(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-04
(54)【発明の名称】エアロゾル発生物品の誘電応答を特定する方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20240328BHJP
A24F 40/50 20200101ALI20240328BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240328BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/50
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562271
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 EP2022059882
(87)【国際公開番号】W WO2022228900
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】ルンゲンシュミート,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ライト,アレック
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC22
4B162AC34
4B162AD06
(57)【要約】
エアロゾル発生デバイス(10)は、エアロゾル発生物品(100)の異なる部分に接触するように加熱チャンバ(18)内に配設される第1の端子(42)及び第2の端子(44)を備える。交流電圧が第1及び第2の端子(42、44)の間に印加され、それらの間を流れる電流の特性が測定される。特性は、印加周波数におけるエアロゾル発生物品(100)の誘電応答を特定するために用いられる。誘電応答は、導電成分及び容量成分の両方を含み、エアロゾル発生物品(100)の状態、例えば、それが正しく挿入されているかどうか、又はそれが含有するニコチン等の揮発性物質の量を識別するために用いられてもよい。デバイス(10)が用いられる前後の誘電応答を比較することによって、デバイス(10)のユーザが吸入した揮発性物質の量を推定することが可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生デバイスを動作させる方法であって、前記エアロゾル発生デバイスは、
エアロゾル発生物品(100)を受け入れるよう構成される加熱チャンバ(18)と、
第1の端子(42)及び第2の端子(44)であって、エアロゾル発生物品(100)が前記加熱チャンバ(18)内に受け入れられる場合、前記第1及び第2の端子(42、44)がそれぞれ前記エアロゾル発生物品(100)の異なる部分と接触するように、前記加熱チャンバ(18)内に配設される、第1の端子(42)及び第2の端子(44)と、を備え、
前記方法は、
(a)エアロゾル発生物品(100)を前記加熱チャンバ(18)に挿入することと、
(b)前記第1及び第2の端子(42、44)の間に印加周波数で交流電圧を印加することと、
(c)前記交流電圧が印加されている間に前記第1及び第2の端子(42、44)の間に流れる電流の特性を測定することと、
(d)前記電流の前記測定された特性を用いて、前記印加周波数における前記エアロゾル発生物品(100)の誘電応答を特定することと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記電流の特性を測定するステップは、前記電流の振幅を測定することと、前記電圧と前記電流との間の位相シフトを測定することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記誘電応答を特定するステップは、前記誘電応答の導電成分及び容量成分の両方を特定することを含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記印加周波数は100Hz~1MHzの範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記印加周波数は1kHz~100kHzの範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
異なる印加周波数によりステップ(b)及び(c)を実行することを含み、ステップ(d)は、前記異なる周波数において前記電流の前記測定された特性を用いて、前記エアロゾル発生物品(100)の前記誘電応答を特定することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
更に、前記エアロゾル発生物品(100)の温度を測定することを含み、ステップ(d)は、前記電流の前記測定された特性及び前記測定された温度を用いて、前記エアロゾル発生物品(100)の前記誘電応答を特定することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
更に、前記特定された誘電応答を用いて、前記エアロゾル発生物品(100)の状態を識別することと、前記物品の前記状態を示すよう信号を出力すること、又は前記物品(100)の前記状態に応じた方法で前記エアロゾル発生デバイスを制御することと、を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記エアロゾル発生物品(100)の前記識別された状態は、前記物品が前記加熱チャンバ(18)内に不正確に挿入されたことである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第1の誘電応答を特定するよう、前記加熱チャンバ(18)への前記エアロゾル発生物品(100)の挿入後にステップ(b)~(d)を実行することと、
前記加熱チャンバ(18)内の前記エアロゾル発生物品(100)に熱を加えることと、
第2の誘電応答を特定するようステップ(b)~(d)を繰り返すことと、
前記第2の誘電応答を前記第1の誘電応答と比較して、前記物品(100)の状態変化を特定することと、
前記物品(100)の前記状態変化を示す信号を出力すること、又は前記物品(100)の前記状態変化に応じた方法で前記エアロゾル発生デバイス(10)を制御することと、を含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記物品(100)の前記状態変化は、前記物品(100)内の揮発性物質の枯渇である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
更に、前記物品(100)の前記特定された状態変化を用いて、前記第1及び第2の誘電応答の前記特定の間に前記デバイスのユーザによって吸入される少なくとも1つの揮発性物質の量を推定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
更に、前記第1及び第2の誘電応答の前記特定の間に前記デバイス(10)の前記ユーザによって吸入されるパフの数を記録することと、前記物品(100)の前記特定された状態変化及び前記記録されたパフの数を用いて、パフ毎に前記ユーザによって吸入される前記少なくとも1つの揮発性物質の量を推定することとを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
エアロゾル発生デバイス(100)であって、
エアロゾル発生物品(100)を受け入れるよう構成される加熱チャンバ(18)と、
第1の端子(42)及び第2の端子(44)であって、エアロゾル発生物品(100)が前記加熱チャンバ(18)内に受け入れられる場合、前記第1及び第2の端子(42、44)がそれぞれ前記エアロゾル発生物品(100)の異なる部分と接触するように、前記加熱チャンバ(18)内に配設される、第1の端子(42)及び第2の端子(44)と、
電圧源(46)と、
エアロゾル発生物品(100)が前記加熱チャンバ(18)に挿入される場合に請求項1~13のいずれか一項に記載の方法を実行するよう構成されるコントローラ(24)と、を備える、
エアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項15】
前記第1の端子(42)及び前記第2の端子(44)のそれぞれは、略平面であり、前記端子(42、44)の前記平面内で測定される長さ及び幅を有し、
前記第1及び第2の端子(42、44)は、前記エアロゾル発生物品(100)がそれらの間に受け入れられ得るように、且つ前記第1及び第2の端子(42、44)が前記端子(42、44)の前記長さ及び前記幅よりも短い垂直距離だけ離間するように、前記加熱チャンバ(18)の両側に互いに平行に配設される、
請求項14に記載のエアロゾル発生デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、エアロゾル発生デバイスのユーザによる吸入のためのエアロゾルを発生させるようエアロゾル発生基材を加熱するためのエアロゾル発生デバイスに関する。本開示は、特に、携帯型(手持ち式)エアロゾル発生デバイスに適用可能である。かかるデバイスは、エアロゾル発生基材、例えば、たばこ又は他の好適な材料を、燃焼させるのではなく、伝導、対流、及び/又は放射によって加熱して、ユーザによる吸入のためのエアロゾルを発生させる。
【背景技術】
【0002】
近年、(エアロゾル発生デバイス又は蒸気発生デバイスとしても公知の)リスク低減デバイス又はリスク修正デバイスの人気及び使用が、従来のたばこ製品の使用に代わるものとして、急速に成長してきた。エアロゾル発生基材を加熱又は加温して、ユーザが吸入するエアロゾルを発生させる様々なデバイス及びシステムが入手可能である。
【0003】
一般に入手可能なリスク低減又はリスク修正デバイスは、基材加熱式エアロゾル発生デバイス又はいわゆる加熱非燃焼式デバイスである。この種類のデバイスは、エアロゾル発生基材を、通常、150℃~300℃の範囲の温度に加熱することによって、エアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル発生基材を燃焼させることなく、この範囲内の温度までエアロゾル発生基材を加熱することにより、通常、冷却され凝縮してデバイスのユーザによる吸入のためのエアロゾルを形成する蒸気を発生させる。
【0004】
現在利用可能なエアロゾル発生デバイスは、幾つかの異なる手法のうちの1つを用いて、エアロゾル発生基材に熱を与えることができる。1つのかかるアプローチは、誘導加熱システムを採用することにある。かかるデバイスにおいて、誘導コイルがデバイスに設けられ、誘導加熱可能サセプタがエアロゾル発生基材を加熱するよう設けられる。ユーザがデバイスを作動させると、電気エネルギーが誘導コイルに供給され、続いてこれにより交流電磁界が発生する。サセプタはこの電磁界と結合して熱を発生させ、この熱は(例えば、熱伝導によって)エアロゾル発生基材に伝達され、エアロゾル発生基材が加熱されるとエアロゾルが発生する。別のアプローチは、電流がヒータ素子に直接供給される抵抗加熱システムを採用することにある。発熱体は、例えば、伝導によってエアロゾル発生基材に伝達される熱を発生させる。サセプタ又は発熱体は、エアロゾル発生基材を囲み、熱をエアロゾル発生基材の外面に伝達してもよい。代替として、サセプタ又は発熱体は、エアロゾル発生基材がエアロゾル発生デバイスに挿入される場合にエアロゾル発生基材に埋め込まれるブレードの形態であってもよい。
【0005】
ほとんどのかかるエアロゾル発生デバイスにおいて、ヒータは、例えば、ユーザが開始ボタンを押したことに応答して、又はユーザがデバイスを通してパフを吸入したことをデバイスが気流センサによって特定することに応答して、開始するよう命令される場合に所定の方法で動作する。最適な動作は、従って、ユーザが適切なエアロゾル発生基材を選択し、それをエアロゾル発生デバイスに正しく挿入することによって決まる。挿入された基材の特性又は状態を検出することができ、検出された状態又は特性を用いてデバイスの動作を改善するか、又は関連情報をユーザに提供することができる「よりスマートな」エアロゾル発生デバイスに対する要望が存在する。
【0006】
公開された特許出願、国際公開第2017/051006A1号パンフレットは、電源と、少なくとも1つのヒータと、エアロゾル発生物品を受け入れるためのキャビティとを備えるエアロゾル発生デバイスを開示している。デバイスは、更に、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分がそれらの間に受けられるように、第1の電極と、第1の電極から間隔をあけて配置される第2の電極とを備える。デバイスのコントローラは、第1の電極と第2の電極との間の測定された電気負荷が所定の閾値を超える場合に、ヒータへの電力の供給を終了するよう構成される。電気負荷は、抵抗負荷及び容量負荷のうちの少なくとも1つを備えてもよい。第1の電極と第2の電極との間の測定された電気負荷の変化は、エアロゾル発生物品内に残存する1つ以上の揮発性化合物の量の指標を与えると述べられている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様によれば、エアロゾル発生デバイスであって、
エアロゾル発生物品を受け入れるよう構成される加熱チャンバと、
第1の端子及び第2の端子であって、エアロゾル発生物品が加熱チャンバ内に受け入れられる場合、第1及び第2の端子がそれぞれエアロゾル発生物品の異なる部分と接触するように、加熱チャンバ内に配設される、第1の端子及び第2の端子と、を備え、
エアロゾル発生デバイスを動作させる方法であって、
(a)エアロゾル発生物品を加熱チャンバに挿入することと、
(b)第1及び第2の端子の間に印加周波数で交流電圧を印加することと、
(c)交流電圧が印加されている間に第1及び第2の端子の間に流れる電流の特性を測定することと、
(d)電流の測定された特性を用いて、印加周波数におけるエアロゾル発生物品の誘電応答を特定することと、を含む。
【0008】
誘電応答は、Y=G+iωCとして複素形式で表すことができ、ここで、Yはアドミタンスを示し、Gはコンダクタンスであり、i2=-1であり、ω=2πfは角周波数であり、Cはキャパシタンスである。たばこ中の水分レベルが増加すると、アドミタンスの実数部と虚数部の両方が増加することが知られている。誘電応答は、従って、任意の周波数におけるたばこ中の水分レベルを示す。水は、その大きな誘電率に起因して誘電応答において不均衡な役割を果たすと予想されるが、湿潤剤及び他の揮発性物質の有無は、たばこ材料が加熱される際のアドミタンスの変化に寄与すると予想される。
【0009】
電流の測定された特性は、電流の振幅と、電圧と電流との間の位相シフトとを含んでもよい。これらの量は、測定するのが簡単であり、電流を複素数として表すために用いることができる。振幅及び位相に関して表現される複素数から、実数成分及び虚数成分を導出することは容易であり、極座標と直交座標との間の変換に等しい。複素電流を印加された(実)電圧と比較することによって、誘電応答(複素アドミタンス)を特定することができる。
【0010】
誘電応答を特定するステップは、誘電応答の導電成分及び容量成分の両方を特定することを含むことが好ましい。従来技術における例では、抵抗又はコンダクタンスのみを測定するよう直流又は低周波電圧を印加するか、又はキャパシタンスのみを測定するよう高周波電圧を用いたが、本発明は、導電成分と容量成分の両方が、特定された誘電応答に無視できない寄与をするように、中間周波数で動作することが好ましい。アドミタンスの実数成分及び虚数成分の両方が、基材内の揮発性物質の含有量に関する情報を搬送するため、より多くの情報が、好都合な中間印加周波数で複素量を測定することによって導出することができる。この周波数は、誘電応答がデバイスの使用中に生じるたばこの変化に対して最も敏感である周波数として選択することができる。中間周波数はまた、低コストの電子機器を用いて生成及び処理するのにより都合が良い可能性がある。
【0011】
好ましくは、印加周波数は100Hz~1MHzの範囲である。より好ましくは、印加周波数は1kHz~100kHzの範囲である。誘導加熱は一般に、同様の周波数範囲で機能するため、エアロゾル発生デバイスにおいてかかる周波数を発生させる技術は既に存在しており、加熱回路と誘電応答を特定するための回路との間で幾つかの電子部品を共有することが可能であり得る。
【0012】
本発明による方法の一変形例において、ステップ(b)及び(c)は、異なる印加周波数により実行され、次いで、ステップ(d)は、それぞれの印加周波数において電流の測定された特性を用いて、エアロゾル発生物品の誘電応答を特定することを含む。異なる周波数において、誘電応答に対する実数成分及び虚数成分の寄与は異なるため、異なる周波数において誘電応答の特定を実行することは、それらの成分の独立した測定を提供し、誤差が低減されることを可能にする。
【0013】
先に説明したように、基材中に存在する水は、その大きな誘電率のために、その誘電応答に最も大きく寄与すると予想される。基材の含水量を知ることは有用であり得るが、ニコチン等の他の揮発性物質の量は、多くの場合、より重要である。第1の近似として、基材中の水分量は揮発性物質の量の良好な指標であると仮定される。しかし、揮発性物質の含有量を独立して特定できることが望ましい。水及び他の揮発性物質は、印加電圧の異なる周波数における基材のアドミタンスに対して異なって寄与する可能性があり、従って、異なる周波数において誘電応答の特定を実行することは、基材中の揮発性物質の含有量を水の含有量から区別する可能な方法を提供する。
【0014】
温度センサは、エアロゾル発生物品の温度を測定するために提供されてもよく、それによって、測定された温度は、電流の測定された特性と共に用いられて、エアロゾル発生物品の誘電応答を特定することができる。誘電応答は部分的に温度に依存することが公知であるため、温度を測定することにより、補正を行うことが可能になり、異なる時間又は異なる条件下で行われる特定のより信頼できる比較を可能にする。これは、エアロゾル発生物品が加熱されている間に誘電応答の特定が行われる場合に特に重要である。
【0015】
特定された誘電応答は、エアロゾル発生物品の状態を識別するために用いられてもよく、信号が物品の状態をユーザに示すよう出力されてもよい。追加又は代替として、エアロゾル発生デバイスは、物品の状態に応じた方法で制御されてもよい。
【0016】
一実施例において、エアロゾル発生物品の誘電応答を特定する方法は、実際には、物品が加熱チャンバ内に不正確に挿入された状態を特定してもよい。かかる場合、デバイスは、不正確な挿入を示すようユーザに信号を出力することができるか、及び/又はデバイスのヒータが動作することを防止することができる。
【0017】
別の実施例において、方法は、エアロゾル発生物品が、例えば、物品が既に用いられた結果としてその揮発性物質が枯渇しているために、デバイスにおける使用に不適切であることを特定してもよい。この場合も、デバイスは、物品の状態を示すようユーザに信号を出力することができるか、及び/又はデバイスのヒータが動作することを防止することができる。代替として、物品の低い揮発性物質含有量を補償するよう、その動作温度等のデバイスの動作を適合させることが可能であってもよい。
【0018】
第1及び第2の端子の間のアドミタンスは、基材だけでなく、加熱チャンバ内の任意の残留物又は他の汚染物質の存在によっても影響を受ける。従って、誘電応答の特定が予期しない結果をもたらした場合、これは、デバイスが洗浄を必要とすることの指示として解釈されてもよい。この情報はまた、ユーザに信号で伝えられてもよいか、又はデバイスの動作を制御若しくは防止するために採用されてもよい。
【0019】
本発明による方法の別の変形例は、第1の誘電応答を特定するよう、加熱チャンバへのエアロゾル発生物品の挿入後にステップ(b)~(d)を実行することと、例えば喫煙セッション中に加熱チャンバ内のエアロゾル発生物品に熱を加えることと、次いで、第2の誘電応答を特定するようステップ(b)~(d)を繰り返すことである。第2の誘電応答は、物品の状態変化を特定するよう第1の誘電応答と比較されてもよく、デバイスは、物品の状態変化を示す信号を出力してもよいか、又は物品の状態変化に応じた方法でエアロゾル発生デバイスを制御してもよい。
【0020】
典型的な実施例において、物品の状態変化は、物品内の揮発性物質の枯渇である。本方法のこの変形例の結果として、物品が使い果たされ、もはや用いられるべきではないことが特定されてもよい。
【0021】
本発明による好ましい方法は、物品の特定された状態変化を用いて、第1及び第2の誘電応答の特定の間にデバイスのユーザによって吸入される少なくとも1つの揮発性物質の量を推定することを含む。少なくとも1つの揮発性物質はニコチンを含んでもよく、エアロゾル発生デバイスの多くのユーザによって、喫煙セッション中にどの程度のニコチン(又は他の物質)を消費したかを特定できることは、例えば、ユーザが物質の摂取を制御又は低減しようとしている場合、極めて興味深いことである。また、デバイス又はエアロゾル発生物品の製造者にとって、現実世界での使用中にどれだけの量の揮発性物質が消費されるかを知ることは興味深い場合がある。デバイスは、スマートフォン等の遠隔地にデータを伝送するよう構成されてもよく、そこから製造業者に中継されてもよい。代替として、データは、その後の検索のためにデバイスに格納されてもよい。
【0022】
本方法における可能な更なるステップは、第1及び第2の誘電応答の特定の間にデバイスのユーザによって吸入されるパフの数を記録することと、物品の特定された状態変化及び記録されたパフの数を用いて、パフ毎にユーザによって吸入される少なくとも1つの揮発性物質の量を推定することとを含む。かかる情報は、ユーザが、デバイスの将来の使用中にパフを計数することによって揮発性物質の消費を推定することを可能にするのに有用であってもよい。また、デバイス又はエアロゾル発生物品の製造業者にとって、それらの製品の現実世界での使用についてより多くを知ることは興味深い場合がある。
【0023】
本発明による方法は、例えば、エアロゾル発生物品の挿入直後にエアロゾル発生デバイスによって自動的に実行されてもよいか、又はユーザによって要求される場合にのみ実行されてもよい。
【0024】
本開示の更なる態様によれば、エアロゾル発生デバイスは、
エアロゾル発生物品を受け入れるよう構成される加熱チャンバと、
第1の端子及び第2の端子であって、エアロゾル発生物品が加熱チャンバ内に受け入れられる場合、第1及び第2の端子がそれぞれエアロゾル発生物品の異なる部分と接触するように、加熱チャンバ内に配設される、第1の端子及び第2の端子と、
電圧源と、
エアロゾル発生物品が加熱チャンバに挿入される場合に前述の方法を実行するよう構成されるコントローラと、を備える。
【0025】
第1の端子及び第2の端子のそれぞれは、略平面であり、端子の平面内で測定される長さ及び幅を有してもよく、第1及び第2の端子は、エアロゾル発生物品がそれらの間に受け入れられ得るように、且つ第1及び第2の端子が端子の長さ及び幅よりも短い垂直距離だけ離間するように、加熱チャンバの両側に互いに平行に配設される。各端子が幅及び長さを有するという事実は、それが矩形でなければならないことを意味しない。長さは、平面に平行な任意の方向において測定される端子の最大寸法として定義されてもよく、幅は、長さに垂直であり、且つ平面に平行な方向において測定される端子の最大寸法として定義されてもよい。長さ及び幅は、例えば正方形又は円形の端子の場合、等しくてもよい。
【0026】
この構成により、エアロゾル発生デバイスが、カード状の形態を有する、即ち、その幅及び長さよりも実質的に小さい厚さを有し、端子間で容易に摺動するエアロゾル発生物品と共に用いられることを可能にする。端子は、誘電応答の測定が基材の大部分を含むように、エアロゾル発生基材の大きな面積にわたって延在することができる。端子の比較的大きな面積及び小さな分離は、それらの間に大きなキャパシタンスを生じさせ、その結果、誘電応答の敏感な測定が行われる。
【0027】
文脈上、明らかに他の意味に解すべき場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、「含む」、「含んでいる」等の語は、排他的意味又は網羅的意味とは反対に、包括的に、すなわち「含むが、限定されない」という意味で解釈されるべきである。
【0028】
本明細書において、「上側」及び「下側」等の用語は、例示的な図面に示すデバイスの向きを指し、本発明によるデバイスを任意の特定の向きで製造、保管、輸送、又は用いられることに限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】エアロゾル発生デバイスと、エアロゾル発生デバイスの加熱チャンバ内に位置決めされるエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムの断面略図である。
【
図2】本発明による方法が実行されてもよいエアロゾル発生システムの第1の実施形態の部分断面略図である。
【
図3】本発明による方法が実行されてもよいエアロゾル発生システムの第2の実施形態の部分断面略図である。
【
図4】本発明による方法が実行されてもよいエアロゾル発生システムの第3の実施形態の斜視略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで、本開示の実施形態について、単なる例として添付の図面を参照して説明する。
【0031】
初めに
図1を参照すると、エアロゾル発生システム1の一実施例を略図で示している。エアロゾル発生システム1は、エアロゾル発生デバイス10と、デバイス10で用いるためのエアロゾル発生物品100とを備えている。エアロゾル発生デバイス10は、本明細書中に述べられる様々な実施形態において説明されるコンポーネントに適合し、ユーザによって補助なしに片手で快適に保持されるようサイズ設定される任意の形状を有することができる。
【0032】
図1の底部側に示す、エアロゾル発生デバイス10の第1の端部14は、便宜上、エアロゾル発生デバイス10の遠位、底部、基部、又は下端として説明される。
図2の頂部側に示す、エアロゾル発生デバイス10の第2の端部16は、エアロゾル発生デバイス10の近位、頂部、又は上端として説明される。使用中、ユーザは、典型的には、エアロゾル発生デバイス10を、第1の端部14を下向きに及び/又はユーザの口に対して遠位位置にし、且つ第2の端部16を上向きに及び/又はユーザの口に対して近接位置にして方向付ける。
【0033】
エアロゾル発生デバイス10は、加熱チャンバ18を備えている。加熱チャンバ18は、エアロゾル発生物品100を収容するための、略円筒断面を有するキャビティ20の形態の内部容積を画成する。加熱チャンバ18のキャビティ20は、エアロゾル発生デバイス10の第2の端部16に向かって開口する。加熱チャンバ18は、キャビティ20内に受け入れられるエアロゾル発生を加熱するためのヒータ19を備える。ヒータは、様々な形態をとってもよいが、その一般的な位置は、
図1に破線で示されている。加熱チャンバ18は、長手方向を画成する長手方向軸を有し、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の耐熱プラスチック材料から形成される。エアロゾル発生デバイス10は、更に、電源22、例えば充電式であってもよい1つ以上のバッテリと、電源をヒータに結合させるコントローラ24とを備えている。コントローラ24はまた、ユーザからのコマンドを受信するための電源ボタン等の入力部、及び/又は情報をユーザへ提供するためのインジケータライト、ディスプレイスクリーン、又は可聴若しくは振動アラーム等の出力部を備えるユーザインターフェース23に接続されてもよい。コントローラはまた、入力及び出力のために、並びにエアロゾル発生デバイス10とその製造業者との間でデータを中継するために用いることができる、ユーザのスマートフォン等の遠隔装置との無線通信のためのアンテナ25とインターフェース接続されてもよい。
【0034】
加熱チャンバ18、及び具体的にはキャビティ20は、対応する形状の略円筒状又はロッド状のエアロゾル発生物品100を受け入れるよう配置される。通常、エアロゾル発生物品100は、予め包装されたエアロゾル発生基材102を備える。エアロゾル発生物品100は、例えば、エアロゾル発生基材102としてたばこを含んでもよい使い捨て且つ交換可能な物品(「消耗品」としても公知)である。エアロゾル発生物品100は、近位端104(又は口側端)及び遠位端106を有する。遠位端106は、少なくともエアロゾル発生基材102が加熱チャンバ18内部に収容されるように、エアロゾル発生デバイス10の加熱チャンバ18内に挿入される。エアロゾル発生物品100は、更に、エアロゾル発生基材102の下流に位置決めされるマウスピースセグメント108を備える。マウスピースセグメント108の少なくとも一部は、エアロゾル発生物品100の近位端104がユーザの口に入るようアクセス可能であるように、加熱チャンバ18から突出する。エアロゾル発生デバイス10がエアロゾル発生物品100に熱を加えると、加熱された蒸気がエアロゾル発生基材102から放出される。ユーザによる吸入がエアロゾル発生物品100の近位端104に向かって空気を引き出すにつれて、蒸気はマウスピースセグメント108を通過する際に冷却され、凝結し、吸入に適した特性を有するエアロゾルを形成する。マウスピースセグメント108は、更に、空気流からある特定の大きさを超える粒子又は液滴を除去するフィルタ(図示せず)を備えてもよい。
【0035】
エアロゾル発生基材102及びマウスピースセグメント108は、ラッパー110(例えば、紙ラッパー)内で同軸に整列して配置されてコンポーネントを所定位置に保持して、ロッド状エアロゾル発生物品100を形成する。ラッパー110は、通常、空気がエアロゾル発生物品100を通って遠位端106から近位端104まで流れることができるように、エアロゾル発生物品100の端部104、106を覆わない。
【0036】
本発明の図示の実施形態において、加熱チャンバ18は閉鎖基部32を備える。即ち、加熱チャンバ18はカップ状である。これは、開口する第1の端部26から引き出される空気がエアロゾル発生基材102を通って案内されることを確実にすることができる。
【0037】
図2及び3は、本発明の例示的な実施例を示している。それらは、加熱チャンバ18を略図で示しており、そのキャビティ20内にエアロゾル発生デバイス102が収容されている。電源22は、
図2及び3には示されていない。
【0038】
図2の実施形態において、誘導ヒータは、キャビティ20内に受け入れられるエアロゾル発生物品を加熱するために設けられる。螺旋状の誘導コイル36がキャビティ20を囲み、キャビティ20から離間されている。誘導コイル36を取り付けるための手段は、通常、加熱チャンバ18の外壁に取り付けられる。加熱コントローラ38は、電源22から誘導コイル36への電力の供給を制御する。コントローラ38は、電子部品の中でもとりわけ、電源22からの直流電流を誘導コイル36用の交流高周波電流に変換するよう配置されるインバータを含む。
【0039】
サセプタ40は、加熱チャンバ18のキャビティ20内部に位置する。サセプタ40の様々な構成が公知であるが、ここでは説明しない。通常、サセプタ40は、加熱チャンバ18の内壁の周囲に配設される1つ以上の要素を備え、これらは、キャビティ20内に受け入れられるエアロゾル発生物品100のラッパー110と接触するか、又は極めて近接するよう配置される。加熱コントローラ38が適切な周波数で加熱コイル36に電力を供給すると、それは交番磁界を発生させ、これによりサセプタ40内に流れる電流を誘導する。サセプタ40の材料及び構造は、サセプタ40内に誘導される渦電流が電力を熱として放散させるように選択される。熱は、伝導、対流、及び/又は放射によってエアロゾル発生物品100の基材102に伝達され、基材102内の揮発性物質を気化させる。揮発性物質は、エアロゾル発生物品を通って引き出される空気の流れに同伴されて、先に説明したようにユーザによって吸入され得るエアロゾルを形成する。
【0040】
本発明によれば、
図2に示すエアロゾル発生デバイス10は、更に、第1及び第2の端子42、44がそれぞれエアロゾル発生物品100の異なる部分と接触するように、加熱チャンバ18のキャビティ20内に配設される第1の端子42及び第2の端子44を備える。第1及び第2の端子42、44は、電源22から電力を引き出し、1つ以上の所望の周波数で第1及び第2の端子42、44間に交流電圧を選択的に印加する、電圧発生器46に接続される。第1及び第2の端子42、44は、更に、交流電圧がそれらに印加されている間に第1及び第2の端子42、44の間を流れる電流を測定し、測定された電流の特性を用いてエアロゾル発生物品100のアドミタンス又は誘電応答を特定するアドミタンス分析器48に接続される。誘電応答は、ひいては、下で説明するように、基材102の状態又は特性に関する情報を提供する。
【0041】
第1の端子42及び第2の端子44は、互いに比較的広く離間するエアロゾル発生物品100の一部と接触するように配設されることが好ましい。その結果、第1及び第2の端子42、44の間を流れる電流は、基材102のかなりの部分をサンプリングする。
図2の図示の実施例において、第1の端子42は、基材102の近位端に近いエアロゾル発生物品100のラッパー110に隣接して配設される。第2の端子44は、エアロゾル発生物品100の遠位端106において基材102に隣接して配設される。第2の端子44は、エアロゾル発生物品100がキャビティ20内に完全に挿入されていない場合に、第2の端子44と完全に接触しないように、エアロゾル発生物品100の遠位端106又はその付近に配設されることが好ましい。これは、第1及び第2の端子42、44の間で測定されるアドミタンスに影響を及ぼすため、エアロゾル発生物品100の不正確な挿入をアドミタンス分析器48によって検出することができる。エアロゾル発生デバイス10は、次いで、エアロゾル発生物品100の不正確な挿入をユーザに警告する信号を発することができる。エアロゾル発生物品100が正しく挿入されていない状態にある場合、加熱コントローラ38は、加熱コイル36に電力を供給することを妨げる可能性がある。
【0042】
図2の図示の実施例において、第2の端子44は、第1の端子42と同様に、エアロゾル発生物品100の径方向外面上のラッパー110に隣接して配設される。本発明の代替の実施形態(図示せず)において、第2の端子44は、エアロゾル発生物品100の端部面に隣接して、加熱チャンバ18の端部32に配設することができる。これは、物品100が、加熱チャンバ18内に完全且つ正確に挿入されない限り、第2の端子44と接触しないことを確実にする。一方、それは、キャビティ20から物品100内への空気流と場合によっては干渉することになる。
【0043】
図3は
図2と略同様であり、同じ参照番号をエアロゾル発生システムの同様の要素に対して用いる。主な相違点は、エアロゾル発生デバイス10の加熱コンポーネントに関し、本発明のこの実施形態において、加熱チャンバ18の基部32から近位方向に延在するブレード50を備える。エアロゾル発生物品100が加熱チャンバ18のキャビティ20に挿入されると、ブレード50は、熱を内側から直接基材102に加えることができるように、エアロゾル発生基材102の中に埋め込まれる。
図2の誘導加熱とは異なり、この実施形態において、ブレード50は、加熱コントローラ38への直接的な電気接続を有する抵抗発熱体である。
【0044】
図2の実施形態との更なる相違点は、ブレード50がエアロゾル発生物品100の誘電応答を測定するための回路の第2の端子としても機能することである。
図2のように、第1の端子42は、電圧発生器46が交流電圧を発生する場合、電流が第1の端子42とブレード50との間を流れ、エアロゾル発生基材102の略半分だけを通過するように、エアロゾル発生物品100のラッパー110と接触して配設される。第1の端子42は、測定された電流がエアロゾル発生基材102のより大きな部分をサンプリングするために、エアロゾル発生物品100の円周の一部又は全部の周囲に延在するよう作成することができる。
【0045】
ブレード50は発熱体及び第2の端子の両方として機能するため、加熱モードと測定モードとの間で切り替わるようにシステムを構成することがより簡単であり、それによってブレード50は、熱も供給している間にエアロゾル発生物品100の誘電応答を測定するために用いられない。しかし、加熱と同時に誘電応答を測定することは、技術的に実現可能であり、場合によっては有益である。
【0046】
図3の実施形態は、更に、エアロゾル発生基材102に隣接して配設され、誘電応答が特定される場合に基材102の温度を測定するために用いられる温度センサ52を備える。基材102のアドミタンスは、その温度に部分的に依存するため、センサ52によって測定される温度を、誘電応答の特定における補正係数として用いることができる。これは、ヒータが動作している間に誘電応答が特定される場合に特に重要である。温度センサ52は、例えば、熱電対、サーミスタ、抵抗温度検出器(RTD)、又は温度を特定するための他の任意の好適な機器であってもよい。
【0047】
図2及び3は、本発明によるエアロゾル発生システム1の様々な可能な特徴を例示するために用いられるが、特徴は、これらの図に示す特定の組み合わせにおいて用いられることに限定されないことは言うまでもない。例えば、
図2の誘導コイル36は、
図3のブレード50と同じ方法で基材102に埋め込まれるサセプタと共に用いられてもよい。逆に、
図3の埋め込まれたブレード50の代わりに、抵抗ヒータは、
図2に示すサセプタ40のようにエアロゾル発生物品100の外部とのみ接触する発熱体を備えてもよい。本発明は、エアロゾル発生基材102の誘電応答を測定することに関し、基材102を加熱するために採用される手段とは実質的に無関係である。
図3は、ブレード50の形態の抵抗発熱体が誘電応答を測定するための回路の第2の端子としての役割を果たすことができることのみを示しているが、その第2の端子がエアロゾル発生物品100の外部とのみ接触する発熱体によって、及び/又は誘導ヒータのサセプタによって提供されることも同様に可能である。基材が2つのヒータプレートの間に挟持されることによって加熱される幾つかのエアロゾル発生デバイスが存在する。かかる実施例において、2つのヒータプレートは、それぞれ、本発明の第1及び第2の端子42、44として機能することもできる。
【0048】
加熱コントローラ38、電圧発生器46、及びアドミタンス分析器48は、別個のコンポーネントとして示しているが、これらは共通の要素を共有してもよい。例えば、少なくともそれらの制御機能は全て、エアロゾル発生システム1のための汎用コントローラ24として機能する共通のプロセッサによって実行されてもよい。システム1が、スマートフォン等の遠隔デバイスとの無線インターフェースを介して操作される場合、アドミタンス分析器48は、第1及び第2の端子42、44の間の電流の特性を測定するためだけに用いられてもよく、誘電応答の特定の少なくとも一部が、遠隔デバイス上で実行される。
【0049】
図4は、本発明によるエアロゾル発生システムの第3の実施例を示している。明確にするために、加熱チャンバ自体は
図4に示していない。この実施例において、エアロゾル発生物品100は、その幅又は長さよりもはるかに小さい厚さ(図面において垂直に測定される)を有する平坦な矩形の形態である。既に述べたように、エアロゾル発生物品100は、ラッパー110によって囲まれ、遠位端106にエアロゾル発生基材102を含む。空気チャネル112は、基材102内に形成され、基材を通って遠位端106から延在して、エアロゾル発生物品100の近位端104において出現する気流経路と連通する。図面は、基材102の上面に形成される3つの空気チャネル112を示しているが、チャネル112の数及び位置は、他の実施形態において異なってもよい。
【0050】
エアロゾル発生物品100のこの形状は、大きく平坦な上面及び下面60、62を提供する。物品100の誘電応答を測定するために用いられる第1の端子42及び第2の端子44は、エアロゾル発生物品100の上面及び下面60、62にそれぞれ隣接するように、エアロゾル発生デバイス10の加熱チャンバ(図示せず)内に取り付けられる。端子42、44は平面であり、それらは略等しい大きさ及び形状であり、それらの間の誘電体としてエアロゾル発生基材102を有するコンデンサの構成において互いに面している。
図4は一定の縮尺で描かれていないが、端子42、44がそれらの長さ及び幅よりも著しく小さい距離だけ分離していることを示している。ワイヤ64は、第1及び第2の端子42、44を電圧源及びアドミタンス分析器(
図4には図示せず)に結合する。図示するように、第1及び第2の端子42、44は、エアロゾル発生基材102のそれぞれの上面及び下面の面積の実質的な割合にわたって延在し、それによって誘電応答の測定は、基材102の体積の実質的な割合をサンプリングする。この構成は、第1及び第2の端子42、44が基材102のための発熱体としても機能する可能性を提供する。最も簡単には、端子42、44は、基材102に熱を加えるようある特定の時間に用いられてもよく、誘電応答を測定するよう異なる時間、例えば、ベイピングセッションの前及び後に用いられてもよい。しかし、適切な制御電子機器を用いて、端子42、44が基材102を加熱するために用いられているのと同時に、誘電応答の測定を実行することが可能である。
【0051】
図4に示すエアロゾル発生物品100の平坦化された形態は、
図2と同様の第1及び第2の端子42、44の配置を排除するものではなく、それによって端子42、44はそれぞれ、より小さい面積にわたって延在し、第1の端子42は基材102の近位端付近の物品100の表面60、62の一方に隣接して位置決めされ、第2の端子44は基材102の遠位端付近の物品100の表面60、62の他方に隣接して位置決めされることが理解されるであろう。
【0052】
これまでの段落では、例示的な実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に様々な修正を加えることができることは言うまでもない。従って、特許請求の広さ及び適用範囲は、上で説明した例示的実施形態に限定されるべきではない。
【0053】
本明細書において別途記載のない限り又は文脈に明らかに矛盾しない限り、全ての可能な変形形態における上で説明した特徴の任意の組み合わせは、本開示によって包含される。
【国際調査報告】