(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】レーザーレーダーの制御方法及びレーザーレーダー
(51)【国際特許分類】
G01S 17/10 20200101AFI20240327BHJP
G01S 7/495 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
G01S17/10
G01S7/495
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563890
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 CN2021138321
(87)【国際公開番号】W WO2022227607
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】202110461447.9
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519434972
【氏名又は名称】上海禾賽科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hesai Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.2 Building,No.468 XinLai Road,Jiading District,Shanghai,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】劉魁
(72)【発明者】
【氏名】向少卿
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA03
5J084BA31
5J084CA03
5J084CA10
5J084CA14
5J084EA20
5J084EA24
5J084EA25
(57)【要約】
レーザーレーダー(100)の制御方法(10)であり、それは、時間間隔でエンコーディングされるマルチパルスシーケンスを送信する(S101)と、レーダーエコーを受信し、マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスがレーダーエコーに含まれているか否かを判断する(S102)と、マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスがレーダーエコーに含まれる場合に、有効なエコーパルスシーケンスのパルス特徴に基づいて、有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断する(S103)と、有効なエコーパルスシーケンスが干渉されている場合に、レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次の送信時に時間間隔エンコーディングを調整する(S104)と、を含む。有効なエコーパルスシーケンスのパルス特徴の一致性(又は期待に適合する程度)によって、有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断し、また、レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次の送信時に時間間隔エンコーディングの設定を調整する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間間隔でエンコーディングされるマルチパルスシーケンスを送信するS101と、
レーダーエコーを受信し、前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスが前記レーダーエコーに含まれているか否かを判断するS102と、
前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスが前記レーダーエコーに含まれる場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスのパルス特徴に基づいて、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断するS103と、
前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されている場合に、前記レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次の送信時に前記時間間隔エンコーディングを調整するS104と、
を含む、レーザーレーダーの制御方法。
【請求項2】
ステップS102は、
前記レーダーエコー中のピーク強度が強度閾値よりも大きい複数のエコーパルス信号を抽出するステップと、
前記複数のエコーパルス信号の時間間隔が前記マルチパルスシーケンスの時間間隔にマッチングする場合に、前記複数のエコーパルス信号を前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスとするステップと、をさらに含み、
前記レーダーエコー中の干渉信号は、前記レーダーエコー中のピーク強度が前記強度閾値よりも大きい複数のエコーパルス信号から前記有効なエコーパルスシーケンスを除去したエコーパルス信号と、前記有効なエコーパルスシーケンス中の干渉されたパルスとを含む、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
ステップS102は、
前記複数のエコーパルス信号の時間間隔と前記マルチパルスシーケンスの時間間隔との差を算出し、前記差が第1許容閾値よりも小さい場合に、前記複数のエコーパルス信号を前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスとするステップをさらに含む、請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記レーダーエコーに、ピーク強度が前記強度閾値よりも大きいエコーパルス信号が含まれ、前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスが含まれない場合に、次の送信時に前記時間間隔エンコーディングを調整するステップをさらに含む、請求項2又は3に記載の制御方法。
【請求項5】
ステップS103は、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅特徴と、前記マルチパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅特徴との類似度に基づいて、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断するステップ、及び/又は、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度特徴と、前記マルチパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度特徴との類似度に基づいて、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断するステップ、をさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項6】
ステップS103は、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅と、前記マルチパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅との相対差が第2許容閾値よりも大きい場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、前記パルス幅の相対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定するステップをさらに含む、請求項5に記載の制御方法。
【請求項7】
ステップS103は、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅の2つごとの絶対差の和を算出するステップと、
前記絶対差の和が第2許容閾値よりも大きい場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、前記絶対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定するステップと、をさらに含む、請求項5に記載の制御方法。
【請求項8】
ステップS103は、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度と、前記マルチパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度との相対差が第3許容閾値よりも大きい場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、前記ピーク強度の相対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定するステップをさらに含む、請求項5に記載の制御方法。
【請求項9】
ステップS103は、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度の2つごとの絶対差の和を算出するステップと、
前記絶対差の和が第3許容閾値よりも大きい場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、前記絶対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定するステップと、をさらに含む、請求項5に記載の制御方法。
【請求項10】
ステップS104は、
前記レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次に送信されるマルチパルスシーケンスにより生成される有効なエコーパルスシーケンスが前記干渉信号以外の時間帯に位置するように、次の送信時に前記時間間隔エンコーディングを調整するステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項11】
ステップS104は、
前記レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次の送信時にプリセット時間遅延を有するマルチパルスシーケンスを送信するステップをさらに含む、請求項10に記載の制御方法。
【請求項12】
時間間隔でエンコーディングされるマルチパルスシーケンスを送信するように構成される送信ユニットと、
レーダーエコーを受信するように構成される受信ユニットと、
前記送信ユニット、前記受信ユニットにそれぞれ結合される信号処理ユニットであって、
前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスが前記レーダーエコーに含まれているか否かを判断し、
前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスが前記レーダーエコーに含まれる場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスのパルス特徴に基づいて、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断し、
前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されている場合に、前記レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次の送信時に前記時間間隔エンコーディングを調整するように構成される信号処理ユニットと、
を含む、レーザーレーダー。
【請求項13】
前記レーダーエコーをサンプリングしてアナログデジタル変換を行うように構成されるアナログデジタル変換ユニットをさらに含み、
前記信号処理ユニットはさらに、
アナログデジタル変換後の前記レーダーエコー中のピーク強度が強度閾値よりも大きい複数のエコーパルス信号を抽出し、
前記複数のエコーパルス信号の時間間隔が前記マルチパルスシーケンスの時間間隔にマッチングする場合に、前記複数のエコーパルス信号を前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスとするように構成され、
前記レーダーエコー中の干渉信号は、前記レーダーエコー中のピーク強度が前記強度閾値よりも大きい複数のエコーパルス信号から前記有効なエコーパルスシーケンスを除去したエコーパルス信号と、前記有効なエコーパルスシーケンス中の干渉されたパルスとを含む、請求項12に記載のレーザーレーダー。
【請求項14】
前記信号処理ユニットはさらに、
前記複数のエコーパルス信号の時間間隔と前記マルチパルスシーケンスの時間間隔との差を算出し、前記差が第1許容閾値よりも小さい場合に、前記複数のエコーパルス信号を前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスとするように構成される、請求項13に記載のレーザーレーダー。
【請求項15】
前記信号処理ユニットはさらに、
前記レーダーエコーに、ピーク強度が前記強度閾値よりも大きいエコーパルス信号が含まれ、前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスが含まれない場合に、次の送信時に前記時間間隔エンコーディングを調整するように構成される、請求項13又は14に記載のレーザーレーダー。
【請求項16】
前記信号処理ユニットはさらに、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅特徴と、前記マルチパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅特徴との類似度に基づいて、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断し、及び/又は、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度特徴と、前記マルチパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度特徴との類似度に基づいて、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断するように構成される、請求項12から14のいずれか1項に記載のレーザーレーダー。
【請求項17】
前記信号処理ユニットはさらに、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅と、前記マルチパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅との相対差が第2許容閾値よりも大きい場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、前記パルス幅の相対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定し、及び/又は、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度と、前記マルチパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度との相対差が第3許容閾値よりも大きい場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、前記ピーク強度の相対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定するように構成される、請求項16に記載のレーザーレーダー。
【請求項18】
前記信号処理ユニットはさらに、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅の2つごとの絶対差の和を算出し、
前記絶対差の和が第2許容閾値よりも大きい場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、前記絶対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定し、及び/又は、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度の2つごとの絶対差の和を算出し、
前記絶対差の和が第3許容閾値よりも大きい場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、前記絶対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定するように構成される、請求項16に記載のレーザーレーダー。
【請求項19】
前記信号処理ユニットはさらに、
前記レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次に送信されるマルチパルスシーケンスにより生成される有効なエコーパルスシーケンスが前記干渉信号以外の時間帯に位置するように、次の送信時に前記時間間隔エンコーディングを調整するように構成される、請求項12から14のいずれか1項に記載のレーザーレーダー。
【請求項20】
前記信号処理ユニットはさらに、
前記レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次の送信時にプリセット時間遅延を有するマルチパルスシーケンスを送信するように構成される、請求項19に記載のレーザーレーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー探知の技術分野に関し、特に、レーザーレーダーの制御方法及びレーザーレーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザーレーダーは、主動的に信号パルスを送信して、物体から反射されてきた信号を受信することによって、時間、信号位相差等の要素で探知物体の方位及び距離を決定する。レーザーレーダーのポイント周波数(チャネル数、測距距離、分解能、リフレッシュレートによって共通で決定される)が一定程度に達すると、1つの探知周期内で、各チャネルを順次に動作させるように時間を割り当てることができない場合が得る。例として、レーザーレーダーは64チャネル(ライン)であり、測距200m、リフレッシュレート(回転速度)10Hz、水平角度分解能0.2°が求められる。そこで、飛行時間法d=c*t/2(dは距離、cは光速、tは飛行時間である)によると、200m測距は光往復飛行時間が1.34usであり、水平角度分解能0.2°回転するには55.6usかかり、55.6/1.34=41.5、つまり、1つの探知周期内で、光を最大41回しか送信できず、そのため、64ラインの場合に、複数のチャネルが同時に動作することが必然である。レーザーレーダーのライン数がより高く、測距距離がより遠く、分解能がより高く、リフレッシュレートがより高い場合に、同時に動作するチャネル数はより多くなる。複数のチャネルが同時に動作することを求めることで、レーザーレーダー自体のチャネル間の相互干渉の問題を引き起こす。
【0003】
一方で、レーザーレーダーの応用が普遍的になるにつれて、レーザーレーダーに遭遇する確率も大幅に増加する。同じ空間内で同時に動作する異なるレーザーレーダーの間には、相互に干渉する状況が存在する。
【0004】
また、レーザーレーダーの使用波長に近い他のレーザー製品も、レーザーレーダーに干渉する信号を発生し得る。
【0005】
背景技術部分の内容は、開示者が知っている技術に過ぎず、当然ながら、本分野の従来技術を代表するものではない。
【発明の概要】
【0006】
従来技術の少なくとも1つの欠陥に鑑みて、本発明は、
時間間隔でエンコーディングされるマルチパルスシーケンスを送信するS101と、
レーダーエコーを受信し、前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスが前記レーダーエコーに含まれているか否かを判断するS102と、
前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスが前記レーダーエコーに含まれる場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスのパルス特徴に基づいて、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断するS103と、
前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されている場合に、前記レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次の送信時に前記時間間隔エンコーディングを調整するS104と、を含む、レーザーレーダーの制御方法を提供する。
【0007】
本発明の一態様によれば、ここで、ステップS102は、
前記レーダーエコー中のピーク強度が強度閾値よりも大きい複数のエコーパルス信号を抽出するステップと、
前記複数のエコーパルス信号の時間間隔が前記マルチパルスシーケンスの時間間隔にマッチングする場合に、前記複数のエコーパルス信号を前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスとするステップと、をさらに含み、
前記レーダーエコー中の干渉信号は、前記レーダーエコー中のピーク強度が前記強度閾値よりも大きい複数のエコーパルス信号から前記有効なエコーパルスシーケンスを除去したエコーパルス信号と、前記有効なエコーパルスシーケンス中の干渉されたパルスとを含む。
【0008】
本発明の一態様によれば、ここで、ステップS102は、
前記複数のエコーパルス信号の時間間隔と前記マルチパルスシーケンスの時間間隔との差を算出し、前記差が第1許容閾値よりも小さい場合に、前記複数のエコーパルス信号を前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスとするステップをさらに含む。
【0009】
本発明の一態様によれば、
前記レーダーエコーに、ピーク強度が前記強度閾値よりも大きいエコーパルス信号が含まれ、前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスが含まれない場合に、次の送信時に前記時間間隔エンコーディングを調整するステップをさらに含む。
【0010】
本発明の一態様によれば、ここで、ステップS103は、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅特徴と、前記マルチパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅特徴との類似度に基づいて、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断するステップ、及び/又は、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度特徴と、前記マルチパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度特徴との類似度に基づいて、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断するステップ、をさらに含む。
【0011】
本発明の一態様によれば、ここで、ステップS103は、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅と、前記マルチパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅との相対差が第2許容閾値よりも大きい場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、前記パルス幅の相対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定するステップをさらに含む。
【0012】
本発明の一態様によれば、ここで、ステップS103は、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅の2つごとの絶対差の和を算出するステップと、
前記絶対差の和が第2許容閾値よりも大きい場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、前記絶対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定するステップと、をさらに含む。
【0013】
本発明の一態様によれば、ここで、ステップS103は、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度と、前記マルチパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度との相対差が第3許容閾値よりも大きい場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、前記ピーク強度の相対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定するステップをさらに含む。
【0014】
本発明の一態様によれば、ここで、ステップS103は、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度の2つごとの絶対差の和を算出するステップと、
前記絶対差の和が第3許容閾値よりも大きい場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、前記絶対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定するステップと、をさらに含む。
【0015】
本発明の一態様によれば、ここで、ステップS104は、
前記レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次に送信されるマルチパルスシーケンスにより生成される有効なエコーパルスシーケンスが前記干渉信号以外の時間帯に位置するように、次の送信時に前記時間間隔エンコーディングを調整するステップをさらに含む。
【0016】
本発明の一態様によれば、ここで、ステップS104は、
前記レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次の送信時にプリセット時間遅延を有するマルチパルスシーケンスを送信するステップをさらに含む。
【0017】
本発明は、
時間間隔でエンコーディングされるマルチパルスシーケンスを送信するように構成される送信ユニットと、
レーダーエコーを受信するように構成される受信ユニットと、
前記送信ユニット、前記受信ユニットにそれぞれ結合される信号処理ユニットであって、
前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスが前記レーダーエコーに含まれているか否かを判断し、
前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスが前記レーダーエコーに含まれる場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスのパルス特徴に基づいて、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断し、
前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されている場合に、前記レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次の送信時に前記時間間隔エンコーディングを調整するように構成される信号処理ユニットと、を含む、レーザーレーダーをさらに提供する。
【0018】
本発明の一態様によれば、
前記レーダーエコーをサンプリングしてアナログデジタル変換を行うように構成されるアナログデジタル変換ユニットをさらに含み、
ここで、前記信号処理ユニットはさらに、
アナログデジタル変換後の前記レーダーエコー中のピーク強度が強度閾値よりも大きい複数のエコーパルス信号を抽出し、
前記複数のエコーパルス信号の時間間隔が前記マルチパルスシーケンスの時間間隔にマッチングする場合に、前記複数のエコーパルス信号を前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスとするように構成され、
前記レーダーエコー中の干渉信号は、前記レーダーエコー中のピーク強度が前記強度閾値よりも大きい複数のエコーパルス信号から前記有効なエコーパルスシーケンスを除去したエコーパルス信号と、前記有効なエコーパルスシーケンス中の干渉されたパルスとを含む。
【0019】
本発明の一態様によれば、ここで、前記信号処理ユニットはさらに、
前記複数のエコーパルス信号の時間間隔と前記マルチパルスシーケンスの時間間隔との差を算出し、前記差が第1許容閾値よりも小さい場合に、前記複数のエコーパルス信号を前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスとするように構成される。
【0020】
本発明の一態様によれば、ここで、前記信号処理ユニットはさらに、
前記レーダーエコーに、ピーク強度が前記強度閾値よりも大きいエコーパルス信号が含まれ、前記マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスが含まれない場合に、次の送信時に前記時間間隔エンコーディングを調整するように構成される。
【0021】
本発明の一態様によれば、ここで、前記信号処理ユニットはさらに、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅特徴と、前記マルチパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅特徴との類似度に基づいて、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断し、及び/又は、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度特徴と、前記マルチパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度特徴との類似度に基づいて、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断するように構成される。
【0022】
本発明の一態様によれば、ここで、前記信号処理ユニットはさらに、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅と、前記マルチパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅との相対差が第2許容閾値よりも大きい場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、前記パルス幅の相対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定し、及び/又は、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度と、前記マルチパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度との相対差が第3許容閾値よりも大きい場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、前記ピーク強度の相対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定するように構成される。
【0023】
本発明の一態様によれば、ここで、前記信号処理ユニットはさらに、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅の2つごとの絶対差の和を算出し、
前記絶対差の和が第2許容閾値よりも大きい場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、前記絶対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定し、及び/又は、
前記有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度の2つごとの絶対差の和を算出し、
前記絶対差の和が第3許容閾値よりも大きい場合に、前記有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、前記絶対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定するように構成される。
【0024】
本発明の一態様によれば、ここで、前記信号処理ユニットはさらに、
前記レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次に送信されるマルチパルスシーケンスにより生成される有効なエコーパルスシーケンスが前記干渉信号以外の時間帯に位置するように、次の送信時に前記時間間隔エンコーディングを調整するように構成される。
【0025】
本発明の一態様によれば、ここで、前記信号処理ユニットはさらに、
前記レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次の送信時にプリセット時間遅延を有するマルチパルスシーケンスを送信するように構成される。
【0026】
本発明の好ましい実施例はレーザーレーダーの制御方法を提供し、有効なエコーパルスシーケンスのパルス特徴の一致性(又は期待に適合する程度)によって、有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断し、また、レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次の送信時に時間間隔エンコーディングの設定を調整する。有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判断した後に、レーダーエコー中の干渉されていない時間セグメントを利用して改めてエンコーディング設定を行い、次の動作周期内で、相対的に規則的、且つ固定的な信号干渉を効果的に回避でき、レーザーレーダーの探知性能を向上させる。また、エンコーディングが動的に設定されるため、有効信号が常に強い干渉の影響下にあることによるレーダーエコー信号の完全なミッシングを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面は本発明を更に理解させ、明細書の一部を構成するためのものであり、本発明の実施例と共に本発明を解釈するために用いられるが、本発明を限定するものとならない。図面の説明を次に記載する。
【
図1】時間間隔エンコーディングを有する送信信号とレーダーエコー中の干渉信号の分布を模式的に示す。
【
図2】本発明の好ましい一実施例に係るレーザーレーダーの制御方法を示す。
【
図3】時間間隔エンコーディングを有する送信信号及びその反射エコーの識別を模式的に示す。
【
図4】本発明の好ましい一実施例に係る時間間隔エンコーディングを有するマルチパルスシーケンスの送信及びそのパルス特徴を模式的に示す。
【
図5】本発明の好ましい一実施例に係るレーダーエコーからの有効なエコーパルスシーケンスの抽出を模式的に示す。
【
図6】本発明の好ましい一実施例に係る有効なエコーパルスシーケンスのパルス特徴を模式的に示す。
【
図7】本発明の好ましい一実施例に係る好ましいエンコーディング時間セグメントを模式的に示す。
【
図8】本発明の好ましい一実施例に係る好ましいエンコーディング時間セグメントを模式的に示す。
【
図9】本発明の好ましい一実施例に係る好ましいエンコーディング時間セグメント内での再エンコーディングを模式的に示す。
【
図10】本発明の好ましい一実施例に係るレーザーレーダーを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下において、いくつかの例示的な実施例のみを簡単に説明する。当業者であれば理解できるように、本発明の精神又は範囲を逸脱しない限り、説明される実施例を様々な異なる方式で修正することができる。従って、図面と説明は、本質的に、限定的なものではなく、例示的なものであると考えられる。
【0029】
本発明の説明では、理解すべきところとして、用語の「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「逆時計回り」等で示す方位又は位置関係は、図面に基づくものであり、本発明を容易に説明し記述を簡略化するためのものに過ぎず、記載される装置又は素子は必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構成、操作されたりすることを明示又は暗示することがないので、本発明を限定するものと理解してはならない。また、用語の「第1」、「第2」は、説明するためのものに過ぎず、相対的重要性を指示又は暗示したり、示される技術的特徴の数を暗示的に示したりするものと理解してはならない。従って、「第1」、「第2」と限定される特徴は1つ又は複数の前記特徴を明示的又は暗示的に含むことができる。本発明の説明では、明確且つ具体的に限定しない限り、「複数」は2つ又は2つ以上を意味する。
【0030】
本発明の説明では、説明すべきところとして、明確に規定、限定しない限り、用語の「取り付ける」、「連結する」、「接続する」を広義的に理解すべきことであり、例えば、固定的に接続してもよく、取り外し可能に接続してもよく、又は一体的に接続してもよく、さらに、機械的に接続してもよく、電気的に接続してもよく、又は互いに通信可能であってもよく、直接接続してもよく、中間媒介を介して間接的に接続してもよく、2つの素子の内部を連通させてもよく、又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本発明での具体的な意味を理解することができる。
【0031】
本発明において、明確に規定、限定しない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあるというのは、第1と第2特徴が直接接触する場合を含んでもよいし、第1と第2特徴が直接接触せず、それらの間の別の特徴を介して接触する場合を含んでもよい。また、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあるというのは、第1特徴が第2特徴の真上及び斜め上方にある場合を含むか、又は単に第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことを意味する。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあるというのは、第1特徴が第2特徴の真下及び斜め下方にある場合を含むか、又は単に第1特徴の水平高さが第2特徴より小さいことを意味する。
【0032】
以下の開示では、本発明の異なる構造を実現するための多くの異なる実施形態又は例を提供する。本発明の開示を簡略化するために、以下において、特定の例の部材及び配置について説明する。当然ながら、それらは例に過ぎず、本発明を限定する意図がない。また、本発明は、異なる例において参照数字及び/又は参照アルファベットを重複することができ、このような重複は、簡略化及び明瞭化のためのものであり、それ自体は、検討される種々の実施形態及び/又は配置の間の関係を示すものではない。また、本発明は種々の特定のプロセス及び材料の例を提供するが、当業者であれば、他のプロセスの適用及び/又は他の材料の使用に想到することができる。
【0033】
以下において、図面を参照しながら本発明の実施例を説明し、ここで説明される実施例は、本発明を説明及び解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定する意図がないことを理解すべきである。
【0034】
レーザーレーダーが受ける干渉を抑制するために、一般的な方法は信号エンコーディングを採用する方法であり、即ち、複数の光パルスを1組の信号として採用し、光パルスの間に特定の時間間隔をエンコーディングとして備え、エンコーディング特徴を用いてチャネルを識別することによって、自身のチャネルに属する信号を識別する。このような方法は、干渉問題をある程度解決できるが、柔軟性や有効性に十分でなく、
図1に示すように、レーザーレーダーが強い干渉を受け、例えば、干渉信号のパルスが通常信号のパルスにちょうど重畳する場合に、依然として、精度、反射率、ノイズ抑制等の性能が低下し、さらに探知が完全に失われる状況を発生させる。
図1はレーザーレーダーのチャネルA(一般的には、対応する1つのレーザー機器と1つの探知器を含む)の送信信号が3パルスエンコーディングを採用する例を示し、3つのパルスの間の時間間隔は(a1、a2)であり、受信信号(即ち、チャネルAの探知器で受信されたレーダーエコーからピーク強度が強度閾値よりも低いパルスを除去した結果)が「受信信号1」である場合に、その中で、干渉信号1のパルスと外部の障害物によって反射された当該チャネル送信信号のパルスとは重畳がなく、エンコーディング特徴のマッチングに基づいて、有効なエコーパルスシーケンス(エンコーディング特徴が同じ1組のパルス)を識別し、距離を正確に取得することができる。受信信号が「受信信号2」である場合に、その中で、干渉信号2のパルスと外部の障害物によって反射された当該チャネル送信信号のパルスとは重畳し(強い干渉)、レーダーエコー中の2つ目のパルスは、外部の障害物によって反射された当該チャネル送信信号のエコーが干渉信号に重畳して形成されたものであり、重畳後にも、なお1つのパルスとして見なされる。エンコーディング特徴のマッチング(エンコーディング特徴のマッチングは一般的に一定の許容差がある)に基づいて、同様に有効なエコーパルスシーケンスとして識別することができるが、有効なエコーパルスシーケンス中の1つ目のエコーパルスのパルス幅(又はパルスフロントエッジ)が変化するため、不正確な測距、異常な反射率等の状況が発生する。上記干渉パルスは、レーダーの他のチャネルに由来し得、他のレーダー、又はレーザーレーダーの使用波長に近い他のレーザー製品にも由来し得る。
【0035】
本発明の好ましい実施例はレーザーレーダーの制御方法を提供し、マルチパルス信号の一致性特徴に基づいて、レーダーエコー中の有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを分析し、干渉されていると判断した後、レーザーレーダーに主動的に措置を実行させ、干渉源を回避する方式で、レーザーレーダーの信号干渉問題を解決する。
【0036】
本発明の好ましい一実施例によれば、
図2に示すように、本発明はレーザーレーダーの制御方法10を提供し、該方法はステップS101~ステップS104を含む。
【0037】
ステップS101で、時間間隔でエンコーディングされるマルチパルスシーケンスを送信する。レーザーレーダーのチャネルAのレーザー機器は時間間隔エンコーディングを有するマルチパルスシーケンスを送信し、該マルチパルスシーケンスには第1レーザーパルス、第2レーザーパルス……第Nレーザーパルスが含まれてもよく、複数のレーザーパルスは時系列関係を有し、例えば、第2レーザーパルスと第1レーザーパルスとの間に時間間隔a1があり、第3レーザーパルスと第2レーザーパルスとの間に時間間隔a2があり、……第Nレーザーパルスと第N-1レーザーパルスとの間に時間間隔aN-1がある。上記時間間隔は送信パルスシーケンスの時系列関係を表現する。
【0038】
ステップS102で、レーダーエコーを受信し、該マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスがレーダーエコーに含まれているか否かを判断する。
【0039】
図3に示すように、レーザーレーダーのチャネルAのレーザー機器は時間間隔エンコーディングを有するマルチパルスシーケンスを送信し、該マルチパルスシーケンスには第1レーザーパルス、第2レーザーパルス及び第3レーザーパルスが含まれ、ここで、第2レーザーパルスと第1レーザーパルスとの間に時間間隔a1があり、第3レーザーパルスと第2レーザーパルスとの間に時間間隔a2がある。探知領域内で、上記パルス信号は目標物上に反射されてエコー信号を発生する。エコー信号のパルスシーケンス間隔は送信パルスシーケンスの間隔と同じである。つまり、レーザーパルスのエコーが送信信号と同じ時系列特性を有するという特徴を利用して、送信パルスと受信パルスのパルスシーケンスを対比することによって、該チャネル送信パルスの反射エコーがレーダーエコーに含まれているか否かを判断することができる。
【0040】
チャネルAの探知器で受信されたレーダーエコーからピーク強度が強度閾値よりも低いパルスを除去した後、1つ目のエコーパルスから順次に、送信されたマルチパルスシーケンスと同じ数のパルス(ここは3つ)が含まれる受信パルスシーケンスを抽出し、ここで、チャネルAの探知器で受信されたレーダーエコーとは、チャネルAの探知器が読み取り時間ウインドウ内で受信した全ての信号を指す。抽出された受信パルスシーケンスが
図3中の丸数字1に示すような状況である場合に、該受信パルスシーケンス中の複数のエコーパルス信号は時間間隔(a1、a2)を有し、つまり、該複数のエコーパルス信号と送信されたマルチパルスシーケンスの時系列が同じであり、該複数のエコーパルス信号を送信されたマルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスとして判断し、該信号が持つ情報を抽出する。抽出された受信パルスシーケンスが
図3中の丸数字2に示すような状況である場合に、該受信パルスシーケンス中の複数のエコーパルス信号は時間間隔(b1、b2)を有し、つまり、該複数のエコーパルス信号と送信されたマルチパルスシーケンスの時系列が異なり、送信されたマルチパルスシーケンス(a1、a2)のエコーではなく、この場合に、2つ目のエコーパルスから、送信されたマルチパルスシーケンス(a1、a2)のエコーが見つかるまで、又はレーダーエコー中の全てのエコーパルスを検索しても有効なエコーパルスシーケンスが見つからないまで検索を続ける。
【0041】
ステップS103で、マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスがレーダーエコーに含まれる場合に、該有効なエコーパルスシーケンスのパルス特徴に基づいて、有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断する。
【0042】
本発明の好ましい一実施例によれば、
図4に示すように、レーザーレーダーのチャネルAのレーザー機器は時間間隔エンコーディング(a1、a2)を有する3つのレーザーパルスを送信し、該送信パルスシーケンスのパルス特徴は、そのうち各パルスは、パルス幅が順次w1’、w2’及びw3’であり、ピーク強度が順次h1’、h2’及びh3’であることを含む。
【0043】
チャネルAの探知器で受信された有効なエコーパルスシーケンスのパルス特徴は、複数のパルスのピーク強度及び/又はパルス幅の変化傾向を含み、有効なエコーパルスシーケンス中のパルス特徴の一致性を分析することによって、有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断する。理論的には、該チャネルによって選別された有効なエコーパルスシーケンスは該チャネルの主動的発光によって引き起こされるはずであり、そこで、有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス特徴(ピーク強度、パルス幅を含むが、これらに限定されない)は予期され得るはずである。有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスが全て同じ干渉を受ける確率は低く、基本的に無視できるため、有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス特徴が予期と一致するか否かを分析することによって、該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断することができる。例えば、該チャネルから送信されたマルチパルスシーケンスのピーク強度が同じであれば、有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度も一致するはずである。該チャネルから送信されたマルチパルスシーケンスのピーク強度が異なり、例えば、強、弱、強の組み合わせであれば、有効なエコーパルスシーケンスのピーク強度も強、弱、強の変化傾向を呈するはずである。また、例えば、該チャネルから送信されたマルチパルスシーケンスのパルス幅が同じであれば、有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅も一致するはずである。該チャネルから送信されたマルチパルスシーケンスのパルス幅が異なり、例えば、広、狭、広の組み合わせであれば、有効なエコーパルスシーケンスのパルス幅も広、狭、広の変化傾向を呈するはずである。
【0044】
ステップS104で、有効なエコーパルスシーケンスが干渉されている場合に、レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次の送信時に時間間隔エンコーディングを調整する。
【0045】
レーザーレーダーが受ける干渉は2つの側面から発生し、その1つは、レーザーレーダー自体が同時に発光するチャネルの間の相互干渉であり、例えば、同時に動作する複数のチャネルが近くの高反射板に遭遇した場合に、チャネルA送信信号は、高反射板によって反射された後、同時に動作する他のチャネルを照らす(即ち、光クロストークが発生する)可能性があり、同時に動作するチャネルBを例として、チャネルBは、自体チャネルのエコーパルスに加えて、チャネルAのエコーパルスを受信し、この場合に、チャネルBで受信されたパルスが重畳し、不正確な測距、反射率、さらに探知の完全なミッシングを引き起こす。もう1つは、他のレーザーレーダーの発光による干渉、又はレーザーレーダーの使用波長に近い他の製品の発光による干渉のような外部からのものである。本発明は、レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、有効なエコーパルスシーケンスが干渉信号分布以外の時間帯に位置するように、次の送信時に時間間隔エンコーディングを調整し、それにより、相対的に固定的、且つ規則的な干渉信号を回避する。
【0046】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダーの制御方法10において、ステップS102は、レーダーエコー中のピーク強度が強度閾値よりも大きい複数のエコーパルス信号を抽出するステップと、該複数のエコーパルス信号の時間間隔が送信パルスシーケンスの時間間隔にマッチングする場合に、該複数のエコーパルス信号を送信パルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスとするステップと、をさらに含む。ここで、レーダーエコー中の干渉信号は、レーダーエコー中のピーク強度が強度閾値よりも大きい複数のエコーパルス信号から有効なエコーパルスシーケンスを除去したエコーパルス信号と、有効なエコーパルスシーケンス中の干渉されたパルスとを含む。
【0047】
図5に示すように、本発明の好ましい一実施例によれば、アナログデジタル変換器(ADC)のサンプリングによってレーダーエコーの全波波形を取得し、強度閾値を設定することによって、レーダーエコー中のピーク強度が強度閾値よりも大きい複数のエコーパルス信号を選別する。ここで、図中のループで囲まれた3つのエコーパルス信号の時間間隔は送信パルスシーケンスの時間間隔にマッチングし、この3つのエコーパルス信号を送信パルスシーケンスに対応する1つの有効なエコーパルスシーケンスとする。
図5に示すように、強度閾値で選別された複数のエコーパルス信号のうち、有効なエコーパルスシーケンス(即ち、図中のループで囲まれた3つのエコーパルス信号)を除去し、残りのエコーパルス信号(即ち、
図5中の破線の矢印で指すエコーパルス信号)はレーダーエコー中の干渉信号であり、本発明の判断方法(詳細は後述する)によって、有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断し、少なくとも1つの干渉されたパルスを決定することができ、レーダーエコー中の干渉信号は、有効なエコーパルスシーケンス中の干渉されたパルス(
図5中の実線の矢印で指すエコーパルス信号)をさらに含む。
【0048】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダーの制御方法10において、ステップS102は、複数のエコーパルス信号の時間間隔と送信パルスシーケンスの時間間隔との差を算出し、差が第1許容閾値よりも小さい場合に、該複数のエコーパルス信号を送信パルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスとするステップをさらに含む。
【0049】
エンコーディング特徴のマッチングは一般的に一定の許容差が設定され、許容差と信頼度は対応し、許容差が大きいほど、信頼度が低くなり、信頼度を向上させるには、許容差を低下させる必要がある。信頼区間内で、許容閾値を設定し、許容閾値に応じて有効なエコーパルスシーケンスを選別する。本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダーのチャネルAのレーザー機器は時間間隔エンコーディングを有する3つのレーザーパルスを送信し、許容差の式は、|ΔFront13-code13|+|ΔFront12-code12|であり、該式中、ΔFront13は、選別されたレーダーエコー中のピーク強度が強度閾値よりも大きい3つのエコーパルス信号のうち、1つ目と3つ目のエコーパルスのパルスフロントエッジ時刻の差を示し、code13は、対応する初期設定値、即ち送信パルスシーケンスのうち、1つ目と3つ目の送信パルスのパルスフロントエッジ時刻の差を示し、ΔFront12は、上記3つのエコーパルス信号のうち、1つ目と2つ目のエコーパルスのパルスフロントエッジ時刻の差を示し、code12は、対応する初期設定値、即ち送信パルスシーケンスのうち、1つ目と2つ目の送信パルスのフロントエッジ時刻の差を示す。計算された許容差が許容閾値よりも小さい場合に、該複数のエコーパルス信号の時間間隔は送信パルスシーケンスの時間間隔と同じであり、つまり、計算結果は信頼区間内にあると認められる。該複数のエコーパルス信号を送信パルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスとして抽出する。
【0050】
当業者であれば、許容差の計算方法は唯一でなく、以上で記述した複数のエコーパルス中のパルスフロントエッジ時刻と送信パルスのパルスフロントエッジ時刻との対比による計算や、複数のエコーパルス中のパルスフロントエッジをパルス幅と組み合わせて補正して決定された時刻と送信パルスのパルスフロントエッジ時刻との対比による計算は、いずれも本発明の保護範囲内にあることを容易に理解できる。
【0051】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダーの制御方法10は、レーダーエコーに、ピーク強度が強度閾値よりも大きいエコーパルス信号が含まれ、送信パルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスが含まれない場合に、次の送信時に時間間隔エンコーディングを調整するステップをさらに含む。
【0052】
ピーク強度が強度閾値よりも大きいエコーパルス信号が存在するが、送信パルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスが選別されていない場合に、該チャネルが強く干渉されている可能性が大きく、次の動作周期で(例えば、レーザーレーダーが次の水平角度に回転する時)、該チャネルは改めて時間間隔エンコーディングを設定して、強い干渉を回避しようとする。
【0053】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダーの制御方法10において、ステップS103は、有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅特徴と、送信パルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅特徴との類似度に基づいて、該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断するステップ、及び/又は、有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度特徴と、送信パルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度特徴との類似度に基づいて、該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断するステップ、をさらに含む。
【0054】
本発明の好ましい一実施例によれば、
図4に示すように、レーザーレーダーのチャネルAのレーザー機器は時間間隔エンコーディングを有する3つのレーザーパルスを送信し、該送信パルスシーケンスはパルス幅が順次w1’、w2’、w3’であり、ピーク強度が順次h1’、h2’、h3’である。
図6に示すように、チャネルAの探知器はレーダーエコーを受信し、強度閾値に基づく選別、時間間隔エンコーディングのマッチングによって、有効なエコーパルスシーケンスを取得し、該有効なエコーパルスシーケンスはパルス幅が順次w1、w2、w3であり、ピーク強度が順次h1、h2、h3である。
【0055】
パルス幅w1、w2、w3を全体特徴とする場合と、w1’、w2’、w3’を全体特徴(傾向)とする場合とを比較して、全体特徴(傾向)の類似度に応じて該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断し、及び/又は、ピーク強度h1、h2、h3を全体特徴とする場合と、h1’、h2’、h3’を全体特徴(傾向)とする場合とを比較して、全体特徴(傾向)の類似度に応じて該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断する。
【0056】
当業者であれば、特定のパルス特徴の類似度に応じて有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断してもよいし、いくつかのパルス特徴の類似度に応じて、比較結果をまとめて、有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断してもよいことを容易に理解できる。
【0057】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダーの制御方法10において、ステップS103は、有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅と、送信パルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅との相対差が第2許容閾値よりも大きい場合に、該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、パルス幅の相対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定するステップをさらに含む。
【0058】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダーのチャネルAのレーザー機器はパルス幅が等しい3つのレーザーパルスを送信し、即ち送信パルスシーケンスは、パルス幅の比が1:1:1である。理論的には、エコーパルスは送信パルスのパルス幅に対して広がりがあるが、エコーパルスシーケンスのパルス幅の比は送信パルスシーケンスと一致し、つまり、1:1:1のままであるべきである(一般的には、1回に送信された例えば3つのパルスは同じ点で反射されると考えられる)。有効なエコーパルスシーケンスのパルス幅の比を算出して、パルス幅の比の差を算出し、パルス幅の比の差(許容差)が第2許容閾値よりも大きい場合に、該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定する。例えば、チャネルAの探知器で受信された有効なエコーパルスシーケンスのパルス幅の比は1.2:1:1である(パルス幅の比の差は0.2であり、例えば、第2許容閾値は予め0.1に設定される)場合に、該有効なエコーパルスシーケンスが干渉され、且つ1つ目のエコーパルス信号が干渉されたパルスであると考えられる。一般的には、複数のエコーパルス信号が同時に干渉され、且つ偏差値が一致する可能性は低い。
【0059】
本発明の好ましい一実施例によれば、パルス幅の差の絶対値によってエコーの干渉状況を判断することもできる。レーザーレーダーの制御方法10において、ステップS103は、有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅の2つごとの絶対差の和を算出するステップと、該絶対差の和が第2許容閾値よりも大きい場合に、該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、該絶対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定するステップと、をさらに含む。
【0060】
レーザーレーダーのチャネルAのレーザー機器はパルス幅が等しい3つのレーザーパルスを送信し、即ち送信パルスシーケンスは、パルス幅の比が1:1:1である。有効なエコーパルスシーケンスのうち、2つごとのパルス幅の差の絶対値の和である|Δwidth13|+|Δwidth12|を計算し、式中、Δwidth13は1つ目と3つ目のエコーパルスのパルス幅の差を示し、Δwidth12は1つ目と2つ目のエコーパルスのパルス幅の差を示し、第2許容閾値を設定し、|Δwidth13|+|Δwidth12|が第2許容閾値以内にある場合に、干渉されていないと認められる。第2許容閾値を超える場合に、干渉されていると認められ、パルス幅の差に基づいて干渉されたパルスを決定する。ピーク強度等のような他のパルス特徴によって、許容差をさらに補正することもできる。例えば、ピーク強度が低い場合に、測距が遠くなることに応じて、第2許容閾値を増大させることができ、ピーク強度が高い場合に、測距が近くなることに応じて、第2許容閾値を低下させることができる。
【0061】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダーの制御方法10において、ステップS103は、有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度と、送信パルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度との相対差が第3許容閾値よりも大きい場合に、該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、ピーク強度の相対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定するステップをさらに含む。
【0062】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダーのチャネルAのレーザー機器はピーク強度が等しい3つのレーザーパルスを送信し、即ち送信パルスシーケンスは、ピーク強度の比が1:1:1である。理論的には、エコーパルスは送信パルスのピーク強度に対して減衰があるが、エコーパルスシーケンスのピーク強度の比は送信パルスシーケンスと一致し、つまり、1:1:1のままであるべきである。有効なエコーパルスシーケンスのピーク強度の比を算出して、ピーク強度の比の差を算出し、ピーク強度の比の差(許容差)が第3許容閾値よりも大きい場合に、該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定する。例えば、チャネルAの探知器で受信された有効なエコーパルスシーケンスのピーク強度の比は1:1.2:1である(ピーク強度の比の差は0.2であり、例えば、第3許容閾値は予め0.15に設定される)場合に、該有効なエコーパルスシーケンスが干渉され、且つ2つ目のエコーパルス信号が干渉されたパルスであると考えられる。一般的には、複数のエコーパルス信号が同時に干渉され、且つ偏差値が一致する可能性は低い。
【0063】
本発明の好ましい一実施例によれば、ピーク強度の差の絶対値によってエコーの干渉状況を判断することもできる。レーザーレーダーの制御方法10において、ステップS103は、有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度の2つごとの絶対差の和を算出するステップと、該絶対差の和が第3許容閾値よりも大きい場合に、該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、該絶対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定するステップと、をさらに含む。
【0064】
レーザーレーダーのチャネルAのレーザー機器はピーク強度が等しい3つのレーザーパルスを送信し、即ち送信パルスシーケンスは、ピーク強度の比が1:1:1である。有効なエコーパルスシーケンスのうち、2つごとのピーク強度の差の絶対値の和である|Δheight13|+|Δheight12|を計算し、式中、Δheight13は1つ目と3つ目のエコーパルスのピーク強度の差を示し、Δheight12は1つ目と2つ目のエコーパルスのピーク強度の差を示し、第3許容閾値を設定し、|Δheight13|+|Δheight12|が第3許容閾値以内にある場合に、干渉されていないと認められる。第3許容閾値を超える場合に、干渉されていると認められ、ピーク強度の差に基づいて干渉されたパルスを決定する。
【0065】
当業者であれば理解できるように、説明を簡略化するために、上記実施例において、チャネルAのレーザー機器が送信するパルスは、パルス幅がいずれも等しく、ピーク強度がいずれも等しいが、実際の応用では、パルス特徴に一定の変化傾向があるマルチパルスシーケンスを送信し、レーダーエコー中に該変化傾向の類似度に基づいて干渉信号の判断を行うことも、同様に実行可能であり、これらの解決手段はいずれも本発明の保護範囲内にある。
【0066】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダーの制御方法10において、ステップS104は、レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次に送信されるマルチパルスシーケンスにより生成される有効なエコーパルスシーケンスが干渉信号以外の時間帯に位置するように、次の送信時に時間間隔エンコーディングを調整するステップをさらに含む。
【0067】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダーのチャネルAのレーザー機器は時間間隔エンコーディングを有するマルチパルスシーケンスを送信し、レーダーエコー中の干渉信号が、レーザーレーダーの他のチャネル(例えば、チャネルB)の送信パルスが目標物によって反射されたエコーに由来する場合に、次の動作周期内で(例えば、レーザーレーダーが次の水平角度に回転する時)、通常、目標物の距離はほとんど変化しないため、チャネルBの発光による干渉信号がレーダーエコーに分布する時間帯は相対的に固定している。次の送信時のチャネルAの送信パルスシーケンスの時間間隔エンコーディングを調整することによって、有効なエコーパルスシーケンスを干渉信号以外の時間帯に分布させ、即ち、他のチャネル(例えば、チャネルB)の発光による干渉を効果的に回避することができる。
【0068】
本発明の好ましい一実施例によれば、
図7に示すように、有効なエコーパルスシーケンスが干渉を受けた場合に、レーダーエコー中の干渉時刻を除去した時間セグメントを「好ましいエンコーディング時間セグメント」とする。「好ましい」とは、次の動作周期で(例えば、レーザーレーダーが次の水平角度に回転する)、有効なエコーパルスシーケンスが該時間セグメントに落ちると、干渉を受ける確率が大幅に低下することを意味する。干渉時刻の時間セグメントには、エンコーディングのマッチングだけで識別可能な弱い干渉信号が含まれるだけでなく、有効なエコーパルスのうち干渉されたパルスも含まれ、それにエコーパルスに重畳した強い干渉信号が含まれる。
【0069】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダーの制御方法10において、ステップS104は、レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次の送信時にプリセット時間遅延を有するマルチパルスシーケンスを送信するステップをさらに含む。
【0070】
本発明の好ましい一実施例によれば、有効なエコーパルスシーケンスが干渉を受けた場合に、次の動作周期で、「好ましいエンコーディング時間セグメント」内に改めて時間間隔エンコーディングを行う。
図8に示すように、具体的な操作方法は以下のとおりである。まず、時間区間が大きい時間セグメント(第1レーザーパルス信号を送信するエコーパルスを収容可能な幅、例えば、
図8中の好ましいエンコーディング時間セグメント中のセグメント1)を選択し、信号を送信する際に時間遅延ΔTを設定し、第1レーザーパルス信号を送信するエコーパルスがセグメント1に落ち、第2レーザーパルス信号及び第3レーザーパルス信号を送信するエコーパルスがセグメント2に落ちるようにする。
【0071】
当業者であれば理解できるように、時間遅延を予め設定することでマルチパルスシーケンスを送信することも、広義の時間間隔エンコーディングであり、即ち、時間間隔エンコーディングが(ΔT、a1’、a2’)のパルスシーケンスを設定することによって、送信パルスシーケンスのエコーパルスシーケンスが好ましいエンコーディング時間セグメントに位置するようにして、即ち、有効なエコーパルスシーケンスを干渉信号以外の時間帯に分布させ、レーダーエコー中の干渉信号を効果的に回避する。
【0072】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダーの制御方法10において、ステップS104は、次に送信されるマルチパルスシーケンスにより生成される有効なエコーパルスシーケンスが干渉信号以外の時間帯に位置するように、次の送信時に時間間隔エンコーディングを調整するステップをさらに含む。
【0073】
本発明の好ましい一実施例によれば、
図8に示すような好ましいエンコーディング時間セグメント内に再エンコーディングした後に、パルス(例えば、時間間隔がa1’、a2’である3つのパルス)を実際に送信するレーダーエコーは、
図9に示すように、有効なエコーパルスシーケンスが干渉信号を効果的に回避する。距離を実際に計算する際に、受信時間はプリセット時間遅延ΔTを取り除くべきである。新しいエンコーディング特徴(ΔT、a1’、a2’)は唯一の解ではなく、干渉信号を回避する時間帯の要求を満たせればよい。なお、説明すべきことは、次の送信時に時間間隔エンコーディングの設定を調整することは、エンコーディング特徴(ΔT、a1’、a2’)のうちの1つ、2つ、又は3つの修正のいずれを含んでもよく、必ずしも3つを同時に調整する必要がない点である。
【0074】
本発明の好ましい一実施例によれば、
図10に示すように、本発明は、
時間間隔でエンコーディングされるマルチパルスシーケンスを送信するように構成される送信ユニット110と、
レーダーエコーを受信するように構成される受信ユニット120と、
送信ユニット110、受信ユニット120にそれぞれ結合される信号処理ユニット130であって、
該マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスがレーダーエコーに含まれているか否かを判断し、
該マルチパルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスがレーダーエコーに含まれる場合に、該有効なエコーパルスシーケンスのパルス特徴に基づいて、該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断し、
該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されている場合に、レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次の送信時に時間間隔エンコーディングを調整するように構成される信号処理ユニット130と、を含む、レーザーレーダー100をさらに提供する。
【0075】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダー100は、
レーダーエコーをサンプリングしてアナログデジタル変換を行うように構成されるアナログデジタル変換ユニットをさらに含み、
ここで、信号処理ユニット130はさらに、
アナログデジタル変換後のレーダーエコー中のピーク強度が強度閾値よりも大きい複数のエコーパルス信号を抽出し、
該複数のエコーパルス信号の時間間隔が送信パルスシーケンスの時間間隔にマッチングする場合に、該複数のエコーパルス信号を送信パルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスとするように構成され、
レーダーエコー中の干渉信号は、レーダーエコー中のピーク強度が強度閾値よりも大きい複数のエコーパルス信号から該有効なエコーパルスシーケンスを除去したエコーパルス信号と、有効なエコーパルスシーケンス中の干渉されたパルスとを含む。
【0076】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダー100において、信号処理ユニット130はさらに、
該複数のエコーパルス信号の時間間隔と送信パルスシーケンスの時間間隔との差を算出し、該差が第1許容閾値よりも小さい場合に、該複数のエコーパルス信号を送信パルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスとするように構成される。
【0077】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダー100において、信号処理ユニット130はさらに、
レーダーエコーに、ピーク強度が強度閾値よりも大きいエコーパルス信号が含まれ、送信パルスシーケンスに対応する有効なエコーパルスシーケンスが含まれない場合に、次の送信時に時間間隔エンコーディングを調整するように構成される。
【0078】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダー100において、信号処理ユニット130はさらに、
該有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅特徴と、送信パルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅特徴との類似度に基づいて、該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断し、及び/又は、
該有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度特徴と、送信パルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度特徴との類似度に基づいて、該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されているか否かを判断するように構成される。
【0079】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダー100において、信号処理ユニット130はさらに、
該有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅と、送信パルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅との相対差が第2許容閾値よりも大きい場合に、該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、該パルス幅の相対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定し、及び/又は、
該有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度と、送信パルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度との相対差が第3許容閾値よりも大きい場合に、該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、該ピーク強度の相対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定するように構成される。
【0080】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダー100において、信号処理ユニット130はさらに、
有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのパルス幅の2つごとの絶対差の和を算出し、
該絶対差の和が第2許容閾値よりも大きい場合に、該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、該絶対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定し、及び/又は、
有効なエコーパルスシーケンス中の複数のパルスのピーク強度の2つごとの絶対差の和を算出し、
該絶対差の和が第3許容閾値よりも大きい場合に、該有効なエコーパルスシーケンスが干渉されていると判定し、該絶対差に基づいて少なくとも1つの干渉されたパルスを決定するように構成される。
【0081】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダー100において、信号処理ユニット130はさらに、
レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次に送信されるマルチパルスシーケンスにより生成される有効なエコーパルスシーケンスが干渉信号以外の時間帯に位置するように、次の送信時に時間間隔エンコーディングを調整するように構成される。
【0082】
本発明の好ましい一実施例によれば、レーザーレーダー100において、信号処理ユニット130はさらに、
前記レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次の送信時にプリセット時間遅延を有するマルチパルスシーケンスを送信するように構成される。
【0083】
レーザーレーダー100の各部材の動作プロセスは以上の制御方法10に対する紹介において詳細に記述されており、ここで詳細な説明を省略する。
【0084】
本発明の好ましい実施例はレーザーレーダーの制御方法を提供し、有効なエコーパルスシーケンスのパルス特徴の一致性(又は期待に適合する程度)によって、レーザーレーダーが干渉されているか否かを判断し、また、レーダーエコー中の干渉信号の分布に基づいて、次の送信時に時間間隔エンコーディングの設定を調整する。レーザーレーダーが干渉されていると判断した後に、レーダーエコー中の干渉されていない時間セグメントを利用して改めてエンコーディング設定を行い、次の動作周期内で、相対的に規則的、且つ固定的な信号干渉を効果的に回避でき、レーザーレーダーの探知性能を向上させる。また、エンコーディングが動的に設定されるため、有効信号が常に強い干渉の影響下にあることによるレーダーエコー信号の完全なミッシングを回避することができる。
【0085】
最後に、説明すべきこととして、以上の記載は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、前記実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、依然として前記各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又はその一部の技術的特徴に対して同等な置換を行うことができる。本発明の趣旨と原則内に行った修正、同等な置換、改良等は、全て本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【国際調査報告】