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特表2024-514911加水分解-安定熱可塑性ポリウレタン、製造プロセス及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】加水分解-安定熱可塑性ポリウレタン、製造プロセス及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 75/04 20060101AFI20240327BHJP
   C08K 5/10 20060101ALI20240327BHJP
   C08K 5/29 20060101ALI20240327BHJP
   C08L 79/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
C08L75/04
C08K5/10
C08K5/29
C08L79/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563867
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2022059644
(87)【国際公開番号】W WO2022223353
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】21169389.0
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505422707
【氏名又は名称】ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルヘルム・ラウファー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ファクラム
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CK021
4J002CM052
4J002EH037
4J002ER006
4J002EV247
4J002FD036
4J002FD037
(57)【要約】
本発明は:
(a)少なくとも1種のカルボジイミド
(b)スルホン酸エステル、及び
(c)熱可塑性ポリウレタン
を含む組成物、並びに、その製造プロセス、並びに、その使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)オリゴマー系脂肪族カルボジイミド、高分子脂肪族カルボジイミド、オリゴマー系芳香族カルボジイミド及び高分子芳香族カルボジイミドからなる群から選択される少なくとも1種のカルボジイミド;
(b)C~C20-アルキルモノ-又はジスルホン酸と、無置換又はC-~C-アルキル-及び/若しくはハロゲン-置換フェノールとのスルホン酸エステル;並びに
(c)熱可塑性ポリウレタン
を含む、組成物。
【請求項2】
前記カルボジイミドは、式(I)のカルボジイミド
-R-(-N=C=N-R-)-R (I)
(式中、
nは、2~500、好ましくは2~100、さらに好ましくは3~20、非常に特に好ましくは4~10である整数に相当し、
は、C~C24-アルキレン、C~C12-シクロアルキレン、C~C12-アルキル-置換又はC~C24-オキシアルキル-置換C~C12-シクロアルキレン、C~C24-アリールアルキレン、C~C12-アルキル-置換C~C10-アリーレン、C~C18-アルキルアリール-置換C~C10-アリーレン、及び、任意に、アルキレン基を介して架橋されていると共に、合計で8~30個の炭素原子を有するC~C12-アルキル-置換C~C10-アリーレン、並びに/又は、C~C10-アリーレンを表し、
は、-H、-NCO、-NHCONHR、-NHCONR又は-NHCOORであり、
ここで、
及びRは、同等であるか又は異なり、及び、C~C12-アルキル、C~C12-シクロアルキル、C~C18-アラルキル又はアリール基を表し、並びに
は、C~C22-アルキル、C~C12-シクロアルキル、C~C18-アリール又はC~C18-アラルキル基、及び、2~22個の炭素原子を有する不飽和アルキル基又はアルコキシポリオキシアルキレン基、好ましくは式:-(CHCHO)-CH(式中、m=1~20)のメトキシル化ポリエチレングリコール基に相当する)
から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分(a)対成分(b)の重量比は、30:70~70:30、好ましくは40:60~60:40、特に好ましくは50:50である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
成分(a)対熱可塑性ポリウレタンの重量比は、2:1000~25:1000、好ましくは5:1000~10:1000、及び、特に好ましくは7:1000~8:1000である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
成分(b)としては、C12~C18-アルキルモノ-又はジスルホン酸と、無置換又はC-~C-アルキル-及び/又はハロゲン-置換フェノールとのスルホン酸エステル、好ましくは、C12~C18-アルキルモノ-又はジスルホン酸と、無置換又はC-~C-アルキル-又はハロゲン-置換フェノールとのスルホン酸エステル、並びに、もっとも好ましくは、C14~C17-アルキルモノ-又はジスルホン酸とフェノールとのスルホン酸エステルが用いられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
は、C~C12-アルキル-置換C~C10-アリーレン、C~C18-アルキルアリール-置換C~C10-アリーレン、及び、任意に、アルキレン基を介して架橋されていると共に、合計で8~30個の炭素原子を有するC~C12-アルキル-置換C~C10-アリーレン、及び/又はC~C10-アリーレンを表し、並びに
は、H又は-NHCOORを表す、請求項2~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
は、C~C-アルキル-置換C~C10-アリーレン及び/又はC~C10-アリーレンを表し、
はNHCOORを表し、
は、式:-(CHCHO)-CH(式中、m=1~20)のメトキシル化ポリエチレングリコール基を表す、請求項2~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
は-C(CH-C-C(CH-を表し、及び、Rは、式:-(CHCHO)-CH(式中、m=1~20)のメトキシル化ポリエチレングリコール基を表す、請求項2~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物の製造プロセスであって、熱可塑性ポリウレタンの製造のための反応混合物に成分(a)及び成分(b)を添加し、前記熱可塑性ポリウレタンをその後前記反応混合物の重合により形成する、製造プロセス。
【請求項10】
成分(a)及び成分(b)を先ず混合し、次いで、前記混合物を、熱可塑性ポリウレタンの製造のための前記反応混合物に添加する、請求項9に記載の組成物の製造プロセス。
【請求項11】
成分(a)及び成分(b)を熱可塑性ポリウレタンとブレンドする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物の製造プロセス。
【請求項12】
前記ブレンドは、配合による組み込み又は膨潤による組み込みによって行われる、請求項11に記載の組成物の製造プロセス。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を含む、成形体。
【請求項14】
ローラ、コンベヤベルト又はメンブランの形態である、請求項13に記載の成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリウレタン、その製造及びその使用の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(以下、本明細書においてTPUと略記で称されている)は長らく既知である。その産業上の重要性は、高いレベルの機械特性とコスト効率のよい熱可塑性加工性の利点との組み合わせに基づいている。異なる化学的形成用成分を使用することで、機械特性において多岐にわたるバリエーションを達成することが可能となっている。
【0003】
TPUの概要、その特性、製造及び用途は、例えば(非特許文献1)に記載されている。
【0004】
TPUは、種々のプロセスにより連続的又はバッチ式で製造可能である。産業的にも用いられている最良の公知のプロセスは、例えば(特許文献1)によるベルトプロセス、及び、例えば(特許文献2)による押出し機プロセスとして公知であるものである。
【0005】
TPUは典型的には、直鎖ポリヒドロキシ化合物、芳香族ジイソシアネート及びジオールから形成される。
【0006】
これらの硬度は、実質的にジイソシアネート-ジオールセグメントからなるハードセグメントとして知られるものの含有量によって調節される。形成用成分のモル比の好適な選択により、Shore A85~Shore D74の硬度を有するTPUの製造が容易となる。理論的には、85未満のShore A硬度を有するTPUを同じ方法で得ることが可能であるが、その欠点は、固化及び硬化が非常に困難であるため、製造中においては、生成物を容易に扱うことは出来ないことである。
【0007】
多くの用途において、成形体の特性を向上するために熱可塑性ポリウレタンに可塑剤が添加される。これらの可塑剤の多くはエステル系のものであるが、他方で、ポリマーの加水分解耐性を損なわせてしまう。
【0008】
(特許文献3)には、クエン酸エステル、アセチルクエン酸エステル、フタル酸エステル、安息香酸エステル、アジピン酸エステル、水素化フタル酸エステル及びリン酸エステルからなる群から選択されるエステル系可塑剤にカルボジイミドを添加することにより、この負の効果の大部分を相殺可能であることが開示されている。
【0009】
(特許文献4)及び(特許文献5)には、ウレタン基を有するポリエステル系NCOプレポリマー、単量体芳香族カルボジイミド(Stabaxol I:ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド)及びp-トルエンスルホン酸エチルを含有する組成物が開示されている。
【0010】
一般に、カルボジイミドは、熱可塑性エステル系ポリウレタンに係るものを含む熱可塑性プラスチックに対する効果的な加水分解安定剤であることが既に実証されている。しかしながら、カルボジイミドは、非常に高価であると共に、比較的高い温度における処理の最中に分解し、又は、有毒ガスを発生させる(イソシアネートの放出)という、欠点を有する。それ故、ポリマーの加水分解耐性を維持しつつカルボジイミドの使用量を低減することが可能となる、向上した加水分解耐性を有する組成物に対する必要性が存在していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】英国特許出願公開第1 057 018A号明細書
【特許文献2】米国特許第3,642,964号明細書
【特許文献3】欧州特許第3099725B1号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2020071486A1号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第0381897A1号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Hans-Georg Wussow:“Thermoplastic Elastomers”,Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Electronic Release,7th ed.,chap.2“Thermoplastic Polyurethane Elastomers”,Wiley-VCH,Weinheim 2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
それ故、本発明は、向上した加水分解耐性を有し、及び/又は、同一の加水分解安定性を維持しつつもカルボジイミドの使用量を低減することを可能とする熱可塑性ポリウレタン組成物を提供することを目的としていた。
【課題を解決するための手段】
【0014】
ここで、意外なことに、この目的は、以下の成分:
(a)オリゴマー系脂肪族カルボジイミド、高分子脂肪族カルボジイミド、オリゴマー系芳香族カルボジイミド及び高分子芳香族カルボジイミドからなる群から選択される少なくとも1種のカルボジイミド;
(b)C~C20-アルキルモノ-又はジスルホン酸と、無置換又はC-~C-アルキル-及び/若しくはハロゲン-置換フェノールとのスルホン酸エステル;並びに
(c)熱可塑性ポリウレタン
を含む組成物により達成されることが見いだされた。
【0015】
成分(a)としては、式(I)のカルボジイミド
-R-(-N=C=N-R-)-R (I)
(式中、
nは、2~500、好ましくは2~100、さらに好ましくは3~20、非常に特に好ましくは4~10である整数に相当し、
は、C~C24-アルキレン、C~C12-シクロアルキレン、C~C12-アルキル-置換又はC~C24-オキシアルキル-置換C~C12-シクロアルキレン、C~C24-アリールアルキレン、C~C12-アルキル-置換C~C10-アリーレン、C~C18-アルキルアリール-置換C~C10-アリーレン、及び、任意に、アルキレン基を介して架橋されていると共に、合計で8~30個の炭素原子を有するC~C12-アルキル-置換C~C10-アリーレン、並びに/又は、C~C10-アリーレンを表し、
は、-H、-NCO、-NHCONHR、-NHCONR又は-NHCOORであり、並びに、ここで、
及びRは、同等であるか又は異なり、及び、C~C12-アルキル、C~C12-シクロアルキル、C~C18-アラルキル又はアリール基を表し、並びに
は、C~C22-アルキル、C~C12-シクロアルキル、C~C18-アリール又はC~C18-アラルキル基、及び、2~22個の炭素原子を有する不飽和アルキル基又はアルコキシポリオキシアルキレン基、好ましくは式:-(CHCHO)-CH(式中、m=1~20)のメトキシル化ポリエチレングリコール基に相当する)
の使用が好ましい。
【0016】
成分(a)としては、
は、C~C12-アルキル-置換C~C10-アリーレン、C~C18-アルキルアリール-置換C~C10-アリーレン、及び、任意に、アルキレン基を介して架橋されていると共に、合計で8~30個の炭素原子を有するC~C12-アルキル-置換C~C10-アリーレン、及び/又は、C~C10-アリーレンを表し、並びに
は、H又は-NHCOORを表す
カルボジイミドが特に好ましく使用可能である。
【0017】
成分(a)としては、
は、C~C-アルキル-置換C~C10-アリーレン及び/又はC~C10-アリーレンを表し、
はNHCOORを表し、及び、Rは、式:-(CHCHO)-CH(式中、m=1~20)のメトキシル化ポリエチレングリコール基を表す
カルボジイミドがさらに好ましい。
【0018】
任意により、アルキレン基を介して架橋されていると共に、合計で8~30個の炭素原子を有するC~C12-アルキル-置換C~C10アリーレンは、-アルキレン-アリーレン-アルキレン-の一般構造を有し、ここで、アルキレン基は直鎖又は分岐鎖であり得、及び、アリーレン基はC~C12-アルキル置換基を4個以下有し得るが、ただし、炭素原子の総数は30個以下である。
【0019】
ここで、アルキレン基を介して架橋されていると共に、アリーレン基上にアルキル基を有さず、及び、2個のアルキレン基が各々1~6個の炭素原子を有するC~C10-アリーレンが優先される。
【0020】
成分(a)としては、Rは-C(CH-C-C(CH-を表し、及び、Rは、式:-(CHCHO)-CH(式中、m=1~20)のメトキシル化ポリエチレングリコール基を表すカルボジイミドがもっとも好ましい。
【0021】
成分(b)としては、C12~C18-アルキルモノ-又はジスルホン酸と、無置換又はC-~C-アルキル-及び/又はハロゲン-置換フェノールとのスルホン酸エステルが好ましく用いられる。
【0022】
成分(b)としては、C12~C18-アルキルモノ-又はジスルホン酸と、無置換又はC-~C-アルキル-又はハロゲン-置換フェノールとのスルホン酸エステルが特に好ましく用いられる。
【0023】
成分(b)としては、C14~C17-アルキルモノ-又はジスルホン酸とフェノールとのスルホン酸エステルがもっとも好ましく用いられる。
【0024】
本発明に係る組成物中の成分(a)対成分(b)の重量比は、好ましくは30:70~70:30、特に好ましくは40:60~60:40、及び、もっとも好ましくは50:50である。
【0025】
本発明に係る組成物中における成分(a)対熱可塑性ポリウレタンの重量比は、好ましくは2:1000~25:1000、特に好ましくは5:1000~10:1000、及び、もっとも好ましくは7:1000~8:1000である。
【0026】
好ましくは、本発明に係る組成物中のNCN含有量(カルボジイミド基含有量)は、カルボジイミド及びアルキルスルホン酸エステルの総量に基づいて、1~10重量%、好ましくは2~8重量%、特に好ましくは3~7重量%である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明はさらに、熱可塑性ポリウレタン組成物の製造プロセスを提供するものであり、ここで、熱可塑性ポリウレタンの製造のための反応混合物に成分(a)及び成分(b)を添加し、及び、熱可塑性ポリウレタンをその後反応混合物の重合により形成する。
【0028】
好ましい実施形態において、成分(a)及び成分(b)を先ず混合し、次いで、この混合物を、熱可塑性ポリウレタンの製造のための反応混合物に添加する。
【0029】
好ましい実施形態において、成分(a)としては、R基としてNCO官能基を有さない式(I)のカルボジイミドが用いられる。
【0030】
組成物を反応混合物に添加する場合、これは原理上、熱可塑性ポリウレタンの製造プロセスにおけるいずれの段階においても行うことが可能である。
【0031】
代替的な実施形態において、成分(a)及び成分(b)は熱可塑性ポリウレタンとブレンドされる。
【0032】
実質的に既に完全に反応した熱可塑性ポリウレタンに成分(a)及び(b)の混合物を添加する場合、これは、例えば、配合による組み込み又は膨潤による組み込みによって行われることが可能である。
【0033】
本発明はさらに、特に、本発明に係る組成物を含むローラ、コンベヤベルト又はメンブランの形態で成形体を提供する。
【0034】
本発明の範囲は、一般的な用語又は好ましい範囲による、本明細書中上記又は下記における基、指数、パラメータ及び説明のすべての定義を、相互に組み合わせることも含めて包含するものであり、すなわち、それぞれの範囲と好ましい範囲との間におけるいずれかの組み合わせを含む。
【0035】
以下の実施例は本発明を説明するためのものであり、限定的な効果を有するものではない。
【実施例
【0036】
カルボジイミド(CDI):式(I)のポリカルボジイミドであって、R=m-テトラメチルキシレン、R=NHCOOR、R=-(CO)-CH、n=約4~5、m=約11及び約7重量%のNCN含有量である。NCN含有量を判定するために、NCN基を過剰量で添加したシュウ酸と反応させ、次いで、未反応のシュウ酸を、系のブランク値を考慮して、ナトリウムメトキシドで電位差逆滴定した。
【0037】
単量体カルボジイミド(CDI):
単量体カルボジイミドビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド及び約11重量%のNCN含有量。NCN含有量を判定するために、NCN基を過剰量で添加したシュウ酸と反応させ、次いで、未反応のシュウ酸を、系のブランク値を考慮して、ナトリウムメトキシドで電位差逆滴定した。
【0038】
エステル(I):第2級C14~C17-アルキルモノ-又はジスルホン酸エステルと、フェノール(Lanxess Deutschland GmbH製のMesamoll(登録商標))とを含有するアルキルスルホン酸エステル
エステル(II):トリ-n-ブチルシトレート(Lanxess Deutschland GmbH製のUniplex 83)
熱可塑性ポリウレタン(TPU):Covestro AG製のDesmopan(登録商標)2587 A
【0039】
熱可塑性ポリウレタン(TPU)における加水分解安定化
TPUにおける加水分解安定化作用を評価するために、ポリカルボジイミド、又は、エステル及びポリカルボジイミド(1:1のエステル対ポリカルボジイミドの重量比を有する)から組成された組成物を、Werner & Pfleiderer製のZSK 25実験用二軸押出し機によりTPU中に分散させ、その後、以下に記載の計測を行った。引裂き強度の計測に用いたF3標準試験片を、次いで、得られたペレットからArburg Allrounder 320 S 150-500射出成形機で製造した。
【0040】
加水分解テストのために、これらのF3標準試験片を90℃の温度で水中に保管し、その引裂き強度をMPaで計測した。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1中の結果は、本発明に係る組成物は、TPU中のカルボジイミドの割合を最低でも25%低減可能であることを示す。従来技術から公知であるエステルはここではいかなる改善をも示さない。
【0043】
【表2】
【0044】
表2中の結果は、エステル(I)と組み合わされた単量体カルボジイミドは、TPU中のカルボジイミドの割合を低減可能ではないことを示す。
【国際調査報告】