電子制御システム6hによって制御されてよい。しかしながら、本開示によるシステムおよび方法は、
図9a~
図9cを参照して説明する例示的な実施形態に限定されるものではない。
【0163】
開ループ式のトグルプレス6aを動作させるための代替的な方法は、プレス力・型間隙曲線31*が、所定のセルロースブランク構造体2をプレスし、最大ストローク状態に達した場合に、目標プレス力PFTに対応するおよその動作位置F*に達するように構成されるようにする、トグルプレス6aの前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24の調節を含んでいてよい。換言すると、プレスアクチュエータアセンブリ6fは、プレス部材6dを最大前方位置に、すなわち、トグル機構6eの180度の整列角度または最大ストローク状態に単に変位させるように、そして結果として生じるプレス力が目標プレス力PFTと等しくなるように予め調節された、トグルプレス6aの前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24を有するように制御されてよい。
【0164】
しかしながら、プレス動作のより良好な制御を保証するために、電子制御システム6hは、プレス力検出または表示アセンブリからのフィードバックデータに基づいてプレス動作を制御するように構成されていてよい。したがって、プロセスパラメータの変動は、セルロース製品1の品質の向上を保証するために、より適切に対処され得る。
【0165】
したがって、いくつかの例示的な実施形態では、トグルプレス6aはさらに、プレス力表示アセンブリ6gを有しており、この場合、電子制御システム6hは、プレス力表示アセンブリ6gに動作可能に接続されていて、プレス力表示アセンブリ6gから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいてプレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御するように構成されている。
【0166】
プレス力表示アセンブリ6gは、通常、パラメータ、例えば、プレス力、プレス部材の線形位置、トグル機構のリンク部材の角度位置、電気モータへの電流の供給、液圧または空圧などのレベルを測定するための数種の測定装置を含んでいる。したがって、プレス力を示すフィードバック情報は通常、トグルプレス6aの測定されたプロセス変数を含むか、またはトグルプレス6aの測定されたプロセス変数から導出される。
【0167】
プレス力表示アセンブリ6gから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づくプレスアクチュエータアセンブリ6fの動作制御には、例えば、プレス力フィードバック制御、位置フィードバック制御、または連続したプレスサイクル間の自動的な自己調整を伴う開ループ式制御が含まれてよい。
【0168】
プレス力表示アセンブリは、例えば、プレスモジュール6における1つ以上の適切な位置に位置しているいくつかの形式の1つ以上のプレス力センサに対応していてよい。例えば、歪みゲージ力センサ等のロードセルが、成形型3上にまたは成形型3内に、またはトグル機構6eと後側構造体6cとの間に、またはトグル機構6eと成形型6との間に設けられてもよい。
【0169】
代替的に、または上記と組み合わせて、プレス力表示アセンブリは、変形センサに、例えば、中間的な線形ガイドアセンブリ14の1つの、2つの、またはすべてのタイバーの変形を検出するように構成された歪みゲージセンサに対応していてもよい。代替的に、歪みゲージセンサなどの変形センサが、前側構造体6b、または後側構造体6c、またはプレス部材6d、またはトグル機構6eの変形を検出するために設けられていてもよい。
【0170】
代替的に、または上記と組み合わせて、プレス部材の検出位置は、トグル機構の目下のプレス力増幅の計算のために利用することができるので、プレス力表示アセンブリは、プレス部材の検出位置と組み合わされたプレスアクチュエータアセンブリ6fのプレス力の検出に対応してもよい。プレス部材の位置検出は、例えば、線形位置エンコーダを使用して行われてもよい。代替的に、プレス部材6dの位置は、トグル機構6eの作動位置またはプレスアクチュエータアセンブリ6fの作動位置から導出されてもよい。プレスアクチュエータアセンブリ6fのプレス力の検出は、例えば、液圧または空気圧シリンダアクチュエータによる油圧または空気圧を検出することによって、またはサーボモータの消費電流または電力出力を検出することによって達成されてもよい。
【0171】
プレス力表示アセンブリ6gから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいてトグルプレス6aを制御するために適した制御システム40の例示的な実施形態が
図9bに概略的に示されており、
図9bは、
図9aに対応するが、付加的に、プレス部材位置検出装置44と、プレスアクチュエータアセンブリ6fのプレス力検出装置45とを含んでいる。
【0172】
したがって、いくつかの例示的な実施形態では、電子制御システム6hは、プレス力表示アセンブリ6gからプレス力を示すフィードバック情報を取得し、プレス力を示すフィードバック情報から導出されたまたはこれに関連した値が所定の閾値にあるときまたは所定の範囲内にあるとき、プレス部材6dの進行中のプレス運動を停止させるためにプレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御するように構成されている。代替的な例示的な実施形態によれば、電子制御システム6hは、プレス力表示アセンブリ6gからプレス力を示すフィードバック情報を取得し、フィードバックプロセス変数としてのプレス力を示すフィードバック情報に関連するパラメータを有するフィードバック制御装置を使用してプレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御するように構成されている。これら2つの例示的な制御シナリオは、例えば
図7bにおける、中央のプレス力・型間隙曲線31に対応する。
【0173】
プレス力を示すフィードバック情報から導出されたまたはこれに関連したパラメータ値は、例えば、プレス部材の位置、型間隙、セルロース製品の厚さ、またはプレス力等に対応してよい。
【0174】
プレス部材6dが進行中のプレス動作を停止した後、プレス部材6dは、待機位置に向かうプレス部材の戻り運動を開始するように制御される。
【0175】
特に、プレス力を示すフィードバック情報から導出されたまたはこれに関連する値が、例えばプレス部材の位置、型間隙、またはセルロース製品の厚さに対応する場合、プレス力表示アセンブリは、プレス部材位置検出アセンブリであってよく、この場合、プレス部材位置検出アセンブリから取得されたプレス力を示すフィードバック情報は、プレス部材6dの位置または第1の型部分3aと第2の型部分3bとの間の型間隙29を表し、電子制御システム6hは、プレス部材6dの検出された位置または型間隙29が所定の閾値にあるときまたは所定の範囲内にあるとき、プレス部材6dの進行中のプレス運動を停止させるようにプレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御するように構成されている。代替的な例示的な実施形態によれば、電子制御システム6hは、フィードバックプロセス変数としてのプレス力を示すフィードバック情報に関連するパラメータを有するフィードバック制御装置を使用するように構成されている。
【0176】
プレス部材位置検出アセンブリは、例えば、プレス部材6dの位置を検出するように構成された線形位置エンコーダ、またはトグル機構6eの作動位置を検出するための位置エンコーダ、またはプレスアクチュエータアセンブリ6fの作動位置を検出するための位置エンコーダ等であってよい。
【0177】
いくつかの例示的な実施形態では、プレス力表示アセンブリ6gは、プレス力検出アセンブリであって、プレス力検出アセンブリから取得されたプレス力を示すフィードバック情報は、プレス部材のプレス力を表し、電子制御システムは、プレス部材の検出されたプレス力が所定の閾値に等しいときまたは所定の閾値を超過するとき、プレス部材の進行中のプレス運動を停止させるようにプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するように構成されている。代替的な例示的な実施形態によれば、電子制御システム6hは、フィードバックプロセス変数としてのプレス力を示すフィードバック情報に関連するパラメータを有するフィードバック制御装置を使用するように構成されている。
【0178】
プレス部材のプレス力を表すために利用されてよい、プレス力検出アセンブリから取得されるプレス力を示すフィードバック情報は、例えば、ロードセル、ひずみゲージ力センサ等のような、プレスモジュール6上の1つ以上の適切な位置に配置されるいくつかの形式の1つ以上のプレス力センサに対応していてよい。
【0179】
電子制御システムは、いくつかの例示的な実施形態では、例えば、
図7bを参照して上述したように、トグルプレスをより適切な、より堅牢な、かつより容易に制御可能な動作条件に設定するように、または代替的に、
図7cを参照して上述したように、特定のセルロースブランク構造体のためにトグルプレスの最大プレス力を調節するように、調節アクチュエータアセンブリを制御するように構成されていてよい。
【0180】
したがって、トグルプレスは、プレス力表示アセンブリ6gを有していてよく、電子制御システムは、プレス力表示アセンブリ6gに動作可能に接続されていてよく、この制御システムは、連続的なプレス作動の間の期間中に、前側構造体と後側構造体との間の距離をプレス方向で調節するために、プレス力表示アセンブリ6gから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいて調節アクチュエータアセンブリの動作を制御するように構成されていてよい。結果として、電子制御システムは、トグルプレスの動作位置を、漸近領域35に向かうように、または漸近領域35から離れるようにシフトすることができ、または最大プレス力曲線28を
図7bにおいて側方に移動させることにより最大プレス力を調節することができる。
【0181】
これは例えば、第1のプレスサイクル中にプレス力表示アセンブリ6gからプレス力を示すフィードバック情報を受け取り、トグルプレスの現在の動作位置、すなわち前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24の調節が適切であるか否かを判定し、そうでない場合、次のプレスサイクル中の動作位置および/またはプレス力が、目標動作位置および/または目標プレス力と、より一致するようにする、調節アクチュエータアセンブリ25の適切な動作により前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24を調節することによって行われる。換言すると、電子制御システムは、プレス部材6dのプレス力を適合させるために、プレスアクチュエータアセンブリ6fによって提供される、トグル機構6eへ入力される力の能動的な制御および調節を必要とせず、その代わり、調節アクチュエータアセンブリ25の能動的な制御のみに依存してよい。
【0182】
このような制御方式を、
図7dを参照してさらに詳しく説明する。この場合、電子制御システムは、セルロース製品トグルプレスモジュールの通常運転中に、各プレス作動時にトグル機構に実質的に固定された最大出力の力を提供するようにプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するように構成されている。
図7dにおける第1のプレス力・型間隙曲線46は、トグルプレス6aのこのような通常運転中のプレス動作を表している。電子制御システムはさらに、トグルプレス6aの前述した通常運転のプレス作動中に、プレス力表示アセンブリ6gから、プレス力を示す情報を取得するように構成されていて、プレス力を示す情報は、例えば、プレス力PFが、1セットのプレスサイクルにわたって継続して目標プレス力PF
Tを超えていることを示している。したがって、電子制御システムは、連続するプレス作動の間の期間中に、前側構造体と後側構造体との間の距離を調節し、結果として生じた最大プレス力PFを示す、プレス力を示す情報から導出されたまたはこの情報に関連したパラメータ値を所定の閾値にまたは所定の範囲内に維持するように調節アクチュエータアセンブリを制御するように構成されている。
【0183】
この調節の結果は、
図7dにおける矢印34により示されており、この場合、距離の調節は、第2のプレス力・型間隙曲線47に追従するように動作をシフトするように、すなわち、次のプレスサイクルのために、動作位置をGからHへシフトするために距離24を僅かに減じるように設定される。「結果として生じた最大プレス力」という用語は、この場合、特定のプレス作動中にプレス部材6dによって実際に提供された最大のプレス力PFを意味する。
【0184】
代替的に、この制御方式は、トグルプレスモジュール6が、
図7dにおける動作位置H
*に対応する、トグル機構6eの最大ストローク状態に到達するのと同時に目標プレス力PF
Tに達するように、前側構造体6bと後側構造体6cとの間距離24を調節することにより実施されてよい。換言すると、電子制御システムは、この場合、
図7dの第1のプレス力・型間隙曲線46
*に対応する、トグルプレス6aの前述した通常運転のプレス作動中に、プレス力表示アセンブリ6gから、プレス力を示す情報を取得するように構成されていて、例えば、プレス力を示す情報が、プレス力PFが、1セットのプレスサイクルにわたって継続して目標プレス力PF
Tを超えていることを示す場合には、すなわち、セルロース製品1が動作位置G
*で成形される場合には、トグルプレス6aの前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24を、その結果生じるプレス力が目標プレス力PF
Tに等しくなるように、継続的なプレス作動中に調節する。この調節の結果は、
図7dにおいて矢印34
*により示されており、この場合、距離の増大は、第2のプレス力・型間隙曲線47
*に追従するように動作をシフトするように、次のプレスサイクルのために、動作位置をG
*からH
*へシフトするように設定される。
【0185】
図7dを参照して説明した制御シナリオでは、プレス作動が、検出されたプレス力または検出されたプレス部材位置によって制限されず、電子制御システムは、例えばプレス速度がゼロになったとき、またはプレス部材が所定の期間静止し続けた後、またはプレス力を示す情報から導出されたまたはこの情報に関連したプレス力を示すパラメータ値が、所定の期間一定であった後、または第1および第2のリンク部材18,19の整列位置が検出されたときに、プレス部材の進行中のプレス作動を停止させ、スタート位置に向かうプレス部材の戻り運動を開始させるようにプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するように構成されていてよい。
【0186】
さらに、各プレス作動時に、トグル機構に実質的に固定された前述の最大出力の力を提供するためのプレスアクチュエータアセンブリ6fの前述の制御には、例えば、約ゼロから、予め規定され固定された所定の最大出力の力まで増大させるための、プレスアクチュエータアセンブリ6fの開ループ制御が含まれる。
【0187】
さらに、いくつかの例示的な実施形態では、電子制御システム6hは、プレス力を示すフィードバック情報に基づいてプレスアクチュエータアセンブリ6fおよび調節アクチュエータアセンブリ25の両方を制御するように、すなわち、プレスアクチュエータアセンブリ6fおよび調節アクチュエータアセンブリ25の両方の閉ループ制御を行うように構成されていてよい。これは、プレス力表示アセンブリ6gからの、プレス力を示すフィードバック情報をモニタしながら、プレス部材6dを前方に動かすように;プレス力を示すフィードバック情報から導出されたまたはこれに関連したパラメータ値が所定の閾値にあるときまたは所定の範囲内にあるとき、プレス部材6dの進行中のプレス運動を停止させて、プレス部材6dの戻り運動を開始するように、プレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御するように;そして付加的に、連続的なプレス作動の間の期間中に、次のプレスサイクル中にプレス部材が、プレス運動が停止したときに生成されたプレス力を0~100%、特に5~50%超える範囲の最大プレス力を有する位置で停止するようになることを目標とするように、前側構造体3bと後側構造体3cとの間の距離24をプレス方向で調節するために、プレス力表示アセンブリ6gから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいて調節アクチュエータアセンブリ25の動作を制御するように構成された電子制御システム6hを有することにより達成されてよい。
【0188】
代替的な例示的な実施形態によれば、そうではなく、電子制御システム6hは、フィードバックプロセス変数としてのプレス力を示すフィードバック情報に関連するパラメータを有するフィードバック制御装置を使用してプレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御するように構成されていてよい。
【0189】
このような制御方式は、
図7eを参照してより詳細に説明され、この場合、電子制御システム6hは、プレス力表示アセンブリ6gからのプレス力を示すフィードバック情報をモニタしながら、プレス部材6dを前方に動かすように、プレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御するように構成されている。
【0190】
電子制御システム6hはさらに、プレス力を示すフィードバック情報から導出されたまたはこれに関連したパラメータ値が所定の閾値にあるときまたは所定の範囲内にあるとき、プレス部材6dの進行中のプレス運動を停止させて、プレス部材の戻り運動を開始するように構成されている。これは、
図7eの動作位置Gに対応する。
【0191】
電子制御システムは、次いで、目下の型間隙位置における最大プレス力PF
M2を、同じ型間隙位置における目標プレス力PF
Tと比較することによって目下の動作位置を評価するように構成されてもよい。目標プレス力PF
Tは、典型的には、特定の成形型およびセルロースブランク構造体に基づいて予め決定され、最大プレス力PF
M2は、例えば、トグルプレスの目下の動作設定、すなわち、前側構造体3aと後側構造体3bとの間の目下の距離24、およびプレスアクチュエータアセンブリ6fにより提供可能な最大プレス力に基づいて見積もられてもよい。
図7eでは、最大プレス力PF
M2は、位置Gにおける目標プレス力PF
Tよりも100%以上大きい。したがって、電子制御システムは、動作位置をシフトするように、すなわち前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24を調節して、より堅牢で良好に制御可能な、漸近領域からさらに離れた動作位置に達するように構成されてよい。距離24のこのような調節は、非負荷状態で、すなわちプレス作動外で実施される。
【0192】
換言すると、電子制御システムはさらに、連続的なプレス作動の間の期間中に、次のプレスサイクル中にプレス部材が、点Gでプレス運動が停止したときに生成されたプレス力PF
Tを0~100%、特に5~50%超える範囲の最大プレス力PF
M1を有する位置Hで停止するようになることを目標とするように、前側構造体と後側構造体との間の距離24をプレス方向で調節するために、プレス力表示アセンブリ6gから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいて調節アクチュエータアセンブリの動作を制御するように構成されている。この調節の結果は、
図7eにおいて矢印34により示されており、この場合、距離の調節は、第1のプレス力・型間隙曲線46から第2のプレス力・型間隙曲線47へと動作をシフトするように、すなわち、次のプレスサイクルのために、動作位置をGからHへシフトするように設定される。
【0193】
図7dおよび
図7eを参照して上述したような、プレス力表示アセンブリ6gから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいてトグルプレス6aを制御するために適した制御システム40の例示的な実施形態が
図9cに概略的に示されており、
図9cは、
図9bに対応するが、付加的に、前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24を調節するために使用される機械的な調節機構の動作を制御するためのサーボモータ等のような調節アクチュエータアセンブリ25を含んでいる。
【0194】
トグルプレスモジュール6はさらに、プレス部材6dの前進作動運動を機械的に制限するように構成された作動運動制限アセンブリ50を有していてよい。特に、いくつかの例示的な実施形態では、作動運動制限アセンブリ50は、トグル機構6eがその最大ストローク状態に、すなわちトグル機構6eの最大力増幅状態に達するのを機械的に阻止するように構成されている。トグルプレスモジュール6に作動運動制限アセンブリ50を設ける1つの理由は、過圧がセルロース製品および/またはトグルプレスモジュール6に損傷を与えるおそれがあるので、成形型3の意図しないそのような過圧のリスクを減じるためである。
【0195】
トグル機構6eは、通常、少なくとも、高速のプレスサイクルと組み合わされた、低コストかつ確実な動作制御が望まれるとき、プレス部材6dの力制御プロセスを困難にするおそれがある極めて指数関数的な力増幅特性をもたらす。したがって、トグル機構6eおよび/またはプレス部材6dが最大ストローク状態に近過ぎる位置へと移動することを機械的に阻止し、これによりプレス力の制限を提供できることが望ましい場合がある。
【0196】
トグル機構の極めて指数関数的な力増幅特性を考慮して、作動運動制限アセンブリ50は、例えば、トグル機構6eの最大ストローク状態に関連する位置から、0.5~100mm、具体的には0.5~25mm、より具体的には0.5~5mmの範囲に配置された場合に、プレス部材6dの前方への運動を機械的に制限するように構成されていてよい。
【0197】
プレス部材6dの前進作動運動を機械的に制限するように構成された作動運動制限アセンブリ50を有するトグルプレスモジュール6の1つの例示的な実施形態が、
図15a~
図15bに示されており、
図15aは、待機動作状態にあるトグルプレス6aを示しており、
図15bは、作動運動制限アセンブリ50が、プレス部材6dのさらなる前進運動を機械的に制限し、阻止している最大プレス作動の動作状態にあるトグルプレス6aを示している。
【0198】
図15a~
図15bに概略的に示されたトグルプレスモジュール6は、
図3a~
図3bを参照して上述したトグルプレスモジュール6に対応し、トグルプレスモジュール6の詳細については、この場合、電動式ボールねじリニアアクチュエータとして概略的に示されている調節アクチュエータアセンブリ25を除いて、
図3a~
図3bに関する開示が参照される。ボールねじリニアアクチュエータは、例えば、電気モータに駆動接続された、クロスヘッド20における軌道において循環することができる転動ボールを保持するためのらせん軌道を有するロッドを有していてよい。
【0199】
図15a~
図15bの例示的な実施形態では、トグルプレス6aは、並んで配置された第1および第2の個別トグル機構54a,54bを有する5点ダブルトグル機構6eを含み、この場合、作動運動制限アセンブリ50は、第1の個別トグル機構54aの第2のリンク部材19に旋回可能に接続された第1の制限リンク51、および第2の個別トグル機構54bの第2のリンク部材19に旋回可能に接続された第2の制限リンク52を有していて、第1および第2の制限リンク51,52は、共通の旋回ジョイント53で互いに旋回可能に接続されている。
【0200】
第1および第2の制限リンク51,52の長さ、サイズおよび形状、ならびに第1および第2の個別のトグル機構54a,54bの第2のリンク部材19への第1および第2の制限リンクの接続点は、トグル機構6eが完全に最大ストローク状態に、すなわち最大伸長状態に達することを機械的に防止するように選択される。
【0201】
第1および第2の制限リンク51,52のうちの少なくとも1つの制限リンクの長さおよび/または第1および第2の制限リンク51,52と第1および第2の個別トグル機構54a,54bの第2のリンク部材19との間の接続点のうちの少なくとも1つの接続点の位置は、作動運動長さの調節を可能にするために調節可能であってよく、これにより、よりフレキシブルなトグルプレスモジュール6eが提供される。
【0202】
作動運動制限アセンブリ50の多くの代替的な設計が、例えば、トグル機構6eの選択された設計および調節アクチュエータアセンブリ25の選択された設計に応じて可能である。例えば、作動運動制限アセンブリ50は、は、2つの旋回リンクの代わりに、可撓性のワイヤまたはベルトを有してもよい。さらに、いくつかの例示的な実施形態、作動運動制限アセンブリ50は、トグル機構6eの1つ以上のリンク部材18,19,21の角度運動範囲を機械的に制限することによって、または調節アクチュエータアセンブリ25の作動運動長さを機械的に制限することによって実現される。
【0203】
空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するための方法の基本ステップについて、以下に
図10を参照して説明する。この方法は、トグルプレス6aと成形型3とを有するセルロース製品トグルプレスモジュール6を提供する第1のステップS1を含み、この場合、トグルプレス6aは、プレス方向で可動に配置されたプレス部材6dと、プレス部材6dに接続されたトグル機構6eと、トグル機構に接続されたプレスアクチュエータアセンブリ6fと、プレスアクチュエータアセンブリに動作可能に接続された電子制御システム6hとを有しており、この場合、成形型は、プレス部材に取り付けられた可動の第1の型部分3aと、定置の第2の型部分3bとを有している。
【0204】
この方法は、トグルプレス6aを、主に水平方向に配置された、プレス部材のプレス方向を有するように、具体的には水平方向から20度以内に配置された、プレス部材のプレス方向を有するように、より具体的には水平方向に対して平行なプレス方向を有するように設置する第2のステップS2をさらに含む。
【0205】
さらに、この方法は、空気成形されたセルロースブランク構造体2を、離間した第1および第2の型部分によって画定されたプレス領域内に供給する第3のステップS3を含む。
【0206】
最後に、この方法は、トグル機構を使用してプレス方向でプレス部材を駆動するように、そして第1の型部分を定置の第2の型部分に対して押し付けることにより、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するように、電子制御システム6hによってプレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御する第4のステップS4を含む。
【0207】
プレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御する前述の第4のステップS4は、低コストで、コンパクトかつ低重量のセルロース製品プレスモジュールを用いて、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するという課題を引き続き解決しながら、多数の様々な方法で行われてよい。
【0208】
例えば、前述の第4のステップS4を実施するためのもう1つの詳細な例示的な実施形態を、以下に
図11を参照して説明するが、この場合、ステップS1~S3は、
図10を参照して説明したものと同じである。特に、電子制御システム6hによってプレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御する第4のステップS4は、プレス力表示アセンブリ6gからプレス力を示すフィードバック情報を取得する第1のサブステップS41と、プレス力を示すフィードバック情報から導出されたまたはこれに関連したパラメータ値が所定の閾値にあるときまたは所定の範囲内にあるとき、プレス部材6dの進行中のプレス運動を停止させるためにプレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御する第2のサブステップS42とを含んでいてよい。
【0209】
上述した第4のステップS4を実施するためのさらなる例示的な実施形態を、以下に
図12を参照して説明するが、この場合、ステップS1~S3は、
図10を参照して説明したものと同じであり、電子制御システム6hによってプレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御する第4のステップS4は、プレス力表示アセンブリ6gからプレス力を示すフィードバック情報を取得する第1のサブステップS41と、フィードバックプロセス変数としての、プレス力を示すフィードバック情報に関連するパラメータを有するフィードバック制御装置を使用してプレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御する第2のサブステップS45とを含んでいてよい。
【0210】
フィードバック制御装置は、当業者に公知の様々な代替的な方法で、例えば、P制御装置、PI制御装置、PID制御装置、例えば線形二次(LQ)制御装置等の最適制御などで実装することができる。
【0211】
例えば、PID(Proportional-Integral-Derivative)制御装置は、制御すべきプロセスの連続的に変調された制御を提供するためのフィードバックを用いる制御ループ機構である。例えば、PID制御装置のようなフィードバック制御装置は、目標設定値(SP)と測定されたプロセス変数(PV)との間の差分として誤差値を連続的に計算し、前述の誤差値の比例項、積分項、および微分項に基づいて補正を適用する。設定値(SP)は、例えば、特定の予め規定された圧縮力・時間曲線であってよく、測定されたプロセス変数(PV)は、例えば、トグルプレス6aのタイバー37に配置された歪みゲージ力センサによって検出されるような測定されたプレス力であってよい。
【0212】
空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するための方法の例示的な実施形態の基本ステップをさらに、以下に
図13を参照して説明するが、この場合、ステップS1~S3は、
図10を参照して説明したものと同じであって、電子制御システム6hによってプレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御する第4のステップS4は、プレス力表示アセンブリ6gからのプレス力を示すフィードバック情報をモニタしながら、プレス部材6dを前方に動かすことによりプレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御する第1のサブステップS42aと;プレス力を示すフィードバック情報から導出されたまたはこれに関連したパラメータ値が所定の閾値にあるときまたは所定の範囲内にあるとき、プレス部材6dの進行中のプレス運動を停止させる第2のサブステップS42bと、プレス部材6dの戻り運動を開始させる第3のサブステップS42cとを含んでいてよい。次いでこの方法は、連続的なプレス作動の間の期間中に、次のプレスサイクル中にプレス部材6dが、プレス運動が停止したときに生成されたプレス力を0~100%、特に5~50%超える範囲の最大プレス力を有する位置で停止するようになることを目標とするように、前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24をプレス方向で調節するために、プレス力表示アセンブリ6gから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいて調節アクチュエータアセンブリ25の動作を制御する第5のステップS5を含んでいてよい。
【0213】
例えば
図11および
図13を参照して説明した例示的な実施形態におけるプレス部材6dの前進運動は、様々な方法で実施されてよい。例えば、プレス部材6dを前方へ移動させるために、オン/オフレギュレータを用いてプレスアクチュエータアセンブリ6fが制御されるとは、前述のパラメータ値が、所定の閾値になるまでまたは所定の範囲内になるまで、プレスアクチュエータアセンブリ6fが、単に所定の電力レベルまたは速度で動作されることを意味する。代替的に、プレス部材6dを前方へ移動させるために、可変電力または速度と組み合わせられたオン/オフレギュレータを用いてプレスアクチュエータアセンブリ6fが制御されるとは、前述のパラメータ値が、所定の閾値になるまでまたは所定の範囲内になるまで、プレスアクチュエータアセンブリ6fが、前進運動中に、例えば徐々にかつ/または段階的に減じられる速度で動作されることを意味する。プレスアクチュエータアセンブリ6fの徐々にかつ/または段階的に減じられる速度により、プレス力が過剰になるリスクが減じられるので、より精密かつ信頼性のある成形プロセスが可能となり得る。前述の代替的な両制御法では、プレス部材6dを前方に動かすために、プレスアクチュエータアセンブリ6fを、開ループ制御装置を用いて制御してよい。
【0214】
空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するための方法の例示的な実施形態の基本ステップをさらに、
図14を参照して以下に説明するが、この場合、ステップS1~S3は、
図10を参照して説明したものと同じであって、電子制御システム6hによってプレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御する第4のステップS4は、プレス力表示アセンブリ6gからのプレス力を示すフィードバック情報を取得する第1のサブステップS41と、フィードバックプロセス変数としての、プレス力を示すフィードバック情報に関連するパラメータを有するフィードバック制御装置を使用してプレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御する第2のサブステップS45とを含んでいてよい。
【0215】
次いでこの方法は、連続的なプレス作動の間の期間中に、次のプレスサイクル中にプレス部材6dが、プレス運動が停止したときに生成されたプレス力を0~100%、特に5~50%超える範囲の最大プレス力を有する位置で停止するようになることを目標とするように、前側構造体6bと後側構造体6cとの間の距離24をプレス方向で調節するために、プレス力表示アセンブリ6gから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいて調節アクチュエータアセンブリ25の動作を制御する第5のステップS5を含んでいてよい。
【0216】
図1a~
図15bに関連して上述したトグルプレスモジュール6と方法とを参照して、本開示はさらに、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するためのセルロース製品トグルプレスモジュールであって、このセルロース製品トグルプレスモジュールは、トグルプレスモジュール6の特定の角度の方向付けに限定されるものではなく、代わりにプレス力表示アセンブリ6gを含み、この場合、電子制御システムは、プレス力表示アセンブリ6gから受け取ったプレス力を示すフィードバックに基づいてプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するように構成されている、セルロース製品トグルプレスモジュールに関する。
【0217】
換言すると、本開示はさらに、トグルプレスモジュール6であって、このトグルプレスモジュールは、プレス方向で可動に配置されたプレス部材6dと、プレス部材6dに駆動接続されたトグル機構6eと、トグル機構6eに駆動接続されたプレスアクチュエータアセンブリ6fと、プレス力表示アセンブリ6gと、プレスアクチュエータアセンブリ6fおよびプレス力表示アセンブリ6gに動作可能に接続された電子制御システム6hとを含むトグルプレス6aを有しているトグルプレスモジュールに関する。トグルプレスモジュール6は、プレス部材3dに取り付けられた可動の第1の型部分3aと、定置の第2の型部分3bとを含む成形型3をさらに有している。電子制御システム6hは、プレス力表示アセンブリ6gから受け取ったプレス力を示すフィードバックに基づいて、トグル機構6eを使用してプレス方向でプレス部材を駆動するように、そして第1の型部分を定置の第2の型部分に対して押し付けることにより、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するように、プレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御するように構成されている。
【0218】
同様に、本開示はさらに、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するための方法であって、この方法は以下のステップ、すなわち、トグルプレス6aと成形型3とを有するセルロース製品トグルプレスモジュール6を提供するステップを含み、この場合、トグルプレス6aは、プレス方向で可動に配置されたプレス部材6dと、プレス部材6dに駆動接続されたトグル機構6eと、トグル機構6eに駆動接続されたプレスアクチュエータアセンブリ6fと、プレス力表示アセンブリ6gと、プレスアクチュエータアセンブリ6fおよびプレス力表示アセンブリ6gに動作可能に接続された電子制御システム6hとを有しており、この場合、成形型3は、プレス部材6dに取り付けられた可動の第1の型部分3aと、第2の成形型部分3bとを有している、方法に関する。この方法は、離間した第1および第2の型部分3a,3bによって画定されたプレス領域内に、空気成形されたセルロースブランク構造体2を供給するステップ、およびトグル機構6eを使用してプレス方向でプレス部材6dを駆動し、第1の型部分3aを第2の型部分3bに対して押し付けることにより、空気成形されたセルロースブランク構造体2から非平坦なセルロース製品1を成形するように、プレス力表示アセンブリ6gから受け取ったプレス力を示すフィードバック情報に基づいて、電子制御システム6hによってプレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御するステップをさらに含む。
【0219】
空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するためにトグルプレスモジュールを使用することには、トグルを有さない従来の大容量液圧プレスの使用を上回る多くの利点、例えば低コスト、低重量、高速のサイクル動作、およびコンパクトであるといった利点がある。したがって、トグルプレスモジュール6は、所定の環境では、従来の液圧プレスに対する代替として有益であり得、プレス力表示アセンブリ6gから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいてプレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するように構成されている電子制御システムを有することにより、成形動作のより良好な力制御が達成され得る。
図10~
図14を参照して説明した、空気成形されたセルロースブランク構造体から非平坦なセルロース製品を成形するための方法の例示的な実施形態は、主に水平方向に配置された、プレス部材のプレス方向を有するトグルプレス6aを設置する第2のステップS2を省略する場合もなお、本開示のこのような例示的な実施形態にとって適切である。
【0220】
上記の説明は本質的に単に例示的なものであり、本開示の用途または使用を限定するものではないことが理解されるだろう。特定の例が明細書に記載され、かつ図面に示されているが、当業者であれば、特許請求の範囲に規定された本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされてよく、かつ等価物がその要素の代わりに用いられてもよいことを理解するだろう。さらに、本明細書で説明した例示的な実施形態の特徴は、本明細書で説明した別の例示的な実施形態と組み合わされてもよい。例えば、
図3a~
図3bのトグルプレスモジュールには、
図2a、
図6a、
図6b、
図8aまたは
図15aを参照して説明したようなトグル機構または
図6a、
図6bまたは
図15aを参照して説明したような調節アクチュエータアセンブリ25が設けられていてよい。さらに、その本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を、本開示の教示に適合させるために改変がなされてもよい。したがって、本開示は、図面によって示され、本開示の教示を実施するために現在考えられる最良の形態として明細書に記載された特定の例に限定されるものではなく、本開示の範囲は、前述の説明および添付の特許請求の範囲に含まれる任意の実施形態を含むことになる。請求項に記載された参照符号は、請求項によって保護されている事項の範囲を限定するものと見なすべきではなく、参照符号の唯一の機能は、請求項を理解しやすくすることである。
【符号の説明】
【0221】
1 セルロース製品
2 セルロースブランク構造体
2a 残余部分
3 成形型
3a 第1の型部分
3b 第2の型部分
4 ブランク乾式成形モジュール
4a ミル
4b 成形チャンバ
4c 成形ワイヤ
4d 成形セクション
4e 成形チャンバ開口
5 バッファモジュール
6 プレスモジュール
6a トグルプレス
6b 前側構造体
6c 後側構造体
6d プレス部材
6e トグル機構
6f プレスアクチュエータアセンブリ
6g プレス力表示アセンブリ
6h 電子制御システム
7 ブランクリサイクルモジュール
7a 供給構造体
8 バリア塗布モジュール
9 ブランク供給ローラ
10 アクチュエータ
11 中間ローラ
12 バッファアクチュエータ
13 トグルプレスの設置角度
14 線形ガイドアセンブリ
15 プレス領域
16 供給装置
17 供給装置の延在方向
18 第1のリンク部材
19 第2のリンク部材
20 クロスヘッド
21 クロスヘッドリンク部材
22 整列角度
23 機械的な調節機構
24 前側構造体と後側構造体との間の距離
25 調節アクチュエータアセンブリ
26a~26d 歯車
27 単一の中央歯車
28 最大プレス力曲線
29 型間隙
30 動作ウィンドウ
31 中央のプレス力・型間隙曲線
32 右側のプレス力・型間隙曲線
33 左側のプレス力・型間隙曲線
34 第1の矢印
35 漸近領域
36 第2の矢印
37 タイバー
38 支持フレーム
39 電源
40 制御システム
41 弁
42 ポンプ
43 タンク
44 位置検出装置
45 プレス力検出装置
46 第1のプレス力・型間隙曲線
47 第2のプレス力・型間隙曲線
48 取出しアセンブリ
49 供給角度
50 作動運動制限アセンブリ
51 第1の制限リンク
52 第2の制限リンク
53 制限リンクの旋回ジョイント
54a 第1の個別トグル機構
54b 第2の個別トグル機構
55 段状の減少部
C 成形キャビティ
DF1 第1の供給方向
DF2 第2の供給方向
DP プレス方向
DU 上向きのブランク成形方向
DH 水平方向
DV 垂直方向
E 変形エレメント
EB バッファ延在
F 繊維
MB バッファモード
MCONT 連続流モード
MF 供給モード
MINT 間欠流モード
N 例示的な最大プレス力
PF プレス力
PFT 目標プレス力
R セルロース原料
TF 成形温度
U 製品成形ユニット
VI 入力速度
VO 出力速度
【国際調査報告】