(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-04
(54)【発明の名称】可燃性ガスの汚染物質を低減する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
F23G 7/06 20060101AFI20240328BHJP
F23G 7/07 20060101ALI20240328BHJP
F23N 5/00 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
F23G7/06 Z
F23G7/07 Q
F23N5/00 G
F23N5/00 S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556578
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 IB2022052610
(87)【国際公開番号】W WO2022201026
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102021000006947
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・ムッシ
(72)【発明者】
【氏名】ロレンゾ・ペゾーラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリオ・マガロッティ
【テーマコード(参考)】
3K003
3K078
【Fターム(参考)】
3K003FA01
3K003FA02
3K003FB03
3K003FB04
3K003GA03
3K003HA03
3K078AA04
3K078AA06
3K078BA02
3K078BA23
3K078CA03
3K078DA14
3K078DA15
(57)【要約】
可燃性ガス(G)の汚染物質を低減する方法(100)であって、少なくとも空気(A)及び可燃性ガス(G)を含むリーン混合ガス(GM)を生成すること(S101)と、第1の動作段階(P1)の間に触媒プロセス(CP)によりリーン混合ガス(GM)を完全酸化させて、排ガス(EG)を得ること(S102)と、少なくとも空気(A)及び可燃性ガス(G)を含むリッチ混合ガス(GM)を生成すること(S103)と、第2の動作段階(P2)の間に触媒プロセス(CP)によりリッチ混合ガス(GM)を部分酸化させて、好ましくは熱及び電力の生産のための清浄な可燃性ガス(CG)を得ること(S104)と、を含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性ガス(G)の汚染物質を低減する方法(100)であって、
少なくとも空気(A)及び前記可燃性ガス(G)を含むリーン混合ガス(GM)を生成すること(S101)と、
第1の動作段階(P1)の間に触媒プロセス(CP)により前記リーン混合ガス(GM)を完全酸化させて、排ガス(EG)を得ること(S102)と、
少なくとも空気(A)及び前記可燃性ガス(G)を含むリッチ混合ガス(GM)を生成すること(S103)と、
第2の動作段階(P2)の間に触媒プロセス(CP)により前記リッチ混合ガス(GM)を部分酸化させて、好ましくは熱及び電力の生産のための清浄な可燃性ガス(CG)を得ること(S104)と、
を含む方法(100)。
【請求項2】
請求項1に記載の方法(100)において、
a.前記可燃性ガス(G)は、ガス化システムにおけるガス化プロセスにより生成される合成ガスであって、前記第1の動作段階(P1)は該ガス化システムの始動段階及び/又は停止段階に対応し、前記第2の動作段階(P2)は該ガス化システムの定常状態段階であり、かつ
b.前記リーン混合ガス(GM)では空気対可燃性ガス比は1よりも高く、かつ
c.前記リッチ混合ガス(GM)では空気対可燃性ガス比は1よりも低い、
方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法(100)であって、さらに、前記リーン混合ガス(GM)及び/又は前記リッチ混合ガス(GM)の酸化を動作期間にわたって制御することを含む、方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法(100)であって、さらに、
a.前記第1の動作段階(P1)及び/又は前記第2の動作段階(P2)の間の空気流をアクティブ調節することであって、前記第1の動作段階(P1)の間の該空気流が前記第2の動作段階(P2)の間の該空気流とは異なるものであること、及び/又は
b.前記第1の動作段階(P1)の間の第1の気流モードと前記第2の動作段階(P2)の間の第2の気流モードとを自動的に切り替えること、
を含む方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法(100)であって、さらに、空気流を最小値と最大値との間でアクティブ調節することを含み、該最小値がゼロ空気挿入に相当する、方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法(100)であって、さらに、前記第1の動作段階(P1)及び/又は前記第2の動作段階(P2)の間に、空気挿入無しの還元気流モードと空気挿入有りの酸化気流モードとを切り替えることを含む、方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法(100)であって、さらに、
a.前記第1の動作段階(P1)の間の空気流を調整して、空気対可燃性ガス比を1よりも高く、好ましくは4に等しく維持すること、及び/又は
b.前記第2の動作段階(P2)の間の空気流を調整して、空気対可燃性ガス比を1よりも低く、好ましくは0.3に等しく維持すること、
を含む方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の方法(100)であって、さらに、
a.前記触媒プロセス(CP)の後の混合ガス(GM)の温度値を測定して、前記触媒プロセス(CP)の間の温度変化を制御すること、及び/又は
b.前記触媒プロセス(CP)の間の温度値を最低温度値(Tmin)と最高温度値(Tmax)との間、好ましくは400℃と550℃との間に維持することであって、該最低温度値(Tmin)が汚染物質の減少し始める温度であり、該最高温度値(Tmax)が前記触媒プロセス(CP)で用いられる触媒基材の溶融温度であること、及び/又は
c.前記触媒プロセス(CP)の後の混合ガス(GM)の温度値を測定して、前記触媒プロセス(CP)の間の温度変化を監視すること(S201)であって、該温度値が最高温度値(Tmax)よりも高い場合(S202)に、前記方法は空気流を管理するステップ(S203)を含み、該最高温度値(Tmax)が前記触媒プロセス(CP)で用いられる触媒基材の溶融温度であって好ましくは550℃であり、該温度値が最低温度値(Tmin)よりも低い場合(S204)に、前記方法は加熱プロセスを稼働させるとともに制御ヒステリシスを所定温度範囲に設定するステップ(S205)を含み、該最低温度値(Tmin)が汚染物質の減少し始める温度であって好ましくは400℃であり、該所定温度範囲が好ましくは400℃と450℃との間であること、
を含む方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法(100)を用いて可燃性ガス(G)の汚染物質を低減する装置(10)であって、
少なくとも空気(A)及び前記可燃性ガス(G)を含む混合ガス(GM)を受ける入口領域(12)と、
汚染物質の減少したガス(EG;CG)を放出する出口領域(14)と、
前記入口領域(12)の下流かつ前記出口領域(14)の上流に位置し、触媒プロセス(CP)により混合ガス(GM)を部分的又は完全に酸化させる触媒領域(16)と、
を有するハウジング(30)を備え、該ハウジング(30)がガス化システムに取り外し可能に挿入可能である、
装置(10)。
【請求項10】
請求項9に記載の装置(10)であって、触媒装置、特に触媒コンバータである、装置(10)。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の装置(10)において、
a.前記触媒領域(16)は触媒基材を備え、該触媒基材が好ましくは多段組立体であり、及び/又は
b.前記装置(10)はさらに、前記入口領域(12)に配置される空気入口(11)と、該空気入口(11)から離れて前記入口領域(12)に配置される可燃性ガス入口(13)とを備え、該空気入口(11)がファン要素(15)に結合される、
装置。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか1項に記載の装置(10)であって、さらに、
a.前記出口領域(14)から放出されたガス(EG)を外部に排出する第1の動作段階(P1)と、前記出口領域(14)から放出されたガス(CG)を好ましくは熱及び電力の生産のために用いる第2の動作段階(P2)との間で切り替えるための制御装置(26)、及び/又は
b.前記触媒プロセス(CP)の間に空気流を制御するため及び/又は温度値を制御するための制御装置(26)、及び/又は
c.前記入口領域(12)に配置され、前記混合ガス(GM)における空気(A)と可燃性ガス(G)との混合を最大化する旋回誘導要素(22)、
を備える装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置(10)であって、さらに、
a.前記制御装置(26)に接続され、前記触媒領域(16)の上流及び/又は下流に配置される少なくとも1つの温度変換器(28)、及び/又は
b.前記制御装置(26)に接続され、前記触媒領域(16)の上流及び/又は下流に配置される少なくとも1つの圧力変換器、及び/又は
c.前記制御装置(26)に接続され、前記触媒領域(16)の上流及び/又は下流に配置される少なくとも1つのガス組成センサ、及び/又は
d.前記制御装置(26)に接続され、前記触媒領域(16)の上流に配置されるラムダセンサ、及び/又は
e.前記制御装置(26)に接続され、前記触媒領域(16)に配置される加熱素子(27)、
を備える装置。
【請求項14】
請求項9から13のいずれか1項に記載の装置(10)を備えるシステム、特にガス化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に可燃性ガスを含む混合ガスにおける汚染物質を低減するための方法に関する。本発明はまた、上記方法を用いるための対応する装置、及びその装置を含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマスガス化技術は、木材や農業廃棄物などの乾燥した固体バイオマスを可燃性ガスに転換する熱化学プロセスをベースとするものである。木ガスや合成ガスとしても知られるこの可燃性ガスは、内燃機関(ICE)の燃料として使用でき、その化学エネルギーは機械、電気、熱エネルギーに変換される。
【0003】
合成ガスは、低位発熱量(LHV)が4~6MJ/Nm3の範囲になり得るので、通常は低発熱量燃料と定義される。さらに、ガス化反応装置の熱化学的条件やバイオマス燃料自体の質に従って、動作中にガス組成が変化する可能性がある。
【0004】
バイオマスガス化から生成される合成ガスに関する重要な臨界事項は、タールと呼ばれる重縮合性有機化合物により本質的に汚染されていることである。平均タール濃度は、採用する反応装置技術に従って0.1~50g/Nm3の範囲で変化し得る。タール濃度は、ガス化システムが動作する2つの段階、すなわち始動・停止段階と定常状態段階とに大きく依存する。
【0005】
始動及び停止段階の間は、木ガスのタール濃度が高いので、ガスはICEの燃焼に適さない。そのためガスは、一般にフレアスタックに代表される二次燃焼設備に転送される。その目的は、ガスを完全に燃焼させて法規制による排出レベルに適合させることである。
【0006】
定常状態段階の間は、木ガスのタール濃度が低い(ゼロではない)ので、ガスはICEに転送され、電力及び熱出力を生み出すための燃料として使用される。タール濃度は、耐久性及び信頼性のあるICEの運転にとって重要な臨界事項であるから、汚染物質は通常、特定の濾過設備によって除去される。
【0007】
可燃性ガス内の汚染物質を低減するための先行技術による解決策の多くは、高価(特に運転コストに関して)であったり、数個の部品や構成要素からなるシステムを使用するので複雑であったりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明の目的は、可燃性ガス内の汚染物質を低減する方法及び装置であって、容易に実施できるとともに、熱及び電力の生産や他の目的で使用される清浄な可燃性ガスを効率的に生成できる、方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、可燃性ガスの汚染物質を低減する方法であって、少なくとも空気及び可燃性ガスを含むリーン混合ガスを生成することと、第1の動作段階の間に触媒プロセスによりリーン混合ガスを完全酸化させて、排ガスを得ることと、を含む方法によって解決される。この方法はまた、少なくとも空気及び可燃性ガスを含むリッチ混合ガスを生成することと、第2の動作段階の間に触媒プロセスによりリッチ混合ガスを部分酸化させて、好ましくは熱及び電力の生産のための清浄な可燃性ガスを得ることと、を含む。
【0010】
これにより、対応する単一の触媒装置を用いる触媒プロセスを、異なる2つの動作段階において汚染物質除去アプローチとして使用できる。特に第1の動作段階では、触媒による酸化で混合ガスは完全に燃焼され、第2の動作段階では、触媒プロセスにより混合ガスは清浄化され、すなわち汚染物質が低減される。2つの動作段階における酸化プロセスに使用される触媒装置は本質的に同じであるが、プロセス条件は異なる。実際に、第1の動作段階では触媒プロセスはリーン混合ガスに対し行われる一方、第2の動作段階では触媒プロセスはリッチ混合ガスに対し行われる。有利なことに、第1段階で混合ガスを完全酸化するとともに第2段階で汚染物質を除去するために同じ触媒装置を使用することで、この方法は、汚染物質による可燃性ガスの清浄化を必要とするシステムの運転費用及び資本支出の双方を削減できる。
【0011】
希薄燃焼又はリーンバーンとは、内燃機関又は汎用燃焼室において、空気過剰(可燃性ガスに対する空気の比率で考えたとき)の状態でのガスの燃焼工程をいう。一方、リッチ燃焼又はリッチバーンとは、内燃機関又は汎用燃焼室において、空気不足(可燃性ガスに対する空気の比率で考えたとき)の状態でのガスの燃焼工程をいう。
【0012】
実施形態によれば、可燃性ガスは、ガス化システム又はガス化装置におけるガス化プロセスにより生成される合成ガスであり得る。例えば、合成ガスは木ガスであり得る。第1の動作段階は、ガス化システムの始動段階及び/又は停止段階に対応でき、第2の動作段階は、ガス化システムの定常状態段階であることができる。特に、リーン混合ガスでは可燃性ガスに対する空気の比率が1よりも高く、リッチ混合ガスでは可燃性ガスに対する空気の比率が1よりも低い。これにより、ガス化システムの始動段階及び/又は停止段階の間に触媒プロセスによって完全酸化が行われ、定常状態段階の間に触媒プロセスによって部分酸化による汚染物質除去が行われる。その結果、清浄ガスが生成され、内燃機関への供給に使用できる。
【0013】
特に、空気過剰係数λは、化学量論的空気対可燃性ガス比に対する混合ガスの実際の空気対可燃性ガス比の割合として定義できる。空気過剰係数λが1よりも大きいことは空気が多すぎることを意味する。一方、空気過剰係数λが1より小さいことは、全ての可燃性ガスが燃焼するための十分な空気が無いことを意味する。
【0014】
本方法に従って処理される汚染物質は、可燃性ガス内のタールであり得る。第2の動作段階の間の触媒プロセスによるリッチ混合ガスの高温度は、汚染物質すなわちタールの分解を決定づけることができる。汚染物質すなわちタールの分解に従って、長鎖炭化水素は軽質炭化水素のようなさらに単純な分子に分解される。
【0015】
本発明の方法は、必ずしもバイオマスガス化に関連しない他の工業プロセスや石油・天然ガスプロセスにも有利に使用できる。この方法は、プロセス動作パラメータに従って、時間的に可変の組成を有する廃ガス流を生成する全てのシステムに使用できる。
【0016】
本方法は、リーン混合ガス及び/又はリッチ混合ガスの酸化を動作期間にわたって制御するステップを含む。言い換えれば、酸化を反応装置の径方向に変化させることで反応装置の触媒表面に沿った均一な空間的酸化を得る先行技術の解決策と異なり、本方法では酸化が時間と共に変化する。これにより、ガス品質の低い過渡的な動作期間(始動及び停止)に対処できる。この期間では完全酸化はプラス効果があるとみなされるのに対し、他の期間(例えば定常状態段階)では完全酸化はエネルギー損失をもたらすと考えられる。ここで「完全酸化」という表現は、必要な酸素の全てを(それ以上でも以下でもなく)燃焼のために使用できることを意図している。酸素が、(先行技術では通例であるように)空間的に分布しているだけで、空間的に均一でありながら(本方法のように)時間的に分布していない場合、燃焼は、必要な酸素がより少ない量(例えば半分)又はより多い量(例えば倍)であっても起こり得る。
【0017】
本方法は、第1段階の間の触媒酸化のような触媒プロセスの制御、又は第2段階の間の汚染物質除去としての制御が、空気流の適応調節によって得られる、二重目的の解決プロセスである。
【0018】
したがって実施形態では、本方法は、第1の動作段階及び/又は第2の動作段階の間の空気流をアクティブ調節するステップであって、第1の動作段階の間の空気流が第2の動作段階の間の空気流とは異なるものであるステップを含む。特に本方法は、第1の動作段階の間の第1の気流モードと第2の動作段階の間の第2の気流モードとを自動的に切り替えるステップを含むことができる。
【0019】
以下でさらに詳細に説明するように、空気流制御は本質的に、第1及び第2の動作段階の間、温度を所定範囲の値に維持する機能を果たす。第1の動作段階では、可燃性ガスの可燃要素を酸化するとともに汚染物質含有量を低減するために、ガスは、触媒基材上で触媒プロセスを用いて完全に酸化される。この酸化は,希薄燃焼混合物(λ>1)内で行われ,このときに噴射される空気は化学量論的量を上回る。空気噴射制御は、混合ガスを希薄化するとともに最適酸化温度を例えば450~550℃の所定範囲に保つために、最適化される。触媒酸化の最善の結果は、汚染化合物濃度が最小で結果として環境影響の小さい完全酸化ガスである。第1の動作段階で触媒プロセスにより生じるガスはシステムの外に排出され、熱及び電力の生産に使用されることはないが、排ガスの排出規制には適合するものである。第2の動作段階では触媒プロセスの目的は、汚染物質(例えばタール)の割合を下げることである。汚染物質の濃度を低減するために、噴射空気は化学量論比よりも低く(λ<1)設定される。またこの段階では、空気噴射は、混合物の部分酸化を最適化するとともに最適温度を例えば450~550℃の所定範囲に保つために、制御される。触媒転換の最善の結果は、汚染物質濃度が低く残留熱量の高いガスであって、これは例えば内燃機関や他の装置による熱及び電力の生産に適するものである。
【0020】
一例では、本方法はさらに、空気流を最小値と最大値との間でアクティブ調節することを含み、このときの最小値はゼロ空気挿入に相当する。特に、本方法はさらに、第1の動作段階及び/又は第2の動作段階の間に、空気挿入無しの還元気流モードと空気挿入有りの酸化気流モードとを切り替えるステップを含むことができる。空気挿入無しの(すなわち還元)気流モードから空気挿入有りの(すなわち酸化)気流モードへ切り替える適応性は、ガス化において重要なことと考えられる。実際に、ガスパラメータ(すなわち温度、低位発熱量など)は動作時間の間に変化する。このことは、先行技術の他の方法と比較して、本方法に付加価値を与えている。
【0021】
実施形態によれば、本方法は、第1の動作段階の間の空気流を調整して、空気と可燃性ガスとの比を1よりも高く、好ましくは3から5の間、最も好ましくは4に等しく維持するステップを含む。
【0022】
実施形態によれば、本方法は、第2の動作段階の間の空気流を調整して、空気と可燃性ガスとの比を1よりも低く、好ましくは0から0.5の間、最も好ましくは0.3に等しく維持するステップを含む。
【0023】
触媒プロセスの間の温度変化を制御するために、実施形態では、本方法は、混合ガスが触媒プロセスにより酸化された後に、混合ガスの温度値を測定するステップを含む。特に、触媒プロセスの間の温度値を、予め定めた範囲、すなわち最低温度値Tminと最高温度値Tmaxとの間に維持する必要がある。最低温度値Tminは、汚染物質が減少し始める温度であり、例えば、長鎖炭化水素が軽質炭化水素のようなさらに単純な分子に分解し始める温度である。Tminよりも低い温度では、汚染物質濃度は低下せず、触媒プロセスがガスの清浄化に何の効果も発揮しないことは明らかである。この温度値は、汚染物質の種類や触媒プロセスに使用される触媒材料に依存し得る。
【0024】
最高温度値Tmaxは、触媒プロセスで用いられる触媒基材の溶融温度である。Tmaxよりも高い温度では、触媒プロセスに使用される触媒装置はもはや使用不可であり、酸化プロセスが起こらないことは明らかである。溶融温度に達する前に、装置はいわゆる材料ストレス温度Tstressに到達できる。材料ストレス温度Tstressは、触媒材料が、触媒プロセスに使用される触媒装置の性能を落とすように損耗し始める温度である。したがって、触媒プロセスの間の温度値は、Tmin<Tstress<Tmaxとして、TminとTmaxとの範囲内、好ましくはTminとTstressとの範囲内に維持される必要がある。実施形態によれば、触媒プロセスの間の温度値は400℃と550℃との範囲内に維持する必要があり、ここでTminは約400℃、Tmaxは約550℃、Tstressは約500℃である。
【0025】
温度値が最高温度値(Tmax)よりも高い場合、本方法は、空気流を管理するステップを含む。前述したように、最高温度値(Tmax)は触媒プロセスで用いられる触媒基材の溶融温度である。温度値が最低温度値(Tmin)よりも低い場合、本方法は、加熱プロセスを稼働させるとともに制御ヒステリシスを所定温度範囲(Trange)に設定するステップを含む。前述したように、最低温度値(Tmin)は汚染物質が減少し始める温度である。実施形態によれば、Tminは約400℃、Tmaxは約550℃、Trangeは400℃と450℃との間である。
【0026】
本発明の一態様では、可燃性ガスの汚染物質を低減するための装置が提供される。この装置は、有利には、前述した実施形態の1つによる方法で用いられる。
【0027】
この装置は、少なくとも空気及び可燃性ガスを含む混合ガスを受ける入口領域と、汚染物質の減少したガスを放出する出口領域と、入口領域の下流かつ出口領域の上流に位置し、触媒プロセスにより混合ガスを部分的又は完全に酸化させる触媒領域と、を有するハウジングを備え、ハウジングはガス化システムに取り外し可能に挿入可能である。特に、第1の動作段階において、触媒領域は混合ガスを完全酸化させるように構成され、第2の動作段階において、触媒領域は混合ガスを部分酸化させるように構成される。また、第1の動作段階では、混合ガスはリーン混合ガスであり、可燃性ガスに対する空気の比率は1よりも高く、第2の動作段階では、混合ガスはリッチ混合ガスであり、可燃性ガスに対する空気の比率は1よりも低い。
【0028】
有利には、装置は触媒装置、特に触媒コンバータである。複雑な反応装置で触媒手法を実行する先行技術のシステムと比較して、本発明の方法は、使用が簡単でよりコンパクトな装置を用いる。実際に、本装置は市販の(自動車用)触媒装置と同等であり、ガス化システムに対し容易な取り付け及び/又は取り外しが可能なハウジングを備えている。その結果、本装置はコンパクトであり、安価(OPEX及びCAPEXの双方で)であり、順応性があり、メンテナンスが容易である。
【0029】
実施形態において、触媒領域は触媒基材を備え、触媒基材は好ましくは多段組立体である。触媒基材の材料は一般に、白金族金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金)、ニッケル、及びレニウムである。触媒領域の構造については、触媒材料と汚染物質との接触が最大になるあらゆる構造を使用できるが、熱膨張や機械的耐久性のような他の設計要素も考慮しなければならない。
【0030】
本装置はさらに、入口領域に配置される空気入口と、空気入口から離れて入口領域に配置されるガス入口とを備え、空気入口がファン要素に結合される。
【0031】
さらに本装置は、出口領域から放出されたガスを外部に排出する第1の動作段階と、出口領域から放出されたガスを好ましくは熱及び電力の生産のために用いる第2の動作段階との間で切り替えるための制御装置を備えることができる。第1及び第2の動作段階はそれぞれ、混合ガスが完全酸化又は部分酸化される前述した第1及び第2の動作段階に対応する。
【0032】
実施形態によれば、制御装置は、触媒プロセスの間に空気流を制御するように及び/又は温度値を制御するように、構成できる。
【0033】
混合ガスにおける空気と可燃性ガスとの混合を最大化するために、装置はさらに、入口領域に配置される旋回誘導要素を備えることができる。特に、旋回誘導要素は、入口領域と触媒領域との間に位置する空間に配置できる。
【0034】
混合ガスの温度値を測定するために、本装置は、少なくとも1つの温度変換器を備える。温度変換器は、制御装置に接続でき、触媒領域の上流及び/又は下流に配置できる。
【0035】
混合ガスの圧力値を測定するために、本装置は、少なくとも1つの圧力変換器を備える。圧力変換器は、制御装置に接続でき、触媒領域の上流及び/又は下流に配置できる。
【0036】
混合ガスの組成を測定するために、本装置は、少なくとも1つのガス組成センサを備える。このセンサは、制御装置に接続でき、触媒領域の上流及び/又は下流に配置できる。
【0037】
可燃性ガスに対する空気の比率を測定するために、本装置は、制御装置に接続されるラムダセンサを備える。ラムダセンサは、有利には触媒領域の下流に配置される。
【0038】
温度を変化させるために、装置は、制御装置に接続される加熱素子を備える。特に、加熱素子は、例えば触媒プロセスで用いられる触媒基材に接触して、触媒領域に配置される。
【0039】
実施形態によれば、装置の構成部品は、配管についてはステンレス鋼AISI409(限定せず)から、触媒プロセスで用いられる触媒基材については1.4767(CrAI6)(限定せず)から、作製できる。
【0040】
本発明の別の態様では、システム、特にガス化システムが提供される。このシステムは、前述した実施形態のいずれか1つによる装置を備える。
【0041】
本発明の方法及び装置は、異なる動作段階における二重の目的を有する汚染物質除去の手法又はシステムである。
【0042】
第1の動作段階、例えばガス化システムの始動及び/又は停止段階の間、主目的は、触媒装置の使用により酸化が生ずるときの温度を下げることで自由火炎の存在を回避することにある。この動作段階では、木ガスのLHV振動の間に安定反応を生じることができる制御システムによって、燃焼の高度な制御が確立される。この制御は、空気噴射流をλ>1(リーン燃焼条件)の範囲へアクティブ調節することによって得られる。これにより、発熱(高温)領域の容積が減少し、燃焼は室内環境に適した密閉容積内に維持される。
【0043】
第2の動作段階、例えばガス化システムにける定常状態段階の間、主目的は、汚染物質(例えばタール)をより軽質な可燃性ガスに転換することにある。この動作段階では、空気噴射をλ<1(リッチ燃焼条件)の範囲に調節できるアクティブ制御システムによって、汚染物質転換の高度な制御が確立される。これにより、システム、例えばガス化システムの、全体の信頼性が向上し、メンテナンスの必要性が低減される。
【0044】
第1の動作段階(すなわち始動及び/又は停止段階)の間の酸化プロセスの制御は、外部ヒーターによる最適転換温度の制御と空気噴射流の直接制御との、組み合わせによって確立される。第2の動作段階(すなわち熱電供給のための定常状態段階)が始まると、汚染物質を減らすために、同じ装置がその目標を部分燃焼に変更する。第1の動作段階の目標は、ガスの完全燃焼により可燃性混合物に関する発熱量を放出することであるのに対し、第2の動作段階における目標は、ガスの発熱量をできるだけ一定に保つと同時に、汚染物質(タール)を除去してガスを例えばICEに適したものにすることである。
【0045】
図において、本発明の主題は概略的に示されており、同一の又は類似作用の要素には通常は同じ参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】実施形態による方法のフローチャートである。
【
図2】実施形態による方法の2つの動作段階の機能を示す模式図である。
【
図3A】実施形態による装置の模式図であって、斜視図で示す。
【
図3B】実施形態による装置の模式図であって、側面図で示す。
【
図3C】実施形態による装置の模式図であって、断面図で示す。
【
図4B】旋回誘導要素の模式図であって、斜視図で示す。
【
図4C】旋回誘導要素の模式図であって、正面図で示す。
【
図4D】旋回誘導要素の模式図であって、背面図で示す。
【
図5】実施形態による方法の2つの段階における時間の関数としての温度及びλの変化を示すグラフである。
【
図6B】対応する制御プロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1を参照すると、可燃性ガスGの汚染物質を低減するための方法100が、概略的なフローチャートで示される。方法100は、方法100が実行される動作段階に基づく異なるステップを提供する。動作段階によるとは、ガス化システムなどの、可燃性ガスGを処理するために使用されるシステムの、動作のモードを意図するものである。
【0048】
ステップS101で、リーン混合ガスGMが生成される。この混合ガスGMは少なくとも空気Aと可燃性ガスGとの組み合わせを含む。リーン混合ガスGMは、空気流に作用することによって、すなわち混合ガスGMにおける空気量を増加させることによって生成される。ステップS102で、第1の動作段階P1の間、リーン混合ガスGMは触媒プロセスCPにより完全に酸化される。具体的には、混合ガスGMは触媒基材上で酸化され、発生したガスは排ガスEGとして外部に排出される。これらのステップの間、空気流は、混合ガスGMを希薄化するとともに最適酸化温度を保つために最適化される。方法100がガス化システムで可燃性ガスGを処理するために使用される場合、第1の動作段階P1は始動及び/又は停止段階に相当する。
【0049】
ステップS103で、リッチ混合ガスGMが生成される。この混合ガスGMは少なくとも空気Aと可燃性ガスGとの組み合わせを含む。リッチ混合ガスGMは、空気流に作用することによって、すなわち混合ガスGMにおける空気量を減少させることによって生成される。ステップS104で、第2の動作段階P2の間、リッチ混合ガスGMは触媒プロセスCPにより部分的に酸化される。具体的には、混合ガスGMは触媒基材上で酸化され、発生したガスは汚染物質の低減した清浄ガスCGである。これらのステップの間、空気流は、混合ガスGMの部分酸化を最適化するとともに最適酸化温度を保つように制御される。このことは、汚染物質の濃度が最小限に低減され、可燃性ガスGが高い残留発熱量を維持できることを意味する。方法100がガス化システムで可燃性ガスGを処理するために使用される場合、第2の動作段階P2は定常状態段階に相当する。
【0050】
図2は、2つの動作段階P1及びP2における方法100の適用を示す。
【0051】
第1の動作段階P1では、可燃性ガスGを空気Aと結合して、リーン混合ガスGM、すなわち空気対可燃性ガス比が1よりも高い混合ガスGMを形成する。この混合ガスGMは触媒プロセスCPにより完全酸化され、得られたガスEGは大気中に排出される。排ガスEGは発熱量を有さず、例えば熱生産には使用できない。例えば、可燃性ガスGが約5MJ/Nm3の低位発熱量(LHV)を有する木ガスである場合、排ガスEGはほぼゼロの発熱量、すなわちLHV=0MJ/Nm3を有し得る。
【0052】
第2の動作段階P2では、可燃性ガスGを空気Aと結合して、リッチ混合ガスGM、すなわち空気対可燃性ガス比が1よりも小さい混合ガスGMを形成する。この混合ガスGMは、触媒プロセスCPにより部分酸化され、得られた清浄ガスCGは、汚染物質濃度の低減したガスである。清浄ガスCGはなおも発熱量を有し、例えば熱生産に使用でき、内燃機関(ICE)で用いることができる。例えば、可燃性ガスGが約5MJ/Nm3のLHVを有する木ガスである場合、清浄ガスCGは僅かに減少した発熱量、すなわちLHV=4MJ/Nm3を有し得る。
【0053】
図3A~
図3Cは、実施形態による装置10の詳細を示す。装置10は、前述したように、可燃性ガスGの汚染物質を低減する方法100において使用されるように構成される。装置10は基本的に、混合ガスGMを受ける入口領域12と、ガスを放出する出口領域14と、入口領域12と出口領域14との間に位置する触媒領域16とを有するハウジング30を備える。装置10、特にハウジング30は、ガス化システムの反応装置領域の下流に取り付けられ、また下流から取り外されるように構成される。触媒プロセスは、ガス化システムに追加の反応装置を構築する必要なく、このコンパクトな装置10の内部で実行できる。ガス化システムへの装置10の取り付けは、入口領域12をガス化システムの可燃性ガスG供給ライン及び空気A供給ラインに接続するだけで、かつ出口領域14をガス化システムのガス出口ラインに接続することで生じる。
【0054】
入口領域12では、可燃性ガスGが空気Aと予混合される。入口領域12の構造及び長さは、混合物の均質性を最大化するとともに、例えば燃焼部(図示せず)からのバックパフやバックファイア現象を回避するために設計される。
【0055】
触媒装置の触媒基材は、触媒領域16に配置される。触媒領域16の直径及び長さは、触媒装置への混合ガスGMの滞留時間に従い完全な転換を保証するために最適化される。弱い化学反応の場合、触媒基材の温度は、最適表面温度を所定範囲の値に保つ加熱素子27によって制御できる(特に
図6A及び
図6Bを参照)。
【0056】
出口領域14では、酸化されたガスが装置10から放出され、実施システムの動作段階に応じて排気装置やエンジン、例えばICEに転送される。特に、装置10が第1の動作段階P1又は第2の動作段階P2の間に用いられることに基づき、放出されるガスは、外部に排出されるべき排ガスEGか、或いは熱又は電力の生産のために潜在的に使用される清浄ガスCGである。
【0057】
図3Bは、装置10の側面図であり、
図3Cは、線A-Aに沿った
図3Bの装置10の縦断面を表す。
【0058】
可燃性ガスGはガス入口13から注入され、空気Aはファン要素15(ここでは図示せず)を介して空気入口11から注入される。ファン要素15は、サブ化学量論的範囲(λ<1)及びオーバー化学量論的範囲(λ>1)の両方で、広範囲の空気対可燃性ガス比(λ)をカバーできる流量を保証するのに役立つ。装置10は、触媒領域16の上流及び下流の双方に配置されるセンサポート17を備える。センサポート17は、温度変換器、圧力変換器、ラムダセンサ及び/又はガス組成分析器などの測定機器を設置するように構成される。
【0059】
装置10はさらに、触媒領域16の触媒基材の外面に設置される加熱素子27、例えば電気抵抗を備える。加熱素子27は、弱発熱条件の間の最低活性化温度を保証するためのものである。加熱素子27は、サーモスタットのようなローカルコントローラ、又はプログラマブルロジックコントローラ(PLC)のような一般的なシステムコントローラにより制御できる。
【0060】
図3Cから明らかなように、触媒基材は多段組立体であることができ、これは特に、空隙20によって分離される2段のステージ18、19を有する。多段設計は、可変の可燃性ガス及び空気流量に対して、適切な燃焼度合い及び滞留時間を確保するために採用される。より低いコストでより高い転換効率を確保するために、触媒装置へのガスの滞留時間を長くすることを目標として、2段以上のステージを採用できる。段数及び触媒材料の種類は、必要となるシステム効率の度合いとの関連で選択できる。
【0061】
有利には、装置10はまた、入口領域12と触媒領域16との間、及び触媒領域16と出口領域14との間に位置する結合部21を備える。結合部21は、複数のねじのような接続手段によって互いに接続される2つの環状面によって実現され、それら環状面の間にシール要素が配置される。結合部21は基本的に、触媒領域16を入口領域12及び/又は出口領域14から取り外すのに役立つ。これは、例えば触媒プロセスに使用される触媒装置を再生又は交換する必要がある場合など、装置10の保守作業にとって極めて有用である。
【0062】
図4Aは、装置10が旋回誘導要素22を追加的に備えることができることを示す。この要素は、好ましくは触媒領域16の入口側で入口領域12に配置される。これにより、空気と可燃性ガスとの混合を最大化して、触媒領域16に入る混合ガスGMの均質燃焼を確保できる。
【0063】
図4B~
図4Dに示すように、旋回誘導要素22は、環構造29と、中央の螺旋構造24とから構成される。環構造29には、環構造29の縁に分布する複数の貫通穴23が設けられている。旋回誘導要素22は後面(
図4D)に、螺旋構造24を収容する突出リム25を備える。貫通穴23は、入口領域12と触媒領域16との間の結合部21にて旋回誘導要素22を装置10に固定するのに役立つ。このとき突出リム25は入口領域12に配置される。
【0064】
図5は、第1及び第2の動作段階の間の、2つのパラメータすなわち温度と空気対可燃性ガス比との変化を示す。前述したように、これらの2つのパラメータは、空気流に従って制御される。
【0065】
第1の動作段階P1、例えば始動及び/又は停止段階では、空気流制御は新鮮な空気を追加することに基づいている。
図5に示すように、最小空気流量は、空気対可燃性ガス比λminを4に等しく維持するように調整される。制御温度が500℃の値を超える場合、制御装置26は、装置10への空気流量を増加させるように構成され、それにより可燃性ガスの希薄化を高め、次いで酸化温度を低下させる。
【0066】
第2の動作段階P2、例えば定常状態段階では、制御は部分燃焼することに基づいている。混合ガスGMの部分酸化を確立するために、空気流量は化学量論的値(λ=0.3)よりも減少される。500℃の条件は汚染物質の転換に十分である。制御温度が500℃の値を超える場合、制御装置26は、装置10への空気流量を減少させるように構成され、それにより発熱反応のための酸素を減少させ、次いで温度を低下させる。
【0067】
この混成型で二重目的の制御手法(例えば制御装置26としての比例積分微分PIDコントローラで両要素を制御できる)を採用することにより、温度変化を目標値よりも低く或いは目標値よりも高く制御することが可能となる。実際にこの制御手法の目的は、以下の理由のために、最適温度(例では500℃)を保つことである。すなわち、
-触媒プロセスCPで使用される触媒装置の触媒基材の最適作業状態を保証すること。触媒基材の表面は高温の影響を強く受ける。高温は早期の損耗を引き起こし、結果として転換効率及びシステム寿命の両方を低下させる可能性がある。
-あらゆる動作段階(始動、停止、定常状態、部分負荷など)の間、最小の汚染物質濃度を確保すること。異なる運転条件には異なる汚染物質種が存在する可能性があり、それに従って温度を調整できるようにすることで、触媒システムの最高効率を各条件に合わせる。
-λ制御を、安全範囲から外れた空気/可燃性ガス比から遠ざけることにより、燃焼の安全性を確保すること。
【0068】
図6A及び
図6Bは、装置10の制御要素、及び温度を所定範囲の値に維持するための対応する制御プロセス200の図である。制御要素は、加熱素子27、ファン要素15及び温度変換器28を備えることができ、これらは全て制御装置26に接続される。ファン要素15は、空気入口11に配置されて、装置10内の空気流を管理する。加熱素子27は、例えば触媒プロセスCPで使用される触媒装置の基材にて、装置10の触媒領域16に配置される。温度変換器28は出口領域14に配置され、混合ガスGMが触媒プロセスCPを経た後に温度が測定される。或いは温度変換器28は、触媒領域16において触媒表面に直接配置できる。
【0069】
加熱素子27は、弱LHVの可燃性ガスGでは自力燃焼を保証できない場合に起動される。制御ヒステリシスは、400~450℃の範囲に設定できる。空気噴射流量は、可変周波数ドライバ(VFD)により、バルブで制御されるバイパス又は機械的システムを通して制御できる。
【0070】
図6Bを参照すると、ステップS201において、混合ガスGMの温度値が触媒プロセスCPの後に、例えば
図6Aの温度変換器28によって測定される。これにより、触媒プロセスCPの間の温度変化が連続的に監視される。
【0071】
温度値が最高温度値(Tmax)よりも高い場合(S202)、本方法は、空気流を管理するステップS203を含む。既に述べたように、Tmaxは触媒プロセスCPで用いられる触媒基材の溶融温度であって、例えば550℃である。次いで処理はステップS201に戻り、混合ガスGMの温度を連続的に測定する。ステップS204で、温度値は最低温度値(Tmin)よりも低いと判断される。この場合、本方法は、加熱プロセスを稼働させるとともに制御ヒステリシスを所定温度範囲に設定するステップS205を含む。既に述べたように、Tminは汚染物質が減少し始める温度であって、例えば400℃である。
【0072】
次いで処理はステップS201に戻り、混合ガスGMの温度を連続的に測定する。温度がTmaxより低くTminより高い場合、温度はその最適値に達しており、ステップS206で本方法が維持される。
【符合の説明】
【0073】
10 装置
11 空気入口
12 入口領域
13 ガス入口
14 出口領域
15 ファン要素
16 触媒領域
17 センサポート
18 ステージ1
19 ステージ2
20 空隙
21 結合部
22 旋回誘導要素
23 貫通穴
24 螺旋構造
25 突出リム
26 制御装置
27 加熱素子
28 温度変換器
29 環構造
30 ハウジング
100 汚染物質を低減する方法
200 制御プロセス
【国際調査報告】