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特表2024-514995(S,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(3-(4-(2-ヒドロキシ-1-フェネチルアミノ)-6-フェニルフロ[2,3-D]ピリミジン-5-イル)フェニル)ブタ-2-エナミド遊離塩基の結晶形
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-04
(54)【発明の名称】(S,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(3-(4-(2-ヒドロキシ-1-フェネチルアミノ)-6-フェニルフロ[2,3-D]ピリミジン-5-イル)フェニル)ブタ-2-エナミド遊離塩基の結晶形
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/048 20060101AFI20240328BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240328BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240328BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
C07D491/048 CSP
A61K31/519
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544357
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 US2022036260
(87)【国際公開番号】W WO2023283269
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/218,504
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523362423
【氏名又は名称】アンボーゲン セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スー, ツー-アン
(72)【発明者】
【氏名】シェ, シン-パン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, スー-ミン
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB08
4C050CC16
4C050EE02
4C050FF05
4C050GG04
4C050HH01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
(57)【要約】
【課題】(S,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(3-(4-(2-ヒドロキシ-1-フェネチルアミノ)-6-フェニルフロ[2,3-D]ピリミジン-5-イル)フェニル)ブタ-2-エナミド遊離塩基の結晶形を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、(S,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(3-(4-(2-ヒドロキシ-1-フェネチルアミノ)-6-フェニルフロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)ブタ-2-エナミド(ABT-101)遊離塩基の特定結晶形、それを含む医薬組成物及びカプセル、並びに医学におけるその使用を開示する。これらABT-101遊離塩基の結晶形は、他の形態又はその塩と比較して予期せぬ安定性及び改善された薬物動態特性を示すことができるため、該化合物が医薬品開発により適し、バイオアベイラビリティと薬効の要件を満たすことが可能になる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(S,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(3-(4-(2-ヒドロキシ-1-フェネチルアミノ)-6-フェニルフロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)ブタ-2-エナミド(ABT-101)遊離塩基の結晶形であって、4.8°±0.2°、9.5°±0.2°、10.2°±0.2°、12.5°±0.2°、15.0°±0.2°、18.4°±0.2°及び20.8°±0.2°の2θの位置におけるピークの粉末X線回折パターンを含むことを特徴とする、結晶形。
【請求項2】
8.7°±0.2°の2θの位置におけるピークの粉末X線回折パターンをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の結晶形。
【請求項3】
19.4°±0.2°の2θの位置におけるピークの粉末X線回折パターンをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の結晶形。
【請求項4】
23.1°±0.2°の2θの位置におけるピークの粉末X線回折パターンをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の結晶形。
【請求項5】
170℃~195℃の融点温度を有する請求項1に記載の結晶形。
【請求項6】
75℃~85℃の融解エンタルピーを有する請求項1に記載の結晶形。
【請求項7】
請求項1に記載の結晶形と、薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項8】
EGFR阻害剤、HER2阻害剤或いは腫瘍横断的な阻害剤(tumor-agnostic inhibitor)である請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
カプセル形態を呈する請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
0.1mg~200mgの請求項1に記載の結晶形を含む請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
25mg~100mgの請求項1に記載の結晶形を含む請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
50mg~100mgの請求項1に記載の結晶形を含む請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記薬学的に許容される担体又は賦形剤は、充填剤を含む請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記薬学的に許容される担体又は賦形剤は、崩壊剤を含む請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記薬学的に許容される担体又は賦形剤は、滑沢剤を含む請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項16】
必要な患者に対し治療的有効量の請求項1~6のいずれか一項に記載の結晶形を投与することを含む癌の治療方法。
【請求項17】
請求項1~6のいずれか一項に記載の結晶形は、EGFR阻害剤、HER2阻害剤或いは腫瘍横断的な阻害剤である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記癌は、腹膜癌、小腸癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、神経内分泌癌、唾液腺、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管癌、食道癌、胃癌(stomach cancer)、早期胃癌(early gastric cancer)、結腸直腸癌、前立腺癌、卵巣癌、頭頸部癌、子宮内膜癌、腎臓癌、悪性黒色腫、肉腫癌、膵臓癌、小細胞肺癌(SCLC)、白血病、悪性脳腫瘍又は甲状腺癌である請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年7月6日に出願された米国仮出願番号第63218504号の優先権を主張し、その全内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、(S,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(3-(4-(2-ヒドロキシ-1-フェネチルアミノ)-6-フェニルフロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)ブタ-2-エナミド(ABT-101)遊離塩基の新規結晶形、これを含む医薬組成物とカプセル、及びこれら結晶形を使用した癌の治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
上皮生長因子受体(EGFR)は、4つの密接に関連した受容体チロシンキナーゼのサブファミリー:EGFR、HER2、HER3及びHER4である。EGF配位体をEGFRの胞外域に結合させることで細胞内タンパク質チロシンキナーゼ活性の活性化を引き起こす。これによりEGFRのC末端ドメインでいくつかのチロシン残基の自己リン酸化が発生する。(非特許文献1)。
【0004】
癌を患っている患者にとって、針對EFGR及びHER2を標的とした治療法は、現在の標準治療手段となっている。より具体的に言うと、例えばゲフィチニブ(Gefitinib)及びエルロチニブ(Erlotinib)のいくつかのEGFRキナーゼ阻害剤は、非小細胞肺癌(NSCLC)の治療に用いられている。しかしNSCLC患者の10~20%のみがゲフィチニブ治療に反応するが、これは主にEGFRキナーゼのT790M変異による薬剤耐性が原因である。なおHER2エクソン20の挿入にもNSCLC患者の1~3%見られる一般的な変異が存在する(非特許文献2)。現在これらの変異に特異的な治療法として承認されているEGFR又はHER2標的治療法はないが、抗がん剤としてEGFRキナーゼ阻害剤、特にEGFR変異体(例:T790M変異体)及びHER2エクソン20挿入の活性を阻害するEGFRキナーゼ阻害剤の開発は、大きな注目を集めている。
【0005】
したがってEGFR活性を阻害するために用いられることのできるABT-101を含むいくつかの縮合二環式或いは三環化合物が、特許文献1に開示され、その全内容は、引用により本明細書に組み込まれる。これにもかかわらず、これらの化合物の結晶形の間のあらゆる面での違いは、余り論述されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8,507,502号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Kamath,S.Buolamwini,J.K.,Med.Res.Rev.2006,26,569-594
【非特許文献2】J.Med.Chem.2019,62,10108-10123
【非特許文献3】Jenkins及びSnyder,Introduction to X-Ray Powder Diffractotmetry,John Wiley & Sons,1996
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、次の見出しである(S,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(3-(4-(2-ヒドロキシ-1-フェネチルアミノ)-6-フェニルフロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)ブタ-2-エナミド(ABT-101)遊離塩基のいくつかの結晶形に基づいて予期せぬ安定性及び改善された薬物動態特性を示している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これ故に、本発明は、4.8°±0.2°、9.5°±0.2°、10.2°±0.2°、12.5°±0.2°、15.0°±0.2°、18.4°±0.2°及び20.8°±0.2°の2θの位置におけるピークの粉末X線回折パターンを含むことを特徴とする(S,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(3-(4-(2-ヒドロキシ-1-フェネチルアミノ)-6-フェニルフロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)ブタ-2-エナミド(ABT-101)遊離塩基の結晶形を提供する。
【0010】
また、本発明により提供される結晶形は、8.7°±0.2°の2θの位置におけるピークの粉末X線回折パターンをさらに含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明により提供される結晶形は、19.4°±0.2°の2θの位置におけるピークの粉末X線回折パターンをさらに含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明により提供される結晶形は、23.1°±0.2°の2θの位置におけるピークの粉末X線回折パターンをさらに含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明により提供される結晶形は、170℃~195℃の融点温度を有する。
【0014】
また、本発明により提供される結晶形は、75℃~85℃の融解エンタルピーを有する。
【0015】
本発明は、上記結晶形と、薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0016】
別の態様において、本発明は、上記医薬組成物を含むカプセルを提供する。
【0017】
また、本発明により提供されるカプセルは、0.1mg~200mgの前記結晶形を含む。
【0018】
また、本発明により提供されるカプセルは、25mg~100mgの前記結晶形を含む。
【0019】
また、本発明により提供されるカプセルは、50mg~100mgの前記結晶形を含む。
【0020】
本発明は、必要な患者に対し治療的有効量の上記結晶形を投与することを含む癌の治療方法を提供する。
【0021】
また、本発明により提供される結晶形は、EGFR阻害剤、HER2阻害剤或いは腫瘍横断的な阻害剤(tumor-agnostic inhibitor)である。
【0022】
また、本発明の方法によれば、癌は、腹膜癌、小腸癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、神経内分泌癌、唾液腺、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管癌、食道癌、胃癌(stomach cancer)、早期胃癌(early gastric cancer)、結腸直腸癌、前立腺癌、卵巣癌、頭頸部癌、子宮内膜癌、腎臓癌、悪性黒色腫、肉腫癌、膵臓癌、小細胞肺癌(SCLC)、白血病、悪性脳腫瘍又は甲状腺癌である。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、ABT-101遊離塩基の特定の結晶形が、他の形態又はその塩と比較して予期せぬ安定性及び改善された薬物動態特性を示すことができるため、該化合物が医薬品開発により適し、バイオアベイラビリティと薬効の要件を満たすことが可能になる効果を有する。
【0024】
本発明の上記及び他の目的、特徴、利点及び実施形態をより明白かつ理解しやすくするため、次の図面を参照しつつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ABT-101遊離塩基の結晶形のDSC曲線を示す図である。
図2a】得られたABT-101遊離塩基の結晶形のDSCサーモグラムを示す図である。
図2b】得られたABT-101遊離塩基の結晶形のDSCサーモグラムを示す図である。
図3】ABT-101遊離塩基の結晶形(01BP-063-184)のXRPDパターンを示す図である。
図4】ABT-101遊離塩基の結晶形のXRPDパターンを示す図である。
図5】ABT-101の非晶質フリー体(00BP-081-154)及び結晶質フリー体(01BP-063-120)の比較結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(定義)
本明細書で使用される用語は、一般的に本発明の範囲内にあり、各用語の具体的状況が関連分野における通常の意味を有する。本明細書において本発明を説明するために用いられる具体的な用語は、当業者が本発明の関連する説明を理解するのを助けるため、以下或いは本明細書の他の場所で説明する。同じ用語は、同じ状況では同じ範囲及び意味を有する。また、同じことを表現する方法は複数ある。したがって本明細書で記載する用語は代替用語及び同義語に置き換える場合があり、かつ本明細書において用語が規定又は議論されるかどうかには特別な意味はない。本明細書ではいくつかの用語の同義語を提供しているが、1つ以上の同義語の使用は他の同義語を排除することを意味するものではない。
【0027】
本明細書で使用される際、用語「一」及び「該」は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り、複数形も同様に含むことが意図される。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲内では、文脈がそうではないと明確に指示しない限り、「中央」及び「内部」には「……に位置する」が含まれ、文脈がそうではないと明確に指示しない限り、弾丸の先端方向は「上」又は「下」と定義される。なお、本明細書には読みやすさのため見出しや小見出しが付けられている場合があるが、これらの見出しは本発明の範囲に影響を与えるものではない。
【0028】
本明細書で使用される際、用語「結晶性」は、規則的かつ周期的に配列された分子又は外面を有するものを指し得る。結晶形は、は、熱力学的安定性、物理的パラメータ、X 線構造及び調製過程において異なる場合がある。
【0029】
本明細書で使用される際、用語「非晶質」は、長距離秩序を欠き、X線回折パターンがブラッグ反射(Bragg reflection)を欠く化合物の形態の1種又は化合物の塩或いは分子複合体を指し得る。
【0030】
本明細書で使用される際、用語「固体形態」は、結晶性遊離塩基、結晶性塩、又は共結晶を含む結晶性固体形態又は相、及び非晶質分散体を含む非晶質相を指し得る。
【0031】
本明細書で使用される際、用語「治療」は、特に指示しない限り、は、該用語が適用される障害又は病症、或いは障害又は病症の1つ以上の症状を逆転させる、緩和する、抑制する、若しくは予防することを意味する。特に指示しない限り、用語「治療」は、「上記に定義した治療」である治療行為を指す。
【0032】
本明細書で使用される際、用語「有効量」又は「治療的有効量」は、疾患の治療を含むがこれに限定されない意図した用途を達成するのに十分な化合物或いは化合物の組み合わせの量を指す。治療有効量は、意図した用途(インビトロ又はインビボ)或いは治療される個体及び疾患状況(例えば個体の体重、年齢及び性別)、病気の重篤度、投与方法などに応じて変わり得、当業者によって容易に決定される。該用語は、標的細胞における特定の反応(血小板粘着及び/又は細胞遊走の減少など)を誘発する用量にも適用される。具体的な用量は、選択した特定の化合物、従うべきレジメン、該化合物を他の化合物と組み合わせて投与するかどうか、投与時間、投与される組織、及び化合物を運ぶ物理的送達システムに応じて変化する。
【0033】
一実施形態において、本発明は、(S,E)-4-(ジメチルアミノ)-N-(3-(4-(2-ヒドロキシ-1-フェネチルアミノ)-6-フェニルフロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)ブタ-2-エナミド(ABT-101で、式Iで表される)遊離塩基の結晶形を提供する。
【0034】
【化1】
【0035】
該結晶形は、4.8°±0.2°、9.5°±0.2°、10.2°±0.2°、12.5°±0.2°、15.0°±0.2°、18.4°±0.2°及び20.8°±0.2°の2θの位置におけるピークの粉末X線回折パターンを含むことを特徴とする。
【0036】
好ましくは、本発明により提供される結晶形は、8.7°±0.2°の2θの位置におけるピークの粉末X線回折パターンをさらに含むことを特徴とする。
【0037】
好ましくは、本発明により提供される結晶形は、19.4°±0.2°の位置におけるピークの粉末X線回折パターンをさらに含むことを特徴とする。
【0038】
好ましくは、本発明により提供される結晶形は、23.1°±0.2°の位置におけるピークの粉末X線回折パターンをさらに含むことを特徴とする。
【0039】
別の実施形態において、該結晶形は、4.8°±0.2°、8.7°±0.2°、9.5°±0.2°、10.2°±0.2°、12.5°±0.2°、15.0°±0.2°、18.4°±0.2°、19.4°±0.2°、20.8°±0.2°及び23.1°±0.2°からなる群から選択されるピークの粉末X線回折パターンを含み、ピーク位置は2で測定されることを特徴とする。
【0040】
測定条件(例えば使用される設備、サンプル調製又は機器)に応じて、一又は複数の測定誤差を伴う粉末X線回折(XPRD)パターンを得ることは、当該技術分野において知られている。具体的に粉末X線回折パターンの強度は、測定条件及びサンプル調製に応じて変化する可能性があることは公知されている。例えば粉末X線回折の当業者は、ピークの相対強度が試験サンプルの向きに応じて、また使用される機器タイプ及び設定に基づいて変化し得ることを認識するであろう。当業者は、また反射の位置が回折装置内にあるサンプルの正確な高さ、サンプル表面の平面度、及び回折装置のゼロ校正によって影響を受ける場合があることを認識するであろう。したがって、当業者は、本明細書で示される回折パターンデータが絶対的なものとして解釈されるべきではなく、本明細書に開示される粉末回折パターンと実質的に同一の粉末回折パターンを提供する任意の結晶形が本発明の範囲内に収まることを理解するであろう。追加情報については、非特許文献3を参照にする。
【0041】
一実施形態において、本発明により提供される結晶形は、170℃~195℃の融点温度を有する。より具体的に該融点温度は、例えば170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194又は195℃である。一実施形態において、本発明により提供される結晶形は、75℃~85℃の融解エンタルピーを有する。より具体的に該融解エンタルピーは、例えば75、76、77、78、79、80、81、82、83、84又は85℃である。前述の各実施形態において、本発明の結晶形を特徴付ける融点温度及び融解エンタルピーは、変調示差走査熱量測定手法或いは温度変調示差走査熱量測定手法を含む示差走査熱量測定手法(DSC)によって分析される。
【0042】
一実施形態において、本発明は、上記結晶形と、薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。より具体的に該医薬組成物は、EGFR阻害剤、HER2阻害剤或いは腫瘍横断的な阻害剤である。必要に応じて、医薬組成物は、その薬学的に許容される塩及び一又は複数の薬学的に許容される賦形剤、担体(不活性固体希釈剤及び充填剤、希釈剤、浸透促進剤、可溶化剤又はアジュバントを含む)を含有する。いくつかの実施形態において、医薬組成物の総質量又は体積に対して、本発明の医薬組成物中に提供されるABT-101遊離塩基の結晶形の濃度は、独立して、例えば100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%或いは0.001%,w/w、w/v或いはv/vよりも低い。いくつかの実施形態において、医薬組成物の総質量又は体積に対して、本発明の医薬組成物中に提供されるABT-101遊離塩基の結晶形の濃度は、独立して、例えば100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%又は0.001%、w/w、w/v或いはv/vよりも高い。
【0043】
本明細書に開示される医薬組成物に使用するための適切な充填剤としては、特に限定されず、例えば、乳糖・一水和物、タルク、炭酸カルシウム(例えば顆粒又は粉末)、微結晶セルロース、粉末セルロース、グルカン、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファー化デンプン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0044】
本明細書に開示される医薬組成物に使用される滑沢剤としては、特に限定されず、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、軽鉱物油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素添加植物油(例えばピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天又はこれらの混合物が挙げられる。さらなる滑沢剤としては、例えばシリカゲル、合成シリカの凝集エアロゾル、ケイ化微結晶セルロース又はこれらの混合物が挙げられる。
【0045】
本明細書に開示される医薬組成物に使用できる崩壊剤としては、特に限定されず、例えばクロスカルメロースナトリウム、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム(polacrilin potassium)、カルボキシメチルスターチナトリウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、他のデンプン、アルファー化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゲル剤或いはこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
別の態様において、本発明は、該医薬組成物を含むカプセルを提供する。なお、本発明により提供されるカプセルは、0.1mg~200mgのABT-101遊離塩基の結晶形を含み、より具体的に該結晶形の量は、例えば0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は200mgである。好ましくは、本発明により提供されるカプセルは、25mg~100mgのABT-101遊離塩基の結晶形を含み、より具体的に該結晶形の量は、例えば25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100mgである。より好ましくは、本発明により提供されるカカプセルは、50mg~100mgのABT-101遊離塩基の結晶形を含み、より具体的に該結晶形の量は、例えば50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100mgである。
【0047】
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、カプセル、小袋又は錠剤、或いは液体若しくはエアロゾルスプレーなどの別個の剤形で提供でき、各々は、粉末又は顆粒、溶液又は水或いは非水性液体中の懸濁液、水中油滴型エマルジョン或いは油中水滴型エマルジョンなどの所定量の活性成分を含有する。本発明の医薬組成物には、再構成用の粉末、経口摂取用の粉末、ボトル(ボトル内の粉末又は液体など)、経口溶解フィルム、トローチ、ペースト剤、チューブ、ゲル剤及び包装も含まれる。これら剤形は、任意の調剤方法で調製され得るが、全ての方法は、(複数種)活性成分を、1種又は複数種の必要な成分を構成する担体と結合させるステップを含む。一般的に、(複数種)活性成分を液体担体又は細分化固形担体或いはその両方と均一かつ十分に混合し、次に必要に応じて産物を所望の外観に成形させることにより組成物が調製される。
【0048】
本発明は、必要な患者に対し治療的有効量のABT-101遊離塩基の結晶形を投与することを含む癌の治療方法を提供する。
【0049】
いくつかの実施形態において、投与されるABT-101遊離塩基の結晶形は、EGFR阻害剤、HER2阻害剤又は腫瘍横断的な阻害剤である。
【0050】
選択された実施形態において、ABT-101遊離塩基の結晶形は、単回投与される。単回投与のABT-101遊離塩基の結晶形は、急性症状の治療にも使用できます。選択された実施形態において、ABT-101遊離塩基の結晶形は反復投与される。投薬は、1日当たり約1回、2回、3回、4回、5回、6回、又は6回を超えてもよい。投薬は、約月に1回、隔週に1回、週に1回、又は隔日に1回であってもよい。他の実施形態において、ABT-101遊離塩基の結晶形は、1日あたり約1回から1日あたり約6回投与される。別の実施形態において、ABT-101遊離塩基の結晶形は、約7日未満連続投与される。さらに別の実施形態において、投与は、約6、10、14、28日、2ヶ月、6ヶ月又は1年を超えて継続される。場合によっては、必要な限り連続投薬を実現し、維持することができる。
【0051】
必要な限り、本発明の活性医薬組成物の投与は、継続可能である。選択された実施形態において、ABT-101遊離塩基の結晶形じゃ、1、2、3、4、5、6、7、14又は28日を超えて投与される。いくつかの実施形態態において、ABT-101遊離塩基の結晶形は、28、14、7、6、5、4、3、2又は1日未満投与される。選択された実施形態において、ABT-101遊離塩基の結晶形は、長期効果治療を得るため、長い間継続的に投与されている。いくつかの実施形態態において、ABT-101遊離塩基の結晶形の有効量は、約1mg~約500mg、約10mg~約300mg、約20mg~約250mg、約25mg~約200mg、約10mg~約200mg、約20mg~約150mg、約30mg~約120mg、約10mg~約90mg、約20mg~約80mg、約30mg~約70mg、約40mg~約60mg、約45mg~約55mg、約48mg~約52mg、約50mg~約150mg、約60mg~約140mg、約70mg~約130mg、約80mg~約120mg、約90mg~約110mg、約95mg~約105mg、約150mg~約250mg、約160mg~約240mg、約170mg~約230mg、約180mg~約220mg、約190mg~約210mg、約195mg~約205mg或いは約198~約202mgの範囲にある。いくつかの実施形態態において、ABT-101遊離塩基の結晶形の有効量は、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg或いは約500mgである。いくつかの実施形態態において、ABT-101遊離塩基の結晶形の有効量は、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg或いは500mgである。
【0052】
また、本発明の方法によれば、癌は、腹膜癌、小腸癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、神経内分泌癌、唾液腺、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管癌、食道癌、胃癌(stomach cancer)、早期胃癌(early gastric cancer)、結腸直腸癌、前立腺癌、卵巣癌、頭頸部癌、子宮内膜癌、腎臓癌、悪性黒色腫、肉腫癌、膵臓癌、小細胞肺癌(SCLC)、白血病、悪性脳腫瘍又は甲状腺癌である。
【0053】
本発明を特定する数値範囲及びパラメータは、概数値であるが、ここで具体的実施形態内の関連数値をできる限り正確に提示されている。ただし、任意の数値は、本質的に個々のテスト方法による標準偏差が必然的に含まれている。本明細書で使用される場合、「約」は通常、実際値が特定数値又は1つの範囲の±10%、5%、1%或いは0.5%以内を意味する。若しくは、「約」という用語は、実際値が平均の許容可能な標準誤差内にあり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者の考えによって定めることを示す。したがって、特に断りのない限り、本明細書及び添付される特許請求の範囲に開示されている数値やパラメータは、均しく概数値である、必要に応じて変更することができる。少なくとも、これらの数値やパラメータは、示された有効桁数及び通常の丸めを適用して得られた数値を意味すると解釈する必要がある。
【実施例
【0054】
この部分において、以下の実施例を通じて本発明の内容を詳細に説明する。これら実施例は、説明にのみ使用され、当業者は様々な修正及び改変を容易に想到することができる。したがって、以下、本発明の各実施例を詳細に説明し、同時に本発明は、本明細書に記載される各実施例に限定されることはない。
【0055】
(方法及び材料)
粉末X線回折パターン(XPRD):以下の測定パラメータにより以下に示すXPRDデータを収集
機器:X線回折装置D2Phaser,Bruker、
陽極:Cu、
発電機の電圧:30kV、
発電機の電流:10mA、
スキャンタイプ:カップリング2θ/θ、
発散スリット:0.2mm、
防掃描屏:0.5mm、
開始角度:3.5度、
終了角度:40度、
ステップサイズ:0.03度/ステップ、
時間:1.0秒/ステップ。
【0056】
示差走査熱量測定手法(DSC):TA Q20、熱分析装置で本発明におけるDSCを測定する。3.0~15.0mgのサンプル重量を気密のアルミプレートに入れ、サンプルを100℃まで平衡化させ、その後200℃に昇温し、スキャン速度は5℃/分でし、乾燥窒素でパージした。
【0057】
(実例1:ABT-101遊離塩基の結晶形の調製)
次の工程を介してABT-101化合物を得る:MeOH(10mL)におけるS-2-[5-(3-ニトロ-フェニル)-6-フェニルフロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ]-2-フェニル-エタノール(1g,0.002mmol)と5%Pd/C(10mg)の混合物を3気圧下で8時間水素化する。珪藻土で反応混合物をろ過した後、真空下で溶媒を除去してS-2-[5-(3-アミノ-フェニル)-6-フェニルフロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ]-2-フェニル-エタノールを得た。DCM(5mL)における上記化合物の混合物に4-ブロモクロトン酸(422mg,2.55mmol)、EDCI(490mg,2.55mmol)を添加し、反応混合物を8時間撹拌した。そのた後、N,N-ジメチルアミン(1.18ml,23.2mmol)を添加し、室温下で8時間撹拌し続けた。反応混合物に水を加え、ジクロロメタン(3×20mL)で抽出した。合わせた有機物をMgSO4で乾燥し、真空下で濃縮し、シリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィーを介してジクロロメタン:メタノール(20:1)で残渣を精製して、ABT-101化合物を得た。53~58℃の下で熱アセトンを使用して再結晶して次の精製を実施した。混合物を0~5℃に冷却してABT-101結晶を生成した後、溶媒を遠心分離し、次にABT-101結晶をアセトンで洗浄してABT-101を生成した。
【0058】
なお、異なる溶媒で得られたABT-101化合物を結晶化させた。表1には対応するサンプル及びその説明を示している。また、ABT-101遊離塩基の結晶のDSC曲線を図1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
(実例2)
ABT-101遊離塩基の結晶形の物理的特徴付け
現在、ABT-101遊離塩基の結晶形が得られ、物理的特徴付けを得るため、試験を実施した。まず、異なる溶媒で調製されたABT-101遊離塩基の結晶形のサンプルのDSCサーモグラムを図2a及び図2bに示す。次に、ABT-101遊離塩基の結晶形のいずれか(01BP-063-184)のXRPDパターンを図3に示し、対応する表データを表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
また、図4において、異なる溶媒で調製されたABT-101遊離塩基の結晶形のXRPDパターンを比較した。
【0063】
(実例3:ABT-101の異なる固体結晶形の比較)
この部分において、表3示すように、ABT-101の異なる固体結晶形を比較する。
【0064】
【表3】
【0065】
表3において、「FaSSIF」は、「絶食時模擬腸液」を、「FeSSIF」は「摂食時模擬腸液」を、「SGF」は「模擬胃液」を表す。
【0066】
表3によれば、ABT-101の遊離塩基形態は、エタノール酸鹽形態、コハク酸塩形態及び塩酸塩形態と比較して「溶融前の重量損失」、「吸湿性」、「DVS後の結晶形の変化」、「溶解度」及び「安定性」が優れていると推測できる。
【0067】
なお、ABT-101の非晶質フリー体(ABT-101S0)と結晶質フリー体(ABT-101S0*)との間の比較結果を図5に示す。
【0068】
(実例4:薬物動態の研究)
この部分において、ABT-101の結晶形(ABT-101S0*)及び非晶質形(ABT-101S0)の薬物動態試験及び比較の結果を表4に示す。
【0069】
【表4】
【0070】
表4によれば、非晶質形(ABT-101 S0)と比較して、ABT-101の結晶形(ABT-101 S0*)のCmax、AUC及びF(%)は、約1.9~3倍増加した。
【0071】
(実例5:安定性の研究)
この部分において、医薬品有効成分(API)としてのABT-101遊離塩基の結晶形の安定性を様々な側面に従って試験した。
【0072】
まず、試験したABT-101遊離塩基の結晶形の長期安定性を表5に示す。
【0073】
【表5】
【0074】
次に、現在製造された医薬組成物は、より具体的に異なる含有量(それぞれ25mg及び100mg)のAPI(ABT-101遊離塩基)としてのABT-101遊離塩基の結晶形のカプセルを含み、その組成を表6に示す。
【0075】
【表6】
【0076】
なお、表7に示す手順に従い上記のABT-101カプセルを試験した。ここで、「S」は、安定性試験を、「M」は微生物限界試験(MLT)を、「(-)」は状況に応じて選択し、必要がある場合のみサンプルを採取して試験することを表す。
【0077】
【表7】
【0078】
したがって、上記の25mgカプセル及び100mgカプセルの長期保存条件(25℃/60%RH)における安定性データをそれぞれ表8及び表9に示し、その比較結果を表10に示す。
【0079】
【表8】
【0080】
【表9】
【0081】
【表10】
【0082】
要するに、ABT-101遊離塩基の結晶形は、他の形態又はその塩と比較して予期せぬ安定性及び改善された薬物動態特性を示すことができるため、該化合物が医薬品開発により適し、バイオアベイラビリティと薬効の要件を満たすことが可能になる。本発明の具体的実施形態を開示したが、本発明を限定することを意図したものではなく、当業者であれば理解できるであろう。かつ本発明の原理及び精神から逸脱することなく、多種多様な改変及び修正を加えることができるため、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲で特定される本発明の保護範囲に基づくものとする。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
【国際調査報告】