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特表2024-515067通信モジュール及び斯かるモジュールを組み込む街路灯
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-04
(54)【発明の名称】通信モジュール及び斯かるモジュールを組み込む街路灯
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20240328BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20240328BHJP
   H01Q 21/26 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
H01Q1/22 Z
H01Q21/06
H01Q21/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562165
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2022058971
(87)【国際公開番号】W WO2022214466
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】21167404.9
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ヴェント マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デ スルイス バルテル マリヌス
(72)【発明者】
【氏名】ドラーイエル モーリス ヘルマン ヨハン
【テーマコード(参考)】
5J021
5J047
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021AB03
5J021CA03
5J021FA13
5J021FA29
5J021FA31
5J021JA08
5J047AA04
5J047AB03
5J047AB07
5J047EF01
(57)【要約】
通信モジュールは、街路灯のある部分の周りに延びるためのスリーブを含む。アンテナ回路が、スリーブに組み込まれ、街路灯の近傍におけるユーザモバイルデバイスとの通信を実施するためのアンテナのアレイを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
街路灯のある部分の周りに延びるためのスリーブと、
前記スリーブに組み込まれ、アンテナのアレイを含むアンテナ回路と、
前記スリーブに組み込まれ、前記アンテナに電気的に接続される通信回路と、
を含む、通信モジュールであって、
前記通信回路は、前記街路灯の近傍におけるユーザモバイルデバイスとの通信を実施するための、前記アンテナの各々に対するそれぞれのアンテナ処理回路を含む、通信モジュール。
【請求項2】
前記通信回路は、セルフリーマッシブMIMO通信システムのためのアンテナ処理回路を含む、請求項1に記載の通信モジュール。
【請求項3】
街路灯の前記部分は、街路灯支持構造又は街路灯照明器具を含む、請求項1又は2に記載の通信モジュール。
【請求項4】
前記アレイのアンテナは、前記スリーブの周りに間隔をおかれることにより、街路灯の前記部分の周りに間隔をおかれる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の通信モジュール。
【請求項5】
当該通信モジュールは、街路灯の前記部分の周りに装着するための独立ユニットを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の通信モジュール。
【請求項6】
前記スリーブは、街路灯の前記部分の周りに固定可能な第1及び第2のスリーブ半体を含む、請求項5に記載の通信モジュール。
【請求項7】
当該通信モジュールは、前記スリーブが街路灯部分のさまざまなサイズに装着することを可能にするばねバイアス構成を含む、又は
前記スリーブは、可撓性があり、街路灯部分に接着するためのものである、
請求項5又は6に記載の通信モジュール。
【請求項8】
当該通信モジュールは、前記アンテナと街路灯の前記部分との間の間隔を調整するための調整可能な間隔要素を含む、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の通信モジュール。
【請求項9】
前記スリーブは、街路灯の前記部分の一体部である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の通信モジュール。
【請求項10】
前記アンテナ回路は、並列アンテナバスのセットを含み、各アンテナバスは、
その長さに沿うアンテナのサブアレイ、及び
当該バスに沿う前記サブアレイのアンテナの各々のための通信回路、
を含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の通信モジュール。
【請求項11】
前記アンテナ回路は、前記並列アンテナバスのセットをバックエンド処理回路に接続するための接続バスを含む、請求項10に記載の通信モジュール。
【請求項12】
前記スリーブは、裏面金属スクリーンを含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の通信モジュール。
【請求項13】
当該通信モジュールは、街路灯の前記部分の周りに完全に延びるアンテナグラウンドプレーンを含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の通信モジュール。
【請求項14】
前記スリーブは、選択可能な向きで街路灯の前記部分に装着するように適合され、当該モジュールは、前記スリーブを選択された向きでロックするためのロック構成を含む、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の通信モジュール。
【請求項15】
街路灯支持構造と、
前記街路灯支持構造の上部に設けられる街路照明ヘッドと、
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の通信モジュールと、
を含む、街路灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共有空間において複数のユーザと通信するための通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
セルラー携帯電話は、複数のシステムユーザが互いに通信できるようにするための現在最も普及しているシステムである。斯かるシステムは、セルを定義するためにアンテナマストを使用し、セル内のすべてのユーザは、アンテナマストを介して通信する。
【0003】
より最近の発展は、いわゆるマッシブMIMO(mMIMO:massive multiple input multiple output)データ通信システムである。
【0004】
マッシブMIMO技術は、超高速5Gネットワークの中核的な要素であるとされている。マッシブMIMO技術は、同じ無線チャネル(radio channel)上で2つ以上のデータ信号を同時に送信及び受信することを可能にする。マッシブMIMOシステムは、エリアに分布する多数、典型的には数十又は数百の送信及び受信アンテナを利用する。
【0005】
MIMOネットワークの利点は、より多くのスペクトラムを必要とせずにワイヤレス接続の容量を増大できることである。トランスミッタ/レシーバが備えるアンテナが多いほど、可能な信号経路は多くなり、データレート及びリンク信頼性の観点で性能が良くなる。マッシブMIMOシステムはまた、コンピューティングパワーを分散させることを可能にする。
【0006】
マッシブMIMOネットワークは、ビームフォーミング技術を使用し、スペクトラムの的を絞った使用(targeted use of spectrum)を可能にする。現在のモバイルネットワークは、付近のすべてのユーザに単一のスペクトラムプール(single pool of spectrum)を割り当て、この結果、人口密度が高いエリアにおいて性能ボトルネック(performance bottleneck)が生じる。マッシブMIMO及びビームフォーミングによって、斯かるプロセスははるかにスマート且つ効率的に対処され、ゆえに、データ速度及びレイテンシをネットワーク全体ではるかに均一にすることができる。
【0007】
マッシブMIMOシステムの要件の一つは、典型的なセルラーアンテナマストよりも近接するロケーションに多数のアンテナを分布させることである。各ロケーションにおいて、数十又は数百の個別アンテナがあり得る。
【0008】
「無線ストライプ(radio stripe)」と呼ばれる、アンテナデザインが、例えば、WO 2018/103897に述べられている。無線ストライプは、データ接続バス及びアンテナのためのメタライゼーションを担持するフォイルとして形成される。アンテナ処理ユニット(APU)は、バスへのフリップチップ接続又はネイキッドチップとしてバスに沿って実装される。各APUは、複数のアンテナを駆動することができ、デジタルシグナルプロセッサDSP、I/Qモジュレータ/デモジュレータ及びRFアンプから成る。各APUのDSPは、バスを介してRFバックエンド処理ユニットに接続される。
【0009】
各バックエンド処理ユニットは、複数の独立したAPUチェーンを制御することができる。また、APUのための電力が、プリントバス構造上で分配される。
【0010】
US 2019/226672 A1は、第1のセクション及び第2のセクションを有するポールを含む照明フィクスチャを開示している。ポールの第2のセクションは、無線周波数(RF:radio frequency)透明材料を含む。照明フィクスチャはまた、ポールの第1のセクションに結合されるライトハウジング及びライトハウジング内の光源を含む。照明フィクスチャはさらに、ポールの第2のセクションにアンテナアセンブリを含む。アンテナアセンブリは、ユーザ機器デバイス(UE)とワイヤレス通信するように構成される。照明フィクスチャはまた、アンテナアセンブリに結合される通信バックホールインターフェースを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
多数のサイトにおけるアンテナシステムの設置には困難が伴い、斯かるシステムの設置に対するコストをもたらす。必要とされるアクセスポイントの数は、予想される接続の密度に依存する。都市部で必要とされるような高いモバイル通信密度に起因して、多数のアンテナ設置があることが必要であろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、特許請求の範囲によって規定される。
【0013】
本発明の一態様による例によれば、
街路灯のある部分の周りに延びるためのスリーブと、
スリーブに組み込まれ、アンテナのアレイを含むアンテナ回路と、
スリーブに組み込まれ、アンテナに電気的に接続される通信回路と、
を含む、通信モジュールであって、
通信回路は、街路灯の近傍におけるユーザモバイルデバイスとの通信を実施するための、アンテナの各々に対するそれぞれのアンテナ処理回路(respective antenna processing circuit)を含む、通信モジュールが提供される。
【0014】
このモジュールは、例えば、ランプポスト(lamp post)又は街路灯照明器具のハウジング等、街路灯のある部分に取り付けられても(又は当該部分の一部として形成されても)よい。これは、既存の街路灯インフラストラクチャが、ユーザモバイルデバイスと通信するためのネットワークのアクセスポイント、すなわち、ユーザのモバイルデバイス、典型的にはセルラーモバイルフォン又はタブレット間で通信するための通信システムを形成するために使用されることを可能にする。通信回路は、例えば、各々が関連するアンテナ処理回路を備える多数のアンテナと共に実装される。全体的な通信システムは、例えば、アクティブなユーザよりも多くのアンテナを有する。
【0015】
アンテナ処理回路は、パケットスイッチング(packet switching)回路、変調及び復調回路、増幅回路等を含む。
【0016】
通信回路は、セルフリー(cell-free)マッシブMIMO通信システムのためのアンテナ処理回路を含んでもよい。
【0017】
斯くして、アンテナは、好ましくは、多数の低コスト分散アンテナがネットワークコントローラに接続し、各アンテナが別個のアクセスポイントとして機能する、セルフリーマッシブMIMOシステムの一部を形成する。通信モジュール内の異なるアンテナは、組み合わせて(in combination)ネットワークのサービスエリアを定義するように、異なる指向性を有する。セルフリーマッシブMIMOシステムは、分散MIMOシステムである。CF mMIMOとも呼ばれる、セルフリーmMIMOの主な特性は、多くの地理的に分散したアクセスポイントAPがあるが、カバレッジエリアはばらばらな(disjoint)セルに分割されないことである。「セル」は、セルラーモバイル通信ネットワークにおいて(例えば、アンテナマストに組み込まれる)単一の基地局によってカバーされる地理的エリアを指す。このようなネットワークは、サービスエリアをカバーするために無線スペクトラム(radio spectrum)を効率的に使用するために多数の基地局を含む。CF mMIMOにおいて、セルフォン、ワイヤレス装備(wirelessly-equipped)パーソナルコンピュータ若しくはタブレット、トラッキングデバイス、ワイヤレスセンサ、又はワイヤレス通信機能を備える他のデバイス(人間のユーザによって操作されるかどうかは問わない)等、各ユーザ機器(UE:user equipment)は、単一の基地局ではなく、すべての周囲のアクセスポイントによってサービスされる。
【0018】
街路灯の部分は、例えば、街路灯支持構造(street light support structure)又は街路灯照明器具(street light luminaire)を含む。
【0019】
支持構造は、直立ポスト(すなわち、ランプポスト)であってもよく、又は、ランプポストと照明器具(すなわち、街灯ヘッド(street lamp head))の間の水平支持アームであってもよい。システム内で、垂直サポート及び水平サポートの両方に通信モジュールがあってもよい。
【0020】
アレイのアンテナは、スリーブの周りに間隔をおかれることにより、街路灯の部分の周りに間隔をおかれてもよい。
【0021】
これにより、異なるアンテナは、支持構造体へ/支持構造体から延びる異なる指向性入力/出力を有する。
【0022】
一つの例のセットにおいて、通信モジュールは、街路灯の部分の周りに装着する(fit)ための独立ユニット(independent unit)を含む。これは、既存の街灯への後付け(retrofitting)を可能にする。
【0023】
スリーブは、可能な限り目立たずに、したがって注意を引くことなく、街路灯の部分の容易な清掃を可能にする、街路灯の部分の周りに固定可能な第1及び第2のスリーブ半体を含んでもよい。
【0024】
これは、既存の支持構造にモジュールを後付けする簡単な方法を提供する。第1及び第2のスリーブ半体は、ヒンジで連結され(hinged together)てもよく、又はストラップで連結され(strapped together)てもよい。
【0025】
通信モジュールは、スリーブが街路灯部分のさまざまなサイズに装着することを可能にするばねバイアス構成(spring bias arrangement)を含んでもよい。代替的に、スリーブは、可撓性があり、街路灯部分に接着する(glue)ためのものであってもよい。
【0026】
これらのオプションは、単一のデザインが、さまざまな異なる支持構造への後付けに適することを可能にする。
【0027】
通信モジュールは、アンテナと街路灯の部分との間の間隔を調整するための調整可能な間隔要素(adjustable spacing element)を含んでもよい。この調整は、放射性能を最適化するために使用されてもよい。例えば、街路灯支持構造がグラウンドプレーンとして機能している場合、グラウンドまでの距離が調整されることができる。
【0028】
他の例のセットにおいて、スリーブは、街路灯の部分の一体部(integral part)である。斯くして、新規設置の場合、スリーブは、支持構造又は照明器具にデザインされ(designed into)てもよい。
【0029】
アンテナ回路は、並列アンテナバスのセットを含み、各アンテナバスは、
その長さに沿うアンテナのサブアレイ、及び
当該バスに沿うサブアレイのアンテナの各々のための通信回路、
を含んでもよい。
【0030】
スリーブが街路灯支持構造の周りに設けられる場合、異なるアンテナバスが異なる方向を向き、自動的にユーザエリアのワイドカバレッジを与える。
【0031】
アンテナ回路はさらに、並列アンテナバスのセットをバックエンド処理回路に接続するための接続バスを含んでもよい。複数の通信モジュールへそれらの接続バスを介して接続するためのバックエンド処理回路がある。
【0032】
スリーブは、裏面金属スクリーン(backside metallic screen)を含んでもよい。これは、街路灯支持構造、例えば、ランプポストの典型的な金属材料に対するシールディング(shielding)を提供する。
【0033】
通信モジュールは、街路灯の部分の周りに完全に延びる(extend fully around)アンテナグラウンドプレーン(antenna ground plane)を含んでもよい。スリーブは、街路灯支持構造の材料を使用する代わりに、360度のグラウンドプレーンを画定してもよい。
【0034】
例えば、スリーブは、選択可能な向きで街路灯の部分に装着するように適合され、モジュールは、スリーブを選択された向きでロックするためのロック構成(locking arrangement)を含む。これは、アンテナの指向特性が設定され、必要に応じて調整されることも可能にする。
【0035】
本発明はまた、
街路灯支持構造と、
街路灯支持構造の上部に設けられる街路照明ヘッドと、
上述した通信モジュールと、
を含む、街路灯を提供する。
【0036】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に述べられる実施形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明のより良好な理解のために、及び、どのようにして本発明が実施され得るかをより明らかに示すために、例としてのみ、添付の図面が参照される。
図1】ユーザがモバイルデバイスを持っている街路を示す。
図2】2つの街路灯及びユーザ並びに車両を示す。
図3】街路灯の直立サポート(ランプポスト)に取り付けられる第1の通信モジュールを示す。
図4】各スリーブが街路灯部分の周りに装着するための独立ユニットを含んでもよいことを示す。
図5】8個のアンテナストライプから成るプリントフォイルを示す。
図6】アクティブアンテナアレイを含む円筒形ランプポストの一例を示す。
図7】照明エリアの上方に延びるアームブラケットに組み込まれるアンテナアレイを示す。
図8】街路灯照明器具自体に設けられるリムを形成するスリーブを示す。
図9】反射グラウンドプレーンがどのように形成されるかを示す。
図10】調整フィーチャを備えるスリーブを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明が、図を参照して述べられる。
【0039】
詳細な説明及び特定の例示は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示すものであるが、説明のみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことが理解されるべきである。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び有利な点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からよりよく理解されることになるであろう。図面は単に概略的なものであり、縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。同じ参照番号は、図面全体にわたって同じ又は類似の部分を示すために用いられることも理解されたい。
【0040】
本発明は、街路灯のある部分の周りに延びる(extend)ためのスリーブを含む通信モジュールを提供する。アンテナ回路が、スリーブに組み込まれ、街路灯の近傍におけるユーザモバイルデバイスとの通信を実施するためのアンテナのアレイを含む。
【0041】
図1は、ユーザ10が、無線波(radio wave)12によって通信する、モバイルフォン又はタブレット等、モバイル無線機器(mobile radio appliance)11を持っている街路を示している。同様に、車両14は、RFアンテナ16に結合されるモバイル無線機器を備えている。
【0042】
無線機器との通信は、街路灯20に装着されるアンテナ回路及びアンテナによる。街路灯20は、エンドユーザだけでなく、互いに相互接続することができる。
【0043】
図2は、2つの街路灯20a、20bを示し、各街路灯は、アクセスポイント30a、30bを担持している。ユーザデバイス11又は自動車通信システム等の他のモバイルデータ局及びそのアンテナ16は、ステアラブル(steerable)RFビーム32によってアクセスポイント30a、30bと接続される。メッシュ接続34が、アクセスポイント30a、30b間に設けられる。メインデータネットワークへの情報フローは、照明インフラストラクチャへの有線36又はワイヤレス38のバックホールデータ接続によってサポートされてもよい。
【0044】
本発明は、街路灯構造のある部分を囲む(surround)ためのものであるスリーブ、すなわち、カーブ構造(curved structure)、例えば、円筒構造に組み込まれるアクティブアンテナアレイに関する。とりわけ、本発明は、支持構造(例えば、ランプポスト)又は照明ヘッド(照明器具)自体等、街路灯のある部分への取り付けのための(又は当該部分の一部として形成される)通信モジュールを提供する。
【0045】
図3は、街路灯20の直立支持ポール、すなわち、ランプポスト42に取り付けられる第1の通信モジュール40、及び、照明ヘッド、すなわち、街路灯照明器具48につながる水平支持アーム46に取り付けられる第2の通信モジュール44を示している。
【0046】
各通信モジュールは、RFアンテナのアレイ及びアンテナ処理回路を含む。
【0047】
これは、既存の街路灯インフラストラクチャが、ユーザモバイルデバイスと通信するためのネットワークのアクセスポイント、すなわち、ユーザの、典型的にはセルラーモバイルフォン又はタブレットである、モバイルデバイス間で通信するための通信システムを形成するために使用されることを可能にする。
【0048】
各モジュールにおける通信回路は、例えば、各々が関連するアンテナ処理回路を備える多数のアンテナと共に実装される。全体的な通信システムは、例えば、アクティブなユーザよりも多くのアンテナを有する。
【0049】
とりわけ、各モジュールの通信回路は、セルフリーマッシブMIMO通信システムのためのアンテナ処理回路を含む。これにより、アンテナは、多数の低コスト分散アンテナがネットワークコントローラに接続し、各アンテナが別個のアクセスポイントとして機能する、セルフリーマッシブMIMOシステムの一部を形成する。モジュール内の異なるアンテナは、組み合わせてネットワークのサービスエリアを定義するように、異なる指向性を有する。
【0050】
通信モジュール40、44は、ランプポスト又は支持アームのスキン(skin)の一体要素(integral element)であってもよく、又は、既存のランプポスト、又は支持アーム、又は照明器具に取り付けられることができるスリーブの一部であってもよい。後付け(すなわち、着脱可能な)ユニットを提供することによって、これらは、既存の照明インフラストラクチャに取り付けられてもよい。
【0051】
街路灯支持構造の周りに装着するスリーブの使用は、ステアラブルビームの良好なカバレッジを可能にしながらも、デザインが目立たないことを意味する。スリーブは、例えば、街路灯の異なる支持構造要素等、様々な潜在的キャリアに簡単に固定できるもの(easy fix)であるように設計されることができる。スリーブは、容易には見ることができない目立たないフォームファクタ(unobtrusive form factor)を有することができ、頑丈で耐候性があることができる。垂直ランプポストの周りに装着される場合、スリーブは、信号の遮断を避けるため、また偶発的な破損のリスクを減らすために、車両交通の上部の高さよりも上に装着されることが好ましい。
【0052】
通信モジュールを水平支持アーム46に提供することは、アンテナ方向が街路を容易にまたぐことができる一方、隣接する街路灯にアームからアームへの良好な指向性を与えることもできる。通信モジュールを垂直ポストに置くことも、ポストからポストへの、また街路を横切る良好な指向性を与える。図3に示されるように、組み合わせて、指向性の幅広い制御が達成されてもよい。
【0053】
スリーブは、例えば、中央ボアを有する円筒構造を含む。
【0054】
図4は、各スリーブが、街路灯部分の周りに固定可能な第1の半体50及び第2の半体52を備える街路灯部分の周りに装着するための独立ユニットを含んでもよいことを示している。
【0055】
2つの半体50、52は、例えば、硬いプラスチック材料から作られる。2つの半体は、ヒンジ54及び閉スナップ機構56によって一緒に保たれる。アンテナフォイル(antenna foil)が、例えば、各スリーブ半体のボディに形成される空隙に設けられる。
【0056】
アンテナアレイは、上述したように無線ストライプの形態をとってもよい。
【0057】
図5は、8個のアンテナストライプ(A~H)から成るプリントフォイル(printed foil)60を示す。
【0058】
各アンテナストライプは、アンテナメタライゼーション64及びバス66に接続されるアクティブ回路62のラインから成る。
【0059】
アンテナメタライゼーションは、各アクティブ回路のロケーションに4つのダイポールアンテナのセットを定義する。斯くして、各アクティブ回路は、4つの変調及び復調回路のセットを有する。各アクティブ回路は、複数のアンテナを(すなわち、4つのダイポールアンテナの8つのポールを、したがって、4つの変調/復調回路及び4つの増幅回路で)駆動することができるアンテナ処理ユニットAPUである。アクティブ回路62は各々、パケットスイッチング回路、デジタルシグナルプロセッサDSP、I/Qモジュレータ/デモジュレータ及びRFアンプを含む。
【0060】
バスリピータ68は、各街路灯のバックエンド処理ユニットに接続される単一のバス70からすべてのストライプを駆動する。
【0061】
アンテナフォイルは、スリーブの2つの半体50、52に配置される。フォイルは、例えば、図5の右図に示されるように、設置された場合、一つのストライプ、例えばストライプ「A」が、別のストライプ、例えばストライプ「E」と正反対に位置付けられるように製造される。
【0062】
すべてのアンテナをベンドフェーズドアレイ(bended phased array)として制御することにより、スリーブの軸方向だけでなく角度方向にも細かいビーム整形及び位置決めが可能である。
【0063】
アンテナフォイル60は、背後から来る干渉に対する電気的スクリーン(electrical screen)として機能する裏面メタライゼーション(backside metallization)を含んでもよい。さらに、これは、アンテナが、スリーブを担持する金属構造要素ではなく、背後で制御されるインピーダンスを見ることを保証する。
【0064】
スリーブハウジングは、2つの別個の部品として製造されてもよい。アウターシェル(outer shell)が、ヒンジ及びスナップ機構を一体化して形成されてもよく、別体のインナーカバー(inner cover)が設けられてもよい。この場合、アンテナフォイルは、2つの部品の間に位置付けるためのものである。これらの部品のいずれも、1回の射出成形プロセスで製造される単一のプラスチック部品であってもよい。
【0065】
アンテナストライプは、例えば、インナーカバーを装着する前にアウターシェルの内側に接着されることができる。接続はすべて、アンテナメタライゼーションを保持する同じキャリアフォイル(carrier foil)を使用して行われてもよい。代替的に、コネクタ又はコンタクトばねが、スリーブハウジング部品間で回路を接続するために使用されてもよい。アンテナフォイルは、アウターシェル内にぴったり収まるように単体(single piece)として製造されてもよい。RFバックエンド処理回路のための追加のスペースがハウジングに設けられてもよい。
【0066】
ハウジングは、キャリア上にぴったり装着するためにボア内部にばねバイアスクランプ(spring-biased clamp)、バネバイアスファスナ(spring-biased fastener)、バネ付勢テンションベルト(spring-loaded tension belt)、又は圧縮パッド(compressible pad)等のバネフィーチャ(spring feature)を有してもよい。斯くして、バネバイアス構成が、スリーブが街路灯部分のさまざまなサイズに装着することを可能にするために使用されてもよい。
【0067】
追加的に又は代替的に、スリーブ半体は、アウターシェルの周りに延びるバンドによって適所に保持されてもよい。RF信号に影響を与えないために、これらのバンドは、非導電性材料から作られる。
【0068】
代わりに、アンテナフォイルは、基礎構造サポート(underlying structural support)、例えば、ランプポストに直接接着されてもよい。代わりに、熱収縮チューブによって、スリーブが、基礎サポートの周りに収縮されることを可能にしてもよい。
【0069】
スリーブハウジングは、街路灯の部分における対応するロックフィーチャ(ノッチ及び/又は突起)にフィットする(fit)突起及び/又はノッチ等のロックフィーチャを有してもよい。代わりに、街路灯部分は、スリーブハウジングのフィッティングが1つの角度向きでしか行えないように、非円形断面を有してもよい。街路灯部分が直線ではなく曲がっている場合、これはまた、対応する形状のスリーブハウジングが1つの特定の角度向きでしかフィットしないことを意味する。斯くして、所望の角度向きを保証するためのさまざまな異なるやり方がある。
【0070】
これは、一定方向のマウンティング(fixed direction of mounting)を保証する。このようにして、アンテナは、例えば、隣接するポストへの又は道路の反対側のポストへのメッシュ接続を可能にする方向に最適に放射するように位置付けられてもよい。
【0071】
例えば、図5を参照すると、これにより、アンテナストライプA及びEが(直線道路の)隣接するポストに最適に方向付けられ、アンテナストライプCが道路の反対側に方向付けられることができる。これは、ネットワークのコミッショニングを容易にし得る。
【0072】
スリーブハウジングは、ネジ又はボルトで適所にロックされてもよい。さらに、これらは、スリーブに電力を供給するための電気接点として機能してもよい。ポストにおけるこれらのボルト又はネジのためのレセプタクルは、ボルト又はネジの挿入によって穴が開けられることができるシーリングキャップ又は塗料によって覆われてもよい。これは、街路灯が、電気的及び機械的接続部分を環境から隔離したまま、通信モジュールスリーブのマウンティングへの備えができることを意味する。
【0073】
代わりに、スリーブは、回転調整システムを有し、回転調整システムの固定部分が街路灯に装着し、アンテナフォイルは調整部分に接続してもよい。
【0074】
これらの例の両方において、スリーブは、選択可能な向きで街路灯の部分に装着することができ、モジュールは、スリーブを選択された向きでロックするためのロック構成を含む。
【0075】
上記の例において、通信モジュールは、既存の照明インフラストラクチャに対する後付けシステムとして適用されてもよい。
【0076】
代わりに、通信モジュールは、(ランプポスト又は他の支持アーム等)街路灯のある部分の一体要素であってもよく、又は、モジュラーアーム又はブラケット等のモジュラーコンポーネントであってもよい。ましては、通信モジュールは、製造時にランプポスト表面に施される仕上げ層又はスキン(finishing layer or skin)に埋設されてもよい。
【0077】
図6は、ランプポストの周囲の全方向でRF通信を可能にするアクティブアンテナアレイ70を含む円筒形ランプポストの一例を示している。
【0078】
図7は、照明エリアの上方に延びるアームブラケットに組み込まれるアンテナアレイを示している。アームは、道路の上方に実質的に水平に位置付けられ、これは、道路ユーザ(モバイル又はウェアラブルデバイス、スマート車両等)に向けて良好なRF通信信号を提供するのに有益である。
【0079】
斯くして、図6及び図7のデザインは、後付けソリューションではなくポスト又はアームのデザインの一部であってもよい。
【0080】
図8は、街路灯照明器具76自体に設けられるリムを形成するスリーブ74を示している。スリーブは、円形又は円筒形街路灯照明器具に装着されてもよく、発光面の周りに装着し、これにより、街路灯の円形光源を囲んでもよい。
【0081】
ランプポストは、典型的には、鉄等の導電性材料であり、これは、アンテナ構造がランプポストの近くに置かれるや否や反射が起こることを意味する。これは、とりわけ、ランプポスト及びアンテナ間の距離が最適でない場合、結果として生じる信号のシールディング及び相殺に起因して通常動作にとって問題である。
【0082】
ランプポスト(又は他のサポーティング構造(supporting structure))及びアンテナ構造間の正確な距離は、クライアントデバイスに向かう電磁界の伝播の性能にとって非常に重要(critical)である。
【0083】
前述のように、一つのアプローチは、アンテナ層の後ろに、反射グラウンドプレーンとして挙動する、導電フォイル(conducting foil)を設けることである。この場合、導体及びアンテナ構造間の距離、並びに絶縁材料の選択により、最適なリフレクタ挙動をもたらすことができる。
【0084】
アンテナフォイルは、スリーブのエッジ(スリーブが開く及び閉じる部分)で始まり且つ終わる。これらのエッジは、図9に示されるように、閉平面(closed plane)を形成するように接続されることが好ましい。
【0085】
図9において、スリーブ90は、上記で説明したようにアンテナ層92を内部に組み込み、スリーブの内側は、導電性グラウンドプレーンとして作用する。スリーブの内側におけるフィンガー94は、スリーブの内側の各表面96に圧力及び接触を生じさせ、アンテナ92におけるアンテナ構造のための360度の導電性反射グラウンドプレーンを作るために使用される。
【0086】
別のアプローチは、導電フォイルを使用せずに、ポスト(又は他のサポーティング構造)の上にアンテナ層を有することである。この場合、導電ランプポスト(conducting lamp post)は、導電電磁反射面(conducting electromagnetic reflective surface)として挙動する。導電層(conductive layer)がない場合、ランプポストは反射導体面(reflecting conductor plane)として作用するが、ポスト及びアンテナ間に最適な距離を有することが望ましい。
【0087】
図10は、スリーブ90が、グラウンドプレーンとして作用するポスト100の周りに設けられていることを示している。小さい要素、例えばピエゾ素子102が、スリーブ90に組み込まれてもよい。ピエゾ素子102は、低電力の電気電圧によって作動され、例えば、アンテナ層92を径方向に押して、距離(DTG、グラウンドまでの距離(distance to ground))を(矢印104で示される)全方向に増加させるために、又は、ポストの周りの方向の関数として間隔を微調整するために、アンテナ層92及びポスト100間の距離を調整することができる。この距離は、塗料又は汚れのために変化する可能性があり、又は、異なる周波数が異なるロケーションで適用される可能性があるため所望とされ得る。
【0088】
位置調整は、例えば、指向感度(directional sensitivity)を提供するために使用されてもよい。この目的のために、ポストは、ギア又はプロファイル表面を備えてもよい。斯かる表面までの距離を調整することは、アンテナ特性及び方向感度(direction sensitivity)を変えることになる。
【0089】
図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。請求項では、単語「含む」は、他の構成要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。
【0090】
特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0091】
「に適合される」という用語が特許請求の範囲又は明細書において使用される場合、「に適合される」という用語は、「に構成される」という用語と同等であることが意図されていることに留意されたい。
【0092】
請求項中のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】