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特表2024-514986P507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出方法及び抽出装置
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  • 特表-P507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出方法及び抽出装置 図1
  • 特表-P507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出方法及び抽出装置 図2
  • 特表-P507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出方法及び抽出装置 図3
  • 特表-P507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出方法及び抽出装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】P507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出方法及び抽出装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 11/04 20060101AFI20240327BHJP
   H01M 10/54 20060101ALI20240327BHJP
   C01D 15/08 20060101ALI20240327BHJP
   C22B 26/12 20060101ALI20240327BHJP
   C22B 3/44 20060101ALI20240327BHJP
   C22B 3/26 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
B01D11/04 B
H01M10/54
C01D15/08
C22B26/12
C22B3/44 101A
C22B3/26
C22B3/44 101Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502242
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 CN2022087892
(87)【国際公開番号】W WO2022228233
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】202110446038.1
(32)【優先日】2021-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518458056
【氏名又は名称】湖南金源新材料股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】劉訓兵
(72)【発明者】
【氏名】彭燦
(72)【発明者】
【氏名】劉振
(72)【発明者】
【氏名】周群成
(72)【発明者】
【氏名】王子
(72)【発明者】
【氏名】董雄武
(72)【発明者】
【氏名】呉山木
(72)【発明者】
【氏名】欧陽剣君
【テーマコード(参考)】
4D056
4K001
5H031
【Fターム(参考)】
4D056AB07
4D056AC02
4D056BA04
4D056CA20
4D056CA27
4D056CA33
4D056CA39
4D056CA40
4D056DA01
4D056DA10
4K001AA34
4K001BA19
4K001DB22
4K001DB23
4K001DB26
4K001DB34
5H031RR02
(57)【要約】
P507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出方法及び装置を提供し、非鉄金属
の湿式冶金の技術分野に属し、特にリチウムイオン抽出精製及び濃縮結晶化技術に関する
。不純物調整、抽出、精製、逆抽出、アルカリ化、結晶化、分離、ベースなどのステップ
を含み、前記不純物調整においては、まず、P507ラフィネートについて水酸化リチウ
ム又はアルカリを用いてPH値を8.5~10.5に調整し、濾過して、濾液を使用に供
し、前記アルカリ化においては、リチウム溶液を85~95℃に昇温し、水酸化リチウム
又はアルカリを加えてPH値を9.0~13.0に調整し、85~95℃で保温して2~
8時間静置した後、濾過して、濾液を使用に供し、前記結晶化においては、アルカリ化し
た後、濾液に圧縮空気を、圧縮空気圧力0.2~0.8MPa、圧縮空気流量8~30m
/hで導入しながら、蒸発濃縮を行い、濃縮液に微細な結晶が発生すると、材料を排出
して冷却する。抽出したラフィネート中のリチウムの含有量が1mg/L未満であるため
、廃水処理の難度が低下し、不純物調整、抽出、精製、逆抽出等の工程により、リチウム
溶液が高度に浄化され、アルカリ化、結晶化、分離、ベースを行って得た炭酸リチウムは
、収率が99%以上で、製品の純度が電池用の要件を満たす。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物調整、抽出、精製、逆抽出、アルカリ化、結晶化、分離、ベースのステップを含む
P507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出方法であって、
前記不純物調整においては、まず、P507ラフィネートについて水酸化リチウム又はア
ルカリを用いてPH値を8.5~10.5に調整し、濾過して、濾液を使用に供し、
前記抽出においては、けん化したP507を不純物調整・濾過後の液体と混合した後、静
置して相を分離し、P507有機相を残し、水相についてはリチウムイオン濃度を検出し
、1mg/L未満であれば、廃水処理に供し、
前記精製においては、抽出した有機相を0.1~0.25mol/L硫酸リチウム溶液で
精製して洗浄した後、静置して相を分離し、P507有機相を残し、水相を抽出に用い、
前記逆抽出においては、精製洗浄後のP507有機相を希硫酸で逆抽出し、両相を分離し
て、空白有機と硫酸リチウム溶液を得て、
前記アルカリ化においては、リチウム溶液を85~95℃に昇温して、水酸化リチウム又
はアルカリを加えてPH値を9.0~13.0に調整し、85~95℃で保温して2~8
時間静置した後、濾過して、濾液を使用に供し、
前記結晶化においては、アルカリ化した後、濾液に圧縮空気を圧縮空気圧力0.2~0.
8MPa、圧縮空気流量8~30m3/hで導入しながら、蒸発濃縮を行い、濃縮液に微
細な結晶が発生すると、材料を排出して冷却する、ことを特徴とする抽出方法。
【請求項2】
前記不純物調整においては、まず、P507ラフィネートについて水酸化リチウム又はア
ルカリを用いてPH値を9~10に調整し、濾過して、濾液を使用に供する、ことを特徴
とする請求項1に記載のP507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出方法。
【請求項3】
精製ステップでは、抽出後、有機相を0.15~0.20mol/L硫酸リチウム溶液で
精製して洗浄する、ことを特徴とする請求項1に記載のP507ラフィネートからの電池
用炭酸リチウムの抽出方法。
【請求項4】
前記逆抽出においては、精製洗浄後のP507有機相を希液体アルカリで逆抽出し、両相
を分離して、空白有機及び水酸化リチウム溶液を得る、ことを特徴とする請求項1に記載
のP507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出方法。
【請求項5】
前記アルカリ化においては、リチウム溶液を90℃に昇温して、水酸化リチウム又はアル
カリを加えてPH値を10.0~12.0に調整し、90℃で保温して4~6時間静置し
た後、濾過して、濾液を使用に供する、ことを特徴とする請求項1に記載のP507ラフ
ィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出方法。
【請求項6】
結晶化ステップでは、圧縮空気圧力は0.4~0.6MPaであり、圧縮空気流量は10
~20m/hである、ことを特徴とする請求項1に記載のP507ラフィネートからの
電池用炭酸リチウムの抽出方法。
【請求項7】
撹拌室が設けられ、撹拌室は遷移タンクを介して清澄室に接続され、撹拌室内に撹拌機が
設けられるP507ラフィネートから電池用炭酸リチウムを抽出する抽出装置であって、
撹拌室は立方体であり、清澄室は直方体であり、清澄室のアスペクト比が4~5:1であ
り、撹拌室と清澄室との体積比が1:4.5~5.5であり、前記撹拌機は主撹拌機と副
撹拌機からなり、主撹拌機には二層「十」字形撹拌羽根が設けられ、副撹拌機には円筒状
撹拌体が設けられ、前記円筒状撹拌体の筒壁には、直径5~10mmの円状孔が均等に分
布しており、撹拌羽根は円筒状撹拌体内に嵌め込まれる、ことを特徴とする抽出装置。
【請求項8】
前記主撹拌機の回転数が1000~2000回転/分であり、副撹拌機の回転数が100
~200回転/分である、ことを特徴とする請求項7に記載のP507ラフィネートから
電池用炭酸リチウムを抽出する抽出装置。
【請求項9】
前記主撹拌機の撹拌羽根の直径が、撹拌室の辺長の0.28~0.33であり、副撹拌機
の円筒状撹拌体3の直径が、撹拌室の辺長の0.65~0.75である、ことを特徴とす
る請求項7に記載のP507ラフィネートから電池用炭酸リチウムを抽出する抽出装置。
【請求項10】
前記清澄室内には2枚の短冊状安定化フェンスが設けられ、清澄室の遷移タンクの流入口
端からの、1番目の安定化フェンスの位置の距離が、清澄室の長さの1/4であり、2番
目の安定化フェンスの清澄室の長さ方向における位置の、清澄室の遷移タンクの流入口端
からの距離が、清澄室の長さの1/2である、ことを特徴とする請求項7に記載のP50
7ラフィネートから電池用炭酸リチウムを抽出する抽出装置。
【請求項11】
請求項1~10に記載のP507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出方法及び
抽出装置によって製造される電池用炭酸リチウム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非鉄金属の湿法冶金の技術分野に関し、特にリチウムイオン抽出精製及び濃縮
結晶化の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池の正極材料を湿式回収処理する際に、P507抽出剤を用いて抽出し
た場合、抽出液中に1g/L以上のリチウムが含まれている。抽出液からのリチウムの回
収は、リン酸三ナトリウムや炭酸塩を用いて沈殿させ、リン酸リチウムや炭酸リチウムを
製造するのが一般的である。この方法により製造されたリン酸リチウム又は炭酸リチウム
の総合収率は、一般に70~90%である。製造されたリチウム製品は、純度が低く、電
池用リチウム塩の基準を満たしていない。沈殿後の液中のリチウムイオン濃度はまだ20
0mg/L程度で、その後も処理を続けなければならず、回収や環境を配慮して処理する
ことが困難になる。そのため、高品質炭酸リチウムの製造や環境を配慮した処理へのニー
ズを満たすために、P507抽出液中のリチウム回収の収率と回収製品の品質を向上する
方法や装置を研究する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、以上の背景技術に記載の欠点及び欠陥を解決して、リチウムの回収率を
向上させることができ、回収された炭酸リチウムが電池用の要件を満たし、回収され処理
された後のラフィネートのリチウム含有量が1mg/L未満で、環境を考慮して処理する
難度を顕著に低減させることができるP507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの
抽出方法及び抽出装置を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の技術的解決手段の1つは、不純物調整、抽出、精製、逆抽出、アルカリ化、結晶
化、分離、ベースのステップを含むP507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽
出方法であって、
前記不純物調整においては、まず、P507ラフィネートについて水酸化リチウム又はア
ルカリを用いてPH値を8.5~10.5、好ましくは9~10、9.5に調整し、濾過
して、濾液を使用に供し、
前記抽出においては、けん化したP507を不純物調整ステップで濾過した液体と混合し
た後、静置して相を分離し、P507有機相を残し、水相についてはリチウムイオン濃度
を検出し、1mg/L未満であれば、廃水処理に供し、
前記精製においては、抽出ステップによる有機相を0.1~0.25mol/L、好まし
くは0.2mol/Lの硫酸リチウム溶液で精製して洗浄した後、静置して相を分離し、
P507有機相を残し、水相を抽出に用い、
前記逆抽出においては、精製洗浄後のP507有機相を希硫酸で逆抽出し、両相を分離し
て、空白有機と硫酸リチウム溶液を得て、
前記アルカリ化においては、逆抽出ステップで得られたリチウム溶液を85~95℃、好
ましくは90℃に昇温して、水酸化リチウム又はアルカリを加えてPH値を9.0~13
.0、好ましくは10.0~12.0、10.5~11.0に調整し、85~95℃、好
ましくは90℃で保温して、2~8時間、好ましくは3~7時間、4~6時間、3~5時
間、4時間静置した後、濾過して、濾液を使用に供し、
前記結晶化においては、アルカリ化した後、濾液に圧縮空気を圧縮空気圧力0.2~0.
8MPa、好ましくは0.3-0.7MPa、0.4~0.6MPa、0.5MPa、圧
縮空気流量8~30m/h、好ましくは10~25m/h、13~22m/h、1
5~20m/h、16~18m/hで導入しながら、蒸発濃縮を行い、濃縮液に微細
な結晶粒が発生すると、材料を排出して冷却する、ことを特徴とする。
【0005】
さらに、前記逆抽出においては、精製洗浄後のP507有機相を希液体アルカリで逆抽出
し、両相を分離して、空白有機及び水酸化リチウム溶液を得てもよい。
【0006】
本発明の別の技術的解決手段は、
撹拌室が設けられ、撹拌室は遷移タンクを介して清澄室に接続され、撹拌室内に撹拌機が
設けられるP507ラフィネートから電池用炭酸リチウムを抽出する抽出装置であって、
撹拌室は立方体であり、清澄室は直方体であり、清澄室のアスペクト比が4~5:1であ
り、撹拌室と清澄室との体積比が1:4.5~5.5であり、前記撹拌機は主撹拌機と副
撹拌機からなり、主撹拌機に設けられた撹拌羽根は二層「十」字形として構成され、副撹
拌機の撹拌体は円筒状撹拌体として構成され、円筒状撹拌体の筒壁には、直径5~10m
mの円状孔が均等に分布しており、撹拌羽根は円筒状撹拌体内に嵌め込まれる、ことを特
徴とする。
【0007】
さらに、前記主撹拌機の回転数が1000~2000回転/分、好ましくは1200~1
800回転/分、1300~1600回転/分、1400~1500回転/分であり、副
撹拌機2の回転数が100~200回転/分、好ましくは120~180回転/分、14
0~160回転/分、150回転/分である。
【0008】
さらに、前記主撹拌機の撹拌羽根の直径が、撹拌室の辺長の0.28~0.33であり、
副撹拌の円筒状撹拌体の直径が、撹拌室の辺長の0.65~0.75である。
【0009】
さらに、前記筒壁における円状孔は1平方センチメートルあたり1つ設けられる。
【0010】
さらに、前記清澄室内には、2枚の短冊状安定化フェンスが順次設けられ、清澄室の遷移
タンクの流入口端からの、1番目の安定化フェンスの位置の距離が、清澄室の長さの1/
4であり、2番目の安定化フェンスの清澄室の長さ方向における位置の、澄室遷移タンク
の流入口端からの距離が、清澄室の長さの1/2である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以上の技術案を採用するため、以下の利点がある。
(1)以上の抽出法を採用することにより、ラフィネート中のリチウムイオン濃度が1m
g/Lと低くなり、廃水処理の難度が著しく低減される。
(2)抽出法とアルカリ化-空気沈殿法を採用することにより、リチウムの回収率が向上
し、99%以上のリチウム回収率が得られる。
(3)抽出分離法を採用してリチウム塩溶液の純度を高めたので、沈殿における炭酸リチ
ウム製品の品質が電池用の要求を満たすことが確保される。
(4)アルカリ化-空気沈殿法を採用することにより、不純物イオンの混入を回避し、さ
らに製品の純度を確保して向上させることで、炭酸リチウム製品は電池用の要件を完全に
満たしている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のプロセスのフローチャートである。
図2】本発明の抽出装置の実施例の構造の平面断面概略図である。
図3】本発明の抽出装置の実施例の構造の上面概略図である。
図4】本発明の抽出装置の実施例の円筒状撹拌体の構造概略図である。[符号の説明]
【0013】
1-主撹拌機、2-副撹拌機、3-円筒状撹拌体、4-撹拌羽根、5-撹拌室、6-遷移
タンク、7-清澄室、8-安定化フェンス、9-副撹拌機伝動輪、10-副撹拌機駆動輪
、11-副撹拌機駆動モータ、12-主撹拌機駆動モータ
【発明を実施するための最良な形態】
【0014】
P507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出方法は、不純物調整、抽出、精製
、逆抽出、アルカリ化、結晶化、分離、ベースのステップを含み、
前記不純物調整においては、まず、P507ラフィネートについて水酸化リチウム又はア
ルカリを用いてPH値を10.0に調整し、濾過して、濾液を使用に供し、
前記抽出においては、けん化したP507を不純物調整ステップで濾過した液体と混合し
た後、静置して相を分離し、P507有機相を残し、水相についてはリチウムイオン濃度
を検出し、1mg/L未満であれば、廃水処理に供し、
前記精製においては、抽出ステップによる有機相を0.2mol/L硫酸リチウム溶液で
精製して洗浄した後、静置して相を分離し、P507有機相を残し、水相を抽出に用い、
前記逆抽出においては、精製洗浄後のP507有機相を希硫酸で逆抽出し、両相を分離し
て、空白有機と硫酸リチウム溶液を得て、
前記アルカリ化においては、取逆抽出ステップで得られたリチウム溶液を90℃に昇温し
て、水酸化リチウム又はアルカリを加えてPH値を10.0に調整し、90℃で保温して
、4時間静置した後、濾過して、濾液を使用に供し、
前記結晶化においては、アルカリ化した後、濾液に圧縮空気を、圧縮空気圧力0.5MP
a、圧縮空気流量18m/hで導入しながら、蒸発濃縮を行い、濃縮液に微細な結晶粒
が発生すると、材料を排出して冷却する。
【0015】
前記逆抽出においては、精製洗浄後のP507有機相を希液体アルカリで逆抽出し、両相
を分離して、空白有機及び水酸化リチウム溶液を得る。
【0016】
撹拌室が設けられ、撹拌室は遷移タンクを介して清澄室に接続され、撹拌室内に撹拌機が
設けられるP507ラフィネートから電池用炭酸リチウムを抽出する抽出装置では、撹拌
室は立方体であり、清澄室は直方体であり、清澄室のアスペクト比が5:1であり、撹拌
室と清澄室との体積比が1:5.5であり、前記撹拌機は主撹拌機と副撹拌機からなり、
主撹拌機に設けられた撹拌羽根は二層「十」字形として構成され、副撹拌機の撹拌体は円
筒状撹拌体として構成され、円筒状撹拌体の筒壁には、直径5mmの円状孔が均等に分布
しており、撹拌羽根は円筒状撹拌体内に嵌め込まれる。
【0017】
好ましくは、前記主撹拌機の回転数が1200回転/分、副撹拌機2の回転数が150回
転/分である。
【0018】
好ましくは、前記主撹拌機の撹拌羽根の直径が、撹拌室の辺長の0.3であり、副撹拌の
円筒状撹拌体の直径が、撹拌室の辺長の0.7である。
【0019】
好ましくは、前記筒壁における円状孔は、1平方センチメートルあたり1つ設けられる。
【0020】
好ましくは、前記清澄室内には、2枚の短冊状安定化フェンスが順次設けられ、清澄室の
遷移タンクの流入口端からの、1番目の安定化フェンスの位置の距離が、清澄室の長さの
1/4であり、2番目の安定化フェンスの清澄室の長さにおける位置の、清澄室の遷移タ
ンクの流入口端からの距離が、清澄室の長さの1/2である。
実施例
【0021】
本発明をより明確に説明するために、以下、図1~4を参照して具体的な実施形態を用い
て本発明についてさらに説明する。
【0022】
実施形態1:図1に示すように、P507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出
方法は、不純物調整、抽出、精製、逆抽出、アルカリ化、結晶化、分離、ベースのステッ
プを含み、
前記不純物調整においては、まず、P507ラフィネートについて水酸化リチウム又はア
ルカリを用いてPH値を8.5~10.5に調整し、濾過して、濾液を使用に供する、こ
とを特徴とする。
【0023】
上記のように水酸化リチウム又はアルカリを用いてPH値を調整する際には、9~10、
8.5~9、9~9.5、9.5~10に調整してもよい。
このステップは、ニッケルなどの不純物の陽イオンを効果的に沈殿させて除去することが
でき、実験データは表1に示される。
【0024】
表1:PH値がニッケルなどの不純物陽イオンの沈殿除去に与える効果の表

【0025】
前記抽出においては、抽出装置では、けん化したP507を不純物調整ステップで濾過し
た液体と混合した後、静置して相を分離し、P507有機相を残し、水相についてはリチ
ウムイオン濃度を検出し、1mg/L未満であれば、廃水処理に供する。
【0026】
このステップは、濾液中のリチウムを有機相中に抽出することができ、ラフィネート中の
リチウムイオン濃度を下げて、廃水処理の難度を低減させることができる。
【0027】
前記精製においては、抽出装置では、抽出ステップによる有機相を0.1~0.25mo
l/Lの硫酸リチウム溶液で精製して洗浄した後、静置して相を分離し、P507有機相
を残し、水相を抽出に用いる。
上記の硫酸リチウム溶液は、0.12~0.23mol/L、0.15~0.20mol
/L、0.16~0.18mol/L、0.1~0.12mol/L、0.13~0.1
5mol/L、0.16~0.18mol/L、0.19~0.20mol/L、0.2
1~0.22mol/L、0.23~0.25mol/Lであってもよい。
【0028】
このステップは、有機相に混入したナトリウムなどの不純物イオンを洗浄し、有機相中の
リチウムイオンを増加させて精製することができる。実験データは表2に示される。
【0029】
表2:硫酸リチウム溶液濃度が不純物イオンの除去に与える効果の表


【0030】
前記逆抽出においては、抽出装置では、精製洗浄後のP507有機相を希硫酸で逆抽出し
、両相を分離して、空白有機と硫酸リチウム溶液を得て、
このステップは、有機相中のリチウムを逆抽出して、溶液状態のリチウム塩を得ることが
できる。リチウムイオン濃度を高める一方、リチウムと不純物をさらに分離する。
【0031】
前記アルカリ化においては、逆抽出ステップで得られたリチウム溶液を85~95℃に昇
温して、水酸化リチウム又はアルカリを加えてPH値を9.0~13.0に調整し、85
~95℃で保温して2~8時間静置した後、濾過して、濾液を使用に供する。
【0032】
上記のリチウム溶液は、85~86℃、87~88℃、89~90℃、91~92℃、9
3~94℃に昇温してもよい。
【0033】
上記の水酸化リチウム又はアルカリを加えることで、PH値を9.5~10.0、10.
5~11.0、11.5~12.0、12.5~13.0に調整してもよい。
【0034】
上記の保温温度は、85~86℃、87~88℃、89~90℃、91~92℃、93~
94℃であってもよい。
【0035】
上記の静置時間は、2~3時間、4~5時間、6~7時間であってもよい。
このアルカリ化ステップは、リチウムイオンをアルカリ化し、リチウム液中の有機不純物
や沈殿しやすい不純物を除去することができる。実験データは表3、表4、表5に示され
る。
【0036】
表3:PH値11.0、4時間静置の条件における各反応温度でのリチウム液の有機含有
量及び除去効果の表


【0037】
表4:90℃、4時間静置の条件における各PH値の条件でのリチウム液の有機含有量及
び除去効果の表

【0038】

【0039】
前記結晶化においては、アルカリ化した後、濾液に圧縮空気を、圧縮空気圧力0.2~0
.8MPa、圧縮空気流量8~30m/h導入しながら、蒸発濃縮を行い、濃縮液に微
細な結晶粒が発生すると、材料を排出して冷却する。
【0040】
上記の圧縮空気圧力は、0.2~0.3MPa、0.4~0.5MPa、0.6~0.7
MPaであってもよい。
【0041】
上記の圧縮空気流量は、8~10m/h、11~13m/h、14~16m/h、
17~19m/h、20~22m/h、23~25m/h、26~28m/h、
29~30m/hであってもよい。
【0042】
この結晶化ステップは、リチウムイオンを炭化して、圧縮空気中の二酸化炭素の作用によ
りリチウムを炭酸リチウムに転化することができる。実験データは表6、表7に示される
【0043】
表6:圧縮空気20m/hの流量における各圧力条件でのリチウムの完全な転化に必要
な時間の表


【0044】
表7:圧縮空気0.7MPa圧力における各流量条件でのリチウムの完全な転化に必要な
時間の表
【0045】
別の実施形態として、前記逆抽出においては、抽出装置では、精製洗浄後のP507有機
相を希アルカリで逆抽出し、両相を分離して、空白有機及び水酸化リチウム溶液を得ても
よい。
【0046】
以上の実施形態におけるアルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモ
ニウムのうちの1種又は複数種であってもよい。
【0047】
実施形態1の技術的効果は以下のとおりである。ラフィネート中のリチウムイオン濃度を
1mg/Lと低くし、廃水処理の難度を顕著に低下させることができる。リチウムの回収
率を高め、リチウムの回収率を99%以上にする。リチウム塩溶液の純度を高め、沈殿に
よる炭酸リチウム製品の品質が電池用の要件を満たすことを確保する。不純物イオンの混
入を回避し、製品の純度をさらに確保したり向上させたりし、炭酸リチウム製品が電池用
の要件を確実に満たすようにすることができる。
【0048】
実施形態2:図1に示すように、P507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出
方法は、以下のステップa~hを含むことを特徴とする。
a.不純物調整:まず、P507ラフィネートについて水酸化リチウム又はアルカリを用
いてPH値を8.5~10.5、好ましくは9~10、9.5に調整し、濾過して、濾液
を使用に供する。ニッケルなどの不純物の陽イオンを沈殿させて除去することができる。
b.抽出:抽出装置では、けん化したP507を上記のステップで濾過した液体と混合し
た後、静置して相を分離し、P507有機相(有機相担持)を残し、水相(ラフィネート
)についてリチウムイオン濃度を検出し、1mg/L未満であれば、廃水処理に供する。
このステップは、濾液中のリチウムを有機相に抽出することができ、ラフィネート中のリ
チウムイオン濃度を下げて、廃水処理の難度を低減させる。
c.精製:抽出装置では、上記のステップにおける有機相(有機相担持)を0.1~0.
25mol/L、好ましくは0.1~0.25mol/L、0.15~0.20mol/
Lの硫酸リチウム溶液で精製して洗浄した後、静置して相を分離し、P507有機相を残
し、水相を上記のステップに合わせる。このステップは、有機相に混入したナトリウムな
どの不純物イオンを洗浄し、有機相中のリチウムイオンを精製することができる。
d.逆抽出:抽出装置では、精製洗浄後のP507有機相を希硫酸(又は希液体アルカリ
)で逆抽出し、両相を分離して、空白有機及び硫酸リチウム(又は水酸化リチウム)溶液
を得る。このステップは、有機相中のリチウムを逆抽出して、溶液状態のリチウム塩を得
ることができる。リチウムイオン濃度を高める一方、リチウムと不純物をさらに分離する

e.アルカリ化:上記のステップのリチウム溶液を85~95℃、好ましくは90℃に昇
温して、水酸化リチウム(又はアルカリ)を加えてPH値を9.0~13.0、好ましく
は9.5~12.5、10.0~12.0、10.5~11.5、11に調整し、85~
95℃、好ましくは90℃で保温して、2~8時間、好ましくは3~7時間、4~6時間
、5時間静置した後、濾過して、濾液を使用に供する。このステップは、リチウムイオン
をアルカリ化し、リチウム液中の有機不純物や沈殿しやすい不純物を除去することができ
る。
f.結晶化:アルカリ化した後、濾液に圧縮空気を、圧縮空気圧力0.2~0.8MPa
、好ましくは0.3~0.7MPa、0.4~0.6MPa、0.5MPa、圧縮空気流
量8~30m/h、好ましくは10~25m/h、13~22m/h、15~20
/h、16~18m/h導入しながら、蒸発濃縮を行い、濃縮液に微細な結晶粒が
発生すると、材料を排出して冷却する。
g.分離:濃縮液を常温に冷却し、遠心分離して、固体として炭酸リチウムを得て、液体
を上記のステップに戻して、反応に使用し続ける。
h.ベース:遠心分離した後、固体物を通常のベースにかけて、電池用炭酸リチウムを得
る。
【0049】
実施形態2では、以上の抽出法を採用することによって、ラフィネート中のリチウムイオ
ン濃度を1mg/Lと低くし、廃水処理の難度を顕著に低下させることができる。抽出法
及びアルカリ化-空気沈殿法を採用することによって、リチウムの回収率を99%以上と
高くする。抽出分離法を採用することによって、リチウム塩溶液の純度を向上させ、沈殿
による炭酸リチウム製品の品質が電池用の要件を満たすことを確保する。アルカリ化-空
気沈殿法を採用することによって、不純物イオンの混入を回避し、製品の純度をさらに確
保したり向上させたりし、炭酸リチウム製品が電池用の要件を完全に満たすようにするこ
とを確保する。
【0050】
実施形態3:図2~4に示すように、撹拌室5が設けられ、撹拌室5は遷移タンク6を介
して清澄室7に接続され、撹拌室5内に撹拌機が設けられるP507ラフィネートから電
池用炭酸リチウムを抽出する抽出装置では、撹拌室5は立方体であり、清澄室7は直方体
であり、清澄室7のアスペクト比が4~5:1であり、撹拌室5と清澄室7との体積比が
1:4.5~5.5であり、前記撹拌機は主撹拌機1と副撹拌機2からなり、主撹拌機1
には撹拌羽根4が設けられ、撹拌羽根4は二層「十」字形として構成され、副撹拌機2の
撹拌体は円筒状撹拌体3として構成され、円筒状撹拌体3の筒壁には、直径5~10mm
の円状孔が均等に分布しており、撹拌羽根4は円筒状撹拌体3内に嵌め込まれる。
【0051】
別の実施態様では、前記主撹拌機1の回転数が1000~2000回転/分であるが、1
100~1300回転/分、1400~1500回転/分、1600~1700回転/分
、1800~1900回転/分であってもよい。副撹拌機2の回転数が100~200回
転/分であるが、110~120回転/分、130~140回転/分、150~160回
転/分、170~180回転/分、190回転/分であってもよい。その作用は以下のと
おりである。主撹拌機は、十分な混合を行い、両方のバランスを効率的に取り、より優れ
た抽出効果を果たすために高速で行われる。副撹拌機は、回転数が低く、円筒状のもので
、主撹拌機の高速作動による混合液の流体の運動速度を遅くして、相の連続性を崩して、
後の相分離を容易にする。
【0052】
別の実施形態では、前記主撹拌機1の撹拌羽根4の最大直径は、撹拌室5の辺長の0.2
8~0.33であり、副撹拌機の円筒状撹拌体3の直径は、撹拌室5の辺長の0.65~
0.75である。その作用は以下のとおりである。撹拌パドルは、パドルが大きいほど撹
拌強度が高く、一方、撹拌パドルがこの割合を上回ると、モータの負荷が向上する一方、
撹拌強度が高すぎ、両相に乳化や大量の空気の吸入が発生し、後続の相分離が困難になり
、空気の吸入により混合液に大量の気泡が蓄積され、抽出効果が損なわれ、相分離がより
困難になる。
【0053】
別の実施形態では、前記清澄室7内には、2枚の短冊状安定化フェンス8が順次設けられ
、清澄室7の遷移タンク6の流入口端からの、1番目の安定化フェンスの位置の距離が、
清澄室の長さの1/4であり、清澄室7の長さにおける2番目の安定化フェンスの位置の
、清澄室の遷移タンク6の流入口端からの距離が、清澄室7の長さの1/2である。その
作用は以下のとおりである。安定化フェンスは、混合液の流速を小さくし、両相を素早く
分離するためである。1番目の安定化フェンスが遷移タンクの流入口に近すぎると、激流
が生じて、泛液(タンク内の混合液が途中で遮断され、波となってタンク外に流出する)
の恐れがあり、長すぎると、作用がなく、また2番目の安定化フェンスの効果に悪影響を
与える。2番目の安定化フェンスが遷移タンクの流入口に近すぎると、流体が1番目のフ
ェンスを流れて流速を下げた直後に、2番目のフェンスに当たり、2つのフェンスの間に
渦流が再度形成され、両相の分離に悪影響を与える。遠すぎると、流体が1番目のフェン
スを経ると流速が下がっており、フェンスは期待される作用を失ってしまう。
【0054】
P507ラフィネートから電池用炭酸リチウムを抽出する抽出装置の抽出原理は以下のと
おりである。有機相とリチウム含有水相が、主撹拌機会の高速作動により強く混合され、
リチウムが水相から有機相に移される。混合後の両相が遠心力の作用を受けて副撹拌機と
素早く衝突し、副撹拌機が作動しながらそれにおける孔により混合相が分散され、その流
速が下がり、これによって、破壊や撹拌が行われて、抽出効果が確保される。混合液は遷
移タンクを経て清澄室に入り、清澄室は、主として両相を分離する役割を果たし、フェン
スは、流体の流速を低下させて、相分離を促進するために設けられるものである。
以上のP507ラフィネートから電池用炭酸リチウムを抽出する抽出装置の有益な効果は
以下のとおりである。抽出剤を用いてリチウムを抽出する際には、リチウムの特性により
抽出剤の容量が影響を受け、このため、抽出タンクの生産性を高めるために、高速反応が
必要とされる。この抽出タンクは、従来の抽出に基づいて撹拌強度を高め、また、副撹拌
機を利用して乳化や相連続性を解除し、相分離を促進し、抽出タンクの生産性を確保する
【0055】
実施例1:P507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出方法及び装置では、ス
テップは以下の通りである。
a.P507ラフィネートの成分
Li:1.5g/L、Fe:0.0005g/L、Al:0.0003g/L、Zn:0
.0001g/L、Ni:0.035g/L、Cu:0.0001g/L、Pb:0.0
01g/L、Ca:0.0004g/L、Mg:0.001g/L、Na:3.3g/L
b.ラフィネート100Lについて、水酸化リチウムを用いてPH値を9.8に調整して
、濾過した。
c.起動させた抽出装置の撹拌室にステップbの濾液及びけん化したP507を加え、抽
出装置から排出した後、ラフィネートを分析して検出した結果、Liは0.00091g
/L(0.91mg/L)であった。
d.起動させた抽出装置の撹拌室にステップcの有機相及び0.25mol/Lの硫酸リ
チウム溶液を加え、抽出装置から排出した後、水相がステップcの撹拌室に流れた。
e.起動させた抽出装置の撹拌室にステップdの有機相及び2.25mol/Lの硫酸溶
液を加え、抽出装置から排出した後、水相は高濃度リチウム液、有機相は空白有機となっ
た。濃度20.3g/Lのリチウム液7950mLを得て、PH値の調整に使用される水
酸化リチウムを減算した結果、抽出収率は99.47%であった。
f.リチウム液を92℃に昇温して、水酸化リチウムを用いてPH値を12.5に調整し
、90℃で保温して静置し、2時間反応させた後、濾過した。
g.反応器内にステップfの濾液を加え、添加終了後、圧縮空気を圧縮空気0.65MP
a、流量16.3m/hで導入して、昇温して蒸発させ、反応器内に微細な結晶が発生
すると、圧縮空気の導入及び昇温を停止して、反応器内のリチウム液を排出して冷却した

h.リチウム液を室温に冷却してから、分離及びベースを行い、母液をステップgに戻し
て反応に用いた。このため、リチウムの総合的な収率は99.47%であった。
i.炭酸リチウムをベースしてから分析し、検出結果を以下に示す。
LiCO:99.61%、Fe:0.0001%、Al:0.0002%、Zn:0
.0001%、Ni:0.0007%、Cu:0.0001%、Pb:0.0001%、
Ca:0.0004%、Mg:0.0011%,Na:0.0023%、K:0.000
3%、Si:0.0012%、SO 2-:0.017%、Cl:0.001%
【0056】
実施例2:P507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出方法及び装置では、ス
テップは以下の通りである。
a.P507ラフィネート成分
Li:2.35g/L、Fe:0.0002g/L、Al:0.0009g/L、Zn:
0.0003g/L、Ni:0.017g/L、Cu:0.0001g/L、Pb:0.
001g/L、Ca:0.0005g/L、Mg:0.0012g/L、Na:2.12
g/L
b.ラフィネート100Lについて、水酸化リチウムを用いてPH値を10.2に調整し
て、濾過した。
c.起動させた抽出装置の撹拌室にステップbの濾液及びけん化したP507を加え、抽
出装置から排出した後、ラフィネートを分析して検出した結果、Liは0.00077g
/L(0.77mg/L)であった。
d.起動させた抽出装置の撹拌室にステップcの有機相及び0.18mol/Lの硫酸リ
チウム溶液を加え、抽出装置から排出した後、水相がステップcの撹拌室に流れた。
e.起動させた抽出装置の撹拌室にステップdの有機相及び2.13mol/Lの硫酸溶
液を加え、抽出装置から排出した後、水相は高濃度リチウム液、有機相は空白有機となっ
た。濃度19.43g/Lのリチウム液12050mLを得て、PH値の調整に使用され
る水酸化リチウムを減算した結果、抽出収率は99.63%であった。
f.リチウム液を95℃に昇温して、水酸化リチウムを用いてPH値を12.5に調整し
、95℃で保温して静置し、2時間反応させた後、濾過した。
g.反応器内にステップfの濾液を加え、添加終了後、圧縮空気を、圧縮空気0.70M
Pa、流量18.2m/hで導入して、昇温して蒸発させ、反応器内に微細な結晶が発
生すると、圧縮空気の導入及び昇温を停止して、反応器内のリチウム液を排出して冷却し
た。
h.リチウム液を室温に冷却してから、分離及びベースを行い、母液をステップgに戻し
て反応に用いた。このため、リチウムの総合的な収率は99.63%であった。
i.炭酸リチウムをベースしてから分析し、検出結果を以下に示す。
LiCO:99.58%、Fe:0.0006%、Al:0.0007%、Zn:0
.0005%、Ni:0.0002%、Cu:0.0005%、Pb:0.0005%、
Ca:0.0006%、Mg:0.0009%,Na:0.0011%、K:0.000
3%、Si:0.0017%、SO 2-:0.041%、Cl:0.001%
【0057】
実施例3:P507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出方法及び装置では、ス
テップは以下の通りである。
a.P507ラフィネートの成分
Li:0.93g/L、Fe:0.0005g/L、Al:0.0005g/L、Zn:
0.0001g/L、Ni:0.055g/L、Cu:0.0005g/L、Pb:0.
003g/L、Ca:0.0005g/L、Mg:0.0007g/L、Na:1.37
g/L
b.ラフィネート100Lについて、水酸化リチウムを用いてPH値を9.5に調整して
、濾過した。
c.起動させた抽出装置の撹拌室にステップbの濾液及びけん化したP507を加え、抽
出装置から排出した後、ラフィネートを分析して検出した結果、Liは0.00083g
/L(0.83mg/L)であった。
d.起動させた抽出装置の撹拌室にステップcの有機相及び0.22mol/Lの硫酸リ
チウム溶液を加え、抽出装置から排出した後、水相はステップcの撹拌室に流れた。
e.起動させた抽出装置の撹拌室にステップdの有機相及び2.01mol/Lの硫酸溶
液を加え、抽出装置から排出した後、水相は高濃度リチウム液、有機相は空白有機となっ
た。濃度19.11g/Lのリチウム液4860mLを得て、PH値の調整に使用される
水酸化リチウムを減算した結果、抽出収率は99.86%であった。
f.リチウム液を90℃に昇温して、水酸化リチウムを用いてPH値を12.2に調整し
、90℃で保温して静置し、2時間反応させた後、濾過した。
g.反応器内にステップfの濾液を加え、添加終了後、圧縮空気を圧縮空気0.55MP
a、流量21.2m/hで導入して、昇温して蒸発させ、反応器内に微細な結晶が発生
すると、圧縮空気の導入及び昇温を停止して、反応器内のリチウム液を排出して冷却した

h.リチウム液を室温に冷却してから、分離及びベースを行い、母液をステップgに戻し
て反応に用いた。このため、リチウムの総合的な収率は99.86%であった。
i.炭酸リチウムをベースしてから分析し、検出結果を以下に示す。
LiCO:99.59%、Fe:0.0007%、Al:0.0005%、Zn:0
.0003%、Ni:0.0005%、Cu:0.0001%、Pb:0.0006%、
Ca:0.0005%、Mg:0.0005%,Na:0.0013%、K:0.000
5%、Si:0.0032%、SO 2-:0.033%、Cl:0.001%。
【0058】
実施例4:P507ラフィネートからの電池用炭酸リチウムの抽出方法及び装置では、ス
テップは以下の通りである。
a.P507ラフィネートの成分
Li:5.5g/L、Fe:0.001g/L、Al:0.0011g/L、Zn:0.
0021g/L、Ni:0.075g/L、Cu:0.0023g/L、Pb:0.00
1g/L、Ca:0.0016g/L、Mg:0.001g/L、Na:5.3g/L
b.ラフィネート100Lについて、水酸化リチウムを用いてPH値を10.5に調整し
て、濾過した。
c.起動させた抽出装置の撹拌室にステップbの濾液及びけん化したP507を加え、抽
出装置から排出した後、ラフィネートを分析して検出した結果、Liは0.00033g
/L(0.33mg/L)であった。
d.起動させた抽出装置の撹拌室にステップcの有機相及び0.19mol/Lの硫酸リ
チウム溶液を加え、抽出装置から排出した後、水相がステップcの撹拌室に流れた。
e.起動させた抽出装置の撹拌室にステップdの有機相及び2.15mol/Lの硫酸溶
液を加え、抽出装置から排出した後、水相は高濃度リチウム液、有機相は空白有機となっ
た。濃度20.17g/Lのリチウム液27350mLを得て、PH値の調整に使用され
る水酸化リチウムを減算した結果、抽出収率は99.66%であった。
f.リチウム液を95℃に昇温して、水酸化リチウムを用いてPH値を11.9に調整し
、90℃で保温して静置し、2時間反応させた後、濾過した。
g.反応器内にステップfの濾液を加え、添加終了後、圧縮空気を縮空気0.75MPa
、流量18.3m/hで導入して、昇温して蒸発させ、反応器内有に微細な結晶が発生
すると、圧縮空気の導入及び昇温を停止して、反応器内のリチウム液を排出して冷却した

h.リチウム液を室温に冷却してから、分離及びベースを行い、母液をステップgに戻し
て反応に用いた。そのため、リチウムの総合的な収率は99.66%であった。
i.炭酸リチウムをベースしてから分析し、検出結果を以下に示す。
LiCO:99.53%、Fe:0.0005%、Al:0.0007%、Zn:0
.0005%、Ni:0.0005%、Cu:0.0005%、Pb:0.0003%、
Ca:0.0009%、Mg:0.0017%,Na:0.0037%、K:0.000
1%、Si:0.0019%、SO 2-:0.023%、Cl:0.001%
【0059】
実施例5:図2~4に示すように、P507ラフィネートから電池用炭酸リチウムを抽出
する抽出装置では、撹拌室5が設けられ、撹拌室5は遷移タンク6を介して清澄室7に接
続され、撹拌室5内に撹拌機が設けられ、撹拌室5は立方体であり、清澄室7は直方体で
あり、清澄室5のアスペクト比が4~5:1であり、撹拌室5と清澄室7との体積比が1
:4.5~5.5であり、前記撹拌機は主撹拌機1と副撹拌機2からなり、主撹拌機1に
は、撹拌羽根4が設けられ、撹拌羽根4は二層「十」字形として構成され、副撹拌機2の
撹拌体は円筒状撹拌体3として構成され、円筒状撹拌体3の筒壁には、直径5~10mm
の円状孔が均等に分布しており、撹拌羽根4は円筒状撹拌体3内に嵌め込まれる。
【0060】
実施例6:図2~4に示すように、P507ラフィネートから電池用炭酸リチウムを抽出
する抽出装置では、撹拌室5が設けられ、撹拌室5は遷移タンク6を介して清澄室7に接
続され、撹拌室5内に撹拌機が設けられ、撹拌室5は立方体であり、清澄室7は直方体で
あり、清澄室7のアスペクト比が4~5:1であり、撹拌室5と清澄室7との体積比が1
:4.5~5.5であり、前記撹拌機は主撹拌機1と副撹拌機2からなり、主撹拌機1は
主撹拌機駆動モータ12と撹拌羽根4からなり、撹拌羽根4は二層「十」字形である。副
撹拌機2は副撹拌機駆動モータ11と、駆動モータ11に駆動可能に接続された副撹拌機
駆動輪10と、駆動輪10に伝動可能に接続された副撹拌機伝動輪9と、伝動輪9に接続
された円筒状撹拌体3とからなる。副撹拌機伝動輪9には中心孔が設けられ、主撹拌機1
の撹拌羽根4の軸が伝動輪9の中心孔を貫通する。伝動輪9の下に支持軸受けが支えられ
る。駆動輪10と伝動輪9は歯車接続又は摩擦接続を採用する。主撹拌機駆動モータ12
及び副撹拌機駆動モータ11はブラケットを介して撹拌室5のトップカバーに固定される
。主撹拌機1の回転数が1000~2000回転/分であり、副撹拌機2の回転数が10
0~200回転/分であり、主撹拌機1の撹拌羽根4の最大直径が、撹拌室5の辺長の0
.28~0.33であり、副撹拌機2の円筒状撹拌体3の直径が、撹拌室5の辺長の0.
65~0.75である。円筒状撹拌体3の筒壁には、直径5~10mmの円状孔が均等に
分布している。円状孔は1平方センチメートルあたり1つ設けられる。撹拌羽根4は円筒
状撹拌体3内に嵌め込まれる。清澄室内には、2枚の短冊状安定化フェンス8が千鳥状に
設けられ、清澄室7の遷移タンク6の流入口端からの、左側にある1番目の安定化フェン
スの位置の距離が、清澄室7の長さの1/4であり、右側にある2番目の安定化フェンス
の清澄室7の長さ方向における位置の、清澄室7の遷移タンク6の流入口端からの距離が
、清澄室7の長さの1/2である。安定化フェンス8は、通常のフェンスである。
【0061】
以上は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、当業者であ
れば、本発明には様々な変更や変化が可能である。本発明の精神及び原則を逸脱すること
なく行われるいかなる修正、同等置換、改良などは、本発明の特許範囲に含まれるものと
する。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、工業化生産や適用が開始されており、リチウムの回収率が99%以上であり、
製造された炭酸リチウム製品は、電池用炭酸リチウムの基準を満たす。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】