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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-04
(54)【発明の名称】正浸透ユニットのプライミング
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20240328BHJP
【FI】
A61M1/16 161
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561891
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2022058923
(87)【国際公開番号】W WO2022214447
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/172,850
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】2151562-2
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501473877
【氏名又は名称】ガンブロ・ルンディア・エービー
【氏名又は名称原語表記】GAMBRO LUNDIA AB
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルティア, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】リンドグレン, ヘンリク
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077CC08
4C077GG08
4C077GG20
4C077HH02
4C077HH13
4C077HH20
4C077JJ02
4C077JJ13
4C077JJ24
4C077KK12
4C077KK25
4C077KK27
(57)【要約】
透析液を生成するための装置(1)は、透析液を生成するための透析濃縮物を希釈するために使用される正浸透ユニット(2)を含み、FOユニット(2)は、第1の側(2a)を第2の側(2b)から分離するFO膜(2c)とを含む。装置(1)は、第1の側(2a)を含む第1の流路(3)と、供給源(19)から第1の流路(3)にプライミング液を提供する制御装置(60)と、第1の側(2a)の入口ポート(Ein)を第1の側(2a)の出口ポート(Eout)に流体接続し、出口ポート(Eout)からのプライミング液が戻り経路(8)を介して入口ポート(Ein)に循環することを可能にする戻り経路(8)と、第1の側(2a)と戻り経路(8)との間で第1の流路(3)に配置された気体収集チャンバ(5)とを備え、気体収集チャンバ(5)は第1の流路(3)から気体を除去する。本開示はまた、FOユニット(2)をプライミングするための方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析のための流体を生成するための装置(1)であって、
透析液を生成するためのプロセスにおいて透析濃縮物を希釈するために使用されるように構成された正浸透(FO)ユニット(2)であって、前記FOユニット(2)は、第1の側(2a)を前記FOユニット(2)の第2の側(2b)から分離するFO膜(2c)を含む、FOユニット(2)と、
前記第1の側(2a)を含む第1の流路(3)と、
プライミング液源(19)から前記第1の流路(3)にプライミング液を提供するように構成された制御装置(60)と、
前記第1の側(2a)の入口ポート(Ein)を前記FOユニット(2)の前記第1の側(2a)の出口ポート(Eout)に流体接続する戻り経路(8)であって、前記出口ポート(Eout)から排出されたプライミング液が前記戻り経路(8)を介して前記入口ポート(Ein)に循環することを可能にするための戻り経路(8)と、
前記第1の側(2a)と前記戻り経路(8)との間で前記第1の流路(3)に配置された気体収集チャンバ(5)であって、前記気体収集チャンバ(5)は、前記第1の流路(3)から除去された気体を受け取るように構成される、気体収集チャンバ(5)と、を備える装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(1)であって、前記制御装置(60)は、前記気体収集チャンバ(5)内のプライミング液のレベルを監視することと、前記気体収集チャンバ(5)内のプライミング液の前記レベルが所定のレベルに到達するまで、プライミング液を前記気体収集チャンバ(5)に提供することと、を行うように構成される、装置(1)。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、プライミング液を前記気体収集チャンバ(5)に提供している間に、前記気体収集チャンバ(5)から気体を排気するように配置及び構成される、装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の装置であって、前記気体収集チャンバ(5)は、前記気体収集チャンバ(5)から気体を排気するための気体出口ポート(5c)を備える、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置(1)であって、前記気体収集チャンバ(5)の前記気体出口ポート(5c)をドレーン(31)に流体接続する気体収集経路(9)を備える、装置(1)。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の装置であって、前記制御装置(60)は、前記第1の側(2a)をプライミング液で充填するために、前記第1の流路(3)及び前記気体収集チャンバ(5)を介して前記プライミング液源(19)から前記FOユニット(2)の前記第1の側(2a)にプライミング液を提供するように構成される、装置(1)。
【請求項7】
請求項2及び6に記載の装置(1)であって、前記制御装置(60)は、前記気体収集チャンバ(5)内のプライミング液の前記レベルが所定のレベルに到達すると、前記第1の流路(3)及び前記気体収集チャンバ(5)を介して前記プライミング液源(19)から前記FOユニット(2)の前記第1の側(2a)にプライミング液を提供するように構成される、装置(1)。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の装置(1)であって、前記制御装置(60)は、プライミング液が前記プライミング液源(19)から前記第1の流路(3)に提供されている間に、前記戻り流路(8)を介する流れを停止するように構成される、装置(1)。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の装置(1)であって、前記制御装置(60)は、前記第1の側(2a)と、前記戻り経路(8)と、前記気体収集チャンバ(5)とを含む再循環経路(12)において、前記第1の側(2a)に提供された前記プライミング液を第1の方向に循環させるように構成される、装置(1)。
【請求項10】
請求項9に記載の装置(1)であって、前記制御装置(60)は、前記再循環経路において前記プライミング液を第2の方向に循環させるように構成される、装置(1)。
【請求項11】
請求項10に記載の装置(1)であって、前記制御装置(60)は、1つ以上の所定のプライミング基準が満たされるまで、(i)前記再循環経路(12)における前記第1の方向での前記プライミング液の循環と、(ii)前記再循環経路における前記第2の方向での前記プライミング液の循環とを少なくとも1回繰り返すように構成される、装置(1)。
【請求項12】
請求項11に記載の装置(1)であって、前記第2の側(2b)に流体を提供するための前記第2の側(2b)を含む第2の流路(4)を備え、前記制御構成(60)は、前記第1の側(2a)について前記1つ以上の所定のプライミング基準を満たすと、溶液源(15)から前記第2の流路を介して前記第2の側(2b)への入口ポート(Lin)に流体を提供するように構成され、前記入口ポート(Lin)は、前記第2の側(2b)の出口ポート(Lout)の下方に配置される、装置(1)。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の装置(1)であって、前記制御装置(60)は、前記プライミング液を前記第1の方向に第1の流量で循環させることと、前記プライミング液を前記第2の方向に第2の流量で循環させることとを行うように構成され、前記第1の流量は、前記第2の流量とは異なる、装置(1)。
【請求項14】
請求項13に記載の装置(1)であって、前記第1の流量は、前記第2の流量よりも大きい、装置(1)。
【請求項15】
請求項11乃至14の何れか1項に記載の装置(1)であって、前記制御装置(60)は、前記プライミング液を前記再循環経路(12)において前記第1の方向に所定の第1の期間にわたって循環させることと、前記プライミング液を前記再循環経路(12)において前記第2の方向に第2の期間にわたって循環させることとを行うように構成され、前記第1の期間と前記第2の期間とは、異なる長さを有する、装置(1)。
【請求項16】
請求項15に記載の装置(1)であって、前記第1の期間は、前記第2の期間よりも長い、装置(1)。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れか1項に記載の装置(1)であって、前記制御装置(60)は、少なくとも1つのポンプを備える、装置(1)。
【請求項18】
請求項17に記載の装置(1)であって、前記少なくとも1つのポンプは、前記プライミング液源から前記第1の経路(3)に前記プライミング液を提供するように構成された第1のポンプ(6)を含む、装置(1)。
【請求項19】
請求項9乃至16の何れか1項及び請求項17又は18に記載の装置(1)であって、前記少なくとも1つのポンプは、前記再循環経路(12)において前記プライミング液を循環させるように構成された第2のポンプ(7)を含む、装置(1)。
【請求項20】
請求項1乃至19の何れか1項に記載の装置(1)であって、前記気体収集チャンバ(5)は、少なくとも2つの流体ポートを備え、前記プライミング液は、前記少なくとも2つの流体ポートのいずれかを介して流入及び排出されることが可能である、装置(1)。
【請求項21】
請求項1乃至20の何れか1項に記載の装置(1)であって、前記プライミング液は、透析濃縮物を希釈するための生成中に使用されるのと同じ流体であり、前記プライミング液は、水又は使用済み透析溶液である、装置(1)。
【請求項22】
透析液を生成するためのプロセスにおいて透析濃縮物を希釈するために使用されるように構成された正浸透(FO)ユニット(2)をプライミングするための方法であって、前記FOユニット(2)は、第1の側(2a)を前記FOユニット(2)の第2の側(2b)から分離するFO膜(2c)を含み、前記方法は、
‐前記第1の側(2a)を含む第1の流路(3)と、前記第1の流路(3)から除去された気体を受け取るように構成された気体収集チャンバ(5)とにプライミング液を提供すること(S1)と、
‐前記第1の側(2a)と、戻り経路(8)と、前記気体収集チャンバ(5)とを含む再循環経路(12)において、前記提供されたプライミング液を循環させること(S2)であって、前記戻り経路(8)は、前記第1の側(2a)の入口ポート(Ein)を前記FOユニット(2)の前記第1の側(2a)の出口ポート(Eout)に流体接続する、こと(S2)と、を有する方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記提供すること(S1)は、前記気体収集チャンバ(5)内のプライミング液のレベルを監視すること(S1A)と、前記気体収集チャンバ(5)内のプライミング液の前記レベルが所定のレベルに到達するまで、プライミング液を前記気体収集チャンバ(5)に提供することと、を含む、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、プライミング液を前記気体収集チャンバ(5)に提供している(S1A)間に、前記気体収集チャンバ(5)から気体を排気することを含む、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、前記気体収集チャンバ(5)の気体出口ポート(5c)をドレーン(31)に流体接続する気体収集経路(9)を介して、前記気体収集チャンバ(5)から前記ドレーン(31)に気体を排気することを含む、方法。
【請求項26】
請求項22乃至25の何れか1項に記載の方法であって、前記第1の側(2a)をプライミング液で充填するために、前記第1の流路(3)及び前記気体収集チャンバ(5)を介して前記プライミング液源(19)から前記FOユニット(2)の前記第1の側(2a)にプライミング液を提供すること(S1B)を含む、方法。
【請求項27】
請求項23乃至26の何れか1項に記載の方法であって、前記気体収集チャンバ(5)内のプライミング液の前記レベルが所定のレベルに到達すると、前記プライミング液源(19)から前記第1の流路(3)及び前記気体収集チャンバ(5)を介して前記FOユニット(2)の前記第1の側(2a)に前記プライミング液を提供すること(S1B)を含む、方法。
【請求項28】
請求項22乃至27の何れか1項に記載の方法であって、提供すること(S1)は、プライミング液が前記プライミング液源(19)から前記第1の流路(3)に提供されている間に、前記戻り流路(8)を介する流れを停止することを含む、方法。
【請求項29】
請求項26又は27に記載の方法であって、前記再循環経路(12)において第1の方向に、前記第1の側(2a)に提供された前記プライミング液を循環させること(S2)を含む、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、前記プライミング液を前記再循環経路(12)において第2の方向に循環させること(S3)を含む、方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、1つ以上の所定のプライミング基準が満たされるまで、(i)前記再循環経路(12)において前記第1の方向に前記プライミング液を循環させること(S2)と、(ii)前記再循環経路(12)において前記第2の方向に前記プライミング液を循環させること(S3)とを少なくとも1回含む、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、前記1つ以上の所定のプライミング基準が満たされると、第2の流路を介して溶液源(15)から、前記第2の側(2b)への入口ポート(Ein)に流体を提供することを含み、入口ポート(Ein)は、前記第2の側(2b)の出口ポート(Eout)の下方に配置される、方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法であって、前記プライミング液を前記第1の方向に第1の流量で循環させること(S2)と、前記プライミング液を前記第2の方向に第2の流量で循環させること(S3)とを含み、前記第1の流量は、前記第2の流量とは異なる、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法であって、前記第1の流量は、前記第2の流量よりも大きい、方法。
【請求項35】
請求項30乃至34の何れか1項に記載の方法であって、前記プライミング液を前記再循環経路(12)において前記第1の方向に所定の第1の期間にわたって循環させること(S2)と、前記プライミング液を前記再循環経路(12)において前記第2の方向に第2の期間にわたって循環させること(S3)とを含み、前記第1の期間と前記第2の期間とは、異なる長さを有する、方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、前記第1の期間は、前記第2の期間よりも長い、方法。
【請求項37】
請求項1乃至21の何れか1項に記載の装置(1)に、請求項22乃至36の何れか1項に記載の方法を実行させるための命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項38】
請求項37に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<優先権主張>
この出願は2021年4月9日に出願された正浸透ユニットのためのプライミング、方法及びシステムという名称の米国仮出願第63/172,850号と、2021年12月21日に出願された正浸透ユニットのプライミングという名称のスウェーデン特許出願第2151562-2号とへの優先権及びこれらの利益を主張し、これらの全内容が参照により本書に組み込まれ、依拠される。
【0002】
<技術分野>
本発明はプライミングの分野に関し、特に、透析液を生成するように構成された正浸透ユニットのプライミングに関する。
【背景技術】
【0003】
腎不全は、腎臓が患者の血液からの排泄物を十分に濾過する能力を失った場合に発生する。老廃物は体内に蓄積し、時間とともに毒素が過剰になる。腎不全は、治療せずに放置すると生命を脅かしうる。低下した腎機能、とりわけ腎不全は、透析によって治療される。透析は、正常に機能する腎臓がそうでなければ除去するだろう老廃物、毒素及び過剰な水を身体から除去する。
【0004】
1つのタイプの腎不全治療は血液透析(「HD」)であり、これは一般に、患者の血液から老廃物を除去するために拡散を使用する。拡散を引き起こすために、血液と、透析液と呼ばれる電解質溶液との間の半浸透性透析器を横切って拡散勾配が生じる。HD液は、典型的には濃縮物と清浄水とを混合することによって透析機械によって生成される。
【0005】
血液濾過(「HF」)は、患者の血液からの毒素の対流輸送に依拠する代替の腎代替療法である。HFは、治療中に体外回路に置換液又は代替液を加えることによって達成される。置換液及び治療の間に患者によって蓄積された液体は、HF治療の過程にわたって限外濾過され、中分子及び大分子を除去する際に特に有益である対流輸送機構を提供する。
【0006】
血液透析濾過(「HDF」)は、対流クリアランスと拡散クリアランスとを組み合わせる治療モダリティである。HDFは、拡散クリアランスを提供するために、標準的な血液透析と同様に、透析器を通って流れる透析液を使用する。さらに、体外回路に置換溶液が直接送達され、対流クリアランスを提供する。ここで、患者の過剰な液体よりも多くの液体が患者から除去され、患者からの老廃物の増加した対流輸送を引き起こす。除去された追加の液体は、置換液又は代替液を介して交換される。
【0007】
別のタイプの腎不全治療は、透析液とも呼ばれる透析溶液を、カテーテルを介して患者の腹膜腔に注入する腹膜透析(「PD」)である。透析液は、患者の腹膜腔内に位置する腹膜と接触している。廃棄物、毒素及び過剰な水は、拡散及び浸透に起因して、患者の血流から腹膜内の毛細血管を通って透析液中に通り、すなわち、浸透圧勾配が膜を横切って生じる。PD透析液中の浸透剤は、浸透圧勾配を提供する。使用済み又は消費済みの透析液は、患者から排出され、患者から老廃物、毒素及び過剰な水を除去する。このサイクルは、例えば複数回繰り返される。PD液は、典型的には工場で調製され、すぐに使用できるバッグで患者の家に出荷される。
【0008】
持続携行式腹膜透析(「CAPD」)、自動腹膜透析(「APD」)、潮流透析、及び持続流腹膜透析(「CFPD」)を含む様々なタイプの腹膜透析療法がある。CAPDは、液体輸送が重力によって駆動される手動透析治療である。最初に消費済み透析液で満たされるならば、患者は使用済み又は消費済み透析液が患者の腹膜腔から排出されることを可能にするために、埋め込まれたカテーテルをドレーンに手動で接続する。その後、患者は、患者カテーテルが未使用の透析液のバッグと連通して、カテーテルを通じて患者に未使用の透析液を注入するように、流体連通を切り替える。患者はカテーテルを未使用の透析液バッグから切り離し、透析液が腹膜腔内に滞留することを可能にし、ここで、廃棄物、毒素及び過剰な水の移送が起きる。滞留期間の後、患者は手動透析手順を、例えば1日に4回繰り返す。患者が最初に消費済み透析液で満たされていないならば、シーケンスは代わりに、患者の充填、滞留及び排出である。手動腹膜透析は患者にかなりの時間及び労力を必要とし、十分な改善の余地を残す。
【0009】
自動腹膜透析(「APD」)は、透析治療が排出、充填及び滞留サイクルを含むという点で、CAPDと同様である。しかし、APD機械は典型的には患者が眠っている間に、自動的にサイクルを実行する。APD機械は、治療サイクルを手動で実行しなければならないこと、及び日中に供給品を輸送しなければならないことから患者を解放する。APD機械は、患者ラインを介して、患者の埋め込まれたカテーテル、未使用の透析液の供給源又はバッグ、及び流体ドレーンに流体的に接続する。APD機械は未使用の透析液源からカテーテルを通じて患者の腹腔内に未使用の透析液を圧送する。APD機械はまた、透析液が患者の腹腔内に滞留し、廃棄物、毒素及び過剰な水の移送が起きることを可能にする。供給源は、複数の溶液バッグを含む数リットルの透析液を含んでもよい。
【0010】
透析治療は、クリニックで、又は患者の家のような遠隔で実行されてもよい。透析液の輸送は治療にコストを追加し、環境に悪影響を及ぼす。透析液の貯蔵はスペースを必要とし、大型の透析液バッグがユーザによって取り扱われる必要がある。したがって、患者の家に輸送される透析液の量を低減又は排除する方法が必要とされる。
【発明の概要】
【0011】
透析液の患者の家への輸送からの上記で特定された負の結果を低減するために、透析液は、濃縮物からケアの時点で生成されてもよい。本開示の装置及び方法において、透析濃縮物を水で希釈して、透析溶液と呼ばれてもよい希釈透析濃縮物を提供するために、正浸透(「FO」)が使用されてもよい。その後、透析溶液は、患者を治療するための透析治療に使用されうる最終透析液を提供するために他の濃縮物と混合されてもよい。最終透析液は、PD用の透析液、HD又はHDF用の透析液、又はHF又はHDF用の代替液又は置換液であってもよい。FOはフィード液とドロー液としての濃縮物との間の浸透圧勾配を利用し、これはFO膜で分離される。浸透圧勾配は、フィード液からドロー液へ水を移動させるためのエネルギー源として使用され、FOを魅力的な低エネルギー代替物にする。FO膜は半透膜であり、典型的には中空糸形状を有する。中空糸型のFO膜は、束状に詰められてFOユニットに配置されている数千本の中空糸を有する。フィード液とドロー液との一方は繊維ルーメン(ルーメン側)の内側を通過し、他方の流体は、ルーメンの外側(シェル側)を同時に通される。フィード液は例えば、水又は消費済み(使用済み)透析液である。消費済み透析液がフィード液として使用されるならば、治療に使用される清浄水の量が大幅に低減されうる。代替的なFO膜タイプは例えば、フラットシート又は螺旋に巻かれた膜である。
【0012】
FOユニット内に存在する空気に起因して試験中に様々な希釈性能が見られた。そして、FO膜の一部の繊維は、未使用のままであるかもしれず、それによって、FO膜の有効エリアを減少させる。よって、FOユニット内に存在する空気を効率的に除去する方法が必要とされている。
【0013】
従来技術の欠点の少なくともいくつかを緩和することが本開示の目的である。FOユニット内に存在する空気を効率的に除去するための方法を提供することがさらなる目的である。FOユニット内に存在する空気を自動的に除去するための方法を提供することがその上さらなる目的である。
【0014】
これらの目的及び他の目的は、独立請求項による装置及び方法によって、ならびに従属請求項による実施形態によって、少なくとも部分的に達成される。
【0015】
全体的に又は部分的に、任意の他の態様又はその一部と組み合わされてもよい第1の態様によれば、本開示は、透析のための流体を生成するための装置に関する。本装置は、透析液を生成するためのプロセスにおいて透析濃縮物を希釈するために使用されるように構成された正浸透(FO)ユニット2を備える。FOユニットは、FOユニットの第2の側から第1の側を分離するFO膜を含む。本装置は、第1の側を含む第1の流路と、プライミング液源から第1の流路にプライミング液を提供するように構成された制御装置とをさらに備える。本装置は、出口ポートから排出されたプライミング液が戻り経路を介して入口ポートに循環することを可能にするために、第1の側の入口ポートをFOユニットの第1の側の出口ポートに流体接続する戻り経路をさらに備える。本装置は、第1の側と戻り経路との間で第1の流路に配置された気体収集チャンバをさらに備え、気体収集チャンバは、第1の流路から除去された気体を受け取るように構成される。
【0016】
本装置は、第1の側にあるプライミング液が気体収集チャンバに循環され、気体が蓄積され排気されうる戻り経路を提供することによって、第1の側の効率的なプライミングを可能にする。プライミング液が入口ポートに戻して循環されうるため、プライミングのために新たなプライミング液を連続的に使用するのとは対照的に、流体が気体収集チャンバを通るたびに含まれる気体が少なくなるため、プライミング液から気体を除去することがより容易になる。また、プライミング液は、より少ないプライミング液が浪費されるように、プライミング中に再利用されうる。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、本制御装置は、気体収集チャンバ内のプライミング液のレベルを監視することと、気体収集チャンバ内のプライミング液のレベルが所定のレベルに到達するまで、プライミング液を気体収集チャンバに提供することと、を行うように構成される。それによって、気体収集チャンバが気体収集チャンバからプライミング液の流れを提供するのに十分なプライミング液を含むのと同時に、気体が気体収集チャンバ内に蓄積される。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、本装置は、プライミング液を気体収集チャンバに提供している間に、気体収集チャンバから気体を排気するように構成される。それによって、第1の流路から気体が除去されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、気体収集チャンバは、気体収集チャンバから気体を排気するための気体出口ポートを備える。それによって、気体収集チャンバから気体が排気されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、本装置は、気体収集チャンバの気体出口ポートをドレーンに流体接続する気体収集経路を備える。それによって、気体収集チャンバからドレーンに気体が輸送されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、本装置は、第1の側をプライミング液で充填するために、第1の流路及び気体収集チャンバを介してプライミング液源からFOユニットの第1の側にプライミング液を提供するように構成される。それによって、第1の側は、すでに気体が除去されているプライミング液で満たされてもよく、第1の側の結果の脱気が支持される。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、本制御装置は、気体収集チャンバ内のプライミング液のレベルが所定のレベルに到達すると、プライミング液源から第1の流路及び気体収集チャンバを介してFOユニットの第1の側にプライミング液を提供するように構成される。それによって、気体が気体収集チャンバ内に蓄積されると同時にプライミング液の流れが気体収集チャンバを通ることができるように、気体収集チャンバ内に十分な量のプライミング液が存在する。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、本制御装置は、プライミング液がプライミング液源から第1の流路に提供されている間に、戻り流路を介する流れを停止するように構成される。したがって、気体収集チャンバ及び/又は第1の側の充填は、より容易に制御されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、本制御装置は、第1の側と、戻り経路と、気体収集チャンバとを含む再循環経路において、第1の側に提供されるプライミング液を第1の方向に循環させるように構成される。それによって、第1の側の気泡が除去され、気体収集チャンバ内に収集されてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、本制御装置は、再循環経路においてプライミング液を第2の方向に循環させるように構成される。したがって、他の方向の流れが、第1の方向に流れることに対して第1の側から他の気泡が遊離することを引き起こす可能性があるので、第1の側におけるさらに多くの気泡が気体収集チャンバ内に収集されてもよい。また、第1の方向が第1の側の最上部(入口ポート)から最下部(出口ポート)までであり、第2の方向が第1の側の最下部(出口ポート)から最上部(入口ポート)までであるならば、第1の方向の流れは第1の側から気泡を除去してもよく、一方、第2の方向の流れは第1の側の入口で捕捉された気泡を気体収集チャンバに輸送してもよい。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、本制御装置は、1つ以上の所定のプライミング基準が満たされるまで、再循環経路12における第1の方向へのプライミング液の循環と、再循環経路12における第2の方向へのプライミング液の循環とを少なくとも1回繰り返すように構成される。それによって、より多くの気泡が遊離し、気体収集チャンバに輸送されてもよく、それは、方向の繰り返させるシフトが第1の側における剪断力の方向の変化を引き起こし、より多くの気泡が遊離することを引き起こすからである。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、本装置は、第2の側に流体を提供するための第2の側を含む第2の流路を備え、本制御構成は、1つ以上の所定のプライミング基準を満たすと、第2の流路を介して第2の側への入口ポートを介して溶液源から流体を提供するように構成され、入口ポートは第2の側の出口ポートの下方に配置される。したがって、第2の側もプライミングされる。第2の側は、第1の側がプライミングされる前、最中、及び/又は後にプライミングされてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、本制御装置は、プライミング液を第1の方向に第1の流量で循環させることと、プライミング液を第2の方向に第2の流量で循環させることとを行うように構成され、第1の流量は第2の流量とは異なる。したがって、異なる大きさの剪断力が第1の側で達成されてもよい。また、異なることを達成することが意図されているため、流量は異なってもよく、例えば、第1の流量は第1の側から気泡を遊離することが意図されてもよく、一方、第2の流量は、遊離された気泡を気体収集チャンバに輸送することが意図されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、第1の流量は第2の流量よりも大きい。例えば、第2の方向において、第2の流量の目的が気泡の気体収集チャンバへの輸送のみであるならば、低い流量を有することが十分であるかもしれない。より大きい第1の流量は、より容易に気泡を除去する、より高い剪断力を第1の側に作る。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、本制御装置は、プライミング液を再循環経路において第1の方向に所定の第1の期間にわたって循環させることと、プライミング液を再循環経路において第2の方向に第2の期間にわたって循環させることとを行うように構成され、第1の期間と第2の期間とは異なる長さを有する。それによって、いずれかの方向の流れで達成されるべき効果は異なり、それに従って、達成されるべき長い又な短い時間を必要とするため、プライミングが時間に関して最適化されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、第1の期間は第2の期間よりも長い。それによって、第2の期間中に対して、第1の側から気体収集チャンバへのプライミング液のより長い輸送が第1の期間中に達成されうる。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、本制御装置は、少なくとも1つのポンプを備える。それによって、プライミング液を提供すること及び/又はプライミング液の循環は、1つ以上のポンプによって達成されてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのポンプは、プライミング液源から第1の経路にプライミング液を提供するように構成された第1のポンプを含む。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのポンプは、再循環経路においてプライミング液を循環させるように構成された第2のポンプを含む。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、気体収集チャンバは少なくとも2つの流体ポートを備え、プライミング液は少なくとも2つのポートのいずれかを介して流入及び排出されることが可能である。それによって、プライミング液は、気体収集チャンバを通って2つの互いに反対方向に輸送されてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、プライミング液は、透析濃縮物を希釈するための生成中に使用されるのと同じ流体であり、プライミング液は、水又は使用済み透析溶液である。したがって、透析液を生成するときとは異なるように本装置を準備する必要がないため、プライミング中の本装置の取り扱いが容易になってもよい。
【0037】
全体的に又は部分的に任意の他の態様又はその一部と組み合わされてもよい第2の態様によれば、本開示は、透析液を生成するためのプロセスにおいて透析濃縮物を希釈するために使用されるように構成された正浸透(FO)ユニットをプライミングするための方法に関する。FOユニットは、FOユニットの第2の側から第1の側を分離するFO膜を含む。本方法は、第1の側を含む第1の流路と、第1の流路から除去された気体を受け取るように構成された気体収集チャンバとにプライミング液を提供することを含む。本方法は、第1の側部と、戻り経路と、気体収集チャンバとを含む再循環経路において、提供されたプライミング液を循環させることをさらに含む。戻り経路は、第1の側の入口ポートをFOユニットの第1の側の出口ポートに流体接続する。
【0038】
いくつかの実施形態において、提供することは、気体収集チャンバ内のプライミング液のレベルを監視することと、気体収集チャンバ内のプライミング液のレベルが所定のレベルに到達するまで、プライミング液を気体収集チャンバに提供することと、を含む。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、プライミング液を気体収集チャンバに提供している間に、気体収集チャンバから気体を排気することを含む。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、気体収集チャンバの気体出口ポートをドレーンに流体接続する気体収集経路を介して、気体収集チャンバからドレーンに気体を排気することを含む。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、第1の側をプライミング液で充填するために、第1の流路及び気体収集チャンバを介してプライミング液源からFOユニットの第1の側にプライミング液を提供することを含む。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、気体収集チャンバ内のプライミング液のレベルが所定のレベルに到達すると、プライミング液源から第1の流路及び気体収集チャンバを介してFOユニットの第1の側にプライミング液を提供することを含む。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、提供することは、プライミング液がプライミング液源から第1の流路に提供されている間に、戻り流路を介する流れを停止することを含む。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、再循環経路において第1の方向に、第1の側に提供されたプライミング液を循環させることを含む。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、再循環経路においてプライミング液を第2の方向に循環させることを含む。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、1つ以上の所定のプライミング基準が満たされるまで、繰り返して、再循環経路において第1の方向にプライミング液を循環させることと、再循環経路において第2の方向にプライミング液を循環させることとを含む。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の所定のプライミング基準が満たされると、本方法は、第2の流路を介して溶液源から、第2の側の出口ポートの下方に配置された第2の側への入口ポートへ流体を提供することを含む。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、プライミング液を第1の方向に第1の流量で循環させることと、プライミング液を第2の方向に第2の流量で循環させることとを含み、第1の流量は第2の流量とは異なる。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、第1の流量は第2の流量よりも大きい。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、プライミング液を再循環経路において第1の方向に所定の第1の期間にわたって循環させることと、プライミング液を再循環経路において第2の方向に第2の期間にわたって循環させることとを含み、第1の期間と第2の期間とは異なる長さを有する。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、第1の期間は第2の期間よりも長い。
【0052】
全体的又は部分的に、任意の他の態様又はその一部と組み合わされてもよい第3の態様によれば、本開示は本書に記載された実施形態又は態様のいずれか1つによる装置に、本書に記載された実施形態又は態様のいずれか1つによる方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0053】
全体的に又は部分的に、任意の他の態様又はその一部と組み合わされてもよい第4の態様によれば、本開示は、第3の態様によるコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】本開示のいくつかの実施形態によるFOユニットを含む透析溶液を生成するための装置の一部を説明する。
図2】本開示のいくつかの実施形態による気体収集チャンバを概略的に説明する。
図3】本開示のいくつかの実施形態によるプライミング手順を実行するための方法ステップを説明するフローチャートである。
図4A】、
図4B】、
図4C】、
図4D】、
図4E】本開示のいくつかの実施形態による図1及び図5のFOユニットをプライミングするためのプライミングシーケンスを説明する。
図5】本開示のいくつかの実施形態による透析溶液を生成するための装置を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0055】
正確な透析溶液をタイムリーに生成するために、フィード溶液からの連続的で効率的な水抽出が非常に重要である。フィード溶液及びドロー溶液は、限られた量で入手可能であることが多く、それらを効率的に使用するために注意が払われるべきである。FOプロセスはまた、単一パスモードで作動してもよく、それによって、浸透圧勾配を十分に使用するためにFOプロセスの高効率が重要である。ルーメン内の溶液の流れを止める空気のような気体が存在するために中空糸FO膜の中空糸の一部が利用できないならば、FO膜の有効エリアが減少し、FOプロセスの効率が低下する。これは特に、生成中の流体が最上部から導入され、その側の最下部から排出される、第1の側と第2の側との一方において問題となりうる。ここで、FOユニット内のいくらかの過剰な気体は、流体より軽いので入口(最上部)で捕捉されることになるため、又はルーメンの狭さに起因してルーメン内に捕捉されることになるため、流体の流れに追従しない。その代わりに気体はFOユニット内に残る。そして、濃縮溶液が十分に希釈されず、最終透析溶液が正しく生成されないリスクがある。「気体」は、ここでは、装置中に最初から存在する空気又は任意の他の気体、FOユニットに供給される任意の空気又は他の気体、又は装置中に存在する流体の脱気から生じる任意の空気又は他の気体を含む。本開示において使用されてもよい代替的なFO膜タイプは例えば、フラットシート膜又は螺旋に巻かれた膜である。
【0056】
上述の状況を回避するために、そのFOユニットの効率的なプライミングのために構成された透析のための流体を生成するための装置が提案される。また、装置によって自動的に実行されうる効率的なプライミングのための方法が開示される。装置は、気体収集チャンバと、戻り経路とを備える。気体収集チャンバは、気体が収集され、FOユニットの第1の側から除去されることを可能にする。戻り経路は、FOユニットの第1の側の出口をFOユニットの同じ第1の側の入口に接続する。FOユニットは、生成中、流体が最上部(入口ポート)から導入され、第1の側の最下部(出口ポート)から排出されるように配置される。戻り経路はFOユニットの外部にある。戻り経路は、プライミング液が、FOユニットの第1の側、戻り経路及び気体収集チャンバを含む再循環経路において再循環することを可能にする。そして、気体は、循環プライミング液によって輸送され、気体収集チャンバ内で放出されうる。いくつかの実施形態において、プライミング液は、第1の側において、FOユニットの内部に捕捉されている気体をより効率的に除去するために、反対方向に連続的に圧送される。そして、プライミング液は、ルーメンから気泡を除去するために(生成中の流体方向と同じ)第1の方向に高流量で圧送され、第1の側の最上部に捕捉された除去された気泡を第1の側から気体収集チャンバに輸送するために(生成中の流体方向とは反対の)第2の方向に低流量で圧送されうる。したがって、本発明は、FOユニットから気体を除去し、それによってFO膜の有効エリアを増加させる。それによって、水抽出効率は、増加されることができ、いくつかの実施形態において、FO膜全表面積を水抽出に利用可能にすることによって最大化されることさえできる。
【0057】
図面全体を通して同じである参照は各実施形態においてテキストで記載されていない場合があるが、それにもかかわらず、各実施形態について、記載されている構造、機能及び代替物のすべてを含む。
【0058】
図1は、透析のための流体を生成するための装置1の部分50を説明する。部分50は、FOユニット2の効率的なプライミングを可能にする構成要素を含む。しかし、透析のための流体を生成する文脈において部分50がどのように動作するかが最初に説明される。部分50は、FOユニット2と、第1の流路3と、第2の流路4とを含む。FOユニット2は、FOユニット2の第2の側2bから第1の側2aを分離するFO膜2cを含む。ユニット2の「側」は、本書では「区画」又は「チャンバ」と呼ばれてもよい。FOユニット2は、典型的に、第1の側2aと、第2の側2bと、FO膜2cとを囲むカートリッジを含む。第1の流路3は、FOユニット2の第1の側2aに第1の流体を提供し、第1の側2aから出力された第1の流体を除去するように構成される。第2の流路4は、FOユニット2の第2の側2bに第2の流体を提供し、第2の側2bから第2の流体を除去するように構成される。流体の組成に依存して、一方の流体はフィード液と称され、他方の流体はドロー液と称されてもよい。FOプロセスにおいて、フィード液は、浸透圧勾配のために、ドロー液に水を排出する。いくつかの実施形態において、生成中に、水又は消費済み透析液のようなフィード液が第1の側2aに通される。そして、第1の流体はフィード液であり、第1の側2aは、フィード側と呼ばれてもよい。消費済み透析液は、本書では使用済み透析液又は排出物とも称されうる。透析濃縮物のようなドロー液は、第2の側2bに通される。そして、第2の流体はドロー液であり、第2の側2bは、ドロー側と呼ばれてもよい。FOユニット2において、フィード溶液からの水はFO膜2cを通って透析濃縮物に移動し、それによって、透析濃縮物を希釈透析濃縮物溶液に希釈する。その後、この溶液は、最終透析液を提供するために1つ以上の他の濃縮物と混合されてもよい。したがって、FOユニット2は、透析液を生成するためのプロセスにおいて透析濃縮物を希釈するために使用されるように構成される。脱水されたフィード液は、典型的に、ドレーンに送られる。
【0059】
図1の説明される実施形態において、FOユニット2は、第1の側2aと流体連通しており第1の流体が第1の側2aに通される入口ポートEinと、第1の側2aと流体連通しており第1の流体が第1の側2aから通される出口ポートEoutとを有する。入口ポートEinは、出口ポートEoutの上方に配置される。また、FOユニット2は、第2の側2bと流体連通しており第2の溶液が第2の側2bに通される入口ポートLinと、第2の側2bと流体連通しており第2の溶液が第2の側2bから通される出口ポートLoutとを有する。出口ポートLoutは、入口ポートLinの上方に配置される。効率的なプライミングを可能にするために、第1の流路3は、気体収集チャンバ5をさらに備える。気体収集チャンバ5は第1の流路3から除去された気体を受け取るように構成され、その機能はプライミングに関して以下でより詳細に説明される。
【0060】
第1の流路3は、第1の流体の供給源に接続された点P1と気体収集チャンバ5の入口ポート5a(図2)との間に配置された第1の側入力ライン3aを備える。第1の側入力ライン3aは、点P1と入口ポート5aとを流体接続する。第1の側入力ライン弁20bは、第1の側入力ライン3a内の流れを調整するために、第1の側入力ライン3aと共に動作するように構成されている。第1の流路3は、容器19と点P1との間に配置された容器ライン3bをさらに備え、これは容器19と点P1とを接続する。容器ライン3b内に流れを提供するために、容器ライン3bと共に動作するように第1のポンプ6が配置される。容器ライン3bに容器弁20pが接続されている。容器ライン3bと第1の側入力ライン3aとの間に、直流ライン3eが配置されている。したがって、直流ライン3eは、容器ライン3bと第1の側入力ライン3aとを流体接続する。直流ライン3eは、容器弁20pと第1のポンプ6との間で容器ライン3bに接続する。直流ライン3eに直流ライン弁20sが接続されている。直流ライン3eは、第1の側入力弁20bと気体収集チャンバ5との間で第1の側入力ライン3aに接続されている。容器19は第1の流体の供給源であり、ここでは、第1の流体、例えば消費済み透析液を含む。消費済み透析液は例えば、第1のポンプ6を使用して、点P1で容器19に接続された患者から以前に圧送されている。これに代えて、点P1は、水の供給源、例えば給水栓に接続されている。そして、第1のポンプ6は水を容器19に圧送し、後の使用のためにそれを格納してもよい。いくつかの実施形態において、第1のポンプ6は、容器弁20p及び第1の側入力ライン弁20bを開き、直流ライン弁20sを閉じ、第1のポンプ6を用いて(逆方向に)圧送することによって、容器19から消費済み透析液を第1の側入力ライン3a、気体収集チャンバ5などに圧送する。したがって、いくつかの実施形態において、第1のポンプ6は双方向ポンプである。そして、消費済み透析液又は水は、容器ライン3bを介して容器19から第1の側入力ライン3aに圧送される。その代わりに、第1のポンプ6は、第1のポンプ6を用いて(順方向に)圧送し、直流ライン弁20sを開き、容器弁20p及び第1の側入力ライン弁20bを閉じることによって、点P1に接続された患者又は他の供給源からの使用済み透析液又は給水栓からの水を直接圧送してもよい。そして、消費済み透析液又は水は、容器ライン3b及び直流ライン3eを介して第1の側入力ライン3aに圧送される。第1のポンプ6は例えば、開ループ(特定の流量を提供するための制御装置50からの特定の電圧又は周波数コマンド)で動作するピストンポンプのような容積式ポンプである。これに代えて、第1のポンプ6は、特定の流量に到達するように流量センサ43からのフィードバックを用いて動作する非容積式ポンプである。図1に説明されるような流量センサ43は第1のポンプ6と点P1との間の容器ライン3bに接続されているが、その代わりに、容器19と直流ライン3eの容器ライン3bへの接続点との間を除いて、第1のポンプ6の任意の側で容器ライン3bに接続されてもよい。第1の流路3は、気体収集チャンバ5の出口ポート5b(図2)と入口ポートEinとの間に配置された接続ライン3cをさらに備える。したがって、接続ライン3cは、気体収集チャンバ5の出口ポート5bと入口ポートEinとを流体接続する。第1のポンプ6は、第1の流体ライン3aの点P1で容器19又は他の供給源からの流体を圧送するように配置され、気体収集チャンバ5を介して第1の流体を第1の側2aに提供する。また、第1の流路3は、第1の側2aを含む。第1の流路3は、排出ライン3dをさらに備える。排出ライン3dは、出口ポートEoutと排出点P4との間に配置され、ここから消費済みの第1の流体がドレーン(図5の参照符号31)に通されうる。したがって、排出ライン3dは、出口ポートEoutとドレーンとを流体接続する。排出ライン3d内に流体の流れを提供するために、排出ライン3dと共に動作するように第2のポンプ7が配置される。排出ライン3d内の流れを調整するように排出弁20iが配置されている。排出弁20iは、排出ライン3dへの戻り経路8の接続点と、排出ライン3dへの気体回収経路9の接続点との間で排出ライン3dと共に動作するように配置されている。
【0061】
第2の流路4は、第2の側入力ライン4bを備える。第2の側入力ライン4bは、点P3における第2の流体の供給源と入口ポートLinとの間に配置され、第2の流体の供給源と入口ポートLinとを流体接続する。いくつかの実施形態において、点P3は、濃縮物容器15内の濃縮物から直接混合できる主ライン4f(図5)への出口ポートである。第2の側流路4は、濃縮物容器15と点P3とを接続するための、濃縮物容器15と点P3との間に配置された濃縮物ライン4dをさらに備える。濃縮物ライン4d内に流れを提供するために、濃縮物ライン4dと共に動作するように濃縮物ポンプ10が配置される。濃縮物容器15は例えば、流体透析濃縮物を備える。濃縮物ポンプ10は、第2の側入力ライン4b内の点P3において濃縮物容器15又は他の供給源からの流体を圧送し、第2の流体である濃縮物液を第2の側2bに提供するように配置及び構成される。また、第2の流路4は、第2の側2bを含む。第2の流路4は、第2の側出力ライン4cをさらに備える。第2の側部出力ライン4cは出力ポートLoutと点P2との間に配置され、ここから、第2の流体は、例えば希釈液容器(図5の参照符号16を参照)に又はさらなる混合のために直接、通される。したがって、第2の側出力ライン4cは、出力ポートoutと収集容器とを流体接続するか、又はさらなる混合のための希釈濃縮物を直接提供する。濃縮物ポンプ10は、第2の流体の供給源、例えば濃縮物容器15から第2の側2bへ、さらには第2の側2b及び第2の側出力ライン4cを通って希釈液容器への流れを提供するように配置及び構成される。図1において、第1の流路3は第1の側2aを介して第1の流体を通すように構成され、第2の流路4は第2の側2bを介して第2の流体を通すように構成される。いくつかの実施形態において、第2の側2bから出力された希釈濃縮液の流量を感知するようにフローセンサ45が配置及び構成される。流量センサ45は、第2の側出力ライン4cに接続されている。
【0062】
FO膜2cの幾何学的形状は、ここでは中空糸である。FO膜2cは、透水性の膜である。FO膜2cは、浸透する水分子に対して多かれ少なかれ排他選択的であるように設計されており、これによりFO膜2cは、他のすべての汚染物質から水を分離できる。FO膜2cは典型的に、ブロックされることが意図される溶質に依存して、ナノメートル(nm)の範囲、例えば、0.5~5nm以下の孔径を有する。FOユニット2に適したFOユニットは例えば、アクアポリン、旭化成、ベルクホーフ、CSM、FTSHO(商標)、コークメンブレンシステムズ、ポリフェラ、東洋紡及び東レによって提供されてもよい。
【0063】
制御装置60は、複数の手順を実行するように装置1を制御するように構成される。制御装置60は、制御ユニット30と、弁装置20(20a~20p)と、少なくとも1つのポンプ6、7、10とを含む。弁装置20は、装置1の複数の異なる流路を構成するように配置及び構成される。いくつかの実施形態において、制御装置60は、透析濃縮物を希釈し、透析液を生成するための手順又は手順のステップを実行するように装置1を制御するように構成される。制御ユニット30は、少なくとも1つのメモリ及び少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのメモリは、透析濃縮物を希釈し透析液を生成するための手順又は手順のステップを実行するためのコンピュータ命令を含む。少なくとも1つのプロセッサ上で実行された場合に、制御ユニット30は、本書に記載される1つ以上の手順を実行するために、装置1の少なくとも1つのポンプ及び/又は1つ以上の弁20を制御する。
【0064】
装置1はまた、FOユニット2に対して1つ以上のプライミング手順を実行するように構成される。したがって、装置1は、戻り経路8及び気体収集チャンバ5を備える。1つ以上のプライミング手順のために使用されるプライミング液は、点P1で提供される流体、例えば容器19からの消費済み透析液又は水、又は点P1で他のようにして提供される流体である。したがって、プライミング液は、透析濃縮物を希釈するための生成中に使用されるのと同じフィード液であってもよい。制御装置60はまた、本書で詳細に説明される1つ以上のプライミング手順を実行するように装置1を制御するように構成される。戻り経路8は、排出ライン3dと第1の側入力ライン3aとの間に配置されている。したがって、戻り経路8は、排出ライン3dと第1の側入力ライン3aとを流体接続する。戻り経路8は、1つ以上のラインを含んでもよい。戻り経路8は、第2のポンプ7と排出弁20iとの間で排出ライン3dに接続されている。戻り経路8はさらに、直流ライン3eの第1の側入力ライン3aとの接続点と、気体収集チャンバ5の入口ポート5aとの間の点において、第1の側入力ライン3aに接続されている。したがって、装置1は、第1の側2aの入口ポートEinをFOユニット2の第1の側2aの出口ポートEoutに流体接続する戻り経路8を備える。戻り経路8の流れを調整するために、戻り経路8に戻り経路弁20cが接続されている。装置1が希釈透析濃縮物を生成している場合に、戻り経路弁20cは閉じており、戻り経路8は使用されていない。いくつかの実施形態において、戻り経路8内の空気の泡のような気泡の存在を検出するために、戻り経路8に気泡センサ44が接続されている。さらに、気体収集チャンバ5は、第1の側部2aと戻り経路8との間で第1の流路3に配置されている。いくつかの実施形態において、装置1は、気体収集チャンバ5から気体を除去するための気体収集経路9を備える。気体回収経路9は、気体収集チャンバ5の気体出口ポート5cと排出ライン3dとの間に配置されている。したがって、気体収集経路9は、気体出口ポート5cと排出ライン3dとを流体接続する。気体収集経路9は、第2のポンプ7の下流であって、戻り経路8の排出ライン3dとの接続点の下流において、排出ライン3dに接続されている。したがって、装置1は、気体収集チャンバ5の気体出口ポート5cをドレーン31(図5)に流体接続する気体収集経路9を備える。気体収集経路9の流れを調整するために、気体収集経路9に気体収集経路弁20nが接続されている。
【0065】
戻り経路8は、出口ポートEoutから排出されたプライミング液が戻り経路8を介して入口ポートEinに循環することを可能にする。したがって、戻り経路8と、気体収集チャンバ5と、第1の側2aとは、すべて再循環経路12に含まれる。また、再循環経路12は、接続ライン3cと、第1の側入力ライン3aの一部と、排出ライン3dの一部とを含む。排出弁20i、気体収集経路弁20n、直流ライン弁20s及び第1の側入力ライン弁20bを閉じ、戻り経路弁20cを開き、第2のポンプ7を動作させることによって、再循環経路12内に存在するプライミング液が再循環経路12において再循環される。いくつかの実施形態において、第2のポンプ7は、第1の方向(ここでは正方向)及び第2の方向(ここでは逆方向)の2つの方向で動作するように構成される。そして、第2のポンプ7は、再循環経路12内に互いに反対方向の流れを提供するように構成される。第2のポンプ7は例えば、両方向に動作できる容積式又は非容積式ポンプであり、したがって、それは双方向である。第2のポンプ7が容積式ポンプである場合に、それは、開ループ(特定の流量を提供するための制御装置50からの特定の電圧又は周波数コマンド)で動作してもよい。第2のポンプが非容積式ポンプである場合に、それは特定の流量に到達するようにフローセンサ41からのフィードバックで動作してもよく(図1ではフローセンサ41が戻り経路8に接続されているが、再循環経路12の任意の場所に接続されてもよい)、又は特定の圧力に到達するように1つ以上の圧力センサ42a、42bからのフィードバックで動作してもよく、少なくとも1つのセンサは、センサが第1の側2aに入力される流体の圧力を感知できるように再循環経路8に接続される。図1では、流体が第1の方向に圧送される場合の圧力を感知するために、第2のポンプ7と入口ポートEinとの間で再循環経路8に第1の圧力センサ42aが接続され、流体が第2の方向に圧送される場合の圧力を感知するために、第2のポンプ7と出口ポートEoutとの間で再循環経路8に第2の圧力センサ42bが接続されている。
【0066】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による図1の気体収集チャンバ5の概略図を説明する。気体収集チャンバ5は例えば、脱気チャンバ、ドリップチャンバ、又は空気トラップである。気体収集チャンバ5は、容積55を囲む壁セグメント5dを備える。壁セグメント55は例えば、(例えば、缶のように)頂部及び底部を有する円筒形状を有する。壁部5dには、入口ポート5aと、出力ポート5bと、気体出口ポート5cとが設けられている。1つの実施形態において、これらのポートは、容積55と気体収集チャンバ5の外部との間の唯一の接続部である。装置1内に接続される場合に、ポートは、前述のように流体経路又はラインに接続される。入口ポート5aは典型的に、プライミング液が出口ポート5bから通される前に、気体収集チャンバ5内のプライミング液からの気体放出を容易にするために、出口ポート5bよりも高いレベルに配置される。しかし、その代わりに、プライミング液は、出口ポート5bを介して気体収集チャンバ5に入力され、入口ポート5aを介して出力されてもよく、それにもかかわらず、流体中の気体は、気体収集チャンバ5内で放出される。入口ポート5aと出口ポート5bとは典型的に、気体収集チャンバ5の壁セグメント5dの互いに反対側に配置される。ポート5a、5bの一方又は両方は、壁セグメント5d内に接線方向に配置されてもよい。接線方向に配置されたポートを介して導入された流体は、流体を壁セグメント5dの近くに維持し、気体収集チャンバ5の中央エリアに気体を維持することによって、流体からの気体の分離を促進する渦流を生成する。渦流はまた、流体が気体収集チャンバ5から排出されるポートに流体が存在することを保証するために、流体ポート5a、5bの近くに流体を保持する。したがって、気体収集チャンバ5は少なくとも2つの流体ポート5a、5bを備え、プライミング液は少なくとも2つのポートのいずれかを介して流入及び排出されることが可能である。気体出口ポート5cは、気体収集チャンバ5から気体を排気するために配置される。気体出口ポート5cは典型的に、壁セグメント55の最上部、例えば上部に配置される。いくつかの実施形態において、気体収集経路9は、気体収集チャンバ5の気体出口ポート5cをドレーンに流体接続する。これにより、気体が気体収集チャンバ5内に蓄積され、気体収集チャンバ5から容易に除去されうる。気体収集チャンバ5内の流体のレベル35を測定するために、レベルセンサ装置22が配置及び構成される。1つの実施形態において、レベルセンサ装置22は2つのセンサを備え、上側センサは下側センサの上方に配置される。2つのセンサは、それらが流体を感知するか否かを示す。流体レベル35は典型的に2つのセンサの間に配置されるべきであり、よって、センサのいずれもが感知された流体を示さないならば、レベルは低すぎる。流体レベル35は、下側センサが流体を感知するが上側センサが感知しないならば適切である。両方のセンサが流体を感知することを示すならば、流体レベルは高すぎる。レベルセンサ装置22は、感知された値又は出力を制御装置60の制御ユニット30に送信するように構成され、これは感知された値又は出力を受信し、それに基づいてレベルを監視するように構成される。監視に基づいて、気体収集チャンバ5は、流体レベルが適切になるように自動的に充填されてもよい。
【0067】
制御ユニット30の少なくとも1つのメモリは、1つ以上のプライミング手順を実行するためのコンピュータ命令を記憶する。制御ユニット30の少なくとも1つのプロセッサが命令を実行する場合に、少なくとも1つのポンプ6、7、10及び弁装置20は、1つ以上のプライミング処理を実行するように制御される。例えば、制御ユニット30は、1つ以上の制御信号又は制御データを少なくとも1つのポンプ6、7、10及び弁装置20の弁に送信するように構成されてもよい。ポンプは、特定の流量に対応する特定の速度に制御されてもよい。一般に、ライン又は経路に接続された弁は、オン/オフ弁であってもよい。弁が開いている場合に、ライン又は経路内の流体の流れが可能となり、弁が閉じている場合に、ライン又は経路内の流体の流れが停止される。これに代えて、弁は、ゼロの流れと妨げられない流れとの間の特定の流れを可能にするように制御されうる制御弁であってもよい。
【0068】
1つ以上の手順を実行するために、制御装置60は、複数の方策を実行するように構成される。例えば、制御装置60は、以下に説明される図3のフローチャートで説明されるような方法を実行するように構成される。いくつかの実施形態において、制御装置60は、以下のうちの1つ以上を実行するように構成される。
‐プライミング液源から第1の流路3にプライミング液を提供すること。いくつかの実施形態において、第1のポンプ6は、プライミング液源から第1の経路3にプライミング液を提供するように配置及び構成される。プライミング液源は例えば、点P1に接続された容器19又は他の供給源である。このとき、制御ユニット30は、特定の流量又は圧力を提供する特定の速度を有するように第1のポンプ6に制御信号/データを送る。また、制御ユニット30は、流体を提供するために適切な弁を制御する。
‐気体収集チャンバ5内のプライミング液のレベルを監視し、気体収集チャンバ5内のプライミング液のレベルが所定のレベルに到達するまで、プライミング液を気体収集チャンバ5に提供すること。例えば、レベル検知装置22からの感知された信号又は出力は、感知された信号に基づいて装置1を制御する制御ユニット30に送られるか又はこれによって収集される。
‐プライミング液を気体収集チャンバ5に提供している間に、気体収集チャンバ5から気体を排気すること。制御ユニット30は例えば、気体収集経路9に沿って気体が出るようにするために、気体収集経路弁20nを開く。
‐第1の側2aをプライミング液で充填するために、第1の流路3及び気体収集チャンバ5を介してプライミング液源からFOユニット2の第1の側2aにプライミング液を提供すること。このとき、制御ユニット30は例えば、気体収集経路弁20nを閉じる。
‐気体収集チャンバ5内のプライミング液のレベルが所定のレベルに到達すると、プライミング液源からFOユニット2の第1の側2aにプライミング液を提供すること。
‐プライミング液が容器19、ここではプライミング液源から第1の流路3に提供されている間に、戻り流路8を介する流れを停止すること。このとき、制御ユニット30は、戻り経路弁20cを閉じる。
‐第1の側2aに提供されたプライミング液を再循環経路12において第1の方向に循環させること。いくつかの実施形態において、再循環経路12は、第1の側2aと、戻り経路8と、気体収集チャンバ5とを含むように規定される。いくつかの実施形態において、第2のポンプ7は、再循環経路12においてプライミング液を循環させるように配置及び構成される。このとき、制御ユニット30は、戻り経路弁20cを開き、第1の側入力ライン弁20bを閉じ、流れライン弁20s及び排出弁20iを導き、特定の流量又は圧力を提供するように第2のポンプ7を特定の速度に制御する。
‐プライミング液を再循環経路12において第2の方向に循環させること。このとき、制御ユニット30は、所定の流量又は圧力を提供するように第2のポンプ7を第2の方向の所定の速度に制御する。
‐(i)再循環経路12内の第1の方向のプライミング液の循環と、(ii)再循環経路内の第2の方向のプライミング液の循環とを、1つ以上の所定のプライミング基準が満たされるまで、例えば少なくとも1回、繰り返すこと。
‐1つ以上の所定のプライミング基準を満たすと、溶液源15から第2の流路を介して第2の側2bの入口ポートLinに流体を提供すること。いくつかの実施形態において、入口ポートLinは、第2の側2bの出口ポートLoutの下方に配置される。このとき、制御ユニット30は、所定の流量又は圧力を提供するように濃縮物ポンプ10を所定の速度に制御する。
‐プライミング液を第1の方向に第1の流量で循環させ、プライミング液を第2の方向に第2の流量で循環させることであって、第1の流量は第2の流量とは異なる、こと。いくつかの実施形態において、第1の流量は第2の流量よりも大きい。
‐プライミング液を再循環経路12において第1の方向に所定の第1の期間にわたって循環させ、プライミング液を再循環経路12において第2の方向に第2の期間にわたって循環させることであって、第1の期間と第2の期間とは異なる長さを有する、こと。いくつかの実施形態において、第1の期間は第2の期間よりも長い。
【0069】
ここで、FOユニット2をプライミングするための方法が、図3のフローチャート及びプライミングの異なるステップを示す図4A~4Eを参照して説明される。現在の流路を識別するのを助けるために、図に示される凡例に従って、開いた弁は、黒く塗りつぶされた弁として示され、閉じた弁は塗りつぶされていない。図4A図4Eにおいて、ステップを明確にするために特定の参照番号が削除されているが、それにもかかわらず、図1及び図5に関連して説明されるすべての構造、機能及び代替物に含まれる。また、圧力センサ、フローセンサ及び気泡検出器のような図1における特定の構成要素はこれらの図をより明確にするために図4A図4E及び図5から省略されているが、このような省略された構成要素のそれぞれはまた、図1に関連して議論されたすべての構造、機能及び代替物を含んで図4A図4E及び図5において提供されてもよいことを理解されたい。本方法は典型的に、コンピュータプログラムとして、装置1の制御ユニット30の1つ以上のメモリのようなコンピュータ可読媒体上に記憶される。コンピュータプログラムは、本書に記載の実施形態のいずれか1つに従う方法を実行するために、本書に記載の実施形態のいずれか1つに従って記載されるように装置1を動作させるための命令を含む。命令が装置1の制御ユニット30の1つ以上のプロセッサによって実行される場合に、FOユニット2をプライミングするための1つ以上のプロセスが実行される。
【0070】
FOユニット2は例えば、他の図のいずれかにおけるFOユニットである。FOユニット2は、図に説明されるようなプライミング中に同じ位置に維持され、これは、先に説明されたように、透析濃縮物を希釈するプロセスを実行する場合と同じである。この位置において、透析濃縮物を希釈するプロセスを実行する場合に、第1の流体は、入口ポートEinで導入され、第1の側2aの出口ポートEoutで排出され、第2の流体は、入口ポートLinで導入され、第2の側2bの出口ポートLoutで排出される。
【0071】
提案される方法は、所定のルーチンに従って、例えば、繰り返し起きる24時間の治療サイクル全体にわたって所定の機会に、第1の側2aから気体を除去するために使用されてもよい。本方法は例えば、弁装置20の弁を制御することと、1つ以上のポンプ6、7、10を制御することと、レベルを監視することと、などによって、説明された制御装置60によって実行される。制御装置60は、本方法を実行するために、弁及びポンプに適切な制御信号を提供し、動作データと、レベルデータのような他のデータとを受信する。本方法は、装置1の各使用の前に、したがって、透析濃縮物を希釈するプロセスが開始されるごとの前に、実行されてもよい。これに代えて又はこれに組み合わせて、本方法がいつ実施されるべきかを、現在の第1の側2aのプライミング状態の評価が明らかにしてもよい。例えば、本方法は、気体収集チャンバ5内のレベルが低すぎると実行されてもよい。このとき、かなりの量の空気が第1の流体源を介して加えられているかもしれず、これは、第1の側2aに入り、それによって、水抽出性能を変えているかもしれない。これに代えて、本方法は、現在の動作点及び最近の動作履歴を考慮して、第2の側2bから出力される流体の予想外に高い伝導率及び/又は予想外に低い流量を得ると実行されてもよい。したがって、プライミングは例えば、装置の性能の低下(例えば、図5の導電率センサ11で測定された希釈濃縮物液の伝導率の上昇、又は第2の側出力ライン4cに接続されたフローセンサ45で測定された希釈濃縮物液の流量の低下)に応答して、生成中に実行されてもよい。測定された伝導率は、予想された伝導率と比較され、測定された伝導率が予想された伝導率よりも大きいことに応答して、プライミングが開始される。予想される伝導率は、伝導率値、閾値、又は間隔であってもよい。これに代えて又はこれに組み合わせて、希釈濃縮物液の流量は、予想された流量と比較され、測定された流量が予想された流量よりも低いことに応答して、プライミングが開始される。予想される流量は、流量値、閾値、又は間隔であってもよい。このとき、生成は一時的に中断されなければならないが、プライミング後に再開されうる。したがって、本方法は、様々なトリガ条件によってトリガされてもよい。
【0072】
本方法は、プライミングが始まる前に、容器ライン3bを容器19に接続すること、又は点P1をプライミング液の供給源に接続することを含んでもよい。これに代えて、容器ライン3bは、容器19に、又はプライミング液源に接続された点P1に、すでに接続されていてもよい。本方法は、第1のポンプ6を使用して、プライミング液の供給源から容器19にプライミング液を圧送することを含んでもよい。このとき、容器弁20pは開いており、第1の側入力ライン弁20b及び直流ライン弁20sは閉じている。プライミング液の供給源は例えば、患者からの消費済み透析液又は水の蛇口である。患者からのプライミング液は、消費済み透析液である。プライミング液は、生成中に使用されるものと同じ流体であってもよい。
【0073】
本方法は、第1の流路3にプライミング液を提供することS1を含む。プライミング液は、プライミング液の供給源から提供される。先に説明されたように、第1の流路3は、気体収集チャンバ5と第1の側2aとを備える。プライミング液を提供することS1は、(図4Aに示されるように、)第1の流体ポンプ6を、ここでは逆方向に動作させ、容器弁20p及び第1の側の入力ライン弁20bを開き、直流ライン弁20sを閉じることによって実行されてもよい。このとき、プライミング液は、容器19から第1の側入力ライン3a内に圧送され、気体収集チャンバ5に流れる。これに代えて、プライミング液は、第1のポンプ6を用いて順方向に圧送し、直流ライン弁20sを開き、容器弁20p及び第1の側入力ライン20bを閉じることによって、点P1から直接、圧送される。したがって、プライミング液を提供することS1は、プライミング液を気体収集チャンバ5に提供することを含む。プライミング液の方向は、図4Aに実線矢印で示される。プライミング液は、第1の側入力ライン3a内に存在する任意の気体を気体収集チャンバ5に押しやる。いくつかの実施形態において、本方法は、プライミング液を気体収集チャンバ5に提供している間に、気体収集チャンバ5から気体を排気することを含む。気体収集チャンバ5にプライミング液を提供することS1の間に、気体収集チャンバ5内のレベルが上昇し、気体収集チャンバ5内に存在する気体を排気することを可能にするために、排出弁20i及び戻り経路弁20cは閉じられている。言い換えれば、提供することS1は、プライミング液がプライミング液源から第1の流路3に提供されている間に、戻り流路8を介する流れを停止することを含んでもよい。気体は、気体収集チャンバ5の気体出口ポート5cに配置された漏れ保護を有する一方向弁(図示せず)を介して気体収集チャンバ5の外部に排気されてもよい。いくつかの実施形態において、本方法は、プライミング液を気体収集経路9を介して気体収集チャンバ5からドレーンに気体を排気することを含む。気体収集経路9は、気体収集チャンバ5の気体出口ポート5cをドレーンに流体接続する。気体収集チャンバ5から気体収集経路9及び排出ライン3dを介してドレーンに至る排気気体の方向が図4Aにおいて点線矢印で示している。このとき、点P4は、ドレーンに接続される。ここで、ドレーンへの気体の排気は、気体収集経路弁20nを開くことによって実行される。いくつかの実施形態において、提供することS1は、気体収集チャンバ5内のプライミング液のレベルを監視することと、気体収集チャンバ5内のプライミング液のレベルが所定のレベルに到達するまで、プライミング液を気体収集チャンバ5に提供することと、を含む。所定のレベルは例えば、2つのレベルセンサの間であるのレベルである。このとき、気体収集チャンバ5は例えば、50%充填と90%充填との間である。これに代えて、所定のレベルは、気体収集チャンバ5が完全に充填されているとみなされる場合のレベルであり、これは両方又は少なくとも最上のレベルセンサが気体収集チャンバ5内の流体を感知する場合に起こる。したがって、レベルが達していないか、又は所定のレベルでない限り、本方法は、プライミング液を気体収集チャンバ5に提供することを含む。
【0074】
所定のレベルに達した後に、いくつかの実施形態において、本方法は、図4Bに説明されるように、気体収集チャンバ5を介してプライミング液を第1の側2aに提供することを含む。したがって、いくつかの実施形態において、本方法は、気体収集チャンバ5内のプライミング液のレベルが所定のレベルに到達すると、プライミング液源から第1の流路3及び気体収集チャンバ5を介してFOユニット2の第1の側2aにプライミング液を提供することS1Bを含む。プライミング液を提供することS1Bは例えば、第1の流体ポンプ6を、ここでは逆方向に動作し、容器弁20p、第1の側入力ライン弁20b及び排出弁20iを開かせ、直流ライン弁20s、気体収集経路弁20n及び戻り経路弁20cを閉じさせることによって実行される。気体収集チャンバ5が所定レベルのプライミング液を既に含む場合に、提供することS1は、最初に気体収集チャンバ5を充填することなく、気体収集チャンバ5を介してプライミング液を第1の側2aに直接、提供することを含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、第1の側2aの圧力は、第1の側2aを充填している間に、及び/又はその直後に、下げられる。下げられた圧力は、大気圧よりも低い圧力を意味する。このような下げられた圧力は、第1の側2aにおける気泡のサイズを増大させ、それにより、気泡は、ルーメンの内側からより容易に解き放たれる。また、下げられた圧力は、第1の側2aで流体を脱気する。下げられた圧力は、複数の方法で達成されてもよい。1つの代替において、このとき、第2のポンプ7は、ポンプを通る漏れを可能にする非容積式ポンプである。第1の側2aを充填する場合に、このとき、第2のポンプ7は、動作しなくてもよいし、ドレーンに向けて圧送するように動作してもよい。いずれの場合も、空気/気体及びプライミング液は、非容積式の第2のポンプ7を通って漏れる。非容積式の第2のポンプ7は、絞り弁として機能してもよい。第2のポンプ7が動作せず、プライミング液が第1のポンプ6を用いて第1の側2aに向けて圧送される実施形態において、第2のポンプ7を通る際に空気が低い流れ抵抗を引き起こすため、第1の側2aにおける圧力は実質的に変化しない。プライミング液が第2のポンプ7に到達する場合に、第2のポンプ7を通る際に高い流れ抵抗を引き起こすプライミング液が第2のポンプ7を通って押されるため、第1の側2aの圧力が上昇する。この圧力の上昇は、第1の圧力センサ42a又は第2の圧力センサ42bによって感知されてもよく、プライミング液がいつ第2のポンプ7達したかを示す。このとき、第2のポンプ7は、第1の側2aの圧力を所望の低圧に低下させるための圧送を開始するように制御されてもよい。このとき、第2のポンプ7は、第1の圧力センサ42a又は第2の圧力センサ42bからの圧力フィードバックを用いて動作する。したがって、第2のポンプ7を気体又は流体(液体)が通過しているかどうかに依存して、圧力差が検出されうる。第2のポンプ7が動作し、プライミング液が第1のポンプ6を用いて第1の側2aに向けて圧送される実施形態において、第1の側2aの圧力は、第2のポンプ7が動作していない場合よりも低くなる。第2のポンプ7の速度に依存して、第1の側2aにおける圧力は、大気圧よりも低いか、それに等しいか、又はそれよりも大きい。また、ここで、プライミング液が第2のポンプ7に到達する場合に、第2のポンプ7が空気を圧送している場合と比較して第1の側2aの圧力が変更し、その変更が検出されうる。以降、第1の圧力センサ42a又は第2の圧力センサ42bからの圧力フィードバックを用いて第2のポンプ7を動作させることによって、所望の低圧が確立されうる。所望の低圧が確立された場合に、第2のポンプ7は、低い方の圧力を同じ値に維持するように動作する。第2のポンプ7が容積式ポンプであり、プライミング液が第1のポンプ6を用いて第1の側2aに向けて圧送される実施形態において、第2のポンプ7は動作し、そうでなければそれは流れを停止し、第1の側2aは充填されえない。第1の側2aで低圧を確立するために、第2のポンプ7は、第1の圧力センサ42a又は第2の圧力センサ42bからの圧力フィードバックを用いて動作する。第2のポンプ7は典型的に、低圧が確立されるまでの期間にわたって、第1のポンプ6よりも高い流量を提供するように動作する。その後、第2のポンプ7は、低い方の圧力を同じ値に維持するために、第1のポンプ6と多かれ少なかれ同じ流量を提供するように動作する。低圧は典型的に、第2のポンプ7への圧力フィードバックによって維持される。低圧が確立された場合に、プライミング液は、再循環経路12全体において確立された低圧で再循環経路12において再循環されうる。
【0076】
第1の側2aの低圧が望ましくなく、第2のポンプ7が非容積式ポンプである場合に、第2のポンプ7は、プライミング液が第1のポンプ6を用いて第1の側2aに向けて圧送されている間に、プライミング液が第2のポンプ7に到達する際又はその前のいずれかに、大気圧以上の第1の側2aの圧力に達するように制御される。このとき、第2のポンプ7は、プライミング液が第2のポンプ7に達した場合にまず圧送を開始してもよく、これは例えば、気体収集チャンバ5が充填された後に、第1のポンプ6によって所定量のプライミング液が圧送された場合、又は第1の側2の圧力が増加したことが検出された場合に発生する。第2のポンプ7が容積式ポンプである場合に、第2のポンプ7は、プライミング液が第1のポンプ6を用いて第1の側2aに向けて圧送されている間に、大気圧以上の第1の側2aの圧力に達するように制御される。大気圧以上の第1の側2aの圧力が確立された場合に、プライミング液は、確立された大気圧以上で再循環経路12において再循環されうる。
【0077】
第2のポンプ7は、任意の排出されたプライミング液を第1の側2aからドレーンに圧送してもよい。言い換えれば、いくつかの実施形態において、本方法は、第1の側2aをプライミング液で充填するために、第1の流路3及び気体収集チャンバ5を介してプライミング液源からFOユニット2の第1の側2aにプライミング液を提供することS1Bを含む。
【0078】
第1の側2aを充填した後、いくつかの実施形態において、本方法は、気体収集チャンバ5を所定のレベルまで充填するために、気体収集チャンバ5から気体を排気している間に、気体収集チャンバ5にプライミング液を再び提供することS1を含む。この方策は、レベル感知装置22を用いて気体収集チャンバ5内のレベルをチェックすることに対する応答として実行されてもよい。レベルが低すぎると検出されると、本方法は、気体収集チャンバ5にプライミング液を提供することS1を含む。このようなシーケンスが図4Aに説明される。
【0079】
第1の側2aがプライミング液で充填された場合に、したがって、プライミング液が第2のポンプ7に到達した場合及び/又は所定の体積のプライミング液が第1のポンプ6で圧送され、オプションで第1の側の圧力が低圧であり、気体収集チャンバ5が所定のレベルのプライミング液を有する場合に、本方法は、提供されたプライミング液を再循環経路12において循環させることを含む。これは図4C及び図4Dに説明される。例えば、本方法は、再循環経路12においてプライミング液を循環させるように第2のポンプ7を動作させることを含む。循環中、いくつかの実施形態において、新たなプライミング液が再循環経路12に入らない。再循環中、循環するプライミング液によって移動される再循環経路12内に存在する気体は、気体収集チャンバ5において収集される。循環中、戻り経路弁20cは開いており、第1の側入力ライン弁20b、直流ライン弁20s、気体収集経路弁20n及び排出弁20iは閉じている。また、容器弁20pは閉じられてもよい。本方法は、提供されたプライミング液を再循環経路12において第1の方向に循環させることS2を含む。このとき、第2のポンプ7は、第1の方向にプライミング液の流れを提供するように動作する。いくつかの実施形態において、プライミング液を第1の方向に循環させることS2は、入口ポートEinで入力され、第1の側2aの出口ポートEoutを介して、したがって図4Cの矢印によって示される方向に出力されるように流体を循環させることを意味する。第1の側2aを通る第1の方向は、生成中の第1の流体の方向に対応する。循環させることS2は典型的に、提供されたプライミング液を第1の方向に所定の期間にわたって循環させることを含む。所定の期間は例えば、10~120秒である。気体が気体収集チャンバ5において収集されるにつれて、気体収集チャンバ5内のプライミング液のレベルは低下する。いくつかの実施形態において、第1の時間、プライミング液を循環させる場合の流量は、低流量、例えば200~400ml/分である。別の実施形態において、流速は高く、例えば400~1500ml/分である。しかし、流量は、システム構成要素の寸法、FO膜のタイプなどに依存し、よって、変化しうる。
【0080】
いくつかの実施形態において、本方法は、再循環経路12内のプライミング液の循環中に、第1の側2aで低圧を維持することを含む。それによって、プライミングは、より効率的になりうる。低圧は、再循環フェーズに入る前に異なる流量を達成するために、第1のポンプ6及び第2のポンプ7を動作させることによって確立されてもよい。
【0081】
プライミング液を初めて循環させた後、いくつかの実施形態における本方法は、気体収集チャンバ5を所定のレベルまで充填するために、気体収集チャンバ5から気体を排気している間に、プライミング液を気体収集チャンバ5にもう1回、提供することS1を含む。この方策は、レベル感知装置22を用いて気体収集チャンバ5内のレベルをチェックすることに対する応答として実行されてもよい。レベルが低すぎると、本方法は、気体収集チャンバ5にプライミング液を提供することS1を含む。説明されたように、このシーケンスは図4Aに説明される。
【0082】
再循環経路12、よってFOユニット2の第1の側2aは、ここで、比較的容易に除去されうる気体から解放されている。しかし、第1の側2aは、依然として、捕捉された気体を含むかもしれない。このような捕捉された気体を除去するために、いくつかの実施形態において、本方法は、再循環経路12を通して400~1500ml/分のような高流量でプライミング液を循環させることを含む。また、いくつかの実施形態において、本方法は、再循環経路12を通してプライミング液を反対方向に循環させることを含む。したがって、本方法はまた、プライミング液を再循環経路12において第2の方向に循環させることS3を含んでもよい。いくつかの実施形態において、プライミング液を第2の方向に循環させることS3は、出口ポートEoutで入力され、第1の側2aの入口ポートEinを介して、したがって第1の方向とは反対である図4Dの矢印によって示される方向に出力されるように流体を循環させることを意味する。このとき、第2のポンプ7は、第2の方向にプライミング液の流れを提供するように動作する。いくつかの実施形態において、本方法は、再循環経路12を通してプライミング液を高い流量で反対方向に循環させることを含む。異なる流量を提供するために、第2のポンプ7は、異なる速度で動作する。いくつかの実施形態において、本方法は、高流量、例えば400~1500ml/分と、低流量、例えば50~200ml/分又は200~400ml/分との両方で、再循環経路12を通じて異なる方向にプライミング液を循環させることを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、プライミング液を第1の方向に第1の流量で循環させることS2と、プライミング液を第2の方向に第2の流量で循環させることS3とを含み、第1の流量は第2の流量とは異なる。いくつかの実施形態において、第1の流量は第2の流量よりも大きい。異なる方向に循環させることは、互いに直後に、又は互いに非常にすぐ後に続いてもよい。いくつかの実施形態において、本方法は、プライミング液を、異なる長さの期間にわたって異なる方向に循環させることを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、プライミング液を再循環経路12において第1の方向に所定の第1の期間にわたって循環させることS2と、プライミング液を再循環経路12において第2の方向に第2の期間にわたって循環させることS3とを含み、第1の期間と第2の期間とは異なる長さを有する。第1の期間は例えば、第2の期間よりも長い。上記のステップのいずれも、組み合わされ及び/又は1つ以上の時間、繰り返されてもよい。いくつかの実施形態において、本方法は、1つ以上の所定のプライミング基準が満たされるまで、(i)再循環経路12において第1の方向にプライミング液を循環させることS2と、(ii)再循環経路12において第2の方向にプライミング液を循環させることS3とを含む。例えば、いくつかの実施形態において、本方法は、プライミング液を第1の方向に高流量で第1の期間にわたって循環させることを含む。第1の期間は例えば、10~120秒である。このステップは、高流量によって引き起こされる高い圧力降下によって、第1の側2aの繊維ルーメン内に存在する任意の気体をルーメンから押し出すために実行される。したがって、高流量は、第1の側2aにおけるより高い流れ抵抗のために、第1の側2aにおける入口から出口への高い圧力降下を引き起こす。そして、循環が停止される。この例において、本方法はその後、プライミング液を第2の方向に低流量で第2の期間にわたって循環させることを含む。プライミング液を第2の方向に循環させる目的は、入口ポートEinの近くに存在する気体を気体収集チャンバ5に輸送することである。第2の期間は、第1の側2aの最上部の気体がプライミング液と共に第1の側2aから気体収集チャンバ5に輸送されることを可能にするのに十分な長さであるべきである。よって、第2の期間は、接続ライン3cの長さ及び低流量の大きさに依存する。例えば、第2の期間は、数秒、例えば3~10秒である。第2の方向に循環される場合の第1の側2aのプライミング液よりも、第1の方向に循環される場合の第1の側2aのプライミング液の方が、気体収集チャンバ5に到達するために長い距離を移動しなければならないため、第1の期間は典型的に第2の期間よりも長い。したがって、第1の期間の長さは典型的に少なくとも、第1の側2aのプライミング液が戻り経路8を介して気体収集チャンバ5に移動するのにかかる時間である。プライミング液を第1の方向に高流量で第1の期間にわたって循環させ、その後、プライミング液を第2の方向に低流量で第2の期間にわたって循環させる手順は、複数回実行されてもよい。例えば、気体のない第1の面2aを保証するために、本手順は5~10回繰り返されてもよい。したがって、繰り返し又は循環を停止するための基準は、繰り返し又は循環が複数回、例えば特定の回数実行されたことであってもよい。いくつかの実施形態において、装置1は、戻り経路8に接続された気泡センサ44を備える。このとき、本方法は、例えば気泡のサイズ及び/又は個数に基づいて、気泡の存在を検出することを含んでもよい。1つ以上の低検出基準を満たす気泡の検出に応答して、繰り返し又は循環が停止され、第1の側のプライミングが満足のいくものと見なされてもよい。低検出基準は例えば、所定の期間にわたって所定のサイズよりも大きい気泡を含まないこと、及び/又は所定の期間にわたって所定のサイズよりも大きい所定の数未満の気泡を含むことであってもよい。
いくつかの実施形態において、プライミング液を第1の期間にわたって高流量で第1の方向に循環させ、その後、プライミング液を第2の期間にわたって低流量で第2の方向に循環させることに加えて、本方法は、プライミング液を第1の側2aを通して高流量で第2の方向に循環させることを含む。したがって、より多くの気泡が繊維ルーメンから除去され、気体収集チャンバ5内に収集されうる。プライミング液を第1の側2aを通して高流量で第2の方向に循環させることは、第3の期間にわたって実行される。第3の期間は、第2の期間の後、典型的には第2の期間の直後に続く。第3の期間は第2の期間と同じ長さを有してもよく、したがって、3~10秒の間である。
【0083】
ここで、第1の側2aはプライミングされており、おそらく気体を含まず、少なくとも大きな気泡を含まない。また、これは、1つ以上の所定のプライミング基準が第1の面2aについて満たされたことを意味する。いくつかの実施形態において、1つ以上の所定のプライミング基準が満たされると、本方法は、第2の流路を介して溶液源15から、第2の側2bの出口ポートLoutの下方に配置された第2の側2bへの入口ポートLinへ流体を提供することを含む。これに代えて、溶液源15から第2の側2bへ流体を提供することは、第1の側2aのプライミングの前、最中及び/又は後に実行される。溶液源15からの流体は典型的に、透析液生成中に第2の側2bに提供される濃縮物溶液である。したがって、第2の側2bのプライミングは、濃縮物を希釈するプロセスの開始であってもよい。第2の側2bは、図4Eに説明されるように、底部から上方に充填され、第2の側2bの任意の気体は、希釈濃縮物溶液によって収集チャンバ(図5の参照符号16)に輸送される。第2の側2bがルーメンの外側(シェル側)に沿って配置されているため、第2の側2bで気体が捕捉されにくい。第2の側2bが充填された後、FOユニット2のプライミングが完了する。ここで、FOユニット2は、希釈透析濃縮物液を効率的に生成できる。図4Eにおいて、フィード液が第1の側2aを流れ、ドロー液が第2の側2bを流れることが説明されている。
【0084】
(プライミング中の第1の側2aにおけるより低い方の圧力よりも)第1の側2aにおけるより高い方の圧力は典型的に、任意の残存し潜在的に流れを妨害する気泡のサイズを低減する水抽出セッションに関連する。セッションはまた、流体脱気に起因する追加の気体形成のリスクを低減する。
【0085】
上述の方策に加えて、いくつかの実施形態において、流れ及び/又は圧力過渡現象は、第1の側2aで繊維ルーメンから気泡を押し出すために使用されてもよい。したがって、本方法は、第1の側2aで繊維ルーメンからの気泡放出を助ける流れ過渡現象を生成する脈動流を提供することを含むことができる。このとき、本方法は、再循環経路12内に、したがってプライミング液が図4C又は図4Dに説明されるように再循環されている間に、脈動流又は周期的な流れパターンを提供するように、第2のポンプ7を動作させることを含んでもよい。これに代えて又はこれに組み合わせて、本方法は、大流量パルスを生成するために周期的に解放されるビルトアップ圧力を生成することを含んでもよい。これは、繊維ルーメンからの気泡放出を助ける流れ過渡現象を生成する。例えば、第1のポンプ6は気体収集チャンバ5内に定期的に圧力を構築し、そして、それをFOユニット2の第1の側2aを通して解放してもよい。
【0086】
いくつかの実施形態において、プライミングは、例えばFOユニット2を機械的に振動させるなど、空気除去を容易にするために外部手段によって運動のためにFOユニット2を作用させることによって強化される。
【0087】
ここで、図1及び図4A図4Fを参照して、1つの例示のプライミングシナリオが説明される。所定の機会、例えば毎日午後1時に応じて、プライミングシーケンスが開始される。プライミングシーケンスは、気体が排気経路9を介して排気されている間に気体収集チャンバ5を所定のレベルまでプライミング液で充填することによって始まる(ステップS1~S1A及び図4A参照)。その後、第1の側2aに所定量のプライミング液を提供することによって、第1の側2aが充填される(ステップS1B及び図4B参照)。その後、気体が排気経路9を介して排気されている間に気体収集チャンバ5を所定のレベルまでプライミング液で再び充填される(ステップS1~S1A及び図4A参照)。その後、再循環経路12内のプライミング液は、再循環経路12において第1の方向、したがって順方向に再循環される(ステップS2及び図4C参照)。その後、気体が排気経路9を介して排気されている間に気体収集チャンバ5を再び所定のレベルまでプライミング液で再び充填される(ステップS1~S1A及び図4A参照)。ここで、プライミングシーケンスは、プライミング液を第1の方向に高流量で第1の期間にわたって循環させ、続いてプライミング液を第2の方向に低流量で第2の期間にわたって循環させることを含んで繰り返し実行される(ステップS2~S4及び図4C及び図4D参照)。シーケンスは例えば、空気を含まないフィード側を保証するために、5~10回繰り返されてもよい。その後、第1の側2aがプライミングされる(図4E参照)。ここで、第2の側2bを充填するために濃縮物液が第2の側2bに提供される(ステップS5参照)。第2の側2bが充填された場合に、第2の側2bもプライミングされ、FOユニット2全体がプライミングされたとみなされる。したがって、第1の側2aはプライミングされ、第2の側2bは空である。その後、第2の側2bがプライミングされ、一方、第1の側2aはすでに充填されており、すなわちすでにプライミングされている。これに代えて、第2の側2bは、第1の側2aがプライミングされる前に又はプライミングされている間に、プライミングされる。
【0088】
ここで、図5を参照して、透析のための流体を生成するための装置1の例が説明される。開いた弁及び閉じた弁に関する凡例は、図5には適用されない。装置1は、図1から除外されたいくつかの追加の構成要素と共に、図1及び図4A図4Eに説明された部分50を備える。したがって、装置1は、FOユニット2と、第1の流路3と、第2の流路4とを備える。説明されたプライミングのための方法は、図5の装置1にも同様に適用されうる。
【0089】
第1の流路3は入口コネクタPiから始まり、ドレーン31で終わる。第2の流路4は濃縮物容器15から始まり、出口コネクタPoで終わる。入口コネクタPiは例えば、PD患者のカテーテル、又はHD又はCRRT装置の消費済み透析液ラインに接続可能である。出口コネクタPoは例えば、PD患者のカテーテル、又はHD又はCRRT装置の透析液ラインに接続可能である。第1の流路3は、複数の流体ライン、すなわち、第1の側入力ライン3aと、容器ライン3bと、接続ライン3cと、排出ライン3dとを備える。第1の側入力ライン3aは、図2に説明されるように、入力点Piと、気体収集チャンバ5、例えば気体収集チャンバ5の入口ポート5aとの間に配置されている。第1の側入力ライン3aは、入力点Piと気体収集チャンバ5の入口ポート5aとを流体接続する。容器ライン3bは、容器19と第1の側入力ライン3aの接続点P1との間に配置されている。説明されるように、図1及び図4A図4Eの接続点P1は、図5の接続点P1に対応する。容器ライン3bは、容器19と第1の側入力ライン3aとを接続する。接続ライン3cは、気体収集チャンバ5の出口ポート5b(図2)と、第1の側2aの入口ポートEinとの間に配置されている。したがって、接続ライン3cは、気体収集チャンバ5の出口ポート5bと入口ポートEinとを流体接続する。排出ライン3dは、第1の側2aの出口ポートEoutと、ドレーン31に接続された接続点P4との間に配置されている。したがって、排出ライン3dは、出口ポートEoutとドレーン31とを流体接続する。第1の側入力ライン3a内の流体の圧力を感知するために、第1の側入力ライン3aに圧力センサ26が接続されている。圧力センサ26からの感知された圧力は、気体収集チャンバ5内の圧力を表す。容器ライン3b内に流れを提供するために、容器ライン3bと共に動作するように第1のポンプ6が配置される。第1のポンプ6は、例えば消費済み透析液で容器19を充填するために、正方向に流体を圧送するように配置及び構成される。また、第1のポンプ6は、容器19から気体収集チャンバ5への方向に流体を圧送するために、逆方向に流体を圧送するように構成される。入口コネクタPiと点P1との間で第1の側入力ライン3aと共に動作するように入力弁20aが配置されている。点P1と気体収集チャンバ5との間で第1の側入力ライン3aと共に動作するように第1の側入力ライン弁20bが配置されている。排出ライン3d内に流体の流れを提供するために、排出ライン3dと共に動作するように第2のポンプ7が配置されている。排出弁20iは、排出ライン3dへの戻り経路8の接続点と、排出ライン3dへの気体回収経路9の接続点との間で排出ライン3dと共に動作するように配置されている。排出ライン3dと第1の側入力ライン3aとの間に戻り経路8が配置されている。したがって、戻り経路8は、排出ライン3dと第1の側入力ライン3aとを流体接続する。戻り経路8は、第2のポンプ7と排出弁20iとの間で排出ライン3dに接続されている。戻り経路8はさらに、直流ライン3eの第1の側入力ライン3aとの接続点と、気体収集チャンバ5の入口ポート5aとの間の点において、第1の側入力ライン3aに接続されている。気体収集チャンバ5の気体出口ポート5c(図2)と排出ライン3dとの間に気体回収経路9が配置されている。したがって、気体収集経路9は、気体出口ポート5cと排出ライン3dとを流体接続する。気体収集経路9は、排出弁20iとドレーンとの間で排出ライン3dに接続されている。消費済み透析液は、消費済み透析液を第1のポンプ6で容器19に圧送し、第1の入力弁20a及び容器弁20pを開き、第1の側入力ライン弁20b及び直流ライン弁20sを閉じることによって、容器19内に収集されてもよい。その後、消費済み透析液は、第1のポンプ6及び第2のポンプ7で圧送し、第1の側入力ライン弁20b、容器弁20p及び排出弁20iを開き、入口弁20a、直流ライン弁20s、戻り経路弁20c及び気体収集経路弁20nを閉じることによって、第1の側2aに輸送されうる。気体収集チャンバ5は、気体収集経路弁20nを追加的に開き、第2のポンプ7を動作させないか、又は第1のポンプ6よりも低い流量でそれを動作させることによって充填されてもよい。第1の側2aは、気体収集経路弁20nを追加的に閉じることによって充填されてもよい。
【0090】
第2の流路4は、複数の流体ライン、すなわち、濃縮物ライン4dと、第2の側入力ライン4bと、第2の側出力ライン4cと、第1の希釈濃縮物ライン4eと、第2の希釈濃縮物ライン4aと、主ライン4fと、純水ライン4gと、第2の濃縮物ライン4hと、ドレーン接続ライン4iとを備える。濃縮物ライン4dは、濃縮物容器15と、主ライン4f及び第2の側入力ライン4bとの接続点P3との間に配置されている。したがって、濃縮物ライン4dは、濃縮物容器15を第2の側入力ライン4b(及び主ライン4f)に接続する。説明されるように、図1及び図4A図4Eの接続点P3は、図5の接続点P3に対応する。濃縮物ライン4dに濃縮物弁20dが接続されている。第2の側入力ライン4bは、濃縮物ライン4dとの接続点P3と、第2の側2bの入口ポートLinとの間に配置されている。したがって、第2の側入力ライン4bは、接続点P3と入口ポートLinとを接続する。濃縮物ポンプ10は、濃縮物ライン4d内に流れを提供するように配置及び構成される。第2の側入力ライン4bに第2の側入力弁20hが接続されている。第2の側出力ライン4cは、第2の側2bの出口ポートLoutと、第1の希釈濃縮物ライン4e上の接続点P2との間に配置されている。説明されるように、図1及び図4A図4Eの接続点P2は、図5の接続点P2に対応する。したがって、第2の側出力ライン4cは、出口ポートLoutと第1の希釈濃縮物ライン4eとを接続する。第1の希釈濃縮物液ライン4eは、希釈液容器16の入口と濃縮物ライン4dの接続点P3との間に配置されている。したがって、第1の希釈濃縮物液ライン4eは、希釈液容器16の入口と濃縮物ライン4dの接続点P3とを接続する。第1の希釈濃縮物弁20eは、第2の側出力ライン4cの第1の希釈濃縮物ライン4eへの接続点P2と、第1の希釈濃縮物ライン4eの濃縮物ライン4dへの接続点との間で第1の希釈濃縮物ライン4eに接続されている。点P2と希釈流体容器16の入口との間で第1の希釈濃縮物ライン4eに伝導率センサ11が接続されている。主ライン4fは、濃縮物ライン路4dとの接続点P3と、出口コネクタPoとの間に配置されている。したがって、主ライン4fは、接続点P3と出口コネクタPoとを接続する。第2の希釈濃縮物液ライン4aは、希釈液容器16の出口と、主ライン4fとの接続点P3との間に配置されている。第2の希釈濃縮物側入力ライン4aに第2の希釈濃縮物弁20fが接続されている。したがって、接続点P3は、主ライン4fと、濃縮物ライン4dと、第2の希釈濃縮物ライン4aと、第2の側入力ライン4bとを接続する。第2の流路4は、主ライン4fに接続される複数の構成要素、すなわち、主弁20gと、加熱素子65と、温度センサ27と、主ポンプ23と、混合チャンバ24と、伝導率センサ25と、出口弁20jとをさらに備える。純水容器17と主ライン4fとの間に純水ライン4gが配置されている。したがって、純水ライン4gは、純水容器17と主ライン4fとを接続する。主弁20gは、点P3と、純水ライン4gの主ライン4fとの接続点との間で主ライン4fに接続されている。第2の濃縮物容器18と主ライン4fとの間に第2の濃縮物ライン4hが配置されている。したがって、第2の濃縮物ライン4hは、第2の濃縮物容器18と主ライン4fとを接続する。第2の濃縮物ポンプ29は、第2の濃縮物ライン4h内の第2の濃縮物の流れを提供するように配置及び構成される。主ポンプ23は、純水ライン4gの主ライン4fへの接続の下流、かつ第2の濃縮物ライン4hの主ライン4fへの接続の下流で、主ライン4fに流れを提供するように配置及び構成される。温度センサ27は、主ポンプ23の上流であるが、第2の濃縮物ライン4hの主ライン4fへの接続の下流で、主ライン4f内の流体の温度を感知するように配置及び構成される。混合チャンバ24は、主ポンプ23の下流、かつ主伝導率センサ25の上流に配置されている。混合チャンバ24と排出ライン3dとの間に接続された排気ライン4jと共に動作するように排気弁20mが配置されている。排気ライン4jは、混合チャンバ24内の過剰気体をドレーン31に輸送する。
【0091】
濃縮物を希釈するために、濃縮物ポンプ10は、濃縮物容器15から第2の側2bに濃縮物溶液を圧送するように動作する。このとき、濃縮物弁20d及び第2の側入力弁20hは開かれ、第1の希釈濃縮物弁20e及び第2の希釈濃縮物弁20fは閉じられる。同時に、消費済み透析液が第1の側2aに提供される。このとき、浸透圧差によって、第1の側2aの消費済み透析液から第2の側2bの濃縮物溶液に純水が抽出される。よって、濃縮物溶液は、中間透析溶液、したがって希釈濃縮物溶液を形成するように希釈されるようになり、これは希釈液容器16内に収集される。この手順は、FOセッションと呼ばれてもよい。希釈濃縮物が希釈液容器16に収集された後に、希釈濃縮物は、濃縮物ポンプ10を用いて圧送し、第1の希釈濃縮物弁20e及び第2の希釈濃縮物弁20fを開き、第2の側入力弁20h、濃縮物弁20d及び主弁20gを閉じることによって、第1の希釈濃縮物ライン4e、濃縮物ライン4dの一部、第2の希釈濃縮物ライン4a及び希釈液容器16において循環されてもよい。伝導率センサ11は、伝導率が安定し、したがって希釈濃縮物が均質である場合を監視するために、循環されている希釈濃縮物の伝導率を測定する。
【0092】
透析液を混合するために、希釈液容器16内の希釈濃縮物溶液は、濃縮物ポンプ10を動作させ、第1の希釈濃縮物弁20e、主弁20g、出口弁20jを開き、濃縮物弁20d、第2の側入力弁20h、第2の希釈濃縮物弁20f及びドレーン接続弁20kを閉じることによって、主ライン4fに圧送される。これと同時に、グルコースのような第2の濃縮物溶液が、第2の濃縮物溶液ポンプ29を動作させることによって主ライン4fに通される。純水容器17から主ライン4fに純水が流れる。主ポンプ23は、結果として得られる透析液の所望の流量を、主ポンプ23の下流で主ライン4fに提供する。伝導率センサ25は、主ポンプ23からの結果の透析液の伝導率を測定する。濃縮物ポンプ10は、生成された流体の伝導率、希釈濃縮物溶液の伝導率、及び生成された流体の流量に基づいて、結果の透析液の所望の所定の濃度を達成するために、特定の速度に制御される。第2の濃縮物溶液ポンプ29は、生成された流体中の濃縮物の特定の組成を達成するために、生成された流体の流量に基づいて、特定の速度に制御される。混合チャンバ24において、透析液を生成するために、希釈濃縮物溶液と、第2の濃縮物溶液と、純水とが混合される。混合チャンバ24は小さく、典型的に30~100mlの流体のみを収容してもよい。その後、透析液は、出口コネクタPoにおいて所望の宛先(例えば、保管容器又は透析機械、又はPD患者に接続されたカテーテル)に送達される。レベル感知装置66は混合チャンバ24内のレベルを監視し、気体をドレーンに通すことに応答してレベルが低すぎるならば、排気弁20mが開かれ、それによってレベルを上昇させる。主伝導率センサ25は、最終透析液の伝導率を測定する。伝導率が所定の制限内にないならば、透析液は、ドレーン接続ライン4iを介してドレーン31に通される。ドレーン接続ライン4iに、透析液がドレーン31に通される場合に開くドレーン接続弁20kが接続されている。出力弁20jの下流で主ライン4fに、出口コネクタPoの圧力を感知するための圧力センサ28が接続されている。
【0093】
本書に記載されるポンプのいずれも、例えば、フローセンサ(図示せず)からの流量フィードバックで動作する、(ピストンポンプのような)容積式ポンプ又は非容積式ポンプ(例えば、ギアポンプ)であってもよい。ポンプのうちの1つ以上は、一方向であっても双方向であってもよい。濃縮物容器15は、電解質溶液を含む。例えば、電解質溶液は、電解質及び緩衝液、例えば、Na、Ca、Mg及び乳酸塩を含んでもよい。第2の濃縮物容器18は例えば、グルコース濃縮物を含む。制御装置30は、少なくとも1つのメモリ及び少なくとも1つのプロセッサを含む制御ユニット30をさらに備える。制御装置60は、透析液を生成するか、又はプライミングプロセスを実行するような、複数の異なるプロセスを実行するために、ポンプ6、7、10、23及び29、ならびに弁装置20の弁20a~20pを制御するように構成される。制御装置60はまた、伝導率センサ11、25から伝導率の測定値を受け取るように構成される。制御装置60は、圧力センサ26、28及び温度センサ27から圧力の測定値を受け取るようにさらに構成される。したがって、制御装置60は、装置1の構成要素から任意の信号又はデータを受け取り又は収集し、それに基づいてポンプ及び/又は弁を制御するように構成される。結果は、ユーザインタフェース(図示せず)を介してユーザに提供されてもよい。
【0094】
本発明は現在最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに関連して説明されてきたが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、逆に、添付の特許請求の範囲の趣旨及び均等物内に含まれる種々の変形及び均等な構成を包含することが意図されることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
【国際調査報告】