(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-04
(54)【発明の名称】ポリアミド組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 77/00 20060101AFI20240328BHJP
C08K 7/20 20060101ALI20240328BHJP
C08L 23/26 20060101ALI20240328BHJP
C08G 81/02 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
C08L77/00
C08K7/20
C08L23/26
C08G81/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564115
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 IB2022053788
(87)【国際公開番号】W WO2022224219
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】317013603
【氏名又は名称】インヴィスタ テキスタイルズ(ユー.ケー.)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】ファリード,アリ,サイード
(72)【発明者】
【氏名】リム,チー セルン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J031
【Fターム(参考)】
4J002BB212
4J002CL011
4J002CL031
4J002CL051
4J002DL006
4J002FA046
4J002FD060
4J002FD070
4J002FD090
4J002GN00
4J002GQ00
4J031AA12
4J031AA55
4J031AB01
4J031AC07
4J031AD01
4J031AF19
(57)【要約】
本開示は、低温条件下などで改善された衝撃強度、引張弾性率、及び/又は延性を有する熱可塑性樹脂組成物に関する。本開示は、それらから形成された物品、例えば成形品又は押出物品に関する。組成物は、縮合ポリアミドと、マレイン化ポリオレフィン、例えば、マレイン化ポリオレフィンの総重量に基づいて0.05重量%以上1.5重量%以下のグラフト化無水マレイン酸の組み込みを有する、10重量%以上50重量%以下のマレイン化ポリオレフィンと、を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物又はその反応生成物であって、前記組成物は、
縮合ポリアミドであって、前記縮合ポリアミドは前記組成物の少なくとも30重量%であり、前記縮合ポリアミドは前記組成物中の主要ポリアミドである、縮合ポリアミドと、
10重量%以上50重量%以下のマレイン化ポリオレフィンであって、前記マレイン化ポリオレフィンは、ポリオレフィン主鎖上にグラフト化された無水マレイン酸を含み、前記マレイン化ポリオレフィンは、前記マレイン化ポリオレフィンの総重量に基づいて0.05重量%以上1.5重量%以下のグラフト化無水マレイン酸の組み込みを有する、マレイン化ポリオレフィンと、を含む、組成物又はその反応生成物。
【請求項2】
前記縮合ポリアミドは、前記組成物の30~99.9重量%である、請求項1に記載の組成物又は反応生成物。
【請求項3】
前記縮合ポリアミドは、ナイロン66、ナイロン66/6T、ナイロン66/6I、ナイロン66/DI、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の組成物又は反応生成物。
【請求項4】
前記縮合ポリアミドはナイロン66である、請求項1に記載の組成物又は反応生成物。
【請求項5】
前記縮合ポリアミドは、65ミリ当量/kg(meq/kg)以上130meq/kg以下のAEGを有するナイロン66である、請求項1に記載の組成物又は反応生成物。
【請求項6】
前記縮合ポリアミドはナイロン66/DIコポリマーである、請求項1に記載の組成物又は反応生成物。
【請求項7】
前記縮合ポリアミドはナイロン66であり、前記縮合ポリアミドは、前記ポリアミド組成物の30重量%~60重量%であり、前記組成物は、前記組成物の2重量%以上50重量%以下であるナイロン-6,6/DIコポリマーを更に含む、請求項1に記載の組成物又は反応生成物。
【請求項8】
前記組成物は、ナイロン66、ナイロン612、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66/6T、ナイロン66/6I、ナイロン66/DI、ナイロン66/D6、ナイロン66/DT、ナイロン66/610、ナイロン66/612、ナイロン11、ナイロン46、ナイロン69、ナイロン1010、ナイロン1212、ナイロン6T/DT、ナイロンDT/DI、ポリアミドコポリマー、又はそれらの組み合わせを含む追加のポリアミドを更に含み、前記追加のポリアミドは、前記組成物の0重量%以上85重量%以下である、請求項1に記載の組成物又は反応生成物。
【請求項9】
前記組成物はガラス繊維を含み、前記ガラス繊維は、前記組成物の1重量%以上50重量%以下である、請求項1に記載の組成物又は反応生成物。
【請求項10】
前記マレイン化ポリオレフィンは、EPDM、エチレン-オクテン、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はそれらの組み合わせを含むポリオレフィン主鎖を含む、請求項1に記載の組成物又は反応生成物。
【請求項11】
前記組成物は、1つ以上の他の成分を含む配合組成物であり、前記1つ以上の他の成分は、変性ポリフェニレンエーテル、耐衝撃性改良剤、難燃剤、鎖延長剤、熱安定剤、着色剤添加剤、充填剤、導電性繊維、ガラス繊維、前記縮合ポリアミド以外の別のポリアミド、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物又は反応生成物。
【請求項12】
前記組成物及び/又は前記反応生成物は、270℃~290℃、0.03~0.1%の水分レベル、及び300~700mm/sの押出速度で行われるRheotens試験において0.3N以上1.0N以下の溶融強度を示す、請求項1に記載の組成物又は反応生成物。
【請求項13】
前記反応生成物は、請求項1に記載の組成物の反応生成物であり、前記反応生成物は、請求項1に記載の組成物の前記縮合ポリアミドと前記マレイン化ポリオレフィンとの少なくとも部分的な反応から形成されたポリアミド-ポリオレフィンコポリマーを含む、請求項1に記載の組成物又は反応生成物。
【請求項14】
前記組成物は、
前記縮合ポリアミドであって、前記縮合ポリアミドは前記組成物の少なくとも40重量%であり、前記縮合ポリアミドは、前記組成物中の主要ポリアミドであり、前記縮合ポリアミドは、65ミリ当量/kg(meq/kg)以上130meq/kg以下のAEGを有するナイロン66である、前記縮合ポリアミドと、
20重量%以上50重量%以下のマレイン化ポリオレフィンであって、前記マレイン化ポリオレフィンは、ポリオレフィン主鎖上にグラフト化された無水マレイン酸を含み、前記マレイン化ポリオレフィンは、前記マレイン化ポリオレフィンの総重量に基づいて0.05重量%以上1.5重量%以下のグラフト化無水マレイン酸の組み込みを有する、マレイン化ポリオレフィンと、を含む、請求項1に記載の組成物又は反応生成物。
【請求項15】
前記組成物若しくは前記反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、前記組成物又は前記反応生成物は、
前記-30℃ノッチ付き衝撃破壊面の表面形状測定分析から得た10%以上のS
dr測定値であって、S
drは、平坦な状態と比較して実際の表面積が増加する程度を表す、Sdr測定値、又は
横断面切断面(T
CUT)において、前記破壊部を通る中間距離での500マイクロメートル以上の応力白化ゾーン厚さであって、前記横断面切断面は元の破壊面に対して垂直である、応力白化ゾーン厚さ、又は
前記ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の前記-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内での5%以上31%以下の多孔性面積率(%)、又は
前記ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の前記-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の約100マイクロメートルの深さでの2%以上17%以下の多孔性面積率(%)、又は
前記-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内で、前記ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った縦断面に沿って測定した、1.8以上3.1以下の細孔の代表試料のアスペクト比(細孔長軸/短軸)の数値平均、かつ、前記アスペクト比の前記数値平均と同じ位置で測定した、少なくとも5%の多孔性面積率、又は
これらの組み合わせを有する、請求項1に記載の組成物又は反応生成物。
【請求項16】
前記組成物又はその反応生成物を、ISO527に従って引張試験棒に形成し、ISO527に従って室温で破壊したとき、4%以上の多孔性面積率、並びに前記破壊面と前記把持部との中間点及び前記把持部の開始点における1.6以上3.0以下のアスペクト比(細孔長軸/短軸)を有する内部微細構造を示す、請求項1に記載の組成物又は反応生成物。
【請求項17】
前記縮合ポリアミドはナイロン66を含み、前記ナイロン66のアミン末端基(AEG)指数は65以上130以下であり、90℃で2時間のトルエンエッチングに供された前記組成物又はその反応生成物から形成された未研磨のミクロトーム切断ペレットは、3000倍~5000倍の倍率を使用して比較したとき、前記ナイロン66の前記アミン末端基(AEG)指数が65未満である同一の組成物又はその反応生成物よりも窪みが少ない表面を有する、請求項1に記載の組成物又は反応組成物、又は前記組成物の反応生成物。
【請求項18】
請求項1に記載の組成物又は反応生成物から形成された物品。
【請求項19】
請求項1に記載の組成物、その反応生成物、又はそれらの組み合わせを作製する方法であって、前記方法は、
前記縮合ポリアミドと前記マレイン化ポリオレフィンとを組み合わせて、請求項1に記載の組成物、その反応生成物、又はそれらの組み合わせを形成することを含む、方法。
【請求項20】
縮合ポリアミドを含む組成物又は前記組成物の反応生成物であって、
前記組成物若しくは前記反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、前記組成物又は前記反応生成物は、
前記-30℃ノッチ付き衝撃破壊面の表面形状測定分析から得た10%以上のS
dr測定値であって、S
drは、平坦な状態と比較して実際の表面積が増加する程度を表す、Sdr測定値、若しくは
横断面切断面(T
CUT)において、前記破壊部を通る中間距離での500マイクロメートル以上の応力白化ゾーン厚さであって、前記横断面切断面は元の破壊面に対して垂直である、応力白化ゾーン厚さ、若しくは
前記ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の前記-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内での5%以上31%以下の多孔性面積率(%)、若しくは
前記-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内で、前記ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った縦断面に沿って測定した、1.8以上3.1以下の細孔の代表試料のアスペクト比(細孔長軸/短軸)の数値平均、かつ、前記アスペクト比の前記数値平均と同じ位置で測定した、少なくとも5%の多孔性面積率、若しくは
これらの組み合わせを有するか、又は
前記組成物若しくはその反応生成物を、ISO527に従って引張試験棒に形成し、ISO527に従って室温で破壊したとき、4%以上の多孔性面積率、並びに前記破壊面と前記把持部との中間点及び前記把持部の開始点における1.6以上3.0以下のアスペクト比(細孔長軸/短軸)を有する内部微細構造を示すか、又は
これらの組み合わせを含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年4月22日に出願された米国特許仮出願第63/178,259号の利益を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、0℃未満の条件下などで、改善された衝撃強度、引張強度、及び/又は延性を有する熱可塑性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
成形又は押出される熱可塑性縮合ポリアミド樹脂は、自動車、エレクトロニクス、化学処理、及び熱伝達用途などの様々な最終用途にとって不十分な特性を受けやすい。成形又は押出される様々な熱可塑性縮合ポリアミド樹脂は、特に、ほとんどの市販のポリアミド樹脂が機能しないと思われる0℃未満の温度において、十分な衝撃強度(すなわち、靭性)及び延性を有さない。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、縮合ポリアミドを含む組成物、又は当該組成物の反応生成物を提供し、組成物又は反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISOI79/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、組成物又は反応生成物は、-30℃ノッチ付き衝撃破壊面の表面形状測定分析から得た10%以上のSdr測定値であって、Sdrは、平坦な状態と比較して実際の表面積が増加する程度を表す、Sdr測定値、又は、横断面切断面(TCUT)における、破壊部を通る中間距離での500マイクロメートル以上の応力白化ゾーン厚さであって、横断面切断面は元の破壊面に対して垂直である、応力白化ゾーン厚さ、又は、ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内の多孔性面積率(%)は5%以上31%以下であり、又は、-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内で、ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った縦断面に沿って測定した、1.8以上3.1以下の細孔の代表試料のアスペクト比(細孔長軸/短軸)の数値平均及びアスペクト比の数値平均と同じ位置で測定した、少なくとも5%の多孔性面積率、又はそれらの組み合わせを有する。
【0005】
本開示は、縮合ポリアミドを含む組成物、又は当該組成物の反応生成物を提供し、組成物又は反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、組成物又は反応生成物は、ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内での5%以上31%以下の多孔性面積率(%)、及びノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の約100マイクロメートルの深さでの2%以上17%以下の多孔性面積率(%)を有する。
【0006】
本開示は、縮合ポリアミドを含む組成物、又は当該組成物の反応物を提供し、組成物又はその反応物を、ISO527に従って引張試験棒に形成し、ISO527に従って室温で破壊したとき、組成物又はその反応物は、4%以上の多孔性面積率、並びに破壊面と把持部との中間地点及び把持部の開始点における1.6以上3.0以下のアスペクト比(細孔長軸/短軸)を有する内部微細構造を示す。
【0007】
本開示は、縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィンを含む組成物、又は当該組成物の反応生成物を提供し、縮合ポリアミドはナイロン66を含み、ナイロン66のアミン末端基(AEG)指数は65以上130以下であり、90℃で2時間のトルエンエッチングに供された組成物又はその反応生成物から形成した未研磨のミクロトーム切断ペレットは、3000倍~5000倍の倍率を使用して比較して、ナイロン66のアミン末端基(AEG)指数が65未満である同一の組成物又はその反応生成物よりも窪みが少ない表面を有する。
【0008】
組成物は縮合ポリアミドを含み得、縮合ポリアミドは組成物の少なくとも30重量%であり、縮合ポリアミドは組成物中の主要ポリアミドである。組成物はまた、10重量%以上50重量%以下のマレイン化ポリオレフィンを含み得、マレイン化ポリオレフィンは、ポリオレフィン主鎖上にグラフト化された無水マレイン酸を含み、マレイン化ポリオレフィンは、マレイン化ポリオレフィンの総重量に基づいて0.05重量%以上1.5重量%以下のグラフト化無水マレイン酸の組み込みを有する。
【0009】
組成物は縮合ポリアミドを含み得、縮合ポリアミドは組成物の少なくとも40重量%であり、縮合ポリアミドは組成物中の主要ポリアミドであり、縮合ポリアミドは、65ミリ当量/kg(meq/kg)以上130meq/kg以下のAEGを有するナイロン66である。組成物はまた、15重量%以上45重量%以下のマレイン化ポリオレフィンを含み得、マレイン化ポリオレフィンは、ポリオレフィン主鎖上にグラフト化された無水マレイン酸を含み、マレイン化ポリオレフィンは、マレイン化ポリオレフィンの総重量に基づいて0.05重量%以上1.5重量%以下のグラフト化無水マレイン酸の組み込みを有する。
【0010】
本開示は、組成物又はその反応生成物から形成される物品を提供する。物品は、押出品又は成形品であり得る。
【0011】
本開示は、組成物、その反応生成物、又はそれらの組み合わせを作製する方法を提供する。方法は、縮合ポリアミドとマレイン化ポリオレフィンとを組み合わせて、組成物、反応生成物、又はそれらの組み合わせを形成することを含む。
【0012】
本開示は、ポリアミド樹脂の押出方法を提供する。方法は、組成物、その反応生成物、又はそれらの組み合わせを押出機の供給ゾーンに提供することを含む。方法は、押出機内部でポリアミド樹脂溶融物を得るのに十分な押出機バレル条件を維持することを含む。方法は、押出機から押出物を生成する一方で、任意選択的に真空引きによって押出機から蒸気を回収することを含む。
【0013】
一般に、ナイロン66など工業的に入手可能なポリアミドは、十分なサブゼロ耐衝撃性又は延性を有することは知られていない。特にポリアミドの分野において、優れた耐衝撃性、靭性、及び延性を有する熱可塑性樹脂に対する産業上の必要性が引き続き存在する。ほとんどの用途では、ほとんどの市販のポリアミド樹脂が機能しないと思われる0℃未満の温度において、改善された耐衝撃性及び延性を必要とする。本開示による配合物は、0℃未満の温度などで、改善された耐衝撃性、引張強度、耐溶剤性、及び/又は延性を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面は、一般に、限定ではなく例として、本発明の様々な態様を示す。
【
図1A】本開示による、実施例1の様々な試験片のSEM画像を示す。
【
図1B】本開示による、実施例1の様々な試験片のSEM画像を示す。
【
図2A】本開示による、実施例1及び2の様々な試験片のSEM画像を示す。
【
図2B】本開示による、実施例1及び2の様々な試験片のSEM画像を示す。
【
図2C】本開示による、実施例1及び2の様々な試験片のSEM画像を示す。
【
図2D】本開示による、実施例1及び2の様々な試験片のSEM画像を示す。
【
図2E】本開示による、実施例1及び2の様々な試験片のSEM画像を示す。
【
図2F】本開示による、実施例1及び2の様々な試験片のSEM画像を示す。
【
図3A】本開示による、実施例1及び2の様々な試験片の3次元表面形状測定を示す。
【
図3B】本開示による、実施例1及び2の様々な試験片の3次元表面形状測定を示す。
【
図3C】本開示による、実施例1及び2の様々な試験片の3次元表面形状測定を示す。
【
図3D】本開示による、実施例1及び2の様々な試験片の3次元表面形状測定を示す。
【
図4A】本開示による、様々な試験片の被衝撃試験棒の縦横方向の切断の向きを示す図である。
【
図4B】本開示による、実施例1及び2の様々な試験片の写真を示す。
【
図5】本開示による、実施例1Eの微細孔性特性を示すSEM画像を示す。
【
図6】本開示による、実施例1及び2の様々な被衝撃試験片の横方向のSEM画像を示す。
【
図7】本開示による、試験ノッチから様々な長さにおける、実施例1Eの被衝撃試験片の縦方向のSEM画像を示す。
【
図8】本開示による、-30℃衝撃強度(kJ/m
2)対室温引張弾性率(GPa)データのプロットを示す。
【
図9A】本開示の様々な実施例で実施された引張試験で分析された試料位置を示す。
【
図9B】本開示による、実施例1及び2の試料から形成した様々な被破壊引張棒のSEM画像を示す。
【
図10】本開示による、実施例1の様々な被衝撃試験片の横方向のSEM画像を示す。
【
図11】本開示による、縦方向の実施例1の様々な被衝撃試験片のSEM画像を示す。
【
図12】本開示による、実施例1の様々な被引張試験片のSEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、開示される主題の特定の態様を詳細に参照する。開示される主題は、列挙された特許請求の範囲と併せて記載されるが、例示された主題が特許請求の範囲を開示される主題に限定するように意図するものではないことは、理解されるであろう。
【0016】
本文書を通して、範囲形式で表される値は、範囲の限度として明示的に列挙される数値を含むだけではなく、あたかも各数値及び部分範囲が明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分範囲も含むように、柔軟な様式で解釈されるべきであることを理解されたい。例えば、「約0.1%~約5%」又は「約0.1%~5%」の範囲は、単に約0.1%~約5%だけでなく、示された範囲内で、個々の値(例えば、1%、2%、3%、及び4%)並びに部分範囲(例えば、0.1%~0.5%、1.1%~2.2%、3.3%~4.4%)を含むと解釈されるべきである。「約X~Y」の記述は、別途示されない限り、「約X~約Y」と同じ意味を有する。同様に、「約X、Y、又は約Z」の記述は、別途示されない限り、「約X、約Y、又は約Z」と同じ意味を有する。
【0017】
本文書において、「a」、「an」、又は「the」という用語は、文脈が別途明確に指示しない限り、1つ以上を含むために使用される。「又は」という用語は、特に指示がない限り、非排他的な「又は」を指すために使用される。「A及びBのうちの少なくとも1つ」又は「A又はBのうちの少なくとも1つ」という記述は、A、B、又はA及びB」と同じ意味を有する。加えて、本明細書で用いられ、かつ他に定義されていない語法又は用語は、記載のみを目的としており、限定するものではないことを理解されたい。セクション見出しのいかなる使用も、文書の読み取りを助けることを意図しており、限定するものとして解釈されるべきではない。セクション見出しに関連する情報は、その特定のセクション内又はその外側に発生し得る。
【0018】
本明細書に記載される方法では、時間的な又は操作的な順序が明示的に列挙されている場合を除き、本発明の原理から逸脱することなく、任意の順序で行為が実行され得る。更に、明示的な特許請求項の文言で個別に実行することが明記されていない限り、指定された行為を同時に実行することができる。例えば、Xを行う特許請求された行為、及びYを行う特許請求された行為は、単一の動作で同時に実行され得、結果として生じるプロセスは、特許請求されたプロセスの字義通りの範囲内に含まれる。
【0019】
本明細書で使用される「約」という用語は、例えば、記載された値又は記載された範囲の限界の10%以内、5%以内、又は1%以内の、値又は範囲においての変動度を可能にすることができ、正確な記載された値又は範囲を含む。
【0020】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、又は少なくとも約99.999%以上、又は100%と同様に、大部分又はほとんどを指す。本明細書で使用される「実質的に含まない」という用語は、存在する材料の量が、材料を含む組成物の材料特性に影響を及ぼさないように、存在しないか、又は取るに足らない量を有することを意味し得、その結果、組成物の約0重量%~約5重量%が材料であるか、又は約0重量%~約1重量%、又は約5重量%以下、又は約4.5重量%、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.01未満、それらと同じ、若しくはそれらを超える、又は約0.001重量%以下、又は約0重量%である。
【0021】
本明細書で使用される「ポリマー」という用語は、少なくとも1つの繰り返し単位を有する分子を指し、コポリマーを含み得る。
【0022】
本明細書で使用される「導管」又は「導管構造」という用語は、細い電線及びケーブルを敷設し、封入するための流体を搬送するために好適な中空チャネル若しくはダクト、又は通路を指す場合がある。導管断面は、用途の要件に応じて、単一の穴又は複数の穴を有し得る。
【0023】
本明細書で使用される「パイプ」という用語は、直円筒の幾何形状、すなわち円形の断面形状を有する幾何形状、及び導管の長軸の方向に対して垂直な1つの軸の方向に延び得る他の断面形状、例えば長円形及び楕円形の断面形状のいずれかを具体化し得る。
【0024】
本明細書で使用される「シート」又は「押出平面シート」は、所望の寸法の、幅広くて実質的に平坦な部分、すなわち平面部を指す。いくつかの態様では、シート幅は6インチ~10フィートの範囲であり得、シート厚さの範囲は0.3~5mmであり得る。
【0025】
本明細書で使用される「PA6」、「N6」、又は「ナイロン6」という用語は、カプロラクタムの重縮合によって合成されるポリマーを指す。ポリマーは、ポリアミド6、PA6、又はポリ(カプロラクタム)としても知られている。
【0026】
本明細書で使用される「N66」又は「ナイロン66」という用語は、ヘキサメチレンジアミン(HMD)とアジピン酸との重縮合によって合成されるポリマーを指す。ポリマーは、ポリアミド66(又はPA66)、ナイロン6,6、ナイロン6-6、ナイロン6/6、又はナイロン-6,6としても知られている。
【0027】
本明細書で使用される「N12」、又は「ナイロン12」という用語は、ω-アミノラウリン酸の重縮合又はラウロラクタムの開環重合によって合成されるポリマーを指す。このポリマーは、ポリアミド12(又はPA12)、ナイロン12、ポリ(ラウロラクタム)、ポリ(ドデカン(dodecano)-12-ラクタム)、又はポリ(12-アミノドデカン酸ラクタム)としても知られている。
【0028】
本明細書で使用される「N612」、「ナイロン612」という用語は、ヘキサメチレンジアミン(HMD)とa,ω-ドデカン二酸(又はCl2二酸)との重縮合によって合成されるポリマーを指す。このポリマーは、ポリアミド612(又はPA612)、PA6/12、又はナイロン6/12としても知られている。
【0029】
本明細書で使用される「ナイロン66/6T」という用語は、N66及びN6-テレフタル酸(TPA)から得られるコポリマーを指す。
【0030】
本明細書で使用される「ナイロン66/6I」という用語は、N66及びN6-イソフタル酸(IPA)のポリマーから得られるコポリマーを指す。
【0031】
本明細書で使用される「PA610」又は「ナイロン-6,10」は、ヘキサメチレンジアミン(C6ジアミン、HMDと略される)及びデカン二酸(C10二酸)から調製される半結晶性ポリアミドである。これは、Arkema社、BASF社などから市販されている。
【0032】
本明細書で使用される「PA66/DI」又は「ナイロン-66/DI」又は「PA66/MPMD-I」は、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン-6,6又はN66又はPA66)と、2-メチル-ペンタメチレンジアミン(又は「MPMD」)とイソフタル酸との組み合わせである「DI」とのコポリアミドの一種を指す。MPMDは、INVISTA Dytek(登録商標)Aアミンとして市販されており、略される配合物標識において「D」として産業的に知られている。イソフタル酸は、市販されており、略された配合物標識において「I」として産業的に知られている。
【0033】
いくつかの態様では、PA66/DIは、質量基準で約80~99%のPA66及び約1~20%のDIを含有し得、例えば、PA66:DIに対して約(wt:wt基準)99:1又は97:3又は95:5又は92:8又は90:10又は85:15又は80:20を乾燥基準で塩に対して達成した。PA66/DI中の「DI」部分は、約50:50(モル)又は約40:60D:I(質量比)である。PA66/DIについてのRV範囲は、35~60であり得、40~80meg/kg、例えば、60~80meg/kg、又は65meg/kg、又は70meg/kgのアミン末端基(AEG)を含有し得る。標準的なバッチ蒸発及びバッチオートクレーブ重合プロセスを使用してコポリマーを生成する。これらの方法は、当業者に一般的に知られている重合プロセスである。
【0034】
IINVISTA Dytek(登録商標)Aアミンは、2-メチルグルタロニトリル(又は「MGN」)を水素化することによって商業的に生成される。MGNは、アジポニトリル(又は「ADN」)製造のブタジエン二重ヒドロシアン化プロセスからの副生成物として得られる分岐C6ジニトリルである。そうでなければ処分されるMGN副生成物は、INVISTA Dytek(登録商標)Aアミン又は「D」部分の生成において再生し、再使用することができる。したがって、このプロセスによって生成されたPA66/DIは、「D」部分に由来する再生アミン含有量を有すると考えられる。
【0035】
本明細書で使用される「高AEGポリアミド66」又は「高AEG N66」は、INVISTAから市販されている。高AEGポリアミド66は、30~80のそのRV範囲、例えば35~75RV、例えば35~70RV、及び65ミリ当量/ポリアミド樹脂1kg(meq/kg)以上かつ130meq/ポリアミド樹脂1kg以下、例えば75meq/ポリアミド樹脂1kg以上かつ125meq/ポリアミド樹脂1kg以下、80meq/ポリアミド樹脂1kg以上かつ125meq/ポリアミド樹脂1kg以下、90meq/ポリアミド樹脂1kg以上かつ120meq/ポリアミド樹脂1kg以下のAEGであることを特徴とする。
【0036】
本明細書で使用される「PA610」又は「ナイロン-6,10」は、ヘキサメチレンジアミン(C6ジアミン、HMDと略される)及びデカン二酸(C10二酸)から調製される半結晶性ポリアミドである。これは、Arkema社、BASF社などから市販されている。
【0037】
本明細書で使用される「PA612」は、DuPont、EMS、Shakespeare、Nexisから市販されている。PA612は、ヘキサメチレンジアミン(C6ジアミン、HMDと略される)及びドデカン二酸(C12二酸、DDDAと略される)から調製される半結晶性ポリアミドである。
【0038】
本明細書で使用される「FUSABOND(商標)N216」(「Amplify(登録商標)GR216」として以前より知られている)は、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィンであり、Dow Chemicalから市販されている。
【0039】
本明細書で使用される「ZeMac(商標)E60」は、無水マレイン酸とエチレンとのコポリマーである鎖延長剤であり、Vertellusから市販されている。
【0040】
本明細書で使用される「Zytel(登録商標)FE7108」は、DuPont、AmericaHemから市販されている。
【0041】
本明細書で使用される「Stabaxol(登録商標)P100」は、Lanxessから市販されている加水分解安定剤の一種である。
【0042】
本明細書で使用される「室温」は、約23℃(例えば、約19℃~約27℃)など試験が実施される周囲温度など周囲温度を意味する。
縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィンを含む組成物。
【0043】
本発明は、縮合ポリアミドを含む組成物、又は当該組成物の反応生成物を提供する。組成物又は反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、組成物又は反応生成物は、-30℃ノッチ付き衝撃破壊面の表面形状測定分析から得た10%以上のSdr測定値であって、Sdrは、平坦な状態と比較して実際の表面積が増加する程度を表す、Sdr測定値、又は、横断面切断面(TCUT)における、破壊部を通る中間距離での500マイクロメートル以上の応力白化ゾーン厚さであって、横断面切断面は元の破壊面に対して垂直である、応力白化ゾーン厚さ、又は、ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内で測定した多孔性面積率(%)は5%以上31%以下であり得る、又は、-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内で、ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った縦断面に沿って測定した細孔の代表試料のアスペクト比(細孔長軸/短軸)の数値平均は1.8以上3.1以下であり得、アスペクト比の数値平均と同じ位置で測定した多孔性面積率は少なくとも5%であり得る、又はそれらの組み合わせを有し得る。
【0044】
組成物又は反応生成物を衝撃試験棒に形成して、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、組成物又は反応生成物は、-30℃ノッチ付き衝撃破壊面の表面形状測定分析から得た10%以上のSdr測定値を有し得、Sdrは、平坦な状態と比較して実際の表面積が増加する程度を表す。例えば、Sdrは、10%~30%、又は10%~20%、又は10%~15%、又は30%以下であるが、10%以上、10.5%以上、11%以上、11.5%以上、12%以上、12.5%以上、13%以上、13.5%以上、14%以上、14.5%以上、15%以上、15.5%以上、16%以上、16.5%以上、17%以上、17.5%以上、18%以上、18.5%以上、19%以上、19.5%以上、20%以上、20.5%以上、21%以上、21.5%以上、22%以上、22.5%以上、23%以上、23.5%以上、24%以上、24.5%以上、25%以上、25.5%以上、26%以上、26.5%以上、27%以上、27.5%以上、28%以上、28.5%以上、29%以上、若しくは29.5%以上であり得る。
【0045】
組成物又は反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、組成物又は反応生成物は、横断面切断面(TCUT)において、破壊部を通る中間距離で500マイクロメートル以上の応力白化ゾーン厚さを有し得、横断面切断面は元の破壊面に対して垂直である。例えば、応力白化ゾーンの厚さは、TCUT平面において、破壊部を通る中間距離で500マイクロメートル~800マイクロメートル、又は550マイクロメートル~700マイクロメートル、又は800マイクロメートル以下であるが、500マイクロメートル以上、510マイクロメートル以上、520マイクロメートル以上、530マイクロメートル以上、540マイクロメートル以上、550マイクロメートル以上、560マイクロメートル以上、570マイクロメートル以上、580マイクロメートル以上、590マイクロメートル以上、600マイクロメートル以上、620マイクロメートル以上、640マイクロメートル以上、660マイクロメートル以上、680マイクロメートル以上、700マイクロメートル以上、720マイクロメートル以上、740マイクロメートル以上、760マイクロメートル以上、若しくは780マイクロメートル以上であり得る。
【0046】
組成物又は反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、組成物又は反応生成物は、ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内で測定した、5%以上31%以下の多孔性面積率(%)を有し得る。例えば、多孔性面積率は、5%以上31%以下、又は8%以上27%以下、又は12%以上23%以下、又は31%以下であるが、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上、16%以上、17%以上、18%以上、19%以上、20%以上、21%以上、22%以上、23%以上、24%以上、25%以上、26%以上、27%以上、28%以上、29%以上、若しくは30%以上であり得る。
【0047】
組成物又は反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、組成物又は反応生成物は、-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内で、ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った長手方向断面に沿って測定した、1.8以上3.1以下であり得る、細孔の代表試料のアスペクト比(細孔長軸/短軸)の数値平均を有し得る。アスペクト比の数値平均は1.8以上3.1以下であり得、アスペクト比の数値平均と同じ位置で測定した多孔性面積率は、少なくとも5%であり得る。例えば、アスペクト比の数値平均は、1.8以上3.1以下、2.0以上3.0以下、2.1以上2.8以下、又は3.1以下であるが、1.8以上、1.9以上、2以上、2.1以上、2.2以上、2.3以上、2.4以上、2.5以上、2.6以上、2.7以上、2.8以上、2.9以上、若しくは3.0以上であり得る。
【0048】
組成物又は反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、組成物又は反応生成物は、ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の約100マイクロメートルの深さで2%以上17%以下の多孔性面積率(%)を有し得る。例えば、多孔性面積率は、2%以上17%以下、3%以上14%以下、4%以上12%以下、又は17%以下であるが、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上、若しくは16%以上であり得る。
【0049】
本発明は、縮合ポリアミドを含む組成物、又は当該組成物の反応生成物を提供する。組成物又は反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、組成物又は反応生成物は、ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内で5%以上31%以下(例えば、5%以上31%以下、又は8%以上27%以下、又は12%以上23%以下、又は31%以下であるが、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上、16%以上、17%以上、18%以上、19%以上、20%以上、21%以上、22%以上、23%以上、24%以上、25%以上、26%以上、27%以上、28%以上、29%以上、若しくは30%以上)の多孔性面積率(%)と、ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の約100マイクロメートルの深さで2%以上17%以下(例えば、2%以上17%以下、3%以上14%以下、4%以上12%以下、又は17%以下であるが、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上、若しくは16%以上)の多孔性面積率(%)と、を有し得る。組成物又はその反応生成物を、ISO527に従って引張試験棒に形成し、ISO527に従って室温で破壊したとき、組成物又は反応生成物は、4%以上(例えば、5%以上31%以下、又は8%以上27%以下、又は12%以上23%以下、又は31%以下であるが、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上、16%以上、17%以上、18%以上、19%以上、20%以上、21%以上、22%以上、23%以上、24%以上、25%以上、26%以上、27%以上、28%以上、29%以上、若しくは30%以上)の多孔性面積率と、1.6以上3.0以下(1.6以上3.0以下、1.7以上2.8以下、1.8以上2.5以下、又は3以下であるが、1.6以上、1.7以上、1.8以上、1.9以上、2.0以上、2.1以上、2.2以上、2.3以上、2.4以上、2.5以上、2.6以上、2.7以上、2.8以上、若しくは2.9以上)の、破壊面と把持部との中間地点及び把持部の開始点におけるアスペクト比(細孔長軸/短軸)と、を有する内部微細構造を示す。
【0050】
本発明は、縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィンを含む組成物、又は当該組成物の反応生成物を提供する。当該組成物又は反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、当該組成物又は反応生成物は、マレイン化ポリオレフィンを含まない、及び/又は対照組成物又はその反応生成物のナイロン66が65未満のアミン末端基(AEG)指数を有する、同一の組成物又はその反応生成物(例えば、対照組成物又はその反応生成物)と比較して、衝撃破壊時に増加したキャビテーションを有し得る。
【0051】
本発明は、縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィンを含む組成物、又は当該組成物の反応生成物を提供する。縮合ポリアミドは、アミン末端基(AEG)指数が65以上130以下であるナイロン66を含み得る。90℃で2時間のトルエンエッチングに供された組成物又はその反応生成物から形成した未研磨のミクロトーム切断ペレットは、3000倍~5000倍の倍率を使用して(例えば、走査型電子顕微鏡を使用して)比較して、ナイロン66のアミン末端基(AEG)指数が65以下である同一の組成物又はその反応生成物よりも窪みが少ない表面を有し得る。組成物又はその反応生成物中のナイロン66のAEG指数は、65以上130以下(すなわち、65meq/kg以上130meq/kg以下)、又は80以上かつ125以下、80以上かつ120以下、又は130以下であるが、60以上、65以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、95以上、100以上、105以上、110以上、115以上、120以上、125以上、若しくは130以上であり得る。
【0052】
組成物又は反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、組成物又は反応生成物は、-30℃ノッチ付き衝撃破壊面の表面形状測定分析から得た10%以上のSdr測定値を有し得、Sdrは、平坦な状態と比較して実際の表面積が増加する程度を表し、組成物又は反応生成物の-30℃衝撃強度(kJ/m2)は、その-30℃ノッチ付き衝撃破壊面の表面形状測定分析から得た10%以上のSdr測定値を有さない縮合ポリアミド又はその反応生成物を含む組成物と比較して、同一の引張弾性率(GPa)において少なくとも40%高くてよい。
【0053】
本発明の組成物又はその反応生成物は、縮合ポリアミドを含み得る。縮合ポリアミドは、組成物の少なくとも30重量%であり得る。縮合ポリアミドは、組成物中の主要ポリアミドであり得る。組成物又はその反応生成物は、15重量%以上50重量%以下、15重量%以上45重量%以下、20重量%以上50重量%以下、20重量%以上45重量%以下、20.5重量%以上50重量%以下、21重量%以上50重量%以下、21.5重量%以上50重量%以下、22重量%以上50重量%以下、22.5重量%以上50重量%以下、又は50重量%以下であるが、10重量%以上、11重量%以上、12重量%以上、13重量%以上、14重量%以上、15重量%以上、16重量%以上、17重量%以上、18重量%以上、19重量%以上、20重量%以上、21重量%以上、22重量%以上、23重量%以上、24重量%以上、25重量%以上、26重量%以上、27重量%以上、28重量%以上、29重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、41重量%以上、42重量%以上、43重量%以上、44重量%以上、45重量%以上、46重量%以上、47重量%以上、48重量%以上、若しくは49重量%など10重量%以上50重量%のマレイン化ポリオレフィンを含み得る。マレイン化ポリオレフィンは、ポリオレフィン主鎖上にグラフト化された無水マレイン酸を含み得る。マレイン化ポリオレフィンは、マレイン化ポリオレフィンの総重量に基づいて、0.05重量%以上1.5重量%以下のグラフト化無水マレイン酸の組み込みを有し得る。
【0054】
縮合ポリアミドは、縮合によって(例えば、アミドを形成し、水を放出する、アミン基とカルボン酸基との反応によって)形成され得る1種以上のポリアミドであり得る。縮合ポリアミドは、任意の好適な1種以上の縮合ポリアミドを含み得る。縮合ポリアミドは、ナイロン66、ナイロン66/6T、ナイロン66/6I、ナイロン66/DI、又はそれらの組み合わせを含み得る。縮合ポリアミドは、ナイロン66であり得る。縮合ポリアミドは、ナイロン66/DIであり得る。縮合ポリアミドは、ナイロン66、ナイロン66/6T、ナイロン66/6I、及びナイロン66/DIのうちの1つ以上以外のポリアミドを(組成物に組み入れ、組成物中で任意の他のポリアミドと組み合わせる前に)実質的に含まなくてよい。縮合ポリアミドはナイロン66であり得、縮合ポリマーは、ナイロン66以外のポリアミドを(組成物に組み入れる前に)実質的に含まなくてもよい。縮合ポリアミドはナイロン66/DIであり得、縮合ポリアミドは、ナイロン66/DI以外のポリアミドを(組成物に組み入れる前に)実質的に含まなくてよい。縮合ポリアミドは、縮合ポリアミドが組成物中の任意の他のポリアミドよりも高い濃度を組成物中で有するように、組成物中の主要ポリアミドであり得る。縮合ポリアミドは、90重量%のギ酸中8.4重量%溶液の方法(例えば、ASTMD789)によって測定されるなど、35以上、40以上、若しくは45以上など、又は100以下、90以下、若しくは80以下、又は100以下であるが、35以上、36以上、37以上、38以上、39以上、40以上、41以上、42以上、43以上、44以上、45以上、46以上、47以上、48以上、49以上、50以上、55以上、60以上、65以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、若しくは95以上など、又は30~80、35~75、若しくは42~50など、又は35~100、40~90、若しくは45~80など任意の好適な相対粘度(RV)を有し得る。縮合ポリアミドは、少なくとも30重量%、40重量%、若しくは少なくとも50重量%、又は30~99.9重量%、60~99.9重量%、又は40重量%以上50重量%以下、又は99.9重量%以下であるが、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、82重量%以上、84重量%以上、86重量%以上、88重量%以上、90重量%以上、92重量%以上、94重量%以上、95重量%以上、96重量%以上、97重量%以上、98重量%以上、99重量%以上、若しくは99.5重量%以上など組成物の任意の好適な割合を形成し得る。
【0055】
ナイロン66/6Tは、0.1モル%~99.9モル%のPA66、又は50モル%~99モル%、又は80モル%~99モル%のPA66、又は0.1モル%以上、0.5モル%以上、1モル%以上、2モル%以上、4モル%以上、8モル%以上、10モル%以上、15モル%以上、20モル%以上、25モル%以上、30モル%以上、35モル%以上、40モル%以上、45モル%以上、50モル%以上、55モル%以上、60モル%以上、65モル%以上、70モル%以上、75モル%以上、80モル%以上、90モル%以上、92モル%以上、94モル%以上、96モル%以上、98モル%以上、若しくは99モル%以上のPA66を含み得る。「6T」部分は、1:100以上、5:95以上、10:90以上、20:80以上、30:70以上、40:60以上、50:50以上、60:40以上、70:30以上、80:20以上、90:10以上、95:5以上、又は100:1以上の「6」対「T」のモル比を含み得る。ナイロン66/DIは、0.1モル%~99.9モル%のPA66、又は50モル%~99モル%、又は80モル%~99モル%のPA66、又は100:1未満であるが、0.1モル%以上、0.5モル%以上、1モル%以上、2モル%以上、4モル%以上、8モル%以上、10モル%以上、15モル%以上、20モル%以上、25モル%以上、30モル%以上、35モル%以上、40モル%以上、45モル%以上、50モル%以上、55モル%以上、60モル%以上、65モル%以上、70モル%以上、75モル%以上、80モル%以上、90モル%以上、92モル%以上、94モル%以上、96モル%以上、98モル%以上、若しくは99モル%以上のPA66を含み得る。「DI」部分は、100:1未満であるが、1:100以上、5:95以上、10:90以上、20:80以上、30:70以上、40:60以上、50:50以上、60:40以上、70:30以上、80:20以上、90:10以上、95:5以上、又は100:1以上の「D」対「T」のモル比を含み得る。ナイロン66/6Iは、0.1モル%~99.9モル%のPA66、又は50モル%~99モル%、又は80モル%~99モル%のPA66、又は100:1未満であるが、0.1モル%以上、0.5モル%以上、1モル%以上、2モル%以上、4モル%以上、8モル%以上、10モル%以上、15モル%以上、20モル%以上、25モル%以上、30モル%以上、35モル%以上、40モル%以上、45モル%以上、50モル%以上、55モル%以上、60モル%以上、65モル%以上、70モル%以上、75モル%以上、80モル%以上、90モル%以上、92モル%以上、94モル%以上、96モル%以上、98モル%以上、若しくは99モル%以上のPA66を含み得る。「6I」部分は、100:1未満であるが、1:100以上、5:95以上、10:90以上、20:80以上、30:70以上、40:60以上、50:50以上、60:40以上、70:30以上、80:20以上、90:10以上、95:5以上、又は100:1以上の「6」対「T」のモル比を含み得る。
【0056】
様々な態様では、組成物は、縮合ポリアミドに含まれるポリアミド以外の追加のポリアミドを含まなくてよい。他の態様では、組成物は、縮合ポリアミドに加えて、追加のポリアミドを更に含み、追加のポリアミドは、ナイロン66、ナイロン612、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66/6T、ナイロン66/6I、ナイロン66/DI、ナイロン66/D6、ナイロン66/DT、ナイロン66/610、ナイロン66/612、ナイロン11、ナイロン46、ナイロン69、ナイロン1010、ナイロン1212、ナイロン6T/DT、ナイロンDT/DI、ポリアミドコポリマー、又はそれらの組み合わせを含む。追加のポリアミドは、0重量%以上85重量%以下、又は85重量%以下であるが、0.1重量%以上、0.5重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、4重量%以上、6重量%以上、8重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、又は75重量%以上など組成物の任意の好適な割合を形成し得る。追加のポリアミドは、ナイロン6であり得る。組成物は、ナイロン6を含まなくてよい(例えば、組成物は、0重量%以上1重量%以下のナイロン6の濃度を有し得る)。追加のポリアミドは、ナイロン-6,6/MPMD-Iコポリマーであり得る。
【0057】
組成物は、任意選択的に、ポリカプロアミド(N6)、ポリヘキサメチレンデカンアミド(N610)、ポリヘキサメチレンドデカンアミド(N612)、ポリヘキサメチレンスクシンアミド(N46)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(N69)、ポリデカメチレンセバカミド(N1010)、ポリドデカメチレンドデカンアミド(N1212)、ナイロン11(N11)、ポリラウロラクタム(N12)、ナイロン6T/DT、ナイロンDT/DI、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、スチレン-無水マレイン酸(SMA)、イミド化スチレン-無水マレイン酸(SMI)、又はそれらの組み合わせを更に含み得る。これらの追加成分のうちの1つ以上のレベルは、50重量%以下であるが、0.1重量%以上、0.5重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、4重量%以上、6重量%以上、8重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、又は45重量%以上など最大50重量%であり得る。
【0058】
様々な態様では、縮合ポリアミドは、ナイロン66、ナイロン66/6T、ナイロン66/6I、及びそれらの組み合わせから選択され、組成物は、ナイロン-6,6/MPMD-Iコポリマーを更に含む。縮合ポリアミドはナイロン66であり得、組成物はナイロン-6,6/MPMD-Iコポリマーを更に含み得る。縮合ポリアミドは、組成物の30重量%~60重量%、又は60重量%以下であるが、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、若しくは55重量%以上であり得る。ナイロン-6,6/MPMD-Iコポリマーは、ランダムコポリマーであり得る。ナイロン-6,6/MPMD-Iコポリマーは、2重量%以上50重量%以下、25重量%以上35重量%以下、0.2重量%以上10重量%以下、又は50重量%以下であるが、0.2重量%以上、0.4重量%以上、0.6重量%以上、0.8重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、3重量%以上、4重量%以上、5重量%以上、6重量%以上、8重量%以上、10重量%以上、12重量%以上、14重量%以上、16重量%以上、18重量%以上、20重量%以上、22重量%以上、24重量%以上、26重量%以上、28重量%以上、30重量%以上、32重量%以上、34重量%以上、36重量%以上、38重量%以上、40重量%以上、42重量%以上、44重量%以上、46重量%以上、若しくは48重量%以上など組成物の任意の好適な割合を形成し得る。
【0059】
マレイン化ポリオレフィンは、それにグラフト化されたペンダント無水マレイン酸基を有するポリオレフィン又はポリアクリレート主鎖を含む。ポリオレフィン成分は、任意選択的にアイオノマーであり得る。ポリオレフィンは、任意の好適なポリオレフィンポリマー又はコポリマーであり得る。ポリオレフィンとしては、EPDM、エチレン-オクテン、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。様々な態様では、マレイン化ポリオレフィンは、EPDMを含まない。マレイン化ポリオレフィンは、マレイン化ポリオレフィンの総重量に基づいて、10重量%未満、又は0.01重量%~10重量%、例えば、0.1重量%以上1.4重量%以下、0.15重量%以上1.25重量%以下、又は1.25重量%以下であるが、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1重量%、1.1重量%、1.2重量%、若しくは1.3重量%以上のグラフト化無水マレイン酸の組み込みなど任意の好適なグラフト化無水マレイン酸の組み込みを有し得る。マレイン化ポリオレフィンは、-70℃以上0℃以下、-60℃以上-20℃以下、-60℃以上-30℃以下、又は0℃以下であるが、-70℃以上、-65℃以上、-60℃以上、-55℃以上、-50℃以上、-45℃以上、-40℃以上、-35℃以上、-30℃以上、-25℃以上、-20℃以上、-15℃以上、-10℃以上、若しくは-5℃以上など任意の好適なガラス転移温度(Tg)を有し得る。マレイン化ポリオレフィンは、15重量%以上50重量%以下、15重量%以上45重量%以下、20重量%以上50重量%以下、20重量%以上45重量%以下、20.5重量%以上50重量%以下、21重量%以上50重量%以下、21.5重量%以上50重量%以下、22重量%以上50重量%以下、22.5重量%以上50重量%以下、又は50重量%以下であるが、10重量%以上、11重量%以上、12重量%以上、13重量%以上、14重量%以上、15重量%以上、16重量%以上、17重量%以上、18重量%以上、19重量%以上、20重量%以上、21重量%以上、22重量%以上、23重量%以上、24重量%以上、25重量%以上、26重量%以上、27重量%以上、28重量%以上、29重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、41重量%以上、42重量%以上、43重量%以上、44重量%以上、45重量%以上、46重量%以上、47重量%以上、48重量%以上、若しくは49重量%など組成物の任意の好適な割合を形成し得る。
【0060】
マレイン化ポリオレフィンは、任意の好適な無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィンであり得る。様々なマレイン化ポリオレフィンが市販されている。これらとしては、Dow Chemical Co.から市販されているAMPLIFY(商標)GR機能性ポリマー又はFUSABOND(商標)N216(Amplify(商標)GR 202、Amplify(商標)GR 208、Amplify(商標)GR 216、Amplify(商標)GR380)、ExxonMobilから市販されているExxelor(商標)ポリマー樹脂(Exxelor(商標)VA 1803、Exxelor(商標)VA 1840、Exxelor(商標)VA 1202、Exxelor(商標)PO 1020、Exxelor(商標)PO 1015)、Dow Elastomerから市販されているENGAGE(商標)8100ポリオレフィンエラストマー、Ram-On Industries LPから市販されているBondyram(商標)7103無水マレイン酸変性ポリオレフィンエラストマーなどが挙げられ得るが、これらに限定されない。表1は、非限定的な市販の変性ポリオレフィンを列挙する。
【0061】
【0062】
表1では、「ポリオレフィンの変性レベル(重量%)」という用語は、試験したポリオレフィンの官能化レベルを意味する。例えば、表1の1行目において、0.2~0.5重量%の変性レベルを有するポリプロピレンは、0.2~0.5%のグラフト化無水マレイン酸含有量を有する変性ポリオレフィンであることを意味する。
【0063】
様々な態様では、組成物は、ガラス繊維若しくは他のガラス強化材を含み得るか、又は組成物は、ガラス繊維若しくは他のガラス強化材を実質的に含み得ない。組成物は、1重量%以上50重量%以下のガラス繊維又は他のガラス強化材、10重量%以上42重量%以下、10重量%以上35重量%以下、15重量%以上30重量%以下、0重量%以上2重量%以下、又は50重量%以下であるが5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、若しくは45重量%以上を含み得る。
【0064】
様々な態様では、縮合ポリアミドは、65ミリ当量/kg(meq/kg)以上130meq/kg以下のAEGを有するか、又はマレイン化ポリオレフィン若しくはそのドメインが、縮合ポリアミド中若しくは組成物中に均一に分布しているか、又は縮合ポリアミドが少なくとも35のRVを有するか、又は縮合ポリアミドは、ナイロン66、ナイロン66/6T、ナイロン66/6I、ナイロン66/DI、及びそれらの組み合わせから選択されるか、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0065】
縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィン、又はその反応生成物を含む組成物は、1つ以上の他の成分を含む配合組成物であり得る。縮合ポリアミド、マレイン化ポリオレフィン、及びその反応生成物以外の1つ以上の成分は、任意の好適な1つ以上の他の成分であり得、例えば、変性ポリフェニレンエーテル、耐衝撃性改良剤、難燃剤、潤滑剤(例えば、CRROD AMIDE(商標))、鎖延長剤、熱安定剤、着色剤添加剤、充填剤、導電性繊維、ガラス繊維、縮合ポリアミド以外の別のポリアミド、又はそれらの組み合わせが挙げられる。1つ以上の他の成分としては、ジアルコール、ビス-エポキシド、エポキシド官能基を含むポリマー、無水物官能基を含むポリマー、ビス-N-アシルビス-カプロラクタム、ジフェニルカーボネート、ビスオキサゾリン、オキサゾリノン、ジイソシアネート、有機ホスファイト、ビス-ケテンイミン、二無水物、カルボジイミド、カルボジイミド官能性を含むポリマー、又はこれらの組み合わせを含む鎖延長剤が挙げられ得る。難燃剤の例としては、Exolit(登録商標)OP 1080P、Exolit(登録商標)OP 1314、Exolit(登録商標)OP 1400などが挙げられ得る。Exolit(登録商標)FR添加剤は、Clariantから市販されている。着色剤の例としては、Black MB Colorant(例えば、カーボンブラック又はニグロシンブラック染料)など熱可塑性樹脂産業において入手可能な市販製品が挙げられ得る。熱安定剤、鎖延長剤、架橋剤など他の添加剤の例としては、銅又はZeMac(商標)非晶質コポリマー、Irganox(登録商標)B1171、Irganox(登録商標)B1098、Bruggolen(商標)TP-H1802、Bruggolen(商標)M1251など有機系が挙げられ得る。例えば、Irganox(登録商標)B1171は、BASFの市販のポリマー添加剤製品である。ZeMac(商標)非晶質コポリマーは、Vertellus(商標)(www.vertellus.com)から市販されている。
【0066】
1つ以上の他の成分は、鎖延長剤を含み得る。鎖延長剤は、縮合ポリアミド及び/又はマレイン化ポリオレフィンとのこれらの反応生成物のアミン及び/又は酸末端基と反応することができ、それによって2つのポリアミド鎖を接続し得る。鎖延長剤は、ジアルコール(例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、又はヒドロキノンビス(ヒドロキシエチル)エーテル)、ビス-エポキシド(例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル)、エポキシド官能基(例えば、ペンダント及び/又は末端官能基として)を有するポリマー、無水物官能基を含むポリマー、ビス-N-アシルビス-カプロラクタム(例えば、イソフタロイルビス-カプロラクタム(IBS)、アジポイルビス-カプロラクタム(ABC)、又はテレフタロイルビス-カプロラクタム(TBC))、ジフェニルカーボネート、ビスオキサゾリン、オキサゾリノン、ジイソシアネート、有機ホスファイト(トリフェニルホスファイト、カプロラクタムホスファイト)、ビス-ケテンイミン、又は二無水物など任意の好適な鎖延長剤であり得る。鎖延長剤は、無水マレイン酸-ポリオレフィンコポリマー(例えば、無水マレイン酸とエチレンとの交互コポリマー)などの、無水物官能基を含むポリマーであり得る。耐加水分解性を必要とする最終用途では、耐加水分解性を改善することが知られている鎖延長剤が好ましい。鎖延長剤は、0.05重量%以上5重量%以下若しくは0.05重量%以上2重量%以下、又は5重量%以下であるが、0.05重量%以上、0.1重量%以上、0.2重量%以上、0.3重量%以上、0.4重量%以上、0.5重量%以上、0.6重量%以上、0.7重量%以上、0.8重量%以上、0.9重量%以上、1重量%以上、1.1重量%以上、1.2重量%以上、1.3重量%以上、1.4重量%以上、1.5重量%以上、1.6重量%以上、1.7重量%以上、1.8重量%以上、1.9重量%以上、2重量%以上、2.2重量%以上、2.4重量%以上、2.6重量%以上、2.8重量%以上、3重量%以上、3.2重量%以上、3.4重量%以上、3.6重量%以上、3.8重量%以上、4重量%以上、4.2重量%以上、4.4重量%以上、4.6重量%以上、若しくは4.8重量%以上など組成物又はその反応生成物の任意の好適な割合であり得る。
【0067】
縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィン、又はそれらの反応生成物を含む組成物は、任意の好適な溶融強度を有し得る。例えば、組成物又はその反応生成物は、270℃~290℃、0.03~0.1%の水分レベル、及び300~700mm/sの押出速度で行われるRheotens試験において、0.3N以上1.0N以下の溶融強度、又は0.8N以上1.0N以下の溶融強度、又は1N以下かつ0.3N以上、0.35N以上、0.4N以上、0.45N以上、0.5N以上、0.55N以上、0.6N以上、0.65N以上、0.7N以上、0.75N以上、0.8N以上、0.85N以上、0.9N以上、若しくは0.95N以上の溶融強度を示し得る。
【0068】
マレイン化ポリオレフィン、そのドメイン、又は縮合ポリアミドとのその反応生成物は、縮合ポリアミド中(及び存在する任意の追加のポリアミド中)又は組成物中に任意の好適な分布を有し得る。例えば、マレイン化ポリオレフィン、その反応生成物、又はそのドメインは、縮合ポリアミド(及び存在する任意の追加のポリアミド)中又は組成物中で均一又は均質な分布を有し得る。均一性又は均質性は、マレイン化ポリオレフィン又はその反応生成物の分子がその中で均質に分布するように、分子レベルで存在し得る。マレイン化ポリオレフィン又はその反応生成物は、縮合ポリマー(及び存在する任意の他のポリアミド)内又は組成物内にドメインを形成することができる。いくつかの態様では、マレイン化ポリオレフィン又はその反応生成物は、縮合ポリマーと少なくとも部分的に不混和性であり得る。例えば、縮合ポリマー(及び存在する任意の他のポリアミド)、又はマレイン化ポリオレフィン以外の全てのポリマー成分、又は組成物の残部は、連続相を形成することができ、マレイン化ポリオレフィン又はその反応生成物は、その中に不連続相(ドメイン)を形成することができ、その結果、マレイン化ポリオレフィン又はその反応生成物は、主として縮合ポリアミド海の島に存在する。様々な態様では、縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィン、その反応生成物、又はそれらの組み合わせを含む組成物から形成される、本明細書に記載の物品は、マレイン化ポリオレフィン、その反応生成物、及び/又はマレイン化ポリオレフィン若しくはその反応生成物のドメインの均一又は均質な分布を含み得る。
縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィンを含む組成物の反応生成物。
【0069】
本発明は、縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィンを含む組成物の反応生成物である反応生成物を提供する。組成物の反応生成物は、縮合ポリアミドとマレイン化ポリオレフィンとの反応によって形成された1つ以上の生成物、例えば、縮合ポリアミドとマレイン化ポリオレフィンとの少なくとも部分的な反応から形成されたポリアミド-ポリオレフィンコポリマーを含み得る。
【0070】
反応生成物は、縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィンを含む組成物を含み得、縮合ポリアミドの任意の適切な割合がマレイン化ポリオレフィンと反応している。例えば、反応組成物は、50ppmw以上7500ppmw以下、100ppmw以上4900ppmw以下、225ppmw以上~3750ppmw以下、又は7500ppmw以下であるが、50ppmw以上、100ppmw以上、250ppmw以上、500ppmw以上、750ppmw以上、1,000ppmw以上、1,500ppmw以上、2,000ppmw以上、2,500ppmw以上、3,000ppmw以上、3,500ppmw以上、4,000ppmw以上、4,500ppmw以上、5,000ppmw以上、6,000ppmw以上、7,000ppmw以上、若しくは8,000ppmw以上の濃度範囲で、ポリアミド-ポリオレフィンコポリマーを含み得る。いくつかの態様では、ポリアミド-ポリオレフィンコポリマーの量は、マレイン化ポリオレフィンの濃度にマレイン化ポリオレフィンの変性レベルを乗じることによって計算され得る。例えば、80:20(重量:重量)のポリアミド:0.5重量%のグラフト化(例えば、マレイン化)変性を有する変性ポリオレフィンから作製される反応組成物について、試料中の全反応ポリアミド-ポリオレフィン変性官能価は、(起こり得ないことであるが、全てのグラフト化無水マレイン酸が反応すると仮定して)(0.20)*(0.005)*106=1000ppmwとして計算され得る。
【0071】
スキーム1において概略的に表される一般化された化学反応は、マレイン化オレフィンとポリアミドとの相互作用を理解するための1つの手法であり、理論上の機序を詳述することで本開示の範囲を限定するものではない。
【0072】
【0073】
スキーム1における構造Dは、縮合ポリアミドを表す。スキーム1における構造Aはポリオレフィンを表し、構造Cはマレイン化ポリオレフィン(無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン)を表す。本明細書で互換的に使用される「マレイン化度」又は「変性レベル」という用語は、オレフィンコポリマー(構造A)が無水マレイン酸(構造B)と反応した程度を意味する。構造Eは、縮合ポリアミドとマレイン化ポリオレフィンとの反応から形成される反応生成物を表す。
組成物又はその反応生成物から形成される物品。
【0074】
本開示は、縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィンを含む組成物から、当該組成物の反応生成物から、又はそれらの組み合わせから形成される物品を提供する。物品は、低温亀裂に対して耐性があり得る。物品は、成形品又は押出物品であり得る。物品は、ガラス繊維を含み得るか、又は物品は、ガラス繊維及び/又は他の強化繊維を実質的に含み得ない。物品は、ブロー成形(加圧及び吸引)、押出、圧縮成形、熱成形、射出成形、又は他の工業プロセスを使用するなど任意の好適な方法を使用して製造され得る。
【0075】
様々な態様では、物品は導管(例えば、パイプ又はチューブ)であり得る。導管は、剛性、可撓性、湾曲、屈曲、蛇行、部分的に波形、完全に波形、及びそれらの組み合わせである導管から選択され得る。導管は、円形、楕円形、長円形、正方形、長方形、三角形、星形、多角形、及びそれらの組み合わせなど任意の好適な断面を有し得る。導管は押出導管であり得る。
【0076】
様々な態様では、物品は、押出シートであり得る。物品は、折り畳まれた押出シート、又は折り畳まれていない押出シートであり得る。シートは、フィルムであり得る。シートは、0.01mm~10mm、又は0.1mm~10mm、又は0.2mm~6mm、又は10mm以下であるが、0.01mm以上、0.02mm以上、0.04mm以上、0.06mm以上、0.08mm以上、0.1mm以上、0.15mm以上、0.2mm以上、0.4mm以上、0.6mm以上、0.8mm以上、1mm以上、1.5mm以上、2mm以上、2.5mm以上、3mm以上、3.5mm以上、4mm以上、4.5mm以上、5mm以上、5.5mm以上、6mm以上、6.5mm以上、7mm以上、7.5mm以上、8mm以上、8.5mm以上、9mm以上、若しくは9.5mm以上など任意の好適な厚さを有し得る。シートは、少なくとも10、又は少なくとも20、又は10以上40,000以下、又は20以上20,000以下、又は10以上、20以上、40以上、60以上、80以上、100以上、150以上、200以上、250以上、500以上、750以上、1,000以上、1,500以上、2,000以上、2,500以上、5,000以上、10,000以上、15,000以上、20,000以上、25,000以上、30,000以上、35,000以上、若しくは40,000以上など任意の好適な幅対厚さ比を有し得る。シートは、同様の耐衝撃性試験条件下で同様の厚さのポリカーボネートシートの耐衝撃性の10%以内、例えば、1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、6%以内、7%以内、8%以内、9%以内、又は10%以内などの耐衝撃性(例えば、BYK-Gardner USA Model 1120又は5545などヘビーデューティ用衝撃試験機を使用して測定)をkJ/m2単位で示し得る。
【0077】
物品は、任意の好適な物品であり得る。例えば、物品は、自動車物品、建築構造物品、コンベヤシステム物品、石油化学工業で使用するための物品、通信機器用の内部若しくは外部筐体、又は性能を損なわずに、若しくは最小限の性能を損なって重量を削減するなどのために金属部品交換を求める用途で使用するための別の物品であり得る。物品は、フィルム、マット、ライナー、床材、建築材料、パッド、シャッター、パネル、ベルト、スライド、筐体、車両部品、建築部品、又はそれらの組み合わせを含み得る。物品は、スリップシート、ダイカットマット、サイロライナー、ダイカットマット、トラック荷台ライナー、床材(例えば、住宅用、商業用、及び/又は輸送用の最終用途)、建築材料(例えば、屋根板、屋根板パネル、サイディング屋根板、屋根板及び上記のいずれかのための下張り)、グラウンドパッド(例えば、回転機器及び構造用のパッド)、建築エンベロープシステム(例えば、住宅用又は商業用建築エンベロープシステム)、暴風防止シャッター(例えば、ハリケーン及び竜巻シャッター)、雹防止パネル、ジオテキスタイル(例えば、ポンドライナー)、搬送システム構成要素(例えば、ベルト又はスライド)、電子機器筐体、又はそれらの組み合わせを含み得る。
組成物又はその反応生成物の作製方法。
【0078】
本開示は、縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィンを含む組成物を作製する方法、当該組成物の反応生成物を作製する方法、又はそれらの組み合わせを提供する。方法は、縮合ポリアミドとマレイン化ポリオレフィンとを組み合わせて、組成物、その反応生成物、又はそれらの組み合わせを形成することを含む。
【0079】
様々な態様では、方法は、縮合ポリアミドとマレイン化ポリオレフィンとを組み合わせ(例えば、これら2つを少なくとも部分的に反応させて、組成物の反応生成物を形成する)、その後、それに鎖延長剤を添加することを含み得る。他の態様では、縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィンを含む組成物、又はその反応生成物を作製する方法は、縮合ポリアミドとマレイン化ポリオレフィンとを反応させるために余分な時間を与えることなく、縮合ポリアミド、マレイン化ポリオレフィン、及び鎖延長剤を一度に組み合わせることを含む。他の態様では、縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィン含む組成物、又はその反応生成物は、鎖延長剤を実質的に含まない。
【0080】
方法は、縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィンを含む供給物を第1の調合機押出機ゾーンに提供することを含み得る。方法は、第1の調合機押出機ゾーン内部で第1の調合されたポリアミド溶融物を得るのに十分な第1の調合機押出機ゾーンの条件を維持することを含み得る。方法は、第2の調合機押出機ゾーンにおいて、第1の調合されたポリアミド溶融物に鎖延長剤を導入することを含み得る。方法は、第2の調合機押出機ゾーン内部で第2の調合されたポリアミド溶融物を得るのに十分な第2の調合機押出機ゾーンの条件を維持することを含み得、第2の調合されたポリアミド溶融物は、縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィンの組成物又はその組み合わせである。第2の調合機押出機ゾーンは、第1の調合機押出機ゾーンの下流にあり、第1の調合機押出機ゾーンから任意の好適な距離であり得る。鎖延長剤は、スクリュー押出機バレルの長さに沿った任意の好適な位置において添加され得る。調合されたポリアミド溶融物の温度は、240~320℃、240~300℃、240~265℃、又は320℃以下かつ240℃以上、2500℃以上、2600℃以上、2700℃以上、2800℃以上、2900℃以上、3000℃以上、若しくは310℃以上など任意の好適な温度であり得る。
【0081】
第1の調合機押出機ゾーンは、鎖延長剤及び/又は任意の鎖延長剤を実質的に含み得ない。鎖延長剤は、第2の調合されたポリアミド溶融物の0.05重量%以上5重量%以下であり得る。方法は、第2の調合されたポリアミド溶融物から物品を生成することを更に含み得、例えば、方法は、第2の調合されたポリアミド溶融物から押出物を製造すること、又は第2の調合されたポリアミド溶融物から成形品を製造することを含み得る。
【0082】
縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィン含む組成物、又はその反応生成物を作製するために使用される押出機は、スクリュー押出機(例えば、一軸スクリュー押出機、ベント式二軸スクリュー押出機、又は非ベント式二軸スクリュー押出機)であり得る。スクリュー押出機のバレルは、第1の調合機押出機ゾーン及び第2の調合機押出機ゾーンを含み得る。供給物を第1の調合機押出ゾーンに提供することは、供給物をバレルの供給口に提供することを含み得る。スクリュー押出機は、好適な直径、例えば10~30mm、例えば18~26mm、例えば10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、22mm、24mm、26mm、28mm、又は30mmの直径を有し得る。押出機のL/D比は、30~70、又は40~56など任意の好適な比であり得る。
【0083】
様々な態様では、鎖延長剤は、供給口から好適な距離離れたバレル内の第2の調合機押出機ゾーンに導入され得る。例えば、鎖延長剤は、バレルの供給口からバレルの長さの少なくとも1/4で、第2調合機押出機ゾーンに導入され得る。鎖延長剤は、バレルの供給口からバレルの長さの少なくとも1/2で、第2調合機押出機ゾーンに導入され得る。鎖延長剤は、バレルの供給口からバレルの長さの少なくとも3/4で、第2の調合機押出機ゾーンに導入され得る。鎖延長剤は、第1の調合されたポリアミド溶融物との鎖延長剤の混合を提供して、第2の調合されたポリアミド溶融物を形成するために、バレルの出口から十分に離れた、バレルの供給口からバレルの長さの1/4以上、又は1/2、3/4以上の第2の調合機押出機ゾーンに導入され得る。鎖延長剤は、第1の調合されたポリアミド溶融物との鎖延長剤の混合を提供して、第2の調合されたポリアミド溶融物を形成するために、バレルの出口から十分に離れた、バレルの供給口からバレルの長さの20%以上、又はバレルの供給口からバレルの長さの30%、40、50、60、70、80、90、又は95%以上の第2の調合機押出機ゾーンに導入され得る。
【0084】
様々な態様では、第2の調合機押出機ゾーンにおいて、鎖延長剤を第1の調合されたポリアミド溶融物に導入することは、マレイン化ポリオレフィンの特定の重量%が、縮合ポリアミド又は組成物に組み込まれた後に、鎖延長剤を第1の調合されたポリアミド溶融物に導入することを含み得る。縮合ポリアミド又は組成物への組み込みは、鎖延長剤と縮合ポリアミド又は組成物との(例えば、分子レベルでの、又はマレイン化ポリオレフィン若しくはその反応生成物のドメインの)均質なブレンドと、マレイント化ポリオレフィンの(例えば、縮合ポリアミドとの)反応生成物の形成と、縮合ポリアミド若しくは組成物、又はそれらの組み合わせ中のマレイン化ポリオレフィン又はその反応生成物のドメインの形成と、を含み得る。第2の調合機押出機ゾーンにおいて、鎖延長剤を第1の調合されたポリアミド溶融物に導入することは、供給されるマレイン化ポリオレフィンの少なくとも50重量%が、縮合ポリアミドに組み込まれた後に、又はマレイン化ポリオレフィンの50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、若しくは約100%が、縮合ポリアミドに組み込まれた後に、鎖延長剤を第1の調合されたポリアミド溶融物に導入することを含み得る。
【0085】
本開示は、ポリアミド樹脂の押出方法を提供する。方法は、縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィンを含む組成物、その反応生成物、又はそれらの組み合わせを押出機の供給ゾーンに提供することを含み得る。方法は、押出機内部でポリアミド樹脂溶融物を得るのに十分な押出機バレル条件を維持することを含み得る。方法はまた、押出機から押出物を生成する一方で、任意選択的に真空引きによって押出機から蒸気を回収することを含み得る。
【0086】
当業者は、必要以上の実験を行わずに、「Extrusion,The Definitive Processing Guide and Handbook」、「Handbook of Molded Part Shrinkage and Warpage」、「Specialized Molding Techniques」、「Rotational Molding Technology」及び「Handbook of Mold,Tool and Die Repair Welding」(全てPlastics Design Library(elsevier.comウェブサイト)により出版)などの参考文献を用いて、本開示の組成物及び/又は反応組成物を使用して(第2の調合されたポリアミド溶融物からなど)任意の考えられる形状及び外観の好適な物品を作製することができる。
産業上の利用価値。
【0087】
開示されるポリアミド樹脂組成物及びその反応生成物の産業上の適用可能性は、ブロー成形(加圧又は吸引)、押出、圧縮成形、熱成形、射出成形、及び他のそのような産業プロセスによる物品の作製プロセスにおいて実現することができる。これらのポリアミド樹脂の改善された耐衝撃性及び延性は、特にサブゼロ動作条件において、これらの樹脂を、自動車、建築構造、コンベアシステム、石油化学製品、通信機器用の内部及び外部筐体、並びに性能を損なわずに重量を削減するために金属部品交換を求める多くの他の用途に好適なものにすることができる。開示されるポリアミド組成物から作製された物品は、それらの軽量性、耐久性、及び改善された耐衝撃性/延性特性、例えば、0℃未満の温度で測定された、改善された衝撃靱性特性(低温耐衝撃性)のために、様々な産業において用途を見出すであろう。
【実施例】
【0088】
本発明の様々な態様は、例示によって提供される以下の実施例を参照して、より良好に理解され得る。本発明は、本明細書に記載される実施例に限定されるものではない。
調合された材料を生成するための一般的な手順。
【0089】
50L/D比の共回転スクリューを有する二軸スクリューベント式押出機を調合に使用する。ユニットは、1つの主供給装置及び少なくとも3つの側面供給装置を有する。1kg/時の供給速度を使用する。二軸スクリュー共回転/旋回を1000RPMに設定して、効果的な調合のために高せん断を提供する。総調合機スループットは、15kg/時である。
【0090】
調合ユニットは、少なくとも3つのベントポート、1つの大気ポート、及び2つの真空ポートを有する。ノックアウトポットが、この操作において提供された。回転する二軸スクリューは、バレル内の加熱された塊に前進運動量を付与する。バレルをその長さに沿って加熱して、ポリマーを溶融させる。ナイロン66の実施例については、温度は280℃であった。
【0091】
二軸スクリュー調合機の加工区分は、様々なプロセスの必要性に適合し、調合プロセスなどの多種多様なプロセスを可能にするように設定されている。(下記のように)ポリマー、充填剤、及び添加剤を、計量供給装置を使用して二軸スクリューの第1のバレル区分に連続的に供給する。生成物をスクリューに沿って輸送し、バレルの可塑化区分内の混練要素によって溶融し、混合する。次いで、ポリマーをサイドポートに沿って移動させ、そこで、(使用する場合は、下記のように)ガラス繊維など充填剤。次いで、ポリマーを脱気ゾーンに移動させ、そこから圧力構築ゾーンに移動させ、次いでそこで、少なくとも3mmの穴を通ってレースとしてダイから出る。鋳造レースを水浴内に供給して冷却し、それをペレタイザーを介してチップに切断することを可能にする。ユニットは、少なくとも70バールのダイ圧力に耐え得る。ペレット化のために、それぞれ直径3mmの、少なくとも4つの穴を有するダイを使用する。
【0092】
上記の機器を使用して、3mmの直径及び4mmの長さを有する、調合された円筒状押出ペレットを作製する。ペレット化された材料の水分含有量は、0.2重量%未満である。
実施例で使用した材料。
【0093】
本明細書で使用した供給原料PA66ポリアミドは、INVISTAのナイロン66(又はN66)グレードで、商品名INVISTA(商標)U4500又はU4800ポリアミド樹脂として市販されている。PA66は、80~240、例えば、42~50の規格RV範囲を有する。
【0094】
実施例で使用したPA66/DIは、45の相対粘度(RV)を有する。PA66/DIを含有する実施例の組成物では、再生アミン含有量は、全組成物の0.2重量%超10重量%以下であり、DI含有量は、全組成物の8重量%である。
【0095】
本例で使用したPA66/DIの代わりに使用するのに好適な他の非限定的なコポリアミドとしては、66/D6、66/DT、6T/DT、66/610、66/612などが挙げられる。
実施例で使用した試験方法。
【0096】
ASTM D789:相対粘度(RV)測定方法。
【0097】
ISO527:引張試験は室温で行った。
【0098】
ISO179/2-1eA:ノッチ付きシャルピー衝撃試験。試験は-30℃で行った。
【0099】
溶融強度の改善は、所定の最適加工温度における、組成物の1秒-1における低せん断速度粘度と、100秒-1における高せん断速度粘度との比として定義されるR*値の増加によって証明され、R*=(1秒-1における粘度)/(100秒-1における粘度)である。溶融粘度及びR*値の概念は、米国特許第5,576,387号(Sabic Innovative Plasticsに譲渡)及びAbolinsらの米国特許第4,900,786号において更に考察されている。
【0100】
ポリマーの溶融強度を測定する別の方法は、Rheotens試験法を使用することによる。この方法では、ポリマー溶融物の垂直ストランドが一定の伸長速度で引かれる。ストランドを伸長させるのに必要な引張力(通常、センチニュートン(cN)又はニュートン(N)単位で測定)が測定される。そのようなRheotens試験装置はGOTTFERT(www.goettfert.com)から市販されており、プラスチック及びゴムの様々なレオロジー特性、例えば、溶融強度、溶融弾性、引張強度測定値などを測定する。Rheotens測定中の溶融ストランド引取速度(又は伸長速度)は、0~1200mm/秒の範囲であり得る。ポリマー溶融強度は、一般に、Rheotens装置、例えばGoettfert Rheotensテスターを使用して、試験片に依存する特定温度及び特定の引取速度(mm/秒)で測定されるセンチニュートン(cN)単位で記載される。
【0101】
走査型電子顕微鏡(SEM)分析:SEM分析は、実施例で調製した試料について、JSM-7200F電界放出型走査電子顕微鏡を用いて行った。エッチング効果の分析のために、試料を室温でミクロトームすることによって調製した。本明細書で使用される「ミクロトーム」という用語は、顕微鏡分析のために、切片として知られる材料の極めて薄いスライスを切断することを意味する。次いで、切片化した試験片をトルエンに90℃で2時間浸漬した。
【0102】
ポリマーマトリックス中のエネルギー散逸と観察した微細構造特性との間の相関関係を理解するために、(試験片を破壊することによって)機械的応力に曝されたときの試料の靭性及び引張伸長を測定した。被試験試料の亀裂たわみは、破壊面の粗さ(%)を観察することによって定性的に測定した。キャビテーション(多孔性)効果は、バルク材料中の破壊面下の多孔性面積率の2D測定と共に、被試験試料についての応力白化ゾーン厚さの定量的測定によって観察した。細孔伸長に現れるせん断降伏(変形)効果は、多孔性のアスペクト比(適合した楕円の長軸対短軸の比)を測定することによって定量的に測定した。
【0103】
衝撃破壊試験用の試験棒試験片を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して、-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成した。
【0104】
室温での引張試験のために、試験棒試験片を調製し、ISO527試験法に従って試験した。
【0105】
実施例で使用される「室温」は、試験が実施された周囲温度を意味し、これは一般に約23℃(例えば、約19℃~約27℃)であった。
実施例1(A~T)。調合されたポリアミド試験片。
【0106】
表2は、上で詳述した一般的手順を使用して調合した、いくつかのポリアミド試料の組成範囲を示す。
【0107】
【0108】
溶融強度は、Rheotens試験法を使用して測定する。例えば、実施例1E又は1Fの試験片の調合されたポリマー樹脂の溶融強度は、0.03~0.1重量%の水分(典型的には0.06重量%)を有するポリマー試料について270~290℃(典型的には280℃)の試験温度で、また300~700mm/秒(典型的には500mm/秒)の押出速度又はストランド引取速度で、0.3~1.0ニュートン範囲(典型的には0.7N)であると測定される。
【0109】
【0110】
ペレットミクロトームを90℃のトルエンに2時間浸漬させることは、SEM分析によってポリマー構造の差異を示すのに有効であることが観察された。トルエンは、ポリマーマトリックスから緩く結合したマレイン化ポリオレフィン部分をエッチング除去又は溶解除去するようであった。これは、通常のPA66マトリックス中に25重量%のマレイン化ポリオレフィン成分を含有していた、実施例1Aの試験片についての
図1Aの窪みのある(又は空洞化した)1マイクロメートル以下の微細構造によって証明される。
【0111】
約73.5重量%の高AEGPA66及び約25重量%のマレイン化ポリオレフィンを含有していた、実施例1Eの試験片についての
図1Bでは、空洞化した微細構造は優勢ではなかった。
図1Bは、より多くのイミド結合に起因すると考えられる、トルエン中でのマレイン化ポリオレフィン溶解のより少ない徴候を示す。実施例1Eの試験片は、
図1Bに見られる垂直に傾斜したスメアバンドによって証明されるように、ミクロトーム中に有意な「スメアリング効果」を示した。
【0112】
実施例1Aの試験片に対応する
図1Aに示すSEM画像及び実施例1Eの試験片に対応する
図1Bに示すSEM画像を更に処理して、90℃で2時間のトルエンエッチング法によって可視であった表面多孔性を評価した。
図1Bに示される実施例1Eの試験片のトルエンエッチングされた表面多孔性は、
図1Aに示される実施例1Aの試験片の表面多孔性の約2分の1未満であったことを観察した。いかなる理論にも束縛されるものではないが、これは、トルエン中でのマレイン化ポリオレフィン溶解の徴候がより少ないことを示し得、おそらくは、実施例1のイミド結合と比較して、実施例1Eのより多くのイミド結合に起因する。実施例1Eと比較して実施例1Aのトルエンエッチングされた表面多孔性がより高いことは、エッチング溶媒中でのマレイン化ポリオレフィンの溶解からのそのより多くの抽出を示し得る。
実施例2A~2C。試験片の靱性測定(試験片の破壊による)。
【0113】
実施例1A、1E、及び1Fの3つの代表的なポリアミド試験片に加えて、試料2A~2Cとラベル付けした、3つの市販のポリアミド試料を分析した。これらの6つの試験片の特性を以下の表3Aに示す。
【0114】
【0115】
図2A~
図2FのSEM分析画像は、-30℃で試験した衝撃棒の破壊面について観察した表面粗さの差異を示す。
図2A~
図2Fに示される全ての例について、表面ノッチは左側にあり、破壊経路は左から右であった。
【0116】
表面形状測定を使用して、-30℃ノッチ付き衝撃破壊表面を更に分析した。粗さ測定のために分析した、3次元プロファイル画像を
図3A~
図3Dに示す。表面形状測定分析によって、分析した試験片について表3Bの定量データを得た。
【0117】
【0118】
表3Aでは、用語「Sa」はマイクロメートル単位で測定し、被走査面上のピーク高さの算術平均として定義した。用語「Sdr」は%として測定し、平坦な状態と比較して実際の表面積が増加する程度として定義した。例えば、0%の「Sdr」値は、完全に平坦な表面を意味する。
【0119】
-30℃ノッチ付き衝撃破壊表面の測定した「Sdr」値は、試料の序列(2C<1A<2B<1E)を示す。
【0120】
「Sdr」の最高値は、実施例1Eの試験片の14%であり、分析を受けた他の試験片と比較して、より粗い破壊面であることを示した。一般に、いかなる理論にも束縛されるものではないが、より粗い破壊表面形態は、亀裂たわみによる、より多くの衝撃エネルギー散逸の徴候であり得、破壊前により大きな衝撃力に耐える材料の能力を増加させる。
【0121】
実施例1G、1H、及び1Iの代表的なポリアミド試験片を分析した。これらの試験片の特性を表3Cに示す。
【0122】
【0123】
ISO179/2-1eA試験法に従って、標準衝撃試験片を機械加工した。ISO179/2-1eA試験法に従って、-30℃で全ての試料の衝撃試験を行った。
【0124】
被破壊衝撃試験棒の半分の概略図が
図4Aの左側に示されている。棒は、ノッチ端から始まる破壊経路に沿って中央でスライスした。これにより、2つの半分が得られ、その一方は、実施例ごとに、
図4Bの写真において縦、すなわち「LCUT」試料として示されており、元の衝撃破壊部は、上縁部に沿って左(ノッチ)から右へと延在する。破壊された衝撃棒の第2の半分を、中間点(破壊部の開始点又は終点から4mm)で側面から破壊経路に対して垂直に切断して、横、すなわち「T
CUT」断面を得た。これを、
図4Aの右側及び
図4Bの写真の下列に示す。
【0125】
「T
CUT」、すなわち横断面に見られるような破壊面の中間点における応力白化ゾーンの深さを測定し、試料ごとに表4に記録した。試料タイプごとに合計3つの試験片を切断し、試験片当たり最低3回の測定を行った。「L
CUT」及び「T
CUT」試験片において視覚的に観察した応力白化ゾーンを
図4Bに写真で示す。
【0126】
【0127】
PA66材料クラスの実施例1Eの試験片の衝撃試験棒の応力白化ゾーンの厚さが、他の被試験片よりも予想外に大きいことを観察した。いかなる理論にも束縛されるものではないが、衝撃時に生じたより大きな応力白化ゾーンは、優れた破壊靱性をもたらす衝撃エネルギー散逸の増加を示し得る。
被衝撃試験片の多孔性及びせん断降伏特性。
【0128】
上記の表2の試料に対して-30℃で行ったISO179/2-1eAノッチ付きシャルピー衝撃試験からの破壊された棒を、キャビテーション(又は多孔性)及びせん断降伏特性などそれらの内部微細構造について、SEM及び画像分析を使用して評価した。破壊衝撃棒は、縁部又は側面に沿ってノッチが付いており、次いで、液体窒素温度において、又はその付近で破壊されて、元の衝撃棒破壊中に生じた内部微細構造を保存するであろう、縦(元の衝撃棒破壊経路に平行)断面又は横(元の衝撃棒破壊経路に垂直)断面をもたらした。これにより、元の破壊面の直下領域の詳細な微細構造分析が縦方向及び横方向の両方で可能になった。試験片を注意深く検査して、あらゆる分析の前のクリーンな破壊を確実にした。横破壊は、元の破壊面に沿った中間点、すなわち元のシャルピーノッチから約4mmの点で行った。
【0129】
実例として、実施例1の試験片のSEM分析からの元の破壊面下の深さにわたる微細構造多孔性特性が
図5に示されている。この縦方向破壊スライスは、シャルピー試験片ノッチから約5mmにおいて観察した。衝撃破壊面直下のバルク材料において容易に観察される多孔性は、未試験材料においては観察されなかった。したがって、観察された多孔性は、衝撃破壊プロセスの直接の結果である。破壊面直下の細孔が最も伸長していた。これは、高度のせん断降伏及びエネルギー散逸を示す。約50μm、約125μm、約200μm及び約300μmの深さにおける拡大図もまた、有意な量の多孔性を示す。バルク材料におけるエネルギー散逸の増加を示す細孔の形成(キャビテーション)及びそれらの伸長(せん断降伏)は、表3Aにおいて-30℃で観察した比較的高い衝撃靭性値と相関し得る。多孔性のレベル及び細孔のアスペクト比は、深さに応じて減少した。
【0130】
元のシャルピー破壊面の直下及び100μm下の実施例1A、1E、2B、及び2Cのノッチから約4mmにおいて破壊面に対して垂直に取った横破壊スライスのSEM画像が
図6に示されている。実施例1Eについては、
図5に匹敵する、有意な量の多孔性が観察される。
図6には横断面図が示されているので、細孔の伸長はそれほど明らかではない。実施例1の試験片とは対照的に、実施例1A、2B、及び2Cの試験片は、
図6に示されるように、破壊面の直下及び破壊面から100μmの深さにおいて、ほとんど又は全く多孔性を示さない。多孔性及び細孔伸長の量の大きな差異は、キャビテーション、せん断降伏、及びエネルギー散逸での差異に変換され得る。更に、実施例1Eの多孔性及び細孔伸長の増加は、実施例1A、2B、及び2Cと比較して、表3Aに報告された、-30℃におけるその有意に高い破壊靱性値と相関し得る。
【0131】
同様に、元のシャルピー破壊面の直下及び100μm下の実施例1G、1H、及び1Iのノッチから約4mmにおいて破壊面に対して垂直に取った横破壊スライスのSEM画像が
図10に示されている。実施例1G及び1Hの試料は、-30℃で衝撃試験を行ったが、実施例1Iの試料は、-40℃で試験を行った(77kJ/m
2の衝撃靱性)。ノッチから約4mmで元のシャルピー破壊面に平行に取った縦方向破壊スライスのSEM画像が
図11に示されている。観察した微細構造は、実施例1Eの微細構造と一致した(
図6及び7に示される)。比較的多量の多孔性及び細孔伸長は、エネルギー散逸をもたらすキャビテーション及びせん断降伏に起因し得る。更に、1G、1H及び1Iの試験試料の多孔性及び細孔伸長の増加は、実施例1A、2B、及び2Cについて観察した破壊靱性と比較して有意に高い、それらの70kJ/m
2超の低温破壊靱性と相関し得る。
【0132】
多孔性(キャビテーション)及び細孔伸長(せん断降伏)、並びに結果として生じるエネルギー散逸の重要性、並びに-30℃の衝撃靭性との直接相関は、上記で実証された。エネルギー散逸及び改善された靭性に寄与するこれらの微細構造特徴を、多孔性のレベルを面積率(%)として測定し、気孔伸長をそのアスペクト比(適合した楕円の長軸対短軸の比)に関して測定することによって定量化する努力がなされた。これらの測定は、ImageJ画像解析ソフトウェアを使用して代表的なSEM画像上で行った。
【0133】
衝撃試験法ISO179/2-1eAを使用して、シャルピーノッチから約4mmの直線距離において、横断面内の-30℃衝撃棒破壊試験片について測定した多孔性面積率(%)を表5に示す。測定は、5000倍及び10,000倍のSEM画像から、破壊面直下及び破壊面下100μmの深さで行った。細孔のサイズが比較的小さいため、高倍率が必要であった。2つの自動内蔵アルゴリズム及びImageJで閾値を設定する手動の方法を使用して、多孔性面積率を得た。通常のバックグラウンド平滑化及び画像フィルタリング技術も使用した。表5の各データ点の平均細孔数は約1250であった。
【0134】
【0135】
実施例1G、1H、及び1Iの試料でのImageJ解析を使用して同様に行った多孔性面積率の測定は、
図10に示されるように、表5で実施例1Eの試料について示されるものと一致することが見出された。
【0136】
その後、液体窒素温度又はその付近で縦方向(元の衝撃破壊方向に平行)にノッチが付けられ、破壊された-30℃衝撃破壊試験片(試験法ISO179/2-1eA)について測定した多孔性アスペクト比を、以下の表6に表す。細孔アスペクト比は、ImageJ解析ソフトウェアを使用してSEM画像上で測定した。2つの自動内蔵アルゴリズム及びImageJで閾値を設定する手動の方法を使用して、細孔の平均アスペクト比を得た。通常のバックグラウンド平滑化及び画像フィルタリング技術も使用した。表6の各データ点の平均細孔数は少なくとも750以上であった。
【0137】
【0138】
ノッチからの様々な長さ(mm単位で近似的に示される)での元の-30℃シャルピー衝撃破壊面直下の縦断面のSEM画像が、実施例1について
図7に示されている。5000倍及び10,000倍の両倍率の画像は、元の衝撃破壊長さに沿った、広範囲の細長い多孔性のかなり一貫した微細構造を描いている。これは、被-30℃シャルピー衝撃試験片の破壊長さ全体に沿ったキャビテーション及びせん断降伏を示す。
【0139】
実施例1G、1H、及び1Iの試料でのImageJ解析を使用して行った多孔性アスペクト比の測定は、
図11に示されるように、表6で実施例1Eの試料について示されるものと一致することが見出された。
【0140】
図8は、X軸上の室温引張弾性率(GPa)に応じた、Y軸上の測定された-30℃衝撃強度(kJ/m
2)のプロット及び表に示された値を表す。被試験片の参照値及びDAM試験片データを表3A及び表3Cに示す。実施例1E、1G、1H、及び1Iの試験片は、表2の他の被試験試料と区別された。-30℃衝撃強度(kJ/m
2)は、同一の引張弾性率において、他の全ての被試験片よりも50%超高かった。他の被試験片は全て、0.98のR二乗値を有する最小二乗回帰直線上にある(
図8に線として示される)。
実施例3.室温引張試験
【0141】
ISO527法に従って引張試験片を調製した。試験片の引張試験は、ISO527試験法に従って室温で行った。
【0142】
引張試験からの破壊した半分を用いて、引張試験の結果として生じた内部構造を評価した。これらの構造は、引張試験中に生じる内部機構及び材料構造変化の理解をもたらす。評価した試料ごとに、2つの破壊された半分のうちの長い方を選択した。
図9Aの概略図によって示されるように、切片にノッチを付け、2つの位置(一方は、破壊面と把持部との中間であり、他方は把持部のネックの開始点である)で縦方向及び横断方向に破壊した。引張試験から得られた材料内の構造を保存するために、液体窒素温度又はその付近で全ての破壊を行った。
【0143】
JSM-7200F電界放出走査型電子顕微鏡を使用して、上述の2つの領域及び2つの方向から破壊面を検査した。評価した各領域がクリーンな破壊面であるように注意して、元の試験時の内部微細構造を表していることを確実にした。各被試験試料のほぼ中心から顕微鏡写真を記録した。2つの位置(把持部と破壊面との中間点、及び把持部の開始点)のそれぞれ、及び両方向(それぞれ引張軸に対して垂直及び平行である横方向及び縦方向)における、10,000倍の倍率での代表的な顕微鏡写真が
図9B及び
図12に示されている。多孔性は、実施例1A及び1Eの両顕微鏡写真の両位置において見ることができる。これらの細孔の外観は、横方向では円形であり、縦方向では細長い(
図9B)。観察した微細構造は、細孔が内部に形成され、引張力の印加によって軸に沿って延伸又は伸長されたことを示す。引張試験を受けなかった試料の微細構造では、そのような多孔性は観察されなかった。更に、同様の細長い細孔構造が、引張軸に沿って試験したいくつかの他の位置で、並びに実施例1A及び1Eの引張試験片の破壊した両半分で観察された。把持部の一端から他端までの引張試験片全体にわたる、細長い細孔の内部微細構造の存在は、キャビテーション(細孔の形成)及び降伏(細孔の延伸)を示し、表3A及び表3Cでこれらの2つの材料について観察された比較的高い伸長値に現れる。対照的に、実施例2B及び2Cからの材料については、
図9Bに示されるように、両位置からの代表的な顕微鏡写真において、特に把持部の開始点において、ほとんど伸長しない又はごくわずかに伸長する、より低レベルの多孔性が観察される。表3Aに示されるように、実施例2B及び2Cは、それに応じて引張試験後に比較的低レベルの伸長率を示す。
【0144】
ImageJソフトウェアを使用する画像解析を使用して、
図9Bに示されるものなど微細構造において観察された面積率及び細孔伸長を定量化した。多孔性のレベルは、面積率(%)として測定することができ、一方、細孔の伸長は、細孔アスペクト比(適合した楕円の長軸対短軸の比)を測定することによって捕捉される。縦断面は、実施例1A、1E、2B、及び2Cごとに、被引張試験試料の把持部の開始点から選択した。5000倍の倍率の顕微鏡写真(およそ19×24マイクロメートルの面積を表す)を、各試料の左、中央、及び右領域から撮影し、左及び右領域は、縁部から約0.5mmであった。ソフトウェアに組み込まれた自動アルゴリズムを使用して、多孔性面積率及びアスペクト比を測定して、セグメント化中の各画像の閾値を設定した。試料ごとに、上述した3枚の顕微鏡写真から測定した面積率及びアスペクト比の平均値を表7に示す。表7に示されるように、画像解析によって測定した面積率及びアスペクト比について、実施例1A、1Eと実施例2B、2Cとの間で見られた大きな差異は、
図9Bに示される把持部の開始点からの顕微鏡写真において視覚的に観察された差異とよく一致している。それらはまた、延性の尺度である、表3Aで観察した伸長(%)の差異とよく一致している。
【0145】
【0146】
続いて、実施例1Eについて、引張破壊面と把持部との中間点及び把持部の開始点に位置する縦断面からの複数のフレームを、2000倍、5000倍及び10,000倍の倍率で分析した。微細構造SEM分析は、ISO527試験法を用いて室温で試験した引張棒から採取した試料で行った。上述したように、ノッチを試験片の縦方向に形成し、それらを液体窒素温度又はその付近で破壊して、引張試験から得た材料内の構造を保存した。2つの自動内蔵アルゴリズム及びImageJで閾値を設定する手動の方法を使用して、SEMによって得た画像から多孔性面積率及びアスペクト比を得た。測定した平均値の概要を表8に示す。表8の各データ点の平均細孔数は少なくとも1000以上であった。実施例1Eでは、4%の最小多孔性面積率を観察した。
【0147】
【0148】
実施例1A及び1Eの試験片は、多孔性についてそれぞれ9.0%及び7.2%の面積率を示した。実施例2B及び2Cの試験片では、多孔性について著しく低い(<<1%)面積率を観察した。実施例1A及び1Eの試験片は、横断面において球状多孔性を有し、縦断面において細長い細孔を有することを観察した。対照的に、実施例2B及び2Cの試験片は、多孔性(横方向)及び細孔伸長(縦方向)をほとんど又は全く示さなかった。実施例1A及び1Eの細孔のアスペクト比の増加は、大量の引張伸長を暗示する高程度の降伏を示し得る。
【0149】
また、実施例1A及び1Eの試験片における多孔性及び細孔の伸長は、実施例2B及び2Cのそれらと比較して、把持部分の開始点まで一貫していた。
【0150】
開示された組成物の室温でのISO527試験法の引張試験片の内部ポリマー微細構造では、破壊面と把持部との中間点及び両把持部の開始点における細孔について、4%以上の多孔性面積率及び1.6以上3.0以下のアスペクト比(細孔長軸/短軸)を有することを観察した。
【0151】
室温試験時の実施例1A及び1Eの引張棒では、伸長した長さ全体に沿った、均一の幅/厚さの減少及び応力白化と共に、引張試験棒試料の高伸長を観察した。対照的に、室温試験時の実施例2BA及び2Cの引張棒では、高度に局在化したネッキング及び段階破壊が生じた。
【0152】
多孔性測定は、
図12に示されるように、縦方向の実施例1G、1H、及び1Iの試料でImageJ解析を用いて同様に行った。実施例1G、1H、及び1Iの試験片は、実施例1Eの試験片について観察したように、4%の最小多孔性面積で1.6以上3.0以下の範囲に収まる多孔性アスペクト比を示した。
【0153】
使用されてきた用語及び表現は、限定するものではなく、説明の用語として使用され、そのような用語及び表現の使用において、図示及び記載された特徴又はそれらの部分の任意の等価物を除外する意図はないが、本発明の態様の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。したがって、本発明は、特定の態様及び任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の修正例及び変形例は、当業者によって再分類されてもよく、そのような修正例及び変形例は、本発明の態様の範囲によって定義される本発明の範囲内であると考えられることを理解されたい。
例示的な態様。
【0154】
以下の例示的な態様が提供されるが、その付番は、重要度を指定するものとして解釈されるべきではない。
【0155】
態様1は、組成物又は反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、組成物又は反応生成物が、
-30℃ノッチ付き衝撃破壊面の表面形状測定分析から得た10%以上のSdr測定値であって、Sdrは、平坦な状態と比較して実際の表面積が増加する程度を表す、Sdr測定値、又は
横断面切断面(TCUT)において、破壊部を通る中間距離で500マイクロメートル以上の応力白化ゾーン厚さであって、横断面切断面は元の破壊面に対して垂直である、応力白化ゾーン厚さ、又は
ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内での5%以上31%以下の多孔性面積率(%)、又は
ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の約100マイクロメートルの深さでの2%以上17%以下の多孔性面積率(%)、又は
-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内で、ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った縦断面に沿って測定した、1.8以上3.1以下の細孔の代表試料のアスペクト比(細孔長軸/短軸)の数値平均及びアスペクト比の数値平均と同じ位置で測定した、少なくとも5%の多孔性面積率、又は
これらの組み合わせを有する、縮合ポリアミドを含む組成物、又は当該組成物の反応生成物を提供する。
【0156】
態様2は、Sdrが10%~30%である、態様1の組成物又は反応生成物を提供する。
【0157】
態様3は、Sdrが10%~15%である、態様1~2のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0158】
態様4は、応力白化ゾーンの厚さが、TCUT平面において、破壊部を通る中間距離で500マイクロメートル~800マイクロメートルである、態様1~3のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0159】
態様5は、応力白化ゾーンの厚さが、TCUT平面において、破壊部を通る中間距離で550マイクロメートル~700マイクロメートルである、態様1~4のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0160】
態様6は、多孔性面積率(%)が8%以上27%以下である、態様1~5のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0161】
態様7は、多孔性面積率(%)が12%以上23%以下である、態様1~6のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0162】
態様8は、アスペクト比の数値平均が1.8以上3.1以下であり、アスペクト比の数値平均と同じ位置で測定した多孔性面積率が少なくとも5%である、態様1~7のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0163】
態様9は、アスペクト比の数値平均が2.0以上3.0以下である、態様1~8のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0164】
態様10は、アスペクト比の数値平均が2.1以上2.8以下である、態様1~9のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0165】
態様11は、ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の約100マイクロメートルの深さにおける多孔性面積率(%)が2%以上17%以下である、態様1~10のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0166】
態様12は、ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の約100マイクロメートルの深さにおける多孔性面積率(%)が3%以上14%以下である、態様1~11のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0167】
態様13は、ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の約100マイクロメートルの深さにおける多孔性面積率(%)が4%以上12%以下である、態様1~12のいずれか1つの組成物又は反応生成物を提供する。
【0168】
態様14は、組成物又は反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、組成物又は反応生成物は、
ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内で測定した、5%以上31%以下の多孔性面積率(%)と、
ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の約100マイクロメートルの深さにおいて測定した、2%以上17%以下の多孔性面積率(%)と、を有する、縮合ポリアミドを含む組成物、又は当該組成物の反応生成物を提供する。
【0169】
態様15は、組成物又はその反応生成物を、ISO527に従って引張試験棒に形成し、ISO527に従って室温で破壊したとき、組成物又はその反応生成物が、4%以上の多孔性面積率、並びに破壊面と把持部との中間地点及び把持部の開始点における、1.6以上3.0以下のアスペクト比(細孔長軸/短軸)を有する内部微細構造を示す、態様14に記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0170】
態様16は、組成物又はその反応生成物を、ISO527に従って引張試験棒に形成し、ISO527に従って室温で破壊したとき、組成物又はその反応生成物が、4%以上の多孔性面積率、並びに破壊面と把持部との中間地点及び把持部の開始点における、1.6以上3.0以下のアスペクト比(細孔長軸/短軸)を有する内部微細構造を示す、縮合ポリアミドを含む組成物、又は当該組成物の反応生成物を提供する。
【0171】
態様17は、気孔率面積率が5%以上である、態様16の組成物又は反応生成物を提供する。
【0172】
態様18は、多孔性面積率が5%以上31%以下である、態様16~17のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0173】
態様19は、アスペクト比が1.7以上2.8以下である、態様16~18のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0174】
態様20は、アスペクト比が1.8以上2.5以下である、態様16~19のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0175】
態様21は、縮合ポリアミドがナイロン66を含み、ナイロン66のアミン末端基(AEG)指数は65以上130以下であり、90℃で2時間のトルエンエッチングに供された組成物又はその反応生成物から形成された未研磨のミクロトーム切断ペレットが、3000倍~5000倍の倍率を使用して(例えば、走査型電子顕微鏡を使用して)比較して、マレイン化ポリオレフィンを含まない、及び/又は対照組成物又はその反応生成物ナイロン66が65未満のアミン末端基(AEG)指数を有する、同一の組成物又はその反応生成物(例えば、比較組成物又はその反応生成物)よりも窪みが少ない表面を有する、縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィンを含む組成物、又は当該組成物の反応生成物を提供する。
【0176】
態様22は、組成物又は反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、組成物又は反応生成物が、-30℃ノッチ付き衝撃破壊面の表面形状測定分析から得た10%以上のSdr測定値を有し、Sdrは、平坦な状態と比較して実際の表面積が増加する程度を表し、組成物又は反応生成物の-30℃衝撃強度(kJ/m2)は、その-30℃ノッチ付き衝撃破壊面の表面形状測定分析から得た10%以上のSdr測定値を有さない縮合ポリアミド又はその反応生成物を含む組成物と比較して、同一の引張弾性率(GPa)において少なくとも40%高い、態様1~21のいずれか1つの組成物又は反応生成物を提供する。
【0177】
態様23は、組成物又は反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、組成物又は反応生成物が、横断面切断面(TCUT)において、破壊部を通る中間距離で500マイクロメートル以上の応力白化ゾーン厚さを有し、横断面切断面は元の破壊面に対して垂直である、態様1~22のいずれか1つの組成物又は反応生成物を提供する。
【0178】
態様24は、組成物又は反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊表面を形成するとき、組成物又は反応生成物が、ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊表面下の最初の50マイクロメートル内で測定した、5%以上31%以下の有孔性面積率(%)を有する、態様1~23のいずれか1つの組成物又は反応生成物を提供する。
【0179】
態様25は、組成物又は反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、組成物又は反応生成物が、-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内で、ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った縦断面に沿って測定した、1.8以上3.1以下のアスペクト比(細孔長軸/短軸)の数値平均及びアスペクト比の数値平均と同じ位置で測定した、少なくとも5%の多孔性面積率を有する、態様1~24のいずれか1つの組成物又は反応生成物を提供する。
【0180】
態様26は、組成物が、
縮合ポリアミドであって、縮合ポリアミドは組成物の少なくとも30重量%であり、縮合ポリアミドは組成物中の主要ポリアミドである、縮合ポリアミドと、
10重量%以上50重量%以下(例えば、15重量%以上50重量%以下、15重量%以上45重量%以下、20重量%以上50重量%以下、20重量%以上45重量%以下など10重量%以上50重量%以下、又は50重量%以下であるが、10重量%以上、11重量%以上、12重量%以上、13重量%以上、14重量%以上、15重量%以上、16重量%以上、17重量%以上、18重量%以上、19重量%以上、20重量%以上、21重量%以上、22重量%以上、23重量%以上、24重量%以上、25重量%以上、26重量%以上、27重量%以上、28重量%以上、29重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、41重量%以上、42重量%以上、43重量%以上、44重量%以上、45重量%以上、46重量%以上、47重量%以上、48重量%以上、若しくは49重量%以上)のマレイン化ポリオレフィンであって、マレイン化ポリオレフィンは、ポリオレフィン主鎖上にグラフト化された無水マレイン酸を含み、マレイン化ポリオレフィンは、マレイン化ポリオレフィンの総重量に基づいて、0.05重量%以上1.5重量%以下のグラフト化無水マレイン酸の組み込みを有する、マレイン化ポリオレフィンと、を含む、態様1~25のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0181】
態様27は、縮合ポリアミドが組成物の30~99.9重量%である、態様26に記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0182】
態様28は、縮合ポリアミドが組成物の60~99.9重量%である、態様26~27のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0183】
態様29は、縮合ポリアミドが組成物の40重量%以上50重量%以下である、態様26~28のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0184】
態様30は、縮合ポリアミドが、ナイロン66、ナイロン66/6T、ナイロン66/6I、ナイロン66/DI、及びそれらの組み合わせから選択される、態様26~29のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0185】
態様31は、縮合ポリアミドが、65ミリ当量/kg(meq/kg)以上130meq/kg以下のAEGを有するナイロン66である、態様26~30のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0186】
態様32は、縮合ポリアミドがナイロン66/MPMD-Iコポリマーである、態様26~31のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0187】
態様33は、縮合ポリアミドが、ナイロン66、ナイロン66/6T、ナイロン66/6I、及びそれらの組み合わせから選択され、組成物は、ナイロン-6,6/MPMD-Iコポリマーを更に含む、態様26~32のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0188】
態様34は、縮合ポリアミドがナイロン66である、態様33に記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0189】
態様35は、縮合ポリアミドがポリアミド組成物の30重量%~60重量%である、態様26~34のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0190】
態様36は、ナイロン66/MPMD-Iコポリマーがランダムコポリマーである、態様33~35のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0191】
態様37は、ナイロン66/MPMD-Iコポリマーが、組成物の2重量%以上50重量%以下である、態様33~36のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0192】
態様38は、ナイロン66/MPMD-Iコポリマーが、組成物の25重量%以上35重量%以下である、態様33~37のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0193】
態様39は、組成物又はその反応生成物が、0.2重量%以上10重量%以下の再生アミン含有量を有する、態様26~38のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0194】
態様40は、組成物が、ナイロン66、ナイロン612、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66/6T、ナイロン66/6I、ナイロン66/DI、ナイロン66/D6、ナイロン66/DT、ナイロン66/610、ナイロン66/612、ナイロン11、ナイロン46、ナイロン69、ナイロン1010、ナイロン1212、ナイロン6T/DT、ナイロンDT/DI、ポリアミドコポリマー、又はそれらの組み合わせを含む追加のポリアミドを更に含み、追加のポリアミドは、組成物の0重量%超85重量%以下である、態様26~39のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0195】
態様41は、追加のポリアミドが、組成物の15重量%以上85重量%以下である、態様40に記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0196】
態様42は、追加のポリアミドがナイロン6である、態様40~41のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0197】
態様43は、ナイロン6が、組成物の0重量%超1重量%以下である、態様42に記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0198】
態様44は、組成物がナイロン6を含まない、態様26~43のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0199】
態様45は、組成物が強化線維を含まない、態様26~44のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0200】
態様46は、組成物が、0重量%~2重量%の強化線維を含む、態様26~45のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0201】
態様47は、組成物がガラス繊維を含む、態様26~46のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0202】
態様48は、ガラス繊維が、組成物の1重量%以上50重量%以下である、態様47の組成物又は反応生成物を提供する。
【0203】
態様49は、ガラス繊維が、組成物の10重量%以上42重量%以下である、態様47~48のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0204】
態様50は、ガラス繊維が、組成物の10重量%以上35重量%以下である、態様47~49のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0205】
態様51は、ガラス繊維が、組成物の15重量%以上30重量%以下である、態様47~50のいずれか1つの組成物又は反応生成物を提供する。
【0206】
態様52は、マレイン化ポリオレフィンが、EPDM、エチレン-オクテン、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はそれらの組み合わせを含むポリオレフィン主鎖を含む、態様26~51のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0207】
態様53は、マレイン化ポリオレフィンがEPDMを含まない、態様26~52のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0208】
態様54は、マレイン化ポリオレフィンが、マレイン化ポリオレフィンの総重量に基づいて、0.1重量%以上1.4重量%以下のグラフト化無水マレイン酸の組み込みを有する、態様26~53のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0209】
態様55は、マレイン化ポリオレフィンが、マレイン化ポリオレフィンの総重量に基づいて、0.15重量%以上1.25重量%以下のグラフト化無水マレイン酸の組み込みを有する、態様26~54のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0210】
態様56は、マレイン化ポリオレフィンが-70℃以上0℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する、態様26~55のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0211】
態様57は、マレイン化ポリオレフィンが-60℃以上-20℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する、態様26~56のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0212】
態様58は、マレイン化ポリオレフィンが-60℃以上-30℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する、態様26~57のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0213】
態様59は、
縮合ポリアミドが、65ミリ当量/kg(meq/kg)以上130meq/kg以下のAEGを有するか、又は
マレイン化ポリオレフィン若しくはそのドメインが、縮合ポリアミド中又は組成物中に均一に分布しているか、又は
縮合ポリアミドが少なくとも35のRVを有するか、又は
縮合ポリアミドが、ナイロン66、ナイロン66/6T、ナイロン66/6I、ナイロン66/DI、及びそれらの組み合わせから選択されるか、又は
それらの組み合わせである、態様26~58のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0214】
態様60は、組成物が、1つ以上の他の成分を含む配合組成物である、態様26~59のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0215】
態様61は、1つ以上の他の成分が、変性ポリフェニレンエーテル、耐衝撃性改良剤、難燃剤、鎖延長剤、熱安定剤、着色剤添加剤、充填剤、導電性繊維、ガラス繊維、縮合ポリアミド以外の別のポリアミド、又はそれらの組み合わせを含む、態様60に記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0216】
態様62は、1つ以上の他の成分が、ジアルコール、ビス-エポキシド、エポキシド官能基を含むポリマー、無水物官能基を含むポリマー、ビス-N-アシルビス-カプロラクタム、ジフェニルカーボネート、ビスオキサゾリン、オキサゾリノン、ジイソシアネート、有機ホスファイト、ビス-ケテンイミン、二無水物、カルボジイミド、カルボジイミド官能性を含むポリマー、又はそれらの組み合わせを含む鎖延長剤を含む、態様60~61のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0217】
態様63は、1つ以上の他の成分が鎖延長剤を含み、鎖延長剤が、0.05重量%以上5重量%以下の配合ポリアミド組成物である、態様60~62のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0218】
態様64は、鎖延長剤が無水マレイン酸-ポリオレフィンコポリマーを含む、態様63に記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0219】
態様65は、組成物が、270℃~290℃、0.03~0.1%の水分レベル、及び300~700mm/sの押出速度で行われるRheotens試験において0.3N以上1.0N以下の溶融強度を示す、態様1~64のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0220】
態様66は、溶融強度が0.8N以上1.0N以下である、態様65に記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0221】
態様67は、マレイン化ポリオレフィンが主として縮合ポリアミド海の島に存在する、態様1~66のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0222】
態様68は、反応生成物が、態様26~67のいずれか1つに記載の組成物の反応生成物であり、反応生成物が、縮合ポリアミドと態様26~67のいずれか1つに記載の組成物のマレイン化ポリオレフィンとの少なくとも部分的な反応から形成されたポリアミド-ポリオレフィンコポリマーを含む、態様26~67のいずれか1つに記載の反応生成物を提供する。
【0223】
態様69は、反応生成物が、反応生成物の総重量に基づいて50ppmw以上7500ppmw以下の濃度範囲でポリアミド-ポリオレフィンコポリマーを含む、態様68に記載の反応生成物を提供する。
【0224】
態様70は、反応生成物が、反応生成物の総重量に基づいて100ppmw以上4900ppmw以下の濃度範囲でポリアミド-ポリオレフィンコポリマーを含む、態様68~69のいずれか1つに記載の反応生成物を提供する。
【0225】
態様71は、反応生成物が、反応生成物の総重量に基づいて225ppmw以上3750ppmw以下の濃度範囲でポリアミド-ポリオレフィンコポリマーを含む、態様68~70のいずれか1つに記載の反応生成物を提供する。
【0226】
態様72は、反応生成物が、270℃~290℃、0.03~0.1%の水分レベル、及び300~700mm/sの押出速度で行われるRheotens試験において0.3N以上1.0N以下の溶融強度を示す、態様26~71のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物を提供する。
【0227】
態様73は、溶融強度が0.8以上1.0N以下である、態様72に記載の反応生成物を提供する。
【0228】
態様74は、組成物が、
縮合ポリアミドであって、縮合ポリアミドは組成物の少なくとも40重量%であり、縮合ポリアミドは組成物中の主要ポリアミドであり、縮合ポリアミドは、65ミリ当量/kg(meq/kg)以上130meq/kg以下のAEGを有するナイロン66である、縮合ポリアミドと、
15重量%以上45重量%以下のマレイン化ポリオレフィンであって、マレイン化ポリオレフィンは、ポリオレフィン主鎖上にグラフト化された無水マレイン酸を含み、マレイン化ポリオレフィンは、マレイン化ポリオレフィンの総重量に基づいて0.05重量%以上1.5重量%以下のグラフト化無水マレイン酸の組み込みを有する、マレイン化ポリオレフィンと、を含む、態様26~73のいずれか1つに記載の組成物又は反応生成物。
【0229】
態様75は、態様1~74のいずれか1つに記載の組成物若しくは反応生成物、又はそれらの組み合わせから形成された物品を提供する。
【0230】
態様76は、物品が低温亀裂に耐性がある、態様75の物品を提供する。
【0231】
態様77は、物品が成形品である、態様75~76のいずれか1つに記載の物品を提供する。
【0232】
態様78は、物品が押出物である、態様75~77のいずれか1つに記載の物品を提供する。
【0233】
態様79は、物品が導管である、態様75~78のいずれか1つに記載の物品を提供する。
【0234】
態様80は、導管が、剛性、可撓性、湾曲、屈曲、蛇行、部分的に波形、完全に波形、及びそれらの組み合わせから選択される、態様79の物品を提供する。
【0235】
態様81は、導管が、円形、楕円形、長円形、正方形、長方形、三角形、星形、多角形、及びそれらの組み合わせから選択される断面を有する、態様79~80のいずれか1つに記載の物品を提供する。
【0236】
態様82は、物品がガラス繊維を実質的に含まない、態様75~81のいずれか1つに記載の物品を提供する。
【0237】
態様83は、物品が押出導管である、態様75~82のいずれか1つに記載の物品を提供する。
【0238】
態様84は、物品が押出シートある、態様75~83のいずれか1つに記載の物品を提供する。
【0239】
態様85は、物品が折り畳まれた押出シートである、態様84に記載の物品を提供する。
【0240】
態様86は、物品がフィルムである、態様84~85のいずれか1つに記載の物品を提供する。
【0241】
態様87は、シートが0.01mm~10mmの厚さを有する、態様84~86のいずれか1つに記載の物品を提供する。
【0242】
態様88は、シートが0.2mm~6mmの厚さを有する、態様86~87のいずれか1つに記載の物品を提供する。
【0243】
態様89は、シートの幅対厚さ比が少なくとも10である、態様86~88のいずれか1つに記載の物品を提供する。
【0244】
態様90は、シートの幅対厚さ比が10以上40,000以下である、態様86~89のいずれか1つに記載の物品を提供する。
【0245】
態様91は、シートが同様の耐衝撃性試験条件下で同様の厚さのポリカーボネートシートの耐衝撃性の10%以内である、kJ/m2単位の耐衝撃性を示す、態様86~90のいずれか1つに記載の物品を提供する。
【0246】
態様92は、物品が、フィルム、マット、ライナー、床材、建築材料、パッド、シャッター、パネル、ベルト、スライド、筐体、車両部品、建築部品、又はそれらの組み合わせを含む、態様75~91のいずれか1つに記載の物品を提供する。
【0247】
態様93は、物品が、スリップシート、ダイカットマット、サイロライナー、ダイカットマット、トラック荷台ライナー、床材、建築材料、グラウンドパッド、建築エンベロープシステム、暴風雨防止シャッター、雹防止パネル、ジオテキスタイル、運搬システム構成要素、電子機器筐体、又はそれらの組み合わせを含む。態様75~92のいずれか1つに記載の物品を提供する。
【0248】
態様94は、
縮合ポリアミドと、マレイン化ポリオレフィンと、を組み合わせて、態様26~74のいずれか1つに記載の組成物若しくは反応生成物、又はそれらの組み合わせを形成することを含む、態様26~74のいずれか1つに記載の組成物若しくは反応生成物、又はそれらの組み合わせを作製する方法を提供する。
【0249】
態様95は、方法が、縮合ポリアミドとマレイン化ポリオレフィンとを組み合わせ、その後、それに鎖延長剤を添加することを含む、態様94に記載の方法を提供する。
【0250】
態様96は、
縮合ポリアミド及びマレイン化ポリオレフィンを含む供給物を第1の調合機押出機ゾーンに提供することと、
第1の調合機押出機ゾーン内部で第1の調合されたポリアミド溶融物を得るのに十分な第1の調合機押出機ゾーンの条件を維持することと、
第2の調合機押出機ゾーンにおいて、第1の調合されたポリアミド溶融物に鎖延長剤を導入することと、
第2の調合機押出機ゾーン内部で第2の調合されたポリアミド溶融物を得るのに十分な第2の調合機押出機ゾーンの条件を維持することと、を含み、第2の調合されたポリアミド溶融物は、態様26~74のいずれか1つに記載の組成物若しくは反応組成物、又はそれらの組み合わせである、態様95に記載の方法を提供する。
【0251】
態様97は、
スクリュー押出機のバレルが、第1の調合機押出機ゾーンと、第2の調合機押出機ゾーンと、を含み、
供給物を第1の調合機押出ゾーンに提供することは、供給物をバレルの供給口に提供することを含み、
バレルは長さを有し、
鎖延長剤は、バレルの供給口からバレルの長さの少なくとも1/4で、第2調合機押出機ゾーンに導入さる、態様96に記載の方法を提供する。
【0252】
態様98は、第2の調合機押出機ゾーンにおいて、鎖延長剤を第1の調合されたポリアミド溶融物に導入することが、マレイン化ポリオレフィン供給物の少なくとも50重量%が縮合ポリアミドに組み込まれた後に、鎖延長剤を第1の調合されたポリアミド溶融物に導入することを含む、態様96~97のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0253】
態様99は、
態様26~74のいずれか1つに記載の組成物若しくは反応生成物、又はそれらの組み合わせを押出機の供給ゾーンに供給することと、
押出機内部でポリアミド樹脂溶融物を得るのに十分な押出機バレル条件を維持することと、
押出機から押出物を生成する一方で、任意選択的に真空引きによって押出機から蒸気を回収することと、を含む、ポリアミド樹脂の押出方法を提供する。
【0254】
態様100は、
組成物若しくは反応生成物を衝撃試験棒に形成し、ISO179/2-1eAに従って-30℃で試験して-30℃ノッチ付き衝撃破壊面を形成するとき、組成物又は反応生成物は、
-30℃ノッチ付き衝撃破壊面の表面形状測定分析から得た10%以上のSdr測定値であって、Sdrは、平坦な状態と比較して実際の表面積が増加する程度を表す、Sdr測定値、若しくは
横断面切断面(TCUT)において、破壊部を通る中間距離での500マイクロメートル以上の応力白化ゾーン厚さであって、横断面切断面は元の破壊面に対して垂直である、応力白化ゾーン厚さ、若しくは
ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内での5%以上31%以下の多孔性面積率(%)、若しくは
ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内での5%以上31%以下の多孔性面積率(%)及びノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った、横断面方向の-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の約100マイクロメートルの深さでの2%以上17%以下の多孔性面積率(%)、若しくは
-30℃ノッチ付き衝撃破壊面下の最初の50マイクロメートル内で、ノッチから3mm以上5mm以下の直線距離で取った縦断面に沿って測定した、1.8以上3.1以下の細孔の代表試料のアスペクト比(細孔長軸/短軸)の数値平均及びアスペクト比の数値平均と同じ位置で測定した、少なくとも5%の多孔性面積率、若しくは
これらの組み合わせを有するか、又は
組成物若しくはその反応生成物を、ISO527に従って引張試験棒に形成し、ISO527に従って室温で破壊したとき、組成物若しくはその反応生成物が、4%以上の多孔性面積率、並びに破壊面と把持部との中間地点及び把持部の開始点における1.6以上3.0以下のアスペクト比(細孔長軸/短軸)を有する内部微細構造を示すか、又は
それらの組み合わせである、縮合ポリアミドを含む組成物又は当該組成物の反応生成物を提供する。
【0255】
態様101は、列挙された全ての要素又は選択肢が使用可能であるか、又は選択可能であるように任意選択的に構成された、態様1~100のいずれか1つ又は任意の組み合わせの組成物、方法、又は物品を提供する。
【国際調査報告】