(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-04
(54)【発明の名称】正浸透を使用する透析液の効率的な生成のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20240328BHJP
【FI】
A61M1/16 161
A61M1/16 190
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561892
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-04
(86)【国際出願番号】 EP2022058927
(87)【国際公開番号】W WO2022214450
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501473877
【氏名又は名称】ガンブロ・ルンディア・エービー
【氏名又は名称原語表記】GAMBRO LUNDIA AB
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルティア, クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】リンドグレーン, ヘンリク
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077EE03
4C077GG09
4C077GG14
4C077HH02
4C077HH13
4C077JJ02
4C077JJ08
4C077JJ13
4C077JJ16
4C077JJ19
4C077JJ24
4C077KK23
(57)【要約】
透析液を生成するための装置(1)及び方法。装置(1)は、FO膜(2c)によって分離されたフィード側(2a)及びドロー側(2b)を含む正浸透(FO)ユニット(2)であって、フィード側(2a)はフィード液経路(3)に含まれ、ドロー側(2b)はドロー液経路(4)に含まれ、FOユニット(2)は、ドロー側(2b)で透析濃縮物液を受け取り、フィード側(2a)で消費済み透析液を受け取るように構成され、ドロー側(2b)とフィード側(2a)との間の浸透圧差によって、消費済み透析液からFO膜(2c)を通って透析濃縮物液に水が輸送され、それによって、透析濃縮物液を希釈透析濃縮物液に希釈し、消費済み透析液を脱水された消費済み透析液に脱水する、FOユニット(2)と、1つ以上の圧力ポンプ(7、32)を用いてドロー側(2b)とフィード側(2a)との間の静液圧差を提供すること(S3)とを備える。装置(1)は、希釈透析濃縮物液及び/又は脱水された消費済み透析液の1つ以上の特性を感知することと、ドロー側(2b)とフィード側(2a)との間の静液圧差を示す1つ以上の圧力を感知することと、希釈透析濃縮物液を作り出すために、希釈透析濃縮物液及び/又は脱水された消費済み透析液の1つ以上の特性と、静液圧差を示す感知された1つ以上の圧力とに基づいて、フィード側(2a)への消費済み透析液の流量と、ドロー側(2b)への透析濃縮物液の流量と、静液圧差とのうちの少なくとも1つを制御することとを行うように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析液を生成するための装置(1)であって、前記装置(1)は、
1つ以上の濃縮物コネクタ(30a、30b)を含むドロー液経路(4)であって、各コネクタが、透析濃縮物液の供給源(15、18)に接続されるように構成される、ドロー液経路(4)と、
消費済み透析液の供給源に接続されるように構成されたコネクタ(Pi、40a)を含むフィード液経路(3)と、
FO膜(2c)によって分離されたフィード側(2a)及びドロー側(2b)を含む正浸透(FO)ユニット(2)であって、前記フィード側(2a)は前記フィード液経路(3)に含まれ、前記ドロー側(2b)は前記ドロー液経路(4)に含まれ、前記FOユニット(2)は、前記ドロー側(2b)で透析濃縮物液を受け取り、前記フィード側(2a)で前記消費済み透析液を受け取るように構成され、前記ドロー側(2b)と前記フィード側(2a)との間の浸透圧差を介して、前記消費済み透析液から前記FO膜(2c)を通って前記透析濃縮物液に水が輸送され、それによって、前記透析濃縮物液を希釈透析濃縮物液に希釈し、前記消費済み透析液を脱水された消費済み透析液に脱水する、FOユニット(2)と、
前記希釈透析濃縮物液及び/又は前記脱水された消費済み透析液の1つ以上の特性を感知するように構成された1つ以上の特性センサと、
前記ドロー側(2b)と前記フィード側(2a)との間の静液圧差を示す1つ以上の圧力を感知するように構成された1つ以上の圧力センサと、
制御装置(50)であって、
前記ドロー側(2b)への前記透析濃縮物液の流れが提供されるようにすることと、
前記フィード側(2a)への前記消費済み透析液の流れが提供されるようにすることと、
1つ以上の圧力ポンプ(7、32)を用いて前記ドロー側(2b)と前記フィード側(2a)との間の静液圧差が提供されるようにすることと、
前記フィード側(2a)への消費済み透析液の流量と、
前記ドロー側(2b)への前記透析濃縮物液の流量と、
前記静液圧差と、のうちの少なくとも1つを、
前記希釈透析濃縮物液を作り出すために、希釈透析濃縮物及び/又は脱水された消費済み透析液の前記1つ以上の特性と、前記静液圧差を示す前記感知された1つ以上の圧力とに基づいて制御することと、を行うように構成された制御装置(50)と、を備える装置(1)
【請求項2】
請求項1に記載の装置(1)であって、前記制御装置(50)は、
利用可能な消費済み透析液の体積と、所望の量の前記希釈濃縮物液を生成するのに利用可能な期間の長さとに基づいて、前記フィード側(2a)への消費済み透析液の前記流量を制御することと、
前記期間の終了時に前記所望の量の希釈濃縮物液を提供するために、前記所望の量の希釈濃縮物液を生成するために必要とされる透析濃縮物液の体積と前記期間の前記長さとに基づいて、前記ドロー側(2b)への前記透析濃縮物液の前記流量を制御することと、を行うようにさらに構成される、装置(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置(1)であって、前記制御装置(50)は、希釈透析濃縮物及び/又は脱水された消費済み透析液の前記1つ以上の特性と、前記静液圧差を示す前記感知された1つ以上の圧力とに基づいて、前記1つ以上の圧力ポンプ(7、32)を用いて前記静液圧差を制御するようにさらに構成される、装置(1)。
【請求項4】
請求項3に記載の装置(1)であって、前記制御装置(50)は、事前に決定された静液圧差を達成するために、前記感知された1つ以上の圧力に基づいて、前記1つ以上の圧力ポンプ(7、32)を用いて前記静液圧差を制御するようにさらに構成される、装置(1)
【請求項5】
請求項4に記載の装置(1)であって、前記事前に決定された静液圧差は、最大許容静液圧差である、装置(1)。
【請求項6】
請求項3に記載の装置(1)であって、前記制御装置(50)は、希釈透析濃縮物及び/又は脱水された消費済み透析液の特性に基づいて、前記特性を前記特性の目標値に等しくするために、前記静液圧差を制御するようにさらに構成される、装置(1)。
【請求項7】
請求項2に記載の装置(1)であって、前記制御装置(50)は、希釈透析濃縮物液の前記流量が、前記ドロー側(2b)への透析濃縮物液の入口流量に目標希釈係数をかけた値に等しくなるように、濃縮物ポンプ(10)を使用して透析濃縮物液の前記流量を制御することと、前記1つ以上の圧力ポンプ(7、32)のうちの第2の圧力ポンプ(32)を使用して希釈透析濃縮物液の前記流量を制御することとを行うようにさらに構成される、装置(1)。
【請求項8】
請求項7に記載の装置(1)であって、前記制御装置(50)は、希釈透析濃縮物の特性に基づいて、前記特性を前記特性の目標値に等しくするために、前記濃縮物ポンプ(10)と前記第2の圧力ポンプ(32)との間の比を制御するようにさらに構成される、装置(1)。
【請求項9】
請求項6乃至8の何れか1項に記載の装置(1)であって、前記制御装置(50)は、前記静液圧差が最大許容静液圧差以下に保たれるように、前記静液圧差を示す前記感知された1つ以上の圧力に基づいて、前記フィード側(2a)への消費済み透析液の前記流量を制御すること、及び/又は前記ドロー側(2b)への前記透析濃縮物液の前記流量を制御することを行うようにさらに構成される、装置(1)。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の装置(1)であって、前記1つ以上の特性センサは、前記希釈透析濃縮物の濃度と、前記脱水された消費済み透析液の濃度と、前記希釈透析濃縮物の重量計による重量と、前記脱水された消費済み透析液の重量計による重量と、前記希釈透析濃縮物の流量と、前記脱水された消費済み透析液の流量とのうちの1つ以上を感知するように構成される、装置(1)。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の装置(1)であって、前記1つ以上の圧力ポンプ(7、32)は、前記フィード側(2a)から出力された前記消費済み透析液に対して動作するように構成された第1の圧力ポンプ(7)を含む、装置(1)。
【請求項12】
請求項11に記載の装置(1)であって、前記第1の圧力ポンプ(7)は、上流方向と下流方向との何れかに圧送するように構成される、装置(1)。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか1項に記載の装置(1)であって、前記1つ以上の圧力ポンプ(7、32)は、前記ドロー側(2b)から出力された前記希釈透析液に対して動作するように構成された第2の圧力ポンプ(32)を含む、装置(1)。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか1項に記載の装置(1)であって、前記1つ以上の圧力ポンプ(7、32)のうちの少なくとも1つは、非容積式ポンプである、装置(1)。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか1項に記載の装置(1)であって、前記1つ以上の圧力ポンプ(7、32)のうちの少なくとも1つは、容積式ポンプである、装置(1)。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか1項に記載の装置(1)であって、前記制御装置(50)は、透析液を形成するために前記希釈濃縮物液に流入するように、第2又は第3の濃縮物(18)の流量を制御するように構成される、装置(1)。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れか1項に記載の装置(1)であって、透析液を形成するために前記希釈濃縮物液に純水を提供するように構成される、装置(1)。
【請求項18】
透析液を生成するための方法であって、
透析濃縮物液の流れを正浸透(FO)ユニット(2)のドロー側(2b)に提供すること(S1)と、
消費済み透析液の流れを前記FOユニット(2)のフィード側(2b)に提供すること(S2)であって、
前記ドロー側(2b)と前記フィード側(2a)との間の浸透圧差によって、前記消費済み透析液から前記FO膜(2c)を通って前記透析濃縮物液に水が輸送され、それによって、前記透析濃縮物液を希釈透析濃縮物液に希釈し、前記消費済み透析液を脱水された消費済み透析液に脱水する、こと(S2)と、
1つ以上の圧力ポンプ(7、32)を用いて前記ドロー側(2b)と前記フィード側(2a)との間の静液圧差を提供すること(S3)と、
前記希釈透析濃縮物液及び/又は前記脱水された消費済み透析液の1つ以上の特性を感知すること(S4)と、
前記ドロー側(2b)と前記フィード側(2a)との間の前記静液圧差を示す1つ以上の圧力を感知すること(S5)と、
前記希釈透析濃縮物液を作り出すために、希釈透析濃縮物液及び/又は脱水された消費済み透析液の前記1つ以上の特性と、前記静液圧差を示す前記感知された1つ以上の圧力とに基づいて、前記フィード側(2a)への消費済み透析液の流量と、前記ドロー側(2b)への前記透析濃縮物液の流量と、前記静液圧差とのうちの少なくとも1つを制御すること(S6)と、を含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記制御すること(S6)は、
利用可能な消費済み透析液の体積と、所望の量の前記希釈濃縮物液を生成するのに利用可能な期間の長さとに基づいて、前記フィード側(2a)への消費済み透析液の前記流量を制御することと、
前記所望の量の希釈濃縮物液を生成するために必要とされる透析濃縮物液の体積と前記期間の前記長さとに基づいて、前記ドロー側(2b)への前記透析濃縮物液の前記流量を制御することと、を、
前記期間の終了時に前記所望の量の希釈濃縮物液を提供するために含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、希釈透析濃縮物及び/又は脱水された消費済み透析液の前記1つ以上の特性と、前記静液圧差を示す前記感知された1つ以上の圧力とに基づいて、前記1つ以上の圧力ポンプ(7、32)を用いて前記静液圧差を制御することを含む、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、事前に決定された静液圧差を達成するために、前記感知された1つ以上の圧力に基づいて、前記1つ以上の圧力ポンプ(7、32)を用いて前記静液圧差を制御すること(S6)を含む、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、前記事前に決定された静液圧差は、最大許容静液圧差である、方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法であって、希釈透析濃縮物及び/又は脱水された消費済み透析液の特性に基づいて、前記特性を前記特性の目標値に等しくするために、前記1つ以上の圧力ポンプ(7、32)を用いて前記静液圧差を制御することを含む、方法。
【請求項24】
請求項19に記載の方法であって、希釈透析濃縮物液の前記流量が、前記ドロー側(2b)への透析濃縮物液の入口流量に目標希釈係数をかけた値に等しくなるように、濃縮物ポンプ(10)を使用して透析濃縮物液の前記流量を制御することと、前記1つ以上の圧力ポンプ(7、32)のうちの第2の圧力ポンプ(32)を使用して希釈透析濃縮物液の前記流量を制御すること(S6)を含む、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、希釈透析濃縮物の特性に基づいて、前記特性を前記特性の目標値に等しくするために、前記濃縮物ポンプ(10)と前記第2の圧力ポンプ(32)との間の比を制御することを含む、方法。
【請求項26】
請求項23乃至25の何れか1項に記載の方法であって、前記静液圧差が最大許容静液圧差以下に保たれるように、前記静液圧差を示す前記感知された1つ以上の圧力に基づいて、前記フィード側(2a)への消費済み透析液の前記流量を制御すること、及び/又は前記ドロー側(2b)への前記透析濃縮物液の前記流量を制御すること(S6)を含む、方法。
【請求項27】
請求項18乃至26の何れか1項に記載の方法であって、前記希釈透析濃縮物及び/又は脱水された消費済み透析液の1つ以上の特性を前記感知すること(S4)は、前記希釈透析濃縮物の濃度と、前記脱水された消費済み透析液の濃度と、前記希釈透析濃縮物の重量計による重量と、前記脱水された消費済み透析液の重量計による重量と、前記希釈透析濃縮物の流量と、前記脱水された消費済み透析液の流量とのうちの1つ以上を感知することを含む、方法。
【請求項28】
請求項18乃至27の何れか1項に記載の方法であって、透析液を形成するために前記希釈濃縮物液に流入するように、第2又は第3の濃縮物(18)の流量を制御することを含む、方法。
【請求項29】
請求項1乃至17の何れか1項に記載の装置(1)に、請求項17乃至28の何れか1項に記載の方法を実行させるための命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項30】
請求項29に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<優先権主張>
この出願は2021年4月9日に出願された正浸透膜間圧力差制御方法及びシステムという名称の米国仮出願第63/172,857号と、2021年12月21日に出願された正浸透を使用する透析液の効率的な生成のための装置及び方法という名称のスウェーデン特許出願第2151563-0号とへの優先権及びこれらの利益を主張し、これらのそれぞれの全内容が参照により本書に組み込まれ、依拠される。
【0002】
<技術分野>
本発明は正浸透を使用する透析液の生成に関し、特に、正浸透プロセスにおいて、消費済み透析液がフィード液として使用され、透析濃縮物がドロー液として使用される場合に関する。
【背景技術】
【0003】
腎不全は、腎臓が患者の血液からの排泄物を十分に濾過する能力を失った場合に発生する。老廃物は体内に蓄積し、時間とともに毒素が過剰になる。腎不全は、治療せずに放置すると生命を脅かしうる。低下した腎機能、とりわけ腎不全は、透析によって治療される。透析は、正常に機能する腎臓がそうでなければ除去するだろう老廃物、毒素及び過剰な水を身体から除去する。
【0004】
1つのタイプの腎不全治療は血液透析(「HD」)であり、これは一般に、患者の血液から老廃物を除去するために拡散を使用する。拡散を引き起こすために、血液と、透析液と呼ばれる電解質溶液との間の半浸透性透析器を横切って拡散勾配が生じる。HD液は、典型的には濃縮物と清浄水とを混合することによって透析機械によって生成される。
【0005】
血液濾過(「HF」)は、患者の血液からの毒素の対流輸送に依拠する代替の腎代替療法である。HFは、治療中に体外回路に置換液又は代替液を加えることによって達成される。置換液及び治療の間に患者によって蓄積された液体は、HF治療の過程にわたって限外濾過され、中分子及び大分子を除去する際に特に有益である対流輸送機構を提供する。
【0006】
血液透析濾過(「HDF」)は、対流クリアランスと拡散クリアランスとを組み合わせる治療モダリティである。HDFは、拡散クリアランスを提供するために、標準的な血液透析と同様に、透析器を通って流れる透析液を使用する。さらに、体外回路に置換溶液が直接送達され、対流クリアランスを提供する。ここで、患者の過剰な液体よりも多くの液体が患者から除去され、患者からの老廃物の増加した対流輸送を引き起こす。除去された追加の液体は、置換液又は代替液を介して交換される。
【0007】
別のタイプの腎不全治療は、透析液とも呼ばれる透析溶液を、カテーテルを介して患者の腹膜腔に注入する腹膜透析(「PD」)である。透析液は、患者の腹膜腔内に位置する腹膜と接触している。廃棄物、毒素及び過剰な水は、拡散及び浸透に起因して、患者の血流から腹膜内の毛細血管を通って透析液中に通り、すなわち、浸透圧勾配が膜を横切って生じる。PD透析液中の浸透剤は、浸透圧勾配を提供する。使用済み又は消費済みの透析液は、患者から排出され、患者から老廃物、毒素及び過剰な水を除去する。このサイクルは、例えば複数回繰り返される。PD液は、典型的には工場で調製され、すぐに使用できるバッグで患者の家に出荷される。
【0008】
持続携行式腹膜透析(「CAPD」)、自動腹膜透析(「APD」)、潮流透析、及び持続流腹膜透析(「CFPD」)を含む様々なタイプの腹膜透析療法がある。CAPDは、液体輸送が重力によって駆動される手動透析治療である。最初に消費済み透析液で満たされるならば、患者は使用済み又は消費済み透析液が患者の腹膜腔から排出されることを可能にするために、埋め込まれたカテーテルをドレーンに手動で接続する。その後、患者は、患者カテーテルが未使用の透析液のバッグと連通して、カテーテルを通じて患者に未使用の透析液を注入するように、流体連通を切り替える。患者はカテーテルを未使用の透析液バッグから切り離し、透析液が腹膜腔内に滞留することを可能にし、ここで、廃棄物、毒素及び過剰な水の移送が起きる。滞留期間の後、患者は手動透析手順を、例えば1日に4回繰り返す。患者が最初に消費済み透析液で満たされていないならば、シーケンスは代わりに、患者の充填、滞留及び排出である。手動腹膜透析は患者にかなりの時間及び労力を必要とし、十分な改善の余地を残す。
【0009】
自動腹膜透析(「APD」)は、透析治療が排出、充填及び滞留サイクルを含むという点で、CAPDと同様である。しかし、APD機械は典型的には患者が眠っている間に、自動的にサイクルを実行する。APD機械は、治療サイクルを手動で実行しなければならないこと、及び日中に供給品を輸送しなければならないことから患者を解放する。APD機械は、患者ラインを介して、患者の埋め込まれたカテーテル、未使用の透析液の供給源又はバッグ、及び流体ドレーンに流体的に接続する。APD機械は未使用の透析液源からカテーテルを通じて患者の腹腔内に未使用の透析液を圧送する。APD機械はまた、透析液が患者の腹腔内に滞留し、廃棄物、毒素及び過剰な水の移送が起きることを可能にする。供給源は、複数の溶液バッグを含む数リットルの透析液を含んでもよい。
【0010】
透析治療は、クリニックで、又は患者の家のような遠隔で実行されてもよい。透析液の輸送は治療にコストを追加し、環境に悪影響を及ぼす。透析液の貯蔵はスペースを必要とし、大型の透析液バッグがユーザによって取り扱われる必要がある。したがって、患者の家に輸送され患者によって手動で移動される透析液の量を低減又は排除する方法が必要とされる。
【発明の概要】
【0011】
透析液の患者の家への輸送からの上記で特定された負の結果を低減するために、透析液は、濃縮物からケアの時点で生成されてもよい。本開示の装置及び方法において、透析濃縮物を水で希釈して、透析溶液と呼ばれてもよい希釈透析濃縮物を提供するために、正浸透(FO)が使用されてもよい。その後、透析溶液は、患者を治療するための透析治療に使用されうる最終透析液を提供するために他の濃縮物と混合されてもよいし、最終透析液として使用されうる。最終透析液は、PD用の透析液、HD又はHDF用の透析液、又はHF又はHDF用の代替液又は置換液であってもよい。FOはフィード液とドロー液としての濃縮物との間の浸透圧差を利用し、これはFO膜によって分離される。浸透圧差は、フィード液からドロー液へ水を移動させるためのエネルギー源として使用され、FOを魅力的な低エネルギー代替物にする。ここで、フィード液は、1つの実施形態において消費済み透析液であり、それによって、治療に使用される未使用の水の量が大幅に低減されうる。一般に、FOプロセスの実行が遅いほど、水抽出は大きくなる。しかし、プロセスは通常、流体が使用されるための準備がされる時間制限を満たさなければならず、したがって、FOプロセスは特定の時間枠内で実行されなければならない。よって、透析液を調製するのに必要な時間を低減するために、水抽出効率を高めることができる方法が必要とされている。
【0012】
従来技術の欠点の少なくともいくつかを緩和することが本開示の目的である。正浸透プロセスにおいて透析濃縮物の所望の希釈を達成するための水抽出の効率的な制御のための方法を提供することがさらなる目的である。
【0013】
これらの目的及び他の目的は、独立請求項による装置及び方法によって、ならびに従属請求項による実施形態によって、少なくとも部分的に達成される。
【0014】
任意の他の態様又はその一部と組み合わされてもよい第1の態様によれば、本開示は、透析液を生成するための装置に関する。装置は、透析濃縮物液の供給源に接続されるようにそれぞれ構成された1つ以上の濃縮物コネクタを含むドロー液経路と、消費済み透析液の供給源に接続されるように構成されたコネクタを含むフィード液経路と、正浸透(FO)ユニットとを備える。FOユニットは、FO膜によって分離されたフィード側及びドロー側を含み、フィード側はフィード液経路に含まれ、ドロー側はドロー液経路に含まれる。FOユニットは、ドロー側で透析濃縮物液を受け取り、フィード側で消費済み透析液を受け取るようにさらに構成され、ドロー側とフィード側との間の浸透圧差を介して、消費済み透析液からFO膜を通って透析濃縮物液に水が輸送され、それによって、透析濃縮物液を希釈透析濃縮物液に希釈し、消費済み透析液を脱水された消費済み透析液に脱水する。装置は、希釈透析濃縮物液及び/又は脱水された消費済み透析液の1つ以上の特性を感知するように構成された1つ以上の特性センサと、ドロー側とフィード側との間の静液圧差を示す1つ以上の圧力を感知するように構成された1つ以上の圧力センサと、制御装置とをさらに備える。制御装置は、ドロー側への透析濃縮物液の流れが提供されるようにすることと、フィード側への消費済み透析液の流れが提供されるようにすることと、1つ以上の圧力ポンプを用いてドロー側とフィード側との間の静液圧差が提供されるようにすることとを行うように構成される。制御装置は、フィード側への消費済み透析液の流量と、ドロー側への透析濃縮物液の流量とのうちの少なくとも1つ、又は静液圧差を制御するようにさらに構成され、制御は、希釈透析濃縮物液を作り出すために、希釈透析濃縮物及び/又は脱水された消費済み透析液の1つ以上の特性と、静液圧差を示す感知された1つ以上の圧力とに基づく。
【0015】
正浸透プロセスにおける消費済み透析液からの水の抽出は、正浸透処理のためにより長い時間を可能にするようにFOユニット内の流体の低い流量を有することによって増加されうる。しかし、透析液を特定の持続時間で提供することがしばしば要求され、これは、流量がどれくらい低く、それによって効率がどれくらい高くなりうるかに制限をもたらす。静液圧差を慎重に提供及び制御することによって、正浸透プロセスの効率が増加されえ、透析濃縮物の希釈係数がより良好に制御されうる。静液圧を制御するための1つ以上の圧力ポンプの使用は、たとえ流れが小さくても静液圧の制御を可能にする。
【0016】
任意の他の態様又はその一部と組み合わされてもよい第2の態様によれば、本開示は、透析液を生成するための方法に関する。本方法は、透析濃縮物液の流れを正浸透(FO)ユニットのドロー側に提供することと、消費済み透析液の流れをFOユニットのフィード側に提供することとを含み、ドロー側とフィード側との間の浸透圧差を介して、消費済み透析液からFO膜を通って透析濃縮物液に水が輸送され、それによって、透析濃縮物液を希釈透析濃縮物液に希釈し、消費済み透析液を脱水された消費済み透析液に脱水する。本方法は、1つ以上の圧力ポンプを用いて、ドロー側とフィード側との間の静液圧差を提供することと、希釈透析濃縮物液及び/又は脱水された消費済み透析液の1つ以上の特性を感知することと、ドロー側とフィード側との間の静液圧差を示す1つ以上の圧力を感知することとをさらに含む。本方法は、希釈透析濃縮物液を作り出すために、希釈透析濃縮物液及び/又は脱水された消費済み透析液の1つ以上の特性と、静液圧差を示す感知された1つ以上の圧力とに基づいて、フィード側への消費済み透析液の流量と、ドロー側への透析濃縮物液の流量との少なくとも1つ、又は静液圧差を制御することを含む。
【0017】
任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされてもよいいくつかの実施形態において、制御することは、利用可能な消費済み透析液の体積と、所望の量の希釈濃縮物液を生成するために利用可能な期間の長さとに基づいて、フィード側への消費済み透析液の流量を制御することと、所望の量の希釈濃縮物液を生成するために必要な透析濃縮物液の体積と、期間の終了時に所望の量の希釈濃縮物液を提供するための期間の長さとに基づいて、ドロー側への透析濃縮物液15の流量を制御することとを含む。これにより、流量は、所望の量の希釈濃縮物液を適時に提供するために最も効率的な方法で制御されうる。
【0018】
任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされてもよいいくつかの実施形態において、本方法は、希釈透析濃縮物及び/又は脱水された消費済み透析液の1つ以上の特性と、静液圧差を示す感知された1つ以上の圧力とに基づいて、1つ以上の圧力ポンプを用いて静液圧差を制御することを含む。したがって、静液圧は、FOプロセスの結果として生じる流体の異なる特性、及び現在の静液圧に基づいて制御されてもよい。
【0019】
任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされてもよいいくつかの実施形態において、本方法は、事前に決定された静液圧差を達成するために、感知された1つ以上の圧力に基づいて、1つ以上の圧力ポンプを用いて静液圧差を制御することを含む。いくつかの実施形態において、事前に決定された静液圧差は、最大許容静液圧差である。これにより、静液圧の最大効果が達成されうる。
【0020】
任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされてもよいいくつかの実施形態において、本方法は、希釈透析濃縮物及び/又は脱水された消費済み透析液の特性に基づいて、特性を特性の目標値に等しくするために、1つ以上の圧力ポンプを用いて静液圧差を制御することを含む。これにより、静液圧差は、透析濃縮物の特定の希釈又は消費済み透析液の脱水を達成するように間接的に制御される。
【0021】
任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされてもよいいくつかの実施形態において、本方法は、希釈透析濃縮物液の流量が、ドロー側への透析濃縮物液の入口流量に目標希釈係数をかけた値に等しくなるように、濃縮物ポンプを使用して透析濃縮物液の流量を制御することと、1つ以上の圧力ポンプのうちの第2の圧力ポンプを使用して希釈透析濃縮物液の流量を制御することとを含む。それによって、ドロー液経路内のポンプは、所望の目標希釈係数を達成するように制御されうる。
【0022】
任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされてもよいいくつかの実施形態において、本方法は、希釈透析濃縮物の特性に基づいて、特性を特性の目標値に等しくするために、濃縮物ポンプと第2の圧力ポンプとの間の比を制御することを含む。これにより、例えば濃縮物の規定濃度が不正確であったとしても所望の目標希釈係数を実際に達成するために、ドロー側のポンプは、流量に基づいて制御された後に、例えば伝導率に基づいて微調整されうる。
【0023】
任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされてもよいいくつかの実施形態において、本方法は、静液圧差が最大許容静液圧差以下に保たれるように、静液圧差を示す感知された1つ以上の圧力に基づいて、フィード側2aへの消費済み透析液の流量を制御すること、及び/又はドロー側2bへの透析濃縮物液15の流量を制御することを含む。これにより、静液圧差は、最大許容限度未満に保たれることができ、それにより、FO膜を損傷するリスクがない。
【0024】
任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされてもよいいくつかの実施形態において、希釈透析濃縮物及び/又は脱水された消費済み透析液の1つ以上の特性を感知することは、希釈透析濃縮物の濃度と、脱水された消費済み透析液の濃度と、希釈透析濃縮物の重量計による重量と、脱水された消費済み透析液の重量計による重量と、希釈透析濃縮物の流量と、脱水された消費済み透析液の流量とのうちの1つ以上を感知することを含む。
【0025】
任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされてもよいいくつかの実施形態において、1つ以上の圧力ポンプは、フィード側から出力される消費済み透析液に動作するように構成された第1の圧力ポンプを含む。
【0026】
任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされてもよいいくつかの実施形態において、第1の圧力ポンプは、上流方向及び下流方向のいずれかに圧送するように構成される。これにより、第1の圧力ポンプは、フィード側から出力される消費済み透析液が小さな流れである場合にも、静液圧差を制御できる。
【0027】
任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされてもよいいくつかの実施形態において、1つ以上の圧力ポンプは、ドロー側から出力される希釈透析液に動作するように構成された第2の圧力ポンプを含む。それによって、静液圧差は、ドロー液側から制御されうる。
【0028】
任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされてもよいいくつかの実施形態において、1つ以上の圧力ポンプのうちの少なくとも1つは、非容積式ポンプである。
【0029】
任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされてもよいいくつかの実施形態において、1つ以上の圧力ポンプのうちの少なくとも1つは、容積式ポンプである。
【0030】
任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされてもよいいくつかの実施形態において、本方法は、透析液を形成するために希釈濃縮物液に流入するように、第2又は第3の濃縮物の流量を制御することを含む。それによって、透析液を生成するために必要とされる濃縮物が提供される。
【0031】
任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされてもよいいくつかの実施形態において、本方法は、透析液を形成するために、希釈濃縮物液に純水を提供することを含む。それによって、FOプロセスが十分な希釈を与えない場合であっても、透析液が提供されうる。
【0032】
任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされてもよい第3の態様によれば、本開示は、第1の態様による装置に第2の態様による方法を実行させるように構成された命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0033】
任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされてもよい第4の態様によれば、本開示は、第3の態様のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による概略的なFOユニットを説明する。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態によるFOユニットを含む透析溶液を生成するための装置を説明する。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による、
図1の装置において使用されるFO装置の異なる例を説明する。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態によるコンプライアンスチャンバの例を説明する。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による透析液を生成するための方法ステップを有するフローチャートである。
【
図8】
図1及び
図2のFOユニットのフィード側圧力を増加させるために、
図3に従う非容積式ポンプを用いた試験の結果の図を説明する。
【
図9B】腹膜透析及び体外血液治療のための例示的な透析システムをそれぞれ概略的に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本開示は、流量制御と静液圧制御との組合せを使用して透析液を効率的に生成するための装置及び方法を記載する。本書で議論されるように、FO処理がより遅く実行されるほど、水抽出がより大きくなり、それによって、流体消費を低減するためにFOユニットを通る低流量が望まれる。低い流体消費量は、余分な水の必要性を低減し、手元の流体の効率的な使用の必要性を低減する。静液圧制御は、フィード側及び/又はドロー側から出口フローに作用する1つ以上の圧力ポンプを使用して実行され、それによって、流れが小さい場合でも、フィード側とドロー側との間の静液圧差を制御することが可能になる。静液圧差は、本書では膜間圧力差(TMP)とも呼ばれてもよい。いくつかの実施形態において、装置又は提供される流体の制限を損なわず又はそれに達することなく、消費済み透析液から可能な限り多くの水を引き出すために、複合制御が実行される。消費済み透析液は、本書では使用済み透析液又は排出物とも称されうる。
【0036】
以下では、
図1~
図6を参照して、FOデバイス、FOデバイス装置、コンプライアンスチャンバ装置及び装置が説明され、種々の実施形態において透析液を生成するために本書に記載される複合制御を実施する。その後、複合制御を用いて透析液を生成するための方法は、
図7のフローチャートを参照して説明され、この方法は制御装置の様々な実施形態において制御装置によって実行されうる。図面全体を通して同じである参照符号は各実施形態においてテキストで記載されていない場合があるが、それにもかかわらず、各実施形態について、このような参照について記載されている構造、機能及び代替物のすべてを含む。
【0037】
図1は、本書に記載された実施形態のいずれかと共に使用可能なFOデバイス2の概略図である。FOデバイス2は、フィード側2aと、FO膜2cによって分離されたドロー側2bとを備える。また、側は、本書では区画又はチャンバと呼ばれてもよい。FOデバイス2は、典型的に、フィード側2aと、ドロー側2bと、FO膜2cとを囲むカートリッジを含む。FO膜2cの幾何学的形状は、フラットシート、管状又は中空糸であってもよい。FO膜2cは、透水性の膜である。FO膜2cは、浸透する水分子に対して多かれ少なかれ排他選択的であるように設計されており、これによりFO膜2cは、他のすべての汚染物質から水を分離できる。FO膜2cは典型的に、ブロックされることが意図される溶質に依存して、ナノメートル(nm)の範囲、例えば、0.5~5nm以下の孔径を有する。使用中、FO膜2cは、フィード側2aでフィード溶液を分離し、ドロー側2bでドロー溶液を分離する。これらの側の流体は典型的に、対向流で流れるが、その代わりに、並行流で流れてもよい。流れは、1つの実施形態では連続的な流れであり、したがって、中断されずに流れている。FOユニット2は、ドロー側2bで透析濃縮物液であるドロー溶液を受け取り、フィード側2aでフィード溶液、例えば消費済み透析液を受け取るように構成される。水は、ドロー側2bとフィード側2aとの間の浸透圧差を介して、消費済み透析液からFO膜2cを通って透析濃縮物液に輸送され、それによって、透析濃縮物液を希釈透析濃縮物液に希釈し、消費済み透析液を脱水された消費済み透析液に脱水する。フィード側2aは、消費済み透析液がフィード側2aに輸送される入口ポートE
inと、脱水された消費済み透析液がフィード側2aから輸送される出口ポートE
outとを有する。ドロー側2bは、透析濃縮物液がドロー側2bに輸送される入口ポートL
inと、希釈透析濃縮物液がドロー側2bから輸送される出口ポートL
outとを有する。フィード側2aは、フィード液経路3に含まれる。ドロー側2bは、ドロー液経路4に含まれる。FOデバイス2に適したFOデバイスは例えば、アクアポリン、旭化成、ベルクホーフ、CSM、FTSH
2O(商標)、コークメンブレンシステムズ、ポリフェラ、東洋紡、アロマテック及び東レによって提供されてもよい。
【0038】
ここで、
図2を参照して、本開示のいくつかの実施形態による透析のための流体を生成するための装置1の例が説明される。装置1は、(
図1のFOユニット2のような)FOユニット2と、フィード液経路3と、ドロー液経路4とを備える。制御装置50は、複数の手順を実行するように装置1を制御するように構成される。制御装置50は、制御ユニット30と、弁装置20(20a~20p)と、少なくとも1つのポンプ6、7、10、23、29、32とを含む。弁装置20は、装置1の複数の異なる流路を構成するように配置及び構成される。
【0039】
フィード液経路3は、消費済み透析液をFOユニット2のフィード側2aに提供するように構成される。フィード液経路3は入口コネクタPiから始まり、ドレーン31で終わる。入口コネクタPiは、PD患者のカテーテルに、最終的にはサイクラを介して、又は
図9A及び
図9Bに関連してより詳細に説明される消費済み透析液を受け取るために、HD又はCRRT装置の消費済み透析液ラインに接続されるように構成される。フィード液経路3はまた、消費済み透析液容器19に接続されるように構成された容器コネクタ40aを含む。これに代えて、フィード液経路3は、このようなコネクタのうちの1つのみを含む。言い換えると、フィード液経路3は、消費済み透析液の供給源に接続されるように構成されたコネクタPi、40aを含む。フィード液経路3は、入口コネクタPiとフィード側2aへの入口ポートE
inとの間に配置されるフィード側入力ライン3aを備える。フィード側入力ライン3aは、入口コネクタPiと入口ポートE
inとを流体接続する。フィード側入口ライン3aと共に動作するように入力弁20aが配置されている。入力弁20aと入口ポートE
inとの間に、フィード側入力ライン3aと共に動作するようにフィード側入力ライン弁20bが配置されている。フィード液経路3はさらに、容器コネクタ40aと、入力弁20aとフィード側入力ライン弁20bとの間のフィード側入力ライン3aとの間に配置された容器ライン3bを備える。したがって、容器ライン3bは、容器コネクタ40aとフィード側入力ライン3aとを流体接続する。容器ライン3b内に流れを提供するために、容器ライン3bと共に動作するようにフィードポンプ6が配置されている。いくつかの実施形態において、フィードポンプ6は双方向ポンプである。フィードポンプ6と容器19との間に、容器ライン3bと共に動作するように容器バルブ20pが配置されている。容器ライン3bとフィード側入力ライン3aとの間に、直流ライン3cが配置されている。したがって、直流ライン3cは、容器ライン3bとフィード側入力ライン3aとを流体接続する。直流ライン3cは、容器弁20pとフィードポンプ6との間で容器ライン3bに接続されている。直流ライン3cは、フィード側入力弁20bと入口ポートE
inとの間でフィード側入力ライン3aに接続されている。直流ライン3c上で動作するように直流ライン弁20sが配置されている。フィード液経路3は、排出ライン3dをさらに備える。排出ライン3dは、フィード側2aの出口ポートE
outとドレーン31との間に配置されている。したがって、排出ライン3dは、出口ポートE
outとドレーン31とを流体接続する。フィード側2aに圧力を提供するために、排出ライン3dと共に動作するように第1の圧力ポンプ7が配置されている。第1の圧力ポンプ7とドレーン31との間に、排出ライン3d上で動作するようにドレーン弁20iが配置されている。いくつかの実施形態において、第1の圧力ポンプ7は双方向ポンプである。
【0040】
フィードポンプ6は、入口コネクタPiにおいて容器19又は他の供給源からの流体をフィード側入力ライン3aに圧送し、消費済み透析液をフィード側2aに提供するように構成される。消費済み透析液は例えば、フィードポンプ6を用いて順方向に圧送し、フィード側入力ライン弁20b及び直流ライン弁20sを閉じることによって、入口コネクタPiにおいて接続された患者から容器19に予め圧送されている。消費済み透析液をフィード側2aに提供するために、いくつかの実施形態において、フィードポンプ6は、逆方向又は反対方向に動作し、容器弁20p、フィード側入力ライン弁20b及び排出弁20iが開かれ、直流ライン弁20sが閉じられている。このとき、消費済み透析液は、容器19から容器ライン3bを介してフィード側入力ライン3aに、さらにはフィード側2aに圧送される。その後、脱水された消費済み透析液は、フィード側2aから排出ライン3dに、さらにはドレーン31に出力される。その代わりに、フィードポンプ6は、フィードポンプ6を用いて(順方向に)圧送し、直流ライン弁20sを開き、容器弁20p及びフィード側入力ライン弁20bを閉じることによって、入口コネクタPiに接続された患者又は他の供給源からの消費済み透析液を直接圧送してもよい。そして、消費済み透析液は、容器ライン3b及び直流ライン3cを介してフィード側入力ライン3aに、さらにはフィード側2aに圧送される。フィードポンプ6は例えば、開ループ(特定の流量を提供するための制御装置50からの特定の電圧又は周波数コマンド)で動作するピストンポンプのような容積式ポンプである。これに代えて、フィードポンプ6は、特定の流量に到達するように流量センサ43からのフィードバックを用いて動作する非容積式ポンプである。流量センサ43はフィードポンプ6と点P1との間の容器ライン3bに接続されているが、その代わりに、容器19と直流ライン3cの容器ライン3bへの接続点との間を除いて、フィードポンプ6の任意の側で容器ライン3bに接続されてもよい。
【0041】
ドロー液経路4は、透析濃縮物液をドロー側2bに提供するように配置される(
図1)。ドロー液経路4は、1つ以上の濃縮物コネクタ30a、30bを含む。各濃縮物コネクタ30a、30bは、透析濃縮物液の供給源15、18に接続されるように構成される。第1の濃縮物コネクタ30aは、第1の濃縮物容器15に接続される。第2の濃縮物コネクタ30bは、第2の濃縮物容器18に接続される。ドロー液経路4は、第1の濃縮物容器15に接続された第1の濃縮物コネクタ30aから始まり、出口コネクタPoで終わる。出口コネクタPoは例えば、生成された透析液を患者又は装置に送達するために、PD患者のカテーテルに、最終的にはサイクラを介して、又はHD又はCRRT装置の透析液ラインに接続可能である。ドロー液経路4は、濃縮物ライン4dと、ドロー側入力ライン4bと、第1の希釈濃縮物ライン4eと、第2の希釈濃縮物ライン4aと、主ライン4fと、ドロー側出力ライン4cと、純水ライン4gと、第2の濃縮物ライン4hと、ドレーン接続ライン4iとを含む複数のラインをさらに含む。濃縮物ライン4dは、第1の濃縮物コネクタ30aと、主ライン4f及びドロー側入力ライン4bとの接続点P3との間に配置されている。したがって、濃縮物ライン4dは、濃縮物コネクタ30a、ひいては濃縮物容器15をドロー側入力ライン4b(及び主ライン4f)に流体接続する。濃縮物ライン4d上で動作するように濃縮物弁20dが配置されている。ドロー側入力ライン4bは、濃縮物ライン4dとの接続点P3と、ドロー側2bの入口ポートL
inとの間に配置されている。したがって、ドロー側入力ライン4bは、(接続点P3における)濃縮物ライン4dと入口ポートL
inとを流体接続する。ドロー側入力ライン4b上で動作するようにドロー側入力弁20hが配置されている。濃縮物ライン4d内に流れを提供するために、濃縮物ライン4d上で動作するように濃縮物ポンプ10が配置される。濃縮物容器15は例えば、流体透析濃縮物を備える。濃縮物ポンプ10は、濃縮物容器15からの流体をドロー側入力ライン4bに圧送し、濃縮物液をドロー側2bに提供するように配置及び構成される。
【0042】
ドロー側出力ライン4cは、ドロー側2bの出口ポートLoutと、第1の希釈濃縮物ライン4e上の接続点P2との間に配置されている。したがって、ドロー側出力ライン4cは、出口ポートLoutと第1の希釈濃縮物ライン4eとを流体接続する。第1の希釈濃縮物ライン4eは、希釈液容器16に接続されたコネクタ40cと濃縮物ライン4dとの間に配置されている。したがって、第1の希釈濃縮物ライン4eは、コネクタ40c、それゆえ希釈液容器16と、濃縮物ライン4dとを流体接続する。ドロー側2bに圧力を提供するために、ドロー側出力ライン4cと共に動作するように第2の圧力ポンプ32が配置されている。第1の希釈濃縮物弁20eは、ドロー側出力ライン4cの第1の希釈濃縮物ライン4eへの接続点P2と、第1の希釈濃縮物ライン4eの濃縮物ライン4dへの接続点との間で第1の希釈濃縮物ライン4eに接続されている。主ライン4fは、濃縮物ライン路4dとの接続点P3と、出口コネクタPoとの間に配置されている。したがって、主ライン4fは、接続点P3と出口コネクタPoとを流体接続する。第2の希釈濃縮物液ライン4aは、希釈液容器16に接続されたコネクタ40dと、主ライン4fとの接続点P3との間に配置されている。第2の希釈濃縮物側入力ライン4a上で動作するように第2の希釈濃縮物弁20fが配置されている。したがって、接続点P3は、主ライン4fと、濃縮物ライン4dと、第2の希釈濃縮物ライン4aと、ドロー側入力ライン4bとを流体接続する。ドロー流路4は、主ライン4f上に配置された複数の構成要素、すなわち、主弁20gと、加熱素子65と、温度センサ27と、主ポンプ23と、混合チャンバ24と、伝導率センサ25と、出口弁20jとをさらに備える。純水ライン4gは、純水容器17に接続されたコネクタ30cと主ライン4fとの間に配置されている。したがって、純水ライン4gは、純水容器17と主ライン4fとを流体接続する。主弁20gは、点P3と、純水ライン4gの主ライン4fとの接続点との間で主ライン4f上で動作するように配置されている。第2の濃縮物ライン4hは、第2の濃縮物容器18と主ライン4fとの間に配置されている。したがって、第2の濃縮物ライン4hは、第2の濃縮物容器18と主ライン4fとを流体接続する。第2の濃縮物ポンプ29は、第2の濃縮物ライン4h内の第2の濃縮物の流れを提供するように配置及び構成される。主ポンプ23は、純水ライン4gの主ライン4fへの接続の下流、かつ第2の濃縮物ライン4hの主ライン4fへの接続の下流で、主ライン4fに流れを提供するように配置及び構成される。温度センサ27は、主ポンプ23の上流であるが、第2の濃縮物ライン4hの主ライン4fへの接続の下流で、主ライン4f内の流体の温度を感知するように配置及び構成される。加熱要素65は、生成された流体の温度を、温度センサ27によって感知される所望の温度に加熱してもよい。混合チャンバ24は、主ポンプ23の下流、かつ主伝導率センサ25の上流に配置されている。混合チャンバ24と排出ライン3dとの間に接続された排気ライン4jと共に動作するように排気弁20mが配置されている。排気ライン4jは、混合チャンバ24が脱気チャンバとしても機能しうるように、混合チャンバ24内の過剰な気体をドレーン31に輸送する。
【0043】
装置1は、希釈透析濃縮物液及び/又は脱水された消費済み透析液の1つ以上の特性を感知するように構成された1つ以上の特性センサをさらに備える。1つ以上の特性センサは例えば、希釈透析濃縮物の濃度と、脱水された消費済み透析液の濃度と、希釈透析濃縮物の重量計による重量と、脱水された消費済み透析液の重量計による重量と、希釈透析濃縮物の流量と、脱水された消費済み透析液の流量とのうちの1つ以上を感知するように構成される。特性センサは例えば、濃度センサ、伝導率センサ、重量計、又はフローセンサであってもよい。装置1は、接続点P2と希釈液容器16のコネクタ40cとの間で第1の希釈濃縮物ライン4eに接続された伝導率センサ11を備える。伝導率センサ11は、希釈透析濃縮物の濃度、例えば伝導率を感知するように構成される。装置1はまた、脱水された消費済み透析液の濃度、例えば伝導率を感知するために、排出ライン3dに接続された伝導率センサ49を備える。いくつかの実施形態において、伝導率センサ49は存在しない。いくつかの実施形態において、装置1は、希釈透析濃縮物の重量を感知するように配置及び構成された重量計48aを備える。いくつかの実施形態において、装置1は、脱水された消費済み透析液の重量を感知するように配置及び構成された別の重量計48bを備える。フィード側入力ライン3aにおける消費済み透析液の流量、それゆえフィード側2aに入力される流体の流量を感知するために、直流ライン3cのフィード側入力ライン3aへの接続の間に、フィード側入力ライン3a上で動作するように第1のフローセンサ42aが配置されている。排出ライン3dにおける脱水された消費済み透析液の流量、それゆえフィード側2aから出力される流体の流量を感知するために、フィード側2aと第1の圧力ポンプ7との間に、排出ライン3d上で動作するように第2のフローセンサ42bが配置されている。いくつかの実施形態において、装置1は、ドロー側2bから出力された希釈濃縮物液の流量を感知するように配置及び構成された第3のフローセンサ45を備える。第3のフローセンサ45は、ドロー側出力ライン4cに接続されている。
【0044】
装置1は、ドロー側2bとフィード側2aとの間の静液圧差を示す1つ以上の圧力を感知するように構成された1つ以上の圧力センサをさらに備える。フィード側入力ライン3a内の消費済み透析液の圧力を感知するために、フィード側入力ライン3aに圧力センサ26が接続されている。また、感知された圧力は、フィード側2aにおける圧力を表す。排出ライン3d内の脱水された消費済み透析液の圧力を感知するために、フィード側2aと第1の圧力ポンプ7との間で排出ライン3dに別の圧力センサ46が接続されている。また、感知された圧力は、フィード側2aにおける圧力を表す。しかし、フィード側2aの圧力を感知するために、圧力センサ26と他の圧力センサ46との一方のみが必要である。ドロー側出力ライン4c内の希釈透析濃縮物液の圧力を感知するために、ドロー側2bと第2の圧力ポンプ32との間でドロー側出力ライン4cに圧力センサ47が接続されており、これはドロー側2bにおける圧力を表す。しかし、その代わりに、この圧力センサ47は、ドロー側2bにおける圧力を感知するために、ドロー側入力ライン4bに接続されうる。
【0045】
本書に記載されるポンプのいずれも、例えば、フローセンサからの流量フィードバックで動作する、(ピストンポンプのような)容積式ポンプ又は非容積式ポンプ(例えば、ギアポンプ)であってもよい。非容積式ポンプは、同じポンプにわたる静液圧差に強い流量依存性を有し、ポンプ回転の方向に対して小さな流体の流れでさえ可能にするポンプである。よって、非容積式ポンプは、圧送方向と反対の方向において特定の「漏れ流」を(例えば、第1の圧力ポンプ7の圧送方向が
図3において左である間に、脱水された消費済み透析物の右への低い流量)可能にするように制御されうるポンプである。本書に記載される任意のポンプは、一方向であっても双方向であってもよい。フィードポンプ6及び濃縮物ポンプ10に加えて、装置1は、少なくとも1つの圧力ポンプ7、32も備える。
図2の装置1及び
図5のFOデバイス装置において、第1の圧力ポンプ7と第2の圧力ポンプ32との両方が存在するが、
図3及び
図4に説明されるように、他の構成が可能である。
図3~
図5は、FOユニット2と組み合わせた1つ以上の圧力ポンプ7、32の種々の装置を説明する。これらすべての装置において、フィードポンプ6及び濃縮物ポンプ10は、消費済み透析液流及び透析濃縮物流を提供するために
図2に示されるように存在するが、これらは説明を容易にするために、
図1におけるよりもFOユニット2に近いものとして説明される。
図3において、装置1は第1の圧力ポンプ7を備えるが、第2の圧力ポンプ32を備えない。1つの実施形態において、
図3における第1の圧力ポンプ7は、フィード側圧力を増加させるように制御される非容積式ポンプである。非容積式ポンプの流量送達は、それが圧送する圧力に依存する。これは、ある上流(フィード側)圧力設定点に到達するために、制御装置50は、設定点に到達するのに必要な方向及び速度で回転させるように第1の圧力ポンプ7を制御できることを意味する。よって、所望のフィード側圧力設定点及び測定された消費済み透析流量に依存して、制御装置50は、フィード側2aで所望の圧力に到達するために、圧力センサ46又は26からのフィードバックを用いて順方向又は逆方向のいずれかに適切な速度で作動するように第1の圧力ポンプ7を制御できる。
図3の例において、第1の圧力ポンプ7への正のポンプ制御シグナルは、意図された流れ方向(意図された流れ方向がFOユニット2から出ること)に対するポンプの回転を意味する。代替の実施形態において、
図3の第1の圧力ポンプ7は容積式ポンプである。容積式ポンプは、意図された流れ方向でのみ圧送する。圧力センサ46からのフィードバックを用いて容積式ポンプの速度を制御することによって、所望のフィード側圧力設定点が達成され、フィード側2aに維持されうる。この方法の利点は、容積式ポンプによって排出逆流が防止され、このポンプが1つの排出弁に置き換わりうることである。考えられる欠点は、装置に剛性がもたらされることであり、これは、拘束されないフィード側出口流が望まれる特定のプロセスには望まれないかもしれない。
【0046】
図4において、装置1は第2の圧力ポンプ32を備えるが、第1の圧力ポンプ7を備えない。1つの実施形態において、
図4における第2の圧力ポンプ32は、ドロー側2bの圧力を制御するように調整されるように構成された非容積式ポンプである。代替の実施形態において、
図4における第2の圧力ポンプ32は、ドロー側2bの圧力を制御するように調整されるように構成された容積式ポンプである。典型的に、第2の圧力ポンプ32の速度が増加され、それによって、静液圧差を増加させるようにドロー側2bにおける圧力が下げられる。希釈透析濃縮物液をFOユニット2から(意図された流れ方向に)圧送するように第2の圧力ポンプ32を動作させ、圧力センサ47又は26からのフィードバックを用いてその速度を制御することによって、所望の圧力が達成され、ドロー側2bで維持されうる。
【0047】
図5に、
図3及び
図4の装置の組合せが説明される。
図5の実施形態は、
図2の装置1にも存在する。このとき、所望の静液圧差を達成するために、第1の圧力ポンプ7及び第2の圧力ポンプ32の両方が動作されてもよい。
【0048】
非容積式ポンプがフィード側2aの出口ポートE
outに作用しているならば、FOユニット2のフィード側2aへの排出逆流が生じるリスクがあるかもしれない。(消費済み透析液流及び/又は濃縮物液流の変化、又は静液圧差によって)FOセッション動作点が変化するとき、フィード側2aからドロー側2bへの水輸送駆動力は増加し、消費済み透析液流から水が供給される速度を超えるかもしれない。このとき、負のフィード側圧力が生じるかもしれず、流体がドレーンから吸引されうるが、これは望ましくない。以下に、これが定常動作では懸念事項ではないが、動作点の変更では懸念事項となる可能性があり、また、このリスクがいかにして軽減されうるかについて説明する。消費済み透析液からの水抽出が生じ、水がドロー側2bに輸送されると、消費済み透析液流中の溶質濃度が増加し、これは浸透圧駆動力が減少することを意味する。水輸送を向上させるために外部静液圧差が加えられるならば、フィード側2aの溶質濃度はより増加し、それゆえ浸透圧水輸送駆動力はさらに減少する。FO膜2cの(理想的な)特性は、溶質が膜を通るべきではなく、水のみが通ることである。ここで、フィード側2aの入口ポートE
inにおける溶質流束は、FOユニット2内の消費済み透析液からの水抽出速度によらずに、フィード側2aの出口ポートE
outにおける溶質流束と一致する必要がある。これは、今度は、フィード側2aの出口ポートE
outの体積流量が、継続的な水抽出プロセスでは決してゼロにならないことを意味する。水抽出を強化するために静液圧差を増加させるならば、消費済み透析液の溶質濃度は、浸透圧及び静液圧差が互いに均衡するまで増加するだろう。この時点では、出口ポートE
outには濃縮された消費済み透析液の正の流量が依然として存在する。定常状態動作を想定し、
図5を参照すると、フィード側2aにわたる溶質平衡についてQ1×C1=Q2×C2である(ここで、Q1及びC1は消費済み透析液の流速及び伝導率であり、Q2及びC2は脱水された消費済み透析液の流速及び伝導率であり、Q3及びC3は希釈透析濃縮物液の流速及び伝導率であり、Q4及びC4は透析濃縮物液の流速及び伝導率である)。流速と溶質濃度との積はフィード側2aにわたって一定であり、これは、非ゼロの消費済み透析液溶質濃度ではフィード側2aの出口ポートE
outにおける流速がゼロを超えることを意味する。排出逆流は、逆流を防止する逆流弁と、第2のフローセンサ42bを用いてフィード側2aの出口ポートE
outからの流量を監視することと、スケール48bを用いて出口ポートE
outからの体積を監視することと、
図6に説明されるようにコンプライアンスチャンバ44を使用することと、のいずれかによって抑制されてもよい。コンプライアンスチャンバ44は、脱水された使用済み透析液がコンプライアンスチャンバ44に出入りすることを可能にするために、排出ライン3dに接続されている。排出弁20iは、脱水された使用済み透析液がコンプライアンスチャンバ44に入り、コンプライアンスチャンバ44に接続された圧力センサ44aによって感知される圧力を徐々に増加させるように、FO動作中に閉じられている。ドレーンへの圧力を開放するために排出弁20iを断続的かつ短時間で開くことによって、ドレーンからの逆流が抑制される。排出弁の開度は、圧力センサ44aで感知された感知圧力(例えば、正であるべきであり、ある程度の大きさを有するべきである)に基づいて制御される。
【0049】
濃縮物容器15内の透析濃縮物液は、電解質溶液を含む。電解質溶液は例えば、NaCl、KCl、CaCl2、MgCl2、HAc、グルコース、乳酸塩及び重炭酸塩のうちの少なくとも1つ、例えば複数を含んでもよい。例えば、電解質溶液は、電解質及び緩衝液、例えば、Na、Ca、Mg及び乳酸塩を含んでもよい。第2の濃縮物容器18内の透析濃縮物液は例えば、グルコース濃縮物又は濃縮物容器15内の濃縮物液の変形のような浸透剤を含む。
【0050】
制御装置50は、少なくとも1つのメモリ及び少なくとも1つのプロセッサを含む制御ユニット30をさらに備える。制御装置50は、本書に記載されるようにセンサ及び他のデバイスから測定データ又は信号を受信及び/又は収集するように構成される。1つの実施形態において、制御装置50は、伝導率センサ11、25、49からの測定値と、圧力センサ26、28、44a、46、47からの測定値と、流速センサ42a、42bからの流量の測定値と、温度センサ27からの温度と、を受信及び/又は収集するように構成される。制御装置50はさらに、複数の異なるプロセスを実行するために、ポンプ6、7、10、23及び29及び/又は弁装置20内の弁に、制御信号又はデータを提供、例えば送信するように構成される。結果として得られるパラメータは、ユーザインタフェース(図示せず)によってユーザに提供されてもよい。したがって、制御装置50は、装置1の構成要素から任意の信号又はデータを受け取り又は収集し、それに基づいてポンプ及び/又は弁を制御するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、制御装置50は、透析濃縮物を希釈し、透析液を生成するための手順又は手順のステップを実行するように装置1を制御するように構成される。少なくとも1つのメモリは、透析濃縮物を希釈し透析液を生成するためのこのような手順又は手順のステップを実行するためのコンピュータ命令を含む。少なくとも1つのプロセッサ上で実行された場合に、制御ユニット30は、本書に記載される1つ以上の方法及び手順を実行するために、1つ以上のポンプ6、7、10、23、及び29、ならびに弁装置20の1つ以上の弁を制御する。
【0051】
ここで、透析液を生成するための方法の例が、
図7のフローチャートを参照して記載される。本書で議論されるように、本方法は、
図1の装置1内の制御装置50によって実行されてもよく、少なくとも1つのメモリ上のコンピュータ命令を含むコンピュータプログラムとして記憶されてもよい。
【0052】
透析液を生成するために、本方法は、透析濃縮物液の流れを、正浸透(FO)ユニット2のドロー側2bに提供することS1を含む。提供することS1は、濃縮物容器15からドロー側2bに透析液濃縮物を圧送するように濃縮物ポンプ10を動作させることと、濃縮物弁20d及びドロー側入力弁20hを開くことと、第1の希釈濃縮物弁20e、第2の希釈濃縮物弁20f及び主弁20gを閉じることとを含む。このとき、透析液濃縮物は、濃縮物容器15から濃縮物ライン4d及びドロー側入力ライン4bに、そしてフィード側2aに圧送される。これと同時に、
図7の方法は、FOユニット2のフィード側2aに消費済み透析液の流れを提供することS2を含む。提供することS2は、消費済み透析液容器19から、又は接続点Piで接続された消費済み透析液の別の供給源から、消費済み透析液を圧送するようにフィードポンプ6を動作させることを含む。1つの実施形態において、
図7の方法は、フィードポンプ6を(順方向に)動作させることと、入力弁20a及び直流ライン弁20sを開くことと、容器弁20p及びフィード側入力ライン弁20bを閉じることとを含む。このとき、消費済み透析液は、入口コネクタPiから、フィード側入力ライン3a、容器ライン3b、直流ライン3c、及び再びフィード側入力ライン3aを介してフィード側2aに圧送される。別の実施形態において、
図7の方法は、フィードポンプ6を(逆方向に)動作させることと、容器弁20p及びフィード側入力ライン弁20bを開くことと、入力弁20a及び直流ライン弁20sを閉じることとを含む。このとき、消費済み透析液は、消費済み透析液容器19から、容器ライン3b及びフィード側入力ライン3aを介してフィード側2aに圧送される。
【0053】
ドロー側2bとフィード側2aとの間の浸透圧差を介して、消費済み透析液からFOユニット2のFO膜2cを通って水が透析濃縮物液に輸送され、それによって、透析濃縮物液を希釈透析濃縮物液に希釈し、消費済み透析液を脱水された消費済み透析液に脱水する。希釈透析濃縮物液は、ドロー側2bからドロー側出力ライン4cに出力される。第2の圧力ポンプ32は、第1の希釈濃縮物液弁20eが閉じている間に、希釈透析濃縮物液が希釈液容器16に到達することを可能にするように動作する。このとき、希釈透析濃縮物液は、濃縮物ポンプ10によって、ドロー側2bからドロー側出力ライン4cに、および第1の希釈濃縮物ライン4eを介して希釈液容器16に圧送される。脱水された消費済み透析液は、フィード側2aから排出ライン3dに出力される。第1の圧力ポンプ7は、排出弁20iが開いている間に、脱水された消費済み透析液がドレーン31に到達することを可能にするように動作する。排気弁20m及びドレーン接続弁20kは、存在するならば、閉じられる。よって、脱水された消費済み透析液は、フィードポンプ6によって、フィード側2aから排出ライン3dに、さらにドレーン31に圧送される。FO膜2cを横切る水輸送速度Qwは、フィード側2aとドロー側2bとの間の浸透圧差ΔPosmと静液圧差ΔPhydとの和に依存する。静液圧差がゼロであるならば、ΔPosmはQwの唯一の駆動力である。したがって、FO膜2cの特性と、消費済み透析液流量と、濃縮物液流量と、消費済み透析液の組成と、濃縮物液の組成とによって与えられるQwの理論上の最大値が存在する。プロセスが非常に遅く実行される場合に理論上の最大値に近づき、その結果、Qwはフィード側2aとドロー側2bとの間の浸透圧の差を平衡化することが可能になり、ΔPosmがゼロに近づく。ΔPhydが水抽出Qwを向上させるために使用されるならば、抽出は、上述の理論上の最大値を超えて増加させることができる。水抽出速度Qwを増加させるために、本方法はまた、1つ以上の圧力ポンプ7、32を用いて、ドロー側2bとフィード側2aとの間の静液圧差を提供することS3を含んでもよい。したがって、消費済み透析液をフィード側2aに提供し、濃縮物液2bをドロー側2bに提供している間に、第1の圧力ポンプ7、第2の圧力ポンプ32、又はその両方が、側2aと側2bとの間に特定の静液圧差を提供するように動作する。これにより、水抽出速度を高めることができる。静液圧差は、フィード側2aの圧力がドロー側2bの圧力よりも大きくなるようなものである。ドロー側2bにおける静液圧は、希釈液容器16に接続される際に、(ドロー側2bと希釈液容器16との間の潜在的な高さの差を除いて)、大気圧又は大気圧に近い圧力でありうる。したがって、ΔPhydは、フィード側2aにおける静液圧の測定値から決定されてもよい。これに代えて、ドロー側2bにおける静液圧も測定され、ΔPhydは、フィード側2aにおける静液圧Phyd_feedからドロー側2bにおける静液圧Phyd_drawを引いたものとして決定される(ΔPhyd=Phyd_feed-Phyd_draw)。
【0054】
図7の方法は、希釈透析濃縮物液及び/又は脱水された消費済み透析液の1つ以上の特性を感知することS4をさらに含む。検知することS4は、前述のように、特性センサのうちの1つ以上を使用して実行される。特性は例えば、希釈透析濃縮物の濃度、脱水された消費済み透析液の濃度、希釈透析濃縮物の重量計による重量、脱水された消費済み透析液の重量計による重量、希釈透析濃縮物の流量、又は脱水された消費済み透析液の流量であってもよい。
【0055】
図7の方法はさらに、ドロー側2bとフィード側2aとの間の静液圧差を示す1つ以上の圧力を感知することS5を含む。検知することS5は、圧力センサ26、28、46のうちの1つ以上を用いて感知することによって実行される。圧力測定は例えば、側の1つ、典型的にはドロー側2bが大気圧に流体接続されているならば、又はフィード側2aにおける圧力とドロー側2bにおける圧力との差を計算することによって、圧力差を直接与えてもよい。このとき、ドロー側2bにおける圧力は大気圧に等しい。
【0056】
図7の方法は、希釈透析濃縮物液を作り出すために、希釈透析濃縮物液及び/又は脱水された消費済み透析液の1つ以上の特性と、静液圧差を示す感知された1つ以上の圧力とに基づいて、フィード側2aへの消費済み透析液の流量と、ドロー側2bへの透析濃縮物液の流量と、静液圧差とのうちの少なくとも1つを制御することS6を含む。制御することS6は、消費済み透析液から透析濃縮物への水の抽出速度、したがって、透析濃縮物液の希釈度を、流体の1つ以上の特性のいずれか、及び静液圧差に基づいて制御する。希釈度を制御することはまた、希釈透析濃縮物液の組成を制御することを含んでもよい。制御することS6は、希釈透析濃縮物の目標希釈係数が達成されるようにFOプロセスを制御することを含んでもよい。本書において、希釈率は、総単位数当たりの試料の単位数に従って表される(S:T;試料の合計+希釈剤の単位数)。したがって、1:5の希釈率は、全部で5単位の希釈濃縮物を与えるために1単位の濃縮物及び4単位の水を有することを意味する。例えば、1:20の目標希釈率は、500mlの透析濃縮物液に対して、10リットルの希釈透析濃縮物液を達成するものとし、これはまた、消費済み透析液から9.5リットルの水が抽出されることを意味する。目標希釈係数(=希釈濃縮物の最終体積/濃縮物の初期体積)を計算するために、10リットルの希釈透析濃縮物を500mlの透析濃縮物液で割って、20の希釈係数を得る。制御することS6は、(最終透析液を提供するために任意の後続の濃縮物と混合する前に)透析液の特定の組成に対応する目標希釈係数に到達すること、及び/又は透析液の特定の組成を提供するために限られた利用可能な水量でのさらなる希釈に一致する目標希釈係数に到達することを含んでもよい。
【0057】
静液圧差は、種々のセンサからのフィードバックに基づいて制御されてもよい。いくつかの実施形態において、制御することS6は、希釈透析濃縮物及び/又は脱水された消費済み透析液の1つ以上の特性と、静液圧差を示す感知された1つ以上の圧力とに基づいて、1つ以上の圧力ポンプ7、32を用いて静液圧差を制御することを含む。制御される1つ以上の圧力ポンプ7、32は、伝導率フィードバックを使用してもよい。よって、1つ以上の圧力ポンプ7、32は、特定のレベルに、例えば、生成される希釈濃縮物液の目標伝導率に伝導率(それゆえ、希釈係数)を維持する静液圧差を引き起こすように制御されてもよい。この目標伝導率は典型的に、所望の希釈率又は係数に対応し、したがって、C1・V1=C2・V2によれば、透析濃縮物の所望の希釈率であり、C1は透析濃縮物の濃度であり、V1は加えられた透析濃縮物の体積であり、C2は希釈濃縮物液の最終濃度であり、V2は希釈透析濃縮物液の最終体積である。ここで、濃度は、伝導率及び希釈係数の関数として決定され、体積は流速の関数として決定されてもよい。1つ以上の圧力ポンプ7、32を圧力以外のフィードバックで制御することは、静液圧差が、水抽出速度を制御するパラメータであるため、間接的に制御されることを意味する。圧力以外のフィードバック機構が使用される場合に、静液圧差も監視されなければならず、過度の圧力を回避するための方策、例えば、静液圧差が高くなり過ぎる前の時点での動作点(消費済み透析液流量及び/又は濃縮物液流量)の調整又は制御がなされなければならない。それはまた、静液圧差がその最大許容静液圧差に保持される制御方法に変更することを含んでもよく、伝導率(したがって、希釈率)が目標と異なることが受け入れられる。
【0058】
消費済み透析液の流量は典型的に、透析液が使用の準備が整う前のFOプロセスのための利用可能な体積によって決定される。しかし、いくつかの実施形態において、流量は、このようにして決定された流量から逸脱することが可能である。例えば、容器19内に十分な消費済み透析液が存在し、FOセッション後に残っている消費済み透析液が後の段階(例えば、次の滞留中)で使用されうるという条件で、全体的な水抽出効率を増加させるために、流量が低下されうる。
【0059】
濃縮物液の流量は、透析液が準備される前のFOプロセスに利用可能な時間と、透析液の次のバッチを生成するのに必要な濃縮物の量とによって決定される。これは時間にわたって真であり、例えば、ある量の希釈濃縮物液が希釈液容器16内で既に利用可能であるならば、水抽出効率を高めるために、濃縮物流量が所要の長期平均から低下されうる。
【0060】
PDにおいて、時間にわたって、消費済み透析液流量と濃縮物液流量との間の比は、目標希釈係数と排出対充填比(EFR)との関数である。EFRは、水抽出のために利用可能な消費済み透析液体積を充填体積(例えば、限外濾過体積(UF体積)及び失った/追加された排出体積)とは異なるものにする全ての流体の加算及び減算を説明し、(治療からの利用可能な消費済み透析の合計)/(治療充填体積)として計算される。例えば、合計で12Lの流体が充填され、治療中に13Lが排出されるならば、1LのUF体積が引き出され、よって、EFR=13/12=1.083であり、これは、20である所望の希釈係数(dilFactor)を用いて、フロー比=1.083×dilFactor=1.083×20=21.67を与える。したがって、濃縮物液の流量が1ml/分であるならば、消費済み透析液の流量は21.67ml/分である。EFRが高いほどより多くの消費済み透析液をもたらし、これは、水抽出性能を増加させる。
【0061】
消費済み透析液の利用可能な体積は、常に利用可能であることが知られている体積に事前に決定されてもよい。これに代えて、利用可能な体積は、重量計によって測定されてもよく、又は消費済み透析液容器19へのフィードポンプ6によって圧送された体積によって決定されてもよい。PDにおいて、治療中のドレーンは、合計で15リットルまでの消費済み透析液を提供してもよい。利用可能な時間は、消費済み透析液が利用可能になってから、希釈透析液濃縮物の使用の準備ができるまでの時間によって制限されてもよい。APDのためにサイクラを使用するPD患者について、患者は、治療の過程中及び早朝の終わりに、(患者がその日のための最後の充填物を与えられたとしても)排出されてもよく、その後、新しい治療が就寝時に開始される。そのような例では、希釈濃縮物液/透析液を生成するために利用可能な時間が12~15時間である。したがって、15リットルの消費済み透析液及び12時間の利用可能な時間は、消費済み透析液のすべてが使用されるならば、フィードポンプ6について15,000ml/(12×60)=20.8ml/分の可能な最少流量を与える。生産/FOセッションはまた、滞留中に、そして、より少量の流体及び生産/FOセッションに利用可能なより短い時間で実行されてもよい。言い換えれば、いくつかの実施形態において、制御することS6は、期間の終了時に所望の量の希釈濃縮物液を提供するために、利用可能な消費済み透析液の体積と、所望の量の希釈濃縮物液を生成するのに利用可能な期間の長さとに基づいて、フィード側2aへの消費済み透析液の流量を制御することを含む。いくつかの実施形態において、フィードポンプ6によって提供される消費済み透析液流量の流量は、15~50ml/分の範囲内である。いくつかの実施形態において、脱水された消費済み透析液の流量は、1~10ml/分の範囲内である。よって、第1の圧力ポンプ7が制御する流量は非常に低く、1~10ml/分以下である。ここで、第1の圧力ポンプ7は、そのような低い流量を制御することによって、少なくとも4バールである圧力をフィード側2aに提供できるように構成されてもよい。
【0062】
透析濃縮物液は典型的に、すぐに使用できる透析液と比較して20倍に濃縮されている。濃縮物容器15は、例えば2リットルの透析液濃縮物を含む。1回の治療に必要な量が500mlであり、利用可能な時間が12時間であるならば、可能な最少流量は、濃縮物ポンプ10について500ml/(12×60)=0.7ml/分になる。言い換えれば、いくつかの実施形態において、制御することS6は、期間の終了時に所望の量の希釈濃縮物液を提供するために、所望の量の希釈濃縮物液を生成するために必要とされる透析濃縮物液の体積と期間の長さとに基づいて、透析濃縮物液15のドロー側2bへの流量を制御することを含む。
【0063】
以下の文章では、流量制御と静液圧差制御とが組み合わされた複数の異なる制御代替案が説明される。第1の代替案において、静液圧差は、事前に決定された圧力、例えば、最大許容静液圧差に制御され、消費済み透析液及び濃縮物液の流量は、希釈濃縮物液の所望の目標伝導率を達成するように制御される。第2の代替案において、消費済み透析液及び濃縮物液の流量は、消費済み透析液の利用可能な量に基づいて所望の体積の希釈濃縮物液を達成するように制御され、静液圧差は、例えば希釈濃縮物液の所望の目標伝導率を達成するように制御される。第3の代替案において、消費済み透析液及び濃縮物液の流量と静液圧差との両方が、希釈濃縮物液の所望の目標伝導率を達成するように制御される。
【0064】
第1の代替案において、
図7の方法は、事前に決定された静液圧差を達成するために、感知された1つ以上の圧力に基づいて、1つ以上の圧力ポンプ7、32を用いて静液圧差を制御することS6を含む。静液圧差は、複数の方法で制御されてもよい。一般的に、水抽出速度を増加させるために、静液圧差は、フィード側2aからドロー側2bに向けて正であるべきであり、これは、フィード側圧力が、ドロー側2bよりもフィード側2aの方で大きいことを意味する。したがって、フィード側圧力を増加させ及び/又はドロー側圧力を減少させることによって、水抽出速度が増加しうる。1つの実施形態において、制御することS6は、第1の圧力ポンプ7を使用してフィード側2aの圧力を増加させることを含み、ポンプは、意図された流れ方向で及び/又はそれに逆らって回転するように構成された非容積式ポンプである。
図3は例えば、第1の圧力ポンプ7として非容積式ポンプを使用してもよい。別の実施形態において、制御することS6は、第1の圧力ポンプ7を使用してフィード側2aの圧力を増加させることを含み、ポンプは、意図された流れ方向でのみ回転するように構成された容積式ポンプである。例えば、
図3は、第1の圧力ポンプ7として容積式ポンプを使用してもよい。別の実施形態において、制御することS6は、意図された流れ方向で回転するように構成された容積式又は非容積式ポンプである第2の圧力ポンプ32を使用して、ドロー側2bの圧力を減少させることを含む。事前に決定された静液圧差は例えば、最大許容静液圧差である。最大許容静液圧差は典型的に、膜製造者によって、例えば、4バール、より一般的に1~10バールに決定される。最大許容静液圧差は、フィード側2aとドロー側2bとの間で非対称に分布されてもよい。透析濃縮物液及び消費済み透析液の流量は、例えば既知の利用可能な流体の量及び生産に利用可能な時間に基づいて、事前に決定された値に構成されてもよい。好ましくは、流量は、所与の時間枠、消費済み透析液の利用可能な体積及び濃縮物の必要な体積内での浸透水交換を最大にするように制御される。これらの体積及び所与の期間枠に基づいて、時間枠内で最も効率的なFOプロセスを提供する、可能な限り最小の流量が計算されうる。この第1の代替案において、透析濃縮物液の希釈係数は制御されない。その代わり、係数は、事前に決定された流量及び最大静液圧差に基づいて、可能な限り大きくなる。この第1の代替案は例えば、高い排出オスモル濃度、消費済み透析液不足、又は小さいFO膜表面積に起因して目標希釈係数に到達することができないならば興味深い。
【0065】
第2の代替案において、所望の体積の希釈濃縮物液を取得するために、十分な体積の消費済み透析液及び濃縮物液が存在する。このとき、制御することS6は、流体(消費済み透析液及び濃縮物液)の濃度についての既知の希釈比及び(消費済み透析液及び濃縮物液の)流量を前提として、希釈濃縮物液の所望の体積を名目上与える目標希釈係数を達成するように流量を構成することを含む。したがって、流量は、一定値に構成され、静液圧差が最大レベルを超えない限り変更されない。そのような場合、流量の一方又は両方は減少されてもよい。流体の濃度は、予め知られていてもよく、又は伝導率測定によって決定されてもよい。流れ制御に加えて、制御することS6は、希釈透析濃縮物及び/又は脱水された消費済み透析液の特性に基づいて、特性を特性の目標値に等しくするために、1つ以上の圧力ポンプ7、32を用いて静液圧差を制御することを含む。例えば、伝導率センサは、希釈透析濃縮物の伝導率を感知してもよい。希釈透析濃縮物の伝導率は、希釈透析濃縮物の希釈係数と既知の関係を有してもよい。したがって、目標希釈係数は、希釈透析濃縮物の事前に決定された伝導率に対応してもよい。よって、静液圧差は、目標希釈係数に対応する希釈透析濃縮物の事前に決定された伝導率を達成するように制御されてもよい。例えば、伝導率が高すぎるならば、希釈係数は低すぎ、静液圧差が増加される。伝導率が低すぎるならば、希釈係数は高すぎ、静液圧差が減少される。静液圧制御はそれによって、例えば流体の異なる伝導率によって引き起こされる流量制御から任意の誤差を除去できる。
【0066】
消費済み透析液及び透析濃縮物液の濃度が既知であるならば、脱水された消費済み透析液の伝導率にも同じ理由が当てはまる。いくつかの実施形態において、重量及び流量のような他の特性が使用される。例えば、制御することS6は、目標希釈係数を達成するために希釈透析濃縮物液の予想流量を計算するために、事前に決定された目標希釈係数と、濃縮物ポンプ10によって与えられる透析濃縮物の流量とを使用することを含んでもよい。制御することS6は、目標希釈率が達成されるように、希釈透析濃縮物液の流量が予想速度になるように静液圧差を制御することをさらに含んでもよい。
【0067】
第3の代替案において、濃縮物ポンプ10及び第2の圧力ポンプ32は、目標希釈係数に等しい希釈係数を達成するように制御される。このとき、制御することS6は、希釈透析濃縮物液の流量が、ドロー側2bへの透析濃縮物液の入口流量に目標希釈係数をかけた値に等しくなるように、濃縮物ポンプ10を使用して透析濃縮物液の流量を制御することと、1つ以上の圧力ポンプ7、32の第2の圧力ポンプ32を使用して希釈透析濃縮物液の流量を制御することとを含む。したがって、濃縮物ポンプ10及び第2の圧力ポンプ32は、目標希釈係数に等しい希釈を強制するように制御される。そうするために、第2の圧力ポンプ32は、濃縮物ポンプ10で圧送された透析濃縮物液の流量に目標希釈係数が乗算された値に等しい流量で、希釈透析濃縮物液を圧送する。よって、希釈透析液の流量は、透析濃縮物液の流量よりも目標希釈係数倍、大きい。いくつかの実施形態において、制御することS6は、希釈透析濃縮物の特性に基づいて、特性を特性の目標値に等しくするために、濃縮物ポンプ10と第2の圧力ポンプ32との間の比を制御することによって希釈係数を微調整することを含む。このような微調整は例えば、伝導率フィードバックを用いて実行される。例えば、制御することS6は、ドロー側2bの出口ポートLoutからの流量が、ドロー側2bの入口ポートLinへの流量に目標希釈係数が乗算された値になるように、第2の圧力ポンプ32を制御することを含んでもよい。ポンプは、ドロー側2bの出口ポートLoutからの流量が、ドロー側2bの入口ポートLinへの流量に目標希釈係数が乗算された値になった場合に、結果として得られるポンプ比、したがって第2の圧力ポンプ32と濃縮物ポンプ10との間のポンプ比でロックされてもよい。その後、このポンプ比は、目標希釈透析濃縮物液伝導率と測定された希釈透析濃縮物液伝導率との間、又は予測された希釈透析濃縮物液伝導率と測定された希釈透析濃縮物液伝導率との間の誤差を除去するように、例えば、希釈透析濃縮物液の伝導率を測定することによって微調整されてもよい。結果として生じる静液圧差は、ポンプを作動させるのに十分な水を抽出するのに必要とされるものになりうる。しかし、結果として生じる静液圧差は、最大許容静液圧差を超えないように監視される。超えたならば、消費済み透析液流量及び/又は濃縮物液流量は、静液圧差が許容値まで、例えば、最大許容静液圧差以下に低減されるように制御される。ドロー側2bの負圧が大きすぎることは避けるべきである。例えば、側2a、2bの両方の圧力が測定され、第1の圧力ポンプ7を制御することによってフィード側2aからドロー側圧力が制御されうる。この実施形態において、ポンプは、容積式であってもよいし、流量フィードバック制御を有する非容積式であってもよい。言い換えれば、いくつかの実施形態において、制御することS6は、静液圧差が最大許容静液圧差以下に保たれるように、静液圧差を示す感知された1つ以上の圧力に基づいて、フィード側2aへの消費済み透析液の流量を制御すること、及び/又はドロー側2bへの透析濃縮物液15の流量を制御することを含む。透析濃縮物の目標希釈係数は、典型的には最終混合透析液中の最終(名目)透析濃縮物希釈係数(又は対応する比)と同じではないことを理解されたい。したがって、最終的な透析濃縮物希釈係数は、他の濃縮物、例えば、PDについてのグルコース濃縮物の追加後の最終透析液において達成されるべきであり、これは、FOプロセスにおける目標透析濃縮物希釈係数が最終透析濃縮物希釈係数よりも低くなり、最終透析液における他の濃縮物についての目標濃度にも依存することを意味する。例えば、PDについて、最終透析濃縮物希釈係数は、最終透析液中の目標グルコース濃度に依存してもよい。
【0068】
希釈濃縮物が希釈液容器16に収集された後に、希釈濃縮物は、濃縮物ポンプ10を用いて圧送し、第1の希釈濃縮物弁20e及び第2の希釈濃縮物弁20fを開き、ドロー側入力弁20h、濃縮物弁20d及び主弁20gを閉じることによって、第1の希釈濃縮物ライン4e、濃縮物ライン4dの一部、第2の希釈濃縮物ライン4a及び希釈液容器16内で循環されてもよい。伝導率センサ11は、伝導率が安定し、したがって希釈濃縮物が均質である場合を監視するために、循環されている希釈濃縮物の伝導率を測定する。
【0069】
透析液を混合するために、希釈液容器16内の希釈濃縮物溶液は、濃縮物ポンプ10を動作させ、第1の希釈濃縮物弁20e、主弁20g、出口弁20jを開き、濃縮物弁20d、ドロー側入力弁20h、第2の希釈濃縮物弁20f及びドレーン接続弁20kを閉じることによって、主ライン4fに圧送される。これと同時に、グルコースのような第2の濃縮物容器18からの第2の濃縮物溶液が、第2の濃縮物ポンプ29を動作させることによって主ライン4fに通される。いくつかの実施形態において、別の濃縮物容器(不図示)からの別の濃縮物溶液が主ライン4fに通され、他方の濃縮物容器と主ライン4fとの間のライン(不図示)に接続される。言い換えれば、
図7の方法は、透析液を形成するために希釈濃縮物液に流入するように、濃縮物容器18からの第2又は第3の濃縮物の流量を制御することを含んでもよい。純水容器17から主ライン4fに純水が流れる。主ポンプ23は、結果として得られる透析液の所望の流量を、主ポンプ23の下流で主ライン4fに提供する。伝導率センサ25は、主ポンプ23からの結果の透析液の伝導率を測定する。濃縮物ポンプ10は、生成された流体の伝導率、希釈濃縮物溶液の伝導率、及び生成された流体の流量に基づいて、結果の透析液の所望の所定の濃度を達成するために、特定の速度に制御される。第2の濃縮物ポンプ29は、生成された流体中の濃縮物の特定の組成を達成するために、生成された流体の流量に基づいて、特定の速度に制御される。混合チャンバ24において、透析液を生成するために、希釈濃縮物溶液と、第2の濃縮物溶液と、純水とが混合される。混合チャンバ24は小さく、30~100mlの流体のみを収容してもよい。その後、透析液は、出口コネクタPoにおいて所望の宛先(例えば、保管容器又は透析機械、又はPD患者に接続されたカテーテル)に送達される。レベル感知装置66は混合チャンバ24内のレベルを監視し、レベルが低すぎるならば、気体をドレーンに通す排気弁20mが開かれ、それによってレベルを上昇させる。主伝導率センサ25は、最終透析液の伝導率を測定する。伝導率が所定の制限内にないならば、透析液は、ドレーン接続ライン4iを介してドレーン31に通される。ドレーン接続ライン4iに、透析液がドレーン31に通される場合に開くドレーン接続弁20kが接続されている。出力弁20jの下流で主ライン4fに、出口コネクタPoの圧力を感知するための圧力センサ28が接続されている。
【0070】
図8は、上述のフィード側圧力を増加させるために非容積式ポンプを用い、
図2の装置及び
図3のFO装置を用いた試験の結果を説明する。試験は、名目上1:20に希釈され、0.5%グルコースを含むPD電解質濃縮物から構成されるフィード側流体を用いて実施される。フィード液の流量は44ml/分である。ドロー液はPD電解質濃縮物液であり、その流量は2ml/分である。動作点は、濃縮物の名目混合希釈係数が20であり、APD治療あたり1リットルのUFドローで予想されるものに対応する。1番上のペインは第1の圧力ポンプ7へのポンプ制御信号を示し、上から2番目のペインは、所望のフィード側圧力を示す。フィード側圧力設定点は段階的に増加され、一方、制御ユニット30は、フィード側出口での意図された流れ方向に逆らって作用するポンプ速度を増加させることによって応答する(1番上のペイン)。上から2番目のペインに見られるように、実際のフィード側圧力は設定点に接近して従い、この方法によるフィード側圧力の良好な制御性を示している。上から3番目のペイン及び1番下のペインは、節水性能が(全静液圧差に密接に関連する)フィード側圧力にどのように依存するかを説明する。上から3番目のペインは、1リットルのPD透析液を混合するのに必要な純水量の追加を示す(濃縮物からの混合は典型的に1リットルの透析液当たり900~950mlの水を必要とする)。1番下のペインは、PD濃縮物及び水からの透析液混合と比較した純水需要の減少率を示す。負の純水需要又は、純水需要における100%超の低減は、正味純水生成を示す。しかし、プロセスエッジ効果、潜在的な排出不足、及び特定の手順が水抽出効率を一時的に低下させる可能性があることを考慮すると、このような正味水生成は、十分な全体的な水抽出効率に到達するために、安定した「良好である」動作点において好ましいことに留意されたい。
【0071】
本開示は、透析システムのための透析液(治療液)を作り出す又は生成する技術に関する。この技術は、腹膜透析(PD)療法又は体外(EC)血液療法の両方に適用可能である。単に、PD療法及びEC血液療法に関連する流体生成について、
図9A及び9Bを参照して簡単に論じる。
【0072】
図9Aは、PD治療のための透析システムの一般的な概略である。透析システムは、患者Pの腹膜腔PCに流体接続される療法システム90を備える。両端矢印によって示されるように、療法システム90は、未使用の治療液を腹膜腔PC内に搬送し、流体経路91上で腹膜腔から消費済み治療液を受け取るように動作可能である。流体経路91は、腹膜腔PCと流体連通する埋め込まれたカテーテル(不図示)に接続するチューブによって画定されてもよい。療法システム90は、任意のタイプのPD療法のために構成されてもよい。1つの例において、療法システム90は、CAPDを実行するために手動で扱われる1つ以上の容器を備える。別の例において、療法システム90は、自動透析療法を実行する透析機械(「サイクラ」)を備える。透析システムは、本書の任意の実施形態に従って記載されるような透析液を生成するための装置1をさらに備え、療法システム90によって使用するための流体を生成するように構成される。治療液は、装置1から流体経路92上の療法システム90に供給される。消費済み透析液は、療法システム90によって扱われてもよく、又は装置1による扱いのために移送されてもよい。流体経路92は、2つの別個の流体ライン、又は双方向フローのための1つの流体ラインを含んでもよい。流体経路92は、入口コネクタPi及び出口コネクタPoに接続する(
図2)。消費済み透析液は、貯蔵され、再生され、ドレーンへ送られ、又はそれらの任意の組合せであってもよい。いくつかの実施形態において、すべての消費済み透析液は、FOプロセスで使用するために装置1に送られる。
【0073】
図9Aは、EC血液治療のための透析システムの一般的な概略である。透析システムは、流体経路上で患者Pの血管系に流体接続される療法システム90を備える。説明される例において、流体経路は、脱血のためのチューブ91Aと、返血のためのチューブ91Bとによって画定される。矢印によって示されるように、療法システム90は、チューブ91Aを通して患者Pから血液を引き出し、血液を処理し、チューブ91Bを通して処理済の血液を患者に戻すように動作可能である。チューブ91A、91Bは、患者Pの血管系と流体連通しているアクセスデバイス(例えば、カテーテル、グラフ、又はフィステル、不図示)に接続される。療法システム90は、透析液が消費される、HD、HF又はHDFのような任意の形態のEC血液療法によって血液を処理するように構成されてもよい。透析液は、装置1から流体経路92上の療法システム90に供給される。消費済み治療液は、療法システム90によって扱われてもよく、又は装置1による扱いのために移送されてもよい。流体経路92は、2つの別個の流体ライン、又は双方向フローのための1つの流体ラインを含んでもよい。流体経路92は、入口コネクタPi及び出口コネクタPoに接続する(
図2)。消費済み治療液は、貯蔵され、再生され、ドレーンへ送られ、又はそれらの任意の組合せであってもよい。
【0074】
装置1は、以下に説明され、本書に記載される方法を実施するために使用されうる特定の実施形態を含んでもよい。
【0075】
いくつかの実施形態において、制御装置50は、利用可能な消費済み透析液の体積と、所望の量の希釈濃縮物液を生成するために利用可能な期間の長さとに基づいて、フィード側2aへの消費済み透析液の流量を制御することと、所望の量の希釈濃縮物液を生成するために必要な透析濃縮物液の体積と、期間の終了時に所望の量の希釈濃縮物液を提供するための期間の長さとに基づいて、ドロー側2bへの透析濃縮物液15の流量を制御することとを行うように構成される。
【0076】
いくつかの実施形態において、制御装置50は、希釈透析濃縮物及び/又は脱水された消費済み透析液の1つ以上の特性と、静液圧差を示す感知された1つ以上の圧力とに基づいて、1つ以上の圧力ポンプ7、32のうちの第2の圧力ポンプ32を用いて静液圧差を制御するように構成される。
【0077】
いくつかの実施形態において、制御装置50は、事前に決定された静液圧差を達成するために、感知された1つ以上の圧力に基づいて、第2の圧力ポンプ32を用いて静液圧差を制御するように構成される。いくつかの実施形態において、事前に決定された静液圧差は、最大許容静液圧差である。
【0078】
いくつかの実施形態において、制御装置50は、希釈透析濃縮物及び/又は脱水された消費済み透析液の特性に基づいて、特性を特性の目標値に等しくするために、静液圧差を制御するように構成される。
【0079】
いくつかの実施形態において、制御装置50は、希釈透析濃縮物液の流量が、ドロー側2bへの透析濃縮物液の入口流量に目標希釈係数をかけた値に等しくなるように、濃縮物ポンプ10を使用して透析濃縮物液の流量を制御することと、1つ以上の圧力ポンプ7、32を使用して希釈透析濃縮物液の流量を制御することとを行うように構成される。
【0080】
いくつかの実施形態において、制御装置50は、希釈透析濃縮物の特性に基づいて、特性を特性の目標値に等しくするために、濃縮物ポンプ10と1つ以上の圧力ポンプ7、32との間の比を制御するように構成される。
【0081】
いくつかの実施形態において、制御装置50は、静液圧差が最大許容静液圧差以下に保たれるように、静液圧差を示す感知された1つ以上の圧力に基づいて、フィード側2aへの消費済み透析液の流量を制御すること、及び/又はドロー側2bへの透析濃縮物液15の流量を制御することを行うように構成される。
【0082】
いくつかの実施形態において、1つ以上の圧力ポンプ7、32は、フィード側2aから出力される消費済み透析液に対して動作するように構成された圧力ポンプ7を含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、圧力ポンプ7は、上流方向及び下流方向の両方に圧送できるように構成される。
【0084】
いくつかの実施形態において、1つ以上の圧力ポンプ7、32は、ドロー側2bから出力される希釈透析液に対して動作するように構成された圧力ポンプ32を含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、制御装置50は、透析液を形成するために希釈濃縮物液に流入するように、第2又は第3の濃縮物の流量を制御するように構成される。
【0086】
いくつかの実施形態において、装置1は、透析液を形成するために希釈濃縮物液に純水を提供するように構成される。
【0087】
本発明は現在最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに関連して説明されてきたが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、逆に、添付の特許請求の範囲の趣旨及び均等物内に含まれる種々の変形及び均等な構成を包含することが意図されることを理解されたい。
【国際調査報告】