(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-04
(54)【発明の名称】支持アセンブリ及びその中で植物を生育させる方法
(51)【国際特許分類】
A01G 9/12 20060101AFI20240328BHJP
A01G 17/06 20060101ALI20240328BHJP
A01G 22/05 20180101ALI20240328BHJP
A01G 22/00 20180101ALI20240328BHJP
【FI】
A01G9/12 A
A01G17/06
A01G22/05 Z
A01G22/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565201
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 NL2022050219
(87)【国際公開番号】W WO2022225397
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523399164
【氏名又は名称】グリーンロード ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】GREENROAD B.V.
【住所又は居所原語表記】Brejeland 17 1602KZ Enkhuizen (NL)
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】アンマラーン,アーノルダス コルネリス ジョセフ
【テーマコード(参考)】
2B022
2B023
【Fターム(参考)】
2B022AA01
2B022AA03
2B022AB15
2B022AB20
2B023AC03
2B023AE02
2B023AE03
2B023AE10
2B023AH10
2B023AJ04
2B023AJ05
2B023AJ10
2B023BA01
2B023BA10
(57)【要約】
互いの間に間隔を置いて上下に配置される、本質的に水平に延びるメッシュ状支持要素の複数の層を支持するための支持アセンブリであって、支持要素は栄養基質の単位を互いから離れて保持するように設計されており、栄養基質の各ユニットにおいて、本質的に水平に成長する植物を成長させるために、本質的に水平に伸長する植物が根付き、関係するそれぞれのメッシュ状支持要素によって支持され、メッシュサイズは、水平に成長する植物から生じる果実が、メッシュを通って下方に成長してそれぞれの支持要素の下で成熟し得るようなものであり、互いに上下に配置される2つの支持要素間の距離は、下側の支持要素上の植物の妨げられない水平方向の成長と、上側の要素上で成長する植物の果実の発達及び成熟との両方を可能にするように選択され、果実を収穫するための空間を提供するために、複数の支持要素を互いに対して水平方向に移動させることができる、支持アセンブリを開示する。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの間に距離をおいて上下に配置される、本質的に水平に延びるメッシュ状支持要素の複数の層を支持するための支持アセンブリであって、前記支持要素は、互いから間隔を置いて栄養基質のユニットを保持するように設計されており、栄養基質の各ユニットにおいて、本質的に水平に成長する植物が成長できるように、前記本質的に水平に成長する植物が根付き、前記それぞれのメッシュ状要素によって支持され、前記メッシュのサイズは、前記本質的に水平に成長する植物から生じる果実が、前記メッシュを通って下方に成長して、前記それぞれのメッシュ状支持要素の下で成熟することができるようなものであって、上下に配置された2つのメッシュ状支持要素間の距離は、下側の支持要素上の前記本質的に水平に成長する植物の妨げられない水平方向の成長と、前記メッシュ状の上側要素上で成長する前記本質的に水平に成長する植物の果実の成長と成熟の両方を可能にするように選択され、複数の前記メッシュ状支持要素は、前記果実を収穫するための空間を提供するために、互いに対して水平方向に移動させることができる、支持アセンブリ。
【請求項2】
前記アセンブリは、前記メッシュ状支持要素を担持する共通のフレームを含み、該フレームは、少なくとも複数のメッシュ状支持要素の相互に対する移動を可能にする、請求項1に記載の支持アセンブリ。
【請求項3】
前記複数の支持要素が、水平方向に互いに対して移動可能である、請求項1又は2に記載の支持アセンブリ。
【請求項4】
1つ又は複数の支持要素が水平方向に傾斜可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の支持アセンブリ。
【請求項5】
前記メッシュ状支持要素間の距離が調節可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載の支持アセンブリ。
【請求項6】
前記メッシュ状支持要素間の前記距離が20~100cm、好ましくは30~80cm、より好ましくは40~60cmである、請求項1~5のいずれか一項に記載の支持アセンブリ。
【請求項7】
支持要素が、第一の数の実質的に平行に延在する第一棒状要素と、第二の数の実質的に平行に延在する第二棒状要素とを備え、前記第一及び第二棒状要素は、ある角度で互いに交差し、前記交差点で互いに接触している、請求項1~6のいずれか一項に記載の支持アセンブリ。
【請求項8】
前記メッシュのサイズが5~40cm、好ましくは10~20cmである、請求項1~7のいずれかに記載の支持アセンブリ。
【請求項9】
1つ又は複数の光源を支持要素の下に配置し、下側支持要素の上部に向ける、請求項1~8のいずれかに記載の支持アセンブリ。
【請求項10】
前記支持アセンブリが、成長基質の1つ又は複数のユニットを含む、請求項1~9のいずれかに記載の支持アセンブリ。
【請求項11】
前記成長基質が、寸法に関して安定な成長基質である、請求項10に記載の支持アセンブリ。
【請求項12】
前記成長基質のユニットが、支持要素の1つ又は複数のメッシュの内周に対応する外周を少なくとも局所的に有する、請求項10又は11に記載の支持アセンブリ。
【請求項13】
本質的に水平に成長する複数の植物を上下複数の層で成長させる方法であって、
h:請求項1~12のいずれかに記載の支持アセンブリを提供するステップと、
i:1つ又は複数の栄養基質のユニットを、1つ又は複数のメッシュ状支持要素の上に又は1つ又は複数のメッシュ状支持要素に付着させて配置するステップであって、前記栄養気質のユニットが前記それぞれの支持要素の表面の最大10%にわたって延びる、該ステップと、
j:本質的に水平に成長する植物を前記栄養基質のユニットに根づくことを可能にするステップと、
k:前記植物が前記メッシュ状支持要素上で本質的に水平に成長することを可能にするステップと、
l:前記本質的に水平に成長する植物が前記支持要素のメッシュを通って果実を形成することを可能にするステップと、
m:前記植物がその上で成長している前記メッシュ状支持要素の下の前記果実を成熟することを可能にするステップと、
n:前記果実を収穫するステップと、
を含む方法。
【請求項14】
前記実質的に水平に成長する植物が、前記植物がその上で成長する前記支持要素の上方の支持要素と、前記植物がその上で成長する前記支持要素との間に位置する光源から上方からの光を受ける、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記成長基質が、支持要素の1つ又は複数のメッシュの内周に対応する外周を少なくとも局所的に有する形態安定型の成長基質である、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本質的に水平に成長する植物のための支持アセンブリ(又は、組立体、又は集合体)に関する。このような植物の茎は、主に地上で水平に成長する。このような植物の葉は光に直面する。すなわち、上向きである。しかし、これらの植物の果実は重力のために下垂し、葉の下に隠れていることが多く、収穫を困難にしている。さらに、果実は地上に横たわっていることが多いため、害虫に対して非常に敏感であるし、容易に食べられてしまう。このような植物の標準的な生育のもう一つの欠点は、収穫が利用可能な水平面に依存することである。すなわち、これらの植物は、高さがあってもほとんど成長しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本質的に水平に成長する植物という用語は、その茎が垂直よりも水平に成長する植物を意味する。したがって、茎には垂直方向の成長成分もあるかもしれない。また、茎が果実の重さによって下方に引っ張られ、成長方向の水平成分が増加することから、水平成長成分は果実の重さによって決定される可能性もある。このような主に水平に生育する植物は、複数の茎をもつ枝分かれした植物でもありうる。植物の葉は上方に成長できるが、植物の水平的な成長のために、成長の高さは制限されたままであろう。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、上述の問題を除去又は緩和するために、互いの間に間隔を置いて互いに上下に(又は、一方が他方の上に/one above the other)配置された、本質的に水平に伸びるメッシュ状の支持要素の複数の層を支持するための支持アセンブリを提供し、前記支持要素は、栄養基質の各ユニット(又は、単位/unit)において、本質的に水平に成長する植物が成長することを可能にするために、本質的に水平に成長する植物が根づかされ、それぞれのメッシュ状支持要素によって支持され、メッシュサイズは、本質的に水平に成長する植物から生じる果実がメッシュを通して下向きに成長してそれぞれのメッシュ状支持要素の下側で成熟することができるような大きさであり、互いに上下に配置される2つのメッシュ状支持要素の間の距離は、下側の支持要素上での本質的に水平に成長する植物の妨げられない水平方向の成長、及びメッシュ状の上側の要素上で成長する本質的に水平に成長する植物の果実の発育と成熟の両方を可能にするように選択され、複数のメッシュ状の支持要素が互いに対して水平方向に移動されて果実を収穫するための空間を提供することができる。
【0004】
互いに上下に置かれたメッシュ状支持要素を与えることによって、本質的に水平に成長する植物は、支持要素の上で妨げられずに成長し得る。そして、植物が根づくのにちょうど十分な栄養基質のユニットを置くことによって、果実が葉の下で発育するための十分な空間が提供され、メッシュを通して成長することによって、果実は最終的にメッシュの下側に垂れ下がることになる。葉は妨げられずに上方に成長することができるが、果実は妨げられずに下方にぶら下がる。これらの果実は、それぞれの植物がその上で成長するメッシュ状支持要素によって上方の境界が決められ、別の実質的に水平に成長する植物がその上で成長する別の支持要素によって下方の境界が決められる空間に垂れ下がっている。このようにして、このような植物の多層成長(multilayer growth)が可能であり、果実の多収が得られる一方で、果実は自然条件下で育っていた場合よりも多くの空間を有する。複数のメッシュ状支持要素は、互いに相対的に移動可能であり、その結果、互いに上下に位置する2つのメッシュ状支持要素の間の空間は、果物へのより良好なアクセスを有するように、又は、収穫及び世話、例えば、茎をメッシュ状支持要素に固定するために、下方に位置する植物へのアクセスをより良好にするために、一時的に拡大し得るか、又は近づきやすくし得る(accessible)。
【0005】
植物の多層成長のための装置はそれ自体が知られている。例えば、KR2019/0010779は、互いから垂直な距離をとって水平方向に伸びるいくつかの支持要素を有するラックを記載しており、ここで、支持要素はメッシュ状ではなく、本質的に水平方向に成長する植物には適さず、その果実は支持要素の下で成長し、実る。
【0006】
JPH04-169136Aは、カボチャが成長し得るトンネル形状のメッシュフレームについて記載している。
【0007】
US2016/0249536は、単一の植物を成長させるための容器について記載しており、その容器は、成長する芽が毎回異なるメッシュ開口部を介して誘導される、メッシュの別々の開口部を通して、下から垂直に成長する植物を誘導するための水平に配置されたメッシュを有し得る。
【0008】
US2016/0135385からは、果実がメッシュの上に載る一方、植物の根がメッシュの下に位置する栄養培地に保持される、果実をつける植物を育てる装置が知られている。
【0009】
CN112106565からは、植物の成長基質(又は、増殖基質/growth substrate)を含み得る多数の水平トレイを含む装置が知られており、トレイは互いに対する高さを調節できる。
【0010】
支持アセンブリは、好ましくは、メッシュ状支持要素を担持する(又は、運ぶ)共通のフレームを含み、このフレームが、メッシュ状支持体要素の少なくともいくつかを互いに相対的に移動させる。従って、例えば、メッシュ状支持要素の少なくともいくつかをそれに沿って水平方向にスライドさせ得る水平ガイドを備えたブロック形状のフレームを提供し得る。フレームに剛性を付与するために、いくつかの(又は、多数の)支持要素をフレームに固定することもできる。その上又はその下のメッシュ状支持要素をスライドさせ得る場合、固定された支持要素に達するのに十分な空間も存在する。好ましくは、支持要素の大部分、さらに好ましくは、メッシュ状支持要素の全てが水平に移動可能である。また、支持要素を互いに対して垂直に移動可能に位置させて、収穫又はメンテナンスのための空間を作り出すことも可能である。ここではパーテルノステル(又は、パタノスター/paternoster)の配置を考えることができ、それによって2つの支持要素間の距離を一時的に増加させ得る。水平空間を最適に利用するために、支持要素は、互いに関して水平に移動可能であることが好ましい。例えば、フレームに水平ガイドを設けて、支持要素を引き出しのようにフレーム内外にスライドさせ得るようにしてもよい。また、この装置は、支持要素が、作物の収穫、メンテナンス又は世話に必要な空間を提供するために、互いに対して水平に回転し得るように設計されてもよい。
【0011】
魅力的な実施形態では、1つ又は複数のメッシュ状支持要素は、好ましくは水平方向に、傾斜可能である。例えば、フレームのガイドに1つ又は複数のヒンジを設けて、支持要素がフレームに対して、又は水平に対して蝶番で動く(又は、ヒンジ形成する/hinge)ことができるようにしてもよい。このようにして、支持要素は、収穫を容易にする傾斜した位置に配置される。支持アセンブリは、1つ又は複数のメッシュ状支持要素がフレームから外にスライドされたときに旋回し得るように設計されていてもよい。また、支持アセンブリを、それぞれの支持要素がフレームから外にスライドされたときには、メッシュ状支持要素が、例えばフレーム内又はその外側で、まだ互いの上にあるままの状態で、蝶番で動くことができるように設計することも可能である。その後、支持要素を、同時に又は互いに独立して、傾斜させる、すなわち、傾斜した位置に置くことができる。
【0012】
メッシュ状支持要素間の距離は、好ましくは、調整可能である。この調整可能性は、手動又は機械的に達成され得る。例えば、アセンブリは、互いから垂直に間隔を空け、本質的に水平に伸びる複数のガイドを含み得、それによって、ユーザは、支持要素を担持するガイド又はガイド(複数)を選択し得る。このようにして、その上で生育する作物に応じて、あるいは作物の発育段階に応じて、支持要素間の距離を調整し得る。例えば、果実がまだ形成されていないか、又はまだ小さい場合には、果実が大きく、より多くのスペースを必要とする場合よりも、支持要素を互いから短い距離に保つことができる。
【0013】
互いに上下に(又は、互いの上に/above one another)位置する2つのメッシュ状支持要素間の距離は、下側支持要素上の植物の妨害されない水平成長、及び上側要素上に生育する植物の果実の発育と成熟の両方に十分であるように選択される。当業者は、作物によって、どの距離を選ぶかを知ることになる。果実が大きい作物では、果実が小さい作物よりも距離が大きくなる。より多くの光を必要とする作物については、より大きな距離を選ぶこともできる。互いに上下に横たわる2つの支持要素の植物間の距離は、30~70cm、より好ましくは40~50cmであるべきである。これは上側支持要素上に生育する植物のぶら下がる果実と下側支持要素上に生育する植物の葉との間の自由空間である。
【0014】
メッシュ状支持要素間の垂直距離は、好ましくは20~100cm、より好ましくは30~80cm、さらに好ましくは40~60cmである。この距離は、支持要素が互いに平行である場合、好ましくは水平方向で測定される。
【0015】
メッシュ状支持要素には、多くの可能な形態がある。例えば、硬い(又は、剛性の)枠組みを提供することができ、その中には、サイザル又は麻ロープのような適切な材料を用いてメッシュが織り込まれ、発育中の果実が通り抜けて成長するのに十分な大きさの開口部がある。しかしながら、例えば鋼又はアルミニウムのような金属の剛性ワイヤメッシュが好ましい。このような場合、金属メッシュ自体が硬く耐久性があるので、硬い枠組みはそれほど必要ではない。支持要素は、好ましくは、第一の複数の実質的に平行に延在する第一棒状要素と、第二の複数の実質的に平行に延在する第二棒状要素とを備え、これらの第一及び第二棒状要素は、ある角度で交差し、交差点で互いに接触している。「棒状要素」とは、本明細書では、その断面の形状にかかわらず、任意の細長い適当な要素であると理解される。棒状要素は、中空又は中実の管、又は、正方形、長方形、又は、L、H、U又はVプロファイル(profile)のような、他の形状のプロファイルであり得る。また、竹のような天然素材でできているような不規則な形の棒状要素を用いることもできる。円形又は楕円形のメッシュ形状を有する支持要素を提供することも可能である。従って、円形又は楕円形の金属要素を互いに取り付けて水平なメッシュ状支持要素を形成し得る。
【0016】
メッシュサイズは、支持要素上に生育する意図した植物のサイズ及び植物が生み出す果実のサイズに応じて選択し得る。イチゴのような小さな果実をもつ植物では、10cmのような5cm以上の比較的小さなメッシュサイズを選ぶことができる。大型の植物では、より大きなメッシュサイズが有利である。メッシュサイズは5~40cmが好ましく、10~20cmがより好ましい。成熟した果実を通過させるためにメッシュをあまり大きくする必要はない。結局、発育の初期段階で、果実は下方に成長し、その後メッシュを通過することになる。一旦支持要素の下になると、果実は成熟する。このようにして果実はそれ自身の植物の根の下にぶら下がっている。この根はそれぞれの支持要素の栄養基質のユニットに位置している。当業者はどの培養基質が適しているかを知っており、その組成は栽培する作物に依存している可能性がある。栄養基質は、好ましくは土壌であるが、ゲルの形態であり得る。栄養基質は、好ましくは寸法に関して(又は、次元的に/dimensionally)安定であるべきである。
【0017】
十分な光を提供するために、1つ又は複数の光源を支持要素の下に配置し、下側の支持要素の上部に向けることが好ましい。こうして、これらの光源は、下にある植物の葉に十分な光を供給する。また、支持要素間の空間を通って延びる潅漑システムが存在する可能性があり、これは、目的とする方法で栄養基質の別々のユニットに水分及びことによると栄養物を供給するように配置されている。
【0018】
支持アセンブリは、栄養基質の1つ又は複数のユニットを含み得、支持要素の上、内又はその部分に置くことが好ましい。栄養基質は、支持要素のメッシュの中に置かれるか、垂らされるか、又はメッシュの上に置かれることがある。栄養基質は、好ましくは、形態が安定している(又は、形成可能である/form sable)。しかし、土壌の形で基質を袋の中に入れ、支持要素の上に垂らすことも可能である。プラスチック製の植物ポットのようなポットに表土を置くことは、本明細書に意図する目的のために寸法に関して安定し、かつメッシュ上又はメッシュ内に置くことができる栄養基質を提供する。魅力的な実施形態では、形態安定型の(form stable)栄養基質のユニットは圧縮要素として設計される。好ましくは、栄養基質は、支持要素の1つ以上のメッシュの内周に対応する外周を少なくとも局所的に有する。これにより、栄養基質を支持要素のメッシュに適合させ得る。先細りの設計により、栄養基質は、栄養基質の外周がメッシュの内周に一致するまで、メッシュ内に沈むことができる。支持要素はまた、栄養基質のユニットを保持するように設計された保持要素を備えていてもよい。
【0019】
また、本発明は、本質的に水平に成長する植物を上下複数の層で(in multiple layers above one another)成長させるための方法にも関し、以下のステップを含む
a:上記のいずれかに記載(又は、前記請求項のいずれかに記載)の支持アセンブリを提供するステップと、
b:1つ又は複数の栄養基質のユニットを、1つ又は複数のメッシュ状支持要素の上に、又は1つ又は複数のメッシュ状支持要素に付着させて配置するステップであって、栄養気質のユニットがそれぞれの支持要素の表面の最大20%にわたって延びる、該ステップと、
c:本質的に水平に成長する植物を栄養基質のユニットに根づくことを可能にするステップと、
d:植物がメッシュ状支持要素上で本質的に水平に成長することを可能にするステップと、
e:本質的に水平に成長する植物が、支持要素のメッシュを通して果実を形成することを可能にするステップと、
f:植物が上で成長しているメッシュ状支持要素の下の果実を成熟させるステップと、
n:果実の収穫するステップ。
【0020】
ステップb.では、支持要素の表面の限られた部分だけが栄養基質の1つ又は複数のユニットで占められているので、発育中の果実がメッシュを通って成長するのに十分な空間を提供する。栄養基質のユニットは、植物が根づく円形又は長方形の基質ブロックであることが好ましい。これらのブロックは、支持要素のメッシュフレームワークの交差点に配置することができ、又は支持要素に、そのような基質ブロックを支持するための間隔を置いた支持面を設けることができる。しかし、支持要素から、例えば網や袋の中に入れた基質を吊るすことも可能であり、それによって、茎は支持要素の上部まで成長し、次いで、支持要素を横切って水平に発達する。
【0021】
栄養基質のユニットは、それぞれの支持要素の表面の最大10%にわたって延びることが好ましい。
【0022】
好ましくは、支持要素間の垂直距離は20~100cmであり、より好ましくは30~80cmであり、さらに好ましくは40~60cmである。
【0023】
好ましくは、実質的に水平に成長する植物は、植物がその上で成長する支持要素の上方の支持要素と植物がその上で成長する前記支持要素との間に位置する光源から、上方から光を受ける。下からの照明も可能である。このような照明は、上からの照明と一緒に設置したり適用したりすることもできる。
【0024】
適切な植物の例を以下に示す。しかし、本明細書に記載された生育方法に適したこのような作物を作るために、それらが水平的に生育するように、目的とする方法で作物を育種することが可能である。
【0025】
野菜(Vegetable):ナス科トマト/リコペルシカム(Solanaceae Tomato/Lycopersicum)、ピーマン/トウガラシ(Peppers/Capsicum)、茄子/ナス族(Aubergine/Solanum) ウリ科キューカンバ-メロン/キュウリ(Cucurbitaceae Cucumber-Melon/Cucumis)、カボチャ-ズッキーニ/ウリ科(Pumpkin-Courgette/Cucurbita)、バラ科イチゴ/オランダイチゴ(Rosaceae Strawberries/Fragaria)、マメ科豆/インゲンマメ族(Fabaceae Beans/Phaseolus)、エンドウ豆/エンドウ族(Peas/Pisum)、塊茎(Tubers);ナス科ジャガイモ(Solanaceae Potato/Solanum) メリアンツス科キクイモ/ヒマワリ属(Solanum Helianthaceae Jerusalem Artichoke/Helianthus) トウダイグサ科キャッサバ/マニホット(Euphorbiaceae Cassava/Manihot) シソ科チャイニーズアーティチョーク/スタキス(Lamiaceae Chinese Artichoke/Stachys) ノウゼンハレン科マシュア/トロペオラム(Tropaeolaceae Mashua/Tropaeolum) ニクタギン科マウカ/ミラビリス(Nyctaginaceae Mauka/Mirabilis) カタバミ科オカ(Oxalidaceae Oca/Oxalis) ヤマノイモ(Yam/Dioscorea) ツルムラサキ科ウルーコ/ウルカス(Basellaceae Ulluco/Ullucus) ウリ科ワイルドポテト/トラディアンタ(Cucurbitaceae Wild Potato/Thladiantha) キク科ヤーコン(Asteraceae Yakon/Polymnia) ヒルガオ科サツマイモ/サツマイモの果実(Convolvulaceae Sweet Potato/Ipomea Fruits) スグリ属レッドベリー/リベス(Grossulariaceae Red Berry/Ribes) ツツジ科ブルーベリー(Ericaceae Blue Berry/Vaccinium) バラ科リンゴ(Rosaceae Apple/Malus) 西洋梨/ラズベリー/キイチゴ(Pear Pyrus /Raspberry/Rubus) クスノキ科アボカド/ペルセア(Lauraceae Avocado/ Persea) ムクロジ科ライチ(Sapindaceae Lychee/Litchi) クワ科ジャックフルーツ/アルトカルプス(Moraceae Jackfruit/Artocarpus) ウルシ科マンゴー/マンギフェラ(Anacardiaceae Mango/Mangifera) ミカン科オレンジ/柑橘類(Rutaceae Orange/Citrus)。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明を、以下の図面を参照して、さらに詳細に説明する。
図1A-Eは、メッシュ状支持要素の様々な実装を、上面斜視図で示す。
図2A及び
図2Bは、異なるユニットの栄養基質が備えられた
図1Aによる支持要素を、それぞれ上面及び下面斜視図において示し、
図2Cは、栄養基質の一致するユニットを備えた、
図1Eによる支持要素の上面斜視図を示す。
図3A及び3Bは、カボチャ植物が成長している
図1による支持要素の上面及び下面斜視図を示す。
図4A及び4Bは、
図1に記載の支持要素の上面及び下面斜視図を示し、その上には、ソラマメ植物が本質的に水平方向に成長している。
図5A、B及びCは、それぞれ、トマト植物が本質的に水平方向に成長している、
図1による支持要素の上面及び下面斜視図、並びに横断図を示す。
図6A及び6Bは、それぞれトマト植物が成長している支持要素を有するレイアウトによるアセンブリの横断図を示し、
図6Bにおいては、光源も存在する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図では、一度示された成分は必ずしも再び命名されているわけではない。
図1Aは、メッシュ状支持要素2を示しており、互いに平行に延びる2つの支持レッジ3a及び3bを備え、これらは、同じく互いに平行に延び、支持レッジ3a及び3bに対して垂直な棒状要素4aによって互いに連結される。棒状要素4bは、主に棒状要素に対して垂直に延在する。矢頭は、支持要素2がこの方向にさらに延長し得ることを示す。支持要素2の図示されていない末端では、支持レッジ3aと3bの両方を接続する支持レッジが取り付けられ、棒状要素4aと4bを担持する枠組みが作られてもよい。この支持要素では、棒状要素は矩形メッシュ5を形成する。
図1Bにおいて、棒状要素4a間の間隔は、棒状要素4b間の間隔よりも大きく、長方形のメッシュ5を形成する。
図1Cでは、棒状要素4a間の間隔は棒状要素4b間の間隔よりも小さく、やはり長方形のメッシュ5の形成をももたらすが、ここでは矢印の方向に対して垂直である。
図1Dでは、支持レッジ3a及び3bは棒状要素4a及び4bを互いに対して斜めに(又は、互いに対してある角度で/at an angle to each other)支持し、それぞれ支持レッジ3aから支持レッジ3bまで延びている。これにより、形と大きさの異なるメッシュ5a,5bがつくられる。
図1Eでは、棒状要素は円形で相互接続されており、丸いメッシュ5を形成している。
【0028】
図2A及び
図2Bは、それぞれ、
図1Aに記載の支持要素の上面斜視図及び下面斜視図であり、その上に異なる形状の栄養基質6a~cのユニットが配置されている。栄養基質6aのユニットはブロック状で、棒状の支持体によって形成されたメッシュ上に置かれる。栄養基質6bのユニットは、切頭状のピラミッド形を有し、支持要素のメッシュに配置され、栄養基質のユニットは、部分的にメッシュを通って埋め込まれ、栄養基質のユニットの外周がそれぞれのメッシュの内周に対応する場所に支持要素によって保持される。栄養基質6cのユニットはディスク形である。
図2Cは、
図1Eに記載の支持要素を示し、ここでは、栄養基質のディスク形ユニットが適合する。このような栄養基質のユニットは、フィードテーブル(又は、供給テーブル/feed table)6bに示すように、現在丸いメッシュに保持されるように先細にすることもできる。栄養基質のユニットはまた、形成された容器に入れたさらさらした(又は、緩い/loose)培養土を含み得る。例えば、栄養基質6aのユニットは、培養土で満たされた長方形の容器を含むことができ、栄養基質6bのユニットは、下向きに先細りした切頭状のピラミッド形の容器を含み、また、培養土又は目的植物を成長させるのに適した他のタイプの成長土で満たされてもよい。
【0029】
図3A及び3Bのそれぞれの上下面斜視図において、茎7a、葉7b及びカボチャ果実7cを有するカボチャ植物体7は、
図1aに示すような支持要素上に配置された栄養基質6cのディスク形のユニットから成長している。
【0030】
図4A及び4Bでは、ベニバナインゲン植物が、
図3に示すカボチャ植物のように成長し、本質的に水平方向に成長し、
図5A及び5Bでは、トマト植物が、
図3に示すカボチャ植物のように成長し、本質的に水平方向に成長している。葉は上方に成長し、茎は本質的に水平であるが、部分的にむすんだ果実の重さの影響を受けている。
図5Cは横断図を示す。
【0031】
図6Aは、複数の支持要素2を保持するフレーム1を備えた本発明による支持アセンブリを示し、その上で、
図5に示すようなトマト植物が成長する。支持要素2は、間隔をあけて配置され、成長空間10を形成する。支持要素2は、果実の容易な収穫とアセンブリのメンテナンスを容易にするために、互いに対して相互に移動可能である。これは、例えば、支持要素のいくつかをフレームから引き出すことができる引き出しとして設計することによって行うことができる。また、必要に応じて高さを変更できるように、支持要素間の高さを調整することも可能である。
図6Bは、上側支持要素に取り付けられ得る上部照明8を示す。さらに下側の照明9をそれぞれの支持要素上に置くことができる。上側の照明は、好ましくは、下方に向けられ、下側の照明は、上方に向けられる。しかし、照明8及び9を組み合わせて、隣接する2つの空間10を下から及び上からそれぞれ照明することも可能である。
【国際調査報告】