(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-04
(54)【発明の名称】AC-225生成のためのチタニアに基づくジェネレータ
(51)【国際特許分類】
C22B 60/02 20060101AFI20240328BHJP
C22B 3/20 20060101ALI20240328BHJP
C22B 3/24 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
C22B60/02
C22B3/20
C22B3/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564169
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 US2022025631
(87)【国際公開番号】W WO2022226114
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513313945
【氏名又は名称】テラパワー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チェルウィンスキー,ケン
(72)【発明者】
【氏名】チャタジー,サヤンデフ
(72)【発明者】
【氏名】リヤオ,ズオレイ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ピョウンチュン
(72)【発明者】
【氏名】ヴラセンコ,ヴラディスラフ,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ルドウィグ,ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】ダンクリー,クリストファー,ピー.
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA32
4K001BA24
4K001DB16
4K001DB35
(57)【要約】
一態様において、本技術は、Acを生成する方法に関する。当該方法は、イオン交換材料が生成されるように、リン酸塩改質チタニア材料を調製する工程と、Th担持チタニア材料が生成されるように、229Thを含む溶液を前記イオン交換材料と接触させる工程と、225Acを含む溶出混合物を含有する溶出溶液が生成されるように、洗浄溶液を用いて前記Th担持チタニア材料を溶出させる工程と、225Acを含む溶出混合物が生成されるように、前記溶出溶液を濃縮する工程と、前記溶出混合物から225Acを分離する工程と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Acを生成する方法であって、
イオン交換材料が生成されるように、リン酸塩改質チタニア材料を調製する工程と、
トリウム担持イオン交換材料および接触溶液が生成されるように、
229Thを含む溶液を前記イオン交換材料と接触させる工程と、
225Acの溶出溶液が生成されるように、洗浄溶液を用いて前記トリウム担持イオン交換材料を溶出させる工程と、
溶出混合物が生成されるように、前記溶出溶液を濃縮する工程と、
前記溶出混合物中の他の放射性同位体から
225Acを分離する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記リン酸塩改質チタニア材料を調製する工程は、
希釈チタニア溶液が生成されるように、チタニアをリン酸塩溶液と混合する工程と、
前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程と、
前記リン酸塩溶液を傾瀉することによって、前記希釈チタニア溶液からリン酸塩改質チタニアを抽出する工程と、
洗浄されたリン酸塩改質チタニアが生成されるように、前記リン酸塩改質チタニアを洗浄する工程と、
乾燥したリン酸塩改質チタニアが生成されるように、前記洗浄されたリン酸塩改質チタニアを乾燥させる工程と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リン酸塩溶液は、H
3PO
4を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記リン酸塩溶液は、1.0MのH
3PO
4、0.1~0.5MのH
3PO
4、1~5MのH
3PO
4、および5~10MのH
3PO
4のうちの1種を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程は、10rpm~2000rpmの範囲内の速度で、前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程は、0.1~100hの範囲内の継続時間の間、前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程は、10~100℃の範囲内の温度で、前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記リン酸塩改質チタニアを抽出する工程は、前記希釈チタニア溶液を澄ませる工程を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記リン酸塩改質チタニアを抽出する工程は、前記希釈チタニア溶液を1時間の間、澄ませる工程を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記リン酸塩改質チタニアを洗浄する工程は、前記リン酸塩改質チタニアを脱イオン水中で1回または複数回洗浄する工程を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記リン酸塩改質チタニアを洗浄する工程は、前記リン酸塩改質チタニアを1~100mlの脱イオン水中で1回または複数回洗浄する工程を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記洗浄されたリン酸塩改質チタニアを乾燥させる工程は、洗浄された残留物を加熱装置上に載置する工程を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記洗浄されたリン酸塩改質チタニアを乾燥させる工程は、洗浄された残留物を50~150℃の範囲内の温度の加熱装置上に載置する工程を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記洗浄されたリン酸塩改質チタニアを乾燥させる工程は、洗浄された残留物を50~150℃の範囲内の温度の加熱装置上に1時間の間、載置する工程を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
チタニアを混合する工程は、約1.0gのチタニアを約125mlの前記溶液と混合する工程を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記溶液は、3.6~4.3の範囲内のpHを有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記溶液は、Th精製プロセスの結果物であり、NaNO
3、HOA、NaOA、またはHNO
3のうちの少なくとも1種を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記溶液を接触させる工程は、前記リン酸塩改質チタニア材料を含むカラム中で前記溶液を前記リン酸塩改質チタニア材料と接触させる工程を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
カラム流量は、2~10mL/hの範囲内にある、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記チタニア材料は、多孔性TiO
2を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記洗浄溶液の溶出速度は、30~60mL/hの範囲内にある、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記カラムと接触させる前に、前記カラムから
229Thを含む残留溶液を排出する工程をさらに含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記残留溶液を排出する工程は、
固体残留物がつくり出されるように、前記残留溶液を乾燥させる工程と、
溶出残留物が生成されるように、溶出溶液を用いて前記固体残留物を溶出させる工程と、
229Thが回収されるように、前記溶出残留物に回収樹脂を通過させる工程と、
229Thを回収する工程と、
を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
溶出溶液は、HNO
3を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
溶出溶液は、0.01~10MのHNO
3を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記回収樹脂は、UTEVA樹脂を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
229Thを回収する工程は、99.253±0.004%以上の割合で
229Thを回収する工程を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記溶液を前記イオン交換材料と接触させる工程は、カラム中で前記溶液を前記イオン交換材料と接触させる工程を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記溶液を前記イオン交換材料と接触させる工程は、Th担持材料が生成されるように、
229Thを前記チタニア材料上へ収着させる工程を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
溶出させる前記工程は、HOA/NaOA溶液を含む溶出液を用いる工程を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
生成された
225Acを収集する工程は、
濃縮した前記溶出混合物中の
228Raから
225Acを分離する工程と、
濃縮した前記溶出混合物からの分離された
225Acまたは分離された
228Raのうちの少なくとも一方を収集する工程と、
を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
分離された
225Acまたは分離された
228Raのうちの少なくとも一方を収集する工程は、分離された
225Acまたは分離された
228Raのうちの少なくとも一方を、96%を超える収集率で収集する工程を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記P-改質チタニア材料は、5~100μmの範囲内の平均粒径を有する、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
Ra/Ac混合物からAcを分離するための方法であって、
第1の溶液中で前記Ra/Ac混合物を濃縮する工程と、
前記Ra/Ac混合物に第1の樹脂を通過させる工程と、
第2の溶液を加える工程と、
前記Ra/Ac混合物に第2の樹脂を通過させる工程と、
分離されたRaおよび分離されたAcが生成されるように、RaをAcから分離する工程と、
を含む、方法。
【請求項35】
前記第1の溶液は、HNO
3を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の溶液は、0.1~10Mの範囲内の濃度のHNO
3を含む、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の樹脂は、UTEVA樹脂を含む、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記第2の溶液は、HNO
3を含む、請求項34~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記第2の溶液は、0.01~10Mの範囲内の濃度のHNO
3を含む、請求項34~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記第2の樹脂は、希土類樹脂を含む、請求項34~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
乾燥したRaおよび第1の乾燥したAcが生成されるように、分離された前記Raおよび分離された前記Acを乾燥させる工程をさらに含む、請求項34~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
希釈したRaおよび第1の希釈したAcがそれぞれ生成されるように、乾燥した前記Raおよび第1の乾燥した前記Acを希釈する工程をさらに含む、請求項34~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
乾燥した前記Raを希釈する工程は、乾燥した前記Raに第3の溶液を加える工程を含む、請求項34~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記第3の溶液は、HNO
3を含む、請求項34~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記第3の溶液は、0.1~10Mの範囲内の濃度のHNO
3を含む、請求項34~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
第1の乾燥した前記Acを希釈する工程は、第1の希釈した前記Acが生成されるように、第1の乾燥した前記Acに第4の溶液を加える工程を含む、請求項34~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記第4の溶液は、HNO
3を含む、請求項34~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記第4の溶液は、0.01~10Mの範囲内の濃度のHNO
3を含む、請求項34~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
第2の乾燥したAcが生成されるように、第1の希釈した前記Acを乾燥させる工程と、
第2の希釈したAcが生成されるように、第5の溶液中で第2の乾燥した前記Acを希釈する工程と、
をさらに含む、請求項34~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記第5の溶液は、HNO
3を含む、請求項34~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記第5の溶液は、6M HNO
3を含む、請求項34~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
第2の希釈した前記Acに1または複数の第3の樹脂を通過させる工程と、
前記Acを収集して、最終生成物としての収集されたAcを生成する工程と、
をさらに含む、請求項34~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
1または複数の前記第3の樹脂は、1または複数のUTEVA樹脂を含む、請求項34~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
収集された前記Acは、
225Acを含む、請求項34~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
Ac生成ジェネレータであって、
前記ジェネレータの第1の部分と、
内部チャンバを画定するカラム本体と、
前記内部チャンバへのアクセスを提供する、前記ジェネレータの前記第1の部分における第1のアクセスポートと、
前記内部チャンバ内のリン酸塩改質チタニア材料であって、ある量の
229Thを担持したリン酸塩改質チタニア材料と、
を備える、ジェネレータ。
【請求項56】
前記ジェネレータの第2の部分と、
前記ジェネレータの前記第2の部分における第2のアクセスポートと、
をさらに備え、
前記ジェネレータの前記第1の部分は、前記ジェネレータの頂部部分であり、
前記第1のアクセスポートは、上部バルブであり、
前記ジェネレータの前記第2の部分は、前記ジェネレータの底部部分であり、
前記第2のアクセスポートは、底部バルブまたはU字管である、請求項55に記載のジェネレータ。
【請求項57】
前記内部チャンバは、前記第1のアクセスポートまたは前記第2のアクセスポートのうちの少なくとも一方のアクセスポートを介して、ある量の
229Thを担持した前記リン酸塩改質チタニア材料が除去されるのを防止するためのフィルタを含む、請求項55または56に記載のジェネレータ。
【請求項58】
前記カラム本体の形状は、カプセル状(球面円筒状)、円筒状、球状、円錐状、角錐状、円錐台状または角錐台状のうちの1つである、請求項55~57のいずれか一項に記載のジェネレータ。
【請求項59】
前記第1の部分および前記第2の部分は、前記内部チャンバに対するシールを形成している、請求項55~58のいずれか一項に記載のジェネレータ。
【請求項60】
前記第1の部分および前記第2の部分は、前記カラム本体に取り外し可能に取り付けられている、請求項55~59のいずれか一項に記載のジェネレータ。
【請求項61】
前記第1の部分、前記カラム本体および前記第2の部分は、一体的に形成されている、請求項55~60のいずれか一項に記載のジェネレータ。
【請求項62】
シール可能な第3のアクセスポートをさらに含む、請求項55~61のいずれか一項に記載のジェネレータ。
【請求項63】
前記第2の部分内にディフューザをさらに備える、請求項55~62のいずれか一項に記載のジェネレータ。
【請求項64】
前記ディフューザは、穿孔を含む多孔板を備え、
前記穿孔は、前記リン酸塩改質チタニア材料が当該穿孔を通過するのを防止するように構成されたサイズを有する、請求項55~63のいずれか一項に記載のジェネレータ。
【請求項65】
前記穿孔は、溶媒が当該穿孔を通過できるように構成されている、請求項55~64のいずれか一項に記載のジェネレータ。
【請求項66】
Ra/Ac混合物からRaおよびAcを分離するためのシステムであって、
第1の分離カラムであって、当該第1の分離カラムの第1の内部チャンバの別々の部分に第1の樹脂および第2の樹脂を含む第1の分離カラムと、
第2の分離カラムであって、当該第2の分離カラムの第2の内部チャンバの別々の部分に複数の第2の樹脂を含む第2の分離カラムと、
を備える、システム。
【請求項67】
前記第1の樹脂は、UTEVA樹脂を含む、請求項66に記載のシステム。
【請求項68】
前記第2の樹脂は、希土類樹脂を含む、請求項66または67に記載のシステム。
【請求項69】
前記第1の分離カラムは、Ra/Ac混合物および前記第1の樹脂を追加および除去できるように構成されたシール可能な第1のアクセスポートを備える、請求項66~68のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項70】
前記第2の分離カラムは、乾燥したRa残留物、乾燥したAc残留物または前記第2の樹脂を追加および除去できるように構成されたシール可能な第2のアクセスポートを備える、請求項66~69のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項71】
Ac生成ジェネレータであって、
前記ジェネレータの第1の部分と、
前記ジェネレータの前記第1の部分における第1の流体バルブと、
内部チャンバを画定するカラム本体と、
前記内部チャンバ内のリン酸塩改質チタニア材料であって、ある量の
229Thを担持したリン酸塩改質チタニア材料と、
第1の分離カラムであって、当該第1の分離カラムの第1の内部チャンバの別々の部分に第1の樹脂および第2の樹脂を含む第1の分離カラムと、
第2の分離カラムであって、当該第2の分離カラムの第2の内部チャンバの別々の部分に複数の第1の樹脂を含む第2の分離カラムと、
を備える、ジェネレータ。
【請求項72】
Ac生成ジェネレータを準備する方法であって、
所定の継続時間の間、チタニア材料を含むカラム内において所定の循環速度で前処理溶液を循環させる工程と、
循環させる前記工程の後、Th担持チタニア材料が得られるように、前記カラム内の前記チタニア材料上へ所定の供給速度でTh物質を供給する工程と、
前記Th担持チタニア材料を所定の洗浄速度で洗浄する工程と、
を含む、方法。
【請求項73】
前記前処理溶液は、酢酸(HOA)または酢酸ナトリウム(NaOA)のうちの少なくとも一方を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記前処理溶液は、0.1M HOAまたは0.1M NaOAのうちの少なくとも一方を含む、請求項72または73に記載の方法。
【請求項75】
前記前処理溶液は、0.25M HOAまたは0.25M NaOAのうちの少なくとも一方を含む、請求項72~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記所定の循環速度は、60ml/hまたは300ml/hのうちの一方に等しい、請求項72~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記酢酸は、4.2のpKaを有する、請求項73~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記Th担持チタニア材料のTh保持率は、97.00~99.99%の範囲内にある、請求項72~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記カラムは、5gのTiO
2、51.6gのTiO
2、または5g~1000gのTiO
2のうちの1つを含む、請求項72~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記前処理溶液のpHは、3.6~4.3の範囲内にある、請求項72~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記Th物質の供給速度は、2ml/hおよび10ml/hのうちの一方である、請求項72~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記所定の洗浄速度は、2ml/hおよび10ml/hのうちの一方である、請求項72~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記所定の供給速度と前記所定の洗浄速度とは等しい、請求項72~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記カラム内に前記Th物質を供給する工程は、10mlの前記前処理溶液中における0.096gのThを供給する工程を含む、請求項72~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記カラム内に前記Th物質を供給する工程は、20mlの前記前処理溶液中における0.092gのThおよび20mlの前記前処理溶液中における0.098gのThのうちの一方を供給する工程を含む、請求項72~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記カラム内に前記Th物質を供給する工程は、500mlの前記前処理溶液中における1.005gのThを供給する工程を含む、請求項72~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記所定の継続時間は、約6hである、請求項72~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
請求項1~87のいずれか一項によって生成された
225Acを含む医薬組成物。
【請求項89】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項88に記載の医薬組成物。
【請求項90】
225Acは、抗体に結合している、請求項88~89に記載の医薬組成物。
【請求項91】
患者の癌を治療する方法であって、
請求項88~90のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項92】
前記癌は、乳癌、白血病、リンパ腫、脳腫瘍、肝臓癌、肺癌、メラノーマ、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌または骨癌である、請求項91に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願〕
本出願は、2021年4月20日に出願された米国仮出願第63/177,037号および2021年12月1日に出願された米国仮出願第63/284,941号の利益を主張するものである。これらの出願は、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
〔イントロダクション〕
アルファ放出放射性核種は、広範かつ多様な悪性腫瘍の治療における放射線治療剤として有望である。アルファ粒子は、高エネルギーであるために悪性腫瘍を破壊することができるとともに、透過深度が短いために周囲の健康な組織へのダメージが限定的である。医学研究者にとって興味深いのは、アクチニウム(Ac)であり、特に、例えば標的アルファ線治療(Targeted Alpha Therapy:TAT)に用いられる、アクチニウムの225放射性同位体(225Ac)である。225Acの利点は、それが10日間というほぼ理想的な半減期を有すること、および、アルファ粒子の放出範囲がヒトの細胞とほぼ同じサイズであることである。225Acをモノクローナル抗体に結合させるために、リガンドが用いられ得る。当該モノクローナル抗体は、これらのアルファ放出体を標的となる患部細胞へ伝達および送達するように、あらかじめプログラムされている。
【0003】
〔Ac-225生成のためのチタニアに基づくジェネレータ〕
一態様において、本技術は、Acを生成する方法に関する。当該方法は、イオン交換材料が生成されるように、リン酸塩改質(modified)チタニア材料を調製する工程と、Th担持チタニア材料が生成されるように、トリウムの229放射性同位体(229Th)を含む溶液を前記イオン交換材料と接触させる工程と、225Acを含む溶出混合物を含有する溶出溶液が生成されるように、洗浄溶液を用いて前記Th担持チタニア材料を溶出させる工程と、225Acを含む溶出混合物が生成されるように、前記溶出溶液を濃縮する工程と、前記溶出混合物中の他の放射性同位体から225Acを分離する工程と、を含む。
【0004】
上記態様の他の実施例において、前記リン酸塩改質チタニア材料を調製する工程は、希釈チタニア溶液またはスラリーが生成されるように、チタニアを溶液と混合する工程と、選択された範囲内の温度を維持しつつ、前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程と、前記リン酸塩改質チタニア(の上澄み液)を傾瀉することによって、前記希釈チタニア溶液からリン酸塩改質チタニアを抽出する工程と、洗浄されたリン酸塩改質チタニアが生成されるように、前記リン酸塩改質チタニアを洗浄する工程と、乾燥したリン酸塩改質チタニアが生成されるように、前記洗浄されたリン酸塩改質チタニアを乾燥させる工程と、前記乾燥したリン酸塩改質チタニアを収集する工程と、を含む。例えば、前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程は、室温で行われてもよく、または80℃の温度で行われてもよい。
【0005】
別の一態様において、本技術は、Ra/Ac混合物からAcを分離するための方法に関する。当該方法は、第1の溶液中で前記Ra/Ac混合物を濃縮する工程と、前記Ra/Ac混合物に第1の樹脂を通過させる工程と、第2の溶液を加える工程と、前記Ra/Ac混合物に第2の樹脂を通過させる工程と、分離されたRaおよび分離されたAcが生成されるように、RaをAcから分離する工程と、を含む。
【0006】
さらに別の一態様において、本技術は、Ac生成ジェネレータに関する。当該Ac生成ジェネレータは、前記ジェネレータの第1の部分と、前記ジェネレータの前記第1の部分における第1の流体バルブと、内部チャンバを含むカラム本体と、前記ジェネレータの第2の部分と、前記ジェネレータの前記第2の部分における第2の流体バルブと、を備える。別の実施例では、前記Ac生成ジェネレータは、例えばTh担持媒体へのアクセスのためにバルブの代わりにU字管を用いた、前記第1の流体バルブおよび/または前記第2の流体バルブを有しない石英カラム構成を含んでもよい。
【0007】
一態様において、本技術は、Ra/Ac混合物からRaおよびAcを分離するためのシステムに関する。当該システムは、第1の分離カラムであって、当該第1の分離カラムの第1の内部チャンバの別々の部分に第1の樹脂および第2の樹脂を含む第1の分離カラムであって、Ra/Ac混合物および前記第1の樹脂を追加および除去できるように構成されたシール可能な第1のアクセスポートを含む第1の分離カラムと、第2の分離カラムであって、当該第2の分離カラムの第2の内部チャンバの別々の部分に複数の第1の樹脂を含む第2の分離カラムであって、Ra残留物、Ac残留物または前記第2の樹脂を追加および除去できるように構成されたシール可能な第2のアクセスポートを含む第2の分離カラムと、を備える。
【0008】
さらに別の一態様において、本技術は、Ac生成ジェネレータに関する。当該Ac生成ジェネレータは、前記ジェネレータの第1の部分と、前記ジェネレータの前記第1の部分における第1の流体バルブと、内部チャンバを含むカラム本体と、前記ジェネレータの第2の部分と、前記ジェネレータの前記第2の部分における第2の流体バルブと、第1の分離カラムであって、当該第1の分離カラムの第1の内部チャンバの別々の部分に第1の樹脂および第2の樹脂を含む第1の分離カラムであって、Ra/Ac混合物および前記第1の樹脂を追加および除去できるように構成されたシール可能な第1のアクセスポートを含む第1の分離カラムと、第2の分離カラムであって、当該第2の分離カラムの第2の内部チャンバの別々の部分に複数の第1の樹脂を含む第2の分離カラムであって、乾燥したRa残留物、乾燥したAc残留物または前記第2の樹脂を追加および除去できるように構成されたシール可能な第2のアクセスポートを含む第2の分離カラムと、を備える。
【0009】
さらなる一態様において、本技術は、Ac生成ジェネレータのカラム内の接触溶液を緩衝する方法に関する。当該方法は、所定の継続時間の間、前記カラム内において所定の循環速度で前処理(preconditioning)溶液を循環させる工程と、循環させる前記工程の後、前記カラム内に所定の供給速度でTh物質を供給する工程と、装填された前記Th物質を所定の洗浄速度で洗浄する工程と、を含む。
【0010】
〔図面の簡単な説明〕
本出願の一部を構成する以下の図面は、記載された技術を例示するものであり、特許請求される本発明の範囲を何ら限定しようとするものではない。特許請求される本発明の範囲は、本出願に添付された特許請求の範囲に基づくものとする。
【0011】
図1は、
233Uから
229Th、および後続する娘核種への崩壊連鎖の概略図である。
【0012】
図2は、本開示の様々な実施例による、Ac生成のためのプロセスフローの概略図である。
【0013】
図3は、
232Thの崩壊連鎖を示すプロットである。
【0014】
図4は、本開示の様々な実施例による、ナノポーラス(nanoporous)TiO
2の受け取りによるTh
4+取り込みの分布係数の、pHに応じた変化を示すプロットである。
【0015】
図5~
図13は、本開示の様々な実施例による、溶出量に対するTh濃度の変化のプロットである。
【0016】
図14は、本開示の様々な実施例による、表面改質TiO
2材料の複数のSEM写真を示す。
【0017】
図15A~
図15Dは、本開示の様々な原理による、TiO
2出発物質および合成された物質のSEM写真である。
【0018】
図16は、本開示の様々な実施例による、TiO
2および表面改質TiO
2によるTh
4+取り込みの分布係数の、pHに応じた変化を示すプロットである。
【0019】
図17~
図19は、本開示の様々な実施例による、
228Raおよび
228Acの放射能および回収率を示すプロットである。
【0020】
図20は、本開示の様々な実施例による、Th供給に応じた
228Raおよび
228Acの溶出挙動の概略図である。
【0021】
図21および
図22は、本開示の様々な実施例による、Th飽和時の例示的な溶出グラフである。
【0022】
図23は、本開示の様々な実施例による、カラム内のIX材料上へのRa収着を低減し、それによってRaの回収率を高める方法の一例を示す。
【0023】
図24は、IX材料が充填されたカラムの形態のジェネレータの一例を示す。
【0024】
図25は、IX材料が充填されたカラムの形態のジェネレータの別の一例を示す。
【0025】
図26は、本開示の様々な実施例による、Acを生成する方法を示すフローチャートである。
【0026】
図27は、本開示の様々な実施例による、リン酸塩改質チタニア材料の調製方法を示すフローチャートである。
【0027】
〔詳細な説明〕
一態様において、本技術は、Acを生成する方法に関する。当該方法は、イオン交換材料が生成されるように、リン酸塩改質チタニア材料を調製する工程と、Th担持チタニア材料が生成されるように、229Thを含む溶液を前記イオン交換材料と接触させる工程と、225Acを含む溶出混合物を含有する溶出溶液が生成されるように、洗浄溶液を用いて前記Th担持チタニア材料を溶出させる工程と、225Acを含む濃縮した混合物が生じるように、前記溶出溶液を濃縮する工程と、前記溶出混合物から225Acを分離する工程と、を含む。別の一態様では、本技術は、化学的不純物および放射性核種不純物からAcを分離する方法に関する。
【0028】
現状では、225Acは、トリウム金属に陽子線を照射することによって生成される。232Thを含むトリウム金属を照射すると、潜在的な関心の対象である、700種を超える種々の同位体(225Acへと崩壊する225Raが含まれる)を得ることができる。陽子線の照射後に、照射されたトリウムを酸性溶液中に溶解させることによって、所望の放射性核種を回収することができる。様々なクロマトグラフィ手法を用いて、トリウム出発物質およびその他の核破砕生成物から、所望のアクチニウム生成物およびラジウム生成物を分離し得る。
【0029】
232Th金属に照射することで、アクチニウムおよびラジウムの生成に加えて、所望の放射性核種生成物と比較して相当量の、望ましくない放射性同位体が生み出される。例えば、低級ランタニド元素(lower lanthanide elements)(例えば、ランタンおよびセリウム)の放射性同位体は、医療用途における利用が意図された放射性同位体の調製において、望ましいものではない。さらに、232Thの照射によって形成される別の望ましくない放射性同位体として227Acがあり、この同位体を225Acから分離することは非常に困難であるため、生成された225Acには、ほとんど常に、ある量の227Acが混入する。このように、例えば低級ランタニド元素等の放射性同位体の生成は、望ましいことではない。したがって、かかる望ましくない放射性同位体を除去することは、有利であり得る。
【0030】
本開示の諸原理には、例えば、Thの異なる一同位体(
229Th)から
225Acを生成するシステムおよび方法が含まれる。様々な実施例において、
225Acは、
229Thから生成される。
229Thは、
233Uに由来する。さらに、
225Ac生成物は、227同位体が
229Thの崩壊連鎖中に存在しないため、
227Acを実質的に有しない。
233Uから
229Th、および後続する娘核種への崩壊連鎖の概略図である
図1に示す通り、
229Thの自然崩壊によって
225Raが生成され、
225Raは
225Acへとベータ崩壊する。図示のように、
233Uは、160,000年という半減期を有し、
229Thへと崩壊する。
229Thは、7800年という半減期を有し、
225Raへと崩壊する。
225Raは、14.9日という半減期を有し、
225Acへと崩壊する。
225Acは、10日という半減期を有する。これらの半減期は比較的短いため、
225Raおよび
225Acは、
229Thから定期的に収穫され(harvested)得る。
【0031】
本開示による方法の様々な実施例において、229Th同位体およびその子孫核種(progenies)を含む保存溶液は、イオン交換(ion-exchange:IX)材料と接触させられ得る。IX材料は、229Thを選択的に捕捉するとともに、子孫核種(例えば、RaおよびAc)を選択的に拒絶するように構成されている。当該子孫核種は、接触保存溶液中に残存し得る。本明細書に記載されたシステムおよび方法において、IX材料は、229Thの選択的捕捉を促す条件下に維持または変更された、多孔性チタニア(TiO2)であってもよく、または多孔性チタニア(TiO2)を含んでもよい。したがって、本明細書に記載された例示的なシステムおよび方法は、供給原料溶液由来の229Thを子孫核種からより容易に分離して、捕捉プラットフォーム上へ固定化できる構成を示す。229Th担持IX材料を洗浄溶液で単に溶出させることによって、包括的な前処理工程または後処理工程を必要とすることなく、225Acを定期的に収穫することができる。IX材料をカラム構成(形態)において使用することで、操作パラメータにおける大きな変動なしに、ロバストで、容易に拡張可能(スケーラブル)で、再現性のあるアプローチ(手法)が可能になる。
【0032】
図2は、本開示の様々な実施例による、Ac生成のためのプロセスフロー200の一例を示す。例えば、フロー200には、少なくとも以下の工程が含まれ得る。
【0033】
(ウラン分離後の)
229Th保存溶液にIXジェネレータカラムを通過させて、IX材料上にThを捕捉させ、Ra/Ac溶出を行う工程(
図2に、工程1として記載);残留Th保存溶液にUTEVA(Uranium and Tetravalent Actinides:ウランおよび四価アクチニド)樹脂、または必要に応じてその他のTh回収ルートを通過させる工程(工程2として記載);溶出洗浄溶液でIX材料を溶出させてIXジェネレータカラムから所望のAcを除去し、溶出溶液を蒸発させて含まれる溶出娘核種を濃縮する工程(工程3として記載);Raおよびその他の溶出娘核種からAcを分離して、標的アルファ線治療の医薬生成物に用いるための精製Ac溶液を得るAc/Ra分離の工程(
図2に、工程4として記載)。
【0034】
工程1:工程1は、供給操作である。当該供給操作には、選択的IX材料上へ229Thを供給するように設計された複数の操作が含まれ得る。担持後、229Thはその後、時間とともに崩壊し、225Acを含む娘核種生成物が生成される。本明細書に記載された実施形態では、イオン交換材料には、例えばTiO2、または多孔性TiO2等のチタニア材料が含まれる。さらに別の実施例では、チタニア材料は、チタニア材料をH3PO4溶液(例えば、1M H3PO4溶液等)と混合することによって、リンにより改質される。さらに、チタニア材料とH3PO4溶液との混合は、室温で16~45時間、行われてもよい。また、チタニア材料とH3PO4溶液との混合は、最大80℃の温度で、約5時間行われてもよい。例えば、トリウム含有保存溶液210を、カラム230内のイオン交換材料と接触させる。別の実施例では、トリウム含有保存溶液を、カラム230内のリン改質チタニア材料(例えば、リン改質TiO2、またはリン改質多孔性TiO2等)と接触させる。別の実施例では、Th保存溶液には、例えば、NaNO3、HOA(酢酸)、NaOA(酢酸ナトリウム)およびHNO3(硝酸)のうちのいずれか1種または複数種が含まれ得る。別の実施例では、カラム230は、チタニア材料を含む。ここに論じられた継続時間および温度に加えて、その他の継続時間およびその他の温度が適用されてもよい。例えば、チタニア材料をH3PO4溶液と混合する工程は、1~100℃の範囲(例えば、10~90℃の範囲、10~30℃の範囲、または70~90℃の範囲)の温度で行われてもよい。他の実施例では、チタニア材料をH3PO4溶液と混合する工程の継続時間は、0.1~100時間(例えば、5~50時間、または10~40時間)の範囲内にあってもよい。
【0035】
カラム230は、Thが崩壊するにつれて時間とともにその中で225Acが生成されるため、「ジェネレータ」カラム、「アクチニウムジェネレータ」カラム、「アクチニウムジェネレータ」、または単に「ジェネレータ」230と称され得る。本明細書では「カラム」と称されるが、ジェネレータ230は、例えばカプセル状(球面円筒状)、円筒状、球状、円錐状、角錐状、円錐台状、または角錐台状を含む、任意の形状であってもよい。一実施形態では、カラム230は、IX材料(および、担持後のトリウム)を収容し、かつIX材料を損失することなく当該IX材料が溶出液で洗浄できる、シール可能な容器である。カラム230のさらなる態様については、以下でさらに詳細に説明する。
【0036】
カラム230内で接触させる前に、トリウム含有保存溶液を蒸発装置220内で乾燥させて、トリウム濃度を増加させてもよい。別の実施例では、チタニア材料を接触させるときのカラム230内のトリウム含有溶液の流量は、2~10mL/hの範囲内にある。さらに別の実施例では、229Thのうちの少なくとも一部は、カラム230内部のチタニア材料上へ収着される。
【0037】
カラム230内のIX材料上にトリウムを担持させた後、カラム内のIX材料を、後述する工程3に従って、溶液で洗浄することができる。前回の洗浄から時間とともにカラム230内に蓄積したAcは次の洗浄工程によって除去されるため、洗浄行為は、ジェネレータ230の「ミルキング(milking)」と称されることがある。
【0038】
工程2:工程2は、トリウム回収操作である。当該トリウム回収操作によって、システムから失われるトリウムを可能な限り少なくすることが保証される。当該回収操作には、供給操作中にIX材料上へうまく捕捉されなかったTh物質を回収するように設計された複数の操作が含まれてもよい。工程2の一実施形態では、リン酸塩改質チタニア材料との接触後にカラム230から得られる接触保存溶液は、乾燥され、次いで、樹脂(例えば、UTEVA樹脂250等)を通過させられる。UTEVA樹脂250を通過した後、トリウムが溶出後に回収される。乾燥は、任意の公知の方法または装置を用いて行うことができる。
図2に示す実施形態では、乾燥は、蒸発装置240において行われる。
【0039】
工程3:工程3は、ミルキング操作である。当該ミルキング操作において、Acがカラム内のIX材料から洗い出され、収集される。代替的に、この洗浄は溶出と称されてもよく、洗浄に使用される溶液は溶出液と称されてもよい。ミルキング操作は、Acの必要性に基づいて、スケジュールに基づいて定期的に行ってもよいし、ランダムな間隔で行ってもよい。図示の実施形態では、ミルキング操作には、Ac物質およびRa物質を回収するように設計された複数の操作が含まれる。Raもまた、カラム230で生成されており、Ra自体、価値があり得るからである。工程3では、トリウムの娘核種生成物である225Acおよび225Raを含有する溶液がつくり出されるよう、洗浄溶液がカラムに通される。洗浄溶液をカラム230に通す速度は、特定の洗浄操作中に得られるAcおよびRaの量に影響を与えるように制御されてもよい。例えば、一実施形態では、洗浄溶液の溶出速度は、30~60mL/hの範囲内にある。種々の溶出液が用いられてもよい。別の実施例では、溶出液は、例えば、HOA/NaOA溶液を含む。
【0040】
工程4:工程4は、Ac/Ra分離操作である。当該Ac/Ra分離操作において、RaがAcから分離される。図示の実施形態では、分離操作には、Ac物質とRa物質とを分離するように設計された複数の操作が含まれる。工程4では、溶出および蒸発によって生じた225Acが収集される。例えば、225Acは、例えば濃縮した溶出混合物中の225Acを228Raから分離し、濃縮した溶出混合物から分離された225Acを収集することによって、収集される。別の実施例では、濃縮した溶出混合物から228Raも分離されてもよい。実施例では、濃縮した溶出混合物からの228Acおよび228Raのうちの少なくとも一方の回収率は、96重量%よりも大きい。特に断りのない限り、または文脈から明らかな場合を除き、本明細書において%が使用される場合、それは重量%を指す。
【0041】
様々な実施例において、以下の実験結果によって本開示の様々な原理の例が提供される。
【0042】
(実施例)
チタニアに基づくAcジェネレータの実現可能性を示す以下の実験では、一部の場合において安全のため、232Th同位体が229Th同位体の代わりに使用され得る。電子構造がほぼ同じであるため、これら2つの同位体間で、大きな変動なく、ジェネレータの挙動が完全に、または実質的に再現される。
【0043】
(材料合成)
リン酸塩改質表面を備える多孔性チタニアが調製されてもよく、合成条件は、以下の表1Aにまとめられている。
【0044】
サンプル1(TP168-31-1):Sachtoporeから得た~1.0gのチタニアを、ビーカー内で、1.0M H3PO4125mLと混合する。混合物を攪拌板上に置き、室温で45時間、800rpmの速度で攪拌させ、その後、固体を1時間、沈降させる。溶液を傾瀉し、残留物を10mLの脱イオン(deionized)(DI)水で5回洗浄する。洗浄した固体を1時間、100℃のホットプレート上に載置することで乾燥させる。その後、乾燥した固体を収集し、分析し、将来の収着実験のために保管する。材料は、X線回折技法および走査型電子顕微鏡技法によって特性評価(特定)される。プロセスを5倍にスケールアップ(規模拡張)しても、生成物は変化しないままであり得る。上記のH3PO4の濃度は1.0Mに等しいと記載されているものの、様々な濃度のH3PO4が用いられてもよい。例えば、H3PO4の濃度は、0.1M~10Mの範囲(0.1~0.5M、0.5~1M、1~5Mおよび5~10Mの範囲が含まれる)内にあってもよい。
【0045】
サンプル2(TP168-31-2):変更した手順では、反応が温度を上げて行われる。TiO2(~1.0g、Sachtopore)および1.0M H3PO4(125mL)を、混合物を800rpmで攪拌しながら、80℃で5時間反応させる。その後、加熱を止め、攪拌をさらに16時間続ける。サンプル1(TP168-31-1)材料のためのプロトコルと同じプロトコルに従って、生成物を収集、洗浄および乾燥させる。材料は、X線回折技法および走査型電子顕微鏡技法によって特性評価される。プロセスを5倍にスケールアップしても、生成物は変化しないままであり得る。上記の混合速度は800rpmに等しいと記載されているものの、その他の混合速度(例えば、10rpm~2000rpmの範囲内)が用いられてもよい。
【0046】
サンプル3(TP168-32-1):この合成は、サンプル1(TP168-31-1)の合成のためのプロトコルと同じプロトコルに従うものであった。ただし、攪拌時間を45時間ではなく21時間に制限した点で異なっていた。他の2つのサンプルと同様に、生成物は、X線回折技法および走査型電子顕微鏡技法を用いて特性評価される。
【0047】
サンプル4(TP168-36-1):この合成は、サンプル2(TP168-31-2)の合成のためのプロトコルと同じプロトコルに従うものであった。ただし、攪拌速度を300rpmに下げた点で異なっていた。
【0048】
【0049】
他の実施例では、85% H3PO442.5mlを、500mlビーカー内のDI水250mlに加え、2.5M H3PO4溶液を形成した。TiO228.18g(粒径110μm)をビーカーに加え、オーバーヘッドスターラーを用いて420rpmで攪拌した。次いで、混合物を、攪拌しながらホットプレートの上で内部温度70℃に加熱した。6時間加熱した後、混合物を室温に冷却し、さらに18時間攪拌した。次いで、上部の液相を傾瀉した後、TiO2スラリーを50mlのDI水で4回洗浄した。100mlのDI水をビーカーに加え、混合物を1時間攪拌した後、傾瀉し、50mlのDI水で4回洗浄した。この攪拌‐傾瀉‐洗浄サイクルをさらに4回繰り返す。最後の傾瀉の後、ビーカーを160℃のホットプレート上に1時間置き、TiO2を乾燥させた。27.26gの生成物が回収された。結果を、以下の表1Bに示す。
【0050】
【0051】
【0052】
(材料の特性評価)
合成された材料は、X線回折(X-ray diffraction:XRD)および走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopy:SEM)を用いて特性評価された。XRDデータは、Rigaku MiniFlex卓上型X線回折計上で収集された。SEM画像は、FEI Quanta機器上で収集された。
【0053】
(収着実験)
吸着実験は、取り込み容量を増大または最大化して収着速度を向上させるために必要な条件および材料を評価し指針を与えるバッチ接触実験からなるものであった。
【0054】
(バッチ収着)
収着実験は、周囲温度(常温)および周囲圧力(常圧)の条件で、遠心管内で行われる。各管には、加重量の(weighted amount)収着材を加え、続いて、HNO3およびNaOHを組み合わせて所望のpHに維持したTh保存溶液を加える。保存溶液は、固体のThCl4・xH2O(MW=505.978g)を所望の溶液中に溶解させることによって作製される。実験には、2~4のpH範囲が用いられる。得られた混合物を、遠心管を水平振とう器の上に載置することによって、規定時間、振とうする。その後、管を遠心分離して、固体分を沈降させ、上澄み液を少量抜き取り、ICP-OESおよびICP-MSを組み合わせて、溶相中に残存するトリウム濃度を決定する。トリウムの収着量は、式[1]で与えられる分布係数(distribution coefficient)Kdとして表される。
【0055】
【0056】
ここで、[Th]initialは、保存溶液中のトリウムの初期濃度であり、[Th]finalは、収着材との接触後の上澄み液中の最終濃度であり、Mは、使用した収着材の質量であり、Vは、接触溶液の体積である。収着過程の速度を決定するための化学分析も行われる。当該化学分析では、少量の上澄み液の抜き取りのプロセスが、同じ溶液に対して定期的に繰り返される。
【0057】
(カラム)
カラム実験では、カラムのサイズに応じて様々な構成が用いられる。典型的なカラムのサイズを以下の表2に示す。
【0058】
【0059】
典型的なカラム運転(実行)では、所望の量のIX材料を、DI H2Oと混合してカラムに充填する。その後、所望に応じて、後述するようにカラムを前処理する。ThCl4・xH2O固体をDI H2Oまたは緩衝溶液中に溶解させることによって、Th供給原料が作製される。続いて、NaOH溶液またはHNO3溶液を用いて、pHが調整される。カラムについては、重力流とポンプ流との両方が用いられる。ポンプ流では、J-KEMソフトウェアで操作する機械式シリンジポンプを使用する。溶出液は、画分(フラクション)で収集され、化学的方法および放射化学的方法によって分析される。
【0060】
(化学分析)
溶出液およびサンプル溶液についての化学分析は、サンプル溶液中のTh濃度、Ti濃度およびP濃度について分析するために、ICP-OESおよび/またはICP-MSを介して行われる。これらの測定については、サンプル溶液の画分は、分析に先立って、2% HNO3で希釈される。
【0061】
ICP-OES分析は、パーキンエルマーOptima 8000 ICP-OES機器を用いて行われる。分析対象の溶出液は、分析される元素(Th、TiまたはP)の最終濃度が100ppmを超えないように、2% HNO3で希釈される。
【0062】
ICP-MS分析は、Agilent 7800 Quadrupole ICP/MS(Inductively coupled plasma/mass spectrometer:誘導結合プラズマ分光分析装置)(Agilent Technologies)を用いて行われる。ICP-OESと同様に、分析される溶出液は、2% HNO3で希釈され、分析される元素の最終濃度が~1ppmを超えないようにされる。
【0063】
(放射化学分析)
溶出液についての放射化学分析は、ガンマ線スペクトロスコピーおよびアルファ線スペクトロスコピーを用いて行われる。ガンマ線スペクトロスコピーは、供給原料においてRa/Ac娘核種からThを分離するジェネレータの有効性を初期評価するのに有効な手法であるばかりでなく、各収穫サイクルの間の定期的なRa/Ac回収の効率を評価する方法も提供する。上述したように、232Th(半減期1.4x1010年)を、229Thの代わりに使用してもよい。232Thの崩壊連鎖には、228Ra(半減期5.7年)、228Ac(半減期6.1時間)、228Th(半減期1.9年)、224Ra(半減期3.6日)を含む、関連する複数の同位体がある。同位体228Raおよび同位体224Raは、Acジェネレータにおける、225Raの良好なシミュレータであり得る。一方、228Acは、225Ac生成物の化学的挙動をシミュレートするために用いられ得る。228Acの同位体も、ガンマ線データの分析に有利である。
【0064】
例えば、同位体232Thは、それ自体ではガンマ線を放出しない場合があるが、以下の式[2]で表される232Thの崩壊過程を介して生成される228Ac同位体は、ガンマ線スペクトロスコピーによる分析に十分なフォトピークを有する。式[2]に示す関連する崩壊は、232Thから228Thへの崩壊を表す(t1/2=1.91年)。関連するガンマ線ピークを表3に示す(データは、IAEA同位体ブラウザに基づく)。
【0065】
【0066】
【0067】
したがって、サンプル中の分離時間における232Thとその228Ra娘核種および228Ac娘核種との間の分布は、228Acの放射能に基づいて決定することができる。911.2keVの線が、分析に選ばれている。ガンマ線サンプル中に存在する228Acは、分離された228Acの元の量と、228Raの崩壊による228Acの内部成長(ingrowth)とによるものである。それゆえ、任意の所与の時刻における228Acの放射能は、式[3]で与えられる成長および崩壊に基づいて、228Acの初期放射能および228Raの初期放射能に関係する。
【0068】
【0069】
このため、Thの崩壊に関する速度論的情報を蓄積し、232Th/228Ra/228Ac比を注意深く決定するためには、各サンプルについて、複数のデータ点を収集する必要がある。それゆえ、データは、カラムから溶出液を収集した直後に収集され、その後、ある時間間隔を置いて収集される。
【0070】
ガンマ線スペクトロスコピーは、5mLのサンプルをサンプルホルダー内のガンマ線検出器に装荷し、3600秒間カウントするように設定して、または911keVの関心領域において1000カウントが集まるまでカウントするように設定して、実行される。収集されたデータは、RPTファイルからコピーされ、Excelに転送して加工される。装荷サンプルがカラムに加えられた日時が、アクチニウムおよびラジウムの崩壊開始時刻として用いられる。この値は、トリウム、ラジウムおよびアクチニウムの間の平衡が乱れてからどれほどの時間が経過したのかを決定するために、各サンプルについてのガンマ線データ収集の日時から差し引かれる。これから、初期アクチニウムの残存量、およびラジウム内部から成長したと予想されるアクチニウムの量が、崩壊率と、成長および崩壊の方程式とを介して決定される。初期の228Raおよび228Acの放射能の値は、実験データに対する最小二乗フィットによって決定される。
【0071】
228Raおよび228Acの娘核種の半減期から推測できるように、ガンマ線スペクトロスコピーは、供給原料における232Thのその娘核種からの分離の初期評価には有効であるが、カラムからRa/Acを定期的に収穫する有効性をモニタするのに等しく有効であるわけではない。これは、228Raが232Thからの永年平衡に発展するのに必要となる時間が長いため、このプロセスには時間がかかるからである。それゆえ、アルファ線スペクトロスコピーによって、228Thの崩壊による224Raを直接的に観測することにより、定期的なRa/Ac回収の効率を評価するための第2の検証が行われる。
【0072】
アルファ線スペクトロスコピーは、Ra/Ac娘核種の定期的な収穫を精査する効果的な方法を提供する。Ra/Ac娘核種の収穫効率を精査する理想的な方法は、Thをカラム上へ担持させた時刻t=0から、Ra/Ac娘核種が溶出される時刻までのプロセスの効率を評価することであろう。しかしながら、232Th同位体の半減期はひどく長いため、寿命内で妥当な割合の228Ra/228Acが生成される可能性が低減または除去され、それゆえ、これらの子孫核種から収穫プロセスの効率を直接的に分析することができなくなる。したがって、間接的な手法が採用されることになる。
【0073】
図3は、
232Thの崩壊連鎖を示すプロットである。例えば、
図3は、
232Thの崩壊連鎖を示すプロットである。
図3に示すように、
228Th(半減期=1.9年)は、
232Th同位体に関する崩壊生成物のうちの一つであり、供給原料中で、
228Raおよび
228Acとともに生成される。カラムの初期供給の際、
228Thが
232Thとともにカラム内に保持される一方、Ra娘核種およびAc娘核種が溶出すると予想される。
228Th同位体は
224Raへ崩壊し、半減期が比較的短いため、3~4週間という妥当な時間枠を経て、十分な量の
224Raが蓄積できる。
224Raは、5.423MeVおよび5.340MeVにそれぞれ、明瞭なα線のサインを有する。したがって、それによって、定期的な収穫サイクルにおけるRaの内部成長挙動を研究する機会が得られる。
【0074】
アルファ線スペクトロスコピーは、各溶出バッチから収集した1mLのサンプルについて集められる。1mLの溶液は、電気メッキされ、スタブ上へ付着される。カウントは、ORTECアルファ線分析システムを用いて行う。
【0075】
(結果)
(純粋なチタニア(TiO2)によるスコーピング実験)
改質を加える前に、純粋な(改質されていない)TiO2上へのThの収着挙動を評価するために、初期スコーピング実験を純粋なチタニアに対して行う。
【0076】
(phに応じたTiO
2の分布係数(K
D))
図4は、本開示の様々な実施例による、pHに応じたTiO
2の分布係数の変化を示すプロットである。操作の適切なpHを選択するためのチタニアによるTh収着に対するpHの影響の決定について、以下に説明する。例えば、
図4に示すように、チタニア(TiO
2)によるトリウム収着は、4つの異なるpH、すなわち、それぞれ1、2、3および4のpHにおいて測定される。実験では、チタニアの量を50mgで一定に保ちつつ、Th濃度を2.5x10
-3Mから2.5x10
-2Mまで変化させた。以下の表4に示すように、所与のpHに対して、Th濃度が徐々に高まるにつれて分布係数K
dが次第に減少することが、
図4のプロットから観察され得る。
【0077】
様々な実施例において、収着材量が一定に維持されながら、保存溶液のpHが1から4まで徐々に増加するにつれて、分布係数K
dの値が増加する。条件を表4に示し、トレンドを
図4に示す。pHが4より大きい保存溶液では通常、水酸化物種としてのThの沈殿を呈する。
【0078】
【0079】
(TiO2カラム)
様々な実施例において、取り込み容量を増大させ、収着速度を向上させ得るようにカラム処理条件を調整するために、溶出速度、カラム寸法、Th供給物のpH、およびTh取り込みの向上に適したカラム材料にするための当該カラム材料の前処理に及ぶ、様々なパラメータの系統的変化の下で、カラム溶出が行われてもよい。様々なカラム条件およびThの保持率の結果を、以下の表5に示す。
【0080】
様々な実施例において、任意の接触溶液のpHをモニタすることによって評価される、TiO2/Ti-OHのpHは、供給原料pHおよび溶液中のTh濃度の小さな変化で、大きな変動を受け得る。例えば、これは、TiO2の界面動電位が、表面ヒドロキシル基のプロトン化形の脱プロトン化形に対する相対比に直接的に依存する結果であり得る。3~7のpH範囲内では、表面ヒドロキシル基のプロトン化形の脱プロトン化形に対する相対比は不明瞭となり得、溶液界面の溶液特性の小さな変化によって、容易に乱され得る。さらに、TiO2によるThの取り込みは、表面ヒドロキシル基のプロトン化形の脱プロトン化形に対する相対比に直接的に影響される。したがって、カラム全体のpHを制御して、溶液条件の不確実性によって生じ得るTh取り込みの変動を低減または除去することが有利となり得る。いくつかのアプローチが、IX材料の前処理によってカラム全体のpHを制御することに適している。
【0081】
カラム内で構成する前にTiO2を前処理する工程は、材料をpH調整溶液(pH4~8の溶液が使用され得る)と事前接触させることによって達成され得る。pH調整接触溶液は、脱イオン(de-ionized:DI)水中でHNO3/NH4OH比を調整することによって、調製される。これらの溶液を用いてTiO2を前処理すると、取り込み容量が向上することが一般的に観察されている。例外は、~8のpHである。
【0082】
別の実施例として、Th供給原料にカラムを通過させて溶出させる前に、pH調整溶液を長時間カラムに循環させる代替的な選択肢があり得る。カラムのpHは、溶出液のアリコートを定期的に調べることによって、モニタされ得る。これもTh保持率を高めることが観察されている。ただし、洗浄の際の溶出速度を制御することに利点がある。例えば、Th供給前に30~60mL/hの速度でカラム洗浄を行うと、Thの取り込みが向上し得るが、108mL/hで洗浄を行うと、Th保持率が悪化し得る。これは、高い洗浄速度がカラム内の物質構成に影響を与え(おそらく粒子がかき混ぜられて小さくなる)、その結果、Th保持率に悪影響が及ぼされた結果であり得る。
【0083】
カラムの観察に基づくと、以下の結論および説明に達し得る。
【0084】
他のパラメータがすべて一定のままであるとき、pH4の供給物からのTh保持率は、pH3の供給物からのTh保持率よりも高い。これは、バッチ平衡実験結果と整合しており、TiO2によるThの捕捉が、Ti-O-Th結合形成を生じる内圏反応機構によって駆動されるという考えをさらに支持するものである。これは、pHがより高い場合に、エネルギー的に好ましくあり得る。これらの結果は、Th保持率がおそらくTi-O-H/Ti-O-平衡に依存しており、pHが高くなるほどにTi-O-部分の割合が高くなりTh保持率が高くなることを示している。
【0085】
しかしながら、単に高pH溶液でカラムを前処理してTi-O-HからTi-O-へ実質的に完全に脱プロトン化することには、悪影響があり得る。例えば、下の表5に記載されたカラム168-16のTh保持挙動に反映されているように、より高いpHの溶液(pH~8)で樹脂を前処理すると、Th保持率が悪化し得る。これは、Th種が溶液中にとどまるのではなく、酸化物および水酸化物の集合体を形成して溶液から沈殿し得る傾向があることの結果であり得る。これらの酸化物/水酸化物の沈殿物は、チタニアの細孔内に捕捉されず、むしろ細孔を塞ぎ、より多くのThが捕捉されることを妨げ得る。このことは、Ti-O-H/Ti-O-平衡の制御とTh沈殿の防止との間に絶妙なバランスが求められることを示唆するものである。
【0086】
4~6のpH調整溶液でTiO2を前処理すると、未処理のTiO2と比較して、Th保持率が向上し得る。しかしながら、これらの前処理されたTiO2の全体的なTh保持能力は、供給物濃度、供給物pHの小さな変化、またはカラム床体積および供給物流量に影響するカラム構成に応じて、激烈かつしばしば非線形の変動を受け得る。処理済みTiO2の挙動におけるかかる不規則な変動は、4~7のpH範囲内におけるTiO2の界面動電位が、pH、溶液イオン強度、溶液濃度または物理的パラメータの小さな変化によって引き起こされ得る溶液界面特性における小さな乱れの影響を受けやすいことの結果である。
【0087】
総溶出時間が2.5mL/hである狭小な断面積を有するカラム(カラム168-23)における重力流に基づく溶出を用いると、99.6%のTh保持率が得られたことを以下に示す。他方、他のすべての因子を変更しないまま、溶出速度を5mL/hに調整した蠕動ポンプを使用して流量を上げてみると、保持率が73.3%に低下した(下の表5のカラム168-23)。このことは、TiO2によるTh収着の速度が遅いか中程度であることを示している。
【0088】
【0089】
様々な実施例によれば、ジェネレータの性能の有利な一側面は、Thが事前に崩壊した結果として供給原料中に既に存在しているThのRa/Acの子孫核種を溶出できるとともに、供給原料からThを選択的に捕捉できることである。実験項目に記載されているように、ICP-OESおよびICP-MSによる溶出液の化学的特性評価では、捕捉されるThの量をモニタし得るが、ガンマ線スペクトロスコピーでは、溶出してくるRaおよびAcをモニタすることができる。表5に示す一部のカラムのガンマ線スペクトロスコピーの結果を、以下の表6に示す。これらの実験では、カラムを通過して溶出した後のサンプル溶液を、ガンマ線スペクトロスコピーで分析する。累積結果は、228Acと228Raとの両方について、>95%の回収率を示す。このことは、Ra/AcからThを効果的に分離することに関するこのジェネレータの有効性を示す。
【0090】
以降の項目で述べるように、Ra/Ac回収率の計算精度を向上させるために、アルファ線スペクトロスコピーが行われてもよい。しかしながら、実験項目に記載されるように、228Thが崩壊して相当量の224Raが蓄積されるには、3~4週間かかるため、アルファ線スペクトロスコピーは、遂行上の理由から、一部のサンプルに限定される。
【0091】
【0092】
カラムについてまとめると、累積的なカラム結果は、カラムのpHを制御することが、Thの捕捉を増大または最大化し、Thが酸化物として沈殿しないことが保証されるようTiO2/Ti-OH比を改善するのに有利であることを示している。上記の方法は大規模にこれを達成することができるが、改善され一貫性のある、かかる制御の方法は、操作全体の再現性を確保し、手法のスケーラビリティ(拡張可能性)をより良好に制御するのに役立つ。残りの実験では、チタニアに基づく225Acジェネレータ内でpHを制御するための2つの潜在的な経路が調査される。
【0093】
pH制御のための1つの潜在的な経路は、pHの変化を緩和するために緩衝溶液を使用することである。もう一つの選択肢は、リン酸塩の官能性で表面をリン酸塩改質することであり、これによって、a)大きく十分なpH帯にわたって、安定した界面動電位がもたらされ得、b)収着速度が向上し、取り込み容量が向上し得る。
【0094】
(繰り返し溶出サイクルの影響)
図5A~
図5Dは、本開示の様々な原理による、トリウム保持率に対する溶出の効果を示す図である。様々な実施例において、280mgのTh-232を担持したリン酸塩改質TiO
2のカラムが、予測される寿命である20年間にわたる繰り返し溶出サイクルをシミュレートするために試験された。各サイクルについて、pH4のHNO
3溶液80mlを20ml/hでカラムに通し、溶出液を収集する。各12サイクルが(960ml)組み合わせられるが、これはほぼ1年間の溶出に相当する。ICP-MSで分析するために10mlのサンプルをグループから抜き取り、残りの溶液は、乾燥するまで濃縮され、20mlの2% HNO中に再溶解させられてICP-MS分析される。したがって、合計24グループが分析される。288回の溶出サイクルの後、カラムをセクションに分け、各セクションを1M HClで抽出し、吸収されたトリウムの量を分析する。次いで、その結果を、新たに供給されたカラムの同様のセクション実験と比較して、溶出サイクルの間のカラム内でのTh移動の速度を決定する。実施例では、
図5Aおよび
図5Bに示す溶出試験によって、20年相当のサイクルの間にThの著しい損失がないことが明らかになった。例えば、
図5Aおよび
図5Bに示すように、Thの総損失は、0.006~0.04mg(~0.013%)である。さらに、セクション試験では、
図5Cおよび
図5Dに示すように、溶出サイクルの間のThの著しい移動が示されなかった。
【0095】
(緩衝液の影響)
様々な実施例において、pHを約4とすることによって、酸化物または水酸化物としてThが沈殿する大きな心配をすることなく、Thがバランスよく取り込まれる。そのため、緩衝液は、このpH値付近で適切であるように選択されてもよい。それゆえ、酢酸(HOA)/酢酸ナトリウム(NaOA)緩衝液が、(i)酢酸が4.2のpKaを有し、したがって3.6~4.4のpH範囲において有効であり得ること、(ii)酢酸はThと配位することができるが、Ti-O-およびAO-の結合基の性質の類似性よりもTi-Oサイトの数が著しく多いことが優先されるためにTh-OA結合がTiO2結合に干渉する可能性は低いことから、選択され得る。
【0096】
カラム条件を改善するために、緩衝液濃度、供給原料のpH、および溶出速度を含む、様々なパラメータがテストされる。カラム運転およびその種々のパラメータのリストを、以下の表7に示す。一般に、HOA/NaOA緩衝液の使用によって、Thの取り込み容量が著しく向上し得る。~100mgのThからなる供給原料の場合には、~5gのTiO2を含むカラムによるTh保持率は、97.00~99.99%の範囲内となる。
【0097】
【0098】
様々な実施例において、緩衝液の効果を理解するために、緩衝液非存在下での取り込みが可視化され、緩衝液存在下での取り込みと比較されてもよい。緩衝液がない場合、Th陽イオンがカラムに供給されるとき、Th陽イオンがTi-O-Hのプロトンに置き換わってTi-O-Th
3+が形成され、H
+イオンが接触溶液中に放出される。かかるH
+イオンがカラム近傍でより多く放出されると、これらのイオンまたは溶媒和したヒドロニウムイオン類似体は、カラムに充填されたTiO
2の層の表面に隣接する正電荷を帯びた層を自由に形成する。これによって、他のTh陽イオンの結合に対して熱力学的な障壁を加える大きなオーバーポテンシャルが形成され得、全体的なThの取り込み容量に影響が与えられ得る。緩衝溶液が存在しない場合のカラム運転の代表例として、上の表5におけるカラム運転166-99の溶出データを
図6に示す(初期Th濃度~0.043M)。
図6では、溶出溶液量に応じた溶出液中のTh濃度のプロットが、
図6に示す溶出液のpHの変化と重ね合わせられている。
図6は、上記効果の間接的な根拠を提供している。有意なpH低下が有意なThの漏出と直接的に相関し得るからである。全体として、90%のTh保持率が観察され、Th漏出の合計は10%に達する。例えば、溶出溶液には、0.05M HNO
3が含まれてもよい。別の実施例では、溶出溶液は、0.01~10Mの範囲内の濃度のHNO
3が含まれてもよい。
【0099】
別の実施例では、カラムを0.1Mの酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液で前処理し、溶液のpHを4に調整することで、Thの漏出が大幅に阻止され、カラム運転166-109の場合のように、ほぼ同様のTh供給濃度(~0.043M)に対して、全体的なThの保持率が97%に向上し得る。これは、
図7に示すように、Thをカラムに加えたときのpHの変化がはるかに小さいことにも反映されている。Thの追加後もなお、pHの低下が観察される。これは、用いられた濃度における緩衝能力が、供給プロセス中のpH変化を定量的に緩和し、当該pH変化に抗うには不十分であったことの結果であり得る。これは予想外ではない。pH=4では、全酢酸塩の14%(または、0.1M HOA/NaOAのうち0.014M)のみが塩の形態にあると予想されるからである。カラム上でのThの捕捉がThとTi-Oとの1:1の会合を伴うと仮定すると、0.043MのThイオンをすべて捕捉するためには、多くの表面サイトがTiO
2上に必要となるだろう。0.014Mの緩衝液濃度はおそらく、これらのサイトすべてに定量的な影響を与えるには低すぎる。これは、3%の漏出を引き起こす考えられる理由であり、これは小さいが依然として定量的である。
【0100】
実際、このことは、Th濃度を半分に減らしつつ、0.25MのHOA/NaOAへと緩衝液濃度を増加させることによって確かめられる(カラム運転166-111)。その結果、この緩衝液の存在下で、Th保持率は99.99%までさらに向上し、Thの漏出は低くなった(最高点では226ppb、
図8参照)。pH4.2では、全酢酸塩種の20%、または0.25Mの緩衝液のうちの0.05Mが塩の形態にある。これによって、0.022MのThに対して、十分な緩衝能力が得られるだろう。また、酢酸塩種の存在下では、Th陽イオンは安定化しており、pH4.2でも沈殿しにくいことがあり得る。これはおそらく、酢酸塩がThと錯形成し、当該酢酸塩によってThが水酸化物として沈殿することが防止されたことの結果であり得る。
【0101】
(流量の影響)
流量は、Thの取り込みにおいて一定の役割を演じ得るが、その影響は、緩衝液がない場合のものに比べて著しく小さい。したがって、供給速度を2mL/hとした結果、Th保持率を>99.99%とすることができるが、供給速度を10mL/hに増大させると、保持率は99.8%へわずかに低下する。
【0102】
(カラムの飽和度および取り込み容量)
Thの漏出が生じないことが保証されるようにTh/IX比を改善するためには、材料の全Th取り込み容量を評価することが有用である。TiO2材料を用いた飽和実験では、6ml/hで連続的にTh供給原料溶液がカラムに供給される(カラム166-117)。このプロセスは、顕著な漏出が観察されるまで続けられ、その時点で、溶出溶液中のTh濃度は、カラムに供給される保存液のTh濃度と一致した。この研究に基づき、TiO2材料のTh担持能力は、~50mg/g Th/TiO2と決定された。
【0103】
様々な実施例において、飽和後、2000mLのDI水を通してカラムを十分に洗浄する。漏出後の溶出液中にThのわずかな痕跡が~100mLまで観察される。これは、漏出からの繰り越しと推定される。その後、
図9に示すように、溶出液中のTh濃度は急速に低下した。さらに、挿入図に示すように、漏出からのTh繰り越しの痕跡が実質的に完全に洗い流された後、溶出液中のTh濃度は、ICP-MSによって決定されたように、100ppbに低下した。さらに1000mLのDI水を用いてカラムを溶出させると、Th濃度は100ppbを大きく下回った。これは、カラムからのThの放出または浸出がほとんどないことを示唆している。溶出液中のTh濃度がこのように低いということは、Thがカラムに強く結合し、結果として保持率が向上したことを示している。浸出挙動のより詳細な研究については後述する。
【0104】
第2のカラムは、流量2ml/hで、90%飽和まで供給された(カラム166-122)。飽和が近いため、Thの漏出が7.2ppmと高くなった。これにもかかわらず、全体的なTh保持率は、99.95%であった。このため、式[4]に基づけば、100回の分離後にカラム内に残留するThは、95.1%に達する。分離サイクル数に応じた225Ac溶出後の229Thの詳細な一覧を表11に示す。
【0105】
【0106】
(スケーラビリティ)
TiO
2によるThの定量的保持に基づき、供給原料中のTh含有量とカラム床体積との両方を1桁増加させたときのTh保持率のスケーラビリティを評価した。したがって、ここでは、1.005gのThを500mLの0.25M HOA/NaOA緩衝溶液中に溶解させ、51.6gのTiO
2からなるカラム(床体積=37mL)に通じて、10mL/hの流量で溶出させた。溶出量に応じた溶出液中のTh濃度および溶出液のpHの変化に関するカラムの挙動を、
図11に示す。Thの保持率に関しては、Thの漏出は、ICP-OESの検出限界未満であり得るが、ICP-MSによって、累積的なThの漏出が約5ppbであり、全体的な保持率が>99.99%に達することが明らかになった。これは、5mLのカラムと比較して、より大きなカラムでは、一見してThの漏出がより低く、結果として、Th保持率がより高いことを示唆している。これは、より大きなカラムの寸法のためにThがTiO
2とより接触するようになった結果であり得る。5mLカラムの場合の12mmと比較して、スケールアップしたカラムの直径は26.5mmと測定される。直径26.5mmのカラムにおいて流量が10mL/hであるときの単位横断面積当たりの流量は、直径12mmのカラムにおいて流量が2mL/hであることに相当する。さらにこの場合、カラム長も5mLカラムの場合のほぼ2倍(67mm対33mm)であり、その結果、Thとカラムの接触長も2倍になる。これらの累積的な効果により、スケールアップした場合に、より優れたTh保持率が得られる。
【0107】
(TIO2カラムからのThストリッピング/回収)
TiO2をベースとするIXのカラムは、RaおよびAcを定期的に収穫するためのロバストで便利な構成をもたらす。しかしながら、TiO2材料が時間とともに放射線の影響を受けやすいことが判明し、当該材料が廃止され得る場合には、貴重な229Thを回収するためのストリッピング法が利用可能であり得る。
【0108】
例えば、代表的な一例として、Thを供給する前のカラム166-111に対して、1M HClを用いて、ストリッピング法が用いられてもよい。ストリッピングプロセスは、
図12の上図に示す溶液量に応じたストリッピング溶液中のTh濃度のプロットに示すように、カラムを通じたHCl溶出によって誘起される、比較的簡単なものであり得る。この溶液は、Thを定量的にストリッピングでき、Thの大部分が初めの15mL(または、~4カラム床体積)の中に溶出されることが観察される。溶出グラフを詳しく見ると、
図12の下図に示すように、それぞれ135mLおよび180mLのストリッピング体積において、Th濃度のスパイクが見られる。これらのスパイクは、ストリッピングプロセスの残りの部分と比較してカラムが長期間ストリッピング溶液と接触したままになっている2つの偶然の事象の結果である。その時点は、
図12の下図内に示されている。これにより、カラムからのTh放出が、適度に強力なストリッピング溶液(例えば、1M HCl)の存在下でも、緩慢な脱着速度に従うことが、実際に示唆される。したがって、HClとTiO
2基材との接触時間を増大させて、Th種のより効率的で均一なカラムからの溶出を促進すると同時に、総濯ぎ量の低減を可能にすることが望ましいだろう。しかしながら、かかる接触時間は、Tiの可溶化を制限するために改善され得る。
【0109】
様々な実施例において、実際の回収率は、100.0±0.001%に実質的に等しい。これは、担持(供給)、溶出またはストリッピングプロセスの間に、Thの著しい損失がないことを示唆している。定量的なTh回収のためのこの方法の実現可能性の実証に加えて、これらの観察結果は、Thの物質(質量)収支を保つ全体的なプロセスも実証している。元素分析も、カラムの材料の目に見える損失がないことが保証されるよう、Tiのストリッピング後の溶出溶液について行われる;ICP-OESによれば、Ti濃度は、カラム全体を通して5~17ppm未満を維持している。この小さな質量損失は、処理条件に基づいて予想されるものであり、多量の不純物がTh保存液に混入していないことを示している。
【0110】
(TIO
2カラムからの順次のAc/Raの収穫および回収)
ジェネレータの性能の一側面は、生成されたRa/Ac子孫核種をカラムから定期的に収穫および溶出させる能力である。これを調べるために、アルファ線スペクトロスコピーを用いて、
228Thの崩壊による
224Raの蓄積を精査する。Thを担持した2種類のカラムを、Ac/Ra収穫について試験した。供給(担持)直後、カラムは繰り返し洗浄され、その結果、供給(担持)時にTh供給原料中に存在するすべてのRaおよびAcの子孫核種が溶出した。
図13に示すように、このことはガンマ線スペクトロスコピーによって確かめられ、洗浄液において~100%のRa/Ac回収率が示された。洗浄後、カラムを3~4週間静置し、
228Thの崩壊によって
224Raを蓄積させる。その後、カラムを濯いで、アルファ線スペクトロスコピーを用いて、
224Raを収集およびモニタすることができるだろう。残念ながら、
232Thの半減期が長いため、収穫サイクルにおいて
228Acを検出することはできない。
【0111】
カラム166-96は、2回の収穫サイクルに供され、当該カラムは、pH4に維持された0.25M HOA/NaOA緩衝溶液を用いて、60mL/hの溶出速度で洗浄される。1回目のサイクルでは、95%の225Raの回収が40mLの溶出液(~11床体積)中で観察され、2回目の収穫では、60mLの溶出液(~16床体積が使用される)で同様の回収が観察された。カラム166-101は、1回の収穫サイクルに供され、同様の緩衝溶液を用いて同じ溶出速度で溶出される。ここでは、97%の225Ra回収が、60mlの溶出液(~16床体積)において観察される。総床体積の>95%の溶出はかなりの累積溶液量に達するが、寄与因子として流量(流速)の速さがある。後の濃縮時間を低減するために溶出量の低減が望まれる場合には、より遅い溶出速度が使用され得ることが予想される。
【0112】
様々な実施例において、これらすべてのカラムについて、Thの漏出もモニタされ得る。全体的な漏出濃度は低く、カラム上へ担持させたTh総量の0.001%未満の損失に相当する。また、Th濃度はカラム166-101において急激に上昇し、その後、濯ぎ中に減少した。これは、TiO2からのThの放出が遅く、時間とともに徐々に蓄積したことを示している。長時間の濯ぎでは、ICP-MSによって検出可能な限界を超えるThのさらなる損失は見られなかったことから、カラム内のTh保持率が高く、脱着速度が低いことが示された。
【0113】
(カラムにおけるTh保持)
上述したように、Th供給後の3~4週間ごとに、pH~4の緩衝溶液を使用して定期的にカラムを広範囲に濯ぎ、Ra/Acを収穫してもよい。この間、Th保持の有効性を評価するため、溶出液は溶出液内へのTh浸出について試験される。いずれの場合も、Thの累積損失は、カラム上へ担持させたTh総量の0.001%未満である。実際、強酸性ストリッピング溶液(例えば、1M HCl等)でカラムを処理しない限り、Thの損失は観察されない。このことは、カラム内でThがロバストに構成されていることを示しており、Th保持率が高く、結果として、ThのTiO2への親和力が高いことが示唆される。
【0114】
(リン酸塩によるチタニアの表面改質の影響)
(表面改質チタニアの調製)
様々な実施例において、チタニアの表面構造を、リン酸塩の官能性で改質してもよい。しかしながら、TiO2の結合傾向および収着能力に大きく寄与する因子は、その表面電荷および細孔構造によって規定される。表面改質チタニアが、チタニアの粒径、ポロシティおよび/または構造的完全性に有害な影響を与え、またはそうでなければ、材料の結合もしくは化学親和力を低下させることになるか否かは不明である。このシステムにおけるリン酸塩改質の実際の効果を決定するために、以下の実験を行った。
【0115】
(材料の特性評価)
図14は、本開示の様々な実施例による、表面改質TiO
2材料の複数のSEM写真を示す。固体のX線回折分析から、それらの回折がTiO
2のアナターゼ相と一致する単一相と一致することが明らかになった。SEM観察結果から、TP168-36-1材料が、出発TiO
2材料と同様の平均粒径分布(~70-80μmの平均直径)を有する一方、他の3つは、より小さい粒径(~5-10μmの平均直径)を有することが明らかになった(代表的な走査型電子顕微鏡写真を、
図14に示す)。これは、長時間の反応時間、熱活性化および攪拌速度の向上によるより高い攪拌を伴う反応条件によって、粒子の攪拌が促進され、結果として粒子がより小さなサイズに破壊されたことの結果であると推定され、粒径の制御において攪拌速度が支配的な影響を有することが観察された。
【0116】
図15A~
図15Dは、本開示の様々な原理による、TiO
2出発物質のSEM写真、および合成された物質のSEM写真である。
図15Aおよび
図15Bでは、出発物質の粒径が示されており、40μmから200μmまで様々であることがわかる。これは、製造業者による110μmという平均サイズの特定と合致するものである。
図15Cおよび
図15Dには、50μmから170μmまで様々である、合成後の材料の粒径が示されているが、顕著な破壊は観察されない。
【0117】
(バッチ収着)
図16は、本開示の様々な実施例による、pHに応じたTiO
2および表面改質TiO
2の分布係数の変化を示すプロットである。任意の収着材の収着挙動において速度が役割を演じ、優れた収着材の特質は、迅速な取り込み速度と緩慢な脱着速度である。それゆえ、表面改質TiO
2材料のTh収着の速度と、市販のTiO
2のTh収着速度との比較および対照を以下に述べる。~50mgの各収着材料を、pH~3の2.5mM Th保存溶液10mLと個々に接触させて、取り込み速度がモニタされる。収着材とTh溶液の均一な接触は、接触溶液の均一な振とうによって保証され、そこからアリコートが定期的に取り出され、上澄み液中のTh含有量が決定される。
【0118】
これらの条件下において、非改質TiO
2については、取り込み速度は、遅いか中程度であり得る。4.6時間の接触後のK
d値は~28で、最大で107に達した後、262時間後に~110でほぼ横ばい状態(プラトー)となった。他方、表面改質チタニアは収着速度の著しい向上を呈し、収着速度は粒径に依存しているようであった。粒径が小さいほど、収着速度は良好となった。したがって、市販のチタニアとほぼ一致する平均粒径を有するTP168-36-1は、4時間の接触後には~60のK
d値を示し、そして上昇を続けた。340時間のモニタリング後には、K
d値は340に達し、K
dの経時的な増加率は、横ばい状態にはまだ達していないものの、大幅に漸減していた。対照的に、~5μmの平均粒径を有するTP168-31-1複合材料は、試験された材料の中で最も良好な収着速度を示し、4.2時間後にK
d値は~240に達し、最終的に、330時間後にK
d値が~610となって漸減した。K
dの経時的な変動のオーバーレイを
図16に示す。様々な実施例において、P-改質チタニア材料は、おおよそ、5~10μm、30μm、および70~80μmのうちの1つの平均粒径を有する。別の実施例では、P-改質チタニア材料は、5~100μmの範囲内の平均粒径を有する。
【0119】
純粋なTiO2からリン酸塩改質TiO2に移行する際の分布係数の大幅な向上は、これらの改質材料をAcジェネレータにおけるIX樹脂として使用することへの見込みを示すものである。さらに、収着材と30日間接触させた後、各々の上澄み接触溶液をモニタしたところ、上澄み液中にThの新たな内部発生は見られなかったことから、複合材料からのThの脱着はほとんどないことが示唆される。その後のカラムには、TP168-31-1およびTP168-36-1を選択した。TP168-31-1は、他の収着材と比較して、Kdが優れているため選択された。他方、TP168-36-1は、非改質のTiO2材料を最も代表する粒径を有し、結果として、流量に対する物質抵抗および床体積等の物理的なカラム運転パラメータが、非改質の材料と同様であると予想される。選択された材料の4時間後および200時間後のKd値を、それぞれ表8に示す。
【0120】
【0121】
(カラム)
バッチ実験によって示されるように、リン酸塩改質TiO2材料の分布係数の著しい向上に基づき、さまざまな可変的なTh濃度、流量、溶出速度のパラメータの下に、カラム交換が行われ得る。カラム実験は、上述した理由から、TP168-36-1材料およびTP168-31-1材料に焦点を当てて行われ得る。結果を表9に示す。概して、非常に優れたTh取り込みが、すべてのカラムについて一律に観察される。Th取り込みの範囲は、最悪の場合には99.253±0.004%であり、最良の場合には99.999±0.001%への向上を示した。この場合において、Th損失は、ICP-MS機器の検出限界未満であった。それゆえ、TP168-36-1材料については、10mL/hで比較的速く供給すると、99.253%の保持率または0.747%のTh漏出(カラム168-56)となり得るが、2mL/hへと供給を減速すると、Th損失がICP-MS検出限界を超えて検出されない程度にTh保持率が向上した。なお、Th除去率が99.999%であることは、上式[4]に基づいて、200回の分離バッチ後に99.8%のThが残存することに相当する(表11に示す)。TiO2/Thの比率を向上させ、または緩衝液を使用することによっても、Thの除去および捕捉において、同様の改善が生じた。
【0122】
TP168-31-1材料については、緩衝液なしに10mL/hで比較的速く供給を行う場合でも、>99.999%のTh保持率が得られた。このことから、非改質のTiO2が示す遅い/中程度の速度が、リン酸塩改質材料では克服された結果、収着速度がより速くなったことが分かる。これは、上述したバッチ接触速度の結果を裏付けている。非改質のTiO2またはTP168-36-1の体積/質量比が0.72mL/gであるのに対して、TP168-31-1材料は、粒径が著しく小さいため、体積/質量比が1.6mL/gとなり有利である。このことは、TP168-31-1材料では5gの材料を収容するのに10mLのカラムが必要となることにも現れており、これは同じ質量のTiO2またはTP168-36-1の床体積が3.7mLであるのと比較して、5gのTP168-31-1の床体積が~7.7mLと測定されることから明らかである。したがって、この材料による保持率の向上は、(i)この材料の活性表面積の向上によってThがより効果的に接触し、結果として取り込みが良好になること、(ii)体積/質量比の増加によってThと材料との接触時間が増大し、このことが良好な取り込みにさらに寄与すること、の組み合わせである。例えば、TP168-31-1の場合、粒径が小さいため、溶出速度が著しく速い場合に背圧が強くなり、カラムの機械的漏出または破損につながり得る。したがって、この材料を使用したカラムを破損なく安全に操作するためには、流量を5~10mL/hに維持することが推奨される。
【0123】
要約すると、リン酸塩改質TiO2をベースとする材料は、緩衝溶液の存在なしに、そしてThの供給速度を遅くする必要なしに、ほぼ定量的なThの取り込みを示し、それゆえ、非改質のTiO2と比較して、より優れたTh取り込み容量とより速いTh収着速度とを示す。このように緩衝液を必要とせずに定量的にThを取り込むことができることによって、処理後の精製工程が大幅に削減され、Acの生成および回収のプロセス全体の簡略化が促進される。
【0124】
【0125】
(カラム内のThとRa/Ac取り込みとの関係)
図15~
図17は、本開示の様々な実施例による、
228Raおよび
228Acの放射能および回収率を示すプロットである。Thをカラムに供給した後、
232Thの子孫核種、すなわち
228Raおよび
228Acの回収率を精査するために、溶出画分に対してガンマ線スペクトロスコピーが行われる。一部のカラム運転についての
228Raおよび
228Acの回収率を、表10に示す。
【0126】
【0127】
図17に示すように、合計4.5gのIX材料に対して供給原料中の総Th濃度が0.093gまたは~371Bqである場合(カラム168-50)、>99%の
228Acの回収率が観察される。特に、46%の
228Raの回収率しか観察されないが、これは、残りの物質がカラム内に保持されていることを示唆している。この結果は、純粋なTiO
2について観察された結果(
図18に示すカラム166-96の代表例)とは対照的であり、カラム内の表面リン酸基にRaが結合した結果と推定される。このことから、リン酸塩改質TiO
2がRaに対していくぶんの親和性を有する一方で、ほぼ定量的なAc回収は、当該樹脂がAcに対して親和性を有しないことを示すことがさらに示唆される。例えば、
図19に示すように、供給物中のTh濃度が0.174gまたは~708Bqと約2倍となった場合(カラム168-56)、
228Ac回収率は、98%と依然としてほぼ定量的である一方、
228Ra回収率は、~70%に増加する。このことは、リン酸塩改質チタニアの親和性が、Raと比較してThに対してより大きいことを示唆している。371Bqという、より低いTh濃度では、Raが結合するのに利用できる表面サイトはより多くなる。IX樹脂の量を増大させずにTh濃度を上げると、改質チタニア上のより多くの表面サイトをThが占めることとなり、Raが利用できるサイトが少なくなる。そのため、より高い濃度のRaが捕捉されずにカラムを通過し、より多く回収されることとなる。したがって、Thならびにその2つの娘核種であるRaおよびAcに対する樹脂の結合親和性は、次の傾向に従う:Th>>Ra>>Ac。Ra/Acの溶出挙動を説明する概略図を、
図20に示す。
【0128】
図20は、本開示の様々な実施例による、Th供給に応じた
228Raおよび
228Acの溶出挙動の概略図である。一実施例では、リン酸塩改質IX樹脂がRaとAcとの両方と比較してThに対して示す優先性は、相対電荷および電荷密度に基づいて予想される。溶出液中における>95%という安定したAc回収率は、望ましい結果である。Raとリン酸塩との相互作用は驚くべきことではない。Ra-PO
4
3-相互作用が、骨癌へのTAT適用における
223Raの医学的利用の基礎となっていることからである。実際、Raに対する材料の結合親和性は、Thとその子孫核種のRaとの両方が捕捉される一方でAcが溶出する、新たなジェネレータクラスの可能性を開くものである。これによって、以降のRa/Ac分離工程の必要性が低減または除去され得、プロセスフローシートが簡略化され得る。
【0129】
(取り込み容量)
図19および
図20は、本開示の様々な実施例による、Th飽和の際の溶出グラフの例である。良好なジェネレータ材料の望ましい特徴は、Thに対する高い取り込み容量である。取り込み容量の高さは、適度に小さな床体積のカラム材料内でThが予備濃縮されることを示す。このことは、溶出時のAcの濃度の高さにつながるであろう。実際、このことは、取り込み容量が高い場合に、溶出画分を濃縮するための続く蒸発工程が実質的に削減され、または不要になることにつながり得る。Thに対するより高い取り込み傾向、より速い取り込み速度および遅い脱着速度に動機づけられて、2セットの材料、すなわち、TP168-31-1およびTP168-36-1の取り込み容量が、飽和実験(それぞれ、カラム168-56およびカラム168-66の続き)によって研究された。このプロセスは、Th含有保存液を材料のカラムに通し、その後、それを十分に洗浄するというサイクルの繰り返しからなる。このプロセスは、カラムを通過した保存液中のTh濃度が、溶出するTh濃度に一致するまで繰り返される。このことは、カラムがその容量に達したことを示す。
【0130】
両方の材料について、~5.0gの全材料が使用される。TP168-36-1材料については、それは、~3.5mLのカラム床体積に相当し、TP168-31-1については、それは、~8mLの床体積に相当する。TP168-31-1の床体積がより大きいのは、その粒径がより小さいためであり、その結果、単位質量当たりの接触表面量はより大きくなる。
図21には、4.9gのTP168-36-1材料についての代表的な溶出グラフが示されている。Thの漏出が、溶出体積の関数としてプロットされている。ますます多くのThがカラムに供給されるにつれて、溶出濃度が供給物のTh濃度に等しくなるまで、ますます多くのThが溶出液とともに漏出することが観察される。このように漏出量がより多くなることは、驚くべきことではない;Thが上方の層を飽和させると、ますます多くのThが下方の層に到達して、その一部が中程度の収着速度のために漏出するのである。飽和前においては、供給速度を著しく遅くする場合、Thの漏出量は著しく少なくなるであろうと予想できる。
図21には示されていないが、TP168-36-1材料を用いたカラムでは、0.524gのThにおいて完全飽和に達する。これは、TP168-36-1 1.0gにつき~0.107gのTh取り込み容量があることに相当する。
図22に示すように、TP168-31-1について実施された同様の研究では、収着材料1.0gにつき>0.140gのTh取り込み容量があることが示された。上の例は、TP168-36-1材料のTh容量がTiO2のTh容量の2倍であり、TP168-31-1材料のTh容量が純粋なTiO
2のTh容量の3倍を超えることを示している。
【0131】
(AcおよびRaの溶出、ならびにそれに続くRaの収穫)
先に述べたように、ジェネレータの選択基準の一つは、生成されるRa/Ac子孫核種のカラムからの回収効率である。これらの娘核種の回収効率を精査する効果的な方法は、アルファ線スペクトロスコピーを通じて、228Thの崩壊による224Raの蓄積を精査することである。上に示したように、リン酸塩改質材料の場合、リン酸塩改質材料によるRaの収着が観察される。それゆえ、複雑にならないように、Thで飽和したカラム168-56およびカラム168-66を用いる。
【0132】
先に述べたように、カラム168-56には、4.9gのTP168-36-1が充填されている。TP168-36-1のサイズおよび密度は、非改質のTiO2と同様であり、床体積は、3.7mLに相当する。224Raの回収率を調べるため、最初のTh供給から20日間後に、pHを4に調整した水溶液を用いてカラムを溶出させる。30mL/hの溶出速度を用いる。10mLの溶出液内において、合計95%の225Raの回収が観察される。これは、~3の床体積に相当する。これは、非改質のTiO2と比較して、溶出体積が大幅に減少することを示している。おそらく、改質材料の親和性がより高いために、より小さな質量/体積の収着材内にThが予備濃縮されるためであろう。例えば、アルファ線スペクトロスコピーでは、Thが検出されない。このことは、Thが効率的に保持される結果、カラムからのThの漏出が起こらないことを示している。
【0133】
他方、カラム168-66には、4.9gのTP168-31-1が充填されている。TP168-31-1材料では、体積/質量比がかなり高くなっており、床体積は8.1mLとなる。224Raの回収率を調べるため、最初のTh供給から21日間後に、pHを4に調整した水溶液を用いてカラムを溶出させる。30mL/hの溶出速度を用いる。20mLの溶出液内において、合計95%の225Ra回収が観察される。これは、~2.5の床体積に相当する。TP168-36-1材料の場合と同様に、カラムからのThの漏出は検出されなかった。
【0134】
(カラム内のTh保持、およびP損失)
TiO2をベースとするIX樹脂の場合と同様に、リン酸塩改質カラムでも同様の高いTh保持率が観察された。TiO2をベースとするIX樹脂と同様に、Th供給後のリン酸塩カラムは、pHが~4の溶液を用いて、3~4週間ごとに定期的に広範囲に濯がれ、Ra/Acが収穫される。この間、Th保持の有効性を評価するため、溶出液内へのTh浸出についても溶出液が試験される。これらの場合の各々において、累積的なTh損失は、カラム上へ担持させたTh総量の0.001%未満であった。このことから、Th保持率が高いことと、その結果として、リン酸塩をベースとする樹脂に対するThの親和性も高いこととが分かる。
【0135】
追加の実験のセットでは、溶出工程および洗浄工程の各々においてカラムから放出されるPの量が評価された。Pの損失を低減または除去して制限するために、カラムに充填した後のリン酸塩改質材料にThを担持させる前に、pH4の溶液を用いて広範囲に洗浄される。Thを供給する前に、洗浄の初期段階では溶出液中にかなりの量のPが観察されるものの、5~7の床体積内で~50ppm未満に急速に低下したことが観察される。その後、Thの洗浄とその後のRa/Ac溶出のサイクルとの両方において、目立ったPの損失は観察されず、Pは最大でも、<10ppmであった。Thを供給する前にカラムをより強力に洗浄すれば、Pの損失がさらに低くなり得ることが見込まれる。
【0136】
(リン酸塩をベースとする材料のカラム設計の考察)
リン酸塩改質チタニアは、非改質のTiO2と比較して、Th取り込み容量がより優れ、Th収着速度がより速く、Th保持率が改善されている。試験した材料の中でもとりわけ、TP168-31-1は、最速のTh収着速度および最高のTh取り込み容量を有する。しかしながら、この材料は、非改質のTiO2と比べて、かなりのサイズ差がある;このため、この材料はTiO2よりも、表面積/質量比がかなり大きい。そのため、同じ質量の収着材に対して、TiO2に必要とされるカラム体積の2倍のカラム体積が必要となる。一方、TP168-36-1材料も、TP168-31-1ほどではないにせよ、非改質のTiO2と比較して、かなりの改善を示す。この材料は、非改質のTiO2と同様の粒径および密度を有するため、TiO2と同様のカラム構成で使用できる。
【0137】
(実験的結論)
本研究の全体的な目的は、(i)供給原料からThを定量的に取り込み、その子孫核種からThを分離するため、そして(ii)第二に、Ra/Ac娘核種を定期的に収穫できるように、長期間、Thを固定化して保持するために、カラム構成につくられたTiO2およびリン酸塩改質TiO2無機イオン交換樹脂の実現可能性を試験することである。
【0138】
様々な実施例において、未処理のTiO2は、中程度のTh取り込み容量、および緩慢なThの収着速度を示すことが実証された。しかしながら、(i)HOA/NaOA緩衝溶液を用いて処理するか、あるいは、(ii)親和性の高いリン酸基を用いてTiO2の表面を改質するかのいずれかによって、TiO2を前処理すると、取り込み容量が著しく向上した。さらに、リン酸塩を用いてTiO2を表面官能化することによって、脱着速度が遅くなる一方で、収着速度が著しく向上した。
【0139】
Thを担持したカラムを定期的に濯ぐことによって実証されるように、これらの材料は概して、高いTh保持率を示し、溶出液を用いてもThが溶出しないか、またはごく微量のThしか浸出しないことが分かる。生成サイクル毎のTh損失は、0.01%未満である。一方、AcおよびRaの娘核種は、定期的に増大するためカラムから簡便に収穫できるだろう。このことは、これがAcジェネレータとして理想的な構成であることを示す。さらに、中程度の濃度の酸性溶液を用いてカラムを意図的にストリッピングすると、Thが定量的に回収されることが示された。このことは、Thの物質収支がカラム運転中も保たれていることを示す。
【0140】
したがって、様々な実施例において、TiO2とリン酸塩改質TiO2との両材料は、225Acのためのジェネレータとしての改善された選択肢をもたらし、ジェネレータにおいて望まれるすべての必要な質をもたらす。
【0141】
一実施例では、非改質のTiO2に緩衝溶液を用いるか、あるいは、緩衝液の存在なしにリン酸塩改質TiO2を用いるかのいずれかを採用するカラム構成において、一貫して、供給原料からのTh捕捉率が~100%であることが示された。
【0142】
さらに、99.999%のThの保持が観察され、複数のカラムバッチにわたって複数回の洗浄および溶出サイクルを繰り返しても、Thの質量損失が観察されなかった。このことは、Th親和力の強さと脱着速度の低さとを示す。
【0143】
別の一実施例では、Thの供給後に1MのHCl溶液を用いてカラムを意図的にストリッピングすると、100%のThが回収されることが実証された。
【0144】
さらなる一実施例では、上式[2]に与え下表11に示すように、99.99%を超えるThの物質収支および回収率が、225Acジェネレータの長期的な成功確率における決定因子となり得る。
【0145】
リン酸塩改質チタニアは、非改質のTiO2と比較して、緩衝溶液の必要なしにThの捕捉容量が向上する(例えば、捕捉容量が3倍以上となる)という、さらなる利点をもたらす。取り込み容量が向上することで、より少ないカラム床体積内にThがあらかじめ濃縮されているようになり、その結果、Ac溶出の際に必要な溶出液の量が少なくなる。このことは、緩衝液の必要性の低減または除去と相俟って、Ac溶出後の濃縮工程および精製工程を削減し、プロセス全体を簡略化する。
【0146】
非改質のTiO2のTh収着速度が遅い/中程度であることは、表面をリン酸塩改質することによって克服される。後者の場合、2mL/hから10mL/hへ供給速度を増加させても効果はあまり観察されないことから、収着速度の著しい向上が示唆される。それはおそらく、非改質のTiO2における酸化物バインダと比べて、PO4
3-のTh親和性が高いためである。
【0147】
このカラム構成は、操作のフレキシビリティに合わせたフォーマットを提供する;それによって、煩雑で手間のかかる前処理工程または後処理工程の必要なく、Thを固定化してAc回収のための定期的な洗浄に供することができる構成が可能となる。
【0148】
【0149】
様々な実施例によれば、リン酸塩改質TiO2をベースとする材料は、緩衝溶液の存在なしに、そしてThの供給速度を遅くする必要なしに、ほぼ定量的なTh取り込みを示す。それゆえ、非改質のTiO2と比較して、より優れたTh取り込み容量とより速いTh収着速度とを示す。このように緩衝液を必要とせずに定量的にThを取り込むことができることによって、処理後の精製工程が大幅に削減され、Acの生成および回収のプロセス全体の簡略化が促進される。
【0150】
(IX材料上へのRa収着を低減するための処理)
図23は、本開示の様々な実施例に従って、カラム内のIX材料上へのRa収着を低減し、それによってRaの回収を増大させる方法の一例を示す。図示の例では、Th供給原料を、IX材料を収容するカラムに通して、カラムにThを供給する。
図23にはリン酸塩改質チタニアとして示されているものの、IX材料は、上述したリン酸塩改質チタニア、緩衝したチタニアもしくは非改質チタニアのうちのいずれか1つのIX材料であってもよく、または、これらのIX材料のうちの2つ以上のIX材料の組み合わせであってもよいだろう。
【0151】
Thをカラムに担持させた後、四価のM4+陽イオン塩(M4+の代表例は、Ti4+およびZr4+)の二次溶液をカラムに通すことになる。この結果、十分な濃度のM4+がカラムに通されるならば、Th4+によって占められていないカラム上の空きサイトを、これらのイオンが埋めることになる。四価の金属イオンを用いることで、RaおよびAcからの分離、ならびに、Thからの精製の手段が提供される。カラム上に収着されずに溶出する余剰のM4+イオンは、UTEVAカラムによって捕捉されることとなる。
【0152】
このプロセス全体の結果、カラム上の捕捉サイトは占められることになる。したがって、Thが崩壊する際にAcとともに生成されるRaは、利用可能なサイトをカラム上に有せず、通過することになる。
【0153】
(Acジェネレータとしての使用に適したカラム設計)
図24は、IX材料が充填されたカラムの形態のジェネレータの一例を示す。ジェネレータ2400は、内部キャビティを画定する円筒状カラム本体2402と、係合時に当該キャビティをシールする頂部または蓋部分2404と、原料物質(すなわち、上述した形態のうちのいずれかの形態のIX材料)を収容する内部チャンバ2414を画定する底部2406と、を含む。頂部2404および底部2406のうちの一方または両方は、原料物質をジェネレータ2400に挿入し、または原料物質をジェネレータ2400から除去できるように、本体2402に取り外し可能に取り付けられてもよい。これは、任意の公知のシステム(例えば蓋部分上および円筒形本体内における、互いに対応するねじ山部分(図示せず)等)によって達成されてもよい。あるいは、ジェネレータ2400は、単体構造であってもよく、シール可能なアクセスポート(図示せず)を通じて、またはジェネレータを構成する際に、原料物質が装填されてもよい。
【0154】
図24に示す実施例では、2つの流体フローバルブ2408、2410が設けられている。第1バルブ2408(一部の例では、出力バリュー(output value)であり得る)は、頂部2404に設けられており、第2バルブ2410(一部の例では、入力(流入)バルブ(input valve)であり得る)は、底部2406に設けられている。さらに別の一実施形態では、ジェネレータは、例えば、ガスが流出できるように、または、バルブまたはアクセスポートを通じて抽出物質をジェネレータに注入させるのではなく、ジェネレータが抽出物質に浸漬されるように、蓋の係合時に完全にはシールされなくてもよい。バルブ2408、バルブ2410は、それぞれ、ジェネレータ2400の頂部および底部に示されているが、当業者であれば、バルブ2408、バルブ2410は、任意の適切な位置および/または向きに配置することができ、必ずしもジェネレータにおける互いに反対の側に配置されなくてもよいことを認識するであろう。同様に、図示した単純な頂部および底部の構成に代えて、任意の種類、形状または数のバルブ、U字管または開口部がアクセスポートのために用いられてもよい。例えば、1つのバルブ2408または追加のバルブ(図示せず)が、入力(流入)、出力(流出)、冗長性のいずれかのためのアクセスポートとして、ならびに/または、抽出物質および/もしくはジェネレータの安全対策として用いられてもよい。単純な一構成では、ジェネレータ2400は、例えばボトルまたはビーカーのように、1つのアクセスポートのみを有してもよい。
【0155】
ジェネレータ2400は、原料物質チャンバの外部と内部との両方において、任意の形状を有してもよい。例えば、ジェネレータ2400は、ほんのいくつかの例をあげれば、図示のカプセル状(球面円筒状)、円筒状、球状、円錐状、角錐状、円錐台状または角錐台状を含む、任意の形状をとってもよい。
【0156】
任意の数、種類および構成のアクセスポート、バルブ、シャックル、コネクタ、接触点またはその他の補助コンポーネントが、所望に応じて用いられてもよい。例えば、図示の実施例では、ジェネレータが流動床反応器または充填床接触反応器として容易に用いられ得るように、ディフューザ2412が設けられている。この実施例では、ディフューザは、原料物質(例えば、粒子状物質)の通過を防止または低減するようなサイズの穿孔を有する、多孔板の形態である。しかしながら、底部バルブ2410から導入される溶媒は、ディフューザ2412を容易に通過し、原料物質と接触するようになる。これは、ジェネレータ上に設けられ得るであろう補助コンポーネントの、ほんの一例に過ぎない。例えば、追加のディフューザ、マニホールド、溶媒流を均等に分配するためのバッフル、非円筒形内部形状の原料物質チャンバ/キャビティ2414、流れを方向付けるためのバッフル等の、追加の補助コンポーネントを有するジェネレータに、種々の多くの流動床反応器設計を組み込むことができるだろう。
【0157】
ジェネレータは、使用対象となるある物理的形態の原料物質の挿入および除去を容易にする開口部を備えるように、作製されてもよい。例えば、上述したように1または複数の大きな塊の原料物質が使用される場合、ジェネレータには、それらの塊の挿入および除去を可能にする比較的大きな開口部が設けられてもよい。これにより、原料物質が使用済みとなった後に、ジェネレータを再使用できるだろう。あるいは、ジェネレータは、原料物質が当該ジェネレータとともに処分されることを意図して、原料物質の周辺に構成されてもよく、原料物質が十分に使用済みとなったジェネレータから当該原料物質を除去するための準備がなくなり、廃棄物および/または廃棄物処理がされ得る。
【0158】
図25は、
225Ra(t
1/2=14.9日)を
225Ac(t
1/2=9.92日)から分離するための分離システムおよび分離方法の別の一実施例を示す。
図25に示すように、このシステムには、
225Acの精製のために、イオンクロマトグラフィセクション2520が用いられる。イオンクロマトグラフィセクション2520では、第1のカラム2510内にクロマトグラフィ樹脂(例えば、UTEVA樹脂またはEichrom樹脂)が用いられ、第2のカラム2530内に希土類樹脂が用いられる。
【0159】
一例として、225Raおよび225Acを乾燥させて、4M HNO3中に溶解させ、または4M HNO3となるように希釈した後に、イオンクロマトグラフィセクション2520を通過させてもよい。一例として、溶液は、UTEVA樹脂2510を通過させ、次いで、希土類(rare earth:RE)樹脂2530を通過させてもよい。例えば、225Ra物質および225Ac物質は、UTEVA樹脂2510を通過させた後、HNO3の溶液(例えば、0.05M HNO3)中に溶解させられてもよい。様々な実施例において、HNO3の溶液中に溶解させられた後、希釈された225Ra物質および225Ac物質は、RE樹脂2530を通過させられてもよい。RE樹脂2530において、225AcがRE樹脂2530上に収着して、225Ac物質2540が生成され得、残留量の225Ra2545が生成され得る。樹脂2530は、RE樹脂として記載されているものの、DGA樹脂であってもよい。
【0160】
イオンクロマトグラフィセクション2520では、225Raおよび225Acは、硝酸塩と陰イオンを形成し、カラム2520に収着し得る。例えば、225Ra物質2545は、225Raが分離するように、4M HNO3の溶液に希釈されてもよい。したがって、225Raおよび225Acは、カラム2520の空間内で溶出し、分離を遂げ得る。225Raは、初めの4M HNO3とともにイオンクロマトグラフィセクション2520を通過する一方、225AcはRE樹脂2530上に残る。上記の例では、4M HNO3の溶液について記載されているものの、例えば0.1~10M HNO3の範囲内の濃度等の、その他の濃度のHNO3が使用されてもよい。
【0161】
複数の実施例において、次いで、イオンクロマトグラフィセクション2520から225Acが除去されるように、0.05M HNO3を用いてRE樹脂から225Ac物質2540を濯ぎ落としてもよい。次いで、収集した225Acを乾燥させて6M HNO3中に溶解させ、最終生成物225Ac2580が生成されるように、ポリシング(polishing)セクション2570における3つのUTEVA樹脂カラム2560を通過させる処理によって精製してもよい。次いで、精製した225Ac2580を乾燥させてもよい。上記の実施例には0.05M HNO3の溶液が記載されているものの、その他の濃度のHNO3(例えば、0.01~10Mの範囲内のHNO3の濃度等)が用いられてもよい。
【0162】
様々な実施例において、分離された225Ra2540を4M HNO3中で濯いで、225Acへと崩壊するようにし、上述した225Acの分離および精製のプロセスを繰り返してもよい。同様の性質を有する他の樹脂を用いてこの方法に修正を加えることが想定される。さらに、実施形態に応じて、より多数のカラムもしくはより少数のカラムを使用してもよく、または、カラムを組み合わせて使用してもよい。例えば、代替的な一実施形態において、ポリシングセクション2570は、別個の3つのカラム2560ではなく、UTEVA樹脂の3つのセクションを有する単一のカラムである。同様に、代替的な一実施形態では、イオンクロマトグラフィセクション2520は、別個の2つのカラム2510および2530ではなく、UTEVA樹脂がRE樹脂の上にある単一のカラムである。
【0163】
様々な実施例において、
225Acの生成は、上述したようなIX材料上のトリウムを用いる代わりに、水酸化トリウムまたは過酸化トリウムの沈殿物を原料物質として用いることによって、行われてもよい。pHが約5の溶液では、水酸化トリウムの溶解度は小さいが、RaおよびAcは溶相中に留まる。過酸化トリウムの場合、pHは約1.5に等しいことが好ましい。一例では、トリウム沈殿物は濯がれてもよく、収集した濯ぎ溶液には、Ra、Ac、および微量Thが含まれ得る。次いで、当該溶液を乾燥させて、8M HNO
3中に溶解させてもよい。上述した
225Ac分離システム2500と同様に、溶液を陰イオン交換樹脂に通して微量Thを除去し、Raおよび
225Acに樹脂2510および樹脂2530を通過してもよい。次いで、
図25に関して上述したクロマトグラフィ法を用いて、
225AcをRaから分離し、精製してもよい。
【0164】
図26は、本開示の様々な実施例による、Acを生成する方法を示すフローチャートである。
図26において、方法2600は、本開示の様々な原理による、一連の操作2610~2650を含む。操作2610において、リン酸塩改質チタニア材料(例えば、TiO
2等)が調製される。操作2610は、
図27を参照して、以下により詳細に説明される。
【0165】
操作2620において、トリウム含有保存溶液をイオン交換材料と接触させる。例えば、イオン交換材料は、TiO2または多孔性TiO2等のチタニア材料を含む。別の実施例では、トリウム含有溶液は、トリウム精製プロセスの結果物であり、例えばNaNO3、HOA、NaOAおよびHNO3のうちのいずれか1種または複数種を含む。別の実施例では、チタニア材料を含むカラム内で、トリウム含有溶液を当該チタニア材料と接触させる。別の実施例では、チタニア材料と接触させるときのカラム内のトリウム含有溶液の流量は、2~10mL/hの範囲内にある。さらに別の実施例では、229Thのうちの少なくとも一部は、チタニア材料上へ収着する。
【0166】
操作2620の別の実施例では、トリウム含有溶液を、リン改質チタニア材料(例えば、リン改質TiO2、またはリン改質多孔性TiO2等)と接触させる。操作2620の結果、トリウム担持チタニア材料が得られる。時間の経過とともに、トリウムの一部が娘核種生成物へと崩壊することとなり、結果として、225Acが継続的に生成される。上述したように、また特定の理論に拘束されることなく、生成されたアクチニウムは、親であるトリウムがそうであったようにチタニアに結合しているようには見えず、そのため、チタニア材料から単純な洗浄工程によって溶出できるような形態にある。
【0167】
操作2630において、トリウム担持チタニア材料は、225Acを含む溶出液が生成されるように、洗浄溶液を用いて溶出される。例えば、洗浄溶液の溶出速度は、30~60mL/hの範囲内にある。別の実施例では、操作2630において使用される溶出液は、例えば、HOA/NaOA溶液を含む。
【0168】
操作2640において、操作2630によって得られた225Acを含む溶出液(225Ac溶液とも称され得る)を乾燥させて、溶出混合物(すなわち、225Ac、および、同様に洗い落され得る225Ra)を濃縮する。一実施例では、蒸発後に、濃縮した残留する溶液を、樹脂(例えば、UTEVA樹脂)に通し、そこに残された残留トリウム(例えば、229Th)を収集してもよい。一実施例では、操作2640後のTh保持率は、99.253±0.004%以上の範囲内にある。
【0169】
操作2650において、溶出操作2630および蒸発操作2650によって生成された任意の225Ac溶液が収集される。例えば、例えば濃縮した溶出混合物中の225Raから225Acを分離し、当該濃縮した溶出混合物から分離された225Acを収集することによって、225Acを収集する。別の実施例では、操作2650は、濃縮した溶出混合物から分離された225Raを収集する工程も含む。複数の実施例において、濃縮した溶出混合物からの225Acまたは225Raのうちの少なくとも一方の回収率は、96%よりも大きい。
【0170】
図27は、本開示の様々な実施例による、リン酸塩改質チタニア材料の調製方法を示すフローチャートである。
図27において、方法2700は、操作2710を含む。操作2710において、チタニア材料(例えば、TiO
2等)を溶液と混合させて、希釈チタニア溶液を生成する。固体が希釈リン酸の反応物溶液との接触状態にある不均一混合物中でのプロセスの間、チタニアは固体のままであって、チタニアそれ自体は実際に溶解しないことを読者が思い起こせるよう、希釈チタニア溶液は、本明細書においてスラリーとも称される。別の実施例では、チタニア材料は、多孔性TiO
2であってもよく、または多孔性TiO
2を含んでもよい。例えば、溶液は、H
3PO
4であってもよく、またはH
3PO
4を含んでもよい。別の実施例では、溶液は、1Mの濃度のH
3PO
4であってもよく、または1Mの濃度のH
3PO
4を含んでもよい。別の実施例では、約1.0gのチタニアを、約125mlの溶液と混合する。
【0171】
様々な実施例において、操作2720は、チタニア材料と溶液との混合によって生成される希釈チタニア溶液、またはスラリーを攪拌する工程を含む。例えば、希釈チタニア溶液は、例えば回転ロッドを使用して攪拌され、当該回転ロッドは、例えば、300rpmの速度もしくは800rpmの速度、または300rpm~800rpmの範囲内の速度で回転する。別の実施例では、希釈チタニア溶液は、5h、16h、21hまたは45hの間、攪拌される。例えば、希釈チタニア溶液は、例えば回転ロッドを使用して攪拌され、当該回転ロッドは、例えば、300rpmの速度もしくは800rpmの速度、または300rpm~800rpmの範囲内の速度で、5h、16h、21hまたは45hの間、回転する。さらなる実施例において、希釈チタニア溶液は、室温、80℃の温度、または室温と80℃との範囲内の温度で攪拌される。さらに別の実施例では、希釈チタニア溶液は、例えば回転ロッドを使用して攪拌され、当該回転ロッドは、例えば、300rpmの速度もしくは800rpmの速度、または300rpm~800rpmの範囲内の速度で、5h、16h、21hまたは45hの間、80℃の温度、または室温と80℃との範囲内の温度で、回転する。上記では5h、16h、21hまたは45hの継続時間としたが、その他の継続時間が用いられてもよい。例えば、上述したように、継続時間は、5~50hの範囲内の継続時間であってもよい。
【0172】
一実施例では、操作2730は、希釈チタニア溶液またはスラリーからの残留物を、当該残留物を傾瀉することによって抽出する工程を含む。例えば、操作2730において、残留物は、希釈チタニア溶液を澄ませる(沈殿が起こるようにする)ことによって抽出される。別の実施例として、残留物は、約1時間の間、希釈チタニア溶液を澄ませることによって抽出される。液体残留物から固体チタニアを分離する他の方法も可能であり、任意の適切な方法が用いられてもよい。
【0173】
別の実施例では、操作2740は、残留物を洗浄して、洗浄されたリン酸塩改質チタニアを生成する工程を含む。例えば、残留物は、例えば脱イオン水中で、1回または複数回洗浄される。別の実施例として、残留物は、例えば10mlの脱イオン水中で、または1~100mlの範囲内の量の脱イオン水中で、1回または複数回洗浄される。
【0174】
別の実施例では、操作2750は、洗浄されたリン酸塩改質チタニアを乾燥させて、乾燥したリン酸塩改質チタニアを生成する工程を含む。例えば、加熱装置(例えば、ホットプレート等)上に残留物を載置することによって乾燥させる。別の実施例として、例えば100℃の温度の、または50~150℃の範囲内の温度の加熱装置(例えば、ホットプレート等)上に残留物を載置することによって乾燥させる。さらに別の実施例として、例えば1時間、例えば100℃の温度の加熱装置(例えば、ホットプレート等)上に残留物を載置することによって乾燥させる。操作2760において、乾燥した残留物を収集する。この乾燥したリン酸塩改質チタニアは、リン酸塩改質チタニアであり、またはリン酸塩改質チタニアを含む。チタニアが多孔性チタニアである場合、この乾燥したリン酸塩改質チタニアは、リン酸塩改質多孔性チタニアであり、またはリン酸塩改質多孔性チタニアを含む。
【0175】
本開示の様々な実施例を、以下の条項によって記載し得る。
【0176】
1.
Acを生成する方法であって、
イオン交換材料が生成されるように、リン酸塩改質チタニア材料を調製する工程と、
トリウム担持イオン交換材料および接触溶液が生成されるように、229Thを含む溶液を前記イオン交換材料と接触させる工程と、
225Acの溶出溶液が生成されるように、洗浄溶液を用いて前記トリウム担持イオン交換材料を溶出させる工程と、
溶出混合物が生成されるように、前記溶出溶液を濃縮する工程と、
前記溶出混合物中の他の放射性同位体から225Acを分離する工程と、
を含む、方法。
【0177】
2.
前記リン酸塩改質チタニア材料を調製する工程は、
希釈チタニア溶液が生成されるように、チタニアをリン酸塩溶液と混合する工程と、
前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程と、
前記リン酸塩溶液を傾瀉することによって、前記希釈チタニア溶液からリン酸塩改質チタニアを抽出する工程と、
洗浄されたリン酸塩改質チタニアが生成されるように、前記リン酸塩改質チタニアを洗浄する工程と、
乾燥したリン酸塩改質チタニアが生成されるように、前記洗浄されたリン酸塩改質チタニアを乾燥させる工程と、
を含む、条項1に記載の方法。
【0178】
3.
前記リン酸塩溶液は、H3PO4を含む、条項1または2に記載の方法。
【0179】
4.
前記リン酸塩溶液は、1.0MのH3PO4、0.1~0.5MのH3PO4、1~5MのH3PO4、および5~10MのH3PO4のうちの1種を含む、条項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【0180】
5.
前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程は、10rpm~2000rpmの範囲内の速度で、前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程を含む、条項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0181】
6.
前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程は、0.1~100hの範囲内の継続時間の間、前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程を含む、条項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0182】
7.
前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程は、10~100℃の範囲内の温度で、前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程を含む、条項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0183】
8.
前記リン酸塩改質チタニアを抽出する工程は、前記希釈チタニア溶液を澄ませる工程を含む、条項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0184】
9.
前記リン酸塩改質チタニアを抽出する工程は、前記希釈チタニア溶液を1時間の間、澄ませる工程を含む、条項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【0185】
10.
前記リン酸塩改質チタニアを洗浄する工程は、前記リン酸塩改質チタニアを脱イオン水中で1回または複数回洗浄する工程を含む、条項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0186】
11.
前記リン酸塩改質チタニアを洗浄する工程は、前記リン酸塩改質チタニアを1~100mlの脱イオン水中で1回または複数回洗浄する工程を含む、条項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0187】
12.
前記洗浄されたリン酸塩改質チタニアを乾燥させる工程は、洗浄された残留物を加熱装置上に載置する工程を含む、条項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【0188】
13.
前記洗浄されたリン酸塩改質チタニアを乾燥させる工程は、洗浄された残留物を50~150℃の範囲内の温度の加熱装置上に載置する工程を含む、条項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【0189】
14.
前記洗浄されたリン酸塩改質チタニアを乾燥させる工程は、洗浄された残留物を50~150℃の範囲内の温度の加熱装置上に1時間の間、載置する工程を含む、条項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【0190】
15.
チタニアを混合する工程は、約1.0gのチタニアを約125mlの前記溶液と混合する工程を含む、条項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【0191】
16.
前記溶液は、3.6~4.3の範囲内のpHを有する、条項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【0192】
17.
前記溶液は、Th精製プロセスの結果物であり、NaNO3、HOA、NaOA、またはHNO3のうちの少なくとも1種を含む、条項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【0193】
18.
前記溶液を接触させる工程は、前記リン酸塩改質チタニア材料を含むカラム中で前記溶液を前記リン酸塩改質チタニア材料と接触させる工程を含む、条項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【0194】
19.
カラム流量は、2~10mL/hの範囲内にある、条項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【0195】
20.
前記チタニア材料は、多孔性TiO2を含む、条項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0196】
21.
前記洗浄溶液の溶出速度は、30~60mL/hの範囲内にある、条項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【0197】
22.
前記カラムと接触させる前に、前記カラムから229Thを含む残留溶液を排出する工程をさらに含む、条項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【0198】
23.
前記残留溶液を排出する工程は、
固体残留物がつくり出されるように、前記残留溶液を乾燥させる工程と、
溶出残留物が生成されるように、溶出溶液を用いて前記固体残留物を溶出させる工程と、
229Thが回収されるように、前記溶出残留物に回収樹脂を通過させる工程と、
229Thを回収する工程と、
を含む、条項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【0199】
24.
溶出溶液は、HNO3を含む、条項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【0200】
25.
溶出溶液は、0.01~10MのHNO3を含む、条項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【0201】
26.
前記回収樹脂は、UTEVA樹脂を含む、条項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【0202】
27.
229Thを回収する工程は、99.253±0.004%以上の割合で229Thを回収する工程を含む、条項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【0203】
28.
前記溶液を前記イオン交換材料と接触させる工程は、カラム中で前記溶液を前記イオン交換材料と接触させる工程を含む、条項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【0204】
29.
前記溶液を前記イオン交換材料と接触させる工程は、Th担持材料が生成されるように、229Thを前記チタニア材料上へ収着させる工程を含む、条項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【0205】
30.
溶出させる前記工程は、HOA/NaOA溶液を含む溶出液を用いる工程を含む、条項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【0206】
31.
生成された225Acを収集する工程は、
濃縮した前記溶出混合物中の228Raから225Acを分離する工程と、
濃縮した前記溶出混合物からの分離された225Acまたは分離された228Raのうちの少なくとも一方を収集する工程と、
を含む、条項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【0207】
32.
分離された225Acまたは分離された228Raのうちの少なくとも一方を収集する工程は、分離された225Acまたは分離された228Raのうちの少なくとも一方を、96%を超える収集率で収集する工程を含む、条項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【0208】
33.
前記P-改質チタニア材料は、5~100μmの範囲内の平均粒径を有する、条項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【0209】
34.
Ra/Ac混合物からAcを分離するための方法であって、
第1の溶液中で前記Ra/Ac混合物を濃縮する工程と、
前記Ra/Ac混合物に第1の樹脂を通過させる工程と、
第2の溶液を加える工程と、
前記Ra/Ac混合物に第2の樹脂を通過させる工程と、
分離されたRaおよび分離されたAcが生成されるように、RaをAcから分離する工程と、
を含む、方法。
【0210】
35.
前記第1の溶液は、HNO3を含む、条項34に記載の方法。
【0211】
36.
前記第1の溶液は、0.1~10Mの範囲内の濃度のHNO3を含む、条項34または35に記載の方法。
【0212】
37.
前記第1の樹脂は、UTEVA樹脂を含む、条項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【0213】
38.
前記第2の溶液は、HNO3を含む、条項34~37のいずれか一項に記載の方法。
【0214】
39.
前記第2の溶液は、0.01~10Mの範囲内の濃度のHNO3を含む、条項34~38のいずれか一項に記載の方法。
【0215】
40.
前記第2の樹脂は、希土類樹脂を含む、条項34~39のいずれか一項に記載の方法。
【0216】
41.
乾燥したRaおよび第1の乾燥したAcが生成されるように、分離された前記Raおよび分離された前記Acを乾燥させる工程をさらに含む、条項34~40のいずれか一項に記載の方法。
【0217】
42.
希釈したRaおよび第1の希釈したAcがそれぞれ生成されるように、乾燥した前記Raおよび第1の乾燥した前記Acを希釈する工程をさらに含む、条項34~41のいずれか一項に記載の方法。
【0218】
43.
乾燥した前記Raを希釈する工程は、乾燥した前記Raに第3の溶液を加える工程を含む、条項34~42のいずれか一項に記載の方法。
【0219】
44.
前記第3の溶液は、HNO3を含む、条項34~43のいずれか一項に記載の方法。
【0220】
45.
前記第3の溶液は、0.1~10Mの範囲内の濃度のHNO3を含む、条項34~44のいずれか一項に記載の方法。
【0221】
46.
第1の乾燥した前記Acを希釈する工程は、第1の希釈した前記Acが生成されるように、第1の乾燥した前記Acに第4の溶液を加える工程を含む、条項34~45のいずれか一項に記載の方法。
【0222】
47.
前記第4の溶液は、HNO3を含む、条項34~46のいずれか一項に記載の方法。
【0223】
48.
前記第4の溶液は、0.01~10Mの範囲内の濃度のHNO3を含む、条項34~47のいずれか一項に記載の方法。
【0224】
49.
第2の乾燥したAcが生成されるように、第1の希釈した前記Acを乾燥させる工程と、
第2の希釈したAcが生成されるように、第5の溶液中で第2の乾燥した前記Acを希釈する工程と、
をさらに含む、条項34~48のいずれか一項に記載の方法。
【0225】
50.
前記第5の溶液は、HNO3を含む、条項34~49のいずれか一項に記載の方法。
【0226】
51.
前記第5の溶液は、6M HNO3を含む、条項34~50のいずれか一項に記載の方法。
【0227】
52.
第2の希釈した前記Acに1または複数の第3の樹脂を通過させる工程と、
前記Acを収集して、最終生成物としての収集されたAcを生成する工程と、
をさらに含む、条項34~51のいずれか一項に記載の方法。
【0228】
53.
1または複数の前記第3の樹脂は、1または複数のUTEVA樹脂を含む、条項34~52のいずれか一項に記載の方法。
【0229】
54.
収集された前記Acは、225Acを含む、条項34~53のいずれか一項に記載の方法。
【0230】
55.
Ac生成ジェネレータであって、
前記ジェネレータの第1の部分と、
内部チャンバを画定するカラム本体と、
前記内部チャンバへのアクセスを提供する、前記ジェネレータの前記第1の部分における第1のアクセスポートと、
前記内部チャンバ内のリン酸塩改質チタニア材料であって、ある量の229Thを担持したリン酸塩改質チタニア材料と、
を備える、ジェネレータ。
【0231】
56.
前記ジェネレータの第2の部分と、
前記ジェネレータの前記第2の部分における第2のアクセスポートと、
をさらに備え、
前記ジェネレータの前記第1の部分は、前記ジェネレータの頂部部分であり、
前記第1のアクセスポートは、上部バルブであり、
前記ジェネレータの前記第2の部分は、前記ジェネレータの底部部分であり、
前記第2のアクセスポートは、底部バルブまたはU字管である、条項55に記載のジェネレータ。
【0232】
57.
前記内部チャンバは、前記第1のアクセスポートまたは前記第2のアクセスポートのうちの少なくとも一方のアクセスポートを介して、ある量の229Thを担持した前記リン酸塩改質チタニア材料が除去されるのを防止するためのフィルタを含む、条項55または56に記載のジェネレータ。
【0233】
58.
前記カラム本体の形状は、カプセル状(球面円筒状)、円筒状、球状、円錐状、角錐状、円錐台状または角錐台状のうちの1つである、条項55~57のいずれか一項に記載のジェネレータ。
【0234】
59.
前記第1の部分および前記第2の部分は、前記内部チャンバに対するシールを形成している、条項55~58のいずれか一項に記載のジェネレータ。
【0235】
60.
前記第1の部分および前記第2の部分は、前記カラム本体に取り外し可能に取り付けられている、条項55~59のいずれか一項に記載のジェネレータ。
【0236】
61.
前記第1の部分、前記カラム本体および前記第2の部分は、一体的に形成されている、条項55~60のいずれか一項に記載のジェネレータ。
【0237】
62.
シール可能な第3のアクセスポートをさらに含む、条項55~61のいずれか一項に記載のジェネレータ。
【0238】
63.
前記第2の部分内にディフューザをさらに備える、条項55~62のいずれか一項に記載のジェネレータ。
【0239】
64.
前記ディフューザは、穿孔を含む多孔板を備え、
前記穿孔は、前記リン酸塩改質チタニア材料が当該穿孔を通過するのを防止するように構成されたサイズを有する、条項55~63のいずれか一項に記載のジェネレータ。
【0240】
65.
前記穿孔は、溶媒が当該穿孔を通過できるように構成されている、条項55~64のいずれか一項に記載のジェネレータ。
【0241】
66.
Ra/Ac混合物からRaおよびAcを分離するためのシステムであって、
第1の分離カラムであって、当該第1の分離カラムの第1の内部チャンバの別々の部分に第1の樹脂および第2の樹脂を含む第1の分離カラムと、
第2の分離カラムであって、当該第2の分離カラムの第2の内部チャンバの別々の部分に複数の第2の樹脂を含む第2の分離カラムと、
を備える、システム。
【0242】
67.
前記第1の樹脂は、UTEVA樹脂を含む、条項66に記載のシステム。
【0243】
68.
前記第2の樹脂は、希土類樹脂を含む、条項66または67に記載のシステム。
【0244】
69.
前記第1の分離カラムは、Ra/Ac混合物および前記第1の樹脂を追加および除去できるように構成されたシール可能な第1のアクセスポートを備える、条項66~68のいずれか一項に記載のシステム。
【0245】
70.
前記第2の分離カラムは、乾燥したRa残留物、乾燥したAc残留物または前記第2の樹脂を追加および除去できるように構成されたシール可能な第2のアクセスポートを備える、条項66~69のいずれか一項に記載のシステム。
【0246】
71.
Ac生成ジェネレータであって、
前記ジェネレータの第1の部分と、
前記ジェネレータの前記第1の部分における第1の流体バルブと、
内部チャンバを画定するカラム本体と、
前記内部チャンバ内のリン酸塩改質チタニア材料であって、ある量の229Thを担持したリン酸塩改質チタニア材料と、
第1の分離カラムであって、当該第1の分離カラムの第1の内部チャンバの別々の部分に第1の樹脂および第2の樹脂を含む第1の分離カラムと、
第2の分離カラムであって、当該第2の分離カラムの第2の内部チャンバの別々の部分に複数の第1の樹脂を含む第2の分離カラムと、
を備える、ジェネレータ。
【0247】
72.
Ac生成ジェネレータを準備する方法であって、
所定の継続時間の間、チタニア材料を含むカラム内において所定の循環速度で前処理溶液を循環させる工程と、
循環させる前記工程の後、Th担持チタニア材料が得られるように、前記カラム内の前記チタニア材料上へ所定の供給速度でTh物質を供給する工程と、
前記Th担持チタニア材料を所定の洗浄速度で洗浄する工程と、
を含む、方法。
【0248】
73.
前記前処理溶液は、酢酸(HOA)または酢酸ナトリウム(NaOA)のうちの少なくとも一方を含む、条項72に記載の方法。
【0249】
74.
前記前処理溶液は、0.1M HOAまたは0.1M NaOAのうちの少なくとも一方を含む、条項72または73に記載の方法。
【0250】
75.
前記前処理溶液は、0.25M HOAまたは0.25M NaOAのうちの少なくとも一方を含む、条項72~74のいずれか一項に記載の方法。
【0251】
76.
前記所定の循環速度は、60ml/hまたは300ml/hのうちの一方に等しい、条項72~75のいずれか一項に記載の方法。
【0252】
77.
前記酢酸は、4.2のpKaを有する、条項73~76のいずれか一項に記載の方法。
【0253】
78.
前記Th担持チタニア材料のTh保持率は、97.00~99.99%の範囲内にある、条項72~77のいずれか一項に記載の方法。
【0254】
79.
前記カラムは、5gのTiO2、51.6gのTiO2、または5g~1000gのTiO2のうちの1つを含む、条項72~78のいずれか一項に記載の方法。
【0255】
80.
前記前処理溶液のpHは、3.6~4.3の範囲内にある、条項72~79のいずれか一項に記載の方法。
【0256】
81.
前記Th物質の供給速度は、2ml/hおよび10ml/hのうちの一方である、条項72~80のいずれか一項に記載の方法。
【0257】
82.
前記所定の洗浄速度は、2ml/hおよび10ml/hのうちの一方である、条項72~81のいずれか一項に記載の方法。
【0258】
83.
前記所定の供給速度と前記所定の洗浄速度とは等しい、条項72~82のいずれか一項に記載の方法。
【0259】
84.
前記カラム内に前記Th物質を供給する工程は、10mlの前記前処理溶液中における0.096gのThを供給する工程を含む、条項72~83のいずれか一項に記載の方法。
【0260】
85.
前記カラム内に前記Th物質を供給する工程は、20mlの前記前処理溶液中における0.092gのThおよび20mlの前記前処理溶液中における0.098gのThのうちの一方を供給する工程を含む、条項72~84のいずれか一項に記載の方法。
【0261】
86.
前記カラム内に前記Th物質を供給する工程は、500mlの前記前処理溶液中における1.005gのThを供給する工程を含む、条項72~85のいずれか一項に記載の方法。
【0262】
87.
前記所定の継続時間は、約6hである、条項72~86のいずれか一項に記載の方法。
【0263】
88.
条項1~87のいずれか一項によって生成された225Acを含む医薬組成物。
【0264】
89.
薬学的に許容される担体をさらに含む、条項88に記載の医薬組成物。
【0265】
90.
225Acは、抗体に結合している、条項88~89に記載の医薬組成物。
【0266】
91.
患者の癌を治療する方法であって、
条項88~90のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記患者に投与する工程を含む、方法。
【0267】
92.
前記癌は、乳癌、白血病、リンパ腫、脳腫瘍、肝臓癌、肺癌、メラノーマ、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌または骨癌である、条項91に記載の方法。
【0268】
別段の定めのない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される成分の量、分子量等の性質、反応条件等を表すすべての数は、すべての場合において、「約」という用語によって改質されているものと理解されたい。したがって、別段の定めがない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、得ようとする所望の性質に応じて変化しうる近似値である。
【0269】
本技術の広範な範囲を示す数値範囲とパラメータは近似値であるが、実施例に示す数値は、可能な限り正確に報告されたものである。しかしながら、どのような数値であっても、それぞれの試験測定において見いだされる標準偏差から必然的に生じる一定の(certain)誤差を内在的に含んでいる。
【0270】
本明細書に記載されたシステムおよび方法が、記載された目的および利点、ならびにそれらに内在する目的および利点が達成されるよう十分に適合されたものであることは明らかであろう。当業者であれば、本明細書における方法およびシステムが多くの態様で実装されうるものであり、上述した例示的な実施例および実施例によって限定されるものではないことを認識するだろう。この点に関して、本明細書に記載された種々の実施例の任意の数の構成が単一の一実施例内へと組み合わせられてもよく、また、本明細書に記載された構成のうちのすべての構成よりも少数または多数の構成を有する代替的な実施例も考えられる。
【0271】
本開示の目的に関して様々な実施例を説明してきたが、本開示によって想定される範囲内に十分含まれる、様々な変更および修正が行われてもよい。当業者に容易に示唆され本開示の精神(趣旨)に包含される、その他の多数の変更が行われてもよい。
【0272】
本開示には、可能な実施例のうちの一部のみを示す添付図面を参照して、本技術の一部の実施例が説明されている。しかしながら、他の態様を種々の多くの形態で具現化(実施)することができ、他の態様が、本明細書に記載された実施例に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例は、本開示が完全かつ完備となるよう、また、可能な実施例の範囲を当業者に完全に伝えるよう、提供されるものである。
【0273】
具体的な実施例が本明細書に記載されているが、本技術の範囲はこれらの具体的な実施例に限定されるものではない。当業者であれば、本技術の範囲内に含まれる、その他の実施例または改良例を認識するであろう。それゆえ、具体的な構造、行為(作用)または媒体は、例示として開示されているにすぎない。また、本技術による実施例では、本明細書に別段の記載がない限り、全般的に開示されているが明示的に組み合わせて例示されていない複数の要素またはコンポーネントを組み合わせてもよい。本技術の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその均等物によって定められる。
【図面の簡単な説明】
【0274】
【
図1】
233Uから
229Th、および後続する娘核種への崩壊連鎖の概略図である。
【
図2】本開示の様々な実施例による、Ac生成のためのプロセスフローの概略図である。
【
図3】
232Thの崩壊連鎖を示すプロットである。
【
図4】本開示の様々な実施例による、ナノポーラス(nanoporous)TiO
2の受け取りによるTh
4+取り込みの分布係数の、pHに応じた変化を示すプロットである。
【
図5】本開示の様々な実施例による、溶出量に対するTh濃度の変化のプロットである。
【
図6】本開示の様々な実施例による、溶出量に対するTh濃度の変化のプロットである。
【
図7】本開示の様々な実施例による、溶出量に対するTh濃度の変化のプロットである。
【
図8】本開示の様々な実施例による、溶出量に対するTh濃度の変化のプロットである。
【
図9】本開示の様々な実施例による、溶出量に対するTh濃度の変化のプロットである。
【
図10】本開示の様々な実施例による、溶出量に対するTh濃度の変化のプロットである。
【
図11】本開示の様々な実施例による、溶出量に対するTh濃度の変化のプロットである。
【
図12】本開示の様々な実施例による、溶出量に対するTh濃度の変化のプロットである。
【
図13】本開示の様々な実施例による、溶出量に対するTh濃度の変化のプロットである。
【
図14】本開示の様々な実施例による、表面改質TiO
2材料の複数のSEM写真を示す。
【
図15A】本開示の様々な原理による、TiO
2出発物質および合成された物質のSEM写真である。
【
図15B】本開示の様々な原理による、TiO
2出発物質および合成された物質のSEM写真である。
【
図15C】本開示の様々な原理による、TiO
2出発物質および合成された物質のSEM写真である。
【
図15D】本開示の様々な原理による、TiO
2出発物質および合成された物質のSEM写真である。
【
図16】本開示の様々な実施例による、TiO
2および表面改質TiO
2によるTh
4+取り込みの分布係数の、pHに応じた変化を示すプロットである。
【
図17】本開示の様々な実施例による、
228Raおよび
228Acの放射能および回収率を示すプロットである。
【
図18】本開示の様々な実施例による、
228Raおよび
228Acの放射能および回収率を示すプロットである。
【
図19】本開示の様々な実施例による、
228Raおよび
228Acの放射能および回収率を示すプロットである。
【
図20】本開示の様々な実施例による、Th供給に応じた
228Raおよび
228Acの溶出挙動の概略図である。
【
図21】本開示の様々な実施例による、Th飽和時の例示的な溶出グラフである。
【
図22】本開示の様々な実施例による、Th飽和時の例示的な溶出グラフである。
【
図23】本開示の様々な実施例による、カラム内のIX材料上へのRa収着を低減し、それによってRaの回収率を高める方法の一例を示す。
【
図24】IX材料が充填されたカラムの形態のジェネレータの一例を示す。
【
図25】IX材料が充填されたカラムの形態のジェネレータの別の一例を示す。
【
図26】本開示の様々な実施例による、Acを生成する方法を示すフローチャートである。
【
図27】本開示の様々な実施例による、リン酸塩改質チタニア材料の調製方法を示すフローチャートである。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Acを生成する方法であって、
イオン交換材料が生成されるように、リン酸塩改質チタニア材料を調製する工程と、
トリウム担持イオン交換材料および接触溶液が生成されるように、
229Thを含む溶液を前記イオン交換材料と接触させる工程と、
225Acの
被溶出溶液が生成されるように、洗浄溶液を用いて前記トリウム担持イオン交換材料を溶出させる工程と、
被溶出混合物が生成されるように、前記
被溶出溶液を濃縮する工程と、
前記
被溶出混合物中の他の放射性同位体から
225Acを分離する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記リン酸塩改質チタニア材料を調製する工程は、
希釈チタニア溶液が生成されるように、チタニアをリン酸塩溶液と混合する工程と、
前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程と、
前記リン酸塩溶液を傾瀉することによって、前記希釈チタニア溶液からリン酸塩改質チタニアを抽出する工程と、
洗浄されたリン酸塩改質チタニアが生成されるように、前記リン酸塩改質チタニアを洗浄する工程と、
乾燥したリン酸塩改質チタニアが生成されるように、前記洗浄されたリン酸塩改質チタニアを乾燥させる工程と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リン酸塩溶液は、H
3PO
4を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記リン酸塩溶液は、1.0MのH
3PO
4、0.1~0.5MのH
3PO
4、1~5MのH
3PO
4、および5~10MのH
3PO
4のうちの1種を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項5】
前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程は、10rpm~2000rpmの範囲内の速度で、前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項6】
前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程は、0.1~100hの範囲内の継続時間の間、前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項7】
前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程は、10~100℃の範囲内の温度で、前記希釈チタニア溶液を攪拌する工程を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項8】
前記リン酸塩改質チタニアを抽出する工程は、前記希釈チタニア溶液を澄ませる工程を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項9】
前記リン酸塩改質チタニアを抽出する工程は、前記希釈チタニア溶液を1時間の間、澄ませる工程を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項10】
前記リン酸塩改質チタニアを洗浄する工程は、前記リン酸塩改質チタニアを脱イオン水中で1回または複数回洗浄する工程を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項11】
前記リン酸塩改質チタニアを洗浄する工程は、前記リン酸塩改質チタニアを1~100mlの脱イオン水中で1回または複数回洗浄する工程を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項12】
前記洗浄されたリン酸塩改質チタニアを乾燥させる工程は、洗浄された残留物を加熱装置上に載置する工程を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項13】
前記洗浄されたリン酸塩改質チタニアを乾燥させる工程は、洗浄された残留物を50~150℃の範囲内の温度の加熱装置上に載置する工程を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項14】
前記洗浄されたリン酸塩改質チタニアを乾燥させる工程は、洗浄された残留物を50~150℃の範囲内の温度の加熱装置上に1時間の間、載置する工程を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項15】
チタニアを混合する工程は、約1.0gのチタニアを約125mlの前記
リン酸塩溶液と混合する工程を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項16】
229
Thを含む前記溶液は、3.6~4.3の範囲内のpHを有する、請求項
1に記載の方法。
【請求項17】
229
Thを含む前記溶液は、Th精製プロセスの結果物であり、NaNO
3、HOA、NaOA、またはHNO
3のうちの少なくとも1種を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項18】
229
Thを含む前記溶液を接触させる工程は、前記リン酸塩改質チタニア材料を含むカラム中で
229
Thを含む前記溶液を前記リン酸塩改質チタニア材料と接触させる工程を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項19】
カラム流量は、2~10mL/hの範囲内にある、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
前記
リン酸塩改質チタニア材料は、多孔性TiO
2を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項21】
前記洗浄溶液の溶出速度は、30~60mL/hの範囲内にある、請求項
1に記載の方法。
【請求項22】
前記カラムと接触させる前に、前記カラムから
229Thを含む残留溶液を排出する工程をさらに含む、請求項
18に記載の方法。
【請求項23】
前記残留溶液を排出する工程は、
固体残留物がつくり出されるように、前記残留溶液を乾燥させる工程と、
被溶出残留物が生成されるように、溶出溶液を用いて前記固体残留物を溶出させる工程と、
229Thが回収されるように、前記
被溶出残留物に回収樹脂を通過させる工程と、
229Thを回収する工程と、
を含む、請求項
22に記載の方法。
【請求項24】
前記溶出溶液は、HNO
3を含む、請求項
23に記載の方法。
【請求項25】
前記溶出溶液は、0.01~10MのHNO
3を含む、請求項
23に記載の方法。
【請求項26】
前記回収樹脂は、UTEVA樹脂を含む、請求項
23に記載の方法。
【請求項27】
229Thを回収する工程は、99.253±0.004%以上の割合で
229Thを回収する工程を含む、請求項
23に記載の方法。
【請求項28】
229
Thを含む前記溶液を前記イオン交換材料と接触させる工程は、カラム中で
229
Thを含む前記溶液を前記イオン交換材料と接触させる工程を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項29】
229
Thを含む前記溶液を前記イオン交換材料と接触させる工程は、Th担持材料が生成されるように、
229Thを前記
リン酸塩改質チタニア材料上へ収着させる工程を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項30】
前記洗浄溶液を用いて前記トリウム担持イオン交換材料を溶出させる前記工程は、HOA/NaOA溶液を含む溶出液を用いる工程を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項31】
生成された
225
Acを収集する工程をさらに含み、
前記生成された
225Acを収集する工程は、
濃縮した前記
被溶出混合物中の
228Raから
225Acを分離する工程と、
濃縮した前記
被溶出混合物からの分離された
225Acまたは分離された
228Raのうちの少なくとも一方を収集する工程と、
を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項32】
濃縮した前記被溶出混合物からの分離された
225Acまたは分離された
228Raのうちの少なくとも一方を収集する工程は、
当該分離された
225Acまたは
当該分離された
228Raのうちの少なくとも一方を、96%を超える収集率で収集する工程を含む、請求項
31に記載の方法。
【請求項33】
前記
リン酸塩改質チタニア材料は、5~100μmの範囲内の平均粒径を有する、請求項
1に記載の方法。
【請求項34】
Ra/Ac混合物からAcを分離するための方法であって、
第1の溶液中で前記Ra/Ac混合物を濃縮する工程と、
前記Ra/Ac混合物に第1の樹脂を通過させる工程と、
第2の溶液を加える工程と、
前記Ra/Ac混合物に第2の樹脂を通過させる工程と、
分離されたRaおよび分離されたAcが生成されるように、RaをAcから分離する工程と、
を含む、方法。
【請求項35】
前記第1の溶液は、HNO
3を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の溶液は、0.1~10Mの範囲内の濃度のHNO
3を含む、請求項
34に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の樹脂は、UTEVA樹脂を含む、請求項
34に記載の方法。
【請求項38】
前記第2の溶液は、HNO
3を含む、請求項
34に記載の方法。
【請求項39】
前記第2の溶液は、0.01~10Mの範囲内の濃度のHNO
3を含む、請求項
34に記載の方法。
【請求項40】
前記第2の樹脂は、希土類樹脂を含む、請求項
34に記載の方法。
【請求項41】
乾燥したRaおよび第1の乾燥したAcが生成されるように、分離された前記Raおよび分離された前記Acを乾燥させる工程をさらに含む、請求項
34に記載の方法。
【請求項42】
希釈したRaおよび第1の希釈したAcがそれぞれ生成されるように、乾燥した前記Raおよび第1の乾燥した前記Acを希釈する工程をさらに含む、請求項
41に記載の方法。
【請求項43】
乾燥した前記Raを希釈する工程は、乾燥した前記Raに第3の溶液を加える工程を含む、請求項
42に記載の方法。
【請求項44】
前記第3の溶液は、HNO
3を含む、請求項
43に記載の方法。
【請求項45】
前記第3の溶液は、0.1~10Mの範囲内の濃度のHNO
3を含む、請求項
43に記載の方法。
【請求項46】
第1の乾燥した前記Acを希釈する工程は、第1の希釈した前記Acが生成されるように、第1の乾燥した前記Acに第4の溶液を加える工程を含む、請求項
42に記載の方法。
【請求項47】
前記第4の溶液は、HNO
3を含む、請求項
46に記載の方法。
【請求項48】
前記第4の溶液は、0.01~10Mの範囲内の濃度のHNO
3を含む、請求項
46に記載の方法。
【請求項49】
第2の乾燥したAcが生成されるように、第1の希釈した前記Acを乾燥させる工程と、
第2の希釈したAcが生成されるように、第5の溶液中で第2の乾燥した前記Acを希釈する工程と、
をさらに含む、請求項
42に記載の方法。
【請求項50】
前記第5の溶液は、HNO
3を含む、請求項
49に記載の方法。
【請求項51】
前記第5の溶液は、6M HNO
3を含む、請求項
49に記載の方法。
【請求項52】
第2の希釈した前記Acに1または複数の第3の樹脂を通過させる工程と、
前記Acを収集して、最終生成物としての収集されたAcを生成する工程と、
をさらに含む、請求項
49に記載の方法。
【請求項53】
1または複数の前記第3の樹脂は、1または複数のUTEVA樹脂を含む、請求項
52に記載の方法。
【請求項54】
収集された前記Acは、
225Acを含む、請求項
52に記載の方法。
【請求項55】
Ac
を生成
するジェネレータであって、
前記ジェネレータの第1の部分と、
内部チャンバを画定するカラム本体と、
前記内部チャンバへのアクセスを提供する、前記ジェネレータの前記第1の部分における第1のアクセスポートと、
前記内部チャンバ内のリン酸塩改質チタニア材料であって、ある量の
229Thを担持したリン酸塩改質チタニア材料と、
を備える、ジェネレータ。
【請求項56】
前記ジェネレータの第2の部分と、
前記ジェネレータの前記第2の部分における第2のアクセスポートと、
をさらに備え、
前記ジェネレータの前記第1の部分は、前記ジェネレータの頂部部分であり、
前記第1のアクセスポートは、上部バルブであり、
前記ジェネレータの前記第2の部分は、前記ジェネレータの底部部分であり、
前記第2のアクセスポートは、底部バルブまたはU字管である、請求項55に記載のジェネレータ。
【請求項57】
前記内部チャンバは、前記第1のアクセスポートまたは前記第2のアクセスポートのうちの少なくとも一方のアクセスポートを介して、ある量の
229Thを担持した前記リン酸塩改質チタニア材料が除去されるのを防止するためのフィルタを含む、請求項
56に記載のジェネレータ。
【請求項58】
前記カラム本体の形状は、カプセル状(球面円筒状)、円筒状、球状、円錐状、角錐状、円錐台状または角錐台状のうちの1つである、請求項
55に記載のジェネレータ。
【請求項59】
前記第1の部分および前記第2の部分は、前記内部チャンバに対するシールを形成している、請求項
56に記載のジェネレータ。
【請求項60】
前記第1の部分および前記第2の部分は、前記カラム本体に取り外し可能に取り付けられている、請求項
56に記載のジェネレータ。
【請求項61】
前記第1の部分、前記カラム本体および前記第2の部分は、一体的に形成されている、請求項
56に記載のジェネレータ。
【請求項62】
シール可能な第3のアクセスポートをさらに含む、請求項55~61のいずれか一項に記載のジェネレータ。
【請求項63】
前記第2の部分内にディフューザをさらに備える、請求項
56に記載のジェネレータ。
【請求項64】
前記ディフューザは、穿孔を含む多孔板を備え、
前記穿孔は、前記リン酸塩改質チタニア材料が当該穿孔を通過するのを防止するように構成されたサイズを有する、請求項
63に記載のジェネレータ。
【請求項65】
前記穿孔は、溶媒が当該穿孔を通過できるように構成されている、請求項
64に記載のジェネレータ。
【請求項66】
Ra/Ac混合物からRaおよびAcを分離するためのシステムであって、
第1の分離カラムであって、当該第1の分離カラムの第1の内部チャンバの別々の部分に第1の樹脂および第2の樹脂を含む第1の分離カラムと、
第2の分離カラムであって、当該第2の分離カラムの第2の内部チャンバの別々の部分に複数の第
1の樹脂を含む第2の分離カラムと、
を備える、システム。
【請求項67】
前記第1の樹脂は、UTEVA樹脂を含む、請求項66に記載のシステム。
【請求項68】
前記第2の樹脂は、希土類樹脂を含む、請求項
66に記載のシステム。
【請求項69】
前記第1の分離カラムは、
前記Ra/Ac混合物および前記第1の樹脂を追加および除去できるように構成されたシール可能な第1のアクセスポートを備える、請求項
66に記載のシステム。
【請求項70】
前記第2の分離カラムは、乾燥したRa残留物、乾燥したAc残留物または前記第2の樹脂を追加および除去できるように構成されたシール可能な第2のアクセスポートを備える、請求項66~69のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項71】
Ac
を生成
するジェネレータであって、
前記ジェネレータの第1の部分と、
前記ジェネレータの前記第1の部分における第1の流体バルブと、
内部チャンバを画定するカラム本体と、
前記内部チャンバ内のリン酸塩改質チタニア材料であって、ある量の
229Thを担持したリン酸塩改質チタニア材料と、
第1の分離カラムであって、当該第1の分離カラムの第1の内部チャンバの別々の部分に第1の樹脂および第2の樹脂を含む第1の分離カラムと、
第2の分離カラムであって、当該第2の分離カラムの第2の内部チャンバの別々の部分に複数の第1の樹脂を含む第2の分離カラムと、
を備える、ジェネレータ。
【請求項72】
Ac
を生成
するジェネレータを準備する方法であって、
所定の継続時間の間、チタニア材料を含むカラム内において所定の循環速度で前処理溶液を循環させる工程と、
前記前処理溶液を循環させる前記工程の後、Th担持チタニア材料が得られるように、前記カラム内の前記チタニア材料上へ所定の供給速度でTh物質を供給する工程と、
前記Th担持チタニア材料を所定の洗浄速度で洗浄する工程と、
を含む、方法。
【請求項73】
前記前処理溶液は、酢酸(HOA)または酢酸ナトリウム(NaOA)のうちの少なくとも一方を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記前処理溶液は、0.1M HOAまたは0.1M NaOAのうちの少なくとも一方を含む、請求項
72に記載の方法。
【請求項75】
前記前処理溶液は、0.25M HOAまたは0.25M NaOAのうちの少なくとも一方を含む、請求項
72に記載の方法。
【請求項76】
前記所定の循環速度は、60ml/hまたは300ml/hのうちの一方に等しい、請求項
72に記載の方法。
【請求項77】
前記酢酸は、4.2のpKaを有する、請求項
73に記載の方法。
【請求項78】
前記Th担持チタニア材料のTh保持率は、97.00~99.99%の範囲内にある、請求項
72に記載の方法。
【請求項79】
前記カラムは、5gのTiO
2、51.6gのTiO
2、または5g~1000gのTiO
2のうちの1つを含む、請求項
72に記載の方法。
【請求項80】
前記前処理溶液のpHは、3.6~4.3の範囲内にある、請求項
72に記載の方法。
【請求項81】
前記Th物質の供給速度は、2ml/hおよび10ml/hのうちの一方である、請求項
72に記載の方法。
【請求項82】
前記所定の洗浄速度は、2ml/hおよび10ml/hのうちの一方である、請求項
72に記載の方法。
【請求項83】
前記所定の供給速度と前記所定の洗浄速度とは等しい、請求項
72に記載の方法。
【請求項84】
前記カラム内に前記Th物質を供給する工程は、10mlの前記前処理溶液中における0.096gのThを供給する工程を含む、請求項
72に記載の方法。
【請求項85】
前記カラム内に前記Th物質を供給する工程は、20mlの前記前処理溶液中における0.092gのThおよび20mlの前記前処理溶液中における0.098gのThのうちの一方を供給する工程を含む、請求項
72に記載の方法。
【請求項86】
前記カラム内に前記Th物質を供給する工程は、500mlの前記前処理溶液中における1.005gのThを供給する工程を含む、請求項
72に記載の方法。
【請求項87】
前記所定の継続時間は、約6hである、請求項
72に記載の方法。
【請求項88】
請求項1~54のいずれか一項に記載の方法または請求項72~87のいずれか一項に記載の方法によって生成された
225Acを含む医薬組成物
を製造する方法。
【請求項89】
前記医薬組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項88に記載の医薬組成物
を製造する方法。
【請求項90】
225Acは、抗体に結合している、請求項
88に記載の医薬組成物
を製造する方法。
【国際調査報告】