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特表2024-514969位相シフトされたマイクロ波パルスを用いたキュービットゲートの実施
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  • 特表-位相シフトされたマイクロ波パルスを用いたキュービットゲートの実施 図1
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  • 特表-位相シフトされたマイクロ波パルスを用いたキュービットゲートの実施 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】位相シフトされたマイクロ波パルスを用いたキュービットゲートの実施
(51)【国際特許分類】
   G06N 10/40 20220101AFI20240327BHJP
【FI】
G06N10/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565399
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 CN2022089985
(87)【国際公開番号】W WO2022228532
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】17/244,930
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523396048
【氏名又は名称】アリババ(チャイナ)カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ディン,ダウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジアンシン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ジアチェン
(57)【要約】
単一キュービット量子ゲートのシーケンスを用いて任意の単一キュービット量子ゲートを実施するためのシステムおよび方法が提供される。システムおよび方法は、位相シフトされたパルスの第1のシーケンスをキュービットに適用することによって、ゲートシーケンスにおいて第1の量子ゲートを実施することができる。第1の量子ゲートを適用した後、キュービットに位相シフトされたパルスの第2のシーケンスを適用することによって、ゲートシーケンスにおける第2の量子ゲートを実施することができる。第2の量子ゲートの実施は、更なる回転を生じさせ得る。この更なる回転は、第1の量子ゲートの実施と無関係であり得る。第2のシーケンスにおけるパルスは、第1の回転角を有する仮想Zゲートと、第2の回転角を有するXゲートと、第1の回転角の負数を有する仮想Zゲートとを実施するように構成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、第1の実数パラメータ、第2の実数パラメータおよび第3の実数パラメータによって指定可能なユニタリを有する単一キュービット量子ゲートを適用するためのシステムであって、前記システムは、
キュービットと、
量子コントローラであって、駆動ラインによって前記キュービットに結合され、前記単一キュービット量子ゲートを実施するために、位相シフトされたパウリゲートのシーケンスを前記キュービットに適用するように構成され、前記シーケンスにおける各位相シフトされたパウリゲートは、回転角および位相シフトを有する、量子コントローラと、
を備え、
前記第1、第2および第3の実数パラメータは、
前記シーケンスにおける回転角および前記シーケンスにおける前記位相シフト、または、
前記シーケンスにおける前記位相シフト、
に対応する、システム。
【請求項2】
前記量子コントローラは、連立方程式を解いて、
前記第1、第2および第3の実数パラメータ、ならびに前記シーケンスにおける前記回転角および2つの位相シフト間の対応関係、または
前記第1、第2および第3の実数パラメータ、および前記シーケンスにおける3つの位相シフト間の対応関係
を特定するように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1、第2および第3の実数パラメータは、前記シーケンスにおける3つの位相シフトに対応し、前記3つの位相シフトの各々は、前記第1、第2および第3の実数パラメータのうちの2つの異なる関数である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1、第2および第3の実数パラメータは、前記シーケンスにおける3つの位相シフトに対応し、前記シーケンスにおける前記回転角は、π/2、-π/2およびπからなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記単一キュービット量子ゲートの実施は更なる回転を生じさせない、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記シーケンスは2つの位相シフトされたパウリゲートを含み、前記第1、第2および第3の実数パラメータは、前記シーケンスにおける前記回転角および2つの位相シフトに対応するか、または
前記シーケンスは3つの位相シフトされたパウリゲートを含み、前記第1、第2および第3の実数パラメータは前記シーケンスにおける3つの位相シフトに対応する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ユニタリを表す行列の対角線上の全てのエントリはゼロであり、
前記シーケンスは単一の位相シフトされたパウリゲートであり、
前記第1、第2および第3の実数パラメータは、前記単一の位相シフトされたパウリゲートの位相シフトに対応する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記単一キュービット量子ゲートは、Xπ/2、X-π/2、Yπ/2およびY-π/2からなる群から選択される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ユニタリを表す行列の対角線から外れた全てのエントリはゼロであり、
前記シーケンスは2つの位相シフトされたパウリゲートであり、
前記第1、第2および第3の実数パラメータは、前記2つの位相シフトされたパウリゲートの位相シフトに対応し、
前記2つの位相シフトされたパウリゲートの各々の前記回転角はπである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
量子ゲートのゲートシーケンスをキュービットに適用するための方法であって、
位相シフトされたパルスの第1のシーケンスを前記キュービットに適用することによって、前記ゲートシーケンスにおいて第1の量子ゲートを実施することと、
前記第1の量子ゲートを適用した後、位相シフトされたパルスの第2のシーケンスを前記キュービットに適用することによって、前記ゲートシーケンスにおいて第2の量子ゲートを実施することと、を含み、
前記第2の量子ゲートの前記実施により生じる更なる回転は、前記第1の量子ゲートの前記実施と無関係であり、前記第2のシーケンスにおけるパルスは、
第1の回転角を有する仮想Zゲートと、
第2の回転角を有するXゲートと、
前記第1の回転角の負数を有する前記仮想Zゲートと、
を実施するように構成される、方法。
【請求項11】
前記第2の量子ゲートの前記実施により生じる前記更なる回転はゼロである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のシーケンスは3つのパルスを含み、前記第2の回転角は、π/2、-π/2およびπからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のシーケンスは2つのパルスを含み、前記第2の回転角は、前記第2の量子ゲートのユニタリに依拠する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
ユニタリを表す行列の対角線上の全てのエントリはゼロであり、
前記第2のシーケンスは単一のパルスである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
ユニタリを表す行列の対角線から外れた全てのエントリはゼロであり、
前記第2のシーケンスは2つのパルスである、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記ゲートシーケンスの適用中に、更なるZ回転角を決定することを更に含み、
位相シフトされたパルスの前記第2のシーケンスは、前記更なるZ回転角を更に実施するように更に構成される、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
2キュービットゲートと、第1の単一キュービットゲートおよび第2の単一キュービットゲートのテンソル積との合成を実施するための方法であって、
位相シフトされたパルスの第1のシーケンスを第1のキュービットに適用して、前記第1の単一キュービットゲートを実施することであって、前記第1の単一キュービットゲートの前記実施により更なる回転位相シフトが生じる、実施することと、
位相シフトされたパルスの第2のシーケンスを第2のキュービットに適用して、前記更なる回転と前記第2の単一キュービットゲートとの積を実施することと、
前記2キュービットゲートを前記第1のキュービットおよび前記第2のキュービットに適用して、前記2キュービットゲートと、前記第1の単一キュービットゲートおよび前記第2の単一キュービットゲートの前記テンソル積との合成の、位相シフトされたバージョンを得ることと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記第1のシーケンスは2つのパルスであり、
前記第2のシーケンスは3つのパルスである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のシーケンスにおける前記2つのパルスの各々は、位相シフトされたXπ/2ゲートまたはX-π/2ゲートを実施し、
前記第2のシーケンスにおける前記3つのパルスのうちの1つは、位相シフトされたXπゲートを実施する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のシーケンスは2つのパルスであり、
前記第2のシーケンスは2つのパルスである、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のシーケンスにおける前記2つのパルスの各々は、位相シフトされたXπ/2ゲートまたはX-π/2ゲートを実施し、
前記第2のシーケンスにおける前記2つのパルスのうちの1つは、前記第2の単一キュービットゲートに依拠した回転角を有する位相シフトされたXゲートを実施する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記2キュービットゲートは対称位相交換している、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、キュービットに結合された量子コントローラのプロセッサによって、前記量子コントローラに、単一キュービット量子ゲートを前記キュービットに適用するための動作を実行させるように実行可能であり、前記単一キュービット量子ゲートは、第1の実数パラメータ、第2の実数パラメータおよび第3の実数パラメータによって指定可能なユニタリを有し、前記動作は、
前記キュービットに、位相シフトされたパウリゲートのシーケンスを適用することを含み、前記シーケンスにおける各位相シフトされたパウリゲートは、回転角および位相シフトを有し、
前記第1、第2および第3の実数パラメータは、
前記シーケンスにおける回転角および前記位相シフト、または、
前記シーケンスにおける前記位相シフト、
に対応する、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[001] 本開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される、2021年4月29日に出願された、「IMPLEMENTING QUBIT GATES USING PHASE-SHIFTED MICROWAVE PULSES」と題する米国特許出願第17244930号の優先権の利益を主張する。
【0002】
[002] 本開示は、一般的には、量子コンピューティングに関し、より詳細には、位相シフトされたマイクロ波パルスを用いたキュービットゲートの実施に関する。
【背景技術】
【0003】
[003] 量子ビットまたはキュービットに対し量子計算が実行される。そのような計算は、デジタル計算の論理ゲートに類似の量子ゲートによって実行することができる。量子コンピュータは、他の基本量子ゲートのシーケンスを用いて任意の量子ゲートを実施するように構成することができる。量子コンピュータの性能は、基本量子ゲートの選択、およびこれらのゲートが任意の量子ゲートを実施するためにどのように組み合わされるかに依拠することができる。例えば、量子コンピュータは、標的のキュービットがノイズに起因して非コヒーレントになる前に、限られた数の基本量子ゲートのみを適用可能であり得る。したがって、任意の量子ゲートを実施するのに用いられるシーケンスの長さにより、量子コンピュータが適用することができる任意の量子ゲートの数を決定することができる。さらに、基本量子ゲートの選択は、任意の量子ゲートの忠実性および量子コンピュータの較正要件に影響を及ぼし得る。
【発明の概要】
【0004】
[004] 開示されるシステムおよび方法は、1つまたは複数の位相シフトされたマイクロ波パルスのシーケンスを用いた任意の単一キュービットゲートの実施に関する。開示される実施形態は、量子コンピュータの較正要件を低減するか、任意の単一キュービット量子ゲートを実施するのに必要なマイクロ波パルスの数を低減するか、または2キュービットゲートと、位相シフトされたマイクロ波パルスを用いて実施される単一キュービットゲートとの改善された統合をサポートすることができる。
【0005】
[005] 開示される実施形態は、少なくとも、第1の実数パラメータ、第2の実数パラメータおよび第3の実数パラメータによって指定可能なユニタリを有する単一キュービット量子ゲートを適用するためのシステムを含む。システムは、キュービットと、駆動ラインによってキュービットに結合された量子コントローラとを備えることができる。量子コントローラは、位相シフトされたパウリゲートのシーケンスをキュービットに適用し、単一キュービット量子ゲートを実施するように構成することができ、シーケンスにおける各位相シフトされたパウリゲートは、回転角および位相シフトを有する。ユニタリの第1、第2および第3の実数パラメータは、シーケンスにおける回転角およびシーケンスにおける位相シフト、またはシーケンスにおける位相シフトに対応することができる。
【0006】
[006] 開示される実施形態は、量子ゲートのゲートシーケンスをキュービットに適用するための方法を含む。方法は、位相シフトされたパルスの第1のシーケンスをキュービットに適用することによって、ゲートシーケンスにおいて第1の量子ゲートを実施する動作を含むことができる。方法は、第1の量子ゲートを適用した後、ゲートシーケンスにおいて第2の量子ゲートを実施する更なる動作を含むことができる。第2の量子ゲートは、位相シフトされたパルスの第2のシーケンスをキュービットに適用することによって実施することができる。第2の量子ゲートの実施によって生じる更なる回転は、第1の量子ゲートの実施と独立することができる。第2のシーケンスにおけるパルスは、第1の回転角を有する仮想Zゲートと、第2の回転角を有するXゲートと、第1の回転角の負数を有する仮想Zゲートとを実施するように構成することができる。
【0007】
[007] 開示される方法は、2キュービットゲートと、第1の単一キュービットゲートおよび第2の単一キュービットゲートのテンソル積との合成を実施するための方法を含む。方法は、位相シフトされたパルスの第1のシーケンスを第1のキュービットに適用する動作と、位相シフトされたパルスの第2のシーケンスを第2のキュービットに適用する動作と、2キュービットゲートを第1のキュービットおよび第2のキュービットに適用する動作とを更に含むことができる。位相シフトされたパルスの第1のシーケンスを第1のキュービットに適用することにより、第1の単一キュービットゲートを実施することができる。この第1の単一キュービットゲートの実施により、更なる回転位相シフトが生じ得る。位相シフトされたパルスの第2のシーケンスを第2のキュービットに適用することにより、更なる回転と第2の単一キュービットゲートとの積を実施することができる。2キュービットゲートを第1のキュービットおよび第2のキュービットに適用して、2キュービットゲートと、第1の単一キュービットゲートおよび第2の単一キュービットゲートのテンソル積との合成の、位相シフトされたバージョンを得ることができる。
【0008】
[008] 開示される実施形態は、量子コントローラのプロセッサによって実行可能な命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体を含む。量子コントローラは、キュービットに結合することができる。命令は、量子コントローラに、単一キュービット量子ゲートをキュービットに適用するための動作を実行させるように実行可能であり得る。単一キュービット量子ゲートは、第1、第2および第3の実数パラメータによって指定可能なユニタリを有することができる。動作は、キュービットに、位相シフトされたパウリゲートのシーケンスを適用することを含むことができる。シーケンスにおける各位相シフトされたパウリゲートは、回転角および位相シフトを有することができる。第1、第2および第3の実数パラメータは、シーケンスにおける回転角および位相シフト、またはシーケンスにおける位相シフトに対応することができる。
【0009】
[009] 上記の包括的な説明および以下の詳細な説明の双方は、例示的および説明的なものにすぎず、特許請求される開示される実施形態を限定するものではないことが理解されよう。
【0010】
[010] 本明細書の一部を構成する添付の図面は、いくつかの実施形態を示し、明細書と併せて、開示される実施形態の原理および特徴を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[011]開示される実施形態による、キュービットのブロッホ球表現を示す図である。
図2】[012]開示される実施形態による、位相シフトされたマイクロ波を用いた任意の単一キュービット量子ゲートの第1の概略的実施を示す図である。
図3A】[013]開示される実施形態による、位相シフトされたマイクロ波パルスを用いた任意の単一キュービット量子ゲートの2つの異なる実施のうちの1つを示す図である。
図3B】開示される実施形態による、位相シフトされたマイクロ波パルスを用いた任意の単一キュービット量子ゲートの2つの異なる実施のうちの1つを示す図である。
図4A】[014]開示される実施形態による、2キュービット量子ゲートを含む量子ゲートのシーケンスを示す図である。
図4B】[015]開示される実施形態による、図3Aまたは図3Bのいずれかの単一キュービット量子ゲートの実施を用いた図4Aの量子ゲートのシーケンスの実施を示す図である。
図4C】開示される実施形態による、図3Aまたは図3Bのいずれかの単一キュービット量子ゲートの実施を用いた図4Aの量子ゲートのシーケンスの実施を示す図である。
図4D】開示される実施形態による、図3Aまたは図3Bのいずれかの単一キュービット量子ゲートの実施を用いた図4Aの量子ゲートのシーケンスの実施を示す図である。
図5】[016]開示される実施形態による、量子ゲートを1つまたは複数のキュービットに適用するための量子コントローラを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[017] 次に、添付の図面に関して論じられる例示的な実施形態を詳細に参照する。いくつかの場合、同じ参照符号が図面および以下の説明全体を通じて同じまたは類似の部品を指すのに用いられる。別に定義されない限り、技術的または科学的用語は、当該技術分野における当業者によって一般的に理解される意味を有する。開示される実施形態は、当業者が開示される実施形態を実施することを可能にするために十分詳細に説明される。他の実施形態を利用することができ、開示される実施形態の範囲から逸脱することなく変更を行うことができることが理解されよう。このため、材料、方法および例は、単なる例示であり、必ずしも限定を意図したものではない。
【0013】
[018] 量子コンピュータは、任意の可能な未来の従来のコンピュータを含めて、従来のコンピュータには扱えないとみなされている或る特定のタスクを実行する(等価には、或る特定の問題を解決する)能力を与える。量子コンピュータの利点を理解するために、これらがどのように従来のコンピュータと対照をなすかを理解することが有用である。従来のコンピュータは、デジタル論理に従って動作する。デジタル論理は、ビットと呼ばれる情報単位で動作する論理システムのタイプを指す。ビットは、通例0および1で表される2つの値のうちの1つを有することができ、デジタル論理における情報の最小単位である。入力として1つまたは複数のビットを取り、出力として1つまたは複数のビットを与える論理ゲートを用いてビットに対し演算が行われる。一般的に、論理ゲートは、通例、出力として1ビットのみを有し(ただし、この単一のビットは入力として複数の他の論理ゲートに送信することができる)、このビットの値は、通例、入力ビットのうちの少なくともいくつかの値に依拠する。現代のコンピュータにおいて、論理ゲートは通例、トランジスタから構成され、ビットは通例、トランジスタに接続する配線の電圧レベルとして表される。論理ゲートの単純な例はANDゲートであり、ANDゲートは(その最も単純な形態において)2ビットを入力として取り、1ビットを出力として与える。双方の入力の値が1である場合、ANDゲートの出力は1とすることができ、そうでない場合、0とすることができる。様々な論理ゲートの入力および出力を特殊な方式で接続することによって、従来のコンピュータは、任意の複合アルゴリズムを実施して、多岐にわたるタスクを達成することができる。
【0014】
[019] 表面レベルにおいて、量子コンピュータは、従来のコンピュータと類似した方式で動作する。量子コンピュータは量子論理で動作する。本明細書において用いられるとき、量子論理とは、「量子ビット」または単に「キュービット」と呼ばれる情報の単位で動作する論理システムを指す。キュービットは、量子コンピュータにおける最小情報単位であり、通例|0>および|1>で表される2つの値の任意の線形結合を有することができる。キュービットの値は、|ψ>で表すことができる。「0」または「1」のいずれかの値を有することができるデジタルビットと異なり、|ψ>は、α|0>+β|1>の値を有することができ、ここで、αおよびβは、|α|+|β|=1以外のいかなる制約によっても制限されない複素数(「振幅」と呼ばれる)である。キュービットは、様々な形態で構築することができ、量子コンピュータの構成要素の量子状態として表すことができる。例えば、キュービットは、量子状態として偏向を有する(例えば、レーザにおける)光子、量子状態としてスピンを有する(例えば、電磁場内にトラップされた)電子もしくはイオン、量子状態として電荷、電流束もしくは位相を有する(例えば、超伝導量子システムにおける)ジョセフソン接合、量子状態としてドットスピンを有する(例えば、半導体構造における)量子ドット、トポロジカル量子システム、または2つ以上の量子状態を提供することができる任意の他のシステムを用いて物理的に実施することができる。量子論理は、量子論理ゲート(または、単に「量子ゲート」)を用いて、キュービットを作成、除去または変更することができる。
【0015】
[020] 数学的に、量子ゲートは、量子状態に作用するプロパゲータである。量子ゲートは、入力として1つまたは複数のキュービットを取り、出力として1つまたは複数のキュービットを与えることができ、このため、行列として表すことができる。従来の論理ゲート(例えば、ANDゲート)と異なり、量子ゲートは、その出力および適用する変換の情報に基づいてその入力を決定することができる特性を有し、これは「可逆」と呼ばれる。そのような可逆特性は、量子ゲートの出力数が、その入力の数に等しいかまたは上回ることを必要とし、既知の量子ゲートに対する入力を常にその出力を所与として構築することができることを確実にする。
【0016】
[021] 物理的に、量子ゲートは、レーザパルス、電磁波(例えば、マイクロ波パルス)、電磁場を生成することが可能なハードウェアデバイス、またはキュービットの量子状態を変更、維持もしくは制御するための任意の手段として実施することができる。超伝導量子回路を用いてキュービットおよび量子ゲートを実施することができる。そのようなキュービットは、電流(例えば、フラックスキュービット)または電荷(例えば、電荷キュービット)またはエネルギー(例えば、位相キュービット)に基づくことができる。異なる実施態様は、外部の雑音に対する感度、コヒーレンス時間または非調和性等の異なる特性を有することができる。例えば、容量的に短絡されたジョセフソン接合を含む電荷キュービットのタイプであるトランズモンキュービットは、電荷ノイズに対し低減された感度を呈し得る。更なる例として、キャパシタおよびインダクタ(後者は追加のジョセフソン接合のアレイを用いて実現可能である)によって短絡されたジョセフソン接合を含むフラックスキュービットのタイプであるフラクソニウムキュービットは、長いコヒーレンス時間および大きな非調和性を呈し得る。
【0017】
[022] キュービットの値を視覚化する1つの方法は、キュービットを、ブロッホ球の表面上の点として表すことである。例として、図1は、本開示のいくつかの実施形態による、ブロッホ球100において表されるキュービットを示す図である。ブロッホ球100は、それぞれ座標軸x、yおよびzを有する3次元(3D)空間において存在するものとして概念化することができる。これは、ブロッホ球100の表面上の点を表すために2つの値(例えば、緯度および経度、または図1における角度φおよびθ)を取る。図1において、z軸の正極および負極はそれぞれ|0>および|1>に対応する。キュービット|ψ>=α|0>+β|1>の場合、αおよびβは|α|+|β|=1によって制約される複素数であるため、|ψ>は複素数α+biとして表すことができる。aおよびbの値は、ブロッホ球100において、方位角および赤道角φおよびθにマッピングすることができ、ひいては、図1におけるブロッホ球100の表面上の点として表すことができる。
【0018】
[023] 通常、量子アルゴリズムは、基礎をなす量子回路の観点で表すことができる。量子回路は、1つまたは複数の量子ゲートを含む。量子ゲートは、(例えば、キュービットα|0>+β|1>においてαおよびβの値を変更することによって)無限数の方式でキュービットを変換することができるため、無限のタイプの量子ゲートが存在する。例えば、ユニタリ変換を実行するための無限数の方式が存在するため、キュービットに対しユニタリ変換を実行するための無限の量子ゲートが存在する。「パウリ演算子」または「パウリゲート」として知られる1つのタイプの量子ゲートを用いて、キュービットに対するユニタリ変換を実行することができる。それぞれI、X、YおよびZと呼ばれる4つのパウリ演算子が存在する。ここで、Iは恒等演算子であり、X、YおよびZは、それぞれ3D空間内のx軸、y軸およびz軸の周りの180°の回転を表す。例えば、2状態キュービットのシステムにおいて、パウリゲートは、行列
【0019】
【数1】
【0020】
【数2】
【0021】
【数3】

および
【0022】
【数4】

として表すことができる。n個のキュービットに対するパウリ演算子のセットは、
【0023】
【数5】

および
【0024】
【数6】

として表すことができる。ここで、下付き文字は、演算子が作用するキュービットを示す。n個のキュービットのセットについて、それぞれがσ∈[I,X,Y,Z]の可能な(
【0025】
【数7】

の形態の)テンソル積のための、4個のパウリ行列が存在する。例えば、3つのキュービット|ψ>、|ψ>および|ψ>を含む3キュービットシステムにおいて、|ψ>に作用するパウリXゲートおよび|ψ>に作用するパウリZゲートは、
【0026】
【数8】

として表すことができる。
【0027】
[024] パウリゲートは、ブロッホ球の3つの主軸の回りの回転として理解することができる。例として、図1を参照すると、パウリXゲート、パウリYゲートおよびパウリZゲートは、|ψ>を表す点に対し、それぞれブロッホ球100におけるx軸、y軸およびz軸の周りを180°回転させることとして理解することができる。
【0028】
[025] 単一の量子ゲートは、例えば、任意のパウリ回転または連続してパラメータ化された幾何学的ゲートを組み合わせることによって、他の量子ゲートのシーケンスを用いて実施することができる。しかし、ゲートパラメータとシステムの物理的制御パラメータとの間の関係は複雑であり得る。例えば、パウリXゲートは、マイクロ波パルスを、キュービットを実施する超伝導量子回路に提供することによって得ることができる。パウリXゲートの回転角θは、マイクロ波パルスの波形、長さおよび振幅の組み合わせに依拠することができる。さらに、この関係は、パルス歪みまたは計算部分空間外の量子情報の漏れによって影響を及ぼされ得る。したがって、この例において、パウリXゲートの正確な実施は、マイクロ波パルスの波形、長さおよび振幅の調整または較正を要する場合がある。
【0029】
[026] 図2に示すように、いくつかの単一の量子ゲートの実施は、ゲートパラメータと物理的制御パラメータとの間のより簡単な関係をサポートする。図2は、シーケンスにおける2つの単一キュービットゲート(ゲート201および203)を含む、例示的なゲートシーケンス200を示す。図2に示すように、単一キュービットゲート201は、ゲートシーケンス205を用いて以下のように実施することができる。
θπ/2φπ/2ω
【0030】
[027] ここで、Zθは任意のZ軸回転であり、
【0031】
【数9】
【0032】
[028] ここで、Xπ/2はπ/2のX軸回転であり、
【0033】
【数10】
【0034】
[029] ここで、X、YおよびZはパウリ演算子である。
【0035】
[030] ゲートシーケンス205は、位相シフトされたマイクロ波(PMW)パルスを用いて近似的に実現することができる。Xπ/2ゲートを実施するマイクロ波パルスを所与として、マイクロ波パルスを位相シフトすることにより、マイクロ波パルスにゲートシーケンスZ-ωπ/2ωを実施させることができる。このようにして、較正されたXπ/2ゲートを所与として、更なる「仮想」Zωゲートを、1つのみの物理的制御パラメータ、すなわち位相シフトωを用いて生成することができる。一般的な事例におけるマイクロ波パルス波形、長さおよび振幅と異なり、この事例では、物理的な制御パラメータ(位相シフト)は、ゲートパラメータに向けてマッピングされる(Z回転)。いくつかの場合、Xπ/2ゲートのみが較正されればよく、それによってシステムの較正要件が低減される。さらに、位相シフトは(例えば、原子クロック等のグローバル周波数基準を用いて)厳密に制御することができる。
【0036】
[031] 開示される実施形態は、位相シフトされたマイクロ波(PMW)パルスを用いて(例えば、超伝導回路等を用いて)任意の単一のキュービットゲートを実現する。いくつかの実施形態では、PMWパルスはXゲートを実現することができる。位相シフトφをXゲートに加えることによって、XゲートはZφゲートと共役させることができる。第1の一般的な事例において、任意の単一のキュービットゲートは、2つのPMW Xπ/2ゲートと1つのPMW Xπゲートとを用いて実現することができ、ここで、π/2およびπは、シフトされていないXパルスの回転角を表す。いくつかの特殊な事例において、単一のキュービットゲートは、1つまたは2つのみのPMW Xゲートを用いて実現することができる。第2の一般的な事例において、任意の単一のキュービットゲートは、PMW Xπ/2ゲートおよびPMW Xσゲートを用いて実現することができる。ここで、σは、実現される任意の単一のキュービットゲートのユニタリに基づいて選択される回転を示す。開示されるシステムおよび方法は、最小限の必要なXパルス較正を用いて、超伝導回路に対する量子計算をサポートすることができる。
【0037】
[032] 図2に示すゲートシーケンス206は、PMWパルスのシーケンスを用いてゲートシーケンス205を近似的に実施することができる。PMWパルスのシーケンスは、第1の位相シフトされたパルス207と、第2の位相シフトされたパルス209とを含むことができる。パルス207は、ゲートシーケンスZ-ωπ/2ωを生成し、更なるZ-ω回転を生じさせる。パルス209は、ゲートシーケンスZ-(φ+ω)π/2φ+ωを生成し、それによって、パルス207によって生じるZ-ω回転を補償する。しかし、パルス209は、更なるZ-(φ+ω)回転を生じさせる。したがって、ゲートシーケンス205を実施するために、ゲートシーケンス206は、パルス209によって生じるZ-(φ+ω)回転を補償するために更なるZ(θ+φ+ω)ゲートを要する。
【0038】
[033] 更なる回転をゲートシーケンス206の一部として提供するのではなく、任意の単一キュービットゲートを実施するための既知の方法は、後続の単一キュービットゲートを位相シフトさせることによって、補償Z(θ+φ+ω)回転を提供することができる。例えば、単一キュービットゲートシーケンスUを実施するために、ここで以下の式が成り立ち、
【0039】
【数11】
【0040】
[034] Uを以下のようにシフトさせることができる。
【0041】
【数12】
【0042】
[035] 位相シフトされたUゲートは、以下の2つのPMWパルスを用いて実施することができる。
【0043】
【数13】
【0044】
[036] 上述のように、位相シフトされたUゲートを実施するには更なる回転(例えば、
【0045】
【数14】

)が必要となる。この更なる回転は、シーケンスにおける次の単一キュービットゲートに対し行うことができる。
【0046】
[037] 位相シフト手法は、単一キュービットゲートのシーケンスに適切である場合があるが、この手法は、CNOT、
【0047】
【数15】

または
【0048】
【数16】

ゲート等の或る特定の2キュービットゲートに不適合である場合がある。
【0049】
[038] 開示されるシステムおよび方法は、PMWパルスを用いた任意の単一キュービットゲートの生成をサポートすることができる。PMWパルスを適用して、形態Z-ωπ/2ωのゲートを実現することができ、これを連結して任意の単一キュービットゲートを実施することができる。本明細書に開示されるように、これらのPMWパルスは、更なるZ回転を必ずしも生じさせることなく任意の単一キュービットゲートを実施することができる。したがって、開示されるシステムおよび方法は、任意の2キュービットゲートに適合し得る。開示されるシステムおよび方法は、PMWパルスを用いる利点(例えば、制御パラメータの正確性、低減された較正要件、位相シフト等の物理的制御パラメータとZ回転角等のゲートパラメータとの間の明確な関連付け等)を維持することもできる。したがって、開示されるシステムおよび方法は、量子コンピューティングにおける技術分野の改善も達成する。
【0050】
[039] 図3Aおよび図3Bは、開示される実施形態による、位相シフトされたマイクロ波パルスを用いた任意の単一キュービット量子ゲートを実施するための2つの異なる方法を示す。双方の方法が1つまたは複数のPMWパルスのシーケンスを用いる。いくつかの実施形態では、PMWパルスは位相シフトされたXゲートとすることができる。
【0051】
[040] 図3Aの描写によれば、単一キュービットユニタリの実数パラメータは、ゲートシーケンス310におけるゲートのための位相シフトにマッピングすることができる。したがって、任意の単一キュービットユニタリについて、一次方程式を解いて、その単一キュービットユニタリを実施するのに適した位相シフトを決定することができる。いくつかの実施形態では、ゲートシーケンス310における位相シフトされたXゲートは、Xπ/2およびXπゲートからなる群から選択することができる。
【0052】
[041] 一般的な事例において、単一キュービット量子ゲート201は、ゲートシーケンス310を用いて実施することができる。このゲートシーケンスは、3つのPMWパルス、すなわち、第1の位相シフトされたパルス311(位相シフトされたXπ/2ゲートを実現する)、第2の位相シフトされたパルス313(位相シフトされたXπゲートを実現する)、および第3の位相シフトされたパルス313(位相シフトされたXπ/2ゲートを実現する)を含むことができる。
【0053】
[042] 3つのPMWパルスの連結により以下の行列が得られる。
【0054】
【数17】
【0055】
[043] 単一キュービットゲートの一般的な形態は、3つの実数パラメータを有する次数2の特殊なユニタリ群の要素として以下のように表すことができる。
【0056】
【数18】
【0057】
[044] 検証により、3つのPMWパルスの行列は、以下の場合にU(α,β,γ)に等しい。
(θ-2φ+ω)/2=π-γ
(θ-ω)/2=α
(θ+ω)/2=β
【0058】
[045] この一次方程式を直接解くことにより、以下が得られる。
θ=α-β
φ=-β+γ-π
ω=-α-β
【0059】
[046] したがって、任意の単一キュービットゲートを、2つのPMW Xπ/2ゲートおよび1つのPMW Xπゲートを用いて以下のように実現することができる。
U(α,β,γ)=Z-α+βπ/2α-ββ-γ+ππ-β+γ-πα+βπ/2-α-β
【0060】
[047] 開示される実施形態によれば、Xπ/2ゲートおよびXπゲートの較正に続いて、更なる較正を必要とすることなく、任意の単一キュービットゲートを実現することができる。Xπ/2ゲートおよびXπゲートの較正は、量子コンピュータの初期化または特性評価中に(例えば、クリフォードベースのランダム化ベンチマーキング、T1緩和、T2エコー測定等の一部として)実行することができるため、開示される実施形態により、量子計算を行うための較正要件を低減することができる。
【0061】
[048] いくつかの例において、キュービットを実現するために3つ未満のPMWパルスが要求される場合がある。ユニタリU(α,β,γ)は、以下のパウリ演算子に分解することができる。
U(α,β,γ)=cos γ[cos(α)I+sin(α)iZ]+sin γ[sin(β)iX-cos(β)iY]
【0062】
[049] γがπ/2であるとき、U(α,β,γ)の対角項はゼロである。パウリ演算子へのU(α,β,γ)の分解は以下となる。
U(α,β,π/2)=sin(β)iX-cos(β)iY
【0063】
[050] 単一のPMW Xπの適用により、以下のようにユニタリが得られる。
-φπφ=-cos(φ)iX+sin(φ)iY
【0064】
[051] iXおよびiYの係数を同等とみなすことにより、φ=-β+3π/2が得られる。このため、φの適切な選択を通じて、単一のPMW Xπゲートを用いて、iXおよびiYに対してのみサポートを有する単一キュービットゲートを実現することができる。
【0065】
[052] γがπであるとき、U(α,β,γ)の対角外項はゼロである。パウリ演算子へのU(α,β,γ)の分解は以下となる。
U(α,β,π)=cos(α)I+sin(α)iZ
【0066】
[053] 2つのPMW Xπパルスの適用により、以下のようにユニタリが得られる。
-θπθ-φπφ=-cos(θ-φ)I-sin(θ-φ)iZ
【0067】
[054] IおよびiZの係数を同等とみなすことにより、θ-φ=α+πが得られる。このため、θおよびφの適切な選択を通じて、2つのPMW Xπゲートを用いて、IおよびiZに対してのみサポートを有する単一キュービットゲートを実現することができる。
【0068】
[055] さらに、単一キュービットのクリフォードベースのランダム化ベンチマーキングに用いられるゲートを、ベンチマーキングゲートごとに1つのみのPMW Xπ/2パルスを用いて生成することができる。
π/2=Zπ/2
-π/2=Z-ππ/2π
π/2=Zπ/2π/2-π/2
-π/2=Z-π/2π/2π/2
【0069】
[056] 図3Bの描写によれば、単一キュービットユニタリの実数パラメータは、ゲートシーケンス320におけるゲート位相シフトおよびゲート回転角の組み合わせにマッピングすることができる。したがって、任意の単一キュービットユニタリについて、一次方程式を解いて、その単一キュービットユニタリを実施するのに適した位相シフトおよびゲート回転角を決定することができる。
【0070】
[057] いくつかの実施形態では、ゲートシーケンス320における1つの位相シフトされたXゲートは、Xπゲートとすることができる。単一キュービットゲートのユニタリがゲートシーケンス320によって実施されることにより、ゲートシーケンス320における他の位相シフトされたXゲートの位相シフトσを決定することができる。
【0071】
[058] 任意の回転PMWゲートおよびPMW Xπゲートの連結のユニタリの直接計算により、以下が得られる。
【0072】
【数19】
【0073】
[059] 第1のPMWパルス(例えば、第1の位相シフトされたパルス321)は、以下のゲートのシーケンスを実施することができる。
-ωπω
【0074】
[060] 第2のPMWパルス(例えば、第2の位相シフトされたパルス323)は、以下のゲートのシーケンスを実施することができる。
-φσφ
【0075】
[061] したがって、図3Bに示す方法は、2つのPMWパルスを用いて任意の単一キュービット量子ゲートを実施することができる。上記で説明したように、ユニタリU(α,β,γ)は以下のパウリ演算子に分解することができる。
U(α,β,γ)=cos γ[cos(α)I+sin(α)iZ]+sin γ[sin(β)iX-cos(β)iY]
【0076】
[062] 変数を同等とみなすことにより、以下の一次方程式が得られる。
σ=2γ-π
φ=3π/2+α-β
ω=3π/2-β
【0077】
[063] この一次方程式を解いて、ユニタリU(α,β,γ)を実施するためのσ、φおよびωの好適な値を決定することができる。
【0078】
[064] 図3Aの方法と比較して、図3Bの方法は、量子計算を実現するのに必要とされるパルス数を低減することができ、それによって、ゲート忠実性における、実施に依拠した改善をもたらす。しかしながら、Xσゲートが(例えば、Xπ/2およびXπゲートと異なり)量子コンピュータの初期化または特性評価中に他の形で較正されない場合があるため、この方法は、Xσゲートの更なる較正を伴う場合がある。
【0079】
[065] 開示される実施形態によれば、ゲートシーケンス310を用いて、更なるZ回転を実施することができる。いくつかの実施形態では、量子計算中、(例えば、フレームシフトまたは他の効果に応答した)更なるZ回転の必要性を決定することができる。決定に応答して、以下の更新規則を用いてPMW位相シフトを更新することによって、ゲートシーケンスの適用中に更なるZ回転を実施することができる。
【0080】
[066] α、β、γおよびδ(ここで、α、β、γおよびδの和はゼロである必要がない)、ゲートのシーケンスZδπ/2γπβπ/2α、および恒等式
x-φπx+φ=Z-φπφ
を所与として、ゲートのシーケンスは、PMWパルスの観点において以下のように表すことができる。
δπ/2γπβπ/2α=(Z-(-δ)π/2-δ)(Zγ+δπα+β)(Z-απ/2α
δπ/2γπβπ/2α=(Z-(-δ)π/2-δ)(Z-(α+β-γ-δ)/2π(α+β-γ-δ)/2)(Z-απ/2α
【0081】
[067] したがって、最終的なZ回転値δは、中間および最終パルスの位相シフトを変更することによって更新することができる(例えば、δ→δ+Δδを実施するために、最終パルスの位相シフトがΔδだけ減少し、中間パルスの位相シフトがΔδ/2だけ減少する)。同様に、第1のZ回転値αは、第1のおよび中間パルスの位相シフトを変更することによって更新することができる(例えば、α→α+Δαを実施するために、第1のパルスの位相シフトがΔαだけ増大し、中間パルスの位相シフトがΔα/2だけ増大する)。同様に、Z回転値γおよびβは、中間パルスの位相シフトを更新することによって更新することができる。
【0082】
[068] 図4Aは、開示される実施形態による、2キュービット量子ゲートを含む量子ゲートのシーケンスを示す。示されるように、2つの単一キュービットゲートU0およびU1を2つの別個のキュービットに並列に適用することができる。次に、2キュービットゲートVを双方のキュービットに適用することができる。次に、2つの単一キュービットゲートU’およびU’を2つの別個のキュービットに並列に適用することができる。
【0083】
[069] 一般的な事例において、単一キュービットゲートUおよびUは異なり得る。したがって図2のゲートシーケンスを用いて実施されるとき、これらの2つのゲートについて異なる追加の回転が生じる。一般的な事例において、そのような異なる追加の回転は、2キュービットゲートVを通じて行うことができない。
【0084】
[070] しかしながら、いくつかの例において、Z回転は2キュービットゲートVを通じて実行することができる。対称位相交換2キュービットゲート(例えば、
【0085】
【数20】

ゲート等)の場合、以下の式が成り立つ。
【0086】
【数21】
【0087】
[071] このため、共通Z回転θは、潜在的にキュービットの各々の何らかの更新(例えば、θ→θおよびθ→θ)を伴って、2キュービットゲートVを通じて実行することができる。いくつかの実施形態では、図4A図4Dに示すように、2キュービットゲートVは、励起数保存キュービットゲートとすることができる。そのような実施形態において、θ=θ=θである。
【0088】
[072] 図4B図4Dは、開示される実施形態による、図3Aまたは図3Bのいずれかの単一キュービット量子ゲートの実施を用いた図4Aの量子ゲートのシーケンスの例示的な実施を示す。
【0089】
[073] 図4Bに示すように、この実施の第1のステップにおいて、ゲートUは、図2に示す方法を用いて第1のキュービットに適用することができる。したがって、
【0090】
【数22】

であるとき、
【0091】
[074] 図2に示す方法は、以下の更なる回転を生じさせる場合がある。
【0092】
【数23】
【0093】
[075] いくつかの実施形態では、図2に示す方法は、更なる回転を生じさせるものの、2つのPMWパルスしか必要としない(したがって、更なるパルスを必要とする実施と比較して、改善されたゲート忠実性をサポートすることができる)ため、この方法を用いることができる。
【0094】
[076] ゲートUの適用に並行して、図3Aの方法、図3Bの方法を用いて、またはゲートUの既存の実施を更新することによって、ゲートUの位相シフトされたバージョンを第2のキュービットに適用することができる。
【0095】
[077] 図3Aの非限定的例として、以下の式が成り立つ。
【0096】
【数24】
【0097】
[078] 図3Bの非限定的例として、以下の式が成り立つ。
【0098】
【数25】
【0099】
[079] ゲートUの既存の実施の非限定的例として、以下の式となり、
=Zδπ/2γπβπ/2α
[080] 上記で説明した更新を適用することによって、以下の式が成り立つ。
【0100】
【数26】
【0101】
[081] これらの実施態様のうちのいずれか1つによれば、
【0102】
【数27】

である。したがって、図4Cに示すように、
【0103】
【数28】

回転を、2キュービットゲートVと交換したものとして扱うことができる。図4Dに示すように、次に、図2の方法を用いて、順方向位相シフトを実行することができる。さらにまたは代替的に、図3Aまたは図3Bの方法を後続のゲートによって用いて、更なる回転を補償することができる(例えば、後続のゲートGは、
【0104】
【数29】

等として実施することができる)。このようにして、開示されるシステムおよび方法を、図2の方法と併せて用いて、1および2キュービットゲートのシーケンスを実施することができる。
【0105】
[082] 都合上、パウリXゲートに関して説明したが、開示されるシステムおよび方法はそれに限定されない。いくつかの実施形態では、位相シフトされたパウリYゲートは、本明細書に記載の位相シフトされたパウリXゲートに加えて、またはそれに替えて用いることができる。
【0106】
[083] 図5は、開示される実施形態による、量子ゲートを1つまたは複数のキュービットに適用するための量子コントローラ510を示す。図5に示す非限定的例において、量子コントローラ510は、マイクロ波駆動ラインを用いて、超伝導量子回路520によって実施されるキュービットに結合される。この非限定的な例において、キュービットはトランズモンキュービットであり、キャパシタCfによって短絡されたジョセフソン接合と直列のキャパシタCdを含む。しかしながら、開示される実施形態によるフラクソニウムキュービット等の他のタイプのキュービットが用いられてもよい。いくつかの実施形態では、超伝導量子回路520は、キュービットと、キュービットを量子コントローラ510に結合するマイクロ波駆動ラインの少なくとも一部分とを含むチップを用いて実現することができる。
【0107】
[084] 量子コントローラ510は、デジタルコンピューティングデバイス(例えば、中央処理ユニット、グラフィカル処理ユニット、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイまたは他の適切なプロセッサを含むコンピューティングデバイス)であり得る。量子コントローラ510は、計算のために量子回路520を構成し、計算ゲートを提供し、量子回路520から状態情報を読み出すことができる。
【0108】
[085] 開示される実施形態によれば、量子コントローラ510は、量子回路520の1つまたは複数のキュービットに対しゲート演算が行われることを可能にすることによって、量子回路520を構成することができる。いくつかの実施形態では、量子回路520は、2つのキュービットを共振状態に移行させるために1つまたは複数のバイアスドライブを提供することによって構成することができる。量子コントローラ120は、1つもしくは複数のバイアスドライブを回路520に直接提供することができるか、またはバイアスドライブソース(例えば、波形発生器等)に命令を提供することによって、バイアスドライブを回路520に提供させることができる。いくつかの実施形態では、バイアスドライブを提供することは、回路520の外部のコイルに電流を通すことを含むことができる。様々な実施形態において、バイアスドライブを提供することは、チップ上のコイルに電流を通すことを含むことができる。開示される実施形態は、バイアスドライブを提供する特定の方法、またはキュービットにバイアスをかける特定の方法に限定されない。
【0109】
[086] 開示される実施形態によれば、量子コントローラ510は、回路520上の計算ゲートを実施することができる。いくつかの実施形態では、量子コントローラ510は、1つまたは複数のPMWパルス(または他のゲートドライブ)を回路510内のキュービットに提供することによって、そのようなゲートを実施することができる。様々な実施形態において、量子コントローラ510は、計算ドライブソース(例えば、波形発生器等)に命令を提供し、計算ドライブソースに、そのようなPMWパルス(または他のゲートドライブ)を回路510内のキュービットに提供させることによって、そのようなゲートを実施することができる。本明細書に記載のように、PMWパルスは、1つまたは複数の量子ゲートを実施するように選択することができる。対応するキュービットに結合された1つまたは複数のコイルを用いて、量子回路520によって実施されるキュービットに、1つまたは複数の計算ドライブを提供することができる。コイルは、回路520に対し外部にあるか、または回路520を含むチップ上にあり得る。
【0110】
[087] 開示される実施形態によれば、量子コントローラ510は、量子回路520のための状態情報を決定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、量子コントローラ510は、回路520の1つまたは複数のキュービットの状態を測定することができる。状態は、1つまたは複数の量子演算のシーケンスの完了時に測定することができる。いくつかの実施形態では、量子コントローラ510は、回路520の結合された共振器にプローブ信号(例えば、マイクロ波プローブトーン)を提供するか、プローブ信号を提供する読み出しデバイス(例えば、任意の波形発生器)に命令を提供することができる。様々な実施形態において、量子コントローラ510は、マイクロ波プローブトーンの提供に応答して、結合された共振器から受信された出力信号の振幅および位相を決定するように構成された検出器を含むか、またはこの検出器から情報を受信するように構成することができる。出力信号の振幅および位相を用いて、プローブされたキュービットの状態を決定することができる。開示される実施形態は、キュービットの状態を測定する任意の特定の方法に限定されない。
【0111】
[088] いくつかの実施形態では、命令を含む非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体も提供され、命令は、上記で説明した方法を実行するために、デバイス(開示したエンコーダおよびデコーダ等)によって実行することができる。非一時的媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、または任意の他の磁気データ記憶媒体、CD-ROM、任意の他の光データ記憶媒体、孔パターンを有する任意の物理媒体、RAM、PROMおよびEPROM、FLASH(登録商標)-EPROMまたは任意の他のフラッシュメモリ、NVRAM、キャッシュ、レジスタ、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、およびこれらのネットワーク化されたバージョンを含む。デバイスは、1つまたは複数のプロセッサ(CPU)、入力/出力インターフェース、ネットワークインターフェースおよび/またはメモリを含むことができる。
【0112】
[089] 上記の説明は、例示の目的で提示された。これらは包括的でなく、開示される厳密な形式または実施形態に限定されない。本明細書を検討し、開示される実施形態を実践することで、実施形態の変更形態および適応形態が明らかになるであろう。例えば、説明される実施態様はハードウェアを含むが、本開示によるシステムおよび方法は、ハードウェアおよびソフトウェアを用いて実施されてもよい。加えて、或る特定の構成要素が、互いに結合されているものとして説明されたが、そのような構成要素は、互いに統合されるか、または適切な形式で分散されてもよい。
【0113】
[090] さらに、例示的な実施形態が本明細書に記載されたが、範囲は、本開示に基づく等価な要素、変更、省略、(例えば、様々な実施形態にわたる態様の)組み合わせ、適合または変形を有するありとあらゆる実施形態を含む。特許請求の範囲における要素は、特許請求の範囲において用いられる言葉に基づいて広く解釈されるべきであり、非排他的なものとして解釈されるべきである、本明細書に記載される実施例または出願手続きに際して記載された実施例に限定されるべきではない。さらに、開示される方法のステップは、ステップの並べ替え、またはステップの挿入もしくは削除を含む任意の方式で変更することができる。
【0114】
[091] 本明細書の「第1の」および「第2の」等の関係語は、或るエンティティまたは動作を別のエンティティまたは動作と区別するために用いられるにすぎず、これらのエンティティまたは動作間のいかなる実際の関係または順序も必要としないかまたは含意しないことに留意すべきである。さらに、「含む」、「有する」、「含有する」および「包含する」ならびに他の同様の形式の用語は、意味の点で均等であることを意図し、これらの用語のうちのいずれか1つの後に続くアイテムがそのようなアイテムの網羅的列挙であることを意図していないか、または列挙するアイテムのみに限定されることを意図していない点で非限定的であることを意図する。
【0115】
[092] 本開示の特徴および利点は、詳細な明細書から明らかであるので、添付の特許請求の範囲が、本開示の真の趣旨および範囲内にある全てのシステムおよび方法をカバーすることが意図される。本明細書において用いられるとき、不定冠詞「a」および「an」は、「1つまたは複数」を意味する。同様に、複数形の使用は、与えられた文脈で明確でないならば、必ずしも複数形を意味するわけではない。さらに、多数の修正および変更が、本開示の研究から容易に行われるであろうため、本開示を、示され、説明される厳密な構造および動作に限定することは所望されず、したがって全ての好適な修正形態および均等物は、本開示の範囲内に入るように再分類することができる。
【0116】
[093] 本明細書において用いられるとき、別段の定めがない限り、「または」という語は、実行不可能な場合を除いて、あり得る全ての組み合わせを包含する。例えば、或るデータベースがAまたはBを含み得ると述べた場合、別段の定めがない限りまたは実行不可能でない限り、そのデータベースは、A、B、またはAおよびBを含むことができる。第2の例として、或るデータベースがA、BまたはCを含み得ると述べた場合、別段の定めがない限りまたは実行不可能でない限り、そのデータベースは、A、B、C、AおよびB、AおよびC、BおよびC、AおよびBおよびCを含むことができる。
【0117】
[094] 上記で説明した実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア(プログラムコード)、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実装できることが理解される。ソフトウェアによって実装される場合、ソフトウェアは、上記のコンピュータ可読媒体に記憶することができる。ソフトウェアは、プロセッサによって実行されるとき、開示される方法を実行することができる。本開示で説明した計算ユニットおよび他の機能ユニットは、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実装することができる。上記のモジュール/ユニットの複数を1つのモジュール/ユニットとして組み合わせることができ、上記のモジュール/ユニットのそれぞれを複数のサブモジュール/サブユニットに更に分割できることも当業者であれば理解するであろう。
【0118】
[095] 上記の本明細書では、実装形態ごとに変わり得る多数の具体的な詳細に関して実施形態を説明してきた。記載した実施形態に対する或る特定の適応および修正がなされ得る。本明細書を検討し、本明細書に開示される本発明を実践することで他の実施形態が当業者に明らかになり得る。本明細書および例は、専ら例示として検討され、本発明の真の範囲および趣旨は、添付の特許請求の範囲によって示されることが意図される。また、図中に示すステップの順序は、例示目的にすぎず、特定のステップの順序に限定されることを意図しない。そのため、これらのステップは、同じ方法を実装しながら異なる順序で実行され得ることを当業者であれば理解することができる。
【0119】
[096] 実施形態は、以下の節を用いて更に説明することができる。
1.少なくとも、第1の実数パラメータ、第2の実数パラメータおよび第3の実数パラメータによって指定可能なユニタリを有する単一キュービット量子ゲートを適用するためのシステムであって、システムは、キュービットと、量子コントローラであって、駆動ラインによってキュービットに結合され、単一キュービット量子ゲートを実施するために、位相シフトされたパウリゲートのシーケンスをキュービットに適用するように構成され、シーケンスにおける各位相シフトされたパウリゲートは、回転角および位相シフトを有する、量子コントローラと、を備え、第1、第2および第3の実数パラメータは、シーケンスにおける回転角およびシーケンスにおける位相シフト、または、シーケンスにおける位相シフトに対応する、システム。
2.量子コントローラは、連立方程式を解いて、第1、第2および第3の実数パラメータ、ならびにシーケンスにおける回転角および2つの位相シフト間の対応関係、または、第1、第2および第3の実数パラメータ、およびシーケンスにおける3つの位相シフト間の対応関係を特定するように更に構成される、節1のシステム。
3.シーケンスは2つの位相シフトされたパウリゲートを含み、第1、第2および第3の実数パラメータはシーケンスにおける回転角および2つの位相シフトに対応するか、または、シーケンスは3つの位相シフトされたパウリゲートを含み、第1、第2および第3の実数パラメータはシーケンスにおける3つの位相シフトに対応する、節1または2のシステム。
4.第1、第2および第3の実数パラメータは、シーケンスにおける3つの位相シフトに対応し、3つの位相シフトの各々は、第1、第2および第3の実数パラメータのうちの2つの異なる関数である、節1~3のうちのいずれか1つのシステム。
5.第1、第2および第3の実数パラメータは、シーケンスにおける3つの位相シフトに対応し、シーケンスにおける回転角は、π/2、-π/2およびπからなる群から選択される、節1~4のうちのいずれか1つのシステム。
6.ユニタリを表す行列の対角線上の全てのエントリはゼロであり、シーケンスは単一の位相シフトされたパウリゲートであり、第1、第2および第3の実数パラメータは、単一の位相シフトされたパウリゲートの位相シフトに対応する、節1のシステム。
7.単一キュービット量子ゲートは、Xπ/2、X-π/2、Yπ/2およびY-π/2からなる群から選択される、節6のシステム。
8.ユニタリを表す行列の対角線から外れた全てのエントリはゼロであり、シーケンスは2つの位相シフトされたパウリゲートであり、第1、第2および第3の実数パラメータは、2つの位相シフトされたパウリゲートの位相シフトに対応し、2つの位相シフトされたパウリゲートの各々の回転角はπである、節1のシステム。
9.単一キュービット量子ゲートの実施は更なる回転を生じさせない、節1~8のうちのいずれか1つのシステム。
10.量子ゲートのゲートシーケンスをキュービットに適用するための方法であって、位相シフトされたパルスの第1のシーケンスをキュービットに適用することによって、ゲートシーケンスにおいて第1の量子ゲートを実施することと、第1の量子ゲートを適用した後、位相シフトされたパルスの第2のシーケンスをキュービットに適用することによって、ゲートシーケンスにおいて第2の量子ゲートを実施することとを含み、第2の量子ゲートの実施により生じる更なる回転は、第1の量子ゲートの実施と無関係であり、第2のシーケンスにおけるパルスは、第1の回転角を有する仮想Zゲートと、第2の回転角を有するXゲートと、第1の回転角の負数を有する前記仮想Zゲートと、を実施するように構成される、方法。
11.第2のシーケンスは3つのパルスを含み、第2の回転角は、π/2、-π/2およびπからなる群から選択される、節10の方法。
12.ゲートシーケンスの適用中に、更なるZ回転角を決定することを更に含み、位相シフトされたパルスの第2のシーケンスは、更なるZ回転角を更に実施するように更に構成される、節10または11の方法。
13.第2のシーケンスは2つのパルスを含み、第2の回転角は、第2の量子ゲートのユニタリに依拠する、節10の方法。
14.ユニタリを表す行列の対角線上の全てのエントリはゼロであり、第2のシーケンスは単一のパルスである、節10の方法。
15.ユニタリを表す行列の対角線から外れた全てのエントリはゼロであり、第2のシーケンスは2つのパルスである、節10の方法。
16.第2の量子ゲートの実施により生じる更なる回転はゼロである、節10~15のうちのいずれか1つの方法。
17.2キュービットゲートと、第1の単一キュービットゲートおよび第2の単一キュービットゲートのテンソル積との合成を実施するための方法であって、位相シフトされたパルスの第1のシーケンスを第1のキュービットに適用して、第1の単一キュービットゲートを実施することであって、第1の単一キュービットゲートの実施により更なる回転位相シフトが生じる、実施することと、位相シフトされたパルスの第2のシーケンスを第2のキュービットに適用して、更なる回転と第2の単一キュービットゲートとの積を実施することと、2キュービットゲートを第1のキュービットおよび第2のキュービットに適用して、2キュービットゲートと、第1の単一キュービットゲートおよび第2の単一キュービットゲートのテンソル積との合成の、位相シフトされたバージョンを得ることと、を含む、方法。
18.第1のシーケンスは2つのパルスであり、第2のシーケンスは3つのパルスである、節17の方法。
19.第1のシーケンスにおける2つのパルスの各々は、位相シフトされたXπ/2ゲートまたはX-π/2ゲートを実施し、第2のシーケンスにおける3つのパルスのうちの1つは、位相シフトされたXπゲートを実施する、節18の方法。
20.第1のシーケンスは2つのパルスであり、第2のシーケンスは2つのパルスである、節17の方法。
21.第1のシーケンスにおける2つのパルスの各々は、位相シフトされたXπ/2ゲートまたはX-π/2ゲートを実施し、第2のシーケンスにおける2つのパルスのうちの1つは、第2の単一キュービットゲートに依拠した回転角を有する位相シフトされたXゲートを実施する、節20の方法。
22.2キュービットゲートは対称位相交換している、節17~21のうちのいずれか1つの方法。
23.命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、キュービットに結合された量子コントローラのプロセッサによって、量子コントローラに、単一キュービット量子ゲートをキュービットに適用するための動作を実行させるように実行可能であり、単一キュービット量子ゲートは、第1の実数パラメータ、第2の実数パラメータおよび第3の実数パラメータによって指定可能なユニタリを有し、動作は、キュービットに、位相シフトされたパウリゲートのシーケンスを適用することを含み、シーケンスにおける各位相シフトされたパウリゲートは、回転角および位相シフトを有し、第1、第2および第3の実数パラメータは、シーケンスにおける回転角および位相シフト、または、シーケンスにおける位相シフトに対応する、非一時的コンピュータ可読媒体。
24.第1、第2および第3の実数パラメータは、シーケンスにおける3つの位相シフトに対応し、3つの位相シフトの各々は、第1、第2および第3の実数パラメータのうちの2つの異なる関数である、節23の非一時的コンピュータ可読媒体。
25.シーケンスは2つの位相シフトされたパウリゲートを含み、第1、第2および第3の実数パラメータはシーケンスにおける回転角および2つの位相シフトに対応するか、またはシーケンスは3つの位相シフトされたパウリゲートを含み、第1、第2および第3の実数パラメータはシーケンスにおける3つの位相シフトに対応する、節23の非一時的コンピュータ可読媒体。
26.ユニタリを表す行列の対角線上の全てのエントリはゼロであり、シーケンスは単一の位相シフトされたパウリゲートであり、第1、第2および第3の実数パラメータは、単一の位相シフトされたパウリゲートの位相シフトに対応する、節23の非一時的コンピュータ可読媒体。
27.ユニタリを表す行列の対角線から外れた全てのエントリはゼロであり、シーケンスは2つの位相シフトされたパウリゲートであり、第1、第2および第3の実数パラメータは、2つの位相シフトされたパウリゲートの位相シフトに対応し、2つの位相シフトされたパウリゲートの各々の回転角はπである、節23の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0120】
[097] 図面および明細書において、例示的な実施形態が開示された。しかしながら、これらの実施形態に対し、多くの変形および変更を行うことができる。したがって、特定の用語が用いられているが、これらは一般的で記述的な意味でのみ使用され、実施形態の範囲の限定または制限の目的のために使用されるものではない。範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
【国際調査報告】