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特表2024-514955トレンデレンブルグ患者の位置決め装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】トレンデレンブルグ患者の位置決め装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 13/10 20060101AFI20240327BHJP
   A61G 13/12 20060101ALI20240327BHJP
   A61G 13/04 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
A61G13/10
A61G13/12 A
A61G13/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565196
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 US2022025953
(87)【国際公開番号】W WO2022226309
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】63/178,273
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523399027
【氏名又は名称】ディ・ティ・デイビス・エンタープライジズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】D.T. DAVIS ENTERPRISES, LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クック,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,スコット
(72)【発明者】
【氏名】エングルベール,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341MM06
(57)【要約】
上部パネルと、上部パネルに結合され、その間に膨張可能なチャンバを定義する下部パネルと、上部パネルに結合された高摩擦面と、を含む膨張可能な移送装置の実施形態が開示されている。上部パネルには、それぞれのストリンガの上縁が結合され、下部パネルには、それぞれのストリンガの下縁が結合される。高摩擦面は、膨張可能な移送装置及び患者が水平支持面に対して所定の角度で配置されると、患者を固定位置に保持するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部パネルと、
前記上部パネルと結合され、その間に膨張可能なチャンバを定義する下部パネルと、
前記上部パネルに恒久的に結合された高摩擦面と、を含む膨張可能な移送装置であって、
膨張可能な移送装置及び患者が水平支持面に対して所定の角度で配置されると、前記高摩擦面は、患者を固定位置に保持するように構成される、膨張可能な移送装置。
【請求項2】
前記高摩擦面は、高摩擦発泡材を含む、請求項1に記載の膨張可能な移送装置。
【請求項3】
前記高摩擦発泡材は、通気性の独立気泡発泡体及びエラストマー系非ラテックスの連続気泡発泡体からなる群から選択される、請求項2に記載の膨張可能な移送装置。
【請求項4】
前記高摩擦面は、前記高摩擦材料に結合された基板を含み、前記基板は、前記上部パネルに結合される、請求項1に記載の膨張可能な移送装置。
【請求項5】
前記基板は、ナイロン、ポリエステル、3次元織物、スペーサ織物、及び不織布材料からなる群から選択される、請求項4に記載の膨張可能な移送装置。
【請求項6】
前記高摩擦面は、複数のストリンガの内の少なくとも1つに少なくとも部分的に直接結合される、請求項1に記載の膨張可能な移送装置。
【請求項7】
前記高摩擦面は、前記上部パネルと一体的に形成される、請求項1に記載の膨張可能な移送装置。
【請求項8】
前記膨張可能な移送装置を支持面に結合するのための取り付け点を提供するように構成された少なくとも1つの固定ループを含む、請求項1に記載の膨張可能な移送装置。
【請求項9】
空気源から空気流を受け入れるように構成された空気マニホールドを含む、請求項1に記載の膨張可能な移送装置。
【請求項10】
少なくとも1つの発泡体レールパッチを含む、請求項1に記載の膨張可能な移送装置。
【請求項11】
手術面上に膨張可能な移送装置を配置するステップであって、前記膨張可能な移送装置は、上部パネルと、前記上部パネルに結合され、その間に膨張可能なチャンバを定義する下部パネルと、前記上部パネルに結合された高摩擦面と、を含み、前記上部パネルには、それぞれのストリンガの上縁が結合され、前記下部パネルには、それぞれのストリンガの下縁が結合されるステップと、
前記膨張可能な移送装置及び前記手術面を水平支持面に対して所定の角度で配置するステップであって、前記膨張可能な移送装置及び患者が水平支持面に対して前記角度で配置されると、前記高摩擦面は、患者を固定位置に保持するように構成されるステップと、
外科的処置を実行するステップと、
前記膨張可能な移送装置を第2面に移送するステップであって、前記膨張可能な移送装置の下部パネルの下に空気軸受を生成するように前記膨張可能なチャンバに空気流を提供することで、前記膨張可能な移送装置が移送されるステップと、を含む、外科的処置を実行する方法。
【請求項12】
前記角度は、水平支持面に対して15度~25度である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記角度は、水平支持面に対して25度~45度である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記膨張可能な移送装置及び前記手術面を水平支持面に対して所定の角度で配置するステップの前に、前記膨張可能な移送装置を前記手術面に固定するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記膨張可能な移送装置を固定するステップは、前記手術面に取り付けられた少なくとも1つの留め具を前記上部パネル又は前記下部パネルの内の少なくとも1つに結合された固定ループに結合するステップ含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記膨張可能な移送装置を固定するステップは、少なくとも1つの発泡体レールパッチを前記手術面の一部と接触するように配置するステップを含み、前記発泡体レールパッチは、前記上部パネル又は前記下部パネルの内の少なくとも1つに結合される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記膨張可能な移送装置の高摩擦面は、高摩擦発泡材を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
上部パネルと、
前記上部パネルと結合され、その間に膨張可能なチャンバを定義する下部パネルと、
前記上部パネルに結合された高摩擦発泡材と、を含む膨張可能な移送装置であって、
前記高摩擦発泡材は、膨張可能な移送装置及び患者が水平支持面に対して所定の角度で配置されると、患者を固定位置に保持するように構成され、前記上部パネルは、前記高摩擦発泡材の伸びを低減するように構成された基板を含む、膨張可能な移送装置。
【請求項19】
膨張可能な移送装置を支持面に結合するのための取り付け点を提供するように構成された少なくとも1つの固定ループを含む、請求項18に記載の膨張可能な移送装置。
【請求項20】
空気源から空気流を受け入れるように構成された空気マニホールドを含み、前記空気マニホールドは、空気流入口及び少なくとも2つの空気流出経路を定義する、請求項18に記載の膨張可能な移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、「トレンデレンブルグ患者の位置決め装置」という発明の名称で2021年4月22日に出願された米国仮出願第63/178,273号に対する利益を主張し、その開示内容は、その全体が本明細書に参考として組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
一部の外科的手術において、患者の頭が患者の足よりも低く位置するトレンデレンブルグ姿勢で患者が配置される。トレンデレンブルグ姿勢は、手術室、病室等の床によって定義された平面等、固定面によって定義された水平面又は他の支持面に対して約15度~約25度の角度で患者を配置することを含み得る。ロボット手術等の一部の外科的手術において、水平面に対して約25度~約45度の角度を含むトレンデレンブルグ姿勢の変形が用いられ得る。この姿勢は、一般的に急峻なトレンデレンブルグ姿勢と呼ばれる。さらなる変更は、患者の頭を患者の足よりも上に、例えば、水平面に対して約15度~約25度又は約25度~約45度等の同様の角度で配置することを含む。この姿勢は、一般的に逆トレンデレンブルグ姿勢と呼ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、調整可能/傾斜可能なテーブルに患者を乗せたり降ろしたりすることは、手術スタッフと患者のいずれにとっても問題となっている。手術後の移動は、患者の身体的な不安を引き起こし、不快感、痛み、又は手術的に位置する要素のずれを引き起こす可能性がある。現在の手術室移送システムは、角度のある姿勢(例:トレンデレンブルグ、急峻なトレンデレンブルグ、逆トレンデレンブルグ等)での手術台上の安全な位置と、手術台に患者を乗せたり降ろしたりすることの容易さをいずれも提供することができない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
様々な実施形態において、上部パネルと、上部パネルに結合され、その間に膨張可能なチャンバを定義する下部パネルと、膨張可能なチャンバ内に位置する複数のストリンガと、上部パネルに結合された高摩擦面と、を含む膨張可能な移送装置が開示されている。上部パネルには、それぞれのストリンガの上縁が結合され、下部パネルには、それぞれのストリンガの下縁が結合される。高摩擦面は、膨張可能な移送装置及び患者が水平支持面に対して所定の角度で配置されると、患者を固定位置に保持するように構成される。
【0005】
様々な実施形態において、外科的処置を実行する方法が開示されている。この方法は、膨張可能な移送装置を手術面上に配置するステップを含む。膨張可能な移送装置は、上部パネルと、上部パネルに結合され、その間に膨張可能なチャンバを定義する下部パネルと、膨張可能なチャンバ内に位置する複数のストリンガと、上部パネルに結合された高摩擦表面と、を含み、ここで上部パネルには、それぞれのストリンガの上縁が結合され、下部パネルには、それぞれのストリンガの下縁が結合される。この方法は、さらに、水平支持面に対して所定の角度で膨張可能な移送装置及び手術面を配置するステップを含む。高摩擦面は、膨張可能な移送装置及び患者が水平支持面に対して角度をなすと、患者を固定位置に保持するように構成される。この方法は、さらに、外科的処置を実行するステップと、膨張可能な移送装置を第2面に移送するステップと、を含む。膨張可能な移送装置は、膨張可能な移送装置の下部パネルの下に空気軸受を生成するように膨張可能なチャンバに空気流を提供することで移送される。
【0006】
様々な実施形態において、膨張可能な移送装置が開示されている。膨張可能な移送装置は、上部パネルと、上部パネルに結合され、その間に膨張可能なチャンバを定義する下部パネルと、膨張可能なチャンバ内に位置する複数のストリンガと、上部パネルに結合された高摩擦発泡材と、を含む。上部パネルには、それぞれのストリンガの上縁が結合され、下部パネルには、それぞれのストリンガの下縁が結合される。高摩擦発泡材は、膨張可能な移送装置及び患者が水平支持面に対して所定の角度で配置されると、患者を固定位置に保持するように構成される。上部パネルは、高摩擦発泡材の伸びを低減するように構成された基板を含む。
【0007】
本発明の特徴及び利点は、添付の図面と共に考慮される好ましい実施形態に関する下記の詳細な説明により完全に開示されているか、又は明らかになるものであり、ここで同様の番号は同様の部分を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一部の実施形態による角度のある手術姿勢に用いるように構成された膨張可能な移送装置の平面図を示す。
図2】一部の実施形態による図1のA―A線に沿った膨張可能な移送装置の断面図を示す。
図3】一部の実施形態による請求項1の膨張可能な移送装置の上層の断面図を示す。
図4】一部の実施形態による角度のある手術姿勢に用いるように構成された膨張可能な移送装置の平面図を示す。
図5】一部の実施形態による図4の膨張可能な移送装置の底面図を示す。
図6】一部の実施形態によるトレンデレンブルグ姿勢での患者と手術面との間に位置する図4の膨張可能な移送装置の側面図を示す。
図6A】一部の実施形態による図6の円Aで示される領域の拡大図を示す。
図7】一部の実施形態による図6の膨張可能な移送装置、患者、及び手術面の上面図を示す。
図7A】一部の実施形態による図7の円Aで示される領域の拡大図を示す。
図8】一部の実施形態による会陰切開部を含む,角度のある手術姿勢に用いるように構成された膨張可能な移送装置の平面図を示す。
図9】一部の実施形態による内部要素を示すために上層の一部が取り除かれた図8の膨張可能な移送装置の部分破断平面図を示す。
図10】一部の実施形態による図8の膨張可能な移送装置の断面図を示す。
図11】一部の実施形態による図8の膨張可能な移送装置の吸気マニホールドを示す。
図12】一部の実施形態による調整可能な手術台に結合された図8の膨張可能な移送装置の上面斜視図を示す。
図13】一部の実施形態による角度のある手術姿勢で配置された図8の膨張可能な移送装置及び調整可能な手術台上での患者の姿勢の斜視図を示す。
図14】一部の実施形態による外科的手術を実行する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
好ましい実施形態の説明は、添付の図面と関連して理解することを意図しており、記載された説明全体の一部とみなすべきである。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、本発明の所定の特徴は、明確性及び簡潔性のために、縮尺が誇張されたり、多少概略的な形で示される場合がある。本説明において、「水平」、「垂直」、「上」、「下」、「上部」、「下部」、「上位」、「下位」等の相対的な用語だけでなく、それらの派生語(例えば、「水平に」、「下向きに」、「上向きに」等)は、後に説明されるか、図に示される方向を指すものと解釈すべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜のためのものであり、通常は、特定の方向を要求することを意図したものではない。「内向きに」と「外向きに」、「長手方向に」と「横方向に」等を含む用語は、互いに対して、又は伸長軸、回転軸、若しくは回転中心に対して相対的に解釈すべきである。「連結された」及び「相互連結された」等の取り付けや結合等に関する用語は、別途明示的に記載しない限り、構造が直接的又は介在する構造を介して間接的に固定又は取り付けられる関係だけではなく、移動可能な又は固定された取り付けや関係を指す。「動作可能に結合された」という用語は、関連する構造がその関係によって意図したとおりに動作できるようにする取り付け、結合、又は連結である。
【0010】
本明細書で使用される用語「実質的に」は、許容可能な製造公差内で言及する関係(例えば、平行、垂直、整列等)を有する要素を意味する。例えば、本発明で使用される用語「実質的に平行な」は、平行か又は+/-5°のような許容可能な誤差の範囲内で平行な配列から変化する要素を示すために使用されるが、製造プロセス及び/又は他の製造要件に基づいて、より大きな偏差及び/又はより小さな偏差が存在し得ることが理解されるであろう。
【0011】
様々な実施形態において、トレンデレンブルグ(Trendelenburg)、逆トレンデレンブルグ(reverse Trendelenburg)、又は急峻なトレンデレンブルグ (Steep Trendelenburg position)姿勢等の角度のある手術姿勢で用いるように構成された膨張可能な移送装置が開示されている。一部の実施形態において、膨張可能な移送装置は、内部容積を定義する本体を含む。本体は、膨張可能な内部空洞又はチャンバを定義するように(直接又は介在要素を介して)ともに結合された上部パネルと下部パネルとを含む。上層は、手術台等の膨張可能な移送装置及び患者を支持する調節可能な表面が角度のある手術姿勢で配置されると、患者を膨張可能な移送装置に対して固定した位置に保持するように構成された高摩擦面又は材料を含む。1つ以上の外科的手術が完了すると、調整可能な表面からストレッチャー、担架、移動式ベッド、他の輸送装置、及び/又は他の支持体等の1つ以上のさらなる表面に患者を移送するために膨張可能な移送装置が使用される。
【0012】
図1図3は、一部の実施形態による角度のある手術姿勢で用いるように構成された膨張可能な移送装置2を示す。膨張可能な移送装置2は、上端6と下端8との間に延びる本体4を含む。本体4の第1側面10及び第2側面12は、実質的に上端6と下端8との間で延びる。上端6、下端8、第1側面10及び第2側面12は、実質的に本体4の周囲24を定義する。移送体4は、少なくとも上部パネル20と下部パネル22とを含む。上部パネル20及び下部パネル24は、それぞれ可撓性材料シートを含む。移送体4の周囲24は、少なくとも部分的に上部パネル20の周囲24a及び下部パネル22の周囲24bによって定義される。
【0013】
一部の実施形態において、上部パネル20の周囲24a及び下部パネル22の周囲24bは、上部パネル20と下部パネル22が直接結合され、及び/又は介在物を介して互いに結合されることを可能にする実質的に類似の及び/又は相補的な形状を有する。例えば、上部パネルの20周囲24aは、下部パネル22の周囲24bに直接結合されてもよく、及び/又はそれぞれの周囲24a,24bは、周囲バンド(図示せず)等の介在要素に結合されてもよい。上部パネル20、下部パネル22及び/又は介在する周囲バンドは、例えば、高周波溶接、接着剤、溶接可能なフックファスナー、縫製、熱封止、超音波溶接等の任意の適切な結合機構及び/又は任意の他の適切な結合機構を使用して結合され得る。本明細書では、実質的に同様の形状を有する上部パネル20及び下部パネル22を有する本体4を含む実施形態について説明するが、本体4は、異なる形状を有するパネル、さらなるパネル及び/又は材料の連続部分によって定義され得ることが理解されるであろう。
【0014】
図2に示すように、上部パネル20と下部パネル22は、それらの間に膨張可能な空洞26(又はプレナム)を定義する。膨張可能な空洞26は、本体4を膨張させるために、空気流入を受け入れるように構成される。膨張する際に本体4は、本体4上に配置されて接触する患者を支持する。複数のストリンガ28a~28g(総称して「ストリンガ28」と呼ぶ)は、空洞26内に位置する。一部の実施形態において、それぞれのストリンガ28は、上縁30と、下縁32と、第1側縁34と、第2側縁(図示せず)と、を含む。上縁30は、上部パネル20に結合され、下縁32は、下部パネル22に結合される。それぞれのストリンガ28は、(以下でより詳細に説明するように)膨張可能な移送装置2が収縮状態にある時に平らになるように構成され得、膨張可能な移送装置2が膨張状態にある時に上部パネル20及び/又は下部パネル22に実質的に垂直になるように構成され得るが、ストリンガ28の内の1つ以上が膨張及び/又は収縮状態で上部パネル及び/又は下部パネルに対して角度を付けることができることが理解されるであろう。ストリンガ28は、膨張可能な移送装置2に構造的安定性を提供し、例えば、膨張可能な移送装置2が膨張したときのバルーニング(ballooning)を防止する。
【0015】
一部の実施形態において、膨張可能な移送装置2は、内部空洞26を空気供給装置に結合するように構成された空気流入口(図8を参照)を含む。空気流入口は、例えば、一方向弁、二方向弁、チャンネル等の任意の適切な空気流入口を含み得る。空気流入口は、空気流入口に空気供給ホースが挿入及び/又は結合できるようにサイズを有して構成でき、その後、膨張可能な移送装置2が膨張している間、空気供給ホースが固定位置に保持されるように空気流入口が閉鎖される(例えば、パチンと閉められる)。空気流入口は、スナップ機構、面ファスナー機構、及び/又は任意の他の解除可能な機構等の任意の適切な結合機構を含み得る。
【0016】
一部の実施形態において、本体4は、上部パネル20上に位置する、及び/又は上部パネル20と一体に形成された高摩擦面36を含む。膨張可能な移送装置2及び関連の表面が角度のある場合、例えば、トレンデレンブルグ処置、逆トレンデレンブルグ処置、急峻なトレンデレンブルグ処置等での使用中に、高摩擦面36は、患者を固定位置に保持するように構成される。高摩擦面36は、任意の適切な高摩擦材料を含み得る。例えば、高摩擦面36は、通気性の独立気泡発泡体、エラストマー系非ラテックスの連続気泡発泡体、及び/又は任意の他の適切な高摩擦発泡体等の高摩擦発泡材を含み得る。
【0017】
一部の実施形態において、本体4は、高摩擦面36に結合された基板38を含む。基板38は、使用中に高摩擦材料36の構造的特性を保持するように構成される。例えば、一部の実施形態において、高摩擦材料36は、使用の際、高摩擦面36の伸びを低減又は防止するように構成された基板38に結合される。一部の実施形態において、基板38は、上部パネル20を含む、及び/又は定義する。基板38又は上部パネル20は、1つ以上のストリンガ28に直接結合され得る(例えば、膨張可能な移送装置2の上部パネルであり得る)。一部の実施形態において、基板38は、上部パネル20に結合される、及び/又は上部パネル20上に位置する別個の介在層である。基板38及び/又は上部パネル20は、下部パネル22に結合され、それらの間に膨張可能な空洞26を定義する。様々な実施形態において、上層20、下層22及び/又は基板38は、ナイロン、ポリエステル、不織布、及び/又は他の材料層を含み得る。
【0018】
一部の実施形態において、高摩擦面36は、高摩擦材料36にさらなる構造的完全性を提供し、高摩擦面36の伸びを低減させ、及び/又は膨張可能な移送装置2の強さを増大させるために、1つ以上のストリンガ28に少なくとも部分的に結合される。例えば、一部の実施形態において、高摩擦面36は、介在する上層20及び/又は基板38を介して1つ以上のストリンガ28に直接結合され得る。他の実施形態において、高摩擦面36は、上層20及び/又は基板38等の介在層を介してストリンガ28に結合される。一部の実施形態において、高摩擦面36が膨張可能な移送装置2から交換及び/又は取り外しできるように、高摩擦面36は、基板38及び/又は上部パネル20に解除可能に結合される。
【0019】
一部の実施形態において、下部パネル22は、下部パネル22の少なくとも一部、例えば、下部パネル22の中央部分等に形成された複数の穿孔39(例えば、開口)を含む(図5を参照)。複数の穿孔39は、それぞれ内部チャンバ26から下部パネル22の外面に隣接する領域への空気の流れを可能にするように内部チャンバ26と流体連通する。内部チャンバが加圧されると、複数の穿孔39から空気が流出することにより、膨張可能な移送装置2の下部パネル22と支持面との間の摩擦を低減又は除去する、本明細書で空気軸受と呼ぶ空気層を生成する。膨張可能な移送装置2は、支持面及び/又は異なる支持面上に膨張可能な移送装置2(及び膨張可能な移送装置2によって支持される患者)の姿勢を変更できるように空気軸受上で、例えば、横方向に移動し得る。
【0020】
一部の実施形態において、膨張可能な移送装置2は、1つ以上の固定ループ40a~40f(本明細書では、総称して「固定ループ40」と呼ぶ)を含む。それぞれの固定ループ40は、以下でより詳細に説明するように、外科的処置中に用いられる調整可能な手術面等の支持面に膨張可能な移送装置2を結合するための取り付け点を提供するように構成される。一部の実施形態において、固定ループ40は、それぞれ支持面から延びる留め具に結合されるように構成される(図6を参照)。固定ループ40は、膨張可能な移送装置2に対して所定の取り付け点から支持面に結合された留め具を固定するための所定の位置を提供する。一部の実施形態において、固定ループ40は、支持面に直接結合される。
【0021】
例示の実施形態において、膨張可能な移送装置2は、膨張可能な移送装置2の上端6に2つ、下端8に2つ、計4つの固定ループ40を含む。上端6と下端8のそれぞれに位置する固定ループ40は、それらの間に所定の間隔を有し得る。例えば、上端6に位置する第1固定ループ40a,40bのセットの間の間隔と下端8に位置する第2固定ループ40c,40dのセットの間の間隔は、膨張可能な移送装置2とともに用いる手術台等の所定の支持面の標準間隔に関連付けることができる。固定ループ40は、膨張可能な移送装置の任意の適切な部分に結合された任意の適切な材料を含み得る。例えば、様々な実施形態において、支持面が所定の角度で配置された場合、固定ループ40は、膨張可能な移送装置2及びその上に支持された患者によって加えられる力を支持するのに十分な引張強度を有するウェビング又は他の織物材料を含む。様々な実施形態において、固定ループ40は、膨張可能な移送装置2の上部パネル20、下部パネル22、及び/若しくは周囲24に結合され、並びに/又はそれから延び得る。一部の実施形態において、固定ループ40は、膨張可能な移送装置2の一部に解除可能に取り付けられる。
【0022】
一部の実施形態において、膨張可能な移送装置2は、1つ以上のハンドル42b~42d(総称して「ハンドル42」と呼ぶ)を含む。ハンドル42は、膨張可能な移送装置2(及びその上に支持された患者)の移送を容易にするために、使用者が膨張可能な移送装置2を握るための位置を提供する。一部の実施形態において、ハンドル42は、手術若しくは処置の前(例えば、手術前)、手術又は処置の間、及び/又は手術又は処置の後に(例えば、手術後)、膨張可能な移送装置42及び支持された患者を移動するために用いられ得る。例えば、一部の実施形態において、ハンドル42は、膨張可能な移送装置2及び支持された患者を支持面上で再配置し、及び/又は膨張可能な移送装置2及び支持された患者を別の面に移送するために、複数の穿孔39によって提供される空気軸受とともに用いられ得る。ハンドル42は、例えば、膨張可能な移送装置2及び支持された患者の再配置中に又は移送中に、膨張可能な移送装置2及びその上に支持された患者によって加えられた力を支持するのに十分な引張強度を有するウェビング又は他の織物材料等の任意の適切な材料を含み得る。一部の実施形態において、ハンドル42は、固定ループ40に関して上述したように、膨張可能な移送装置2に留め具を取り付けるためのさらなる及び/又は代替としてのアンカー位置を提供し得る(例えば、固定ループとして機能し得る)。
【0023】
図4及び図5は、一部の実施形態による角度のある手術姿勢で用いるように構成された膨張可能な移送装置2aの実施形態を示している。膨張可能な移送装置2aは、図1図3に関連して説明した移送装置2と実質的に同様であり、同様の説明は、ここで繰り返さない。膨張可能な移送装置2aは、上部パネル20の周囲と実質的に等しい外周を有する高摩擦面36aを含む。延びた高摩擦面36aは、患者が膨張可能な移送装置2aの中心内に位置していなくても、患者の移動又は滑りを防止する。
【0024】
膨張可能な移送装置2aは、膨張可能な移送装置2aの第1及び第2側面10,12に沿って位置するさらなる固定ループ40e~40fを含む。固定ループ40e~40fは、手術台又は他の支持面等の支持面の外側面に位置する留め具に結合されるように構成される。固定ループ40e~40fは、図1図3に関連して上述した固定ループ40と同様であり、同様の説明は、ここで繰り返さない。
【0025】
膨張可能な移送装置2aは、高摩擦面36に結合される、及び/又は高摩擦面36から延びるさらなる固定ループ40g~40hを含む。固定ループ40g~40hは、膨張可能な移送装置2aの余分な材料が膨張可能な移送装置2aの下部パネル22の下に配置されると、手術台又は他の支持面等の支持面の外側面に位置する留め具に結合されるように構成される。例えば、一部の実施形態において、支持面及び/又は患者は、高摩擦面36によって提供される支持面積よりも小さくてもよい。上部パネル20及び/又は高摩擦面36の一部は、下部パネル22の下に押し込まれることで、膨張可能な移送装置2aの外形が縮小され、固定ループ40e~40fに接近できなくなる。このような状況で、高摩擦面36から延びる固定ループ40g~40hは、膨張可能な移送装置2aを支持面に横方向に固定するために用いられ得る。
【0026】
一部の実施形態(図6を参照)において、膨張可能な移送装置2a等の膨張可能な移送装置は、チェストストラップ及び/又はウエストストラップ等の1つ以上のストラップ44を含み得る。それぞれのストラップ44は、膨張可能な移送装置2aの移動及び/又は配置中に患者にさらなる安全を提供するように構成され得る。例えば、一部の実施形態において、膨張可能な移送装置2a及び患者を支持面によって所定の角度で配置する場合、例えば、トレンデレンブルグ、急峻なトレンデレンブルグ、及び/又は逆トレンデレンブルグ手術の間に1つ以上のストラップ44は、膨張可能な移送装置2aに対して固定した位置に患者を保持するように構成される。それぞれのストラップ44は、ハンドル42、支持面の一部(例えば、手術台の手すり)、ストラップ44自体の第2部分等の1つ以上の固定点に締結するように構成された、柔らかく耐久性のある材料で形成され得る。それぞれのストラップ44は、調整可能であり、高摩擦発泡材30とともにさらなる保持力を提供し、及び/又は膨張可能な移送装置2a及び/又は支持面が故障した場合にさらなる安全面を提供する。一部の実施形態において、ストラップ44は、高摩擦発泡材と、上述した高摩擦発泡材36と同様の基板とを含む。
【0027】
図6は、一部の実施形態によるトレンデレンブルグ姿勢での患者100と手術台104の手術面102との間に位置する図4の膨張可能な移送装置2aの側面図を示し、図6Aは、図6の円Aで示される領域の拡大図である。手術台104は、支持柱108によって手術面102に結合された支持板106を含む。手術面102は、支持板106によって定義された水平面に対して旋回又は傾斜して構成される。例えば、図示の実施形態において、支持柱108の上端108aと手術面102との間のヒンジ結合110によって、手術面102を支持板106によって定義された平面に対して傾ける(例えば、角度を付ける)ことができる。手術面102は、例えば、約15度~約25度の角度(トレンデレンブルグ姿勢/逆トレンデレンブルグ姿勢)、約25度~約45度の角度(急峻なトレンデレンブルグ姿勢)、約15度~約45度の角度、及び/又は任意の他の適切な角度等の任意の適切な角度で配置し得る。
【0028】
図6及び図6Aに示しているように、一部の実施形態において、1つ以上の留め具120a,120b(総称して「留め具120」と呼ぶ)は、膨張可能な移送装置2aを手術台104の手術面102に結合するように構成される。一部の実施形態において、留め具120は、固定ループ40及び/又はハンドル42等の膨張可能な移送装置2aの一部周囲を巻き付けるように構成される。留め具120は、第2ループを定義するように固定ループ40及び/又はハンドル42の周囲を巻き付け得る。図示の実施形態において、留め具120は、織物材料及び1つ以上の固定機構を含む細長い留め具を含む。固定機構の雄部は、留め具120のループを保持するように固定機構の雌部に結合され得る。留め具120は、手術台の様々なスタイル及び/又は固定ループ40の位置を受け入れるようにループのサイズを増減するための複数の雌及び/又は雄結合点、ベルト等の1つ以上の調整機構を含み得る。適切な固定機構は、面ファスナー、スナップファスナー、バックル、接着剤、ベルト、非接着性テープ等を含むが、これらに限定されない。留め具120は、例えば、固定ループ40及び/又はハンドル42等の膨張可能な移送装置2の1つ以上の要素に結合されるように構成される。
【0029】
本明細書で、固定ループ40の周囲に巻き付けられるように構成された留め具120について説明するが、任意の適切な留め具120を使用できることが理解されるであろう。例えば、一部の実施形態において、留め具120は、それぞれ固定機構の雄部及び/又は雌部を含んでもよく、固定ループ40は、それぞれ固定機構の相補的な雌部及び/又は雄部を含んでもよい。留め具120上の固定機構の第1部分は、手術面102に対して固定した位置に膨張可能な移送装置2を保持するように固定ループ40上の固定機構の第2部分に直接結合され得る。
【0030】
図7は、一部の実施形態による図6の膨張可能な移送装置2a、患者100、及び手術面102の上面図を示し、図7Aは、図7の円Aで示される領域の拡大図を示す。図7及び図7Aに示しているように、留め具120は、手術面102の上端102bに結合され、及び/又はそれから延び得る。上端102bの留め具120は、膨張可能な移送装置2aの上下位置を保持するように構成される一方、患者100、手術面102、及び膨張可能な移送装置2aは、角度のある姿勢(例えば、トレンデレンブルグ姿勢、逆トレンデレンブルグ姿勢、急峻なトレンデレンブルグ姿勢等)にある。それぞれの留め具120に対して同様の固定機構を有する実施形態例を示しているが、留め具の内の1つ以上が異なる固定機構を使用できることが理解されるであろう。例えば、一部の実施形態において、膨張可能な移送装置2aの上端6及び/又は下端8、及び手術面102で固定ループ40a~40dに結合された留め具120は、面ファスナーを含んでもよく、膨張可能な移送装置2aの外側面10,12で固定ループ40e~40hに結合されるように構成された留め具120は、スナップ又は他の固定機構を含んでもよい。固定機構の任意の適切な組み合わせを使用できることが理解されるであろう。
【0031】
図8図11は、一部の実施形態による角度のある手術姿勢で用いるように構成され、会陰切開部50を含む膨張可能な移送装置2bを示す。膨張可能な移送装置2bは、図1図7Aに関連して上述した膨張可能な移送装置2,2aと同様であり、同様の説明は、ここで繰り返さない。膨張可能な移送装置2bは、角度のある手術姿勢での患者の配置を含む外科的処置中にさらなる患者の接近を提供するために構成された会陰切開部50を含む。
【0032】
膨張可能な移送装置2bは、周囲バンド60によってともに結合された上部パネル20と下部パネル22とを含む。一部の実施形態において、上部パネル20の第1及び第2外側面10,12上の外周縁24aは、周囲バンド60の上縁62bに結合され、下部パネル22の第1及び第2外側面10,12上の外周縁24bは、周囲バンド60の下縁62bに結合される。上部パネル20及び下部パネル22は、上端6及び/又は下端8に直接結合されてもよく、及び/又は周囲バンド60の一部を介して結合されてもよい。上部パネル20、下部パネル22、及び周囲バンド60は、それらの間に膨張可能な内部チャンバ26aを定義する。
【0033】
一部の実施形態において、膨張可能な移送装置2bの下端8は、会陰切開部50を定義する。上部パネル20の外周縁24a及び/又は下部パネル22の外周縁24bのそれぞれの下端8は、第1傾斜壁64a、水平壁66、及び第2傾斜壁64bによって定義された挿入部分を含む。互いに結合される及び/又は周囲バンド60に結合される時、上部パネル20及び/又は下部パネル22の第1傾斜壁64a、水平壁66、及び第2角度壁64bは、膨張可能な移送装置2の下端8で切開部50を定義する。
【0034】
切開部50の寸法、特に傾斜壁64a,64b及び水平壁66の寸法は、患者が膨張可能な移送装置2b及び補完的な切開部を有する関連する手術台に位置する際に会陰部領域に接近できるように選択される。例えば、図12に示しているように、膨張可能な移送装置2bは、手術面102aに定義された会陰切開部150を有する手術台104aの手術面102a上に位置して結合され得る。膨張可能な移送装置2bの会陰切開部50の寸法は、手術面102aに定義された会陰切開部150の寸法と実質的に等しくてもよい。
【0035】
一部の実施形態において、例えば、図12に示しているように、膨張可能な移送装置2bは、膨張可能な移送装置2bを手術面102aに結合するように構成された複数の側面留め具122a~122h(総称して「側面留め具122」と呼ぶ)を含み得る。側面留め具122は、図6図7Aに関連して上述した留め具120と同様であり、同様の説明は、ここで繰り返さない。側面留め具122は、膨張可能な移送装置2bの側縁10,12上に配置され、それから延びる。それぞれの側面留め具122は、例えば、手術台104aから延びる1つ以上のレール124等の手術台104aの一部周囲を巻き付ける及び/又はそれに結合されるように構成される。
【0036】
再び図8を参照すると、一部の実施形態において、膨張可能な移送装置2bは、1つ以上の高摩擦の長手方向の接触ストリップ72a~72b(総称して「長手方向の接触ストリップ72」と呼ぶ)を含む。長手方向の接触ストリップ72は、膨張可能な移送装置2bと手術台104aの一部と相互作用し、それらの間に摩擦結合を提供するように構成された高摩擦材料を含む。長手方向の接触ストリップ72は、膨張可能な移送装置2bを手術面102aにさらに及び/又は代案として固定するように構成される。一部の実施形態において、長手方向の接触ストリップ72は、高摩擦発泡体等の高摩擦材料を含む。長手方向の接触ストリップ72は、高摩擦面36と類似する及び/又は異なる材料を含み得る。膨張可能な移送マットレス2bが手術面102a上に位置し、余分な材料(存在する場合)が膨張可能な移送装置2bの下に位置すると、長手方向の接触ストリップ72は、長手方向の接触ストリップ72が手術台104aの一部に当接するように膨張可能な移送装置2b上に位置する。
【0037】
一部の実施形態において、膨張可能な移送装置2bは、1つ以上の高摩擦レールパッチ74a~74f(総称して「レールパッチ74」と呼ぶ)を含む。レールパッチ74は、膨張可能な移送装置2bと手術台104aの一部と相互作用し、それらの間に摩擦結合を提供するように構成された高摩擦材料を含む。レールパッチ74は、膨張可能な移送装置2bを手術面102aにさらに及び/又は代案として固定するように構成される。一部の実施形態において、レールパッチ74は、高摩擦発泡体等の高摩擦材料を含む。レールパッチ74は、実質的に第1の所定の方向に延びる高摩擦材料のストリップ(又は他の形状)を含み得る。レールパッチ74は、膨張可能な移送装置2bが手術面102a上に位置し、余分な材料(存在する場合)が膨張可能な移送装置2bの下に位置すると、レールパッチ74が手術台104aの一部に当接するように膨張可能な移送装置2b上に位置する。
【0038】
一部の実施形態において、膨張可能な移送装置2bは、1つ以上の高摩擦長手方向のパッチ76a~76b(総称して「長手方向のパッチ76」と呼ぶ)を含む。長手方向のパッチ76は、膨張可能な移送装置2bと手術台104aの一部と相互作用し、それらの間に摩擦結合を提供するように構成された高摩擦材料を含む。長手方向のパッチ76は、膨張可能な移送装置2bを手術面102aにさらに及び/又は代案として固定するように構成される。一部の実施形態において、長手方向のパッチ76は、高摩擦発泡体等の高摩擦材料を含む。長手方向のパッチ76は、高摩擦面36と同様の及び/又は異なる材料を含み得る。長手方向のパッチ76は、膨張可能な移送装置2bが手術面102a上に位置し、余分な材料(存在する場合)が膨張可能な移送装置2bの下に位置すると、長手方向のパッチ76が手術台104aの一部に当接するように膨張可能な移送装置2b上に位置する。
【0039】
一部の実施形態において、膨張可能な移送装置2bは、空気源から空気流をその内部に受け入れるように構成された1つ以上の空気マニホールド80a,80b(総称して「空気マニホールド80」と呼ぶ)を含み得る。空気流が膨張可能な移送装置2bを膨張させるために内部チャンバ26に入るように構成される。空気マニホールド80は、膨張可能な移送装置2b上の任意の適切な位置に位置し得る。一部の実施形態において、空気マニホールド80は、患者が膨張可能な移送マットレス2b上に位置すると、空気マニホールド80への接近を提供するために膨張可能な移送マットレス2bの下端8に隣接して位置するが、空気マニホールド80は、膨張可能な移送マットレス上の任意の適切な位置に位置し得ることが理解されるであろう。一部の実施形態において、それぞれの空気マニホールド80は、空気ホースをそれぞれの空気マニホールド80に結合するように構成された結合機構82を含む。図11に示しているように、一部の実施形態において、それぞれの空気マニホールド80は、空気吸入口82を定義する空気流チャンネル86と、それを介して空気流89を受け入れ、案内するように構成された1つ以上の空気流出口84a,84bを含む。前記チャンネル86は、上部パネル20及び/又は下部パネル22の一部等の第2材料層88bに結合された第1材料層88aによって形成され得る。
【0040】
再び図8を参照すると、一部の実施形態において、膨張可能な移送マットレス2bは、1つ以上の足固定ストラップ90a,90b(通称「足固定ストラップ90」と呼ぶ)を含む。足固定ストラップ90は、膨張可能な移送マットレス2bの下端8を患者100に(例えば、患者100の下肢に巻き付けることによって)固定、及び/又は手術台の一部に固定するように構成され得る。足固定ストラップ90は、上述した固定具120と同様の固定具を含み、同様の説明は、ここで繰り返さない。
【0041】
図13は、一部の実施形態による角度のある手術姿勢で患者100を支持する膨張可能な移送装置2bを示す。図13に示しているように、膨張可能な移送装置2bは、部分的に折り畳み可能な手術台104bとともに用いられ得る。部分的に折り畳み可能な手術台104bは、第1部分162と第2部分164との間にヒンジ160を有する。第1部分162と第2部分164は、膨張可能な移送装置2及び手術面102bによって支持される患者100の会陰領域に接近できるように角度をもって構成される。一部の実施形態において、第1部分162は、手術台104aによって定義された会陰切開部150と同様の会陰切開部を含む。
【0042】
一部の実施形態において、手術面102bが角度のある位置に配置されると、手術台104bは、膨張可能な移送装置2bに対して固定された固定点を提供するように構成されたブロック170を含む。ブロック170は、手術面102bが支持板106の平面に対して傾いたとき、膨張可能な移送装置2bが置かれる物理的な停止部を提供する。
【0043】
例示の実施形態において、膨張可能な移送装置2bは、分割された手術面102bの第1部分162上のみに延びるようにサイズを有して構成される。他の実施形態において、膨張可能な移送装置2bは、例えば、収縮した状態で手術面102bの各部分162,164上に延び得る。本明細書では特定の実施形態について説明するが、本明細書で説明する膨張可能な移送装置2~2bは、手術面102~102b、患者及び/又は任意の他の物理的寸法に適合するように任意の適切な寸法で構成され得ることが理解されるであろう。
【0044】
一部の実施形態において、手術台104bは、処置中に患者の一部を支持するように構成された支脚器180a,180b等の1つ以上の患者支持台を含む。支脚器180a,180bは、例えば、手術台の1つ以上のレール等の手術台104bの一部から延びるように構成され得る。一部の実施形態において、支脚器180a,180bが展開位置にあるとき、1つ以上の発泡体レールパッチ70等の膨張可能な移送装置2bの一部は、支脚器180a,180bの一部と相互作用するように、及び/又は摩擦嵌合を提供するように構成される。
【0045】
図14は、一部の実施形態による患者の配置及び外科的処置を実行する方法を示すフローチャート200である。方法200については、図1図14と関連して以下に説明する。ステップ202において、患者100は、本明細書に記載の任意の膨張可能な移送装置2―2b等の膨張可能な移送装置の上部に位置する。膨張可能な移送装置2―2bは、患者のベッド、担架、手術台等の支持構造体によって支持される。
【0046】
選択的ステップ204において、患者は、手術面に移送される。例えば、一部の実施形態において、担架又は他の移動可能な支持台は、手術面102を含む手術台104に隣接して位置し得る。膨張可能な移送装置2は、上述した空気マニホールド80等の1つ以上の空気吸込口に空気流入装置が結合することで膨張する。膨張可能な移送装置2を膨張させるために内部チャンバ26内に空気流が提供される。下部パネル22上に形成された複数の穿孔39からの空気流出は、膨張可能な移送装置2の下に空気軸受を生成することで、患者100を支持している膨張可能な移送装置2が初期の支持位置から隣接する手術面102に移動することになる。
【0047】
ステップ106において、手術面102は、例えば、手術室の床及び/又は手術台104の支持板106等の支持面に対して角度が付けられる。手術面102は、例えば、手術台104に組み込まれたヒンジ機構等の任意の適切な機構を使用して角度が付けら得る。手術面102に角度があるため、患者100は、上部パネル20に結合された高摩擦面30によって手術面102及び膨張可能な移送装置2―2bに対して固定した位置に保持される。高摩擦面30は、傾斜姿勢から患者100の滑りを防止する。膨張可能な移送装置2は、角度調整及び/又はその後の外科的処置中に膨張状態又は収縮状態に保持され得る。
【0048】
一部の実施形態において、手術面102は、外科的処置に適した角度で配置される。様々な姿勢には、トレンデレンブルグ姿勢、逆トレンデレンブルグ姿勢、及び/又は急峻なトレンデレンブルグ姿勢を含み得るが、これに限定されない。手術面102は、例えば、15度~25度の角度、25度~45度の角度、15度~45度の角度、及び/又は任意の他の適切な角度等の任意の適切な角度で配置し得る。
【0049】
ステップ108において、患者100が傾斜姿勢で保持されている間、患者100に対して外科的処置が実行される。外科的処置は、従来の外科的手術及び/又はロボット手術を含む任意の適切な外科的処置であり得る。外科的処置108は、膨張可能な移送装置2―2bが膨張した状態又は収縮した状態で実行し得る。
【0050】
ステップ110において、手術面102は、支持面によって定義された平面と平行な水平姿勢に戻され、ステップ112において、患者100は、手術面から搬送面(例えば、担架)又は他の手術用ベッド等の異なる面に搬送される。患者は、搬送や、回復している間に患者100を邪魔をすることなく、膨張可能な移送装置2―2b上に保持され得る。
【0051】
本対象において、例示的な実施形態に関して説明しているが、これに限定されない。むしろ、添付の請求の範囲は、当業者によって行われ得る他の変形及び実施形態を含むように広く解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図7
図7A
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
図1図3は、一部の実施形態による角度のある手術姿勢で用いるように構成された膨張可能な移送装置2を示す。膨張可能な移送装置2は、上端6と下端8との間に延びる本体4を含む。本体4の第1側面10及び第2側面12は、実質的に上端6と下端8との間で延びる。上端6、下端8、第1側面10及び第2側面12は、実質的に本体4の周囲24を定義する。移送体4は、少なくとも上部パネル20と下部パネル22とを含む。上部パネル20及び下部パネル22は、それぞれ可撓性材料シートを含む。移送体4の周囲24は、少なくとも部分的に上部パネル20の周囲24a及び下部パネル22の周囲24bによって定義される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
ステップ206において、手術面102は、例えば、手術室の床及び/又は手術台104の支持板106等の支持面に対して角度が付けられる。手術面102は、例えば、手術台104に組み込まれたヒンジ機構等の任意の適切な機構を使用して角度が付けら得る。手術面102に角度があるため、患者100は、上部パネル20に結合された高摩擦面30によって手術面102及び膨張可能な移送装置2―2bに対して固定した位置に保持される。高摩擦面30は、傾斜姿勢から患者100の滑りを防止する。膨張可能な移送装置2は、角度調整及び/又はその後の外科的処置中に膨張状態又は収縮状態に保持され得る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
ステップ208において、患者100が傾斜姿勢で保持されている間、患者100に対して外科的処置が実行される。外科的処置は、従来の外科的手術及び/又はロボット手術を含む任意の適切な外科的処置であり得る。外科的処置108は、膨張可能な移送装置2―2bが膨張した状態又は収縮した状態で実行し得る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
ステップ210において、手術面102は、支持面によって定義された平面と平行な水平姿勢に戻され、ステップ112において、患者100は、手術面から搬送面(例えば、担架)又は他の手術用ベッド等の異なる面に搬送される。患者は、搬送や、回復している間に患者100を邪魔をすることなく、膨張可能な移送装置2―2b上に保持され得る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図7
図7A
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】