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▶ アルファ−ラヴァル・コーポレート・アーベーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】熱伝達プレートおよびガスケット
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/10 20060101AFI20240327BHJP
   F28F 3/04 20060101ALI20240327BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20240327BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
F28F3/10
F28F3/04 A
F28F3/08 301Z
F28D9/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565959
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2022058769
(87)【国際公開番号】W WO2022228826
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】21170710.4
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ-ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・ニルソン
(72)【発明者】
【氏名】ヤンヌ・ラスムッセン
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA35
(57)【要約】
熱伝達プレート(1)およびガスケット(2)が提供される。熱伝達プレート(1)は、フロントガスケット溝部(43)を含み、フロントガスケット溝部(43)は、熱伝達プレート(1)の熱伝達エリア(33)、上側および下側分配エリア(13、25)、ならびに第1および第3のポートホール(9、21)の周りに延在する環状のフロント溝部パーツ(45)と、熱伝達プレート(1)の第2および第4のポートホール(11、23)を囲む第2および第4のリング溝部パーツ(47、49)とを含む。熱伝達プレート(1)は、環状のフロント溝部パーツ(45)と第2のリング溝部パーツ(47)との間に延在する第2の断熱エリア(17)と、環状のフロント溝部パーツ(45)と第4のリング溝部パーツ(49)との間に延在する第4の断熱エリア(29)とをさらに含む。フロントガスケット溝部(43)の上側フロント溝部部分(71)が、第2のポートホール(11)と上側分配エリア(13)との間に延在している。フロントガスケット溝部(43)の下側フロント溝部部分(83)が、第4のポートホール(23)と下側分配エリア(25)との間に延在している。熱伝達プレート(1)は、上側フロント溝部部分(71)の底部(67u、69)が傾斜されており、フロントガスケット溝部(43)の深さが、上側フロント溝部部分(71)の中で、第2の断熱エリア(17)に向かう方向に増加するようになっており、下側フロント溝部部分(83)の底部(67l、81)が傾斜されており、フロントガスケット溝部(43)の深さが、下側フロント溝部部分(83)の中で、第4の断熱エリア(29)に向かう方向に増加するようになっていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝達プレート(1)であって、前記熱伝達プレート(1)は、前記熱伝達プレート(1)の長手方向中心軸線(LP)に沿って連続して配置されている、上側端部部分(7)と、中央部分(31)と、下側端部部分(19)とを含み、前記上側端部部分(7)は、第1のポートホール(9)および第2のポートホール(11)と、上側分配コルゲーションパターンを有している上側分配エリア(13)とを含み、前記下側端部部分(19)は、第3のポートホール(21)および第4のポートホール(23)と、下側分配コルゲーションパターンを有している下側分配エリア(25)とを含み、前記中央部分(31)は、熱伝達エリア(33)を含み、前記熱伝達エリア(33)は、前記上側分配コルゲーションパターンおよび前記下側分配コルゲーションパターンとは異なる熱伝達コルゲーションパターンを有しており、前記熱伝達プレート(1)は、そのフロントサイド(3)において、フロントガスケット溝部(43)をさらに含み、前記フロントガスケット溝部(43)は、前記熱伝達エリア(33)、前記上側分配エリア(13)および前記下側分配エリア(25)、ならびに前記第1のポートホール(9)および前記第3のポートホール(21)の周りに延在する環状のフロント溝部パーツ(45)と、前記第2のポートホール(11)を囲む第2のリング溝部パーツ(47)と、前記第4のポートホール(23)を囲む第4のリング溝部パーツ(49)とを含み、前記上側端部部分(7)は、前記環状のフロント溝部パーツ(45)と前記第2のリング溝部パーツ(47)との間に延在する第2の断熱エリア(17)をさらに含み、前記下側端部部分(19)は、前記環状のフロント溝部パーツ(45)と前記第4のリング溝部パーツ(49)との間に延在する第4の断熱エリア(29)をさらに含み、前記フロントガスケット溝部(43)の上側フロント溝部部分(71)が、前記第2のポートホール(11)と前記上側分配エリア(13)との間に延在しており、底部(67u、69)を含み、前記フロントガスケット溝部(43)の下側フロント溝部部分(83)が、前記第4のポートホール(23)と前記下側分配エリア(25)との間に延在しており、底部(67l、81)を含む、熱伝達プレート(1)において、前記上側フロント溝部部分(71)の前記底部(67u、69)は、傾斜されており、前記フロントガスケット溝部(43)の深さが、前記上側フロント溝部部分(71)の中で、前記第2の断熱エリア(17)に向かう方向に増加するようになっており、前記下側フロント溝部部分(83)の前記底部(67l、81)は、傾斜されており、前記フロントガスケット溝部(43)の深さが、前記下側フロント溝部部分(83)の中で、前記第4の断熱エリア(29)に向かう方向に増加するようになっていることを特徴とする、熱伝達プレート(1)。
【請求項2】
前記熱伝達プレート(1)は、そのバックサイド(5)において、バックガスケット溝部(51)をさらに含み、前記バックガスケット溝部(51)は、前記熱伝達エリア(33)、前記上側分配エリア(13)および前記下側分配エリア(25)、ならびに前記第2のポートホール(11)および前記第4のポートホール(23)の周りに延在する環状のバック溝部パーツ(53)と、前記第1のポートホール(9)を囲む第1のリング溝部パーツ(55)と、前記第3のポートホール(21)を囲む第3のリング溝部パーツ(57)とを含み、前記上側端部部分(7)は、前記環状のバック溝部パーツ(53)と前記第1のリング溝部パーツ(55)との間に延在する第1の断熱エリア(15)をさらに含み、前記下側端部部分(19)は、前記環状のバック溝部パーツ(53)と前記第3のリング溝部パーツ(57)との間に延在する第3の断熱エリア(27)をさらに含み、前記バックガスケット溝部(51)の上側バック溝部部分(97)が、前記第1のポートホール(9)と前記上側分配エリア(13)との間に延在しており、底部(93u、95)を含み、前記バックガスケット溝部(51)の下側バック溝部部分(109)が、前記第3のポートホール(21)と前記下側分配エリア(25)との間に延在しており、底部(93l、107)を含み、前記上側バック溝部部分(97)の前記底部(93u、95)は、傾斜されており、前記バックガスケット溝部(51)の深さが、前記上側バック溝部部分(97)の中で、前記第1の断熱エリア(15)に向かう方向に増加するようになっており、前記下側バック溝部部分(109)の前記底部(93l、107)は、傾斜されており、前記バックガスケット溝部(51)の深さが、前記下側バック溝部部分(109)の中で、前記第3の断熱エリア(27)に向かう方向に増加するようになっている、請求項1に記載の熱伝達プレート(1)。
【請求項3】
前記フロントガスケット溝部(43)の前記深さは、前記上側フロント溝部部分(71)および前記下側フロント溝部部分(83)の中で、前記フロントガスケット溝部(43)の前記上側フロント溝部部分(71)および前記下側フロント溝部部分(83)の横断方向延在に沿って徐々に増加している、請求項1または2に記載の熱伝達プレート(1)。
【請求項4】
前記上側フロント溝部部分(71)の前記底部(67u、69)および前記下側フロント溝部部分(83)の前記底部(67l、81)は、平面である、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱伝達プレート(1)。
【請求項5】
前記フロントガスケット溝部(43)の前記上側フロント溝部部分(71)は、前記フロントガスケット溝部(43)の前記環状のフロント溝部パーツ(45)の上側の斜めの部分(45u)の中に含まれており、前記上側の斜めの部分(45u)は、前記第2の断熱エリア(17)と前記上側分配エリア(13)との間に延在しており、前記フロントガスケット溝部(43)の前記下側フロント溝部部分(83)は、前記フロントガスケット溝部(43)の前記環状のフロント溝部パーツ(45)の下側の斜めの部分(45l)の中に含まれており、前記下側の斜めの部分(45l)は、前記第4の断熱エリア(29)と前記下側分配エリア(25)との間に延在している、請求項1から4のいずれか一項に記載の熱伝達プレート(1)。
【請求項6】
前記フロントガスケット溝部(43)の前記上側フロント溝部部分(71)は、前記フロントガスケット溝部(43)の前記第2のリング溝部パーツ(47)の内側部分(73)の中に含まれており、前記内側部分(73)は、前記第2のポートホール(11)と前記第2の断熱エリア(17)との間に延在しており、前記フロントガスケット溝部(43)の前記下側フロント溝部部分(83)は、前記フロントガスケット溝部(43)の前記第4のリング溝部パーツ(49)の内側部分(85)の中に含まれており、前記内側部分(85)は、前記第4のポートホール(23)と前記第4の断熱エリア(29)との間に延在している、請求項1から4のいずれか一項に記載の熱伝達プレート(1)。
【請求項7】
前記第2のリング溝部パーツ(47)の底部(69、75)は、前記第2のポートホール(11)を画定する環状の第2の内側縁部(63)を含み、前記第4のリング溝部パーツ(49)の底部(81、87)は、前記第4のポートホール(23)を画定する環状の第4の内側縁部(65)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の熱伝達プレート(1)。
【請求項8】
プレート熱交換器のためのガスケット(2)であって、前記ガスケット(2)は、環状のガスケットパーツ(4)と、環状の第2のリングガスケットパーツ(6)と、環状の第4のリングガスケットパーツ(8)とを含み、前記第2のリングガスケットパーツ(6)および前記第4のリングガスケットパーツ(8)は、前記環状のガスケットパーツ(4)の外側に、および、前記環状のガスケットパーツ(4)の両側に配置されており、前記第2のリングガスケットパーツ(6)および前記環状のガスケットパーツ(4)は、第2の中間スペース(10)によって分離されており、前記第4のリングガスケットパーツ(8)および前記環状のガスケットパーツ(4)は、第4の中間スペース(12)によって分離されており、前記ガスケット(2)の上側ガスケット部分(26)が、前記第2の中間スペース(10)を限定しており、前記ガスケット(2)の下側ガスケット部分(34)が、前記第4の中間スペース(12)を限定しており、前記ガスケット(2)は、本体部(16)を含み、前記本体部(16)は、完全な環状の前記第2のリングおよび第4のリングガスケットパーツ(4、6、8)に沿って延在しており、上側サイド(18)および対向する下側サイド(20)を含み、前記上側サイド(18)および前記下側サイド(20)は、前記本体部(16)の厚さを画定している、ガスケット(2)において、前記ガスケット(2)の前記本体部(16)の前記厚さは、前記上側ガスケット部分(26)の中で、前記第2の中間スペース(10)に向かう方向に増加しており、および前記下側ガスケット部分(34)の中で、前記第4の中間スペース(12)に向かう方向に増加していることを特徴とする、ガスケット(2)。
【請求項9】
前記ガスケット(2)の前記本体部(16)の前記厚さは、前記上側ガスケット部分(26)および前記下側ガスケット部分(34)の中で、前記ガスケット(2)の前記上側ガスケット部分(26)および前記下側ガスケット部分(34)の横断方向延在に沿って徐々に増加している、請求項8に記載のガスケット(2)。
【請求項10】
前記本体部(16)の前記上側サイド(18)および前記下側サイド(20)は、本質的に平面である、請求項8または9に記載のガスケット(2)。
【請求項11】
前記ガスケット(2)の前記上側ガスケット部分(26)は、前記ガスケット(2)の前記環状のガスケットパーツ(4)の上側の斜めの部分(22)の中に含まれており、前記上側の斜めの部分(22)は、前記ガスケット(2)の前記第2のリングガスケットパーツ(6)の内側に延在しており、前記ガスケット(2)の前記下側ガスケット部分(34)は、前記ガスケット(2)の前記環状のガスケットパーツ(4)の下側の斜めの部分(24)の中に含まれており、前記下側の斜めの部分(24)は、前記ガスケット(2)の前記第4のリングガスケットパーツ(8)の内側に延在している、請求項8から10のいずれか一項に記載のガスケット(2)。
【請求項12】
前記ガスケット(2)の前記上側ガスケット部分(26)は、前記ガスケット(2)の前記第2のリングガスケットパーツ(6)の内側部分(28)の中に含まれており、前記内側部分(28)は、前記ガスケット(2)の前記第2のリングガスケットパーツ(6)の外側部分(30)と前記ガスケット(2)の前記環状のガスケットパーツ(4)の上側の斜めの部分(22)との間に延在しており、前記上側の斜めの部分(22)は、前記ガスケット(2)の前記第2のリングガスケットパーツ(6)の内側に延在しており、前記ガスケット(2)の前記下側ガスケット部分(34)は、前記ガスケット(2)の前記第4のリングガスケットパーツ(8)の内側部分(36)の中に含まれており、前記内側部分(36)は、前記ガスケット(2)の前記第4のリングガスケットパーツ(8)の外側部分(38)と前記ガスケット(2)の前記環状のガスケットパーツ(4)の下側の斜めの部分(24)との間に延在しており、前記下側の斜めの部分(24)は、前記ガスケット(2)の前記第4のリングガスケットパーツ(8)の内側に延在している、請求項8から10のいずれか一項に記載のガスケット(2)。
【請求項13】
前記ガスケット(2)は、少なくとも1つの細長い突出部(42、42a、42b、42c、44)をさらに含み、前記少なくとも1つの細長い突出部(42、42a、42b、42c、44)は、前記本体部(16)の前記上側サイド(18)および前記下側サイド(20)のうちの一方から突出しており、前記ガスケット(2)の少なくとも前記上側ガスケット部分(26)および前記下側ガスケット部分(34)に沿って延在している、請求項8から12のいずれか一項に記載のガスケット(2)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの細長い突出部(42、42a、42c、44)は、前記本体部(16)の第2の中央平面(C2)からオフセットされて配置されている、請求項13に記載のガスケット(2)。
【請求項15】
前記ガスケット(2)の前記本体部(16)の前記第2の中央平面(C2)は、前記少なくとも1つの突出部(42、42a、42b、42c、44)と前記上側ガスケット部分(26)の中の前記第2の中間スペース(10)との間に配置されており、および前記少なくとも1つの突出部(42、42a、42b、42c、44)と前記下側ガスケット部分(34)の中の前記第4の中間スペース(12)との間に配置されている、請求項13または14に記載のガスケット(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝達プレート、および、そのような熱伝達プレートのためのガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
プレート熱交換器(PHE)は、典型的に、2つのエンドプレートを含み、2つのエンドプレートの間に、複数の熱伝達プレートが、スタックまたはパックで配置されている。PHEの熱伝達プレートは、同じタイプのものであってもまたは異なるタイプのものであってもよく、それらは、異なる方式でスタックされることが可能である。いくつかのPHEでは、1つの熱伝達プレートのフロントサイドおよびバックサイドが他の熱伝達プレートのバックサイドおよびフロントサイドにそれぞれ面した状態で、および、熱伝達プレートを1つおきに熱伝達プレートの残りに関して上下逆さまにした状態で、熱伝達プレートがスタックされている。典型的に、これは、熱伝達プレートが互いに対して「回転させられている」と称される。他のPHEでは、1つの熱伝達プレートのフロントサイドおよびバックサイドが他の熱伝達プレートのフロントサイドおよびバックサイドにそれぞれ面した状態で、および、熱伝達プレートを1つおきに熱伝達プレートの残りに関して上下逆さまにした状態で、熱伝達プレートがスタックされている。典型的に、これは、熱伝達プレートが互いに対して「ひっくり返されている」と称される。
【0003】
周知のPHEの1つのタイプでは、いわゆる、ガスケット付きPHEでは、ガスケットが、熱伝達プレートの中にプレスされたガスケット溝部の中で、熱伝達プレート間に配置されている。エンドプレート(ひいては、熱伝達プレート)は、何らかの種類の締め付け手段によって、互いに向けてプレスされており、それによって、ガスケットが、熱伝達プレート間をシールする。平行なフローチャネルが、熱伝達プレート間に形成されており、隣接する熱伝達プレートのそれぞれの対の間に1つのチャネルがある。最初に異なる温度の2つの流体(それらは、入口部/出口部を通ってPHEへ/PHEから給送される)は、一方の流体から他方の流体へ熱を伝達するために、チャネル毎に通って交互に流れることが可能であり、その流体は、PHEの入口部/出口部と連通する熱伝達プレートの中の入口部/出口部ポートホールを通ってチャネルに進入/退出する。
【0004】
典型的に、熱伝達プレートは、2つの端部部分および中間熱伝達部分を含む。端部部分は、入口部および出口部ポートホールと、尾根部および谷部の分配パターンを伴ってプレスされた分配エリアと、尾根部および谷部の断熱パターンを伴ってプレスされた中間断熱エリアとを含む。同様に、熱伝達部分は、尾根部および谷部の熱伝達パターンを伴ってプレスされた熱伝達エリアを含む。熱伝達プレートの分配パターン、断熱パターン、および熱伝達パターンの尾根部および谷部は、プレート熱交換器の中の隣接する熱伝達プレートの分配パターン、断熱パターン、および熱伝達パターンの尾根部および谷部と(接触エリアにおいて)接触するように配置されている。断熱エリアの主なタスクは、チャネルに進入する流体を分配エリアに搬送することであり、また、分配エリアからの流体をチャネルから外へ搬送することである。熱伝達プレートの分配エリアの主なタスクは、流体が熱伝達エリアに到達する前に、熱伝達プレートの幅を横切って流体を広げること、および、流体が熱伝達エリアを通過した後に流体を収集することである。熱伝達エリアの主なタスクは、熱伝達である。断熱エリア、分配エリア、および熱伝達エリアは、異なる主なタスクを有しているので、断熱パターン、分配パターン、および熱伝達パターンは、典型的に、互いに異なっている。
【0005】
したがって、動作の準備ができているガスケット付きプレート熱交換器では、熱伝達プレートは、熱伝達プレートのそれぞれの2つの隣接するもの同士の間にガスケットが配置された状態で、プレートパックの中で互いに整列されている。典型的に、同一の熱伝達プレートの両側のガスケットは、それらの延在のほとんどに沿って互いに整列されている。しかし、上記に説明されているようにプレート熱交換器のチャネル毎に通って2つの流体が交互に流れることを可能にするために、同一の熱伝達プレートの両側のガスケットは、それらの延在の一部に沿って互いに整列されていない。これらの一部に沿って、熱伝達プレートの片側のみにガスケットサポートが存在している。
【0006】
プレート熱交換器が適正に働くようにするために、熱伝達プレートは、プレートパックを強力にするために、上記に述べられた接触エリアの中で互いに接触しているべきであり、一方では、熱伝達プレートは、流体がプレートパックを通って流れることを可能にするために、他のエリアの中で互いに分離されているべきである。しかし、個々の熱伝達プレートの強度、熱伝達プレートとガスケットとの間の張力、および、熱伝達プレート間のチャネルの内側の流体圧力などのような、様々な要因に応じて、熱伝達プレートは、特に、熱伝達プレートの片側のみにガスケットサポートが存在しているエリアの近くにおいて、変形を被る可能性がある。そのような変形は、プレート間の所望の接触および分離を妨げる可能性がある。そして、これは、プレート熱交換器の能力低下または故障を結果として生じさせる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、先行技術の上記に説明された問題を少なくとも部分的に解決する熱伝達プレートおよびガスケットを提供することである。本発明の基本概念は、熱伝達プレートのプレス深さ、および、ガスケットの本体部の厚さを局所的に変化させ、熱伝達プレートをより変形しにくくすることである。熱伝達プレート(それは、本明細書で単に「プレート」とも称される)、および、上記の目的を実現するためのガスケットは、添付の特許請求の範囲に定義されており、下記に説明されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による熱伝達プレートは、熱伝達プレートの長手方向中心軸線に沿って連続して配置されている、上側端部部分と、中央部分と、下側端部部分とを含む。上側端部部分は、第1および第2のポートホールと、上側分配コルゲーションパターンを有している上側分配エリアとを含む。下側端部部分は、第3および第4のポートホールと、下側分配コルゲーションパターンを有している下側分配エリアとを含む。中央部分は、熱伝達エリアを含み、熱伝達エリアは、上側および下側分配コルゲーションパターンとは異なる熱伝達コルゲーションパターンを有している。熱伝達プレートは、そのフロントサイドにおいて、フロントガスケット溝部をさらに含み、フロントガスケット溝部は、熱伝達エリア、上側および下側分配エリア、ならびに第1および第3のポートホールの周りに延在する環状のフロント溝部パーツと、第2のポートホールを囲む第2のリング溝部パーツと、第4のポートホールを囲む第4のリング溝部パーツとを含む。上側端部部分は、環状のフロント溝部パーツと第2のリング溝部パーツとの間に延在する第2の断熱エリアをさらに含む。下側端部部分は、環状のフロント溝部パーツと第4のリング溝部パーツとの間に延在する第4の断熱エリアをさらに含む。フロントガスケット溝部の上側フロント溝部部分が、第2のポートホールと上側分配エリアとの間に延在しており、底部を含む。フロントガスケット溝部の下側フロント溝部部分が、第4のポートホールと下側分配エリアとの間に延在しており、底部を含む。熱伝達プレートは、上側フロント溝部部分の底部が傾斜されるかまたは傾けられており、フロントガスケット溝部の深さが、上側フロント溝部部分の中で、第2の断熱エリアに向かう方向に増加するようになっており、下側フロント溝部部分の底部が傾斜されるかまたは傾けられており、フロントガスケット溝部の深さが、下側フロント溝部部分の中で、第4の断熱エリアに向かう方向に増加するようになっていることを特徴とする。
【0009】
ここで、深さは、溝部の底部と熱伝達プレートの中央延在平面に平行な基準平面との間の距離に等しく、深さは、中央延在平面に対して垂直に測定される。
【0010】
したがって、熱伝達プレートは、フロントガスケット溝部の深さが、上側および下側フロント溝部部分の中で、上側および下側フロント溝部部分の横断方向延在に沿って、第1の最小の深さから第1の最大の深さへ増加しており、第2および第4の断熱エリアの最も近くにおいて第1の最大の深さとなるようになっていることを特徴とする。
【0011】
仮想の上側および下側平面は、熱伝達エリアの中の熱伝達プレートの延在を規定することが可能である。フロントガスケット溝部の底部は、その長手方向延在の半分以上に沿って、仮想の下側平面の中に延在することが可能である。そのような実施形態は、いわゆる半溶接されたプレート熱交換器において使用するためのカセットの中への、熱伝達プレートおよび下層の適切に設計された熱伝達プレート(場合によっては、本発明による別の熱伝達プレート)の恒久的な結合を促進させることが可能である。代替的に、フロントガスケット溝部の底部は、その長手方向延在の半分以上に沿って、仮想の上側平面と下側平面との間に(たとえば、仮想の上側平面と下側平面との間の半分などに)延在することが可能である。そのような実施形態は、熱伝達プレートが互いに対して回転させられた(および、ひっくり返された)状態で、プレート熱交換器の中での熱伝達プレートの使用を可能にすることが可能であり、また、いわゆる非対称の熱伝達プレートに適切である可能性がある。
【0012】
フロントガスケット溝部は、熱伝達プレートと上層の適切に設計された熱伝達プレート(場合によっては、本発明による別の熱伝達プレート)との間のシーリング(および、フロント流体チャネルの画定)のためにガスケットを収容するように配置されている。フロント流体チャネルは、熱伝達プレートの第1のポートホールと第3のポートホールとの間の流体フローを可能にすることが可能である。熱伝達プレートは、バック流体チャネルの確定のために、下層の適切に設計された熱伝達プレート(場合によっては、本発明によるさらに別の熱伝達プレート)と協働するようにさらに配置されている。バック流体チャネルは、熱伝達プレートの第2のポートホールと第4のポートホールとの間の流体フローを可能にすることが可能であり、すなわち、熱伝達プレートのフロントガスケット溝部の上側および下側フロント溝部部分のバックサイドによって画定される通路を通る流体フローを可能にすることが可能である。上記の流体フローを実現するために、バックサイドにはガスケットが存在せず、熱伝達プレートのフロントガスケット溝部の上側および下側フロント溝部部分のフロントサイドのみにガスケットが存在しているべきである。上記に説明されているように、プレート熱交換器の中に配置されている熱伝達プレートは、片側ガスケットサポートを備えたエリアの近くで変形しやすい可能性がある。本発明による熱伝達プレートのフロントガスケット溝部の上側および下側フロント溝部部分の深さを変化させることによって、フロントガスケット溝部の上側および下側フロント溝部部分の近くの熱伝達プレートの望ましくない変形は、熱伝達プレートがガスケットおよび他の熱伝達プレートとともにプレート熱交換器の中に配置されているときに最小化されることが可能であり、それは、プレート熱交換器の適正な性能を確実にすることが可能である。
【0013】
上記を踏まえて、熱伝達プレートは、そのバックサイドにおいて、バックガスケット溝部をさらに含み、バックガスケット溝部は、熱伝達エリア、上側および下側分配エリア、ならびに第2および第4のポートホールの周りに延在する環状のバック溝部パーツと、第1のポートホールを囲む第1のリング溝部パーツと、第3のポートホールを囲む第3のリング溝部パーツとをさらに含むことが可能である。さらに、上側端部部分は、環状のバック溝部パーツと第1のリング溝部パーツとの間に延在する第1の断熱エリアを含むことが可能であり、下側端部部分は、環状のバック溝部パーツと第3のリング溝部パーツとの間に延在する第3の断熱エリアを含むことが可能である。バックガスケット溝部の上側バック溝部部分が、第1のポートホールと上側分配エリアとの間に延在することが可能であり、底部を含むことが可能である。バックガスケット溝部の下側バック溝部部分が、第3のポートホールと下側分配エリアとの間に延在することが可能であり、底部を含むことが可能である。上側バック溝部部分の底部は、傾斜されるかまたは傾けられることが可能であり、バックガスケット溝部の深さが、上側バック溝部部分の中で、第1の断熱エリアに向かう方向に増加するようになっている。さらに、下側バック溝部部分の底部は、傾斜されるかまたは傾けられることが可能であり、バックガスケット溝部の深さが、下側バック溝部部分の中で、第3の断熱エリアに向かう方向に増加するようになっている。
【0014】
本明細書では、「環状の」は、必ずしも円形の延在を意味するわけではなく、任意の囲んでいる延在(たとえば、楕円形または多角形の延在など)を意味する可能性もある。したがって、フロントおよびバックガスケット溝部の環状のフロントおよびバック溝部パーツは、円形である必要はなく、熱伝達プレートに適切な任意の形態を有することが可能である。同様に、フロントガスケット溝部の第2および第4のリング溝部パーツ、ならびに、バックガスケット溝部の第1および第3のリング溝部パーツは、円形である必要はなく、熱伝達プレート(および、特に、そのポートホール)に適切な任意の形態を有することが可能である。
【0015】
第1の、第2の、第3の、および第4の断熱エリアは、第1の断熱コルゲーションパターン、第2の断熱コルゲーションパターン、第3の断熱コルゲーションパターン、および第4の断熱コルゲーションパターンをそれぞれ有することが可能であり、その第1の、第2の、第3の、および第4の断熱コルゲーションパターンは、上側および下側分配コルゲーションパターンならびに熱伝達コルゲーションパターンとは異なっている可能性がある。
【0016】
フロントガスケット溝部の(上側フロント溝部部分および下側フロント溝部部分の中の)深さ、ならびに、場合によっては、バックガスケット溝部の(上側バック溝部部分および下側バック溝部部分の中の)深さは、それぞれ、フロントガスケット溝部の上側および下側フロント溝部部分の横断方向延在に沿って、ならびに、バックガスケット溝部の上側および下側バック溝部部分の横断方向延在に沿って、徐々に増加している可能性がある。たとえば、徐々に増加することは、階段状または波状であることが可能である。別の例として、深さは、線形に増加していることが可能であり、そのケースでは、上側フロント溝部部分の底部および下側フロント溝部部分の底部、ならびに、場合によっては、上側バック溝部部分の底部および下側バック溝部部分の底部は、平面であることが可能である。この構成は、熱伝達プレートの比較的に簡潔な設計を可能にする可能性がある。
【0017】
熱伝達プレートは、フロントガスケット溝部の上側フロント溝部部分が、フロントガスケット溝部の環状のフロント溝部パーツの上側の斜めの部分の中に含まれるように設計されることが可能であり、上側の斜めの部分は、第2の断熱エリアと上側分配エリアとの間に延在している。さらに、フロントガスケット溝部の前記下側フロント溝部部分は、フロントガスケット溝部の環状のフロント溝部パーツの下側の斜めの部分の中に含まれることが可能であり、下側の斜めの部分は、第4の断熱エリアと下側分配エリアとの間に延在している。それによって、フロントガスケット溝部の上側および下側フロント溝部部分の深さは、第2および第4のポートホールに向かう方向に増加することとなる。そのような実施形態は、上側および下側の斜めの部分の近くの熱伝達プレートを強化することが可能である。結果的に、上側および下側の斜めの部分の近くの熱伝達プレートの(流体圧力による)変形は、熱伝達プレートがプレート熱交換器の中に配置されているときに防止されることが可能である。そして、これは、プレート熱交換器の中の熱伝達プレートと隣接する熱伝達プレートとの間に所望の接触が実現されることを確実にすることが可能である。
【0018】
代替的に/追加的に、熱伝達プレートは、フロントガスケット溝部の上側フロント溝部部分が、フロントガスケット溝部の第2のリング溝部パーツの内側部分の中に含まれるように設計されることが可能であり、内側部分は、第2のポートホールと第2の断熱エリアとの間に延在している。さらに、フロントガスケット溝部の下側フロント溝部部分は、フロントガスケット溝部の第4のリング溝部パーツの内側部分の中に含まることが可能であり、内側部分は、第4のポートホールと第4の断熱エリアとの間に延在している。それによって、フロントガスケット溝部の上側および下側フロント溝部部分の深さは、第2および第4のポートホールから離れる方向に増加することとなる。第2のリング溝部パーツの内側部分は、第2のリング溝部パーツの25~65%であることが可能である。同様に、第4のリング溝部パーツの内側部分は、第4のリング溝部パーツの25~65%であることが可能である。この実施形態は、上側および下側の斜めの部分の近くの熱伝達プレートを強化することが可能である。結果的に、第2および第4のリング溝部パーツの内側部分の近くの熱伝達プレートの(流体圧力による)変形は、熱伝達プレートがプレート熱交換器の中に配置されているときに防止されることが可能である。そして、これは、プレート熱交換器の中の熱伝達プレートと隣接する熱伝達プレートとの間に所望の接触が実現されることを確実にすることが可能である。
【0019】
熱伝達プレートのポートホールは、内側プレート縁部によって画定されており、内側プレート縁部は、波形であってもよく、または、波形でなくてもよい。熱伝達プレートは、第2のリング溝部パーツの底部が、第2のポートホールを画定する環状の第2の内側縁部を含み、一方では、第4のリング溝部の底部が、第4のポートホールを画定する環状の第4の内側縁部を含むように設計されることが可能である。この実施形態によれば、第2および第4のリング溝部パーツは、それぞれ、第2および第4のポートホールまで延在している。第2および第4のリング溝部パーツの底部が平面である場合には、この実施形態は、熱伝達プレートの第2および第4のポートホールが平面の(すなわち、波形でない)内側プレート縁部によって画定されているということを意味している。第2および第4のポートホールの周りのコルゲーションを省略することによって、熱伝達プレートの清潔さが改善されることが可能であり、熱伝達のために利用可能なプレート表面が増加されることが可能である。本発明にしたがって、ポートホールの周りにコルゲーションを備えない熱伝達プレートの上の第2および第4のリング溝部パーツの内側部分の中のフロントガスケット溝部の深さを変化させることによって、熱伝達プレートは、1つの方向に「事前に変形させられる」ことが可能である。熱伝達プレートがプレート熱交換器の中に配置されているときには、上層の熱伝達プレート、および、熱伝達プレートの第2および第4のリング溝部パーツの中に収容されている中間ガスケットは、熱伝達プレートを反対方向に変形させることとなる。これは、「事前変形」のリセットを結果として生じさせ、また、内側プレート縁部が、少なくともそれらの延在の一部に沿って、熱伝達プレートの中央延在平面に本質的に平行に延在することを結果として生じさせることとなり、すなわち、プレート熱交換器の中の熱伝達プレートと隣接する熱伝達プレートとの間の所望の分離を結果として生じさせることとなる。そして、これは、熱伝達プレートのバックサイドによって画定されるチャネルに進入する流体に関する圧力降下を減少させることとなる。
【0020】
熱伝達プレートは、第1および第3のポートホールが熱伝達プレートの長手方向中心軸線の一方の側に配置されており、第2および第4のポートホールが長手方向中心軸線の別の反対側に配置されているように設計されることが可能である。それによって、熱伝達プレートは、いわゆる並流タイプのプレート熱交換器における使用に適切であることが可能である。そのような並流熱交換器は、1つのプレートタイプのみを含むことが可能である。その代わりに、第1および第4のポートホールが長手方向中心軸線の同一の側に配置されており、第2および第3のポートホールが同一の他方の側に配置されている場合には(それも、本発明によれば可能である)、プレートは、いわゆる斜流タイプのプレート熱交換器における使用に適切であることが可能である。そのような斜流熱交換器は、典型的に、2つ以上のプレートタイプを含むことが可能である。
【0021】
熱伝達プレートは、フロントガスケット溝部の上側フロント溝部部分が、熱伝達プレートの横断方向中心軸線に平行に、フロントガスケット溝部の下側フロント溝部部分の鏡像であるように設計されることが可能である。これは、本発明による熱伝達プレートのみを含むプレートパックを可能にすることができる。
【0022】
当然のことながら、上記に説明されているフロントガスケット溝部の異なる設計に対応するバックガスケット溝部の異なる設計も考えられる。
【0023】
本発明によるプレート熱交換器のためのガスケットは、環状のガスケットパーツと、環状の第2のリングガスケットパーツと、環状の第4のリングガスケットパーツとを含む。第2および第4のリングガスケットパーツは、環状のガスケットパーツの外側に、および、環状のガスケットパーツの両側に配置されている。第2のリングガスケットパーツおよび環状のガスケットパーツは、第2の中間スペースによって分離されており、第4のリングガスケットパーツおよび環状のガスケットパーツは、第4の中間スペースによって分離されている。ガスケットの上側ガスケット部分は、第2の中間スペースを限定するか、それを画定するか、または、それに沿って延在している。ガスケットの下側ガスケット部分は、第4の中間スペースを限定するか、それを画定するか、または、それに沿って延在している。ガスケットは、本体部を含み、本体部は、完全な環状のガスケットパーツならびに第2および第4のリングガスケットパーツに沿って延在しており、上側サイドおよび対向する下側サイドを含む。ガスケット本体部の上側および下側サイドは、本体部の厚さを画定している。ガスケットは、ガスケットの本体部の厚さが、上側ガスケット部分の中で、第2の中間スペースに向かう方向に増加しており、および下側ガスケット部分の中で、第4の中間スペースに向かう方向に増加していることを特徴とする。
【0024】
ガスケットの本体部の厚さは、上側ガスケット部分および下側ガスケット部分の中で、ガスケットの上側および下側ガスケット部分の横断方向延在に沿って徐々に(場合によっては、線形に)増加していることが可能である。
【0025】
ガスケット本体部の上側および下側サイドは、本質的に平面であることが可能である。
【0026】
ガスケットの上側ガスケット部分は、ガスケットの環状のガスケットパーツの上側の斜めの部分の中に含まれることが可能であり、上側の斜めの部分は、ガスケットの第2のリングガスケットパーツの内側に延在している。ガスケットの前記下側ガスケット部分は、ガスケットの環状のガスケットパーツの下側の斜めの部分の中に含まれることが可能であり、下側の斜めの部分は、ガスケットの第4のリングガスケットパーツの内側に延在している。
【0027】
代替的に/追加的に、ガスケットの上側ガスケット部分は、ガスケットの第2のリングガスケットパーツの内側部分の中に含まれることが可能であり、内側部分は、ガスケットの第2のリングガスケットパーツの外側部分とガスケットの環状のガスケットパーツの上側の斜めの部分との間に延在しており、上側の斜めの部分は、ガスケットの第2のリングガスケットパーツの内側に延在している。さらに、ガスケットの下側ガスケット部分は、ガスケットの第4のリングガスケットパーツの内側部分の中に含まれることが可能であり、内側部分は、ガスケットの第4のリングガスケットパーツの外側部分とガスケットの環状のガスケットパーツの下側の斜めの部分との間に延在しており、下側の斜めの部分は、ガスケットの第4のリングガスケットパーツの内側に延在している。
【0028】
ガスケットは、少なくとも1つの細長い突出部をさらに含むことが可能であり、少なくとも1つの細長い突出部は、本体部の上側サイドおよび下側サイドのうちの一方から突出しており、ガスケットの少なくとも上側および下側ガスケット部分に沿って延在している。そのような突出部は、ガスケットのシーリング能力を改善することが可能である。
【0029】
少なくとも1つの細長い突出部は、本体部の第2の中央平面からオフセットされて配置されることが可能である。それによって、ガスケットのシーリング機能は、最適化されることが可能である。
【0030】
ガスケットは、ガスケットの本体部の第2の中央平面が、少なくとも1つの突出部と上側ガスケット部分の中の第2の中間スペースとの間に配置されており、および少なくとも1つの突出部と下側ガスケット部分の中の第4の中間スペースとの間に配置されているように構成されることが可能である。そのような配置は、ガスケットがプレート熱交換器の中の2つの熱伝達プレートの間に配置されているときに、流体の比較的に近くに突出部を位置決めすることが可能であり、そして、それは、流体漏出の早期の防止を可能にすることができる。
【0031】
ガスケットは、ガスケットの第2および第4のリングガスケットパーツがガスケットの長手方向中心軸線の同一の側に配置されるような設計を有することが可能である。
【0032】
ガスケットの上側ガスケット部分は、ガスケットの横断方向中心軸線に平行に、ガスケットの下側ガスケット部分の鏡像であることが可能である。
【0033】
本発明による熱伝達プレートおよびガスケットは、一緒に使用されるように適合されており、ガスケットの設計は、熱伝達プレートの設計に適合されており、その逆もまた同様である。したがって、本発明によるガスケットの上記の異なる実施形態は、本発明による熱伝達プレートの上記の異なる実施形態に対応している。したがって、熱伝達プレートの上記の異なる実施形態の利点は、ガスケットの上記の異なる実施形態に移転可能である。当然のことながら、これらの利点は、熱伝達プレートおよびガスケットが、互いに協働するときに、ならびに、プレート熱交換器の中の他の適切に設計された熱伝達プレートおよびガスケットと協働するときに、最初に現れる。
【0034】
本発明のさらに他の目的、機能、態様、および利点は、以下の詳細な説明から、および、図面から明らかになることとなる。
【0035】
ここで、本発明は、添付の概略的な図面を参照して、より詳細に説明されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明による熱伝達プレートの概略平面図であり、そのフロントサイドを図示する図である。
図2図1の図の一部の拡大図である。
図3図2の線A-Aに沿ってとられた、図1の熱伝達プレートの断面を図示する図である。
図4図2の線B-Bに沿ってとられた、図1の熱伝達プレートの別の断面を図示する図である。
図5図1の図の別の一部の拡大図である。
図6図5の線C-Cに沿ってとられた、図1の熱伝達プレートの別の断面を図示する図である。
図7図5の線D-Dに沿ってとられた、図1の熱伝達プレートのさらに別の断面を図示する図である。
図8】本発明によるガスケットの概略平面図であり、その上側サイドを図示する図である。
図9図8の線A-Aに沿ってとられた、図8のガスケットの断面を図示する図である。
図10図8の線B-Bに沿ってとられた、図8のガスケットの断面を図示する図である。
図11図8の線C-Cに沿ってとられた、図8のガスケットの断面を図示する図である。
図12図8の線D-Dに沿ってとられた、図8のガスケットの断面を図示する図である。
図13】本発明による別のガスケットの概略平面図であり、その上側サイドを図示する図である。
図14図13の線A-Aに沿ってとられた、図13のガスケットの断面を図示する図である。
図15図13の線B-Bに沿ってとられた、図13のガスケットの断面を図示する図である。
図16図13の線C-Cに沿ってとられた、図13のガスケットの断面を図示する図である。
図17図13の線D-Dに沿ってとられた、図13のガスケットの断面を図示する図である。
図18図13の線E-Eに沿ってとられた、図13のガスケットの断面を図示する図である。
図19】プレートパックの圧縮の前の、先行技術によるプレートパックの2つの隣接する熱伝達プレートおよび中間ガスケットを図示する図である。
図20】プレートパックの圧縮の後の、図19の熱伝達プレートおよびガスケットを図示する図である。
図21】プレートパックの圧縮の前の、本発明によるプレートパックの2つの隣接する熱伝達プレートおよび中間ガスケットを図示する図である。
図22】プレートパックの圧縮の後の、図21の熱伝達プレートおよびガスケットを図示する図である。
図23】本発明の代替的な実施形態によるプレートに関して、図2に対応する図である。
図24】本発明の代替的な実施形態によるプレートに関して、図3に対応する図である。
図25】本発明の代替的な実施形態によるプレートに関して、図4に対応する図である。
図26】本発明の代替的な実施形態によるプレートに関して、図5に対応する図である。
図27】本発明の代替的な実施形態によるプレートに関して、図6に対応する図である。
図28】本発明の代替的な実施形態によるプレートに関して、図7に対応する図である。
図29】本発明の代替的な実施形態によるガスケットの断面を図示する図である。
図30】本発明の代替的な実施形態によるガスケットの別の断面を図示する図である。
図31】本発明の代替的な実施形態によるプレートおよびガスケットに関して、図22に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1図7は、導入部によって説明されているようなガスケット付きプレート熱交換器のための熱伝達プレート1(以降では、単に「プレート」とも称される)を示している。ガスケット付きプレート熱交換器では、熱伝達プレート1のような複数の熱伝達プレート(すなわち、複数の同様の熱伝達プレート)が、プレートパックの中で整列されている。
【0038】
図1を参照すると、プレート1は、フロントサイド3(図1図2、および図5に図示されている)および対向するバックサイド5(図3図4図6、および図7に図示されている)を有する本質的に長方形のステンレス鋼のシートである。プレート1は、上側端部部分7および下側端部部分19を含み、そして、上側端部部分7は、第1のポートホール9、第2のポートホール11、上側分配エリア13、第1の断熱エリア15、および第2の断熱エリア17を含み、そして、下側端部部分19は、第3のポートホール21、第4のポートホール23、下側分配エリア25、第3の断熱エリア27、および第4の断熱エリア29を含む。プレート1は、中央部分31および外側縁部部分35をさらに含み、そして、中央部分31は、熱伝達エリア33を含み、外側縁部部分35は、上側および下側端部部分7および19ならびに中央部分31の周りに延在している。上側端部部分7は、上側境界線37に沿って中央部分31に隣接しており、一方では、下側端部部分19は、下側境界線39に沿って中央部分31に隣接している。上側端部部分7、中央部分31、および下側端部部分19は、プレート1の長手方向中心軸線LPに沿って連続して配置されており、長手方向中心軸線LPは、プレート1の横断方向中心軸線TPに対して垂直に延在している。第1および第3のポートホール9および21は、長手方向中心軸線LPの同一の側に配置されており、一方では、第2および第4のポートホール11および23は、長手方向中心軸線LPの他方の側に配置されている。上側端部部分7は、熱伝達プレート1の横断方向中心軸線TPに平行に、下側端部部分19の鏡像である。
【0039】
熱伝達プレート1は、所望の構造体(たとえば、熱伝達プレートの異なる部分の中の異なるコルゲーションパターンなど)を与えられるように、従来の様式で、プレス加工ツール内でプレスされる。導入部によって説明されたように、コルゲーションパターンは、それぞれのプレート部分の特定の機能のために最適化されている。したがって、上側および下側分配エリア13および25は、板チョコレートタイプの分配パターンを有しており、一方では、熱伝達エリア33は、ヘリンボーンタイプの熱伝達パターンを有している。第1の、第2の、第3の、および第4の断熱エリア15、17、27、および29は、最小化された熱伝達によって流体を移送するように適合されているコルゲーションを含む。さらに、外側縁部部分35は、コルゲーション41を含み、コルゲーション41は、外側縁部部分35をより硬くし、したがって、熱伝達プレート1を変形に対してより抵抗力のあるものにする。さらに、コルゲーション41は、熱交換器のプレートパックの中の隣接する熱伝達プレートの外側縁部部分の中のコルゲーションに当接するようにそれらが配置されているという点において、支持構造体を形成する。コルゲーション41は、仮想の下側平面P1と上側平面P2(図3図4図6、および図7)(それらは、図1および図2の図平面に平行である)との間に、ならびに、仮想の下側平面P1および上側平面P2の中に延在している。
【0040】
図1を参照すると、フロントガスケット溝部43も、熱伝達プレート1のフロントサイド3の中へプレスされており、フロントガスケット溝部43の延在は、図1において破線によって部分的に図示されている。フロントガスケット溝部43は、環状のフロント溝部パーツ45、第2のリング溝部パーツ47、および第4のリング溝部パーツ49を含む。環状のフロント溝部パーツ45は、熱伝達エリア33、上側および下側分配エリア13および25、第1および第3の断熱エリア15および27、ならびに、第1および第3のポートホール9および21を囲む。第2のリング溝部パーツ47は、第2のポートホール11を囲み、一方では、第4のリング溝部パーツ49は、第4のポートホール23を囲む。フロントガスケット溝部43の上側半分は、熱伝達プレート1の横断方向中心軸線TPに平行に、フロントガスケット溝部43の下側半分の鏡像である。さらに、図2から図7を参照すると、プレート1は、そのバックサイド5において、バックガスケット溝部51をさらに含み、バックガスケット溝部51の延在は、図2および図5において破線によって部分的に図示されている。バックガスケット溝部51は、環状のバック溝部パーツ53、第1のリング溝部パーツ55、および第3のリング溝部パーツ57を含む。環状のバック溝部パーツ53は、熱伝達エリア33、上側および下側分配エリア13および25、第2および第4の断熱エリア17および29、ならびに、第2および第4のポートホール11および23を囲む。第1のリング溝部パーツ55は、第1のポートホール9を囲み、一方では、第3のリング溝部パーツ57は、第3のポートホール21を囲む。バックガスケット溝部51の上側半分は、熱伝達プレート1の横断方向中心軸線TPに平行に、バックガスケット溝部51の下側半分の鏡像である。熱伝達エリア33に沿って、フロントガスケット溝部43(または、より具体的には、その環状のフロント溝部パーツ45)は、バックガスケット溝部51(または、より具体的には、その環状のバック溝部パーツ53)の中に整列されている。
【0041】
図1図2、および図5を参照すると、バックガスケット溝部51の第1のリング溝部パーツ55および第3のリング溝部パーツ57は、プレート1の第1のポートホール9を画定する環状の第1の内側縁部59、および、第3のポートホール21を画定する環状の第3の内側縁部61をそれぞれ含む。同様に、フロントガスケット溝部43の第2のリング溝部パーツ47および第4のリング溝部パーツ49は、プレート1の第2のポートホール11を画定する環状の第2の内側縁部63、および、第4のポートホール23を画定する環状の第4の内側縁部65をそれぞれ含む。
【0042】
図2および図5(それらは、フロントガスケット溝部43のフロントサイドを図示している)、ならびに、図4および図7(それらは、フロントガスケット溝部43の局所的な断面を図示している)を参照すると、環状のフロント溝部パーツ45の底部67は、平面であり、仮想の下側平面P1と上側平面P2との間に配置されている仮想の平面P3の中に延在している。それによって、本質的に、環状のフロント溝部パーツ45の全長に沿って、フロントガスケット溝部43の深さは、環状のフロント溝部パーツ45の異なる長手方向断面の中で深さが変化する可能性があるとしても、フロントガスケット溝部43の横断方向延在に沿って本質的に一定である。例として、熱伝達プレート1の2つの対向する長辺に沿ったフロントガスケット溝部43の深さは、第2および第4のリング溝部パーツ47および49の内側に延在する環状のフロント溝部パーツ45の上側および下側の斜めの部分45uおよび45lに沿ったフロントガスケット溝部43の深さとは異なることが可能である。さらに、フロントガスケット溝部43の上側フロント溝部部分71の底部69(ここでは、第2のリング溝部パーツ47の内側部分73)は、平面であり、平面P3に対して角度α(それは、ここでは、3度に等しい)だけ傾斜されている。この角度は、本発明の代替的な実施形態において、他の値を有することが可能である。それによって、第2のリング溝部パーツ47の(その内側部分73の中の)深さは、第2のポートホール11から離れる方向に線形に徐々に増加している。第2のリング溝部パーツ47の外側部分77の底部75(その外側部分77は、第2のリング溝部パーツ47の2つの移行部分79の間に配置されている)は、平面であり、平面P3の中に延在している。それによって、第2のリング溝部パーツ47の外側部分77に沿って、フロントガスケット溝部43の深さは、フロントガスケット溝部43の横断方向延在に沿って本質的に一定である。同様に、フロントガスケット溝部43の下側フロント溝部部分83の底部81(ここでは、第4のリング溝部パーツ49の内側部分85)は、平面であり、平面P3に対して角度β(それは、ここでは、3度に等しい)だけ傾斜されている。この角度は、本発明の代替的な実施形態において、他の値を有することが可能である。それによって、第4のリング溝部パーツ49の(その内側部分85の中の)深さは、第4のポートホール23から離れる方向に線形に徐々に増加している。第4のリング溝部パーツ49の外側部分89の底部87(その外側部分89は、第4のリング溝部パーツ49の2つの移行部分91の間に配置されている)は、平面であり、平面P3の中に延在している。それによって、第4のリング溝部パーツ49の外側部分89に沿って、フロントガスケット溝部43の深さは、フロントガスケット溝部43の横断方向延在に沿って本質的に一定である。ここで、深さは、平面P2に対して垂直に測定される、溝部底部と平面P2との間の距離に等しい。
【0043】
図2および図5(それらは、バックガスケット溝部51のバックサイドを図示している)、ならびに、図3および図6(それらは、バックガスケット溝部51の局所的な断面を図示している)を参照すると、環状のバック溝部パーツ53の底部93は、平面であり、平面P3の中に存在している。それによって、本質的に、環状のバック溝部パーツ53の全長に沿って、バックガスケット溝部51の深さは、環状のバック溝部パーツ53の異なる長手方向断面の中で深さが変化する可能性があるとしても、バックガスケット溝部51の横断方向延在に沿って本質的に一定である。例として、熱伝達プレート1の2つの対向する長辺に沿ったバックガスケット溝部51の深さは、第1および第3のリング溝部パーツ55および57の内側に延在する環状のバック溝部パーツ53の上側および下側の斜めの部分53uおよび53lに沿ったバックガスケット溝部51の深さとは異なることが可能である。さらに、バックガスケット溝部51の上側バック溝部部分97の底部95(ここでは、第1のリング溝部パーツ55の内側部分99)は、平面であり、平面P3に対して角度γ(それは、ここでは、3度に等しい)だけ傾斜されている。この角度は、本発明の代替的な実施形態において、他の値を有することが可能である。それによって、第1のリング溝部パーツ55の(その内側部分99の中の)深さは、第1のポートホール9から離れる方向に線形に徐々に増加している。第1のリング溝部パーツ55の外側部分103の底部101(その外側部分103は、第1のリング溝部パーツ55の2つの移行部分105の間に配置されている)は、平面であり、平面P3の中に延在している。それによって、第1のリング溝部パーツ55の外側部分103に沿って、バックガスケット溝部51の深さは、バックガスケット溝部51の横断方向延在に沿って本質的に一定である。同様に、バックガスケット溝部51の下側バック溝部部分109の底部107(ここでは、第3のリング溝部パーツ57の内側部分111)は、平面であり、平面P3に対して角度Ω(それは、ここでは、3度に等しい)だけ傾斜されている。この角度は、本発明の代替的な実施形態において、他の値を有することが可能である。それによって、第3のリング溝部パーツ57の(その内側部分111の中の)深さは、第3のポートホール21から離れる方向に線形に徐々に増加している。第3のリング溝部パーツ57の外側部分115の底部113(その外側部分115は、第3のリング溝部パーツ57の2つの移行部分117の間に配置されている)は、平面であり、平面P3の中に延在している。それによって、第3のリング溝部パーツ57の外側部分115に沿って、バックガスケット溝部51の深さは、バックガスケット溝部51の横断方向延在に沿って本質的に一定である。ここで、深さは、平面P1に対して垂直に測定される、溝部底部と平面P1との間の距離に等しい。
【0044】
上述のように、ガスケット付きプレート熱交換器では、熱伝達プレート1のような複数の熱伝達プレートが、プレートパックの中に整列されている(ここでは、互いに「回転させられている」)。熱伝達プレートのそれぞれの2つの隣接するものの間には、図8図12に図示されているようなゴムガスケット2が配置されている。図8において配向されているようなガスケット2は、図1において配向されているような熱伝達プレート1の上に配置されている。より具体的には、ガスケット2は、プレート1のフロントガスケット溝部43の中に収容されており、ガスケット2の環状のガスケットパーツ4が、環状のフロント溝部パーツ45の中に受け入れられるようになっており、一方では、ガスケット2の環状の第2のリングガスケットパーツ6および環状の第4のリングガスケットパーツ8が、第2のリング溝部パーツ47および第4のリング溝部パーツ49の中にそれぞれ受け入れられるようになっている。図8を参照すると、環状のガスケットパーツ4および第2のリングガスケットパーツ6は、第2の中間スペース10によって分離されており、一方では、環状のガスケットパーツ4および第4のリングガスケットパーツ8は、第4の中間スペース12によって分離されている。しかし、図8に図示されているように、第2および第4のリングガスケットパーツ6および8は、第2および第4の中間スペース10および12を橋渡しする複数のジョイント14によって、環状のガスケットパーツ4に接続されている。ジョイント14は、本発明の代替的な実施形態において省略されることが可能である。環状のガスケットパーツ4の上側半分および第2のリングガスケットパーツ6は、ガスケット2の横断方向中心軸線TGに平行に、環状のガスケットパーツ4の下側半分および第4のリングガスケットパーツ8の鏡像である。
【0045】
ガスケット2の局所的な横断方向断面を図示する図9図12を参照すると、ガスケット2は、環状のガスケットパーツ4、第2のリングガスケットパーツ6、および第4のリングガスケットパーツ8に沿って延在する細長い本体部16を含む。本体部16は、本質的に平面の上側サイド18と、対向する本質的に平面の下側サイド20とを含み、下側サイド20は、プレート1のフロントサイド3に面するように配置されている。ガスケット本体部16の厚さは、本体部16の上側サイド18と下側サイド20との間の距離に等しい。
【0046】
ガスケット2の設計は、プレート1の設計に適合されており、その逆もまた同様である。したがって、ガスケット本体部16の上側および下側サイド18および20は、本質的に、環状のガスケットパーツ4の全長に沿って、互いに平行に、および、ガスケット本体部16の第1の中央平面C1に平行に延在している。それによって、本質的に、環状のガスケットパーツ4の全長に沿って、ガスケット本体部16の厚さは、環状のガスケットパーツ4の異なる長手方向断面の中で厚さが変化する可能性があるとしても、ガスケット本体部16の横断方向延在に沿って本質的に一定である。例として、熱伝達プレート1の2つの対向する長辺に沿って延在するように配置されている環状のガスケットパーツ4の部分に沿ったガスケット本体部16の厚さは、第2および第4のリングガスケットパーツ6および8の内側に延在する環状のガスケットパーツ4の上側および下側の斜めの部分22および24に沿ったガスケット本体部16の厚さとは異なることが可能である。さらに、第2の中間スペース10を画定する上側ガスケット部分26(ここでは、第2のリングガスケットパーツ6の内側部分28(図8における太字の参照番号))に沿って、ガスケット本体部16の上側サイド18は、第1の中央平面C1に対して角度θ(それは、ここでは、2度に等しい)だけ傾斜されており、一方では、ガスケット本体部16の下側サイド20は、第1の中央平面C1に対して角度μ(それは、ここでは、2度に等しい)だけ傾斜されている。それによって、ガスケット本体部16の(第2のリングガスケットパーツ6の内側部分28の中の)厚さは、上側の斜めの部分22に向かう方向に線形に徐々に増加している。第2のリングガスケットパーツ6の外側部分30(その外側部分30は、第2のリングガスケットパーツ6の2つの移行部分32の間に配置されている)に沿って、ガスケット本体部16の上側および下側サイド18および20は、互いに平行に延在しており、ガスケット本体部16の横断方向延在に沿って本質的に一定の厚さをガスケット本体部16に与えるようになっている。さらに、第4の中間スペース12を画定する下側ガスケット部分34(ここでは、第4のリングガスケットパーツ8の内側部分36(図8における太字の参照番号))に沿って、ガスケット本体部16の上側サイド18は、第1の中央平面C1に対して角度Φ(それは、ここでは、2度に等しい)だけ傾斜されており、一方では、ガスケット本体部16の下側サイド20は、第1の中央平面C1に対して角度π(それは、ここでは、2度に等しい)だけ傾斜されている。それによって、ガスケット本体部16の(第4のリングガスケットパーツ8の内側部分36の中の)厚さは、下側の斜めの部分24に向かう方向に線形に徐々に増加している。第4のリングガスケットパーツ8の外側部分38(その外側部分38は、第4のリングガスケットパーツ8の2つの移行部分40の間に配置されている)に沿って、ガスケット本体部16の上側および下側サイド18および20は、互いに平行に延在しており、ガスケット本体部16の横断方向延在に沿って本質的に一定の厚さをガスケット本体部16に与えるようになっている。
【0047】
本体部16の他に、ガスケット2は、本体部16の上側サイド18から突出する細長い上側突出部42と、本体部16の下側サイド20から突出する細長い下側突出部44とをさらに含む。上側突出部42は、環状のガスケットパーツ4、第2のリングガスケットパーツ6、および第4のリングガスケットパーツ8に沿って延在しており、一方では、下側突出部44は、第2および第4のリングガスケットパーツ6、8の内側部分28および36のみに沿って延在している。対向する上側および下側突出部42および44は、第2の中央平面C2からオフセットされて配置されており、第2の中央平面C2は、第1の中央平面C1と直交している。ガスケット2の環状のガスケットパーツ4の中では、上側突出部42は、環状のガスケットパーツ4の内周部46に向けて変位されており、ガスケット2の第2のリングガスケットパーツ6の中では、上側および下側突出部42および44は、第2のリングガスケットパーツ6の内周部48に向けて変位されており、ガスケット2の第4のリングガスケットパーツ8の中では、上側および下側突出部42および44は、第4のリングガスケットパーツ8の内周部50に向けて変位されている。
【0048】
図21および図22は、熱伝達プレートの一方が他方の熱伝達プレートに対して回転させられている状態で、ガスケット2が本発明による2つの熱伝達プレート1の間に配置されているときに、本発明によるガスケット2の第2のリングガスケットパーツ6の内側部分28における断面において、どのように見えるかを図示している。次いで、図1図2図5、および図8を参照すると、ガスケット2の第2のリングガスケットパーツ6の内側部分28は、下側熱伝達プレート1のフロントガスケット溝部43の第2のリング溝部パーツ47の内側部分73と、上側熱伝達プレート1のバックガスケット溝部51の第3のリング溝部パーツ57の内側部分111との間に配置されている。図21は、プレート1が互いに対してプレスされていないときにどのように見えるか、プレートの変化するガスケット溝部深さ、および、ガスケット本体部の変化する厚さを図示している。図22は、プレートが互いに対してプレスされているときにどのように見えるか、変化するガスケット溝部深さを打ち消すことで生じるプレート変形、および、変化するガスケット本体部厚さを打ち消すことで生じるガスケット変形を図示している。図19および図20は、図21および図22と同じものを図示しているが、先行技術のガスケットおよび2つの先行技術のプレートに関するものである。先行技術のガスケットおよびプレートは、「事前に変形させられ」ておらず、それは、プレートが互いに対してプレスされるときに、望まれないガスケットおよびプレートの変形を結果として生じさせ、結果的に、ガスケットの両側のプレート間の距離の変化を結果として生じさせる。
【0049】
図8から図12に図示されているガスケット2は、図1による2つの熱伝達プレート1の間に位置決めされるように配置されているが、図13図18に図示されているようなガスケット52は、プレートパックの最も外側の熱伝達プレート1とガスケット付きプレート熱交換器のエンドプレートとの間に位置決めされるように配置されている。ガスケット2および52は、多くの側面において類似しており、上記の説明のほとんどは、適切な調節を伴えば、ガスケット52に関しても有効である。しかし、ガスケット2とガスケット52との間にいくつかの相違点が存在している。たとえば、環状のガスケットパーツ4の延在は、ガスケット2とガスケット52との間で異なっており、ガスケット52の環状のガスケットパーツ4は、ガスケット本体部16から突出する突出部を欠いており、ガスケット52のガスケット本体部16は、ガスケット2のガスケット本体部16の半分と同様であり、ガスケット52は、第2および第4のリングガスケットパーツ6および8の他に、第1および第3のリングガスケットパーツ54および56を含む。以降では、最後に挙げられた相違点が、焦点を当てられることとなる。
【0050】
第1のリングガスケットパーツ54の内側部分58に沿って、ガスケット本体部16の下側サイド20は、ガスケット本体部16の上側サイド18に対してある角度(ここでは、2度)だけ傾斜されている。それによって、ガスケット本体部16の(第1のリングガスケットパーツ54の内側部分58の中の)厚さは、第1のリングガスケットパーツ54の外側部分60に向かう方向に線形に徐々に増加している。第1のリングガスケットパーツ54の外側部分60の中では、ガスケット本体部16の上側および下側サイド18および20は、互いに平行に延在しており、ガスケット本体部16の横断方向延在に沿って本質的に一定の厚さをガスケット本体部16に与えるようになっている。さらに、第3のリングガスケットパーツ56の内側部分62に沿って、ガスケット本体部16の下側サイド20は、ガスケット本体部16の上側サイド18に対してある角度(ここでは、2度)だけ傾斜されている。それによって、ガスケット本体部16の(第3のリングガスケットパーツ56の内側部分62の中の)厚さは、第3のリングガスケットパーツ56の外側部分64に向かう方向に線形に徐々に増加している。第3のリングガスケットパーツ56の外側部分64の中では、ガスケット本体部16の上側および下側サイド18および20は、互いに平行に延在しており、ガスケット本体部16の横断方向延在に沿って本質的に一定の厚さをガスケット本体部16に与えるようになっている。上側突出部42は、第1および第3のリングガスケットパーツ54および56に沿って、内向きにオフセットされて延在しており、下側突出部44は、第1および第3のリングガスケットパーツ54および56の内側部分58および62に沿って、内向きにオフセットされて延在している。
【0051】
上記のように、熱伝達プレートのプレス加工深さは、ポートホールの周りで変化され、部分的に傾斜された底部を有するリング溝部パーツを実現するようになっている。さらに、ガスケットの設計は、部分的に半径方向にテーパー付きのリングガスケット本体部を実現するように変化される。リング溝部パーツプレス加工深さおよびリングガスケット本体部厚さを変化させる代わりに、または、それに加えて、プレス加工深さおよびガスケット本体部厚さは、本発明によれば、それぞれ、他のプレートエリアおよびガスケットエリアの中で変化されることが可能である。以降では、本発明の代替的な実施形態による熱伝達プレート1およびガスケット2が説明されることとなる。このプレートおよびこのガスケット(それらは、本質的に、図1および図8にそれぞれ図示されているように設計されている)は、多くの側面において、上記に説明されているプレート1およびガスケット2と同様であり、上記の説明の大部分は、このプレートおよびこのガスケットに関しても有効である。したがって、不必要な繰り返しを回避するために、代替的な実施形態の相違点が、下記において焦点を当てられている。
【0052】
図23図28は、代替的な実施形態によるプレート1を図示している。より具体的には、図23および図26は、フロントガスケット溝部43のフロントサイドを図示しており、図25および図28は、フロントガスケット溝部43の局所的な断面を図示している。フロントガスケット溝部43の上側フロント溝部部分71の底部67u(ここでは、環状のフロント溝部パーツ45の上側の斜めの部分45u)は、平面であり、仮想の下側平面P1と上側平面P2との間に配置されている仮想の平面P3に対して角度α(それは、ここでは、4度に等しい)だけ傾斜されている。同様に、フロントガスケット溝部43の下側フロント溝部部分83の底部67l(ここでは、環状のフロント溝部パーツ45の下側の斜めの部分45l)は、平面であり、平面P3に対して角度β(それは、ここでは、4度に等しい)だけ傾斜されている。それによって、環状のフロント溝部パーツ45の(その上側および下側の斜めの部分45uおよび45lの中の)深さは、第2および第4のポートホール11および23に向かう方向に線形に徐々に増加している。上側および下側の斜めの部分45uおよび45lの外側の環状のフロント溝部パーツ45の底部67、ならびに、本明細書で図示またはさらに説明されていない移行部分は、平面であり、平面P3の中に延在しており、フロントガスケット溝部43の横断方向延在に沿って本質的に一定の深さを環状のフロント溝部パーツ45に与えている。さらに、第2のリング溝部パーツ47の内側および外側部分73および77の底部69および75、ならびに、第4のリング溝部パーツ49の内側および外側部分85および89の底部81および87は、平面であり、平面P3の中に延在している。それによって、第2および第4のリング溝部パーツ47および49に沿って、フロントガスケット溝部43の深さは、フロントガスケット溝部43の横断方向延在に沿って本質的に一定である。
【0053】
図23および図26は、バックガスケット溝部51のバックサイドを図示しており、図24および図27は、バックガスケット溝部51の局所的な断面を図示している。バックガスケット溝部51の上側バック溝部部分97の底部93u(ここでは、環状のバック溝部パーツ53の上側の斜めの部分53u)は、平面であり、平面P3に対して角度γ(それは、ここでは、4度に等しい)だけ傾斜されている。同様に、バックガスケット溝部51の下側バック溝部部分109の底部93l(ここでは、環状のバック溝部パーツ53の下側の斜めの部分53l)は、平面であり、傾斜されている平面P3に対して角度Ω(それは、ここでは、4度に等しい)だけ傾斜されている。それによって、環状のバック溝部パーツ53の(その上側および下側の斜めの部分53uおよび53lの中の)深さは、第1および第3のポートホール9および21に向かう方向に線形に徐々に増加している。上側および下側の斜めの部分53uおよび53lの外側の環状のバック溝部パーツ53の底部93、ならびに、本明細書で図示またはさらに説明されていない移行部分は、平面であり、平面P3の中に延在しており、バックガスケット溝部51の横断方向延在に沿って本質的に一定の深さを環状のバック溝部パーツ53に与えている。さらに、第1のリング溝部パーツ55の内側および外側部分99および103の底部95および101、ならびに、第3のリング溝部パーツ57の内側および外側部分111および115の底部107および113は、平面であり、平面P3の中に延在している。それによって、第1および第3のリング溝部パーツ55および57に沿って、バックガスケット溝部51の深さは、バックガスケット溝部51の横断方向延在に沿って本質的に一定である。
【0054】
図29および図30は、代替的な実施形態によるガスケット2の局所的な横断方向断面を図示している。図29は、ガスケット2の環状のガスケットパーツ4の上側および下側の斜めの部分22および24の中の断面を図示しており、一方では、図30は、ガスケット2の本質的に残りの部分の中の断面を図示している。図29および図30に図示されているガスケット2の設計は、図23図28に図示されているプレート1の設計に適合されており、その逆もまた同様である。したがって、図8も参照すると、図29に図示されているように、第2の中間スペース10(ここでは、環状のガスケットパーツ4の上側の斜めの部分22(図8における太字でない参照番号))を画定する上側ガスケット部分26に沿って、ガスケット本体部16の上側サイド18は、第1の中央平面C1に対して角度θ(それは、ここでは、6度に等しい)だけ傾斜されており、一方では、ガスケット本体部16の下側サイド20は、第1の中央平面C1に対して角度μ(それは、ここでは、4度に等しい)だけ傾斜されている。同様に、図29に図示されているように、第4の中間スペース12(ここでは、環状のガスケットパーツ4の下側の斜めの部分24(図8における太字でない参照番号))を画定する下側ガスケット部分34に沿って、ガスケット本体部16の上側サイド18は、第1の中央平面C1に対して角度Φ(それは、ここでは、6度に等しい)だけ傾斜されており、一方では、ガスケット本体部16の下側サイド20は、第1の中央平面C1に対して角度π(それは、4度に等しい)だけ傾斜されている。それによって、ガスケット本体部16の(環状のガスケットパーツ4の上側および下側の斜めの部分22および24の中の)厚さは、第2および第4のリングガスケットパーツ6および8(図8)に向かう方向に線形に徐々に増加している。図30に図示されているように、環状のガスケットパーツ4の上側および下側の斜めの部分22および24の外側、ならびに、本明細書で図示またはさらに説明されていない移行部分では、ガスケット本体部16の上側および下側サイド18および20は、互いに平行に延在しており、また、ガスケット本体部16の第1の中央平面C1に平行に延在しており、ガスケット本体部16の横断方向延在に沿って本質的に一定の厚さをガスケット本体部16に与えている。さらに、第2および第4のリングガスケットパーツ6および8に沿って、ガスケット本体部16の上側および下側サイド18および20は、互いに平行に延在しており、また、ガスケット本体部16の第1の中央平面C1に平行に延在しており、ガスケット本体部16の横断方向延在に沿って本質的に一定の厚さをガスケット本体部16に与えている。
【0055】
本体部16の他に、代替的な実施形態によるガスケット2は、本体部16の上側サイド18から突出する3つの細長い上側突出部42a、42b、および42cをさらに含むが、本体部16の下側サイド20から突出する突出部はない。上側突出部42a、42b、および42cは、互いに沿って、および、本体部16の全長に沿って延在している。上側突出部のうちの1つ42bは、ガスケット本体部16の第2の中央平面C2と整列されて配置されており、一方では、残りの2つの上側突出部42aおよび42cは、上側突出部42bの両側に配置されている。
【0056】
図31は、熱伝達プレートの一方が他方の熱伝達プレートに対して回転させられている状態で、ガスケット2が代替的な実施形態による2つの熱伝達プレート1の間でプレスされているときに、代替的な実施形態によるガスケット2の上側の斜めの部分22における断面において、どのように見えるかを図示している。次いで、図8図23、および図26を参照すると、ガスケット2の上側の斜めの部分22は、下側熱伝達プレート1のフロントガスケット溝部43の環状のフロント溝部パーツ45の上側の斜めの部分45uと、上側熱伝達プレート1のバックガスケット溝部51の環状のバック溝部パーツ53の下側の斜めの部分53lとの間に配置されている。プレス加工の前に存在しており、プレス加工の後に残っている、傾斜されているガスケット溝部底部およびテーパー付きのガスケット本体部は、特に、熱伝達プレート間に形成されたチャネルの内側の媒体圧力に起因して、プレート分離のリスクがとりわけ高いポイントPにおいて、所望の接触エリアにおける2つの熱伝達プレートの間の接触を確実にすることが可能である。
【0057】
上記に説明されている本発明の実施形態は、単に例として見られるべきである。説明されている実施形態は、本発明概念から逸脱することなく、変更され、複数の方式で組み合わされることが可能であるということを当業者は認識する。
【0058】
上記に説明されている実施形態では、ガスケット本体部16の上側および下側サイド18および20は、ともに、ガスケット2の上側および下側ガスケット部分26および34の中で傾斜され、ガスケット本体部16の変化する厚さを実現する。当然のことながら、変化する本体部厚さは、その代わりに、上側および下側サイド18および20のうちの一方のみを傾斜させることによって実現されることも可能である。
【0059】
さらに、上記に説明されている実施形態では、ガスケット本体部の上側および下側サイドは、ガスケットの上側および下側ガスケット部分の中で同じ1つの角度/複数の角度で傾斜されている。これは、代替的な実施形態では、そうである必要がない。
【0060】
上記に説明されている実施形態では、上側および下側フロント溝部部分の底部、ならびに、上側および下側バック溝部部分の底部は、変化する溝部深さを実現するためにすべて傾斜されている。代替的な実施形態によれば、上側および下側フロント溝部部分または上側および下側バック溝部部分のいずれかの底部のみが傾斜されている。
【0061】
さらに、上記に説明されている実施形態では、上側および下側フロント溝部部分の底部、ならびに、上側および下側バック溝部部分の底部は、同じ角度ですべて傾斜されている。これは、代替的な実施形態では、そうである必要がない。
【0062】
ガスケット溝部深さを規定するために上記で使用されている仮想の平面P3は、平面P1と平面P2との間の中間に配置されてもよく、または、配置されなくてもよい。代替的な実施形態によれば、平面P3は、仮想の下側平面P1と一致することも可能である。
【0063】
上側および下側フロント溝部部分、上側および下側バック溝部部分、ならびに、上側および下側ガスケット部分の境界は、溝部深さおよびガスケット本体部厚さが変化されるエリアを再位置決めするか、低減させるか、または拡張させるように、無限に変化されることが可能である。例として、溝部深さおよびガスケット本体部厚さは、それぞれ、リング溝部パーツおよびリングガスケットパーツ全体の中で変化されることが可能である。
【0064】
ガスケットの上側および下側突出部の数、延在、設計、および/または位置決めは、無限に変化されることが可能である。
【0065】
上記に説明されている実施形態では、プレートパックの熱伝達プレートおよび熱伝達プレート間のガスケットは、すべて同様であるが、これは必須ではない。例として、代替的なプレートパックにおいて、異なって構成された熱伝達パターンを有するプレートなどのような、異なるタイプのプレートが組み合わされることが可能である。
【0066】
熱伝達プレートは、長方形である必要はなく、直角の代わりに丸みを帯びた角部を有する本質的に長方形、円形、または楕円形などのような、他の形状を有することも可能である。プレートのポートホールは、図面に図示されているもの以外の形態(たとえば、円形形態など)を有することが可能である。熱伝達プレートは、ステンレス鋼から作製される必要はなく、他の材料(たとえば、チタンまたはアルミニウムなど)から作製されることも可能である。同様に、ガスケットは、ゴムから作製される必要はない。
【0067】
本発明の熱伝達プレートは、ガスケット付きのもの以外のタイプのプレート熱交換器(たとえば、半溶接されたプレート熱交換器)とともに使用されることが可能である。さらに、プレートパックの中のプレートは、互いに対して「回転させられる」代わりに、「ひっくり返される」ことが可能である。
【0068】
熱伝達プレートは、ヘリンボーンタイプの熱伝達パターンおよび板チョコレートタイプの分配パターンを有する必要はなく、他のパターン(対称パターンと非対称パターンの両方)を有することも可能である。
【0069】
フロント、バック、上側、下側、第1の、第2の、第3のなどの属性は、単に、詳細同士を区別するためだけに使用されており、詳細同士の任意の種類の配向または相互の順序を表現するために使用されてはいないということが強調される。
【0070】
さらに、本発明に関係しない詳細の説明は省略されているということ、および、図は、単に概略的なものであるに過ぎず、正しい縮尺にしたがって描かれていないということが強調される。また、図のうちのいくつかは他のものよりも簡単化されていると言える。したがって、いくつかのコンポーネントは、1つの図に図示されているが、別の図では省略されている可能性がある。
【符号の説明】
【0071】
1 プレート
2 ガスケット
3 フロントサイド
4 環状のガスケットパーツ
5 バックサイド
6 第2のリングガスケットパーツ
7 上側端部部分
8 第4のリングガスケットパーツ
9 第1のポートホール
10 第2の中間スペース
11 第2のポートホール
12 第4の中間スペース
13 上側分配エリア
14 ジョイント
15 第1の断熱エリア
16 ガスケット本体部
17 第2の断熱エリア
18 上側サイド
19 下側端部部分
20 下側サイド
21 第3のポートホール
22 上側の斜めの部分
23 第4のポートホール
24 下側の斜めの部分
25 下側分配エリア
26 上側ガスケット部分
27 第3の断熱エリア
28 内側部分
29 第4の断熱エリア
30 外側部分
31 中央部分
32 移行部分
33 熱伝達エリア
34 下側ガスケット部分
35 外側縁部部分
36 内側部分
37 上側境界線
38 外側部分
39 下側境界線
40 移行部分
41 コルゲーション
42 上側突出部
42a、42b、42c 上側突出部
43 フロントガスケット溝部
44 下側突出部
45 環状のフロント溝部パーツ
45u 上側の斜めの部分
45l 下側の斜めの部分
46 内周部
47 第2のリング溝部パーツ
48 内周部
49 第4のリング溝部パーツ
50 内周部
51 バックガスケット溝部
52 ガスケット
53 環状のバック溝部パーツ
53u 上側の斜めの部分
53l 下側の斜めの部分
54 第1のリングガスケットパーツ
55 第1のリング溝部パーツ
56 第3のリングガスケットパーツ
57 第3のリング溝部パーツ
58 内側部分
59 環状の第1の内側縁部
60 外側部分
61 第3の内側縁部
62 内側部分
63 環状の第2の内側縁部
64 外側部分
65 環状の第4の内側縁部
67 底部
67u 底部
67l 底部
69 底部
71 上側フロント溝部部分
73 内側部分
75 底部
77 外側部分
79 移行部分
81 底部
83 下側フロント溝部部分
85 内側部分
87 底部
89 外側部分
91 移行部分
93 底部
93u 底部
93l 底部
95 底部
97 上側バック溝部部分
99 内側部分
101 底部
103 外側部分
105 移行部分
107 底部
109 下側バック溝部部分
111 内側部分
113 底部
115 外側部分
117 移行部分
C1 第1の中央平面
C2 第2の中央平面
LP プレートの長手方向中心軸線
P プレート分離のリスクがとりわけ高いポイント
P1 仮想の下側平面
P2 仮想の上側平面
P3 仮想の平面
TP プレートの横断方向中心軸線
TG ガスケットの横断方向中心軸線
α 角度
β 角度
γ 角度
Ω 角度
θ 角度
μ 角度
Φ 角度
π 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
【手続補正書】
【提出日】2023-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝達プレート(1)であって、前記熱伝達プレート(1)は、前記熱伝達プレート(1)の長手方向中心軸線(LP)に沿って連続して配置されている、上側端部部分(7)と、中央部分(31)と、下側端部部分(19)とを含み、前記上側端部部分(7)は、第1のポートホール(9)および第2のポートホール(11)と、上側分配コルゲーションパターンを有している上側分配エリア(13)とを含み、前記下側端部部分(19)は、第3のポートホール(21)および第4のポートホール(23)と、下側分配コルゲーションパターンを有している下側分配エリア(25)とを含み、前記中央部分(31)は、熱伝達エリア(33)を含み、前記熱伝達エリア(33)は、前記上側分配コルゲーションパターンおよび前記下側分配コルゲーションパターンとは異なる熱伝達コルゲーションパターンを有しており、前記熱伝達プレート(1)は、そのフロントサイド(3)において、フロントガスケット溝部(43)をさらに含み、前記フロントガスケット溝部(43)は、前記熱伝達エリア(33)、前記上側分配エリア(13)および前記下側分配エリア(25)、ならびに前記第1のポートホール(9)および前記第3のポートホール(21)の周りに延在する環状のフロント溝部パーツ(45)と、前記第2のポートホール(11)を囲む第2のリング溝部パーツ(47)と、前記第4のポートホール(23)を囲む第4のリング溝部パーツ(49)とを含み、前記上側端部部分(7)は、前記環状のフロント溝部パーツ(45)と前記第2のリング溝部パーツ(47)との間に延在する第2の断熱エリア(17)をさらに含み、前記下側端部部分(19)は、前記環状のフロント溝部パーツ(45)と前記第4のリング溝部パーツ(49)との間に延在する第4の断熱エリア(29)をさらに含み、前記フロントガスケット溝部(43)の上側フロント溝部部分(71)が、前記第2のポートホール(11)と前記上側分配エリア(13)との間に延在しており、底部(67u、69)を含み、前記フロントガスケット溝部(43)の下側フロント溝部部分(83)が、前記第4のポートホール(23)と前記下側分配エリア(25)との間に延在しており、底部(67l、81)を含む、熱伝達プレート(1)において、前記上側フロント溝部部分(71)の前記底部(67u、69)は、傾斜されており、前記フロントガスケット溝部(43)の深さが、前記上側フロント溝部部分(71)の中で、前記第2の断熱エリア(17)に向かう方向に増加するようになっており、前記下側フロント溝部部分(83)の前記底部(67l、81)は、傾斜されており、前記フロントガスケット溝部(43)の深さが、前記下側フロント溝部部分(83)の中で、前記第4の断熱エリア(29)に向かう方向に増加するようになっていることを特徴とする、熱伝達プレート(1)。
【請求項2】
前記熱伝達プレート(1)は、そのバックサイド(5)において、バックガスケット溝部(51)をさらに含み、前記バックガスケット溝部(51)は、前記熱伝達エリア(33)、前記上側分配エリア(13)および前記下側分配エリア(25)、ならびに前記第2のポートホール(11)および前記第4のポートホール(23)の周りに延在する環状のバック溝部パーツ(53)と、前記第1のポートホール(9)を囲む第1のリング溝部パーツ(55)と、前記第3のポートホール(21)を囲む第3のリング溝部パーツ(57)とを含み、前記上側端部部分(7)は、前記環状のバック溝部パーツ(53)と前記第1のリング溝部パーツ(55)との間に延在する第1の断熱エリア(15)をさらに含み、前記下側端部部分(19)は、前記環状のバック溝部パーツ(53)と前記第3のリング溝部パーツ(57)との間に延在する第3の断熱エリア(27)をさらに含み、前記バックガスケット溝部(51)の上側バック溝部部分(97)が、前記第1のポートホール(9)と前記上側分配エリア(13)との間に延在しており、底部(93u、95)を含み、前記バックガスケット溝部(51)の下側バック溝部部分(109)が、前記第3のポートホール(21)と前記下側分配エリア(25)との間に延在しており、底部(93l、107)を含み、前記上側バック溝部部分(97)の前記底部(93u、95)は、傾斜されており、前記バックガスケット溝部(51)の深さが、前記上側バック溝部部分(97)の中で、前記第1の断熱エリア(15)に向かう方向に増加するようになっており、前記下側バック溝部部分(109)の前記底部(93l、107)は、傾斜されており、前記バックガスケット溝部(51)の深さが、前記下側バック溝部部分(109)の中で、前記第3の断熱エリア(27)に向かう方向に増加するようになっている、請求項1に記載の熱伝達プレート(1)。
【請求項3】
前記フロントガスケット溝部(43)の前記深さは、前記上側フロント溝部部分(71)および前記下側フロント溝部部分(83)の中で、前記フロントガスケット溝部(43)の前記上側フロント溝部部分(71)および前記下側フロント溝部部分(83)の横断方向延在に沿って徐々に増加している、請求項1または2に記載の熱伝達プレート(1)。
【請求項4】
前記上側フロント溝部部分(71)の前記底部(67u、69)および前記下側フロント溝部部分(83)の前記底部(67l、81)は、平面である、請求項1または2に記載の熱伝達プレート(1)。
【請求項5】
前記フロントガスケット溝部(43)の前記上側フロント溝部部分(71)は、前記フロントガスケット溝部(43)の前記環状のフロント溝部パーツ(45)の上側の斜めの部分(45u)の中に含まれており、前記上側の斜めの部分(45u)は、前記第2の断熱エリア(17)と前記上側分配エリア(13)との間に延在しており、前記フロントガスケット溝部(43)の前記下側フロント溝部部分(83)は、前記フロントガスケット溝部(43)の前記環状のフロント溝部パーツ(45)の下側の斜めの部分(45l)の中に含まれており、前記下側の斜めの部分(45l)は、前記第4の断熱エリア(29)と前記下側分配エリア(25)との間に延在している、請求項1または2に記載の熱伝達プレート(1)。
【請求項6】
前記フロントガスケット溝部(43)の前記上側フロント溝部部分(71)は、前記フロントガスケット溝部(43)の前記第2のリング溝部パーツ(47)の内側部分(73)の中に含まれており、前記内側部分(73)は、前記第2のポートホール(11)と前記第2の断熱エリア(17)との間に延在しており、前記フロントガスケット溝部(43)の前記下側フロント溝部部分(83)は、前記フロントガスケット溝部(43)の前記第4のリング溝部パーツ(49)の内側部分(85)の中に含まれており、前記内側部分(85)は、前記第4のポートホール(23)と前記第4の断熱エリア(29)との間に延在している、請求項1または2に記載の熱伝達プレート(1)。
【請求項7】
前記第2のリング溝部パーツ(47)の底部(69、75)は、前記第2のポートホール(11)を画定する環状の第2の内側縁部(63)を含み、前記第4のリング溝部パーツ(49)の底部(81、87)は、前記第4のポートホール(23)を画定する環状の第4の内側縁部(65)を含む、請求項1または2に記載の熱伝達プレート(1)。
【請求項8】
プレート熱交換器のためのガスケット(2)であって、前記ガスケット(2)は、環状のガスケットパーツ(4)と、環状の第2のリングガスケットパーツ(6)と、環状の第4のリングガスケットパーツ(8)とを含み、前記第2のリングガスケットパーツ(6)および前記第4のリングガスケットパーツ(8)は、前記環状のガスケットパーツ(4)の外側に、および、前記環状のガスケットパーツ(4)の両側に配置されており、前記第2のリングガスケットパーツ(6)および前記環状のガスケットパーツ(4)は、第2の中間スペース(10)によって分離されており、前記第4のリングガスケットパーツ(8)および前記環状のガスケットパーツ(4)は、第4の中間スペース(12)によって分離されており、前記ガスケット(2)の上側ガスケット部分(26)が、前記第2の中間スペース(10)を限定しており、前記ガスケット(2)の下側ガスケット部分(34)が、前記第4の中間スペース(12)を限定しており、前記ガスケット(2)は、本体部(16)を含み、前記本体部(16)は、完全な環状の前記第2のリングおよび第4のリングガスケットパーツ(4、6、8)に沿って延在しており、上側サイド(18)および対向する下側サイド(20)を含み、前記上側サイド(18)および前記下側サイド(20)は、前記本体部(16)の厚さを画定している、ガスケット(2)において、前記ガスケット(2)の前記本体部(16)の前記厚さは、前記上側ガスケット部分(26)の中で、前記第2の中間スペース(10)に向かう方向に増加しており、および前記下側ガスケット部分(34)の中で、前記第4の中間スペース(12)に向かう方向に増加していることを特徴とする、ガスケット(2)。
【請求項9】
前記ガスケット(2)の前記本体部(16)の前記厚さは、前記上側ガスケット部分(26)および前記下側ガスケット部分(34)の中で、前記ガスケット(2)の前記上側ガスケット部分(26)および前記下側ガスケット部分(34)の横断方向延在に沿って徐々に増加している、請求項8に記載のガスケット(2)。
【請求項10】
前記本体部(16)の前記上側サイド(18)および前記下側サイド(20)は、本質的に平面である、請求項8または9に記載のガスケット(2)。
【請求項11】
前記ガスケット(2)の前記上側ガスケット部分(26)は、前記ガスケット(2)の前記環状のガスケットパーツ(4)の上側の斜めの部分(22)の中に含まれており、前記上側の斜めの部分(22)は、前記ガスケット(2)の前記第2のリングガスケットパーツ(6)の内側に延在しており、前記ガスケット(2)の前記下側ガスケット部分(34)は、前記ガスケット(2)の前記環状のガスケットパーツ(4)の下側の斜めの部分(24)の中に含まれており、前記下側の斜めの部分(24)は、前記ガスケット(2)の前記第4のリングガスケットパーツ(8)の内側に延在している、請求項8または9に記載のガスケット(2)。
【請求項12】
前記ガスケット(2)の前記上側ガスケット部分(26)は、前記ガスケット(2)の前記第2のリングガスケットパーツ(6)の内側部分(28)の中に含まれており、前記内側部分(28)は、前記ガスケット(2)の前記第2のリングガスケットパーツ(6)の外側部分(30)と前記ガスケット(2)の前記環状のガスケットパーツ(4)の上側の斜めの部分(22)との間に延在しており、前記上側の斜めの部分(22)は、前記ガスケット(2)の前記第2のリングガスケットパーツ(6)の内側に延在しており、前記ガスケット(2)の前記下側ガスケット部分(34)は、前記ガスケット(2)の前記第4のリングガスケットパーツ(8)の内側部分(36)の中に含まれており、前記内側部分(36)は、前記ガスケット(2)の前記第4のリングガスケットパーツ(8)の外側部分(38)と前記ガスケット(2)の前記環状のガスケットパーツ(4)の下側の斜めの部分(24)との間に延在しており、前記下側の斜めの部分(24)は、前記ガスケット(2)の前記第4のリングガスケットパーツ(8)の内側に延在している、請求項8または9に記載のガスケット(2)。
【請求項13】
前記ガスケット(2)は、少なくとも1つの細長い突出部(42、42a、42b、42c、44)をさらに含み、前記少なくとも1つの細長い突出部(42、42a、42b、42c、44)は、前記本体部(16)の前記上側サイド(18)および前記下側サイド(20)のうちの一方から突出しており、前記ガスケット(2)の少なくとも前記上側ガスケット部分(26)および前記下側ガスケット部分(34)に沿って延在している、請求項8または9に記載のガスケット(2)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの細長い突出部(42、42a、42c、44)は、前記本体部(16)の第2の中央平面(C2)からオフセットされて配置されている、請求項13に記載のガスケット(2)。
【請求項15】
前記ガスケット(2)の前記本体部(16)の前記第2の中央平面(C2)は、前記少なくとも1つの突出部(42、42a、42b、42c、44)と前記上側ガスケット部分(26)の中の前記第2の中間スペース(10)との間に配置されており、および前記少なくとも1つの突出部(42、42a、42b、42c、44)と前記下側ガスケット部分(34)の中の前記第4の中間スペース(12)との間に配置されている、請求項13記載のガスケット(2)。
【国際調査報告】