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▶ ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータの特許一覧

特表2024-514899機械部品を自動的に検査する装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】機械部品を自動的に検査する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
G01N21/88 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563165
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-14
(86)【国際出願番号】 EP2022025221
(87)【国際公開番号】W WO2022242908
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】102021000012590
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】イノチェンティ,ミルコ
(72)【発明者】
【氏名】ルッソ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジェッティ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】リビチーニ,レモ
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA88
2G051AB20
2G051AC21
2G051EB01
(57)【要約】
【解決手段】 検査装置(100)は、複数の検査段階によって使用機械部品(900)の状態を自動的に判定することを可能にする。装置(100)は、コンピュータユニット(120)と、3Dスキャナ(130)と、部品(900)に対して複数の検査段階を実行するための複数の検査センサ(141、142、143)と、を備え、コンピュータユニット(120)は、部品(900)の注釈付き3Dモデルを生成するために、スキャナ(130)及びセンサ(141、142、143)と相互作用し、コンピュータユニット(120)は、機械部品(900)の1つ以上の領域の状態を判定するために、機械部品(900)に対してシミュレーションを実行するように構成され、更に、コンピュータユニット(120)は、1つ以上の基準(122、124)をシミュレーションの結果に適用し、部品(900)が使用可能及び/又は修理可能であるかどうかを自動的に判定し、それに応じてステータスレポートを生成するためのチェックエンジンを備えることができる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検査段階に基づいて、機械動作の期間後に機械部品(900)の状態を自動的に判定するための検査装置(100)であって、前記機械部品(900)は、機械において既に使用されており、前記装置(100)は、
-コンピュータユニット(120)と、
-前記機械から取り外された前記機械部品(900)を走査するように構成されたスキャナ(130)であって、前記コンピュータユニット(120)は、前記スキャナ(130)に結合され、前記機械部品(900)の前記走査に基づいて、前記機械部品(900)の3Dモデルを作成するように設定されている、スキャナ(130)と、
-前記機械部品(900)に対応する複数の検査段階を実行するように構成された複数の検査センサ(141、142、143)であって、前記コンピュータユニット(120)は、前記検査センサ(141、142、143)のそれぞれに結合されるように構成され、前記検査段階のそれぞれから検査情報を生成し、それに応じて前記検査情報を前記機械部品(900)の前記3Dモデルに関連付けて、前記機械部品(900)の注釈付き3Dモデルを作成するように設定されている、複数の検査センサ(141、142、143)と、を備え、
前記コンピュータユニット(120)は、前記機械部品(900)の設計モデルを受信及び/又は取得するように構成され、
前記コンピュータユニット(120)は、前記機械部品(900)の作成された前記3Dモデルと、少なくとも1つの検査段階から生成された検査データと、前記機械部品(900)の前記受信及び/又は取得された設計モデルとを考慮して、前記機械部品(900)の1つ以上の領域の状態を判定するために、前記機械部品(900)にシミュレーションを実行するように構成され、
前記コンピュータユニット(120)は、1つ以上の使用可能基準(122)を含むチェックエンジンを含み、前記チェックエンジンは、
-実行された前記実行されたシミュレーションの結果に1つ以上の前記使用可能基準を適用し、
-前記使用可能基準の適用に基づいて、前記機械部品(900)が使用可能であるかどうかを判定し、
-前記使用可能判定に基づいて、ユーザ(90)のための前記機械部品(900)のステータスレポートを生成するように設定されている、検査装置(100)。
【請求項2】
前記チェックエンジンは、1つ以上の修理可能基準(124)を含み、
-実行された前記実行されたシミュレーションの結果に1つ以上の前記修理可能基準を適用し、
-前記修理可能基準の適用に基づいて、前記機械部品(900)が修理可能であるかどうかを判定するように更に設定され、
前記機械部品(900)の前記ステータスレポートはまた、前記修理可能判定に基づく、請求項1に記載の検査装置(900)。
【請求項3】
前記コンピュータユニット(120)は、前記機械部品(900)の1つ以上の領域の機械的、熱的又は化学的状態を判定するために、前記機械部品(900)に機械的又は熱的又は化学的シミュレーションを実行するように構成されている、請求項1に記載の検査装置(100)。
【請求項4】
前記基準(122、124)のうちの少なくとも1つは事前に判定され、前記機械部品(900)又は前記機械部品(900)のカテゴリに関連付けられている、請求項1に記載の検査装置(100)。
【請求項5】
前記基準(122、124)のうちの少なくとも1つは、前記機械部品(900)の設計モデルに基づいている、請求項1に記載の検査装置(100)。
【請求項6】
前記基準(122、124)のうちの少なくとも1つは、機械動作の前記期間の持続時間及び/又は条件に基づいている、請求項1に記載の検査装置(100)。
【請求項7】
前記基準(122、124)のうちの少なくとも1つは複数基準であり、複数基準は少なくとも2つの検査段階に基づいている、請求項1に記載の検査装置(100)。
【請求項8】
前記コンピュータユニット(120)は、前記機械部品(900)又は前記機械部品(900)のカテゴリに基づいて、検査段階の順序を決定するように設定されている、請求項1に記載の検査装置(100)。
【請求項9】
前記コンピュータユニット(120)は、前記検査装置(100)のユーザ(90)から受信した入力に基づいて、前記機械部品(900)及び/又は前記機械部品(900)のカテゴリを識別するように設定されている、請求項1に記載の検査装置(100)。
【請求項10】
前記シミュレーションは、機械動作条件下で実行される、請求項1に記載の検査装置(100)。
【請求項11】
前記コンピュータユニット(120)は、前記機械部品(900)の前記3Dモデルを前記機械部品(900)の前記設計モデルと相関させるように設定されている、請求項1に記載の検査装置(100)。
【請求項12】
前記複数の検査センサ(141、142、143)のうちの一部又は全ての検査センサは、非接触型及び/又は接触型である、請求項1に記載の検査装置(100)。
【請求項13】
前記複数の検査センサ(141、142、143)は、
-前記機械部品(900)の表面形状を検査するための少なくとも1つの検査センサと、
-前記機械部品(900)の表面層又は表面下層又はコアを検査するように構成された少なくとも1つの検査センサと、を含む、請求項1に記載の検査装置(100)。
【請求項14】
-検査対象の前記機械部品(900)を支持するように構成された支持要素(250)と、
-関節式アーム(262)、好ましくは、5軸又は6軸関節式アームを有する少なくとも1つの産業用ロボット(260)と、を更に備え、
前記支持要素(250)は、好ましくは、回転可能及び/又は傾斜可能であり、
前記関節式アーム(262)は、検査センサを担持するように構成され、
前記コンピュータユニット(220)は、前記支持要素(250)及び/又は前記関節式アーム(262)を制御するように設定されている、請求項1に記載の検査装置(200)。
【請求項15】
-検査対象の前記機械部品(900)を把持し、移動させ、かつ/又は操作するように構成された関節式アーム(362)、好ましくは、5軸又は6軸関節式アームを有する少なくとも1つの産業用ロボット(360)を更に備え、
前記コンピュータユニット(320)は、前記関節式アーム(362)を制御するように設定され、
前記複数の検査センサ(341、342、343)のうちの一部又は全ての検査センサは、異なる位置で前記検査装置(300)のフレーム又は構造に固定して取り付けられている、請求項1に記載の検査装置(300)。
【請求項16】
-容器(110)を更に備え、
前記容器(110)は、少なくとも前記コンピュータユニット(120)と、前記スキャナ(130)と、前記複数の検査センサ(141、142、143)と、好ましくは、関節式アームを有する少なくとも1つの産業用ロボット(160)と、を収容し、
前記容器(110)は、検査対象の前記機械(900)の部品を検査室(111)に導入する開口部(112)を有し、
前記容器(110)は、好ましくは運搬可能であるように構成されている、請求項1に記載の検査装置(100)。
【請求項17】
コンピュータユニット(120)と、検査基準(122、124)を含むコンピュータユニット(120)と、を備える、検査装置(100)によって、機械動作の期間後に機械部品を自動的に検査するための方法であって、前記方法は、初期段階(401)と、その後の1つ以上の異なる検査段階(402)と、その後の最終段階(403)と、を含み、
前記初期段階(401)は、
A)前記機械から取り外された前記機械部品を走査するステップ(410)と、
B)前記機械部品の前記走査に基づいて、前記機械部品の3Dモデルを作成するステップ(420)と、
D)前記機械部品の設計モデルを受信及び/又は取得するステップ(440)と、を含み、
検査段階(402)は、
E)少なくとも1つの検査センサによって、前記機械部品を検査するステップ(450)と、
F)少なくとも1つの前記検査ステップに基づいて、検査情報を生成するステップ(460)と、
G)前記機械部品の注釈付き3Dモデルを作成するように、前記検査情報を前記機械部品の前記3Dモデルに関連付けるステップ(470)と、を含み、
前記最終段階(403)は、
I)前記機械部品の作成された前記3Dモデル、少なくとも1つの検査ステップから生成された検査データ、並びに前記機械部品の前記受信及び/又は取得された設計モデルを考慮に入れて、前記機械部品(900)の1つ以上の領域の状態を判定するように、前記機械部品にシミュレーションを実行するステップ(475)と、
H)実行された前記シミュレーションの結果に1つ以上の検査基準を適用して、前記機械部品が使用可能であるかどうかを判定するステップ(480)と、を含む、方法。
【請求項18】
前記最終段階(403)は、
L)前記機械部品が修理可能であるかどうかを判定するために実行された前記シミュレーションの結果に1つ以上の検査基準を適用するステップ(490)を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ステップIにおいて、実行される前記シミュレーションは、前記機械部品(900)に対する機械的又は熱的又は化学的シミュレーションであり、前記機械部品(900)の1つ以上の領域の機械的又は熱的又は化学的状態を判定することを目的とするか、あるいは
ステップIにおいて、実行される前記シミュレーションは、機械動作条件下で実行される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記基準のうちの少なくとも1つは、機械動作の前記期間の持続時間及び/又は条件に基づくか、あるいは
前記基準のうちの少なくとも1つは複数基準であり、複数基準は少なくとも2つの検査ステップに基づいている、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、特に、機械動作の期間の後に部品、すなわち、いわゆる「使用パーツ」を自動的に検査するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械、例えば、石油ガス産業用の機械(特に、ターボ機械)の部品は、機械の故障及びダウンタイムを回避するために、機械がしばらく動作した後に検査される必要がある場合があり、通常、そのようなチェックは周期的に繰り返される。これは、特に、例えば、高温、高圧、高い機械的応力、腐食、浸食に起因し得る摩耗及び/又は破損を受ける部品に当てはまる。
【0003】
ある種のチェックを実行するために、機械は、部品(又は複数の部品)が取り外されて検査を受けることができるように、全体的又は部分的に分解される必要がある場合がある。
【0004】
そのような動作の結果は、部品が良好な状態、すなわち「使用可能」であり、そのまま機械に再び取り付けられ得ること、部品が「使用可能」でなく、機械に再び取り付けられる前に(何らかの形で)修理される必要があること、部品が「使用可能」でも「修理可能」でもないこと、及び新しい部品が機械に取り付けられなければならないことであり得る。
【0005】
特定の検査段階を実行するためのシステムが知られている。例えば、特許文献である米国特許出願公開第2017/0176342(A1)号は、タービンブレードを検査するためのシステムを開示している。コンピュータは、スキャナからの入力と所定の理想的なブレード表面との間の差を所定の閾値と比較することができる。コンピュータは、ブレード表面の推奨される修理を追求した後に起こり得る効率又は性能の予測される変化(実際の効率又は性能と理想的な効率又は性能との間の差に対応する)を記述するレポートを作成することができる。追加的には、部品の注釈付き3Dモデルを構築し、それをコンピュータ画面上で検査員に提示することによって、人間の検査員が機械部品を視覚的に検査するのを支援するためのソフトウェアシステムが、例えば、米国特許出願公開第2007/217672(A1)号及び米国特許出願公開第2014/207419(A1)号から知られている。通常、部品の状態のポイント制の評価は手動であり、検査員の訓練及び経験に基づく。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、全体的な検査及び評価手順は、いくつかの特定の検査段階が自動化され得るとしても、依然として本質的に手動である。
【0007】
したがって、検査手順を改善すること、特に、自動的に実行される機械の部品の検査手順を提供することが望ましい。本明細書において、「部品」という用語は、機械の動作後に検査を受ける可能性がある機械の任意の部分を含むものとして広く解釈されるべきであることを理解されたい。本明細書で説明される解決策は、機械的物体に対して最も有利に使用される。
【0008】
第1の態様によれば、本明細書に開示される主題は、複数の検査段階によって使用機械部品の状態を自動的に判定することを可能にする検査装置に関する。装置は、コンピュータユニットと、3Dスキャナと、部品に対して複数の検査段階を実行するための複数の検査センサと、を含み、コンピュータユニットは、部品の注釈付き3Dモデルを生成するために、スキャナ及びセンサと相互作用する。コンピュータユニットは、機械部品の1つ以上の領域の状態を判定するために、機械部品に対してシミュレーションを実行するように構成されている。更に、コンピュータユニットは、1つ以上の基準をシミュレーションの結果に適用するためのチェックエンジンを含み、部品が使用可能及び/又は修理可能であるかどうかを自動的に判定することができる。そのような判定に基づいて、検査装置のユーザのためにコンピュータユニットによってステータスレポートが発行され得る。例えば、ステータスレポートは、コンピュータユニットのユーザインタフェースを介して出力されてもよく、かつ/又は将来の使用のためにコンピュータユニットのメモリに記憶されてもよい。
【0009】
第2の態様によれば、本明細書に開示される主題は、使用機械部品の検査方法に関する。方法は、初期段階と、その後の1つ以上の異なる検査段階と、を含み、初期段階中に、部品が走査され、部品の3Dモデルが作成され、検査段階は、部品の注釈付き3Dモデルを作成することを可能にする。更に、本方法は、機械部品の1つ以上の領域の状態を判定するためにシミュレーションが実行され、次いで、部品が使用可能及び/又は修理可能であるかどうかを判定するために、1つ以上の基準がシミュレーションの結果に適用される最終段階を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の開示される実施形態、及びそれに付随する利点の多くについての完全な理解は、添付図面に関連して考慮される場合、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、それらがより良好に理解される際、容易に得られるであろう。
図1図1は、検査装置の非常に一般的な概略図を示す。
図2図2は、検査装置の第1の実施形態の概略図を示す。
図3図3は、検査装置の第2の実施形態の概略図を示す。
図4図4は、検査方法の実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
革新的な検査装置は、次々に実行される複数の検査段階によって、使用機械部品の状態、例えば、部品が摩耗しているか、又は破損しているかを自動的に判定することを可能にする。装置は、部品の様々な部分の状態に関する(センサから得られる)関連情報を有する部品のコンピュータ化された(スキャナから得られる)表現を自動的に作成するために、コンピュータによって制御されるスキャナ及び複数のセンサを含む。このようにして、部品の「注釈付き3Dモデル」を生成することができる。このような「注釈付き3Dモデル」は、コンピュータによって自動的に処理することが容易である。部品のそのような「注釈付き3Dモデル」は、例えば、部品に対してシミュレーション、例えば、機械的又は熱的シミュレーションを実行し、次いで、シミュレーションの結果に1つ以上の基準を自動的に「適用する」ことによって、部品が使用可能及び/又は修理可能であるかどうかを判定するために使用することができる。このようにして、機械動作条件下であっても、部品が機械から取り外されている間に、例えば、部品の(そのままの)機械的又は熱的状態の全体的な評価が可能である。
【0012】
次に、本開示の実施形態を参照し、それらが図面に例示される。実施形態は、本開示の限定ではなく、その説明として提供される。実際には、本開示の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるということが、当業者には明らかであろう。
【0013】
革新的な検査装置は、機械の動作中のある時間にわたって機械において既に使用された機械部品(「機械パーツ」とも呼ばれ得る)、すなわち、いわゆる「使用パーツ」の状態を判定するのに有用である。そのような状態は、例えば、部品の任意の変形(例えば、全体的形状の変化及び/又は全体的サイズの変化)及び/又は表面形状の任意の変化(例として、例えば浸食若しくは腐食による材料の局所的損失、又は材料の局所的堆積、例えば、穴の全体的若しくは部分的閉塞)及び/又は表面層若しくは表面下層の任意の変化(例えば、保護層の厚さの減少又は表面的若しくは深い亀裂)及び/又は部品のコアの変化並びに特に部品が機械動作条件下にあるときの部品の1つ以上の領域の機械的状態(例えば、剪断応力、引張応力、ねじれ)及び/又は熱的状態(例えば、温度)及び/又は化学的状態(例えば、酸化)に対する対応する影響(複数可)を指すことができる。他の状態は、例えば、電気的状態、磁気的状態、光学的状態、電磁的状態と考えられ得ることに留意されたい。最初に検査され、次いで評価された部品は、事前に機械から取り外された。
【0014】
図1図2及び図3には、検査対象の機械部品900が概略的に示されており、例えば、限定するものではないが、ベース部分及び翼形部分を含むタービンのブレードである。本開示による革新的な装置及び方法は、他の機械パーツ、例えば、いわゆる「ガスタービン高温ガス経路パーツ」(「HGPP(hot gas path part)」)及びいわゆる「燃焼パーツ」(「CC(combustion part)」)を検査するために使用することができることを理解されたい。
【0015】
これらの実施形態によれば、一度に1つの部品900が、検査される前に容器110の検査室111に導入される。容器110は、壁と、検査室111にアクセスし、部品900を導入するための、典型的にはドア112を有する開口部とを有する。容器110は、貨物コンテナと同等又は類似であってもよく、機械が設置される場所、例えば、石油ガス処理プラントにおいて、機械部品の直接検査を可能にするように、輸送可能であってもよい。いくつかの実施形態によれば、容器が回避され得ることに留意されたい。
【0016】
図1は、少なくともコンピュータユニット120と、3Dスキャナ130と、複数の検査センサ141、142、143と、関節式アームを有する産業用ロボット160と、を含む検査装置100を概略的に示す。コンピュータユニット120は、プロセッサ又はコントローラ又はマイクロプロセッサなど(図示せず)、データメモリ(図示せず)、プログラムメモリ(図示せず)、図1に90として概略的に示されるユーザのためのユーザインタフェース126を含むことができる。図示のように、これらの要素は全て容器110内に収容されていてもよい。図に示されるように、コンピュータユニット120は、例えば、インターネット又は別のコンピュータネットワークを含む、有線接続及び/又は無線接続を介して、外部コンピュータシステム190と電気的に結合されてもよい。図中のユニット120から出る大きな矢印は、コンピュータユニット120が、例えば、スキャナ130、検査センサ141、142、143及び産業用ロボット160を制御する可能性を示すが、コンピュータユニット120がそれらから、特にスキャナ及び検査センサからデータ及び/又は情報を受信する可能性を含む。スキャナが、検査センサとは別個の異なる別個のデバイスとして図に示されている場合であっても、いくつかの実施形態によれば、スキャナは、機械部品に対して移動するように構成された光学検査センサに対応し得ることに留意されたい。すなわち、1)センサのみが絶対的移動を行う、2)部品のみが絶対的移動を行う、3)センサと部品との両方が絶対的移動を行う、という3つの可能性がある。以下では、本質的にコンピュータユニットのプログラムメモリに記憶された「ソフトウェア」又は「ファームウェア」であり得る1つ以上のプログラムによる、検査装置によって実行される機能に言及するとき、「ように設定される」という表現が使用される。
【0017】
図1では、互いに異なる3つの検査センサ141、142、143が示されている(これは、それらのシンボルの異なる形状によって表されている)。しかしながら、異なる数が考慮されてもよく、最小数は1であるが、典型的な数は1よりも大きい。これらのセンサのいずれも、例えば、以下のものであってもよい。
-光学センサ、特に白色光干渉センサ又はレーザセンサ
-ボアスコープセンサ
-電磁波センサ、特にマイクロ波プローブセンサ
-誘導センサ、特に渦電流センサ
-誘導又は赤外線サーモグラフィセンサ
-超音波センサ
-蛍光センサ、特にX線蛍光センサ
例えば、センサ141は、例えば、空洞(例えば、穴)の完全性にアクセスするためのボアスコープセンサであってもよく、センサ142は、例えば、熱障壁の完全性にアクセスするためのサーモグラフィセンサであってもよく、センサ143は、例えば、機械的観点からの表面及び/又は表面下層の完全性(例えば、亀裂又は空隙の存在)にアクセスするための渦電流センサであってもよい。
【0018】
一般的に、革新的な(例えば、図1の装置100のような)検査装置は、
-(例えば、図1のユニット120のような)コンピュータユニットと、
-(例えば、図1の部品900のような)機械部品を走査するように構成されたスキャナ(例えば、図1の3Dスキャナ130のような、レーザ又は白色光であってもよい)であり、コンピュータユニットは、スキャナに結合され、部品の走査に基づいて部品の3Dモデルを作成するように設定されている、スキャナと、
-部品に対して対応する複数の検査段階を実行するように構成された(例えば、図1のセンサ141、142、143のような)複数の検査センサと、を備え、コンピュータユニットは、検査センサの各々と通常、次々に結合されるように構成され、部品の3Dモデル及び検査センサから受信したデータに基づいて部品の注釈付き3Dモデルを作成するように設定されている。
【0019】
例えば、図1を考慮すると、動作は以下の通りであると考えられる。
-コンピュータユニット120は、スキャナ130に接続し、スキャナ130を制御し、走査データを受信し、走査データに基づいて部品の3Dモデルを作成することができる。通常、走査データは、スキャナのパーツと部品との間に相対的な移動が生じる間に受信され、その後、
-コンピュータユニット120は、第1のセンサ141に接続し、第1のセンサ141を制御し、第1の感知データを受信し、第1の感知データから第1の検査情報を生成し、第1の検査情報を部品の現在の3Dモデルに関連付けて、追加された第1の注釈(例えば、部品の各穴における直径及び深さ)を有する部品の3Dモデルを作成することができる。通常、第1の感知データは、第1のセンサのパーツと部品との間に相対的な移動が生じる間に受信され、その後、
-コンピュータユニット120は、第2のセンサ142に接続し、第2のセンサ142を制御し、第2の感知データを受信し、第2の感知データから第2の検査情報を生成し、第2の検査情報を部品の現在の3Dモデルに関連付けて、追加された第2の注釈(例えば、部品の表面上に熱障壁がある各ポイントにおける熱障壁の品質)を有する部品の3Dモデルを作成することができる。通常、第2の感知データは第2のセンサのパーツと部品との間の実質的な移動がなくても受信され、その後、
-コンピュータユニット120は、第3のセンサ143に接続し、第3のセンサ143を制御し、第3の感知データを受信し、第3の感知データから第3の感知情報を生成し、第3の感知情報を部品の現在の3Dモデルに関連付けて、追加された第3の注釈(例えば、部品の表面の各ポイントにおける表面下欠損材料)を有する部品の3Dモデルを作成することができる。通常、第3のセンサのパーツと部品との間に相対的な移動が生じる間に、第3の感知データが受信される。したがって、図1を考慮すると、結果として得られる部品の注釈付き3Dモデルは、検査中の部品の正確な外形、及び部品の様々な位置に関連付けられた3つのタイプの注釈を含むことができる。このような注釈付き3Dモデルは、後でコンピュータによって自動的に処理することが容易である。
【0020】
(例えば、図1のユニット120のような)革新的な検査装置のコンピュータユニットは、(例えば、図1の部品900のような)評価される機械部品の設計モデルを受信及び/又は取得するように構成されている。設計モデルは、コンピュータユニットのメモリ装置、例えば、ハードディスクに記憶されている場合に取得され、異なる遠隔コンピュータシステムのメモリ装置、例えば、ハードディスクに記憶されている場合に受信される。設計モデルは、機械部品に関する詳細な情報(例えば、理想的な表面形状及び/又は内部構造及び/又は材料及び製造ステップ及び/又は処理及び/又は動作条件及び/又は他の機械部品との関係)を取得するために使用される。取得及び受信は、機械部品が、例えば、ユーザから受信された入力に基づいて事前に識別されることを必要とし得る。
【0021】
(例えば、図1のユニット120のような)革新的な検査装置のコンピュータユニットは、例えば、機械部品の1つ以上の領域の機械的状態(例えば、剪断応力、引張応力、ねじれ)又は熱的状態(例えば、温度)又は化学的状態(例えば、酸化)を判定するために、(例えば、図1の部品900のような)機械部品に対して、例えば、機械的、熱的又は化学的シミュレーションを実行するように構成されている。そのようなシミュレーションは、機械部品の作成された3Dモデル(例えば、部品全体の実際の表面形状)、少なくとも1つの検査段階から生成された検査データ(例えば、部品の実際の不可視特性)、並びに機械部品の受信及び/又は取得された設計モデル(例えば、理想的な表面形状及び/又は内部構造及び/又は材料及び製造ステップ及び/又は処理及び/又は動作条件及び/又は他の機械部品との関係)を考慮に入れる。このようなシミュレーションは、シミュレーションの結果が機械動作条件によって影響を受ける場合、これらの条件下で実行されることが好ましい。
【0022】
(例えば、図1のユニット120のような)革新的な検査装置のコンピュータユニットは、チェックエンジンを含み、チェックエンジンは、通常、構成データが提供されてもよく、かつ/又は、例えば、コンピュータユニットのプログラムメモリに記憶されてもよい1つ以上のファームウェア及び/若しくはソフトウェアである。構成データは、1つ以上の使用可能基準(例えば、図1のボックス122参照)及び/若しくは1つ以上の修理可能基準(例えば、図1のボックス124参照)を含んでもよく、かつ/又は、例えば、コンピュータユニットのデータメモリに記憶されてもよい。
【0023】
チェックエンジンは、実行されたシミュレーションの結果に1つ以上の基準を適用し、そのような基準の適用に基づいて、機械部品が使用可能であるかどうかを判定するように設定され得る。このような使用可能基準は、機械及びその部品の設計者/製造者によって判定されることが予想される。しかしながら、機械のユーザ(例えば、製造者の顧客)は、少なくともいくつかの使用可能基準に寄与し得る。(例えば、図1に122として示される)使用可能基準は、機械の製造時、かつ/又は機械の設置時にコンピュータユニットに記憶されてもよい。いくつかの実施形態によれば、それらは設置後に変更されてもよい。チェックエンジンは、例えば、使用可能判定に基づいて、(図1に90として例示的に示される)ユーザのための機械部品のステータスレポートを生成するように設定されてもよい。使用可能データを含むステータスレポートは、コンピュータユニットの(例えば、図1の126として示される)ユーザインタフェース、例えば、そのディスプレイを通して出力されてもよく、かつ/又は将来の使用のためにコンピュータユニットのメモリに記憶されてもよい。
【0024】
代替的又は追加的には、チェックエンジンは、実行されたシミュレーションの結果に1つ以上の基準を適用し、そのような基準の適用に基づいて、機械部品が修理可能であるかどうかを判定するように設定され得る。このような修理可能基準は、機械及びその部品の設計者/製造者によって判定されることが予想される。しかしながら、機械のユーザ(例えば、製造者の顧客)は、修理可能基準の少なくともいくつかに寄与し得る。(例えば、図1に124として示される)修理可能基準は、機械の製造時かつ/又は機械の設置時にコンピュータユニットに記憶されてもよい。いくつかの実施形態によれば、それらは設置後に変更されてもよい。チェックエンジンは、例えば、修理可能判定に基づいて、(図1に90として例示的に示される)ユーザのための機械部品のステータスレポートを生成するように設定されてもよい。修理可能データを含むステータスレポートは、コンピュータユニットの(例えば、図1の126として示される)ユーザインタフェース、例えば、そのディスプレイを通して出力されてもよく、かつ/又は将来の使用のためにコンピュータユニットのメモリに記憶されてもよい。
【0025】
従来技術によれば、検査情報はポイント制で(手動で)評価され、基準情報と比較されることに留意されたい。例えば、部品の表面の第1のポイントにおいて断熱コーティングの欠如が検出される場合、そのサイズは2つの閾値と比較され、部品は、そのような2つの比較に応じて、使用可能、修理可能又は廃棄されるべきであると判定される。その後、部品の表面の第2のポイントにおいて断熱コーティングの欠如が検出された場合、同じ手順が繰り返される。しかしながら、従来技術によれば、断熱コーティングの様々な欠如の全体的な影響は考慮されていない。対照的に、本明細書に開示されるように、好ましくは、機械動作条件下で、機械部品(すなわち、その全ての欠如を伴って走査及び検査されるような実際の部品)の温度分布を(自動的に)シミュレーションすることによって、例えば、断熱コーティングの全ての欠如の影響を(自動的に)考慮することが可能であり、部品の1つ以上のポイントにおけるシミュレーションされた温度は、例えば、2つの閾値(ポイントごとに異なり得る)と(自動的に)比較され得る。
【0026】
図1から明らかなように、チェックエンジンの機能は、実施形態に応じて、内部コンピュータユニット(例えば、ユニット120)と外部コンピュータシステム(例えば、システム190)との間で様々に分割することができる。したがって、いくつかの実施形態によれば、内部コンピュータユニットは、部品の注釈付き3Dモデルを作成し、それを外部コンピュータシステムに送信するように設定され、外部コンピュータシステムは、注釈付き3Dモデルを受信し、シミュレーションを実行し、1つ以上の基準を適用するように設定される。代替的には、注釈付き3Dモデルは、内部コンピュータユニットと外部コンピュータユニットとの間で共有されてもよい。このようにして、使用可能性及び/又は修理可能性結果データは、内部コンピュータユニットと外部コンピュータシステムとの間の協働から導出することができる。外部コンピュータシステムは、革新的な検査装置の一部とみなすことができる。
【0027】
通常、(例えば、図1のユニット120のような)コンピュータユニットは、検査対象の特定の部品(例えば、タービンブレードパーツ番号、例えば、SMH48303)又は検査対象の部品のカテゴリ(例えば、「高出力タービン用のブレード」)を識別するように設定され得る。実際、実行される検査段階及び/又は段階の順序及び/又は適用される基準は、それらのいずれか又は両方に依存することが予想される。そのような識別は、ユーザ(例えば、図1の90参照)から装置によって受信される入力に基づいてもよい。例えば、装置の検査室に部品を導入する前に、オペレータは、コンピュータユニットのキーボード(例えば、図1の126を参照)によって対応するコードを指で押すことができる。そのような識別は、検査対象の部品上にマークされたコードを読み取るように設定されたコードリーダによって受信された入力に基づくことができる。そのような識別は、検査対象の部品を走査し、自動的に認識することに基づいてもよい。
【0028】
(例えば、図1のユニット120のような)コンピュータユニットは、検査対象の部品の設計モデルを受信及び/又は取得するように設定されてもよい。例えば、図1を参照すると、ユニット120は、システム190と通信し、設計エンジニアによって最初に設計されたようないくつかの異なる機械の部品のモデルを記憶する設計データベースから設計モデルを取得することができる。「設計モデル」という用語は、部品の形状に限定されるものとして解釈されるべきではなく、公差及び/又は材料及び/又は製造処理及び/又はテスト手順及び/又検査手順などの他の特性を含み得ることに留意されたい。例えば、「モデルベースエンジニアリング(model-based engineering、MBE)」は、取得ライフサイクルを通して機能、システム及び/又は製品の要件、分析、設計、実装及び検証を含む技術ベースラインの不可欠なパーツとしてモデルを使用するエンジニアリングへの手法である。
【0029】
(例えば、図1のユニット120のような)コンピュータユニットは、検査装置におけるその走査から導出された部品の3Dモデルをその設計モデルと相関させるように設定されてもよい。例えば、3Dモデルを設計モデルと比較する(これは相関の一形態である)ことによって、機械内でのその使用に起因して生じた部品内の任意の変形を判定することが可能である。実行される検査フェーズ及び/又はフェーズの順序及び/又は適用される基準は、検査対象の部品の設計モデルに依存することが可能である。
【0030】
(例えば、図1のユニット120のような)コンピュータユニットは、検査対象の特定の部品に対して実行されるシミュレーションに基づいて基準を適用するように設定されてもよい。シミュレーションは、内部コンピュータユニットによって実行されてもよく、シミュレーションの結果を内部コンピュータユニットに提供する外部コンピュータシステムによって実行されてもよい。シミュレーションは、分析モデル及び/又は統計モデルに基づいて、酸化又はクリープあるいはLCF又はHCF又は亀裂伝播寿命又はFMEAに関して検査対象の特定の部品の耐久性を評価することにあり得る。
【0031】
基準のうちの1つ以上は、アクセスされる機械部品の機械動作の期間の持続時間及び/又は条件に基づき得ることに留意されたい。例えば、部品が数年間使用されていた場合。そのコーティングのいずれかの厚さがその設計値に対して低減されること、又はそのガスケットのいずれかのシーリングがその設計値に対して低減されることが予想される。このような変化は、運転時間だけでなく、運転条件にも依存する。
【0032】
基準のうちの1つ以上が複数の基準であってもよいことに留意すべきである。例えば、そのような基準は、第1の検査段階からの検査情報に対する第1のチェックと、第2の検査段階からの検査情報に対する第2のチェックとの組み合わせ(例えば、論理的な組み合わせ)に対応し得る。
【0033】
有利には、複数の検査センサのうちの一部又は全ての検査センサは、非接触型であり、すなわち、センサは、検査対象の部品の表面に接触する必要がない。いずれにしても、表面への接触は、センサの位置付けがより低い精度を必要とするように、(必要でなくても)受け入れられてもよい。検査センサの1つ以上が接触型であってもよいことを除外するものではない。しかしながら、この場合、位置付けにおけるある程度の精度が必要とされるだけでなく、部品表面に加えられる圧力に対するある程度の制御も必要とされ得る。
【0034】
通常、複数の検査センサは、表面形状を検査するための少なくとも1つの検査センサと、表面層又は表面下層を検査するための少なくとも1つの検査センサと、を含む。複数の検査センサが、部品のコア、すなわち内部容積の部分を検査するための少なくとも1つの検査センサを含んでもよいことは除外されない。
【0035】
図2及び図3は、それぞれ、革新的な検査装置の第1の実施形態200及び革新的な検査装置の第2の実施形態300を示す。しかしながら、そのような詳細に入る前に、検査方法は、図4のフローチャート400及び図1のブロック図を用いて説明される。
【0036】
この方法は、図1の部品900などの機械動作の期間後に部品を検査するのに有用であり(たとえ新しい部品を検査するためにもそれを使用することができるとしても)、初期段階401(「モデリング段階」と呼ばれることがある)、その後の1つ以上の異なる検査段階402(図1を考慮すると、3つの検査段階が通常、次々に実行されることになる)、及びその後の最終段階403(「チェック段階」と呼ばれることがある)を含む。本方法は、部品が使用された機械の近くで実行されてもよく、又は機械から離れて実行されてもよいことに留意されたい。追加的には、最終段階403は、検査段階のかなり後に、検査される部品が存在する場所とは異なる場所で実行されてもよいことに留意されたい。最終的には、最終段階403は、初期段階401及び検査段階402を実行した検査装置とは異なる装置によって実行されてもよいことに留意されたい。そのような検査装置は、本明細書に開示される検査装置と同一又は類似であってもよく、コンピュータユニットを含んでもよい。
【0037】
図4の実施形態によれば、初期段階401は、
A)機械から取り外された機械部品を走査するステップ(ブロック410)と、
B)機械部品の走査に基づいて、機械部品の3Dモデルを作成するステップ(ブロック420)と、
C)ユーザから受信した入力に基づいて、機械部品又は機械部品のカテゴリを識別するステップ(ブロック430)と、
D)機械部品の設計モデルを受信及び/又は取得するステップ(ブロック440)と、を含む。
【0038】
図1を考慮すると、初期段階401は、本質的にユニット120及びスキャナ130を通じて実行される。ロボット160も寄与し得る。
【0039】
図4の実施形態によれば、検査段階402は、
E)少なくとも1つの検査センサを通じて、機械部品を検査するステップ(ブロック450)と、
F)少なくとも1つの検査ステップに基づいて、検査情報を生成するステップ(ブロック460)と、
G)機械部品の注釈付き3Dモデルを作成するために、検査情報を機械部品の3Dモデルに関連付けるステップ(ブロック470)であり、先に説明したように、通常、3Dモデルは、いくつかの検査段階からの検査情報に基づいて増分的に注釈が付けられる、ステップと、を含む。
【0040】
図1を考慮すると、検査段階402は、本質的に、ユニット120、ロボット160、並びにセンサ141、142及び143のいずれかによって実行される。
【0041】
図4の実施形態によれば、最終段階403は、
I)機械部品の作成された3Dモデル、少なくとも1つの検査ステップから生成された検査データ、並びに機械部品の受信及び/又は取得された設計モデルを考慮して、機械部品の1つ以上の領域の、例えば、機械的又は熱的又は化学的状態を判定するために、機械部品に対して、例えば、機械的又は熱的又は熱的シミュレーションを実行するステップ(ブロック475)、
H)機械部品が使用可能であるかどうかを判定するために実行された、例えば、機械的又は熱的又は化学的シミュレーションの結果に1つ以上の基準を適用するステップ(ブロック480)、
並びに/あるいは
L)機械部品が修理可能であるかどうかを判定するために実行された、例えば、機械的、熱的又は化学的シミュレーションの結果に1つ以上の基準を適用するステップ(ブロック490)を含む。
【0042】
図1を考慮すると、最終段階403は、本質的に、検査基準122及び/又は124に基づいて、ユニット120及び/又はシステム190を通じて実行される。図1の実施形態によれば、全ての基準はユニット120に記憶される。使用可能判定及び/又は修理可能判定は、例えば、様々な検査結果のリストの形態で、使用可能データ及び/又は修理可能データを有するステータスレポートを発行するために使用されてもよい。ステータスレポートは、例えば、コンピュータユニット、特に、そのディスプレイによってユーザに出力されてもよく、かつ/又は、例えば、コンピュータユニットのメモリに記憶されてもよく、その後、場合によっては、ステータスレポートの全て若しくは一部が外部コンピュータシステムに転送されてもよい。いくつかの実施形態によれば、ステータスレポートは、使用可能性データ及び/又は修理可能性データの選択のみ、例えば、肯定的な検査結果のみ、又は否定的な検査結果のみを含み得ることに留意されたい。
【0043】
好ましくはかつ有利なことには、ステップIにおいて実行されるシミュレーションは、機械動作条件下で実行される。更に、有利には、ステップH及び/又はLにおける基準のうちの少なくとも1つは、機械動作の期間の持続時間及び/又は条件に基づいてもよい。最終的に、ステップH及び/又はLにおける基準のうちの少なくとも1つは、複数の基準であってもよく、複数の基準は、少なくとも2つの検査ステップに基づく。
【0044】
革新的な検査装置の第1の実施形態200を、図2を参照して以下に説明する。図2の要素210、211、212、220、230、241、242、243、260及び290は、それぞれ、図1の要素110(容器)、111(検査室)、112(ドア)、120(内部コンピュータユニット)、130(スキャナ)、141(第1の検査センサ)、142(第2の検査センサ)、143(第3の検査センサ)、160(ロボット)、162(関節式アーム)及び190(外部コンピュータシステム)と同一又は同様であってもよく、同一又は同様の機能を実行してもよいことに留意されたい。
【0045】
図2の装置200は、検査対象の部品900を支持するための支持要素250、特にテーブルを含む。支持要素250は、検査対象の部品専用の固定具252を含むことができる。例えば、図2において、タービンブレードのベース部分は、支持要素250の、例えば、4つの固定部材252の間に完全に嵌合する。支持要素250は、回転可能及び/又は傾斜可能であってもよい。
【0046】
支持要素250は、回転可能及び/又は傾斜可能であってもよい。支持要素250が移動可能である場合、コンピュータユニット220は、支持要素250の移動を制御するように設定されてもよい。支持要素250が移動可能である場合、部品900の走査に寄与することができる。例えば、走査は、支持要素250の回転及び/又は傾斜、並びに支持された部品900の対応する回転及び/又は傾斜の間に行われてもよい。
【0047】
図2の装置200は、関節式アーム262、好ましくは、5軸又は6軸関節式アームを有する少なくとも1つの産業用ロボット260を含む。関節式アーム262は、検査センサを担持するように構成され、コンピュータユニット220は、関節式アーム262の移動を制御するように設定される。ロボット260はまた、部品900の走査に寄与し得る。例えば、アーム262は、光学センサを担持してもよく、部品900を走査するために、部品900の周りを移動してもよい。この場合、スキャナ230は、ロボットの関節式アームによって担持される光学センサに対応し得る。好ましい実施形態によれば、装置は、部品を検査するためのロボットを1つだけ有する。好ましい実施形態によれば、装置は、部品を修理するためのロボットを1つだけ有する。
【0048】
通常、関節式アーム262は、2つ以上の検査センサを交互に担持するように構成され、コンピュータユニット220は、アームによって担持されるセンサの変更を制御するように設定される。図2において、センサとアーム部材の端部とを接続する破線は、センサをその静止位置から取り上げ、部品の検査を実行し、センサをその静止位置に戻す動作を概略的に示す。
【0049】
コンピュータユニット220は、検査経路(部品及びセンサに依存し得る)に沿って検査センサを移動させるように設定されている。
【0050】
革新的な検査装置の第2の実施形態300を、図3を参照して以下に説明する。図3の要素310、311、312、320、330、341、342、343、360及び390は、それぞれ、図1の要素110(容器)、111(検査室)、112(ドア)、120(内部コンピュータユニット)、130(スキャナ)、141(第1の検査センサ)、142(第2の検査センサ)、143(第3の検査センサ)、160(ロボット)、162(関節式アーム)及び190(外部コンピュータシステム)と同一又は同様であってもよく、同一又は同様の機能を実行してもよいことに留意されたい。
【0051】
図3の装置300は、関節式アーム362、好ましくは、5軸又は6軸関節式アームを有する少なくとも1つの産業用ロボット360を含む。関節式アーム362は、検査対象の部品900を担持するように構成され、コンピュータユニット320は、関節式アーム362の移動を制御するように設定される。関節式アーム362は、検査対象の部品専用の固定具350を含むことができる。例えば、図3において、タービンブレードのベース部分は、固定具350の、例えば、4つの固定部材352の間に完全に嵌合する。このようにして、産業用ロボット、特に関節式アームは、機械部品を把持、移動及び/又は操作するように構成することができる。
【0052】
関節式アーム362は、スキャナ330が部品の走査を実行するときに、検査対象の機械部品900を(固定的に又は移動可能に)担持するように設定されてもよい。
【0053】
図3の実施形態によれば、一部又は全ての検査センサ341、342、343は、異なる位置で装置300のフレーム又は構造に固定して取り付けられる(図3では、それらは、例えば、容器310の壁に近接して表される)。
【0054】
図3の実施形態によれば、コンピュータユニット320は、検査経路に沿って検査対象の機械部品900を移動させるように設定されている。検査経路の第1の部分は、検査センサに近接する部品の移動であってもよく、検査経路の第2の部分(部品及びセンサに依存してもよい)は、所望の検査を行うためにセンサがアクティブである間の検査センサのゾーン内の部品の移動であってもよく、検査経路の第3の部分は、検査センサから離れた部品の移動であってもよいことに留意されたい。図3において、センサと固定具とを接続する破線は、検査センサ341、342、343のための検査経路の様々な第1の部分及び第3の部分を概略的に示す。
【0055】
図2の第1の実施形態と図3の第2の実施形態との間の本質的な違いは、検査段階中、第1の実施形態によれば、部品が固定され(支持要素の可能な回転及び/又は傾斜は別として)、センサが移動するのに対して、第2の実施形態によれば、センサが固定され、部品が移動することである。他の実施形態は、これら2つの代替例の組み合わせに対応し得ることは明らかである。
【0056】
上記に照らして、本明細書に開示される革新的な装置及び方法は、特に人間の検査員を支援することを目的とする従来技術による装置及び方法によって提供されるものとは全く異なる検査の可能性を提供することが明らかである。従来技術では、検査結果を基準データと直接比較していた。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】