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特表2024-5149713Dプリンタ用の離脱制御システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】3Dプリンタ用の離脱制御システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/124 20170101AFI20240327BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240327BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240327BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20240327BHJP
   B29C 64/255 20170101ALI20240327BHJP
【FI】
B29C64/124
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/393
B29C64/255
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565440
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 CA2022050610
(87)【国際公開番号】W WO2022221952
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】63/178,615
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523400725
【氏名又は名称】カラックス アドバンスド リサーチ ラボラトリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】ミルズ,バリー アラン
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AP01
4F213AR07
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL06
4F213WL72
4F213WL85
(57)【要約】
樹脂の貯蔵タンクから3Dステレオリソグラフィ印刷層をリリースするための方法及び装置が開示される。装置は、リリース層を有し、固化可能樹脂を収容するように構成される貯蔵タンクと、リリース層に対する印刷されるオブジェクトの位置及び方向を調整するように構成される構築プレートを含む1以上のリリース機構とを備える。
【選択図】図4a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dプリンタ用のリリースアセンブリ装置であって、
固化可能樹脂を収容するように構成され、リリース層を有する貯蔵タンクであって、前記リリース層は、固化エネルギー源から固化可能樹脂の前記貯蔵タンクに固化エネルギーを伝達し、前記リリース層と接触する前記固化可能樹脂の少なくとも一部を固化するように構成される、貯蔵タンクと、
印刷されているオブジェクトを支持するための構築プレートを含む配置機構であって、前記オブジェクトの位置を前記リリース層に対して制御するように構成される配置機構と、
前記オブジェクトが前記リリース層に対して移動する際に当該オブジェクトに作用する力を測定するように構成される1以上の力センサと
を備える、リリースアセンブリ装置。
【請求項2】
前記リリースアセンブリは、前記リリース層が2軸周りに傾斜し、上下に移動することを可能にするように構成される複数の直立アクチュエータを含む3自由度マウントを備える、請求項1に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項3】
それぞれの直立アクチュエータは、それぞれの力センサに取り付けられる、請求項2に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項4】
前記リリースアセンブリは、前記リリース層を横に任意の方向に移動させるように構成される複数のアクチュエータを含むスライディングフロアマウントを備える、請求項1~2のいずれか一項に記載のリリースアセンブリ。
【請求項5】
前記リリースアセンブリはフレームを備え、前記配置機構は、少なくとも5自由度で前記フレームに対して前記リリース層を移動させるように構成される、請求項1に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項6】
前記リリースアセンブリはフレームを備え、前記配置機構は、前記フレームに対して前記リリース層の位置を制御するように構成される6つのロータリアクチュエータを有する6自由度マウントを含む、請求項1に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項7】
前記6つのロータリアクチュエータはペアで取り付けられ、アクチュエータのそれぞれのペアは、前記力センサのうちの1つを介して前記フレームに取り付けられる、請求項7に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項8】
前記リリースアセンブリは、再現可能な相対位置にある前記フレームに対して固定された位置に前記リリース層を解除可能にロックするように構成される相補的なプラットフォーム-フレーム係合部材を有するプラットフォーム-フレームロックを備える、請求項6~7のいずれか一項に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項9】
前記6自由度マウントは、弾性マウントを介して前記リリース層に接続される、請求項6~8のいずれか一項に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項10】
前記貯蔵タンク及び前記固化エネルギー源は、堅い固化ユニットとして一緒にされ、前記リリースアセンブリは、前記固化ユニットを前記6自由度マウントに解除可能にロックするように構成される相補的なプラットフォームユニット係合部材を有するプラットフォームユニットロックを備える、請求項6~9のいずれか一項に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項11】
前記配置機構は、前記構築プレート及び前記リリース層が互いに他方に向かって移動するときに、前記リリース層が前記構築プレートと平行にならないように、前記リリース層を傾斜させるように構成されるアクチュエータを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項12】
前記リリースアセンブリは、前記測定された力に基づいて前記リリース層に向かう構築プレートの接近速度を調整するように構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項13】
前記配置機構は、前記リリース層を傾斜させ固化された層から前記リリース層を離脱させるためのアクチュエータを有し、前記構築プレートは、単一軸に沿って堅く並進するように構成される、請求項1~12のいずれか一項に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項14】
前記構築プレートは、印刷される次の層の所定の厚さに対応する量だけ離脱後に並進するように構成される、請求項1~13のいずれか一項に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項15】
前記リリース層は、離脱を行うために印刷位置から移動し、離脱後に前記印刷位置に戻るように構成される、請求項1~14のいずれか一項に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項16】
前記リリースアセンブリは、印刷される層のそれぞれの領域に対してキュア値を割り当て、前記キュア値に基づいて、それぞれの領域に作用する前記エネルギー源からの前記固化エネルギーの強度及び期間のうち1つ以上を調整するように構成される、請求項1~15のいずれか一項に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項17】
前記リリースアセンブリは、前記測定された力の絶対値に基づいて前記リリース層に対する前記構築プレートの運動を制御するように構成される、請求項1~16に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項18】
前記リリースアセンブリは、前記力が低い閾値を下回る場合に離脱速度を上げるように構成される、請求項1~17のいずれか一項に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項19】
前記リリースアセンブリは、測定される力が所定の力低下率閾値よりも高い割合で低下していることを検出したことに応答して、前記リリース層から前記構築プレートを離脱させることを停止するように構成される、請求項1~18のいずれか一項に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項20】
前記リリースアセンブリは、測定される力がリリース閾値を下回るまで低下していることを検出したことに応答して、前記構築プレートから前記リリース層を離脱させることを停止するように構成される、請求項1~19のいずれか一項に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項21】
前記リリースアセンブリは、前記配置機構の以前の動作に基づいて前記配置機構が制御される方法を調整するように構成される、請求項1~20のいずれか一項に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項22】
前記リリースアセンブリは、
時間の関数としての前記力センサのそれぞれに対する測定された力と、時間の関数としての前記配置機構の構成とに関するデータを記録し、
使用される前記樹脂に関する情報に関連付けて前記記録されたデータを保存し、
前記印刷されたオブジェクトの品質についてのフィードバックを受信し、
印刷欠陥の割合を下げ、印刷の速度を上げるために、測定された力に対して前記配置機構が反応する方法を調整する
ように構成される、請求項1~21のいずれか一項に記載のリリースアセンブリ装置。
【請求項23】
印刷されるオブジェクトの3Dプリンタからのリリースを制御するための方法であって、
印刷されるオブジェクトとリリース層との間の樹脂の層をキュアし、前記リリース層は、固化エネルギー源から固化可能樹脂の貯蔵タンクに固化エネルギーを伝達し、前記リリース層と接触する前記固化可能樹脂の少なくとも一部を固化するように構成され、
配置機構を用いて前記リリース層に対して前記オブジェクトを移動させて前記印刷されるオブジェクトをリリースし、
前記印刷されるオブジェクトが前記リリース層に対して移動する際に前記印刷されるオブジェクトに作用する力を測定し、
前記測定された力に基づいて前記配置機構を制御する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、3D印刷、特に光固化プリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
背景
光固化(ステレオリソグラフィ、光固化、ソリッドフリーフォーム製造法、ソリッドイメージング、ラピッドプロトタイピング、樹脂印刷、及び3D印刷としても知られ得る)は、光重合、すなわち光が分子鎖を互いに結合させ重合体を形成するプロセスを用いた積層法により、型、見本、パターン、及び生産部品を生成するために使用されるアディティブ製造技術の一形態である。
【0003】
ステレオリソグラフィの1つのタイプは、光ポリマ樹脂の貯蔵タンクにエネルギー源を集束することにより機能するアディティブ製造プロセスである。コンピュータ援用製造又はコンピュータ援用設計ソフトウェア(CAM/CAD)の支援を受けて、光ポリマ貯蔵タンクの表面上に予めプログラムされたデザイン又は形状を描くためにエネルギー源が使用される。光ポリマは感光性を有するので、樹脂が固化し、設計された3Dオブジェクトの単一層を形成する。このプロセスは、3Dオブジェクトが完成するまでそのデザインの各層に対して繰り返される。
【0004】
ステレオリソグラフィの他のタイプは、「ボトムアップ」製造法を用いるものである。そのようなシステムは、デザインの単一層の厚さに等しい距離まで液体光ポリマの中に降下するエレベータプラットフォームを有している。そして、オブジェクト又はプラットフォームと貯蔵タンクの基部との間にある液体光ポリマの部分がキュアされてその液体が固化する。このプロセスを用いて、完成した3Dオブジェクトを形成することができる。
【0005】
「ボトムアップ」製造法における問題は、液体光ポリマがキュアされる際に、液体光ポリマが、以前にキュアされた層だけではなく、貯蔵タンク自体にも付着することである。したがって、構築プレートからオブジェクトを引き剥がすことなく新にキュアされた層を貯蔵タンクから離脱させることを可能にするシステムに対する需要が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
第1の態様によれば、3Dプリンタ用のリリースアセンブリ装置であって、
固化可能樹脂を収容するように構成され、リリース層を有する貯蔵タンクであって、上記リリース層は、固化エネルギー源から固化可能樹脂の上記貯蔵タンクに固化エネルギーを伝達し、上記リリース層と接触する上記固化可能樹脂の少なくとも一部を固化するように構成される、貯蔵タンクと、
印刷されているオブジェクトを支持するための構造を含む配置機構であって、上記オブジェクトの位置を上記リリース層に対して制御するように構成される配置機構と、
上記リリース層が上記印刷されるオブジェクトに対して移動する際に当該オブジェクトに作用する力を測定するように構成される力センサと
を備える、リリースアセンブリ装置が提供される。
【0007】
上記リリースアセンブリはフレームを備えていてもよい。上記リリース層及び上記構築プレートは、別個のアクチュエータを用いて上記フレームに独立して取り付けられ得る。アクチュエータは、機構又は要素を移動及び制御すべき機械の構成要素であると考えられ得る。
【0008】
上記リリースアセンブリは、3自由度マウントを備えていてもよい。上記3自由度マウントは、上記リリース層が2軸周りに傾斜し、上下に移動することを可能にするように構成される複数のアクチュエータを含み得る。上記3自由度アクチュエータは、垂直線に整列した方向に伸縮するように構成される直立アクチュエータであってもよい。
【0009】
3自由度マウントは、(例えばヨーを導入するために)垂直なZ軸に整列した回転軸周りに上記リリース層を回転させるように構成される回転アクチュエータと組み合わされてもよい。この回転、すなわちヨーは、上記リリース層と上記キュアされた層の部分的な離脱を引き起こすために上記3自由度が傾斜したときに、上記キュアされた層をリリースするのに役立ち得る。この回転アクチュエータとの3自由度マウントの組み合わせは4自由度を提供する。
【0010】
それぞれのアクチュエータは、それぞれの力センサに接続され得る。それぞれの直立アクチュエータは、それぞれの力センサ上に取り付けられ得る。
【0011】
上記リリースアセンブリは、上記リリース層を横に任意の方向に移動させるように構成される複数のアクチュエータを含むスライディングフロアマウントを備え得る。
【0012】
上記リリースアセンブリはフレームを備え得るもので、上記配置機構は、少なくとも5自由度で上記フレームに対して上記リリース層を移動させるように構成される。例えば、上記スライディングフロアマウントと組み合わされた上記3自由度マウントは5自由度を提供する。ヨーを促進するために回転アクチュエータを追加することにより6自由度(すなわち6自由度マウント)が提供される。
【0013】
上記配置機構は、6自由度マウントを備えていてもよい。上記6自由度マウントは、上記フレームに対する上記リリース層の位置を制御するように構成される6つのアクチュエータを含み得る。上記アクチュエータは、ロータリアクチュエータであり得る。
【0014】
上記6自由度マウントの上記6つのアクチュエータはペアで取り付けられ得る。それぞれのペアは、一緒に直接接続されるか、あるいは共通の堅いマウントに接続されることにより互いに堅く取り付けられ得る。それぞれのペアは、互いに近くに(例えば横に並んで)位置する2つのアクチュエータを含み得る。上記力センサのうち少なくとも1つは、上記ロータリアクチュエータペアのうち1つの下方及び/又は上記アクチュエータと上記フレームとの間に配置され得る。
【0015】
上記リリースアセンブリは、再現可能な相対位置にある上記フレームに対して固定された位置に上記リリース層を解除可能にロックするように構成される相補的なプラットフォーム-フレーム係合部材を有するプラットフォーム-フレームロックを備えていてもよい。
【0016】
上記6自由度マウントは、弾性マウントを介して上記リリース層に接続され得る。
【0017】
上記貯蔵タンクは、水平面で円形の断面を有していてもよい。円形の断面は、上記貯蔵タンクが垂直軸周りに回転する際に、上記貯蔵タンク内の上記樹脂に乱流が誘引されるのを緩和するのに役立ち得る。上記貯蔵タンクは、水平面で矩形又は正方形の断面を有していてもよい。矩形又は正方形の貯蔵タンクは、1以上の従来の矩形のLCD固化エネルギー源を収容しやすくすることができる。
【0018】
上記貯蔵タンク及び上記固化エネルギー源は、堅い固化ユニットとして一緒にされ得る。上記リリースアセンブリは、上記固化ユニットを上記6自由度マウントに解除可能にロックするように構成される相補的なプラットフォームユニット係合部材を有するプラットフォームユニットロックを備えていてもよい。これは、修理のために上記固化ユニットを簡単に取り外すのを促進し得る。上記プラットフォームユニットロックは、手動で制御されていてもよく、コントローラを介して制御されていてもよい。
【0019】
上記固化ユニットは、複数のLCDユニットを備えていてもよい。それぞれのLCDユニットは、50ミクロン以上の解像度を有し得る。それぞれのLCDユニットは、対角9インチの矩形であり得る。
【0020】
上記配置機構は、上記リリース層に対して上記印刷されるオブジェクトの方向を制御するように構成され得る。上記配置機構は、上記リリース層の位置及び方向を制御するように構成されるアクチュエータを有し得る。
【0021】
上記リリースアセンブリは、上記測定された力に基づいて上記リリース層に向かう構築プレートの離脱速度を調整するように構成され得る。上記リリースアセンブリは、上記測定された力に基づいて上記リリース層に向かう構築プレートの接近速度を調整するように構成され得る。上記リリース層が以前に印刷された層から層厚さだけ離間するまで上記リリース層が上記構築プレートに向かって移動する離脱の後に上記接近が生じ得る。その後は、上記プリンタは他の層をいつでもキュアできる。上記接近中に、樹脂は、上記以前に印刷された層と上記リリース層との間から絞り出され得る。これは、印刷されたオブジェクトに力を与え得る。
【0022】
上記リリースアセンブリは、上記構築プレート(及び直近にキュアされた層)に対して上記リリース層を傾斜させるように構成されるアクチュエータを備え得る。
【0023】
上記リリースアセンブリは、(例えば、上記接近段階中に)上記構築プレートが上記リリース層に向かって移動するときに、上記リリース層が上記構築プレートと平行にならないように、上記リリース層を傾斜させるように構成されるアクチュエータを備えていてもよい。これは、以前に印刷された層と上記リリース層との間から樹脂を導き出すのに役立ち得る。
【0024】
上記リリースアセンブリは、四辺形のそれぞれの隅に配置された4つの力センサを備えていてもよい。上記アクチュエータは、四辺形のそれぞれの隅に配置されていてもよい。これは、上記リリース層が2つの軸周りに傾斜することを可能にし得る。それぞれのアクチュエータは、対応する力センサを含み得る。
【0025】
上記リリースアセンブリは、上記リリース層及び固化エネルギー源をユニットとして傾斜させるように構成されるアクチュエータを備えていてもよい。
【0026】
上記リリース層は、下にある堅い面に付着された弾性層を含んでいてもよい。この付着は、離脱中に上記弾性層の一部が上記下にある堅い面から離れて持ち上がるように構成され得る。
【0027】
上記リリースアセンブリは、上記構築プレートが上記リリース層に向かって移動しているときに測定された力の変化率に基づいて上記印刷されるオブジェクトの接近速度を調整するように構成され得る。
【0028】
上記リリースアセンブリは、上記構築プレートが上記リリース層から離れるように移動しているときに測定された力の変化率に基づいて上記印刷されるオブジェクトの離脱速度を調整するように構成され得る。
【0029】
上記リリースアセンブリは、上記リリース層を傾斜させ、キュアされた層から離脱させるためのアクチュエータを備えていてもよく、上記構築プレートは、単一軸に沿って厳密に並進するように構成される。
【0030】
上記リリースアセンブリは、静止している構築プレートから離脱を行うために上記リリース層を傾斜及び並進させるように構成され得る。
【0031】
上記リリースアセンブリは、印刷される次の層の所定の厚さに対応する量だけ離脱後に上記構築プレートを並進させるように構成され得る。離脱後、上記リリースアセンブリは、印刷される次の層の所定の厚さに対応する量だけ上記構築プレートを並進させるように構成され得る。
【0032】
上記リリース層は、離脱を行うために印刷位置から移動し、(例えば静止している基準フレームに対して)離脱後に上記印刷位置に戻るように構成され得る。
【0033】
上記リリースアセンブリは、上記測定された力に基づいて上記リリース層に対する上記構築プレートの運動を制御するように構成され得る。
【0034】
上記リリースアセンブリは、上記貯蔵タンク内での樹脂の体積を決定するように構成され得る。これは、力の測定を行う際に上記樹脂の重量の調整のために使用され得る。
【0035】
上記リリースアセンブリは、上記測定された力の絶対値に基づいて上記リリース層に対する上記構築プレートの運動を制御するように構成され得る。
【0036】
上記リリースアセンブリは、上記力が低閾値を下回る場合に、離脱速度を上げるように構成され得る。上記リリースアセンブリは、より大きくなった測定される力に対してより速い離脱速度を適用するように構成され得る。
【0037】
上記リリースアセンブリは、測定される力が所定の力低下率閾値よりも高い割合で低下していることを検出したことに応答して、上記リリース層から上記構築プレートを離脱させることを停止するように構成され得る。
【0038】
上記リリースアセンブリは、測定される力がリリース閾値を下回るまで低下していることを検出したことに応答して、上記リリース層から上記構築プレートを離脱させることを停止するように構成され得る。
【0039】
上記リリースアセンブリは、上記測定された力及び最後のキュアリングステップにおいてキュアされた領域に基づいて上記1以上の配置機構を制御するように構成され得る。
【0040】
上記リリースアセンブリは、上記測定された力及び最後の印刷層の形状に基づいて上記1以上の配置機構を制御するように構成され得る。
【0041】
アクチュエータは、機構又はシステムを移動及び制御する構成要素であると考えられ得る。アクチュエータは、制御信号に応答して作動され得る。アクチュエータは、リニアアクチュエータ又はロータリアクチュエータであり得る。リニアアクチュエータは、直線運動を生じるアクチュエータであると考えられ得る。リニアアクチュエータは、油圧又は空圧シリンダを含み得る。リニアアクチュエータは機械式アクチュエータを含み得る。
【0042】
上記リリースアセンブリは、
時間の関数としての上記力センサのそれぞれに対する測定された力と、時間の関数としての上記配置機構の構成とに関するデータを記録し、
使用される上記樹脂に関する情報に関連付けて上記記録されたデータを保存し、
上記印刷されたオブジェクトの品質についてのフィードバックを受信し、
印刷欠陥の割合を下げ、印刷の速度を上げるために、測定された力に対して上記配置機構が反応する方法を調整する
ように構成され得る。
【0043】
上記配置機構の構成は、上記構築プレートの位置及び/又は速度及び/又は上記アクチュエータのそれぞれの位置及び/又は速度についての情報を含み得る。
【0044】
上記印刷されたオブジェクトの各層の構成は、上記層の面積、上記層の形状、及びそれぞれのアクチュエータに対する上記リリース層に対する上記層の位置についての情報を含み得る。
【0045】
さらなる態様によれば、印刷されるオブジェクトの3Dプリンタからのリリースを制御するための方法であって、
印刷されるオブジェクトとリリース層との間の樹脂の層をキュアし、上記リリース層は、固化エネルギー源から固化可能樹脂の貯蔵タンクに固化エネルギーを伝達し、上記リリース層と接触する上記固化可能樹脂の少なくとも一部を固化するように構成され、
上記リリース層に対して上記オブジェクトを移動して上記印刷されるオブジェクトをリリースし、
上記印刷されるオブジェクトが上記リリース層に対して移動する際に上記印刷されるオブジェクトに作用する力を測定し、
上記測定された力に基づいて1以上の配置機構を制御する、
方法が提供される。
【0046】
上記構築プレート及び上記リリース層はともに独立して移動し得るので、そのような移動は、静止している基準フレームに対して定義され得ることは理解できよう。上記静止している基準フレームは、例えば、(上記リリースアセンブリを含む)3Dプリンタが設置されている面及び/又は上記アクチュエータ及び構築プレートが取り付けられるアンカー点であり得る。例えば、それぞれのアクチュエータは、その一端が上記リリース層に、他端がアンカー点に取り付けられ得る。上記アクチュエータを短くしたり長くしたりすることで、上記リリース層が上記静止しているアンカー点に対して移動する。
【0047】
上記構築プレートは、上記静止している基準フレームに対して(傾斜又は回転せず)単一軸に沿って上下に並進し得る。上記リリース層は、上記静止している基準フレームに対して傾斜する(そしておそらく並進する)ように構成され得る。
【0048】
上記リリースアセンブリ装置は、1以上のリリース機構を制御するように構成され得る。上記リリース機構を制御することは、上記リリース機構を始動させること、上記リリース機構を停止すること、上記リリース機構の強度を変更することのうち1つ以上を含み得る。リリース機構は、上記印刷されるオブジェクトの上記リリース層からのリリースを促進する又は引き起こす機構であり得る。リリース機構は、上記構築プレートを移動させること、上記リリース層を移動させること、及び上記リリース層を振動させることのうち1つ以上を含み得る。
【0049】
上記リリースアセンブリ装置は、上記測定された力に基づいて上記構築プレートに対する上記リリース層の運動を制御するように構成され得る。上記装置は、上記印刷されるオブジェクトの重量を考慮するように構成され得る。上記力は、上記装置内の位置範囲にある(例えば、上記構築プレートにあるか、上記リリース層にある)1以上の力センサにより測定され得る。これらの測定値から、上記リリース層と上記印刷されるオブジェクトとの間の力が決定され得る。
【0050】
上記リリースアセンブリ装置は、上記測定された力の絶対値に基づいて上記リリース層に対する上記構築プレートの運動を制御するように構成され得る。
【0051】
上記リリースアセンブリ装置は、上記力が力閾値を上回る場合に、速度を落とすように構成され得る。
【0052】
上記リリースアセンブリ装置は、上記力が低閾値を下回る場合に、速度を上げるように構成され得る。
【0053】
上記リリースアセンブリ装置は、上記測定された力の変化率に基づいて上記リリース層に対する上記構築プレートの運動を制御するように構成され得る。
【0054】
上記リリースアセンブリ装置は、測定される力が所定の力低下率閾値よりも高い割合で低下していることを検出したことに応答して、上記リリース層から上記構築プレートを離脱させることを停止するように構成され得る。上記力低下率閾値は、1秒当たり97%の力の低下であり得る。他の閾値を使用してもよい。例えば、上記力低下率閾値は、1秒当たり80%の力の低下であってもよく、1秒当たり50%の力の低下であってもよい。
【0055】
上記リリースアセンブリ装置は、測定される力がリリース閾値を下回るまで低下していることを検出したことに応答して、上記リリース層から上記構築プレートを離脱させることを停止するように構成され得る。
【0056】
上記リリースアセンブリ装置は、上記測定される力に基づいて第2のリリース機構を制御するように構成され得る。
【0057】
上記リリースアセンブリ装置は、第2のリリース力閾値を上回る力が測定されたことに応答して、上記第2のリリース機構を始動するように構成され得る。
【0058】
上記リリースアセンブリ装置は、上記測定された力及び最後のキュアリングステップにおいてキュアされた領域に基づいて上記1以上のリリース機構を制御するように構成され得る。
【0059】
上記リリースアセンブリ装置は、上記測定された力及び最後の印刷層の形状に基づいて上記1以上のリリース機構を制御するように構成され得る。
【0060】
上記1以上のリリース機構は、上記リリース層に接続される振動アクチュエータを含み得る。上記装置は、上記振動アクチュエータを用いて上記リリース層を振動させて上記リリース層から上記固化可能樹脂のリリースを行うように構成される。
【0061】
上記リリースアセンブリ装置は、印刷される層のそれぞれの領域(例えば上記印刷されるオブジェクトの各ピクセル)に対してキュア値を割り当てるように構成され得る。上記キュア値は、当該領域をキュアするキュアリングサイクルにわたって上記エネルギー源から必要とされるエネルギーの総量に対応し得る。上記リリースアセンブリ装置は、上記割り当てられたキュア値に基づいて、それぞれの領域のキュア時間を調整するように構成され得る。上記リリースアセンブリ装置は、上記キュア値に基づいて、それぞれの領域に作用する上記エネルギー源の光強度を調整するように構成され得る。上記リリースアセンブリ装置は、すべての領域が同一の時間でキュアされるように上記光強度を調整するように構成され得る。
【0062】
上記装置は、異なる幾何学的寸法のアルゴリズム補間を通じて適切にキュアされた層に必要とされる適切なキュア時間及びリリース力を決定することが可能であってもよい。キュア時間についての上記予測を用いることで、上記システムは、各層の各イメージ(及び各領域)に対する最適なキュア時間を生成することができる。さらに、上記リリースにおいて必要とされる力を把握することにより、上記システムは、上記キュア時間のリアルタイム精練を行って、より正確で信頼性の高い部品を作成するのに役立てることができる。
【0063】
上記装置は、離脱力を減少する所与の幾何学的寸法に対する好適なサポート材を力及び測定された部分のデータベースを通じて決定し、印刷における特徴部の変形を低減することが可能であってもよい。
【0064】
上記リリースアセンブリ装置は、可聴周波数又は超音波周波数で上記リリース層を振動させるように構成され得る。超音波周波数は、20kHzよりも高い周波数に関係すると考えられ得る。可聴周波数は、20Hzと20kHzの周波数に関係すると考えられ得る。
【0065】
上記リリースアセンブリ装置は、30Hzと70kHz(又は80kHz)との間の周波数で上記リリース層を振動させるように構成され得る。
【0066】
上記リリースアセンブリ装置は、30Hzと80Hzとの間の周波数で上記リリース層を振動させるように構成され得る。
【0067】
上記1以上のリリース機構は、上記印刷されるオブジェクトの位置を上記リリース層に対して制御するように構成される構築プレートを含み得るものであり、
上記装置は、上記構築プレートが上記リリース層から離れて上記印刷されるオブジェクトをリリースするように移動しているときに上記構築プレートに作用する力を測定するように構成される力センサを含み、
上記装置は、上記測定される力に基づいて上記1以上のリリース機構を制御するように構成される。
【0068】
上記リリースアセンブリ装置は、複数の振動アクチュエータを含み得る。
【0069】
離脱境界は、上記リリース層に接続された上記印刷されたオブジェクトの部分と上記リリース層からリリースされた部分との間の境界であると考えられ得る。
【0070】
上記リリース層の傾斜軸は、上記リリース層がその周りで回転する軸であると考えられ得る。上記傾斜軸は、典型的には、上記リリース層の平面内にある。
【0071】
上記リリースアセンブリ装置は、3Dプリンタの一部を形成し得る。上記プリンタは、2次元光源(例えばLCD)を含み得る。上記光源は、上記3次元オブジェクトの層をキュアするために選択的にオン及びオフすることが可能なピクセルを含み得る。上記層は特定の2次元形状を有する。
【0072】
6自由度マウントは、上記プラットフォームのベースプレート上の3つの位置にペアで取り付けられ、トッププレート上の3つの取付点に架け渡される6つのプリズム状アクチュエータ、通常は油圧ジャッキ又は電気リニアアクチュエータを有する平行マニピュレータの一種である。12個のすべての接続は、要求される方向における運動範囲を許容するユニバーサルジョイント又はハイムジョイントを介してなされ得る。自由に懸架された本体が3つの線形移動x、y、z(横、縦、及び垂直)及び3つの回転(ピッチ、ロール、及びヨー)を行うことが可能な6自由度で上記トッププレート上に置かれるデバイスを移動することができる。
【0073】
6自由度マウントは様々な他の名前で知られている。多くの用途においては、通常モーションベースと呼ばれている。時として6軸プラットフォーム、スチュワートプラットフォーム又は相乗効果運動プラットフォームと呼ばれる。
【0074】
6自由度マウントの6自由度は、以下に述べられる2つの運動クラスに分けられる。
・並進エンベロープ
・X軸上での前後の移動(サージ)
・Y軸上での左右の移動(スウェイ)
・Z軸上での上下の移動(ヒーブ)
・回転エンベロープ
・X軸上での側方への傾斜(ロール)
・Y軸上での前後への傾斜(ピッチ)
・Z軸上での左右への傾斜(ヨー)
【0075】
上記リリースアセンブリは、樹脂温度を所定の値(例えば65℃)に又は所定の範囲(例えば30~80℃又は60~80℃)に維持するように構成される熱コントローラを備えていてもよい。上記熱コントローラは、ヒータ及び/又はクーラを含み得る。
【0076】
上記リリースアセンブリ装置は、制御システム又はコントローラを含み得る。上記制御システムは、プロセッサ及びメモリを含み得る。上記メモリは、コンピュータプログラムコードを保存し得る。上記プロセッサは、例えば、中央処理演算ユニット、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路すなわちASIC又はマルチコアプロセッサを含み得る。上記メモリは、例えば、フラッシュメモリ、ハードドライブ、揮発性メモリを含み得る。上記コンピュータプログラムは、CDのような非一過性媒体上に保存され得る。上記コンピュータプログラムは、コンピュータ上で実行すると、本明細書に開示される方法及びプロセスを実施するように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図面の簡単な説明
添付図面に示されているような本発明の特定の実施形態についての以下の説明から本発明の様々な目的、特徴及び利点が明らかになるであろう。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、本発明の様々な実施形態の原理を図示する際に強調がなされている。同様の参照数字は同様の構成要素を示している。
図1a図1aは、3Dプリンタの実施形態の正断面図である。
図1b図1bは、図1aの3Dプリンタの貯蔵タンク及び振動アクチュエータの斜視図である。
図2a-2f】図2a図2fは、印刷される3Dオブジェクトに層がどのようにして追加されるかを示す、3Dプリンタの実施形態の一連の正断面図である。
図3図3は、図1の実施形態がオブジェクトを印刷するためにどのように使用されるかを示すフローチャートである。
図4a図4aは、3Dプリンタのさらなる実施形態の斜視図である。
図4b-4c】図4b及び図4cは、図4aの実施形態の6自由度マウントの斜視図である。
図4d図4dは、図4aの実施形態のフレームへの6自由度マウント接続の取付の斜視図である。
図4e図4eは、図4aの実施形態のプラットフォーム-フレームロックの斜視図である。
図4f図4fは、図4aの実施形態の固化ユニット及びユニット-フレームロックの一部の斜視図である。
図4g-4h】図4g及び図4hは、図4aの実施形態の固化ユニットプラットフォームの斜視図である。
図5a図5aは、3Dプリンタのさらなる実施形態の斜視図である。
図5b図5bは、図5aの実施形態の正面図である。
図5c図5cは、図5aの実施形態の固化ユニットプラットフォーム及び貯蔵タンクの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
詳細な説明
図面を参照して、樹脂の貯蔵タンク内で3D印刷オブジェクトをリリース層から引き離すことを容易にする装置及び方法が述べられる。
【0079】
すべての用語は、図面及び説明から合理的に推測できる定義を有する。
【0080】
ここで、本発明の様々な態様が図面を参照して述べられる。説明のために、図に示されている構成要素は必ずしも縮尺通りに描かれているとは限らない。その代わり、本発明の様々な態様の機能性に対する構成要素の様々な貢献を目立たせる部分が強調されている。考えられる数多くの代替的特徴が説明の途中に導入される。当業者の知識及び判断によれば、そのような代替的特徴は、様々な組み合わせにおいて置換されて本発明の異なる実施形態に想到し得るものであることを理解すべきである。
【0081】
リリースアセンブリ装置
図1a図1bは、リリースアセンブリ100を含む3Dプリンタの実施形態を示している。特に、リリースアセンブリ100は、
固化可能樹脂190を収容するように構成され、リリース層105を有する貯蔵タンク101であって、リリース層は、固化エネルギー源103から固化可能樹脂の貯蔵タンクに固化エネルギーを伝達し、リリース層と接触する固化可能樹脂の少なくとも一部を固化するように構成される、貯蔵タンク101と、
印刷されているオブジェクト191の位置をリリース層に対して制御するように構成される構築プレート111を含む配置機構と、
印刷されているオブジェクトがリリース層に対して移動する際に当該オブジェクトに作用する力を測定するように構成される1以上の力センサ106a~106bと
を備えている。
【0082】
この場合において、リリース層105は貯蔵タンク101の基部である。
【0083】
この場合において、貯蔵タンクは、貯蔵タンクを移動するように構成される複数のリニアアクチュエータ104a~104d上に取り付けられている。また、これらのアクチュエータは、印刷されているオブジェクトに対してリリース層を移動する際に配置機構の部分から。それぞれのアクチュエータ104a~104dは、それぞれのアクチュエータに作用する力を測定するように構成されるそれぞれの力センサ104a~104b(2つの力センサは図示されていない)に関連付けられている。
【0084】
この場合において、リリースアセンブリは、複数のアクチュエータ104a~104dを用いてリリース層105を構築プレート111から離れるように下降させることにより、リリース層を印刷されたオブジェクトから引き離すように構成される。これにより、印刷されているオブジェクトに伸長力(extension force)が作用する。印刷された材料及び又はリリース層の弾性及び/又は剛性によってリリース層からのオブジェクトの離脱が引き起こされる。
【0085】
この場合のエネルギー源103は、印刷されているオブジェクトの連続層をキュアするように構成されるLCDスクリーンである。ピクセルを有するスクリーンを用いることにより層全体を同時に固化することが可能になり得る。他の光源は、レーザ、蛍光ランプ、ガス放電ランプ及び白熱ランプを含み得る。光源アレイ内の特定の光源をオン及びオフすることによって、さらに/あるいは(例えば、偏光子に挟まれた液晶層を含む液晶アセンブリを用いて)光の一部をブロックすることによってピクセルが提供され得る。この場合において、LCDスクリーンは、リリース層に堅く取り付けられる。これは、アクチュエータの移動に応答してリリース層105及びエネルギー源103が一緒に移動及び傾斜することを意味する。これにより、リリース層に対するエネルギー源の位置が印刷プロセスを通して一定に維持されることが保証される。
【0086】
エネルギー源は、(例えば375から395nmの間又は420nmまでの)UV光を出射するように構成されているLCDアセンブリを含み得る。例えば、LCDアセンブリは、375~420nmの間の波長を有する光を出射するように構成される光源と、交差偏光軸を有する第1及び第2の偏光子と、偏光子の間に位置する液晶層とを含み得るものであり、LCDアセンブリは、光源からの光が第1及び第2の偏光子及びLCDを通過する際に、出射された光が375~420nmの間の最大スペクトル強度を有するように構成される。
【0087】
この実施形態における力センサ106a~106bは、プリンタに(例えばコントローラに)情報をリレーバックして、プリンタがリリース層105から部分191を離脱させる方法をプリンタ(又はコントローラ)が(例えば配置機構の動作を制御することにより)動的に調整できるようにするように構成されるロードセルである。
【0088】
3D印刷
図2a図2fは、印刷されている3Dオブジェクトに層がどのように付加されるのかを示している、図1a図1bの3Dプリンタの実施形態の一連の正断面図である。
【0089】
図2aは、印刷されているプロセス中にある、以前にキュアされたオブジェクト191上に樹脂の層がキュアされた状態を示している。
【0090】
印刷を続ける(又は完了する)ために、新たに固化された層は、リリース層105から分離される必要がある。これを行うために、図2bに示されるように、リニアアクチュエータ104a~104dの長さを短くすることにより、リリース層105を構築プレート111から離れるように下降させる。この場合には、貯蔵タンク101及びエネルギー源103の全体がリリース層105とともにユニットとして下降する。この実施形態においては、構築プレートは、リリース中に(例えば静止している基準フレームに対して)移動しない。
【0091】
リリース層105が下降した際に、それぞれのアクチュエータ104a~104dに関連付けられた力センサ106a~106bは、当該アクチュエータによってオブジェクトに作用する力をモニタリングするように構成される。この場合において、リリースアセンブリは、リリース層が構築プレートから離れるように移動する際に、測定された力及び/又は測定された力の変化率に基づいて離脱中にそれぞれのアクチュエータの速度を調整するように構成される。リリースアセンブリは、ずっと当該アクチュエータの力の測定値に基づいて(すなわち完全に独立した動作)、あるいはすべてのアクチュエータで測定された力の組み合わせを用いて、それぞれのアクチュエータの速度を調整するように構成され得ることは理解できよう。例えば、アクチュエータのすべての合計力が所定の合計力閾値を超えない限り、それぞれのアクチュエータの速度は、当該アクチュエータで最大力が測定されるまで増加し得る。
【0092】
一般的に、特定のアクチュエータにおいて力が大きい場合には、離脱の速度が遅くなり得る。一方、力が比較的小さい場合には、離脱の速度が比較的速くなり得る。同様に、特定のアクチュエータへの力が減少している場合には、当該アクチュエータの下降速度が増加し得る。これは、印刷されたオブジェクトに離脱中にダメージを与えないことを保証する手助けとなるとともに、離脱速度を増加させるものである。ある実施形態においては、離脱速度は、力が所定の閾値に達するまで増加し得る。
【0093】
図2bに示されるように、それぞれのアクチュエータの速度を別々に調整することにより、離脱の進行中に貯蔵タンクが傾く。この傾斜は、接続面に垂直な軸に沿った単純な軸離脱を用いるよりも離脱境界をより上手く制御することを可能にするものである。リリース層は、リリースされる接続層に(以前に印刷されたオブジェクトによりリリースされる接続層から離脱される)構築プレートより近くにあるので、(構築プレートではなく)リリース層を傾斜させることはより効果的であり得る。
【0094】
四辺形に配置された4つのアクチュエータがあるので、リリース層は、リリース層の平面内で任意の軸周りに傾斜され得る。例えば、図2bの状態においては、右側の前に左側を下げることにより、紙面から出る軸周りの傾斜が引き起こされる。前方左側のアクチュエータを大きく下げ、前方右側及び後方左側のアクチュエータを少し下げ、後方右側のアクチュエータを静止させたままにすると、リリース層の後方左側及び前方右側を通過する軸周りの傾斜が引き起こされる。
【0095】
ある実施形態においては、アクチュエータは、離脱境界を制御する手助けをするために、アクチュエータのうち1つ以上を残りのアクチュエータの前に下げ始めることにより、リリース層に最初に傾斜を引き起こすように構成される。
【0096】
この場合において、リリース層が平坦面のままであるように4つのアクチュエータは協働して移動するように強制される。例えば、1つのアクチュエータが下がることができず、他の3つは静止したままであると、リリース層上に曲げ力を引き起こすことになる。リリースアセンブリは、リリース層が下がるときに傾斜軸を回転させる(例えば北から東へ南へ西へ、そして北に戻る)ようにアクチュエータを制御するように構成され得る。他の実施形態は、弾性のあるリリース層上に曲げ力を引き起こすように構成され得る。
【0097】
図2cは、離脱が完了したときの状態を示している。キュアされていない液体樹脂190が、印刷されたオブジェクトの部分とリリース層との間の間隙に流れ込んでいる。
【0098】
この場合において、(図2cに示されるように)離脱が完了した後、構築プレート111は、リリース層105から(例えばこれからの静止基準において)上方にある印刷層の厚さ分(ある印刷層は例えば0.05mmから0.20mmの間の厚さであり得る)を移動するように構成される。これは図2dに示されている。アクチュエータと構築プレートを別個に移動させることにより、構築プレートが一度に1層分移動することが可能となる。リリース層と構築プレートとを独立して移動可能とすることにより、アクチュエータをそれらの機能に適応させることが可能になり得る。例えば、構築プレートを一度に1層の厚さ分移動させるために使用されるアクチュエータは、構築プレートが離脱を行い、かつ層の厚さを規定するために必要とされるよりも正確であるように構成され得る。
【0099】
図2eに示されるように、その後、リリース層はその元の位置に戻る。この場合において、貯蔵タンクは、貯蔵タンクがさらに上方に移動するのを妨げるハードストップを用いてその元の位置に戻る。これらのストップは、各層に対してキュアリングが始まる前に、リリース層の位置がより再現性のあるものとなる(例えば5μm以内よりも高い正確性又は1μm以内よりも高い正確性)ことを保証するのに役立つ。ストップを(例えば、アクチュエータがその移動の終端に到達したときにリリース層が止まるように)アクチュエータに組み込んでもよく、あるいは(例えば、リリース層が別個のストップに当たったときにリリース層が止まるように)別なものであってもよい。
【0100】
この場合において、リリース層が構築プレート(及び以前に印刷されたオブジェクト)に近づくと、リリース層は傾斜した構成に維持される。リリース層を傾斜した構成に維持することにより、リリース層及び以前に印刷された層を収集すると、樹脂がリリース層と以前に印刷された層との間から出される。これは、印刷されたオブジェクト及び最も新しくキュアされた層にダメージを与える力が作用するのを防止するのを手助けする。加えて、圧縮波が放出される。最近では、より粘度の高い樹脂がより良い印刷結果を生じることが多いということがわかっている。しかしながら、接近段階中には、リリース層と印刷されたオブジェクトとの間から高粘度樹脂を絞り出すことが難しいことがあるため、高粘度樹脂は、印刷されたオブジェクトにダメージを与え得る。
【0101】
この場合には、リリース層及び以前に印刷された層が収集されるときに、それぞれのアクチュエータ104a~104bについて力が測定される。一方がそれぞれのストップに当たるか近づくと、他方のアクチュエータは、印刷されているオブジェクトの底部に平行になるまでリリース層の部分を上げ続ける。
【0102】
図2fに示されるように、リリース層が停止すると、リリース層と印刷されたオブジェクト部分との間の液体層の部分をキュアするピクセルを選択的にオンにすることにより、オブジェクトの次の層を印刷することができる。これは、装置を図2aの状態と同様の状態(追加の層が付加されている)に戻すものである。繰り返しキュアし、構築プレートをリリース及び移動することにより、3Dオブジェクトを複数の層で作製することができる。
【0103】
リリースアセンブリモニタリング
図1aの実施形態のリリース機構の動作の方法が図3に示されている。
【0104】
図3に示される動作の1つのモードは、力センサが1以上のロードセルを含むものである。これらのロードセルは、リリース層が下降するときに印刷されたオブジェクトに作用する力をモニタリングする。最初は、印刷されるオブジェクトが拡張されるときにこのオブジェクトに歪みが与えられるため、測定される力は上昇する。新しくキュアされた底部の層がリリース層から離れ始めると、歪みが解放され、構築プレート上の力が減少する。
【0105】
この実施形態においては、ロードセルは、印刷されたオブジェクト191がリリース層から離脱される際の力の急激な低下を検出するように構成されている。この場合のプリンタ(又はコントローラ)は、力の急激な低下から、オブジェクトがリリース層(図1b)から無事離脱されたときを決定するように構成される。ロードセルは、測定される力に対応する(例えば正比例する)大きさの電気信号を生成するために使用される変換器であると考えることができる。ロードセルは、例えば、油圧式ロードセル、空圧式ロードセル及び/又は歪みゲージ型ロードセルを含み得る。
【0106】
すなわち、この場合においては、装置は、測定された力の変化率に基づいて構築プレートに対するリリース層の運動を制御するように構成される。例えば、装置は、測定される力が所定の力低下率閾値よりも高い割合で低下していることを検出したことに応答して、リリース層から構築プレートを離脱させることを止めるように構成され得る。例えば、力低下率閾値は、樹脂及び印刷構造領域などに依存し得る。力低下率閾値は、1秒当たり97%の力の低下であり得る。例えば、力が0.1秒間隔で測定されているときには、閾値は0.1秒当たり9.7%である。他の閾値を使用してもよい。例えば、力低下率閾値は、1秒当たり80%の力の低下であってもよく、1秒当たり50%の力の低下であってもよい。
【0107】
ある設定は、0.1秒の増分にわたって測定される90%/秒の低下を検出し、それを5増分の間持続するように設計され得る。これらの値は、使用される樹脂によって変化し得るものであり、層の幾何学的寸法上のものであり得る。閾値は、絶対閾値(例えば力閾値はニュートンで与えられ得る)又は相対閾値(例えば力閾値は離脱中に測定される最大力の割合として与えられ得る)であり得る。
【0108】
他のパラメータも考慮され得る。例えば、装置は、リリース閾値を下回るまで測定される力が低下していることを検出したこと、及びリリース層と印刷されているオブジェクトとの間の離脱距離が所定の閾値を超えたことのうち1つ以上に応答して、リリース層から構築プレートを離脱させるのを止めるように構成され得る。
【0109】
リリースが検出された後、装置は、次のキュアリングステップを行うことができるように直接移動するように構成され得る。これにより、プリンタは、各層を剥離して(次のキュアリングステップのための)開始位置に迅速に(例えば瞬間的に)移動することを開始するのに必要とされる量だけ上昇することが可能となる。ボトムダウン印刷において、印刷されたオブジェクトの離脱を行うのに必要とされるよりもさらに上昇させることにより相当な時間が浪費され得るので、これによりキュアリング動作間の時間が短縮され得る。
【0110】
(例えば、リリースが検出された後に構築プレートを上昇することを止めることにより)キュアリング動作間の最大離脱距離を調整することに加えて、装置は、離脱速度も動的に調整し得る。離脱中(図2b)に構築プレート104からの部分108の離脱の可能性があると考えられる値にリリース力が到達し始めると、ロードセル設定は、プリンタに対して上昇機構の速度を落として、より簡単に貯蔵タンクから剥がれて構築プレートに留まることを可能にするように指令し得る。これにより、部分が構築プレート上に留まることを保証するのに必要なだけ上昇速度が下がるだけであるので、プリンタは速度を上げることが可能になる。
【0111】
最初の層(すなわち構築プレートに直接付着する層)においてキュアされる材料の面積に基づいて最大許容力を予め決めてもよい。また、最大許容力は、以前に印刷された2つの連続層の間の最小面積を考慮してもよい。例えば、垂直な砂時計形状を印刷する場合、オブジェクトが最も狭い又は最も脆い部分で壊れないことを保証することが重要なことであり得る。したがって、そのような場合には、印刷される層の面積が減少すると、最大許容力が減少し得る(そして、印刷される層が再び増加したときには再び増加しないことが考えられる)。最後にキュアされる層(すなわちリリース層に直接付着する層)においてキュアされる材料の面積に基づいて最大許容力を予め決めてもよい。
【0112】
リリース機構を制御するために使用される方法が図3に示されている。図3に示されるように、層がキュアされた後、アクチュエータを用いてリリース層を下降させる。その後、各アクチュエータ用の力センサ(この場合には、構築プレートに接続されるロードセル)を使用して負荷値を決定する。負荷値が許容閾値を超える場合には、構築プレートの速度を下げ、力センサの値が再び決定される。負荷値が許容閾値を下回り、力の急激な低下がなかった場合には、構造プラットフォームの速度が維持され、力センサの値が再び決定される。(例えば、アクチュエータのうちの1つ以上において)測定される力にキュアされた層のリリースを示す急激な低下があるときには、システムは、システムに次の層を印刷する準備をさせるように構成される。構築プレートは、1層の厚さだけ上方に移動され、アクチュエータは、リリース層をその元の位置まで上昇させる。層の厚さは、例えば0.05mmから0.15mm(又は0.001mmから0.5mm)の間であり得る。その後、キュアリングプロセスは再始動することができる。このように、オブジェクトは1層ごとに作製される。
【0113】
6自由度マウント3Dプリンタ
図4aは、リリースアセンブリ400を含む3Dプリンタのさらなる実施形態を示している。図4b図4eは、リリースアセンブリの特定の構成要素を示している。リリースアセンブリ装置は、
固化可能樹脂を収容するように構成され、リリース層405を有する貯蔵タンク401であって、リリース層は、固化エネルギー源403aから固化可能樹脂の貯蔵タンクに固化エネルギーを伝達し、リリース層と接触する固化可能樹脂の少なくとも一部を固化するように構成される、貯蔵タンク401と、
印刷されているオブジェクトを支持するための構築プレート411を含む配置機構であって、オブジェクトの位置をリリース層405に対して制御するように構成される配置機構と、
オブジェクトがリリース層に対して移動する際に、オブジェクトに作用する力を測定するように構成される1以上の力センサ406a~406cと
を備える。
【0114】
この場合において、リリースアセンブリは、互いに相対的に移動するように構成される3つのサブアセンブリ又はユニットを備えている。これらのサブアセンブリは、フレーム430、構築プレート411及び固化ユニット420を含んでいる。構築プレート411及び固化ユニット420は、それぞれのアクチュエータを介してフレーム430にそれぞれ独立して接続されている。これは、基準となる静止フレームをフレームが効果的に規定することを意味している。フレームは、フレームが床に対して動かないように3Dプリンタの基部に堅く接続され得る。したがって、この場合には、配置機構は、フレームに対してリリース層を移動させることが可能なアクチュエータと、フレームに対して構築プレート(及び付着したオブジェクト)を移動させることが可能なアクチュエータとを含んでいる。
【0115】
この場合のフレーム430は、(例えば脚、壁又は他の垂直支持部を用いて)互いにしっかりと固定された、基部432及び高床プラットフォーム431を含んでいる。フレームの高床プラットフォーム431は、固化ユニット420と同様のレベルにある。
【0116】
この場合において、図4b及び図4cに示されるように、固化ユニットをフレームに接続するアクチュエータは、6自由度マウント425の形態であり、6自由度マウントは、フレームに対して(この場合には固化ユニットの一部である)リリース層の位置を制御するように構成される6個のアクチュエータ404aa,404ab、404ba,404bb、404ca,404cbを含んでいる。
【0117】
この実施形態においては、6自由度マウントの底部がフレーム432の基部に接続されている。固化ユニット420は、固化ユニットプラットフォーム421上に位置するように構成されている。図4bは、固化ユニットプラットフォームがない6自由度マウントを示しており、図4cは、固化ユニットプラットフォーム421を有する6自由度マウントを示している。固化ユニットプラットフォーム421は、6自由度マウント425の6個すべてのアクチュエータに6つのアームを介して接続される堅い基部である。これは、6自由度が、協働して移動することにより6自由度のうちのいずれかにおいてフレームに対するプラットフォーム421の運動を制御できることを意味している。
【0118】
この場合において、6個のアクチュエータ404aa~404cbはロータリアクチュエータである。6自由度マウントが移動するときの力を測定するこの技術においては、ロータリアクチュエータが油圧式アクチュエータに勝る利点を提供することがわかっている。まず、アクチュエータの方が軽いのでアクチュエータが作動したときに質量中心がより移動しにくいからである。2つ目に、質量中心の移動がより予測しやすく、アクチュエータは独立型であり、流体ラインを考慮する必要がないからである。
【0119】
この実施形態におけるロータリアクチュエータは、それぞれシャフトを有しており、このシャフトは、シャフト軸から横に延びる突起に接続されている。続いて、この突起はある角度で上方に延びるアームの近位端に接続されている。シャフトが軸周りに回転すると、突起が回転してアームを移動させる。アームは、それらの遠位端で堅いプレート(固化ユニットプラットフォーム)に接続されることにより拘束されている。
【0120】
この場合において、6自由度マウント425の6個のロータリアクチュエータは、図4bに示されるようにペアで配置されている。この場合において、固化ユニットが印刷のために、さらに/あるいは、離脱を行うために適したものである場合には、アクチュエータのそれぞれのペアの突起は、互いに相手に向かうように方向付けられるように構成される。これによってアームの近位端が近づき、これは固化ユニットのより大きな制御を提供するのに役立つ。固化ユニットは、ロックされた印刷位置から任意の方向に少なくとも50mmの移動を許容するように構成され得る。
【0121】
力センサのうちの1つは、図4dに示されるように、ロータリアクチュエータのペアのそれぞれの下方に配置されている。すなわち、ロータリアクチュエータのそれぞれのペアは、共通のアクチュエータペアマウント417a~417c上に取り付けられる。それぞれのアクチュエータペアマウント417a~417cは、それぞれの力センサ406a~406cを介してフレームベース432に接続されている。これは、力センサが、6自由度マウントアームの近位端の直下に位置して、応答性を増加させるのに役立つことを意味している。より多くの力センサが用いられてもよいが、3つの力センサが、3つの力センサのそれぞれにおける絶対力及び力センサの3つのペアの間の差を含む6つのパラメータを決定することを可能にすることは理解できよう。これらの6つのパラメータは、プリンタが6自由度マウントを制御することを可能にするために、リリース中にリリース層に作用する力についての十分な理解を提供するものである。この場合の力センサは歪みゲージであり、それぞれは40gから30kgの間の荷重を測定することができる。
【0122】
この場合において、図4eに示されるように、リリースアセンブリは、再現性のある相対位置にあるフレームに対してリリース層をリリース可能に固定位置にロックするように構成される相補的なプラットフォーム-フレーム係合部材の3つのペア418a~418cを有するプラットフォーム-フレームロックを含んでいる。この場合において、プラットフォーム-フレームロックは、高床プラットフォーム431と固化ユニットプラットフォーム421(これはリリース層に堅く接続される)との間に直接係合する。すなわち、この場合のフレームは、リリース層アクチュエータの両端にわたる構造であると考えることができ、この構造は、プラットフォーム-フレームロックによりロックされると、アクチュエータがフレームに対してリリース層を移動させることを妨げる。
【0123】
層が印刷された後、プラットフォーム-フレームロックが解除され、これにより、6自由度マウントを用いて固化ユニット(及びリリース層)を移動させ、リリースを行うことが可能になる。すなわち、6自由度マウントは、概して下方に移動してリリース層と新たに印刷された層との間に離脱力を加える。測定された力及び印刷されるオブジェクトの形状に基づいて、6自由度マウントは、印刷されるオブジェクトにダメージを与えることなく離脱が迅速に生じることを保証するのに役立てるためにその6種の運動のうちいずれかを用い得る。
【0124】
オブジェクトがリリースされた後(これはリリースされる前と同様に力の測定により検出することが可能である)、アセンブリは、固化ユニットをその元の位置に戻すように構成される。これは、印刷ステップ間の時間を短縮する。
【0125】
この戻る移動の間、6自由度マウントは、構築プレート及びリリース層が互いに他方に向かって移動するときに、リリース層が構築プレート411と(あるいは以前に印刷された層と)平行にならないように、リリース層405を傾斜させるように構成される。再び、戻る速度は、力センサにより測定される力に基づくことが可能である。戻る段階における力の測定は、リリース層と最後に印刷された層との間から樹脂を押し出すことと関係していることは理解できよう。この力に基づいて速度を制御することにより、印刷された製品にダメージを与えない程度に力を十分小さく維持しつつ、戻る速度をできる限り速くして印刷を速くすることが可能となる。また、より粘度の高い樹脂を使用することも可能となり得る。リリース層が正しい高さにあるとき、6自由度マウントは、リリース層を構築プレートと平行になるように戻す。
【0126】
この実施形態においては、リリース後、固化ユニットが依然として自由に移動できる間に、力センサ上の力が記録され、力センサ上方のアセンブリの重量の表示を提供する。これは、次の離脱段階を行う際の重量に対するベースラインとして用いることができる。
【0127】
リリース層が、次のキュアリング段階のための位置にあるとき、プラットフォーム-フレームロック418a~418cは係合してリリース層をフレームに対して固定された位置にロックする。これは、固化ユニットプラットフォーム421にロックされたフレーム高床プラットフォームの下側を示している図4eに示されている。この場合において、固化ユニットプラットフォームは3つの雌コネクタを含んでおり、フレームは対応する3つの雄コネクタを含んでいる。雄コネクタは、雄コネクタと雌コネクタとの位置合わせを手助けするためにテーパ状になっている。この場合のテーパは、固化ユニットが垂直軸を中心に回転する(しかしながら例えば水平に正しいレベル又は向きとされる)ときであっても雌部材に係合し始めるように構成される。プラットフォーム-フレームロックが完全に係合すると、固化ユニットは、フレームに対して予め決められた、再現性のある一貫した向きに戻るように回転することができる。雄コネクタは、雌コネクタに係合するように横に(例えば水平に又は印刷軸に垂直に)挿入されるように構成される。雄部材の横方向の係合は、フレームに対してリリース層が捻れることを防止する。プラットフォーム-フレームロックを係合することは、それぞれのキュアリング段階中にリリース層の位置が同じであることを保証するのに役立つ。加えて、これは、6自由度マウントアクチュエータにおける遊びによって(例えば貯蔵タンクに加えられる樹脂に関係する)材料の移動がリリース層に運動を引き起こさないことを保証するのに役立つ。
【0128】
この実施形態においては、6自由度マウントは、弾性マウントを介して固化ユニットに接続されている。この場合において、弾性マウントは、バネで付勢された3つのヒンジ付プレートペアアセンブリを有している。この実施形態においては、アクチュエータのそれぞれのペアは、それぞれのプレートペアアセンブリに関連付けられている。これらのヒンジ付プレートペアアセンブリのそれぞれにおいては、ヒンジは外側に向かって配置されており、バネはプレートの対向面の間に配置されている。他の実施形態は、弾性材料又は圧縮性ガスを含む1以上の柔軟な空洞のような他の弾性付勢手段を使用し得ることは理解できよう。この実施形態においては、ヒンジ軸は、ヒンジ付プレートペアアセンブリが接続されるアクチュエータのペアの両方のシャフト軸に垂直な軸と平行となるように構成されている。これは、移動が他のアクチュエータペアから間接的に引き起こされるときにトッププレートの移動にある程度の遊びを許容しつつ、アクチュエータペアの移動がトッププレートに正確に伝達されることを保証するのに役立つ。
【0129】
ヒンジ付プレートペアアセンブリは、次の層を印刷する前に固化ユニットを基準に合わせるのに役立つ。6自由度マウントが固化ユニットを上昇させると、それぞれのヒンジ付プレートペアアセンブリのトッププレートが高床プラットフォームの底面に当接する。弾性マウントの弾性によって、トッププレートが高床プラットフォームの底面に揃ったときに6自由度マウントを調整し続けることが可能になる。これは、6自由度マウントを正確に調整することに依存する必要なく、固化ユニットを基準に合わせるのに役立つ。これは、固化ユニットプラットフォームの底部をより簡単に高床プラットフォーム及びプラットフォーム-フレームロックに揃えることができることを意味する。すなわち、高床プラットフォームの底部は、正しい高さ及び方向で固化ユニットの上方への移動を停止するためのハードストップであると考えることができる。
【0130】
弾性マウントは、プラットフォーム-フレームロックを用いて固化ユニットがフレームにロックされるときに、6自由度マウントのアクチュエータを少し上昇させて弾性マウントを圧縮することができるように構成される。これは、プラットフォーム-フレームロックの移動をさらに制限することにより、フレームに対するより再現性の高いリリース層の位置を保証することに役立つ。
【0131】
この実施形態における構築プレート411は、フレーム430に接続され、3つのピラーガイドに沿った単一軸に沿って上下に移動するように構成される。3つ以上のピラーガイドを用いることは、構築プレートが基準に合わせられた状態を維持することができることを意味する。オブジェクトの印刷中は、構築プレートは、層厚さに対応する増分だけ上方にのみ移動し得る。すなわち、6自由度マウントを用いてリリース層を下方に移動させることにより離脱が促進されるので、離脱を行うために構築プレートを上昇させた後、次の層が印刷されることを可能にするために再び下降させる必要性が低減し得る。リリース層及び構築プレートを独立して移動可能とすることにより、アクチュエータをそれらの機能に適応させることが可能になり得る。例えば、構築プレートを一度に1層の厚さ分移動させるために使用されるアクチュエータは、構築プレートが離脱を行い、かつ層の厚さを規定するために必要とされるよりも正確であるように構成され得る。
【0132】
この実施形態においては、(リリース層を含む)貯蔵タンクと固化エネルギー源とが堅い固化ユニットとして一緒にされ、リリースアセンブリは、固化ユニットを6自由度マウントに解除可能にロックするように構成される相補的なプラットフォームユニット係合部材を有するプラットフォームユニットロック429a~429dを備えている。固化ユニットが図4fに示されている(簡略化のため貯蔵タンク壁は示されていない)。図4g及び図4hは、それぞれプラットフォームユニットロックを用いて固化ユニットがこれに係合及びロック可能な固化ユニットプラットフォーム421の底面斜視図及び上面斜視図である。
【0133】
これにより、固化ユニット420を簡単に取り外して交換することが可能となる。3Dプリンタにおいては、LCDが、誤動作しがちな要素である。これは、特に多数のピクセルを有する大きなプリンタベッドの場合に当てはまる。固化ユニットをユニットとして簡単に取り外し可能とすることは、プリンタにおけるダウンタイムを短縮するのに役立つ。取り外した固化ユニットを交換している間、他の固化ユニットを迅速にプリンタに入れることで印刷を継続することが可能となる。
【0134】
この実施形態においては、図4f図4g及び図4hに示されるように、プラットフォームユニットロックは、4つの係合部材ペア429a~429dを有している。部材ペアのうち2つの部材ペア429a,429cは、固化ユニットプラットフォーム421の上方に配置され、他の2つの部材ペア429b,429dは、固化ユニットプラットフォーム421の下方に配置されている。この場合において、固化ユニットは4つの雌コネクタを含んでおり、固化ユニットプラットフォームは対応する4つの雄コネクタを含んでいる。雄コネクタは、雄コネクタと雌コネクタとの位置合わせを手助けするためにテーパ状になっている。雄コネクタは、雌コネクタに係合するように横に(例えば水平に又は印刷軸に垂直に)挿入されるように構成される。プラットフォームユニットロックは手動で駆動されてもよいし動力により駆動されてもよい。
【0135】
この場合において、固化ユニットの位置合わせを手助けするために、固化ユニットプラットフォーム421は、固化ユニットの形状に適合するように構成された孔と、プラットフォームユニットロックに係合する前に固化ユニットをその上に置けるような支持面とを有している。プラットフォームユニットロックにより、6自由度マウントを制御することにより構築プレートに対して固化ユニットプラットフォームを下降させたときに、固化ユニットに下向きの力を作用させることが可能になることは理解できよう。
【0136】
5自由度マウント3Dプリンタ
図5a及び図5bは、リリースアセンブリ500を含む3Dプリンタのさらなる実施形態を示している。図5cは、リリースアセンブリの特定の構成要素を示している。
【0137】
リリースアセンブリ装置500は、
固化可能樹脂を収容するように構成され、リリース層505を有する貯蔵タンク501であって、リリース層は、固化エネルギー源503aから固化可能樹脂の貯蔵タンクに固化エネルギーを伝達し、リリース層と接触する固化可能樹脂の少なくとも一部を固化するように構成される、貯蔵タンク501と、
印刷されているオブジェクトを支持するための構築プレート511を含む配置機構であって、オブジェクトの位置をリリース層505に対して制御するように構成される配置機構と、
オブジェクトがリリース層に対して移動する際に、オブジェクトに作用する力を測定するように構成される1以上の力センサ506a~506cと
を備える。
【0138】
先に述べた他の実施形態と同様に、リリースアセンブリは、互いに相対的に移動するように構成される3つのサブアセンブリ又はユニットを備えている。これらのサブアセンブリは、フレーム530、構築プレート511及び固化ユニット520を含んでいる。構築プレート511及び固化ユニット520は、それぞれのアクチュエータを介してフレーム530にそれぞれ独立して接続されている。これは、基準となる静止フレームをフレームが効果的に規定することを意味している。フレームは、フレームが床に対して動かないように3Dプリンタの基部に堅く接続され得る。したがって、この場合には、配置機構は、フレームに対してリリース層を移動させることが可能なアクチュエータと、フレームに対して構築プレート(及び付着したオブジェクト)を移動させることが可能なアクチュエータとを含んでいる。
【0139】
この場合のフレーム530は、(例えば脚、壁又は他の垂直支持部を用いて)互いに堅く固定された、基部532及び高床プラットフォーム531を含んでいる。フレームの高床プラットフォーム531は、固化ユニット520と同様のレベルにある。
【0140】
この場合において、図5bに示されるように、固化ユニットをフレームに接続するアクチュエータは、5自由度マウントの形態であり、5自由度マウントは、3自由度マウントの一部を形成するアームを有する複数の直立アクチュエータ504za~504zcと、スライディングフロアマウントの一部を形成する2つの横アクチュエータ504x,504yとを含んでいる。この実施形態における力センサは、力センサ上の重量を制限するために3自由度マウントとスライディングフロアマウントとの間(又は直立アクチュエータのそれぞれの底部)に位置している。
【0141】
5自由度マウントは、フレームに対して(この場合には固化ユニットの一部である)リリース層の位置を制御するように構成される。
【0142】
直立アクチュエータは、2方向への傾斜と上下の並進を含む3自由度を提供する。3つよりも多くの直立アクチュエータが存在し得ることは理解できよう。例えば、ある実施形態においては、貯蔵タンクの四隅に隣接して4つの直立アクチュエータが配置され得る。
【0143】
ある実施形態においては、アクチュエータが固化ユニットに接続する点の間の領域は、リリース層の領域を超えて広がっていてもよい。これは、アクチュエータのいずれかが下降したときに、静止している他のアクチュエータを中心として旋回することにより(例えば貯蔵タンク内の)リリース層のいずれの領域も上昇しないことを意味する。これは、印刷されているオブジェクトに対するダメージを低減し得る。
【0144】
直立アクチュエータ504za~504zcのそれぞれの底端は、力センサのヒンジ上に取り付けられている。直立アクチュエータヒンジのそれぞれの軸は、水平で、直立アクチュエータの底部とデバイスの中心との間を結ぶ線に垂直となるように構成される。すなわち、ヒンジは、外周の接線方向に取り付けられており、これが、アクチュエータ及びアームを半径方向内側及び外側に移動することを可能にしている。これは、リリース層を横方向に移動するように協働してヒンジが移動できないことを保証する。直立アクチュエータアームの上部は、回転と傾斜の自由を許容するジョイント(例えばユニバーサルジョイント、スイベルマウント、ボールソケットジョイント又はハイムジョイント)に接続されている。
【0145】
横アクチュエータ506x,506yは、リリース層をそれぞれ異なる横方向に移動させるように構成される。この実施形態においては、1つの横アクチュエータ506xは、フレーム532に対する第1のサブフロア509xの第1の方向における(前後)横移動を可能にするように構成される。第2の横アクチュエータ506yは、第1のサブフロア509xに対する第2のサブフロア509yの横移動を可能にするように構成される。サブフロアのそれぞれは、アクチュエータの相対移動をそれぞれ1つの軸に制限する手助けをするためにレール上に取り付けられている。
【0146】
2つの横アクチュエータの動作を通じて、第2のサブフロア509yは、フレーム532に対して任意の横方向に移動することができる。これは、2つの付加的な自由度を提供する。この実施形態においては、2つのアクチュエータは、サブフロア509x,509yを直交する又は垂直な方向に移動させるように構成される。これ以外の2つの方向でもこれらが揃っていなければ機能し得る。2つのアクチュエータは、リリース層がその印刷位置にあるときにリリース層に平行な運動を生じさせるようにそれぞれ構成されている。
【0147】
垂直アクチュエータは、第2のサブフロア上に取り付けられている。協働して動作するアクチュエータ504za~504zc,504x,504yは、以下の運動を許容する。
・並進エンベロープ
・X軸上での前後の移動(サージ)
・Y軸上での左右の移動(スウェイ)
・Z軸上での上下の移動(ヒーブ)
・回転エンベロープ
・X軸上での側方への傾斜(ロール)
・Y軸上での前後への傾斜(ピッチ)
【0148】
これらの個々の移動の一部は、先の実施形態の6自由度システムに比べると、5自由度システムを用いると実現するのがより容易であり得ることは理解できよう。例えば、Y軸上の横方向のスウェイ運動は、本5自由度システムにおける単一のアクチュエータを用いて実現され得る。先の実施形態の6自由度システムにおける同等の運動は、6個すべてのアクチュエータの同等の運動を必要とする。したがって、この実施形態の利点は、より複雑な運動に複数の自由度をやはり与えつつ、アクチュエータの運動が、離脱を行うために典型的に必要とされる運動をより良くマッピングすることにある。
【0149】
先の実施形態と同様に、固化ユニット520は、固化ユニットプラットフォーム521上に位置するように構成されている。固化ユニットプラットフォーム521は、直立アクチュエータの3つのアクチュエータに接続される堅い基部である。これは、5自由度が、協働して移動することにより5自由度のいずれかにおいてフレームに対するこのプラットフォーム521の運動を制御できることを意味している。
【0150】
運動の範囲はいずれの方向においても少なくとも60mmであり得る。より大きな構造領域は、より高い垂直運動範囲を有し得る。例えば、大きな面積のリリース層は、印刷位置からリリース層を300mmも移動させることが可能であり得る。
【0151】
力センサのうちの1つは、図4bに示される直立アクチュエータのそれぞれの下方に位置している。これは、力センサが、3自由度マウントアームの近位端の直下に位置して、応答性を増加させるのに役立つことを意味している。それぞれの直立アクチュエータに対して1つの力センサが存在するが、3つの力センサが、3つの力センサのそれぞれにおける絶対力及び力センサの3つのペアの間の差を含む6つのパラメータを決定することを可能にすることは理解できよう。これらの6つのパラメータは、プリンタが5自由度マウントを制御することを可能にするために、リリース中にリリース層に作用する力についての十分な理解を提供するものである。この場合の力センサは歪みゲージであり、それぞれは40gから30kgの間の荷重を測定することができる。
【0152】
この実施形態においては、貯蔵タンクにはオブジェクトがくっつき、垂直アクチュエータ及びアームは、多角形(この場合には三角形)の隅を形成する。リリース層が(例えばZ軸に沿って)下降すると、3つの力センサすべてにおいて離脱力が増加し得る。X-Y軸に移動するために横アクチュエータが用いられるので、離脱力は、力センサにより異なった程度で増加する。すなわち、様々な力センサにわたって異なる力を作用させるために横運動を使用することができる。移動の組み合わせ(垂直運動及び横運動を含む)が用いられ、これにより離脱を生じさせるために引っ張っている間に力の組み合わせが生じることは理解できよう。
【0153】
先の実施形態と同様に、リリースアセンブリは、再現性のある相対位置にあるフレームに対してリリース層をリリース可能に固定位置にロックするように係合するように構成される相補的なプラットフォーム-フレーム係合部材の複数のペア(この場合には4つのペア)を有するプラットフォーム-フレームロックを含んでいる。この場合において、プラットフォーム-フレームロックは、高床プラットフォーム531と固化ユニットプラットフォーム521(これはリリース層に堅く接続される)との間に直接係合する。すなわち、この場合のフレームは、リリース層アクチュエータの両端にわたる構造であると考えることができ、この構造は、プラットフォーム-フレームロックによりロックされると、アクチュエータがフレームに対してリリース層を移動させることを妨げる。この場合において、プラットフォーム-フレームロックは、空気圧により作動され、コントローラにより制御される。
【0154】
層が印刷された後、プラットフォーム-フレームロックが解除され、これにより、5自由度マウントを用いて固化ユニット(及びリリース層)を移動させ、リリースを行うことが可能になる。すなわち、5自由度マウントは、概して下方に移動してリリース層と新たに印刷された層との間に離脱力を加える。測定された力及び印刷されるオブジェクトの形状に基づいて、5自由度マウントは、印刷されるオブジェクトにダメージを与えることなく離脱が迅速に生じることを保証するのに役立てるためにその5種の運動のうちいずれかを用い得る。
【0155】
オブジェクトがリリースされた後(これはリリースされる前と同様に力の測定により検出することが可能である)、アセンブリは、固化ユニットをその元の位置に戻すように構成される。これは、印刷ステップ間の時間を短縮する。
【0156】
この戻る移動の間、5自由度マウントは、構築プレート及びリリース層が互いに他方に向かって移動するときに、リリース層が構築プレート511と(あるいは以前に印刷された層と)平行にならないように、リリース層505を傾斜させるように構成される。再び、戻る速度は、力センサにより測定される力に基づくことが可能である。戻る段階における力の測定は、リリース層と最後に印刷された層との間から樹脂を押し出すことと関係していることは理解できよう。この力に基づいて速度を制御することにより、印刷された製品にダメージを与えない程度に力を十分小さく維持しつつ、戻る速度をできる限り速くして印刷を速くすることが可能となる。また、より粘度の高い樹脂を使用することも可能となり得る。リリース層が正しい高さにあるとき、5自由度マウントは、リリース層を構築プレートと平行になるように戻す。
【0157】
この実施形態においては、リリース後、固化ユニットが依然として自由に移動できる間に、力センサ上の力が記録され、力センサ上方のアセンブリの重量の表示を提供する。これは、次の離脱段階を行う際の重量に対するベースラインとして用いることができる。
【0158】
リリース層が、次のキュアリング段階のための位置にあるとき、プラットフォーム-フレームロック418a~418cは係合してリリース層をフレームに対して固定された位置にロックする。この場合において、固化ユニットプラットフォームは4つの雌コネクタを含んでおり、フレームは対応する4つの雄コネクタを含んでいる。雄コネクタは、雄コネクタと雌コネクタとの位置合わせを手助けするために(例えば凹形状を有する)テーパ状になっている。雄コネクタは、垂直方向の位置合わせを手助けするために垂直方向に、また垂直軸周りの回転位置合わせを手助けするために横方向にテーパ状になっている。プラットフォーム-フレームロックが完全に係合すると、固化ユニットは、フレームに対して予め決められた、再現性のある一貫した向きに戻るように回転及び並進することができる。雄コネクタは、雌コネクタに係合するように横に(例えば水平に又は印刷軸に垂直に)挿入されるように構成される。雄部材の横方向の係合は、フレームに対してリリース層が捻れることを防止する。プラットフォーム-フレームロックを係合することは、それぞれのキュアリング段階中にリリース層の位置が同じであることを保証するのに役立つ。加えて、これは、6自由度マウントアクチュエータにおける遊びによって(例えば貯蔵タンクに加えられる樹脂に関係する)材料の移動がリリース層に運動を引き起こさないことを保証するのに役立つ。
【0159】
この実施形態における構築プレート511は、フレーム530に接続され、3つのピラーガイドに沿った単一軸に沿って上下に移動するように構成される。この場合において、ピラーのうち2つは、構築プレートを上下に駆動するように構成され、3つ目は、構築プレートの方向を維持するが駆動はされない。駆動されるピラー及び駆動されないピラーの他の構成も使用され得る。
【0160】
この場合において、貯蔵タンクの一方の側にはピラーが配置されておらず、貯蔵タンクを簡単に挿入し、取り出すことが可能となっている。
【0161】
3つ以上のピラーガイドを用いることは、構築プレートが基準に合わせられた状態を維持することができることを意味する。オブジェクトの印刷中は、構築プレートは、層厚さに対応する増分だけ上方にのみ移動し得る。すなわち、5自由度マウントを用いてリリース層を下方に移動させることにより離脱が促進されるので、離脱を行うために構築プレートを上昇させた後、次の層が印刷されることを可能にするために再び下降させる必要性が低減し得る。リリース層及び構築プレートを独立して移動可能とすることにより、アクチュエータをそれらの機能に適応させることが可能になり得る。例えば、構築プレートを一度に1層の厚さ分移動させるために使用されるアクチュエータは、構築プレートが離脱を行い、かつ層の厚さを規定するために必要とされるよりも正確であるように構成され得る。
【0162】
この実施形態においては、(リリース層を含む)貯蔵タンク及び固化エネルギー源は、固化ユニットを5自由度マウントに解除可能にロックするように構成される相補的なプラットフォームユニット係合部材を有するプラットフォームユニットロック529a~529bを用いて適切な位置に保持される。
【0163】
この実施形態においては、図5cに示されるように、プラットフォームユニットロックは、2つの相補的な係合部材ペア529a~529bを有している。この場合において、固化ユニットは4つの雌コネクタを含んでおり、固化ユニットプラットフォームは対応する2つの雄コネクタを含んでいる。雄コネクタは、雄コネクタと雌コネクタとの位置合わせを手助けするためにテーパ状になっている。雄コネクタは、垂直に挿入されて雌コネクタと係合するように構成される。プラットフォームユニットロックは手動で駆動されてもよいし動力により駆動されてもよい。
【0164】
この場合において、固化ユニットの位置合わせを手助けするために、固化ユニットプラットフォーム521は、固化ユニットの形状に適合するように構成された孔と、プラットフォームユニットロックに係合する前に固化ユニットをその上に置けるような支持面とを有している。横方向の位置決めを手助けするために、固化ユニットプラットフォームは壁バリアも含んでおり、貯蔵タンクが壁バリア589に当接しているときに、プラットフォームユニットロック529a~529bの係合部材ペアが整列する。プラットフォームユニットロックにより、6自由度マウントを制御することにより構築プレートに対して固化ユニットプラットフォームを下降させたときに、固化ユニットに下向きの力を作用させることが可能になることは理解できよう。
【0165】
先の実施形態とは異なり、貯蔵タンクと固化ユニットとは互いに直接結合されていない。この実施形態においては、固化エネルギー源が固化ユニットプラットフォーム内の孔に挿入された後、貯蔵タンクが壁バリア589に当接するまで貯蔵タンクが固化エネルギー源の上にスライドされる。そして、貯蔵タンクを適切な位置にロックし、貯蔵タンクが固化ユニットプラットフォーム521に対して移動できないように固化エネルギー源をトラップするプラットフォームユニットロック529a~529bを下降させることにより貯蔵タンクが適切な位置にロックされる。これにより、固化ユニット520を簡単に取り外して交換することが可能となる。
【0166】
3Dプリンタにおいては、LCDが、誤動作しがちな要素である。これは、特に多数のピクセルを有する大きなプリンタベッドの場合に当てはまる。固化ユニットをユニットとして簡単に取り外し可能とすることは、プリンタにおけるダウンタイムを短縮するのに役立つ。取り外した固化ユニットを交換している間、他の固化ユニットを迅速にプリンタに入れることで印刷を継続することが可能となる。
【0167】
機械学習
リリースアセンブリは、各アクチュエータ上の力を各層の構成に関連付けて時間の関数として記録するように構成され得る。各アクチュエータの応答も(例えば、各アクチュエータの速度が時間の関数として)記録され得る。これは、樹脂又は当該層を印刷するためにしようされる樹脂の特性(例えば、キュアされていない樹脂の粘度、キュアされた樹脂のキュア時間、弾性係数、降伏点、極限強さ、破断点のうち1つ以上)に関連付けて保存され得る。樹脂の特性を用いることにより、その特性の一部又はすべてが既知であれば新しい樹脂を使用する(又はより迅速に学習する)ことが可能になることは理解できよう。
【0168】
保存される情報は、当該情報が記録された時点でリリースアセンブリが行っていた段階に応じて離脱ステップ及び/又は接近ステップと関連付けて保存され得ることは理解できよう。
【0169】
システムは、印刷されたオブジェクトの品質についての情報を受信するように構成され得る。これは、リリースアセンブリ自体により検出され得る。例えば、リリースアセンブリは、印刷されたオブジェクトにおける破断又は印刷中の構築プレートからの剥離に特定の一時的な力のプロファイルを関連付けるように構成され得る。リリースアセンブリにより検出される印刷欠陥について、故障時に印刷されたオブジェクトに対して作用していた力プロファイルに故障が関連付けられる。例えば、接近中にダメージが生じた場合には、システムは、この接近段階中に作用する力が印刷欠陥につながった可能性があると認識する。
【0170】
他の実施形態においては、印刷されたオブジェクトは、印刷後に検査され得る。検査の結果は、記録されたデータとともに処理され得る。検査は、オブジェクトが許容可能な基準で印刷された否か(例えば合格/不合格)の単純なバイナリ計測であり得ることは理解できよう。また、検査は、故障の性質をより具体的に特定することを求めてもよい。例えば、特定の層に欠陥があるとわかった場合には、この情報により、プロセッサは、当該層が印刷された時点あたりの記録されたデータを用いて当該欠陥を特定することが可能になる。同様に、検査は、欠陥の性質が印刷プロセス中の引っ張り又は圧縮の結果であるか否かを特定することを求め得る。引っ張り欠陥は離脱段階に関連付けられ得るし、圧縮欠陥は接近段階に関連付けられ得る。
【0171】
リリースアセンブリは、印刷欠陥の数を(例えば所定の許容されるレベルに)減らし、印刷速度を上げるように構成され得る。リリースアセンブリは、これを実現するために機械学習を利用して力プロファイル測定値に対するアクチュエータの反応を調整するように構成され得る。
【0172】
新しい樹脂については、リリースアセンブリは、システムがプリンタの応答を当該樹脂に適応させることを可能にするために、一連の1以上の標準オブジェクトにより一連の標準印刷試験を行うように構成され得る。これは学習段階であると考えることができる。加えて、システムは、フィードバックが提供された際に実際の印刷タスク(例えば通常段階)におけるシステムの応答を学習及び洗練し続けるように構成され得る。これは、標準印刷試験中に印刷されるオブジェクトの範囲から外側にかなり出るオブジェクトを印刷する際に特に重要であり得る。
【0173】
機械学習の1つの態様は、各層のキュア時間の予測とスクリーン上の形状を洗練することである。より小さな形状は、通常、大きな形状よりも長いキュア時間を必要とする。異なるサイズ形状に対して適切なキュア時間を理解することによって、システムは、各層層に対する適切なキュア時間を予測し、ベースラインキュア時間を生じさせることができる。
【0174】
システムは、各層に対する力を測定及び保存することを要求する。印刷が完了すると、印刷が測定されて、与えられた幾何学的寸法及び異なる層における実際の部分における分散から予測される力を決定するために、印刷の正確性を判断し、それを離脱において見られる力で重み付けを行う。
【0175】
適切なキュア時間をもって、様々な印刷においてサポート材特性を変更し、力と部分正確性に対する最良の印刷結果を得ることにより適切な量のサポート材を予想することができる。3D印刷サポート材は、所望のオブジェクトの一部ではないが、印刷中にモデルの部分の支持するために使用(例えば印刷)される。これは、印刷が終了すると、ユーザにはその構造を取り除くという追加の作業があることを意味する。
【0176】
機械学習アルゴリズムは、サイズが変化する単純な形状(例えば、円、四角形、リング)を印刷することにより開始し得る。システムは、それらのスライスに対して異なるキュア時間で対応する力を測定する。その後、異なる層でオブジェクトが測定される。測定は、CMM(三次元測定機)の3Dスキャナを用いて、あるいは手で行われ得る。測定されると、システムは、当該データを取り込み、当該部分に対して適切なキュア時間を経た層とこれらの層に対応する力を決定する。それぞれの形状及びサイズの適切にキュアされた層に対する平均キュア時間が印刷を開始するためのベースラインとして保存及び使用される。
【0177】
3D印刷の多くの層は、それぞれ異なるキュア時間を必要とする異なるサイズの分離イメージを含み得る。また、システムは、ベースラインデータを用いてそれぞれのイメージに対する適切なキュア時間を決定する。そして、プリンタは、それぞれのイメージが適切にキュアされることを保証する。これは複数の方法で行うことができる。1つ目の方法は、短いキュア時間を必要とする部分に対するUVパワーを減らすことであるが、調光又はグレースケールのイメージを生成することで、これらの部分のキュア時間を当該スライスに対して最も長いキュア時間を要求する最小部分と同じにする。スライスにおけるすべてのイメージが適切にキュアされることを保証するための他の方法は、適切なキュア時間となったときにそれぞれのイメージを単純に暗くすることである。
【0178】
サイズにおける大きな分散が試験され、システムが、十分に小さい誤差範囲で適切なキュア時間の良い予測を提供できるようになった後、システムは、サンプルサイズ間の任意のサイズについてキュア時間と力を補間することができるようになる必要がある。
【0179】
適切にモデルをキュアするために予測されるキュア時間と力を把握することにより、システムは、キュア時間をチェック及び更新するためにその力を用いることができる。予測されるよりも小さい力であればキュア時間は長くなり得るし、その逆もいえる。
【0180】
多くの単純な形状が試験された後、システムは、システムに投げ込まれるほとんどの形状の結果を予測できる点まで単純な形状をより複雑な形状につなぎ合わせる必要がある。
【0181】
層形状の上部では、力プロファイルは、以前の層によっても大きな影響を受け得る。特に大きなオーバーハング。ハングの場合、大きな力を生じる吸着カップ効果が生じ得る。システムの知能を発達させるためには、オーバーハング及び他の特徴を異なるサイズ形状及びオフセットで試験する必要がある。
【0182】
オーバーハングに関連して、システムは、印刷のための適切なサポート材を決定する必要がある。正しい量のサポート材は、吸着カップ効果を低減し、離脱のために必要とされる力を減少させるが部分に付着する。これは、印刷中に変更可能な変数ではないが、印刷を開始する前に決定されていなければならない。したがって、それぞれのオーバーハングに対して必要とされる適切なサポート材を決定するために、この印刷を様々なサポート材設定で試験することが、オーバーハングを変化させて試験される。サポート材設定は、サポート材密度、接触サイズ、サポートベースサイズ及びサポート角度を含む。必要とされるサポート材は、印刷幾何学的寸法にのみ依存しており、印刷を通して変化する温度及び他の測定困難な特性による影響を受けない。このため、この変数を印刷を通してモニタリングして変更する必要はなく、印刷を開始する前に幾何学的寸法がどのように作用するかを理解するのに十分大きいデータベースを用いて容易に決定することができる。
【0183】
他のオプション
リリースアセンブリは、離脱中に堅いリリース層を振動させるように構成される振動アクチュエータを含み得る。振動アクチュエータは、リリース層の四隅に位置し得る。
【0184】
力が閾値を超えたままであると、構築プレートの上昇速度が低下することがある。しかしながら、キュアされた層がリリース層からリリースされると、これは、オブジェクトが次のキュアリングステップに備えて1層の厚さ分だけリリース層から離れるようにプリンタに構築プレートを迅速に位置決めさせる力が急激に低下することにより検出される。
【0185】
離脱後は構築プレートの上昇とリリース層の上昇が同時に起こり得る。構築プレートは、構築プレートの上昇速度程度の速度で上昇するように構成され得る。両方を一緒に上昇させることは、その後に絞り出す必要が生じる樹脂の流入を防止するのに役立ち得る。これは、接近中に最近印刷されたオブジェクトに作用する力を低減するのに役立ち得る。
【0186】
構築プレートの上昇は離脱中に生じ得る。これは、離脱中にリリース層を下降させなければならない距離を短くし得る。
【0187】
リリースアセンブリは、さらなる力の測定が行われるときに振動を中断又は停止するように構成され得る。
【0188】
リリースアセンブリは、構築プレートに接続される力センサを有していてもよい。
【0189】
本発明を好ましい実施形態及びその好ましい使用に関して説明及び図示したが、当業者に理解されるような本発明の完全な意図された範囲内で修正及び変更を行うことができるので、本発明は限定されるべきではない。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図4g
図4h
図5a
図5b
図5c
【国際調査報告】