(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-05
(54)【発明の名称】ナノコンポジット粒子と、その製造方法及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C08L 51/10 20060101AFI20240329BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20240329BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240329BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20240329BHJP
C08K 3/20 20060101ALI20240329BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20240329BHJP
C08J 3/12 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
C08L51/10
C08K3/04
C08K3/013
C08K3/36
C08K3/20
C08L101/00
C08J3/12 101
C08J3/12 CEZ
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557333
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 IL2022050231
(87)【国際公開番号】W WO2022195575
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523354794
【氏名又は名称】キンネレット アカデミック カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】サッケヴェリーネ ラン
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA57
4F070AC15
4F070AC23
4F070DA40
4F070DC02
4F070DC05
4F070DC07
4J002BB032
4J002BB122
4J002BC022
4J002BD032
4J002BE022
4J002BE032
4J002BG042
4J002BG052
4J002BN152
4J002BN191
4J002BP012
4J002CG002
4J002CM011
4J002DA016
4J002DE106
4J002DE136
4J002DE146
4J002DJ006
4J002DJ016
4J002GG00
(57)【要約】
ナノ粒子と、それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)を含むナノコンポジット粒子の集団が開示される。いくつかの実施形態では、PEIでコーティングされたナノ粒子は、シリカナノ粒子、メタクリルシリカナノ粒子、酸化アルミニウム(Al2O3)ナノ粒子、ZnOナノ粒子、ゼオライトナノ粒子、TiO2ナノ粒子、カーボンナノチューブナノ粒子及びグラフェンナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子とPEIとの間に介在層は存在しない。ナノコンポジット粒子の製造方法及び使用方法も開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)親水性フュームドシリカナノ粒子と、
(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、
を含み、
前記ナノ粒子と前記PEIとの間に介在層が存在しない、ナノコンポジット粒子の集団。
【請求項2】
(a)疎水性フュームドシリカナノ粒子と、
(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、
を含む、ナノコンポジット粒子の集団。
【請求項3】
(a)メタクリルシリカナノ粒子と、
(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、
を含む、ナノコンポジット粒子の集団。
【請求項4】
(a)酸化アルミニウム(Al
2O
3)ナノ粒子と、
(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、
を含む、ナノコンポジット粒子の集団。
【請求項5】
(a)酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子と、
(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、
を含む、ナノコンポジット粒子の集団。
【請求項6】
(a)ゼオライトナノ粒子と、
(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、
を含む、ナノコンポジット粒子の集団。
【請求項7】
(a)二酸化チタン(TiO
2)ナノ粒子と、
(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、
を含む、ナノコンポジット粒子の集団。
【請求項8】
(a)カーボンナノチューブナノ粒子と、
(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、
を含む、ナノコンポジット粒子の集団。
【請求項9】
(a)グラフェンナノ粒子と、
(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、
を含む、ナノコンポジット粒子の集団。
【請求項10】
(a)カーボンブラックナノ粒子と、
(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、
を含む、ナノコンポジット粒子の集団。
【請求項11】
前記ナノ粒子と前記PEIとの間に介在層が存在しない、請求項2~10のいずれか一項に記載のナノコンポジット粒子の集団。
【請求項12】
前記ナノ粒子の平均サイズが5~100nmである、請求項1~11のいずれか一項に記載のナノコンポジット粒子の集団。
【請求項13】
前記PEIの分子量が少なくとも600g/モルである、請求項1~12のいずれか一項に記載のナノコンポジット粒子の集団。
【請求項14】
前記PEIの分子量が100,000g/モルを超えない、請求項1~13のいずれか一項に記載のナノコンポジット粒子の集団。
【請求項15】
(a)有機溶媒中に分散したナノ粒子に対して、W/Wベースで少なくとも5%のポリ(エチレンイミン)(PEI)を添加するステップと、
(b)前記ナノ粒子に対して、W/Wベースで少なくとも0.1%の過酸化ベンゾイル(BP)を添加するステップと、
(c)超音波処理するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記有機溶媒中でナノ粒子を超音波処理するステップ
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ナノ粒子がフュームドシリカを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ナノ粒子がメタクリルシリカを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ナノ粒子が酸化アルミニウム(Al
2O
3)を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記ナノ粒子がZnOを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記ナノ粒子がゼオライトを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記ナノ粒子がTiO
2を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記ナノ粒子がカーボンナノチューブを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記ナノ粒子がグラフェンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記ナノ粒子がカーボンブラックを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
ナノ粒子に対して少なくとも30%のPEIを添加するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
ナノ粒子に対して少なくとも100%のPEIを添加するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項28】
ナノ粒子に対して少なくとも1%のBPを添加するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項29】
ナノ粒子に対して少なくとも2%のBPを添加するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項30】
前記ナノ粒子をエタノールで洗浄するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項31】
未グラフト化PEIをキシレンで抽出するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項32】
前記超音波処理の間に前記有機溶媒を4℃に冷却するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項33】
室温で一晩インキュベートするステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項34】
(a)PEIでコーティングされたナノ粒子をポリマー材料とプレミックスして、プレミックスを形成するステップと、
(b)前記プレミックスに追加のポリマー材料を混合して最終混合物を形成するステップと、
(c)前記最終混合物を押出成形するステップと、
を含む、方法。
【請求項35】
前記ポリマー材料及び/又は前記追加のポリマー材料がリサイクルされる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記混合中に充填剤を添加するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記押出成形中に充填剤を添加するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記ポリマー材料及び前記追加のポリマー材料は、それぞれ独立して、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE、LDPE、HDPE、PEX)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート(PAM)、ポリスチレン(PS)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、エチレンビニルアセテート(EVA)、イソプレン、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロックコポリマー、ブタジエン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)からなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記最終混合物が、PEIでコーティングされた少なくとも0.01%(W/W)のナノ粒子を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記最終混合物が、PEIでコーティングされた25%(W/W)以下のナノ粒子を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
請求項34~40のいずれか一項に記載の方法によって製造された製品。
【請求項42】
(a)PEIでコーティングされたナノ粒子を液体媒体中に分散させて、懸濁液を生成するステップと、
(b)前記懸濁液を製品の表面に塗布するステップと、
(c)前記液体媒体を蒸発させるステップと、
を含む、方法。
【請求項43】
前記液体媒体のゲル化を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記液体媒体が水を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記液体媒体が有機溶媒を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記有機溶媒がエタノールを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
PEIでコーティングされた前記ナノ粒子が、シリカナノ粒子、メタクリルシリカナノ粒子、酸化アルミニウム(Al
2O
3)ナノ粒子、ZnOナノ粒子、ゼオライトナノ粒子、TiO
2ナノ粒子、カーボンナノチューブナノ粒子及びグラフェンナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
PEIでコーティングされた前記ナノ粒子が、少なくとも0.01%W/Vの濃度で前記液体媒体中に存在する、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
請求項42に記載の方法であって、前記塗布するステップが、噴霧、ブラッシング、ドーピング、ローリング、スミアーコーティング及びディッピングからなる群から選択される少なくとも1つの作用を含む、方法。
【請求項50】
前記製品が、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE、LDPE、HDPE、PEX)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート(PAM)、ポリスチレン(PS)、高密度ポリスチレン(HIPS)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、エチレンビニルアセテート(EVA)、イソプレン、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロックコポリマー、ブタジエン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)からなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項42に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の詳細)
本PCT出願は、参照により本明細書に完全に組み込まれる2021年3月17日に出願されたイスラエル出願第281582号の米国特許法第119条(a)に基づく優先権を主張する。
【0002】
(謝辞)
本研究は、CIRCLEコンソーシアムの一環として行われた。CIRCLEコンソーシアムは、イスラエルのイノベーション庁(Israel Innovation Authority)の技術インフラ部(Technology Infrastructure Division)の支援を受けている。
【0003】
本発明は、ナノ粒子の分野に属する。
【背景技術】
【0004】
2018年のプラスチック廃棄物の生産量は、世界で約3億6,000万トンであり、増加し続けている。プラスチック廃棄物の約40%は、主に燃焼反応によってエネルギーに変換されている。わずか15%のプラスチック廃棄物が、リサイクルされているだけある。残りの45%のプラスチック廃棄物の多くは、埋立地に送られている。
【0005】
リサイクルは、経済的にも環境的にも両面で魅力的である。プラスチック包装の需要は、増加の一途をたどっているが、その一方で「バージン」プラスチックの原料は、減少している。包装廃棄物のリサイクルは、循環型経済に貢献する可能性を秘めている。
【0006】
残念なことに、家庭廃棄物からリサイクルされたプラスチックは、芳香族(リモネンなど)を含む70種類以上の揮発性化合物を放出する可能性がある。これらの化合物は、一般的に、「揮発性有機化合物」又は「VOC」と呼ばれている。
【0007】
プラスチックから放出される揮発性化合物(VOCを含む)は、通常、ガスクロマトグラフィー嗅覚法(GC-O)によって特性評価/測定される。GC-Oは、ガスクロマトグラフィー分析を利用して、人間の感覚によって増強される臭気の原因となる化合物を特定する。GC-Oは、臭気活性成分の分子構造と人間の知覚との間の対応関係を提供する。GC-Oは、リサイクル中の押し出しが新たな香りを発生させることを立証した。GC-Oでは、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GCMS)が、試料を「嗅ぐ」人間の「臭気パネル」からの結果によって補足される。
【0008】
さらに、プラスチック廃棄物が接触した微生物汚染有機物、及び/又はリサイクルに使用される充填剤が、不要な臭気の原因となることもある。
【0009】
代替的又は追加的に、光、熱、照射などの要因によって、ポリマーの化学的物理的特性が変化し、臭気物質が放出されることもある。
【0010】
場合によっては、プラスチックの嫌な臭いを隠すために香料を使用することもある。さらに、臭気を低減する添加剤も開発されてきた。例えば、グラフェンエアロゲル(GA)が開発されている。GAは、VOCを吸収すると考えられている。
【発明の概要】
【0011】
本発明の広範な態様は、臭気の低減に関する。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、ナノ粒子にグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)に関する。いくつかの実施形態において、グラフト化は、直接的であり、PEIを付着させる前にナノ粒子を別の材料で前処理しないことを意味する。本発明の様々な例示的実施形態によれば、ナノ粒子は、フュームドシリカ(親水性及び/又は疎水性)及び/又はメタクリルシリカ及び/又は酸化アルミニウム(Al2O3)及び/又は酸化亜鉛(ZnO)及び/又はゼオライト及び/又は二酸化チタン(TiO2)及び/又はカーボンナノチューブ及び/又はグラフェン及び/又はカーボンブラックを含む。本発明の様々な例示的実施形態によれば、ナノ粒子は、少なくとも5nm、少なくとも10nm、少なくとも15nm、少なくとも20nm、少なくとも30nm、少なくとも40nm、少なくとも50nm、少なくとも60nm、少なくとも70nm、少なくとも80nm、少なくとも90nm、少なくとも100nm、又は中間以上の平均サイズを有する。代替的又は追加的に、本発明の様々な例示的実施形態によれば、ナノ粒子は、200nm未満、100nm未満、90nm未満、80nm未満、70nm未満、60nm未満、50nm未満、40nm未満、30nm未満、25nm未満、20nm未満、15nm未満、12nm未満、10nm未満、又は中間サイズ以下の平均サイズを有する。本発明の様々な例示的実施形態によれば、PEIは、少なくとも600g/モル、少なくとも1000g/モル、少なくとも5000g/モル、少なくとも10,000g/モル、少なくとも15,000g/モル、少なくとも20,000g/モル、少なくとも25,000g/モル、少なくとも10,000g/モル、少なくとも15,000g/モル、少なくとも20,000g/モル、少なくとも25,000g/モル、少なくとも30,000g/モル、少なくとも35,000g/モル、少なくとも40,000g/モル、少なくとも45,000g/モル、少なくとも50,000g/モル、少なくとも55,000g/モル、少なくとも60,000g/モル、少なくとも65,000g/モル、少なくとも70,000g/モル、少なくとも75,000g/モル、少なくとも70,000g/モル、少なくとも75,000g/モル、少なくとも80,000g/モル、少なくとも85,000g/モル、少なくとも90,000g/モル、少なくとも95,000g/モル、少なくとも190,000g/モル、少なくとも290,000g/モル、少なくとも390,000g/モル、少なくとも490,000g/モル、少なくとも590,000g/モル、少なくとも690,000g/モル、又は中間以上の分子量を有する。代替的又は追加的に、本発明の様々な例示的な実施形態によれば、PEIは、755,000g/モル未満、650,000g/モル未満、550,000g/モル未満、95,000g/モル未満、85,000g/モル未満、80,000g/モル未満、75,000g/モル未満、70,000g/モル未満の、65,000g/モル未満、60,000g/モル未満、55,000g/モル未満、50,000g/モル未満、45,000g/モル未満、40,000g/モル未満、35,000g/モル未満、30,000g/モル未満、25,000g/モル未満、20,000g/モル未満、15,000g/モル未満、10,000g/モル未満、5,000g/モル未満、4,000g/モル未満、4,000g/モル未満、1,000g/モル未満、又は中間以下の分子量を有する。代替的又は追加的に、本発明の様々な例示的な実施形態によれば、PEIは、直鎖状又は分枝状である。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態の別の態様は、ポリ(エチレンイミン)(PEI)をナノ粒子にグラフト化させるための超音波処理の使用に関する。本発明の様々な例示的実施形態によれば、ナノ粒子は、上述の通りである。本発明の様々な例示的実施形態によれば、ナノ粒子に対するPEIの量は、W/Wベースで少なくとも0.1%、少なくとも0.25%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2.5%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも60%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、又は少なくとも300%、あるいは中間以上のパーセンテージである。代替的又は追加的に、本発明の様々な例示的実施形態によれば、ナノ粒子に対するPEIの量は、W/Wベースで400%未満、300%未満、200%未満、150%未満、100%未満、60%未満、30%未満、20%未満、又は10%未満、あるいは中間以下のパーセンテージである。本発明のいくつかの例示的な実施形態において、超音波処理中の過酸化ベンゾイル(BP)の添加は、ナノ粒子へのPEIのグラフト化の開始に寄与する。いくつかの実施形態において、BPは、フリーラジカルを提供する。本発明のいくつかの例示的な実施形態において、ナノ粒子は、PEIのグラフト化の前に、液体担体中で超音波処理されて懸濁液を形成する。本発明の様々な例示的実施形態によれば、ナノ粒子に対するBPの量は、W/Wベースで少なくとも0.1%、少なくとも0.25%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも3%、あるいは中間以上のパーセンテージである。代替的又は追加的に、本発明の様々な例示的実施形態によれば、ナノ粒子に対するBPの量は、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、0.5%未満、0.25%未満、0.15%未満、あるいは中間以下のパーセンテージである。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態の更なる態様は、上記のように表面にPEIがグラフト化されたナノ粒子のポリマー材料への組み込みに関する。いくつかの実施形態において、組み込みは、製造プロセスの最中又は前に行われる。本発明の様々な例示的実施形態によれば、ポリマー材料は、バージン材料及び/又はリサイクル材料を含む。いくつかの実施形態において、表面にPEIがグラフト化されたナノ粒子の組み込みは、ポリマー材料から、及び/又はその中に含まれる充填剤及び/又は添加剤から発せられる臭気の低減に寄与する。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態の更なる追加の態様は、上記のように表面にPEIがグラフト化されたナノ粒子を製品(product)の表面に塗布することに関する。いくつかの実施形態において、表面にPEIがグラフト化されたナノ粒子を製品の表面に塗布することは、製品から発せられる臭気の低減に寄与する。
【0016】
上述した様々な態様は、PEIでコーティングされたナノ粒子の製造に関連する技術的問題の解決に関することが理解されよう。
【0017】
代替的又は付加的に、上述した様々な態様は、様々な種類の製品及び/又は様々な種類の廃棄物から、及び/又はそれらの製造に使用される高分子材料から、及び/又はポリマー材料中の充填剤から、及び/又はガスから発散する臭気の低減に関連する技術的問題の解決に関することが理解されよう。
【0018】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、(a)親水性フュームドシリカナノ粒子と、(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、を含み、前記ナノ粒子と前記PEIとの間には介在層が存在しない、ナノコンポジット粒子の集団(population)が提供される。
【0019】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、(a)疎水性フュームドシリカナノ粒子と、(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、を含むナノコンポジット粒子の集団が提供される。
【0020】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、(a)メタクリルシリカナノ粒子と、(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、を含むナノコンポジット粒子の集団が提供される。
【0021】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、(a)酸化アルミニウム(Al2O3)ナノ粒子と、(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、を含むナノコンポジット粒子の集団が提供される。
【0022】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、(a)酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子と、(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、を含むナノコンポジット粒子の集団が提供される。
【0023】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、(a)ゼオライトナノ粒子と、(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、を含むナノコンポジット粒子の集団が提供される。
【0024】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、(a)二酸化チタン(TiO2)ナノ粒子と、(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、を含むナノコンポジット粒子の集団が提供される。
【0025】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、(a)カーボンナノチューブナノ粒子と、(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、を含むナノコンポジット粒子の集団が提供される。
【0026】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、(a)グラフェンナノ粒子と、(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、を含むナノコンポジット粒子の集団が提供される。
【0027】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、(a)カーボンブラックナノ粒子と、(b)それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、を含むナノコンポジット粒子の集団が提供される。
【0028】
上記で定義されたナノコンポジット粒子の各集団に関して、以下のようになる。
【0029】
いくつかの実施形態では、上述のナノコンポジット粒子の集団は、ナノ粒子とPEIとの間に介在層を有さない。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、上述のナノコンポジット粒子の集団は、平均サイズが5~100nmのナノ粒子を有する。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、上述のナノコンポジット粒子の集団は、少なくとも600g/モルのPEIの分子量を有する。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、上述のナノコンポジット粒子の集団は、100,000g/モル以下のPEIの分子量を有する。
【0030】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、有機溶媒(例えば、エタノール)が提供され、有機溶媒には、(a)エタノール中に分散したナノ粒子に対して、W/Wベースで少なくとも5%のポリ(エチレンイミン)(PEI)を添加するステップと、(b)前記ナノ粒子に対して、W/Wベースで少なくとも0.1%の過酸化ベンゾイル(BP)を添加するステップと、(c)超音波処理するステップと、を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、有機溶媒(例えば、エタノール)中でナノ粒子を超音波処理することを含む。
代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、フュームドシリカ及び/又はメタクリルシリカ及び/又は酸化アルミニウム(Al2O3)及び/又はZnO及び/又はゼオライト及び/又はTiO2及び/又はカーボンナノチューブ及び/又はグラフェン及び/又はカーボンブラックを含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、本方法は、ナノ粒子に対して少なくとも30%のPEIを添加するステップを含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、本方法は、ナノ粒子に対して少なくとも100%のPEIを添加するステップを含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、本方法は、ナノ粒子に対して少なくとも1%のBPを添加するステップを含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、本方法は、ナノ粒子に対して少なくとも2%のBPを添加するステップを含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、本方法は、ナノ粒子をエタノール及び/又は別の有機溶媒で洗浄するステップを含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、本方法は、未グラフト化PEIをキシレンで抽出するステップを含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、本方法は、超音波処理中にエタノール(又は他の溶媒)を4℃に冷却するステップを含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、本方法は、室温で一晩インキュベートするステップを含む。
【0031】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、(a)PEIでコーティングされたナノ粒子をポリマー材料とプレミックスして、プレミックスを形成するステップと、(b)前記プレミックスに追加のポリマー材料を混合して最終混合物を形成するステップと、(c)前記最終混合物を押出成形するステップと、を含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、ポリマー材料及び/又は追加のポリマー材料は、リサイクルされる。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、本方法は、混合中に充填剤を添加するステップを含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、本方法は、押出中成形に充填剤を添加するステップを含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、ポリマー材料及び追加のポリマー材料は、それぞれ独立して、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE、LDPE、HDPE、PEX)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート(PAM)、ポリスチレン(PS)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、エチレンビニルアセテート(EVA)、イソプレン、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロックコポリマー、ブタジエン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)からなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、最終混合物は、PEIでコーティングされた少なくとも0.01%(W/W)のナノ粒子を含む。代替的又は追加的に、本発明の様々な例示的な実施形態によれば、最終混合物は、PEIでコーティングされた25%(W/W)以下のナノ粒子を含む。本発明の更なる実施形態は、上記の方法によって製造される製品に関する。
【0032】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、(a)PEIでコーティングされたナノ粒子を液体媒体中に分散させて、懸濁液を生成するステップと、(b)前記懸濁液を製品の表面に塗布するステップと、(c)前記液体媒体を蒸発させるステップと、を含むが提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、液体媒体のゲル化を含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、液体媒体は、水を含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、液体媒体は、有機溶媒を含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、有機溶媒は、エタノールを含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、PEIでコーティングされたナノ粒子は、シリカナノ粒子、メタクリルシリカナノ粒子、酸化アルミニウム(Al2O3)ナノ粒子、ZnOナノ粒子、ゼオライトナノ粒子、TiO2ナノ粒子、カーボンナノチューブナノ粒子及びグラフェンナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、PEIでコーティングされたナノ粒子は、少なくとも0.01%W/Vの濃度で液体媒体中に存在する。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、塗布するステップは、噴霧、ブラッシング、ドーピング、ローリング、スミアーコーティング(smear coating)及びディッピングからなる群から選択される少なくとも1つの作用を含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、製品は、前記製品が、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE、LDPE、HDPE、PEX)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート(PAM)、ポリスチレン(PS)、高密度ポリスチレン(HIPS)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、エチレンビニルアセテート(EVA)、イソプレン、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロックコポリマー、ブタジエン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)からなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む。
【0033】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。適切な方法及び材料を以下に説明するが、本明細書に記載のものと同様又は同等の方法及び材料を本発明の実施に使用することができる。矛盾が生じた場合には、定義を含む特許明細書が優先される。全ての材料、方法、及び実施例は、例示のみを目的としており、限定することを意図したものではない。
【0034】
本明細書で使用される「備える」及び「含む」という用語、又はその文法的変化形は、1つ以上の追加の特徴、整数、アクション、コンポーネント又はそのグループの追加を妨げることなく、記載された特徴、整数、アクション、又はコンポーネントの包含を指定するものとして解釈されるべきである。この用語は、米国特許商標庁の特許審査手順マニュアルで定義されている「からなる」及び「本質的にからなる」という用語よりも広義であり、これらの用語も含む。したがって、実施形態が特徴を「含む」又は「備える」というあらゆる記載は、サブ実施形態が記載された特徴から「本質的に構成される」及び/又は「からなる」という特定の記述である。
【0035】
「から本質的になる」という語句又はその文法的変化形は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ又はコンポーネントを指定するものとして解釈されるべきであるが、1つ以上の追加の特徴、整数、ステップ、コンポーネント又はそれらのグループの追加を妨げるものではないが、それは、その追加の特徴、整数、ステップ、コンポーネント又はそのグループが、特許請求の範囲に記載されている組成物、装置、又は方法の基本的かつ新規な特性を実質的に変更しない場合に限る。
【0036】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される「に適合する」という語句は、前述のコンポーネントに追加の構造的制限を課すものである。
【0037】
「方法」という用語は、所与のタスクを達成するための手法、手段、技術及び手順を指すが、これは、既知の手法、手段、技術及び手順、あるいは既知のそれらから、建築及び/又はコンピューターサイエンスの専門家によって容易に開発される方法、手段、技術及び手順を含むが、これらに限定されない。
【0038】
パーセンテージ(%)は、特に明記しない限り、W/W(重量/重量)である。
【0039】
表示されている分子量は、製造業者の製品データシートに基づくが、実際の測定条件によって異なる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
発明を理解し、本発明が実際にどのように実施され得るかを見るために、ここで、非限定的な例としてのみ、添付の図を参照して実施形態を説明する。図において、2つ以上の図に現れる同一及び類似の構造、要素又はその部分は、一般に、それらが現れる図において同一又は類似の参照記号でラベル付けされている。図に示されたコンポーネント及び特徴の寸法は、主として便宜上、提示を明確にするために選択されたものであり、必ずしも縮尺通りではない。添付の図は、以下の通りである。
【0041】
【
図1】本発明のいくつかの例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子の形成プロセスの概略概要である。
【
図2】本発明のいくつかの例示的実施形態に従って、ナノコンポジット粒子を製造するための方法の簡略化したフロー図である。
【
図3】本発明のいくつかの例示的な実施形態に従って、ナノコンポジット粒子をポリマー材料に組み込むための方法の簡略化したフロー図である。
【
図4】本発明のいくつかの例示的な実施形態に従って、ナノコンポジット粒子を製品の表面に塗布するための方法の簡略化したフロー図である。
【
図5】3:1のPEI及び2.0%のBPに対する抽出前の元々のシリカ(pristine silica)Aerosil 200(一点鎖線)、ニート(neat)PEI 25K(点線)、ニートPEI 10K(実線)、SC25-04(二点鎖線)及びSC10-04(破線)のFTIRスペクトル(波数/cmの関数としての吸光度)のプロットである。
【
図6A】本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子の、キシレンによる抽出前(上線)及び抽出後(下線)のFTIRスペクトル(波数/cmの関数としての吸光度)のプロットである。
【
図6B】本発明の例示的実施形態に従うナノコンポジット粒子の、キシレンによる抽出前(上線)及び抽出後(下線)のFTIRスペクトル(波数/cmの関数としての吸光度)のプロットである。
【
図7A】参考のために、ニートPEI(破線)を用いた、キシレン抽出前(実線)及び抽出後(点線)の、本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子(SC800-04)の温度(℃)の関数としてのTGAサーモグラム(重量%)である。
【
図7B】参考のために、ニートPEI(破線)を用いた、キシレン抽出前(実線)及び抽出後(点線)の、本発明の例示的な実施形態(SC800-04)に従うナノコンポジット粒子の温度(℃)の関数としてのDTGサーモグラム[重量微分(Weight derivative)(%/℃)]である。
【
図7C】キシレン抽出前(青色の線)及びキシレン抽出後(橙色の線)の、本発明の例示的実施形態によるナノコンポジット粒子の温度(℃)の関数としてのTGAサーモグラム(重量%)である。
【
図7D】キシレン抽出前(青色の線)及び抽出後(橙色の線)の、本発明の例示的実施形態に従うナノコンポジット粒子の温度(℃)の関数としてのDTGサーモグラム[重量微分(%/℃)]である。
【
図8】0.5%のBP濃度及びMW25,000のPEIについて、重量比1:3(破線、SC25-Y)、3:1(点線)及び1:1(実線)でキシレン抽出後の、本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子のTGAサーモグラム(温度(℃)の関数としての重量%)である。
【
図9A】1.0%のBP濃度及びMW25,000のPEIについて、重量比3:1(点線)、1:1(実線)及び1:3(破線)でキシレン抽出後の、本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子(SC25-Y)のTGAサーモグラム(温度(℃)の関数としての重量%)である。
【
図9B】2.0%のBP濃度及びMW25,000のPEIについて、重量比3:1(点線)、1:1(実線)及び1:3(破線)でキシレン抽出後の、本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子SC25-YのTGAサーモグラム(温度の関数としての重量%)である。
【
図10】600MW及び重量比1:3のPEIで、2.0%(上の線)、1.0%(中の線)及び0.5%(下の線)のBP濃度によるキシレン抽出後の、本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子のTGAサーモグラム(温度(℃)の関数としての重量%)である。
【
図11A】MW10,000及び重量比3:1のPEIで、2.0%(下の線)、1.0%(上の線)及び0.5%(中の線)のBP濃度によるキシレン抽出後の、本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子のTGAサーモグラム(温度(℃)の関数としての重量%)である。
【
図11B】MW25000及び重量比3:1のPEIで、2.0%(青色の線)、1.0%(橙色の線)及び0.5%(緑色の線)のBP濃度によるキシレン抽出後、本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子のTGAサーモグラム(温度(℃)の関数としての重量%)である。
【
図12】重量比1:1で、2.0%(中の線)、1.0%(上の線)及び0.5%(下の線)のBP濃度によるキシレン抽出後、本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子のTGAサーモグラム(温度(℃)の関数としての重量%)である。
【
図13A】PEI 600MW(上の線)、PEI 800MW(下の線)についてのキシレン抽出後、本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子SC600-6及びSC800-06のTGAサーモグラム(温度(℃)の関数としての重量%)である。
【
図13B】PEI 600MW(上の線)、及びPEI 25,000MW(青色の線)についてのキシレン抽出後、本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子b)SC600-09及びSC25-09のTGAサーモグラム(温度(℃)の関数としての重量%)である。
【
図13C】PEI 600MW(上の線)、及びPEI 25,000MW(下の線)についてのキシレン抽出後、本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子SC800-08及びSC25-08のTGAサーモグラム(温度(℃)の関数としての重量%)である。
【
図13D】PEI 10,000MW(上の線)、及びPEI 25,000MW(下の線)についてのキシレン抽出後、本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子SC10-05及びSC25-05のTGAサーモグラム(温度(℃)の関数としての重量%)である。
【
図14A】AEROSIL 200(上からの三番目の線)、AEROSIL R972(上の線)、AEROSIL R711(一番下の線)、及びAeroxide Alu C(二番目の線)について、重量比3:1及び0.5%のBP濃度でのキシレン抽出後の本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子のTGAサーモグラム(温度(℃)の関数としての重量%)である。
【
図14B】AEROSIL 200(黄色の線)、AEROSIL R972(灰色の線)、AEROSIL R711(橙色の線)、及びAeroxide Alu C(青色の線)についての重量比3:1及び0.5%のBP濃度でのキシレン抽出後の本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子のDTGサーモグラム(温度(℃)の関数としての導出重量(%/℃))である。
【
図15A】AEROSIL 200(黄色の線)、AEROSIL R972(灰色の線)、AEROSIL R711(橙色の線)、Aeroxide Alu C(青色の線)についての重量比3:1及び0.5%のBP濃度で、キシレン抽出後の本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子のFTIRスペクトル(波数/cmの関数としての吸光度)である。
【
図15B】種類の粒子(AEROSIL 200、AEROSIL R972、AEROSIL R711、及びAeroxide Alu C)をベースとする、本発明の様々な例示的実施形態に従うPEIナノコンポジット粒子の重量損失%を示す棒グラフである。
【
図16A】何もグラフト化されていないシリカのナノ粒子の高解像度走査型電子顕微鏡写真(HRSEM)である(倍率50,000)。
【
図16B】PEI 25,000MWの高解像度走査型電子顕微鏡写真(HRSEM)である(倍率5,000)。
【
図16C】シリカナノ粒子とPEI25,000MWとの混合物である(倍率50,000)。
【
図16D】本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子(キシレン抽出前の試料SC25-07)である(倍率50,000)。
【
図17A】本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子(キシレン抽出前の試料SC25-07)のHRSEM写真である(倍率100,000)。
【
図17B】本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子(キシレン抽出前の試料SC25-07)のHRSEM写真である(倍率100,000)。
【
図18】発泡剤を含むリサイクルPVCについて、90℃で30分後と120℃で60分後にGCMSによって測定された総排出量をPPMで示す棒グラフであり、図中、Rは未処理の参照試料を示し、Cは0.5%の市販の臭気低減添加剤を有する試料を示し、Eは、本発明の例示的な実施形態に従う0.5%のPEIナノコンポジット粒子を有する試料を示す。
【
図19】Plastofil G1パネル(リファレンス)、市販の臭気低減添加剤2.0%を含む同じパネル(ベンチマーク)、グラフト化されていないPEIを含む同じパネル(0.25%ニートPEI)、及び本発明の例示的な実施形態に従うPEIナノコンポジット粒子を含む同じパネル(0.25%SC-07 25)について、5人の人間試験者のパネルによって知覚される臭気を任意の単位で示す棒グラフである。
【
図20】本発明の様々な例示的な実施形態に従う、異なるSI:PEI重量比を有するPEI 25,000MWナノコンポジット粒子のPB濃度(%)の関数としての重量損失%を示す棒グラフである。
【
図21】本発明の様々な例示的な実施形態に従う、異なるSI:PEI重量比を有するPEI 10,000MWナノコンポジット粒子のPB濃度(%)の関数としての重量損失%を示す棒グラフである。
【
図22】本発明の様々な例示的な実施形態に従う、異なるSI:PEI重量比を有するPEI 800MWナノコンポジット粒子のPB濃度(%)の関数としての重量損失%を示す棒グラフである。
【
図23A】本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子のTGAサーモグラム(温度(℃)の関数としての重量%)であり、ここでは、キシレン抽出後に、EC300カーボンブラックナノ粒子がPEI 25,000MWにグラフト化されている。
【
図23B】
図23Aのリファレンス標準としてPEI 25,000MWのTGAサーモグラム(温度(℃)の関数としての重量%)である。
【
図23C】本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子のDTGサーモグラム(温度(℃)の関数としての[重量微分(%/℃)])であり、ここでは、キシレン抽出後に、EC300カーボンブラックナノ粒子がPEI 25,000MWにグラフト化されている(
図23Aと同様)。
【
図23D】
図23Cのリファレンス標準として、PEI 25,000MWのDTGサーモグラム(温度(℃)の関数としての[重量微分(%/℃)])である。
【
図24A】本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子のTGAサーモグラム(温度(℃)の関数としての重量%)であり、ここでは、キシレン抽出後に、SW07単層カーボンナノチューブナノ粒子がPEI 25,000MWにグラフト化されている。
【
図24B】
図24Aのリファレンス標準としてPEIを含まないSW07カーボンナノチューブナノ粒子のTGAサーモグラム(温度(℃)の関数としての重量%)である。
【
図24C】本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子のDTGサーモグラム(温度(℃)の関数としての[重量微分(%/℃)])であり、ここでは、キシレン抽出後に、SW07単層カーボンナノチューブナノ粒子がPEI 25,000MWにグラフト化されている。
【
図24D】
図24Cのリファレンス標準としてのPEIを含まないSW07カーボンナノチューブナノ粒子のDTGサーモグラム(温度(℃)の関数としての[重量微分(%/℃)])である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の実施形態は、ナノコンポジット粒子と、それらを製造及び使用する方法とに関する。
【0043】
具体的には、本発明のいくつかの実施形態は、介在層なしで、PEIをナノ粒子に直接グラフトするために使用することができる。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、PEIでコーティングされたナノ粒子(直接グラフト化又は別の方法によるものであろうとなかろうと)は、PEI単独又はナノ粒子単独よりも大きい臭気低減能力を示す。
【0044】
本発明の例示的な実施形態に従うコーティングされたナノ粒子及び/又はdsの原理及び動作は、図面及び添付の説明を参照して、よりよく理解され得る。
【0045】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載される詳細、又は実施例によって例示される詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、あるいは様々な方法で実施又は実行することができる。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明の目的のためであり、限定と見なされるべきではないことを理解されたい。
【0046】
(例示的なナノコンポジット粒子)
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、親水性フュームドシリカナノ粒子と、それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、を含むナノコンポジット粒子の集団に関する。これらの実施形態によれば、ナノ粒子とPEIとの間に介在層がない。これらの実施形態での使用に適した例示的なナノ粒子には、AEROSIL(商標) 200及びAEROSIL 300及びAEROSIL 300/30(EVONIK、ドイツ)を含む。
【0047】
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、疎水性フュームドシリカナノ粒子と、それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、を含むナノコンポジット粒子の集団に関する。これらの実施形態での使用に適した例示的なナノ粒子には、AEROSIL R972(疎水性、サイズ16nm、EVONIK、ドイツ)を含む。
【0048】
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、メタクリルシリカナノ粒子と、それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、を含むナノコンポジット粒子の集団に関する。これらの実施形態での使用に適した例示的なナノ粒子には、AEROSIL R711(サイズ12nm、EVONIK、ドイツ)を含む。
【0049】
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、酸化アルミニウム(Al2O3)ナノ粒子と、それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、を含むナノコンポジット粒子の集団に関する。これらの実施形態での使用に適した例示的なナノ粒子には、Aeroxide Alu C(Al2O3、EVONIK、ドイツ)を含む。
【0050】
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子と、それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、を含むナノコンポジット粒子の集団に関する。これらの実施形態での使用に適した例示的なナノ粒子には、AEROSIL R972(疎水性、サイズ16nm、EVONIK、ドイツ)を含む。
【0051】
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、ゼオライトナノ粒子と、それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、を含むナノコンポジット粒子の集団に関する。これらの実施形態での使用に適した例示的なナノ粒子には、Zeoflair 100、Zeoflair 110、Zeoflair 800(それぞれZEOCHEM,米国)及びZSM 5(Zeolyst,米国)を含む。
【0052】
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、二酸化チタン(TiO2)ナノ粒子と、それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、を含むナノコンポジット粒子の集団に関する。これらの実施形態での使用に適した例示的なナノ粒子には、Aeroxide P25(EVONIK,ドイツ)を含む。
【0053】
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、カーボンナノチューブナノ粒子又はカーボンブラック及びそれにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)を含むナノコンポジット粒子の集団に関する。これらの実施形態での使用に適した例示的なカーボンナノチューブナノ粒子には、NC7000(Nanocyl SA,ベルギー)及びTuball SWNT(OCSIAL,ルクセンブルク)を含む。
【0054】
これらの実施形態での使用に適した例示的なカーボンナノチューブナノ粒子には、Ketjenblack EC-300及びEC-600(Nouryon,オランダ)を含む。
【0055】
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、グラフェンナノ粒子と、それにグラフト化されたポリ(エチレンイミン)(PEI)と、を含むナノコンポジット粒子の集団に関する。これらの実施形態での使用に適した例示的なナノ粒子には、還元型酸化グラフェン又はグラフェン300(Sigma Aldrich、米国ミズーリ州セントルイス)を含む。
【0056】
上記の様々なナノコンポジット粒子のいくつかの例示的な実施形態では、前記ナノ粒子と前記PEIとの間に介在層がない。上記の様々なナノコンポジット粒子のいくつかの例示的な実施形態では、ナノ粒子は、PEIグラフト化前に5~100nmの平均サイズを有する。本発明の様々な例示的実施形態によれば、PEIによって、1nmから最大で15nm大きくなる。
【0057】
上記の様々なナノコンポジット粒子のいくつかの例示的な実施形態では、PEIの分子量は、少なくとも600g/モルである。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、PEIの分子量は、100,000g/モルを超えない。
【0058】
(例示的な製造方法)
図2は、本発明のいくつかの例示的な実施形態に従って、ナノコンポジット粒子を製造するための、全体的に200で示される方法の簡略化したフロー図である。
【0059】
描写された例示的な方法200は、エタノール中に分散されたナノ粒子に対してW/Wベースで少なくとも5%のポリ(エチレンイミン)(PEI)を添加するステップ210と、前記ナノ粒子に対してW/Wベースで少なくとも0.1%の過酸化ベンゾイル(BP)を添加するステップ220と、超音波処理するステップ230と、を含む。本発明のいくつかの例示的な実施形態では、超音波処理230は、粒子へのPEIのグラフト化に寄与する。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、BPは、グラフト化反応の開始に寄与するフリーラジカルを供与する。本発明の更なる例示的な実施形態によれば、ナノ粒子は、エタノールの代わりに他の有機溶媒中に分散される。本発明の様々な例示的実施形態によれば、適切な溶媒には、トルエン、キシレン、メタノール、イソプロピルアルコール及びプロパノールを含むが、これらに限定されない。
【0060】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、210の初期分散は、有機溶媒(例えば、エタノール)中でナノ粒子を超音波処理すること208によって達成される。いくつかの実施形態では、超音波処理は、分散に寄与する。
【0061】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、ナノ粒子は、フュームドシリカ(疎水性及び/又は親水性)を含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、メタクリルシリカを含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、酸化アルミニウム(Al2O3)を含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、ZnO(疎水性及び/又は親水性)を含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、ゼオライトを含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、TiO2を含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、カーボンナノチューブを含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、グラフェンを含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、カーボンブラックを含む。
【0062】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、本方法は、ナノ粒子に対して少なくとも30%又は少なくとも100%のPEIを添加するステップを含む。本発明の様々な例示的実施形態によれば、添加されるPEIの量は、上記に記載されるように0.1%~500%の範囲である。
【0063】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、本方法は、ナノ粒子に対して少なくとも1%のBP又は少なくとも3%のBPを添加するステップを含む。本発明の様々な例示的実施形態によれば、添加されるBPの量は、上記に記載したように0.1%~3%の範囲である。描写される実施形態では、方法200は、ナノ粒子をエタノールで洗浄するステップ240を含む。本発明の様々な例示的実施形態によれば、エタノール洗浄240は、真空濾過及び/又は遠心分離及び/又は蒸発によって達成される。エタノール洗浄240は、BP及び/又は非結合PEIの減少に寄与する。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、方法200は、キシレンで未グラフト化PEIを抽出するステップ250を含む。本発明の様々な例示的実施形態によれば、キシレン抽出250は、2~12時間、4~10時間、5~8時間、又は6.5~7.5時間行われる。いくつかの実施形態では、熱キシレンが使用される。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、方法200は、超音波処理230及び/又は208中に、前記エタノールを4℃まで冷却するステップを含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、方法200は、超音波処理230の後、室温で一晩インキュベートするステップを含む。いくつかの実施形態では、このインキュベーションは、グラフト化されるPEIの量の増加に寄与する。
【0064】
(例示的な使用方法)
図3は、本発明のいくつかの例示的な実施形態に従って、ナノコンポジット粒子をポリマー材料に組み込むための、全体的に300として示される方法の簡略化したフロー図である。
【0065】
描写された例示的な方法300は、PEIでコーティングされたナノ粒子をポリマー材料とプレミックスして、プレミックスを形成するステップ310と、前記プレミックスに追加のポリマー材料を混合して最終混合物を形成するステップ320と、を含む。描写される実施形態では、方法300は、最終混合物を押出成形するステップ330を含む。本発明のいくつかの例示的な実施形態では、混合320及び/又はプレミックス310は、乾式ブレンドを含む。本発明の様々な例示的実施形態によれば、押出成形330は、所望の濃度までの押出成形、又は濃縮し、続いて希釈する押出成形である。
【0066】
方法300のいくつかの実施形態では、ポリマー材料及び/又は追加のポリマー材料は、リサイクルされている。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、PEIでコーティングされたナノ粒子は、上記に記載されるもの及び/又は上記に記載される方法200から得られるものである。
【0067】
図示の実施形態では、方法300は、混合320中に充填剤を添加するステップ340を含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、方法300は、押出成形330中に充填材を添加するステップ350を含む。いくつかの実施形態では、充填材は、非ポリマー材料(例えば、セラミック又は鉱物)を含む。
【0068】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、310におけるポリマー材料及び追加のポリマー材料320は、それぞれ独立して、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE、LDPE、HDPE、PEX)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート(PAM)、ポリスチレン(PS)、高密度ポリスチレン(HIPS)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、エチレンビニルアセテート(EVA)、イソプレン、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロックコポリマー、ブタジエン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。
【0069】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、310で生成された最終混合物は、PEIでコーティングされた少なくとも0.01%(W/W)のナノ粒子を含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、310で生成される最終混合物は、PEIでコーティングされた25%(W/W)以下のナノ粒子を含む。本発明の様々な例示的実施形態によれば、310で生成される最終混合物は、少なくとも0.05%、少なくとも0.1%、少なくとも0.25%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも6%、少なくとも8%、少なくとも10%、又は中間以上のパーセンテージを含む。代替的又は追加的に、本発明の様々な例示的実施形態によれば、310で生成される最終混合物は、10%未満、8%未満、10%未満、8%未満、6%未満、4%未満、2%未満、1%未満、0.75%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満又は中間以下のパーセンテージを含む。
【0070】
本発明の様々な例示的実施形態によれば、330で製造された押出最終混合物は、射出成形、ブロー成形、織布マット、回転成形、付加製造及び真空成形を含むが、これらに限定されない1つ以上の工業プロセスで使用される。
【0071】
本発明の他の例示的な実施形態は、方法300又はその変形によって製造される任意の生成物に関する。
【0072】
(更なる例示的な使用方法)
図4は、本発明のいくつかの例示的な実施形態に従って、ナノコンポジット粒子を製品の表面に塗布するための、全体的に400で示される方法の簡略化したフロー図である。
【0073】
描写された例示的な方法400は、PEIでコーティングされたナノ粒子を液体媒体中に分散させて懸濁液を生成するステップ410を含む。いくつかの実施形態では、PEIでコーティングされたナノ粒子は、上記に記載されるもの、及び/又は上記に記載される方法200から得られるものである。
【0074】
描写された実施形態では、方法400は、懸濁液を製品の表面に塗布するステップ420と、液体媒体を蒸発させるステップ430とを含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、方法400は、液体媒体のゲル化440を含む。本発明のいくつかの例示的な実施形態では、ゲル化は、ポリマー及び/又はヒドロゲルの架橋を含む。本発明のいくつかの例示的な実施形態では、液体媒体は、水を含む。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、液体媒体は、有機溶媒を含む。本発明のいくつかの例示的な実施形態では、有機溶媒は、エタノールを含む。
【0075】
本発明の様々な例示的な実施形態によれば、PEIでコーティングされたナノ粒子は、シリカナノ粒子、メタクリルシリカナノ粒子、酸化アルミニウム(Al2O3)ナノ粒子、ZnOナノ粒子、ゼオライトナノ粒子、TiO2、カーボンナノチューブナノ粒子及びグラフェンナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。本発明の様々な例示的実施形態によれば、ナノ粒子は、親水性及び/又は疎水性ナノ粒子である。
【0076】
方法400のいくつかの実施形態では、PEIでコーティングされたナノ粒子は、液体媒体中に、少なくとも0.01%W/Wの濃度で存在する。本発明の様々な例示的な実施形態によれば、PEIでコーティングされたナノ粒子は、液体媒体中に、少なくとも0.05%、少なくとも0.1%、少なくとも0.25%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも6%、少なくとも8%、少なくとも10%、又は中間以上のパーセンテージで存在する。代替的又は追加的に、本発明の様々な例示的実施形態によれば、PEIでコーティングされたナノ粒子は、液体媒体中、10%未満、8%未満、6%未満、4%未満、2%未満、1%未満、0.75%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、又は中間以下のパーセンテージで存在する。
【0077】
代替的又は追加的に、方法400のいくつかの実施形態では、塗布するステップは、噴霧、ブラッシング、ドーピング、ローリング、スミアーコーティング及びディッピングからなる群から選択される少なくとも1つの作用を含む。
【0078】
本発明の様々な例示的な実施形態によれば、420における製品は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE、LDPE、HDPE、PEX)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート(PAM)、ポリスチレン(PS)、エチレンビニルアセテート(EVA)、イソプレン、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロックコポリマー、ブタジエン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。
【0079】
本特許の存続期間中に、多くの新規なポリマー材料及び/又は種類のナノ粒子が開発されることが予想され、本発明の範囲は、全てのそのような新規な技術を先験的に含む。
【0080】
本明細書で使用するとき、「約」という用語は、±10%を指す。
【0081】
本発明をその特定の実施形態と併せて説明してきたが、多くの代替、修正、及び変形は、当業者には明らかであることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び広い範囲内に入る全てのそのような代替、修正、及び変形を包含することが意図される。
【0082】
具体的には、様々な数値インジケータが利用されている。これらの数値インジケータは、本発明の様々な実施形態に組み込まれる様々な技術原理、材料、意図される使用及び設計に基づいてさらに変化し得ることを理解されたい。さらに、本発明の例示的な実施形態に属し、単一のユニットとして示されるコンポーネント及び/又は動作は、サブユニットに分割されてもよい。逆に、本発明の例示的な実施形態に属し、サブユニット/個々の動作として示されるコンポーネント及び/又は動作は、説明/描写される機能とともに単一のユニット/動作に組み合わせられてもよい。
【0083】
代替的又は追加的に、方法を説明するために使用される特徴は、装置を特徴付けるために使用されることができ、装置を説明するために使用される特徴は、方法を特徴付けるために使用されることができる。
【0084】
さらに、上述の個々の特徴は、本発明の更なる実施形態を生成するために、全ての可能な組み合わせ及び部分的組み合わせで組み合わせ可能であることを理解されたい。上記の実施例は、本質的に例示的なものであり、以下の特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0085】
特定の特徴、部分、コンポーネント、モジュール又はプロセスを含む本発明の実施形態の各記載は、記載された特徴、部分、コンポーネント、モジュール又はプロセスを含まない本発明の追加の実施形態が存在することを明示する記述である。
【0086】
代替的又は追加的に、本発明の様々な例示的な実施形態は、本明細書に具体的に開示されていない任意の特定の特徴、部分、コンポーネント、モジュール、プロセス又は要素を除外する。
【0087】
具体的には、本発明は、特定の種類のナノ粒子及び特定の工業プロセスの文脈の中で説明されてきたが、他のナノ粒子タイプ及び/又は他の工業プロセスの文脈の中でも使用され得る。
【0088】
本明細書で言及される全ての刊行物、参考文献、特許及び特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許又は特許出願が具体的かつ個別に参照により本明細書に組み込まれることが示されるのと同程度に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本出願における任意の参考文献の引用又は特定は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0089】
「含む」及び「有する」という用語と、それらの活用形は、本明細書で使用される場合、「含むが、必ずしも限定されない」を意味する。
【0090】
本発明の様々な実施形態の更なる目的、利点、及び新規の特徴は、限定することを意図しない以下の実施例を検討すれば、当業者には明らかになる。さらに、上記で詳述され、以下の特許請求の範囲の節で請求される本発明の様々な実施形態及び態様のそれぞれは、以下の実施例において実験的裏付けが見出される。
【実施例】
【0091】
ここで以下の実施例を参照するが、これらの実施例は、上記の説明とともに、本発明を非限定的な様式で例示する。
【0092】
以下の材料及び方法を、以下の実施例に記載される実験を実施する際に使用する。
【0093】
(材料)
PEI:市販のポリエチレンイミンポリマー600(Alfa Acer、日本)、800(D-BASF、ドイツ)、10K(Alfa Acer、米国)及び25K(D-BASF、ドイツ)を、さらに精製することなく、受領したままの状態で使用した。
BP:再結晶した過酸化ベンゾイルを開始剤として使用した(Alfa Acer、英国)。
シリカナノ粒子:AEROSIL 200(親水性、12nm)、AEROSIL R972(疎水性、サイズ16nm)、AEROSIL R711(メタクリルシリカ、サイズ12nm)は、いずれもEVONIK(ドイツ)からのものである。
エタノール:99.9%(Romical、イスラエル)を溶媒として使用した。
キシレン:キシレン(Carlo Erba Reagents、フランス)を使用して、未グラフト化PEI画分を抽出した。
【0094】
(方法)
TGA:PEI/Siナノコンポジットの熱安定性を、TA Instruments Q5000熱重量分析器TA Instruments、米国)を使用して、熱重量分析(TGA)によって決定した。温度範囲は、10℃/分の加熱速度で25~600℃であり、温度の関数として重量損失を監視した。分析は、窒素雰囲気下、流速25mL/分で行った。
FTIR:試料のフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを650~4000cm-1の範囲で得ることで、Smart iTRダイヤモンドATRデバイスを備えたThermo 6700 FTIR装置を使用して、ポリマーPEIによってその表面上にグラフト化されたSiO2ナノ粒子の化学組成に関する情報を得た。
HRSEM:抽出前のシリカのPEIグラフト化ナノ粒子の形態を、高解像度走査型電子顕微鏡(HRSEM)によって研究した。試料を観察前にカーボンでスパッタリングし、HRSEM(Carl Zeiss Ultra Plus)を用いて1keVの加速電圧で検査した。
【0095】
実施例1:
ナノコンポジットの調製
PEI/Siナノコンポジットを、
図1に概略的に示すように合成した。(1)において、測定された量のナノ粒子(例えば、フュームドシリカ又はアルミナ)を20mLのエタノールに添加した。混合物を超音波処理して(実験室規模で5分間)、ナノ粒子を分散させた。(2)において、異なる重量比NP:PEI(3:1、1:1及び1:3)で異なる分子量(600、800、10,000及び25,000g/mol)を有するポリ(エチレンイミン)(PEI)と、異なる濃度(0.5%、1%及び2%)の過酸化ベンゾイル開始剤を分散物に添加し、続いて表1に列挙されるように4℃で超音波処理した。
【0096】
表1.Aerosil200及び過酸化ベンゾイル(BP)にをベースとするナノコンポジット材料の調製、*XXは、PEI MW(10,000に対して600、800、10、及び25,000g/molに対して25)を指す
【表1】
【0097】
系を室温で一晩撹拌せずに放置し、反応を完了させた。得られたゲル様ナノコンポジットを濾過し、70nm孔径膜を備えたMillipore真空フィルタ装置を用いて過剰のエタノールで数回洗浄した。次いで、濾過ケーキ固体を真空オーブン中で一晩乾燥させて、微細な白色粉末を得た。
【0098】
2種類のPEI画分が、
図1の(2)に示すように最終固体中に存在し、それらは、付着していない(unattached)(ナノ粒子にグラフト化されていない)PEI及びグラフト化されたPEIである。
【0099】
グラフト化効率をさらに研究するために、抽出手順を行った。濾過ケーキ固体のアリコートを熱キシレンに7時間浸漬した。未グラフト化PEIは、キシレンに溶解し、PEIグラフト化ナノ粒子を反応器の底に残した。次いで、熱重量分析(TGA)及びフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを用いて、グラフト化ナノ粒子を特徴付けた。
【0100】
得られたグラフト化PEI画分に対する異なる開始剤濃度及び重量比の影響を研究した。かなりの費用効果に従ってシリカ表面上に最も高いPEIグラフト化画分を示すナノコンポジットを、親水性シリカを疎水性シリカ及びメタクリルシリカ並びにアルミナなどの他の種類のナノ粒子で置き換えることによってさらに研究した。
【0101】
実施例2:
AEROSIL 200ベースのナノコンポジットのFTIR
FTIR測定に対するPEI MWの効果を研究するために、未抽出試料を用いて行った。
図5は、3:1のPEI及び2.0%BPの抽出前のAerosil 200(一点破線)、ニートPEI 25K(点線)、ニートPEI 10K(実線)、SC25-04(二点破線)及びSC10-04(破線)のFTIRスペクトルを示す。
【0102】
図5は、全ての試料が、1050~780cm
-1の範囲のAEROSIL 200に特徴的な同じ2つのピークを有することを示す。
【0103】
グラフト化PEIを有する試料は、1475cm-1及び1561cm-1付近の2つの追加のピークと、約3280cm-1での吸収バンドと、2840及び2960cm-1付近の2つのピークを示す。
【0104】
こうして、これらの追加のピークにより、PEIがシリカ表面上に首尾よくグラフト化されたことが確認される。
【0105】
実施例3:
FTIRに対するPEIのMW増加の効果
PEIのMWを10,000から25,000に増加させる効果を調べるために、PEI/SiナノコンポジットSC10-04及びSC25-04のFTIRスペクトルを比較した。
【0106】
図6A及び
図6Bは、熱キシレンによる抽出前(上線)及び抽出後(下線)のPEI/SiナノコンポジットSC10-04(
図6a)及びSC25-04(
図6b)のFTIRスペクトルを示す。
【0107】
キシレン抽出後、1650cm-1付近の新しいピークが両方の試料に現れ、第一級アミンが第二級アミンに変換されることを示唆している。
【0108】
キシレン抽出後、1561cm-1におけるピークは、PEI 10K及びPEI 25Kについて、それぞれ完全に消失したか、又は大きく減少した。有機材料の量の減少は、ピーク強度の減少に寄与すると考えられる。
【0109】
キシレン抽出後、N-H2(約1561cm-1)の曲げ振動によるピークは、強度の大きな減少を示す。除去された有機化合物は、そのような化学結合、すなわち付着していないPEIを有していたと考えられる。
【0110】
スペクトルにおけるこれらの変化は、シリカのシラノール基からの酸素原子と、PEIのグラフト化から生じるPEI中の窒素原子との間のナノ粒子への結合に特徴的である。したがって、スペクトルにおけるこれらの変化は、粒子表面へのPEIのグラフト化を確認する。
【0111】
実施例4:
TGA及びDTGに対するキシレン抽出の効果
有機化合物の量(消失した%wtは有機であり、残りは無機である;TGA)及び/又は一次微分(1st derivative)(DTG)のピークがコンポジットの熱安定性に関連することを知るために、TGA及びDTG測定の前にキシレン抽出を行った。
【0112】
通常、有機化合物がグラフト化される場合、熱安定性が変化する。
【0113】
図7a、
図7B、
図7C及び
図7Dは、キシレン抽出の前(実線)及び後(点線)の2つの異なる分子量のPEI、SC800-04(
図7A及び
図7B)及びSC25-05(
図7C及び
図7D)についてのPEI/SiナノコンポジットのTGA及びDTG(一次微分)サーモグラムを示す。
【0114】
全ての試料は、PEIのMW、BP濃度又はPEI:Siの重量比にかかわらず、同じプロファイルを有する。
【0115】
キシレン抽出前、TGA曲線(
図7A及び
図7C)は、DTG曲線(
図7B及び
図7D)における2つの別個のピークの存在によって確認される2つの重量損失を強調している。
【0116】
抽出後、1つの遷移(transition)のみが残り、対応するピークの温度(SC800-04及びSC25-05についてそれぞれ289℃及び316℃)は、未抽出試料に見られる第一のピークの近くに位置する。
【0117】
これらの結果は、未抽出試料における第一のピーク(SC800-04及びSC25-05についてそれぞれ277℃及び314℃)がシリカ表面へのPEIの付着によるものであり、第二のピーク(352℃又は358℃)が未グラフトPEI画分を反映することを示唆している。
【0118】
全ての未抽出試料において、付着画分の分解温度は、より高い温度に位置するSC25-05を除いて、約275℃であることに留意されたい。
【0119】
SC800-04については、12℃(277℃~289℃)の温度差が観察される。これは、シリカ表面への鎖結合が熱酸化耐性に及ぼす影響に起因し得、この温度変化は、各試料において見ることができる。
【0120】
これらの結果は、未抽出ナノ粒子がPEIの2つの分解段階を受けたことを示唆しており、その第一は、付着したPEI鎖画分に対応し、その第二は、未グラフト化PEI画分に対応するが、抽出されたナノ粒子は、シリカ表面上にグラフト化されたPEI鎖の熱分解のみに対応する重量損失によってワンステップで分解される。さらに、これらの結果は、抽出前後に見られる100℃未満の遷移が残留エタノールの揮発によるものであることを示唆している。
【0121】
遊離PEI画分は、グラフト化PEI画分中に含まれるものよりも低い分子量の結果として最初に分解することが予想される。逆転現象を説明することができる1つの理由は、未グラフト化PEIがチャーバリア効果(char barrier effect)によって保護されるからである。
【0122】
これらの結果は、キシレンによる抽出が、グラフト化されていないPEIを溶解するのに効率的であること、及びPEIがシリカ表面上に良好にグラフト化され、PEIグラフト化されたシリカナノ粒子をもたらすことを立証している。
【0123】
実施例5:
TGAに対する重量比の影響
SI:PEIの重量比の影響を決定するために、BP開始剤の量を一定に保ちながら異なる重量比を試験した。
【0124】
図8は、0.5%BP濃度及びPEIのMW25000についての重量比SI:PEIの影響を示すTGAサーモグラム(温度の関数としての重量%)である。
【0125】
最大のPEIグラフト化画分は、重量比1:1で生じ(実線、SC25-08)、重量損失は29.5%であった。重量比が減少すると(w.r.3:1、点線、SC25-07)、すなわちPEI量が減少すると、グラフト化画分の減少が観察される(約21%グラフト化)。この減少は、より低いPEI量が使用されるために、予想される。
【0126】
重量比が1:3に増加すると(破線、SC25-09)、グラフト化量は、劇的に減少し、SC25-08(約11%)と比較して、グラフト化されたのは、3分の1であった。この結果は、PEIに対するシリカ表面のグラフト化能力の限界が1:1の重量比であったことを示唆している。これらの結果は、PEI 25Kの高度な分岐が、過剰のPEIが存在する場合に立体障害に寄与し得ることも示唆している。これらの結果は、PEI25Kの高度な分岐が、過剰のPEIが存在する場合に立体障害に寄与し得ることも示唆している。
【0127】
実施例6:
高MWのPEIを有するTGAに対する開始剤量の影響
開始剤量の効果を決定するために、2つの異なるパーセンテージのBPを、MW25000のPEIを使用して2つのSI:PEI重量比で試した。
【0128】
図9A及び
図9Bは、PEI 25Kをベースとする試料について、3つの異なる重量比1:1(実線)、3:1(点線)及び1:3(破線)での1.0%(
図9a)及び2.0%(
図9b)のBP濃度についてのTGAサーモグラム(温度の関数としての重量%)を示す。
【0129】
図9bは、2%BP濃度では、実施例5の結果から予想されるように、1:1の重量比で最も多い量のグラフト化PEIが得られることを示す。
【0130】
図9Aは、1.0%BP濃度では、3:1の重量比で最も多い量のグラフト化PEIが得られることを示す。
【0131】
【0132】
図9Cは、異なる組成物(BP、SiO2、PEI)についてのグラフト化PEIの量を要約する。濃度が良好なほど、グラフト化PEI含量がより高くなる。
【0133】
これらの結果は、PEI 25Kの高い分岐による立体障害が、シリカの表面上により多くのPEIをグラフトする可能性を妨げることを示唆している。これらの結果に基づいて、それによって、グラフト化PEI 25000 MWの最大量は、約30%であると思われる。
【0134】
実施例7:
低MWのPEIを有するTGAに対する開始剤量の影響
開始剤量の効果を決定するために、2つの異なるパーセンテージのBPを、MW600のPEIを使用して2つのSI:PEI重量比で試した。
【0135】
図10は、キシレン抽出後の、3つの異なるBP濃度についての、シリカ:PEIの重量比1:3に対するPEI 600MWをベースとする試料のTGAサーモグラム(温度の関数としての重量%)を示す。
【0136】
3つの試料についてシリカ表面にグラフト化されたPEIの量は、あまり変化しなかった。2%のBPについては、約11%がグラフト化され(上の線、SC600-06)、0.5%のBPについては、約11%がグラフト化され(中の線、SC600-09)、1%のBPについては、約12%がグラフト化された(一番下の線、SC600-03)。
【0137】
これらの結果は、先の実施例の結果と共に、グラフト化PEIの量を制御及び調節することが可能であることを示唆している。
【0138】
実施例8:
PEIのMWとBP量との間の相互作用
PEIのMW及びBP開始剤濃度の相対的効果をさらに調べるために、追加の実験を行った。
【0139】
図11A及び
図11Bは、キシレン抽出後、3つの異なるBP濃度(0.5%(緑色の線)、1.0%(橙色の線)及び2.0%(青色の線))について3:1の重量比を有するPEI 10000MW(
図11A)及びPEI 25000MW(
図11A)をベースとするナノコンポジットのTGAサーモグラム(温度の関数としての重量%)を示す。
【0140】
各試料について1つの遷移のみが観察されるが、これは、どのようなBP開始剤濃度が用いられても、グラフト化反応が成功したことを意味する。
【0141】
図11Aに示すように、2%のBPで作製されたナノコンポジットは、最も高い重量損失を受け、18.81%のPEIがグラフト化されたことを示す。興味深いことに、0.5%BPは、ほぼ同一のグラフト化パーセンテージ(18.58%)を生成した。1%BPは、有意により低いパーセンテージのグラフト化PEI(11.09%)を生成した。
【0142】
図11Bは、PEIのMWが25000である場合に、グラフト化PEIの最低パーセンテージ(15.17%)が1.0%BPについても得られたことを示す。しかしながら、MWが25000のPEIでは、0.5%及び2%のBP濃度では、その傾向が逆転している。最も高いPEIグラフト化パーセンテージ(21.7%)は、0.5%BPで発生した。2%BPのPEIグラフト化パーセンテージは、19.57%であった。
【0143】
これらの結果は、BP濃度の増加がPEIグラフト化パーセンテージに著しく寄与しないことを示唆している。PEI 25,000MWは、PEI 10,000MWよりも高いPEIグラフト化パーセンテージ画分を一貫して示した。これは、PEI 25,000MWにおける分岐が多くなり、より多数の窒素原子がシリカの酸素原子に結合できるようになることに起因し得る。
【0144】
実施例2~8の累積結果に基づいて、SC25-0(Aeorosil 200ナノ粒子、25,000MW PEI、0.5%BP、シリカ、PEO(3:1))を更なる研究のために選択した。このSI/PEIナノコンポジットは、最低BP濃度及び重量比の両方について、グラフト化PEIの最高パーセンテージ(22%)を示す。これらの要因は、その工業的使用のための費用効果の高い選択肢になる。
【0145】
実施例9:
1:1の重量比での開始剤%の影響
1:1の重量比でのBP開始剤のパーセンテージの影響を調べるために、別の実験を行った。
【0146】
図12は、0.5%BP(最下線、SC25-08)、1.0%BP(上の線、SC25-02)、及び2.0%BP(中の線、SC25-05)濃度について重量比1:1を有するPEI25,000MWをベースとするSi/PEIナノコンポジット材料のTGAサーモグラム(温度の関数としての重量%)である。
図11Bに見られるのと同じ傾向が観察される。
【0147】
グラフト化されたPEIのパーセンテージが最も高いのは、0.5%BP濃度(29.5%)で発生し、グラフト化されたPEIのパーセンテージが最も低いのは、1.0%BP濃度(12.8%)で発生した。興味深いことに、2.0%BP濃度では、グラフト化されたPEIのパーセンテージは、0.5%BP試料に対するものである(約29%)。
【0148】
これらの結果は、PEIのグラフト化パーセンテージを高くするには、0.5%BPで十分であることを裏付けている。
【0149】
実施例10:
多変量実験
異なる条件下での実施例9の結果を確認するために、追加の実験を行った。
【0150】
【0151】
データは、他のパラメータに関係なく、最も高い分岐PEI(つまり、最も高いMW)がグラフト化PEIのパーセンテージが最も高いことを示している。逆に、過酸化物濃度及び/又はシリカ:PEIの重量比に関係なく、低MWのPEI(つまり、600及び800)では、グラフト化されたPEIのパーセンテージが低くなる。
【0152】
図13Aに示すように、試料SC600-06及びSC800-06は、グラフト化PEIのパーセンテージが低く、それぞれ約10.7%及び約11.3%を示す。これは、重量比が1:3であるにもかかわらず、過剰なPEIが確保されるはずである。低MWのPEIでも立体障害が発生する可能性がある。
【0153】
図13Bは、同様の傾向を示している。試料SC25-09は、PEIのMWが25,000であるにもかかわらず、重量比1:3ではグラフト化PEIの割合が低い(11.4%)ことを示している。
【0154】
しかしながら、Si:PEIの重量比が1:1の場合、MWが増加すると、グラフト化PEIのパーセンテージが大幅に増加する。
【0155】
図13Cは、1:1の重量比で、PEI 800MWと比較して、約3倍のPEIがPEI 25,000MWでグラフト化されたことを示す。
【0156】
図13Dは、MWが10Kから25Kに上昇すると、グラフト化画分が明確に増加することを示しており、重量比1:1で約5%の差である。
【0157】
要約すると、これらの結果は、PEIグラフト化パーセンテージを高くする方法は、低いSI:PEI重量比で高MWのPEIを使用することであることを示唆している。
【0158】
実施例11:
交互のナノ粒子コア
PEIを他の基板にグラフト化する可能性を調査するために、異なるナノ粒子を使用して追加の実験を行った。
【0159】
実施例8の最後に示したように、更なる研究のために、SC25-07を選択した。
【0160】
図14A及び
図14B、並びに表2に示すように、AEROSIL 200親水性ナノ粒子(下から二番目の線)を、他の3つの異なる種類のナノ粒子(疎水性フュームドシリカ(AEROSIL R972、上の線)、メタクリル系フュームドシリカ(AEROSIL R711、一番下の線)、及び酸化アルミナ(Aeroxyde Alu C、上から二番目の線))に置き換えた。他のパラメータは、全てSC25-07のものと同じである。
図14A及び
図14Bは、このプロセスが、異なる表面化学を有する異なる材料に対して良好に機能することを示している。これらの結果は、提案されたPEIのグラフト化が様々な種類のナノ粒子に広く適用できるという概念を裏付けている。
【0161】
表2.過酸化ベンゾイル(BP)及び様々な種類のNPをベースとするナノコンポジット材料の調製、*XXは、PEI MW(10,000に対して600、800、10、及び25,000g/molに対して25)を指す
【表2】
【0162】
図15Aは、
図14A及び
図14Bの3種類のナノ粒子(疎水性フュームドシリカ(AEROSIL R972、灰色の線)、メタクリル系フュームドシリカ(AEROSIL R711、橙色の線)、及び酸化アルミナ(Aeroxide Alu C、青色の線))のPEI/Siナノコンポジット材料のFTIRスペクトル(波数/cmの関数としての吸光度)である。
【0163】
図15Bは、異なる種類の粒子をベースとする、本発明の様々な例示的実施形態に従うPEIナノコンポジット粒子の重量損失%を示す棒グラフである。
【0164】
この実施例は、最終用途に応じて、一定量のPEIに関連する特定のナノ粒子が異なり得ることを示す。これにより、用途ごとに特定の配合をカスタム調整することができる。また、これによって、ユーザは、最も価値のある粒子を選択することができる。
【0165】
実施例12:
SEMによる特性評価
グラフト化PEIの形態を基準系と比較し、分散及びPEIのナノ粒子への結合を研究するために、SEM(走査型電子顕微鏡)による特性評価を行った。
【0166】
図16(16A、16B、16C、及び16D)は、一連のSEM顕微鏡写真である。
【0167】
図16Aは、PEIを含まないAEROSIL 200シリカナノ粒子を示す。
【0168】
図16Bは、ナノ粒子を含まないPEI 25,000MWを示す。
【0169】
図16Cは、BP開始剤を含まない、AEROSIL 200シリカナノ粒子とPEI 25,000MWとの混合物を示す。
【0170】
図16Dは、キシレン抽出前の試料SC25-07を示す。
【0171】
図16aに見られるように、AEROSIL 200シリカナノ粒子は、サイズが均一で、球形である。これは、製造業者が提供する特性と一致している。さらに、試料が堆積前に超音波処理を受けていたため、凝集は、ほとんど観察なかった。
【0172】
図16Bに見られるように、PEI 25,000 WMは、ナノ粒子が物理的に添加された後でも、なお観察可能な粗さを示す(
図16C)。
図16Cでは、シリカがPEIの表面に位置しているように見え、その結果、凝集が生じている。
図13Bの混合物は、開始剤が含まれていないので、グラフト化は起こらない。
【0173】
図16Dは、グラフト化反応後、PEI 25,000K MWの粗さが減少して、比較的滑らかな表面になったことを示している。この結果は、グラフト化されたPEIが遊離PEI内によく分散し、界面活性剤のように作用することを示唆している。
【0174】
図17A及び
図17Bは、高倍率での
図16Dと同様のSC25-07ナノコンポジット粒子のSEM顕微鏡写真である。遊離PEI中のナノ粒子の良好な分散は、化学結合なしで物理的に分散させるのではなく、グラフト化NPの付加価値をさらにサポートする。これらの画像は、新しい化学結合の形成をさらに裏付けている。シリカ表面に存在するヒドロキシル基は、PEIのアミノ基と首尾よく反応した。酸性及び中性のpHでは、PEIのアミノ基がプロトン化されることが知られている。SC25-07のトルエン溶液のpHは、7である。
図17A及び
図17Bで観察される鎖の伸長した形態は、PEIの異なるグループ間の静電反発によるものである可能性がある。
【0175】
多少の凝集も見られる。これらの凝集は、未グラフト化PEI鎖及び/又はナノ粒子の凝集の結果である可能性がある。
【0176】
この実施例は、全体として、マトリックス内にナノ粒子を細かく分散させるためにグラフト化が重要であることを示している。ナノ粒子が分散すると、その表面積が増加するので、吸着面積が増加する。いくつかの実施形態では、吸着面積の増加は、VOCの吸着速度のより速い増加、及び/又はVOCの吸着量の増加に寄与する。
【0177】
実施例13:
ナノ粒子にグラフト化されたPEIは、ポリマー材料からの放出を低減する
ポリマー材料からの放出を低減する本発明の例示的な実施形態に従うPEIナノコンポジット粒子の可能性を評価するために、それらを市販の臭気低減添加剤と比較した。
【0178】
図18は、GCMSによって測定された総排出量をPPMで示す棒グラフである。測定は、90℃で30分後と120℃で60分後に行われた。試験材料は、発泡剤を添加したリサイクルPVCである。
【0179】
図18では、
Rは、試験材料のみを含む未処理の参照試料(アゾ発泡剤を含むポリ塩化ビニル(PVC))を示し、
Cは、0.5%の市販の臭気低減添加剤+試験材料を有する陽性対照試料を示し、
Eは、本発明の例示的な実施形態に従う0.5%PEIナノコンポジット粒子を有する実験試料を示す。
【0180】
この実施例は、例示的な実施形態に従うPEIナノコンポジット粒子が、示されたアッセイ条件下でPVCからの放出を低減することにおいて市販の製品よりも有効であることを示している。
【0181】
実施例14:
ナノ粒子にグラフト化されたPEIは、臭気を低減する
先の実施例の結果を確認するために、G1ポリマー(Plastofil、イスラエル)を用いて、追加の実験を行った。30%のリサイクル材料を、臭気低減添加剤の有無にかかわらず、70%のG1ペレットと混合し、押出した。人間のボランティア5人のパネルが各試料の匂いを嗅ぎ、0(知覚可能な匂いなし)~5(非常に強い匂い)の尺度で評価した。臭気低減添加剤は、2%の市販の臭気低減添加剤、0.25%のグラフト化されていないPEI、及び本発明の例示的な実施形態に従う0.25%のPEIナノコンポジット粒子(0.25%SC-07 25)であった。
【0182】
図19は、本発明の例示的な実施形態に従う0.25%のPEIナノコンポジット粒子が、2%の市販の臭気低減製品よりも臭気を低減し、またPEI単独よりも臭気を低減することを示す。
【0183】
この実施例は、ナノ粒子基板にPEIをグラフト化すると、ポリマー材料から発する臭気の低減において、その有効性が向上することを示している。
【0184】
実施例15:
グラフによる要約
実施例22~10に提示されるデータをより理解できるようにするために、それらのデータをグラフで要約する。
【0185】
図20は、本発明の様々な例示的な実施形態に従う、異なるSI:PEI重量比を有するPEI 25,000MWナノコンポジット粒子のPB濃度(%)の関数としての重量損失%を示す棒グラフである。
【0186】
図21は、本発明の様々な例示的な実施形態に従う、異なるSI:PEI重量比を有するPEI 10,000MWナノコンポジット粒子のPB濃度(%)の関数としての重量損失%を示す棒グラフである。
【0187】
図22は、本発明の様々な例示的な実施形態に従う、異なるSI:PEI重量比を有するPEI 800MWナノコンポジット粒子のPB濃度(%)の関数としての重量損失%を示す棒グラフである。
【0188】
これらのグラフ要約は、グラフト化反応が異なるパラメータで最適化後に起こることを明らかにし、SC-07-25組成物が最も有望なものとして選択されたが、その理由は、使用される試薬が最小限で最も高いグラフト化PEIを有する(すなわち、他のものよりも安価である)からである。
【0189】
実施例16:
例示的なスケールアップ
上記の説明は、主に実験室規模の手順に関する。
工業生産に移るために、限定されたスケールアップが行われ、本明細書で詳細に説明される。これは、工業プロセス専門家がプロセスをさらにスケールアップするための十分なガイダンスを提供するはずである。
【0190】
100Lの容器を冷却浴の中に置いた。所望の量のナノ粒子(例えばAEROSIL 200)を、1%kg/リットルの体積比でエタノール99.9%に添加し、冷却系を作動した。
【0191】
ナノ粒子を、4500W超音波処理器を用いて、15分間隔で50%の振幅で、少なくとも2時間超音波処理することによって分散させた。
【0192】
PEI 25000 MWを1Lのエタノールに予備溶解し、750Wの超音波処理器を用いて15分間(5分間の3つの間隔及び25%の振幅)で、超音波処理した。より低いMWのPEI超音波処理では、粘度が低いため、予備溶解を低減又は排除することができる。
【0193】
予備溶解したPEI 25000 MW溶液及び所望の量の再結晶化BPをシリカ分散液(100L容器中)に添加した。ナノ粒子、PEI及びBPを、4500W超音波処理器を用いて15分間隔で50%の振幅で、少なくとも1時間、一緒に超音波処理した。
【0194】
得られた溶液を別の容器にポンプで移送し、24時間の間に反応を完了させた。反応混合物を、真空濾過漏斗を用いて濾過し、濾過ケーキを生成した。濾過ケーキを回収し、真空オーブン中60℃で一晩乾燥させた。いくつかの実施形態では、更なるエタノールでの洗浄及び/又はキシレンでの抽出は、本明細書中上記のように行われる。
【0195】
以下の表は、例示的な試薬量を示す。
表3:例示的なSI/PEIナノコンポジットのレシピ
【表3】
表4:追加の例示的なSI/PEIナノコンポジットのレシピ
【表4】
表5:更なる追加の例示的なSI/PEIナノコンポジットのレシピ
【表5】
【0196】
実施例17:
カーボンブラックナノ粒子にグラフト化されたPEI
上記のグラフト化PEI方法が広範囲のナノ粒子タイプに適用可能であることを実証するために、EC300カーボンブラックナノ粒子と、リファレンス標準としてPEI25,000MW又はPEI25,000MWを使用して追加の実験を行った。ナノ粒子対PEIの重量比は、3:1を使用した。
【0197】
【0198】
図23A及び
図23Cは、本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子の結果を示し、ここでは、キシレン抽出後に、EC300カーボンブラックナノ粒子がPEI25,000MWにグラフト化されている。
【0199】
図23B及び
図23Dは、リファレンス標準としてのPEI 25,000MWの結果を示す。
【0200】
これらの結果は、PEIが炭素質粒子にグラフト化することを実証している。この実験において、グラフト化パーセンテージは、反応物に最初に添加されたPEIの14%又は56%として計算された。
【0201】
先の実施例5及び6と比較すると、これらの結果は、カーボンブラックへのPEIのグラフト化がシリカ粒子の場合よりもわずかに少ないことを示唆している。しかしながら、炭素質粒子を使用することで、抑制され得る臭気物質の範囲を広げる可能性がある。
【0202】
実施例18:
カーボンナノチューブナノ粒子にグラフト化されたPEI
上記のグラフト化PEI方法が広範囲のナノ粒子タイプに適用可能であることを実証するために、SW07カーボンナノチューブナノ粒子と、リファレンス標準としてPEIを含まないPEI25,000MW又はSW07カーボンナノチューブナノ粒子を使用して追加の実験を行った。ナノ粒子対PEIの重量比は、3:1を使用した。
【0203】
【0204】
図24A及び
図24Cは、本発明の例示的な実施形態に従うナノコンポジット粒子の結果を示し、ここでは、キシレン抽出後に、SW07カーボンナノチューブナノ粒子がPEI25,000MWにグラフト化されている。
【0205】
図24B及び
図24Dは、リファレンス標準としてPEIを含まないSW07カーボンナノチューブナノ粒子の結果を示す。
【0206】
これらの結果は、PEIがカーボンナノチューブ粒子にグラフト化することを実証している。この実験において、グラフト化パーセンテージは、反応物に最初に添加されたPEIの21%又は84%として計算された。
【0207】
先の実施例5及び6と比較すると、これらの結果は、PEIのカーボンナノチューブへのグラフト化がシリカ粒子よりもわずかに多かったことを示唆している。再び、カーボンナノチューブ粒子を使用することで、抑制され得る臭気物質の範囲を広げる可能性がある。
【国際調査報告】