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特表2024-515043ホスホジエステラーゼ阻害剤の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-04
(54)【発明の名称】ホスホジエステラーゼ阻害剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20240328BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20240328BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALN20240328BHJP
【FI】
C07D471/04 113
C07D471/04 CSP
A61P43/00 111
A61K31/4375
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560783
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 CN2022084704
(87)【国際公開番号】W WO2022206936
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110356848.8
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522116524
【氏名又は名称】薬捷安康(南京)科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TRANSTHERA SCIENCES (NANJING), INC.
【住所又は居所原語表記】Floor 3, Building 9, Accelerator Phase 2, Biotech and Pharmaceutical Valley, Jiangbei New Area, Nanjing, Jiangsu 210032, China
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】李琳
(72)【発明者】
【氏名】王浩
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065BB09
4C065CC01
4C065DD02
4C065HH08
4C065JJ04
4C065KK02
4C065LL01
4C065PP13
4C065QQ01
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB09
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、医薬技術分野に属し、具体的には、式(I)及び(I’)で表される化合物の製造プロセス及び中間体に関する。本発明の製造プロセスは、製造コストがより低く、排ガス、廃水、固体廃棄物という三廃の発生量がより少ない。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物の製造方法であって、
【化1】

有機溶媒において、(I-4)をハロゲン化試薬とハロゲン化反応させて(I-5)が得られるステップ(C’)と、
【化2】

有機溶媒において、(I-5)を(I-6)及び塩基と求核置換反応させて(I)が得られるステップ(D’)とによって製造され、
【化3】
そのうち、Xはハロゲン原子であり、Mはアルカリ金属イオンであり、
がCHであり、XがNであり、XがCRであり、XがCHであり、
は、水素、アミノ基、シアノ基、ハロゲン、カルボキシル基、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルキルアミノ基、(C1-4アルキル)アミノ基、モルホリニル基、C2-6アルケニル基、C1-4アルキルカルボニル基、C1-4アルキルアミノカルボニル基、(C1-6アルキル)アミノカルボニル基、C1-4アルキルスルホニル基、C1-4アルキルチオ基、アミノカルボニル基、シクロプロピル基、アゼチジニル基及びピペラジニル基から選択され、
a)そのうち、前記C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルキルアミノ基、(C1-4アルキル)アミノ基、C2-6アルケニル基、C1-4アルキルカルボニル基、C1-4アルキルアミノカルボニル基、(C1-6アルキル)アミノカルボニル基、C1-4アルキルスルホニル基、C1-4アルキルチオ基、アミノカルボニル基は、非置換であるか、又はヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルキルアミノ基、(C1-4アルキル)アミノ基、シクロプロピル基、C1-4アルキルカルボニルオキシ基、及び非置換であるか又はC1-4アルキル基で置換された4~6員のヘテロシクリル基から独立的に選択される1つないし複数(原子価平衡を満たす条件下で、例えば、1、2、3、4又は5個)の基で任意選択的に置換され、
b)そのうち、前記シクロプロピル基、アゼチジニル基、モルホリニル基及びピペラジニル基は、非置換であるか、又はヒドロキシ基、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、シクロプロピル基、アミノ基、C1-4アルキルアミノ基、(C1-4アルキル)アミノ基及びC1-4アルキルカルボニルオキシ基から独立的に選択される1つないし複数(原子価平衡を満たす条件下で、例えば、1、2、3、4又は5個)の基で任意選択的に置換され、
好ましくは、Rは、水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、モルホリニル基、C2-6アルケニル基、C1-4アルキルアミノカルボニル基、(C1-4アルキル)アミノカルボニル基及びアミノカルボニル基から選択され、
a)そのうち、前記C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C1-4アルキルアミノカルボニル基、(C1-4アルキル)アミノカルボニル基及びアミノカルボニル基は、非置換であるか、又はヒドロキシル基、C1-4アルコキシ基、シクロプロピル基、アミノ基、C1-4アルキルアミノ基、(C1-4アルキル)アミノ基、及び非置換であるか又はC1-4アルキルで置換された4~6員のヘテロシクリル基から独立的選択される1つないし複数(原子価平衡を満たす条件下で、例えば、1、2、3、4又は5個)の基で任意選択的に置換され、
b)そのうち、前記モルホリニル基は、非置換であるか、又は、ヒドロキシ基、C1-4アルコキシ基、シクロプロピル基、アミノ基、C1-4アルキルアミノ基及び(C1-4アルキル)アミノ基から独立的に選択される1つないし複数(原子価平衡を満たす条件下で、例えば、1、2、3、4又は5個)の基で任意選択的に置換され、
より好ましくは、Rは、水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C1-4アルキルアミノカルボニル基及びアミノカルボニル基から選択され、
そのうち、前記C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C1-4アルキルアミノカルボニル基及びアミノカルボニル基は、非置換であるか、又はヒドロキシル基、C1-4アルコキシ基、シクロプロピル基、アミノ基、C1-4アルキルアミノ基、(C1-4アルキル)アミノ基、及び非置換であるか又はC1-4アルキル基で置換された4~6員のヘテロシクリル基から独立的に選択される1つないし複数(原子価平衡を満たす条件下で、例えば、1、2、3、4又は5個)の基で任意選択的に置換され、
Lは結合であり、
環Aは、4~7員のモノヘテロシクリル基又は7~12員のスピロヘテロシクリル基であり、前記4~7員のモノヘテロシクリル基のヘテロ原子はNから選択され、7~12員のスピロヘテロシクリル基のヘテロ原子は、O、Nのうちの1種又は2種の組み合わせから選択され、且つ7~12員のスピロヘテロシクリル基は、少なくとも1つのNを含み、環Aは、N原子を介してLに連結され、
好ましくは、環Aは、Nから選択されるヘテロ原子を有する4~7員のモノヘテロシクリル基であり、環Aは、N原子を介してLに連結され、
より好ましくは、環Aは、
【化4】

から選択され、
特により好ましくは、環Aは
【化5】

であり、
各Rは、水素、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、ピラゾリル基、チアゾリル基及びトリアゾリル基からそれぞれ独立的に選択され、そのうち、前記C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、ピラゾリル基、チアゾリル基及びトリアゾリル基は、非置換であるか、又はヒドロキシ基で置換され、
好ましくは、各Rは、水素、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、ピラゾリル基、チアゾリル基及びトリアゾリル基からそれぞれ独立的に選択され、そのうち、前記C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、ピラゾリル基、チアゾリル基及びトリアゾリル基は、非置換であるか、又はヒドロキシ基で置換され、
mは、0、1又は2であり、
は水素から選択される
ことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
ステップ(C’)において、前記ハロゲン化試薬は、オキシ塩化リン、塩化チオニル、塩化スルホニル、三塩化ホスフィン、五塩化ホスフィン、三臭化リン、オキシ臭化リン、トリホスゲン、塩化オキサリルのうちの1種又は複数種であり、好ましくは、前記ハロゲン化試薬はオキシ塩化リンであり、及び/又は
ステップ(C’)において、(I-4)とハロゲン化試薬のモル比は、1:(1~5)、例えば、1:(1~3)であり、好ましくは1:(1.2~2.3)であり、より好ましくは約1:1.5であり、及び/又は
ステップ(D’)において、前記塩基は、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシドのうちの1種又は複数種であり、好ましくは、前記塩基は、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンであり、及び/又は
ステップ(D’)において、(I-5)、(I-6)と塩基のモル比は、1:(0.5~2):(1~3)である
ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
ステップ(C’)において、前記有機溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンのうちの1種又は複数種であり、好ましくはアセトニトリルであり、及び/又は
ステップ(D’)において、前記有機溶媒は、エタノール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドのうちの1種又は複数種であり、好ましくはエタノールであり、及び/又は
ステップ(C’)において、有機溶媒の使用量は、式(I’-4)の2~20倍体積であり、好ましくは4~10倍体積であり、及び/又は
ステップ(D’)において、有機溶媒の使用量は、式(I’-5)の2~20倍体積であり、好ましくは10~20倍体積である
ことを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項4】
式(I’)の化合物の製造方法であって、

有機溶媒において、(I’-4)をハロゲン化試薬とハロゲン化反応させて(I’-5)が得られるステップ(C)と、
【化6】

有機溶媒において、(I’-5)を(I’-6)及び塩基と求核置換反応させて(I’)が得られるステップ(D)とによって製造され、
【化7】

そのうち、RはC1-6アルキル基であり、
Xはハロゲン原子であり、
Mはアルカリ金属イオンである
ことを特徴とする製造方法。
【請求項5】
ステップ(C)において、前記ハロゲン化試薬は、オキシ塩化リン、塩化チオニル、塩化スルホニル、三塩化ホスフィン、五塩化ホスフィン、三臭化リン、オキシ臭化リン、トリホスゲン、塩化オキサリルのうちの1種又は複数種であり、好ましくは、前記ハロゲン化試薬はオキシ塩化リンであり、及び/又は
ステップ(C)において、(I’-4)とハロゲン化試薬のモル比は、1:(1~5)、例えば、1:(1~3)であり、好ましくは1:(1.2~2.3)であり、より好ましくは約1:1.5であり、及び/又は
ステップ(D)において、前記塩基は、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシドのうちの1種又は複数種であり、好ましくは、前記塩基は、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンであり、及び/又は
ステップ(D)において、(I’-5)、(I’-6)と塩基のモル比は、1:(0.5~2):(1~3)である
ことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
ステップ(C)において、前記有機溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンのうちの1種又は複数種であり、好ましくはアセトニトリルであり、及び/又は
ステップ(D)において、前記有機溶媒は、エタノール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドのうちの1種又は複数種であり、好ましくはエタノールであり、及び/又は
ステップ(C)において、有機溶媒の使用量は、式(I’-4)の2~20倍体積であり、好ましくは4~10倍体積であり、及び/又は
ステップ(D)において、有機溶媒の使用量は、式(I’-5)の2~20倍体積であり、好ましくは10~20倍体積である
ことを特徴とする請求項4~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
有機溶媒において、(I’-3)を塩基と縮合反応させて(I’-4)が得られるステップ(B)を更に含み、
【化8】

は、C1-6アルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基であり、
は、C1-6アルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基であり、
Mは、K、Na、Li、Csであり、好ましくはK、Naである
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
ステップ(B)において、前記塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、カリウムメトキシドのうちの1種又は複数種であり、好ましくは、前記塩基は、カリウムメトキシド及びナトリウムエトキシドのうちの1種又は複数種であり、及び/又は
ステップ(B)において、(I’-3)と塩基のモル比は1:(1~5)である
ことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
ステップ(B)において、前記有機溶媒は、エタノール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドのうちの1種又は複数種であり、好ましくはテトラヒドロフランであり、及び/又は
ステップ(B)において、前記有機溶媒の使用量は、式(I’-3)の2~20倍体積であり、好ましくは3~12倍体積である
ことを特徴とする請求項7~8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
有機溶媒において、式(I’-1)、(I’-2)をカップリング試薬と縮合反応させて(I’-3)が得られるステップ(A)を更に含み、
【化9】

は、C1-6アルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基であり、
は、C1-6アルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基である
ことを特徴とする請求項7~9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
ステップ(A)において、前記カップリング試薬は、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩、2-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジシクロヘキシルカルボジイミドのうちの1種又は複数種であり、好ましくは、前記カップリング試薬は、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩であり、及び/又は
ステップ(A)において、(I’-1)、(I’-2)とカップリング試薬のモル比は、1:(0.5~2):(1~2)である
ことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
ステップ(A)において、前記有機溶媒は、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフランのうちの1種又は複数種であり、好ましくはジクロロメタンであり、及び/又は
ステップ(A)において、前記有機溶媒の使用量は、式(I’-1)の2~20倍体積であり、好ましくは5~12倍体積である
ことを特徴とする請求項10~11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
式(I’)の化合物の製造中間体であって、
下記構造式を有し、
【化10】

は、C1-6アルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基であり、
Mは、K、Na、Li、Csである
ことを特徴とする製造中間体。
【請求項14】
その構造は、
【化11】

であることを特徴とする請求項13に記載の製造中間体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬技術分野に属し、具体的には、ホスホジエステラーゼ阻害剤の製造方法及び製造中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスホジエステラーゼ9(phosphodiesterase9)は、cGMPに対して非常に高い選択性を有するPDEファミリーの重要なメンバーであり、その阻害剤は、老人性認知症や統合失調症、脳の神経変性疾患などの中枢神経系の乱れによる認知障害に関する疾患の治療に用いられる。
【0003】
6-エチル-4-(4-メトキシ-4-メチルピペリジン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリル(即ち、WO2019062733A1の実施例71における化合物107)は、PDE9の阻害剤である。
【0004】
WO2019062733A1の実施例71には、以下のステップを含む製造方法が開示されている。
【0005】
【化1】
【0006】
1,7-ナフチリジン環の4位及び6位に置換基を導入する場合、カップリング反応と求核置換反応が必要となり、反応フローが長く、総収率が低い。化合物107の製造プロセスにおいて、中間体4,6-ジクロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリル(以下の構造を有する)を合成起点として使用する必要がある。
【0007】
【化2】
【0008】
WO2019062733A1の製造例2には、中間体4,6-ジクロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリルの製造方法が開示されており、
【0009】
【化3】
【0010】
そのうち、約0.7当量の目的生成物を得るために、15mLのオキシ塩化リン(密度1.64g/cm、分子量153.33g/mol、即ち24.6g、0.16mol、7当量に相当する)を使用する必要がある。つまり、1当量の6-エチル-4-(4-メトキシ-4-メチルピペリジン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリルを得るために、WO2019062733A1に開示された方法において、約30当量のオキシ塩化リンを使用する必要がある。
【0011】
WO2020182076A1には、同じ製造中間体4,6-ジクロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリルの製造方法が開示されている(28ページ、製造例1、ステップ3)。
【0012】
WO2020182076A1には、6-エチル-4-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリルの製造方法が更に開示されている(29ページ、製造例2、ステップ3)。当該方法によれば、1当量の6-エチル-4-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリルを製造するために、5.13当量のオキシ塩化リンを使用する必要があり、更にクロマトグラフィー分離方法を使用する必要がある。
【0013】
オキシ塩化リンは、毒性が大きく、爆発しやすく、環境汚染の問題も生じやすい。従って、合成プロセス中にオキシ塩化リンをできる限り少なく使用することが望ましい。実際の製薬プロセスにおいて、収率の向上を図るために、プロセスフローを短くし、精製操作をできる限り避けることが更に望まれている。従って、合成増幅に関するその後の研究プロセスにおいて、合成プロセスの改善が依然として必要とされており、製造コストの更なる削減、排ガス、廃水、固体廃棄物という三廃の発生量の低減、プロセス安全係数の向上が望まれている。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、式(I)の化合物の製造方法及び製造中間体を提供し、更に、式(I’)の化合物の製造方法及び製造中間体を提供することを目的とする。
【0015】
本発明は、式(I)の化合物の製造方法であって、
【0016】
【化4】
【0017】
有機溶媒において、(I-4)をハロゲン化試薬とハロゲン化反応させて(I-5)が得られるステップ(C’)と、
【0018】
【化5】
【0019】
有機溶媒において、(I-5)を(I-6)及び塩基と求核置換反応させて(I’)が得られるステップ(D’)とによって製造され、
【0020】
【化6】
【0021】
そのうち、Xはハロゲン原子であり、Mはアルカリ金属イオンであり、
がCHであり、XがNであり、XがCRであり、XがCHであり、
は、水素、アミノ基、シアノ基、ハロゲン、カルボキシル基、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルキルアミノ基、(C1-4アルキル)アミノ基、モルホリニル基、C2-6アルケニル基、C1-4アルキルカルボニル基、C1-4アルキルアミノカルボニル基、(C1-6アルキル)アミノカルボニル基、C1-4アルキルスルホニル基、C1-4アルキルチオ基、アミノカルボニル基、シクロプロピル基、アゼチジニル基及びピペラジニル基から選択され、
a)そのうち、上記C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルキルアミノ基、(C1-4アルキル)アミノ基、C2-6アルケニル基、C1-4アルキルカルボニル基、C1-4アルキルアミノカルボニル基、(C1-6アルキル)アミノカルボニル基、C1-4アルキルスルホニル基、C1-4アルキルチオ基、アミノカルボニル基は、非置換であるか、又はヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルキルアミノ基、(C1-4アルキル)アミノ基、シクロプロピル基、C1-4アルキルカルボニルオキシ基、及び非置換であるか又はC1-4アルキル基で置換された4~6員のヘテロシクリル基から独立的に選択される1つないし複数(原子価平衡を満たす条件下で、例えば、1、2、3、4又は5個)の基で任意選択的に置換され、
b)そのうち、上記シクロプロピル基、アゼチジニル基、モルホリニル基及びピペラジニル基は、非置換であるか、又はヒドロキシ基、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、シクロプロピル基、アミノ基、C1-4アルキルアミノ基、(C1-4アルキル)アミノ基及びC1-4アルキルカルボニルオキシ基から独立的に選択される1つないし複数(原子価平衡を満たす条件下で、例えば、1、2、3、4又は5個)の基で任意選択的に置換され、
好ましくは、Rは、水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、モルホリニル基、C2-6アルケニル基、C1-4アルキルアミノカルボニル基、(C1-4アルキル)アミノカルボニル基及びアミノカルボニル基から選択され、
a)そのうち、上記C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C1-4アルキルアミノカルボニル基、(C1-4アルキル)アミノカルボニル基及びアミノカルボニル基は、非置換であるか、又はヒドロキシル基、C1-4アルコキシ基、シクロプロピル基、アミノ基、C1-4アルキルアミノ基、(C1-4アルキル)アミノ基、及び非置換であるか又はC1-4アルキルで置換された4~6員のヘテロシクリル基から独立的選択される1つないし複数(原子価平衡を満たす条件下で、例えば、1、2、3、4又は5個)の基で任意選択的に置換され、
b)そのうち、上記モルホリニル基は、非置換であるか、又は、ヒドロキシ基、C1-4アルコキシ基、シクロプロピル基、アミノ基、C1-4アルキルアミノ基、及び(C1-4アルキル)アミノ基から独立的に選択される1つないし複数(原子価平衡を満たす条件下で、例えば、1、2、3、4又は5個)の基で任意選択的に置換され、
より好ましくは、Rは、水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C1-4アルキルアミノカルボニル基及びアミノカルボニル基から選択され、
そのうち、上記C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C1-4アルキルアミノカルボニル基及びアミノカルボニル基は、非置換であるか、又はヒドロキシル基、C1-4アルコキシ基、シクロプロピル基、アミノ基、C1-4アルキルアミノ基、(C1-4アルキル)アミノ基、及び非置換であるか又はC1-4アルキル基で置換された4~6員のヘテロシクリル基から独立的に選択される1つないし複数(原子価平衡を満たす条件下で、例えば、1、2、3、4又は5個)の基で任意選択的に置換され、
Lは結合であり、
環Aは、4~7員のモノヘテロシクリル基又は7~12員のスピロヘテロシクリル基であり、前記4~7員のモノヘテロシクリル基のヘテロ原子はNから選択され、7~12員のスピロヘテロシクリル基のヘテロ原子は、O、Nのうちの1種又は2種の組み合わせから選択され、且つ7~12員のスピロヘテロシクリル基は、少なくとも1つのNを含み、環Aは、N原子を介してLに連結され、
好ましくは、環Aは、Nから選択されるヘテロ原子を有する4~7員のモノヘテロシクリル基であり、環Aは、N原子を介してLに連結され、
より好ましくは、環Aは、
【0022】
【化7】
【0023】
から選択され、
特により好ましくは、環Aは
【0024】
【化8】
【0025】
であり、
各Rは、水素、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、ピラゾリル基、チアゾリル基及びトリアゾリル基からそれぞれ独立的に選択され、そのうち、前記C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、ピラゾリル基、チアゾリル基及びトリアゾリル基は、非置換であるか、又はヒドロキシ基で置換され、
好ましくは、各Rは、水素、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、ピラゾリル基、チアゾリル基及びトリアゾリル基からそれぞれ独立的に選択され、そのうち、上記C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、ピラゾリル基、チアゾリル基及びトリアゾリル基は、非置換であるか、又はヒドロキシ基で置換され、
mは、0、1又は2であり、
は水素から選択される式(I)の化合物の製造方法を提供する。
【0026】
本発明は、式(I’)の化合物の製造方法であって、
【0027】
【化9】
【0028】
有機溶媒において、(I’-4)をハロゲン化試薬とハロゲン化反応させて(I’-5)が得られるステップ(C)と、
【0029】
【化10】
【0030】
有機溶媒において、(I’-5)を(I’-6)及び塩基と求核置換反応させて(I’)が得られるステップ(D)とによって製造され、
【0031】
【化11】
【0032】
そのうち、RはC1-6アルキル基であり、
Xはハロゲン原子であり、
Mはアルカリ金属イオンである式(I’)の化合物の製造方法を提供する。
【0033】
本発明の一実施形態において、(I’)の化合物の製造方法であって、
有機溶媒において、(I’-4)をハロゲン化試薬とハロゲン化反応させて(I’-5)が得られるステップ(C)と、
【0034】
【化12】
【0035】
有機溶媒において、(I’-5)を(I’-6)及び塩基と求核置換反応させて(I’)が得られるステップ(D)とによって製造され、
【0036】
【化13】
【0037】
そのうち、RはC1-6アルキル基であり、
Xはハロゲン原子であり、
Mは、K、Na、Li、Csである(I’)の化合物の製造方法。
【0038】
本発明の一実施形態において、式(I’)の化合物の製造方法であって、有機溶媒において、(I’-3)を塩基と縮合反応させて(I’-4)が得られるステップ(B)を更に含み、
【0039】
【化14】
【0040】
は、C1-6アルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基であり、
は、C1-6アルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基であり、
Mは、K、Na、Li、Csであり、好ましくはK、Naである式(I’)の化合物の製造方法。
【0041】
本発明の一実施形態において、式(I’)の化合物の製造方法であって、有機溶媒において、式(I’-1)、(I’-2)をカップリング試薬と縮合反応させて(I’-3)が得られるステップ(A)を更に含み、
【0042】
【化15】
【0043】
は、C1-6アルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基であり、
は、C1-6アルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基である式(I’)の化合物の製造方法。
【0044】
本発明の一実施形態において、
ステップ(A)に記載のカップリング試薬は、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩、2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジシクロヘキシルカルボジイミドのうちの1種又は複数種であり、
ステップ(B)に記載の塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、カリウムメトキシドのうちの1種又は複数種であり、
ステップ(C’)及びステップ(C)に記載のハロゲン化試薬は、オキシ塩化リン、塩化チオニル、塩化スルホニル、三塩化ホスフィン、五塩化ホスフィン、三臭化リン、オキシ臭化リン、トリホスゲン、塩化オキサリルのうちの1種又は複数種であり、
ステップ(D’)及びステップ(D)に記載の塩基は、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシドのうちの1種又は複数種である。
【0045】
本発明の一実施形態において、
ステップ(D’)及びステップ(D)に記載の塩基は、トリエチルアミンである。
【0046】
本発明の一実施形態において、
ステップ(A)に記載の有機溶媒は、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフランのうちの1種又は複数種であり、好ましくはジクロロメタンであり、
ステップ(B)に記載の有機溶媒は、エタノール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドのうちの1種又は複数種であり、好ましくはテトラヒドロフランであり、
ステップ(C’)及びステップ(C)に記載の有機溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンのうちの1種又は複数種であり、好ましくはアセトニトリルであり、
ステップ(D’)及びステップ(D)に記載の有機溶媒は、エタノール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドのうちの1種又は複数種であり、好ましくはエタノールである。
【0047】
本発明の一実施形態において、
ステップ(A)に記載のカップリング試薬は、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩であり、
ステップ(B)に記載の塩基は、カリウムメトキシド及びナトリウムエトキシドのうちの1種又は複数種であり、
ステップ(C’)及びステップ(C)に記載のハロゲン化試薬は、オキシ塩化リンであり、
ステップ(D’)及びステップ(D)に記載の塩基は、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンである。
【0048】
本発明の一実施形態において、
ステップ(A)において、有機溶媒の使用量は、式(I’-1)の体積の2~20倍であり、好ましくは5~12倍であり、
ステップ(B)において、有機溶媒の使用量は、式(I’-3)の体積の2~20倍であり、好ましくは3~12倍であり、
ステップ(C’)において、有機溶媒の使用量は、式(I-4)の体積の2~20倍であり、好ましくは4~10倍であり、
ステップ(C)において、有機溶媒の使用量は、式(I’-4)の体積の2~20倍であり、好ましくは4~10倍であり、
ステップ(D’)において、有機溶媒の使用量は、式(I-5)の体積の2~20倍であり、好ましくは10~20倍である。
【0049】
ステップ(D)において、有機溶媒の使用量は、式(I’-5)の体積の2~20倍であり、好ましくは10~20倍である。
【0050】
本発明の一実施形態において、
上記ステップ(A)の(I’-1)、(I’-2)及びカップリング試薬のモル比は、1:(0.5~2):(1~2)であり、
上記ステップ(B)の(I’-3)と塩基のモル比は1:(1~5)であり、
上記ステップ(C’)の(I-4)とハロゲン化試薬のモル比は1:(1~5)であり、
上記ステップ(C)の(I’-4)とハロゲン化試薬のモル比は1:(1~5)であり、
上記ステップ(D’)の(I-5)、(I-6)と塩基のモル比は、1:(0.5~2):(1~3)であり、
ステップ(D)の(I’-5)、(I’-6)と塩基のモル比は、1:(0.5~2):(1~3)である。
【0051】
本発明の一実施形態において、
上記ステップ(C’)の(I-4)とハロゲン化試薬のモル比は1:(1~3)であり、
上記ステップ(C)の(I’-4)とハロゲン化試薬のモル比は1:(1~3)である。
【0052】
本発明の一実施形態において、
上記ステップ(C’)の(I-4)とハロゲン化試薬のモル比は、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.5、又は1:2.3であり、
上記ステップ(C)の(I’-4)とハロゲン化試薬のモル比は、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.5、又は1:2.3である。
【0053】
本発明は、式(I’)の化合物の製造中間体であって、以下の構造式を有し、
【0054】
【化16】
【0055】
は、C1-6アルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基であり、
Mは、K、Na、Li、Csである式(I’)の化合物の製造中間体を更に提供する。
【0056】
本発明の一実施形態において、上記製造中間体は、以下の構造を有する:
【0057】
【化17】
【0058】
本発明は、PDE9により媒介される関連疾患を治療又は予防する薬剤の合成に利用可能な式(I’)の化合物の製造中間体を更に提供する。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本発明に記載の「C1-6アルキル基」とは、1~6個の炭素原子を有する炭化水素部分から1つの水素原子を除去した直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、ネオペンチル基、1-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、4-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1-メチルペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基及び1-メチル-2-メチルプロピル基などである。上記「C1-4アルキル基」とは、1~4個の炭素原子を有する上記例を指す。
【0060】
本発明に記載の「C1-4アルコキシ基」とは、上記のように定義された「C1-4アルキル基」が酸素原子を介して親分子に連結される基であり、即ち、「C1-4アルキル-O-」基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基及びtert-ブトキシ基などである。
【0061】
発明に記載の「C1-4アルキルアミノ基」、「(C1-4アルキル)アミノ基」、「(C1-4アルキル)アミノカルボニル基」、「C1-4アルキルスルホニル基」、「C1-4アルキルチオ基」は、それぞれC1-4アルキル-NH-、(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)N-、(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)N-C(O)-、C1-4アルキル-S(O)-、C1-4アルキル-S-を指す。
【0062】
本発明に記載の「4~6員のヘテロシクリル基」は、4~6員の少なくとも1つの環炭素原子がO、S、Nから選択されるヘテロ原子で置換された非芳香族環状基を指し、好ましくは1~3個のヘテロ原子であり、同時に炭素原子、窒素原子及び硫黄原子がオキソ基で置換可能であることを含む。
【0063】
本発明に記載の「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などを意味する。
【0064】
本発明に記載の「塩基」には、有機塩基及び無機塩基が含まれる。そのうち、有機塩基としては、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、LiHMDS、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシドを含むが、これらに限定されない。無機塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ルビジウムを含むが、これらに限定されない。
【0065】
本発明に記載の「アルカリ金属」とは、周期律表第IA族の水素(H)を除く6個の金属元素、即ち、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)を意味する。
【0066】
本発明に記載の「倍体積」とは、1gの物質を溶解するために必要な溶媒の体積(mL)を指し、例えば、1gの式(I)の化合物(I’-1)を溶解するために必要な溶媒が10mLである場合、10倍体積と称される。
【0067】
特に、本発明は、以下の技術案を提供する:
技術案1.式(I)の化合物の製造方法において、
【0068】
【化18】
【0069】
有機溶媒において、(I-4)をハロゲン化試薬とハロゲン化反応させて(I-5)が得られるステップ(C’)と、
【0070】
【化19】

【0071】
有機溶媒において、(I-5)を(I-6)及び塩基と求核置換反応させて(I)が得られるステップ(D’)とによって製造され、
【0072】
【化20】
【0073】
そのうち、Xはハロゲン原子であり、Mはアルカリ金属イオンであり、
がCHであり、XがNであり、XがCRであり、XがCHであり、
は、水素、アミノ基、シアノ基、ハロゲン、カルボキシル基、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルキルアミノ基、(C1-4アルキル)アミノ基、モルホリニル基、C2-6アルケニル基、C1-4アルキルカルボニル基、C1-4アルキルアミノカルボニル基、(C1-6アルキル)アミノカルボニル基、C1-4アルキルスルホニル基、C1-4アルキルチオ基、アミノカルボニル基、シクロプロピル基、アゼチジニル基及びピペラジニル基から選択され、
a)そのうち、上記C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルキルアミノ基、(C1-4アルキル)アミノ基、C2-6アルケニル基、C1-4アルキルカルボニル基、C1-4アルキルアミノカルボニル基、(C1-6アルキル)アミノカルボニル基、C1-4アルキルスルホニル基、C1-4アルキルチオ基、アミノカルボニル基は、非置換であるか、又はヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルキルアミノ基、(C1-4アルキル)アミノ基、シクロプロピル基、C1-4アルキルカルボニルオキシ基及び非置換であるか又はC1-4アルキル基で置換された4~6員のヘテロシクリル基から独立的に選択される1つないし複数(原子価平衡を満たす条件下で、例えば、1、2、3、4又は5個)の基で任意選択的に置換され、
b)そのうち、上記シクロプロピル基、アゼチジニル基、モルホリニル基及びピペラジニル基は、非置換であるか、又はヒドロキシ基、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、シクロプロピル基、アミノ基、C1-4アルキルアミノ基、(C1-4アルキル)アミノ基及びC1-4アルキルカルボニルオキシ基から独立的に選択される1つないし複数(原子価平衡を満たす条件下で、例えば、1、2、3、4又は5個)の基で任意選択的に置換され、
Lは結合であり、
環Aは、4~7員のモノヘテロシクリル基又は7~12員のスピロヘテロシクリル基であり、上記4~7員のモノヘテロシクリル基のヘテロ原子はNから選択され、7~12員のスピロヘテロシクリル基のヘテロ原子は、O、Nのうちの1種又は2種の組み合わせから選択され、且つ7~12員のスピロヘテロシクリル基は、少なくとも1つのNを含み、環Aは、N原子を介してLに連結され、
各Rは、水素、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、ピラゾリル基、チアゾリル基及びトリアゾリル基からそれぞれ独立的に選択され、そのうち、上記C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、ピラゾリル基、チアゾリル基及びトリアゾリル基は、非置換であるか、又はヒドロキシ基で置換され、
mは、0、1又は2であり、
は水素から選択されることを特徴とする式(I)の化合物の製造方法。
【0074】
技術案2.Rは、水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、モルホリニル基、C2-6アルケニル基、C1-4アルキルアミノカルボニル基、(C1-4アルキル)アミノカルボニル基及びアミノカルボニル基から選択され、
a)そのうち、上記C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C1-4アルキルアミノカルボニル基、(C1-4アルキル)アミノカルボニル基及びアミノカルボニル基は、非置換であるか、又はヒドロキシル基、C1-4アルコキシ基、シクロプロピル基、アミノ基、C1-4アルキルアミノ基、(C1-4アルキル)アミノ基、及び非置換である又はC1-4アルキル基で置換された4~6員ヘテロシクリル基から独立的に選択される1つないし複数(原子価平衡を満たす条件下で、例えば、1、2、3、4又は5個)の基で任意選択的に置換され、
b)そのうち、上記モルホリニル基は、非置換であるか、又はヒドロキシル基、C1-4アルコキシ基、シクロプロピル基、アミノ基、C1-4アルキルアミノ基及び(C1-4アルキル)アミノ基から独立的に選択される1つないし複数(原子価平衡を満たす条件下で、例えば、1、2、3、4又は5個)の基で任意選択的に置換されることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0075】
技術案3.Rは、水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C1-4アルキルアミノカルボニル基及びアミノカルボニル基から選択され、
そのうち、上記C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C2-6アルケニル基、C1-4アルキルアミノカルボニル基及びアミノカルボニル基は、非置換であるか、又はヒドロキシル基、C1-4アルコキシ基、シクロプロピル基、アミノ基、C1-4アルキルアミノ基、(C1-4アルキル)アミノ基、及び非置換であるか又はC1-4アルキル基で置換された4~6員のヘテロシクリル基から独立的に選択される1つないし複数(原子価平衡を満たす条件下で、例えば、1、2、3、4又は5個)の基で任意選択的に置換されることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0076】
技術案4.環Aは、Nから選択されるヘテロ原子を有する4~7員のモノヘテロシクリル基であり、環Aは、N原子を介してLに連結されることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0077】
技術案5.環Aは、
【0078】
【化21】
【0079】
から選択されることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0080】
技術案6.環Aは
【0081】
【化22】
【0082】
であることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0083】
技術案7.各Rは、水素、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、ピラゾリル基、チアゾリル基及びトリアゾリル基からそれぞれ独立的に選択され、そのうち、上記C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、ピラゾリル基、チアゾリル基及びトリアゾリル基は、非置換であるか又はカルボニル基で置換されることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0084】
技術案8.ステップ(C’)において、上記ハロゲン化試薬は、オキシ塩化リン、塩化チオニル、塩化スルホニル、三塩化ホスフィン、五塩化ホスフィン、三臭化リン、オキシ臭化リン、トリホスゲン、塩化オキサリルのうちの1種又は複数種であることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0085】
技術案9.ステップ(C’)において、上記ハロゲン化試薬はオキシ塩化リンであることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0086】
技術案10.ステップ(C’)において、(I-4)とハロゲン化試薬のモル比は1:(1~5)であることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0087】
技術案11.ステップ(C’)において、(I-4)とハロゲン化試薬のモル比は1:(1~3)であることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0088】
技術案12.ステップ(C’)において、(I-4)とハロゲン化試薬のモル比は1:(1.2~2.3)であることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0089】
技術案13.ステップ(C’)において、(I-4)とハロゲン化試薬のモル比は約1:1.5であることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0090】
技術案14.ステップ(D’)において、上記塩基は、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシドのうちの1種又は複数種であることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0091】
技術案15.ステップ(D’)において、上記塩基は、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンであることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0092】
技術案16.ステップ(D’)において、上記塩基はトリエチルアミンであることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0093】
技術案17.ステップ(D’)において、上記塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンであることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0094】
技術案18.ステップ(D’)において、(I-5)、(I-6)と塩基のモル比は、1:(0.5~2):(1~3)であることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0095】
技術案19.(C’)ステップにおいて、上記有機溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンのうちの1種又は複数種であることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0096】
技術案20.ステップ(C’)において、上記有機溶媒はアセトニトリルであることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0097】
技術案21.(D’)ステップにおいて、上記有機溶媒は、エタノール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドのうちの1種又は複数種であることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0098】
技術案22.ステップ(D’)において、上記有機溶媒はエタノールであることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0099】
技術案23.ステップ(C’)において、有機溶媒の使用量は、式(I’-4)の2~20倍体積であることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0100】
技術案24.ステップ(C’)において、有機溶媒の使用量は、式(I’-4)の4~10倍体積であることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0101】
技術案25.ステップ(D’)において、有機溶媒の使用量は、式(I’-5)の2~20倍体積である。
【0102】
技術案26.ステップ(D’)において、有機溶媒の使用量は、式(I’-5)の10~20倍体積である。
【0103】
技術案27.ステップ(C’)において、反応温度は40~160℃であり、且つ温度は溶媒の沸点より5℃以下低く、反応時間は1~36時間であることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0104】
技術案28.ステップ(C’)において、反応温度は60~140℃であり、且つ温度は溶媒の沸点より5℃以下低く、反応時間は2~24時間であることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0105】
技術案29.ステップ(C’)において、反応温度は80~120℃であり、且つ温度は溶媒の沸点より5℃以下低く、反応時間は4~12時間であることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0106】
技術案30.ステップ(D’)において、反応温度は40~120℃であり、且つ温度は溶媒の沸点より5℃以下低く、反応時間は0.1~12時間であることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0107】
技術案31.ステップ(D’)において、反応温度は50~110℃であり、且つ温度は溶媒の沸点より5℃以下低く、反応時間は0.5~6時間であることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0108】
技術案32.ステップ(D’)において、反応温度は60~100℃であり、且つ温度は溶媒の沸点より5℃以下低く、反応時間は1~3時間であることを特徴とする上記技術案のいずれか1項に記載の製造方法。
【0109】
技術案33.式(I’)の化合物の製造方法であって、
【0110】
【化23】
【0111】
有機溶媒において、(I’-4)をハロゲン化試薬とハロゲン化反応させて(I’-5)が得られるステップ(C)と、
【0112】
【化24】
【0113】
有機溶媒において、(I’-5)を(I’-6)及び塩基と求核置換反応させて(I’)が得られるステップ(D)とによって製造され、
【0114】
【化25】
【0115】
そのうち、RはC1-6アルキル基であり、
Xはハロゲン原子であり、
Mはアルカリ金属イオンであることを特徴とする式(I’)の化合物の製造方法。
【0116】
技術案34.ステップ(C)において、上記ハロゲン化試薬は、オキシ塩化リン、塩化チオニル、塩化スルフリル、三塩化ホスフィン、五塩化ホスフィン、三臭化リン、オキシ臭化リン、トリホスゲン、塩化オキサリルのうちの1種又は複数種であることを特徴とする技術案33に記載の製造方法。
【0117】
技術案35.ステップ(C)において、上記ハロゲン化試薬はオキシ塩化リンであることを特徴とする技術案33~34のいずれか1項に記載の製造方法。
【0118】
技術案36.ステップ(C)において、(I’-4)とハロゲン化剤のモル比は1:(1~5)であることを特徴とする技術案33~35のいずれか1項に記載の製造方法。
【0119】
技術案37.ステップ(C)において、(I’-4)とハロゲン化剤のモル比は1:(1~3)であることを特徴とする技術案33~36のいずれか1項に記載の製造方法。
【0120】
技術案38.ステップ(C)において、(I’-4)とハロゲン化剤のモル比は1:(1.2~2.3)であることを特徴とする技術案33~37のいずれか1項に記載の製造方法。
【0121】
技術案39.ステップ(C)において、(I’-4)とハロゲン化剤のモル比は約1:1.5であることを特徴とする技術案33~38のいずれか1項に記載の製造方法。
【0122】
技術案40.ステップ(D)において、上記塩基は、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシドのうちの1種又は複数種であることを特徴とする技術案33~39のいずれか1項に記載の製造方法。
【0123】
技術案41.ステップ(D)において、上記塩基は、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンであることを特徴とする技術案33~40のいずれか1項に記載の製造方法。
【0124】
技術案42.ステップ(D)において、上記塩基はトリエチルアミンであることを特徴とする技術案33~41のいずれか1項に記載の製造方法。
【0125】
技術案43.ステップ(D)において、上記塩基はN,N-ジイソプロピルエチルアミンである技術案33~42のいずれか1項に記載の製造方法。
【0126】
技術案44.ステップ(D)において、(I’-5)、(I’-6)と塩基のモル比は1:(0.5~2):(1~3)であることを特徴とする技術案33~43のいずれか1項に記載の製造方法。
【0127】
技術案45.ステップ(C)において、上記有機溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンのうちの1種又は複数種であることを特徴とする技術案33~44のいずれかに1項に記載の製造方法。
【0128】
技術案46.ステップ(C)において、上記有機溶媒はアセトニトリルであることを特徴とする技術案33~45のいずれか1項に記載の製造方法。
【0129】
技術案47.ステップ(D)において、上記有機溶媒は、エタノール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドのうちの1種又は複数種であることを特徴とする技術案33~46のいずれか1項に記載の製造方法。
【0130】
技術案48.ステップ(D)において、上記有機溶媒はエタノールであることを特徴とする請求項33~47のいずれか1項に記載の製造方法。
【0131】
技術案49.ステップ(C)において、有機溶媒の使用量は、式(I’-4)の2~20倍体積であることを特徴とする技術案33~48のいずれか1項に記載の製造方法。
【0132】
技術案50.ステップ(C)において、有機溶媒の使用量は、式(I’-4)の4~10倍体積であることを特徴とする技術案33~49のいずれか1項に記載の製造方法。
【0133】
技術案51.ステップ(D)において、有機溶媒の使用量は、式(I’-5)の2~20倍体積であることを特徴とする技術案33~50のいずれか1項に記載の製造方法。
【0134】
技術案52.ステップ(D)において、有機溶媒の使用量は、式(I’-5)の10~20倍体積であることを特徴とする技術案33~51のいずれか1項に記載の製造方法。
【0135】
技術案53.ステップ(C)において、反応温度は40~160℃であり、且つ温度は溶媒の沸点より5℃以下低く、反応時間は1~36時間であることを特徴とする技術案33~52のいずれか1項に記載の製造方法。
【0136】
技術案54.ステップ(C)において、反応温度は60~140℃であり、且つ温度は溶媒の沸点より5℃以下低く、反応時間は2~24時間であることを特徴とする技術案33~53のいずれか1項に記載の製造方法。
【0137】
技術案55.ステップ(C)において、反応温度は80~120℃であり、且つ温度は溶媒の沸点より5℃以下低く、反応時間は4~12時間であることを特徴とする技術案33~54のいずれか1項に記載の製造方法。
【0138】
技術案56.ステップ(D)において、反応温度は40~120℃であり、且つ温度は溶媒の沸点より5℃以下低く、反応時間は0.1~12時間であることを特徴とする技術案33~55のいずれか1項に記載の製造方法。
【0139】
技術案57.ステップ(D)において、反応温度は50~110℃であり、且つ温度は溶媒の沸点より5℃以下低く、反応時間は0.5~6時間であることを特徴とする技術案33~56のいずれか1項に記載の製造方法。
【0140】
技術案58.ステップ(D)において、反応温度は60~100℃であり、且つ温度は溶媒の沸点より5℃以下低く、反応時間は1~3時間であることを特徴とする技術案33~57のいずれか1項に記載の製造方法。
【0141】
技術案59.有機溶媒において、(I’-3)を塩基と縮合反応させて(I’-4)が得られるステップ(B)を更に含み、
【0142】
【化26】
【0143】
は、C1-6アルキル基であり、
は、C1-6アルキル基であり、
Mは、K、Na、Li、Csであることを特徴とする技術案1~58のいずれか1項に記載の製造方法。
【0144】
技術案60.Rはメチル基又はエチル基であることを特徴とする技術案59に記載の製造方法。
【0145】
技術案61.Rはメチル基又はエチル基であることを特徴とする技術案59~60に記載の製造方法。
【0146】
技術案62.Mは、K又はNaであることを特徴とする技術案59~61のいずれか1項に記載の製造方法。
【0147】
技術案63.ステップ(B)において、上記塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、カリウムメトキシドのうちの1種又は複数種であることを特徴とする技術案59~62のいずれか1項に記載の製造方法。
【0148】
技術案64.ステップ(B)において、上記塩基は、カリウムメトキシド及び/又はナトリウムエトキシドであることを特徴とする技術案59~63のいずれか1項に記載の製造方法。
【0149】
技術案65.ステップ(B)において、(I’-3)と塩基のモル比は1:(1~5)であることを特徴とする技術案59~64のいずれか1項に記載の製造方法。
【0150】
技術案66.ステップ(B)において、上記有機溶媒は、エタノール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドのうちの1種又は複数種であることを特徴とする技術案59~65のいずれか1項に記載の製造方法。
【0151】
技術案67.ステップ(B)において、上記有機溶媒は、テトラヒドロフランであることを特徴とする技術案59~66のいずれか1項に記載の製造方法。
【0152】
技術案68.ステップ(B)において、上記有機溶媒の使用量は、式(I’-3)の2~20倍体積であることを特徴とする技術案59~67のいずれか1項に記載の製造方法。
【0153】
技術案69.ステップ(B)において、上記有機溶媒の使用量は、式(I’-3)の3~12倍体積であることを特徴とする技術案59~68のいずれか1項に記載の製造方法。
【0154】
技術案70.ステップ(B)において、反応温度は40~120℃であり、且つ温度は溶媒の沸点より5℃以下低く、反応時間は0.1~12時間であることを特徴とする技術案59~69のいずれか1項に記載の製造方法。。
【0155】
技術案71.ステップ(B)において、反応温度は50~120℃であり、且つ温度は溶媒の沸点より5℃以下低く、反応時間は0.5~6時間であることを特徴とする技術案59~70のいずれか1項に記載の製造方法。
【0156】
技術案72.ステップ(B)において、反応温度は60~100℃であり、且つ温度は溶媒の沸点より5℃以下低く、反応時間は1~3時間であることを特徴とする技術案59~71のいずれか1項に記載の製造方法。
【0157】
技術案73.有機溶媒において、式(I’-1)、(I’-2)をカップリング試薬と縮合反応させて(I’-3)が得られるステップ(A)を更に含み、
【0158】
【化27】
【0159】
は、C1-6アルキル基であり、
は、C1-6アルキル基であることを特徴とする技術案59~72のいずれか1項に記載の製造方法。
【0160】
技術案74.Rはメチル基又はエチル基であることを特徴とする技術案73に記載の製造方法。
【0161】
技術案75.Rはメチル基又はエチル基であることを特徴とする技術案73~74のいずれか1項に記載の製造方法。
【0162】
技術案76.ステップ(A)において、上記カップリング試薬は、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩、2-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジシクロヘキシルカルボジイミドのうちの1種又は複数種であることを特徴とする技術案73~75のいずれか1項に記載の製造方法。
【0163】
技術案77.ステップ(A)において、上記カップリング試薬は、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩であることを特徴とする技術案73~76のいずれか1項に記載の製造方法。
【0164】
技術案78.ステップ(A)において、(I’-1)、(I’-2)とカップリング剤のモル比は1:(0.5~2):(1~2)であることを特徴とする技術案73~77のいずれか1項に記載の製造方法。
【0165】
技術案79.ステップ(A)において、上記有機溶媒は、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフランのうちの1種又は複数種であることを特徴とする技術案73~78のいずれか1項に記載の製造方法。
【0166】
技術案80.ステップ(A)において、上記有機溶媒はジクロロメタンであることを特徴とする技術案73~79のいずれか1項に記載の製造方法。
【0167】
技術案81.ステップ(A)において、上記有機溶媒の使用量は、式(I’-1)の2~20倍体積であることを特徴とする技術案73~80のいずれか1項に記載の製造方法。
【0168】
技術案82.ステップ(A)において、上記有機溶媒の使用量は、式(I’-1)の5~12倍体積であることを特徴とする技術案73~81のいずれか1項に記載の製造方法。
【0169】
技術案83.ステップ(A)において、反応温度は10~40℃であり、且つ温度は溶媒の沸点より5℃以下低く、反応時間は0.1~12時間であることを特徴とする技術案73~82のいずれか1項に記載の製造方法。
【0170】
技術案84.ステップ(A)において、反応温度は15~35℃であり、且つ温度は溶媒の沸点より5℃以下低く、反応時間は0.5~6時間であることを特徴とする技術案73~83のいずれか1項に記載の製造方法。
【0171】
技術案85.ステップ(A)において、反応温度は20~30℃であり、温度は溶媒の沸点より5℃以下低く、反応時間は1~3時間であることを特徴とする技術案73~84のいずれか1項に記載の製造方法。
【0172】
技術案86.式(I’)の化合物の中間体であって、
【0173】
【化28】
【0174】
は、C1-6アルキル基であり、
Mは、K、Na、Li、Csであるという構造式を有することを特徴とする式(I’)の化合物の中間体。
【0175】
技術案87.式(I’)の化合物の中間体であって、
【0176】
【化29】
【0177】
はメチル基又はエチル基であり、
Mは、K、Na、Li、Csであるという構造式を有することを特徴とする式(I’)の化合物の中間体。
【0178】
技術案88.
【0179】
【化30】
【0180】
という構造を有することを特徴とする中間体。
【0181】
WO2019062733A1及びWO2020182076A1に開示されている製造方法は、1,2-ジヒドロ-2-オキソ-3-シアノ-1,7-ナフチリジン-4-オール化合物のようなものを中間体として使用し、ハロゲン化試薬とハロゲン化反応し、これとは異なり、本発明の製造方法によれば、1,2-ジヒドロ-2-オキソ-3-シアノ-1,7-ナフチリジン-4-イルアルカリ金属塩化合物のようなものを中間体として使用し、ハロゲン化試薬とハロゲン化反応することができる。以下の実施例に例示されるように、本発明は、有毒で有害なハロゲン化試薬(例えば、オキシ塩化リン)の使用量を低減することができる。
【実施例
【0182】
以下、本発明の上記内容を具体的な実施例によって更に詳細に説明するが、本発明の上記主旨の範囲は、以下の実施例に限定されるものと理解すべきではない。本発明の上記内容に基づいて実現される技術は、いずれも本発明の範囲に属する。
【0183】
本明細書で使用される略語は、以下の通りである:
「EDCI」とは、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩を指す。
「DIPEA」とは、N,N-ジイソプロピルエチルアミンを指す。
【0184】
【化31】
【0185】
WO2009093032A1の化合物23及び実施例14を参照して製造した。
【0186】
実施例1 式(I)の化合物の製造
【0187】
【化32】
【0188】
ステップ1a:6-エチル-3-(シアノアセトアミド)ピリジン-4-カルボン酸エチルの合成
【0189】
【化33】
【0190】
中間体6-エチル-3-アミノピリジン-4-カルボン酸エチル(100g、514.84mmol、1.0eq)をジクロロメタン(1.00L)に溶解し、氷浴の条件でシアン酢酸(52.55g、617.81mmol、1.2eq)を加え、EDCI(148.03g、772.26mmol、1.5eq)を複数回に分けて加え、25℃で2時間反応させ、LC-MSにより反応が完了したことを検出した。反応液にHO(1.00L)を加え、分液し、有機相をHO(2×500mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、吸引ろ過し、ろ液を濃縮し、粗生成物をメチルtert-ブチルエーテル(300mL)でスラリー化して製品(128g、収率95.15%)が得られた。
【0191】
ステップ1b:6-エチル-3-(シアノアセトアミド)ピリジン-4-カルボン酸エチルの合成
中間体6-エチル-3-アミノピリジン-4-カルボン酸エチル(500g、2.57mmol、1.0eq)をジクロロメタン(6.00L)に溶解し、氷浴の条件でシアン酢酸(262.76g、3.09mol、1.2eq)を加え、EDCI(740.23g、3.86mol、1.5eq)を複数回に分けて加え、25℃で2時間反応させ、LC-MSにより反応が完了したことを検出した。反応液にHO(5.00L)を加え、分液し、水相をDCM(2×500mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、吸引ろ過し、ろ液を1.0Lに濃縮し、5.0Lのn-ヘプタンに滴下し、大量の固体を析出させ、吸引ろ過により固体を収集し、50℃で乾燥して製品(658g、収率98%)が得られた。
【0192】
ステップ2a:3-シアノ-6-エチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-4-カリウムアルコキシドの合成
【0193】
【化34】
【0194】
カリウムメトキシド(2.95g、42.10mmol、1.1eq)をn-ヘプタン(200mL)に分散させた後、系内を80℃に昇温させ、続いて中間体6-エチル-3-(シアノアセトアミド)ピリジン-4-カルボン酸エチル(10g、38.27mmol、1.0eq)をテトラヒドロフラン(30mL)に溶解し、上記加熱系に滴下し、滴下完了後に80℃で2時間反応させ、LC-MSにより反応が完了したことを検出した。加熱を停止し、反応系を室温まで自然冷却し、吸引ろ過し、ろ過ケーキを乾燥して粗生成物(10.4g、収率107.29%)が得られた。
【0195】
ステップ2b:3-シアノ-6-エチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-4-ナトリウムアルコキシドの合成
【0196】
【化35】
【0197】
ナトリウムエトキシド(2.86g、42.10mmol、1.1eq)をn-ヘプタン(200mL)に分散させた後、系内を80℃に昇温させ、続いて中間体6-エチル-3-(シアノアセトアミド)ピリジン-4-カルボン酸エチル(10g、38.27mmol、1.0eq)をテトラヒドロフラン(30mL)に溶解し、上記加熱系に滴下し、滴下完了後に80℃で2時間反応させ、LC-MSにより反応が完了したことを検出した。加熱を停止し、反応系を室温まで自然冷却し、吸引ろ過し、ろ過ケーキを乾燥して粗生成物(10.3g、収率113.43%)が得られた。
【0198】
ステップ3a:6-エチル-4-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリルの合成
【0199】
【化36】
【0200】
中間体3-シアノ-6-エチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-4-カリウムアルコキシド(5g、19.74mmol、1.0eq)をアセトニトリル(50mL)に溶解し、室温でオキシ塩化リン(4.54g、29.61mmol、1.5eq)を加え、100℃で8時間反応させた。反応液を降温させ、濃縮し、HO(50mL)を加え、10%水酸化ナトリウムでpH値を約6に調整し、大量の黄色固体を析出させ、吸引ろ過し、乾燥して3.87gの粗生成物(収率83.95%)が得られた。
【0201】
ステップ3b:6-エチル-4-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリルの合成
【0202】
【化37】
【0203】
中間体3-シアノ-6-エチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-4-カリウムアルコキシド(5g、19.74mmol、1.0eq)をアセトニトリル(50mL)に溶解し、室温でオキシ塩化リン(3.63g、23.69mmol、1.2eq)を加え、100℃で8時間反応させた。反応液を降温させ、濃縮し、HO(50mL)を加え、10%水酸化ナトリウムでpH値を約6に調整し、大量の黄色固体を析出させ、吸引ろ過し、乾燥して3.47gの粗生成物(収率75.27%)が得られた。
【0204】
ステップ3c:6-エチル-4-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリルの合成
【0205】
【化38】
【0206】
中間体3-シアノ-6-エチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-4-カリウムアルコキシド(10g、39.5mmol、1.0eq)をアセトニトリル(100mL)に溶解し、室温でオキシ塩化リン(13.93g、90.85mmol、2.3eq)を複数回に分けて加え、100℃で8時間反応させた。反応液を降温させ、濃縮し、HO(500mL)を加え、10%水酸化ナトリウムでpH値を約6に調整し、大量の黄色固体を析出させ、吸引ろ過し、乾燥して7.18gの粗生成物(収率77.87%)が得られた。
【0207】
ステップ3d:6-エチル-4-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリルの合成
【0208】
【化39】
【0209】
中間体3-シアノ-6-エチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-4-ナトリウムアルコキシド(5g、21.08mmol、1.0eq)をアセトニトリル(50mL)に溶解し、室温でオキシ塩化リン(4.85g、31.62mmol、1.5eq)を加え、100℃で8時間反応させた。反応液を降温させ、濃縮し、HO(50mL)を加え、10%水酸化ナトリウムでpH値を約6に調整し、大量の黄色固体を析出させ、吸引ろ過し、乾燥して3.72gの粗生成物(収率75.46%)が得られた。
【0210】
ステップ3e:6-エチル-4-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリルの合成
【0211】
【化40】
【0212】
中間体3-シアノ-6-エチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-4-カリウムアルコキシド(120g、473.7mmol、1.0eq)をアセトニトリル(1200mL)に溶解し、室温でオキシ塩化リン(73.36g、478.48mmol、1.01eq)を複数回に分けて加え、100℃で8時間反応させた。反応液を降温させ、濃縮し、HO(1200mL)を加え、10%水酸化ナトリウムでpH値を約6に調整し、大量の黄色固体を析出させ、吸引ろ過し、乾燥して粗生成物が得られ、粗生成物に2350mLのテトラヒドロフラン(THF)を加え、活性炭を加え、昇温還流してろ過し、ろ液を酢酸イソプロピルで蒸発させてTHFを除去し、室温まで冷却した後に大量の固体が析出し、固体を収集し、乾燥し、80.45gの黄色固体(収率72.7%)が得られた。
【0213】
ステップ4a:6-エチル-4-(4-メトキシ-4-メチルピペリジン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリルの合成
【0214】
【化41】
【0215】
中間体6-エチル-4-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリル(91g、390.3mmol、1.0eq)及び4-メチル-4-メトキシピペリジン塩酸塩(70.89g、429.43mmol、1.1eq)をエタノール(1365mL)に溶解し、DIPEA(151.36g、1171.17mmol、3.0eq)を加え、80℃で2時間反応させ、LC-MSにより反応が完了したことを検出した。約75%のエタノールを減圧留去し、水(2L)を加え、25℃で1時間撹拌し、吸引ろ過し、ろ過ケーキをエタノール(4L)で完全に還流溶解し、吸引ろ過し、ろ液を約1Lまで濃縮し、約10℃まで降温させ、吸引ろ過し、ろ過ケーキを乾燥して製品(69g、収率54.15%)が得られた。
【0216】
HNMR (400 MHz, DMSO-d) δ(ppm): 11.90 (s, 1H), 8.58 (s, 1H), 7.40 (s, 1H), 3.59-3.61 (m, 4H), 3.19 (s, 3H), 2.78-2.84 (m, 2H), 1.89-1.93 (m, 2H), 1.77-1.82 (m, 2H), 1.22-1.26 (m, 6H).
【0217】
分子式:C1822 分子量:326.40 LC-MS(Pos、m/z)=327.59[M+H]
【0218】
ステップ4b:6-エチル-4-(4-メトキシ-4-メチルピペリジン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリルの合成
【0219】
【化42】
【0220】
中間体6-エチル-4-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリル(15g、64.2mmol、1.0eq)及び4-メチル-4-メトキシピペリジン塩酸塩(11.7g、70.62mmol、1.1eq)をエタノール(150mL)に溶解し、トリエチルアミン(14.29g、141.23mmol、2.2eq)を加え、80℃で2時間反応させ、LC-MSにより反応が完了したことを検出した。約75%エタノールを減圧留去し、水(300mL)を加え、25℃で1時間撹拌し、吸引ろ過し、ろ過ケーキをエタノール(600mL)で完全に還流溶解し、活性炭(2g)を加え、0.5時間還流した。吸引ろ過し、ろ液を約400mLまで濃縮し、室温まで冷却し、吸引ろ過し、ろ過ケーキを乾燥して製品(17.10g、収率81.6%)が得られた。
【0221】
実施例2
ステップ1において、EDCIを2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、又はジシクロヘキシルカルボジイミドに置き換え、ジクロロメタンをN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、又はテトラヒドロフランに置き換えることにより、6-エチル-3-(シアノアセトアミド)ピリジン-4-カルボン酸エチルを得ることができる。
【0222】
ステップ2aにおいて、カリウムメトキシドをナトリウムエトキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、又はカリウムtert-ブトキシドに置き換え、テトラヒドロフランをエタノール、2-メチルテトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、又はN,N-ジメチルアセトアミドに置き換えることにより、対応する生成物を得ることができる。
【0223】
ステップ2bにおいて、ナトリウムエトキシドをカリウムメトキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、又はカリウムtert-ブトキシドに置き換え、テトラヒドロフランをエタノール、2-メチルテトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、又はN,N-ジメチルアセトアミドに置き換えることにより、対応する生成物を得ることができる。
【0224】
ステップ3a、3b、3c及び3dにおいて、アセトニトリルをテトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、クロロホルム、又は1,2-ジクロロエタンに置き換え、オキシ塩化リンを塩化チオニル、塩化スルフリル、三塩化ホスフィン、五塩化ホスフィン、三臭化リン、オキシ臭化リン、トリホスゲン、又は塩化オキサリルに置き換えることにより、6-エチル-4-クロロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリルを得ることができる。
【0225】
ステップ4aにおいて、N,N-ジイソプロピルエチルアミンをトリエチルアミン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、又はカリウムtert-ブトキシドに置き換え、エタノールをテトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、又はN,N-ジメチルアセトアミドに置き換えることにより、6-エチル-4-(4-メトキシ-4-メチルピペリジン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリルを得ることができる。
【0226】
ステップ4bにおいて、トリエチルアミンをN,N-ジイソプロピルエチルアミン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、又はカリウムtert-ブトキシドに置き換え、エタノールをテトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、又はN,N-ジメチルアセトアミドに置き換えることにより、6-エチル-4-(4-メトキシ-4-メチルピペリジン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-3-カルボニトリルを得ることができる。
【0227】
本発明による新規な製造方法は、以下の利点を有する:
(1)従来技術と比較して、本発明は、同じ又は更に高い収率を維持しながら、オキシ塩化リンなどのハロゲン化試薬の投入量を顕著に減少させることができる。即ち、同じ又は更に高い量の目的生成物が得られる場合、より少ない量のオキシ塩化リンなどのハロゲン化試薬を使用することができる。それにより、製造コストを削減し、且つ排ガス、廃水、固体廃棄物という三廃の発生量も顕著に減少する。
【0228】
(2)大規模な工場生産において、オキシ塩化リンなどの特定のハロゲン化試薬の大量使用により、後処理プロセスのクエンチにおいて瞬間的に大量の熱を発生させ、処理が不適切であると爆発のリスクがある。本発明は、オキシ塩化リンのようなハロゲン化試薬の投入量を顕著に低減させ、後処理プロセスにおける熱エネルギーの発生を相応的に減少させ、後処理システムの安全性を向上させ、大規模な工場生産により適する。
【0229】
以上は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び原則の範囲内で行われる任意の修正、同等の置換、改善などは、いずれも本発明の請求範囲に含まれるべきである。
【国際調査報告】