(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】殺夾雑活性を低下させた免疫細胞を工学的に作製する方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20240327BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20240327BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240327BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240327BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240327BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240327BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240327BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240327BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240327BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240327BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240327BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240327BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20240327BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240327BHJP
A61P 5/16 20060101ALI20240327BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240327BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20240327BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240327BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20240327BHJP
C12N 15/867 20060101ALN20240327BHJP
C12N 15/861 20060101ALN20240327BHJP
C12N 15/864 20060101ALN20240327BHJP
【FI】
C12N5/10
C12N5/0783
A61P35/00
A61K35/17
A61P35/02
A61P37/02
A61P3/10
A61P25/00
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P17/06
A61P1/04
A61P21/04
A61P9/00
A61P5/16
A61P37/06
C12N15/12 ZNA
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/867 Z
C12N15/861 Z
C12N15/864 100Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564432
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 US2022071845
(87)【国際公開番号】W WO2022226522
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391058060
【氏名又は名称】ベイラー カレッジ オブ メディスン
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR COLLEGE OF MEDICINE
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マモンキン、マクシム
(72)【発明者】
【氏名】渡部 紀宏
(72)【発明者】
【氏名】モー、フェイイェン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA92X
4B065AA94X
4B065AB01
4B065BA03
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
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4C087MA66
4C087NA14
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4C087ZA66
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4C087ZA96
4C087ZB07
4C087ZB08
4C087ZB15
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC06
4C087ZC35
(57)【要約】
【要約】
本開示の実施形態には、免疫細胞によって発現される特定の操作された抗原受容体を用いた抗原発現細胞の標的化に関連する方法及び組成物が含まれる。具体的な実施形態において、特定の抗原受容体構築物を発現するように特異的に遺伝子操作された免疫細胞は、キナーゼ阻害剤の存在下で培養され、キナーゼ阻害剤の非存在下で培養された免疫細胞と比較して減少した殺夾雑活性を示す。いくつかの実施形態において、殺夾雑活性が低下した遺伝子操作免疫細胞は、対象の疾患を治療するために使用され、遺伝子操作免疫細胞の殺夾雑活性性は、疾患細胞の実質的な除去後にin vivoで回復し、その結果、遺伝子操作免疫細胞は除去される。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の複数のキメラ抗原受容体(CAR)及び/又はT細胞受容体(TCR)を含む、有効量の遺伝子操作免疫細胞集団を含む組成物であって、
遺伝子操作された免疫細胞の集団又はそのサブセットは、1つ以上のCAR及び/又はTCRが特異的に結合する1つ以上の標的抗原を発現し、
遺伝子操作された免疫細胞の集団又はそのサブセットによって発現される1つ以上の標的抗原の、1つ以上のCAR及び/又はTCRによる結合の際の、1つ以上のCAR及び/又はTCRによるシグナル伝達が、1つ以上のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の存在下での、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように操作された免疫細胞の集団及び/又は遺伝子操作された免疫細胞の集団の培養の際に減少する、ならびに
、
1つ以上のCAR及び/又はTCRによるシグナル伝達の減少は、1つ以上のTKIの非存在下で培養された遺伝子改変免疫細胞と比較して、遺伝子改変免疫細胞の集団又はそのサブセットによる免疫細胞の活性化、分化、及び/又は殺夾雑(fratricide)を減少させる、組成物
【請求項2】
免疫細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、骨髄球、B細胞、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
免疫細胞は、T細胞を含む、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
免疫細胞は、NK細胞を含む、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
免疫細胞は、骨髄系細胞を含む、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
免疫細胞は、B細胞を含む、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
1つ以上の標的抗原は、免疫細胞により発現される1つ以上の内因性遺伝子産物を含む、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
1つ以上の標的抗原は、CD2、CD5、CD7、CD4、CD8、CD3、CS1、CD38、CD99、CD30、4-1BB、OX40、ICOS、CD26、CD6、TIGIT、PD-1、2B4、LAG-3、MHC-I、MHC-II、ペプチド-MHC I、ペプチド-MHC II、Tim3、CTLA-4、CD112R、CD226、CD96、CD80、CD86、CD112、CD155、KIR2、KIR3、LILRB、CD28、CD40L、CD40、BTLA、GITR、VISTA、NKG2Dリガンド、又は、CD70を含む、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
1つ以上の標的抗原は、トロゴサイトーシス(trogocytosis)により獲得され、免疫細胞により発現される1つ以上の抗原を含む、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
1つ以上のCAR及び/又はTCRは、1つ以上の標的抗原に対する特異性を有する1つ以上の抗体又はそのフラグメントを含む、請求項1~9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
抗体又はそのフラグメントが、scFvモノクローナル抗体、ナノボディ/VHHオンリー配列(nanobodies/VHH-only sequences)、フィブロネクチン由来結合ドメイン、DARPIN、又は天然リガンドである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
1つ以上のCARは、IgG、CD3、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、4-1BB、OX40、T-細胞受容体α若しくはβ鎖、ICOS、又はそれらの組み合わせ由来の配列を含む、ヒンジ又はスペーサーを含む、請求項1~11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
1つ以上のCARは、IgG由来の配列を含むヒンジ又はスペーサーを含む、請求項1~12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
1つ以上のCARは、IgG4由来の配列を含むヒンジを含む、請求項1~13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
1つ以上のCARは、IgG1由来の配列を含むスペーサーを含む、請求項1~14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
1つ以上のCARは、C
H3 IgG1スペーサーを含む、請求項1~15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
1つ以上のCARは、CD2、CD3ζ、CD3d、CD3e、CD3g、Fc受容体、CD79a、CD79b、CLEC-2、CD7、LFA-1(CD11a/CD18)、CD27、CD28、CD30、CD40、4-1BB(CD137)、CD278、2B4、DNAM-1、OX40、NKG2C、NKG2D、DAP10、DAP12、B7-1/CD80、CD28、4-1BBL、B7-2/CD86、CTLA-4、B7-H1/PD-L1、ICOS、B7-H2、PD-l、B7-H3、PD-L2、B7-H4、PDCD6、HVEM、LIGHT、ICAM-1、BTLA、GITR、又は、それらの組み合わせからの1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む、請求項1~16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
1つ以上のCARは、CD3ζ、CD28、4-1BB、又はそれらの組み合わせからの1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む、請求項1~17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
1つ以上のCAR及び/又はTCRは、1つ以上の単離された核酸配列によってコードされる、請求項1~18のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
1つ以上の単離された核酸配列は、1つ以上の発現ベクター中に含まれる、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
1つ以上の発現ベクターは、レンチウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、又は、それらの組み合わせである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
1つ以上のTKIは、1つ以上のSrcキナーゼ阻害剤を含む、請求項1~21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
1つ以上のTKIは、ダサチニブ、イブルチニブ、pp2、パゾパニブ、ゲフィチニブ、又は、それらの組み合わせを含む、請求項1~22のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
1つ以上のTKIの少なくとも1つは、ダサチニブを含む、請求項1~23のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
1つ以上のTKIの少なくとも1つは、イブルチニブを含む、請求項1~23のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
1つ以上のTKIは、ダサチニブ及びイブルチニブを含む、請求項1~25のいずれかに記載の組成物。
【請求項27】
遺伝子操作された免疫細胞の集団又はそのサブセットにおける1つ以上の内因性遺伝子が阻害されない、請求項1~26のいずれかに記載の組成物。
【請求項28】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項1~27のいずれかに記載の組成物。
【請求項29】
遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団を作製する方法であって、培養中の免疫細胞の集団を1つ以上のTKIで操作して、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させ、遺伝子工学的に操作された免疫細胞を産生することを含み、産生された遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団又はそのサブセットは、1つ以上のTKIの非存在下で培養された遺伝子工学的に操作された免疫細胞と比較して、培養中の夾雑物除去活性が低下している、方法。
【請求項30】
免疫細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、骨髄系細胞、B細胞、又は、それらの混合物を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
免疫細胞は、T細胞を含む、請求項29又は請求項30に記載の方法。
【請求項32】
免疫細胞は、NK細胞を含む、請求項29又は請求項30に記載の方法。
【請求項33】
免疫細胞は、骨髄系細胞を含む、請求項29又は請求項30に記載の組成物。
【請求項34】
免疫細胞は、B細胞を含む、請求項29又は請求項30に記載の組成物。
【請求項35】
遺伝子操作された免疫細胞の集団又はそのサブセットが、1つ以上のCAR及び/又はTCRが特異的に結合する1つ以上の標的抗原を発現する、請求項29~34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
遺伝子操作された免疫細胞の集団又はそのサブセットにより発現される1つ以上の標的抗原の1つ以上のCAR及び/又はTCRによる結合の際の1つ以上のCAR及び/又はTCRによるシグナル伝達は、1つ以上のTKIの存在下での免疫細胞及び遺伝子操作された免疫細胞の集団の培養により減少する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
1つ以上のCAR及び/又はTCRによるシグナル伝達の減少は、1つ以上の複数のTKIの非存在下で培養された遺伝子改変免疫細胞と比較して、培養中の遺伝子改変免疫細胞の増殖中に、遺伝子改変免疫細胞の集団又はそのサブセットによる免疫細胞の活性化、分化、及び/又はフラトリシドを減少させる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
1つ以上の標的抗原が、免疫細胞によって発現される1つ以上の内因性遺伝子産物を含む、請求項29~37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
つ以上の標的抗原は、CD2、CD5、CD7、CD4、CD8、CD3、CS1、CD38、CD99、CD30、4-1BB、OX40、ICOS、CD26、CD6、TIGIT、PD-1、2B4、LAG-3、MHC-I、MHC-II、ペプチド-MHC I、ペプチド-MHC II、Tim3、CTLA-4、CD112R、CD226、CD96、 CD80、CD86、CD112、CD155、KIR2、KIR3、LILRB、CD28、CD40L、CD40、BTLA、GITR、VISTA、NKG2Dリガンド、又は、CD70を含む、請求項35~38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
1つ以上の標的抗原は、トロゴサイトーシスを介して獲得され、免疫細胞によって発現される1つ以上の抗原を含む、請求項29~37のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
1つ以上のCAR及び/又はTCRは、1つ以上の標的抗原に対する特異性を有する1つ以上の抗体又はそのフラグメントを含む、請求項29~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
抗体又はそのフラグメントは、scFvモノクローナル抗体、ナノボディ/VHHオンリー配列、フィブロネクチン由来結合ドメイン、DARPIN、又は、天然リガンドである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
1つ以上のCARは、IgG、CD3、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、4-1BB、OX40、T-細胞受容体α若しくはβ鎖、CD3ζ鎖、ICOS、又は、それらの組み合わせ由来の配列を含む、ヒンジ又はスペーサーを含む、請求項29~42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
1つ以上のCARは、IgG4由来の配列を含むヒンジを含む、請求項29~43のいずれかに記載の組成物。
【請求項45】
1つ以上のCARは、IgG由来の配列を含むスペーサーを含む、請求項29~44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
1つ以上のCARは、IgG1由来の配列を含むスペーサーを含む、請求項29~45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
1つ以上のCARは、C
H3 IgG1スペーサーを含む、請求項29~46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
1つ以上のCARは、CD2、CD3ζ、CD3d、CD3e、CD3g、Fc受容体、CD79a、CD79b、CLEC-2、CD7、LFA-1(CD11a/CD18)、CD27、CD28、CD30、CD40、4-1BB(CD137)、CD278、2B4、DNAM-1、OX40、NKG2C、NKG2D、DAP10、DAP12、B7-1/CD80、CD28、4-1BBL、B7-2/CD86、CTLA-4、B7-H1/PD-L1、ICOS、B7-H2、PD-l、B7-H3、PD-L2、B7-H4、PDCD6、HVEM、LIGHT、ICAM-1、BTLA、GITR、又は、それらの組み合わせからの1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む、請求項29~47のいずれかに記載の方法
【請求項49】
1つ以上のCARは、CD3ζ、CD28、4-1BB、又は、それらの組み合わせからの1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む、請求項29~48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
培養中の1つ以上のTKIの各々の濃度は、0.01μM~10μMである、請求項35~49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
培養物中の1つ以上のTKIの各々の濃度は、0.1μM~1μMである、請求項35~50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
1つ以上のTKIは、1つ以上のSrcキナーゼ阻害剤を含む、請求項35~51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
1つ以上のTKIは、ダサチニブ、イブルチニブ、pp2、パゾパニブ、ゲフィチニブ、又は、それらの組み合わせを含む、請求項35~52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記1つ以上のTKIの少なくとも1つは、ダサチニブを含む、請求項35~53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
1つ以上のTKIの少なくとも1つは、イブルチニブを含む、請求項35~53のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
1つ以上のTKIは、ダサチニブ及びイブルチニブを含む、請求項35~55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
培養物中のダサチニブの濃度は、0.5μMである、請求項53~56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
培養物中のイブルチニブの濃度は、0.2μMである、請求項53~57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
1つ以上のTKIは、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞集団を操作する0~7日前に培養物に添加される、請求項35~58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
1つ以上のTKIは、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させる免疫細胞集団の操作の0~5日前に培養物に添加される、請求項35~59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
1つ以上のTKIは、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させる免疫細胞集団の操作の0~3日前に培養物に添加される、請求項35~60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
免疫細胞集団は、1つ以上のCAR及び/又はTCRをコードする1つ以上の単離された核酸配列を含む1つ以上の発現ベクターを用いて、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように操作される、請求項35~61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記1つ以上の発現ベクターは、レンチウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、又は、それらの組み合わせである、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
遺伝子操作された免疫細胞の集団を産生するために1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作する前に、1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞の集団を拡大することをさらに含む、請求項35~63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
免疫細胞の集団を操作して1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させた後に、1つ以上のTKIを用いて培養中の遺伝子改変免疫細胞の集団を拡大することをさらに含む、請求項35~64のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
遺伝子操作された免疫細胞の集団を産生するために、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作する前に、免疫細胞の集団を活性化することをさらに含む、請求項35~65のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
培養中、1、2、3、4、又は5日ごとに培養物中の1つ以上のTKIを補充することをさらに含む、請求項35~66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
培養中、1つ以上のTKIが、毎日培養物中に補充される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
1つ以上のTKIが、培養中2日ごとに培養物中に補充される、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記1つ以上のTKIが、培養中3日ごとに培養物中に補充される、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
1つ以上のTKIが、培養中4日ごとに培養物中に補充される、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
1つ以上のTKIが、培養中5日ごとに培養物中に補充される、請求項67に記載の方法。
【請求項73】
遺伝子操作された免疫細胞を産生するために、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作してから1~21日の間に、1つ以上のTKIの遺伝子操作された免疫細胞の集団を枯渇させることをさらに含む、請求項35~72のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
遺伝子工学的に作製された免疫細胞の集団を産生するために1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作してから1~14日の間に、遺伝子工学的に作製された免疫細胞の集団から1つ以上のTKIを枯渇させる、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
遺伝子改変免疫細胞の集団が、遺伝子改変免疫細胞の集団を産生するために1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作してから1~7日の間に、1つ以上のTKIを枯渇させる、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
遺伝子改変免疫細胞の集団を順次培地洗浄することにより1つ以上のTKIを枯渇させる、請求項73~75のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
遺伝子操作された免疫細胞の集団の2、3、4、5、又は6回の連続洗浄を行う、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
遺伝子操作された細胞の集団の4回の連続洗浄を行う、請求項76又は請求項77に記載の方法。
【請求項79】
遺伝子改変細胞の集団を凍結保存することをさらに含む、請求項35~78のいずれかに記載の方法。
【請求項80】
遺伝子改変細胞の集団を、1つ以上のTKIの遺伝子改変細胞の集団を枯渇させた後に凍結保存する、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
免疫細胞及び/又は遺伝子操作細胞集団又はそのサブセットにおける1つ以上の内因性遺伝子が阻害されない、請求項35~80のいずれかに記載の方法。
【請求項82】
請求項35~81のいずれかに記載の方法により産生された、遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団。
【請求項83】
疾患細胞を死滅させる方法であって、請求項1~29のいずれかに記載の組成物又は請求項82に記載の遺伝子操作免疫細胞集団と疾患細胞を接触させることを含む方法。
【請求項84】
疾患細胞は、癌細胞である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
癌は、T-ALL、T細胞リンパ腫、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、又は固形腫瘍を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
疾患細胞は、感染症微生物に感染した細胞である、請求項83に記載の方法。
【請求項87】
罹患細胞は、免疫障害に罹患した細胞である、請求項83記載の方法。
【請求項88】
対象において癌を治療する方法であって、治療有効量の請求項1~29のいずれかに記載の組成物又は請求項82に記載の遺伝子操作された免疫細胞の集団を、それを必要とする対象に投与することを含む方法であって、
1つ以上のCAR及び/又はTCRが特異的に結合する1つ以上の標的抗原は、in vivoで癌細胞により発現され、1つ以上のCAR及び/又はTCRが、in vivoで癌細胞により発現される1つ以上の標的抗原に特異的に結合し、そして1つ以上のCAR及び/又はTCRが、in vivoで癌細胞により発現される1つ以上の標的抗原に結合することが、癌細胞の排除をもたらす、方法。
【請求項89】
対象に投与される遺伝子操作免疫細胞の量は、対象の体重1kgあたり約10
4個から約10
8個の範囲である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
請求項88又は請求項89に記載の方法であって、請求項1~29のいずれかに記載の組成物又は請求項82に記載の遺伝子操作された免疫細胞の集団を、注入、静脈内、腹腔内、筋肉内、内視鏡的、経皮的、皮下、局所的、頭蓋内、直接注射、又は灌流により対象に投与する、方法。
【請求項91】
遺伝子操作された免疫細胞の集団の殺胞活性は、癌細胞の実質的な除去後にin vivoで回復する、請求項88~90のいずれかに記載の方法。
【請求項92】
遺伝子操作された免疫細胞の集団の殺餓死活性の回復は、遺伝子操作された免疫細胞の排除をもたらす、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
癌は、骨髄性悪性腫瘍、リンパ性悪性腫瘍、及び/又は固形腫瘍である、請求項88~92のいずれかに記載の方法。
【請求項94】
癌は、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)又はT細胞リンパ腫である、請求項88~93のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
対象における免疫障害を治療する方法であって、治療有効量の請求項1~29のいずれかに記載の組成物又は請求項82に記載の遺伝子操作された免疫細胞の集団を、それを必要とする対象に投与することを含む方法であって、
1つ以上のCAR及び/又はTCRが特異的に結合する1つ以上の標的抗原は、in vivoで免疫細胞によって発現され、
1つ以上のCAR及び/又はTCRは、in vivoで免疫細胞によって発現される1つ以上の標的抗原に特異的に結合し、そして、
1つ以上のCAR及び/又はTCRは、in vivoで免疫細胞により発現される1つ以上の標的抗原に結合することにより、免疫細胞が排除される、方法。
【請求項96】
対象に投与される遺伝子操作免疫細胞の量は、対象の体重1kg当たり約10
4個から約10
8個の範囲である、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
請求項95又は請求項97に記載の方法であって、請求項1~29のいずれかに記載の組成物又は請求項82に記載の遺伝子操作された免疫細胞の集団を、注入、静脈内、腹腔内、筋肉内、内視鏡的、経皮的、皮下、局所的、頭蓋内、直接注射、又は灌流により対象に投与する、方法。
【請求項98】
遺伝子操作された免疫細胞の集団の殺夾雑活性は、免疫細胞の実質的な除去後にin vivoで回復する、請求項95~97のいずれかに記載の方法。
【請求項99】
遺伝子操作された免疫細胞の集団の殺夾雑活性の回復は、遺伝子操作された免疫細胞の排除をもたらす、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
免疫疾患は、自己免疫疾患又は同種免疫疾患である、請求項95~99のいずれかに記載の方法。
【請求項101】
自己又は自己免疫疾患は、移植片対宿主病、1型糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、乾癬、バセドウ病、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、及び/又は血管炎である、請求項95~100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
1つ以上のキメラ抗原受容体(CAR)及び/又はT細胞受容体(TCR)を含む遺伝子操作免疫細胞の集団を有効量含む組成物であって、前記組成物は、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞の集団を操作して遺伝子操作免疫細胞の集団を産生することにより製造され、
遺伝子操作された免疫細胞の集団又はそのサブセットは、1つ以上のCAR及び/又はTCRが特異的に結合する1つ以上の標的抗原を発現し、
遺伝子操作された免疫細胞の集団又はそのサブセットが発現する1つ以上の標的抗原の、1つ以上のCAR及び/又はTCRによる結合に伴う、1つ以上のCAR及び/又はTCRによるシグナル伝達は、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように操作された免疫細胞及び/又は遺伝子操作された免疫細胞の集団を1つ以上のTKIの存在下で培養することにより減少し、及び、
1つ以上のCAR及び/又はTCRによるシグナル伝達の減少は、1つ以上のTKIの非存在下で培養された遺伝子改変免疫細胞と比較して、遺伝子改変免疫細胞の集団又はそのサブセットによる免疫細胞の活性化、分化、及び/又はフラトリサイドを減少させる、組成物。
【請求項103】
免疫細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、骨髄系細胞、B細胞、又はそれらの混合物を含む、請求項102に記載の組成物。
【請求項104】
免疫細胞は、T細胞を含む、請求項102又は請求項103に記載の組成物。
【請求項105】
免疫細胞は、NK細胞を含む、請求項102又は請求項103に記載の組成物。
【請求項106】
免疫細胞は、骨髄系細胞を含む、請求項102又は請求項103に記載の組成物。
【請求項107】
免疫細胞は、B細胞を含む、請求項102又は請求項103に記載の組成物。
【請求項108】
1つ以上の標的抗原は、免疫細胞により発現される1つ以上の内因性遺伝子産物を含む、請求項102~107のいずれかに記載の組成物。
【請求項109】
前記1つ以上の標的抗原は、CD2、CD5、CD7、CD4、CD8、CD3、CS1、CD38、CD99、CD30、4-1BB、OX40、ICOS、CD26、CD6、TIGIT、PD-1、2B4、LAG-3、MHC-I、MHC-II、ペプチド-MHC I、ペプチド-MHC II、Tim3、CTLA-4、CD112R、CD226、CD96、CD80、CD86、CD112、CD155、KIR2、KIR3、LILRB、CD28、CD40L、CD40、BTLA、GITR、VISTA、NKG2Dリガンド、又は、CD70を含む、請求項108に記載の組成物。
【請求項110】
1つ以上の標的抗原は、トロゴサイトーシスを介して獲得され、免疫細胞によって発現される1つ以上の抗原を含む、請求項102~105のいずれかに記載の組成物。
【請求項111】
1つ以上のCAR及び/又はTCRは、1つ以上の標的抗原に対する特異性を有する1つ以上の抗体又はそのフラグメントを含む、請求項102~110のいずれかに記載の組成物。
【請求項112】
抗体又はそのフラグメントは、scFvモノクローナル抗体、ナノボディ/VHHオンリー配列、フィブロネクチン由来結合ドメイン、DARPIN、又は天然リガンドである、請求項111に記載の組成物。
【請求項113】
1つ以上のCARは、IgG、CD3、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、4-1BB、OX40、T-細胞受容体α鎖若しくはβ鎖、CD3ζ鎖、ICOS、又は、それらの組み合わせ由来の配列を含む、ヒンジ又はスペーサーを含む、請求項102~112のいずれかに記載の組成物。
【請求項114】
1つ以上のCARは、IgG4由来の配列を含むヒンジを含む、請求項102~113のいずれかに記載の組成物。
【請求項115】
1つ以上のCARは、IgG由来の配列を含むスペーサーを含む、請求項102~114のいずれかに記載の組成物。
【請求項116】
1つ以上のCARは、IgG1由来の配列を含むスペーサーを含む、請求項102~115のいずれかに記載の組成物。
【請求項117】
1つ以上のCARは、C
H3 IgG1スペーサーを含む、請求項102~116のいずれかに記載の組成物。
【請求項118】
1つ以上のCARは、CD2、CD3ζ、CD3d、CD3e、CD3g、Fc受容体、CD79a、CD79b、CLEC-2、CD7、LFA-1(CD11a/CD18)、CD27、CD28、CD30、CD40、4-1BB(CD137)、CD278、2B4、DNAM-1、OX40、NKG2C、NKG2D、DAP10、DAP12、B7-1/CD80、CD28、4-1BBL、B7-2/CD86、CTLA-4、B7-H1/PD-L1、ICOS、B7-H2、PD-l、B7-H3、PD-L2、B7-H4、PDCD6、HVEM、LIGHT、ICAM-1、BTLA、GITR、又は、それらの組み合わせからの1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む、請求項102~117のいずれかに記載の組成物。
【請求項119】
1つ以上のCARは、CD3ζ、CD28、4-1BB、又は、それらの組み合わせからの1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む、請求項102~118のいずれかに記載の組成物。
【請求項120】
1つ以上のCAR及び/又はTCRは、1つ以上の単離された核酸配列によってコードされる、請求項102~119のいずれかに記載の組成物。
【請求項121】
前記1つ以上の単離された核酸配列は、1つ以上の発現ベクター中に含まれる、請求項120に記載の組成物。
【請求項122】
1つ以上の発現ベクターは、レンチウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、又は、それらの組み合わせである、請求項121に記載の組成物。
【請求項123】
培養物中の1つ以上のTKIの各々の濃度は、0.01μM~10μMである、請求項102~122のいずれかに記載の組成物。
【請求項124】
培養物中の1つ以上のTKIの各々の濃度は、0.1μM~1μMである、請求項102~123のいずれかに記載の組成物。
【請求項125】
1つ以上のTKIは、ダサチニブ、イブルチニブ、pp2、パゾパニブ、ゲフィチニブ、又はそれらの組み合わせを含む、請求項102~124のいずれかに記載の組成物。
【請求項126】
前記1つ以上のTKIの少なくとも1つは、ダサチニブを含む、請求項102~125のいずれかに記載の組成物。
【請求項127】
1つ以上のTKIの少なくとも1つは、イブルチニブを含む、請求項102~125のいずれかに記載の組成物。
【請求項128】
1つ以上のTKIは、ダサチニブ及びイブルチニブを含む、請求項102~127のいずれかに記載の組成物。
【請求項129】
培養中のダサチニブの濃度は、0.5μMである、請求項125~128のいずれかに記載の組成物。
【請求項130】
培養物中のイブルチニブの濃度は、0.2μMである、請求項125~129のいずれかに記載の組成物。
【請求項131】
1つ以上のTKIは、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞集団を操作する0~7日前に培養物に添加される、請求項102~130のいずれかに記載の組成物。
【請求項132】
1つ以上のTKIは、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させる免疫細胞集団の操作の0~5日前に培養物に添加される、請求項102~131のいずれかに記載の組成物。
【請求項133】
1つ以上のTKIは、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させる免疫細胞集団の操作の0~3日前に培養物に添加される、請求項102~132のいずれかに記載の組成物。
【請求項134】
免疫細胞集団は、1つ以上のCAR及び/又はTCRをコードする1つ以上の単離された核酸配列を含む1つ以上の発現ベクターを用いて、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように操作される、請求項102~133のいずれかに記載の組成物。
【請求項135】
1つ以上の発現ベクターは、レンチウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、又は、それらの組み合わせである、請求項134に記載の組成物。
【請求項136】
遺伝子操作された免疫細胞の集団を産生するために1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作する前に、1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞の集団を拡大することをさらに含む、請求項102~135のいずれかに記載の組成物。
【請求項137】
免疫細胞の集団を操作して1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させた後、培養中の遺伝子操作された免疫細胞の集団を1つ以上のTKIで拡大することをさらに含む、請求項102~136のいずれかに記載の組成物。
【請求項138】
遺伝子改変免疫細胞の集団を産生するために、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作する前に、免疫細胞の集団を活性化することをさらに含む、請求項102~137のいずれかに記載の組成物。
【請求項139】
培養中、1、2、3、4、又は5日ごとに培養物中の1つ以上のTKIを補充することをさらに含む、請求項102~138のいずれかに記載の組成物。
【請求項140】
培養中、1つ以上のTKIが毎日培養物中に補充される、請求項139に記載の組成物。
【請求項141】
1つ以上のTKIが、培養中2日ごとに培養物中に補充される、請求項139に記載の組成物。
【請求項142】
1つ以上のTKIが、培養中3日ごとに培養物中に補充される、請求項139に記載の組成物。
【請求項143】
1つ以上のTKIが、培養中4日ごとに培養物中に補充される、請求項139に記載の組成物。
【請求項144】
1つ以上のTKIが、培養中5日ごとに培養物中に補充される、請求項139に記載の組成物。
【請求項145】
遺伝子操作された免疫細胞の集団を産生するために、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作してから1~21日の間に、1つ以上のTKIの遺伝子操作された免疫細胞の集団を枯渇させることをさらに含む、請求項102~144のいずれかに記載の組成物。
【請求項146】
遺伝子改変免疫細胞の集団を産生するために、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作してから1~14日の間に、遺伝子改変免疫細胞の集団から1つ以上のTKIを枯渇させる、請求項145に記載の組成物。
【請求項147】
遺伝子改変免疫細胞の集団が、遺伝子改変免疫細胞の集団を産生するために1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作してから1~7日の間に、1つ以上のTKIから枯渇する、請求項145に記載の組成物。
【請求項148】
遺伝子改変免疫細胞の集団を順次培地洗浄して1つ以上のキナーゼ阻害剤を枯渇させる、請求項145~147のいずれかに記載の組成物。
【請求項149】
遺伝子操作免疫細胞の集団の2、3、4、5、又は6回の連続洗浄が実施される、請求項148に記載の組成物。
【請求項150】
遺伝子操作免疫細胞の集団の4回の連続洗浄が行われる、請求項148又は請求項149に記載の組成物。
【請求項151】
遺伝子操作免疫細胞の集団を凍結保存することをさらに含む、請求項102~150のいずれかに記載の組成物。
【請求項152】
遺伝子改変免疫細胞の集団を、1つ以上のTKIから遺伝子改変免疫細胞の集団を枯渇させた後に凍結保存する、請求項151に記載の組成物。
【請求項153】
免疫細胞及び/又は遺伝子操作免疫細胞における1つ以上の内因性遺伝子が阻害されない、請求項102~152のいずれかに記載の組成物。
【請求項154】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項102~153のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年4月22日に出願された米国仮出願番号63/178,351の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示の局面は、一般に、少なくとも細胞生物学、分子生物学、免疫学、及び癌医学を含む医学の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
キメラ抗原受容体(CAR)修飾T細胞は、治療抵抗性のB系統悪性腫瘍患者に有効であるが、その一因は、重要な組織では発現されない標的抗原を悪性細胞が高発現することにある。このアプローチを他の抗原に拡大することは、しばしば“オンターゲット、オフターマー”毒性によって複雑になり、これらの治療の安全性を損なう。例えば、T細胞白血病やリンパ腫に特異的な抗原で、CAR T細胞自身を含めて正常T細胞に実質的なダメージを与えずに標的とできるものはほとんどない。
【0004】
免疫細胞抗原を標的とする抗原レセプターの発現は、しばしば免疫細胞のfulminant fratricide(自己標的化、殺夾雑活性)を引き起こし、その結果、免疫細胞の膨張が損なわれ、細胞の急速な消耗が促進され、最適な効力以下の細胞産物が得られる。この制限のために、多くの場合、CRISPR/Cas9を介した遺伝子編集や、標的抗原の輸送を阻害したり外部からの認識をマスクしたりするための高度な受容体システムなど、追加の工学的戦略を実施する必要がある。このような操作の結果、毒性が追加されたり、製造の複雑さやコストが増加したりすることが多く、また、系統抗原の発現を欠く免疫細胞の機能性が低下することもある。
【0005】
本開示は、特定の実施形態において、遺伝子工学的免疫細胞の活性化、分化、及び/又は殺夾雑活性、遺伝子工学的免疫細胞の膨張の障害、及び/又は急速な遺伝子工学的免疫細胞の消耗を低減するために、追加の免疫細胞工学的戦略を用いることなく生成された養子細胞療法用の機能的遺伝子工学的免疫細胞に関する方法及び組成物に関する。
【発明の概要】
【0006】
本開示の態様は、養子細胞療法を強化する方法及び組成物に向けられている。特定の実施形態において、方法及び組成物は、養子細胞療法の免疫細胞の増殖を増強することによって、細胞療法の免疫細胞を保護することによって、及び/又は,免疫細胞療法の標的ではない細胞を保護することによって、養子細胞療法を増強する。
【0007】
本開示は、さらなる工学的操作を必要とすることなく、夾雑抗原受容体を発現する培養免疫細胞の自己標的化を最小化することを指向する方法及び組成物に関する。遺伝子工学的に操作された免疫細胞は、少なくとも1つの遺伝子工学的に操作された抗原標的化レセプター、例えば、少なくとも1つの活性化シグナル伝達ドメインを含む1つ以上のキメラ抗原レセプター及び/又は1つ以上のT細胞レセプターを有するあらゆる種類の免疫細胞であり得る。本方法は、例えば1つ以上のチロシンキナーゼ阻害剤を用いて、遺伝子操作された受容体によるシグナル伝達を可逆的に薬理学的に遮断することに依存する。いくつかの実施形態では、これらの化合物の存在下で培養中の遺伝子操作免疫細胞を増殖させると、遺伝子操作受容体によるシグナル伝達を阻害することにより、自己指向性の殺傷が最小化される。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の細胞毒性は、例えば、それを必要とする被験体への投与後、阻害剤を除去すると完全に回復する。
【0008】
本開示の実施形態は、免疫細胞;α-βT細胞、γ-δT細胞を含むT細胞、ナチュラルキラーT細胞及び粘膜関連不変性T細胞;ナチュラルキラー(NK)細胞;顆粒球及び単球を含む骨髄系細胞;B細胞;標的抗原;癌細胞抗原;感染症抗原;免疫疾患抗原;抗原標的化レセプター;癌細胞抗原標的化CAR、感染症抗原標的化CAR、及び/又は免疫疾患抗原標的化CARを含む、キメラ抗原レセプター(CAR);がん細胞抗原標的TCR、感染症抗原標的TCR、及び/又は、免疫疾患抗原標的TCRを含む、T細胞受容体(TCR);遺伝子操作免疫細胞;遺伝子操作T細胞;遺伝子操作NK細胞;遺伝子操作骨髄細胞;遺伝子操作B細胞;免疫細胞培養;免疫細胞活性化;免疫細胞拡大;免疫細胞選択;遺伝子操作免疫細胞培養;遺伝子操作免疫細胞活性化;遺伝子操作免疫細胞拡大;遺伝子操作免疫細胞選択;T細胞培養;T細胞活性化;T細胞拡大;T細胞選択;遺伝子操作によるT細胞培養;遺伝子操作によるT細胞活性化;遺伝子操作によるT細胞拡大;遺伝子操作によるT細胞選択;T細胞培養;NK細胞活性化;NK細胞拡大;NK細胞選択;遺伝子操作NK細胞培養;遺伝子操作NK細胞活性化;遺伝子操作NK細胞拡大;遺伝子操作によるNK細胞の選択;骨髄細胞の活性化;骨髄細胞の拡大;骨髄細胞の選択;遺伝子操作による骨髄細胞の培養;遺伝子操作による骨髄細胞の活性化;遺伝子操作による骨髄細胞の拡大;遺伝子操作による骨髄細胞の選択;B細胞活性化;B細胞拡大;B細胞選択;遺伝子操作によるB細胞培養;遺伝子操作によるB細胞活性化;遺伝子操作によるB細胞拡大;遺伝子操作によるB細胞選択;キナーゼ阻害剤;チロシンキナーゼ阻害剤;ダサチニブ;イブルチニブ;pp2;パゾパニブ;ゲフィチニブ;ポリペプチド;核酸;ベクター;細胞;医薬組成物;キット;遺伝子操作された免疫細胞による免疫細胞の活性化、分化及び/又はフラトリシドを低減するための方法;免疫細胞の活性化、分化、及び/又は餓死活性が低減された、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現する遺伝子工学的免疫細胞集団を含む、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現する遺伝子工学的免疫細胞を作製する方法;1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現する遺伝子工学的T細胞による免疫細胞の活性化、分化、及び/又は餓死を低減する方法;減少した殺胞活性を有する、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現する遺伝子改変T細胞集団を含む、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現する遺伝子改変T細胞を作製する方法;1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現する遺伝子改変NK細胞による免疫細胞の活性化、分化、及び/又は殺胞を減少させる方法;1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現する遺伝子改変NK細胞を作製する方法であって、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現する遺伝子改変NK細胞の集団を含み、殺淋病活性が低下している方法;1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現する遺伝子操作された骨髄系細胞による免疫細胞の活性化、分化、及び/又は餓死を減少させる方法;餓死活性が減少した1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現する遺伝子操作された骨髄系細胞の集団を含む、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現する遺伝子操作された骨髄系細胞を作製する方法;1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現する遺伝子改変B細胞による免疫細胞の活性化、分化、及び/又は夾雑物を減少させる方法;1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現する遺伝子改変B細胞の集団を含む、夾雑物除去活性を減少させた1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現する遺伝子改変B細胞を作製する方法;免疫細胞を操作して1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させる方法;T細胞を操作して1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させる方法;NK細胞を操作して1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させる方法;骨髄細胞を操作して1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させる方法;B細胞を操作して1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させる方法;癌の治療、予防及び/又は重症度軽減のための方法及び組成物;骨髄細胞を操作して1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させる方法;B細胞を操作して1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させる方法;癌の治療、予防及び/又は重症度軽減のための方法及び組成物;感染症の治療、予防及び/又は重症度軽減のための方法及び組成物;及び/又は、免疫疾患の重症度を治療、予防、及び/又は、軽減するための方法及び組成物を含む。
【0009】
本開示の方法は、以下の工程の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上を含み得る:
【0010】
被験体から試料を採取する工程;被験体が癌であると診断する工程;被験体が感染症であると診断する工程;被験体が免疫障害であると診断する工程;1つ以上のCAR及び/又は1つ以上のTCRを含む1つ以上の抗原標的化レセプターを発現するように操作された免疫細胞の集団を含む免疫細胞を被験体に投与する工程;1つ以上のCAR及び/又は1つ以上のTCRを含む1つ以上の抗原標的化レセプターを発現するように操作されたT細胞の集団を含むT細胞を被験体に投与する工程;NK細胞(1つ以上のCAR及び/又は1つ以上のTCRを含む1つ以上の抗原標的化レセプターを発現するように操作されたNK細胞の集団を含む);骨髄細胞(1つ以上のCAR及び/又は1つ以上のTCRを含む1つ以上の抗原標的化レセプターを発現するように操作された骨髄細胞の集団を含む);B細胞(1つ以上のCAR及び/又は1つ以上のTCRを含む1つ以上の抗原標的化受容体を発現するように操作されたB細胞の集団を含む)を被験者に投与すること;代替療法を被験者に提供すること;及び2つ以上の種類の療法を被験者に提供すること;
【0011】
免疫細胞の集団を含む免疫細胞を培養において拡大すること;免疫細胞の集団を含む免疫細胞を、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤とともに培養において拡大すること;遺伝子操作された免疫細胞の集団を含む遺伝子操作された免疫細胞を培養において拡大すること;遺伝子操作された免疫細胞の集団を含む遺伝子操作された免疫細胞を、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤とともに培養において拡大すること;T細胞の集団を含むT細胞を培養下で増殖させること;1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を用いてT細胞の集団を含むT細胞を培養下で増殖させること;遺伝子改変T細胞の集団を含む遺伝子改変T細胞を培養下で増殖させること;1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を用いて、培養下で、遺伝子改変T細胞の集団を含む遺伝子改変T細胞を拡大すること;培養下で、NK細胞の集団を含むNK細胞を拡大すること;1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を用いて、培養下で、NK細胞の集団を含むNK細胞を拡大すること;遺伝的に操作されたNK細胞の集団を含む、遺伝的に操作されたNK細胞を培養において拡大すること;1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を用いて、遺伝的に操作されたNK細胞の集団を含む、遺伝的に操作されたNK細胞を培養において拡大すること;骨髄細胞の集団を含む、骨髄細胞を培養において拡大すること;1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を用いて、骨髄細胞の集団を含む、骨髄細胞を培養において拡大すること;遺伝子工学的に操作された骨髄系細胞の集団を含む、遺伝子工学的に操作された骨髄系細胞を培養中で増殖させること;1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を用いて、遺伝子工学的に操作された骨髄系細胞の集団を含む、遺伝子工学的に操作された骨髄系細胞を培養中で増殖させること;B細胞の集団を含む、B細胞を培養中で増殖させること;1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を用いて、B細胞の集団を含むB細胞を培養中で増殖させること;1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を用いて、遺伝子工学的に作製されたB細胞の集団を含む遺伝子工学的に作製されたB細胞を培養中で増殖させること;1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を用いて、遺伝子工学的に作製されたB細胞の集団を含む遺伝子工学的に作製されたB細胞を培養中で増殖させること;
【0012】
免疫細胞の集団を含む免疫細胞を操作して、1つ以上の抗原標的化レセプターを発現させること;免疫細胞の集団を含む免疫細胞を操作して、1つ以上のCARを発現させること;免疫細胞の集団を含む免疫細胞を操作して、1つ以上のTCRを発現させること;免疫細胞の集団を含む免疫細胞を、培養において免疫細胞又はその集団を拡大する前に活性化すること;免疫細胞の集団を含む免疫細胞を、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を用いて、培養において免疫細胞又はその集団を拡大する前に活性化すること;T細胞の集団を含むT細胞を、培養においてT細胞又はその集団を拡大する前に活性化すること;T細胞の集団を含むT細胞を、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を用いて、培養においてT細胞又はその集団を拡大する前に活性化すること;培養においてNK細胞又はその集団を拡大する前に、NK細胞の集団を含むNK細胞を活性化すること;培養においてNK細胞又はその集団を拡大する前に、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を用いて、NK細胞の集団を含むNK細胞を活性化すること;培養において骨髄系細胞又はその集団を拡大する前に、骨髄系細胞の集団を含む骨髄系細胞を活性化すること;骨髄系細胞の集団を含む骨髄系細胞を、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を用いて、培養において骨髄系細胞又はその集団を拡大する前に活性化すること;B細胞の集団を含むB細胞を、培養においてB細胞又はその集団を拡大する前に活性化すること;B細胞の集団を含むB細胞を、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を用いて、培養においてB細胞又はその集団を拡大する前に活性化すること;
【0013】
免疫細胞の集団を含む免疫細胞の培養物において、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を補充すること;遺伝子操作免疫細胞の集団を含む遺伝子操作免疫細胞の培養物において、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を補充すること;T細胞の集団を含むT細胞の培養物において、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を補充すること;遺伝子工学的に改変されたT細胞の集団を含む遺伝子工学的に改変されたT細胞の培養物において、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を補充すること;NK細胞の集団を含むNK細胞の培養物において、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を補充すること;遺伝子改変NK細胞(遺伝子改変NK細胞の集団を含む)の培養において、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を補充すること;骨髄系細胞(骨髄系細胞の集団を含む)の培養において、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を補充すること;遺伝子工学的に操作された骨髄系細胞の集団を含む、遺伝子工学的に操作された骨髄系細胞の培養物において、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を補充する工程;B細胞の集団を含む、B細胞の培養物において、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を補充する工程;遺伝子工学的に操作されたB細胞の集団を含む、遺伝子工学的に操作されたB細胞の培養物において、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を補充する工程;
【0014】
免疫細胞の集団を含む免疫細胞の培養物中の1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を枯渇させる;遺伝子操作された免疫細胞の集団を含む、遺伝子操作された免疫細胞の培養物中の1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を枯渇させる工程と、T細胞集団を含むT細胞培養物中の1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を枯渇させること;遺伝子操作されたT細胞の集団を含む遺伝子操作されたT細胞の培養物中の1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を枯渇させることと、NK細胞の集団を含むNK細胞の培養物中の1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を枯渇させる工程と、遺伝子操作されたNK細胞の集団を含む遺伝子操作されたNK細胞の培養物中の1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を枯渇させる工程と、骨髄細胞の集団を含む骨髄細胞の培養物中の1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を枯渇させる工程と、遺伝子操作された骨髄細胞の集団を含む、遺伝子操作された骨髄細胞の培養物中の1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を枯渇させる工程と、B細胞集団を含むB細胞培養物中の1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を枯渇させる工程と、遺伝子操作されたB細胞の集団を含む遺伝子操作されたB細胞の培養物中の、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を枯渇させる工程;
【0015】
遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団を含む、遺伝子工学的に操作された免疫細胞の凍結保存;遺伝子工学的に操作された免疫細胞の培養物から、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を枯渇させた後、遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団を含む、遺伝子工学的に操作された免疫細胞の凍結保存;遺伝子工学的に操作されたT細胞の集団を含む、遺伝子工学的に操作されたT細胞の凍結保存;遺伝子工学的に操作されたT細胞の培養物から1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を枯渇させた後の、遺伝子工学的に操作されたT細胞の集団を含む、遺伝子工学的に操作されたT細胞の凍結保存;遺伝子工学的に操作されたNK細胞の集団を含む、遺伝子工学的に操作されたNK細胞の凍結保存;遺伝子改変NK細胞の培養から1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を枯渇させた後、遺伝子改変NK細胞の集団を含む遺伝子改変NK細胞を凍結保存すること;遺伝子改変骨髄腫細胞の集団を含む遺伝子改変骨髄腫細胞を凍結保存すること;遺伝子工学的に操作された骨髄系細胞の培養物から、1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を枯渇させた後、遺伝子工学的に操作された骨髄系細胞の集団を含む、遺伝子工学的に操作された骨髄系細胞を凍結保存する工程;遺伝子操作されたB細胞の集団を含む、遺伝子操作されたB細胞の凍結保存;及び遺伝子操作されたB細胞の培養物から1つ以上のTKIを含むキナーゼ阻害剤を枯渇させた後の、遺伝子操作されたB細胞の集団を含む、遺伝子操作されたB細胞の凍結保存。
【0016】
本開示の特定の実施形態は、1つ以上の先行する要素及び/又はステップを除外することができる。
【0017】
本開示の組成物は、以下の成分の少なくとも1、2、3、4、5、又はそれ以上を含み得る:免疫細胞;T細胞;NK細胞;骨髄系細胞;B細胞抗原標的化受容体;がん細胞抗原標的化CAR、感染症抗原標的化CAR、及び/又は免疫疾患抗原標的化CARを含むキメラ抗原受容体(CAR);がん細胞抗原標的化TCR、感染症抗原標的化TCR、及び/又は免疫疾患抗原標的化TCRを含むT細胞受容体(TCR);遺伝子改変免疫細胞;遺伝子改変T細胞;遺伝子改変NK細胞;遺伝子改変骨髄細胞;遺伝子改変B細胞;キナーゼ阻害剤;チロシンキナーゼ阻害剤;ダサチニブ;イブルチニブ;pp2;パゾパニブ;ゲフィチニブ;培地及びサプリメントを含むがこれらに限定されない細胞培養試薬;治療薬;ポリペプチド;核酸;及びベクター。
【0018】
本明細書において開示されるのは、いくつかの態様において、1つ以上のキメラ抗原受容体(CAR)及び/又はT細胞受容体(TCR)を含む遺伝子操作された免疫細胞の集団を有効量含む組成物であり、ここで、遺伝子操作された免疫細胞の集団又はそのサブセットが、1つ以上のCAR及び/又はTCRが特異的に結合する1つ以上の標的抗原を発現し、ここで、遺伝子操作された免疫細胞の集団又はそのサブセットによって発現される1つ以上の標的抗原の1つ以上のCAR及び/又はTCRによる結合に伴う、1つ以上のCAR及び/又はTCRによるシグナル伝達が、1つ以上のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の存在下で、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように操作された免疫細胞の集団及び/又は遺伝子操作された免疫細胞の集団を培養することにより減少し、ここで、1つ以上のCAR及び/又はTCRは、1つ以上のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の存在下で、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように操作された免疫細胞の集団及び/又は遺伝子操作された免疫細胞の集団を培養することにより減少し、及び、ここで、1つ以上のCAR及び/又はTCRによるシグナル伝達の減少が、1つ以上のTKIの非存在下で培養された遺伝子改変免疫細胞と比較して、遺伝子改変免疫細胞の集団又はそのサブセットによる免疫細胞の活性化、分化、及び/又はフラトリサイドを減少させる。組成物のいくつかの実施形態において、組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0019】
組成物のいくつかの実施形態において、免疫細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、骨髄系細胞、B細胞、又はそれらの混合物を含む。組成物のいくつかの実施形態において、免疫細胞はT細胞を含む。組成物のいくつかの実施形態において、免疫細胞はNK細胞を含む。組成物のいくつかの実施形態において、免疫細胞は骨髄系細胞を含む。組成物のいくつかの実施形態において、免疫細胞はB細胞を含む。
【0020】
組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上の標的抗原は、免疫細胞によって発現される1つ以上の内因性遺伝子産物を含む。組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上の標的抗原は、CD2、CD5、CD7、CD4、CD8、CD3、CS1、CD38、CD99、CD30、4-1BB、OX40、ICOS、CD26、CD6、TIGIT、PD-1、2B4、LAG-3、MHC-I、MHC-II、ペプチド-MHC I、ペプチド-MHC II、Tim3、CTLA-4、CD112R、CD226、CD96、CD80、CD86、CD112、CD155、KIR2、KIR3、LILRB、CD28、CD40L、CD40、BTLA、GITR、VISTA、NKG2Dリガンド、又はCD70を含む。
【0021】
組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上の標的抗原は、トロゴサイトーシスを介して獲得され、免疫細胞によって発現される1つ以上の抗原を含む。
【0022】
組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上のCAR及び/又はTCRは、1つ以上の標的抗原に対する特異性を有する1つ以上の抗体又はその断片を含む。組成物のいくつかの実施形態において、抗体又はその断片は、scFvモノクローナル抗体、ナノボディ/VHHオンリー配列、フィブロネクチン由来結合ドメイン、DARPIN、又は天然リガンドである。本組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上のCARは、IgG、CD3、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、4-1BB、OX40、T細胞受容体α鎖若しくはβ鎖、ICOS、又はそれらの組み合わせ由来の配列を含むヒンジ又はスペーサーを含む。組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上のCARは、IgG由来の配列を含むヒンジ又はスペーサーを含む。組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上のCARは、IgG4由来の配列を含むヒンジを含む。組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上のCARは、IgG1由来の配列を含むスペーサーを含む。組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上のCARは、CH3 IgG1スペーサーを含む。組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上のCARは、CD2、CD3ζ、CD3δ、CD3ε、CD3γ、Fc受容体、CD79a、CD79b、CLEC-2、CD7、LFA-1(CD11a/CD18)、CD27、CD28、CD30、CD40、4-1BB(CD137)、CD278、2B4、DNAM-1、OX40、NKG2C、NKG2D、DAP10、DAP12、B7-1/CD80、CD28、4-1BBL、B7-2/CD86、CTLA-4、B7-H1/PD-L1、ICOS、B7-H2、PD-l、B7-H3、PD-L2、B7-H4、PDCD6、HVEM、LIGHT、ICAM-1、BTLA、GITR、又はそれらの組み合わせからの1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む。組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上のCARは、CD3ζ、CD28、4-1BB、又はそれらの組み合わせからの1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む。
【0023】
組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上のCAR及び/又はTCRは、1つ以上の単離された核酸配列によってコードされる。組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上の単離された核酸配列は、1つ以上の発現ベクター中に構成される。組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上の発現ベクターは、レンチウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、又はそれらの組み合わせである。
【0024】
組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、1つ以上のSrcキナーゼ阻害剤を含む。組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、ダサチニブ、イブルチニブ、pp2、パゾパニブ、ゲフィチニブ、又はそれらの組み合わせを含む。組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上のTKIの少なくとも1つは、ダサチニブを含む。組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上のTKIのうちの少なくとも1つは、イブルチニブを含む。組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、ダサチニブ及びイブルチニブを含む。
【0025】
組成物のいくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の集団又はそのサブセットにおける1つ以上の内因性遺伝子は阻害されない。
【0026】
本明細書において開示されるのは、いくつかの態様において、遺伝子操作免疫細胞の集団を作製する方法であって、該方法は、培養中の免疫細胞の集団を1つ以上のTKIで操作して、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させ、遺伝子操作免疫細胞を作製することを含み、作製された遺伝子操作免疫細胞の集団又はそのサブセットは、1つ以上のTKIの非存在下で培養された遺伝子操作免疫細胞と比較して、培養において減少した殺餓死活性を有する、方法である。
【0027】
本方法のいくつかの実施形態において、免疫細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、骨髄系細胞、B細胞、又はそれらの混合物を含む。本方法のいくつかの実施形態では、免疫細胞はT細胞を含む。本方法のいくつかの実施形態において、免疫細胞はNK細胞を含む。組成物のいくつかの実施形態において、免疫細胞は骨髄系細胞を含む。組成物のいくつかの実施形態において、免疫細胞はB細胞を含む。
【0028】
本方法のいくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の集団又はそのサブセットは、1つ以上のCAR及び/又はTCRが特異的に結合する1つ以上の標的抗原を発現する。本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上のCAR及び/又はTCRによる、遺伝子操作された免疫細胞の集団又はそのサブセットによって発現される1つ以上の標的抗原の結合に伴う、1つ以上のCAR及び/又はTCRによるシグナル伝達は、1つ以上のTKIの存在下での免疫細胞及び遺伝子操作された免疫細胞の集団の培養時に減少する。本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上のCAR及び/又はTCRによるシグナル伝達の減少は、1つ以上のTKIの非存在下で培養された遺伝子改変免疫細胞と比較して、培養中の遺伝子改変免疫細胞の増殖中に、遺伝子改変免疫細胞の集団又はそのサブセットによる免疫細胞の活性化、分化、及び/又は殺夾雑(フラトシリド)を減少させる。
【0029】
本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上の標的抗原は、免疫細胞によって発現される1つ以上の内因性遺伝子産物を含む。本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上の標的抗原は、CD2、CD5、CD7、CD4、CD8、CD3、CS1、CD38、CD99、CD30、4-1BB、OX40、ICOS、CD26、CD6、TIGIT、PD-1、2B4、LAG-3、MHC-I、MHC-II、ペプチド-MHC I、ペプチド-MHC II、Tim3、CTLA-4、CD112R、CD226、CD96、CD80、CD86、CD112、CD155、KIR2、KIR3、LILRB、CD28、CD40L、CD40、BTLA、GITR、VISTA、NKG2Dリガンド、又はCD70を含む。
【0030】
この方法のいくつかの実施形態において、1つ以上の標的抗原は、トロゴサイトーシスを介して獲得され、免疫細胞によって発現される1つ以上の抗原を含む。
【0031】
本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上のCAR及び/又はTCRは、1つ以上の標的抗原に対する特異性を有する1つ以上の抗体又はその断片を含む。本方法のいくつかの実施形態において、抗体又はその断片は、scFvモノクローナル抗体、ナノボディ/VHHオンリー配列、フィブロネクチン由来結合ドメイン、DARPIN、又は天然リガンドである。本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上のCARは、IgG、CD3、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、4-1BB、OX40、T細胞受容体α鎖若しくはβ鎖、CD3ζ鎖、ICOS、又はそれらの組み合わせ由来の配列を含むヒンジ又はスペーサーを含む。本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上のCARは、IgG4由来の配列を含むヒンジを含む。本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上のCARは、IgG由来の配列を含むスペーサーを含む。本方法のいくつかの実施形態では、1つ以上のCARは、IgG1由来の配列を含むスペーサーを含む。本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上のCARは、CH3 IgG1スペーサーを含む。本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上のCARは、CD2、CD3ζ、CD3d、CD3e、CD3g、Fc受容体、CD79a、CD79b、CLEC-2、CD7、LFA-1(CD11a/CD18)、CD27、CD28、CD30、CD40、4-1BB(CD137)、CD278、2B4、DNAM-1、OX40、NKG2C、NKG2D、DAP10、DAP12、B7-1/CD80、CD28、4-1BBL、B7-2/CD86、CTLA-4、B7-H1/PD-L1、ICOS、B7-H2、PD-l、B7-H3、PD-L2、B7-H4、PDCD6、HVEM、LIGHT、ICAM-1、BTLA、GITR,又はその組み合わせを含む。
【0032】
本方法のいくつかの実施形態において、培養物中の1つ以上のTKIの各々の濃度は、0.01μM~10μMである。本方法のいくつかの実施形態において、培養物中の1つ以上のTKIの各々の濃度は、0.1μM~1μMである。本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、1つ以上のSrcキナーゼ阻害剤を含む。本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、ダサチニブ、イブルチニブ、pp2、パゾパニブ、ゲフィチニブ、又はそれらの組み合わせを含む。本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上のTKIの少なくとも1つは、ダサチニブを含む。本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上のTKIの少なくとも1つは、イブルチニブを含む。本方法のいくつかの実施形態では、1つ以上のTKIは、ダサチニブ及びイブルチニブを含む。本方法のいくつかの実施形態において、培養物中のダサチニブの濃度は0.5μMである。本方法のいくつかの実施形態において、培養物中のイブルチニブの濃度は0.2μMである。
【0033】
本方法のいくつかの実施形態では、1つ以上のTKIは、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させる免疫細胞集団の操作の0~7日前に培養物に添加される。本方法のいくつかの実施形態では、1つ以上のTKIは、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させる免疫細胞集団の操作の0~5日前の間に培養物に添加される。本方法のいくつかの実施形態では、1つ以上のTKIは、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させる免疫細胞集団の操作の0~3日前の間に培養物に添加される。
【0034】
本方法のいくつかの実施形態では、免疫細胞集団は、1つ以上のCAR及び/又はTCRをコードする1つ以上の単離された核酸配列を含む1つ以上の発現ベクターを用いて、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように操作される。本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上の発現ベクターは、レンチウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、又はそれらの組み合わせである。
【0035】
本方法のいくつかの実施形態において、本方法は、遺伝子操作された免疫細胞の集団を産生するために、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作する前に、1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞の集団を拡大することをさらに含む。本方法のいくつかの実施形態において、本方法は、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作した後に、1つ以上のTKIを用いて培養中の遺伝子改変免疫細胞の集団を拡大することをさらに含む。本方法のいくつかの実施形態において、本方法は、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作する前に、免疫細胞の集団を活性化して、遺伝子操作された免疫細胞の集団を産生することをさらに含む。
【0036】
本方法のいくつかの実施形態において、本方法は、培養中、1、2、3、4、又は5日ごとに培養物中に1つ以上のTKIを補充することをさらに含む。本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、培養中毎日培養物中に補充される。本方法のいくつかの実施形態では、1つ以上のTKIは、培養中2日ごとに培養物中に補充される。本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、培養中3日ごとに培養物中に補充される。本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、培養中4日ごとに培養物中に補充される。本方法のいくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、培養中5日ごとに培養物中に補充される。
【0037】
本方法のいくつかの実施形態において、本方法は、遺伝子操作免疫細胞を産生するために、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作してから1~21日の間に、1つ以上のTKIを遺伝子操作免疫細胞の集団から枯渇させることをさらに含む。本方法のいくつかの実施形態では、遺伝子操作された免疫細胞の集団は、遺伝子操作された免疫細胞の集団を産生するために1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作してから1~14日の間に、1つ以上のTKIを枯渇させる。本方法のいくつかの実施形態において、遺伝子改変免疫細胞の集団は、遺伝子改変免疫細胞の集団を産生するために1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作してから1~7日の間に、1つ以上のTKIを枯渇させる。
【0038】
本方法のいくつかの実施形態において、遺伝子操作免疫細胞の集団は、遺伝子操作免疫細胞の集団の逐次的な培地洗浄によって、1つ以上のTKIを枯渇させる。本方法のいくつかの実施形態では、遺伝子改変免疫細胞の集団の2、3、4、5、又は6回の連続洗浄が実施される。本方法のいくつかの実施形態では、遺伝子操作細胞集団の逐次洗浄を4回行う。
【0039】
本方法のいくつかの実施形態において、本方法は、遺伝子操作細胞の集団を凍結保存することをさらに含む。本方法のいくつかの実施形態において、遺伝子操作細胞の集団は、1つ以上のTKIの遺伝子操作細胞の集団を枯渇させた後に凍結保存される。
【0040】
この方法の幾つかの実施形態では、免疫細胞及び/又は遺伝子操作された細胞集団又はそのサブセットにおける1つ以上の内因性遺伝子は阻害されない。
【0041】
本明細書に開示されるのは、いくつかの側面において、本明細書に開示される方法によって産生される遺伝子操作された免疫細胞の集団である。
【0042】
本明細書に開示されるのは、いくつかの態様において、疾患細胞を死滅させる方法であって、該方法は、疾患細胞を、本明細書に開示される組成物又は本明細書に開示される遺伝子操作免疫細胞の集団と接触させることを含む方法である。いくつかの実施形態において、疾患細胞は癌細胞である。いくつかの実施形態において、癌は、T-ALL、T細胞リンパ腫、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、又は固形腫瘍を含む。いくつかの実施形態において、疾患細胞は、感染症微生物に感染した細胞である。いくつかの実施形態において、疾患細胞は、免疫障害の影響を受けた細胞である。
【0043】
本明細書において開示される、いくつかの態様では、被験体において癌を治療する方法であって、該方法は、治療有効量の本明細書に開示される組成物又は本明細書に開示される遺伝子操作免疫細胞の集団を、それを必要とする被験体に投与することを含み、ここで、1つ以上のCAR及び/又はTCRが特異的に結合する1つ以上の標的抗原は、インビボで癌細胞によって発現される、ここで、1つ以上のCAR及び/又はTCRが、in vivoでがん細胞によって発現される1つ以上の標的抗原に特異的に結合し、そして1つ以上のCAR及び/又はTCRが、in vivoでがん細胞によって発現される1つ以上の標的抗原に結合することにより、がん細胞が排除される。
【0044】
いくつかの実施形態において、被験体に投与される遺伝子操作免疫細胞の量は、被験体の体重1kgあたり約104個から約108個の範囲である。いくつかの実施形態において、組成物又は遺伝子操作された免疫細胞の集団は、注入、静脈内、腹腔内、気管内、筋肉内、内視鏡的、経皮的、皮下、局所的、頭蓋内、直接注射、又は灌流によって被験体に投与される。
【0045】
いくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の集団の殺餓死活性は、癌細胞の実質的な除去後にin vivoで回復される。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の集団の殺餓死活性の回復は、遺伝子操作された免疫細胞の除去をもたらす。
【0046】
いくつかの実施形態において、癌は、骨髄性悪性腫瘍、リンパ性悪性腫瘍、及び/又は固形腫瘍である。いくつかの実施形態において、癌は、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)又はT細胞リンパ腫である。
【0047】
本明細書において開示される、いくつかの態様では、対象における免疫障害を治療する方法であって、本明細書において開示される組成物又は本明細書において開示される遺伝子操作された免疫細胞の集団の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む方法であり、ここで、1つ以上のCAR及び/又はTCRが特異的に結合する1つ以上の標的抗原は、in vivoで免疫細胞により発現され、1つ以上のCAR及び/又はTCRは、in vivoで免疫細胞により発現される1つ以上の標的抗原と特異的に結合し、1つ以上のCAR及び/又はTCRとin vivoで免疫細胞により発現される1つ以上の標的抗原との結合は、免疫細胞の排除をもたらす。
【0048】
いくつかの実施形態において、被験体に投与される遺伝子操作免疫細胞の量は、被験体の体重1kgあたり約104個から約108個の範囲である。いくつかの実施形態において、組成物又は遺伝子操作された免疫細胞の集団は、注入、静脈内、腹腔内、気管内、筋肉内、内視鏡的、経皮的、皮下、局所的、頭蓋内、直接注射、又は灌流により被験体に投与される。
【0049】
いくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の集団の殺餓死活性は、免疫細胞の実質的な除去後にin vivoで回復される。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の集団の殺細胞活性の回復は、遺伝子操作された免疫細胞の排除をもたらす。
【0050】
いくつかの実施形態において、免疫疾患は自己免疫疾患又は自己免疫疾患である。いくつかの実施形態において、自己又は自己免疫疾患は、移植片対宿主病、1型糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、乾癬、バセドウ病、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、及び/又は血管炎である。
【0051】
明細書において開示されるのは、いくつかの態様において、1つ以上のキメラ抗原受容体(CAR)及び/又はT細胞受容体(TCR)を含む遺伝子操作免疫細胞の集団を有効量含む組成物であり、前記組成物は、1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞の集団を操作して、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させ、遺伝子操作免疫細胞の集団を産生することによって製造され、遺伝子操作免疫細胞の集団又はそのサブセットは、1つ以上のCAR及び/又はTCRが特異的に結合する1つ以上の標的抗原を発現し、ここで、遺伝子操作された免疫細胞の集団又はそのサブセットによって発現される1つ以上の標的抗原の1つ以上のCAR及び/又はTCRによる結合に伴う1つ以上のCAR及び/又はTCRによるシグナル伝達が、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように操作された免疫細胞及び/又は遺伝子操作された免疫細胞の集団を1つ以上のTKIの存在下で培養することにより減少し、そしてここで、1つ以上のCAR及び/又はTCRによるシグナル伝達の減少が、1つ以上のTKIの非存在下で培養された遺伝子改変免疫細胞と比較して、遺伝子改変免疫細胞の集団又はそのサブセットによる免疫細胞の活性化、分化、及び/又はフラトリサイドを減少させる。いくつかの実施形態において、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞集団を操作することによって産生された遺伝子操作免疫細胞集団の有効量を含む組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0052】
1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞の集団を操作することにより産生された遺伝子操作免疫細胞の集団を有効量含む組成物のいくつかの実施形態では、免疫細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、骨髄細胞、B細胞、又はそれらの混合物を含む。一部の実施形態では、免疫細胞はT細胞を含む。いくつかの実施形態において、免疫細胞はNK細胞を含む。組成物のいくつかの実施形態において、免疫細胞は骨髄系細胞を含む。組成物のいくつかの実施形態において、免疫細胞はB細胞含む。
【0053】
1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞の集団を操作することによって産生される遺伝子操作された免疫細胞の集団を有効量含む組成物のいくつかの実施形態では、1つ以上の標的抗原は、免疫細胞によって発現される1つ以上の内因性遺伝子産物を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の標的抗原は、CD2、CD5、CD7、CD4、CD8、CD3、CS1、CD38、CD99、CD30、4-1BB、OX40、ICOS、CD26、CD6、TIGIT、PD-1、2B4、LAG-3、MHC-I、MHC-II、ペプチドMHC I、ペプチドMHC II、Tim3、CTLA-4、CD112R、CD226、CD96、CD80、CD86、CD112、CD155、KIR2、KIR3、LILRB、CD28、CD40L、CD40、BTLA、GITR、VISTA、NKG2Dリガンド、又はCD70を含む。
【0054】
1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように、1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞の集団を操作することにより産生された遺伝子操作された免疫細胞の集団を有効量含む組成物のいくつかの実施形態では、1つ以上の標的抗原は、トロゴサイトーシスを介して獲得され、免疫細胞により発現される1つ以上の抗原を含む。
【0055】
1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞の集団を操作することによって産生された遺伝子操作免疫細胞の集団を有効量含む組成物のいくつかの実施形態において、1つ以上のCAR及び/又はTCRは、1つ以上の標的抗原に対する特異性を有する1つ以上の抗体又はその断片(フラグメント)を含む。いくつかの実施形態において、抗体又はそのフラグメントは、scFvモノクローナル抗体、ナノボディ/VHHのみの配列、フィブロネクチン由来の結合ドメイン、DARPIN、又は天然リガンドである。いくつかの実施形態において、1つ以上のCARは、IgG、CD3、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、4-1BB、OX40、T細胞受容体α鎖若しくはβ鎖、CD3ζ鎖、ICOS、又はそれらの組み合わせ由来の配列を含むヒンジ又はスペーサーを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のCARは、IgG4由来の配列を含むヒンジを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のCARは、IgG由来の配列を含むスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のCARは、IgG1由来の配列を含むスペーサーを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のCARは、CH3 IgG1スペーサーを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のCARは、CD2、CD3ζ、CD3d、CD3e、CD3g、Fc受容体、CD79a、CD79b、CLEC-2、CD7、LFA-1(CD11a/CD18)、CD27、CD28、CD30、CD40、4-1BB(CD137)、CD278、2B4、DNAM-1、OX40、NKG2C、NKG2D、DAP10、DAP12、B7-1/CD80、CD28、4-1BBL、B7-2/CD86、CTLA-4、B7-H1/PD-L1、ICOS、B7-H2、PD-l、B7-H3、PD-L2、B7-H4、PDCD6、HVEM、LIGHT、ICAM-1、BTLA、GITR、又はそれらの組み合わせ含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のCARは、CD3ε、CD28、4-1BB、又はそれらの組み合わせからの1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む。
【0056】
1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞の集団を操作することによって産生された遺伝子操作免疫細胞の集団を有効量含む組成物のいくつかの実施形態では、1つ以上のCAR及び/又はTCRは、1つ以上の単離された核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、1つ以上の単離された核酸配列は、1つ以上の発現ベクター中に構成される。いくつかの実施形態において、1つ以上の発現ベクターは、レンチウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター(an adeno-associated viral vector)、又はそれらの組み合わせである。
【0057】
1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞の集団を操作することにより産生された遺伝子操作免疫細胞の集団を有効量含む組成物のいくつかの実施形態では、培養中の1つ以上のTKIの各々の濃度は、0.01μM~10μMである。いくつかの実施形態において、培養物中の1つ以上のTKIの各々の濃度は、0.1μM~1μMである。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、ダサチニブ、イブルチニブ、pp2、パゾパニブ、ゲフィチニブ、又は、それらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIの少なくとも1つは、ダサチニブを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIのうちの少なくとも1つは、イブルチニブを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、ダサチニブ及びイブルチニブを含む。いくつかの実施形態において、培養物中のダサチニブの濃度は0.5μMである。いくつかの実施形態において、培養物中のイブルチニブの濃度は0.2μMである。
【0058】
1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させるために1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞集団を操作することにより産生された遺伝子操作免疫細胞集団を有効量含む組成物のいくつかの実施形態では、1つ以上のTKIは、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させるために免疫細胞集団を操作する0~7日前の間に培養物に添加される。いくつかの実施形態では、1つ以上のTKIは、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させる免疫細胞集団の操作の0~5日前の間に培養物に添加される。いくつかの実施形態では、1つ以上のTKIは、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させる免疫細胞集団の操作の0~3日前に培養物に添加される。
【0059】
1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞集団を操作することによって産生された遺伝子操作免疫細胞集団を有効量含む組成物のいくつかの実施形態では、免疫細胞集団は、1つ以上のCAR及び/又はTCRをコードする1つ以上の単離された核酸配列を含む1つ以上の発現ベクターで1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように操作される。いくつかの実施形態において、1つ以上の発現ベクターは、レンチウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、又はそれらの組み合わせである。
【0060】
1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞の集団を操作することによって産生される有効量の遺伝子操作免疫細胞の集団を含む組成物のいくつかの実施形態では、遺伝子操作免疫細胞の集団を産生するために1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作する前に、免疫細胞の集団が1つ以上のTKIを用いて培養中で拡大される。1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を1つ以上のTKIで培養操作することによって産生された遺伝子改変免疫細胞の有効量の集団を含む組成物のいくつかの実施形態では、遺伝子改変免疫細胞の集団は、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作した後に、1つ以上のTKIで培養展開される。つ又は複数のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を1つ以上のTKIで培養操作することによって産生される有効量の遺伝子改変免疫細胞の集団を含む組成物のいくつかの実施形態では、遺伝子改変免疫細胞の集団を産生するために、1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作する前に、免疫細胞の集団が活性化される。
【0061】
1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞の集団を操作することによって産生された遺伝子操作された免疫細胞の集団を有効量含む組成物のいくつかの実施形態では、1つ以上のTKIは、培養中、1、2、3、4、又は5日ごとに培養中に補充される。いくつかの実施形態では、1つ以上のTKIは、培養中毎日培養物中に補充される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、培養中2日ごとに培養物中に補充される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、培養中3日ごとに培養物中に補充される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、培養中4日ごとに培養物中に補充される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、培養中5日ごとに培養物中に補充される。
【0062】
1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させるために1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞の集団を操作することによって産生される有効量の遺伝子操作免疫細胞の集団を含む組成物のいくつかの実施形態では、遺伝子操作免疫細胞の集団は、遺伝子操作免疫細胞の集団を産生するために1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現させるために免疫細胞の集団を操作してから1~21日の間に1つ以上のTKIを枯渇させる。いくつかの実施形態において、遺伝子改変免疫細胞の集団は、遺伝子改変免疫細胞の集団を産生するために1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作してから1~14日の間に、1つ以上のTKIを枯渇させる。いくつかの実施形態において、遺伝子改変免疫細胞の集団は、遺伝子改変免疫細胞の集団を産生するために1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように免疫細胞の集団を操作してから1~7日の間に、1つ以上のTKIを枯渇させる。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の集団は、遺伝子操作された免疫細胞の集団の連続的な培地洗浄によって、1つ以上のキナーゼ阻害剤を枯渇させる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作免疫細胞の集団の2、3、4、5、又は6回の連続洗浄が実施される。いくつかの実施形態では、遺伝子操作免疫細胞集団の逐次洗浄を4回行う。
【0063】
1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞集団を操作することにより産生された遺伝子操作免疫細胞集団の有効量を含む組成物のいくつかの実施形態では、遺伝子操作免疫細胞集団は凍結保存される。いくつかの実施形態において、遺伝子操作免疫細胞の集団は、1つ以上のTKIの遺伝子操作免疫細胞の集団を枯渇させた後に凍結保存される。
【0064】
1つ以上のCAR及び/又はTCRを発現するように1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞集団を操作することにより産生された遺伝子操作免疫細胞集団を有効量含む組成物のいくつかの実施形態では、免疫細胞及び/又は遺伝子操作免疫細胞における1つ以上の内因性遺伝子は阻害されない。
【0065】
治療的、診断的、又は生理学的な目的又は効果の文脈における任意の方法はまた、記載された治療的、診断的、又は生理学的な目的又は効果を達成又は実施するための、本明細書で議論される任意の化合物、組成物、又は薬剤の「使用」のような「使用」クレーム文言で記載され得る。
【0066】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「関連する実施形態」、「ある実施形態」、「追加の実施形態」、又は「さらなる実施形態」、又はそれらの組み合わせへの言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じて様々な場所に前述の語句が現れるが、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせることができる。
【0067】
本開示の1つの実施形態に関して議論される任意の限定は、本開示の任意の他の実施形態に適用され得ることが特に企図される。さらに、本開示の任意の組成物は、本開示の任意の方法において使用され得、本開示の任意の方法は、本開示の任意の組成物を製造又は利用するために使用され得る。実施例に記載される実施形態の態様はまた、異なる実施例において、又は本願の他の場所、例えば、要約、詳細な説明、特許請求の範囲、及び図面の説明において議論される実施形態の文脈において実施され得る実施形態である。
【0068】
本開示の他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本開示の精神及び範囲内での様々な変更及び修正は、この詳細な説明から当業者には明らかになるので、詳細な説明及び具体例は、本開示の具体的な実施形態を示しながら、例示のためにのみ与えられることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
以下の図面は、本明細書の一部を構成し、本開示の特定の態様をさらに示すために含まれる。本開示は、本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面のうちの1つ以上を参照することによって、よりよく理解され得る。
【0070】
【
図1A-1I】
図1A-1I。CARシグナル伝達の化学的阻害は、餓死及び終末分化を減少させ、CD5 CAR T細胞の生存性及び抗腫瘍機能を改善する。化学阻害剤ダサチニブ(Das)、pp2、パゾパニブ(Paz)、ゲフィチニブ(Gef)、及びイブルチニブ(Ibr)の存在下で展開した対照の非導入(NT)及びCD5 CAR T細胞のサブセット組成(
図1A)及び全体的な拡大(
図1B)。ダサチニブ(Das)及びイブルチニブ(Ibr)の単独又は併用存在下でのCD5 CAR T細胞の生存率(
図1C)及び増殖(
図1D)。
図1E.最小分化CD5 CAR T細胞の全体数。CCRF-CEM(
図1F)及びJurkat(
図1G)白血病細胞株に対する阻害剤洗浄除去後のCD5 CAR T細胞の細胞傷害性。
図1H.侵攻性播種性CD5+白血病(CCRF-CEM)のマウス異種移植モデルにおけるCD5 CAR T細胞の抗腫瘍活性。
図1I.各実験群におけるマウスの全生存期間。
【0071】
【
図2A-2F】
図2A-2F。ダサチニブ及びイブルチニブは、CD7 CAR T細胞のフラトリシドを阻害し、その阻害効果は可逆的である。
図2A.CARシグナル伝達に対するダサチニブ及びイブルチニブの効果を示す模式図である。
図2B.CAR-T細胞生成の概要を示す図。
図2C.代表的なフロープロット(左)、及び各特定T細胞型についての導入後4日目のCAR
+細胞及びCD7
+細胞のパーセントの要約(右)(平均±SD、n=4)。
図2D.左:特定のT細胞タイプの時間外でのex vivoでの倍数拡大(平均±SD、n=4)。右:フローサイトメトリーにより決定した導入後4日目の細胞生存率(平均±SD、n=4)。
図2E.共培養セットアップ後72時間における、Jurkat(左、平均±SD、n=10)又はCCRF-CEM(右、平均±SD、n=6)標的細胞に対する特定エフェクターT細胞の細胞傷害性。
図2F.Jurkat(左、平均±SD、n=10)又はCCRF-CEM(右、平均±SD、n=6)標的細胞と72時間共培養した場合の特定エフェクターT細胞の拡大。統計的差異は、Tukeyの多重比較による一元配置分散分析(One-way ANOVA)により算出した(
図2C-2F)。
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001;n.s.は非有意。
【0072】
【
図3A-3B】
図3A-3B。PI CART-細胞は、分化度の低いT細胞の集団が濃縮されている。細胞生成手順については
図2Bを参照。
図3A.CCR7及びCD45RA染色によって決定される、特定T細胞型のメモリー表現型を示す代表的なフロープロット。
図3B.形質導入(transduction)後7日目のCD4
+(左)及びCD8
+(右)特定T細胞型内のCCR7
+CD45RA
+ナイーブ様T細胞(T
N)、CCR7
+CD45RA
-セントラルメモリーT細胞(T
CM)、CCR7
-CD45RA-エフェクターメモリーT細胞(T
EM)、及びCCR7
-CD45RN
+エフェクターT細胞(T
E)のパーセンテージのまとめ(平均±SD、n=10)。
【0073】
【
図4A-4B】
図4A-4B。T-ALL細胞株との共培養におけるCAR T細胞の短期細胞傷害性と増殖。
図2E、2Fも参照のこと。
図4A.共培養セットアップ後24時間における、Jurkat(左、平均±SD、n=10)又はCCRF-CEM(右、平均±SD、n=6)標的細胞に対する特定エフェクターT細胞の細胞傷害性。
図4B.Jurkat(左、平均±SD、n=10)又はCCRF-CEM(右、平均±SD、n=6)標的細胞と24時間共培養した場合の特定エフェクターT細胞の拡大。統計的差異は、Tukeyの多重比較による一元配置分散分析(One-way ANOVA)により算出した。
**p<0.01,
***p<0.001,
****p<0.0001;n.s.は非有意。
【0074】
【
図5】
図5.健康なドナーの末梢血におけるCD7- T細胞の構成。健康なドナーから採取したPBMC中のフローサイトメトリーで測定したCD7陰性CD4
+及びCD8
+T細胞の頻度(平均±SD、n=5)。
【0075】
【
図6A-6L】
図6A-6L。PI CAR T細胞は、in vivoで優れた抗腫瘍活性と長期持続性を示した。
図6A.
図6B~6Dのモデル設定の概略図。
図6B.腫瘍の生物発光を示す代表的なIVIS画像。
図6C。IVIS画像化により測定した、特定のT細胞治療を受けたマウスにおける腫瘍生物発光の経時的変化。各線は、1匹の個々の動物からのデータを表す。
図6D.動物の生存期間の延長。
図6E.
図6F-6Gのモデル設定の概略図。
図6F。注入されたT細胞からの生物発光を示す代表的なIVIS画像。
図6G.IVIS撮像によって測定された、特定のT細胞治療を受けたマウスにおけるT細胞生物発光の経時的変化。各線は、1匹の動物のデータを表す。
図6H.
図6I-6Lのモデルセットアップの概略図。
図6I.注入されたT細胞からの生物発光を示す代表的なIVIS画像。
図6J.IVIS撮像により測定した、特定のT細胞治療を受けたマウスにおけるT細胞生物発光の経時的変化。各線は、1匹の動物からのデータを表す。
図6K.T細胞注入後15日目の末梢血50μL中の注入したCCRF-CEM腫瘍細胞(左)及びT細胞(右)の絶対数(平均±SD、NTではn=5、CD7 KOではn=6、PIではn=6)。
図6L.動物生存期間の延長。統計的差異は、Log-rank検定(
図6D、6L)又はTukeyの多重比較による一元配置分散分析(
図6K)により算出した。
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001。
【0076】
【
図7A-7B】
図7A-7B。異なるドナーから作製されたPI CAR T細胞は、Jurkat異種移植片モデルにおいて長期間持続した。
図6E-6Gも参照のこと。
図7A.
図7Bのモデル設定の概略図。
図7B.IVISイメージングにより測定した、PI CAR T細胞生物発光の経時的変化。各線は、1匹の動物のデータを表す。
【0077】
【
図8A-8G】
図8A-8G。持続性PI CAR T細胞はCD7発現を欠き、転写的にCD7編集CAR T細胞と類似している。モデルのセットアップについては、
図6E及び
図5Aを参照のこと。
図8A.代表的なフロープロット(左)及び注入前及び注入後27日目のCAR+CD7-細胞のパーセント(右)の要約(平均±SD、注入前はn=3、注入後はn=13)。
図8B.持続するCtrl非導入T細胞及びPI CAR T細胞におけるCD7タンパク質発現。
図8C.注入前と比較した注入後のPI CAR T細胞の相対的CD7 mRNAレベルを示す定量的PCR結果(平均±SD、注入前についてn=3、注入後についてn=6)。
図8D.開始細胞材料(PBMC)中のCD4+細胞及びCD8+細胞の割合と、持続CD7- PI CAR T細胞の注入後(平均±SD、PBMCについてはn=5、注入後についてはn=13)。
図8E.各サンプルからの正規化遺伝子発現を用いてヒートマップをプロットした。遺伝子発現は、Trimmed Means of M値(TMM)及びlog2変換counts per million(log2(CPM))で正規化した。教師なしクラスタリングの結果を示す。
図8F.CD7未編集CD7 CAR T細胞と編集CD7 CAR T細胞間の有意に高いトランスクリプトームプロファイリング相関を示す散布図。平均正規化遺伝子発現は、各条件における3つの生物学的複製からの正規化遺伝子発現(
図8Eに記載したのと同じ方法)を平均することによって計算した。P値と係数は線形回帰で計算した。ハイライトは、T細胞の免疫機能の制御に関与する遺伝子である。統計的差は、対応のない両側t検定で計算した(
図8A、8C)。
****p<0.0001.
図8G.Jurkat細胞(HLA-A2陰性)とドナーT細胞(HLA-A2陽性)を、T細胞注射後32日目の末梢血でフローサイトメトリーにより分析した。腫瘍細胞(左、NT Ctrl群)、CD7 KO CD7 CAR T細胞(中央)、及び未編集PI CD7 CAR T細胞(右)におけるCD7及びCD7 CARの発現。
【0078】
【
図9A-9F】
図9A-9F。T-ALL患者に対するcGMP製造自己PI CAR T細胞の特性。
図9A.T細胞悪性腫瘍患者から採取したPBMCにおける、フローサイトメトリーで測定したCD7陰性正常CD4+及びCD8+T細胞の頻度。
図9B. 左:各患者の導入時及び4日後の凍結保存前の絶対T細胞数。右:導入と凍結保存の間のPI CAR T細胞の倍数拡張。
図9C.凍結保存時のPI CAR T細胞の生存率。
図9D.凍結保存時のCAR+ T細胞の割合。
図9E。凍結保存時の形質導入T細胞あたりのベクターコピー数。
図9F.FFluc標識Jurkat T-ALL細胞株と24時間共培養したときのPI CAR T細胞の細胞傷害性。全てのパネルにおいて、各ドットは個々の患者からのデータを表す。平均値±SDを示す。
【0079】
【
図10.10A.10B】
図10.CD2+T細胞株に対するダサチニブ及びイブルチニブの存在下で増殖させたCD2 CAR T細胞の細胞傷害性。
図10A.ビヒクルコントロール又はダサチニブ+イブルチニブで展開したCD2 CAR導入T細胞における生存能及びCAR発現。NT、非導入T細胞。
図10B.CD2+細胞株Jurkatに対するダサチニブ及びイブルチニブで展開したCD2 CAR T細胞の細胞傷害性。生きている腫瘍細胞の残存数を、指示された時点でフローサイトメトリーにより計数した。
【0080】
【
図11A-11C】
図11A-11C。自己終止型CAR T細胞の概念を示す図。標的抗原Aは、T細胞に通常発現されているもの(例えば、CD5 CAR-TのCD5、CD7 CAR-TのCD7、CD2 CAR-TのCD2)、又は人為的に過剰発現されているもの(例えば、CD19 CAR-TのCD19)がある。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本開示は、癌、免疫疾患、及び感染症微生物によって引き起こされる感染症を含むがこれらに限定されない疾患の治療、特に疾患関連抗原、例えば、癌細胞抗原、免疫細胞抗原、及び感染症微生物抗原を標的とする養子細胞療法を利用する療法に向けられた組成物及び方法を提供することによって、癌医学を含む細胞生物学、分子生物学、免疫学、及び医学の分野における特定のニーズを満たし、免疫細胞の活性化、分化、及び/又は遺伝子操作された免疫細胞の殺夾雑(フラトリサイド)を減少させるための追加の細胞工学的戦略を使用することなく、機能的な細胞傷害性の遺伝子操作された免疫細胞を養子細胞療法のために生成することができるという驚くべき発見に少なくとも部分的に基づいている;培養における遺伝子操作免疫細胞の膨張の障害を防止する;及び/又は培養における細胞の膨張中に遺伝子操作免疫細胞が急速に枯渇するのを防止する。特定の実施形態において、あらゆる種類の細胞傷害性遺伝子操作哺乳動物免疫細胞(少なくともヒトT細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞を含む)が、抗原(複数可)を標的とするように作製される。本開示はまた、標的抗原(単数又は複数)に対して指向される、あらゆる種類の遺伝子操作された受容体(キメラ抗原受容体(CAR)又はT細胞受容体(TCR)を含む)を包含する。
【0082】
血液悪性腫瘍や固形腫瘍を含む癌、免疫疾患、感染症などの疾患に対する新しい遺伝子操作養子細胞療法を開発するには、遺伝子操作養子細胞療法を構成する遺伝子操作免疫細胞によっても発現される抗原を標的とする必要があることがある。このことはしばしば、培養細胞の増殖中に、細胞傷害性遺伝子操作免疫細胞の自己標的化(あるいはフラトリサイド)を引き起こす。T系列抗原を標的とするCAR T細胞のフラトリサイドはよく見られる現象である。例えば、CD3ε、TCRβ、CD7、CD38、NKG2Dリガンドなど、T細胞上に発現する抗原に特異的なCARの発現は、T細胞の膨張を阻害する強力な内部細胞融解を引き起こす可能性がある2-4,11-14。継続的なリガンド駆動型CARシグナル伝達はまた、末端T細胞の分化を促進し、これらの細胞の治療効力を制限する15,16。
【0083】
細胞の餓死を制限し、効率的な増殖を可能にするためには、追加的な改変がしばしば必要であり、この望ましくない活性を緩和するために、複数のアプローチが提案されている。このような改変には、標的遺伝子の編集(例えば、細胞傷害性遺伝子操作免疫細胞における抗原遺伝子の欠失)や、細胞傷害性遺伝子操作免疫細胞の小胞体内に標的抗原を固定する特殊なタンパク質発現ブロッカー(PEBL)レセプターの使用が含まれる。CAR導入前にT細胞上の標的抗原を遺伝子破壊することは、一般的な方法の1つであり、本発明者らは以前、CRISPR/Cas9を用いてCD7遺伝子をノックアウトすることで、検出可能なフラトリサイドのない機能的CD7 CAR T細胞の作製が可能になったことを報告している2,17。このアプローチは、TCR遺伝子編集と組み合わせることで、市販に適した非反応性CD7 CAR T細胞を作製することができる4。同様に、CD3ε遺伝子の遺伝子破壊は、CD3 CAR T細胞のフラトリサイドを減少させる11。別のアプローチとしては、PEBL分子を用いて表面抗原を小胞体に固定することで、表面抗原の細胞内輸送を阻害する方法がある。前臨床研究では、PEBLを介したCD7やCD3εタンパク質の細胞内保持により、それらの表面発現が阻害され、それぞれの抗原を標的とするCAR T細胞のフラトリシドが最小限に抑えられることが示されている3,18。さらに、ブロッキング抗体によるCAR抗原の結合阻害は、T細胞上の複数のリガンドを認識するNKG2DベースのCARによるT細胞溶解を抑制するのに役立つ14。これらのアプローチはすべて、T細胞におけるフラトリシドや、それに伴う終末分化、機能消耗を抑制するために利用できるが、さらなる遺伝子操作や高価な試薬を必要とする。一方、PEBLを介したトラッピングの有効性は、PEBLレセプターと標的タンパク質の化学量論に大きく依存し、全ての標的に対して有効とは限らない。
【0084】
本明細書で提供され、
図11によって示されるように、付加的な工学的操作を必要とせずに、夾雑抗原受容体を発現する免疫細胞の自己標的化を最小化することを指向する代替的な方法及び組成物であって、T細胞製造を有益に合理化し、その複雑さ及びコストを低減することができる。この方法は、FDAで承認されているチロシンキナーゼ阻害剤(
図11A)を含む様々な薬剤を用いて、遺伝子操作された受容体によるシグナル伝達を可逆的に薬理学的に遮断することに依存している。一部の実施形態では、これらの化合物の存在下で培養中の遺伝子組換え免疫細胞を膨張させると、遺伝子組換えレセプターによるシグナル伝達を阻害することにより、自己指向性殺傷を最小限に抑えることができる。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の細胞毒性は、例えば、それを必要とする被験体への投与後、阻害剤を除去すると完全に回復する。初期には、細胞は主に、操作された免疫細胞よりも圧倒的に数の多い疾患細胞を標的とする(
図11B)。罹患細胞が実質的に除去されると、遺伝子操作された免疫細胞は互いに出会い、排除し合う可能性が高くなるため、自己標的化が進み、最終的に生体内での遺伝子操作された免疫細胞の拡大、持続、活性が制御される(
図11C)。
【0085】
したがって、本開示は、遺伝子操作免疫細胞療法が、癌細胞、免疫障害に罹患した免疫細胞、及び/又は感染症微生物に感染した細胞など、死滅させる必要のある細胞に対して細胞毒性を有する細胞療法方法及び組成物を提供する。遺伝子操作された免疫細胞は、細胞の細胞毒性を抑止すべき時に、遺伝子操作された免疫細胞によるシグナル伝達を阻害する薬理学的遮断機構を用いて生成される。特定の実施形態では、薬理学的遮断機構は、遺伝子操作免疫細胞が、その意図する標的ではない細胞、例えば、殺傷されることが望まれない細胞を殺傷する場合に、シグナル伝達を阻害するために用いられる。
【0086】
具体的な実施形態では、意図された標的でない細胞は、非疾患細胞、例えば、非がん細胞、非感染細胞、及び/又は免疫障害の影響を受けていない細胞である。
【0087】
具体的な実施形態では、意図された標的ではない細胞は、遺伝子操作された免疫細胞の1つ以上の遺伝子操作された受容体によって認識される細胞の1つ以上の内因性遺伝子産物を含む1つ以上の標的抗原を発現する。場合によっては、細胞療法の遺伝子操作された免疫細胞は、遺伝子操作された免疫細胞の1つ以上の遺伝子操作されたレセプターによって認識される細胞の1つ以上の内因性遺伝子産物を含む1つ以上の標的抗原を発現し、遺伝子操作された免疫細胞療法の仲間の細胞による破壊のためにそれらの細胞を標的にする。
【0088】
具体的な実施形態では、意図した標的ではない細胞は、そうでなければその細胞によって発現されることのなかった抗原を、少なくとも検出可能な程度まで、トロゴサイトーシスによって獲得している。場合によっては、細胞治療の細胞はトロゴサイトーシスによって抗原を獲得し、その抗原は細胞治療の他の細胞によって破壊される。トロゴサイトーシスは、ある細胞から別の細胞への表面物質の移動を伴う能動的な細胞プロセスであり、構成的なリガンド誘導性及び受容体媒介性の抗原エンドサイトーシスとリサイクリングプロセスによって媒介される。CARが介在するトロゴサイトーシスは、フラトリサイドと疲弊を媒介することにより、CAR-T細胞の抗腫瘍細胞傷害性を抑制することが報告されている。
【0089】
具体的な実施形態では、細胞は、遺伝子操作された免疫細胞の1つ以上の遺伝子操作されたレセプターによって認識される1つ以上の標的抗原を発現するように操作された自己終末型の遺伝子操作された免疫細胞である。場合によっては、細胞療法の遺伝子操作された免疫細胞は、遺伝子操作された免疫細胞の1つ以上の遺伝子操作されたレセプターによって認識される1つ以上の標的抗原を発現し、遺伝子操作された免疫細胞療法の仲間の細胞による破壊のためにそれらの細胞をマークする。
【0090】
具体的な実施形態では、1つ以上の標的抗原は、遺伝子操作された免疫細胞の集団中の細胞のサブセットによってのみ発現される。この場合、遺伝子組換え免疫細胞によるシグナル伝達を薬理学的に遮断することで、集団サブセットのフラトリサイドを制限し、抗原陽性細胞に対する活性化を防ぐことで受容体を欠く免疫細胞の静止状態を維持し、注入時に抗原陰性の免疫集団を選択することが可能となる。この例として、CD7が挙げられる。CD7はすべてのT細胞ではないが、ほとんどのT細胞に発現している。CD7 CAR T細胞をTKIで拡大すると、CD7+とCD7陰性の両方の集団が維持されるが、in vivoではCD7陰性細胞のみが餓死から保護され、持続的に抗腫瘍活性を発揮する。
【0091】
本開示は、この薬理学的遮断機構を用いることにより、細胞治療の細胞間の免疫細胞の活性化、分化、及び/又はフラトリサイドを減少させる方法及び組成物を提供する。
【0092】
I.抗原と抗原ターゲティング
本明細書に開示された遺伝子工学的レセプターが標的とする抗原の中には、養子細胞療法を介して標的とされる任意の疾患、状態、又は細胞型の文脈で発現されるものがある。疾患及び状態の中には、増殖性、腫瘍性、及び悪性疾患及び障害があり、血液がん、リンパ腫、白血病、及び/又は骨髄腫などの免疫系のがん、例えばB、T、及び骨髄性白血病、リンパ腫、及び多発性骨髄腫、ならびに固形腫瘍を含むがん及び腫瘍が含まれる。また、移植片対宿主病、1型糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、乾癬、バセドウ病、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、血管炎などの免疫疾患も含まれる。また、感染症微生物によって引き起こされる感染症も含まれる。いくつかの実施形態において、標的抗原は、正常又は非標的の細胞又は組織と比較して、疾患又は状態の細胞、例えば腫瘍、免疫、又は病原性細胞上で選択的に発現又は過剰発現される。他の実施形態では、標的抗原は正常細胞上で発現され、及び/又は操作された細胞上で発現される。
【0093】
本開示は、特定の抗原発現細胞の認識と殺傷を防ぐための抗原標的化レセプターの使用を実証しており、健常細胞と疾患細胞及び/又は同胞種抗原発現細胞(sibling antigen-expressing cells)の間で共有される抗原を標的とする場合に、このアプローチを利用することができる。
【0094】
本開示の実施形態は、本明細書に包含される操作された免疫細胞のいずれかの使用を含む。方法には、癌、免疫疾患、又は感染症などの疾患を有し、人工免疫エフェクター細胞が治療に使用されるべき個体などの、必要とする個体のための、養子細胞療法を含む細胞療法の強化が含まれる。具体的な実施形態では、細胞療法は、疾患細胞上に存在する1つ以上の抗原を標的とする抗原標的化レセプターを用いる。具体的な実施態様において、遺伝子操作された免疫細胞は、細胞の細胞毒性を抑止すべき時に、遺伝子操作された免疫細胞によるシグナル伝達を阻害する薬理学的遮断機構を用いて生成される。特定の実施形態では、薬理学的遮断機構は、遺伝子組換え免疫細胞が、その意図する標的ではない細胞、例えば、殺傷されることが望まれない細胞を殺傷する場合に、シグナル伝達を阻害するために使用される。
【0095】
具体的な実施形態において、意図された標的でない細胞は、非疾患、例えば、非癌性細胞、非感染細胞、及び/又は免疫障害の影響を受けていない細胞である。
【0096】
具体的な実施形態では、意図された標的ではない細胞は、遺伝子工学的に操作された免疫細胞の1つ以上の抗原標的化レセプターによって認識され結合された標的抗原を内因性に発現する。場合によっては、細胞療法の遺伝子操作免疫細胞は、遺伝子操作免疫細胞の1つ以上の抗原標的化レセプターによって認識される、遺伝子操作免疫細胞に内在性の抗原を発現し、遺伝子操作免疫細胞療法の仲間の細胞による破壊のために、それらの細胞を標的にする。いくつかの実施形態において、遺伝子操作免疫細胞の1つ以上の抗原標的化レセプターによる、遺伝子操作免疫細胞によって発現される標的抗原(複数可)の結合に伴う1つ以上の抗原標的化レセプターによるシグナル伝達は、1つ以上のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の存在下で、1つ以上の抗原標的化レセプター及び/又は遺伝子操作免疫細胞を発現するように操作された免疫細胞を培養する際に減少させることができる。場合によっては、遺伝子操作された免疫細胞によって発現された標的抗原(単数又は複数)の結合時に、1つ以上の抗原標的化レセプターによるシグナル伝達が減少することにより、1つ以上のTKIの非存在下で培養された遺伝子操作された免疫細胞と比較して、遺伝子操作された免疫細胞による免疫細胞の活性化、分化、及び/又は殺夾雑(フラトリサイド)が減少する。
【0097】
具体的な実施形態では、意図された標的ではない細胞は、そうでなければその細胞によって発現されなかったであろう標的抗原を、少なくとも検出可能な程度まで、トロゴサイトーシスによって獲得している。場合によっては、細胞治療の細胞はトロゴサイトーシスによって標的抗原を獲得し、その細胞は細胞治療の他の細胞によって破壊される。トロゴサイトーシスは、ある細胞から別の細胞への表面物質の移動を伴う能動的な細胞プロセスであり、構成的なリガンド誘導性及び受容体媒介性の抗原エンドサイトーシスとリサイクリングプロセスによって媒介される。CARが介在するトロゴサイトーシスは、フラトリサイドと消耗を媒介することによって、CAR-T細胞の抗腫瘍細胞傷害性を抑制することが報告されている。いくつかの実施形態において、1つ以上のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の存在下で、1つ以上の抗原標的化受容体及び/又は遺伝子操作された免疫細胞を発現するように操作された免疫細胞を培養すると、トロゴサイトーシスを介して獲得され、遺伝子操作された免疫細胞の1つ以上の抗原標的化受容体によって発現された標的抗原の結合に伴う、1つ以上の抗原標的化受容体によるシグナル伝達が減少し得る。場合によっては、トロゴサイトーシスを介して獲得され、遺伝子工学的に操作された免疫細胞によって発現された標的抗原が、遺伝子工学的に操作された免疫細胞の1つ以上の抗原標的化レセプターに結合する際に、1つ以上の抗原標的化レセプターによるシグナル伝達が減少することにより、1つ以上のTKIの非存在下で培養された遺伝子工学的に操作された免疫細胞と比較して、遺伝子工学的に操作された免疫細胞による免疫細胞の活性化、分化、及び/又はフラトリサイドが減少する。
【0098】
場合によっては、遺伝子操作免疫細胞による標的細胞の実質的な排除の後に、遺伝子操作免疫細胞の集団の殺胞活性をin vivoで回復させることができる。場合によっては、遺伝子操作免疫細胞集団の殺餓死活性の回復は、遺伝子操作免疫細胞によって発現された標的抗原(単数又は複数)が、遺伝子操作免疫細胞によっても発現された1つ以上の抗原標的化レセプターによって結合される際に、遺伝子操作免疫細胞が排除されることによってもたらされる。
【0099】
場合によっては、遺伝子操作された免疫細胞の抗原標的化レセプターによって認識される1つ以上の標的抗原は、細胞によって発現される任意の夾雑抗原である。いくつかの実施態様において、夾雑抗原は、CD1a、CD1b、CD1c、CD1d、CD1e、CD2、CD3d、CD3e、CD3g、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8a、CD8b、CD9、CD10、CD11a、CD11b、CD11c、CD11d、CD13、CD14、CD15、CD16a、CD16b、CD17、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD25、CD26、CD27、CD28、CD29、CD30、CD31、CD32、CD33、CD34、CD35、CD36、CD37、CD38、CD39、CD40、CD41、CD42a、CD42b、CD42c、CD42d、CD43、CD44、CD45、CD45RA、CD45RB、CD45RC、CD45RO、CD46、CD47、CD48、CD49a、CD49b、CD49c、CD49d、CD49e、CD49f、CD50、CD51、CD52、CD53、CD54、CD55、CD56、CD57、CD58、CD59、CD60a、CD60b、CD60c、CD61、CD62E、CD62L、CD62P、CD63、CD64、CD65、CD66a、CD66b、CD66c、CD66d、CD66e、CD66f、CD67、CD68、CD69、CD70、CD71、CD72、CD73、CD74、CD75、CD75s、CD77、CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD85a、CD85b、CD85c、CD85d、CD85e、CD85f、CD85g、CD85h、CD85i、CD85j、CD85k、CD86、CD87、CD88、CD89、CD90、CD91、CD92、CD93、CD94、CD95、CD96、CD97、CD98、CD99、CD100、CD101、CD102、CD103、CD104、CD105、CD106、CD107a、CD107b、CD108、CD109、CD110、CD111、CD112、CD113、CD114、CD115、CD116、CD117、CD118、CD119、CD120a、CD120b、CD121a、CD121b、CD122、CD123、CD124、CD125、CD126、CD127、CD128、CD129、CD130、CD131、CD132、CD133、CD134、CD135、CD136、CD137、CD138、CD139、CD140a、CD140b、CD141、CD142、CD143、CD144、CD146、CD147、CD148、CD150、CD151、CD152、CD153、CD154、CD155、CD156a、CD156b、CD156c、CD157、CD158a、CD158b1、CD158b2、CD158c、CD158d、CD158e、CD158f1、CD158f2、CD158g、CD158h、CD158i、CD158j、CD158k、CD158z、CD159a、CD159c、CD160、CD161、CD162、CD163、CD163b、CD164、CD165、CD166、CD167a、CD167b、CD168、CD169、CD170、CD171、CD172a、CD172b、CD172g、CD173、CD174、CD175、CD175s、CD176、CD177、CD178、CD179a、CD179b、CD180、CD181、CD182、CD183、CD184、CD185、CD186、CD191、CD192、CD193、CD194、CD195、CD196、CD197、CDw198、CDw199、CD200、CD201、CD202b、CD203a、CD203c、CD204、CD205、CD206、CD207、CD208、CD209、CD210、CDw210b、CD212、CD213a1、CD213a2、CD215、CD217、CD218a、CD218b、CD220、CD221、CD222、CD223、CD224、CD225、CD226、CD227、CD228、CD229、CD230、CD231、CD232、CD233、CD234、CD235a、CD235b、CD236、CD238、CD239、CD240CE、CD240D、CD241、CD242、CD243、CD244、CD245、CD246、CD247、CD248、CD249、CD252、CD253、CD254、CD256、CD257、CD258、CD261、CD262、CD263、CD265、CD266、CD267、CD268、CD269、CD270、CD271、CD272、CD273、CD274、CD275、CD276、CD277、CD278、CD279、CD280、CD281、CD282、CD283、CD284、CD286、CD288、CD289、CD290、CD292、CDw293、CD294、CD295、CD296、CD297、CD298、CD299、CD300a、CD300b、CD300c、CD300d、CD300e、CD300f、CD300g、CD301、CD302、CD303、CD304、CD305、CD306、CD307a、CD307b、CD307c、CD307d、CD307e、CD309、CD312、CD314、CD315、CD316、CD317、CD318、CD319、CD320、CD321、CD322、CD324、CD325、CD326、CD327、CD328、CD329、CD331、CD332、CD333、CD334、CD335、CD336、CD337、CD338、CD339、CD340、CD344、CD349、CD350、CD351、CD352、CD353、CD354、CD355、CD357、CD358、CD360、CD361、CD362、又は、CD363を含む。
【0100】
場合によっては、遺伝子操作された免疫細胞の抗原標的化レセプターによって認識される1つ以上の標的抗原は、免疫細胞系列抗原である。いくつかの実施形態において、免疫細胞系列標的抗原は、CD2、CD5、CD7、CD4、CD8、CD3、CS1、CD38、CD99、CD30、4-1BB、OX40、ICOS、CD26、CD6、TIGIT、PD-1、2B4、LAG-3、MHC-I.MHC-II、ペプチド-MHC I、ペプチド-MHC II、Tim3、CTLA-4、CD112R、CD226、CD96、CD80、CD86、CD112、CD155、KIR2、KIR3、LILRB、CD28、CD40L、CD40、BTLA、GITR、VISTA、NKG2Dリガンド、又はCD70を含む。いくつかの実施形態において、免疫細胞系列標的抗原は、CD2を含む。いくつかの実施形態において、免疫細胞系列標的抗原はCD5を含む。いくつかの実施形態において、免疫細胞系列標的抗原はCD7を含む。いくつかの実施形態において、免疫細胞系列標的抗原はCD38を含む。
【0101】
場合によっては、遺伝子操作された免疫細胞の抗原標的化レセプターによって認識される1つ以上の標的抗原は、トロゴサイトーシスを介して獲得され、遺伝子操作された免疫細胞によって発現される抗原である。標的抗原は、ある種の癌細胞、感染細胞、及び/又は免疫障害に罹患している細胞とは関連するが、非癌細胞、非感染細胞、及び/又は免疫障害に罹患していない細胞とは関連しない場合がある。標的抗原は、場合によっては、特定の癌細胞と非癌細胞、特定の感染細胞と非感染細胞、免疫異常の影響を受けている特定の細胞と免疫異常の影響を受けていない細胞の両方に関連する可能性がある。
【0102】
場合によっては、遺伝子操作された免疫細胞の抗原標的化レセプターによって認識される1つ以上の標的抗原は、遺伝子操作された免疫細胞の集団中の免疫細胞のサブセットによってのみ発現される。
【0103】
例示的な標的抗原には、感染因子由来の抗原分子、自己/自己抗原、腫瘍/がん関連抗原、及び腫瘍新抗原が含まれるが、これらに限定されない(Linnemannら)。特定の態様において、抗原は、EBNA、CD123、HER1、HER2、CA-125、CA 19-9、CA 72-4、CA 15-3CA 27.29BCAA、CA-195、CA-242、CA-50、CA LX、MN-CA IX、TRAIL/DR4、CD2、CD5、CD7、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD47、CD56、CD68/P1、CD70、CD97、CD99、CD123、CD171、CD179、CD200、CD319(CS1)、HLA-G、カルチノ胚性抗原、アルファフェトプロテイン、b-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、AKT、Her3、上皮性腫瘍抗原、ROR1、葉酸結合タンパク質、葉酸受容体、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp120、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、HERV-K、IL-6、IL-11Rα、IL-13Rα、κ鎖、λ鎖、CSPG4、CLL-1、U5snRNP200、BAFF-R、BCMA、p53、変異p53、Ras、変異ras、c-Myc、細胞質セリン/スレオニンキナーゼ(例えば、A-Raf、B-Raf、C-Raf、サイクリン依存性キナーゼ)、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A6、MAGE-A10、MAGE-A12、MART-1、神経膠腫関連抗原、メラノーマ関連抗原、BAGE、DAM-6、DAM-10、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-8、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7B、π5、NA88-A、MC1R、mda-7、gp75、Gp100、PSA、PSM、チロシナーゼ、チロシナーゼ関連タンパク質、TRP-1、TRP-2、ART-4、CAMEL、CEA、Cyp-B、hTERT、hTRT、iCE、MUC1、MUC2、MUC16、MUC18、ホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)、TRK受容体、PRAME、P15、P16、RU1、RU2、SART-1、SART-3、ウィルムス腫瘍抗原(WT1)、AFP、β-catenin、カスパーゼ-8/m、CDK-4/m、ELF2M、GnT-V、G250、HAGE、HSP70-2M、HST-2、KIAA0205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシン/m、RAGE、SART-2、TRP-2/INT2、707-AP、アネキシンII、CDC27/m、TPI/mbcr-abl、BCR-ABL、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、インターフェロン調節因子4(IRF4)、ETV6/AML、LDLR/FUT、Pml/RAR、腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー1(TACSTD1)TACSTD2、受容体チロシンキナーゼ(例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)(特に、EGFRvIII)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、VEGFR2、細胞質チロシンキナーゼ(例えば、srcファミリー、syk-ZAP70ファミリー)、インテグリン結合キナーゼ(ILK)、転写のシグナル伝達及び活性化因子STAT3、STATS、及びSTATE、低酸素誘導因子(例えば、HIF-1及びHIF-2)、核因子-κB(NF-B)、ノッチ受容体(例えば、Notch1-4)、NY ESO 1、pl85erbB2、pl80erbB-3、c-Met、nm-23H1、β-HCG、BCA225、BTAA、CAM 17.1、CAM43、L1 CAM、NCAM、NuMa、43-9F、791Tgp72、CO-029、FGF-5、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCASI、SDCCAG1 6、TA- 90Mac-2結合タンパク質、シクロフィルムC関連タンパク質、TAAL6、TAG72、TLP、TPS、GPC3、EBMA-1、BARF-1、CS-1、ADRB3、サイログロブリン、EVT6-AML、TGS5、プリシアル酸、好中球エラスターゼ、腸カルボキシルエステラーゼ、プロスターゼ、プロスタイン、lewisY、LY6K、PAP、OR51 E2、PANX3、SSEA-4、TARP、CXORF61、Flt3、TEM1、TEM7R、TSHR、UPK2、mammalian targets of rapamycin(mTOR)、WNT、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERKs)、及びその制御サブユニット、k-ras、PMSA、PR-3、MDM2、メソセリン、腎細胞がん-5T4、SM22-α、炭酸脱水酵素I(CAI)及びIX(CAIX)(G250としても知られる)、STEAD、TEL/AML1、GD2、プロテイナーゼ3、hTERT、肉腫転座ブレークポイント、EphA2、EphnnB2、ML-IAP、EpCAM、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、インスリン成長因子(IGF)-I、IGFII、IGF-I受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、M-CSF、MYCN、RhoC、GD3、フコシルGM1、メソセリアン、PSCA、sLe、PLAC1、GM3、GPRC5D、GPR20、BORIS、Tn、GLoboH、NY-BR-1、RGsS、SAGE、SART3、STn、PAX5、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、HMWMAA、HAVCR1、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、B7H6、Kit、legumain、TN Ag、TIE2、4ページ、MAD-CT-1、FAP、MAD-CT-2、fos関連抗原1、CBX2、CLDN6、SPANX、TPTE、ACTL8、ANKRD30A、CDKN2A、MAD2L1、CTAG1B、SUNC1、TSP-180、LRRN1を含む。抗原の配列の例は、例えばGENBANK(登録商標)データベースにおいて当技術分野で知られている:CD19(アクセッション番号、NG_007275.1)、EBNA(アクセッション番号、NG_002392.2)、WT1(アクセッション番号、NG_009272.1)、CD123(アクセッション番号、NC_000023.11)、NY-ESO(アクセッション番号、NC_000023.11)、EGFRvIII(アクセッション番号、NG_007726.3)、MUC1(アクセッション番号、NG_029383.1)、HER2(アクセッション番号、NG_007503.1)、CA-125(アクセッション番号、NG_055257.1)、WT1(アクセッション番号、NG_009272.1)、Mage-A3(アクセッション番号、NG_013244.1)、Mage-A4(アクセッション番号、NG_013245.1)。NG_013245.1)、Mage-A10(アクセッション番号、NC_000023.11)、TRAIL/DR4(アクセッション番号、NC_000003.12)、及び/又はCEA(アクセッション番号、NC_000019.10)。
【0104】
腫瘍関連抗原は、例として、前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、膵臓癌、腎臓癌、中皮腫、卵巣癌、肝臓癌、脳腫瘍、骨癌、胃癌、脾臓癌、精巣癌、子宮頸癌、肛門癌、胆嚢癌、甲状腺癌、又は黒色腫癌に由来し得る。例示的な腫瘍関連抗原又は腫瘍細胞由来抗原には、MAGE 1、3、及びMAGE 4(又は国際特許公開第WO99/40188号に開示されているような他のMAGE抗原);PRAME;BAGE;RAGE、Lage(NY ESO 1としても知られている);SAGE;及びHAGE又はGAGEが含まれる。腫瘍抗原のこれらの非限定的な例は、黒色腫、肺癌、肉腫、及び膀胱癌のような広範囲の腫瘍型で発現される。例えば、米国特許第6,544,518号を参照。前立腺癌腫瘍関連抗原としては、例えば、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺癌腫瘍抗原-1(PCTA-1)、前立腺酸性リン酸塩、NKX3.1、及び前立腺の6回膜上皮抗原(STEAP)が挙げられる。
【0105】
その他の腫瘍関連抗原には、Plu-1、HASH-1、HasH-2、Cripto、Criptinなどがある。さらに、腫瘍抗原は、多くの癌の治療に有用な全長10アミノ酸長の短いペプチドであるゴナドトロフィンホルモン放出ホルモン(GnRH)のような自己ペプチドホルモンであってもよい。
【0106】
抗原はまた、ICOS、4-1BB、OX40、CD30、CS-1、CD69、CD25、及び他の典型的な免疫細胞マーカーを含むがこれらに限定されない、エフェクター免疫細胞の発生又は機能活性化の様々な段階において、エフェクター免疫細胞によって通常発現される遺伝子を含み得る。
【0107】
抗原は、正常細胞又は腫瘍細胞で発現された、又は変異した遺伝子、あるいは正常細胞と比較して腫瘍細胞で異なるレベルで転写された遺伝子に由来するエピトープ領域又はエピトープペプチド、例えば、テロメラーゼ酵素、サバイビン、メソセリン、変異ras、bcr/abl転位、Her1、Her2/neu、変異型又は野生型p53、テロメラーゼ逆転写酵素、サバイビン、メソセリン、変異ras、bcr/abl再配列、Her1、Her2/neu、変異型又は野生型p53、チトクロームP450 1B1、N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ-Vのような異常発現イントロン配列など;骨髄腫及びB細胞リンパ腫においてユニークなイディオタイプを生成する免疫グロブリン遺伝子のクローン性再配列;ヒト乳頭腫ウイルスタンパク質E6及びE7;エプスタインバーウイルスタンパク質LMP1及びLMP2;カルチノエンブリオニック抗原及びα-フェトプロテインなどの腫瘍選択的発現を有する非変異型オンコフェタールタンパク質などの腫瘍ウイルス過程に由来するエピトピック領域又はエピトピックペプチドを含む腫瘍抗原を含む。
【0108】
他の実施形態では、癌抗原(腫瘍抗原)のようなヒト細胞抗原の代わりに、ウイルス、真菌、寄生虫、細菌のような病原性微生物、又は日和見病原性微生物(本明細書では感染症微生物とも呼ばれる)から抗原が得られるか、又はそれらに由来する。特定の実施形態において、このような微生物由来の抗原は、全長タンパク質を含む。
【0109】
本明細書に記載の方法においてその抗原の使用が企図される例示的な病原性生物には、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、インフルエンザA、B、及びC、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ポリオーマウイルス(例えば、BKウイルス及びJCウイルス)、アデノウイルス、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含むブドウ球菌種、肺炎球菌を含むレンサ球菌種を含む。当業者には理解されるであろうが、本明細書に記載される抗原として使用するための、これら及び他の病原性微生物由来のタンパク質及びそのタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、刊行物及びGENBANK(登録商標)、SWISS-PROT(登録商標)及びTREMBL(登録商標)のような公開データベースにおいて同定され得る。
【0110】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)由来の抗原には、HIVビリオン構造タンパク質(例えば、gp120、gp41、p17及びp24)、プロテアーゼ、逆転写酵素、又はtat、rev、nef、vif、vpr及びvpuによってコードされるHIVタンパク質のいずれかが含まれる。
【0111】
単純ヘルペスウイルス(例えば、HSV1及びHSV2)由来の抗原には、HSV後期遺伝子から発現されるタンパク質が含まれるが、これらに限定されない。後期遺伝子群は主にビリオン粒子を形成するタンパク質をコードする。このような蛋白質には、ウイルスキャプシドを形成する(UL)からの5つの蛋白質が含まれる:UL6、UL18、UL35、UL38、及び主要カプシドタンパク質UL19、UL45、及びUL27であり、これらの各々は、本明細書に記載されるように抗原として使用され得る。本明細書において抗原として使用するために企図される他の例示的なHSVタンパク質としては、ICP27(H1、H2)、糖タンパク質B(gB)及び糖タンパク質D(gD)タンパク質が挙げられる。HSVゲノムは少なくとも74個の遺伝子を含んでおり、各遺伝子は抗原として使用され得るタンパク質をコードしている。
【0112】
サイトメガロウイルス(CMV)由来の抗原としては、CMV構造タンパク質、ウイルス複製の直前初期及び初期段階の間に発現されるウイルス抗原、糖タンパク質I及びIII、カプシドタンパク質、コートタンパク質、下部マトリックスタンパク質pp65(ppUL83)、p52(ppUL44)、IE1及び1E2(UL123及びUL122)、UL128~UL150の遺伝子クラスターからのタンパク質産物(Rykmanら.2006)、エンベロープ糖タンパク質B(gB)、gH、gN、及びpp150。当業者に理解されるように、本明細書中に記載される抗原として使用するためのCMVタンパク質は、GENBANK(登録商標)、SWISS-PROT(登録商標)、及びTREMBL(登録商標)のような公開データベースにおいて同定され得る(例えば、Bennekovら、2004;Loewendorfら、2010;Marschallら、2009を参照のこと)。
【0113】
特定の実施形態における使用が企図されるエプスタイン-バンウイルス(EBV)由来の抗原には、エプスタイン・バン核抗原(EBNA)-1、EBNA-2、EBNA-3A、EBNA-3B、EBNA-3C、EBNAリーダータンパク質(EBNA-LP)、潜伏膜タンパク質(LMP)-1、LMP-2A、LMP-2B(例えば、Lockeyら、2008年参照)を含む、EBV溶菌タンパク質gp350とgp110、潜伏期感染時に産生されるEBVタンパク質が含まれる。
【0114】
本明細書での使用が企図される呼吸器合胞体ウイルス(RSV)由来の抗原には、RSVゲノムによってコードされる11種のタンパク質のいずれか、又はその抗原性断片が含まれる:NS1、NS2、N(ヌクレオカプシドタンパク質)、M(マトリックスタンパク質)SH、G及びF(ウイルスコートタンパク質)、M2(第2のマトリックスタンパク質)、M2-1(伸長因子)、M2-2(転写調節因子)、RNAポリメラーゼ、及びホスホプロテインPである。
【0115】
使用が企図される水疱性口内炎ウイルス(VSV)由来の抗原には、VSVゲノムによってコードされる5つの主要タンパク質、及びその抗原性断片のいずれか1つが含まれる:ラージタンパク質(L)、糖タンパク質(G)、核タンパク質(N)、リンタンパク質(P)、及びマトリックスタンパク質(M)(例えば、Riederら、1999を参照のこと)。
【0116】
特定の実施形態において使用が企図されるインフルエンザウイルス由来の抗原には、ヘマグルチニン(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)、ヌクレオタンパク質(NP)、マトリックスタンパク質M1及びM2、NS1、NS2(NEP)、PA、PB1、PB1-F2、及びPB2が含まれる。
【0117】
例示的なウイルス抗原には、アデノウイルスポリペプチド、アルファウイルスポリペプチド、カリシウイルスポリペプチド(例えば、カリシウイルスカプシド抗原)、コロナウイルスポリペプチド、ジステンパーウイルスポリペプチド、エボラウイルスポリペプチド、エンテロウイルスポリペプチド、フラビウイルスポリペプチド、カリシウイルスポリペプチド(例えば、カリシウイルスカプシド抗原)、コロナウイルスポリペプチド、ジステンパーウイルスポリペプチド、エボラウイルスポリペプチド、エンテロウイルスポリペプチド、フラビウイルスポリペプチド、肝炎ウイルス(AE)ポリペプチド(B型肝炎コア又は表面抗原、C型肝炎ウイルスE1又はE2糖タンパク質、コア、又は非構造タンパク質)、ヘルペスウイルスポリペプチド(単純ヘルペスウイルス又は水痘帯状疱疹ウイルス糖タンパク質を含む)、伝染性腹膜炎ウイルスポリペプチド、白血病ウイルスポリペプチド、マールブルグウイルスポリペプチド、オルソミクソウイルスポリペプチド、パピローマウイルスポリペプチド、パラインフルエンザウイルスポリペプチド(例えば、ヘマグルチニン及びノイラミニダーゼポリペプチド)、パラミクソウイルスポリペプチド、パルボウイルスポリペプチド、ペスティウイルスポリペプチド、ピコルナウイルスポリペプチド(例えば、ポリオウイルスカプシドポリペプチド)、ポックスウイルスポリペプチド(例えば、ワクシニアウイルスポリペプチド)、ワクシニアウイルスポリペプチド)、狂犬病ウイルスポリペプチド(例えば、狂犬病ウイルス糖タンパク質G)、レオウイルスポリペプチド、レトロウイルスポリペプチド、及びロタウイルスポリペプチドが含まれるが、これらに限定されない。
【0118】
特定の実施形態において、抗原は細菌抗原であってもよい。特定の実施形態において、目的の細菌抗原は、分泌ポリペプチドであってもよい。他の特定の実施形態において、細菌抗原は、細菌の外細胞表面上に露出したポリペプチドの一部又は部分を有する抗原を含む。
【0119】
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含むスタフィロコッカス種由来の抗原には、Agr系、Sar及びSae、Arl系、Sar相同体(Rot、MgrA、SarS、SarR、SarT、SarU、SarV、SarX、SarZ及びTcaR)、Srr系及びTRAPなどの病原性制御因子が含まれる。抗原となりうる他のブドウ球菌タンパク質としては、Clpタンパク質、HtrA、MsrR、アコニターゼ、CcpA、SvrA、Msa、CfvA及びCfvBがある(例えば、Staphylococcus:Molecular Genetics,2008 Caister Academic Press,Ed.Jodi Lindsayなど)。黄色ブドウ球菌の2種(N315とMu50)のゲノムは配列決定されており、例えばPATRIC(PATRIC:The VBI PathoSystems Resource Integration Center,Snyderら.,2007)で公開されている。当業者には理解されるように、抗原として使用するためのブドウ球菌タンパク質は、GENBANK(登録商標)、SWISS-PROT(登録商標)、TREMBL(登録商標)のような他の公開データベースでも同定され得る。
【0120】
本明細書に記載される特定の実施形態における使用が企図される肺炎球菌由来の抗原としては、ニューモリシン、PspA、コリン結合タンパク質A(CbpA)、NanA、NanB、SpnHL、PavA、LytA、Pht、及びピリンタンパク質(RrgA;RrgB;RrgC)が挙げられる。肺炎連鎖球菌の抗原性タンパク質もまた、当該分野で公知であり、そしていくつかの実施形態において抗原として使用され得る(例えば、Zyskら、2000を参照のこと)。肺炎球菌の病原性株の全ゲノム配列が決定されており、当業者には理解されるように、本明細書で使用する肺炎球菌タンパク質は、GENBANK(登録商標)、SWISS-PROT(登録商標)、及びTREMBL(登録商標)などの他の公開データベースでも同定され得る。本開示による抗原に特に関心のあるタンパク質には、病原性因子及び肺炎球菌の表面に露出すると予測されるタンパク質が含まれる(例えば、Froletら、2010を参照のこと)。
【0121】
抗原として使用され得る細菌抗原の例としては、放線菌ポリペプチド、バチルスポリペプチド、バクテロイデスポリペプチド、ボルデテラポリペプチド、バルトネラポリペプチド、ボレリアポリペプチド(例えば.B.burgdorferi OspA)、Brucellaポリペプチド、Campylobacterポリペプチド、Capnocytophagaポリペプチド、Chlamydiaポリペプチド、Corynebacteriumポリペプチド、Coxiellaポリペプチド、Dermatophilusポリペプチド、Enterococcusポリペプチド、Ehrlichiaポリペプチド、Escherichiaポリペプチド、Francisellaポリペプチド、Fusobacteriumポリペプチド、Haemobartonellaポリペプチド、Haemophilusポリペプチド(例えば、H.influenzae type b outer membrane protein)、Helicobacterポリペプチド、Klebsiellaポリペプチド、L-フォーム細菌ポリペプチド、Leptospiraポリペプチド、Listeriaポリペプチド、Mycobacteriaポリペプチド、マイコプラズマポリペプチド、ナイセリアポリペプチド、ネオリケッチアポリペプチド、ノカルジアポリペプチド、パスツレラポリペプチド、ペプトコッカスポリペプチド、ペプトストレプトコッカスポリペプチド、ニューモコッカスポリペプチド(すなわち。S.pneumoniaeポリペプチド)、Proteusポリペプチド、Pseudomonasポリペプチド、Rickettsiaポリペプチド、Rochalimaeaポリペプチド、Salmonellaポリペプチド、Shigellaポリペプチド、Staphylococcusポリペプチド、A群連鎖球菌ポリペプチド(例えば、S.pyogenes Mタンパク質)、B群連鎖球菌(S.agalactiae)ポリペプチド、トレポネーマポリペプチド、及びエルシニアポリペプチド(例えば、Y.pestis F1及びV抗原)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
真菌抗原の例としては、Absidiaポリペプチド、Acremoniumポリペプチド、Alternariaポリペプチド、Aspergillusポリペプチド、Basidiobolusポリペプチド、Bipolarisポリペプチド、Blastomycesポリペプチド、Candidaポリペプチド、Coccidioidesポリペプチド、Conidiobolusポリペプチド、Cryptococcusポリペプチド、Curvalariaポリペプチド、Epidermophytonポリペプチド、Exophialaポリペプチド、Geotrichumポリペプチド、Histoplasmaポリペプチド、Madurellaポリペプチド、Malasseziaポリペプチド、Microsporumポリペプチド、Moniliellaポリペプチド、Mortierellaポリペプチド、Mucorポリペプチド、Paecilomycesポリペプチド、Penicilliumポリペプチド、Phialemoniumポリペプチド、Phialophoraポリペプチド、Protothecaポリペプチド、Pseudallescheriaポリペプチド、Pseudomicrodochiumポリペプチド、Pythiumポリペプチド、Rhinosporidiumポリペプチド、Rhizopusポリペプチド、Scolecobasidiumポリペプチド、Sporothrixポリペプチド、Stemphyliumポリペプチド、Trichophytonポリペプチド、Trichosporonポリペプチド、Xylohyphaポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない、
【0123】
原虫寄生体抗原の例としては、バベシアポリペプチド、バランチジウムポリペプチド、Besnoitiaポリペプチド、クリプトスポリジウムポリペプチド、Eimeriaポリペプチド、Encephalitozoonポリペプチド、Entamoebaポリペプチド、Giardiaポリペプチド、Hammondiaポリペプチド、Hepatozoonポリペプチド、 Isosporaポリペプチド、Leishmaniaポリペプチド、Microsporidiaポリペプチド、Neosporaポリペプチド、Nosemaポリペプチド、Pentatrichomonasポリペプチド、Plasmodiumポリペプチド。蠕虫寄生虫抗原の例としては、Acanthocheilonemaポリペプチド、Aelurostrongylusポリペプチド、Ancylostomaポリペプチド、Angiostrongylusポリペプチド、Ascarisポリペプチド、Brugiaポリペプチド、Bunostomumポリペプチド、Capillariaポリペプチド、Chabertiaポリペプチド、Cooperiaポリペプチド、Crenosomaポリペプチドなどが挙げられるが、これらに限定されない、 Dictyocaulus polypeptides、Dioctophyme polypeptides、Dipetalonema polypeptides、Diphyllobothrium polypeptides、Diplydium polypeptides、Dirofilaria polypeptides、Dracunculus polypeptides、Enterobius polypeptides、Filaroides polypeptides、Haemonchus polypeptides、Lagochilascaris polypeptides、Loa polypeptides、Mansonella polypeptides、Muelleriusポリペプチド、Nanophyetusポリペプチド、Necatorポリペプチド、Nematodirusポリペプチド、Oesophagostomumポリペプチド、Onchocercaポリペプチド、Opisthorchisポリペプチド、Ostertagiaポリペプチド、Parafilariaポリペプチド、Paragonimusポリペプチド、Parascarisポリペプチド、Physalopteraポリペプチド、Protostrongylusポリペプチド、Setariaポリペプチド、SpirocercaポリペプチドSpirometraポリペプチド、Stephanofilariaポリペプチド、Strongyloidesポリペプチド、Strongylusポリペプチド、Thelaziaポリペプチド、Toxascarisポリペプチド、Toxocaraポリペプチド、Trichinellaポリペプチド、Trichostrongylusポリペプチド、Trichurisポリペプチド、Uncinariaポリペプチド、及びWuchereriaポリペプチド(例えば、P.falciparum circumsporozoite(PfCSP))、スポロゾイト表面タンパク質2(PfSSP2)、肝状態抗原1のカルボキシル末端(PfLSA1 c-term)、及び輸出タンパク質1(PfExp-1、exported protein 1)、ニューモシスチスポリペプチド、サルコシスチスポリペプチド、シストソーマポリペプチド、テイレリアポリペプチド、トキソプラズマポリペプチド、及びトリパノソーマポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
外部寄生虫抗原の例としては、ノミ由来のポリペプチド(抗原及びアレルゲンを含む);ハードマダニ及びソフトマダニを含むマダニ;ハエ(コバエ、蚊、スナバエ、クロバエ、ウマバエ、ツノバエ、シカバエ、ツェツェバエ、厩務員ハエ、ミヤコカブリバエ、刺すブヨなど;アリ、クモ、シラミ、ダニ、トコジラミ(ナンキンムシ)やキスジノミなどの真正の虫が挙げられるが、これらに限定されない
【0125】
II.遺伝子組み換えレセプター
本開示の免疫細胞は、1つ以上の抗原を標的とする1つ以上の抗原標的化レセプター(本明細書では「抗原結合レセプター」及び「抗原レセプター」とも呼ばれる)を発現するように遺伝子操作され得、例えば、操作されたCAR又は別法として操作されたTCRなどであり、それによって遺伝子操作された免疫細胞を産生する。例えば、免疫細胞は、がん細胞抗原、免疫細胞抗原、感染症抗原に特異性を有するCAR及び/又はTCRを発現するように改変された免疫細胞であってもよい。他のCAR及び/又はTCRは、がん細胞抗原、免疫細胞抗原、又は感染症抗原受容体発現細胞と同じ細胞によって発現されてもよく、異なる抗原に向けられていてもよい。
【0126】
いくつかの態様において、免疫細胞は、CAR又はTCRの一過性トランスフェクション又は形質導入により、癌細胞抗原特異的CAR又は癌細胞抗原特異的TCRを発現するように操作される。他の場合、免疫細胞は、感染症抗原に対する特異性を有するCAR及び/又はTCRを発現するように改変された免疫細胞であってもよい。他のCAR及び/又はTCRは、感染症抗原レセプターを発現する細胞と同じ細胞によって発現されてもよく、異なる抗原に向けられていてもよい。いくつかの態様において、免疫細胞は、CAR又はTCRの一過性トランスフェクション又は導入により、感染症抗原特異的CAR又は、感染症抗原特異的TCRを発現するように操作される。他の場合、免疫細胞は、免疫疾患抗原に対する特異性を有するCAR及び/又はTCRを発現するように改変された免疫細胞であってもよい。他のCAR及び/又はTCRは、免疫障害抗原受容体発現細胞と同じ細胞によって発現されてもよく、異なる抗原に向けられていてもよい。いくつかの態様において、免疫細胞は、CAR又はTCRの一過性トランスフェクション又は導入により、免疫異常抗原特異的CAR又は免疫異常抗原特異的TCRを発現するように操作される。
【0127】
細胞を改変する適切な方法は、当技術分野で知られている。例えば、前掲のSambrook and Ausubelを参照されたい。例えば、Heemskerkら,2008及びJohnsonら,2009に記載されている形質導入技術を用いて、がん抗原に対する抗原特異性を有するCAR又はTCRを発現するように細胞を形質導入することができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、細胞は、1つ以上の抗原標的化レセプターをコードする、遺伝子工学を介して導入された1つ以上の核酸、及びそのような核酸の遺伝子工学的産物を含む。いくつかの実施形態において、核酸は、異種、すなわち、通常、細胞又は細胞から得られたサンプルには存在しないものであり、例えば、遺伝子操作される細胞及び/又はそのような細胞が由来する生物には通常見出されない、別の生物又は細胞から得られたものなどである。いくつかの実施形態では、核酸は、自然界に存在しない核酸(例えば、キメラ)など、天然には存在しない。
【0129】
CAR及び組換えTCRを含む例示的な抗原受容体、ならびに受容体を工学的に設計して細胞に導入する方法には、例えば、国際特許出願公開番号WO2000/14257、WO2013/126726、WO2012/129514、WO2014/031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、及びWO/2014055668に記載されているもの、米国特許出願公開番号US2002131960、US20133287748、及びUS20130149337に記載されているもの、米国特許出願公開番号US2002131960、US20133287748、及びUS20130149337に記載されているもの、米国特許出願公開番号US2002131960、US20133287748、及びUS20130149337に記載されているもの、米国特許出願公開番号US2002131960、US2013287748、US20130149337、米国特許No.6,451,995、7,446,190、8,252,592、8,339,645、8,398,282、7,446,179、6,410,319、7,070,995、7,265,209、7,354,762、7,446,190、7,446,191、8,324,353、及び8,479,118;ならびに欧州特許出願番号EP2537416;Sadelainら、2013;Davilaら、2013;Turtleら、2012;Wuら、2012;及び/又は国際特許出願公開番号WO2016138491;米国特許出願番号US20200405811、US20190144522、US20200087398、及びUS20200000937;ならびに米国特許番号US10550183によって記載されているものが含まれる。
【0130】
A.キメラ抗原受容体(CAR)
特定の実施形態では、少なくとも、a)1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン、b)膜貫通ドメイン、及びc)癌細胞抗原を標的とする、特異的に結合することを含む、少なくとも1つの抗原結合領域を含む細胞外ドメインを含む、癌細胞抗原特異的CARが利用される。特定の実施形態では、抗原結合領域は抗体又はその機能的断片であるが、他の場合には、CARの抗原結合領域は抗体又はその機能的断片ではない(受容体リガンドなど)。ある実施形態では、がん細胞抗原特異的CARは単一のがん細胞抗原と結合するが、他の実施形態では、単一のポリペプチドとしてのCARは、2つ以上の抗原結合ドメインを含むことにより二重特異的であり、そのうちの1つは第1のがん細胞抗原と結合し、もう1つは別の、同一ではないがん細胞抗原と結合する。
【0131】
特定の実施形態では、感染症抗原特異的CARが利用され、少なくとも、a)1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン、b)膜貫通ドメイン、及びc)感染症抗原を標的とする(特異的に結合することを含む)少なくとも1つの抗原結合領域を含む細胞外ドメインを含む。特定の実施形態では、抗原結合領域は抗体又はその機能的断片であるが、他の場合には、CARの抗原結合領域は抗体又はその機能的断片ではない(受容体リガンドなど)。ある実施形態では、感染症抗原特異的CARは単一の感染症抗原と結合するが、他の実施形態では、単一のポリペプチドとしてのCARは、2つ以上の抗原結合ドメインを含むことにより二重特異的であり、そのうちの1つは第1の感染症抗原と結合し、もう1つは別の非同一の感染症抗原と結合する。
【0132】
特定の実施形態では、免疫障害抗原特異的CARが利用され、少なくとも、a)1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン、b)膜貫通ドメイン、及びc)免疫障害抗原を標的とする、特異的に結合することを含む、少なくとも1つの抗原結合領域を含む細胞外ドメインを含む。特定の実施形態では、抗原結合領域は抗体又はその機能的断片であるが、他の場合には、CARの抗原結合領域は抗体又はその機能的断片ではない(受容体リガンドなど)。ある実施形態では、免疫異常抗原特異的CARは免疫異常抗原と結合するが、他の実施形態では、単一のポリペプチドとしてのCARは、2つ以上の抗原結合ドメインを含むことにより二重特異的であり、そのうちの1つは第1の免疫異常抗原と結合し、もう1つは別の非同一の免疫異常抗原と結合する。
【0133】
いくつかの実施形態において、遺伝子操作された抗原受容体は、活性化CAR若しくは刺激性CAR、又はコスティミュレイトリーCARを含むCARを含む(WO2014/055668を参照)。CARは一般に、細胞外抗原(又はリガンド)結合ドメインと、リンカー及び/又は膜貫通ドメインを介して1つ以上の細胞内シグナル伝達成分とが結合したものを含む。このような分子は通常、天然抗原受容体を介したシグナル、コスティミュレイトリー受容体と組み合わせた受容体を介したシグナル、及び/又はコスティミュレイトリー受容体のみを介したシグナルを模倣又は近似する。
【0134】
キメラ構築物は、ネイキッドDNAとして、又は適当なベクター中で免疫細胞に導入され得ることが企図される。ネイキッドDNAを用いてエレクトロポレーションにより細胞を安定にトランスフェクトする方法は当技術分野で知られている。例えば、米国特許第6,410,319号を参照。ネイキッドDNAとは、一般に、キメラレセプターをコードするDNAが、発現のために適切な向きでプラスミド発現ベクターに含まれることを指す。
【0135】
あるいは、キメラCAR構築物を免疫細胞に導入するために、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、又はレンチウイルスベクター)を使用することができる。本開示の方法に従って使用するのに適したベクターは、免疫細胞内で非複製性である。例えば、HIV、SV40、EBV、HSV、又はBPVに基づくベクターなど、細胞内に維持されるウイルスのコピー数が細胞の生存能を維持するのに十分低い、ウイルスに基づくベクターが多数知られている。
【0136】
開示の特定の実施形態は、がん細胞抗原特異的CARポリペプチドをコードする核酸を含む核酸(免疫原性を低減するためにヒト化されたCAR(hCAR)を含む場合もある)の使用に関する、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメイン、膜貫通ドメイン、及び1つ以上のシグナル伝達モチーフを含む細胞外ドメインを含む、感染症抗原特異的CARポリペプチドをコードする核酸、及び/又は免疫疾患抗原特異的CARポリペプチドをコードする核酸。特定の実施形態において、癌細胞抗原特異的CAR、感染症抗原特異的CAR、及び/又は免疫疾患抗原特異的CARは、1つ以上の抗原間の共有空間を構成するエピトープを認識し得る。特定の実施形態において、結合領域は、モノクローナル抗体の相補的決定領域、モノクローナル抗体の可変領域、及び/又はそれらの抗原結合フラグメントから構成され得る。特定の実施形態において、抗体又はそのフラグメントは、scFvモノクローナル抗体、ナノボディ/VHHオンリー配列、フィブロネクチン由来結合ドメイン、DARPIN、又は天然リガンドである。別の実施形態では、その特異性は受容体に結合するペプチド(例えばサイトカイン)に由来する。
【0137】
ヒト癌細胞抗原CAR核酸は、ヒト患者に対する細胞免疫療法を強化するために使用されるヒト遺伝子であってもよいことが企図されている。特定の実施形態において、本開示は、完全長の癌細胞抗原特異的CAR cDNA又はコード領域を含む。抗原結合領域又はドメインは、特定のヒトモノクローナル抗体由来の単鎖可変フラグメント(scFv)のVH鎖及びVL鎖のフラグメントから構成され得る。フラグメントはまた、ヒト抗原特異的抗体の任意の数の異なる抗原結合ドメインであり得る。より具体的な実施形態では、フラグメントは、ヒト細胞での発現のためにヒトのコドン使用に最適化された配列によってコードされる癌細胞抗原特異的scFvである。
【0138】
配列は、ダイアボディやマルチマーのような多量体であり得る。多量体は、軽鎖及び重鎖の可変部分をダイアボディに交差対合させることによって形成される可能性が高い。
【0139】
いくつかの実施形態では、癌細胞抗原特異的CARは、疾患細胞型に発現する抗原のような、特定の癌細胞抗原に対する特異性を有するように構築される。従って、CARは、典型的には、その細胞外部分に、1つ以上の抗原結合断片、ドメイン、抗体可変ドメイン、及び/又はあらゆる種類の抗体分子のような、1つ以上の癌細胞抗原結合分子を含む。ヒト癌細胞抗原核酸の例は、National Center for Biotechnology InformationのGENBANK(R)データベースで容易に見つけることができる。当業者であれば、少なくともポリペプチドに関する知識と日常的な実践に基づいて、癌細胞抗原に対するscFvを含む抗体を作製することが可能であるが、多数の抗癌細胞抗原scFv及びモノクローナル抗体が当技術分野で既に存在している。
【0140】
いくつかの実施形態では、感染症抗原特異的CARは、特定の感染症抗原、例えば、疾患細胞型に発現している抗原に対して特異的に構築される。従って、CARは通常、その細胞外部分に1つ以上の感染症抗原結合分子、例えば、1つ以上の抗原結合断片、ドメイン、抗体可変ドメイン、及び/又はあらゆる種類の抗体分子を含む。感染症細胞抗原核酸の例は、National Center for Biotechnology InformationのGENBANK(R)データベースで容易に見つけることができる。当業者であれば、少なくともポリペプチドに関する知識と日常的な慣行に基づいて、感染症抗原に対するscFvを含む抗体を作製することが可能であるが、多数の抗感染症抗原scFv及びモノクローナル抗体が当技術分野で既に存在している。
【0141】
いくつかの実施形態では、免疫疾患抗原特異的CARは、疾患細胞型に発現している抗原のような、特定の免疫疾患抗原に対する特異性をもって構築される。従って、CARは通常、その細胞外部分に、1つ以上の抗原結合断片、ドメイン、抗体可変ドメイン、及び/又はあらゆる種類の抗体分子のような、1つ以上の免疫障害抗原結合分子を含む。ヒト免疫疾患抗原核酸の例は、National Center for Biotechnology InformationのGENBANK(登録商標)データベースで容易に見つけることができる。当業者であれば、少なくともポリペプチドに関する知識及び日常的な慣行に基づいて、免疫異常抗原に対するscFvを含む抗体を作製することができるが、多数の抗免疫異常抗原scFv及びモノクローナル抗体が当技術分野で既に存在している。
【0142】
いくつかの実施形態において、癌細胞、感染症、及び/又は免疫疾患抗原特異的CARは、モノクローナル抗体(mAb)の可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)から誘導される単鎖抗体フラグメント(scFv)などの抗体分子の抗原結合部分又は部分を含む。具体的な実施形態では、抗体又はその機能的断片は、抗CD5クローンH65、UCHT2、L17F12、CD5-5D7、OTI10H3、OTI2G8、OTI3A9、OTI5D4、CRIS1、M28623、OTI2D8、OTI6F7、OTI9E9、OTI10C8、OTI10F4、OTI10H4、OTI12C10、OTI12E10、OTI13C3、OTI13F2、OTI1A5、OTI1A8、OTI1B7、OTI1F9、OTI2A2、OTI2B8、OTI2C2、OTI2E1、OTI3E5、OTI3H4、OTI4A10、OTI4F9、OTI4H3、OTI5F8、OTI5G10、OTI5H10、OTI6C9、OTI6D6、OTI7A7、OTI8C10、OTI8E7、UMAB9、4C7、6A11、ICO-80、MEM-32、SP19、and the like; anti-CD7 clones 3A1e、3A1f、TH-69、124-1D1、4H9、CD7-6B7、MEM-186、MG34、OTI1A6、1B8、1G10D8、2A4E6、2D7D11、LT7、and the like;or anti-CD2 clones TS2/18、RPA-2.10、AB75、UMAB6、S5.5、UMAB86、OTI9D1、OTI3E11、OTI1C5、3A10B2、OTI4E4、OTI2C3、OTI5A1、118、LT2、OTI1D4、224、T6.3、MEM-65等を含むがこれらに限定されない、1つ以上の市販の抗体であるか、又はそれらに由来する。抗体はまた、癌細胞、感染症、及び/又は免疫障害抗原に対してde novoで生成されるものであってもよく、scFv配列は、そのようなde novo抗体から得られるか、又はそれに由来するものであってもよい。
【0143】
キメラレセプターをコードするオープンリーディングフレームの配列は、ゲノムDNAソース、cDNAソース、又は合成(PCRなど)、あるいはそれらの組み合わせから得ることができる。ゲノムDNAのサイズやイントロンの数にもよるが、イントロンがmRNAを安定化させることがわかっているので、cDNAやその組み合わせを使用することが望ましい。また、mRNAを安定化させるために、内因性又は外因性の非コード領域を使用することがさらに有利な場合もある。
【0144】
ヒンジ部分は、抗原結合ドメインを膜貫通ドメインに連結することができる。これは、抗原結合ドメインが抗原結合を促進するために異なる方向に配向することを可能にするのに十分な柔軟性を有するべきである。ヒンジは任意の適切なヒンジであってよく、場合によってはIgG、又はCD4、CD8、又はCD28由来のヒンジを含む。ヒンジ部分は、ヒトIgGl、IgG2、IgG3、又はIgG4ヒンジ領域のアミノ酸配列からなり得る。ヒンジ部分はまた、野生型(天然に存在する)ヒンジ領域と比較して、1つ以上のアミノ酸置換及び/又は挿入及び/又は欠失を含み得る。構築物のヒンジ部分は、完全に欠失されたものから、最初のシステインが維持されたもの、セリン置換ではなくプロリン置換されたもの、最初のシステインまで切断されたものまで、複数の選択肢を有することができる。Fc部分を欠失させることもできる。安定で、かつ/又は二量化するタンパク質であれば、この目的を果たすことができる。例えば、ヒト免疫グロブリン由来のCH2又はCH3ドメインなどである。また、二量体化を改善するために修飾されたヒト免疫グロブリンのヒンジ、CH2及びCH3領域を使用することもできる。また、免疫グロブリンのヒンジ部分のみを使用することもできる。
【0145】
いくつかの態様において、抗原特異的結合、又は認識成分は、1つ以上の膜貫通ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインに連結されている。いくつかの実施形態において、CARは、CARの細胞外ドメインに融合した膜貫通ドメインを含む。ある実施形態では、CARのドメインの1つと天然に関連する膜貫通ドメインが使用される。ある実施態様では、膜貫通ドメインは、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小にするために、同じ又は異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのそのようなドメインの結合を避けるように、アミノ酸置換によって選択又は修飾される。いくつかの実施形態における膜貫通ドメインは、天然由来又は合成由来のいずれかに由来する。供給源が天然である場合、いくつかの態様におけるドメインは、任意の膜結合タンパク質又は膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域には、T細胞受容体のα鎖、β鎖又はζ鎖、CD28、DAP12、DAP10、NKG2D、CD3ζ、CD3 イプシロン、CD3 ガンマ、CD3 デルタ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、ICOS/CD278、GITR/CD357等に由来する(すなわち、少なくとも膜貫通領域からなる)ものが含まれる。あるいは、いくつかの実施形態における膜貫通ドメインは合成のものである。いくつかの態様において、合成膜貫通ドメインは、ロイシン及びバリンのような疎水性残基を主に含んでなる。いくつかの態様では、フェニルアラニン、トリプトファン及びバリンのトリプレットが合成膜貫通ドメインの各末端に見出される。任意選択で、短いオリゴ又はポリペプチドリンカー、例えば2アミノ酸から約10アミノ酸の間の長さが、膜貫通ドメインとCARの細胞質シグナル伝達ドメインとの間の連結を形成することができる。特定の実施形態では、グリシン-セリンダブレットが特に好適なリンカーを提供する。
【0146】
いくつかの実施形態では、がん細胞、感染症、及び/又は免疫疾患抗原CAR核酸は、膜貫通ドメイン及び1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインなどの他のコスティミュレイトリー受容体をコードする配列を含んでいる。CD3ζ及び/又はFcεRIγによって開始されるような一次T細胞活性化シグナルは、CARが配置された免疫細胞の正常なエフェクター機能の少なくとも1つの活性化を担う。抗原及び/又はリガンド認識後、レセプターはクラスター化し、細胞質領域を通じてシグナルが細胞に伝達される。「エフェクター機能」とは、細胞の特殊な機能を指す。例えば、T細胞のエフェクター機能とは、細胞溶解活性や、サイトカインの分泌を含むヘルパー活性のことである。従って、用語「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、エフェクター機能シグナルを伝達し、細胞に特殊な機能を実行させるタンパク質の部分を指す。通常、細胞内シグナル伝達ドメイン全体を用いることができるが、多くの場合、鎖全体を用いる必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの切断部分を使用する場合、エフェクター機能シグナルを伝達する限り、無傷の鎖の代わりに切断部分を使用することができる。したがって、細胞内シグナル伝達ドメインという用語は、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分な細胞内シグナル伝達ドメインの切断された部分を含むことを意味する。
【0147】
CD3ζ及び/又はFcεRIγによって開始されるような一次的なT細胞活性化シグナルに加えて、キメラ受容体と標的抗原との係合に続く免疫細胞の増殖及びエフェクター機能のための追加的な刺激シグナルを利用することができる。例えば、細胞の活性化を促進するヒトコスティミュレーター受容体の一部又は全部を利用することで、in vivoでの持続性を向上させ、養子免疫療法の治療成功率を向上させることができる。コスティミュレイトリーレセプター(A costimulatory receptor)とは、コスティミュレイトリーリガンド(a costimulatory ligand)と特異的に結合し、それによって免疫細胞による共刺激応答(増殖及び/又は活性化など)を媒介する、免疫細胞上の同族結合パートナーのことであるが、これらに限定されるものではない。コスティミュレイトリーシグナル(A costimulatory signal)とは、一次シグナルと組み合わさって、免疫細胞の活性化、増殖、及び/又は主要分子のアップレギュレーションやダウンレギュレーションを引き起こすシグナルを指す。
【0148】
本開示のCARにおける使用に好適なコスティミュレイトリーレセプターには、抗原結合ドメインへの抗原の結合による活性化に応答して、別個の検出可能なシグナル(例えば、細胞による1つ以上のサイトカイン産生の増加;標的遺伝子の転写の変化;タンパク質の活性の変化;細胞挙動の変化、例えば、細胞死;細胞増殖;細胞分化;細胞生存;細胞シグナル伝達応答の調節など)を提供する任意の所望の細胞内シグナル伝達ドメインが含まれる。いくつかの実施形態において、細胞質領域は、CD3ζ、CD16、DAP10、DAP12、CD2、CD7、LFA-1(CD11a/CD18)、CD27、CD28、CD30、CD40、4-1BB(CD137)、CD278、2B4、DNAM-1、OX40、ICOS.HVEM、LIGHT、ICAM-1、BTLA、GITR、NKG2D、及びNKG2Cタイプのシグナル伝達鎖が挙げられるが、特定の代替実施形態では、これらのうちいずれか1つをCARでの使用から除外することができる。
【0149】
特定の実施形態において、T細胞、NK細胞、骨髄系細胞、及びB細胞などの免疫細胞を遺伝子改変するための本明細書に開示されるプラットフォーム技術は、(i)エレクトロポレーション装置(例えば、ヌクレオフェクター)を用いた非ウイルス遺伝子導入、(ii)エンドドメインを介してシグナル伝達するCAR(例えば、CD28/CD3-ζ、CD137/CD3-ζ、又は他の組み合わせ)、(iii)抗原認識ドメインと細胞表面をつなぐ細胞外ドメインの長さが可変のCAR、そして場合によっては、(iv)CAR+免疫細胞を頑健かつ多数増殖させることができるK562由来の人工抗原提示細胞(aAPC)からなる(Singhら、2008;Singhら、2011)。
【0150】
1.具体的なCARの実施形態例
特定の実施形態では、癌細胞、感染症、及び/又は免疫細胞抗原を標的とするものなど、特定の標的抗原CAR分子が本明細書に包含される。場合によっては、CARの標的抗原結合ドメインはscFvであり、標的抗原及び/又は標的抗原に結合するリガンドに結合する任意のscFvを本明細書で利用することができる。標的抗原scFvがCARの細胞外ドメインに利用される場合、scFvの可変重鎖と可変軽鎖は、N末端からC末端方向にどのような順序であってもよい。例えば、可変重鎖は可変軽鎖のN末端側にあってもよいし、その逆であってもよい。CARにおいて標的抗原と結合するscFv及び/又はリガンドは、コドン最適化されていてもいなくてもよい。特定の実施形態では、標的抗原特異的CARをコードするベクターは、1つ以上の他の分子もコードする。例えば、ベクターは、標的抗原特異的CARをコードし、さらに、別の人工抗原受容体のような目的の別のタンパク質をコードしてもよい。
【0151】
同じ分子上で、標的抗原特異的CARは、1つ以上の抗原特異的細胞外ドメイン、特異的ヒンジ、特異的膜貫通ドメイン、1つ以上の特異的細胞質ドメイン又はコスティミュレイトリードメイン、及び1つ以上の特異的活性化シグナルを含んでいてもよい。2つ以上の抗原特異的細胞外ドメインが利用される場合、例えば2つの異なる抗原(そのうちの1つが標的抗原)を標的とする場合、2つの抗原特異的細胞外ドメインの間にリンカーが存在することがある。
【0152】
特定のCAR分子の特定の実施形態において、CARは、DAP10、DAP12、4-1BB、NKG2D、又は他の細胞質ドメイン(これは、本明細書においてコスティミュラトリードメインと呼ばれ得る)を利用し得る。場合によっては、CD3ζは、コスティミュレイトリードメインなしで利用される。特定のCAR分子の特定の実施形態において、CARは、DAP12、DAP10、NKG2D又はCD28からのような、任意の適切な膜貫通ドメインを利用することができる。
【0153】
特定の実施形態において、特定の標的抗原特異的操作されたレセプターをコードする配列を含む発現構築体が存在する。特定の実施形態において、発現構築体は、シグナルペプチド、抗原特異的細胞外ドメイン、ヒンジ及び/又はスペーサー、膜貫通ドメイン、及び1つ以上の細胞質ドメインを含む。特定の実施形態において、シグナルペプチド、抗原特異的細胞外ドメイン、ヒンジ及び/又はスペーサー、膜貫通ドメイン、ならびに1つ以上の細胞質ドメインは、構築物においてC末端からN末端まで以下の順序で構成される:<シグナルペプチド><抗原特異的細胞外ドメイン><ヒンジ/スペーサー><膜貫通ドメイン><細胞質ドメイン1><細胞質ドメイン2>。特定の実施形態において、シグナルペプチド、抗原特異的細胞外ドメイン、ヒンジ及び/又はスペーサー、膜貫通ドメイン、ならびに1つ以上の細胞質ドメインは、構築物においてN末端からC末端まで以下の順序で構成される:<シグナルペプチド><抗原特異的細胞外ドメイン><ヒンジ/スペーサー><膜貫通ドメイン><細胞質ドメイン1><細胞質ドメイン2>。
【0154】
特定の実施形態において、任意の標的抗原特異的CARは、以下のうちの1つを含み得る:抗CD7 scFv、IgG4/IgG1 Fc由来のスペーサー、CD28由来の膜貫通ドメイン、及びCD28由来及びCD3ζ由来の細胞質ドメイン;(b)抗CD7 scFv、CD8a由来のスペーサー、CD28由来の膜貫通ドメイン、及びCD28由来及びCD3ζ由来の細胞質ドメイン;(c)抗CD5 scFv、IgG4/IgG1 Fc由来スペーサー、CD28由来膜貫通ドメイン、及びCD28-及びCD3ζ-由来細胞質ドメイン;(d)抗CD5 scFv、CD8a由来のスペーサー、CD28由来の膜貫通ドメイン、及びCD28-及びCD3ζ-由来の細胞質ドメイン;(e)抗CD2 scFv、IgG4/IgG1 Fc由来のスペーサー、CD28由来の膜貫通ドメイン、及びCD28-及びCD3ζ-由来の細胞質ドメイン;及び(f)抗CD2 scFv、CD8a由来のスペーサー、CD28由来の膜貫通ドメイン、ならびにCD28及びCD3ζ由来の細胞質ドメイン。
【0155】
具体的な配列の実施形態の例を以下に示す。
【0156】
a.シグナルペプチド
具体的な実施形態では、以下のようなCD8aシグナルペプチドヌクレオチド配列が利用される:
【0157】
ATGGCCTTACCAGTGACCGCCTTGCTCCTGCCGCTGGCCTTGCTGCTCCACGCCGCCAGGCCG(SEQ ID NO:1)
【0158】
SEQ ID NO:1から翻訳されたアミノ酸配列は以下の通りである:
【0159】
MALPVTALLLPLALLLHAARP(SEQ ID NO:2)
【0160】
特定の実施形態において、IgVシグナルペプチドヌクレオチド配列が、以下のように利用される:
【0161】
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGC(SEQ ID NO:3)
【0162】
SEQ ID NO:3から翻訳されたアミノ酸配列は以下の通りである:
【0163】
MEFGLSWLFLVAILKGVQC(SEQ ID NO:4)
【0164】
いくつかの実施形態において、シグナルペプチドヌクレオチド配列は、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、若しくは70ヌクレオチド、又はそこから誘導可能な任意の値を有し、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はそこから誘導可能な任意の範囲若しくは値が、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:3と同一である。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:3を含む。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:3からなる。
【0165】
いくつかの実施形態において、シグナルペプチドアミノ酸配列は、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、若しくは30個のアミノ酸、又はそこから導出可能な任意の範囲若しくは値を有し、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はそこから誘導可能な任意の値を有するSSEQ ID NO:2又はSEQ ID NO:4と同一である。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2又はSEQ ID NO:4を含む。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2又はSEQ ID NO:4からなる。
【0166】
b.抗原特異的細胞外ドメイン
具体的な実施形態では、以下のような抗CD5 scFvヌクレオチド配列が利用される:
【0167】
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCATCGATGCCATGGGCAACATCCAGCTGGTGCAGAGCGGCCCTGAGCTGAAGAAACCCGGCGAGACAGTGAAGATCAGCTGCAAGGCCAGCGGCTACACCTTCACCAACTACGGCATGAACTGGGTGAAACAGGCCCCAGGCAAGGGCCTGCGGTGGATGGGCTGGATCAACACCCACACCGGCGAGCCCACCTACGCCGACGACTTCAAGGGCAGATTCGCCTTCAGCCTGGAAACCAGCGCCAGCACCGCCTACCTGCAGATCAACAACCTGAAGAACGAGGACACCGCCACCTATTTCTGCACCAGACGGGGCTACGACTGGTACTTCGACGTGTGGGGAGCCGGCACCACCGTGACCGTGTCTAGCGGAGGCGGAGGATCTGGCGGAGGGGGATCAGGCGGCGGAGGCAGCGACATCAAGATGACCCAGAGCCCCAGCTCTATGTACGCCAGCCTGGGCGAGCGCGTGACCATCACATGCAAGGCCTCCCAGGACATCAACAGCTACCTGAGCTGGTTCCACCACAAGCCCGGCAAGAGCCCCAAGACCCTGATCTACCGGGCCAACCGGCTGGTGGACGGCGTGCCAAGCAGATTCAGCGGCAGCGGCTCCGGCCAGGACTACAGCCTGACCATCAGCAGCCTGgaCTACGAGGACATGGGCATCTACTACTGCCAGCAGTACGACGAGAGCCCCTgGacCTTCggAGGCGGCACCaAGCTGGAAATGAAgGGCAGCGGGGaTCCCGCC(SEQ ID NO:5)
【0168】
翻訳されたscFv(SEQ ID NO:5から翻訳された)のアミノ酸配列は以下の通りである:
【0169】
MEFGLSWLFLVAILKGVQCIDAMGNIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLRWMGWINTHTGEPTYADDFKGRFAFSLETSASTAYLQINNLKNEDTATYFCTRRGYDWYFDVWGAGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIKMTQSPSSMYASLGERVTITCKASQDINSYLSWFHHKPGKSPKTLIYRANRLVDGVPSRFSGSGSGQDYSLTISSLDYEDMGIYYCQQYDESPWTFGGGTKLEMKGSGDPA(SEQ ID NO:6)
【0170】
特定の実施形態において、抗CD7 scFvヌクレオチド配列は、以下のように利用される:
【0171】
CAGGTGAAGCTGCAGGAGTCAGGGGGAGGCTTAGTGAAGCCTGGAGGGTCCCTGAAACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACTTTCAGTAGCTATGCaATGTCTTGGGTTCGCCAGACTCCGGAGAAGAGGCTGGAGTGGGTCGCAACCATTAGTAGTGGTGGTAGTTACACCTACTATCCAGACAGTGTGAAGGGGCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACACCCTGTACCTGCAAATGAGCAGTCTGAGGTCTGAGGACACGGCCATGTATTACTGTGCAAGACAGGATGGTTACTACCCGGGCTGGTTTGCTAACTGGGGGCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGGTGGAGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGCGGTGGCGGATCGGACATCGAGCTCACTCAGTCTCCAGCAATCATGTCTGCATCTCTAGGGGAGGAGATCACCCTAACCTGCAGTGCCAGCTCcAGTGTAAGTTACATGCACTGGTACCAGCAGAAGTCAGGCACTTCTCCCAAACTCTTGATTTATAGCACATCCAACCTGGCTTCTGGAGTCCCTTCTCGCTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACCTTTTATTCTCTCACAATCAGCAGTGTGGAGGCTGAAGATGCTGCCGATTATTACTGCCATCAGTGGAGTAGTTACACGTTCGGAGGGGGCACCAAGCTGGAAATCAAACGGGCG(SEQ ID NO:7)
【0172】
翻訳されたscFv(SEQ ID NO:7から翻訳)のアミノ酸配列は以下の通りである:
【0173】
PQVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKRA(SEQ ID NO:8)
【0174】
具体的な実施形態では、以下のような抗CD7 scFvヌクレオチド配列が利用される:
【0175】
ATGGCCCTGCCTGTGACCGCTCTGCTGCTGCCTCTGGCACTGCTGCTGCACGCTGCTAGACCTGGCGCTCAGCCTGCTATGGCCGCCTACAAGGACATCCAGATGACCCAGACCACCAGCAGCCTGTCTGCCAGCCTGGGCGACAGAGTGACCATCAGCTGTAGCGCCAGCCAGGGCATCAGCAACTACCTGAACTGGTATCAGCAGAAACCCGACGGCACCGTGAAGCTGCTGATCTACTACACCAGCTCCCTGCACAGCGGCGTGCCCAGCAGATTTTCTGGCAGCGGCTCCGGCACCGACTACAGCCTGACCATCTCCAACCTGGAACCCGAGGATATCGCCACCTACTACTGCCAGCAGTACAGCAAGCTGCCCTACACCTTCGGCGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAGAGGGGAGGCGGAGGAAGCGGAGGCGGTGGATCTGGTGGTGGCGGTTCTGGCGGAGGTGGAAGCGAAGTGCAGCTGGTGGAATCTGGCGGCGGACTGGTCAAGCCTGGCGGCTCTCTGAAACTGAGCTGTGCCGCCTCTGGCCTGACCTTCAGCAGCTACGCTATGAGCTGGGTGCGCCAGACCCCCGAGAAGAGACTGGAATGGGTGGCCAGCATCAGCAGCGGCGGCTTTACCTACTACCCCGACAGCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCAGCCGGGACAACGCCCGGAACATCCTGTACCTGCAGATGAGCAGCCTGCGGAGCGAGGACACCGCCATGTACTACTGCGCCAGGGATGAAGTGCGGGGCTACCTGGATGTGTGGGGAGCCGGAACAACCGTGACCGTGTCTAGTGCCAGCGGAGCGGATCC(SEQ ID NO:9)
【0176】
翻訳されたscFv(SEQ ID NO:9から翻訳)のアミノ酸配列は以下の通りである:
【0177】
MALPVTALLLPLALLLHAARPGAQPAMAAYKDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCSASQGISNYLNWYQQKPDGTVKLLIYYTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEPEDIATYYCQQYSKLPYTFGGGTKLEIKRGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGLTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVASISSGGFTYYPDSVKGRFTISRDNARNILYLQMSSLRSEDTAMYYCARDEVRGYLDVWGAGTTVTVSSASGADPA(SEQ ID NO:10)
【0178】
具体的な実施形態では、以下のような抗CD7 scFvヌクレオチド配列が利用される:
【0179】
ATGGCCTTACCAGTGACCGCCTTGCTCCTGCCGCTGGCCTTGCTGCTCCACGCCGCCAGGCCGCAGGTCCAGCTGCAGGAGTCTGGGGCTGAACTGGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGCTGTCCTGCAAGGCTTCTGGCTACACCTTCACGAGCTACTGGATGCACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGGACAAGGCCTTGAGTGGATTGGAAAGATTAATCCTAGCAACGGTCGTACTAACTACAATGAGAAGTTCAAGAGCAAGGCCACACTGACTGTAGACAAATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAACTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCGGTCTATTACTGTGCAAGAGGGGGAGTCTACTATGACCTTTATTACTATGCTCTGGACTACTGGGGCCAAGGCACCACGGTCACCGTCTCCTCAGGTGGAGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGCGGTGGCGGATCGGACATCGAGCTCACTCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGACTCCAGGAGATAGCGTCAGTCTTTCCTGCAGGGCCAGCCAAAGTATTAGCAACAACCTACACTGGTATCAACAAAAATCACATGAGTCTCCAAGGCTTCTCATCAAGTCTGCTTCCCAGTCCATCTCTGGaATCCCCTCCAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGACAGATTTCACTCTCAGTATCAACAGTGTGGAGACTGAAGATTTTGGAATGTATTTCTGTCAACAGAGTAACAGCTGGCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACAAAGTTGGAAATAAAACGGGCGGATCC(SEQ ID NO:11)
【0180】
翻訳されたscFv(SEQ ID NO:11から翻訳された)のアミノ酸配列は以下の通りである:
【0181】
MALPVTALLLPLALLLHAARPQVQLQESGAELVKPGASVKLSCKASGYTFTSYWMHWVKQRPGQGLEWIGKINPSNGRTNYNEKFKSKATLTVDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARGGVYYDLYYYALDYWGQGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIELTQSPATLSVTPGDSVSLSCRASQSISNNLHWYQQKSHESPRLLIKSASQSISGIPSRFSGSGSGTDFTLSINSVETEDFGMYFCQQSNSWPYTFGGGTKLEIKRADPA(SEQ ID NO:12)
【0182】
具体的な実施形態では、以下のような抗CD2 scFvヌクレオチド配列が利用される:
【0183】
GATGTTGTTCTTACTCAGACTCCACCAACTTTGTTGGCAACAATTGGGCAAAGTGTGTCAATTAGTTGCAGATCAAGCCAAAGTCTCTTGCACAGTAGCGGAAATACCTATCTGAACTGGCTGTTGCAGCGGACTGGGCAATCCCCGCAACCGCTCATATACCTGGTAAGCAAGCTaGAGTCAGGGGTGCCGAATCGCTTCTCCGGATCCGGTAGTGGTACGGATTTCACGCTGAAGATAAGCGGAGTGGAAGCGGAAGACTTGGGCGTGTACTACTGTATGCAGTTCACACACTATCCCTACACTTTTGGGGCGGGTACTAAACTTGAGCTTAAGTCTGGAGGCGGTGGATCTGGCGGTGGAGGTAGCGGAGGAGGCGGTAGCGAAGTGCAATTGCAGCAGTCAGGGCCAGAGCTGCAAAGACCTGGTGCCAGCGTGAAGTTGTCCTGTAAAGCCTCCGGTTATATCTTCACAGAGTACTATATGTACTGGGTTAAGCAACGCCCAAAACAAGGCCTGGAGCTTGTGGGCCGAATCGACCCCGAAGATGGTTCTATTGACTACGTAGAGAAGTTCAAGAAAAAGGCAACACTCACTGCGGACACTAGTTCAAACACTGCCTACATGCAGCTCTCTAGCCTGACATCCGAAGACACCGCCACGTATTTTTGCGCACGAGGTAAATTCAACTATCGCTTCGCATACTGGGGGCAGGGTACTCTCGTCACCGTCTCCTCA(SEQ ID NO:13)
【0184】
翻訳されたscFv(SEQ ID NO:13から翻訳)のアミノ酸配列は以下の通りである:
【0185】
DVVLTQTPPTLLATIGQSVSISCRSSQSLLHSSGNTYLNWLLQRTGQSPQPLIYLVSKLESGVPNRFSGSGSGTDFTLKISGVEAEDLGVYYCMQFTHYPYTFGAGTKLELKSGGGGSGGGGSGGGGSEVQLQQSGPELQRPGASVKLSCKASGYIFTEYYMYWVKQRPKQGLELVGRIDPEDGSIDYVEKFKKKATLTADTSSNTAYMQLSSLTSEDTATYFCARGKFNYRFAYWGQGTLVTVSSA(SEQ ID NO:14)
【0186】
具体的な実施形態では、以下のような抗CD2 scFvヌクレオチド配列が利用される:
【0187】
GAAGTGCAATTGCAGCAGTCAGGGCCAGAGCTGCAAAGACCTGGTGCCAGCGTGAAGTTGTCCTGTAAAGCCTCCGGTTATATCTTCACAGAGTACTATATGTACTGGGTTAAGCAACGCCCAAAACAAGGCCTGGAGCTTGTGGGCCGAATCGACCCCGAAGATGGTTCTATTGACTACGTAGAGAAGTTCAAGAAAAAGGCAACACTCACTGCGGACACTAGTTCAAACACTGCCTACATGCAGCTCTCTAGCCTGACATCCGAAGACACCGCCACGTATTTTTGCGCACGAGGTAAATTCAACTATCGCTTCGCATACTGGGGGCAGGGTACTCTCGTCACCGTCTCCTCATCTGGAGGCGGTGGATCTGGCGGTGGAGGTAGCGGAGGAGGCGGTAGCGATGTTGTTCTTACTCAGACTCCACCAACTTTGTTGGCAACAATTGGGCAAAGTGTGTCAATTAGTTGCAGATCAAGCCAAAGTCTCTTGCACAGTAGCGGAAATACCTATCTGAACTGGCTGTTGCAGCGGACTGGGCAATCCCCGCAACCGCTCATATACCTGGTAAGCAAGCTaGAGTCAGGGGTGCCGAATCGCTTCTCCGGATCCGGTAGTGGTACGGATTTCACGCTGAAGATAAGCGGAGTGGAAGCGGAAGACTTGGGCGTGTACTACTGTATGCAGTTCACACACTATCCCTACACTTTTGGGGCGGGTACTAAACTTGAGCTTAAGGCC(SEQ ID NO:15)
【0188】
翻訳されたscFv(SEQ ID NO:15から翻訳された)のアミノ酸配列は以下の通りである:
【0189】
EVQLQQSGPELQRPGASVKLSCKASGYIFTEYYMYWVKQRPKQGLELVGRIDPEDGSIDYVEKFKKKATLTADTSSNTAYMQLSSLTSEDTATYFCARGKFNYRFAYWGQGTLVTVSSSGGGGSGGGGSGGGGSDVVLTQTPPTLLATIGQSVSISCRSSQSLLHSSGNTYLNWLLQRTGQSPQPLIYLVSKLESGVPNRFSGSGSGTDFTLKISGVEAEDLGVYYCMQFTHYPYTFGAGTKLELKA(SEQ ID NO:16)
【0190】
具体的な実施形態では、以下のような抗CD38 scFvヌクレオチド配列が利用される:
【0191】
GCCCAGCCGGCCATGGCCAAGGTCCAGCTGCAGGAGTCAGGACCTAGCCTAGTGCAGCCCTCACAGCGCCTGTCCATAACCTGCACAGTCTCTGGTTTCTCATTAATTAGTTATGGTGTACACTGGGTTCGCCAGTCTCCAGGAAAGGGTCTGGAGTGGCTGGGAGTGATATGGAGAGGTGGAAGCACAGACTACAATGCAGCTTTCATGTCCAGACTGAGCATCACCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTTAAAATGAACAGTCTGCAAGCTGATGACACTGCCATATACTTCTGTGCCAAAACCTTGATTACGACGGGCTATGCTATGGACTACTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGGTGGAGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGCGGTGGCGGATCGGACATCGAGCTCACTCAGTCTCCATCCTCCTTTTCTGTATCTCTAGGAGACAGAGTCACCATTACTTGCAAGGCAAGTGAGGACATATATAATCGGTTAGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGAAATGCTCCTAGGCTCTTAATATCTGGTGCAACCAGTTTGGAAACTGGGGTTCCTTCAAGATTCAGTGGCAGTGGATCTGGAAAGGATTACACTCTCAGCATTACCAGTCTTCAGACTGAAGATGTTGCTACTTATTACTGTCAACAGTATTGGAGTACTCCTACGTTCGGTGGAGGGACCAAGCTGGAAATCAAACGG(SEQ ID NO:17)
【0192】
翻訳されたscFv(SEQ ID NO:17から翻訳された)のアミノ酸配列は以下の通りである:
【0193】
AQPAMAKVQLQESGPSLVQPSQRLSITCTVSGFSLISYGVHWVRQSPGKGLEWLGVIWRGGSTDYNAAFMSRLSITKDNSKSQVFFKMNSLQADDTAIYFCAKTLITTGYAMDYWGQGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIELTQSPSSFSVSLGDRVTITCKASEDIYNRLAWYQQKPGNAPRLLISGATSLETGVPSRFSGSGSGKDYTLSITSLQTEDVATYYCQQYWSTPTFGGGTKLEIKR(SEQ ID NO:18)
【0194】
いくつかの実施形態において、抗原特異的細胞外ドメインヌクレオチド配列は、少なくとも30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、 60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、若しくは900個のヌクレオチド、又はそこから誘導可能な任意の範囲若しくは値を有し、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性である、又はそこから誘導可能な任意の値を有し、SEQ ID NO:5、7、9、11、13、15、又は17と同一である。いくつかの実施形態において、抗原特異的細胞外ドメインヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:5、7、9、11、13、15、又は17を含む。いくつかの実施形態において、抗原特異的細胞外ドメインヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:5、7、9、11、13、15、又は17からなる。
【0195】
いくつかの実施形態において、抗原特異的細胞外ドメインアミノ酸配列は、少なくとも、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、若しくは300アミノ酸、又はそこから誘導可能な任意の範囲若しくは値を有し、SEQ ID NO:6、8、10、12、14、16、又は18と同一である。いくつかの実施形態において、抗原特異的細胞外ドメインアミノ酸配列は、SEQ ID NO:6、8、10、12、14、16、又は18を含む。いくつかの実施形態において、抗原特異的細胞外ドメインアミノ酸配列は、SEQ ID NO:6、8、10、12、14、16、又は18からなる。
【0196】
c.膜貫通ドメイン
標的抗原特異的CARには、任意の適切な膜貫通ドメインを利用することができる。例としては、少なくともDAP10、DAP12、CD28、NKG2D、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、T細胞受容体a鎖又はb鎖、CD3ζ鎖、ICOS、GITR/CD357、それらの機能的誘導体、及びそれらの組み合わせから選択される。具体的には、CD28の膜貫通ドメインが利用される。使用され得る特定の膜貫通ドメイン配列の例としては、以下が挙げられる:
【0197】
CD28膜貫通ドメインヌクレオチド配列
【0198】
TTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGT(SEQ ID NO:19)。
【0199】
SEQ ID NO:19から翻訳されたアミノ酸配列は以下の通りである:
【0200】
FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRS(SEQ ID NO:20)
【0201】
いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインヌクレオチド配列は、少なくとも30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、 50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、若しくは100個のヌクレオチド、又はそこから誘導可能な任意の範囲若しくは値を有し、SEQ ID NO:19と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はそこから誘導可能な任意の値を有する。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:19を含む。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:19からなる。
【0202】
いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインアミノ酸配列は、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、若しくは35、又はそこから誘導可能な任意の範囲若しくは値を有し、SEQ ID NO:20と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はそこから誘導可能な任意の値を有する。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインアミノ酸配列は、SEQ ID NO:20を含む。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインアミノ酸配列は、SEQ ID NO:20からなる。
【0203】
d.細胞質ドメイン
本開示の特異的抗標的抗原CARにおいて、1つ以上の細胞質ドメイン(適切な場合には、本明細書においてシグナル伝達ドメイン又は刺激性ドメイン又はコスティミュレイトリードメイン又は細胞質内ドメインとも呼ばれ得る)が利用されても利用されなくてもよい。具体例としては、CD2、CD3ζ、CD3δ、CD3_25B、CD3γ、Fcレセプター、CD79a、CD79b、CLEC-2、CD7、LFA-1(CD11a/CD18)、CD27、CD28、CD30、CD40、4-1BB(CD137)、CD278、2B4、DNAM-1、OX40、NKG2C、NKG2D、DAP10、DAP12、B7-1/CD80、CD28、4-1BBL、B7-2/CD86、CTLA-4、B7-H1/PD-L1、ICOS、B7-H2、PD-l、B7-H3、PD-L2、B7-H4、PDCD6、HVEM、LIGHT、ICAM-1、BTLA、GITR、又はそれらの組み合わせが挙げられる。具体的な例では、CD28、4-1BB、及び/又はCD3ζ由来の細胞質ドメインが利用される。使用され得る特定の細胞質ドメイン配列の例としては、以下が挙げられる:
【0204】
CD28細胞質ドメインのヌクレオチド配列:
【0205】
AAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCC(SEQ ID NO:21)。
【0206】
SEQ ID NO:21から翻訳されたアミノ酸配列は以下の通りである:
【0207】
KRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS(SEQ ID NO:22)
【0208】
4-1BB細胞質ドメインアミノ酸配列
【0209】
AAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTG(SEQ ID NO:23)。
【0210】
SEQ ID NO:23から翻訳されたアミノ酸配列は以下の通りである:
【0211】
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(SEQ ID NO:24
【0212】
CD3ζ細胞質ドメインヌクレオチド配列:
【0213】
AGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC(SEQ ID NO:25)。
【0214】
SEQ ID NO:25から翻訳されたアミノ酸配列は以下の通りである:
【0215】
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(SEQ ID NO:26)
【0216】
いくつかの実施形態において、細胞質ドメインヌクレオチド配列は、少なくとも30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、 56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、若しくは350ヌクレオチド、又はそこから誘導可能な任意の範囲若しくは値を有し、SEQ ID NO:21、23、25.と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はそこから誘導可能な任意の値を有する。いくつかの実施形態において、細胞質ドメインヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:21、23、25を含む。いくつかの実施形態において、細胞質ドメインヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:21、23、25からなる。
【0217】
いくつかの実施形態において、細胞質ドメインアミノ酸配列は、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、若しくは120個のアミノ酸を有し、SEQ ID NO:22、24、又は26と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はそこから誘導可能な任意の値を有する。いくつかの実施形態において、細胞質ドメインアミノ酸配列は、SEQ ID NO:22、24、又は26を含む。いくつかの実施形態において、細胞質ドメインアミノ酸配列は、SEQ ID NO:22、24、又は26からなる。
【0218】
e.ヒンジ
CARのいくつかの実施形態では、1つ以上の細胞外抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間にヒンジ領域が存在する。ヒンジ部分は、抗原結合ドメインを膜貫通ドメインに連結してもよい。抗原結合ドメインが抗原結合を促進するために様々な方向に配向できるような柔軟性が必要である。本明細書で使用される場合、用語「ヒンジ」は、隣接するポリペプチド領域に構造的柔軟性と間隔を提供する柔軟なポリペプチドコネクター領域(本明細書では「ヒンジ領域」又は「スペーサー」と互換的に使用される)を指し、天然又は合成ポリペプチドから構成され得る。免疫グロブリン(例えば、IgGl)に由来する「ヒンジ」は、一般に、例えば、ヒトIgGlのGlu216からPro230まで伸びるものとして定義される(Burton(1985)Molec.Immunol.,22:161-206)。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、重鎖間ジスルフィド(S-S)結合を形成する最初と最後のシステイン残基を同じ位置に配置することにより、IgGl配列と整列させることができる。ヒンジ領域は、天然に存在するものであっても、非天然に存在するものであってもよく、米国特許第5,677,477号に記載されているような改変されたヒンジ領域を含むが、これらに限定されない。第5,677,425号に記載されている。
【0219】
特定の実施形態において、ヒンジは、例えば、10~20、10~15、11~20、11~15、12~20、12~15、又は15~20アミノ酸のような特定の長さを有する。構築物のヒンジ部分は、少なくとも、多くとも、又は正確に、4、5、6、7、8、9、10、12、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、75、100、110、119、120、130、140、150、160、170、180、190、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、260、270、280、290、300、325、350、又は400個のアミノ酸(又はそこから誘導可能な範囲)を有する。いくつかの実施形態において、ヒンジ部分は、免疫グロブリン(例えば、IgG)からのヒンジ領域からなるか、又はそれを含む。免疫グロブリンヒンジ領域アミノ酸配列は、当該分野で公知である;例えば、Tanら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:162;及びHuckら(1986)Nucl.Acids Res.。
【0220】
ヒンジは任意の適切なヒンジであってよく、場合によってはIgG、又はCD3、CD8、又はCD28由来のヒンジを含む。具体的な実施形態において、ヒンジは、IgG FcのCH2-CH3ドメインとCH1ドメインとを連結する小さな可撓性ポリペプチドである。例えば、様々なIgGサブクラス(IgG1~4、修飾されていてもいなくてもよい)のCH2-CH3ヒンジ(一部又は全部)を利用することができる。しかしながら、場合によっては、CH2-CH3ヒンジ全体が利用されるのではなく、ヒンジの一部が利用される(CH3単体又はCH3の一部単体など)。特定の実施形態では、IgG1由来のCH2-CH3ヒンジが利用され、場合によってはCH2-CH3ヒンジ全体が利用される(229アミノ酸すべて)、CH3ヒンジ(119アミノ酸)のみが利用される、又は短いヒンジ(12アミノ酸)が利用される。ヒンジ領域は、CH1ドメインとは異なるクラス又はサブクラスの抗体由来の完全なヒンジ領域を含むことができる。また、用語「ヒンジ」は、フランキング領域に柔軟性と間隔を与えるという類似の機能を提供する他のレセプターに由来する領域も含むことができる。
【0221】
特定の場合には、CARの効率を最適化するために、スペーサー及び/又はヒンジの同一性又は長さを変更することができる。例えば、Hudecekら(2014)及びJonnalagaddaら(2015)を参照されたい。ヒンジ部の長さは、CARのシグナル伝達活性及び/又は抗原刺激CARシグナル伝達に応答するCAR-T細胞の膨張特性に影響を及ぼす可能性がある。いくつかの実施形態では、50、45、40、30、35、30、25、20、15、14、13、12、11、又は10アミノ酸未満などのより短いスペーサーが使用される。いくつかの実施形態において、より長いスペーサー、例えば、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、260、270、280、又は290のアミノ酸は、in vivo又はin vitroでの膨張が増大するという利点を有する可能性がある。
【0222】
したがって、特定の実施形態において、利用されるIgGヒンジ領域は、典型的にはIgG1又はIgG4であり、場合によっては、CARはIgG FcのCH2-CH3ドメインからなる。IgG Fcドメインの使用は、CARに柔軟性を提供することができ、免疫原性が低く、抗Fc試薬を用いたCAR発現の検出を容易にし、異なるスペーサー長に対応するために1つ以上のCH2又はCH3モジュールを除去することを可能にする。しかしながら、一実施形態では、FcγR結合を回避するための特定のスペーサーの変異は、例えば可溶性及び細胞表面Fcγレセプターの結合を回避するために、CAR+ T細胞の生着及び抗腫瘍効力を改善し、なおかつ抗原特異的溶解を媒介する活性を維持する可能性がある。例えば、CH2領域を改変したIgG4-Fcスペーサーを用いることができる。例えば、CH2領域は、点変異及び/又は欠失を含む、変異されていてもよい。特定の改変は、CH2領域内の2つの部位(L235E;N297Q)で実証されており、かつ/又はCH2欠失を組み込んでいる(Jonnalagaddaら,2015)。特定の実施形態では、IgG4ヒンジ-CH2-CH3ドメイン(長さ229aa)又はヒンジドメイン(長さ12aa)のみを採用することができる(Hudececkら、2015)。
【0223】
具体的な実施形態において、ヒンジ及び/又はスペーサーは、IgG、CD28、CD-8α、4-1BB、OX40、CD3ζ、T細胞受容体a又はb鎖、CD3ζ鎖、CD28、CD3e、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、ICOS、又はCD154のものである。
【0224】
利用され得るヒンジの特定の配列の例には、少なくとも以下のものが含まれる:
【0225】
IgGヒンジヌクレオチド配列:
【0226】
GTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATT(SEQ ID NO:27)。
【0227】
IgGヒンジアミノ酸配列:
【0228】
TVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPK(SEQ ID NO:28)。
【0229】
使用され得る特定のヒンジ及び/又はスペーサー配列の例としては、以下が挙げられる:
【0230】
IgG4由来のヒンジ、IgG1 CH3由来のスペーサーヌクレオチド配列:
【0231】
GAGTCTAAATATGGCCCACCTTGCCCACCGTGCCCAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACgcCTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATC(SEQ ID NO:29)。
【0232】
SEQ ID NO:29から翻訳されたアミノ酸配列は以下の通りである:
【0233】
ESKYGPPCPPCPGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNAYTQKSLSLSPGKKDPK(SEQ ID NO:30)。
【0234】
CD8a由来のヒンジヌクレオチド
【0235】
CTGAGCAACTCCATCATGTACTTCAGCCACTTCGTGCCGGTCTTCCTGCCAGCGAAGCCCACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAGCCCCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCG(SEQ ID NO:31)。
【0236】
SEQ ID NO:31から翻訳されたアミノ酸配列は以下の通りである:
【0237】
LSNSIMYFSHFVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFA(SEQ ID NO:32)。
【0238】
いくつかの実施形態において、ヒンジ及び/又はスペーサーヌクレオチド配列は、少なくとも30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、若しくは750個のヌクレオチド、又はそこから誘導可能な範囲若しくは値を有し、SEQ ID NO:27、29、又は31と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はそこから誘導可能な任意の値を有する。いくつかの実施形態において、ヒンジ及び/又はスペーサーヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:27、29、又は31を含む。いくつかの実施形態において、ヒンジ及び/又はスペーサーヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:27、29、又は31からなる。
【0239】
いくつかの実施形態において、ヒンジ及び/又はスペーサーアミノ酸配列は、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254,若しくは255個のアミノ酸、又はそこから誘導可能な任意の範囲若しくは値を有し、SEQ ID NO:28、30、又は32と少なくとも70%、71%、72%、73、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はそこから誘導可能な任意の値を有する。いくつかの実施形態において、ヒンジ及び/又はスペーサーアミノ酸配列は、SEQ ID NO:28、30、又は32を含む。いくつかの実施形態において、ヒンジ及び/又はスペーサーアミノ酸配列は、SEQ ID NO:28、30、又は32からなる。
【0240】
f.治療コントロール
本明細書に記載される方法及び組成物のいくつかの実施形態では、CAR分子は治療対照と共発現される。
【0241】
治療的制御は、細胞増殖を調節するか、細胞選択を促進するか(例えば、本開示のキメラ抗原受容体を発現する細胞を選択する)、又はそれらの組合せである。一実施形態において、細胞増殖を調節することは、細胞の増殖を促進するために細胞増殖をアップレギュレートすることからなる。別の実施形態において、細胞増殖を調節することは、細胞増殖を減少又は阻害するように細胞増殖をダウンレギュレートすることからなる。いくつかの実施形態において、治療対照として機能する薬剤は、治療上の利点をもたらし得るキメラ抗原受容体を発現する細胞の濃縮を促進し得る。いくつかの実施形態において、治療的コントロールとして機能する薬剤は、治療的コントロールの機能を調節するように、追加の組成物と生化学的に相互作用し得る。例えば、EGFRt(治療的コントロール)は、選択、追跡、細胞切除又はそれらの組合せにおいてEGFRtの機能を調節するように、セツキシマブと生化学的に相互作用することができる。
【0242】
例示的な治療対照には、切断型上皮成長因子受容体(EGFRt)、キメラサイトカイン受容体(CCR)及び/又はジヒドロキシ葉酸受容体(DHFR)(例えば、変異型DHFR)が含まれる。CAR及び治療対照をコードするポリヌクレオチドは、IRES配列を介して、又は切断可能なリンカーをコードするポリヌクレオチド配列を介して連結され得る。本開示のCARは、細胞内で発現され得るように構築され、細胞は、少なくとも1つの抗原特異的標的化領域、例えば抗原と相互作用する少なくとも1つの分子の存在に応答して増殖する。さらなる実施形態において、治療コントロールは、タンパク質が細胞内シグナル伝達ドメインを欠く細胞表面タンパク質からなる。細胞内シグナル伝達を欠く、又は細胞内シグナル伝達を欠くように改変された(例えば、切断によって)任意の細胞表面タンパク質が使用され得ることが企図される。治療的コントロールのさらなる例としては、切断されたLNGFR、切断されたCD19などが挙げられ、切断されたタンパク質は細胞内シグナル伝達ドメインを欠く。
【0243】
本明細書で使用する「共発現」とは、2つ以上の遺伝子の同時発現を指す。遺伝子は、例えば、単一のタンパク質又は単一のポリペプチド鎖としてのキメラタンパク質をコードする核酸であり得る。例えば、本開示のCARは、治療対照と共発現させることができ、CARは第1のポリヌクレオチド鎖によってコードされ、治療対照は第2のポリヌクレオチド鎖によってコードされる。実施形態において、第1及び第2のポリヌクレオチド鎖は、切断可能なリンカーをコードする核酸配列によって連結される。CAR及び治療制御系をコードするポリヌクレオチドは、IRES配列によって連結されていてもよい。あるいは、CARと治療制御系をコードするポリヌクレオチドは、2つの異なるポリヌクレオチドによってコードされ、リンカーを介して連結されていないが、その代わりに、例えば、2つの異なるベクターによってコードされている。前述の配列が別々のベクターによってコードされている場合、これらのベクターは同時又は順次トランスフェクトすることができる。
【0244】
本開示の組成物の治療的コントロール、CAR分子、及び使用方法のさらなる態様は、米国特許第9,447,194号に記載されており、この特許はあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0245】
g.特異的CAR分子
本開示は、あらゆるタイプの免疫細胞における発現を含む、特定のCAR分子も包含する。
【0246】
具体的な実施形態では、以下のようにCD5 CAR分子が利用される:
【0247】
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCATCGATGCCATGGGCAACATCCAGCTGGTGCAGAGCGGCCCTGAGCTGAAGAAACCCGGCGAGACAGTGAAGATCAGCTGCAAGGCCAGCGGCTACACCTTCACCAACTACGGCATGAACTGGGTGAAACAGGCCCCAGGCAAGGGCCTGCGGTGGATGGGCTGGATCAACACCCACACCGGCGAGCCCACCTACGCCGACGACTTCAAGGGCAGATTCGCCTTCAGCCTGGAAACCAGCGCCAGCACCGCCTACCTGCAGATCAACAACCTGAAGAACGAGGACACCGCCACCTATTTCTGCACCAGACGGGGCTACGACTGGTACTTCGACGTGTGGGGAGCCGGCACCACCGTGACCGTGTCTAGCGGAGGCGGAGGATCTGGCGGAGGGGGATCAGGCGGCGGAGGCAGCGACATCAAGATGACCCAGAGCCCCAGCTCTATGTACGCCAGCCTGGGCGAGCGCGTGACCATCACATGCAAGGCCTCCCAGGACATCAACAGCTACCTGAGCTGGTTCCACCACAAGCCCGGCAAGAGCCCCAAGACCCTGATCTACCGGGCCAACCGGCTGGTGGACGGCGTGCCAAGCAGATTCAGCGGCAGCGGCTCCGGCCAGGACTACAGCCTGACCATCAGCAGCCTGgaCTACGAGGACATGGGCATCTACTACTGCCAGCAGTACGACGAGAGCCCCTgGacCTTCggAGGCGGCACCaAGCTGGAAATGAAgGGCAGCGGGGaTCCCGCCGAGTCTAAATATGGCCCACCTTGCCCACCGTGCCCAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACgcCTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCCAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCtCCTCGC(SEQ ID NO:33)
【0248】
SEQ ID NO:33から翻訳されたアミノ酸配列は以下の通りである:
【0249】
MEFGLSWLFLVAILKGVQCIDAMGNIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLRWMGWINTHTGEPTYADDFKGRFAFSLETSASTAYLQINNLKNEDTATYFCTRRGYDWYFDVWGAGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIKMTQSPSSMYASLGERVTITCKASQDINSYLSWFHHKPGKSPKTLIYRANRLVDGVPSRFSGSGSGQDYSLTISSLDYEDMGIYYCQQYDESPWTFGGGTKLEMKGSGDPAESKYGPPCPPCPGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNAYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(SEQ ID NO:34)
【0250】
具体的な実施形態では、以下のようにCD7 CAR分子が利用される:
【0251】
ATGGCCTTACCAGTGACCGCCTTGCTCCTGCCGCTGGCCTTGCTGCTCCACGCCGCCAGGCCGCAGGTGAAGCTGCAGGAGTCAGGGGGAGGCTTAGTGAAGCCTGGAGGGTCCCTGAAACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACTTTCAGTAGCTATGCaATGTCTTGGGTTCGCCAGACTCCGGAGAAGAGGCTGGAGTGGGTCGCAACCATTAGTAGTGGTGGTAGTTACACCTACTATCCAGACAGTGTGAAGGGGCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACACCCTGTACCTGCAAATGAGCAGTCTGAGGTCTGAGGACACGGCCATGTATTACTGTGCAAGACAGGATGGTTACTACCCGGGCTGGTTTGCTAACTGGGGGCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGGTGGAGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGCGGTGGCGGATCGGACATCGAGCTCACTCAGTCTCCAGCAATCATGTCTGCATCTCTAGGGGAGGAGATCACCCTAACCTGCAGTGCCAGCTCcAGTGTAAGTTACATGCACTGGTACCAGCAGAAGTCAGGCACTTCTCCCAAACTCTTGATTTATAGCACATCCAACCTGGCTTCTGGAGTCCCTTCTCGCTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACCTTTTATTCTCTCACAATCAGCAGTGTGGAGGCTGAAGATGCTGCCGATTATTACTGCCATCAGTGGAGTAGTTACACGTTCGGAGGGGGCACCAAGCTGGAAATCAAACGGGCGGATCCCGCCGAGTCTAAATATGGCCCACCTTGCCCACCGTGCCCAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACgcCTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCCAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC(SEQ ID NO:35)
【0252】
SEQ ID NO:35から翻訳されたアミノ酸配列は以下の通りである:
【0253】
MALPVTALLLPLALLLHAARPQVKLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARQDGYYPGWFANWGQGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIELTQSPAIMSASLGEEITLTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKLLIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTFYSLTISSVEAEDAADYYCHQWSSYTFGGGTKLEIKRADPAESKYGPPCPPCPGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNAYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(SEQ ID NO:36)
【0254】
具体的な実施形態では、以下のようにCD7 CAR分子が利用される:
【0255】
ATGGCCCTGCCTGTGACCGCTCTGCTGCTGCCTCTGGCACTGCTGCTGCACGCTGCTAGACCTGGCGCTCAGCCTGCTATGGCCGCCTACAAGGACATCCAGATGACCCAGACCACCAGCAGCCTGTCTGCCAGCCTGGGCGACAGAGTGACCATCAGCTGTAGCGCCAGCCAGGGCATCAGCAACTACCTGAACTGGTATCAGCAGAAACCCGACGGCACCGTGAAGCTGCTGATCTACTACACCAGCTCCCTGCACAGCGGCGTGCCCAGCAGATTTTCTGGCAGCGGCTCCGGCACCGACTACAGCCTGACCATCTCCAACCTGGAACCCGAGGATATCGCCACCTACTACTGCCAGCAGTACAGCAAGCTGCCCTACACCTTCGGCGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAGAGGGGAGGCGGAGGAAGCGGAGGCGGTGGATCTGGTGGTGGCGGTTCTGGCGGAGGTGGAAGCGAAGTGCAGCTGGTGGAATCTGGCGGCGGACTGGTCAAGCCTGGCGGCTCTCTGAAACTGAGCTGTGCCGCCTCTGGCCTGACCTTCAGCAGCTACGCTATGAGCTGGGTGCGCCAGACCCCCGAGAAGAGACTGGAATGGGTGGCCAGCATCAGCAGCGGCGGCTTTACCTACTACCCCGACAGCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCAGCCGGGACAACGCCCGGAACATCCTGTACCTGCAGATGAGCAGCCTGCGGAGCGAGGACACCGCCATGTACTACTGCGCCAGGGATGAAGTGCGGGGCTACCTGGATGTGTGGGGAGCCGGAACAACCGTGACCGTGTCTAGTGCCAGCGGAGCGGATCCCGCCGAGTCTAAATATGGCCCACCTTGCCCACCGTGCCCAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACgcCTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCCAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC(SEQ ID NO:37)
【0256】
SEQ ID NO:37から翻訳されたアミノ酸配列は以下の通りである:
【0257】
MALPVTALLLPLALLLHAARPGAQPAMAAYKDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCSASQGISNYLNWYQQKPDGTVKLLIYYTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEPEDIATYYCQQYSKLPYTFGGGTKLEIKRGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGLTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVASISSGGFTYYPDSVKGRFTISRDNARNILYLQMSSLRSEDTAMYYCARDEVRGYLDVWGAGTTVTVSSASGADPAESKYGPPCPPCPGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNAYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(SEQ ID NO:38)
【0258】
具体的な実施形態では、以下のようにCD7 CAR分子が利用される:
【0259】
ATGGCCTTACCAGTGACCGCCTTGCTCCTGCCGCTGGCCTTGCTGCTCCACGCCGCCAGGCCGCAGGTCCAGCTGCAGGAGTCTGGGGCTGAACTGGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGCTGTCCTGCAAGGCTTCTGGCTACACCTTCACGAGCTACTGGATGCACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGGACAAGGCCTTGAGTGGATTGGAAAGATTAATCCTAGCAACGGTCGTACTAACTACAATGAGAAGTTCAAGAGCAAGGCCACACTGACTGTAGACAAATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAACTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCGGTCTATTACTGTGCAAGAGGGGGAGTCTACTATGACCTTTATTACTATGCTCTGGACTACTGGGGCCAAGGCACCACGGTCACCGTCTCCTCAGGTGGAGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGCGGTGGCGGATCGGACATCGAGCTCACTCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGACTCCAGGAGATAGCGTCAGTCTTTCCTGCAGGGCCAGCCAAAGTATTAGCAACAACCTACACTGGTATCAACAAAAATCACATGAGTCTCCAAGGCTTCTCATCAAGTCTGCTTCCCAGTCCATCTCTGGaATCCCCTCCAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGACAGATTTCACTCTCAGTATCAACAGTGTGGAGACTGAAGATTTTGGAATGTATTTCTGTCAACAGAGTAACAGCTGGCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACAAAGTTGGAAATAAAACGGGCGGATCCCGCCGAGTCTAAATATGGCCCACCTTGCCCACCGTGCCCAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACgcCTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCCAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC(SEQ ID NO:39)
【0260】
SEQ ID NO:39から翻訳されたアミノ酸配列は以下の通りである:
【0261】
MALPVTALLLPLALLLHAARPQVQLQESGAELVKPGASVKLSCKASGYTFTSYWMHWVKQRPGQGLEWIGKINPSNGRTNYNEKFKSKATLTVDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARGGVYYDLYYYALDYWGQGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIELTQSPATLSVTPGDSVSLSCRASQSISNNLHWYQQKSHESPRLLIKSASQSISGIPSRFSGSGSGTDFTLSINSVETEDFGMYFCQQSNSWPYTFGGGTKLEIKRADPAESKYGPPCPPCPGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNAYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(SEQ ID NO:40)
【0262】
具体的な実施形態では、以下のようにCD2 CAR分子が利用される:
【0263】
ATGGCCTTACCAGTGACCGCCTTGCTCCTGCCGCTGGCCTTGCTGCTCCACGCCGCCAGGCCGGATGTTGTTCTTACTCAGACTCCACCAACTTTGTTGGCAACAATTGGGCAAAGTGTGTCAATTAGTTGCAGATCAAGCCAAAGTCTCTTGCACAGTAGCGGAAATACCTATCTGAACTGGCTGTTGCAGCGGACTGGGCAATCCCCGCAACCGCTCATATACCTGGTAAGCAAGCTaGAGTCAGGGGTGCCGAATCGCTTCTCCGGATCCGGTAGTGGTACGGATTTCACGCTGAAGATAAGCGGAGTGGAAGCGGAAGACTTGGGCGTGTACTACTGTATGCAGTTCACACACTATCCCTACACTTTTGGGGCGGGTACTAAACTTGAGCTTAAGTCTGGAGGCGGTGGATCTGGCGGTGGAGGTAGCGGAGGAGGCGGTAGCGAAGTGCAATTGCAGCAGTCAGGGCCAGAGCTGCAAAGACCTGGTGCCAGCGTGAAGTTGTCCTGTAAAGCCTCCGGTTATATCTTCACAGAGTACTATATGTACTGGGTTAAGCAACGCCCAAAACAAGGCCTGGAGCTTGTGGGCCGAATCGACCCCGAAGATGGTTCTATTGACTACGTAGAGAAGTTCAAGAAAAAGGCAACACTCACTGCGGACACTAGTTCAAACACTGCCTACATGCAGCTCTCTAGCCTGACATCCGAAGACACCGCCACGTATTTTTGCGCACGAGGTAAATTCAACTATCGCTTCGCATACTGGGGGCAGGGTACTCTCGTCACCGTCTCCTCAGAGTCTAAATATGGCCCACCTTGCCCACCGTGCCCAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACgcCTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCCAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCTCCTCGCTAA(SEQ ID NO:41)
【0264】
SEQ ID NO:41から翻訳されたアミノ酸配列は以下の通りである:
【0265】
MALPVTALLLPLALLLHAARPDVVLTQTPPTLLATIGQSVSISCRSSQSLLHSSGNTYLNWLLQRTGQSPQPLIYLVSKLESGVPNRFSGSGSGTDFTLKISGVEAEDLGVYYCMQFTHYPYTFGAGTKLELKSGGGGSGGGGSGGGGSEVQLQQSGPELQRPGASVKLSCKASGYIFTEYYMYWVKQRPKQGLELVGRIDPEDGSIDYVEKFKKKATLTADTSSNTAYMQLSSLTSEDTATYFCARGKFNYRFAYWGQGTLVTVSSESKYGPPCPPCPGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNAYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(SEQ ID NO:42)
【0266】
具体的な実施形態では、以下のようにCD2 CAR分子が利用される:
【0267】
ATGGCCTTACCAGTGACCGCCTTGCTCCTGCCGCTGGCCTTGCTGCTCCACGCCGCCAGGCCGGAAGTGCAATTGCAGCAGTCAGGGCCAGAGCTGCAAAGACCTGGTGCCAGCGTGAAGTTGTCCTGTAAAGCCTCCGGTTATATCTTCACAGAGTACTATATGTACTGGGTTAAGCAACGCCCAAAACAAGGCCTGGAGCTTGTGGGCCGAATCGACCCCGAAGATGGTTCTATTGACTACGTAGAGAAGTTCAAGAAAAAGGCAACACTCACTGCGGACACTAGTTCAAACACTGCCTACATGCAGCTCTCTAGCCTGACATCCGAAGACACCGCCACGTATTTTTGCGCACGAGGTAAATTCAACTATCGCTTCGCATACTGGGGGCAGGGTACTCTCGTCACCGTCTCCTCATCTGGAGGCGGTGGATCTGGCGGTGGAGGTAGCGGAGGAGGCGGTAGCGATGTTGTTCTTACTCAGACTCCACCAACTTTGTTGGCAACAATTGGGCAAAGTGTGTCAATTAGTTGCAGATCAAGCCAAAGTCTCTTGCACAGTAGCGGAAATACCTATCTGAACTGGCTGTTGCAGCGGACTGGGCAATCCCCGCAACCGCTCATATACCTGGTAAGCAAGCTaGAGTCAGGGGTGCCGAATCGCTTCTCCGGATCCGGTAGTGGTACGGATTTCACGCTGAAGATAAGCGGAGTGGAAGCGGAAGACTTGGGCGTGTACTACTGTATGCAGTTCACACACTATCCCTACACTTTTGGGGCGGGTACTAAACTTGAGCTTAAGGAGTCTAAATATGGCCCACCTTGCCCACCGTGCCCAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACgcCTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCCAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCTCCTCGC(SEQ ID NO:43)
【0268】
SEQ ID NO:43から翻訳されたアミノ酸配列は以下の通りである:
【0269】
MALPVTALLLPLALLLHAARPEVQLQQSGPELQRPGASVKLSCKASGYIFTEYYMYWVKQRPKQGLELVGRIDPEDGSIDYVEKFKKKATLTADTSSNTAYMQLSSLTSEDTATYFCARGKFNYRFAYWGQGTLVTVSSSGGGGSGGGGSGGGGSDVVLTQTPPTLLATIGQSVSISCRSSQSLLHSSGNTYLNWLLQRTGQSPQPLIYLVSKLESGVPNRFSGSGSGTDFTLKISGVEAEDLGVYYCMQFTHYPYTFGAGTKLELKESKYGPPCPPCPGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNAYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(SEQ ID NO:44)
【0270】
いくつかの実施形態において、CAR分子ヌクレオチド配列は、少なくとも30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700、1750、若しくは1800ヌクレオチド、又はそこから誘導可能な範囲若しくは値を有し、SEQ ID NO:33、35、37、39、41、又は43と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はそこから誘導可能な任意の値を有する。いくつかの実施形態において、CAR分子ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:33、35、37、39、41、又は43を含む。いくつかの実施形態において、CAR分子ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:33、35、37、39、41、又は43からなる。
【0271】
いくつかの実施形態において、CAR分子アミノ酸配列は、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、300、350、400、500、550,若しくは600個のアミノ酸、又はそこから誘導可能な任意の範囲若しくは値を有し、EQ ID NO:34、36、38、40、42、又は44と少なくとも70%、71%、72%、73%、74、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はそこから誘導可能な任意の値を有する。いくつかの実施形態において、CAR分子アミノ酸配列は、SEQ ID NO:34、36、38、40、42、又は44を含む。いくつかの実施形態において、CAR分子アミノ酸配列は、SEQ ID NO:34、36、38、40、42、又は44からなる。
【0272】
B.T細胞受容体(TCR)
いくつかの実施形態において、癌細胞、感染症、及び/又は免疫疾患の抗原を標的とする遺伝子工学的抗原受容体には、組換えTCR及び/又は天然に存在するT細胞からクローン化されたTCRが含まれる。T細胞受容体」又は「TCR」とは、可変a鎖及び可変β鎖(それぞれTCRα及びTCRβとしても知られる)、又は可変γ鎖及び可変δ鎖(それぞれTCRγ及びTCRδとしても知られる)を含み、MHC受容体に結合した抗原ペプチドに特異的に結合できる分子を指す。いくつかの実施形態では、TCRはαβ型である。
【0273】
典型的には、αβ型とγδ型で存在するTCRは、一般的に構造的に類似しているが、それらを発現するT細胞は、解剖学的な位置や機能が異なる場合がある。TCRは細胞表面に存在することもあれば、可溶性の形で存在することもある。一般に、TCRはT細胞(又はTリンパ球)の表面に存在し、一般に主要組織適合複合体(MHC)分子に結合した抗原を認識する役割を担っている。いくつかの実施形態では、TCRはまた、一定ドメイン、膜貫通ドメイン、及び/又は短い細胞質尾部を含むことができる(例えば、Janewayら、1997を参照)。例えば、いくつかの態様において、TCRの各鎖は、1つのN末端免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン一定ドメイン、膜貫通領域、及びC末端の短い細胞質尾部を有し得る。いくつかの実施形態において、TCRは、シグナル伝達の媒介に関与するCD3複合体の不変タンパク質と関連している。特に断らない限り、用語「TCR」は、その機能的TCR断片を包含すると理解されるべきである。また、この用語は、αβ型又はγδ型のTCRを含む、インタクト又は全長のTCRも包含する。
【0274】
したがって、本明細書においてTCRとは、MHC分子に結合した特定の抗原ペプチド、すなわちMHC-ペプチド複合体に結合するTCRの抗原結合部分など、あらゆるTCRや機能的断片を含む。TCRの「抗原結合部分」又は「抗原結合フラグメント」は、同じ意味で使用することができ、TCRの構造ドメインの一部を含むが、完全なTCRが結合する抗原(例えば、MHC-ペプチド複合体)と結合する分子を指す。場合によっては、抗原結合部分にはTCRの可変ドメイン、例えばTCRの可変a鎖や可変β鎖が含まれ、一般的に各鎖が3つの相補性決定領域を含むように、特定のMHC-ペプチド複合体に結合するための結合部位を形成するのに十分である。
【0275】
いくつかの実施形態では、TCR鎖の可変ドメインは会合してループ、すなわち免疫グロブリンに類似した相補性決定領域(CDR)を形成し、TCR分子の結合部位を形成することによって抗原認識を付与し、ペプチド特異性を決定する。典型的には、免疫グロブリンと同様に、CDRはフレームワーク領域(FR)によって分離されている(例えば、Joresら、1990;Chothiaら、1988;Lefrancら、2003を参照)。いくつかの実施形態では、CDR3が処理された抗原を認識する主要なCDRであるが、α鎖のCDR1も抗原ペプチドのN末端部分と相互作用することが示されており、β鎖のCDR1はペプチドのC末端部分と相互作用する。CDR2はMHC分子を認識すると考えられている。いくつかの実施形態では、β鎖の可変領域はさらなる超可変性(HV4)領域を含むことができる。
【0276】
いくつかの実施形態では、TCR鎖は一定ドメインを含む。例えば、免疫グロブリンと同様に、TCR鎖の細胞外部分(例えば、α鎖、β鎖)は、2つの免疫グロブリンドメイン、可変ドメイン(例えば、Va又はVp;典型的には、Kabat番号付けに基づくアミノ酸1~116を含むことができるKabatら、“Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services,Public Health Service National Institutes of Health,1991,5版.”)のN末端、及び細胞膜に隣接する1つの定数ドメイン(例えば、α鎖定数ドメイン又はCa、典型的にはKabatに基づくアミノ酸117~259、β鎖定数ドメイン又はCp、典型的にはKabatに基づくアミノ酸117~295)である。例えば、場合によっては、2つの鎖によって形成されるTCRの細胞外部分には、2つの膜近位定数ドメインと、CDRを含む2つの膜遠位可変ドメインが含まれる。TCRドメインの定数ドメインは、システイン残基がジスルフィド結合を形成する短い連結配列を含み、2つの鎖間の連結を作る。いくつかの実施形態では、TCRはα鎖とβ鎖のそれぞれにさらにシステイン残基を有し、TCRが定数ドメインに2つのジスルフィド結合を含むようにすることができる。
【0277】
いくつかの実施形態において、TCR鎖は膜貫通ドメインを含むことができる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは正に荷電している。場合によっては、TCR鎖は細胞質尾部を含む。場合によっては、この構造によりTCRはCD3のような他の分子と会合することができる。例えば、膜貫通領域を有する定数ドメインを含むTCRは、タンパク質を細胞膜に固定し、CD3シグナル伝達装置又は複合体の不変サブユニットと会合することができる。
【0278】
一般に、CD3は、哺乳動物では3つの異なる鎖(γ、δ、ε)及びζ鎖を有することができる多タンパク質複合体である。例えば、哺乳動物では、複合体はCD3γ鎖、CD3δ鎖、2本のCD3ε鎖、CD3ζ鎖のホモ二量体を含むことができる。CD3γ鎖、CD3δ鎖、CD3ε鎖は、単一の免疫グロブリンドメインを含む免疫グロブリンスーパーファミリーの高度に関連した細胞表面タンパク質である。CD3γ鎖、CD3δ鎖、CD3ε鎖の膜貫通領域は負に荷電しており、これはこれらの鎖が正に荷電したT細胞レセプター鎖と会合することを可能にする特徴である。CD3γ鎖、CD3δ鎖、CD3ε鎖の細胞内尾部には、それぞれ免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)として知られる保存されたモチーフが1つずつ含まれているが、CD3ζ鎖には3つずつ含まれている。一般に、ITAMはTCR複合体のシグナル伝達能力に関与している。これらのアクセサリー分子は負に帯電した膜貫通領域を持ち、TCRからのシグナルを細胞内に伝播させる役割を果たす。CD3鎖とζ鎖はTCRと共にT細胞受容体複合体として知られているものを形成している。
【0279】
いくつかの実施形態では、TCRは2本の鎖αとβ(又は任意にγとδ)のヘテロ二量体であってもよいし、一本鎖TCR構築物であってもよい。いくつかの実施形態において、TCRは、ジスルフィド結合又はジスルフィド結合などによって連結された2つの別個の鎖(α鎖及びβ鎖、又はγ鎖及びδ鎖)を含むヘテロ二量体である。いくつかの実施形態では、標的抗原(例えば、がん抗原)に対するTCRが同定され、細胞に導入される。いくつかの実施形態において、TCRをコードする核酸は、公的に入手可能なTCR DNA配列のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅によるなど、様々な供給源から得ることができる。いくつかの実施形態において、TCRは、T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)、T細胞ハイブリドーマ又は他の公的に入手可能な供給源からのような細胞からのような生物学的供給源から得られる。いくつかの実施形態において、T細胞は、インビボで単離された細胞から得ることができる。一部の実施形態では、高親和性T細胞クローンを患者から単離し、TCRを単離することができる。いくつかの実施形態において、T細胞は、培養T細胞ハイブリドーマ又はクローンであり得る。いくつかの実施形態において、標的抗原に対するTCRクローンは、ヒト免疫系遺伝子(例えば、ヒト白血球抗原系、又はHLA)で操作されたトランスジェニックマウスにおいて作製されている。例えば、腫瘍抗原を参照のこと(例えば、Parkhurstら、2009及びCohenら、2005を参照のこと)。いくつかの実施形態では、標的抗原に対するTCRを単離するためにファージディスプレイが使用される(例えば、Varela-Rohenaら、2008及びLi、2005を参照)。いくつかの実施形態では、TCR又はその抗原結合部分は、TCRの配列の知識から合成的に生成することができる。
【0280】
III.免疫細胞
本明細書に開示されるのは、遺伝子操作された免疫細胞を利用する方法及び組成物である。本開示は、少なくとも1つの標的抗原、例えば、癌細胞抗原、感染症抗原、及び/又は免疫障害抗原を認識する少なくとも1つの抗原標的化レセプターをコードする少なくとも1つのベクターを保有するあらゆる種類の免疫細胞を包含する。従って、「遺伝子操作された免疫細胞」又は「操作された免疫細胞」とは、1つ以上の標的抗原を認識する1つ以上の抗原標的化レセプターを発現するように操作された免疫細胞のことである。任意のタイプの免疫細胞が、本開示の方法及び組成物において利用され得る。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞は、αβ-T細胞、γδ-T細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、マクロファージ、樹状細胞、B細胞、自然リンパ球(ILC)、サイトカイン誘導キラー(CIK)細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、リンパカイン活性化キラー(LAK)細胞、又はそれらの混合物である。
【0281】
本明細書に記載された免疫細胞は、本明細書に開示されたレセプターを発現するように操作することができる。これらの細胞は、好ましくは、治療される対象から得られる(すなわち、自己由来である)。しかしながら、いくつかの実施形態では、免疫細胞株又はドナー免疫細胞(同種)が使用される。細胞は、個体から直接得てもよいし、寄託施設や他の保存施設から得てもよい。細胞は、病状に対する治療が必要な個体からのものであってもよく、抗原標的CARを発現するように操作された後(例えば、養子細胞療法のための形質導入や拡張のための標準的な技術を用いて)、元々その細胞が提供された個体に戻される。場合によっては、細胞は後日、本人や別の人に使用するために保存される。
【0282】
操作される免疫細胞は、末梢血単核球、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織、腫瘍を含む多くの供給源から得ることができる。免疫細胞は、FICOLL(商標)分離のような当業者に公知の多くの技術を用いて、被験者から採取した血液から得ることができる。例えば、個人の循環血液から細胞をアフェレーシスにより得ることができる。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、赤血球を溶解し、単球を枯渇させることにより、末梢血リンパ球から、例えば、PERCOLLTM勾配を通した遠心分離又は向流遠心溶出により単離される。
【0283】
免疫細胞の特定の部分集団は、陽性選択又は陰性選択技術によってさらに単離することができる。例えば、正選択された細胞に特有な表面マーカーに向けられた抗体の組み合わせを用い、例えば所望の免疫細胞の正選択に十分な時間、抗体結合ビーズとインキュベートすることにより、免疫細胞を単離することができる。あるいは、免疫細胞集団の濃縮は、負に選択された細胞に特異的な表面マーカーに特異的な抗体の組み合わせを用いて、負に選択することによっても可能である。
【0284】
免疫細胞は細胞集団で構成されてもよく、その集団は、1つ以上の抗原標的化レセプターを発現するように操作された多くの免疫細胞を有していてもよい。細胞集団は、1つ以上の抗原標的化レセプターを発現するように操作された免疫細胞を、少なくとも、多くとも、約50~100%含んでいてもよい。細胞集団は、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の、1つ以上の抗原標的化レセプターを発現するように操作された免疫細胞から構成され得る。1つ以上の抗原標的化レセプターは、1つ以上のベクターによってコードされていても、されていなくてもよい別々のポリペプチドであってもよい。
【0285】
1つ以上の抗原標的化レセプターを発現する遺伝子改変免疫細胞は、細胞の集団を構成することもでき、遺伝子改変免疫細胞の集団は、細胞のサブセットをさらに構成することもできる。いくつかの実施形態において、遺伝子改変免疫細胞の集団のサブセットは、遺伝子改変免疫細胞の集団の50~99%を構成する。細胞集団のサブセットは、集団の細胞の51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99%を構成してもよい。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の集団における細胞のサブセットは、遺伝子操作された免疫細胞の集団の細胞の50%を構成する。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の集団における細胞のサブセットは、遺伝子操作された免疫細胞の集団の細胞の55%を構成する。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の集団における細胞のサブセットは、遺伝子操作された免疫細胞の集団の細胞の60%を構成する。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の集団における細胞のサブセットは、遺伝子操作された免疫細胞の集団の細胞の65%を構成する。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の集団における細胞のサブセットは、遺伝子操作された免疫細胞の集団の細胞の70%を構成する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された免疫細胞の集団における細胞のサブセットは、遺伝子操作された免疫細胞の集団の細胞の75%を構成する。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の集団における細胞のサブセットは、遺伝子操作された免疫細胞の集団の細胞の80%を構成する。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の集団における細胞のサブセットは、遺伝子操作された免疫細胞の集団の細胞の85%を構成する。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の集団における細胞のサブセットは、遺伝子操作された免疫細胞の集団の細胞の90%を構成する。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の集団における細胞のサブセットは、遺伝子操作された免疫細胞の集団の細胞の95%を構成する。
【0286】
1つ以上の抗原標的レセプターを発現させる遺伝子操作の後、免疫細胞は直ちに注入してもよいし、保存してもよい。ある特定の態様では、遺伝子組換え後、細胞への遺伝子導入後約1、2、3、4、5日又はそれ以上の間に、細胞をバルク集団として生体外で数日、数週間又は数ヶ月増殖させることができる。さらなる態様において、トランスフェクタント(the transfectants)又はトランスダクタント(the transductants)はクローン化され、単一の統合発現カセット又はエピソーム的に維持された発現カセット又はプラスミドが存在し、抗原ターゲットCARが発現していることを示すクローンが生体外で拡大される。拡張のために選択されたクローンは、標的抗原を発現する標的細胞を特異的に認識し、溶解する能力を示す。組換え免疫細胞は、IL-2、又は共通のガンマ鎖に結合する他のサイトカイン(例えば、IL-7、IL-12、IL-15、IL-21など)で刺激することにより増殖させることができる。組換え免疫細胞は、人工抗原提示細胞で刺激することにより増殖させることができる。
【0287】
さらなる態様において、免疫細胞及び/又は遺伝子組換え免疫細胞は凍結保存することができる。免疫細胞及び/又は遺伝子組換え免疫細胞は、免疫細胞及び/又は遺伝子組換え免疫細胞を培養で膨張させた後に凍結保存してもよい。細胞は、ブドウ糖、1つ以上の電解質、アルブミン、デキストラン、DMSOを含む溶液又は培地中であってもよい。この溶液は、無菌、非乾酪性、等張性である。
【0288】
免疫細胞は、1つ以上の抗原標的レセプターを発現するように操作され、特定の目的に関してモジュール化された遺伝子改変免疫細胞を作製することができる。例えば、抗原標的化CAR及び/又はTCRを発現する(あるいは、その後の形質導入のために変異体をコードする核酸とともに配布される)細胞を、商業的な配布用も含めて作製することができ、使用者は、意図された目的(複数可)に応じて、関心のある1つ以上の他の遺伝子(治療遺伝子を含む)を発現するように改変することができる。例えば、標的抗原陽性癌を含む標的抗原陽性細胞の治療に関心のある個人は、自殺遺伝子発現細胞(又は異種サイトカイン発現細胞)を入手又は作製し、標的抗原特異的scFvからなるレセプターを発現するように改変することができる。
【0289】
本開示の実施形態は、1つ以上の抗原標的化CAR及び/又はTCRを発現する免疫細胞を包含する。免疫細胞は、特定の実施形態において、1つ以上の抗原標的化CAR及び/又はTCRをコードする組換え核酸を含む。特定の実施形態において、1つ以上の抗原標的化CAR及び/又はTCRを発現する操作された免疫細胞のゲノムは、例えば、ゲノムに内因性の1つ以上の遺伝子を阻害することによって、改変されない場合がある。特定の実施形態において、1つ以上の抗原標的化CAR及び/又はTCRを発現する操作された免疫細胞のゲノムは、任意の方法で改変されてもよいが、特定の実施形態において、ゲノムは、例えば、CRISPR遺伝子編集によって改変される。細胞のゲノムは、任意の目的に対する細胞の有効性を高めるために改変されてもよい。
【0290】
A.T細胞
ある実施形態では、1つ以上の抗原標的レセプターを発現するように操作され、それによって遺伝子操作された免疫細胞を産生する免疫細胞は、ヒトT細胞である。T細胞はリンパ球の一種である。T細胞は、その細胞表面にT細胞受容体(TCR)が存在することで、他のリンパ球と容易に区別することができる。T細胞の成熟における重要なステップは、機能的なT細胞受容体(TCR)を作ることである。各成熟T細胞は最終的に、ランダムなパターンに反応するユニークなTCRを持ち、免疫系が様々な種類の病原体を認識できるようになる。TCRはα鎖とβ鎖の2つの主要な構成要素からなり、多種多様なTCRを作り出すように設計されたランダム要素を含んでいる。
【0291】
T細胞は、骨髄に存在するc-kit+Sca1+造血幹細胞(HSC)に由来する。造血幹細胞はその後、骨髄系細胞とリンパ系細胞の両方になる可能性を持つ多能性前駆細胞(MPP)に分化する。分化の過程はその後、T細胞、B細胞、NK細胞のみに分化できる共通リンパ系前駆細胞(CLP)へと進む。これらのCLP細胞は血液を介して胸腺に移動し、そこで生着する。胸腺に最も早く到着した細胞はダブルネガティブと呼ばれ、CD4もCD8も共受容体を発現しない。新しく到着したCLP細胞はCD4-CD8-CD44+CD25-ckit+細胞であり、初期胸腺前駆細胞(ETP)と呼ばれる。これらの細胞はその後分裂を繰り返し、c-kitをダウンレギュレートし、DN1細胞と呼ばれる。
【0292】
DN2期(CD44+CD25+)になると、細胞は組換え遺伝子RAG1とRAG2をアップレギュレートし、機能的なTCRβ鎖を作ろうとしてV-D-J遺伝子と定常領域遺伝子を組み合わせてTCRβ遺伝子座を再配列する。発育中の胸腺細胞がDN3段階(CD44-CD25+)まで進むと、T細胞はTCRβ遺伝子と並んでpre-Tαと呼ばれる不変のα鎖を発現する。再配列されたβ鎖が不変α鎖とうまく対合すると、β鎖の再配列を停止させるシグナルが産生される(そして代替対立遺伝子はサイレンシングされる)。これらのシグナルは細胞表面にこのプレTCRを必要とするが、プレTCRへのリガンド結合とは無関係である。プレTCRが形成されると、細胞はCD25をダウンレギュレートし、DN4細胞(CD25-CD44-)と呼ばれる。これらの細胞はその後一巡した増殖を受け、TCRα遺伝子座の再配列を開始する。
【0293】
二重陽性の胸腺細胞(CD4+/CD8+)は、胸腺皮質の奥深くまで移動し、そこで自己抗原を提示される。これらの自己抗原は、胸腺皮質上皮細胞によって皮質上皮細胞表面のMHC分子上に発現される。MHC-I又はMHC-IIと相互作用する胸腺細胞のみが生存シグナルを受け、相互作用しない(又は十分に強く相互作用しない)胸腺細胞は生存シグナルを受けず、死滅する。MHCクラスII分子とよく相互作用する二重陽性細胞(CD4+/CD8+)は、最終的にCD4+細胞になるが、MHCクラスI分子とよく相互作用する胸腺細胞はCD8+細胞に成熟する。T細胞は、CD8細胞表面レセプターの発現をダウンレギュレートすることによってCD4+細胞になる。もし細胞がシグナルを失わないなら、CD8のダウンレギュレーションを続け、CD4+の単一陽性細胞になる。
【0294】
T細胞はその機能によって、従来の適応型T細胞と自然型T細胞に分類される。胸腺で選択されたCD4及びCD8 T細胞は、末梢でさらに分化を受け、異なる機能を持つ特殊な細胞になる。従来の適応型T細胞には、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、制御性T細胞などがある。自然免疫様T細胞には、ナチュラルキラーT細胞、粘膜関連不変T細胞、ガンマデルタT細胞などがある。
【0295】
Tヘルパー細胞(TH細胞)は、B細胞の形質細胞やメモリーB細胞への成熟、細胞傷害性T細胞やマクロファージの活性化など、他のリンパ球を補助する。これらの細胞は表面にCD4を発現しているため、CD4+ T細胞としても知られている。ヘルパーT細胞は、抗原提示細胞(APC)の表面に発現しているMHCクラスII分子によってペプチド抗原を提示されると活性化される。一旦活性化されると、急速に分裂し、免疫反応を制御又は補助するサイトカインを分泌する。これらの細胞はいくつかのサブタイプに分化することができ、それぞれ異なった役割を持つ。サイトカインはT細胞を特定のサブタイプに誘導する。
【0296】
CD8+T細胞(TC細胞、CTL、Tキラー細胞、キラーT細胞)は細胞傷害性であり、例えばウイルス感染細胞や癌細胞を直接殺すことができる。これらの細胞は、細胞表面にCD8タンパク質が発現していることで定義される。細胞傷害性T細胞は、すべての有核細胞の表面に存在するMHCクラスI分子と結合した短いペプチド(アミノ酸長8-11)に結合することによって標的を認識する。細胞傷害性T細胞はまた、重要なサイトカインであるIL-2とIFNγを産生する。これらのサイトカインは他の細胞、特にマクロファージやNK細胞のエフェクター機能に影響を与える。
【0297】
T細胞の1つの機能は免疫介在性細胞死であり、それはCD8+細胞傷害性T細胞とCD4+ヘルパーT細胞によって実行される。CD8+キラーT細胞とは異なり、CD4+ヘルパーT細胞は、免疫系の他の部分が免疫系に対する特定の、認識された脅威に対して反応するかどうか、またどのように反応するかを決定することにより、異物として識別された細胞を間接的に殺すことにより機能する。ヘルパーT細胞はまた、サイトカインシグナルを用いて、制御性B細胞に直接影響を与え、他の細胞集団には間接的に影響を与える。
【0298】
抗原非存在型T細胞は、抗原提示細胞表面のMHC分子を介して同族抗原に出会うと、メモリーT細胞やエフェクターT細胞へと拡大・分化する。このプロセスが起こるためには、抗原との出会いの際に適切な共刺激が存在しなければならない。メモリーT細胞には、エフェクター、中枢性、組織常在メモリーT(Trm)細胞、幹メモリーTSCM細胞、バーチャルメモリーT細胞などがある。すべての記憶T細胞のサブタイプに共通する唯一のテーマは、記憶T細胞は長寿命であり、同族抗原に再接続されると、速やかに大量のエフェクターT細胞に拡大することができるということである。このメカニズムにより、記憶T細胞は、以前に遭遇した病原体に対する記憶を免疫系に与える。メモリーT細胞はCD4+又はCD8+のどちらかであり、通常CD45ROを発現している。
【0299】
制御性T細胞(Treg)は寛容を提供し、それによって免疫細胞は侵入細胞を「自己」と区別することができ、自己免疫反応として知られる、免疫細胞が被験者自身の細胞に対して不適切に反応するのを防ぐ。このため、制御性T細胞はサプレッサーT細胞とも呼ばれている。CD4+ Treg細胞には、FOXP3+ Treg細胞とFOXP3- Treg細胞という2つの主要な分類がある。FOXP3+ Treg細胞は、胸腺での正常な発生過程で発生し、胸腺Treg細胞として知られることもあれば、末梢で誘導され、末梢由来Treg細胞と呼ばれることもある。FOXP3-Treg細胞には、Treg17細胞、Tr1細胞、Th3細胞などがあり、これらは免疫反応中に発生し、抑制分子を産生することによって作用すると考えられている。Tr1細胞はIL-10と関連し、Th3細胞はTGF-βと関連している。
【0300】
ナチュラルキラーT細胞は、適応免疫系と自然免疫系の橋渡しをしている。主要組織適合複合体(MHC)分子によって提示されるタンパク質ペプチド抗原を認識する従来のT細胞とは異なり、NKT細胞はCD1dによって提示される糖脂質抗原を認識する。一旦活性化されると、これらの細胞はヘルパーT細胞と細胞傷害性T細胞の両方の機能を果たすことができる。また、一部の腫瘍細胞やヘルペスウイルスに感染した細胞を認識して排除することもできる。
【0301】
Mucosal associated invariant T-cell(MAIT)細胞は、生得的なエフェクター様の性質を示す。ヒトでは、MAIT-細胞は血液、肝臓、肺、粘膜に存在し、微生物の活動や感染から身を守っている。MHCクラスI様タンパク質MR1は、細菌によって産生されたビタミンB代謝産物をMAIT細胞に提示する役割を担っている。MR1によって外来抗原が提示されると、MAIT細胞は炎症性サイトカインを分泌し、細菌感染細胞を溶解する。MAIT細胞はMR1非依存性のシグナル伝達によっても活性化される。このT細胞サブセットは、生得的な機能に加え、適応免疫応答をサポートし、記憶様表現型(a memory-like phenotype)を持っている。
【0302】
ガンマデルタT細胞(γδT細胞)は、細胞表面にαβTCRではなくγδTCRを持つT細胞の小さなサブセットを示す。γδT細胞は主に腸粘膜に存在し、上皮内リンパ球の集団の中にある。γδT細胞はMHCに制限されず、APC上のMHC分子によって提示されるペプチドを必要とせず、むしろ全タンパク質を認識することができるようである。Vγ9とVδ2遺伝子断片を使うヒトγδT細胞は、末梢血中の主要なγδT細胞集団を構成し、事実上すべての生きた細胞によって産生される、リン酸化抗原と総称される一連の非ペプチド性リン酸化イソプレノイド前駆体に特異的かつ迅速に反応するという点でユニークである。動物やヒトの細胞(がん細胞を含む)から最もよく検出されるリン酸化抗原は、イソペンテニルピロホスフェート(IPP)とその異性体ジメチルアリルピロホスフェート(DMPP)である。多くの微生物はIPPとDMAPPに加えて、高活性化合物のヒドロキシ-DMAPP(HMB-PP)と対応するモノヌクレオチド結合体を産生する。植物細胞は両方のタイプのリン酸化抗原を産生する。
【0303】
特定の実施形態において、T細胞は、当技術分野で周知の方法によって、一般に白血球分離プロセスによって得られる末梢血単核細胞(PBMC)、非刺激白血球分離産物(PBSC)、ヒト胚性幹細胞(hESC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、骨髄、又は臍帯血、又はT細胞株から得られる。白血球回収プロセスを利用する場合、回収されたアフェレシス産物は、下流の手順に応じて様々な方法で処理することができる。HAEMONETICS(登録商標) Cell Saver 5+、COBE 2991、Fresenius Kabi LOVOなどの装置は、肉眼的な赤血球や血小板の夾雑物を除去する機能を有している。Terumo ELUTRA(登録商標)とBiosafe SEPAX(登録商標)システムは、単球の除去やリンパ球の分離のために、サイズに基づいた細胞分画を提供します。CLINIMACS(登録商標) PlusやProdigyシステムのような装置では、細胞洗浄後にMiltenyiビーズを使用して、CD4+、CD8+、CD25+、CD62L+ T細胞のようなT細胞の特定のサブセットを濃縮することができます。
【0304】
培養中のT細胞の増殖には、持続的で十分な活性化が必要である。T細胞の活性化には、T細胞レセプターを介した一次特異的シグナルと、CD28、4-1BB、OX40などのコスティミュレイトリーシグナルが必要である。T細胞の活性化は、1つ以上の抗原標的レセプターを発現するようにT細胞を操作するためにも必要である。T細胞を活性化する方法としては、例えば、プレート結合抗CD3抗体や抗CD28抗体の使用、抗原提示細胞の使用、T細胞活性化試薬の使用などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0305】
樹状細胞(DC)などの抗原提示細胞は、T細胞応答の内因性活性化因子である。もう1つの細胞ベースのT細胞活性化アプローチは、人工抗原提示細胞(AAPC)を用いたものである。照射したK562由来のAAPCは、CAR-T細胞の増殖を刺激するために用いられてきた。場合によっては、免疫細胞は有効量の万能抗原提示細胞(UAPC)の存在下で、任意の適切な比率を含めて増殖される。細胞は、例えば1:2の比率を含む、10:1~1:10;9:1~1:9;8:1~1:8;7:1~1:7;6:1~1:6;5:1~1:5;4:1~1:4;3:1~1:3;2:1~1:2;又は1:1の比率でUAPCとともに培養することができる。
【0306】
Invitrogen CTS DYNABEADS(登録商標) CD3/28、Miltenyi MACS(登録商標) GMP EXPACTTM Tregビーズ、Miltenyi MACS(登録商標) GMP TRANSACT(商標) CD3/28ビーズ、Juno Stage Expamerテクノロジーなど、市販の臨床グレードのT細胞活性化試薬もいくつか利用できる。
【0307】
DYNABEADS(登録商標) CD3/28は、CD3及びCD28抗体と共有結合した均一な超常磁性ビーズです。これらのビーズは、ダイナルCLINEXVIVO(商標) MPC(商標)マグネットと併用することで、T細胞の選択と活性化をワンステップで行うことができます。Miltenyi EXPACT(商標) Tregビーズは、CD3-ビオチン、CD28及び抗ビオチンモノクローナル抗体に結合した常磁性ビーズです。様々なT細胞に対するビーズの比率を使用することにより、EXPACT(商標) Tregビーズは制御性T細胞及び従来の系統T細胞の両方を拡大するために使用することができます。Miltenyi MACS(登録商標) GMP TRANSACT(商標) CD3/28ビーズは、CD3又はCD28モノクローナル抗体に結合した高分子ナノマトリックスです。Juno Therapeutics社のExpamerテクノロジーは、ウイルス特異的リンパ球を分離するために独自のコアStreptamerテクノロジーを利用しています。可溶性で解離可能なT細胞刺激試薬であるエクスパマーは、T細胞受容体(TCR)シグナルを効率的に誘導し、T細胞を効率的に活性化してレトロウイルスの導入と増殖をサポートする。
【0308】
T細胞表面CD3分子と可溶性抗CD3モノクローナル抗体との係合もまた、IL-2の存在下でのT細胞活性化を支持する。場合によっては、免疫細胞はIL-2の存在下、例えば10-500、10-400、10-300、10-200、10-100、10-50、100-500、100-400、100-300、100-200、200-500、200-400、200-300、300-500、300-400、又は400-500U/mLの濃度で増殖させる。
【0309】
B.NK細胞
いくつかの実施形態では、1つ以上の抗原標的化レセプターを発現するように操作され、それによって遺伝子操作された免疫細胞を産生する免疫細胞は、ヒトのナチュラルキラー(NK)細胞である。自然免疫系のリンパ系成分であるNK細胞は、自然免疫系のCD56+/CD3-大顆粒リンパ球であり、ウイルス感染又は悪性形質転換中の細胞に対する免疫応答に関与し、MHC非制限細胞傷害性を産生し、炎症性サイトカイン及びケモカインを分泌する。Tリンパ球とは異なり、NK細胞は標的を認識するために抗原感作や主要組織適合複合体(MHC)クラスI/II分子による提示を必要としない。その代わり、NK細胞はリンパ球の亜集団であり、骨髄や胸腺において、様々な腫瘍細胞、ウイルス感染細胞、一部の正常細胞に対して自発的に細胞傷害性を示す。NK細胞は骨髄、リンパ節、脾臓、扁桃腺、胸腺で分化・成熟する。NK細胞は、ヒトではCD16やCD56のような特異的な表面マーカーによって検出することができる。NK細胞はT細胞抗原レセプター、panTマーカーCD3(the pan T marker CD3)、表面免疫グロブリンB細胞レセプターを発現しない。
【0310】
特定の実施形態において、NK細胞は、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)、非刺激白血球産物(PBSC)、ヒト胚性幹細胞(hESC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、骨髄、又は臍帯血若しくはNK細胞株から、当該技術分野において周知の方法により誘導される。特に、臍帯血はNK細胞を誘導するために使用することができる。特定の態様において、NK細胞は、以前に記載されたNK細胞のex vivo拡大法(Spanholtzら、2011;Shahら、2013)により単離され、拡大される。この方法では、CB単核球をフィコール密度勾配遠心法により単離し、IL-2及び人工抗原提示細胞(aAPC)とともにバイオリアクターで培養する。7日後、培養細胞からCD3を発現する細胞を除去し、さらに7日間再培養する。細胞は再びCD3が除去され、CD56+/CD3-細胞又はNK細胞の割合を決定するために特性化される。他の方法では、臍帯CBを使用してCD34+細胞を分離し、SCF、IL-7、IL-15、及び/又はIL-2を含む培地で培養してCD56+/CD3-細胞に分化させることにより、NK細胞を誘導する。
【0311】
C.B細胞
いくつかの実施形態では、1つ以上の抗原標的レセプターを発現するように操作され、それによって遺伝子操作された免疫細胞を産生する免疫細胞は、ヒトB細胞である。B細胞はリンパ球サブタイプの白血球の一種であり、適応免疫系の体液性免疫成分で機能する。B細胞は抗体分子を産生し、分泌されるか、あるいは細胞膜に挿入されてB細胞レセプターの一部として機能する。ナイーブB細胞又はメモリーB細胞(a naive or memory B-cell)が抗原によって活性化されると、増殖し、形質芽細胞又は形質細胞として知られる抗体分泌エフェクター細胞に分化する。さらに、B細胞は抗原を提示し、サイトカインを分泌する。B細胞は細胞膜上にB細胞レセプター(BCR)を発現しており、このB細胞レセプターによって外来抗原と結合し、抗体反応を開始する。
【0312】
1つ以上の抗原標的レセプターを発現するように操作され、それによって遺伝子操作された免疫細胞を産生する可能性のあるB細胞タイプには、形質芽細胞、形質細胞、リンパ形質細胞、メモリーB細胞、B-2細胞、制御性B細胞が含まれる。
【0313】
形質芽細胞は、B細胞の分化から生じる短命で増殖性の抗体分泌細胞である。感染初期に生成され、B細胞のT細胞非依存的活性化、又はB細胞のT細胞依存的活性化による濾胞外反応によって生じる。
【0314】
形質細胞は、B細胞の分化から生じた、長寿命で非増殖性の抗体分泌細胞である。形質芽細胞に比べて、胚中心(GC)での親和性成熟により標的抗原に対する親和性が高く、より多くの抗体を産生する。形質細胞は、T細胞依存的なB細胞の活性化による胚中心反応から生じることもあるが、T細胞非依存的なB細胞の活性化から生じることもある[21]。
【0315】
リンパ形質細胞は、Bリンパ球と形質細胞の形態学的特徴が混在した細胞であり、形質細胞と密接に関連しているか、形質細胞の亜型であると考えられている。
【0316】
メモリーB細胞は、B細胞の分化によって生じた休眠B細胞である。メモリーB細胞は体内を循環し、親B細胞を活性化した抗原を検出すると、より強力で迅速な抗体応答を開始する。メモリーB細胞は、濾胞外反応と胚中心反応の両方によるT細胞依存性の活性化、及びT細胞非依存性の活性化から生成することができる。
【0317】
B-2細胞には、濾胞(FO)B細胞(Follicular (FO) B-cells)とマージナルゾーン(MZ)B細胞(Marginal Zone(MZ) B-cells)がある。FO B細胞は最も一般的なタイプのB細胞で、血液中を循環していない時は、主に二次リンパ器官のリンパ濾胞に存在する。感染時に高親和性抗体の大部分を産生する。MZ B細胞は主に脾臓の辺縁帯に存在し、血液を介して感染する病原体に対する防御の第一線として機能する。B-2細胞はT細胞非依存性及びT細胞依存性の活性化を受けることができる。
【0318】
制御性B細胞(Bregs)は、例えばIL-10、IL-35、及びTGF-βの分泌を通じて、病原性炎症性リンパ球の増殖を阻止する免疫抑制性B細胞タイプである。Bregはまた、T細胞と直接相互作用して分化を歪めることにより、Tregの生成を促進することもできる。
【0319】
D.骨髄系細胞
いくつかの実施形態では、1つ以上の抗原標的レセプターを発現するように操作され、それによって遺伝子操作された免疫細胞を産生する免疫細胞は、ヒト骨髄系細胞である。骨髄球又は骨髄原性細胞は、前駆細胞から生じる血液細胞であり、1つ以上の抗原標的レセプターを発現するように操作され、それによって遺伝子操作された免疫細胞を産生する可能性のある骨髄球又は骨髄原性細胞タイプには、顆粒球、単球、赤血球、血小板が含まれる。
【0320】
顆粒球は、細胞質に特異的な顆粒が存在することを特徴とする、自然免疫系における白血球(白血球)のカテゴリーである。顆粒球は、通常3つの小葉に分かれた核の形が様々であることから、多形核白血球(PMN、PML、PMNL)とも呼ばれる。顆粒球には好中球、好酸球、好塩基球及び肥満細胞が含まれ、骨髄における顆粒球形成を介して産生される。好中球は全循環白血球の60~65%を占め、好中球キラー(neutrophil-killers)と好中球ケージャー(neutrophil-cagers)の2つの亜集団からなる。好中球は貪食、可溶性抗微生物物質(顆粒タンパクを含む)の放出、好中球細胞外トラップの生成によって微生物を攻撃する。好中球は、単球やマクロファージを刺激して、貪食作用や細胞内殺傷に関与する活性酸素化合物の形成を増加させる産物を分泌することができる。好酸球は貪食に関与する能力は限られているが、専門的な抗原提示細胞であり、他の免疫細胞の機能(CD4+ T細胞、樹状細胞、B細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球の機能など)を制御し、腫瘍細胞の破壊に関与し、損傷組織の修復を促進する。好塩基球はヒスタミンとプロスタグランジンを放出し、毛細血管の拡張と透過性の亢進を引き起こし、血液凝固成分や食細胞が感染部位に運ばれるようにすることで、侵入生物と闘う炎症反応に寄与する。マスト細胞は、病原体(寄生虫など)やアレルギー反応に対する宿主の防御を仲介し、炎症や自己免疫の仲介、神経免疫系の反応の仲介や調節にも関与している。
【0321】
単球も白血球の一種である。単球は白血球の中で最も大きく、マクロファージや骨髄系樹状細胞に分化することができる。脊椎動物の自然免疫系の一部として、単球は適応免疫の過程にも影響を及ぼす。単球は人体の白血球全体の2%~10%を占め、免疫機能において複数の役割を担っている。このような役割には、正常な状態では常在マクロファージを補充すること、組織内の感染部位からの炎症シグナルに反応して約8~12時間以内に移動すること、免疫反応を起こすためにマクロファージや樹状細胞に分化すること、などが含まれる。成人のヒトでは、単球の半分は脾臓に貯蔵されている。これらの単球は、適切な組織腔に入るとマクロファージに変化し、内皮では泡沫細胞に変化することがある。ヒト血液中の単球には、表現型レセプターに基づいて少なくとも3つのサブクラスが存在する。古典的単球は細胞表面レセプターCD14の高発現を特徴とする(CD14++ CD16-単球)。非古典的単球はCD14の発現が低く、さらにCD16レセプターの共発現を示す(CD14+CD16++単球)。中間の単球はCD14の高発現とCD16の低発現を示す(CD14++CD16+単球)。
【0322】
I.免疫細胞
本明細書において開示されるのは、いくつかの側面において、遺伝子工学的に操作された免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団を作製する方法である。本方法は、(i)免疫細胞、例えば免疫細胞の集団を、1つ以上のTKIを用いて培養中で増殖させること、(ii)免疫細胞を操作して1つ以上の抗原標的化レセプターを発現させ、遺伝子工学的に改変された免疫細胞を作製すること、及び(iii)遺伝子工学的に改変された免疫細胞を、1つ以上のTKIを用いて培養中で増殖させること、を含むことができる。場合によっては、遺伝子操作された免疫細胞は、1つ以上の抗原標的化レセプターが特異的に結合する1つ以上の標的抗原を発現する。場合によっては、遺伝子改変免疫細胞が発現する1つ以上の標的抗原が遺伝子改変免疫細胞の1つ以上の抗原標的化レセプターに結合する際の1つ以上の抗原標的化レセプターによるシグナル伝達は、免疫細胞及び/又は遺伝子改変免疫細胞を1つ以上のTKIの存在下で培養することにより低下する。場合によっては、遺伝子改変免疫細胞が発現する1つ以上の標的抗原が遺伝子改変免疫細胞の1つ以上の抗原標的化レセプターに結合する際に、1つ以上の抗原標的化レセプターによるシグナル伝達が減少することにより、1つ以上のTKIの非存在下で培養した遺伝子改変免疫細胞と比較して、培養中の遺伝子改変免疫細胞の増殖中に遺伝子改変免疫細胞による免疫細胞の活性化、分化、及び/又はフラトリシドが減少する。
【0323】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、1つ以上のTKIを用いて培養中の免疫細胞の集団を拡大する前に、本明細書の他の箇所に記載されているように活性化される。
【0324】
本開示の調製方法は、少なくとも、多くとも、又は約102~1012個のクローン細胞を含む遺伝子操作免疫細胞の集団を産生し得る。本方法は、少なくとも、多くとも、又は約102~1012個の全細胞、例えば、少なくとも、多くとも、又は約102、103、104、105、106、107、108、109、1010、1011、1012個の全細胞、又はそこから導出可能な任意の範囲若しくは値を含む細胞集団を産生し得る。産生された細胞集団は凍結し、その後解凍してもよい。調製法のいくつかの態様において、本方法はさらに、例えば1つ以上の治療用遺伝子産物をコードする1つ以上の付加的核酸など、1つ以上の付加的核酸を凍結融解した細胞集団に導入することを含む。
【0325】
A.免疫細胞の遺伝子工学
抗原特異的及び/又はリガンド特異的免疫細胞(本明細書では場合により「遺伝子操作された」、「遺伝子改変された」又は「操作された」免疫細胞と称する)を生成するために、遺伝子改変を免疫細胞に導入してもよい。具体的な実施形態において、任意の組成物は、任意の適切な方法によってレシピエント免疫細胞に送達され得る。組成物は、例えば、エレクトロポレーション又はベクターによって細胞に送達され得る。具体的な実施形態では、例えば、少なくとも1つ以上の異種抗原レセプターを導入するための1つ以上の組成物が、ベクターで免疫細胞に送達される。いくつかの実施形態において、遺伝子編集のための1つ以上の組成物は、抗原特異的及び/又はリガンド特異的細胞の生成のために、抗原特異的及び/又はリガンド特異的キメラ抗原受容体(CAR)又はT細胞受容体(TCR)をコードするベクターで細胞に送達される。当業者であれば、本開示の抗原レセプターを発現させるための標準的な組換え技術(例えば、Sambrookら、2001及びAusubelら、1996、いずれも参照により本明細書に組み込まれる)を用いて、ベクターを構築するのに十分であろう。当業者であれば、本開示の抗原レセプターを発現させるための標準的な組換え技術(例えば、Sambrookら、2001及びAusubelら、1996、いずれも参照により本明細書に組み込まれる)を用いて、ベクターを構築するのに十分であろう。ベクターとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない;プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルス、及び植物ウイルス)、及び人工染色体(例えば、YAC)、例えば、レトロウイルスベクター(例えば、Moloneyマウス白血病ウイルスベクター(MoMLV)、MSCV、SFFV、MPSV、SNVなどに由来する)、レンチウイルスベクター(例えば、HIV-1、HIV-2、SIV、BIV、FIVなどに由来する)、アデノウイルス(Ad)ベクター(その複製コンピテント型、複製欠損型及びガットレス型を含む)、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、シミアンウイルス40(SV-40)ベクター、ウシ乳頭腫ウイルスベクター、エプスタイン-バーウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、ハーベイマウス肉腫ウイルスベクター、マウス乳腺腫瘍ウイルスベクター、ルス肉腫ウイルスベクター、パルボウイルスベクター、ポリオウイルスベクター、水疱性口内炎ウイルスベクター、マラバウイルスベクター、B群アデノウイルスエナデノツシレフベクター。
【0326】
特定の実施形態において、ベクターは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT/US19/62014に記載されているようなマルチシストロニックベクターである。このような場合、単一のベクターは、CAR又はTCR(及び発現構築物は、CAR又はTCRの一部を交換できるようにモジュール形式で構成され得る)、自殺遺伝子、及び1つ以上のサイトカインをコードし得る。
【0327】
1.ウイルスベクター
特定の実施形態において、1つ以上の異種抗原レセプターをコードする1つ以上の単離された核酸は、例えば、少なくともレンチウイルス、レトロウイルス、ガンマレトロウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルス、又はアデノウイルスを含むウイルスベクターなどの1つ以上の組換え発現ベクターを使用して免疫細胞に導入される。
【0328】
抗原レセプターをコードするウイルスベクターは、本開示の特定の局面で提供され得る。組換えウイルスベクターの作製において、非必須遺伝子は、典型的には、異種(又は非ネイティブ)タンパク質の遺伝子又はコード配列で置換される。ウイルスベクターは、核酸及び場合によってはタンパク質を細胞に導入するためにウイルス配列を利用する一種の発現構築物である。ある種のウイルスは、細胞に感染したり、受容体仲介エンドサイトーシスを介して細胞に侵入したり、宿主細胞ゲノムに統合してウイルス遺伝子を安定的かつ効率的に発現したりする能力があるため、外来核酸を細胞(例えば、哺乳動物細胞)に導入するための魅力的な候補となっている。本開示の特定の態様の核酸を送達するために使用され得るウイルスベクターの非限定的な例を以下に記載する。
【0329】
レンチウイルスは複雑なレトロウイルスであり、一般的なレトロウイルス遺伝子gag、pol、envに加えて、調節機能又は構造機能を有する他の遺伝子を含む。レンチウイルスベクターは当技術分野でよく知られている(例えば、米国特許第6,013,516号及び第5,994,136号を参照)。
【0330】
組換えレンチウイルスベクターは、非分裂細胞に感染可能であり、核酸配列のin vivo及びex vivo遺伝子導入及び発現の両方に使用することができる。例えば、非分裂細胞に感染可能な組換えレンチウイルス-適当な宿主細胞が、パッケージング機能、すなわちgag、pol及びenv、ならびにrev及びtatを有する2つ以上のベクターでトランスフェクトされる-は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,994,136号に記載されている。
【0331】
a.調節エレメント(Regulatory Elements)
本開示において有用なベクターに含まれる発現カセットは、特に、タンパク質コード配列に作動可能に連結された真核生物転写プロモーター、介在配列を含むスプライスシグナル、及び転写終結/ポリアデニル化配列を(5’から3’方向に)含む。真核細胞においてタンパク質をコードする遺伝子の転写を制御するプロモーターとエンハンサーは、複数の遺伝的要素から構成されている。細胞機構は、各エレメントから伝達される制御情報を収集し、統合することができるため、異なる遺伝子が、異なる、しばしば複雑な転写制御パターンを進化させることができる。本開示の文脈で用いられるプロモーターには、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、組織特異的プロモーターが含まれる。
【0332】
b.プロモーター/エンハンサー
本明細書で提供される発現構築物は、抗原受容体の発現を駆動するプロモーターを含む。プロモーターは一般に、RNA合成の開始部位を位置付ける機能を有する配列を含む。この最もよく知られた例はTATAボックスであるが、例えば哺乳動物末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子のプロモーターやSV40後期遺伝子のプロモーターなど、TATAボックスを欠くいくつかのプロモーターでは、開始部位自体に重なる離散的なエレメントが開始部位の固定を助ける。追加のプロモーターエレメントは転写開始の頻度を調節する。典型的には、これらは開始部位の上流30110bpの領域に位置するが、多くのプロモーターは開始部位の下流にも機能的エレメントを含むことが示されている。コード配列をプロモーターの「制御下に置く」ためには、転写開始部位の5’末端を、選択したプロモーターの「下流」(すなわち、3’)に位置させる。「上流」のプロモーターはDNAの転写を刺激し、コードされたRNAの発現を促進する。
【0333】
プロモーターエレメント間の間隔は、エレメントが互いに対して反転したり移動したりしてもプロモーター機能が維持されるように、フレキシブルであることが多い。tkプロモーターでは、活性が低下し始める前にプロモーターエレメント間の間隔を50bpまで広げることができる。プロモーターによって、個々のエレメントは転写を活性化するために協力的に、あるいは独立して機能することができるようである。プロモーターは、核酸配列の転写活性化に関与するシス作用性調節配列を指す「エンハンサー」と併用してもしなくてもよい。
【0334】
プロモーターは、コードセグメント及び/又はエクソンの上流に位置する5’非コード配列を単離することによって得られ得るように、核酸配列に天然に関連するものであってもよい。このようなプロモーターは“内因性”と呼ばれる。同様に、エンハンサーは、その配列の下流又は上流のいずれかに位置する、核酸配列に天然に関連するものであってもよい。あるいは、コード核酸セグメントを組換えプロモーター又は異種プロモーターの制御下に置くことによって、ある利点が得られる。組換えエンハンサー又は異種エンハンサーとは、天然環境において核酸配列と通常関連しないエンハンサーも指す。そのようなプロモーター又はエンハンサーには、他の遺伝子のプロモーター又はエンハンサー、及び他のウイルス、又は原核細胞若しくは真核細胞から単離されたプロモーター又はエンハンサー、及び「天然に存在しない」プロモーター又はエンハンサー、すなわち、異なる転写調節領域の異なるエレメント、及び/又は発現を変化させる変異を含むプロモーター又はエンハンサーが含まれ得る。例えば、組換えDNA構築において最も一般的に使用されるプロモーターには、βlactamase(ペニシリナーゼ)、ラクトース、トリプトファン(trp)プロモーター系がある。プロモーター及びエンハンサーの核酸配列を合成的に生産することに加えて、配列は、本明細書に開示される組成物に関連して、PCRTMを含む組換えクローニング及び/又は核酸増幅技術を用いて生産され得る。さらに、ミトコンドリア、葉緑体などのような非核小器官内の配列の転写及び/又は発現を指示する制御配列が同様に採用され得ることが企図される。
【0335】
当然ながら、発現のために選択されたオルガネラ、細胞型、組織、器官、又は生物においてDNAセグメントの発現を効果的に誘導するプロモーター及び/又はエンハンサーを採用することが重要であろう。分子生物学の当業者は、一般に、タンパク質発現のためのプロモーター、エンハンサー及び細胞型の組み合わせの使用を知っている(例えば、参照により本明細書に組み込まれるSambrookら1989を参照のこと)。採用されるプロモーターは、構成的、組織特異的、誘導性、及び/又は組換えタンパク質及び/又はペプチドの大規模生産において有利であるような、導入されたDNAセグメントの高レベル発現を指示するために適切な条件下で有用である。プロモーターは異種又は内因性である。
【0336】
さらに、任意のプロモーター/エンハンサーの組み合わせ(例えば、Eukaryotic Promoter Data Base EPDB、epd.isb-sib.ch/のワールドワイドウェブによる)もまた、発現を駆動するために使用され得る。T3、T7又はSP6細胞質発現系の使用も可能な実施形態である。真核細胞は、適切な細菌ポリメラーゼがデリバリー複合体の一部として、又は追加の遺伝子発現構築物として提供されるならば、特定の細菌プロモーターからの細胞質転写を支持することができる。
【0337】
プロモーターの非限定的な例としては、初期又は後期ウイルスプロモーター、例えば、以下をあげることができる;初期又は後期ウイルスプロモーター、例えば、SV40初期又は後期プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)即時初期プロモーター、Rous Sarcoma Virus(RSV)初期プロモーター;真核細胞プロモーター、例えば、βアクチンプロモーター、GADPHプロモーター、メタロチオネインプロモーター;及び連結応答エレメントプロモーター、例えば、サイクリックAMPプロモーター、GADPHプロモーター、メタロチオネインプロモーター;βアクチンプロモーター、GADPHプロモーター、メタロチオネインプロモーター;及び連結応答エレメントプロモーター、例えば、最小TATAボックス近傍のサイクリックAMP応答エレメントプロモーター(cre)、血清応答エレメントプロモーター(sre)、ホルボールエステルプロモーター(TPA)及び応答エレメントプロモーター(tre)など。特定の実施形態において、プロモーターは、CMV IE、デクチン-1、デクチン-2、ヒトCD11c、F4/80、SM22、RSV、SV40、Ad MLP、β-アクチン、MHCクラスI又はMHCクラスIIプロモーターであるが、治療遺伝子の発現を駆動するのに有用な任意の他のプロモーターが、本開示の実施に適用可能である。
【0338】
特定の局面において、本開示の方法はまた、エンハンサー配列、すなわち、プロモーターの活性を増加させ、比較的長い距離(標的プロモーターから数キロ塩基まで離れている)であっても、シスで、その配向に関係なく作用する可能性を有する核酸配列に関係する。しかしながら、エンハンサーの機能は必ずしもそのような長距離に限定されるものではなく、あるプロモーターに近接して機能することもある。
【0339】
c.イニシエーションシグナル(Initiation Signals)と連動した発現
特定の開始シグナルもまた、コード配列の効率的な翻訳のために、本開示において提供される発現構築物において使用され得る。これらのシグナルは、ATG開始コドン又は隣接配列を含む。ATG開始コドンを含む外因性翻訳制御シグナルを提供する必要があり得る。当業者であれば、このことを容易に判断し、必要なシグナルを提供することができるであろう。インサート全体の翻訳を確実にするために、開始コドンは所望のコード配列のリーディングフレームと「インフレーム」でなければならないことはよく知られている。外因性の翻訳制御シグナルと開始コドンは、天然でも合成でもよい。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメントを含めることによって向上させることができる。
【0340】
特定の実施形態では、内部リボソーム進入部位(IRES)エレメントの使用が、多遺伝子、又はポリシストロニックメッセージを作成するために使用される。IRESエレメントは、5’メチル化Cap依存性翻訳のリボソームスキャンモデルを迂回し、内部部位で翻訳を開始することができる。ピコルナウイルスファミリーの2つのメンバー(ポリオと脳心筋炎)からのIRESエレメントと、哺乳類メッセージからのIRESが報告されている。IRESエレメントは異種のオープンリーディングフレームに連結することができる。複数のオープンリーディングフレームが一緒に転写され、それぞれがIRESで分離され、ポリシストロンメッセージを作ることができる。IRESエレメントのおかげで、各オープンリーディングフレームは効率的な翻訳のためにリボソームがアクセスできる。1つのメッセージを転写するために、1つのプロモーター/エンハンサーを用いて、複数の遺伝子を効率的に発現させることができる。
【0341】
さらに、特定の2A配列要素は、本開示において提供される構築物において遺伝子の連結発現又は共発現を作製するために使用され得る。例えば、切断配列は、オープンリーディングフレームを連結して単一のシストロンを形成することによって遺伝子を共発現させるために使用され得る。例示的な切断配列は、F2A(口蹄疫ウイルス2A)又は「2A様」配列(例えば、Thosea asignaウイルス2A;T2A)である。
【0342】
d.レプリケーション(Replication)の起源
宿主細胞内でベクターを増殖させるために、ベクターは1つ以上の複製起点部位(しばしば「オリ」と呼ばれる)、例えば、上述のEBVのオリPに対応する核酸配列、又はプログラミングにおいて類似の、又は上昇した機能を有する遺伝子工学的に操作されたオリPを含むことができ、これは複製が開始される特定の核酸配列である。あるいは、上記のような染色体外複製ウイルスの複製起点、又は自律複製配列(ARS)を採用することもできる。
【0343】
e.選択マーカーとスクリーニング可能なマーカー(Selection and Screenable Markerse)
いくつかの実施形態では、本開示の構築物を含む細胞は、発現ベクターにマーカーを含めることによって、インビトロ又はインビボで同定され得る。このようなマーカーは、発現ベクターを含む細胞の容易な同定を可能にする識別可能な変化を細胞に与えるであろう。一般に、選択マーカーは、選択を可能にする性質を付与するものである。正の選択マーカーは、そのマーカーの存在によって選択が可能になるものであり、負の選択マーカーは、そのマーカーの存在によって選択が妨げられるものである。正の選択マーカーの例は薬剤耐性マーカーである。
【0344】
例えば、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシン及びヒスチジノールに対する耐性を付与する遺伝子は有用な選択マーカーである。条件の実施に基づく形質転換体の識別を可能にする表現型を付与するマーカーに加えて、比色分析を基礎とするGFPのようなスクリーニング可能なマーカーを含む他のタイプのマーカーも企図される。あるいは、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(tk)やクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)のようなネガティブセレクションマーカーとしてスクリーニング可能な酵素を利用することもできる。当業者であれば、場合によってはFACS分析と組み合わせて、免疫学的マーカーを採用する方法も知っているであろう。遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現できる限り、使用するマーカーは重要ではないと考えられる。選択及びスクリーニング可能なマーカーのさらなる例は、当業者によく知られている。
【0345】
2.その他の核酸送達方法
1つ以上の抗原レセプターをコードする核酸のウイルス送達に加えて、以下は所定の宿主細胞への組換え遺伝子送達の付加的な方法であり、したがって、本開示において考慮される。
【0346】
DNA又はRNAなどの核酸を本開示の免疫細胞に導入するには、本明細書に記載されているような、又は当業者に知られているような、細胞の形質転換のための核酸導入のための任意の適切な方法を使用することができる。このような方法としては、ex vivoトランスフェクション、マイクロインジェクションを含む注射によるDNAの直接導入;エレクトロポレーションによる導入;リン酸カルシウム沈殿による導入;DEAE-デキストランを使用し、次いでポリエチレングリコールを使用することによる導入;直接音波ローディングによる導入;リポソーム媒介トランスフェクション及びレセプター媒介トランスフェクション;マイクロプロジェクタイルボンバードメント;炭化ケイ素繊維による撹拌;アグロバクテリウム媒介形質転換;乾燥/阻害媒介DNA取り込み、及びこのような方法の任意の組み合わせ、などが挙げられるが、これらに限定されない。これらのような技術の適用により、オルガネラ、細胞、組織又は生物を安定的又は一過性に形質転換することができる。
【0347】
3.遺伝子編集とCRISPR
本開示の免疫細胞生産工程は、免疫細胞中の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上の内因性遺伝子を除去するための免疫細胞の遺伝子編集を含み得る。場合によっては、遺伝子編集は、1つ以上の異種抗原受容体を発現する免疫細胞において起こるが、他の場合には、遺伝子編集は、異種抗原受容体を発現しないが、最終的には1つ以上の異種抗原受容体を発現する免疫細胞において、少なくとも場合によっては起こる。特定の実施形態では、遺伝子編集される免疫細胞は拡大免疫細胞である。
【0348】
他の場合、1つ以上の異種抗原レセプターを発現している免疫細胞や、異種抗原レセプターを発現していないが最終的には1つ以上の異種抗原レセプターを発現する免疫細胞では、少なくとも場合によって遺伝子編集は起こらない。特定の実施形態では、拡大された免疫細胞は遺伝子編集されていない。
【0349】
特定の態様において、免疫細胞の1つ以上の内因性遺伝子は、発現の一部又は全部が減少する発現破壊など、改変される。特定の態様において、1つ以上の遺伝子は、本開示のプロセスを用いてノックダウン又はノックアウトされる。具体的な態様では、複数の遺伝子が、本開示の工程と同じ工程でノックダウン又はノックアウトされる。免疫細胞において編集される遺伝子はどのような種類のものであってもよいが、具体的な実施態様において遺伝子は、その遺伝子産物が免疫細胞の活性及び/又は増殖を阻害する遺伝子である。具体的な実施態様において、免疫細胞において編集される遺伝子は、例えばPDCD1、TRAC、TRBC、b2M、及びCIITAを含むがこれらに限定されないが、免疫細胞が腫瘍微小環境においてより効果的に働くことを可能にする。
【0350】
いくつかの実施形態では、遺伝子編集は、RNAガイドエンドヌクレアーゼ(RGEN)を介した改変など、1つ以上のDNA結合核酸を用いて実施される。例えば、CRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeats)及びCRISPR関連(Cas)タンパク質を用いて改変を行うことができる。一般に、「CRISPRシステム」とは、CRISPR関連(「Cas」)遺伝子の発現又は活性の指示に関与する転写物及び他の要素を総称して指し、Cas遺伝子をコードする配列、tracr(trans-activating CRISPR)配列(例えば、tracrRNA又は活性部分tracrRNA)、tracr-mate配列(内在性CRISPRシステムの文脈では「直接反復」及びtracrRNA処理部分直接反復を包含する)、ガイド配列(内在性CRISPRシステムの文脈では「スペーサー」とも呼ばれる)、及び/又はCRISPR遺伝子座からの他の配列及び転写物を含む。
【0351】
CRISPR/Casヌクレアーゼ又はCRISPR/Casヌクレアーゼシステムは、配列特異的にDNAに結合する非コードRNA分子(ガイド)RNA、及びヌクレアーゼ機能(例えば、2つのヌクレアーゼドメイン)を有するCasタンパク質(例えば、Cas9)を含み得る。CRISPRシステムの1つ以上の要素は、I型、II型、又はIII型CRISPRシステム、例えば、Streptococcus pyogenesのような内因性CRISPRシステムを含む特定の生物に由来し得る。
【0352】
いくつかの態様では、CasヌクレアーゼとgRNA(標的配列に特異的なcrRNAと固定tracrRNAの融合を含む)が細胞内に導入される。一般的に、gRNAの5’末端にある標的部位は、相補的塩基対形成を用いてCasヌクレアーゼを標的部位、例えば遺伝子に標的化する。標的部位は、典型的にはNGGやNAGのようなプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列のすぐ5’の位置に基づいて選択することができる。この点で、gRNAは、ガイドRNAの最初の20、19、18、17、16、15、14、12、11、又は10ヌクレオチドを標的DNA配列に対応するように改変することによって、所望の配列に標的化される。一般に、CRISPRシステムは、標的配列の部位におけるCRISPR複合体の形成を促進する要素を特徴とする。一般的に「標的配列」とは、ガイド配列が相補性を有するように設計された配列を指し、標的配列とガイド配列とのハイブリダイゼーションによりCRISPR複合体の形成が促進される。完全な相補性は必ずしも必要ではなく、ハイブリダイゼーションを引き起こし、CRISPR複合体の形成を促進するのに十分な相補性があればよい。
【0353】
CRISPRシステムは、標的部位において二本鎖切断(DSB)を誘導することができ、次いで、本明細書で議論されるような破壊又は改変を誘導することができる。他の実施形態では、「ニッカーゼ」とみなされるCas9バリアントは、標的部位で一本鎖をニッキングするために使用される。対になったニッカーゼが、例えば、特異性を改善するために使用され得、各々は、同時にニックが導入されると、5’オーバーハングが導入されるような配列を標的とする異なるgRNAの対によって指示される。他の実施形態では、触媒的に不活性なCas9は、転写抑制因子又は活性化因子などの異種エフェクタードメインに融合され、遺伝子発現に影響を及ぼす。
【0354】
標的配列は、DNA又はRNAポリヌクレオチドなど、任意のポリヌクレオチドから構成され得る。標的配列は、細胞のオルガネラ内など、細胞の核又は細胞質内に位置してもよい。一般に、標的配列を含む標的遺伝子座への組換えに使用され得る配列又は鋳型は、「編集鋳型」又は「編集ポリヌクレオチド」又は「編集配列」と呼ばれる。いくつかの態様において、外因性鋳型ポリヌクレオチドは編集鋳型と呼ばれ得る。ある局面では、組換えは相同組換えである。
【0355】
典型的には、内因性CRISPRシステムの文脈において、CRISPR複合体(標的配列にハイブリダイズされ、1つ以上のCasタンパク質と複合体化されたガイド配列を含む)の形成は、標的配列中又はその近傍(例えば、標的配列から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、又はそれ以上の塩基対以内)において、一方又は両方の鎖の切断をもたらす。tracr配列は、野生型tracr配列の全部又は一部(例えば、野生型tracr配列の約20、26、32、45、48、54、63、67、85、又はそれ以上のヌクレオチド)を含むか、又はそれらから構成されてもよく、tracr配列の少なくとも一部に沿って、ガイド配列に作動可能に連結されたtracrメイト配列の全部又は一部とハイブリダイズすることなどにより、CRISPR複合体の一部を形成することもできる。tracr配列は、ハイブリダイズしてCRISPR複合体の形成に関与するために、tracrメイト配列に対して十分な相補性を有し、例えば、最適に整列した場合にtracrメイト配列の長さに沿って少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%又は99%の配列相補性を有する。
【0356】
CRISPRシステムの1つ以上のエレメントの発現を駆動する1つ以上のベクターを、CRISPRシステムのエレメントの発現が1つ以上の標的部位におけるCRISPR複合体の形成を指令するように、細胞に導入することができる。構成要素は、タンパク質及び/又はRNAとして細胞に送達することもできる。例えば、Cas酵素、tracr-mate配列に連結されたガイド配列、及びtracr配列はそれぞれ、別々のベクター上の別々の制御エレメントに作動可能に連結され得る。あるいは、同じ又は異なる調節エレメントから発現される2つ以上のエレメントを単一のベクターに組み合わせ、1つ以上の追加のベクターが、最初のベクターに含まれないCRISPRシステムの任意の構成要素を提供するようにしてもよい。ベクターは、制限エンドヌクレアーゼ認識配列(「クローニング部位」とも呼ばれる)などの1つ以上の挿入部位を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上の挿入部位は、1つ以上のベクターの1つ以上の配列エレメントの上流及び/又は下流に位置する。複数の異なるガイド配列が使用される場合、単一の発現構築物は、細胞内の複数の異なる対応する標的配列にCRISPR活性を標的化するために使用され得る。
【0357】
ベクターは、Casタンパク質などのCRISPR酵素をコードする酵素コード配列に作動可能に連結された調節エレメントを含み得る。Casタンパク質の非限定的な例としては、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csn1及びCsx12としても知られる)、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csfl、Csf2、Csf3、Csf4、それらのホモログ、又はそれらの改変体があげられる。これらの酵素は既知であり、例えば、S.pyogenes Cas9タンパク質のアミノ酸配列はSWISSPROT(R)データベースのアクセッション番号Q99ZW2に記載されている。
【0358】
CRISPR酵素は、Cas9(例えば、S.pyogenes又はS.pneumonia由来)であり得る。CRISPR酵素は、標的配列内及び/又は標的配列の相補体内などの標的配列の位置において、一方又は両方の鎖の切断を指示することができる。ベクターは、変異CRISPR酵素が標的配列を含む標的ポリヌクレオチドの一方又は両方の鎖を切断する能力を欠くように、対応する野生型酵素に対して変異したCRISPR酵素をコードすることができる。例えば、S.pyogenes由来のCas9のRuvC I触媒ドメインにおけるアスパラギン酸からアラニンへの置換(D10A)は、Cas9を、両方の鎖を切断するヌクレアーゼからニッカーゼ(単一の鎖を切断する)に変換する。いくつかの実施形態において、Cas9ニッカーゼは、ガイド配列(複数可)、例えば、DNA標的のセンス鎖及びアンチセンス鎖をそれぞれ標的とする2つのガイド配列と組み合わせて使用され得る。この組み合わせは、両方の鎖をニッキングし、NHEJ又はHDRを誘導するために使用することを可能にする。
【0359】
いくつかの実施形態において、CRISPR酵素をコードする酵素コード配列は、真核細胞などの特定の細胞における発現のためにコドン最適化される。真核細胞は、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、又は非ヒト霊長類を含むがこれらに限定されない哺乳動物などの特定の生物のもの、又はそれらに由来するものであってもよい。一般に、コドン最適化とは、ネイティブ配列の少なくとも1つのコドンを、ネイティブアミノ酸配列を維持しつつ、その宿主細胞の遺伝子においてより頻繁に又は最も頻繁に使用されるコドンに置き換えることによって、目的の宿主細胞における発現を増強するために核酸配列を改変するプロセスを指す。様々な生物種が、特定のアミノ酸の特定のコドンに対して特定の偏りを示す。コドンの偏り(生物間のコドン使用量の違い)は、しばしばメッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳効率と相関しており、その結果、翻訳されるコドンの特性や特定の転移RNA(tRNA)分子の利用可能性などに依存すると考えられている。細胞内で選択されたtRNAが優勢であることは、一般にペプチド合成で最も頻繁に使われるコドンを反映している。従って、遺伝子はコドンの最適化に基づいて、与えられた生物において最適な遺伝子発現ができるように調整することができる。
【0360】
一般に、ガイド配列は、標的配列とハイブリダイズし、CRISPR複合体の標的配列への配列特異的結合を誘導するために、標的ポリヌクレオチド配列と十分な相補性を有する任意のポリヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態において、ガイド配列とその対応する標的配列との間の相補性の程度は、適切なアラインメントアルゴリズムを用いて最適にアラインメントされた場合、約50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、又はそれ以上である。
【0361】
最適アライメントは、配列をアライメントするための任意の適切なアルゴリズムを使用して決定することができ、その非限定的な例としては、Smith-Watermanアルゴリズム、Needleman-Wunschアルゴリズム、Burrows-Wheeler Transformに基づくアルゴリズム(例えば、Burrows Wheeler Aligner)、Clustal W、Clustal X、BLAT、Novoalign(Novocraft Technologies)、ELAND(ILLUMINA(登録商標)、カリフォルニア州サンディエゴ)、SOAP(soap.genomics.org.cnで入手可能)、及びMaq(maq.sourceforge.netで入手可能)が挙げられる。
【0362】
CRISPR酵素は、1つ以上の異種タンパク質ドメインを含む融合タンパク質の一部であってもよい。CRISPR酵素融合タンパク質は、任意の付加的なタンパク質配列、及び任意に任意の2つのドメイン間のリンカー配列を含んでいてもよい。CRISPR酵素に融合され得るタンパク質ドメインの例としては、限定されるものではないが、エピトープタグ、レポーター遺伝子配列、及びメチラーゼ活性、脱メチラーゼ活性、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、RNA切断活性及び核酸結合活性のうちの1つ以上の活性を有するタンパク質ドメイン。エピトープタグの非限定的な例としては、ヒスチジン(His)タグ、V5タグ、FLAGタグ、インフルエンザヘマグルチニン(HA)タグ、Mycタグ、VSV-Gタグ、及びチオレドキシン(Trx)タグが含まれる。レポーター遺伝子の例としては、グルタチオン-5-トランスフェラーゼ(GST)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、HcRed、DsRed、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、自家蛍光タンパク質などが挙げられるが、これらに限定されない、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、HcRed、DsRed、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、及び青色蛍光タンパク質(BFP)を含む自家蛍光タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。CRISPR酵素は、DNA分子と結合したり、他の細胞分子と結合したりするタンパク質又はタンパク質の断片をコードする遺伝子配列と融合させることができ、これには、マルトース結合タンパク質(MBP)、Sタグ、Lex A DNA結合ドメイン(DBD)融合体、GAL4A DNA結合ドメイン融合体、単純ヘルペスウイルス(HSV)BP16タンパク質融合体が含まれるが、これらに限定されない。CRISPR酵素を含む融合タンパク質の一部を形成し得るその他のドメインについては、参照により本明細書に組み込まれるUS 20110059502に記載されている。
【0363】
B.免疫細胞の培養と拡張
ある態様において、選択された集団の出発免疫細胞は、少なくとも、約104、105、106、107、108、109、1010、1011、1012、1013個の細胞、又はそこから派生する任意の範囲の細胞で構成されうる。出発細胞集団は、少なくとも約10、101、102、103、104、105、106、107、108細胞/mlの播種密度、又はそこから派生する任意の範囲を有することができる。
【0364】
三次元細胞凝集体又はその子孫細胞の培養に用いる培養容器としては、フラスコ、組織培養用フラスコ、ディッシュ、シャーレ、組織培養用ディッシュ、マルチディッシュ、マイクロプレート、マイクロウェルプレート、マルチプレート、マルチウェルプレート、マイクロスライド、チャンバースライド、チューブ、トレイ、CELLSTACK(登録商標)Chambers、培養バッグ、ローラーボトルなどを挙げることができるが、幹細胞をその中で培養できるものであれば特にこれらに限定されない。幹細胞は、培養の必要性に応じて、少なくとも、あるいは約0.2、0.5、1、2、5、10、20、30、40、50ml、100ml、150ml、200ml、250ml、300ml、350ml、400ml、450ml、500ml、550ml、600ml、800ml、1000ml、1500ml、あるいはそこから派生する任意の範囲の容積で培養することができる。ある実施形態では、培養容器はバイオリアクターであってもよく、これは生物学的に活性な環境を支持する任意の装置又はシステムを指す。バイオリアクターは、少なくとも、又は約2、4、5、6、8、10、15、20、25、50、75、100、150、200、500リットル、1、2、4、6、8、10、15立方メートル、又はそこから導出可能な任意の範囲の容積を有することができる。
【0365】
培養容器は細胞接着性でも非接着性でもよく、目的に応じて選択する。細胞接着性培養容器は、容器表面の細胞への接着性を向上させるために、細胞外マトリックス(ECM)などの細胞接着用基質のいずれかでコーティングすることができる。細胞接着用基質は、幹細胞やフィーダー細胞(使用する場合)を接着させることを意図した任意の材料であり得る。細胞接着用基質には、コラーゲン、ゼラチン、ポリ-L-リジン、ポリ-D-リジン、ラミニン、フィブロネクチン、及びそれらの混合物、例えばMATRIGEL(商標)、溶解細胞膜調製物などが含まれる。
【0366】
培養方法又は組成物には、様々な定義されたマトリックス成分を使用することができる。例えば、組換えコラーゲンIV、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチンを組み合わせて、多能性細胞増殖のための固体支持体を提供する手段として培養表面を被覆するために使用することができる。
【0367】
細胞に支持体を提供するために、マトリックス組成物を表面に固定化することができる。マトリックス組成物は、1つ以上の細胞外マトリックス(ECM)タンパク質及び水性溶媒を含むことができる。細胞外マトリックス」という用語は当該技術分野で認められている。その成分としては、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、テナシン、エンタクチン、トロンボスポンジン、エラスチン、ゼラチン、コラーゲン、フィブリリン、メロシン、アンコリン、コンドロネクチン、リンクプロテイン、ボーンシアロプロテイン、オステオカルシン、オステオポンチン、エピネクチン、ヒアルロネクチン、ウンドリン、エピリグリン、及びカリニンの1つ以上のタンパク質が挙げられる。他の細胞外マトリックスタンパク質は、参照により本明細書に組み込まれるKleinmanら、(1993)に記載されている。用語「細胞外マトリックス」は、将来発見され得る現在未知の細胞外マトリックスを包含することを意図する。
【0368】
いくつかの態様において、マトリックス組成物中の総タンパク質濃度は、約1ng/mL~約1mg/mLであり得る。いくつかの実施形態において、マトリックス組成物中の総タンパク質濃度は、約1μg/mL~約300μg/mLである。より好ましい実施形態において、マトリックス組成物中の総タンパク質濃度は、約5μg/mL~約200μg/mLである。
【0369】
細胞外マトリックス(ECM)タンパク質は、ヒト又は動物の組織から精製された天然由来のものであってもよい。あるいは、ECMタンパク質は、遺伝子工学的に操作された組換えタンパク質であってもよいし、天然において合成されたものであってもよい。ECMタンパク質は、全タンパク質であっても、ペプチド断片の形態であってもよく、ネイティブなものであっても、設計されたものであってもよい。細胞培養用マトリックスに有用なECMタンパク質の例としては、ラミニン、コラーゲンI、コラーゲンIV、フィブロネクチン及びビトロネクチンが挙げられる。いくつかの実施形態において、マトリックス組成物は、フィブロネクチンの合成的に生成されたペプチドフラグメント又は組換えフィブロネクチンを含む。
【0370】
さらなる実施形態において、マトリックス組成物は、少なくともフィブロネクチンとビトロネクチンの混合物を含む。いくつかの他の実施形態において、マトリックス組成物は好ましくはラミニンを含む。
【0371】
マトリックス組成物は、好ましくは一種類の細胞外マトリックス タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、マトリックス組成物は、特に前駆細胞の培養に使用するために、フィブロネクチンを含む。例えば、好適なマトリックス組成物は、Becton、Dickinson & Co. of Franklin Lakes、N.J.(BD(登録商標))(Cat#354008)から販売されているヒトフィブロネクチンなどのヒトフィブロネクチンを、ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)で5μg/mL~約200μg/mLのタンパク質濃度に希釈することによって調製することができる。特定の例では、マトリックス組成物はRETRONECTIN(登録商標)のようなフィブロネクチンフラグメントを含む。RETRONECTIN(R)は、ヒトフィブロネクチンの交互スプライシングされたIIICS領域内に、中心細胞結合ドメイン(III型反復)、高親和性ヘパリン結合ドメインII(III型反復)、及びCS1部位を含む約63kDaのタンパク質(574アミノ酸)である。
【0372】
いくつかの他の実施形態において、マトリックス組成物はラミニンを含み得る。例えば、好適なマトリックス組成物は、ラミニン(SIGMA-ALDRICH(登録商標)(St.Louis、Mo.);Cat#L6274及びL2020)をダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)で希釈して、5μg/ml~約200μg/mlのタンパク質濃度にすることによって調製され得る。
【0373】
いくつかの実施形態では、マトリックス組成物は、マトリックス又はその構成タンパク質がヒト由来のみであるという意味で、ゼノフリーである。これは、特定の研究用途に望まれ得る。例えば、ヒト細胞を培養するためのゼノフリーマトリックスでは、ヒト由来のマトリックス成分を使用することができ、ヒト以外の動物成分は除外することができる。特定の局面では、MATRIGEL(商標)を培養組成物から基質として除外することができる。MATRIGEL(商標)はマウス腫瘍細胞から分泌されるゲル状タンパク質混合物で、BD(登録商標)Biosciences(米国ニュージャージー州)から市販されている。この混合物は多くの組織に見られる複雑な細胞外環境に似ており、細胞培養の基質として細胞生物学者に頻繁に使用されているが、望ましくない異種抗原や汚染物質を導入する可能性がある。
【0374】
免疫細胞及び/又は遺伝子操作された免疫細胞は、治療用量の遺伝子組換え細胞を生成するために容易に入手可能な幾つかの膨張装置を用いて膨張させることができる。GE WAVE BIOREACTOR(商標)システムは、増殖に広く用いられている装置である。このスケーラブルなシステムは、シングルユースのCELLBAG(商標)Bioreactor、温度調節可能な電動ロッキングベース、及びオプションの各種コントローラー、ポンプ、プローブで構成されている。CELLBAG(商標)バイオリアクターは、バッグの膨張を維持し、細胞バッグを穏やかに揺すって迅速なガス移動と混合を行うように装備されたロッキングベースの上に置かれる。WAVE BIOREACTOR(商標)の灌流機能により、自動給餌と排泄物除去が可能である。細胞は107個/mL以上まで急速に増殖することができ、このシステムは1つのバイオリアクターで最大25Lの細胞培養に対応することができます。G-REX(登録商標)プラットフォームは、底部にガス透過性メンブレンを備えた細胞培養フラスコで、低い播種密度を必要とし、ガス交換を損なうことなく細胞を高密度まで増殖させることができます。Miltenyi CLINIMACS PRODIGY(登録商標)システムは、細胞洗浄器、CLINIMACS(登録商標)磁気細胞分離システム、細胞培養装置を組み合わせたものである。最後に、HLAクラスIA、HLAクラスIB、HLAクラスII対立遺伝子を発現しないヒト白血病細胞株であるK562は、CD32、CD40、CD40L、CD64、CD70、CD80、CD83、CD86、CD137L、ICOSL、GITRL、CD134L、膜結合IL15などの幅広いコスティミュレイトリー分子を発現するように遺伝子改変され、T細胞増殖を促進している。
【0375】
特定の実施形態において、免疫細胞、遺伝子工学的に操作された免疫細胞、及び/又はその前駆体は、本明細書に開示された遺伝子工学的に操作されたレセプターの1つ以上を発現する免疫細胞を生成するプロセスの任意の段階において、特異的に製剤化され、及び/又は特定の培地中で培養され得る。細胞は、有害な影響なしにレシピエントに送達するのに適するような方法で調合することができる。
【0376】
ある態様における細胞の培養及び増殖に使用される培地は、動物細胞の培養に使用される培地を基礎培地として調製することができ、例えば、AIM V、X-VIVO-15、NeuroBasal、EGM2、TeSR、BME、BGJb、CMRL 1066、Glasgow MEM、Improved MEM Zinc Option、IMDM、Medium 199、Eagle MEM、Ham、RPMI-1640、及びFischer’s培地のいずれか、ならびにそれらの任意の組み合わせを使用することができるが、動物細胞の培養に使用できる培地であれば特に限定されない。特に、培地はゼノフリーであっても化学的に規定されていてもよい。
【0377】
培地は、血清含有培地、無血清培地、又はキセノフリー培地とすることができる。異種動物由来成分の混入を防ぐという観点から、血清は幹細胞と同じ動物由来のものを用いることができる。無血清培地とは、未処理又は未精製の血清を含まない培地を指し、それゆえ精製された血液由来成分や動物組織由来成分(成長因子など)を含む培地を含むことができる。
【0378】
培地は、血清の代替物を含んでも含まなくてもよい。血清の代替物としては、アルブミン(脂質リッチアルブミン、ウシアルブミン、組換えアルブミン又はヒト化アルブミンなどのアルブミン代替物、植物デンプン、デキストラン及びタンパク質加水分解物など)、トランスフェリン(又は他の鉄トランスポーター)、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2-メルカプトエタノール、3’-チオールギセロール、又はこれらの等価物を適切に含む材料を挙げることができる。血清の代替物は、例えば国際公開第98/30679号(その全体が本明細書に組み込まれる)に開示された方法により調製することができる。あるいは、より便宜的に、任意の市販の材料を使用することができる。市販の材料としては、KNOCKOUT(商標)Serum Replacement(KSR)(THERMO FISHER SCIENTIFIC(登録商標))、Chemically-defined Lipid Concentrate(GIBCO(商標))、GLUTAMAX(商標)(GIBCO(商標))などが挙げられる。
【0379】
さらなる実施形態では、培地は細胞発生に適した無血清培地であってもよい。例えば、培地は、B-27(登録商標)サプリメント、ゼノフリーB-27(登録商標)サプリメント(thermofisher.com/us/en/home/technical-resources/media-formulation.250.htmlのワールドワイドウェブで入手可能)、NS21サプリメント(Chenら、J Neurosci Methods、2008 Jun 30;171(2):239-247、本明細書にその全体が組み込まれる)、GS21TMサプリメント(amsbio.com/B-27.aspxのワールドワイドウェブで入手可能)、又はそれらの組み合わせを、3D細胞凝集体からT細胞を産生するのに有効な濃度で用いる。
【0380】
特定の実施形態において、免疫細胞、遺伝子操作された免疫細胞、及び/又はその前駆体は、1つ以上のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の存在下で培養することができる。抗原中和に依存する内在性フラトリシド抵抗性のメカニズムは、しばしば、エフェクター及びエフェクターメモリー集団へのT細胞分化を促進する望ましくないリガンド駆動型CARシグナル伝達を生じる。具体的には、SrcキナーゼLckとFynを介したCD3ξ鎖のシグナル伝達は、Itk、LAT、PLCgなどの主要なシグナル伝達メディエーターを活性化し、下流のシグナル伝達カスケードを引き起こす。CD28エンドドメインからのシグナル伝達は、Grb2、Lck、Itkをリクルートし活性化することによってCD3ξシグナル伝達を増強する8。このシグナル伝達ネットワークは末端T細胞の分化に寄与するため、CAR T細胞製造中にこれらの経路を遮断することは、養子細胞療法においてしばしば望まれる、分化の少ない表現型を有する細胞産物をもたらすであろう。ある実施形態では、TKIの薬理学的遮断は,ex vivoでの膨張中のT細胞の活性化と脱顆粒を防ぐことができる。
【0381】
1つ以上のTKIは、1つ以上のSrcキナーゼ阻害剤を含んでもよい。つ以上のTKIは、ダサチニブ、イブルチニブ、pp2、パゾパニブ、ゲフィチニブ、又はそれらの組合せを含んでよい。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIの少なくとも1つは、ダサチニブを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIのうちの少なくとも1つは、イブルチニブを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のTKIは、ダサチニブ及びイブルチニブを含む。場合によっては、1つ以上のTKIの存在下で、免疫細胞及び/又は1つ以上の抗原標的化受容体を発現するように操作された遺伝子改変免疫細胞を培養することにより、遺伝子改変免疫細胞により発現された抗原の結合時に、1つ以上の抗原標的化受容体によるシグナル伝達が減少する。場合によっては、遺伝子改変免疫細胞によって発現された抗原が1つ以上の抗原標的化レセプターによって結合される際に、1つ以上の抗原標的化レセプターによるシグナル伝達が減少することにより、1つ以上のTKIの非存在下で培養された遺伝子改変免疫細胞と比較して、遺伝子改変免疫細胞による免疫細胞の活性化、分化、及び/又はフラトリシドが減少する。場合によっては、1つ以上のTKIの存在下で、1つ以上の抗原標的化レセプターを発現するように操作された免疫細胞及び/又は遺伝子操作された免疫細胞を培養することにより、トロゴサイトーシスを介して免疫細胞及び/又は遺伝子操作された免疫細胞により獲得され、遺伝子操作された免疫細胞により発現された抗原が1つ以上の抗原標的化レセプターに結合する際の、1つ以上の抗原標的化レセプターによるシグナル伝達が減少する。場合によっては、1つ以上のTKIの非存在下で培養した遺伝子改変免疫細胞と比較して、トログサイトーシスを介して獲得され、遺伝子改変免疫細胞によって発現された抗原が1つ以上の抗原標的化レセプターによって結合する際に、1つ以上の抗原標的化レセプターによるシグナル伝達が減少することにより、遺伝子改変免疫細胞による免疫細胞の活性化、分化、及び/又はフラトリシドが減少する。
【0382】
いくつかの実施形態では、TKIは、免疫細胞及び/又は遺伝子操作免疫細胞の培養に、少なくとも、多くとも、又は約0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、180、200、250ng/L、ng/ml、μg/ml、mg/ml、又はそこから誘導可能な任意の範囲である。いくつかの実施形態において、培養物中の1つ以上のTKIの各々の濃度は、0.01μM~10μMである。いくつかの実施形態において、培養物中の1つ以上のTKIの各々の濃度は、0.1μM~1μMである。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIの各々の濃度は、少なくとも、多くとも、又は約0.01,0.02,0.03,0.04,0.05,0.06,0.07,0.08,0.09,0.1,0.11,0.12,0.13,0.14,0.15,0.16,0.17,0.18,0.19,0.2,0.21,0.22,0.23,0.24,0.25,0.26,0.27,0.28,0.29,0.3,0.31,0.32,0.33,0.34,0.35,0.36,0.37,0.38,0.39,0.4,0.41,0.42,0.43,0.44,0.45,0.46,0.47,0.48,0.49,0.5,0.51,0.52,0.53,0.54,0.55,0.56,0.57,0.58,0.59,0.6,0.61,0.62,0.63,0.64,0.65,0.66,0.67,0.68,0.69,0.7,0.71,0.72,0.73,0.74,0.75,0.76,0.77,0.78,0.79,0.8,0.81,0.82,0.83,0.84,0.85,0.86,0.87,0.88,0.89,0.9,0.91,0.92,0.93,0.94,0.95,0.96,0.97,0.98,0.99,1,1.1,1.2,1.3,1.4,1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.7,2.8,2.9,3,3.1,3.2,3.3,3.4,3.5,3.6,3.7,3.8,3.9,4,4.1,4.2,4.3,4.4,4.5,4.6,4.7,4.8,4.9,5,5.1,5.2,5.3,5.4,5.5,5.6,5.7,5.8,5.9,6,6.1,6.2,6.3,6.4,6.5,6.6,6.7,6.8,6.9,7,7.1,7.2,7.3,7.4,7.5,7.6,7.7,7.8,7.9,8,8.1,8.2,8.3,8.4,8.5,8.6,8.7,8.8,8.9,9,9.1,9.2,9.3,9.4,9.5,9.6,9.7,9.8,9.9,10nM、μM、mM、又はそこから誘導可能な範囲である。
【0383】
いくつかの実施形態において、ダサチニブは、少なくとも、多くとも、約0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、180、200、250ng/L、ng/ml、μg/ml、mg/ml、又はそこから誘導可能な任意の範囲の濃度で、免疫細胞及び/又は遺伝子操作免疫細胞の培養に添加される。いくつかの実施形態において、培養物中のダサチニブの濃度は、0.1μM~1μMである。いくつかの実施形態において、ダサチニブの濃度は、少なくとも、多くとも、又は約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11,0.12,0.13,0.14,0.15,0.16,0.17,0.18,0.19,0.2,0.21,0.22,0.23,0.24,0.25,0.26,0.27,0.28,0.29,0.3,0.31,0.32,0.33,0.34,0.35,0.36,0.37,0.38,0.39,0.4,0.41,0.42,0.43,0.44,0.45,0.46,0.47,0.48,0.49,0.5,0.51,0.52,0.53,0.54,0.55,0.56,0.57,0.58,0.59,0.6,0.61,0.62,0.63,0.64,0.65,0.66,0.67,0.68,0.69,0.7,0.71,0.72,0.73,0.74,0.75,0.76,0.77,0.78,0.79,0.8,0.81,0.82,0.83,0.84,0.85,0.86,0.87,0.88,0.89,0.9,0.91,0.92,0.93,0.94,0.95,0.96,0.97,0.98,0.99,1,1.1,1.2,1.3,1.4,1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.7,2.8,2.9,3,3.1,3.2,3.3,3.4,3.5,3.6,3.7,3.8,3.9,4,4.1,4.2,4.3,4.4,4.5,4.6,4.7,4.8,4.9,5,5.1,5.2,5.3,5.4,5.5,5.6,5.7,5.8,5.9,6,6.1,6.2,6.3,6.4,6.5,6.6,6.7,6.8,6.9,7,7.1,7.2,7.3,7.4,7.5,7.6,7.7,7.8,7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10nM、μM、mM、又はそこから誘導可能な任意の範囲である。いくつかの実施形態では、培養中のダサチニブの濃度は0.5μMである。
【0384】
いくつかの実施形態では、イブルチニブは、免疫細胞及び/又は遺伝子操作免疫細胞の培養に、少なくとも、多くとも、約0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、180、200、250ng/L、ng/ml、μg/ml、mg/ml、又はそこから派生する任意の範囲の濃度で免疫細胞及び/又は遺伝子操作免疫細胞の培養に添加される。一部の実施形態では、培養中のイブルチニブの濃度は0.01μM~10μMである。いくつかの実施形態において、培養物中のイブルチニブの濃度は、0.1μM~1μMである。いくつかの実施形態において、イブルチニブの濃度は、少なくとも、多くとも、又は約0.01,0.02,0.03,0.04,0.05,0.06,0.07,0.08,0.09,0.1,0.11,0.12,0.13,0.14,0.15,0.16,0.17,0.18,0.19,0.2,0.21,0.22,0.23,0.24,0.25,0.26,0.27,0.28,0.29,0.3,0.31,0.32,0.33,0.34,0.35,0.36,0.37,0.38,0.39,0.4,0.41,0.42,0.43,0.44,0.45,0.46,0.47,0.48,0.49,0.5,0.51,0.52,0.53,0.54,0.55,0.56,0.57,0.58,0.59,0.6,0.61,0.62,0.63,0.64,0.65,0.66,0.67,0.68,0.69,0.7,0.71,0.72,0.73,0.74,0.75,0.76,0.77,0.78,0.79,0.8,0.81,0.82,0.83,0.84,0.85,0.86,0.87,0.88,0.89,0.9,0.91,0.92,0.93,0.94,0.95,0.96,0.97,0.98,0.99,1,1.1,1.2,1.3,1.4,1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.7,2.8,2.9,3,3.1,3.2,3.3,3.4,3.5,3.6,3.7,3.8,3.9,4,4.1,4.2,4.3,4.4,4.5,4.6,4.7,4.8,4.9,5,5.1,5.2,5.3,5.4,5.5,5.6,5.7,5.8,5.9,6,6.1,6.2,6.3,6.4,6.5,6.6,6.7,6.8,6.9,7,7.1,7.2,7.3,7.4,7.5,7.6,7.7,7.8,7.9,8,8.1,8.2,8.3,8.4,8.5,8.6,8.7,8.8,8.9,9,9.1,9.2,9.3,9.4,9.5,9.6,9.7,9.8,9.9,10nM、μM、mM、又はそこから誘導可能な任意の範囲である。いくつかの実施形態では、培養中のイブルチニブの濃度は0.2μMである。
【0385】
いくつかの実施形態では、1つ以上のTKIは、1つ以上の抗原標的化レセプターを発現するように免疫細胞集団を操作する前の、少なくとも、多くとも、約0、1、2、3、4、5、6、7日の間、又はそこから派生する任意の範囲の間に、免疫細胞及び/又は遺伝子操作された免疫細胞の培養物に添加される。いくつかの実施形態では、1つ以上のTKIは、1つ以上の抗原標的レセプターを発現させる免疫細胞集団の操作の0~7日前に培養物に添加される。いくつかの実施形態では、1つ以上のTKIは、1つ以上の抗原標的化レセプターを発現させる免疫細胞集団の操作の0~5日前に培養物に添加される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、1つ以上の抗原標的化レセプターを発現させる免疫細胞集団の操作の0~3日前の間に培養物に添加される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、1つ以上の抗原標的化レセプターを発現させる免疫細胞集団の操作の7日前に培養物に添加される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、1つ以上の抗原標的化レセプターを発現させる免疫細胞集団の操作の6日前に培養物に添加される。いくつかの実施形態では、1つ以上のTKIは、1つ以上の抗原標的化レセプターを発現させる免疫細胞集団の操作の5日前に培養物に添加される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、1つ以上の抗原標的化レセプターを発現させる免疫細胞集団の操作の4日前に培養物に添加される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、1つ以上の抗原標的化レセプターを発現させる免疫細胞集団の操作の3日前の間に培養物に添加される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、1つ以上の抗原標的化レセプターを発現させる免疫細胞集団の操作の2日前の間に培養物に添加される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、1つ以上の抗原標的化レセプターを発現させる免疫細胞集団の操作の1日前に培養物に添加される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、1つ以上の抗原標的化レセプターを発現させる免疫細胞集団の操作と同日に培養物に添加される。
【0386】
いくつかの実施形態では、1つ以上のTKIは、免疫細胞及び/又は遺伝子操作免疫細胞が培養されている間、少なくとも、多くとも、又は約0、1、2、3、4、5、6、若しくは7日毎に、又はそこから派生する任意の範囲毎に、免疫細胞及び/又は遺伝子操作免疫細胞の培養物中に補充される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、免疫細胞及び/又は遺伝子操作免疫細胞の培養中に毎日補充される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、免疫細胞及び/又は遺伝子操作免疫細胞の培養において、培養中2日ごとに補充される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、免疫細胞及び/又は遺伝子改変免疫細胞の培養において、培養中3日ごとに補充される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、培養中4日ごとに免疫細胞及び/又は遺伝子工学的免疫細胞の培養物中に補充される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、培養中5日ごとに免疫細胞及び/又は遺伝子工学的免疫細胞の培養物中に補充される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、培養中6日ごとに免疫細胞及び/又は遺伝子工学的免疫細胞の培養物中に補充される。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的免疫細胞の培養において、培養中7日ごとに補充される。
【0387】
いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団を培養において少なくとも、多くとも、約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又は21日間、又はそこから誘導可能な任意の範囲にわたって拡大した後に、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団から枯渇させる。幾つかの実施形態において、1つ以上のTKIは、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団を培養において21日間増殖させた後に、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団から枯渇させる。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、免疫細胞及び/又は遺伝子操作免疫細胞の集団を培養において14日間増殖させた後に、免疫細胞及び/又は遺伝子操作免疫細胞の集団から枯渇させる。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団を培養において7日間増殖させた後に、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団から枯渇させる。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団を培養において6日間拡大した後に、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団から枯渇させる。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団を培養において5日間拡大した後に、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団から枯渇させる。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団を培養において4日間増殖させた後に、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団から枯渇させる。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団を培養において3日間増殖させた後に、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団から枯渇させる。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団を培養において2日間拡大した後に、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団から枯渇させる。いくつかの実施形態において、1つ以上のTKIは、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団を培養において1日間拡大した後に、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団から枯渇させる。いくつかの実施形態において、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団を、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団から1つ以上のTKIを枯渇させた後に凍結保存する。
【0388】
免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の集団は、免疫細胞及び/又は遺伝子工学的に操作された免疫細胞の拡大された集団を、細胞の培養及び拡大に使用される培地又は拡大された細胞が保存される培地で順次洗浄することにより、1つ以上のキナーゼ阻害剤を枯渇させることができる。いくつかの実施形態では、免疫細胞及び/又は遺伝子操作免疫細胞の拡大集団の少なくとも、多くとも、又は約2、3、4、5、又は6回の連続洗浄が実施される。いくつかの実施形態では、免疫細胞及び/又は遺伝子操作免疫細胞の拡大集団の2回の連続洗浄が実施される。いくつかの実施形態では、免疫細胞及び/又は遺伝子操作免疫細胞の拡大集団の3回の連続洗浄を行う。いくつかの実施形態では、免疫細胞及び/又は遺伝子操作免疫細胞の拡大集団の4回の連続洗浄が実施される。いくつかの実施形態では、免疫細胞及び/又は遺伝子操作免疫細胞の拡大集団の5回の連続洗浄が実施される。いくつかの実施形態では、免疫細胞及び/又は遺伝子操作免疫細胞の拡大集団の6回の連続洗浄を実施する。
【0389】
特定の実施形態において、培地はまた、以下の1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、13種、14種、15種、16種、17種、18種、19種、20種、又はそれ以上を含み得る:ビオチンなどのビタミン;酢酸DLα-トコフェロール;DLα-トコフェロール;ビタミンA(酢酸塩);BSA(ウシ血清アルブミン)又はヒトアルブミン、脂肪酸フリーフラクションVなどのタンパク質;カタラーゼ;ヒト組換えインスリン;ヒトトランスフェリン;スーパーオキシドジスムターゼ;コルチコステロンなどのその他の成分;D-ガラクトース;エタノールアミンHCl;グルタチオン(還元型);L-カルニチンHCl;リノール酸;リノレン酸;プロゲステロン;プトレシン2HCl;亜セレン酸ナトリウム;及び/又はT3(トリオード-I-チロニン)。
【0390】
いくつかの実施形態において、培地はさらにビタミンを含む。いくつかの実施形態において、培地は、以下の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13(及びそこから誘導可能な任意の範囲)を含む:ビオチン、酢酸DLα-トコフェロール、DLα-トコフェロール、ビタミンA、塩化コリン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸、葉酸ニコチン酸アミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、イノシトール、ビタミンB12、又は培地はそれらの組み合わせ又はそれらの塩を含む。いくつかの実施形態において、培地は、ビオチン、酢酸DLα-トコフェロール、DLα-トコフェロール、ビタミンA、塩化コリン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸、葉酸ニコチンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、イノシトール、及びビタミンB12を含むか、又はこれらから本質的になる。いくつかの実施形態において、ビタミンは、ビオチン、酢酸DLα-トコフェロール、DLα-トコフェロール、ビタミンA、又はそれらの組み合わせ若しくは塩を含むか、又は本質的にそれらを含む。いくつかの実施形態において、培地はタンパク質をさらに含む。いくつかの実施形態において、タンパク質は、アルブミン若しくはウシ血清アルブミン、BSAの画分、カタラーゼ、インスリン、トランスフェリン、スーパーオキシドジスムターゼ、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、培地は、コルチコステロン、D-ガラクトース、エタノールアミン、グルタチオン、L-カルニチン、リノール酸、リノレン酸、プロゲステロン、プトレシン、亜セレン酸ナトリウム、又はトリオード-I-チロニン、又はそれらの組み合わせから選択される1つ以上をさらに含む。いくつかの実施形態において、培地は、以下の1つ以上を含む:B-27(R)サプリメント、ゼノフリーB-27(登録商標)サプリメント、GS21TMサプリメント、又はそれらの組み合わせ。いくつかの実施形態において、培地は、アミノ酸、単糖、無機イオンを含むか、又はさらに含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸は、アルギニン、シスチン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、グルタミン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、チロシン、若しくはバリン、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、無機イオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、窒素、若しくはリン、又はそれらの組み合わせ若しくは塩を含む。いくつかの実施形態において、培地は、モリブデン、バナジウム、鉄、亜鉛、セレン、銅、若しくはマンガン、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上をさらに含む。特定の実施形態において、培地は、本明細書において議論される1つ以上のビタミン、及び/又は本明細書において議論される1つ以上のタンパク質、及び/又は以下の1つ以上を含むか、又はこれらから本質的になる:コルチコステロン、D-ガラクトース、エタノールアミン、グルタチオン、L-カルニチン、リノール酸、リノレン酸、プロゲステロン、プトレシン、亜セレン酸ナトリウム、又はトリオード-I-チロニン、B-27(登録商標)サプリメント、ゼノフリーB-27(登録商標)サプリメント、GS21TMサプリメント、アミノ酸(例えば、アルギニン、シスチン、イソロイシン、ロイシン、アミノ酸(アルギニン、シスチン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、グルタミン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、チロシン、又はバリン)、単糖類、無機イオン(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、窒素、及び/又はリンなど)又はその塩、及び/又はモリブデン、バナジウム、鉄、亜鉛、セレン、銅、又はマンガン。
【0391】
さらなる実施形態において、培地は、外部から添加されたアスコルビン酸を含むことができる。培地はまた、1つ以上の外部から添加された脂肪酸又は脂質、アミノ酸(非必須アミノ酸など)、ビタミン(複数可)、成長因子、サイトカイン、抗酸化物質、2-メルカプトエタノール、ピルビン酸、緩衝剤、及び/又は無機塩を含むことができる。
【0392】
1つ以上の追加の培地成分は、少なくとも、多くとも、又は約0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、180、200、250ng/L、ng/ml、μg/ml、mg/ml、又はそこから誘導可能な任意の範囲の濃度で添加することができる。
【0393】
使用される培地は、約0.1ng/mL~約500ng/mL、より特に1ng/mL~100ng/mL、又は少なくとも、多くとも、約0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、180、200、250ng/L、ng/ml、μg/ml、mg/ml、又はそこから誘導可能な任意の範囲である。適切なサイトカインとしては、FLT3リガンド(FLT3L)、インターロイキン7(IL-7)、幹細胞因子(SCF)、トロンボポエチン(TPO)、IL-2、IL-4、IL-6、IL-15、IL-21、TNF-α、TGF-β、インターフェロン-γ、インターフェロン-λ、TSLP、チモペンチン、プレオトロフィン、及び/又はミッドカインが挙げられるが、これらに限定されない。
【0394】
その他の培養条件も適切に定めることができる。例えば、培養温度は約20~40℃、例えば、少なくとも、多くとも、約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40℃(又はそこから導出可能な任意の範囲)とすることができるが、温度はこれらの値以上又は以下であってもよい。CO2濃度は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10%(又はそこから導出可能な任意の範囲)、例えば、約2%~10%、例えば、約2~5%、又はそこから導出可能な任意の範囲とすることができる。酸素張力は、少なくとも、又は約1、5、8、10、20%、又はそこから誘導可能な任意の範囲とすることができる。
【0395】
C.免疫細胞の選択
免疫細胞の単離には、セルソーター、抗体をコートした磁気ビーズを用いた磁気分離、充填カラム、アフィニティークロマトグラフィー、モノクローナル抗体に結合させるか、モノクローナル抗体と併用する細胞毒性剤(補体、細胞毒素を含むがこれらに限定されない)、固形マトリックス(例えば、プレート)に抗体を付着させた「パンニング」、又はその他の簡便な技術が含まれる。
【0396】
分離又は単離技術の使用には、物理的(密度勾配遠心分離及び向流遠心溶出)、細胞表面(レクチン及び抗体親和性)、及び重要な染色特性(ミトコンドリア結合色素rho123及びDNA結合色素Hoechst 33342)の違いに基づくものが含まれるが、これらに限定されない。正確な分離を提供する技術には、FACS(蛍光活性化細胞ソーティング)又はMACS(磁気活性化細胞ソーティング)が含まれるが、これらに限定されない。FACSは、様々な程度の高度さ、例えば、複数のカラーチャンネル、低角度及び鈍角光散乱検出チャンネル、インピーダンスチャンネルなどを有することができる。
【0397】
前記の技術又は細胞型の純度を評価するために使用される技術(フローサイトメトリーなど)で利用される抗体は、酵素、磁気ビーズ、コロイド磁気ビーズ、ハプテン、蛍光色素、金属化合物、放射性化合物、薬物又はハプテンを含むがこれらに限定されない識別可能な薬剤と結合させることができる。抗体に結合可能な酵素としては、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ウレアーゼ、β-ガラクトシダーゼなどが挙げられるが、これらに限定されない。抗体に結合可能な蛍光色素としては、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、フィコエリトリン、アロフィコシアニン、TEXAS RED(商標)などが挙げられるが、これらに限定されない。抗体に結合できるその他の蛍光色素については、Haugland,Molecular Probes:Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(1992-1994)を参照。抗体に結合可能な金属化合物としては、フェリチン、コロイド状金、特にコロイド状超常磁性ビーズが挙げられるが、これらに限定されるものではない。抗体に結合可能なハプテンとしては、ビオチン、ジゴキシゲニン、オキサザロン、ニトロフェノールなどが挙げられるが、これらに限定されない。抗体に結合又は組み込むことができる放射性化合物は当技術分野で知られており、テクネチウム99m(99TC)、125I、及び14C、3H、35Sを含むがこれらに限定されない任意の放射性核種を含むアミノ酸が挙げられるがこれらに限定されない。
【0398】
アフィニティーカラムなど、正確な分離を可能にするポジティブセレクションのための他の技術を採用することもできる。この方法は、非標的細胞集団を約20%未満、好ましくは約5%未満の残存量まで除去することを可能にすべきである。
【0399】
細胞は、様々な細胞表面抗原の発現と同様に、光散乱特性に基づいて選択することができる。精製された幹細胞は、FACS分析で低い側方散乱と低~中程度の前方散乱プロファイルを示す。細胞棘調製により、濃縮された幹細胞は成熟リンパ球と成熟顆粒球の中間のサイズを持つことが示される。
【0400】
最初に特定の系統の細胞を除去して細胞を分離するために、様々な技術が採用されうる。モノクローナル抗体は、特定の細胞系列及び/又は分化段階に関連するマーカーを同定するのに特に有用である。抗体は、粗分離を可能にするために、固体支持体に付着させることができる。採用される分離技術は、収集される画分の生存能の保持を最大限にするものでなければならない。「比較的粗い」分離を得るために、効果の異なる様々な技術を採用することができる。このような分離は、存在する全細胞の最大10%、通常は約5%以下、好ましくは約1%以下の望ましくない細胞が、保持すべき細胞集団と共に残る場合である。採用される特定の技術は、分離の効率、関連する細胞毒性、実行の容易さと速度、高度な装置及び/又は技術的スキルの必要性に依存する。
【0401】
前駆細胞の選択は、その細胞に特異的なマーカーだけで達成される必要はない。ネガティブセレクションとポジティブセレクションを組み合わせることで、濃縮された細胞集団を得ることができる。
【0402】
特定の実施形態において、外来性核酸を含む細胞は、発現ベクター又は外来性核酸にマーカー、例えば、選択可能又はスクリーニング可能なマーカーを含めることにより、in vitro又はin vivoで同定され得る。このようなマーカーは、発現ベクターを含む細胞の容易な同定を可能にする同定可能な変化を細胞に与えるであろう。一般に、選択マーカーは、選択を可能にする性質を付与するものである。正の選択マーカーは、そのマーカーの存在が選択を可能にするものであり、負の選択マーカーは、その存在が選択を妨げるものである。正の選択マーカーの例は薬剤耐性マーカーである。
【0403】
例えば、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシン及びヒスチジノールに対する耐性を付与する遺伝子は有用な選択マーカーである。条件の実施に基づく形質転換体の識別を可能にする表現型を付与するマーカーに加えて、比色分析を基礎とするGFPのようなスクリーニング可能なマーカーを含む他のタイプのマーカーも企図される。あるいは、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(tk)やクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)のようなネガティブセレクションマーカーとしてスクリーニング可能な酵素を利用することもできる。当業者であれば、場合によってはFACS分析と組み合わせて、免疫学的マーカーを採用する方法も知っているであろう。遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現できる限り、使用するマーカーは重要ではないと考えられる。選択及びスクリーニング可能なマーカーのさらなる例は、当業者によく知られている。
【0404】
選択可能なマーカーには、実験室の微生物学、分子生物学、遺伝子工学において、外来DNAを細胞に導入するためのトランスフェクションや他の手順の成功を示すために使用される一種のレポーター遺伝子(reporter gene)が含まれる。選択可能マーカーは、抗生物質耐性遺伝子であることが多い。外来DNAを導入する処置を受けた細胞は、抗生物質を含む培地で増殖させられ、増殖できた細胞は、導入された遺伝物質をうまく取り込み発現したことになる。選択可能マーカーの例としては、ジェネティシンに抗生物質耐性を付与するTn5のAbicr遺伝子やNeo遺伝子などがある。
【0405】
スクリーニング可能なマーカーはレポーター遺伝子(reporter gene)を含んでもよく、これにより研究者は目的の細胞とそうでない細胞を区別することができる。本開示のある実施形態では、特定の細胞系譜を示すためにレポーター遺伝子を利用する。例えば、レポーター遺伝子は発現エレメント内に配置することができ、心室選択性遺伝子又は心房選択性遺伝子のコード領域に通常関連する心室選択性調節エレメント又は心房選択性調節エレメントの制御下で同時に発現させることができる。レポーターを用いれば、特定の系統の細胞を、薬物や他の選択的圧力下に置くことなく、あるいは細胞の生存性を危険にさらすことなく単離することができる。
【0406】
このようなレポーターの例には、細胞表面タンパク質(例えば、CD4、HAエピトープ)、蛍光タンパク質、抗原決定基、酵素(例えば、β-ガラクトシダーゼ)をコードする遺伝子が含まれる。ベクターを含む細胞は、例えば、細胞表面タンパク質に対する蛍光標識抗体や、ベクターがコードする酵素によって蛍光産物に変換できる基質を用いて、FACSによって単離することができる。
【0407】
特定の実施形態では、レポーター遺伝子は蛍光タンパク質である。可視光スペクトルのほぼ全域に及ぶ蛍光発光スペクトルプロファイルを特徴とする広範な蛍光タンパク質遺伝子変異体が開発されている。オリジナルのAequorea victoriaクラゲ緑色蛍光タンパク質における突然変異誘発の努力は、青色から黄色までの色の新しい蛍光プローブをもたらし、生物学的研究において最も広く使用されているin vivoレポーター分子(reporter molecules)の一部である。オレンジ色や赤色のスペクトル領域で発光する長波長の蛍光タンパク質は、海産イソギンチャクであるDiscosoma striataや、Anthozoa綱に属するサンゴ礁から開発された。さらに、シアン、グリーン、イエロー、オレンジ、ディープレッドの蛍光を発する同様のタンパク質を生産するために、他の生物種も採掘されている。蛍光タンパク質の輝度と安定性を向上させ、全体的な有用性を向上させるための開発研究が進行中である。
【0408】
ある実施形態における細胞は、分化の前又は後のいずれかにおいて、細胞の遺伝子工学的操作によって1つ以上の遺伝子改変を含むようにすることができる(US 2002/0168766)。外来性の核酸やポリヌクレオチドが人為的操作の適切な手段によって細胞内に導入された場合、あるいは細胞がポリヌクレオチドを受け継いだ元々改変された細胞の子孫である場合、細胞は「遺伝子改変された(genetically altered)」、「遺伝子組換えされた(genetically modified)」、「トランスジェニックされた(transgenic)」と言われる。例えば、細胞は、制限された発生系列細胞又は終末分化細胞に進行する前又は後のいずれかに、テロメラーゼ逆転写酵素を発現するように細胞を遺伝的に改変することによって、その複製能を増加させるように処理され得る(米国特許出願公開2003/0022367)。
【0409】
1つ以上の特徴を付加又は減少させるなど、細胞が遺伝子組換えされる実施形態では、遺伝子組換えは任意の適切な方法によって起こり得る。例えば、遺伝子編集、相同組換え又は非相同組換え、RNA媒介遺伝子導入、又は任意の従来の核酸導入方法のような、外来性核酸を細胞に導入するため、又はゲノムDNAを編集するために、任意の遺伝子改変組成物又は方法を使用することができる。遺伝子改変法の非限定的な例としては、CRISPR/CAS9、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN技術などによる遺伝子編集法を挙げることができる。
【0410】
遺伝子組換えはまた、in vitro又はin vivoでの選択、スクリーニング、又はイメージングを補助する、選択可能又はスクリーニング可能なマーカーの導入を含み得る。特に、インビボでのイメージング剤又は自殺遺伝子は、外来的に発現させるか、あるいは出発細胞又は子孫細胞に添加することができる。さらなる態様において、本方法は画像誘導養子細胞療法を含むことができる。
【0411】
V.治療方法
いくつかの実施形態では、本開示の方法によって産生された免疫細胞は、それを必要とする個体の治療方法に利用される。本開示の免疫細胞は、産生後に直接利用されてもよいし、利用されなくてもよい。場合によっては、後の目的のために保存される。いずれにしても、患者などの哺乳動物(ヒト、イヌ、ネコ、ウマなど)の治療や予防に利用することができる。この個体は、例として、癌、あらゆる種類の感染症、及び/又はあらゆる免疫障害を含むあらゆる種類の病状に対して免疫細胞療法を必要としている可能性がある。病状が陽性と判定された個体、病状の症状が1つ以上ある個体、又はそのような病状を発症する危険性があると考えられる個体に関して、方法を採用することができる。
【0412】
本開示の実施形態には、例として、癌、あらゆる種類の感染症、及び/又はあらゆる免疫障害について個体を治療する方法が含まれる。様々な実施形態において、内因性標的抗原をその表面に発現している疾患細胞又は他の細胞は、例として、病状を有する個体における癌、あらゆる種類の感染症、及び/又はあらゆる免疫障害を含む病状を改善する目的で、又は個体における病状の重症度及び/又は発症のリスクを低下させるか又は遅らせる目的で、標的化される。いくつかの実施形態において、個体は、疾患細胞又は他の細胞の少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、39、又は30%が内因性標的抗原を発現するものである。いくつかの実施形態において、患者は、1つ以上の標的抗原を発現する疾患細胞を有すると判定された者である。この個体は、初期治療として、又は別の治療の後に(及び/又は別の治療とともに)、本開示の治療方法を利用することができる。
【0413】
具体的には、内因性の標的抗原を発現する癌細胞が、癌細胞を死滅させる目的で標的化される。癌の実施形態において、免疫療法方法は、癌の種類及び/又は病期に基づいて、癌を有する個体の必要性に合わせて調整され得、少なくともいくつかの場合において、免疫療法は、個体に対する治療の経過中に変更され得る。
【0414】
本細胞療法を受けた患者は、免疫細胞療法を受ける前に特定の病態の治療を受けていてもいなくてもよい。一部の実施形態では、患者は癌に対して少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上の先行治療を受けている。先行治療には、本明細書に記載される治療又は療法が含まれ得る。いくつかの実施形態において、先行治療は、従来の化学療法、従来の放射線療法、従来の抗ウイルス療法、従来の抗菌療法、従来の免疫抑制療法などを含む。いくつかの実施形態において、患者は、本開示の現行の組成物及び細胞の投与から10日、20日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、又は90日若しくは時間以内に先行療法を受けていた。いくつかの実施形態において、患者は、先行治療を受けたことがあり、先行治療が有効でなかったため、又は先行治療が毒性が強すぎると判断されたため、先行治療に失敗した患者である。
【0415】
本明細書で企図される抗原標的化CAR及び/又はTCR構築物、核酸配列、ベクター、免疫細胞など、及び/又はそれらを含む医薬組成物であって、標準的なベクター及び/又は遺伝子送達システムを使用して、単独又は任意の組み合わせで投与することができ、少なくともいくつかの態様では、薬学的に許容される担体又は賦形剤とともに投与することができ、免疫疾患、固形がん、血液がん、及び/又は感染症感染の予防、治療、又は改善のために使用される、医薬組成物。特定の実施形態において、本開示の医薬組成物は、標的抗原を発現する免疫障害、固形がん、血液がん、及び/又は感染症感染を含む、免疫障害、固形がん、血液がん、及び/又は感染症感染の予防、改善、及び/又は治療に特に有用であり得る。
【0416】
具体的な場合、治療方法の例は以下の通りである:(1)あらゆる種類の血液悪性腫瘍を有する癌患者を治療するための、産生された免疫細胞(培養において拡大され、CAR又はTCRを発現する免疫細胞)による養子細胞療法、(2)あらゆる種類の固形癌を有する癌患者を治療するための、産生された免疫細胞(培養において拡大され、CAR又はTCRを発現する免疫細胞)による養子細胞療法、(3)あらゆる種類の感染症患者を治療するための、産生された免疫細胞(培養で拡大され、CAR又はTCRを発現する免疫細胞)による養子細胞療法、及び/又は、(4)あらゆる種類の免疫疾患患者を治療するための、産生された免疫細胞(培養で拡大され、CAR又はTCRを発現する免疫細胞)による養子細胞療法。
【0417】
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示の方法によって産生された免疫細胞の有効量を投与することを含む免疫療法のための方法を提供する。一実施形態において、医学的疾患又は障害は、少なくとも特定の場合において、本明細書の方法によって産生され、免疫応答を誘発する免疫細胞集団の1つ以上の移入によって治療される。本開示の特定の実施形態において、癌又は感染は、本開示の方法によって産生され、免疫応答を誘発する1つ以上の免疫細胞集団の送達によって治療される。本明細書に提供されるのは、有効量の抗原特異的免疫細胞療法を個体に投与することを含む、個体における癌、免疫疾患、及び/又は感染症の治療又は進行遅延のための方法である。本発明の方法は、免疫障害、固形癌、血液癌、及び/又は感染症感染の治療に適用することができる。
【0418】
本治療法が有用な腫瘍には、固形腫瘍や血液腫瘍に見られるような、あらゆる悪性細胞タイプが含まれる。個体が癌に罹患している場合、癌は原発性、転移性、治療抵抗性などである。具体的な例では、本治療法は、例えば複数のタイプの固形癌(黒色腫、結腸癌、肺癌、乳癌、頭頸部癌)を含む、免疫細胞制御の対象となることが臨床的に指摘されている癌を有する個体に有用である。例示的な固形腫瘍としては、膵臓、結腸、盲腸、胃、脳、頭部、頸部、卵巣、腎臓、喉頭、肉腫、肺、膀胱、黒色腫、前立腺、及び乳房を含む群より選択される臓器の腫瘍を挙げることができるが、これらに限定されない。例示的な血液腫瘍には、骨髄の腫瘍、T細胞又はB細胞の悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、芽球腫、骨髄腫などが含まれる。本明細書に提供される方法を用いて治療され得る癌のさらなる例としては、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌を含む)、腹膜癌、胃癌又は胃癌(胃腸癌及び胃腸間質癌を含む)、膵臓癌、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、乳がん、大腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん又は子宮体がん、唾液腺がん、腎臓がん又は腎臓がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、各種の頭頸部がん、及び黒色腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0419】
癌は、特に以下の組織型である可能性があるが、これらに限定されるものではない:新生物、悪性;がん腫;がん腫、未分化;巨細胞がん及び紡錘細胞がん;小細胞がん;乳頭がん;扁平上皮がん;リンパ上皮がん;基底細胞がん;毛乳頭がん;移行細胞がん;乳頭移行細胞がん;腺がん;ガストリノーマ、悪性;胆管がん;肝細胞がん;肝細胞がんと胆管がんの合併;海綿状腺がん;腺様嚢胞がん;腺腫様ポリープの腺がん;家族性大腸ポリポーシス腺がん;固形がん;悪性カルチノイド腫瘍;分葉-肺胞腺がん;乳頭腺がん;発色細胞がん;好酸球がん;酸素親和性腺がん;好塩基球がん;明細胞腺がん;顆粒細胞がん;濾胞腺がん;乳頭・濾胞腺がん;非被包性硬化がん;副腎皮質がん;子宮内膜がん;皮膚付属器がん;アポクリン腺がん;脂腺がん;耳腺がん;粘表皮がん;嚢胞腺がん;乳頭状嚢胞腺がん;乳頭状漿液性嚢胞腺がん;粘液性嚢胞腺がん;粘液性腺がん;印環細胞がん;浸潤性乳管がん;髄様がん;小葉がん;炎症性がん;乳腺ページェット病;尖形細胞がん;腺扁平上皮がん;扁平上皮化生を伴う腺がん;胸腺腫(悪性);卵巣間質腫瘍(悪性);肉腫(悪性);顆粒膜細胞腫(悪性);アンドロブラストーマ(悪性);セルトリ細胞腫;ライディッヒ細胞腫(悪性);脂質細胞腫(悪性);傍神経節腫(悪性);乳房外傍神経節腫(悪性);褐色細胞腫;血管肉腫;悪性黒色腫;無色素性黒色腫;表在拡大型黒色腫;悪性黒子型黒色腫;尖圭黒子型黒色腫;結節性黒色腫;巨大色素性母斑における悪性黒色腫;類上皮細胞黒色腫;悪性青色母斑;肉腫;線維肉腫;悪性線維性組織球腫;粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胚性横紋筋肉腫;肺胞性横紋筋肉腫;間質肉腫;混合腫瘍(悪性);ミュラー混合腫瘍;腎芽腫;肝芽腫;がん肉腫;間葉系腫瘍(悪性);ブレナー腫瘍(悪性);フィロデス腫瘍(悪性);滑膜肉腫;中皮腫(悪性);異胚葉腫;胚性がん;奇形腫(悪性);卵巣ストルマ(悪性);絨毛がん;中骨腫、悪性;血管肉腫;血管内皮腫、悪性;カポジ肉腫;血管外皮腫、悪性;リンパ管肉腫;骨肉腫;柔皮質骨肉腫;軟骨肉腫;悪性軟骨芽細胞腫;間葉性軟骨肉腫;骨巨細胞腫;ユーイング肉腫;歯原性腫瘍(悪性);無芽腫性歯肉腫;無芽腫性線維肉腫;悪性松果体腫;脊索腫;悪性神経膠腫;上衣腫;星細胞腫;原形質星細胞腫;線維性星細胞腫;星芽細胞腫;膠芽腫;乏突起膠腫;乏突起芽細胞腫;原始神経外胚葉性;小脳肉腫;神経節神経芽細胞腫;神経芽細胞腫;網膜芽細胞腫;嗅神経原性腫瘍;悪性髄膜腫;神経線維肉腫;悪性神経鞘腫;悪性顆粒細胞腫;悪性リンパ腫;ホジキン病;ホジキン;傍肉芽腫;悪性リンパ腫、小リンパ球性;悪性リンパ腫、大細胞性、びまん性;濾胞性悪性リンパ腫;菌状息肉症;その他の特定非ホジキンリンパ腫;B細胞リンパ腫;低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小非壊死細胞性NHL;嵩高疾患NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;ワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症;悪性組織球症;多発性骨髄腫;肥満細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ性白血病;形質細胞白血病;赤血球白血病;リンパ肉腫細胞白血病;骨髄性白血病;好塩基性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;肥満細胞白血病;巨核芽球性白血病;骨髄肉腫;毛様細胞白血病;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML);及び慢性骨髄芽球性白血病。
【0420】
特定の実施形態は、リンパ腫又は白血病などの血液学的悪性腫瘍の治療方法に関する。白血病は血液又は骨髄の癌であり、血液細胞、通常は白血球(白血球)の異常増殖(増殖による産生)を特徴とする。血液新生物と呼ばれる広範な疾患群の一部である。白血病は、疾患のスペクトルをカバーする広い用語である。白血病は臨床的にも病理学的にも急性型と慢性型に分けられる。
【0421】
他の実施形態は、膵臓、結腸、盲腸、胃、脳、頭部、頸部、卵巣、腎臓、喉頭、肉腫、肺、膀胱、黒色腫、前立腺、及び乳房を含む群から選択される臓器の腫瘍を含むがこれらに限定されない固形腫瘍などの非血液悪性腫瘍の治療方法に関する。
【0422】
本開示の特定の実施形態は、免疫介在性障害を治療又は予防するための方法を提供する。一実施形態では、対象は自己免疫疾患に罹患している。自己免疫疾患の非限定的な例としては、以下が含まれる:円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎及び睾丸炎、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアック汗腺皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素病、クローン病、円板状狼瘡、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症-線維筋炎、糸球体腎炎、バセドウ病、ギラン・バレー、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgAニューロパチー、若年性関節炎、扁平苔癬、エルトヘマトーデス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、1型又は免疫介在性糖尿病、重症筋無力症、ネフローゼ症候群(minimal change disease、巣状糸球体硬化症、斑状腎症など)、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多発性関節炎症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎及び皮膚筋炎、原発性アガマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、血管炎(結節性多発動脈炎、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、疱疹状皮膚炎血管炎など)、白斑、及びウェゲナー肉芽腫症。したがって、本明細書に開示される方法を用いて治療され得る自己免疫疾患のいくつかの例としては、多発性硬化症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、I型糖尿病、クローン病;潰瘍性大腸炎、重症筋無力症、糸球体腎炎、強直性脊椎炎、血管炎、又は乾癬が挙げられるが、これらに限定されない。また、喘息などのアレルギー疾患を持っている場合もある。
【0423】
更に別の実施形態では、対象者は移植された臓器又は幹細胞のレシピエントであり、免疫細胞は免疫拒絶反応を予防及び/又は治療するために使用される。特定の実施形態では、対象者は移植片対宿主病を発症しているか、又は発症する危険性がある。GVHDは、血縁ドナーと非血縁ドナーのどちらかからの幹細胞を用いるか、それを含む移植において起こりうる合併症である。GVHDには急性と慢性の2種類がある。急性GVHDは移植後3ヵ月以内に現れる。急性GVHDの徴候としては、手足に赤みを帯びた皮疹がみられ、それが広がって重症化し、皮がむけたり水ぶくれができたりすることがある。急性GVHDは胃や腸にも影響を及ぼすことがあり、その場合はけいれん、吐き気、下痢がみられる。皮膚や目が黄色くなる(黄疸)場合は、急性GVHDが肝臓に影響を及ぼしていることを示している。慢性GVHDはその重症度によってランク付けされる:ステージ/グレード1は軽度、ステージ/グレード4は重度である。慢性GVHDは移植後3ヵ月以降に発症する。慢性GVHDの症状は急性GVHDと似ているが、さらに慢性GVHDは目の粘膜腺、口の中の唾液腺、胃の粘膜や腸を潤滑にする腺にも影響を及ぼすことがある。本明細書で開示される免疫細胞の集団はいずれも利用可能である。移植臓器の例としては、腎臓、肝臓、皮膚、膵臓、肺及び/又は心臓などの固形臓器移植、あるいは膵島、肝細胞、筋芽細胞、骨髄、造血幹細胞などの細胞移植が挙げられる。移植は、顔の組織などの複合移植でもよい。免疫細胞は、移植前、移植と同時、又は移植後に投与することができる。いくつかの実施形態では、免疫細胞は移植の前、例えば移植の少なくとも1時間前、少なくとも12時間前、少なくとも1日前、少なくとも2日前、少なくとも3日前、少なくとも4日前、少なくとも5日前、少なくとも6日前、少なくとも1週間前、少なくとも2週間前、少なくとも3週間前、少なくとも4週間前、又は少なくとも1ヶ月前に投与される。ある具体的な非限定的な例では、治療上有効な量の免疫細胞の投与は移植の3~5日前に行われる。
【0424】
いくつかの実施形態では、対象は免疫細胞療法の前に非骨髄破壊性リンパ節削除化学療法を投与することができる。非骨髄破壊性リンパ節削除化学療法は、任意の適切な経路で投与され得る任意の適切なそのような療法であり得る。非骨髄切除性リンパ節削除化学療法は、例えばシクロホスファミドとフルダラビンの投与を含むことができ、特に癌が黒色腫の場合、転移性であることがある。シクロホスファミドとフルダラビンを投与する例示的な経路は静脈内投与である。同様に、任意の適切な用量のシクロホスファミド及びフルダラビンを投与することができる。特定の態様では、約60mg/kgのシクロホスファミドを2日間投与し、その後約25mg/m2のフルダラビンを5日間投与する。
【0425】
本開示の治療有効量の免疫細胞で個体を治療する方法は、細胞又はそのクローン集団を患者に投与することを含む。したがって、いくつかの実施形態において開示されるのは、対象における免疫障害、固形がん、血液がん、及び/又は感染症感染を治療する方法であって、その方法は、遺伝子操作免疫細胞又は遺伝子操作免疫細胞の集団を含む組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の抗原標的化レセプターが特異的に結合する1つ以上の抗原が、in vivoで疾患細胞により発現され、1つ以上のCARが、in vivoで疾患細胞により発現される1つ以上の抗原と特異的に結合し、1つ以上の抗原標的化レセプターとin vivoで疾患細胞により発現される1つ以上の抗原との結合が、疾患細胞の排除をもたらす。
【0426】
特定の実施形態において、本方法は、被験体において癌を治療するためのものであり、本方法は、遺伝子操作免疫細胞又は遺伝子操作免疫細胞の集団を含む治療有効量の組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む。いくつかの実施形態において、遺伝子改変免疫細胞の1つ以上のCAR及び/又はTCRが特異的に結合する1つ以上の抗原は、in vivoでがん細胞によって発現され、1つ以上のCAR及び/又はTCRは、in vivoでがん細胞によって発現される1つ以上の抗原と特異的に結合し、1つ以上のCAR及び/又はTCRとin vivoでがん細胞によって発現される1つ以上の抗原との結合は、がん細胞の排除をもたらす。
【0427】
特定の実施形態において、本方法は、T細胞悪性腫瘍などの血液学的悪性腫瘍を治療するためのものであり、本方法は、遺伝子操作免疫細胞又は遺伝子操作免疫細胞の集団を含む組成物の治療有効量を、それを必要とする被験体に投与することを含む。いくつかの実施形態において、遺伝子改変免疫細胞の1つ以上のCAR及び/又はTCRが特異的に結合する1つ以上の抗原は、in vivoで悪性T細胞によって発現され、1つ以上のCAR及び/又はTCRは、in vivoで悪性T細胞によって発現される1つ以上の抗原と特異的に結合し、1つ以上のCAR及び/又はTCRとin vivoで悪性T細胞によって発現される1つ以上の抗原との結合は、悪性T細胞の排除をもたらす。
【0428】
特定の実施形態において、本方法は、対象における免疫障害を治療するためのものであり、本方法は、遺伝子操作免疫細胞又は遺伝子操作免疫細胞の集団を含む治療有効量の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された免疫細胞の1つ以上のCAR及び/又はTCRが特異的に結合する1つ以上の抗原は、in vivoで免疫細胞により発現され、1つ以上のCAR及び/又はTCRは、in vivoで免疫細胞により発現される1つ以上の抗原と特異的に結合し、1つ以上のCAR及び/又はTCRとin vivoで免疫細胞により発現される1つ以上の抗原との結合は、免疫細胞の排除をもたらす。
【0429】
細胞又は細胞集団は、患者に関して同種であってもよい。特定の実施形態では、個体は細胞又は細胞集団の枯渇の徴候を示さない。個体が癌を有する特定の実施形態では、細胞が悪性腫瘍細胞と接触するように、細胞若しくは細胞集団又はその組成物を個体に投与した後、患者の腫瘍細胞が死滅する。個体が免疫障害を有する具体的な実施形態において、患者の免疫細胞は、細胞が免疫障害の影響を受けた免疫細胞と接触するように、個体に細胞又は細胞集団又はその組成物を投与した後に死滅させられる。
【0430】
本開示の特定の実施形態では、免疫細胞は、癌、免疫障害、又は感染症に罹患している個体など、それを必要とする個体に送達される。その後、細胞は個体の免疫系を強化し、それぞれの癌や病原性細胞を攻撃する。がんに罹患している個体に対しては、一旦個体に注入されると、この細胞製品は腫瘍細胞を標的にして根絶するために複数のメカニズムを用いることができると期待される。感染症患者に対しては、一旦患者に注入されれば、本細胞製剤は感染細胞を標的とし、根絶するために複数のメカニズムを用いることが期待される。免疫障害を持つ個体に対しては、一旦個体に注入されれば、本細胞産物が免疫障害に冒された細胞を標的とし、根絶するための複数のメカニズムを用いることが期待される。
【0431】
1つ以上の標的抗原は、任意の夾雑抗原を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、夾雑抗原はCD1a、CD1b、CD1c、CD1d、CD1e、CD2、CD3d、CD3e、CD3g、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8a、CD8b、CD9、CD10、CD11a、CD11b、CD11c、CD11d、CD13、CD14、CD15、CD16a、CD16b、CD17、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD25、CD26、CD27、CD28、CD29、CD30、CD31、CD32、CD33、CD34、CD35、CD36、CD37、CD38、CD39、CD40、CD41、CD42a、CD42b、CD42c、CD42d、CD43、CD44、CD45、CD45RA、CD45RB、CD45RC、CD45RO、CD46、CD47、CD48、CD49a、CD49b、CD49c、CD49d、CD49e、CD49f、CD50、CD51、CD52、CD53、CD54、CD55、CD56、CD57、CD58、CD59、CD60a、CD60b、CD60c、CD61、CD62E、CD62L、CD62P、CD63、CD64、CD65、CD66a、CD66b、CD66c、CD66d、CD66e、CD66f、CD67、CD68、CD69、CD70、CD71、CD72、CD73、CD74、CD75、CD75s、CD77、CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD85a、CD85b、CD85c、CD85d、CD85e、CD85f、CD85g、CD85h、CD85i、CD85j、CD85k、CD86、CD87、CD88、CD89、CD90、CD91、CD92、CD93、CD94、CD95、CD96、CD97、CD98、CD99、CD100、CD101、CD102、CD103、CD104、CD105、CD106、CD107a、CD107b、CD108、CD109、CD110、CD111、CD112、CD113、CD114、CD115、CD116、CD117、CD118、CD119、CD120a、CD120b、CD121a、CD121b、CD122、CD123、CD124、CD125、CD126、CD127、CD128、CD129、CD130、CD131、CD132、CD133、CD134、CD135、CD136、CD137、CD138、CD139、CD140a、CD140b、CD141、CD142、CD143、CD144、CD146、CD147、CD148、CD150、CD151、CD152、CD153、CD154、CD155、CD156a、CD156b、CD156c、CD157、CD158a、CD158b1、CD158b2、CD158c、CD158d、CD158e、CD158f1、CD158f2、CD158g、CD158h、CD158i、CD158j、CD158k、CD158z、CD159a、CD159c、CD160、CD161、CD162、CD163、CD163b、CD164、CD165、CD166、CD167a、CD167b、CD168、CD169、CD170、CD171、CD172a、CD172b、CD172g、CD173、CD174、CD175、CD175s、CD176、CD177、CD178、CD179a、CD179b、CD180、CD181、CD182、CD183、CD184、CD185、CD186、CD191、CD192、CD193、CD194、CD195、CD196、CD197、CDw198、CDw199、CD200、CD201、CD202b、CD203a、CD203c、CD204、CD205、CD206、CD207、CD208、CD209、CD210、CDw210b、CD212、CD213a1、CD213a2、CD215、CD217、CD218a、CD218b、CD220、CD221、CD222、CD223、CD224、CD225、CD226、CD227、CD228、CD229、CD230、CD231、CD232、CD233、CD234、CD235a、CD235b、CD236、CD238、CD239、CD240CE、CD240D、CD241、CD242、CD243、CD244、CD245、CD246、CD247、CD248、CD249、CD252、CD253、CD254、CD256、CD257、CD258、CD261、CD262、CD263、CD265、CD266、CD267、CD268、CD269、CD270、CD271、CD272、CD273、CD274、CD275、CD276、CD277、CD278、CD279、CD280、CD281、CD282、CD283、CD284、CD286、CD288、CD289、CD290、CD292、CDw293、CD294、CD295、CD296、CD297、CD298、CD299、CD300a、CD300b、CD300c、CD300d、CD300e、CD300f、CD300g、CD301、CD302、CD303、CD304、CD305、CD306、CD307a、CD307b、CD307c、CD307d、CD307e、CD309、CD312、CD314、CD315、CD316、CD317、CD318、CD319、CD320、CD321、CD322、CD324、CD325、CD326、CD327、CD328、CD329、CD331、CD332、CD333、CD334、CD335、CD336、CD337、CD338、CD339、CD340、CD344、CD349、CD350、CD351、CD352、CD353、CD354、CD355、CD357、CD358、CD360、CD361、CD362、又は、CD363を含む。
【0432】
いくつかの実施形態では、癌細胞、感染細胞、及び/又は免疫障害に冒された細胞によって発現される1つ以上の標的抗原は、免疫細胞系列抗原を含んでなる。いくつかの実施形態において、免疫細胞系列標的抗原は、CD2、CD5、CD7、CD4、CD8、CD3、CS1、CD38、CD99、CD30、4-1BB、OX40、ICOS、CD26、CD6、TIGIT、PD-1、2B4、LAG-3、MHC-I、MHC-II、ペプチド-MHC I、ペプチド-MHC II、Tim3、CTLA-4、CD112R、CD226、CD96、CD80、CD86、CD112、CD155、KIR2、KIR3、LILRB、CD28、CD40L、CD40、BTLA、GITR、VISTA、NKG2Dリガンド、又はCD70を含む。いくつかの実施形態において、免疫細胞系列標的抗原は、CD2を含む。いくつかの実施形態において、免疫細胞系列標的抗原はCD5を含む。いくつかの実施形態において、免疫細胞系列標的抗原はCD7を含む。いくつかの実施形態において、免疫細胞系列標的抗原はCD38を含む。
【0433】
いくつかの実施形態において、癌細胞、感染細胞、及び/又は免疫障害の影響を受けた細胞によって発現される1つ以上の標的抗原は、トロゴサイトーシスを介して獲得された抗原を含んでなる。標的抗原は、場合によっては、特定の癌細胞、感染細胞、及び/又は免疫障害に罹患している細胞とは関連するが、非癌細胞、非感染細胞、及び/又は免疫障害に罹患していない細胞とは関連しない。標的抗原は、場合によっては、特定の癌細胞と非癌細胞、特定の感染細胞と非感染細胞、免疫異常の影響を受けた特定の細胞と免疫異常の影響を受けていない細胞の両方に関連する可能性がある。標的抗原は、本明細書に開示される任意の標的抗原から構成され得るが、これらに限定されない。一部の実施形態では、標的抗原は、免疫細胞によって通常発現されない抗原であってよく、遺伝子操作された免疫細胞によって人為的に発現され、生体内での免疫細胞の殺夾雑(フラトリサイド)を誘導し、それによって生体内での免疫細胞の持続性及び活性を制限する。
【0434】
具体的な実施形態では、投与レジメンは免疫細胞の単回投与である。場合によっては、免疫細胞は1回又は複数回投与される。個体に2回以上の免疫細胞の投与が行われる場合、投与間の期間は、個体における増殖のための時間を確保するのに十分であるべきであり、具体的な実施形態では、投与間の期間は、l、2、3、4、5、6、7、又はそれ以上の日、又は1、2、3、又は4、又はそれ以上の週、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又はそれ以上の月である。
【0435】
免疫細胞は、個体に対して同種であっても、そうでなくてもよい。産生された免疫細胞の治療上有効な量は、非経口投与、例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、胸腔内、腫瘍内、髄腔内、脳室内、リザーバー(reservoir)経由、関節内注射、又は、点滴など、多くの経路で投与することができる。
【0436】
養子細胞療法(adoptive cell therapy)に使用するために産生される免疫細胞の治療上有効な量とは、治療対象において所望の効果を達成する量である。例えば、癌の進展を抑制する、あるいは癌を退縮させる、あるいは癌に起因する症状を緩和するのに必要な免疫細胞の量とすることができる。これは、自己免疫疾患や自己免疫疾患の進行を抑制するため、あるいは自己免疫疾患や自己免疫疾患を退縮させるために必要な免疫細胞の量、あるいは痛みや炎症などの自己免疫疾患に起因する症状を緩和するために必要な免疫細胞の量とすることができる。また、疼痛、浮腫、体温上昇などの炎症に伴う症状を緩和するのに必要な量とすることもできる。また、移植臓器の拒絶反応を軽減又は予防するために必要な量であることもある。
【0437】
産生された免疫細胞集団は、疾患と一致した治療レジメン、例えば、疾患の状態を改善するために1日から数日にわたり単回又は数回投与するか、疾患の進行を抑制し疾患の再発を予防するために長期間にわたって定期的に投与することができる。また、製剤に採用する正確な用量は、治療すべき疾患の種類、疾患の重症度や経過、個体の臨床状態、及び/又は個体の臨床経過や治療に対する反応性などに依存し、当業者の判断や各患者の状況に応じて決定されるべきである。治療上有効な免疫細胞の量は、治療される対象、苦悩の重篤度及び種類、並びに投与の方法に依存するであろう。ある実施形態において、ヒト被験体の治療において使用され得る用量は、少なくとも3.8×104、少なくとも3.8×105、少なくとも3.8×106、少なくとも3.8×107、少なくとも3.8×108、少なくとも3.8×109、又は少なくとも3.8×1010免疫細胞/m2の範囲である。特定の実施形態では、ヒト被験者の治療に使用される用量は、約3.8×109~約3.8×1010免疫細胞/m2の範囲である。付加的な実施形態において、治療上有効な量の免疫細胞は、体重1kgあたり約5×106細胞~体重1kgあたり約7.5×108細胞、例えば体重1kgあたり約2×107細胞~約5×108細胞、又は体重1kgあたり約5×107細胞~約2×108細胞で変動し得る。さらなる実施形態において、治療上有効な量の免疫細胞は、1回以上の投与によるか否かにかかわらず、患者の体重1kgあたり約102個から約1010個まで変動し得る。いくつかの実施形態において、使用される療法は、例えば、1日1回、1回又は複数回の投与によるか否かにかかわらず、約102細胞~約109細胞/患者体重1kg、約102細胞~約108細胞/患者体重1kg、約102細胞~約107細胞/患者体重1kg、約102細胞~約106細胞/患者体重1kg、約102細胞~約105細胞/患者体重1kg、約102細胞~約104細胞/患者体重1kg、又は約102細胞~約103細胞/患者体重1kgである。一実施形態において、本明細書に記載される療法は、患者の体重1kg当たり約102細胞、約103細胞、約104細胞、約105細胞、約106細胞、約107細胞、約108細胞、約109細胞、又は約1010細胞の用量で被験体に投与される。免疫細胞の正確な量は、被験者の年齢、体重、性別、生理学的状態に基づいて当業者が容易に決定できる。有効量は、in vitro又は動物モデル試験系から得られた用量反応曲線から推定することができる。
【0438】
免疫細胞は、免疫介在性障害の治療のために、1つ以上の他の治療薬と組み合わせて投与することができる。併用療法としては、1種類以上の抗微生物剤(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤)、抗腫瘍剤(例えば、フルオロウラシル、メトトレキサート、パクリタキセル、フルダラビン、エトポシド、ドキソルビシン、ビンクリスチン)、免疫低下剤(例えば、フルダラビン、エトポシド、ドキソルビシン、又はビンクリスチン)、免疫抑制剤(例えば、アザチオプリン、又はデキサメタゾン若しくはプレドニゾンなどのグルココルチコイド)、抗炎症剤(例えば、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、プレドニゾンなどのグルココルチコイド、又はアセチルサリチル酸、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウムなどの非ステロイド性抗炎症剤)、サイトカイン(例えば、インターロイキン-10又はトランスフォーミング増殖因子-β)、ホルモン(例えば、エストロゲン)、又はワクチン。さらに、カルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン及びタクロリムス);mTOR阻害剤(例えば、ラパマイシン);ミコフェノール酸モフェチル、抗体(例えば、CD3、CD4、CD40、CD154、CD45、IVIG、又はB細胞を認識する);化学療法剤(例えば、メトトレキサート、トレオスルファン、ブスルファン);放射線照射;又はケモカイン、インターロイキン又はそれらの阻害剤(例えば、BAFF、IL-2、抗IL-2R、IL-4、JAKキナーゼ阻害剤)などが挙げられるが、これらに限定されない。投与することができる。このような追加の薬剤は、所望の効果に応じて、免疫細胞の投与前、投与中、投与後に投与することができる。このような免疫細胞と薬剤の投与は、同じ経路であっても異なる経路であってもよく、また同じ部位であっても異なる部位であってもよい。
【0439】
A.医薬組成物
また、本明細書には、本明細書に包含されるプロセスにより産生された免疫細胞と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物及び製剤も提供される。本明細書に開示される免疫細胞を含む医薬組成物及び製剤は、免疫細胞治療剤又は医薬組成物又は治療剤及び1つ以上の追加の治療剤又は医薬組成物又は治療剤のような治療剤の組合せの投与を含み得る。治療剤は、当該技術分野で知られている任意の適切な方法で投与することができる。例えば、治療薬は逐次(異なる時期に)又は同時(同じ時期に)に投与することができる。いくつかの実施形態において、療法は、別個の組成物、例えば、1つの別個の組成物、例えば、2つの別個の組成物、3つの別個の組成物、又は4つの別個の組成物で投与される。いくつかの実施形態では、治療薬は同じ組成物中にある。
【0440】
本明細書に記載の医薬組成物及び製剤は、所望の純度を有する活性成分(産生免疫細胞及び1つ以上の追加の治療剤など)を、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で、1つ以上の任意の薬学的に許容される担体(Remington’s Pharmaceutical Sciences 22nd edition,2012)と混合することにより調製することができる。薬学的に許容される担体は、一般に、採用される用量及び濃度においてレシピエントに対して無毒であり、以下を含むが、これらに限定されない:リン酸塩、クエン酸塩、その他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸、メチオニンなどの酸化防止剤;防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウムなど;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシン;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジンのようなアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖、二糖、及び他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、又はソルビトールのような糖;ナトリウムのような塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/又はポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体には、さらに可溶性中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGPs)、例えばrHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)のようなヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質のような間質性薬物分散剤が含まれる。rHuPH20を含むある種の例示的なsHASEGPとその使用方法は、米国特許公開第2005/0260186号と第2006/0104968号に記載されている。ある態様では、sHASEGPはコンドロイチナーゼのような1つ以上のグリコサミノグリカナーゼと組み合わされる。
【0441】
本明細書で開示される治療用組成物又は医薬組成物及び処置は、数分から数週間の間隔で、別の処置又は薬剤に先行、並行、及び/又は追従することができる。薬剤が細胞、組織又は生物に別々に適用される実施形態では、一般に、治療剤又は医薬剤が細胞、組織又は生物に対して依然として有利に組み合わされた効果を発揮することができるように、それぞれの送達時間の間に有意な期間が経過しないようにする。例えば、このような場合、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の薬剤又は治療法を実質的に同時に(すなわち、約1分以内に)細胞、組織又は生物に接触させることが考えられる。他の態様では、1つ以上の治療薬又は治療は、1分、5分、10分、20分、30分、45分、60分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間、40時間、41時間、42時間、43時間、44時間、45時間、46時間、47時間、48時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、又は8週間以上、及びそこから派生する任意の範囲以内に、別の治療薬又は治療法を投与する前及び/又は投与後に、投与又は提供することができる。
【0442】
様々な実施形態において、本明細書に記載の産生免疫細胞は、治療用組成物若しくは医薬組成物として単独で、又は希釈剤と、及び/若しくは他のサイトカイン若しくは細胞集団のような他の成分と組み合わせて、治療用組成物若しくは医薬組成物として投与することができる。手短に言えば、特定の実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載の標的細胞集団を、1つ以上の薬学的又は生理学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と組み合わせて含むことができる。このような組成物は、中性緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水などの緩衝剤;グルコース、マンノース、スクロース又はデキストラン、マンニトールなどの炭水化物;タンパク質;ポリペプチド又はグリシンなどのアミノ酸;抗酸化剤;EDTA又はグルタチオンなどのキレート剤;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);及び保存剤を含み得る。
【0443】
本開示の医薬組成物又は治療組成物は、治療(又は予防)される疾患に適切な方法で投与することができる。投与の量及び頻度は、患者の状態、被験体の疾患の種類及び重症度などの因子によって決定されるが、適切な投与量は臨床試験によって決定され得る。治療用組成物又は医薬組成物の正確な量もまた、実施者の判断に依存し、各個人に特有のものである。投与量に影響を及ぼす要因としては、患者の身体的・臨床的状態、投与経路、意図する治療目標(症状の緩和か治癒か)、特定の治療物質や被験者が受けている可能性のある他の治療法の効力、安定性、毒性などがある。免疫学的有効量」、「抗腫瘍有効量」、「腫瘍阻害有効量」、又は「治療量」が示される場合、投与されるべき本開示の組成物の正確な量は、年齢、体重、腫瘍の大きさ、感染又は転移の程度、及び患者(被験体)の状態における個人差を考慮して、医師によって決定され得る。
【0444】
治療は、様々な「単位用量」を含むことができる。単位用量は、所定量の治療組成物を含むものとして定義される。投与される量、ならびに特定の経路及び製剤は、臨床技術に携わる者の判断能力の範囲内である。単位用量は、1回の注射として投与される必要はないが、一定期間にわたる連続注入を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、単位用量は、単回投与可能な用量を含む。
【0445】
投与量は、治療回数と単位投与量の両方において、望まれる治療効果に依存する。有効量は、特定の効果を達成するのに必要な量を指すと理解される。特定の実施形態における実施において、10mg/kg~200mg/kgの範囲の用量が、これらの薬剤の保護能力に影響を及ぼし得ることが企図される。従って、用量としては、約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、及び200、300、400、500、1000μg/kg、mg/kg、μg/日、又はmg/日、又はそこから誘導可能な任意の範囲が挙げられる。さらに、このような用量は、1日の間に複数回、及び/又は複数日、週、又は月に投与することができる。
【0446】
いくつかの実施形態において、ヒトに投与される治療上有効な又は十分な量の治療用組成物又は治療薬は、1回又は複数回の投与によるか否かにかかわらず、患者の体重の約0.01~約50mg/kgの範囲となる。いくつかの実施形態において、使用される療法は、例えば、毎日、約0.01~約45mg/kg、約0.01~約40mg/kg、約0.01~約35mg/kg、約0.01~約30mg/kg、約0.01~約25mg/kg、約0.01~約20mg/kg、約0.01~約15mg/kg、約0.01~約10mg/kg、約0.01~約5mg/kg、又は約0.01~約1mg/kg投与される。一実施形態では、本明細書に記載の療法は、21日周期の1日目に、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg又は約1400mgの用量で被験体に投与される。投与量は、単回投与でも、点滴などの複数回投与(例えば、2回又は3回投与)でもよい。この治療の経過は従来の技術で容易にモニターできる。
【0447】
特定の実施形態において、医薬組成物の有効量は、約1μM~150μMの血中レベルを提供し得るものである。別の実施形態では、有効量は、約4μM~100μMの血中レベルを提供する。;又は約1μM~100μM;又は約1μM~50μM;又は約1μM~40μM;又は約1μM~30μM;又は約1μM~20μM;又は約1μM~10μM;又は約10μM~150μM;又は約10μM~100μM;又は約10μM~約50μM;又は約25μM~約150μM;又は約25μM~約100μM;又は約25μM~約50μM;又は約50μM~約150μM;又は約50μM~約100μM(又はそこから誘導可能な任意の範囲)。他の実施形態では、投与量は、被験体に治療薬が投与された結果として生じる薬剤の以下の血中濃度を提供し得る:約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、若しくは100μM、又はそこから誘導可能な任意の範囲である。特定の実施形態において、被験体に投与される治療剤は、体内で代謝されて代謝治療剤となり、この場合、血中濃度は、その治療剤の量を指すことができる。あるいは、治療剤が被験体によって代謝されない範囲において、本明細書で議論される血中濃度は、代謝されない治療剤を指す場合がある。
【0448】
体重のμg/kg又はmg/kgの投与量単位は、4μM~100μMのように、μg/ml又はmM(血中濃度)の同等の濃度単位に変換して表すことができることが、当業者には理解され、認識されるであろう。また、取り込みは生物種や臓器・組織に依存することが理解される。取り込み及び濃度測定に関して適用可能な換算係数及び生理学的仮定は周知であり、当業者であれば、ある濃度測定値を別の濃度測定値に換算し、本明細書に記載の用量、効能及び結果に関して合理的な比較及び結論を行うことができるであろう。
【0449】
B.併用療法
特定の実施形態では、本実施形態の組成物及び方法は、少なくとも1つの追加療法と組み合わせて免疫細胞集団を含む。癌の実施形態の場合、追加療法は、放射線療法、手術(例えば、乳腺腫瘤摘出術及び乳房切除術)、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、又は前述の組み合わせであってもよい。追加療法は、アジュバント療法又はネオアジュバント療法の形態であってもよい。病原性疾患の場合、追加療法は1種類以上の抗生物質、抗ウイルス剤などで構成される。
【0450】
癌の実施形態によっては、追加療法は低分子酵素阻害剤又は抗転移剤の投与である。いくつかの実施形態において、追加療法は、副作用制限剤(例えば、抗悪心剤などの治療の副作用の発生及び/又は重篤度を軽減することを意図した薬剤)の投与である。一部の実施形態では、追加療法は放射線療法である。いくつかの実施形態において、追加療法は手術である。いくつかの実施形態において、追加療法は放射線療法と手術の組み合わせである。いくつかの実施形態において、追加療法はガンマ線照射である。いくつかの実施形態において、追加療法は、PBK/ACT/mTOR経路、HSP90阻害剤、チューブリン阻害剤、アポトーシス阻害剤、及び/又は化学予防剤を標的とする療法である。追加療法は、当該技術分野で公知の化学療法剤の1つ以上であってもよい。
【0451】
本開示の免疫細胞療法は、免疫チェックポイント療法などの追加のがん療法の前、最中、後、又は様々な組み合わせで投与することができる。投与は、同時から数分、数日から数週間の間隔で行うことができる。免疫細胞療法が追加的な治療薬とは別に患者に投与される実施形態では、一般に、2つの化合物が依然として患者に有利に組み合わされた効果を発揮できるように、各投与時期の間に有意な期間が経過しないようにする。このような場合、患者に抗体療法と抗癌剤を互いに約12~24時間又は72時間以内、より詳細には約6~12時間以内に投与することが考えられる。状況によっては、それぞれの投与の間に数日(2、3、4、5、6、又は7)から数週間(1、2、3、4、5、6、7、又は8)が経過するような治療の期間を大幅に延長することが望ましい場合もある。
【0452】
様々な組み合わせを採用することができる。以下の例では、免疫細胞療法を「A」、抗がん剤療法を「B」とする:
【0453】
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B A/B/B B/A/A A/B/B/B B/A/B/B
【0454】
B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A
【0455】
B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A
【0456】
本実施形態の任意の化合物又は治療法の患者への投与は、薬剤の毒性(もしあれば)を考慮して、そのような化合物の投与に関する一般的なプロトコールに従う。従って、いくつかの実施形態では、併用療法に起因する毒性をモニタリングする工程が存在する。
【0457】
1.化学療法
本実施形態に従って、多種多様な化学療法剤を使用することができる。用語「化学療法」は、癌を治療するための薬剤の使用を意味する。「化学療法剤」は、癌の治療において投与される化合物又は組成物を意味するために使用される。これらの薬剤又は薬物は、細胞内での活性様式、例えば細胞周期に影響を及ぼすかどうか、またどの段階で影響を及ぼすかによって分類される。あるいは、DNAを直接架橋する能力、DNAにインターカレートする能力、核酸合成に影響を与えることによって染色体異常や有糸分裂異常を誘発する能力に基づいて、薬剤を特徴付けることもできる。
【0458】
化学療法剤の例には、チオテパ、シクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファンなどのアルキルスルホン酸塩;ベンゾドパ、カルボクオン、メツルドパ、ウルドパなどのアジリジン類;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、トリメチロールメラミンなどのエチレンイミン及びメチルアミン;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成アナログのトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成アナログを含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログのKW-2189及びCB1-TM1を含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;ニトロソ尿素、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムヌスチン;抗生物質、例えばエネジイン系抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアミシンガンマリ及びカリケアミシンオメガI1);ダイネミシンAを含むダイネミシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラミシン;ネオカルジノスタチンクロモフォア及び関連するクロモプロテインエナジイン抗生物質クロモフォア、アクラシノミシン、アクチノマイシン、オートラルニシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カージノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノドキソルビシン、シアノモルホリノドキソルビシン、2-ピロリノドキソルビシン、デオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マーセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラルニシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、及びゾルビシン;メトトレキサート、5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗薬;デノプテリン、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸アナログ;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリンアナログ;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジンアナログ;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;ミトタン、トリロスタンなどの抗アドレナリン薬;フロリン酸などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;エニルラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシンやアンサミトシンなどのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(特にT-2毒素、ベラキュリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;タキソイド、例えば、パクリタキセル及びドセタキセル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;白金配位錯体、例えばシスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(例えば、CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸;カペシタビン;カルボプラチン、プロカルバジン、プリコマイシン、ゲムシタビエン、ナベルビン、ファルネシル-タンパク質転移酵素阻害剤、トランスプラチナム、及び上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体が含まれる。
【0459】
2.放射線治療
DNA損傷を引き起こし、広範囲に使用されてきた他の因子には、一般にγ線、X線として知られているもの、及び/又は腫瘍細胞への放射性同位元素の指向性送達が含まれる。マイクロ波、陽子線照射、紫外線照射など、他のDNA損傷因子も考えられる。これらの因子はすべて、DNA、DNAの前駆体、DNAの複製と修復、染色体の集合と維持に広範な損傷を及ぼす可能性が高い。X線の線量範囲は、1日50~200レントゲンを長期間(3~4週間)照射するものから、1回2000~6000レントゲンを照射するものまである。放射性同位元素の線量範囲はさまざまで、同位元素の半減期、放射線の強さと種類、腫瘍細胞による取り込みに依存する。
【0460】
3.免疫療法
当業者は、追加の免疫療法が、実施形態の方法と組み合わせて、又は併用されて使用され得ることを理解するであろう。癌治療の文脈において、免疫治療薬は、一般に、癌細胞を標的にして破壊するために免疫細胞及び分子を使用することに依存している。リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))はそのような例である。免疫エフェクターは、例えば腫瘍細胞表面のマーカーに特異的な抗体である。抗体は単独で治療のエフェクターとして機能することもあれば、他の細胞をリクルートして実際に殺細胞に影響を与えることもある。抗体はまた、薬物や毒素(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)と結合し、標的化剤として機能することもある。あるいは、エフェクターは、腫瘍細胞の標的と直接的又は間接的に相互作用する表面分子を持つリンパ球であってもよい。様々なエフェクター細胞には、細胞傷害性T細胞やNK細胞などがある。
【0461】
抗体-薬物複合体(ADC)は、殺細胞薬と共有結合したモノクローナル抗体(MAbs)からなり、併用療法に使用される。このアプローチは、抗原標的に対するMAbsの高い特異性と強力な細胞傷害性薬剤を組み合わせ、抗原濃度が濃縮された腫瘍細胞にペイロード(薬剤)を送達する“武装”MAbsをもたらす。薬物の標的送達はまた、正常組織における薬物曝露を最小化し、その結果、毒性が減少し、治療指数が向上する。ADC薬剤の例としては、ADCETRIS(登録商標)(ブレンツキシマブ・ベドチン)及びKADCYLA(登録商標)(トラスツズマブ・エムタンシン又はT-DM1)がある。
【0462】
免疫療法の一態様では、腫瘍細胞は、標的化に従順な、すなわち他の細胞の大部分には存在しない何らかのマーカーを有していなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらのいずれもが、本実施形態の文脈における標的化に適し得る。一般的な腫瘍マーカーとしては、CD20、カルチノエンブリオニック抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG-72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、ラミニン受容体、erb B、p155などが挙げられる。免疫療法のもう1つの側面は、抗がん作用と免疫刺激作用を組み合わせることである。IL-2、IL-4、IL-12、GM-CSF、γ-IFNなどのサイトカイン、MIP-1、MCP-1、IL-8などのケモカイン、FLT3リガンドなどの成長因子などである。
【0463】
免疫療法の例としては、免疫アジュバント、例えば、Mycobacterium bovis、Plasmodium falciparum、ジニトロクロロベンゼン、及び芳香族化合物);サイトカイン療法、例えば、インターフェロンα、β、及びγ、IL-1、GM-CSF、TNF;遺伝子治療、例えばTNF、IL-1、IL-2、p53;モノクローナル抗体、例えば、抗CD20、抗ガングリオシドGM2、及び抗p185が含まれる。本明細書に記載の抗体療法とともに、1つ以上の抗癌療法が採用され得ることが企図される。
【0464】
いくつかの実施形態では、免疫療法は免疫チェックポイント阻害剤であってもよい。免疫チェックポイントは、シグナル(例えば、共刺激分子)を上げるか、シグナルを下げるかのいずれかである。免疫チェックポイント遮断によって標的とされる可能性のある抑制性免疫チェックポイントには、アデノシンA2A受容体(A2AR)、B7-H3(CD276としても知られている)、B及びTリンパ球減衰因子(BTLA)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4、CD152としても知られている)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、キラー細胞免疫グロブリン(KIR)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG3)、プログラム死1(PD-1)、T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3(TIM-3)、VドメインIg T細胞活性化抑制因子(VISTA)が含まれる。特に、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1軸及び/又は、CTLA-4を標的とする。
【0465】
免疫チェックポイント阻害剤は、低分子、組換え型リガンド又はレセプターのような薬剤であってもよく、特にヒト抗体のような抗体であってもよい。免疫チェックポイントタンパク質の既知の阻害剤又はその類似体を使用することができ、特にキメラ化、ヒト化又はヒト型の抗体を使用することができる。当業者であればわかるように、本開示で言及する特定の抗体には、代替名及び/又は等価名が使用される場合がある。このような代替名及び/又は等価名は、本開示の文脈において交換可能である。例えば、ラムブロリズマブは、MK-3475及びペムブロリズマブという代替名及び等価名でも知られていることが知られている。
【0466】
いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1とそのリガンド結合パートナーとの結合を阻害する分子である。特定の態様において、PD-1リガンド結合パートナーは、PDL1及び/又はPDL2である。別の実施形態において、PDL1結合アンタゴニストは、PDL1とその結合パートナーとの結合を阻害する分子である。特定の態様において、PDL1結合パートナーは、PD-1及び/又はB7-1である。別の実施形態において、PDL2結合アンタゴニストは、PDL2とその結合パートナーとの結合を阻害する分子である。特定の態様において、PDL2結合パートナーはPD-1である。アンタゴニストは、抗体、その抗原結合フラグメント、イムノアドヘシン、融合タンパク質、又はオリゴペプチドであり得る。
【0467】
一部の実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体)である。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、及びCT-011を含む群より選択される。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合したPDL1又はPDL2の細胞外部分又はPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストはAMP-224である。MDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558、及びOPDIVO(登録商標)としても知られるニボルマブは、使用され得る抗PD-1抗体である。MK-3475、Merck 3475、lambrolizumab、KEYTRUDA(登録商標)、SCH-900475としても知られるPembrolizumabは、例示的な抗PD-1抗体である。hBAT又はhBAT-1としても知られるCT-011も抗PD-1抗体である。AMP-224はB7-DCIgとしても知られ、PDL2-Fc融合可溶性受容体である。
【0468】
本明細書で提供される方法で標的とすることができる別の免疫チェックポイントは、CD152としても知られる細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)である。ヒトCTLA-4の完全なcDNA配列は、GENBANK(登録商標)アクセッション番号L15006を有する。CTLA-4はT細胞の表面に存在し、抗原提示細胞表面のCD80又はCD86に結合すると「オフ」スイッチとして働く。CTLA4は免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、ヘルパーT細胞の表面に発現し、T細胞に抑制シグナルを伝達する。CTLA4はT細胞の共刺激タンパク質であるCD28と類似しており、両分子とも抗原提示細胞上のCD80及びCD86(それぞれB7-1及びB7-2とも呼ばれる)に結合する。CTLA4はT細胞に阻害シグナルを伝達し、CD28は刺激シグナルを伝達する。細胞内CTLA4は制御性T細胞にも存在し、その機能にとって重要である可能性がある。T細胞レセプターとCD28を介したT細胞の活性化は、B7分子に対する阻害性レセプターであるCTLA-4の発現増加をもたらす。
【0469】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体)、その抗原結合フラグメント、イムノアドヘシン、融合タンパク質、又はオリゴペプチドである。
【0470】
本方法における使用に適した抗ヒトCTLA-4抗体(又はそれに由来するVH及び/又はVLドメイン)は、当該技術分野において周知の方法を用いて作製することができる。あるいは、当技術分野で認識されている抗CTLA-4抗体を使用することもできる。例示的な抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(10D1、MDX-010、MDX-101、及びYervoy(登録商標)としても知られる)又はその抗原結合フラグメント及び変異体である。他の実施形態では、抗体は、イピリムマブの重鎖及び軽鎖CDR又はVRを含む。したがって、一実施形態では、抗体は、イピリムマブのVH領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、ならびにイピリムマブのVL領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体は、上記の抗体とCTLA-4上の同じエピトープと結合するために競合する及び/又は結合する。別の実施形態において、抗体は、上記の抗体と少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性を有する(例えば、イピリムマブと少なくとも約90%、95%、又は99%の可変領域同一性)。
【0471】
4.手術
癌患者の約60%が何らかの手術を受けるが、これには予防手術、診断手術又は病期分類手術、根治手術及び緩和手術が含まれる。治癒的手術には、癌組織の全部又は一部を物理的に切除、摘出、及び/又は破壊する切除術が含まれ、本実施形態の治療法、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法、及び/又は代替療法等の他の療法と併用することができる。腫瘍切除とは、腫瘍の少なくとも一部を物理的に除去することを指す。腫瘍切除に加えて、手術による治療には、レーザー手術、凍結手術、電気手術、及び顕微鏡制御手術(Mohs’手術)が含まれる。
【0472】
がん細胞、組織、腫瘍の一部又は全部を切除すると、体内に空洞が形成されることがある。治療は、灌流、直接注入、又は追加の抗癌剤を患部に局所的に塗布することによって行うことができる。このような治療は、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、又は7日毎に、又は1週間、2週間、3週間、4週間、及び5週間毎に、又は1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月毎に繰り返すことができる。これらの治療は、投与量も様々である。
【0473】
5.他の化学物質
治療効果を向上させるために、他の薬剤を本実施形態の特定の態様と併用することが考えられる。これらの追加の薬剤には、細胞表面レセプター及びGAP接合のアップレギュレーションに影響を与える薬剤、細胞賦活剤及び分化剤、細胞接着の阻害剤、アポトーシス誘導剤に対する過増殖細胞の感受性を高める薬剤、又は他の生物学的薬剤が含まれる。GAP結合の数を増やすことによる細胞間シグナリングの増加は、隣接する過増殖細胞集団に対する抗過増殖効果を増加させるであろう。他の実施形態では、治療法の抗増殖効力を改善するために、細胞賦活剤又は分化促進剤を本実施形態の特定の態様と組み合わせて使用することができる。細胞接着阻害剤は、本実施形態の有効性を改善するために企図される。細胞接着阻害剤の例は、フォーカルアドヒージョンキナーゼ(FAKs)阻害剤及びロバスタチンである。さらに、抗体c225のような、アポトーシスに対する増殖亢進細胞の感受性を高める他の薬剤を、治療効果を改善するために本実施形態のある態様と組み合わせて使用することも考えられる。
【0474】
VI.キット
本明細書に記載される組成物のいずれもが、キットに含まれ得る。非限定的な例では、細胞、細胞を産生するための試薬、ベクター、及び/又は、ベクターを産生するための試薬、及び/又は、それらの成分がキットに含まれていてもよい。特定の実施形態では、免疫細胞はキットに含まれ、抗原標的化レセプターを発現していても、まだ発現していなくてもよい。このようなキットは、細胞を操作するための1つ以上の試薬を有していてもよいし、有していなくてもよい。そのような試薬としては、例えば、小分子、タンパク質、核酸、抗体、緩衝液、プライマー、ヌクレオチド、塩、及び/又は、それらの組み合わせが挙げられる。細胞を操作するために使用され得る低分子には、チロシンキナーゼ阻害剤が含まれる。ダサチニブ、イブルチニブ、pp2、パゾパニブ、ゲフィチニブ、又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されないチロシンキナーゼ阻害剤をキットに含めることができる。1つ以上の抗原標的CAR及び/又はTCR、自殺遺伝子産物、及び/又はサイトカインをコードするヌクレオチドをキットに含めることができる。モノクローナル抗体を含むサイトカイン又は抗体などのタンパク質がキットに含まれてもよい。人工CAR及び/又はTCRの構成要素をコードするヌクレオチドは、これを生成するための試薬を含め、キットに含まれてもよい。
【0475】
特定の態様において、キットは本開示の免疫細胞療法に加えて別の癌療法も含む。いくつかの態様において、キットは、細胞療法の実施形態に加えて、例えば、化学療法、ホルモン療法、及び/又は、免疫療法などの第2のがん療法も含む。キット(単数又は複数)は、個人の特定のがんに合わせて調整することができ、個人のためのそれぞれの第二のがん療法を含む。
【0476】
製造品又はキットは、個体における疾患、例えば癌、感染症、又は免疫障害の治療又は進行遅延のために、又は癌、感染症、又は免疫障害を有する個体の免疫機能を増強するために、免疫細胞を使用するための指示を含む添付文書をさらに含むことができる。本明細書に記載される抗原特異的免疫細胞は、いずれも製造品やキットに含めることができる。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、バッグ、シリンジなどが挙げられる。容器は、ガラス、プラスチック(ポリ塩化ビニル又はポリオレフィンなど)、又は金属合金(ステンレス鋼又はハステロイなど)などの様々な材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、容器は製剤を保持し、容器上の、又は容器に関連するラベルは使用方法を示すことができる。製造品又はキットは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、注射針、注射器、及び使用説明書を記載した包装添付文書を含む、商業的及び使用者の立場から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、製造品は、1つ以上の別の薬剤(例えば、化学療法剤、抗新生物剤)をさらに含む。つ以上の薬剤のための適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、バッグ及びシリンジが挙げられる。
【実施例】
【0477】
以下の実施例は、本開示の実施形態を示すために含まれる。当業者には、以下の実施例において開示される技術は、本開示の実施において良好に機能するように本発明者によって発見された技術を表すことが理解されるべきである。及び/又は、本開示の範囲から逸脱することなく、開示される特定の実施形態において多くの変更を加えることができ、それでもなお同様又は類似の結果を得ることができることを、当業者は本開示に照らして理解すべきである。
【0478】
実施例1
T細胞悪性腫瘍に対するcd5 car T細胞の実現可能性と前臨床効果
本発明者らは、CD5 scFv抗体からの一本鎖可変フラグメントを含む第2世代のCD5 CARを開発した(Mamonkinら.2015 Aug 20;126(8):983-992、及びVeraら、Blood.2006 Dec 1;108(12):3890-3897、いずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。残りのCARバックボーンは、IgG4由来のフレキシブルヒンジとCD28/CD3ζシグナル伝達ドメインを持つCH3 IgG1 Fcスペーサーを含む38。
【0479】
本発明者らは、CD5 CARを導入した活性化ヒトT細胞が、悪性T細胞株及び初代T-ALL芽球を特異的に認識し、殺傷できることを示した38。CD5 CAR T細胞の拡大には一過性のフラトリシドが先行したが、自己殺傷の程度は限定的であった38。殺夾雑(フラトリシド、fratcide)はまた、細胞表面からCD5を消失させ、抵抗性の分化集団を選択した(38)。CD5 CAR T細胞はin vitroでも増殖し、CD5+悪性T細胞を認識して根絶し、異種移植マウスモデルで効率的に病気の進行を抑制した38。
【0480】
1.CARシグナル伝達阻害剤の選択
CARシグナル伝達の最も強力な阻害剤を選択するために、本発明者らは、主要な近位TCRシグナル伝達キナーゼであるLck、ZAP-70、及びItkの薬理学的阻害剤の存在下でCD5 CAR T細胞を増殖させた。ウイルス導入の当日、本発明者らは、Lck(ダサチニブ、pp2、パゾパニブ)、ZAP-70(ゲフィチニブ)、Itk(イブルチニブ)の化学的阻害剤を、有効であると以前に確立された濃度でT細胞調整培地に添加し、2-3日ごとに補充した。化学的阻害剤の添加は、ガンマレトロウイルス導入に障害を与えず、大多数のT細胞にCD5 CARの発現をもたらした(データは示さず)。CARからの継続的な自己指向性シグナル伝達により、CD5 CAR T細胞(CD5 CAR Ctrl)では、対照の非導入T細胞(NT)と比較して、ナイーブ様細胞及びセントラルメモリー細胞の最小分化T細胞サブセットが有意に減少した(
図1A)。その後、ダサチニブ、pp2、又はイブルチニブの存在下で CD5 CAR T細胞を樹立すると、阻害剤の非存在下で樹立 した対照のCD5 CAR T細胞と比較して、最小分化したナイーブ様 T細胞の頻度が高くなった(
図1A)。パゾパニブ及びゲフィチニブは、CD5 CAR T 細胞の分化に与える影響は少なかった。化学的阻害剤は CD5 CAR T 細胞の膨張を阻害せず、ダサチニ ブと pp2 はいずれも、非形質転換対照 T 細胞と同程度の強固な CD5 CAR T 細胞の膨張を促進した(
図1B)。このような効果は、同じ阻害剤の存在下での対照の非形質転換T細胞の拡大では観察されず、この効果がCAR特異的であることを示している。
【0481】
2.CARシグナル伝達の薬理学的遮断はCD5 CAR T細胞の餓死を最小化する
本発明者らは、Lck経路及びItk経路の個別的遮断又はコンビナトリアル遮断が、CD5 CAR T細胞における緊張性CARシグナル伝達、及び/又は、関連する分化及びフラトリシドを最小化するか否かを評価した。LckとItkのコンビナトリアル遮断では、イブルチニブを低用量(200nM)で最初のT細胞プライミング中に投与し、その濃度を維持した。ダサチニブの単独添加及び/又はイブルチニブとの併用は、CD5 CAR T細胞の生存率及び全体的な拡大、並びにナイーブ様T細胞の全体的な頻度を増加させたが、イブルチニブ単独ではほとんど効果がなかった(
図1C-1E)。これらのデータは、ダサチニブとイブルチニブの併用がCARシグナル伝達を効果的に阻害することを示している。CARシグナル伝達の化学的阻害は、阻害剤を除去した後にCAR T細胞が細胞傷害性を回復できるように、可逆的でなければならない。ダサチニブ及び/又はイブルチニブの除去に伴う抗腫瘍活性の回復を評価するために、本発明者らは、化学阻害剤の存在下でCD5 CAR T細胞を増殖させ、凍結保存し、融解し、通常のコンディショニング培地に再懸濁した。その後、本発明者らはこれらのCD5 CAR T細胞をCD5+白血病細胞株CCRF-CEM及びJurkatと5日間共培養した。ダサチニブ及び/又はイブルチニブで増殖させたCD5 CAR T細胞は、未処理の対照CD5 CAR T細胞と同様に、共培養終了時に腫瘍を制御した(
図1F~1G)。
【0482】
3.未編集CD5 CAR T細胞は全身性T細胞白血病からマウスを守る
ダサチニブ及びイブルチニブの存在下で増殖させたCD5 CAR T細胞が、in vivoで白血病の進行を抑制できるかどうかを評価するために、本発明者らは、播種性T-ALLの以前に確立されたマウス異種移植モデルを用いた。簡単に説明すると、NSGマウスにFFLucで修飾したCCRF-CEM細胞を静脈内投与し、その3日後に解凍したばかりのCD5 CAR T細胞を単回静脈内注射した。ダサチニブ及びイブルチニブによるCD5 CAR T細胞の拡大は、対照のCD5 CAR T細胞(
図1I)と比較してマウスの生存期間を延長し、強固な抗白血病活性を示した(
図1H)。これらの結果は、CD5 CARシグナル伝達の遮断が可逆的であり、化学阻害剤の非存在下でCD5 CAR T細胞の抗腫瘍機能を速やかに回復できることを示している。
【0483】
実施例2
T細胞悪性腫瘍に対するcd7未編集cd7 car T細胞の実現可能性と前臨床効果
本発明者らは、CD7モノクローナル抗体3A1e34,38を含む第二世代のCD7 CARを開発した。CD7特異的クローン3A1eはマウスハイブリドーマに由来し、抗体薬物複合体DA735,36としてT細胞悪性腫瘍の治療用に開発されており、T細胞悪性腫瘍患者37を対象とした第I相臨床試験で安全性と活性が実証されている。残りのCARバックボーンは、CH3 IgG1 FcスペーサーとIgG4由来のフレキシブルヒンジ、CD28/CD3ζシグナルドメインを含んでいる38。
【0484】
血液悪性腫瘍の治療のためのT系列抗原のCAR媒介標的化は、CAR T細胞の自己標的化又は一定のCARシグナル伝達によって駆動されるその過剰な分化によって、しばしば複雑になる。ほとんどのT細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)及びリンパ腫、ならびに成熟T細胞性リンパ腫のいくつかのサブタイプで高発現している汎T細胞抗原であるCD7を標的とするCARの発現は、細胞免疫療法の魅力的な標的である1。しかし、正常なT細胞ではCD7が高発現しているため、CD7 CARを導入するとかなりの餓死が起こる。ゲノム編集や細胞内タンパク質発現阻害剤(PEBL)2-4により、CD7抗原を除去する戦略が開発されている。どちらの方法でも、CD7+リンパ系及び骨髄系悪性腫瘍の前臨床モデルにおいて高い活性を示す、フラトリシド耐性CD7 CAR T細胞が得られる。初期の臨床結果では、これらのCD7 CAR T細胞は難治性T細胞悪性腫瘍患者に寛解を誘導できるが、CAR T細胞の細胞傷害性に抵抗性のCD7陰性T細胞サブセットが存在するため、内因性T細胞を完全には排除できないことが示されている5。CD7陰性T細胞コンパートメントは、循環T細胞の少数派であり、主にエフェクターとメモリーコンパートメントのCD4+とCD8+ T細胞の両方を含んでいる6,7。これらのCD7陰性T細胞にCD7 CARを発現させることは、フラトリシドを起こさないと予想され、従って、追加的なエンジニアリングなしに機能的なCD7 CAR T細胞を製造できる可能性がある。しかし、最終的なT細胞産物をCD7陰性CAR T細胞用に濃縮するためには、CAR導入前に細胞選別を追加するか、CARを介したCD7陽性T細胞の排除に頼ることになるが、この場合、ex vivoでの増殖中にCD7陰性CAR T細胞の分化と枯渇が促進され、治療効果が制限される可能性がある。
【0485】
CD7特異的結合体を検証し、CD7 CARの細胞傷害性を評価するために、本発明者らは、不要な自己指向性活性を最小化するために、まずCD7編集T細胞上に発現させた。発現したCD7 CAR T細胞は、CD7+ T-ALL及びT-細胞リンパ腫細胞株に対して細胞傷害性を示したが、CD7陰性細胞株NALM-6に対しては有意な活性を示さなかった(34)。本発明者らはまた、悪性T細胞株との共培養により、CD7 CAR T細胞によるTNFαとIFNγの強固な産生を検出した34。原発性T細胞腫瘍に対するCD7 CAR T細胞の活性を評価するために、本発明者らは短時間の共培養後にサイトカイン産生と残存腫瘍細胞数を測定した。同様に、CD7 CAR T細胞を原発性T-ALL腫瘍細胞と共培養すると、サイトカインが有意に産生され、CAR T細胞の増殖と相関するように、腫瘍細胞がしっかりと除去された34。これらの結果は、CD7 CARがCD7+悪性T細胞に対して高い細胞傷害性を示すことを示している。
【0486】
ゲノム編集の必要性を克服し、CD7 CAR T細胞の製造を合理化し、CD7陰性CAR T細胞について最終T細胞産物を濃縮することに伴う制限を克服するために、本発明者らは、主要なシグナル伝達キナーゼのFDA承認薬理学的阻害剤を用いて、編集されていないCD7 CAR T細胞(圧倒的にCD7+である)のフラトリサイドを最小化する方法を開発した。チロシンキナーゼ阻害剤であるダサチニブとイブルチニブでCARシグナル伝達を遮断することにより、CD7 CARが介在するT細胞のフラトリサイドを一時的に最小化できるかどうかが検証されたが、これらはそれぞれ主要なCAR/CD3ξシグナル伝達キナーゼであるLckとItkを選択的に阻害する。SrcファミリーキナーゼLckとFynは、CD3ξ鎖からのシグナル伝達の開始と伝播に中心的な役割を果たし、Itkを介して下流のカスケードの活性化につながる。加えて、CD28コスティミュレイトリーエンドドメインはLck依存性のシグナル伝達を引き起こし、Itkを直接リクルートして活性化することができる8。
【0487】
この研究では、イブルチニブ及びダサチニブ(それぞれItk及びLck/Fynの薬理学的阻害剤)の補充により、末梢血T細胞全体から作製されたCD7 CAR T細胞のフラトリシドが抑制され、生体外での増殖中に有害なCARシグナル伝達が可逆的に遮断されることにより終末分化が防止された。薬理学的阻害剤の除去に伴うこれらのCD7 CAR T細胞の抗白血病活性を評価し、ヒトT-ALLのマウス異種移植モデルにおいて、編集されていないCAR T細胞が持続的な抗腫瘍活性をもたらすメカニズムを探った。また、CD7+ T細胞悪性腫瘍患者を対象とした自家未編集CD7 CAR T細胞のcGMP製造の可能性が示され、第I相臨床試験が開始された。これらの結果は、驚くべきことに、CARシグナル伝達の薬理学的阻害により、新たな工学的操作を加えることなく機能的なCD7 CAR T細胞の作製が可能であることを示している。
【0488】
1.CARシグナル伝達の薬理学的阻害がCD7 CAR T細胞の餓死を防ぐ
ほとんどのT細胞は高レベルのCD7を発現しているため、CD7 CARによる形質導入は強力な殺夾雑
2-4を誘導する。いくつかの実施形態では、この殺夾雑は、CARが組み込まれたCD3ξ及びCD28エンドドメインから発せられるシグナル伝達を薬理学的に阻害することによって最小化することができる。両分子はLck/Fyn及びItkキナーゼを介してT細胞の細胞傷害性シグナル伝達を活性化するので、ダサチニブ及びイブルチニブは、これらのシグナル伝達メディエーターを選択的に阻害し、CARによる望ましくない細胞溶解を抑制するために利用された(
図2A)。
【0489】
健康なドナーの末梢血単核細胞(PBMC)を、200nMのイブルチニブの存在下、抗CD3/抗CD28抗体で刺激し、続いてCD7 CARベクターでガンマレトロウイルス導入した(
図2B)。ダサチニブは最終濃度200nMで導入当日に添加した。形質導入されたCD7 CAR T細胞は、イブルチニブとダサチニブの両方、IL-7、IL-15の存在下で増殖させた。化学阻害剤は、サイトカイン及び新鮮培地とともに2-3日ごとに補充した。薬理学的阻害剤を用いて増殖させたCD7未編集CD7 CAR T細胞(以下、PI CAR T細胞)は、CARの表面発現を保持し、CD7の強度が低下していたが、これはおそらくCARによる抗原マスキングのためであろう(
図2C)。イブルチニブ及びダサチニブを添加せずに培養した対照の未編集CD7 CAR T細胞(
図2B)は、CD7の表面レベルが中程度に低下した状態で高いCAR発現を示し(
図2C)、CAR導入後1週間以内に細胞拡大が阻害され、広範なフラトリシドが認められた(
図2D)。対照的に、CAR導入前にCRISPR/Cas9を用いてCD7遺伝子の発現を破壊したCD7編集CD7 CAR T細胞(
図2B、以下CD7 KO CAR T細胞)、及びPI CAR T細胞は、いずれも高い生存率を保持し、生体外で正常な増殖を示した(
図2D)。CARシグナル伝達の薬理学的阻害はまた、対照の非形質転換T細胞と同様の表現型及びサブセット構成を有する最小分化T細胞集団を維持したが、これらの細胞は残存CARシグナル伝達によりCD7 KO CAR T細胞では部分的に枯渇した(
図3A、3B)。これらのデータは、イブルチニブ及びダサチニブの存在下での未編集CD7 CAR T細胞の拡大が、有害なCARシグナル伝達と、その結果生じるT細胞のフラトリシド及び末端分化を最小限に抑えることを示している。
【0490】
CD28コスティミュレイトリーエンドドメインは、PI(3)Kの p85サブユニットを直接リクルートし、下流のAkt-mTOR経路と NF-kB経路を活性化し、T細胞の増殖とエフェクター分化にさらに貢献する。イブルチニブもダサチニブもPI(3)K-Akt経路を直接阻害することは知られていないため、PI CAR T細胞ではまだ活性が残っている可能性がある。もしそうであれば、PI CAR T細胞のサブセット構成は、対照のドナーマッチングした非導入T細胞と酷似しているため、このシグナル軸はT細胞の分化を促進しなかったことになる。
【0491】
2.PI CAR T細胞はイブルチニブとダサチニブを除去すると細胞毒性を回復する。
CARシグナル伝達の遮断は、PI CAR T細胞をフラトリシドから保護するが、腫瘍指向性細胞傷害性も阻害する。イブルチニブ及びダサチニブの休薬によりPI CAR T細胞が抗腫瘍機能を回復するかどうかを調べるため、複数の健常ドナーから編集されていないCD7 CAR T細胞を作製し、イブルチニブ及びダサチニブの存在下で7日間生体外で増殖させ、その後T細胞を洗浄し凍結保存した(
図2B)。解凍後、PI CAR T細胞をCD7+ T-ALL細胞株であるJurkat又は CCRF-CEMと、イブルチニブ、ダサチニブ、外因性サイトカイン非存在下で72時間共培養した。PI CAR T細胞は両細胞株に対して有意な細胞傷害性を示したが、CCRF-CEM細胞の細胞傷害性はCD7 KO CAR T細胞と比較して一部のドナーで減弱していた(
図2E)。腫瘍の殺傷は解凍後24時間という早い段階で観察され、薬理学的阻害剤の中止により細胞傷害性エフェクター機能が急速に獲得されたことを示している(
図4A、4B)。予想されたように、CARシグナル伝達のブロックを解除すると、PI CAR T細胞のフラトリシドが再開され、共培養中のT細胞の増殖が抑制された(
図2F)。これらの研究は、いくつかの実施形態において、イブルチニブ及びダサチニブの除去が、PI CAR T細胞におけるCD7指向性細胞傷害性を回復させることを実証している。
【0492】
重要なことは、細胞は4回の洗浄を受け、ダサチニブ及びイブルチニブを含まない凍結培地で再構成されるため、最終細胞産物には生理学的に有意な濃度のダサチニブ及びイブルチニブは含まれないことである。最終製品中の遊離(未結合)ダサチニブ及びイブルチニブの残存レベルは、凍結保存前の最終洗浄工程における全体的な希釈度に基づいて推定した。すべての細胞は4回の洗浄を受け、それぞれで元の調整培地の約30倍に希釈される。これを合計すると、304=8.1x105倍希釈となり、ダサチニブの濃度は500nMから~600fMに、イブルチニブの濃度は200nMから~250fMに低下する。これらの計算では、添加から凍結保存までの数日間における調整培地中のダサチニブとイブルチニブの分解や、これらの阻害剤のT細胞内の標的キナーゼへの結合が考慮されていないため、最終製品中の両化合物の存在も過大評価されており、両化合物の生物学的利用能はさらに低下することになる。これらの濃度は、有効なLC-MSアッセイにおけるダサチニブとイブルチニブの定量下限(LLOQ)をも下回っている39,40。最後に、最終製品中のダサチニブ及びイブルチニブの計算濃度は、FDA承認製剤(それぞれスプリセル(登録商標)及びインブルビカ(登録商標))41,42でダサチニブ又はイブルチニブを投与されている患者の血漿中ピーク濃度(~30~100ng/mL又は60~200nM)より約10万~100万倍低い。上記の要因に加え、投与された製剤が4L程度の末梢血で希釈されること、ダサチニブとイブルチニブが肝臓でCYP3A43,44により広範囲に代謝されることを考慮すると、最終製剤中の両化合物の残存量は無視できると推定された。
【0493】
3.PI CAR T細胞はin vivoで強固な抗白血病活性を示す
ほとんどのT細胞がCD7陽性である一方で、サブセットは当然CD7発現を欠いている。この集団は、健康なドナーの中で頻度に非常にばらつきがあり、CD4+ T細胞の平均7.8%、CD8+ T細胞の平均2.3%を構成している(
図5)。これらの細胞はCD7指向性の夾雑物に抵抗し、従って持続的な抗腫瘍活性を産生し得ると予想される。CD7 CAR T細胞がin vivoで全身性T-ALLを制御する能力を試験するために、ホタルルシフェラーゼ(FFluc)を発現するように改変したCD7+ Jurkat T-ALL細胞をNSGマウスに移植し、3日後に解凍したばかりのCD7 CAR T細胞を静脈内注射した(
図6A)。対照の非形質転換T細胞を投与されたマウスはすべて致死的な全身性白血病を発症したが、PI CAR T細胞は強力な抗腫瘍活性を介し、ほとんどの動物を疾患の進行から守り、PI CAR T細胞の単回投与で8匹中7匹の動物で腫瘍の増殖を防ぐのに十分であり(
図6B、6C)、それによって生存期間が有意に延長した(
図6D)。実験の全期間にわたってCD7 CAR T細胞で処置したマウスでは、毒性は観察されなかった。従って、いくつかの実施形態において、PI CAR T細胞は、注入後早期に癌性T細胞を標的とし、最終的には、CD7 CAR T細胞のフラトリシド耐性、CD7陰性集団を自己選択する。
【0494】
PI CAR T細胞の増殖及び持続の動態をより明確にするため、及びPI CAR T細胞の自己標的化能の回復が白血病保有マウスにおける抗腫瘍活性にどのように影響するかを明らかにするため、FFluc標識CD7 CAR T細胞を作製し、3日前にJurkat T-ALLを移植したマウスに投与した(
図6E)。PI CAR T細胞はほとんどの動物で増殖・持続し、白血病の進行から保護した(
図6F、6G)。CD7 KO CAR T細胞は、PI CAR T細胞と比較して、持続性及び抗腫瘍活性が劣っていた。生体内での機能低下は、CD7 KO CAR T細胞の終末分化の亢進と相関していた(
図3)。PI CAR T細胞の長期持続性と抗腫瘍活性は、特定のT細胞ドナーに特異的なものでも、異種移植片対宿主応答の結果でもなかった。NSG-MHC I/II DKOマウスにJurkat T-ALLを移植した場合、複数のドナー由来のPI CAR T細胞で、拡張の大きさは異なるものの、同様の結果が観察された(
図7A、7B)。
【0495】
PI CAR T細胞の活性は、NSGマウスにCCRF-CEM T細胞白血病を接種し、3日後にFFluc標識CAR T細胞を単回投与したT-ALLの第二のモデルでも評価された(
図6H)。Jurkatモデルと比較すると、CCRF-CEMは末梢血と骨髄に悪性細胞の典型的な白血病分布を伴う、より侵攻性の腫瘍を産生する9。ここでも、PI CAR T細胞の単回注射は、非導入T細胞及びCD7 KO CAR T細胞の両方と比較して、末梢血中のT-ALL芽球を根絶し、動物の生存期間を延長する、長期持続性及び抗腫瘍活性をもたらした(
図6I、6K)。全体として、これらの結果は、いくつかの実施形態において、PI CAR T細胞がin vivoで殺夾雑に抵抗し、ヒトT-ALLのマウス異種移植モデルにおいて持続的な抗白血病活性をもたらすことを示している。
【0496】
ほとんどの臨床シナリオにおいて、注入されたCAR T細胞は最初に悪性細胞に取り囲まれる。つまり、CD7非編集CD7 CAR T細胞は、別のCAR T細胞を標的とする前に白血病細胞に遭遇する可能性が高い。したがって、いくつかの実施形態では、CD7+ PI CAR T細胞は、フラトリシドに屈する前に短期的な抗白血病活性に寄与し、長期的には、CD7- PI CAR T細胞は、より持続的な持続性と細胞傷害性を確立する。
【0497】
これらの結果は、CD7陰性T細胞を人工細胞治療のプラットフォームとして採用する可能性を支持するものである。CD7は、NK細胞と同様に、初期胸腺移住、ほとんどの胸腺細胞、末梢T細胞で発現される最も初期のT系譜マーカーの1つである。機能的には、CD7は膜貫通タンパク質であり、T細胞にコスト刺激を与え、接着を調節する。しかし、末梢T細胞におけるCD7の機能的重要性は明確に定義されておらず、CD7を欠損したマウスではT細胞コンパートメントはほとんど障害されず、コンピテントである。ヒトでは、CD7の欠損は、主にCD4+でCD45RA- CD45RO+メモリー表現型を持つ循環T細胞の小さなサブセットで証明されている6,7,25。CD7陰性循環T細胞の頻度は、加齢とともに増加する25。CD7-CD4+及びCD8+T細胞の増殖は、ウイルス感染(HIV、EBV)、関節リウマチ、その他の炎症性疾患においても報告されている25-31。これらの研究や他の研究は、CD7の欠損が慢性的に刺激されたT細胞の終末分化に関係していることを示唆しているが、CD7を欠損したT細胞は活性化誘導性アポトーシスに対してより抵抗性であることも示唆している32。本明細書に記載されたデータは、CD7- CD7 CAR T細胞が免疫不全マウスで長期間持続し、白血病の再発を抑制することを示しており、いくつかの実施形態において、細胞はT細胞悪性腫瘍患者において持続的な抗腫瘍活性を産生することが可能であることを示唆している。
【0498】
4.持続性PI CAR T細胞はCD7遺伝子の発現を欠き、転写的にはCD7編集CAR T細胞と類似している。
in vivoでのPI CAR T細胞における殺夾雑抵抗性のメカニズムを決定するために、CD7 CARとCD7抗原の両方の発現を、注入後27日目の循環CAR T細胞でフローサイトメトリーにより測定した。すべての動物で、PI CAR T細胞はCARを一様に高発現していたが、CD7は検出されなかった(
図8A)。PI CAR T細胞は、ウェスタンブロットとqPCRでそれぞれ測定したCD7遺伝子のタンパク質発現とmRNA発現の両方を欠いていたため、検出可能なCD7の喪失は、CARを介した抗原マスキングの結果ではなかった(
図8B、8C)。これらのデータは、健康なドナーの末梢血に存在する、天然のCD7陰性CAR導入T細胞の増殖を支持するものである。注目すべきは、ほとんどのマウスにおいて、残存するCD7- CAR T細胞の大部分はCD8+であり、CD4+ T細胞がCD7-サブセットを支配するヒト内在性PBMCとは全く対照的であったことで、CARシグナルがこのモデルにおいてCD8+ T細胞の拡張に有利であったことを示唆している(
図8D)。
【0499】
本発明者らはまた、T細胞注入後32日目のマウスの末梢血において、フローサイトメトリーにより、注入ヒトT細胞上のCD7 CAR及びCD7抗原の発現を分析した。非導入コントロールT細胞(NT Ctrl)を投与されたマウスは、検出可能な正常T細胞を欠いたが、循環白血病細胞の識別可能な集団を有し、そのほとんどがCD7陽性であった(
図8G)。対照的に、CD7 CAR T細胞を投与されたマウスは、CD7 CAR T細胞が持続したまま白血病細胞を除去した。興味深いことに、両実験群のT細胞はCAR発現を保持し、検出可能な表面CD7を有さず、これはフラトリシドに対する抵抗性と相関していた(
図8G)。したがって、いくつかの実施形態では、標的抗原の遺伝的切除を必要とせずに、殺夾雑抵抗性CD7 CAR T細胞を作製するには、ex vivo拡大中のCARシグナル伝達の薬理学的阻害で十分である。
【0500】
次に、本発明者らは、持続するCD7陰性PI CAR T細胞が、ゲノム編集によってCD7遺伝子の発現が破壊された対照CD7 CAR T細胞とは転写的に異なるかどうかを調べた。FFlucを共発現するCD7非編集CD7 CAR T細胞と編集CD7 CAR T細胞を作製し、イブルチニブとダサチニブの存在下で両タイプのCAR T細胞を増殖させた。これらのCAR T細胞を、3日前にJurkat T-ALLを接種したNSGマウスに注射した。CAR T細胞は担癌マウスで9週間まで増殖させた。その後、ヒトT細胞をマウス脾臓から精製し、短期間のin vitroでの増殖後、RNA-seqを用いて転写プロファイルを解析した。教師なし階層的クラスタリング解析により、CD7非編集CD7 CAR T細胞とCD7編集CD7 CAR T細胞は転写的に非常に類似していることが明らかになった(
図8E)。トランスクリプトームの類似性は
図8Fでも観察され、CD7非編集CD7 CAR T細胞とCD7編集CD7 CAR T細胞の2つのトランスクリプトームは非常に有意な相関を示している(R2=0.97;p < 2e-16)。細胞内で検出された20,000近くの遺伝子のうち、102だけが2倍の発現差を示した(p < 0.05)(
図8F)。これらの結果は、いくつかの実施形態において、フラトリシド耐性PI CAR T細胞はCD7発現を欠き、長期間持続し、CD7編集CD7 CAR T細胞と転写的に類似していることを示している。
【0501】
5.T-ALL患者に対する機能的自己PI CAR T細胞のcGMP製造
CAR駆動型殺夾雑(FRATRICIDE)の薬理学的阻害は、遺伝子工学を追加することなく、機能的CD7 CAR T細胞をcGMPに準拠して製造する簡便な方法を提供する。しかし、治療抵抗性の白血病やリンパ腫の患者において、リンパ毒性化学療法を複数回受けると、サブセットの構成や正常な循環T細胞の増殖能が変化することが多いため10、cGMPに準拠した方法で、これらの患者に対して機能的な編集前のCD7 CAR T細胞を製造することの実現可能性を評価することが重要である。
【0502】
出発細胞材料中の殺夾雑(FRATRICIDE)耐性CD7陰性T細胞の頻度を評価するために、CD7+T細胞悪性腫瘍を有する9人の患者のPBMCを分析した。これらの患者のPBMCにおいて、CD7陰性T細胞はCD4+ T細胞の平均9.52%、CD8+ T細胞の平均3.38%を構成していた(
図9A)。これらのデータ及び/又は、上述の前臨床結果に基づいて、難治性又は再発性のT細胞悪性腫瘍患者を対象とした、自家未編集CD7 CAR T細胞の第I相臨床試験が開始された(CRIMSON-NE、NCT03690011)。cGMPに準拠したPI CAR T細胞の製造方法が開発され、試験プロトコールに登録された成人患者からCAR T細胞製品を作製することで検証された。再治療困難なT-ALL患者3人からPBMCを入手し、cGMP施設で処理し、イブルチニブ存在下でプレート結合CD3特異的抗体及びCD28特異的抗体で刺激した。日後、T細胞は臨床グレードのCD7 CARガンマレトロウイルスベクターで形質導入され、イブルチニブ、ダサチニブ、IL-7、IL-15の存在下で増殖した。
【0503】
PI CAR T細胞の頑健な拡大は、3つの患者産物すべてで観察され、導入後4日間で平均78.8倍に拡大した(
図9B)。拡大が終了した時点で、CAR T細胞を計数し、凍結保存した。凍結保存したCD7 CAR T細胞の平均生存率は、フローサイトメトリーで測定したところ94.7%であった(
図9C)。CD7 CARは3つの産物すべてにおいて高度に発現され(平均導入効率95.3%、
図9D)、導入されたT細胞あたりの平均ベクターコピー数は2.83であった(
図9E)。CD7 CAR T細胞の平均細胞傷害性は、Jurkat T-ALL細胞との24時間共培養アッセイにおいて、エフェクター対ターゲットの比率を1:2として測定したところ、90.0%であった(
図9F)。フローサイトメトリーによる最終産物には残存T-ALL芽球は検出されず(データは示さず)、3株すべてが放出基準を満たした。
【0504】
実施例3
編集されていないCD2 CAR T細胞は殺夾雑(FRATRICIDE)に対する耐性を獲得し、in vitroで腫瘍を根絶やしにする
同様のアプローチをCD5及びCD7以外の抗原にも拡張できるかどうかを評価するために、本発明者らは、CD2 CARのガンマレトロウイルス導入によりCD2 CAR T細胞を作製し、CD5及びCD7 CAR T細胞について上述したように、イブルチニブ及びダサチニブの存在下でCD2 CAR T細胞を増殖させた。得られたCD2 CAR T細胞は正常な増殖を示し、細胞表面にCD2発現を保持し(
図10B)、CD2+ T細胞株Jurkatに対して強固な細胞傷害性を示した(
図10A)。したがって、本明細書に記載の方法は、CD5及びCD7に加えて、夾雑抗原を標的とするCAR T細胞を作製するために普遍的に適用することができる。
【0505】
実施例4
例示的方法
ドナー及び細胞株。末梢血単核球(PBMC)は、健常ボランティア及びT細胞性血液悪性腫瘍患者から得た。Jurkat、クローンE6-1(急性T細胞白血病細胞株)及びCCRF-CEM(急性T細胞リンパ芽球性白血病細胞株)は、American Type Culture Collection(Rockville,MD)から入手した。Jurkat細胞とCCRF-CEM細胞は、10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)(GIBCO(商標)BRL LIFE TECHNOLOGIES(商標))と2mM L-GLUTAMAX(商標)(GIBCO(商標)BRL LIFE TECHNOLOGIES(商標))を含むRPMI-1640培地(GIBCO(商標)BRL LIFE TECHNOLOGIES(商標),Inc.)細胞は、5%の二酸化炭素(CO2)を含む加湿雰囲気下、37℃で維持した。全ての細胞株は、定期的にマイコプラズマの検査を受けている。
【0506】
レトロウイルス構築物の作製とレトロウイルス産生。CD7を標的とする第二世代のCAR構築物は、我々の研究室によって以前に報告されている2,17。簡単に言えば、CAR構築物はscFvドメイン(クローン3A1e)に続き、IgG由来のヒンジとCH3スペーサー、CD28膜貫通/コスティミュレイトリー及びCD3 シグナル伝達ドメインで構成されている。γ-レトロウイルスベクターとレトロウイルス上清は、以前に記載されたように作製した33。
【0507】
CAR改変T細胞及び遺伝子改変細胞株の作製。活性化T細胞を得るために、1x106個のPBMCを、500μLのOKT3抗体(1mg/mL;Ortho Biotech,Inc.,Bridgewater,NJ)及び抗CD28(1mg/mL;BD(商標)Biosciences,San Jose,CA)抗体でプレコートした非組織培養処理24ウェルプレートの各ウェルにプレーティングした。細胞は、45%RPMI-1640培地、45%Click’s培地(Irvine Scientific)、10%FBS、2mM L-GLUTAMAX(商標)を含む完全CTL培地で培養した。IL-7(10ng/mL)とIL-15(10ng/mL)は翌日に添加した。CD7編集CD7 CAR T細胞を作製するために、CD7遺伝子はCRISPR/Cas9システムを用いて2日目に破壊された。CD7 CAR導入は5日目に行い、レトロウイルス上清を、組換えフィブロネクチン断片(FN CH-296;RETRONECTIN(商標);タカラバイオ株式会社、大津市、日本)をプレコートした非組織培養処理24ウェルプレートにプレーティングし、2000gで90分間遠心した。上清を除去した後、OKT3/CD28で活性化したPBMCを、IL-7/IL-15を添加した完全CTL培地に最終濃度0.1×106/mLで再懸濁し、細胞懸濁液2mLを各ウイルス負荷ウェルに添加し、その後1000gで10分間スピンした後、37℃、5%CO2インキュベーターに移した。薬理学的阻害剤の存在下で編集していないCD7 CAR T細胞を作製した条件では、0日目にイブルチニブ(200 nM;Selleckchem,Catalog# S2680)を添加し、導入当日にダサチニブ(200nM;Selleckchem,Catalog# S1021)とイブルチニブ(200nM)の混合物を添加した。CD7 CAR及びGFP/FFLuc共導入T細胞の作製のために、GFP/FFLuc導入、CD7ノックアウト及びCD7 CAR導入は、それぞれ初回刺激後2日目、3日目及び6日目に行った。形質転換された細胞は、サイトカイン、ダサチニブ(200nM)及びイブルチニブ(200nM)を必要に応じて補充したCTL培地を定期的に交換しながら、組織培養処理したプレートに移し、維持し、2-3日ごとに継代した。GFP/FFLucを過剰発現する腫瘍細胞株を作製するため、セルソーター(SH800S、Sony Biotechnology、カリフォルニア州サンノゼ)を用いてGFP陽性画分を単離した。
【0508】
フローサイトメトリー。細胞を4℃で20分間、フルオロクロム標識抗体で染色した。全てのサンプルはGallios Flow Cytometer(BECKMAN COULTER(商標)Life Sciences,Indianapolis,IN)又はFACSCANTO(商標)(BD(登録商標)Bioscience)で取得し、データはKaluza 2.1 Flow Analysis Software(BECKMAN COULTER Life Sciences)又はFLOWJO(商標)(BD(登録商標)Biosciences)を用いて解析した。本試験で使用した抗体を以下に示す:ALEXA FLUOR(商標)647 AFFINIPURE(商標)Goat Anti-Human IgG,Fcγフラグメント特異的(Cat# 109-605-098,Jackson ImmunoResearch,West Grove,PA)、CCR7-FITC(クローン 150503,Cat# 561271,BD(商標)Biosciences)、CD3-PerCP(クローン SK7,Cat# 347344,BD(登録商標)Biosciences)、CD45-PE(クローン HI30、CD3-PerCP(クローン SK7、Cat# 347344、BD(登録商標)Biosciences)、CD8-PerCP(クローン SK1、Cat# 347314、BD(登録商標)Biosciences)、CD3-APC-A750(クローン UCHT1、Cat# A66329、BECKMAN COULTER(商標)Life Sciences)、CD45RA-APC-A750(クローン 2H4LDH11LDB9(2H4)、Cat# A86050、BECKMAN COULTER(商標)Life Sciences)、CD4-KrO(クローン 13B8.2、Cat# A96417、BECKMAN COULTER(商標)Life Sciences)、CD8-PB(クローン B9.11、Cat# A82791、BECKMAN COULTER(登録商標)Life Sciences)、CD7-PC7(クローンCD7-6B7、Cat# 343114、BIOLEGEND(登録商標)、カリフォルニア州サンディエゴ)、CD7-PE(クローンCD7-6B7、Cat# 343106、BIOLEGEND(登録商標))、HLA-A2-PB(クローンBB7.2、Cat# 343312、BIOLEGEND(登録商標))。
【0509】
共培養実験。共培養実験では、解凍したばかりの10,000個のCAR(+)細胞と40,000個のGFP(+)標的細胞株を、96ウェル平底ウェルプレートの1ウェル中200μLで共培養した。0日目、1日目、3日目に細胞を回収し、フローサイトメトリーで解析した。フローサイトメトリーで細胞数を定量するために、10μL/サンプルのCOUNTBRIGHT(商標)Absolute Counting Beads(THERMO FISHER SCIENTIFIC(登録商標)、INVITROGEN(登録商標)、Grand Island、NY)を加え、死細胞を除くために7-AAD(BD(登録商標)Biosciences)を加えた。2000個のビーズで採取を中止した。結果は、各時点におけるコントロール条件(NT細胞+標的細胞)の細胞数を基準にして、正規化した細胞数として報告した。
【0510】
in vivoモデル。NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJマウス(NSGマウス、ストック番号005557)とNOD.Cg-Prkdcscid H2-K1tm1Bpe H2-Ab1em1Mvw H2-D1tm1Bpe Il2rgtm1Wjl/SzJ(NSG-MHC I/II DKOマウス、ストック番号025216)のブリーダーペアをJackson Laboratoryから購入し、繁殖させた。実験には雌雄の同腹子(8~12週齢)を用いた。CD7 CAR T細胞のin vivo抗腫瘍効果を評価するため、100万個のJurkat-GFP/FFLuc細胞を静脈内注射により各NSGマウスに移植した。3日後、解凍したばかりの2×106個のCD7 CAR T細胞を静脈注射した。T細胞の拡大及び持続性を追跡するために、Jurkat細胞(1×106個/匹)又はCCRF-CEM細胞(0.5×106個/匹)をNSG又はNSG-MHC I/II DKOマウスに静脈注射し、3日後に解凍したばかりのGFP/FFlucで標識したCD7 CAR T細胞を注射した(Jurkatモデルでは2×106個のCAR+細胞、CCRF-CEMモデルでは3×106個のCAR+細胞)。腫瘍細胞の増殖又はT細胞の増殖/持続性は、D-ルシフェリン(30mg/mL,PERKINELMER(登録商標)Inc.,Waltham,MA)を100μLマウスに腹腔内注射した後、IVIS(登録商標)Lumina IIイメージングシステム(Caliper Life Sciences,Inc.、マサチューセッツ州ホプキントン)を用いて生物発光イメージングを行い、LIVING IMAGE(登録商標)ソフトウェア(Caliper Life Sciences,Inc.)で解析することにより評価した。マウス末梢血中の腫瘍細胞とT細胞を定量するため、尾静脈出血で得た血液50μLをCD3、CD4、CD7、CD8、CD45、HLA-A2で染色し、赤血球溶解用緩衝液(BIOLEGEND(登録商標))で処理して赤血球を溶解した。CD45(+)CD3(+)HLA-A2(+)細胞(注入T細胞)及びCD45(+)CD3(+)HLA-A2(-)細胞(腫瘍細胞)を、COUNTBRIGHT(商標)Absolute Counting Beads(THERMO FISHER SCIENTIFIC(登録商標))を用いたフローサイトメーターで計数した。T細胞上のCAR発現を評価するため、マウス末梢血をまずRBC Lysis Bufferで処理し、抗Fc抗体で染色した後、洗浄し、CD3、CD4、CD7、CD8、CD45、HLA-A2で染色した。
【0511】
ウェスタンブロットと定量的PCR。CD7 CAR T細胞におけるCD7タンパク質及びmRNAレベルをin vivoで評価するために、潰した脾臓サンプルをRBC Lysis Bufferで処理することにより、ヒトT細胞をマウスの脾臓から抽出した。採取した細胞をIL-7とIL-15で2-4週間in vitro培養した後、総タンパク質又は総RNAを抽出した。タンパク質/全RNA抽出時、全サンプルにおいて95%以上の細胞がCD45、CD3、HLA-A2(注入T細胞)陽性であった。ウエスタンブロットでは、細胞溶解液をMINI-PROTEAN(商標)Tetra Cell(BIO-RAD(商標),Hercules,CA)で分析し、ニトロセルロースに湿式転写した。ブロットを抗CD7抗体(Clone:EPR4242,Cat# ab109296,ABCAM(商標),Waltham,MA)と抗GAPDH抗体(Clone:6C5,Cat# sc-32233,SANTA CRUZ BIOTECHNOLOGY(登録商標),Dallas,TX)に続き、ヤギ抗マウスIRDye 680RD(Cat# 925-68070,LI-COR(登録商標)Biosciences,Lincoln,NE)、ヤギ抗ウサギIRDye 800CW(Cat# 925-32211,LI-COR(登録商標)Biosciences)を用いた。ブロットの現像にはLI-COR(登録商標)Odyssey(登録商標)CLx(LI-COR(登録商標)Biosciences)を用いた。CD7 mRNAの定量的PCRには、RNeasyキット(QIAGEN(登録商標),Germantown,MD)を用いて全RNAを抽出し、SUPERSCRIPT(登録商標)III(THERMO FISHER SCIENTIFIC(登録商標),INVITROGEN(登録商標))を用いて相補的DNAを作成した。定量的 PCRは ITAQ(商標)Universal SYBR(登録商標)Green Supermix(BIO-RAD(登録商標)) を用いて CFX85 Real-Time システム(BIO-RAD(登録商標))で行った。使用したプライマー配列を以下に示す:ACTB forward;5’-AGAGCTACGAGCTGCCTGAC-3’、ACTB Reverse;5’-GATGCCACAGGACTCCA-3’、CD7 Forward;5’-CCAGGACAACCTGACTATCACC-3’、CD7 Reverse;5’-AGCATCTGTGCCATCCTTG-3’。
【0512】
RNA配列決定とデータ解析。上記の定量的PCR用の全RNAサンプルをさらにRNase-Free DNase(QIAGEN(登録商標),Germantown,MD)で処理し、汚染ゲノムDNAを除去した。mRNAライブラリー調製と次世代シーケンシングはILLUMINA(登録商標)NOVASEQ(商標)6000(リード長:100bpペアエンド、サンプルあたりのリード数:2000万)を用いて行った。
【0513】
RNA-seqリードを、STARバージョン2.7.9aを用いて、ヒトゲノム(GRCh38、一次アセンブリー)及びトランスクリプトーム(Gencodeバージョン38一次アセンブリー遺伝子アノテーション)にアライメントした。STARアライメントには以下の非標準パラメータを使用した;-outFilterMultimapNmax 1 -outSAMstrandField intronMotif -outFilterType BySJout -alignSJoverhangMin 8 -alignSJDBoverhangMin 3 -alignEndsType EndToEnd。一意にアラインメントされたリードのみが遺伝子発現差解析のために保持された。個々の遺伝子発現は、featureCounts version 1.5.0-pを用いて、アライメントと同じアノテーションの遺伝子上のリードをカウントすることで求めた。遺伝子発現の差分解析は、DESeq2を用いて行った。有意に制御された遺伝子は、|log2FC|>1及びFDR<0.05を持つ遺伝子として定義された。教師なしクラスタリングヒートマップはユークリッドクラスタリングを用いて作成した。
【0514】
T細胞悪性腫瘍患者に対する未編集CD7 CAR T細胞のcGMP製造。自己CD7 CAR T細胞は、CRIMSON-NE試験に登録された患者からcGMP施設で、上記の研究グレードの工程に酷似した製造方法を用いて製造された。簡単に説明すると、CD7+ T細胞悪性腫瘍患者から採取した新鮮な解凍PBMCを、200nMのイブルチニブ存在下、抗CD3/抗CD28抗体でコートしたT75フラスコにプレーティングした。日後、T細胞を回収し、計数し、RETRONECTIN(商標)コートフラスコを用いてCD7 CARをコードする臨床グレードのガンマレトロウイルスベクターで形質導入した。導入直後、ダサチニブを組換えIL-7(5ng/mL)とIL-15(5ng/mL)とともに最終濃度500nMになるように添加した。翌日、細胞をG-Rex培養装置に移し、イブルチニブ、ダサチニブ、IL-7/IL-15サイトカインを添加した新鮮培地でさらに3日間増殖させた。導入後4日目にT細胞を回収、計数し、FDA承認のcGMP SOPに従って凍結保存した。CARの発現と悪性T細胞の存在は、各製品についてフローサイトメトリーで測定した。CD7 CAR T細胞製剤の効力は、ホタルルシフェラーゼを発現するように改変したCD7+Jurkat T-ALL細胞と共培養し、D-ルシフェリン添加時の発光を測定して残存腫瘍細胞を定量することにより評価した。T細胞あたりの平均ガンマレトロウイルスベクターコピー数は、CAR配列に特異的なTAQMAN(商標)プライマーを用いたqPCRにより定量された。
【0515】
統計解析。統計解析は、GRAPHPAD PRISM(登録商標) 7 software(GRAPHPAD(商標) Software,Inc.,La Jolla,CA)を用いて行った。各実験で用いられた統計検定は、図中の凡例に記載されている。
【0516】
本明細書で開示され、特許請求される方法の全ては、本開示に照らして過度の実験を行うことなく製造及び実行することができる。本開示の組成物及び方法は、好ましい実施形態の観点から記載されてきたが、当業者には、本開示の概念、精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される方法の工程又は工程の順序において、方法に変形が適用され得ることが明らかであろう。より具体的には、化学的及び生理学的に関連する特定の薬剤を、本明細書に記載される薬剤の代わりに用いても、同じ又は類似の結果が得られることは明らかであろう。当業者に明らかなそのような類似の代替物及び改変はすべて、本明細書に記載された薬剤と同じ又は類似の結果が達成されるものとみなされる。
【0517】
(参考文献)
以下の参考文献は、それらが本明細書に記載されたものを補足する例示的な手順又は他の詳細を提供する限りにおいて、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
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【配列表】
【国際調査報告】