(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-04
(54)【発明の名称】Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))を含む発泡剤
(51)【国際特許分類】
C09K 3/00 20060101AFI20240328BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
C09K3/00 111B
C09K3/00 ZAB
C08G18/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560475
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 US2022071409
(87)【国際公開番号】W WO2022213067
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ユー、ビン
(72)【発明者】
【氏名】クルグロフ、アレクセイ
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034HA00
4J034NA01
4J034NA02
4J034SA02
(57)【要約】
本開示は、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))及びシクロペンタンを、それぞれ、65重量%~99重量%及び1重量%~35重量%の量で含む、ポリウレタン発泡体及びポリイソシアヌレート発泡体のための発泡剤を提供する。本開示は、ポリウレタン発泡体又はポリイソシアヌレート発泡体、及び低い初期ラムダ値を有するZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))及びシクロペンタンを含む発泡剤、から形成された発泡体を更に提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性組成物であって、
発泡体形成剤と、
発泡剤組成物であって、
Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物を、前記Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの合計重量に基づいて、1重量%~35重量%のシクロペンタン及び65重量%~99重量%のZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))の量で含む、発泡剤組成物と、を含む、発泡性組成物。
【請求項2】
前記発泡体形成剤が、ポリウレタン発泡体及びポリイソシアヌレート発泡体のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の発泡性組成物。
【請求項3】
少なくとも1つの界面活性剤を更に含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載の発泡性組成物。
【請求項4】
少なくとも1つの触媒を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の発泡性組成物。
【請求項5】
少なくとも1つの引火性抑制剤を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の発泡性組成物。
【請求項6】
ポリマー改質剤、強化剤、着色剤、色素、溶解度増強剤、レオロジー調節剤、可塑剤、抗菌剤、粘度低下調節剤、充填剤、蒸気圧調整剤、及びこれらのうちのいずれか2つ以上の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのアジュバントを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発泡性組成物。
【請求項7】
発泡体であって、
発泡体形成剤、及び
発泡剤組成物であって、
Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物を、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの合計重量に基づいて、1重量%~35重量%のシクロペンタン及び65重量%~99重量%のZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))の量で含む、発泡剤組成物、から形成されている、発泡体。
【請求項8】
前記発泡体形成剤が、ポリウレタン発泡体又はポリイソシアヌレート発泡体を含む、請求項7に記載の発泡体。
【請求項9】
前記発泡体の初期ラムダ値が、20.5mW/mK以下である、請求項7又は8に記載の発泡体。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか一項に記載の発泡体を含む、ブロック。
【請求項11】
請求項7~9のいずれか一項に記載の発泡体を含む、スラブ。
【請求項12】
請求項7~9のいずれか一項に記載の発泡体を含む、積層体。
【請求項13】
家電用発泡体の形態である、請求項7~9のいずれか一項に記載の発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年3月30日に出願された、米国特許仮出願第63/167950号に対する優先権を主張し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))及びシクロペンタンを含む混合物に関する。本開示は更に、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))及びシクロペンタンを含む発泡剤混合物、これらの組成物を使用して発泡させるための方法、並びにこれらの組成物を含む発泡剤を提供する。
【背景技術】
【0003】
フルオロカーボン系流体は、冷媒、エアゾール噴射剤、発泡剤、伝熱媒体、ガス状誘電体、及び火炎抑制剤を含む多くの用途において、産業界において広範な使用が見出されている。
【0004】
本業界では、代替案を提供し、かつ今日使用されているCFC、HCFC、及びHFCの環境により安全な代替品であると考えられる新たなフルオロカーボン系混合物が絶えず追求されている。オゾン層破壊係数が小さくかつ地球温暖化係数が小さい、ハイドロフルオロカーボン、フルオロオレフィン、ヨウ化物含有化合物、及び他のフッ素化化合物を含む混合物が特に関心がある。そのような混合物が本開示の対象である。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、発泡体形成剤と、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物を含む発泡剤組成物と、を含む、発泡性組成物を提供する。発泡剤組成物は、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの合計重量に基づいて、約1重量%~約35重量%の量のシクロペンタン及び約65重量%~約99重量%の量のZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))を含んでもよい。発泡性組成物は、ポリウレタン発泡体及びイソシアヌレート発泡体のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0006】
本開示は、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物を、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの合計重量に基づいて、1重量%~35重量%のシクロペンタン及び65重量%~99重量%のZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))の量で含む発泡剤組成物を使用して形成された発泡体を更に提供する。発泡体の初期ラムダ値は、20.5mW/mK以下であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例1に記載されるポリウレタン発泡体中のシクロペンタンのモル百分率に対する初期ラムダのグラフである。
【
図2】実施例2に記載されるポリイソシアヌレート発泡体中のシクロペンタンのモル百分率に対する初期ラムダのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))及びシクロペンタンを含む混合物を提供し、以下で更に詳細に説明される。本開示はまた、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物を利用する、組成物、特に発泡剤、発泡性組成物、発泡物品、並びに発泡体を形成するための方法及びシステムも提供する。
【0009】
驚くべきことに、シクロペンタンがZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの合計重量に基づいて約1重量%~約35重量%の量で添加された場合に、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの組み合わせを含む発泡剤を使用して形成された発泡体が低い初期ラムダ値を提示することが見出された。
【0010】
シクロペンタンの量は、モル百分率と表現することもできる。具体的には、シクロペンタンがZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとのモル数に基づいて約1モル%~約50モル%の量で添加された場合に、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの組み合わせを含む発泡剤を使用して形成された発泡体は、低い初期ラムダ値を提示する。
【0011】
発泡剤組成物における炭化水素の使用が、典型的には、結果として得られた発泡体における初期ラムダ値に悪影響を及ぼすため、当業者は、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))を含む発泡剤組成物へのシクロペンタンの添加が、発泡剤組成物に添加されたシクロペンタンの量に比例して、結果として得られた発泡体の初期ラムダ値を直ちに上昇させると予想するであろう。しかしながら、驚くべきことに、発泡剤としてZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))を使用して形成された発泡体の初期ラムダ値は、シクロペンタンが、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの合計重量に基づいて、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))に最大約35重量%の量で添加された場合に、実質的に変化しないままであることが見出された。
【0012】
これは、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))がシクロペンタンと比較して比較的高価であり、それ故に、発泡剤としてZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物を使用する発泡体は、望ましい初期ラムダ値を有し得るが、発泡剤としてZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))のみを使用して製造された発泡体よりも製造費が比較的安価であり得るという点で、重要な商業的利点を提示する。
【0013】
I. Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物を含む発泡剤
フルオロカーボン流体は、発泡剤、及び他の用途を含む、様々な用途での使用に望ましい特性を有する。残念ながら、工業用途における特定のヒドロフルオロカーボン「HFC」の使用は、現在では地球温暖化の一因になると考えられており、したがってそれらは現在使用が制限されている。しかしながら、新たな、環境に安全な、HFCを含む組成物の確認は、これらの用途において有用となる多くの特性が容易に予測できないという事実によって困難である。例えば、発泡剤組成物は、許容可能な環境特性を有するだけでなく、とりわけ、化学的安定性、低毒性又は毒性なし、低引火性又は引火性なしであることも望ましい。発泡剤はまた、使用時に優れた性能を、例えば、優れた断熱特性及び他の望ましい発泡特性を有することも望ましい。
【0014】
例えば熱可塑性材料及び熱硬化性材料といった、従来の発泡材料を作製するための方法及び組成物は、長い間周知である。これらの方法及び組成物は、典型的には、ポリマーマトリクス中に発泡構造を形成するために化学的及び/又は物理的な発泡剤を利用している。このような発泡剤には、例えば、アゾ化合物、様々な揮発性有機化合物(volatile organic compound:VOC)及びクロロフルオロカーボン(chlorofluorocarbon:CFC)が含まれる。化学発泡剤は、典型的には、窒素、二酸化炭素又は一酸化炭素などのガスの放出を引き起こすポリマーマトリクスを形成する材料(通常、所定の温度/圧力における)との化学反応を含む、一部の形態の化学的変化を受ける。最も頻繁に使用される化学発泡剤のうちの1つは、水である。物理発泡剤は、典型的にはポリマー又はポリマー前駆体材料中に溶解され、次いで体積膨張して(再び、所定の温度/圧力における)、発泡構造の形成に寄与する。物理発泡剤は熱可塑性発泡体に関連して使用されることが多いが、熱可塑性発泡体に関連した物理発泡剤の代わりに、又はこれに加えて、化学発泡剤を使用することができる。熱硬化性発泡体に関連して、化学発泡剤及び/又は物理発泡剤を使用することが一般的である。当然のことながら、特定の化合物及びそれらを含有する組成物は、化学的及び物理的な発泡剤を構成し得る。
【0015】
本開示の発泡剤は、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物を含んでもよい。シクロペンタンは、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの合計重量に基づいて、約1重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、約15重量%以上、約20重量%以下、約25重量%以下、約30重量%以下、約35重量%以下、又はこれらの端点によって包含される任意の値の量で、混合物中に存在し得る。Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))は、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの合計重量に基づいて、約65重量%以上、約70重量%以上、約75重量%以上、約80重量%以上、約85重量%以下、約90重量%以下、約95重量%以下、約99重量%以下、又はこれらの端点によって包含される任意の値の量で、混合物中に存在し得る。
【0016】
発泡剤がZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))及びシクロペンタンのみを含む場合、上記の百分率は、発泡剤組成物の総重量に基づく。
【0017】
あるいは、発泡剤は、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物から本質的になり得る。あるいは、発泡剤は、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物からなり得る。
【0018】
発泡剤として使用される場合、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物は、例えば、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,2,2,-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、E-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E))、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mzz(E))、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mzz(Z))、E-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(E))、Z-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(Z))、E-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(E))、1,1-ジクロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1214ya)、トランス-ジクロロエチレン(トランス-DCE)、メチルホルマート、メチラール、ギ酸、酢酸、C1-C4アルデヒド、C3-C4ケトン、C2-C4エーテル、ジエーテル、水、及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上などの1つ以上の追加の発泡剤と組み合わせて使用され得る。
【0019】
水が添加される場合、典型的には、5重量%未満、例えば、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、又は1重量%以下の量で存在する。
【0020】
II. Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物を含む発泡性組成物
本開示は、上述のものなどの発泡剤組成物、及び発泡体を形成することができる1つ以上の成分を含む、発泡性組成物を提供する。特に、混合物は、ポリウレタン及びポリイソシアヌレート発泡体組成物によく適している。原則として、混合物は、特定の反応条件下で反応して発泡体を作製するのに必要な他の成分を含有し得る発泡性組成物に追加される。
【0021】
本明細書で使用される場合、「発泡体形成剤」という用語は、例えば、難燃剤、界面活性剤、架橋剤、消泡剤、溶解促進剤、充填剤、分散剤、抗菌剤、粘度低下調整剤、蒸気圧調整剤、着色剤、及び染料などの添加剤を含まない、発泡体構造、好ましくは一般的な気泡発泡体構造を形成することができる成分、又は成分の組み合わせを指すために使用される。
【0022】
発泡体を形成することができる1つ以上の構成成分は、熱硬化性発泡体を形成することができる組成物であってもよい。熱硬化性発泡体の例には、ポリウレタン及びポリイソシアヌレート発泡体が含まれ得る。
【0023】
本開示は、本開示の発泡剤組成物を含む独立気泡発泡体にも関する。発泡体は、硬質発泡体、軟質発泡体又はインテグラルスキン発泡体であってもよい。好ましくは、本開示は、上記のZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物を含む発泡剤組成物を含む独立気泡硬質発泡体に関する。
【0024】
本開示によって提供される発泡体は、ブロック、スラブ、積層体、現場注入発泡パネルなどのパネル、スプレー塗布発泡体及びフロスなどであってもよい。本開示に記載の発泡体、特に本明細書に開示の熱硬化性発泡体は、多種多様な用途で使用され得、特定の好ましい実施形態では、本開示は、家電用発泡体、例えば、冷蔵庫用発泡体、冷凍庫用発泡体、冷蔵庫/冷凍庫用発泡体、パネル発泡体;及び他の低温又は極低温製造用途を含む、本開示に係る家電用発泡体を含む。
【0025】
本開示の発泡体は、特に、家電工業、低温産業、運輸業及び建築業(例えば、建物エンベロープ)での使用のために提供される。本明細書に記載の発泡体は、全てが本開示の発泡剤に関連する低地球温暖化係数に加えて、とりわけ、断熱効率(特に、熱硬化性発泡体の場合)、寸法安定性、圧縮強度、断熱特性の経時変化、及び難燃性を含む、1つ以上の並外れた特色、特徴及び/又は特性を提供する。
【0026】
発泡体は、熱硬化性発泡体又は熱可塑性発泡体であってもよい。熱可塑性発泡体は、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリスチレン(polystyrene、PS)、又はポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterepthalate、PET)であり得る。熱硬化性発泡体は、ポリイソシアヌレート(polyisocyanurate、PIR)又はポリウレタン性(polyurethane、PU)発泡体であり得る。
【0027】
本開示の発泡剤は、発泡性組成物の総重量の百分率として、約2重量%以上、約3重量%以上、約4重量%以上、約5重量%以上、約6重量%以上、約7重量%以上、約8重量%以下、約9重量%以下、約10重量%以下、約11重量%以下、約12重量%以下、約13重量%以下、約14重量%以下、約15重量%以下、又はこれらの端点を包含する任意の範囲内の量で、発泡性組成物中に存在し得る。発泡性組成物の総重量は、熱可塑性発泡体及び熱硬化性発泡体の全ての成分を含む。
【0028】
III. 発泡体を形成する方法
発泡体を形成するために現在既知で入手可能な全ての方法及びシステムは、本開示の組成物に関連して使用するために、容易に適合可能であることが想到される。例えば、本開示の方法は、一般に、発泡性組成物に発泡剤を組み込み、次いで、好ましくは本明細書に記載の発泡剤の体積膨張を引き起こす工程又は一連の工程によって組成物を発泡させる。一般に、発泡剤の組み込み及び形成のために現在使用されているシステム及び装置は、本開示の組成物に従って容易に使用することができると想到される。実際に、本開示の1つの利点は、既存の発泡方法及びシステムと概ね適合性のある、改良された発泡剤を提供することであると考えられる。
【0029】
したがって、本開示は、熱硬化性発泡体及び熱可塑性発泡体を含む全種類の発泡体を形成するための方法及びシステムを含むことが理解されるであろう。したがって、本開示は、従来の加工条件における従来の発泡装置に関連した、本発明の発泡剤の使用に関する。本方法は、したがって、マスターバッチ型の操作、ブレンド型の操作、第3の発泡剤添加、及び混合ヘッドにおける発泡剤添加を含む。
【0030】
熱可塑性発泡体に関して、好ましい方法は、一般に発泡剤を、熱可塑性材料、好ましくは熱可塑性ポリマーへ導入することと、次いで、発泡を引き起こすのに有効な条件へ熱可塑性材料を供することと、を含む。
【0031】
例えば、発泡剤を熱可塑性材料に導入する工程は、熱可塑性材料を含有する押出成形機(例えば、スクリュ押出機)に発泡剤を導入することを含んでもよく、そして発泡させる工程は、熱可塑性材料上の圧力を低下させ、それによって発泡剤の膨張を引き起こし、材料の発泡に寄与することを含んでもよい。
【0032】
本明細書に含まれる開示を特に考慮すれば、本開示の発泡剤が形成され、かつ/又は発泡性組成物に添加される順序及び方法は、本発明の操作性へ一般的には影響を与えないことが理解されるであろう。例えば、押出成形可能な発泡体の場合、発泡剤の様々な成分、更には発泡性組成物の構成成分は、押出成形装置への導入に先立って混合されなくてもよく、又は更に、成分は押出成形装置の同じ場所に追加されなくともよい。その上、発泡剤は、直接か又はプレミックスの一部としてのいずれかで導入することができ、次いで、発泡性組成物の他の部分へと更に添加される。
【0033】
したがって、この手段によって構成成分が押出成形機内で一緒になり、及び/又はより効果的に作動することを期待して、発泡剤の1つ以上の構成成分を、発泡剤の1つ以上の他の構成成分の添加場所よりも上流である押出成形機内の第1の位置に導入することが望ましい場合がある。それにもかかわらず、発泡剤の2つ以上の構成成分を予め合わせ、そして直接か又はプレミックスの一部としてかのいずれかで発泡性組成物中へ一緒に導入され、その後、発泡性組成物の他の部分へと更に添加することが好ましい場合がある。
【0034】
本開示は、ポリウレタン(PU)又はポリイソシアヌレート(PIR)などの熱硬化性発泡体を形成する方法にも関する。方法は一般に、本開示の発泡剤組成物を提供し、この発泡性組成物に発泡剤組成物を(直接的又は間接的に)添加し、そして当技術分野で周知のように、発泡体又は気泡構造を形成するのに有効な条件下において発泡性組成物を反応させることを含む。「Polyurethanes Chemistry and Technology,」 Volumes I and II,Saunders and Frisch,1962,John Wiley and Sons,New York,NYに記載されている方法などの、技術分野で周知の方法のいずれかを、本開示に従って使用することができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。概して、このような好ましい方法は、イソシアネート、ポリオール又はポリオールの混合物、本開示の発泡剤組成物、及び任意に、触媒、界面活性剤、難燃剤、着色剤又は他の添加物などの他の材料を組み合わせることによって、熱硬化性(例えば、ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体)を調製することを含む。
【0035】
プレブレンドされた配合物中にポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体のための構成成分を提供すると便利である。最も典型的には、プレブレンドされた配合物は、2つの構成成分へとプレブレンドされる。イソシアネート及び任意にある特定の界面活性剤は、一般に「A」成分と呼ばれる第1の成分を含む。ポリオール又はポリオール混合物、界面活性剤、触媒、難燃剤は、一般に「B」成分と呼ばれる第2の成分を含む。発泡剤組成物は、A成分及び/又はB成分中に存在し得る。例えば、発泡剤組成物が2つの発泡剤を含む場合、第1の発泡剤はA成分中に存在してもよく、第2の発泡剤はB成分中に存在してもよい。
【0036】
Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物は、総ポリオールプレブレンド樹脂(B成分)の百分率として、約10重量%以上、約15重量%以上、約20重量%以下、約25重量%以下、約30重量%以下、又はこれらの端点によって包含される任意の値の量で、ポリオールプレブレンド混合物(B成分)中に存在し得る。
【0037】
本開示のポリオールプレブレンド混合物は、追加の成分を含み得る。かかる任意の追加の化合物には、任意の他の発泡剤、例えば、E-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HCFO-1224yd(E))、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mzz(Z))、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mzz(E)、E-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(E)、1,1-ジクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1214ya)、E-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze(E)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,1-ジクロロ-2,2-ジフルオロエチレン(HFO-1112);炭化水素、例えば、イソ-ペンタン及びn-ペンタン;ハイドロフルオロカーボン、例えば、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、及び1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc);有機酸、例えば、ギ酸及び酢酸);種々のポリオール;水;触媒、例えば、アミン触媒又は金属触媒;難燃剤、例えば、有機難燃剤及び/又は無機難燃剤;界面活性剤(シリコン又は非シリコン);架橋剤;消泡剤;溶解増強剤;充填剤;分散剤;抗菌剤;粘度低減調整剤;蒸気圧調節剤;着色剤;並びに色素が含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
好適なポリオールには、例えば、スクロース含有ポリオール;フェノール、フェノールホルムアルデヒド含有ポリオール;グルコース含有ポリオール;ソルビトール含有ポリオール;メチルグルコシド含有ポリオール;芳香族アミン含有ポリオール、例えば、オルト-トルエンジアミン(ortho-toluene diamine、o-TDA)含有ポリオール;芳香族ポリエステルポリオール;グリセロール;エチレングリコール;ジエチレングリコール;プロピレングリコール;(b)のうちの1つ以上で凝縮された(a)のうちの1つ以上であって、ここで、(a)は、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ペンタエリスリトール、大豆油、レシチン、トール油、パーム油、及びヒマシ油から選択され、(b)は、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化エチレンと酸化プロピレンとの混合物、及びそれらの組み合わせから選択される、(a)のうちの1つ以上が含まれ得る。
【0039】
好適な触媒には、アミン触媒及び/又は金属触媒が含まれ得る。アミン触媒には、第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミンが含まれ得るが、これらに限定されない。有用な第三級アミン触媒には、非排他的に、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’-トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテル、テトラメチルイミノビスプロピルアミン、2-[[2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エチル]メチルアミノ]エタノール、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチル-ジプロピレントリアミン、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、N,N-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)-N-イソプロパノールアミン、N’-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、ビス(3-ジメチルアミノプロピル)-N,N-ジメチルプロパンジアミン、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N’,N’’-ジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン、テトラメチルイミノビスプロピルアミン、トリメチル-N’、2-ヒドロキシエチル-プロピレンジアミン、ビス-(3-アミノプロピル)-メチルアミン、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1-(ジメチルアミノ)ヘキサデカン、ベンジルジメチルアミン、3-ジメチルアミノプロピル尿素、ジシクロヘキシルメチルアミン;エチルジイソプロピルアミン;ジメチルイソプロピルアミン;メチルイソプロピルベンジルアミン;メチルシクロペンチルベンジルアミン;イソプロピル-sec-ブチル-トリフルオロエチルアミン;ジエチル-(α-フェニルエチル)アミン、トリ-n-プロピルアミン、又はこれらの組み合わせが含まれる。有用な第二級アミン触媒には、非排他的に、例えば、ジシクロヘキシルアミン;tert-ブチルイソプロピルアミン;ジ-tert-ブチルアミン;シクロヘキシル-tert-ブチルアミン;ジ-sec-ブチルアミン、ジシクロペンチルアミン;ジ-(α-トリフルオロメチルエチル)アミン;ジ-(α-フェニルエチル)アミン;又はそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0040】
金属触媒としては、例えば、オクタン酸カリウム(Dabco K15)及び酢酸カリウム(Polycat 46)などのカリウム触媒;スズ触媒、例えば、ジブチルスズジラウリルメルカプチド(Dabco T120、Fomrez UL-1)、ジブチルスズジイソオクチルマレエート(Dabco T125)、ジメチルスズジラウリルメルカプチド(Fomrez UL-22)、ジオクチルスズジラウリルメルカプチドFomrez UL-32)、及びジブチルスズジ-(2-エチルヘキシルチオグリコレート)(Fomrez UL-6);並びにビスマスカルボキシレート、例えば、Bicat 8108、Bicat 8210などを挙げることができる。
【0041】
好適なイソシアネートには、脂肪族及び芳香族ポリイソシアヌレートを含む、ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体合成に利用できる任意の有機ポリイソシアヌレートが含まれる。好適な有機ポリイソシアヌレートには、ポリウレタン化学の分野において周知である脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族、及び複素環式イソシアネートが含まれる。これらは、例えば、米国特許第4,868,224号、同第3,401,190号、同第3,454,606号、同第3,277,138号、同第3,492,330号、同第3,001,973号、同第3,394,164号、同第3,124.605号、及び同第3,201,372号に記載されている。
【0042】
特定の界面活性剤は、気泡安定化剤として機能するように追加される。いくつかの代表的な材料は、DC-193、B-8404及びL-5340の名称で販売されている。これらは概して、米国特許第2,834,748号、同第2,917,480号及び同第2,846,458号に開示されているものなどのポリシロキサンポリオキシアルキレンブロックコポリマーであり、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。ポリオールプレブレンドのための他の任意の添加剤としては、難燃剤、例えば、トリ(2-クロロエチル)ホスフェート、トリ(2-クロロプロピル)ホスフェート、トリ(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、トリ(1,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、その他のハロゲンを含まないホスフェート、例えば、トリエチルホスフェート、ブチル3-(6-オキシドジベンゾ[c,e][1,2]オキサホスフィニン-6-イル)プロピオネート;(アンモニウムポリフォスフェート、様々なハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウム三水和物、ポリ塩化ビニルなどを挙げることができる。
【0043】
ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体は、A及びB側成分を一緒に混合して、発泡体、例えばブロック、スラブ、積層体、現場注入発泡パネル及び他の物品、スプレー塗布発泡体及びフロスなどを形成することによって容易に調製される。混合は、例えば小規模な調製物についてはハンドミックス、又は機械混合技術であってもよい。
【0044】
本発明の方法及びシステムはまた、本開示に係る発泡剤を含有する、1つの成分熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体を形成することも含む。発泡剤の一部は、好ましくは容器内の圧力においては液体である発泡体形成剤中に溶解させることによって、1つの成分発泡体の発泡体形成剤に含有してもよく、発泡剤の第2の部分は、別個のガス相として存在してもよい。このようなシステムでは、収容/溶解した発泡剤は、大部分が発泡体の膨張を引き起こし、別個のガス相は、発泡体形成剤に推進力を付与するように動作する。このような1つの構成成分のシステムは、典型的には、エアロゾルタイプ缶などの容器にパッケージされるのが好ましく、したがって本開示の発泡剤は、好ましくは、発泡体の膨張及び/又はパッケージから発泡体/発泡性材料を輸送するためのエネルギー、並びに好ましくはその両方を提供する。そのようなシステム及び方法は、完全に配合されたシステム(好ましくはイソシアネート/ポリオール系)でパッケージを充填し、本発明に係るガス状発泡剤を、パッケージ、好ましくはエアロゾルタイプ缶に導入することを含み得る。
【0045】
IV. 発泡体
上述したように、驚くべきことに、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))及びシクロペンタンを含む発泡剤を使用して形成された発泡体が低いラムダ値を提示することが見出された。具体的には、シクロペンタンがZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))に対して最大35重量%の量である場合、
図1に示されるように、初期ラムダは著しく増加しない。一般的に炭化水素、特にシクロペンタンの高い初期ラムダ値を考慮すると、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))の初期ラムダ値は、シクロペンタンの添加時に直ちに増加することが予想されるだろう。しかしながら、本明細書に開示するように、初期ラムダ値は、最大約33重量%のシクロペンタンを添加しても本質的に変化しないままである。
【0046】
本明細書に開示されるZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物が、ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体中の発泡剤として使用される場合、初期ラムダ(10℃の平均温度で)は、19mW/mK以上、19.2mW/mK以上、19.4mW/mK以上、19.6mW/mK以上、19.8mW/mK以下、20.0mW/mK以下、20.2mW/mK以下、20.4mW/mK以下、20.5mW/mK以下、又はこれらの値によって包含される任意の値であり得る。
【0047】
本開示の発泡体は、例えば、ブロック、スラブ、又は積層体の形態であってもよい。本開示の発泡体は、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、冷却器、冷蔵トラック、鉄道車両、及び温水器などにおける家電用発泡体として使用され得る。本開示の発泡体は、発泡体コア金属パネルにおいて使用され得る。これらの発泡体コア金属パネルは、連続的又は不連続的製造方法のいずれかによって製造することができ、そのような方法の両方は、本開示の範囲内での使用に適合可能である。建築産業において、剛性パネルの形態のそのような物品は、商業構造物の建築外被における断熱材として用いられ得る。
【0048】
「Polyurethanes Chemistry and Technology,」Volumes I and II,Saunders and Frisch,1962,John Wiley and Sons,New York,NYに記載されている方法などの、技術分野で周知の方法のいずれかを、本開示の発泡体形成の実施形態に従って使用又は適合することができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
以下の非限定的な実施例は、本開示を例示するのに役立つ。
【実施例】
【0050】
全ての発泡体(ポリイソシアヌレート(PIR)及びポリウレタン(PU))を、以下の出発材料を使用して配合した:Stepanから入手可能なStepanpol PS 2352(ポリエステルポリオール、ヒドロキシ価:240mg KOH/g、官能価:2);Dowから入手可能なVoranol 490(スクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオール、ヒドロキシ価:490mg KOH/g、官能価:4.3);Dowから入手可能なVoranol 391(アミン(オルト-ジアミノトルエン)開始ポリオール、ヒドロキシ価:395mg KOH/g、官能価:4);Dowから入手可能なVoranol 270(グリセリン開始ポリエーテルポリオール、ヒドロキシ価:238mg KOH/g、官能価:3);Invistaから入手可能なTerate HT5510(「HT5510」)(芳香族ポリエステルポリオール、ヒドロキシ価:260mg KOH/g、官能価:2);Tegostab B84210(「B84210」)(Evonikからのシリコーン界面活性剤);Tegostab B8465(「B8465」)(Evonikからのシリコーン界面活性剤);Dabco K15(「K15」)(Evonikからのジエチレングリコール中のオクタン酸カリウム);Polycat 8(EvonikからのN,N-ジメチルシクロヘキシルアミン);Polycat 5(Evonikからのペンタメチルジエチレントリアミン);Polycat 41(Evonikからの1,3,5-トリス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン);BASFから入手可能なLupranate M20(ポリマーイソシアネート、31.5%NCO、官能価:2.7);TCPP(トリス(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート)リン含量:9.4重量%;塩素含量:33重量%。
【0051】
発泡体は、以下の実施例に記載の配合に基づいて手で混合することによって配合した。LaserComp FOX50を使用して、試料サイズ12’’×12’’×1’’でラムダ値を記録した。
【0052】
実施例1:ポリウレタン発泡体におけるZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HCFO-1224yd(Z))及びシクロペンタン
Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの様々な混合物をポリウレタン発泡体中の発泡剤として使用し、それらの初期ラムダ値について試験した。異なる発泡体の組成物を以下の表1に示し、各成分をポリオール100部当たりの部数(php)として示す。
【0053】
【0054】
次いで、形成された発泡体の各々を、ASTM C518に記載される方法を使用して初期ラムダについて試験した。初期ラムダ値は、1重量%~35重量%のシクロペンタンと65重量%~99重量%のZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペン(HCFO-1224yd(Z))との混合物を発泡剤として使用した場合、およそ19.5mW/mK以下であり、より多量のシクロペンタンを添加すると上昇し始めた。これらの結果を
図1にグラフ形式で示す。
【0055】
実施例2:ポリイソシアヌレート発泡体におけるZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペン(HCFO-1224yd(Z))及びシクロペンタン
Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの様々な混合物をポリイソシアヌレート発泡体中の発泡剤として使用し、それらの初期ラムダ値について試験した。異なる発泡体の組成物を以下の表2に示す。全ての値は、ポリオール100部当たりの部数(php)で示される。
【0056】
【0057】
次いで、形成された発泡体の各々について初期ラムダを試験した。初期ラムダ値は、1重量%~24重量%のシクロペンタンと76重量%~99重量%のZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペン(HCFO-1224yd(Z))との混合物を発泡剤として使用した場合、およそ20.5mW/mK以下であり、より多量のシクロペンタンを添加すると上昇し始めた。これらの結果を
図2にグラフ形式で示す。
【0058】
態様
態様1は、発泡性組成物であって、発泡体形成剤と、発泡剤組成物であって、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物を、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの合計重量に基づいて、1重量%~35重量%のシクロペンタン及び65重量%~99重量%のZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))の量で含む、発泡剤組成物と、を含む、発泡性組成物である。
【0059】
態様2は、発泡体形成剤が、ポリウレタン発泡体及びポリイソシアヌレート発泡体のうちの少なくとも1つを含む、態様1に記載の発泡性組成物である。
【0060】
態様3は、少なくとも1つの界面活性剤を更に含む、態様1又は態様2のいずれかに記載の発泡性組成物である。
【0061】
態様4は、少なくとも1つの触媒を更に含む、態様1~3のいずれか1つに記載の発泡性組成物である。
【0062】
態様5は、少なくとも1つの引火性抑制剤を更に含む、態様1~4のいずれか1つに記載の発泡性組成物である。
【0063】
態様6は、ポリマー改質剤、強化剤、着色剤、色素、溶解度増強剤、レオロジー調節剤、可塑剤、抗菌剤、粘度低下調節剤、充填剤、蒸気圧調整剤、及びこれらのうちのいずれか2つ以上の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのアジュバントを更に含む、態様1~5のいずれか1つに記載の発泡性組成物である。
【0064】
態様7は、発泡体であって、発泡体形成剤、及び発泡剤組成物であって、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物を、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの合計重量に基づいて、1重量%~35重量%のシクロペンタン及び65重量%~99重量%のZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))の量で含む、発泡剤組成物、から形成されている、発泡体である。
【0065】
態様8は、発泡体形成剤が、ポリウレタン発泡体又はポリイソシアヌレート発泡体を含む、態様7に記載の発泡体である。
【0066】
態様9は、発泡体の初期ラムダ値が、20.5mW/mK以下である、態様7又は8に記載の発泡体である。
【0067】
態様10は、態様7~9のいずれか1つに記載の発泡体を含む、ブロックである。
【0068】
態様11は、態様7~9のいずれか1つに記載の発泡体を含む、スラブである。
【0069】
態様12は、態様7~9のいずれか1つに記載の発泡体を含む、積層体である。
【0070】
態様13は、家電用発泡体の形態である、態様7~9のいずれか1つに記載の発泡体である。
【0071】
本明細書で使用する場合、「前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内」という句は、それらの値が列挙のより低い部分にあるか又は列挙のより高い部分にあるかにかかわらず、任意の範囲がそのような句の前に列挙された値のうちのいずれか2つから選択され得ることを意味する。例えば、一対の値は、2つのより低い値、2つのより高い値、又はより低い値及びより高い値から選択され得る。
【0072】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでない旨を明確に指示しない限り、複数形を含む。更に、量、濃度、又は他の値若しくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、又は上方の好ましい値と下方の好ましい値との列挙のいずれかとして与えられるとき、これは、範囲が別々に開示されているかどうかにかかわらず、任意の上限範囲又は上方の好ましい値と任意の下限範囲又は下方の好ましい値との任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示しているものとして理解されるべきである。数値の範囲が本明細書に列挙されている場合、特に明記しない限り、範囲は、その端点、並びに範囲内の全ての整数及び端数を含むことが意図される。本開示の範囲は、範囲を定義するときに列挙される特定の値に限定されることを意図するものではない。
【0073】
本明細書で使用する場合、「前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内」という句は、それらの値が列挙のより低い部分にあるか又は列挙のより高い部分にあるかにかかわらず、任意の範囲がそのような句の前に列挙された値のうちのいずれか2つから選択され得ることを意味する。例えば、一対の値は、2つのより低い値、2つのより高い値、又はより低い値及びより高い値から選択され得る。
【0074】
前述の説明は、本開示の単なる例示に過ぎないことが理解されるべきである。本開示から逸脱することなく、当業者によって様々な代替形態及び修正形態を考案することができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲内に含まれる全てのかかる代替形態、修正形態、及び変動を包含することを意図する。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性組成物であって、
発泡体形成剤と、
発泡剤組成物であって、
Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物を、前記Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの合計重量に基づいて、1重量%~35重量%のシクロペンタン及び65重量%~99重量%のZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))の量で含む、発泡剤組成物と、を含む、発泡性組成物。
【請求項2】
発泡体であって、
発泡体形成剤、及び
発泡剤組成物であって、
Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物を、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの合計重量に基づいて、1重量%~35重量%のシクロペンタン及び65重量%~99重量%のZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))の量で含む、発泡剤組成物、から形成されている、発泡体。
【請求項3】
家電用発泡体を形成する方法であって、
(a)発泡性組成物を提供することであって、(i)熱硬化性発泡体形成剤と、(ii)発泡剤組成物であって、
Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの混合物を、Z-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))とシクロペンタンとの合計重量に基づいて、1重量%~35重量%のシクロペンタン及び65重量%~99重量%のZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロペンテン(HCFO-1224yd(Z))の量で含む、発泡剤組成物、を含む、提供することと、
(b)20.5mW/mK以下の初期ラムダ値を有する家電用発泡体を提供するための前記発泡性組成物を形成することと、を含む、方法。
【国際調査報告】