(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】複数のモードにおいて選択的に操作可能なアクチュエータ組立体を含む手術用切開組立体
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
A61B17/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565318
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 IB2022053785
(87)【国際公開番号】W WO2022224218
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519273267
【氏名又は名称】ストライカー・ユーロピアン・オペレーションズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】ソラ,ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】オシェイ,コナー
(72)【発明者】
【氏名】ウォルシュ,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】シマンスキ,アレキサンダー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF06
4C160FF21
4C160LL04
4C160MM32
(57)【要約】
第1のモードおよび第2のモードで動作可能なアクチュエータ組立体を有する手術用切開組立体。ホイールは、切開窓を向き付けるために、中間チューブを回転させるように、第1の軸方向位置において回転可能であり、チューブ組立体の曲り部分を向き付けるために、中間チューブを回転させるように、第2の軸方向位置において回転可能である。アクチュエータ組立体は、第1のモードにおいて、中間チューブに動作可能に結合され、外側チューブから動作可能に分離され得、第2のモードにおいて、外側チューブに動作可能に結合され、中間チューブから動作可能に分離され得る。アクチュエータ組立体は、第1の歯車と、外側チューブに固定された第2の歯車と、中間チューブに固定された第3の歯車とを含み得る。遠位のホイール部分および近位のホイール部分は、互いに結合されてアクチュエータ組立体の従属部品用の空洞を画定する個別部品であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用切開組立体であって、
ハウジングと、
前記ハウジングに結合されたチューブ組立体であって、前記ハウジングから延在する外側チューブ、前記外側チューブの内部に同軸で回転可能に配設された中間チューブ、および、前記中間チューブの内部に同軸で回転可能に配設された内側チューブを備え、曲り部分、および、前記曲り部分から遠位方向に配置された切開窓をさらに備えるチューブ組立体と、
前記ハウジングおよび前記チューブ組立体に結合されたアクチュエータ組立体であって、ホイールを備えるアクチュエータ組立体と、
を備え、
前記アクチュエータ組立体が、前記切開窓を向き付けるために、前記中間チューブを回転させるように、前記ホイールが第1の軸方向位置において回転可能な第1のモードと、前記曲り部分を向き付けるために、前記外側チューブを回転させるように、前記ホイールが第2の軸方向位置において回転可能な第2のモードと、において動作可能である、手術用切開組立体。
【請求項2】
手術用切開組立体であって、
ハウジングと、
前記ハウジングに結合されたチューブ組立体であって、前記ハウジングから延在する外側チューブ、前記外側チューブの内部に同軸で回転可能に配設された中間チューブ、および、前記中間チューブの内部に同軸で回転可能に配設された内側チューブを備え、曲り部分、および、前記曲り部分に対して遠位方向に配置された切開窓をさらに備えるチューブ組立体と、
前記ハウジングおよび前記チューブ組立体に結合されたアクチュエータ組立体であって、ホイールを備えるアクチュエータ組立体と、
を備え、
アクチュエータ組立体は、前記アクチュエータ組立体が前記中間チューブに動作可能に結合され、前記外側チューブから動作可能に分離される第1のモードと、前記アクチュエータ組立体が前記外側チューブに動作可能に結合され、前記中間チューブから動作可能に分離される第2のモードと、において動作可能である、手術用切開組立体。
【請求項3】
手術用切開組立体であって、
ハウジングと、
前記ハウジングに結合されたチューブ組立体であって、前記ハウジングから延在する外側チューブ、前記外側チューブの内部に同軸で回転可能に配設された中間チューブ、および、前記中間チューブの内部に同軸で回転可能に配設された内側チューブを備え、曲り部分、および、前記曲り部分から遠位方向に配置された切開窓をさらに備えるチューブ組立体と、
アクチュエータ組立体であって、前記ハウジングに対して軸方向に移動可能であり、前記アクチュエータ組立体を第1のモードおよび第2のモードのうち1つで移動させるように構成されたホイール、および、前記ホイールに結合され、前記アクチュエータ組立体を前記第1のモードへと付勢するように構成された付勢部材を備える、アクチュエータ組立体と、
を備える、手術用切開組立体。
【請求項4】
手術用切開組立体であって、
ハウジングと、
前記ハウジングに結合されたチューブ組立体であって、前記ハウジングから延在する外側チューブ、前記外側チューブの内部に同軸で回転可能に配設された中間チューブ、および、前記中間チューブの内部に同軸で回転可能に配設された内側チューブを備え、曲り部分、および、前記曲り部分から遠位方向に配置された切開窓をさらに備えるチューブ組立体と、
アクチュエータ組立体であって、前記ハウジングに対して軸方向に移動可能であり、前記アクチュエータ組立体を第1のモードおよび第2のモードのうち1つで移動させるように構成されたホイールを備え、前記ホイールが、遠位のホイール部分および近位のホイール部分を備え、前記遠位のホイール部分および前記近位のホイール部分の各々が、互いに結合されて前記アクチュエータ組立体の従属部品用の空洞を画定する個別部品である、アクチュエータ組立体と、
を備える、手術用切開組立体。
【請求項5】
前記アクチュエータ組立体には、前記第1のモードにおいて前記ハウジングと係合し、前記第2のモードにおいて前記ハウジングから離脱するように構成された第1の歯車がさらに備えられている、請求項1から4のいずれか1項に記載の手術用切開組立体。
【請求項6】
前記アクチュエータ組立体には、前記外側チューブに固定され、前記第1のモードにおいて前記ホイールから離脱し、前記第2のモードにおいて前記ホイールと係合するように構成された第2の歯車がさらに備えられている、請求項5に記載の手術用切開組立体。
【請求項7】
前記アクチュエータ組立体が、前記中間チューブに固定された第3の歯車をさらに備え、前記第3の歯車が、前記第1のモードにおいて前記ホイールと係合し、前記第2のモードにおいて前記ホイールから離脱するように構成されている、請求項6に記載の手術用切開組立体。
【請求項8】
前記第1の歯車と前記第2の歯車とが、前記第1の歯車と前記第2の歯車との間の相対的な回転は防止し、相対的な移動は許容するように構成された相補的なキー部を備える、請求項6または7に記載の手術用切開組立体。
【請求項9】
前記アクチュエータ組立体が、前記第2の歯車と前記第3の歯車との間に配設された軸受をさらに備える、請求項7に記載の手術用切開組立体。
【請求項10】
前記アクチュエータ組立体が、前記第1の歯車と前記第2の歯車との間に配設された付勢部材をさらに備える、請求項5から9のいずれか1項であって請求項1,2または4に従属するものに記載の手術用切開組立体。
【請求項11】
前記ハウジングが、ノーズ部分と、前記ホイールを受け入れるように寸法設定された空隙を画定するために前記ノーズ部分から間隔を置いたカラーと、を備え、前記ノーズ部分が、前記アクチュエータ組立体が前記第1のモードにある状態で前記第1の歯車と係合するように構成された係合部を備える、請求項1から10のいずれか1項に記載の手術用切開組立体。
【請求項12】
前記カラーが、前記アクチュエータ組立体が前記第2のモードにある状態で前記ホイールの近位側を受け入れるように寸法設定されたリップを備える、請求項11に記載の手術用切開組立体。
【請求項13】
手術用切開組立体であって、
ハウジングと、
前記ハウジングに結合されたチューブ組立体であって、前記ハウジングから延在する外側チューブ、前記外側チューブの内部に同軸で回転可能に配設された中間チューブ、および、前記中間チューブの内部に同軸で回転可能に配設された内側チューブを備え、曲り部分、および、前記曲り部分から遠位方向に配置された切開窓をさらに備えるチューブ組立体と、
ホイール、第1の歯車、前記外側チューブに固定された第2の歯車、および、前記中間チューブに固定された第3の歯車を備えるアクチュエータ組立体と、
を備える、手術用切開組立体。
【請求項14】
(i)前記第1の歯車が、前記ハウジングに選択的に係合すること、(ii)前記第2の歯車が、前記ホイールに選択的に係合すること、および、(iii)前記第3の歯車が、前記ホイールに選択的に係合すること、のうち少なくとも1つが成立するように構成される、請求項13に記載の手術用切開組立体。
【請求項15】
前記第1の歯車と前記第2の歯車とが、前記第1の歯車と前記第2の歯車との間の相対的な回転は防止し、相対的な移動は許容するように構成された相補的なキー部を備える、請求項13または14に記載の手術用切開組立体。
【請求項16】
前記アクチュエータ組立体が、前記第2の歯車と前記第3の歯車との間に配設された軸受をさらに備える、請求項13から15のいずれか1項に記載の手術用切開組立体。
【請求項17】
前記アクチュエータ組立体が、前記第1の歯車と前記第2の歯車との間に配設された付勢部材をさらに備える、請求項13から16のいずれか1項に記載の手術用切開組立体。
【請求項18】
前記ハウジングが、前記第1の歯車によって選択的に係合されるように構成された係合部を備える、請求項13から17のいずれか1項に記載の手術用切開組立体。
【請求項19】
前記第1の歯車、前記第2の歯車、および前記第3の歯車が、前記ホイールの内部に配設されている、請求項13から18のいずれか1項に記載の手術用切開組立体。
【請求項20】
前記ホイールが、互いに結合された個別部品である、遠位のホイール部分および近位のホイール部分をさらに備える、請求項13から19のいずれか1項に記載の手術用切開組立体。
【請求項21】
前記遠位のホイール部分が、前記ホイールの近位方向における人間工学的な移動のための裾広がりの面を形成するために、前記近位のホイール部分の輪郭と異なる輪郭を含む、請求項19または20に記載の手術用切開組立体。
【請求項22】
前記チューブ組立体が、吸引源と流体連通して配置されるように構成された吸込み経路と、流体源と流体連通して配置されるように構成された灌水経路とを画定する、請求項1から21のいずれか1項に記載の手術用切開組立体。
【請求項23】
前記ハウジングおよび前記アクチュエータ組立体が、前記手術用切開組立体の使い捨て構成要素を形成する、請求項1から22のいずれか1項に記載の手術用切開組立体。
【請求項24】
前記ハウジングおよび前記ホイールのうち少なくとも1つ上に配設された聴覚指示器であって、前記アクチュエータ組立体が前記第1のモードおよび前記第2のモードのうち1つをとる状態で、聴覚フィードバックを供給するように構成された聴覚指示器をさらに備える、請求項1から23のいずれか1項に記載の手術用切開組立体。
【請求項25】
前記ハウジングおよび前記ホイールのうち少なくとも1つの上に配設された干渉部であって、前記ホイールの前記第1のモードと前記第2のモードとの間の移動を可能にするために選択的に係合および離脱するように構成された干渉部をさらに備える、請求項1から24のいずれか1項に記載の手術用切開組立体。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか1項に記載の手術用切開組立体と、
前記手術用切開組立体に取外し可能に結合されるように構成された主組立体であって、モータを備える主組立体と、
を備える、手術器具。
【請求項27】
シェーバまたはバーである、請求項26に記載の手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2021年4月23日出願の米国仮特許出願第63/178,571号の優先権およびすべての利益を主張するものであり、その内容の全体が参照によって本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
特定の手術器具は、アクセス、操作性、および視認性が制限された外科手術に使用するために開発されている。一例には、耳、鼻、および咽喉(ENT:ear,nose,and throat)の処置用の手術用シェーバがあり、別の例には、手術用バーがある。これらの手術器具は、チューブ組立体を含むことがあり、チューブ組立体において、外側チューブの内部に内側チューブまたは駆動軸が回転可能に配設されており、切開窓が、チューブ組立体の遠位端に対して近位側に半径方向に配置されている。したがって、切開窓に対して露出される組織は、切開窓の向きと外科医が組織内に手術器具を導入するアプローチとに基づく。既知の装置は、好ましくないことに、組織から手術器具を取り出して所望のアプローチで再導入する必要が生じることがある。また、手術器具は、大抵の場合、特定の手法で快適に保持されるように設計されており、外科医の手の中での再配置は、非人間工学的になる可能性がある。
【0003】
特定の組織に対して、よりアクセスしやすくするために、チューブ組立体に曲り部分を含めることがさらに知られている。しかしながら、曲り部分の存在は、既知の装置の前述の短所を悪化させる。すなわち、切開窓に露出される組織は、曲り部分の向きにさらに基づく。たとえば、曲り部分は、ハンドピースに対して上に向かって向けられてよく、切開窓はチューブ組立体の凹側に向けられてよい。外科医が組織の中に手術器具を導入する所与のアプローチについて、切開窓の向きと曲り部分の向きとの任意数の組合せが、好ましくなることがあり、または外科手術の間に、より好ましくなることがある。
【0004】
特定の既知の装置は、切開窓および/または曲り部分の向きを提供する。そのような装置の1つが、2017年9月28日公開の、共同所有されている国際公開第2017/163226号に開示されており、その内容の全体が参照によって本明細書に組み込まれる。切開窓を向き付けるためにホイールが回転され得ることが開示されている。限られた数の構成のうちの1つにおいて、曲り部分を選択的に向き付けるために、ハンドピースからチューブ組立体が動作可能に分離され得ることが、さらに開示されている。
【0005】
したがって、当技術分野には、手術用切開組立体の複数の構成要素を、直観的、人間工学的、かつ効率的な手法で選択的に調節することができる手術用切開組立体に対する必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示の手術用切開組立体は、少なくとも上記の短所を克服するものである。この手術用切開組立体は、少なくとも第1のモードおよび第2のモードで動作可能なアクチュエータ組立体を含む。第1のモードでは手術用切開組立体の第1の従属部品を調節するために、また、第2のモードでは手術用切開組立体の第2の従属部品を調節するために、ホイールが回転可能であり得る。たとえば、アクチュエータ組立体は、第1のモードにおいて切開窓を向き付け、第2のモードにおいてチューブ組立体の曲り部分を向き付ける。ホイールは、第1のモードでは第1の軸方向位置において、第2のモードでは第2の軸方向位置において、回転可能であり得る。第2の軸方向位置は第1の軸方向位置の近位であり得る。
【0007】
アクチュエータ組立体は、第1のモードでは、中間チューブに動作可能に結合され得、ホイールが第1の軸方向位置において回転すると中間チューブを回転させる。アクチュエータ組立体は、第1のモードでは外側チューブから動作可能に分離され得、第2のモードでは中間チューブから動作可能に分離され得る。アクチュエータ組立体は、第2のモードでは、外側チューブに動作可能に結合され得、ホイールが第2の軸方向位置において回転すると外側チューブを回転させる。ホイールは、第1のモードと第2のモードとの間で、ハウジングに対して軸方向に移動可能であり得る。アクチュエータ組立体は、ホイールに結合された付勢部材を含み得る。付勢部材は、アクチュエータ組立体を、二者択一で第1のモードまたは第2のモードへと付勢し得る。アクチュエータ組立体は、第1の歯車と、外側チューブに固定された第2の歯車と、中間チューブに固定された第3の歯車とを含み得る。
【0008】
特定の実装形態では、アクチュエータ組立体は、ホイール、第1の歯車、第2の歯車、および第3の歯車を含む。第1の歯車、第2の歯車、および/または第3の歯車は、ヒルト継手を形成するように構成され得る。第1の歯車、第2の歯車、および/または第3の歯車は、相補的な係合機能を有する正面歯車を形成するために、環状に配置されて近位方向または遠位方向に向けられた歯を含むヒルト継手でよい。他のタイプの歯車は、スパー、ヘリカル、ベベル、ウォーム、スクリューなどを含み得る。選択的に、回転入力から解放されたり、力を伝えるために再係合したりする、任意の適切な継手が提供され得る。
【0009】
第2の歯車は境界面において外側チューブに固定されてよく、第3の歯車は境界面において中間チューブに固定されてよい。境界面は、接着剤、締結具、摩擦嵌合、締りばめなどのうち1つまたは複数によってもたらされ得る。第2の歯車が回転すると外側チューブを回転させ、したがって、チューブ組立体の曲り部分が、対応して再度向き付けられる。第3の歯車が回転すると中間チューブを回転させ、中間チューブが切開窓を画定するので、チューブ組立体の切開窓が、対応して再度向き付けられる。アクチュエータ組立体が第1のモードにあるホイールの回転は、第3の歯車を回転させるように構成され、アクチュエータ組立体が第2のモードにあるホイールの回転は、第2の歯車回転させるように構成される。
【0010】
ホイールは、遠位のホイール部分および近位のホイール部分を含み得る。遠位のホイール部分および近位のホイール部分は、別個に形成された個別部品でよく、互いに固定されてホイールを形成する。遠位のホイール部分および近位のホイール部分は、ホイールの組立てを容易にするように構成された結合機能を含み得る。第1の空洞および第2の空洞は、遠位のホイール部分と近位のホイール部分とが互いに固定された状態で、アクチュエータ組立体の従属部品、すなわち第1の歯車、第2の歯車、第3の歯車、付勢要素、および軸受を収容するように、寸法設定される。遠位のホイール部分は、裾広がりの面を形成するために、近位のホイール部分の輪郭と異なる輪郭を含み得る。裾広がりの面は、親指と人差し指でホイールをつまんで引っ張るとき、より大きな接触面積をもたらすように、より垂直方向に向けられると考えられ得る。
【0011】
第2の態様によれば、手術器具用のアクチュエータ組立体が提供される。ホイールが空洞を画定し、第1の歯車、第2の歯車、および第3の歯車は空洞の内部に配設される。第2の歯車は第1の従属部品に固定され、第3の歯車は第2の従属部品に固定される。第1の従属部品は任意の手術器具の外側チューブでよく、第2の従属部品は、たとえば固体の駆動軸または別のチューブといった軸でよい。第2の従属部品は中実軸でよく、エンドエフェクタが再度向き付けられ得る。そのような例は、アブレーション用に半径方向に配設された電極、偏心的に配備された椎骨形成術用のバルーン、椎体形成術用の放射状側孔などを含む。そのような機構では、内側チューブは任意選択でよい。
【0012】
第1の歯車は、ハウジングと選択的に係合され得る。第2の歯車は、ホイールと選択的に係合され得る。第3の歯車は、ホイールと選択的に係合され得る。第1の歯車は、ハウジングのノーズ部分の係合部と係合するように構成された係合部を含む。第1の歯車は、第1のリングを含み得、係合部は、第1のリングのまわりに環状に配置されて遠位方向に向けられた歯である。第1の歯車は、遠位のホイール部分によって画定された第1の空洞の中に配置されるように寸法設定される。遠位のホイール部分の遠位面が画定する開口を通って、第1の歯車の係合部が延在し、第1のリングは、第1の空洞を画定する内表面と干渉係合する。ノーズ部分の係合部は、第1の歯車の歯と相補的な手法で配置されて近位方向に環状に向けられた歯でよい。第1の歯車の係合部が、遠位のホイール部分の遠位面から遠位の方へ延在する状態で、相補的な係合部は、ホイールの軸方向位置に基づいて選択的に係合するように構成される。
【0013】
第1の歯車と第2の歯車とは、第1の歯車と第2の歯車との間の相対的な回転は防止し、相対的な移動は許容するように構成された相補的なキー部を含み得る。第1の歯車のキー部は少なくとも1つのレールでよく、第2の歯車のキー部は少なくとも1つの溝でよい。第1の歯車の第1のリングが開口を画定し、レールは開口の中で軸方向に配置される。第2の歯車のネックの外径は、第1のリングの開口の内径よりも小さく、相補的なキー部により、第1のモードおよび第2のモードの各々において、第1の歯車と第2の歯車との間の軸方向の移動は可能であるが回転は不可能である。
【0014】
第2の歯車は、遠位のホイール部分の係合部と係合するように構成された係合部を含む。第2の歯車は第2のリングを含み得、そこからネックが遠位方向に延在し、第2の歯車の係合部は、第2のリングのまわりに環状に配置されて遠位方向に向けられた歯でよい。第3の歯車は、近位のホイール部分の係合部と係合するように構成された係合部を含む。第3の歯車は第3のリングを含み得、第3の歯車の係合部は、第3のリングのまわりに環状に配置されて遠位方向に向けられた歯でよい。
【0015】
本発明の利点は、記述された説明を以下の図面に関連して検討することによって容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】主組立体から取外し可能に結合された手術用切開組立体を含む手術器具の正面斜視図である。
【
図2】部分的に分解した手術用切開組立体の背面斜視図である。
【
図3】部分的に分解した手術用切開組立体の正面斜視図である。
【
図4】ハウジング、アクチュエータ組立体、およびチューブ組立体を含む手術用切開組立体の断面立面図である。アクチュエータ組立体は第1のモードにある。チューブ組立体の切開窓は、チューブ組立体の凸側に向けられている。
【
図5】アクチュエータ組立体が第2のモードにある手術用切開組立体の断面立面図である。チューブ組立体の切開窓は、チューブ組立体の凹側に向けられており、チューブ組立体の曲り部分は、ハウジングに対して下向きに向けられている。
【
図6】第1のモードにおけるアクチュエータ組立体の断面立面図であり、チューブ組立体の一部が示されている図である。
【
図7】第2のモードにおけるアクチュエータ組立体の断面立面図であり、チューブ組立体の一部が示されている図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、手術用切開組立体12および主組立体14を含む手術器具10を示す。主組立体14は、電源と電気通信して配置されるように構成された電力ライン16と、吸引源と流体連通して配置されるように構成された吸引ライン18と、流体源と流体連通して配置されるように構成された灌水ライン20とを含む。電動機(図示せず)は電力ライン16によって給電される。主組立体14のジオメトリ(図示せず)は、主組立体14によって支持され主組立体に対して選択的にロックされる切開組立体12の接続ハブ24を用いて、切開組立体12の駆動ハブ22に動作可能に結合するように構成されている。主組立体14の特定の詳細は、2021年11月11日公開の、内容の全体が参照によって本明細書に組み込まれている、共同所有された国際公開第2021/224862号と、前述の国際公開第2017/163226号とに、さらに開示されている。
【0018】
図2および
図3をさらに参照して、切開組立体12は、ハウジング26、チューブ組立体28、およびアクチュエータ組立体30を含む。ハウジング26は、容易に片手操作できるように設計された人間工学的な手術器具10のフォームファクタをもたらすように互いに結合された相対部分すなわち半分32、34を含み得る。相対部分32、34はまた、製造の複雑さを軽減することによって、より低コストの材料で、ハウジング26のコスト効率の良い製作を可能にし得る。説明される有利な機能性にもかかわらず、切開組立体12は使い捨て構成要素であり、したがって、殺菌、再処理、無菌の取扱いなどの必要性が回避される。
【0019】
ハウジング26は、フィンガ部分36と、外科医の手を人間工学的に支持するように形成されたウェブ部分38とを、間隔を置いて含み得る。詳細には、フィンガ部分36およびウェブ部分38は、外科医の手のウェブが容易に支持され得る空洞を少なくとも部分的に画定し得る。前述の国際公開第2017/163226号に開示されているさらなる人間工学の機構を用いて、ハウジング26に対する変更が企図される。
【0020】
ハウジング26は、アクチュエータ組立体30を受け入れるように寸法設定された空間44を画定するために、ノーズ部分40と、ノーズ部分40から間隔を置いたカラー42とを含む。カラー42に結合された接続ハブ24が、カラーから近位方向に延在する。カラー42は、説明されるリップ46を備え、少なくともチューブ組立体28の内側チューブ56を受け入れるように寸法設定された開口48をさらに画定する。ノーズ部分40は、フィンガ部分36から全体的に上方へ延在し得、間に開口54を画定する近位面50と遠位面52とを含み得る。開口54は、チューブ組立体28を受け入れるように寸法設定される。近位面50は、アクチュエータ組立体30のホイール74の遠位のホイール面90と同じ高さになるように平坦でよい。遠位面52は、特にハウジング26が鉛筆握りされたとき、外科医の手の指に対する人間工学的な支持をもたらす任意の適切な手法で形成され得る。
【0021】
チューブ組立体28は、内側チューブ56、中間チューブ58、および外側チューブ60を含む。中間チューブ58が、外側チューブ60の内部に回転可能に同軸で配設され、内側チューブ56が、中間チューブ58の内部に回転可能に同軸で配設される。内側チューブ56は、説明されるアクチュエータ組立体30とのそれぞれの接続によって中間チューブ58よりも長くなり得、中間チューブ58は外側チューブ60よりも長くてよい。チューブ組立体28は、曲り部分62と、曲り部分62から遠位方向に配置された切開窓64とを含み得る。より詳細には、中間チューブ58と外側チューブ60とが、曲り部分62を形成する相補的な曲り部分を含むように、中間チューブ58は可撓性でよい。さらに、内側チューブ56は、たとえば高速回転中の曲り部分62を収容するためにも可撓性でよい。切開窓64は中間チューブ58によって画定され得、内側チューブ56が、切開窓64の内部に回転可能に配置されるように構成された切開部分(図示せず)を含む。切開部分は、手術用シェーバの内部の切開窓または手術用バーのバーヘッドのまわりに配置された歯でよい。内側チューブ56は、切開窓64と流体連通している吸込み経路66(
図4~
図7を参照されたい)を画定し、主組立体14に結合された吸引源と流体通信して配置されるように構成される。内側チューブ56と中間チューブ58との間に、主組立体14に結合された流体源と流体通信して配置されるように構成された灌水経路68が画定され得ることがさらに企図される。灌水液は、中間チューブ58の遠位端70において、切開窓64に隣接する灌水経路68から放出される。外側チューブ58の遠位端72は、中間チューブ58の遠位端70の近くに配設され、曲り部分62から遠位にさらに配設される。慣習のために、曲り部分62は、チューブ組立体28を遠位部分と近位部分とに配分すると見なされ得、近位部分が切開組立体12の長手軸(LA)を画定する(
図1を参照されたい)。
【0022】
引き続き
図2および
図3を参照して、アクチュエータ組立体30は、ホイール74、第1の歯車76、第2の歯車78、および第3の歯車80を含む。第1の歯車76、第2の歯車78、および/または第3の歯車80は、ヒルト継手を形成するように構成され得る。第1の歯車76、第2の歯車78、および/または第3の歯車80は、相補的な係合部を有する正面歯車を形成するために、環状に配置されて近位方向または遠位方向に向けられた歯を含むヒルト継手でよい。他のタイプの歯車は、スパー、ヘリカル、ベベル、ウォーム、スクリューなどを含み得る。選択的に、回転入力から解放されたり、力を伝えるために再係合したりする任意の適切な継手が提供され得る。アクチュエータ組立体30は、付勢部材82、軸受84、およびシール85を任意選択で含み得る。軸受84は、第2の歯車78と第3の歯車80との間の相対回転に対する摩擦を制限するように構成され、シール85は、灌水液が内側チューブ56と中間チューブ58との間の灌水経路を通って導かれて排出されることを防止して、手術部位において放出されるようにする、Oリングでよい。
【0023】
ホイール74は、ハウジング26によって画定された空間44の内部に回転可能に配置されるように寸法設定される。ホイール74は、遠位のホイール部分86および近位のホイール部分88を含み得る。遠位のホイール部分86は、遠位のホイール面90と、第1の空洞94を画定する第1の内側ホイール面92とを含む。遠位のホイール部分86は、第1の空洞94の内部に配設された係合部96をさらに含み得る。図示の実装形態は、遠位のホイール部分90の第1の空洞94の内部に環状に配置されて近位方向に向けられた歯としての係合部96を示す。近位のホイール部分88は、第2の空洞102を画定する、近位のホイール面98および第2の内側ホイール面100を含む。近位のホイール部分88は、第2の空洞102の内部に配設された係合部104をさらに含み得る。図示の実装形態は、近位のホイール部分88の第2の空洞102の内部に環状に配置されて遠位方向に向けられた歯としての係合部104を示す。
【0024】
遠位のホイール部分86および近位のホイール部分88は、別個に形成された個別部品でよく、互いに固定されてホイール74を形成する。遠位のホイール部分86と近位のホイール部分88とは、好ましくは遠位のホイール部分86が近位のホイール部分88から分離しないような恒久的な手法でホイール74の組立てを容易にするように構成された結合部を含み得る。図示の実装形態は、弾性的に偏向して、近位のホイール部分88によって画定された溝108(2つ識別される)と係合するように構成された、遠位のホイール部分86のかかり106(2つ識別される)としての結合部を示す。逆の構成が企図され、遠位のホイール部分86と近位のホイール部分88との固定が、他の適切な結合手段によって達成され得ることが理解される。第1の空洞94および第2の空洞102は、遠位のホイール部分86と近位のホイール部分88とが互いに固定された状態で、アクチュエータ組立体30の従属部品、すなわち第1の歯車76、第2の歯車78、第3の歯車80、付勢部材82、軸受84、およびシール85を収容するように寸法設定される。
【0025】
アクチュエータ組立体30は、少なくとも第1のモードおよび第2のモードにおいて選択的に動作可能である。
図4および
図6は第1のモードにおけるアクチュエータ組立体30を示し、
図5および
図7は第2のモードにおけるアクチュエータ組立体を示す。アクチュエータ組立体30を第1のモードで操作するかまたは作動させることは、切開組立体12の1つの構成要素を調節するように構成され、アクチュエータ組立体30を第2のモードで操作することは、切開組立体12の別の構成要素を調節するように構成される。アクチュエータ組立体30の例示の機構は、第1のモードでは切開窓を向き付け、第2のモードでは組立体の曲り部分を向き付ける。より詳細には、ホイール74は、長手軸のまわりで、切開窓64を向き付けるために第1のモードで回転されてよく、チューブ組立体28の曲り部分62を向き付けるために第2のモードで回転されてよい。逆の機構が企図される。アクチュエータ組立体30は、ホイール74を、第1の軸方向位置と、第1の軸方向位置に近位の第2の軸方向位置との間で移動することにより、第1のモードと第2のモードとの間で選択的に移動され得る。
【0026】
第2の歯車78は境界面110において外側チューブ60に固定されてよく、第3の歯車80は境界面112において中間チューブ58に固定されてよい。境界面110、112は、接着剤、締結具、摩擦嵌合、締りばめなどのうち1つまたは複数によってもたらされ得る。第2の歯車78を回転させると外側チューブ60が回転し、したがって、チューブ組立体28の曲り部分62が、対応して再度向き付けられる(
図1の矢印114)。第3の歯車80を回転させると中間チューブ58が回転し、中間チューブ58が切開窓64を画定する状態では、チューブ組立体28の切開窓64が、対応して再度向き付けられる(
図1の矢印116)。アクチュエータ組立体30が第1のモードにある状態でホイール74が回転すると第3の歯車80を回転させるように構成され、アクチュエータ組立体30が第2のモードにある状態でホイール74が回転すると第2の歯車78を回転させるように構成される。
【0027】
アクチュエータ組立体30のいくつかの構成要素は説明される係合部を含み、これらは、従属部品の、第1のモードと第2のモードとの間の選択的な係合および離脱を容易にするように構成される。
図2~
図7を参照して、第1の歯車76が含む係合部118は、ハウジング26のノーズ部分40の係合部120と係合するように構成される。第1の歯車76は第1のリング122を含み得、係合部118は遠位方向に歯状になっていて、第1のリング122のまわりに環状に配置されている。第1の歯車76は、遠位のホイール部分86によって画定された第1の空洞94の中に配置されるように寸法設定される。より詳細には、遠位のホイール部分86の遠位面90が画定する開口124を通って第1の歯車76の係合部118が延在し、第1のリング122は、第1の空洞94を画定する内表面と干渉係合する(
図6および
図7を参照されたい)。ノーズ部分40の係合部120は、第1の歯車76の歯と相補的な手法で配置されて、近位方向に環状に向けられた歯でよい。相補的な係合部118と120とは、第1の歯車76の係合部118が遠位のホイール部分86の遠位面90から遠位の方へ延在する状態で、ホイール74の軸方向位置に基づいて選択的に係合するように構成される。
図4は、第1のモードにおけるアクチュエータ組立体30を示し、ハウジング26に対する第1の歯車76の回転を防止するために、ホイール74が第1の軸方向位置にあって、相補的な係合部118と120とが係合している。
図5は、第2のモードにおけるアクチュエータ組立体30を示し、ホイール74が第2の軸方向位置にある。ノーズ部分40の近位面50と遠位のホイール部分86の遠位面90との間に間隙が認められ、相補的な係合部118と120とが互いから離脱している。一緒に見ると、第1の歯車76は、第1のモードではハウジング26と係合し、第2のモードではハウジング26から離脱するように構成される。
【0028】
第1の歯車76と第2の歯車78とは、第1の歯車76と第2の歯車78との間の相対的な回転は防止し、相対的な移動は許容するように構成された相補的なキー部126、128を含み得る。第1の歯車76のキー部126は少なくとも1つのレールでよく、第2の歯車78のキー部128は少なくとも1つの溝でよい。逆の構成も企図される。図示の実装形態は、第2の歯車78のネック130によって画定された2つの対向した溝の内部にスライド可能に配設された2つの対向したレールを示す。第1の歯車76の第1のリング122が開口を画定し、レールは開口の中で軸方向に配置される。第2の歯車88のネック130の外径は、第1のリング122の開口の内径よりも小さく、相補的なキー部126と128とにより、第1のモードおよび第2のモードの各々において、第1の歯車76と第2の歯車78との間の軸方向の移動は可能であるが回転は不可能である。
【0029】
第2の歯車78は、遠位のホイール部分86の係合部96と係合するように構成された係合部132を含む。第2の歯車78は第2のリング134を含み得、そこからネック130が遠位方向に延在し、第2の歯車78の係合部132は、第2のリング134のまわりに環状に配置されて遠位方向に向けられた歯でよい。
図4は、第1のモードにおけるアクチュエータ組立体30を示し、ホイール74が第1の軸方向位置にあって、相補的な係合部96と132とは軸方向に間隔がある。
図5は、第2のモードにおけるアクチュエータ組立体30を示し、ホイール74が第2の軸方向位置にあって、相補的な係合部96と132とが互いに係合している。一緒に見ると、第2の歯車78は、第1のモードでは遠位のホイール部分86から離脱して、第2のモードでは遠位のホイール部分86と係合するように構成される。
【0030】
第3の歯車80は、近位のホイール部分88の係合部104と係合するように構成された係合部136を含む。第3の歯車80は第3のリング138を含み得、第3の歯車80の係合部136は、第3のリング138のまわりに環状に配置されて遠位方向に向けられた歯でよい。
図4は、第1のモードにおけるアクチュエータ組立体30を示し、ホイール74の回転によって第3の歯車80を回転させるために、ホイール74が第1の軸方向位置にあって、相補的な係合部104と136とが係合している。
図5は、第2のモードにおけるアクチュエータ組立体30を示し、ホイール74が第2の軸方向位置にあって、相補的な係合部104と136とが互いから離脱している。一緒に見ると、第3の歯車80は、第1のモードでは近位のホイール部分88と係合し、第2のモードでは近位のホイール部分88から離脱するように構成される。
【0031】
第3の歯車80は、ハウジング26のカラー42から遠位方向に延在するボス140と接する関係に配置された近位面139を含む(
図3を参照されたい)。ホイール74の近位のホイール部分88は、ボス140の上にスライド可能に配設されるように寸法設定された開口142を画定し、ボス140は、第1のモードおよび第2のモードにおいて第3の歯車80の近位面139に接する。言い換えれば、ハウジング26のボス140と第3の歯車80との間の係合が、アクチュエータ組立体30の従属部品の軸方向の積重ねのための基準面をもたらすと見なされ得る。
図6の断面図において遠位方向に移動すると、軸方向の積重ねは、ボス140と第3の歯車80との間に配設された軸受84を含む。軸方向の積重ねは、第3の歯車80と第2の歯車78との間に配設されたシール85をさらに含み、ボス140と第3の歯車80の近位面139との間を密閉する。結果的に、第2の歯車78は、第3の歯車80に対して軸方向に固定される。軸方向の積重ねは、第1の歯車76と第2の歯車78との間に配置された付勢部材82をさらに含む。第2の歯車78は、係合部132とネック130との間の環状凹部を画定し得、付勢部材82は、凹部の中に配置されるように寸法設定された直径を有するコイルばねである。コイルばねの反対側の終端は、第1の歯車76の近位面に接してよく、コイルばねは、第1の歯車76を第2の歯車78に対して遠位方向に付勢するように構成される。より詳細には、付勢部材82は、以前に説明された機能性のために、第1のリング122を遠位のホイール部分86と干渉係合させるために付勢するように構成される。
図6は、第1の歯車76の近位面146から間隔を置いた、第2の歯車78のネック130の遠位面144を示し、
図7は、ネック130の遠位面144が、付勢部材82のばね付勢に抗して第1の歯車76の近位面146と係合する様子を示す。
【0032】
第1のモードにおけるアクチュエータ組立体30の作動が、
図4および
図6を参照しながら説明される。相補的な係合部118と120とは、第1の歯車76がハウジング26と係合するように係合する。ハウジング26に対する第1の歯車76の回転が防止される。相補的なキー部126と128とが、第1の歯車76と第2の歯車78との間の相対回転を防止するので、第2の歯車78のハウジング26に対する回転が防止される。第2の歯車78の係合部132が、遠位のホイール部分86の係合部96から離脱する。第3の歯車80の係合部136が、近位のホイール部分88の係合部104と係合する。結果的に、ホイール74が回転すると、対応して第3の歯車80が回転する。第3の歯車80は、境界面112において中間チューブ58に固定され、第3の歯車80を回転させると、対応して中間チューブ58が回転し、それによってチューブ組立体28の切開窓64を再度向き付ける(矢印116)。
図4は、切開窓64が、
図1に対して180度回転して、チューブ組立体28の曲り部分62の凸側にある様子を示す。
【0033】
チューブ組立体28の曲り部分62を再度向き付けて示す場合には、アクチュエータ組立体30が第1のモードから第2のモードに移動される。アクチュエータ組立体30を第1のモードから第2のモードへ動かすために、ホイール74に、ホイール74を第1の軸方向位置から第1の軸方向位置に近位の第2の軸方向位置に移動させる入力が供給される。入力は、親指と人差し指でホイール74をつまみ、付勢部材82からのばね付勢に抗して近位方向に引く操作を含み得る。アクチュエータ組立体30の第1のモードから第2のモードへの人間工学的な作動を容易にするために、遠位のホイール部分86は、裾広がりの面148を形成するように、近位のホイール部分の輪郭と異なる輪郭を含み得る。裾広がりの面148は、親指と人差し指でホイール74をつまんで引っ張るとき、より大きな接触面積をもたらすように、より垂直方向に向けられると考えられ得る。
【0034】
図5および
図7を参照して、ホイール74は、付勢部材82からのばね付勢に抗して近位方向に移動される。アクチュエータ組立体30の従属部品の前述の軸方向の積重ねによって、遠位のホイール部分86および近位のホイール部分88は、それぞれの係合部96、104を含めて、第2の歯車78および第3の歯車80と係合したり、これらから離脱したりするように、それぞれ移動される。遠位のホイール部分86、近位のホイール部分88、および第1の歯車76は近位方向に移動するが、第2の歯車78および第3の歯車80は、なお静止したままである。近位のホイール部分88の近位側は、カラー42のリップ46に受け入れられるか、またはその下に引っ込む。カラー42のリップ46は、第2のモードのアクチュエータ組立体30によって第2の軸方向位置に移動されたホイール74を収容するように寸法設定された空隙44の一部を画定する。リップ46は、他の利点の中でも、デフォルトモードと見なされ得る第1のモードにおけるハウジング26とホイール74との間の間隙を解消することにより、ハウジング26とホイール74との間の、目に見えるより円滑な移行の美的な役割を果たす。
【0035】
ホイール74の近位の移動により、第1の歯車76がハウジング26から離脱し、第2の歯車78が遠位のホイール部分86と係合して、第3の歯車80が近位のホイール部分88から離脱する。より詳細には、第1の歯車76の係合部118がハウジング26の係合部120から離脱し、第2の歯車78の係合部132が遠位のホイール部分86の係合部96と係合して、第3の歯車80の係合部136が近位のホイール部分88の係合部104から離脱する。離脱と係合とは同時であり得る。その後、ホイール74が回転すると、第2の歯車78が、対応して回転し、境界面110において外側チューブ60に固定される。したがって、第2の歯車78が回転すると、対応して外側チューブ60が回転することにより、チューブ組立体28が長手軸のまわりで回転して(矢印114)、チューブ組立体28の曲り部分62を長手軸のまわりで再度向き付ける。
図5は、曲り部分62が
図1に対して180度回転して、切開窓64がチューブ組立体28の曲り部分62の凸側にある様子を示す。第2のモードでホイール74を回転させながら、付勢部材82からのばね付勢に抗してホイール74の軸方向位置を維持することが示され得る。
【0036】
チューブ組立体28の曲り部分62の向きが一旦果たされると、外科医が入力を解除するだけで、アクチュエータ組立体30が第2のモードから第1のモードへ自動的に戻る。付勢部材82は、もはや外科医からの入力によって抑制されることなく、第1の歯車76を第2の歯車78の遠位方向に付勢して、第1の歯車76と遠位のホイール部分86との間の干渉係合が、ホイール74の、第2の軸方向位置から第1の軸方向位置への移動を推進する。遠位のホイール部分86、近位のホイール部分88、および第1の歯車76は遠位方向に移動するが、第2の歯車78および第3の歯車80は、なおまた静止したままである。第1の歯車76がハウジング26と係合し、遠位のホイール部分86が第2の歯車78から離脱して、近位のホイール部分88が第3の歯車80と係合する。より詳細には、第1の歯車76の係合部118がハウジング26の係合部120と係合し、遠位のホイール部分86の係合部96が第2の歯車78の係合部132から離脱して、近位のホイール部分88の係合部104が第3の歯車80の係合部136と係合する。離脱と係合とは同時であり得る。曲り部分62を再度向き付ける観点から、切開窓64をさらに向き付けるために、ホイール74に、回転入力が直ちに供給され得る。本開示の切開組立体12は、外科医が、手術部位から気が散ることなく、片手で効率的に達成することができる、直観的かつ人間工学的な体験を提供するものである。
【0037】
前述の開示は、網羅的であること、または本発明を何らかの特定の形態に制限することを意図するものではない。使用されている用語法は、限定ではなく説明の性質を持つように意図されている。上記の教示を考慮して多くの修正形態および変形形態が可能であり、本発明は、特に説明されたもの以外の手法で実施され得る。修正形態の1つは、第1のモードまたは第2のモードにおける回転可能な入力によって、切開組立体12の他の特性を調節することを含み得る。一例は、第1のモード、第2のモード、または別のモードにおけるアクチュエータ組立体30の作動により、チューブ組立体の弯曲を調節することを含む。アクチュエータ組立体30が、3つ以上のモードで動作可能になるように設計され得ることがさらに理解される。別の修正形態は、第1のモードまたは第2のモードにおける回転可能な入力によって、手術器具の構成要素を調節することを含み得る。
【0038】
特定の実装形態では、切開組立体12は、アクチュエータ組立体30が第1のモードと第2のモードとの間で移動したときに外科医に聴覚フィードバックを(いくつかの事例では触覚フィードバックも)提供するように構成された聴覚的指標を含み得る。聴覚的指標は、ホイール74が付勢部材82からのばね付勢の下で第1の軸方向位置に戻ったとき、および/またはホイール74が付勢部材82からのばね付勢に抗して第2の軸方向位置に移動されたときに、「クリック」音を供給するように構成され得る。クリック音は、外科医に、アクチュエータ組立体30が第1のモードに完全に戻ったこと、または第2のモードにうまく移されたことを示す。聴覚的指標の例は、ハウジング26およびホイール74が、弾性偏向可能なアーム、移動止め、ラジアルばね、カム、スナップなどの、無効にすることができる互いの干渉係合をもたらすための機能または構成要素を有することを含み得る。無効にすることができる機能または構成要素の係合および離脱が、クリック音を供給し得る。変形形態の1つでは、付勢部材82が任意選択であって、アクチュエータ組立体30が、第1のモードや第2のモードにスナップロックするように構成される。たとえば、アクチュエータ組立体30は、第1の軸方向位置および第2の軸方向位置において、ハウジング26とホイール74との間に、無効にすることができる干渉係合をもたらし得る。アクチュエータ組立体30が第1のモードにあるとき、たとえば、ホイール74に十分な力を印加して、無効にすることができる第1の機能が克服され得る。ホイール74は、第1の軸方向位置と第2の軸方向位置との間のほとんどの距離にわたって自由に移動可能であり得る。第2の軸方向位置に関連した、無効にすることができる第2の機能に遭遇したら、ホイール74に、十分な力が再び印加される。ホイール74は、第2の軸方向位置へとスナップロックされる。第1のモードや第2のモードへとスナップロックされるアクチュエータ組立体30には、クリック音が備わっていてよい。さらに別の例では、無効にすることができる機能を解除して、第1の軸方向位置と第2の軸方向位置との間のホイール74の移動を可能にするために、ハウジング26および/またはホイール74上に、ボタンまたは他の入力が用意されてよい。そのような機構により、外科医が、付勢部材82のばね付勢に抗してホイール74を維持する必要性が回避され、それによって相互作用がより短くなり、外科医の指の疲労を軽減する。
【0039】
特定の実装形態では、ハウジング26に対するホイール74の回転を選択的に防止するためのロック機構が提供され得る。たとえば、ハウジング26は、ホイール74からロック機構を離脱させるためのユーザ入力を必要とするロックピンまたはキー付き結合を含み得る。例示的なロック機構の1つが、前述の国際公開第2017/163226号に開示されている。特定の実装形態では、ホイール74、ハウジング26、および/またはチューブ組立体28上にレーザマーキングなどの視覚的指標が用意され得て、曲り部分62の向きおよび/または切開窓64の向きに関する可視情報を供給する。たとえば、遠位のホイール部分86が、曲り部分62の向きを示す第1の指標を含み、近位のホイール部分88が、切開窓64の向きを示す第2の指標を含む状態で、遠位のホイール部分86は、近位のホイール部分88に対して回転可能であり得る。第1の指標は、整列矢印またはチューブ組立体28の曲り部分62を絵で表す円弧形状でよく、第2の指標は、整列矢印または切開窓64の形状を絵で表す楕円形状でよい。特定の実装形態では、アクチュエータ組立体30は、別部品に機械加工されてよく、または一緒に成型されてもよい。一例には、適切な製造プロセスによって、遠位のホイール部分86と近位のホイール部分88とが一体的に形成されるものが含まれる。ハウジング26とホイール74とが、別々の仕上げおよび/または手ざわりを含み得て、切開組立体12の作動可能な構成要素の快適な感触ならびに視覚的指標を提供することがさらに企図される。切開組立体12に適する、ナビゲーション支援の例示的な外科システムが、2016年5月6日公開の共同所有された国際公開第2016/066287号に開示されており、それらの内容の全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0040】
加えて、本開示の特定の発明的な態様が、以下の例示的な条項を参照しながら説明される。
【0041】
条項1 - ハウジング、曲り部分を含んでハウジングに結合されたチューブ組立体、曲り部分の遠位方向に配置された切開窓、ホイールを含むアクチュエータ組立体、および、付勢部材を含む、手術用切開組立体を操作する方法であって、手術用切開組立体のハウジングを支持するステップと、ホイールを、付勢部材からのばね付勢に抗して近位方向に移動して、アクチュエータ組立体を第1のモードから第2のモードへと移動するステップと、第2のモードのアクチュエータ組立体でホイールを回転させて、チューブ組立体の曲り部分を向き付けるステップと、を含む方法。
【0042】
条項2 - ホイールを回転させるステップが、付勢部材からのばね付勢に抗してホイールの軸方向位置の維持しながらホイールを回転させるステップをさらに含む、条項1に記載の方法。
【0043】
条項3 - ホイールを解放して、アクチュエータ組立体を、付勢部材からのばね付勢の下で第2のモードから第1のモードに戻すステップをさらに含む、条項1または2に記載の方法。
【0044】
条項4 - 手術用切開組立体が聴覚的指標を含む方法であって、アクチュエータ組立体が第1のモードに戻る状態で、聴覚指示器からのクリック音を検知するステップをさらに含む、条項3に記載の方法。
【0045】
条項5 - ハウジングと、曲り部分を含んでハウジングに結合されたチューブ組立体と、曲り部分の遠位方向に配置された切開窓と、ホイールを含むアクチュエータ組立体と、第1の干渉部と、第2の干渉部とを含む、手術用切開組立体を操作する方法であって、手術用切開組立体のハウジングを支持するステップと、第1の干渉部を、第1のモードにあるアクチュエータ組立体から離脱させるステップと、ホイールを近位方向に移動させて、アクチュエータ組立体を第1のモードから第2のモードへ移すステップと、第2の干渉部を係合させて、アクチュエータ組立体を第2のモードに選択的にロックするステップと、第2のモードのアクチュエータ組立体でホイールを回転させて、チューブ組立体の曲り部分を向き付けるステップとを含む方法。
【0046】
条項6 - 第1の干渉部を離脱させて第2の干渉部を係合させるステップが、第1の干渉部および第2の干渉部を克服するのに十分な力をホイールに印加するステップをさらに含む、条項5に記載の方法。
【0047】
条項7 - ホイールは、アクチュエータ組立体が第1のモードおよび第2のモードに固定されているとき以外は、自由に移動可能である、条項5または6に記載の方法。
【0048】
条項8 - ホイールを近位方向に移動するステップが、手のウェブにおいて手術用切開組立体のハウジングを支持したまま、手の人差し指と親指とでホイールをつまんで引くステップをさらに含む、条項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【0049】
条項9 - 手のウェブでハウジングのウェブ部分を支持して、切開組立体を片手で操作するステップをさらに含む、条項8に記載の方法。
【0050】
条項10 - アクチュエータ組立体でホイールを回転させるステップが、第1のモードでチューブ組立体の切開窓を向き付けるステップさらに含む、条項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【0051】
条項11 - モータを含む主組立体に手術用切開組立体を結合するステップさらに含む、条項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【0052】
条項12 - ハウジングを含む手術器具用のアクチュエータ組立体であって、前記アクチュエータ組立体が、空洞を画定するホイールと、第1の歯車と、第1の従属部品に固定された第2の歯車と、第2の従属部品に固定された第3の歯車とを備え、前記第1の歯車、前記第2の歯車、および前記第3の歯車が、前記ホイールの前記空洞の内部に配設されている、アクチュエータ組立体。
【0053】
条項13 - (i)前記第1の歯車が、ハウジングに選択的に係合するように構成される、(ii)前記第2の歯車が、前記ホイールに選択的に係合するように構成される、(iii)前記第3の歯車が、前記ホイールに選択的に係合するように構成される、のうち少なくとも1つである、条項12に記載のアクチュエータ組立体。
【0054】
条項14 - 前記第1の歯車と前記第2の歯車とが、前記第1の歯車と前記第2の歯車との間の相対的な回転は防止し、相対的な移動は許容するように構成された相補的な機能を備える、条項12または13に記載のアクチュエータ組立体。
【0055】
条項15 - 前記アクチュエータ組立体が、前記第1の歯車と前記第2の歯車との間に配設された付勢部材をさらに備える、条項12から14のいずれか1項に記載のアクチュエータ組立体。
【0056】
条項16 - 前記ホイールが、互いに結合された個別部品である、遠位のホイール部分と近位のホイール部分とをさらに備える、条項12から15のいずれか1項に記載のアクチュエータ組立体。
【0057】
条項17 - 前記ハウジングおよび前記ホイールのうち少なくとも1つに配設された聴覚指示器をさらに備える、条項12から16のいずれか1項に記載のアクチュエータ組立体。
【0058】
条項18 - 前記ハウジングおよび前記ホイールのうち少なくとも1つに配設された干渉部であって、前記ホイールの軸方向移動を可能にするために、選択的に係合および離脱するように構成された干渉部をさらに備える、条項12から17のいずれか1項に記載のアクチュエータ組立体。
【国際調査報告】