(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-04
(54)【発明の名称】ヌクレオシド系化合物及び猫伝染性腹膜炎の治療におけるその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20240328BHJP
A61K 31/53 20060101ALI20240328BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240328BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
C07D487/04 140
C07D487/04 CSP
A61K31/53
A61K31/5377
A61P31/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565578
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-23
(86)【国際出願番号】 CN2022088179
(87)【国際公開番号】W WO2022222994
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】202110442975.X
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523402246
【氏名又は名称】ヴィゴンヴィータ ライフ サイエンシス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ヤン レイ
(72)【発明者】
【氏名】ガン カオ
(72)【発明者】
【氏名】ロン フー
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB04
4C050CC07
4C050EE03
4C050FF10
4C050GG04
4C050HH02
4C050HH04
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZB33
4C086ZC61
(57)【要約】
本発明は、ヌクレオシド系化合物及び猫伝染性腹膜炎の治療におけるその使用に関し、前記化合物は、GS-441524類似体に属する。前記化合物は、猫の正常細胞に対する毒性効果が非常に小さく、猫コロナウイルスに対して、顕著な阻害効果を有する。前記化合物は、猫コロナウイルス阻害剤の製造に使用でき、猫伝染性腹膜炎を治療するために用いられ、治療効果がよく、安全性が高い等の利点を有し、そして、水溶性が非常によく、より吸収しやすい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【化1】
(式において、
R
1は、C
1-6アルキル基、C
1-6アルケニル基、C
1-6アルキニル基、C
1-6ハロアルキル基、C
3-7シクロアルキル基、C
3-7複素環基、ヒドロキシ基置換C
1-6アルキル基、アミノ基置換C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシC
1-6アルキル基、C
1-6アルキルアミノC
1-6アルキル基、C
3-7シクロアルキルC
1-6アルキル基、C
3-7複素環C
1-6アルキル基、C
1-6アルキルアミノ基、ヒドロキシ基置換C
1-6アルキルアミノ基、アミノ基置換C
1-6アルキルアミノ基、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルアミノ基、C
1-6アルキルアミノC
1-6アルキルアミノ基、C
3-7シクロアルキルC
1-6アルキルアミノ基、C
3-7複素環C
1-6アルキルアミノ基から選択される。)
【請求項2】
前記R
1が、-CH
3、-CH
2CH
3、-CH
2CH
2CH
3、-CH(CH
3)
2、-CH
2CH
2CH
2CH
3、
【化2】
-CF
3、-CH
2CF
3、
【化3】
-CH
2OH、-CH
2NH
2、-CH
2OCH
3、-CH
2CH
2OCH
3、-CH
2NHCH
3、-CH
2N(CH
3)
2、-CH
2CH
2NHCH
3、-CH
2CH
2N(CH
3)
2、
【化4】
-NHCH
3、-NHCH
2CH
3、-NHCH
2CH
2CH
3、-NHCH(CH
3)
2、-N(CH
3)
2、-N(CH
3)CH
2CH
3、-N(CH
2CH
3)
2、
【化5】
-NHCH
2CH
2OH、-NHCH
2CH
2NH
2、-N(CH
2CH
2OH)
2、-NHCH
2CH
2OCH
3、-N(CH
2CH
2OCH
3)
2、-NHCH
2CH
2NHCH
3、-NHCH
2CH
2N(CH
3)
2、-N(CH
3)CH
2CH
2NHCH
3、-N(CH
3)CH
2CH
2N(CH
3)
2、
【化6】
から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
前記化合物が、以下の構造のうちの1つを有することを特徴とする請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【化7-1】
【化7-2】
【化7-3】
【化7-4】
【化7-5】
【化7-6】
【請求項4】
薬学的に許容可能な賦形剤又は担体、及び、活性成分としての請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含有し、上記活性成分には、その各光学異性体、各結晶形、水和物又は溶媒和物が含まれることを特徴とする薬物組成物。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の、猫コロナウイルス感染に起因する疾患の治療における用途、又は猫コロナウイルス感染に起因する疾患を治療する薬物の製造における用途。
【請求項6】
請求項4に記載の薬物組成物の、猫コロナウイルス感染に起因する疾患を治療する薬物における用途、又は猫コロナウイルス感染に起因する疾患を治療する薬物の製造における用途。
【請求項7】
前記猫コロナウイルス感染に起因する疾患が猫伝染性腹膜炎であることを特徴とする請求項5又は6に記載の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年04月23日に出願された、出願番号CN202110442975.X、発明の名称が「ヌクレオシド系化合物及び猫伝染性腹膜炎の治療におけるその使用」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ヌクレオシド系化合物及び猫伝染性腹膜炎の治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
猫伝染性腹膜炎(Feline infectious peritonitis、FIP)は、猫コロナウイルス感染に起因する疾患であり、慢性的で進行性で致死の伝染性疾患であり、この疾患は、臨床的に2つの形態でよく見られ、1つは、腹膜炎、大量の腹水を特徴とする滲出性、即ち湿性伝染性腹膜炎であり、1つは、全身に明らかな症状変化は見られないが、眼に明らかなフィブリン血餅、網膜出血等のブドウ膜炎が現れることを特徴とする乾性伝染性腹膜炎である。
【0004】
現在、猫伝染性腹膜炎の治療は、主に免疫調節剤、免疫阻害剤及び抗ウイルス等の薬物を用いて対症治療を行い、これらの薬物は、副作用が大きく、且つ、この疾患の高い致死率を低下させることができない。そのため、効率的で安全性の高い薬物の開発が急務となっている。
【0005】
猫コロナウイルス(FCoV)は、RNAウイルスであり、猫科動物によく見られる伝染性ウイルスである。猫コロナウイルスに感染した猫は、猫伝染性腹膜炎(FIP)に突然変異する確率が5~10%であり、その主な症状が腹膜炎や大量の胸水であり、罹患猫の致死率は極めて高い。現在、GS1-441524は、猫伝染性腹膜炎(FIP)の治療効果がよい薬物分子である。
【0006】
GS-441524は、1’-シアノが置換されたアデニンC-ヌクレオシドリボース類似体であり、SARSコロナウイルスを含む複数種類のRNAウイルスに対して強い抗ウイルス活性を示し、複数種類のRNAウイルスに対して阻害効果がある。ここで、GS-441524は、細胞内で細胞キナーゼによって活性を有する三リン酸代謝物(NTP構造類似体)にリン酸化され、ウイルスRNAの合成において、活性NTP構造類似体は、天然の三リン酸ヌクレオシドの競合体の役割を果たして、天然のヌクレオシド(NTP)とRNAの転写/複製への参加を競合し、転写/複製生成物にGS-441524分子が挿入されると、転写/複製は早期に終了し、さらにウイルスRNAの転写/複製プロセスを阻害する。現在、それがエボラ、SARS、フニンウイルス、呼吸器合胞体ウイルス等のいずれに対しても一定の阻害活性を示すことが見出されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
GS441524分子は、水溶性が非常に悪く、その膜透過率及び生物学的利用性も限られている。そのため、本発明に報告されたこのタイプの新型ヌクレオシド系化合物は、非常に強い水溶性を有し、且つ、このタイプの化合物、特に猫コロナウイルスは、抗ウイルスの効果を有する
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一タイプの構造式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供することを目的とする。
【化1】
(式(I)中において、
R
1は、C
1-6アルキル基、C
1-6アルケニル基、C
1-6アルキニル基、C
1-6ハロアルキル基、C
3-7シクロアルキル基、C
3-7複素環基、ヒドロキシ基置換C
1-6アルキル基、アミノ基置換C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシC
1-6アルキル基、C
1-6アルキルアミノC
1-6アルキル基、C
3-7シクロアルキルC
1-6アルキル基、C
3-7複素環C
1-6アルキル基、C
1-6アルキルアミノ基、ヒドロキシ基置換C
1-6アルキルアミノ基、アミノ基置換C
1-6アルキルアミノ基、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルアミノ基、C
1-6アルキルアミノC
1-6アルキルアミノ基、C
3-7シクロアルキルC
1-6アルキルアミノ基、C
3-7複素環C
1-6アルキルアミノ基から選択される)。
【0009】
別の好ましい例では、前記式(I)において、R
1は、-CH
3、-CH
2CH
3、-CH
2CH
2CH
3、-CH(CH
3)
2、-CH
2CH
2CH
2CH
3、
【化2】
-CF
3、-CH
2CF
3、
【化3】
-CH
2OH、-CH
2NH
2、-CH
2OCH
3、-CH
2CH
2OCH
3、-CH
2NHCH
3、-CH
2N(CH
3)
2、-CH
2CH
2NHCH
3、-CH
2CH
2N(CH
3)
2、
【化4】
-NHCH
3、-NHCH
2CH
3、-NHCH
2CH
2CH
3、-NHCH(CH
3)
2、-N(CH
3)
2、-N(CH
3)CH
2CH
3、-N(CH
2CH
3)
2、
【化5】
-NHCH
2CH
2OH、-NHCH
2CH
2NH
2、-N(CH
2CH
2OH)
2、-NHCH
2CH
2OCH
3、-N(CH
2CH
2OCH
3)
2、-NHCH
2CH
2NHCH
3、-NHCH
2CH
2N(CH
3)
2、-N(CH
3)CH
2CH
2NHCH
3、-N(CH
3)CH
2CH
2N(CH
3)
2、
【化6】
から選択される。
【0010】
本発明の一部の解決手段では、式(I)に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、化合物は、下記のものから選択される。
【化7-1】
【化7-2】
【化7-3】
【化7-4】
【化7-5】
【0011】
本発明の1つの目的は、各光学異性体、各結晶形、水和物又は溶媒和物を含む本発明に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、薬学的に許容可能な賦形剤又は担体、及び、本発明の式(I)に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含有し、活性成分として各光学異性体、各結晶形、水和物又は溶媒和物を含む薬物組成物を提供することである。
【0013】
本発明の更なる目的は、本発明に記載の化合物、又はその各光学異性体、薬学的に許容可能な無機塩又は有機塩の、猫コロナウイルス感染に起因する疾患、即ち猫伝染性腹膜炎を治療するための薬物の製造における、使用を提供することである。
【0014】
本発明の上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、いずれも例示的で説明的なものであり、特許請求の範囲に記載された本発明のさらなる説明を提供することを意図していることを理解されたい。
以下、図面及び実施例を参照しながら本発明についてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の化合物の水性注射剤での治療前後2週間の罹患猫の体重変化図である。
【
図2】本発明の化合物の水性注射剤での治療前後2週間の罹患猫の赤血球数の変化図である。
【
図3】本発明の化合物の水性注射剤での治療前後2週間の罹患猫のアルブミンとグロブリンの比率の変化図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
現在、本発明のいくつかの実施案を詳細に説明し、その実例は、添付の構造式及び化学式により説明される。本発明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれる、全ての代替、修正、及び等価形態を包含することを意図する。当業者は、本明細書に記載のものに類似又は等価の多くの方法及び材料が本発明を実施するために使用され得ることを認識するであろう。本発明は、決して本明細書に記載される方法及び材料に限定されない。組み込まれた文献、特許及び類似の資料のうちの1つ又は2つ以上が本願と異なる場合又は矛盾する場合(定義された用語、用語の適用、記述された技術等を含むが、これらに限定されない場合)、本願が優先される。
【0017】
特に明記しない限り、本明細書に使用される以下の定義を適用するべきである。本発明の目的から、化学元素は、化学元素周期表、CAS及び化学薬品ハンドブック、第75版、1994に従って定義される。さらに、有機化学の一般原理は、「Organic Chemistry」(Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito: 1999)及び「March’s Advanced Organic Chemistry」(by Michael B.Smith and Jerry March,John Wiley&Sons,New York:2007)に記載されている説明を参照することができ、その全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
本発明の「薬学的に許容可能な塩」とは、本発明の化合物の有機塩及び無機塩を指す。薬学的に許容可能な塩は、文献(S.M.Berge et al.,describe pharmaceutically acceptable salts in detail in J.Pharmaceutical Sciences,66:1-19,1977.)に記載されるように、所属分野では熟知されているものである。薬学的に許容可能な非毒性酸から形成される塩には、アミノ基との反応により形成される、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩等の無機酸塩や酢酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩等の有機酸塩、又はイオン交換等の文献で説明されている他の方法によって得られるこれらの塩が含まれるが、これらに限定されない。他の薬学的に許容可能な塩には、アジピン酸塩、リンゴ酸塩、2-ヒドロキシプロピオン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンフルスルホン酸塩、シクロペンチルプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、カプロン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ‐エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等が含まれる。適切な塩基によって得られる塩には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム及びN+(C1-4アルキル基)4の塩が含まれる。本発明は、Nを含む基の任意の化合物からなる第四級アンモニウム塩も企図した。水溶性又は油溶性又は分散生成物は、四級化反応により得ることができる。塩を形成できるアルカリ金属又はアルカリ土類金属には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が含まれる。薬学的に許容可能な塩には、適切な、非毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム塩及び対イオン形成に耐性のあるアミンカチオン、例えばハロゲン化物、水酸化物、カルボキシル酸化物、硫酸化物、リン酸化物、硝酸化物、C1-Sスルホン酸化物及び芳香族スルホン酸化物がさらに含まれる。
【0019】
本発明の「溶媒和物」とは、1つ又は複数の溶媒分子と本発明の化合物とで形成される会合錯体を指す。溶媒和物を形成する溶媒には、水、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸及びアミノ基エタノールが含まれるが、これらに限定されない。「水和物」という用語とは、溶媒分子が水で形成される会合錯体を指す。
【0020】
また、本発明に開示される化合物は、それらの塩を含み、それらの水和物形態又はその溶媒(例えばエタノール、DMSO等)を含む形態で得ることもでき、それらの結晶化に用いられる。本発明に開示される化合物は、もともと又は設計によって薬学的に許容可能な溶媒(水を含む)と溶媒和物を形成することができ、そのため、本発明は、溶媒和形態及び非溶媒和形態を含むことを意図する。
【0021】
本発明に開示される化合物は、それらの塩を含み、異なる形態に製造されることができ、非晶質形態、破砕形態及びナノメートル-粒子サイズ形態を含むが、これらに限定されない。さらに、本発明の化合物は、結晶型を含むが、多型としてもよい。多型には、化合物の同じ元素で構成される異なる結晶格子配列が含まれる。多型は、通常、異なるX-線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光及び電気的特性、安定性と溶解性を有する。再結晶化溶媒、結晶化速度、及び貯蔵温度等の異なる要因により、単一の結晶形が支配的であることになる恐れがある。
【0022】
本発明に説明される「薬学的に許容可能な賦形剤又は担体」のように、いずれの溶媒、希釈剤、又は他の液体賦形剤、分散剤又は懸濁剤、表面活性剤、等浸透剤、増粘剤、乳化剤、防腐剤、固形バインダー又は潤滑剤等を含み、特定の目標剤形に適する。In Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st edition,2005,ed.D.B.Troy,Lippincott Williams&wilkins,Philadelphia,and Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds.J.Swarbrick and J.C.Boylan,1988-1999, Marcel Dekker, New Yorkに説明されるように、ここの文献の内容をまとめると、異なる担体は薬学的に許容可能な組成物の製剤及びそれらの公知の調製方法に適用できることが示される。生じされたいずれのよくない生物学的効果、又は薬学的に許容可能な組成物のいずれの他の成分と有害な方法で生じる相互作用等のいずれの従来の担体媒体と本発明の化合物とが相容れない範囲以外に、それらの用途も本発明が考慮する範囲である。
【0023】
薬学的に許容可能な賦形剤又は担体とすることができ物質には、イオン交換体、アルミニウム、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清タンパク質等の血清タンパク質、例えばグリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、リン酸塩等の緩衝物質、水、例えばリン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、硫酸プロタミン等の電解質、例えば塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸エステル、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ラノリン等の塩、例えば乳糖、グルコース及びスクロース等の糖、トウモロコシ澱粉やジャガイモ澱粉等の澱粉、セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロースの誘導体、セルロースエチル及び酢酸セルロース、ガム粉、麦芽、ゼラチン、タルク粉、ココアバターや座薬ワックス状物等の添加剤、例えば落花生油、綿実油、サフラワー油、ごま油、オリーブ油、コーン油、大豆油等の油、プロピレングリコールやポリエチレングリコール等のジオール系化合物、オレイン酸エチルやラウリン酸エチル等のエステル類、寒天、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の緩衝剤、アルギン酸、発熱源のない水、等張塩、リンガー溶液、エタノール、リン酸緩衝液、及びラウリル硫酸ナトリウムやステアリン酸マグネシウム等の他の非毒性適切な潤滑剤、着色剤、放出剤、コーティング生地、甘味料、調味料及び香料、防腐剤及び酸化防止剤が含まれるが、これらに限定されない。便宜上、局所麻酔薬、防腐剤、緩衝剤等を担体に直接溶解することも可能である。
【0024】
本発明に使用される「アルキル基」という用語は、1~20個の炭素原子飽和直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基であり、ここで、アルキル基は、独立して任意に1つ又は複数の本発明に記述される置換基によって置換されていてもよい。そのうちの一部の実施例では、アルキル基が1~10個の炭素原子を含有し、別の一部の実施例では、アルキル基が1~8個の炭素原子を含有し、別の一部の実施例では、アルキル基が1~6個の炭素原子を含有し、別の一部の実施例では、アルキル基が1~4個の炭素原子を含有し、別の一部の実施例では、アルキル基が1~3個の炭素原子を含有する。アルキル基は、さらなる実例で、メチル(Me、-CH3)、エチル(Et、-CH2CH3)、n-プロピル(n-Pr、-CH2CH2CH3)、イソプロピル(i-Pr、-CH(CH3)2)、n-ブチル(-Bu、-CH2CH2CH2CH3)、2-メチルプロピル又はイソブチル(i-Bu、-CH2CH(CH3)2)、1-メチルプロピル又はs-ブチル(s-Bu、-CH(CH3)CH2CH3)、tert-ブチル(t-Bu、-C(CH3)3)、n-ペンチル(-CH2CH2CH2CH2CH3)、2-ペンチル(-CH(CH3)CH2CH2CH3)、3-ペンチル(-CH(CH2CH3)2)、2-メチル-2-ブチル(-C(CH3)2CH2CH3)、3-メチル-2-ブチル(-CH(CH3)CH(CH3)2)、3-メチル-1-ブチル(-CH2CH2CH(CH3)2)、2-メチル-1-ブチル(-CH2CH(CH3)CH2CH3)、n-ヘキシル(-CH2CH2CH2CH2CH2CH3)、2-ヘキシル(‐CH(CH3)CH2CH2CH2CH3)、3-ヘキシル(-CH(CH2CH3)(CH2CH2CH3))、2-メチル-2-ペンチル(-C(CH3)2CH2CH2CH3)、3-メチル-2-ペンチル(-CH(CH3)CH(CH3)CH2CH3)、4-メチル-2-ペンチル(-CH(CH3)CH2CH(CH3)2)、3-メチル-3-ペンチル(-C(CH3)(CH2CH3)2)、2-メチル-3-ペンチル(-CH(CH2CH3)CH(CH3)2)、2,3-ジメチル-2-ブチル(-C(CH3)2CH(CH3)2)、3,3-ジメチル‐2‐ブチル(-CH(CH3)C(CH3)3)、n-ヘプチル、n-オクチル等が含まれるが、これらに限定されない。「アルキル基」という用語及びその接頭辞「アルキル」は、本明細書において使用される場合、いずれにも直鎖及び分岐鎖の飽和炭素鎖が含まれる。
【0025】
本発明に使用される用語「アルケニル基」とは、炭素‐炭素二重結合を含有する不飽和脂肪族炭化水素基を指し、1~6個の炭素原子の直鎖及び分岐鎖基を含む。1~4個の炭素原子を含有する低級アルケニル基、例えばエテニル、1-プロペニル、1-ブテニル又は2-メチルプロペニルが好ましい。
【0026】
本発明に使用される用語「アルキニル基」は、2~12個の炭素原子の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を示し、そのうちの少なくとも1つの位置は不飽和状態であり、即ち、1つのC‐Cがsp三重結合であり、そのうちのアルキニル基は、独立して任意に1つ又は複数の本発明に記述される置換基によって置換されてもよく、具体的な実例には、
【化8】
等が含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
本発明に使用される用語「アルコキシ基」は、アルキル基に関し、本発明に定義されるように、酸素原子を介して主要炭素鎖に結合される。別途の詳細な説明がない限り、前記アルコキシ基は、1~12個の炭素原子を含有する。一実施案において、アルコキシ基は1~6個の炭素原子を含有し、別の実施案において、アルコキシ基は1~4個の炭素原子を含有し、さらに別の実施案において、アルコキシ基は1~3個の炭素原子を含有する。このような実施例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
本発明に使用される用語「ハロアルキル基」又は「ハロアルコキシ基」は、アルキル基又はアルコキシ基が1つ又は複数の同一又は異なるハロゲン原子によって置換されていてもよい状況を示す。ここで、アルキル基及びアルコキシ基は、本発明に記載の意味を有し、このような実例には、1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル(-C(CH3)2CF3)、1,1-ジフルオ-2-メチルプロパン-2-イル(-C(CH3)2CHF2)、1-フルオロ-2-メチルプロパン-2-イル(-C(CH3)2CH2F)、ジフルオメチル(-CHF2)、トリフルオロメチル(-CF3)、トリフルオロメトキシ(-OCF3)、2,2,2-トリフルオロエトキシ(-OCH2CF3)、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ(-OCH2CF2CHF2)等が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明に使用される用語「カルボシクリル」又は「環状脂肪族」、「炭素環」、「シクロアルキル基」とは、一価又は多価の、非芳香族、飽和若しくは部分的に不飽和の環を指し、且つヘテロ原子を含まず、それに、3~12個の炭素原子の単環又は7~12個の炭素原子の二環若しくは三環が含まれる。7~12個の原子を有する二環式炭素環は、二環[4,5]、[5,5]、[5,6]若しくは[6,6]体系であってもよく、また、9若しくは10個の原子を有する二環式炭素環は、二環[5,6]若しくは[6,6]体系であってもよい。構造によって、「カルボシクリル」又は「環状脂肪族」、「炭素環」、「シクロアルキル基」は、一価基又は二価基であり得、即ち、本発明のいくつかの実施例において、カルボシクリレン、シクロアルキレンに代えて又はその代わりとして使用することができる。適切な環状脂肪族基には、シクロアルキル基、シクロアルケニル基及びシクロアルキニル基が含まれるが、これらに限定されない。環状脂肪族基の実例には、さらに、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1-シクロペンチル-1-アルケニル、1-シクロペンチル-2-アルケニル、1-シクロペンチル-3-アルケニル、シクロヘキシル、1-シクロヘキシル-1-アルケニル、1-シクロヘキシル-2-アルケニル、1-シクロヘキシル-3-アルケニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル、アダマンチルが含まれるが、これらに限定されない。そして、前記「カルボシクリル」又は「環状脂肪族」、「炭素環」、「シクロアルキル基」は、置換されたもの又は置換されていないものであってもよく、そのうち、置換基は、オキソ(=O)、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル基、アミノ基、-C(=O)-NH2、カルボキシル基、-S(=O)tO-H、-OS(=O)t-H、-S(=O)tNH2、トリアゾリル基、テトラゾリル基、-(CR3bR3c)n-NH2、アルキル基、アルキル基-S(=O)t-、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アルキルチオ基、ハロアルコキシ基、アミノ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、スルフヒドリル基、ニトロ基、アリールオキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アルカノイル基、ベンジル基、シクロプロピル基、フェニル基、アルキル-C(=O)-、アルキル-C(=O)-NH-、ホルムアミド基又はアルコキシアルキル基等であり得るが、これらに限定されない。
【0030】
本発明に使用される用語「複素環基」とは、窒素及び硫黄原子が任意選択で酸化され、窒素原子が任意選択で環原子として四級化された、1つ又は複数のヘテロ原子(O、S若しくはN)を含有する飽和若しくは部分的に不飽和環系基を指す。別途の説明がない限り、「ヘテロシクロアルキル基」の環系は、単環式、二環式、スピロ環式、又は多環式環系であり得る。「ヘテロシクロアルキル基」は、1つ以上の環状炭素又はヘテロ原子を介して分子の残りに連結することができる。「ヘテロシクロアルキル基」の例には、ピロリジン、ピペリジン、N-メチルピペリジン、テトラヒドロイミダゾール、ピラゾリジン、ブチロラクタム、バレロラクタム、イミダゾリノン、ヒダントイン、ジオキソラン、フタルイミド、ピペリジン、ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン、1,4-ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリン-S-オキシド、チオモルホリン-S,S-オキシド、ピペラジン、ピラン、ピリドン、3-ピロリン、チオピラン、ピロン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、キヌクリジン、2‐アザスピロ[3.3]ヘプタン等が含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
本発明に使用される用語「アルキルアミノ基」とは、「N-アルキルアミノ基」を指し、そのうちのアミノ基は、それぞれ独立して1つ又は2つのアルキル基によって置換され、そのうちのアルキル基は、本発明に記載のような意味を有する。そのうちの一部の実施例では、アルキルアミノ基は、C1-6アルキル基が窒素原子に連結された低級アルキルアミノ基である。別の一部の実施例では、アルキルアミノ基は、C1-3の低級アルキルアミノ基である。このような実例には、N-メチルアミノ、N-エチルアミノ等が含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
化合物の合成:
以下、本発明の式(I)の化合物の製造方法について具体的に説明するが、これらの具体的な方法は、本発明をいずれの方法で限定するものではない。
【0033】
以上で説明した式(I)の化合物は、標準的な合成技術又は周知の技術を明細書の方法と組み合わせる方法で合成することができる。さらに、本明細書に言及された溶媒、温度及び他の反応条件を変更することができる。化合物の合成に用いられる出発材料は、合成して得るか、又は商業的供給源から得ることができ、例えば、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,Wis.)又はSigma Chemical Co.(St. Louis,Mo.)があるが、これらに限定されない。適切な試薬及び本明細書に言及された分子式に異なる基を導入する条件を使用することによって化合物を製造する一般的な方法を変更することができる。
【0034】
一方では、本明細書に記載の化合物は、プロセスにおいて周知の方法に従う。ただし、例えば反応物、溶媒、塩基、使用される化合物の量、反応温度、反応に必要な時間等の方法の条件は、以下の解釈に限定されない。本発明の化合物は、本明細書に記載の又は当技術分野で知られている様々な合成方法を任意に選択して組み合わせることで、容易に製造することができ、このような組み合わせは、本発明が属する技術者によって容易に行うことができる。一方では、本発明は、さらに、前記一般式(I)で示される化合物の製造方法を提供し、それは以下の一般的な反応フローを採用して製造される。
【化9】
ここで、R
1及びR
2は、前記のように定義される。
【0035】
化合物Aを出発原料として、求核置換反応により一般式(I)の化合物を得る。
【0036】
本発明に言及された上記の特徴、又は実施例に言及された特徴は、任意に組み合わせることができる。本件の明細書に開示された全ての特徴は、いずれの組成物形態と併用することができ、明細書に開示された各特徴は、同じ、均等、又は類似の目的を提供できる任意の代替的な特徴と置き換えることができる。そのため、特に明記しない限り、開示された特徴は、均等又は類似の特徴の一般的な例にすぎない。
【0037】
以下の説明では、本発明の内容を十分に明らかにするために、上記の化合物、方法、薬物組成物の各具体的な態様、特性及び長所について詳細に記述する。ここでは、下記の詳細な説明及び実例には、具体的な実施例が記述され、参照のためにしか使用されないことに留意されたい。本発明の説明内容を読んだ後、当業者は、本発明に対して種々の変更や修正を行うことができ、これらの等価ものは同様に本願の範囲に属する。
【0038】
全ての実施例において、1H-NMRをVarian Mercury400核磁気共鳴装置で記録し、化学シフトをδ(ppm)で表し、分離用シリカゲルは、別途の説明がない限り、いずれも200~300メッシュであり、溶離液の調製比は、いずれも体積比である。
【0039】
本発明では、次の略語を使用する。室温(RT、rt)、水溶液(aq.)、石油エーテル(PE)、酢酸エチル(EA)、ジクロロメタン(DCM)、メタノール(MeOH)、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、エタノール(EtOH)、トリフルオロ酢酸(TFA)、当量(eq)、グラム/ミリグラム(g/mg)、モル/ミリモル(mol/mmol)、リットル/ミリリットル(L/mL)、分間(min(s))、時間(h、hr、hrs)、窒素(N2)、核磁気共鳴(NMR)、液体質量分析計(LC‐MS)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、分取液体クロマトグラフィー(pre‐HPLC)。
【0040】
実施例1:化合物32の製造:
【化10】
ステップ1:tert-ブトキシ酢酸1.32g及び重炭酸ナトリウム0.84gを30mLのDMSOに入れ、室温で溶解するまで20min撹拌した。室温で原料A1を2.0g加え、65℃まで昇温させて一晩反応させ、原料がなくなり、生成物が生成された。反応を停止し、水層に基本的に生成物がなくなるまでEA/水抽出を行い、有機相を飽和食塩水で洗い、乾燥してカラムに濃縮した後、DCM/MeOH=30/1で溶離して、1.1gの白色固体B1を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ8.05-7.86(m,3H),6.92(d,J=4.4Hz,1H),6.82(d,J=4.4Hz,1H),6.36(d,J=6.0Hz,1H),5.42(d,J=5.8Hz,1H),4.68(t,J=5.4Hz,1H),4.38(d,J=9.8Hz,1H),4.28-4.14(m,2H),4.00(s,2H),3.96-3.89(m,1H),1.12(s,9H).
【0041】
ステップ2:500mgの原料化合物B1を10mLのDCMに溶解し、氷浴でTFAを3mL滴下し、滴下が完了した後、室温で1時間反応させ、LCMSは反応が完了したことを示した。生成物が生成された。反応を停止し、溶媒を低温で濃縮して除去し、DCMで2回蒸させて無色の油状物を得、10mLのMTBEで叩解して白色固体を得てから、5mLのDCMで2回叩解した。濃縮し、抽出して乾固さセルことにより白色固体は、化合物32のトリフルオロ酢酸塩600mgであった。
【0042】
類似の化合物の合成により表1に列挙された化合物を得ることができる。
【0043】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【0044】
代表的な化合物
1H-NMRのデータ
【化11】
1H NMR(500MHz,DMSO-d
6)δ7.93(s,3H),6.91(d,J=4.5Hz,1H),6.81(d,J=4.5Hz,1H),6.33(d,J=6.0Hz,1H),5.39(d,J=5.8Hz,1H),4.71-4.68(m,1H),4.31(dd,J=12.0,2.9Hz,1H),4.26-4.21(m,1H),4.17(dd,J=12.1,5.2Hz,1H),3.98-3.93(m,1H),2.56-2.52(m,1H),1.08-1.03(m,6H).
【化12】
1H NMR(500MHz,DMSO-d
6)δ8.05-7.80(m,3H),6.93(d,J=4.6Hz,1H),6.82(d,J=4.5Hz,1H),6.34(d,J=6.1Hz,1H),5.42(d,J=5.9Hz,1H),4.74-4.68(m,1H),4.48-4.41(m,1H),4.33-4.23(m,2H),4.01-3.93(m,1H),3.80-3.67(m,2H).
【化13】
1H NMR(500MHz,DMSO-d
6)δ8.02-7.78(m,3H),6.91(d,J=4.6Hz,1H),6.79(d,J=4.5Hz,1H),6.34(d,J=6.0Hz,1H),5.38(d,J=6.0Hz,1H),4.67(t,J=5.4Hz,1H),4.38-4.29(m,1H),4.26-4.12(m,2H),3.98-3.88(m,1H),3.21-3.09(m,1H),2.20-2.06(m,4H),1.98-1.86(m,1H),1.84-1.73(m,1H).
【化14】
1H NMR(500MHz,DMSO-d
6)δ8.04-7.78(m,3H),6.92(d,J=4.5Hz,1H),6.81(d,J=4.6Hz,1H),6.34(d,J=6.0Hz,1H),5.39(d,J=5.9Hz,1H),4.74-4.65(m,1H),4.36-4.28(m,1H),4.27-4.21(m,1H),4.20-4.14(m,1H),4.00-3.91(m,1H),2.76-2.66(m,1H),1.85-1.71(m,2H),1.69-1.45(m,6H).
【化15】
1H NMR(500MHz,DMSO-d
6)δ8.06-7.79(m,3H),6.93(d,J=4.5Hz,1H),6.82(d,J=4.5Hz,1H),6.34(d,J=6.0Hz,1H),5.38(d,J=5.9Hz,1H),4.74-4.68(m,1H),4.31(dd,J=12.2,2.9Hz,1H),4.26-4.21(m,1H),4.15(dd,J=12.2,5.0Hz,1H),4.00-3.94(m,1H),2.30-2.22(m,1H),1.81-1.54(m,5H),1.34-1.11(m,5H).
【化16】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ8.05-7.77(m,3H),6.91(d,J=3.4Hz,1H),6.81(d,J=3.4Hz,1H),6.29(d,J=5.9Hz,1H),5.44-5.31(m,2H),4.76-4.65(m,1H),4.44-4.33(m,1H),4.30-4.16(m,2H),4.06-3.88(m,3H).
【化17】
1H NMR(500MHz,DMSO-d
6)δ8.02-7.78(s,3H),6.90(d,J=4.5Hz,1H),6.78(d,J=4.5Hz,1H),6.30-6.24(m,1H),5.39-5.31(m,1H),4.73-4.66(m,1H),4.36-4.18(m,2H),4.16-4.07(m,1H),4.00-3.94(m,1H),3.28-3.17(m,2H),2.85-2.74(m,3H),2.35-2.24(m,2H),2.14(s,3H),2.06(s,3H).
【0045】
実施例2:溶解度テスト
実験方法:高速液体クロマトグラフィー(中国薬典2020年版四部通則0512)を参照して測定した。
【0046】
a.化合物を約1~2mgとって、10mlのメスフラスコに入れ、水を1ml加え、5分間隔で30秒間強く振り、30分間観察し、サンプルが完全に溶解せず、0.45μmのフィルター膜でろ過し、後続ろ過液を取って、試験溶液とした。
【0047】
b.また基準物質を適量とって、溶媒(DMSO:メタノール=10:90)を加えて溶解し、定量希釈して1ml当たり0.1mgを含む溶液に製造して、基準物質溶液とした。
【0048】
c.基準物質及び試験溶液それぞれを20μl精密に量り取り、それぞれ液体クロマトグラフに注入し、外部標準法にしたがってピーク面積で計算し、得られたデータを表2に示した。計算式は、
【数1】
であり、式中、A
試験は、試験溶液のメインピーク面積であり、A
基準は、基準物質溶液のメインピーク面積であり、W
基準は、基準物質の量ったサンプル重みで、mgであり、V
基準は、基準物質溶液の希釈体積で、mlであり、Sは、基準物質含有量で、%である。
【0049】
d.クロマトグラフィー条件:オクタデシルシラン結合シリカゲルを充填剤として用い(Welch Ultimate XB-C18、4.6×150mm、5umカラム適用)、0.05%のH
3PO
4溶液(H
3PO
4を0.5ml取って、水を加えて1000mlに希釈)を移動相Aとし、アセトニトリルを移動相Bとし、下表にしたがって、線形勾配溶離を行い、カラム温度は30℃で、検出波長は254nmである。
【表2】
【0050】
【0051】
GS-441524に比べ、本発明の化合物は、水中でより高い溶解度を有する。そのため、本発明の化合物は、より容易に動物により吸収されることができる。
【0052】
実施例3:化合物1、化合物32、化合物85の猫伝染性腹膜炎の薬効実験
実験方法:
15mgの化合物1、化合物32、化合物85をそれぞれ5mLの溶液(水:プロピレングリコール:PEG=2:1:1)に溶解して注射溶液に製造し、注射投与した。注射液は、室温で保存でき、2mLの使い捨て獣用注射器で対応する体積の注射溶液を吸い取り、空気を上向きに排除した。注射時に、皮膚が軟らかく、皮下組織が緩み、血管が少ない部位、例えば頸部や股内側皮下に注射した。投与量は、1日1回、2mg/kg体重であり、3日おきに採血して、ルーチン検査及び対応する生化学的指標測定を行い、猫の生化学的指標が正常に戻ることが実験終了のシンボルとし、実験で測定した指標データは、体重データ、赤血球データ及びアルブミンとグロブリンの比率データであり、各化合物の実験対象は、それぞれ15匹の猫伝染性腹膜炎に罹患したと診断された猫であった。
【0053】
図1は、それぞれ化合物1、化合物32、化合物85を用いて調製した水性注射剤による治療前後2週間での、1群当たり猫伝染性腹膜炎に罹患した猫が15匹ある3つの群の体重の変化図を示す(縦軸単位はキログラムであり、白色のカラムは治療前を表し、黒色のカラムは治療後を表し、各群のデータの1番目と2番目の2本は化合物1であり、3番目と4番目の2本は化合物32であり、5番目と6番目の2本は化合物85である)。
【0054】
図1から、注射化合物1、32及び85の水性注射剤でそれぞれ治療した猫の体重が、治療前後2週間で変化する状況を分かり、治療後の猫の体重は、治療前より大きい。
【0055】
図2は、それぞれ化合物1、化合物32及び化合物85の水性注射剤での治療前後2週間での、15匹の実験猫の赤血球数の変化図を示す(縦軸単位は1×10
9個/リットルであり、白色のカラムは治療前を表し、黒色のカラムは治療後を表し、各群のデータの1番目と2番目の2本は化合物1であり、3番目と4番目の2本は化合物32であり、5番目と6番目の2本は化合物85である)。
【0056】
図2から、注射化合物1、32及び85で調製した水性注射剤でそれぞれ治療した猫の赤血球数は、いずれも有意に向上したことが分かる。
【0057】
図3は、それぞれ化合物1、化合物32、化合物85で調製した水性注射剤での治療前後2週間での、それぞれに対応する15匹の実験猫のアルブミンとグロブリンの比率の変化を示した(白色のカラムは治療前を表し、黒色のカラムは治療後を表し、各群のデータの1番目と2番目の2本は化合物1であり、3番目と4番目の2本は化合物32であり、5番目と6番目の2本は化合物85である)。
【0058】
図3から、化合物1、化合物32、化合物85で調製した水性注射剤でそれぞれ2週間治療した後の、化合物1、化合物32、化合物85にそれぞれ対応する15匹の猫伝染性腹膜炎に罹患した猫のアルブミンとグロブリンの比率は、いずれも正常値に達したことが分かる。
【0059】
今回の実験で、1群当たり猫伝染性腹膜炎に罹患した猫が15匹ある3つの群の罹患猫は、全部治癒され、且つ再発したものがない。本特許に報告されている一連の化合物はいずれも非常に良好な水溶性を有しており、従来のGS441524油性注射剤とは大きく異なる。その吸収効率がより高く、体内での分散がより容易であり、従来の注射剤に比べて投与量も著しく少ない。
【0060】
実施例4:化合物のインビトロでの猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)に対する活性
実験方法:
成長状態が良好なCRFK細胞を取って、96ウェルプレートに接種し、細胞が80%~90%融合まで成長すると、ウェルあたりに0.1MOIの猫コロナウイルス(FIPV)及び濃度の異なるテスト化合物(0.3125μM、0.625μM、1.25μM、2.5μM、5μM、10μM、20μM及び40μM)を加えるとともに、細胞基準及びウイルス基準を設定し、全てのウェルには1%のDMSOが含まれる。37℃で72hインキュベートした後、CellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega,Madison,WI,USA)を使用して細胞を処理し、GraphPad prism 7ソフトウェアを使用して、化合物がウイルスを阻害する半数効果濃度(EC50)値を計算した。
【0061】
表4:本発明の化合物のインビトロでの猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)に対する阻害活性
【表4】
【0062】
表4から、本発明の化合物4、14、16、18及び32は、いずれもインビトロで猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)の複写を阻害することができ、ここで、化合物4、16及び18の抗ウイルス活性が著しく、EC50は、それぞれ0.65μM、0.81μM及び0.35μMである。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【化1】
(式において、
R
1は、C
1-6アルキル基、C
1-6アルケニル基、C
1-6アルキニル基、C
1-6ハロアルキル基、C
3-7シクロアルキル基、C
3-7複素環基、ヒドロキシ基置換C
1-6アルキル基、アミノ基置換C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシC
1-6アルキル基、C
1-6アルキルアミノC
1-6アルキル基、C
3-7シクロアルキルC
1-6アルキル基、C
3-7複素環C
1-6アルキル基、C
1-6アルキルアミノ基、ヒドロキシ基置換C
1-6アルキルアミノ基、アミノ基置換C
1-6アルキルアミノ基、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルアミノ基、C
1-6アルキルアミノC
1-6アルキルアミノ基、C
3-7シクロアルキルC
1-6アルキルアミノ基、C
3-7複素環C
1-6アルキルアミノ基から選択される。)
【請求項2】
前記R
1が、-CH
3、-CH
2CH
3、-CH
2CH
2CH
3、-CH(CH
3)
2、-CH
2CH
2CH
2CH
3、
【化2】
-CF
3、-CH
2CF
3、
【化3】
-CH
2OH、-CH
2NH
2、-CH
2OCH
3、-CH
2CH
2OCH
3、-CH
2NHCH
3、-CH
2N(CH
3)
2、-CH
2CH
2NHCH
3、-CH
2CH
2N(CH
3)
2、
【化4】
-NHCH
3、-NHCH
2CH
3、-NHCH
2CH
2CH
3、-NHCH(CH
3)
2、-N(CH
3)
2、-N(CH
3)CH
2CH
3、-N(CH
2CH
3)
2、
【化5】
-NHCH
2CH
2OH、-NHCH
2CH
2NH
2、-N(CH
2CH
2OH)
2、-NHCH
2CH
2OCH
3、-N(CH
2CH
2OCH
3)
2、-NHCH
2CH
2NHCH
3、-NHCH
2CH
2N(CH
3)
2、-N(CH
3)CH
2CH
2NHCH
3、-N(CH
3)CH
2CH
2N(CH
3)
2、
【化6】
から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
前記化合物が、以下の構造のうちの1つを有することを特徴とする請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【化7-1】
【化7-2】
【化7-3】
【化7-4】
【化7-5】
【化7-6】
【請求項4】
薬学的に許容可能な賦形剤又は担体、及び、活性成分としての請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含有し、上記活性成分には、その各光学異性体、各結晶形、水和物又は溶媒和物が含まれることを特徴とする薬物組成物。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の、猫コロナウイルス感染に起因する疾患の治療における用途、又は猫コロナウイルス感染に起因する疾患を治療する薬物の製造における用途。
【請求項6】
請求項4に記載の薬物組成物の、猫コロナウイルス感染に起因する疾患を治療する薬物における用途、又は猫コロナウイルス感染に起因する疾患を治療する薬物の製造における用途。
【請求項7】
前記猫コロナウイルス感染に起因する疾患が猫伝染性腹膜炎であることを特徴とする請求項
5に記載の用途。
【請求項8】
前記猫コロナウイルス感染に起因する疾患が猫伝染性腹膜炎であることを特徴とする請求項6に記載の用途。
【国際調査報告】