(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-04
(54)【発明の名称】複素環誘導体、医薬組成物およびがんの治療または軽快におけるこれらの使用
(51)【国際特許分類】
C07D 401/14 20060101AFI20240328BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20240328BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20240328BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240328BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240328BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240328BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240328BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240328BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240328BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
C07D405/14
C07D413/14
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61P11/00
A61P1/16
A61K31/506
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561897
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2022059295
(87)【国際公開番号】W WO2022214606
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522132856
【氏名又は名称】トルレモ・セラピューティクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TOLREMO THERAPEUTICS AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファブリティウス,シャルル-ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】ヘッキング,クーン
(72)【発明者】
【氏名】グルーバー,ドロテーア
(72)【発明者】
【氏名】フォルマー,ルトガー
(72)【発明者】
【氏名】フリュッキガー-マングアル,シュテファニ
(72)【発明者】
【氏名】ボーナッカー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュビル,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ-ローマー,デボラ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA05
4C063BB01
4C063BB09
4C063CC34
4C063CC42
4C063CC58
4C063CC72
4C063DD29
4C063DD42
4C063EE01
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC47
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA13
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA75
4C086ZB26
4C086ZB27
(57)【要約】
本発明は、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物に関する。さらに、本発明は、前記化合物を含む医薬組成物に関する。さらに、本発明は、医薬として使用するための、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、あるいは医薬組成物、およびがんの治療または軽快に使用するための、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、あるいは医薬組成物に関する。任意選択で、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、あるいは医薬組成物は、第2の治療剤、特に抗がん剤と組み合わせて投与される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】
[式中、
R
3aは、5員複素環式環であり、前記複素環式環は、OおよびNから選択される、1個または複数の、同じまたは異なるヘテロ原子を含み、各置換可能な炭素またはヘテロ原子は、独立して、非置換であるか、またはC
1~C
3-アルキルおよび4員複素環式環から選択される、1個もしくは複数の、同じもしくは異なる置換基で置換されており、前記複素環式環は、O、N、またはSから選択される、1個または複数の、同じまたは異なるヘテロ原子を含み、
R
3bは、H、F、Cl、およびCH
3から選択される]であって、
【化2】
のうちのいずれの1つでもない化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物。
【請求項2】
R
3aが、5員ヘテロアリール環であり、前記ヘテロアリール環が、OおよびNから選択される、1個または複数の、同じまたは異なるヘテロ原子を含み、各置換可能な炭素またはヘテロ原子は、独立して、非置換であるか、またはCH
3およびオキセタニルから選択される1個もしくは複数の、同じもしくは異なる置換基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
3bが、H、F、およびCH
3から選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
式(I)の化合物が、
【化3】
からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
式(I)の化合物が、
【化4】
である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
式(I)の化合物が、
【化5】
である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
式(I)の化合物が、
【化6】
である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
式(I)の化合物が、
【化7】
である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
式(I)の化合物が、
【化8】
である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
薬学的有効量の請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、および任意選択で薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項11】
薬に使用するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、または請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
がんの治療または軽快に使用するためのものであり、好ましくは前記がんが、黒色腫、非小細胞肺がん、前立腺がん、胆管がん、膀胱がん、膵臓がん、甲状腺がん、卵巣がん、結腸直腸の腫瘍、有毛細胞白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、肝臓がん、乳がん、食道がん、頭頸部がんおよび神経膠腫、特に多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、前立腺がんおよび非小細胞肺がんから選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、または請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記化合物または前記医薬組成物が第2の治療剤と組み合わせて使用され、好ましくは前記治療剤が抗がん剤である、請求項12に記載の使用のための化合物または医薬組成物。
【請求項14】
非小細胞肺がん(NSCLC)を患っている患者の治療に使用するためのものであり、前記NSCLCが、EGFRにおいて発がん性変化を示す、EGFR阻害剤と組み合わせた請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、または請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記線維性疾患の治療または軽快に使用するためのものであり、好ましくは前記線維性疾患が特発性肺線維症(IPF)または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である、1から9のいずれか一項に記載の化合物、または請求項10に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物に関する。さらに、本発明は、前記化合物を含む医薬組成物に関する。さらに、本発明は、医薬として使用するための、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、あるいは医薬組成物、およびがんの治療あるいは軽快に使用するための、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、あるいは医薬組成物に関する。任意選択で、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、あるいは医薬組成物は、第2の治療剤、特に抗がん剤と組み合わせて投与される。
【0002】
発明の背景
がんは、先進国と発展途上国との両方において個人が直面している最も重大な健康状態の1つである。米国単独で、3人に1人が存命中にがんに罹患することが報告されている。さらに、典型的には、がんと診断された患者の半分より多くが、最終的にこの疾患により死亡している。ある特定のがんの早期検出および治療において、著しい進歩が生じているが、他のがんは、検出および/または治療するのがさらに困難である。
【0003】
MAPK経路の腫瘍形成活性は、黒色腫および非小細胞肺がん(NSCLC)を含む、多くのヒトのがんのシグネチャー特徴である。活性化したがん遺伝子は、小分子または抗体を使用して薬理学的に阻害することができる。しかし、受容体チロシンキナーゼ(RTK)阻害剤および他のがん遺伝子を標的とする阻害剤の臨床的抗腫瘍作用は持続性がない。これらの阻害剤に対する耐性が、普通発生する。より具体的には、EGFR阻害剤(EGFRi)の臨床的抗腫瘍作用は持続性がない。EGFR阻害剤に対する耐性は、普通、治療剤および臨床現場に応じて9~19カ月以内に発生する(Leonettiら、BJC、2019年、121巻、725~737頁を参照されたい)。したがって、がん患者において薬物耐性を予防するがん治療のモードを開発することが望ましい。
【0004】
さらに、がん細胞の遺伝子変化は、多くの場合、細胞周期調節、増殖、分化および/またはシグナル伝達に対して重要な遺伝子に影響を与える。全体的には、表現型、シグナル伝達、転写、および代謝の可塑性ならびに新規遺伝子変化の獲得が、分子を標的とする阻害剤および免疫療法を含むがん治療に対する耐性の発生の促進因子であることが判明している(Boumahdiら、Nature Reviews Drug Discovery、2019年、19巻、39~56頁を参照されたい)。
【0005】
例えば、「去勢耐性」前立腺がん(CRPC)に関連して同じことが観察されている。前立腺がんは、生存および進行について、非常に強くアンドロゲン受容体(AR)機能に依存しているため、前立腺がんの長期にわたる疾患の制御は、ARシグナル伝達を抑制する一連のホルモン療法を必要とする。しかし、ARターゲット療法は腫瘍成長を阻害するにもかかわらず、疾患はほとんど排除されず、修復されたAR機能を介して療法に対する耐性が獲得される。CRPC表現型の獲得は、AR経路の再活性化を介して媒介される。アセチルトランスフェラーゼp300は、前立腺がん細胞のARレベルおよびARシグナル伝達活性を直接調節する(Zhongら、「p300 acetyltransferase regulates androgen-receptor degradation and PTEN-deficient prostate turn oogenesis」、Cancer Res.、74巻、1870~1880頁、2014年)。したがって、p300機能の治療的モジュレーションは、CRPCの発生をもたらすすべての公知の適応性機序を標的とする。承認された療法および臨床研究用の療法は、主にこれらの細胞機序の1種のみまたは他を標的としている。p300機能のモジュレーションは、CRPCにおけるAR活性を、現行のおよび他の実験的治療戦略よりも幅広くモジュレートする機会を直接提供する。加えて、最近承認された薬剤に対する耐性機序は、AR依存性であることが示されている(Cai、C.ら、(2011年)「Intratumoral de novo steroid synthesis activates androgen receptor in castration-resistant prostate cancer and is up-regulated by treatment with Cypl7Al inhibitors」、Cancer Res.、71巻、6503~6513頁)。致死的PCに対する治療戦略としてp300/CBPを標的とすることは、J.Weltiら(Cancer discovery、2021年3月28日、DOI:10.1158/2159-8290)により検証されている。特に、小分子阻害剤は、PC細胞株において細胞増殖を阻害し、ARおよびC-MYCで調節された遺伝子発現を低減させることが示された。したがって、p300のモジュレーションは、現行の療法に対する耐性を阻害し、改善されたおよび持続した有効性およびより大きな臨床的有用性を潜在的に提供するはずである。
【0006】
同様に、ヒストンアセチルトランスフェラーゼCBP/p300は、再発白血病に関連する染色体転座に関与し、細胞成長の主要制御因子であることが報告された。したがって、CBP/p300の阻害剤を生成するための努力は臨床的価値がある(S.Picaudら、「Generation of a Selective Small Molecule Inhibitor of the CBP/p300 Bromodomain for Leukemia Therapy」、Cancer Res.、2015年、75巻、5106~5119頁)。強力な、選択的CBP阻害剤は、AML腫瘍モデルにおいて抗腫瘍活性に対応するMYC発現をモジュレートすること、ならびに同じ化合物がFOXP3発現およびTreg機能を弱めたことがさらに報告され、これは、がん免疫療法に対する新規小分子手法としてのCBPブロモドメインの阻害をさらに示唆するものであった(F.A.Romeroら、J.Med.Chem.、2017年、60巻、9162~9183頁)。
【0007】
p300と共通して、CREB(環状AMP応答エレメント結合タンパク質)結合タンパク質(CBP)は、ヒト細胞において転写の共活性化剤として作用するアセチルトランスフェラーゼである。CBPもp300も単一のブロモドメイン(BRD)およびリシンアセチルトランスフェラーゼ(KAT)ドメインを保有し、これらはヒストンおよび非ヒストンタンパク質の翻訳後修飾および動員に関与している。保存された機能ドメインにおいてCBPとp300との間に高い配列類似点が存在する(Duncan A.Hayら、JACS 2014年、135巻、9308~9319頁を参照されたい)。したがって、CBP機能のモジュレーションは、ある特定のがんの治療に有望な経路を提供する。したがって、p300および/またはCBPの機能をモジュレートする、例えば阻害することができる化合物は、がん療法において関心が持たれる。
【0008】
CBPに機能欠失型変異を宿す腫瘍は、p300依存性になり、p300阻害に対して特有の感受性がある(Ogiwaraら、2016年 Cancer Discovery.6巻;430~445頁を参照されたい)。逆にp300に突然変異がある腫瘍は、CBP阻害に対して特有の感受性がある。遺伝子分析により、非小細胞と小細胞肺腫瘍の15%までがこれら機能欠失型変異を有することが明らかとなった。類似の突然変異は25%までの膀胱がんにも見出された。したがって、p300および/またはCBPの機能をモジュレートする、例えば阻害することができる化合物は、これらの分子の変化を有する腫瘍に対するがん療法において関心が持たれる。
【0009】
さらに、CBP/p300は、主要な腫瘍免疫チェックポイントタンパク質、例えば、CTLA4/PD-L1の発現を調節し(Caseyら、Science.352巻;227~231頁、2016年を参照されたい)、腫瘍による免疫回避に関与しているT調節細胞の分化および機能に重要な役割を果たしている。したがって、p300および/またはCBPの機能をモジュレートする、例えば阻害することができる化合物は、腫瘍免疫系を標的とする薬剤と組み合わせたがん療法に関心が持たれる。
上記を考慮すると、p300および/またはCBPを標的とする化合物が必要とされる。このような化合物は、がんを治療する、および/または薬物耐性の発生を予防することができると期待されている。
【0010】
本発明の目的および概要
本発明の目的は、p300およびCBP機能をモジュレートする、例えば阻害する活性を有し、したがって、がんの治療および/または耐性の予防において治療効果をもたらす化合物を提供することである。本発明の別の目的は、医薬としての使用に適した化合物を提供することである。本発明の別の目的は、好ましくは黒色腫、非小細胞肺がん、前立腺がん、胆管がん、膀胱がん、膵臓がん、甲状腺がん、卵巣がん、結腸直腸の腫瘍、有毛細胞白血病、急性骨髄性白血病(myeloid leukemia)、多発性骨髄腫、肝臓がん、乳がん、食道がん、頭頸部がんおよび神経膠腫から選択され、特に多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、前立腺がんおよび非小細胞肺がんから選択されるがんの治療に使用するのに適した化合物を提供することである。本発明の別の目的は、がん患者において薬物耐性の予防、特にEGFR阻害剤に対する耐性の予防またはKRAS阻害剤に対する耐性の予防に使用するのに適した化合物を提供することである。本発明のまた別の目的は、薬物、例えば、EGFR阻害剤またはKRAS阻害剤と組み合わせて使用し、好ましくはこれらの薬物に対する耐性の発生を予防することができる化合物を提供することである。本発明のまた別の目的は、線維性疾患の治療または軽快に使用するのに適した化合物を提供することである。
【0011】
上記目的の少なくとも一部は、本明細書で定義された式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、あるいはそれを含む医薬組成物、およびその医学的使用により達成することができる。本発明の発明者らは、驚くことに、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物が、p300およびCBP機能をモジュレートする、特に阻害する活性を有することを見出した。本発明の好ましい実施形態では、化合物は、他のブロモドメイン含有タンパク質を上回る選択性を示す。本発明のある特定の特に好ましい実施形態では、化合物は、BETタンパク質ファミリーを上回る選択性を有する。したがって、本明細書で定義された式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、あるいはそれを含む医薬組成物は、医薬として、特にがんの治療のため、単独でまたは別の薬物、好ましくは前記薬物に対する耐性を予防する別の薬物と組み合わせて使用するのに適している。
よって、第1の態様では、本発明は、式(I)の化合物
【0012】
【0013】
[式中、
R3aは、5員複素環式環であり、この複素環式環は、OおよびNから選択される、1個または複数の、同じまたは異なるヘテロ原子を含み、各置換可能な炭素またはヘテロ原子は、独立して、非置換であるか、またはC1~C3-アルキルおよび4員複素環式環から選択される、1個もしくは複数の、同じもしくは異なる置換基で置換されており、この複素環式環は、O、N、またはSから選択される、1個または複数の、同じまたは異なるヘテロ原子を含み、
R3bは、H、F、Cl、およびCH3から選択される]であって、
【0014】
【0015】
のうちのいずれの1つでもない化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物に関する。
【0016】
式(I)の化合物に関するさらなる実施形態は、以下に提供される。
さらなる態様では、本発明は、薬学的有効量の上記に定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、および任意選択で薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物に関する。またさらに任意選択で、本発明の態様の医薬組成物は、KRAS阻害剤を含む。関連した態様では、本発明は、(i)本発明の態様による医薬組成物および(ii)KRAS阻害剤を含む医薬組成物を含むキットに関する。
【0017】
またさらなる態様では、本発明は、上記に定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、あるいは薬に使用するための上記に定義された医薬組成物に関する。
【0018】
さらなる態様では、本発明は、がんの治療または軽快に使用するための、上記に定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、あるいは上記に定義された医薬組成物であって、好ましくは、がんが、黒色腫、非小細胞肺がん、前立腺がん、胆管がん、膀胱がん、膵臓がん、甲状腺がん、卵巣がん、結腸直腸の腫瘍、有毛細胞白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、肝臓がん、乳がん、食道がん、頭頸部がんおよび神経膠腫、特に多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、前立腺がんおよび非小細胞肺がんから選択される、上記に定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、あるいは上記に定義された医薬組成物に関する。一実施形態ではこれに関連して、上記に定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、あるいは上記に定義された医薬組成物は、第2の治療剤と組み合わせて使用され、好ましくは、前記治療剤は抗がん剤である。
【0019】
さらなる態様では、本発明は、非小細胞肺がん(NSCLC)を患っている患者の治療に使用するための、EGFR阻害剤と組み合わせた、上記に定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、あるいは上記に定義された医薬組成物であって、NSCLCがEGFRにおいて発がん性変化を示す、上記に定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、あるいは上記に定義された医薬組成物に関する。
【0020】
またさらなる態様では、本発明は、がんを患っている患者の治療に使用するための、KRAS阻害剤と組み合わせた、上記に定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、あるいは上記に定義された医薬組成物であって、がんがKRASにおいて発がん性変化を示す、上記に定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、あるいは上記に定義された医薬組成物に関する。
【0021】
またさらなる態様では、本発明は、線維性疾患の治療または軽快に使用するための、上記に定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、あるいは上記に定義された医薬組成物であって、好ましくは線維性疾患が特発性肺線維症(IPF)または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である、上記に定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物、あるいは上記に定義された医薬組成物に関する。
【0022】
本発明の詳細な説明
他に定義されていない限り、本明細書で使用されているすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者により共通して理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているおよび開示された実施形態、好ましい実施形態および極めて好ましい実施形態は、それが具体的に再度参照されているか、または簡潔さの目的のためにその繰返しが回避されているかどうかに関係なく、すべての態様および他の実施形態、好ましい実施形態および極めて好ましい実施形態に適用されるべきである。
【0023】
冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、本明細書で使用される場合、冠詞の文法上の目的語の1つまたは1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を指す。「または」という用語は、本明細書で使用される場合、文脈が明らかに他を示唆していない限り、「および/または」を意味すると考えられるべきである。
【0024】
「好ましくは」という用語は、本発明には必要とされないが、改善された技術的作用をもたらし得る特徴または実施形態について記載するために使用される。
【0025】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、好ましくは示された数値の±10%、より好ましくは示された数値の±5%、特に、示された数値そのものを指す。
【0026】
「本発明の化合物(複数可)」という用語は、「本発明による化合物(複数可)」という用語と同等であると理解されるものとし、式(I)の化合物(複数可)またはその塩、溶媒和物、共結晶、もしくは互変異性体もしくは混合物を包含する。
【0027】
「置換されている」という用語は、本明細書で使用される場合、指定された原子に結合した水素原子が、特定された置換基により置き換えられていることを意味するが、ただし、この置換により安定したまたは化学的に可能な化合物が結果として生じることを条件とする。他に指摘されていない限り、置換された原子は、1つまたは複数の置換基を有することができ、各置換基は独立して選択される。
【0028】
「置換可能な」という用語は、指定された原子に関連して使用されている場合、原子に結合しているのは水素であり、この水素は適切な置換基で置き換えられてもよいことを意味する。
【0029】
「置換可能な」という上記用語に関連して、特に「各置換可能な炭素またはヘテロ原子は、独立して、非置換であるか、または1つもしくは複数の、同じもしくは異なる置換基で置換されている」という表現に関して、この用語はすべての可能な選択肢を包含すること、例えば、炭素およびヘテロ原子は、独立して、非置換であるか、または置換されている、あるいは、例えば炭素のみまたはヘテロ原子のみが、独立して、非置換であるか、または1つもしくは複数の、同じもしくは異なる置換基で置換されていることを理解されたい。
【0030】
「1つまたは複数の」置換基で置換されているある特定の原子または部分について言及されている場合、「1つまたは複数の」という用語は、少なくとも1つの置換基、例えば1~10の置換基、好ましくは1、2、3、4、または5つの置換基、より好ましくは1、2、または3つの置換基、最も好ましくは1、または2つの置換基を包含することを意図する。ある部分に関して「非置換である」という用語も「置換されている」という用語も明示的に記述されていない場合、前記部分は非置換と考えられる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、直鎖であっても分枝であってもよい一価の飽和した、非環式(すなわち、非環状性)炭化水素基を指す。したがって、「アルキル」基は、いかなる炭素-炭素二重結合もいかなる炭素-炭素三重結合も含まない。「C1~C3-アルキル」は、1~3個の炭素原子を有するアルキル基を表す。このようなアルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、およびイソ-プロピルである。
【0032】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」または「複素環式環」という用語は、単環式の環ならびに架橋した環、スピロ環および/または縮合環系(例えば、2または3つの環で構成されていてもよい)を含む環状基を指し、前記環状基は、O、S、およびNから独立して選択される1個または複数の(例えば、1、2、3、または4個の)環ヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素原子であり、1個もしくは複数のS環原子(存在する場合)および/または1個もしくは複数のN環原子(存在する場合)は任意選択で酸化されていてもよく、1個または複数の炭素環原子は任意選択で酸化されていてもよく(すなわち、オキソ基を形成する)、さらには、前記環状基は、飽和、部分的に不飽和(すなわち、不飽和であるが、芳香族ではない)または芳香族であってもよい。
【0033】
他に定義されていない限り、「ヘテロシクリル」は、好ましくはヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニルを指す。好ましくは、複素環は単環式環である。複素環式環の中の炭素およびヘテロ原子の数は、環員の数、すなわち、環を形成する原子(また「環原子」とも呼ばれる)の数を示すことにより定義することができる。例えば、5員複素環式環は、5個の環原子を含み、4員複素環式環は4個の環原子を含む。
【0034】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」または「芳香族複素環」という用語は、単環式の芳香族環ならびに少なくとも1つの芳香族環を含有する架橋環および/または縮合環系を含む芳香族環基(例えば、2つもしくは3つの縮合環で構成され、これら縮合環のうちの少なくとも1つが芳香族である環系;または2つもしくは3つの環で構成される架橋環系であって、これら架橋環の少なくとも1つが芳香族であるもの)を指し、前記芳香族環基は、O、SおよびNから独立して選択される1個または複数の(例えば、1、2、3または4個の)環ヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素原子であり、1個もしくは複数のS環原子(存在する場合)および/または1個もしくは複数のN環原子(存在する場合)は、任意選択で酸化されていてもよく、さらには、1個または複数の炭素環原子は、任意選択で酸化されていてもよい(すなわち、オキソ基を形成する)。好ましくは、芳香族複素環は単環式の環である。芳香族複素環の中の炭素およびヘテロ原子の数は、環員の数、すなわち、環を形成する原子(また「環原子」とも呼ばれる)の数を示すことにより定義することができる。例えば、5員芳香族複素環は5個の環原子を含む。例示的な5員芳香族複素環としては、ピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサチオリル、イソキサチオリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、フラザニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ジオキサゾリル、ジチアゾリル、およびテトラゾリルが挙げられる。
【0035】
当業者は、式(I)の化合物の置換基が、いくつかの異なる位置の対応する特定の置換基を介して、それぞれの化合物の残りに結合していてもよいことを認識している。他に定義されていない限り、様々な特定の置換基に対する好ましい結合位置は、実施例に例示されている通りである。
【0036】
本発明の範囲は、塩、特に式(I)の化合物の薬学的に許容される塩、例えば、プロトン付加を生じやすい電子の孤立した対を有する原子のプロトン付加により、例えば、アミノ基の、無機酸もしくは有機酸とのプロトン付加により、または酸性基(例えば、カルボン酸基)の、生理学的に許容されるカチオンとの塩として形成されてもよい塩を包含する。例示的な塩基付加塩としては、例えば:アルカリ金属塩、例えば、ナトリウムまたはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムまたはマグネシウム塩;亜鉛塩;アンモニウム塩;脂肪族アミン塩、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロカイン塩、メグルミン塩、エチレンジアミン塩、またはコリン塩;アラルキルアミン塩、例えば、N,N-ジベンジルエチレンジアミン塩、ベンザチン塩、ベネタミン塩;複素環芳香族アミン塩、例えば、ピリジン塩、ピコリン塩、キノリン塩またはイソキノリン塩;第四級アンモニウム塩、例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、メチルトリオクチルアンモニウム塩またはテトラブチルアンモニウム塩;および塩基性アミノ酸塩、例えば、アルギニン塩、リシン塩、またはヒスチジン塩が挙げられる。式(I)の化合物はナトリウム塩の形態であることが特に好ましい。例示的な酸付加塩としては、例えば:鉱酸塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩(例えば、硫酸塩または硫酸水素イオン塩)、硝酸塩、リン酸塩(例えば、リン酸塩、リン酸水素塩、または二水素リン酸塩)、炭酸塩、炭酸水素塩、過塩素酸塩、ホウ酸塩、またはチオシアン酸塩;有機酸塩、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、オクタン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、デカン酸塩、ウンデカン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、乳酸、マレイン酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、アジピン酸塩、グルコン酸塩、グリコン酸塩、ニコチン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、カンファー酸塩、グルコヘプタン酸塩、またはピバル酸塩;スルホン酸塩、例えば、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、エタンスルホン酸塩(エシル酸塩)、2-ヒドロキシエタンスルホネート(イセチオン酸塩)、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、p-トルエンスルホネート(トシル酸塩)、2-ナフタレンスルホネート(ナプシル酸塩)、3-フェニルスルホネート、またはカンファスルホン酸塩;グリセロリン酸塩;および酸性アミノ酸塩、例えば、アスパラギン酸塩またはグルタミン酸塩が挙げられる。式(I)の化合物の好ましい薬学的に許容される塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、メシル酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、およびリン酸塩が挙げられる。式(I)の化合物の特に好ましい薬学的に許容される塩は塩酸塩である。したがって、本明細書に記載されている特定の式(I)の化合物のいずれか1つを含む式(I)の化合物は、塩酸塩、臭化水素酸塩、メシル酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩の形態であることが好ましく、式(I)の化合物が塩酸塩の形態であることが特に好ましい。
【0037】
式(I)の化合物の塩基付加塩に関連して、コア構造のフェニル環を、コア構造の残りに架橋している窒素原子(すなわち前記窒素原子に結合している水素原子)は酸性であることが指摘されている。したがって、塩基付加塩、例えばナトリウム塩を形成することができるように脱プロトン化が可能である。したがって、本発明の好ましい実施形態では、式(I)の化合物の好ましい塩は、塩基付加塩、特にナトリウム塩を含む。
【0038】
式(I)の化合物の酸付加塩に関連して、コア構造の窒素原子は典型的には、酸付加塩の形成に対して十分な塩基性を有さないことが指摘されている。しかし、例えば、置換基R3aが塩基性窒素原子を保持する場合、例えば、R3aがイミダゾール環の場合、プロトン付加は可能であり、よって酸付加塩、例えば、塩酸塩を形成することができる。したがって、本発明のある特定の実施形態では、式(I)の化合物の好ましい塩は、酸付加塩、特に塩酸塩を含む。
【0039】
「溶媒和物」は、1個または複数の溶媒分子と式(I)の化合物との会合または複合体を指す。溶媒和物を形成する溶媒の例としては、これらに限定されないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、酢酸、アセトニトリル(acetonitril)、およびエタノールアミンが挙げられる。「水和物」という用語は、溶媒分子が水である複合体を指す。式(I)の化合物のこのような溶媒和物はまた、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩の溶媒和物も含むことを理解されたい。
【0040】
「共結晶」とは、周囲条件下で、これらの純粋な形態において固体である少なくとも2種の異なる化合物を含有する結晶構造を指す。共結晶は、中性の分子種から作製され、すべての種は、結晶化後、中性のままである。さらに、典型的にはおよび好ましくは、これらは、2種またはより多くの構築化合物が、定義された化学量論的比で存在する結晶性の均一相材料である。ここでWang YおよびChen A、2013年;ならびにSpringuel GRら、2012年、ならびに米国特許第6,570,036号を参照されたい。
【0041】
式(I)の化合物は、定義された立体化学を有する。本発明は、式(I)の化合物の互変異性体、例えばイミン-エナミン互変異性体を包含する。
【0042】
式(I)の化合物は、非晶質であってもよいし、または1種もしくは複数の異なる結晶状態(多形)で存在してもよく、この結晶状態は、異なる巨視的特性、例えば、安定性を有することができ、または異なる生物学的特性、例えば、活性を示すこともできる。本発明は、式(I)の化合物の非晶質および結晶形態、式(I)の化合物の異なる結晶状態の混合物、ならびにその非晶質または結晶性の塩に関する。
【0043】
本発明の範囲はまた、1個または複数の原子が対応する原子の特定の同位体で置き換えられている式(I)の化合物を包含する。例えば、本発明は、1個または複数の水素原子(または、例えば、すべての水素原子)が重水素原子(すなわち、2H;また「D」とも呼ばれる)で置き換えられている式(I)の化合物を包含する。したがって、本発明はまた、重水素を豊富に含む式(I)の化合物を包含する。天然に存在する水素は、約99.98モル%の水素-1(1H)および約0.0156モル%の重水素(2HまたはD)を含む同位体の混合物である。式(I)の化合物の1個または複数の水素の位置における重水素の含有量は、当技術分野で公知の重水素化技術を使用して増加させることができる。例えば、式(I)の化合物または式(I)の化合物の合成に使用される反応物質もしくは前駆体は、例えば、重水(D2O)を使用してH/D交換反応に供することができる。さらなる適切な重水素化技術は、Atzrodt Jら、Bioorg Med Chem、20巻(18号)、5658~5667頁、2012年;William JSら、Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals、53巻(11~12号)、635~644頁、2010年;Modvig Aら、J Org Chem、79巻、5861~5868頁、2014年に記載されている。重水素の含有量は、例えば、質量分析法または核磁気共鳴分光法を使用して決定することができる。他に具体的に指摘されていない限り、式(I)の化合物は重水素を豊富に含まないことが好ましい。したがって、天然に存在する水素原子または1H水素原子が式(I)の化合物中に存在することが好ましい。
【0044】
本発明はまた、1個または複数の原子が対応する原子のポジトロン発光同位体、例えば、18F、11C、13N、15O、76Br、77Br、120Iおよび/または124Iで置き換えられている式(I)の化合物を包含する。このような化合物は、ポジトロン放出断層撮影(PET)におけるトレイサーまたは画像化調査として使用することができる。よって、本発明は、(i)1個または複数のフッ素原子(または、例えば、すべてのフッ素原子)が18F原子で置き換えられている式(I)の化合物、(ii)1個または複数の炭素原子(または、例えば、すべての炭素原子)が11C原子で置き換えられている式(I)の化合物、(iii)1個または複数の窒素原子(または、例えば、すべての窒素原子)が13N原子で置き換えられている式(I)の化合物(iv)1個または複数の酸素原子(または、例えば、すべての酸素原子)が15O原子で置き換えられている式(I)の化合物、(v)1個または複数の臭素原子(または、例えば、すべての臭素原子)が76Br原子で置き換えられている式(I)の化合物、(vi)1個または複数の臭素原子(または、例えば、すべての臭素原子)が77Br原子で置き換えられている式(I)の化合物、(vii)1個または複数のヨウ素原子(または、例えば、すべてのヨウ素原子)が120I原子で置き換えられている式(I)の化合物、および(viii)1個または複数のヨウ素原子(または、例えば、すべてのヨウ素原子)が124I原子で置き換えられている式(I)の化合物を含む。一般的に、式(I)の化合物の原子のいずれも、特定の同位体で置き換えられていないことが好ましい。
【0045】
「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、本明細書で使用される場合、医薬組成物に一般的に含まれる化合物を指し、これら賦形剤は当業者には公知である。適切な賦形剤の例は、以下に列挙された例示的なものである。典型的に、薬学的に許容される賦形剤は、薬学的に不活性と定義され得る。
【0046】
本発明の好ましい実施形態は、本明細書でこれより以下に定義されている。
上記に示されている通り、本発明は、式(I)の化合物
【0047】
【0048】
[式中、
R3aは、5員複素環式環であり、この複素環式環は、OおよびNから選択される、1個または複数の、同じまたは異なるヘテロ原子を含み、各置換可能な炭素またはヘテロ原子は、独立して、非置換であるか、またはC1~C3-アルキルおよび4員複素環式環から選択される、1個もしくは複数の、同じもしくは異なる置換基で置換されており、この複素環式環は、O、N、またはSから選択される、1個または複数の、同じまたは異なるヘテロ原子を含み、
R3bは、H、F、Cl、およびCH3から選択される]であって、
【0049】
【0050】
のうちのいずれの1つでもない化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物の一態様に関する。
一実施形態では、本発明は、
【0051】
【0052】
のうちのいずれの1つまたはその塩でもない、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物に関する。
一実施形態では、本発明は、
【0053】
【0054】
のうちのいずれの1つまたはその塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物でもない、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物に関する。
【0055】
一実施形態では、本発明は、R3aが5員ヘテロアリール環であり、このヘテロアリール環が、OおよびNから選択される、1個または複数の、同じまたは異なるヘテロ原子を含み、各置換可能な炭素またはヘテロ原子が、独立して、非置換であるか、またはCH3およびオキセタニルから選択される1個もしくは複数の、同じもしくは異なる置換基で置換されている、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物に関する。
【0056】
好ましい実施形態では、R3aは、イミダゾリル、トリアゾリル、およびオキサジアゾリルからなる群から選択され、各置換可能な炭素またはヘテロ原子は、独立して、非置換であるか、またはCH3およびオキセタニルから選択される1個もしくは複数の、同じもしくは異なる置換基で置換されている。
【0057】
別の実施形態では、本発明は、R3bがH、F、およびCH3から選択される、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物に関する。
【0058】
好ましい実施形態では、本発明は、式(I)の化合物が、
【0059】
【0060】
からなる群から選択される、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物に関する。
1つの特に好ましい実施形態では、本発明は、
【0061】
【0062】
である、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物に関する。
【0063】
別の特に好ましい実施形態では、本発明は、
【0064】
【0065】
である、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物に関する。
【0066】
別の特に好ましい実施形態では、本発明は、
【0067】
【0068】
である、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物に関する。
【0069】
別の特に好ましい実施形態では、本発明は、
【0070】
【0071】
である、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物に関する。
【0072】
別の特に好ましい実施形態では、本発明は、
【0073】
【0074】
である、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、もしくは混合物に関する。
【0075】
また別の特に好ましい実施形態では、本発明は、ナトリウム塩の形態の式(I)の化合物であって、式(I)の化合物のナトリウム塩が、以下の構造:
【0076】
【0077】
を有する、式(I)の化合物に関する。
【0078】
本発明の化合物は、好ましくはOPM2細胞の代謝活性により間接的に測定した、1000nMまたはそれ未満、好ましくは500nMまたはそれ未満、より好ましくは100nMまたはそれ未満、さらにより好ましくは50nMまたはそれ未満、特に好ましくは10nMまたはそれ未満のEC50で、多発性骨髄腫細胞増殖および/または生存を阻害する。OPM2増殖によるこの妨害は、CBP/p300ブロモドメイン阻害により誘発される確立した現象であり、化合物のCBP/p300ブロモドメイン阻害とよく相関する。(Raisner;Cell Reports、2018年、24巻、1722~1729頁、https://doi.org/10.1016/j.celrep.2018.07.041;own data)。
【0079】
本発明の化合物は、好ましくはp300およびCBPのブロモドメインに結合する。一実施形態では、本発明の化合物は、p300のブロモドメインおよびCBPのブロモドメインに結合し、1000nMまたはそれ未満、好ましくは500nMまたはそれ未満、より好ましくは100nMまたはそれ未満、さらにより好ましくは50nMまたはそれ未満、特に好ましくは10nMまたはそれ未満のEC50での活性がある。
【0080】
本発明は、本発明の化合物ならびに任意選択で1種または複数の薬学的に許容される賦形剤(複数可)および/または担体を含む医薬組成物にさらに関する。
【0081】
本発明の化合物および組成物で治療することができるがんの種類は、典型的に、非黒色腫皮膚がん、食道胃腺癌、神経膠芽腫、膀胱がん、膀胱尿路上皮癌、食道胃がん、黒色腫、非小細胞肺がん、子宮内膜がん、子宮頚部腺癌、食道扁平上皮癌、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、胚細胞腫瘍、小細胞肺がん、卵巣がん、軟部組織肉腫、肝細胞癌、結腸直腸腺癌、子宮頚部扁平上皮癌、胆管癌、前立腺がん、上部尿路上皮癌、びまん性神経膠腫、結腸直腸がん、十二指腸乳頭部癌、副腎皮質癌、頭頸部がん、腎明細胞癌、肝胆道がん、神経膠腫、非ホジキンリンパ腫、中皮腫、唾液腺がん、腎非明細胞癌、様々な神経上皮腫瘍、褐色細胞腫、胸腺腫瘍、多発性骨髄腫、腎細胞癌、骨がん、膵臓がん、白血病、末梢神経系腫瘍、甲状腺がん、Bリンパ芽球白血病、モノクローナルB細胞リンパ球増加症、リンパ腫、有毛細胞白血病、急性骨髄性白血病、ウィルムス腫瘍、特に黒色腫、ならびに非小細胞肺がん、特に黒色腫および非小細胞肺がんから選択される。上記疾患は典型的には、RTK(EGFR、ERBB2、ERBB3、ERBB4、PDGFA、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、KIT、FGF1、FGFR1、IGF1、IGFR、VEGFA、VEGFB、KDR)および/またはMAPK経路メンバー(KRAS、HRAS、BRAF、RAF1、MAP3K1/2/3/4/5、MAP2K1/2/3/4/5、MAPK1/3/4/6/7/8/9/12/14、DAB、RASSF1、RAB25)の3%を超える突然変異発症率を示す。
【0082】
さらなる実施形態では、腫瘍は、副腎皮質癌、星状細胞腫、基底細胞癌、カルチノイド、心臓、胆管の癌、脊索腫、慢性骨髄増殖性腫瘍、頭蓋咽頭腫、非浸潤性乳管癌、上衣細胞腫、眼内黒色腫、消化菅カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、妊娠性絨毛性疾患、神経膠腫、組織球症、白血病{例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(myelogenous leukemia)(CML)、有毛細胞白血病、骨髄性白血病、骨髄性白血病)}、リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫[非ホジキンリンパ腫]、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、菌状息肉腫、セザリー症候群、AIDS関連リンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)、骨髄異形成症候群、乳頭腫症、傍神経節腫、褐色細胞腫、胸膜肺芽腫、網膜芽腫、肉腫(例えば、ユーイング肉腫、カポジ肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、子宮肉腫、血管系肉腫)、ウィルムス腫瘍、および/または副腎皮質、肛門、虫垂、胆管、膀胱、骨、脳、乳房、気管支、中枢神経系、子宮頚部、結腸、子宮内膜、食道、眼、卵管、胆嚢、消化管、胚細胞、頭頸部、心臓、腸、腎臓(例えば、ウィルムス腫瘍)、喉頭、肝臓、肺(例えば、非小細胞肺がん、小細胞肺がん)、口、鼻腔、口腔、卵巣、膵臓、直腸、皮膚、胃、精巣、喉、甲状腺、陰茎、咽頭、腹膜、下垂体、前立腺、直腸、唾液腺、尿管、尿道、子宮、膣、外陰部のがん、または聴神経腫瘍、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(myelocytic leukemia)、急性t細胞白血病、基底細胞癌、胆管癌、膀胱がん、脳がん、乳がん、気管支原性肺癌、子宮頸がん、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛癌、慢性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、増殖不全性変化、胚性癌、子宮内膜がん、内皮肉腫、上衣細胞腫、上皮癌、赤白血病、食道がん、エストロゲン受容体陽性乳がん、本態性血小板血症、ユーイング腫瘍、線維肉腫、濾胞性リンパ腫、胚細胞精巣がん、神経膠腫、神経膠芽腫、神経膠肉腫、重鎖病、頭頸部がん、血管芽腫、肝癌、肝細胞がん、ホルモン非感受性前立腺がん、平滑筋肉腫、白血病、脂肪肉腫、肺がん、リンパ管内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ芽球性白血病、リンパ腫、T細胞またはB細胞由来のリンパ系悪性腫瘍、髄様癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄性白血病、骨髄腫、粘液肉腫、神経芽細胞腫、NUT正中線癌(NMC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、乏突起膠腫、口腔のがん、骨原性肉腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭状腺癌、乳頭状癌、松果体腫、真性赤血球増加症、前立腺がん、直腸がん、腎細胞癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫、肉腫、脂腺癌、精上皮腫、皮膚がん、小細胞肺癌、固形腫瘍(癌腫および肉腫)、小細胞肺がん、胃がん、扁平上皮癌、s)movioma、汗腺癌、甲状腺がん、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、精巣の腫瘍、子宮がん、またはウィルムス腫瘍であってもよい。
【0083】
腫瘍はまた、アンドロゲン受容体(AR)シグナル伝達に依存する、またはc-Mycを過剰発現する、またはがんにおいて、CBPおよび/もしくはp300機能が活性化するような腫瘍であってもよい。治療することができるがんは、ARを発現するがん、またはさもなければ、ARに関連するがん、CBPまたはp300に機能欠失型変異を宿すがん、ならびに活性化したCBPおよび/またはp300を有するがんを含む。治療することができるがんは、これらに限定されないが、前立腺がん、乳がん、膀胱がん、肺がん、リンパ腫および白血病を含む。前立腺がんは、例えば、去勢耐性前立腺がん(CRPC)であってもよい。肺がんは、例えば、非小細胞肺がんまたは小細胞肺がんであってもよい。
【0084】
特に、本発明は、がんの治療または軽快に使用するための本発明の化合物または本発明の医薬組成物であって、好ましくは、がんが、黒色腫、非小細胞肺がん、前立腺がん、胆管がん、膀胱がん、膵臓がん、甲状腺がん、卵巣がん、結腸直腸の腫瘍、有毛細胞白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、肝臓がん、乳がん、食道がん、頭頸部がんおよび神経膠腫、特に多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、前立腺がんおよび非小細胞肺がんから選択される、本発明の化合物または本発明の医薬組成物に関する。
【0085】
本発明は、上記に示されている通り使用するための本発明の化合物または本発明の医薬組成物であって、第2の治療剤と組み合わせて使用され、好ましくは前記治療剤が抗がん剤である、本発明の化合物または本発明の医薬組成物にさらに関する。
本発明は、がんを治療するまたは軽快させる方法であって、好ましくはがんが、黒色腫、非小細胞肺がん、前立腺がん、胆管がん、膀胱がん、膵臓がん、甲状腺がん、卵巣がん、結腸直腸の腫瘍、有毛細胞白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、肝臓がん、乳がん、食道がん、頭頸部がんおよび神経膠腫、特に多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、前立腺がんおよび非小細胞肺がんから選択され、方法が、それを必要とする患者に、本発明の化合物または本発明の医薬組成物の治療有効量を投与することを含む方法にさらに関する。
【0086】
本発明はまた、薬物耐性を予防するまたは遅らせることにより、がんを治療するまたは軽快させる方法であって、それを必要とする患者に、本発明の化合物または本発明の医薬組成物の治療有効量を投与することを含む方法に関する。
【0087】
さらに、本発明は、がんを治療するまたは軽快させるための医薬の製造のための、本発明の化合物または本発明の医薬組成物の使用に関する。
【0088】
さらに、本発明は、薬物耐性を予防するまたは遅らせることにより、がんを治療するまたは軽快させるための医薬の製造のための、本発明の化合物または本発明の医薬組成物の使用に関する。
非小細胞肺がん(NSCLC)に関する実施形態
【0089】
一態様において本発明はまた、NSCLCを患っている患者の治療に使用するための、EGFR阻害剤と組み合わせた本発明の化合物または本発明の医薬組成物であって、このNSCLCがEGFRにおいて発がん性変化を示す、本発明の化合物または本発明の医薬組成物に関する。この態様はまた、NSCLCを患っている患者の治療に使用するための、EGFR阻害剤と組み合わせた本発明の化合物または本発明の医薬組成物と呼ぶこともでき、このNSCLCは、組合せに使用されているEGFR阻害剤のラベルの1種もしくは複数の徴候に付与されたEGFR突然変異プロファイルを特徴とする、またはこのNSCLCは、組合せに使用されているEGFR阻害剤による、臨床試験設定において標的とされるEGFR突然変異プロファイルを特徴とする。
【0090】
この態様の好ましい実施形態では、EGFRにおける発がん性変化は、EGFRの過剰活性化を結果として生じる。EGFRにおける発がん性変化は、構成的に活性のあるEGFRさえもたらすことができる(EGFRの酵素活性、すなわちタンパク質-キナーゼ活性が、構成的に活性があるという意味で)。
【0091】
この態様のさらに好ましい実施形態では、EGFRにおける発がん性変化は、EGFR遺伝子のエクソン18またはエクソン19またはエクソン20における欠失および/または挿入;EGFR遺伝子におけるキナーゼドメイン複製;EGFR遺伝子の増幅;L858R、G719S、G719A、G719C、V765A、T783A、S768I、S768V、L861Q、E709X、L819Q、A750Pおよびこれらの組合せからなる群から選択される、EGFRにおけるアミノ酸置換をもたらすEGFR遺伝子の少なくとも1つの塩基の突然変異;ならびに前述のうちのいずれかの組合せにより引き起こされる。発がん性変化は、EGFR遺伝子のエクソン19における欠失;EGFR遺伝子のエクソン20における挿入;L858R、G719S、G719A、G719C、V765A、T783A、S768I、S768V、L861Q、E709X、L819Q、A750Pおよびこれらの組合せからなる群から選択される、EGFRにおけるアミノ酸置換をもたらすEGFR遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異;ならびに前述のうちのいずれかの組合せにより引き起こされることが好ましいこともある。発がん性変化が、EGFR遺伝子のエクソン19における欠失;EGFRにおけるアミノ酸置換L858RをもたらすEGFR遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異;およびこれらの組合せにより引き起こされることが好ましいこともある。EGFR遺伝子のエクソン18の欠失および挿入は、特に、EGFRにおけるE709-T710の欠失をもたらす欠失およびEGFRにおけるこの位置でのDの挿入である。EGFR遺伝子のエクソン19における欠失は、特に、EGFRにおけるE746-A750またはL747-E749の欠失をもたらす欠失である。EGFRのエクソン19における欠失および挿入は、特に、EGFRにおけるL747-A750の欠失をもたらす欠失およびEGFRにおけるこの位置でのPの挿入、またはEGFRにおけるL747-T751の欠失をもたらす欠失およびEGFRにおけるこの位置でのSの挿入である。EGFR遺伝子のエクソン20の挿入は、特に、D761-E762、A763-Y764、Y764-V765、A767-S768、S768-V769、V769-D770、D770-N771、N771-P772、P772-H773、H773-V774、V774-C775、V765-M766、およびこれらの組合せからなる群から選択される2種のアミノ酸の間の、EGFRにおけるある位置でのアミノ酸の挿入(任意のアミノ酸またはXという意味で)をもたらす挿入である。発がん性変化は、EGFR遺伝子のエクソン19における欠失(特に、EGFRにおいてE746-A750またはL747-E749の欠失をもたらす欠失);EGFRにおいてアミノ酸置換L858RまたはA750Pをもたらす、EGFR遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異;およびこれらの組合せにより引き起こされることが最も好ましいこともある。発がん性変化が、EGFR遺伝子のエクソン19における欠失、またはEGFRにおいてアミノ酸置換L858Rをもたらす、EGFR遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異により引き起こされることもまた極めて好ましいこともある。本明細書で「X」がアミノ酸として言及された場合、「X」は任意のアミノ酸を示す(しかし当然のことながら、適用可能な場合、例えばE709Xに対して、それぞれの位置において野生型アミノ酸とは異なるアミノ酸である)。
【0092】
本態様の一実施形態では、NSCLCは、EGFRにおいて耐性変化をさらに示さない。したがって、本発明の使用のための、EGFR阻害剤と組み合わせた本発明の化合物または本発明の医薬組成物は、一次治療として使用され、組合せのEGFR阻害剤は、EGFRにおいて発がん性変化を示すNSCLCを治療するために投与される(または適応される)任意のEGFR阻害剤であってもよい。
【0093】
本態様の別の実施形態では、NSCLCは、EGFRにおいて耐性変化をさらに示す。EGFRにおける耐性変化は、特に、T790M、C797X(主にC797S)、L792X、G796X、L718Q、L718V、G724S、D761Y、V834L、T854A、およびこれらの組合せからなる群から選択される、EGFRにおけるアミノ酸置換をもたらす、EGFR遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異により引き起こされ得る。EGFRにおける耐性変化が、T790M、C797X(主にC797S)、L718Q、L718V、T854A、およびこれらの組合せからなる群から選択されるEGFRにおいてアミノ酸置換をもたらす、EGFR遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異により引き起こされることが好ましいこともある。EGFRにおける耐性変化が、EGFRにおいてアミノ酸置換T790MをもたらすEGFR遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異により引き起こされることが最も好ましい。本明細書で「X」がアミノ酸として言及された場合、「X」は任意のアミノ酸を示す(しかし当然、例えばC797Xに対して、適用可能な場合、それぞれの位置において野生型アミノ酸とは異なるアミノ酸である)。
【0094】
NSCLCがEGFRにおいて耐性変化をさらに示す場合、患者は、最初は効果があったが、その後耐性の発生により、特にEGFR耐性変化の発生により効果がなくなった(第1の)EGFR阻害剤で以前に治療していた。本発明に使用するための組合せにおいて、このようなシナリオでのEGFR阻害剤は、以前に投与された(第1の)EGFR阻害剤ではなく、単独で投与された場合に少なくとも1つの耐性変化はあるが、最初は治療効果のある(第2または第3の)EGFR阻害剤であるということを理解することが重要である。この(第2または第3の)EGFR阻害剤に対するさらなる耐性がやがて発生し、この(第2のまたは第3の)EGFR阻害剤が最終的にはまた効果のないものになってしまうというのが共通の観察であるため、ここでは「最初の治療上の有効性」と呼んでいる。このようなシナリオで、本発明の使用のための組合せは、二次治療または三次治療として使用される。例を挙げると、ゲフィチニブは、発がん性変化を示す、NSCLCを患っている患者に以前に投与されていた可能性があり(一次治療として単独で)、ゲフィチニブでの治療が時間の経過と共に効果的でなくなり(典型的には、約10~約12カ月の期間の後)、ゲフィチニブでの治療中にEGFR T790M耐性変化が腫瘍において発生したという発見(例えば、EGFR突然変異を検出するための生検および対応する試験を介して)があった。このような状況で、ゲフィチニブは、本発明の使用のための組合せに使用されない。ただし、特にEGFR T790M突然変異陽性NSCLCを有する患者(その疾患がEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)療法を受けている間またはその後に進行した)の治療に効果的であることが示されている(および適応される)オシメルチニブは除く。
【0095】
上記を考慮に入れ、一実施形態では、本発明は、NSCLCを患っている患者の治療に使用するための、EGFR阻害剤と組み合わせた本発明の化合物または本発明の医薬組成物であって、このNSCLCがEGFRにおいて発がん性変化を示す、本発明の化合物または本発明の医薬組成物に関するが、ただし、NSCLCがEGFR阻害剤の過去の投与によりEGFRにおける耐性変化をさらに示す場合、この組合せのEGFR阻害剤は、以前に投与されたEGFR阻害剤ではなく、特に、EGFRにおいて耐性変化(すなわち、以前に投与されたEGFR阻害剤を治療的効果のないものにした耐性変化)が生じても、治療効果のあるEGFR阻害剤であることを条件とする。また、本発明の本態様による使用のための、EGFR阻害剤と組み合わせた本発明の化合物または本発明の医薬組成物と呼ぶことができるのは、NSCLCが、EGFR阻害剤の以前の投与により、EGFRにおける耐性変化をさらに示す場合、この組合せのEGFR阻害剤は、以前に投与されたEGFR阻害剤ではなく、耐性変化が生じても、単独で投与された場合、第1の治療サイクルの間に治療効果のあるEGFR阻害剤であることを条件とする、またはNSCLCが、EGFR阻害剤の以前の投与により、EGFRにおける耐性変化をさらに示す場合、この組合せのEGFR阻害剤は、以前に投与されたEGFR阻害剤ではなく、EGFRにおける耐性変化をさらに示すNSCLCの治療に適応されるEGFR阻害剤であることを条件とする。
【0096】
2種の特定のEGFR阻害剤(すなわち「X」および「組合せのEGFR阻害剤」)に関する一例を挙げると、上記段落は、一実施形態では、NSCLCを患っている患者の治療に使用するための、EGFR阻害剤と組み合わせた本発明の化合物または本発明の医薬組成物であって、NSCLCがEGFRにおいて発がん性変化を示す本発明の化合物または本発明の医薬組成物について言及していると考えられるが、ただし、NSCLCが、EGFR阻害剤Xの過去の投与により、EGFRにおいて耐性変化をさらに示す場合、この組合せのEGFR阻害剤はEGFR阻害剤Xではないことを条件とする。この組合せのEGFR阻害剤は、EGFRにおける耐性変化(すなわち、以前に投与されたEGFR阻害剤Xを治療効果のないものにした耐性変化)が生じても、治療効果があることが指摘されている。
【0097】
本態様の別の実施形態では、EGFR阻害剤は小分子阻害剤または抗体である。よって、このような実施形態では、EGFR阻害剤は、核酸ベースの阻害剤、例えば、EGFRへと向けられるshRNAまたはRNAiではない。第1の態様のさらに別の実施形態では、EGFR阻害剤は小分子阻害剤である。第1の態様のさらなる実施形態では、EGFR阻害剤はEGFRのチロシンキナーゼ活性を阻害する。
【0098】
EGFR阻害剤は、ABBV-321、アビベルチニブ、アファチニブ、AFM24、アルフルチニブ(AST2818)、アルモネルチニブ(HS-10296)、アパチニブ、ASK120067、アビチニブ(AC0010)、AZD3759、BBT-176、BTDX-1535、BLU-451、BLU-701、BLU-945、ブリグチニブ、CK-101(RX-518)、CLN-081(TAS6417)、CM93、D0316、D0317、D0318、ダコミチニブ、DZD9008、EMB-01、エルロチニブ、FCN-411、ゲフィチニブ、イコチニブ、ケイナチニブ(keynatinib)、ラパチニブ、ラゼルチニブ、MCLA-129、MRG003、モボセルチニブ、ナザルチニブ、ネラチニブ、オラフェルチニブ(olafertinib)、オシメルチニブ、ポジオチニブ、ピロチニブ、レジベルチニブ、SH-1028(オリチニブ)、ステチニブ(sutetinib)、TAS2940、TAS6417、バンデタニブ、バルリチニブ、XZP-5809、アミバンタマブ、CDP1、セツキシマブ、GC1118、HLX07、JMT101、M1231、ネシツムマブ、ニモツズマブ、マツズマブ、パニツムマブ、SCT200、SI-B001、SYN004、Z650、ザルツムマブ、ZN-e4、ZZ06、およびこれらの組合せからなる群から選択することができる。EGFR阻害剤は代わりに、ABBV-321、アビベルチニブ、アファチニブ、アルフルチニブ、アルモネルチニブ、アパチニブ、AZD3759、ブリグチニブ、D0316、D0317、D0318、ダコミチニブ、DZD9008、エルロチニブ、FCN-411、ゲフィチニブ、イコチニブ、ラパチニブ、ラゼルチニブ、モボセルチニブ、ナザルチニブ、ネラチニブ、オラフェルチニブ、オシメルチニブ、ポジオチニブ、ピロチニブ、レジベルチニブ、TAS6417、バンデタニブ、バルリチニブ、XZP-5809、アミバンタマブ、CDP1、セツキシマブ、GC1118、HLX07、JMT101、M1231、ネシツムマブ、ニモツズマブ、マツズマブ、パニツムマブ、SCT200、SI-B001、SYN004、ザルツムマブ、およびこれらの組合せからなる群から選択することもできる。好ましい実施形態では、EGFR阻害剤は、アビベルチニブ、アファチニブ、アルフルチニブ、アルモネルチニブ、アパチニブ、AZD3759、ブリグチニブ、D0316、D0317、D0318、ダコミチニブ、DZD9008、エルロチニブ、FCN-411、ゲフィチニブ、イコチニブ、ラパチニブ、ラゼルチニブ、モボセルチニブ、ナザルチニブ、ネラチニブ、オラフェルチニブ、オシメルチニブ、ポジオチニブ、ピロチニブ、レジベルチニブ、TAS6417、バンデタニブ、バルリチニブ、XZP-5809、およびこれらの組合せからなる群から選択される。より好ましい実施形態では、EGFR阻害剤は、ゲフィチニブまたはオシメルチニブである。EGFR阻害剤がオシメルチニブであることが最も好ましいこともある。
【0099】
本態様の好ましい実施形態では、本発明の化合物または本発明の医薬組成物は、各治療サイクルの間、EGFR阻害剤と組み合わせて患者に投与される。
【0100】
本態様のさらなる別の実施形態では、EGFR阻害剤は、第1の治療サイクルの間、唯一の活性剤として投与され、これに続き、その後の治療サイクルの間、本発明の化合物または本発明の医薬組成物が追加投与され、EGFRにおける耐性変化は、第1の治療サイクルの間(すなわち、本発明の組合せの投与前)のEGFR阻害剤の単独での投与に応答して未だ発生していない。上述のように、耐性変化の発生は、例えば、EGFR突然変異を検出するための生検および対応する試験を介して評価することができる。
【0101】
本態様の別の実施形態では、(i)本発明の化合物または本発明の医薬組成物および(ii)EGFR阻害剤は、別個の剤形として投与されるか、または単一剤形内に含められる。(i)および(ii)が別個の剤形として投与される場合、各治療サイクルの間の投与は、同時または逐次的であってもよい。これは、本発明の化合物または本発明の医薬組成物が最初に投与され、EGFR阻害剤の投与が続くというオプションを含む。
【0102】
本態様のさらに別の実施形態では、治療は、唯一の活性剤として投与された場合のEGFR阻害剤の治療効果の期間と比較して、EGFR阻害剤の治療効果の期間の延長を結果として生じる。さらに別の実施形態では、治療は、唯一の活性剤として投与された場合のEGFR阻害剤の治療有効性と比較して、EGFR阻害剤の治療有効性の増加を結果として生じる。別の実施形態では、治療は、EGFR阻害剤に対する耐性の予防を結果として生じる。
【0103】
本態様の別の実施形態では、本発明の化合物は、約1mg~約3000mgの間、好ましくは約10mg~約2000mgの間、より好ましくは約15mg~約1000mgの間の1日量で投与される。本発明の化合物は、約10mg、約15mg、約20mg、約50mg、約100mg、約250mg、約500mg、約1000mg、約1500mg、約2000mg、約2500mg、または約3000mgの1日量で投与されることが好ましいこともある。投与は、断続的に行われてもよい、すなわち毎日ではなく、投与がなされる日に、上述されている1日量が投与されてもよい。
【0104】
本態様の別の実施形態では、EGFR阻害剤は、EGFR阻害剤が唯一の活性剤として投与される場合、典型的1日量の範囲である1日量(特に、可能な場合、ラベルにEGFR阻害剤に対して記述されている1日量)で投与される。典型的1日量(または可能な場合、適応される1日量)は、使用されることになる特定のEGFR阻害剤に依存する。よって、ゲフィチニブは、例えば、本発明の使用のための組合せで、約50~約300mgの間、好ましくは約100mg~約250mgの間、最も好ましくは約150mg~約250mgの間の1日量で投与されてもよい。オシメルチニブは、例えば、本発明の使用のための組合せで、約5~約1500mgの間、好ましくは約10mg~約100mgの間、最も好ましくは約50mg~約80mgの間の1日量で投与されてもよい。エルロチニブは、例えば、本発明の使用のための組合せで、約10mg~約300mgの間、好ましくは約25mg~約200mgの間、最も好ましくは約100mg~約150mgの間の1日量で投与されてもよい。アファチニブは、例えば、本発明の使用のための組合せで、約5mg~約100mgの間、好ましくは約10mg~約80mgの間、最も好ましくは約20mg~約40mgの間の1日量で投与されてもよい。ダコミチニブは、例えば、本発明の使用のための組合せで、約5mg~約100mgの間、好ましくは約10mg~約80mgの間、最も好ましくは約15mg~約50mgの間の1日量で投与されてもよい。
【0105】
第1の態様の別の実施形態では、EGFR阻害剤は、EGFR阻害剤が唯一の活性剤として投与される場合の上述された典型的1日量より低い1日量で投与される。言い換えると、EGFR阻害剤が唯一の活性剤ではなく、本発明の化合物または本発明の医薬組成物との組合せで投与される場合、EGFR阻害剤は、EGFR阻害剤が唯一の活性剤として投与される場合に使用される量より低い量で投与されてもよい。これは、例えば、上記に付与された例に対して、1日量は付与された範囲の下端である、またはこれらの範囲未満の量でさえあることを意味する。
本態様のまたさらなる実施形態では、本発明は、非小細胞肺がん(NSCLC)を患っている患者の治療に使用するための、(ii)EGFR阻害剤と組み合わせた、(i)本発明の化合物であって、NSCLCがEGFRにおいて発がん性変化を示し、本発明の化合物が、
【0106】
【0107】
からなる群から選択される、本発明の化合物を対象とする。
【0108】
本実施形態では、EGFR阻害剤はオシメルチニブであり、発がん性変化はEGFR遺伝子のエクソン19における欠失(特に、EGFRにおけるE746-A750またはL747-E749の欠失をもたらす欠失);EGFRにおいてアミノ酸置換L858RまたはA750Pをもたらす、EGFR遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異;およびこれらの組合せにより引き起こされることが好ましいこともある。EGFRにおける耐性変化に対応する、EGFRにおいてアミノ酸置換T790Mをもたらす、EGFR遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異は、EGFR阻害剤がオシメルチニブである実施形態に存在してもしなくてもよい。
【0109】
関連した態様では、本発明は、それを必要とする患者においてNSCLCを治療する方法であって、(i)本発明の化合物の有効量および(ii)EGFR阻害剤の有効量を患者に投与することを含み、NSCLCがEGFRにおいて発がん性変化を示す、方法を対象とする。
【0110】
別の関連した態様では、本発明は、それを必要とする患者においてEGFR阻害剤の治療効果の期間を延長する方法であって、(i)本発明の化合物の有効量および(ii)EGFR阻害剤の有効量を患者に投与することを含み、NSCLCがEGFRにおいて発がん性変化を示す、方法を対象とする。言い換えると、EGFR阻害剤の治療効果の期間(組み合わせて投与された場合)は、NSCLC治療において唯一の活性剤として投与された場合のEGFR阻害剤(inhibitior)の治療効果の期間と比較して延長される。
【0111】
別の関連した態様では、本発明は、それを必要とする患者においてEGFR阻害剤の治療有効性を増加させる方法であって、(i)本発明の化合物の有効量および(ii)EGFR阻害剤の有効量を患者に投与することを含み、NSCLCがEGFRにおいて発がん性変化を示す、方法を対象とする。言い換えると、EGFR阻害剤の治療有効性(組み合わせて投与された場合)は、NSCLC治療において唯一の活性剤として投与された場合のEGFR阻害剤の治療有効性と比較して増加する。
【0112】
別の関連した態様では、本発明は、NSCLC細胞の増殖を遮断する方法であって、(i)本発明の化合物の有効量および(ii)EGFR阻害剤の有効量を細胞に投与することを含み、NSCLC細胞がEGFRにおいて発がん性変化を示す、方法を対象とする。
【0113】
別の関連した態様では、本発明は、NSCLC細胞の増殖を遅らせる方法であって、(i)本発明の化合物の有効量および(ii)EGFR阻害剤の有効量を細胞に投与することを含み、NSCLC細胞がEGFRにおいて発がん性変化を示す、方法を対象とする。
【0114】
上記の関連した態様では、最初の態様に対して上記に概説されている実施形態が同等に適用される。
【0115】
「EGFR」という用語は、本明細書で使用される場合、「上皮成長因子受容体」を指す。EGFRは、上皮成長因子を含むその特定のリガンドの結合により活性化する膜貫通タンパク質である。その成長因子リガンドによる活性化により、EGFRは、不活性なモノマー形態から、活性のあるホモダイマーへと転移する。リガンド結合後のホモダイマーの形成に加えて、EGFRは、ErbBレセプターファミリーの別のメンバー、例えば、ErbB2/Her2/neuと対を形成して、活性化したヘテロダイマーを作り出すこともできる。EGFRダイマー化は、その内因性細胞内タンパク質-チロシンキナーゼ活性を刺激する。その結果、EGFRのC末端ドメイン内のいくつかのチロシン残基の自己リン酸化が生じ、これが、これら自体のホスホチロシン結合SH2ドメインを介して、リン酸化したチロシンと会合するいくつかの他のタンパク質によるダウンストリーム活性化およびシグナル伝達を導き出す。これらのダウンストリームシグナル伝達タンパク質は、いくつかのシグナル伝達カスケード、主にMAPK、AktおよびJNK経路を開始し、DNA合成および細胞増殖をもたらす。EGFR過剰活性化につながる突然変異は、肺がんを含むいくつかのがんに関連し、中でもその絶え間ない活性化を生じることができ、これが無制御な細胞分裂を結果として生じる。
【0116】
「EGFR阻害剤」という用語は、本明細書で使用される場合、最終的に細胞増殖をもたらす細胞内ダウンストリームシグナル伝達が阻害されるように、EGFRに作用することが可能な分子を指す。「阻害される」という用語は、この文脈において、好ましくはダウンストリームシグナル伝達がもはや行われないことを意味する。しかし、所与のダウンストリームシグナル伝達(100%に設定)が、例えば、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、好ましくは約20%、より好ましくは約10%または最も好ましくは約5%もしくはこれ未満のレベルまで大きく減少する場合、このようなダウンストリームシグナル伝達の減少は、「細胞内ダウンストリームシグナル伝達を阻害する」という用語に依然として包含される。ダウンストリームシグナル伝達を阻害する化合物の医学的使用という点から、シグナル伝達の完全な阻害は、十分な治療効果を達成するのに必要とされないこともある。よって、「阻害する」という用語は、本明細書で使用される場合、この文脈においてダウンストリームシグナル伝達の減少も指し、所望の作用を達成するにはこれで十分であることを理解する必要がある。EGFR阻害剤は、EGFRの細胞外リガンド結合ドメイに結合し、よって遮断することができる。このようなEGFR阻害剤は、典型的には抗体であり、特にアミバンタマブ、CDP1、セツキシマブ、GC1118、HLX07、JMT101、M1231、ネシツムマブ、ニモツズマブ、マツズマブ、パニツムマブ、SCT200、SI-B001、SYN004、ザルツムマブ(zalutuzumab)、およびこれらの組合せからなる群から選択されるモノクローナル抗体である。EGFR阻害剤はまた、受容体の原形質側に結合し、これによってEGFRチロシンキナーゼ活性を阻害することもできる。このようなEGFR阻害剤は、典型的に小分子であり、特にアビベルチニブ、アファチニブ、アルフルチニブ、アルモネルチニブ、アパチニブ、AZD3759、ブリグチニブ、D0316、D0317、D0318、ダコミチニブ、DZD9008、エルロチニブ、FCN-411、ゲフィチニブ、イコチニブ、ラパチニブ、ラゼルチニブ、モボセルチニブ、ナザルチニブ、ネラチニブ、オラフェルチニブ、オシメルチニブ、ポジオチニブ、ピロチニブ、レジベルチニブ、TAS6417、バンデタニブ、バルリチニブ、XZP-5809、およびこれらの組合せからなる群から選択される小分子である。
【0117】
「NSCLCがEGFRにおいて発がん性変化を示す」という用語は、本明細書で使用される場合、NSCLC腫瘍がEGFRの突然変異バージョンを有することを意味し、EGFRのこの突然変異バージョンはNSCLCの発生に関わっている。言い換えると、EGFRの突然変異バージョンは、任意選択で、数ある他の因子の中でも、NSCLCの発生と関連しているまたはその原因であるとみなすことができる。EGFRの突然変異バージョンは、EGFR遺伝子の変化により、NSCLC腫瘍内に存在し、このような変化は、特にEGFR遺伝子における欠失、EGFR遺伝子における挿入、EGFR遺伝子における欠失および挿入、EGFR遺伝子の複製、EGFR遺伝子の増幅、ならびに/またはEGFR遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異であり、EGFRにおいてアミノ酸置換をもたらす。対応する特定の変化が上記に概説されている。EGFR遺伝子におけるこのような変化の組合せは、頻繁に見出されている。「EGFRにおける発がん性変化」とは、以下に定義されているような「EGFRにおける耐性変化」ではない。
【0118】
「EGFRにおける耐性変化」という用語は、本明細書で使用される場合、EGFR阻害剤での治療により、NSCLC腫瘍がEGFRにおけるさらなる変化を獲得し(発がん性変化に加えて)、EGFRにおけるこのさらなる変化により、NSCLCが前記EGFR阻害剤での治療(すなわち、NSCLCが最初に感受性を有した、治療に対して使用されたEGFR阻害剤)に対する耐性を得ることを意味する。この耐性は、EGFR遺伝子における変化により媒介され、この変化は特に、EGFRにおいてアミノ酸置換をもたらす、EGFR遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異であることができる。よって、上記に定義された「EGFRにおける発がん性変化」とは対照的に、「耐性変化」は、NSCLCの最初の発症と関連しているまたはその原因であるとはみなされない。むしろ、この耐性変化は、NSCLCにさらなる増殖優位性をもたらす、すなわちNSCLCに、以前に投与された(および耐性変化がこの治療に対する腫瘍の応答として発生する前に、NSCLCを治療するのに効果的であった)特定のEGFR阻害剤による治療に対する耐性を付与するという意味で、さらなる増殖優位性をもたらす。顕著な「EGFRにおける耐性変化」は、EGFRにおけるアミノ酸置換T790Mであり、これはまたゲートキーパー突然変異とも呼ばれる。「EGFRにおける耐性変化」とは、上記に定義された「EGFRにおける発がん性変化」ではない。しかし、両方の種類の変化は当然、NSCLC腫瘍のEGFRに存在することができ、患者において頻繁に検出され、対応する細胞株はモデル系として存在する(例えば、細胞株NCI-H1975を参照されたい)。
【0119】
EGFRの「過剰活性化」という用語は、本明細書で使用される場合、EGFRが野生型の状況と比較してより活性があり、特にダウンストリーム活性化およびシグナル伝達に関してより活性があり、よってがん性細胞の成長をもたらすことを意味する。
【0120】
「治療サイクル」という用語は、本明細書で使用される場合、患者の状態の最初の評価後、医薬がある期間投与され、次いで、患者の状態が、典型的には別の治療サイクルを開始する前に再評価されることを意味する。
【0121】
上記態様に関する番号付けされた実施形態が以下に付与される。
実施形態1:非小細胞肺がん(NSCLC)がEGFRにおいて発がん性変化を示す、NSCLCを患っている患者の治療に使用するための、EGFR阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0122】
実施形態2:EGFRにおける発がん性変化がEGFRの過剰活性化を結果として生じる、第1の実施形態による使用のための、EGFR阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0123】
実施形態3:発がん性変化が、EGFR遺伝子のエクソン18またはエクソン19またはエクソン20における欠失および/または挿入;EGFR遺伝子におけるキナーゼドメイン複製;EGFR遺伝子の増幅;L858R、G719S、G719A、G719C、V765A、T783A、S768I、S768V、L861Q、E709X、L819Q、A750Pおよびこれらの組合せ(式中、Xは任意のアミノ酸を示す)からなる群から選択される、EGFRにおけるアミノ酸置換をもたらす、EGFR遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異;ならびに前述のうちのいずれかの組合せにより引き起こされる、実施形態1または2による使用のための、EGFR阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0124】
実施形態4:発がん性変化が、EGFR遺伝子のエクソン19における欠失、好ましくはEGFRにおいて、E746-A750またはL747-E749の欠失をもたらす欠失;EGFRにおいてアミノ酸置換L858RまたはA750Pをもたらす、EGFR遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異;およびこれらの組合せにより引き起こされる、実施形態1~3のいずれかによる使用のための、EGFR阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0125】
実施形態5:NSCLCがEGFR阻害剤の過去の投与によりEGFRにおける耐性変化をさらに示す場合、組合せのEGFR阻害剤が以前に投与されたEGFR阻害剤ではないことを条件とする、実施形態1~4のいずれかによる使用のための、EGFR阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0126】
実施形態6:EGFRにおける耐性変化が、T790M、C797X、L792X、G796X、L718Q、L718V、G724S、D761Y、V834L、T854A、およびこれらの組合せ(式中、Xは任意のアミノ酸を示す)からなる群から選択される、EGFRにおけるアミノ酸置換をもたらす、EGFR遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異により引き起こされる、実施形態5による使用のための、EGFR阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0127】
実施形態7:EGFRにおける耐性変化が、EGFRにおいてアミノ酸置換T790Mをもたらす、EGFR遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異により引き起こされる、実施形態5または6による使用のための、EGFR阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0128】
実施形態8:EGFR阻害剤が、ABBV-321、アビベルチニブ、アファチニブ、AFM24、アルフルチニブ(AST2818)、アルモネルチニブ(HS-10296)、アパチニブ、ASK120067、アビチニブ(AC0010)、AZD3759、BBT-176、BTDX-1535、BLU-451、BLU-701、BLU-945、ブリグチニブ、CK-101(RX-518)、CLN-081(TAS6417)、CM93、D0316、D0317、D0318、ダコミチニブ、DZD9008、EMB-01、エルロチニブ、FCN-411、ゲフィチニブ、イコチニブ、ケイナチニブ、ラパチニブ、ラゼルチニブ、MCLA-129、MRG003、モボセルチニブ、ナザルチニブ、ネラチニブ、オラフェルチニブ、オシメルチニブ、ポジオチニブ、ピロチニブ、レジベルチニブ、SH-1028(オリチニブ)、ステチニブ、TAS2940、TAS6417、バンデタニブ、バルリチニブ、XZP-5809、アミバンタマブ、CDP1、セツキシマブ、GC1118、HLX07、JMT101、M1231、ネシツムマブ、ニモツズマブ、マツズマブ、パニツムマブ、SCT200、SI-B001、SYN004、Z650、ザルツムマブ、ZN-e4、ZZ06、およびこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態1~7のいずれかによる使用のための、EGFR阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0129】
実施形態9:EGFR阻害剤が、ABBV-321、アビベルチニブ、アファチニブ、アルフルチニブ、アルモネルチニブ、アパチニブ、AZD3759、ブリグチニブ、D0316、D0317、D0318、ダコミチニブ、DZD9008、エルロチニブ、FCN-411、ゲフィチニブ、イコチニブ、ラパチニブ、ラゼルチニブ、モボセルチニブ、ナザルチニブ、ネラチニブ、オラフェルチニブ、オシメルチニブ、ポジオチニブ、ピロチニブ、レジベルチニブ、TAS6417、バンデタニブ、バルリチニブ、XZP-5809、アミバンタマブ、CDP1、セツキシマブ、GC1118、HLX07、JMT101、M1231、ネシツムマブ、ニモツズマブ、マツズマブ、パニツムマブ、SCT200、SI-B001、SYN004、ザルツムマブ、およびこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態1~8のいずれかによる使用のための、EGFR阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0130】
実施形態10:組合せが、各治療サイクルの間、患者に投与される、実施形態1~9のいずれかによる使用のための、EGFR阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0131】
実施形態11:(i)本発明による化合物または本発明による医薬組成物および(ii)EGFR阻害剤が、別個の剤形として投与されるか、または単一剤形に含められる、実施形態1~10のいずれかによる使用のための、EGFR阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0132】
実施形態12:(i)および(ii)が別個の剤形として投与される場合、各治療サイクルの間の投与が、同時または逐次的投与である、実施形態11による使用のための、EGFR阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0133】
実施形態113:治療が、唯一の活性剤として投与された場合のEGFR阻害剤の治療効果の期間と比較して、治療効果の期間の延長を結果として生じる、または治療が、唯一の活性剤として投与された場合のEGFR阻害剤の治療有効性と比較して、治療有効性の増加を結果として生じる、または治療がEGFR阻害剤に対する耐性の予防を結果として生じる、実施形態1~12のいずれかによる使用のための、EGFR阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
実施形態14:本発明による化合物が、
【0134】
【0135】
からなる群から選択される、実施形態1~13のいずれかによる使用のための、EGFR阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0136】
KRAS阻害剤との組合せに関する実施形態
本発明は、一態様ではまた、がんが、KRASにおいて発がん性変化を示す、がんを患っている患者の治療に使用するための、KRAS阻害剤と組み合わせた本発明の化合物または本発明の医薬組成物に関する。この態様はまた、がんを患っている患者の治療に使用するための、KRAS阻害剤と組み合わせた本発明の化合物または本発明の医薬組成物の組合せであって、がんが、組合せに使用されているKRAS阻害剤(例えば、KRAS G12C)のラベルの1種もしくは複数の徴候に付与されたKRAS突然変異プロファイルを特徴とする、またはがんが、組合せに使用されているKRAS阻害剤(例えば、KRAS G12C)による、臨床試験設定において標的とされるKRAS突然変異プロファイルを特徴とする、本発明の化合物または本発明の医薬組成物の組合せと呼ぶこともできる。
【0137】
本態様の好ましい実施形態では、KRASにおける発がん性変化は、KRASシグナル伝達の過剰活性化を結果として生じる。KRASにおける発がん性変化は、構成的に活性のあるKRASシグナル伝達さえもたらすことができる(GTP結合したKRASのシグナル伝達活性が、構成的に活性があるという意味で)。
【0138】
本態様のさらに好ましい実施形態では、KRASにおける発がん性変化は、G12C、G12V、G12D、G13D、Q61H、Q61L、Q61R、K117N、およびこれらの組合せからなる群から選択される、KRASにおけるアミノ酸置換をもたらす、KRAS遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異により引き起こされる。発がん性変化は、G12C、G12VおよびG12Dからなる群から選択される、KRASにおけるアミノ酸置換をもたらす、KRAS遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異により引き起こされることが好ましいこともある。KRASにおける発がん性変化は、KRASにおいてアミノ酸置換G12Cをもたらす、KRAS遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異により引き起こされることが最も好ましい。
【0139】
本態様の別の実施形態では、がんは、肺がん、結腸直腸がんおよび膵臓がんからなる群から選択される。肺がんは、好ましくは非小細胞肺がん(NSCLC)であり、局在的に進行したまたは転移性のNSCLCであってもよく、最も好ましくはKRAS G12C突然変異した、局在的に進行したまたは転移性NSCLCであってもよい(本明細書で使用されている言語において、代わりに、NSCLCを患っている、任意選択で局在的に進行したまたは転移性NSCLCを患っている患者の治療として策定されてもよく、このNSCLCはKRASにおいて発がん性変化G12Cを示す)。
【0140】
本態様の別の実施形態では、KRAS阻害剤は小分子阻害剤である。よって、このような実施形態では、KRAS阻害剤は、核酸ベースの阻害剤、例えば、KRASを対象とするshRNAまたはRNAiではない。第1の態様のさらなる実施形態では、KRAS阻害剤は、KRAS G12Cを標的とする、すなわち、KRASにおいて発がん性変化G12Cを示すがんを治療することを標的とする。このような阻害剤は、特に共有結合の阻害剤であってよく、この阻害剤は、共有結合の相互作用を介して、G12C KRASに存在する12位のシステインを標的とする。KRAS阻害剤は、RSC-1255、GFH925、JAB-21822、YL-15293、JDQ443、LY3537982、D-1553、GH35、SDGR5、GH52、ERAS-9、AMG510、MRTX849、JNJ-74699157/ARS-3248、BI 1701963、BI 1823911、BAY-293、GDC-6036、MRTX1133、RAS(ON)阻害剤、およびこれらの組合せからなる群から選択することができる。代わりに、KRAS阻害剤は、AMG510、MRTX849、JNJ-74699157/ARS-3248、BI 1701963、BI 1823911、BAY-293、GDC-6036、MRTX1133、RAS(ON)阻害剤(RAS(ON)阻害剤は好ましくはRMC-6291またはRMC-6236である)、およびこれらの組合せからなる群から選択することができる。より好ましい実施形態では、KRAS阻害剤は、AMG510またはMRTX849である。KRAS阻害剤がAMG510であることが最も好ましいこともある。
【0141】
本態様の好ましい実施形態では、組合せは、各治療サイクルの間に患者に投与される。
本態様の別の実施形態では、本発明の化合物およびKRAS阻害剤は、別個の剤形として投与されるか、または単一剤形に含められる。本発明の化合物およびKRAS阻害剤が別個の剤形として投与される場合、各治療サイクルの間の投与は、同時にまたは逐次的にでもよい。これは、本発明の化合物が最初に投与され、これにKRAS阻害剤の投与が続くというオプションを含む。
【0142】
本態様のさらに別の実施形態では、治療は、唯一の活性剤として投与された場合のKRAS阻害剤の治療効果の期間と比較して、KRAS阻害剤の治療効果の期間の延長を結果として生じる。さらなる別の実施形態では、治療は、唯一の活性剤として投与された場合のKRAS阻害剤の治療有効性と比較して、KRAS阻害剤の治療有効性の増加を結果として生じる。別の実施形態では、治療は、KRAS阻害剤に対する耐性の予防を結果として生じる。
【0143】
本態様の別の実施形態では、本発明の化合物は、約1mg~約3000mgの間、好ましくは約10mg~約2000mgの間、より好ましくは約15mg~約1000mgの間の1日量で投与される。本発明の化合物は、約10mg、約15mg、約20mg、約50mg、約100mg、約250mg、約500mg、約1000mg、約1500mg、約2000mg、約2500mg、または約3000mgの1日量で投与されることが好ましいこともある。投与は、断続的に行われてもよい、すなわち毎日ではなく、投与が行われる日に、上述された1日量が投与されてもよい。
【0144】
本態様の別の実施形態では、KRAS阻害剤が唯一の活性剤として投与される場合、KRAS阻害剤は、典型的1日量の範囲内にある1日量(特に、可能な場合、ラベルにKRAS阻害剤に対して記述されている1日量)で投与される。典型的1日量(または可能な場合、適応される1日量)は、使用されることになる特定のKRAS阻害剤に依存する。典型的に、KRAS阻害剤は、約10mg~約2000mgの間の1日量で投与される。よって、AMG510は、例えば、本発明の使用のための組合せで、約240mg~約1200mgの間、約480mg~約1200mgの間、または約600mg~約1200mgの間、好ましくは約720mg~約1080mgの間、より好ましくは約840mg~約960mgの間または約960mgの1日量で投与されてもよい。MRTX849は、例えば、本発明の使用のための組合せで、約200mg~約1400mgの間、または約400mg~約1300mgの間、好ましくは約600mg~約1200mgの間、最も好ましくは約1200mgの1日量で投与されてもよい。
【0145】
本態様の別の実施形態では、KRAS阻害剤は、KRAS阻害剤が唯一の活性剤として投与される場合の上述された典型的1日量より低い1日量で投与される。言い換えると、KRAS阻害剤が唯一の活性剤ではなく、本発明による使用のための組合せで投与される場合、KRAS阻害剤は、KRAS阻害剤が唯一の活性剤として投与される場合に使用される量より低い量で投与することができる。これは、例えば、上記に付与された例に対して、1日量は付与された範囲の下端である、またはこれらの範囲未満の量でさえあることを意味する。
【0146】
本態様のまたさらなる実施形態では、本発明は、がんを患っている患者の治療に使用するための、(ii)KRAS阻害剤と組み合わせた、(i)本発明の化合物であって、がんがKRASにおいて発がん性変化を示し、本発明の化合物が、
【0147】
【0148】
からなる群から選択される、本発明の化合物を対象とする。
【0149】
関連した態様では、本発明は、(i)本発明の化合物の有効量および(ii)KRAS阻害剤の有効量を患者に投与することを含み、がんがKRASにおいて発がん性変化を示す、それを必要とする患者においてがんを治療する方法を対象とする。
【0150】
別の関連した態様では、本発明は、(i)本発明の化合物の有効量および(ii)KRAS阻害剤の有効量を患者に投与することを含み、がんがKRASにおいて発がん性変化を示す、それを必要とする患者において、KRAS阻害剤の治療効果の期間を延長する方法を対象とする。言い換えると、KRAS阻害剤の治療効果の期間(組み合わせて投与された場合)は、KRAS阻害剤ががん治療において唯一の活性剤として投与された場合の治療効果の期間と比較して延長される。
【0151】
別の関連した態様では、本発明は、(i)本発明の化合物の有効量および(ii)KRAS阻害剤の有効量を患者に投与することを含み、がんがKRASにおいて発がん性変化を示す、それを必要とする患者において、KRAS阻害剤の治療有効性を増加させる方法を対象とする。言い換えると、KRAS阻害剤の治療有効性(組み合わせて投与された場合)は、がん治療において唯一の活性剤として投与された場合のKRAS阻害剤の治療有効性と比較して増加する。
【0152】
別の関連した態様では、本発明は、(i)本発明の化合物の有効量および(ii)KRAS阻害剤の有効量を細胞に投与することを含み、がん細胞がKRASにおいて発がん性変化を示す、がん細胞の増殖を遮断する方法を対象とする。
【0153】
別の関連した態様では、本発明は、(i)本発明の化合物の有効量および(ii)KRAS阻害剤の有効量を細胞に投与することを含み、がん細胞がKRASにおいて発がん性変化を示す、がん細胞の増殖を遅らせる方法を対象とする。
【0154】
上記の関連した態様では、最初の態様に対して上記に概説されている実施形態が同等に適用される。
【0155】
「KRAS」という用語は、本明細書で使用される場合「カーステンラット肉腫」タンパク質を指す。KRASは、腫瘍細胞の成長および生存に関与している細胞内シグナル伝達経路の主要な伝達物質であるGTPaseである。正常細胞において、KRASは、不活性なGDP結合状態と、活性のあるGTP結合状態との間で交互に入れ替わる分子スイッチとして機能する。これら状態間の移行は、GTPをロードしKRASを活性化するグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)、およびKRASを不活化するようにGTPase活性化タンパク質(GAP)により触媒されるGTP加水分解により促進される。KRASへのGTP結合は、エフェクターの結合を促進して、RAF-MEK-ERK(MAPK)を含むシグナル伝達経路を始動させる。KRASにおける体細胞性活性化突然変異は、がんの顕著な特徴であり、GAPの会合を阻止し、これにより、エフェクター結合を安定化させ、KRASシグナル伝達を促進する。KRAS突然変異体腫瘍を有する患者は、有意に乏しい結果とより悪い予後を有する。
【0156】
「KRAS阻害剤」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞内ダウンストリームシグナル伝達(最終的に細胞増殖を結果として生じる)が阻害されるように、KRASに作用することが可能な分子を指す。「阻害される」という用語は、この文脈において、好ましくはダウンストリームシグナル伝達がもはや行われないことを意味する。しかし、所与のダウンストリームシグナル伝達(100%に設定)が、例えば約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、好ましくは約20%、より好ましくは約10%または最も好ましくは約5%もしくはこれ未満のレベルまで大きく減少する場合、このようなダウンストリームシグナル伝達の減少は、「細胞内ダウンストリームシグナル伝達を阻害する」という用語にさらに包含される。ダウンストリームシグナル伝達を阻害する化合物の医学的使用という点から、シグナル伝達の完全な阻害は、十分な治療効果を達成するのに必要とされないこともある。よって、「阻害する」という用語は、本明細書で使用される場合、この文脈においてダウンストリームシグナル伝達の減少も指し、所望の作用を達成するにはこれで十分であることを理解する必要がある。KRAS阻害剤は、KRAS、特にKRAS G12Cの12位のシステインに、共有結合により結合することができる。KRAS阻害剤がこのシステインを標的とするおよび/またはこれに結合する場合、この阻害剤は、典型的に「KRAS G12C阻害剤」と呼ばれ、このような阻害剤の例は、AMG510(CAS-Nr.2296729-00-3)、MRTX849(CAS-Nr.2326521-71-3)、JNJ-74699157/ARS-3248、BI 1823911、GDC-6036およびRMC-6291である。ごく最近になって、KRAS G12C突然変異した局在的に進行したまたは転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)の治療のための、最初のKRAS G12C調節剤、すなわちLUMAKRAS(AMG510に相当するソトラシブ、Amgen製)錠剤がFDA承認を得た。別のKRAS G12C調節剤がすぐに続くことが予想され、すなわちそれはアダグラシブ(MRTX849に相当する、Mirati Therapeutics製)である。「KRAS G12D阻害剤」は、KRAS G12Dなどに対して特異的な阻害剤である。KRAS G12D阻害剤の例はMRTX1133である。代わりに、KRAS阻害剤は、KRASの、他のタンパク質との相互作用、特にKRAS-SOS1相互作用を遮断することもできる。このようなKRAS-SOS1阻害剤は、例えば、BI 1701963およびBAY-293(CAS Nr.2244904-70-7)である。またいわゆるRAS(ON)阻害剤、突然変異したGTP結合KRAS(例えばG12C GTP結合KRASまたはG12V GTP結合KRASまたはG12D GTP結合KRASまたはG13D GTP結合KRASまたはQ61H GTP結合KRASまたはQ61L GTP結合KRASまたはQ61R GTP結合KRAS)に結合し、RAS(ON)阻害剤(合成リガンド)、KRASおよびシクロフィリンAの間で、これらが3成分複合体を形成するという点でそれぞれのKRASのエフェクター面を遮断することにより、RAFエンゲージメントを阻止する(さらなる詳細については、Revolution Medicines、例えば、WO2021/091956を参照されたい)。RMC-6291は、上述された機序によりKRASG12Cを標的とする、Revolution Medicines製RASG12C(ON)阻害剤である。RMC-6236は、上述された機序により、KRAS突然変異を含む多数のRAS突然変異を標的とする、Revolution Medicines製RAS(ON)阻害剤である。
【0157】
「がんがKRASにおいて発がん性変化を示す」という用語は、本明細書で使用される場合、腫瘍がKRASの突然変異バージョンを有することを意味し、KRASのこの突然変異バージョンは、がんの発症に関わっている。言い換えると、KRASの突然変異バージョンは、任意選択で、数ある他の因子の中でも、がんの発症と関連しているまたはその原因であるとみなすことができる。KRASの突然変異バージョンはKRAS遺伝子における変化のために腫瘍内に存在し、このような変化は特に、KRASにおいてアミノ酸置換をもたらす、KRAS遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異である。対応する特定の変化が上記に概説されており、顕著な変化は特にKRAS G12Cの変化である。上述のように、KRAS突然変異は25%までのがんに存在し、発がん性変化形は、異なるがんにおいて異なる有病率を有する(Box 1 of Mullard、Nature reviews DRUG DISCOVERY、18巻、2019年12月:887~891頁を参照されたい)。
【0158】
KRASの「過剰活性化」という用語は、本明細書で使用される場合、KRASが、野生型状況と比較して、より活性があり、特にダウンストリーム活性化およびシグナル伝達に関してより活性があり、よってがん性細胞成長をもたらすことを意味する。
【0159】
上記態様に関する番号付けされた実施形態が以下に付与される。
実施形態1:がんがKRASにおいて発がん性変化を示す、がんを患っている患者の治療に使用するための、KRAS阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0160】
実施形態2:KRASにおける発がん性変化がKRASシグナル伝達の過剰活性化を結果として生じる、実施形態1による使用のための、KRAS阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0161】
実施形態3:発がん性変化が、G12C、G12V、G12D、G13D、Q61H、Q61L、Q61R、K117N、およびこれらの組合せからなる群から選択される、KRASにおけるアミノ酸置換をもたらす、KRAS遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異により引き起こされる、実施形態1または2による使用のための、KRAS阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0162】
実施形態4:KRAS阻害剤が、RSC-1255、GFH925、JAB-21822、YL-15293、JDQ443、LY3537982、D-1553、GH35、SDGR5、GH52、ERAS-9、AMG510、MRTX849、JNJ-74699157/ARS-3248、BI 1701963、BI 1823911、BAY-293、GDC-6036、MRTX1133、RAS(ON)阻害剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態1~4のいずれかによる使用のための、KRAS阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0163】
実施形態5:KRAS阻害剤が、AMG510、MRTX849、JNJ-74699157/ARS-3248、BI 1701963、BI 1823911、BAY-293、GDC-6036、MRTX1133、RAS(ON)阻害剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態1~4のいずれかによる使用のための、KRAS阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0164】
実施形態6:発がん性変化が、KRASにおいてアミノ酸置換G12Cをもたらす、KRAS遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異により引き起こされる、実施形態1~5のいずれかによる使用のための、KRAS阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0165】
実施形態7:発がん性変化が、KRASにおいてアミノ酸置換G12Cをもたらす、KRAS遺伝子における少なくとも1つの塩基突然変異により引き起こされ、KRAS阻害剤がKRAS G12C阻害剤である、実施形態1~5のいずれかによる使用のための、KRAS阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0166】
実施形態8:がんが、肺がん、結腸直腸がんおよび膵臓がんからなる群から選択される、実施形態1~7のいずれかによる使用のための、KRAS阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0167】
実施形態9:組合せが各治療サイクルの間に患者に投与される、実施形態1~8のいずれかによる使用のための、KRAS阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0168】
実施形態10:(i)本発明による化合物または本発明による医薬組成物および(ii)KRAS阻害剤が、別個の剤形として投与されるか、または単一剤形に含まれる、実施形態1~9のいずれかによる使用のための、KRAS阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0169】
実施形態11:(i)および(ii)が別個の剤形として投与される場合、各治療サイクルの間、投与が同時または逐次的投与である、実施形態10による使用のための、KRAS阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0170】
実施形態12:治療が、唯一の活性剤として投与された場合のKRAS阻害剤の治療効果の期間と比較して、治療効果の期間の延長を結果として生じる;または治療が、唯一の活性剤として投与された場合のKRAS阻害剤の治療有効性と比較して、治療有効性の増加を結果として生じる;または治療が、KRAS阻害剤に対する耐性の予防を結果として生じる、実施形態1~11のいずれかによる使用のための、KRAS阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0171】
実施形態13:本発明による化合物が、
【0172】
【0173】
からなる群から選択される、実施形態1~12のいずれかによる使用のための、KRAS阻害剤と組み合わせた、本発明による化合物または本発明による医薬組成物。
【0174】
実施形態14:(i)本発明による化合物を含む医薬剤形および(ii)KRAS阻害剤を含む医薬剤形を含むキット。
【0175】
実施形態15:(i)本発明の化合物および(ii)KRAS阻害剤を含む医薬剤形。
【0176】
実施形態16:KRAS阻害剤が、RSC-1255、GFH925、JAB-21822、YL-15293、JDQ443、LY3537982、D-1553、GH35、SDGR5、GH52、ERAS-9、AMG510、MRTX849、JNJ-74699157/ARS-3248、BI 1701963、BI 1823911、BAY-293、GDC-6036、MRTX1133、RAS(ON)阻害剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態14によるキットまたは実施形態15による医薬剤形。
【0177】
実施形態17:KRAS阻害剤が、AMG510、MRTX849、JNJ-74699157/ARS-3248、BI 1701963、BI 1823911、BAY-293、GDC-6036、MRTX1133、RAS(ON)阻害剤、なおよびこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態16によるキットまたは実施形態16による医薬剤形。
【0178】
実施形態18:本発明による化合物が、
【0179】
【0180】
からなる群から選択される、実施形態14、16もしくは17によるキット、または実施形態15、16もしくは17による医薬剤形。
【0181】
線維性疾患に関する実施形態
本発明はまた、線維性疾患、特に特発性の肺線維症(IPF)または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療または軽快に、任意選択で公知の抗線維化剤または抗炎症剤と組み合わせて使用するための本発明の化合物または本発明の医薬組成物に関する。
【0182】
線維性疾患は、肺線維症、特発性肺線維症、放射線誘発性肺炎、放射線線維症、急性呼吸促迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、心筋梗塞、心臓の線維症および肥厚、虚血性の脳卒中、虚血性の腎臓疾患、腎臓線維症、関節リウマチ、肝線維症、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)、慢性の肝炎、肝硬変症、炎症性腸疾患、クローン病、強皮症、ケロイド、術後線維症、化学療法誘発性線維症(例えば、化学療法誘発性肺線維症または卵巣皮質線維症)、腎原性全身性線維症、後腹膜線維症、骨髄線維症、縦隔線維症、嚢胞性線維症、石綿肺症、喘息、肺高血圧、全身性線維症、皮膚線維症、高血圧誘発性腎臓および心臓線維症からなる群から選択することができる。線維性疾患はまた、間質性肺疾患(IDL)、特に特発性間質性肺炎(IIP)であってもよい。IIPは、慢性線維化間質性肺炎、喫煙に関連した間質性肺炎および急性/準急性間質性肺炎からなる群から選択することもでき、慢性線維化間質性肺炎は、特発性肺線維症(IPF)または非特異性間質性肺炎(NSIP)であることができる。
【0183】
特にNASHの治療となると、公知の抗線維化または抗炎症剤は、ビタミンE(RRR-α-トコフェロール)、ピオグリタゾン(Actos)、MGL-3196(Resmetirom)、エラフィブラノール、セロンセルチブ(SEL;GS-4997)、ダパグリフロジン、Nesinaact25/15(アログリプチン安息香酸塩25mg、塩酸ピオグリタゾン15mg)、ロサルタン、アラムコール、セニクリビロック、MSDC-0602Kおよびメトホルミンからなる群から選択することができる。
【0184】
本明細書に提供されている化合物は、それ自体化合物として投与されてもよいし、または医薬として製剤化されてもよい。医薬/医薬組成物は、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤、例えば、担体、希釈剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、着色剤、顔料、安定剤、保存剤、抗酸化剤、および/もしくは溶解促進剤、またはこれらの任意の組合せを任意選択で含むことができる。特に、医薬組成物は、1種または複数の溶解促進剤、例えば、約200~約5,000Daの範囲の分子量を有するポリ(エチレングリコール)を含むポリ(エチレングリコール)、エチレングリコール、プロピレングリコール、非イオン性界面活性剤、チロキサポール、ポリソルベート80、マクロゴール-15-ヒドロキシステアレート、リン脂質、レシチン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシエチル-γ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、ジヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-γ-シクロデキストリン、グルコシル-α-シクロデキストリン、グルコシル-β-シクロデキストリン、ジグルコシル-β-シクロデキストリン、マルトシル-α-シクロデキストリン、マルトシル-β-シクロデキストリン、マルトシル-γ-シクロデキストリン、マルトトリオシル-β-シクロデキストリン、マルトトリオシル-γ-シクロデキストリン、ジマルトシル-β-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリン、カルボキシアルキルチオエーテル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート、またはこれらの任意の組合せを含むことができる。
【0185】
錠剤は、賦形剤、例えば、微結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウムおよびグリシン、崩壊剤、例えば、デンプン(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよびある特定のシリカ錯体、ならびに顆粒結合剤、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチンおよびアカシアを含有することができる。さらに、滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびタルクが含まれてもよい。類似の種類の固体組成物もまた、ゼラチンカプセル剤の充填剤として利用することができる。この関連で好ましい賦形剤としては、ラクトース、デンプン、セルロース、または高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性懸濁剤および/またはエリキシル剤に対して、薬剤は、様々な甘味剤または香味剤、着色剤物質または染料と、乳化剤および/または懸濁化剤と、希釈剤、例えば、水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンと、ならびにこれらの組合せと組み合わせることもできる。
【0186】
医薬組成物は、当業者に公知の技術、例えば、「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」、Pharmaceutical Press、第22版で公開された技術により製剤化することができる。医薬組成物は、経口、非経口、例えば、筋肉内、静脈内、皮下、皮内、動脈内、心臓内、直腸、経鼻、局所的、エアロゾルまたは経膣の投与のための剤形として製剤化することができる。経口投与用の剤形としては、コーティングしたおよびコーティングされてない錠剤、軟質ゼラチンカプセル、硬質ゼラチンカプセル、ロゼンジ剤、トローチ剤、液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、復元用の粉末剤および粒剤、分散性粉末剤および粒剤、薬用ガム、咀嚼性錠剤および発泡性錠剤が挙げられる。非経口投与のための剤形としては、液剤、乳剤、懸濁剤、分散剤、ならびに復元用の粉末剤および粒剤が挙げられる。乳剤は、非経口投与に対して好ましい剤形である。直腸および経膣投与用の剤形としては、坐剤および膣坐剤が挙げられる。経鼻投与用の剤形は、吸入および吹送法、例えば、計量した吸入器を介して投与することができる。局所投与用の剤形としては、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、軟膏、パッチおよび経皮送達システムが挙げられる。
【0187】
式(I)の化合物または式(I)の化合物を含む、上記記載されている医薬組成物は、全身的/末梢的に関わらず、または所望の作用の部位に、これらに限定されないが、以下のうちの1種または複数を含む、任意の好都合な投与経路で対象に投与することができる:経口(例えば、錠剤、カプセル剤、または摂取可能な液剤として)、局所的(例えば、経皮的、鼻腔内、眼、口腔内頬側、および舌下)、非経口(例えば、注入技術または点滴技術を使用して、例えば、注射により、例えば、皮下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、心臓内、髄腔内、脊髄内、嚢内、被膜下、眼窩内、腹腔内、気管内、表皮下、関節内、くも膜下、または胸骨内の注射により、例えば、皮下または筋肉内を含む、デポー剤のインプラントにより)、肺(例えば、吸入または吹送法の療法により、例えば、エアロゾルを使用して、例えば、口または鼻を介して)、消化管、子宮内、眼内、皮下、眼用(硝子体内または腔内を含む)、直腸、および経膣。
【0188】
前記化合物または医薬組成物が非経口的に投与される場合、このような投与の例は、以下のうちの1種または複数を含む:静脈内に、動脈内に、腹腔内に、髄腔内に、側脳室内に、尿道内に、胸骨内に、心臓内に、脳内に、筋肉内にもしくは皮下に化合物または医薬組成物を投与すること、および/または点滴技術を使用することによって投与すること。非経口投与に対して、化合物は、他の物質、例えば、血液との等張の溶液を生成するのに十分な塩またはグルコースを含有することができる、滅菌水溶液の形態で使用されるのが最も良い。水溶液は、必要であれば、適切に緩衝されるべきである(好ましくは、pH3~9)。滅菌状態下での適切な非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準的な薬学的技術により容易に達成される。
【0189】
前記化合物または医薬組成物はまた、錠剤、カプセル剤、オビュール(ovule)、エリキシル剤、液剤または懸濁剤の形態で経口投与することもでき、これらは、即時放出型、遅延放出型、修飾放出型、持続放出型、パルス化放出型または制御放出型の用途に対して香味剤または着色剤を含有することもできる。
【0190】
代わりに、前記化合物または医薬組成物は、坐剤もしくはペッサリー剤の形態で投与することもでき、またはゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤もしくは散布剤の形態で局所的に適用してもよい。本発明の化合物はまた、例えば、皮膚パッチの使用により、皮膚からまたは経皮的に投与することもできる。
【0191】
前記化合物または医薬組成物は、持続放出系により投与されてもよい。持続放出性組成物の適切な例としては、造形品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態での半浸透性ポリマーマトリックスが挙げられる。持続放出マトリックスは、例えば、ポリ乳酸(例えば、US3,773,919を参照されたい)、L-グルタミン酸とガンマ-エチル-L-グルタメートのコポリマー(Sidman,U.ら、Biopolymers 22巻:547~556頁(1983年))、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(R.Langerら、J.Biomed.Mater.Res.15巻:167~277頁(1981年)、およびR.Langer、Chem.Tech.12巻:98~105頁(1982年))、エチレン酢酸ビニル(R.Langerら、Id.)またはポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(EP133988)を含む。持続放出医薬組成物はまた、リポソームにより封じ込められた化合物を含む。本発明の化合物を含有するリポソームは、当技術分野で公知の方法、例えば、以下のうちのいずれか1つに記載されている方法により調製することができる:DE3218121;Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)82巻:3688~3692頁(1985年);Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)77巻:4030~4034頁(1980年);EP0052322;EP0036676;EP088046;EP0143949;EP0142641;JP83-118008;US4,485,045;US4,544,545;およびEP0102324。
【0192】
前記化合物または医薬組成物はまた、肺の経路、直腸の経路、または眼の経路で投与することもできる。眼用使用に対して、前記化合物または医薬組成物は、等張の、pH調整された、滅菌の生理食塩水中の微粉化した懸濁液として、または、好ましくは、等張の、pH調整された、滅菌の生理食塩水中溶液として、任意選択で保存剤、例えば、塩化ベンズアルコニウムと組み合わせて製剤化することもできる。代わりに、これらは、軟膏剤、例えば、ワセリンに製剤化することもできる。
【0193】
肺投与、特に吸入用の式(I)の化合物の乾燥粉末製剤を調製することもまた想定される。このような乾燥粉末は、実質的に非晶質ガラス状粉末剤または実質的に結晶性の生理活性粉末剤をもたらす条件下での噴霧乾燥により調製することができる。したがって、本発明の化合物の乾燥粉末は、WO99/16419またはWO01/85136に開示された乳化/噴霧乾燥方法に従い作製することができる。本発明の化合物の溶液製剤の噴霧乾燥は、例えば、「Spray Drying Handbook」、第5版、K.Masters、John Wiley&Sons、Inc.、NY(1991年)、およびWO97/41833またはWO03/053411に一般的に記載されているように行うことができる。
【0194】
皮膚への局所的適用のため、前記化合物または医薬組成物は、例えば、以下のうちの1種または複数の混合物に懸濁または溶解した活性化合物を含有する適切な軟膏剤として製剤化することができる:鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、乳化ワックスおよび水。代わりに、これらは、例えば、以下のうちの1種または複数の混合物に懸濁または溶解した適切なローション剤またはクリーム剤として製剤化することもできる:鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水。
【0195】
よって、本発明は、本明細書に提供される化合物または医薬組成物であって、対応する化合物または医薬組成物が、以下のいずれか1つにより投与される、本明細書に提供される化合物または医薬組成物に関する:経口経路;局所的経路、例えば、経皮的、鼻腔内、眼、口腔内頬側、もしくは舌下経路を含む;注入技術もしくは点滴技術を使用する非経口経路、例えば、皮下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、心臓内、髄腔内、脊髄内の、嚢内、被膜下、眼窩内、腹腔内、気管内、表皮下、関節内、くも膜下、胸骨内、側脳室内、尿道内、もしくは脳内の経路を含む;肺の経路、例えば、吸入もしくは吹送法療法による経路を含む;消化管経路;子宮内経路;眼内経路;皮下経路;眼用経路、例えば、硝子体内、もしくは腔内経路を含む;直腸経路;または経膣経路。本発明の化合物または医薬組成物の特に好ましい投与経路は、投与の経口形態である。
【0196】
典型的に、医師は、個々の対象に対して最も適切となる用量を決定する。いずれか特定の個々の対象に対する特定の用量レベルおよび投薬頻度は、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食事、投与のモードおよび時間、排出速度、薬物併用、特定の状態の重症度、ならびに療法を受けている個々の対象を含む様々な因子により変化してもよく、これらに依存する。
【0197】
ヒト(体重およそ70kg)への投与のための本発明による化合物の、提案されてはいるが、未だ非限定的な用量は、1単位用量当たり0.05~2000mg、好ましくは0.1mg~1000mgの活性成分であってもよい。単位用量は、例えば、1日当たり1、2、3またはこれより多くの回数で投与されてもよい。単位用量はまた、1週当たり1~7回、例えば、1日当たり1回、2回またはそれよりも多くの投与で投与されてもよい。患者/対象の年齢および体重ならびに治療される状態の重症度に応じて、投薬に対して慣例的に変化させることが必要となり得ることを認識されたい。正確な用量およびまた投与経路は、最終的に担当医師の裁量に委ねられる。
【0198】
式(I)の化合物は、特に他の抗がん剤を含む他の治療剤と組み合わせて使用することができる。本発明の化合物が同じ疾患に対して活性のある第2の治療剤と組み合わせて使用される場合、各化合物の用量は、その化合物が単独で使用される場合の用量とは異なり得る。本発明の化合物の、第2の治療剤との組合せは、本発明の化合物と同時に/付随的に、または逐次的に/別々に第2の治療剤を投与することを含み得る。
【0199】
好ましくは、本発明の化合物と組み合わせて投与される第2の治療剤は、抗がん性薬物である。本発明による式(I)の化合物と組み合わせて投与される抗がん性薬物は、例えば、アンドロゲン受容体(AR)アンタゴニスト、受容体チロシンキナーゼ(RTK)阻害剤、MAPKキナーゼ阻害剤、チェックポイントキナーゼ阻害剤、および/または、一般的に、がんの免疫療法に使用されている薬剤であってもよい。
【0200】
例えば、多くのがんは、AR、BRAF、MEK、ERKおよび/またはEGFR発現を含むことが公知である。よって、本発明内で本発明の化合物と組み合わせて投与される第2の治療剤は、AR、BRAF、MEK、ERKおよび/またはEGFRの阻害剤であってもよい。特に、非限定の実施形態では、
(i)前記アンドロゲン受容体アンタゴニストは、エンザルタミドもしくは相補的CYP17A1(17アルファ-ヒドロキシラーゼ/C17、20リアーゼ)阻害剤アビラテロンである、
(ii)前記BRAFiは、べムラフェニブ(vermurafenib)、ダブラフェニブ、エンコラフェニブ、LGX818、PLX4720、TAK-632、MLN2480、SB590885、XL281、BMS-908662、PLX3603、RO5185426、GSK2118436もしくはRAF265である、
(iii)前記MEKiは、AZD6244、トラメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、MEK162、RO5126766、GDC-0623、PD0325901、CI-1040、PD-035901、ヒポテマイシンもしくはTAK-733である、
(iv)前記ERKiは、ウリキセルチニブ、コリノキセイン、SCH772984、XMD8-92、FR180204、GDC-0994、ERK5-IN-1、DEL-22379、BIX02189、ERK阻害剤(CAS No.1049738-54-6)、ERK阻害剤III(CAS No.331656-92-9)、GDC-0994、ホノキオール、LY3214996、CC-90003、デルトニン、VRT752271、TIC10、アストラガロシドIV、XMD8-92、VX-11e、モグロール、もしくはVTX11eである、および/または
(v)前記EGFRiは、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、マツズマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、ネラチニブ、バンデタニブ、ネシツムマブ、オシメルチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ、AP26113、EGFR阻害剤(CAS No.879127-07-8)、EGFR/ErbB-2/ErbB-4阻害剤(CAS No.881001-19-0)、EGFR/ErbB-2阻害剤(CAS No.179248-61-4)、EGFR阻害剤II(BIBX 1382、CAS No.196612-93-8)、EGFR阻害剤III(CAS No.733009-42-2)、EGFR/ErbB-2/ErbB-4阻害剤II(CAS No.944341-54-2)もしくはPKCβII/EGFR阻害剤(CAS No.145915-60-2)である。
【0201】
本発明の特定の実施形態では、本発明の化合物と組み合わせて投与される第2の治療剤は、免疫療法薬剤、特に、がん免疫療法剤、例えば、CD52、PD-L1、CTLA4、CD20、またはPD-1を標的とする薬剤であってもよい。本発明の化合物と組み合わせて使用することができる薬剤としては、例えば、アレムツズマブ、アテゾリズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ、ペムブロリズマブ、リツキシマブが挙げられる。
【0202】
第2の治療剤はまた、以下から選択することもできる:腫瘍血管新生阻害剤(例えば、プロテアーゼ阻害剤、上皮成長因子受容体キナーゼ阻害剤、または血管内皮成長因子受容体キナーゼ阻害剤);細胞障害性薬物(例えば、代謝拮抗剤、例えば、プリンおよびピリミジンアナログ代謝拮抗剤);抗有糸分裂剤(例えば、微小管安定化薬物または抗有糸分裂性アルカロイド);白金配位錯体;抗腫瘍性抗生物質;アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタードまたはニトロソ尿素);内分泌性薬剤(例えば、副腎皮質ステロイド、アンドロゲン、抗アンドロゲン、エストロゲン、抗エストロゲン、アロマターゼ阻害剤、性腺刺激ホルモン放出ホルモンアゴニスト、またはソマトスタチンアナログ);または過剰発現される酵素もしくは受容体を標的とする化合物および/またはさもなければ、腫瘍細胞内で調節不全である特定の代謝経路に関与している化合物(例えば、ATPおよびGTPホスホジエステラーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、タンパク質キナーゼ阻害剤(例えば、セリン、スレオニンおよびチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、Abelsonタンパク質チロシンキナーゼ))ならびに様々な成長因子、これらの受容体および対応するキナーゼ阻害剤(例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害剤、血管内皮成長因子受容体キナーゼ阻害剤、線維芽細胞成長因子阻害剤、インスリン様成長因子受容体阻害剤および血小板由来増殖因子受容体キナーゼ阻害剤));メチオニン、アミノペプチダーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、シクロオキシゲナーゼ-1またはシクロオキシゲナーゼ-2阻害剤)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、トポイソメラーゼI阻害剤またはトポイソメラーゼII阻害剤)、ならびにポリADPリボースポリメラーゼ阻害剤(PARP阻害剤)。
【0203】
本発明の化合物と組み合わせて抗がん性薬物として使用することができるアルキル化剤は、例えば、ナイトロジェンマスタード(例えば、シクロホスファミド、メクロレタミン(クロルメチン)、ウラムスチン、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、ベンダムスチン、またはトロホスファミド)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、ストレプトゾシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、プレドニマスチン、ラニムスチン、またはセムスチン)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン、マンノスルファン、またはトレオスルファン)、アジリジン(例えば、ヘキサメチルメラミン(アルトレタミン)、トリエチレンメラミン、ThioTEPA(N,N’N’-トリエチレンチオホスホルアミド)、カルボコン、またはトリアジコン)、ヒドラジン(例えば、プロカルバジン)、トリアゼン(例えば、ダカルバジン)、またはイミダゾテトラジン(例えば、テモゾロミド)であってもよい。
【0204】
本発明の化合物と組み合わせて抗がん性薬物として使用することができる白金配位錯体は、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、またはトリプラチンテトラニトレートであってもよい。
【0205】
本発明の化合物と組み合わせて抗がん性薬物として使用することができる細胞障害性薬物は、例えば、葉酸アナログ代謝拮抗剤(例えば、アミノプテリン、メトトレキセート、ペメトレキセド、またはラルチトレキセド)、プリンアナログ代謝拮抗剤(例えば、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、6-メルカプトプリン(そのプロドラッグ形態のアザチオプリンを含む)、ペントスタチン、または6-チオグアニン)、およびピリミジンアナログ代謝拮抗剤(例えば、シタラビン、デシタビン、5-フルオロウラシル(そのプロドラッグ形態のカペシタビンおよびテガフールを含む)、フロキシウリジン、ゲムシタビン、エノシタビン、またはサパシタビン)を含む代謝拮抗剤であってもよい。
【0206】
本発明の化合物と組み合わせて抗がん性薬物として使用することができる抗有糸分裂剤は、例えば、タキサン(例えば、ドセタキセル、ラロタキセル、オルタタキセル、パクリタキセル/タキソール、またはテセタキセル)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンフルニン、ビンデシン、またはビノレルビン)、エポチロン(例えば、エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC、エポチロンD、エポチロンE、またはエポチロンF)、またはエポチロンBアナログ(例えば、イクサベピロン/アザエポシロンB)であってもよい。
【0207】
本発明の化合物と組み合わせて抗がん性薬物として使用することができる抗腫瘍性抗生物質は、例えば、アントラサイクリン(例えば、アクラルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アムルビシン、ピラルビシン、バルルビシン、またはゾルビシン)、アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン、またはピキサントロン)、またはストレプトマイセスから単離した抗腫瘍性抗生物質(例えば、アクチノマイシン(アクチノマイシンDを含む)、ブレオマイシン、マイトマイシン(マイトマイシンCを含む)、またはプリカマイシン)であってもよい。
【0208】
本発明の化合物と組み合わせて抗がん性薬物として使用することができるチロシンキナーゼ阻害剤は、例えば、アファチニブ、アカラブルチニブ、アレクチニブ、アパチニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、カネルチニブ、クレノラニブ、セジラニブ、クリゾチニブ、ダムナカンタール、ダサチニブ、ダコミチニブ、エントスプレチニブ、エヌトレクチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ、ホスタマチニブ、ギルテリチニブ、グレサチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イコチニブ、イマチニブ、リニファニブ、ラパチニブ、レストールチニブ、モテサニブ、ムブリチニブ、ニンテダニブ、ニロチニブ、ONT-380、オシメルチニブ、パゾパニブ、クイザルチニブ、レゴラフェニブ、ロシレチニブ、ラドティニブ、サボリチニブ、シトラバチニブ、セマキサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、サボリチニブ、シトラバチニブ(sitravatinig)、テセバチニブ、バタラニブ、べムラフェニブ、またはバンデタニブであってもよい。
【0209】
本発明の化合物と組み合わせて抗がん性薬物として使用することができるトポイソメラーゼ-阻害剤は、例えば、トポイソメラーゼI阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、カンプトテシン、ベロテカン、ルビテカン、またはラメラリンD)、またはトポイソメラーゼII阻害剤(例えば、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、またはドキソルビシン)であってもよい。
【0210】
本発明の化合物と組み合わせて抗がん性薬物として使用することができるPARP阻害剤は、例えば、BMN-673、オラパリブ、ルカパリブ、ベリパリブ、CEP9722、MK4827、BGB-290、または3-アミノベンズアミドであってもよい。
【0211】
さらなる抗がん性薬物も本発明の化合物と組み合わせて使用することができる。抗がん性薬物は、生物学的または化学的分子、例えば、TNFに関連したアポトーシス誘発性リガンド(TRAIL)、タモキシフェン、アムサクリン、ベキサロテン、エストラムスチン、イロフルベン、トラベクテジン、セツキシマブ、パニツムマブ、トシツモマブ、アレムツズマブ、ベバシズマブ、エドレコロマブ、ゲムツズマブ、アルボシジブ、セリシクリブ、アミノレブリン酸、アミノレブリン酸メチル、エファプロキシラル、ポルフィマーナトリウム、タラポルフィン、テモポルフィン、ベルテポルフィン、アリトレチノイン、トレチノイン、アナグレリド、三酸化ヒ素、アトラセンタン、ボルテゾミブ、カルモフール、セレコキシブ、デメコルシン、エレスコロモール、エルサミトルシン、エトグルシド、ロニダミン、ルカントン、マソプロコール、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトタン、オブリメルセン、オマセタキシン、シチマジーンセラデノベック、テガフール、テストラクトン、チアゾフリン、チピファルニブ、ボリノスタット、またはイニパリブを含むことができる。
【0212】
また生物学的薬物、例えば、増殖性疾患に関与しているがんまたは腫瘍マーカー/因子/サイトカインに対して誘導される抗体、抗体断片、抗体構造体(例えば、単鎖構造体)、および/または修飾抗体(例えば、CDRグラフト抗体、ヒト化抗体、「完全ヒト化」抗体など)を、本発明の化合物との併用療法手法に利用することができる。抗体は、例えば、免疫オンコロジー抗体、例えば、ado-トラスツズマブ、アレムツズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、ベバシズマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、カプロマブ、セツキシマブ、イピリムマブ、ネシツムマブ、ニボルマブ、パニツムマブ、ペムブロリズマブ、ペルツズマブ、ラムシルマブ、トラスツズマブ、またはリツキシマブであってもよい。
【0213】
上に言及された組合せは、医薬製剤の形態での使用のために便利に提示することができる。このような組合せの個々の構成成分は、別個のまたは組み合わせた医薬製剤で、逐次的にまたは同時に/付随的に、任意の好都合な経路で投与されてもよい。投与が逐次的である場合、本発明の化合物(すなわち、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、もしくはジアステレオマーもしくは混合物)または第2の治療剤が最初に投与されてもよい。投与が同時の場合、組合せは、同じ医薬組成物または異なる医薬組成物で投与されてもよい。同じ製剤中に組み合わせた場合、2種の化合物は安定し、互いにおよび製剤の他の構成成分との相容性がなければならないことを認識されたい。別々に製剤化された場合、これらは任意の好都合な製剤で提供されてもよい。
【0214】
式(I)の化合物はまた、物理的療法、例えば、放射線療法と組み合わせて投与することができる。放射線療法は、本発明の化合物の投与の前、後、または同時に開始することができる。例えば、放射線療法は、化合物の投与から、1~10分間、1~10時間または24~72時間後に開始することができる。ただし、これらの時間枠は限定的であると解釈されるものではない。対象は、放射線、好ましくはガンマ放射線に曝露され、これにより放射線が、1回の線量で、数時間、数日間および/もしくは数週間にわたり投与される複数回の線量で提供されてもよい。ガンマ放射線は、標準的線量およびレジメンを使用して、標準的放射線療法のプロトコルに従い送達することができる。
【0215】
よって、本発明は、がんの治療または予防に使用するための、薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、もしくはジアステレオマーもしくは混合物、または上述の実体のいずれかを含む医薬組成物であって、抗がん性薬物と組み合わせておよび/または放射線療法と組み合わせて投与される化合物または医薬組成物に関する。
【0216】
ただし、式(I)の化合物はまた、がんの単剤療法、特に単剤療法的治療または予防に使用することもできる(すなわち、式(I)の化合物(複数可)での治療が終結するまでいかなる他の抗がん剤を投与しない)。したがって、本発明はまた、がんの単剤療法的治療または予防に使用するための、薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、共結晶、互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、もしくはジアステレオマーもしくは混合物、または上述の実体のいずれかを含む医薬組成物に関する。
【0217】
対象または患者、例えば、治療または予防を必要とする対象は、動物(例えば、非ヒト動物)、脊椎動物、哺乳動物、げっ歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ科の動物(例えば、マウス)、イヌ科の動物(例えば、イヌ)、ネコ科の動物(例えば、ネコ)、ブタ類(例えば、ブタ)、ウマ科の動物(例えば、ウマ)、霊長類、サル類(例えば、サルまたは類人猿)、サル(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オラウータン、テナガザル)、またはヒトであってもよい。本発明の文脈で、経済的に、農学的にまたは科学的に重要である動物は治療すべきであることが特に想定される。科学的に重要な生物としては、これらに限定されないが、マウス、ラット、およびウサギが挙げられる。より低級の生物、例えば、ミバエ、例えば、キイロショウジョウバエおよび線虫、例えば、カエノラブディティスエレガンス(Caenorhabditis elegans)もまた科学的手法で使用することができる。農学的に重要な動物の非限定的例は、ヒツジ、ウシおよびブタである一方、例えば、ネコおよびイヌは経済的に重要な動物と考えることができる。好ましくは、対象/患者は哺乳動物である。より好ましくは、対象/患者は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、サル、類人猿、マーモセット、ヒヒ、ゴリラ、チンパンジー、オラウータン、テナガザル、ヒツジ、ウシ、またはブタ)である。最も好ましくは、対象/患者はヒトである。
【0218】
障害または疾患の「治療」という用語は、本明細書で使用される場合(例えば、がんの「治療」)は、当技術分野で周知である。障害または疾患の「治療」とは、患者/対象において障害または疾患が疑われている、または診断されたことを意味する。障害または疾患を患っている疑いがある患者/対象は典型的に、特定の病理学的状態によって引き起こされたものと当業者が簡単に断定することができる(すなわち、障害または疾患を診断することができる)特定の臨床的および/または病理学的な症状を示す。
【0219】
障害または疾患の「治療」は、例えば、障害もしくは疾患の進行の停止(例えば、症状の悪化なし)または障害もしくは疾患の進行の遅延(進行の停止が一時的な性質の停止のみの場合)をもたらし得る。障害または疾患の「治療」はまた、障害または疾患を患っている対象/患者の部分奏効(例えば、症状の軽快)または完全奏効(例えば、症状の消失)をもたらし得る。したがって、障害または疾患の「治療」はまた、障害または疾患の軽快を指すこともでき、これは、例えば、障害もしくは疾患の進行の停止または障害もしくは疾患の進行の遅延につながり得る。このような部分奏効または完全奏効に続いて再発が生じ得る。対象/患者は、治療に対して広範囲の応答(例えば、本明細書の上記に記載されているような例示的な応答)を経験し得ることを理解されたい。障害または疾患の治療は、中でも、治癒的治療(好ましくは完全奏効および最終的に障害または疾患の治癒をもたらす)および待機的治療(症候緩和を含む)を含むことができる。
【0220】
障害または疾患の「軽快」は、例えば、障害もしくは疾患の進行の停止または障害もしくは疾患の進行の遅延をもたらし得る。
【0221】
本明細書で使用されている障害または疾患の「予防」という用語(例えば、がんの「予防」)もまた、当技術分野で周知である。例えば、障害または疾患に罹りやすい疑いがある患者/対象は特に、障害または疾患の予防から恩恵を受けることができる。対象/患者は、これらに限定されないが、遺伝性素因を含む、障害または疾患に対する感受性または素因を有することができる。このような素因は、例えば、遺伝マーカーまたは表現型の指示薬を使用して、標準的方法またはアッセイにより決定することができる。本発明に従い予防する障害または疾患は、患者/対象において、診断されていない、または診断することができない(例えば、患者/対象はいかなる臨床的または病理学的症状も示さない)ことを理解されたい。よって、「予防」という用語は、担当医師が、いずれかの臨床的および/または病理学的症状を診断もしくは決定する、または診断もしくは決定することができる前に本発明の化合物を使用することを含む。
【0222】
本発明は、本明細書に記載されている特徴および実施形態のありとあらゆる組合せであって、一般的なおよび/または好ましい特徴/実施形態の任意の組合せを含む組合せに具体的に関することを理解されたい。特に、本発明は、式(I)に含まれる様々な基および可変要素に対する意味(一般的なおよび/または好ましい意味を含む)の各組合せに具体的に関する。
【0223】
本明細書では、特許出願および科学文献を含むいくつかの文献が引用されている。これら文献の開示は、本発明の特許性に関連すると考えられないが、本明細書でその全体が参照により組み込まれている。より具体的には、すべての参照された文献は、それぞれ個々の文書が参照により組み込まれるよう具体的におよび個々に指摘されているのと同程度に、参照により組み込まれている。
【0224】
本発明は以下の実施例を参照してよりよく理解することができる。これらの実施例は、本発明の特定の実施形態を代表するものであることを意図し、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0225】
実施例
一般的な実験法
LCMS法:
方法A:装置:Agilent 1260 Bin。ポンプ:G1312B、脱ガス装置;オートサンプラー、ColCom、DAD:Agilent G1315D、220-320nm、MSD:Agilent LC/MSD G6130B ESI、pos/neg100~800、ELSD Alltech 3300気体流1.5mL/分、気体温度:40℃;カラム:Waters XSelect(商標)C18、30×2.1mm、3.5μ、温度:35℃、流速:1mL/分、勾配:t0=5%A、t1.6分=98%A、t3分=98%A、ポストタイム:1.3分、溶出液A:アセトニトリル中0.1%ギ酸、溶出液B:水中0.1%ギ酸)。
方法B:装置:Agilent 1260 Bin。ポンプ:G1312B、脱ガス装置;オートサンプラー、ColCom、DAD:Agilent G1315D、220~320nm、MSD:Agilent LC/MSDG6130B ESI、pos/neg100~800、ELSD Alltech3300気体流1.5mL/分、気体温度:40℃;カラム:Waters XSelect(商標)C18、50×2.1mm、3.5μ、温度:35℃、流速:0.8mL/分、勾配:t0=5%A、t3.5分=98%A、t6分=98%A、ポストタイム:2分;溶出液A:アセトニトリル中0.1%ギ酸、溶出液B:水中0.1%ギ酸)。
方法C:装置:Agilent 1260 Bin。ポンプ:G1312B、脱ガス装置;オートサンプラー、ColCom、DAD:Agilent G1315C、220~320nm、MSD:Agilent LC/MSD G6130B ESI、pos/neg100~800;カラム:Waters XSelect(商標)CSH C18、30×2.1mm、3.5μ、温度:25℃、流速:1mL/分、勾配:t0=5%A、t1.6分=98%A、t3分=98%A、ポストタイム:1.3分、溶出液A:95%アセトニトリル+5%アセトニトリル中水中10mM炭酸水素アンモニウム、溶出液B:水中10mM炭酸水素アンモニウム(pH=9.5)。
方法D:装置:Agilent 1260 Bin。ポンプ:G1312B、脱ガス装置;オートサンプラー、ColCom、DAD:Agilent G1315C、220~320nm、MSD:Agilent LC/MSD G6130B ESI、pos/neg100~800;カラム:Waters XSelect(商標)CSH C18、50×2.1mm、3.5μ、温度:25℃、流速:0.8mL/分、勾配:t0=5%A、t3.5分=98%A、t6分=98%A、ポストタイム:2分、溶出液A:95%アセトニトリル+5%アセトニトリル中水中10mM炭酸水素アンモニウム、溶出液B:水中10mM炭酸水素アンモニウム(pH=9.5)。
【0226】
UPLC法:
方法A:装置:Agilent Infinity II;Bin。ポンプ:G7120A、マルチサンプラー、VTC、DAD:Agilent G7117B、220~320nm、PDA:210~320nm、MSD:Agilent G6135B ESI、pos/neg100~1000、ELSD G7102A:Evap 40℃、Neb 50℃、気体流1.6mL/分、カラム:Waters XSelect CSH C18、50×2.1mm、2.5μm 温度:25℃、流速:0.6mL/分、勾配:t0=5%B、t2分=98%B、t2.7分=98%B、ポストタイム:0.3分、溶出液A:水中10mM炭酸水素アンモニウム(pH=9.5)、溶出液B:アセトニトリル。
方法B:装置:Agilent Infinity II;Bin。ポンプ:G7120A、マルチサンプラー、VTC、DAD:Agilent G7117B、220~320nm、PDA:210~320nm、MSD:Agilent G6135B ESI、pos/neg100~1000、ELSD G7102A:Evap 40℃、Neb 40℃、気体流1.6mL/分、カラム:Waters XSelect(商標)CSH C18、50×2.1mm、2.5μm 温度:40℃、流速:0.6mL/分、勾配:t0=5%B、t2分=98%B、t2.分=98%B、ポストタイム:0.3分、溶出液A:水中0.1%ギ酸、溶出液B:アセトニトリル中0.1%ギ酸。
【0227】
GCMS法:
方法A:機器:GC:Agilent 6890N G1530NおよびMS:MSD 5973 G2577A、EI-陽性、Det.temp.:280℃ 質量範囲:50~550;カラム:RXi-5MS 20m、ID180μm、df 0.18μm;平均速度:50cm/秒;注入体積:1μl;インジェクター温度:250℃;分割比:100/1;キャリアガス:He;初期温度:100℃;初期時間:1.5分;溶媒遅延:1.0分;速度75℃/分;最終温度250℃;保持時間4.3分。
方法B:機器:GC:Agilent 6890N G1530N、FID:Det.temp:300℃およびMS:MSD 5973 G2577A、EI-陽性、Det.temp.:280℃ 質量範囲:50~550;カラム:Restek RXi-5MS 20m、ID180μm、df 0.18μm;平均速度:50cm/秒;注入体積:1μl;インジェクター温度:250℃;分割比:20/1;キャリアガス:He;初期温度:60℃;初期時間:1.5分;溶媒遅延:1.3分;速度50℃/分;最終温度250℃;保持時間3.5分。
方法C:機器:GC:Agilent 6890N G1530N、FID:Det.temp:300℃およびMS:MSD 5973 G2577A、EI-陽性、Det.temp.:280℃ 質量範囲:50~550;カラム:Restek RXi-5MS 20m、ID180μm、df 0.18μm;平均速度:50cm/秒;注入体積:1μl;インジェクター温度:250℃;分割比:20/1;キャリアガス:He;初期温度:100℃;初期時間:1.5分;溶媒遅延:1.3分;速度75℃/分;最終温度250℃;保持時間4.5分。
【0228】
キラルLC:
方法A:(装置:Agilent 1260 Quart。ポンプ:G1311C、オートサンプラー、ColCom、DAD:Agilent G4212B、220~320nm、カラム:Chiralcel(登録商標)OD-H 250×4.6mm、温度:25℃、流速:1mL/分、均一濃度:90/10、時間:30分、溶出液A:ヘプタン、溶出液B:エタノール)。
分取逆相クロマトグラフィー:
方法A:機器タイプ:Reveleris(商標)分取MPLC;カラム:Phenomenex LUNA C18(150×25mm、10μ);流速:40mL/分;カラム温度:室温;溶出液A:水中0.1%(v/v)ギ酸、溶出液B:アセトニトリル中0.1%(v/v)ギ酸;勾配:t=0分5%B、t=1分5%B、t=2分30%B、t=17分70%B、t=18分100%B、t=23分100%B;検出UV:220/254nm。適当な画分を組み合わせて凍結乾燥する。
方法B:機器タイプ:Reveleris(商標)分取MPLC;カラム:Waters XSelect(商標)CSH C18(145×25mm、10μ);流速:40mL/分;カラム温度:室温;溶出液A:水中10mM炭酸水素アンモニウムpH=9.0);溶出液B:99%アセトニトリル+1%水中10mM炭酸水素アンモニウム;勾配:t=0分5%B、t=1分5%B、t=2分30%B、t=17分70%B、t=18分100%B、t=23分100%B;検出UV:220/254nm。適当な画分を組み合わせて凍結乾燥する。
【0229】
キラル(分取)SFC
方法A:(カラム:SFC機器モジュール:Waters Prep100q SFC System、PDA:Waters 2998、フラクションコレクター:Waters 2767;カラム:Phenomenex Lux Amylose-1(250×20mm、5μm)、カラム温度:35℃;流速:100mL/分;ABPR:170バール;溶出液A:CO2、溶出液B:メタノール中20mMアンモニア;均一濃度10%B、時間:30分、検出:PDA(210~320nm);PDAに基づく画分収集)。
方法B:(カラム:SFC機器モジュール:Waters Prep100q SFC System、PDA:Waters 2998、フラクションコレクター:Waters 2767;カラム:Phenomenex Lux Celulose-1(250×20mm、5μm)、カラム温度:35℃;流速:100mL/分;ABPR:170バール;溶出液A:CO2、溶出液B:メタノール中20mMアンモニア;均一濃度10%B、時間:30分、検出:PDA(210~320nm);PDAに基づく画分収集)。
方法C:(カラム:SFC機器モジュール:Waters Prep100q SFC System、PDA:Waters 2998;カラム:Chiralpak IC(100×4.6mm、5μm)、カラム温度:35℃;流速:2.5mL/分;ABPR:170バール;溶出液A:CO2、溶出液B:メタノールと20mMアンモニア;t=0分5%B、t=5分50%B、t=6分50%B、検出:PDA(210~320nm);PDAに基づく画分収集)。
方法D:(カラム:SFC機器モジュール:Waters Prep 100 SFC UV/MSによるシステム;Waters 2998 Photodiode Array(PDA)Detector;Waters Acquity QDa MS検出器;Waters 2767 Sample Manager;カラム:Waters Torus 2-PIC 130A OBD(250×19mm、5μm);カラム温度:35℃;流速:70mL/分;ABPR:120バール;溶出液A:CO2、溶出液B:メタノール中20mMアンモニア;線形勾配:t=0分10%B、t=4分50%B、t=6分50%B;検出:PDA(210~400nm);PDA TICに基づく画分収集)。
【0230】
出発材料
標準的試薬および溶媒を、市販の最も高い純度で入手し、そのまま使用した。購入した特定の試薬が以下に記載されている。
【0231】
【0232】
中間体1:1-((2S,5R)-5-(4-クロロ-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オンの合成
【0233】
【0234】
1Lスチールオートクレーブ内のメチル6-メチルニコチナート(100g、662mmol)の酢酸(250mL)中溶液に、酸化白金(IV)(0.5g、2.202mmol)を加え、その後、10バール水素大気下、60℃で反応混合物を撹拌した。急速な水素消費が観察され、オートクレーブに数回再充填し、水素消費が停止するまでこれを続けた。混合物を室温に冷却し、セライトで濾過した。濾液を慎重に濃縮することによってメチル6-メチルピペリジン-3-カルボキシレート酢酸塩をジアステレオ異性体(143.8g、100%)の混合物として生成し、これをそのまま次のステップで使用した。GCMS(方法A):tR2.40(80%)および2.48分(20%)、100%、MS(EI)157.1(M)+。ジアステレオ異性体の混合物としてのメチル6-メチルピペリジン-3-カルボキシレート酢酸塩(2.1kg、9924mmol)をジクロロメタン(4L)で希釈し、pH約9になるまで、4M水酸化ナトリウム溶液をゆっくりと加えた。層を分離し、水層をジクロロメタンで2回抽出した(それぞれの抽出後、4M水酸化ナトリウム溶液で水層をpH約9に再塩基性化した)。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、より小さな体積(約2L)まで濃縮して(35℃、450mbar)、メチル6-メチルピペリジン-3-カルボキシレート(2.8kg、8905mmol)をジクロロメタン中の約50%の黄色の溶液として生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3, 回転異性体の混合物) δ 5.10 (s,.3H), 3.63 (s, 1H), 3.49 - 3.42 (m, 2.2H), 3.41 - 3.34 (m, 0.8H), 3.18 - 3.10 (m, 0.8H), 3.09 - 3.03 (m, 0.2H), 2.64 - 2.54 (m, 0.8H), 2.53 - 2.34 (m, 1.2H), 2.30 - 2.20 (m, 1H), 1.95 - 1.76 (m, 1H), 1.53 - 1.36 (m, 1H), 1.35 - 1.21 (m, 1H), 1.04 - 0.90 (m, 1H), 0.89 - 0.84 (m, 0.8H), 0.83 - 0.76 (m, 2.2H).N-アセチル-D-ロイシン(1kg、5.77モル)のエタノール(1.5L)中溶液に、メチル6-メチルピペリジン-3-カルボキシレート(934g、2.38モル)の酢酸エチル(3L)中溶液を加え、混合物を40℃に加熱した。生成した溶液を16時間かけて室温に戻し、この間沈殿が生じた。沈殿物を濾別し、ジエチルエーテル(500mL)で洗浄し、風乾して、粗製のメチル(3R,6S)-6-メチルピペリジン-3-カルボキシレートアセチル-D-ロイシネート(287g、34%)を白色の固体として生成した。粗製のメチル(3R,6S)-6-メチルピペリジン-3-カルボキシレートアセチル-D-ロイシネート(287g、869mmol)を、エタノールと酢酸エチルの1:2高温混合物(1L)から結晶化した。沈殿物を濾別し、フィルターケーキをジエチルエーテルとn-ペンタン1:1(500mL)の混合物の中で粉砕した。沈殿物を濾別し、風乾して、メチル(3R,6S)-6-メチルピペリジン-3-カルボキシレートアセチル-D-ロイシネート(128g、44%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.80 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 5.80 - 5.00 (s, 2H), 4.20 - 4.04 (m, 1H), 3.63 (s, 3H), 3.32 - 3.21 (m, 1H), 2.93 - 2.80 (m, 2H), 2.73 - 2.65 (m, 1H), 2.04 - 1.94 (m, 1H), 1.82 (s, 3H), 1.68 - 1.49 (m, 3H), 1.49 - 1.37 (m, 2H), 1.30 - 1.15 (m, 1H), 1.02 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 0.85 (m, 6H).メチル(3R,6S)-6-メチルピペリジン-3-カルボキシレートアセチル-D-ロイシネート(128g、387mmol)のジクロロメタン(1L)中溶液に、炭酸ナトリウム飽和溶液(1L)を加えた。二相系を10分間激しく撹拌し、層を分離した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、透明な溶液を生成した。次に、トリエチルアミン(65mL、465mmol)および無水酢酸(44mL、465mmol)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を重炭酸ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮することによって、メチル(3R,6S)-1-アセチル-6-メチルピペリジン-3-カルボキシレート(93g)を淡黄色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3, 回転異性体の混合物) δ 5.02 - 4.87 (m, 0.5H), 4.84 - 4.68 (m, 0.5H), 4.18 - 4.05 (m, 0.5H), 3.89 - 3.77 (m, 0.5H), 3.71 (d, J = 11.6 Hz, 3H), 3.31 - 3.18 (m, 0.5H), 2.79 - 2.67 (m, 0.5H), 2.51 - 2.31 (m, 1H), 2.11 (d, J = 6.7 Hz, 3H), 2.01 - 1.90 (m, 1H), 1.88 - 1.55 (m, 3H), 1.33 - 1.21 (m, 1.5H), 1.20 - 1.06 (m, 1.5H).オートクレーブに、メタノール(600mL、4200mmol)中の、7Nアンモニア中メチル(3R,6S)-1-アセチル-6-メチルピペリジン-3-カルボキシレート(93g、387mmol)を充填し、60℃に3日間加熱した。混合物を濃縮することによって、(3R,6S)-1-アセチル-6-メチルピペリジン-3-カルボキサミド(102g)を淡黄色の油として生成した。定量的収率を推測して、生成物を次のステップでそのまま使用した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 7.38 (s, 1H), 6.89 (d, J = 24.7 Hz, 1H), 4.76 - 4.59 (m, 0.5H), 4.39 - 4.24 (m, 0.5H), 4.16 - 4.01 (m, 0.5H), 3.72 - 3.51 (m, 0.5H), 3.14 - 2.99 (m, 0.5H), 2.68 - 2.51 (m, 0.5H), 2.30 - 2.12 (m, 0.5H), 2.11 - 1.92 (m, 3.5H), 1.78 - 1.38 (m, 4H), 1.23 - 1.11 (m, 1.5H), 1.09 - 0.94 (m, 1.5H); キラルLC (方法A) tR= 12.35分, >98% ee.(3R,6S)-1-アセチル-6-メチルピペリジン-3-カルボキサミド(50g、271mmol)のジクロロメタン(500mL)中溶液に、トリエチルオキソニウムテトラフルオロボレート(77g、407mmol)を少しずつ加え、混合物を室温で4時間撹拌した。ゆっくりと、メタノール中7Nアンモニア(200mL、9.15モル)を加え、混合物を室温で16時間撹拌した。混合物を濃縮することによって、(3R,6S)-1-アセチル-6-メチルピペリジン-3-カルボキシミドアミド(50g)をピンク色の固体として生成し、これを次のステップでそのまま使用した。メタノール中5.4Mナトリウムメトキシド(99mL、535mmol)のメタノール(200mL)中溶液に、メタノール(400mL)およびマロン酸ジメチル(61.4mL、535mmol)中の(3R,6S)-1-アセチル-6-メチルピペリジン-3-カルボキシミドアミド(49g、267mmol)を加えた。混合物を50℃に加熱し、24時間撹拌した。混合物を濃塩酸で酸性化し(pH約3)、より小さな体積に濃縮した。残渣を、シリカ(ジクロロメタン中20%メタノール)を介して濾過し、濃縮して、オレンジ色の油状物質を生成した。粗生成物をシリカカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中0%~20%メタノール)で精製して、1-((2S,5R)-5-(4,6-ジヒドロキシピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(12g、17%)を無色の粘性物質として生成した。LCMS(方法C):tR0.17分、100%、MS(ESI)252.1(M+H)+。1-((2S,5R)-5-(4,6-ジヒドロキシピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(12g、47.8mmol)のオキシ塩化リン(80mL、858mmol)中溶液を、60℃で24時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、トルエンで2回同時蒸発させて、黄色の油状物質を生成した。油状物質を酢酸エチルに溶解し、重炭酸ナトリウム飽和溶液で洗浄した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、黄色の油状物質を生成した。油状物質をシリカカラムクロマトグラフィー(トルエン中0%~20%テトラヒドロフラン)で精製して1-((2S,5R)-5-(4,6-ジクロロピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(1.5g、11%)を無色の粘性物質として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 7.95 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 4.85 - 4.72 (m, 1H), 4.69 - 4.62 (m, 1H), 4.23 - 4.13 (m, 1H), 4.07 - 3.98 (m, 1H), 3.97 - 3.88 (m, 1H), 3.00 - 2.89 (m, 1H), 2.81 - 2.67 (m, 1H), 2.09 - 1.72 (m, 7H), 1.71 - 1.58 (m, 2H), 1.25 - 1.14 (m, 3H), 1.12 - 1.05 (m, 2H); LCMS (方法B): tR 3.34分, MS (ESI) 288.0 (M+H)+; キラルUPLC (方法: A) tR 2.54分, >95% eeおよびde.アルゴン下で、1,4-ジオキサン(20mL)中の、2-トリブチルスタンニルピラジン(607mg、1.65mmol)、1-((2S,5R)-5-(4,6-ジクロロピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(500mg、1.74mmol)およびビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)(244mg、0.34mmol)を100℃に加熱し、32時間撹拌した。混合物を、1%トリエチルアミンを含有するジクロロメタンで希釈し、シリカ上にコーティングした。これを、シリカカラムクロマトグラフィー(1%トリエチルアミンを含有するジクロロメタン中0%~40%アセトニトリル)で精製して、1-((2S,5R)-5-(4-クロロ-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体1、134mg、18%)をオレンジ色の粘性物質として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 9.46 - 9.41 (m, 1H), 8.80 - 8.76 (m, 1H), 8.65 - 8.59 (m, 1H), 8.33 - 8.29 (m, 1H), 7.66 - 7.59 (m, 1H), 4.86 - 4.70 (m, 0.5H), 4.27 - 4.17 (m, 0.5H), 4.09 - 3.97 (m, 0.5H), 3.55 - 3.41 (m, 0.5H), 3.06 - 2.98 (m, 0.5H), 2.88 - 2.82 (m, 0.5H), 2.10 - 1.90 (m, 6H), 1.89 - 1.76 (m, 0.5H), 1.75 - 1.61 (m, 1.5H), 1.29 - 1.20 (m, 1.5H), 1.17 - 1.10 (m, 1.5H); LCMS (方法C): tR 1.81分, MS (ESI) 331.1 (M+H)+.
【0235】
最終生成物に対する合成手順
実施例1
1-((2S,5R)-5-(4-((3-フルオロ-5-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(001)の合成
【0236】
【0237】
1-((2S,5R)-5-(4-クロロ-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体1、4.64g、8.95mmol)の2-プロパノール(60mL)中混合物に、3-ブロモ-5-フルオロアニリン(2.21g、11.63mmol)および濃塩酸(1.49mL、17.90mmol)を加えた。混合物を60℃で4日間撹拌し、室温で1日撹拌した。重炭酸ナトリウム飽和水溶液を使用して、混合物をpH7に中和し、真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチルで3回抽出し、ジクロロメタン中の10%メタノール混合物で2回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、シリカ上にコーティングした。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中0%~10%メタノール)で精製して、1-((2S,5R)-5-(4-((3-ブロモ-5-フルオロフェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(2.58g、56%)をオフホワイト色の固体として生成した。LCMS(方法C):tR2.02分、94%、MS(ESI)485.0および487.0(M+H)+。窒素大気下で、1-((2S,5R)-5-(4-((3-ブロモ-5-フルオロフェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(2.88g、5.70mmol)および1-メチル-4-(トリブチルスタンニル)-1H-イミダゾール(2.54g、6.84mmol)を乾燥1,4-ジオキサン(55mL)に溶解し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.32g、1.14mmol)を加えた。混合物を110℃で3日間撹拌し、室温まで冷却させて、シリカ上にコーティングした。コーティングした混合物をシリカカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中0%~10%メタノール)で2回精製した。生成物を分取逆相クロマトグラフィー(方法A)でさらに精製し、真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で乾燥させた。残渣をキラル(分取)SFC(方法D)で精製し、凍結乾燥させて、1-((2S,5R)-5-(4-((3-フルオロ-5-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(001、1.21g、44%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 10.14 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 9.56 (d, J = 12.7 Hz, 1H), 8.84 - 8.78 (m, 2H), 7.98 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 7.76 - 7.62 (m, 4H), 7.22 - 7.14 (m, 1H), 4.88 - 4.73 (m, 1H), 4.28 - 4.19 (m, 0.5H), 4.09 (dd, J = 13.6, 4.1 Hz, 0.5H), 3.75 - 3.66 (m, 3H), 3.57 - 3.47 (m, 0.5H), 3.02 - 2.89 (m, 1H), 2.85 - 2.74 (m, 0.5H), 2.14 - 2.00 (m, 5H), 1.93 - 1.82 (m, 0.5H), 1.77 - 1.65 (m, 1.5H), 1.33 - 1.27 (m, 1.5), 1.19 - 1.13 (m, 1.5H); UPLC (方法A): tR 1.45分, 97%, MS (ESI) 487.2 (M+H)+.
【0238】
実施例2
1-((2S,5R)-5-(4-((3-フルオロ-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(002)の合成
【0239】
【0240】
1-((2S,5R)-5-(4-クロロ-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体1、457mg、1.38mmol)および3-フルオロ-5-ヨードアニリン(326mg、1.38mmol)の2-プロパノール(10mL)中混合物に、濃塩酸(0.23mL、2.75mmol)を加えた。混合物を60℃で16時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、水に再び溶解し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液で中和し、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、シリカ上にコーティングした。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~100%酢酸エチル)で精製し、これに続いてシリカカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中0%~10%メタノール)で精製して、1-((2S,5R)-5-(4-((3-フルオロ-5-ヨードフェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(403mg、47%)をオフホワイト色の固体として生成した。LCMS(方法C):tR2.20分、86%、MS(ESI)533.0(M+H)+。窒素大気下で、1-((2S,5R)-5-(4-((3-フルオロ-5-ヨードフェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(50mg、0.09mmol)、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(54.7mg、0.28mmol)および炭酸ナトリウム(29.9mg、0.28mmol)を1,2-ジメトキシエタン(1mL)および水(0.33mL)に溶解し、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(7.67mg、9.39μmol)を加えた。混合物を90℃で3日間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却させ、C18-材料上で濾過し、シリカ上にコーティングし、シリカカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中0%~10%メタノール)で精製した。生成物を分取逆相クロマトグラフィー(方法B)でさらに精製し、凍結乾燥させて、1-((2S,5R)-5-(4-((3-フルオロ-5-(1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(002、20.0mg、mmol、45%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ13.06 (s, 1H), 10.13 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 9.56 (d, J = 14.3 Hz, 1H), 8.91 - 8.70 (m, 2H), 8.33 - 7.82 (m, 2H), 7.73 - 7.61 (m, 3H), 7.21 - 7.09 (m, 1H), 4.88 - 4.72 (m, 1H), 4.28 - 4.18 (m, 0.5H), 4.18 - 4.01 (m, 0.5H), 3.53 - 3.43 (m, 0.5H), 3.01 - 2.89 (m, 1H), 2.85 - 2.74 (m, 0.5H), 2.13 - 2.00 (m, 5H), 1.93 - 1.82 (m, 0.5H), 1.78 - 1.63 (m, 1.5H), 1.31 - 1.23 (m Hz, 1.5H), 1.19 - 1.09 (m 1.5H); UPLC (方法A): tR 1.44分, 99%, MS (ESI) 473.2 (M+H)+.
【0241】
実施例3
1-((2S,5R)-5-(4-((3-フルオロ-5-(1,3,5-トリメチル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(003)の合成
【0242】
【0243】
3-ブロモアニリン(0.13mL、1.16mmol)、1,3,5-トリメチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(302mg、1.28mmol)および炭酸ナトリウム(370mg、3.49mmol)の1,2-ジメトキシエタン(8mL)および水(2mL)中混合物を、アルゴンで5分間脱気した。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(40.8mg、0.06mmol)を加え、混合物を100℃で16時間加熱した。混合物を室温まで冷却させ、水で希釈し、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~75%酢酸エチル)で精製して、3-(1,3,5-トリメチル-1H-ピラゾール-4-イル)アニリン(100mg、43%)を黄色の油として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.05 - 6.99 (m, 1H), 6.48 - 6.42 (m, 2H), 6.38 - 6.33 (m, 1H), 5.03 (s, 2H), 3.67 (s, 3H), 2.18 (s, 3H), 2.09 (s, 3H).1-((2S,5R)-5-(4-クロロ-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体1、100mg、0.25mmol)および3-(1,3,5-トリメチル-1H-ピラゾール-4-イル)アニリン(60.4mg、0.30mmol)の2-プロパノール(4mL)中混合物に、濃塩酸(0.02mL、0.25mmol)を加えた。混合物を70℃で16時間撹拌し、室温まで冷却させ、真空中で濃縮した。残渣をメタノールに溶解し、キラル(分取)SFC(方法D)で精製し、凍結乾燥させて、1-((2S,5R)-2-メチル-5-(4-(ピラジン-2-イル)-6-((3-(1,3,5-トリメチル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)アミノ)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(003、68.2mg、55%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 9.94 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 9.55 (dd, J = 13.0, 1.3 Hz, 1H), 8.98 - 8.65 (m, 2H), 7.87 - 7.71 (m, 1H), 7.66 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.62 - 7.50 (m, 1H), 7.43 - 7.35 (m, 1H), 6.94 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 4.86 - 4.76 (m, 0.5H), 4.71 - 4.61 (m, 0.5H), 4.25 - 4.14 (m, 0.5H), 4.06 - 3.96 (m, 0.5H), 3.70 (s, 3H), 3.52 - 3.41 (m, 0.5H), 2.96 - 2.81 (m, 1H), 2.77 - 2.68 (m, 0.5H), 2.25 (s, 3H), 2.16 (s, 3H), 2.11 - 1.90 (m, 5H), 1.90 - 1.76 (m, 0.5H), 1.74 - 1.58 (m, 1.5H), 1.22 - 1.16 (m, 1.5H), 1.11 - 1.04 (m, 1.5H); UPLC (方法A): tR 1.50分, 99%, MS (ESI) 497.4 (M+H)+.
適当な出発材料を使用して、以下の化合物を実施例3と類似の手順に従い調製し、逆相クロマトグラフィー方法A/Bおよび/またはprep-SFCを使用して精製した。
【0244】
【0245】
実施例4
1-((2S,5R)-5-(4-((3-フルオロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(006)の合成
【0246】
【0247】
3-フルオロ-5-ニトロ安息香酸(200mg、1.08mmol)およびアセトヒドラジド(96mg、1.30mmol)の乾燥N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中混合物に、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(249mg、1.30mmol)および1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(14.71mg、0.11mmol)を加えた。混合物を室温で3日間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルおよび重炭酸ナトリウム飽和水溶液で希釈した。層を分離し、有機層を重炭酸ナトリウム飽和水溶液で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で乾燥させた。残渣を乾燥テトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、(メトキシカルボニルスルファモイル)トリエチルアンモニウム水酸化物(643mg、2.70mmol)を加えた。混合物を室温で90分間撹拌し、続いて酢酸エチルおよび重炭酸ナトリウム飽和水溶液で希釈した。層を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、シリカ上にコーティングした。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~100%酢酸エチル)で精製して、2-(3-フルオロ-5-ニトロフェニル)-5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール(131mg、54%)を黄色の油として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.53 - 8.47 (m, 1H), 8.44 - 8.37 (m, 1H), 8.32 - 8.25 (m, 1H), 2.63 (s, 3H); LCMS (方法A): tR 1.73分, 99%, MS (ESI) 224.0 (M+H)+.窒素大気下で、2-(3-フルオロ-5-ニトロフェニル)-5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール(130mg、0.58mmol)をエタノール(5mL)に溶解し、10%パラジウム担持炭素(50%湿らせた、12.40mg、0.06mmol)を加えた。次に、水素大気を導入し、混合物を室温で16時間撹拌した。混合物をセライトで濾過し、フィルターケーキをエタノールで洗浄し、濾液をシリカ上にコーティングした。残渣をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中0%~10%メタノール)で精製して、3-フルオロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)アニリン(76mg、68%)を暗色の粘性物質として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.05 - 7.00 (m, 1H), 6.82 - 6.75 (m, 1H), 6.55 - 6.47 (m, 1H), 5.87 (s, 2H), 2.56 (s, 3H).窒素大気下で、1-((2S,5R)-5-(4-クロロ-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体1、50mg、0.15mmol)、3-フルオロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)アニリン(37.8mg、0.20mmol)および炭酸セシウム(147mg、0.45mmol)を1,4-ジオキサン(2mL)に溶解し、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(13.80mg、0.02mmol)および2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(14.37mg、0.03mmol)を加えた。混合物をマイクロ波内で、100℃で2時間加熱した。混合物をC18-材料上で濾過し、分取逆相クロマトグラフィー(方法A)で精製し、凍結乾燥させて、1-((2S,5R)-5-(4-((3-フルオロ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(006、40mg、54%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 10.42 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 9.56 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 8.85 - 8.78 (m, 2H), 8.38 - 8.30 (m, 1H), 8.06 - 7.95 (m, 1H), 7.68 (d, J = 3.1 Hz, 1H), 7.43 - 7.34 (m, 1H), 4.88 - 4.74 (m, 1H), 4.28 - 4.21 (m, 0.5H), 4.18 - 4.07 (m, 0.5H), 3.56 - 3.45 (m, 0.5H), 3.03 - 2.91 (m, 1H), 2.86 - 2.72 (m, 0.5H), 2.59 (s, 3H), 2.19 - 1.98 (m, 5H), 1.93 - 1.82 (m, 0.5H), 1.77 - 1.65 (m, 1.5H), 1.34 - 1.23 (m, 1.5H), 1.22 - 1.12 (m, 1.5H); UPLC (方法B): tR 1.49分, 100%, MS (ESI) 489.2 (M+H)+.
【0248】
実施例5
1-((2S,5R)-5-(4-((3-(1-イソプロピル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(007)の合成
【0249】
【0250】
t-ブタノール(5mL)と水(5mL)の混合物中の、3-ニトロフェニルアセチレン(173mg、1.18mmol)、L-アスコルビン酸ナトリウム塩(46.6mg、0.24mmol)と無水硫酸銅(II)(37.5mg、0.24mmol)の混合物に、2.5M 2-アジドプロパンのN,N-ジメチルホルムアミド(0.47mL、1.18mmol)中溶液を加えた。反応混合物を35℃で16時間撹拌し、続いて水および酢酸エチルで希釈した。混合物を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で乾燥させた。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~50%酢酸エチル)で精製して、1-イソプロピル-4-(3-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(147.8mg、54%)を白色の固体として生成した。LCMS(方法C):tR1.93分、100%、MS(ESI)233.1(M+H)+。鉄(106mg、1.90mmol)を、塩化アンモニウム(102mg、1.90mmol)の水(3mL)中撹拌溶液に加えた。メタノール(1.5mL)とテトラヒドロフラン(1.5mL)の混合物中の、1-イソプロピル-4-(3-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(147mg、0.63mmol)の懸濁液をゆっくりと加えた。混合物を70℃で3時間撹拌し、室温まで冷却させ、水および酢酸エチルで希釈した。有機層をデカントし、この工程を3回繰り返した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で乾燥させて、3-(1-イソプロピル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(133mg、104%)を黄色の粘性物質として生成し、これを、さらに精製せずに粗製のまま継続して使用した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.47 (s, 1H), 7.11 (t, J = 2.0 Hz, 1H), 7.06 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 6.93 (dt, J = 7.6, 1.4 Hz, 1H), 6.54 - 6.48 (m, 1H), 5.15 (s, 2H), 4.87 - 4.73 (m, 1H), 1.52 (d, J = 6.7 Hz, 6H); LCMS (方法C): tR 1.61分, 98%, MS (ESI) 203.1 (M+H)+.1-((2S,5R)-5-(4-クロロ-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体1、100mg、0.25mmol)および3-(1-イソプロピル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(60.7mg、0.30mmol)の2-プロパノール(4mL)中混合物に、濃塩酸(0.02mL、0.25mmol)を加えた。混合物を70℃で16時間撹拌し、室温まで冷却させ、真空下で乾燥させた。残渣をキラル(分取)SFC(方法D)で精製し、凍結乾燥させて、1-((2S,5R)-5-(4-((3-(1-イソプロピル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(007、77.8mg、63%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 10.01 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 9.56 (d, J = 12.3 Hz, 1H), 8.83 - 8.77 (m, 2H), 8.62 (d, J = 6.1 Hz, 1H), 8.44 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 7.71 - 7.61 (m, 2H), 7.54 - 7.38 (m, 2H), 4.93 - 4.74 (m, 2H), 4.26 - 4.17 (m, 0.5H), 4.14 - 4.02 (m, 0.5H), 3.55 - 3.46 (m, 0.5H), 3.00 - 2.85 (m, 1H), 2.81 - 2.70 (m, 0.5H), 2.18 - 1.95 (m, 5H), 1.91 - 1.78 (m, 0.5H), 1.76 - 1.61 (m, 1.5H), 1.54 (dd, J = 6.7, 3.5 Hz, 6H), 1.29 - 1.23 (m, 1.5H), 1.16 - 1.05 (m, 1.5H); UPLC (方法A): tR 1.52分, 97%, MS (ESI) 498.4 (M+H)+.
【0251】
適当な出発材料を使用して、実施例5と類似の手順に従い以下の化合物を調製し、逆相クロマトグラフィー方法A/Bおよび/またはprep-SFCを使用して精製した。
【0252】
【0253】
実施例6
1-((2S,5R)-5-(4-((3-フルオロ-5-(1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(009)の合成
【0254】
【0255】
アルゴン下で、1-フルオロ-3-ヨード-5-ニトロベンゼン(2g、7.49mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(30mL)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.26g、0.38mmol)に溶解し、ヨウ化銅(I)(0.14g、0.75mmol)、テトラブチルアンモニウムヨージド(0.55g、1.50mmol)、トリエチルアミン(1.56mL、11.24mmol)およびトリメチルシリルアセチレン(1.81mL、12.73mmol)を加えた。混合物を70℃で16時間撹拌した。混合物を室温まで冷却させ、塩化アンモニウム飽和水溶液に注ぎ入れ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をヒドロマトリックス上にコーティングし、シリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~15%酢酸エチル)で2回精製して、((3-フルオロ-5-ニトロフェニル)エチニル)トリメチルシラン(680mg、38%)を褐色の粘性物質として生成した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.14 - 8.09 (m, 1H), 7.91 - 7.84 (m, 1H), 7.51 - 7.44 (m, 1H), 0.28 - 0.26 (m, 9H).((3-フルオロ-5-ニトロフェニル)エチニル)トリメチルシラン(880mg、3.71mmol)のメタノール(35mL)中溶液に、炭酸カリウム(256mg、1.85mmol)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮して、油状物質を得た。油状物質をジエチルエーテルおよび水で希釈した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、1-エチニル-3-フルオロ-5-ニトロベンゼン(514mg、84%)をオレンジ色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.18 - 8.12 (m, 1H), 7.96 - 7.89 (m, 1H), 7.55 - 7.48 (m, 1H), 3.28 (s, 1H).アルゴン雰囲気下で、アジドトリメチルシラン(0.49mL、3.75mmol)およびヨウ化銅(I)(23.82mg、0.13mmol)を、1-エチニル-3-フルオロ-5-ニトロベンゼン(413mg、2.50mmol)の乾燥N,N-ジメチルホルムアミド(20mL)およびメタノール(2mL)中撹拌溶液に加えた。混合物を100℃で16時間撹拌し、室温まで冷却させ、重炭酸ナトリウム飽和水溶液に注ぎ入れた。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~50%酢酸エチル)で精製して、4-(3-フルオロ-5-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(460mg、88%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 15.50 (s, 1H), 8.70 (s, 1H), 8.59 - 8.53 (m, 1H), 8.26 - 8.19 (m, 1H), 8.14 - 8.07 (m, 1H).窒素大気下で、4-(3-フルオロ-5-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(460mg、2.21mmol)のエタノール(30mL)中撹拌溶液に、10%パラジウム担持炭素(50%湿らせた、47.0mg、0.22mmol)を加えた。次に、水素雰囲気を導入し、混合物を室温で6日間撹拌した。混合物をセライトで濾過し、フィルターケーキをエタノールですすいだ。合わせた濾液を真空中で濃縮し、シリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~60%酢酸エチル)で精製して、3-フルオロ-5-(1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(309mg、78%)を黄色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 15.11 (s, 1H), 8.22 (s, 1H), 6.95 - 6.89 (m, 1H), 6.78 - 6.70 (m, 1H), 6.34 - 6.26 (m, 1H), 5.55 (s, 2H). LCMS (方法A): tR 1.11分, 87%, MS (ESI) 179.0 (M+H)+.1-((2S,5R)-5-(4-クロロ-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体1、100mg、0.30mmol)および3-フルオロ-5-(1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(64.4mg、0.36mmol)の2-プロパノール(4mL)中溶液に、濃塩酸(0.05mL、0.51mmol)を加え、混合物を70℃で16時間加熱した。混合物を真空中で濃縮し、分取逆相クロマトグラフィー(方法A)で精製し、凍結乾燥させて、1-((2S,5R)-5-(4-((3-フルオロ-5-(1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(009、88mg、62%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 15.18 (s, 1H), 10.25 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 9.56 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 8.87 - 8.78 (m, 2H), 8.38 (s, 1H), 8.10 (d, J = 15.1 Hz, 1H), 7.91 - 7.82 (m, 1H), 7.68 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.39 - 7.32 (m, 1H), 4.89 - 4.79 (m, 0.5H), 4.79 - 4.65 (m, 0.5H), 4.28 - 4.18 (m, 0.5H), 4.14 - 4.06 (m, 0.5H), 3.54 - 3.45 (m, 0.5H), 3.01 - 2.90 (m, 1H), 2.85 - 2.74 (m, 0.5H), 2.17 - 1.95 (m, 5H), 1.94 - 1.79 (m, 0.5H), 1.77 - 1.64 (m, 1.5H), 1.32 - 1.24 (m, 1.5H), 1.19 - 1.04 (m, 1.5H); UPLC (方法A): tR 1.29分, 96%, MS (ESI) 474.2 (M+H)+; キラルSFC (方法D): tR 3.45分, 97%, MS (ESI) 474.1 (M+H)+.
【0256】
実施例7
1-((2S,5R)-5-(4-((3-クロロ-5-(1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(010)の合成
【0257】
【0258】
アルゴン下で、1-ブロモ-3-クロロ-5-ニトロベンゼン(1.24g、5.24mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(40mL)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.18g、0.26mmol)に溶解し、ヨウ化銅(I)(0.10g、0.52mmol)、テトラブチルアンモニウムヨージド(0.39g、1.05mmol)、トリエチルアミン(1.09mL、7.87mmol)およびトリメチルシリルアセチレン(1.27mL、8.92mmol)を加えた。混合物を70℃で16時間撹拌した。混合物を室温まで冷却させ、真空中で濃縮した。残渣をヒドロマトリックス上でコーティングし、シリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~10%酢酸エチル)で精製して、((3-クロロ-5-ニトロフェニル)エチニル)トリメチルシラン(1.0g、75%)を褐色の粘性物質として生成した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.22 - 8.16 (m, 1H), 8.16 - 8.10 (m, 1H), 7.77 - 7.72 (m, 1H), 0.30 - 0.25 (m, 9H); GCMS (方法C): tR 4.18分, 94%, MS (EI) 238.1 (M).((3-クロロ-5-ニトロフェニル)エチニル)トリメチルシラン(1.0g、3.94mmol)のメタノール(40mL)中溶液に、炭酸カリウム(0.27g、1.97mmol)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌し、真空中で濃縮して、油状物質を得た。油状物質をジエチルエーテルおよび水で希釈した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、1-クロロ-3-エチニル-5-ニトロベンゼン(700mg、98%)をベージュ色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.25 - 8.17 (m, 2H), 7.80 - 7.74 (m, 1H), 3.28 (s, 1H).アルゴン雰囲気下で、アジドトリメチルシラン(0.76mL、5.78mmol)およびヨウ化銅(I)(47mg、0.25mmol)を、1-クロロ-3-エチニル-5-ニトロベンゼン(700mg、3.86mmol)の乾燥N,N-ジメチルホルムアミド(30mL)およびメタノール(3mL)中撹拌溶液に加えた。混合物を100℃で16時間撹拌し、室温まで冷却させ、重炭酸ナトリウム飽和水溶液に注ぎ入れた。混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をヒドロマトリックス上にコーティングし、シリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~50%酢酸エチル)で精製して、4-(3-クロロ-5-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(650mg、75%)を白色の固体として生成した。LCMS(方法C):tR1.64分、95%、MS(ESI)225.0(M+H)+。鉄粉末(224mg、4.01mmol)を塩化アンモニウム(214mg、4.01mmol)の水(6mL)中撹拌溶液に加えた。4-(3-クロロ-5-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(300mg、1.34mmol)のメタノール(3mL)およびテトラヒドロフラン(3mL)中懸濁液をゆっくりと加え、混合物を70℃で3時間撹拌した。混合物を室温まで冷却させ、水および酢酸エチルで希釈し、15分間撹拌した。有機層をデカントし、この工程を3回繰り返した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、3-クロロ-5-(1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(143mg、55%)を黄色の粘性物質として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 15.12 (s, 1H), 8.26 (s, 1H), 7.07 - 7.01 (m, 1H), 7.01 - 6.96 (m, 1H), 6.59 - 6.54 (m, 1H), 5.55 (s, 2H); LCMS (方法C): tR1.41分, 87%, MS (ESI) 195.0 (M+H)+.1-((2S,5R)-5-(4-クロロ-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体1、100mg、0.25mmol)および3-クロロ-5-(1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(58.4mg、0.30mmol)の2-プロパノール(4mL)中溶液に、濃塩酸(0.02mL、0.25mmol)を加えた。混合物を70℃で16時間撹拌し、室温まで冷却させ、真空中で濃縮した。残渣をキラル(分取)SFC(方法D)で精製し、これに続いて分取逆相クロマトグラフィー(方法A)で精製し、凍結乾燥させて、1-((2S,5R)-5-(4-((3-クロロ-5-(1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(010、50mg、41%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 15.17 (br s, 1H), 10.23 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 9.56 (d, J = 15.0 Hz, 1H), 8.88 - 8.79 (m, 2H), 8.40 (s, 1H), 8.22 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.15 - 8.05 (m, 1H), 7.68 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.60 - 7.53 (m, 1H), 4.90 - 4.79 (m, 0.5H), 4.76 - 4.64 (m, 0.5H), 4.27 - 4.19 (m, 0.5H), 4.12 - 3.99 (m, 0.5H), 3.54 - 3.45 (m, 0.5H), 3.04 - 2.89 (m, 1H), 2.85 - 2.74 (m, 0.5H), 2.14 - 2.00 (m, 5H), 1.93 - 1.79 (m, 0.5H), 1.77 - 1.62 (m, 1.5H), 1.34 - 1.27 (m, 1.5H), 1.21 - 1.12 (m, 1.5H); UPLC (方法A): tR 1.36分, 99%, MS (ESI) 490.2 (M+H)+.
【0259】
実施例8
1-((2S,5R)-5-(4-((3-(1-エチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(011)の合成
【0260】
【0261】
3-ニトロフェニルアセチレン(500mg、3.40mmol)、アジ化ナトリウム(265mg、4.08mmol)、L-アスコルビン酸ナトリウム塩(673mg、3.40mmol)およびヨウ化エチル(0.33mL、4.08mmol)のメタノール(15mL)および水中撹拌溶液に、ヨウ化銅(I)(32.4mg、0.17mmol)を加えた。混合物を3日間加熱還流し、これに続いて室温で2日間撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、残渣を水、酢酸エチルおよび飽和水性塩化アンモニウム中に溶解させた。層を分離し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、1-エチル-4-(3-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(427mg、58%)を黄色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.89 (s, 1H), 8.68 - 8.61 (m, 1H), 8.34 - 8.25 (m, 1H), 8.24 - 8.14 (m, 1H), 7.81 - 7.67 (m, 1H), 4.47 (q, J = 7.3 Hz, 2H), 1.51 (t, J = 7.3 Hz, 3H); LCMS (方法C): tR 1.69分, 90%, MS (ESI) 219.1 (M+H)+.メタノール(5mL)とテトラヒドロフラン(5mL)の混合物中の1-エチル-4-(3-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(427mg、1.96mmol)の懸濁液を、塩化アンモニウム(314mg、5.87mmol)と鉄粉末(328mg、5.87mmol)の水(10mL)中撹拌混合物に加えた。混合物を70℃で3時間加熱し、室温まで冷却させ、有機溶媒を真空中で除去した。残渣を酢酸エチルで15分間撹拌し、有機層をデカントし、この工程を2回繰り返した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、3-(1-エチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(357mg、88%)を褐色の粘性物質として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.41 (s, 1H), 7.16 - 7.00 (m, 2H), 6.92 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.51 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.17 (s, 2H), 4.40 (q, J = 7.3 Hz, 2H), 1.47 (t, J = 7.3 Hz, 3H); LCMS (方法C): tR 1.39分, 88%, MS (ESI) 189.1 (M+H)+.1-((2S,5R)-5-(4-クロロ-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体1、100mg、0.25mmol)および3-(1-エチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(64.2mg、0.30mmol)の2-プロパノール(4mL)中溶液に、濃塩酸(0.02mL、0.25mmol)を加えた。混合物を70℃で16時間撹拌し、室温に戻し、真空中で濃縮した。残渣をキラル(分取)SFC(方法D)で精製し、凍結乾燥させて、1-((2S,5R)-5-(4-((3-(1-エチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(011、72.2mg、60%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 10.01 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 9.56 (dd, J = 11.5, 1.0 Hz, 1H), 8.84 - 8.77 (m, 2H), 8.57 (d, J = 6.5 Hz, 1H), 8.46 (s, 1H), 7.71 - 7.60 (m, 2H), 7.54 - 7.39 (m, 2H), 4.87 - 4.76 (m, 1H), 4.44 (p, J = 7.3 Hz, 2H), 4.28 - 4.15 (m, 0.5H), 4.13 - 4.03 (m, 0.5H), 3.57 - 3.45 (m, 0.5H), 3.00 - 2.85 (m, 1H), 2.82 - 2.72 (m, 0.5H), 2.16 - 1.98 (m, 5H), 1.91 - 1.80 (m, 0.5H), 1.77 - 1.59 (m, 1.5H), 1.49 (td, J = 7.3, 1.5 Hz, 3H), 1.31 - 1.22 (m, 1.5H), 1.17 - 1.09 (m, 1.5H); UPLC (方法A): tR1.45分, 99%, MS (ESI) 484.4 (M+H)+; キラルSFC (方法D): tR 3.00分, 99%, MS (ESI) 484.2 (M+H)+.
【0262】
実施例9
1-((2S,5R)-2-メチル-5-(4-((4-メチル-3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(012)の合成
【0263】
【0264】
アルゴン下で、2-ヨード-1-メチル-4-ニトロベンゼン(1.17g、4.43mmol)を乾燥N,N-ジメチルホルムアミド(15mL)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.16g、0.22mmol)に溶解し、ヨウ化銅(I)(0.08g、0.44mmol)、テトラブチルアンモニウムヨージド(0.33g、0.89mmol)、トリエチルアミン(0.92mL、6.64mmol)、およびトリメチルシリルアセチレン(1.07mL、7.53mmol)を加えた。混合物を70℃で16時間撹拌した。混合物を室温まで冷却させ、飽和塩化アンモニウムに注ぎ入れ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。暗色の油状物質をヒドロマトリックス上にコーティングし、シリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~10%酢酸エチル)で精製して、トリメチル((2-メチル-5-ニトロフェニル)エチニル)シラン(596mg、95%)を暗色の黄色の油状物質として生成した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.28 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.05 (dd, J = 8.5, 2.4 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 2.53 (s, 3H), 0.34 - 0.27 (m, 9H).トリメチル((2-メチル-5-ニトロフェニル)エチニル)シラン(596mg、2.55mmol)のメタノール(25mL)中溶液に、炭酸カリウム(177mg、1.28mmol)を加え、混合物を室温(room temperate)で3時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮して、油状物質を得た。油状物質を酢酸エチルおよび水で希釈した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をヒドロマトリックス上にコーティングし、シリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~10%酢酸エチル)で精製して、2-エチニル-1-メチル-4-ニトロベンゼン(156mg、38%)を黄色の油として生成した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.31 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.09 (dd, J = 8.5, 2.5 Hz, 1H), 7.38 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 3.41 (s, 1H), 2.55 (s, 3H).2-エチニル-1-メチル-4-ニトロベンゼン(156mg、0.97mmol)の水(2mL)およびt-ブタノール(2mL)中溶液に、ヨードメタン(0.05mL、0.78mmol)、アジ化ナトリウム(50.7mg、0.78mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.14mL、0.78mmol)およびヨウ化銅(I)(13.53mg、0.07mmol)を加えた。混合物を50℃で16時間撹拌した。混合物を水および酢酸エチルで希釈し、水性飽和重炭酸ナトリウムを加えた。層を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~75%酢酸エチル)で精製して、1-メチル-4-(2-メチル-5-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(75.6mg、36%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.59 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.11 (dd, J = 8.4, 2.5 Hz, 1H), 7.76 (s, 1H), 7.44 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 4.22 (s, 3H), 2.61 (s, 3H).1-メチル-4-(2-メチル-5-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(75mg、0.34mmol)のメタノール(1.5mL)およびテトラヒドロフラン(1.5mL)中溶液に、水(3mL)、塩化アンモニウム(55.2mg、1.03mmol)および鉄(57.6mg、1.03mmol)を加えた。混合物を70℃で4時間加熱し、続いて真空中で濃縮した。水性の残渣を酢酸エチルで15分間撹拌し、有機層をデカントし、この工程を2回繰り返した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、4-メチル-3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(56.9mg、88%)を褐色の粘性物質として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.20 (s, 1H), 7.02 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.92 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.48 (dd, J = 8.1, 2.5 Hz, 1H), 4.94 (s, 2H), 4.08 (s, 3H), 2.23 (s, 3H).1-((2S,5R)-5-(4-クロロ-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体1、80mg、0.24mmol)および4-メチル-3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(54.5mg、0.29mmol)の2-プロパノール(5mL)中溶液に、濃塩酸を加え、混合物を70℃で16時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、分取逆相クロマトグラフィー(方法A)で精製し、凍結乾燥させて、1-((2S,5R)-2-メチル-5-(4-((4-メチル-3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(012、49.1mg、42%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 9.93 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 9.54 (dd, J = 12.3, 1.1 Hz, 1H), 8.82 - 8.76 (m, 2H), 8.37 - 8.22 (m, 2H), 7.68- 7.58 (m, 2H), 7.29 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 4.87 - 4.76 (m, 0.5H), 4.77 - 4.66 (m, 0.5H), 4.26 - 4.15 (m, 0.5H), 4.14 - 4.08 (m, 3H), 4.06 - 3.98 (m, 0.5H), 3.52 - 3.40 (m, 0.5H), 2.95 - 2.81 (m, 1H), 2.80 - 2.68 (m, 0.5H), 2.43 - 2.36 (m, 3H), 2.13 - 1.91 (m, 5H), 1.89 - 1.77 (m, 0.5H), 1.75 - 1.59 (m, 1.5H), 1.26 - 1.20 (m, 1.5H), 1.15 - 1.01 (m, 1.5H); UPLC (方法A): tR 1.42分, 99%, MS (ESI) 484.4 (M+H)+.
【0265】
適当な出発材料を使用して、実施例9と類似の手順に従い以下の化合物を調製し、逆相クロマトグラフィー方法A/Bおよび/またはprep-SFCを使用して精製した。
【0266】
【0267】
実施例10
1-((2S,5R)-2-メチル-5-(4-((3-メチル-5-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(014)の合成
【0268】
【0269】
アルゴン雰囲気下で、3-ブロモ-5-ニトロトルエン(1g、4.63mmol)の乾燥1,4-ジオキサン(20mL)中溶液に、ヘキサ-n-ブチル二スズ(11.57mL、23.14mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.07g、0.93mmol)を加えた。混合物を110℃で16時間撹拌した。混合物を室温まで冷却させ、シリカを介して濾過し、真空中で濃縮して、暗色の油状物質を得た。暗色の油状物質をヒドロマトリックス上にコーティングし、シリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~50%酢酸エチル)で精製して、トリブチル(3-メチル-5-ニトロフェニル)スタンナン(1.3g、66%)を黄色の油として生成した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.15 - 8.02 (m, 1H), 7.95 - 7.90 (m, 1H), 7.61 - 7.48 (m, 1H), 2.48 - 2.40 (m, 3H), 1.78 - 1.43 (m, 6H), 1.43 - 1.21 (m, 6H), 1.21 - 0.99 (m, 6H), 0.99 - 0.80 (m, 9H).アルゴン雰囲気下で、トリブチル(3-メチル-5-ニトロフェニル)スタンナン(1.3g、3.05mmol)および4-ブロモ-1-メチル-1,2,3-トリアゾール(0.49g、3.05mmol)を乾燥1,4-ジオキサン(15mL)に溶解した。次に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.71g、0.61mmol)を加え、混合物を100℃で16時間加熱した。混合物を室温まで冷却させ、酢酸エチルで希釈し、フッ化カリウム飽和水溶液で洗浄した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、シリカ上にコーティングした。コーティングした生成物をシリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~50%酢酸エチル)で精製して、1-メチル-4-(3-メチル-5-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(590mg、40%)をオフホワイト色の固体として生成した。LCMS(方法C):tR1.84分、62%、MS(ESI)219.1(M+H)+。アルゴン雰囲気下で、1-メチル-4-(3-メチル-5-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(590mg、1.07mmol)をエタノール(20mL)に溶解し、10%パラジウム担持炭素(50%湿らせた、227mg、0.11mmol)を加えた。水素雰囲気を導入し、混合物を室温で16時間撹拌した。混合物をセライトで濾過し、フィルターケーキをエタノールですすぎ、合わせた濾液を真空中で濃縮した。粗生成物をシリカカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中0%~5%メタノール)で2回精製して、3-メチル-5-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(122mg、61%)を粘着性の黄色がかった油状物質として生成した。LCMS(方法C):tR1.40分、94%、MS(ESI)198.1(M+H)+。1-((2S,5R)-5-(4-クロロ-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体1、100mg、0.30mmol)および3-メチル-5-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(68.1mg、0.36mmol)の2-プロパノール(4mL)中溶液に、濃塩酸(0.05mL、0.51mmol)を加えた。混合物を70℃で16時間撹拌し、室温まで冷却させ、真空中で濃縮した。粗生成物を分取逆相クロマトグラフィー(方法A)で精製し、これに続いてキラル(分取)SFC(方法D)で精製し、凍結乾燥させて、1-((2S,5R)-2-メチル-5-(4-((3-メチル-5-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(014、46.8mg、32%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 9.95 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 9.59 - 9.50 (m, 1H), 8.87 - 8.77 (m, 2H), 8.47 (d, J = 15.0 Hz, 1H), 8.18 (s, 1H), 7.65 (s, 1H), 7.60 (d, J = 15.0 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 20.8 Hz, 1H), 4.87 - 4.77 (m, 1H), 4.28 - 4.15 (m, 0.5H), 4.13 - 4.02 (m, 3.5H), 3.55 - 3.46 (m, 0.5H), 2.99 - 2.86 (m, 1H), 2.84 - 2.71 (m, 0.5H), 2.41 - 2.34 (m, 3H), 2.15 - 1.96 (m, 5H), 1.93 - 1.78 (m, 0.5H), 1.77 - 1.56 (m, 1.5H), 1.34 - 1.26 (m, 1.5H), 1.19 - 1.07 (m, 1.5H); UPLC (方法A): tR 1.44分, 100%, MS (ESI) 484.4 (M+H)+.
【0270】
実施例11
1-((2S,5R)-5-(4-((3-(1,5-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(015)および1-((2S,5R)-5-(4-((3-(2,5-ジメチル-2H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(016)の合成
【0271】
【0272】
マイクロ波バイアルに、酢酸(25mL)中の3-ニトロベンズアルデヒド(2.5g、16.54mmol)、シクロヘキシルアミン(2.08mL、18.20mmol)およびニトロエタン(2.39mL、33.1mmol)を充填し、混合物をマイクロ波内で、120℃で1時間加熱した。混合物を水で希釈し、ジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層を重炭酸ナトリウム飽和水溶液で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗材料をシリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~50%ジクロロメタン)で精製して、1-ニトロ-3-(2-ニトロプロパ-1-エン-1-イル)ベンゼン(2.88g、80%)を鮮黄色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, CDCl3, E/Z-混合物) δ 8.33 - 8.26 (m, 2H), 8.10 (s, 1H), 7.77 - 7.71 (m, 1H), 7.71 - 7.64 (m, 1H), 2.51 - 2.46 (m, 3H); LCMS (方法A): tR 1.96分, 95%, MS (ESI) 209.2 (M+H)+.1-ニトロ-3-(2-ニトロプロパ-1-エン-1-イル)ベンゼン(2.88g、13.17mmol)およびアジ化ナトリウム(1.3g、20.00mmol)のジメチルスルホキシド(30mL)中溶液を、90℃に16時間加熱した。混合物を室温まで冷却させ、水(150mL)の中に注ぎ入れた。微細な白色の固体を破砕し、室温で2時間粉砕した。固体を濾過によって収集し、水で洗浄し、真空オーブン内で、40℃で16時間乾燥させて、5-メチル-4-(3-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(2.12g、79%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 15.07 (s, 1H), 8.54 - 8.48 (m, 1H), 8.22 (dd, J = 7.8, 2.2 Hz, 1H), 7.78 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 2.52 (s, 3H); LCMS (方法A): tR 1.71分, 96%, MS (ESI) 205.1 (M+H)+.5-メチル-4-(3-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(500mg、2.45mmol)の乾燥N,N-ジメチルホルムアミド(20mL)中溶液に、炭酸カリウム(440mg、3.18mmol)およびヨードメタン(0.20mL、3.18mmol)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌し、真空中で濃縮し、ジクロロメタンで希釈し、室温で10分間撹拌し、砂で濾過した。濾液をカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~50%酢酸エチル)で精製して、1,5-ジメチル-4-(3-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(173mg、32%)および2,4-ジメチル-5-(3-ニトロフェニル)-2H-1,2,3-トリアゾール(299mg、56%)を白色の固体として生成した。1,5-ジメチル-4-(3-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール:LCMS(方法C):tR1.77分、98%、MS(ESI)219.0(M+H)+。2,4-ジメチル-5-(3-ニトロフェニル)-2H-1,2,3-トリアゾール:LCMS(方法C):tR1.97分、100%、MS(ESI):219.0(M+H)+。塩化アンモニウム(167mg、3.12mmol)と水(8mL)中鉄粉末の混合物に、1,5-ジメチル-4-(3-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(170mg、0.78mmol)のメタノール(4mL)およびテトラヒドロフラン(4mL)中溶液を加えた。懸濁液を70℃で2時間撹拌し、有機溶媒を真空中で除去した。水溶液を酢酸エチルと共に10分間撹拌し、有機層をデカントし、この工程を2回繰り返した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、3-(1,5-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(153mg、104%)を褐色の粘性物質として生成した。これを、さらに精製せずに粗製のまま継続して使用した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.08 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 6.95 - 6.90 (m, 1H), 6.78 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 6.55 - 6.50 (m, 1H), 5.17 (s, 2H), 3.95 (s, 3H), 2.41 (s, 3H); LCMS (方法C): tR 1.36分, 97%, MS (ESI) 189.1 (M+H)+.1-((2S,5R)-5-(4-クロロ-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体1、100mg、0.30mmol)および3-(1,5-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(68.1mg、0.36mmol)の2-プロパノール(4mL)中溶液に、濃塩酸(0.05mL、0.51mmol)を加え、70℃で16時間撹拌した。混合物を室温まで冷却させ、真空中で濃縮し、分取逆相クロマトグラフィー(方法A)で精製し、これに続いてキラル(分取)SFC(方法D)で精製し、凍結乾燥させて、1-((2S,5R)-5-(4-((3-(1,5-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(015、58.5mg、40%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 10.03 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 9.56 (dd, J = 13.4, 1.2 Hz, 1H), 8.83 - 8.77 (m, 2H), 8.26 (s, 0.5H), 8.20 (s, 0.5H), 7.78 - 7.68 (m, 1H), 7.67 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.49 - 7.41 (m, 1H), 7.38 - 7.32 (m, 1H), 4.88 - 4.77 (m, 0.5H), 4.73 - 4.66 (m, 0.5H), 4.27 - 4.15 (m, 0.5H), 4.08 - 4.01 (m, 0.5H), 3.99 (s, 3H), 3.53 - 3.48 (m, 0.5H), 2.99 - 2.84 (m, 1H), 2.78 - 2.69 (m, 0.5H), 2.50 (s, 3H), 2.15 - 1.91 (m, 5H), 1.90 - 1.76 (m, 0.5H), 1.75 - 1.63 (m, 1.5H), 1.29 - 1.21 (m, 1.5H), 1.16 - 1.05 (m, 1.5H); UPLC (方法A): tR 1.39分, 100%, MS (ESI) 484.4 (M+H)+.
【0273】
【0274】
015と類似の手順に従い、2,4-ジメチル-5-(3-ニトロフェニル)-2H-1,2,3-トリアゾールを1-((2S,5R)-5-(4-((3-(2,5-ジメチル-2H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(016)へと変換した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 10.03 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 9.56 (dd, J = 13.7, 1.1 Hz, 1H), 8.83 - 8.77 (m, 2H), 8.33 (s, 0.5H), 8.27 (s, 0.5H), 7.75 - 7.64 (m, 2H), 7.45 (td, J = 7.9, 2.1 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 4.88 - 4.77 (m, 0.5H), 4.76 - 4.68 (m, 0.5H), 4.26 - 4.16 (m, 0.5H), 4.09 - 3.99 (m, 3.5H), 3.55 - 3.47 (m, 0.5H), 3.01 - 2.86 (m, 1H), 2.81 - 2.69 (m, 0.5H), 2.45 (s, 3H), 2.17 - 1.93 (m, 5H), 1.91 - 1.76 (m, 0.5H), 1.75 - 1.63 (m, 1.5H), 1.27 - 1.19 (m, 1.5H), 1.15 - 1.08 (m, 1.5H); UPLC (方法A): tR 1.57分, 100%, MS (ESI) 484.4 (M+H)+.
【0275】
実施例12
1-((2S,5R)-2-メチル-5-(4-((3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(017)の合成
【0276】
【0277】
3-ニトロフェニルアセチレン(500mg、3.40mmol)、トリメチルシリルメチルアジド(0.56mL、3.74mmol)およびクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)(276mg、0.34mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)中混合物を、70℃で16時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、シリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中20%~50%酢酸エチル)で精製して、5-(3-ニトロフェニル)-1-((トリメチルシリル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール(614mg、65%)を褐色の油状物質として生成した。LCMS(方法C):tR2.07分、100%、MS(ESI)277.1(M+H)+。氷浴を使用して、5-(3-ニトロフェニル)-1-((トリメチルシリル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール(710mg、2.57mmol)のテトラヒドロフラン(25mL)中溶液を0℃に冷却し、テトラヒドロフラン(2.57mL、2.57mmol)中1Mフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウムをゆっくりと加えた。混合物を0℃で1時間撹拌し、水でクエンチし、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~50%酢酸エチル)で精製して、1-メチル-5-(3-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(289mg、55%)を白色の固体として生成した。LCMS(方法C):tR1.68分、99%、MS(ESI)205.1(M+H)+。鉄粉末(237mg、4.25mmol)および塩化アンモニウム(227mg、4.25mmol)の水(30mL)中混合物に、1-メチル-5-(3-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(289mg、1.42mmol)のメタノール(10mL)中懸濁液をゆっくりと加えた。混合物を70℃で3時間撹拌し、混合物を室温まで冷却させ、有機溶媒を真空中で除去した。赤色のスラリーを水および酢酸エチルで希釈し、15分間撹拌した。有機層をデカントし、この工程を2回繰り返した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタンと同時蒸発させて、3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)アニリン(232mg、94%)を褐色固体として生成した。LCMS(方法C):tR1.29分、95%、MS(ESI)175.1(M+H)+。1-((2S,5R)-5-(4-クロロ-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体1、100mg、0.30mmol)および3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)アニリン(70.9mg、0.41mmol)の2-プロパノール(4mL)中溶液に、濃塩酸(0.05mL、0.51mmol)を加え、混合物を70℃で3日間撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、分取逆相クロマトグラフィー(方法A)で精製し、これに続いてキラル(分取)SFC(方法D)で精製し、凍結乾燥させて、1-((2S,5R)-2-メチル-5-(4-((3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(017、48.6mg、34%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 10.13 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 9.56 (dd, J = 13.2, 1.2 Hz, 1H), 8.84 - 8.77 (m, 2H), 8.16 (s, 1H), 7.92 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.78 - 7.72 (m, 1H), 7.68 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.54 (td, J = 7.9, 2.5 Hz, 1H), 7.29 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.87 - 4.75 (m, 0.5H), 4.75 - 4.67 (m, 0.5H), 4.24 - 4.16 (m, 0.5H), 4.11 (s, 3H), 4.07 - 3.95 (m, 0.5H), 3.48 - 3.39 (m, 0.5H), 2.95 - 2.84 (m, 1H), 2.79 - 2.70 (m, 0.5H), 2.11 - 1.92 (m, 5H), 1.91 - 1.75 (m, 0.5H), 1.71 - 1.59 (m, 1.5H), 1.28 - 1.17 (m, 1.5H), 1.13 - 1.04 (m, 1.5H); UPLC (方法A): tR 1.36分, 100%, MS (ESI) 470.2 (M+H)+.
【0278】
実施例13
1-((2S,5R)-5-(4-((4-フルオロ-3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(018)の合成
【0279】
【0280】
3-エチニル-4-フルオロアニリン(50mg、0.37mmol)、L-アスコルビン酸ナトリウム塩(36.6mg、0.19mmol)および硫酸銅(II)(14.76mg、0.09mmol)のt-ブタノール(1mL)および水(1mL)中懸濁液に、トリメチルシリルメチルアジド(0.06mL、0.37mmol)を加え、混合物を室温で16時間撹拌した。混合物をセライトで濾過し、残渣をメタノールですすいだ。濾液を真空中で濃縮して、4-フルオロ-3-(1-((トリメチルシリル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(98mg、100%)を黄色の粘性物質として生成し、これをそのままさらに精製せずに使用した。LCMS(方法A):tR1.72分、92%、MS(ESI)265.1(M+H)+。アルゴン雰囲気下で、1-((2S,5R)-5-(4-クロロ-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体1、80mg、0.24mmol)、4-フルオロ-3-(1-((トリメチルシリル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(98mg、0.37mmol)および炭酸セシウム(157mg、0.48mmol)を乾燥1,4-ジオキサン(4mL)中に懸濁させた。次に、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(22.99mg、0.05mmol)およびトリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(22.08mg、0.02mmol)を加え、混合物を90℃に16時間加熱した。混合物を室温まで冷却させ、メタノールで希釈し、セライトで濾過し、メタノールですすぎ、濾液を真空中で濃縮した。残渣をテトラヒドロフラン(4mL)に再び溶解し、テトラヒドロフラン中1Mフッ化テトラブチルアンモニウム(0.29mL、0.29mmol)を加え、混合物を室温で16時間撹拌した。混合物をセライトで濾過し、メタノールですすぎ、濾液を真空中で濃縮した。残渣を分取逆相クロマトグラフィー(方法B)で精製し、キラル(分取)SFC(方法D)で精製し、凍結乾燥させて、1-((2S,5R)-5-(4-((4-フルオロ-3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(018、9.8mg、8%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 10.05 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 9.55 (d, J = 14.1 Hz, 1H), 8.83 - 8.64 (m, 3H), 8.42 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 7.78 - 7.67 (m, 1H), 7.63 (d, J = 3.4 Hz, 1H), 7.34 (td, J = 9.7, 8.9, 2.3 Hz, 1H), 4.86 - 4.78 (m, 0.5H), 4.74 - 4.66 (m, 0.5H), 4.26 - 4.16 (m, 0.5H), 4.16 - 4.04 (m, 3.5H), 3.57 - 3.48 (m, 0.5H), 3.02 - 2.86 (m, 1H), 2.81 - 2.69 (m, 0.5H), 2.16 - 1.96 (m, 5H), 1.92 - 1.77 (m, 0.5H), 1.77 - 1.59 (m, 1.5H), 1.30 - 1.23 (m, 1.5H), 1.19 - 1.10 (m, 1.5H); UPLC (方法B): tR 1.34分, 100%, MS (ESI) 488.2 (M+H)+.
【0281】
適当な出発材料を使用して、実施例13と類似の手順に従い以下の化合物を調製し、逆相クロマトグラフィー方法A/Bおよび/またはprep-SFCを使用して精製した。
【0282】
【0283】
実施例14
1-((2S,5R)-5-(4-((3-クロロ-5-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(021)の合成
【0284】
【0285】
アルゴン下で、アジドトリメチルシラン(0.76mL、5.78mmol)およびヨウ化銅(I)(47mg、0.25mmol)を、1-クロロ-3-エチニル-5-ニトロベンゼン(700mg、3.86mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(30mL)およびメタノール(3mL)中撹拌溶液に加えた。混合物を100℃で16時間撹拌した。混合物を室温まで冷却させ、塩化アンモニウム飽和水溶液に注ぎ入れ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をヒドロマトリックス上にコーティングし、シリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~50%酢酸エチル)で精製して、4-(3-クロロ-5-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(650mg、75%)を白色の固体として生成した。LCMS(方法C):tR1.64分、95%、MS(ESI)225.0(M+H)+。4-(3-クロロ-5-ニトロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール(290mg、1.29mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中溶液に、炭酸カリウム(232mg、1.68mmol)およびヨードメタン(0.11mL、1.68mmol)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌し、真空中で濃縮した。残渣をヒドロマトリックス上にコーティングし、シリカカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン中0%~50%酢酸エチル)で精製し、4-(3-クロロ-5-ニトロフェニル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール(100mg、33%)を黄色の粘性物質として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.55 - 8.45 (m, 1H), 8.30 - 8.19 (m, 1H), 8.19 - 8.09 (m, 1H), 7.95 (s, 1H), 4.21 (s, 3H).4-(3-クロロ-5-ニトロフェニル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール(100mg、0.42mmol)の水(3mL)、テトラヒドロフラン(1.5mL)およびメタノール(1.5mL)中溶液に、塩化アンモニウム(67.2mg、1.26mmol)および鉄粉末(70.2mg、1.26mmol)を加えた。混合物を70℃に3時間加熱し、混合物を室温まで冷却させ、酢酸エチルと共に撹拌した。15分後、有機層をデカントし、この工程を2回繰り返した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、3-クロロ-5-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(80mg、91%)を褐色の油状物質として生成した。LCMS(方法C):tR1.68分、97%、MS(ESI)209.0(M+H)+。1-((2S,5R)-5-(4-クロロ-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体1、100mg、0.25mmol)および3-クロロ-5-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(80mg、0.38mmol)の2-プロパノール(5mL)中混合物に、濃塩酸(数滴)を加え、混合物を70℃で3日間撹拌した。懸濁液をセライトで濾過し、フィルターケーキをジエチルエーテルで3回すすぎ、真空オーブン内で、40℃で16時間乾燥させて、1-((2S,5R)-5-(4-((3-クロロ-5-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(021、104mg、82%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 10.34 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 9.56 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 8.85 - 8.79 (m, 2H), 8.61 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 8.30 - 8.22 (m, 1H), 8.15 - 8.01 (m, 1H), 7.69 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.55 - 7.50 (m, 1H), 4.87 - 4.80 (m, 0.5H), 4.80 - 4.70 (m, 0.5H), 4.30 - 4.18 (m, 0.5H), 4.14 - 4.04 (m, 3.5H), 3.55 - 3.46 (m, 0.5H), 3.02 - 2.92 (m, 1H), 2.88 - 2.76 (m, 0.5H), 2.16 - 1.97 (m, 5H), 1.93 - 1.79 (m, 0.5H), 1.77 - 1.61 (m, 1.5H), 1.36 - 1.27 (d, J = 6.9 Hz, 1.5H), 1.19 - 1.13 (m, 1.5H). UPLC (方法A): tR1.55分, 97%, MS (ESI) 504.2 (M+H)+; キラルSFC (方法D): tR 3.18分, 97%, MS (ESI) 504.1 (M+H)+.
【0286】
実施例15
1-((2S,5R)-5-(4-((3-フルオロ-5-(1-(オキセタン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(022)の合成
【0287】
【0288】
1-エチニル-3-フルオロ-5-ニトロベンゼン(実施例6で調製、125mg、0.76mmol)のt-ブタノール(4mL)および水(4mL)中溶液に、3-アジドオキセタン(MTBE中0.5M、1.51mL、0.76mmol)を加え、これに続いてL-アスコルビン酸ナトリウム塩(30.0mg、0.15mmol)および硫酸銅(II)(24.2mg、0.15mmol)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌し、35℃で16時間撹拌した。混合物を酢酸エチルおよび水で希釈し、二相性混合物をセライトで濾過し、濾液の層を分離した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をジエチルエーテル中で1時間粉砕した。固体を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥機内で40℃で16時間乾燥させて、4-(3-フルオロ-5-ニトロフェニル)-1-(オキセタン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール(113mg、57%)をベージュ色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.27 (s, 1H), 8.60 - 8.57 (m, 1H), 8.24 - 8.18 (m, 1H), 8.14 - 8.07 (m, 1H), 5.97 - 5.88 (m, 1H), 5.12 - 5.05 (m, 2H), 4.96 - 4.90 (m, 2H); LCMS (方法A): tR 1.92分, 100%, MS (ESI) 265.1 (M+H)+.4-(3-フルオロ-5-ニトロフェニル)-1-(オキセタン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール(139mg、0.53mmol)のメタノール(1.5mL)、テトラヒドロフラン(1.5mL)および水(3mL)中懸濁液に、塩化アンモニウム(84mg、1.58mmol)および鉄粉末(88mg、1.58mmol)を加えた。混合物を70℃で4時間撹拌し、室温で16時間撹拌した。混合物を酢酸エチルおよび水で希釈し、15分間激しく撹拌した。有機層をデカントし、この手順を2回繰り返した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、3-フルオロ-5-(1-(オキセタン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(108mg、75%)を褐色の油状物質として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.78 (s, 1H), 6.98 - 6.96 (m, 1H), 6.76 - 6.70 (m, 1H), 6.32 - 6.26 (m, 1H), 5.90 - 5.81 (m, 1H), 5.57 (s, 2H), 5.06 - 5.01 (m, 2H), 4.96 - 4.90 (m, 2H); LCMS (方法C): tR 1.43分, 85%, MS (ESI) 235.1 (M+H)+.アルゴン下で、1-((2S,5R)-5-(4-クロロ-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体1、80mg、0.24mmol)、3-フルオロ-5-(1-(オキセタン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(106mg、0.39mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(22.99mg、0.05mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(22.1mg、0.02mmol)および炭酸セシウム(157mg、0.48mmol)を乾燥1,4-ジオキサン(4mL)中に懸濁させ、この混合物を90℃で16時間撹拌した。混合物を室温まで冷却させ、メタノールで希釈し、セライトで濾過した。残渣をメタノールですすぎ、濾液を真空中で濃縮した。粗生成物をキラル(分取)SFC(方法D)で精製し、凍結乾燥させて、1-((2S,5R)-5-(4-((3-フルオロ-5-(1-(オキセタン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(022、60.5mg、47%)を淡黄色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 10.27 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 9.57 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 8.94 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.85 - 8.79 (m, 2H), 8.16 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.88 (dd, J = 33.8, 11.6 Hz, 1H), 7.71 - 7.66 (m, 1H), 7.37 - 7.30 (m, 1H), 5.96 - 5.86 (m, 1H), 5.10 - 5.03 (m, 2H), 5.00 - 4.91 (m, 2H), 4.89 - 4.72 (m, 1H), 4.28 - 4.19 (m, 0.5H), 4.14 - 4.07 (m, 0.5H), 3.55 - 3.46 (m, 0.5H), 3.02 - 2.90 (m, 1H), 2.85 - 2.75 (m, 0.5H), 2.17 - 1.96 (m, 5H), 1.92 - 1.81 (m, 0.5H), 1.79 - 1.61 (m, 1.5H), 1.34 - 1.26 (m, 1.5H), 1.17 - 1.09 (m, 1.5H); UPLC (方法B): tR 1.42分, 96%, MS (ESI) 530.4 (M+H)+.
【0289】
適当な出発材料を使用して、実施例15と類似の手順に従い以下の化合物を調製し、逆相クロマトグラフィー方法A/Bおよび/またはprep-SFCを使用して精製した。
【0290】
【0291】
実施例16
ナトリウム(2-((3R,6S)-1-アセチル-6-メチルピペリジン-3-イル)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-4-イル)(2-フルオロ-3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミド(019.Na)の合成
【0292】
【0293】
1-((2S,5R)-5-(4-((2-フルオロ-3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(019、50mg、0.10mmol)のテトラヒドロフラン(1mL)中懸濁液に、1M水酸化ナトリウム水溶液(0.10mL、0.10mmol)を加え、この混合物を室温で1分間撹拌して、淡黄色の溶液を生成した。溶液を濃縮し、トルエン(1mL)と2回同時蒸発させた。残渣をジエチルエーテル(2mL)中に懸濁させ、1分間撹拌した。固体を濾別し、窒素流下で風乾させて、ナトリウム(2-((3R,6S)-1-アセチル-6-メチルピペリジン-3-イル)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-4-イル)(2-フルオロ-3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミド(019.Na、45mg、86%)を黄色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 9.50 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 8.74 (s, 2H), 8.38 (dd, J = 8.4, 3.8 Hz, 1H), 7.91 - 7.67 (m, 2H), 7.57 - 7.34 (m, 1H), 7.30 - 7.11 (m, 1H), 4.85 - 4.73 (m, 0.5H), 4.71 - 4.60 (m, 0.5H), 4.21 - 4.15 (m, 0.5H), 4.15 - 4.08 (m, 3H), 4.00 - 3.92 (m, 0.5H), 2.93 - 2.80 (m, 0.5H), 2.80 - 2.70 (m, 0.5H), 2.70 - 2.56 (m, 1H), 2.16 - 1.86 (m, 5H), 1.86 - 1.72 (m, 0.5H), 1.72 - 1.56 (m, 1.5H), 1.27 - 1.18 (m, 1.5H), 1.12 - 1.09 (m, 1.5H).
【0294】
適当な出発材料を使用して、実施例16と類似の手順に従い以下の化合物を調製した。
【0295】
【0296】
実施例17
1-((2S,5R)-5-(4-((3-フルオロ-5-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン塩酸塩(001.HCl)の合成
【0297】
【0298】
1-((2S,5R)-5-(4-((3-フルオロ-5-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(001、51.7mg、0.11mmol)の乾燥ジエチルエーテル(1mL)中懸濁液に、ジエチルエーテル中1M塩酸(0.27ml、5.31mmol)を加え、混合物を室温で20分間撹拌した。生成した固体を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄して、黄色の固体を生成した。固体を真空下で8時間(40℃)乾燥させて、1-((2S,5R)-5-(4-((3-フルオロ-5-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン塩酸塩(001.HCl、40.7mg、71%)を黄色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 10.44 (d, J = 15.2 Hz, 1H), 9.58 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 9.20 - 9.00 (m, 1H), 8.82 (s, 2H), 8.24 - 7.92 (m, 2H), 7.86 - 7.64 (m, 2H), 7.40 - 7.27 (m, 1H), 4.93 - 4.77 (m, 1H), 4.36 - 4.18 (m, 0.5H), 4.15 - 4.03 (m, 0.5H), 3.99 - 3.85 (m, 3H), 3.03 - 2.73 (m, 1.5H), 2.20 - 1.94 (m, 5.5H), 1.94 - 1.80 (m, 0.5H), 1.78 - 1.61 (m, 1.5H), 1.30 - 1.20 (m, 1.5H), 1.17 - 1.05 (m, 1.5H).
【0299】
実施例18
ナトリウム(2-((3R,6S)-1-アセチル-6-メチルピペリジン-3-イル)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-4-イル)(3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミド(024.Na)の合成
【0300】
【0301】
1-((2S,5R)-5-(4-クロロ-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メチルピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体1、120mg、0.36mmol)の2-プロパノール(2mL)中溶液に、3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)アニリン(188mg、1.08mmol)および塩酸(0.08mL、1.08mmol)を加えた。混合物を70℃で16時間撹拌し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液に注ぎ入れ、酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、黄色の油状物質を生成した。油状物質を逆相クロマトグラフィー(方法B)で精製し、凍結乾燥させて、1-((2S,5R)-2-メチル-5-(4-((3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(102mg、60%)を白色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物)δ 10.01 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 9.56 (dd, J = 11.0, 1.1 Hz, 1H), 8.80 (d, J = 1.5 Hz, 2H), 8.54 - 8.42 (m, 2H), 7.72 - 7.54 (m, 2H), 7.53 - 7.39 (m, 2H), 4.86 - 4.76 (m, 1H), 4.27 - 4.16 (m, 0.5H), 4.15 - 4.03 (m, 3.5H), 3.58 - 3.42 (m, 0.5H), 3.00 - 2.86 (m, 1H), 2.86 - 2.68 (m, 0.5H), 2.17 - 1.96 (m, 5H), 1.93 - 1.77 (m, 0.5H), 1.76 - 1.64 (m, 1.5H), 1.27 (d, J = 6.8 Hz, 1.5H), 1.13 (d, J = 7.0 Hz, 1.5H); LCMS (方法D): tR 3.31分, MS (ESI) 470.2 (M+H)+.1-((2S,5R)-2-メチル-5-(4-((3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミノ)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(50mg、0.11mmol)のテトラヒドロフラン(1mL)中懸濁液に、1M水酸化ナトリウム水溶液(0.11mL、0.11mmol)を加え、混合物を室温で1分間撹拌して、淡黄色の溶液を生成した。溶液を濃縮し、トルエン(1mL)と2回同時蒸発させた。残渣をジエチルエーテル(2mL)中に懸濁させ、1分間撹拌した。固体を濾別し、窒素流下で風乾して、ナトリウム(2-((3R,6S)-1-アセチル-6-メチルピペリジン-3-イル)-6-(ピラジン-2-イル)ピリミジン-4-イル)(3-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)アミド(024.Na、46mg、88%)を黄色の固体として生成した。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 回転異性体の混合物) δ 9.44 (s, 1H), 8.68 (s, 2H), 8.38 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.49 - 7.02 (m, 4H), 4.84 - 4.63 (m, 1H), 4.33 - 4.14 (m, 0.5H), 4.07 (d, J = 7.4 Hz, 3H), 4.04 - 3.89 (m, 0.5H), 2.98 - 2.82 (m, 0.5H), 2.73 - 2.53 (m, 1H), 2.12 - 1.89 (m, 5.5H), 1.88 - 1.73 (m, 0.5H), 1.72 - 1.57 (m, 1.5H), 1.28 - 1.19 (m, 1.5H), 1.14 - 1.05 (m, 1.5H).
アッセイデータ
【0302】
アッセイ1
多発性骨髄腫細胞の有効性:
10000個のOPM-2(ACC50;DSMZ)を384ウェルプレート(Greiner781090)のウェルにプレーティングした。細胞を化合物またはビヒクルの用量範囲で4日間処理した。実験の終わりに、製造元(manufactor’s)の指示に従い、加湿したインキュベーター内で、37℃で2時間、細胞をPrestoBlue(ThermoFisher Scientific;A13262)で直接着色した。相対的細胞数を評価するため、TecanM1000ProリーダーまたはTecan Sparksリーダーのいずれかを使用して、製造元の指示に従い、PrestoBlueシグナルを測定した。バックグラウンド(細胞なし)値を差し引き、ビヒクル対照と関係付けて設定した。各化合物のEC50を評価するため、対数変換後、化合物濃度に対して相対的蛍光値をプロットした。graphpad prismソフトウエアを使用して、可変の傾き(4つのパラメーター)を用いて、非直線的方式にデータをフィットさせた。細胞増殖/生存アッセイPrestoBlueを使用して、化合物の細胞の有効性を多発性骨髄腫細胞株OPM-2において評価した。EC50値は以下に示されている通り分類される。
【0303】
アッセイ2
CBPブロモドメイン結合アッセイ(TR-FRET)
DMSO中の10mMの化合物溶液をDSMO中で予め希釈して、DMSO中25×ストック溶液を得た。次いで、これらをアッセイ緩衝液中で4×に希釈した。DMSO濃度を安定して保ちながら、アッセイ緩衝液中で希釈系列を実施した。アッセイ緩衝液中5μlの化合物をアッセイプレート(アッセイキットにより提供)に移し、プロバイダーの指示を使用して、TR-FRETアッセイCayman chemicals;600850)を実施した。室温で暗所での1時間のインキュベーション後、アッセイプレートを、Tecan M1000プレートリーダーにおいて、またはTR-FRETモードを使用して、Tecan Sparksリーダーにおいて(上側の読取り;励起340nM帯域幅20nM;発光620nM帯域幅7nM;第1のウェルに対して決定された最適ゲイン、フラッシュの数:5;フラッシュ周波数100Hz;積分時間:500μs、時間のずれ:100μs、室温)読み取った。670nm発光を620nm発光で割ることにより、TR-FRET比を計算した。値をログ変換し、可変の傾き(4パラメーター)を用いた非直線回帰を使用して、値を用量反応曲線にフィットさせて、EC50値を評価した。
【0304】
【0305】
【0306】
【国際調査報告】