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特表2024-515004バイオミメティック神経グラフト及びその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-04
(54)【発明の名称】バイオミメティック神経グラフト及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/20 20060101AFI20240328BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240328BHJP
   A61L 27/36 20060101ALI20240328BHJP
   A61L 27/38 20060101ALI20240328BHJP
   C12N 5/0775 20100101ALN20240328BHJP
【FI】
A61L27/20
C12M1/00 A
A61L27/36 130
A61L27/38 100
C12N5/0775
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551258
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 CN2022131041
(87)【国際公開番号】W WO2023179045
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】202211269678.0
(32)【優先日】2022-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511128206
【氏名又は名称】南通大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】顧 暁松
(72)【発明者】
【氏名】代 秀
(72)【発明者】
【氏名】顧 興中
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼ 蕾蕾
(72)【発明者】
【氏名】李 枚原
(72)【発明者】
【氏名】孫 華林
(72)【発明者】
【氏名】銭 天梅
(72)【発明者】
【氏名】王 鴻奎
(72)【発明者】
【氏名】徐 来
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
4C081
【Fターム(参考)】
4B029AA21
4B029BB11
4B029CC02
4B029CC10
4B029CC11
4B065AA93X
4B065AC14
4B065BB20
4B065BC12
4B065BD09
4B065BD44
4B065BD45
4B065CA22
4B065CA24
4B065CA44
4C081AB18
4C081BA12
4C081CD091
4C081DB03
4C081EA02
4C081EA06
(57)【要約】
【課題】本発明はバイオミメティック神経グラフト及びその調製方法を得ることにある。
【解決手段】バイオミメティック神経グラフトは、螺旋状スキャフォールド、ナノファイバー膜、ガイドファイバー及びhBMSC-ECMを含み、ナノファイバー膜は螺旋状スキャフォールドの表面を被覆し、ガイドファイバーとhBMSC-ECMは螺旋状スキャフォールド管腔内に設け、螺旋状スキャフォールド、ナノファイバー膜及びガイドファイバーの原料はいずれもキトサンである。調製方法は、キャストモールド法で螺旋状スキャフォールドを作製し、エレクトロスピニング法で螺旋状スキャフォールドの表面をナノファイバー膜で被覆し、テンプレート法でガイドファイバーを作製し、表面をナノファイバー膜で被覆した螺旋管の内部にガイドファイバーとhBMSC-ECMを充填することを含む。本発明が提供する方法は簡単で、コストが低く、十分な力学的バックアップ、良好な順応性及び誘導性を保証し且つ神経再生における栄養物質輸送に十分な空間を提供し、神経再生に微小環境要素を提供し、生体親和性が良く、免疫原性が低いバイオミメティック神経グラフトが得られる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状スキャフォールドと、ナノファイバー膜と、ガイドファイバーと、hBMSC-ECMと、を含み、前記ナノファイバー膜は前記螺旋状スキャフォールドの表面を被覆し、前記ガイドファイバーと前記hBMSC-ECMは前記螺旋状スキャフォールドの管腔内に設けられ、前記螺旋状スキャフォールド、前記ナノファイバー膜、及び前記ガイドファイバーの原料はいずれもキトサンであることを特徴とする、バイオミメティック神経グラフト。
【請求項2】
前記螺旋状スキャフォールドは、内径1~6mm、長さ1~6cm、ピッチ0.5~5mmであることを特徴とする、請求項1に記載のバイオミメティック神経グラフト。
【請求項3】
前記ガイドファイバーは、長さ1~3cm、数量3~28本であることを特徴とする、請求項1に記載のバイオミメティック神経グラフト。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のバイオミメティック神経グラフトの調製方法であって、
キトサンを原料とし、キャストモールド方式を用いて螺旋状スキャフォールドを作製する工程と、
キトサンを原料とし、エレクトロスピニング法を用いて前記螺旋状スキャフォールドの表面を一層のナノファイバー膜で被覆し、表面がナノファイバー膜で被覆された螺旋管を得る工程と、
キトサンを原料とし、テンプレート法を用いてガイドファイバーを作製する工程と、
前記表面がナノファイバー膜で被覆された螺旋管の内部に前記ガイドファイバーとhBMSC-ECMを充填して、バイオミメティック神経グラフトを得る工程と、を含むことを特徴とするバイオミメティック神経グラフトの調製方法。
【請求項5】
前記螺旋状スキャフォールドの作製工程は、
濃度4wt%~7wt%のキトサン溶液を調製することと、
ねじ山を備えたコアモールドに前記キトサン溶液を注入することと、
前記キトサン溶液を帯びたコアモールドを5~20%のNaOH溶液中に入れて硬化定型した後、水で洗浄し、乾燥、脱型を行い、螺旋状スキャフォールドの半製品を得ることと、
前記螺旋状スキャフォールドの半製品を5wt%メタノールを含有する無水酢酸溶液中に浸漬して6時間アセチル化した後、5~20%のNaOH溶液を用いて室温下で12時間固定し、洗浄して乾かし、前記螺旋状スキャフォールドを得ることと、を含むことを特徴とする請求項4に記載のバイオミメティック神経グラフトの調製方法。
【請求項6】
前記表面がナノファイバー膜で被覆された螺旋管の作製工程は、
総濃度3wt%~5wt%のキトサンとポリエチレンオキシドのブレンド溶液を調製し、キトサンとポリエチレンオキシドの質量比は100:5~20とすることと、
前記キトサンとポリエチレンオキシドのブレンド溶液をエレクトロスピニング装置に入れ、前記螺旋状スキャフォールドを管状のコレクターに置いて、エレクトロスピニングを行い、前記螺旋状スキャフォールドの表面に一層の前記ナノファイバー膜を被覆することと、
前記ナノファイバー膜で被覆された前記螺旋状スキャフォールドを5~20%のNaOH溶液中に入れて硬化定型した後、水で洗浄してポリエチレンオキシドを除去し、前記表面がナノファイバー膜で被覆された螺旋管を得ることと、を含むことを特徴とする請求項4に記載のバイオミメティック神経グラフトの調製方法。
【請求項7】
前記エレクトロスピニングの設定パラメータは、電圧5~35kV、流速0.1~2mL/時、コレクター距離5~35cm、コレクター回転速度5~150rmpであることを含むことを特徴とする請求項6に記載のバイオミメティック神経グラフトの調製方法。
【請求項8】
前記ガイドファイバーの作製工程は、
濃度4wt%~7wt%のキトサン溶液を調製することと、
溝を備えたモールド中に前記キトサン溶液を注入することと、
前記キトサン溶液を帯びたモールドを5~20%のNaOH溶液中に入れて硬化定型した後、水で洗浄し、乾燥、脱型を行い、前記ガイドファイバーを得ることと、を含むことを特徴とする請求項4に記載のバイオミメティック神経グラフトの調製方法。
【請求項9】
前記モールドの溝は、連通する内溝と外溝を含み、連通する内溝と外溝の横断面形状は「品」の字を逆さにした形状であり、前記外溝の幅は100~500μmであり、前記外溝の高さは20~50μmであり、前記内溝の幅は外溝の高さと同じであり、前記内溝の高さは25~240μmであり、前記外溝の幅は前記内溝の高さの2倍と内溝の幅の和であり、前記内溝と前記外溝の長さは同じであり、いずれも1~3cmであることを特徴とする請求項8に記載のバイオミメティック神経グラフトの調製方法。
【請求項10】
前記hBMSC-ECMの作製工程は、
DPBS溶液で100倍に希釈したMSC定着試薬をペトリ皿に被覆することと、
蘇生後のhBMSCを被覆後の前記ペトリ皿に接種し、完全培地を加えて、37℃、5%のCO培養器内で培養し、2日に1回培地交換することと、
細胞飽和密度が80%に達した時点で、アスコルビン酸を含有する完全培地に交換し、2日に1回遮光して液交換し、10日後に培養液を除去し、DPBSで3回以上洗浄した後、超純水で37℃において10分間低張処理してから超純水を除去し、細胞分解液を加えて5分間反応させ、DPBSで洗浄し、洗浄後にデオキシリボヌクレアーゼで37℃において2時間反応させ、最後にDPBSで洗浄し、4℃下で保存することと、を含むことを特徴とする請求項4に記載のバイオミメティック神経グラフトの調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体材料技術分野に関し、具体的にはバイオミメティック神経グラフト及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
末梢神経欠損は臨床においてよく見られる病気であり、予後が悪く、致死率も高く、患者の生活の質に重大な影響を及ぼす。現在は自家移植が依然として末梢神経欠損修復の「至適基準」とされてはいるものの、ドナー神経の供給源が有限であること、ドナー部位の神経の機能欠失、ドナー神経とレシピエント神経のサイズ不一致、神経束の機能のミスペアリングといった問題により、自家神経移植の臨床における使用は制限されている。
【0003】
組織工学足場材料は、構造のサイズ調整が可能で、材料供給源が豊富であり、加工性が良好であるなどの優位点があり、損傷神経の回復に新たな治療法を提供している。エレクトロスピニング技術やマイクロエッチング技術、3Dプリント技術、相分離技術といったマイクロ・ナノ製造技術の進歩は、ポーラス構造、秩序構造、マルチチャンネル構造、多層構造又は多分岐構造を有するバイオミメティック組織工学神経グラフトの構築を可能にさせた。また、過去20年にわたる神経グラフトの構築プロセスにおける大量の研究作業からは、指向性ミクロ構造を有する神経組織工学スキャフォールドが神経細胞の指向性配列及び成長を誘導し得ることが示されている(非特許文献1)。近年、研究者たちはバイオミメティック組織工学神経グラフトの構築面で幾らかの進展を得ているものの、微小環境の再構築においては未だ幾つかの課題が存在する。バイオミメティック神経グラフトの微小環境における安定性と機能再構築との間の完璧なバランスを実現可能とする標準的な再構築方法はまだ存在していない。
【0004】
天然生体材料には生体親和性が良く、吸収しやすく、細胞接着・増殖を促進できるといったメリットがあり、神経再生のためのグラフトの調製に広く使用されているが、天然生体材料自体は機械的性能が好ましくなく、断裂や陥没を招きやすく、神経再生における微小環境の安定性に大きな影響を及ぼす。良好な機械的性能は微小環境の安定性維持において必須条件であり、神経再生における微小環境の再構築に十分な力学的バックアップを提供可能にするため、架橋剤又は力学的性能に優れた合成高分子を添加する方法を用いて神経グラフトの力学的性能を向上させることもできる。しかし、架橋剤、特に化学架橋剤は毒性が強いうえに除去が難しく、ポリカプロラクトン(PCL)やポリ乳酸(PLA)などの合成高分子の生体親和性は天然材料に遠く及ばず、いずれもバイオミメティクスによる微小環境の再構築や神経機能の回復には不向きである。力学的性能に優れ、且つ生体親和性に優れた神経グラフトを如何に調製するかは、バイオミメティック神経グラフトの構築プロセスにおいて解決すべき課題となっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Rao Feng. Aligned chitosan nanofiber hydrogel grafted with peptides mimicking bioactive brain-derived neurotrophic factor and vascular endothelial growth factor repair long-distance sciatic nerve defects in rats.Theranostics,2020, 10(4):1590-1603
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術中の欠点を克服した、バイオミメティック神経グラフト及びその調製方法を提供することを目的としており、その方法は簡単で、コストが低く、十分な力学的バックアップを保証し且つ神経再生における栄養物質輸送に十分な空間を提供し、生体親和性が良く、免疫原性が低いバイオミメティック神経グラフトが得られる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が提供する技術案は以下の通りである。
【0008】
第1の態様として、バイオミメティック神経グラフトを提供するが、それは螺旋状スキャフォールドと、ナノファイバー膜と、ガイドファイバーと、ヒト由来の骨髄間質細胞外マトリックス(hBMSC-ECM)と、を含み、ナノファイバー膜は螺旋状スキャフォールドの表面を被覆し、ガイドファイバーとhBMSC-ECMは螺旋状スキャフォールド管腔内に設けられ、螺旋状スキャフォールド、ナノファイバー膜、及びガイドファイバーの原料はいずれもキトサンである。
【0009】
さらに、螺旋状スキャフォールドは、内径1~6mm、長さ1~6cm、ピッチ0.5~5mmである。
【0010】
さらに、ガイドファイバーは、長さ1~3cm、数量3~28本である。
【0011】
第2の態様として、第1の態様に記載のバイオミメティック神経グラフトの調製方法を提供するが、それは、
キトサンを原料とし、キャストモールド方式を用いて螺旋状スキャフォールドを作製する工程と、
キトサンを原料とし、エレクトロスピニング法を用いて螺旋状スキャフォールドの表面を一層のナノファイバー膜で被覆し、表面がナノファイバー膜で被覆された螺旋管を得る工程と、
キトサンを原料とし、テンプレート法を用いてガイドファイバーを作製する工程と、
表面がナノファイバー膜で被覆された螺旋管の内部にガイドファイバーとhBMSC-ECMを充填して、バイオミメティック神経グラフトを得る工程と、を含む。
【0012】
さらに、螺旋状スキャフォールドの作製工程は、
濃度4wt%~7wt%のキトサン溶液を調製することと、
ねじ山を備えたコアモールドにキトサン溶液を注入することと、
キトサン溶液を帯びたコアモールドを5~20%のNaOH溶液中に入れて硬化定型した後、水で洗浄し、乾燥、脱型を行い、螺旋状スキャフォールドの半製品を得ることと、
螺旋状スキャフォールドの半製品を5wt%メタノールを含有する無水酢酸溶液中に浸漬して6時間アセチル化した後、5~20%のNaOH溶液を用いて室温下で12時間固定し、洗浄して乾かし、螺旋状スキャフォールドを得ることと、を含む。
【0013】
さらに、表面がナノファイバー膜で被覆された螺旋管の作製工程は、
総濃度3wt%~5wt%のキトサンとポリエチレンオキシドのブレンド溶液を調製し、キトサンとポリエチレンオキシドの質量比は100:5~20とすることと、
キトサンとポリエチレンオキシドのブレンド溶液をエレクトロスピニング装置に入れ、螺旋状スキャフォールドを管状のコレクターに置いて、エレクトロスピニングを行い、螺旋状スキャフォールドの表面に一層のナノファイバー膜を被覆することと、
ナノファイバー膜で被覆された螺旋状スキャフォールドを5~20%のNaOH溶液中に入れて硬化定型した後、水で洗浄してポリエチレンオキシドを除去し、表面がナノファイバー膜で被覆された螺旋管を得ることと、を含む。
【0014】
さらに、エレクトロスピニングの設定パラメータは、電圧5~35kV、流速0.1~2mL/時、コレクター距離5~35cm、コレクター回転速度5~150rmpであることを含む。
【0015】
さらに、ガイドファイバーの作製工程は、
濃度4wt%~7wt%のキトサン溶液を調製することと、
溝を備えたモールド中にキトサン溶液を注入することと、
キトサン溶液を帯びたモールドを5~20%のNaOH溶液中に入れて硬化定型した後、水で洗浄し、乾燥、脱型を行い、ガイドファイバーを得ることと、を含む。
【0016】
さらに、モールドの溝は、連通する内溝と外溝を含み、連通する内溝と外溝の横断面形状は「品」の字を逆さにした形状であり、外溝の幅は100~500μmであり、外溝の高さは20~50μmであり、内溝の幅は外溝の高さと同じであり、内溝の高さは25~240μmであり、外溝の幅は内溝の高さの2倍と内溝の幅の和であり、内溝と外溝の長さは同じであり、いずれも1~3cmである。
【0017】
さらに、hBMSC-ECMの作製工程は、
DPBS溶液で100倍に希釈した間葉系幹細胞(MSC)定着試薬をペトリ皿に被覆することと、
蘇生後のヒト由来の骨髄間質細胞(hBMSC)を被覆後のペトリ皿に接種し、完全培地を加えて、37℃、5%のCO2培養器内で培養し、2日に1回培地交換することと、
細胞飽和密度が80%に達した時点で、アスコルビン酸(50μg/mL)を含有する完全培地に交換し、2日に1回遮光して液交換し、10日後に培養液を除去し、DPBSで3回以上洗浄した後、超純水で37℃において10分間低張処理してから超純水を除去し、細胞分解液を加えて5分間反応させ、DPBSで洗浄し、洗浄後にデオキシリボヌクレアーゼ(0.1mg/mL)で37℃において2時間反応させ、最後にDPBSで洗浄し、4℃下で保存することと、を含む。
【発明の効果】
【0018】
従来技術と比べて、本発明は次の有益な効果を有する。
【0019】
(1)本発明が提供するバイオミメティック神経グラフトは、螺旋状スキャフォールド、ナノファイバー膜、ガイドファイバー、及びhBMSC-ECMを含み、ナノファイバー膜が螺旋状スキャフォールドの表面を被覆し、バイオミメティック神経グラフトが十分な力学的バックアップと良好な順応性を有すること、また神経再生における栄養物質輸送に十分な空間を提供することを保証している。ガイドファイバーとhBMSC-ECMが螺旋状スキャフォールド管腔内に設けられ、良好な誘導の役割を果たすため、神経細胞の指向性配列及び成長に有利であり、且つ神経再生における微小環境要素が提供され、損傷した神経の再生に有利である。
【0020】
(2)本発明が提供するバイオミメティック神経グラフトは、それを構成する螺旋状スキャフォールド、ナノファイバー膜、及びガイドファイバーの原料がいずれもキトサンである。キトサンは生分解性の天然材料であり、生体親和性が良く、免疫原性が低いなどの利点があり、バイオミメティック神経グラフトが神経修復過程で自然に生分解されていき、分解生成物は人体に完全に吸収され、免疫組織の反応が回避される。
【0021】
(3)本発明が提供するバイオミメティック神経グラフトの調製方法は、キャストモールド方式を用いて螺旋状スキャフォールドを作製し、エレクトロスピニング法を用いて螺旋状スキャフォールドの表面を一層のナノファイバー膜で被覆するという、キャストモールドとエレクトロスピニング技術を組み合わせたものであり、バイオミメティック神経グラフトに力学的バックアップと神経再生における栄養物質輸送を同時に実現させ、さらにバイオミメティック神経グラフトの総質量を軽減することができ、免疫拒絶反応が大きく減少する。
【0022】
(4)本発明が提供するバイオミメティック神経グラフトの調製方法は、キャストモールド、テンプレート法、エレクトロスピニングといった関係する技術がいずれも簡単で実行しやすく、コストが低く、生産工程が安全で制御可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施例1中のナノファイバー膜の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
図2】実施例1中の表面がナノファイバー膜に被覆された螺旋管のSEM画像である。
図3】実施例中のガイドファイバーを作製するモールド溝の断面図の概念図である。
図4】実施例2中のガイドファイバーのSEM画像である。
図5】実施例2中の脱細胞化前後におけるhBMSCs-ECMのDNA含有量である。
図6】実施例2中のアセチル化後に6週間生体内分解された螺旋状スキャフォールドのHE染色画像である。
図7】実施例2中の神経グラフトによりラットの坐骨神経の10mmの隙間を修復してから8週間後に取得した再生神経遠位端横断片の免疫蛍光画像と再生神経遠位端軸索密度(TEN:バイオミメティック神経群、AUTO:自家神経群、SHAM:偽手術群、以下同様)である。
図8】実施例2中の手術から12週間後に取得した3群の動物再生神経横断面の透過型電子顕微鏡画像(縮尺:左50μm、右0.2μm)と3群における髄鞘の層数及び髄鞘の厚さのヒストグラムである。
図9】実施例2中の手術から12週間後に取得した複合筋活動電位図、伝導速度、近位部振幅及び遠位部振幅図である。
図10】実施例2中の手術から12週間後のCatWalk歩行解析図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を図に基づいてさらに説明する。以下の実施例は本発明の技術案をより明確に説明するためのものに過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。
【0025】
(実施例1)
(1)キトサンを2%の酢酸溶液中に溶かし、30分攪拌して完全に溶解させて、濃度4wt%のキトサン溶液を得た。ねじ山を備えたコアモールドにキトサン溶液を注入し、コアモールドは長さ1cm、直径2mm、ねじ山ピッチ1mm、線幅0.5mmとした。キトサン溶液を帯びたコアモールドを5%のNaOH溶液中に入れて硬化成形し、成形後に水で洗浄し、乾燥、脱型を行い、螺旋状スキャフォールドの半製品を得た。螺旋状スキャフォールドの半製品を5wt%メタノールを含有する無水酢酸溶液中に浸漬して6時間アセチル化した後、5%のNaOH溶液を用いて室温下で12時間固定し、洗浄して乾かし、螺旋状スキャフォールドを得た。
【0026】
(2)適量のポリエチレンオキシドを50%の酢酸溶液中に溶かし、キトサン粉末を加えてエレクトロスピニング液を作製し、最終的にキトサンとポリエチレンオキシドの総濃度を3wt%とし、キトサンとポリエチレンオキシドの質量比は100:20とした。螺旋状スキャフォールドを回転可能な管状コレクターに置き、エレクトロスピニング液をエレクトロスピニング装置の注射器の中に入れ、電圧5kV、流速0.1mL/時、コレクター距離5cm、コレクター回転速度5rmpに設定し、エレクトロスピニングを行って、螺旋状スキャフォールドの表面に一層のナノファイバー膜(図1に示す通り)を被覆し、表面にナノファイバー膜が被覆された螺旋管(図2示す通り)を得た。
【0027】
(3)工程(1)中のキトサン溶液を溝を備えたモールド中に注入した。溝は連通する内溝と外溝を含み、その横断面形状は図3に示す通りであり、溝の長さは1cm、外溝の幅aは100μm、外溝の高さcは20μmであり、内溝は外溝の中央部に位置し、内溝の幅はc、内溝の高さbは40μmであり、外溝の幅は内溝の高さの2倍と内溝の幅の和である。キトサン溶液を帯びたモールドを10%のNaOH溶液中に入れて硬化成形し、成形後に水で洗浄し、乾燥後に脱型を行い、ガイドファイバーを得た。
【0028】
(4)DPBS溶液で100倍に希釈したMSC定着試薬をペトリ皿に被覆し、蘇生後のhBMSCを被覆後のペトリ皿上に接種し、完全培地(NutriStem(R) MSC XF基礎培地:NutriStem(R) MSC XF添加剤=500ml:3ml)を加え、37℃、5%のCO培養器内で培養し、2日に1回培地交換し、細胞飽和密度が80%前後に達した時点で、アスコルビン酸(50μg/mL)を含有する完全培地に交換し、2日に1回遮光して液交換し、10日後に培養液を除去し、DPBSで3回以上洗浄した後、超純水で37℃において10分間低張処理してから超純水を除去し、細胞分解液(3%TritonX-100、2%ドデシル硫酸ナトリウム)を加えて5分間反応させ、DPBSで洗浄し、洗浄後にデオキシリボヌクレアーゼ(0.1mg/mL)で37℃において2時間反応させ、最後にDPBSで洗浄して脱細胞し、hBMSC-ECMを得た。
【0029】
(5)表面がナノファイバー膜で被覆された螺旋管の内部にガイドファイバー28本とhBMSC-ECMを充填して、螺旋状スキャフォールド管壁内にガイドファイバーを含有するバイオミメティック神経グラフトを得た。
【0030】
(実施例2)
(1)キトサンを2%の酢酸溶液中に溶かし、2時間攪拌して完全に溶解させて、濃度6wt%のキトサン溶液を得た。ねじ山を備えたコアモールドにキトサン溶液を注入し、コアモールドは長さ4cm、直径2mm、ねじ山ピッチ1mm、線幅0.5mmとした。キトサン溶液を帯びたコアモールドを5%のNaOH溶液中に入れて硬化成形し、成形後に水で洗浄し、乾燥、脱型を行い、螺旋状スキャフォールドの半製品を得た。螺旋状スキャフォールドの半製品を5wt%メタノールを含有する無水酢酸溶液に浸漬して6時間アセチル化した後、10%のNaOH溶液を用いて室温下で12時間固定し、洗浄して乾かし、螺旋状スキャフォールドを得た。
【0031】
(2)適量のポリエチレンオキシドを50%の酢酸溶液中に溶かし、キトサン粉末を加えてエレクトロスピニング液を作製し、最終的にキトサンとポリエチレンオキシドの総濃度を4wt%とし、キトサンとポリエチレンオキシドの質量比は100:20とした。螺旋状スキャフォールドを回転可能な管状コレクターに置き、エレクトロスピニング液をエレクトロスピニング装置の注射器の中に入れ、電圧20kV、流速0.1mL/時、コレクター距離15cm、コレクター回転速度100rmpに設定し、エレクトロスピニングを行って、螺旋状スキャフォールドの表面に一層のナノファイバー膜を被覆し、表面にナノファイバー膜が被覆された螺旋管を得た。
【0032】
(3)工程(1)中のキトサン溶液を溝を備えたモールド中に注入した。溝の形状は実施例1中と同じである。そのうち、溝の長さは3cm、aは250μm、bは100μm、cは50μmとした。キトサン溶液を帯びたモールドを10%のNaOH溶液中に入れて硬化成形し、成形後に水で洗浄し、乾燥後に脱型を行い、ガイドファイバー(図4に示す通り)を得た。
【0033】
(4)DPBS溶液で100倍に希釈したMSC定着試薬をペトリ皿に被覆し、蘇生後のhBMSCを被覆後のペトリ皿上に接種し、完全培地(NutriStem(R) MSC XF基礎培地:NutriStem(R) MSC XF添加剤=500ml:3ml)を加え、37℃、5%のCO培養器内で培養し、2日に1回培地交換し、細胞飽和密度が80%前後に達した時点で、アスコルビン酸(50μg/mL)を含有する完全培地に交換し、2日に1回遮光して液交換し、10日後に培養液を除去し、DPBSで3回以上洗浄した後、超純水で37℃において10分間低張処理してから超純水を除去し、細胞分解液(3%TritonX-100、2%ドデシル硫酸ナトリウム)を加えて5分間反応させ、DPBSで洗浄し、洗浄後にデオキシリボヌクレアーゼ(0.1mg/mL)で37℃において2時間反応させ、最後にDPBSで洗浄して脱細胞し、hBMSC-ECMを得た。
【0034】
(5)表面がナノファイバー膜で被覆された螺旋管の内部にガイドファイバー5本とhBMSC-ECMを充填して、螺旋状スキャフォールド管壁内にガイドファイバーを含有するバイオミメティック神経グラフトを得た。
【0035】
本実施例で調製したバイオミメティック神経グラフト中のhBMSC-ECMはフィブロネクチン、ラミニン、及びI型コラーゲンなどの神経再生に対する促進作用を持つ生物活性成分を含有しており、且つそのうちにDNAはほぼ検出されなかった(図5に示す通り)。螺旋状スキャフォールドの半製品はアセチル化を経た後、アセチル化度が元の4.73%から74.77%まで増加し、良好な生体内分解性を有していた(図6に示す通り)。外層を被覆するエレクトロスピニングナノファイバー膜の直径は約100nmであった。
【0036】
本実施例で調製したバイオミメティック神経グラフトをラットの坐骨神経の欠損10mmを修復するのに用いた。手術から8週間後の再生神経遠位端横断片の免疫蛍光画像(図7に示す通り)及び透過型電子顕微鏡画像(図8に示す通り)の結果からは、当該バイオミメティック神経グラフトが良好な神経再生機能を有しており、神経再生を促す効果が自家神経に匹敵することが示された。手術から12週間後の機能テスト(図9及び図10に示す通り)からは、バイオミメティック神経が損傷した神経に対して良好な修復効果を有しており、その修復効果は自家神経と類似していることが示された。
【0037】
(実施例3)
(1)キトサンを2%の酢酸溶液中に溶かし、4時間攪拌して完全に溶解させて、濃度7wt%のキトサン溶液を得た。ねじ山を備えたコアモールドにキトサン溶液を注入し、コアモールドは長さ6cm、直径5mm、ねじ山ピッチ10cm、線幅5mmとした。キトサン溶液を帯びたコアモールドを20%のNaOH溶液中に入れて硬化成形し、成形後に水で洗浄し、乾燥、脱型を行い、螺旋状スキャフォールドの半製品を得た。螺旋状スキャフォールドの半製品を5wt%メタノールを含有する無水酢酸溶液に浸漬して6時間アセチル化した後、20%のNaOH溶液を用いて室温下で12時間固定し、洗浄して乾かし、螺旋状スキャフォールドを得た。
【0038】
(2)適量のポリエチレンオキシドを50%の酢酸溶液中に溶かし、キトサン粉末を加えてエレクトロスピニング液を作製し、最終的にキトサンとポリエチレンオキシドの総濃度を5wt%とし、キトサンとポリエチレンオキシドの質量比は100:5とした。螺旋状スキャフォールドを回転可能な管状コレクターに置き、エレクトロスピニング液をエレクトロスピニング装置の注射器の中に入れ、電圧35kV、流速2mL/時、コレクター距離35cm、コレクター回転速度150rmpに設定し、エレクトロスピニングを行って、螺旋状スキャフォールドの表面に一層のナノファイバー膜を被覆し、表面にナノファイバー膜が被覆された螺旋管を得た。
【0039】
(3)工程(1)中のキトサン溶液を溝を備えたモールド中に注入した。溝の形状は実施例1中と同じである。そのうち、溝の長さは1cm、aは500μm、bは225μm、cは50μmとした。キトサン溶液を帯びたモールドを20%のNaOH溶液中に入れて硬化成形し、成形後に水で洗浄し、乾燥後に脱型を行い、ガイドファイバーを得た。
【0040】
(4)DPBS溶液で100倍に希釈したMSC定着試薬をペトリ皿に被覆し、蘇生後のhBMSCを被覆後のペトリ皿上に接種し、完全培地(NutriStem(R) MSC XF基礎培地:NutriStem(R) MSC XF添加剤=500ml:3ml)を加え、37℃、5%のCO培養器内で培養し、2日に1回培地交換し、細胞飽和密度が80%前後に達した時点で、アスコルビン酸(50μg/mL)を含有する完全培地に交換し、2日に1回遮光して液交換し、10日後に培養液を除去し、DPBSで3回以上洗浄した後、超純水で37℃において10分間低張処理してから超純水を除去し、細胞分解液(3%TritonX-100、2%ドデシル硫酸ナトリウム)を加えて5分間反応させ、DPBSで洗浄し、洗浄後にデオキシリボヌクレアーゼ(0.1mg/mL)で37℃において2時間反応させ、最後にDPBSで洗浄して脱細胞し、hBMSC-ECMを得た。
【0041】
(5)表面がナノファイバー膜で被覆された螺旋管の内部にガイドファイバー3本とhBMSC-ECMを充填して、螺旋状スキャフォールド管壁内にガイドファイバーを含有するバイオミメティック神経グラフトを得た。
【0042】
上述は本発明の好適な実施形態に過ぎず、本技術分野の当業者であれば本発明の技術的原理を逸脱せずにいくらかの改良及び変更を行うことが可能であり、それらの改良及び変更は本発明の保護範囲に属すると見なされるべきである。
【0043】
[付記]
[付記1]
螺旋状スキャフォールドと、ナノファイバー膜と、ガイドファイバーと、hBMSC-ECMと、を含み、前記ナノファイバー膜は前記螺旋状スキャフォールドの表面を被覆し、前記ガイドファイバーと前記hBMSC-ECMは前記螺旋状スキャフォールドの管腔内に設けられ、前記螺旋状スキャフォールド、前記ナノファイバー膜、及び前記ガイドファイバーの原料はいずれもキトサンであることを特徴とする、バイオミメティック神経グラフト。
【0044】
[付記2]
前記螺旋状スキャフォールドは、内径1~6mm、長さ1~6cm、ピッチ0.5~5mmであることを特徴とする、付記1に記載のバイオミメティック神経グラフト。
【0045】
[付記3]
前記ガイドファイバーは、長さ1~3cm、数量3~28本であることを特徴とする、付記1に記載のバイオミメティック神経グラフト。
【0046】
[付記4]
付記1~3のいずれか1つに記載のバイオミメティック神経グラフトの調製方法であって、
キトサンを原料とし、キャストモールド方式を用いて螺旋状スキャフォールドを作製する工程と、
キトサンを原料とし、エレクトロスピニング法を用いて前記螺旋状スキャフォールドの表面を一層のナノファイバー膜で被覆し、表面がナノファイバー膜で被覆された螺旋管を得る工程と、
キトサンを原料とし、テンプレート法を用いてガイドファイバーを作製する工程と、
前記表面がナノファイバー膜で被覆された螺旋管の内部に前記ガイドファイバーとhBMSC-ECMを充填して、バイオミメティック神経グラフトを得る工程と、を含むことを特徴とするバイオミメティック神経グラフトの調製方法。
【0047】
[付記5]
前記螺旋状スキャフォールドの作製工程は、
濃度4wt%~7wt%のキトサン溶液を調製することと、
ねじ山を備えたコアモールドに前記キトサン溶液を注入することと、
前記キトサン溶液を帯びたコアモールドを5~20%のNaOH溶液中に入れて硬化定型した後、水で洗浄し、乾燥、脱型を行い、螺旋状スキャフォールドの半製品を得ることと、
前記螺旋状スキャフォールドの半製品を5wt%メタノールを含有する無水酢酸溶液中に浸漬して6時間アセチル化した後、5~20%のNaOH溶液を用いて室温下で12時間固定し、洗浄して乾かし、前記螺旋状スキャフォールドを得ることと、を含むことを特徴とする付記4に記載のバイオミメティック神経グラフトの調製方法。
【0048】
[付記6]
前記表面がナノファイバー膜で被覆された螺旋管の作製工程は、
総濃度3wt%~5wt%のキトサンとポリエチレンオキシドのブレンド溶液を調製し、キトサンとポリエチレンオキシドの質量比は100:5~20とすることと、
前記キトサンとポリエチレンオキシドのブレンド溶液をエレクトロスピニング装置に入れ、前記螺旋状スキャフォールドを管状のコレクターに置いて、エレクトロスピニングを行い、前記螺旋状スキャフォールドの表面に一層の前記ナノファイバー膜を被覆することと、
前記ナノファイバー膜で被覆された前記螺旋状スキャフォールドを5~20%のNaOH溶液中に入れて硬化定型した後、水で洗浄してポリエチレンオキシドを除去し、前記表面がナノファイバー膜で被覆された螺旋管を得ることと、を含むことを特徴とする付記4に記載のバイオミメティック神経グラフトの調製方法。
【0049】
[付記7]
前記エレクトロスピニングの設定パラメータは、電圧5~35kV、流速0.1~2mL/時、コレクター距離5~35cm、コレクター回転速度5~150rmpであることを含むことを特徴とする付記6に記載のバイオミメティック神経グラフトの調製方法。
【0050】
[付記8]
前記ガイドファイバーの作製工程は、
濃度4wt%~7wt%のキトサン溶液を調製することと、
溝を備えたモールド中に前記キトサン溶液を注入することと、
前記キトサン溶液を帯びたモールドを5~20%のNaOH溶液中に入れて硬化定型した後、水で洗浄し、乾燥、脱型を行い、前記ガイドファイバーを得ることと、を含むことを特徴とする付記4に記載のバイオミメティック神経グラフトの調製方法。
【0051】
[付記9]
前記モールドの溝は、連通する内溝と外溝を含み、連通する内溝と外溝の横断面形状は「品」の字を逆さにした形状であり、前記外溝の幅は100~500μmであり、前記外溝の高さは20~50μmであり、前記内溝の幅は外溝の高さと同じであり、前記内溝の高さは25~240μmであり、前記外溝の幅は前記内溝の高さの2倍と内溝の幅の和であり、前記内溝と前記外溝の長さは同じであり、いずれも1~3cmであることを特徴とする付記8に記載のバイオミメティック神経グラフトの調製方法。
【0052】
[付記10]
前記hBMSC-ECMの作製工程は、
DPBS溶液で100倍に希釈したMSC定着試薬をペトリ皿に被覆することと、
蘇生後のhBMSCを被覆後の前記ペトリ皿に接種し、完全培地を加えて、37℃、5%のCO培養器内で培養し、2日に1回培地交換することと、
細胞飽和密度が80%に達した時点で、アスコルビン酸を含有する完全培地に交換し、2日に1回遮光して液交換し、10日後に培養液を除去し、DPBSで3回以上洗浄した後、超純水で37℃において10分間低張処理してから超純水を除去し、細胞分解液を加えて5分間反応させ、DPBSで洗浄し、洗浄後にデオキシリボヌクレアーゼで37℃において2時間反応させ、最後にDPBSで洗浄し、4℃下で保存することと、を含むことを特徴とする付記4に記載のバイオミメティック神経グラフトの調製方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】