IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニーの特許一覧

特表2024-515028ポリスルホン及びポリオキサゾリンを含むブレンドからの濾過膜並びにその作製方法
<>
  • 特表-ポリスルホン及びポリオキサゾリンを含むブレンドからの濾過膜並びにその作製方法 図1
  • 特表-ポリスルホン及びポリオキサゾリンを含むブレンドからの濾過膜並びにその作製方法 図2
  • 特表-ポリスルホン及びポリオキサゾリンを含むブレンドからの濾過膜並びにその作製方法 図3
  • 特表-ポリスルホン及びポリオキサゾリンを含むブレンドからの濾過膜並びにその作製方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-04
(54)【発明の名称】ポリスルホン及びポリオキサゾリンを含むブレンドからの濾過膜並びにその作製方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 71/68 20060101AFI20240328BHJP
   B01D 69/06 20060101ALI20240328BHJP
   B01D 71/58 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
B01D71/68
B01D69/06
B01D71/58
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560271
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 IB2022052169
(87)【国際公開番号】W WO2022208202
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】63/167,768
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】オスターロー,ロマーナ
(72)【発明者】
【氏名】マレック,ダニエル ペー.
(72)【発明者】
【氏名】ストロシュケ,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】コワルチャク,バルトウォミエ
(72)【発明者】
【氏名】クリュム,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シュスター,オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】ブルジョア,ピエール-アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】トラスナー,マンフレート
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA06
4D006MA03
4D006MA21
4D006MA25
4D006MA27
4D006MB06
4D006MC51X
4D006MC63X
4D006MC74X
4D006NA04
4D006NA10
4D006NA12
4D006NA14
4D006NA16
4D006PA01
4D006PC41
(57)【要約】
非対称膜。非対称膜は、第1及び第2の多孔質表面とそれらの表面の間に位置する内部とを有する膜壁と、第1の表面に向いている第1の非対称領域と、第2の表面に向いている第2の非対称領域と、を含み、非対称膜は、芳香族スルホンポリマー及びポリ(2-オキサゾリン)を含むポリマーブレンドから作製され、非対称膜は、フラットシートの形態である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非対称膜であって、
第1及び第2の多孔質表面と、前記表面の間に位置する内部とを有する膜壁と、
前記第1の表面に向いている第1の非対称領域と、
前記第2の表面に向いている第2の非対称領域と、を含み、
前記非対称膜が、芳香族スルホンポリマー及びポリ(2-オキサゾリン)を含むポリマーブレンドから作製され、
前記非対称膜が、フラットシートの形態である、非対称膜。
【請求項2】
前記芳香族スルホンポリマーが、ポリスルホン又はポリエーテルスルホンを含む、請求項1に記載の非対称膜。
【請求項3】
前記ポリ(2-オキサゾリン)がポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(PEtOx)である、請求項1又は2に記載の非対称膜。
【請求項4】
前記第1の非対称領域及び/又は前記第2の非対称領域が分離層である、請求項1~3のいずれか一項に記載の非対称膜。
【請求項5】
前記第1の非対称領域の細孔径が、前記第2の非対称領域の細孔径よりも大きい、請求項1~4のいずれか一項に記載の非対称膜。
【請求項6】
前記ポリマーブレンドが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリグリコールモノエステル、ポリソルビテート、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、又はこれらのポリマーの修飾物若しくはコポリマーから選択される親水性ポリマーを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の非対称膜。
【請求項7】
前記親水性ポリマーが、前記膜の重量に対して1~75重量%の濃度で存在する、請求項6に記載の非対称膜。
【請求項8】
前記ポリマーブレンドが、7重量%超又は3重量%未満のポリビニルピロリドンを含む、請求項6に記載の非対称膜。
【請求項9】
前記ポリマーブレンドがポリビニルピロリドンを含まない、請求項1~5のいずれか一項に記載の非対称膜。
【請求項10】
前記ポリマーブレンドが、ブチロラクトン、グリセリン、カプロラクタム、又はそれらの組み合わせから選択される溶媒を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の非対称膜。
【請求項11】
前記ポリマーブレンドが疎水性ポリマーブレンドである、請求項1~10のいずれか一項に記載の非対称膜。
【請求項12】
前記第1の非対称領域と前記第2の非対称領域との間に本質的に等方性の領域を更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の非対称膜。
【請求項13】
前記等方性領域が分離層である、請求項12に記載の非対称膜。
【請求項14】
前記等方性領域の細孔径が、前記第1の非対称領域の細孔径及び前記第2の非対称領域の細孔径よりも小さい、請求項12に記載の非対称膜。
【請求項15】
前記等方性領域の細孔径が、前記第1の非対称領域の細孔径及び前記第2の非対称領域の細孔径よりも大きい、請求項12に記載の非対称膜。
【請求項16】
前記第1の非対称領域及び前記第2の非対称領域における細孔が、一方向に細長くなっている、請求項1~15のいずれか一項に記載の非対称膜。
【請求項17】
前記第1の非対称領域の細孔径が、前記第2の非対称領域の細孔径の2倍よりも大きい、請求項1~16のいずれか一項に記載の非対称膜。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の少なくとも2つの非対称膜を含む組み合わせ膜であって、前記少なくとも2つの非対称膜が互いに隣接して積層されている、組み合わせ膜。
【請求項19】
芳香族スルホンポリマー及びポリ(2-オキサゾリン)を含むキャスティング溶液を製造することと、
前記キャスティング溶液をキャスティング温度に調整することと、
前記キャスティング溶液をキャリア上に注いでフィルムを形成することと、
前記キャリア上に配置された前記フィルムを、環境制御されたゾーンを通して搬送することと、
前記キャリア上に配置された前記フィルムを凝固媒体に導入し、膜構造の形成のために前記フィルムの凝固を開始することと、
前記凝固媒体中で前記膜構造を安定化させることと、を含む、方法。
【請求項20】
前記膜構造を速度vで前記キャリアから回収することを更に含み、前記キャリアが速度vを有し、前記速度vが前記速度vよりも大きい、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記膜構造を延伸して、前記第2の非対称領域の細孔径よりも大きい前記第1の非対称領域の細孔径を得ることを更に含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記膜構造が、最大10%延伸される、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記膜構造が、最大50%延伸される、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記芳香族スルホンポリマーが、ポリスルホン又はポリエーテルスルホンを含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリ(2-オキサゾリン)がポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(PEtOx)である、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記キャスティング溶液が、溶媒を更に含む、請求項19~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記溶媒が、γ-ブチロラクトン及びε-カプロラクタムを含む、請求項19~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記キャスティング溶液が、前記溶液の重量に対して10~70重量%の前記芳香族スルホンポリマーと、前記溶液の重量に対して5~30重量%のポリ(2-オキサゾリン)とを含む、請求項19~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記キャスティング溶液が、前記溶液の重量に対して15~50重量%のブチロラクトンと、前記溶液の重量に対して10~50重量%のポリエチレングリコール及び/又はε-カプロラクタムとを更に含む、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
微多孔性ポリマー膜は、高精密濾過のために、広い範囲の工業用途、薬学的用途、又は医療用途で使用される。これらの用途では、膜分離プロセスの重要性が益々増加しており、それは、これらのプロセスには、分離される物質に熱応力がかからず、更には当該物質が影響を受けることもないという利点があるためである。精密濾過膜は、例えば、サブミクロン範囲まで小さなサイズを有する微細な粒子又は微生物の除去を可能にし、したがって、研究室で使用するか又は半導体工業で使用する精製水の製造に好適である。更に多くの膜分離プロセスの用途が、飲料工業で、バイオテクノロジー分野で、又は廃水技術で公知である。
【発明の概要】
【0002】
したがって、一態様では、本開示は、非対称膜であって、第1及び第2の多孔質表面と、これらの表面の間に位置する内部とを有する膜壁と、第1の表面に向いている第1の非対称領域と、第2の表面に向いている第2の非対称領域と、を含み、非対称膜が、芳香族スルホンポリマー及びポリ(2-オキサゾリン)を含むポリマーブレンドから作製され、非対称膜が、フラットシートの形態である、非対称膜を提供する。
【0003】
別の態様では、本開示は、
芳香族スルホンポリマー及びポリ(2-オキサゾリン)を含むキャスティング溶液を製造することと、キャスティング溶液をキャスティング温度に調整することと、キャスティング溶液をキャリア上に注いでフィルムを形成することと、キャリア上に配置されたフィルムを、環境制御されたゾーンを通して搬送することと、キャリア上に配置されたフィルムを凝固媒体に導入し、膜構造の形成のためにフィルムの凝固(coagulation)を開始することと、凝固媒体中で膜構造を安定化させることと、を含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】実施例1の膜の断面を示すSEM画像である。
図2】実施例2の膜の断面を示すSEM画像である。
図3】実施例3の膜の断面を示すSEM画像である。
図4】実施例4の膜の断面を示すSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示のいずれかの実施形態が詳細に説明される前に、本発明が、その適用において、以下の記載で示される、使用、構成、及び成分の配列の詳細に限定されないことは理解される。本発明は、他の実施形態が可能であり、かつ、本開示を読むことで当業者に明らかになる様々な方法で実施されること又は行われることが可能である。また、本明細書で使用される専門用語及び用語は、記述目的のためであり、限定するものとみなされるべきではないことは理解される。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」、又は「有する(having)」、及びそれらの変化形の使用は、その後に列挙される項目及びそれらの均等物、並びに追加的な項目を包含することを意味する。他の実施形態が利用されてもよく、かつ、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的又は論理的な変更がなされてもよいことは理解される。
【0006】
本開示は、芳香族スルホンポリマー及びポリ(2-オキサゾリン)を含むポリマーブレンドから作製される、特に濾過用の、フラットシートの形態の一体型非対称膜であって、第1及び第2の多孔質表面と、それらの表面の間に位置する内部とを有する膜壁を有し、膜壁上に細孔径分布を有する多孔質構造を有し、第1の表面に向いている第1の非対称領域と、第2の表面に向いている第2の非対称領域と、を有する、一体型非対称膜を提供する。いくつかの実施形態では、非対称膜は、フラットシートの形態であり得る。
【0007】
非対称膜は、概して、膜の分離特性を決定する最小限の細孔径を有する分離層と、膜の機械的安定性に関与するより大きな細孔を有する支持層とを有する。一体型非対称膜は、少なくとも1つの分離層又は領域と1つの支持層又は領域とを有する膜であると理解され、分離層及び支持層は同じ材料からなり、膜の製造中に同時に形成される。その結果、両方の層が一体型ユニットとして一緒に結合される。分離層から支持層への移行では、膜構造、例えば、細孔径に関する変化があるだけである。一体型非対称膜及びそれらの製造方法は、例えば、欧州特許第0361085(B1)号に記載されている。
【0008】
膜は、第1の非対称領域と第2の非対称領域との間に本質的に等方性の領域を有してもよい。本開示の文脈内で、本質的に等方性の領域は、本質的に一定の細孔径を有する膜壁の領域であると理解され、それによって、評価は、走査型又は透過型電子顕微鏡画像によって行われる。等方性領域は、膜壁を通って延びる流路が本質的に一定の平均直径を有する領域とみなすこともできる。全ての膜に当てはまるように、実際の細孔径は、本発明による膜においてもいくらか変動する、すなわち、細孔径分布が視覚的に等方性であるように見える場合であっても、ある特定の細孔径分布を有する。したがって、いくつかの実施形態では、本質的に等方性の領域において、細孔径は最大でおよそ15~20%変化する。細孔径がそれ以上増加しない等方性領域の好ましい存在により、機械的安定性の改善が達成され、それと同時に高い汚れ負荷能力を保持する。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の非対称領域の細孔径は、第2の非対称領域の細孔径より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の非対称領域の平均細孔径は、第2の非対称領域の平均細孔径より大きくてもよい。第1の非対称領域における細孔の平均直径は、2~50μmであり得る。第2の非対称領域における細孔の平均直径は、2~40μmであり得る。いくつかの実施形態では、第1の非対称領域の細孔径は、0.1~30μm、又は0.1~15μmであり得る。いくつかの実施形態では、第2の非対称領域の細孔径は、0.1~10μm、又は0.1~5μmであり得る。いくつかの実施形態では、等方性領域の細孔径は、第1の非対称領域の細孔径及び第2の非対称領域の細孔径よりも大きい。いくつかの実施形態では、等方性領域の平均細孔径は、第1の非対称領域の平均細孔径及び第2の非対称領域の平均細孔径よりも大きい。いくつかの実施形態では、等方性領域の平均細孔径は、第1の非対称領域の平均細孔径及び第2の非対称領域の平均細孔径よりも小さい。
【0010】
細孔の平均細孔直径又は細孔径は、例えば、米国特許出願公開第2017/0304780号(Asahiら)に記載されている方法によって決定することができる。細孔の平均細孔直径又は細孔径は、膜の断面を走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)で撮影することによって決定することができる。例えば、撮影倍率を50,000倍に設定し、視野を、膜の長さ方向に垂直な断面、又は長さ方向に平行で膜の中心を断面に対して水平に通る断面に設定する。初期設定された視野を撮影した後、撮影視野を膜厚方向に水平に移動させ、次の視野を撮影する。
【0011】
この撮影操作を、膜の外表面から内表面にわたる断面の写真が隙間なく撮影されるまで繰り返し、得られた写真を組み合わせて1枚の膜断面写真を得る。この断面写真において、外表面から内表面側に向かって(膜の周方向に2μm)×(外表面から内表面側に向かって1μm)の各領域における細孔の平均細孔直径を算出し、外表面から内表面側に向かって1μmごとに膜断面の傾斜構造を定量化する。このような定量化により、膜が傾斜型の多孔質構造を有するかどうかを判定することができる。
【0012】
平均細孔直径又は細孔径は、画像解析を用いた方法により算出することができる。具体的には、Media Cybernetics,Inc.により製造されたImage-pro plusを用いて、細孔部分とソリッド部分の二値化処理を行う。細孔部分とソリッド部分との間の識別はそれらの明るさに基づき、識別できない部分とノイズとをフリーハンドツールで補正する。細孔部分の輪郭を形成する縁部分、及び細孔部分の背後に観察される多孔質構造を細孔部分として識別する。二値化処理後、細孔を真円と仮定し、細孔の面積値から細孔の直径を算出する。この算出を全ての細孔の各々について行い、1μm×2μmの面積ごとに平均細孔直径を算出する。視野の末端に位置し、部分的に視野内にある細孔部分もカウントされる(すなわち、その直径は、部分的に視野内にある細孔部分の面積が1つの完全な真円の面積であると仮定して算出される)。
【0013】
芳香族スルホンポリマー及びポリ(2-オキサゾリン)は、膜全体に分布していてもよい。芳香族スルホンポリマー及びポリ(2-オキサゾリン)は、膜全体に均等に分布していてもよい。芳香族スルホンポリマー及びポリ(2-オキサゾリン)は、膜全体に均一に分布していてもよい。
【0014】
膜は、第1の非対称領域、第2の非対称領域、及び等方性領域のうちの少なくとも1つにおいて全体に分布している芳香族スルホンポリマー及びポリ(2-オキサゾリン)を有してもよい。
【0015】
本開示の芳香族スルホンポリマー、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリアリールエーテルスルホン、又はこれらのポリマーのコポリマー若しくは修飾物、又はこれらのポリマーの混合物を使用することができる。好ましい実施形態では、芳香族スルホンポリマーは、以下のような式(I)及び(II)で示される繰り返し分子単位を有するポリスルホン又はポリエーテルスルホンであり得る:
【化1】
【0016】
より好ましくは、式(II)に従うポリエーテルスルホンは、例えば、ポリスルホンよりも低い疎水性を有するので、芳香族スルホンポリマーが使用され得るのと同様に使用される。ポリエーテルスルホンは、約72kg/molからの分子量(molecular weight、MW)を有し得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、本開示のポリ(2-オキサゾリン)はポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(PEtOx)であり得る。ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)は、高いタンパク質反発能を有する。ポリ(2-オキサゾリン)の残基は、一般に、ポリマーの特性を、例えば、親水性から疎水性に変更するために、変化させることができる。ポリ(2-オキサゾリン)は、約25kg/mol~約500kg/molの分子量を有し得る。ポリ(2-オキサゾリン)は、約50kg/molからの分子量を有し得る。
【0018】
ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)は、約25kg/mol~約500kg/molの分子量を有し得る。ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)は、約25kg/mol~約100kg/molの分子量を有し得る。ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)は、約50kg/molの分子量を有し得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、本開示のポリ(2-オキサゾリン)は、様々な2-オキサゾリンモノマーのカチオン開環重合反応によって調製することができる。2-アルキル置換2-オキサゾリンモノマーの重合は、ポリ(2-アルキル-2-オキサゾリン)を提供する。
【0020】
ポリ(2-オキサゾリン)は、膜の重量に対して0.05~30重量%(重量パーセント)、0.5~30重量%、1~30重量%、5~30重量%、又は10~30重量%の濃度で存在することができる。ポリ(2-オキサゾリン)は、膜の重量に対して0.05重量%超、0.5重量%超、1重量%超、2重量%超、3重量%超、4重量%超、5重量%超、6重量%超、7重量%超、8重量%超、9重量%超、10重量%超、15重量%超、又は20重量%超の濃度で存在することができる。ポリ(2-オキサゾリン)は、膜の重量に対して30重量%未満、28重量%未満、25重量%未満、23重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、又は10重量%未満の濃度で存在することができる。
【0021】
ポリ(2-オキサゾリン)は、膜全体に分布していてもよい。ポリ(2-オキサゾリン)は、膜全体に均等に分布していてもよい。ポリ(2-オキサゾリン)は、膜全体に均一に分布していてもよい。
【0022】
膜は、第1の非対称領域、第2の非対称領域、及び等方性領域のうちの少なくとも1つにおいて全体に分布しているポリ(2-オキサゾリン)を有してもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、ポリマーブレンドは、親水性ポリマーを更に含んでもよい。例示的な親水性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリグリコールモノエステル、ポリソルビテート(polysorbitate)、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、又はこれらのポリマーの修飾物若しくはコポリマーを挙げることができる。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリエチレングリコールであり得る。いくつかの実施形態では、ポリマーブレンドはポリビニルピロリドンを含まない。いくつかの実施形態では、ポリマーブレンドは疎水性ポリマーブレンドであり得る。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、膜の重量に対して1~75重量%の濃度で存在することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、ポリマーブレンドは溶媒を含んでもよい。例示的な溶媒としては、グリコール、ブチロラクトン、カプロラクタム、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。いくつかの実施形態では、ポリマーブレンドは、7重量%超、10重量%超、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、60重量%超、70重量%超、80重量%超、又は90重量%超のポリビニルピロリドンを含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリマーブレンドは、3重量%未満、2重量%未満、又は1重量%未満のポリビニルピロリドンを含むことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、組み合わせ膜が提供される。組み合わせ膜は、本開示の少なくとも2つの非対称膜を含むことができる。少なくとも2つの非対称膜は、互いに隣接して積層される。
【0026】
本開示はまた、膜を製造するための方法であって、以下の工程:芳香族スルホンポリマー及びポリ(2-オキサゾリン)を含む均質なキャスティング溶液を製造する工程と、均質なキャスティング溶液をキャスティング温度に調整する工程と、均質なキャスティング溶液をキャリア上に注いでフィルムを形成する工程であって、キャリアが温度制御可能であり、キャスティング溶液のキャスティング温度と異なる温度又は同じ温度を有し、キャリアが速度vを有する、工程と、キャリア上に配置されたフィルムを、環境制御されたゾーンを通して搬送する工程と、キャリア上に配置されたフィルムを凝固媒体に導入し、膜構造の形成のためにフィルムの凝固を開始する工程と、速度vで移動する回収装置によって凝固媒体内でキャリアから膜構造を回収し、それによって膜構造を引っ張る工程と、凝固媒体中で膜構造を安定化させる工程と、得られた膜を抽出し、続いて膜を乾燥させる工程と、を含む、方法を提供する。
【0027】
方法は、キャリアの速度vよりも大きい速度vを調整することによって膜構造を延伸することを更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、膜構造は、最大10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%延伸される。膜構造を延伸することは、膜断面に内部応力をもたらし得る。いくつかの実施形態では、膜の2つの異なる表面上の応力は等しくない。結果として生じる応力は、キャリアに面する側でより高く、したがって、まさにこの側が、より大きい細孔径を有する、この第1の表面に向いている第1の非対称領域となる。したがって、この第1の側は、通常、濾過プロセスにおける膜の上流側として使用される。第2の表面(下流側)に向いている第2の非対称領域における細孔は、第1の表面(上流側)に向いている第1の非対称領域における細孔よりも小さい。いくつかの実施形態では、第1の非対称領域の細孔径は、第2の非対称領域の細孔径の2倍よりも大きい、3倍よりも大きい、4倍よりも大きい、5倍よりも大きい、6倍よりも大きい、7倍よりも大きい、8倍よりも大きい、9倍よりも大きい、又は10倍よりも大きい。開いた上流側(第1の表面に向いている第1の非対称領域における、より大きい細孔径)は、良好なスループット性能を提供することができる。
【0028】
膜を一方向に延伸すると、第1及び第2の非対称領域に、延伸方向に配向された細孔が生じる。膜を一方向に延伸すると、第1及び第2の非対称領域に、延伸方向に細長い細孔が生じ、例えば、卵型の細孔が生じる。いくつかの実施形態では、細長い細孔は、楕円形断面を有する。細長い細孔の場合、細孔開口部の最長寸法は、延伸方向に配向される。いくつかの実施形態では、細長い細孔は、膜の第1及び第2の表面にある。いくつかの実施形態では、第1及び第2の非対称領域における細孔は、同じ又は異なる方向に細長くすることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1の非対称領域は、内側等方性領域の外縁から膜の第1の(上流)表面まで延在する。いくつかの実施形態では、第2の非対称領域は、内側等方性領域の外縁から膜の第2の(下流)表面まで延在する。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1の非対称領域における細孔の平均細孔径は、膜の第1の表面から膜の内部に向かう方向に減少する。いくつかの実施形態では、第2の非対称領域における細孔の平均細孔径は、膜の第2の表面から膜の内部に向かう方向に減少する。いくつかの実施形態では、第1の非対称領域における細孔の平均細孔径は、膜の第1の表面から膜の内部に向かう方向に増加する。いくつかの実施形態では、第2の非対称領域における細孔の平均細孔径は、膜の第2の表面から膜の内部に向かう方向に増加する。
【0031】
キャスティング溶液は、親水性ポリマーを含んでもよい。例示的な親水性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリグリコールモノエステル、ポリソルビテート、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、又はこれらのポリマーの修飾物若しくはコポリマーを挙げることができる。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリエチレングリコールであり得る。いくつかの実施形態では、キャスティング溶液はポリビニルピロリドンを含まない。
【0032】
キャスティング溶液は溶媒を含んでもよい。キャスティング溶液の調製に使用される溶媒系は、膜形成スルホンポリマーに適合するべきである。好ましくは、溶媒系は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン若しくはこれらの混合物のような極性非プロトン性溶媒、又はε-カプロラクタムのようなプロトン性溶媒を含む。加えて、溶媒系は、最大80重量%の潜在性溶媒を含有することができ、ここで、本発明の文脈において、潜在性溶媒は、スルホンポリマーを不十分に溶解させるか、又は温度が上昇した状態でのみ溶解させる溶媒として理解される。溶媒としてε-カプロラクタムを用いる場合には、例えば、γ-ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、ポリアルキレングリコールを用いることができる。これに加えて、溶媒系は、例えば、水、グリセリン、1,600ダルトン未満の重量平均分子量を有する低分子ポリエチレングリコール、又はエタノール若しくはイソプロパノールなどの低分子アルコールのような膜形成ポリマーのための非溶媒を含有することができる。
【0033】
本発明による方法の実現のために、及び本発明による膜の特徴的な構造の形成のために、キャスティング溶液の粘度を30Pa s未満の値に設定することが有利であり、20Pa s未満の値に設定することがより有利であり、そのために粘度を60℃で決定する。粘度の設定は、特に、本発明による方法において使用される親水性の第2のポリマーの選択及び濃度によって行うことができる。
【0034】
キャスティング溶液を注いでフィルムを形成することは、それ自体が公知である方法に従って、例えば、シート押出ダイ、キャスト型、又はドクターブレードのような従来の成形ツールによって行うことができる。キャスティング溶液は、遅くとも成形ツール内で成形温度に設定される。キャスティング溶液の注入は、温度制御することができるキャリア上で行われ、ここでも、凝固した膜を後に回収することができる従来のキャリアを用いることができる。例えば、コート紙又はスチールテープを使用することができる。好ましくは、温度制御可能なキャリアは、温度制御することができる加熱ロール、すなわちキャスティングローラであり、その上にフィルムが注がれる。
【0035】
キャリアの温度は、キャスティング溶液のキャスティング温度と異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、キャリアの温度は、キャスティング溶液のキャスティング温度よりも高い。これにより、注がれたフィルムの厚さにわたってキャスティング溶液中に粘度勾配が生じる。キャリア温度の上昇のために、注がれたフィルムは、キャリアの領域においてより低い粘度を有し、これにより、細孔がより粗い構造が、後の凝固媒体との接触の間に形成される。いくつかの実施形態では、キャリア温度は、好ましくは、キャスティング温度よりも少なくとも15℃、より好ましくは少なくとも20℃高い。
【0036】
非対称構造を作成するために、キャリア上に配置されたフィルムは、規定の温度及び規定の相対湿度が設定された環境制御されたゾーンを通して搬送され得る。好ましくは、環境制御されたゾーンの温度は25~60℃の範囲にあり、相対湿度は好ましくは20~95%の範囲の値に設定される。環境制御されたゾーンにおけるフィルムの保持時間、及び環境制御されたゾーンにおける注がれたフィルム上の空気のオーバーフロー速度は、非溶媒として作用する空気湿度の上昇によって予備凝固が誘導されるように決定されるべきである。
【0037】
環境制御されたゾーンを通過した後、キャリア上に配置されたフィルムは、凝固媒体に導入され、膜構造の形成のために凝固が開始される。好ましくは、凝固媒体は、室温よりも高い温度に調整され、より好ましくは30℃よりも高い温度を有する。本発明による方法の好ましい実施形態では、凝固媒体は、水又は水浴である。
【0038】
凝固媒体中で、フィルムを、膜構造が既に十分な安定性を有し、キャリアから、すなわち好ましくはキャスティングローラから回収することができる程度に、最初に析出させて膜構造を形成する。キャスティングローラからの回収は、回収装置によって、例えば、引き取り(drawing-off)ローラによって行われ、ここで、本発明によれば、回収速度vは、キャリアの速度vよりも大きく、膜構造が引っ張られる。好ましくは、回収装置の速度vのキャリアの速度vに対する比は、1.01:1~1.5:1の範囲にある。これにより、キャリアに面する得られた膜の側に高い表面多孔性が達成される。
【0039】
回収装置に続いて、後続の凝固浴中で凝固が完了し、膜が安定化される。これらの凝固浴は、第1の前述の凝固浴と比較して、より高い温度を有することができる。温度は浴から浴へ段階的に上昇させることもできる。それによって、凝固浴中で、溶媒系の抽出と、通常は膜構造からの親水性の第2のポリマーの一部の抽出とが同時に起こり、その結果、凝固浴は洗浄浴又は抽出浴として同時に機能する。これらの凝固浴又は洗浄浴における凝固媒体又は洗浄媒体として、水が使用されることが好ましい。
【0040】
いくつかの実施形態では、キャスティング溶液は、溶液の重量に対して10~70重量%の芳香族スルホンポリマーと、溶液の重量に対して5~30重量%のポリ(2-オキサゾリン)とを有することができる。キャスティング溶液は、溶液の重量に対して5~80重量%のポリマー成分のための溶媒、溶液の重量に対して0~80重量%のポリマー成分のための潜在性溶媒、及び溶液の重量に対して0~70重量%のポリマー成分のための非溶媒を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、キャスティング溶液は、溶液の重量に対して15~50重量%のγ-ブチロラクトンと、溶液の重量に対して10~50重量%のポリエチレングリコール又はカプロラクタムとを含んでもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、キャスティング溶液は、溶液の重量に対して5~30重量%の芳香族スルホンポリマー及びポリ(2-オキサゾリン)と、溶液の重量に対して5~30重量%の親水性ポリマーと、溶液の重量に対して20~60重量%の溶媒とを有することができる。
【0042】
とりわけ、それらの多孔性の上流側に起因して、膜は、高いスループットによって、したがって、水の高い膜貫通流量によって区別される。本発明による膜は、好ましくは少なくとも2000L/mのスループットを有する。いくつかの実施形態では、好ましくは、濾過媒体、例えば、ビール又は水の少なくとも3000L/m、3500L/m、4000L/m、4500L/m、5000L/m、5500L/m、6000L/m、又は6500L/mのスループットを有する。
【0043】
本発明は、優れたタンパク質反発特性を有するポリマー膜を提供する。したがって、これらの膜はよりゆっくりとブロックし、より高いスループット挙動を示し、したがってより長い寿命を示す。これらの膜は更に、高度に選択的な膜の調製に有望なほぼ非対称の構造を示す。
【0044】
記載された方法は、芳香族スルホンポリマー及びポリ(2-オキサゾリン)が膜全体に分布している膜を提供する。記載された方法は更に、芳香族スルホンポリマー及びポリ(2-オキサゾリン)が膜全体に均等に分布している膜を提供する。記載された方法は更に、芳香族スルホンポリマー及びポリ(2-オキサゾリン)が膜全体に均一に分布している膜を提供する。
【0045】
記載された方法は、ポリ(2-オキサゾリン)が膜全体に分布している膜を提供する。記載された方法は更に、ポリ(2-オキサゾリン)が膜全体に均等に分布している膜を提供する。記載された方法は更に、ポリ(2-オキサゾリン)が膜全体に均一に分布している膜を提供する。
【0046】
膜のタンパク質反発特性と組み合わせた多孔性上流側の作成は、より少ない汚染(fouling)及びより高いスループットに起因して、より良好な濾過特性を提供することができる。
【0047】
フラットシートの形態の本発明による膜、すなわち、本発明によるフラット膜は、特に精密濾過に好適である。膜において、分離層又は分離領域は、最小限の細孔径を有する膜の層又は領域である。分離層は、分離層の細孔径に基づいて、ある特定の粒子、分子、又は微生物を膜内又は膜上に保持するように機能する。
【0048】
いくつかの実施形態では、分離層は、膜の等方性領域であり得る。いくつかの実施形態では、分離層は、第1の非対称領域及び/又は第2の非対称領域であり得る。いくつかの実施形態では、膜は、第1の非対称領域を含む第1の分離層と、第2の非対称領域を含む第2の分離層とを有する。いくつかの実施形態では、膜は、第1の非対称領域を含む第1の分離層と、第2の非対称領域を含む第2の分離層と、第1及び第2の非対称領域の間に挟まれた等方性領域とを有する。いくつかの実施形態では、分離層は、第1の非対称領域、第2の非対称領域及び等方性領域以外の領域であり得る。このタイプの膜は、原則として、0.01~10μm、好ましくは0.1~5μm、より好ましくは0.2~2μmの分離細孔の直径を有する。好ましくは、本発明によるフラット膜は、10~300μm、より好ましくは30~220μmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、支持層は、等方性領域、第1の非対称領域及び第2の非対称領域のうちの少なくとも1つであり得る。例えば、分離層が膜の等方性領域である場合、支持層は、第1の非対称領域及び/又は第2の非対称領域であり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、非対称膜又は組み合わせ膜を使用する方法が提供される。非対称膜又は組み合わせ膜は、液体組成物を濾過するために使用することができる。液体組成物は、水性組成物、例えば、水又はビールであり得る。いくつかの実施形態では、非対称膜又は組み合わせ膜を使用して、液体組成物から1つ以上の微生物を除去することができる。微生物は、細菌又は酵母、例えば、Lactobacillus brevis又はSaccharomyces cerevisiaeであってもよい。いくつかの実施形態では、膜又は組み合わせ膜を通して液体組成物を濾過する場合、1、2、3、4、又は5を超えるコロニー形成単位(cfu)数のlog10減少が達成され得る。いくつかの実施形態では、膜又は組み合わせ膜を通して液体組成物を濾過する場合、1~7のcfu数のlog10減少が達成される。
【0050】
以下の実施例は、本開示の例示を意図するものであって限定的なものではない。
【実施例
【0051】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例に記載された特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に限定するものと解釈されるべきではない。
【表1】
【0052】
方法A.膜貫通流量(Transmembrane Flow、TMF)を決定する方法
サンプルディスク(直径90~130mm)を膜シートから打ち抜いた。単一のディスクを、ディスクの上に配置された流体入口ポート及びディスクの下に配置された流体出口ポートを有するサンプルホルダ内に平らに置いた。より小さい細孔を有するディスク表面が流体入口に面し、より大きい細孔を有するディスク表面が流体出口に面するように、ディスクをホルダ内に配向させて、ホルダを密封した。露出した膜の前面表面積は43.2cmであった。脱イオン水(25℃)を0.1~0.2バールの規定圧力でポンプ輸送し、水は、入口に入り、膜を通って重力の方向に流れ、次いで出口ポートを通って受け容器に出た。水を1分間収集し、重量測定又は体積測定のいずれかで測定した。式1を用いて膜貫通流量(TMF)を計算した。
【0053】
式1.
【数1】
[式中、
=測定期間中に膜サンプルを通って流れる水の体積[mL]
Δt=測定時間[分]
=水が浸透した膜サンプルの前面表面積
Δp=測定中に設定した圧力[バール]である]
【0054】
方法B.最大分離細孔(バブルポイント)を決定する方法
最大分離細孔の直径(dmax)は、バブルポイント(bubble point、BP)法(ASTM番号128-61及びF316-86)により決定し、例えば、独国特許第3617724号(Reichelt)に記載されている方法が好適である。式2に示すように、dmaxは、バブルポイントに関連する蒸気圧Pから得られる。
【0055】
式2.
max=s/P
[式中、sは、測定中に使用される湿潤液に主に依存する定数である。]
本開示の例では、湿潤液は水であった。水の場合、sは25℃で2.07μm・バールである。
【0056】
方法C.ビールサンプルの膜スループット(TP)を決定する方法
試験前に、ビールサンプルを0.2バール及び25℃で17時間脱気した。実験は、サンプルタンクと、80mL/分の一定流量で動作するプランジャポンプとを備えた試験装置を使用して行った。濾過中の背圧は、ポンプとフィルタホルダとの間に配置された圧力センサを使用して決定した。
【0057】
13.7cmの膜ディスクを膜シートから切り取った。膜を水で5分間予備湿潤し、次いでフィルタホルダ内に平らに置いた。ホルダは、ディスクの上に配置された流体入口ポート及びディスクの下に配置された流体出口ポートを含有した。ビールは、入口ポートを通して密封ホルダ内にポンプ輸送され、膜を通って重力の方向に流れ、出口ポートを出て受け容器に入った。膜は、より大きな細孔及びより高い多孔性を有する膜の表面(すなわち、上流膜表面)が入口ポートに面するように、ホルダ内で配向された。測定を開始する前に、装置に試験されるビールを充填し、充填された装置を、通気弁を用いて脱気した。1.0バールの背圧に達したときに濾過を停止した。濾過時間を記録した。
【0058】
フィルタを通過するビールの総体積を、流量(L/分)と背圧が1.0バールに達するまでの経過時間(分)との積から算出した。スループット(1.0バールでのL/m)を、(1.0バール)でのフィルタの前面表面積(m)当たりのビールの総体積(L)として決定した。2つのタイプのビ-ルサンプル、すなわちピルスナー及びベルギー式白ビ-ルを試験した。
【0059】
方法D.膜濾過後のサンプル中のLactobacillus brevis又はSaccharomyces cerevisiaeの減少を決定するための方法。
【0060】
Lactobacillus brevis及びSaccharomyces cerevisiaeは、DSMZ German Collection of Microorganisms and Cell Cultures,Braunschweig,Germanyから入手した。
【0061】
L.brevisの画線プレートを凍結ストックサンプルからMRS寒天上で調製し、酸素の非存在下、30℃で72時間インキュベートした。画線プレートからの単一のコロニーを、無菌培養フラスコ中の10mLのMRS培地に移すことによって、L.brevisの培養を開始した。L.brevisの培養フラスコを30℃で72時間インキュベートした。得られた細胞培養物を酢酸緩衝液(pH4.0)で希釈し、細胞数を約2×10~2×10cfu/mL(cfu=コロニー形成単位)の最小値に調整した。これは、濾過のための細菌の開始濃度であった。
【0062】
S.cerevisiaeの画線プレートを凍結ストックサンプルからサブロー寒天培地上で調製し、30℃で72時間インキュベートした。画線プレートからの単一のコロニーを、無菌培養フラスコ中の1Lの酵母培地に移すことによって、S.cerevisiaeの培養を開始した。S.cerevisiaeの培養フラスコを30℃で24時間浸透しながらインキュベートした。培養物を滅菌蒸留水で連続希釈して、およそ2×10~2×10cfu/mLの結果のS.cerevisiae濃度を有するサンプルを得た。これは、濾過のための細菌の開始濃度であった。
【0063】
サンプルディスク(127cm)を膜から切断し、フィルタホルダ内に平らに置いた。密封されたフィルタホルダは、ディスクの上に配置された流体入口ポート及びディスクの下に配置された流体出口ポートを含有した。培養サンプル(1L)を加圧濾過し(2.07バール)、培養サンプルは入口ポートを通ってホルダに入り、膜を通って重力の方向に流れ、出口ポートを出て受け容器に入った。膜は、より大きな細孔及びより高い多孔性を有する膜の表面(すなわち、上流膜表面)が入口ポートに面するように、ホルダ内で配向された。濾液(1L)を、滅菌法を使用して受け容器に収集した。
【0064】
L.brevisについては、濾液サンプルを滅菌蒸留水で連続希釈し、0.2mLの各希釈サンプルをMRS寒天プレート上に画線した。あるいは、高い保持性能が期待される場合、完全な濾液を、希釈せずに0.2μm膜滅菌フィルタを通して濾過し、フィルタをMRS寒天プレート上に移した。播種したプレートを30℃で7日間インキュベートし、各プレート中のコロニー形成単位(cfu)を目視検査によって計数した。試験サンプル及び濾液サンプル中のL.brevisの対応する濃度(cfu/mL)を、希釈倍率に基づいて算出した。
【0065】
S.cerevisiaeについては、完全な濾液を、希釈せずに0.2ミクロン膜滅菌フィルタを通して濾過し、フィルタをサブロー寒天プレート上に移した。播種したプレートを30℃で7日間インキュベートし、各プレート中のコロニー形成単位(cfu)を目視検査によって計数した。試験サンプル及び濾液サンプル中のS.cerevisiaeの対応する濃度(cfu/mL)を、希釈倍率に基づいて算出した。
【0066】
膜による細菌保持を、対数減少値(logarithmic reduction value、LRV)として式3に従って算出した。
【0067】
式3.
LRV=
log10[濾過前のサンプル中の細菌濃度(cfu/mL)/濾液中の細菌濃度(cfu/mL)]
【0068】
方法E.キャスティング溶液の粘度を決定する方法
キャスティング溶液の粘度を、Z20DINセンサ装置(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)を備えたHAAKE RheoStress 1レオメータ(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)を使用して、60℃及び10s-1のせん断速度で決定した。
【0069】
実施例1
50重量%のγ-ブチロラクトンと50重量%のε-カプロラクタムとの混合物を温度調節可能なタンク内で40℃に調整し、撹拌して、18.75kgのポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)を添加した。タンクを50℃に加熱し、混合物を2時間撹拌した。次に、1.5kgのグリセロール及び1.2kgの水を添加した。混合物を50℃で30分間撹拌し、次いで、1.95kgのスルホン化ポリエーテルスルホン(sulfonated polyethersulfone、SPES、5%のスルホン化度を有する)及び22.8kgのポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)を添加した。混合物を10分間撹拌した。真空の生成及び窒素の適用によって、酸素をタンクから大部分除去した。タンクを50℃に加熱し、24時間激しく撹拌した後に均質な溶液を得た。次いで、溶液を真空によって脱気した。得られたキャスティング溶液は、60℃で7.4Pa sの粘度及び85.6のtanδを有していた。
【0070】
完成したキャスティング溶液を、50℃に調整したキャスト型を用いて、40℃に調整した金属キャスティングローラ上に注いで、厚さが約160マイクロメートルのフィルムを形成した。キャスティングローラ上に配置されたフィルムを、環境制御されたゾーンを通して搬送し、そこで約35秒間、40℃及び40%の相対湿度の環境に曝露した。環境制御されたゾーンから、フィルムを、40℃に調整した水の凝固浴に導入した。膜構造の形成のための35秒の保持時間の後、膜を凝固浴から回収し、キャスティングローラ速度と比較して16%増加した速度の引き取りローラによって洗浄浴に搬送した。ローラ速度が増加するにつれて、膜構造は引っ張られ、表面細孔を開いた。洗浄浴において、膜を90℃まで段階的に上昇する温度で水中に固定して、膜から溶媒及びポリマー添加剤を抽出した。ドラム乾燥機(60~80℃)を使用して膜を乾燥させた。洗浄及び乾燥領域内では、約5%の更なるローラ速度の増加があった。
【0071】
完成した膜は親水性の非対称膜であった。膜の断面構造のSEM画像を図1に提供する。膜は、膜の一方の表面(下流表面)から約5μmの距離に内部分離層(すなわち、最小の細孔径を有する層)を有する断面構造を有した。分離層の細孔径は、第2の非対称領域を形成する膜内部に向かって増加した。次いで、細孔径は、本質的に等方性の領域を形成する壁厚の約3/4の領域にわたって本質的に変化しないままであった。膜の反対側の表面(上流表面)に達する前に、細孔径は増加して第1の非対称領域を形成した。膜の両面での細孔は延伸方向に細長くなっていた。
【0072】
膜の膜厚、膜貫通流量及びバブルポイント測定値を表2に報告する。流体としてビールを用いた膜スループット測定値を表3に報告する。L.brevis又はS.cerevisiaeのいずれかのサンプルを濾過した後の微生物数の減少(LRV)を、表4に報告する。
【0073】
実施例2
凝固水浴を40℃の代わりに37℃に調整したことを除いて、実施例1で報告したものと同じ手順に従った。
【0074】
完成した膜は親水性の非対称膜であった。膜の断面構造のSEM画像を図2に提供する。膜は、膜の一方の表面(下流表面)から約5マイクロメートルの距離に内部分離層(すなわち、最小の細孔径を有する層)を有する断面構造を有した。分離層の細孔径は、第2の非対称領域を形成する膜内部に向かう方向に増加した。次いで、細孔径は、等方性領域を形成する壁厚の約4/5の領域にわたって本質的に変化しないままであった。膜の反対側の表面(上流表面)に達する前に、細孔径は増加して第1の非対称領域を形成した。膜の両面での細孔は延伸方向に細長くなっていた。
【0075】
膜の膜厚、膜貫通流量及びバブルポイント測定値を表2に報告する。流体としてビールを用いた膜スループット測定値を表3に報告する。L.brevis又はS.cerevisiaeのいずれかのサンプルを濾過した後の微生物数の減少(LRV)を、表4に報告する。
【0076】
実施例3
引き取りローラを、膜の延伸を生じないキャスティングローラと同じ速度で操作したことを除いて、フラットシート膜の形成のための実施例1に記載されたものと同じ手順に従った。
【0077】
完成した膜は親水性の非対称膜であった。膜のSEM画像を、膜の断面構造を示す図3に提供する。膜は、2つの非対称領域が分離層である断面構造を有した。第1の分離層は第1の膜表面に隣接しており、細孔径は、第1の非対称領域を形成する膜の内側部分に向かう方向に増加した。細孔径は、等方性領域を形成する膜の中央部分にわたって本質的に変化しないままであった。次いで、細孔径は、第2の分離層としての第2の非対称領域を形成する第2の表面に向かう方向に減少し始めた。
【0078】
膜の膜厚、膜貫通流量及びバブルポイント測定値を表2に報告する。流体としてビールを用いた膜スループット測定値を表3に報告する。L.brevis又はS.cerevisiaeのいずれかのサンプルを濾過した後の微生物数の減少(LRV)を、表4に報告する。
【表2】
【表3】
【表4】
【0079】
実施例4
50重量%のγ-ブチロラクトンと50重量%のε-カプロラクタムとの混合物67.2kgの混合物を温度調節可能なタンク内で40℃に調整し、撹拌し、混合物が均質になるまで撹拌しながら、10.5kgの微細分散ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)を添加した。次に、26.1kgのPEG200、26.1kgのPEG600及び0.6kgの水を添加し、続いて19.5kgのポリエーテルスルホン(PES)を添加した。PESを撹拌しながらタンクに振り入れ、反応を4時間維持した。次いで、真空の生成及び窒素の適用によって、酸素をタンクから大部分除去した。タンクを50℃に加熱し、24時間激しく撹拌した後に均質な溶液を得た。溶液を真空によって脱気した。得られたキャスティング溶液は、60℃で1.2Pa sの粘度及び56.7のtanδを有していた。
【0080】
完成したキャスティング溶液を、50℃及び60%の相対湿度に調整したキャスト型を用いて、70℃に調整した金属キャスティングローラ上に注いで、厚さが約180マイクロメートルのフィルムを形成した。キャスティングローラ上に配置されたフィルムを、環境制御されたゾーンを通して搬送し、そこで約35秒間、50℃の相対湿度の環境に曝露した。環境制御されたゾーンから、フィルムを、70℃に調整した水の凝固浴に導入した。膜構造の形成後、膜を引き取りローラによって回収し、続いて洗浄浴に搬送した。洗浄浴において、膜を90℃まで徐々に上昇する温度で水中に固定して、膜から溶媒及びポリマー添加剤を抽出した。ドラム乾燥機(60~80℃)を使用して膜を乾燥させた。洗浄及び乾燥領域内では、約9%の更なるローラ速度の増加があった。
【0081】
完成した膜は親水性の非対称膜であった。膜のSEM画像を、膜の断面構造を示す図4に提供する。膜は2つの非対称領域の断面構造を有し、等方性領域が非対称領域の間に挟まれていた。第1の非対称領域は、膜の一方の表面に隣接する第1の開放多孔質層を有し、領域内の細孔径は膜の内側部分に向かう方向に減少していた。細孔径は、等方性領域を形成する膜の中央部分にわたって本質的に変化しないままであった。細孔径は、第2の非対称領域を形成する膜の反対側の表面に向かう方向に増加する。その結果、内側等方性領域は分離層であった。この構成では、第1の非対称領域は第2の非対称領域よりも大きい細孔を有し、第1及び第2の非対称領域の両方は等方性領域よりも大きい細孔を有した。膜のTMFは45mL/(cm・分・バール)であり、バブルポイントは2.1バールであった。
【0082】
実施例5
単一膜の代わりに2つの膜のスタックを使用して、方法Cに記載された手順を用いてピルスナービールのスループットを測定した。スタックは、実施例1からの2枚の膜ディスクからなった。アセンブリでは、スタック内の第1の膜ディスクを第2の膜ディスクの直上に置いて、動作時にビールサンプルが最初に第1のディスクを通り、次いで第2のディスクを通って流れるようにした。ディスクはスタック内で、各膜について、膜の上流表面(より大きい細孔を有する表面)がフィルタホルダの入口ポートに面するように配向した。流体としてビールを用いた膜スループットを表6に報告する。
【0083】
実施例6
実施例1からの膜ディスクを実施例2からの膜ディスクに置き換えたことを除いて、実施例5に記載された手順に従った。ディスクはスタック内で、各膜について、膜の上流表面(より大きい細孔を有する表面)がフィルタホルダの入口ポートに面するように配向した。流体としてビールを用いた膜スループットを表6に報告する。
【0084】
実施例7
実施例1からの1枚のディスク及び実施例2からの1枚のディスクをスタックに使用したことを除いて、実施例5に記載された手順に従った。実施例1からのディスクはスタック内の第1の膜であり、実施例2からのディスクはスタック内の第2の膜であった。アセンブリでは、スタック内の第1の膜ディスク(実施例1)を第2の膜ディスク(実施例2)の直上に置いて、動作時にビールサンプルが最初に第1のディスクを通り、次いで第2のディスクを通って流れるようにした。ディスクはスタック内で、各膜について、膜の上流表面(より大きい細孔を有する表面)がフィルタホルダの入口ポートに面するように配向した。流体としてビールを用いた膜スループットを表6に報告する。
【表5】
【0085】
実施例8
方法Dに記載された手順を使用して、2枚ディスクスタックの膜フィルタディスクを通した培養サンプルの濾過時のL.brevis(cfu数)の対数減少を測定した。スタックは、実施例1からの2枚の膜ディスクからなった。アセンブリでは、スタック内の第1の膜ディスクを第2の膜ディスクの直上に置いて、動作時に培養サンプルが最初に第1のディスクを通り、次いで第2のディスクを通って流れるようにした。ディスクはスタック内で、各膜について、膜の上流表面(より大きい細孔を有する表面)がフィルタホルダの入口ポートに面するように配向した。膜スタックを通してサンプルを濾過した後のL.brevis数の減少(LRV)を表7に報告する。
【0086】
実施例9
実施例1からの膜ディスクを実施例2からの膜ディスクに置き換えたことを除いて、実施例8に記載された手順に従った。ディスクはスタック内で、各膜について、膜の上流表面(より大きい細孔を有する表面)がフィルタホルダの入口ポートに面するように配向した。膜スタックを通してサンプルを濾過した後のL.brevis数の減少(LRV)を表7に報告する。
【0087】
実施例10
実施例1からの1枚のディスク及び実施例2からの1枚のディスクをスタックに使用したことを除いて、実施例8に記載された手順に従った。実施例1からのディスクはスタック内の第1の膜であり、実施例2からのディスクはスタック内の第2の膜であった。アセンブリでは、スタック内の第1の膜ディスクを第2の膜ディスクの直上に置いて、動作時に培養サンプルが最初に第1のディスクを通り、次いで第2のディスクを通って流れるようにした。ディスクはスタック内で、各膜について、膜の上流表面(より大きい細孔を有する表面)がフィルタホルダの入口ポートに面するように配向した。膜スタックを通してサンプルを濾過した後のL.brevis数の減少(LRV)を表7に報告する。
【表6】
【0088】
本明細書において引用された全ての参考文献及び刊行物は、参照によりそれらの全体が本開示に明示的に組み込まれる。本発明の例示的な実施形態を検討し、本発明の範囲内で可能な変形例を参照した。例えば、1つの例示的な実施形態との関連において記載される特徴が、本発明の他の実施形態との関連において使用され得る。本発明におけるこれらの及び他の変形及び改変は本発明の範囲から逸脱することなく当業者にとって明らかであり、本発明が本明細書に記載される例示的な実施形態に限定されないことは理解されるべきである。したがって、本発明は、以下に提供されている特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】