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  • 特表-方法及び車両 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】方法及び車両
(51)【国際特許分類】
   H04W 12/08 20210101AFI20240327BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20240327BHJP
   H04W 12/63 20210101ALI20240327BHJP
   H04W 4/40 20180101ALI20240327BHJP
   B60R 25/31 20130101ALI20240327BHJP
【FI】
H04W12/08
H04W84/10 110
H04W12/63
H04W4/40
B60R25/31
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564666
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2022053311
(87)【国際公開番号】W WO2022223166
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】102021002165.7
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モッツル オズグル
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE25
5K067JJ51
(57)【要約】
本発明は、車両(1)の車室(3)にアクセスするための複数の場所(2)のうちの少なくとも1つの場所をユーザ(4)に解放するための方法に関し、この方法によれば、車両(1)の(第1の)監視装置(5)を用いて、車両(1)を直接的に包囲する内側ゾーン(B)に隣接する(第1の)外側ゾーン(A1)内にユーザ(4)が位置することが判明した場合に、車両(1)に対する相対的なユーザ(4)の現在位置を特定するように、(第1の)外側ゾーン(A1)を監視し、監視によってユーザ(4)が(第1の)外側ゾーン(A1)から内側ゾーン(B)に移動したことが判明した場合に、ユーザ(4)が内側ゾーン(B)内に位置するときのみ車両(1)に対する相対的なユーザ(4)の現在位置を特定するように、内側ゾーン(B)をセンシングする車両(1)の近距離監視装置(6)が有効化し、監視によってユーザ(4)が内側ゾーン(B)内に位置することが判明した後に、車両(1)の車室(3)にアクセスするための複数の場所(2)のうちの少なくとも1つの場所をユーザ(4)に解放する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)の車室(3)にアクセスするための複数の場所(2)のうちの少なくとも1つの場所をユーザ(4)に解放するための方法であって、
-前記車両(1)の(第1の)監視装置(5)を用いて、前記車両(1)を直接的に包囲する内側ゾーン(B)に隣接する(第1の)外側ゾーン(A1)内に前記ユーザ(4)が位置することが判明した場合に、前記車両(1)に対する相対的な前記ユーザ(4)の現在位置を特定するように、前記(第1の)外側ゾーン(A1)を監視し、
-前記監視によって、前記ユーザ(4)が前記(第1の)外側ゾーン(A1)から前記内側ゾーン(B)に移動したことが判明した場合に、前記ユーザ(4)が前記内側ゾーン(B)内に位置するときにのみ前記車両(1)に対する相対的な前記ユーザ(4)の前記現在位置を特定するように、前記内側ゾーン(B)をセンシングする前記車両(1)の近距離監視装置(6)を有効化し、前記監視によって前記ユーザ(4)が前記内側ゾーン(B)内に位置することが判明した後に、前記車両(1)の前記車室(3)にアクセスするための前記複数の場所(2)のうちの少なくとも1つの場所を前記ユーザ(4)に解放する
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記近距離監視装置(B)は、前記ユーザ(4)の前記現在位置を反映するセンサデータを生成し、前記センサデータに基づいて、前記ユーザ(4)の動きの継続を予測するために、前記ユーザ(4)の軌跡(T)を算出する
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記軌跡(T)に基づいて、前記ユーザ(4)が利用しようとしている確率が最も高いのは前記車両(1)のどのアクセスの場所(2)であるかを推定し、当該アクセスの場所(2)を解放する
ことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記近距離監視装置(6)は、少なくとも1つの超音波センサ(7)、好ましくは2つ以上の超音波センサ(7)、又は1つ以上の車両カメラを備える
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
-前記第1の外側ゾーン(A1)は第2の外側ゾーン(A2)によって包囲されており、前記第1の外側ゾーン(A1)は、前記第2の外側ゾーン(A2)との関係で内側ゾーン(B)として機能し、
-前記車両(1)の第2の監視装置(8)を用いて、前記ユーザ(4)が前記第2の外側ゾーン(A2)内に位置する場合に、前記車両(1)に対する相対的な前記ユーザ(4)の前記現在位置を特定するように、前記第2の外側ゾーン(A2)を監視する、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記(第1の又は/及び第2の)監視装置(5、8)は、前記ユーザ(4)の識別情報送信部(9)から無線により送出される(第1の又は/及び第2の)通信信号を無線により受信する受信部を備える
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
-前記第1の通信信号は、「Bluetooth low energy」規格に基づき、又は/及び、
-前記第2の通信信号は、「Ultra-Wide-Band」規格に基づく
ことを特徴とする、請求項5及び6に記載の方法。
【請求項8】
前記(第1の又は/及び第2の)外側ゾーン(A1、A2)内の前記ユーザ(4)の前記現在位置を、前記(第1の又は/及び第2の)通信信号の受信電界強度を用いて特定する
ことを特徴とする、先行する請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記内側ゾーン(B)内での前記ユーザ(4)の前記現在位置の前記特定の精度は、前記(第1の又は/及び第2の)外側ゾーン(A1、A2)内での精度よりも高い
ことを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
-前記車両(1)を直接的に包囲する内側ゾーン(B)をセンシングする近距離監視装置(6)と、
-前記内側ゾーン(B)に隣接する外側ゾーン(A1)を監視する(第1の)監視装置(5)と、を備え、
-前記車両(1)は、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法が備えられている
ことを特徴とする、車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車室にアクセスするための複数の場所のうちの少なくとも1つの場所をユーザに解放するための方法に関する。本発明は更に、当該方法が装備された車両に関する。
【背景技術】
【0002】
以前より、車両の施錠装置と物理的に相互作用する鍵が無くても、車両の車室にアクセスするための複数の場所(アクセスポイント,出入口)のうちの少なくとも1つをユーザに解放することができる方法が使用されている。
【0003】
例えば、US2020/0314651A1は、「Bluetooth(登録商標) Low Energy」規格に基づく第1の通信信号の到達範囲と、Ultra Wide Band規格に基づく第2の通信信号の到達範囲との、異なる到達範囲が利用される方法を開示している。この方法では、第1の通信信号の到達範囲及び第2の通信信号の到達範囲が、第1の通信信号及び第2の通信信号を送出する識別情報送信部と第1の通信信号及び第2の通信信号を受信する車両のアクセスポイントのうちの1つとの距離が決定されるゾーンを、規定する。この距離決定に基づき、識別情報送信部が車両の各アクセスポイントに移動する確率が決定される。いずれの通信信号も、識別情報送信部と車両との間で継続的に伝送される。
【0004】
DE102016008388A1からは、更に、電子車両鍵と通信信号を受信する車両との間の距離を決定するために、電子車両鍵から送出される無線通信信号のいわゆるRSSIレベルを評価することが公知である。
【0005】
更には、DE102018005763A1からは、いわゆる「低周波ポーリング」を介して、個々のアンテナまでの識別情報送信部との距離を決定して、その距離から識別情報送信部の移動軌跡を決定するために、車両の複数の超広帯域(Ultra-Wide-Band)アンテナを用いて放射される通信信号の低周波成分を利用することが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0314651(A1)号
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第102016008388(A1)号
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第102018005763(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これらの従来の方法は欠点を含む。これらの方法では、障害の無い実施を保証できないことが多い。むしろ、電気式の識別情報送信部と車両との間のコネクションの切断が頻繁に発生し、その結果、識別情報送信部を携帯している車両のユーザを煩わせるエラー通知が供給される可能性がある。さらに、識別情報送信部と車両との間の通信コネクションが失われて、通信コネクションを改めて確立しなければならない場合には、ユーザにとって望まない待機時間が生じる可能性がある。
【0008】
従って、本発明の課題は、特に上述の欠点を解消するために、車両の車室にアクセスするための複数の場所のうちの少なくとも1つの場所をユーザに解放するための方法、並びにその種の方法を実行するように装備された車両のための新たな方式を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明の基本的な着想は、車両をシェル状に包囲する複数のゾーンを、それぞれが異なる動作原理又は規格を基礎としている、車両の異なる監視装置でもって監視することである。複数の監視装置を用いて、複数のゾーン内で車両のユーザの位置が監視され、その際、車両に対して外側に位置する外側ゾーン内での位置特定は、外側ゾーンに隣接し車両側に位置する内側ゾーンのための監視装置を有効化(アクティブ化)するために利用される。
【0010】
従って有利には、車両の種々の監視装置のセンサデータ又は通信信号の融合を実現することができ、このことは、ユーザの位置特定の精度及び速度を向上させる。更に、ユーザが外側ゾーンから内側ゾーンに移る際に、中断を含まずに位置特定を行うことができるので、外側ゾーンから内側ゾーンに移動する際、ユーザにとって望まない待機時間を回避することができる。つまり、ユーザの位置を中断無く監視することができる。
【0011】
本発明による方法は、車両の車室にアクセスするための複数の場所のうちの少なくとも1つの場所をユーザに解放するために用いられる。ここでの「解放」とは、特に、該当する場所を閉鎖している車両ドアの開錠又は自動的な開放を意味していてもよい。本方法によれば、車両の(第1の)監視装置を用いて、車両を直接的に包囲する内側ゾーンに隣接する(第1の)外側ゾーン内にユーザが位置することが判明した場合に、車両に対する相対的なユーザの現在位置を特定するように、(第1の)外側ゾーンを監視する。本方法によれば、更に、監視によって、ユーザが(第1の)外側ゾーンから内側ゾーンに移動したことが判明した場合に、ユーザが内側ゾーン内に位置するときのみ車両に対する相対的なユーザの現在位置を特定するように、内側ゾーンをセンシング(走査,スキャンニング)する車両の近距離監視装置を有効化する。この場合、監視によってユーザが内側ゾーン内に位置することが判明した後に、車両の車室にアクセスするための複数の場所のうちの少なくとも1つの場所をユーザに解放する。上記において既に説明したように、本方法により、非常に正確且つ高速にユーザの現在位置を特定することが可能になる。更に、本方法を用いて、車両に対する相対的なユーザの現在位置を中断無く監視することができる。
【0012】
本方法の有利な発展形態によれば、近距離監視装置が、ユーザの現在位置を反映するセンサデータを生成し、そのセンサデータに基づいて、ユーザの動きの継続を予測するために、ユーザの軌跡が算出される。このことは、ユーザが実際に車両に到達する前に、車両において種々の措置を講じることを可能にする。
【0013】
好適には、算出された軌跡に基づいて、ユーザが利用しようとしている確率が最も高いのは車両のどのアクセスの場所であるかを推定し、該当するアクセスの場所を正確に解放する。即ち、ユーザがほぼ間違いなく利用するであろう場所のみが解放され、その際に、車両のその他のアクセスするための場所は解放されないので、このことはセキュリティ技術上、有利である。
【0014】
本方法の更に好適な発展形態では、近距離監視装置が、少なくとも1つの超音波センサ、望ましくは複数の超音波センサを備える。その種の超音波センサは、駐車補助のために車両にいずれにせよ設置されていることが多いので、この既に設置されている超音波センサに付加的な機能内容が割り当てられる。
【0015】
代替的に、1つ以上の車両カメラを近距離監視装置のために使用することができる。
【0016】
別の代替形態では、外側ゾーン及び内側ゾーンの両方を1つ以上の車両カメラでもって監視することができる。
【0017】
本方法の更に好適な発展形態では、第1の外側ゾーンが、第2の外側ゾーンによって包囲されており、この場合、第1の外側ゾーンは、第2の外側ゾーンとの関係で内側ゾーンとして機能する。車両の第2の監視装置を用いて、ユーザが第2の外側ゾーン内に位置する場合に、車両に対する相対的なユーザの現在位置を特定するように、第2の外側ゾーンを監視する。従って、本方法を用いてユーザの現在位置を監視できる監視半径を拡大することができる。同様にして、さらなる付加的な外側ゾーンを、第2の外側ゾーンの車両からみて外側に隣接させることができると解され、これによって、監視半径を更に拡大することができる。
【0018】
好適には、(第1の又は/及び第2の)監視装置が、ユーザの識別情報送信部から無線により送出される(第1の又は/及び第2の)通信信号を無線により受信する受信部を備える。有利には、識別情報送信部は、ユーザが車両にアクセスする権限を有していることを識別し、ユーザがアクセスする権限を有している場合にのみ、本方法において複数の場所のうちの少なくとも1つの場所が解放されることを保証することができる。
【0019】
好適には、第1の通信信号が、Bluetooth-Low-Energy規格に基づく。代替的又は付加的に、第2の通信信号が、Ultra-Wide-Band規格に基づく。その種の周知の通信規格は、本方法の実施を容易にする。
【0020】
本方法の更に有利な発展形態では、(第1の又は/及び第2の)外側ゾーン内のユーザの現在位置が、(第1の又は/及び第2の)通信信号の受信電界強度を用いて特定される。これによって、ユーザの現在位置を非常に正確且つ高速に特定することが可能になる。
【0021】
本方法の更に好適な発展形態によれば、内側ゾーン内でのユーザの現在位置の特定の精度は、(第1の又は/及び第2の)外側ゾーン内での精度よりも高い。従って、ユーザの位置が車両に近ければ近いほど、ユーザの現在位置をより正確に特定することができる。これによって、本方法の非常に効率的な実施が可能となる。
【0022】
更に、本発明は、車両を直接的に包囲する内側ゾーンをセンシングする近距離監視装置を備えた車両に関する。車両は、更に、内側ゾーンに隣接する外側ゾーンを監視する(第1の)監視装置を備える。この場合、車両は、本発明による方法を実施するように適合されているので、本発明による方法の上述の利点は、本発明による車両にも該当する。
【0023】
本発明の更に重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面、及び図面の説明から明らかになる。
【0024】
上記に挙げた特徴、及び以下において更に説明する特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ示された組み合わせにおいてのみ使用されるのではなく、他の組み合わせにおいても又は単独でも使用可能であると解されたい。
【0025】
本発明の好適な実施形態を図面に図示し、下記においてより詳細に説明するが、同一の参照符号は、同一若しくは類似の、又は機能的に同一の構成部材を表す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による方法に適合されている、平面図で表した本発明による車両の一例を示す。
図2】本発明による方法の一例を実施する際の、同様に平面図で表した図1の車両を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1には、本発明による車両1の一例が平面図で図示されている。車両1は、車両1を直接的に包囲する内側ゾーンBを監視する近距離監視装置6を備える。車両1は、更に、外側ゾーンA1を監視する第1の監視装置5を備える。外側ゾーンA1は、車両1の外側方向において内側ゾーンBに隣接する。この場合、車両1には、車両1の車室3にアクセスするための複数の場所2のうちの少なくとも1つの場所を、図1には示していないユーザ4に解放するための本発明による方法が備えられている。
【0028】
図2においては、図1の例が、同様に平面図で示されており、しかも本発明による方法の実施中の例が示されている。従って、図1及び図2を参照することで、本発明による方法を理解することができる。本方法によれば、車両1を直接的に包囲する内側ゾーンBに隣接する第1の外側ゾーンA1が、車両1の第1の監視装置5を用いて監視される。第1の監視装置5を用いて、第1の外側ゾーンA1内にユーザ4が位置することが判明した場合に、車両1に対する相対的なユーザ4の現在位置を特定するように、第1の外側ゾーンA1を監視する。本方法によれば、更に、監視によって、ユーザ4が第1の外側ゾーンA1から内側ゾーンBに移動したことが判明した場合に、内側ゾーンBをセンシングする車両1の近距離監視装置6が有効化される。従って、ユーザ4が内側ゾーンB内に位置するときに限り、近距離監視装置6が、車両1に対する相対的なユーザ4の現在位置が特定する。この場合、本方法によれば、監視によってユーザ4が内側ゾーンB内に位置することが判明した後に、車両1の車室3にアクセスするための複数の場所2のうちの少なくとも1つの場所をユーザ4に解放する。
【0029】
図2からは、近距離監視装置Bが、ユーザ4の現在位置を反映するセンサデータを生成することがわかる。このセンサデータを用いて、ユーザ4の動きの継続を予測するために、ユーザ4の軌跡Tが算出される。このために、監視の結果として追跡されたユーザ4のこれまでの移動を使用することができる。必要に応じて、ユーザ4の機械学習された行動パターンを、ユーザ4の動きの継続を予測するために付加的に考慮することができる。そのような行動パターンを用いて、例えば、ユーザ4が車両1のどの場所2を特に頻繁に利用しているか、又は車両1の複数の場所2がどの順序で特に頻繁に利用されるかを考慮することができる。
【0030】
本方法によれば、軌跡Tに基づいて、ユーザ4が利用しようとしている確率が最も高いのは車両1のどのアクセスの場所2であるかを推定することができる。本方法によれば、正確にそのアクセスの場所2が解放される。この場合において、「解放」という用語は、該当する場所2を閉鎖している車両ドアの解錠を意味してもよい。必要に応じて、場所2を解放するために、この場所2を閉鎖している車両ドアが自動的に開放されてもよい。
【0031】
図1及び図2によれば、車両1の近距離監視装置6は、少なくとも1つの超音波センサ7を備える。図1及び図2の車両1では、6つの超音波センサ7が設けられており、それらの超音波センサ7を車両2のアクセスの場所2に1つずつ対応付けることができる。代替的又は付加的に、近距離監視装置6は、別の動作原理を基礎とする他のセンサを備えてもよいと解される。例えば、近距離監視装置6が少なくとも1つの車両カメラを備えることも考えられる。
【0032】
1つ以上の車両カメラの場合、いわゆるサラウンドビジョンカメラ(SVC:Surround Vision Cameras)を使用することができる。自動車にSVC(360度パークカメラ)を設置すると、適切な識別プログラムを用いて視線方向を識別することができる。利用者は解錠領域内に居る必要があるだけでなく、車両の方向を向いている必要がある。識別は、コンピュータビジョンに基づいた視線識別によって実現される。利用者は、ドアを開閉するために手を動かす必要はない。利用者は、相応の領域に居て、ドア又は車両の方向を見て、短時間(約400ms)待機するだけでよい。
【0033】
図2に基づいて理解できるように、第1の外側ゾーンA1は、例えば第2の外側ゾーンA2によって包囲されている。この場合、第1の外側ゾーンA1は第2の外側ゾーンA2との関係で内側ゾーンBとして機能する。車両1の第2の監視装置8を用いて、ユーザ4が第2の外側ゾーンA2内に位置する場合に、車両1に対する相対的なユーザ4の現在位置を特定するように、第2の外側ゾーンA2を監視する。この場合、第2の監視装置8を用いた監視によって、ユーザ4が第2の外側ゾーンA2から第1の内側ゾーンA1に移動したことが判明した場合には、第1の監視装置5を有効化することができ、ここで、第1の内側ゾーンA1は、第2の外側ゾーンA2との関係で、内側ゾーンBとして機能する。従って、車両1に対する相対的なユーザ4の現在位置は、ユーザ4が第1の外側ゾーンA1又は内側ゾーンB又は内側ゾーンB内に位置している場合にのみ、第1の監視装置5によって特定される。
【0034】
図1及び図2は、更に、第1の監視装置5、並びに代替的又は付加的な第2の監視装置8が、第1の通信信号又は第2の通信信号を無線により受信する受信部を備えることを示している。この第1の通信信号又は第2の通信信号は、ユーザ4の識別情報送信部9から無線により送出される(図2を参照されたい)。即ち、識別情報送信部9は、第1の通信信号も第2の通信信号も送出することができる。識別情報送信部9は、電子式の無線キー又は携帯式の電子装置、特にスマートフォンであってもよい。
【0035】
第1の監視装置5は、第1の通信信号を受信することができる。第2の監視装置8は、第2の通信信号を受信することができる。例えば、第1の通信信号は、いわゆる「Bluetooth-Low-Energy」規格に基づく。第2の通信信号は、例えば、いわゆる「Ultra-Wide-Band」規格に基づく。この場合、第1の外側ゾーンA1内、並びに代替的又は付加的な第2の外側ゾーンA2内、また必要に応じて内側ゾーンB内のユーザ4の現在位置が、第1の通信信号又は第2の通信信号の受信電界強度を用いて求められる。このために、第1の通信信号又は第2の通信信号のいわゆるRSSIレベルを、それ自体既知の方法で使用することができる。図1及び図2に示した方法では、内側ゾーンB内でのユーザ4の現在位置の特定の精度は、第1の外側ゾーンA1又は第2の外側ゾーンA2内での精度よりも高い。
図1
図2
【国際調査報告】