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特表2024-514910酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池及びその製造方法
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  • 特表-酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0216 20140101AFI20240327BHJP
   H01L 31/068 20120101ALN20240327BHJP
【FI】
H01L31/04 240
H01L31/06 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563863
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 CN2021129967
(87)【国際公開番号】W WO2022242063
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】202110558290.1
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202121099336.X
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517366220
【氏名又は名称】横店集団東磁股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】方超炎
(72)【発明者】
【氏名】何悦
(72)【発明者】
【氏名】任海亮
(72)【発明者】
【氏名】任勇
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼徳爽
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251CB11
5F251CB12
5F251CB20
5F251CB27
5F251DA03
5F251DA20
5F251FA13
5F251FA15
5F251HA07
(57)【要約】
本願は酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池及びその製造方法を提供し、前記太陽電池はP型シリコン基体を含み、前記P型シリコン基体の対向する両側の表面のそれぞれに正面めっき層と裏面めっき層とが設けられ、前記正面めっき層はP型シリコン基体の表面から外側に向かって順に積層されたエミッタと、正面酸化シリコン層と、正面窒化シリコン層とを含み、前記裏面めっき層はP型シリコン基体の表面から外側に向かって順に積層された酸化シリコンパッシベーション層と、酸化ガリウムパッシベーション層と、裏面パッシベーション層とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
P型シリコン基体を含み、前記P型シリコン基体の対向する両側の表面のそれぞれに正面めっき層と裏面めっき層とが設けられ、前記正面めっき層はP型シリコン基体の正面から外側に向かって順に積層されたエミッタと、正面酸化シリコン層と、正面窒化シリコン層とを含み、前記裏面めっき層はP型シリコン基体の表面から外側に向かって順に積層された酸化シリコンパッシベーション層と、酸化ガリウムパッシベーション層と、裏面パッシベーション層とを含む、酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池。
【請求項2】
前記電池は、前記正面窒化シリコン層、正面酸化シリコン層及びエミッタを順に貫通してP型シリコン基体の内部に挿入された正面電極を含み、前記正面電極はP型シリコン基体とオーミック接触を形成する、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記電池は、前記裏面パッシベーション層、酸化ガリウムパッシベーション層及び酸化シリコンパッシベーション層を順に貫通してP型シリコン基体の内部に挿入された裏面電極をさらに含み、前記裏面電極はP型シリコン基体とオーミック接触を形成する、請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記裏面パッシベーション層は、窒化シリコン、酸窒化シリコン又は炭化シリコンのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記酸化シリコンパッシベーション層の厚さは1~15nmであり、
好ましくは、前記酸化ガリウムパッシベーション層の厚さは10~100nmであり、さらに好ましくは20~40nmであり、
好ましくは、前記裏面パッシベーション層の厚さは10~200nmであり、さらに好ましくは60~80nmであり、
好ましくは、前記正面酸化シリコン層の厚さは1~5nmであり、
好ましくは、前記正面窒化シリコン層の厚さは10~200nmであり、さらに好ましくは60~80nmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の太陽電池の製造方法であって、
レーザドーピングを用いてP型シリコン基体の表面にエミッタを形成した後に、熱酸化して正面酸化シリコン層を形成してから、P型シリコン基体の正面酸化シリコン層と対向する他側の表面に酸化シリコンパッシベーション層、酸化ガリウムパッシベーション層及び裏面パッシベーション層を順に堆積してから、形成された正面酸化シリコン層の表面に正面窒化シリコン層を堆積することを含む、製造方法。
【請求項7】
具体的には、
シリコンウェハの表面にテクスチャリング処理によってテクスチャを形成した後に、その表面にリン拡散を行ってから、レーザドーピングを用いてP型シリコン基体の表面にエミッタを形成し、P型シリコン基体の他の表面のリン-シリコン層をエッチングで除去してから、エミッタの表面に熱酸化して正面酸化シリコン層を形成するステップ(I)と、
P型シリコン基体の正面酸化シリコン層と対向する他側の表面に酸化シリコンパッシベーション層、酸化ガリウムパッシベーション層及び裏面パッシベーション層を順に堆積して裏面めっき層を得るステップ(II)と、
形成された正面酸化シリコン層の表面に正面窒化シリコン層を堆積して正面めっき層の調製を完了するステップ(III)と、
レーザドーピングを用いて裏面パッシベーション層の表面からP型シリコン基体の内部に向かってガリウムドープ裏面フィールドを形成してから、スクリーン印刷及び焼結処理を行って正面電極と裏面電極とを形成するステップ(IV)とを含む、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
ステップ(I)では、アルカリ液、水及び添加剤の混合溶液を用いてシリコンウェハの表面にテクスチャを形成し、
好ましくは、前記アルカリ液、水及び添加剤の体積比は(8~12):(240~360):(2~3)であり、
好ましくは、前記テクスチャリング処理の温度は70~90℃であり、
好ましくは、前記アルカリ液はKOH及び/又はNaOHであり、
好ましくは、前記添加剤はエタノール及び/又はイソプロピルアルコールである、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
ステップ(I)では、酸溶液を用いてウェットエッチングによってP型シリコン基体の表面のリン-シリコン層を除去し、
好ましくは、前記酸溶液はHFの水溶液であり、
好ましくは、前記酸溶液における水とHFの体積比は(35~45):3である、請求項7又は8に記載の製造方法。
【請求項10】
ステップ(II)では、プラズマ増強化学気相堆積法を用いてP型シリコン基体の表面に一つの酸化シリコンパッシベーション層を堆積し、
好ましくは、前記酸化シリコンパッシベーション層の堆積時間は30~150sであり、
好ましくは、前記酸化シリコンパッシベーション層の堆積過程においてSiH及びNOを反応ガスとして使用し、
好ましくは、前記SiHの体積流量は550~700sccmであり、
好ましくは、前記NOの体積流量は3000~3250sccmであり、
好ましくは、前記裏面パッシベーション層はプラズマ増強化学気相堆積法で堆積され、
好ましくは、前記酸化ガリウムパッシベーション層の調製方法は原子層堆積法、プラズマ増強化学気相堆積法、大気圧化学気相堆積法又は減圧化学気相堆積法を含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
ステップ(III)では、プラズマ増強化学気相堆積法を用いて前記正面酸化シリコン層の表面に正面窒化シリコン層を堆積する、請求項7~10のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は太陽電池の分野に属し、裏面パッシベーションした電池に関し、例えば、酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パッシベーションエミッタと裏面電池の技術は1980年代に始まり、従来の電池の裏面にパッシベーション層を重ねることで、変換効率を向上させることができる。めっき成膜プロセスは、太陽電池の生産ラインプロセスの非常に重要な一環である。電池セルの生産過程では、表面に一つの反射低減膜をめっきし、光の反射を低減させ、光の吸収を高める必要がある。裏面で一つのパッシベーション膜をめっきし、一般にパッシベーション膜はシリコン表面のダングリングボンドをパッシベーションして表面の複合速度を低下させることにより、パッシベーションの作用を果たす。同時に、その高い屈折率は裏面の反射率を高め、電池効率をさらに向上させることができ、パッシベーション膜の品質は太陽電池の性能に直接影響すると言える。
【0003】
現在、電池の裏面パッシベーションは酸化アルミニウムと窒化シリコンの積層技術が一般に使用されており、酸化アルミニウムフィルムはP型とN型のシリコン表面ともに良好なケミカルパシベーションとフィールドパッシベーション効果を有する。そのフィルムにおける水素含有量は約2~4at%であり、アニーリングプロセス後、界面に拡散したHによるダングリングボンドの飽和作用は、表面状態密度を低下させ、そのケミカルパシベーションを向上させることに役立つ。同時に、フィルムにおける固定負電荷は、優れたフィールドパッシベーション効果を提供することもでき、一般に固定負電荷はAl、O、Hの配位構造に関すると考えられている。酸化アルミニウムの誘電率は7~9で可視光をほとんど吸収しないため、高効率の太陽電池の理想的な材料とすることができるが、その屈折率は1.65と低い。
【0004】
CN106711239A(特許文献1)は、下から上に順に設けられた裏面銀電極、全アルミニウム裏面フィールド、裏面窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、P型シリコン、N型エミッタ、表面窒化シリコン膜及び正面銀電極を含むPERC太陽電池の製造方法を提供し、裏面窒化シリコン膜に裏面窒化シリコン膜と酸化アルミニウム膜を貫通したスロットが開設され、P型シリコンは前記スロット内に露出しており、全アルミニウム裏面フィールドのスロット内に位置する部分はP型シリコンに接続され、N型エミッタと表面窒化シリコン膜との間に酸化シリコン膜が追加で設けられている。
【0005】
CN109065639A(特許文献2)は、順に設けられた正面電極、正面パッシベーション層、エミッタ、N型結晶P型シリコン基体、裏面パッシベーション層及び裏面電極を含むN型結晶シリコン太陽電池及び製造方法、太陽光発電モジュールを開示し、正面パッシベーション層はエミッタと直接接触した酸化ガリウム層を含む。酸化ガリウム層の厚さは1nm~120nmである。正面パッシベーション層は、前記酸化ガリウム層に設けられたカバー層をさらに含み、カバー層は窒化シリコン層、酸窒化シリコン層、酸化シリコン層及び炭化シリコン層の少なくとも一方を含み、厚さが10nm~120nmである。
【0006】
CN112002771A(特許文献3)は、P型ガリウムドープシリコンウェハ下地と、下地の裏面に設けられた酸化ガリウム層と、酸化ガリウム層に設けられた窒化シリコン層とを含むガリウムドープ裏面フィールドのP型ガリウムドープPERC電池及びその製造方法を開示し、酸化ガリウム層、窒化シリコン層と下地との間に局所的なパッシベーションフィールドであるガリウムドープ裏面フィールドが設けられ、窒化シリコン層に裏面電極が設けられ、当該裏面電極がガリウムドープ裏面フィールドによってシリコンウェハとオーミック接触を形成する。電池は、下地表面に設けられたエミッタ層と、金属領域に設けられた選択的エミッタ層と、エミッタ層に設けられた酸化シリコン層と、前記酸化シリコン層に設けられた窒化シリコン層と、選択的エミッタによってシリコンウェハとオーミック接触を形成する、窒化シリコン層に設けられた正極とをさらに含む。
【0007】
以上で報告された特許に開示されている太陽電池はすべて一定のパッシベーション性能を有し、これに基づいて、如何に電池表面のケミカルパシベーション効果をさらに向上させると同時に、太陽電池の総合的な性能を向上させるかは既に緊急に解決すべき問題になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】CN106711239A
【特許文献2】CN109065639A
【特許文献3】CN112002771A
【発明の概要】
【0009】
本願の目的は、パッシベーション効果を高め、太陽電池の総合的な性能を向上させることができる酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
この目的を達成するために、本願は以下の技術案を採用する。
第1の態様では、本願は酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池を提供し、前記太陽電池はP型シリコン基体を含み、前記P型シリコン基体の対向する両側の表面のそれぞれに正面めっき層と裏面めっき層とが設けられ、前記正面めっき層はP型シリコン基体の表面から外側に向かって順に積層されたエミッタと、正面酸化シリコン層と、正面窒化シリコン層とを含み、前記裏面めっき層はP型シリコン基体の表面から外側に向かって順に積層された酸化シリコンパッシベーション層と、酸化ガリウムパッシベーション層と、裏面パッシベーション層とを含む。
【0011】
本願に係る酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池は、酸化ガリウムの固定負電荷のフィールドパッシベーション効果に加えて、酸化シリコンのケミカルパシベーションを利用してキャリアの複合をさらに減少し、酸化ガリウムパッシベーション層とP型シリコン基体との間に一つの厚さが制御可能な酸化シリコンパッシベーション層を堆積することにより、表面状態密度を効果的に低下させ、そのケミカルパシベーション効果をさらに向上させることができる。
【0012】
なお、本願に係るP型シリコン基体は、シリコン結晶に少量の不純物であるホウ素元素又はガリウム元素をドープすることにより調製されるものである。例示的に、少量の不純物であるガリウム元素をドープすると、シリコン結晶におけるシリコン原子が不純物原子で置換され、ガリウム原子の外層にある3つの外層電子が周囲のシリコン原子と共有結合を形成して「正孔」が発生される。この正孔は「充填」するように電子を吸引することができ、これによりガリウム原子を負に帯電したイオンにする。P型シリコン基体は高濃度の「正孔」を含むため、導電可能な物質になる。
【0013】
本願の好ましい技術案として、前記電池は、前記正面窒化シリコン層、正面酸化シリコン層及びエミッタを順に貫通してP型シリコン基体の内部に挿入された正面電極を含み、前記正面電極はP型シリコン基体とオーミック接触を形成する。
【0014】
なお、本願に係る正面電極はエミッタでP型シリコン基体とオーミック接触を形成し、即ち、P型シリコン基体の表面の選択的領域で高濃度ドーピングを行い、高低接合(High-Low junction)の構造を形成し、表面複合を低減するとともに直列抵抗を大幅に低減し、電子と正孔の輸送性能を高め、太陽電池の効率を向上させる。
【0015】
好ましくは、前記電池は、前記裏面パッシベーション層、酸化ガリウムパッシベーション層及び酸化シリコンパッシベーション層を順に貫通してP型シリコン基体の内部に挿入された裏面電極をさらに含み、前記裏面電極はP型シリコン基体とオーミック接触を形成する。
【0016】
なお、本願に係る太陽電池の裏面めっき層では、酸化ガリウムパッシベーション層、窒化シリコンパッシベーション層とP型シリコン基体との間に局所的なパッシベーションフィールド、即ち、ガリウムドープ裏面フィールドが設けられ、裏面電極はガリウムドープ裏面フィールドでP型シリコン基体とオーミック接触を形成する。
【0017】
本願の好ましい技術案として、前記裏面パッシベーション層は、窒化シリコン、酸窒化シリコン又は炭化シリコンのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0018】
本願の好ましい技術案として、前記酸化シリコンパッシベーション層の厚さは1~15nmであり、例えば、1nm、1.5nm、2nm、2.5nm、3nm、3.5nm、4nm、4.5nm、5nm、5.5nm、6nm、6.5nm、7nm、7.5nm、8nm、8.5nm、9nm、9.5nm、10nm、10.5nm、11nm、11.5nm、12nm、12.5nm、13nm、13.5nm、14nm、14.5nm及び15nmであってもよいが列挙される数値に限定されず、該数値の範囲内の列挙されない他の数値も同様に適用される。
【0019】
好ましくは、前記酸化ガリウムパッシベーション層の厚さは10~100nmであり、例えば、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm及び100nmであってもよいが列挙される数値に限定されず、該数値の範囲内の列挙されない他の数値も同様に適用される。
【0020】
前記酸化ガリウムパッシベーション層の厚さは、さらに好ましくは20~40nmであり、例えば、20nm、21nm、22nm、23nm、24nm、25nm、26nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm及び40nmであってもよいが列挙される数値に限定されず、該数値の範囲内の列挙されない他の数値も同様に適用される。
【0021】
好ましくは、前記裏面パッシベーション層の厚さは10~200nmであり、例えば、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、70nm、80nm、85nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm及び200nmであってもよいが列挙される数値に限定されず、該数値の範囲内の列挙されない他の数値も同様に適用される。
【0022】
前記裏面パッシベーション層の厚さは、さらに好ましくは60~80nmであり、例えば、60nm、61nm、62nm、63nm、64nm、65nm、66nm、67nm、68nm、69nm、70nm、71nm、72nm、73nm、74nm、75nm、76nm、77nm、78nm、79nm及び80nmであってもよいが列挙される数値に限定されず、該数値の範囲内の列挙されない他の数値も同様に適用される。
【0023】
好ましくは、前記正面酸化シリコン層の厚さは1~5nmであり、例えば、1nm、1.5nm、2nm、2.5nm、3nm、3.5nm、4nm、4.5nm及び5nmであってもよいが列挙される数値に限定されず、該数値の範囲内の列挙されない他の数値も同様に適用される。
【0024】
好ましくは、前記正面窒化シリコン層の厚さは10~200nmであり、例えば、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、70nm、80nm、85nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm及び200nmであってもよいが列挙される数値に限定されず、該数値の範囲内の列挙されない他の数値も同様に適用される。
【0025】
前記正面窒化シリコン層の厚さは、さらに好ましくは60~80nmであり、例えば、60nm、61nm、62nm、63nm、64nm、65nm、66nm、67nm、68nm、69nm、70nm、71nm、72nm、73nm、74nm、75nm、76nm、77nm、78nm、79nm及び80nmであってもよいが列挙される数値に限定されず、該数値の範囲内の列挙されない他の数値も同様に適用される。
【0026】
第2の態様では、本願は第1の態様に記載の太陽電池の製造方法を提供し、前記製造方法は、
レーザドーピングを用いてP型シリコン基体の表面にエミッタを形成した後に、熱酸化して正面酸化シリコン層を形成してから、P型シリコン基体の正面酸化シリコン層と対向する他側の表面に酸化シリコンパッシベーション層、酸化ガリウムパッシベーション層及び裏面パッシベーション層を順に堆積してから、形成された正面酸化シリコン層の表面に正面窒化シリコン層を堆積することを含む。
【0027】
本願に係る酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池の製造方法は、酸化ガリウムの固定負電荷のフィールドパッシベーション効果に加えて、酸化シリコンのケミカルパシベーションを利用してキャリアの複合をさらに減少し、酸化ガリウムを裏面パッシベーション材料とするとともに、レーザドーピング技術により、P型シリコン基体の表面に局所的な高濃度ドーピングを形成することで、ケミカルパシベーションと高低接合のフィールドパッシベーションの2種の作用を果たす。
【0028】
本願の好ましい技術案として、前記製造方法は、具体的には、
シリコンウェハの表面にテクスチャリング処理によってテクスチャを形成した後に、その表面にリン拡散を行ってから、レーザドーピングを用いてP型シリコン基体の表面にエミッタを形成し、P型シリコン基体の他の表面のリン-シリコン層をエッチングで除去してから、エミッタの表面に熱酸化して正面酸化シリコン層を形成するステップ(I)と、
P型シリコン基体の正面酸化シリコン層と対向する他側の表面に酸化シリコンパッシベーション層、酸化ガリウムパッシベーション層及び裏面パッシベーション層を順に堆積して裏面めっき層を得るステップ(II)と、
形成された正面酸化シリコン層の表面に正面窒化シリコン層を堆積して正面めっき層の調製を完了するステップ(III)と、
レーザドーピングを用いて裏面パッシベーション層の表面からP型シリコン基体の内部にガリウムドープ裏面フィールドを形成してから、スクリーン印刷及び焼結処理を行って正面電極と裏面電極とを形成するステップ(IV)とを含む。
【0029】
本願の好ましい技術案として、ステップ(I)では、アルカリ液、水及び添加剤の混合溶液を用いてシリコンウェハの表面にテクスチャを形成する。
【0030】
好ましくは、前記アルカリ液、水及び添加剤の体積比は(8~12):(240~360):(2~3)であり、例えば、8:240:2、8:300:2、8:360:2、8:300:3、8:360:3、10:240:2、10:300:2、10:300:2、10:360:3、12:240:2、12:300:2、12:360:2、12:240:3、12:300:3及び12:360:3であってもよいが列挙される数値に限定されず、該数値の範囲内の列挙されない他の数値も同様に適用される。
【0031】
好ましくは、前記テクスチャリング処理の温度は70~90℃であり、例えば、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃及び90℃であってもよいが列挙される数値に限定されず、該数値の範囲内の列挙されない他の数値も同様に適用される。
【0032】
好ましくは、前記アルカリ液はKOH及び/又はNaOHである。
【0033】
好ましくは、前記添加剤はエタノール及び/又はイソプロピルアルコールである。
【0034】
本願の好ましい技術案として、ステップ(I)では、酸溶液を用いてウェットエッチングによってP型シリコン基体の表面のリン-シリコン層を除去する。
【0035】
好ましくは、前記酸溶液はHFの水溶液である。
【0036】
好ましくは、前記酸溶液における水とHFの体積比は(35~45):3であり、例えば、35:3、36:3、37:3、38:3、39:3、40:3、41:3、42:3、43:3、44:3及び45:3であってもよいが列挙される数値に限定されず、該数値の範囲内の列挙されない他の数値も同様に適用される。
【0037】
本願の好ましい技術案として、ステップ(II)では、プラズマ増強化学気相堆積法を用いてP型シリコン基体の表面に一つの酸化シリコンパッシベーション層を堆積する。
【0038】
好ましくは、前記酸化シリコンパッシベーション層の堆積時間は30~150sであり、例えば、30s、32s、35s、40s、45s、50s、55s、60s、65s、70s、75s、80s、85s、90s、95s、100s、101s、102s、103s、104s、105s、108s、110s、112s、114s、115s、118s、120s、122s、123s、124s、125s、130s、135s、140s、145s、148s及び150sであってもよいが列挙される数値に限定されず、該数値の範囲内の列挙されない他の数値も同様に適用される。
【0039】
好ましくは、前記酸化シリコンパッシベーション層の堆積過程においてSiH及びNOを反応ガスとして使用する。
【0040】
好ましくは、前記SiHの体積流量は550~700sccmであり、例えば、550sccm、555sccm、560sccm、570sccm、580sccm、590sccm、600sccm、610sccm、620sccm、630sccm、640sccm、650sccm、660sccm、670sccm、680sccm、690sccm及び700sccmであってもよいが列挙される数値に限定されず、該数値の範囲内の列挙されない他の数値も同様に適用される。
【0041】
好ましくは、前記NOの体積流量は3000~3250sccmであり、例えば、3000sccm、3050sccm、3100sccm、3110sccm、3120sccm、3150sccm、3180sccm、3200sccm、3210sccm、3230sccm、3240sccm、3245sccm及び3250sccmであってもよいが列挙される数値に限定されず、該数値の範囲内の列挙されない他の数値も同様に適用される。
【0042】
なお、本願では、酸化シリコンパッシベーション層の堆積ではSiH及びNOが反応ガスとして使用され、反応過程において、SiH及びNOは高周波電界の作用により大量のシリコンフリーラジカル、酸素フリーラジカル及び水素フリーラジカルを含むプラズマを生成し、次に酸素フリーラジカルとシリコンフリーラジカルを再結合して酸化シリコンを形成する。生成されたシリコン酸化物フィルム材料に一定量の水素を含み、材料構造におけるダングリングボンドを埋めて欠陥エネルギーレベルを大幅に低下させることができる。
【0043】
好ましくは、前記裏面パッシベーション層はプラズマ増強化学気相堆積法で堆積される。
【0044】
好ましくは、前記酸化ガリウムパッシベーション層の調製方法は原子層堆積法、プラズマ増強化学気相堆積法、大気圧化学気相堆積法又は減圧化学気相堆積法を含む。
【0045】
本願の好ましい技術案として、ステップ(III)では、プラズマ増強化学気相堆積法を用いて前記正面酸化シリコン層の表面に正面窒化シリコン層を堆積する。
【0046】
従来の技術に比べて、本願の有益な効果は次のとおりである。
本願に係る酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池及びその製造方法では、酸化ガリウムの固定負電荷のフィールドパッシベーション効果に加えて、酸化シリコンのケミカルパシベーションを利用してキャリアの複合をさらに減少することができ、酸化ガリウムパッシベーション層とP型シリコン基体との間に一つの厚さが制御可能な酸化シリコンパッシベーション層を堆積することにより、表面状態密度を効果的に低下させ、そのケミカルパシベーション効果を向上させることができ、酸化ガリウムを裏面パッシベーション材料とするとともに、レーザドーピング技術により、P型シリコン基体の表面に局所的な高濃度ドーピングを形成することで、ケミカルパシベーションと高低接合のフィールドパッシベーションの2種の作用を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本願の具体的実施形態に係る酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池の構造模式図である。 符号の説明 1-正面電極、2-正面窒化シリコン層、3-正面酸化シリコン層、4-エミッタ、5-P型シリコン基体、6-酸化シリコンパッシベーション層、7-酸化ガリウムパッシベーション層、8-裏面パッシベーション層、9-裏面電極。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本願の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方法」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などの用語により指示した方位又は位置関係は、図面に基づいて示される方位又は位置関係であり、本願の説明を容易にし、説明を簡略化するためのものにすぎず、言及した装置又は素子が特定の方位を有し、或いは特定の方位で構成して操作しなければならないことを指示又は暗に指示するものではないと理解すべきであり、したがって、本願を限定するものと理解すべきではない。本願の説明において、特に明記しない限り、「複数」は2つ以上を意味する。
【0049】
以下、図面を参照しながら、具体的実施形態によって本願の技術案をさらに説明する。
【0050】
具体的実施形態において、本願はP型シリコン基体5を含み、その対向する両側の表面のそれぞれに正面めっき層と裏面めっき層とが設けられた酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池を提供する。図1に示すように、正面めっき層はP型シリコン基体5の表面から外側に向かって順に積層されたエミッタ4と、正面酸化シリコン層3と、正面窒化シリコン層2とを含み、ただし、正面酸化シリコン層3の厚さは1~5nmであり、正面窒化シリコン層2の厚さは10~200nmである。
【0051】
裏面めっき層はP型シリコン基体5の表面から外側に向かって順に積層された酸化シリコンパッシベーション層6と、酸化ガリウムパッシベーション層7と、裏面パッシベーション層8とを含む。ただし、酸化ガリウムパッシベーション層7の厚さは10~100nmであり、好ましくは20~40nmであり、酸化シリコンパッシベーション層6の厚さは1~15nmである。裏面パッシベーション層8は窒化シリコン、酸窒化シリコン及び炭化シリコンのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含み、その厚さは10~200nmであり、好ましくは60~80nmである。
【0052】
太陽電池は、前記正面窒化シリコン層2、正面酸化シリコン層3及びエミッタ4を順に貫通してP型シリコン基体5の内部に挿入された正面電極1を含み、正面電極1はP型シリコン基体5とオーミック接触を形成する。太陽電池は、裏面パッシベーション層8、酸化ガリウムパッシベーション層7及び酸化シリコンパッシベーション層6を順に貫通してP型シリコン基体5の内部に挿入された裏面電極9をさらに含み、裏面電極9はP型シリコン基体5とオーミック接触を形成する。
【0053】
他の具体的実施形態において、本願は具体的実施形態に係る太陽電池の製造方法を提供し、該製造方法は、
レーザドーピングを用いてP型シリコン基体5の表面にエミッタ4を形成した後に、熱酸化して正面酸化シリコン層3を形成してから、P型シリコン基体5の正面酸化シリコン層3と対向する他側の表面に酸化シリコンパッシベーション層6、酸化ガリウムパッシベーション層7及び裏面パッシベーション層8を順に堆積し、形成された正面酸化シリコン層3の表面に正面窒化シリコン層2を堆積することを含む。その具体的なステップは次のとおりである。
(1)KOH及び/又はNaOHなどのアルカリ液、水及び添加剤の混合溶液を用いて、温度が70~90℃の条件下で、シリコンウェハの表面にテクスチャを形成し、添加剤はエタノール及び/又はイソプロピルアルコールであり、且つアルカリ液、水及び添加剤の体積比は(8~12):(240~360):(2~3)であり、
テクスチャでリン拡散を行い、レーザドーピングを用いてP型シリコン基体5の表面にエミッタ4を形成し、水とHFの体積比が(35~45):3であるHFの水溶液を用いてP型シリコン基体5の他の表面のリン-シリコン層をエッチングで除去してから、エミッタ4の表面に熱酸化して正面酸化シリコン層3を形成する。
(2)P型シリコン基体5の正面酸化シリコン層3と対向する他側の表面に、プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、一つの酸化シリコンパッシベーション層6を堆積し、堆積時間は30~150sであり、堆積過程においてSiH又はNOを反応ガスとして使用し、SiHの体積流量は550~700sccmであり、NOの体積流量は3000~3250sccmである。次に、酸化シリコンパッシベーション層6の表面に、原子層堆積法、プラズマ増強化学気相堆積法、大気圧化学気相堆積法又は減圧化学気相堆積法のいずれか1種の方法を用いて、酸化ガリウムパッシベーション層7を堆積する。また、プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、酸化ガリウムパッシベーション層7の表面に一つの裏面パッシベーション層8を堆積する。
(3)プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、正面酸化シリコン層3の表面に一つの正面窒化シリコン層2を堆積して正面めっき層の調製を完了する。
(4)レーザドーピングを用いて、裏面パッシベーション層8の表面からP型シリコン基体5の内部にガリウムドープ裏面フィールドを形成してから、スクリーン印刷及び焼結処理を行って正面電極1と裏面電極9とを形成する。
【0054】
実施例1
本実施例では、P型シリコン基体5を含み、その対向する両側の表面のそれぞれに正面めっき層と裏面めっき層とが設けられた酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池を提供している。その製造方法は、
(1)体積比は10:330:2.2であるKOH、水及びエタノールの混合溶液を用いて、温度が80℃の条件下で、シリコンウェハの表面にテクスチャを形成し、テクスチャでリン拡散を行い、レーザドーピングを用いてP型シリコン基体5の表面にエミッタ4を形成し、水とHFの体積比が44:3であるHFの水溶液を用いてP型シリコン基体5の他の表面のリン-シリコン層をエッチングで除去してから、エミッタ4の表面に熱酸化して厚さが5nmの正面酸化シリコン層3を形成することと、
(2)P型シリコン基体5の正面酸化シリコン層3と対向する他側の表面に、プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、一つの厚さが10mmの酸化シリコンパッシベーション層6を堆積し、堆積時間は100sであり、堆積過程においてSiH及びNOを反応ガスとして使用し、SiHの体積流量は700sccmであり、NOの体積流量は3250sccmであり、次に原子層堆積法を用いて、酸化シリコンパッシベーション層6の表面に一つの厚さが30nmの酸化ガリウムパッシベーション層7を堆積してから、プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、酸化ガリウムパッシベーション層7の表面に一つの厚さが80nmの窒化シリコンパッシベーション層を堆積し、裏面めっき層の調製を完了することと、
(3)プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、正面酸化シリコン層3の表面に厚さが80nmの正面窒化シリコン層2を堆積して正面めっき層の調製を完了することと、
(4)レーザドーピングを用いて、窒化シリコンパッシベーション層の表面からP型シリコン基体5の内部にガリウムドープ裏面フィールドを形成してから、スクリーン印刷及び焼結処理を行って正面電極1と裏面電極9とを形成することとを含み、
ただし、正面電極1は、正面窒化シリコン層2、正面酸化シリコン層3及びエミッタ4を順に貫通してP型シリコン基体5の内部に挿入され、且つP型シリコン基体5とオーミック接触を形成し、裏面電極9は、窒化シリコンパッシベーション層、酸化ガリウムパッシベーション層7及び酸化シリコンパッシベーション層6を順に貫通してP型シリコン基体5の内部に挿入され、且つP型シリコン基体5とオーミック接触を形成した。
【0055】
実施例2
本実施例では、P型シリコン基体5を含み、その対向する両側の表面のそれぞれに正面めっき層と裏面めっき層とが設けられた酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池を提供している。その製造方法は、
(1)NaOH、水及びイソプロピルアルコールの混合溶液を用いて、温度が70℃の条件下で、シリコンウェハの表面にテクスチャを形成し、且つNaOH、水及びイソプロピルアルコールの体積比は10:240:2であり、テクスチャでリン拡散を行い、レーザドーピングを用いてP型シリコン基体5の表面にエミッタ4を形成し、水とHFの体積比が35:3であるHFの水溶液を用いてP型シリコン基体5の他の表面のリン-シリコン層をエッチングで除去してから、エミッタ4の表面に熱酸化して厚さが1nmの正面酸化シリコン層3を形成することと、
(2)P型シリコン基体5の正面酸化シリコン層3と対向する他側の表面に、プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、一つの厚さが1mmの酸化シリコンパッシベーション層6を堆積し、ただし、堆積時間は30sであり、堆積過程においてSiH及びNOを反応ガスとして使用し、SiHの体積流量は550sccmであり、NOの体積流量は3000sccmであり、次に酸化シリコンパッシベーション層6の表面にプラズマ増強化学気相堆積法を用いて、一つの厚さが10nmの酸化ガリウムパッシベーション層7を堆積してから、プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、酸化ガリウムパッシベーション層7の表面に一つの厚さが10nmの窒化シリコンパッシベーション層を堆積し、裏面めっき層の調製を完了することと、
(3)プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、正面酸化シリコン層3の表面に厚さが10nmの正面窒化シリコン層2を堆積して正面めっき層の調製を完了することと、
(4)レーザドーピングを用いて、窒化シリコンパッシベーション層の表面からP型シリコン基体5の内部にガリウムドープ裏面フィールドを形成してから、スクリーン印刷及び焼結処理を行って正面電極1と裏面電極9とを形成することとを含み、
ただし、正面電極1は、正面窒化シリコン層2、正面酸化シリコン層3及びエミッタ4を順に貫通してP型シリコン基体5の内部に挿入され、且つP型シリコン基体5とオーミック接触を形成し、裏面電極9は、窒化シリコンパッシベーション層、酸化ガリウムパッシベーション層7及び酸化シリコンパッシベーション層6を順に貫通してP型シリコン基体5の内部に挿入され、且つP型シリコン基体5とオーミック接触を形成した。
【0056】
実施例3
本実施例では、P型シリコン基体5を含み、その対向する両側の表面のそれぞれに正面めっき層と裏面めっき層とが設けられた酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池を提供した。その製造方法は、
(1)KOH、水及びエタノールの混合溶液を用いて、温度が75℃の条件下で、シリコンウェハの表面にテクスチャを形成し、且つKOH、水及びエタノールの体積比は8:300:3であり、テクスチャでリン拡散を行い、レーザドーピングを用いてP型シリコン基体5の表面にエミッタ4を形成し、水とHFの体積比が37:3であるHFの水溶液を用いてP型シリコン基体5の他の表面のリン-シリコン層をエッチングで除去してから、エミッタ4の表面に熱酸化して厚さが2nmの正面酸化シリコン層3を形成することと、
(2)P型シリコン基体5の正面酸化シリコン層3と対向する他側の表面に、プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、一つの厚さが5mmの酸化シリコンパッシベーション層6を堆積し、堆積時間は70sであり、堆積過程においてSiH及びNOを反応ガスとして使用し、SiHの体積流量は600sccmであり、NOの体積流量は3050sccmであり、次に酸化シリコンパッシベーション層6の表面に大気圧化学気相堆積法を用いて、一つの厚さが20nmの酸化ガリウムパッシベーション層7を堆積してから、プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、酸化ガリウムパッシベーション層7の表面に一つの厚さが60nmの炭化シリコンパッシベーション層を堆積し、裏面めっき層の調製を完了することと、
(3)プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、正面酸化シリコン層3の表面に厚さが60nmの正面窒化シリコン層2を堆積して正面めっき層の調製を完了することと、
(4)レーザドーピングを用いて、炭化シリコンパッシベーション層の表面からP型シリコン基体5の内部にガリウムドープ裏面フィールドを形成してから、スクリーン印刷及び焼結処理を行って正面電極1と裏面電極9とを形成することとを含み、
ただし、正面電極1は、正面窒化シリコン層2、正面酸化シリコン層3及びエミッタ4を順に貫通してP型シリコン基体5の内部に挿入され、且つP型シリコン基体5とオーミック接触を形成し、裏面電極9は、炭化シリコンパッシベーション層、酸化ガリウムパッシベーション層7及び酸化シリコンパッシベーション層6を順に貫通してP型シリコン基体5の内部に挿入され、且つP型シリコン基体5とオーミック接触を形成した。
【0057】
実施例4
本実施例では、P型シリコン基体5を含み、その対向する両側の表面のそれぞれに正面めっき層と裏面めっき層とが設けられた酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池を提供した。その製造方法は、
(1)NaOH、水及びイソプロピルアルコールの混合溶液を用いて、温度が80℃の条件下で、シリコンウェハの表面にテクスチャを形成し、且つNaOH、水及びイソプロピルアルコールの体積比は10:360:3であり、テクスチャでリン拡散を行い、レーザドーピングを用いてP型シリコン基体5の表面にエミッタ4を形成し、水とHFの体積比が40:3であるHFの水溶液を用いてP型シリコン基体5の他の表面のリン-シリコン層をエッチングで除去してから、エミッタ4の表面に熱酸化して厚さが3nmの正面酸化シリコン層3を形成することと、
(2)P型シリコン基体5の正面酸化シリコン層3と対向する他側の表面に、プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、一つの厚さが8mmの酸化シリコンパッシベーション層6を堆積し、ただし、堆積時間は80sであり、堆積過程においてSiH及びNOを反応ガスとして使用し、SiHの体積流量は650sccmであり、NOの体積流量は3200sccmであり、次に酸化シリコンパッシベーション層6の表面に減圧化学気相堆積法を用いて、一つの厚さが40nmの酸化ガリウムパッシベーション層7を堆積してから、プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、酸化ガリウムパッシベーション層7の表面に一つの厚さが70nmの酸窒化シリコンパッシベーション層を堆積し、裏面めっき層の調製を完了することと、
(3)プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、正面酸化シリコン層3の表面に厚さが70nmの正面窒化シリコン層2を堆積して正面めっき層の調製を完了することと、
(4)レーザドーピングを用いて、酸窒化シリコンパッシベーション層の表面からP型シリコン基体5の内部にガリウムドープ裏面フィールドを形成してから、スクリーン印刷及び焼結処理を行って正面電極1と裏面電極9とを形成することとを含み、
ただし、正面電極1は、正面窒化シリコン層2、正面酸化シリコン層3及びエミッタ4を順に貫通してP型シリコン基体5の内部に挿入され、且つP型シリコン基体5とオーミック接触を形成し、裏面電極9は、酸窒化シリコンパッシベーション層、酸化ガリウムパッシベーション層7及び酸化シリコンパッシベーション層6を順に貫通してP型シリコン基体5の内部に挿入され、且つP型シリコン基体5とオーミック接触を形成した。
【0058】
実施例5
本実施例では、P型シリコン基体5を含み、その対向する両側の表面のそれぞれに正面めっき層と裏面めっき層とが設けられた酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池を提供した。その製造方法は、
(1)NaOHとKOHの混合液、水及びイソプロピルアルコールの混合溶液を用いて、温度が80℃の条件下で、シリコンウェハの表面にテクスチャを形成し、且つNaOHとKOHの混合液、水及びイソプロピルアルコールの体積比が12:360:3であり、テクスチャでリン拡散を行い、レーザドーピングを用いてP型シリコン基体5の表面にエミッタ4を形成し、水とHFの体積比は42:3であるHFの水溶液を用いてP型シリコン基体5の他の表面のリン-シリコン層をエッチングで除去してから、エミッタ4の表面に熱酸化して厚さが4nmの正面酸化シリコン層3を形成することと、
(2)P型シリコン基体5の正面酸化シリコン層3と対向する他側の表面に、プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、一つの厚さが12mmの酸化シリコンパッシベーション層6を堆積し、ただし、堆積時間は120sであり、堆積過程においてSiH及びNOを反応ガスとして使用し、SiHの体積流量は680sccmであり、NOの体積流量は3200sccmであり、次に酸化シリコンパッシベーション層6の表面にプラズマ増強化学気相堆積法を用いて、一つの厚さが80nmの酸化ガリウムパッシベーション層7を堆積してから、プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、酸化ガリウムパッシベーション層7の表面に一つの厚さが150nm裏面パッシベーション層8を堆積し、裏面パッシベーション層8は窒化シリコンパッシベーション層であることと、
(3)プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、正面酸化シリコン層3の表面に厚さが150nmの正面窒化シリコン層2を堆積して正面めっき層の調製を完了することと、
(4)レーザドーピングを用いて、裏面パッシベーション層8の表面からP型シリコン基体5の内部にガリウムドープ裏面フィールドを形成してから、スクリーン印刷及び焼結処理を行って正面電極1と裏面電極9を形成することとを含み、
ただし、正面電極1は、正面窒化シリコン層2、正面酸化シリコン層3及びエミッタ4を順に貫通してP型シリコン基体5の内部に挿入され、且つP型シリコン基体5とオーミック接触を形成し、裏面電極9は、裏面パッシベーション層8、酸化ガリウムパッシベーション層7及び酸化シリコンパッシベーション層6を順に貫通してP型シリコン基体5の内部に挿入され、且つP型シリコン基体5とオーミック接触を形成した。
【0059】
実施例6
本実施例では、P型シリコン基体5を含み、その対向する両側の表面のそれぞれに正面めっき層と裏面めっき層とが設けられた酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池を提供した。その製造方法は、
(1)NaOH、水及びイソプロピルアルコールの混合溶液を用いて、温度が90℃の条件下で、シリコンウェハの表面にテクスチャを形成し、且つNaOH、水及びイソプロピルアルコールの体積比は12:330:2.2であり、テクスチャでリン拡散を行い、レーザドーピングを用いてP型シリコン基体5の表面にエミッタ4を形成し、水とHFの体積比が45:3であるHFの水溶液を用いてP型シリコン基体5の他の表面のリン-シリコン層をエッチングで除去してから、エミッタ4の表面に熱酸化して厚さが5nmの正面酸化シリコン層3を形成することと、
(2)P型シリコン基体5の正面酸化シリコン層3と対向する他側の表面に、プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、一つの厚さが15mmの酸化シリコンパッシベーション層6を堆積し、ただし、堆積時間は150sであり、堆積過程においてSiH及びNOを反応ガスとして使用し、SiHの体積流量は680sccmであり、NOの体積流量は3200sccmであり、次に酸化シリコンパッシベーション層6の表面に減圧化学気相堆積法を用いて、一つの厚さが100nmの酸化ガリウムパッシベーション層7を堆積してから、プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、酸化ガリウムパッシベーション層7の表面に一つの厚さが200nmの炭化シリコンパッシベーション層を堆積し、裏面めっき層の調製を完了することと、
(3)プラズマ増強化学気相堆積法を用いて、正面酸化シリコン層3の表面に厚さが200nmの正面窒化シリコン層2を堆積して正面めっき層の調製を完了することと、
(4)レーザドーピングを用いて、炭化シリコンパッシベーション層の表面からP型シリコン基体5の内部にガリウムドープ裏面フィールドを形成してから、スクリーン印刷及び焼結処理を行って正面電極1と裏面電極9とを形成することとを含み、
ただし、正面電極1は、正面窒化シリコン層2、正面酸化シリコン層3及びエミッタ4を順に貫通してP型シリコン基体5の内部に挿入され、且つP型シリコン基体5とオーミック接触を形成し、裏面電極9は、炭化シリコンパッシベーション層、酸化ガリウムパッシベーション層7及び酸化シリコンパッシベーション層6を順に貫通してP型シリコン基体5の内部に挿入され、且つP型シリコン基体5とオーミック接触を形成した。
【0060】
比較例1
本比較例は太陽電池を提供し、実施例1との区別は、P型シリコン基体5と酸化ガリウムパッシベーション層7との間に酸化シリコンパッシベーション層6が設けられないことにあり、他の特徴は実施例1と全く同じである。
【0061】
比較例2
本比較例は太陽電池を提供し、実施例1との区別は、酸化ガリウムパッシベーション層7を酸化アルミニウムパッシベーション層に置き換えたことにあり、他の特徴は実施例1と全く同じである。
【0062】
実施例1~6、比較例1及び比較例2に係る太陽電池の開放電圧(Uoc)、短絡電流(Isc)、フィルファクタ(FF)及び光電変換率(Eta)をそれぞれ測定し、その結果を表1に示す。
【表1】
【0063】
表1から分かるように、実施例1~6に係る太陽電池の光電変換効率(Eta)は比較例1よりも高く、これは主にP型シリコン基体5と酸化ガリウムパッシベーション層7との間に設けられた酸化シリコンパッシベーション層6は、表面状態密度を効果的に低下させ、そのケミカルパシベーション効果をさらに向上させることができるためである。実施例1~6に係る太陽電池の開放電圧(Uoc)は比較例2よりも高く、これは、酸化ガリウムは、酸化アルミニウムよりも高いバンドギャップを有し、より高い開電圧を達成できるためである。
【0064】
本願に係る酸化ガリウムで裏面パッシベーションした太陽電池及びその製造方法では、酸化ガリウムの固定負電荷のフィールドパッシベーション効果に加えて、酸化シリコンのケミカルパシベーションを利用してキャリアの複合をさらに減少し、酸化ガリウムパッシベーション層7とP型シリコン基体5との間に一つの厚さが制御可能な酸化シリコンパッシベーション層6を堆積することにより、表面状態密度を効果的に低下させ、そのケミカルパシベーション効果をさらに向上させることができる。
【0065】
上記は本願の具体的実施形態にすぎないが、本願の保護範囲はこれに限定されるものではないことを出願人は声明する。
図1
【国際調査報告】