(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】モンテルカストまたはその薬学的に許容可能な塩、及びレボセチリジンまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する、安定性が改善されたフィルムコーティング錠剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/495 20060101AFI20240327BHJP
A61K 31/47 20060101ALI20240327BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240327BHJP
A61K 9/24 20060101ALI20240327BHJP
A61K 9/32 20060101ALI20240327BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240327BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240327BHJP
A61P 11/08 20060101ALI20240327BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240327BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
A61K31/495
A61K31/47
A61K9/20
A61K9/24
A61K9/32
A61K47/34
A61K47/38
A61P11/08
A61P37/08
A61P43/00 113
A61P43/00 121
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508294
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 KR2022016031
(87)【国際公開番号】W WO2023068839
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0141338
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517071069
【氏名又は名称】ハン ファ ファーマ カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HAN WHA PHARMA CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ユ ビョン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ソ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イム,チェ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】オ,ドン ジュン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA40
4C076AA44
4C076BB01
4C076CC03
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4C076DD28C
4C076DD29C
4C076DD38
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4C086AA01
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4C086MA03
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4C086ZA61
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4C086ZC13
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、モンテルカストまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第1薬物層と、レボセチリジンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第2薬物層と、前記第1薬物層と一側面で接触し、前記第2薬物層と他側面で接触することにより、前記第1薬物層と第2薬物層を非接触させる内層と、前記第1薬物層、内層、及び第2薬物層を含む外層と、を含む錠剤及びその製造方法を提供する。本発明のモンテルカスト及びレボセチリジンが単一錠剤に存在しながらも、境界層によって非接触される錠剤は、制約分野において、薬物の相互作用が最小化されながらも、効率的な方法で製造可能な複合製剤として有用に用いられ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モンテルカストまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第1薬物層と、
レボセチリジンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第2薬物層と、
前記第1薬物層と一側面で接触し、前記第2薬物層と他側面で接触することにより、前記第1薬物層と第2薬物層を非接触させる内層と、
前記第1薬物層、内層、及び第2薬物層を含む外層と、を含む錠剤。
【請求項2】
前記モンテルカストまたはその薬学的に許容可能な塩が、モンテルカストナトリウムであり、前記レボセチリジンまたはその薬学的に許容可能な塩が、レボセチリジン塩酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
前記第1薬物層が、モンテルカストナトリウムを含む核錠であることを特徴とする請求項1に記載の錠剤。
【請求項4】
前記核錠が、賦形剤、崩壊剤、及び滑沢剤のうちから選ばれる少なくとも1種の添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の錠剤。
【請求項5】
前記第2薬物層が、レボセチリジン塩酸塩を含む薬物コーティング層であることを特徴とする請求項1に記載の錠剤。
【請求項6】
前記内層が、コーティング層であることを特徴とする請求項1に記載の錠剤。
【請求項7】
前記コーティング層が、ポリビニルアルコール(PVA)-ポリエチレングリコール(PEG)共重合体を含むコーティング剤、ヒプロメロース(HPMC)を含むコーティング剤、及びポリビニルアルコール(PVA)を含むコーティング剤のうちから選ばれる少なくとも1種のコーティング剤を含むことを特徴とする請求項6に記載の錠剤。
【請求項8】
前記外層が、コーティング層であることを特徴とする請求項1に記載の錠剤。
【請求項9】
モンテルカストナトリウムを含む核錠と、
レボセチリジン塩酸塩を含む薬物コーティング層と、
前記核錠と一側面で接触し、前記薬物コーティング層と他側面で接触することにより、前記核錠と薬物コーティング層を非接触させる内皮コーティング層と、
前記核錠、内皮コーティング層、及び薬物コーティング層を含む外皮コーティング層と、を含む3次コーティング錠剤。
【請求項10】
(a)モンテルカストまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第1薬物層を製造するステップと、
(b)前記第1薬物層を取り囲む内層を製造するステップと、
(c)レボセチリジンまたはその薬学的に許容可能な塩を含み、前記内層を取り囲む第2薬物層を製造するステップと、
(d)前記第2薬物層を取り囲む外層を製造するステップと、を含む錠剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、モンテルカスト及びレボセチリジンを含む複合製剤に係り、さらに詳しくは、モンテルカストとレボセチリジンを互いに非接触された状態で含む錠剤に関する。
【0002】
[背景技術]
モンテルカスト(Montelukast)は、ロイコトリエン拮抗薬であるとともに、ロイコトリエン生合成阻害剤であって、US5,565,473は、モンテルカストを開示しているが、喘息、気管支炎、及び関連閉塞性気道疾患のような疾患を含む肺疾患、アレルギー性鼻炎、接触性皮膚炎、アレルギー性結膜炎のようなアレルギー反応、関節炎または炎症性腸疾患などの炎症、痛み、乾癬、アトピー湿疹などの皮膚疾患、狭心症、心筋虚血、高血圧、血小板凝集などの心血管疾患におけるモンテルカストの用途を開示する。
【0003】
セチリジン(Cetirizine)は、第二世代のH1ヒスタミン受容体拮抗薬であって、ラセミ状態において、第一世代の抗ヒスタミン剤よりも使用上の長所を提供する。US5、698、558は、純粋光学異性質体の(-)セチリジン、すなわち、レボセチリジン(Levocetirizine)の投与がラセミックセチリジンの使用と関連した副作用を減らすか、避けることができることを開示し、上記した副作用としては、鎮静、眠気、頭痛、胃腸障害、目眩、悪心、不整脈、及び他の心血管系に及ぼす影響などが含まれる。
【0004】
前記ロイコトリエン阻害剤をセチリジンと組み合わせて投与する場合は、炎症、喘息またはアレルギー性疾患の治療または予防に対して、シナジー効果を提供するという研究が多数報告されており、また、このような組み合わせは、H1ヒスタミン受容体拮抗薬と関連した副作用を減少させることができると報告されている。
【0005】
これにより、モンテルカストナトリウム及びレボセチリジン塩酸塩を含む複合製剤が開発されているが、モンテルカストナトリウムとレボセチリジン塩酸塩は、薬物間相互作用が報告されており、それを解決するための様々な剤形の研究が進行中である。
【0006】
その一例として、モンテルカストナトリウム及びレボセチリジン塩酸塩をそれぞれの錠剤に製造し、それをカプセルに充填して製造されたカプセル製剤が報告されたことがあり、臨床において現在使用中であるが、これは、製造過程で錠剤を製造した後、カプセルに充填するという製造上の複雑さの問題がある。したがって、モンテルカストナトリウムとレボセチリジン塩酸塩の薬物相互作用が最小化されるとともに、さらに効率的な方法で製造可能な複合製剤の開発が要求される。
【0007】
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
本発明が解決しようとする課題は、モンテルカストとレボセチリジンの薬物相互作用が最小化されるとともに、さらに効率的な方法で製造される複合製剤を提供することである。
【0008】
また、本発明の解決課題は、前記複合製剤を製造する方法を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、上述した解決課題に制限されず、言及されていないまた他の技術的課題は、下記の記載から、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって明確に理解され得るであろう。
【0010】
[課題を解決するための手段]
上記した課題を解決するために、本発明の一側面によって、モンテルカストまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第1薬物層と、レボセチリジンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第2薬物層と、前記第1薬物層と一側面で接触し、前記第2薬物層と他側面で接触することにより、前記第1薬物層と第2薬物層を非接触させる内層と、前記第1薬物層、内層、及び第2薬物層を含む外層と、を含む錠剤が提供される。
【0011】
一具現例において、モンテルカストナトリウムを含む核錠と、レボセチリジン塩酸塩を含む薬物コーティング層と、前記核錠と一側面で接触し、前記薬物コーティング層と他側面で接触することにより、前記核錠と薬物コーティング層を非接触させる内皮コーティング層と、前記核錠、内皮コーティング層、及び薬物コーティング層を含む外皮コーティング層と、を含む3次コーティング錠剤が提供される。
【0012】
本発明の他の側面によって、(a)モンテルカストまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第1薬物層を製造するステップと、(b)前記第1薬物層を取り囲む内層を製造するステップと、(c)レボセチリジンまたはその薬学的に許容可能な塩を含み、前記内層を取り囲む第2薬物層を製造するステップと、(d)前記第2薬物層を取り囲む外層を製造するステップと、を含む錠剤の製造方法が提供される。
【0013】
[発明の効果]
本発明によって、モンテルカスト及びレボセチリジンの2つの薬物が一つの錠剤に存在しながらも、内皮層(例えば、コーティング層)による境界層によって非接触される場合は、苛酷保管条件及び加速保管条件の両方において2つの薬物が全て安定性を維持し、類縁物質の発生に有意的な変化がないことが確認されただけでなく、薬物コーティング層における酸性化剤である有機酸の有無にかかわらず、類縁物質の発生は、有意的な変化がなく、コーティング基剤の変更によっても、類縁物質の発生は、有意的な変化がないことが確認された。また、製造された2つの薬物複合錠剤は、溶出試験の結果、コーティング錠剤に含まれた主成分(モンテルカスト、レボセチリジン)が全て適合範囲に含まれることが確認された。
【0014】
したがって、本発明のモンテルカスト及びレボセチリジンが単一錠剤に存在しながらも、境界層によって非接触される錠剤は、製薬の分野において、薬物相互作用が最小化されながらも、効率的な方法で製造可能な複合製剤として有用に用いられ得る。
【0015】
本発明の効果は、上記した効果に限定されるものではなく、本発明の説明または特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能な全ての効果を含むものと理解されなければならない。
【0016】
[図面の簡単な説明]
[
図1]本発明の錠剤の構造を示す模式図である。
[
図2]
図2a乃至
図2dは、本発明のコーティング錠剤に対して、それぞれ水(
図2a)、第1液(pH1.2)(
図2b)、pH4.0液(
図2c)、第2液(pH6.8)(
図2d)において、レボセチリジン塩酸塩の溶出試験の結果を示すグラフである。
[
図3]
図3a乃至
図3dは、本発明のコーティング錠剤に対して、それぞれ水(
図3a)、第1液(pH1.2)(
図3b)、pH4.0液(
図3c)、第2液(pH6.8)(
図3d)[それぞれ0.5%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)が含まれる]において、モンテルカストナトリウムの溶出試験の結果を示すグラフである。
【0017】
[発明を実施するための形態]
本発明は、モンテルカストまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第1薬物層と、レボセチリジンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第2薬物層と、前記第1薬物層と一側面で接触し、前記第2薬物層と他側面で接触することにより、前記第1薬物層と第2薬物層を非接触させる内層と、前記第1薬物層、内層、及び第2薬物層を含む外層と、を含む錠剤を提供する。
【0018】
本発明の一具現例において、前記モンテルカストまたはその薬学的に許容可能な塩は、モンテルカストナトリウムであり、前記レボセチリジンまたはその薬学的に許容可能な塩は、レボセチリジン塩酸塩であってもよい。
【0019】
本発明の錠剤は、好ましくは、
図1に示すように、核錠、1次内皮コーティング(sub-coating)、2次薬物コーティング(coating with Levocetirizine HCl)、3次外皮コーティング(final coating)の3つのコーティング層を含むコーティング錠剤の構造である。
【0020】
本発明の一具現例において、
図1に示すように、、前記モンテルカスト(第1薬物)を含む第1薬物層は、モンテルカストナトリウムを含む核錠であってもよい。
【0021】
一具現例において、前記核錠は、賦形剤、崩壊剤、及び滑沢剤のうちから選ばれる少なくとも1種の添加剤をさらに含んでもよい。前記賦形剤としては、ラクトース、微結晶セルロース、及びマンニトールのうちから選ばれる少なくとも1種、前記崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム及びクロスポビドンのうちから選ばれる少なくとも1種、前記滑沢剤としては、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、及びステアリン酸マグネシウムのうちから選ばれる少なくとも1種がそれぞれ含まれてもよいが、これに制限されるものではない。
【0022】
一具現例において、前記第1薬物は、錠剤の全体重量に対して、2重量%乃至10重量%、賦形剤は、40重量%乃至70重量%、崩壊剤は、5重量%乃至20重量%、滑沢剤は、1重量%乃至5重量%で含まれてもよい。
【0023】
一具現例において、
図1に示すように、前記レボセチリジン(第2薬物)を含む第2薬物層は、レボセチリジン塩酸塩を含む薬物コーティング層であってもよい。
【0024】
一具現例において、前記薬物コーティング層は、コーティング剤を含んでもよい。前記コーティング剤として、ポリビニルアルコール(PVA)-ポリエチレングリコール(PEG)共重合体を含むコーティング剤、またはヒプロメロース(HPMC)を含むコーティング剤が用いられてもよいが、これに制限されるものではない。
【0025】
前記ポリビニルアルコール(PVA)-ポリエチレングリコール(PEG)共重合体を含むコーティング剤は、さらに、タルク、グリセリルモノカプリロカプレート、及びポリビニルアルコールのうちから選ばれる少なくとも1種の成分を含んでもよい。前記コーティング剤としては、商業的に販売されるオパドライQXなどを用いてもよいが、これに制限されるものではない。
【0026】
前記ヒプロメロース(HPMC)を含むコーティング剤としては、商業的に販売されるオパドライヒプロメロース(HPMC)系コーティング基剤を用いてもよいが、これに制限されるものではない。
【0027】
一具現例において、前記第2薬物は、錠剤の全体重量に対して、1重量%乃至5重量%で含まれてもよい。
【0028】
一具現例において、前記内層は、コーティング層であってもよい。前記内層であるコーティング層は、ポリビニルアルコール(PVA)-ポリエチレングリコール(PEG)共重合体を含むコーティング剤、ヒプロメロース(HPMC)を含むコーティング剤、及びポリビニルアルコール(PVA)を含むコーティング剤のうちから選ばれる少なくとも1種のコーティング剤を含んでもよいが、これに制限されるものではない。
【0029】
前記ポリビニルアルコール(PVA)-ポリエチレングリコール(PEG)共重合体を含むコーティング剤及びヒプロメロース(HPMC)を含むコーティング剤についての説明は、上述の通りである。
【0030】
前記ポリビニルアルコール(PVA)を含むコーティング剤としては、商業的に販売されるオパドライAMB IIコーティング基剤を用いてもよいが、これに制限されるものではない。
【0031】
一具現例において、前記外層は、コーティング層であってもよい。前記外層であるコーティング層は、ポリビニルアルコール(PVA)-ポリエチレングリコール(PEG)共重合体を含むコーティング剤、またはヒプロメロース(HPMC)を含むコーティング剤を含んでもよいが、これに制限されるものではない。
【0032】
前記ポリビニルアルコール(PVA)-ポリエチレングリコール(PEG)共重合体を含むコーティング剤についての説明は、上述の通りである。
【0033】
前記ヒプロメロース(HPMC)を含むコーティング剤は、さらに、酸化チタン、タルク、及びポリエチレングリコール400のうちから選ばれる少なくとも1種の成分を含んでもよく、例えば、黄色酸化鉄のような色素成分をさらに含んでもよい。前記コーティング剤としては、商業的に販売されるオパドライヒプロメロース(HPMC)系コーティング基剤またはヒプロメロース(HPMC)系Tabshieldイエローなどを用いてもよいが、これに制限されるものではない。
【0034】
前記各層に用いられるコーティング剤と関連して、内層であるコーティング層に含まれるコーティング剤、第2薬物層である薬物コーティング層に含まれるコーティング剤、及び外層であるコーティング層に含まれるコーティング剤は、全部合わせて、錠剤の全体重量に対して、10重量%乃至30重量%で含まれてもよく、内層であるコーティング層(1次コーティング)、第2薬物層である薬物コーティング層(2次コーティング)、外層であるコーティング層(3次コーティング)に適切に分配されて含まれてもよい。
【0035】
前記錠剤は、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、及びコーティング剤以外にも、必要に応じて、他の成分の添加剤を、錠剤の全体重量に対して、20重量%以内で含んでもよい。
【0036】
本発明は、好適な具現例として、モンテルカストナトリウムを含む核錠と、レボセチリジン塩酸塩を含む薬物コーティング層と、前記核錠と一側面で接触し、前記薬物コーティング層と他側面で接触することにより、前記核錠と薬物コーティング層を非接触させる内皮コーティング層と、前記核錠、内皮コーティング層、及び薬物コーティング層を含む外皮コーティング層と、を含む3次コーティング錠剤を提供する。
【0037】
本発明は、また、前記本発明による錠剤の製造方法を提供する。前記錠剤方法は、(a)モンテルカストまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第1薬物層を製造するステップと、(b)前記第1薬物層を取り囲む内層を製造するステップと、(c)レボセチリジンまたはその薬学的に許容可能な塩を含み、前記内層を取り囲む第2薬物層を製造するステップと、(d)前記第2薬物層を取り囲む外層を製造するステップと、を含む。
【0038】
ステップ(a)は、モンテルカストまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第1薬物層を製造するステップとして、第1薬物(好ましくは、モンテルカストナトリウム)と適切な添加剤の組み合わせを用いて、湿式顆粒法または直打法で行われてもよい。製造された第1薬物層は、核錠またはコア(core)と称されてもよい。
【0039】
ステップ(b)は、第1薬物層を取り囲む内層を製造するステップとして、適切なコーティング剤と精製水などを混合してコーティング液を製造した後、第1薬物(好ましくは、モンテルカストナトリウム)を含む第1薬物層(核錠)をコーティングすることにより、核錠と外部が遮断されるように1次コーティング層(内層)を製造してもよい。製造された中間産物は、内皮コーティング錠と称されてもよい。
【0040】
ステップ(c)は、レボセチリジンまたはその薬学的に許容可能な塩を含み、前記内層を取り囲む第2薬物層を製造するステップとして、第2薬物(好ましくは、レボセチリジン塩酸塩)、適切なコーティング剤と精製水などを混合してコーティング液を製造した後、前記1次コーティングされた内皮コーティング錠をコーティングすることにより、コア内の主成分である第1薬物(好ましくは、モンテルカストナトリウム)と薬物コーティング層(第2薬物層)内の第2薬物(好ましくは、レボセチリジン塩酸塩)が分離された2次コーティング錠剤(内皮+薬物コーティング)を製造してもよい。
【0041】
ステップ(d)は、前記第2薬物層を取り囲む外層を製造するステップとして、適切なコーティング剤と精製水などを用いてコーティング液を製造した後、前記2次コーティング錠剤をコーティングすることにより、薬物コーティング層の第2薬物(好ましくは、レボセチリジン塩酸塩)が外部と遮断されるように3次コーティング層(外層)を製造してもよい。
【0042】
以下、本発明を実施例及び試験例を用いてさらに詳しく説明する。しかしながら、下記の実施例及び試験例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0043】
<実施例>
実施例1乃至2:主成分が分離された複合錠剤の製造I
【0044】
【0045】
前記表1に提示されたモンテルカスト含有層は、成分中の崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム)と滑沢剤(コロイド状二酸化ケイ素及びステアリン酸マグネシウム)を除いた成分を用いて湿式顆粒を製造した後、残りの成分を混合して25メッシュで篩掛けを行い、引き続き、用意された顆粒を直径Φ7.5の円形ポンチを用いて、モンテルカストのみが含まれた錠剤(コア)を製造した。
【0046】
上述した主成分であるモンテルカストと一緒に、独立したレボセチリジン塩酸塩を含む一つの複合錠剤を製造するために、下記のようなコーティング工程を進行し、製造についての具体的な内容は、次の通りである。
【0047】
実施例1の場合、全てのコーティング層に、ポリビニルアルコール(PVA)-ポリエチレングリコール(PEG)共重合体系コーティング剤を用いた。内皮コーティング層の欄に記載されたオパドライQX透明と精製水を用いてコーティング液を製造し、モンテルカスト錠剤(コア)に内皮コーティングを進行して、主成分であるモンテルカストが外部と遮断された1次コーティング錠剤(内皮コーティング)を製造した。
【0048】
連続的な工程のために、内皮コーティングが進行される間、薬物コーティング層の欄に記載されたレボセチリジン塩酸塩、オパドライQX透明、錠剤水を用いてコーティング液を製造し、製造された薬物コーティング液を用いて、前記内皮コーティング錠剤に薬物コーティングを進行し、コア内の主成分であるモンテルカストと薬物コーティング層内のレボセチリジン塩酸塩が分離された2次コーティング錠剤(内皮+薬物コーティング)を製造した。
【0049】
前記2次コーティング錠剤の最外側である薬物コーティング層のレボセチリジン塩酸塩を外部と遮断するために、外皮コーティングを進行した。同様に、連続的な工程のために、薬物コーティングが進行される間、実施例1の外皮コーティング層の欄に記載されたオパドライQXイエロー、精製水を用いてコーティング液を製造して、外皮コーティングを進行し、これにより、一つの錠剤内の二つの主成分が独立して存在する3次コーティング錠剤(内皮+薬物+外皮コーティング)を製造してもよい。実施例2の場合、全てのコーティング層にオパドライヒプロメロース(HPMC)系コーティング剤を用いており、製造方法は、実施例1と同じである。
【0050】
実施例3乃至5:主成分が分離された複合錠剤の製造II
【0051】
【0052】
前記表2に提示されたモンテルカスト含有層は、表1と同じ方法で湿式顆粒を製造し、直径Φ7.5の円形ポンチを用いて、モンテルカストのみが含まれた錠剤(コア)を得た。
【0053】
独立したレボセチリジン塩酸塩を含む一つの複合錠剤を製造するために、下記のようなコーティング工程を進行し、製造の内容は、次の通りである。
【0054】
内皮コーティング層には、ポリビニルアルコール(PVA)系オパドライAMB IIホワイトと精製水を用いたコーティング液で、モンテルカスト錠剤(コア)に内皮コーティングを進行し、1次コーティング錠剤(内皮コーティング)を製造した。
【0055】
薬物コーティング層には、レボセチリジン塩酸塩、ヒプロメロース(HPMC)系オパドライ透明、精製水を用いてコーティング液を製造し、実施例4及び5には、酸性化剤であるクエン酸をそれぞれ1.0mgと3.0mgで加えて用いた。製造された薬物コーティング液を用いて薬物コーティングを進行し、コア内の主成分であるモンテルカストと薬物コーティング層内のレボセチリジン塩酸塩が分離された2次コーティング錠剤(内皮+薬物コーティング)を製造した。
【0056】
前記2次コーティング錠剤の最外側である薬物コーティング層のレボセチリジン塩酸塩を外部と遮断するために、外皮コーティングを進行した。各実施例の外皮コーティング層の欄に記載されたヒプロメロース(HPMC)系Tabshieldイエロー、70%エタノールを用いてコーティング液を製造して、外皮コーティングを進行した。
【0057】
実施例6乃至7:主成分が分離された複合錠剤の製造III
【0058】
【0059】
前記表3に提示された実施例6及び7は、表2における実施例3乃至5のモンテルカスト含有層及び外皮コーティング層の造成とその量が殆ど同じか似ており、製造方法も殆ど同じである。
【0060】
実施例6は、実施例5の内皮コーティング層のコーティング基剤を、ポリビニルアルコール(PVA)-ポリエチレングリコール(PEG)共重合体系のオパドライQXホワイトに変えて製造し、実施例7は、実施例6の薬物コーティング層の酸性化剤を酢酸に変えて製造した。
【0061】
実施例8乃至11:主成分が分離された複合錠剤の製造IV
【0062】
【0063】
前記表4に提示された実施例8乃至11のモンテルカスト含有層及び内皮コーティング層は、殆ど同じ造成を有しており、表2及び表3に提示された実施例3乃至7と殆ど同じ製造方法で製造された。
【0064】
実施例8は、薬物コーティング層において、主成分であるレボセチリジン塩酸塩、オパドライQX透明、精製水を用い、外皮コーティング層において、オパドライQXホワイト、精製水を用い、全てのコーティング層において、コーティング基剤としてポリビニルアルコール(PVA)-ポリエチレングリコール(PEG)共重合体系のオパドライQXを用いた。
【0065】
実施例9は、実施例8の薬物コーティング層に酢酸を加え、外皮コーティング層のオパドライQXホワイトを増量して製造した。
【0066】
実施例10は、実施例8の薬物コーティング層までを同様に製造し、外皮コーティング層のオパドライQXホワイトの量を減らし、ヒプロメロース(HPMC)系のTabshieldイエロー及び70%エタノールを含む最終コーティング層を含ませた。
【0067】
実施例11は、実施例8の薬物コーティング層までを同様に製造し、外皮コーティング層をTabshieldイエロー及び70%エタノールに変えて製造した。
【0068】
実施例12乃至13:主成分が分離された複合錠剤の製造V
【0069】
【0070】
前記表5に提示された実施例12及び13は、上述した表1乃至表4の実施例とは、モンテルカスト含有層の造成及び製造方法が異なり、滑沢剤(タルク及びステアリン酸マグネシウム)を除いた成分をまず混合し、残りの成分を後混合して、25メッシュで篩掛けを行い、引き続き、用意された顆粒を直径Φ7.5の円形ポンチを用いて、モンテルカストのみが含まれた錠剤(コア)を直打で製造した。
【0071】
その後、同様に、モンテルカストと一緒に、独立したレボセチリジン塩酸塩を含む一つの複合錠剤を製造するために、実施例11と同様なコーティング工程を進行した。内皮コーティング層、薬物コーティング層は共に、コーティング基剤として、ポリビニルアルコール(PVA)-ポリエチレングリコール(PEG)共重合体系のオパドライQX透明及び精製水を用い、外皮コーティング層において、コーティング基剤として、ヒプロメロース(HPMC)系のTabshieldイエロー及び70%エタノールを用いた。
【0072】
比較例1:主成分が分離されていない複合錠剤の製造I
【表6】
【0073】
前記表6に提示された比較例1は、主成分の一つであるモンテルカスト及びレボセチリジン塩酸塩を、滑沢剤(タルク及びステアリン酸マグネシウム)を除いた他の成分と一緒に混合し、残りの成分を後混合して、25メッシュで篩掛けを行い、引き続き、用意された顆粒を直径Φ7.5の円形ポンチを用いて、モンテルカスト及びレボセチリジン塩酸塩が含まれた複合錠剤(コア)を製造した。以降、ヒプロメロース(HPMC)系のTabshieldイエローを、コーティング基剤として、70%エタノールと一緒にコーティング液を製造し、1次コーティング(外皮コーティング)のみを進行した。
【0074】
比較例2:主成分が分離されていない複合錠剤の製造II
【表7】
【0075】
前記表7に提示された比較例2は、主成分の一つであるモンテルカストを、滑沢剤(タルク及びステアリン酸マグネシウム)を除いた成分とまず混合し、残りの成分を後混合して、25メッシュで篩掛けを行い、引き続き、用意された顆粒を直径Φ7.5の円形ポンチを用いて、モンテルカストのみが含まれた複合錠剤(コア)を直打で製造した。以降、物理的に分離される内皮コーティングを行わず、レボセチリジン塩酸塩が含まれた薬物コーティングを進行して、二つの主成分が各層に存在するが、境界が接している形状の複合錠剤を製造した。以降、コーティング基剤として、ヒプロメロース(HPMC)系のTabshieldイエロー及び70%エタノールを用いてコーティング液を製造し、外皮コーティングを進行した。
【0076】
試験例1:苛酷保管後の安定性試験
実施例1乃至13、及び比較例1乃至2で得られたモンテルカストナトリウム及びレボセチリジン塩酸塩の複合錠剤を、下記の条件によって、苛酷保管後の安定性試験を実施し、モンテルカストナトリウム及びレボセチリジン塩酸塩の類縁物質の程度を比較して、安定性を評価した。その結果を、下記の表11乃至表12に示した。
【0077】
[苛酷保管後の安定性試験条件]
-試験時点:初期及び1ヶ月苛酷試験後
-保管条件:60℃
-分析対象:モンテルカストナトリウム及びレボセチリジン塩酸塩に起因する類縁物質
【0078】
[モンテルカストナトリウムの類縁物質の分析条件]
(1)検液の調剤
この薬の20錠以上を取り、そのうち、5錠を割って、100mlの茶色のメスフラスコに入れ、75%メタノールを加えて、30分間、超音波振盪後、30分間撹拌して十分に溶かした。75%メタノールで標線し、10分間、3000rpmで遠心分離して、0.45μmのRCフィルターで濾過した液を検液とした(モンテルカストとして0.5mg/ml)。
【0079】
(2)標準液の調剤
-標準液(1):モンテルカストジシクロヘキシルアミン(Montelukast Dicyclohexylamine)標準品13mgを精密に量り、100mlの茶色のメスフラスコに入れ、75%メタノールを加えて、超音波処理後、標線した。この液の1mlを正確に取り、100mlの茶色のメスフラスコに入れ、75%メタノールを加えて標線した後、10分間3000rpmで遠心分離して、0.45μmのRCフィルターで濾過した液を、標準液(1)とした(モンテルカストとして0.001mg/ml、検液に対して0.2%)。
【0080】
-標準液(2):スルホキシド不純物(Sulfoxide impurity)標準品20mgを精密に量り、20mlの茶色のメスフラスコに入れ、75%メタノールを加えて、超音波処理後、標線した([1])。別途にモンテルカストケトン不純物(montelukast ketone impurity)標準品10mgを精密に量り、100mlの茶色のメスフラスコに入れ、75%メタノールを加えて、超音波処理後、標線した([2])。[1]及び[2]の溶液をそれぞれ1mlずつ正確に取り、100mlの茶色のメスフラスコに入れ、75%メタノールを加えて、標線した後、10分間、3000rpmで遠心分離して、0.45μmのRCフィルターで濾過した液を、標準液(2)とした(スルホキシド:検液に対して2%、ケトン:検液に対して0.2%)。
【0081】
-モンテルカストメチルスチレン不純物(Montelukast Methylstyrene Impurity)標準液:モンテルカストメチルスチレン不純物標準品10mgを精密に量り、100mlの茶色のメスフラスコに入れ、DMSOの10mlと75%メタノールを加えて、超音波処理後、標線した。この液の1mlを正確に取り、100mlの茶色のメスフラスコに入れ、75%メタノールを加えて、標線した。RT(保持時間)を確認して、類縁物質の計算式から除外した。
【0082】
(3)溶離条件
検液及び標準液をもって、下記の試験法によって試験し、計算式によって類縁物質の含量を求めた。
【0083】
-移動相A:0.2%(v/v)トリフルオロ酢酸
-移動相B:メタノール:アセトニトリル=3:2
【0084】
【0085】
-カラム:ルナフェニル-ヘキシル(Luna phenyl-hexyl)4.6×100mm、3μmまたはこれと同等なカラム
-検出器:紫外部吸光光度計(測定波長:255nm)
-流速:1.5ml/min
-カラム温度:50℃
-注入量:20μl
【0086】
<計算式1>[未知類縁物質]
【数1】
*I
t=検液から検出されるそれぞれの類縁物質のピーク面積
*I
s=標準液から検出されるモンテルカストのピーク面積
*C
s=モンテルカストジシクロヘキシルアミン標準液の濃度(mg/ml)
*C
u=検液におけるモンテルカストの濃度(mg/ml)
*M
r1=モンテルカストの分子量(586.18)
*M
r2=モンテルカストジシクロヘキシルアミンの分子量(767.50)
*P=モンテルカストジシクロヘキシルアミン標準品の純度(%)
【0087】
<計算式2>[既知類縁物質]
【数2】
*S
t=検液から検出されるそれぞれの既知類縁物質のピーク面積
*S
s=それぞれの既知類縁物質標準液から検出されるそれぞれの既知類縁物質(スルホキシド不純物、モンテルカストケトン不純物、シス異性体(cis-isomer)不純物)のピーク面積
*C
s=それぞれの既知類縁物質標準液の濃度(mg/ml)
*C
u=検液の濃度(mg/ml)
*P=それぞれの既知類縁物質標準品の純度(%)
【0088】
[システム適合性]
*システム適合性溶液:モンテルカストジシクロヘキシルアミン標準品13mgを精密に量り、25mlの茶色のメスフラスコに入れ、75%メタノールを加えて、超音波処理後、標線した。この液の10mlを正確に取り、透明な10ml容量のフラスコに入れ、過酸化水素(Hydrogen peroxide)の4μlを添加して、よく混ぜた後、光に少なくとも4時間以上露出させた。この条件で、モンテルカストは、部分的にシス異性体(cis-isomer)に変換された。
【0089】
*システム適合性溶液から検出されるシス異性体とモンテルカストの分離度は、1.5以上でなければならない。
【0090】
*標準液を6回繰り返して注入するとき、相手標準偏差は、2%以下でなければならない。
【0091】
【0092】
[レボセチリジン塩酸塩の類縁物質の分析条件]
(1)検液の調剤
この薬の2錠を100mlのメスフラスコに入れ、10%メタノールを入れた。2時間以上、超音波振盪した後、5時間以上、撹拌後、標線した。標線した液を、20分間、3000rpmで遠心分離し、0.45μmのPVDF(PALL)フィルターで濾過した液を検液とした(0.1mg/ml)。
【0093】
(2)標準液の調剤
-レボセチリジン塩酸塩標準液
レボセチリジン塩酸塩標準品12mgを精密に量り、200mlのメスフラスコに入れ、10%メタノールを入れて、5分間、振って溶かした後、20分間、超音波振盪後、標線した。この液の1mlを正確に取り、200mlのメスフラスコに入れ、10%メタノールで標線した。0.45μmのPVDF(PALL)フィルターで濾過した液をレボセチリジン塩酸塩標準液とした(0.0003mg/ml)。
【0094】
-クロロベンズヒドリルピペラジン(Chlorobenzhydryl piperazine)標準液
クロロベンズヒドリルピペラジン標準品12mgを精密に量り、200mlのメスフラスコに入れ、10%メタノールを入れて、5分間振って溶かした後、20分間、超音波振盪後、標線した。この液の1mlを正確に取り、20mlのメスフラスコに入れて、10%メタノールで標線し、0.45μm のPVDF(PALL)フィルターで濾過した液をクロロベンズヒドリルピペラジン標準液とし、RT(保持時間)を確認して、類縁物質の計算式から除外した。
【0095】
-レボセチリジンアミド(Levocetirizine amide)標準液
レボセチリジンアミド標準品12mgを精密に量り、200mlのメスフラスコに入れ、10%メタノールを入れて、5分間振って溶かした後、20分間、超音波振盪後、標線した。この液の1mlを正確に取り、20mlのメスフラスコに入れて、10%メタノールで標線し、0.45μm のPVDF(PALL)フィルターで濾過した液をレボセチリジンアミド標準液とし、RT(保持時間)を確認して、類縁物質の計算式から除外した。
【0096】
(3)溶離条件
検液及び標準液をもって、下記の試験法によって試験し、計算式によって類縁物質の含量を求めた。計算式によって計算された値が0.1%未満である類縁物質に関しては計算から除外し、クロロベンズヒドリルピペラジン及びレボセチリジンアミドのピークも計算から除外した。
【0097】
-移動相:アセトニトリル:精製水:1M硫酸=930:65:5
-分析時間:20分
-カラム:シュペルコシル(Supelcosil)LC-SI 4.6×150mm、5μmまたはこれと同等なカラム
-検出器:紫外部吸光光度計(測定波長:230nm)
-流速:1.0ml/min
-カラム温度:30℃
-注入量:30μl
【0098】
<計算式3>[不純物(Impurity)]
【数3】
*R
U=検液から検出されるそれぞれの類縁物質のピーク面積
*R
S=標準液から検出されるレボセチリジン塩酸塩のピーク面積
*C
S=レボセチリジン塩酸塩標準液の濃度(mg/ml)
*C
U=検液におけるレボセチリジン塩酸塩の濃度(mg/ml)
*P=レボセチリジン塩酸塩標準品の純度(%)
【0099】
[システム適合性]
*システム適合性溶液:
-レボセチリジン塩酸塩標準品12mg、クロロベンズヒドリルピペラジン標準品12mgをそれぞれ精密に量り、200mlのメスフラスコに入れ、10%メタノールで標線して、超音波処理した。この液の1mlを正確に取り、20mlのメスフラスコに入れて、10%のメタノールで標線し、0.45μmのPVDF(PALL)フィルターで濾過した液を、システム適合性溶液として用いた(それぞれ3μm/ml)。
【0100】
*レボセチリジンとクロロベンズヒドリルピペラジンの分離度は、3.0以上でなければならない。
*レボセチリジンのテーリング係数(tailing factor)は、2.0以下でなければならない。
【0101】
*レボセチリジン塩酸塩標準液を6回繰り返して注入するとき、相手標準偏差は、2.0%以下でなければならない。
【0102】
【0103】
苛酷保管条件下のモンテルカストナトリウムの類縁物質を下記の表11に、レボセチリジン塩酸塩の類縁物質を下記の表12に示した。
【0104】
【0105】
【0106】
前記表11乃至表12では、実施例1乃至13によるモンテルカストナトリウム及びレボセチリジン塩酸塩の二つの薬物が、一つの錠剤に存在しながらも、内皮コーティングによる境界層を形成したとき、苛酷条件下で発生した類縁物質を示した。
【0107】
有機酸を用いた実施例4、実施例5、実施例6、実施例7、及び実施例9と、有機酸を用いていない実施例1、実施例2、実施例3、実施例8、実施例10、実施例11、実施例12、及び実施例13との類縁物質の発生は、有意的な変化がないことが確認された。
【0108】
また、コーティング基剤の変更による類縁物質の発生も、有意的な変化はないことが確認された。
【0109】
前記表11乃至表12では、比較例1乃至2によるモンテルカストナトリウム及びレボセチリジン塩酸塩の二つの薬物が、一つの錠剤に境界層なしに存在したとき、苛酷条件下で発生した類縁物質を示した。主成分が錠剤中に混在して接触された状態である比較例1の場合、モンテルカストナトリウムの類縁物質のうち、モンテルカストスルホキシドと未知類縁物質が大きく増加したことが確認され、レボセチリジン塩酸塩の類縁物質のうち、未知類縁物質も有意に増加したことが確認された。モンテルカストナトリウム錠剤とレボセチリジン塩酸塩薬物コーティング層が境界なしに接触された状態である比較例2の場合、モンテルカストナトリウムの類縁物質のうち、モンテルカストスルホキシドが大きく増加したことが確認され、レボセチリジン塩酸塩の類縁物質は、比較例1よりもさらに大きく増加したことが確認された。
【0110】
比較例1の場合、未知類縁物質の量も増加することが確認された。また、全体的な類縁物質の量が大きく増加した。レボセチリジン塩酸塩の類縁物質も有意に増加したことが確認され、比較例2の場合、未知類縁物質の量が大きく増加したことが確認された。
【0111】
試験例2:加速保管後の安定性試験
実施例1乃至13、及び比較例1乃至2で得られたモンテルカストナトリウム及びレボセチリジン塩酸塩の複合錠剤を、下記の条件によって、加速保管後の安定性試験を実施し、モンテルカストナトリウム及びレボセチリジン塩酸塩の類縁物質の程度を比較して、安定性を評価した。その結果を、下記の表13乃至表14に示した。
【0112】
[加速保管後の安定性試験条件]
-試験時点:初期及び6ヶ月苛酷試験後
-保管条件:40℃/RH75%
-分析対象:モンテルカストナトリウム及びレボセチリジン塩酸塩に起因する類縁物質
加速保管条件下のモンテルカストナトリウムの類縁物質を下記の表13に、レボセチリジン塩酸塩類縁物質を下記の表14に示した。
【0113】
[モンテルカストナトリウムの類縁物質の分析条件]
前記試験例1の条件と同じである。
【0114】
[レボセチリジン塩酸塩類縁物質の分析条件]
前記試験例1の条件と同じである。
【0115】
加速保管条件下のモンテルカストナトリウムの類縁物質を下記の表13に、レボセチリジン塩酸塩類縁物質を下記の表14に示した。
【0116】
【0117】
【0118】
前記表11乃至表12では、実施例1乃至13によるモンテルカストナトリウム及びレボセチリジン塩酸塩の二つの薬物が、一つの錠剤に存在しながらも、内皮コーティングによる境界層を形成したとき、苛酷条件下で発生した類縁物質を示した。
【0119】
有機酸を用いた実施例4、実施例5、実施例6、実施例7、及び実施例9と、有機酸を用いていない実施例1、実施例2、実施例3、実施例8、実施例10、実施例11、実施例12、及び実施例13との類縁物質の発生は、有意的な変化がないことが確認された。
【0120】
また、コーティング基剤の変更による類縁物質の発生も、有意的な変化はないことが確認された。
【0121】
前記表13乃至表14では、比較例1乃至2によるモンテルカストナトリウム及びレボセチリジン塩酸塩の二つの薬物が、一つの錠剤に境界層なしに存在したとき、苛酷条件下で発生した類縁物質を示した。主成分が錠剤中に混在して接触された状態である比較例1の場合、モンテルカストナトリウムの類縁物質のうち、モンテルカストスルホキシド、モンテルカストケトン、未知類縁物質が増加したことが確認され、レボセチリジン塩酸塩の類縁物質のうち、未知類縁物質も有意に増加したことが確認された。モンテルカストナトリウム錠剤とレボセチリジン塩酸塩薬物コーティング層が境界なしに接触された状態である比較例2の場合、モンテルカストナトリウムの類縁物質のうち、モンテルカストスルホキシドと未知類縁物質が有意に増加したことが確認され、レボセチリジン塩酸塩の類縁物質は、比較例1よりもさらに大きく増加したことが確認された。
【0122】
試験例3:溶出試験
実施例13のコーティング錠剤に対して、下記の条件で、溶出試験を実施し、その結果を
図2a乃至
図2d(レボセチリジンの溶出率)及び
図3a乃至
図3d(モンテルカストの溶出率)に示した。
【0123】
<試験条件>
-溶出試験液:大韓民国薬局方の溶出試験法による第1液(pH1.2)、第2液(pH6.8)、水、pH4.0液(ただし、モンテルカストナトリウムの場合、全ての試験液+可溶化剤のラウリル硫酸ナトリウム(SLS)0.5%を添加)、37±0.5℃
-試験方法:大韓民国薬局方の溶出試験法第2法
-試験対象:対照薬(Monterizineカプセル)、試験薬(実施例13のコーティング錠剤)
【0124】
図2a乃至
図2d(レボセチリジンの溶出率)及び
図3a乃至
図3d(モンテルカストの溶出率)に示すように、対照薬の主成分(モンテルカスト、レボセチリジン)に対して、実施例13のコーティング錠剤の溶出率を測定した結果、実施例13のコーティング錠剤に含まれた主成分(モンテルカスト、レボセチリジン)は、全て適合した範囲に含まれるものと確認された。
【0125】
上述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的特徴を変更せずに、他の具体的な形態に容易に変形が可能であることが理解されるであろう。このため、上述した実施例は、全ての面において、例示的なものであり、限定的ではないと理解しなければならない。例えば、単一型と説明されている各構成要素は、分散して実施されてもよく、同様に分散されたと説明されている構成要素も、結合された形態で実施されてもよい。
【0126】
本発明の範囲は、後述する請求の範囲によって定められ、請求範囲の意味及び範囲、またその均等概念から導出される全ての変更または変形した形態が、本発明の範囲に含まれるものと解析されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【
図2a】
図2aは、本発明のコーティング錠剤に対して、水において、レボセチリジン塩酸塩の溶出試験の結果を示すグラフである。
【
図2b】
図2bは、本発明のコーティング錠剤に対して、第1液において、レボセチリジン塩酸塩の溶出試験の結果を示すグラフである。
【
図2c】
図2cは、本発明のコーティング錠剤に対して、pH4.0液において、レボセチリジン塩酸塩の溶出試験の結果を示すグラフである。
【
図2d】
図2dは、本発明のコーティング錠剤に対して、第2液(pH6.8)において、レボセチリジン塩酸塩の溶出試験の結果を示すグラフである。
【
図3a】
図3aは、本発明のコーティング錠剤に対して、水[0.5%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)が含まれる]において、モンテルカストナトリウムの溶出試験の結果を示すグラフである。
【
図3b】
図3bは、本発明のコーティング錠剤に対して、第1液(pH1.2)[0.5%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)が含まれる]において、モンテルカストナトリウムの溶出試験の結果を示すグラフである。
【
図3c】
図3cは、本発明のコーティング錠剤に対して、pH4.0液[0.5%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)が含まれる]において、モンテルカストナトリウムの溶出試験の結果を示すグラフである。
【
図3d】
図3dは、本発明のコーティング錠剤に対して、第2液(pH6.8)[0.5%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)が含まれる]において、モンテルカストナトリウムの溶出試験の結果を示すグラフである。
【国際調査報告】