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特表2024-514990ヘテロアルキルジヒドロキノリンスルホンアミド化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-04
(54)【発明の名称】ヘテロアルキルジヒドロキノリンスルホンアミド化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/12 20060101AFI20240328BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20240328BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20240328BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240328BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240328BHJP
   A61P 11/14 20060101ALI20240328BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20240328BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
C07D413/12 CSP
C07D401/12
A61K31/4709
A61K31/506
A61P29/00
A61P11/14
A61P17/04
A61P43/00 111
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575972
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(85)【翻訳文提出日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 US2021036898
(87)【国際公開番号】W WO2021252822
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】63/037,000
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミルグラム,ベンジャミン・シー
(72)【発明者】
【氏名】レスクリオ,グウェナエラ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB07
4C063CC29
4C063CC51
4C063DD14
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC42
4C086BC67
4C086GA07
4C086GA09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZA62
4C086ZA89
4C086ZC02
(57)【要約】
本発明は、電位依存性ナトリウムチャネル(特にNav1.7)の阻害剤である、式Iのヘテロアルキルジヒドロキノリンスルホンアミド化合物
及びその薬学的に許容される塩を提供する。化合物は、疼痛障害、咳嗽、及び掻痒などのナトリウムチャネルの活性に関連する疾患の処置に有用である。また、本発明の化合物を含有する医薬組成物も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩
【化1】
(式中、
は、-C0~4alk-O-C1~8alk、-C0~4alk-S-C1~8alk、又は-C0~4alk-NH(C1~8alk)であり;
前記C1~8alkは、ヒドロキシ、ハロ、-OC1~4alk、-NH、-NHC1~4alk、-OC(=O)C1~4alk、又は-N(C1~4alk)C1~4alkから選択される0、1、2、3、4、5、又は6つの基によって置換されており;
は、H、ハロ、-CN、C1~6alk、又はC1~6ハロalkであり;
は、C1~6alk、C1~6ハロalk、-O-C1~6alk、-O-シクロプロピル、又は-O-シクロブチルであり;
は、5~6員ヘテロアリールであり;
及びRの各々は、水素であり;且つ
5a;R5b;R5c;R5d;及びR5eの各々は、独立して、水素又はハロである)。
【請求項2】
が、-O-C1~8alk、-CH-O-C1~8alk、-S-C1~8alk、-CH-S-C1~8alk、又は-CH(CH)-S-C1~8alkであり、前記C1~8alkが、1、2、3、又は4つのヒドロキシ又はハロによって置換されている、請求項1に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
が、-O-CF、-O-CH-CF、-O-CH-CH-CF、-O-CH(CH)-CF、-CH-O-CF、-S-CF、又は-S-CH-CFから選択される、請求項1又は2に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
が、H、フルオロ、クロロ、メチル、CN、CF、CHF、又はCHFである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
が、H、フルオロ、クロロ、又はメチルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
が、H又はフルオロである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
が、メトキシである、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
が、5員ヘテロアリールである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
が、6員ヘテロアリールである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
が、イソオキサゾリル、ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサゾリル、又はピリミジニルである、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
が、イソオキサゾリル又はピリミジニルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
が、イソオキサゾリルである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
5a;R5b;R5c;R5d;及びR5eの各々が、水素である、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
5aが、Fであり、R5b;R5c;R5d;及びR5eの各々が、水素である、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
5cが、Fであり;R5a;R5b;R5d;及びR5eの各々が、水素である、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
a)(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
b)(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
c)(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
d)(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
e)(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
f)(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
g)(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
h)(P)-4-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;又は
i)(P)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-1-(2-メトキシ-5-メチル-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドからなる群から選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
a)(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
b)(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
c)(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;又は
d)(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドから選択される、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
前記化合物が、(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドである、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
前記化合物が、(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドである、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
前記化合物が、(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドである、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
前記化合物が、(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドである、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
a)(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
b)(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
c)(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
d)(P)-4-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;又は
e)(P)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-1-(2-メトキシ-5-メチル-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドから選択される、請求項1~21のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項23】
前記化合物が、(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドである、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
前記化合物が、(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドである、請求項1~23のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項25】
前記化合物が、(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドである、請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項26】
前記化合物が、(P)-4-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドである、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項27】
前記化合物が、(P)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-1-(2-メトキシ-5-メチル-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドである、請求項1~26のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項28】
前記アトロプ異性体が、Pアトロプ異性体である、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、その混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項29】
前記アトロプ異性体が、Mアトロプ異性体である、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、その混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、その混合物、又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項31】
疼痛、咳嗽、又は掻痒を処置する方法であって、それを必要とする患者に治療有効量の請求項1~30のいずれか一項に記載の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、その混合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項32】
前記疼痛が、慢性疼痛、急性疼痛、神経因性疼痛、関節リウマチに関連する疼痛、変形性関節症に関連する疼痛、癌に関連する疼痛、糖尿病性末梢神経障害、及び神経因性腰痛から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記咳嗽が、ウイルス感染後咳嗽、ウイルス性咳嗽、又は急性ウイルス性咳嗽から選択される、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年6月10日に出願された米国仮特許出願第63/037,000号明細書の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、電位依存性ナトリウムチャネル(Nav)、特にNav1.7の阻害剤であり、疼痛障害などのナトリウムチャネルの阻害によって処置可能な疾患の処置に有用である、ヘテロアルキルジヒドロキノリンスルホンアミド化合物を提供する。また、本発明の化合物を含有する医薬組成物も提供される。
【背景技術】
【0003】
米国医学研究所(the institute of medicine)の2011年の報告では、人口のおよそ30%である米国の1億人の成人は、慢性疼痛を患っていると推定されている(C & E News,Bethany Halford,“Changing the Channel”,published 3-24)。定義による慢性疼痛は、疼痛経路におけるニューロン:末梢感覚ニューロン、脊髄ニューロン、脳(例えば、体性感覚皮質、島皮質、前帯状皮質)の疼痛マトリックスにおけるニューロン、及び/又は脳幹におけるニューロンの異常な電気的スパイク発生を含む。これらのニューロンの発火は、多くの異なる受容体、酵素、及び増殖因子によって調節され、且つ統御されるが、大部分のニューロンにおいて、電気的スパイクの迅速なアップストロークは、電位依存性ナトリウムチャネルを通したナトリウムイオンの流入によって生じる(Hille B,Ion Channels of Excitable Membranes. Sinauer Associates,Inc.:Sunderland MA,3rd Ed.2001)。電位依存性ナトリウムチャネルには9種の異なるアイソフォーム(Nav1.1~Nav1.9)が存在し、それらは、ニューロン並びに心筋及び骨格筋を含む組織において異なる発現パターンを有する(Goldin,A.L,“Resurgence of sodium channel research,”Ann Rev Physiol 63:871-894,2001;Wood,J.N.and,Boorman,J.“Voltage-gated sodium channel blockers;target validation and therapeutic potential”Curr.Top Med.Chem.5:529-537,2005)。
【0004】
Nav1.1及びNav1.2は、脳において高度に発現され(Raymond,C.K.,et al.,J.Biol.Chem.Chem.(2004)279(44):46234-41)、正常な脳機能に必須である。ヒトにおけるNav1.1変異に起因するいくつかの機能喪失は、これらのチャネルが抑制性ニューロンにおいて発現されるため、てんかんをもたらすと推定されている(Yu,F.H.,et al.,Nat.Neuroscience(2006),9(9)1142-1149)。Nav1.1はまた、末梢神経系においても発現され、末梢におけるNav1.1の阻害は、疼痛の軽減をもたらし得る。したがって、Nav1.1の阻害は、疼痛の処置に有用であり得る一方で、それはまた、不安及び過興奮性を引き起こす可能性があり望ましくない場合がある。Nav1.3は、胎生期の中枢神経系において主に発現され、発現は、ラットにおいて神経損傷後に上方制御されることが見出された(Hains,B.D.,et al.,J.Neuroscience(2030)23(26):8881-8892)。Nav1.4は、骨格筋において主に発現される。その遺伝子及びその産物の変異は、麻痺などの重大な影響を筋機能に及ぼす(Tamaoka A.,Internal Medicine(2003),(9):769-770)。Nav1.5は、心房、心室、洞房結節、房室結節、及び心臓プルキンエ線維を含む、心筋細胞において主に発現される。心臓活動電位の迅速なアップストローク及び心臓組織を介した迅速な興奮伝導は、Nav1.5チャネルの開口に起因する。Nav1.5チャネルの変異は、QTc延長、ブルガダ症候群(BS)、夜間突然死症候群(SUNDS)、及び乳幼児突然死症候群(SIDS)を含む不整脈性症候群を引き起こしてきた(Liu,H.,et al.,Am.J.Pharmacogenomics(2003),3(3):173-179)。Nav1.6は、中枢及び末梢神経系全体にわたって発現される広範に分布する電位依存性ナトリウムチャネルである。Nav1.8は、後根神経節などの末梢神経系の感覚神経節において主に発現される。ヒトにおいて多様な疼痛反応を生じさせるNav1.8変異は同定されていない。Nav1.8は、それがテトロドトキシンによる阻害に対して非感受性であるという点で大部分の神経Navアイソタイプと異なる。Nav1.9もまた、Nav1.8と同様に、後根神経節ニューロンにおいて主に発現されるテトロドトキシン非感受性ナトリウムチャネルである(Dib-Hajj,S.D.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1998),95(15):8963-8968)。
【0005】
いくつかの独立した遺伝学的研究からの最近のエビデンスにより、テトロドトキシン感受性電位依存性ナトリウムイオンチャネルNav1.7(SCN9A)が、疼痛の感知に必要であることが示されている。重篤な慢性疼痛である原発性肢端紅痛症及び発作性激痛症の希少な遺伝型は、Nav1.7の活性を増大させる変異に起因する(Fertleman C.R.,Baker M.D.,Parker K.A.,Moffatt S.,et al.,“SCN9A mutations in paroxysmal extreme pain disorder:allelic variants underlie distinct channel defects and phenotypes,”Neuron 52:767-774,2006;Yang Y.,Wang Y.,Li S,et al.,“Mutations in SCN9A,encoding a sodium channel alpha subunit,in patients with primary erythermalgia,”J.Med.Genet.41:171-174,2004;Drenth J.P.H.,te Morsche R.H.M.,Guillet G.,Taieb A.,et al.,“SCN9A mutations define primary erythermalgia as a neuropathic disorder of voltage gated sodium channels,”J Invest Dermatol 124:1333-1338)。逆に、2つの別々の臨床研究により、遺伝性障害である先天性無痛症(CIP)の根本原因が、タンパク質をトランケートし、且つ機能を破壊する変異を介した、Nav1.7の機能喪失であることが特定された(Cox J.J.,Reimann F,Nicholas A.K.,et al.“An SCN9A channelopathy causes congenital inability to experience pain,”Nature 444:894-898,2006;Goldberg Y.P.,MacFarlane J.,MacDonald M.L.,Thompson J.,et al.“Loss-of-function mutations in the Nav1.7 gene underlie congenital indifference to pain in multiple human populations,”Clin Genet 71:311-319,2007)。この障害は、100%の浸透率でメンデル劣性の形で遺伝する。CIPに関連する表現型は、極端である。即ち、罹患した個体は、無痛性の火傷、出産、虫垂炎、及び骨折を経験するのみならず、ピン刺激又は腱圧迫などの疼痛の臨床測定に対して非感受性であることが報告されている。それにもかかわらず、感覚、運動、自律神経、及び測定された他の機能は正常であり、報告される唯一の異常は嗅覚脱失(臭いを感じられない)である。これらの研究は、疼痛経路における多くの考えられる標的の中で、Nav1.7が疼痛知覚に極めて重要である1つ以上の制御点を統御することを示している。
【0006】
リドカイン、メキシレチン、及びカルバマゼピンなどの非選択的ナトリウムチャネル阻害剤は、神経因性疼痛を含む慢性疼痛において臨床的有効性を示すが、それらは、疼痛経路以外のナトリウムチャネルに影響を及ぼす可能性があるため、用量及び用途に制約がある。リドカインは、医師が小手術に使用する局所麻酔薬である。歯科医は、ノボカインを使用する。しかしながら、これらの化合物は、様々なナトリウムチャネルサブタイプを区別しないため、全身性鎮痛剤としての使用には不適当である。イオンチャネルを遮断する毒液を研究しているオーストラリアのUniversity of Queenslandの教授であるGlenn F.Kingは、「Nav1.7を遮断するが、Nav1.5も遮断する薬物を与える場合、患者は、心不全で死亡することになる」と述べている。「それは、完全に無痛の死であろうが、それでも患者は死亡することになる」。したがって、特にNav1.5よりもNav1.7に対する選択性が望まれる。研究者らは、Nav1.7のみの活性を阻害するか又は遮断する分子を見出すために努力してきた。この問題を複雑にしているのは、電位依存性ナトリウムチャネルタンパク質の各サブタイプの性質、全ての位置、全ての機能、及び/又は三次構造が、不明であるか又は完全には理解されていないことである。
【0007】
結果として、多数の研究者がNav1.7の低分子阻害剤の同定を試みている。例えば、Chafeev et al.は、米国特許第8,101,647号明細書において、疼痛などのナトリウムチャネル媒介性疾患の処置及び/又は予防のためのスピロ-オキシインドール化合物を開示している。国際公開第2013/134518号パンフレット及び国際公開第2014/201206号パンフレットは、本発明のスルホンアミド誘導体とは異なるスルホンアミド誘導体を開示している。したがって、疼痛を処置するために、少なくともNav1.5に対してよりも選択的であるNav1.7阻害剤を同定することが必要とされている。本発明は、少なくともNav1.5よりもNav1.7に対して選択的である阻害剤である化合物を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第8,101,647号明細書
【特許文献2】国際公開第2013/134518号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2014/201206号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】C & E News,Bethany Halford,“Changing the Channel”,published 3-24
【非特許文献2】Hille B,Ion Channels of Excitable Membranes.Sinauer Associates,Inc.:Sunderland MA,3rd Ed.2001
【非特許文献3】Goldin,A.L,“Resurgence of sodium channel research,” Ann Rev Physiol 63:871-894,2001
【非特許文献4】Wood,J.N.and,Boorman,J.“Voltage-gated sodium channel blockers;target validation and therapeutic potential” Curr.Top Med.Chem.5:529-537,2005
【非特許文献5】Raymond,C.K.,et al.,J.Biol.Chem.(2004)279(44):46234-41
【非特許文献6】Yu,F.H.,et al.,Nat.Neuroscience(2006),9(9)1142-1149
【非特許文献7】Hains,B.D.,et al.,J.Neuroscience(2030)23(26):8881-8892
【非特許文献8】Tamaoka A.,Internal Medicine(2003),(9):769-770
【非特許文献9】Liu,H.,et al.,Am.J.Pharmacogenomics(2003),3(3):173-179
【非特許文献10】Dib-Hajj,S.D.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1998),95(15):8963-8968
【非特許文献11】Fertleman C.R.,Baker M.D.,Parker K.A.,Moffatt S.,et al.,“SCN9A mutations in paroxysmal extreme pain disorder:allelic variants underlie distinct channel defects and phenotypes,” Neuron 52:767-774,2006
【非特許文献12】Yang Y.,Wang Y.,Li S,et al.,“Mutations in SCN9A,encoding a sodium channel alpha subunit,in patients with primary erythermalgia,” J.Med.Genet.41:171-174,2004
【非特許文献13】Drenth J.P.H.,te Morsche R.H.M.,Guillet G.,Taieb A.,et al.,“SCN9A mutations define primary erythermalgia as a neuropathic disorder of voltage gated sodium channels,” J Invest Dermatol 124:1333-1338
【非特許文献14】Cox J.J.,Reimann F,Nicholas A.K.,et al.“An SCN9A channelopathy causes congenital inability to experience pain,” Nature 444:894-898,2006
【非特許文献15】Goldberg Y.P.,MacFarlane J.,MacDonald M.L.,Thompson J.,et al.“Loss-of-function mutations in the Nav1.7 gene underlie congenital indifference to pain in multiple human populations,” Clin Genet 71:311-319,2007
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態1において、本発明は、式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩
【化1】
(式中、
は、-C0~4alk-O-C1~8alk、-C0~4alk-S-C1~8alk、又は-C0~4alk-NH(C1~8alk)であり;前記C1~8alkは、ヒドロキシ、ハロ、-OC1~4alk、-NH、-NHC1~4alk、-OC(=O)C1~4alk、又は-N(C1~4alk)C1~4alkから選択される0、1、2、3、4、5、又は6つの基によって置換されており;
は、H、ハロ、-CN、C1~6alk、又はC1~6ハロalkであり;
は、C1~6alk、C1~6ハロalk、-O-C1~6alk、-O-シクロプロピル、又は-O-シクロブチルであり;
は、5~6員ヘテロアリールであり;
及びRの各々は、水素であり;且つ
5a;R5b;R5c;R5d;及びR5eの各々は、独立して、水素又はハロである)を提供する。
【0011】
実施形態1の下位実施形態1aにおいて、式(I)の化合物は、下位式(Ia)を有し、式中、Rは、-C0~2alk-O-C1~3alkであり;且つRは、イソオキサゾリル又はピリミジルである。
【0012】
実施形態1のより好ましい下位実施形態1aにおいて、Rは、-CH-O-CF又は-O-CFであり;Rは、F又はClであり;且つRは、イソオキサゾリルである。
【0013】
実施形態1の最も好ましい下位実施形態1aにおいて、Rは、-CH-O-CFであり;Rは、Fであり;且つRは、イソオキサゾリルである。
【0014】
実施形態1の下位実施形態1bにおいて、式(I)の化合物は、下位式(Ib)を有し、式中、Rは、-C0~2alk-S-C1~2alkであり;且つRは、イソオキサゾリル又はピリミジルである。
【0015】
実施形態1のより好ましい下位実施形態1bにおいて、Rは、-S-CF又は
-S-CHCFであり;Rは、F、Cl、又はメチルであり;且つRは、イソオキサゾリル又はピリミジルである。
【0016】
実施形態1の最も好ましい下位実施形態1bにおいて、各Rは、-S-CFであり;Rは、Fであり;且つRは、イソオキサゾリルである。
【0017】
実施形態2において、本発明は、式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、Rは、-O-C1~8alk、-CH-O-C1~8alk、-S-C1~8alk、-CH-S-C1~8alk、又は-CH(CH)-S-C1~8alkであり、前記C1~8alkは、1、2、3、又は4つのヒドロキシ又はハロによって置換されている。
【0018】
実施形態3において、本発明は、式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、Rは、-O-CF、-O-CH-CF、-O-CH-CH-CF、-O-CH(CH)-CF、-CH-O-CF、-S-CF、又は-S-CH-CFから選択される。
【0019】
実施形態3の下位実施形態3aにおいて、Rは、-CH-O-CF又は-S-CFである。
【0020】
実施形態3の下位実施形態3bにおいて、Rは、-CH-O-CFである。
【0021】
実施形態3の下位実施形態3cにおいて、Rは、-S-CFである。
【0022】
実施形態4において、本発明は、式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、Rは、H、フルオロ、クロロ、メチル、CN、CF、CHF、又はCHFである。
【0023】
実施形態5において、本発明は、式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、Rは、H、フルオロ、クロロ、又はメチルである。
【0024】
実施形態6において、本発明は、式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、Rは、H又はフルオロである。
【0025】
実施形態7において、本発明は、式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、Rは、メトキシである。
【0026】
実施形態8において、本発明は、式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、Rは、5員ヘテロアリールである。
【0027】
実施形態9において、本発明は、式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、Rは、6員ヘテロアリールである。
【0028】
実施形態10において、本発明は、式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、Rは、イソオキサゾリル、ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサゾリル、又はピリミジニルである。
【0029】
実施形態11において、本発明は、式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、Rは、イソオキサゾリル又はピリミジニルである。
【0030】
実施形態11の下位実施形態11aにおいて、Rは、イソオキサゾリルである。
【0031】
実施形態11の別の下位実施形態11bにおいて、Rは、ピリミジニルである。
【0032】
実施形態12において、本発明は、式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、R5a;R5b;R5c;R5d;及びR5eの各々は、水素である。
【0033】
実施形態13において、本発明は、式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、R5aは、Fであり;且つR5b;R5c;R5d;及びR5eの各々は、水素である。
【0034】
実施形態14において、本発明は、式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、R5cは、Fであり;且つR5a;R5b;R5d;及びR5eの各々は、水素である。
【0035】
実施形態15において、本発明は、式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、この化合物は、
(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
(P)-4-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;又は
(P)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-1-(2-メトキシ-5-メチル-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドから選択される。
【0036】
実施形態16において、本発明は、上で特定された下位式(Ia)を有する式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、この化合物は、
(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;又は
(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドから選択される。
【0037】
実施形態16の下位実施形態16aにおいて、本発明は、上で特定された下位式(Ia)を有する式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、この化合物は、(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドである。
【0038】
実施形態16の下位実施形態16bにおいて、本発明は、上で特定された下位式(Ia)を有する式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、この化合物は、(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドである。
【0039】
実施形態16の下位実施形態16cにおいて、本発明は、上で特定された下位式(Ia)を有する式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、この化合物は、(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドである。
【0040】
実施形態16の下位実施形態16dにおいて、本発明は、上で特定された下位式(Ia)を有する式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、この化合物は、(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドである。
【0041】
実施形態17において、本発明は、上で特定された下位式(Ib)を有する式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、この化合物は、
(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;
(P)-4-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド;又は
(P)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-1-(2-メトキシ-5-メチル-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドから選択される。
【0042】
実施形態17の下位実施形態17aにおいて、本発明は、上で特定された下位式(Ib)を有する式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、この化合物は、(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドである。
【0043】
実施形態17の下位実施形態17bにおいて、本発明は、上で特定された下位式(Ib)を有する式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、この化合物は、(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドである。
【0044】
実施形態17の下位実施形態17cにおいて、本発明は、上で特定された下位式(Ib)を有する式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、この化合物は、(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドである。
【0045】
実施形態17の下位実施形態17dにおいて、本発明は、上で特定された下位式(Ib)を有する式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、この化合物は、(P)-4-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドである。
【0046】
実施形態17の下位実施形態17eにおいて、本発明は、上で特定された下位式(Ib)を有する式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、この化合物は、(P)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-1-(2-メトキシ-5-メチル-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドである。
【0047】
実施形態18において、本発明は、実施形態1~17(それぞれのその下位実施形態のうちのいずれか1つを含む)に列挙された、それぞれの個々の化合物のPアトロプ異性体、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0048】
実施形態19において、本発明は、実施形態1~17(それぞれのその下位実施形態のうちのいずれか1つを含む)に列挙された、それぞれの個々の化合物のMアトロプ異性体、又はその薬学的に許容される塩を独立して提供する。
【0049】
実施形態20において、本発明は、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、若しくは17のいずれか1つ(それぞれのその下位実施形態のうちのいずれか1つを含む)による化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物を提供する。
【0050】
実施形態21において、本発明は、疼痛、咳嗽、又は掻痒を処置する方法であって、それを必要とする患者に治療有効量の実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、若しくは17のいずれか1つ(それぞれのその下位実施形態のうちのいずれか1つを含む)による化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
【0051】
実施形態22において、本発明は、疼痛が、慢性疼痛、急性疼痛、神経因性疼痛、関節リウマチに関連する疼痛、変形性関節症に関連する疼痛、癌に関連する疼痛、糖尿病性末梢神経障害、及び神経因性腰痛から選択される、実施形態21の方法を提供する。
【0052】
実施形態23において、本発明は、咳嗽が、ウイルス感染後咳嗽、ウイルス性咳嗽、又は急性ウイルス性咳嗽から選択される、実施形態21の方法を提供する。Dib-Hajj.et.al.,“The NaV1.7 sodium channel:from molecule to man”,Nature Reviews Neuroscience(2013),14,49-62を参照されたい。
【0053】
実施形態24において、本発明は、式(I)の化合物の調製に使用される中間体化合物を調製する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明は、上で定義された通りの式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明はまた、式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、並びに疼痛などの疾患及び/又は状態を、式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、アトロプ異性体、若しくはその混合物、又はその薬学的に許容される塩を使用して処置する方法を提供する。
【0055】
「Cα~βalk」という用語は、分枝状若しくは直鎖状の繋がり又はその2つの任意の組み合わせにおいて最小α個の炭素原子及び最大β個の炭素原子を含むアルキル基を意味し、α及びβは、整数を表す。Calkの表記は、直接結合を示す。C1~6alkの例としては、以下:
【化2】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br、又はIから選択されるハロゲン原子を意味する。
【0057】
「Cα~βハロalk」という用語は、水素原子の少なくとも1つが、本明細書で定義される通りのハロ原子で置き換えられている、本明細書で定義される通りのalk基を意味する。一般的なCα~βハロalk基は、C1~3フルオロalkである。一般的なC1~3フルオロalk基の例は、-CFである。
【0058】
本明細書で使用する場合、「ヘテロ原子」という用語は、酸素、窒素、又は硫黄原子を意味する。
【0059】
本明細書で使用する場合、「単環式環」という用語は、1つの単環を備える基を意味する。単環式環は、炭素環(環の原子が全て炭素である)であってもよく、又は複素環(その環の原子が、炭素原子に加えて、例えば1、2、若しくは3つのヘテロ原子、例えばN、O、若しくはSからなる)であってもよい。単環式化合物の例としては、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
本明細書で使用する場合、「二環式環」という用語は、2つの連結された環を備える基を意味する。二環式環は、炭素環(環の原子が全て炭素である)であってもよく、又は複素環(その環の原子が、炭素原子に加えて、例えば1、2、若しくは3つのヘテロ原子、例えばN、O、若しくはSからなる)であってもよい。2つの環は両方とも、脂肪族(例えば、デカリン及びノルボルナン)であってもよく、若しくは芳香族(例えばナフタレン)であってもよく、又は脂肪族と芳香族との組み合わせ(例えば、テトラリン)であってもよい。二環式環には、以下が含まれる。(a)2つの環が、通常は四級炭素である単一の原子(即ちスピロ原子)のみを共有する、スピロ環化合物。スピロ環化合物の例としては、
【化3】
が挙げられるが、これらに限定されない;
(b)2つの環が、隣接する2つの原子を共有する、縮合二環式化合物。換言すると、環は1つの共有結合を共有する。即ち、橋頭原子は直接接続される(例えばα-ツジェン及びデカリン)。縮合二環式環の例としては、
【化4】
が挙げられるが、これらに限定されない;並びに
(c)2つの環が、3つ以上の原子を共有しており、少なくとも1つの原子を含有する架橋によって2つの橋頭原子が隔てられている、架橋二環式化合物。例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンとしても知られるノルボルナンは、各々がそれらの5つの炭素原子のうちの3つを共有する一対のシクロペンタン環であると考えることができる。架橋二環式環の例としては、
【化5】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
「アリール」という用語は、環式芳香族炭化水素を意味する。アリール基の例としては、フェニル及びナフチルが挙げられる。一般的なアリール基は、6~13員環である。
【0062】
「ヘテロアリール」という用語は、アリール基の1つ以上の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられている環式芳香族炭化水素を意味する。ヘテロアリール基が2つ以上のヘテロ原子を含有する場合、そのヘテロ原子は、同じであってもよく、又は異なっていてもよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、ピリミジニル、イミダゾリル、チエニル、フリル、ピラジニル、ピロリル、インドリル、トリアゾリル、ピリダジニル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、イソキノリル、キノリル、ナフチリジニル、キノキサリニル、イソチアゾリル、及びベンゾ[b]チエニルが挙げられる。一般的なヘテロアリール基は、1~4つのヘテロ原子を含有する5~13員環である。1~3つのヘテロ原子を含有する5員環及び6員環であるヘテロアリール基は、特に一般的である。
【0063】
「飽和、部分飽和、又は不飽和」という用語は、水素で飽和された置換基、完全に水素で飽和されていない置換基、及び水素で部分的に飽和された置換基を含む。
【0064】
「薬学的に許容される塩」という用語は、従来の手段により調製された塩を意味し、当業者に周知である。「薬理学的に許容される塩」としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、リンゴ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、マレイン酸、サリチル酸、安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸などを含むがこれらに限定されない、無機酸及び有機酸の塩基性塩が挙げられる。「薬理学的に許容される塩」の追加の例に関しては、Berge et al.,J.Pharm.Sci.66:1(1977)を参照されたい。
【0065】
「置換」という用語は、分子又は基上の水素原子が、基又は原子で置き換えられていることを意味する。典型的な置換基としては、ハロゲン、C1~8アルキル、ヒドロキシル、C1~8アルコキシ、-NR、ニトロ、シアノ、ハロ、又はペルハロC1~8アルキル、C2~8アルケニル、C2~8アルキニル、-SR、-S(=O)、-C(=O)OR、-C(=O)Rが挙げられ、各Rは、独立して、水素又はC1~8アルキルである。置換基が-NRである場合、R基は、窒素原子とともに連結されて、環を形成し得ることに留意されたい。
【0066】
水素原子と置き換わる基又は原子は、置換基とも呼ばれる。
【0067】
任意の特定の分子又は基は、置き換えることのできる水素原子の数に応じて1つ以上の置換基を有し得る。
【0068】
「非置換」という用語は、分子又は基上の水素原子を意味する。「置換」という用語は、分子又は基上の水素原子が、基又は原子で置き換えられていることを意味する。典型的な置換基としては、ハロゲン、Cアルキル、ヒドロキシル、Cアルコキシ、-NR、ニトロ、シアノ、ハロ、又はペルハロCアルキル、Cアルケニル、Cアルキニル、-SR、-S(=O)、-C(=O)OR、-C(=O)Rが挙げられ、各Rは、独立して、水素又はC~Cアルキルである。置換基が-NRである場合、R基は、窒素原子とともに連結されて、環を形成し得ることに留意されたい。
【0069】
記号「-」は、共有結合を表し、ラジカル基において別の基への結合点を示すために使用され得る。化学構造において、この記号は、分子中のメチル基を表すために一般的に使用される。
【0070】
「脱離基」という用語は一般に、アミン、チオール、若しくはアルコール求核剤などの求核剤によって、又は遷移金属が触媒するカップリング条件下でボロン酸若しくはボロナートなどの金属性薬剤によって容易に置き換え可能な基を指す。そのような離脱基は、当該技術分野で周知である。そのような脱離基の例としては、N-ヒドロキシスクシンイミド、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール、ハライド、トリフレート、トシレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい脱離基は、本明細書中に適宜示される。
【0071】
「保護基」という用語は一般に、カルボキシ、アミノ、ヒドロキシ、メルカプトなどの選択された反応性基の、求核性、求電子性、酸化、還元などの望まれない反応の進行を防止するために使用される当該技術分野で周知の基を指す。好ましい保護基は、本明細書中に適宜示される。アミノ保護基の例としては、アラルキル、置換アラルキル、シクロアルケニルアルキル及び置換シクロアルケニルアルキル、アリル、置換アリル、アシル、アルコキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、シリルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アラルキルの例としては、ベンジル、オルト-メチルベンジル、トリチル、及びベンズヒドリル(ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、アシルアミノ、アシルなど、並びにホスホニウム及びアンモニウム塩などの塩で任意選択により置換されていてもよい)が挙げられるが、これらに限定されない。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、インダニル、アントラセニル、9-(9-フェニルフルオレニル)、フェナントレニル、デュレニル(durenyl)などが挙げられる。シクロアルケニルアルキル又は置換シクロアルキレニルアルキル基(好ましくは6~10個の炭素原子を有する)の例としては、シクロヘキセニルメチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。好適なアシル、アルコキシカルボニル、及びアラルコキシカルボニル基としては、ベンジルオキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル、イソ-ブトキシカルボニル、ベンゾイル、置換ベンゾイル、ブチリル、アセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタロイルなどが挙げられる。保護基の混合物を使用して同じアミノ基を保護することができ、例えば、一級アミノ基は、アラルキル基及びアラルコキシカルボニル基の両方によって保護され得る。アミノ保護基はまた、それらが結合される窒素とともに、例えば、1,2-ビス(メチレン)ベンゼン、フタルイミジル、スクシンイミジル、マレイミジルなどの複素環を形成することができ、これらの複素環基は、隣接しているアリール環及びシクロアルキル環を更に含み得る。加えて、複素環基は、ニトロフタルイミジルのように一置換、二置換、又は三置換であってもよい。アミノ基はまた、塩酸塩、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの付加塩の形成を通じて、酸化などの望まれない反応から保護され得る。アミノ保護基の多くはまた、カルボキシ、ヒドロキシ、及びメルカプト基を保護するのに好適である。例えば、アラルキル基である。tert-ブチルなどのアルキル基はまた、ヒドロキシ及びメルカプト基を保護するのに好適な基である。
【0072】
保護基は、分子の残りの部分に影響を及ぼさない条件下で除去される。これらの方法は、当該技術分野で周知であり、酸加水分解、水素化分解などが含まれる。好ましい方法は、アルコール、酢酸など、又はその混合物などの好適な溶媒系中でのパラジウム炭素を利用する水素化分解によるベンジルオキシカルボニル基の除去などの、保護基の除去を含む。tert-ブトキシカルボニル保護基は、ジオキサン又は塩化メチレンなどの好適な溶媒系中で、HCl又はトリフルオロ酢酸などの無機酸又は有機酸を利用して除去され得る。得られるアミノ塩は、容易に中和されて遊離アミンが生じ得る。メチル、エチル、ベンジル、tert-ブチル、4-メトキシフェニルメチルなどのカルボキシ保護基は、当業者に周知の加水分解及び水素化分解条件下で除去され得る。
【0073】
本発明の化合物のプロドラッグもまた、本発明により企図される。プロドラッグは、加水分解、代謝などのインビボ生理作用によって化学的に修飾され、患者へのプロドラッグの投与後に本発明の化合物となる、活性又は不活性の化合物である。プロドラッグの作製及び使用に関連する適合性及び手法は、当業者に周知である。エステルを含むプロドラッグの一般的考察に関しては、Svensson and Tunek Drug Metabolism Reviews 165(1988)及びBundgaard Design of Prodrugs,Elsevier(1985)を参照されたい。マスクされたカルボキシレートアニオンの例としては、アルキル(例えば、メチル、エチル)、シクロアルキル(例えば、シクロヘキシル)、アラルキル(例えば、ベンジル、p-メトキシベンジル)、及びアルキルカルボニルオキシアルキル(例えば、ピバロイルオキシメチル)などの様々なエステルが挙げられる。アミンは、エステラーゼによってインビボで切断され遊離薬物及びホルムアルデヒドを放出する、アリールカルボニルオキシメチル置換誘導体としてマスクされている(Bundgaard J.Med.Chem.2503(1989))。また、イミダゾール、イミド、インドールなどの酸性NH基を含有する薬物は、N-アシルオキシメチル基でマスクされている(Bundgaard Design of Prodrugs,Elsevier(1985))。ヒドロキシ基は、エステル及びエーテルとしてマスクされている。欧州特許第039,051号明細書(Sloan and Little,4/11/81)は、マンニッヒ塩基ヒドロキサム酸プロドラッグ、それらの調製、及び使用を開示している。
【0074】
「治療有効量」という用語は、特定の疾患若しくは状態の1つ以上の症状を改善させるか、減弱させるか、若しくは除去する化合物の量、又は特定の疾患若しくは状態の1つ以上の症状の発症を予防するか若しくは遅延させる化合物の量を意味する。
【0075】
「患者」という用語は、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、及びヒトなどの動物を意味する。特定の患者は、哺乳動物である。患者という用語は、雄及び雌を含む。
【0076】
「薬学的に許容される」という用語は、参照されている物質(例えば、式Iの化合物、若しくは式Iの化合物の塩、式Iの化合物を含有する製剤、又は特定の賦形剤)が患者への投与に適していることを意味する。
【0077】
「処置すること」、「処置する」、又は「処置」などの用語は、予防的(preventative)(例えば、予防的(prophylactic))処置及び緩和処置を含む。
【0078】
「賦形剤」という用語は、あらゆる薬学的に許容される添加物、担体、希釈剤、補助剤、又は有効活性成分(API)以外の他の成分を意味し、これらは、典型的には、製剤化及び/又は患者への投与のために含まれる。
【0079】
本発明の化合物は、治療有効量で患者に投与される。化合物は、単独で投与され得るか、又は薬学的に許容される組成物若しくは製剤の一部として投与され得る。更に、化合物又は組成物は、例えばボーラス注射により一度に全て投与され得るか、例えば一連の錠剤により複数回投与され得るか、又は例えば経皮送達を使用して一定期間をかけて実質的に均一に送達され得る。化合物の用量は、経時的に変動し得ることにも留意されたい。
【0080】
加えて、本発明の化合物は、単独で投与され得るか、本発明の他の化合物と組み合わせて投与され得るか、又は他の薬学的に活性な化合物とともに投与され得る。他の薬学的に活性な化合物は、本発明の化合物と同一の疾患若しくは状態を処置することが意図され得るか、又は異なる疾患若しくは状態を処置することが意図され得る。患者が、複数の薬学的に活性な化合物を投与されるか又は投与されている場合には、これらの化合物は、同時に投与され得るか、又は逐次的に投与され得る。例えば、錠剤の場合には、この活性な化合物は、1つの錠剤中に見出されてもよく、又は別々の錠剤中に見出されてもよく、これらの別々の錠剤は、一度に投与され得るか、又は任意の順序で逐次的に投与され得る。更に、組成物は、様々な形態であり得ることを認識されたい。例えば、1種以上の化合物は、錠剤により送達され得るが、別の化合物は、注射により投与されるか、又はシロップ剤として経口投与される。全ての組み合わせ、送達方法、及び投与順序が企図される。
【0081】
本発明の化合物は、疼痛、慢性咳嗽、又は掻痒などのNav1.7により媒介される疾患及び/又は状態の処置のための医薬品の製造に使用され得る。
【0082】
疼痛は通常、疼痛の持続期間に基づいて、慢性疼痛及び急性疼痛という主要な型に分けられる。通常、慢性疼痛は、3ヶ月より長く持続する。慢性疼痛の例としては、関節リウマチ、変形性関節症、腰仙部神経根症、又は癌に関連する疼痛が挙げられる。慢性疼痛にはまた、原因が特定されていない疼痛である特発性疼痛が含まれる。特発性疼痛の例は、線維筋痛症である。
【0083】
別の種類の疼痛は、侵害受容性疼痛である。侵害受容性疼痛は、熱的、力学的、又は化学的刺激などの侵害性の高い事象に応答する末梢神経線維の刺激によって引き起こされる。
【0084】
更なる別の種類の疼痛は、神経因性疼痛である。神経因性疼痛は、神経系の一部に影響を及ぼす損傷又は疾患によって引き起こされる疼痛である。幻肢痛は、神経因性疼痛の一種である。幻肢痛では、身体は、既に存在しない身体の一部からの疼痛を検知する。例えば、下肢を切断した人は、たとえ下肢が既に存在しなくても下肢の疼痛を感じる場合がある。
【0085】
式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を使用して本発明により提供される処置方法の一実施形態では、疾患は、慢性疼痛である。別の態様では、慢性疼痛は、限定されるものではないが、ヘルペス後神経痛(帯状疱疹)、関節リウマチ、変形性関節症、糖尿病性神経障害、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、癌又は化学療法誘発性疼痛、慢性背部痛、幻肢痛、三叉神経痛、HIV誘発性神経障害、群発性頭痛障害、及び片頭痛、原発性肢端紅痛症、並びに発作性激痛症に関連している。Nav1.7阻害剤の他の適応症としては、抑うつ(Morinville et al.,J Comp Neurol.,504:680-689(2007))、双極性障害及び他のCNS障害(Ettinger and Argoff,Neurotherapeutics,4:75-83(2007))、てんかん(同上、及びGonzalez,Termin,Wilson,Methods and Principles in Medicinal Chemistry,29:168-192(2006))、多発性硬化症(Waxman,Nature Neurosci.7:932-941(2006))、パーキンソン病(Do and Bean,Neuron 39:109-120(2003);Puopolo et al.,J.Neurosci.27:645-656(2007))、下肢静止不能症候群、運動失調、振戦、筋力低下、ジストニア、テタヌス(Hamann M.,et.al.,Exp.Neurol.184(2):830-838,2003)、不安、抑うつ(McKinney B.C,et.al.,Genes Brain Behav.7(6):629-638,2008)、学習及び記憶、認知(Woodruff-Pak D.S.,et.al.,Behav.Neurosci.120(2):229-240,2006)、心不整脈及び心細動、収縮力、うっ血性心不全、洞不全症候群(Haufe V.,et.al.,.J Mol.Cell Cardiol.42(3):469-477,2007)、統合失調症、卒中後の神経保護、薬物及びアルコール乱用(Johannessen L.C.,CNS Drugs 22(1)27-47,2008)、アルツハイマー病(Kim D.Y.,et.al.,Nat.Cell.Biol.9(7):755-764,2007)、並びに癌(Gillet L.,et.al.,J Biol Chem 2009,Jan 28(epub))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
本発明の別の態様は、急性及び/若しくは慢性の炎症性及び神経因性疼痛、歯痛、一般的頭痛、片頭痛、群発性頭痛、血管性及び非血管性混合症候群(mixed-vascular and non-vascular syndrome)、緊張型頭痛、一般的炎症、関節炎、リウマチ性疾患、関節リウマチ、変形性関節症、炎症性腸障害、炎症性眼障害、炎症性若しくは不安定膀胱障害、乾癬、炎症性成分による皮膚病、慢性炎症状態、炎症性疼痛並びに付随する痛覚過敏及びアロディニア、神経因性疼痛並びに付随する痛覚過敏及びアロディニア、糖尿病性神経障害疼痛、カウザルギー、交感神経依存性疼痛、求心路遮断性疼痛症候群、喘息、上皮組織損傷若しくは機能不全、単純ヘルペス、呼吸器、泌尿生殖器、胃腸、若しくは血管領域における内臓運動障害、創傷、火傷、アレルギー性皮膚反応、掻痒症、白斑、一般胃腸障害、胃潰瘍形成、十二指腸潰瘍、下痢、壊死誘発物質により誘発される胃病変、毛髪成長、血管運動性若しくはアレルギー性鼻炎、気管支障害、又は膀胱障害を処置する方法であって、本発明による化合物を投与する工程を含む方法に関する。処置される疼痛の好ましい種類は、慢性神経因性疼痛である。処置される疼痛の別の好ましい種類は、慢性炎症性疼痛である。
【0087】
本発明の別の態様では、本発明の化合物は、疼痛の処置に使用される他の化合物と組み合わせて使用され得る。そのような他の化合物の例としては、アスピリン、セレコキシブ、ヒドロコドン、オキシコドン、コデイン、フェンタニル、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、アセトアミノフェン、ガバペンチン、及びプレガバリンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物と組み合わせて使用され得る化合物を含有する医薬のクラスの例としては、非ステロイド性抗炎症性化合物(NSAIDS)、ステロイド性化合物、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、及びオピオイド鎮痛薬が挙げられる。
【0088】
本発明の化合物はまた、糖尿病、肥満を処置するために、及び/又は体重減少を促進するために使用され得る。
【0089】
本発明の化合物は、他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて使用され得る。「薬学的に活性な化合物」という用語は、タンパク質、抗体、及びペプチドなどの生物製剤を含み得ることに留意されたい。
【0090】
本発明の一態様は、別々に投与され得る薬学的に活性な化合物の組み合わせによる、疾患/状態の処置を企図しているため、本発明は更に、別々の医薬組成物をキット形態に組み合わせることに関する。キットは、別々の2つの医薬組成物、即ち本発明の化合物、及び第2の医薬化合物を含む。キットは、別々の組成物を収容するための、分割されたボトル又は分割された金属箔の包みなどの容器を含む。容器の更なる例としては、シリンジ、箱、及びバッグが挙げられる。典型的には、このキットは、別々の成分の使用に関する説明書を含む。キット形態は、これらの別々の成分が好ましくは異なる投与形態(例えば、経口及び非経口)で投与される場合、異なる投与間隔で投与される場合、又は処方医若しくは獣医がこの組み合わせの個々の成分の用量設定を望む場合に、特に有利である。
【0091】
そのようなキットの一例は、いわゆるブリスターパックである。ブリスターパックは、包装産業において周知であり、医薬単位剤形(錠剤、カプセル剤など)の包装に広く使用されている。ブリスターパックは、一般に、好ましくは透明なプラスチック材料の箔で覆われた比較的硬い材料のシートからなる。包装プロセス中、プラスチック箔に凹部が形成される。この凹部は、包装される錠剤又はカプセル剤のサイズ及び形状を有する。次に、この凹部に錠剤又はカプセル剤を入れ、比較的硬い材料のシートにより、この凹部が形成された方向とは反対側の箔の面でプラスチック箔を密封する。その結果、錠剤又はカプセル剤は、プラスチック箔とシートとの間の凹部内に密封される。好ましくは、このシートの強度は、この凹部に手で圧力を加え、それによってこのシートの凹部の位置に開口部が形成されることにより、この錠剤又はカプセル剤をブリスターパックから取り出すことができるような強度である。その後、錠剤又はカプセル剤を、前記開口部により取り出すことができる。
【0092】
キット上に、記憶を補助するものを、(例えば、錠剤又はカプセル剤の隣に数字の形態で)設けることが望ましい場合がある(数字は、そのように指定された錠剤又はカプセル剤を摂取すべきレジメンの日に対応している)。そのような記憶補助の別の例は、例えば、次のように「第1週、月曜日、火曜日、...など...第2週、月曜日、火曜日、...」などと、カード上に印刷されたカレンダーである。他の記憶補助のバリエーションは容易に明らかになるであろう。「1日用量」は、単一の錠剤若しくはカプセル剤、又は決められた日に服用すべき複数の丸剤若しくはカプセル剤であり得る。また、本発明の化合物の1日用量は、1つの錠剤又はカプセル剤からなることができ、一方、第2の化合物の1日用量は、複数の錠剤又はカプセル剤からなることができ、逆もまた同様である。記憶補助はこれを反映し、且つ活性剤の正しい投与を補助すべきである。
【0093】
本発明の別の特定の実施形態では、1日用量を、それらの意図された使用の順序で一度に1つずつ分配するように設計されたディスペンサーが提供される。好ましくは、レジメンの遵守を更に容易にするために、ディスペンサーは記憶補助を備えている。そのような記憶補助の例は、分配された1日用量の数を示す機械的なカウンターである。そのような記憶補助の別の例は、例えば、最後の1日用量を服用した日付を読み取り、且つ/又は次の用量を服用すべき日付を思い出させる、液晶読み出し又は可聴リマインダー信号と連動した、バッテリー駆動式マイクロチップメモリである。
【0094】
本発明の化合物及び他の薬学的に活性な化合物は、必要に応じて、経口で、直腸に、非経口で(例えば、静脈内に、筋肉内に、若しくは皮下に)、大槽内に、腟内に、腹腔内に、膀胱内に、局所に(例えば、粉末、軟膏、若しくは点滴)、又は口腔若しくは鼻腔スプレーとして、のいずれかで患者に投与することができる。薬学的に活性な薬剤を投与するために当業者により使用される全ての方法が企図される。
【0095】
非経口注射に適した組成物は、生理学的に許容される無菌の水性若しくは非水性溶液、分散液、懸濁液、又はエマルション、及び無菌の注射用溶液又は分散液に再構成するための無菌粉末を含み得る。適切な水性及び非水性の担体、希釈剤、溶媒、又はビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、これらの適切な混合物、植物油(オリーブ油など)、及び注射用有機エステル(オレイン酸エチルなど)が挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散体の場合には必要とされる粒径の維持により、及び界面活性剤の使用により維持され得る。
【0096】
これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などの補助剤を含有してもよい。微生物汚染は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などを添加することにより予防され得る。また、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを含めることが望ましい場合もある。注射用医薬組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの使用によりもたらされ得る。
【0097】
経口投与用の固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、散剤、及び顆粒剤が挙げられる。そのような固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1種の不活性な慣用賦形剤(又は担体)(例えば、クエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウム)、又は(a)充填剤若しくは増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、マンニトール、及びケイ酸);(b)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及びアラビアゴム);(c)保湿剤(例えば、グリセロール);(d)崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム);(e)溶解遅延剤(例えば、パラフィン);(f)吸収促進剤(例えば、第四級アンモニウム化合物);(g)湿潤剤(例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロール);(h)吸着剤(例えば、カオリン及びベントナイト);並びに(i)滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、又はこれらの混合物と混合される。カプセル剤及び錠剤の場合には、剤形はまた、緩衝剤を含み得る。
【0098】
同様の種類の固体組成物はまた、ラクトース又は乳糖などの賦形剤、並びに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用して、軟質及び硬質の充填ゼラチンカプセル中で充填剤としても使用され得る。
【0099】
錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、及び顆粒剤などの固体剤形は、腸溶性コーティングなどのコーティング及びシェル、並びに当該技術分野で周知の他のものを用いて調製され得る。それらはまた、乳白剤を含有してもよく、また、遅延様式で腸管の特定の部分で活性化合物を放出するような組成物であり得る。使用され得る埋め込み組成物の例は、ポリマー物質及びワックスである。活性化合物は、適切な場合、上記の賦形剤の1種以上を含むマイクロカプセル化形態でもあり得る。
【0100】
経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容されるエマルション、溶液、懸濁液、シロップ剤、及びエリキシル剤が挙げられる。活性化合物に加えて、液体剤形は、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水若しくは他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、又はこれらの物質の混合物などを含有し得る。
【0101】
そのような不活性希釈剤に加えて、組成物はまた、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味料、香味料、及び香料などの補助剤も含み得る。活性化合物に加えて、懸濁液は、懸濁剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、及びトラガカント、又はこれらの物質の混合物などを含有し得る。
【0102】
直腸投与用の組成物は、本発明の化合物と、カカオ脂、ポリエチレングリコール、又は座薬ワックスなどの適切な非刺激性の賦形剤又は担体とを混合することにより調製され得る好ましい座薬であり、この座薬は、通常の室温では固体であるが体温では液体であり、したがって、直腸又は膣腔内で融解して活性成分を放出する。
【0103】
本発明の化合物の局所投与用の剤形としては、軟膏、散剤、スプレー、及び吸入剤が挙げられる。活性化合物又は適当な化合物は、無菌条件下で、生理学的に許容される担体、及び必要であり得る保存料、緩衝液、又は噴射剤と混合される。点眼用製剤、眼用軟膏、散剤、及び溶液もまた、本発明の範囲内であると考えられる。
【0104】
本発明の化合物は、治療有効投与量のレベルで患者に投与され得る。使用され得る具体的な投与量及び投与量範囲は、患者の要件、処置される状態又は疾患の重症度、及び投与される化合物の薬理学的活性を含む、いくつかの因子に依存する。
【0105】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩、共結晶、エステル、アミド、又はプロドラッグとして投与され得る。「塩」という用語は、本発明の化合物の無機塩及び有機塩を指す。これらの塩は、化合物の最終的な単離及び精製中にその場で、又は遊離塩基形態若しくは遊離酸形態の精製された化合物を適切な有機若しくは無機の塩基若しくは酸と別に反応させ、こうして形成された塩を単離することによって調製することができる。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩(naphthylate)、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、及びラウリルスルホン酸塩などが挙げられる。塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属に基づくカチオン、並びにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含むがこれらに限定されない、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、及びアミンカチオンを含み得る。例えば、S.M.Berge,et al.,“Pharmaceutical Salts,”J Pharm Sci,66:1-19(1977)を参照されたい。
【0106】
本発明の化合物の薬学的に許容されるエステルの例としては、C~Cアルキルエステルが挙げられる。許容されるエステルには、C~Cシクロアルキルエステル、及びベンジルなどのアリールアルキルエステルも含まれる。C~Cアルキルエステルが一般に使用される。本発明の化合物のエステルは、当該技術分野で周知の方法に従って調製され得る。
【0107】
本発明の化合物の薬学的に許容されるアミドの例としては、アンモニア、第一級C~Cアルキルアミン、及び第二級C~Cジアルキルアミンから誘導されるアミドが挙げられる。第二級アミンの場合、アミンはまた、少なくとも1つの窒素原子を含有する、5員又は6員のヘテロシクロアルキル基の形態であってもよい。アンモニア、C~C第一級アルキルアミン、及びC~Cジアルキル第二級アミンから誘導されるアミドが一般に使用される。本発明の化合物のアミドは、当該技術分野で周知の方法に従って調製され得る。
【0108】
「プロドラッグ」という用語は、インビボで変換されて本発明の化合物を生じる化合物を意味する。変換は、血液中での加水分解によるなど、様々なメカニズムによって起こり得る。プロドラッグの使用の考察は、T.Higuchi and W.Stella,”Pro-drugs as Novel Delivery Systems,”Vol.14 of the A.C.S.Symposium Series及びBioreversible Carriers in Drug Design,ed.Edward B.Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987によって提供されている。
【0109】
例示すると、本発明の化合物がカルボン酸官能基を含有する場合、プロドラッグは、酸基の水素原子を、(C~C)アルキル、(C~C12)アルカノイルオキシメチル、4~9つの炭素原子を有する1-(アルカノイルオキシ)エチル、5~10個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルカノイルオキシ)エチル、3~6つの炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4~7つの炭素原子を有する1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5~8つの炭素原子を有する1-メチル-1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3~9つの炭素原子を有するN-(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4~10個の炭素原子を有する1-(N-(アルコキシカルボニル)アミノメチル、3-フタリジル、4-クロトノラクトニル、ガンマ-ブチロラクトン-4-イル、ジ-N,N-(C~C)アルキルアミノ(C~C)アルキル(β-ジメチルアミノエチルなど)、カルバモイル-(C~C)アルキル、N,N-ジ(C~C)アルキルカルバモイル-(C~C)アルキル、及びピペリジノ-、ピロリジノ-、又はモルホリノ-(C~C)アルキルなどの基で置き換えることによって形成されるエステルを含み得る。
【0110】
同様に、本発明の化合物がアルコール官能基を含む場合、プロドラッグは、アルコール基の水素原子を、(C~C)アルカノイルオキシメチル、1-((C~C)アルカノイルオキシ)エチル、1-メチル-1-((C~C)アルカノイルオキシ)エチル、(C~C)アルコキシカルボニルオキシメチル、N-(C~C)アルコキシカルボニルアミノメチル、サクシノイル、(C~C)アルカノイル、α-アミノ(C~C)アルカノイル、アリールアシル及びα-アミノアシル、又はα-アミノアシル-α-アミノアシルなどの基で置き換えることによって形成することができ、各α-アミノアシル基は、独立して、天然に存在するL-アミノ酸、-P(O)(OH)、-P(O)(O(C~C)アルキル)、又はグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基の除去から生じる基)から選択される。
【0111】
加えて、本発明の化合物がスルホンアミド部分を含む場合、プロドラッグは、スルホンアミドN(H)を、-CHP(O)(O(C~C)アルキル)又は-CHOC(O)(C~C)アルキルなどの基で置き換えることによって形成することができる。
【0112】
本発明の化合物はまた、プロドラッグの互変異性形態を含む。
【0113】
本発明の化合物は、不斉中心又はキラル中心を含有する場合があり、したがって、異なる立体異性体形態で存在し得る。ラセミ混合物を含む、化合物の全ての立体異性体形態及びそれらの混合物が、本発明の一部を形成することが企図される。加えて、本発明は、全ての幾何異性体及び位置異性体を企図する。例えば、化合物が二重結合を含有する場合、シス型及びトランス型の両方(それぞれ、S及びEで示される)、並びに混合物が企図される。
【0114】
ジアステレオマー混合物などの立体異性体の混合物は、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶化などの既知の方法によって、それらの物理化学的差異に基づいて、それらの個々の立体化学成分に分離され得る。鏡像異性体はまた、適切な光学活性化合物(例えば、アルコール)との反応によって鏡像異性体混合物をジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオマーを分離して、個々のジアステレオマーを対応する純粋な鏡像異性体に変換(例えば、加水分解)することによって分離され得る。
【0115】
一般式(I)の化合物はまた、アトロプ異性体の形態で存在し得る。アトロプ異性体は、同一の構造式を有するが、単結合の周りの回転がこの単結合の両側での大幅な立体障害により制限されることから生じる特定の空間配置を有する化合物である。アトロプ異性は、不斉炭素などの不斉元素の存在とは無関係である。「Pアトロプ異性体」又は「Mアトロプ異性体」という用語は、同じ対の2つのアトロプ異性体を明確に命名できるようにするために本明細書で使用される。例えば、以下の構造を有する次の中間体B1、工程1の化合物は、キラルカラムを介してアトロプ異性体P及びMの対に分離することができる。
【化6】
【0116】
本発明の化合物は、非溶媒和形態で、また水(水和物)、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒との溶媒和形態で存在し得る。本発明は、溶媒和形態及び非溶媒和形態の両方を企図し、包含する。
【0117】
また、本発明の化合物は、様々な互変異性形態で存在し得る可能性がある。本発明の化合物の全ての互変異性体が企図される。例えば、テトラゾール部分の互変異性体形態の全てが、本発明に含まれる。また、例えば、化合物の全てのケト-エノール又はイミン-エナミン形態が本発明に含まれる。互変異性の他の例は、以下の通りである。
【化7】
【0118】
当業者は、本明細書に含まれる化合物の名称及び構造が、化合物の特定の互変異性体に基づき得ることを認識するであろう。特定の互変異性体のみの名称又は構造が使用され得るが、別途記載されない限り、全ての互変異性体が本発明に包含されることが意図される。
【0119】
本発明は、合成化学者に周知のものなどの実験室的手法を使用してインビトロで合成されるか、又は代謝、発酵、消化を介するものなどのインビボでの手法を使用して合成される化合物を包含することも意図される。本発明の化合物は、インビトロ及びインビボ手法の組み合わせを使用して合成され得ることも企図される。
【0120】
本発明はまた、同位体標識化合物も含み、この化合物は、1つ以上の原子が、天然に通常見出される原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子に置き換えられているという事実を除いて、本明細書で列挙されたものと同一である。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、及び塩素の同位体、例えば、H、H、13C、14C、15N、16O、17O、31P、32P、35S、18F、及び36Clが挙げられる。別の態様では、本発明の化合物は、1つ以上の水素原子の代わりに1つ以上の重水素原子(2H)を含有する。
【0121】
前述の同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含有する本発明の化合物は、本発明の範囲内である。本発明の特定の同位体標識化合物、例えば、H及び14Cなどの放射性同位体が組み込まれているものは、薬物及び/又は基質組織分布アッセイに有用である。トリチウム化(即ち、H)同位体、及び炭素-14(即ち、14C)同位体は、それらの調製及び検出の容易さから特に好ましい。更に、重水素、即ちHなどの比較的重い同位体による置換は、より高い代謝安定性の結果としてもたらされる治療上の特定の利点、例えばインビボ半減期の増大又は必要投与量の減少をもたらすことができ、したがって一部の状況においては好ましい場合があり得る。本発明の同位体標識化合物は、一般に、容易に入手可能な同位体標識試薬を非同位体標識試薬の代わりに用いることによって調製することができる。
【0122】
本発明の化合物は、結晶状態及びアモルファス状態を含む様々な固体状態で存在し得る。本発明の化合物の異なる結晶状態(多形とも呼ばれる)及びアモルファス状態は、本発明の一部として企図される。
【0123】
本明細書で引用される全ての特許及び他の刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0124】
以下に示す実施例では、本発明の具体的な実施形態を例示する。これらの実施例は代表的なものであることを意味し、いかなる方法においても特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0125】
パーセント(%)が液体に関して使用される場合、それは溶液に対する体積パーセントであることに留意されたい。固体に関して使用される場合、それはその固体の組成に対するパーセントである。市販業者から得られる材料は通常、更に精製することなく使用した。空気又は湿気に敏感な試薬を含む反応は通常、窒素又はアルゴン雰囲気下で実施した。純度は、254nm及び215nmでのUV検出を備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システム(システムA:HALO C8、3.0×50mm、2.7μm、0.1%TFAを含むHO中の5~95% CHCNを2.0mL/分で2.0分間)(Agilent Technologies,Santa Clara,CA)を使用して測定した。シリカゲルクロマトグラフィーは、一般的には、プレパックされたシリカゲルカートリッジ(Biotage,Uppsala,Sweden又はTeledyne-Isco,Lincoln,NE)を用いて実施した。H NMRスペクトルは、周囲温度で、Bruker AV-400(400 MHz)分光計(Bruker Corporation,Madison,WI)又はVarian(Agilent Technologies,Santa Clara,CA)400MHz分光計上で記録した。全ての観察されたプロトンは、示される適切な溶媒中のテトラメチルシラン(TMS)又は他の内部標準からの百万分率(ppm)低磁場として報告する。データを以下の通り報告する:化学シフト、多重度(s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、br=ブロード、m=多重線)、結合定数、及びプロトン数。低解像度質量スペクトル(MS)データを、254nm及び215nmでのUV検出並びに低共鳴エレクトロスプレーモード(ESI)を備えたAgilent 1100シリーズ(Agilent Technologies,Santa Clara,CA)LC/MS上で判定した。
【0126】
本明細書では、下記の略語を使用する場合がある。
2-PrOH イソプロパノール
AcOH 酢酸
AgOTf トリフルオロメタンスルホン酸銀(I)
AIBN アゾビスイソブチロニトリル
aq.水性
Bu ブチル
ca. 約
cm センチメートル
CPhos 2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメチルアミノ-1,1’-ビフェニル
DAST ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド
Dba ジベンジリデンアセトン
DCM ジクロロメタン
Deoxy-Fluor ビス(2-メトキシエチル)アミノ硫黄トリフルオリド
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
ESI又はES エレクトロスプレーイオン化
Et エチル
EtO ジエチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
G グラム
H 時間
HOAc 酢酸
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
IPA 2-プロパノール
Kg キログラム
L リットル
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
LHMDS リチウムヘキサメチルジシラジド
M モル
m/z 質量電荷比
Me メチル
MeOH メタノール
Mg ミリグラム
MHz メガヘルツ
Min 分
mL又はml ミリリットル
Mmol ミリモル
Mol モル
MTBE メチルt-ブチルエーテル
N 規定
NaOMe ナトリウムメトキシド
n-Bu n-ブチル
NEt トリエチルアミン
NMR 核磁気共鳴
OAc アセテート
OTf トリフルオロメタンスルホネート
PFP-OH パーフルオロフェノール
Ph フェニル
PhMe トルエン
PMB 4-メトキシベンジル
Ppm 百万分率
Pr プロピル
RT又はrt 室温
sat.飽和
SFC 超臨界流体クロマトグラフィー
TBAF フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
Ti(OiPr) チタン(IV)イソプロポキシド
TLC 薄層クロマトグラフィー
TMS-CF (トリフルオロメチル)トリメチルシラン
wt% 重量%
XantPhos 4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン
XtalFluor-M ジフルオロ(モルホリノ)スルホニウムテトラフルオロボレート
【0127】
本発明の実施例として本明細書で提示される以下の化合物、及び本発明によって提供される化合物を調製するための構成要素としてのその中間体は、本明細書において以下で教示される様々な方法及び合成戦略により作製することができる。これらの化合物、及び本発明により提供される他のものはまた、2014年6月12日に出願された国際公開第2014/201206号パンフレット及び2016年12月19日に出願された国際公開第2017/106871号パンフレット(これらの明細書はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている方法を使用して調製することができる。
【0128】
中間体A1:(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド
【化8】
工程-1:4-ブロモ-2-ヨードアニリン
4-ブロモ-アニリン(500g、2.90mol、2.0当量、Saibain Chem)のシクロヘキサン(2.5L)中溶液に、ヨウ素(368g、1.45mol、1.0当量、Qualigens)を加え、混合物を50℃で加熱した。30分後、反応混合物は均質になった。30%過酸化水素水溶液(250mL、Spectrochem)を反応混合物に加えた。反応物を50℃で4時間加熱した。反応物を室温まで冷却し、酢酸エチル(5.0L)で希釈して、亜硫酸ナトリウム水溶液(4.0L中の2.5kg)で洗浄した。有機層を水(3.0L)及びブライン(3.0L)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗物質を得て、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;メッシュサイズ 60~120、溶出 0~20%酢酸エチル及びヘキサン)により精製して、灰白色固体として4-ブロモ-2-ヨードアニリン(650g、75.0%)を得た。TLC溶媒系:100%ヘキサン。生成物のR:0.6。MS(ESI、陽イオン)m/z:297.0(M+1)。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.72(d,J=2.5Hz,1H),7.23(dd,J=8.4,2.1Hz,1H),6.62(d,J=8.3Hz,1H),4.09(s,2H).
【0129】
工程-2:(E)-3-(2-アミノ-5-ブロモフェニル)アクリル酸エチル
4-ブロモ-2-ヨードアニリン(750g、2.51mol、1.0当量)のDMF(5.0L)中溶液に、アクリル酸エチル(277g、2.76mol、1.1当量、Avra)及び炭酸水素ナトリウム(680g、6.29mol、2.5当量)を加えた。反応混合物を窒素で20分間脱気した後、酢酸パラジウム(28.8g、128.27mol、0.05当量、Hindustan Platinum)を加えた。反応混合物を70℃で3時間加熱した。反応物をCELITE(登録商標)に通して濾過し、CELITE(登録商標)ベッドを酢酸エチル(2×500mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して粗残渣を得て、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;メッシュサイズ 60~120、溶出 ヘキサン中の0~20%酢酸エチル)により精製して、黄色固体として(E)-3-(2-アミノ-5-ブロモフェニル)アクリル酸エチル(620g、77.0%)を得た。TLC溶媒系:ヘキサン中の20%酢酸エチル。生成物のR:0.4。MS(ESI、陽イオン)m/z;270.2(M+1)。H NMR(400MHz,DMSO)δ 7.75(d,J=16.1Hz,1H),7.57(d,J=2.0Hz,1H),7.16(dd,J=9.1,2.4Hz,1H),6.66(d,J=8.6Hz,1H),6.43(d,J=8.6Hz,1H),5.81(s,2H),4.20(q,J=7.2Hz,2H),1.27(t,J=7.2Hz,3H).
【化9】
【0130】
工程-3:(E)-3-(2-アミノ-5-(ベンジルチオ)フェニル)アクリル酸エチル
(E)-3-(2-アミノ-5-ブロモフェニル)アクリル酸エチル(620g、2.29mol、1.0当量)の1,4-ジオキサン(4.0L)中溶液に、DIPEA(1.26L、8.88mol、3.9当量、GLR)を加え、窒素で20分間脱気した。XantPhos(92.9g、106mmol、0.05当量、GLR)、及びトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(84g、91.0mmol、0.04当量、Hindustan Platinum)を、反応混合物に加えた。混合物を窒素でパージし、80℃まで30分間加熱した。反応物を室温まで冷却し、ベンジルメルカプタン(455.5g、3.67mol、1.6当量、Alfa Aesar)を加え、反応物を80℃で更に4時間加熱した。反応物を室温まで冷却し、酢酸エチル(4.0L)で希釈した。混合物をCELITE(登録商標)に通して濾過し、CELITE(登録商標)ベッドを酢酸エチル(2×1.0L)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して粗物質を得て、これをクロマトグラフィー(シリカゲル;メッシュサイズ 60~120、溶出 0~40%酢酸エチル及び石油エーテル)により精製して、黄色固体として(E)-3-(2-アミノ-5-(ベンジルチオ)フェニル)アクリル酸エチル(520g、72.0%)を得た。TLC溶媒系:ヘキサン中の30%酢酸エチル。生成物のR:0.4。MS(ESI、陽イオン)m/z;314.1(M+1)。H NMR(400MHz,DMSO)δ 7.79(d,J=16.1Hz,1H),7.37(d,J=2.0Hz,1H),7.25-7.17(m,5H)7.10(dd,J=8.4,2.1Hz,1H),6.61(d,J=8.3Hz,1H),6.32(d,J=15.2Hz,1H),5.75(s,2H),4.20(q,J=7.2Hz,2H),4.01(s,2H),1.27(t,J=7.2Hz,3H).
【化10】
【0131】
工程-4:1-ブロモ-2-フルオロ-4-ヨード-5-メトキシベンゼン
2-ブロモ-1-フルオロ-4-メトキシベンゼン(500.0g、2.44mol、1.0当量)のDCM(5.0L)中溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸銀(686.0g、2.68mol、1.1当量、Angene)を加え、反応混合物を20分間撹拌した。ヨウ素(678.0g、2.68mol、1.1当量)を反応物に加え、混合物を室温で16時間撹拌した。混合物をDCM(3.0L)で希釈し、CELITE(登録商標)に通して濾過した。CELITEベッドをDCM(2×1.0L)で洗浄し、濾液を20%チオ硫酸ナトリウム水溶液(3.0L)及び炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(3.0L)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗物質を得て、これをクロマトグラフィー(シリカゲル;メッシュサイズ 60~120、溶出 0~5%酢酸エチル及び石油エーテル)により精製して、灰白色固体として1-ブロモ-2-フルオロ-4-ヨード-5-メトキシベンゼン(720g、87%)を得た。TLC溶媒系:100%ヘキサン。生成物のR:0.6。MS(ESI、陽イオン)m/z:331.0(M+1)。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.55(d,J=7.2Hz,1H),6.95(d,J=5.6Hz,1H),3.89(s,3H).
【0132】
工程-5:(E)-3-(5-(ベンジルチオ)-2-((4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)アミノ)フェニル)アクリル酸エチル
(E)-3-(2-アミノ-5-(ベンジルチオ)フェニル)アクリル酸エチル(300g、958.1mmol、1.0当量)と1-ブロモ-2-フルオロ-4-ヨード-5-メトキシベンゼン(348.0g、1051.6mmol、1.1当量)とのトルエン(2.5L)中溶液に、CsCO(468g、1436.3mmol、1.5当量、Spectrochem)を加え、混合物を窒素で20分間脱気した。Pd(dba)(35g、38.2mmol、0.04当量、Hindustan Platinum)及びXantPhos(44.6g、76.4mmol、0.08当量、GLR)を反応混合物に加え、混合物を110℃で5時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却させ、ジクロロメタン(2.0L)で希釈し、CELITE(登録商標)に通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、粗物質を得て、これをヘキサン中の5%酢酸エチル(3.0L)と30分間撹拌することにより精製し、濾過して、黄色固体として(E)-3-(5-(ベンジルチオ)-2-((4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)アミノ)フェニル)アクリル酸エチル(350g、71%)を得た。TLC溶媒系:ヘキサン中の30%酢酸エチル。生成物のR:0.5。MS(ESI、陽イオン)m/z;516.2(M+1)。H NMR(400MHz,DMSO)δ 7.73-7.61(m,3H),7.34-7.15(m,6H),7.02(d,J=11.4Hz,1H),6.60(d,J=21.2Hz,1H),6.33(d,J=14.1Hz,1H),4.26(s,2H),4.16-4.09(m,2H),3.81(s,3H),1.22(t,J=7.2Hz,3H).注記:NHのプロトンは観察されなかった。
【化11】
【0133】
工程-6:6-(ベンジルチオ)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)キノリン-2(1H)-オン
(E)-3-(5-(ベンジルチオ)-2-((4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)アミノ)フェニル)アクリル酸エチル(250.0g、484.0mmol、1.0当量)のメタノール(2.5L)中溶液に、トリ(n-ブチル)ホスフィン(酢酸エチル中の50%溶液、48.9mL、96.8mmol、0.2当量、Spectrochem)を加え、反応混合物を70℃で5時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却させ、減圧下で濃縮して、粗物質を得て、これをヘキサン中の5%酢酸エチル(1.0mL)と撹拌することにより精製し、濾過して、灰白色固体として6-(ベンジルチオ)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)キノリン-2(1H)-オン(201.0g、88%)を得た。TLC溶媒系:ヘキサン中の30%酢酸エチル。生成物のR:0.3。MS(ESI、陽イオン)m/z;470.0(M+1)。H NMR(400MHz,DMSO)δ 7.92(d,J=9.1Hz,1H),7.79(d,J=1.7Hz,1H),7.65(d,J=6.1Hz,1H),7.57(d,J=8.8Hz,1H),7.40-7.22(m,6H),6.68(d,J=9.6Hz,1H),6.56(d,J=8.8Hz,1H),4.24(s,2H),3.69(s,3H).
【0134】
工程7及び8:1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル
6-(ベンジルチオ)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)キノリン-2(1H)-オン(250.0g、531.5mmol、1.0当量)のアセトニトリル(2.5L)中溶液に、酢酸(200mL)及び水(130mL)を加えた。得られた混合物を0℃まで冷却し、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルイミダゾリジン-2,4-ジオン(188.5g、956.7mmol、1.8当量、Aldrich)を、内部温度を5℃未満に維持しながら20分間かけて少量ずつ加えた。得られた懸濁液を、窒素下にて0~5℃で45分間撹拌した。次に、ペンタフルオロフェノール(127.2g、690.95mmol、1.3当量、Apollo)のアセトニトリル(200mL)中溶液を5分間かけて加えた後、内部温度を5℃未満に維持しながらNEt(307.7mL、2.12mol、4.0当量)を20分間かけて加えた。混合物を0~5℃で30分間撹拌し続けた。水(4.0L)を加え、酢酸エチル(2×2.0L)で抽出した。有機層をブライン(1.0L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製物を得て、これをイソプロピルアルコール:ヘキサン(1:1、1.0L)と撹拌することにより精製し、濾過して、白色固体としてラセミの1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル(190g、60%)を得た。TLC溶媒系:石油エーテル中の30%酢酸エチル、生成物のR:0.4。MS(ESI、陽イオン)m/z;594.2(M+1)。H-NMR(400MHz,DMSO)δ 8.60(d,J=2.0Hz,1H),8.26(d,J=9.8Hz,1H),7.95(dd,J=2.2,9.1Hz,1H),7.70(t,J=8.6Hz,2H),6.95-6.88(m,2H),3.72(s,3H).
【0135】
工程9:(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル
ラセミの1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル(上の中間体A1を参照のこと、76.90g)を、Chiralcel OJカラム(40% MeOH/60% CO)を介して分離して、淡黄色の綿状固体として(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル及び(M)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニルを得た。ピーク1のデータ:m/z(ESI) 594.0(M+H)。ピーク2のデータ:m/z(ESI) 594.0(M+H)
【0136】
工程10:(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド
【化12】
250mLの丸底フラスコに、(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル(上の中間体B1の工程1を参照のこと、11.34g、19.08mmol)、及びN-(4-メトキシベンジル)イソオキサゾール-3-アミン(4.09g、20.04mmol)を充填し、続いて窒素でパージした。テトラヒドロフラン(191mL)を導入し、得られた褐色溶液を0℃まで冷却した。THF中のリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.0M、21.0mL、21.0mmol)の溶液を、撹拌した反応混合物に10分間かけてシリンジにより滴加した。15分後、1.0N HCl(100mL)を導入し、得られた反応混合物を室温まで加温した。混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、層を分離し、水層をEtOAc(2×100mL)で更に抽出した。次に、合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。次に、残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(100-g Biotageカラム、溶出液:勾配、添加物として10% CHClを含むヘプタン中の0~100% EtOAc)により精製して、白色のアモルファス固体として(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(9.54g、15.53mmol、収率81%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=8.82(d,J=2.0Hz,1H),8.38(d,J=2.3Hz,1H),8.17(d,J=9.4Hz,1H),7.76(t,J=5.1Hz,1H),7.68(d,J=6.1Hz,1H),7.63(d,J=8.5Hz,1H),7.26(d,J=7.9Hz,2H),6.91-6.78(m,4H),6.74(d,J=2.0Hz,1H),4.92(s,2H),3.73-3.69(m,6H),3.32(s,1H).m/z(ESI)615.1(M+H)+.
【0137】
中間体B1:(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド
【化13】
工程1:(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル
ラセミの1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル(上の中間体A1を参照のこと、76.90g)を、Chiralcel OJカラム(40% MeOH/60% CO)を介して分離して、淡黄色の綿状固体として(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル及び(M)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニルを得た。ピーク1のデータ:m/z(ESI) 594.0(M+H)。ピーク2のデータ:m/z(ESI) 594.0(M+H)
【化14】
【0138】
工程2:(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド
250mLの丸底フラスコ中の(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル(6.00g、10.10mmol)と3-アミノイソオキサゾール(0.821ml、11.11mmol)とのTHF(200mL)溶液を、0℃まで冷却し、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドのTHF中1.0M溶液(21.20ml、21.20mmol)を滴加した。0℃で黄色溶液を15分間撹拌した後、それを1N HClにより0℃でクエンチし、EtOAcで3回抽出した。有機抽出物を合わせ、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、淡黄褐色の残渣を得た。EtOを加え、スラリーをトリチュレートし、超音波処理した。濾過により灰白色固体を得て、これをEtOで2回洗浄し、真空中で乾燥させて、灰白色固体として3.88gの生成物を得た。濾液を真空中で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(12gシリカゲル、35%~100% EtOAc/ヘプタン勾配)を介して精製して、淡黄色の綿状固体として追加の1.36gの生成物を得た。総量5.24gの(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドを得た。m/z(ESI) 494.1(M+H)
【0139】
中間体C1:(P)-1-(4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド
【化15】
工程1:(E)-3-(5-(ベンジルチオ)-2-((4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)アミノ)フェニル)アクリル酸エチル
(E)-3-(2-アミノ-5-(ベンジルチオ)フェニル)アクリル酸エチル(175g、555.0mmol、1.0当量)と1-ブロモ-2-クロロ-4-ヨード-5-メトキシベンゼン(231.3g、666.2mmol、1.1当量)とのトルエン(1.5L)中溶液に、炭酸セシウム(357.5g、1100mmol、2.0当量)を加え、混合物を窒素で20分間脱気した。Pd(dba)(12.5g、13.0mmol、0.025当量)及びXantPhos(15.8g、27.2mmol、0.05当量)を反応混合物に加え、混合物を110℃で5時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却させ、ジクロロメタン(1.0L)で希釈し、Celiteに通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、粗物質を得て、これをヘキサン中の5%酢酸エチル(1.5L)と30分間撹拌することにより精製し、濾過して、黄色固体として(E)-3-(5-(ベンジルチオ)-2-((4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)アミノ)フェニル)アクリル酸エチル(290g、85%)を得た。m/z(ESI) 532.2(M+H)
【化16】
【0140】
工程2:6-(ベンジルチオ)-1-(4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)キノリン-2(1H)-オン
(E)-3-(5-(ベンジルチオ)-2-((4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)アミノ)フェニル)アクリル酸エチル(300.0g、5630.0mmol、1.0当量)のメタノール(3.0L)中溶液に、トリ(n-ブチル)ホスフィン(酢酸エチル中の50%溶液、56.2mL、1126mmol、0.2当量)を加え、反応混合物を70℃で5時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却させ、減圧下で濃縮して、粗物質を得て、これをヘキサン中の5%酢酸エチル(1.0mL)と撹拌することにより精製し、濾過して、灰白色固体として6-(ベンジルチオ)-1-(4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)キノリン-2(1H)-オン(210.0g、76.6%)を得た。m/z(ESI) 486.0(M+H)
【0141】
工程3:1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル
6-(ベンジルチオ)-1-(4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)キノリン-2(1H)-オン(400.0g、824.9mmol、1.0当量)のアセトニトリル(2.5L)及びTHF(2.5L)中溶液に、酢酸(1.0L)及び水(700mL)を加えた。得られた混合物を0℃まで冷却し、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルイミダゾリジン-2,4-ジオン(292g、1484.8mmol、1.8当量)を、内部温度を5℃未満に維持しながら30分間かけて少量ずつ加えた。得られた懸濁液を、窒素下にて0℃で45分間撹拌した。次に、ペンタフルオロフェノール(197.4g、1072.3mmol、1.3当量)のアセトニトリル(500mL)中溶液を5分間かけて加えた後、内部温度を5℃未満に維持しながらトリエチルアミン(477mL、3299mmol、4.0当量)を30分間かけて加えた。混合物を0℃で50分間撹拌し続けた。水(4.0L)を加え、酢酸エチル(3×2.0L)で抽出した。有機層をブライン(2.0L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製物を得て、これをイソプロピルアルコール:ヘキサン(1:1、2.0L)と撹拌することにより精製し、濾過して、白色固体として1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル(360g、72%)を得た。m/z(ESI) 610.6(M+H)
【化17】
【0142】
工程4:(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル及び(M)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル
1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホネート(156g、255mmol)を、キラルSFCクロマトグラフィー((S,S)Whelk-O、45%イソプロパノール)を介して精製して、白色固体として(P)-1-(4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル(72.66g、収率93%)及び(M)-1-(4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル(76.13g、収率98%)を得た。m/z(ESI) 610.6(M+H)
【0143】
工程5:(P)-1-(4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド
100mLのRBフラスコに、(P)-1-(4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル(2.56g、4.19mmol)を加えた。フラスコを窒素下に置き、次いでTHF(41.9ml)及びイソオキサゾール-3-アミン(0.423g、5.03mmol)を加えた。混合物を0℃まで10分間冷却し、次いでTHF中のLHMDS 1.0M(8.80ml、8.80mmol)を5分間かけて滴加した。反応物を2時間撹拌した。まだ低温である間に、1N HCl(50mL)及びEtOAc(50mL)を加えた。層を分離し、有機層を1N HClで再度洗浄した。合わせた水層をEtOAc(2×50mL)で抽出した。合わせた有機物を全て、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。この物質をシリカゲルでのクロマトグラフィー(40~100% EtOAc/ヘプタン)により精製して、灰白色固体として(P)-1-(4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(2.03g、3.97mmol、収率95%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=11.66(br.s.,1H),8.69(d,J=1.47Hz,1H),8.35(d,J=2.15Hz,1H),8.22(d,J=9.59Hz,1H),7.83(dd,J=8.95,2.20Hz,1H),7.77(s,1H)7.70-7.74(m,1H),6.85(d,J=8.90Hz,1H),6.79(d,J=9.59Hz,1H),6.42(d,J=1.76Hz,1H),3.72(s,3H).m/z(ESI)511.0(M+H)+.
【0144】
中間体D1:(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-7-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル
【化18】
工程1:4-ブロモ-5-フルオロ-2-ヨードアニリン
N-ヨードスクシンイミド(710g、3158mmol)を、4-ブロモ-3-フルオロアニリン(500g、2631mmol)の酢酸(4000mL)中溶液に10~15℃で少量ずつ加えた。反応物を室温で1時間撹拌した。次に、反応物を氷水(7L)でクエンチし、沈殿した固体を濾過した。固体を、5%チオ硫酸ナトリウム溶液(6L)及び水(4L)で洗浄し、乾燥させて、褐色固体として4-ブロモ-5-フルオロ-2-ヨードアニリン(750g、2374mmol、収率90%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ ppm 7.76(d,J=7.8Hz,1H),6.68(d,J=11.5Hz,1H),5.68(s,2H).
【0145】
工程2:(E)-3-(2-アミノ-5-ブロモ-4-フルオロフェニル)アクリル酸エチル
4-ブロモ-5-フルオロ-2-ヨードアニリン(500g、1583mmol)のイソプロパノール(2550mL)中撹拌溶液に、トリエチルアミン(331mL、2374mmol)を室温で加えた。反応混合物を窒素で20分間脱気した。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(36.2g、39.6mmol)を加えた後、窒素雰囲気下でアクリル酸エチル(162g、1614mmol)をゆっくりと加えた。次に、反応混合物を70℃まで加熱し、6時間撹拌した。完了後、反応混合物をCeliteに通して濾過し、ジクロロメタン(2L)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、粗残渣を得た。粗残渣を、石油エーテル(6L)中の3%酢酸エチル中で撹拌し、濾過した。得られた固体を、石油エーテル(2L)中の3%酢酸エチルで洗浄し、乾燥させて、黄色固体として(E)-3-(2-アミノ-5-ブロモ-4-フルオロフェニル)アクリル酸エチル(433g、1505mmol、収率95%)を得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:288.0(M+1)。H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ ppm 7.69-7.98(m,2H),6.61(d,J=11.4Hz,1H),6.45(d,J=15.6Hz,1H),6.12(s,2H),4.17(q,J=7.1Hz,2H),1.26(t,J=7.1Hz,3H).
【0146】
工程3:(E)-3-(2-アミノ-5-(ベンジルチオ)-4-フルオロフェニル)アクリル酸エチル
(E)-3-(2-アミノ-5-ブロモ-4-フルオロフェニル)アクリル酸エチル(500.0g、1735mmol)の1,4-ジオキサン(2500mL)中溶液に、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(449g、3471mmol)を加え、窒素で20分間脱気した。(9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス(ジフェニルホスファン)(50.2g、87mmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(39.7g、43.4mmol)を、反応混合物に加えた。混合物を窒素でパージし、80℃まで10分間加熱した。反応物を室温まで冷却し、フェニルメタンチオール(237g、1909mmol)を加えた。反応物を90℃で12時間加熱した。反応物を室温まで冷却し、酢酸エチル(1000mL)で希釈した。混合物をCeliteに通して濾過し、Celiteベッドを酢酸エチル(2500mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、粗物質を得た。粗物質を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;メッシュサイズ 60~120、勾配溶出 0~15%酢酸エチル及び石油エーテル)により精製して、黄色固体として(E)-3-(2-アミノ-5-(ベンジルチオ)-4-フルオロフェニル)アクリル酸エチル(300.0g、905mmol、収率52%)を得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:332.1(M+1)。H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ ppm 7.72(d,J=15.7Hz,1H),7.41(d,J=8.5Hz,1H),7.01-7.32(m,5H),6.38-6.55(m,1H),6.24(d,J=15.7Hz,1H),6.11(s,2H),4.17(q,J=7.1Hz,2H),3.89-4.07(m,2H),1.26(t,J=7.1Hz,3H).
【0147】
工程4:(E)-3-(5-(ベンジルチオ)-2-((4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-フルオロフェニル)アクリル酸エチル
トルエン(100mL)中の(E)-3-(2-アミノ-5-(ベンジルチオ)-4-フルオロフェニル)アクリル酸エチル(10g、30.2mmol)及び1-ブロモ-2-フルオロ-4-ヨード-5-メトキシベンゼン(10.48g、31.7mmol)を充填した250mLの三口丸底フラスコに、炭酸セシウム(39.3g、121mmol)を加えた。混合物を窒素で15分間脱気した。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.105g、1.207mmol)及び(9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス(ジフェニルホスファン)(1.397g、2.414mmol)を、反応混合物に加え、混合物を110℃で16時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却させ、ジクロロメタン(200mL)で希釈し、Celiteに通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、粗物質を得て、これをメタノール(250mL)と1時間撹拌することにより精製し、濾過した。ケークをメタノール(100mL)で洗浄し、乾燥させて、黄色固体として(E)-3-(5-(ベンジルチオ)-2-((4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-フルオロフェニル)アクリル酸エチル(13.5g、25.3mmol、収率84%)を得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:534.0(M+1)。H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ ppm 7.97(s,1H),7.75(d,J=8.4Hz,1H),7.66(d,J=15.9Hz,1H),7.05-7.43(m,6H),6.77(d,J=11.1Hz,1H),6.63(d,J=10.2Hz,1H),6.52(d,J=15.9Hz,1H),4.25(s,2H),4.16(q,J=7.1Hz,2H),3.82(s,3H),1.23(t,J=7.1Hz,3H).
【0148】
工程5:6-(ベンジルチオ)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-7-フルオロキノリン-2(1H)-オン
500mLの三口丸底フラスコに、メタノール(140mL)中の(E)-3-(5-(ベンジルチオ)-2-((4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-フルオロフェニル)アクリル酸エチル(13.5g、25.3mmol)を充填し、トリブチルホスファン(酢酸エチル中の50%溶液)(3.74mL、7.58mmol)を加えた。反応混合物を70℃で5時間加熱した。反応混合物を15℃まで冷却させ、濾過し、冷メタノール(100mL)で洗浄し、乾燥させて、黄色固体として6-(ベンジルチオ)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-7-フルオロキノリン-2(1H)-オン(9.5g、19.45mmol、収率77%)を得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:488.0(M+1)。H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ ppm 7.88-8.02(m,2H),7.64(d,J=6.3Hz,1H),7.56(d,J=8.6Hz,1H),7.20-7.38(m,5H),6.64(d,J=9.6Hz,1H),6.48(d,J=11.3Hz,1H),4.23(s,2H),3.71(s,3H).
【0149】
工程6及び7:1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-7-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル
アセトニトリル(95mL)中の6-(ベンジルチオ)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-7-フルオロキノリン-2(1H)-オン(9.5g、19.45mmol)を充填した250mLの三口丸底フラスコに、酢酸(6.4mL)及び水(4.13mL)を加えた。得られた混合物を0~5℃まで冷却し、1,3-ジクロロ5,5-ジメチルイミダゾリジン-2,4-ジオン(6.13g、31.1mmol)を、内部温度を5~10℃未満に維持しながら10~20分間かけて少量ずつ加えた。得られた懸濁液を、窒素下にて5~10℃で45分間撹拌した。次に、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェノール(7.16g、38.9mmol)のアセトニトリル(10mL)中溶液を、10~15分間かけて加えた後、トリエチルアミン(13.54mL、97mmol)を、内部温度を5~10℃未満に維持しながら20分間かけて加えた。混合物を、5~10℃で30分間撹拌し続けた。氷水(200mL)を加え、沈殿した固体を濾過し、水(100mL)で洗浄した。粗物質を、メタノール(50mL)と撹拌することにより精製し、濾過し、MeOH(50mL)で洗浄し、乾燥させて、灰白色固体として1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-7-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル(9.5g、15.52mmol、収率80%)を得た。MS(ESI、陽イオン)m/z;612.0(M+1)。H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ ppm 8.53(d,J=7.4Hz,1H),8.20(d,J=9.8Hz,1H),7.67(dd,J=16.2,7.4Hz,2H),6.99(d,J=12.1Hz,1H),6.83(d,J=9.8Hz,1H),3.74(s,3H).
【0150】
工程8:(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-7-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル
1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-7-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル(135g、220mmol)を、350mL/分の流速を使用した、Regis Whelk-O s,s 5×15cm、5μmカラム;50%ジクロロメタンの移動相を介したSFCにより精製して、(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-7-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル(49.2g、80.4mmol、収率36%)を得た。MS(ESI、陽イオン)m/z:612.7(M+1)。
【0151】
中間体E1:(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-7-フルオロ-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド
【化19】
100mLの丸底フラスコに、(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-7-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル(6.01g、9.82mmol)及びN-(4-メトキシベンジル)イソオキサゾール-3-アミン(2.48g、12.14mmol)を充填した。フラスコに窒素を5分間通気した後、テトラヒドロフラン(20mL)を加えた。混合物を-78℃まで冷却した後、ナトリウムtert-ペントキシドのTHF中30%溶液(6mL、15.00mmol)を滴加した。15分後、反応を5M塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、続いて周囲温度まで加温した。混合物をEtOAcで抽出し(2回)、有機層を分離して、減圧下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(Biotage Isolera One、Biotage Sfarシリカ HC D 20um 50g、添加物として10%ジクロロメタンを含むヘプタン中の0~80%酢酸エチル)により精製して、白色固体として(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-7-フルオロ-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(5.0g、7.91mmol、収率81%)を得た。m/z(ESI、陽イオン) 634.0(M+H)
【0152】
実施例1
(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド
【化20】
工程1:ブライン氷浴中で-0.8℃まで冷却した、(P)-1-(4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル(20g、32.7mmol)とN-(4-メトキシベンジル)イソオキサゾール-3-アミン(7.36g、36.0mmol)との2-メチルテトラヒドロフラン(99mL)中溶液に、ナトリウムtert-ペントキシド(THF中1.4M、28.1mL、39.3mmol)の溶液を、内部反応温度が3℃を超えないような速度で滴加した。1時間撹拌した後、100mLの2N HCl水溶液及び100mLのEtOAcを含有する別の冷却容器に溶液を移した。層を分離し、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を2-プロパノール(500mL)で希釈して、白色固体を沈殿させた。混合物を周囲温度で一晩撹拌し、固体を濾過により単離し、2-プロパノールで洗浄して、灰白色固体として(P)-1-(4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(16.5g、26.2mmol、収率80%)を得た。m/z(ESI) 631.4(M+H)
【0153】
工程2:丸底フラスコに、(P)-1-(4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(6.39g、10.1mmol)、(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(ii)メタンスルホネート(1.29g、1.52mmol)、リン酸カリウム(6.45g、30.4mmol)、及びビニルボロン酸ジブチル(3.73g、4.47mL、20.3mmol)を充填した。次に、エタノール(10.1mL)、水(20.3mL)、及びトルエン(70.9mL)を導入し、得られた反応混合物に窒素を10分間通気した後、45℃まで加温した。約5時間後、反応混合物を周囲温度まで冷却し、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、ヘプタン中0~50%酢酸エチル/EtOH(3:1)の勾配を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-ビニルフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(3.78g、6.54mmol、収率65%)を得た。m/z(ESI)579.0(M+H)+。
【0154】
工程3:(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-ビニルフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(3.78g、6.54mmol)の水(9.34mL)及びアセトン(56.1mL)中溶液に、4-メチルモルホリン4-オキシド(1.19g、9.81mmol)及びオスミウム酸カリウム二水和物(0.022g、0.065mmol)を周囲温度で加えた。得られた反応混合物を16時間撹拌した後、過ヨウ素酸ナトリウム(2.80g、13.1mmol)の水(8.9mL)中溶液を導入した。得られた反応混合物を周囲温度で1.5時間撹拌した。次に、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、層を分離して、水層をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、ヘプタン中0~60% EtOAc/EtOHの勾配で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(P)-1-(5-クロロ-4-ホルミル-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(3.40g、5.86mmol、収率90%)を得た。m/z(ESI) 581.0(M+H)+。
【0155】
工程4:250mLの丸底フラスコに、(P)-1-(5-クロロ-4-ホルミル-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(3.78g、6.52mmol)、メタノール(21.7mL)、及びテトラヒドロフラン(21.7mL)を充填した。水素化ホウ素ナトリウム(0.264g、6.84mmol)を0℃で少量ずつ反応物に加えた。0℃で1時間撹拌した後、反応混合物を水及び塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、(P)-1-(5-クロロ-4-(ヒドロキシメチル)-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(3.34g、5.74mmol、収率88%)を得た。m/z(ESI) 582.0(M+H)+。
【0156】
工程5:40mLバイアルに、(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-4-(ヒドロキシメチル)-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(3.33g、5.72mmol)、及び1-(クロロメチル)-4-フルオロ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムテトラフルオロボレート(3.04g、8.58mmol)を充填した。バイアルをグローブボックスに移してから、フッ化カリウム(997mg、17.2mmol)及びトリフルオロメタンスルホン酸銀(I)(2.94g、11.44mmol)を加えた。次に、バイアルに蓋をしてグローブボックスから取り出した後、酢酸エチル(14.3mL)、2-フルオロピリジン(1.11g、0.985mL、11.4mmol)、及びトリメチル(トリフルオロメチル)シラン(1.63g、1.69mL、11.4mmol)を導入した。得られた混合物を周囲温度で96時間撹拌した。この時間の経過後、反応混合物をシリカゲルのプラグに通して濾過し、酢酸エチルで溶出した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を、ヘプタン中0~30% EtOAc-EtOH(3:1)の勾配で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(1.30g、2.00mmol、収率35.0%)を得た。m/z(ESI) 650.0(M+H)+。
【0157】
工程6:丸底フラスコに、(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(1.30g、2.00mmol)、ジクロロメタン(8.0mL)、及びトリフルオロ酢酸(13.1g、8.82mL、114mmol)を充填した。反応混合物を周囲温度で撹拌した。16時間後、反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を、ヘプタン中0~75% EtOAc-EtOH(3:1)の勾配で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーを介して精製して、(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(1.05g、1.98mmol、収率99%)を得た。1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 11.64(br s,1H),8.72(d,J=1.82Hz,1H),8.37(d,J=2.21Hz,1H),8.22(d,J=9.60Hz,1H),7.85(dd,J=8.95,2.21Hz,1H),7.68(s,1H),7.50-7.64(m,1H),6.79(dd,J=9.28,4.87Hz,2H),6.44(d,J=1.82Hz,1H),5.28-5.35(m,2H),3.67-3.76(m,3H).m/z(ESI)530.0(M+H)+.
【0158】
実施例2
(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド
【化21】
工程1:40mLバイアルに、(P)-1-(4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(824mg、1.31mmol)、2-ジ-t-ブチルホスフィノ-2,4,6-トリ-i-プロピル-1,1-ビフェニル(555mg、1.31mmol)、及び(1,5-シクロオクタジエン)ビス(トリメチルシリルメチル)パラジウム(ii)(508mg、1.31mmol)を充填した。バイアルを窒素で10分間パージした後、テトラヒドロフラン(6.53mL)を加えた。バイアルに蓋をし、反応物を周囲温度で撹拌した。16時間後、(トリフルオロメチルチオ)銀(355mg、1.70mmol)を反応混合物に一度に加えた。得られた反応混合物を周囲温度で撹拌した。1時間後、Silicycle SiliaMetS(登録商標)DMT金属スカベンジャー(1.0g)を導入し、混合物をジクロロメタンで希釈し、Celite(登録商標)で濾過して、Celite(登録商標)を酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドを得て、これを更に精製することなく次の工程で使用した。m/z(ESI) 653.6(M+H)+。
【0159】
工程2:40mLバイアルに、(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド、トリエチルシラン(759mg、1.06mL、6.53mmol)、及びトリフルオロ酢酸(6.53mL)を充填した。反応混合物を周囲温度で撹拌した。16時間後、溶媒を減圧下で除去した。残渣を逆相HPLCを介して精製して、橙色固体として(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(323mg、総括収率47%)を得た。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 8.70(s,1H),8.37(d,J=2.1Hz,1H),8.23(d,J=9.7Hz,1H),7.92(s,1H),7.86(dd,J=9.0,2.2Hz,1H),7.78(s,1H),6.80(dd,J=9.2,7.4Hz,2H),6.43(d,J=1.7Hz,1H),3.75(s,3H).m/z(ESI)532.8(M+H)+.
【0160】
実施例3
(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド
【化22】
工程1:クライゼンアダプタ、窒素入口、熱電対、オーバーヘッドスターラー、及び添加漏斗を備えた250mLの三口丸底フラスコに、(P)-1-(4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホン酸パーフルオロフェニル(20.0g、32.7mmol)及びN-(4-メトキシベンジル)イソオキサゾール-3-アミン(7.36g、36.0mmol)を充填した。フラスコを排気し、窒素を3回再充填してから、2-メチルテトラヒドロフラン(99.0mL)を導入し、得られた溶液を-0.8℃まで冷却した。THF(28.1ml、39.3mmol)中のナトリウムtert-ペントキシドの1.4M溶液を添加漏斗に移し、次いで内部反応温度が3℃を超えない速度で滴加した。添加完了後、溶液を100mLの2.0N HCl水溶液及び100mL EtOAcを含有する別の冷却容器にサイフォンで移した。層を分離し、水層をEtOAcで抽出した(2回)。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をIPA(500mL)で希釈して、白色固体沈殿物を形成させた。混合物を一晩撹拌し、固体を濾過により単離した。単離した生成物を、IPAで1回洗浄し、乾燥させて、灰白色固体として(P)-1-(4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(16.5g、26.2mmol、収率80%)を得た。m/z(ESI) 631.4(M+H)+。
【0161】
工程2:[(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)-2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(ii)メタンスルホネート(278mg、0.33mmol)及び1-(4-ブロモ-5-クロロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(2.05g、3.25mmol)を含有するバイアルに、水酸化カリウム(548mg、9.76mmol)、1,4-ジオキサン(6.00mL)、及び水(2.00mL)を加えた。反応混合物を80℃で撹拌した。2時間後、反応混合物をDCMと水との間に分配した。層を分離し、水層をDCMで抽出した(2回)。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:ヘプタン中0~60%酢酸エチル)により精製して、(P)-1-(5-クロロ-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(1.52g、2.67mmol、収率82%)を得た。m/z(ESI) 568.0(M+H)+。
【0162】
工程3:窒素で満たしたグローブボックス内で、40mLバイアルに、トリフルオロメタンスルホン酸銀(I)(1.81g、7.04mmol)、1-(クロロメチル)-4-フルオロ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムテトラフルオロボレート(998mg、2.82mmol)、N-フルオロ-N-(フェニルスルホニル)ベンゼンスルホンアミド(888mg、2.82mmol)、フッ化セシウム(1.28g、8.45mmol)、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール(581mg、2.82mmol)、1-(5-クロロ-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(800mg、1.41mmol)を充填した。バイアルをグローブボックスから取り出した後、トルエン(7.1mL)、ベンゾトリフルオリド(14.2mL)、2-フルオロピリジン(684mg、606μL、7.04mmol)、及びトリメチル(トリフルオロメチル)シラン(1.00g、1.04mL、7.04mmol)を、アルゴン雰囲気下で順次導入した。得られた反応混合物を、周囲温度で36時間撹拌した。この時間の経過後、反応混合物をシリカゲルのプラグに通して濾過し、酢酸エチルで溶出した。濾液を減圧下で濃縮して、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:添加物として10%ジクロロメタンを含むヘプタン中の0~40% EtOAc/EtOH(3:1))により精製して、(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(254mg、0.40mmol、収率28.4%)を得た。m/z(ESI) 635.8(M+H)+。
【0163】
工程4:(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(254mg、0.40mmol)とトリエチルシラン(203mg、280μL、1.75mmol)とのTFA(1.18mL)中溶液を、50℃で2時間撹拌した。次に、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:添加物として10%ジクロロメタンを含むヘプタン中の0~40% EtOAc/EtOH(3:1))により精製して、(P)-1-(5-クロロ-2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(122mg、0.237mmol、収率16.8%)を得た。H NMR(500MHz,メタノール-d)δ 8.44(d,J=1.69Hz,1H),8.32(d,J=2.08Hz,1H),8.12(d,J=9.60Hz,1H),7.92(dd,J=8.95,2.21Hz,1H),7.62(s,1H),7.35-7.38(m,1H),6.86(d,J=8.95Hz,1H),6.83(d,J=9.73Hz,1H),6.48(d,J=1.82Hz,1H),3.77(s,3H).m/z(ESI)515.8(M+H)+.
【0164】
実施例4
(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)
メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド
【化23】
工程1:1Lの丸底フラスコに、(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(40.0g、65.1mmol)、メタンスルホナト(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリ-i-プロピル-1,1’-ビフェニル)(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(5.51g、6.51mmol)、及び三塩基性リン酸カリウム(41.5g、195mmol)を充填した。ビニルボロン酸ジ-n-ブチルエステル(24.0g、28.7mL、130mmol)を加え、続いてエタノール(65.1mL)、水(130mL)、及びトルエン(456mL)を加えた。フラスコを窒素で10分間パージし、反応混合物を45℃まで加温した。20時間後、反応混合物を室温まで冷却し、水で希釈した。層を分離し、水層をEtOAcで抽出した(3回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(Biotage、340gシリカカートリッジ、溶出液:10% DCM添加物を含むヘプタン中の0~65%酢酸エチル)により精製して、黄褐色固体として(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-ビニルフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(35.4g、63.0mmol、収率97%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ:8.23(d,1H,J=1.82Hz),7.83(d,1H,J=2.08Hz),7.69(d,1H,J=9.73Hz),7.56(dd,1H,J=9.02,2.14Hz),7.36(d,2H,J=8.69Hz),7.19(d,1H,J=6.36Hz),6.87-7.00(m,2H),6.83(d,1H,J=9.60Hz),6.75-6.81(m,2H),6.68-6.75(m,2H),5.92(d,1H,J=17.65Hz),5.52(d,1H,J=11.16Hz),4.95(s,2H),3.75(d,6H,J=5.32Hz).m/z(ESI)562.2(M+H)+.
【0165】
工程2:1Lの丸底フラスコに、(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-ビニルフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(14.0g、24.9mmol)、水(35.6mL)、及びアセトン(214mL)を充填した。4-メチルモルホリン4-オキシド(4.38g、37.4mmol)及びジオキシドジオキソオスミウムカリウム二水和物(potassium dioxidodioxoosmium dihydrate)(0.092g、0.249mmol)を導入し、得られた反応混合物を室温で撹拌した。21時間後、過ヨウ素酸ナトリウム(10.7g、49.8mmol)の水(250mL)中溶液を反応混合物に加えた。20分後、追加の水(約500mL)を加え、固体沈殿物を濾過により収集した。固体を水で洗浄し、真空下で乾燥させ、灰白色固体として(P)-1-(5-フルオロ-4-ホルミル-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(13.8g、24.4mmol、収率98%)を得て、これを更に精製することなく使用した。H NMR(500MHz,CDCl)δ:10.44(s,1H),8.24(d,1H,J=1.82Hz),7.84(d,1H,J=2.08Hz),7.72(d,1H,J=9.73Hz),7.52-7.61(m,2H),7.32-7.39(m,2H),7.16(d,1H,J=9.21Hz),6.83(d,1H,J=9.60Hz),6.74-6.81(m,2H),6.71(d,1H,J=1.69Hz),6.63(d,1H,J=8.95Hz),4.95(s,2H),3.79(s,3H),3.77(s,3H).m/z(ESI)564.2(M+H)+.
【0166】
工程3:1Lの丸底フラスコに、(P)-1-(5-フルオロ-4-ホルミル-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(24.4g、43.2mmol)、メタノール(216mL)、及びテトラヒドロフラン(216mL)を充填し、次いで0℃まで冷却した後、水素化ホウ素ナトリウムを5分間かけて少量ずつ加えた(1.72g、45.4mmol)。添加後、反応混合物を10分間撹拌してから、塩化アンモニウム水溶液(5M)を導入した。得られた混合物をEtOAcで抽出した(3回)。合わせた有機層を、塩化ナトリウム水溶液(5M)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、白色固体として(P)-1-(5-フルオロ-4-(ヒドロキシメチル)-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(23.3g、41.2mmol、収率95%)を得て、これを更に精製することなく使用した。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ:8.79(s,1H),8.35(s,1H),8.14(d,1H,J=9.7Hz),7.78(br d,1H,J=9.1Hz),7.37(br d,1H,J=6.2Hz),7.21-7.33(m,3H),6.79-6.88(m,3H),6.72(s,1H),6.72(d,1H,J=6.3Hz),5.47(t,1H,J=5.4Hz),4.92(s,2H),4.60-4.69(m,2H),3.72(s,3H),3.70(s,3H),3.30(s,1H).m/z(ESI)566.2(M+H)+.
【0167】
工程4:250mLの丸底フラスコに、(P)-1-(5-フルオロ-4-(ヒドロキシメチル)-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(8.05g、14.2mmol)及び四臭化炭素(5.66g、17.1mmol)を充填した。次に、ジクロロメタン(71.2mL)を加え、反応混合物を0℃まで冷却した後、トリフェニルホスフィン(4.85g、18.5mmol)を一度に加えた。20分後、水を導入し、混合物をDCMで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(Biotage、100gシリカカートリッジ、1カラム体積に対して100%ヘプタン、次に1カラム体積に対してヘプタン(10%ジクロロメタン添加物含有)中の0~45%酢酸エチル、次に1カラム体積に対してヘプタン(10%ジクロロメタン添加物含有)中の45~65%酢酸エチル)により精製して、白色固体として(P)-1-(4-(ブロモメチル)-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(7.20g、11.5mmol、収率80%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ:8.25(d,1H,J=1.8Hz),7.84(d,1H,J=2.2Hz),7.71(d,1H,J=9.6Hz),7.58(dd,1H,J=9.0,2.2Hz),7.35-7.40(m,2H),7.16(d,1H,J=6.4Hz),7.01(d,1H,J=8.8Hz),6.77-6.86(m,3H),6.68-6.75(m,2H),4.96(s,2H),4.65(d,1H,J=10.5Hz),4.53(d,1H,J=10.6Hz),3.78(s,3H),3.77(s,3H).m/z(ESI)629.8(M+H)+.
【0168】
工程5:トリフルオロメチルトリフレート(10.2g、10.2mL、46.8mmol)を250mLの三口丸底フラスコにすばやく移し、反応容器をドライアイス・アセトン浴で直ちに冷却した。次に、フラスコをテフロン管を介してオイルバブラーに接続し、その出口を水酸化カリウム水溶液(6M)に接続した。次に、フッ化銀(I)(6.05g、47.7mmol)を充填した固体添加漏斗を、反応容器に取り付けた。次に、反応容器を窒素で5分間パージした。アセトニトリル(90mL)を導入し、得られた二相混合物を氷水浴中で0℃まで加温した。次に、ガス放出が制御される速度で、フッ化銀(I)(6.05g、47.7mmol)を反応混合物に少量ずつ加えた。添加後、反応混合物を30分間撹拌して、AgOCF水溶液を得て、これを更に操作することなく使用した。別の500mLの丸底フラスコに、(P)-1-(4-(ブロモメチル)-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(8.90g、14.2mmol)を充填し、窒素で5分間パージして、アセトニトリル(70.8mL)を充填した。次に、既に調製したAgOCF溶液を、撹拌した反応混合物にカニューレを介して滴下して移した。添加後、窒素入口ラインを取り外し、反応物を周囲温度で撹拌した。19時間後、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を導入し、得られた混合物をジクロロメタンで希釈した。得られた二相混合物を濾過し、有機層をIsolute(登録商標)フェーズセパレーターで分離し、減圧下で濃縮して、フラッシュカラムクロマトグラフィー(Biotage、350gシリカカートリッジ、溶出液:1カラム体積に対して100%ヘプタン、0.5カラム体積に対してヘプタン(10%ジクロロメタン添加物含有)中の0~40%酢酸エチル、次に8カラム体積に対してヘプタン(10%ジクロロメタン添加物含有)中の40~65%酢酸エチル)により精製して、白色固体として(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(7.83g、12.4mmol、収率87%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ:8.24(d,1H,J=1.8Hz),7.84(d,1H,J=2.2Hz),7.71(d,1H,J=9.6Hz),7.57(dd,1H,J=9.0,2.1Hz),7.36(d,2H,J=7.4Hz),7.17(d,1H,J=6.1Hz),7.04(d,1H,J=9.0Hz),6.76-6.85(m,3H),6.72(d,1H,J=1.8Hz),6.67(d,1H,J=9.0Hz),5.22(d,1H,J=12.2Hz),5.10(d,1H,J=12.2Hz),4.95(s,2H),3.77(s,6H).m/z(ESI)634.0(M+H)+.
【0169】
工程6:100mLの丸底フラスコに、(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(6.0 g、9.47mmol)及びトリエチルシラン(5.51g、7.56mL、47.4mmol)を充填した。1,1,1-トリフルオロ酢酸(32.4g、21.9mL、284mmol)を、周囲温度で反応混合物に滴加した。得られた反応混合物を40℃まで加温した。8時間後、反応混合物を周囲温度まで冷却し、減圧下で濃縮した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(Biotage、100gシリカカートリッジ、溶出液:DCM中0~20% EtOAc)により精製して、灰白色固体として(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド (4.00g、7.79mmol、収率82%)を得た。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ:11.63(s,1H),8.73(d,1H,J=1.8Hz),8.37(d,1H,J=2.2Hz),8.22(d,1H,J=9.6Hz),7.85(dd,1H,J=9.0,2.2Hz),7.54(d,1H,J=6.4Hz),7.50(d,1H,J=9.5Hz),6.79(dd,2H,J=9.3,4.7Hz),6.44(d,1H,J=1.8Hz),5.27-5.34(m,2H),3.69(s,3H).m/z(ESI)514.0(M+H)+.
【0170】
実施例5
(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド
【化24】
工程1:マイクロ波バイアルに、1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(1.00g、1.63mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(59.6mg、0.07mmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(75.4mg、0.13mmol)、及び1,4-ジオキサン(4.00mL)を充填した。反応混合物に窒素を通気してから、ジイソプロピルエチルアミン(420mg、566μL、3.25mmol)及び2,2,2-トリフルオロエタン-1-チオール(226mg、174μL、1.95mmol)を導入した。続いて、反応混合物に窒素を通気し、蓋をして、125℃で1時間照射した。次に、反応混合物をCelite(登録商標)のパッドに通して濾過し、濾過ケークを酢酸エチルですすいだ。濾液を酢酸エチルと水との間に分配し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:ヘプタン中0~30%酢酸エチル/EtOH(3:1))により精製して、淡黄色固体として、ラセミの1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(625mg、0.96mmol、収率59%)を得た。m/z(ESI) 649.8(M+H)+。
【0171】
工程2:1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(625mg、0.96mmol)及びトリフルオロ酢酸(2.0mL)の溶液を、周囲温度で撹拌した。16時間後、反応混合物を減圧下で濃縮して、1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドをアトロプ異性体の混合物として得た。
【0172】
工程3:ラセミの1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドを、Regis Whelk-O S,S、3×15cm、5μmカラム、35% 1:1メタノール/DCMの移動相、160mL/分の流速を介して、キラルSFCクロマトグラフィーにより分離した。第1の溶出ピークを濃縮し、白色固体として(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(248mg、0.47mmol、2工程で収率48.6%)を得て、第2の溶出ピークを別途濃縮し、(M)アトロプ異性体を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ:11.64(s,1H),8.72(d,J=1.76Hz,1H),8.36(d,J=2.18Hz,1H),8.21(d,J=9.54Hz,1H),7.84(dd,J=8.91,2.28Hz,1H),7.44-7.51(m,2H),6.79(dd,J=9.28,2.02Hz,2H),6.44(d,J=1.76Hz,1H),4.15-4.27(m,2H),3.70(s,3H).m/z(ESI)559.8(M+H)+.
【0173】
実施例6
(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド
【化25】
【0174】
工程1:100mLの丸底フラスコに、(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-7-フルオロ-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(2.00g、3.16mmol)、(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(ii)メタンスルホネート(0.402g、0.474mmol)、リン酸カリウム(2.01g、9.49mmol)、ビニルボロン酸ジブチル(1.164g、1.39mL、6.32mmol)、エタノール(3.16mL)、水(6.32mL)、及びトルエン(22.1mL)を充填した。反応混合物を50℃で2時間撹拌した。この時間の経過後、反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した(3回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、ヘプタン中0~40%酢酸エチル/EtOH(3:1)の勾配を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-ビニルフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(1.60g、2.76mmol、収率87%)を得た。m/z(ESI) 580.8(M+H)+。
【0175】
工程2:40mLバイアルに、(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-ビニルフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(570mg、0.98mmol)、N-メチルモルホリンN-オキシド(NMO)(173mg、1.48mmol)、及びオスミウム酸カリウム二水和物(1.62mg、4.92μmol)を充填した。得られた反応混合物を室温で48時間撹拌した。この時間の経過後、次いで、過ヨウ素酸ナトリウム(421mg、1.97mmol)の水(15.8mL)中溶液で、溶液を処理した。得られた反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。次に、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、層を分離して、水層をジクロロメタンで更に抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(RediSep 40g、添加物として10%ジクロロメタンを含むヘプタン中の3~50% EtOAc/EtOH(3:1))により精製して、黄色固体として(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-4-ホルミル-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(0.435g、0.748mmol、収率76%)を得た。m/z(ESI) 582.8(M+H)+。
【0176】
工程3:(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-4-ホルミル-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(785mg、1.35mmol)、メタノール(6.75mL)、及びジクロロメタン(5mL)を含有するバイアルを0℃まで冷却した後、テトラヒドロホウ酸ナトリウム(51.1mg、1.35mmol)を、撹拌した反応混合物に少量ずつ加えた。得られた反応混合物を0℃で5分間、次に周囲温度で10分間撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(RediSep 24g、添加剤として10%ジクロロメタンを含むヘプタン中の0~50% EtOAc/EtOH(3:1))により精製して、
白色固体として(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-4-(ヒドロキシメチル)-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(524mg、0.897mmol、収率67%)を得た。m/z(ESI) 584.8(M+H)+。
【0177】
工程4:40mLバイアルに、(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-4-(ヒドロキシメチル)-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(524mg、0.897mmol)及び1-(クロロメチル)-4-フルオロ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムテトラフルオロボレート(477mg、1.35mmol)を充填した。バイアルをグローブボックスに移してから、続いてフッ化カリウム(209mg、3.59mmol)及びトリフルオロメタンスルホン酸銀(I)(692mg、2.69mmol)を加えた。次に、バイアルに蓋をしてグローブボックスから取り出した後、酢酸エチル(4.49mL)、2-フルオロピリジン(261mg、232μL、2.69mmol)、及びトリメチル(トリフルオロメチル)シラン(383mg、398μL、2.69mmol)を導入した。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。この時間の経過後、酢酸エチル(10mL)を加えて、混合物をシリカゲルのプラグに通した。シリカゲルプラグを酢酸エチル(20mL)で洗浄した。濾液をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(RediSep 24g、添加剤として10%ジクロロメタンを含むヘプタン中の2~40% EtOAc/EtOH(3:1))を介して精製して、白色固体として(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(274mg、0.421mmol、収率47%)を得た。m/z(ESI) 652.8(M+H)+。
【0178】
工程5:20mLバイアルに、(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(274mg、0.421mmol)及びトリフルオロ酢酸(4.0mL)を充填した。反応物を48℃で2時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(RediSep 12g、添加物として10%ジクロロメタンを含むヘプタン中の2~45% EtOAc/EtOH(3:1))を介して精製して、灰白色固体として(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメトキシ)メチル)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(158mg、0.297mmol、収率71%)を得た。H NMR(CDCl,500MHz)δ 8.75(br s,1H),8.24(d,J=1.4Hz,1H),8.1-8.2(m,1H),7.79(d,J=9.7Hz,1H),7.18(d,J=6.1Hz,1H),7.03(d,J=8.8Hz,1H),6.81(d,J=9.7Hz,1H),6.55(d,J=1.6Hz,1H),6.4-6.5(m,1H),5.1-5.3(m,2H),3.7-3.8(m,3H).m/z(ESI)532.8(M+H)+
【0179】
実施例7
(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド
【化26】
工程1:40mLバイアルに、(1,5-シクロオクタジエン)ビス(トリメチルシリルメチル)パラジウム(II)(0.246g、0.632mmol)、ジ-tert-ブチル(2’,4’,6’-トリイソプロピル-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)ホスファン(0.295g、0.696mmol)、(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-7-フルオロ-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(2.00g、3.16mmol)、及びトルエン(16mL)を充填した。反応混合物に窒素を15分間通気し、次いで50℃で45分間加温して均一溶液を得た。別の40mLバイアルに、フェニルトリエチルアンモニウムヨージド(1.25g、4.11mmol)及びトリフルオロメチルチオール酸銀(I)(859mg、4.11mmol)を充填した。バイアルを窒素で15分間パージした後、第1のバイアルの溶液を第2のバイアルにカニューレで入れ、得られた混合物を50℃で激しく撹拌した。45分後、混合物を室温まで冷却し、セライトのパッドを通して濾過し、濾過ケークをトルエン(10mL)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ISCO CombiFlash、24gシリカカートリッジ、溶出液:ヘプタン中0~50% EtOAc)により精製して、白色固体として(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(1.74g、2.66mmol、収率84%)を得た。m/z(ESI) 654.0(M+H)+。
【0180】
工程2:還流冷却器を備えた250mLの丸底フラスコに、(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(23.2g、35.5mmol)、トリエチルシラン(26.3mL、177mmol)、及びトリフルオロ酢酸(81mL、1.05mol)を充填した。得られた混合物を、50℃まで6時間加温した。次に、反応混合物を室温まで冷却させ、減圧下で濃縮した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(200mL)を導入した。得られた混合物をEtOAcで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をヘプタン(3×70mL)から共沸させ、残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(Biotage、200gシリカカートリッジ、溶出液:ヘプタン/DCM(9:1混液)中0~60%酢酸エチル/エタノール(3:1混液)の勾配)により精製した。生成物を含有する画分を合わせて、減圧下で濃縮した。得られた固体を、Regis Whelk-O s,s、3×15cm、5μmカラム;35%メタノールの移動相、180mL/分の流速を介したSFCにより精製して、白色固体として(P)-7-フルオロ-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(13.7g、25.6mmol、収率72%)を得た。H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ:12.02(br s,1H),8.73(d,J=1.6Hz,1H),8.49(d,J=7.8Hz,1H),8.26(d,J=9.7Hz,1H),7.73(d,J=8.4Hz,1H),7.68(d,J=6.2Hz,1H),6.77(d,J=9.7Hz,1H),6.63(d,J=11.8Hz,1H),6.38(d,J=1.7Hz,1H),3.74(s,3H).m/z(ESI)534.0(M+H)+.
【0181】
実施例8
(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド
【化27】
工程1:500mLの丸底フラスコに、(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(1.30g、2.12 mmol)、2-ジ-t-ブチルホスフィノ-2,4,6-トリ-i-プロピル-1,1-ビフェニル(898mg、2.12 mmol)、及び(1,5-シクロオクタジエン)ビス(トリメチルシリルメチル)パラジウム(ii)(823mg、2.12 mmol)を充填した。フラスコを窒素で30分間パージしてから、テトラヒドロフラン(21.2mL)を導入して、反応混合物を周囲温度で撹拌した。21時間後、((トリフルオロメチル)チオ)銀(575mg、2.75mmol)を、撹拌した反応混合物に一度に導入した。1.5時間後、Silicycle SiliaMetS(登録商標)DMT金属スカベンジャー(9.0g)を導入し、混合物をジクロロメタンで希釈した。次に、混合物をCelite(登録商標)のプラグを通して濾過し、ジクロロメタン中の10% MeOHで溶出した。濾液を減圧下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(220gシリカゲルカラム、ヘプタン(10%ジクロロメタン含有)中0~50%のEtOAc/EtOH(3:1)で溶出)により精製して、褐色泡状物として(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(1.19g、1.87mmol、収率88%)を得た。m/z(ESI) 636.0(M+H)+。
【0182】
工程2:20mLバイアルに、(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(1.19g、1.87mmol)及びトリフルオロ酢酸(19.2g、12.9mL、169mmol)を充填した。反応混合物を40℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した後、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を加え、混合物をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を濃縮し、30~75%アセトニトリル水溶液(0.1%ギ酸)で溶出する逆相MPLC精製に供して、ベージュ色固体として(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-((トリフルオロメチル)チオ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(0.58g、1.13mmol、収率60%)を得た。H NMR(CDCl,500MHz)δ 8.28(d,J=1.8Hz,1H),8.21(br s,1H),8.1-8.2(m,1H),7.81(t,J=10.5Hz,2H),7.38(d,J=5.8Hz,1H),7.16(d,J=7.7Hz,1H),6.87(d,J=9.6Hz,1H),6.72(d,J=9.0Hz,1H),6.62(d,J=1.8Hz,1H),3.77(s,3H).m/z(ESI)516.7(M+H)+.
【0183】
実施例9
(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド
【化28】
工程1:[(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)-2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(ii)メタンスルホネート(278mg、0.33mmol)及び(P)-1-(4-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(2.00g、3.25mmol)を含有するバイアルに、水酸化カリウム(548mg、9.76mmol)の水(2.00mL)及び1,4-ジオキサン(6.00mL)中溶液を加えた。得られた反応混合物を80℃で2時間撹拌した。次に、反応混合物を周囲温度まで冷却し、DCMと水との間に分配した。水相のpHをHCl水溶液(1.0N)で約7に調整し、DCMで抽出した(2回)。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:ヘプタン(10% DCM含有)中の0~50%酢酸エチル/EtOH(3:1))により精製して、(P)-1-(5-フルオロ-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(1.67g、3.03mmol、収率93%)を得た。m/z(ESI) 552.0(M+H)+。
【0184】
工程2:窒素で満たしたグローブボックス内で、40mLバイアルに、トリフルオロメタンスルホン酸銀(I)(1.17g、4.53mmol)、1-(クロロメチル)-4-フルオロ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムテトラフルオロボレート(0.64g、1.81mmol)、N-フルオロ-N-(フェニルスルホニル)ベンゼンスルホンアミド(0.57g、1.81mmol)、フッ化セシウム(0.83g、5.44mmol)、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール(0.37g、1.81mmol)、及び1-(5-フルオロ-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(0.50g、0.91mmol)を充填した。バイアルをグローブボックスから取り出して、トルエン(4.58mL)、ベンゾトリフルオリド(9.16mL)、2-フルオロピリジン(0.44g、0.39mL、4.53mmol)、及びトリメチル(トリフルオロメチル)シラン(0.64g、0.67mL、4.53mmol)を、アルゴン雰囲気下で導入した。得られた反応混合物を周囲温度で撹拌した。16時間後、反応混合物をシリカゲルのプラグに通して濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:ヘプタン(10% DCM含有)中の0~100%酢酸エチル/EtOH(3:1))により精製して、(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(126mg、0.20mmol、収率22.4%)を得た。m/z(ESI) 620.0(M+H)+。
【0185】
工程3:(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(126mg、0.20mmol)と、トリエチルシラン(0.212g、0.29mL、1.82mmol)と、2,2,2-トリフルオロ酢酸(1.76g、1.15mL、15.4mmol)との混合物を、50℃で撹拌した。2時間後、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:ヘプタン(10% DCM含有)中の0~60%酢酸エチル/EtOH(3:1))により精製して、(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(22.2mg、0.044mmol、収率22.2%)を得た。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ:11.64(bs,1H),8.72(d,J=1.69Hz,1H),8.37(d,J=2.08Hz,1H),8.23(d,J=9.73Hz,1H),7.84(dd,J=8.95,2.21Hz,1H),7.77(d,J=10.38Hz,1H),7.54(d,J=7.14Hz,1H),6.85(d,J=8.95Hz,1H),6.80(d,J=9.60Hz,1H),6.44(d,J=1.82Hz,1H),3.71(s,3H).m/z(ESI)500.0(M+H)+.
【0186】
実施例10
(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)
フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド
【化29】
工程1:(P)-1-(5-フルオロ-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(300mg、0.54mmol)と炭酸セシウム(532mg、1.63mmol)とのテトラヒドロフラン(1.00mL)中溶液に、2,2,2-トリフルオロエチルトリフレート(252mg、1.09mmol)を加えた。得られた反応混合物を窒素でパージし、50℃まで加温した。6時間後、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をDCMと水との間に分配した。有機層を濃縮して、1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドを得た。m/z(ESI) 634.1(M+H)+。
【0187】
工程2:1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-N-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミドのTFA(0.5mL)中溶液を、50℃で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を、Regis Whelk-O1 S,S、21×250mm、5μmカラム、30%メタノールの移動相、及び80mL/分の流速を介したキラルSFCクロマトグラフィーにより精製して、白色固体として(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)フェニル)-N-(イソオキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-6-スルホンアミド(81.3mg、0.16mmol、2段階で収率29.1%)を得た。H NMR(600MHz,DMSO-d)δ 11.62(br s,1H),8.72(d,J=1.73Hz,1H),8.35(d,J=2.09Hz,1H),8.19(d,J=9.63Hz,1H),7.84(dd,J=8.99,2.18Hz,1H),7.45(d,J=11.08Hz,1H),7.24(d,J=7.72Hz,1H),6.81(d,J=8.99Hz,1H),6.78(d,J=9.63Hz,1H),6.44(d,J=1.73Hz,1H),4.97-5.06(m,2H),3.69(s,3H).m/z(ESI)514.0(M+H)+.
【0188】
実施例11~26:以下の化合物を、上記の実施例1~10に記載の調製と同様に調製した。
【0189】
【表1】
【0190】
【表2】
【0191】
【表3】
【0192】
【表4】
【0193】
【表5】
【0194】
生物学的実施例
本発明の例示的な化合物を試験する際に、以下のアッセイを使用した。下記の手順に従って試験したそれらの実施例に関するデータを、下の表1に示す。
【0195】
IONWORKS BARRACUDA自動パッチクランプアッセイ(ヒト及びマウスの両方に関して同じプロトコル)
ヒトNav1.7の電流を、IWB自動電気生理学システム(Molecular Devices,LLC,Sunnyvale,CA)により集団パッチクランプモードで記録した。スパイキングHEK細胞(Kir2.1トランスフェクションを伴わない)を、IonWorks Quattro試験について以前に記載された通りに、記録用に培養し、調製した。外液は、N-メチル-D-グルカミンを含む、NaCl 140、KCl 5、CaCl 2、MgCl 1、HEPES 10、及びグルコース11(単位mM)、pH7.4、320mOsmolから構成されていた。内液は、N-メチル-D-グルカミンを含む、KCl 70、KF 70、MgCl 0.25、HEDTA 5、及びHEPES 10(単位mM)、pH7.25、300mOsmolから構成されていた。電流を、-110mVの保持電位から、周波数5Hzで-20mVまでの持続時間150msの一連の26回の脱分極により誘発した。次に、単一濃度の試験化合物の存在下で、細胞を4分間-20mVにクランプした。 この化合物インキュベーション期間の後、細胞を3秒間-110mVにクランプして、未結合のチャネルを回復させ、上と同じ26回のパルス電圧プロトコルにかけた。化合物の存在下における-20mVへの26回目のパルスの間の内向き電流のピークを、化合物の非存在下における-20mVへの26回目のパルスによって誘起された内向き電流のピークで除して、阻害率を求めた。濃度の関数としての阻害率の濃度-反応曲線を作成して、Kornecook,T.J.;Yin,R.;Altmann,S.;et al.Pharmacologic Characterization of AMG8379,a Potent and Selective Small Molecule Sulfonamide Antagonist of the Voltage-Gated Sodium Channel NaV1.7.J.Pharmacol.Exp.Ther.2017,362,146-160に記載の通りにIC50値を算出した。
【0196】
ミクロソーム固有クリアランスアッセイ
このアッセイの目的は、肝ミクロソームにおける経時的な試験物質の消失をモニタリングすることによって、前臨床種及びヒトに由来するミクロソームにおける試験化合物の固有クリアランスを決定することである。-80℃で保管した20mg/mLストックのミクロソームを使用した。使用した化学物質のリスト:(1)試験物質、10mMストック(DMSO)又は試料バンクからの粉末;(2)ベラパミル、10mMストック;(3)NADPH、粉末(Sigma);(4)リン酸カリウム緩衝液、100mM、pH7.4;及び(5)トルブタミド(又は同等物)。最終インキュベーション濃度は、ミクロソームタンパク質0.25mg/mL及び試験物質0.5μMであり、インキュベーションは三連で実施した。アッセイのための典型的な時点は、1、5、10、20、30、及び40分であった。アッセイを96ウェル形式で行い、400μLのインキュベーションから連続的に試料採取した。適切な時点で、内部標準(トルブタミド)を含有するアセトニトリルでインキュベーションをクエンチした。トルブタミドは、それが陽イオン又は陰イオン質量分析によるシグナルを有するため、初期設定の内部標準であった。ミクロソーム固有クリアランスアッセイ用の陽性対照は、ベラパミルであった。試料をLC-MS/MS分析に供し、化合物の相対量を、内部標準のピーク面積に対して正規化した化合物のピーク面積(A/IS)によって算出した。固有クリアランスの算出は、Galileoを用いて実施した。
【0197】
手順:
-80℃の冷凍庫からミクロソームを取り出す。室温又は37℃の水浴中で解凍する。解凍後は氷上で保管する。ミクロソーム(0.53mg/mL)を0.1Mリン酸緩衝液に加え、反応ごとに250μLを分取する。試験物質の10mMストックをDMSO中で調製する。50:50のアセトニトリル:水で1/100に希釈して、100μMストックを作製する。試験物質の100μMストック約2.5μLを各反応に加え、1.05μM基質の最終濃度にする。(注:この段階で、濃度は、NADPHで約1:1に希釈することを考慮して、最終インキュベーション条件よりも約2倍高い)。
【0198】
1.9mMのNADPH溶液を、0.1mMリン酸緩衝液中で調製する。
1.05μM基質と0.53mg/mLタンパク質とを含有する、基質とミクロソームとの250μLの複製ウェルを4つ調製する。210μLの1.90mM NADPHを含有する3つの複製ウェル、及び緩衝液(-NADPH)のウェル1つを調製する。ミクロソーム、0.1Mリン酸緩衝液、及び試験物質を、37℃で5分間プレインキュベートする。反応を開始させるために、190μLの基質を、NADPHを含有するウェルに加えて、最終濃度0.25mg/mLのミクロソーム、0.5μMの試験物質、及び1mMのNADPHとする。1、5、10、20、30、及び40分時点で35μLを取り出す。内部標準を含有するアセトニトリルを用いて1:1でクエンチする。ボルテックスし、遠心分離する。LC-MS/MSによる生物学的分析のために移動させる。
【0199】
マウスにおけるオープンフィールド自発運動活性
試験当日に、C57Bl/6雄マウスに、10ml/kgの投与量でNav1.7化合物又は溶媒対照製剤のいずれかを経口投与した。 使用した溶媒は、NaOHを含む2% HPMC/1% Tween 80 pH10;NaOHを含むpH10のDI水;又は2% HPMC/1% Tween 80 pH2.2であった。
【0200】
試験物質による処置の2~3時間後、本発明の各Nav1.7試験化合物のcmaxに応じて、動物をオープンフィールドチャンバーに配置し、動物の行動を30分間にわたりモニタリングした。Thousand Oaksでの実験については、16”×16”のオープンフィールドチャンバー(KINDER SCIENTIFIC(登録商標),San Diego,CA)を使用した。Cambridge Massachusettsでの実験については、16”×16”のオープンフィールドチャンバー(SAN DIEGO INSTRUMENTS(登録商標),San Diego,CA)を使用した。自発運動活性(水平移動及び立ち上がり行動)パラメータを、赤外光ビームの遮断によって自動的に測定した。
【0201】
ヒトCYP 3A4誘導アッセイ
凍結保存したヒト肝細胞を、肝細胞プレーティング培地(HPM、最終濃度:1×ダルベッコ改変イーグル培地、0.1μMデキサメタゾン、10%ウシ胎仔血清、1×ITS、1×PSG)中においてウェルあたり70,000細胞で96ウェルコラーゲンコーティングプレートに播種した後、37℃で5% CO2及び90%相対湿度下にて2日間インキュベーションして、肝細胞のコンフルエント層を形成させた。3日目に、肝細胞インキュベーション培地(HIM、最終濃度:1×ウィリアム培地E、0.1μMデキサメタゾン、1×ITS、1×PSG)中で調製した試験化合物又はリファンピン(20μM、CYP3A誘導用の陽性対照)のいずれかで、肝細胞を処置した。処置を、2つの濃度(2μM若しくは10μM)又はある濃度範囲(0.001μM~100μM)の試験化合物のいずれかで72時間実施して、完全な用量反応曲線を得た。適切な濃度の試験化合物を含有する新鮮培地を、試料を処置するまで毎日交換した。インキュベーションの72時間後、試料を、製造業者(Affymetrix,Fremont,CA)の指示書を使用してbDNA技術を使用するmRNA分析のために処置した。細胞生存率を、MTTアッセイキット(Roche Diagnostics,Basel,Switzerland)を使用して実験の最後に試験した。データを分析し、対照に対するパーセント(percent of control)(POC)として、並びに適切な場合には、Center for Drug Evaluation and Research(CDER),2006,Guidance for Industry,Drug Interaction Studies-Study Design,Data Analysis,and Implications for Dosing and Labelingの指針に従って得られたEmax及びEC50として示した。
【0202】
凍結保存したヒト肝細胞を、肝細胞プレーティング培地(HPM、最終濃度:1×ダルベッコ改変イーグル培地、0.1μMデキサメタゾン、10%ウシ胎仔血清、1×ITS、1×PSG)中においてウェルあたり70,000細胞で96ウェルコラーゲンコーティングプレートに播種した後、37℃で5% CO2及び90%相対湿度下にて2日間インキュベーションして、肝細胞のコンフルエント層を形成させた。3日目に、肝細胞インキュベーション培地(HIM、最終濃度:1×ウィリアム培地E、0.1μMデキサメタゾン、1×ITS、1×PSG)中で調製した試験化合物又はリファンピン(20μM、CYP3A誘導用の陽性対照)のいずれかで、肝細胞を処置した。処置を、2つの濃度(2μM若しくは10μM)又はある濃度範囲(0.001μM~100μM)の試験化合物のいずれかで72時間実施して、完全な用量反応曲線を得た。適切な濃度の試験化合物を含有する新鮮培地を、試料を処置するまで毎日交換した。インキュベーションの72時間後、試料を、製造業者(Affymetrix,Fremont,CA)の指示書を使用してbDNA技術を使用するmRNA分析のために処理した。細胞生存率を、MTTアッセイキット(Roche Diagnostics,Basel,Switzerland)を使用して実験の最後に試験した。データを分析し、対照に対するパーセント(POC)として、並びに適切な場合には、Halladay,J.et al,2012,An“all-inclusive”96-well cytochrome P450 induction method: Measuring enzyme activity,mRNA levels,protein levels,and cytotoxicity from one well using cryopreserved human hepatocytes,Pharmacological and Toxicological Methods,66:270-275に記載の通りに得たEmax及びEC50として示した。
【0203】
本発明の化合物はまた、以下のインビボアッセイにおいて試験することができる。
【0204】
持続性疼痛のラットホルマリンモデル
試験当日に、試験開始時の体重が260~300gの動物(ナイーブ、雄スプラーグドーリーラット)を、Harlan(Indianapolis,IN)から得ることができる。全ての動物は、6:00に点灯する12/12時間の明/暗サイクルの下で収容することができる。齧歯類は、トウモロコシの穂軸を敷いた頑丈な床のケージに、ケージ当たり2匹で収容することができ、食餌及び水は自由に摂取させることができる。動物は、試験開始前に飼育箱に少なくとも5日間馴化させ、投薬の少なくとも30分前に試験室に入れることが必要である。所望の前処置時間(典型的には試験開始の2時間前)に、動物を強制経口投与又は腹腔内注射のいずれかによって適切な試験化合物で前処置し、その後動物をホームケージに戻す。動物を、投薬の後及び試験開始の少なくとも30分前に、それぞれの試験チャンバーに順応させることができる。試験時に、各動物を左後肢が露出した状態でタオルで軽く包むことができる。リン酸緩衝食塩水中のホルマリン(2.5%)の希釈溶液を、30g針で50μLまでの容量で左後肢の背側表面に皮下注射することができる。注射直後に、微量のLOCTITE(接着剤)を用いて、小さな金属バンドを左後肢の足底側に貼り付けることができる。次に、動物を、試験チャンバー内に配置することができ、ホルマリン注射後の10~40分間にフリンチの数を記録することができる。フリンチは、歩行運動と関連しない被注射後肢の迅速且つ自発的な動作として定義される。フリンチは、University of California,San Diegoの麻酔科によって構築された自動痛覚分析計を活用して定量化することができる。個々のデータは、最大潜在効果%(MPE%)として表すことができ、これは、以下の式:(-(個々のスコア-溶媒平均スコア)/溶媒平均スコア))×100=MPE%で算出される。
【0205】
統計分析は、有意な主効果について溶媒群と比較した、ボンフェローニを使用する事後分析を用いる分散分析(ANOVA)によって実施することができる。データは、各群について平均MPE%±標準誤差として表すことができる。
【0206】
ラットオープンフィールドアッセイ
試験当日に、試験開始時の体重が260~300gの動物(ナイーブ、雄スプラーグドーリーラット)を、Harlan(Indianapolis,IN)から得ることができる。全ての動物は、6:00に点灯する12/12時間の明/暗サイクルの下で収容することができる。齧歯類は、トウモロコシの穂軸を敷いた頑丈な床のケージに、ケージ当たり2匹で収容することができ、食餌及び水は自由に摂取させることができる。動物は、試験開始前に飼育箱に少なくとも5日間馴化させ、投薬の少なくとも30分前に試験室に入れることが必要である。試験室とは別の部屋で、所望の前処置時間(典型的には試験開始の2時間前)に、動物を強制経口投与又は腹腔内注射のいずれかによって適切な試験化合物で前処置し、その後、前処置が経過するまで動物をホームケージに戻すことができる。試験時に、動物を、それらのホームケージ内のオープンフィールド試験室に移すことができる。各動物を別々の試験チャンバーに配置することができ、動作追跡システムが始動する。試験室のハウスライトを消灯する必要があり、動物を、新規のオープンフィールドを30分間探索させることができる。San Diego Instruments,San Diego,CAが作製した自動動作追跡装置を使用して、動物の動作を検出するための赤外光ビームを活用して動物の探索を捕捉することができる。これらの行動には、このアッセイの主要評価項目として使用することができる基本的動作及び垂直の立ち上がりが含まれる。試験終了時、ハウスライトを点灯することができ、また、動物を試験装置から取り出す必要がある。データは、以下の式を使用して、溶媒対照からの変化率として表すことができる。
(1-(試験平均/溶媒平均))×100=変化%
【0207】
統計分析は、有意な主効果を追跡するためのダネットを使用する事後分析を用いる分散分析(ANOVA)によって実施することができる。
【0208】
持続性疼痛のマウスホルマリンモデル
試験開始時の体重が22~30gのマウス(ナイーブ、雄C57Bl/6)を、Harlan(Indianapolis,IN)から得た。全ての動物を、6:30に点灯する12/12時間の明/暗サイクルの下で収容した。齧歯類は、トウモロコシの穂軸を敷いた頑丈な床のケージに一匹ずつ収容し、食餌及び水は自由に摂取させた。動物を、試験開始前に飼育箱に少なくとも5日間馴化させ、投薬の少なくとも30分前に試験室に入れた。所望の前処置時間(典型的には試験開始の2時間前)に、動物を強制経口投与又は腹腔内注射のいずれかによって適切な試験化合物で前処置し、その後動物をホームケージに戻した。動物を、投薬の後及び試験開始の少なくとも5分前に、それぞれの試験チャンバーに順応させた。試験時に、各動物を左後肢が露出した状態で布製手袋で軽く包んだ。リン酸緩衝食塩水中のホルマリン(2%)の希釈溶液を、30g針で20μLまでの容量で左後肢の背側表面に皮下注射した。次に、動物を観察チャンバーに配置し、ホルマリン注射後にその行動を60分間記録した。疼痛様行動を、歩行運動と関連しない被注射後肢のリッキング及び/又は免荷として定義した。
【0209】
統計分析は、あらゆる有意な主効果について溶媒群と比較した、ダネット事後検定を使用する事後分析を用いる分散分析(ANOVA)によって実施した。データは、各群について平均±標準誤差として表した。
【0210】
表1は、以下の通り、本発明の代表的化合物として、本出願において例証される化合物に関するデータ及びその優先権書類を提供する。化合物名(Chem Draw Ultraバージョン15.1を使用して命名);並びにインビトロNav1.7 IWQデータ(uM単位のIC50)、並びに利用可能な場合、インビトロでのヒトCYP3A4 mRNA誘導データ(2uM及び10uMでの対照に対するパーセント(POC)(%))を含む生物学的データ。Ex.#は、実施例番号を指す。NDは、利用可能なデータがないことを意味する。本発明の代表的化合物は、比較化合物Aと比較して、より低いヒトCYP3A4 mRNA誘導データを示す。本発明の代表的化合物は、化合物Aと比較して、より低いヒトCYP3A4 mRNA誘導データ及び好ましいインビトロヒトNav1.7 IWQデータの活動状態を示すことが好ましい。比較化合物Aは、(P)-1-(5-フルオロ-2-メトキシ-4-(3,3,3-トリフルオロプロピル)フェニル)-N-(1,2-オキサゾール-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-6-キノリンスルホンアミドと命名されており、以下の構造:
【化30】
を有する。
【0211】
化合物Aは、国際公開第2017/106871号パンフレットに例証された。
【0212】
【表6】
【0213】
前述の発明は、明確化及び理解を目的として、例示及び実施例によってある程度詳細に記載されている。当業者は、変更及び修正が、添付の特許請求の範囲の範囲内で行われ得ることを理解している。したがって、上の記述は、例示であることが意図され、限定的なものではないことを理解されたい。したがって、本発明の範囲は、上の記載を参照して決定されるべきではなく、その代わりに、以下の添付の特許請求の範囲を、そのような特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲とともに参照して決定されるべきである。
【0214】
本明細書に引用された全ての特許、特許出願、及び刊行物は、それぞれの個々の特許、特許出願、又は刊行物がそのように個別に示されているのと同じ程度に、あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】